衆議院

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第4号 令和7年2月25日(火曜日)

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令和七年二月二十五日(火曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 渡辺  周君

   理事 小泉進次郎君 理事 齋藤  健君

   理事 長谷川淳二君 理事 落合 貴之君

   理事 後藤 祐一君 理事 櫻井  周君

   理事 池下  卓君 理事 長友 慎治君

      石田 真敏君    井出 庸生君

      大空 幸星君    尾崎 正直君

      神田 潤一君    栗原  渉君

      小林 茂樹君    坂本竜太郎君

      塩崎 彰久君    島田 智明君

      中曽根康隆君    平口  洋君

      平沼正二郎君    広瀬  建君

      福田かおる君    向山  淳君

      山本 大地君    吉田 真次君

      若山 慎司君    今井 雅人君

      江田 憲司君    鎌田さゆり君

      黒岩 宇洋君    源馬謙太郎君

      篠原  孝君    柴田 勝之君

      鈴木 岳幸君    馬淵 澄夫君

      矢崎堅太郎君    青柳 仁士君

      斎藤アレックス君    仙田 晃宏君

      福田  玄君    森ようすけ君

      中川 康洋君    山口 良治君

      上村 英明君    高井 崇志君

      塩川 鉄也君    福島 伸享君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           鈴木 英敬君

   議員           大串 博志君

   議員           落合 貴之君

   議員           池下  卓君

   議員           臼木 秀剛君

   議員           中川 康洋君

   議員           北野 裕子君

   議員           鈴木  敦君

   議員           河村たかし君

   議員           島田 洋一君

   総務大臣         村上誠一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 下仲 宏卓君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   衆議院調査局第二特別調査室長           森  源二君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     尾崎 正直君

  国光あやの君     若山 慎司君

  塩崎 彰久君     平沼正二郎君

  山本 大地君     栗原  渉君

  源馬謙太郎君     鈴木 岳幸君

  手塚 仁雄君     柴田 勝之君

  福田  玄君     仙田 晃宏君

  高井 崇志君     上村 英明君

同日

 辞任         補欠選任

  尾崎 正直君     神田 潤一君

  栗原  渉君     大空 幸星君

  平沼正二郎君     吉田 真次君

  若山 慎司君     国光あやの君

  柴田 勝之君     手塚 仁雄君

  鈴木 岳幸君     源馬謙太郎君

  仙田 晃宏君     福田  玄君

  上村 英明君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     山本 大地君

  神田 潤一君     石田 真敏君

  吉田 真次君     塩崎 彰久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十一名提出、衆法第九号)

 公職選挙法の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外十名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 逢沢一郎君外十一名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び逢沢一郎君外十名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官松田哲也君、総務省大臣官房審議官下仲宏卓君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田かおる君。

福田(か)委員 自由民主党の福田かおるです。人生初めての質問という貴重な機会を、民主主義の根幹である政治活動の自由、表現の自由、選挙制度についてさせていただけること、うれしく存じます。

 私自身は、昨年十月に初めての選挙に立候補いたしました。自身が立候補してみて、公職選挙法というのは、言葉を選ばずに申し上げれば、時代に合っていない部分が数多くある制度であるということを実感してまいりました。これは未来の政治家の卵にとっても、有権者になっていく方々にとっても、参入障壁になりかねないものです。時代に合わせた新しいルールが必要です。

 昨年四月の東京都江東区での衆議院補欠選挙、七月の東京都知事選挙、十一月の兵庫県知事選挙、候補者による妨害行為やSNSでの中継、ポスタージャックに二馬力選挙と、この一年間を振り返っても、今の法制度の限界を感じさせるような新しい出来事が幾つも起こっています。令和の時代になって、SNSを始めとする様々なツールを活用しながら選挙に参入してくる多様な方々が登場した結果だと思っております。

 一方、新しいルールを作っていくに当たっては、民主主義の根幹として長年の蓄積で運用されてきた選挙制度について、その根幹を揺るがすことなく改革を行っていかなければならないところに難しさがございます。しかも、現場レベルでは、行政機関はどのように事象に向き合って法律を当てはめていくのか、運用の部分に更に格段の難しさがある。これが公職選挙法の大きな特徴であるように思います。

 選挙管理委員会を始め、現場でたくさんの方々の御苦労があって、過去の慣習なども踏まえ、先人たちの知見を積み上げながらどうにか運用されてきた。私が選挙に挑むに当たっても、選挙管理委員会の方々には多くの質問をさせていただき、大変にお世話になりました。選挙管理委員会の方々にも判断権限がない、あっても判断がしにくい、どこの選挙管理委員会に聞くかによって答えが違うねというようなこともございました。

 新しいルールができれば、選挙管理委員会を始め現場に影響が出ます。今回の改正案をどのように現場で運用していくのか、運用について立法過程で議論し、明確に整理しておくことが、候補者はもちろんのこと、未来世代の政治家にとっても、現場で奮闘されておられる選挙管理委員会の皆さんにとっても、そして国民一人一人にとっても重要だと考えています。

 本日、まずは、ポスター記載に関し新しく改正案で設けられる義務、この運用部分について質問させていただきたいと思います。これは表現の自由に対する制限になり得るもので、その運用、特に行政機関の関与については明確にしておく必要があると考えています。

 具体的には、第百四十四条の四の二では、ポスターには他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害する内容を記載してはならないことが規定されることとなっています。ヘイトスピーチに当たる当たらないといったこともよくSNS上で議論になったりしておりますが、名誉を傷つけているのか、善良な風俗を害しているのか、こうしたことの判断には主観的な側面があり、人によって判断が異なるといった場面も数多く存在しています。

 このような中、特定の表現の記載を禁止するということは、民主主義の根幹を成す政治活動及び表現の自由に対する制限につながりかねません。記載禁止事項に該当する表現か否か、この判断に当たっては、行政機関の裁量の範囲を厳格に限定していく必要があるのではないかと考えておりますが、提案者の御見解をお伺いします。

逢沢議員 福田先生の質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 先生御指摘のとおり、改正案で規定するポスターの記載に関する品位保持義務等の規定は、民主主義の根幹を成す表現の自由、また政治活動の自由に関わる規制でございます。おっしゃるとおりでございます。

 改正案の立案につきましては、御指摘をいただきました、昨年の東京都知事選挙で生じた選挙運動目的とは思われないようなポスターが公営掲示場に掲示された問題への対処等々という要請と、御指摘の表現の自由や政治活動の自由の保障という要請とのバランスをどのように取るか、与野党で真剣に議論をさせていただきまして、重要な検討課題となったということをまず申し上げておきたいというふうに思います。

 これらは双方とも重要な観点であることを踏まえまして、公権力による恣意的な規制が行われることがないよう、御指摘の品位保持義務規定に違反するポスターがあった場合に、直ちに行政機関である選挙管理委員会が表現内容に立ち入ってその可否を判断することはないと整理させていただきました。

 その上で、ポスターの掲示によって、改正案に罰則つきで盛り込まれている営業宣伝や、わいせつ物陳列罪、各都道府県の迷惑防止条例違反などの犯罪が行われると認定される場合には、当該ポスターを掲示した者に対して違法状態を是正するよう警察から警告を出しましたり、刑事司法手続による対処を行う、そのように整理をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

福田(か)委員 ありがとうございます。バランスを考えて規定が作られたということ、改めて理解いたしました。また、行政機関が恣意的に判断をするものではないということも確認させていただきました。

 では、名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害する表現などに当たるか否かは、誰が何に基づき判断することになるのでしょうか。提案者の御見解をお伺いいたします。

鈴木(英)議員 福田委員の御質問にお答えします。

 そもそも、品位保持規定の趣旨は、一般的、抽象的に、公営掲示場に掲示するポスターとしての品位を損なう記載をしないよう候補者の自覚を促すということにあります。他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害する内容のポスターがあった場合に、したがいまして、行政処分、撤去命令が科されたり刑事罰が科されたりする制度とはしていません。

 選挙は、有権者の方々が、立候補者の中から誰が議員等の地位にふさわしいかを自ら判断し、投票するものと承知をしております。本改正によりまして、品位保持義務に違反する違法なポスターを掲示した場合には、そのこと自体が有権者が行う投票の判断材料になり、有権者の判断に基づきその候補者が落選したり一定の得票を得られなかった場合には、供託金の没収や選挙運動費用の負担につながったりするなど、選挙の過程を通じて是正、淘汰が図られていくものと考えております。

 なお、先ほど逢沢提出者からも答弁がありましたが、ポスターの掲示によって、改正案に罰則つきで盛り込まれている営業宣伝、また、わいせつ物陳列罪、各都道府県の迷惑防止条例違反などの犯罪が行われていると認定される場合には、当該ポスターを掲示した者に対して違法状態を是正するよう警告したり、刑事司法手続による対処を行うことを想定しております。

福田(か)委員 ありがとうございます。

 ポスターが名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害する内容かどうかについては、選挙管理委員会を始めとする行政機関の恣意的な裁量はない、判断が行われるということはなく、まず候補者の判断になる、そして最終的には有権者が判断していくということ、この点、確認させていただきました。

 また、違反の疑義があるような事案についてどのような対処があり得るのかということについては、先ほど御言及のありました今の公職選挙法第百四十七条のところかと思います、ポスターの撤去についての規定がございますが、今回、第百四十七条の改正はされていない。ということは、名誉を傷つけたり風俗を害したりするようなポスターがあったとしても選挙管理委員会としては撤去することはできないということも理解いたしました。

 御存じの方々もおられるかと思いますが、昭和五十一年、選挙管理委員会が候補者に対しポスター記載の文言の抹消を求めた結果、選挙の自由公正を著しく阻害したとして、選挙無効の判決が最高裁でなされております。選挙における候補者の政見その他の主張に関係するポスターの記載内容について選挙管理委員会がその当否を審査し、その取消し又は修正を命ずるなどのことは、選挙管理委員会が候補者の政見その他の主張そのものに介入、干渉することになり、ひいては選挙の自由公正を害するものであるとして、これを認めないということ、これが判決に書かれております。今回の改正案でポスターの撤去ができないということは、こうした判例に即したものであると評価することができるかと思います。

 一方、実際の選挙の現場では、法令違反の疑いがある際に選挙管理委員会に問い合わせるということが数多く起こっていることを目の当たりにしてまいりました。名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害する表現であるか否か、法令違反ではないのか、選挙期間中に候補者や有権者の方々から選挙管理委員会に多くの問合せがある可能性がございます。こうした問合せにどのように対応するのか、共通見解を私たちが持っているということも大切だと思っております。ポスターの表現が名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害するものになっており、法律違反に当たるのではないかといった問合せには選挙管理委員会がどのように回答していくべきでしょうか。総務省にお伺いいたします。

笠置政府参考人 先ほど法案提出者より御答弁がありましたとおり、今回設けられます品位保持義務規定につきましては、候補者に対して公営掲示板に掲示するポスターとしての品位を損なう記載をしないよう自覚を促すということを目的としたものと承知しております。また、委員先ほどおっしゃりましたけれども、いかなるものが品位を損なうのかといったものは、候補者によっても、また受け取る有権者によっても様々でございまして、選挙管理委員会がこの判断をすることはできないものと考えております。

 そういたしますと、候補者あるいは有権者からお問合せ等があった場合には、今回、ポスターについて品位保持義務規定が設けられた、また、その設けられた規定の内容について説明をするということになろうかと思っております。

福田(か)委員 ありがとうございます。

 また、選挙期間中又は選挙後の告発により当選者のポスターが名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害する表現であったと選挙後に司法により認定される、こうしたことも想定しておく必要があるかと思います。こうした場合において、選挙そのものの有効性はどのように判断されるとお考えでしょうか。提案者の御見解をお伺いいたします。

鈴木(英)議員 司法により認定された場合の当該選挙の有効性をどう判断するかという福田委員の御質問に答弁します。

 選挙は、公選法二百五条一項で、選挙の規定に違反することがあるときは選挙の結果に異動を及ぼすおそれがある場合に限り無効とされるというふうになっております。

 ここに言う、今申し上げた二百五条の前段、選挙の規定に違反することがあるときとは、最高裁の判例によりますと、主として選挙管理の任にある機関が選挙の管理執行の手続に関する明文の規定に違反することがあるとき又は直接かような明文の規定は存在しないが選挙法の基本理念である選挙の自由公正の原則が著しく阻害されるときを指すことをいうというふうになっておりますので、例えば、個々の候補者の行為が選挙運動の規定に違反すると認定された場合であっても、基本的には、先ほど述べた判例に当たるような、選挙の規定に違反することがあるときには直ちに当たらず無効とはならないものと承知しております。

 いずれにしましても、改正案に規定する品位保持義務に違反する選挙運動用ポスターは違法なポスターであり、そのようなポスターが掲示されることはあってはならないものと考えております。

福田(か)委員 ありがとうございます。

 ここまでの質疑を踏まえ、今回の規定の新設について整理したいと思います。

 行政機関が名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害する表現であったか否かを判断することはなく、表現の自由、民主主義の根幹を行政機関は制限するものではないということを確認しました。

 その一方で、今回、違法な行為の類型が明確化されております。候補者は新たな規定の趣旨に即してポスターの記載内容を検討するという責務が明文化されました。表現の自由を守りながら何ができるのか熟慮された中で、候補者の責務を法律で明確化し、抑止力を生み出し、行動変容を促していくという一歩を踏み出したものと受け止めております。

 なお、東京都知事選では、ほぼ全裸の女性ポスターが条例に抵触して警告を受けるという一幕もございました。今回の法改正の趣旨に基づき、ほかの法令も含めた遵守が候補者に一層求められており、違反の状況によっては取締りの可能性があることもこの場で明確にしておきたいと思います。

 さて、ほかにも改善していかなければいけないことが多々あると承知しております。ポスターについては、掲示場についても、急激な人口減少、設置や掲示に係る人手不足、デジタルツールの登場、国民負担など、様々な要素を鑑みたときに果たしてこのままでよいのかという問題提起もされております。現場での見直しだけではなく、立法府として、効率的な公職選挙の在り方については絶え間ない見直しをしていくべきです。今回の改正法案を時代に即した絶え間ない見直しの端緒にしていきたい、そんなふうに私も考えております。

 そして、まさにこの点は今回の衆法第九号の附則第三項に明記されております。選挙をめぐる状況に対応するための施策の在り方については、引き続き検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。こうした規定の案が自民、公明、立憲、維新、国民、参政、保守と共同して提出されていること、大変うれしく思っております。まさに今回の改正法案が時代に即した絶え間ない見直しの端緒となっていくのだという、象徴的な規定だと思います。

 追加で検討が必要な事項は数多くございます。この後も同僚議員からも御指摘が様々あるのではないかと思いますが、私からは、生成AIを利用した脅威への対応の必要性を述べさせていただきたいと思います。

 立候補者の情報発信や双方向のコミュニケーション、有権者の意思決定の方法は、SNSの登場、普及もあって、より多様化しているように思います。そんな中で、勘違いや誤解で拡散される誤情報、受信者を欺くことを意図した偽情報、こうした情報がSNSにはあふれています。偽情報の中には、明らかに我が国日本の外交関係を捉え、世論を混乱させることを目的に発信されていると見られる投稿もございます。国家が関与、支援するサイバー脅威主体や犯罪グループなどによって偽情報の拡散などに生成AIが悪用されているといった可能性も指摘されております。こうしたAIの利用が我が国における健全な民主主義の在り方において果たして望ましいものかどうか、こうした論点についても皆様と取り組んでいきたいと考えております。

 改正法案の附則には様々な事項について引き続き検討を行っていくという旨も規定されておりますが、この規定の趣旨、そして今後どのような検討を行うことを想定しておられるのか、提案者にお伺いいたします。

逢沢議員 大変重要な点について御指摘をいただきました。我々も、重大な問題意識、また、率直に申し上げて大変な危機意識を持っているところでございます。

 まず、選挙に関するSNS等の利用に関して指摘をしなければなりません。昨今の選挙では選挙運動に類するコンテンツの商業化によりまして選挙運動名目のSNSを利用した営利行為が加速している、重大な問題意識を持たざるを得ません。また、明らかな偽情報、真偽不明の情報、デマの拡散等によって選挙結果への重大な影響が生じているとも指摘をされております。また、公職の候補者間の公平の確保に関しましては、いわゆる二馬力行為が、単なる選挙運動にとどまらず、選挙公営の観点からも不公平、不適切との指摘がなされているところは委員も御承知のとおりでございます。

 このような状況を踏まえまして、改正案では、選挙に関するインターネット等の利用の状況、公職の候補者間の公平の確保、その他の最近における選挙をめぐる状況に対応するための施策の在り方については、引き続き検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする旨の検討条項を設けたところであります。

 今後、真剣に各党各会派の間において、指摘をいただきました、今答弁をさせていただきましたテーマについて真剣に議論を重ねていきたい、また、行政庁や事業者へ協力も要請をする、そういったことも申し上げておきたいと思います。委員各位の御支援、御協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

福田(か)委員 民主主義の発展のために皆様と力を合わせて働いてまいりますことをお誓い申し上げ、初質疑を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、矢崎堅太郎君。

矢崎委員 立憲民主党の千葉五区選出をいただいております矢崎堅太郎です。政治改革特別委員会では初めての質問となりますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 今、福田議員からもお話がありましたけれども、昨年の東京、中国衆議院補欠選挙、それから東京都知事選挙、そして兵庫の県知事選挙と、これまで私たちが考えもしないような問題が起きてきたわけであります。それに対して対策を取っていかなければいけない、そういう今回の法案の趣旨だというふうに思っております。それに基づきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、今、福田議員からもお話がありましたけれども、改めまして、今回、ポスターとしての品位を損なう内容を記載してはならないとありますけれども、誰がこれを判断するのか、提出者の方にまずお聞きしたいと思います。

落合議員 委員お尋ねの、品位を損なうものかどうか誰が判断するかということにつきましては、一義的には選挙運動用ポスターを掲示する候補者らが判断するものである、最終的には有権者が投票等の上で判断を行うことによって、選挙を通じて是正、淘汰が図られるものと考えております。

 なお、先ほどの答弁にもありましたが、選挙管理委員会につきましては、あくまで選挙の事務を管理する機関であり、選挙運動用ポスターが善良な風俗を害しているかどうか、品位を損なうかどうか等を判断することは困難であるというふうに考えております。

矢崎委員 ありがとうございます。

 そうしますと、その判断の時期ということなんですけれども、今お話がございました有権者が判断をするということになりますと、ポスターの事前審査のときですとか又は選挙中ということではなくて、あくまでも選挙の後に判断をされるということでよろしいんでしょうか。

落合議員 まず、こういう規定ができましたので、立候補の届けをする際に候補者また陣営がこういう規定があるということを自覚して提出がされるであろう、立候補の手続が行われるであろうということでございます。

 それから、投票の後というよりも、有権者が、これは明らかに品位等を損なっているということであれば、法律で決まっているのにこういうことをしていますねということで、選挙の投票結果で判断が下されるかなというふうに考えております。

矢崎委員 投票結果によっても判断されるということでありますので、そうしますと、選挙期間中に有権者の皆さんが判断していくということだというふうに思います。

 続きまして、品位を損なう内容の例として挙げられておりますのが、他人、政党その他の政治団体の名誉を傷つける内容、それから善良な風俗を害する内容、特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする内容が挙げられていますけれども、これは幅が広く、解釈がいかようにも取れると思いますけれども、その点についてどのようにお考えになっているか、お聞かせいただければと思います。

落合議員 今回の改正案は、現行の政見放送や選挙公報で設けられている品位保持規定、公選法の第百五十条の二、第百六十八条第四項と同じ枠組みを使いまして、ポスター掲示場に掲示されるポスターとしての品位を損なう内容を記載してはならない旨をこちらの方にも規定したわけでございます。

 ここからここまでがきっちり範囲だと定義するのはなかなか難しい。選挙運動の自由というのもありますし、公正、表現の自由等ございます。ただ、明らかに品位を損なう内容だと有権者が、誰が見ても、そういったものは駄目ですよというような評価を与えることで候補者の自覚を促すという形でルールを設けたわけでありまして、なかなかバランスが難しいところですが、今の現状の時点では必要かつ合理的なものであるというふうに考えています。

矢崎委員 なかなか難しいことだとは思いますので、表現の自由との兼ね合いというところで考えますと、その判断というものはなかなか難しいのではないかなというふうに思います。

 続きまして、選管が候補者から事前にポスターの品位について問合せを受けたときなんですけれども、地域によってこれも異なる判断が出てしまう可能性があると思います。そうならずに、選管として統一した判断をしやすくするためにはガイドラインのようなものがあった方がいいと思うんですけれども、これについて提出者の方それから参考人の方のお考えをお聞きしたいと思います。

落合議員 先ほども、これから政府参考人からも答弁がありますけれども、選管がこれはいいですよ、悪いですよという判断を、アドバイスぐらいはできるでしょうけれども、具体的に判断をするということは困難であるというふうに思っております。ですから、こういった議論が行われていること、それをしっかり全国に周知していくことで、候補者それから有権者にもこのことを知ってもらうという上で選挙が行われることが重要かなというふうに思っております。

笠置政府参考人 この規定と申し上げますのは、先ほど来申し上げておりますが、公営掲示板に掲示するポスターとしての品位を損なう記載をしないよう候補者の自覚を促すということでございまして、候補者の良識による自律に任せているという規定だというふうに理解をしております。

 また、どのようなものが品位を損なうものなのかといったものは、候補者によっても、あるいは受け取る有権者にとっても様々でございますし、選挙管理委員会は撤去命令の権限もございません、そうした中で個々のものについて品位を損なうかどうかといった判断をすることはなかなかできないということでございまして、さらに、ガイドライン的なものもお示しするのもなかなか難しいんだろうと思っております。

 したがいまして、今、本委員会で法案の審議をされております中で、そうした中で行われた議論といったものを都道府県選管等に周知することによって広めていきたいということでございます。また、もう一つは、これまで何もポスターの記載内容につきましては公選法上規制がなかったわけでございますが、今回新たに設けられたといったことは、これまでとはかなり大きな違いはあろうというふうに思っていますので、その辺りも是非とも周知をしていきたいというふうに思っております。

矢崎委員 確かに本当に難しい問題だと思います。表現の自由にも関連しますけれども、私も極力規制というものはない方がいいと思いますけれども、結果として今このような状況になっております。その意味においては、今回のこの法案、あくまでも候補者の自覚を促す、そのことに重点を置いているところは私としては評価させていただきたいなというふうに思います。また、運用だと思います。今お話がありました。いかに告知して候補者に自覚を促していくのか、そのことに運用面では注力していただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問なんですけれども、附則では、最近における選挙をめぐる状況に対応するための施策の在り方の検討についても触れられています。そこで、御質問をしたいんですけれども、令和六年四月二十八日に執行された衆議院東京十五区補欠選挙における、選挙期間中に他の候補者の街頭演説中に拡声器を使って妨害したり、走行中の選挙カーを追いかけたりするなどの行為については、この選挙中から既に問題になっておりました。しかし、結果として立件されたのはそれから約二か月後だったわけですけれども、立件に至る経緯について参考人に教えていただければと思います。

松田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事件につきましては、昨年四月二十八日に施行されました衆議院東京十五区選出議員の補欠選挙におきまして、警視庁が政治団体の代表者や同選挙の候補者ら三名を、選挙期間中である四月十六日から二十五日までの間に他の候補者の演説を妨害するなどしたとして、公職選挙法の選挙の自由妨害罪の事実で五月十七日、六月七日、六月二十八日に計三回逮捕いたしまして、いずれも東京地方検察庁によって起訴されたものと承知しております。

矢崎委員 今、経緯については分かりましたけれども、あの選挙期間中、既に、他の候補者の人たちが大変に迷惑していて、有権者の方もその意味ではきちんと他の候補者の演説が聞けない、そういう状況になっていたわけであります。警察としても選挙期間中から動いていていただいたということなんですけれども、結果、立件が選挙が終わってから二か月後ということでありました。ですので、お伺いをしたいんですけれども、選挙期間中でも東京十五区補欠選挙のように非常に悪質な事例の場合には取締りをもう少し迅速化できないものか、お伺いをしたいと思います。

松田政府参考人 お答えいたします。

 選挙違反の取締りを通じまして選挙の公正確保に寄与することは警察の責務であるということは認識しております。

 その上で申し上げますと、警察の選挙違反の取締りは、刑事手続として証拠に基づく事実認定を行う必要があります。その事実認定につきまして、一般論として申し上げますれば、暴行等によるものではなく、お尋ねのような、言論による演説を妨害するような自由妨害罪につきましては立証のための事実認定に一定の時間を要することを御理解いただきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、警察といたしましては、選挙の公正確保に向けて、個別事案の具体的な事実関係に即して、法と証拠に基づき、的確な選挙違反取締りを推進してまいりたいと考えております。

矢崎委員 ありがとうございます。

 公正な選挙というものを確保していくためには、こうした悪質な事例に対しては厳正にかつ迅速に対応していただけるようにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 もう一つ、附則においていわゆる二馬力選挙も含まれております。これについても、兵庫の県知事選挙のときに二馬力選挙については大変問題になりました。

 実は、私の地元の千葉県でも、あさってから知事選挙が始まりますけれども、ここについても、そのときに出ていた方が立候補を予定されているようであります。ただ、今回は二馬力はしないというような発言をされているようなんですけれども。そういったことも踏まえて、ただ今後もこうした二馬力選挙ということが問題になることが十分に予想されておりますけれども、政府としてはどのように二馬力選挙について考えているか、認識をお伺いできればと思います。

笠置政府参考人 公職選挙法におきましては、候補者間の平等の確保という観点から、選挙運動の手段につきまして、量的制限を設けている運動手段がございます。したがいまして、選挙運動はこうした公職選挙法で認められている範囲内で行われる必要があるということが大前提でございまして、候補者が他の候補者の選挙運動を行う場合には、その態様によっては先ほど申し上げた量的制限に違反するおそれがあるということでございます。例えば、ビラに他の候補者の投票依頼文言を書くとか、しかし他の候補者の証紙が貼っていないといったようなこと、そういった態様によっては現行におきましても数量制限に違反する場合というのはあり得るということでございます。

 ただ、そうした見方が直ちにできないとか、当選に資する活動についてどう考えるかといったことが御議論になっているんだというふうに思っておりますが、こうした点につきましては、選挙運動の在り方に関わるものでありますことから、その必要性も含めまして、各党各会派において御議論いただきたいと考えております。現に、選挙運動に関する各党協議会において議論がなされているものと承知をいたしております。

矢崎委員 今、御答弁をいただきました。

 この問題についても、例えばガイドライン的なものがあった方が選管としては判断をしやすい、二馬力選挙について言いますと。そうしたことは考えられないでしょうか。ガイドラインを作った方がいいかどうかということについてお伺いしたいと思います。

笠置政府参考人 先ほど申しました、他の候補者の選挙運動を行う場合、しかも量的制限がある選挙運動手段で他の候補者の選挙運動を行う場合には現行の量的制限違反となり得るということでございます。

 選挙運動というのは、委員御案内のとおり、特定の選挙につき特定の候補者の当選を得しめる目的ということで、実際には個々具体の事実に即して判断をされるということでございますから、あらかじめこうしたもののガイドラインというのはなかなか難しいかなというふうには思っております。

矢崎委員 ありがとうございます。

 なかなか、全体的に選挙の表現の自由というものを考えたときに、そうしたガイドライン的なものはそぐわないということも分かりますし、私自身も、先ほども述べましたけれども、公正な選挙、そして候補者の表現の自由、そういったものをやはり総合的に考えていく中で今回のこの法案が出てきているというふうに思っています。ですので、今お話をしました附則についている事項についてこれから検討を重ねていかなければいけないと思うんですけれども、今後のこうしたものの検討の在り方についてどのように提出者の方々がお考えになっているか、もし御説明いただけるようでしたら、お願いしたいというふうに思います。

落合議員 基本的には、選挙というのは自由にやることが前提だというふうに思います。我が国は歴史的な経緯もございます。ただ、公正に選挙を行う、それから有権者がしっかり判断できるような選挙を行っていく、その上では一定のルールが必要である。それは、具体的に何か問題が起きてしまった場合に最低限のルールを作っていくというようなスタンスでいくべきだなというふうに思います。私も現在各党協議会のメンバーですし、各党が集まっております、様々な意見がありますので、最大公約数を集約しながら一歩一歩慎重に進めていくということが大切だと思います。

矢崎委員 ありがとうございます。

 今、落合議員から御答弁いただきましたけれども、まさに私もそのように考えております。今回、各党からの共同提案ということでありますから、一致したお考えの下でこの法案が進められているというふうに思います。

 ですから、基本的には候補者の選挙の自由は当然担保されなければいけませんけれども、私たちが今まで考えていなかったような問題が起きてしまっているという現実も考えなければいけない。この両方に立って今回の法案が提出されているというふうに理解をしておりますので、その意味においても、この法律にのっとって、これからまた私たちは、有権者の皆さんが安心して選挙に参加できる、そうしたものを作っていかなければいけないというふうに思います。

 以上で私の質疑を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。

 引き続き、ただいま議題となっております公職選挙法の一部を改正する法律案について、立法提出者と総務省の方に御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、公営掲示板について質問をさせていただきます。

 我が党は、参考人の方にもいろいろお伺いをしたんですけれども、日本維新の会としては公営掲示板の在り方を見直していくことも必要なことであるというふうに考えております。その一つとして、デジタル化を進めるという検討をしてはどうかということを、これも日本維新の会から御提案をさせていただいていることでございます。デジタルサイネージ化を実務者協議などでも提言してきました。

 先般の、こちらは既に何回も議論になっていますけれども、東京都知事選挙では想定を超える候補者が立候補したことから、あふれた候補者がクリアファイルでポスターを掲示するという、あってはならない不公平が生じてしまいました。兵庫県知事選挙でも、想定以上の候補者乱立で木枠が不足する見込みとなりまして、選挙管理委員会が右往左往する混乱が生じて、兵庫県の選挙管理委員会、先日来ていただいていましたけれども、国に対してポスター掲示板の準備に関する国への助言要請を提出しています。

 現在の、公営掲示板を設置して、立候補した人が届出した後に自らポスターを貼るというやり方では、こうした予想以上の多人数立候補事態に対処することは困難だと思います。また、選挙のたびに木枠の物理的な掲示板を全国に数万か所設置することになりますけれども、一回の選挙で推計五十億円以上とされるコストが生じていますし、また、先般の都知事選挙のような不適切なポスターが陳列されたという場合にも、木枠の実物のポスターではなかなか迅速に貼り替えや差し替えなどを行うことは難しいというふうにも思います。

 こうした問題を解決させる方法の一つとして、デジタル化、デジタルサイネージの活用というものを御提言させていただいているわけでございます。

 多人数になったからといって掲示をできないということはデジタル化すればなくなるわけでございますし、また、ポスターの内容に不備があって差し替えが必要な場合でも、実物を貼っているよりかは速やかに、当然ですけれども、差し替えをすることもできます。何よりも、物理的な掲示を行うというコスト、人員というのも削減できるということになります。

 一方で、最初、デジタルサイネージを設置するときにお金がかかるじゃないかという議論は当然あると思うんですけれども、既に都市部では一定程度デジタルサイネージの設置も進んでいますし、そういったものを活用したりすることによって、地域ごとに先行して実施をするというようなことも検討できるのではないかというふうに考えております。

 今回の法改正に関しては、残念ながらこうした公営掲示板のデジタル化を可能とする法改正も入っておりませんし、明示してデジタル化ということも書かれていないと思いますけれども、検討条項のその他の最近における選挙をめぐる状況に対応するための施策の在り方には公営掲示板のデジタル化などの検討も含まれているとの理解でいいか、立法者の方にお答えをいただきたいと思います。

池下議員 斎藤委員の御質問にお答えいたします。

 委員御指摘の公営掲示場のデジタル化の検討につきましては、各党協議会におきまして、デジタルサイネージ等の活用を含むポスター掲示方法等の見直しが論点の一つとして提起されていることと承知しております。また、これは重要な課題だと認識しております。

 この点、品位保持に関する改正案の附則第三項におきまして、最近における選挙をめぐる状況に対応するための施策の在り方については、引き続き検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとするという旨の検討条項が設けられているところではございます。委員御指摘の公営掲示場のデジタル化の検討につきましては、この附則の検討対象に含まれているものと承知をしております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 含まれているとの答弁でございましたので、都議選、参議院選挙が今回終わっても、また次、いつか必ず衆議院の解散・総選挙のような大型選挙がやってくるわけでございますし、各種選挙は全国で行われているわけでございますので、デジタル化の検討というのは急務だと日本維新の会としては考えております。

 次は、総務省にも御確認をさせていただきたいんですけれども、先ほど来述べてきたように、デジタルサイネージの活用というのは町中で、広告では大変今進んできています。無数のデジタルサイネージがあるということは都市部では普通の光景になっていまして、これらはリテールメディアと呼ばれて、新たな広報媒体として注目を集めています。

 さきの参考人質疑では、全国ではそういう状況ではないから一律にデジタルサイネージを活用することが難しいというお話もありましたけれども、既に全国では百万か所デジタルサイネージがあるということで、設置コストもそれに伴って低下をしているということもありますので、状況というのは徐々に変わっていくのではないかなというふうに考えております。また、大変いろいろ活用が進んでいて、SNSというのも大変注目をされていますけれども、こういったデジタルサイネージの広報効果というのも多いと言われているので、選挙の立候補者であったり政策というのを伝える手段としても、ポスターに限らずいろいろ検討することができるのではないかなというふうに考えております。

 こういったデジタルサイネージの活用というものを選挙活動や政治活動に生かしていく可能性について、一義的には、どういった選挙をするのかということになれば、それは当然、国会の中で我々立法者が議論をして方向性を決めていくということは当然必要だと思うんですけれども、どういった活用の仕方があるかなど、そういった初期的な研究というのは総務省さんでやっていただかないことには、我々も研究材料というか議論の材料がない状態になってしまいますので、こういった専門家との意見交換などを是非とも検討いただきたいと思うんですけれども、そういった点について総務省はいかがお考えでしょうか。

笠置政府参考人 現行法でございますけれども、デジタルサイネージを含めまして、選挙運動のために電光表示などを用いることは禁止されております。

 デジタルサイネージ等、ポスター掲示場のデジタル化といったようなことにつきましては選挙運動のために原則禁止されておりますが、電光表示などを用いることをどのような範囲で認めるのかとか、先ほど来あるような設置、設置する以上は運用費がかかるわけでございます、そうした設置、運用の経費をどう考えるのか、あるいは、実際に選挙といっても一年のうち衆議院にすると十二日間ぐらいな話で、そのほかの期間はどうするのかといったような経費負担の話、あとは、基本的には現在屋外で掲示されて公営掲示板を有権者に見やすいようにしていますけれども、実際に現行のデジタルサイネージは屋内の方もかなり多いということもございます、どういった場所に設置するのかといったこと、また、実際にデジタルサイネージを表示するとして、候補者のポスターは今四十二掛ける四十というような形になりますけれども、大きさをどういうふうに表示するのか、あるいは方法をどういうふうに、変えるのであれば出る順番とかいったものをどういうふうにするかといったような、いろいろな議論、検討すべき課題があるというふうに考えてございます。

 ただ、ポスター掲示場の掲示方法の見直しにつきましては、選挙運動の在り方に関わる問題でありますことから、現在選挙運動に関する各党協議会におきましても論点として取り上げられているものと承知しておりまして、協議会の議論も踏まえながら必要な研究に努めてまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 是非、協議会の場でいろいろ情報提供をしていただきたいと思うんです。

 選挙専用のデジタルサイネージを設置してくれと我々日本維新の会は言っているわけではなくて、既存のデジタルサイネージを活用したり、様々なものに活用できるデジタルサイネージの活用というものを申し上げていますので、そういった形で、どういったやり方があるのかというのは幅広に、是非、研究であったり検討というのも共にしていただければと思っておりますので、各党の協議の中でも積極的な情報提供を重ねてお願いさせていただきたいというふうに思います。

 次に、SNS規制についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 検討条項に関するところですけれども、選挙に関するインターネット等の利用の状況という文言がありますけれども、これはSNS規制の検討も含むものだと理解をさせていただいています。一方で、SNSのプラットフォーマーに関して、特定の選挙に関するものだけ強固な規制をかけるということになってしまえば、言論の自由や表現の自由との兼ね合いで問題が生じることも懸念をされますし、有権者の反発も想定をされるところでございますので、ここは慎重な検討が必要であることは言うに及ばずだと考えております。

 まず、確認でありますけれども、検討条項の内容はあくまでまず現状を調べることから始まるというものであって、検討条項に載ったことで必ずしも規制ありきの方向に議論が進むわけではないということだと理解をしていますけれども、それでよろしいのでしょうか。念のため、立法者にお答えいただきたいと思います。

池下議員 委員御指摘のSNSの規制につきましては、現行法及びその運用の現状と課題を踏まえた上で、その実効的な対策について、憲法で保障されております表現の自由等との関係、また行政庁や事業者の対応可能性等を勘案しつつ検討がなされるべきであると考えておりまして、この点につきましては、先週の参考人質疑におきましても同趣旨のことが指摘されたと承知をしております。

 また、この点、委員御指摘の検討条項におきましては、選挙に関するインターネット等の利用状況に対応するための施策の在り方につきましては、引き続き検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものと規定しております。このように、あくまでも、検討の結果、必要と判断されれば措置が講ぜられる旨定めておりまして、検討条項に例示として規定されたからといいましても、必ずしもSNS規制ありきで議論また検討する趣旨ではございません。

 以上です。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 お答えいただいたように、規制ありきではないということでございましたので、ここのところは是非慎重に各党で議論をしていきたいというふうに思っております。

 もちろん、偽情報、デマについては対処をしていくことが必要ですけれども、SNSだけで偽情報、デマが出回っているわけではなくて、様々なところで情報、デマが出ていますので、それに対してもやはり平等に対処をしていかなければならないというふうに考えています。特に、昨今は有権者の間では既存のメディアに対する批判というかそういった声も大きくなっていますので、そこは、既存のメディアだけをいいものとして捉えるのではなくて、デマとかフェイクニュースとかメディアスクラムといった問題に対しては、SNSであるとか既存のメディアであるとか、そういったところを関係なくしっかりと平等に見ていく必要があると考えておりますので、その点は一言言っておきたいというふうに思います。

 特に、SNSなどで昨今問題になっているのは誹謗中傷やデマ、フェイクニュースだと思いますけれども、これは選挙関係だから規制するとか何か対処する必要があるというわけではなくて、誹謗中傷やデマ、フェイクニュースなどは選挙関係のあるないにかかわらずしっかりと対処していく必要があると思っていますので、これは選挙関係だからということで理由をつけて対処するのは、これもやはり違うのではないかなと思っておりますので、そういったところも是非注意しながら議論をさせていただきたいというふうに考えておりますが、いずれにしても、具体的に何か対策を講じていくという場合には、SNSの提供を行っている業者、プラットフォーマーとしっかりと意見交換を行って、情報交換を行って、どのような対処の仕方が可能なのか、どういったルール作りが可能なのかということをしっかりと検討していくこと、調査していくことが大前提になると思います。

 選挙を所管する総務省の方にお伺いをしたいと思いますけれども、積極的にこういったプラットフォーマー、SNSサービス提供者との意見交換を含めた調査研究を行っていくべきだと考えますけれども、まず総務省の方に御答弁をいただきたいというふうに考えております。

下仲政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、一般的には、例えば昨年成立しました情報流通プラットフォーム対処法の制度化に当たりまして、有識者会議においてプラットフォーム事業者からのヒアリングを実施したほか、有識者会議の取りまとめ等に関しても意見募集を実施し、事業者からいただいた意見を参考に検討を進めてまいりました。

 総務省といたしましては、インターネット上の誹謗中傷等や昨今問題となっている偽・誤情報等について、プラットフォーム事業者と様々な形でのコミュニケーションも図りながら総合的な対策を進めております。

 なお、選挙に関する事項につきましては、検討の進め方も含め各党各会派で議論をいただくものでございますので、その際にお求めがあれば、総務省としてもその議論に資するような必要な対応に努めてまいりたいと思っております。

 以上です。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 同様のポイントについて立法者からもお答えをいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

池下議員 委員御指摘の点につきましては、先ほど御答弁申し上げましたけれども、現行法及びその運用の現状と課題を踏まえた上で、その実効的な対策につきまして、憲法で保障されております表現の自由との関係、行政庁や事業者の対応の可能性に基づいていると承知をしております。これらの諸点を適切に勘案するためには、委員御指摘のように、プラットフォーマーからのヒアリングであったり調査が必要であると考えておりまして、新たに制度を設ける場合やその具体的な在り方の検討につきましては、ヒアリングや調査を踏まえた上で適切に検討してまいりたいと考えております。

 以上です。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。

 是非、今立法者がおっしゃっていただいた趣旨に基づいて、慎重な検討、研究を行っていければと考えています。

 最後に一点、厳罰化、ルールの厳格化についてお伺いをしたいと思います。

 昨年四月に行われた東京十五区の補欠選挙において非常にひどい選挙妨害が発生いたしました。日本維新の会の候補者も様々な妨害行為の被害者となり、警察に何度も相談をしましたけれども、選挙期間中は何ら実効的な対応が取られることはなく、十分に有権者に政策を伝えるということができるような環境でないまま選挙戦が終了してしまいました。これは本当に残念なこと、痛恨の極みでございました。

 そこで、我が党は国民民主党と共同で、こうした深刻な選挙妨害についての対応の迅速化や再発防止のための法定刑の引上げ、さらに選挙妨害に聴衆の聞く権利の侵害など具体的な内容を明記するといった法改正案を議員立法として提出しています。この点についても今回の法改正で同時に行うべきと主張してまいりましたが、なかなか取り入れられなかったのは残念でございますし、更なる取組を求めていきたいと思います。検討条項のその他の最近における選挙をめぐる状況に対応するための施策の在り方にはこうした選挙妨害を防ぐための厳罰化、厳格化や選挙妨害の内容具体化なども含まれているのかどうか、この点を立法者にお伺いしたいと思います。

池下議員 そもそも、候補者等が当選を図るために法令の範囲内において自由に選挙運動を行うことは、選挙が公正に行われるための基本的条件であります。これを妨害する行為は極めて悪質な行為でありまして、選挙の自由妨害に当たります。法と証拠に基づき厳格な対応に当たるべきだと考えております。

 この点、昨年四月の衆議院東京第十五区の補欠選挙におきましては、悪質な選挙妨害が発生したところ、本件については選挙妨害を行ったとされる者が選挙の自由妨害罪で起訴されていると承知しております。まずは現行法に基づきまして適切に対応されることを期待しております。

 その上で、我が党は、委員御指摘のとおり、昨年六月の十八日に委員が今申し上げられました公選法の改正法を提出したところでございます。こうした提案につきましても品位保持に関する公選法改正案における検討条項の対象に含まれるものと考えておりまして、これに基づいて今後各党各会派におきまして議論がなされるものと考えております。

 以上です。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 時間が来ていますので最後にまとめさせていただきますけれども、日本は民主主義の国でございますので、政府の正統性は唯一しっかりと適切に選挙を行っているということにおいて担保されているわけでございますので、選挙がしっかりと行われていないということであれば、この国自体、この政府自体が成り立たくなってしまいます。今回の選挙妨害のような話やSNSとの関係をどうしていくのか、これは本当に国の在り方にも関わる重大な問題だと私は思っておりますので、これからどのように更なる検討が進められていくのかという点については、是非ともスピード感を持ってロードマップを示していただいた上で、選挙の在り方をどうしっかりと適切なものにしていくのかということを積極的に日本維新の会としても議論に関与していきたいと考えておりますので、各党各会派の御参画と御協力を是非お願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、福田玄君。

福田(玄)委員 国民民主党、福田玄でございます。今日は合計二問の質問をさせていただこうと思っております。

 まず、選挙運動の在り方についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 選挙運動用自動車の規格の簡素化、今回の法案でございますが、これは大いに行われるべきだというふうに思っております。しかし、同時に、令和五年六月に提出された政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会の報告書で各会派の意見表明を見ていると、そもそも選挙カーを廃止すべきではないかという意見が散見されるというふうに承知しております。

 今日は逢沢先生もいらっしゃいます、岡山でも大変お世話になりました。例えば、選挙カーについてもはや歴史的な役割がどうなのかという部分も含めて、本来はあまねく広く多くの皆さんに候補者の政見を伝え選挙に投じてもらうという趣旨があるかとは存じますが、しかし、例えば岡山一区であれば御津、建部ではそのエリアに必要があるかもしれませんが、ビルが多い中心部においてはもはや選挙カー自体が邪魔をしているというような、皆さんの生活の邪魔になっているという状況があるのかもしれないということがございます。

 あわせて、先ほど来の質問にもありますSNSを活用して政見を広げていくというようなこともありますが、その他の今回出ている法案のまず合意が見られた点について、そのうちの二つが法案になって出てきていると思いますが、それ以外に問題提起があった論点十八項目が挙げられています。その中に選挙カーの廃止を含めて選挙運動の抜本的な見直しについてということがございますが、これは自民、公明、立憲、国民民主の各党にお伺いをしたいと思いますが、各党でどのような御意見若しくは議論の進捗があるのか、お伺いしたいと思います。

鈴木(英)議員 福田委員の御質問にお答えします。

 まず、選挙カーの廃止についてですが、それが候補者のことを知る機会の確保、知る機会を奪うことにならないのか。それは、委員御自身もおっしゃられましたけれども、都会でやる場合と、私は三重県の半分を選挙区にしていますが、地方でそういう機会が奪われることにならないか。他方で、連呼により大変うるさいなと思う人とか、子育て中の方とか高齢な方とかもそうかもしれません、あるいはそもそも連呼するような選挙スタイルに尻込みをする新人とか若者もいるかもしれません、こういうように、有権者の皆さんがどう受け止めているか、機会を確保するための代替手段があるか、そういうようなことでしっかり各党で議論をしていきたいと思います。

 その他の論点につきましては、大きく三つ類型化すると、一つは投票機会の確保、例えば郵便投票の拡大あるいは投票所への移動の支援。二つ目の類型は直近の状況の変化、SNSとか偽情報とか。三つ目は、これは知事会などからも言われているんですけれども、現行法令の適用の適正化、例えば虚偽事項公表罪なんかはしっかりもっと適用したら現行法令でもできるのではないか。そういうこともありますので、そういうことなどについてしっかり議論していく必要があると思います。

落合議員 先ほどおっしゃりました令和五年の六月の倫選特の議論で挙げられた十八項目、これの幾つかは我が党の委員の発言のものでございます。お金がかからない選挙であり、公正な選挙であり、時代に合った選挙運動、これは実際に必要であると思います。

 まだ党として公式な見解をまとめているわけではありませんが、党内も、それから各党の議論の中でも引き続き問題提起又は提言をしていきたいというふうに考えております。

中川(康)議員 我が党といたしましては、例えば郵便投票の拡大等、こういった議論をしておるところではございますが、選挙カーの廃止等について具体的な議論をしているわけでは現状においてはございません。今後、我が党の党内においても選挙制度の在り方等を含めてしっかりと議論し、次なる改正に向けて進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

臼木議員 御質問ありがとうございます。

 そもそも、我が国の公選法の選挙運動規制につきましては、男子普通選挙が導入された大正十四年の衆議院議員選挙法制定に端を発しておりまして、その後に累次の改正はされているものの、根本的な部分は変わっておらず、選挙の公正を確保するために一定のルールは設けるべきだとの観点から、べからず法と呼ばれるほど禁止行為が多くなっているものと承知しています。

 先ほど委員御指摘があったとおり、都市部であったり地方部であったりということでそれぞれ社会情勢であったり住環境といったものが変わる中で、やはり選挙運動についても変わっていくべきではないかというのは、我が党としても意見は同じくするところであります。

 その上で、やはり一番大切にしなければいけないのは、時代に合った有権者の選択に資する選挙運動、選挙制度、このような形をつくっていくことだと思っておりますので、その方向で各党各会派の皆様方とも議論をしていきたいと考えております。

福田(玄)委員 各党、ありがとうございます。

 本当にこの件についてはまさに時代に合ったということが必要であると思いますし、さきの兵庫県知事選挙でも選挙カーを使ってある意味では圧力団体のように、個人宅の近くまで行って圧力をかけて人の命が失われたというような状況も発生しているわけでございますので、やはり歴史的な意義も含めてしっかりと各党各会派で前向きな議論を行っていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 公職選挙法の一部を改正する法律案、選挙運動に関する規格の簡素化の施行期日に関してということでございますが、この法律案、法律の施行期日が令和八年一月一日となっております。

 令和八年の一月の一日ということでございますから、今日はまだ令和七年の二月、これから十か月、ちょっと切りましたが、それだけ期間がありますけれども、今回の出てきている法案以外に変えなきゃいけないんじゃないかなと思っている部分が、まさに選挙運動をする中で車上運動員の日当が例えば一日一万五千円であるとか、選挙運動員が事務所で食べる食事の料金が一食千円であるとか、弁当以外の茶菓が五百円であるとか、まさにこれは今の物価高にも合っていないし、非常に重要な問題だと思っていて。この金額をオーバーしたら、この件について選挙違反で連座制にまでなって失職した人までいるというような規定なわけでありますから、十か月あるのであれば、特段の予算措置を必要とするものでもないわけでありますから、まさに実態に即したように合わせていくような法改正をするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

臼木議員 ありがとうございます。

 先ほど法律とおっしゃいましたけれども、ここは政令で規定されているものと承知をしております。

 この報酬の金額につきましては、最低賃金、物価の上昇など、社会情勢が変化したにもかかわらず、約三十年にわたって据え置かれ続けている状況だと承知をしております。委員御指摘の車上運動員を始め、報酬を支給することができる選挙運動員に対して物価の上昇を上回る賃金アップを実現することは、給料を上げる経済の実現を目指す我が党国民民主党としましても極めて重要な課題であると認識しております。また、御指摘の弁当代、茶菓代につきましても、物価の上昇等社会情勢の変化を踏まえてやはり適切な金額に上げていく、これが我々は必要だと考えております。

 また、委員御指摘の点につきまして、附則第三項で規定を入れておりますが、今各党間で議論を行っている選挙運動に関する各党協議会においてもこの議論を取り上げておりますので、是非速やかに実現するよう、我が党としても各党の皆様方と議論を重ねてまいりたいと思っております。

福田(玄)委員 ありがとうございます。是非、皆さんもこの件については本当に共通認識だと思いますので、早急に取り組む必要があると思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 では、次の方に替わりたいと思います。ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、森ようすけ君。

森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。本日はよろしくお願いいたします。

 私からは、ポスターの品位保持の法案について質疑をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 今回、ポスターの記載に関する義務の新設ということで、候補者の氏名を見やすいように記載しなければならない、こうした規定が設けられているところでございます。この規定の内容は理解はできるんですけれども、見やすいようにというのは、かなり人によってさじ加減が分かれる記述ではないかなというふうに考えております。

 例えば、現行のポスターにおける規定において、掲示責任者と印刷者の氏名と住所、こちらを書かないといけないことになっておりますが、皆さん感じられているとおりだと思うんですけれども、掲示責任者と印刷者の氏名はすごく小さく書かれていて、なかなか目を凝らさないと読めない、こうしたような記載がされているところだと思います。

 掲示責任者と印刷者の氏名については記載しなければならないというふうに書いてある一方で、今回新設された規定については、見やすいように記載しないといけないという規定ですので、少なくとも掲示責任者、印刷者の記載よりも大きく名前を書かないといけないのかなというふうなのは規定上は読み取れるところなんですけれども、いずれにせよ曖昧な基準だと思います。

 そこで、質問ですけれども、この見やすいようにという記載ですけれども、具体的なサイズの基準、こういったものは考えられているのでしょうか。お願いいたします。

臼木議員 御質問ありがとうございます。

 議論の中で、どのようなサイズであったり、どのような記載方法にするかという議論はあったものの、今回改正に当たった立法事実としましては、まず、そもそも候補者の氏名が記載されていない、選挙運動とは思われない内容で同一の掲示板に多数掲示をされたこと、また、当選を目的として行う選挙運動のためであれば当然有権者が投票の際に記載する候補者の氏名が書かれるべきであろうということから今回の改正に至っております。

 その上で、具体的な基準はあるかという御質問に関しましては、社会通念上、一般的な視認方法で見れば視認することができるような記載という意味にとどまっているのは御指摘のとおりであります。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 これまで記載する必要がなかった項目について記載させるというのは大変意義深いものだと思う一方で、選挙における公職選挙法というのはかなり曖昧なもので、私も昨年十月の衆議院選挙で初めて政治の世界に挑戦をさせていただいたんですけれども、ルールがかなり曖昧で、いろいろ調べてもなかなか分からなくて、いろいろなところに問合せをして、この曖昧なルールというのが新しい政治参画を妨げているのではないかというふうに感じているところでございます。

 ちょっと余談ではあるんですけれども、例えばポスターに街頭演説会の日時を書くんですけれども、何年というところは書いていなくて、何月何日しか書いていなかったりとか、あと選挙の後の日付をあえて設定したりとか、こういった結構いいかげんな、曖昧なルールが公職選挙法上の運用においてはされているのかなというふうに認識しております。

 今回の候補者の名前の記載についても、見やすいようにというのを設けたのは大変意義深いとは思うんですけれども、玉虫色の記載ではなくて、例えば文字の大きさを何ポイント以上にしないといけないですよというふうに定量的に示すことで、実際に警察であったり都道府県の選挙管理委員会が運用するときも、明確に、仕事もしやすくなると思いますので、こういったところを具体的に示すことも政治のやるべき仕事なのかなというふうに考えております。

 もちろん、法律、法令でどこまで書くのかというところはいろいろ議論があると思いますので、例えば総務省なり選挙管理委員会でガイドラインを設けて、何ポイント以上にしなさいとか、何ポイント以上に努めなさいとか、そういったことを運用においてしていくことは非常に必要のあることかなというふうに感じているところでございます。

 次に質問を移りまして、今回の規定の実効性についてでございます。

 今回、ポスターを特定の商品の広告宣伝に用いた場合に罰金を設けるというふうな罰則規定が設けられておりますけれども、今私が指摘させていただきました氏名の表記のサイズでしたり、誹謗中傷、公序良俗に反するような記載があったことについては、特段罰則規定が設けられていないものと承知しております。

 そこで、質問ですけれども、この法案が仮に成立した後に、氏名の表記をしない候補者が出てきたときでしたり、誹謗中傷、公序良俗に反するポスターが掲示された候補者が出てきた場合はどのように対応がなされるのでしょうか。お伺いいたします。

臼木議員 ありがとうございます。

 委員御指摘のように、確かに、候補者の氏名記載義務また品位保持規定に違反したポスターについて、営業に関する宣伝をした場合を除いて、選管の撤去命令や罰則は設けられておりません。

 もっとも、改正案によりまして、こういった氏名記載義務や品位保持規定に違反したポスターについては、違法ということは、これは評価を受けることにはなります。

 このような違法なポスターにつきまして、そのようなポスターを掲示している候補者であるということの事実については有権者の皆様方の重要な判断材料となりますので、その結果、一定の投票が得られない場合には、供託金の没収であったり、選挙公営の費用弁償を受けられなかったりすることにつながっていきます。

 こういった点から、候補者の自覚を促すとともに、有権者の判断に基づき、やはり最終、選挙は結果が全てだと思いますので、供託金の没収、選挙運動費用の負担につながったりするなど、選挙の過程を通じて是正や淘汰が図られていくものと考えております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 これまで皆さんから御答弁いただいているとおり、選挙の結果、選挙の淘汰を受けて是正されていくという規定であるというふうに答弁がされているものと承知しているんですけれども、いい人であったり普通の候補者はそもそもこういうことをしないわけで、悪いことをしようと思っている候補者がこういった悪いことをするわけですから、選挙の淘汰によってなされるというのはなかなか、理解はできるんですけれども、本当に悪い人が出てきたとき、なかなか守らないルールじゃないかなというふうにちょっと心配をするところでございます。

 よく私も子供に、子供がいるんですけれども、よい子は早く寝なさいよと言うんですけれども、よい子はそもそも早く寝るので、悪い子に対して何か言わないと、悪い人は守らないわけなので、そこについてやはりルールでしたり何か実効性をより持たせていくというのは今後の課題でもあるのかなというふうに考えているところでございます。

 次の質問に移りまして、最後でございますけれども、選挙におけるインターネット、SNSの在り方について取り上げたいと思います。

 今回の法案の附則において、選挙に関するインターネット等の利用の状況に対応する施策の在り方については、引き続き検討が加えられ、必要な措置が講ぜられるものとすると規定がされているところでございます。

 そこで、質問ですけれども、選挙におけるSNSの在り方については、規制すべき旨の意見と、表現の自由を確保すべき旨の意見の双方が出ていると承知しております。今後どのような方向性で検討がなされるものか、こういった点についてお伺いできますでしょうか。

臼木議員 ありがとうございます。

 先ほどの話でもありましたけれども、現在、各党協議会におきまして、選挙運動に関するそれぞれの課題というものの洗い出しをされております。その中で、今回挙がったSNSの取扱いにつきましても、課題として挙がっておりますけれども、具体的な議論としてはまだ進んでおりません。

 ただ、SNS上の選挙に関する表現の規制につきましては、一番やはり尊重されるべきは、本来は、憲法で保障されている表現の自由、ここは最大限尊重されるべきではある一方で、今回、各種選挙において問題となりました、選挙を利用した、選挙を名目的に使った営利行為、デマや偽情報、誤情報による選挙結果への悪影響、また事実上匿名、連絡先不明の選挙運動が展開されているようなこと、そしてそれによってまた命が奪われるようなこと、こういったことは本当にあってはならないことだと考えております。

 その上で、先ほどの維新の斎藤議員の質疑の中にもありましたけれども、プラットフォーム側との連携であったり、また、我々政治家側、政党、候補者側の一次情報、こちらをデータベース化してきちんと有権者の皆様に見ていただくこと、こういったことも含めて様々な対策が考えられると思っておりますので、ここも引き続き、しかも早急に速やかに議論を重ねていき成案を得ていくべき課題だと考えております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 早急に議論を進めていくべきというような前向きな御答弁もいただきましたところですので、私個人の私見を述べさせていただければと思います。

 一つの論点として、選挙を使ったSNSにおいて利益を上げることはどうなのかというような論点があるかと思います。これに関して、SNSがこれだけ盛り上がっているので、利益が出るのはどうなのかという思いは確かにあると思うんですけれども。

 各種メディア、様々ですけれども、テレビであったり新聞であったりいろいろインターネットの媒体であったりが利益を上げるためにやっているというのは、ほかの媒体、メディアも同じことだと思います。視聴率であったり広告収入を稼ぐために、新聞、テレビはニュースの一環として政治というところ、選挙というところを取り上げて利益を上げようとしているわけなので、SNSですごくデマが盛り上がっているから利益を上げる行為についてちょっと規制をしようとか、そういった視点が狭い議論をするのではなくて、メディア全体で考えた上で、SNSというのはどうなのかというところで議論を進めた方がいいのかなというふうに個人的には考えているところでございます。

 あと、言論の自由市場という言葉もありますけれども、やはり私は性善説にのっとりたいと考えておりまして。もちろん誹謗中傷、悪いことは駄目ですけれども、開かれた公の場において各々の思いでしたり考えというのがしっかりとオープンに流れてきて、その議論に対してしっかり皆がいろいろな方向から議論をすることで、よりよい主張であったりとか、考えがブラッシュアップされていくという、言論の自由市場、経済原理によっていい考えが磨かれていくことを私は是非期待したいと思う一方で、デマでしたり誹謗中傷、こういったものについては、選挙に限ったもので縛っていくというよりかは、一般の法律においてこういうものは駄目な行為として縛っていくのがあるべき姿かなというふうに考えております。こういったことを踏まえながら、真摯な、闊達な議論を是非ともお願いできればと思います。

 私からの質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井です。

 今日は、提出会派の皆さんに全員来ていただきまして、ありがとうございます。三問用意したんですが、多分、全会派に答えていただくと二十分はかなりタイトだと思うので、是非簡潔に御答弁いただきたいのと、時間の関係で一と二は併せて聞こうと思いますので、一と二は併せて御答弁いただけたらと思います。

 私は今日はポスターの品位の規制のところで聞きたいと思うんですが、総務省の元選挙部長の片木弁護士は、参考人質疑のときにも取り上げましたが、私は同じ思いだなという意見なんですが、こういうふうにおっしゃっています。ポスターに関する規制はかなり時代遅れだ、公設の掲示板以外で貼ることを禁止する規制をしているのは民主主義の先進国では日本だけで、ガラパゴス選挙制度と言える、今回は時代遅れの選挙制度の虚をつかれた、規制を全面的に廃止すれば掲示板の希少価値がなくなり、選挙ビジネスも成り立たなくなると。おっしゃるとおりだなと思います。

 ともかく日本の選挙規制は厳し過ぎますよ。世界各国を見ると結構自由にやっていて、アメリカの大統領選挙も楽しそうだし、韓国とか台湾の選挙なんかもお祭りのようで、若者の参加もあって、そして投票率が非常に高い。やはり見習うべきところがあって、私は、そういう意味では公職選挙法をこれ以上厳しくするというのはいかがなものか、そういう観点を持っています。この片木弁護士の意見についてどう思われるかということ。

 それから、二つ目に聞きたいのは、今回の法案で他の政党の名誉を傷つけるようなポスターは品位を損なうものとして規制されるわけですが、他の政党の名誉を傷つけるというのは一体どこまで入るんだと。

 選挙は戦いですから、他党と戦うわけですよ。具体的に言うと、私は裏金問題を抱えた自民党の議員と選挙区で戦って、その方は現職の国会議員で一番多く裏金をもらっていた方なんですね。なので、当然、この裏金問題を選挙中もメインで訴えました。裏金議員は本来、自首若しくは逮捕すべきだということを選挙中は訴えました。ポスターにはそこまで書かなかったけれども、ポスターに書くということだってあったんじゃないかと思います。裏金議員は逮捕だともしポスターに書いたら他の政党の名誉を傷つけることになるんですかということ。

 この二点、各会派、お答えください。

鈴木(英)議員 高井委員に答弁します。

 一点目でありますけれども、ガラパゴス選挙制度ではないか、共感するところは多いです。お金がかからないように、あるいは候補者間の公平をというのは大変重要である一方で、時代に合わせる、テクノロジーを活用する、新たな知恵を出す、政策論争を活発化する、そういう意味で多様な選挙制度がどんどん生まれてくるということは大事だというふうに思っておりますので、党内での議論も活発化させ、各党の皆さんとの議論も活発に行っていきたいと思います。

 それから、二点目の点でありますけれども、記載について、個別の書き方は、それについてイエスかノーかということは申し上げることは控えたいと思いますが、改めて、一般論ですけれども、通常の政策論争、政治的論争の過程で行われる事実に基づく対立候補や他の政党への追及など、選挙運動用ポスターの内容として記載されることが想定されるものに当たるのであれば、他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけるには当たらないと考えております。

落合議員 我が国の公職選挙法の縛りが、選挙運動にしろ、政治活動にしろ、諸外国と比べてもかなり厳しい規制であるということは確かであると思います。一方で、公営の掲示板を作った経緯等を見てみますと、お金がかからない選挙をしていく、ある意味量的な制限をつけたという経緯もありますので、その観点もしっかり考えながら次の在り方を議論していくことは重要かなというふうに思います。

 それから、裏金議員は逮捕だが名誉を傷つけるの中に入るかということにつきましては、例えば、刑法の名誉毀損罪の定義も見てみますと、刑法二百三十条で、公然と事実を指摘し人の名誉を毀損した者はその事実の有無にかかわらずと書いてあるんですけれども、一方で、二百三十条の二第一項におきまして、事実の公共性、公益目的、真実の証明という三つの要件を満たせば罰しないというふうに名誉毀損罪のところでも規定がされています。まして、選挙ですので、表現の自由ですとか政治活動の自由も大きく加味されるべきですので、そのバランスを考えてもこれは名誉を傷つけるには当たらないというふうに考えます。

池下議員 御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 まず、日本の選挙制度はガラパゴス選挙ではないかという御指摘でありますけれども、私も非常に同感するところはあるかと思っております。

 まずは、例えば供託金の制度につきましても、海外では金額が低いところであったりとかということがありますし、若い方が政治参加できるようにするためには検討の必要があるのではないかなと思っております。

 また、ポスターの件につきましても非常に、我々も選挙をやっていますからあれですけれども、非常に人手もかかりますし、お金もかかるというとこら辺があるかと思いますが、先ほど御答弁させていただいたんですけれども、デジタル化、デジタルポスター、こういったところも活用しながら取組を進めていくべきかなと思っています。

 加えて、他の政党の名誉を傷つけるかどうかという点についてですけれども、これはまた非常に表現の自由であったりとかということで微妙なところがあるかと思うんですが、選挙の事例、判例等も踏まえまして今後検討と協議をしていきたいと思います。

 以上です。

臼木議員 お答えをいたします。

 まず、片木弁護士の御発言のところにあります公設の掲示板以外で貼ることを禁止する規制でありますけれども、恐らく衆議院の候補者届出制度であったり確認団体のポスターを貼ることはできると思いますので、公営掲示板以外での掲示を前提としているポスターも存在するんだろうなというふうには思っております。その上で、ポスターの今の仕組みにつきましてはやはり古い、時代に合っていないものだと考えますので、こういった点も含めて、先ほど他の議員のところでお答えをしましたが、やはり有権者の選択に資する制度に変えていくべきだと思っています。

 また、二点目の、他の政党の名誉を傷つけるということに関して裏金議員は逮捕だという表現がどうかということでありますけれども、個別の事例につきましてはお答えをする立場にはないんだと思いますので、先ほど他の委員がお答えをしたとおりの回答になるかと思いますので、省略させていただきます。

中川(康)議員 ポスターに関する規制についての指摘につきましては、公営のポスター掲示の在り方については今後の議論の一つであるというふうに私どもも捉えておりますし、この後に議論されます附帯決議案においてもそのことが付されているというふうに承知をいたしております。

 さらには、他の政党の名誉を傷つけるとはどのような範囲かということで、これは事実に基づいてどのように判断するのかということが大事かと思いますが、例えば虚偽事項公表罪などに当たるような事実無根の内容であったりした場合は、これはそういった状況になるのではないかというふうに感じるところであります。

 以上でございます。

北野議員 お答えさせていただきます。

 我が国には我が国の政治事情、選挙事情がございます。特に、我が国には、非常にお金がかかります選挙ですので、公設掲示板以外で貼ることを禁止して、お金のかからない選挙を実現することにも合理性はあると考えております。

 二つ目の質問でございます。刑法の名誉毀損罪が参考になります。公然すなわち不特定又は多数に対して事実を提示して社会的評価を低下させることだと考えます。この要件を満たせば他党の名誉を傷つけると考えられますが、裏金議員は逮捕だだけでは名誉を傷つけるかどうかは判断がつきかねると考えます。

 以上でございます。

島田(洋)議員 まず、一点目ですけれども、最近はかなりエキセントリックな選挙戦をするような向きもありますから、ポスター等は子供たちも見るものですから、大人の世界ではこんなことまで許されているのかという間違った印象を与えてもいけないと思うので、その辺りのバランスを今後検討していければと思っています。

 二番目の裏金議員は逮捕だですけれども、特定の議員の名前を挙げていれば大変問題だと思いますけれども、裏金の定義というのも様々ですし、かつ逮捕というのは大変な公権力の行使ですから、それに値するのかどうかというのは非常な論点です。ただ、裏金議員は逮捕だだけなら問題はないと思っています。

高井委員 どうもありがとうございます。

 公営掲示板以外のポスターというのは恐らく今も自由に各党が貼っていますけれども、選挙になったら急に、それを剥がさなきゃいけないとか、二連ポスターに替えなきゃいけないとか、そういうのがおかしいんじゃないかということだと思うので。私も公営掲示板を全部なくせばいいとは思っていないんですけれども、あれはあれで、あることによって選挙を今やっているんだなということも分かるし、あっていいと思いますけれども、それ以外のところも自由でいいんじゃないかということであります。

 それから、裏金議員は逮捕だというのは、これだけでも相当今、各会派で意見が分かれましたよね。今後検討すべきとか、それだけでは判断できないと言われますけれども。実際に選挙になったらまさに裏金議員は逮捕だというポスターが出てきて、それを各都道府県の選挙管理委員会が全部判断しなきゃならないわけですよね。これはだから、ちょっとやはり、法律としてこれを罰則がないからいいんだという話じゃないと思うんですね。規制としてこれはおかしい、やり過ぎじゃないかということなので、れいわ新選組としてはこの部分については反対をさせていただきます。

 それと、もう一点。これはちょっと広がりますけれども、今この法律の原案を作った選挙に関する各党協議会というところに私も参加させていただいていまして、今後の論点ということで、たくさん論点があるんですね。その中で、私は三つ提案しました。それを論点に入れていただいたので、それはすごくありがたいんですが。

 一つ目は、まさに公営掲示板が非常に全選挙区で、私の選挙区だけでも九百か所ぐらい貼りに行かなきゃならなくて、これが大変だと。デジタルサイネージするのも一案ですけれども、これはやはりお金や場所の問題があるということなら、例えば選挙管理委員会で候補者の締切りを早くして、夕方五時とかまでにしないで十二時とか十時に締め切って、あらかじめポスターをもらっておいて、選挙管理委員会の方が御苦労ではありますけれども貼って歩いた方がよほど効率的だという意見。

 それから、二つ目は証紙貼り。選挙ビラ、衆議院だと七万枚、証紙をぺたぺたと、こんなちっちゃなのを貼るから本当に大変なんですね。これだけで、一日五十人ぐらいボランティアを集めてようやくできる。こんなのは進歩していますから、例えば電子透かしとか、そういったものをあらかじめ印刷に組み込めばいいんじゃないかと。

 それから、三つ目は選挙人名簿。これも活用させていただくのはありがたいんですが、使わせないように使わせないようにと、一日に一人しか書き写しは駄目ですとか、時間制限をしたり。パチャッと写メでも撮ったらいいんじゃないかというふうに思いますけれども。

 こういった三点、れいわ新選組が提案していますけれども、これについて賛成か反対か、各会派それぞれ、御意見をお願いします。

鈴木(英)議員 具体的手法は、どうやってやるかというのはしっかりみんなで議論していく必要があるとは思いますが、おっしゃっていただいた三点については、方向性としては基本的に賛同できるものだと思っています。特に、負担の軽減ということについては、候補者の発掘あるいは新人のチャレンジ、こういうことを阻害する可能性がありますので、その点についてはより留意が必要だと思います。

 一方で、その中で、三点の中の最後だけ、選挙人名簿の閲覧については、基本的に簡略化という方向性はいいにしても、個人情報保護の観点から不当な目的による閲覧は排除しなければなりませんので、具体的手法をしっかり議論する必要があると思います。

落合議員 我が党として、この三つ、具体的に結論を得ているものではありませんが、公営掲示板の効率化、選挙区での証紙貼りの効率化につきましては同じような意見が多々出ております。お金をかけない選挙をやっていく、それから公正性、分かりやすさ等の点を考慮しながら具体的に話合いを進めていくべきだというふうに思います。

 我々も、選挙人名簿の件につきましては、個人情報を慎重に扱っていくという意味から今の規制があるというふうに考えていますので、議論は慎重にこの点についてはしていくべきだなというふうに考えております。

 以上です。

池下議員 お答えいたします。

 先ほど言っていただきました三点につきましては、我々も賛同させていただくことは多分にあるかと思います。

 特に、先ほど申し上げました公営掲示板、デジタルサイネージの活用、また、技術的な問題もあるかと思いますけれども、公営掲示板と証紙貼りの問題は非常に労力的には重たいものだと思いますし、先ほど別の答弁者からもありましたが、新しい候補者がなかなか入りにくい状況の足かせの一つになっているかと思います。

 あと、三つ目の選挙人名簿につきましても、しっかりルールは作らないといけないと思っておりまして、実は私も経験がございますけれども、基礎自治体ごとの選管によって、これは手書きじゃないといけないですよとか、パソコンは使っていいですよとかということで、ルールが基礎自治体ごとによって違うということも実際にありますので、こういうとこら辺は総務省なりというところでしっかりと統一化していただくことも必要なのかなと思っております。

 以上です。

臼木議員 ありがとうございます。

 公選法は、先ほど少し御答弁をした、べからず法と言われるものだと思っておりますけれども、旧法の制定当時につきましては、現職議員が新規参入を阻害するためのそういった一面もあるというふうな書籍も読んだことがありますけれども、新陳代謝を促すことであったり新規参入を阻害するようなことはやはりあってはならないと思っていますので、その観点からしますと、大きな方向性としまして、我々としても一番、二番については賛同ができるところではあります。

 ただ、一方で、三番につきましては、先ほどありました個人情報保護であったり、また、恐らくこれは選挙はがきに使用する目的で名簿の書き写しをされるんだと思いますけれども、そもそも選挙はがきの在り方といった根本的な部分からもやはり議論が必要ではないかと考えております。

中川(康)議員 三点御指摘をいただきました。三点とも選挙運動とか政治活動の自由という観点から様々意見があるところでありますが、昨年の委員会でもそれこそ高井先生とやり取りをさせていただきましたが、二番目の選挙ビラの証紙貼りの効率化ないしは廃止というところについては私どもも賛成できるものというふうに考えております。

北野議員 御質問いただきました三点は、とても重要な内容でございます。二番と三番に関しても、我が党のような小さな政党では大変な作業ですので、こういったところを簡略化できればなと思います。

 現在聞かれているお話なんですけれども、衆議院選挙制度改革協議委員会等においても議論がなされるべきであると思いますので、我が党でも慎重に検討してまいりたいと思います。

島田(洋)議員 デジタルサイネージとかは費用の問題もあるので、その辺り、公営選挙の立場から税金は効率的に使わないといけないので、その辺が検討課題になると思います。

 それから、証紙を電子透かしに変えるとかは一つの案だと思いますけれども、これも費用の問題が関係してくるでしょうから、今後の検討課題でしょう。

 それから、選挙人名簿活用の簡略化ですけれども、手書きで写すのはいいけれども写メとかコピーでは駄目というのは一見合理性があるとは思えないので、その辺りが今後の検討課題になると思います。

高井委員 皆さんのすばらしい時間配分で、ぴったりで終わりました。ありがとうございます。いずれも前向きな、三の選挙人名簿はちょっと、要検討という感じでしたけれども、一と二、特に二はほぼ皆さん賛成だったんじゃないかと思いますので、この機会に、これだけ政治改革特別委員会が開かれる年というのはめったにありませんから、この機会に一気に古いガラパゴス規制はなくしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 公選法改正案について質問いたします。

 まず、都知事選のポスター問題に関連してですけれども、都知事選の結果を見ましても、選挙を弄ぶ者に対して有権者は賢明な判断をされたと受け止めております。

 現行では、ポスターは公営掲示板にしか貼れません。選挙期間に入ると、候補者名が入ったビラやポスターというのは極端に減るというのが日本の選挙であり、だから公営掲示板にいわゆるプレミア感がつくという状況になる。こうした規制を撤廃すれば公営掲示板の希少価値はなくなり、いわゆる選挙ビジネスなるものも成り立たないと言えると思います。今検討すべきは、規制を強化して選挙を特別な一部の人だけのものにするのではなく、主権者である国民、有権者の選挙権行使のために選挙運動の自由を拡大すべきだと考えますが、提出者からお答えをいただきたい。

鈴木(英)議員 塩川議員にお答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、選挙運動や政治活動、なるべく規制や制限を設けることなく候補者が自由に活動することができる環境を担保していくということが望ましい、その基本的な方向性については共感をするところであります。

 その上で、昨年七月の東京都知事選挙は、ポスター掲示場に、品位を著しく欠くもの、選挙と関係のない営業宣伝用と思われるものなど、選挙運動のために使用されるものと言い難いポスターが掲示される問題が生じ、選挙の適正な実施が阻害される事態が起こっています。

 そこで、本法案は、このような最近における選挙運動用ポスターをめぐる状況に鑑み、政治活動、選挙運動の自由にも配慮しながら選挙の適正な実施の確保に資するための措置を講ずるものであり、必要かつ合理的な制限であると思料します。

塩川委員 基本的な考え方をまず伺ったわけですが、国民、有権者が主体的に選挙や政治に関わりやすくする、国民、有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくす、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加をし、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な現行公選法を抜本的に見直すことが必要だ、この機会にその議論を大きく前に進めていくべきだと考えております。

 都知事選で問題となった卑わいなポスターは、都条例で警告、撤去されました。東京十五区補選での妨害行為は、公選法の選挙の自由妨害罪が適用されました。絶対に許されない行為には現行法で厳格に対応するのが筋であります。

 一方で、捜査機関による違法行為の取締りだけを強化すればよいのか。

 この点で、公選法の第六条第一項では選挙管理委員会による常時啓発、周知徹底を明記しております。選挙が公明かつ適正に行われるように、選管はあらゆる機会を通じて有権者の政治常識の向上に努める常時啓発を行うとともに、特に投票方法や選挙違反など選挙に関する情報を有権者に周知させなければならないとあります。逐条解説によれば、単に告示等の管理行為を的確に執行するというだけでなく、あらゆる機会を通じてその周知を図らなければならないとあります。候補者だけでなく広く有権者に、選挙とは何か、どういう行為が選挙違反かということを日常的に周知することが、選挙を弄ぶような行為をさせないことにもつながると考えます。

 提出者にお尋ねしますが、今回の事案も受けて、選管の常時啓発、周知徹底の重要性、その課題をどう受け止めておられますか。

鈴木(英)議員 塩川議員に御答弁いたします。

 委員御指摘のとおり、選挙に関する啓発、周知、これは極めて重要であるというふうに考えております。

 我々提出者としましても、現在も所要の額が確保された上で適切に一定の啓発、周知が執行されていると承知しておりますけれども、今後とも時代に即した不断の改善や工夫がなされ、効果的な常時啓発、周知徹底が行われることを期待するものです。

 私が三重県知事時代に三重県選挙管理委員会は、全国の中でもかなり早い方だったと思いますけれども、AIチャットボットを入れて質問しやすいように、県民の皆さんとか有権者の皆さんが質問とか疑問を解消しやすいような、そんな工夫も三重県選挙管理委員会はやっておりましたので、時代に合わせて不断の改善をしっかりしながら常時啓発、周知徹底を行っていきたいと思います。

塩川委員 常時啓発、周知徹底が極めて重要、所要の額が確保されているのではないのかという話もありましたけれども。

 そこで、総務省に確認をいたします。選管の役割は極めて重要であります。そのための経費がどうなっているのか。選挙啓発に係る予算の推移で、一九九六年と二〇二一年の額を比較するとそれぞれ幾らになるのかについて御説明ください。

笠置政府参考人 お尋ねの選挙啓発に係る予算額でございます。常時啓発関係で申し上げますと、一九九六年度、平成八年度でございますが、明るい選挙推進費として二十三億八千百四十七万円、二〇二一年度は、令和三年度でございますが、名称がちょっと変わってございますが、参加・実践等を通じた政治意識の向上に要する経費といたしまして一億一千七百六万円となってございます。

塩川委員 二十三億が一億円余りということで、大きく金額が減少している。これは、具体的にはどんなものが減ったということなんでしょうか。

笠置政府参考人 手元に資料はございませんので確定的なものを申し上げることはできませんけれども、明るい選挙推進協議会といった団体がございますが、そうした団体への支援といったものを平成八年度はやっておったわけでございますが、他団体への補助といったものの予算額が減ってきているということがございまして、だんだん減ってきているということだと思います。

塩川委員 常時啓発や周知徹底の重要性ということに鑑みても余りにも減額され過ぎているんじゃないのかと思うんですが、その点、総務省はどうか。また、提出者はどうお考えか。

笠置政府参考人 確かに、平成八年度の二十三億に比べますと、現状といいますか、令和三年度で一億二千万弱ということでございますが、こちらにつきましては、通常の啓発予算というのは徐々に減ってきておったわけでございますが、たしか平成二十八年に、十八歳選挙権といったものが出た際に高校一年生に対して副読本といいますか副教材といったものを配付しようということで、下がってきていたものを、平成二十七年以降少し、盛り返したと言ったら表現があれかもしれませんけれども、盛り返して一億数千万円の台になってございます。この中でも、限られた財源の中でございますが、知恵を絞りながら啓発に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

鈴木(英)議員 おっしゃっていただいたように、選挙の公正な管理、執行、あるいは選挙に関する啓発、周知、これは大変重要であります。そのために必要な予算、人員はしっかり確保しなければならないというふうに思っていますが。

 予算については今お話があったところで、必要な予算というのは幾らなのか、額が多ければいいということでもないし、先ほど私はAIチャットボットの話をしましたが、効果的な周知啓発がちゃんとできる予算を、必要な予算を確保するということが大事だと思いますので、テクノロジーの進展、そういうことなどを踏まえながら所要の額をしっかり確保することが大事だと思います。

塩川委員 二十三億が一億はどうかというのは率直なところなんですが、それは少ないとお考えですか。

鈴木(英)議員 繰り返しになりますけれども、額の多寡だけではなかなか判断できないものの、感覚的にはまあ少ないなと言わざるを得ないのかなと思いますけれども、額だけでは判断できないというのが我々の考えであります。

塩川委員 まあ少ないなという受け止めは、そのとおりだと思いますが。

 国政選挙の執行経費について見れば、二〇一三年の基準法改定により大幅に引き下げられて、この間、我が党は経費基準を引き上げよと要求してきた中で、若干の微増にはなっていますけれども、全体に引き下げられてきた影響は大変大きいものがあります。総務省にもう一点確認で、国政選挙の執行経費基準法で、ポスター掲示場の経費の基準というのは二〇〇七年の基準以降どういう傾向にあるのか。この点について御説明ください。

笠置政府参考人 執行経費基準法におけますポスター掲示場の基準額でございますが、こちらは、掲示場一か所当たりの所要額につきまして、各種統計資料や実際の選挙の執行状況などを踏まえて定めているところでございます。

 例えば、区画数九以上十三未満の掲示場を市が設置する場合の基準額について申し上げますと、二〇〇七年度、平成十九年度は一万五千七百五十円、二〇一三年度、平成二十五年度でございますが、こちらが一万五千二百二十五円、二〇一六年度、平成二十八年度、二〇一九年度、令和元年度でございますが、いずれも一万五千六百六十円、二〇二二年度、令和四年度につきましては一万七千五十円となってございます。

塩川委員 全体として下がってきて、この間少し持ち直してきているという状況ですけれども。

 この辺は、例えば、区画数が多いような部分では増額となっているんだけれども、区画数が少ないような場合には減額の状況というのも一方であるわけであります。そういった点で、東京都の選管が今回の都知事選で公営掲示板の区画についてクリアファイル対応をしたということについても、これは都知事選ですから国政選挙の執行経費基準法の対象ではありませんけれども、全体として、経費負担削減、コスト抑制、そういう中での問題が背景にあるのではないのか。こういう点には留意をする必要があると考えております。このように政治と金の話になりますと民主主義のコストという話をされるわけですが、こういった啓発費や選挙経費こそ、きちんとお金をかけるべきものだと考えております。選挙に係る経費は十分に確保すべきだということを申し上げておきたいと思います。

 もう一点、選管の体制、人員の問題であります。全国の都道府県選管や市町村選管の人員は少なく、兼任や非正規が増えていると聞きます。

 私が受け取っております全国市区選挙管理委員会連合会の資料によれば、二〇一七年四月末時点で、人口四十万人以上の市では平均して選管職員が十人ほどおり、専任職員だけの自治体がほとんどですが、人口五万人未満になると選管職員数は平均三人ほどで、多くの自治体が兼任職員だけとなっています。総務課や議会事務局のスタッフの方が兼務をしていると。今、それから八年が経過しているので、更に状況は悪くなっていると考えております。総務省がこういう実態を把握してほしいということも資料でも要求しているわけですが、なかなか現場の方が大変だということで、そういった実態そのものが現時点でどうなっているのかがリアルに分からないという状況がある。こういったことについてもしっかりと把握をする、その上での対策が必要ではないのか。

 これは、先日、参考人質疑でも人員不足の指摘がありました。兵庫県選管の永田参考人は、人員の方も確かに足らないと、人員の増加を要望されておられました。また、元選挙部長の大泉参考人は、ベテラン職員が減って公選法の知識、プラスアルファの知識を備えた職員がちゃんといるようにしなければいけないと述べておりました。

 特に、二〇一〇年代には、現憲法下でなかった開票不正が三回も起きております。選管が関わった選挙不正の事件、こういった開票不正以外にも、投票用紙の交付ミスなど、選挙事務ミスも激増しております。実際の選挙実務を担う市町村選管ではいわばぎりぎりのところで頑張っておられて苦労もしておられるという状況が、そこにも見えてくると思います。当然、ミスをしようと思ってやっているわけではありませんので、そういうことを本当に除くような、活動の上でも必要な職員の配置、増員が求められていると思っています。

 そこで、提出者にお尋ねをいたしますが、選挙の正当性、公正性を担保するためにも選挙事務に従事する人員が十分に確保されるべきだと考えておりますが、お考えをお聞かせいただきたい。

鈴木(英)議員 塩川議員に答弁いたします。

 私の選挙区も十五の市と町、五市十町ありますけれども、一番大きいところで人口十二万程度でありますので、ほかは一万数千人とか一万を切っているところもあります。そういう中で、まさに塩川議員御指摘のような兼任で少人数でやっている選管の実情はありまして、現場における人員の不足感というのは極めて高いというふうに思っております。ですので、おっしゃっていただいた適正な管理、執行、また常時の啓発や周知、そういう観点からも必要な人員をしっかり確保していくことが重要であるというふうに考えております。

塩川委員 この間、選挙権年齢の引下げやネット選挙運動の開始や小選挙区の区割りの変更など、選挙執行業務は大きく増えているという状況にあります。また、選管には政治資金の収支報告書に係る業務もあるわけであります。選管の役割はますます大きくなっている現状にある、そういうときに、選挙権、参政権が国民主権、議会制民主主義の根幹を成すものであって、民主主義の土台を決める選挙制度は国民の参政権に関わる重要な課題であるときに、この選挙に関する経費と人員を大きく確保する、増加させていく、このことが必要だということを強調しておきたいと思います。

 最後に、兵庫県知事選の二馬力選挙に関連して、そもそも他人を応援する二馬力選挙というのはあってはならないことであります。選挙運動にビラは何枚とか、ポスターは何枚とか、選挙カーは何台、政見放送はなどなど公選法では規制をしております。それを、ある候補者が二倍可能だということは認められないというのは当然のことであります。ただし、立候補の規制や候補者の発言内容の規制を行うということは参政権の保障や選挙の自由の点から問題があると考えています。このような問題点となっている二馬力選挙について、参考人質疑でも参考人の方から、どの選挙運動が二馬力選挙と言えるか判断しにくいという話がありました。

 提出者にお尋ねをいたします。兵庫県知事選は、連日のマスコミ報道など、注目された中での選挙でありました。今におきましても、県議会においての議論なども関連して行われているところであります。どんな事態が起こったのか、しっかりとした検証が必要だと考えますが、この点についての考えをお聞かせいただきたい。

鈴木(英)議員 塩川議員に答弁させていただきます。

 兵庫県知事選挙につきましては、議員から御指摘の点も含め、様々な課題などが指摘をされていたものであります。したがいまして、それを踏まえて、どういうような対応をしていくべきなのか、それについてしっかりと各党各会派で議論をさせていただきたいというふうに思っております。

塩川委員 現行の公選法は、選挙運動を包括的に禁止して、例外的に許容するという体系になっています。そのため、選挙の主体が候補者、政党となり、選挙運動を行うための手段や方法が厳しく制限され、複雑で、いわばプロでなければ選挙運動ができないような仕組みとなっている。

 こういったときに、ネット上とリアル上の選挙運動に落差が大きいということも問題であります。文書図画の規制の自由化や戸別訪問の解禁、立会演説会の復活等も見直すべきであります。さらに、被選挙権年齢の引下げ、供託金の引下げ、選挙期間の見直しも必要であります。政治活動に関して言えば、規制が設けられていること自体に問題があります。是非とも、附則に検討条項がありますけれども、書かれている例示もありますが、選挙運動規制全般にわたって検討を行っていくということが必要ではないのか。この点について最後に提出者にお答えいただいて、終わりにしたいと思います。

鈴木(英)議員 委員御指摘の抜本的に見直すということについて、御指摘いただいたように、改正案の附則三項で検討、必要に応じ措置というふうに書いておりますので、委員の御指摘の点につきましても各党各会派において議論をしていくということになると思います。

塩川委員 終わります。

渡辺委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日は、先週木曜日の参考人質疑に続きまして、まず、政党所属候補と無所属候補で余りにも衆議院選挙の扱いが違うんじゃないかということについて議論いたしたいと思います。

 先日、私だけがこの中で無所属と言いましたけれども、広瀬議員が無所属であり当選しておりまして、二人で話してやはり、戦ってみなきゃ分からないんですけれども、えらく格差があり過ぎるんですね。そうしたことに対して、先日の参考人質疑で大泉参考人は、最高裁でも違憲ではない、政党本位、そういうような制度の趣旨からいって、差があっても違憲ではないというふうに答弁をされております。念のために平成十一年の最高裁の判決を資料でつけておりますけれども、ここにこう書いてあります。

 線が引いてありますが、候補者と並んで候補者届出政党にも選挙運動を認めることが是認される以上、候補者届出政党に所属する候補者とこれに所属しない候補者との間に選挙運動の上で差異を生ずることは避け難いところであるから、この次がですね、その差異が一般的に合理性を有するとは到底考えられない程度に達している場合に、初めてそのような差異を設けることが国会の裁量の範囲を逸脱するというべきであると。差異がどのぐらいあるかというのが問題だというふうに言っております。

 次のページに行きまして、六行目ぐらいですけれども、政見放送が無所属候補にないということが争われたわけですが、その理由は、小選挙区制の導入により選挙区が狭くなったこと、従前よりも多数の立候補が予想され、これら多数の候補者に政見放送の機会を均等に提供することが困難になったこと、候補者届出政党は選挙運動の対象区域が広くラジオ放送、テレビジョン放送の利用が不可欠であることなどにあるとされているが、ラジオ放送又はテレビジョン放送による政見放送の影響を考慮すると、これらの理由をもってはいまだ右のような大きな差異を設けるに十分な合理的理由と言い得るかについて疑問を差し挟む余地があると言わざるを得ない、しかしながら、右の理由にも全く根拠がないものではないし、政見放送は選挙運動の一部を成すにすぎず、その余の選挙運動については候補者届出政党に所属しない候補者も十分行うことができるのであって、政見放送が認められないことの一事をもって、選挙運動に関する規定における候補者間の差異が合理性を有するとは到底考えられない程度に達しているとまでは判断し難いところである。

 物すごく微妙な言い回しで、ほぼ違憲なんだけれども、ナローパスを通って、特に政見放送は広域である、小選挙区だけじゃないから、そこでそうした差を設けるのは合理的なんだというような判断をしているんですね。

 そして、こうした判決に対して五人もの裁判官から違憲ではないかという少数意見が付されています。小選挙区選挙の候補者のうち、候補者届出政党に所属しない者と、これに所属する者との間に存在する選挙運動上の差別は、憲法に違反するものであり、本件選挙は違法であると考える、こういう少数意見。

 次のページをめくっていただきますと、線を引いてあるところですけれども、候補者届出政党が更に一歩を進め、特定の小選挙区内で、その政党に所属して立候補した具体的な候補者の氏名を選挙人に示し、その候補者の当選を目的とする選挙運動を行うことは、取りも直さず、その候補者が個人として行う選挙運動に、政党が個人のための選挙運動を上積みすることを意味し、これはまさに二馬力選挙なんですよ、政党に所属する候補者に、政党に所属しない候補者と比較して、質量共により大きな選挙運動の効果を享受させることになるのである、したがって、その格差の程度と内容によっては、憲法が要請する被選挙権の平等の原則に違反するおそれを生じかねないといって、五人も異論が出ているというのも、これも私は異例なんじゃないかなと思います。

 だから、合憲だと胸を張って言えるものじゃなくて、むしろ政党所属候補と無所属候補の扱いに差をつけることは適切とは言えないと思うんですね。これはやはり立法府で対応しなければならないんじゃないかと思うんですけれども、あえてこの点は政府参考人の答弁を求めたいと思います。

笠置政府参考人 今委員から平成十一年の最高裁判決の部分を御紹介いただきました。

 確かに、当該判決におきましては、五人の裁判官から、候補者届出政党に所属する候補者と所属しない候補者との間の選挙運動上の格差が合理性を有するとは到底言えない程度に達していると認めざるを得ないとし、違憲である旨の反対意見が示されていることは承知をしておりますが、判決全体といたしましては、最初の方に御説明いただきましたが、選挙制度を政策本位、政党本位のものとするという国会が正当に考慮し得る政策的目的ないし理由によるものと解され、十分合理性を是認し得るということで、判決自体は合憲とされたものと承知をいたしております。

 国会におきまして十分に御議論の上成立をした制度でございますので、更にそれが適切か不適切かといったことを申し上げる立場にはないということでございます。

福島委員 私は、むしろこの判決に我々立法府が真摯に向き合わなければならないと思っております。

 今回の衆法九号では、附則の第三項の検討事項に公職の候補者間の公平の確保の状況というのが挙げられております。

 小選挙区候補者のために選挙運動を政党ができる、これはまさに二馬力そのものなんです。もし二馬力選挙と定義したら、それが当たっちゃうかもしれないし、中川先生の前で恐縮ですけれども、自民党の候補者が比例は公明党と言うのも、これも二馬力選挙に当たっちゃうかもしれないんですね、これが駄目だと今言っているわけじゃないですよ。何が二馬力選挙かは、実は定義が難しいんですよ。(発言する者あり)黙っていてくださいね。しかし、無所属候補は政見放送もないし、名前と顔入りのポスターも選挙期間中に貼らないというのは、これは明らかに憲法が要請する被選挙権の平等の原則に反すると思うんですよ。政見放送だけじゃない、ほかにもいろいろな差があるわけですから。ですからこうしたことも附則三項の検討条項の対象になり得ると考えてよろしいか、答弁をお願いいたします。

中川(康)議員 答弁を申し上げます。

 今回の品位保持に関する改正案の附則第三項における公職の候補者間の公平の確保の状況という文言につきましては、今も御指摘がありました、いわゆる二馬力選挙における選挙運動カーの問題でありますとか法定ビラの数量、いわゆる数量制限の問題を想定して示されたものというふうに捉えておりますが、条文に忠実に従って考えた場合、また、条文を忠実に読んだ場合、委員御指摘の政党所属の候補者と無所属の候補者との選挙活動における公平の確保の観点というのも、この条文を見る限りにおいては該当はし得る可能性もあると思います。

 そして、先ほど御指摘の、いただいた最高裁判決でも一部反対意見があったということも今承知したところでございます。該当するのかどうか、そしてこれも含めて議論をしていくのかということについては、今後各党各会派の中で議論をされていくものであり、そういったところでその方向性を考えるものというふうに考えます。

福島委員 中川先生、いい答弁をありがとうございます。

 実は、でも、選挙の協議会に無所属は入っていないんですよ、有志の会は。少数政党も入っていないんですよ。是非こうしたことを、入っていないとその論点を挙げられませんので、入れていただけるように、これは皆さんにお願いすることじゃないかもしれないけれども、求めたいと思っています。

 そもそも、政治活動と選挙活動を厳密に区切って、選挙活動をぎちぎちに規制していることがおかしいわけですね。皆さんは選挙をやっているわけですが、政治家であれば日常の政治活動が全てで、公示後の活動はある意味お祭りにすぎないわけで、日常的に皆さんはポスターをいっぱい貼っているじゃないですか、顔と、名前を大きく書いたのを貼っていますよね。私も、大体、選挙区内を今まで十万軒ぐらい歩いて、三千か所ぐらい、個人演説会告知用ポスターとされるポスターを貼らせていただいております。

 無所属候補は、それで三千も貼ったやつを、公示が始まったら全部剥がさなきゃならないんですよ、僕らは。こんな不合理なことはないですよ。それを剥がすためにどれだけ手間がかかるか。私は、文字だけのポスターを上に貼るというのを三日間で全部貼り替えるということをやっていますけれども、みんなは、何で、これはおかしいよねと。みんなは支援するためにポスターを貼ってくれるのに、何で選挙になったらそれを剥がさなきゃならないのと。

 逆に、日常活動をやっていないような政党は、うちの地元だと、日本維新の会なんかは野立てをぼんぼんぼんぼんして、そのままうっちゃっている。うっちゃっているというのは茨城弁ですけれども、三年間ぐらい、白くなるまで放っておいているようなのがいっぱいあるわけですよ。

 木曜日の参考人質疑でも、織田参考人は、選挙が始まったんだなというふうに風物詩的な盛り上げという効果しか公営掲示板にはないと言っているんですね。

 だから、私は、こんな公営掲示板なんて、先ほど来議論があるけれども、要らないと思うんです。中川先生、自分で活動されていて日常的にポスターを貼っていると思うんですよ、演説会告知用ポスターを。それが政治活動の国民との接点の全てであって、こんな選挙期間中に貼るなんというのはナンセンスだと思うんですけれども、いかが個人的にお考えでしょうか。

中川(康)議員 法案提出者として答弁させていただきます。

 公営のポスター掲示場につきましては、ポスター掲示場所に関する候補者間の公平の確保、また町の美観の維持、さらには選挙運動費用の節減、一斉に掲示板に貼ることによる選挙人の便宜といった意義がありますので、私としては、上記のような観点から、現段階において一定程度、この公営掲示場の必要性というのはあるものと考えております。

 しかし、公営掲示板の在り方については、この後の附帯決議案においても諮られるというふうに承知をいたしておりますが、そういった附帯決議案にあるということを考えると、今後の議論の一つであるというふうに承知をいたしているところであります。

 以上でございます。

福島委員 次に、法案の条文について移っていきたいと思います。

 法案第百四十四条の四の二第一項において、新たに、ポスター掲示場に掲示するポスターについての規制を導入しています。候補者の氏名を選挙人に見えやすいように記載しなければならない。

 私は、これは余計なおせっかいだと思うんですね。まず、見えやすいようにってどういうことなんでしょうか、具体的に。例えば、私の福島の福だけを大きく書いて、島伸享とやるのだってあるわけですよ。だって、それは、例えば同姓同名の候補者が出て、一字だけ漢字が違うとしたら、そこだけ大きなデザインのポスターとかを作りたくなりますよね。そうしたことまで認められるのか、認めないのか、どっちなんでしょう。選挙人に見えやすいようにというのは具体的にどういうことを指すのか、教えてください。

中川(康)議員 御答弁申し上げます。

 今回、選挙運動用ポスターにおける候補者の氏名の記載義務、公選法百四十四条の四の二でございますが、これは、今回問題となった事実といたしまして、候補者の氏名が記載されていない選挙運動とは思われないような内容のものがあったでありますとか、さらには使用するポスターというのは候補者の氏名が当然書かれているものという認識の中で設けられたものでございます。

 しかし、今回の選挙人に見えやすいようなという部分については、条文上、具体的な基準を設けているわけではございません。あくまでも社会通念上、一般的な視認方法でポスターを見れば候補者の氏名を視認することができるような記載を意味したものでございますし、沖縄の選挙なんかを見ますと片仮名で大きく書かれておるというようなものもございますし、社会通念上の一般的な視認の方法というのは、その地域、またその状況によっても違うものであるのではないかというふうに考えておるところでございます。

福島委員 でも、今の趣旨だと、やはり見えやすいようにという条文は不適切だと思うんですね。幾らここでやり取りをしたとしても、条文で問われるのは、候補者の氏名を選挙人に見えやすいように記載しなきゃならないと、見えやすいが要件になっているんですよ。その見えやすいは何かというのは事情に応じて異なりますなんというのは、私は法規範として成り立たないと思います。こんな条文を示されて、選管の人たちは本当に迷惑だと思いますよ。

 もう一つの条文に行きたいと思います。法案第百四十四条の四の二第二項では、ポスター掲示場に掲示するポスターの品位保持規制を設けております。先ほど来議論になっているところです。先ほど高井議員の議論にもありましたけれども、選挙戦というのは相手をやはり、誹謗中傷とまでは言わないけれども、ある程度攻撃しないと選挙にならないんですね。

 例えば、先週金曜日の予算委員会で立憲民主党の小川議員は、石破首相が選挙の年に公共事業受注会社から企業献金を受け取っていることをもって、まさにこれは違法献金を受け取っているじゃないですかと格好よく言ったじゃないですか。違法献金の男、石破とかと書いたら明らかに名誉を傷つけることになると、多分、石破さんはそう言うと思うんですよ。現に国会ではそういうふうに答弁していましたよね。(発言する者あり)ですよね、だからそうです。

 先ほどの答弁では事実じゃないことをやればと言うけれども、その事実が争われているわけです、本当に公共事業発注を会社が受注しているかどうかというのが。でも、私は、この条文からは、そもそも他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけるということがなぜ品位を損なうのかというのは分かりません。他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけるとは、具体的にどういう行為を言うのか。先ほど来答弁しているようにガイドラインも何も示さないって、本当にそれでできるのか。法案提出者としてもう一度、どういう行為を具体的に言うのかお答えください。

中川(康)議員 お答えを申し上げます。

 今回のこの内容については、いわゆる現行の政見放送の品位保持規定を定める公選法第百五十条の二の規定と同様の趣旨というふうにしております。

 それで、委員の御質問の趣旨というのは、いわゆるこういったところで具体的にどのような問題が品位を損なうのかとか、これによって罰せられることがあるのではないかというようなところの御懸念かと思いますが、いわゆる真っ当な政策論争の過程で行われる対立候補や政党への追及等が名誉を傷つけると判断されはしないかという点、この点を非常に御心配されて、ほかの委員も御質問をしていただいているのかと思います。

 この点については、通常の政策論争、政治的論争の過程で行われる、ここが大事なんですが、事実に基づく対立候補者や他の政党への追及等は選挙運動用ポスターの内容として記載されることが通常想定されるものであり、ポスターとしての品位を損なう内容には当たらないというふうに考えております。

 さらに、もう少し踏み込むのであれば、ではどういった問題が名誉を傷つける内容になるのかということですが、これは先ほども少し申し上げましたが、例えば虚偽事項公表罪など、これは公選法第二百三十五条の第二項でございますが、これに当たるような事実無根の内容であるということであるとか、明らかに他人の名誉を傷つけるような記載がポスター等にされていた場合、その内容に該当するのではないか、このように考えるわけでございます。

福島委員 多分、物事はそう簡単じゃなくて、事実に基づくものならいいと言うけれども、恐らくその事実が争われているわけです。

 先ほどの立憲民主党の小川議員の話によると、その事実が問われるから国会でやり取りになっているのであって、大体、事実かどうかを争われることについて相手のことを言うわけですから、事実以上に明らかにおかしなことをやっている人をおかしいと言うのは、それは当たり前ですよ。そうじゃないところで言うことに意義があるんですね。

 選挙戦になると、みんなそれぞれの陣営は熱くなってきて、選管に、あいつのポスターは違法じゃないかと必ず言うんですよ。言われて困るのは実際に選管の人であり警察の人だと私は思いますよ。実際にどうやって運用していくのか。罰則規定がないからいいじゃないかと言うけれども、罰則規定がなくても、やはり選管は言われたらそれなりのものを示さなければならないわけですよ。

 先日も参考人質疑のときに、参考人の方は是非具体的な基準について示してほしいということを、東京都の選管の方も兵庫県の選管の方もおっしゃっていました。

 総務省に聞きますけれども、この条項を使って、ある政党から候補者の選挙運動がその政党の名誉を傷つける行為であるのでしかるべき対処をしてほしいと言われたら、行政機関はどのように対応すればいいんですか。時と場合にもよるとは思うんですけれども。ただ、さっきの答弁だと、こういう法律がありますということを説明するだけでほかは何もしないんだというんですけれども、何もしない条文だったらこんな条文は要らないんですよ。この条文に基づいて選管なり警察というのはどういう対応をするのか、その点について政府から御答弁をお願いいたします。

笠置政府参考人 まず、今回設けられます品位保持義務規定というのは、候補者に対して品位を損なう記載をしないよう自覚を促すことを目的としているということでございます。

 先ほども出ておりますが、いかなるものが、どのようなものが名誉を傷つけるものであるのかといったことにつきましては、選管が判断することは困難であるというふうに考えてございまして、仮に、一方から品位保持規定に違反するんじゃないかという仮に訴えみたいなものがあったとしても、それを選管が判断することは困難でございますので、何らかの対応を行うことは難しいと考えております。

 ただ、一つ言えることは、これまで選挙運動用ポスターの記載内容につきましては公職選挙法上規制はなかったということでございますが、今回の議員立法による改正に基づきまして、品位保持の義務規定、候補者に対する自覚を促す義務規定が設けられたということから、例えば候補者説明会であるとかいろいろな場で、ポスターについてはこういう規定が新たに設けられたので、その趣旨に従って候補者としての責任を全うしていただきたいというようなことは言えるということになろうかと思います。

福島委員 法案提出者に問いますけれども、こんな規定、本当に意味がありますか。だって、問題は立花孝志さんとか黒川さんとか法律の穴をついてくる人たちですよ。今の政府の答弁のとおり、この条文があったって何らかの対応を取ることは難しい。何の意味がある条文なんですか、これは。相手はそれでも、選挙の判断なんですと言っちゃって堂々と書きますよ、それは。一体これは何のために設けた規定なのかと非常にむなしい思いになるんですけれども、その点について最後に御答弁いただけませんでしょうか。

中川(康)議員 御答弁を申し上げます。

 今回の法案は、いわゆる表現の自由との考え方の中で一歩進める内容ではあるにしても、確かにまだまだ限界があるところは承知をしているところでございます。更に各党各会派で協議を進めながらあるべき方向性を進めるのと同時に、加えて、事実をしっかりと重ねる中であるべき具体的な内容を出していく、こういったことが大事だというふうに思っております。

福島委員 後で反対討論で反対の理由を申し述べたいと思います。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 この際、議員鈴木敦君及び議員河村たかし君から委員外の発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 鈴木敦君。

鈴木(敦)議員 参政党の鈴木敦でございます。

 昨年に引き続きまして、特別委員会での委員外発言をお認めいただきまして、委員長また理事の各位の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 広域な議論をする委員会ですので、我々少数会派は議席はありませんけれども、この議論には参画をさせていただかないと、我々も負託を受けてこの議席を受けておりますので、しっかりと議論させていただきたい、このように思いますし、今後もこういった問題についてはどんどん議論が進んでいくことと考えられますので、是非その際にも柔軟な御対応をいただければ、このように考えております。

 その上で、今回の衆法九号についての議論に移らせていただくわけですが、この内容については、方向性については私も共有をするところなんですけれども、ポスターの品位保持ということを条文に書き込まなければいけないという状況に我が国が立ち至ったということについては、個人的には大変嘆かわしく考えております。

 公職の候補者に対して自覚を促すというような法律規定を設けなければならない、こういう状況になったわけですが、実例として害が存在していますので、そうである以上は法律に書き込まなければならない、その趣旨は理解をするところですが、せっかくやるのであれば、実効性を伴わなければ意味がないというふうに考えております。

 この中で罰則が設けられていないということは、今日の委員会の中でもるる説明もいただいておりますし、答弁もいただいておりますが、現段階で、例えば東京十五区の件もそうですし、あるいは東京都知事選挙の件もそうですけれども、様々な理由で撤去させられたもの、あるいは罰則が設けられたものがあると思いますが、この改正案の状態であったとしても取締りをすることができるという根拠は存在しますでしょうか。

鈴木(英)議員 答弁申し上げます。

 品位保持義務に違反した場合のうち、特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をした場合には、改正案により新たに処罰対象となります。

 加えて、わいせつなポスターを掲示する行為がわいせつな文書、図画を頒布し又は公然と陳列したと言える場合にはわいせつ物陳列罪が、名誉毀損に当たる内容が記載されたポスターを掲示する行為が公然と事実を摘示し人の名誉を毀損したと言える場合には名誉毀損罪が成立し得るほか、各地方自治体の迷惑防止条例等においても処罰対象となっている場合があるものと承知をしております。

 ポスターの掲示によってこれらの犯罪が行われていると認められる場合には、警察は当該ポスターを掲示した者に対して違法状態を是正するよう警告したり、刑事司法手続による対処を行うことができると承知しております。

鈴木(敦)議員 今のは、別の法律で何とかするという話でございます。今回の改正案をもって、この改正案に該当しているので公職選挙法違反です、罰則はないけれども法律に違反しているのだということを警察は判断するのでしょうか。

鈴木(英)議員 答弁申し上げます。

 選挙運動に関する個々の具体的な事案ごとの判断については、都道府県警察において、具体的な事実に即して、法と証拠に基づき行っているものと承知をしております。

 その上で、検察官、都道府県公安委員会の委員及び警察官は選挙の取締に関する規定を公正に執行しなければならないとする公職選挙法第七条の趣旨も踏まえて、個々の具体的な事案に対し適切に執行がなされることを期待しております。

鈴木(敦)議員 今の御答弁に更に申し上げれば、警察が、都道府県警が行うということは、それは従前からそうなんですけれども、今日この委員室におられる各議員の皆さん、それぞれの選挙区で取締りを受けておられると思いますけれども、県によって、あるいは場所によって、取締りを受けている都道府県は違うわけですね。全て同じ人がやっているわけではないですよね。かつ、ガイドラインのようなものが何もないわけですから、都道府県によって取締りの差が出ることが考えられますね。もっと言うと、こんなことは考えたくありませんが、選挙の注目性あるいは大きさ、各級選挙の種別によって対応が異なることがあってはならないと思うんです。

 今の御答弁をいただく中でおっしゃっていた警察官の職務の部分ですけれども、各警察官、検察官が公正に職務に当たるというのは当然のことでございますが、それが全国的に統一されているか否かについてはどこにも条文がございません。これをどのように担保されるんでしょうか。

鈴木(英)議員 御答弁申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、個別事案はそれぞれの法と証拠に基づいて都道府県警察が判断するということであります。執行したことを例えば事後的に警察庁などで共有するということはあるかもしれませんが、基本的には個々の事案の法と証拠に基づいて適切に対応するということであると思います。

鈴木(敦)議員 今日もほかの委員の御発言がありましたけれども、ガイドラインがないと判断のしようがないと思います。東京都、神奈川県、あるいは沖縄県では全く違うと思いますよ。私、いろいろな選挙のお手伝いに行きましたけれども、状況が違うということは皆さん頭に入れていただきたいと思います。

 終わります。

渡辺委員長 次に、河村たかし君。

河村議員 保守党の河村たかしでございます。

 まず一問目は、去年の十月の兵庫の知事選挙ですか、あそこで、余り名前を出すのはあれですけれども、兵庫県の維新の会の皆さんがいろいろ情報提供をしたということで御苦労されておりますけれども、ああいうものがSNSによって拡散される。それが今のところは、そういうSNSを有料でやりますとこれは運動員買収になるということですけれども、間々、まあ、それはええだにゃあかという話も結構あるんですわ。そうなりますと、今の規制で、ポスターじゃないけれども、ビラが何枚とかはがきが何枚とか、そういうのがありますけれども、本当のやつは比べ物にならぬぐらいな、ユーチューバーさんだけにお金を払ってもいいことになるとどえらい影響があるわけですよ。そういう場合にそれをオーケーにしますと要するに金持ち優遇になるわね、本当に。自民党だけが強うなるふうにならへんかということは思いますので、そこら辺の大きな危惧がありますので、これは大幹部の逢沢先生にお言葉をいただくとありがたいです。

逢沢議員 昨今の選挙では、SNSの影響が大変、よい意味でもまた懸念される意味でも大きくなってきているという認識は、我々政治家だけではなくて国民の皆さんも共有をしていらっしゃることというふうに思います。

 選挙の公平公正を確保するという意味で、インターネット利用の選挙の在り方、選挙を健全に公正な方向に導いていく、そのことを念頭に置きながら、規制はどうあるべきか、各党の協議会を設けております。また、小会派の皆様にも適切にその協議会においでをいただき、発言をいただきということを考えておりますが、その場で議論をしてまいりたいというふうに思います。

 選挙はそもそも、候補者の人格、識見、政策、これによって競われるべきものであって、選挙運動費用、お金をたくさん持っている人、お金をたくさん使う方が結果的に有利になる、こういった状況は排除されなければならない、インターネットも同様の範囲の中で考えていかなければならないと思います。

河村議員 それと、ちょっと方向が違いますが、ここでこういう選挙運動の中身を議論するのは非常に重要ですけれども、これはあさってになるらしいんですけれども、裏金問題で某派閥の会計責任者を参考人で呼ぶのについて、あさってやるということらしいんですけれども、朝日新聞によりますと、新しい情報が出たら困るなということで、そういう参考人は拒もうという動きがあるようですけれども、選挙運動の前提として国会が国民の皆さんに本当のことを知ってもらうという気持ちがなかったら、選挙運動を幾ら自由にしたってそれは話にならぬじゃないですか。ですから、是非ここのところは。一応拒まれておるというんだけれども、どういう理由で拒まれておるんですか、参考人は。逢沢さん、お願いします。

逢沢議員 尊敬する河村先生の御発言、御質問でございますが、この場は二つの公選法の改正案について質疑をお願いいたしております。今御発言をいただきました点につきましては、予算委員会あるいは与野党の適切な場で協議をいただき疑問点が払拭されることが望ましいとすれば、そうではなかろうかというふうに思います。この場で私の立場で申し上げることは特にございません。御理解をいただきたいと思います。

河村議員 これで最後でございますけれども、是非、本当は自民党でやるとええけれども、アメリカなんかに行きますとヒアリングということで、免責の権利を与えて、その代わり本当のことを全部しゃべってほしい、そういうのをやっておるんですわ。だから、もし自民党がやってくれなかったら野党がというか。見えますので、議決したらどうですか。これをやらないと何遍やったって本当のことが分からないよ、国民からいうと。いつまで裏金をやっておるんだと。そんなの参考人で出てきてもらって全部しゃべってもらったら全部分かりますよ、一瞬のうちに。

 自民党、どうですか、やりませんか。

逢沢議員 国民が真実を知るということは大変重要な権利でございますが、申し上げることがあるとすれば、国会法、衆議院規則、その他そういった状況をよく与野党で議論し、適切な結論を導き出していただくということではなかろうかというふうに思います。

渡辺委員長 時間が来ておりますので。

河村議員 これで終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享です。

 私は、衆法第九号及びその附帯決議に反対の立場から討論を行います。

 近年、インターネットを利用した選挙の普及などを背景として、これまででは考えられなかったような公職選挙法の穴を利用した不適切な選挙運動が行われています。言うまでもなく選挙は民主政治の基盤であり、公正な選挙が担保されるためのルールが必要ですが、そもそも政治活動や選挙活動の実態からかけ離れた細か過ぎる不合理な公職選挙法の規制こそが抜け穴を生む元凶となっており、小手先の改正を繰り返しても意味がないと考えます。

 その上で、今回の改正法案では、ポスター掲示板に掲示するポスターに候補者の氏名を選挙人に見やすいように記載せよとか、政党や他の候補者の名誉を傷つけるような品位を損なう記載をするなとか、はっきり言って余計なお世話です。法律の規定として、余りにも曖昧で詰まっていません。罰則がないからいいという問題ではなく、実際にこの法律を運用しなければならない各選挙管理委員会や警察は、このような余りにも曖昧な条文の法律を作られてもどう対応していいのか、迷惑をするだけでしょう。私は、そうならないように、この法律を運用するために必要な基準を総務省が作ることを求める附帯決議案を提案いたしましたが、与野党協議の中で拒否されてしまいました。

 一体、この法案は誰のため、何のための法案なんでしょうか。そもそも私たち有志の会は、この法案を作った選挙に関する各党協議会には入っておりません。先ほどの答弁では、この法案の条文に基づいて行政は何らかの対応を取ることは難しいとか、この法律に書かれているから有権者が適切に判断することを期待するとか、もはや法律の体を私は成していないと思います。

 近年の選挙でおかしな選挙運動があり、メディア等で大きく取り上げられているから対応しなければならないというのは理解できます。でも、ほとんど実効性のない、法律の解釈についてのガイドラインも作られない、現場で運用もできない法律を作ってやったことにするのは、立法府として余りにも不誠実です。選管や警察にとっても迷惑でしょう。そのような法律のために貴重な時間を使うことは、私たちにとっては耐え難いことであります。

 いいかげんな法改正をすれば、ある意味で賢い立花孝志さんや黒川敦彦さんは、きっとまた新たな穴を狙って選挙活動をして立法府をあざ笑うことでありましょう。法律というのはそんなに甘いものではありません。このような与野党談合の弛緩し切った国会の有様こそが民主政治の危機であり、このような国会審議の在り方を変えることこそが令和の政治改革であると申し述べて、反対討論といたします。

 以上です。

渡辺委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより採決に入ります。

 まず、逢沢一郎君外十一名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、逢沢一郎君外十名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、ただいま議決いたしました両案中、逢沢一郎君外十一名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、長谷川淳二君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。櫻井周君。

櫻井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

 一 選挙の品位保持については、新たにその対象とする選挙ポスターとともに、政見放送、選挙公報についても、各候補者がそれらの品位保持を徹底するとともに、選挙ポスターにおける氏名の記載義務に関しては、有権者が十分視認できる大きさで記載されることを原則とすべきものであり、本委員会は、その実施状況の検証も踏まえ、必要な検討を行うこと。

 二 今回の公職選挙法の改正の趣旨については、その施行時期に関わらず、全ての候補者が適切に対応すべきものであり、政府は、少なくとも次期国政選挙までに、改正の内容について、十分に周知徹底を行うこと。

 三 街頭演説は民主主義の根幹をなす「言論の場」であり、他の候補者の発言を聞き取りにくくするなど街頭演説を妨害する行為は、選挙における「言論の場」を壊し、表現の自由の範囲を超えた選挙妨害となりかねない。これら街頭演説や遊説などの選挙運動への悪質な自由妨害やSNS等の媒体をはじめとした虚偽事項の公表並びに公職の候補者が他の候補者の選挙運動を行う行為に対しては、選挙期間中においても関係機関は、法に基づき、迅速かつ適切な対応を行うべく最大限の努力を傾けること。

 四 本改正は、至急対応すべき項目について改正を行うものであり、民主主義の基盤を支える選挙制度の重要性に鑑み、選挙実施外の地域からの情報流入の状況なども踏まえ、法定刑や公営掲示板の在り方等を含め、本委員会は、公職選挙法等について、不断の見直しを行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村上総務大臣。

村上国務大臣 ただいま御決議のありました事項のうち、政府にお求めのありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十四分散会


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