衆議院

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第5号 令和7年3月10日(月曜日)

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令和七年三月十日(月曜日)

    午後三時十分開議

 出席委員

   委員長 渡辺  周君

   理事 小泉進次郎君 理事 齋藤  健君

   理事 長谷川淳二君 理事 落合 貴之君

   理事 後藤 祐一君 理事 櫻井  周君

   理事 池下  卓君 理事 長友 慎治君

      東  国幹君    石田 真敏君

      井出 庸生君    大空 幸星君

      小林 茂樹君    坂本竜太郎君

      塩崎 彰久君    島田 智明君

      高見 康裕君    中曽根康隆君

      平口  洋君    広瀬  建君

      福田かおる君    向山  淳君

      吉田 真次君    荒井  優君

      大串 博志君    鎌田さゆり君

      黒岩 宇洋君    源馬謙太郎君

      篠原  豪君    篠原  孝君

      眞野  哲君    馬淵 澄夫君

      矢崎堅太郎君    青柳 仁士君

      斎藤アレックス君    福田  玄君

      古川 元久君    森ようすけ君

      中川 康洋君    山口 良治君

      高井 崇志君    塩川 鉄也君

      福島 伸享君

    …………………………………

   衆議院調査局第二特別調査室長           森  源二君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     高見 康裕君

  塩崎 彰久君     吉田 真次君

  山本 大地君     大空 幸星君

  今井 雅人君     眞野  哲君

  江田 憲司君     篠原  豪君

  手塚 仁雄君     大串 博志君

  福田  玄君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     山本 大地君

  高見 康裕君     東  国幹君

  吉田 真次君     塩崎 彰久君

  大串 博志君     手塚 仁雄君

  篠原  豪君     荒井  優君

  眞野  哲君     今井 雅人君

  古川 元久君     福田  玄君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     国光あやの君

  荒井  優君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政治改革に関する件(企業・団体献金の在り方)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 政治改革に関する件、特に企業・団体献金の在り方について調査を進めます。

 本日は、各会派を代表して一名ずつ五分以内で発言していただきたいと存じます。

 発言の申出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 昨年の臨時国会では、九本の法案が提出され、政策活動費の廃止を始め、収支報告書のデータベース化等を盛り込んだ改正政治資金規正法、第三者機関の設置に関するプログラム法が成立しました。当委員会において合意に至るまで精力的な審議をいただいた、渡辺周委員長を始め理事各位、各党各会派の委員に心から敬意を表する次第です。

 一方で、企業・団体献金禁止法案については、当委員会理事会において、令和六年度末までに結論を得るとの申合せがなされました。

 そもそも、企業・団体献金について、我が党は、個人献金は善で企業・団体献金は悪であるという考え方には立っていません。

 まず、平成六年一月の政治改革に関する総総合意に企業・団体献金の禁止は含まれていません。政党助成金とセットで禁止が前提だとの議論は、国会の意思に反します。さらに、総総合意の経緯を証言された伊吹文明元議長は、総総合意の交渉に携わっていた責任者が当時の新生党代表幹事の小沢一郎氏であったと断言しています。もし禁止が前提と主張するのであれば、総総合意の交渉当事者であった、当時の新生党代表幹事の小沢一郎氏に確認すべきではないでしょうか。

 仮に企業・団体献金を禁止すれば、政党助成金への依存度が強まり、公的助成に頼る官製政党、いわば税金丸抱え政党になってしまいます。民主主義にとって果たしてよいことなのでしょうか。

 大事なことは、政党助成金、個人献金、企業・団体献金のバランスです。したがって、我が党は、企業・団体献金については禁止より公開という考え方の下に、その透明性、公開性を一層強化するための具体案として企業・団体献金公開強化法案を提出いたしました。

 政治資金の公開については、まず、一階部分として収支公開の制度があり、毎年全ての政治団体の収支報告書が公開されています。次に、二階部分として、臨時国会で成立した収支報告書のデータベース化によって、政党本部、政治資金団体、国会議員関係政治団体の収支報告書について検索可能なデータベースが構築されます。

 今般の公開強化法案は、三階部分としてデータベースによる公開に上乗せして、献金の出し手のうち年間合計一千万円を超える企業、団体を政治資金制度を所管する総務省が公表するものであります。

 これに対して五・六%しか対象とならないといった批判がありますが、そもそも公開強化法案の対象は、多数の野党も賛成した二階部分、すなわちデータベースの対象となる政党本部、政治資金団体、国会議員関係政治団体を前提としています。また、企業・団体献金の総額に占める割合で見れば、約六割が対象となります。五・六%という政党支部の数のみに着目した批判は全く当たらないと考えます。むしろ、公開強化法案により、一般企業はもちろん、業界が設立した政治団体、労働組合が母体となった政治団体に至るまで、年間合計一千万円を超える献金の出し手が総務省によって一覧性ある形で公開されることにより、企業・団体献金が国民による不断の監視と批判の下に適正に行われるようになるものと考えております。

 次に、我が党は、構成員の意思尊重法案を提出いたしました。特に、労働組合が母体となった政治団体への会費や、労働組合の政治活動の原資となる組合費について、労働者の賃金から天引きすること、チェックオフによって集めることの問題点を我が党は指摘してきました。また、労働組合の政治活動の収支が公開されていないのも問題ではないかと考えます。本法案により、政治団体、企業や労働組合の構成員の意思が尊重される形で政治資金の拠出が適切に行われる環境整備に資するものと考えております。

 我が党は昨日の党大会において、政治は国民のものとの立党精神に立ち返り、政治への信頼を取り戻すため党改革、政治改革を更に推し進めるとの決意を新たにしました。

 当委員会において三月末までに結論を得るべく精力的に議論を行うことをお誓い申し上げ、意見表明といたします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 立憲民主党の大串博志です。会派を代表して、企業・団体献金禁止についての考え方を申し上げます。

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金問題によって、国民の政治に対する信頼は地に落ちました。今、政治への信頼を回復するために企業・団体献金を禁止すべきときに来ています。

 リクルート事件、東京佐川急便事件など、一連の自民党の金権腐敗を受けて、三十年前の平成の政治改革において、公費による助成を導入することに加えて企業・団体献金を禁止する方向となっていました。このことは、合意当事者であった細川元総理、河野元自民党総裁のその後の発言においても明確です。しかし、その後行われた改革では、政党、政党支部への企業・団体献金は温存されてしまいました。

 結果、自民党においては約七千八百もの支部が設立され、それらが個人の財布のごとく、企業・団体献金の受皿となり得ています。その後も、KSD事件、IR事業をめぐる汚職事件、鶏卵業者汚職事件、風力発電汚職など、企業がまさに金で政治をゆがめようとした具体的な事例が自民党においては相次いでいます。これを真摯に反省するのであれば、企業・団体献金の禁止は三十年来の宿題として、今こそ結果を出していくべきです。

 企業・団体献金の禁止について、一部から、党財政が公費漬けになるのではないかとの声を聞くことがあります。確かに、例えば二〇二三年分の我が党においては、党収入の八五%は政党交付金によって賄われていました。しかし、どの程度の割合なら公費漬けなのか、その場合に何が問題となるのか、政治がゆがめられるということなのか、公費によって政治がゆがめられるということがそもそもあるのか、このようなことは全く論理的に語られていません。すなわち、企業・団体献金禁止を受け入れたくないがための言葉遊びにすぎません。

 私たちの法案では、個人献金の促進策としての税額控除の拡充を盛り込んでいます。

 また、立憲民主党などの禁止法案が政治団体による寄附を残していることが抜け穴だという指摘、これは全く当たりません。営利目的の企業とは異なり、政治活動を目的とする政治団体への寄附を全面禁止することは、憲法の保障する政治活動の自由を過度に制限することになりかねません。弊害の温床とは関係のない政治団体間の資金移動や、無所属の方、首長選前の活動支援などに支障を来すことにもなります。

 加えて、私たちの法案は、個人の意思によって政治活動が行われていることを担保するために、雇用等の関係の不当利用や会費相当の支払いを禁止することを盛り込んでいます。この規定は義務規定です。自民党から提出されている構成員の意思尊重法案の中にある留意、配慮という文言で書かれた理念規定よりは、明らかに規範性の強いものとなっています。

 さらに、自民党の企業・団体献金公開強化法案においては、禁止より公開といいつつも、対象となる政党支部は全体の五・六%にすぎず、公開強化の名に全く値しません。私たちが今検討しているネット公開強化法案は、オンライン提出の範囲を拡大し、全ての支部を対象に指一本で名寄せできるようにするものであり、自民党の皆さんにこの私たちの法案に乗ってもらえれば、五・六%どころか一〇〇%の公開強化が果たされます。

 さきの臨時国会では、企業・団体献金禁止法案について、当委員会において六年度末までに結論を得ることが合意されています。結論を得るです。

 政治に対する信頼を取り戻すため、今こそ企業・団体献金の禁止という結論を得るべく、衆議院において多数を握る各野党の皆さんと思いを共有し、そして与党の皆さんにも理解を得ながら全力を尽くす決意を述べて、意見表明といたします。

 御清聴ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 本委員会では、理事会での申合せに基づき、三月末までに企業・団体献金禁止法案について精力的に議論を行い、令和六年度末、すなわち今月末までに結論を得ることとなっています。

 日本維新の会は企業・団体献金を受けていません。憲法との関係を踏まえつつ、最も厳しい案を国会に提出し、この議論を主導していく所存です。

 石破総理が、企業は営利企業である以上、利益を見返りと全くせず献金をすることはおかしいと明言されておられるとおり、見返りを期待しない企業・団体献金は存在しません。そして、これまで政治が見返りを与え続けてきたからこそ、この制度が存続しているのです。

 私たちの共通する責務は、三十年前に、リクルート事件など、企業・団体献金が政治や政策をゆがめ、収賄事件にまで発展した実態を踏まえ、細川護熙当時の総理と河野洋平自民党総裁を始めとした諸先輩議員が懸命に取り組んだ平成の政治改革に決着をつけることです。その中核にあるのは、そのときに激変緩和措置として放置された抜け穴、すなわち会社、労働組合、職員団体その他の団体から政党と政治資金団体への寄附の完全廃止です。

 当時、政党助成金を導入する代わりに企業・団体献金を廃止するはずでした。しかし、結果として、この抜け穴のせいで企業・団体献金は存続し、政党助成金との二重取りとなりました。さらに、裏金事件の温床となった政治資金パーティーの増加を招きました。

 自民党は、この抜け穴を最大限広げるため、政党支部の数を無尽蔵に増やし続けた結果、現在は七千八百以上の異常な数になっています。そのうち約千八百の政党支部は、国会議員や自治体単位の支部ではない、職域支部と呼ばれる企業・団体献金の実質的な受皿となっており、中には実質的に株式会社が支部になっている例もあります。

 自民党が今国会に提出した法案は、禁止より公開としながら、この職域支部を公開の対象としていません。つまり、禁止も公開もしない案であり、抜け穴を温存するための法案と言われても仕方ありません。なぜ三十年前の政治改革で企業・団体献金を禁止しようとしたのか、いま一度我々は考える必要があります。

 今の自民党の態度は、当時の政治改革の成果とその立法事実をも否定するものです。会社、労働組合、職員団体その他の団体から政党と政治資金団体への寄附の禁止は、本委員会で実現すべき最低のラインです。その上で、政治団体からの寄附が抜け穴として利用されることを、憲法上許される範囲内で可能な限り防がなければなりません。

 例えば、医師会や労働組合のように、本体とは別に政治団体をつくり、そこに会員から資金を集めて政党や政治資金団体に献金する方法や、政治資金パーティー券を企業、団体に大量販売することで実質的な献金を受ける方法を規制する必要があります。

 各党各会派にはそれぞれの立場と主張があり、様々な法案が提出されることになりますが、一本も法案が通過せず、国会として何の答えも出せない結果だけは絶対に避けなければなりません。ほぼ全ての野党は企業・団体献金禁止の方針で一致しており、国民民主党も、野党が足並みをそろえれば企業・団体献金禁止に賛成すると明言しています。また、公明党は、平成五年の第百二十六回国会で社会党と共同提出した法案で企業・団体献金の禁止を定めています。

 何より、いわゆる裏金事件に端を発する国民の政治不信を払拭するため、政治と金の透明化に最も重い責任を持つのは自民党です。第一党として法案成否を決められる立場にもあります。この責任を重く認識し、党利党略を捨て、あるべき政治の姿を実現することを強く求めます。

 真に国民の求める政治改革をこの場で実現するため、全ての各会派の協力をお願い申し上げ、意見表明といたします。

渡辺委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 私は、国民民主党を代表して、我が党の企業・団体献金に関する考え方を申し述べさせていただきます。

 まず、この間、企業・団体献金の問題につきましては、資金の出し手の規制ばかりに注目が集まっておりますが、先ほども話がありましたけれども、自民党には七千を超える政党支部があり、その全てが企業・団体献金を受け取っていることを考えると、出し手の規制だけではなく受け手の規制も行うことが、真に資金の流れの全体像を明らかにし、政治資金の透明化に資するものと考えます。

 そこで、私たち国民民主党は、企業・団体献金について、まずは企業、団体の行う献金額に上限を設けた上で、企業・団体献金を受け取ることができる主体を政党本部などに極力限定し、受け取った献金については全て公開することとした上で、速やかに政党のガバナンスについて定めた政党法を制定し、政党法によるガバナンス規制に服する政党の原則本部のみ企業・団体献金の受取を認め、それ以外については企業・団体献金を禁止することを提案いたします。

 以下、その理由を申し述べます。

 企業・団体献金の問題は、巨額の企業、団体からの献金によって政策がゆがめられているのではないかとの国民からの疑念をどのように払拭するかにあります。

 疑念払拭の方法として、企業、団体からの献金についてその透明性を高めることのみで疑念を払拭することができるとの考え方がありますが、これだけ企業・団体献金に関して対立的構造となり、現に献金によって政策がゆがめられていると批判する意見が多くあることを考えると、透明性を高めるだけでは到底国民の疑念を払拭することはできません。

 一方で、企業・団体献金を全面的に禁止して個人献金のみ認めることとすることによって疑念を払拭すべしとの考え方は、形式的には企業・団体献金はなくなり、疑念を惹起することがない状況をつくり出すことはできます。しかし、そもそも企業、団体が当然に有する政治活動の自由の過度な制限になることは否定できませんし、多くの個人は何らかの企業、団体に属しているため、形式的には個人献金の形を取りながらその内実は企業・団体献金である可能性を一切排除することは、現実的に考えて不可能であります。むしろ、実態は企業、団体からの献金であるにもかかわらず、表面上は個人献金という体裁を取り、かえってどこから幾らの献金を受けたのかが不透明となって、政治資金の透明性を阻害することになるおそれさえあります。したがって、企業・団体献金の全面禁止は、その実効性担保の観点から現実的とは考えられません。

 私たち国民民主党は、結党以来、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治、この三つの政治の実現を目指しております。こうした観点から、巨額の企業・団体献金によって政策がゆがめられているのではないかとの国民の疑念を払拭するための実効的かつ現実的な方法は、私たちが昨年来提唱している、政党のガバナンスについて定める政党法を速やかに制定し、政党法で定めるガバナンス規定に従う政党の原則本部についてのみ企業・団体献金を認め、それ以外は禁止するのが妥当であると考えます。

 ただ、現状はまだ政党法が存在していないという状況でありますので、政党法が制定されるまでの間の対応として、まずは企業、団体が寄附できる献金額に上限を設けて巨額の献金ができないようにし、現行法でも政党以外は企業・団体献金を受け取ることは禁止されていますが、企業・団体献金を受け取ることのできる政党には政党支部も含まれ、自民党のように余りにも多くの政党支部が設立されて、それが企業・団体献金を受け取る受皿となっているので、これを政党本部と都道府県連に限定するなど、受け取れる主体を極力限定した上で、企業、団体から受け取った献金は全て公開するようにすべきであると考えます。

 企業・団体献金の扱いについては三月末までに結論を出すという昨年末の与野党合意は、国民の政治に対する信頼回復のために必ず成し遂げなければならない、国民に対する約束です。したがって、与野党双方は、各々いたずらに自らの立場に固執することなく、合意形成に向けて建設的な議論を行うことが重要であります。

 是非とも、私たち国民民主党の考え方を現実的かつ実効性が担保された案として与野党議論のベースに付していただくことを心よりお願い申し上げまして、国民民主党を代表しての意見表明といたします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 企業・団体献金の在り方も含めた、政治活動の寄附に関する我が党の考え方を申し述べます。

 まず、企業・団体献金の在り方については、一九七〇年の最高裁判決で一定の結論が出ているのとともに、憲法学者や政治学者など学識者の間でも意見が分かれているところであります。

 公明党は、かねてより、企業・団体献金の在り方については、客観的な見地から第三者的な機関に議論を委ね、その提言を得るべきであると主張してまいりました。ゆえに、この議論については、昨年秋の国会でプログラム法が成立をし、今後、各党各会派の皆様とともに法案の作成を予定している政治資金監視委員会を早期に設置するのとともに、その政治資金監視委員会に議論、提言を委ねるのも、その一つの考え方であると思います。

 その上で、あえて政治活動の寄附に関する考え方を述べるとするならば、企業・団体献金は、その多くについては政党や政治家を支援したいとの純粋な思いからのものであると思いますが、仮にその額が多額であったりした場合、政策をゆがめる可能性があるのではないかということ、また、個人献金の仕組みの整備を進めることなく企業・団体献金を禁止しても、いわゆる個人献金へ形を変えた迂回が発生することが予想されるため、かえって政治資金の透明性を低下させるおそれがあること等の考え方から、公明党としては、一つには、企業・団体献金の量的規制の強化、また、二つには、個人献金の促進に係る仕組みの整備、さらには、三つには、今後の検討事項としての、寄附を原資とした政党交付金類似の制度、仮称政党交付金基金の創設や、企業・団体献金の総枠制限の強化について改正を図るべきであると考えます。

 具体的には、企業・団体献金の規制強化については、現在は制限なしとなっている会社、労働組合、職員団体その他の団体が同一の政党、政治資金団体に対してする寄附について新たに個別制限を設けること、また、これも現在は制限なしとなっている政党、政治資金団体以外の政治団体が同一の政党、政治資金団体に対してする寄附について、これにつきましても新たに個別制限を設ける、この二点を提案いたします。

 また、個人献金の促進に係る仕組みの整備については、一つには、個人献金に係る税額控除の対象及び控除率の拡充を図ること、二つには、ポータブル決済端末など情報通信技術を活用したキャッシュレスによる寄附を始め、多様な支払い方法の活用による個人献金の促進を図ります。

 また、今後の検討事項としての、仮称でありますが政党交付金基金の創設については、国民の政治に対する信頼を確保しつつ、議会制民主主義の不可欠な要素である政党全体を支えるため、企業や労働組合も含めた団体が仮称政党交付金基金に寄附を行い、それを何らかの方法で割り振るという新たな手法を提案いたします。

 また、この仕組みの進展により、現行の政党交付金の総額についての減額を検討してまいります。ちなみに、この手法はかつて経団連が検討したことがあるとも伺っております。

 また、会社、労働組合、職員団体その他の団体の政党、政治資金団体に対する寄附の総枠制限の強化についても今後の検討事項に加えます。

 なお、本委員会に提出されております企業・団体献金公開強化法案については、今後進められます収支報告書のデジタル化、データベース化の整備とともに、公開の透明度を更に上げるべきと我が党としては考えます。

 以上、我が党の政治活動の寄附に関する考え方を紹介しましたが、公明党は、さきに成立した第三者機関の設置も含め、今後も政治改革議論の先頭に立っていくことをお約束いたします。

 以上、意見表明を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井崇志です。

 前回、この場で意見表明した日からちょうど三か月。前回も同じことを申し上げましたけれども、そもそも審議する順番が違います。多くの自民党議員が手を染めた裏金は、明確な法律違反であり、犯罪です。国会議員たるもの、潔く自首若しくは議員辞職すべきです。繰り返し申し上げますが、泥棒に泥棒を捕まえる法律を作らせるわけにはいきません。

 三か月たって、予算委員会ですったもんだしても、裏金問題の真相は何一つ解明されていません。いつ誰が何のために裏金を始めたのか、その使い道は何なのか、全く分かっていません。そんな状況で法案を審議するのはお門違いです。旧安倍派の会計責任者はもとより、裏金を始めた事情を知る旧安倍派幹部の証人喚問を求めます。

 そもそも、自民党が本気でこの問題にけじめをつける気があるのであれば、自分たちで旧安倍派の幹部や事情を知り得る党職員に聞き取りをすればいいのではないですか。東京都議会自民党までやっていたのですから、長年金庫番を務めていた自民党事務総長などは当然事情を知っているのではないですか。聞き取りをしていますか。そんな努力を何一つせず企業・団体献金を続けるための代替案など出されても、審議する価値もありません。

 野党から提出される法案も、本当に企業・団体献金を完全に禁止できるのでしょうか。個人が献金する形を取り、脱法的に企業、団体が献金できる仕組みになっているのではないですか。そのようなざる法には到底賛成できません。

 一方で、いまだに、企業・団体献金の禁止が憲法違反に当たるか否かがはっきりしません。総務省や内閣法制局は、これだけ世間で注目され、国会で審議、議論されているのですから、どのようなケースであれば憲法違反に該当する可能性があるのか整理して公表すべきです。聞かれないと検討しない、答えないという尊大な態度は職務怠慢以外の何物でもありません。この後の法案審議で質問することを予告しておきますので、必ず整理して公表してください。

 企業・団体献金の九割が自民党に流れています。自民党の経済政策の失敗、とりわけ三度に及ぶ消費税増税が原因で三十年間デフレ不況が続き、そこにコロナと物価高が重なり、人々が地獄の苦しみにいる中で、献金を続ける大企業だけが法人税減税や租税特別措置などで利益を享受し、自民党を存続させてきたのが企業・団体献金であり、禁止以外の選択肢はありません。

 加えて、前回も申し上げましたが、政治資金改革とセットで議論しなければならないのが、お金のかからない政治と選挙の仕組みづくりです。

 その最たるものが供託金です。国政選挙の場合、立候補するだけで三百万から六百万円かかります。OECD三十八か国中供託金があるのは十八か国だけ、G7に限ればイギリスと日本だけ、しかもイギリスはたったの七万円です。政党交付金の配付基準も見直すべきです。日本のような議員数割ではなく、イギリスのように半分は均等割、残り半分は得票数割とするなど、少数野党に厚く配分される仕組みにすべきです。

 また、れいわ新選組が当委員会や選挙に関する各党協議会で提案し、各党から前向きな回答をいただいているデジタルサイネージの導入や、選管職員による一括ポスター貼りなどによる公営掲示板ポスター貼りの省力化、電子透かしなどの技術を活用した選挙ビラ証紙の廃止、選挙人名簿の書き写しの効率化など、世界中で例がなく、ガラパゴスともやゆされる公職選挙法の過剰な規制を改めることも、資金力や組織力がない人も立候補できるようにするために、併せて改革が必要です。

 各党各会派におかれては前向きに御検討くださることをお願いして、私の意見表明を終わります。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党を代表して、意見表明を行います。

 自民党の主要派閥が、政治資金パーティーを通じて組織的に大規模に長期間にわたり、収支報告書の不記載、虚偽記載という政治資金規正法違反の犯罪行為を行ってきたことは、自民党政治の底知れない腐敗構造を露呈したものです。その中でも、長期に強権的な政治を進めてきた安倍派を支えていたのが巨額の裏金だったことは許し難いことです。しかも、この裏金づくりを誰がいつ始めて何に使ってきたのか、いまだに真相解明が行われていません。

 日本共産党は、金権腐敗政治の一掃のため、企業・団体献金全面禁止法案と政党助成法廃止法案を今国会も参議院に提出する予定です。同時に、日本共産党は、主張するだけでなく、企業・団体献金も政党助成金も受け取らないことを自ら実行しています。

 裏金事件に国民の批判と怒りが沸き起こり、企業・団体献金は禁止せよが国民の声です。しかし、自民党はこうした国民の声に耳をかさず、企業・団体献金に固執しています。

 自民党と企業との癒着によって政治がゆがめられた事例は枚挙にいとまがありません。この十年を見ても、河井夫妻の大規模選挙買収事件、秋元氏のカジノ汚職事件、吉川氏の鶏卵汚職事件、甘利氏のUR口利き疑惑、安倍氏の桜を見る会問題など、政治と金をめぐる疑惑が続出しています。自民党の腐敗政治と自浄能力のなさを見ても、全く反省の色が見えません。

 政治資金は、主権者である国民の浄財で支えられるものです。国民一人一人が自ら支持する政党に寄附することは主権者として政治に参加する権利そのもの、国民の代表を選ぶ選挙権、投票権と結びついた国民固有の権利です。

 一方、企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。営利を目的とする企業が個人をはるかに超える巨額の金の力で政治に影響を与え、自己の利益を図れば、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかです。選挙権を持たない企業の献金は国民主権と相入れず、国民の参政権を侵害するものです。

 石破総理を始め自民党は、企業献金を正当化する際、一九七〇年の最高裁判決を持ち出しますが、この判決は、企業・団体献金の弊害を認め、その対策は立法政策にまつべきと述べており、企業・団体献金を禁止する立法を否定していません。今なおこの判決にしがみつくのは、国民の権利を侵害している実態から目をそらし、立法府が積み重ねた議論を無視するものです。

 また、昨年の法改定で、外国人、外国法人等によるパーティー券購入を禁止としながら、日本法人で五年以上上場している外資系企業を禁止の対象から除外しています。外国人等からの献金は国家主権に関わるといいながら、特例を設け、献金もパーティー券購入も温存したことは容認できません。

 政治のゆがみを正し、国民主権を貫くためにも、企業・団体献金の禁止が必要です。政党支部への献金、政治資金パーティー券の購入という二つの抜け道を塞ぐことこそ行うべきです。

 政治資金は、国民の不断の監視と批判の下に置くべきものです。政治資金の収支をチェックするのは、第三者機関ではなく国民です。現行の政治資金監査制度の導入後も事件、問題が相次いでおり、収支報告書の形式上の適正すら確認できていないのが実態です。お墨つきを与えるだけの監査制度を残し、更に屋上屋を重ねて第三者機関で監視するなど、隠れみのでしかありません。

 この間の、政治資金の公開を後退させる改悪を行ったまま公開強化というのはまやかしです。収支報告書は公的に永久に残すこと、速やかにそのまま国民に公開することこそ徹底すべきです。

 以上、発言を終わります。

渡辺委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享です。

 有志の会を代表して、企業・団体献金の在り方に関する考え方を申し述べます。

 まず第一に、これまで何度も申し上げてきたことでありますが、私たち有志の会のメンバーは政党助成金も企業・団体献金も法律上受け取れず、実際に受け取っていませんが、それによって他の政治家に対して政治活動も選挙活動も何ら劣ることはないことは昨年の選挙の結果においても明確に示しているものと確信いたします。

 昨年十二月の本委員会で齋藤健議員から、衆議院補欠選挙で落選したときに、次の選挙に当選する当てもない中、社長さんから見返りを求めないで手を差し伸べてくれた企業献金の麗しい事例を御紹介いただきました。

 私も、無所属になったときに、それまで企業献金をしてくれていた方々に、政治資金規正法によって企業献金が受け取れなくなったと言ったら、皆さん快く個人献金に切り替えてくれました。党より人物で評価をいただけるのであれば、企業献金などなくても堂々と政治活動はできます。企業・団体献金を禁止することが日本の政治にとって活動量を落とし国民との接点を減らすとか、企業・団体献金を禁止するとお金持ちしか政治家になれないなど、およそ国民感覚からかけ離れたすっとんきょうな情けないことを言うのではなく、日本の政治構造がどうあるべきかという高い視点に立った議論がなされることを求めます。

 これまで私は昨年四月と十二月の本委員会でなぜ企業・団体献金の禁止が必要なのかということを繰り返し述べておりますので、本日はそれは述べません。私の個人的な体験をもって、企業・団体献金を廃止すべき背景について申し述べたいと思います。

 私は、かつて、ここにいらっしゃる小泉進次郎議員のお父様である小泉純一郎首相が、聖域なき構造改革、改革なくして成長なしと髪を振り乱して叫んでいたとき、官邸直属のチームで構造改革特区制度の創設に携わっていました。地域に限定して規制の特例措置を設けることで困難な規制改革を進めていくというこの制度は、総論賛成、各論反対となって、業界ごとの利益を代弁する自民党議員が反対するので、政治的に非常に困難な、壮絶な仕事でありました。

 その担当大臣になったのは、私の尊敬する故鴻池祥肇先生。当時守旧派の権化のように思われていた鴻池先生が担当大臣に就いて、当初、正直、大丈夫かと思いました。自民党には構造改革特区推進本部が設置され、本部長に野呂田芳成先生、事務局長が現在官房長官を務められている林芳正先生。ここにいる後藤祐一議員は、当時、経済産業省の課長補佐として林事務局長を補佐しておりました。

 ここで自民党としての決定をしていくんですけれども、その間に自民党の各部会では反対論が噴出します。鴻池大臣は、故青木幹雄参議院幹事長と連携を取りながら、一人一人の反対する族議員を硬軟織り交ぜて説得していきました。そこで、私は、鴻池先生を担当大臣にした自民党の知恵を初めて理解しました。業界団体の代表の多い参議院側から大臣を出すことで党内をまとめるようにそのときはしていたんですね。

 説得するに当たって鴻池大臣は私に、それぞれの部会で反対に立つ議員の収支報告書と後援会幹部がどのような人なのか分析を命じました。どの企業や団体から献金をもらっているか、弱みはどこにあるのか。

 最大の抵抗勢力は、自民党に桁違いの団体献金を行っている医師会。担当副大臣になった根本匠先生は医師会から多額の献金をもらい、後援会幹部にも医師会関係者がいらっしゃいました。政府の情報が筒抜けになることを恐れた鴻池大臣は私に、根本副大臣へのレクは最小限にするように求めました。当時、根本副大臣にお仕えしていたのが自民党の齋藤健理事であったと承知しております。匠フォースというのをつくっておりましたけれども、私が近代的なプルデンシャルビルにあった副大臣室を訪れるのはまれだったんじゃないかというふうに思います。

 結局、私は、鴻池大臣とともに医師会関係者から東京地検にあらぬ疑いで告発状が出され、受理されませんでしたけれども、出身の経済産業省から戻ってこいと言われました。何も悪いことをしていないのに、逃げるように戻るなら役所を辞めて選挙に出ますと言って、当時はまだ余りいなかった霞が関からの野党候補として出馬をして、その後、四回落選いたしました。

 自民党の皆さんは、企業・団体献金によって政策がねじ曲げられることはないと、どや顔でおっしゃっていますが、かつて霞が関にいた者なら、そんなことは全くの絵空事であるということはみんな知っております。企業・団体献金を背景にした政治勢力の圧力で、あり得べき政策を実現できなかった悔しい思いを経験している官僚も多くいることでしょう。

 これから行われる本委員会では、リクルート事件をきっかけとする平成の政治改革に何が足りなくて、日本の政治構造、統治構造を変えることのどこができなくて不毛な利益誘導政治が残り停滞と転落の三十年を招いたのかという、高い志に立った本質的な議論が本音で行われることを期待して、有志の会を代表しての私の意見表明といたします。

 以上です。ありがとうございました。

渡辺委員長 これにて発言は終わりました。

 次回は、来る十二日水曜日午後三時二十分理事会、午後三時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十九分散会


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