衆議院

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第14号 令和7年5月13日(火曜日)

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令和七年五月十三日(火曜日)

    午後一時五十七分開議

 出席委員

   委員長 渡辺  周君

   理事 小泉進次郎君 理事 齋藤  健君

   理事 長谷川淳二君 理事 落合 貴之君

   理事 後藤 祐一君 理事 櫻井  周君

   理事 池下  卓君 理事 長友 慎治君

      石田 真敏君    井出 庸生君

      大空 幸星君    国光あやの君

      小池 正昭君    小林 茂樹君

      坂本竜太郎君    塩崎 彰久君

      島田 智明君    平口  洋君

      平沼正二郎君    広瀬  建君

      福田かおる君    向山  淳君

      森下 千里君    山本 大地君

      若山 慎司君    今井 雅人君

      江田 憲司君    鎌田さゆり君

      黒岩 宇洋君    源馬謙太郎君

      篠原  孝君    手塚 仁雄君

      馬淵 澄夫君    矢崎堅太郎君

      青柳 仁士君  斎藤アレックス君

      福田  玄君    森ようすけ君

      中川 康洋君    山口 良治君

      高井 崇志君    塩川 鉄也君

      福島 伸享君

    …………………………………

   総務大臣         村上誠一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           玉田 康人君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   衆議院調査局第二特別調査室長           森  源二君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  小林 茂樹君     若山 慎司君

  坂本竜太郎君     大空 幸星君

  中曽根康隆君     平沼正二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     坂本竜太郎君

  平沼正二郎君     小池 正昭君

  若山 慎司君     小林 茂樹君

同日

 辞任         補欠選任

  小池 正昭君     森下 千里君

同日

 辞任         補欠選任

  森下 千里君     中曽根康隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官大濱健志君、総務省大臣官房総括審議官玉田康人君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。馬淵澄夫君。

馬淵委員 立民党の馬淵でございます。今日は質疑の機会をいただきました。

 まず、法案に関係するというところだと思いますが、投票所の繰上げ閉鎖について、これも経費に関わることだと思います。

 公選法の四十条一項におきましては、投票所は午前七時に開き午後八時に閉じるということで、投票の時間を法定しております。しかしながら、近年の選挙では投票時間を、午前七時を後ろに下げる、あるいは午後八時を繰り上げるといった自治体が増加しています。言うまでもなく、選挙権の行使というのは極めて重要な憲法上の保障された基本的人権でありますので、安易にこの投票権を制約するものではあってはなりません。しかし、これが大変増えているということです。

 前回の二〇二四年、昨年の衆院選、下野新聞という栃木の新聞に、栃木の選挙ということで報道がありました。これを見ますと、十月二十七日投開票の衆院選で県内の全二十五市町全ての投票所七百九十二か所が投票終了時刻を繰り上げるということが分かったということで報道に上がっております。県内の全投票所の終了時刻繰上げはこのときが初めてということでありました。

 このように全国的に投票時間の開始の繰下げあるいは閉所の繰上げが増えているということでありますが、投票時間の推移についてどうなっているのか。栃木県のようにこのように全ての投票所で投票時間の繰上げが行われているということであれば、公選法上の投票時間の規定は空文化しているということではないかと思いますが、総務省政府参考人、お答えいただけますか。

笠置政府参考人 まず、投票所の開始時刻の繰下げあるいは閉鎖時刻の繰上げの状況ということでございます。

 令和六年十月二十七日執行の衆議院議員総選挙では、全投票所四万五千四百二十九か所のうち、投票所の開始時刻の繰下げあるいは閉鎖時刻の繰上げを行った投票所総数は一万七千八百十三か所でございまして、全体に占める割合は約三九%となってございます。また、令和四年七月十日執行の参議院議員通常選挙では、全投票所四万六千二十五か所のうち、投票所の開始時刻の繰下げあるいは閉鎖時刻の繰上げを行った投票所総数は一万七千二百五十二か所であり、全体に占める割合は三七%でございまして、五百六十一か所増えているということでございます。

 投票所の開閉時間の繰上げ又は繰下げにつきましては、市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合などに限りまして行うことができるというものでございます。地域の実情によりまして、例えば山間部などにおきまして大半の選挙人が早めに投票を済ませていることなどを理由に閉鎖時刻を繰り上げることがあるというふうに承知いたしております。

 総務省といたしましては、投票所の開閉時間の繰上げ又は繰下げにつきましては、地域の実情といったものを十分に検討した上で、そういうことをする場合においても選挙人に対して丁寧に説明を行うことが必要と考えてございまして、引き続きこのことにつきまして選挙管理委員会の方に要請をしてまいりたいと考えてございます。

馬淵委員 令和四年が先ほどお話があった三七・五%、令和六年が三九・二%、約四割ですね。増加しているわけです。

 総務省としては個別の権限はないということから市町村への要請ということだと思うんですが、当然、投票所の地域による事情を勘案しなきゃならないという、これはよく分かります。ただ、一方で期日前投票も増加をしているんですね。こうした増加の観点と、もう一つは人員の確保、投票所の立会人の確保、これらも大変困難になりつつあるというのもよく理解をいたします。私もやむを得ない部分があるというのは承知していますが、一方で期日前投票が増えていくという状況があるのではないか。期日前投票によって投票の機会を確保しているということであるとすれば、期日前投票によって代替されているということから投票時間の繰上げが行われているということがあっては本来はならないと私は思っているんですね。

 先ほどのお話のように、法律の四十条では特別の事情のある場合と。すなわち、これは法定上例外規定なんですね。この例外規定は、選挙人の投票の便宜のため必要があると認められる特別の事情ということで、選挙人の方々が山間部等々で移動が困難であるとか、こういったことが加えられるのかもしれません。また、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合。ここは、支障があるというのは様々あるのでしょう、こうしたことがないようにということで。

 繰り返しになりますけども、これはあくまでも例外規定ですよね。法定上は朝の七時から晩の八時までなんですね。この例外規定が当たり前のように今行われつつあるというのはやはり問題ではないのか。全体の四割近い投票所がもう既に投票時間の縮小をしているというこの状況で。

 総務大臣、私は、期日前投票による投票増加数と引き換えに本来の投票日における投票行動を制限するような形の縮小というのは本末転倒ではないか、このように考えるんですが、総務大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。

村上国務大臣 馬淵委員の御質問にお答えします。

 先ほど選挙部長から御答弁申し上げたとおり、総務省としましては、投票所の開閉時間の繰上げ又は繰下げにつきましては、地域の実情等を十分に検討した上で厳正に対応してもらいたい、選挙人に対して丁寧に説明を行うことが必要であるというふうに考えており、各選挙管理委員会へ要請しております。

 各選挙管理委員会におきましては、一つ、投票所への交通手段の確保が難しい選挙人などのための投票所への移動支援や、また、かつて投票所があった地域での期日前投票所など、選挙人の投票機会の確保に向けて取り組んでいただいております。

 総務省としましては、引き続き各選挙管理委員会に対して、選挙人の投票機会の確保につながる施策に積極的に取り組んでいただけるよう要請していきたい、そのように思っております。

馬淵委員 様々な事情が特に地方部において発生している、私もこれはよく理解をするんですが、一方、期日前投票が増えているというのも現実だと思います。

 これは、二〇〇三年、平成十五年に不在者投票という仕組みから期日前投票に法が改正され施行されたんですね。当時のうたい文句は、不在者投票から期日前投票に変わることによって手続が大幅に簡素化される、投票しやすくなります、こういうことでのこの制度の設計であり法改正だったわけであります。投票日の投票という原則、これと加えて投票のしやすさの確保という、これは別の制度です。したがって、別の制度であったにもかかわらず徐々に期日前投票の増加によって投票所の閉鎖がどんどんと市町村で広げられていくというのは、繰り返しになりますけれども、私は本末転倒になりはしないかと。もしそのようなことが現実として必要だとするならば、それこそ四十条の法改正が必要になるということになるんだと思います。

 そこで、総務大臣、改めて確認をさせていただきます。先ほど大臣からは、四十条二項の部分ですね、通知を徹底しているということをおっしゃったと思いますが、一方、国政選挙というのは、振り返りますと、過去最低レベルをずっと継続しているような状況です。こうした状況で、投票日における投票時間の繰上げあるいは繰下げと投票率の関係についてどのように認識されていますでしょうか、総務大臣。

村上国務大臣 私も十四回選挙をやっていますけれども、振り返って、投票率というのは選挙の争点や天候など様々な事情が総合的に影響するものと考えられます。また、期日前投票者数が増加していることもあり、当日投票所の開始時刻の繰下げ、閉鎖時刻の繰上げによる影響等についてもなかなか一概に申し上げることは困難ではないかと思います。

 投票率の向上に関しては、利便性の高い場所への期日前投票所の設置や投票所への移動支援の取組など、投票しやすい環境の整備とともに、若い皆さん方の政治意識の向上を図る観点から、いわゆる主権者教育の取組が重要と考えております。

 そのため、総務省では、主権者教育に知見のあるアドバイザーの派遣や、各地で実施される主権者教育の優良事例を全国の選挙管理委員会、教育委員会等に周知し、横展開を推進したいと思っております。また、文部科学省や自治体等とも連携しながら主権者教育の充実を図っていきたい、そのように考えております。

馬淵委員 もちろん若い方々への様々な選挙に対する意識を高めるというのは大事ですけれども、私は、極めて端的に、投票時間あるいは投票期間ということが大きく影響すると思いますよ。

 期日前投票は、令和四年は全体投票率が五二・〇五%に対して、内数になりますが、一八・七%です。全体の投票数に対しての期日前投票というのが三五・九%。令和六年、昨年は全体の投票率が五三・八五%に対して期日前投票は二〇・二%、内数は三七・五%。つまり、期日前投票は四割近くに増えていっているんですね。

 こうした状況の中で、単に、大変だからそこは早く閉めてもいいんだよということで、例外規定がどんどんどんどんと広がっていく。一方、期日前投票が現実問題として皆さんの利便性が高いということで投票しやすくなっているわけですから、その投票率が上がっていく。この状況のまま推移させていいんでしょうか。私は明確な分析が必要だと思いますよ、大臣。期日前投票、さらには投票所の閉鎖時刻、これらの連関性を含めてきちっと総務省としては分析していく必要があるんじゃないでしょうか。大臣、どうでしょう、いかがお考えでしょうか。

村上国務大臣 馬淵委員はそのようにお感じになられるかもしれませんが、私の感じでは、期日前投票をやることによってかなり前広に投票するようになったんじゃないかという気がします。ただ、馬淵さんが言われるように、一回そういうものを統計を取ってみる必要があるかと思いますので、ちょっと検討していきたいと考えております。

馬淵委員 分析は必要だと思いますよ。投票率というのは様々な要因によって変化するものでありますから、これは重要だと思います。分析を検討していただきたいと思います。

 次に、いわゆる選管委員会の業務のデジタル化についてお尋ねをしたいと思います。

 デジタル化については、令和の元年に法改正がありまして、六月一日施行の公選法でいわゆる選挙公報の掲載文の電子データによる提出ができるようになったということでありますが、このデジタル化は極めて遅れていまして、提出といっても、デジタル化したデータを直接届けに行くんですよね。したがって、オンラインの申請どころではないんです。このような状況で、デジタル化が進んでいるとは到底言えない状況。

 なぜこんなことになっているかということで尋ねてみると、元々オンライン申請がなかなか難しいということは御説明をいただきました。昭和三十七年に公選法改正によって八十六条で、いわゆる公示又は告示があった日に郵便等によることなくということで改正されているんです。つまり、郵便届出というのが、結局は届出だけで実際に選挙運動もしないという人が多かったので、本人確認も含めて当日のうちにしっかりと届出をさせるということに変えたそうです。それが今日まで続いているんですね。したがって、オンライン申請というのができない状況です。もちろん、本人の確認や通信障害など、こうした様々なリスクを勘案するとすぐにはできないかもしれないんですが、こうした選挙業務、選管への繰り返しの説明あるいは届出を含めた、これが大変な選挙実務の手間になります。

 例えば、選挙手続の中でいうといわゆる選挙事務所の設置があります。一市でしかない選挙区であればそれほど問題はありませんが、複数の行政区にまたがって選挙事務所を開設するとすれば、その市町村に対しても届出をする、一方で県庁所在地の県選管にも行くということで、私は一区ですから、奈良市は県庁所在地ですので比較的まだ移動は楽な方ですけれども、そうでない郡部の方々などは、本当に複数箇所を回って、それも一々行って待たされるというような状況です。つまり、オンラインでの選挙上の手続というのが極めてできない状況にあります。

 そこで、大臣、これもお尋ねしたいんですが、このようにいわゆる電子化、オンライン化ということでは極めて遅れています。特に、選挙管理委員会は、直接手渡しあるいは対面にてということの確認が繰り返しなされます。告示当日の届出じゃないですよ、事前も含めて。こうしたことに対して、総務省として自治体に対しての要請しかできないのは分かりますが、これはさすがに、選挙実務が極めて多忙を重ねていくというのは当たり前の状況だと思いますので、これに対して、大臣、何らか取組を変えていく、少なくとも県と市町村は一体的に行えるようにということでの指導などは可能ではないでしょうか、いかがでしょうか。

笠置政府参考人 お答えをいたします。

 立候補関係の手続、馬淵委員がおっしゃいましたけれども、馬淵委員のお話のとおり、公職選挙法制定当時は対面によることなく郵便による届出が認められていた、しかしながら届出だけをして何もしないといったような事例が相当件数に上っておりまして、このような立候補のやり方は制度を濫用して選挙の秩序を攪乱するものとして好ましくないということから、三十七年の公選法改正で郵便によるというのはなくなった。

 現在、立候補届について、オンライン申請という話がございましたけれども、それにつきましても、このような郵便による届出と同様の懸念、あるいは円滑な事務の遂行を妨げるような目的、そういったこともございまして、立候補についてオンラインで申請をすることはなかなか難しいということでございます。

 また、都道府県と市町村の連携という御趣旨かなと思いますが、都道府県と市町村の連携につきましては、現状、都道府県の選挙管理委員会が立候補届を受け付けるような選挙におきまして、実際の届出窓口を各市町村あるいは県の出先機関に設置して候補者の便宜を図っているという例もございます。

 選挙管理委員会の事務につきましては、これまでも選挙管理委員会から様々な御要望をいただいてきておりますが、負担軽減についても具体的な要望がありましたら検討してまいりたいと考えてございます。

馬淵委員 通告では大臣にもお伝えしているんですがね。まあいいですよ。

 大臣、今の答弁にもありましたように、都道府県もやっと市町村と連携しているところもあるという、ごく一部ですよ。繰り返しになりますけれども、丸々一人を届出事務に割かなきゃならない状況が起きるんですね。この政治改革の特別委員会こそこうした選挙の在り方に対して見直しを図るということの議論の場ですから、大臣、いかがですか、大臣も御自身で十四回選挙をやられたんだったら一番このこともお感じじゃないでしょうか。いかがですか。

村上国務大臣 私は余り感じていないんですが、オンラインによる立候補の届出等につきましては、様々な懸念や課題があることから現在のような対面による手続になっていると承知しております。

 立候補関係手続の見直しにつきましては、手続の手法のみならず立候補の届出期間や選挙運動の在り方などに密接に関係すると考えられますから、これまでの経緯を踏まえると、各党各会派の十分な御議論をいただくべき事柄であるというふうに考えております。

 一方で、手続の簡素化や負担の軽減が可能なものについては引き続き検討していきたい、そのように考えております。

馬淵委員 ここの委員会室にいらっしゃる皆さん方も選挙実務をされておられますから、大変な御苦労をされていると思いますよ。実際に、人の割当てを含めて大変な労力になるんです。すぐにできることがあるにもかかわらず、それをやらない。繰り返し言いますよ。当日の届出をオンラインでやるというのが困難なのは分かります。そうじゃないところで、選挙事務所の設置の準備などはかなり前からでも話をしていけるんですね。毎回毎回、直接対面ということが求められます。是非検討していただきたいと思います。これはもういいです。

 その上で、三月二十六日の改正公選法、この委員会で我々が議論した中で附則の三項に、いわゆるSNS、インターネット選挙については今後引き続き検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする、こうなったわけであります。そして、それは、選挙運動に関する各党協議会、ここで議論されるということになっています。ここでは、この委員会では直接ではありませんが、これを待つ形なんですけれども、五月八日木曜日の十四時半よりこの各党の協議会が開かれて、LINEヤフー、ユーチューブ、X、三媒体の三担当者に対してのヒアリングが行われたと聞いています。議論はこれからですね。

 したがって、今、目前にある都議選や参院選が迫る中、選挙とSNSの関係について、まず現状ですね。目の前に選挙があるんですけれども、SNSのフェイクニュースや誹謗中傷あるいは収益化、こういったものに対して何らかの規制を実施する予定はあるのか、収益化を防ぐ実務的な仕組みはあるのかということで、お答えいただけますでしょうか。

村上国務大臣 今委員から御指摘があったように、SNSによる誹謗中傷というのは非常に民主主義の危機だと私は感じております。

 民主主義の根幹を成す選挙において、表現の自由、政治活動の自由に配慮しつつ、選挙人の自由な意思による公正な選挙が確保されることが重要だと考えております。

 今、現行の公職選挙法では、二百三十五条の虚偽事項公表罪や二百三十五条の五の氏名等の虚偽表示罪の罰則が設けられているんですが、なかなかこれでは把握し切れない面もあるような気がします。また、平成二十五年にインターネット選挙運動が解禁された際に、当時のプロバイダー責任制限法が改正されまして、候補者等からの申出を受けて情報を削除する場合、プロバイダーの損害賠償責任が免責されるために必要な発信者への削除に係る確認期間が七日間から二日間に短縮されたところです。

 また、昨年の衆議院選挙におきましては、選挙に関する偽・誤情報の流通、拡散に伴うリスクが増大する中で、大規模なSNS事業者に対して利用規約等に基づく適正な対応を取ることなどを要請しており、この夏の参議院選挙でも適切に対応していきたいと考えております。

 他方で、現行法におきまして、利用者が動画サイト等から収益を得ること自体を残念ながら禁止する法令がないものでして、選挙に関する投稿による収益を制限することについて、どのような発信者を対象にするか、どのような投稿を対象にするかなど、様々な論点があるものと承知しております。

 いずれにしても、表現の自由や政治活動、選挙運動の自由に関わる重要な問題であるため、先ほど申し上げたように各党各会派の御議論をいただく事柄でもあり、選挙運動に関する各党協議会においてもSNS利用による収益関係が論点として議論されているように承知しております。私はその議論に期待しております。

馬淵委員 現行でも全くないし、議論も始まったところであり、間に合わないんですよね。したがって、やはりここはもちろん協議会での議論を待つということも仕方がないとは思いますが、収益につながらない仕組みの構築は急務です。一方、それを規制するだけではない、インセンティブを与えていくという方策もあるのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 質疑時間がなくなりましたので、これにて終わりますが、例えば、国立情報学研究所、NIIではシンセティックビジョンというプログラムを開発されております。フェイク画像の自動検出。あるいは、オープンAI社などはDALL・E3という、こうしたプログラムによってユーザーがコンテンツの中の様々なデータをコード化して得ることができるということで、様々なフェイクというものを抑える仕組みをつくりやすい情報構築ができています。こうしたものに対しての様々な助成やあるいは支援ということも、規制だけではない一方の方策なのではないかということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。

 本日は、法案の質疑に入る前に、総務大臣に対しまして政治資金規正法に関する質問を何点かさせていただきたいと考えております。

 言うまでもなく、企業・団体献金の禁止、これが今年の政治改革特別委員会の最大の議題でございましたけれども、残念ながら、三月末以降、その議論がストップしてしまっていて、そして委員会質疑が久しぶりに、政治改革特別委員会での質疑が開かれるというのがゴールデンウィーク明けとなってしまっておりまして、日本維新の会としても大変この点は遺憾だと考えております。大分期間も空いてしまっていますので、改めて、政治資金規正法の考え方に関して、我々維新の立場というのをもう一度述べておきたいと思います。

 自民党の派閥における政治資金パーティーの収入の不記載問題、いわゆる裏金問題を受けて、国民の間には抜本的な政治改革を求める声がかつてなく高まりました。昨年の衆議院選挙の結果がまさにそのことを表していると思います。しかしながら、先ほど申し上げたように、国会での議論はなかなか今年の通常国会は深まらず、当初の改革への熱意や期待感が急速にしぼみつつあるという現状に対して私たちも強い危機感を抱いております。このままでは国民の政治不信は決定的なものとなり、我が国の民主主義の根幹が揺らぎかねないと思います。

 政治改革の核心的論点の一つが企業・団体献金の是非であります。この問題については、昨年の与野党協議において本年三月末までに結論を得ることが合意されていました。しかし、誠に遺憾ながらその約束は果たされず、結論は先送りにされたままです。国民との約束を軽んじ、先送り体質から脱却できない政治の姿に多くの国民が失望し、政治への無力感を深めているのではないでしょうか。

 私たち日本維新の会は、かねてから企業・団体献金の全面禁止を訴えてまいりました。これは、特定の組織や団体の影響力から政治を切り離して、真に国民全体の奉仕者たる政治を実現するための不可欠なステップであると確信しているからであります。企業・団体献金は、その存在自体が政策決定プロセスにおける公平性を損なって金権政治の温床となる危険性を常にはらんでいます。事実、過去の幾多の政治と金をめぐる事件において企業・団体献金がその背景にあったことは否定できません。

 自民党におかれましては公開強化を主眼とした法案を提出されていますが、これは問題の本質から目をそらし、国民の厳しい批判をかわすためのびほう策にすぎないと言わざるを得ません。既に公開されている情報を電子化したり、公開基準を多少変更したりするだけで、国民が抱く政治と金への疑念が晴れるとは到底思えないからであります。それは、平成の政治改革で積み残された企業・団体献金の禁止という本丸の議論を避け、国民を欺くものと言わざるを得ないと思います。

 大臣にお伺いをしたいと思います。長年の政治家としての御経験と国民の政治不信が深刻化する現状を踏まえて、あえて大臣にこのことをお尋ねさせていただきたいと思います。

 現行法の規定や政府あるいは与党の方針は一旦横に置いて、大臣が理想とされる将来の日本の民主主義において、企業・団体献金はその健全な発展のために必要不可欠な構成要素であり続けるべきでしょうか。それとも、真の国民の信頼回復のためには、将来的にはこうした特定の組織からの資金に依存しない、よりクリーンな政治資金制度を構築すべきだとお考えでしょうか。

 村上大臣におかれましては、長年にわたり自民党にあって是々非々の立場で発信を続けられ、その高い政治倫理観と国民目線に立った御発言は党派を超えて多くの国民が注目するところであります。大臣個人の政治家としての御信条、そしてこの国の未来を憂う一人の国民としての熱意のこもった答弁を是非心より御期待申し上げます。

村上国務大臣 いろいろ考え方があると思います。私も、石破さんと一緒に十三回通ってきました。

 私の拙い経験から申し上げますと、私ごとで恐縮なんですが、私は十九で伯父と父親を一遍に亡くしました。正直言って、不思議なもので、いなくなった途端、どなたも相手をしてくれなくなりました。それで、私は一人で、五人、十人の座談会を千回やりました。それが今日、十三回連続の大きな原動力になったと今は感じております。ただ、私も金がありませんから、座談会も、するめをかじったり煎餅をかじりながらやりました。

 ただ、アレックスさん、これを聞いていただきたいのは、とはいいながら物すごく広い選挙区だったので、それぞれの地域に一人ずつスタッフを置いて、そういう座談会を設営するためには五、六人の秘書が必要でした。そういう費用というのはやはり結構かかるものであります。正直なところを申し上げますと、私は、正直言って、今おっしゃられている企業献金がなかったら多分ずっと連続で通っていなかったと思います。

 ただ、はっきり申し上げますが、私は、企業献金をもらったからといって、それによって自分の政策の決定や意思を曲げたり変えたりしたことはありません。十三回連続で通っていますが、一回もそういうことで問題は起こしたことはありません。そういうことで、やはりそれぞれ政治家としての規律というか、自分の姿勢の持ち方が私は一番重要じゃないかと思います。

 それから二番目ですね。これも長年の拙い経験で申し上げますが、各政党を見ておりますと、政党の成り立ちが違うのではないかと思います。例えば、共産党さんとか公明党さんはやはり組織がしっかりしている。また、立憲さんとか国民民主党さんは労働組合の応援をいただく。残念ながら我が自民党というのは、何と申しますか、個人の自営業の集団みたいなものであります。ということは、自分たちが資金を集めてやっていかなきゃいけないというところがあると思います。

 その意味において、それぞれの党の成り立ち方、在り方によって、一律に何が善で何が悪であるかということは決めかねると私は思います。例えば皆さんは個人献金が善と言いますけれども、もしその個人がある意図を持って献金したら、その影響は企業献金よりも大きい影響を与えると私は感じています。(発言する者あり)黙って聞いてくれないかな、私もアレックスさんが聞くから真剣に自分のあれを申し上げているのでね。党利党略で言っているんじゃないんだよ。

 私自身は、正直言って、それぞれこれから若い人たちが政治を志すときに、そのような自分で資金を集める可能性を全くなくしていいのかということは、政治家個人個人が胸に手を当てて考える時期に来ているんじゃないかと思います。あえて申し上げます。私は、個人献金が善で企業献金が悪だとか、その逆であるとかいう決めつけはまずいと思います。

 特に私が四十年間やっていて非常に政治の難しさを感じるのは、私が最初に出た頃は、小選挙区が政治改革だ、それに反対するやつは守旧派だ、抵抗勢力だと言われました。私は、亡くなられた島村元農水大臣と二人で最後まで反対しました。ところが、今、三十年たってみると、そのときに小選挙区に賛成した人たちが、誠ちゃん、済まなかった、あれは我々の間違いだったというふうにおっしゃっています。そういうことで、政治の世界というのはどれが白だ黒だとはっきり決めつけられるものではない、私はそう感じております。

 以上であります。

斎藤(ア)委員 大臣、丁寧に御答弁をいただきまして、誠にありがとうございました。

 お気持ちは大変よく理解をさせていただくことができましたけれども、何点か、当然ですけれども日本維新の会と考え方が異なるところがありますので、重ねて質問させていただきたいと思います。

 まず、御自身の過去の経験から、御自身は企業・団体献金を受けたからといって、それに関して配慮をしたというか、政策決定をそれで変えたということはないんだというような趣旨のことをおっしゃっておられたかと思います。企業・団体献金が政策決定をゆがめることはないというお立場を取られているんだろうと拝察します。確かに、個別の見返りを約束した献金は贈収賄であり論外であります。しかし、大臣御自身の長年の政治活動の御経験に照らして、御自身のことではなくて、特定の企業や団体からの多額の献金を受け続けることが、仮に違法でなくても政策決定プロセスにおいて当該団体への特別な配慮やアクセスあるいは無意識の優先順位づけを生む可能性は本当にない、そう断言されるのでしょうか。

村上国務大臣 まず、はっきり申し上げたいのは、私にとってはそういうことはあり得ないということです。

 ただ、いろいろそういうふうに思われる方も多いかもしれませんが、本当にそういうことで大事な政策の決定をねじ曲げることができるのかと思いますか。私はそれはなかなか難しいと思います。それは、さっき言ったように、個人個人でもし受けたとして、それで変えたら贈収賄になりますよね。そういうものがやはり刑事罰で罰せられるのであって、私個人としては、まともな政治家であれば、企業献金をもらったからといって政策をねじ曲げることはまともな政治家ではあり得ない、そういうふうに考えています。

斎藤(ア)委員 私も献金をもらったからといってねじ曲げたことはありませんけれども、しかし、過去の様々な政策決定を見ていますと、国民の間には、お金は口ほどに物を言う、献金が影響力を行使しているのではないか、そういった疑念を持たれているのではないか、私はそのように強く思っておりますので、その点は議論がかなり分かれるところだというふうに思います。

 先ほども、秘書を六人ですかね、雇わないと、とてもじゃないけれども広い選挙区で活動ができないとおっしゃっていました。だからこそ裏を返せばお金がなければ活動できない、献金をしていただける方が本当に重要だ、お金がなければ駄目だ、そうなってしまうからこそ政策への影響力というのを持つ危険性が献金はかなり高いというふうに私は感じておりますので、その点は国民に判断を委ねるべきところだなというふうに考えております。

 献金の是非については後で聞かせていただきたいと思いますけれども、一つ細かい話を聞かせていただきたいと思います。

 平成の政治改革の結果、企業・団体献金に関しては政治家個人が受けられないことになりました。それにもかかわらず、政党支部を経由することで、実質的に特定の政治家に資金が流れる抜け道が存在し続けて、マネーロンダリングではないかとの厳しい批判が続いています。これは我々もそのような批判をさせていただいています。大臣御自身も過去には政党支部ルートをはっきり断たなければならないとの趣旨の御発言があったと承知しておりますが、現状の仕組みが大臣の重んじる高い倫理観やリクルート事件後の改革の本来の趣旨に照らして真に公正なものとお考えなのか、改めてお立場をお尋ねしたいと思います。

村上国務大臣 何回も申し上げますけれども、私個人としてはそういうことはないと思うんですが、政治活動に対する献金の在り方については、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を有するとの最高裁判決もある中で、各党各会派の長年の議論を経て、これまで数次にわたり政治資金規正法の改正が行われてきておりました。企業・団体献金につきましては、現在は政党と政治資金団体に対してのみ認められております。

 御指摘の政党支部は、政党の一部として、政党本部とともに政党活動の一翼を担っているものと承知しております。

 政党がその支部をどのように構成し、財政面も含めて政治活動をいかなる形で展開するかについては、政党組織の基本に関わる問題であり、各政党の自主的な判断によるべきものだと考えております。

 企業・団体献金につきましては、民主主義の費用をどのように社会全体が負担していくか、また、各政党の政治活動の自由と密接に関連していることから、各党各会派において御議論いただくべき事柄でありまして、まさに現在議論が行われているというふうに承知しております。

斎藤(ア)委員 これは残念ですね。政党支部ルートははっきり断たなければならない、そう直近までおっしゃっていたのにもかかわらず、そのことについては全くの政府答弁になってしまっている。

 今回自民党さんが出されている法案について先ほど触れさせていただきました。私が今取り上げた政党支部の問題についても何ら有効な措置を講じることなく公開強化を前面に出された、そういった法案を自民党案であったり自公国の三党合意では打ち出されています。政治資金の透明性向上自体は確かに重要ですけれども、既に公開されている情報の電子化や公開基準の若干の変更をするだけで国民が疑念を持つ資金の流れそのものの公正性が高まる、そのようにはとても私は思えないわけでございます。

 その上で、政治資金の質問はこれで最後にさせていただきますけれども、先ほども、お金がなければ、企業・団体献金がなければ秘書が雇えなくて、なかなか地域で活動ができなかったんだという経験を述べられました。そのことは紛れもない事実だし、そのことが悪いことではないと思いますけれども、そもそも、そういったふうに献金に頼らなければ政治活動が十分にできない、そういった今の仕組みについてどう思われているのかということを最後に聞きたいと思います。公の精神に根差した政治の実現について、多くの国民は、献金に依存せずお金がかからない形で政策本位で活動ができる、そういった政治を求めているのではないでしょうか。

 私は、ゴールデンウィークにアメリカに行きまして、ワシントンDCに訪問しまして、アメリカ議会にも行かせていただきました。私は十年前にアメリカ議会で働いていた経験があります。アメリカ議会のスタッフというのは、下院議員でも十名、二十名という議員スタッフがいて、上院議員になると、人口の多い州だと大変多くの議員スタッフが公費で賄えるわけでございます。

 そもそも今の衆議院、参議院のそれぞれのスタッフの数が適正なのかという議論もあるかと思いますけれども、しかし、献金に頼る、特定の人、特定の企業の献金に頼るという、そういった政治を続けている限り、なかなか抜本的な政治改革はできないのではないかなというふうに思います。こういったところは、今の政治改革、企業・団体献金の問題に限らず、日本の議会の文化、あるいは政治、議会がより機能するためにお金のかからない政治にする形で改革をしていくことが必要だと思いますけれども、そういった点について大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。

村上国務大臣 斎藤さんがまさにアメリカ議会で働いていらしたということで、非常に御理解いただけると思うんですが、私も行きました。アメリカの上院は、三十名分のスタッフのあれを出してくれる。下院も十名から二十名。それから、もう一つあったのは、向こうの議会というのは、地元から手紙で陳情が来て、手紙で返信を出すのが常なんですね。そうすると、例えば村上誠一郎とサインをすれば郵送賃もただなんですね。だから、私が行った上院議員の部屋では、例えば斎藤アレックスさんのサインをする専門の人がいました。何を言いたいかというと、先ほど来申し上げているように、民主主義のコストは誰が負担してくれるのかと。それは、例えばアメリカのように国がスタッフの費用を、それからサインをすれば郵送賃も立て替えてくれるのなら、それはそのとおりだと思うんですよね。

 ただ、日本の場合、難しいのは、秘書は三人しか雇わせてもらえない。それゆえに、私も、恥をさらして言いますが、最初に出た頃は、暑中見舞いや年賀状を出さなかったら義理も人情もないと言われて大変つらい思いをしました。だから、あの頃は、年末や年賀状や暑中見舞いは何万枚と出しました。そういうことはだんだん今はなくなってきていますけれども。要するに、民主主義をやる場合においてそういうランニングコストを誰が負担してくれるのかということは、今委員がおっしゃるとおり、これから我々が虚心坦懐に話す必要があると思うんです。ただ、残念ながら日本の財政事情は厳しいので、アメリカの上院や下院のように二十人も三十人もスタッフの費用を出してくれというのでは難しいので、そこら辺はまた皆さん方で考えていく必要があると思います。

斎藤(ア)委員 最後に私個人の意見を申し上げて終わりにしたいと思いますけれども、議員個人の秘書を増やすだけだと選挙活動を活発にさせるだけで、余り議会の活動として建設的なものにならないと思っています。アメリカに倣うのであれば議会のスタッフ、今は少数与党になって法制局が大変疲弊してしまっているという問題もありますけれども、各議員のじゃなくて議会全体の共通の資源としてのスタッフを増やしていって、議会を活発に活動できるようにしていくということも一案だと思いますので、是非そういったことも各党各会派で議論をさせていただきたいと思います。

 とにかく企業・団体献金の禁止は結論を得るということになっていますので、このことを最後に求めて、終わらせていただきます。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、福田玄君。

福田(玄)委員 国民民主党・無所属クラブの福田玄でございます。

 村上大臣におかれましては、総務委員会でも大変お世話になっておりまして、今日はよろしくお願いいたします。

 早速、先ほど斎藤委員から企業・団体献金の大きな話がありましたが、私は若干突っ込んだ細かな話になるかと思いますが、魂は細部に宿るということで、是非真摯な御答弁をいただければというふうに思います。

 まず、車上運動員、いわゆるウグイス嬢の手当についてお伺いをしたいと思います。今資料が配られている最中だと思いますが。

 今般、各党協議の結果、車上運動員、いわゆるウグイス嬢の一日当たりの報酬について政令の変更で一万五千円から二万円に引き上げるという申入れがあって、そのようになっていると思っております。これは、現状の人件費の高騰を考えると引上げ自体は当然、自然なことだと思います。

 まだお手元に届いていない方もいらっしゃるかと思いますが、新聞記事をつけさせていただいております。二〇一九年十一月一日付の朝日新聞の記事ですが、運動員日当過払い横行か、議員秘書、一万五千円では受けてもらえない、こういった見出しの記事がございます。実際、この記事の中では、世間の相場としては一万五千円では安過ぎて、三万円、東京や都市部では四万円、五万円という基準であるというようなコメントも載っておりまして、私自身も、今回の一万五千円から二万円への引上げというのはやや引上げ幅が小さいのではないかという印象を受けております。

 この引上げの議論に際して、総務省からは各党協議会にその金額、相場観等について議論の基礎的資料を提示されたと認識しておりますが、この認識、間違いないでしょうか。

笠置政府参考人 選挙運動に関する各党協議会におきまして、車上運動員に支給することができる報酬基準額が実態に合っておらず、見直しが必要である旨の合意がなされまして、協議会において具体的な金額について議論を行うに当たって参考とするための資料を示すよう御指示いただいたところでございましたので、議論の参考となる数値を機械的にお示しさせていただいたということでございます。

福田(玄)委員 資料を示されたということでございます。その資料、私も拝見したんですが、まさに実態に即したという話であるにもかかわらず、示されている内容というのが、記事にあるように、実際の現場で携わっている例えば秘書であるとか、いろいろな選挙に携わられている方が自民党の中にもいらっしゃると思います、野党の方もいろいろな現場にいらっしゃると思いますが、その実態の認識とちょっと合っていないんじゃないのかなというようなイメージは持っていまして、実際の報酬額の見直しの際にはより踏み込んだ資料も総務省には提示をしていただいて、各党協議会の議論の基になるようにしていただきたいと思うんですけれども、その辺、いかがお考えでしょうか。

笠置政府参考人 今回、機械的に数値を出したものにつきましては、地域別最低賃金の伸び率等々で複数の機械的な数値をお示ししたところでございます。

 選挙運動というのは、委員御案内のとおり、原則無報酬で行うとされる中で、車上運動員など一定の者に限っては、公職選挙法百九十七条の二の規定によりまして、あらかじめ選管に届け出た上で、一定の員数、金額の制限の範囲内で報酬の支給ができるということになってございます。

 車上運動員への報酬の支給につきましては、昭和五十三年、議員立法による改正で支給が認められまして、その基準額については賃金や物価等の実情等を考慮して引き上げられまして現在の一万五千円、これは平成四年に各党の議論を踏まえて一万五千円となって現在に至っているというところでございます。

 車上運動員を含めまして、選挙運動員への報酬の基準額の在り方につきましては、公職選挙法百九十七条の二の規定が議員立法により創設されたものであること、金のかからない選挙の実現といった観点も踏まえる必要があることから、各党各会派においてこれまでも議論されてきたところでございます。今回、先ほど委員からお話がございましたけれども、協議会において具体的な金額について成案が得られたとしまして、その金額により政令改正を行うよう要請されたところでございまして、政令の改正を行うことといたしております。

 なお、協議会の会長からは、今後も基準や対象者の範囲などについて協議会の中でも議論を進めていくといったことが述べられていると承知いたしております。

福田(玄)委員 まさに先ほどの答弁の中に機械的にというような話もあったんですけれども、実情に合っていないからじゃないか。金のかからない選挙というのは分かるんです、分かるんですが、実際に基準が低く設定されていて、払いたくても、払ったことによって公職選挙法違反になって連座制までというような状況も生まれているわけでありますから、この基準、キャップを。国民の皆さんにきちんとお伝えしなきゃいけないのは、これは別に公費で、税金でいただいているわけじゃないですからね。私たち選挙に携わる者が自分たちの選挙費用としてお支払いをする、その上限額の話ですので。ここの基準を実態に合わせなければ同じようなことが引き続きあると思うんですが、その辺り、大臣のお考えはいかがでしょうか。

村上国務大臣 私も福田委員と全く同じ気持ちであります。

 私も選挙をずっとやってきて、一番選挙で誰が苦労するのかなと考えたときに、やはり一番苦労するのはウグイス嬢と候補者だと思います。特に暑い中、寒い中、窓を開けっ放しにしてね。特に冬なんかは、いてつく中を一緒に回ってくれる。それも大体一日十二時間労働ですよね。私自身も福田委員と同じで、もうちょっと払ってあげたいなというのが率直な心情であります。

 そういうことでありますので、法案が今出ているのでそれに関しては言及できないんですが、今後ともそういう問題については、福田委員と同じで、随時検討を重ねていったらいいんじゃないかなというふうに思っております。

福田(玄)委員 御答弁ありがとうございます。

 先ほど大臣からも、そして選挙部長からも各党協議会で随時見直しをという話がありましたが、平成四年から三十年変わっていないんですね。三十年変わっていなかった基準ですから、定期的にしっかりと現実に合った相場に報酬額を変えていくというようなことを法令上もしっかりと組み込んでいく必要があるのではないかと思いますが、もし法令上このような定めをするとなると、取り得る手法、選択肢、どのような形で法令に定めることが適切か、お答えいただけますでしょうか。

笠置政府参考人 お答えします。

 お尋ねにつきましては、取り得る手法、選択肢といったものは様々あるものと考えてございますけれども、例えば、現行のように社会の状況等を踏まえ必要に応じて具体的な基準額を改定していく、見直していくといった方法、あるいは、具体的な算定方法といいますか、算定方法を法律で定めて、その算定方法に従って適宜額の見直しをしていくといったような方法なども考えられるんじゃないかというふうに思っています。

 一方で、選挙運動は原則無報酬で行うという中にあって一定の者について報酬の支給ができることとしていること、お金のかからない選挙の実現、あともう一つは、候補者の方々がお支払いをする、候補者の負担になるということもございますので、そうした意味では、報酬の基準額の在り方につきましては各党各会派においてこれまで御議論いただいてきたところでございますので、そうした議論が今後とも必要になってこようかというふうに思っております。

福田(玄)委員 最終的には各党各会派ということでありますが、各党各会派の議論をする際にしっかりと適切な資料も示していただいて、議論が前に進むようにお願いをしたいと思います。

 続きまして、それに関連したような話ではございますが、選挙カーの運転手の手当、いわゆる選挙公営で使用する自動車のことについて伺いたいと思います。いわゆる選挙カーの運転手の方に係る公営の上限額について伺いたいと思います。

 選挙カーを、ハイヤー形式ではなくて運転手を個別に契約する場合は、参議院の比例代表選挙などを除いては一日に一人までの契約で、これは選挙公営ですので補助されますが、一万二千五百円までが公営の上限となっております。

 選挙カーというやや特殊な運転を場合によっては八時から二十時まで行ってもらうことを考えると、一万二千五百円というのはかなり低いものだと考えます。経済全般を考えると運転者の方の収入が増えることはもちろん歓迎すべきことでありますし、さらに、運転手全般が本当に人手不足になっています。そこからすると、運転手の方に係る公営上限金額はやや非合理あるいは現実的でなくなっているのではないでしょうか。選挙公営の運転手雇用契約については、公営上限金額を引き上げる、若しくは、例えば一日二人までの交代制で、一万二千五百円を二人、公営で補助することができるなど、可能な範囲で合理的なものにすべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。

笠置政府参考人 選挙公営制度は、お金のかからない選挙を実現するとともに、候補者間の選挙運動の機会均等を図るものでございまして、公職選挙法施行令において、この趣旨にのっとり、公営上限額を定めてございます。

 この公営上限額はあくまでも公費として国あるいは地方公共団体が負担する金額の上限を定めたものでございまして、選挙運動のために使用する労務者の報酬の基準額とは別のものでございます。選挙運動を行わない労務者に当たる選挙運動用自動車の運転手の報酬につきましては、超過勤務手当を含めて現行一日当たり一万五千円というものが上限になっているというところでございます。

 選挙運動用自動車の使用に係る公営、こちらは、委員からも御紹介がございましたけれども、ハイヤー方式とレンタル方式の大きく二つに分かれますけれども、その公営上限額につきましては従前の考え方と同様に算定を行っておりまして、今回につきましても額は変わらないということでございます。

福田(玄)委員 まさにこれも、物価高、人件費高騰がありますので、それに合わせた見直しを常に考えていただきたいなというふうに思っておりますので、是非その部分も、これもまた各党各会派という話が出るかもしれませんが、是非そのこともお含みおきいただきたいと思います。

 今回提出されている法案の中身について、一つ伺いたいと思います。ポスター掲示場の設置費用について伺います。

 ポスター掲示場の設置費用に各種コストが上がるので今回はそれを反映させるという法案だと思いますが、前提としてお伺いしますが、前回、二〇二二年の参議院選挙での全国のポスター掲示場の設置費用はどの程度かかっているのでしょうか。

笠置政府参考人 二〇二二年、令和四年に執行されました参議院議員通常選挙におけるポスター掲示場の設置数は約三十万か所でございまして、その経費は約五十八億円となってございます。

福田(玄)委員 ありがとうございます。三十万か所、五十八億円、二〇二二年でということです。

 今回は二〇二五年ですので、箇所数はそんなに減ることはないと思うんですが、コストは上がっているので五十八億より更に大きい金額ということになるんだと思います。これを設置するという意味では、資材のコストもある、人件費もあります、金額自体はもしかしたら相応であるのかもしれませんが。しかし、毎回、ポスター掲示場を設置して外してということですよね。参議院選挙でいえば三年ごと、衆議院選挙でいえば四年の任期のうちに何回あるかということですが、毎回これだけのコストがかかっているというのは、税金ですからね、非常に大きな無駄につながるところもあるのではないかと思います。

 今後、効率化のために、より多くの方に見てもらえる場所に設置することや、状況に応じて継続的に設置したままにするなど、従来とは違った方策も取り得るのではないかと思います。例えば、地方部のコンビニエンスストアやスーパーには大きな駐車場もあって、こういった駐車場で人目につく場所に掲示場を設置し、それを常設することもできると思います。現行の法律立てでは難しいところがあると思いますが、そのことは今後議論を行っていく必要があるのではないかと思います。

 さらに、最近の技術を考えると、紙のポスターだけではなくてデジタルサイネージなども活用し、より多くの政策を有権者に伝えることもできるはずです。例えば、公営で常設のサイネージを確保して、選挙がない期間は民間の広告を流し、収入を得て、いざ選挙のタイミングでは選挙専用とするなど、様々な方法が考えられると思うのですが。今後は今までのやり方にとらわれず、新しい技術やより費用効率のよい手法も検討していくべきではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

笠置政府参考人 ポスターの公営掲示場でございます。こちらは今二つほど御提案といいますかお話をいただきまして。

 まず、公営掲示場を常設してはどうかといったような、継続的にやるということにつきましては、一時的に設置する場合に比べ土地の所有者等の承諾が得られにくくなるのではないか、あるいは、長期間の設置に耐え得るという構造にしないといけないということ、管理も必要になってくるということから、そうした維持管理経費が増加するといったこともあろうと思います。あとは、選挙期間外にどういった用途があるんだろうかといったことなどの課題や論点があろうかと思います。

 また、デジタルサイネージのお話をいただきましたけれども、こちらにつきましては、現行法におきましては、選挙運動のために電光表示などを用いることは禁止されているという中にございまして、これを認めるという場合には、その利用をどのような範囲で認め実際にどのように表示していくのか、ポスターですと大きさで一覧で見られるわけですけれども、表示の順番とかそういったことはどうしていくのかといったこと、あとは、デジタルサイネージは業者のホームページを見ますと安いもので五十万円ぐらい設置だけでかかるというようなこともございますので、そうした設置や管理に係る経費をどのように考えるかといった論点があるとは考えてございます。

 公営掲示場の見直しにつきましては、選挙運動の在り方に関わる事柄でありますことから、その必要性を含め各党各会派において御議論いただくべき事柄であり、選挙運動に関する各党協議会におきましても公営掲示場のデジタルサイネージについては一つの論点と伺っておりますので、その状況も踏まえながら必要な研究は進めたいというふうに思っております。

福田(玄)委員 ありがとうございます。

 是非、各党協議会で議論する際の前提条件として、様々なケースを想定して、選挙をするたびに毎回五十八億円、取っては捨ての看板ですから、そのこともしっかりと考えていただきたいと思います。

 続きまして、時間がなくなってきましたが、手短に伺います。選挙公報についても今回の法案に入っておりますが、今般の選挙執行経費基準法改正案の中で選挙公報発行費の増額がなされます。一方、余り知られていないかもしれませんが、実は選挙公報を選挙の際に、地方選挙のことですが、発行していない自治体があります。選挙公報自体、発行することは任意であり、法的には問題はないと思うんですが、これだけ投票率の低下が叫ばれている中、御年配の方など、余りネットは見ず、まだまだ紙媒体に親しんでいる方も多い中で、紙の選挙公報もやはりしっかりと活用するべきだと思っております。総務省として、この現状、発行していない自治体の数、比率等を把握しておられるでしょうか、お聞かせください。

笠置政府参考人 国政選挙や都道府県知事の選挙におきましては、選挙公報は義務的に発行しなくてはならないと規定されておりますけれども、都道府県議会の議員、あるいは市区町村の長、議員の選挙におきましては、条例の定めによりまして選挙公報を発行できる任意規定でございます。

 今お話しの地方選挙におきまして、選挙公報に係る条例を制定していない、発行していないということでございますけれども、地方公共団体につきましては、令和六年十二月三十一日、昨年十二月三十一日現在の状況を申し上げますと、都道府県議会の議員の選挙についてはゼロということで、全て制定済み、発行しているということでございます。市区の長及び議会の議員の選挙につきましては四十八団体が制定をしていない、発行していないということでございまして、全体に占める割合は約六%。町村の長と町村議会の議員の選挙につきましては四百三十四団体ということでございまして、これは発行していない団体ですが、全体に占める割合は約四七%というふうになってございます。

福田(玄)委員 市で四十八団体、六%、ほとんどのところが発行はされているということなんですが、逆に言うと、町村ですと四百三十四、これは少し数が多いなとは思うんですけれども。投票率の向上のことも含めて、総務省から発行していないところはできる限り発行するようにという要請をする必要もあるかと思いますが、その辺り、どのようにお考えになりますでしょうか。

笠置政府参考人 町村の場合は、御案内のとおり、火曜日に告示がございまして、要は選挙公報は投票の期日の二日前までに配るということで、かなり極めて短期間だというような事情もございまして、恐らくなかなか難しい団体につきましては、先ほど四七%ぐらいでしたかが発行できていないということでございますが、技術等が進めば、更に発行できるようなことになれば、そういった団体につきましてもそうしたことを依頼というかお願いしていくといったことはあってしかるべきだというふうに思っています。

福田(玄)委員 是非しっかりと投票率の向上が図られるような施策を進めていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井でございます。

 私も法案の審議の前に一つ、先ほども話題に出ましたSNSの誹謗中傷の問題、それが選挙にも影響を与えるということが大臣からも民主主義の危機だと。前から大臣の御持論も聞いていますが、ただ、私は、選挙だけじゃなくてというか、それ以上に、人の命が実際に奪われる、これは本当に大変なことだと思っています、そこは大臣も認識されていると思いますが。

 今、川崎のストーカー事件が非常に警察の対応が悪かったということで、連日報道されるぐらいの大問題になっていますが、ストーカーで亡くなる人もいますけれども、SNSで亡くなっている人というのは確実にストーカー被害の方より多いと思うんですよね。

 そこで、今日は警察に来ていただきました。別にストーカー被害者とSNSの被害者を比べるわけじゃないんですけれども、まず実態としてどのくらいの方が現実に亡くなっているかをちゃんと警察は把握しているかという意味で、過去五年間にストーカー被害で亡くなった方の数、それからネットによる誹謗中傷で亡くなった方、これは恐らく自死ということになると思うんですが、その亡くなった数、それぞれ何人か教えてください。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 警察で把握しているものといたしましては、令和二年から令和六年までの過去五年間で、ストーカー事案の検挙状況として、殺人罪を適用したものは四件、被害者の数、亡くなられた方の数は四名でございます。

 また、令和二年から令和六年までの過去五年間でストーカー被害によって自殺された方、またインターネット上の誹謗中傷等で自殺された方の数につきましては把握はございません。

高井委員 総務省は把握されていますか。

玉田政府参考人 お答えいたします。

 インターネット上の誹謗中傷は、短時間で広範に流通、拡散し、現実の国民生活や社会経済活動にも重大な影響を及ぼし得る深刻な課題であると認識しております。

 お尋ねのストーカー被害によって亡くなられた方やインターネット上の誹謗中傷等を理由に亡くなられた方の統計情報につきましては、総務省としては把握をしてございません。

高井委員 総務省は難しいでしょうね、主管省庁とはいえ。やはり警察ですよ。

 自死された方の場合であっても、必ず警察はいろいろ現場検証したりとか殺人を疑ったりしていくわけですから、そのときにこれは自死だと、そのときに原因とかもきちんと把握しているはずなんですよ。だけれども、それをちゃんと記録に残していない、こういう場で発表できない。でも、容易に想像できると思いますけれども、相当な数が、ストーカー被害は四名とおっしゃいましたけれども、そんなものにとどまらない数がネット上の誹謗中傷で亡くなっているのは間違いないと思うんですね。

 私はこの間、総務委員会で大臣に、私の友人の具体的な事例としてお聞きをしました。私の友人は事実でないことを書かれて、そのことによって仕事を失いかねない、そのことで本当に精神がおかしくなって自死も考えるような、そういう。これは誹謗中傷というよりも虚偽の情報なんですよ。偽りの情報をネットに書かれて、でも、そのことによって仕事を奪われかねない。

 私は相談を受けて、弁護士とも相談して削除依頼をしました。しかし、SNS事業者は虚偽情報は削除できないと言うんですね。私は総務省にも相談して。でも、明らかに、客観的に、争いのある情報はしようがないですよ、特に選挙とかでどっちが事実か分からないなんということはしようがないけれども、明らかに証明書とかを出してうそだということが分かるものは削除すべきだし、させるべきだし。

 それで、SNS事業者は裁判してくれと言うんですね。私は弁護士に聞きましたよ、どのくらい費用がかかりますかと。要するに、うその情報ということを証明して裁判所が仮処分を出すだけの費用で三、四十万、期間も二、三週間かかるというんですよ。その前に、どんどん拡散されるじゃないですか。だから、こういうものはやはり速やかに。SNS事業者は、自分たちで判断できないから第三者の公正なところで判断してくれ、それが裁判所だと言うんですけれども、裁判所は余りにも手続とかも難しいし、お金もかかるし。

 私は、総務省が、ここはSNSを所管している総務省が、本当に人の命を大切にする村上大臣が決断して第三者機関をつくって、そこが簡易に、しっかり証明書を見せたら事実であるか、うそであるかを判定する、それによってSNS事業者が削除する、これをやることで亡くなる方の数がかなり減ると思いますけれども、大臣、やってくれませんか。

村上国務大臣 お答えする前に、先ほど斎藤委員の御質問の答弁の中で、最後まで小選挙区を一緒に反対した元島村大臣と言ったんですけれども、御健在でありましたので、誠に私の錯覚で申し訳ありませんでした、大変失礼いたしました。かなり御高齢だったもので、失礼いたしました。

 それで、高井委員の問題意識につきましては総務委員会での質疑を踏まえてよく承知しております。大変難しい問題であると思っております。

 しかしながら、Xに掲載された個別の投稿について、削除するかどうかについての適否を判断する立場にはなかなかなり得ない、そういうふうに考えております。

 我々のなすべきことは、高井委員御指摘の個別事案も含めたインターネット上の偽・誤情報の流通の実態を踏まえ、どのような政策的対応が必要かについての議論、検討を進めていくことだと考えております。

 真偽を判断するための第三者機関を設けるべきとの御指摘につきましては、現在においてもいわゆるファクトチェック機関が活動を行っているものと承知しております。

 総務省の有識者会議が昨年九月に公表した取りまとめでは、一つ、プラットフォーム事業者が情報流通の適正化に取り組む一定の責任を果たすことが求められる中でファクトチェック機関との間で緊密に連携協力すべきことが提言されているとともに、二つ目は、政府、公的機関等からのファクトチェック機関の独立性が確保されるべきだと明記されているものと承知しております。

 そういう中で、個別具体的な投稿の削除要請については、プラットフォーム事業者が自ら定めた削除基準に基づいて適切に判断すべきである、そういうふうに考えております。

 総務省としましては、インターネット上の偽・誤情報について、引き続き表現の自由に十分配慮しながら総合的な対策を積極的に進めてまいりたい、そのように考えております。

高井委員 残念ですね。

 ファクトチェック機関は確かにあるようで、この間も各事業者からヒアリングして、例えば、明らかに間違っている情報、東日本大震災は人工爆弾で起こされたとか、そういったものについては削除するらしいんですよ。だけれども、そんなことは別に削除しなくたっていいですよ。そんなのは、利用者が判断するんですよ。

 それよりも、私の友人のような、明らかに事実と違って、明らかに証明できるものをね。だけれども、ほかの人は分からないから信用するわけですよ。こういったことをやらないと。それをどこがやれるかというのは確かに難しいんだけれども、事業者の規約が私は不十分だと思うので。もちろん私はXにも言いましたよ。だけれども、なかなか変えてくれないし、そういったことは私は総務省の行政指導でこそやるべきだと。本当は法律にちゃんとそういったことも書いてほしいですけれども、やるべきだし。とにかくやはり法律であったり、行政指導であったり、あるいは、私は元総務省なんですけれども、昔はNTTに対する苦情電話を受けるのが一年生のときの仕事でした。それをNTTに伝えて、総務省の監督している部署から伝わると改善してもくれましたよ。でも、今は多分総務省はそんなこともやっていないんですよ。NTTに対する苦情なんかより、SNSのこの問題は人の命をなくしかねないことですから。

 私は村上大臣を本当に評価しているんです、尊敬しています。自民党の中にあって現職の総理にあれだけ物を申した、そういった方が総務大臣になれた、私にはすごい希望の光なんですけれども。でも、このまま大臣をただやったというだけで終わるんじゃなくて、是非やはり大臣として一つでも二つでも足跡、功績を残していただきたい。私は、このSNS問題は本当に大臣がやるべき仕事だと。だって、人の命を救えるんですよ。私が政治家になったのは、一人でも多くの人を救いたい、命を救いたいと。これに勝る政治の仕事はないですよ。

 大臣、本気で、今すぐはできないかもしれないけれども、法改正なり、行政の運用を変えるなり、この問題に本気で取り組んでください。もう一度、大臣、決意をお願いします。

村上国務大臣 高井委員のお気持ちは分かりますし、お話を聞いている事例につきましてもいろいろ分かりますが、総務省は裁判機関でもないし、判定できる立場にはないわけなので、それをどういうふうにやるかというのはこれから皆さん方と考えていくんですが。

 例えばオンラインカジノについても、すぐやれとこの間言われて今一生懸命検討しているんですけれども、オンラインカジノ一つでも、例えば漫画の海賊版ですら、シャットダウンしたくても検閲だと言われて止められるわけですよね。表現の自由とか言論の自由とか、そういう中でそれに抵触しないようにやるということは、もちろん高井委員も総務省にいたからお分かりだと思うんですが、我々は、すぐにでもやりたいことはやりたいんだけれども、言論の自由と表現の自由と、どこでちゃんとけじめをつけてやれるかということをきちっと道筋をつけないとそう安易にできることではない、そういうふうに考えています。

 ただ、これは、おっしゃるように非常に重要な問題ですし、この間も申し上げましたように、我々よりももっと国民全体が、このままいくと例えばSNS民主主義になってしまうぞ、それでいいのかということをお互いに考え、議論して、SNSの偽・誤情報をきちっと判断できるリテラシーを持つということが重要じゃないかと思います。

 とにかく、高井委員に評価していただけるのはありがたいんですが、私はスーパーマンでも何でもありませんから、そういう単純なことはできないので、その辺は御理解いただきたいと思います。

高井委員 だから、第三者機関をつくりましょうと言っているんです、総務省が判断するんじゃなくて。裁判所というのは逃げですよ。裁判所がさばけないくらいの量がどんどんどんどんあふれ出てきて、だけれども簡単に証明できる、証明書を一枚持っていくだけなんですから。それをX社は受けてくれないんですよ。だから、どこかに第三者機関をつくってこれをやるべきだと。もう私の質疑時間がなくなるので。じゃ、はい。

村上国務大臣 逆にお伺いしたいのは、第三者機関というのは結構ですが、誰が、どの費用を出して、どういうふうにつくるか、案があったら言ってください。

高井委員 それを考えるのが総務省じゃないですか、SNSを所管しているんだから。だから、研究会とかを立ち上げてくださいよ、早急に。そんなのは国民的理解を得られますから。誰がつくるって、総務省がやるしかないですよ。だから、お願いします。

 法案の審議なので、一問だけ聞きますけれども、我が党は反対なんです。なぜかといえば、予算をもっと増やさないと。こんなのに、皆さん、漫然と賛成しちゃ駄目ですよ。投票率は全然上がっていないじゃないですか。

 投票率を上げるためには、例えば期日前投票、さっきもあったけれども、駅とか大型商業施設とか、そういったところにもっと投票所を増やす、そういった経費を自治体にもっとどんと出すとか。あるいは、投票所を閉める時間だって、自治体に十分な経費が出ていないんじゃないですか。あと、開票の時間、夜中の二時、三時まで待たされる。あれだって、もっと人を一気に投入してね。総務省が予算をけちるから、自治体は対応できないんじゃないですか。あと、投票率を上げるんだったら、テレビコマーシャルをもっとどんとやるとかね。政府がスポンサーになって、テレビ番組を一番組買い上げて、ゴールデンタイムに二時間党首討論をやるとか、いっぱい、幾らでも考えられるじゃないですか。

 投票率向上のために予算を増やすべきだと思いますけれども、いかがですか。

村上国務大臣 高井委員、総務省を非常に評価していただくのはありがたいんですけれども、総務省も普通交付税や特別交付税、いろいろ、大変な費用をかけて、そういう中でやりくりしているわけですけれども、国政選挙における投票所とか期日前投票所に要する経費等につきましては、執行経費基準法に基づき自治体に対して交付することとしております。

 投票率については、様々な事情が総合的に影響するため、その状況を一概に申し上げることは困難でありますが、利便性の高い場所への期日前投票所の設置や、投票所への移動支援の取組など、投票しやすい環境の整備のため、必要な予算、人員を確保することは重要だと思います。

 一方、投票所等を大幅に増加させるためには予算だけでなく事務従事者や設置場所が必要であり、それに対して課題も含め検討していくことが必要となります。

 いずれにしても、総務省としては、投票しやすい環境整備につながる取組がなされるよう、必要な予算を確保して頑張りたいと思います。

 以上であります。

渡辺委員長 残念ですが時間ですけれども、一言。

高井委員 投票率を上げるためにみんなで、みんなで考えましょう。

 以上です。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 国政選挙執行経費基準法案に関わって、この間、私が取り上げてまいりました投票時間の繰上げ問題についてまず最初にお尋ねいたします。

 主権者国民の代表を選ぶ選挙は民主主義の根本であり、公務員の選定、罷免権の行使という憲法上保障された国民主権と議会制民主主義上の原則に関わる問題であります。国民の参政権行使を保障するには投票機会の保障が不可欠であり、これなしに選挙権の保障はありません。

 一九九七年に投票時間が二十時までと延長されたにもかかわらず、投票時間を繰り上げる、投票時間を短縮する投票所が増大しております。そこで、まずお尋ねしますが、一九九六年の総選挙と二〇二四年の総選挙において閉鎖時間を繰り上げている投票所数、全投票所数に占める割合はどれだけかについてお答えください。

笠置政府参考人 平成八年、一九九六年の衆議院議員総選挙において、閉鎖時間を繰り上げている投票所は三千九か所でございます。投票所総数が五万三千二百十四でございますので、総数に占める割合は五・七%となってございます。

 一方、令和六年、二〇二四年の衆議院議員総選挙において、閉鎖時間を繰り上げている投票所は一万七千八百十三か所でございまして、投票所総数四万五千四百二十九に占める割合は三九・二%となっております。

 なお、投票所の閉鎖時刻につきましては、平成八年当時は原則午後六時までとされておりまして、先ほどもお話をいただきましたけれども、平成九年の公選法改正によって原則午後八時までとされたというところでございます。

塩川委員 九六年の総選挙では時間繰上げの投票所は五・七%だったものが、回数を経るごとにどんどんと割合が高くなって、今では四割近くの投票所で閉鎖時間の繰上げを行っております。

 この問題について、我が党は、国民の基本的な権利である投票権の行使を制約することにつながるのではないかと何度も取り上げてまいりました。二〇二二年改定の際にも、投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げることは決して好ましいことではないと考えておりますとの答弁もあったところであります。

 そこで、お聞きしますが、二〇二一年の総選挙と二四年総選挙を比べて、繰上げ投票所数、繰上げ投票所の割合を共に減少させている都道府県はどこでしょうか。

笠置政府参考人 令和六年、二〇二四年の衆議院議員総選挙において、令和三年、二〇二一年の衆議院議員総選挙から繰上げ投票所数と繰上げ投票所の割合が共に減少した都道府県は、岩手県、秋田県、埼玉県、富山県、静岡県、三重県、和歌山県、島根県、徳島県、愛媛県、高知県、宮崎県、鹿児島県の十三県となってございます。

塩川委員 十三県が繰上げ投票所数を減らし、その割合を減少させております。あわせて投票所そのものも減少させており、この点は極めて問題であります。

 群馬県では、二〇一二年の総選挙、二〇一三年の参院選、二〇一四年総選挙の間、九九%の投票所が投票時間短縮を行っていました。私もその際に取り上げましたが、その後の二〇一六年の参院選では九〇・四八%、二二年の参院選では八七・五七%まで繰上げ投票所は減少しました。

 二〇一四年当時、群馬県で唯一午後八時まで投票を受け付けていたみなかみ町の月夜野地区の関係者は、たとえ一人でも有権者の権利を奪ってはいけないと述べておられたということです。二〇一五年の知事選から投票時間を元に戻した大泉町の選管は、立会人からは非常に長いと言われたこともあるが交代制を取るなど工夫している、そういう努力の話がありましたし、投票時間を原則どおりとしている明和町の選管は、繰り上げるにはよほど特別な理由が要るはず、投票の機会をなるべく設けたいという国の方針に従っていると述べておられたということです。また、投票時間の短縮を行っていない神奈川県選管は、ぎりぎりに駆け込む人もいる、投票権の行使には同じ時間を継続させることが大事だと。大阪府の選管も、過去、台風直撃で繰り上げたところもあったが、フルで開けておくのが基本だ、逆に早める特別な理由がないと述べておられます。

 国は、この立場で選挙事務を行う選挙管理委員会などを支援すべきですし、ふさわしい財政措置を行うということが求められております。

 一方で、繰上げ投票所を増やしている県があります。その一つの栃木県は、二〇一九年の参院選時に二〇・四八%だったのが、二一年の総選挙では五九・〇六%、二二年の参院選では九一・一三%、二四年の総選挙では一〇〇%の投票所で繰り上げたということです。そこで、お尋ねしますが、栃木県が全ての投票所で投票時間を短縮しているのはなぜか。特に人口五十一万人という宇都宮市、大学もたくさんあります、学生、若者も多い、そういった宇都宮市でもなぜ一律十九時への繰上げになっているのか。その点について御説明ください。

笠置政府参考人 投票所の開閉時間の繰上げ又は繰下げにつきましては、市町村の選挙管理委員会の判断ということで行うことができるということでございます。

 栃木県におきましては、夜間の投票者が少ないこと、地域からの要望が寄せられていることなどの理由で投票所閉鎖時刻の繰上げが行われていると聞いてございます。

塩川委員 夜間の投票が少ないって、本当にそうなのかと。後でも紹介しますけれども、本当にそういった市町村の選管の判断が妥当なのかということが問われているところだと思います。

 群馬県においては、二四年の衆院選で繰上げ投票所をまた増やしているということもありました。一時間前倒しをした前橋市の選管は、開票も一時間早く始められ、市職員の働き方改革にもつながると。県庁所在地の前橋市の選管は、期日前を増やした方が投票率向上につながるなどの要望があったと述べております。また、千葉県館山市の選管は、二二年の参院選で初めて繰上げを行い午後六時に全投票所を閉めた、事前に削減効果を試算し、職員の手当を約九十二万円削減できると述べています。

 こんな効率性重視で有権者の投票権を制限するということについて、やはり問題が問われなければならない。有権者の投票権を何だと考えているのかということが問われていると思います。都市部での繰上げは、特に投票機会を奪うことになります。

 二〇一五年のとき、当時の高市大臣は、都市部で投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げてしまうと投票人の投票の機会を奪うことになると答弁しておりました。

 明るい選挙推進協会が行った二〇二四年総選挙のアンケートによると、午後六時から八時の間においての投票者は全体では一六・七%でありました。そのうち、三十歳代は二一・四%、四十歳代は二一・一%が六時から八時の間に投票しています。確かに五十歳以上における投票者の数は六時から八時は少ないんですけれども、若い現役の世代の方々は六時から八時の割合が高いんですよ。そういったときに市町村の選管が夜間の投票者が少ないからという理由で繰り上げるのは、妥当なものとは言えないということを言わざるを得ません。若い人の投票行動を見ても、閉鎖時刻の繰上げは逆行するものだと思います。

 そこで、大臣にお尋ねをいたします。投票時間の繰上げは、投票人の投票機会を奪うことになります。若い世代の投票機会を確保するためにも、繰上げ投票所の増加を食い止め、投票権を制限しないためにどのような対策を行うのかについて、お答えください。

村上国務大臣 塩川委員の御質問にお答えします。

 ただ、私のようなところの田舎は期日前でばんばんやっちゃうもので、六時以降がどれだけあってどれだけ少なくなるかというのは、先ほど質問にもあったように統計を一回取ってみないと分からないと思うんですが、そこら辺を考えながら答弁を申し上げます。

 投票所の開始時刻の繰下げ又は閉鎖時刻の繰上げにつきましては、各市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限り行うことができるとなっております。

 こうした中、地域の実情により、例えば山間部などは大半の選挙人が早めに投票を済ませていることなどを理由に繰り上げることがあるというふうに承知しております。

 総務省としましては、投票所の開始時刻の繰下げ又は閉鎖時刻の繰上げにつきましては、地域の実情等を十分に検討した上で厳正に対応してもらい、選挙人に対して丁寧に説明を行うことが必要と考えておりまして、引き続き各選挙管理委員会へその旨を要請していきたい、そういうふうに考えております。

塩川委員 統計を取って考えないといけないというお話もありました。是非実態をリアルにつかんで、宇都宮のような大都市で七時に繰り上げるというのは、そこはどう考えても投票人の投票機会を制約するものと言わざるを得ないといった点などについてもしっかりと見ていただきたいと思っております。

 その上で、投票所そのものが激減していることが大問題ということで、一九九六年の総選挙のときに投票所数は五万三千二百十四か所だったものが、二四年の総選挙では四万五千四百二十九か所と、七千七百八十五か所も減っております。

 明るい選挙推進協会の二四年総選挙のアンケートによると、投票所までの所要時間と投票参加率が関連づけられているわけですけれども、五分未満で投票所に行けるという場合に参加率は八三・四%、十分未満で行けるという投票所の場合には七七・三%、二十分未満の場合には六五・四%、二十分以上かかるという投票所の場合には参加率が五三・一%へと、所要時間が増加するのに伴い投票参加率も大きく低下をしています。五分未満の人と二十分以上の人の値の差は三〇ポイントに達する、このように協会の文書にもあるところであります。

 大臣にお尋ねします。このような期日前投票が増えているから投票日の投票所は現状のまま減らし続けていてもよいということにはなりません。有権者の投票機会を奪わないように、投票所そのものを増やしていく必要があるのではないのか。減らすという方向ではなくて、増やす必要があるのではないか。大臣のお考えをお聞かせください。

村上国務大臣 総務省におきましては、国政選挙や統一地方選挙に際しまして、投票所からの距離や選挙人の数を踏まえた投票所の設置につきまして、各選挙管理委員会に対して要請しているところであります。

 投票所の数については、選挙人の数の減少や投票区の見直しなどで減少してきているものと承知しております。

 その中で、投票所への交通手段の確保が難しい選挙人のための投票所への移動支援や、かつて投票所があった地域での期日前投票所の設置など、選挙人の投票機会の確保に向けて取り組んでもらっているところであります。

 引き続き、各選挙管理委員会に対しまして選挙人の投票機会の確保につながる施策を積極的に講じるよう要請していきたい、そのように考えております。

塩川委員 我が国の公選法は投票日当日投票所投票主義を取っているわけでありますから、投票日の重みにふさわしい体制を取るといった点においても投票所の確保というのは必要だ。投票所そのものを増やすという方向が求められているということと、高齢の方や障害で移動困難な方々の投票機会の確保の観点から、我が党は巡回投票制度が必要だということを訴えております。選管が立会人と一緒に投票箱を持って車に乗って、施設や自宅など、要望がある場所に行き投票できる巡回投票を提案してきました。その点、移動期日前投票所も有用な制度だと思っております。大分広がってきていることだと思います。

 二四年の総選挙では、北海道の大樹町では移動式の期日前投票所(車)を開設して、一日限定ですけれども、投票箱を乗せた車が希望する有権者の自宅まで運び、そこで投票する、こういったことが行われているということが報道されました。まさに巡回投票であります。こういった取組を是非とも国が大いに支援していただきたいといった財政措置も求めて、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 敬愛する村上大臣と議論を初めて国会でさせていただくのを楽しみにしておりましたので、本日はよろしくお願いします。

 今、塩川議員からの質問があったので、順序を変えて投開票に係る経費についての質問を最初にしたいと思っております。

 今回の法改正で投票所の経費も増額されておりまして、今年の参議院選挙での投票所経費についての地方公共団体委託費は百六十六億円、かなりの額を投じているわけです。

 先ほど来、最初の馬淵委員からもあったように投票時間の短縮とか、今まさに塩川議員が議論された投票所の数も減ってきているという状況で、私の地元の茨城一区なんですけれども、投票所がなくなってしまったために二山越えなきゃ選挙に行けないという集落があるんですね。公共交通は何もありません。この集落をずっと一軒一軒回っていると、もう選挙には行かないよとみんながおっしゃるんですよ。投票所が集落からなくなったことが投票に参加しない理由になっている場合もあるというふうに思っております。そうした意味では、先ほど塩川委員も提案された巡回投票制、これは非常に有効だと思いまして、集落のそこに集めておいて、何時から何時、この日、やっていますから来てくださいと。期日前でもいいですから、そうしたことをやるのは非常に重要だと私も思っております。

 国会議員の選挙執行経費法第四条の三第五項では、市区町村の選挙管理委員会が自動車を期日前投票所の全部又は一部として使用した場合には当該自動車の使用に関する費用として総務大臣が定める額を加算するとして、国が費用を負担するというのは明確に書いてあるんですけれども、ただ、総務大臣が定める額が分からないんですね。政府参考人にお聞きしたいんですけれども、この規定に基づいてこうした移動投票所というのをつくった場合には全額必ず国が経費を負担してくれると考えてよろしいか、まずその点について御確認いただければと思います。

笠置政府参考人 移動期日前投票所の措置でございますが、先ほど御紹介いただきましたけれども、前回、令和四年の法改正で執行経費基準法上の対象であることを明記して、各選管の取組を促しております。総務大臣が定める額と書いてございますが、こちらにつきましては、国政選挙におきましては実際に要したお金の全額を措置するということでございます。

福島委員 そうなんですよ、大臣。全額を国が出してくれるんだから、もっとこれはアピールした方がいいと思うんですね。投票所を閉鎖するんじゃなくてまずは移動投票所、国がお金を出すんだからやりましょうというのを強く働きかけた方がいいかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

村上国務大臣 敬愛する福島委員にお答えします。

 複数の箇所を巡回する自動車を用いた移動期日前投票所につきましては、投票所への交通手段の確保が難しい選挙人などの投票機会の確保の観点から大変有効な取組と考えております。

 このため、総務省では、国政選挙及び統一地方選挙に際し、各選挙管理委員会に対して積極的に設置を検討するよう通知しております。

 前回、令和四年の法改正におきましては、移動期日前投票所の設置に要する経費について、執行経費基準法上の対象であることを明記し、各選挙管理委員会の取組を促進しているところであります。

 昨年の衆議院選挙におきましては、全国で百三十一市町村と、取組市町村は増加しております。総務省としましては、こうした取組が着実に増加するよう、各選挙管理委員会の積極的な取組を促してまいりたい、そのように考えております。

福島委員 今回の夏の参議院選挙も是非強力に呼びかけて、特に地方の中山間部なんかはこれが本当に必須だと私は思いますので、是非広げていただければと思います。

 一方で、投票じゃなくて今度は開票の方ですね。今回の法改正は開票に係る経費も増額しております。今年度の参議院選挙の予算は六十億円となっております。でも、機械化が進む中で昭和の時代から一枚一枚手で読み上げて、しかも、いろいろな癖のある字があったり字の間違いとかがあって無効票じゃないかとかとやるのは、私は非常に非合理的だと思うんですね。

 資料がつけてありますけれども、諸外国。アメリカは、マーク機により印字したりとか、タッチする、プッシュボタンを押す。イギリスは、候補者の所定の欄にバツ、自分で名前を書くんじゃなくてバツを書く。オーストラリアは、候補者の名前を印刷しているところに順番をつける。ドイツは、バツをつける方式。フランスは、ちょっと面白くて、全候補者の投票用紙が置かれていて、自分が投票したい投票用紙を取って、それを投票箱に入れる。お隣の韓国も、ぽたんと判こを押すみたいな、押印ですかね。インドだと、投票ボタンを押す。自分の名前を書くような投票方法の国は恐らくないと思うんですね。

 回っていても、字を書くのが困難な人とか、あとは結構、おじいちゃん、おばあちゃんで、投票所の厳粛な空間へ行くと字を忘れちゃうというんですね。書くところへ行ったら何を書いていいのかパニックになって分からなくなっちゃって、一番端っこの上のやつへ入れてきたよなんていう、そんな人もいるんですね。あるいは、維新の場合、平仮名で書くと、いしいに見えるんですよね。参議院は政党名と個人名を両方書けますから、いしいという名前で出ると票が増えるという都市伝説みたいなのがあったりするわけなんですね。そうしたことを生みかねない名前を書くやり方というのはもうそろそろ抜本的に見直すべきじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

村上国務大臣 御高承のように、我が国では、選挙制度発足以降、自書式投票が採用されてきております。

 衆議院議員の選挙につきましては、平成六年に小選挙区比例代表並立制が導入された際には、候補者の氏名に対し丸の記号を記載することにより投票する記号式投票によることとされましたが、候補者数や衆議院名簿届出政党等の数が多数になりますと、有権者が投票用紙の中から投票しようとする候補者や政党を見つけ出すことは容易ではなく、有権者に無用な混乱を与えるおそれがあるということで、立候補届出締切り後に投票用紙を調製しなければならないなど、選挙管理委員会に過重な負担をかけることなどの理由から一度も実施されないまま、平成七年に議員立法により自書式投票に改められたところであります。

 投票制度の見直しにつきましては、選挙制度の根幹に関わることでございますので、各党各会派で御議論いただく事柄だと考えております。

 すなわち、立候補者が少ない場合は非常にいいんですけれども、多くの党が出て、なおかつ多くの候補者が出たときには、なかなかそこら辺が、委員の希望どおりいくかどうかがちょっと問題だという感じであります。

福島委員 本当は評論家的な答弁じゃなくて、政治家としての答弁をいただきたかったんですけれども。

 ただ、これをやっているのは恐らく日本ぐらいなんです、私が調べたところでは。ほかの国だって候補者が多いとかそういうのは一緒なわけでありますから、そこを工夫してやっているわけですから、私は技術的な問題は解決することが可能だと思っておりますので、これは当然政府だけでは決められない問題ですから、これからしかるべき場で議論していければというふうに思っております。

 次に、公営掲示板です。この問題も何度もこれまで本委員会で私は議論してきたんですけれども、今回の法改正によってポスター掲示場費が増額され、今年の参議院選挙でのポスター掲示場費は地方公共団体委託費として六十五億円、かなりの額を計上しております。先ほども議論がありました。

 私も何度もこの議論をやってきて、そもそも公営掲示板が必要なのかと私は思うんですね。外国の選挙を見ても、公営掲示板みたいなのを見たような記憶がないんです。何か国かに行ったときに選挙をやっているのを見ましたけれども、そんなのがある国を私は見たことがないんですね。

 ポスターは、日常的な政治活動をやっていれば、今の現行法でも個人演説会告知用ポスターとして、自分の顔と名前が入ったポスターを私は四千枚ぐらい選挙区に貼っていますけれども、それを貼ることができるわけですね。でも、私は無所属なので、無所属になると、何度も言っているんですけれども、解散になったらそれを全部剥がして回らなきゃならない、四千枚を。本番になりましたといったら、今度は掲示板に改めて別のポスターをぺたぺた貼らなければならない。政党所属の候補はなぜか、政党のポスターとして個人の名前と顔がでかく入ったポスターを選挙区内に千枚貼って、同じ小選挙区で選ばれるべき候補者にもかかわらず扱いが非常に違うんですね。

 私の選挙を一生懸命やってくれる周りの人から見たら、何でおまえのポスターだけが選挙になったらなくなっちゃうんだとみんなから言われるんです。おまえのポスターはどこに行ったんだと。ボランティアの人から見たら、何でせっかく貼ったポスターを剥がさせられて、その後また、わざわざ別のところに別のポスターをぺたぺた貼るんだと。そんなことを言われるんですよね。

 二月二十日の参考人質疑のときに公営掲示板は要らないんじゃないのと言ったら、東京都の織田参考人は風物詩的な盛り上げ効果もあるんだと。風物詩だと、ポスターが出てくれば。でも、私は昔、江東区に住んでいたんですけれども、江東区は区議会議員の定数が四十九。六十人か七十人、立候補者が出るんですよ。七十枚、ポスターを貼ってみてください。誰が見ますか、そんなの。はっきり言って、私、意味がないと思うんですよ。

 公営掲示板が本当に要るかどうかをそろそろ議論して、日常活動をやっていたら私はそれで十分だと思うし、そのポスターをそのまま選挙期間中貼らせてくれればいいんですよ。その日常活動の積み重ねを我々は有権者の皆さんに評価してもらうべきであって、選挙のときだけ掲示板みたいな特別なことをやるから、立花何がしみたいな人が出てきて金もうけに使ったり変なことをするわけですね。だから、私はこうした公営掲示板の在り方そのものというのを見直すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょう。

村上国務大臣 個人的見解を申し上げますと、委員のように選挙の強い方はそれでいいんですが、私のように選挙の弱い者は掲示板にポスターを貼っていることが安心感でありまして。それは個人的見解で、そこまでにしておきましょう。

 公営ポスター掲示場は、各候補者が同じ場所に掲示できることによる候補者間の平等や、有権者が候補者を一覧して見ることができる便宜などの趣旨から設けられたものと承知しております。

 ポスター掲示場の見直しにつきましては、選挙運動の手段である選挙運動用ポスターをどこにどのように掲示するかなど、選挙運動の在り方に関わる事柄です。その必要性を含め、各党各会派においてしっかりと御議論いただくべき事柄であると考えております。

 私個人の感想としては、先ほど委員も言われたんですけれども、大きいポスターを貼る方が効果的かなという気はします。

福島委員 個人の感想をありがとうございます。

 本当に選挙が強い人は逆にポスターを貼らないんですよ。例えば、うちの地元だと額賀先生とか、私が出る前の赤城徳彦さんもポスターをほとんど貼らなくて、ポスターを貼るやつは選挙が弱いやつだと思っているんですね。大臣の場合は、選挙が強いから貼らなくても大丈夫なんだ、自動的に有権者が名前を書いてくれる信頼度を持っているんだと思うんです。

 ただ、今おっしゃいましたように、候補者の平等、それをおっしゃるんだったらやはり私は、無所属だから選挙期間になったらA全のポスターを貼れないというのは、私はこれはおかしいと思うので改めるべきじゃないかなと思うんですけれども、大臣、もう一度感想をお聞かせください。

村上国務大臣 お気持ちはよく分かります。ただ、これも総務省の一存で決められないので、各党各会派で御議論をしていただいて、その方向に行けたらいいなと思います。

 ただ、委員のおっしゃるとおりで、私は、ないものですからポスターを貼ったことがありません。

 以上であります。

福島委員 強くて羨ましいと思います。前向きの答弁をありがとうございます。

 ただ、選挙制度の協議会があるんですけれども、残念ながら無所属の議員はこれに入れないんですよ。(村上国務大臣「そうなんですか」と呼ぶ)そうなんですよ。ほかの選挙制度とか、それは入れるんですけれども、選挙のやり方の方の協議会は入れていないので、そこは我々の会派も、きちんと無所属や少数会派にも配慮した運営をするように求めていきたいというふうに思っております。

 もう一点は、公営掲示板に貼るんですけれども、これもまた大変ですよね、貼って歩くのは。これを貼れるかどうかが選挙の一つの参入障壁になっていると私は思うし、こんな不合理なことはないと思うんですよ。一回選管で集めて選管が貼ってくれればいいわけですし、そこに公費を投じればいいのに、なぜかそれをやらない。何でそれをやらないのか、何か理由があるのか、是非政府参考人から答弁をお願いします。

笠置政府参考人 公営ポスター掲示場が設けられる前ということでございますけれども、それは、候補者が選挙運動用ポスターを効果的に掲示しようといたしますと、目立つような場所、見やすい場所に集中し、結果としてその場所が特定候補者により独占されることもございます。また、市街地で貼ろうとすると所有者等の承諾が得られない場合もあって、それによりまして候補者間に不公平が生ずる場合もあったということを踏まえまして、候補者間の平等や有権者の便宜などの趣旨で公営ポスター掲示場が設けられているということでございます。

 このように、まさに選挙運動用ポスターの掲示といったものは選挙運動そのものでございますので、選挙の公正かつ適切な管理のため、政治的中立性が求められる選挙管理委員会が関与するということについては慎重に検討すべきものと考えております。

福島委員 全く的外れな答弁だと思いますね、申し訳ないけれども。

 大臣に後で答弁を求めますけれども、みんなが与野党を超えてやればいい、やればいいと言っているんだから、予算の話ですから、予算をつけてやればいいと私は思う。だって、番号は決められているんだから不公平なんて生じないじゃないですか。番号だけ決めてもらって、あとの貼る作業は、全部ポスターをがさっと何時までに集めてこいと言って、一斉に貼った方がむしろ公平だと思うんですよ。私はそういうことをやった方がいいと思うし、今の政府参考人の答弁は残念ながら的外れだと思うんですけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。

渡辺委員長 時間もありますので、最後に簡潔にお願いします。

村上国務大臣 さっきは委員の御質問には的確には答えていなかったと思います。

 私は、最初の頃は支持者と一緒にみんなで掲示板にポスターを貼りました。それはそれで、今はいい思い出なんですが。確かに、二千か所近い選挙区のポスターを一斉に貼るかどうかということは非常に各候補者に負担でありますのでね。ただ、問題は、それがどのぐらい費用がかかるか、一回ちょっと検討してみなきゃいけないと思うんですね。そういうことも含めて、選挙のあれがどのぐらいコストカットできるかも考えていきたいと思います。

 以上であります。

福島委員 ありがとうございます。

 残余の質問は、あさってまた一般質疑をやるので、そこではどっと疲れないで応じていただければと思います。どうもありがとうございます。

渡辺委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、来る十五日木曜日午後一時二十五分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十五分散会


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