第15号 令和7年5月15日(木曜日)
令和七年五月十五日(木曜日)午後一時三十分開議
出席委員
委員長 渡辺 周君
理事 小泉進次郎君 理事 齋藤 健君
理事 長谷川淳二君 理事 落合 貴之君
理事 後藤 祐一君 理事 櫻井 周君
理事 池下 卓君 理事 長友 慎治君
井出 庸生君 大空 幸星君
岸 信千世君 国光あやの君
小林 茂樹君 坂本竜太郎君
塩崎 彰久君 島田 智明君
中曽根康隆君 平口 洋君
広瀬 建君 福田かおる君
向山 淳君 森下 千里君
今井 雅人君 江田 憲司君
鎌田さゆり君 黒岩 宇洋君
源馬謙太郎君 篠原 孝君
手塚 仁雄君 馬淵 澄夫君
矢崎堅太郎君 青柳 仁士君
斎藤アレックス君 福田 玄君
森ようすけ君 中川 康洋君
山口 良治君 高井 崇志君
塩川 鉄也君 福島 伸享君
…………………………………
総務大臣 村上誠一郎君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 玉田 康人君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
衆議院調査局第二特別調査室長 森 源二君
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委員の異動
五月十五日
辞任 補欠選任
石田 真敏君 森下 千里君
塩崎 彰久君 岸 信千世君
山本 大地君 大空 幸星君
同日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 山本 大地君
岸 信千世君 塩崎 彰久君
森下 千里君 石田 真敏君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
政治改革に関する件
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○渡辺委員長 これより会議を開きます。
政治改革に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官大濱健志君、総務省大臣官房総括審議官玉田康人君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○渡辺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。
○篠原(孝)委員 立憲民主党、略称民主党の衆議院の篠原孝でございます。
この委員会では初めて質問させていただきます。余り私はこういうところでは緊張しないんですけれども、今日は多少緊張しております。理由は簡単でして、自民党の良心ともいうべき村上大臣にちゃんと質問しなくちゃならないというので、いろいろ資料もそろえてまいりました。でも、これは議員間で討議するのが中心になっておりますので、大臣は大所高所から立派な御答弁だけをいただければ結構でございます。
まず、総務省の方にお伺いしたいんですけれども、政治改革とか公職選挙法の扱いとかいうもの、こういうのになると急に議員間でばっとやって議員立法というか。総務省は全然、何も言ってこないんですよね。これはどうも不思議だなと思うんですけれども、いつの頃からこういうふうになっているのかよく分からないんですが。たまに、私がずっとやってきました農林水産の分野でも、今年やりましたけれども、ため池の振興とか棚田とか、農林水産省だけではできない、ほかの省庁にも関わりがある、そういうようなものをやむを得ず議員立法でやるというのはあるんですが、これは総務省に限るわけですよね、関係するのが。なぜそうなっているのか、いつからそうなっているのか。相当腰が引けているんじゃないかと思うんですけれども。初めに、総務省の事務方のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○笠置政府参考人 公職選挙法あるいは政治資金規正法でございますけれども、まず、公職選挙法は昭和二十五年に議員立法により制定をされたものですが、これまでの公職選挙法の改正におきまして、議員立法かどうか、あるいは閣法によるかどうかといったことについての統一的な基準があるわけではございません。
ただ、一般的なこれまでの傾向といたしましては、選挙制度の根幹に関わる事項や選挙運動に関わる事項につきましては議員立法により改正をされてきておりまして、最近の例をちょっと申し上げますと、衆参両院の選挙制度改革や、選挙権年齢の十八歳への引下げ、インターネット選挙運動の導入、直近では選挙運動用ポスターの品位保持規定の新設などが挙げられております。また、新型コロナウイルス感染症の患者に郵便投票を認めるとした特例郵便投票法につきましても議員立法により制定されたというところでございます。
一方、閣法でございますが、こちらは、選挙の管理、執行に関わる事項や投票環境に関わる事項について改正がされてきておりまして、最近の例で申し上げますと、選挙人名簿の閲覧制度の見直し、あるいは投票立会人の選任要件の緩和、また共通投票所の創設などがございます。
また、政治資金規正法でございますが、昭和二十三年に議員立法により制定をされております。政党、政治団体の政治活動の自由と密接に関連をする法律でございまして、国会における各党各会派の様々な議論を経て、基本的に議員立法により数次の改正が行われてきてございます。また、平成六年の政治改革後は、他の法律の改正に伴う形式的な改正、いわゆるハネ改正ですね、それを除きまして全て議員立法によって改正されているということでございます。
○篠原(孝)委員 どうも腰が引けていますね。立派な議員が今この委員会にはそろっていると思いますけれども、忙しくて専念できないと思う。ずっと選挙制度を気にしてやっている。多分、総務省でも選挙部選挙課というのはちょっと違って、プロが相当なっているんじゃないですか。何回も選挙部に行くという人がいるはずです。そういう人たちがいるので、例えば企業・団体献金の扱いなどというのは、小泉さんがいろいろ苦労されて答弁されていましたが、大変ですよ。長谷川さんもそうだと思いますけれども、みんな大変ですよ。これはいろいろ意見が違うので政治家に任せるしかないですけれども、もっともっと総務省が前面に出てやってもいいんじゃないかと思います。
例えば政治資金収支報告書、技術的なことと言っていますけれども、技術的なことについても余り前向きに取り組んでいないんじゃないかと思う。資料の四ページを見てください、新聞記事をコピーしてきました。東京新聞ですけれども、朝日新聞にも載っていました、「企業献金 サクサク検索」というので。全然よく分からないので、収支報告書をデータベース化してみんなが分かるようにするとか。これは技術的なことだと思います。こんなに技術的なこともある。国会議員にやれと言ったって無理ですけれどもね。私、ちょっとやりましたので後で説明させていただきますけれども、こういうことはどんどんやるべきだと思います、もっと前向きに。デジタル化なんかは典型的なことですが、西田さんという人がやってくれて、これが二三年だけじゃなくてほかのもやると言っているわけです。私の資料は、遅ればせながらちょっとやったものです。
ほかに、いろいろなものがあるんですけれども、デジタル化、こういったものをほかの国はいろいろ苦労してやっているんじゃないかと思います。選挙について、こうやったらと。我々の制度はイギリスの制度をまねしている、議院内閣制で。イギリスもこんなふうにしているんですかね。多分、日本独特だと思うんですけれども、いかがですか。もっとびしばし表に出て前向きに、総務省がこうやったらいいんだというのを提案していただきたいんですけれども。
○笠置政府参考人 議員立法か閣法かの一般的な傾向は、先ほど申し上げたとおりでございます。
今お話のございました政治資金収支報告書のデジタル化につきましては、まず平成十九年に国会議員関係政治団体が設けられまして、その収支報告書について、オンライン提出の努力義務化が議員立法においてまず行われたということでございます。
さらに、昨年の六月と十二月に、国会議員関係政治団体等の収支報告書について、オンライン提出が努力義務から義務化されるとともに、オンライン提出された情報をデータベースを用いて公表するといったことを内容とする改正法が議員立法により提案されて成立している。
こうしたデジタル化を含む、これは収支公開の在り方にも関わることでございまして、そちらは、そうしますと、政党、政治団体の政治活動とも密接に関連をするものであり、政治団体の収支をどのように、どの程度国民の前に明らかにするのかという問題であることから、各党各会派において御議論いただいて、議員立法により定められたものと考えております。
改正法が成立しましたので、オンライン提出の義務化に伴う対応でありますとかデータベースの構築など、改正法で定められた技術的な対応については現在総務省において準備を進めているというところでございます。
○篠原(孝)委員 イギリスは、西田さんがやられたようなことを、政府だか議員だか知りませんが提案して、とっくの昔にやっているんですね。インターネットで公開するし、キーワードで検索できるし、途中で削除なんていうのもないんです。こういうことなんですけれども、総務大臣、大臣の一声でもっと前広に総務省がやってもいいと思うんですが。大臣、そのように指示していただきたいんですが、お願いいたします。
○村上国務大臣 篠原委員の御質問で、大変緊張しております。
今委員のおっしゃることももっともなんですけれども、私が横で見ていて思いますのは、やはりこういう選挙に関わるいろいろな問題は非常に機微に関わるものでして、それぞれの立場、経験によって随分意見が異なると思うんです。私も総務省の大臣をやっていますと、本当に彼らは一生懸命やってくれるし勉強してくれるんですが、ただ、事選挙に関してはやはりやった当事者じゃないと分からないところがあると思うんですね。そういうことを前提にお答えしたいと思います。
選挙制度の根幹や選挙運動に関わる事柄や政治資金の在り方につきましては、各党各会派において御議論いただくべきものと考えております。
また、現行制度については、各党各会派の議論の結果設けられているものであり、私自身は整合性が取れていないとは考えておりません。
一般論として、立法府において議論が進まなくなった場合には行政府が対応するということも確かに一つの考え方ではあると思います。しかし、先ほど申し上げたように、民主主義の土台である選挙制度の根幹に関わる事柄や、選挙の戦い方に影響を与える選挙運動に関する事柄については、やはり現場を知っている先生方を中心に各党各会派での御議論を経て着地点を見出していただくことが私は望ましいと考えております。
また、政治資金の在り方につきましては、これまでも立法府において御議論いただいており、様々な意見があることは承知しております。しかしながら、民主主義の費用をどのように社会全体が負担していくか、それから、一昨日申し上げましたように各政党、政治団体の政治活動の自由と密接に関連をしておりまして、それぞれの政党の成り立ちが様々であることから、青雲の志を持ってこれから政治に臨もうという人たちのことを考えた場合に、やはり各党各会派において十分な御議論によって内容を決めていただく方がベターではないか、そのように考えております。
○篠原(孝)委員 理屈は多少分かるんですけれども、では提案だけにしておきます。具体的なことを言えば、福島さんが先日聞いていました投票率を上げたりするために、電子投票とかマークシートとかいろいろ、ほかの国はいろいろやっている、日本は何をしているんだと。マイナンバーカードを入れて保険証と結びつけて相当強引にやっていると思いますが、ああいうことをやらないとなかなか浸透していかないので仕方がないと思うんですけれども、マイナンバーカードと投票を結びつけることを考えられないのかなと思うんです。デジタル庁と相談して、本人確認だとかいったこと、僕は分かりません、ああいう技術的なことは分からないんですが、それをやっていただきたいと思います。これは意見だけにしておきます。
それで、私の資料、これは西田さんの前に、去年の一月、二月に、私が長野と東京を往復する間にこんな厚い政治資金収支報告書を、安倍派五人衆の皆さんについて裏金じゃなくて表金をみんな調べてみたんです。表金でも結構いろいろなことが分かるんですね。小泉さんはいろいろ、透明性と公開性をきちんと確立して企業献金を認めていくべきだと。それは一つの考え方だと思います。今既に相当いろいろなもので透明性、公開性はきちんとしているんですが、問題は、ややこしくてみんなは見ていないんです。しつこく見るのが国会議員では僕ぐらいだと思います。
見てください、分かりやすく表にしてありますから。本当は高木さんと松野さんのも作ったんですけれども、三人だけにしました。
太字のところを見てください、一年間、二二年です。一年間で二億円近く集めているんですよ。ずっとためているのが三億とか二億とか超えているんですね。それぞれちょっと違うんですけれども、感心したのは、政治倫理審査会の中でも世耕さんが言っておられたと思います。世耕さんは大分前から企業献金をなしにしているんですよ、全部個人献金にしているんですよ。こんなことはやろうと思ったらすぐできると思うんです。田舎の企業などはみんな、職住近接でみんな知っているし、個人でやってくれと言ったらやってくれるんです。大分前からこうやっているわけですね。西村さんは八回、本当はもっと多いんです。完璧なものじゃありません。私が電車の中でやって私の秘書に、かわいそうなんですが、こうやれと言って、相当時間をかけてこの資料を作っているんです。
政治に金がかかる、金がかかるって、どういうところに使っているのかなと思ったら、支出の太字のところ、人件費に西村さんも世耕さんも結構使っているんですね。秘書だけじゃなくていろいろなところに、手伝ってくれたところにお金をやっているんだと思います。
だけれども、へえと思うのは、寄附金とか交付金とかいって西村さんは二十五名の安倍派の同僚議員に五十万円ずつ配っているわけです。みんな同じことをするんですよね。萩生田さんは、選挙の年なので参議院に、こっちは三十万円と二十万円と十万円。よく十万円の人は怒らないなと思うんですけれども、差をつけて。これ以外の年は、見たら、衆議院にちゃんとやっているんです。東京の近所の長島昭久さんなんかにも行っていました。西村さんの方は、塩崎さんのところに行っているんですよね。ちゃんと政治資金収支報告書に書いてあるかチェックしましたら、ちゃんと書いてありました。真面目で、いいことだと思います。こういうふうに、こんなところに金を使って、だからいっぱい必要だと。下に、パー券をこれだけと。麗しい関係ですね。お互いにパーティーに二万円ずつ持っていく。西村さんとか世耕さんは、十万とか持っていくところもありましたよ。こんなふうになっているところがある。
次に、我が長野県の同僚のところを見ていただきたいんです。もう議員じゃなくなった方もおられますけれども、次のページです、似たようなものですけれども一桁違って、自民党の議員と私の比較ですよ。私は二千七百万しか収入がありません。井出さんは自民党に行ってから年月が浅いのでまだ野党っぽくて、四千万ぐらいしか集まっていないんです。ほかは大体一億円です。
それで、集め方に差がありましてね。後藤さんなどは落下傘ですから地元がないので、東京で集めているだけ。若林さんと宮下さんは、お父さんたちがきちっと集票の仕組みを設けてくれているので、後で見せますけれども、それでこれだけ集めている。宮下さんと若林さんは先ほどのお二人の半分ですけれども、三千万くらいの人件費を使っている。私は八百二十二万です。
それから、地方議員なんかに金を配っているというのは同じです。なしという人もいますけれども、ちょっとこれは、なしというのは怪しいと思うんですけれどもね。みんな配っているはずなんだ、県会議員や市会議員に。
パーティー券、下のところを見てください。井出さんは立派なんです、パーティー会費はなし。自分でも開かない代わりに、人のところにも行っていない。私も全然開いていないんですけれどもね。誰も行かないとかわいそうだから行ってやっているんです、食事だけして帰ってくるんです。それをしっかり見ていた人がいて、余計な世話を焼くのがいまして、篠原さん、我々は招待で来ているんだから対価を払っていないので食べる権利はないのに篠原さんほど食っているのはいないとか、ばかなことを言われましたね。私は、帰ってきてちゃんと仕事をするので食べています。
だから、井出さんのような方がちゃんとこういうふうにして筋を通しているはずなんです。でも、こういうふうにやっていると自民党では偉くなれない。石破さんは全然同僚におごらないから総理になれないとか言っていましたけれども、なっちゃっていますからね。だから、井出さんが堂々と総理になられるような自民党だったら健全化しているという証拠になると私は思います。見てください、私は二千万です。個人の一千万、これは私の議員報酬とかいうのから出しているだけなんです。私は子供に全然やる必要もないのでこうなっている。だけれども、三十代後半、四十代前半の、子供にまだ金がうんとかかる人たちは無理だと思います。
次に、五ページ、六ページ、ずっと前に福島さんが同じように清貧な資金の話をして資料を出していましたが、僕のはもっと清貧です。こんなのは威張れた話じゃないんですけれどもね。小泉さんは官と民のバランスを取らなくちゃと言っていますけれども、民なんかほとんどないんです、百万にならないんです、官ばかりです。私なんかは、だからこれで政治活動をすると決めているんです、これ以上はやらないと。やれないという意味ですけれどもね。
次のところを、六ページも見ていただくと、ぱっと見ていれば分かるんですが、さすがにみんな優しいので、選挙の年、二四年にはいろいろな人、関係者ですね、小学校の同級生だとか親戚だとか、そういう人たちがみんな個人献金で百六十五万ぐらい。企業・団体献金というのは百万ぐらいです。企業は、アブラヤというのと藤森砕石、二つあるんです。アブラヤというのは、是非皆さんお使いください、長野駅の前のそば屋です。そば屋の社長が選挙のために封筒に一万円を入れて来てくださったみたいで、私は余計に行くようにしましたけれどもね、御礼に。二三年度のはこれだけです、これでやれる。やっていて、ろくな仕事をしていないかというとそうでもない、人よりはちゃんとした仕事をしていると思います。今日も立派な質問をしております。
次のところですね、七ページ、八ページ、本当に公開性、透明性がきちんとしているので、僕は感心していますよ。これは秘密の資料じゃないんです、みんな書いてあるんです。ただ、分かりやすく表にまとめられないだけで。僕の相手の名前が書いていないんですけれども、すぐお分かりいただけると思いますけれども、こうやって集めていって、こっちは地元なので、須坂市か中野市か長野市か、グループ企業がどこと書いてあります。
もっと体系的なのは五区でして、感心するんです。真ん中辺を見てください、八ページの。一万円コース六十件、五千円コース四十九件と、ぱっと集まるようになっているんです。僕は直接聞いていないんですけれども、あちらのところでは、ここで献金できるようになったということが一流の企業として認められた証拠になるので、喜んで献金してくださるようになるんだそうです。そういうふうになっているんですね。これでこんなにね。ところが、これはバランスですよ。与党にだけ行って、私が努力していないといえば努力していない、頭を下げて歩いていませんけれども、ほっておいたら来ない、これでいいのかという。これが私は問題だと思います。
そして、どうしたらいいかというのを大臣に質問のところでやってあると思いますけれども、見ていただきたいんです。これを解決するには、いろいろな解決の方法があるんですけれども、大胆なことをしなかったらこのままいってしまう。
一つは、大臣がこの間アメリカの例を言っておられます。あれは、もうちょっと言いますと、カリフォルニアの上院議員なんて物すごくお金が来るんですよね。有権者の数に応じて資金が来るようになっている、だから議員の名前のついた法案になる。あちらは議員にしか提出権がないせいもありますけれどもね。日本がそういうふうにやったんだったら企業・団体献金を禁止できると言っておられましたけれども、そのとおりだと思います。そういうふうにすべきだと思います、やるんだったら。ただ、あっちは日本の議員の数の半分、人口比でいえば半分か三分の一か四分の一になるからできるので、人数を少なくするというのがあります。
続けるとしたら、パーティーで五万円とか、そんなけちなことを言わずに、長野や世耕さんと同じように個人名で堂々とやればいいんですよ。企業もやるんだったら、堂々と名前を出してやるべきだと思います。そうしなかったらおかしいと思いますよ。いいじゃないですかね。癒着関係とかがあったりしたら全然、大臣のように、全然そんな、金を出してもらったからといって、そのために便宜を図ったことはないと。いいんですよ。だけれども、それは有権者がどう見るかだけですからね。これが一つです、企業名を明らかにする。
それから、経団連のお偉方が立派なことを言っていました、企業が献金するのは社会的貢献だと。社会的貢献を専ら与党だけにするというのはおかしいので、野党にもちょっとぐらい余禄があったっていいんだろうと思います、人数に応じてどこかにプールしておいて。人数に応じてとか、そうして分配するというようなことを考えてもいいんじゃないかと思います。
四つ目ですが、アメリカのPACがそうですけれども、企業とは別に委員会をつくってそこに集めてという形、日本でいえば一頃問題になった政治連盟。歯科医師会政治連盟、何とか政治連盟みたいなもの、そこにやっておいてプールしてみんなにやろうという。
そういうようなことが考えられるんですが、大臣、これについての御見解はいかがでしょうか。
○村上国務大臣 篠原委員にお答えします。
今、篠原委員から具体的な分析や提案も交えて御質問いただきました。
少し長くなるかもしれませんが、一政治家としてお答えしたいと思います。
まず一つ目の、議員スタッフを公費で充実させることにつきましては、一昨日もちょっと申し上げたんですけれども、民主主義のコストを社会全体でどう負担するかをトータルで考えることが重要であると考えています。方向性としては理解いたしております。しかし、これから議員を目指す方や落選中の候補者のことを考えると、それが企業・団体献金の禁止と結びつくものではないというふうに考えます。また、現在の我が国の財政状況を踏まえますと、大幅な公費負担の増加にはある程度限界があると思います。
二つ目の、企業・団体献金を継続する場合の企業名の公開につきましては、現行でも年間五万円超の寄附については全て公開されることになっております。
また、政治資金パーティー券の購入についても企業名等が公開されております。昨年六月の議員立法による法改正により、令和九年以降に開催される政治資金パーティーにつきましては、パーティーごとに五万円超を購入した企業名等が公開されることになります。
三番目と四番目は、企業からの寄附をプールして各政党等に配分するとの御提案ですが、そのような主張をされる有識者、学者さんがおられることはよく承知しております。
ただし、そのような方法とした場合、企業にも各政党の政策について評価し意見を表明する自由がある中で、企業からの寄附がどれだけ集まるのか多少疑問に感じます。
寄附の名義を○○政治連盟としても同様だと思いますし、名称がそのまま公開されるという点では企業が寄附した方が透明性が高いのではないかと思います。
もろもろ御提案をいただいたように、様々な考え方があるかと存じます。何よりも大事なのは、政治家個人のモラルが重要であるということと、政党の成り立ちの違いも踏まえ、新たに青雲の志を持って政治を志す人たちの参入が阻害されないような仕組みを考えることも重要であると考えております。引き続きこのような問題は各党各会派において御議論いただければ、そのように考えております。
以上であります。
○篠原(孝)委員 終了しておりますのでちょっとだけ、一ページだけちょっと見ていただきたいんですが。
お金がかからぬようにするということで、下に、いつも入口の方だけ問題になっていますけれども、使い方がおかしいんですよね。総務省にきちんとやってもらわなくちゃいけないので、飲食費はどれかというのをね、会食費、食費。会議費で全部書いてあるのがあるんです、でたらめです、だから分からないんです、よく見ないと。
宿泊費なんて、西村さんのところに三百四十二万という。東京へ行ったり大阪へ行ったりしたときに泊まっておられるのかなと思ったら、明石市のホテルなんだけれども。どこかの党首みたいに変な人と一緒に行っているとか、そういうのはないと思いますけれどもね。多分、宿泊費って、ホテルの食事の方に出ているんだと思いますよ。こういうので全部、飲食費や何かという、そういうのをきちっと。
西村さんだけで済みませんけれども、お土産が九十二回も出てくるんですね。そんなに国会議員はお土産をあちこちに配って歩くものか、こんなのが一体政治活動なのか、下の方を見ていただくと。私は普通の政治活動を、僕は政治活動というといろいろなこういうのを作ってコピーして地元にも配っています、そういうことだと思います、そういうのも規制していっていいんじゃないかと。変な政治活動をするなという。
○渡辺委員長 篠原委員、残念ですが時間が来てしまい、もっと伺いたいんですが、時間でございます。
○篠原(孝)委員 以上で終わります。時間が超過いたしまして、どうも失礼いたしました。御清聴ありがとうございます。
○渡辺委員長 次に、池下卓君。
○池下委員 日本維新の会の池下でございます。本日もよろしくお願いします。
篠原先生の高尚な質問の後で大変緊張するところでございますけれども、今回、先ほども篠原先生からありましたけれども、本来は議員間であったりとか各党協議会であったりとか、そういうところで議論する内容についても少し触れさせていただくかと思います。今回は政府の見解を聞かせていただいた上で、また各党協議会の中でも取り上げていただけると非常にありがたいな、そういう視点から質問の方をさせていただきたいと思っております。
それでは、質問の方に入らせていただきたいと思いますが、まず公職選挙法の運用と地域差というものについてお尋ねをしていきたいと思います。
公職選挙法の実際の運用、選管であったりとかというところになりますけれども、各都道府県そして各基礎自治体の選挙管理委員会において統一した運用がなされているのかどうか。今日ここにいらっしゃる議員の皆さんも同じように思われているんじゃないかなという具合に思っております。実務上のばらつきといいますのは単なる解釈の相違であったりとか地域の慣行といった問題にとどまらないと思っておりまして、候補者間の公平性であったり選挙の公正性というものを根本から揺るがしかねない非常に大きな問題だという具合に捉えております。
例えばでありますけれども、私もいろいろなところで地方の選挙に応援に行かせていただくんですが、かつて南の方の地域で応援のために駅を降りてぱっと見たら非常にびっくりしたことがありまして、何々幹事長来るという捨て看板が、電信柱であったりとか、樹木であったりとか、道にずらずらずらっと並んであったりというところがありました。地域では全く見かけないものを見たので本当にびっくりした記憶があります。
加えて、例えば選挙カーのあんどん型看板とかはちょうちんとみなすからいいんだとか、プロのドライバーを雇用した場合の報酬額が法定雇用費用を超えてもよいんだとか、若しくは街頭時に着用するスタッフさんのユニフォームのデザイン、衣装、こういったところにも、規制対象となるかならないか、非常に地域によって差があるという具合に感じております。
こうした背景を考えますと、本来であれば政治改革特別委員会でしか言う口がございませんので今回取り上げさせていただいたんですが、政府の公式見解というのを改めて明らかにしていただいて、その上で総務省として明確なガイドラインであったりとか統一的な見解というものを示すことが非常に大事ではないかなという具合に思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○村上国務大臣 池下委員にお答えいたします。
公職選挙法の解釈、判断につきましては、立法時における議論やこれまでの長年における判例、実例等の積み重ねによりその考え方が示されてまいりました。
総務省としましては、これらの内容を周知するとともに、公職選挙法に関する問合せ等に対しては、その解釈や制度の考え方を示しております。それに基づき、都道府県、市町村の選挙管理委員会においてはその解釈を共有しております。
具体的な事例につきましては、現場で行われる選挙運動や政治活動の実態は極めていろいろ多様でありまして、それが公職選挙法の規定に該当するか否かの判断は、個別の事案ごとに具体の事実に即して行われることになると考えております。最終的には司法が判断することとなることを御理解いただきたいと思います。
総務省としましては、公職選挙法の解釈や制度の考え方につきまして全国の選挙管理委員会に対し引き続きいろいろお示ししていきたい、そのように考えております。
○池下委員 御答弁は理解はするんですけれども、明らかにおかしいですよねということはたくさんあるわけでありまして、この後もお話をさせていただきますが、インターネットが普及している中でどんどんどんどん新しい事象が出てくるかと思いますので、私は、総務省さんも本を作ったりとか、東京都の選管の方でも本を作ったりとかしているのは存じ上げておりますけれども、やはりこういうものは毎回毎回データが蓄積されてくるものでありますから、そういうところも含めて改めてガイドラインというのを。
そして、司法と言われましたけれども、最終的に司法までいきますと選挙が終わっているということになっていますので、やはり選挙に関わる人間でありますとこれは死活問題になりますから、そういう地域差というものは非常に大きな課題だと私は思っております。
時間もありますので、次に行かせていただきたいと思うんですけれども、次は、選挙にかかっているお金、実は裏でもっとお金がかかっているんじゃないですかという視点で御質問をさせていただきたいと思うんですけれども。
何を言っているのかといいますと、まず一点目は選挙期間中に配るビラ、チラシの配布の実態について政府参考人の方から確認をさせていただきたいと思うんですけれども、選挙期間中に頒布できるビラといいますのは、個人の候補者の証紙ビラ以外にも、政党であったり確認団体など限られた範囲で作成して頒布できるという制度になっていると承知をしております。しかし、実際は、ほぼ全ての政党だと思うんですけれども、現実には政党自身が政治活動の名目で、形式上は政策パンフレット又は機関紙ですよという体裁を保ちつつ実質的には選挙ビラと変わらないような内容の印刷物を大量に頒布、配布しているというのが事実でありまして、年々ビラの枚数というのも多くなってきているのではないかなと思っております。
例えば政治活動と称して、選挙期間中の話ですけれども、選挙運動が可能な朝八時から夜八時以外、言ってみれば朝八時の駅立ちでマイクを使える前の時間帯、そういうところでビラを頒布したりとか、無制限のポスティングをされているのを見かけます。公職選挙法は本来はお金がかからない選挙を目指しておりまして、公正な選挙というのが担保されなければならない理念になっているかと思います。こういったようなビラの頒布というのは非常に問題があると思っております。
そこで、こうした実態を正確に把握されているのか。制度本来の趣旨を回復してビラ頒布の運用に実効性がある歯止めをかけるためにも、現行制度の規制の在り方について見直しが必要ではないかなという具合に思いますが、政府の見解の方をお伺いしたいと思います。
○笠置政府参考人 まず、政治活動というお話でございます。政治活動は本来自由であるべきものでございますが、特定の選挙期間中においては、政党その他の政治活動を行う団体の政治活動について、選挙が行われている区域内で行う政治活動のうち、選挙運動と紛らわしい一定の行為、ポスターでありますとかビラの頒布、自動車の使用などについて規制が設けられているということでございます。
一方で、それ以外の政治活動につきましては選挙運動と認められない限り原則自由に行うことができるものでございまして、こうした公職選挙法の規定にのっとって実際の選挙運動あるいは政治活動が行われていると考えてございます。
今お話があったパンフレット、これは制限されてございません、政治活動につきまして。仮にパンフレットについても規制をするといったようなことになりますと、政治活動は原則自由とされている中での規制の強化ということでもございますので、政治活動の在り方に密接に関わるということから、各党各会派の中で御議論いただきたいというふうに考えております。
○池下委員 今のお答えですけれども、実態を分かっていらっしゃらないなというのが私の印象でございます。
選挙期間中にやられているんですね、政治パンフレット。政治活動の自由というのは当然の話でありますけれども、それが継続してやられているということであれば、それも同じ地域で継続してやられているということであれば納得もするわけなんですけれども、各政党から選挙事務所にチラシ、ビラが送られてきて、同じスタッフ、選挙活動員が配っているというところであります。選挙をやっているのと政治活動をやっているのと、区別がほぼつかないような状況になってきているわけですので。
こういう実態を見逃していきますと、チラシというのは政治活動でいいますと幾らでも印刷することができますので、どんどんどんどんお金がかかってきてしようがない、お金がある政党だと勝ってしまう、そういうのが今の実態ということ、これを是非御理解いただかないと話がそもそも進まない。公正な民主主義を担保できないということで私は非常に危惧しているところでありますので、是非こういうとこら辺も各党協議会でも御議論いただければなということで思っております。
それでは、お金がかかるんじゃないですかという論点から次の質問をさせていただきたいと思いますけれども、選挙期間中の有料インターネット広告についてお話をさせていただきたいと思います。
当然、現行の選挙制度では選挙期間中の候補者本人による有料インターネット広告というのは禁止をされております。二〇二三年四月の江東区長選挙が皆さんの御記憶にも一番新しいのかなという具合に思うんですけれども、実は抜け穴があるんじゃないかなというところで私は懸念をしておりまして。
実際に、国政選挙におきまして、候補者が支部長を務める政党支部の名義で、あくまで政党支部の名義でありますけれども、政治活動を名目とした広告というのが選挙期間中に出稿されているわけなんですね。その政党支部なんですけれども、広告若しくはバナーというものでありますが、その中に、政党支部の支部長さんですよということで、選挙期間中に、政党支部でいいますと、私だったら池下卓という名前が出まして、日本維新の会というのが出まして、当然写真も掲載されている、これがまかり通っているということになるわけであります。
とすると、これは政治活動ですよ、選挙期間中もどんどん池下卓の顔を出していいですよ、名前を出していいですよ、お金があったらどんどんどんどん有料で広告を打っていいですよということになりますと、やはりおかしな話になってくると思うんですよね。こういう実態がまかり通っている中で、資金力のある候補者が有利となる懸念も強く、こういうところについても制度の見直しというものが必要だと思いますけれども、政府参考人の方の見解をお伺いしたいと思います。
○笠置政府参考人 有料インターネット広告の規制でございます。委員のおっしゃるとおり、平成二十五年にネットの選挙運動が解禁された際にそれについて禁止されたというものでございまして、候補者につきましては第一項から第三項の規定によりまして全て禁止をされている。
ただ、政党につきましては、四項において、選挙運動期間中、その政党の選挙運動用ウェブサイトにリンクした有料広告を掲載することが認められているということでございます。
これは、それ以前におきましても政党の政治活動としての有料広告を掲載することが可能であったということから、引き続き掲載できるようにということで、四項の規定が、例外と言ってはちょっと言葉が違うかもしれませんけれども、例外として設けられたということでございます。
また、政党であっても選挙運動のためにする広告は禁止とされるわけでございますが、支部長名などを記載することのみをもって直ちに選挙運動のための有料広告とは認められないということは、当時の各党協議会でのQアンドAに書いてあることで、そのとおりの解釈でございます。その運用で来ているということでございます。
ただ、おっしゃるとおり、政党等につきましても候補者と同様に有料広告に掲載することを規制すべきという意見があることは承知しておりますけれども、これは政治活動は原則自由とされている中での新たな規制となるもので、先ほど申し上げた経緯もございます。そうした経緯も含めまして各党各会派において御議論いただきたいと考えてございます。
○池下委員 そうなんですよね、政治活動の自由というのも当然というのはさっきお話ししましたけれども。
政党と政党支部がイコールになってきている、その中の代表者ということで我々候補者である者が名前を出せるという、まさにこの部分というのは国民からすれば、そんな公職選挙法の細かい話を国民が知る由もありませんですし、選挙期間中にそういう実態で、池下卓という公営掲示板に名前と顔がぼんと出ている人がインターネット上のバナー公告に出てきたら、ああ、これは選挙公報なのかなということで、誤解ではないですけれども、そういう具合に思われてもいたし方のない側面があるかと思います。
まさにこういう点、抜け穴という言い方をあえてさせていただきますけれども、こういう点についても私は非常に重要な課題だと。お金がどんどんどんどんかかってしようがないなという具合に思いますので、お金がある人だったら一千万でも二千万でも一億でもかけられるわけですから、そういうような無駄なお金の使い方を選挙でするべきではないという具合に思っておりますので、是非こういうところも御配慮いただければと思います。
それでは、ちょっとテーマを変えまして、今度は選挙活動における妨害行為についてお伺いをしたいと思います。
先日の、高井先生ですかね、SNSの投稿、妨害行為ということについてもお話をされましたが、それとも関わってくるんですけれども、近年、選挙活動における当選を得しめる行為の方じゃなくて当選を得しめない行為、いわゆる落選運動について、候補者やその支援者に対する執拗な嫌がらせであったり威圧行為、さらにSNSを通じた事実無根の情報拡散というものが用いられまして、表現の自由や政治的批判の域を明らかに超えている事例というのも散見されると思っております。それらにどう対応していくのかということ、選挙の一線をどうするのかというところが大きな問題ということで考えておりますが、選挙管理委員会であったり関係当局に対して迅速な対応体制というのも是非求めておきたいと思います。そこで、SNS上のフェイク情報、誹謗中傷など選挙妨害の投稿に対する迅速な対応体制について、どのようにしていかれる方針なのか。
また、加えてなんですが、SNS以外にも妨害行為というのはいろいろありまして。
私が実際に経験したことなんですけれども、ここにいらっしゃる皆さんも、多くの方が選挙をやっていると身の危険を感じることも時にはあるんじゃないかなという具合に思うんですよね。私、選挙期間中に演説をしていたんですけれども、横に女性のボランティアの方がいらっしゃったんですけれども、妨害行為をする方々にその女性が囲まれてしまってチラシを配れない、動けない、こういう状況がありました。ただ、触れてはいないんですよ、触れてはいないんですけれども、取り囲みという行為がありました。あと、これは明らかに違法行為だと思うんですけれども、事務所で電話をしている女性のボランティアの方々に事務所のガラスの隙間から盗撮行為をするであったりとか、初めて見たんですけれども、巨大プロジェクターを使って建物に投写して誹謗中傷する行為なんかがあって、すごく大がかりだよな、どこから金が出ているんだろうなという行為も見かけたわけなんですね。
こういう妨害行為に関しまして、私らは警察であったりとか選管であったりとかに言うわけなんですけれども、なかなかこういったところには即座に動いていただけませんですし、身の危険であったりとか、実際には元首相が事件に巻き込まれたりとか、大きな問題が結果的には発生する要因になるのではないかなという具合に思っているわけなんですけれども、こういうとこら辺の体制整備、対応についてどのような見解を持たれているのか、大臣の方にお伺いをしたいと思います。
○村上国務大臣 委員の御指摘どおり、これからSNS上のフェイク情報、誹謗中傷等は非常に民主主義の危機になると思います。
それを前提にしながら、民主主義の根幹を成す選挙におきましては、表現の自由、政治活動の自由に配慮しつつ、選挙人の自由な意思による公正な選挙が確保されることが重要であるというふうに考えております。
現行の公職選挙法では、落選運動についても、虚偽事項公表罪、氏名等の虚偽表示罪などに該当するものは刑法の罰則の対象となり得ます。また、平成二十五年にインターネット選挙運動が解禁された際、当時のプロバイダー責任制限法が改正され、候補者等からの申出を受けて情報を削除する場合、プロバイダーの損害賠償責任が免責されるために必要な発信者への削除に係る確認期間が七日間から二日間に短縮されております。
さらに、本年四月一日に施行された情報流通プラットフォーム対処法は、インターネット上の違法、有害情報に対応するため、大規模なプラットフォーム事業者に対し削除対応の迅速化及び運用状況の透明化を求めることを内容としており、一定の効果が期待できると考えております。
次に、選挙における妨害行為につきましてお尋ねがありました。選挙が公正に行われるためには選挙運動は自由に行われなければならないので、それを妨害することは絶対にあってはならないものと考えております。
選挙に関し、候補者や選挙運動員に対する暴行や候補者が行う街頭演説への妨害などを行えば、公職選挙法上の自由妨害罪などの処罰の対象となり得るものと考えております。
個別の事案が法令の規定に該当するか否かについては、捜査機関により具体的な事実関係の調査が行われ、その上で最終的には司法により判断されることとなるものと考えております。
以上であります。
○池下委員 まさに教科書どおりのお答えをいただきまして、ありがとうございます。
ただ、自由妨害罪ということもありますけれども、実際に選挙というのは決められた期間の中でやられておりまして、警察の方も時々見回りに来ていただいておりますけれども、その現場でやられているわけですから、そこでしっかりと止めていただかないと身の危険を感じることになりますので、是非そういうとこら辺にも気配りをいただければなという具合に思うんです。
次の質問とも関連をしてくるんですけれども、我々は候補者として当選するために一生懸命活動するわけでありまして、どういう活動はオーケーですよ、どういう街宣車を使っていいんですよ、どういうビラを作っていいんですよ、どういうポスターのサイズ感なんですよとかということは決めていただいております。ただ、先ほど、抜け穴というのもありますよということは申し上げたんですけれども。
当選する行為というものにつきましてはしっかりと規制がかかっているわけなんですけれども、逆に表現の自由というのがあるのは十二分に承知しているものの、当選を得しめない行為、落選運動については無制限になっているという部分については非常に大きな問題があるとも思っております。こうした落選運動の範囲、態様を例示的に示した明確な基準を示すことが公正な選挙というものにつながっていくと思いますし、社会的にもよい民主主義というものが保たれるという具合に思っておりますけれども、このような落選運動を選挙運動と同様に公職選挙法の枠組みにしっかりと入れ込み、法的規律の対象とする必要があると考えますけれども、参考人の方にお伺いしたいと思います。
○笠置政府参考人 公職選挙法上、政治活動は原則自由とされてございまして、いわゆる落選運動、こちらは政治活動に含まれ、直ちに選挙運動に該当するものではないとされております。
公職選挙法上、一部の行為につきましては、個別の条文におきまして、当選を得しめない目的を持って行う行為といったものは禁止されている、例えば戸別訪問でありますとか署名あるいは買収といったように、個別の条文においていわゆる落選運動についても規制されている行為があるということでございます。
また、虚偽事項公表罪等も当選を得しめない目的といったことがございます。そうした個別のそれぞれの条文の中でいわゆる落選運動といったことも規制をしているということでございます。
その上で、更に加えて新たに規制するといったことにつきましては、政治活動の自由、これは自由なのかとおっしゃるかもしれませんが、政治活動の自由あるいは公正な選挙の確保といった観点も含めて御議論いただくべきだと考えておりまして、委員も御参加いただいております選挙運動に関する各党協議会におきまして落選運動のためのビラの頒布等について論点として挙げられているものと承知をいたしております。
○池下委員 あと二つほど質問を残していたんですけれども、時間が来ましたので、終わりにさせていただきたいと思います。
冒頭申し上げましたけれども、各党協議会で公選法であり政治資金規正法というのが議員さんから出されて国会でしっかりと議論しなきゃいけないということですね。各党協議会での議論になるかと思いますけれども、これは与党、野党を問わず公職になる者全員に関わることですので、しっかりと議論していきたいという具合にお願いいたしまして、質問の方を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○渡辺委員長 次に、森ようすけ君。
○森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。
村上大臣、本日は二十五分も政治家の大先輩である村上大臣とこうして議論のお時間をいただき、本当にありがとうございます。心からうれしく思います。
簡単に自己紹介をさせていただきたいんですけれども、私、平成六年生まれの三十歳でございまして、去年の十月の衆議院選挙で初めて政治の道に挑戦をして、今こうして仕事をさせていただいているところでして、政治家の家系でいうと、家族、親族に政治家というのは全くいなくて、自分も全く、秘書をやったりとか、そういった経験もなく、政治の道にど素人のところから飛び込んできて、一年くらいこうして政治の世界で仕事をさせていただいているようなところでございます。村上大臣と比べると経験は全くないんですけれども、経験がないからこそ新鮮な目で政治改革について議論できるというふうに考えておりまして、そうした点で本日は議論させていただければと思います。
まず最初に、公職選挙法でしたり政治資金規正法の複雑さについて取り上げたいと考えております。
選挙であったり政治家が関わる法律としては公職選挙法と政治資金規正法、この大きな二つの法律がルールとしてあると思います。これを破ると法律で捕まったりするわけですから、このルールをしっかりと守りながら政治家であったり選挙というのは戦い抜いていかないといけないというふうな形になっているわけでございます。
ただ、これがかなり複雑だなというふうに感じているところでございます。私、元々環境省の役人出身でございまして、法律を読むのは人と比べると得意だとは思うんですけれども、それでもなかなか、公職選挙法を読むと頭が痛くなって分からなくなる、ルールもよく分からない、こうしたことで非常に、この一年間、悩んでつらい思いをしてきたところでございます。
実際に活動していると、これってどうなんだろうと思ったときに例えば都道府県の選挙管理委員会とかに問合せを都度都度して、これってやっていいんですかと聞いて、いいですよと言われたらやるし、これは危ないですよと言われたらやらないとか、こういうふうに結構煩雑で、一つ活動するにも大変だなというふうに感じながら活動しているわけなんですけれども。これは逆に、家族に政治家がいたりとか、政治家の家系であったりとか、あと、自民党さんみたいに組織がしっかりしていて、地方組織がしっかりあると、分からない新人もある程度選挙に挑戦しやすい、政治活動に挑戦しやすいんだと思います。一方で、私たち国民民主党みたいにまだまだ小さな政党は、党の事務局にこれってどうなのと聞いても分からないよと言われたりとか、そもそも返事が返ってこなかったり、こういう環境になっていて、なかなか苦しみながら政治活動をしているわけでございます。
そこで、まず最初の質問なんですけれども、こうしたように、公職選挙法でしたり、選挙に関わる、政治に関わる法律が非常に複雑なことが政治参画をする上で新人にとっての非常に大きな障壁になっているというふうに個人的には考えているんですけれども、村上大臣の御見解はいかがでしょうか。
○村上国務大臣 実は、一昨日も自分の拙い経験をちょっとお話ししたんですけれども、私は逆に言えば森委員と同じで全く、おやじが死んで十四年たっていましたから、素人同然で。私のやった基本的パターンは、一人でも多くの人に会って語らっていく。だから、一昨日もお話を申し上げたように五人、十人の座談会。最初は落ちたんですよね。それから三年近く、五人、十人の座談会を千回やりました。それが後に十三回連続で通った原動力ともなっていると自分では思っているんですが。
私は、森委員が思われることを、自分のあれを愚直にやっていかれればいいと思うんですよね。正直言って、選挙についてはいろいろ制限があると思います。だから、逆に言うと、今からお答えしますけれども、私が出たときはみんな六十歳以上で経験も豊富で、財力もあって、徒手空拳というよりは、カマキリが象に向かうような感じでしたね。
そういう中でお答えすると、選挙運動というのは有権者に対し誰を選択すべきかの判断材料を提供するものであり、その点からはできる限り自由にすべきものであると考えています。しかし、無制限に認めますと財力等によってゆがめられるおそれが生じることから、選挙の公正を確保するため、選挙の実情を踏まえ、これまで、国会における審議や各党間の議論等を経て、選挙運動に一定のルールが設けられております。
現行の規制が複雑というふうな御指摘もありますが、どのような行為をどの程度規制するかについては、選挙運動や政治活動の在り方に関わる事柄であり、先ほど申し上げましたように、各党各会派で御議論いただくしかないというふうに考えております。
ですから、もう一回言わせてもらいますと、今自分が考えられていることを、自分で愚直にやられたらよろしいんじゃないかと思います。
○森(よ)委員 村上大臣、ありがとうございます。すごく貴重な先輩からの御意見をいただいたので、一人一人と大事に話をしながら愚直に活動していきたいと思うんですけれども。
私の問題意識としては、おっしゃるとおり、ルールを決めるのは各党各会派の仕事だと思います。それは政治が決めることなので、複雑なルールであればそれは政治側が正していく、そうした方向であるべきだと思っています。ただ、一方で、決められたルールを分かりやすく発信していくことについては行政の仕事の一環だというふうに考えているところでございます。誰でも理解しやすいような広報をしたりとか、初めて政治の道、選挙に参加するような素人にとっても分かりやすく挑戦できるような、決められたルールの中でこうやったらいいんだよというふうな、分かりやすく示すことについては政治の仕事かもしれないんですけれども、行政が果たすべき、政治参画を促すという観点では行政がやるべき一定の仕事だというふうには感じているところでございます。
その上で、さっきいろいろ池下委員からもありましたけれども、できることとできないことの線引きがかなり曖昧になっていると思っていて、愚直にやればいいんですけれども、逆にそれが、詳しい人が得をして、詳しくない人は損をする、公平性がなかなかないような仕組みになっているんじゃないかなというところを懸念しているところでございます。
例えば、いろいろありますけれども、桃太郎とかをするときにマイクを使ったら本来はグレーなところを、例えば玄人の人は、ばれないから大丈夫だよとかいって使ったりですね。あと、駅前で活動をするときにポスターを掲示するわけですけれども、あれも基本的には多分グレーな世界だと思うんですけれども、地域によってはやっているところもあったりとか。はたまた、政治活動のときに自分の名前入りのたすきをつけて、三要件にひっかかるぎりぎりのところまで言うような、ニュースも最近ありましたし。
そうしたふうに詳しい人ほど法律のぎりぎりのラインを攻めることができて、より有利に戦う、一方で政治に詳しくない新人にとってはなかなか踏み込むことができない。こうしたようにルールがなかなか難しい、これは政治の責任なんですけれども、どこまでできるかということを行政が示せていないからこそこうした不公平さというところが一定程度生じているのではないかなというふうに個人的に考えているようなところでございます。
それで、総務省がどのようなガイドラインを示しているのかなと思って調べたところ、ちょうど平成二十五年の、十年くらい前なんですけれども、インターネット投票が認められたときの法改正について、QA形式でガイドラインというのが公表されていたんですね。十年以上前なので、かなり古いなと思って。ガイドラインを出すのはいいんですけれども、いろいろ更新をして、より使いやすく分かりやすいガイドラインを示すことが選挙、政治活動の公平さにもつながってくると考えるんですけれども、こうしたガイドラインを定めることについて、大臣の御見解はいかがでしょうか。
○村上国務大臣 まず最初に申し上げたいのは、確かにいろいろな限界事例があって、委員からすればこそくだというふうに思われると思うんですけれども、私自身はそれが票につながるかどうかというのは別問題だと考えていまして。そういうこそくなことをやって票が増えるんだったら、私の経験ですけれども、逆に森委員の若さとかバイタリティーとか主張を前面に出させることの方が非常に効果があるんじゃないかと私は思います。そういう中で、それを前提にしながらお答えしたいと思いますけれども。
これまで、国会における審議や各党間の議論を経て、選挙運動に一定のルールが設けられております。
公職選挙法における選挙運動規制に関する解釈や規制の趣旨につきましては、立法時において提案者からの説明や国会における議論を通じ示されるとともに、これまでの長年における判例、実例等の積み重ねによりその考え方が示されてきております。
総務省としましては、制度改正が行われた際には、その内容を総務省ホームページに掲載するとともに、周知のためのチラシを作成するなど、その改正内容について周知を図っております。公職選挙法に関する問合せに対しましては、その解釈や制度の考え方をお示ししております。
今後もこうした取組により選挙運動の規制内容等について理解されるよう努めてまいりたいと考えております。
なお、個別の事案が公職選挙法の規定に違反するか否かについては、具体の事実に即して判断されることとなるものです。最終的には司法が判断することになることを御理解いただきたいと思います。
あえてつけ加えて言いますと、森先生のようなフレッシュさを前面に出して、さっき言ったように、みんなと車座になって、私もお金がなかったですから、煎餅とするめをかじりながらやったら、私は効果は絶大だと思います。頑張ってください。
○森(よ)委員 貴重な選挙コンサルをいただいて、本当にありがとうございます。
大臣の答弁でおっしゃっていただいたとおりなんですけれども、国会での議論、質疑のときにいろいろ積み重なってきたものがあるとか、判例において積み重なってきたものがあるというのはそのとおりだと思っていて、それを分かりやすく発信するのは行政の仕事だと個人的には考えていますので、そうした点については、新人で、フレッシュさで私は頑張っていきますけれども、是非お願いしたいなと思っているところでございます。
もう一点なんですけれども、これは政府にお伺いしたいんですけれども、選挙活動であったり政治活動のルールだけではなくて、いろいろな手続のところもかなり複雑なものになっているというふうに考えております。
例えば、政治活動を新たに始めるときの政治団体の設立の届出でしたり、あと立候補の手続とか。選挙の説明会とかに行くと、すごい量の資料が渡されて、なかなかこれは。政党に所属している私だとまだ事務局に聞けばやってもらったりできるんですけれども、無所属の人からするとかなり苦しい、大変だなと思っていて。せっかく無所属の身で政治の道に挑戦しようと思うような若者が出てきたときに、すごい分量の書類が渡されると、ああ、やっぱりやめようというふうに諦めてしまう人も一定程度出てくると思っています。
そうしたところで、政治参画を促す上ではそうした手続のところについても、分かりやすいガイドラインを示すことでしたり、より簡素化でしたり、そういったことを進めていくべきだと考えますが、政府の御見解はいかがでしょうか。
○笠置政府参考人 選挙の立候補等の手続規定でございまして、候補者が被選挙権を始めとする立候補資格を有しているかといったような確認のために、立候補の届出書でありますとか供託書あるいは戸籍謄本といったような提出などの手続が定められております。ただ、一遍にやるとかなり大部で分かりにくいという御指摘かなと思っておりますけれども。
現状は、総務省のホームページにおきまして「なるほど!選挙」というページがございます。その中に、立候補を目指す方へ、あるいは立候補といった項目を設けてございまして、立候補するための条件として被選挙権や立候補制限の内容、立候補に必要な届出あるいは届出期間、各選挙ごとの供託額といったような必要な情報を紹介しているということでございます。
ただ、実際の選挙に際しましては、それぞれの選挙の管理、執行に当たる選挙管理委員会が立候補者説明会で資料を渡した後に告示日あるいは公示日までの間に事前審査というのを行いますけれども、事前審査の際に手続の内容でありますとか書き方といったことについて丁寧に説明をしているということでございます。
一方、もう一つ、政治団体の設立という話がございますけれども、こちらにつきましては、政治団体を設立した場合には政治資金規正法に基づきまして規約とともに設立届を提出することが必要になってきますけれども、届出を受け付ける都道府県選管におきまして、ホームページに届出書類の様式と実際の記載例といったものあるいは手引を掲載するなど、情報提供や周知に努めていただいているということであります。
もとより、総務省でありますとか各選挙管理委員会に対しても直接お電話なりで、最近、参議院選挙が近づいたせいでまた問合せ等がございますけれども、立候補の要件とかそういった問合せが多々ございますけれども、それに対しても丁寧に対応、説明をさせていただいております。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
「なるほど!選挙」は私もよく見るんですけれども、何年前のページなんだみたいなくらい、ちょっとおしゃれじゃないページだなというふうに個人的には感じているので、もう少し分かりやすいデザインでしたり発信をするのとともに、電話で受付をしたらちゃんと対応するよというような答弁だったんですけれども、これはお互いにとってすごく無駄な時間だなというふうに思っていて、ホームページで分かりやすく公表していただければ問合せもなく理解できるので、是非、電話に頼ることなく理解ができるような仕組みというのを御検討をお願いできればなと考えているところでございます。
次に、被選挙権年齢の引下げについてお伺いしたいと思います。
現行の被選挙権年齢は選挙によって二十五歳、三十歳と分かれているところですけれども、参議院議員選挙と都道府県知事選挙については三十歳、それ以外については二十五歳というようなところになっております。
レクの際にもお伺いしたんですけれども、衆議院と参議院で年齢が違うことと都道府県知事と市町村長の年齢が違うことは理由が違うらしいので、今日は国会の議論ということで衆議院と参議院に絞ってお伺いできればと思うんですけれども、二十五歳と三十歳、どのような根拠で設けられているのか、お伺いできますでしょうか。
○笠置政府参考人 我が国の被選挙権年齢につきましては、社会的経験に基づく思慮と分別を踏まえて設定されているとこれまで説明されてきたところでございます。
その上で、参議院議員の被選挙権につきましては昭和二十二年の参議院議員選挙法制定時から三十歳となってございまして、衆議院議員の二十五歳に比べまして五歳高くなっている。
この趣旨についてでございますが、参議院議員の被選挙権年齢につきましては、二院制における参議院の役割を踏まえ、社会的経験から出てくる思慮、分別に着目し年齢が高く設定されたといった説明がなされてきております。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
全然分からないという声をいただきましたが、私も正直全然分からなくて、それは後でお伺いするんですけれども。
被選挙権年齢の引下げについては結構若者から私に要望、陳情が来ることがあって、学校を卒業してすぐ選挙に挑戦したいんだというような、すごく志の高い学生の方が要望に来ることもよくあるわけでございます。あと、特に地方においてですけれども、地方選挙において定数割れをしているところでしたり、無投票で行われる選挙も一定数あるわけでございます。そうした中で、被選挙権年齢の引下げについて、メリット、デメリット、それぞれあると思うんですけれども、その点について大臣の御見解をお願いいたします。
○村上国務大臣 これはいろいろ意見があると思います。ただ、私の拙い経験から申し上げますと、私は浅学非才ですから、自分なりには四十年近く一生懸命やってきた気がします。ずっとやってきて、大蔵政務次官や大蔵委員長や初代の財務副大臣、行政改革、規制改革、特区・地域再生、産業再生、そういうポストをやらせていただきました。多少自分なりにも分かってきたのかなと思ったんですが、実は総務大臣になって自分は何も知っていないことが分かりました。特に地方自治や郵政問題については、部分的にはタッチしていましたけれども、総体的にやってみますと全部が各論なんですね。そういう経験からしますと、国会議員になるということはしっかりした知識としっかりした経験というのがやはり必要じゃないかなという気がします。それを前提にお答え申し上げます。
被選挙権年齢を引き下げる意義については、若者が立候補するようになり若年層の政治に対する関心が高まること、若者の意見が政治に反映されやすくなることという考えがあると承知しております。
一方、被選挙権年齢の引下げに関しては、住民間の利害対立に関わる合意形成を担うためには一定の経験が必要と考えられることから慎重に考えるべきではないかという意見もあります。
なお、今申し上げたように、国会議員の資質につきましては、一政治家として一言申し上げますと、国の財政、経済、外交、防衛等を担う人材としてやはり一定の知識や経験が必要じゃないか、そのように考えております。
以上であります。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。
視座の高い御答弁をいただいた中で、少し私の思いも話をさせていただきますと、社会的経験に基づく思慮と分別ということで、おっしゃることは何となくは分かるんですけれども、例えば二十五歳、三十歳に満たない若い人の中でも思慮と分別を持っている人というのは一定いると思います。逆に御高齢の方で、村上大臣のように思慮と分別をしっかり持っていらっしゃる方もいらっしゃいますけれども、その一方で、年齢を重ねているからといって思慮と分別があるかと言われると必ずしもそうではないと思います。なので、若者の中でもしっかりしている人はいるし、若者じゃない大人の中でもしっかりしていない人がいるわけでございます。だからこそ、若者で選挙に挑戦したいという熱い思いがあるのであれば、それをルールで妨げるのは個人的に余りよくないと思っています。
選挙に出た結果、楽観的な考え方ではあるんですけれども、仮にその候補者が思慮と分別を持っていない候補者であれば、選挙で民意の淘汰を受けて落選すると思います。なので、私は民意を信じたいというようなところなんですけれども。思慮と分別がない若者が出てきても選挙の淘汰を受けて落ちればいいだけの話なので、出る権利を妨げる必要はないと個人的には考えているところなんです。
そうしたことも踏まえて、被選挙権年齢を十八歳か二十歳か分からないですけれども引き下げることについて、御見解をお伺いいたします。
○村上国務大臣 森委員は、出て落ちるのは勝手だからという御意見でありますけれども、それはちょっと無責任じゃないかと思いますね。
確かに年を取っていてもそういう人はいらっしゃるから、それは落選するわけですよね。問題は、十八、二十まで引き下げて選挙をやりました、落ちたら落ちたでそういうことで納得しなさいという御意見は御意見だと分かりますが、私の拙い人生経験からすると、私が十八のときはどうだったかなと。私はそれなりに勉強してきたつもりであったけれども、先ほど申し上げたように、四十年近くやって振り返ったときに、まだまだだったなという気がしますね。それは個人の見解でありますし、個人個人の能力によって違いますから、一概には申し上げられないけれども、そこら辺は、法律として改正する場合は、先ほどもありましたように、各党各会派で御意見をしっかり議論していただければ、そういうふうに思います。
○森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。
時間が迫ってきたので、最後に一つお伺いさせていただきたいと思います。
被選挙権年齢の引下げだけではなくて選挙権年齢の引下げ、これも一つの論点としてあると思います。元々、戦前においては、直接税を幾ら納めているであったり、男性にしか認められていなかったりとかいろいろ制約がありましたけれども、その時々の時代の情勢に合わせて選挙権年齢が引き下げられたりとか、時々に見直しがされていると思います。
足下においては少子高齢化が進んで高齢者の方の割合が増えてきているわけですから、政策の立案においてもどうしてもそっちに配慮した政策の仕組み、政治の仕組みになっていると思います。例えば年金法の改正、今いろいろと議論されていますけれども、それについても、足下の高齢者を支えるのか、それともその先を見据えて就職氷河期の方々、その先の未来世代を支えるのか、これは一つの判断だと思います。そうしたところで、高齢者の方が多いとどうしても近視眼的な政治の仕組みになってしまうというふうに考えております。
そうした中で、ドメイン投票という仕組みがあって、選挙権年齢をゼロ歳に引き下げて、子供は投票ができないわけですから、その投票を代わりに親が代替してやるというような仕組みがございます。これはいろいろ憲法上の制約でしたりそういったものがあるわけですけれども、どうしても近視眼的な政策になってしまうような政治の仕組みに今はなっていると思うので、それを是正するためにはこうした選挙権年齢についてもより抜本的に見直していってはどうかというふうに個人的には考えているところでございます。
ドメイン投票でしたりゼロ歳児選挙権について、政府において検討をするような考えはあるのか。個人の見解でもよろしいんですけれども、その点、いかがでしょうか、お願いいたします。
○村上国務大臣 ドメイン投票、ゼロ歳児の選挙権ということでありますが、私自身としては今の制度上はなかなか難しいんじゃないかと思います。私にも三人の孫がいるんですが、その三人は年若いから投票権がないわけであります。今の政治を見ていると何でもかんでも無料化で、給食でも何でも無料化でいいんですが、ただ、考えていただきたいのは、今の財政状況で果たしてそういうことが全部できるかどうか。つまり、私が今心配しているのは次の世代がどうやったら生き残れるかということであります。そういう場合を考えたときに、若い人たちの意思をどうやったら反映できるかということは我々政治家はきちっと考えていかなきゃいけないんじゃないかと思います。そういうことを前提にお答え申し上げます。
いわゆるドメイン投票につきましては、選挙権年齢未満の子供にも選挙権を付与し、その選挙権を子供の親が行使するという投票方法だと承知しております。
こうした選挙権の付与やその行使の在り方につきましては、選挙制度の根幹に関わる問題であり、各党各会派で御議論いただく必要があると考えております。
その上で、ドメイン投票のような仕組みについては、子供のいない方は一票、子供のいる方は複数回投票できることとなり、憲法上の投票価値の平等の視点について、過去の最高裁判決も踏まえて慎重に検討されるべきではないかと考えております。
以上であります。
○森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。無邪気な質問に対してすごく真摯に御回答いただいて、ありがとうございます。
以上でございます。
○渡辺委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井でございます。
おとといに引き続いて、SNSの誹謗中傷問題を取り上げたいと思います。
まず、警察庁に今日も来ていただきましたが、先日は時間がなくて更問いできなかったんですけれども、ネットによる誹謗中傷などによって亡くなった方の数は把握していないという答弁だったんですが、なぜ把握していないのか。そして、私が申し上げたように、自死であったとしても警察は必ずそこを捜査するわけですから、そのときに原因がある程度は分かるはずなので、ぴっちり正確な数じゃないとしても概数ぐらいは把握するべきだと考えますが、いかがですか。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
インターネット上の誹謗中傷等で自殺した方に限った数につきましては把握していないところでございますが、自殺の原因、動機の一つがSNS、インターネット上のトラブルである方につきましては、統計を取り始めた令和四年から令和六年までの過去三年間で百一名でございます。この数値は、御指摘のインターネット上の誹謗中傷などで自殺した方の数も含まれているものと認識しております。
○高井委員 百一名という数字が出てきましたけれども、昨日、たまたま私がNHKのニュースウオッチ9を見ていたら、十八歳未満のSNSを通じた犯罪被害者というのが去年一年間で千四百八十六人、そして殺人などの重要犯罪被害者が四百五十八人。一年間で四百五十八人ですよ。殺人などのだから、全て亡くなっていないかもしれませんが。あわせて、三年間で自死された方が百一名。少なくとも百一名ということだと思います。一昨日、ストーカー殺人は五年間で四名でした。今これだけストーカー殺人は世間で騒がれニュースにもなっていますけれども、こういったネットによる自死が百一名、三年間で百一名いるにもかかわらずほとんどニュースになることもないわけですよ、大臣、しつこいようですけれども。
昨日、私は、大臣から命を受け、玉田審議官からもかなりきつく言われて総務省の課長さんが青い顔をして私のところに来てくれて、すごく丁寧に説明していただきました。随分私も分かったこともあります。情報流通プラットフォーム対処法、これは四月一日から施行されたので、まだ事業者側に対応が整っていないので、実際に私が要求した削除要求とかも、半年後ぐらいからはもうちょっと改善するという説明も受けました。一定のことは納得したんですが、なおまだ納得できないのは、虚偽情報は一切削除できないんです、海外でも一切そういう法令はありませんということで、これが権利侵害になると、権利侵害とは誹謗中傷であったり名誉毀損であったり著作権侵害、これに該当すると法律上も削除できるしSNS事業者も削除する規定になっているというんですが、私は虚偽情報もやはり権利侵害していると思うんですよ。
例えば、大臣、想像しやすいように、大臣の例えば娘さんが離婚していると、離婚していないのに離婚していると書かれて拡散されたら嫌じゃないですか、大臣も娘さんも。あるいは、息子さんが会社で解雇されたと、解雇されていないのに、れっきとして働いているのに解雇されたと書かれたら嫌じゃないですか。だけれども、それは権利侵害かどうか分からないというんですよ。X社は判断できないというんです。裁判所に行ってくれと。裁判して三、四十万の費用がかかって、そして三、四週間かけて権利侵害だったら削除要請になるけれども、そこをね。
だけれども、こんなのは離婚だったら戸籍を見ればすぐ分かるんですよ。会社の証明なんてそんなの、すぐ証明書を出せるんですよ。そういうような誰が見ても明らかな事実を、SNS事業者はどこか第三者がやってほしいと言うんですよ。裁判所はお金かかり過ぎるし、時間もかかり過ぎる、だから第三者機関でやったらどうでしょうかと。だけれども、大臣は、第三者機関はどこがつくるんですかとか、お金はどうするんですかと。お金は総務省が出してほしいと私は思いますよ。裁判所につくってもいいけれども、司法にしちゃうとまた手続が面倒になるから、やはり行政の総務省が何らかの機関をつくるか、あるいは、より第三者性を求めるために日弁連に例えばお願いするとか、そしてそのお金はちゃんと総務省が予算を取って、別に総務省の今の予算から出さなくていいですよ、財務省とちゃんと交渉して出す。こういうことをやっていかないと、物すごく事実無根のことを書かれて、それが権利侵害だと認められなくて傷ついている人はいっぱいいるはずで、それが自死になることだってあるんですよ。
自死する方というのは、何がきっかけで自死するか分からない。少なくとも三年間で百一人の人がSNSが原因で自死しているわけですから、これは本気で取り組むべき。総務省の一つの課とかでやる話じゃなくて、一局ぐらいつくってこのSNSの対策というのはやるべき。総務省のメインに掲げてやるべき対策だと思うので、しつこく聞きますけれども、大臣、何かやはり対策をやっていただけませんか、この問題。お願いします。
○村上国務大臣 高井委員の熱意はよく分かりますけれども、個々の問題を仮定では答えられないし、具体的な事例をある程度明示しないとなかなか判断は難しいと思います。そういう面でお答えさせていただきます。
高井委員御指摘のように、インターネット上の誹謗中傷等について、被害者向けの相談対応の充実を図ることは重要と考えております。
総務省が運営を支援する違法・有害情報相談センターでは、一般利用者からの相談に応じ、投稿の削除要請の方法に関するアドバイス等を行っております。
同センターについては、相談件数が近年高止まりしている状況を踏まえまして、一つ、体制強化などの施策を講じてきております。二つ目は、令和六年度からチャットボットを活用した効率的な相談対応を開始するとともに、三番目、関係機関との連携も強化するなどしております。相談対応を充実させるということは日々やっているつもりであります。
なお、同センターのアドバイスを踏まえるなどして被害者が行う個別具体的な投稿の削除要請につきましては、プラットフォーム事業者が自ら定めた削除基準に基づき適切に判断すべきものと考えております。
総務省としては引き続き相談体制の一層の充実に努めてまいりたい、そのように考えております。
○高井委員 プラットフォーム事業者が削除は最終的にするでいいんですよ。ただ、プラットフォーム事業者も、どこか第三者的なところが例えば娘さんが離婚した、息子さんが解雇されたみたいなことを判断というか、証明書を見れば分かるんだけれども、それをプラットフォーム事業者は全部できないからどこか第三者機関でやってくれないかと。むしろプラットフォーム事業者がそう言っているのでその声も、プラットフォーム事業者とよく協議をしていただいて、総務省自らがやらなくてもいいです、何とか相談センターのようなところの役割をもうちょっと拡充してやる。これはそんなに大変な作業じゃないし、表現の自由の侵害だとかいうレベルの話でもないので是非、でも、それで救える命が何十人単位、下手したら何百人単位であると私は思いますので、大臣、これは何としても、何とか、今後、御検討をお願いします。
関連して、この間、超党派の選挙制度協議会というのをやっていまして、維新の青柳さんがいい質問をしていたんですよ、具体的に言いますとX社にね。X社というのは匿名のアカウントを作れるんですよ。だから、どんどんどんどん匿名のアカウントを作って物すごく書き込んだり、リポスト、拡散したりして、それを見た人がまた安易に拡散してしまうわけですよ。だけれども、こういったことがまさに誹謗中傷などにつながって、それで人の命が三年間で百一名以上失われているということを考えると、やはりそういったことをもっと利用者に対して抑制させること、匿名アカウントをやめるとか、安易にリポストしない仕組みを総務省としてちゃんとつくっていただくべきだと私は考えますが、大臣、いかがですか。
○村上国務大臣 匿名アカウントにつきましては、偽・誤情報等の流通、拡散といった社会的課題につながっている側面があるとの御指摘があることはよく聞いております。他方、匿名表現の自由も表現の自由に含まれるとする考え方もあり、匿名アカウントの作成自体を規制することについては慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
なお、本年四月一日に施行された情報流通プラットフォーム対処法では、大規模なプラットフォーム事業者に対し、御指摘の匿名アカウントから発信される誹謗中傷の投稿も含め、権利侵害情報について削除対応の迅速化等が求められることとなり、一定の効果があると考えております。
また、御指摘の安易な拡散につきましては、総務省において五月十三日に公表したICTリテラシー実態調査におきまして、一つ、偽・誤情報に接触した人のうち約半数が正しい情報だと誤認し、四人に一人が何らかの形で拡散した、二番目は、回答者の約九割がICTリテラシーを重要だと考えている一方、七割以上がリテラシー向上に向けた取組をしていないと回答していることが分かっております。偽・誤情報等の安易な拡散につながらないためにも、国民一人一人のリテラシー向上に取り組むことが重要であると考えております。
インターネット上の偽・誤情報等に対しましては、総務省はもとより、官民の関係者で知恵を出し合って様々な対応を図ってまいりたい、そのように考えております。
以上であります。
○高井委員 総務省が何の努力もしていないとは言いませんけれども、この問題は総務省の一番のメインに置いてください、是非。玉田審議官にも申し上げたけれども、課長もかわいそうですよ、一つの課で寝られないぐらい仕事をしているみたいですよ。それはそうですよ、こんな大きな社会問題になって。これは局一つで対応するぐらいの、省を一つつくってもいいぐらいの、そういう時代なんですよ。SNSがこれだけ大きくなって、そこに役所も行政も合わせていかなきゃいけない、そのことを是非大臣の任期中に取組を始めていただきたいということをお願いして、時間がないんですけれども、あと一問、一昨日やり残した投票率の向上についてお聞きいたします。
選挙制度協議会というのを超党派でやっている中で外国の事例を勉強しているんですけれども、この間、スウェーデンを聞いたんですよ。スウェーデンは投票率が八五%なんですよ、何でかと。でも、その先生は言っていました、別にスウェーデンの国民の政治意識がとりわけ高いわけではないんだと。実は、四年に一回選挙をやると決まっているそうなんですよ。かつ、地方自治体の議員選挙も首長選挙も国政選挙も全部、四年に一回、同じ日にやるんだそうです。これは高くなりますよね。
そこまで一気に日本は無理としても、解散がしょっちゅうあるというのも日本ぐらいで、ヨーロッパなんかは一応、解散は制度上あるけれどもほぼ四年に一度やるし、選挙に向けて日々、雰囲気が盛り上がるように前もって日にちも決めてやっているんですよ、やはりそういう取組をね。これは解散権の問題とかになるから総務大臣の一存ではできないし、国会でみんなで議論していく、でも投票率を上げるということは物すごく民主主義にとって大事なことだから是非これはやっていきましょうということです。
総務省にできる具体的なことは、先日言いましたけれども、テレビCMをどんどん打つとか、あと、地上波のゴールデンタイムにスポンサーになって民放番組にお金を出せば、二時間やってくれるんじゃないですか、党首討論番組。そんなお金も出さずにやってくれ、やってくれと言っても、なかなかみんな、しかも公職選挙法なり放送法が難しいから及び腰ですけれども、せめてこのくらいのことをして投票率を上げるということを、これは大臣の判断でできることですから。別に総理とかに聞かなくていいと思いますよ。総務省でお金を出して番組スポンサーになって党首討論をやることにしましたと、大臣の一存でばっと記者会見で言えばみんな大喜び、すごいなとなりますよ。是非やりませんか。
○村上国務大臣 高井委員も総務省におられたから分かると思うんですけれども、何でもかんでも総務省、総務省、大臣、大臣と言っていただくのはありがたいんですけれども、限られた予算だし、限られた範囲なので、高井さんがもうちょっと予算獲得に力をかしていただきたいと思います。そういう面で前置きしまして。
投票率については、様々な事情が総合的に影響するため、その状況を一概に申し上げることは困難であると考えております。効果的な選挙啓発を行うことは重要と考えており、周知啓発予算については、費用や効果を勘案しながら、必要と認められる額を確保した上で取り組んでいるところであります。
有権者に投票を呼びかける際の媒体につきましては、新聞広告などの活字媒体では高齢者層、またインターネット上での広告は若年層が目にする機会が多く、年代ごとに一定の傾向が見られるところでございます。
このため、参院選に向けましては、新聞広告、テレビコマーシャル、ポスターなどのほか、主に若年層をターゲットにインターネット上での広告を展開するなど、様々な媒体を活用しながら、各選挙管理委員会や明るい選挙推進協会などと連携して効果的に啓発ができるよう取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○高井委員 まとめますが、選挙経費、八百億が七百一億になったって誰も文句は言いませんよ。是非やりましょう。お願いします。
○渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
前回の質疑に続いて、選挙執行事務に関連して質問をいたします。
選挙は民主主義の根幹であり、主権者である国民の参政権の問題であります。不正があれば選挙の正当性が失われることになり、選挙無効になりかねないので、ひいては選挙権を行使できなくなる。二〇一九年、当時の石田大臣は私の質問に対し、選挙は民主主義の根幹をなすものであることから、適正な管理、執行により選挙の公正を確保することは極めて重要であると答弁しております。
村上大臣にお尋ねいたします。選挙執行に当たって最も重要なことは公正で、間違いがあってはならないということだと思いますが、確認したいと思います。
○村上国務大臣 お答えいたします。
選挙は民主主義の根幹を成すものであることから、適切な管理、執行により選挙の公正を確保することは極めて重要であると考えております。
○塩川委員 石田大臣と同じ答弁だったわけですけれども。
投票用紙の交付ミスや不在者投票の運用の誤りなど、管理執行上問題となった行為、いわゆる選挙事務ミスについてお尋ねをします。総務省にお聞きしますが、二〇二四年の総選挙については集計中とのことですので、二〇〇四年の参議院選挙と二〇二二年の参議院選挙における管理執行上問題となった行為というのはそれぞれ何件あるでしょうか。
○笠置政府参考人 総務省では、国政選挙や統一地方選挙の際に各都道府県選管から管理執行上問題となった事項について報告をいただいております。御指摘の平成十六年、二〇〇四年及び令和四年、二〇二二年の参院選において管理執行上問題となった事項として報告のあった件数は、平成十六年、二〇〇四年が六十三件、令和四年、二〇二二年が二百二十四件であります。
○塩川委員 参議院選挙では、十五年余りで六十三件が二百二十四件と三倍以上、四倍近くに急増しております。二〇一五年、私の質問に対して当時の高市大臣は、選挙事務に携わった職員が不正を行うという事案が発生したことで、選挙への信頼を揺るがしかねない、ゆゆしきことと述べ、しっかりと注意喚起していくと答弁をしました。一九年の質問では、当時の石田大臣は、改めて通知を発出し、研修に選管OBを派遣する制度を新設するなどと述べております。
村上大臣にお聞きしますが、しかしながら、二〇一九年参院選でのこのような管理執行上問題となった行為二百件が三年後の二二年参院選では二百二十四件で、引き続き増えているわけです。こういった選挙ミスが増えている理由は何なのか、この点についてお答えください。
〔委員長退席、後藤(祐)委員長代理着席〕
○村上国務大臣 国政選挙等におきまして管理執行上問題となった事項としましては、投票用紙の交付誤りや、本人確認を十分に行わないまま投票用紙の交付を行うことなど、多くは単純ミスや思い込み等によるものであると考えております。
総務省としましては、このような事務的ミスの発生を避けるためにも、各選挙管理委員会において、選挙事務に従事する応援職員に対する研修の実施等により、個々の事務の目的や必要性について十分に確認いただくことが重要と考えております。
今後、参院選に向けた全国の担当者会議におきましてその徹底を要請するとともに、実務に精通した者を派遣する管理執行アドバイザー制度や、各選挙管理委員会における研修の徹底などを通じて、選挙の厳正な管理、執行に万全を期すよう取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○塩川委員 単純ミス、事務的なミスがあるんだと言うんですけれども、ではそれが何で増えたのかというところが問題だと思います。同じことが繰り返されるだけじゃなくて、増えているわけですから。
そういった点で、参議院選挙の場合に、比例代表選挙は非拘束名簿式、二〇二二年の立候補者数は百七十八人であります。この人数の候補者の個人名票をそれぞれ集計して、政党名票と合わせて各政党の得票数とし、当選者数を決め、個人名票が多い順に当選者が決まる。さらに、優先的に当選する特定枠も加わりました。候補者数が多く、複雑で膨大な開票作業が行われております。
参議院選挙で非拘束名簿式を導入した二〇〇一年以降、比例代表の候補者で得票ゼロでトラブルになったというのが少なくとも十六件あるとの報道があります。
○後藤(祐)委員長代理 今恐らく急用で大臣が退席されましたが、大臣に対する質問を予定するのであれば止めますが。(塩川委員「次があるものですから、止めてもらえれば」と呼ぶ)では、一旦止めます。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
〔後藤(祐)委員長代理退席、委員長着席〕
○渡辺委員長 速記を起こしてください。
塩川君。
○塩川委員 もう一問お答えいただいてから中座ということで事前に了解をしておったものですから。(村上国務大臣「済みませんでした」と呼ぶ)いえいえ。
このように、得票ゼロという開票区が比例代表の個人名であったという例というのが十六件あるとの報道もありました。
我が党の山下芳生参議院議員も、二〇一九年の参院選で大阪府堺市美原区でゼロ票となっておりました。その後、山下議員に投票した有権者の方々が、自分の一票はどこに行ったのかと訴えられたところであります。山下議員がこの問題を参議院の倫選特でも取り上げたところですけれども、自分の願いを託して一票を投じた有権者が、票が消えてしまったと、憲法に保障された参政権を侵害されたことに強い憤りを感じておられたということで、票が消えてしまったという方の中には、お年が百歳の方で、二人の方に介助してもらって投票所に行って投票した、その方なども、一票の重みを忘れないでほしい、こういうことを訴えておられたそうであります。このように、国民の参政権が侵害をされる、こういった事態は絶対にあってはならないことであります。
有権者が託した一票の重みを受け止めるべきだ、そういった際に、先ほどはミスが増えたのはなぜかということをお聞きしたんですが、今回は、何で選挙ミスがなくならないのか、こういったことについて大臣のお考えをお聞かせください。
○村上国務大臣 先ほどは失礼いたしました、許可が出たもので行ったので。
繰り返しになるんですけれども、総務省としましては、このような事務的ミスの発生を避けるためにも応援職員に対して研修の実施等により個々の事務の目的や必要性について一生懸命やっているつもりなんですが、やはりどうしても応援の方をいっぱい頼むこともありまして、残念ながらそういう申し訳ないミスが多々起こっているのではないかと思います。
○塩川委員 要するに、こういったミスというのが参議院選挙だけではなくて衆議院選挙においても、二〇〇五年の六十四件が二一年の二百九十六件と激増しているわけです。二〇二四年の総選挙の場合には解散から公示までが非常に短期間であった、こういった点で不在者投票の入れ忘れや投票用紙の二重交付などが全国で相次ぎました。
報道によれば、大阪府豊中市では不在者投票で受け付けた比例代表の五百二十五票を投票箱に入れ忘れていずれも無効になるとか、大阪府の富田林市でも不在者投票を執行室の保管庫に入れたまま投票を締め切り比例代表の三十二票が無効になるとか、川崎市ではパソコンの充電切れで投票システムが一時停止し約二十人が投票できなかったとか、有権者が投票した票が消えてしまう、無効にされてしまう、これが全国各地で起こっているということに危機感を持つべきであります。
しかも、二〇一〇年代に現憲法下で起こらなかったことが三件も立て続けに起こりました。国政選挙における選管による開票不正であります。一三年参院選での高松市選管の不正開票事件や、一四年総選挙での仙台市選挙管理委員会の不正開票。また、一七年の総選挙では、甲賀市の選管が、投票総数より開票した票数が少なかったために白票の水増しでつじつまを合わせて、見つかった未集計の投票用紙を焼却処分していた。甲賀市選管の不正に関わり四百票の投票用紙を焼却した元総務課長はインタビューで、国政選挙では職員のプレッシャーが大きい、他の市町の開票状況も気になる、正確さは当たり前で速さが問われると答えております。何度も指摘してきていることですが、こういう事件の背景に、開票時間の短縮を求める、そういうプレッシャーがあったことは明らかだと思います。
基礎的な数字を確認しますけれども、一九九五年と二〇二二年の参院選時の開票所総数はそれぞれ幾つか、何か所減少したかを確認します。
○笠置政府参考人 参院選における開票所数でございます。平成七年、一九九五年は三千四百十か所、令和四年、二〇二二年は千八百九十七か所となってございます。
平成七年と令和四年を比較すると、開票所の減少数は千五百十三か所となってございます。
開票区は原則市町村単位、政令市の場合は区でございますが、そういった単位でございますので、市町村合併によりその数は減少しているということでございます。
○塩川委員 この二十五年間で開票所は四四%も減少しております。
現行の非拘束名簿方式が導入された二〇〇一年と直近二〇二二年の参院選時の開票所事務従事者の総数、これはそれぞれ何人でしょうか。
○笠置政府参考人 開票所事務従事者数でございますが、平成十三年、二〇〇一年は三十三万四百十三人、令和四年、二〇二二年は二十万九千九百二十三人となっています。
○塩川委員 二〇〇一年は三十三万人、二二年は二十一万人、開票所の事務従事者というのがこの二十年間で大幅に減少しているわけであります。
そして、国政選挙経費の基準額積算の前提となる開票時間の基準がどんどん減らされている。現行の基準は、準備、撤去の時間も含めて四・五時間となっています。二〇〇四年の改定までは、参院選の基準は六・五時間だったわけであります。二〇二二年の参議院選挙において四・五時間以内と六・五時間以内に開票終了している開票所の割合がそれぞれどうなっているのかについてお示しください。
○笠置政府参考人 令和四年の参院選におきまして、四・五時間以内に開票が終了した開票所の比率は約四一%、六・五時間以内に開票が終了した開票所の比率は約八三%となっています。
○塩川委員 開票時間の基準、現行の四・五時間以内にそれぞれ開票終了しているのは四割しかないんですよ。昔の基準の六・五時間に照らしても八二・六%ということですから、この開票時間の基準というのがもう実態に合っていないということを言わなければなりません。
今国会提出の執行経費法案でも開票時間基準が四・五時間のままです。四割しか終わっていないのに何で四・五時間のままにしているんですか。
○笠置政府参考人 令和四年の参院選の実態調査をしたところでございます。全ての開票所の平均開票時間が四時間五十分でございました。令和元年の平均開票時間は四時間四十五分、平成二十八年参院選の平均開票時間は四時間五十分と大差がなかったことから、現行の基準時間、四時間半を維持することとしたところでございます。
○塩川委員 時間が参りましたので終わりますけれども、四割の開票所しか達成していない開票時間の基準を四・五時間のままにしているということが開票時間のプレッシャーにつながって、ミスにつながっている、こういう問題があるということは真摯に受け止めるべきであります。開票所経費は抑えられ、開票所は大幅に減り、開票所の事務従事者数は激減をし、開票時間の基準は短時間のまま、こういった基準そのものを抜本的に見直して本当に信頼される選挙の開票事務を行わせていく、このことを強く求めて、質問を終わります。
○渡辺委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。
一昨日に続いて、すっきりしたところで、大臣、よろしくお願い申し上げます。
ちょっと質疑の順番を変えて、一番最後の質問から質問するんですけれども、政治改革についてということで。
平成の政治改革はリクルート事件をきっかけにして行われたものでありますけれども、そのときに求められたのは、政権交代がある二大政党制になれば政権交代が起きて政治というのはきれいになるんだといって行われて、小選挙区比例代表並立制というのが導入されました。二月二十六日の予算委員会で石破総理に私はそのことを聞いたんですけれども、石破総理は、平成の政治改革では小選挙区制を推進していた、だけれども仕組みとして二大政党に収れんすると考えたのは間違えておりましたと、明確に間違いだったということをお認めいただきました。
私は、政治改革の柱として衆議院選挙制度改革の抜本改革を実現する超党派の議員連盟の幹事長を仰せつかっておりまして、今、全部の衆議院を構成する政党、会派から代表者を出していただいて、百八十人、三分の一以上の人に参加していただいております。
大臣も、ちょっと古い記事ですけれども、二〇一二年三月の赤旗新聞、そこで、小選挙区制度が日本の政治にもたらした悪影響は計り知れないものがありますということをおっしゃっています。二〇一九年七月五日の朝日新聞では、議員の質が落ちた最大の要因は衆議院の小選挙区比例代表並立制にあるとおっしゃっております。
一昨日の委員会でも、小選挙区が政治改革だ、それに反対するやつは守旧派だ、抵抗勢力だと言われました、私は亡くなっていなかった島村元農水大臣と二人で最後まで抵抗しましたということをおっしゃっていますけれども、大臣、小選挙区制度が導入されて三十年ぐらいたって、日本の政治は小選挙区制度によってどうなったと考えているか、あり得べき選挙制度はどのようなものとお考えになっているのか、その点についての見解を教えてください。
○村上国務大臣 福島委員の質問は本当にデリケートな問題なので、私のような浅学非才な者が答えるのは難しいんですが。
まず最初にお答えしたいのは、小選挙区によって政権交代が行われると言われたんですが、実質は中選挙区で行われたんですね、政権交代は。
もう一点、中選挙区でお金がかかるから小選挙区にしたと言ったんですが、私の見解からすれば、小選挙区になったからかかるお金が少なくなったのではなくて、やはり連座制の強化だったと思いますね。特に、連座制の強化で何人かの方が当選しながら失格になった、そういうのが四、五名はたしかあったと思うんですね。それによって急激に経費がかからなくなったような気がします。
そういうことを前提としながらお話をしますと、大変失礼した島村先生と私は最後まで反対して、守旧派、抵抗勢力と言われました。もう一つ別に加えますと、郵政のときも実は島村先生と二人で最後まで解散に反対しました。
ただ、今後の政治を考える意味においてテイクノートしていただきたいのは、どうしても日本のマスコミの皆さんはそういうものを決めつけちゃうんですね。要するに、小選挙区が政治改革だ、それに反対する人は守旧派、抵抗勢力だと。郵政のときもそうでした。後で考えてみますと、一昨日も申し上げたように、企業献金の問題もそうですが、トータルで考えて、次の世代にどういう影響を及ぼすかまで考えてやるべきじゃないかと私は考えております。
それを前提としてお答えしますと、私は、去年の選挙が終わったときに、地元の新聞で対談をしたときに、もう記事になっていますから率直に申し上げます。三十数年たったんですが、正直言って、小選挙区比例代表並立制はある程度限界に近づいてきたんじゃないかなという気がします。
というのも、愛媛県を例に取ってみますと、愛媛県は昔は三、三、三で九人いたんですけれども、今は一区、二区、三区で分かれている。そうすると、一区は松山市で小さいんですね。ところが、あとの二区と三区は愛媛県の半分以上を全部やる。ということは、同じ愛媛県でも、選挙区の情勢が非常に狭いところと非常に広いところと極端になってしまう。
もう一点は、人口の多いところを見てみますと、例えば東京都は全部で三十小選挙区ですよね。三十にまでぶった切ってしまいますと、下手をすると町長選挙や市会議員選挙よりも狭くなってしまう。私は、選挙というのはある程度の広さがないと、特に国政選挙のような場合はある程度広めじゃないと妥当な結果が出ないような気がします。
ある人が言っていたのは、例えばですよ、その人が言っていた一つの例は、中国、四国、九州とか東北の方は各県ごとの三人区にする、三掛ける大体百五十の選挙区で四百五十人の定員にする、そういう提案もありまして、そういう方法も一つの考え方じゃないかなという気がしています。
だから、先ほど言いましたように、これらの選挙制度については、福島委員が言われたように各党協議に委ねて、実際に何がベターなのかをそろそろ話し合う時期に来たんじゃないかな、そういうふうな気がしております。
○福島委員 私も選挙制度の協議会のメンバーでありますので、来年の春ぐらいに結論を出すことを目指しておりますので、そこに貢献したいと思っているんですけれども。
もう一点御答弁いただきたいんですけれども、この間、中選挙区時代と小選挙区の両方を知っている大臣の世代はほとんどいらっしゃらなくなっているんですね。日本の政治とか政治家の質とか政治の在り方、それがどういうふうに変わったと実感をされているか、なかなか話を聞ける機会がなくなっているので、これを機に教えていただければと思います。
○村上国務大臣 福島委員の御質問なので、率直に話をさせていただきます。
私が最初に出たところは、私の選挙区は三人の定数で六人が出ました。それほど命懸けでありました。しかし、それで切磋琢磨して、何とか三回連続で中選挙区を通って、あとは小選挙区で全部当選した。そのときの経験からいいますと、同じ党内でいっぱい出るので大変なんですけれども、そこにおいて物すごく切磋琢磨があって、それぞれが自分の個性と政策を持ってぶつかっていけたというのがあったと思います。ただ、今の小選挙区だと党の公約が決まっていますから、党で政策が決まると自分の政策だとかがなかなか反映できないんじゃないかという気がします。
それで、私自身もやってきてつくづく思ったんですけれども、特に選挙区を見ていて、私の場合は選挙区が切られて松山の周りとくっつけられたんですね。候補者は一人しかいないんですよね。私はそのとき思ったんですけれども、地元の人たちは、A候補、B候補、C候補、D候補がいるわけじゃないですか、みんなが自分のみこしを担ぐような気持ちで一生懸命やってくれたんだと思うんです。ところが、御存じのように、一つの選挙区で一人の候補者しかいなくなると、Aのみこしを担いだ人は一生懸命やるけれども、今までBとかCとかDを担いでいた人たちはどうしても選挙に対する熱心さが薄れたんじゃないかという気がします。
そういう面で、私自身は、同じ選挙区でもA候補、B候補、C候補、D候補というふうにいろいろな選択肢がある方が、有権者もいろいろ選べるし、自分が担いだ候補を勝たせよう、頑張ろう、そういう意味で正直言って選挙に熱が入ったんじゃないかという気がいたします。
○福島委員 もう一点は、私は結局は政権交代による二大政党というのが幻想じゃないかと思っているんですね。結局、小選挙区比例代表制だと与党の自民党、公明党はがっちりしているんです。野党は常に分裂して、野党第一党になったら自民党の批判票が入るからそこそこ議席が取れて、逆にそこに安住しちゃって政権交代の機運が巻き起こらないのが続いているんじゃないかと私は思うんですね。
本家本元のイギリスでもリフォームパーティーというのが出て二大政党は事実上崩れているし、ドイツだってSPDとCDUがあったけれどもAfDが出てきて、とうとう二大政党が連立するまでになっていて、これだけ価値観が多様化し、なおかつポピュリスト政党や様々な極右政党が出ている中で、二つのうち一つを選べということ自体が政治の劣化を招いたんじゃないかと私は思っているんですね。
そうしたことも含めて、企業・団体献金。私は大臣の答弁にいっぱい異論はあるんですよ。ただ、政治と金の問題、けしからずと言うんじゃなくて、政治家の選ばれ方とか、日常の政治活動の仕方とか、それによって何のために政治家が働くかというのも決まってくると思うんですね。
少なくとも私が聞いた範囲で、ドイツとかイギリスで自分で金を集める政治家はいないですよ。党は集めても、個人が自分で金集めをやっているような国というのは、私は一般的に言って先進国と言えないんだと思うんですね。
政治に一定の金がかかるのは確かにそうではあろうけれども、選挙制度の話も含めて、私は、令和の政治改革というのはそこまでの大きな幅を持った、平成の政治改革で積み残したこと、やろうとしたけれども思うとおりにならなかったことを改める機会にすべきだと思うんですけれども、我々が今やるべき令和の政治改革はどのようなものであるべきかということを、大臣の御答弁をいただけないでしょうか。
○村上国務大臣 福島委員は非常に重要な点を御指摘なされたと思います。
実は昨日も各党間の、元弁論部というか雄弁会にいた人たちと二、三十人集まって会議をしました。それから、御存じのように、石橋湛山の勉強会も先生を始め皆さん方とやった。
そのときに感じましたのは、今、選挙制度上、自民党だ、立憲だ、民主だ、公明さんだ、いろいろ分かれているけれども、話してみると、ここだけの話で言っちゃまずいんだけれども、福島さんのように意見が全く一致する人もいるわけですよね。そのため、なぜ党が違っても同じ考え方の人たちがあえて別々にやる必要があるのかなという気が正直しております。
もう一点、今の世界情勢を見ていますと、多分、百年前に戻りつつあります。百年前になぜ戻りつつあるかというと、一九一〇年にスペイン風邪があって、一九二九年に大恐慌があって、一九三〇年にヒトラーが政権を取って、一九三九年に第二次大戦。まさにそれと同じような経緯を今たどりつつあります。
もう一つ大変なのは、世界を見渡した場合に、民主主義国家よりも全体主義国家の方が増えてしまったということです。また、委員が御指摘されたように、民主主義国家も残念ながらイギリスは政権交代が起こりましたし、フランスは極右が台頭しましたし、ドイツも連立だ。お隣の韓国は大統領が逮捕された。そうすると、曲がりなりに、実は民主主義が機能しているのは日本だけじゃないかという気が私はしております。
そういう面において、これからいろいろな難問が山積しております。特に財政再建や金融緩和の出口戦略、税と社会保障の野田さんが言っている一体改革を含め、そういう問題を各政党が分かれてやるというのは残念ながら時代にそぐわないんじゃないかな、だからそういう問題について共通意識を持っている人間が集まってできるような政治体制が必要じゃないかな、私はそのように個人的には考えております。
○福島委員 ありがとうございます。私も本当に全く同じ認識なんですね。
先日、同僚の緒方林太郎議員が予算委員会で質問をして、結局、今の小選挙区の下だと野党は野党第一党になった途端にぼんとボーナスがつくんですよ。そうするとどうなるかというと、ある野党は自民党に反対する意見を言うことでその票を取ろうとしますし、ある野党は野党第二党、第三党でも手柄を立てればいいといって、失礼ながら維新さんとか国民さんがそれでやると、結局はサービス合戦で何かの無料化だ減税だとやっているのが今の状況で、では国のトータルとして見てどうかといったら、決していいことじゃなくて。
小選挙区制度の下、党の考えばかりを言う議員が増えたこともあって、今はこの日本の政治自体が危機であって、世界的にも民主主義が危機という流れもあるけれども、その中でもとりわけ日本の民主政治の機能というのが弱まっているんじゃないかという思いがあるので、選挙制度と併せて二大政党の幻想を終わらせて、私は多党制の穏健な連立政権がいいと思っておりますので、大臣、是非これからまた御指導をいただいて、一緒に行動できるときが来るとありがたいと思っております。
私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十九分散会