第4号 令和7年4月9日(水曜日)
令和七年四月九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 金子 恭之君
理事 古賀 篤君 理事 土屋 品子君
理事 平沼正二郎君 理事 小熊 慎司君
理事 近藤 和也君 理事 森山 浩行君
理事 林 佑美君 理事 田中 健君
井出 庸生君 今枝宗一郎君
上田 英俊君 尾崎 正直君
鬼木 誠君 梶山 弘志君
勝目 康君 川崎ひでと君
黄川田仁志君 工藤 彰三君
小寺 裕雄君 後藤 茂之君
小森 卓郎君 坂本竜太郎君
高木 啓君 田野瀬太道君
田畑 裕明君 西田 昭二君
根本 拓君 松本 洋平君
三反園 訓君 森下 千里君
簗 和生君 山本 大地君
阿久津幸彦君 梅谷 守君
岡島 一正君 金子 恵美君
小宮山泰子君 齋藤 裕喜君
竹内 千春君 辻 英之君
馬場 雄基君 福田 昭夫君
柳沢 剛君 市村浩一郎君
杉本 和巳君 菊池大二郎君
鳩山紀一郎君 角田 秀穂君
中川 宏昌君 西園 勝秀君
吉田 宣弘君 櫛渕 万里君
堀川あきこ君 北神 圭朗君
…………………………………
国務大臣
(復興大臣) 伊藤 忠彦君
国務大臣
(国土強靱化担当)
(防災担当) 坂井 学君
国務大臣
(防災庁設置準備担当) 赤澤 亮正君
内閣府副大臣 鳩山 二郎君
復興副大臣 輿水 恵一君
復興副大臣 鈴木 憲和君
経済産業副大臣 大串 正樹君
環境副大臣 中田 宏君
内閣府大臣政務官 今井絵理子君
農林水産大臣政務官 庄子 賢一君
政府参考人
(内閣官房国土強靱化推進室次長) 丹羽 克彦君
政府参考人
(内閣官房行政改革推進本部事務局次長) 柴田 智樹君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室次長)
(内閣府政策統括官) 高橋 謙司君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 松家 新治君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(復興庁統括官) 山野 謙君
政府参考人
(復興庁統括官) 桜町 道雄君
政府参考人
(復興庁統括官付審議官) 牛尾 則文君
政府参考人
(復興庁統括官付審議官) 瀧澤 謙君
政府参考人
(復興庁統括官付審議官) 大沢 元一君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 大村 真一君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 小谷 敦君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 田原 芳幸君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官) 金光謙一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官) 佐々木昌弘君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森 真弘君
政府参考人
(農林水産省大臣官房生産振興審議官) 佐藤 紳君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 長崎屋圭太君
政府参考人
(水産庁漁港漁場整備部長) 中村 隆君
政府参考人
(経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長) 辻本 圭助君
政府参考人
(経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官) 川合 現君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 松原 誠君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 横山 征成君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 宿本 尚吾君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 服部 卓也君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 藤巻 浩之君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 佐々木俊一君
政府参考人
(気象庁長官) 野村 竜一君
政府参考人
(環境省大臣官房政策立案総括審議官) 中尾 豊君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局長) 白石 隆夫君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
参考人
(福島国際研究教育機構理事長) 山崎 光悦君
衆議院調査局第三特別調査室長 南 圭次君
―――――――――――――
委員の異動
四月九日
辞任 補欠選任
尾崎 正直君 勝目 康君
鬼木 誠君 坂本竜太郎君
小寺 裕雄君 森下 千里君
小森 卓郎君 三反園 訓君
根本 幸典君 高木 啓君
松本 洋平君 田野瀬太道君
竹内 千春君 辻 英之君
中川 宏昌君 角田 秀穂君
西園 勝秀君 吉田 宣弘君
同日
辞任 補欠選任
勝目 康君 山本 大地君
坂本竜太郎君 根本 拓君
高木 啓君 今枝宗一郎君
田野瀬太道君 松本 洋平君
三反園 訓君 上田 英俊君
森下 千里君 小寺 裕雄君
辻 英之君 竹内 千春君
角田 秀穂君 中川 宏昌君
吉田 宣弘君 西園 勝秀君
同日
辞任 補欠選任
今枝宗一郎君 井出 庸生君
上田 英俊君 小森 卓郎君
根本 拓君 黄川田仁志君
山本 大地君 川崎ひでと君
同日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 根本 幸典君
川崎ひでと君 尾崎 正直君
黄川田仁志君 鬼木 誠君
―――――――――――――
四月一日
災害対策基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
災害対策基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
東日本大震災からの復興・防災・災害に関する総合的な対策に関する件
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○金子委員長 これより会議を開きます。
東日本大震災からの復興・防災・災害に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として福島国際研究教育機構理事長山崎光悦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付のとおり、内閣官房国土強靱化推進室次長丹羽克彦君外三十六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○金子委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂本竜太郎君。
○坂本(竜)委員 皆様、おはようございます。自由民主党の坂本竜太郎であります。
本日は、この特別委員会で質問の機会を頂戴いたしました。御配慮を賜りましたことを心より御礼申し上げます。ありがとうございます。
また、金子委員長を始め各委員の皆様、そして伊藤復興大臣を始め政府の皆様におかれましては、歴代の皆様も含めて、大変この間、福島県に対しましてお力を賜っておりますこと、心より御礼を申し上げさせていただきます。
初めて原発被災地である福島県の浜通りが一つの選挙区となった、その小選挙区からお送りいただいている者として、しっかりと、皆様方の御指導を賜りながらその役目を果たしてまいる所存でございますので、何とぞ御指導のほど、よろしくお願いを申し上げます。
本日は、思いがあふれておりまして、大変質問数が多くなっちゃいまして、早口になってしまいます上に、福島言葉が全く抜け切れておりませんので、お聞き苦しい点が多々あろうかと思いますが、何とぞ本日は、本日に限っては御容赦いただき、そのことを心からお願い申し上げて、質問に入らせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
これまでも様々なシーンで力強い御答弁をいただいておったわけですが、新しい年度が始まったということで、改めてお伺いをさせていただきます。
本年度は、御承知のとおり、第二期復興・創生期間の最終年度である。これすなわち、今後五年間を占う重要な年度であるということでございます。特に、昨年秋には、いわゆる行政事業レビューによりまして地元が大変な不安に覆われた時期もございました。しかしながら、十二月十四日には石破総理が福島にお運びくださいまして、今後五年間は、これまでの五年間を上回る事業規模の予算を、あるいは財源を確保していくんだという力強いお言葉を発していただいた次第でございます。
本当にありがたいことでございますが、こうした経緯を踏まえまして、本年度にかける伊藤復興大臣の熱き思いを是非お披露目いただければと、まずお願いを申し上げる次第であります。お答えいただければと思います。
○伊藤国務大臣 おはようございます。
坂本君については、現地福島で、発災時から県会議員を含め御活躍をいただき、骨を折ってきていただいたことに深く感謝を申し上げておきます。
東日本大震災の発災から十四年が経過をし、震災からの復興は、被災地の方々の御尽力により着実に進展している一方ではありますが、原子力災害被災地域においては、避難指示の解除の時期等により復興の状況が大きく異なっていることなど、それぞれの地域の状況に応じたきめの細かい対応が必要であります。
被災地の復興に全力を挙げるべく、私自身、今年度も気を引き締めて職務に邁進していく所存であります。
また、議員の御発言のとおり、次の五年間の財源を確保することについては、誠に重要なことであり、昨年末の復興推進会議決定において、今の五年以上に力強く復興施策を推進していくための財源を確保し、特に、福島県については、次の五年間の全体の事業規模が今の五年間を十分超えるものと見込んでおります。この決定に基づき、財政当局ともしっかり調整をさせていただき、必要な財源を確保してまいりたいと存じます。
引き続き、福島復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なしという強い決意の下に、現場主義を徹底し、被災地の皆様方に寄り添いながら、復興に全力で取り組んでまいります。
以上です。
○坂本(竜)委員 大変力強いお言葉、ありがとうございます。それぞれの皆さんの御理解があったればこそでございますので、地元もしっかりと果たすべき役割を認識して進んでまいりたいと思っております。
特に、本年は夏頃にかけて、いわゆる青写真、この間、法定化もしていただいて推進していただいておりますイノベーション・コースト構想を基軸といたしました産業発展の青写真について五年ぶりに改定がなされる時期でございます。青写真でありますから、ビジュアル的にどなたにも分かりやすく、同じような認識を共有できることであってほしいと思いますし、分かりやすさというのが必要であると思いますし、そのために自分たちがどうすべきかということや、この先の未来像や将来像や希望についても共有できるものであっていただきたいと思います。
そのためには、行政事業レビューの御指摘もありますけれども、いかにこれからあの地域が広域的に取り組んでいくべきかということと、それから、中長期の視点に立つこと、さらには、そこに戦略性というもの、この三つをかけ合わせた、いわば3Dの青写真のようなもの、3Dブループリントとでも申しましょうか、そういったもので私はあっていただきたいと思うところでございます。
そこで、この福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真の改定に当たっての考え方につきましてお示しをいただきたいと思います、現時点のです。
○辻本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の青写真につきましては、本年夏頃の改定を予定しております。それに先んじて、本年二月に開かれました原子力災害からの福島復興再生協議会の場におきまして、目指すべき方向性をお示ししたところでございます。
現行の青写真に基づき、これまでの産業復興の支援策を通じて徐々に産業集積の芽が出つつあるこの一方で、これを持続可能なものとしていくためには、継続的に創業や企業進出が行われ、それら企業の経済活動が地元企業に波及効果をもたらし、持続的に稼げるようにする環境整備が重要でございます。そのため、重点分野につきまして、収益化をより強く意識した産業集積や面的なサプライチェーン構築を進めることで地域の稼ぎを創出してまいります。
また、このような産業集積に加えまして、新たな活力の呼び込みやにぎわいの創出を通じて、浜通り地域に移住者や関係人口が集まる好循環を生み出していく、こういう方向性を関係省庁や県、自治体を含む幅広い関係者間で共有し、連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
○坂本(竜)委員 是非、分かりやすいものとして、自信を持って打ち出していただければと思います。
そして、このイノベを更に確たるものにするために、いわゆるF―REI、福島国際研究教育機構がいよいよ今度、二十六日に拠点の整備の起工式が行われます。また、機構としてはもう既にスタートして二周年を迎えたところでございますが、このF―REIの在り方についても、もう一歩、二歩、御工夫をいただきたい。
世界に冠たる創造的復興の中核拠点とうたっております、そして、世界中から最先端、最新鋭の研究開発、あるいはそれにふさわしい研究者や先生方をお招きするとされておりますが、更にその先を見据えて大事なことは、これも当初から掲げてはいただいておりますけれども、いかに産業化を目指すことができるかということでございます。
この国会でも、いわゆる、この国が再び半導体産業に力を入れていくということを議論されました。何で、先端を走っていた我が国が後塵を拝するようになったか、その要因は何かといったときに、研究開発には力を入れたけれども、実用化や産業化になかなか支援が足りなかったんじゃないかという指摘や御答弁もあるわけでございます。この轍を踏むわけには到底いかないわけでありまして、このF―REIに関しましては国策、国家戦略としてこの産業化に向けて突き進んでいただきたいと思うわけでございますが、そのお取組についてお考えをお示しいただきたいと思います。
○鈴木副大臣 お答え申し上げます。
F―REIは、研究のための研究を行うのではなく、福島や東北の復興に結びつけるため、新たな産業の創出に資する研究開発を進めることとしております。
現在F―REIが取り組んでいる委託研究においても、一部で地元の民間企業にも参画いただくとともに、浜通り地域等を実証フィールドとして活用することとしており、地元との連携をしっかり図らせていただきたいというふうに考えております。
また、今月一日には、福島ロボットテストフィールド、これをF―REIに統合したところでありまして、ロボテスの更なる発展、活用につなげるとともに、F―REIの研究開発のみならず、その成果を生かした産業化の取組が進むように支援をしてまいります。
委員から御指摘のとおり、言葉では世界に冠たるということは言うことはできますが、実際にこれを実現するのは大変困難を伴いますし、地道な努力も伴うというふうに考えております。先生から御指摘のとおり、F―REIと産業界、そしてまた地元企業との連携がこれからもしっかりと進んで、また産業化にしっかりと資するように、復興庁が中心となって、一丸となってF―REIを支えてまいりたいというふうに思います。
○坂本(竜)委員 ありがとうございます。
是非、復興庁さんのリーダーシップでこれを成し遂げていただきたいと思います。そして、今度は福島がいよいよこの国全体に、あるいは国際社会にも貢献していくんだという段階に入ることがかなえばと思っております。
せんだって、三月十一日、三・一一の日にやはり石破総理が福島にお運びいただいた際に、この福島での取組の成果を全国に波及させるんだと、地方イノベーション創生構想というものを打ち出していただきました。大変心強いことでございます。
現時点ではまだ構想の段階かとは存じますけれども、我々福島県民が希望を持てるような、あるいは全国の方々にしっかりと注目をしていただけるような状況に一刻も早くしてまいりたいと思いますので、現時点での構想についてお示しをいただければと思います。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきました、三月十一日、石破総理の車座対話におきまして、総理からは、福島で得られた示唆あるいは好事例を全国で普遍化していく旨の御発言があったということでございます。
今御指摘いただきました地方イノベーション創生構想につきましては、地方の経済、産業を創生するということで、省庁の縦割りを排し、連携して施策を統合化、重点化し、取組が点から面に広がる変化を起こすということで、地方創生二・〇の一つとして検討を行っているというところでございます。
具体的には、様々な新結合ということで、各省庁の施策ですとか、それから中小企業、地銀、大学、高専等、そうした主体の新結合、それからあと人材ですね、都市の人材の副業、兼業ですとか、そうした組合せを様々行っていくということで検討してまいりたいということでございます。
この三月、関係省庁会議で具体化を今進めているところでして、本年六月に取りまとめ予定の地方創生二・〇の基本構想に反映させてまいりたいと考えております。
○坂本(竜)委員 ありがとうございます。
是非、これまでの取組、そしてこれからの福島の復興の取組、これらを生かして全国展開につなげていただければと思います。
同じように、こうした取組の成果を世界中の方々にお伝えできる絶好の機会も間もなくやってまいります。三日後に開会式を迎えます大阪・関西万博でございます。
五月にはテーマウィークの展示として、東日本大震災からのよりよい復興ということでいろいろな発信の機会があるわけでございますけれども、一過性のものではなく、是非この効果、成果を波及させていただきたい、一人でも多くの方々に御覧いただくとともに、一人でも多くの方々に福島を始めとする被災地にお運びいただく機会に是非つなげていただきたいわけでございますけれども、そういった取組についてどのようにお考えであるのか、お示しをいただきたいと思います。
○鈴木副大臣 お答え申し上げます。
復興庁では、世界各国の注目が日本に集まる二〇二五年大阪・関西万博の機会を生かしまして、多くの方々にこの機会を使って被災地まで足を運んでいただけるよう、被災地の復興しつつある姿やその魅力を世界に発信をすることとしております。
万博におきましては、よりよい復興をコンセプトに、震災伝承・災害対応、食・水産、最新技術、またF―REI等をテーマに、復興のストーリーを映像やパネルで展示をすることとしております。
その中で、被災地への誘客を促すメッセージをできる限り盛り込むこととしておりまして、被災地の高校生や大学生が地元のお勧めスポットを紹介する展示なども実施をすることとしています。さらに、食・水産のテーマでは、被災地の食品、水産品の紹介や試食なども実施をいたします。
先生からも御指摘のとおり、万博という機会を最大限生かしまして、多くの方々に被災地に足を運んでいただけるように努力させていただきたいと思います。
○坂本(竜)委員 よろしくお願いしたいと思うんですが、そもそも、大阪、関西圏と福島や東北の立地関係とかアクセス方法などについても不案内な方々が多く御来場いただくわけですから、可能であればそういった点にも御配慮いただいて、これが結実するようなことを、まだ時間はございますから、最後の最後まで是非工夫を重ねていただきたいと強くお願い申し上げさせていただきます。
ここでちょっと、現実的な、本当に重い問題、足下の問題に触れさせていただきます。
せんだって、地元の首長さんの心情、心境、苦しい思いを吐露したことが一部報道で取り上げられました。除去土壌についてのことであります。
十年以上前に大変重い御決断をいただいてこれが動き出してから、はや十年たってしまった。お約束の年限まではあと二十年ある。しかし、二十年まだあるという認識には到底立てない、もう二十年を切ってしまったという危機感、それは、何となれば、この十年間、目に見える進展が見られなかったことによるものであるとお察しするところでございます。
あの報道を受けて様々な議論もあって、この短い間に環境省さんにおかれましてもいろいろな取組をされて、進捗も見られたし、今年度新たに取り組むことももう明らかになっていることと思いますので、現時点、最新の取組状況、在り方のあるべき姿についてお示しいただきたいと思います。
○中田副大臣 福島県内で発生した除去土壌についてでありますが、中間貯蔵を開始してから三十年以内、二〇四五年の三月ということになりますが、それまでに県外に最終処分をしていくという方針については、これは国としてのお約束でありますし、法律にも規定をしておりますので、着実に進めてまいりたいと考えております。
お尋ねいただいたこの一か月間の進捗ということでありますけれども、これまでの再生利用の実証事業や有識者の助言などを踏まえまして、三月二十八日に、除去土壌の復興再生利用や埋立処分等の基準、ガイドラインを策定をいたすとともに、最終処分場の構造、必要面積などに係る複数選択肢も含めた、県外最終処分に向けた今年度以降の当面の進め方ということをお示しをいたしました。
今後でありますけれども、今年度以降の当面の進め方に沿って、復興再生利用の推進、最終処分の方向性の検討、全国民的な理解の醸成等、これを三本柱として進めてまいりたいと考えています。
また、昨年十二月に設置されました閣僚級の会議の下で、二〇四五年三月という、これまでに県外最終処分の約束が果たせるように、政府一体となって、復興再生利用案件の創出等に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えます。
○坂本(竜)委員 是非、政府一体となってとのお言葉がありましたけれども、国全体で取り組んでいただきたい。
それは、除去土壌の在り方だけじゃなくて、先ほど来申し上げております財政上の不安とか企業誘致の課題とか、それに伴って、住宅の問題とか生活環境の問題等、いろいろな課題がある中で、総合的に不安が増幅されて心境の吐露があったものとお察ししますから、国民の皆さんの理解醸成をいただくためにも、もちろん政府挙げて、国の責任でということになるわけでございますので、改めて、復興庁としてリーダーシップを取っていただきたい。
この県外処分に向けた理解醸成の在り方について、どのような御覚悟で進めていただけるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答えを申し上げます。
双葉町の伊沢町長の御発言につきましては、県外最終処分や再生利用について、福島県内外で十分な理解が広まっていないことへの危機感からのお考えを述べられたものと承知をいたしております。
福島県内で発生した除去土壌等を二〇四五年三月までに県外最終処分するという方針は、国としての約束であり、法律に規定された国の責務であります。
福島県内の除去土壌等の県外最終処分や再生利用の推進に当たりましては、科学的な知見に基づいて策定された基準の内容も含め、取組の安全性あるいは必要性に関する情報を分かりやすく発信することが重要であると考えております。
福島県内の除去土壌の処分につきましては、昨年十二月に、官房長官を議長とし、環境大臣並びに復興大臣を副議長とする福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議が開催をされたところであります。
この会議では、国民の理解の醸成を含め、本年春頃までに再生利用の推進等に係る基本方針を取りまとめるとともに、本年夏頃にロードマップを取りまとめ、特に、再生利用の推進については、環境大臣と復興大臣を中心に、各府省庁が一丸となって、再生利用の様々な案件の創出に向け取り組む指示があったところであります。
復興庁といたしましても、閣僚会議の場において、環境省を始めとする関係府省庁とともに取組の進め方を検討する中で、自治体を始め国民の理解醸成についてしっかりと議論をし、実行に及びたいと考えております。
以上です。
○坂本(竜)委員 時間が大分来てしまったんですが。
是非よろしくお願いしたいんですけれども、この土はどこから来たのかという問題なんです。ほとんどが農地なんですよ。五センチ除去したとしても、一センチの土壌ができるまでに百年かかると言われている。すなわち、五百年の歴史が奪われた。それどころか、山砂を新たに入れられたとか、不純物が混ざった土が入っちゃって荒れてしまった現実がある。その農地の地力の回復を、自らの手で堆肥を作ったりしていくという、今希望に燃えている地元の方がいるわけで、こういったことにしっかり国が向き合っていただくということそのものが、国の責任で復興を果たすということになるわけでございます。
もしお時間が許されるのであれば……
○金子委員長 いや、もう駄目。
○坂本(竜)委員 駄目ですか。
じゃ、時間が来てしまいましたので御答弁はいただけない。次に是非取っておかせていただきますし、あと、今の自動車関税の件もありますので……
○金子委員長 済みません、時間が来ていますので。
○坂本(竜)委員 はい。
いろいろお伺いしたいことがありますので、今後もまたお世話いただくことをお願い申し上げて、質問を終了させていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
○金子委員長 次に、森下千里君。
○森下委員 おはようございます。
本日、質問をさせていただく機会を頂戴して、誠にありがとうございます。
改めまして、東日本大震災の被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げるとともに、お亡くなりになられた皆様に哀悼の意をささげたいと思います。
震災から十四年がたった今でも、行方不明の皆様の捜索や御遺体の身元確認にも御尽力していただいておるというふうに伺っております。時間がたっても家族の皆様に寄り添われて活動されておる皆様に、まず心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
さて、私は東北宮城でございます。先ほど、坂本議員、そして、次に備えておる根本議員、福島ということでございまして、それぞれの地域が課題があるように感じております。震災から十四年たった今でも、まだまだ様々な課題がございます。私は、最大の被災地と呼ばれる石巻に暮らしながら、これまでの復興、短い期間でございましたが、見させていただいたその立場から、思いを込めて質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
この十四年間の間にも、災害というのは本当に多発化するようになりました。能登半島地震はもちろん、もう先々月になりますね、岩手県の大規模な火災から始まり、様々な地域で山林火災も続いております。このように災害が多発化し、そして激甚化しているこの状況の中で、また、南海トラフ巨大地震の被害想定も先日発表がされました。しっかり防災に備えていくということも大切ですし、また復興についてもしっかりと振り返りをしていかなければいけない、そういうふうに思っております。
被災した宮城県では、インフラは確かに整いまして、集団で移転をしたり、また復興住宅もでき、様々な産業も息を吹き返しているところでございますが、とはいえ、過疎化そして高齢化がどんどん進んでおります。移転したはいいけれども元の住居環境とは違う、お店がなくなってしまったとか、交通手段がなくなってしまって本当に困っている、そういった住民の皆様方からのお声を聞かせていただいております。やはり、地域課題が他の地域よりも進んでいる、またそれが顕著になっているのではないかというふうに感じております。
このように、災害を特に機として人口が減少していく局面の中で、産業やそして社会、地域のコミュニティーをどうやって維持していくのかということをお伺いしたいです。先日も宮城県にお越しいただきました鈴木復興副大臣にお伺いしたいと思います。
○鈴木副大臣 御質問ありがとうございます。
まず、森下委員には、本当に地元の、特にまだまだ厳しい移転元地の活用の在り方とか、そういうことについて地元の首長の皆さんと一緒に活動していただいているということ、この場をおかりして敬意を表したいというふうに思います。
国勢調査によれば、震災前後の被災三県の人口減少率は全国平均よりも大きくなっております。こうした状況も踏まえまして、避難された方々の帰還に加え移住、定住の促進なども図るため、魅力ある地域づくりが何よりも重要であるというふうに考えております。
このため、東日本大震災の被災地においては、企業誘致や伴走支援といった産業復興の取組、地域におけるコミュニティー形成活動、そして医療、介護、教育等の生活環境整備、また心のケアなどに対する支援を行ってきたところであります。さらに、地方創生の施策を始めとする政府全体の施策等も一層活用しながら、人口動態も踏まえた取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
私も、これは個人的にということになりますが、三月の末に、子供の春休みを利用しまして、家族で石巻市の蛤浜にお邪魔をさせていただきました。浜の生き方はどういうものであるかとか、山の大切さ、こういうことについて子供たちにも学んでほしいなという思いでお邪魔をさせていただきました。
今、全国で人口減少する、私の地元もそうですが、自治体がたくさんあります。もしかすれば、委員から御指摘のとおり、災害を契機にそれを先に一歩行っているというのが先生の御地元かというふうに思いますが、被災地で始まっている新たな試みや取組もたくさんあるというふうに感じておりますので、復興庁としても、それらの取組をできる限り多くの人に知ってもらったりして、また、多くの皆さんに現場に足を運んでもらうように、私自身も含めて応援をしていきたいというふうに思います。
○森下委員 ありがとうございます。石巻にもお越しいただきまして、本当にありがとうございます。
現地で肌で感じることというのは本当にたくさんあるなというふうに感じるわけなんですけれども、それと同時に、まちづくりの難しさというのを本当に痛感します。それぞれ、地域のよさ、また反対に、欠点と言ってしまってはちょっとどうなのかなと思いますけれども、どうしても生かし切れないようなところもある。そのもどかしさの中でも、やはり地域の住民の皆様方は、まちづくり、やはり暮らしの再建のために、これまで本当に心折れずに頑張ってきてくださっているなというふうに感じます。
反対に、私たちのいわゆる被災地でありますが、能登半島地震が起きたときには、今度はお返しだといって、皆さん、土砂の撤去のお手伝いに行かれたりとか、また炊き出しの支援だったりというふうに、本当に心折れず、しっかりと活動されておられる姿に私も励まされております。
本当に、災害をきっかけに暮らしが大きく変化しているなというふうに感じます。もちろん高齢化も進んでいる。
その中で、ある被災された地域でありますけれども、移転先でどうやって町を再建していくかということを、地域の皆様方、いわゆるコミュニティーの皆様方で意見を出し合ってしっかりと、これも段階的に復興を成し遂げておられる地域がございます。特に高齢化が進んでいる中で、見守り活動だったり、元地の活用というのもその地域はやられておられまして、しっかりと心一つに復興へ進んでおられたという大変にすばらしい地域でありまして、県外の皆様方からも、これはまちづくりの勉強になるということで足を運んでいただいているケースもございます。
ですが、実際に、こうした心の復興事業というのは今年度で打切りとなります。やはりこれまでの支援があったからできていたというのも現実であるわけでございますので、是非とも、今後は県や市町村にこれが移管していくというふうには伺っておりますが、自治体に任せっ切りにするのではなくて、しっかりと、こうしたモデルケースになるような事例に関しましては、これからも国で支援をしていただきたいというふうに考えておりますが、御見解をお聞かせください。
○山野政府参考人 お答えいたします。
震災からの復興におきましては、被災された方々に対して、災害公営住宅等への移転など、復興のステージに応じ、切れ目のないきめ細やかな対応に取り組んできております。
復興庁では、被災自治体における高齢者等に対する見守りやコミュニティー形成等の支援を実施するほか、心の復興事業として、農作業や伝統芸能、物づくり等を通じた交流により、被災者が人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていけるような機会を提供する取組を支援してまいりました。
復興の基本方針におきましては、地震、津波地域について、令和七年度までの第二期復興・創生期間において、復興事業がその役割を全うすることを目指すこととしております。
発災から十四年以上が経過する中、コミュニティー形成や生きがいづくりといった課題については、これは被災、非被災の分け隔てなく包括的に対応することが重要であるというふうに考えております。各自治体においては、今後の必要な取組について、地域の実情を踏まえながら、関係者と連携して検討が進められると承知しております。
各自治体の置かれた状況は様々でありますが、復興庁としては、自治体からの相談に個別に対応し、御意見などを丁寧にお伺いしながら、関係省庁とも連携して適切に対応していきたいというふうに考えております。
○森下委員 ありがとうございます。
やはり、被災されて住居環境が変わってしまって、特に、いわゆる長屋スタイルというか、戸建てで部屋が連なっているようなところでは、実は、もうおうちの中から出てこられないという方もたくさんおられました。やはり人と会うのが怖いとか、そういったところもありました。また、新しく関係をつくるのも本当に面倒くさいといって、なかなかお出になられない方たちもおられました。
以前であれば、お隣の家にしょうゆを借りに行ったりとかそういったことがあったと思うんですけれども、そういったコミュニティーすらなくなってしまったのが被災地でありますから、そう考えますと、これまで、本当に皆様方で、まさに本当に心折れず、希望を持ってコミュニティーをつくってきておられた皆様方に対して、本当に、ここで終わりというわけではないんだと思います。心の復興というのは、私は、終わりがないなというふうに感じます。
そういったところを踏まえまして、先ほど個別で対応というものもありましたので、そういったすばらしい事例に関しましては、やはりモデルケースとして是非とも活動を継続していただきたいと思うんです。そうした皆さんがおられるからこそ、私たちも頑張ろう、そんなふうに励みに思ってくださる方もたくさんいると思うので、是非とも御検討をよろしくお願いします。
やはり被災地は人口が減っておるところは否めませんが、それでも、一方で、先ほど鈴木復興副大臣もありましたとおりで、自然が好きだという方だったり、少し穏やかに暮らしたいという形で、今、都心部から引っ越してこられる方、いわゆる移住者もおられます。私も移住者の一人でありますので、それはそれとして、仲間がたくさん出てきて大変にうれしいなと思っているところなんですが、その一つのきっかけになっているのがお試し移住であると思います。
このお試し移住というのは、私の地域では、いわゆる移住コーディネーターの方が頑張ってくださっておりまして、いろいろな移住に対する支援を行っております。
その中で、実際に移住に当たってまずお試し移住をする住居先というのが、実は復興住宅を使わせていただいております。
この復興住宅というのは様々なタイプがありまして、戸建てのタイプからマンションタイプ、又は海が見えるような、美しい景色が見える、そういった場所に建っているものから、町中だったり便利だったり、様々なタイプがあります。
共通して言えるのは、やはり築年数が浅いためきれいなんですね。外に水道がついていたり、アクティビティーに対応していたりと、そうしたすばらしい住居が多いなというふうに思っておりまして、おかげで大変に人気なんです。けれども、お試し移住のために使わせていただいておりましたが、これが目的外使用ということで、先日から使えなくなってしまいました。使わせていただいている地域もあるんですけれども、そうではないところもあります。聞けば、これはやはり自治体さんの考えによってしまうところがあるそうなんですが。
それともう一つが、復興住宅自体が、ある一定の収入を得られるようになると家賃が高くなってしまうというところがあるんです。そうしますと、ある程度稼げるようになってしまいますと、再建するといった形で家を新しく建てたりと、若い夫婦は特に出てしまう傾向があります。そうしますと、その団地というのは御高齢の方ばかりが残ってしまうというのが現実です。また、亡くなったりとか転居される方もいますので、せっかく高台移転して町をつくった、町というかちょっとした団地を造ったのにもかかわらず、歯抜けになってしまって、少し寂しいような印象も見えます。
私自身も、この復興住宅、大変にすばらしい価値があるというふうに感じておりますし、やはり何より、使わなければいけない、活用しなければいけないのではないかというふうに思っておるのですけれども、今後の復興住宅の利活用について今度はお伺いしたいと思います。
○横山政府参考人 お答えいたします。
御指摘の災害公営住宅の空き住戸の利活用についてでございますけれども、災害公営住宅の入居者は、災害発生の日から三年間は、当該災害により住宅を失った者でなければならないとされておりますけれども、既に東日本大震災からは三年経過してございますので、自治体の運用により、被災者以外の方を入居させることが可能となってございます。
その上で、公営住宅に長期間の空き住戸が発生しているようなケースには、地域における様々なニーズに対応するため、通常の入居資格を満たす低額所得者の入居に支障のない範囲で、目的外使用として移住者、子育て世帯などの受入れに使用することが可能となってございます。実際に、東日本大震災の被災地の自治体でも、災害公営住宅においてこのような事例があるということも承知してございます。
各地方公共団体において、公営住宅の本来の目的を損なわない範囲ではございますけれども、地域の実情に応じ、空き住戸の有効活用に取り組んでいるというふうに承知してございますので、国土交通省としても、引き続き、公営住宅ストックの効果的な活用に向けて、地方公共団体向けの会議とか研修を通じて様々な取組事例について周知するとか、自治体の御相談にきめ細かく対応するとかといったことを通じて、適切な運用を促してまいりたいと考えてございます。
○森下委員 是非とも利活用、大変に重要だと思っております。町内会の集まりとかでも使わせていただいているケースがあると伺います。まさに自治体の判断になるとは思うんですけれども、国からもしっかりと、あるものを生かすという考えで活用していただきたいなと思っております。
そして、復興住宅もそうであったんですけれども、私がちょっと思っているのは、今、ペットを飼う方が大変増えておる中で、避難所においてペットが同伴で避難できなかったというケースがたくさん山積しております。実際に、町の中には野良になってしまったワンちゃんだったり猫ちゃんだったりがたくさんあふれていたというふうにも伺っております。
実際に、犬は登録されておりますけれども、猫は登録されておりませんので、実数値は測れないんですけれども、ある大きな場所で、ある土地、跡地ですごく集めて保護されていた方がおられたというふうにも伺うぐらい、本当におったというふうに伺います。
私は、やはりペットというのは今家族だというふうに感じております。そういった中で、ペットを置き去りにして避難するのではなくて、やはり一緒に避難をしてもらうのであれば、その先に、避難所に一緒に入れなければ避難することができないわけであります。実際に、ペットと入れないということで、車中で避難をされたという方もたくさんおられますので、是非とも、こういった中で、これから先にペット同伴避難ができるような避難所を設定していただきたいというふうに思うのですけれども、どうでしょうか。お聞かせください。
○中尾政府参考人 お答え申し上げます。
環境省では、災害時のペット同行避難の理解と普及を図るべく、東日本大震災や熊本地震での被災ペット対応を踏まえ、平成三十年に人とペットの災害対策ガイドラインを策定し、飼い主や地方自治体等への普及啓発等を進めております。
令和六年能登半島地震においては、一定数の避難所において、ペットと同行避難した被災者を受け入れるためのペットの飼養スペースの確保やペットの一時預かりが実施されるとともに、石川県内の全ての市町におきまして、仮設住宅にペットを連れて入居することが可能となる運用がなされております。ガイドラインを踏まえた対応が一定程度確認されております。
他方で、避難所に入れず、車中泊や自宅にとどまることを選択した被災者がいたということも確認されてございます。
環境省では、こうした令和六年能登半島地震での取組事例や課題を収集しており、今後、この周知を図り、また、これらの知見を踏まえまして、人とペットの災害対策ガイドラインの改定の検討を進めていくとともに、自治体におけるペットとの同行避難訓練の支援などの取組を進めていくこととしております。
また、令和六年六月に政府の防災基本計画において、市町村はペットと同行避難した被災者を避難所で適切に受け入れることなどが追記されたことから、今後、市町村における取組の一層の推進を期待しているところでもございます。
引き続き、都道府県や内閣府を始めとした関係省庁と連携し、ペット防災にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
内閣府におきましては、避難所において、自治体に対しまして、ペット同行避難者の受入れができる避難所やペットの預け先を紹介することなど、事前にペット避難のルールを決めておくことを求めているところでございます。
先ほど環境省から答弁ありましたように、能登半島地震の際にも、避難所の一部をペット同伴者用として使用するとか、あるいはペットを同伴できる避難所を設置するとか、中には、トレーラーハウスを設置して飼育スペースを確保した、そうした事例もあったところでございます。
引き続き、環境省と連携して、災害発生時のペットの避難について取り組んでまいりたいと考えております。
○森下委員 温かいというか、ありがとうございます。
本当に、動物が苦手な方も当然おられますし、好きでもアレルギーの方もおられるというのが現状だと思います。また一方で、飼い主は、自分が飼い主である責任として、ペットをしっかりしつけることと、やはり、自分が避難するときに、避難計画を立てるときにも、どこに逃げるのかという場所を明確化するためには、まず避難所をしっかり把握しておくべきだというふうにも考えますので、しっかりとこの辺りを私も頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
あっという間の時間となりましたが、まだまだ私も質問させていただきたい機会がありますが、またの機会と楽しみにしております。
どうもありがとうございました。
○金子委員長 次に、根本拓君。
○根本(拓)委員 自由民主党の根本拓でございます。
今日は、このような機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
時間も限られておりますので早速質問に移らせていただきたいんですけれども、まず、除去土壌についてお伺いしたいと思います。除去土壌についてのリスクコミュニケーションという観点からの質問になるんですけれども。
まず、この除去土壌なんですが、除去土壌と言われる中に二タイプの土があると理解しています。すなわち、八千ベクレルという基準値を下回っている再生利用な土と、基準値を上回っているために最終的な処分が必要となる土があります。
しかし、これが今いずれも、除去土壌だったり除染土というように一緒くたにして呼ばれていることが多いように思われます。その結果、それが仮に法律上の定義だったとしても、それをそのまま硬直的に用いることが実際の事実の正確な理解を妨げて、あたかも再生利用可能なものまで最終処分が必要な土だと思われてしまって、それがすごく危険なものだというような認識が広がっている嫌いがあるのではないかということを危惧しています。
実際、この点については、除去土壌の再生利用等に関するIAEA・環境省専門家会合最終報告書においても、放射能濃度八千ベクレル以下の除去土壌の再生利用と、放射能濃度が八千ベクレルを超える除去土壌について福島県外で最終処分するものを、全てのコミュニケーションにおいて明確に区分すべきであるというようにされています。
そこで、まず、八千ベクレルという基準値を下回っている土については、基本的に安全上の問題なく、再生利用が可能だということを理解してもらうということが重要であると考えています。
そこで、これを例えば復興再生利用土などと明示して、呼称上も明確にするべきなのではないでしょうか。もしかしたら、福島復興の土とか東北復興の土みたいな通称をつけることによって、土を使う全国の皆さんに、この土を使うことが福島だとか東北の復興の後押しになるんだということを分かっていただく、そういうことも考えられるのかもしれないと思っています。
一方で、基準値を上回る土については、これは最終処分すべきものですから、最終処分土などとして、福島県外での最終処分の在り方を今議論しているということを明確にするべきなのではないかと思っています。
このように、法律上の呼称にこだわるのではなくて、リスクコミュニケーションの観点から、除去土壌と言われるものに関する呼称を、再生利用可能なものと最終処分しなければいけないものとを明確に区分する形でその呼称を設定して世の中に発信していくべきと考えます。
まさに大臣もさっきおっしゃったように、こういう分かりやすい発信が求められていると思いますけれども、いかがでしょうか。
○中田副大臣 御指摘の名称でありますけれども、環境省としては、放射性物質汚染対処特措法の規定に基づいて、除去土壌という名称、これが正式なものというふうに考えております。除去土壌の復興再生利用や最終処分の基準については放射性物質汚染対処特措法の施行規則で定められておりまして、このため、法令上の用語を用いているという次第であります。
他方で、今、根本先生御指摘をいただいたとおり、復興再生利用や最終処分を進めるためには、リスクコミュニケーション、こういった観点も大変重要であります。理解醸成の取組を進めていくに当たって放射能濃度に基づいた通称名を付与するかということにつきましては、その通称がリスクコミュニケーションにおいてどのような影響を与えるかなどは、これは慎重に検討をしていく必要があるというふうに考えております。
○根本(拓)委員 中田副大臣、ありがとうございます。
まさに今法律上の用語を用いているわけですけれども、明らかにこれによって理解の混乱を招いているところがあります。確かに、用語をどう設定するかというのは、それは慎重に判断しなければいけないわけですけれども、通称というのはリスクコミュニケーションにおいて出発点になるものですので、これは最優先に、じゃ、どういう通称を用いるのがリスクコミュニケーションの観点から適切なのかということを是非早急に検討していただきたいというように思っております。
次に、最終処分土の処分の選択肢の絞り込みについてお伺いしたいと思います。
現在、政府の方からは、最終処分土について、処分のプランが四つほど大きく分けて示されているところです。政府の今後のシナリオによれば、このうちいずれの選択肢を取るかについては二〇三〇年頃までに決定するということになっています。
しかし、決定を着実に進めていくという観点からは、ある時点で、二〇三〇年頃に一気に四つのうち一つにするということを決定するのではなくて、段階的に選択肢を絞り込んでいくべきなのではないでしょうか。選択肢がたくさんあるために二〇三〇年頃までに決められないということでは困るわけです。
なので、効率的に進めていくという観点からは、例えば、必要となる技術だとか、必要となる費用、特に受入れ地から見たときの社会的な受容性、こういったことを考えて、選択される可能性が低いだろうと思われるものについては早めに切ってしまいまして、残りの選択肢の中で、じゃ、どれにしていくのがいいのかということを決めていくというのが効率的な決め方なのではないかとも思われます。
また、いずれにしましても、今ある選択肢をどのような観点から絞り込んでいくのかという点については、明示をしていくことが必要なのではないかと思っています。
具体的には、技術的なハードル、必要となる最終処分場の面積、最終処分を行う土、最終処分土と呼称したらいいんじゃないかと私は申し上げましたけれども、最終処分土が帯びることになる放射性物質の濃度、こういったものとともに、さらに、今減容をやろうとしているわけですけれども、減容にどれぐらいの費用がかかるのかが今明示されていないと思うんですけれども、減容にかかる費用。
こういったものを考慮要素として明示した上で、最終処分に向けた社会的な受容性が最も高い選択肢はどれなのかという観点から絞り込みをしていくんだ、こういう要素を示した上での方針というのを今後明らかにするべきではないかと思われますが、いかがでしょうか。
○中田副大臣 これまでの減容技術等の開発の成果や有識者の御助言などを踏まえまして、県外最終処分に係る複数選択肢や県外最終処分に向けた二〇二五年度以降の進め方について、環境省としてはお示しをしたところであります。
最終処分につきましては、議員が御指摘をいただいたとおり、減容技術等の効率化、低コスト化の検討、最終処分場運搬のための必要な施設等の検討、最終処分対象物の放射能濃度と社会的受容性に関する検討など、今後、様々な観点から検討を進める必要がございます。その結果を踏まえて、最終処分シナリオを精査するということになります。
中間貯蔵開始後三十年以内の県外最終処分という方針は、これはもう法律に規定された国の責務ということになりますので、議員の御指摘も踏まえまして、県外最終処分に向けて、技術的な観点と社会的な観点の双方から引き続き検討を行ってまいるということになります。
○根本(拓)委員 副大臣、ありがとうございます。
まさに副大臣がおっしゃったとおり、二〇四五年という終わりの時点は動かせないわけなので、そこに向かっていかに効率的に進めていくか。もちろん十分な検討、慎重な検討をしながらも、効率的に進めていく必要があると思っておりまして、この危機感を持った上で、私としては選択肢を段階的に絞り込んでいくべきだと思っていますし、あと、費用の明示ですね、減容にかかる費用。後から減容にかかる費用がこれだけかかるんだとなって、世論からすごく、そんなにお金を出すのかという反発があって全ての検討がひっくり返るということでは許されないわけですから、どこかの時点で、これぐらいの費用が減容にかかるんだということをしっかり明示した上で、選択肢の検討と絞り込みというのを進めていくべきなのではないかと思っております。
続いて、観点を変えて、新たな産業やスマート農業技術の振興に向けた取組ということについてお伺いをしたいと思います。
被災地域での規制緩和ということについて特にお伺いをしたいんですけれども、被災地域では、新たな産業だとか、これまでにないスマート農業技術を振興するための様々な取組が行われているところです。
ここで一つ重要になると思われるのが規制緩和でして、すなわち、新しい技術についての開発の世界においては、技術はある程度確立している、だけれども、それを実証しようとしても、その実証実験というのがなかなか効率的にできず、その結果、実装が思ったように進まないという事例があると聞いております。
この一つの例が、福島で進めている自動運転トラクターの開発でして、福島県は、RTK、リアルタイム・キネマティック・システムという位置情報測位システムというのを全県カバーできるように配置されていまして、全国で全県カバーは三県しかないといういい環境があって、これは何かというと、自動トラクターとかを操作しようとするときに、誤差が二、三センチで操作できる。地理的情報を把握しようとするときに、二、三センチの誤差しか出ない。普通のGPSよりもかなり高精度の位置情報測位システムが配備されています。そうすると、自動運転トラクターも高い精度で操縦できる。
しかし、この自動運転トラクターを運用しよう、実証実験しようとした場合、障害があるということが言われていまして、どういうものかというと、この自動運転トラクターが、圃場間、田んぼの圃場と圃場を公道をまたいで移動しようとする場合に、この状況を考えて、どう考えても人は余り通らないだろうというような地域であっても、立入禁止の許可を取って立入禁止の看板を一々設置しなければいけないという条件が付されてしまって、これを一々、行政に行って許可を取って看板を立てるみたいなのが実証実験の負担になっていて、これが実証実験を遅らせることになっているという声を聞いております。
そこで、こういう実証実験上のハードルを下げるために、地域特有の事情、エリア的に、人が幸か不幸か余りいなくなってしまったエリア、当然不幸なことなわけですけれども、そういうエリアにおいては、そういった地域固有の事情を加味した上で、それで安全上の弊害が生じにくいという場合には実証実験を効果的に行っていく、それで技術開発につなげていく、そのためのベストな環境を用意するという視点に立って、規制をできる限り緩和すべきではないでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
農業者が減少する中で、食料の安定供給を図るためにはスマート農業技術の活用は重要であり、その一つとして、自動運転トラクターなどロボット農機に期待しているところであります。既に圃場内での利用は実用化されておりますが、更なる効率利用に向け、圃場内だけでなく圃場間移動も可能なロボット農機の現場実装が必要、このように考えておりまして、令和六年度から、その安全利用に向けた実証試験を開始しております。
今年度からは、道路交通や車両関係の法令を所管する警察庁や国土交通省とも連携をいたしましてこの実証試験などを進めることとしておりまして、これらを踏まえ、例えば、ロボット農機が必要な安全装置を備えている場合には、委員御指摘のような立入禁止といった安全対策を別途取らずとも圃場間移動に係る実証実験を行うことができるようにするなど、ロボット農機の開発や社会実装に向け、実証試験などが円滑に実施されるよう取組を進めてまいる、このように考えております。
○根本(拓)委員 どうもありがとうございます。
今の御発言は、大変重い、重要だと思います。これによってかなり実証実験が進みやすくなるのではないかと思っております。
さらに、実用化フェーズになってくるわけですけれども、自動運転トラクターというものが実証実験を経て実用化するに当たっては、是非、その実用化のフェーズにおいても、トラクター自体が十分な性能を備えているのであれば、その立入禁止の看板を一々立てなくてもよくなる。実証のときはそれをしなくていいのに、実装、実用化のときにそれをしなきゃいけないんだと、結局、実用化されないことになってしまうので、これは是非、実用化においても同じような対応を取っていただきたいと思います。
それが可能かどうかということについてもできればお伺いしたいのとともに、さらに、実用化されるに当たっては、トラックの性能だけではなく、それが精度高く操作できる通信環境が整っていることにおいて、当該地域での実用化の許可というのが出されやすくなるんだと思っております。
そうであるとすれば、実証実験を行いやすく、さらに、RTKシステムというものが備わっている福島というのは自動トラクターの開発だとか運用を行うにはベストな環境だ、ここで自動運転トラクター、さらにはスマート農業、スマート農機を開発してほしい、そういうベストな環境が福島に整っているんだということを、是非ここで明示していただけないでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。
福島県につきましては、F―REIの拠点が置かれ、我が国の科学技術力、産業競争力の強化を牽引する研究開発が行われている、これに加えまして、県下全域にRTKシステムが既に配備済みであることなどから、農業分野においても、自動運転トラクターを始めとする自動走行可能なロボット農機の開発や実証を行う条件が高度に整備をされている全国屈指の地域である、このように承知をしております。
このため、これまでも、F―REIからの委託を受け、福島県下において、農研機構を中心に、大学、農機メーカー等との連携の下、スマート農業技術の開発を進めているところでございます。
これらの知見を基に、今年度からはいよいよ福島県下で、ロボット農機の圃場間移動を含む遠隔監視型の運行システムの実証試験に着手することになります。これから着手ということでございますので、現時点で予断を持って具体の運用についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、国交省や警察庁と連携し、ロボット農機の自動走行実現に必要な安全性の確保策を確立することを通じまして我が国におけるロボット農機の実用化を進めてまいりたいと考えておりますし、その際には、実際に利用できる運用、こういうものになるようしっかり検討を進めてまいりたい、このように考えております。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
今明言していただいたとおり、福島には全国屈指のスマート農業をやるための環境が整っていますので、是非多くの事業者の皆さんに来ていただきたいというように思っております。そのためにも、実証でできることが実用ではできないということでは困りますので、実用においても同じような取扱いをしていただけるように検討を進めていただけると大変ありがたく思っております。
最後に、今、F―REIについてもお話を出していただきました。まさに私も、こういう規制緩和も含めた産業振興をしていく上でF―REIを活用していくことが大事だと思っております。こういうF―REIに十分な人を、研究者を集めるためにも、福島なら大胆な実証ができるんだというような環境を構築してイメージを確立していくということが重要であるというように考えております。
そのためにも、最新技術の実証のための規制緩和だとか、インフラ整備などの環境整備を含めたあらゆる政策ツールを総動員して進めて、世界でも例を見ない一大実証フィールドをここに造るんだ、そして、F―REIに優秀な研究者を引きつけ、それを中核とした企業、産業の進出を進めて復興の更なる推進を図っていくんだ、こういうことを是非、大臣、今までもいろいろおっしゃっていただいているところですけれども、改めて明示していただけないでしょうか。
○伊藤国務大臣 委員御指摘のとおり、F―REIが国内外から優秀な研究人材を確保するとともに、実証フィールドの確保など、魅力的な研究環境の整備が極めて重要であり、本年、これから着工させていただくことに相なります。
そして、今農林水産省さんからもしっかり判こをついていただいたようなものだと思いますが、F―REIが現在取り組んでいる稲作の完全自動化に向けた技術開発でございますとか、地域における耕畜連携の推進などについても、浜通り地域等における実証フィールドを活用しながら研究開発を進めていくことが重要であるということでございます。
なおかつ、現地においては、既に製造に向けての工場を建てるという場所まで南相馬市に用意をしているわけですから、まさに一本で頑張れるということになると思います。
また、今月一日には、既に多数の民間企業が利用する福島ロボットテストフィールドをF―REIに統合したところであり……
○金子委員長 大臣、済みません、時間が来ておりますので、簡潔に御答弁ください。
○伊藤国務大臣 はい。
F―REIがロボテスを研究開発や実証等の拠点として活用することにより、ロボット、ドローン等の研究開発や産業化の取組が今後進んでいくことを期待しております。
さらに、アメリカのパシフィックノースウエスト国立研究所や英国原子力公社といった国際的な研究機関との連携も進めながら、原子力事故を乗り越えようとする福島においてF―REIが廃炉や放射線科学などに関する研究の場となることについても重要だと確信をしております。
引き続き、他の地域ではできない実証等を可能にするための規制緩和の検討も含め、浜通り地域等が世界にここしかできない実証フィールドとなり、F―REIの研究開発や産業化の取組が進むよう、復興庁として、関係省庁とも連携をしながらしっかりと取り組んでまいります。よろしくお願いします。
○根本(拓)委員 大臣、力強いお言葉、ありがとうございました。
終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、福田昭夫君。
○福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。
しばらくぶりで私もこの災害特の方に参加をさせていただいております。
本日は一般質疑なので、核廃棄物の処分等についてを中心に政府の考えをただしてまいりますので、大臣始め答弁者は簡潔にお答えいただければありがたいと思います。
質問に入る前に、私が、震災それから原発事故の後、公的に岩手、宮城、福島に入りましたのは、総務委員会の委員として入りました。また、これは党の仕事として、原発の中に防護服を着て入らせていただいて、見せていただきました。皆さんのお手元に、原発の状況が今どうなっているかという地図を資料一でお配りしておりますので、それを御覧いただきたいと思いますが、当時はこんな状況じゃありませんでしたけれども、それで入ってまいりました。
私的には、原発の大きな被害を受けた双葉町、浪江町、それから大熊町、富岡町の、三人の町長とは二回意見交換しています。双葉町の町長は、現町長、伊沢町長とだけお話をさせていただいています。さらには、宮城県の栗原市始め三市町の首長とも、指定廃棄物の最終処分をどうするかということについて意見交換をさせていただいております。
そうしたことを通して、私は、これから申し上げるようなことを最初から、栃木県が指定廃棄物の最終処分場が矢板に決まったときから、指定廃棄物については、福島第一原発の空いている土地、北の方に百町歩ぐらい空いていますけれども、そこに持っていけと最初からずっと言ってきた一人であります。そんなことを踏まえて今日は質問をさせていただきます。
まず、核廃棄物等の処分についてであります。
一つ目は、福島第一原発の廃炉を二〇五一年までに終了する目標は予定どおり実現できるのかどうか教えてください。
○辻本政府参考人 お答え申し上げます。
福島第一原子力発電所廃炉作業は、世界にも例のない、技術的に難易度の高い作業でございます。今後、より本格的な廃炉作業を迎える中で、様々な課題に直面することが予想されます。
一方で、燃料デブリの分析や取り出し作業により得られる原子炉内の状況などの知見や経験は、今後の作業に生かされるものであります。一部の作業に遅れが生じているものはございますが、現時点では、中長期ロードマップに基づく廃炉全体の工程に影響は生じないものと考えております。
政府としましては、中長期ロードマップに基づき、福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉に向けて、引き続き、最後まで責任を持って対応してまいります。
○福田(昭)委員 政府としては今そう言わざるを得ないんだと思いますが、御存じのとおり、福島第一原発の廃炉の技術指導を行っている原子力損害賠償・廃炉支援機構の山名元理事長は、共同通信のインタビューに答えて、とてもとても厳しい現実が見えてきている、したがって、どうも二〇五一年までには難しそうだということを答えております。それは皆さんが御承知のとおり、溶融核燃料、デブリの搬出工法について、まだどうやって搬出するか決まっていないというんですね。ですから、これが決まらない限り、いつ頃までに廃炉がちゃんと実現できるかなかなか厳しい状況だというのが、実は、この機構の山名理事長のインタビューに対するお答えであります。
二つ目でありますけれども、福島第一原発の使用済核燃料は、いつまでに、どこへ処分する計画なのか。目標が、デブリの搬出工法が決まらない中でこれを聞くのも何かと思いますが、そこまで見通しができているんですか、どうなんですか。お答えください。
○辻本政府参考人 お答え申し上げます。
東京電力第一原子力発電所使用済燃料につきましては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、中長期ロードマップにおきましてその取扱いを定めております。具体的には、二〇三一年末までに一号機から六号機の使用済燃料プールからの取り出し完了を目指すこととしております。
二〇一四年には四号機、二〇二一年には三号機から取り出しを行いまして、構内の共用プールへの移送を完了済みでございます。一、二、五、六号機につきましても、取り出し作業を進めてまいります。
取り出し後は、海水の影響や損傷を踏まえた長期的な健全性の評価や処理に向けた検討を行い、この結果を踏まえて、将来の処理、保管、管理方法について決定することとしております。
○福田(昭)委員 つい昨日でありますけれども、日経新聞の編集委員矢野さんが、「福島廃炉 二〇五一年の空疎」と題して、いろいろ詳しく述べております。
その中で彼が紹介しているのは、福島の復興と廃炉を掲げて福島の皆さんと対話を続けている早稲田大学の教授の松岡俊二先生は、燃料デブリの取り出しにかかる期間の試算をされたそうであります。その試算によりますと、何と六十八年から百七十年もかかる。福島第一が次元の違うメルトダウンである、まさにこれが、アメリカの原発のメルトダウンとは違う、つまり、そちこちにデブリが散らばっている、そういうメルトダウンであって、そう簡単に処理することが難しい、したがって百七十年でも楽観的な数字だ、こんなことを早稲田大学の先生が言われているそうであります。
政府はやはり現実を直視して対応すべき必要があるんじゃないでしょうか。これは回答は要りません。
次、三つ目ですけれども、三つ目は、ALPS処理水の放出により海水への異常はないのか、風評被害はないのか。福島のそれこそ漁業に携わる人たちが一番心配している話ですが。また、処理水の放出はいつまでに行うのか、保管跡地はどう利用する計画なのか。その辺も、もし決まっていたらお答えをいただきたい、教えていただきたいと思います。
○辻本政府参考人 お答え申し上げます。
ALPS処理水につきましては、二〇二三年の放出開始以降、十一回の放出が完了しております。これまでのモニタリング結果、またIAEAの評価から、安全であることは確認されております。
処理水放出に伴う風評影響につきましては、中国などによる輸入規制措置を受け、主にこれらの地域に輸出を行ってきた事業者を中心に影響が生じていると承知しておりますが、こうした影響を除き、国内では、水産物の価格の大幅な下落など、現時点で大きな風評被害を生じているという声は聞こえてはいないというふうに承知をしております。
また、ALPS処理水の放出期間につきましては、東京電力は、一定量の汚染水が発生し続けたとしても、福島第一原子力発電所の廃止措置終了までにはALPS処理水の海洋放出が完了できるという見通しを示しているところでございます。
また、ALPS処理水の放出が完了した区画につきましては、本年二月よりタンクの解体作業に着手したところでございます。東京電力によれば、空けた区画につきましては、燃料デブリ取り出しのために、取り出し装置のメンテナンス装置、燃料デブリの一時保管の施設等の設置を想定しているものと承知をしております。
○福田(昭)委員 これについては余り問題がなさそうだということで、特に、中国が先日発表したところによると、中国自身が検査をしてみたらば異常はなかった、こういう報道がありますが、もしそうであれば大変うれしい話であって、中国がもし解除してくれると、それこそほかの国ももしかすると追随してくる可能性も増えるかなということで期待をいたしているところであります。
次に四つ目でありますけれども、四つ目、中間貯蔵施設の除染土約千四百七万立米ですかね、これを二〇四五年までに福島県外で最終処分できるのかということでありますが、これについてもお答えをください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
福島県内で生じました除去土壌等の中間貯蔵開始後三十年以内、二〇四五年三月まででございますが、県外最終処分という方針は、国としての約束でございまして、法律にも規定された国の責務でございます。
本年三月には、これまでの再生利用の実証事業や有識者の助言等を踏まえまして、除去土壌の復興再生利用や埋立処分等の基準を策定するとともに、県外最終処分に向けた今年度以降の当面の進め方につきましてお示しをさせていただいています。
これらも踏まえまして、二〇四五年三月までの県外最終処分の約束が果たせますよう、昨年十二月に設置されました閣僚級の会議の下で、復興再生利用を始めといたしました最終処分に向けた取組を着実に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○福田(昭)委員 この問題は法律で決めればできるという話じゃないんですよね、実は。これはやはり、それこそ県外で受け入れてくれるところがなければできないわけです。そういうことで、ですから、そう簡単にできる話ではないと私は思っております。
ですから、今、調査によると、五県ぐらいは受け入れてもいいという話があるそうでありますが、しかし、それ以外のところ、三十五県ぐらいは全く返答がなかった、こんな調査もあるようでありますから、そう簡単に進む話じゃない。したがって、この除染土は、どれぐらいかはまだ予測できませんけれども、必ず残るという話になります。そうしたら、この除染土をどこへ処分するのかというのが大きな課題になってくるんじゃないかなと思っていますので、その辺、やはり放射性物質が降った地域の皆さんがどういう気持ちでいるのかというのも考えないと、この解決は難しいんじゃないでしょうか。
では五つ目でありますが、五つ目、原子力災害対策特別措置法に基づきいまだに出荷制限されている食品、野菜や肉は何県でどれぐらいあるのか教えてください。
○辻本政府参考人 お答え申し上げます。
現在、地域によって品目やその数は異なるものの、十四県におきまして出荷制限の措置が取られてございます。
実は、食品の規定の仕方なんですけれども、野生のキノコ類というような形で規定している食品類もございまして、必ずしも特定の品目を指定せずに出荷制限を指示している場合もございまして、品目数について一概にお答えすることは困難でございますけれども、例えば、具体的に言えば、一部地域により、野生のタラの芽、またイノシシの肉といったもの、野菜類、肉類といったものについて対象になっているところでございます。
○福田(昭)委員 私は、原発事故から十四年もたって、廃炉の目標も立たない、めども立たないんですかね。それから二つ目、使用済核燃料の処分もどうなるのか分からない。それから三つ目、食品の出荷制限もいまだに十四県で続いている。そうした中で、新しいエネルギー基本計画に原子力発電の新設などを位置づけたわけでありますけれども、これは余りにも早計じゃないかと思います。
それは、もし政府がやるべきとしたら、政府は、脱炭素と安定供給を両立をさせるために、原子力利用が世界の潮流だというようなことで進めているようでありますけれども、しかし、我が国にはまだ、それこそ使用済核燃料の最終処分場の候補地、適地もありません。
そんなことを考えると、やはり、再生エネルギーの活用や蓄電池の開発、あるいは、電気を直流で送って交流に変電する、その変電施設を開発して家庭に送る。これをやると、電気のロスが、例えば、北極と南極から送っても、赤道まで一七%のロスでそれぞれ届いちゃうというんですね。
ですから、そうした、電気を直流で送ってロスを少なくして家庭に交流にして届ける、そういう開発をしたら、これは世界初の開発で、物すごい、我が国にとっても世界にとっても大変有効なことになると思うんですが、せっかく福島にすばらしい研究施設ができたんだから、そこで研究するというのも私は一つの方法ではないかと思って提案をしておきました。
六つ目でありますけれども、六つ目、いまだに放射性物質に汚染されているとして輸入規制している国は幾つあるのか、また、輸入解除する予定の国は幾つあるのか、簡潔にお答えください。
○日下部政府参考人 お答え申し上げます。
日本産食品に対する輸入規制の撤廃は政府の最重要課題の一つでございまして、東日本大震災後、各国との二国間会談を含む様々な機会を捉え、日本産食品等の我が国の安全性確保の取組につき情報発信を行い、規制撤廃の働きかけを重層的に行ってきたところでございます。
この結果、現在までに四十九か国・地域で規制の全廃が実現いたしまして、今なお規制を維持しているのは、中国、香港等の六か国・地域となっております。
一方で、一昨年八月のALPS処理水の海洋放出を受けまして、その六か国のうちの一部の国、地域は日本産水産物の輸入規制を更に強化し現在も維持している状態は、大変遺憾だと考えております。
また、規制撤廃の時期についてでございますが、いまだこの中で決まったものはございませんけれども、引き続き、規制の早期撤廃に向けて、あらゆる機会を捉え、粘り強く働きかけを行っていきたいと考えております。
○福田(昭)委員 それでは次の質問に入りますが、五県、宮城県、栃木県、茨城県、群馬県、千葉県の指定廃棄物の処分についてお伺いをいたします。一つ目と二つ目はまとめてお伺いします。資料の二を御覧いただきながら、是非簡潔にお答えください。
五県の指定廃棄物の現状について、この資料二にありますように、これ以上進んでいるところがあるのかどうか。これは今現在進めているのが載っておりますが、二〇一八年以降、何か進んでいるところがあるのか、あったらお答えください。それから二つ目、五県の指定廃棄物の長期管理施設、最終処分場の場所について、決まった県があれば、それを教えてください。この一つ目と二つ目を簡潔にお答えください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘の資料二を御覧いただきながらと思いますが、御指摘の五県のうち、宮城県、栃木県、千葉県の三県につきましては、各県ごとに長期管理施設を設置して集約する方針でございます。茨城、群馬につきましては、平成二十八年に開催した、方針に基づきまして、指定廃棄物の現地保管を継続して、減衰を待って段階的に処理を進めるということにしてございます。各県におけるこれらの処理方針に変更はございません。
加えて、必要に応じて放射性濃度測定等の現状把握を行いながら、各県それぞれの状況を踏まえた対応を進めております。
例えば、宮城県におきましては、長期管理施設の詳細調査が完了に至らない中で、知事からの要請に基づきまして、まず八千ベクレル・パー・キログラム以下の農林業系廃棄物の処理を優先的に処理することとなりまして、各市町村におきまして、焼却等の方法により処理が進められております。これに対し、環境省では財政的措置や技術的支援を実施してございます。
また、栃木県におきましては、農業系指定廃棄物を保管いただいている農家の方々の負担軽減のため、市町単位で暫定集約する方針に関係六市町長に合意いただきまして、国が県、市町の協力を得ながら農業系指定廃棄物の暫定集約を進めてございます。
また、平成二十八年に導入いたしました、減衰して八千ベクレル・パー・キログラム以下となった指定廃棄物の指定取消しの仕組みによりまして、保管者の方々等の同意が得られた場合に限りまして、指定廃棄物の指定を取り消して通常の廃棄物として処理する取組が、五県においても一定程度進んでございます。
引き続き、各県の状況を踏まえて、御地元とよく相談させていただきながら取組を進めてまいります。
次の長期管理施設につきましては、宮城、栃木、千葉の三県につきましては長期管理施設の詳細調査候補地を選定してございますが、現時点におきましては、長期管理施設の設置が決定した県はございません。
○福田(昭)委員 そんな状態でありますから、これは先ほどの除染土も同じですけれども、指定廃棄物に至ってはもっと厳しい状況にあるということをやはり政府は認識をすべきだと思います。
例えばですけれども、今日は私は五十嵐政務官の出席を求めておりましたが、今日は残念ながら担当でないので出席できないという話であります。塩谷町が候補地を返上した、こう宣言しておりますが、五十嵐政務官はこれに同意をして、私も反対ですと皆さんの前で公言しているんですね。ですから、私は今日は、出てくれば、是非共に力を合わせて塩谷町の返上を支えていこうじゃないか、こう言おうと思ったんですが、残念ながら今日は出てこないので、それが言えない状態にあります。
それほどやはり、候補地に選ばれたところは、すぐ賛成するところなどどこもありません。そこを政府は踏まえて対処するべきだと思います。
それでは次に、三番目に行きます。
誰もが納得できる解決策はあるのか、こういう話であります。こんないいことがあれば一番いいんですが、ところが、残念ながら、なかなかありません。
まず、簡潔に四点お答えください。環境汚染物質の処理は排出者責任ではないのか。それから二つ目、セシウムなど放射性物質を排出したのはどこか。それから三点目、福島第一原発、ここは答えなくてもいいですから。それから四点目、福島県内の指定廃棄物の長期管理施設はどこか。これも知っていますからいいでしょうかね。三、四は省略します。一と二ですね、環境汚染物質の処理は排出者責任ではないのか、セシウムなど放射性物質を排出したのはどこか、この二点だけお答えください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
まず第一点目、環境汚染物質の処理は排出者が責任を持って行うべきでないかという点でございますが、放射性物質汚染対処特措法におきましては、二〇一一年三月の東京電力福島第一原子力発電所の事故については、その原因企業である東京電力と原子力政策を推進してきた国がいずれも責任を持って対処すべきこととされております。このため、指定廃棄物の処理につきましては、東京電力の負担下で実施されることとされておりますので、東京電力も責任を免れているものではないということでございます。
二点目でございます。セシウムの排出者がどこかということでございますが、これは先ほど申し上げましたとおり、二〇一一年の東日本大震災に伴います東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生して環境中に放射性セシウム等の放射性物質が拡散したということでございます。
○福田(昭)委員 それでは、五番目は先ほども申し上げましたから、これは省略いたします。福島県内の除染土の処分先、県外は相当難しいということを認識した方がいいと思います。
六つ目ですけれども、五県の指定廃棄物の長期管理施設はどこであれば理解されると思うかということであります。先ほど、どこもまだ決まっておりませんと。候補地は選びましたけれども、受け入れる県はどこもないわけですよね。そんな中で、いつまでも長期保管をしておくということで済ませようとしているんですか、どうなんですか。教えてください。
○中田副大臣 お答え申し上げます。
現在は今先生御指摘の状況でありますけれども、長期保管施設、これは集約を図って今後進めてまいりたいというふうに思っております。
○福田(昭)委員 そうすると、特に栃木県などは、放射性指定廃棄物に一万ベクレルを超えるものもあるんですよ。これを栃木県の最終処分場候補地に、そこへ処分しろと言うんですか。やはりこれは福島第一原発の敷地に持っていくほかないんじゃないですか、どうなんですか。
○伊藤国務大臣 お答えを申し上げます。
指定廃棄物については、放射性物質汚染対処特別措置法の規定によりまして国が処理を行うこととされておりますが、ただ、福島県は、原発事故により最も大きな被害を受け、復興、帰還に向けた懸命な努力を行っているところでもありますので、県外に存在する指定廃棄物を福島第一原子力発電所の敷地に持ち込むということについては、到底理解が得られないと考えております。
したがって、復興庁といたしましても、原子力災害からの復興に向け、引き続き、環境省並びに地方自治体ともしっかりコミュニケーションを取って、連携をさせていただきたいと思います。
○福田(昭)委員 確かに、放射性物質の汚染対処特措法によっては、国や自治体が除染を行うことになっております。しかし、除染を行っても、最終処分場は五県とも、どこも造ろうとしないわけですよ。そうでしょう。そういう中で、これはやはり排出者責任を徹底しなければ、原理原則を壊すことになりますね。これが本当に今後に悪影響を及ぼすことになると思っています。
ですから、そういう意味では、もし本当に、それこそ政府は、処分するレベルを、八千ベクレル以下は一般廃棄物の処分場で処分してもいいよとレベルを下げてまいりましたけれども、しかし、八千ベクレルといったら本当はかなりの濃度の放射性物質であって、それでも自治体は処分したいから一生懸命処分しているところがあると思いますけれども、しかし、栃木県には一万ベクレルを超えるものがあるんですよ。これは簡単に八千ベクレルを下回るようなほど、そんな簡単に実は濃度が下がるわけではありません。
ですから、そういう意味では、塩谷町の皆さんが絶対反対だとやっていて、もう候補地返上だといって環境省まで来て、候補地を返上しているわけですよ。しかし、その後、環境省はどうしても造りたくて、必ず副大臣や政務官が栃木県知事のところへ来て、就任すると必ず来て、是非栃木県で造らせてくれ、こういうふうに言ってきているんですが、しかし最近は、塩谷町まではなかなか足を運ばなくなっちゃったようでありますが。
こういう状態でありますから、ここはやはり、しっかり原理原則を守ってやるということが一番じゃないかと思っています。しかも、東京電力の福島第一原発から発生したことは確実なんですからね。これは誰が見ても、あそこの第一原発の爆発で出ているわけですよ。
だから、問題は、どうして指定廃棄物という名前をつけたかなんですよ、指定廃棄物という名前を。指定廃棄物じゃないでしょう、本当は。放射性廃棄物でしょう。ところが、何で指定廃棄物という名前をつけたか。それは、当時の福島県の皆さんが大きな被害を受けて、非常に気持ちが、本当に怒りに満ちているような、そういう状態であったので、多分、当時のこの法律を作った人たちが、福島の皆さんは気の毒だなと思ってこういう法律を作ったんだと私は思っています。
ですから、当時はそれでよかったのかもしれません。しかしながら、この原理原則を壊すと、今後大変なことになるんですよ。もし福島じゃなくてほかの地域の原発が爆発して、じゃ、放射能、セシウムなどが降った、そうしたら、そこにも指定廃棄物が出てくるんですよ。そうしたら、その原発のある周辺にみんな、中間貯蔵施設、最終処分場を造ることになるんですよ。行政は前例踏襲ですから、ここで前例をつくったら、必ず、じゃ、もし違うところで原発の事故が起きてセシウムなどが降って放射性指定廃棄物ができたら、その周辺の県に最終処分場ができちゃうんですよ、長期保管施設が。
ですから、こういう前例をつくっては、私、絶対駄目だと思うんですよ。そうならないようにするのがやはり政府の役目じゃないですか。
ですから、そういう意味で、やはり福島の皆さんにとっては嫌だよというのはよく分かりますよ。しかし、もう十四年もたった。そろそろ福島の皆さんも冷静に判断することができる時期が来ているんじゃないかと思って私は提案をいたしている次第であります。
時間が来ましたので終わりにしたいと思いますが、我が国は地震列島、火山列島ですよ。ですから、何万年も落ち着いている地層などありません。したがって、原発の適地も、使用済核燃料の最終処分場の適地もありません。今回、能登半島で陸地が盛り上がっちゃったようでありますが、まさに福島原発事故の実態を改めて検証して、原子力発電のいい悪いも、あるいは復興の目指すべき姿も、今度の復興計画の見直しに当たってしっかり現実に基づいてやることを私は提案をして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、馬場雄基君。
○馬場(雄)委員 皆様、お疲れさまでございます。福島県出身の馬場雄基であります。
会派を代表して質問させていただきます。
本日のバッターの一覧を見させていただいていましても、与党、野党関係なく、福島県選出の国会議員がずらりと並んでいる状況でありますが、我々福島県は、さきの選挙で小選挙区の選挙区数は減りました。ただ、その分、一人何倍も力を出して全員で頑張っていきたいというふうに思っていますし、是非、関係される皆様方にも引き続きの御協力をいただきたいということを先に申し上げたいというふうに思います。
伊藤大臣とは、大臣と委員という立場で向き合わせていただくのは今回が初めてになります。
この初めてという言葉は、実は結構、この復興特別委員会で私もたくさん多用してきた言葉になるんです。恐らく、この場にいる方々も同じ気持ちを持った方がいらっしゃるのではないかなと思うんですが、私たち委員は、この歴代の復興特別委員会で何人もの大臣と向き合わせていただいております。しかし、一大臣にというふうに考えてみますと、複数回質問できた委員というのはかなり少ないんじゃないかなというふうに思います。一人につき一人の大臣に伺って、少し間が空いてしまうと大臣が替わってしまっている、この状況が繰り返されていると思います。
私がこの議席を預からせていただいて約三年半たちますけれども、これまでに大臣は五人目です。三年半で五人替わっているということを鑑みると、大変失礼は承知の上でありますが、次、私がこの委員会で質疑させていただく機会を得たとしても、それは伊藤大臣ではなくなっている可能性も、これまでの傾向を鑑みると、私たちは含めて考えていかなければならないというふうに思います。
だとすれば、今日の質疑の一番大事なポイントは、本日の大臣の御決断、そしてその決断に伴う実行力、そこに全てをかけさせていただきたいと思っておりますので、どうぞ大臣、よろしくお願いいたします。
それでは、質問に入らせていただきたいと思いますが、まず、質疑の前提を確認させていただきたいと思います。大臣の復興観です。
一般質疑でもあります。与党も野党もたくさんの質疑をさせていただいておりますけれども、一番大事なのは、伊藤大臣が復興というものをどのように捉えられていらっしゃるのか。復興観というものを是非先にお聞かせください。
○伊藤国務大臣 馬場さんの御質問にお答えをさせていただきます。
東日本大震災からの復興については、東日本大震災復興基本法第二条において、被害を受けた施設を原形に復旧すること等の単なる災害復旧にとどまらない活力のある日本の再生を視野に入れた抜本的な対策等の推進により、新たな地域社会の構築がなされること等の基本理念の下で行われる旨が定められております。
政府として、こうした考え方の下で、東日本大震災からの復興の基本方針を定めさせていただき、この基本方針に基づいて、魅力のある地域づくり等を行うべく、これまで、企業誘致、伴走支援といった産業復興の取組、そして、地域におけるコミュニティーの形成活動、さらには、医療、介護、教育等の生活環境の整備、移住、定住の促進のための情報発信等の事業などに対する支援を行わせていただいてまいりました。
私自身、復興大臣就任以降、できる限り被災地を訪問させていただき、地元の首長様を始め皆様から、様々な方にお出会いをし、復興の状況を伺ってまいったところでございます。
その中で、震災からの復興は、被災地の方々の御努力また関係者の御尽力により着実に進んでいる一方で、地域によっては様々な状況があり、それぞれの状況に応じた、きめの細かい、寄り添った対応が必要であるということを強く実感しているところでございます。
震災や原子力発電所事故を乗り越え、この地域に生まれてよかった、この地域に住んでよかったと思える未来をつくっていくことが大切であると考えており、引き続き、現場主義を徹底し、被災地の方々に寄り添わせていただきながら、復興を更に前に進めていくことができるよう、地域の状況に応じてしっかりと取り組んでまいる所存であります。
私からは以上とさせていただきますが、最後に一言申し上げますが、創造的な復興をしてまいりたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
○馬場(雄)委員 大臣、ここは紙を読む場所じゃないと思います。復興観を伺わせていただいています。それは、誰かに作られた言葉を読むのではなくて、御自身の言葉で、御自身の思いで、復興の全てを統括する大臣たる情熱で私は答えていただきたかったです。
歴代の大臣は、この答えを皆さん御自身の言葉で述べられています。土屋筆頭は、まさに、人と人とがつなぐふるさとづくりだというふうに答えられています。西銘大臣は、時間がかかるかもしれない、ハード面もそうかもしれないけれども、ソフト面が大事である、心ということが非常に大事だというふうに述べられていました。
是非、大臣、大臣のお言葉で、被災地の皆様に届くように、情熱でお答えいただけないでしょうか。
○伊藤国務大臣 今申し上げましたとおり、創造的な復興ということを申し上げました。
私たちは、大変厳しい事態に遭遇をしております。そして、ほとんど、ゼロではなくて、マイナスから再出発をしてしまっているわけです。そうした皆さんが、やはりここで私たちが頑張らなきゃと思ってもらえるような事態をつくり上げていくということが私に課せられた大切な任務だと思っております。
そういう点では、様々な事業がございます。でも、もう一つあるのは、やはり、福島原発の事故、これをしっかり廃炉まで導いていくということについても、それが被災地の方々も入って仕事をしていただいているということ、身をもってやっていただいているということ、それは私をはるかに超える厳しい中で仕事をされているわけです。その人たちにも家族がいます。子供がいます。そうした人たちの思いも含めて、しっかり私はしょわせていただきながら、前に前にと一歩一歩進めさせていただくことを誓ってまいりたいと思っております。
私からは以上とさせていただきます。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
その場にいる方々にとっても家族がいる、そういった人たちの思いも背負って、一歩一歩着実に前に進めていく、そういったお言葉をしっかりと私も受け止めさせていただきたいと思います。
私にとって復興は、この話は同期の荒井優さんともよくお話をするわけでありますが、子供が大人になっていく、本当にそういうことなんだと思います。人の成長、人の育み、それは、その場にあった思いや意思というものが受け継がれていく、そのとき、その一点で考えるわけではなくて、その時間軸の中に生きるということが復興というものではないかなと私は思うわけであります。
そこで、質疑に入らせていただきたいと思いますけれども、その意味において、私が今危惧していますのは、昨年の秋に公開されました行政事業レビューのお話であります。
皆様の中にもお手元に資料が届いているかもしれませんが、最初の一ページ目、再生加速化交付金の長期アウトカムの中で、事業評価が困難だというふうに示されたものがあります。具体的事業、三つ挙がっておりますが、一番上、教育に関わる事業、その中は小中学校の整備というものでありました。「目標値を設定せずに、成果のみを記載している」というふうに書かれてあります。
まず、事実関係から確認したいと思いますが、この資料を作成した内閣官房行政改革推進本部事務局にお伺いしたいと思います。事務局として、目標値は具体的に何とすべきと考えてこのようにまとめたのか、参考人に伺います。
○柴田政府参考人 お答えいたします。
行政事業レビューですけれども、各府省庁が行う事業につきまして、行政事業レビューシート等を用いて、毎年度、その実績も踏まえつつ、実施内容や効果を自己点検し、その結果を予算要求などに反映する取組でございます。
私ども行革事務局といたしましては、各府省庁がその行政事業レビューシートを作成する際、事業の効果を適切に把握するために、できる限り定量的、客観的な成果目標や成果指標を設定して、事業所管省庁が事業を事後的に点検し評価していけるように努めるように求めているというところでございます。
他方で、成果目標や成果指標につきまして、定量的にアウトカムを設定することが難しいという場合もあるかと思います。そうした場合には、個々の事業の性質を踏まえまして、その定量的なアウトカムの設定が困難な理由と併せまして、定性的なアウトカムを設定しても構わないというふうにしているところでございます。
いずれにいたしましても、事後的な点検、評価がしっかりとできるということが重要でございますので、そうした観点から、御指摘の事業につきましても、事業の性質を踏まえて、事業所管省庁において適切な成果目標、成果指標を定めていただきたいと考えております。
○馬場(雄)委員 正直、全然答えていらっしゃらなくて、時間だけ取られてしまったんですが、目標値を何というふうに定めたい、定めてほしいという、その意思が全くなかったなと。ただ単に、「目標値を設定せずに、成果のみを記載している」と書いてしまっていまして。
じゃ、一方で、変えて、文科省さんに伺いたいというふうに思いますけれども、その目標値、これを受けてどういうふうに検討されていらっしゃるのか、現状の取組を教えてください。
○金光政府参考人 お答え申し上げます。
本事業は、避難指示が解除される区域における児童生徒の学習環境を確保するため、あらかじめ、就学する児童生徒数に応じて学校の施設整備を行ったものでございます。こうした事業の性格を踏まえまして、行政事業レビューにおきましては、定性的な成果目標として、避難指示区域における学習環境の確保を設定をさせていただいたところでございます。
今後とも、文科省としては、今回の有識者の御指摘も踏まえつつ、引き続き、交付金の効率的、効果的な執行に留意しつつ、被災地の復興の加速化に向けて必要な対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○馬場(雄)委員 ちょっと分からなくなってしまったんですが、定性的な目標値の設定をしているとおっしゃいましたけれども、結局、それができていなくて、この資料が出てきちゃっているわけですよね。だから、目標値の設定をしたいけれども、できていないわけですよね。行政事業レビュー事務局さんも、定性的な評価もなく、定量的では在籍児童生徒数で捉えられているから、生徒数でやられても、目標値の設定をされても全然変わらないから、評価困難ですよというふうに言われているわけですよ。すごく、ここはボールが落ちちゃうんですよね。
だから、大臣にちゃんと伺いたいと思ったんですけれども、一体この具体的な目標をどういうふうに定めるべきというふうに考えていらっしゃるのか、教えてください。
○伊藤国務大臣 今、大変面白い会話を聞かせてもらったんですが、私、実は大熊町に行って、新しくできた学校を訪問させていただきました。この学校は、文部科学省の方がそもそも教育を何とかしてほしいということを言われて赴任された場所でございまして、南郷さんという校長さんが、徹底して実は大熊町の職員さんや親御さんだとか若い人たちとみんなで話し合った結果、新しい教育をしていきたいと。ですから、多分、文部科学省的に言うと、枠にはまらない新しい教育を目指したんだと思います。ついに、この人は、何と驚いたことに、校長先生としていよいよ始めるというときに、文部科学省をお辞めになって、大熊町に移住をして、そしてそこで自らその学校の運営をされるという対応になりました。
私は、この学校に寄らせていただいて、いろいろな人とお会いをし、保育園からやっておりますので、もう本当に、それぞれの世代の子供さんとも、楽しいかい、どうだいということも含めて聞かせてもらったんですけれども、これほどすばらしい学校というのはないと思うんです。
レビューというものが、もう少し内閣府としても、どういう視線で、どういうふうに効果が上がっているのか、実際に子供の教育というのはどういう方向に行けばいいのかという点で、私は、この学校なら、自立していくことのできる、いずれ自分がしっかり立っていくことのできる子供をつくり上げていくことのできる、新しい時代の学校ができたと。そういう点では、レビューで何と言われようと、私は、福島で立派なことを皆さんがやっていただいているということを自信を持っていただければいいのではないかと。
私の感想です。
○馬場(雄)委員 大臣、やりましょう、是非やりましょう。枠にはまらないというふうに表現していただきました。そして、事業レビューで何と言われようと自信を持ってやるべきだと。是非文科省にも後押ししていただきたいです。
在籍児童数で評価できないという行政事業レビュー側の意見も分かるんです。しかし、私が恐れているのは、この状態のまま今年過ぎてしまったときに、また行政事業レビューをするときに、何もおまえたちは進化していなかったじゃないかと問われることを私は危惧しているんです。だからこそ、今おっしゃってくださった大臣のその思いを、是非とも復興の全てを統括する大臣としてその思いを伝えていただいて、行政事業レビューの評価項目の改変を是非ともお願いしたいというふうに思っています。
伺いたいのは、行政事業レビューを書かれた皆さん、本当に現地に行っているでしょうか。大臣は行っていただきました。ゆめの森、南郷校長、いろいろな方々のお名前が浮かんできている、だから、大臣はそういうふうに言ってくださるんだと思うんです。しかし、行政事業レビューを書かれている皆さん、あるいはそれに携わる皆さん、本当に現地に行っていらっしゃるでしょうか。行っていないんですよね、行かれていないんです。だから、この点を是非とも申し上げたい。
私、四月になりましたよね、うれしいお便りをいただいたんです。それは、ある方が新社会人になったというメッセージでした。当時、三・一一、私は高校生でしたけれども、彼は十歳、小学生でした。その彼が高校生になったとき、私は会いました。浜通りです。馬場さん、僕たちの時代で、僕たちの世代で福島の復興は何が何でも成し遂げていくんだ、彼は熱く語ってくれました。大学ではデブリを学び、院に進み、今、とうとう第一原発で働くことになりました。
大臣、復興というのはこういうことじゃないでしょうか。一人のライフストーリーを見ていく、住民の一人一人の思いに寄り添っていく。それは、住民アンケートかもしれない、日記法かもしれない。けれども、現地に行って、しっかりと話をして、人と話し、その空気を知り、一緒にそれを考えていくということが私は復興だと思うんです。
だからこそ、是非やりましょうということに対して、一言だけ、是非やりますということを訴えていただけないでしょうか。
○伊藤国務大臣 是非やらせていただきます。
○馬場(雄)委員 拍手も含めて、ありがとうございます。
是非、評価項目、一緒に考えさせていただきたいと思います。何とぞよろしくお願いします。
さて、あと残り十分となってしまいましたので、少し順番を前後したいと思いますけれども、中間貯蔵施設の最終処分場について、またこちらも質問させていただきたいというふうに思います。
事業主体は環境省になりますけれども、政府は全大臣を構成員とする関係閣僚会議を設けていますし、復興を統括する責任者として、復興大臣の責務は極めて重いものだと思います。言ったことはしっかりやり切る、やり切れなかったことに対しては格好つけずに等身大の言葉で説明していく、その姿が復興には欠かせないものだと私は思っています。
そこで、まず確認を申し上げたいのが、大臣の所信表明演説になります。
お手元の資料、二枚目を御覧いただきたいと思います。歴代の環境大臣の大臣所信表明演説になります。
現在、浅尾大臣は、最終処分場について、二〇二四年度中に、最終処分場の構造、必要面積などを取りまとめると述べております。これは、前環境大臣でもある伊藤大臣の際にも述べられていたことであります。
まず確認をさせていただきたいと思いますが、この方針に間違いはありませんでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
本年の三月十一日の衆議院環境委員会におきます浅尾環境大臣の所信表明演説におきまして、国としての約束かつ責務である福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けて、今年度内に、再生利用等の基準や最終処分場の構造、必要面積等を取りまとめる旨申し述べておるところでございます。
このように述べた趣旨は、二〇二四年度内に最終処分場の構造、必要面積等についての複数選択肢を示すということでございまして、本年三月二十八日に、有識者からの助言等を踏まえまして、最終処分場の構造、必要面積等について、四つの選択肢をお示ししたというところでございます。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
最終処分の必要面積、これは現時点で本当に答えられるでしょうか。簡単に示されるものではないというふうに思います。
お手元の資料、三枚目を見ていただきたいと思いますが、こちらが、その方針を含めて、二〇二四年度末、三月末に環境省から出されている資料になります。シナリオ一から四と定められておりますが、確かな未来をつくりたいという思いで、大きく二点、私から確認させていただきたいと思います。
一点目は、実は先日、小熊委員からも質疑がありました。委員の皆様にも記憶を思い出していただきたいんですけれども、そのとき政府と確認しているのは、小熊委員はこう言っています。中間貯蔵施設にある除染土は再生利用することを政府は目標にしていますが、再生利用できなかった場合は最終処分場に行くことになる、そのときにもこう答弁されていらっしゃいます。
再生利用は大事ですよ。再生利用は大事ですけれども、政府を挙げて国際的理解の醸成を得た上で、住民と対話して着実に進めなくてはならないものだということは、私は重々承知していますけれども、簡単には進まないわけです。
それで、シナリオ一から四とありますけれども、最善シナリオでも五十ヘクタールというふうに出てきます。全ての再生利用が進まなかった場合、シナリオゼロとでも表現しますか、今、私はあえてちっちゃくグラフを描かせていただきましたけれども、その左端の空間たるもののシナリオをしっかりと想定に入れておかないといけないんじゃないかというふうに思いますけれども、環境省さん、いかがでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
福島県内で生じました除去土壌等の中間貯蔵後三十年以内の県外最終処分の方針は、国としてのお約束でございます。法律にも規定された、国の責務でございます。この実現に向けて最終処分量を低減することが鍵でございますので、放射性濃度が八千ベクレル・パー・キログラム以下の除去土壌につきましては復興再生利用を進めることとしておりますが、仮に復興再生利用ができなかった場合には、議員御指摘のとおり、最終処分の対象になってしまうということでございます。
先般、これまでの技術開発の成果等を踏まえまして、県外最終処分に係る複数選択肢をお示しいたしましたけれども、この検討の前提は八千ベクレル・パー・キログラム以下の除去土壌が全て復興再生利用に回るということでございます。今後、復興再生利用の進捗状況や最終処分に係る様々な検討状況を踏まえながら、最終処分シナリオの精査を進めることとしております。
なお、最終処分量の低減が重要でございますので、閣僚会議の場も活用しながら、復興再生利用の推進に向けて取り組んでまいります。
○馬場(雄)委員 私が述べたいのは、そんなに簡単じゃないですよと。本当の意思を、政府を挙げて、知恵を絞って考えていかなければならない。楽観視は復興では禁物です。厳しい現実を受け止めて丁寧に進めていく、ありのままを指し示していく、それが復興の歩みで一番大事じゃないかというふうに申し上げたいんです。
例えば、このシナリオのまま進めていき、五十ヘクタール分を用意しましょうと。でも、時がたって見たときに、やはり五十じゃありませんでした、百でした、二百でした、五百でした、千でした、そういう話をしたときに、受け入れる方は本当に納得するでしょうか。減る方は理解できますよ。増える方の部分というのは許容できない範囲だと思います。
だからこそ、一番難しい状況を考えて着実に進めていくということが政府の方針としてなければいけないんだと私は思うわけです。是非ともその意識を持って取り組んでいただきたいというふうにも思っています。
この点を含めて、検討いただけないでしょうか。環境省さん、短くお願いします。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
今後、最終処分場の候補地等の選定に向けて、候補地選定のプロセスについて検討を行ってまいります。そのため、それに係る最終処分のために必要な施設の検討でありますとか復興再生利用の進捗状況も踏まえまして、最終処分シナリオの精査を行っていくということになります。
議員御指摘のような土の量の問題というものも、その進捗の状況に関わる話でございますので、最終処分のシナリオの過程の中で、そういうことも踏まえながら、最終的な精査をしていくということになろうというふうに考えてございます。
○馬場(雄)委員 結局答えられていないんですよね。甘く見積もらないでくださいね。本当に、進めていって、やはりできませんは私は許されないと思っています。進めるからには前に少しでもいいから進めていく、そうすることで等身大になっていただきたいなというふうに思います。復興に格好いい言葉というのは要らないですから、がむしゃらなその姿勢を等身大で見せていただきたいと思います。
更に話を難しくしているのは、必要面積という言葉上の定義です。大臣たちは必要面積というふうに表現していますけれども、シナリオで出てきているのは埋立地の面積じゃないですか。五十ヘクタールというのはあくまで埋立地であって、敷地の必要面積を指し示してはいないんだというふうに思います。受け入れる側を考えた場合、検討していく場合、必要なのは必要面積であって、埋立面積ではないはずです。
ほかの、例えばごみの焼却場とかを考えた場合、埋立面積と必要面積、大体は埋立面積の二から六倍必要になっています。つまり、このシナリオ上、五十ヘクタールという場合であったら、二から六倍を考えたら、百から三百ヘクタールは必要面積として必要になるのではないでしょうか。
それらを含めて初めて、大臣が述べられている必要面積ということに答えることになると思いますが、環境省さん、いかがでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになって恐縮でございますが、最終処分場の候補地選定のプロセスを今後検討していくわけでございます。最終処分シナリオの精査をその中でやっていくことにしておりますが、その際、復興再生事業の進捗状況を踏まえる、土量に関してはそういう影響があるということでございます。
さらに、議員今御指摘のところでございます、先般お示しした県外最終処分に係る最終複数選択肢におきましても、下に小さい字で脚注をつけてございますが、離隔距離の確保あるいは附帯施設等は考慮せず、埋立地として必要な面積をお示ししてございます。これは、離隔の距離でありますとか附帯施設に必要な面積というのが立地場所の状況や地形によって大きく変わるものだろうというふうに考えておりますので、現時点ではその面積を見込むことは難しいのではないかと。
いずれにいたしましても、今後、候補地の選定に向けて、必要な施設等の検討あるいは再生利用の進捗も踏まえて、最終処分のシナリオの精査を行ってまいります。
○馬場(雄)委員 大臣たちは、必要面積を求めるというふうに言われているわけです。埋立地の面積を求めるとは言っておりません。
委員長、必要面積をしっかりと資料として提出いただけるように、この委員会に報告いただけるよう、理事会で御協議いただけないでしょうか。
○金子委員長 理事会で協議します。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
被災から十四年たっています。我々は今岐路に立っている、厳しい現実を受け止めて着実に一歩でも前に進めていく、そのことを心合わせさせていただきまして、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
三月十一日は、私は、午前中は慰霊碑に手を合わさせていただきまして、そしてまた、午後には、福島県、東日本大震災追悼復興祈念式典に参列させていただきました。
改めて、東日本大震災、原発事故によって犠牲となられた皆様方、そして全ての災害によって犠牲となられた皆様方に哀悼の意を表しますとともに、今なお避難を余儀なくされている皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
そして、先ほど来厳しい質問がありましたが、光が当たっていないところがまだまだ多くある、特に、私の地元でもあります福島県の課題が多くあります。これだけ多くの方々がまだ避難を余儀なくされている状況の中であります。
後ほど光が当たっていないことについては質問させていただきたいと思いますが、今日は、福島国際研究教育機構、F―REIの山崎理事長にお越しいただいておりますので、光を当てつつある、ある意味福島の復興のシンボルでもあります、あるいは我が国の復興のシンボルとも言っていいのではないかなというふうに思いますけれども、福島の復興なくして日本の復興はないんだというふうに思っておりますので、そのことも含めまして質問させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
このF―REI、設立から二年がたちました。まだ箱物はきちんとできていないということでありますので、現在、施設整備に向けて、用地の取得、そして敷地造成や建物の建設が進められてまいりまして、令和十年度までの本部施設棟の完成を目指しているということを承知しております。四月の二十六日に起工式があるということで私たちも御案内をいただいているところでありますので、この二年間で何ができてきたか、そして今後の見通しというようなことで質問させていただきたいと思うんです。
今月の一日、四月からは、福島ロボットテストフィールドとの統合もありました。また、三春町にある環境創造センターにおいて、日本原子力研究開発機構、JAEAと、国立環境研究所が取り組んできた放射性物質の環境動態研究、これもF―REIに統合されたということでありまして、進んでいるものもあるわけです。
ただ、箱物もなかったということから、外部委託の研究がこれまでなされてきた。それを、今後、直営の研究施設でちゃんときちんと受け止めるということも含めて、直の研究を増やしていくという方向だということは承知をしているわけなんですが、ここまでの段階で、今までも、例えば令和五年度における研究開発等業務の実施に係る評価というものを示されておりまして、法人の自己評価と、それから関係省庁の主務大臣の評価というものも示されています。必ずしもこの二つの評価が一致しているわけではありません。
そのことも含めて、自らの評価という点でどのようなお考えをお持ちか、理事長にお伺いしたいと思います。
○山崎参考人 お答えさせていただきます。
私どもF―REIは、設立初年度、施設も未整備で、かつ人員体制も限られた中で、前例のない困難な環境の中で取組を進めてきたところでございまして、まさにゼロからのスタートと言ってよろしいというふうに思っております。
こうした状況にもかかわりませず、研究課題の設定に当たってのF―REI独自の方針を、私を中心に、主体的かつ具体的に策定をさせていただきました。
さらには、それぞれの分野で高度な専門的知見を有する方々を分野長等に任命をさせていただきながら、研究課題の調整そして管理を担っていただくなど、福島における新たな産業創出及び我が国の科学技術力、そして産業競争力の強化に資する研究課題を立案できるよう注力してきたつもりでございます。
このような過程を経て、五つの分野でそれぞれ多くの挑戦的な課題の公募を行いました。応募のあった研究については、外部の有識者を含めた審査委員会で審査をさせていただきながら、役員会で審議、決定を行い、F―REIの研究にふさわしいもの、より優れた研究にするために採択条件を付すなど、委託先に対するマネジメントを実施をさせていただきながら、それぞれの研究開発に向けて、短い期間で多くの委託研究に着手することができたというふうには思っております。
こうしたことから、私自身としては、F―REIの取組としては頑張ったということで評価できるんじゃないかと自己評価をしております。
以上でございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
自己評価の中、法人評価の中ではAであるものが例えば主務大臣評価ではBというものもありますので、そういったところからすると、自己評価の方がもしかすると、もちろん自分に甘い部分もあったかもしれませんけれども、私たちも、これは税金を投じてやっていることですから、しかも、福島復興特措法を改正してF―REIを設置して、その上で進めているものですから、国としてもしっかりと責任を持って見ていかなくてはいけないというふうに思っておりますので、まずよろしくお願いしたいと思いますし、理事長を信じたいと思いますが、ただ、理事長も厳しいことをおっしゃっている部分もあると思うんですね。
次の質問に移りますけれども、福島民友新聞というところのインタビューの中でおっしゃっている発言がありまして、そこはやはり改善が進まなければ難しい判断も必要となるということをおっしゃっているんですね。全体としては進捗が十分でない研究もあるし、日本のトップ研究になるレベルを下げるつもりはない、目標が高過ぎたり進捗が十分でないものは外部委員の意見も取り入れて改善を図る、そして、先ほど申し上げました、改善が進まなければ難しい判断も必要となるとおっしゃっている。
これはどういうことかというと、外部委託されている研究は、実施予定期間も設けられていますけれども、しかしながら、その成果を踏まえて、段階的に直営の研究グループによる研究体制に移行していく可能性というのはあると思うんです。そのように今までも考え方としては示されてきました。その移行、どれほどやっていくのか。つまり、継続性です。二年ぐらいやって、今の段階でばっさり切っていくのかどうか。中には、もちろん、ロボット技術の開発というのも入っています。先ほど来質問の中にもありました廃炉技術、これをどうしていくのかということもあると思います。
理事長の現段階のお考えでも結構でありますけれども、継続性についての考えをコンパクトにお答えいただければと思います。
○山崎参考人 お答えさせていただきます。
F―REIの委託研究は、公募要領の記載のとおり、本来、中期計画を達成するためのF―REIの研究者が行うべき研究開発を、F―REIが十分な研究体制を整備するまでの間、委託によって他機関の研究者のお力をおかりしながら進めるというふうにしております。
その内容は、F―REIの分野長やそれから有識者の皆様方も参画する審議委員会を開催しながら、F―REIが進めるべき研究課題として慎重に選定をさせていただき、そして評価も慎重に行っているところでございます。
さらに、F―REIにおいて、委託研究について定期的に進捗を確認、評価をさせていただいており、その中でも課題があればF―REIから委託先に対して改善を促させていただいているところでございます。
その結果、公募要領にもありますとおり、評価によっては委託研究が終了するという場合も起き得るというふうに考えております。その場合でも、我々F―REIの研究者の確保に当たって、終了した委託先からも研究者をお招きするとか、あるいは新たなユニットを創生する上で共同研究に持ち込むとか、いろいろな方法があり得るというふうに現時点では考えてございますので、引き続き頑張ってまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございました。
継続性について改めて聞いた理由というのは、これまでの二年間の実績を、単に研究を切って、そして無駄にするということもあってはいけないし、何かしらの形で生かしていただきたい、そういう思いがありましたので、改めて質問させていただきまして、インタビューの中でおっしゃった難しい判断をするということの真意というものを今聞かせていただきましたので、よろしくお願いします。これからしっかりと対応していただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
それでは、次の質問に行かせていただきますが、住民帰還、避難地域の再生、廃炉など本当に様々な課題を持っているわけですけれども、帰還困難区域、七市町村に残ったままであります。全域の避難指示解除に向けた具体的な道筋を明示するよう国に求めていかなくてはいけないというふうに思い、将来的に全ての避難指示を解除するとの方針のみが今示されているわけで、是非、踏み込んだ工程を早急に示すことが急務ではないかというふうに思いますが、大臣の所見を伺いたいと思います。
○伊藤国務大臣 将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除をし、復興再生に責任を持って取り組むという決意に揺らぎはありません。
まず、二〇二〇年代をかけまして帰還意向のある住民の方々全員が一日でも早く帰還がしていただけるように、特定帰還居住区域について、除染やインフラ整備等の避難指示解除に向けた取組をしっかりと取り組んでまいる、進めるということでございます。
あわせて、帰還意向調査についても自治体と連携をして進めてまいりますが、その上で、残された土地、家屋等の扱いや森林における活動の在り方につきましては、引き続き重要な課題でありますので、地元自治体と協議を重ねつつ、関係省庁とも相談をして進めさせていただきたいと思います。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
意向調査によって、帰還の意向がある地域はという、その仕組みはできている。でも、全ての帰還困難区域を全域しっかりと解除していくというような意思、そしてまた、それについての今後の工程というのを作っていただきたいという質問でした。
なかなかそこは答弁をいただけないわけですけれども、今後も地元との協議をしていかれるというふうに思いますので、是非これは本当に早い時期に出していくべきだと思います。というのは、解除されるからやはり戻るんだ、戻るから、そこだけポイント、ポイントで整備をしていく、除染や解体をしていくとか、そういうことでは本当にまだらの状況になっていきますよ。全面、面的にしっかりと除染もする、そしてその上で解除するというような形での、やはり、しっかりとした、本当の意味でのふるさと再生というものを目指していくんだ、そういう意思を示すような工程表を作り上げていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間がないので飛ばさせていただきますが、今日は申し訳ないですが質問もしませんけれども、燃料デブリを全量取り出し、そして二〇五一年までに廃炉を終える政府の考え方、それについて、例えば世論調査をしても、できると思わないという方々も多いわけですから、そこも含めて、今後しっかりと、廃炉工程とそして復興の工程、これは一体となって考えていただきたいというふうに思います。これは言いとどめさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
最後の質問になってしまいますが、一昨日、大船渡市の大規模林野火災の現状を視察いたしました。東日本大震災では津波の被害を受け、困難を乗り越えて頑張ってこられました。生活を再建し、なりわいを取り戻してこられた。そこで、今回の山林火災が起きました。漁業も大きな被害を受けました。
実際に、本当に山林も再生するのに時間がかかると見られます。これまでのルールでは簡単に再生することはできないのではと危惧しているわけですけれども、大船渡市の市役所の皆さんからも御意見を聞きました。被災した方々へ最後の最後までしっかりとした支援、そしてまた農林水産業の復旧に向けた支援をしていただきたいと思います。激甚災害に指定されただけで大丈夫なのかという懸念がありますので、長期の支援、いかがでしょうか。坂井大臣にお伺いしたいと思います。
○坂井国務大臣 これまでも、岩手県と連携をいたしまして、災害救助法や被災者生活再建支援法の適用、そして御指摘のように激甚災害の指定も行ってまいりましたが、引き続き、応急仮設住宅の建設、森林の復旧、焼損した定置網でありますとか、あと漁具の倉庫の再整備など、緊密に連携しながら政府一丸となって取り組んでまいりますが、特に定置網の漁具の再導入の支援につきましては、東日本大震災の被災地域であったということや、今回の被災状況等を踏まえ、補助率を通常の二分の一から特例として四分の三まで引き上げることとしたと承知をしております。
被災者の皆様が一日も早く元の生活を取り戻すことができますように、住まいやなりわいの再建等、必要な支援をしっかり行ってまいります。
○金子(恵)委員 時間が参りましたので終わりますが、中長期、しっかりと支援を続けていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、齋藤裕喜君。
○齋藤(裕)委員 立憲民主党の齋藤裕喜です。
先ほど来から福島のことについては皆さんから質疑をいただきまして、本当にありがとうございます。
そして、大臣、本当に何度も福島に足をお運びいただき、本当にありがとうございます。先ほども熱い思いをお聞かせいただいて、本当に私もちょっと涙ぐんでしまうような、何かそんな感じは受けましたが。
今日は胸元に奥能登のシーグラスのブローチを着けさせていただいておりますが、全国各地でこれだけ災害が起きているに当たりまして、今日は赤澤大臣にもお越しいただいておりますけれども、質問させていただきたいと思います。
災害は年々といいますか激甚化しておりまして、複合災害が増加しております。そして、先日、各新聞紙面では、南海トラフについて死者が二十九万人であったりとか、新聞でもありましたけれども、今回、災害対策基本法として、内閣府防災の司令塔機能強化として防災監を設置するとあります。そして、その下には、内閣府の防災部門を設置し、地域防災強化担当を創設し、各都道府県のカウンターパートとなる職員を配置し、発災時に直ちに現地に入るとあります。
発災時は現地に行くことすら非常に難しいと思いますし、被災状況の把握や避難所環境の確保に従事するとも書いてあります。このことは大変重要だと思いますけれども、今後起きると想定されている災害は、南海トラフとか首都直下とかいろいろありますけれども、複合災害になる可能性は十分にあり得ます。
南海トラフの地震想定範囲内には、津波到達、これは本当に二十メーター以上の津波が到達するとあります。しかもそれが一時間以内ということもありまして、私は福島浜通りの選出の国会議員で、第一原発から七キロのところに今は住んでおりますので、皆さんよりも原子力災害の長期的な視点に立って見させていただいておりますが、こちらの南海トラフの津波到達のエリアには、伊方原子力発電所、そして浜岡原子力発電所もあります。
各電力会社の方々は本当に努力をされて対策をしていると思いますけれども、今回、防災庁設置に対して原子力災害が含まれていないということはどういうことなのか、御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○赤澤国務大臣 令和八年度中の設置に向けて準備を進めております防災庁は、平時、発災時の政府の災害対応の司令塔として、内閣府防災担当を発展的に改組した上で、専任の大臣を置き、十分な数の災害対応のエキスパートをそろえた組織とすることを想定をしております。
委員御指摘の原子力防災については、原子力発電所の周辺住民の域外避難、あるいはプラントの事故収束に向けた対応など、災害の特性、対応に係る専門性や手順が自然災害とは大きく異なっているものでございまして、東京電力福島第一原発事故を踏まえて設置された内閣府原子力防災担当が中心となって、関係省庁が連携して取り組むこととしているところでございます。
このため、現時点では、専門性も異なるということで、別々の組織とすることが適当であるというふうに考えておりますが、防災庁の組織づくりについては、現在、防災庁設置準備アドバイザー会議を開催しているところであり、様々な御意見、御提案を賜りながら、各省庁、関係機関が一体となった、災害対策を一層効果的、効率的に実施できる体制整備を進めてまいりたいと考えております。
ただ、いずれにしても、委員御指摘の、複合災害への備えということを常に平時に考えておくということは本当に重要であるということについて、問題意識を本当に強く共有するものでございます。
○齋藤(裕)委員 皆さん御記憶があると思いますけれども、福島第一原子力発電所の水素爆発までの時間が、津波到達から約一時間でああいうことになってしまったというのは、現実的に起こっております。
先ほど大臣からも御答弁いただきましたけれども、複合災害においては同時進行で進めていけなくなる状況も当然あり得ますので、今のところ、防災庁設置後では、防災庁では緊急対策本部ですね、最大の災害のときには。そして、原子力災害では原子力対策本部というものが両輪として設置される今の状況、こちらは非常に分かるんですけれども、初動が一分一秒を争う事態と想定されます。
そのようなことも踏まえまして、先ほど大臣の方からも御答弁いただきましたけれども、今後に備えていただければと思います。私も経験者として本当に応援したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次なんですが、南海トラフでは避難者が約千二百三十万人、首都直下ですと二百九十万人を想定しています。そして、防災庁については専門人材の育成、継続した登用が必要だと考えますが、このような防災庁の設置については、各省庁が連携していくということは承知しております。
ただし、人事異動があると思います、各省庁については。この人事異動については、頻繁に行ってしまいますと、やはり、ノウハウであったりとか、そういった知見がどんどんどんどん、有事のときには本当に緊急なので迅速に動かなければなりません、そういった適切な判断、指示ができなくなるおそれが非常にあると思いますので、人事異動はせずに、こういった防災庁については恒久的な人事、例えば民間の方を登用して、継続してそういった方々に防災庁にいていただくような、そういった措置をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 大変重要な御指摘だと思っていまして、我々も全く同じ問題意識を持って今いろいろ議論を進めさせていただいております。
ただ、一つ委員に是非共有させていただきたいのは、実は各自治体から二年とか一年とか期間を決めて派遣いただいている職員の方たちが大変大きな力になっていただいており、しかも、そのこと自体にすごく意味があるのは、各自治体が、やはり先見の明のある首長さんたちが防災庁に人を出し、御協力いただいて、その職員が、災害についての経験を積んで戻ってから、自分が戻った地方公共団体で災害があったときに大変大きな力を発揮されるということが経験上分かっていまして、それも非常に重要な部分があるので。
やはり防災庁、十分な人員をそろえることはもちろんやります。今委員御指摘のように、専門的な知識とか経験とかノウハウをずっと積んで、防災庁の中の異動はあるけれども、基本的に防災庁専任というような方たちは核としてもちろん育てて十分な数を確保しますが、一方で、やはり自治体から来られた方が、何年かごとに行ったり来たりして、地元に戻ったら大変大きな力になるというようなことも考えながらやっていかなきゃいけないと思いますので、その辺はうまくバランスを追求して、ベストな形になっていくように、よく議論をした上でつくり上げていきたいというふうに思います。
○齋藤(裕)委員 赤澤大臣、本当にありがとうございました。よく分かりましたけれども、有事のときには本当に不測の事態が想定されるのが災害ですので、是非とも、これからも御検討、御協力をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
次の御質問に移らせていただきたいと思うんです。
復興特別所得税とかそういったものが、この間、国民の負担としてあるわけですけれども、防衛三税と言われる所得税、法人税、たばこ税についてですけれども、皆さんにお配りの資料一にありますけれども、法人税額に対しては税率四%の付加税として防衛特別法人税を課すとあります。そして法人税については、資料二、裏面にありますけれども、課税についても記載してありますけれども、こういった防衛について、法人税、たばこ税については新たな税金を課すというふうにありますけれども、特に法人税については、全体の法人の中の約六%が対象であるというふうに資料にも書いてあるんです。
ただ、復興特別所得税については、令和四年の十二月二十三日に閣議決定で、防衛三税の中の一つとして含まれております。令和四年については、御記憶だと思うんですけれども、まだ福島の被災地については帰還が進まないような状況の中でこういった閣議決定をなされた。そして、今この厳しい安全保障上の問題で、確かに分かるところもあります、理解できるところもあるんですけれども、国民の理解をもうちょっと進めてからこういった閣議決定をされた方がよかったのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
防衛財源に関しましては、令和四年通常国会におきまして、岸田前総理が、防衛力強化の内容、規模、財源を令和四年末に一体的に決定する方針を一貫して述べておりまして、そうした総理の発言も踏まえて、有識者会議、こちらで議論がなされて、その報告書におきまして、防衛力の抜本的強化のための財源を今を生きる世代全体で分かち合っていくべき、まずは歳出改革により財源を捻出していくことを優先的に検討すべき、なお足らざる部分については国民全体で負担することを視野に入れなければならない、負担が偏り過ぎないように幅広い税目による負担が必要なことを明確にして理解を得る努力を行うべきと指摘されました。
その後に、岸田前総理から財務大臣らに対しまして、令和九年度以降、防衛力を安定的に維持するための財源及び五年度から九年度の中期防を賄う財源の確保について、歳出改革、剰余金や税外収入の活用、税制措置など、歳出歳入両面の具体的措置について、年末に一体的に決定すべく調整を進めることとの指示があり、政府・与党内で調整が進められました。
税制措置の税目や方式等に関する具体的内容につきましては与党税制調査会におきまして議論されまして、その議論の積み重ねに基づいて令和五年度与党税制改正大綱が取りまとめられ、政府として、それを踏まえ、令和五年度税制改正の大綱を閣議決定したところであります。
このように、総理の指示の下、外部有識者、与党、関係大臣での議論を踏まえて決定されたものでありまして、国民の知らないところで閣議決定されたということではないと考えております。
○齋藤(裕)委員 済みません、私が求めた答えでは全然なかったので、質問時間もちょっと奪われてしまったんですけれども。
この問題は、元々、復興特別所得税は、東日本大震災のときに二・一%を国民の皆さんの負担とさせていただいているわけですね。それを二・一%から一%引き下げるということが、まず第一段階。防衛特別所得税で更に上乗せをして、新たに税を課すという付加税として一%。だから、プラス・マイナス・ゼロみたいになっちゃうんですよ。
そういったことをきちんと国民の方々に説明をせず、幾ら厳しい安全保障上の問題があるとはいえ、こういったことをしっかりと説明しなければ、しかも、防衛三税と言われるものは更に期限が延長されるという、そういったことも、重要なポイントも理解されていない方がほぼ大半です。そんな中、きちんとやはり説明責任を果たすということは、政府の方々に申し上げさせていただきたいと思います。
次に質問させていただきたいことがあります。
被災地における、いろいろ、産業創出であったりとか社会インフラ整備、こちらは、先ほど来からF―REIであったりとか福島イノベーション・コースト構想とか、企業が進出するに当たって、国から大きな補助を出して企業の進出を後押しする、そして雇用の確保をしていくということがあるんですけれども、これは皆さんに是非知っておいていただきたいということがあります。
その一つは、こういった産業を創出するお金、政府から出すお金は数百億円、これは一個の補助金を見ても数百億を出しているにもかかわらず、社会的なインフラ、医療であったりとか介護であったりとか、そういった保育とか福祉であったりとかという施設に対しては、その数百億に対して本当に少ない金額なんですよ。これは国が果たす責任としてはいかがなものと思うんですけれども、こういった状況が、震災、十四年たった今でも言われているんですね。
大手の企業が被災地に来て、それでたくさんの補助金を得てそういった研究開発をやっていく一方で、そこに暮らしている住民の方々に対する社会的なインフラの整備はまだまだ追いついていない。こういった状況が続いている中で、また、その進出した企業においては、余り申し上げたくないんですけれども、進出した以上はその地域に溶け込んでいかなくちゃいけない。そういった中で、地元の一つの例を挙げますと、お祭りであったりとか、いろいろなところにやはり皆さんで参加していくことがその被災地に対する地域づくりだというふうに思っていますが、こういう状況を見て政府の方々はどのように思っていらっしゃるのか、御答弁、よろしくお願いいたします。
○桜町政府参考人 お答え申し上げます。
企業誘致、被災地にしているわけでございますけれども、この企業誘致とともに、住宅、医療、介護、子育てといった生活に必要なインフラが整備をされて、地域の魅力を高めていくということは大変重要な課題だというふうに考えてございます。
このため、復興庁では、関係省庁と連携をいたしまして、福島再生加速化交付金、それから地域医療再生基金等によりまして、福島再生賃貸住宅、小中学校、それから認定こども園などの整備や医療等の生活に必要な環境整備に対する支援を進めてきているところでございます。
こうした生活環境の整備でございますとか企業誘致、こうしたものを更に進めることによりまして、働く場、それから新たな雇用を生み出して、生活インフラへの民間投資も呼び込む、こういった好循環を創出していくことが重要だというふうに考えてございます。
引き続き、こうした観点を踏まえながら、企業誘致と生活環境の整備に丁寧に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○齋藤(裕)委員 このことについては、産業創出と社会インフラ整備は同時進行で進めなければならないと思いますので、是非御協力をよろしくお願いいたします。
次に、被災者もいますけれども、避難者、移住者、様々な方々が被災地に今お住まいになられていますけれども、一つは、例を挙げますと、移住支援金の問題があります。
これは、制度の一定の期限を区切ってしまって、前に来た人、それからその後に来た人によって、その移住者支援金をいただけるかいただけないかというところで、地域のコミュニティーが分断されてしまっているんですね。あの人は移住してきたからそういう支援金をもらっているよねとか。なので、皆さんが想像つかないように、国がよかれと思ってやったことが、地元のその地域コミュニティーにとっては、それがまた分断を生んでしまっている、そういうことになっています。
これは制度の見直しをしっかり検討していただいて、地域のコミュニティー形成に寄与していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○瀧澤政府参考人 お答え申し上げます。
原子力災害の被災地域においては、人口減少、高齢化等の課題が進行しておりますので、活力ある地域社会の維持形成に向けて、移住、定住の促進を図っていくことが必要です。
御指摘のありました移住支援金につきましては、令和二年度の終わりに改定された福島復興再生基本方針に沿って導入されたものですが、令和三年七月以降に移住された方を対象としているところでございます。このため、同月以前に移住された方については支給の対象外となっております。
一方で、議員御指摘のとおり、帰還者や様々な時期に移住された方を含め、被災地のコミュニティー全体の維持形成を図ることも重要であると考えます。
このため、復興庁といたしましては、様々なインフラ整備と併せて、交流人口、関係人口の創出、拡大、産業、なりわいの再生、町のにぎわい創出などを全体として前へ進めることで、求められる御期待に応えてまいりたいと考えます。
○齋藤(裕)委員 ありがとうございます。しっかりと制度見直しについて御検討いただきたいと思います。
残り時間も少なくなってきてしまったので、本来であれば、今日来ていただいていますけれども、今、物価高対策とかそういったものに対して、重点支援地方交付金、これは毎年補正予算を組まれていますけれども、今後も是非、厳しい状況がある中で、この重点支援地方交付金については継続と拡充をよろしくお願いいたします。
先ほどから皆さん質問を聞いていらっしゃると思うんですけれども、中間貯蔵施設と最終処分場について、除去土壌についてもお伺いしたいと思います。
これは、本来の、ちょっとお聞きしたいんですけれども、廃炉の定義は、どういうふうなものが廃炉ということを示しているんでしょうか。
○大串副大臣 東京電力福島第二原子力発電所等の一般の発電用原子炉につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、発電用原子炉設置者が原子力規制委員会に提出し、認可を受けた廃止措置計画に基づき廃止措置が行われるものと承知をしております。
一方で、東京電力福島第一原子力発電所につきましては、事故後、施設の状況に応じた適切な方法によりまして当該施設の管理を行うことが特に必要であることから、原子炉等規制法に基づく特定原子力施設として指定されておりまして、原子力規制委員会による認可を受けた実施計画に基づきまして、東京電力による施設全体のリスクの低減や廃炉に向けたプロセスなどが進められているところでございます。
いずれにいたしましても、福島第一原子力発電所の廃炉の最終的な絵姿につきましては、地元の皆様と意思疎通を図りながら、その思いをしっかり受け止め、具体化していく必要があると考えております。国としても、最後まで責任を持って対応してまいります。
○齋藤(裕)委員 これは実際、廃炉の定義はまだ何も決まっていないんですね。十四年たっても、二〇四五年、その最終処分場についても、廃炉の定義が全く決まっていないので、これは継続して議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
そしてもう一つ、今まで、中間貯蔵と、いろいろ運営してきていると思うんですけれども、そういった費用についてもお聞きしたいと思うんですけれども、これから廃炉にかかる費用、そして最終処分にかかる費用をどのように見積もられているでしょうか。御答弁、よろしくお願いいたします。
○川合政府参考人 お答え申し上げます。
福島第一原子力発電所の廃炉にかかる費用につきましては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構による有識者へのヒアリング等に基づきまして、一定の蓋然性を持った金額として八兆円という見通しを示していただいているところでございます。
○齋藤(裕)委員 まだ全然御答弁いただいていないと思うんですが。もう一度お願いします。
○川合政府参考人 今申し上げたのが廃炉の費用でございます。中間貯蔵も含めました総額としては、現在のところ二十三兆四千億を見込んでおります。
○白石政府参考人 お尋ねが除去土壌等の中間貯蔵にかかる費用ということでございますれば、仮置場から除去土壌の搬入、保管、必要な施設の施設整備、建設、これらの管理運営に要する費用として、今まで、令和五年度までの累計で一兆五千三百十四億円支出してございます。
最終処分場につきましては、複数選択肢をお示ししましたけれども、その費用につきましては、今後、減容処理の方法とか、運搬の在り方、再生利用、最終処分場への運搬の在り方については大きく変わるものなので、現時点では適切に見込むことは困難だということでございます。
○齋藤(裕)委員 莫大な国費を投じなければなかなか収束のめどが立たないということがお分かりいただけたと思いますが、一つ皆さんに是非お伝えしたいことは、今、最終処分の場所の選定に当たってです。これは、被災地で、伊沢町長であったりとか、中間貯蔵を受け入れた楢葉町の松本町長であったりとか、大熊町の、その当時は渡辺町長、苦渋で決断をされたんですね、政治決断。
これから、皆さん、国会議員、私も含めてですけれども、是非、協力して、全国知事会でこういったものを取り上げていただくとか、これからのマイルストーンを、しっかり、曖昧なものではなく、どうやって国民の方々に理解していただくかというのをしっかりと詰めていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○金子委員長 中田環境副大臣、済みません、簡潔にお願いします。
○中田副大臣 はい。
最終処分についてでありますけれども、国民の皆さんの御理解をいただきながら進めてまいりたいというふうに考えているところであります。既にお約束をしているとおり、広範に呼びかけもしながら、その上で、しっかりと期限まで進めていくというところを図ってまいりたいというふうに思っております。
○齋藤(裕)委員 時間が来たので質問をこれで終わりたいと思いますけれども、これは私たち国会議員が先頭に立って、国の責任においてやるべきことなので、是非よろしくお願いいたします。
私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
〔委員長退席、土屋委員長代理着席〕
○土屋委員長代理 次に、西園勝秀君。
○西園委員 公明党の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
早速質問に入らせていただきます。
四月の六日、長崎県壱岐沖で医療搬送用のヘリコプターが不時着水し、乗っていた六人のうち三人が亡くなるという痛ましい事故が発生しました。亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、御遺族や被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
事故の原因は現時点では明らかになっておりませんが、全国で運用されているドクターヘリの多くが老朽化しているという指摘がございます。
今回の事故を受けて質問させていただきますが、ドクターヘリの一般的な耐用年数は何年とされているのでしょうか。また、耐用年数を超えた機体を更新していくための補助制度はどのような形で設けられているのか、教えていただければと存じます。
○森政府参考人 ドクターヘリの関係でございます。
ドクターヘリについては、厚労省が実施する補助事業において、基本的には二十年程度運用することを見込んだものというふうになっております。予算措置を行う際にも、運航時間、燃料費、人件費等の最新の状況を勘案して補助基準額を設定しておりまして、機体の更新費についても、二十年間程度運用することを見込んだ償還費というものを計上させていただいているところでございます。
なお、今回の事故のありましたホワイトバードにつきましては、ドクターヘリの補助事業の枠組みとは別に、民間が独自に運用しているものでございますが、このホワイトバードの運用期間は今のところ約十二年というふうに承知しております。
○西園委員 御説明ありがとうございます。
今回事故を起こしたホワイトバードは、民間医療機関が独自に医療搬送のために用いられてきた機体ということでした。つまり、通常、国の補助を受けて運航されているドクターヘリとは異なる性質のものです。民間医療機関が運用している機体等については、厚生労働委員会等で適宜質疑が行われると思いますので、この件に関して、私からの質問は終わらせていただきます。
次に、岩手県大船渡市、愛媛県今治市、岡山県岡山市で発生した山林火災について伺います。
まず初めに、今回の火災で犠牲になられた方の御冥福をお祈りいたしますとともに、住宅の延焼など被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。
この冬に起きたこれらの山林火災では甚大な被害が生じ、ニュースでも連日取り上げられ、国民の皆様にとっても大きな関心事かと思います。それぞれの火災について、出火原因は明らかになったのでしょうか。まずお伺いいたします。
〔土屋委員長代理退席、委員長着席〕
○小谷政府参考人 お答えいたします。
御質問の大船渡市、今治市、岡山市で本年二月以降に発生した林野火災の出火原因については、いずれも現在調査中と承知しております。
○西園委員 ありがとうございます。
調査中とのことでしたが、今後の防災への取組という観点からも、是非とも引き続きの原因究明をお願いいたします。
頻発する林野火災から国民を守るため、地上と空中からの消火能力、消防力を上げていく必要があると存じます。政府としまして、どのような方法を検討しているのかについてお聞かせいただければと存じます。
○小谷政府参考人 委員御指摘のとおり、大船渡市などで今般発生した林野火災では、山林の焼損が広範に及ぶなど、住民生活に大きな影響を及ぼしたところです。
消防としましては、これらの林野火災に対し、地元の消防本部や消防団、県内応援部隊、そして大船渡市と今治市で発生した林野火災では緊急消防援助隊も加わって全力で対応し、自衛隊と連携したヘリによる空中消火や、市街地延焼を阻止するための地上からの消火活動等に昼夜を分かたず従事いたしました。
現場の消火活動に当たりましては、市街地延焼を防ぐという共通認識の下、二十四時間体制で活動できるようローテーションを組んで対応したこと、ドローンを用いて延焼状態を把握したり、海水を利用できる特殊車両を活用したりするなど保有する車両、資機材を有効に活用したこと、空中からの消火については自衛隊と担当エリアを分けて活動したことなど、効果的な消火活動に全力を挙げたところでございます。
このように災害態様を踏まえた対応を行ったところではございますが、今後、消防庁としては、林野庁と共同で、大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会を開催することとしており、この場において、今般の消防活動等を検証し、今後取り組むべき火災予防、消防活動、装備、技術等の充実強化の在り方について検討を行ってまいります。
○西園委員 ありがとうございます。
今回、各地で起こった林野火災の現場において、極めて厳しい状況の中、昼夜を分かたず、命懸けで任務をしてくださった全ての関係者の方々に対し、心から敬意と感謝を申し上げたいと存じます。
続いて、失火責任法についてお伺いいたします。
山林火災において、失火者に対する責任が限定的である現状は大きな問題があると考えます。特に、失火責任法では、重大な過失がない限り失火者は損害賠償責任を負わないとされています。これは、失火責任法が制定された明治三十二年、その当時、木造の住宅密集地で火災が拡大しやすかったという時代背景もあり、火元の特定や賠償の公平性に配慮したものでした。
しかし、現在の山林火災においては事情が異なります。山林火災は、一度発生すれば被害が広範囲かつ深刻であり、住民の生命や財産、自然環境にも甚大な影響を及ぼします。
また、住宅火災においても、隣家からの延焼で自宅が火事に巻き込まれた被害者の方が、自分には何ら落ち度がないにもかかわらず損害賠償請求が制限される事態や、失火した加害者に責任を追及できない可能性が高いという点では現行法は不合理であり、被害者救済の観点からも時代にそぐわないと言えると思います。
さらには、現代の地球環境の変化も踏まえ、今後の火災の性質や被害の広がり方を考える上でも、失火責任の在り方を見直す必要があると考えますが、失火責任法改定についての是非も含め、法務省にお伺いしたいと存じます。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
失火責任法の立法趣旨でございますが、一般に、失火により自分の財産を焼失させるような場合には過失に宥恕すべき事情のあることが少なくないこと、木造家屋が多く、立て込んだ住宅環境の下で、一旦火災が発生すると損害を想定外に拡大させる危険性があることなどによるとされております。
もっとも、現代においては、立法当時より木造住宅が減少するなど、立法当時の状況からは変化が生じているとの指摘があることは承知をしております。
民法の不法行為関係の規定の見直しは、法務省としても検討課題であると認識をしておりますが、今後、その検討を行う際には、その特則である失火責任法についても検討が必要となり得るものと考えております。
○西園委員 失火責任法改定に向けた前向きな御答弁、ありがとうございます。
林野火災についてはもちろん、住宅火災の延焼被害に遭われた方々がどれほど無念な思いをされているか、その悲痛なお声を聞くにつけ、失火責任法改定の必要性をひしひしと感じております。改定の早期実現に向けた御検討を何とぞよろしくお願い申し上げます。
続いて、東日本大震災の被災者に対する災害援護資金の貸付けについてお伺いいたします。
この災害援護資金の貸付けを受けられた方はどれくらいおられるのでしょうか。また、そのうち、返済が滞っているのはどの程度か、教えてください。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
東日本大震災に係る災害援護資金の償還状況につきまして、内閣府において、被災自治体の協力を得て調査を行い、その結果を公表しているところでございます。
直近の調査結果でございます令和五年九月時点における償還状況でございますが、貸付総件数が二万九千七百二十五件、貸付総金額五百二十五億三千百八十九万円に対しまして、滞納件数が九千九百十二件、貸付総数の三五・九%に当たります。滞納金額が六十五億八千五百九十五万円、貸付総金額の一二・五%に当たります。といった状況でございます。
○西園委員 ありがとうございます。
この災害援護資金の返済が遅れている、又はできないという方というのは、御高齢であったり、体調の面で働けなかったり、返済したくてもできないという物理的な理由がある方が多くおられ、その返済の督促が心身に大きな負担を強いているという厳しい現状があると伺っております。
このような方々に対しては、状況に応じて支払いの猶予や免除など、国が自治体に対して柔軟に対応する必要があるのではないかと感じておりますが、政府の見解をお聞かせいただきたいと存じます。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
東日本大震災で被災され、災害援護資金を借りた方の中には、計画どおり返済されている方がいらっしゃる一方で、経済的に厳しいなどの理由により滞納されておられる方もいらっしゃるものと承知をしております。
こうした方への対応といたしまして、災害、疾病、負傷、経済的困窮など、市町村がやむを得ないと認める事情がある場合には償還金の支払い猶予が可能となっております。また、精神若しくは身体に著しい障害を受けたため災害援護資金を償還することができなくなったと認められるときや、破産手続あるいは再生手続開始の決定を受けたときは、償還の免除をすることが可能となっております。
また、こうした措置に加えまして、東日本大震災につきましては、通常の免除事由のほかに、貸付けを受けた方が一定の無資力要件を満たす場合にも特例的に免除が可能といった制度になってございます。
さらに、関係自治体からの御要望を踏まえ、市町村が支払いを猶予した場合に、国及び都県が有する貸付債権、これは市町村に対する貸付債権でございますけれども、同様に履行期限を延長できるよう、現在、政令改正に向けた準備を進めているところでございます。
引き続き、被災された方に寄り添った対応がなされるよう、関係機関と連携の上、適切に対応してまいりたいと考えております。
○西園委員 前向きな御答弁、誠にありがとうございます。
御検討くださっていると伺い、安心いたしました。是非とも、苦しい思いをされている被災者の皆様に寄り添う御対応を何とぞよろしくお願い申し上げます。
次に、東日本大震災の災害公営住宅における残置物の処理について伺います。
災害公営住宅に入居された方が孤独死された場合、遺品の引取りに際して、親族を探すことが困難であったり、親族が見つかっても受取を拒否されることがございます。遺品の処理が進まなければ、その部屋を次の入居者に貸し出すことができず、結果として空き部屋の増加につながります。
こうした問題は、災害公営住宅に限らず、一般の公営住宅でも見られる現象であり、全国的な課題となっています。今後、単身世帯の増加に伴い、孤独死の件数や空き部屋の発生が更に増加すると見込まれます。
こうした状況を踏まえ、単身高齢者が亡くなられた際の遺品など、いわゆる残置物の処理に関して、国土交通省としてどのような取組を行っているのか、御教示いただければと存じます。
○横山政府参考人 お答えいたします。
御指摘の、災害公営住宅において単身高齢者が死亡した場合の残置物の処理の問題でございますけれども、委員からも御指摘があったように、災害公営住宅だけでなく、それ以外の公営住宅においても、入居者の単身高齢化が進む中で課題となっているものと認識してございます。
残置物の取扱いについては、相続人等の思いや財産権についても配慮が必要でございます。一方で、御指摘のとおり、いたずらに空き家、空き室を増やすことは望ましくなく、有効に活用すべきという問題意識もございます。
国土交通省においては、平成二十九年に地方公共団体に通知を発出し、価値のある残置物については相続人の承諾なく地方公共団体が処分はできないこと等を踏まえつつも、残置物の分別や移動、保管等を行う場合の対応方針を示すとともに、他の地方自治体において実施されている対応事例の周知を行ったところでございます。
引き続き、公営住宅管理の現場の実態や取組状況等を把握しながら、残置物の円滑な処理の取組が進むよう、地方公共団体を支援してまいります。
○西園委員 御説明ありがとうございます。
孤独死に伴う遺品の引取りや残置物の整理が社会的課題となる中、本人の意思をあらかじめ記しておくエンディングノートの重要性が高まっており、それに取り組む自治体も増えつつあります。家族や関係者への負担を軽減し、円滑な対応を可能とするためにも、自身の希望や財産、連絡先などを整理し、記録しておくことは、単身高齢者に限らず、全ての人にとって必要な措置と言えます。
エンディングノートの活用は、今後の高齢化社会を見据えたとき、さきに述べた空き家対策だけに限らず、様々な問題解決の糸口になっていくと感じております。是非、この流れが定着するような仕組みづくりを政府にもお願いできたらと存じます。
エンディングノートにつきましては、私もアイデアがございますので、また機会がございましたら御提案をさせていただきたいと存じます。
次に、福島県大熊町、双葉町に設置された中間貯蔵施設で保管されている放射性物質を除去した土壌の再生利用について伺います。
私は、本年二月、この中間貯蔵施設を訪問いたしました。この施設は、福島県の復興と再生を願う大熊町、双葉町の地権者の皆様の御理解と御協力により、約千六百ヘクタールという広大な用地の確保が可能となったものです。日本の全国民は、原発事故による被害と向き合い続けてこられた両町の皆様に対し、深い敬意と感謝の念を持ち続けなければならないと強く感じました。
この除去土壌については、二〇四五年三月までに県外で再生利用し、最終処分を完了することとされています。県内での再生利用に関する実証事業において一定の成果が確認されたことを踏まえ、今年度から除去土壌の再生利用に関する基準を定めた省令が施行され、再生利用先の創出に向けた動きが本格化すると期待されています。
こうした流れを一層加速させるためにも、再生利用を受け入れる自治体に対しては協力支援金などのインセンティブ措置を講じてはどうかと考えますが、政府の御見解をお聞かせください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、二〇四五年三月までの県外最終処分の実現に向けましては、最終処分量の低減が鍵でございますので、復興再生利用を進めることが重要だというふうに考えてございます。
御指摘のとおり、除去土壌の復興再生利用につきまして、今まで県内で再生利用の実証事業の成果がございました。こういったものを踏まえて、復興再生利用の基準等の策定を先般行ったところでございます。
復興再生利用の推進につきましては、昨年十二月に設置されました閣僚級の会議の下で、二〇四五年三月までのお約束を果たせるよう、政府一体となって、復興再生利用の案件の創出に向けて取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
その実施に向けては、受け入れていただく自治体や地域の皆様の御理解が重要だということでございます。まず、復興再生利用の必要性、安全性について丁寧に御説明することが重要でございますけれども、その上で、どのように関係者の御理解を得ていくのか、支援金というお話もございましたけれども、こういったことも含めて、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○西園委員 御説明ありがとうございます。
環境省の皆様には大変な御苦労をおかけしますが、県外の受入先の確保について、引き続きの御努力をお願いいたします。
福島県双葉町の公営住宅には、帰還された町民の方や新たに移住された方、約百名が入居されています。その中のお一人に、公明党の元参議院議員、元復興副大臣である浜田昌良さんがおられます。浜田さんは、最も苦労されている双葉町の住民の皆様に寄り添い、復興アドバイザーとして、御自身の人生を懸けて町の復興に取り組んでおられます。その浜田さんをモデルとしたテレビドラマ「風のふく島」が先月テレビ東京系列で放映され、大反響を呼びました。
私は過日、その浜田さんにお会いし、大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいくとの公明党の立党精神を体現されているそのお姿に感動し、自分自身もかくあらねばならないと深く決意したところです。
双葉町を始めとする福島県浜通り地区の活性化は、一筋縄ではいきません。浜田さんのような移住者を増やしていくためには、まずは、東京を始め首都圏で勤務される方が豊かな自然を満喫できる浜通り地区で週末を過ごすような二地域居住を促進することが第一歩になると思います。浜通り地区の人を増やすことによる活性化についてどのようなことを考えておられるのか、復興副大臣である、浜田さんのバトンを受け継がれている輿水副大臣にその思いをお聞かせいただければと存じます。
○輿水副大臣 西園委員の浜通り地区の活性化についての御質問にお答え申し上げます。
初めに、復興副大臣を務められた浜田昌良元参議院議員が、議員を勇退された後に福島県の浜通り地区の双葉町に移住し、復興アドバイザーとして現場に寄り添い続ける姿に心から敬意を表するとともに、感謝を申し上げる次第でございます。
委員御指摘の、仕事を替えずに、主な生活拠点とは別の特定の地域に新たな生活拠点を設ける暮らし方である二地域居住の促進は、移住者の拡大にもつながる重要な施策であると認識をしているところでございます。
復興庁では、浜通り地域の移住、定住促進のために、福島県及び十二市町村の自主性に基づく取組に対して支援を行っているところであり、二地域居住の促進に関する取組も支援の対象となっているところでございます。
引き続き、復興庁といたしましては、様々なインフラ整備と併せて、産業やなりわいの再生、町のにぎわいの創出を通して、交流人口や関係人口、さらに移住、定住人口の創出、拡大に向けた総合的な支援を進めることで、浜通り地域の活性化に取り組んでまいります。
以上でございます。
○西園委員 輿水副大臣、力強いお言葉、誠にありがとうございます。
浜通り地区の交流人口、関係人口が増えていけば、JR常磐線の利用客も増え、いずれ、特急の増便が図られ、東京、首都圏を勤務先とする移住者が増えてくると思います。復興庁におかれましては、引き続き浜通り地区の活性化に御尽力いただければと存じます。
次に、南海トラフ巨大地震の発生瓦れきの仮置場の確保について伺います。この件に関しましては、二月二十八日に行われた予算委員会第一分科会でも触れさせていただきましたが、一歩踏み込んだ質問をさせていただきます。
私は、国土交通省からの出向で復興庁に勤務していたとき、「東日本大震災 復興政策十年間の振り返り」、いわゆる復興政策十年誌の編さんに携わってまいりました。私がこの中で最も肝要だと感じたのが、災害発生瓦れきの仮置場の確保です。
東日本大震災の復興が大幅に遅れた原因として、災害発生瓦れきの仮置場が不足していたことが挙げられています。災害が起きた場合、発生する瓦れきを仮置きし処理するのは、原則として被災したその自治体になります。しかし、被災自治体が単独でその瓦れきを処理するのは不可能です。
私の地元静岡市に確認したところ、南海トラフ巨大地震で発生する瓦れきの量に対し、確保できている仮置場の量は約十分の一とのことです。他の自治体も同じような状況だと思います。つまり、もし今この瞬間に南海トラフ巨大地震が発生すれば、瓦れきを仮置きする場所がなく、町の復興が全く進まない状況に追い込まれます。
そこで、環境省にお伺いします。南海トラフ巨大地震で静岡県内で生じる災害発生瓦れきの量はどれくらいを想定しているのでしょうか。また、環境省は仮置場の確保のためにどのような取組を行っているのでしょうか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループにおきまして令和七年三月に報告書が取りまとめられており、この報告書では、災害廃棄物の被害想定についてもまとめております。静岡県につきましては、災害廃棄物の発生量は津波堆積物を含み約五千五百万トンと推計されているところでございます。
こうした膨大な量の災害廃棄物の処理を適正かつ円滑、迅速に行うためには、ただいま御指摘いただきましたとおり、平時から、仮置場の候補地を事前に選定をし、市町村が策定する災害廃棄物処理計画に位置づけていくことが大変重要であると考えております。
こうした考えの下、環境省におきましては、これまで、災害廃棄物処理計画の作成支援のためのモデル事業を実施するとともに、地域ブロック協議会における自治体向けセミナーの中で、仮置場候補地の検討や管理運営の演習を行うことを通じ、自治体による仮置場候補地の選定を支援しているところでございます。
また、令和五年には、災害廃棄物対策グッドプラクティス集や災害廃棄物処理計画策定・点検ガイドラインを策定し、自治体へ周知しております。グッドプラクティス集では、災害廃棄物処理計画に基づいて選定した候補地に速やかに仮置場が設置された事例をその要因などとともに紹介させていただいております。
今後とも、こうした取組を通じて、また本日いただきました御指摘も踏まえまして、自治体による災害廃棄物処理計画策定と仮置場候補地の選定を更に後押ししてまいりたいと考えております。
○西園委員 御説明ありがとうございます。
実際に仮置場を確保しようとすると、地権者の同意が必要となるため、総論賛成、各論反対という構図に陥ってうまくいかないことが想定されます。環境省におかれましては、仮置場を確保できた優良事例を全国に展開し、各自治体の取組を支援していただければと存じます。
選挙で選ばれる首長が他の自治体の災害廃棄物を受け入れる決断を下すことは、非常に大きな覚悟を伴うものです。だからこそ、災害廃棄物の受入れについては、発災前から地元住民に対して丁寧な説明を行い、あらかじめ同意を得ていくことが不可欠です。
その意味で、自治体が連携して災害廃棄物の処理を担う地域ブロック協議会の役割が大切であり、この協議会の枠組みの中で災害時に発生する瓦れきの受入れについてあらかじめ取決めを行っていくことが極めて重要であると、繰り返しになりますが、強く訴えさせていただきたいと存じます。
そして、更に言えば、そのための土壌づくりとして、災害が多い日本に住む我々国民全体に、困ったときにお互いを支え合う自他共栄の復興精神が今以上に芽生えるような取組を図ることによって、さきに述べたような地域間の連携がより円滑に行えるのではないかと思いますので、政府におかれましては、その点についても協議をお願いできればと存じます。
そして、実際に災害が発生した際には、防災庁が政府の司令塔として、首長と連携を図りながら、環境省による広域的な瓦れき処理を補完、支援し、被災自治体を後押しする体制を整えていくことが重要です。この点につきまして、赤澤大臣の御見解をお伺いいたします。
○赤澤国務大臣 もちろん災害の規模にもよりますが、復旧段階に入って、瓦れきの仮置場の確保というのは、委員御指摘のとおり、極めて重要な課題でございます。
南海トラフ巨大地震などの大規模災害が懸念される中で、瓦れき等の災害廃棄物の広域処理について、あらかじめ国や自治体において連携体制を構築するとともに、大規模災害の発災後にはその体制に基づき迅速に処理していくことは極めて重要であると考えております。
環境省においては、既に委員、今日のやり取りの中で御紹介いただいていますけれども、自治体の災害廃棄物処理に関し、仮置場の候補地の選定などの事前の計画策定、発災後の現地の処理業務の支援や広域処理の調整等を実施しているものと承知をしております。
令和八年度中の設置に向けて今現在まさに準備を進めております防災庁では、平時から、都道府県のカウンターパートである地域防災力強化担当を都道府県ごとに決めて、地域の自治体等との緊密な連携体制を構築するとともに、発災時の司令塔機能として、政府全体の窓口として被災自治体等の要望をワンストップで受け止め、関係省庁の対応を加速させるとともに、被災自治体の災害対応や首長の指揮を適切にサポートすることも重要であると考えています。
防災庁を中核に、災害廃棄物処理を含め個別の施策を実施している各省庁、関係機関が一体となった災害対策を一層効果的、効率的に実施できるよう、現在開催している防災庁設置準備アドバイザー会議において様々な御意見をいただきながら、また今日の委員の御指摘もいただきながら、必要な組織の在り方について検討してまいります。
○西園委員 赤澤大臣、丁寧な御説明、誠にありがとうございます。
広域的な瓦れきの受入れ体制の構築こそ、事前防災の本丸と思います。防災庁設置準備室におかれましては、是非、環境省と連携の上、この取組を進めていただければと存じます。
また、赤澤大臣におかれましては、防災庁の設置と同時に、トランプ政権との交渉という大変重責を担われ、本当に心労もいかばかりかとお察し申し上げます。くれぐれもお体を大切になさっていただければと存じます。
質問はあとちょっと、二問ほどあるんです。多分、時間が来てしまいますので、以上で終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○金子委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。西田昭二君。
○西田(昭)委員 昼一番でございますので、よろしくお願いをいたします。自由民主党、能登選出の西田でございます。
国会の方でも各委員会の中で、能登半島の復旧復興に対して、党派を超えて本当に様々な復旧復興に対する質疑、御意見をいただいているわけでございます。被災者の一人として、本当に、改めて感謝と御礼を申し上げるところでございます。また、引き続き国会の皆さん方のお力添えをよろしくお願いをしたいと思っております。
ちょうど今週の月曜日になります。岸田前総理と、能登半島の現地の災害対策の正副本部長、古賀理事そしてまた平沼理事と一緒に石川県の被災地を訪問、視察をさせていただきました。輪島市、珠洲市の訪問なんでありますけれども、輪島市においては、工場が全壊をした、輪島塗の箱製造の再開をした店主の方々にお会いをさせていただいたり、そしてまた、輪島塗の職人、地震の災害で復旧した仮設工房、これが豪雨災害によってまた被害を受けた本当につらい状況でありましたけれども、皆さん方の大きな御支援、御協力によって再開をして、本当に奮闘しているその状況を視察をさせていただきました。
また、漁業者からも御意見をお伺いをさせていただきました。本当に、輪島港の早期の復旧であったりとか加工施設の支援に対する要請もいただいたわけでございます。
また、輪島市から珠洲市に移動する際に、国道二百四十九号線、これが土砂災害によって復旧がほぼ不可能な状況でございました。しかしながら、国土交通省、本当に大変御尽力をいただきまして、隆起をした海岸線に仮設道路を建設をしていただきました。地元の馳知事からよく言われるんですけれども、海岸線に目線があるようなところに道路がある、そしてまた、岩場の外側に道路を造っているものですから、今まで見たことのない岩場の景色もあって、絶景海道という、これは知事が勝手に言っているところではありますが、そういう状況の中で視察をさせていただきました。
また、珠洲においても、豪雨であったり地震、二重の災害に遭った地域の塩田村の復旧の状況を見させていただきました。また、本当に被害が大きかった大谷地区、これはとてつもない土砂の量の、住宅も二階まで土砂に埋まってしまうような本当に甚大な被害の場所でありました、そこの仮設住宅等。そしてまた、長い間避難生活を行っていた大谷小中学校の体育館。そこで、二十人ぐらいいた生徒が今四人になってしまいましたけれども、部活動で卓球をやっておりました。馳知事や岸田前総理も一緒になって卓球をして、激励をさせていただきました。
本当に、能登半島、解体がかなり進んでおります。以前のような風景はがらっと変わって、進んでおります。しかしながら、復旧は進んでいますけれども、復興はまだまだこれからであります。様々な段階についての課題もあると思っておりますし、本当に引き続きしっかりと支援をしていかなければならない、そういう強いお言葉をいただいたわけでございます。
私も、能登半島選出の議員として、そしてまた被災者の一人として、引き続き、皆さん方のお力添えを賜りながら、復旧復興に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
それでは、質問に入らさせていただきたいと思います。
日本は地震多発国であり、特に南海トラフ地震は、今後三十年以内に七〇から八〇%の確率で発生すると予想されております。内閣府が二〇二五年三月末に公表いたしました最新の被害想定では、最悪の場合、死者数は約二十九万八千人、経済損失は約二百九十二兆円に上るとされております。前回、十三年前の被害想定と比較して八%減ってはいますが、十分ではございません。この甚大な被害を軽減するためには、自助、共助、公助の三つの視点を組み合わせた防災・減災対策が不可欠であると思っております。
自助は、個人や家庭が自らの命を守るための備えを指します。具体的には、家具の固定、非常食や水の備蓄、家庭間の安否確認の方法、事前確認などが挙げられます。また、避難経路や避難場所の確認、災害用のアプリや防災無線などの情報収集の手段の確保も重要でございます。特に、津波避難に関しましては、高台へのルートや避難ビルの位置の把握、夜間や悪天候の行動シミュレーションなど、具体的な準備が求められております。実際に、津波情報の伝達や避難の呼びかけがより効果的に行われた場合、想定より約八割の被害軽減効果があると言われているところでございます。
共助は、地域や職場、学校など、身近な人々が互いに助け合うことを指します。大規模災害時には、公的機関の対応が追いつかない場面が多くあります。初動の救助や避難は、地域の連携が生命線となります。例えば、町内会やマンションの住民組織による自主防災活動を活発化して、顔の見える関係性を日頃からしっかりと築いていくことで、災害時にスムーズに連携が可能であり、地域防災訓練の実施、高齢者や障害者、乳幼児のいる家庭など、災害時要支援者への支援体制の整備が挙げられるわけでございます。
そこで、南海トラフ地震や首都直下地震に備え、国民一人一人が自助、共助の意識を高めることが必要であると思っております。政府は、防災教育の強化、地域住民の防災訓練の推進、防災アプリの普及などの取組をどのように進めているのか、今後の計画についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
災害の多い我が国におきましては、公助はもとより、国民の一人一人が自ら取り組む自助、また、住民、ボランティア等が互いに助け合う共助を組み合わせ、地域全体で防災意識を高めていくことが重要であります。
国民一人一人がふだんから災害を自分事として捉え、自らの命は自らが守るという意識を持っていただくために、内閣府としましては、防災週間や津波防災の日等におきまして、避難の方法、水や食料の備蓄、家具の固定など、いざ災害が起きた際の備えについて周知啓発をしているところでございます。
また、幼児等を対象にした防災教育や、防災情報の取得や避難等への防災アプリ等のDXの活用の推進、あるいは、地域住民による自発的な防災活動を定めた地区防災計画等の策定促進や計画に基づく訓練の推進など、様々な取組を通じて地域防災力の向上を図っているところでございます。
こうした取組を通じまして、国民一人一人の自助、共助の防災意識の向上に努めてまいりたいと考えております。
○西田(昭)委員 まずはかけがえのない命を守ること、そしてそのための自助、共助の国民的意識の向上にしっかりと取り組んでいただきますようお願いを申し上げるところでございます。
次に、能登半島地震の際にも大変お世話になっておりました、今もなお継続的に支援をいただいているNPO、ボランティア団体について伺いたいと思います。
これから審議されます災害対策基本法等の一部を改正する法律案に被災者協力団体の登録制度の創設が含まれていますが、事前に登録された団体であるということで、被災された地域の自治体や住民にとって安心して協力していただけるようになると思われますが、一方で、能登半島地震の発災直後は、成り済ましであったりとか盗難行為などの不安な声もたくさんありました。実際に被害の実例も伺いました。安心して支援活動ができる環境整備も喫緊の課題であると思っております。まずは、成り済ましの防止対策について伺いたいと思います。
また、ボランティアが長期化すると様々な課題に直面します。ボランティア団体の方々に安心して活動していただくためにも、ボランティアの方々への支援体制の強化についてもお聞かせをいただきたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
災害時に被災地で支援活動に当たっていただいているボランティア団体等の皆様に安心して活動いただくためには、平時から自治体等との顔の見える関係づくりが重要でございます。
委員からも御紹介いただきましたように、今国会に提出しております災害対策基本法の改正案では、被災者援護協力団体の登録制度を創設することとしておりまして、全国の自治体に対しまして、登録団体の活動内容や活動実績等の情報を広く共有することで、連携体制づくりの後押しを図っていきたいというふうに考えております。
また、今後、登録団体等の活動に対して災害救助費による支援を円滑に行えるようマニュアルの整備を図るとともに、被災地に支援に駆けつけるボランティア団体等の交通費を補助する事業、これについては令和七年一月に開始をさせていただいたところでございます。
このような取組を通しまして、災害時におけるボランティア団体等の自主的な活動を支援するとともに、成り済ましの防止を含め、安心して活動できる環境の整備に向け取組を進めてまいりたいと考えております。
○西田(昭)委員 本当に、ボランティアの皆さん方は、様々な作業、そしてまたイベント等とかも取り仕切っていただいております。私も先週、桜祭り、地元の方と共同で行っていた輪島市の町野地区、これは土砂災害のひどいところではありましたけれども、本当に多くの方々が、もう被災者の顔ではなくて、明日に向けて、前を向いて笑顔で皆さん方と談笑していたその姿は、本当に元気をいただくようなところであります。また、その姿を見て、避難している方々がまた被災地に戻ってきてくれることを本当にこれからも期待したいなと思っているところでございます。
そして、今も現在進行形で能登半島地震から復興を進めていただいている公助のことでございます。
行政や政府が、南海トラフ地震のように国難級の災害に備え、中央、地方自治体による防災計画の高度化と即応体制の整備が急務でございます。例えば、津波浸水予測の精度向上、地震発生時の即時警報システムの強化、避難所の耐震、衛生、プライバシーの対策の改善など、被災者の生命と生活を守るための支援が必要でございます。
先週の時点で、能登半島地震において無念においてお亡くなりになられた方々が五百七十一名、そのうち災害関連死は三百四十三名と、高齢者の方々が多いという地域性があるとはいえども、災害発生時に命を守ることができた方々が避難生活の中でお亡くなりになるという大変つらい現実がございます。
能登半島地震やこれまでの大規模災害の経験を踏まえて、災害関連死を防ぐための政府の取組をお聞かせをいただきたいと思います。
○坂井国務大臣 委員御指摘の災害関連死対策でございますが、今般の法改正の一つの大きなテーマでもございます。災害救助法及び災害対策基本法の改正案を提出いたしておりますが、福祉サービスの提供を位置づけて、被災者の福祉的支援を充実させることで、災害関連死の防止に努めていきたいと考えているところでございます。
政府といたしましては、現在も、能登半島地震の発災当初から、医師や保健師等による避難者への支援、ホテル、旅館等の安全で快適な場所への二次避難に取り組んでまいりましたが、今このときも、仮設住宅での入居者の見守り、健康観察や、デイサービス等を提供するサポート拠点の整備などによって、被災者の支援に全力で取り組んでいるところでございます。
今後も、地震等による直接死を免れ助かった命を守り抜くため、災害関連死の防止に向け政府一丸となって取り組んでまいります。
○西田(昭)委員 元々、奥能登地区においては、高齢者率がもう五〇%を超えているような地域でもございました。でも、畑を造ったりとか様々なお仕事をして長生きされることを望んでいたところでございましたけれども、そういう災害関連死を防ぐ取組を、能登半島地震の教訓も生かしてしっかりと取り組んでいただきますようお願いを申し上げるところでございます。
広域支援の仕組みとして、自衛隊や消防、警察などによる緊急出動体制の整備や被災地間での相互応援協定の拡充、さらに、復旧復興の段階で、住宅再建支援、被災企業への融資、インフラ復旧など、経済的、制度的支援において公助の力が発揮されることで、被災者の生活再建を早期に実現をしていかなければなりません。
先日、私の地元の内灘町の町長さん始め県議、町議の皆さん方が要望活動に来ていただきました。この内灘町は、側方流動という液状化被害が本当に広範囲で発生をした地域でございます。過去の国内事例にはない、最大で三メートルの土地の境界線がずれてしまっている。そしてまた、地籍再調査も困難で、早期の復興に大きな障害となっているところでございます。
地震の災害においてこれまでも発生している液状化について、政府として今後どのような対策を取っていかれるのか、また、液状化により被災された方々が罹災証明を取得される際にどのような基準で罹災状況を判断されているのか。過去に類を見ない液状化被害として、現状と課題についてお聞かせをいただきたいと思います。
○服部政府参考人 液状化対策についてお答えを申し上げます。
全国の液状化被害が懸念される地域においては、住民、行政などの関係者で液状化被害リスクを確認、共有し、事前の備えについて共に考えるリスクコミュニケーションを実施することにより液状化の予防対策を促進していくことが重要だ、このように考えてございます。こうした考え方に基づき、全国で液状化リスクの把握、周知を図るため、液状化ハザードマップ作成の手引きを公表しているところでもございます。
今後、地盤のボーリングデータを反映させた、より実態に即した全国の液状化リスク情報を国として整備するなどにより、自治体における液状化ハザードマップの作成を促進してまいりたいと考えております。
国土交通省としては、今回の能登半島地震での対応も踏まえ、南海トラフ地震などの大規模地震に備えた液状化対策にしっかりと取り組んでまいります。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
罹災証明書は、被災者支援の判断材料として活用されるものでありまして、早期に交付されることが重要と考えております。このため、液状化被害を受けた住宅につきましては、基礎の破壊状況から全壊という判定をするとか、また、外壁又は柱の傾きや土への潜り込み、こうしたことから大規模半壊とか半壊の判定をするとか、一次判定については外観のみで判定できるように簡素化を図っているところでございます。
その上で、被災者から申請があった場合に家屋内に立ち入り詳細な調査を行うことで、被害の実情に応じた、より正確な判定を行うということとしております。
委員御指摘のとおり、令和六年の今回の能登半島地震では、広い範囲で液状化による住宅の被害が発生しておりまして、こうした被害認定調査の判定結果にも様々な声をいただいておるということについて承知をしているところでございます。
内閣府といたしましても、今回の地震における対応をしっかりと検証し、被災された方々に被害認定調査の結果に納得感をお持ちいただき、早期の生活再建を実現するための被害認定調査の在り方につきまして、今後、不断に見直しを図ってまいりたいというふうに考えております。
○西田(昭)委員 内灘や金沢、また、かほく地区の液状化の被害については、本当に、過去に類を見ない厳しい状況でございます。この地域が本当に復興ができるのか、本当に地元の方々も多く悩んだり、地元の関係者も大変心配をしているところでございます。しっかり国として様々な制度を利用して御支援もいただきたいと思っております。
また、罹災証明についても、これは本当に難しいことだと思っております。一メートルも住家が沈んでしまって、これは埋まっていないということで準半壊になったりとか、様々な状況下があります。私は本当に、この液状化の様々な事例が今後の液状化対策の基本になる、見本になってくるのではないのかなと思っておりますが、様々な点で、また対策、対応を考えていただければと思います。
次に、仮設住宅についてお伺いをさせていただきます。
仮設住宅の中でも、民間賃貸住宅を活用したみなし仮設住宅は、応急的な避難先として重要な役割を果たしていると思います。被災者が仮設住宅から恒久住宅へと円滑に移行できるよう、応急仮設住宅と同様に、みなし仮設住宅においても柔軟な対応が求められております。
被災地では、物価の高騰や建設事業者の不足、液状化地盤の対策等によって、二年の期限内で住宅再建が困難なケースも多くあります。期限延長の可否が不安の種となっております。
一方で、災害公営住宅の建設に対する準備のための、被災者の入居に対する意向調査も行政で進められているところでございます。
政府として、みなし仮設住宅の入居期間について、被災者の生活再建状況に応じて応急仮設住宅と同様に延長措置を行う考えがあるのか、方針をお聞かせをいただきたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
みなし仮設住宅への入居期間でございますけれども、建設型の仮設住宅と同様、原則として二年間としておりますけれども、例えば東日本大震災や熊本地震等の際には、道路復旧や災害公営住宅の整備の進捗状況などを踏まえまして、随時、期間を延長し、最後のお一人まで生活再建を支援してきたところでございます。
今回の能登半島地震及び奥能登豪雨の災害におきましても、被災された方々の生活再建の状況等に応じまして、入居期間の延長が必要であれば、国として柔軟に対応していきたいと考えております。
○西田(昭)委員 ありがとうございます。
被災者の方々は、最初は二年と区切られているものですから、仮設住宅と同様で、やはり本当に不安な日々を送っております。具体的にしっかりと延長するという、これは様々な理由があろうかと思いますが、そういったものをしっかり柔軟に判断をしていただいて、延長措置をよろしくお願いしたいと思います。
次に、南海トラフ地震や首都直下型地震では、学校の校舎や体育館が倒壊し、児童生徒が被害を受けるリスクがございます。
全国の小中学校、高校、大学の耐震化率は現在どの程度なのか。また、能登半島地震の際にも、石川県において、約五十か所前後の施設、災害発生時に学校が一時避難所になっておりました。災害発生時に避難所として機能するための備蓄や発電設備の整備状況などをお聞かせをいただきたいと思います。
○金光政府参考人 お答え申し上げます。
学校の耐震化率でございますが、まず、構造体の耐震化につきましては、令和六年度時点で、幼稚園から高校までの公立学校では九九・八%、私立学校では九三・六%となっており、また大学につきましては、国立大学が九九・九%、私立大学が九六・六%と、構造体の耐震化につきましてはおおむね完了しているところでございます。
一方、非構造部材の耐震対策実施率につきましては、同じく令和六年度時点で、幼稚園から高校までの公立学校では六七・八%、私立学校では四五・四%、また大学では、国立大学が七八・七%、私立大学が二〇・八%にとどまっている状況でございます。
このような状況の下、能登半島地震におきましては、構造体の耐震化が進められていたことから校舎の倒壊といったような被害は生じませんでしたが、一方で、内外壁や天井材などいわゆる非構造部材の落下や窓の破損などの被害が生じたところでございます。
国土強靱化の観点からも、今後、老朽化対策と併せて非構造部材の耐震対策にしっかりと取り組んでまいります。
また、避難所に指定されております公立学校の発電設備の確保状況についてでございますが、令和四年十二月一日現在で、自家発電設備などの電力確保が講じられている割合は七三・二%となっております。
学校施設が避難所としての機能をしっかりと発揮できるよう、引き続き、関係省庁と連携しながら取組を進めてまいります。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
災害に備え、各地において適切に備蓄を行っていくことは大変重要でございますし、小中学校も含め、避難所や備蓄倉庫における備蓄を進めていく必要があります。
内閣府におきまして、昨年十一月時点での自治体における備蓄状況を調査いたしましたところ、例えば、主食九千三百万食分、水三千万リットル、携帯トイレ六千六百万個、パーティション百十万個等の備蓄、あるいは女性とか乳幼児などに配慮した品目も備蓄がされておるということで、一定の備蓄がなされていることは確認できたところですが、一方で、簡易トイレとかストーブ、そういったものにつきましては、都道府県ごと、地域ごとの差がかなり大きくなっているとか、また、人口に比して備蓄量が少ないと思われるような自治体もございます。引き続き適切に備蓄を進めていくことが重要であると考えておるところでございます。
○西田(昭)委員 本当に、発災時は地域住民の方々が学校に押し寄せる、一時は千人近い避難住民の方が押し寄せる場合もありますので、またしっかり対策を講じていただければと思います。
最後に、発災初期において道路や港湾が被災し被災地への物資供給が困難な能登半島地震の教訓を踏まえて、南海トラフ地震や首都直下型地震が発生した場合に備えて政府は被災者の生活に必要な物資の備蓄についてどのように取り組んでいるのか、また、道路が寸断された場合の代替輸送の手段などに対する政府の見解をお伺いをさせていただきます。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
大規模災害発災時におきまして迅速に物資を届けていくため、まずは地域自ら十分な備蓄を行っていただくことが重要でございますし、自治体のみでは必要な物資量を調達することが困難な場合には、国の方で被災者支援や避難所環境の整備に必要な物資をプッシュ型で支援することとしております。
先般成立した昨年十二月の補正予算におきまして、避難所の生活環境の改善に資する自治体の備蓄の推進などを新しい地方創生交付金により支援するとともに、より迅速なプッシュ型支援を可能とするために、パーティションとか簡易ベッドとか、あるいはキッチン資機材などにつきまして、これまで立川で備蓄しておりましたけれども、全国八地域に分散備蓄の拠点を広げて備蓄をするということとしているところでございます。
また、災害によって物資輸送に不可欠な道路が寸断された場合には、関係省庁と連携し、船舶や航空機などあらゆる輸送手段を活用して輸送することとしております。引き続き、災害時に必要な物資を迅速かつ的確にお届けできるように、輸送体制の構築を進めてまいりたいと考えております。
○西田(昭)委員 時間が来ましたので、本当に様々な対策を講じていただいて防災、減災に取り組んでいただけるようお願い申し上げ、質問を終わりといたします。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いします。
今日は、南海トラフ地震について伺っていきたいと思っています。
政府は、四月六日、十三年ぶりに、南海トラフ地震の新たな被害想定を発表いたしました。新たな想定では、最悪の場合、死者数が約二十九万八千人、全壊、焼失の建物が約二百三十五万棟とされています。これは、前回の想定の死者数三十二万三千人、全壊、焼失建物二百三十八万六千棟から若干の減少となっていますが、依然として、甚大な被害が予測をされています。
二〇一二年の前回の想定に比べ、減少幅は一割にも届かず、十年間で死者数をおおむね八割減らすといった政府の減災目標には遠く及ばない状況となりましたが、このような想定になった理由をまず大臣から御説明いただければと思います。
○坂井国務大臣 今回新たに算出いたしました被害想定は、今御指摘ありましたように、最大死者数約二十九・八万人に上り、前回の算出結果と比較すると一割程度の減少とはなったものの、改めて、甚大な被害が発生することが示されたということだと思います。
被害想定の見直しに当たっては、地盤モデルや地形データの見直しなど最新の科学的知見を踏まえるとともに、住宅の耐震化でありますとか、この間、津波避難施設等が整備をされてきておりますので、これらの進捗などを考慮し算出をいたしております。
死者数の約七割を占めるのが津波による被害ということでございますが、この算出に当たって、早期に避難する住民の割合、これを何%にするかによって結果が大きく変わってくるわけでございますけれども、今回、前回同様、積極的に早期避難が行われた場合とそうではない場合の二パターンの避難率を設定して算出しておりまして、早期に避難をしていただく場合には約十七・七万人、しかし、そうでない場合には二十九・八万人、こういうことになっております。
対策に取り組めば被害が軽減できるものであり、引き続き、関係機関と連携して、南海トラフ地震等の大規模災害への備えを進めてまいりたいと思っております。
○田中(健)委員 御丁寧にありがとうございます。
大臣からは、様々なこれまでの取組も加味したということをお聞きしました。特に、今回は詳細な地形データが入りまして、従来なかった新たなリスクも算出がされたということではありますが、特に南海トラフの被害が考えられている地域においては、避難計画、自治体の防災対策は明らかに進んでいます。
例えば、私は静岡県ですけれども、静岡県は、東海地震が来ると私が生まれた頃から言われて取組を進めてきたんですが、前回の試算のときに、約十万人亡くなるということで大変県としてはショックを受けまして、この十年で国と同じように八割減らす目標を掲げて、様々な取組をしてきました。その結果、県の試算では七割の死者数を減らすことができたということが発表されております。七割も減らす努力をされたんですが、なかなか一割の減には反映されていないんじゃないかといったことも考えられます。
今回の被害想定は、そういった各自治体の様々な取組等も加味しての結果ということでよろしいんでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
南海トラフ地震の被害想定は、全国の被害の全体像を明らかにすることにより、広域的な防災対策を立案するとともに、国民の防災意識の向上を図り、津波からの避難促進など、被害の軽減を図ることを目的として算出をしております。
御指摘いただいた静岡県による被害想定でございますけれども、早期避難率を八一%で設定されておられること、海岸堤防は決壊しないという前提で想定されているということなど、国とは異なる条件で算出をされているものと承知をしておりますが、国の被害想定は、最新の科学的知見の下で、より厳しい条件の下で最大の被害を想定したものということでございますけれども、各地域の防災対策は、それぞれの地域の実情に応じて取組を進めていただくことが重要でございます。そうした地域の取組を内閣府としても支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○田中(健)委員 想定が違うということで、単純な比較はできないかもしれませんが、やはり各自治体、相当この十年努力をしてやっておりますので、その努力が何か徒労感に終わるようなことがないようにしていただきたいと思っています。
更に具体的に進めていきますけれども、先ほど大臣、死者の最大数約二十九万八千人ですが、最も多くを占めるのは津波ということで、二十一万五千人という最大の数を示していただきました。前回の想定では早期に避難する人が二〇%ということでありましたけれども、今回もその割合に変化がないという条件で計算したということでありますが、想定の計算手法や、想定をそもそもどう考えるべきかというのは大変重要かと思っています。今回関わりました専門家の皆さんの声でも、想定の計算手法や、想定をどう考えるべきか、そもそも論の議論が十分にできないまま検討に入ってしまったという感もあるということも述べられていました。
被害想定は、揺れや津波の情報だけではなくて、人々の行動や社会状況をどう反映させるかで結果が大きく変わってくると思っています。避難行動や防災意識の向上をこの被害想定にどのように反映させていくのか、今後の課題かとも思いますが、大臣の見解を伺います。
○坂井国務大臣 今回のこの数値でございますが、やはり一つ大事な点は、早期避難率を七〇%と想定した場合と二〇%と想定した場合と、亡くなる方の想定の数が十万人以上減少する、つまり、津波の人的被害は住民の早期避難によって大きく軽減できるんだということをお示ししていることではないかと考えております。
だからこそ、各地域も、国もそうでありますが、自治体も含めて、一人でも多くの住民の命を守るために、こういった状況、要は、避難をすれば、ちゃんと行動をすれば命が守れるということを普及啓発し、そして多くの方に意識を持ってもらって、こういった防災意識の向上や啓発に努めていくということにつながればと思っております。
○田中(健)委員 今、防災意識ないしは防災の避難行動を早くすれば大きく人数を減らせるということでありました。報告書の中でも、地震発生から十分以内で避難できれば津波の死者数は七割減らせるということが述べられていました。
少し質問を飛ばしてお聞きしたいんですけれども、被害の軽減には、やはりハードの整備、そして、揺れればすぐ逃げるということの徹底が必要であると思っていますが、まずハードの面でお聞きをしたいんです。
多くの自治体で、津波による浸水が予想されるエリアに対して、津波避難タワー、さらには避難タワーの整備ということが今進められています。特に、住宅密集地や観光地では、津波避難タワーは大変大きな建物ですからなかなか建てられないということで、ビルを活用するということが進められていますが、避難者数の数に対してビルの収容力が不足しているということが言われ、避難難民が発生する可能性が指摘されていますが、この避難ビルの指定の状況についてまず伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
津波から人命を守るためには早期の避難が極めて重要でございまして、津波被害低減のために、民間ビル等の津波避難ビルの指定や津波避難タワーの整備を行うこととしております。
南海トラフ地震防災対策推進地域における指定状況でございますけれども、令和五年四月時点で、津波避難ビルが一万二千棟、津波避難タワーが四百七十一棟という状況でございます。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
この津波避難ビルでございますが、一部の指定ビルでは、実際の津波の高さを超える想定になっておらず、本当に安全なのかと疑問視をされるケースもあり、さらに、十年たっていますから、古い建物が指定されている場合、耐震や耐水性が十分でないということがあるとも指摘されています。実際、私の静岡市の清水庁舎、先日、耐震性に問題ありということで、元々避難ビルに指定していたんですが、それを解除するということとなりました。
どのように安全性を確保、また担保していくのか伺いたいと思いますし、例えば、進めていくためには、津波避難ビルに必要な構造強化や避難経路が重要と言われていますが、その整備に対する補助制度を拡充したり、また小規模自治体への重点支援、なかなか、小さい自治体ですと自分たちで指定ができないということで、国が計画策定の支援チームなどを派遣して作業をサポートするなど、建物の改修支援や財政や人員の支援ということが必要になってくるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
津波避難ビルにつきましては、耐震性、耐津波性、避難スペースの高さなどの構造条件等を満たすものを各自治体で指定していただいているところでございます。
津波避難ビルにおける耐震改修とか、また津波避難タワーの整備、避難経路の整備などにつきましては、関係省庁において財政的支援を行っているところでございます。
また、自治体による避難施設の整備や津波ハザードマップ作成などを支援するため、国土交通省において、ワンストップで相談、提案できる津波防災地域づくり支援チームというのを設けておりまして、市町村の津波防災地域づくりを支援しているところでございます。
また、内閣府では、自治体による津波避難ビルの指定が促進されるよう、津波避難ビルに係る事例集であったりとか、また、指定緊急避難場所の指定に関する手引きを作成するなどして、自治体に対する支援を行っているところでございます。
○田中(健)委員 避難ビルの指定が始まった頃はやはりどんどんと指定があったんですが、今、十年たつ中でなかなかこれが進んでいかないということも聞いておりますので、しっかり、国交省からの支援ということも御説明いただきましたが、連携して取り組んでいただきたいと思います。
さらに、課題としては、避難ビルの多くは民間の所有でありまして、所有者の理解とか協力が不可欠でありますが、なかなか、災害時にどうやって管理するのかとか、誰が開放するのかとか、また、何か事故や事件があったらどうするのかと様々な心配があって、判断できるのが難しいとも言われています。また一方、避難できないリスクもあると指摘されています。
民間事業者との連携をどのように進めていくのかが、これから避難ビルを拡大していく、指定していくのに大切なポイントかと思いますが、民間が協力しやすくなる取組、例えば、災害時に建物が損傷したりした場合、補償スキームはどうするのか、こういったことを創設して所有者の不安というものを少しでも和らげたり軽減したり、また、これは自治体と建物所有者が締結するわけですけれども、各自治体によってそのフォーマットが違うということも聞いておりまして、是非この標準化や簡素化を図るなどして、誰もが手続がしやすい、負担軽減などという協力促進策も必要かと考えますが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
津波避難ビルの指定の促進に当たりましては、御指摘いただいたように、ビルを保有している民間所有者の御協力が不可欠でございます。
そのため、例えば、ビルの中に避難スペースとか防災備蓄倉庫等の整備を行う、そうしたことに対しまして財政的な支援制度を設けるとともに、自治体と建物所有者との円滑な協定締結が図られるよう、事例集を作成するなどにより支援を行っているところでございます。
この事例集の中では、例えば、夜間に職員が不在となる施設について解錠ボックスを設置した事例であったりとか、一次避難施設として使用された場合の施設又は備品の破損に関しまして自治体の補償を規定した事例などについてもお示ししているところでございまして、引き続き、自治体における津波避難ビルの指定が進むよう、関係省庁と連携して支援してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 事例集があるのは知っていますけれども、やはり十年たって、先ほど大臣から、逃げる人たちの意識が変われば、ないしはそこができれば大きく死者数を減らせる、七割も減らせるということですから、今まで以上の対策が必要だと思っていますので、ハード、ソフト両面からこの対策に特に力を入れていただきたいと思っています。
さらに、今回の内容、新たに災害関連死が明記をされました。前回はなかった災害関連死の規模を試算をして具体的な数字を示しましたが、これはどのような考えの下試算を出されたのか、またこの数字を今後どういうふうに災害対策に生かしていこうと考えているか、大臣の考えを伺います。
○坂井国務大臣 災害発生時には、被災者に寄り添い、また良好な生活環境を確保することで災害関連死を防いでいくことが重要であり、昨今特に、この災害関連死を防ぐべきだという重要性が認識をされてきたと思っております。
新たな被害想定におきましては、熊本地震でありますとか能登半島地震における災害関連死への対策の必要性が注目されたことを踏まえて、南海トラフ地震で発生し得る災害関連死の数を過去の災害実績を基に推計したものであり、約二万六千人から約五万二千人としております。
今般の法改正も、福祉サービスの提供を位置づけて災害関連死の防止を図るというのが一つの大きな論点でございますが、こういった地震等による直接死を免れた方々、助かった命を守り抜くために、災害関連死を減らしていけるように、政府一丸となって取り組んでまいります。
○田中(健)委員 災害関連死、今大臣から二万六千から五万二千人と、大変大きな印象を受けました。これを一人でも減らしていくということが大きな課題かと思いますので、これも全庁挙げて、皆さんで力を合わせて取り組んでいきたいと思います。
最後の質問となりますが、何かマイナスの話ばかりしておりますけれども、今回、死者数の想定、前回から三万四千はしっかり減っているわけです。その主な理由は、建物崩壊の死者が二万人減ったということであります。住宅の耐震化が全国で今八七%と、九〇%近くまで上がっているということであります。
しかし一方で、耐震化率が高いのは、どうしても首都圏、三大都市と言われる東京、大阪、名古屋に偏っているとも言われています。実際、東京は九二%、愛知は九一%です。しかし一方、南海トラフ、被害が大きく言われている和歌山は八三であったり、徳島においては八一・九と、大変に各地域によって差があるのも現実であります。
この耐震化率においての地域差が大きいということをどう認識し、また対策を考えていけばよいのか。併せて、耐震化は進んでいるものの、全体として、全壊や焼失の建物の数というのは依然として大きいわけであります。この高い水準にとどまっている理由と対策について、併せて最後にお聞きします。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
住宅の耐震化率でございますけれども、令和五年時点で全国で約九〇%ということでございますけれども、御指摘をいただきましたように、市町村別に見ると耐震化率が低い地域も点在をしておりまして、引き続き、公共団体と連携し、耐震化に向けた取組を実施していくことが必要であると考えております。
また、今回の被害想定では、全壊、焼失建物数は前回よりも減少はしておりますけれども、約二百三十五万棟と、依然として甚大な数となっております。今後の取組により、これも、例えば耐震化率が一〇〇%となった場合には、揺れによる全壊棟数が七割減少するというふうに試算をされておりまして、引き続き耐震化を推進していくことが重要と考えております。
この耐震化を進めていく上で、国土交通省の方で、昨年の十二月、補正予算におきまして、住宅、建築物の耐震改修の補助限度額を引上げを行っておられたりとか、リバースモーゲージ型の支援で耐震改修を促進をする、そうしたメニューも設けているところでございまして、関係省庁と連携しながら耐震化の促進に努めてまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 時間となりました。終わります。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。
本日は、東日本大震災・防災・災害対策に関する特別委員会で初めての質問をさせていただきます。
まず冒頭に、本当に、今年は阪神・淡路大震災から三十年たつ、また、様々な災害においてお亡くなりになった皆様に改めてお悔やみ申し上げるとともに、そこから私たちはいろいろなことを教えていただいたことを生かすということが何よりも大切だと思って、質問させていただきます。
また、委員長を始め理事の皆様には、今回初めて三大臣が所管をするという、ある意味、国会の中では、私も八期目になりましたけれども、三人の大臣がというのは合同審査以外は普通はあり得ない話で、それだけこの災害に関してはいろいろな分野が連なるということでもある。でも、各それぞれ、復興についても、防災についても、災害についても、大切であります。
また、元々、災害対策特別委員会自体は、一番長く今残っているという系譜をたどっている特別委員会でもあり、これはきちんと定例日がある委員会でもありました。それはなぜかというと、災害の対応ではなくて、起こったときではなくて、日頃のときに災害に対しての国会として審議をするということが設置のときには言われていたというふうに私は聞いております。
是非、委員長におかれましては、また各理事におきましては、災害対策、この特別委員会、更なる充実をしていただきたいと思いますので、理事会の方で御審議の方をお願いいたします。
○金子委員長 理事会で協議します。
○小宮山委員 よろしくお願いします。
それでは、まず、一月二十八日に発生いたしました八潮市道路陥没事故では、下水道利用者百二十万人に影響が及びました。どう考えても、もうこれは、高度経済成長期のときに国が主導しインフラ整備などを進めていった結果、今、老朽化をし、そのために災害級の事故になっているというのも現実だと思っております。
是非、この点に関しまして、本日、発災から七十一日目でもございます。まだ、残念ながら、トラックドライバーの方の救出もできておりません。政府として、今後の対応また予算についての御説明をお願いいたします。
○松原政府参考人 お答えいたします。
埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、三月十八日に、事故現場の復旧工事への支援や下水道管路の全国特別重点調査の実施につきまして予備費の使用が閣議決定されたところでございます。
八潮市の事故現場におきましては、一刻も早く事故に巻き込まれた方を救出するとともに、陥没箇所の下水道機能や道路の通行が確保できるよう、埼玉県による仮排水管の整備や破損した下水道本管の復旧工事等を支援してまいります。
また、今回と同様の事故を未然に防ぎ、国民の安全、安心が得られるよう、直径二メートル以上の大口径かつ設置後三十年以上経過している古い下水道管路約五千キロを対象といたしました全国特別重点調査と、この調査結果を踏まえた緊急改築への支援を行うこととし、速やかな調査の実施を全国の地方公共団体に対して要請したところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、一刻も早く事故に巻き込まれた方が救出され、復旧工事が進むとともに、全国で同様の事故が発生しないよう、必要な対策をしっかりと検討し、実施してまいります。
○小宮山委員 全国でも必要な調査をしていくということでありますが、この課題、老朽化インフラの更新、長寿命化というのは、私自身が埼玉県議会議員の頃からこの問題に取り組ませていただいております。今後、この老朽化インフラの改修、改築など、整備も防災対策として取り組むべきだと考えておりますが、この点に関しまして、政府の方針、また国土強靱化担当大臣としての見解をお聞かせください。
○坂井国務大臣 高度経済成長期に整備をされましたインフラの老朽化が加速度的に進行する中、著しい劣化や損傷が進行し、災害に対して耐える力、災害耐力の低下による被害拡大が懸念をされております。その対策は国土強靱化の観点からも急務であり、四月一日に公表いたしました第一次国土強靱化実施中期計画の素案におきましても、このインフラの老朽化対策を施策として位置づけたところでございます。
今回の埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故も踏まえ、取組をしっかり強化をしてまいりたいと思います。
○小宮山委員 是非取組強化もしていただきたいと思います。
私自身が埼玉県議会議員になったときには、高度成長期また少子高齢化が進んでいく中で、高齢者施設も多く、その中でも事件もありましたが、設置というか設立がどんどん進んでいった頃であります。ちょうど今、二十年を越し、三十年ぐらいたつということになってきますと、附帯の施設等も老朽化しています。
高齢者施設、今国会で災害対策基本法の改正があるかと思います。この中でも福祉というものをきちんと位置づけていくことになると思いますが、こういった施設の中においても、老朽化になると莫大なお金がかかってしまいますので、数千万改築には必要だと、また借入れをしたりということですと、できるところ、できないところができてしまいます。
是非、国土強靱化ということも含めて、防災の観点からも、こういった福祉避難所になる可能性の高いところへの設備の更新などへの支援も要請をしたいと思います。
さて、本日は午前中は復興関係の質疑が多かったんですけれども、令和五年、おととしには関東大震災から百年、また、今年は、阪神・淡路大震災から三十年、また東日本大震災から十四年目という年になっております。地震の活動期に入ったということもあります。南海トラフの地震のこともありますけれども、首都直下型地震に関しまして多くは質問させていただきたいと思っております。
まずは、復興に関してはいろいろな課題がございますけれども、日本税理士連合会の方では税制改正に関する建議書を出されております。この中において、災害時に対応する税制として、雑損控除の適用につき、特定非常災害により生じた損失において、災害損失控除の順番を見直すとともに、繰戻し還付制度を創設することとされており、災害損失控除の順番見直しや繰越還付制度の創設が行われるべきだと私も考えております。
現在、政府の対応と考えにつきまして確認したいと思います。
○田原政府参考人 お答えいたします。
政府といたしましても、災害による納税者の御負担に配慮する観点から、税制による対応を行ってきてございまして、例えば、令和五年度税制改正におきまして、特定非常災害に係る損失の繰越期間を従来の三年から五年に延長することとしたほか、能登半島地震発災時におきましては、雑損控除につきまして、発災年の前年であります令和五年分の所得税への適用を可能としたなど、必要な措置を講じてきておるところでございます。
その上で、控除の順番に関してでございますが、災害による損失は必要経費に類似した性質を有するものとして取り扱われていることから、雑損控除として人的控除や他の所得控除よりも先に控除することとしてございます。
仮に、雑損控除を人的控除や他の所得控除より後に行うこととした場合には、同じ所得金額、同じ損失の金額を有する納税者の間で世帯構成によって雑損失の繰越額が異なることとなり、また、ふるさと納税を始めといたします政策的に認められている所得控除もある中で、これらの適用の有無により雑損失の繰越額が異なることとなったりするため、公平性の観点からも慎重に検討すべき課題があるものと考えております。
こうした点も含め、議論を深めてまいりたいと思っております。
○小宮山委員 私自身が、令和二年の委員会の質疑で、災害対応の税制について質問させていただきました。雑損控除についても五年までの繰越しができることと改められたり、少しずつ前進はしているかと思いますが、是非いち早く、現場の企業また法人など、こういった商売をやっている方たちに寄り添っていただくことを要望いたします。
さて、政府においては、地震保険、地震共済の加入を促進するための取組を進めていると認識をしておりますが、財務省の資料によれば、世帯加入率は全国平均で約五〇%弱であり、最も加入率が高い宮城県でも七〇%弱になっており、北海道、関東の多くは三五%から四五%以下にとどまっています。各都道府県ごとなどによって、地震保険、地震共済への世帯加入率には濃淡があることが分かります。共済に関しましては、熊本地震のとき、委員長のお膝元でありますけれども、ここに関しては加入率が高かったということで、いち早く復興に被災者の方たちは向かえたと聞いております。
地震保険、地震共済の制度の目的を踏まえ、引き続き、より積極的に加入促進のための取組が必要だと考えますが、政府の取組状況並びに見解をお聞かせください。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
災害の多い我が国におきましては、災害時に住宅の再建を速やかに行えるよう、地震保険の加入などにより自然災害に備えるといったことが大変重要だと考えております。このため、政府広報やリーフレットの作成また配布を通じまして、国民向けに地震保険の加入促進を呼びかけているところでございます。
また、特に令和五年は関東大震災から百年に当たりましたので、損害保険協会とタイアップいたしまして、テレビでのコマーシャルとユーチューブでの情報発信を連携させまして、地震保険等の備えの必要性について普及啓発を行ったところでございます。
地震保険の世帯加入率は、二十年前の一七%から二〇二三年度では三五%と、約二倍に上昇しておりまして、委員御指摘のように、地震共済と合わせますと世帯加入率が全国平均で五〇%弱という状況でございますけれども、地域ごとに加入率に差があるなど、更なる加入促進のための努力が必要であると考えております。
引き続き、関係省庁、都道府県等とともに加入促進に努めてまいりたいと考えております。
○小宮山委員 南海トラフ地震など、地震並びに津波など、被害によって広範囲に及ぶものにおいては、地震保険の保険金の支払い限度額を超える規模の被害が生じることがあるかと想定されます。一回の地震等により政府が支払うべき再保険の総額は、毎年度、国会の議決を経た金額を超えない範囲のものでなければならないと財務省のページでは書かれております。
そこで、保険金支払い限度額十二兆円を超える被害の地震の発生時に、公平性の観点から、地震保険加入の有無に関わらない支援について、防災担当大臣の考えを伺いたいと思います。併せて、地震保険に含まれない災害共済の加入者に関しても、共済の支払い限度を超える被害の地震の発生時に、地震保険加入者への支援同様に政府による支援が行われるべきだと考えますが、大臣の見解をお願いいたします。
○坂井国務大臣 保険に加入するか否かは個人の判断にはなりますが、例えば、過去に被災された経験を有する地域では加入率が高い傾向にあるということでございます。これは、災害に備える意識の差によるものとも考えられるため、備えの重要性、保険加入の有効性などについて更なる普及啓発に努めてまいります。
地震保険につきましては、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険し、先ほど御指摘いただきましたように保険金の支払いに対応できるよう設計されているものと承知しておりますが、この額を超える地震被害が発生した際には、被災された方々の状況等も踏まえて、その時点において必要な支援策が改めて検討されるべきものと考えております。
今後発生する災害の際にも、関係省庁と連携し、被災された方にとって必要な支援が適切になされますよう努めてまいります。
○小宮山委員 財務省のページによりますと、限度額を超えたものに関しては、財源の確保も含め、適時適切に政策判断が行われるものと考えておりますというふうに記述がございます。政治の側がしっかりと見極める必要があるんだと思いますが、できるだけ、被害の支援ではなく防災というか減災ができるように、あらかじめしっかりと、支援ができるというか整備ができているのが望ましいかと思っております。
ちなみに、首都直下地震により公共交通機関が全面的に停止すると、東京都内で帰宅困難者が約九百四十万人生じると試算されております。昼間の人口は千六百万人、日本の総人口の一割強に当たる千四百万人が暮らすのが東京でもあります。
首都直下型地震の様々な計画を見ますと、緊急輸送ルートの計画は、全国からの応援部隊や緊急物資輸送車両の広域的な移動のため、おおむね外環道までの範囲における高速道路の通行を確保とされますけれども、都内の住民の都外への避難や、例えば私も埼玉県民でありますが、埼玉県民の帰宅のための移動に関しての計画はあるんでしょうか。
○坂井国務大臣 首都直下地震など大規模災害発生時には、被害が甚大な地域へ到達するためのアクセスを確保することが全ての災害応急対策活動の基礎となります。そのため、緊急輸送ルートを確保することが非常に重要でございます。首都直下地震発生時には深刻な道路交通麻痺が想定されることから、緊急輸送ルートの確保に際しては、自動車利用の制限、放置車両の移動など、国民や企業の理解、協力が必要不可欠でございます。
政府としては、災害応急対策活動を的確かつ迅速に実施するため、渋滞の発生を防ぐ観点から、避難や家族の迎えなどには自動車は使用しないこと、特に帰宅困難者等に対して、むやみに移動を開始しないという一斉帰宅抑制の協力を求めること、災害応急対策に必要な部隊、物資等を被災地に投入するための緊急輸送ルートを確保し、緊急通行車両等の通行の確保に全力を挙げることなど、広く国民や企業に対して協力を要請することといたしております。
○小宮山委員 もちろん、大臣のおっしゃるとおり、大規模災害の発生後七十二時間は人命救助が優先されるべきでもあり、緊急輸送ルート確保のため一斉帰宅の抑制を行うことは重要でもありますが、人は本能的に危ないところから安全と思う方向に逃げようとするんです。やはりここの対策を考えておかなければならないかと思います。
ちなみに、一九二三年、関東大震災の後、九月一日でしたから、九月三日には、鉄道相が、罹災民は航路運賃とも無賃輸送の取扱いの指令を出しております。千葉に約十五万人、埼玉県に約三十万人、愛知県に約十五万人が無料で避難することができた、これによって被災地での混乱が回避されたという、政府の災害教訓の継承に関する専門調査会、二〇〇九年の報告書にございました。是非この辺りは見習って政治判断ができるようになっていただきたいと思いますし、私どももそうなりたいと思います。
さて、東京都内の在住者が居住地以外の自治体に避難した場合、避難先の自治体に通常の人口規模に対して災害時対応は準備されていたとしても、都内から多くの被災者が避難してきたり被災地支援のための人員の待機場所となっている、そういった想定外の人数が流入されるというところの対応は困難が生じるんじゃないかと予想されます。
避難先、支援を行う人員の待機先となる東京圏、東京近郊の自治体に対してどのように支援をしていくのか、お聞かせください。
○坂井国務大臣 委員御指摘のとおり、この課題も大変重要な課題であり、対策の検討を進める必要があると考えております。
首都圏の自治体の中には、首都直下地震の影響を受けない遠方の自治体との間で協定を締結をして、受入れ可能人数でありますとか移動方法等をあらかじめ定めることで、発災後に広域避難が可能となるような体制の構築に取り組んでいる好例があるものと承知しております。
また、令和六年能登半島地震の経験も踏まえて、今国会に提出をいたしております災害対策基本法の改正案において、広域避難における、避難元と避難先の市町村の間での情報連携の推進を盛り込むことともしております。
そして、首都直下地震対策につきましてですが、今、有識者から成るワーキンググループにおいて見直しを進めておりまして、委員からこの点についても意見が出ております。広域避難や一時的な疎開が必要であり、疎開先へ適切な支援が必要だ、広域避難者へ情報共有を行う仕組みが必要だ、こういった指摘がなされているところでございまして、こういった有識者の御意見も踏まえながら、首都直下地震における広域的な避難の在り方、支援についても検討を進めてまいりたいと思います。
○小宮山委員 時間の都合で、最後の質問の中の要望だけさせていただきたいと思います。
今、大臣の方から一時期な避難また広域避難の案件が出ましたけれども、仮設住宅や災害復興住宅の建設用地を事前に確保することが必要かと思っています。また、そのための用地を確保することが、地方自治体には、今現在、現実にはできないということでありますので、是非、この建設用地の確保ができるような制度というのも御検討いただきたいと思います。これは要望にとどめさせていただきます。
そこで、二の五に戻らせていただきますけれども、首都直下地震と南海トラフなどの違う点というのは、地震財特法また東南海・南海地震対策特別措置法などにおいては国庫補助率のかさ上げなどが入りますが、首都直下地震対策特別措置法には国庫補助のかさ上げはないと認識をしております。首都東京を守るために様々な施策はあるけれども、守る近隣自治体の施策は薄いんです。後方支援ができなければ十分な活動はできません。地震の活動期に入ったからこそ、この点に関しましては、法改正また補助のかさ上げ制度の検討もお願いいたします。
そこで、首都直下地震では、高層建築物、超高層マンションの増加によるエレベーター閉じ込めの発生、停電、断水など、いわゆる超高層難民の大量発生への懸念があります。
今後、超高層マンションの建設抑制が必須ではないかと考えます。防災担当大臣からも国土交通省等へ申入れすべきだと考えますが、大臣の御見解をお聞かせください。
○坂井国務大臣 首都直下地震の発生時、高層マンションでは、エレベーターの閉じ込めのほか、停電や断水等が長引いた場合、特に高層階で暮らす高齢者等が生活継続が困難となるといった事態が生じることが懸念をされております。
地震発生後のエレベーターの早期復旧については、国土交通省において、エレベーター保守事業者に対し体制強化を要請するほか、自動診断・仮復旧システムの普及促進などの対策を進めているものとも承知しております。
例えば、東京では、停電時における水の供給やエレベーターの運転に必要な最小限の電源の確保、また、居住者が共同で行う様々な防災活動、飲料水や食料品の備蓄によって、災害時においてもマンションにおいて生活を継続しやすいといった、東京とどまるマンションといった名前をつけて、この登録制度といった取組がなされているものとも承知しております。
首都直下地震対策については、先ほど申し上げましたが、現在、有識者によるワーキンググループも開催しておりまして、首都直下地震発生時の高層マンションにおける対策についても検討を進めてまいりたいと考えております。
○小宮山委員 七〇%ほど、二十階以上の超高層マンションが東京に集中をしております。もしそこでエレベーター等が使えなくて急病人が出たら、救急車の隊員とかはそこまで上がって降ろすんでしょうか。そういったいろいろなリスクを考えることも必要だと思います。
さて、時間の関係で駆け足になりますけれども、毎回質問させていただいております、平成二十九年に松本防災担当大臣、令和元年には武田防災担当大臣、令和五年には谷防災担当大臣に、避難所での性暴力、性被害に関しての質疑を行っております。
大体、毎回同じような答弁が続いているんですけれども、ここは期待を込めまして、被災地、災害避難所での性暴力、性被害について、被害届の数だけではない実態把握の取組について進捗、変化はあるのか、そうした被害防止のための取組を簡潔に御説明ください。
○坂井国務大臣 今日は警察の政府参考人も来ておりますので、また突っ込んで聞いていただければとも思いますが、警察においては、性犯罪被害者の心情に配意をし、被害者の精神的負担の軽減等に努めるなど、被害者が被害を申告や相談をしやすい環境の整備に努めております。
能登半島地震に際しましては、石川県の警察等において、このような点にも配意しつつ、避難所等における性犯罪等の発生状況を確実に把握するとともに、女性警察官を中心とした応援部隊を全国から派遣をして、性被害防止に関する防犯指導や被災者への相談対応を行ったことに加え、避難所のほか、避難により住民の多くが不在となった地域の街頭等への防犯カメラ約千台を設置をしているところでございまして、今現在も約千台設置をしているということでございます。
内閣府防災の避難所ガイドラインに基づいて、防犯上の観点から、女性用トイレや更衣室を適切な場所に設置し、照明や防犯ブザーで安全を確保することなどについても自治体に周知しているところでございます。
引き続き、被災地における性犯罪を始めとした各種犯罪の抑止等には取り組んでまいりたいと思います。
○小宮山委員 この被害に関しましては、阪神・淡路大震災から、民間の方々が調査をずっと続けていただいています。これまでもずっと同じことを繰り返し政府にはお願いしています。国でしっかりと把握をしていただきたい。相談件数と実際に告訴とか被害届につながった件数の差がどれだけあるのか、これも答えていただけていません。あと、フジテレビの問題など、社会的な形で言い出せないとか泣き寝入りをしているのもあるでしょう。また、もう一つ、なかったことに、加害者側が放置し、結局明るみにならなかったケースも多々あるかと思います。
警察においても、様々努力をしていただいております。是非、性犯罪捜査等に従事する警察官だけではなく、全ての警察官が、誰でも、女性でも男性でも、この問題の相談をして安心ができる、そういう体制を取っていただきたいと思います。また、性的同意、セクシュアルコンセントが当たり前になるような、その醸成もお願いいたします。
最後になりますけれども、災害時のペットの同行避難、同伴避難の理解と普及の促進のための政府の取組についてお聞かせいただきたいと思います。
そして、併せて、時間の関係もありますので、ペットというのは、少子化の中で子供よりも多く、家庭の家族でもあります。そういったものを守るという、その立場に立ってお聞かせいただきたいことと、もう一点は、実験動物を取り扱う事業者について、日本は、取扱い若しくは届出制が整っておりません。もし災害で建物が壊れても、どこにいるかも分からない、アニマルウェルフェアの扱いにもならないということが分かっています。
この点に関して、環境省の考え方も併せて、大臣とともにお聞かせいただければと思います。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
環境省では、災害時のペット同行避難の理解と普及を図るべく、東日本大震災や熊本地震での被災ペット対応を踏まえ、平成三十年に人とペットの災害対策ガイドラインを策定し、飼い主や地方自治体等への普及啓発等を進めてまいりました。
その後、令和六年能登半島地震においては、一定数の避難所において、ペットと同行避難した被災者を受け入れるためのペットの飼養スペースの確保やペットの一時預かりが実施されていた一方で、避難所に入れず車中泊や自宅にとどまることを選択した被災者がいたということも確認されております。
環境省におきましては、各自治体の実態に合わせた対策の検討に役立つよう、令和六年能登半島地震での知見も踏まえ、ガイドライン改定の検討を進めていくとともに、自治体におけるペットとの同行避難訓練の支援などの取組を進めてまいる所存であります。引き続き、都道府県や内閣府を始めとした関係省庁と連携し、ペットの同行避難に対する理解醸成と普及を進めてまいりたいと考えております。
それから二点目、実験動物の件、お尋ねがございました。
環境省において策定いたしました実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準におきまして、実験動物取扱施設の管理者等は、実験動物が保管設備等から逸走しないよう必要な措置を講じることや、また、関係行政機関との連携の下、地震、火災等の緊急時に取るべき措置に関する計画をあらかじめ作成することなどを行うことが定められておりまして、まずは現行制度である当該基準を適切に運用していくことが重要であると考えております。
○小宮山委員 獣医師などによるVMAT、また、動物支援ナース、VNATなど、様々な活躍も応援していきたいと思います。
質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、柳沢剛君。
○柳沢委員 立憲民主党、柳沢剛です。
この委員会では初質疑となります。本日は、このような貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
この世界に入る前は仙台のテレビ局に勤めておりまして、十四年前の東日本大震災の際は、ヘリコプターの生中継を始め、連日、凄惨ですさまじい被災現場を目の当たりにしてきました。その後も、被災地のその日その日の状況を伝えてきました。
上空のヘリコプターから見ますと、一目瞭然、津波は沿岸の町をのみ込み、全てを破壊しました。水は高きから低きに流れますが、津波は、より低いところ、内陸の奥の奥まで入っていきました。周囲よりより低いところ、それは川です。上空から見ますと、タコの足が陸地に入り込んでいくかのように、津波は川を遡上し、車や家、列車の車両までも、川の上流、山の斜面まで押し上げていきました。大川小学校しかり、津波の際は海から離れるだけではなく川からも離れてほしいと、私は事あるごとに訴え続けてきました。
そして、その後の復旧復興も見届けてきました。主に、南は福島県の相馬、新地から北上し宮城県の全域、北は岩手県の陸前高田、大船渡まで、上空からその状況を伝えてきました。陸前高田の奇跡の一本松の話が有名になりましたが、海岸線の七万本の松は全て流され、その後の町の復興、かさ上げ事業とともに、流木の撤去にも大きな労力が割かれました。
そして、その北隣が大船渡です。今回の森林火災は、おととい、四月七日月曜日に鎮火が宣言されました。鎮火宣言当日、私も現場を視察させていただきました。激甚災害に指定され、政府の皆さんも先週金曜日に視察し、焼けてしまった定置網の復旧については国の補助率を二分の一から四分の三に引き上げる特例措置を取ることなどを発表しましたので、私が訪れた漁協では感謝の言葉もありました。
そこで、最初の質問です。
政府としては、大船渡の林野火災に関しまして今後どのような支援を考えているのか、その大要をお聞かせください。
○庄子大臣政務官 御質問ありがとうございます。
四月七日の日に委員始め御党の皆様で現地を御視察をいただきまして、本当にありがとうございました。
私も、三月までに政務で二回、また四月四日、今お話をいただきましたとおり、江藤大臣と御一緒に大船渡に行ってまいりまして、現場の視察、また関係者の皆様からお声を伺ってまいりました。
今回の林野火災によりまして、基幹産業であります漁業におきましても、漁具の倉庫、あるいはその漁具倉庫にしまってあった定置網などが焼損をしてしまいましたし、また、養殖ワカメ等の操業にも大きな影響が出ているというふうに承知をしております。
今般、災害で焼損しました定置網については、今おっしゃっていただきましたが、東日本大震災の被災地でもございます、そして、操業期間外で陸揚げをしていたために焼損してしまったということでありまして、漁業の施設共済の対象にもならないということでありましたので、特例的に補助率を通常の二分の一を四分の三に引上げをさせていただいたところでございます。
また、養殖ワカメにつきましては、水揚げ金額が減少した場合、漁業共済、積立ぷらす、これによりまして減収が補填をされるということがございますし、また、長期、低利の運転資金であります農林漁業のセーフティーネットの資金が活用できるところでございます。ちなみに、綾里の漁協の皆様、五十六経営体ございますが、全ての経営体の皆様に漁業共済そして積立ぷらすに加入をいただいておりますということもつけ加えさせていただきたいと思います。
本省といたしましては、漁業者のなりわいの継続、再建に向けて、自治体とともに連携をして全力で取り組んでまいります。
○柳沢委員 ありがとうございます。
現場に行ってみますと、山林の焼失に伴いまして、急斜面では下草が燃えて地面がむき出しになっておりまして、既に崩れ始めているところもありました。また、流木が相当数海に流れ出し、綾里漁港では回収した流木が漁港の脇に積まれておりました。聞けば、海上にそのまま流木を放置すると、養殖のワカメを傷つけたり網に穴を空けてしまったりするため、現在、漁業者が自主的に回収しているそうです。
火災現場に行きますと、先端が緑に見える杉の木も、下から枯れ始めているのが分かります。既に根から水を吸い上げる力はなく、倒木を待つのみの状態になっています。皆さん、太い丸太を想像してみてください。それがそのまま、しかも枝も葉っぱもついた状態の原木が、リアス式海岸のそこここの崖からそのまま海に流出したらどうなるか。これは引き揚げるだけでも相当な手間がかかりますし、回収したとしても、海水を含んでいるため、すぐに焼却処分することができません。これから、強風のときはもちろん、梅雨の時期には大量の倒木が海に流れ込むことが想定されます。
この件に関しまして、政府としてどのような見解をお持ちでしょうか、お聞かせください。
○庄子大臣政務官 山林火災によって焼損をした樹木が海に流出した際の処理につきましてでございます。
海域に流木が漂流している場合、あるいは流木が海岸や漁港に漂着する場合など、その状況や規模、あるいは要件などがございますので、これに合致した場合に様々な国のメニューがございます。例えば、環境省では海岸漂着物等地域対策推進事業、水産庁では水産多面的機能発揮対策事業、また国交省では海洋環境等整備事業がございますので、こうしたメニューで対応をしていくということになろうかと思います。
また、今後、山林からの流木の流出の防止を行ってまいりますため、渓流に治山ダムを設置するなど対策を実施する予定でございまして、これは、あしたから岩手県と御一緒に現地で調査を始めることにしております。
農林水産省といたしましても、関係省庁や地元の自治体と連携をしまして、現地の状況を把握し、必要な助言や支援を行ってまいります。
○柳沢委員 丁寧な回答をありがとうございました。
二次災害が起こらないように、是非、適切な対処、対応、そして準備の方をお願いいたします。
では、次の質問です。
原発による除染土の問題です。
ヘリコプターで高度を取った上空から見ますと、宮城県境からでも遠くに原発を確認することができます。ヘリコプターの上空から見る風景は、地図にあるような県境を示す点線や赤い線はもちろんありません。県境や町の境が全く分からないところもあります。原発による被害は、皆さん御存じのとおり、福島県だけではありません。県境できっちり分けられるものでもありません。
福島県の除染土壌については、中間貯蔵施設を設置し、除染土壌を収集し、次の段階に移行しようとしていますが、福島県以外では、いまだにその前の段階、現地保管のままであり、十四年たっているにもかかわらず、その処分方法が示されていません。
例えば、宮城県の山元町では、平成二十三年十二月に、東日本大震災に伴う原子力発電所の事故によって放出された放射性物質による環境汚染への対処に関する特別措置法に基づく汚染状況重点調査地域の指定を受け、平成二十四年五月に、山元町除染実施計画を策定、〇・二三マイクロシーベルト以上の八つの行政区を除染実施区域に指定し、ガイドラインに沿いまして、現在、町内の十七か所の地下に埋設し、保管しております。
この処分方法について、国は今後どのような対応をするのか、見解をお願いいたします。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
福島第一原子力発電所の事故によりまして環境中に放出された放射性物質への対処につきましては、生活環境における空間線量率の低減を図るための除染が行われてまいりまして、これによって発生した除去土壌については、福島県外の地域におきましては、除染の現場や仮置場で保管をいただいているというところでございます。
これらの除去土壌の安全な処分方法につきましては、国内外の有識者からの御意見や実証事業の成果等を踏まえて検討を行ってまいりましたが、本年三月二十八日には、除去土壌の処分の基準及びガイドラインを策定したところでございます。
福島県外において発生いたしました除去土壌につきましては、法令上、市町村等が基準に従って処分を行うということとなっておりますが、環境省としても、市町村等とよく相談をさせていただきながら、除去土壌の処分が円滑に進むよう、財政的、技術的な支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○柳沢委員 山元町は福島県と接しています。隣の町では除染土が町から中間貯蔵施設に運び出されている、その様子を町の人たちはつぶさに見ています。なのに、たった数メートル離れている自分の町ではそのままになっている。となれば、確かに気になると思います。
山元町は、人口一万一千三百人ほどの小さな町です。予算がふんだんにあるわけではありません。この作業に伴う費用はどこが負担することになるんでしょうか、お聞かせください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
今議員お尋ねの、福島県外におきまして発生いたしました除去土壌の処分に係る費用につきましては、全額環境省の補助金、放射線量低減対策特別緊急事業費補助金という補助金がございますので、こちらで全額補助金の対象とさせていただいているというところでございます。
○柳沢委員 小さな町で、そして細かい指示をいただけていない、そんな話も聞いておりますので、是非、今後はより丁寧な説明を町の方にしていただき、そこの住民の理解を得ていただきたい、そのようにお願い申し上げます。しっかりとした対応をお願いいたします。
では、次の質問に移らせていただきます。
東日本大震災を経験した被災者の一人として、インフラが普通に使えるありがたさを痛切に感じた一人として、質問いたします。
私は、仙台市の南隣になります名取市に住んでおります。高台のため津波の直接的な被害は受けませんでしたが、住宅は半壊、電気、ガス、水道は全て使えなくなりました。電気、水道は早めに復旧したんですが、ガスはしばらくかかりました。
そして、私は、地元の少年野球チームの監督を務めて間もなく二十五年になるんですが、震災後、半月ほどたった頃、息抜きや気分転換をさせてほしいという要請を受け、子供たちの安否確認も兼ねて、選手に集合をかけました。子供たちは全員無事だったんですが、沿岸部のおじいちゃん、おばあちゃん、そして親戚が亡くなったという報告もそのとき受けました。せっかく集まったんだからキャッチボールをやりたいという子供たちがたくさんいたんですが、残念ながら、汗をかいてもお風呂には入れないし、温かいシャワーを浴びることもできない状態だったので、迷いました。
そのとき、一台の大型バスがグラウンドの前に止まり、降りてきた人からグラウンドのトイレを貸してほしいと言われました。その人のジャンパーの胸には大阪ガスと書いてありました。どうぞと言うと、大型バスから続々とたくさんの方が降りてきました。聞けば、団地全体のガスをその日のうちに一台の大型バスの全員で復旧するということでした。それを聞いて、選手も、指導者も、親の会のお父さん、お母さんも大喜びしました。子供たちははしゃぎ回りました。監督、キャッチボールしてもいいよねと、にこにこ笑顔で迫ってきました。私は、もちろんと。
そのとき、キャプテンが集合をかけ、ガス会社の皆さんの前に一列に整列し、よろしくお願いしますと言いました。お父さん、お母さんは、そのとき、うるうる泣いておりました。ガス会社の皆さんも、もらい泣きしていました。みんなで握手をして、そして、トイレだけではなく、何でも言ってください、何でも準備しますと。非常にいい光景でした。本当にありがたかったです。その日の夕方、半月ぶりに私も自宅の風呂に入りました。風呂のありがたさを全身で感じました。
その後の取材で、東日本大震災発災後すぐに、大阪ガスの方々八百人が、秋保温泉のホテルに一斉に入り、各地のガスの復旧に当たってくれていたことを知りました。ガス会社と秋保のホテルの連携で体制が整い、そこを拠点に迅速に、そして、拠点があったからこそ、長期にわたって作業に当たることができました。この作業はゴールデンウィークまで続きました。大阪ガスの社長は、阪神大震災でお世話になった、一番最初に入り一番最後に帰ってこいと八百人の社員を送り出したそうです。これにより、どれだけ被災者が助かったことか。十四年たちましたが、改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
その一方で、東日本大震災では災害弱者の問題も浮き彫りとなりました。
私の知り合いの家族ですが、家を流されたため、町の体育館に避難しようと思ったのですが、おばあちゃんが認知症なんですね、体育館に行くと周りの人たちに迷惑をかけてしまうということで、車で一か月余り避難生活を送りました。
こういったいわゆる災害弱者について、現在どのような準備がなされているのでしょうか、お聞かせください。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
高齢者、障害者等の配慮が必要となる方が災害時に取り残されることなく、安心して避難生活を送っていただくことができるよう、受入れ体制を整えていくことは極めて重要な課題であると考えております。
内閣府としましては、自治体に対しまして、避難所に関する指針やガイドライン等におきまして、福祉避難所の指定や事前の協定、届出による福祉避難所の確保を促すとともに、福祉避難所が被災することも想定し、一般の避難所にも要配慮者スペースを設けるよう求めているところでございます。
引き続き、自治体と連携しながら、要配慮者の良好な避難生活環境の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
○柳沢委員 そういった施設がどこにあるのか、どういう場所にあるのかということを知らなければ、その場に行けないと思います。
では、その周知方法はどのように行っているのでしょうか、お聞かせいただけますでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
福祉避難所を設置している各自治体におきましては、ホームページや防災アプリ、あるいは広報紙等により、福祉避難所の場所とか対象者について周知をされているものと認識をしております。
内閣府におきましても、災害時に受けられる支援制度についてのリーフレットに、福祉避難所や要配慮者スペースなどが利用できる旨を記載をしておりまして、自治体と連携して周知を行っているところでございます。こうしたものをしっかり周知をしていくことが大変重要だと思いますので、私ども、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思っております。
○柳沢委員 高齢化に伴って、そういった方々は、年々といいますか、日々増えていると思います。いつ自分の家族が、そして自分自身がその立場になってしまうのか分かりません。誰でもが分かるように是非幅広く御周知いただき、適切な対応をお願いしたいと思っております。
現在は、ホームページとかは誰でも見られる状態なんでしょうか。お願いします。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
一例としてホームページを挙げさせていただきましたけれども、各自治体のホームページで、そうした福祉避難所、こういったものがありますというようなことを掲載していただいておったりしますし、また、災害発生時には、例えばいろいろな避難所にチラシを掲載するとか、そういうスマホとかを見られないような方なんかにもしっかり伝わるようにしていくことが大変重要だというふうに思いますので、御指摘も踏まえてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○柳沢委員 是非周知の方を徹底していただきたいと思います。
また、被災者が避難中に二、三日だけでも自分のいる避難所から離れることによりストレスが和らいだという話を、震災後、私はよく聞きました。避難所にいると、自分だけがとか、自分たち家族だけがいい思いをするなんという、周りに対する気遣いから、なかなか動けなくなったりするんだそうです。
私の住む名取市の被災者の皆さんが秋田の東成瀬村の温泉施設に招待されまして、御近所みんなで誘い合わせて、リフレッシュして帰ってまいりました。リフレッシュすることにより、そしてほかの土地を見ることにより視野が広がり、次の展開を考えるパワーが湧いてきたと話しておりました。是非、いろいろな皆さんの話を聞き、参考にしていただいて、災害対策を進めていただければと思います。
災害は、日本中、いつどこで起こってもおかしくない状況です。様々な事例を参考に、少しでもよい準備をしていただきたい、その思いを込め、本日の質疑、若干時間が早いんですが、終了させていただきます。
どうもありがとうございました。
○金子委員長 次に、竹内千春君。
○竹内(千)委員 立憲民主党・無所属の竹内千春です。
昨年、初当選させていただきまして、本委員会では初質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、今日は、老朽化した下水道管等のインフラに起因する災害、これをインフラ災害と呼ばせていただきます、このインフラ災害と国が今後どう向き合っていくのか、その視点に立って、今年の一月、八潮市で発生した道路陥没事故について伺いたいと思っています。
まず、事故に遭遇され、まだ発見をされていない運転手の方の一日も早い救助を願います。また、事故現場周辺に居住、また営業等を行われていて、様々な被害を今でもなお受けられている、そんな皆様に心からお見舞いを申し上げます。
資料の一にも簡単につけましたが、事故の概要、そしてこれまでの経緯、復旧等の状況を、ここにまとめられた記事をつけております。令和七年一月二十八日、八潮市にて道路が陥没し、走行中のトラックが転落をしました。この資料にもありますように、陥没穴の拡大や雨水管からの漏水、逆流する下水など、幾つもの誤算が穴に転落した運転手の捜索活動を妨げたとありますように、現場では大変な試行錯誤があったことが見て取れます。
陥没箇所、最初は九メートルから十メートルの穴だったのが、それがぐっと拡大をして、そして深さも拡大をしていきました。地下約十メートルのところに内径四・七五メートルの流域下水道管が埋まっているという状態でありました。今、転落した運転手の救出には現在も至っておりません。
事故発生当初、周辺十二市町の住民に下水道の使用自粛が呼びかけられ、百二十万人に影響が及びました。事故発生から二週間後の二月十一日、一月二十九日に遡って災害救助法の適用が決定されました。翌二月十二日に下水道の使用自粛要請が解除され、二月十九日に避難区域が解除された。でも、今でも騒音や悪臭、振動、そんな様々な問題を周辺の住民の生活に及ぼしているという状況がございます。
事故発生からもう二か月以上たった現在でも原因は究明をされておらず、運転手の救助、下水管復旧の見通し、費用負担、周辺住民の被害が今後どれだけ続くのか、補償はあるのか、分からないことばかりで、地元では不安な状況が続いているという状況があります。
この不安は八潮市だけの問題ではありません。令和四年度末における全国の下水道管路の総延長は約四十九万キロメートルありますが、標準耐用年数と言われる五十年を経過した管路、これは七%、十年後には一九%、二十年後には四〇%と、今後急速に増加をしていくというデータが出されています。本件の事故は布設後四十二年で発生していますので、もう五十年の耐用年数ということも、そうは言えないということも分かっております。
実際、国土交通省さんが作成した、本件の事故後に設置された対策検討委員会に出されたデータでも、下水道管の布設後四十年を超えると道路陥没件数が急激に伸びるということがデータでも示されています。つまり、今後、全国各地、本件同様の事故がいつ起きてもおかしくない状況と言えると思います。
この事故を通じて、今後、国がインフラ災害にどう向き合っていくか検討し、必要があれば新たな制度や枠組みをつくって、防災、減災の観点から、自治体や管理者をリードして国民の生活や財産を守っていく必要があると考えています。
そこでまず、その観点から、本件の事故の原因について、政府の関与、認識について伺いたいと思います。
本件事故が発生した後、埼玉県に原因究明委員会が設置をされました。しかし、三月十四日に第一回が開かれた、そういった状態で、現在に至っても原因究明に至っていません。
つい先日、私、埼玉県の大野知事とも、直接話を伺いました。大野知事は、原因がいまだに分かっていない、だから、老朽化が問題なのかも実は分かっていないんです、原因究明に関してもっと国からの知見を提供いただきたい、そういうふうにおっしゃっていました。
確かに、原因が究明されなければ、更なる被害を防ぐためにどんな対策を取るべきかも分からないと思います。国がもっと積極的に関与し、迅速な原因究明に努めるべきではないかと考えますが、国の認識、御見解をお聞かせください。
○松原政府参考人 お答えいたします。
今般の事故を受けて、埼玉県において、陥没につながる空洞を発生させた地中インフラの破損箇所、破損の発生や地中での空洞拡大のメカニズム、これらを引き起こした要因などについて検証し原因究明するため、第三者の専門家で構成する、八潮市で発生した道路陥没事故に関する原因究明委員会が設置され、その第一回委員会が三月十四日に開催されております。陥没を引き起こしたもの、インフラは何かなど、原因究明を進めていくための論点等について意見交換がされたと承知をしております。
国におきましては、有識者委員会を国でも立ち上げておりますけれども、これは、このような同様の事故を防ぐためにいかにあるべきかという論点で議論をしておりまして、今申し上げましたように、事故現場の原因究明につきましては、埼玉県が第三者の専門家から構成される委員会で究明されるものと承知をしております。
○竹内(千)委員 続いて、トラックの運転手の方もまだ救助がされておりません、この救助の見込みについてもお伺いをしたいと思いますが、併せて、下水道管復旧の見込みについてお伺いをしたいと思います。
この復旧についても埼玉県の復旧工法検討委員会が立ち上がっています。調査検討を続けていますが、こちらに関しても大野知事の方から、流域下水道において内径三メートルを超える管の更新というのはこれまで国でもやられたことがなく、どういうふうな、ノウハウがない、物すごい量の水が流れている下水道管は、上水道と違って、止めて直すということができない、こういう大きな下水道管、特に流域下水道管において、更新、改築の工法について国の知見を提供してほしいということをおっしゃっていました。
この点について、更新しなくても補修で対応できるんだ、そういうお声もちょっと準備の段階で伺っているんですが、この辺りの国土交通省としての認識と、また、この復旧工法が更新であっても補修であっても、交付金を含む国からの予算で対応が可能なのかという点も併せて質問をさせていただきます。
○松原政府参考人 お答えいたします。
まず、現場の状況といいますか、見込みということでございますけれども、埼玉県におきまして、事故に巻き込まれた方の一刻も早い救助に向けまして、陥没箇所に流れ込む汚水の全量をバイパスさせるための仮排水管の設置工事や、トラック運転席部分の直上に、真上に立て坑を設置する工事が行われており、現時点では五月前半に工事を完了させて救出作業に着手できる見込みであるというふうに聞いております。
破損した下水道管の復旧方法につきましては、同じく埼玉県が設置をし、これは国土交通省の職員も参加しておりますが、流域下水道管の破損に起因する道路陥没事故に関する復旧工法検討委員会がございまして、この中で検討が進められているところと承知をしております。具体的には、破損した流域下水道管の中にもう一つ管を入れるような形での復旧が複数案で検討がされている状況というふうに承知をしているところでございます。
また、大きな管の更新工事につきましてでございますけれども、国土交通省でも流域下水道における更新の実施事例というのは把握できていないんですけれども、大都市の公共下水道におきましては内径三メートル以上の大口径下水道管についても更生工法という工法で更新工事の実績があるということは確認しているところでございます。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
そのような知見を是非県とも共有をしていただけたらと思います。
次に、三月一日付の埼玉新聞の記事に、県は二月の十一日、災害救助法、先ほども申しましたが、一月二十九日に遡って適用し、それまでの課題を払拭する体制へと移行したということが書かれており、大野知事のコメントとして、より早いタイミングで災害対策本部が設置されれば、より円滑な連携、調整及びフェーズの移行が図られたのではないかと吐露したというふうに記載をされています。
そこで、大臣にお伺いします。
今回、適用決定が二月十一日になった経緯と、今回の経緯を経て、今後同様にインフラ災害が発生した場合に生かすべき、あるいは改善できる点として認識されている、そのような点があったら教えてください。
○坂井国務大臣 災害救助法は、法に定める災害が発生した際に都道府県知事等がその適用を判断することとなります。
今般の道路陥没事故について、発生当初は周辺住民が避難をするなどの状況ではなかったことから、災害救助法の適用対象となる災害には該当しないと考えていたものと考えております。その後、陥没箇所が拡大し、運転手の救助に必要な環境整備を行うための工事に三か月ほどを要することなど、周辺住民が一定期間継続して避難する必要があることが判明をしたため、埼玉県知事が二月十一日付で災害救助法を適用する旨を決定されたものと承知をしております。
先ほどの、知事の御発言で御紹介をいただいた部分でございますが、県の災害対策本部は知事の御判断で立てることができるものでございますので、ここに関して、国と埼玉県と、事務方に確認をいたしましたが、やり取りした経緯はないと聞いております。災害発生当時、災害救助法の適用に関するやり取りはあった、そのときは、内閣府の方からも、まだここまで被害や状況が大きくなる前でございますから、そこまでではないのではないか、こういう応答をした経緯はありますけれども、災害対策本部に関して内閣府防災と埼玉県と応答した、やり取りした経緯はないと聞いておりますので、ちょっとそこのところが、私が知っている範囲とは、状況とは違いがあるのかなとは思っております。
○竹内(千)委員 今まさに、知事の発言の、ここに一つ問題があるのかなと私は思っておりまして、あのときどうだったのかということの、県と国との意思の疎通ができていないんじゃないかというところが実は今回の私の、これは県が悪かったのか国が悪かったのかとかいうことを言っているわけではなくて、新しい災害としてインフラ災害が起こったときに、最初は事故からスタートする、でも、それが次第に災害になっていく、そのどこかでスムーズに県と国が連携を取らなきゃいけない。災害対策本部を県が立てるべきなのか国が立てるべきなのかというのを、実は今回の準備のときにも随分と議論になったんですけれども、そこがまだしっかりと浸透をされていない、そこを改善していかなければいけないんじゃないかと私はちょっと感じております。
ちょっと時間がないので、生活補償についてもお伺いをしたいと思っています。
今なお、現場近くでは多くの方たちが被害が継続しております。今回、地元の方たち、市議会議員、皆さんの方たちからも声を寄せていただいているんですが、例えば、幾つかちょっと読み上げさせていただきます。
令和七年二月十九日に陥没周辺住民の避難は解除されたが、昼夜を問わず工事が行われ、振動、騒音、また倒壊への不安で眠れない人がいる、民間施設への宿泊の補助はできないのか。気温や風向き、下水水位によって変化はあるが、下水の臭いがひどくて、家での洗濯や食事ができない、外食、コインランドリーを使用する毎日はお金が続かない。工事の振動で家や駐車場にひび割れがある、クラックや基礎への影響で家が傾いたりしていないか、倒壊の危険があるか調査してほしい。工事やトラックなどによる粉じんの影響で、屋根や壁、窓、車、植木などへの汚れの影響があった、家財の補償をしてほしい。お年寄りや障害者に移動補助がなく、バスルートの変更によりバスが使えなくなっている、買物や通院に支障がある。陥没事故が起きたという、この更なる陥没へのイメージにより、営業が休業、売上げ減、物流にも影響があり、コストが増大をしてしまっている。
このような声があるんですが、今回、災害救助法が適用をされているということで、これらの災害に対して何らかの支援、補償がされるということは考えられないでしょうか。お尋ねいたします。
○坂井国務大臣 災害救助法が適用されておりますので、避難所の設置などの費用について、国庫負担の対象として支援をいたしておりますので、ホテルへの二次避難に伴う宿泊代等についても、避難に要する経費として対象としております。
ただ、もろもろ、様々御指摘いただきましたが、それはそれぞれ個別の判断ということにもなってまいりますが、一度自治体と御相談をしていただければと思っております。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
先ほど国土強靱化の話が出ておりました。今年の四月一日に中期計画の素案が発表されていますが、この中で、八潮市で発生した道路陥没事故はということで、そのまま名指しでというか、この事故のことが書かれてあります。
ちょっと確認なんですが、国土強靱化法、正式名称が、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法、この中に該当する災害には、今回のようなインフラ災害、自然災害ではない災害も含まれる、大規模な事故から生じる災害は含まれるという認識で正しいか、質問させてください。
○坂井国務大臣 委員御指摘の国土強靱化基本法におきまして、「事前防災及び減災その他迅速な復旧復興並びに国際競争力の向上に資する国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある大規模自然災害等に備えた国土の全域にわたる強靱な国づくり」を国土強靱化と規定をしておりまして、ここで言う「大規模自然災害等」には、インフラの老朽化に伴う事故により生じる被害も、今回の事故のようなものも想定されております。
高度経済成長期に整備されたインフラの老朽化が加速的に進行する中、著しい劣化や損傷が進行し、災害耐力の低下による被害拡大が懸念されており、国土強靱化の観点からも対策が急務ということで、四月一日に公表した第一次国土強靱化実施中期計画の素案においても、インフラの老朽化対策を施策として位置づけております。
八潮市の道路陥没事故も踏まえて、しっかり対応してまいります。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
もう一点、今回、本件の事故が発生する前に、下水道法の改正が行われ、法定点検が行われていた、五年に一度の法定点検を義務づけられていましたが、今回のこの事故は、埼玉県は、法定点検の方は、腐食するおそれが大きい部分についての点検義務づけであったところを、全体をやっていたということで、法定点検自体は遵守していた、法定基準に合致する点検は行っていたという理解でいいか。ちょっとここは簡潔にお答えいただけたらありがたいです。
○松原政府参考人 お答えいたします。
下水道の法定点検につきましては、下水道法に基づく維持修繕基準において、下水道管理者が、全ての施設について、構造や流入する下水の量などを勘案して、適切な時期に、適切な方法により行うこととしておりまして、このうち、腐食のおそれの大きい箇所については五年に一回以上の頻度で点検するという規定になってございます。
この法定点検の内容を踏まえまして、埼玉県において、今回の事故が起こった箇所も含め、全ての下水道管を対象に五年に一回の頻度で点検を行ってきたものと承知をしております。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
済みません、ちょっと時間がなくなったので、最後の質問に行きます。
国土強靱化法で議論がされたとき、「等」の部分に事故を入れるか入れないかというのも、笹子トンネルの天井崩落事故が問題になっていたように議事録には残っています。そして、この法定点検も、やはり笹子トンネルの天井崩落事故から起きてこの法定点検が入れられた。要するに、そこからもう予防保全に国は取り組んできたというふうに言っていいんじゃないかと思います。
その予防保全自体が十分であったのかという問題があると思うんですが、より大きな問題は、それでもインフラ災害が起きてしまった後に、国がどうこの災害に向き合うか、その体制が今まだできていなくて、この点が急がれるのではないかと思います。災害発生の予想が困難で、かつ、災害が発生したら災害が大規模になるという点では、自然災害もインフラ災害も同じということが言えると思います。
そして、八潮の事故から二か月半がたった現在でも原因究明に至っておらず、救助がされておらず、復旧の工法も現場では迷っている、その費用負担、そして調査費用等の負担についても、多くの方たちが現在困っている、不安に思っているような状況があります。
これまでのように、下水道管の管理者が県だからとか、だから原因究明も復旧も県が対応ということではなく、対応が遅れると現地の被害が長引いてしまうということから、国がもっと前面に出てこのインフラ災害に取り組んでいく必要があるのではないかと思います。
最後に大臣の見解をお聞かせください。
○坂井国務大臣 政府といたしましては、今般の、今御指摘の道路陥没の事案も踏まえて、上下水道施設の戦略的維持管理、更新など、進行するインフラ老朽化への対応に全力を挙げることとしておりまして、今後策定する国土強靱化実施中期計画においても所要の対策を盛り込み、それを講じていくということにしております。
今般の事案の経験もしっかり生かして、類似する事故災害の事案が発生した場合に、引き続き、災害対策基本法や災害救助法の適用について、適切に被災自治体に対し助言を行っていく、コミュニケーションを取るなど、今後の災害対応の強化にもつなげてまいりたいと思っております。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
国と県と連携をして向き合っていただければと思います。
ありがとうございました。
○金子委員長 次に、杉本和巳君。
○杉本委員 日本維新の会の杉本和巳でございます。
まず、我が党として、ミャンマーで発生したマグニチュード七・七の地震に被災されてお亡くなりになった方々、タイでもバンコクでビルが倒壊していますけれども、そちらでもお亡くなりになった方々の御冥福、そして被災されている皆様へのお見舞いを申し上げたく存じます。
ミャンマーのマンダレーは、大林組が震源地の近くでガラス張りの三十階建ての建物を建てていた、ガラスも一つも割れなかったということがございました。一方で、タイのバンコクでは、日本国が関わっていないビルが残念ながら倒壊したという事案があったかというふうに思っております。
我が国には、本当に世界から評価される建築技術であったり耐震技術であったり、そういったものがある中で、今日の質疑としては、とにかく党派を超えて人の命と財産を守っていくんだということを皆様と共有していただく中で、大臣に、ちょっと順番を変えますけれども、最初に耐震シェルターの質疑をさせていただければというふうに思っております。
それで、この委員会が、我が党の提案等によりまして、皆さんの合意によって二つぐらいの委員会が一つになって、国会の改革という中で、東日本大震災復興・防災・災害対策という形の特別委員会になっているということを皆さん御案内かと思いますけれども、党派を超えてというふうに申し上げたので、せっかくの機会なので、私が東日本大震災を経験したときのちょうど一年前に、今はもう引退されておられますけれども、あえて我が党が言うのはどうなのかという議論もあるかもしれませんが、尊敬申し上げていた日本共産党の吉井英勝先生が、経済産業委員会で、全電源喪失の可能性について、ちょうど一年ぐらい前に、当時は私も所属させていただいていましたけれども、民主党政権の大臣に質問されていたということがございました。
そういった意味で、本当に委員会の質疑というのは、改めて十四年前の震災、そしてその一年前の質疑といったことを思い出させていただきながら、質疑の大切さということを申し上げつつ、私の提案も大臣に是非聞いていただきたいなというふうに思っております。
皆様のお手元には、私にはA3なんですけれども、A4判になっちゃっている、表裏で、ペーパーが配られているかと思いますが、実はこの話を、ある、内閣を構成するお一人の大臣にちらっとお話ししました。どなたとあえて言うと問題があるかもしれないので。そうしたら、いや、杉本さん、実は私も家に入れているんだよ、おふくろの命を守るためにと。私がお話しするのよりはもうちょっとコンパクトなやつを入れていらっしゃるとおっしゃっていましたけれども。
まさしく、大切な国民の皆様の御家族とかお父様、お母様を守る、御高齢の皆様を守るという意味では、この震災シェルターというものを是非、耐震補強工事もいいんですけれども、お金もかかるということで、この後また質問して、一件当たり幾らぐらいかかるんだという質問もさせていただきますけれども、是非、この震災シェルターを皆さん考えていただきたいということです。
決して、ある一つの会社を宣伝するという意味では全く思っておりませんし、お金もうけで実はこの会社さんもやっておられないということで、いわゆる誠意とか誠実さを持って、ビリー・ジョエルの「オネスティ」ではないですけれども、そういった心意気で、フランチャイズ制は取っているんですけれども、フランチャイズ料は取っていないんですね。それで、この技術を全国各地の腕のある人たちに伝承して、実際に造っていただいて、そしてでき上がったものに対して注文された方が結果的に納得できない、百点つけられないと、マル・バツアンケートで取るんですけれども、一つでもバツや三角があったらそのフランチャイズは取り消させていただくというような心意気で人様の命を守ろうという方が、たまたまなんですけれども私の地元にいらっしゃいましたので、その方の今の現状も含めて御案内をさせていただきたいと思います。
表裏がはっきりしませんけれども、日本維新の会、杉本和巳と左上にちっちゃく書いてあるやつで、ちょっと読む形になるかもしれませんが、是非皆さん理解をいただきたいということで、あえて進めさせていただきます。
「耐震シェルターという命を守る選択があります!」と。そこの左下ですが、現在、古い木造住宅、これはマンションには当たらないと思います、一軒家です、古い木造住宅において耐震補強が進まないのは、経済的負担、工事の煩雑さ、工事日程などによることが挙げられます、そこで、短期で組み上げ可能な木造軸組み工法として、環境にも配慮した国産木材を使用、施工業者は地域の大工、工務店とし、ただ、フランチャイズで技術をちゃんと受けてもらった方ですけれども、安く、早く、命を守るということに特化したもののシェルターというんですかね、耐震シェルターというイメージ。
この真ん中の絵をちょっと見ていただくと、イメージは、六畳間の部屋の中に四畳半の耐震シェルターを造るというイメージです。それで、枠組みで、これは四面ですけれども、四面の各面の中央部は逃げられるように、閉じ込められない、ドアなんかついていません、ただの空間であります。それで、建物が倒壊して倒れちゃったというときに、四方向のどちらかの方向は逃げられるという発想の中で四方向に面が開いているということです。それで、木材は間伐の杉を使っているというふうにどちらかに書いてあります。それで、結構軽量です。そして、上の方に、鉄骨が側面二面に一本ずつ入っています。その上に、横張りという形で七本の鉄骨が入っております。
というようなもので、小熊さんからも質問いただいていまして、杉本さん、これは空調はどうなっておるんだ、暑いんじゃないかという質問とか、開口部の話は今申し上げました、側面は四つなんですけれども、空調なんかについては、これは例えば六畳間の部屋で空調を入れていただきます、ふだんどおり。その中で、隙間が開いている、逃げられる口が開いている枠組みが中にあるということなので、あくまでも空調は六畳間の空調を入れていただくというような前提で、夏の暑いときもそういう形で暑さをしのいでいただくということなんです。
それで、基本的には、夜地震があって、寝ているときに潰れて亡くなっちゃうということを避けるという発想でもありますが、日中も、ふだんのリビングルームにしていただいて、布団は畳んでいただいて、そして、日中にぐらっと来ても助かる確率を高める、こういうシェルターでございます。
そこで、実験も重ねていて、宮田鉄工さんというところがやっているんですけれども、金属加工の技術によって結節点等は非常に強度が強くなっているという中で、強度実験も実物大の実験をしています。裏返していただいた上の方にはQRコードがありますので、是非QRコードで中もまた皆さん見ていただければと思います。
具体的に僕が言っているのは、いろいろな都道府県で実は導入されています。皆さんの選挙区の都道府県も、進んでいるところと進んでいないところがあるんですけれども、是非入れていただきたいということです。
それで、上から行く前に、とにかくお値段が安いです。四十六万円が価格で、税込み五十・六万というのが標準価格でありますので、この価格で、梶山先生の知っている親しい方とか、お父様は亡くなられているのでおりませんけれども、御親戚の方とか、そういう方にも。
これに対して、実は、その下の枠の中ですが、助成制度対象商品、こういうふうになっているんですね、左下。各都道府県、市町村から助成金が出ているんです。あえて具体的に言うと、具体的に進んでいるのは三重県、あるいは更に具体的に三重県の中で伊勢市、兵庫県、静岡県、東京都、千葉県、埼玉県。余り進んでいないのをあえて具体名を言うのは避けますが、北陸地方ですというふうに社長さんは言われておられました。
それで、実験も、三トンの砂袋を上から落として壊れない、あるいは、左上の説明ですけれども、一、二、三と書いてありますが、三つ目の落下試験でも、五メーター上からこの建物をぽこっと落としても壊れないということであります。
それで、構造的には、何となく、置いているイメージなので、一種の免震なんですね。ということで、床に置いているだけなので、ぐらっと来てもずれるというか、そういう感じで免震的な効果があるということでございます。
ということで、私は、耐震補強工事、この後質問して答えを伺って確認しますけれども、事前に聞いた限りでは、大体一件当たり平均で二百二十万かかるというふうに伺いました。そんな意味では、五十万円でできるということでもありますし、本当に、各都道府県で県民の皆様の命を守りたいとか市民の命を守りたいとか、そういう思いの中で、予算的には各制約がある中で早い者勝ちみたいなところが今のところはあるんですね。
だから、そういった意味で、早い者勝ちというよりは、本当に御高齢の皆さんの命をしっかり守るんだという意味で、ここは、財務省がいらっしゃらないんですけれども、そういうところを余り気にせずに、やはりむしろ国の財政制約を小さくできるというような意味からもこの耐震のシェルターの導入というものを是非考えてみてはいかがかというふうに思っておるんですけれども、大臣は、この点について、御感想なり、いいじゃないか、やろうじゃないかという答えを是非言っていただくとありがたいんですけれども。
石破さんも、一丁目一番地に近い、今回は関税の問題が出てきたので一丁目一番地は関税になったかもしれませんが、一丁目一番地のうちの一つのものがこの震災対策であり、震災のための役所をつくるというぐらいの方なので、是非とも閣内で議論をしていただいて、導入を検討いただきたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。
○坂井国務大臣 委員が御持論を述べていただきましたので、私も少しペーパーから離れてお答えをさせていただきますが、耐震補強というのは震災対策では最も重要な実は要素だと私個人は思っております。
そして、その中において、Is値というのがあるようでありますが、つまり、一になるとほぼ壊れない、家が地震が来ても壊れないということでございますが、〇・三程度の強度だと、結局、大きな地震が来たときに家が潰れて人を潰してしまう、こういう数値ということでございまして、〇・六あたりであれば壊れても人を潰さない建物ということでございまして、私も一回生のときから、Is値は一にする耐震補強にいわば補助金を出すだけではなくて、人を潰さない建物を増やすことが大事であるので、壊れても〇・六あれば補助金を出したらどうだということを申し上げてきたところでございました。
そのような観点から考えれば、今御指摘いただきました耐震シェルターも、人を潰さない耐震補強の一つの形にもなるのではないかなと思って私は聞かせていただいてきたところでございまして、とにかく、熊本でも神戸でも、お話を聞くと、本当に一瞬にして、大きな揺れが来たとき一瞬にして建物が崩れ、人が潰れてしまう、そして、神戸などでは、その潰れた建物の下敷きになったことが理由によって、火事から逃げられなくなってしまって亡くなった方も多数おられた、こういうことも河田先生から御説明いただいたところでございまして、そういった観点からも、この耐震シェルター、お話を伺っていて、大変効果があるのではないかと思ってお話は聞かせていただいてきたところでございました。
もう御指摘いただいたように、一部地方公共団体におきましては交付金等を通じた助成制度の対象となっているものとも承知をしております。
ここからペーパーに戻りますが、引き続き、関係省庁、地方公共団体と連携しながら、この耐震シェルターも当然選択肢の一つとして方策を講じて、耐震対策を進めていきたいと思っております。
○杉本委員 人の命を守るということで、党派を超えて是非進めていきたいと思いますし、梶山先生の茨城県も尾崎先生の高知県も、いろいろなところで是非導入いただいて、土屋先生の埼玉は結構やっていただいているようなんですけれども、更に拡大する形で、本当に大切な日本国民の皆様の命を守っていただくことを内閣を挙げてお願いしたいというふうに申し上げます。
ちょっと前後して、さっき申し上げたとおり、二百二十万円の一件当たりのコストを確認したいので、これは国土交通省の政府参考人に伺いたいと思います。
三月三十一日公表の南海トラフ地震被害想定に対し、揺れ全壊棟数が、耐震化率九〇パーで百二十七・九万棟、耐震化率一〇〇%にすると三十五・九万棟と減る、すなわち七割削減される、こういう被害減少が想起されているわけですけれども、国交省の補助制度を拡充するなど、あるいは総務省の地方交付税等などの措置かもしれませんけれども、全国で耐震化の加速によって、この削減といったものが、どのぐらいの期間を想定しておられるのか、あるいは必要総額はどのくらいなのか。
いやいや、財務省がいるから予告する金額なんか言えませんというのが答えのようなんですけれども、何年間か先を考えて予算は複数年でもらっていくんだというぐらいな、この防災対策というものは要ると思いますので、お答えは準備されたお答えで結構でございますけれども、その答えをいただきたいのと、私が申し上げたケースは税込みで五十万、耐震補強は一件当たり本当に二百二十万なのかどうかも確認させていただければと思います。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。
地震被害の軽減のために、住宅や建築物の耐震化は大変重要と考えております。委員御指摘のとおり、令和五年時点で全国で約九〇%の住宅が耐震化されておるところでございます。住生活基本計画などにおきまして、令和十二年度までにおおむね解消することを目標としてございます。
国土交通省におきましては、これまでも、防災・安全交付金などによりまして耐震改修を支援してまいってきたところでございます。令和六年度の補正予算によりまして、耐震改修の一層の促進を図るために、耐震改修に関する補助限度額の引上げを行うほか、高齢者が融資を活用して耐震改修を行う際に、元本は債務者がお亡くなりになった際に一括で償還することとして、月々は利払いのみとする住宅金融支援機構のリ・バース60という仕組みがございます。これについて、一定の条件の下、月々の利払いをゼロ又は引き下げる措置を講じたところでございます。
お尋ねの、全ての住宅を耐震化するために必要な費用でございますが、住宅の耐震改修につきましては、そもそものその住宅の規模や構造、戸建てかアパートかマンションか、さらには階数や劣化の度合い、改修の方法などによって、必要な費用が大きく異なってまいります。また、耐震改修だけではなく、除却や建て替えによって耐震性不足の住宅が解消されるといった場合もございます。したがいまして、一概にこれをお答えすることは困難と考えております。
なお、一定の前提条件の下で一般的な戸建て住宅を一般的な方法で耐震改修するケース、これを想定した試算によりますと、耐震改修工事の費用は、委員先ほど述べられたとおり、戸当たり二百二十万程度となっているところでございます。
○杉本委員 御答弁ありがとうございます。
それで、次に、ちょっと山林火災のことを聞こうと思っておったんですが、時間がどうやらなくなってきそうなので飛んで、坂井大臣が視察された例のイタリアの製品について、どんな感じかというのを伺いたいなと思っています。
まず、たしか、視察された日は三月二十日の春分の日で、祭日ですね。僕はどうかと思うんですけれども、大臣方が土日を割いて、土日に仕事をして、また平日も国会で答弁をされるというのが、本当にブラック企業ではないのか、ブラックガバメントという感じが、自民党さんは、いや、そんな、仕事して当たり前だよという方もいらっしゃるかもしれませんが、多分、諸外国をがあっと見て、土日も働いている大臣というのはどこまでいるんだと。これはたまたま、坂井大臣、祝日であられましたけれども、祝日だってお休みですからね。
という意味の中で、せっかく視察していただいて、本当にお休みのところ申し訳なく私は感じていますけれども、そういったブラックなガバメントも改めていくという提案もしつつ、イタリア製の避難所の設備を視察されておられて、結構前向きな答えを言っておられるのを、私は、民放だったかNHKだったか覚えていないんですけれども、拝見した記憶がございます。
私も、そのニュースを拝見しながら、すばらしいじゃないか、是非早めに導入するべきであるという認識を持ちましたけれども、その時点では、感想で、いいものだというような感想は伺えたんですが、早く導入するとか、もう期限はこのぐらいで導入するとか、こういう点は改めるべき設備だとか、そんなところを是非伺いながら、これをもっともっと前に進めていただくことが必要かと思っておるんですけれども、この点について、読んでいただく部分と、生の声を聞かせていただく部分を教えていただければと思います。
○坂井国務大臣 余り外では申し上げていなかったので、この視察の経緯を御存じなのに大変びっくりしたんですけれども。
イタリアは、やはり防災の世界においては先進の取組があるということで注目されておりまして、日本で恐らく初めてと思われるイタリア式の避難所設置の訓練というのをやるということで、足を運んでまいりました。
正直、学ぶべきところはたくさんあったと思います。もう事前に備蓄をしておく、ワンセットでそろえておくものですから、そこで何が要るか要らないかのまず議論や、そこを考えることが要らないということは大きい状況でありますし、あるべきものというか、必要であるべきものがそろっていますので、マニュアル等も大変作りやすいということになっておりまして、そういった意味では、マニュアルができておりまして、ボランティアさんで、全く初めての素人の方が来られて、そして外で設置をする、テントというか、住宅の代わりになるわけですけれども、その建物を組み立てていくわけですが、組立てなども素早くやられておられて、なかなかその設置なんかもスピーディーに進むなというのを実感をさせていただきました。
ただ一方で、やはりトイレコンテナ、トイレのようなものはコンテナであったりとか、あと、食事を提供するところも今回コンテナでありましたが、そういったようなところは大きな、恐らくあれは十トントラックだと思いますが、十トンのトラックで運んでこなきゃいけなかったり、四トンもいっぱい使われていたりしましたけれども、つまり大型の車で運ばなければいけないというところもありまして、実際にこれを日本でやる場合に、非常に日本独特な特徴が、やはり山がちな地域が多かったり、十二分に広さがなかったりというところもございますので。
あと、イタリア式は外に、今言ったテントというか、テントというよりは、堅いプラスチックで作るテント型の住宅ですけれども、それを作っていくんですが、日本の場合は屋内での避難所が大変多いということもあって、どこまで適用できるかというのはありますので、今申し上げた輸送の観点でありますとか、それから屋内の避難所設置が多いという点でありますとか、そういった日本独自の状況を踏まえて、やはり、うまくいいとこ取りをしてうまく合わせていって、そしてイタリアのよさを取り入れた避難所をこれから考えていくべきだなと思っております。
ですので、これは、いつまでにというのはなかなか難しいとは思いますが、まず、国の備蓄を全国八か所で今進めておりますし、それと併せて、こういった考え方も含めた備蓄とそれから輸送、そして避難所の設置、これらをしっかり改善を進めてまいりたいと思います。
○杉本委員 ほとんど原稿を見ずの答弁、ありがとうございました。
大臣の御活躍をお祈りし、質問を終わります。ありがとうございました。
〔委員長退席、土屋委員長代理着席〕
○土屋委員長代理 次に、林佑美君。
○林(佑)委員 日本維新の会、林佑美です。
本日は、質問の機会をくださり、ありがとうございます。
二〇一一年三月十一日、あの日から十四年を迎えました。多くの貴い命が奪われ、日常が根底から覆された未曽有の災害は、今もなお多くの被災地に深い爪痕を残しております。災害によりお亡くなりになられました方々の御冥福を心よりお祈りいたしますとともに、被災された全ての皆様にお見舞い申し上げます。
復興に向けた道のりは、国と自治体、そして何より住民一人一人のたゆまぬ努力によって支えられてきました。一方で、福島原発事故のように、なお困難な課題を抱える地域もあり、全ての帰還困難区域の避難指示解除や心のケアなど、長期的な対応が引き続き求められています。
さらに、能登半島地震が発生し、改めて、災害大国日本としての備えの在り方が問われております。南海トラフ地震や首都直下地震など、いつ発生してもおかしくない大規模災害に対し、国民の命と暮らしをどう守るのか。その備えにおいて、政治の責任と覚悟がかつてないほどに求められております。
とりわけ、避難所の環境整備、迅速なプッシュ型支援、地域の実情に応じた防災DXの推進、災害ボランティアやNPOとの連携強化、そして防災庁の設置を視野に入れた司令塔機能の強化など、現場に即した政策の具体化が急務です。災害に強い日本、誰一人取り残されない復興、命と暮らしを守る行政を実現するために、国会の場から提言を重ねてまいります。
本日は、被災地の声、そして現場の声をしっかりと届ける気持ちで幾つか質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、二〇一一年三月十一日に発生した東日本大震災では、未曽有の地震、津波被害により一万五千人以上の貴い命が奪われ、多くの方々が避難生活を余儀なくされました。その後も日本各地で、熊本地震、西日本豪雨、台風、能登半島地震、そして昨今頻発化している全国各地の山火事も含めて、大規模な災害が相次いでいます。
こうした災害が発生するたびに、避難所の生活環境に関する課題が浮き彫りとなっております。被災者が長期間にわたり過酷な避難生活を強いられる現実は、決して見過ごすことのできない問題です。災害直後には行政による支援が迅速に行われるものの、物資の供給の遅れや適切な配分の不備、避難所の環境整備の遅れなど、多くの課題が指摘されております。
南海トラフ地震が発生すれば、避難者数は最大約一千二百三十万人に達すると予想されており、全国規模での避難所運営体制の見直しが求められます。特に、私の地元和歌山県も、南海トラフ巨大地震に直面する地域の一つであり、津波被害による広域避難や避難所の長期運営が避けられません。災害発生時において、初動の迅速な対応が被災者の命を守り、その後の復興の基盤をつくる重要なポイントとなります。
こうした背景を踏まえ、政府は、令和七年度予算において、避難生活環境の抜本的改善を掲げ、大規模災害発生時のプッシュ型支援を強化するための予算を計上しています。これにより、被災地への物資供給を、要請待ちではなく、事前に確保し、より迅速かつ確実に供給する仕組みが構築される予定です。
しかし、過去の災害対応を振り返ると、プッシュ型支援の実施において、自治体間の連携、物資の適切な配分、避難所環境の改善、デジタル技術を活用した支援の強化など、様々な課題が指摘されております。
避難所環境の改善については後ほど質問をするとしまして、まず、自治体間の連携強化策について伺います。
プッシュ型支援を効果的に機能させるために自治体間の連携をどのように強化していくのか、特に、小規模自治体に対するサポート体制の強化や広域連携の枠組みについて、具体的な施策をお聞かせください。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
能登半島地震では、プッシュ型支援により、被災者のニーズに応じた様々な物資をお届けしてきたところでございます。また、国と全国知事会との連携によりまして、被災地外の自治体が保有する段ボールベッドやブルーシートなどの備蓄物資を国のプッシュ型支援物資のルートで届ける取組も行ったところでございます。
本年四月から運用を開始した新物資システムでは、災害時に自治体間の物資支援の調整を行う機能を備えておりまして、こうした自治体間の支援状況を国や都道府県が把握することで、より効果的、迅速的に支援を行うことが可能となるものと考えております。
引き続き、自治体間の連携による支援を含めまして、広域的な支援を適切に行うことにより、被災者に寄り添った災害応急物資支援を充実させてまいりたいと考えております。
〔土屋委員長代理退席、委員長着席〕
○林(佑)委員 ありがとうございました。
物資の調達、配送において、各自治体の対応能力や連携体制に格差があり、供給が偏るケースが発生しております。特に、小規模自治体や過疎地域では災害対応能力が限られており、支援が行き届かない問題が生じております。政府としてもしっかりと広域な支援をしていただきますようよろしくお願いいたします。
次に、物資配分の適正化についてです。
避難者の多様なニーズに対応するために、物資の供給体制の見直しやデータを活用した物資の最適配分をどのように進めるのか、御見解をお願いいたします。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
昨年の能登半島地震では、プッシュ型支援によりまして、発災直後は、食料、飲料水、乳児用ミルク、毛布等の緊急性を要する物資を最優先で送りました。また、その後、段ボールベッド、弾性ストッキング、防犯ブザー等、被災者のニーズに応じた様々な物資を、ニーズを踏まえながらお届けしたところでございます。
先ほども御紹介しましたけれども、今年の四月から運用を開始しております新しい物資システムでは、避難者の人数から必要な物資の数量を提案する機能を内包しておりましたり、また、関係者間でリアルタイムでの情報交換を可能とするチャット機能を新たに備えまして、より迅速また簡便に必要な物資の手配が可能となるような、そういう機能を備えてございます。
今後の災害対応におきましても、自治体や関係事業者との連携の下、緊急性を要する物資にとどまらず、避難者の方の様々なニーズに応じまして、必要な物資支援ができるように取り組んでまいりたいと考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
東日本大震災のときには優先的に被災地に送ってくださったという食料、水、毛布などの必需品のほかに、乳児用ミルクや衣料品、そして女性用品、障害者向けの特別な支援物資など、被災者ごとに異なるニーズに応じた物資の供給が求められております。
過去の災害では、支援物資の種類が偏ったり、避難所ごとに必要な物資が届かない場合もあったと思います。先ほど、様々な対策を取ってくださっているということですので、是非とも適宜適切な配分にこれからも取り組んでいただきますようよろしくお願いいたします。
次に、デジタル技術の活用とB―PLoの運用強化について伺います。
次期物資支援システム、B―PLoを全国で適切に運用するためにどのような支援策を講じるのか、特に、システム導入が遅れている地域に対するサポート体制についてお聞かせください。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
この新しい物資システムでは、インターネット環境とパソコンとかスマートフォン等の端末があれば、ID、パスワードでそのシステムに入ることでどこでも活用が可能な、そういうシステムとしておりまして、こうした災害発生時に自治体においても是非活用していただきたいというふうに考えております。
四月からのシステムの運用開始に先立ちまして、本年三月に、全国の地方公共団体あるいは関係省庁を対象に操作説明会とか操作訓練を実施して周知を図ったところでございます。
またさらに、公共団体の職員の皆さんが訓練を簡便に実施できるように、このシステムの中に訓練シミュレーション機能を入れておりますので、こうした機能も活用していただきながら、自治体の規模の大小に関係なく職員が単独で訓練を実施できますので、こうしたことで職員の習熟度を向上していただければというふうに考えておるところでございます。
今後も、地方公共団体等の利用者に対しまして定期的にシステム訓練を実施するとともに、訓練内容の更なる充実を図りながら、しっかりとちゃんと使えるというようなことが実現できるように、利用者に対するサポートをしっかりやっていきたいというふうに考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
物資の供給や配分を適切に管理するためには、デジタル技術の活用が不可欠だと思っております。政府は、次期物資支援システム、B―PLoを導入し物資情報の一元管理を進める方針とのことですが、地域ごとにシステム導入の進捗に差があり、実際の運用においては課題が残ると考えております。是非とも、システム導入が遅れている地域に対してもしっかりとサポートをお願いいたします。災害のときにしっかり使えるシステムづくりをよろしくお願いいたします。
次に、先日の衆議院予算委員会一般質疑において関連するもので、その際に質問できなかった点について、こちらで改めて質問したいと考えております。
私の地元和歌山県を始めとする全国各地での防災・減災対策の重要性を日々痛感しております。特に、近年の自然災害の頻発化、激甚化に伴い、避難所としての学校施設の機能強化は喫緊の課題であると認識しております。
政府におかれましては、令和六年度補正予算において、避難所となる公立中学校等の体育館への空調設備の整備を加速するための経費が計上され、空調設備整備臨時特例交付金が新設されました。この取組は、避難所の環境の改善のみならず、平時の教育環境の向上にも寄与するものであり、大変意義深いものと評価しております。
しかしながら、現状を見ますと、公立小中学校等の体育館における空調の設備の設置率は、令和六年九月一日時点で二二・一%と、依然として低い水準にとどまっております。この背景には、既存の体育館の多くが断熱性能を十分に備えておらず、冷暖房効率の低さが課題となっていることが挙げられます。そのため、空調設備の導入に際しては断熱性能の確保が不可欠であり、これが整備のハードルを上げているとの指摘もございます。
さらに、自治体からは、空調設備の設置に関する補助要件として断熱性能の向上が求められる一方で、そのための追加的財政負担が大きく、特に、財政状況が厳しい自治体にとっては整備を進める上での大きな障壁となっているとの声が聞かれております。
このような状況を踏まえ、政府として、空調設備の整備を促進するための財政支援策や技術的支援策をどのように講じていくお考えか、具体的な方策についてお聞かせいただければと存じます。また、自治体間の連携や情報共有を促進し、効果的な整備を推進するための取組についても併せて、この二点、御見解を伺います。
○金光政府参考人 お答え申し上げます。
学校体育館の空調整備につきましては、令和六年度補正予算で新たに創設した臨時特例交付金におきまして、国の補助率二分の一に加えまして、地方債についても手厚い措置が講じられているところでございます。また、空調の効果を高めるとともに、ランニングコストを抑制するため、断熱性の確保を補助の要件としておりまして、断熱性確保のための工事についても補助対象といたしているところでございます。
一方で、文部科学省といたしましては、各学校設置者がそれぞれの御判断で断熱工事を選択できるよう、比較的簡易な工法を含めまして、様々な断熱や遮熱対策の実施事例を紹介するとともに、自治体におけます効果的な整備事例を周知することで各自治体の取組を促してまいりたいと考えてございます。
また、御指摘ございました各種の説明会におきまして、自治体による実施の情報共有の場を設けたりすることで、自治体が円滑に空調の整備を行えるよう、必要な取組を進めてまいりたいと考えてございます。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
避難所としての学校施設の機能強化は地域住民の安全、安心の確保に直結する重要な課題であり、政府の積極的な支援とリーダーシップが求められています。全ての住民が安心して避難生活を送れる環境の実現につながることを心から願っております。引き続き御支援よろしくお願いいたします。
近年の災害の大規模化や複合化が進む中、避難指示のタイミングや避難場所の確保が重要性を増しています。東日本大震災や能登半島地震、その他の震災や災害においても課題となっておりますが、災害発生時における避難に関して、特に、高齢者や障害のある方、子供や乳幼児など要配慮者に対する支援が課題となっています。
近年の豪雨災害等において、避難をしなかった、あるいは避難が遅れたことにより高齢者や障害のある方の被災が多いことから、令和三年四月に災害対策基本法が改正され、行政による避難情報や避難の呼びかけの分かりにくさを改善するとともに、市町村が避難行動要支援者一人一人に個別避難計画を作成することが努力義務になったことも承知しております。
しかしながら、この個別避難計画の策定状況は、令和六年四月一日現在で、千七百二十二の市町村のうち約九二%に当たる千五百八十一団体が策定に着手しているものの、そのうち約五一%の八百八十三団体が策定済み二〇%以下となっております。すなわち、半数の市町村で、要支援者の五人に一人しか個別避難計画を策定できていないことになります。
災害の激甚化、複合化が今後ますます進展していくと予想される中、このような状況は速やかに改善すべきであります。個別避難計画の策定の加速化に向け、市町村に対し政府の働きかけや支援が必要ではないでしょうか。
この点を含め、要配慮者に対する避難支援について政府としてどのような改善策を講じようと考えているのか、見解を伺います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
自ら避難することが困難な高齢者や障害者など、お一人お一人ごとに作成する個別避難計画は、御指摘いただきましたように、平時からの災害への備えとして大変重要であると考えております。
内閣府におきましては、個別避難計画の作成手順などを示した取組指針や手引を作成、提供すると同時に、ケアマネジャー等の福祉専門職の参画を得た取組など優良事例を全国展開するためのモデル事業を実施し、他の地方公共団体に横展開を図るといったこと。あるいは、実際に計画作成の経験がある市町村職員を派遣し、同じ自治体の職員の目線から助言を行っていただいて計画作りにつなげるサポーター等を派遣するといった取組。また、特に、今年一月に立ち上げたんですけれども、福祉専門職などの全国団体との連携を図る協議会を立ち上げまして、実際、各地域でやはり福祉団体の方の御協力をいただきながら取組を進めていく必要がありますので、こうした全国の協議会で議論しながら、各地域に状況をお伝えいただいて、地域の福祉団体、あるいは消防団とか自主防災組織などの関係団体に協力を要請する。そうした取組を進めてきているところでございます。
また、今年度からは、個別避難計画の策定の加速化に向けまして、ふるさと防災職員を今年度配置することにしておりますので、こうした職員が各都道府県を担当して自治体に対する働きかけを行うとか、きめ細かい状況把握と助言などの支援を行うことともしているところでございます。引き続き、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
全国の協議会を立ち上げたりと、今後も市町村と連携して要配慮者に対する避難支援を講じていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
避難生活の長期化や仮設住宅での生活が心身に与える負担について、これまで、被災地の事例からも課題として浮き彫りになっております。能登半島地震においては、現在までに確認された石川県の災害関連死は三百三十四人となり、家屋の倒壊等による直接死二百二十八人を超えており、平成二十八年の熊本地震においても、災害関連死の数が上回っております。
災害関連死の約八割は八十歳以上の高齢者で、避難生活に関わる肉体的、精神的ストレスなどが大きく影響していると言われております。石川県の奥能登地域は、高齢化率が五〇%前後と、二人に一人は六十五歳以上という地域であり、馳知事もおっしゃっていたように、高齢者を孤立させない取組が重要だと考えます。
輪島市では、十一月から、仮設住宅で暮らす方々に向け、住民の交流を深めるコミュニティーセンターの建設が進んでおり、こういった拠点を活用して、精神的な孤立から住民を守る役割を果たすことを目指しています。国としても、コミュニティーを維持するための環境整備を後押しし、避難所の環境のみならず、仮設住宅の住居環境を改善することも重要ではないかと考えております。
また、ケアを行う自治体職員も被災者でありますから、その負担を軽減するための支援についても検討する必要があるのではないでしょうか。
仮設住宅で生活される方々の心のケアやコミュニティーの維持、さらには財政的支援について、どのように現状を捉え、改善を目指していくのか、政府の見解を伺います。
○佐々木(昌)政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の、避難生活を余儀なく過ごされている方々や、また仮設住宅に入居されている方々に対する政府全体の取組については、先ほど西田委員からの質問に対して坂井大臣がお答えしましたけれども、その中で特に四つ、健康に関することについて、具体的にお答えしたいと思います。医療、保健、福祉、その他に分けて、手短にお答えいたします。
まず医療については、これは健康管理もそうですし、また衛生環境の改善、感染症対策が必要になります。これに対しては、民間の団体や医療従事者が中心として構成されているチーム、例えばDMAT、JMAT、AMATといったチームがございますので、それを政府として派遣調整をして、被災されている方々の支援を行っています。
保健については、公務員である保健所職員を全国各地から送る仕組み、これはDHEATというチームですけれども、それを調整することによって支えております。
福祉については、先ほど高橋統括官からも協議会の話がありましたが、具体的なチームとしてDWATがございますので、都道府県や社会福祉協議会が中心となって構成するプロのチームがありますので、この形でのサポート。
さらに、その他という言い方になりますけれども、仮設住宅での入居者の見守り、健康観察、さらに、デイサービス等を提供するサポート拠点の整備、これは自治体と厚生労働省で協力する形で運営をしております。
こうした多面的な形で、被災されている方々に対してのサポートを進めているところでございます。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
被災地の皆さんが負担軽減できるような対策、どうぞよろしくお願いいたします。
時間になりそうなので、これで終了いたします。どうもありがとうございました。
○金子委員長 次に、菊池大二郎君。
○菊池委員 国民民主党・無所属クラブの菊池大二郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私、地元は山形になりますけれども、東北地方で水害が大変頻発化そして激甚化をしているということで、まず、治水対策についてお伺いをしたいというふうに思います。
先月、文科省及び気象庁から公表された日本の気候変動二〇二五、並びに、山形地方気象台及び仙台管区気象台から公表されました、気候変動の状況、降水の観測結果や将来予測によれば、雨の降り方が大きく変動しているということに危機感を覚えております。今や、私の地元山形県も東北地方も、豪雪地帯であるという以上に豪雨地帯であるという認識に改めていかなければならないと思っております。
そもそもの雨の降り方、極端な大雨の発生頻度が増えているというような状況の変化があれば、それを前提とした治水対策にもおのずと変化が生じるんだろう、強化が必要になってくるんだろうというふうに考えております。
そこで、東北地方における降雨量等の変化について、どのような傾向と、検証をされているのか、まず整理をさせていただきたいというふうに思います。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
気象庁では、委員御指摘のとおり、文部科学省と共同で、日本の気候変動について五年ごとに取りまとめを行っておりまして、さきの三月に、日本の気候変動二〇二五を公表いたしました。
この最新の報告書によりますと、東北地方でも、また全国的に見ても、極端な大雨の年間発生回数が増加していることが確認されております。また、今後、将来につきましても、温室効果ガスの排出が高いレベルで続く場合には、極端な大雨の年間発生回数が東北地方及び全国で増えると予測されております。
例えば、東北地方における一時間降水量三十ミリ以上の激しい雨の年間発生回数を見てみますと、パリ協定の二度目標が達成された世界を想定した二度上昇シナリオでは、二十一世紀末には二十世紀末と比べて約一・七倍増える、四度上昇シナリオ、これは追加的な緩和策を取らなかった場合でございますけれども、こういう場合には約三・一倍に増加すると予測しているところでございます。
○菊池委員 前提状況が非常に大きく変わってきた、そしてまた変わっていくということがまず確認をされたと思いますけれども、政府におきましては、気候変動を踏まえた治水計画の在り方について、地域区分ごとの降雨量変化倍率を算出し、一級水系の河川整備基本方針を変更しておりますが、令和六年十二月末まで見直しを行った二十三水系のうち、東北においては一水系のみと確認をしております。こちらは阿武隈川水系だけということであります。
山形県でいえば、令和二年、四年、そして昨年、過去最大の被害規模、一千億を超える被害規模になりましたけれども、最上川水系の状況をこれからどう対策を打っていくかというのが非常に重要であると考えております。
そこで、治水事業の前提となる降雨実態等に変化があり、将来予測においてもより深刻になることが見込まれるのであれば、こうした計画降雨量、計画高水流量、高水位、そういった項目を精査、見直しをして、河川整備基本方針の変更を積極的に推進し、実態に即した追加的な施策の展開を実行していくことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
○藤巻政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のございましたとおり、最上川におきましては、令和に入りましてから、二年、四年、六年、三回にわたりまして甚大な浸水被害が発生しております。
これを受けまして、国、県、市町村が連携いたしまして、再度災害を防止、軽減する対策を短期集中で行います緊急治水対策プロジェクトを取りまとめ、早期の完成を目指して取り組んでいるところでございます。
また、御指摘のありましたとおり、今後、気候変動の影響により更に降水量の増大が見込まれますことから、全国の一級水系におきまして、治水対策の前提となる流量などを定めた河川整備基本方針の変更を順次進めているところでございます。最上川につきましても、河川整備基本方針の変更に向けた検討を進めているところでございます。
さらに、今後二、三十年間、これぐらいの期間の河川整備の具体的な内容等を定めました河川整備計画につきましても、最上川におきましては、河川整備基本方針の変更を踏まえまして、できるだけ速やかに整備内容を見直しまして、ハード、ソフト一体となった必要な対策を講じていく所存でございます。
引き続き、国、県、市町村が連携いたしまして、最上川流域の早期の治水安全度向上に向けた流域治水を進めてまいります。
以上でございます。
○菊池委員 是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
続いて、第一次国土強靱化実施中期計画の素案が公表されました、その点について。
今し方は、水害について、雨の降り方が変わってきたというような視点でお話をさせていただきましたけれども、雪の降り方も変わってきたなというふうに感じております。気候変動による影響で、全体の降水量、いわゆる年最深積雪は減少していく傾向にあろうかとは思いますけれども、人口減少が際立つ中で、改めて、雪も自然災害である、雪害であるという認識に立った豪雪地帯における雪寒対策に力を注ぐ必要があると考えております。
今冬は非常に、東北地方そしてまた全国的にも記録的な大雪に見舞われまして、残念ながら、お亡くなりになった方もいらっしゃいます。そしてまた、除雪作業中の事故、交通事故も含めて、けがを負われた方というのも、これは毎年発生するわけでありますので、是非この雪寒対策に力を入れていくという姿勢が重要なんだろうなというふうに思いながらこの素案を拝見しましたところ、私もちょっと漏れているかもしれませんけれども、雪寒対策について記載があったのは、具体的に、道路の雪寒対策の推進ということで、雪寒指定道路、直轄区間約一万二千キロのうち交通障害が発生する危険性の高い箇所における雪寒事業対策必要箇所約九百四十か所の整備ということに加えて、大雪に備えた災害対応に関する鉄道事業者への指導等しか確認ができませんでした。
豪雪地域では、除雪機械等の更新や、道路、これは道路以外も、いわゆる消雪施設であったり流雪溝であったり防雪柵等もあるわけでありますけれども、こうした更新と補修等々で維持管理が増大をしてきております。
そもそも、これまでの国土強靱化計画の中で雪寒対策をどのように位置づけてこられたのか。一方で、地方、豪雪地帯の窮状に寄り添い、道路維持等に係る様々な雪寒対策を講じていく姿勢や、項目をより具体的に明示しながら自治体と連携した施策を展開していくことが求められると考えますが、いかがでしょうか。
○佐々木(俊)政府参考人 お答え申し上げます。
道路除雪等の雪寒対策につきましては、地域の暮らし、経済活動を守っていくために極めて重要である、こうした観点から、現行の強靱化基本計画におきましても、これら関連施策が位置づけられているところであります。
国土交通省といたしましては、積雪寒冷特別地域における道路の雪寒対策、これにつきましては、通常の交付金等の補助率をかさ上げして特別の措置を設けて支援を行っているところです。
今し方委員からも御指摘ありましたとおり、特にこの冬につきましては、各地で平年を大幅に上回る積雪となりました。こうしたことを踏まえまして、各地方公共団体への道路除雪費につきましては、過去最大の追加支援を行わせていただいているところです。
一方で、地方公共団体の皆様方からは、老朽化から、除雪機械の更新、あるいは、住民が排雪作業を効率的に行うための流雪溝の整備などにつきまして、多くの御要望をいただいているところです。
今後、道路の雪寒対策につきましては、これも委員今御指摘いただきましたとおり、第一次国土強靱化実施中期計画の素案にも芽出しとして位置づけられているところでもあります。こうしたものを引き続き、関係者と調整の上、地方公共団体の御要望も丁寧に聞いた上で、国土交通省といたしまして、雪寒対策がしっかり進められるように、引き続き努めてまいりたいと考えております。
○菊池委員 この素案に関して、もう一点だけ質問させていただきます。
通信システムの強靱化について。
先ほどから申し上げておりますけれども、昨年の山形の豪雨水害において、中山間地域における通信の脆弱性というものを非常に、私も現場を回って痛感をいたしました。実際に商品はある、そしてまた会社もそれほど被害を受けていない、経営者も雇用者も労働者も元気で経済活動、日常活動を送れている、ただ一方で、道路が寸断される。でも、それは迂回をしながらでも、コストはかかってしまいますけれども、運べないわけではない。何が問題だったかというと、いわゆる取引、送受信をできるメールが受信、送信できないとか、電話がつながらない。これもやはり、どうシステムの強靱化を図っていくのかというのはまさに経済対策そのものだなというふうに私自身痛感したところであります。
この素案によれば、フェーズフリーの通信システムによる災害自立性の強化ということがうたわれてありますけれども、その点についてお伺いできればと思います。
○大村政府参考人 お答え申し上げます。
災害時には、被災者や避難住民の方々に情報が確実に届けられる環境の確保、これが必要不可欠でございまして、通信が果たすべき役割は大変大きいものと認識をしております。
こうした認識の下、長時間の停電などが発生した場合であっても通信サービスの提供が維持されるよう、停電対策や伝送路の多重化といった、携帯電話基地局などの通信インフラの強靱化に取り組んでいるところでございます。
昨年一月に発生した能登半島地震におきましては、こうした取組が効果を発揮いたしまして、市役所、町役場や災害拠点病院をカバーする携帯電話基地局の支障の発生割合、これは他の基地局よりも低くなったところでございます。
他方で、半島部であるために陸路での迅速な駆けつけが難しい、そのために携帯電話基地局の一部が機能が停止するなどの影響が見られたところでございまして、携帯電話基地局の停電対策などの取組、これを一層強化していく必要があるものと認識をしております。
これにつきまして、総務省におきましては、このような教訓なども踏まえまして、大容量化した蓄電池などの設置による携帯電話基地局の強靱化への支援、また、移動電源車の配備を始めとする応急復旧対策の整備や強化への支援など、携帯電話事業者による取組を支援することにより、災害時も通信サービスが利用可能となるよう取り組んでまいります。
○菊池委員 この実施中期計画素案に関して、雪寒対策の積極的な推進と、いわゆる地方における通信システムの強靱化という二点を今御質問させていただきましたけれども、この点に関して、是非、強力に進めていくという意味で、坂井大臣からの意気込み、決意のほどをお答えいただければと思います。
○坂井国務大臣 気候変動に伴う激甚化、頻発化する大雨や台風、そして今回御指摘された大雪等によってもたらされる気象災害への対策や災害対応のあらゆるフェーズで通信を確保することは重要な課題でございまして、四月一日に公表した第一次国土強靱化実施中期計画の素案においても、道路の雪寒対策の推進及び携帯電話基地局強靱化対策事業、これもまた委員が御指摘したところでございますが、推進が特に必要となる施策、第四章でございますけれども、ここで位置づけたところであって、ここはある意味優先度を上げて行うべき施策という意味合いの場所でございます。
我々もその重要性を十分認識をしているということでございますので、関係府省庁と連携をし、大規模自然災害等の被害から国民の生命財産、暮らしを守り、国家、社会の重要な機能を維持するため、防災・減災、国土強靱化の取組を強力に進めてまいります。
○菊池委員 最後、午前中からの議論で出ておりますけれども、山林火災について一点だけ質問をさせてください。
この出火原因、調査中ということでありましたけれども、これまでの火災原因というのは一般的に、人為的なものであろうと思います。そしてまた、山林が荒廃しているんですよね。保水力の低下というものが延焼規模の拡大を助長していると言っても過言ではありません。
加えて、山林の涵養機能が失われて、さらに、山林が火災をして木がなくなってしまえば、またそこに線状降水帯が発生した場合の水害はどうなるんだというような危険も危惧しなければいけないという中で、山林の災害復旧は極めて重要になります。
国有林、保安林、民有林といった、所有、管理主体等が複雑な場合も考えられるほか、被災自治体の人材や対応力にも限りがあるため、復旧計画の策定や実際の再造林に向けた取組に対して国の理解並びに国の支援が求められると考えますが、いかがでしょうか。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
今回の火災では、広範囲に林野が焼損する甚大な被害が発生いたしました。今回の林野火災は三月二十八日に激甚災害に指定されたところでございまして、これにより、森林災害復旧事業で、被害木の伐採、搬出や、跡地への造林を支援いたします。
また、委員御指摘の、土砂が流出するおそれのある森林に対しましては、災害関連緊急治山事業という事業がございまして、これによりまして土砂流出防止対策を支援しまして、自治体の財政負担を軽減しながら、森林の復旧に努めてまいります。
さらに、御指摘の、県や自治体職員の負担のことでございますけれども、これにつきまして、林野庁から技術者の現地派遣を行うなどしまして、災害査定や、査定のための事前の調査が円滑に進むよう支援してまいります。
引き続き、被災自治体と緊密に連携しながら、被害木の伐採、搬出や、跡地への造林、その後の育林も含めまして、息の長い支援を行って、火災前の豊かな森林の回復に取り組んでまいりたいと思います。
以上でございます。
○菊池委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、堀川あきこ君。
○堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。
今日は、東日本大震災の災害援護資金についてお聞きをしていきたいと思います。
災害援護資金というのは、市町村を通じた被災者の生活再建のための貸付制度だというふうに認識をしています。東日本大震災から十四年目を迎えて、十三年の返済期限を迎える貸付金の滞納が今大きな課題となっています。
東日本大震災の災害援護資金の滞納状況について、内閣府から提供いただきました資料一を御覧ください。
この中で、(A)のところが返済が始まっている件数、(B)が滞納件数、その隣が滞納件数の割合で滞納金額というふうに続いているわけなんですが、この中でも、やはり、岩手県、宮城県、仙台市、福島県、ここの滞納額、滞納率が飛び抜けているというふうな実態にあるということです。
最近の報道によりますと、原則十三年の返済期限を猶予する場合、市町村が国への返済も延長できるようにするという方針が出されたというふうに報道があるんですけれども、詳細について坂井大臣にお伺いしたいと思います。
○坂井国務大臣 東日本大震災の被災自治体からは、市町村が被災者に対し災害援護資金の支払いを猶予した場合には、国や都県が有する貸付債権についても同様にその返済を猶予されたいとの御要望を頂戴しているところでございます。
こうした御要望を踏まえ、現在、阪神・淡路大震災の際に講じた貸付債権の返済猶予措置を参考に、必要な政令改正に向けた準備を進めているところでございます。
○堀川委員 ありがとうございます。
先ほどの資料にもあるんですけれども、東日本大震災における災害援護資金の滞納額、六十五億八千五百九十五万円ということで、かなりの額に及んでいるのが実態です。
滞納額がなぜここまで多いのかという見解についてもお聞かせください。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
災害援護資金の貸付けは、自然災害により被害を受けた低所得世帯に対しまして、その生活の立て直しに資するために行われるものでございます。貸付けを受けた後に、経済事情の変化や病気になられるなど、個々の事情により返済が厳しくなっている方がいらっしゃるものと承知をしております。
そのため、災害援護資金の貸付けを受けた被災者の方が災害、疾病、負傷、経済的困窮など市町村がやむを得ないと認める事情がある場合には償還金の支払いを猶予することができるほか、精神若しくは身体に著しい障害を受けたため償還することができなくなったと認められるようなときとか、破産手続あるいは再生手続の開始の決定を受けたときには償還を免除することができる。
さらには、これは東日本震災の特例として設けられておりますけれども、今申し上げましたような通常の免除事由のほか、貸付けを受けられた方が一定の無資力要件を満たす場合にも特例的に免除が可能となっておるところでございまして、こうした制度をきめ細かく御活用いただくことが重要であると考えております。
○堀川委員 私は、この災害援護資金、制度として様々な矛盾をはらんでいるものだというふうに考えているんです。
滞納の要因の一つが被災者の高齢化にあるという指摘が様々な方からなされています。滞納率が四四・三%になる石巻市ですけれども、二〇二二年の時点で借主の平均年齢が六十一・六歳、六十五歳以上が四一%、七十五歳以上が二〇%以上だという現状でした。
この援護資金には所得要件があって、一人世帯では年間所得二百二十万未満、二人世帯は四百三十万未満ということで、低所得者向けの制度になっているというふうに思います。そのために、年金生活に入っても低年金の方が多い傾向にあるというふうに思うんですね。実際に、石巻市には、亡き夫の相続人であるお連れ合いの方がこの返済分も相続をされたということで、夫が死んで自分の年金しかない、どうすればいいのかというふうな問合せも来ているということです。
あの東日本の震災から十四年がたった今、被災者は高齢化をしています。元々、低所得で返済見込みの立ちにくい方たちが利用をしている、高齢化が進めば、完済するということがより難しくなっていくというふうに考えます。ここに制度の矛盾が表れているというふうに思うんですけれども、大臣の認識をお聞かせください。
○坂井国務大臣 様々な御事情によって、当初に予定したとおりの返済が困難となっている被災者の方がいらっしゃるということは認識をしております。
災害援護資金制度は給付ではなく返済を前提とした貸付制度であることや、既に期限どおりに返済されていただいている被災者の方も大勢いらっしゃることを踏まえると、まずは返済に向けて御努力いただくことが原則ではなかろうかと思っております。
本制度では、災害援護資金の貸付けを受けた被災者が、先ほども政府参考人から申し上げましたが、疾病、負傷、経済的困窮などの事情がある場合には償還金の支払い猶予が可能であるほか、精神、身体に著しい障害を受けた場合や破産手続開始の決定を受けたときなどには償還の免除も可能となっております。
さらに、東日本大震災については、これら通常の免除事由に加えて、一定の無資力要件を満たす場合にも特例的に免除が可能となっておりまして、まずはこうした制度をきめ細かく御活用いただくことが重要ではないかと考えます。
なお、政府としては、例えば、災害救助法による現物給付、被災者生活再建支援金の給付等、給付による支援も行っているところでございまして、災害援護資金については、こうした既存の支援策と組み合わせて御活用いただくものと考えております。
○堀川委員 もう一つ、この滞納の要因として、生活再建が遅れているということも挙げられると思います。
ある新聞記事の中で、家族四人で仙台市内のアパートに暮らす大型トラック運転手の男性の話が紹介をされていました。震災で自宅に大きな被害はなかったものの、日雇のアルバイトが激減をして貯金が底をつく中で、家具も壊れて、通勤用の車の故障も重なった、そこで、この災害援護資金を二〇一二年に百五十万借りたそうです。初めの六年は返済を猶予し、六年たった二〇一八年、市から督促状が届いて、半年で約十一万円の返済を求めるというふうな内容だったそうです。ただ、この男性の月収が十八万円で、お連れ合いの収入、月五万から八万円の収入の中で、家賃五万円、小学生と中学生の二人のお子さんの教育費もかかる、さらに、この男性は震災後に発症をしたリウマチとヘルニアを抱えておられて、治療費を払うと手元に一万円も残らないそうです。少額返済を利用されて、ぎりぎり返せる月五千円を返済しているということなんですけれども、返済額はまだ百万円以上残っているそうなんです。返済期限が今年、二〇二五年になるそうなんですけれども、完済するのは二十年ほど先になるというふうな話が紹介をされていました。
被災によって収入が減る、あるいは病気を発症する、なりわいの再建もなかなか進んでいない中で、被災者の生活再建が遅れるという現状がいまだにあるというふうなことだと思います。
低年金の高齢者もそうなんですけれども、低収入の方から返済を求め続けるというのは生活基盤を崩しかねないということが再三弁護士会からも指摘をされています。この指摘は非常に重要だと私は思いますし、本当にこれが被災者支援なのかという問いが生まれていると思うんですけれども、このことについても大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○坂井国務大臣 先ほども御答弁を申し上げましたけれども、基本的には、この災害援護資金の貸付けの制度というのは貸付けを前提とした制度ということでございますが、一定の場合には、先ほど申し上げましたが、支払い猶予でありますとか償還の免除が可能となっておりますし、また、東日本大震災につきましては、一定の無資力要件を満たす場合にも償還免除が可能とされているところでございますので、具体的に今御指摘いただいたその方がこの状況に該当するかどうかというのは今の段階で判断しかねますけれども、御相談いただいて、まずはこういった制度を適切に御活用いただくことが必要ではないかと考えております。
○堀川委員 困難を抱えておられる被災者の方々に寄り添った支援策の在り方というのを、是非見直していただきたいというふうに思うんです。
先ほど来から免除要件について御説明をいただいているんですけれども、御説明いただいたように、免除となるのは死亡や重度障害などのケースになっています。東日本の場合は、無資力、経済的に返済が困難な場合による返済免除というのが特例的にあるというふうなことだと思うんですけれども、ただ、無資力の場合の返済免除というのは、返済期限十三年から更に十年間返済が困難となった場合というふうになっています。
ただ、実態を見ると、被災者の高齢化がある、生活再建の遅れなどによって、市町村もなかなか回収見込みが立っていないというのが現状です。二十三年間もの長期にわたって返済請求が来るというのは、返済が困難な被災者にとって精神的負担にもなっていくというふうに思うんです。
この免除の対象を、少なくとも低年金の方やあるいは生活保護受給者に拡充することが不可欠だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
災害援護資金の貸付けを受けた方が経済的に困窮している場合には、市町村は支払いの猶予をすることができるということでございます。
その上で、先ほども大臣からも御答弁ありましたけれども、東日本大震災につきましては、東日本大震災の財政特例法におきまして特例措置が設けられておりまして、借受人が無資力又はこれに近い状態にあるため支払いの猶予を受け、また、かつ、最終支払い期日から、委員からも御紹介いただきましたけれども、十年を経過した後におきまして、なお無資力等の状態にあり、償還金を支払うことができる見込みがない場合について、償還免除の特例が設けられているところでございます。
御指摘いただきましたように、生活保護を受給されておられるなど経済的に困窮されている被災者の方におかれましては、こうした制度をきめ細かく御活用いただくことが重要であるというふうに考えております。
○堀川委員 もう一つ指摘をしたいのが、被災市町村の負担についてです。
貸付けと回収を担う市町村の負担が本当に過大になっているんですね。宮城県の事例を紹介をしたいと思います。
仙台市ですけれども、回収業務期間十三年間以上を想定して、人件費十六億円、事務経費八億円、計二十四億円を見込んだ、二二年の十二月時点で正職員十人、会計年度任用職員七名だった体制を、二人増員をしているというふうな状況です。
塩竈市については、利用者が亡くなった場合の手続に物すごく頭を悩ませているというふうなお話を聞きました。国は、亡くなった場合、相続人に請求するよう指導をしているわけなんですけれども、相続人が十人以上いて確認作業に数年かかった事例もあったというふうなことをおっしゃっていました。
石巻市では、滞納額が十一億に上るわけなんですけれども、人件費を除く回収費用におよそ三億八千万円を見込んでいる、ただ、担当職員三人では窓口や電話対応が精いっぱいで、戸別訪問までなかなか手が回らないというふうな状況です。
事務負担と回収費用など、被災自治体の負担が過大となっています。利息分を管理費用に充てるということは前提になっているわけなんですけれども、東日本の場合では、連帯保証人をつけた場合は無利息になっておりまして、つけなかった場合にも一・五%の利息になっておって、利息で管理コストを賄うというのはほとんど困難なんですよね。
国として、債権の管理費用や人的資源など、市町村への支援を抜本的に増やすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
債権管理業務の長期化に伴いまして、被災自治体の方で御負担を感じられておられることについての問題意識は共有しているところでございます。
このため、債権管理業務を円滑に進めるためにも、こうした業務を担当されている自治体職員の皆様の御負担をできる限り軽減することが大変重要であると考えておりまして、内閣府といたしましては、例えば他の自治体における債権管理業務における取組事例を共有するなど、自治体による債権管理が円滑に進むよう支援をしていきたいと考えております。
また、東日本大震災につきましては、災害復旧等に従事する職員の人件費を震災復興特別交付税で支援するといった仕組み、制度もございます。実際に、この支援策を活用して債権管理業務に当たる職員を新規に採用していただいて取り組んでいただいている自治体もございますので、こうした制度についても是非御活用いただけるよう、私どもとしても周知に努めていきたいというふうに考えております。
○堀川委員 ちょっと時間がないので次の質問を飛ばさせていただいて、その次の質問に移りたいんですけれども、この災害援護資金貸付けの目的は低所得者の生活再建を支援するということだと思います。ただ、今御紹介したように、生活再建はおろか、日々の生活の維持にも困窮を強いられている被災者に対して貸付金の返済を求め続けることが、本当に東日本大震災からの生活再建や被災地復興を支援することになるとはとても考えられないと私は思うんです。
被災自治体に対しても過大な負担が今発生をしているというふうな状況です。このことについて、復興大臣の認識を伺いたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答えを申し上げます。
私も、四月一日にNHKの「クローズアップ現代」で災害援助資金についての報道をされた番組を全て見せていただいておりました。被災地の現場では極めて難しい対応を迫られているということを痛感したところでございます。何せ、お金を返してもらいに行く人も、そしてまた返さなきゃならない立場の人も、両者共に、このお金に手をつけている人たちもたくさんおられるという現場でございますので、本当に厳しいことだと思って見ておりました。
災害援護資金の運用に当たりましては、ただいま坂井防災大臣にも様々御配慮いただいていると思いますが、発災から十四年を経過した現在、被災した方々の状況は様々であります。
このため、被災自治体には、返済困難な被災者には最大限寄り添った対応をしていただくとともに、災害援護資金の返還について、それぞれの被災者の状況に応じ、猶予、免除など、きめ細かく対応していただくことが重要であると認識をいたしております。
これまで復興庁に対しましても被災地から様々御意見、御要望が多く寄せられておりまして、内閣府にもその旨伝えさせていただいて、今般、償還期限の延長に関する法令改正作業を進めていただいていることと承知をしております。
復興庁といたしましては、被災地に寄り添って御意見、御要望を聞き取って、関係省庁に情報を提供するなど、引き続き連携を取って、是非復興していくことができますように、一人残さずやっていけるように努力をしてまいりたいと思っております。
○堀川委員 ちょっと時間が来ているので、もう終わらないといけないんですけれども、やはり災害援護資金の貸付制度というのはもう限界が来ているというふうに思います。従来の対応では解決できない課題がたくさんあるというふうなことを私は申し上げました。貸付けではなく給付による支援を真剣に検討すべきというふうなことを申し上げまして、質問を終わります。
○金子委員長 次に、北神圭朗君。
○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
今日、私は、首都圏直下型地震について御質問したいというふうに思います。
そして、資料も配っておるんですけれども、私も最初は質問する予定がなかったんですが、この資料をちょっと見ていますと、最近出た南海トラフ地震の被害想定で、二十九万八千人が最大死亡者の数だと。ちょうど真ん中の下ぐらいの、死者数合計のところですね。右の方の直下型地震を見ると二万三千人。直感としてえらい開きがあるなというふうに思いまして、やはりこれは危機管理の要諦として、被害想定というのは、もちろん、べらぼうに高い数字を出す必要はないんですけれども、ちょっとここにそごを感じるんですが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
先日、三月末に公表させていただきました南海トラフ巨大地震の被害想定では、南海トラフ沿いで想定される最大クラスの海溝型地震が発生した場合に、津波、建物倒壊、地震火災等によりまして、御指摘いただきましたように、死者数が最大で約二十九万八千人に上る、そうした推計となったところでございます。
一方で、平成二十五年十二月の首都直下地震の被害想定でございますけれども、これは、切迫性が高く、首都中枢機能への影響が大きいと考えられます都心南部を震源とするプレート内地震、海溝型ということではなくてプレート内での地震、これが発生した場合に、建物倒壊や市街地の火災等によりまして、死者数が最大で約二万三千人に上る、そういう推計になってございます。
御質問いただいた、このような違いが生じる理由でございますけれども、南海トラフの地震と首都直下地震を比較した場合でございますが、まず、地震の規模を表すマグニチュードでございますけれども、南海トラフがマグニチュード九クラス、首都直下地震がマグニチュード七クラスでございまして、これに伴いまして、例えば津波による死者数でございますけれども、南海トラフですと約二十一・五万人、首都直下はゼロ人と見込んでおりますこと、あるいは、震度七の揺れが見込まれる自治体数につきましても、南海トラフの方は百四十九の自治体、首都直下の方は二の自治体というような違いになっておるところでございます。
ただ一方で、首都地域において大きな地震が発生した場合には、広域的な災害応急対策に不可欠な政治、行政の中枢機能とか我が国の経済の中枢機能、こうした首都中枢機能の継続性の確保が課題になりますので、引き続き関係機関と連携して、首都直下地震への備え、またこれもしっかりとやっていくことが大変重要だというふうに考えております。
○北神委員 いろいろ前提条件が違うという話なんですが、例えば、もう一つ、資料にあります阪神・淡路大震災が大体六千四百三十四名、これは津波とかはなかったというふうに思います。神戸市、西宮市、芦屋市、この三つの自治体の当時の人口が約二百万人ぐらいだと。東京が一千四百万人なんですよね。そうなんだというふうに言われると何とも、専門家じゃないのであれですけれども、そのとき六千四百人で、首都直下型地震が二万三千人というのはやはり、大臣もどう思われますか。別に答えなくていいんですけれども、若干これは直感的におかしいなと。
じゃ、前提条件についてお尋ねしますけれども、マグニチュード七だということで、南海トラフは九だということなんですが、たしか、大正の関東大震災のときはマグニチュード七・九ぐらいだったというふうに記憶していますけれども、これで本当によいのか。
あと、今おっしゃった条件でいうと、二自治体に影響を及ぼす。これは東京都とどこですか、神奈川県ですかね、ちょっと分からないんですけれども。これも関東大震災のときなんかは、より広い、たしか神奈川と千葉とか茨城とか山梨とか、こういうのも入っていたと思うんですけれども。まあ、私のあくまで直感ですから。うちの嫁さんも、あんたの直感は当てにならぬというふうに言われるので、別にこれでどうこう言うつもりはないんだけれども。
ちょっとその前提条件について、皆さんは、これで非常に現実的かつ合理的だというふうに見ているわけですか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
首都直下地震の想定、前提でございますけれども、先ほど申しましたように、プレート内での地震というのが今の首都直下地震です。委員御指摘いただきましたように、大正の関東大震災のときには、海溝型の、相模湾のところで海溝が滑る、そういう地震が起きておるということであります。
地震学の専門家の先生の見解では、一定の周期を持って海溝型の地震の場合は起こりますので、首都圏における切迫性というのはまだもう少し先だということがあって、一方で、プレート内におけるいわゆる断層型みたいな地震につきましては、これはもういつ起こるか分からない、そういうようなことがございますので、首都直下地震の方ではプレート内の断層を対象に被害想定を出している、そういう考え方でございます。
○北神委員 また見直される可能性はあると思いますけれども、できるだけ現実的なものを、また、専門的な知見で合理的なものを打ち出していただきたいと思います。
やはり、ここの想定が余り甘いと後の対応が問題になる。そして、今、政策統括官がおっしゃったように、首都圏の場合は、国の中枢機能というのがあるということで、非常に全国的に、被災していないところまで含めてかなりの影響があるというふうに思います。
皆さんは、いわゆる非常時の中枢機能というものをこういう直下型地震の後でも必ず実行しないといけないという責務があるというふうに思います。この備えはしっかりされているのか。例えば、経済、金融の安定。もちろん、第一には災害対策ですよね。あと、国民の安定、外交、防衛、治安維持、大変だというふうに思いますけれども、その備えの状況について伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
政府では、首都直下地震が発生した場合に備えまして、首都中枢機能の維持を図り、国民生活及び国民経済に及ぼす影響を最小化することを目的といたしまして、政府の業務継続計画を策定しているところでございます。
この政府業務継続計画の中で、首都直下地震発生時には、政府として維持すべき必須の機能である、一つとして内閣機能、二つとして被災地域への対応、三つとして金融、経済の安定、四つとして国民の生活基盤の維持、また五つとして防衛及び公共の安全と秩序の維持、また六つとして外交関係の処理、これらを非常時優先業務というふうに位置づけまして、首都中枢機能の維持を図ることとしているところでございまして、各省庁の業務継続計画を、更に各省庁別に作っていただいておりまして、必要な執行体制また執務環境等の確保がされているところでございます。
内閣府では、各府省庁において必要な執行体制あるいは執務環境等の確保ができているかについて、毎年、有識者によります評価、提言を行っているところでございます。引き続き、政府業務継続計画の実効性確保に向けて努めてまいりたいと考えております。
○北神委員 そういう業務計画を各省庁がやっておられる、私もちょっと目を通しましたけれども。
私がちょっと心配しているのは、皆さんの想定では、直下型地震が起きて、たしか二時間以内に初動体制をつくる、それは非常に速い、すばらしいことだと思います、できればですね。そして、その後に、電力もなかなか立ち上がらない、上下水道も機能不全、電車も走らぬ、交通もなかなか、道路とかも整備されていない、こういう状況の中で、一週間だけ、各省庁がそれなりに自家発電機とかで電力を維持する、簡易トイレとか食料、水、こういったものをそろえるということをおっしゃっているんですが、果たして、それは前提として、一週間保てたら、後はもう停電の心配もない、トイレとかあるいは食料、水の心配もないというような想定だというふうに思いますけれども、ちょっと短いような気がします。
アメリカなんかは、そういう危機のときには、これは災害も含めて、アメリカの場合、国防も入っていますのでちょっと単純に比較できないと思いますけれども、一か月間ぐらいは、政府の中枢機能というものを維持する、どんな状況でも維持するというような体制をつくっておりますが、本当に一週間で足りるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
政府では、政府業務継続計画に基づきまして、首都直下地震が発生した場合に、御指摘いただきましたように、その直後から、被害状況あるいは我が国の経済及び国民生活への影響等に関する情報の収集、分析等を円滑に行う初動体制を迅速に確立することとしているところでございます。
今御質問いただきました期間でございますけれども、災害発生直後から一週間にわたって外部から食料等の補給が行われない状況下でも、職員が庁舎に常駐して交代で業務を継続できる体制を整えるということにしているところでございますけれども、この計画の想定としては、災害発生後一週間経過した後は、外部からの食料、燃料等の補給により対応を継続するというふうに考えておりまして、例えば、燃料につきましては、中央省庁の庁舎の非常用発電機用として燃料タンクに一週間分を確保しておりますけれども、その後は、政府と石油連盟で協定を結んでおりまして、発電機に必要な燃料を供給していただく、そういった想定をしておるところでございます。
○北神委員 一週間で本当に大丈夫かということですね。電力はかなり、今まで熊本地震とか東日本大震災でもそこそこ早く立ち上げることはできましたが、それでも、やはり、五〇%停電が起きるとか、そういったことも、一週間たっても想定しておくべきではないか。ガスについては、下手すると一か月ぐらい、なかなか供給体制が整わない。JRなんかでも、下手すると一か月ぐらい動かないとか、そういう状況の中で、そんな一週間、恐らく、皆さんの発想は、電力は一週間で立ち上がるからそれでいけるだろうということなんですが、もう少し余裕を持たせた方がいいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
今の計画の考え方は、先ほども申しましたように、一週間はまず食料を確保しておいてということですし、その後も、燃料とかについては、一週間ある上に、石油連盟さんとの協定で供給をいただける、そういう計画にしておりますけれども、大規模な地震災害が起こったときにどういうふうな対応、備えをしておくべきかということについては不断に見直しということが必要だというふうに思いますので、委員の御指摘も踏まえて、引き続き検討したいというふうに考えております。
○北神委員 よろしくお願いします。
最後に、大臣にお聞きしたいと思いますが、マグニチュード七という想定で各省庁はそれなりに耐震改修をしているということなんでしょうけれども、これも、例えばアメリカの例を出して恐縮ですけれども、アメリカなんかはワシントン以外のところに代替庁舎というものを置くべきだと。我が国は、官邸は、近くの千代田区の何か別館みたいなところに移る、それが駄目だったら新宿区の防衛省、それでも駄目だったら立川。しかし、これもまあまあ首都圏範囲内だというふうに思います。厚生労働省、外務省は大阪に置いている。
私は、やはり、このバックアップ機能というものを別途首都圏と違うところにもう一つ設けるべきだというふうに思います。
○金子委員長 持ち時間が参りましたので、おまとめください。
○北神委員 我田引水というか、我田引都になりますけれども、関西は非常に適しているというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 首都圏以外におきましても、代替拠点の確保に係る検討は行っております。大規模地震に係る現地対策本部の設置予定箇所でありますとか、各府省の地方支分部局というんですかね、が集積する都市など、例えば、札幌、盛岡、仙台、東京、静岡、名古屋、大阪、高松、熊本というのが現地対策本部の設置予定箇所となっておったり、全国で今検討を進めているところでございます。
なので、こういった関係機関等と緊密に連携して、政府の中枢機能のバックアップ体制の確保は委員御指摘のように大変大事でありますので、万全を期してまいりたいと思っております。
○北神委員 終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――
○金子委員長 次に、内閣提出、災害対策基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。坂井防災担当大臣。
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災害対策基本法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○坂井国務大臣 ただいま議題となりました災害対策基本法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
本法律案は、令和六年能登半島地震から得られた教訓を今後に生かし、国による地方公共団体の応援体制の強化、被災者援護協力団体の登録制度の創設、広域一時滞在等における被災住民への情報提供の充実、地方公共団体における物資の備蓄状況の公表の義務化、救助の種類への福祉サービスの提供の追加、災害時における日本下水道事業団の業務の特例の創設、内閣府の防災監の新設等の措置を講じることで、災害対策の強化を図ることを目的としております。
以上が、この法律案を提出する理由であります。
次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、国による災害対応の強化についてであります。
国は、高度かつ専門的な技術、知識又は経験を有する人材の確保等を推進することにより、地方公共団体を迅速かつ的確に応援するよう努めなければならないこととするとともに、災害応急対策について、緊急の必要がある場合、都道府県知事からの要求を待たずに応援をすることができること等としております。このほか、内閣府設置法において、内閣府に防災監を設置することとしております。
第二に、被災者に対する福祉的支援等の充実についてであります。
災害救助法における救助の種類に福祉サービスの提供を追加し、福祉的支援を強化するとともに、災害応急対策を行う責任を有する者は、相互に連携しつつ、情報通信技術等も活用しながら、避難所の運営状況及び被災者の状況の把握等に努めなければならないこととしております。
第三に、民間等と連携した支援体制の構築についてであります。
国及び地方公共団体に協力して、避難所の運営、炊き出し等の業務を行う団体は、内閣総理大臣の登録を受けることができることとし、協力の要求及び被災者の個人情報の提供を可能とすることとしております。
第四に、広域的に避難する被災住民に対する支援の充実についてであります。
広域で一時的に避難する被災住民の受入れを円滑に行い、滞在先においても適切な支援が受けられるよう、広域一時滞在の協議を行う市町村長の間で被災住民の情報を共有するとともに、被災住民に対して援護に関する情報を提供することとしております。また、市町村長が被災者台帳を作成するに当たり、他の都道府県に滞在する被災者の情報を把握できるよう、都道府県知事による必要な協力ができることとしております。
第五に、防災に必要な物資の確保についてであります。
地方公共団体は、毎年一回、物資の備蓄の状況を公表しなければならないこととしております。
第六に、インフラの復旧及び復興の迅速化についてであります。
水道法において、日本下水道事業団が災害により損傷した水道施設の工事を行うことができることとするとともに、水道事業者は、配水管の復旧に必要な作業を行うため、水の供給を受ける者の土地に立ち入ることができることとしております。また、災害の定義の例示に、地盤の液状化を追加するとともに、宅地の耐震化に関する事項の実施に努めることとしております。加えて、復興まちづくりを推進するため、大規模災害からの復興に関する法律において、一団地の復興拠点市街地形成施設に関する都市計画を定めることができる災害の範囲を拡大することとしております。
その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○金子委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る十五日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十七分散会