衆議院

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第24号 平成16年4月16日(金曜日)

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平成十六年四月十六日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十五号

  平成十六年四月十六日

    午後一時開議

 第一 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案(武正公一君外四名提出)

 第二 通信・放送委員会設置法案(武正公一君外四名提出)

 第三 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第六 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第七 私立学校法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案(武正公一君外四名提出)

 日程第二 通信・放送委員会設置法案(武正公一君外四名提出)

 日程第三 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第六 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第七 私立学校法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

 特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案(武正公一君外四名提出)

 日程第二 通信・放送委員会設置法案(武正公一君外四名提出)

 日程第三 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、武正公一君外四名提出、電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案、日程第二、武正公一君外四名提出、通信・放送委員会設置法案、日程第三、内閣提出、電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長佐田玄一郎君。

    ―――――――――――――

 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案(武正公一君外四名提出)及び同報告書

 通信・放送委員会設置法案及び同報告書

 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔佐田玄一郎君登壇〕

佐田玄一郎君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、民主党・無所属クラブ提案に係る武正公一君外四名提出の二法律案について申し上げます。

 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案は、無線局の免許手続としてオークション制を導入するとともに、現行の電波利用料制度を電波の経済的価値を反映した制度に見直す等の措置を講じようとするものであります。

 また、通信・放送委員会設置法案は、通信及び放送の分野における規律に関する事務を公正かつ中立に行わせるため、内閣府の外局として、通信・放送委員会を設置しようとするものであります。

 次に、内閣提出の電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本法律案は、電波の再配分に関する給付金制度を設けるほか、一定の無線局の開設について登録制度を導入する等の措置を講じようとするものであります。

 以上の三案につきましては、去る三月三十一日に内閣提出の法律案が、四月一日に武正公一君外四名提出の二法律案が本委員会に付託され、同日麻生総務大臣及び提出者武正公一君からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、六日一括して質疑に入り、十三日これを終局いたしました。次いで、武正公一君外四名提出の通信・放送委員会設置法案について内閣の意見を聴取した後、三案を一括して討論を行い、採決に入りました。まず、武正公一君外四名提出の二法律案について順次採決いたしましたところ、両案はいずれも賛成少数をもって否決すべきものと決しました。次いで、内閣提出の法律案について採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、内閣提出の法律案に対し附帯決議を付すことに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一、武正公一君外四名提出、電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立少数。よって、本案は否決されました。

 次に、日程第二、武正公一君外四名提出、通信・放送委員会設置法案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立少数。よって、本案は否決されました。

 次に、日程第三、内閣提出、電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第六 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第四、商品取引所法の一部を改正する法律案、日程第五、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案、日程第六、不正競争防止法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長根本匠君。

    ―――――――――――――

 商品取引所法の一部を改正する法律案及び同報告書

 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案及び同報告書

 不正競争防止法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔根本匠君登壇〕

根本匠君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、商品取引所法の一部を改正する法律案につきましては、商品市場における取引の委託者資産の保全制度を拡充し、商品取引員に対する規制の見直しを行うとともに、商品市場の信頼性及び利便性の向上を図るための所要の措置を講ずるものであります。

 次に、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案につきましては、悪質事業者に対する禁止行為規定などの規制強化と、消費者被害の救済のための民事ルールの充実を図るものであります。

 次に、不正競争防止法の一部を改正する法律案につきましては、日本国民が外国公務員等に対して不正な利益の供与等を行った場合における国外犯の処罰規定を整備するものであります。

 本委員会においては、去る四月二日三法律案に関し中川経済産業大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取した後、同月七日より質疑に入り、去る十四日質疑を終了いたしました。

 質疑終局後、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、グループ改革の四会派から、商品取引所法の一部を改正する法律案に対して、商品市場における取引等につき商品取引員が行ってはならない行為として、委託の勧誘を受けることを希望しない旨の意思表示をした顧客に、その委託を勧誘する行為などを加えることを内容とする修正案が提出されました。

 修正案の趣旨説明を聴取した後、討論を行い、採決を行った結果、四会派共同提案の修正案は全会一致をもって、修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案及び不正競争防止法の一部を改正する法律案につきましては、それぞれ採決を行った結果、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 なお、商品取引所法の一部を改正する法律案及び特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案の両法律案に対しそれぞれ附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第四につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

 次に、日程第五及び第六の両案を一括して採決いたします。

 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)

     ――――◇―――――

 日程第七 私立学校法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第七、私立学校法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長池坊保子君。

    ―――――――――――――

 私立学校法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔池坊保子君登壇〕

池坊保子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、私立学校の健全な発達に資するため、理事会の設置や理事、監事及び評議員会の権限や役割分担の明確化等学校法人の管理運営制度の改善を図るとともに、学校法人が説明責任を果たせるよう、利害関係人からの請求に応じて財産目録等を閲覧に供することを義務づけ、あわせて、各都道府県知事の判断で私立学校審議会の委員の任命ができるようにするものであります。

 本案は、三月三十日本委員会に付託され、翌三十一日河村文部科学大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。四月二日から質疑に入り、参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、去る十四日に質疑を終局し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)

     ――――◇―――――

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣金子一義君。

    〔国務大臣金子一義君登壇〕

国務大臣(金子一義君) このたび、政府から提出いたしました構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 構造改革特区は、地方や民間が自発的に構想を立案し、それぞれの地域の特性に応じた規制の特例を導入することとし、それによりまして、構造改革をさらに加速させるための突破口となるものであります。

 平成十四年の第百五十五回国会において御審議いただき成立した構造改革特別区域法においては、同年八月に実施いたしました提案募集に基づき、構造改革特別区域において講ずることのできます、法律事項に関する規制の特例を定めました。さらに、昨年の第百五十六回国会においては、規制の特例措置を追加する構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を御審議いただき成立しております。

 政府においては、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にとの理念のもと、構造改革を推進しているところでありますが、構造改革特別区域推進本部においても、多様な特区の実現に向け、その後も引き続き全国から提案募集を行い、新たな規制の特例措置を決定してまいりました。これら本部で決定した特例措置のうち、法律事項について構造改革特別区域法に新たに追加することを通じ、経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図るため、この法律案を提出する次第であります。

 この法律案の概要を申し上げます。

 第一に、医療法等の特例として、認定構造改革特別区域においては、株式会社が自由診療で高度な医療の提供を目的とする病院または診療所を開設することができることとしております。

 第二に、教育職員免許法の特例として、認定構造改革特別区域におきまして、都道府県教育委員会が行っております特別免許状の授与について、市町村の教育委員会も行うことができることとしております。

 第三に、漁港漁場整備法等の特例として、認定構造改革特別区域においては、国または地方公共団体が行政財産であります特定漁港施設を貸し付けることができることとしております。

 第四に、狂犬病予防法の特例として、認定構造改革特別区域を設定した市町村の長は、狂犬病予防員の任命、捕獲人の指定、犬の抑留等について、必要な経費等をみずから負担することを条件に、行うことができることとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。谷公一君。

    〔谷公一君登壇〕

谷公一君 自由民主党の谷公一でございます。

 初めて登壇させていただき、感謝と責任の重さの気持ちでいっぱいでございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して質問いたします。(拍手)

 冒頭に、お許しをいただきまして、イラク関連の問題について質問いたします。

 昨日、イラクで拘束されていた三名の日本人が無事解放されました。この間の政府の毅然とした対応に、改めて敬意を表したいと思います。(拍手)

 そこで、まず外務大臣から、これまでどのような対応をとられてきたのか、報告していただきたいと思います。

 次に、三名の方々は無事解放されましたが、いまだ二名の方々については安否が確認されておりません。政府においては全力を挙げて取り組まれているとは思いますが、現時点で公表できる限りの情報を報告していただきたいと思います。

 また、イラクについては、たび重なる退避勧告が出されているにもかかわらず、今回の事件が発生しました。今なお、イラクには少なからぬ日本人がいると言われています。そこで、イラクから民間人の方々が早急に退去するよう、改めて、この国会の場で明確なメッセージをぜひお願いいたします。(拍手)

 次に、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。

 昨今の日本経済は、先月の月例経済報告で「景気は、設備投資と輸出に支えられ、着実な回復を続けている。」とあるように、長い漂流の後、ようやく先行きに明るい見方が広がってまいりました。これも、小泉内閣が推し進める官から民へ、国から地方へという改革の一つのあらわれだと思います。

 特に、構造改革特区制度は、規制のあり方を、これまでの全国一律という発想から、地域が自発的に構想を立案し、その特性を考慮した規制へと転換するものであり、経済の活性化を加速するとともに、地域の再生にも大きく寄与するものであります。

 さまざまな分野で規制改革が進み、本年三月末現在で、全国すべての都道府県において各自治体が知恵を絞った三百二十四件、うち、私の地元の兵庫県では十八件の特区が誕生し、地域経済の活性化、ひいては我が国経済の回復に一定の貢献があったものと評価するものであります。この中には、岩手県遠野市のどぶろく特区、群馬県太田市の英語教育特区など、ユニークな特区として高く評価されているものも少なくありません。

 そこで、まず、今までの構造改革特区の成果についてどのように評価されているか、金子大臣にお伺いいたします。

 次に、本改正法案においては、医療法等の特例、教育職員免許法の特例等、さまざまな規制の特例措置が導入されることになります。既に、これまで実現が困難であった教育、農業分野へ株式会社の参入を認める改革も着実に進んでおります。

 そこで、本改正案によって具体的にどのような取り組みが可能になるか、お答えを願いたいと思います。

 また、構造改革特区における成果については、特定の地域のみではなく、よいものは全国民がその恩恵をこうむるべきものと考えます。政府においても、特例措置の評価のための評価委員会を設けて、広げるための体制を整備していると聞いております。特区の規制改革の全国展開の見通しについて、金子大臣のお考えをお伺いいたします。

 最後に、構造改革特区については一定の成果があったとは思いますが、規制改革の恩恵を最も受ける民間事業者からの規制改革要望については、まだまだ少ないものと思われます。また、構造改革特区で実施される事業に対する財政金融面での支援措置の拡充も図る必要があると思います。

 どのようにして民間からの提案をふやす努力をしていくのかを含めて、今後の構造改革特区の推進の取り組みについて、金子大臣にその力強い決意をお伺いしまして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣川口順子君登壇〕

国務大臣(川口順子君) 在イラク邦人人質事件の対応についてお尋ねでございますが、昨十五日、バグダッドの日本大使館から、イラクで人質とされていた日本人三名が解放され、十五日、現地時間十五時三十分、日本時間二十時三十分に、バグダッド市内のモスクにおいて、急行いたしました大使館員により、無事が確認され、保護された旨の報告を受けました。

 事件発生以来、これまでの間、政府は、全力を挙げ、三人が一刻も早く無事に解放されるよう、あらゆるルートを通じ働きかけを行ってきたところでございます。

 こうした働きかけの具体的詳細についてはお答えを差し控えさせていただきますが、例えば、私がロイターテレビ及びAPTNを通じ犯人グループへのメッセージを発信したほか、世界各国から支援、協力をいただき、また、在イラク大使館を初め周辺国の在外公館が長年にわたり培ってきた人脈を活用するなど、あらゆる手段を講じました。

 こうした努力の結果、今回、三名の人質の方が解放されましたが、御家族の方々に対し心からのお喜びを申し上げるとともに、事件発生以降、三名の安全な解放に向けて御尽力されたイラクの関係者の御尽力と世界各国からの御支援について、心から御礼を申し上げたいと思います。(拍手)

 また、国会議員の方には、この間、さまざまな御配慮、御支援、御指導をいただきましたことについて、この場をかりまして、厚く御礼を申し上げますとともに、今後も引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。(拍手)

 政府といたしましては、イラク人の手によるイラク人のための民主的なイラクの建設のために、引き続き、必要な人道復興支援を行ってまいりたいと考えております。

 次に、引き続きイラクで所在が不明の二名の邦人の方についてのお尋ねでございます。

 安田純平さんと渡辺修孝さんの二名が拘束された模様であるという情報に接しておりますが、現在、引き続き、関係機関及び現地の在外公館を通じて、事実関係を全力を挙げて確認中でございます。

 関係者の安全にかかわる事柄でございますので、この場では、これ以上のコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。

 三番目に、イラクにおける邦人の退去についてのお尋ねがございました。

 イラクについては、治安情勢が非常に厳しい状態であることを踏まえて、昨年の二月十四日以来、イラク全土に退避勧告の危険情報を継続的に発出し、滞在している方に対しては可及的速やかな退避を促すとともに、イラクへの渡航はいかなる理由であれ絶対に差し控えるよう促してまいりました。

 外務省は、情報を収集し、それを綿密に分析した結果、この退避勧告を出しております。国民の皆様には、今後、この種の事件が再発しないよう、ぜひともこの勧告に従っていただきたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣金子一義君登壇〕

国務大臣(金子一義君) 谷議員からお話がありました構造改革特区は、農業、教育、医療といった分野の株式会社参入を初めとしまして、従来大変難しいとされておりました分野における規制改革が進んでおり、構造改革の突破口としての役割を果たしております。

 現在までに、全国で三百二十四の特区が誕生しております。私がタウンミーティングでお邪魔いたしました岩手県遠野市のいわゆるどぶろく特区では、観光客がこれがゆえに大幅に増加しているなど、地域活性化、ビジネスチャンスの拡大に貢献しております。

 谷議員の御指摘のありました兵庫県でも、十八件の特区が誕生しております。例えば、六甲有馬観光特区、国立公園の中ではありますけれども、自然環境を活用した催し物をするための特例を活用して、震災後落ち込んでおります観光客の回復を図る取り組みが行われておりまして、特区制度というのが地域の活性化に大きく貢献することが期待されております。

 議員御指摘のとおり、地方経済は大変厳しい部分がいまだございますが、しかし、特区を申請してこられます市町村長の間に非常にマインドが、何とか地域を活性化したいという意識が大変強くなってきており、私たちも期待をしておるところであります。

 第二点の御質問、全国展開はどうなんだという御質問でございます。

 おおむね半年間で評価を行いまして、特段の問題が生じないと判断された特例措置は速やかに全国展開を図ることとしており、スピードを持った対応をしてまいる所存であります。

 今回の法案改正によって、具体的に何ができるのか、御質問であります。

 医療法では、病院等の開設者が非営利であることを原則としており、営利を目的とするものには病院等の開設の許可を与えないこととされていましたが、自由診療で高度な医療を行う病院等を株式会社が設立することを認めることで、株式会社の資金調達能力等を活用できるようになります。

 従来、すぐれた知識経験等を有する者への特別免許状の授与は、都道府県の教育委員会のみが行うこととされておりましたが、市町村の教育委員会による特別免許状の授与を認めることで、地域の多様な教育ニーズにこたえることができるようになります。

 漁港施設の点でございますけれども、民間事業者による漁港施設の管理運営は一時的な使用許可による場合を除き認められていませんでしたが、民間事業者に対し行政財産である漁港施設の貸し付けを可能とすることで、漁港施設の機能の高度化を図ることができるようになります。

 狂犬病予防法の特例。野犬を捕獲し、抑留することができる狂犬病予防員は、都道府県のみが任命することとされていましたが、市町村がみずからの費用負担により狂犬病予防員を任命することができるようにすることで、野犬の抑留の円滑化を図ることができるようになります。

 最後に、民間の提案をどのようにふやしていくのか、御指摘がありました。

 現在、約三割を民間の方々が提案していただいておりますが、これを何とかさらにふやしていきたい。民間事業者に、やはり特区の制度について十分に周知していく。

 そのために、三月から十回連続しまして、全国各地区で地域再生タウンミーティングを活用して特区の制度をPRしております。また、全国の特区を紹介するホームページの設置、同時に、各地域で特区制度の活用をPRする都道府県の職員、私たちは特区エキスパートと言っておりますけれども、こういう人たちをさらに養成していきたい。

 特区エキスパートについては、各県の職員が特区制度全般について十分な理解をしてもらい、各県で民間企業や市町村に対し特区制度の周知を図るもので、今月中の開催を予定しております。

 最後に、財政面あるいは金融面の支援措置についても強化すべしという御意見もいただきました。

 私たちも、補助金を使った施設の有効利用、まちづくり交付金の積極的活用、公共施設を転用する事業へのリニューアル債の措置等を盛り込んでまいりたいと思っております。

 以上であります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

 特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣中川昭一君。

    〔国務大臣中川昭一君登壇〕

国務大臣(中川昭一君) 特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 この法律案は、審査処理を促進し、出願人の審査請求行動を適正にすることにより、特許審査の迅速化を図るとともに、職務発明の対価に係る規定を整備するものであります。

 本法律案は、産業構造審議会知的財産政策部会において、経済界、労働界、研究者、弁理士、法曹といったさまざまな立場の委員の参加を仰いで慎重な審議を行い、本年一月に取りまとめられた結果を踏まえて作成したものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一は、特許審査は、出願された技術が従来からあったものでないことを調査することが必要ですが、その調査業務を、公益法人以外の者であっても行うことができることとするものであります。

 第二に、特許出願人が、出願された技術が従来からあったものでないことについての調査機関の報告を提示して出願審査の請求をしたときは、その手数料を軽減することができることとするものであります。

 第三は、実用新案制度の魅力向上のため、実用新案の登録出願の日から六年となっている実用新案権の存続期間を十年に延長するものであります。

 第四は、独立行政法人工業所有権総合情報館に、工業所有権に関する研修及び情報システムの整備の事務を特許庁から移管するものであります。

 これらの特許審査の迅速化のための改正に加え、職務発明に係る対価に関する規定を整備いたします。

 具体的には、職務発明に係る対価について定める場合、対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況、策定された当該基準の開示の状況等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められるものであってはならない旨の規定を設けるものであります。

 また、対価についての定めがない場合またはその定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められる場合における対価の定め方に関する規定を整備するものであります。

 以上が、本法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。西銘恒三郎君。

    〔西銘恒三郎君登壇〕

西銘恒三郎君 自由民主党の西銘恒三郎でございます。(拍手)

 冒頭、一部の野党が欠席する中で質問をしなければならないこと、まことに残念であります。二週間前にも同じような審議拒否、本会議のボイコットを行い、本日もまた、理由が全くわからない審議拒否を行っております。審議ボイコットを行っている一部野党の政党に対し、国民を代表して、改めて出席を促したいと思っております。(拍手)

 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました特許法の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 我が国の経済発展の歴史を展望するとき、二十一世紀は、科学創造立国、環境立国、知的財産立国、いわゆる国民の物づくりを基盤に据えた国づくりが最も重要な課題であります。

 その一つに、研究開発力を示す指標として、特許があります。我が国は、一年間に四十二万件の出願がなされる、世界最大の特許出願国であります。これは、国民や企業の活発な研究開発の投資意欲を示すものであります。

 国会議員の皆様、我が国で最初の特許制度をつくったのは、高橋是清翁であります。今から百十九年前、明治十八年の四月十八日、若き日の高橋是清が全身全霊打ち込んで書き上げた専売特許条例が公布をされております。その功績を記念しまして、発明の日と称する記念式典が、本日、まさにとり行われているところであります。

 さて、特許行政の課題は、審査に時間がかかることであります。研究開発の成果が特許になるのか直ちに判明しないため、結果として、ライバル企業同士で重複した研究開発投資がなされております。すると、特許を取れた会社以外の企業の投資がむだになってしまうわけであります。

 そこで、特許審査のスピードアップが実現すれば、研究開発の成果が直ちに判断でき、研究開発投資が社会全体としてより効率的に、可能性の高い分野へと集中することが期待できます。この結果、現在十二兆円とも言われる民間の研究開発投資をより活性化することが可能となります。さらに、我が国経済を支える中小企業にとりましても、研究成果を早期に権利化することによりまして、事業の活性化にも大いに期待が持てます。

 政府・与党の公明党も自由民主党も、これまで特許審査の迅速化に向けて取り組んでまいりました。今般、任期つきの、期限つきの審査官を五年間で五百名増員するという計画に続き、特許審査迅速化法案という形で政府が包括的な政策を打ち出してきたことを大いに評価するものであります。

 しかし他方で、特許審査の迅速化を実現することは、決して容易なことではありません。

 そこで、大臣にお伺いいたします。

 質問一、特許審査スピードアップ実現に向けて、明確な目標設定がなされておりますか。具体的に御説明をしてください。あわせて、今般の法案で講じようとする施策の全体像も示していただきたいと思います。

 次に、青色発光ダイオードの二百億円判決で話題になっている職務発明制度についてお伺いいたします。

 特許法の第三十五条の職務発明制度は、我が国の風土、文化、すなわち、人間の生きる形を土台にした企業風土、企業文化に深くかかわっております。

 本来、企業と研究者は対立する関係ではありません。企業という、目標を同じくする組織の中で研究者も他の同僚職員も十分に力を発揮できる職場環境の整備を行うことが肝要であります。

 そこで、大臣にお伺いします。

 質問二、今般の法改正は、企業と研究者のバランスのとれた職場環境の整備を促すものと期待をしております。そして、企業と研究者双方が十分な話し合いを行い、結果として両者の契約が成立をした場合、その契約内容が司法の判断に尊重されるべきものと考えますが、法案提出者として大臣の明確なお考えをお聞かせください。

 以上、私の代表質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣中川昭一君登壇〕

国務大臣(中川昭一君) 西銘議員にお答え申し上げます。

 まず、特許審査迅速化の決意と目標についてのお尋ねですが、御指摘のとおり、知的財産立国の実現に向けて、特許審査の迅速化に政府として全力を挙げて取り組む所存でございます。

 特許審査迅速化の目標については、小泉総理が本年一月の施政方針演説において言明したとおり、審査順番待ち期間ゼロを実現することとし、その過程における中期、長期の目標を知的財産基本法に基づく知的財産推進計画において明確にしていきたいと考えております。

 次に、本法案で講じようとする施策の全体像についてのお尋ねですが、特許審査の迅速化を実現するための基本は、特許庁の審査能力の強化と、出願人による出願の厳選の二つであります。

 このうち、審査能力の強化については、特許審査官の増員、本法案による民間活力の一層の活用等の措置を講じることとしております。

 また、出願の厳選については、本法案により、出願人による従来技術調査の促進、実用新案制度の魅力向上による特許から実用新案への移行の促進などの措置を講じることとしております。

 これらの総合施策を強力に推進することによって、審査順番待ち期間ゼロを実現したいと考えております。

 職務発明規定の改正の趣旨についてのお尋ねでございますけれども、今般の改正案は、企業については対価の予測可能性を増すことによって経営の安定性を図り、研究者については自分たちの意見を述べる機会を通じて発明評価に対する納得度を増すよう、両者のバランスのとれた環境整備を図るものであり、この点は御指摘のとおりであります。

 また、各企業の置かれた状況や経営環境、経営戦略、さらには社風について熟知しているその企業の研究者と経営者が十分な話し合いを行い、その結果として契約が成立している場合には、その契約の内容が司法の判断においても尊重されるべきであり、本改正案もまさにそうした趣旨のもとに作成したものでございます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣    麻生 太郎君

       外務大臣    川口 順子君

       文部科学大臣  河村 建夫君

       経済産業大臣  中川 昭一君

       国務大臣    金子 一義君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  佐藤 剛男君

       経済産業副大臣 坂本 剛二君


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