衆議院

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第33号 平成16年5月20日(木曜日)

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平成十六年五月二十日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十三号

  平成十六年五月二十日

    午後一時開議

 第一 自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 第二 不動産登記法案(内閣提出)

 第三 不動産登記法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 第四 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 日程第二 不動産登記法案(内閣提出)

 日程第三 不動産登記法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 日程第四 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案(内閣提出)

 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案(内閣提出)

 武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案(内閣提出)

 国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案(内閣提出)

 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案(内閣提出)

 武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案(内閣提出)

 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件

 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件

 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(河野洋平君) 日程第一、自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長赤羽一嘉君。

    ―――――――――――――

 自動車関係手続における電子情報処理組織の活用のための道路運送車両法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔赤羽一嘉君登壇〕

赤羽一嘉君 ただいま議題となりました法律案につき、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 我が国の自動車保有台数は、今日、七千七百万台を超え、まさに国民生活に欠くことのできないものとなっており、自動車の所有者等の利便性の向上を図るため、自動車関係手続に係る諸制度を見直していくことが強く求められております。

 本案は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法に基づき作成されたe―Japan重点計画を踏まえ、自動車の保有に伴い必要となる検査・登録、保管場所証明、納税等、各種の行政手続を電子情報処理組織を使用してまとめて行うことができることとする、いわゆるワンストップサービスを実施すること等により、自動車の所有者等の利便性の向上を図ろうとするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、自動車の新規登録等を行う際に提出が求められている譲渡証明書や完成検査終了証等について、自動車製作者等が電磁的方法により登録情報処理機関に提供したときは、これらの証明書を提出しなくてもよいこととすること、

 第二に、警察署長に対し、保管場所証明書に相当する通知を運輸支局等に対して行うよう申請したときは、保管場所証明書の提出をしなくてもよいこととすること、

 第三に、規制緩和の観点から、回送運行許可証の有効期間を六カ月以内から一年以内に延長すること

などであります。

 本案は、参議院先議に係るもので、去る五月十三日本委員会に付託され、十四日石原国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、十九日に質疑を行い、同日質疑を終了いたしました。質疑終了後、討論を行い、採決いたしました結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し、登録情報処理機関における個人情報の厳格な取り扱いが確保されるよう、登録基準の厳正な運用を図ることなど、六項目の附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 不動産登記法案(内閣提出)

 日程第三 不動産登記法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、不動産登記法案、日程第三、不動産登記法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長柳本卓治君。

    ―――――――――――――

 不動産登記法案及び同報告書

 不動産登記法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔柳本卓治君登壇〕

柳本卓治君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 両案は、不動産登記制度について、登記の正確性を確保しつつ、国民の利便性の一層の向上を図るため、インターネットを利用したオンライン申請の手続を導入するとともに、片仮名文語体の法文を現代語化する等の規定の見直しを行い、あわせて、関連する諸法律についての規定を整備し、所要の経過措置を定めようとするものであります。

 両案は、四月五日本委員会に付託され、五月十一日野沢法務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑に入り、十四日質疑を終局し、十九日採決を行った結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、不動産登記法案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 両案を一括して採決いたします。

 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第四、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長池坊保子君。

    ―――――――――――――

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔池坊保子君登壇〕

池坊保子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、公立学校の管理運営の改善を図るため、教育委員会が、その指定する学校の運営に関して協議する機関として、地域の住民、保護者等が学校運営に参画する学校運営協議会を設置することができるようにするもので、その主な内容は、次のとおりでございます。

 第一に、教育委員会は、その指定する学校の運営に関して協議する機関として、指定学校ごとに学校運営協議会を置くことができるものとし、その委員は教育委員会が任命すること、

 第二に、指定学校の校長は、教育課程の編成等について基本的な方針を作成し、学校運営協議会の承認を得なければならないこととし、また、学校運営協議会は、指定学校の運営に関する事項について、教育委員会または校長に対して意見を述べることができること、

 第三に、学校運営協議会は、指定学校の職員の採用その他の任用に関する事項について、その任命権者に対して意見を述べることができることとし、任命権者はその意見を尊重するものとすること

などであります。

 本案は、去る四月二十三日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、五月十二日河村文部科学大臣から提案理由の説明を聴取した後、十四日から質疑に入り、参考人から意見を聴取するなど、慎重に審査を重ねました。昨十九日に質疑を終局し、討論の後、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

小渕優子君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案、自衛隊法の一部を改正する法律案、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件、右十件を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 小渕優子君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案(内閣提出)

 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案(内閣提出)

 武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案(内閣提出)

 国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案(内閣提出)

 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案(内閣提出)

 武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案(内閣提出)

 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件

 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件

 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件

議長(河野洋平君) 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案、自衛隊法の一部を改正する法律案、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件、右十件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。武力攻撃事態等への対処に関する特別委員長自見庄三郎君。

    ―――――――――――――

 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案及び同報告書

 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案及び同報告書

 武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案及び同報告書

 国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案及び同報告書

 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案及び同報告書

 武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案及び同報告書

 自衛隊法の一部を改正する法律案及び同報告書

 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔自見庄三郎君登壇〕

自見庄三郎君 ただいま議題となりました各案件につきまして、武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、国民保護法案について申し上げます。

 本案は、事態対処法に定められた基本的枠組みに沿って、武力攻撃事態等において武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、並びに武力攻撃の国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることの重要性にかんがみ、これらの事項に関し、国、地方公共団体等の責務、国民の協力、住民の避難に関する措置、その他の必要な事項を定めるものであります。

 次に、米軍行動関連措置法案について申し上げます。

 本案は、武力攻撃事態等において、日米安全保障条約に従って我が国に対する武力攻撃を排除するために必要なアメリカ合衆国軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置その他の当該行動に伴い我が国が実施する措置等について定めるものであります。

 次に、特定公共施設利用法案について申し上げます。

 本案は、武力攻撃事態等における港湾施設等の特定公共施設の利用に関し、その総合的な調整を図り、もって対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るため、指針の策定その他の必要な事項を定めるものであります。

 次に、国際人道法違反処罰法案について申し上げます。

 本案は、国際的な武力紛争において適用される国際人道法に規定する重大な違反行為を処罰することにより、刑法等による処罰と相まって、これらの国際人道法の的確な実施を確保しようとするものであります。

 次に、海上輸送規制法案について申し上げます。

 本案は、武力攻撃事態に際して、我が国領海または我が国周辺の公海における外国軍用品等の海上輸送を規制するため、防衛出動を命じられた海上自衛隊の部隊が実施する停船検査等の手続並びに防衛庁に設置する外国軍用品審判所における手続等を定めるものであります。

 次に、捕虜取り扱い法案について申し上げます。

 本案は、武力攻撃事態において、捕虜の待遇に関する一九四九年八月十二日のジュネーブ条約その他の捕虜等の取り扱いに係る国際人道法の的確な実施を確保するため、武力攻撃事態における捕虜等の拘束、抑留その他の取り扱いに関して必要な事項を定めるものであります。

 次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、日米物品役務相互提供協定の改正に伴い、アメリカ合衆国軍隊に対する物品及び役務の提供について、その根拠及び手続に関する規定を整備しようとするものであります。

 次に、日米物品役務相互提供協定改正協定について申し上げます。

 本改正協定は、現行協定が定める自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間の相互主義の原則に基づく物品または役務の提供に関する枠組みを、武力攻撃事態もしくは武力攻撃予測事態に際して我が国に対する武力の攻撃を排除するために必要な活動並びに国際の平和及び安全に寄与するための国際社会の努力の促進、その他の目的のための活動にも適用し得るようにするものであります。

 最後に、一九四九年八月十二日のジュネーブ諸条約を補完する二つの追加議定書について申し上げます。

 第一追加議定書は、国際的な武力紛争及びいわゆる民族解放戦争に適用され、すべての傷病者、医療組織等に与えられる保護を文民、民用物に拡大するとともに、国際的な武力紛争に際して発生する非人道的な行為を処罰するため、重大な違反行為を追加、拡大する規定等を置いております。

 第二追加議定書は、非国際的な武力紛争、いわゆる内戦、内乱に適用され、敵対行為に参加していない者に対する人道的な待遇や、傷病者、医療組織等に対する保護に関する規定等を置いております。

 以上各案件は、去る三月九日に本院に提出され、四月十三日本会議において趣旨の説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。

 委員会におきましては、同日各案件を一括して議題とし、井上国務大臣、石破防衛庁長官及び川口外務大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、翌十四日質疑に入り、四月十九日及び二十六日に小泉内閣総理大臣に出席を求めて質疑を行い、二十三日には参考人から意見を聴取するなど、審査を重ねてまいりました。

 去る五月十四日、民主党・無所属クラブより、国民保護法案及び特定公共施設利用法案に対し修正案がそれぞれ提出され、同日提出者から趣旨の説明を聴取し、昨十九日には各案件及び両修正案を一括して議題とし、質疑を行いました。

 同日、民主党・無所属クラブ提出の両修正案について撤回を許可した後、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派から、国民保護法案に対し、事態対処法に緊急対処事態対処方針に関する規定を設け、事態の認定を含む同対処方針の国会の承認に係る所要の規定を置くとともに、国会が緊急対処措置を終了すべきことを議決したときは、同対処方針の廃止について閣議の決定を求めなければならないことなどを主な内容とする修正案が、また、特定公共施設利用法案に対し、国民保護法案の修正に伴い、緊急対処事態の定義は事態対処法によるものとすることを内容とする修正案がそれぞれ提出され、提出者から趣旨の説明を聴取した後、各案件及び三派共同提出の両修正案を一括して議題とし、小泉内閣総理大臣に出席を求めて質疑を行いました。同日各案件及び両修正案に対する質疑を終了し、国民保護法案に対する修正案について内閣の意見を聴取いたしました。

 本日、討論を行い、採決を行いました結果、国民保護法案及び特定公共施設利用法案はいずれも賛成多数をもって三派共同提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決し、米軍行動関連措置法案外四法律案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、日米物品役務相互提供協定改正協定は賛成多数をもって、ジュネーブ条約第一追加議定書及び第二追加議定書はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 なお、国民保護法案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 十件につき討論の通告があります。順次これを許します。塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、有事関連法案に反対の討論を行います。(拍手)

 今回、政府が提案した米軍支援法など有事関連七法案とACSA協定は、昨年成立した武力攻撃事態法の枠組みに沿って、日本が米軍の戦争を支援し共同して軍事行動を遂行する体制をつくり上げるものであります。憲法九条の平和原則を真っ向から踏み破って、日本をアメリカと一緒に戦争のできる国にするものであり、断固反対であります。(拍手)

 今、世界の平和をめぐる最大の問題として、イラク戦争への態度が国際社会に問われています。国連憲章を踏みにじり、国際社会の圧倒的な声を無視してイラク戦争をしかけたアメリカは、開戦の根拠が総崩れした今なお、イラク占領を継続し、町を包囲して掃討作戦を繰り広げ、ジュネーブ条約違反の虐待事件まで引き起こしています。国際社会の強い批判と憤りが巻き起こっています。国連のイニシアチブのもと、米英の占領支配をやめさせ、憎悪と報復の悪循環を断ち切って、イラクの主権回復を実現できるかどうかが問われています。

 ところが、小泉内閣は、今なお大義なきイラク戦争を支持し、戦争状態が続くイラクに自衛隊を派兵し、米軍主導の占領支配の一翼を担っているのであります。

 こうしたもとで、小泉内閣は武力攻撃事態法を成立させ、日本が攻撃を受けてもいない段階から、自衛隊を初め政府機関、地方自治体、公共機関、民間など、まさに官民挙げて米軍の戦争を支援する体制をつくり上げようとしています。極めて重大です。

 米軍支援法は、政府の判断一つで、無限定かつ包括的な米軍支援を可能とするものであります。自衛隊による弾薬の提供を初め、日本全土の空港、港湾の優先使用など、米軍支援措置を政府の責務として遂行する仕組みであります。ACSA改定案は、日米の軍事兵たん支援の対象を武力攻撃から予測事態、さらには国際の平和・安全への寄与にまで拡大しているのであります。

 ところが、日本が支援する米軍の軍事行動には、何の制約もありません。アメリカは、軍事行動をいつ、いかなる理由で始めるのか、国際社会や同盟国の意向とかかわりなく独自に判断し、行動してきたのであります。政府は、日米間で緊密に調整すると言いますが、結局、アメリカの一方的判断と行動に日本が従うことになることは、イラク戦争を支持する日本政府の姿勢からいっても明白であります。

 政府は国民の保護を強調しますが、この有事体制は、政府と地方自治体、指定公共機関、事業者などに戦争協力の責務を課し、協力と動員の指針や計画づくりを進め、それに基づく日常的な訓練や啓発によって、平時からの国民総ぐるみの軍事動員即応態勢づくりを進めるものにほかなりません。国民の日常生活、社会のすべてにおいて軍事モードを醸成していくことは、憲法に基づく人権保障や社会のありようと根本的に矛盾するものであります。

 自民、公明、民主三党の共同修正は、この有事体制の枠組みを、武力攻撃事態から、重要施設や公共交通機関の破壊までをも緊急対処事態と称して拡大し、今後さらに大規模自然災害にまで広げようとしています。

 そもそも武力攻撃や戦争は、自然災害と異なり、人間の力で発生そのものを防止することが可能です。国家間の平和友好関係を構築し、武力紛争を起こさない外交努力こそ、国民の平和と安全のために必要なことなのであります。

 二十一世紀の日本の進むべき道は、憲法九条を踏み破ることではありません。九条を擁護し、日本外交の柱として生かすことによってこそ、アジアと世界の平和に積極的な貢献ができるのであります。

 我が党は、憲法違反の有事関連法案の廃案のため、全力で奮闘する決意を表明し、討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 石崎岳君。

    〔石崎岳君登壇〕

石崎岳君 自由民主党の石崎岳でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、議題となっております国民保護法案初め十案件並びにこれらに対する自由民主党、公明党及び民主党提出の修正案につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 我が国に対する外部からの武力攻撃を含め、国家の緊急事態に対処し得るよう必要な備えをしておくことは、独立国としては当然の重要な責務であります。先進国の中で有事法制の整備がおくれていた我が国にあっては、まさに、これらの法制整備は国家としての緊要な、重大な課題であり、その早急な実現が求められていたところでありますが、昨年、国会の大多数の支持のもと、武力攻撃事態対処法初め有事関連三法が成立したところでございます。

 今回提出された七法案は、武力攻撃事態対処法に定められた枠組みに沿って、我が国の緊急事態への対処について具体的な内容を定めるものであり、これら七法案の成立によって有事法制の集大成を目指すものであります。

 まず、国民保護法案につきましては、武力攻撃事態において、武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護することの重要性にかんがみ、国、地方公共団体等の責務、住民の避難に関する措置、避難住民の救援に関する措置等について定めるものであり、国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施することを図る、とりわけ重要な法案であると考えております。また、この法案は、昨年の衆議院における附帯決議において、「武力攻撃事態対処法の施行の日から一年以内を目標として実施すること」としており、早急な整備が求められていたものであります。

 次に、米軍行動関連措置法案につきましては、日米安保条約に従って我が国に対する外部からの武力攻撃を排除するために必要なアメリカ合衆国の軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるようにするための措置について定めるものであり、特定公共施設利用法案につきましては、対処措置の実施に際して、武力攻撃事態等における港湾施設、飛行場施設等の利用に関して指針の策定を定めることにより、その総合的な調整を図るものであります。また、国際人道法違反処罰法案については、国際人道法に規定する重大な違反行為を処罰するためのものであります。

 これらの法案は、いずれも、我が国が武力攻撃事態等に適切に対処するために不可欠なものであると考えております。

 続きまして、海上輸送規制法案につきましては、武力攻撃事態に際して、我が国領海または我が国周辺の公海における外国軍用品等の海上輸送を規制するためのものであり、捕虜取り扱い法案につきましては、捕虜の拘束、抑留その他の取り扱いに関して必要な事項を定めるものであります。また、自衛隊法の一部改正案につきましては、ACSA協定の改正に伴う所要の規定を定めるものであります。

 これらの法案は、いずれも、我が国の平和と安全の確保のために当然必要なものと考えております。

 さらに、ACSA改正協定については、ACSA協定の適用範囲を拡大するものであり、また、ジュネーブ諸条約第一追加議定書及びジュネーブ諸条約第二追加議定書につきましては、ジュネーブ諸条約の内容を補完、拡充するものでありますが、今回の法制整備に合わせて、それらの締結が必要となるものであります。

 七法案及び三条約に対するこれまでの審議を踏まえて、昨日、与党及び民主党は修正案を提出いたしました。すなわち、国民保護法案に規定される緊急対処事態について、事態対処法に新たに位置づけるとともに、その事態認定を国会の承認事項とすること、現場レベルでの迅速かつ機動的な対処を可能とするための現地対策本部を設けること等の修正を盛り込むこととしております。

 この修正案は、政府案の基本的な枠組みを維持しつつ、国民の一層の理解と支持を得ていく観点から必要なものであると考えております。

 国家の緊急事態への対応は、一時たりともおろそかにすることができません。政府に対して、法案成立後、国家の緊急事態にすき間なく対処し得るよう万全の体制の構築に向け、より一層力を入れることを要請し、政府提出法案並びに修正案に対する与党を代表しての賛成討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) 細野豪志君。

    〔細野豪志君登壇〕

細野豪志君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、民主党が自由民主党、公明党と共同提案をした武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案及び武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案に対する修正案及び修正部分を除く両原案を含む政府提出十案件に、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 冷戦の終結とともに、我が国が直面する脅威の形態は、テロリズムを初め、多様化、複雑化しております。このような脅威を取り除くため、対話と信頼醸成による予防外交に最大限の努力を行うことは極めて重要なことであります。その努力を継続したとしても、国際情勢の変化の中で、脅威が現実となる危険性を完全に否定することはできないわけであります。また、大都市圏において巨大な自然災害が発生した場合、人的・経済的被害は極めて甚大なものとなることが予想されます。

 これらあらゆる緊急事態において国民の被害を最小限にするためには、政府による迅速かつ強力な対応が必要とされます。その際、重要なのは、どのような緊急事態にあっても、国会による民主的統制と基本的人権を確保しつつ、超法規的な行為がとられないよう、法体制を整備することであります。

 このような観点から、民主党は、今国会において、政府より提出をされた国民保護法案及び特定公共施設法案に対する修正案を提案いたしました。そして、政府案で空白となっていた部分に対して、国民の立場に立った主張を国会審議で明確にするとともに、我が国の安全保障の根幹にかかわる極めて重要な法案に対して、与野党の枠を超えて協議をすることが望ましいと考えたわけであります。

 その結果、政府案で不備のあった諸点について、民主党の主張を反映させる大幅な修正案が三党の間で合意をされました。(拍手)

 政府は、国民保護法案の中で、緊急対処事態概念を創設して大規模テロ等に対処しようとしましたが、これは、緊急対処事態を保護の観点に矮小化するものでありました。民主党は、この緊急対処事態を武力攻撃事態対処法の中に位置づけ、保護だけにとどまらず、侵害排除を含めたものとするとともに、その事態認定について、閣議決定だけでなく国会の事後承認をすることを強く求め、三党間で合意をいたしました。

 また、緊急対処措置について、内閣総理大臣の認定による終了だけでなく、国会がその実施の終了を議決できるものといたしました。これは、緊急対処事態において当然に求められる、国会による民主的統制を確保する必要性があるからであります。

 さらに、緊急事態においては、現地レベルでの迅速かつ機動的な対応が求められるとの考え方から、災害対策基本法などと同様、当該地域に国の対策本部の事務の一部を行う現地対策本部を置くことができるものとすることを求め、こちらも三党間で合意を得ることができました。

 さらに、民主党が必要性を従来より主張してまいりました緊急事態基本法につきましては、来年の通常国会中に成立を図る、このことで三党間で合意をいたしました。その中で、民主党が昨年来創設を主張してまいりました危機管理庁、これにつきましても一定の前進があったものと理解をしております。今後、基本法の策定過程で、国民の保護を実行する上で不可欠な、新たな機関の創設を強く求めてまいりたい、そう考えております。

 今回の一連の法案が成立をいたしますと、我が国において国民保護の枠組みは一応整うことになります。しかし、我が国に想定される緊急事態に際して、我が国が適切かつ効果的に対処することができる法制、体制の整備には、依然として多くの課題が残されております。民主党は、それらの課題に正面から取り組むことを約束して、私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の七案を一括して採決いたします。

 七案中、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案及び武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案の両案の委員長の報告はいずれも修正、他の五案の委員長の報告はいずれも可決であります。七案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、七案とも委員長報告のとおり議決いたしました。(拍手)

 次に、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件につき採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件及び千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件の両件を一括して採決いたします。

 両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣    野沢 太三君

       外務大臣    川口 順子君

       文部科学大臣  河村 建夫君

       国土交通大臣  石原 伸晃君

       国務大臣    井上 喜一君

       国務大臣    石破  茂君


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