第33号 平成17年6月30日(木曜日)
平成十七年六月三十日(木曜日)―――――――――――――
議事日程 第二十九号
平成十七年六月三十日
午後一時開議
第一 平成十五年度一般会計歳入歳出決算
平成十五年度特別会計歳入歳出決算
平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書
平成十五年度政府関係機関決算書
第二 平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書
第三 平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書
第四 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第五 建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 平成十五年度一般会計歳入歳出決算
平成十五年度特別会計歳入歳出決算
平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書
平成十五年度政府関係機関決算書
日程第二 平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書
日程第三 平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書
日程第四 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第五 建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
午後一時四分開議
○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
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○議長(河野洋平君) 御報告することがあります。
永年在職議員として表彰された元議員八木昇君は、去る四月二十六日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
八木昇君に対する弔詞は、議長において去る二十一日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
〔総員起立〕
衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに科学技術振興対策特別委員長の要職にあたられた正四位勲一等八木昇君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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日程第一 平成十五年度一般会計歳入歳出決算
平成十五年度特別会計歳入歳出決算
平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書
平成十五年度政府関係機関決算書
日程第二 平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書
日程第三 平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書
○議長(河野洋平君) 日程第一、平成十五年度一般会計歳入歳出決算、平成十五年度特別会計歳入歳出決算、平成十五年度国税収納金整理資金受払計算書、平成十五年度政府関係機関決算書、日程第二、平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書、日程第三、平成十五年度国有財産無償貸付状況総計算書、右各件を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。決算行政監視委員長細川律夫君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔細川律夫君登壇〕
○細川律夫君 ただいま議題となりました平成十五年度決算外二件につきまして、決算行政監視委員会の審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、決算の概要について申し上げます。
平成十五年度一般会計歳入歳出決算は、歳入決算額八十五兆六千億円余、歳出決算額八十二兆四千億円余、差し引き剰余金三兆二千億円余であり、特別会計歳入歳出決算は、三十二の特別会計があり、歳入決算合計額三百八十五兆七千億円余、歳出決算合計額三百五十七兆六千億円余、翌年度の歳入への繰入額等二十八兆円余であり、国税収納金整理資金受払計算書は、収納済額五十二兆九千億円余、一般会計等の歳入への組み入れ額等五十二兆二千億円余、資金残額六千億円余であり、政府関係機関決算書は、九つの機関があり、収入決算合計額五兆四千億円余、支出決算合計額五兆二千億円余であります。
次に、国有財産増減及び現在額総計算書は、平成十四年度末現在額より八兆七千億円余減少し、平成十五年度末現在額は、百二兆二千億円余であり、国有財産無償貸付状況総計算書は、平成十四年度末現在額より百五十三億円余減少し、平成十五年度末現在額は、一兆円余であります。
本委員会におきましては、第百六十一回国会におきまして、谷垣財務大臣から概要説明を聴取し、今国会におきまして、総括質疑、分科会審査、全般的審査を行い、去る二十二日締めくくり総括質疑を行った後、委員長から議決案を提出いたしました。
以下、その議決案を朗読いたします。
平成十五年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案
本院は、平成十五年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
1 国の財政は、公債残高が累増しており、非常に厳しい状況である。まずは二〇一〇年代初頭における基礎的財政収支の黒字化を目指し財政の健全化を図ることが重要な課題である。このため歳出の各分野について経費削減を着実に推進し、財政再建に取り組むべきである。また、特別会計についても、区分経理の必要性を吟味するなど厳しく見直すべきである。
2 最近の合計特殊出生率の低下にかんがみ、婚姻、出産、育児を容易にできる環境を着実に整備すべきである。子育て支援において、各地域における小児救急医療体制の整備充実をはじめ、次世代の育成に向けた積極的な施策を計画的に実施していくべきである。
3 高齢化の一層の進展に伴い、介護を受ける者の増加による介護保険給付費が増大する状況にある。このため、介護を予防重視に転換し、特に筋力向上運動の推進、地域に密着した予防拠点の整備を行い、また、介護予防サービスの普及を図るなど、介護サービス内容を見直し持続可能な介護保険制度を構築すべきである。
4 国の内外で大規模な地震の発生により国民生活に多大な影響を及ぼし、国民の防災に対する意識が高まっている。今後も大規模地震が想定される中、建物の耐震化、津波軽減対策等を推進するとともに、特に、災害時における「救命ライフラインシステム」を早急に整備し、人命を最優先とする総合的な地震対策に取り組むべきである。
5 先般発生した列車脱線事故は、国民に不安を与え社会的信頼を著しく失墜させるものであり誠に遺憾である。公共交通機関は安全輸送が使命であり、安全確保、安全対策の検証を行い、鉄道事業者に対して事故防止対策の徹底を求め、再びこのような重大事故が起こることがないように万全を期すべきである。
6 近年、犯罪情勢は急速に悪化し、特に外国人犯罪は増加傾向にあり、国民の生命や財産に重大な被害を及ぼす凶悪犯罪が後を絶たない状況にある。このため不法滞在者の取締りの強化、治安関係職員の増員及び国際捜査の体制整備、学校の安全確保のために万全を期する施策など、積極的、効果的な犯罪防止対策に取り組むべきである。
7 地球温暖化対策の第一歩となる京都議定書の発効に伴い、我が国の数値約束達成のため、温室効果ガスの削減対策や森林吸収源対策をはじめ、京都メカニズムに係る対策とその裏付けとなる施策を推進すべきである。地球温暖化対策は、中長期にわたるため地球温暖化の科学的研究、技術・開発等、そのための社会的基盤の整備や広く啓発活動・環境教育を進めるべきである。
8 政府開発援助(ODA)は、我が国の国際的立場にふさわしく、国際社会の平和と発展に貢献するため重要な政策である。この開発援助にあたり、二国間の関係、経済状況等を考慮して、経済資金協力については、政策評価を活用・検証して実施状況の改善、被援助国の真に必要な援助を展開するため、現地の非政府組織(NGO)との連携を強化し、有効な外交手段として、一層戦略性を高め効率的・効果的な援助を実施していくべきである。
二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。
政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
まず、この議決案につきまして採決いたしましたところ、決算は多数をもって議決案のとおり議決すべきものと決しました。
次に、国有財産増減及び現在額並びに無償貸付状況の各総計算書につきまして採決いたしましたところ、いずれも多数をもって是認すべきものと議決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 討論の通告があります。これを許します。長浜博行君。
〔長浜博行君登壇〕
○長浜博行君 長浜博行です。
私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成十五年度決算外二件につき、反対することを表明し、討論を行います。(拍手)
集中豪雨に見舞われる地域がある一方で、渇水が続くところもあります。昨今の異常気象は、先ほどの委員長の報告にもありました地球温暖化問題と密接に関係するものと思われます。事の重要さからかんがみて、小泉総理におかれましては、人類の生存をも左右する喫緊の課題にこそ、そのたぐいまれなる執着心を発揮していただきたいと願うものであります。(拍手)
小泉内閣による二度目の予算編成となった平成十五年度予算は、当初予算ベースとしては初めて国債依存率が四〇%を超え、四四・六%に達する借金地獄予算となりました。国債発行額を三十兆円以下に抑制するという小泉総理の公約は、この前年にあっさり破棄されており、国債発行額は実に三十六・四兆円にまで膨らみました。
財務省が先週発表した国債や借入金などの国の債務、借金の残高ですが、三月末時点で七百八十一兆五千五百十七億円となっており、昨年三月末より七十八兆四千三十八億円も増加しております。そして、ついに国と地方を合わせた借金の総額は一千兆円の大台を突破したのではと言われております。
言うまでもなく、これは自然現象などではなく、現政権の経済失政によるものです。しかし、驚いたことに、首相の諮問機関である政府税制調査会は、税金のむだ遣いをやめることなどの歳出削減や不平等税制の是正措置を講ずることもなく、サイレントマジョリティーであるサラリーマンへの増税という形で歳入欠陥を国民に押しつけようという、とんでもない報告書をまとめました。これに対して、私ども民主党は、一昨日、岡田代表を本部長とするサラリーマン増税対策本部を立ち上げ、納税者の怒りを集結し、次の政権を担う政党の責務として、国民運動を展開していくことを決定しました。
歳出面のむだを徹底して排除しようともせず、ただひたすらノイジーマイノリティーの既得権益を死守しようとする現政権のあり方は、とても容認することはできません。(拍手)
したがって、私どもは、平成十五年度予算は全く評価に値しないものと考えており、その決算である本議案についても、もとより賛同できるものではありませんが、以下、あえて本議案に反対する理由を付言します。
先ほどの委員長報告をお聞きになってもおわかりのように、議決案には数々の問題点が挙げられています。あれだけの長さだったので、よくおわかりになると思いますが。そして、それを遺憾と表しているわけであります。また、会計検査院による会計検査においてさえも、三百五件、四百三十億円もの不当事項等が指摘されています。中には、どう見ても犯罪だというほかないケースもありますが、刑事事件として立件されたものはごく少数にとどまります。議決案では、「会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。」となっています。さらに、財務省も、まるで本日の採決に間に合わせるがごとく、一昨日、政府予算のむだ遣いや非効率性を点検した予算執行調査を発表しました。
さあ、代議士と呼ばれる私たちは、国民の血税をこう使いましたという行政府からのこの報告に、胸を張って国民のかわりとなって了承ができるでしょうか。立法府は、行政府の言うがままの追認機関ではありません。一国会議員として、この金の使い方で問題なしと選挙区で有権者に説明できますか。一体、税金を何だと思っているのでしょう。(拍手)かつて、今は某県の知事に転じている同僚議員が金返せとひな壇に向かって叫んでいたことを緊張感を持って思い出します。
最後に、特定案件において、議会制民主主義を崩壊させるがごとき、行政府のトップによる立法府への異常な介入がなされているとも言われる昨今、私たち国会議員は、党派にかかわらず、三権分立の精神を忘れず、立法府における国民の代表という原点を再認識すべきではないでしょうか。(拍手)
僣越ではありますが、議員諸兄が良心に従って行動されんことを切に願って、討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(河野洋平君) これより採決に入ります。
まず、日程第一の各件を一括して採決いたします。
各件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、各件とも委員長報告のとおり議決いたしました。
次に、日程第二につき採決いたします。
本件の委員長の報告は是認すべきものと決したものであります。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり議決いたしました。
次に、日程第三につき採決いたします。
本件の委員長の報告は是認すべきものと決したものであります。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり議決いたしました。
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日程第四 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(河野洋平君) 日程第四、航空法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。国土交通委員長橘康太郎君。
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航空法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔橘康太郎君登壇〕
○橘康太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、増加が続く航空需要とこれに伴う航空交通量の増大に対応して、空域の安全かつ効率的な利用並びに航空機及びその航行の安全の一層の向上を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、
第一に、航空機間の垂直間隔縮小のため、一定の高さ以上の空域において計器飛行方式によらない飛行を禁止すること、
第二に、国土交通大臣は、航空交通の管理に係る措置を、関係行政機関の長及び国内定期航空運送事業者等と相互に協力して講ずること、
第三に、国の認定を受けた事業場が設計及び設計後の検査した航空機等について、耐空証明に係る国の検査の一部を省略できることとすること
などであります。
本案は、参議院先議に係るもので、去る六月十六日に本委員会に付託され、二十八日北側国土交通大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。翌二十九日質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決いたしました結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第五 建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(河野洋平君) 日程第五、建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。厚生労働委員長鴨下一郎君。
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建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔鴨下一郎君登壇〕
○鴨下一郎君 ただいま議題となりました建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、建設業務に必要な労働力の確保に資するとともに、建設業務労働者の雇用の安定を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、
第一に、事業主団体は、建設業務労働者の雇用の改善等の措置と建設業務有料職業紹介事業または建設業務労働者就業機会確保事業に関する措置を一体的に行うための実施計画を作成し、厚生労働大臣の認定を受けることができるものとすること、
第二に、実施計画の認定を受けた事業主団体は、厚生労働大臣の許可を受けて、建設業務有料職業紹介事業を実施することができるものとすること、
第三に、実施計画の認定を受けた事業主団体の構成事業主は、厚生労働大臣の許可を受けて、常時雇用する建設業務労働者を他の構成事業主のもとで就業させる建設業務労働者就業機会確保事業を実施することができるものとすること
等であります。
本案は、去る六月十六日本委員会に付託され、二十四日尾辻厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、昨日質疑を行った後、討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) 討論の通告があります。これを許します。小林千代美君。
〔小林千代美君登壇〕
○小林千代美君 民主党の小林千代美です。
私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提案の建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に反対をする立場から討論を行います。(拍手)
日本の建設業は重層的な下請制度です。この制度は、複雑な雇用関係と、そして建設業のおくれた労働環境を生み出しました。雇用関係の明確化と雇用管理体制の整備、それを目的としたのがそもそものこの建設労働者雇用改善法です。
最大のポイントは、新しい労働者需給システムと称し、建設業に特別の労働者派遣システムを導入しようとするものです。このシステムの導入により建設労働者の雇用関係は一層複雑化し、法の理念に逆行する改正内容となります。
建設業には労働者派遣が認められておりません。悪質ブローカーや口きき屋による賃金の中間搾取、強制労働のおそれが高い、こういった建設業の歴史的背景から、建設業務は派遣の適用外とされております。それにもかかわらず派遣に類似したシステムを導入するということは、いわば悪質ブローカーや口きき屋、これが組織化、合法化され、ばっこする、こういった不信感が払拭できるものではありません。
また、五百八十万人の建設業労働者の中で、このシステムの対象となるであろう労働者は、わずか二万人ほどです。建設業の現状で、労働者不足がどの地域で、どの職種で、どの程度あるのか全く不明であり、一体だれが望んでこの改正案が出てきたのか不思議です。
不思議なはずです。この法案は、もとは、特区で建設業に派遣を認めてほしいという構造改革特区推進本部の要請に対し、厚生労働省がノーを突きつけたものです。構造改革特区推進本部、本部長は小泉総理です。総理と厚生労働大臣の閣内不一致、これをごまかすための妥協の産物がこの法案です。
そもそも、建設業の今の現状、建設投資の減少による労働者の雇用不安定というこの現状はなぜ生じたのでしょうか。歴代の政府は、景気回復、景気回復の名のもとに、公共事業をどんどんどんどん行いました。バブル全盛期には公共投資が膨れ上がり、それにより、国と地方を合わせた借金は今や一千兆円を超えたというふうに言われております。鉄橋談合でごまかした金は一体どこに行ってしまったんでしょうか。末端労働者はいい迷惑です。そして、今度は不況だからといって、労働力過剰だからといって労働者を切れるところから簡単に切っていく、まさに小泉流弱者への負担押しつけそのもの法案です。
一千兆円のこのツケ、今度はサラリーマンに負わせるんでしょうか。源泉徴収でごまかしがきかないのがサラリーマンです。簡単に取れるところから取っていく、搾れるところから搾っていく、まさに小泉流弱者切り捨てそのものです。サラリーマン増税により、消費は一層冷え込むことになるでしょう。そして、サラリーマンがマイホームを持つことも、家をリフォームすることもできなくなってしまう。サラリーマンは夢を失ってしまいます。
そして、今総理は、もう一つの妥協の産物を生み出そうとしております。郵政民営化妥協修正法案です。国民は、意味のない妥協の産物は許しません。法案が修正されたのであれば、それについて十分な審議もせずに強行採決されることがあってはならないはずです。民主党は、この郵政民営化妥協修正法案には断固として廃案を目指し、郵政改革の本質的な議論というものを一からやり直すことを強く求めてまいります。(拍手)
今までの借金のツケを弱者に押しつけ、そして、弱い立場にある労働者の環境をさらに悪化させる建設労働者雇用改善法の改正には反対です。私たち民主党が政権交代を行い、徹底的な歳出改革を行い、真の景気回復そして雇用の安定を図るというふうにお約束をし、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(河野洋平君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
――――◇―――――
○議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十九分散会
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出席国務大臣
財務大臣 谷垣 禎一君
厚生労働大臣 尾辻 秀久君
国土交通大臣 北側 一雄君