衆議院

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第14号 平成18年3月16日(木曜日)

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平成十八年三月十六日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第九号

  平成十八年三月十六日

    午後一時開議

 第一 独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案(法務委員長提出)

 第四 独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

 第五 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

 第六 独立行政法人酒類総合研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 行政改革に関連する諸法案を審査するため委員四十人よりなる行政改革に関する特別委員会を設置するの件(議長発議)

 日程第一 独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案(法務委員長提出)

 日程第四 独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

 日程第五 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

 日程第六 独立行政法人酒類総合研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)及び都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 特別委員会設置の件

議長(河野洋平君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。

 行政改革に関連する諸法案を審査するため委員四十人よりなる行政改革に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、そのとおり決まりました。

 ただいま議決されました特別委員会の委員は追って指名いたします。

     ――――◇―――――

 日程第一 独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長木村隆秀君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔木村隆秀君登壇〕

木村隆秀君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、独立行政法人国立環境研究所の改革を推進するため、同研究所を非公務員型の独立行政法人とするとともに、それに伴う所要の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る二日本委員会に付託され、七日に小池環境大臣から提案理由の説明を聴取し、十四日に質疑を行いました。同日、質疑を終局した後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 日程第二とともに、日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第二 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案(法務委員長提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案、日程第三、執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。法務委員長石原伸晃君。

    ―――――――――――――

 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案及び同報告書

 執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔石原伸晃君登壇〕

石原伸晃君 ただいま議題となりました両法律案につきまして申し上げます。

 初めに、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、受刑者数の急増等を背景にした仮釈放審理事件の増加、複雑困難化等を踏まえ、地方更生保護委員会の委員の人数の上限を十二人から十四人に引き上げようとするものであります。

 本案は、去る三月七日本委員会に付託され、十日杉浦法務大臣から提案理由の説明を聴取し、十四日、質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 次に、執行猶予者保護観察法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、保護観察に付された執行猶予者の所在の把握等が十分とは言えない状況及び個々の保護観察に付された執行猶予者にふさわしい処遇をすることが困難な状況を改善するため、保護観察に付された執行猶予者が転居または七日以上の旅行をするときは、あらかじめ保護観察所の長の許可を受けなければならないこととするとともに、保護観察所の長は、刑の執行を猶予された者に対して保護観察に付する旨の言い渡しがあったときは、その者が保護観察の期間中遵守すべき特別の事項を個別に定めなければならないこととするものであります。

 本案は、去る三月十四日の法務委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものでございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第二につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第三につき採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第四、独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長林幹雄君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔林幹雄君登壇〕

林幹雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、独立行政法人に係る改革を推進するため、平成十七年度末に中期目標期間が終了する国土交通省所管法人について、独立行政法人土木研究所及び独立行政法人北海道開発土木研究所の統合並びに独立行政法人海員学校及び独立行政法人海技大学校の統合を行うとともに、いわゆる非公務員型の独立行政法人とするなどの措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月九日本委員会に付託され、翌十日北側国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、十四日、質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決いたしました結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第五 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第五、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長遠藤乙彦君。

    ―――――――――――――

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔遠藤乙彦君登壇〕

遠藤乙彦君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、国の補助金等の整理及び合理化等に伴い、公立の義務教育諸学校の教職員の給与等に要する経費の国庫負担率を改め、都道府県が給与等を負担する教職員の範囲を定めるとともに、公立の義務教育諸学校等の施設の整備に関する事業に充てるための交付金制度を創設しようとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、公立の義務教育諸学校の教職員の給与等に要する経費の国庫負担率を二分の一から三分の一に改めるとともに、公立の小中学校、盲・聾学校の国庫負担制度と養護学校の国庫負担制度を統合すること。

 第二に、都道府県が給与等を負担する市町村の教職員の範囲を明確にすること。

 第三に、公立の義務教育諸学校等の施設の整備に関する事業に充てるための交付金制度を創設するとともに、法律名を義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律に改める等の所要の改正を行うものであります。

 本案は、去る二月二十八日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、三月三日小坂文部科学大臣から提案理由の説明を聴取した後、八日から質疑に入りました。十四日には参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を重ねた後、昨十五日質疑を終局し、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 討論の通告があります。これを許します。横山北斗君。

    〔横山北斗君登壇〕

横山北斗君 民主党の横山北斗です。

 民主党・無所属クラブを代表し、政府提出の国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案に反対する立場から討論を行います。(拍手)

 本法案に反対の理由として、三点挙げさせていただきます。

 第一は、義務教育費の国庫負担割合を二分の一から三分の一に引き下げたとき、都道府県それぞれの財政力に大きな差があるにもかかわらず、なお義務教育の根幹である教育の機会均等、教育の水準確保、無償制を全国一律に維持していくことが可能であるのかどうか、納得のいく説明がありません。

 政府は、この法案を義務教育の充実を目指すものだとして提出してきました。そうであるならば、政府は、義務教育への国の財政負担を減らすことが義務教育の充実につながるのだという根拠を示すものでなければならないのです。

 しかし、これまでの議論においては、そのような根拠が示されるはずもなく、それどころか、我が党議員から、独自財源の少ない地方における教育費確保の困難さが指摘されたことに対し、文部科学省は、教育環境を整備し、現状をしっかりと守っていける担保がこの法案には必ずしもないと答弁しているのです。

 第二に、本法案は、民主党の掲げる教育施策とは、その考え方を異にしている点で支持できません。

 民主党は、義務教育に関しては、特に学校設置者及び現場への大胆な権限移譲の必要性を主張してきました。義務教育費を充実させ、全国一律の教育水準を維持しながら、同時に、地域の特性を生かした豊かな人間形成をはぐくむための施策として、これを主張してきたのです。

 ところが、このたびの政府案では、国が学習内容に対する権限を、都道府県が人事権を、市町村が学校管理権と設置権を持つというこれまでの状況、つまり、それぞれが権限を有することでもたらされてきた教育の無責任体質、これを見直す内容が全く含まれておりません。

 本法案を議論するに当たっては、地域の特性を生かした学校の設置など、現在一部の教育の特区においてしか認められていない教育環境を全国に展開していこうとするアイデアもありましたが、結局、法案に盛り込まれるまでには至らず、単に、特区における教職員の任用と給与支払いとを全国の市町村で行えるようにしただけです。これでは自治体の財政力によって給与格差が生まれ、それが教育内容の地域格差となってあらわれるおそれがあります。

 最後に、第三として、教育の二極分化が義務教育段階で発生している現実に、政府・与党は目を背けていると思われます。

 新年早々の新聞に、公立の小中学校で文房具代や給食費などの援助を受けているという児童生徒の数が、二〇〇四年度までの四年で四割増になっているという調査報告が載りました。その原因はもちろん、親のリストラ、給与水準の低下にあります。塾通いに何万円もかけることのできる子供もいれば、学用品の援助を受けなければいけない子供もいる、このような格差を放置するわけにはいきません。

 そのことを十分理解されているからこそ、義務教育費国庫負担金の削減には、実は文部大臣は反対、与党が招いた参考人までもが反対、それでも、最後の最後で苦渋の決断を迫られた結果、本法案が提出されてきたのです。

 しかし、いかなる事情があるにせよ、財政赤字削減の処方せんとして教育財源にメスを入れることは、人づくりで今日を築いてきた我が国にあっては、どうあっても容認することはできません。

 本当は同じ教育信条を抱きながら、しかし、賛成に回らなければならない立場の政党に属されている皆様、私ども民主党は、堂々と教育の正論を訴え、義務教育を守ることをお誓い申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第六 独立行政法人酒類総合研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第六、独立行政法人酒類総合研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長小野晋也君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人酒類総合研究所法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔小野晋也君登壇〕

小野晋也君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、独立行政法人酒類総合研究所がその業務を一層効率的かつ効果的に行うことができるよう、民間及び大学等との人事交流等の連携を促進しようとするものであります。

 その主な内容は、独立行政法人酒類総合研究所をいわゆる非公務員型の独立行政法人とするとともに、同研究所の役職員に対して秘密保持義務を課すことなどであります。

 本案は、去る二月二十八日当委員会に付託され、三月十日谷垣財務大臣から提案理由の説明を聴取した後、十五日質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)及び都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案及び都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。経済産業大臣二階俊博君。

    〔国務大臣二階俊博君登壇〕

国務大臣(二階俊博君) 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 近年、消費生活の変化等を背景として、地域における社会的、経済的及び文化的活動の拠点である中心市街地の衰退が目立っております。また、少子高齢化が急速に進展していることから、高齢者も含めた地域住民が手軽に買い物に行けるような、住民にとって住みやすい、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを進めていくことが求められています。こうした中で、中心市街地における都市機能の増進及び経済活力の向上を図り、地域における社会、経済及び文化の発展に重要な役割を担う中心市街地の活性化を推進することは、喫緊の課題であります。

 こうした状況を踏まえ、今般、本法律案を提案した次第であります。

 次に、本法津案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、政府全体として中心市街地の活性化に関する施策を総合的かつ一体的に推進するため、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律を改正することとし、法律の題名を中心市街地の活性化に関する法律に改めます。具体的な措置としては、まず、政府が中心市街地の活性化に関する基本方針を策定することとするとともに、内閣に中心市街地活性化本部を設置します。また、市町村が作成する中心市街地の活性化に関する基本計画について内閣総理大臣が認定をして、認定を受けた基本計画に基づく事業に対して各種支援措置を講ずることとします。さらに、中心市街地の活性化に取り組む民間事業者等が協議を行う場である中心市街地活性化協議会に関する規定を設けることとしております。

 第二に、主に郊外における商業基盤施設等の整備について支援措置を定めている特定商業集積の整備の促進に関する特別措置法について、商業の活性化に関する支援措置を中心市街地において集中的に講ずる観点から、廃止することとします。

 以上が、本法律案の趣旨であります。(拍手)

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議長(河野洋平君) 国土交通大臣北側一雄君。

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 近年、モータリゼーションの進展等を背景として、都市の無秩序な拡散が進み、中心市街地の空洞化のみならず、高齢者等が病院等の公共公益施設に徒歩等で容易に行くことができなくなることや、公共投資の非効率性、環境負荷の増大などの問題が生じております。今後、人口減少・超高齢社会が到来する中で、既存の社会資本のストックを有効に活用しつつ、都市機能を集約したコンパクトなまちづくりを進めることが求められております。そのためには、都市構造に広域的に大きな影響を与える大規模集客施設や公共公益施設について、都市計画の手続を通じて、地域の判断を反映した適切な立地を確保する必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、第二種住居地域、準住居地域及び工業地域並びに都市計画区域及び準都市計画区域内の用途地域の指定のない区域内では、大規模集客施設は原則として建築できないこととします。

 第二に、都道府県は、都市計画区域外の区域のうち、建築物の建築が現に行われている区域等を含み、かつ、将来における一体の都市としての整備等に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域を、準都市計画区域として指定することができることとします。

 第三に、開発許可について、市街化調整区域内において大規模開発を許可できるとする基準を廃止するとともに、病院等のための開発行為及び国、地方自治体等が行う開発行為は開発許可等を要することとします。

 第四に、大規模集客施設のため開発整備を実施すべき区域を開発整備促進区として地区計画に定めることができることとします。

 第五に、まちづくりの推進に関し経験と知識を有する団体等を都市計画の提案権者に追加するとともに、都道府県が都市計画に係る協議を行う際に関係市町村から意見の開陳を求めることができることとします。

 その他、都市の秩序ある整備を図るため、自動二輪車の駐車場の整備、新住宅市街地開発事業及び公有地先買い制度の適正化を図る等、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)及び都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。新藤義孝君。

    〔新藤義孝君登壇〕

新藤義孝君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました中心市街地活性化法案及び都市計画法案につきまして質問させていただきます。(拍手)

 最近、国家の品格という言葉がよく聞かれます。私自身も、我が国は品格を失ってしまったのではないか、このように思うときが間々あります。特に、最近の国会の論戦を見ておりますと、にせメール問題等に象徴されるように、品格があるとは到底言いがたく、残念な状態が続いております。

 私たちは、代議士と呼ばれております。代議士というのは、国民のかわりに議論する侍だ、このように私は先輩から教わりました。我々は、この国民の代表として出処進退をよくわきまえて、そして、気概と自覚を持った品格ある論戦をしていこうではありませんか。

 さて、まちづくりに関する今国会の目玉として、この二法案が提出されております。

 かつて我が国では、全国総合開発計画のもとで、均衡ある国土の発展の旗印を掲げ、全国各地のまちづくりが進みました。しかし、金太郎あめとも言われる画一的な町並みができてしまったという反省もあります。こうした流れの中で、市街地から郊外へと大規模店舗を初めさまざまな機能が流出し、旧来の商店街はシャッター通りになり、中心市街地の衰退が進んだということでございます。

 このような社会的変化に対応するため、平成十年、中心市街地活性化法、改正都市計画法、そして大規模小売店舗立地法のいわゆるまちづくり三法が制定されました。しかしながら、八年が経過して、いまだ問題は解消されておりません。むしろ、大規模店舗に対する規制が緩められる一方で、都市計画制度はうまく活用されず、都市基盤整備が間に合わないまま、焼き畑的な乱開発が進んでしまう、無秩序なまちづくりになってしまっているのが現状ではないでしょうか。

 単純に大規模店舗を再び規制することは時代に逆行します。一方で、シャッター通りを放置することもできません。また、地域によりましては、大規模な工場跡地など、中心部が空洞化したことによって、新しいまちづくりのチャンスが生まれているところもあります。

 こうした状況のもとで、今回の法改正は、従来の金太郎あめ的な均衡ある国土の発展から、地域の判断による個性のあるまちづくりへ変えようとしている象徴的な法改正だと私は考えております。我々は、今後、どのようなまちづくりを進めていけばよろしいのでしょうか。

 私は、この我が国の都市が目指すまちづくりについて、冒頭に挙げました品格が必要だと考えております。品格とは、品位の程度、すなわち、その人や物に自然に備わっている、人が認めてくれる価値のことです。町の品格とは、住む人が自然に愛着を持ち、住んでいることに誇りを持てるような魅力のことだと思います。さらに、その町固有の歴史と文化とコミュニティーを感じられることが品格につながるのではないかと考えております。

 そこで、この今回の法改正を行うに当たり、我が国のまちづくりを品格のあるものとするためにどのようなお考えをお持ちか、経済産業大臣及び国土交通両大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

 次に、都市計画法の改正についてであります。

 現行の都市計画法は、郊外に行くほど規制が緩やかになっているため、大規模店舗が郊外に乱立し、交通渋滞の発生、ごみ問題や治安の悪化といった諸問題が起きています。この対策として、従来の拡散型の都市計画制度を改め、集約型の都市計画制度に転換する必要があると思っております。

 そのため、今回の改正では、郊外の大規模集客施設の立地を一たん制限し、乱開発にブレーキをかけた上で、都市計画手続と地域の判断により新たな施設を立地させることになっておりますが、この改正によってどのような変化が期待できるのか、国土交通大臣の御所見をお伺いいたします。

 最後に、中心市街地の再生について大切なことをお尋ねいたします。

 平成十年、中心市街地活性化法が制定され、多くの市町村が活性化への取り組みを試みておりますが、残念ながら、目に見える効果につながっておりません。まちづくりの主役はそこに住む人々であり、市町村の主体的な取り組みや民間事業者等の地域ニーズに対応した取り組みが町ぐるみで一体的に実施され、それによって地域のコミュニティー機能が向上してこそ町の再生が図られるものと思います。

 今回の改正法案が、シャッター通りを解消し、商業等の活性化を図るとともに、にぎわい回復のアクセルとして真に機能するため、どのような支援を講ずるのか、経済産業大臣の御所見をお伺いいたします。

 以上、本法案の審議を通じ、個性と魅力を持った我が国の品格あるまちづくりが推進されることを期待して、私の質問とさせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣二階俊博君登壇〕

国務大臣(二階俊博君) 新藤義孝議員にお答えをいたします。

 品格のあるまちづくりについてのお尋ねでありますが、地域がみずからの発意と判断によって中心市街地の活性化に向け積極的に取り組むことにより、人々が集い、語り合う、にぎわいのある新たなコミュニティーとして、また過去の古い歴史や文化の薫りを持続しながら、まさに品格のあるまちづくりを進めていくことが重要なことであります。

 このような認識のもとに、中心市街地活性化法案においては、まちづくりの司令塔としての役割を担う中心市街地活性化協議会を位置づけ、市町村の基本計画を作成するに際しまして、地域の関係者が集まり、地域の持つ魅力を活用しながら自立的ににぎわいのあるまちづくりに参画できる仕組みを導入しております。

 また、中心市街地に対する支援策についてのお尋ねでありますが、本法案におきましては、まちづくりの司令塔としての役割を担う中心市街地活性化協議会を位置づけして、地域の関係者が地域のコミュニティーとして魅力向上に向けて一丸となって取り組んでいただく、そういう御努力をいただくことを推進してまいります。

 また、地域における中心市街地活性化の多様なニーズに対応するため、市街地の整備や商業の活性化などに対する支援策を総合的かつ一体的に行うことが重要であると考えております。

 そのため、本法案におきましては、内閣総理大臣を本部長とする中心市街地活性化本部を設置し、経済産業省のみならず関係省庁が連携して、総合的そして一体的に支援を実施し、まさに品格あるまちづくりを形成してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 新藤議員にお答え申し上げます。

 まちづくりを品格のあるものとするための考え方についてお尋ねがございました。

 我が国のまちづくりを品格のあるものにするためには、地域固有の文化や歴史を継承しつつ、地域の主体的な創意と工夫を生かしたまちづくりを進めていくことが重要と認識しております。

 特に、これからの人口減少・超高齢社会におきましては、町の顔である中心市街地を再生し、都市の既存ストックを有効活用しつつ、高齢者も含めた多くの人々にとって暮らしやすいコンパクトなまちづくりを実現していくことが必要と考えております。

 今回の法改正はこれからのまちづくりの先駆けとなるものであり、中心市街地の再生を通じて、品格のあるまちづくりに取り組んでまいる所存でございます。

 都市計画法の改正で期待されるまちづくりの変化についてお尋ねがございました。

 現行の都市計画制度は、高度成長期において、人口が増大し、都市が拡大するという社会経済情勢を前提として創設をされました。結果として、大規模集客施設等の各種都市機能の郊外への無秩序な拡散を許してきました。

 そこで、今回の改正では、大規模集客施設について、商業地域等を除きその立地を一たん制限し、立地に当たっては都市計画手続を経させることで、地域の判断を反映した適正な立地を図ってまいります。また、病院等の公共公益施設についても開発許可の対象としてまいります。これらにより、今後は、中心市街地活性化法による支援策と相まって、高齢者等が歩いて暮らすことができるコンパクトなまちづくりが進むことが期待されます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 佐々木隆博君。

    〔佐々木隆博君登壇〕

佐々木隆博君 民主党・無所属クラブの佐々木隆博です。

 私は、ただいま議題となりました中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して質問いたします。(拍手)

 現在のまちづくり三法が成立して、それぞれ五年から七年を経過していますが、この間、それぞれの地域では、複合型施設、店舗併設型マンション、集会施設の建設、チャレンジショップ、補助金交付による商店街振興、都心居住支援等が進められてまいりましたが、中心市街地の空洞化を食いとめるだけの十分な成果を上げているとは言えません。

 従来対策の限界は、大型店を含む都市施設のスプロール、いわゆる郊外化対策の欠如、公共事業とTMOの商業振興が中心の対応策、目標設定、モニタリング、計画の更新などの欠如であると指摘をされております。

 その一つ、都市の郊外化では、大規模なショッピングセンターや幹線道路沿いに立ち並ぶ店舗だけでなく、市町村役場や病院など、かつて町の中心に置かれていた公共施設も、今や郊外に移っています。また、モータリゼーションと相まって、住宅も郊外へ拡散しました。住宅の移動に伴って、学校や図書館も郊外へ移転しています。郊外型の大規模なショッピングセンターやモータリゼーションの進展などが中心市街地空洞化の元凶だと言われておりますが、広い住宅を求め、移動手段としての自動車を確保し、利便性を求めてショッピングセンターに行くことは、国民の所得水準が上がったことによる当然の帰結であるとも言えます。問題は、郊外の開発が無計画に行われたことにあります。

 市街地の郊外への拡散を抑制し、町の機能を中心市街地に集中させる、いわゆるコンパクトシティーの考え方が、持続可能な都市のあり方として検討されています。今回の改正案も、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを基本的な方向性として議論が進められてきたと承知をしております。

 そもそもコンパクトシティーとは、一九八〇年代にヨーロッパで生まれた概念で、持続可能な都市のあるべき姿として、居住や都市機能の密度が高い、都市的な用途が近接・複合している、スプロールしていない、都市の境界、都市の構造が明確であることとされております。

 今回の改正案にコンパクトシティーの理念を取り入れたことは評価できます。しかし、個別の具体的事項になると、産業政策に戻ってしまっています。コンパクトシティー実現のためには、交通対策やエネルギー対策、環境対策など、多様で複合的な地域政策が不可欠です。

 崇高な理念と実効性のある個別政策をどのようにリンクさせるのか、経済産業大臣及び国土交通大臣にお伺いをいたします。

 現行の中心市街地活性化法は、中心市街地の整備改善及び商業等の活性化を一体的に推進することを目的に制定されました。

 その中では、市町村が策定した中心市街地活性化の基本計画に定められた事業に対して、国庫補助金等による支援を実施しており、これまで約一兆円規模の補助金等の予算措置が行われてきました。しかし、目に見える効果が余り出ておりません。このことは、平成十六年九月に総務省行政評価局が出した中心市街地の活性化に関する行政評価・監視でも「統計指標の動向等から判断すると、中心市街地の活性化が図られていると認められる市町は少ない」と指摘をされています。

 現行法制下で、なぜ中心市街地の活性化が成功しなかったのでしょうか。経済産業大臣の認識をお伺いいたします。

 また、これまで中心市街地活性化のためにどのくらいの国費、地方費を費やしてきたのでしょうか。具体的な金額をお答えください。

 現行の施策への真摯な反省と詳細な原因の分析こそが、新たな施策への方針となります。さきの行政評価・監視では、総務省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の四省に対し、改善項目が勧告されました。その中でも指摘されている、「基本計画の的確な作成」に挙げられた数値目標設定の有効性や指標、事業の進捗状況等の定期的な把握や、基本計画の的確な評価、見直しについて、現在どのような取り組みが行われているのでしょうか。代表して総務大臣、お答えください。

 また、総務省としての中心市街地の活性化へ向けた取り組みについて、あわせてお伺いをいたします。

 市町村及びそこに所在する数多くの商店街は、それぞれが歴史を重ね、それぞれに特性や問題点があり、一律に対策を行うことは困難です。現在、まちづくりの成功例として挙げられている青森、静岡、鹿児島、またコンパクトシティーに取り組んでいる神戸、仙台といった都市は、いずれも県庁所在地や地域の中心都市であり、地理的にも社会経済的にも比較的恵まれていると言えます。しかし、中心市街地の空洞化したと言われる商店街は、さきに挙げた都市だけではなく、より地方の小規模な市町村ではないでしょうか。経済産業大臣、今回の改正案が対象としている中心市街地とは、そもそもどの程度の規模の都市を想定されていますか。

 今回の改正案では、内閣総理大臣を長とする中心市街地活性化本部が置かれ、基本方針の案の作成のほか、施策の総合調整、事業の実施状況のチェックなどを行うとなっています。また、市町村が策定した基本計画を内閣総理大臣が認定することにより、施策の選択と集中を行い、やる気がある市町村に集中的に支援を実施していくことを掲げています。

 しかし、現行制度でも、国の基本方針のもと、現在六百八十を超える市町村の基本計画が策定されています。これらに対する評価、見直しは行われてきたのでしょうか。そして、法改正後は、これら現行制度下で策定された基本計画はどのような扱いになるのでしょうか。特に、基本計画に基づいて今まで中心市街地活性化の取り組みを行ってきた地域に対し、新たに計画を策定し直すということにならないような配慮がなされるべきだと思いますが、経済産業大臣にお尋ねをいたします。

 また、中心市街地活性化本部と、現在、都市再生プロジェクトなどを進めている都市再生本部との関係はどうなるのでしょうか。これまで、都市再生本部の取り組みと中心市街地活性化策は連携をとって進めてこられたのでしょうか。これまでの取り組み及び両本部の関係について、官房長官にお伺いをいたします。

 中心市街地は、どのように特性を発揮できる政策を打ち出すかが重要となってきます。中心市街地再生の推進について、今回の改正案とそれに伴う予算措置では、それぞれ数十億程度の予算規模となっています。一つの事業に対する単価が高いことを考慮すると、これらの事業の対象数はかなり少ないことが想定をされます。

 また、中心市街地活性化本部による施策の選択と集中が行われると、地方中小都市は切り捨てられ、大都市圏のみが対象となりかねないことが懸念をされます。予算の制約の中で、全国ではどの程度の中心市街地の活性化が期待されるのでしょうか。都市の拡散が進む一方で、人口減少社会が始まっている現在、より大都市に人や購買力が吸収され、多くの中小都市が衰退するような事態が加速しないような施策を講じる必要があります。

 選択と集中による認定は、どのような基準で行うのでしょうか。また、中小都市への対策について、経済産業大臣並びに国土交通大臣にお伺いをいたします。

 中心市街地活性化政策が効果を上げてこられなかったその背景には、計画システムの欠陥だけでなく、スプロールをそれほど気にしてこなかった国民意識、農地保全を求める意識の弱さ、規制緩和の圧力などがあるとされています。

 今回の改正案では、多様な民間主体が参画する中心市街地活性化協議会が法制化されています。現行制度下においてTMOによる商業振興等の活性化事業が進められていますが、商工会議所や商工会が母体になっている組織が多いこともあって、役割が商業の活性化に偏っており、多様な視点からのまちづくりが行われているとは言えません。

 今回、商業関係者に限らず、地権者を含め、より幅広い民間主体に参画を求めた協議会を設置することは評価できますが、実効性が担保されなければなりません。中心市街地活性化協議会が機能するための支援策について、経済産業大臣にお尋ねいたします。

 また、中心市街地問題は単なる商店街問題ではありません。都市や地域の存続にかかわる重要課題であり、まさにまちづくり、ふるさとづくりの課題です。そのためには、町を再興しようという気概のある担い手をどうつくるかということこそが市街地や商店街の活性化につながると考えます。

 まちづくりの担い手づくりについて、経済産業大臣及び国土交通大臣の所感をお聞かせください。

 国土の構成要素である都市と農山漁村の関係は、産業構造の高度化や都市化の進展が、農山漁村から都市への人口流出や農山漁村の衰退と相まって続いてきたと言えます。

 ところが、流出先の都市は、時代の変化とともに郊外化し、都市の区域が人口増加の伸びを上回って膨張し、人口密度の低い市街地が広がってきています。

 その結果、人が集まるコミュニティーの場としての役割や、町の顔としての象徴性、文化を伝承する役割を担ってきた都心部が衰退し、郊外部に広がった市街地が都心部で失った町の魅力を補うだけの個性を持つに至っていない場合には、都市全体の活力の低下が懸念される状況となっています。

 さらに、郊外化の進展は、農地の荒廃や緑地の喪失の一因ともなっており、人口流出による農山村の衰退に拍車をかけています。すなわち、都市問題が農山漁村にまで大きな影響を及ぼすことを意味しています。

 中心市街地の活性化は、町やふるさとの再生であり、ひいては国土の再生であります。こうした視点に立っての政策展開を強く求め、同時に、民主党は、まちづくりに懸命に取り組んでいる人々とともに、町とふるさとを再生させるために全力を尽くすことをお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣二階俊博君登壇〕

国務大臣(二階俊博君) 佐々木隆博議員にお答えをいたします。

 コンパクトシティー実現のための具体的な施策に関するお尋ねでありますが、議員も御承知のとおり、コンパクトシティーの推進に当たっては、郊外部の開発抑制と中心部のにぎわいの回復を一体的に進めることが重要であると考えております。

 郊外部の開発抑制については、今般の都市計画法改正案で適切な対応がなされているものと認識しておりますが、中心部のにぎわい回復については、中心市街地活性化法案において、内閣総理大臣を本部長とする中心市街地活性化本部を設置し、政府が一丸となって取り組むこと、さらに、内閣総理大臣の認定制度を創設し、認定を受けた基本計画に支援措置を重点化するほか、さらに、商業の活性化、都市機能の増進に関する支援策を拡充してまいります。

 そして、これらの措置とともに、現行法で中心市街地が活性化していない理由についてのお尋ねがありましたが、これまで費やした予算等につきましてもお答えをしたいと思います。

 現行の中心市街地活性化法では、市町村の基本計画全体について十分な評価が行われないまま、その計画に基づく事業を各省庁が支援しているため、効果的な支援に結びつかないという問題点がありました。

 今回の改正法では、この点を全面的に見直し、政府が一丸となって総合的な観点から市町村の基本計画について評価を行い、支援を講ずるため、内閣総理大臣による認定制度を導入したところであります。

 これまでの中心市街地活性化支援に要した費用につきましては、経済産業省が平成十年度から平成十六年度までに実施した主な中心市街地活性化策及び商店街振興策の実績の合計は、約六百二十二億円となっております。

 中心市街地活性化法の中心市街地が想定する都市の規模に関するお尋ねでありましたが、中心市街地活性化法の施策の対象となる中心市街地は、当該地域における小売商業者が集積する等の一体の地域を指すものであり、都市の規模の大小により定まるものではなく、その規模は地域によって異なるものと考えております。

 比較的小規模な地方の市町村において深刻な中心市街地の空洞化が進展していることは、議員が御指摘のとおりであります。こうした地域を含めて、地域の意欲的な中心市街地活性化の取り組みを支援してまいりたいと考えております。

 現行法に基づく基本計画について評価、見直し及び法改正後の取り扱いについての御質問でありますが、現行法に基づく基本計画に対する評価、見直しについては、市町村において必ずしも適切な対応がなされてきたとは言えないものと認識をしております。また、国におきましても、市町村の基本計画に対して詳細な評価や指導を行ってきてはおりませんでした。

 現行法に基づいて市町村が作成した基本計画の取り扱いについては、市町村は、新たに策定される基本方針に基づき見直しを行い、地域の方々の意欲を反映した実効性の高い基本計画を改めて作成し、認定の申請を行っていただきたいと考えております。

 中心市街地活性化法の基本計画の認定基準に関するお尋ねでありましたが、中心市街地活性化法における内閣総理大臣の基本計画に当たっては、内閣総理大臣は、基本計画を作成する市町村の規模の大小にかかわらず、明確な活性化の数字目標を掲げているかどうか、地域の関係者が町ぐるみで意欲的に取り組みを行う見込みがあるかどうか、商業の活性化や市街地の整備改善等の各種事業が一体的に推進されているかどうかなどの観点から、総合的に判断がなされるものと認識しております。

 地域の中小都市を含め全国で、それぞれの地域の関係者が意欲的に取り組み、一つでも多くの中心市街地の活性化が実現されることを特に期待しておるところであります。

 中心市街地活性化協議会の実効性を確保するための施策についてのお尋ねでありました。

 中心市街地活性化協議会については、地域の関係者が集まり、まちづくりの司令塔としての役割を担うことを期待しており、改正後の中心市街地活性化法において、その役割の実効性を確保する観点から、法律上、明確な役割を与えているところであります。具体的には、市町村が基本計画を作成するに際して、中心市街地活性化協議会が意見を述べる機会を確保するとともに、民間事業者が各種の国の支援策を受けるための事業計画を作成するに当たって、中心市街地活性化協議会における議論を経ることにしております。

 また、平成十八年度には、協議会運営の中心となるタウンマネジャーの活動経費を補助する制度を創設しました。協議会の活動基盤を支援することとし、その活動の実効性の確保に努めてまいりたいと考えております。

 まちづくりの担い手についてのお尋ねであります。

 私は、まさにこのことが最も重要なことであると考えております。中心市街地の活性化に成功している事例を見ますと、地域の実情に応じた独創的なアイデアを多様な関係者と調整しながら実現する、熱意あるまちづくりの担い手の存在が極めて重要であると認識しております。

 このため、経済産業省といたしましては、従来から行っているまちづくりのノウハウの講習の開催等に加え、まちづくりのリーダーとなるタウンマネジャーの活動経費を補助する支援策を新設するなど、今後とも、まちづくりの担い手づくりに努めてまいりたいと考えております。

 まさに議員もおっしゃいましたように、町を再興する担い手、多様な関係者の協力により、選択と集中の視点でともに協力し合って、この新しい制度によって町が活性化するように、経済産業省としても全力を尽くして取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 佐々木議員にお答え申し上げます。

 コンパクトシティーの理念と実効性のある個別政策についてお尋ねがございました。

 今後の人口減少社会、超高齢社会に向けて、既存ストックを有効活用し、だれもが暮らしやすく、エネルギー消費と環境負荷の小さいコンパクトなまちづくりを推進することが重要であると考えております。

 このためには、都市機能の集約、町中居住の促進などの中心市街地の振興策や、都市機能の適正な立地コントロールを行うための制度の充実、さらには公共交通施設の整備など、多様で複合的な施策を推進することが必要であると考えております。

 認定の基準や中小都市への対策についてお尋ねがございました。

 中心市街地活性化基本計画につきましては、中心市街地の活性化を図ろうとするすべての市町村が策定を行い、認定を申請することができる制度となっております。

 認定に当たりましては、基本計画の実施が中心市街地の活性化の実現に相当程度寄与するか、基本計画が円滑かつ確実に実施されるかといった観点から判断することとなっておりまして、一定の人口規模等を認定の基準とするものではなく、中小都市を切り捨てるものではございません。

 まちづくりの担い手づくりについてお尋ねがございました。

 まちづくりを実現させるためには、何よりも、まちづくりの担い手となる地域の人の力が必要不可欠でございます。特に、中心市街地におきましては、これまでの商業関係者を中心とした取り組みだけではなくて、地域住民を含めた幅広い取り組みが重要でございます。

 今後とも、まちづくり交付金の提案事業や住民参加型まちづくりファンドなどを活用し、こうした地域の人々によるまちづくり活動や担い手づくりを支援していく決意でございます。(拍手)

    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

国務大臣(竹中平蔵君) 佐々木議員から二問、質問がございました。

 まず、行政評価・監視結果の勧告に対する取り組みについてでございます。

 御指摘のように、中心市街地の活性化に関する行政評価・監視結果に基づく勧告におきましては、「統計指標の動向等から判断すると、中心市街地の活性化が図られていると認められる市町は少ない」との指摘がなされております。

 この勧告を受けまして、総務省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省は共同で、平成十七年五月に、基本計画の点検、見直しを行うための基本方針の考え方というのを取りまとめたところでございます。そのポイントは、まず、可能な限り定量的な指標に基づく数値目標を設定することが有効である、そして、目標の達成状況や事業の実施状況をフォローアップし、その結果に基づき基本計画の見直しを検討すべきであるということでございます。これらをホームページで公開するとともに、基本計画を作成した市町村に通知をしているところでございます。

 次に、中心市街地の活性化への総務省としての取り組みはどうかというお尋ねがございました。

 総務省としましては、中心市街地の活性化に取り組む市町村に対しまして、第一に、イベントや空き店舗の活用などについて地方交付税により措置をしております。また、第二に、市民広場、駐車場などの整備に対して地方債により支援をしているところでございます。

 以上、佐々木議員にお答えを申し上げます。(拍手)

    〔国務大臣安倍晋三君登壇〕

国務大臣(安倍晋三君) 佐々木議員にお答えします。

 都市再生本部による中心市街地活性化の取り組み、都市再生本部と中心市街地活性化本部との関係についてお尋ねがございました。

 都市再生本部は、都市の魅力と国際競争力を高める都市再生の推進を目的として内閣に設置されているものですが、都市再生基本方針の中で、中心市街地活性化策について市街地中心部の再生として位置づけるとともに、稚内から石垣までの全国の都市再生を進める全国都市再生モデル調査を活用して、多くの先導的な活動に対する支援などを推進してきたところであります。

 中心市街地活性化本部は、衰退が進行している中心市街地の活性化、にぎわい創出のために政府一丸となって取り組むための組織として内閣に設置されるものでありますが、中心市街地活性化は、都市の魅力を高める都市再生とも密接な関係を有しており、中心市街地活性化本部と都市再生本部とが相互に連携して、積極的に取り組んでまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

    〔議長退席、副議長着席〕

副議長(横路孝弘君) 小宮山泰子さん。

    〔小宮山泰子君登壇〕

小宮山泰子君 民主党の小宮山泰子でございます。

 私は、ただいま議題となりました中心市街地活性化法の一部改正案並びに都市計画法等の一部改正案に対しまして、民主党・無所属クラブを代表して質問をいたします。(拍手)

 我が国は、二十世紀の後半、半世紀の間に、高度成長期を挟んで実に五千万人の人口増加を経験しました。百万人の巨大都市を毎年一つずつつくり続けてきた計算です。

 これから半世紀の間に、三千万人以上の人口が減ることになるでしょう。今度は、六十から七十万人の巨大都市が確実に毎年一つずつ姿を消していくのです。私たちは、ちょうどそのターニングポイントに立っています。

 今後、どのように我が国のまちづくりを推進していくのか。長期的な展望を持ち、社会変化にたえることのできるまちづくりの理念が今必要だと私は考えております。今回の法案の提案に関連して、政府サイドからでさえ、現行のまちづくり三法には理念がなかったという言葉を聞きました。では、これからのまちづくりの理念とは何なのでしょうか。法案を見ながら、大変疑問に思います。

 現行のまちづくり三法を審議した平成十年当時は、アメリカ政府から要請のあった大店立地法で規制緩和などを行いました。この結果、大型店舗はもとより、生活に欠かせない病院や学校、市町村役場まで郊外へと流失してしまい、中心市街地の空洞化をもたらしました。

 アメリカの拡散型から、今度は、ヨーロッパのまとまりのあるコンパクトシティーを参考に、予算も投入して、市街地を活性化しようとの提案であります。七年前はアメリカ、今度はヨーロッパに学んでということでしょうか。今回の提案は、私には、どうしても場当たり的な政策転換としか見えません。このような対応にまちづくりの理念は見出せません。都市計画というより、都市計画の不在を証明しているようなものではないでしょうか。

 日本の歴史や風土、産業経済、国民性などに着目した日本独自の、しかも、時代の流れにたえることのできる理念が必要であると考えます。個別地域によりその特性や事情は異なり、全国一律に中心市街地の機能集約は当てはめられない面もあります。

 国土交通大臣、経済産業大臣のまちづくりに対しての基本的な理念について、御見解をまずお伺いいたします。

 たった七年で改正案が提出されたことから、明らかに法案に不備があったと考えるのが一般的ではないでしょうか。政府が新たな提案を行うに当たっては、これまでの行政において、どの点に誤りがあったのか、失敗だったか、きちんとした評価が不可欠であります。

 国交省の法案説明資料には、シャッター通りとなった商店街と、人ごとのように写真が添えられていました。閉店に追い込まれた経営者の痛みがおわかりになっているんでしょうか。

 まちづくり三法は中心市街地の活性化を目指していたはずです。平成十年の衆議院本会議で、我が党議員が、中小小売業は五店に一店が閉鎖していると指摘していましたが、その後の、シャッター通りに象徴されている現状について認識を述べていただき、また、まちづくり三法の実施に当たっての評価、反省点について、国土交通大臣、経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。

 政府としても、所管の経産省も国交省も、今回提案の二法案で中心市街地の活力を取り戻せるとお考えの上での提案でしょうが、果たして首尾よくいくかは疑問であります。

 まず、御提案の基礎となっている認識についてお伺いいたします。

 政府は、現状を客観的に分析し、今回の法案を提出されたのでしょうか。中心市街地における大規模店舗の撤退並びに進出状況、また、郊外における大規模店舗の進出状況及び撤退の原因は何であるとお考えでしょうか。経済産業大臣にお伺いいたします。

 また、中心市街地の活性化と郊外における大規模店舗の立地規制の相関関係をどのように理解されているのでしょうか。郊外の大店舗立地と中心市街地が衰退したことに因果関係は認められるのでしょうか。そして、その根拠は何なのか、重ねてお伺いいたします。

 私は、人口減少・高齢化時代のまちづくりのあり方は、従来のような場当たり的な拡大志向の町ではなく、環境負荷の少ない美しい町を目指すべきであると考えますが、国土交通大臣の御認識を伺います。

 そのためには、まだ続けられている都市外縁部の土地区画整理については、速やかにやめるべきものもあるのではないでしょうか。中心市街地活性化の補助金をつぎ込む一方で、町の外縁部では土地区画整理を続け、保留地は大型店舗に売り払うという矛盾する政策を続けることは許されないと考えますが、国土交通大臣の御認識を伺います。

 また、大型店舗や公共施設が集中または散在し、町を結ぶ主要な道路沿いに立地するために、交通渋滞は激しくなり、交通事故は多発、公害も発生してきました。このようなまちづくりが持続可能性を持っているのか、特に環境問題という観点から環境大臣にお伺いいたします。環境負荷の少ない持続可能な町とはどういう町なのかについて、環境大臣の御所見をお伺いいたします。

 今回の都市計画法における大店舗の規制は、一万平米以上としていますが、なぜ一万平米以上を対象としたのか、その根拠について国土交通大臣にお伺いいたします。郊外のバイパス沿いには一万平米未満の店舗が何軒も立地しており、そのことが中心市街地衰退の原因になっていないのかについては、経済産業大臣の御認識を伺います。

 非線引き都市計画区域の白地区域について、大規模商業施設は用途地域を指定または地区計画を策定することにより立地可能としておりますが、なぜ大規模商業施設だけこうなるのでしょうか。その他の施設、例えば、今回、市街化調整区域では規制強化となる病院、福祉施設、学校などは現行のままなのかについて、国土交通大臣の御認識を伺います。

 また、都市計画区域外に大型店舗が出店することを規制できないわけですが、今回の改正で知事が準都市計画区域に指定することができるようになったとはいえ、指定しなければ全く自由のままでよいのかについて、国土交通大臣にあわせて御見解をお伺いいたします。

 私の住んでおります川越市周辺は、都市と農業が共存している地域でもあり、まさに地産地消に適した条件がそろっている地域でもあります。昨年、私も地元のいるま野農協のシンポジウムにおきましてパネリストとして参加いたしましたけれども、都市近郊農業には大変な関心を持っております。

 法案に関連して、農林水産大臣にお伺いいたします。まちづくり三法のもとで、農地に大型店舗や病院がオープンするなど、都市近郊農業に多大な影響を与えたと考えております。大臣の御認識を伺います。

 そして、今回、都市計画法の改正により、ゾーニング、土地利用規制についても変更が行われますが、農業は土地利用規制の論議の外に置かれているのではないでしょうか。非線引き都市計画区域の四百十九万ヘクタールのうち、百十万ヘクタールが農地面積となっています。安全な食物をつくる農地と人間が生活をする都市は密接にかかわっておりますので、農林水産業の発展にとって健全な国土利用を考えると、論議の外にいるわけにはいかないはずです。法案に対して、どのような理念のもと、そして対応していかれるのか、農林水産大臣に御所見をお伺いいたします。(拍手)

 今回の改正で、広域調整の手続が設けられました。しかし、広域調整は十分に機能するのでしょうか。都道府県知事が市町村の都市計画決定に対する協議同意を行う際に、関係市町村から意見を聴取することができるということになりましたが、知事が必要な協力を求めることができるとなってはおりますが、実際の手続やどのような場合に協力を求めるのか、はっきりしません。政府はどのような場合に知事が関係市町村の協力を求めることを想定しているのかについて、国土交通大臣の答弁を求めます。

 また、協力を求めないまま知事が都市計画変更の判断をすることが許されるかについても、あわせて御答弁願います。調整は、あくまでも都市計画の変更の場合であって、実際の出店の際の調整ではありません。ゾーニングを変更する際に予想もしなかったことが起こり得ると考えるべきではないのでしょうか。

 大規模店舗に限らず、道路渋滞などの影響が予想される施設を建設する場合、都市計画の中で一定のアセスメントを義務づけることも検討すべきと考えます。国土交通大臣に、この点に関しましても御答弁を求めます。

 経済性だけを優先し、もうかるところには参入し、もうからなくなれば素早く撤退するやり方は、焼き畑商業と呼ばれています。商業立地を市場に任せればうまくいくというような楽観的な考え方は、個別の地域では通用しません。瞬時に新規参入が行われることは、まずあり得ない。高齢者が日々の買い物もできない状態を、市場の結果として放置することは許されないと考えます。商業立地について、市場原理に任せればうまくいくという考え方について、どのように考えているのか、経済産業大臣、国土交通大臣の御認識を伺います。

 政府は、これまでの、景気対策といえば公共事業と容積率の緩和のようなやり方を率直に反省し、町全体との調和を考えないでも建設ができる現行の建築確認制度、建築自由の原則を改めるべきであるとの考えがあります。拡大基調の都市計画と私権先行の建築自由の原則が、我が国の無秩序な市街地の外延化、拡大、拡散と中心市街地の空洞化を生んだのではないでしょうか。

 欧米諸国では、土地利用や建築は計画に基づくことが前提の原則が確立し、歴史ある美しい町並みを保全しています。一方、我が国は、用途地域に応じた集団規制が建築基準法で規定されているために、建築確認のみあればよく、町の景観を破壊する建築物が野放しになっています。町全体の利益を考えたまちづくりの制度を構築するために、現在の建築基準法、都市計画法のあり方を根本的に見直すべきであります。

 民主党は、建築の自由の原則を改め、建築基準法は耐震性能などの単体規制に特化するとともに、建物のデザインや大きさなどは都市計画の中でコントロールするなど、地域主権・分権型社会におけるまちづくりの根本的な改革を提案しておりますが、このような提案に対してどのようなお考えをお持ちか、国土交通大臣にお伺いいたします。

 町をつくるとは、一体何なのでしょうか。必要にして十分なものこそ美しい。要不要を見きわめる判断力と思い切った決断がまちづくりの要諦であり、今こそそれが必要とされています。どんな美しい町も、それにそぐわない一つの建物が建つだけで、もろくも損なわれてしまう、そんな事例は枚挙にいとまがありません。

 町の美しさは、建物のデザインそのものより、土地の利用、位置、規模など、より基本的な要素が決定的であります。そして、町に住む人々や町を利用する人々と、その土地の自然環境などに対応しながら時間をかけてつくり上げられる独自の歴史風土も大きな要素となっています。

 そのことを十分に理解しているヨーロッパの国々では、土地利用において、町の景観、美しさを共有することを優先させる法律を整備し、国と地方自治体が責任を持って都市計画を推進しています。それが美しい町をつくる基本になっています。

 一方、日本の都市計画は、規制緩和の繰り返しの歴史でした。今回の都市計画法の改正で、ようやく規制緩和から規制強化へとかじを切ったことは一定の評価はいたします。しかし、まだまだ不十分であります。

 民主党は、地域の住民が、住民参加の透明な手続にのっとり、伝統や文化を大切にする美しい町を復活させることができるような都市計画法と建築基準法の抜本的な見直しについて、さらに具体的な提案をすることをお伝えしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 小宮山議員から十一問、御質問をちょうだいいたしました。

 まちづくりに対しての基本理念についてお尋ねがございました。

 我が国が人口減少・超高齢社会を迎える中で、都市の拡大成長を前提としたこれまでのまちづくりから、都市の既存ストックを有効活用しつつ、高齢者も含めた多くの人にとって暮らしやすいコンパクトな都市構造、歩いて暮らせるまちづくりへと基本理念を転換していくことが必要と考えております。

 このため、中心市街地にさまざまな都市機能を集約し、多くの人が集まるにぎわいあふれる町を実現することが望ましいと考えていますが、その際は、地域の判断により、地域の主体的な創意と工夫を生かしたまちづくりを進めていくことが重要と認識しております。

 その意味で、今回の法改正は、これからのまちづくりの先駆けとなるものであると認識をしております。

 シャッター通りの現状認識とまちづくり三法の評価、反省点についてお尋ねがございました。

 中心市街地の現状については、シャッター通りに見られるように、大変厳しい傾向が続いておると認識をしております。現行のまちづくり三法の制定後も、大規模集客施設の郊外立地等により都市機能の無秩序な拡散が進行し、多くの都市において中心市街地の衰退に歯どめがかからない状況となっております。

 このため、今回の法改正により、都市機能の適正な立地のための都市計画制度の充実や、中心市街地の振興のための支援策の充実を図ってまいる所存でございます。

 環境負荷の少ない美しい町を目指すべきとのお尋ねがございました。

 御指摘のとおり、人口減少・高齢社会においては、都市機能の無秩序な拡散に歯どめをかけて、既存ストックの有効活用を通じて、環境負荷の低いコンパクトなまちづくりを実現することが必要であると考えております。

 これによって、さまざまな都市機能がコンパクトに集積するとともに、良好な自然環境の保全等が図られ、美しいまちづくりにも資するものと考えております。

 町の外縁部における土地区画整理事業に関するお尋ねがございました。

 人口減少社会に対応した集約型の都市構造を実現するため、土地区画整理事業についても、町の外縁部における事業は極力抑制し、国として支援すべき事業は既成市街地で行われるものに重点化しているところでございます。

 来年度予算案におきましても、中心市街地の活性化や密集市街地の解消といった既成市街地の再生に資する土地区画整理事業へより一層重点的な支援を行うため、補助制度の拡充を盛り込んでおるところでございます。

 大型店舗に係る規制の規模の根拠についてお尋ねがございました。

 店舗、劇場、展示場、観覧場等の大規模集客施設については、床面積が一万平米を超えると、広域から多数の客を集め、周辺道路の交通量を増大させて混雑度を著しく上昇させます。これにより、交通渋滞を急激に増加させ、周辺地域において環境の悪化が生じることとなります。

 したがって、今回、一万平米超を規制の対象とすることとしたものでございます。

 白地地域における大規模商業施設以外の病院等の規制についてお尋ねがございました。

 今回の都市計画法等の改正においては、白地地域において、大規模商業施設のみならず、劇場、映画館、飲食店など都市構造やインフラに大きな影響を及ぼす大規模な集客施設全般について、一たん立地を制限し、立地する場合に都市計画手続を経ることにより、地域の判断を反映した適正な立地を図ることとしております。

 一方で、病院、福祉施設、学校などについては、これらの大規模集客施設に比較した場合には都市構造やインフラに及ぼす影響が小さいため、立地を制限する対象とはしておりません。

 準都市計画区域の指定についてお尋ねがございました。

 現行の準都市計画区域は、市町村が、建築物の建築等が行われる蓋然性の高い地域をスポット的に指定することとされており、指定が余り進んでいない状況にございます。

 このため、今回、土地利用の整序及び環境の保全が必要な区域を広く指定できるよう、指定要件を緩和するとともに、指定権者を広域的な観点から判断できる都道府県に改めます。

 この改正により、都道府県において、大規模集客施設が立地するおそれのある土地について、適切に準都市計画区域の指定が行われるものと考えております。

 都道府県知事による広域調整手続についてお尋ねがございました。

 今回の改正では、都市計画の決定、変更が広域的に影響を与えるおそれがあり、都道府県知事が広域的観点から必要と認める場合において、関係市町村からの意見聴取などの協力を求めることができることとしております。

 このため、都道府県知事において、関係市町村に協力を求めるか否かを、都市計画の決定、変更の同意に当たって、広域調整の必要性を踏まえて適切に判断するものと考えております。

 渋滞等の影響が予想される施設について、アセスメントを義務づけることについてお尋ねがございました。

 大規模店舗に限らず、大規模な集客施設については、今回の都市計画法改正で規制される商業地域等以外の地域において立地を行う場合には、用途地域の変更など都市計画の手続において立地の判断を行うこととなります。

 この場合においては、交通渋滞や周辺環境への影響等を総合的に評価した上で、都市計画の手続を通じて、地域において適切な判断が行われるものと考えております。

 商業施設の立地に関しまして、市場原理に任せればうまくいくという考え方についてお尋ねがありました。

 商業施設に限らず、適切な土地利用を実現するためには、都市計画による一定の土地利用コントロールが必要であると考えております。

 このため、今回の法改正においては、大規模集客施設について、商業地域等を除き、その立地を一たん制限し、立地に当たっては都市計画手続を経させることで、地域の判断を反映した適正な立地を図ることとしております。

 最後に、都市計画法と建築基準法の役割分担についてお尋ねがございました。

 都市計画については、秩序ある土地利用を実現するため、今回の改正を含め、これまでも制度の充実を図ってきたところでございますが、今後とも、現行の都市計画法と建築基準法の役割分担にのっとり、計画的な土地利用を実現してまいります。

 一昨年、景観法が制定され、良好な景観の形成を促進するための仕組みを創設したところでございます。これらにより、魅力あるまちづくりの推進に努めてまいる所存でございます。(拍手)

    〔国務大臣二階俊博君登壇〕

国務大臣(二階俊博君) 小宮山議員にお答えをいたします。

 まちづくりの基本的理念に関するお尋ねでありましたが、まちづくりを進めるに当たっては、各地域が、長期的な展望や基本的な理念を持って主体的に取り組むことは極めて重要であります。

 経済産業省としては、今後の人口減少・高齢化社会におけるまちづくりの基本的な理念について、高齢者を含む住民の暮らしやすさや、住民が誇りを持って社会的、経済的、文化的活動を行う場の形成といった観点が特に重要であると考えております。

 このため、改正後の中心市街地活性化法においては、さまざまな都市機能を市街地に集約する町のコンパクト化と、地域の創意工夫を生かした中心市街地のにぎわい回復に一体的に取り組む、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを徹底的に支援してまいりたいと思っております。

 現行の中心市街地活性化法の評価及び反省点についてのお尋ねでありますが、現行の中心市街地活性化法に基づく、市町村が作成した六百八十三件の基本計画の実施状況を見ますと、多くの中心市街地で厳しい状況が続いておることも事実であります。

 関係する審議会等におきましてもいろいろな御指摘を受けたところでありますが、郊外居住者の増加や公共施設の移転等の町の郊外化への対応が不十分であったこと、また、市町村の作成する基本計画について、適切な評価がなされていなかったのではないか、商業関係者と他の地域の関係者との連携が不十分であった等の課題が、私どもも認識をしておるところであります。

 御審議をいただいております改正法案では、これらの問題を十分に踏まえ、所要の見直しを行ったところであります。

 大規模小売店舗の進出につきまして、撤退状況及びその原因に関するお尋ねでありますが、商業統計調査を用いた分析によりますと、平成十四年六月の時点で一万五千七百店あった大規模小売店舗のうち、約千六百店がその後の二年間で撤退をしております。また、同じ二年間で約三千百店の新たな出店がありました。

 日本商工会議所のサンプル調査等によれば、撤退につきましては、そのほとんどが中心市街地からの撤退であるのに対し、出店につきましては、郊外地域への立地割合が増加しているという傾向が見られます。

 こうした傾向の背景には、郊外居住者の増加や公共施設の郊外移転など、町の郊外化が進展したことなどがあると思われます。

 郊外の大規模小売店舗の立地と中心市街地の衰退との因果関係についてのお尋ねでありましたが、中心市街地の衰退については、関係する審議会から、御指摘のロードサイドの店舗を含め町の郊外化が進展したこと、中心市街地の商業者が顧客ニーズに十分対応できていないのではないかなど、さまざまな要因が考えられると報告を受けております。

 このような報告を踏まえ、改正後の中心市街地活性化法においては、都市機能の市街地への集約と中心市街地のにぎわい回復に向けた、まさに一体的な取り組みを徹底的に支援することとしております。

 最後に、商業立地については市場原理に任せるべきとの考え方についてのお尋ねでありますが、顧客ニーズの実現などの観点からは、営業面での競争は自由に行われることが望ましいと考えております。他方、まちづくり全体の観点からは、商業立地に一定の制限を行うことも必要と認識しております。

 したがって、都市構造に広域的な影響を与える大規模集客施設の立地に関しましては、広く住民等が参画する都市計画の手続を通じて、地域のイニシアチブで判断することが重要であると認識をいたしております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣小池百合子君登壇〕

国務大臣(小池百合子君) 環境の観点から二点、お尋ねがございました。

 まず、まちづくりの持続可能性についてでございます。

 店舗そして公共施設などの郊外立地によりまして、地域によっては自動車への依存度が大変増してくる、それによって、CO2、二酸化炭素の排出量の増加があったり、交通渋滞の発生に伴います局地的な大気汚染が発生しているところです。

 また、郊外立地の進展がオフィス、店舗の床面積の拡大につながります。それによって、民生部門のエネルギー消費の増大を招いているところであります。

 今後、持続可能なまちづくりを進めていくためには、こういった環境負荷を抑制する観点もしっかりと踏まえていく必要があると考えております。

 次に、環境負荷が少ない持続可能な町についてのお尋ねでございます。

 今後の人口減少社会を見据えますと、持続可能なまちづくりといたしましては、やみくもな拡大志向ではなくて、ストックを重視したまちづくりを目指すべきと考えております。具体的には、緑、水、空気、生き物といった自然資本を再生させ、うまく社会資本と組み合わせたまちづくりが必要であります。

 環境省では、このような骨太の発想のもとで、環境に配慮したまちづくりを行っていくために、都市内の風の通り道を確保したり、都市緑地の冷熱、冷気の活用によりますヒートアイランド対策、地球温暖化対策の観点からのコンパクトなまちづくりなどにつきまして、審議会などで検討を重ねているところでございます。

 こういった対策につきましては、京都議定書目標達成計画にも省CO2型の都市づくりとして位置づけられておるところでございまして、今後は、関係省庁とも連携しながら、それぞれの施策で具体化を図ってまいりたいと考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣中川昭一君登壇〕

国務大臣(中川昭一君) 小宮山議員にお答えいたします。

 まず、大型店舗の出店が都市近郊農業に与える影響についてでありますが、都市近郊農業は、新鮮な農産物の供給のみならず、子供を含めた情操の育成など多面的な役割を果たしておりますが、その振興のためには、優良な農地を良好な状態で確保していくことが重要であると考えております。

 一方、都市近郊における大型店舗等の立地については、狭小な国土の我が国において、非農業的土地需要に対しても適切に対応する必要があることから、優良農地の確保を基本とし、周辺の農業生産に支障が生じないよう留意しつつ、農地の転用を認めてきているところであります。

 今後とも、農地転用許可制度の適切な運用等を通じ、都市近郊農業の振興、優良農地の確保に努めてまいりたいと考えております。

 次に、都市計画法改正法案に対する見解でございますけれども、今回の都市計画法の改正は、都市近郊部への大規模集客施設や公共公益施設の立地を抑制し、中心市街地の活性化を促すものと承知しております。

 農林水産省としては、今回の見直しに合わせ、農業振興地域制度及び農地転用許可制度の適正かつ厳格な運用を図るとともに、公共施設の整備のための農地転用を行うに当たり、農業上の土地利用との調整の徹底に努めることとし、これらを通じ、優良農地を確保しつつ、中心市街地の活性化にも寄与してまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(横路孝弘君) 高木陽介君。

    〔高木陽介君登壇〕

高木陽介君 公明党の高木陽介でございます。

 ただいま議題となりました中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案、都市の秩序ある整備を図るための都市計画法の一部を改正する法律案につきまして、公明党を代表いたしまして、質問をさせていただきます。(拍手)

 我が国の都市をめぐる社会状況は大きく変化しており、特に中心部においては、近年、人口が減少し、庁舎や病院、文化施設等、公共公益施設が郊外へ移転し、さらに、モータリゼーションの進展により、ショッピングセンターなどの商業施設の郊外立地と大型化も進み、空洞化が顕著となっております。

 そのような状況の中、平成十年、中心市街地活性化法、大規模小売店舗立地法、改正都市計画法の、いわゆるまちづくり三法が制定され、中心市街地の活性化を軸にしながら、まちづくりに取り組んでまいりました。

 しかしながら、中心市街地においては、その後も居住人口減に歯どめがかからず、空き店舗も増加、小売販売額のシェアも一貫して低下していることに見られるように、残念ながら、当時期待していた施策の効果は上がらず、各地の中心市街地は疲弊し、空洞化が一層深刻化しているのが現状であります。

 一方、人口減少・超高齢社会を迎える今、これまでのように都市機能が無秩序に拡散し続けることにより、さまざまな問題が生じてまいります。

 空洞化した市街地では、コミュニティーが希薄となり、コミュニティーが担っていた公共的機能の維持が困難になること、集積のメリットが失われることに伴い、インフラ機能や公共サービスの提供の効率が低下すること、車社会の進展で、自動車を利用しない、いや、できない高齢者にとって、生活の利便性が低下することなどの問題が指摘されております。

 この現状を踏まえ、公明党では、昨年四月に、まちづくり三法見直し検討プロジェクトチームを設置いたしました。プロジェクトチームでは、歩いて暮らせるまちづくりの実現に向け、中心市街地の活性化や、まちづくりのあり方について精力的に検討を行ってまいりました。昨年六月には、町中に都市機能を集積、誘導する振興方策と、広域的な判断をしながら都市機能の適正立地を図るための方策の双方が必要であるという基本的な考え方に基づいて、中間報告を取りまとめたところであります。

 その後、公明党の中間報告の内容等を踏まえ、まちづくり三法の見直しの具体案について関係省庁等において検討が進められ、都市計画法と中心市街地活性化法の改正案が提出されたことは評価したいと思います。

 そこで、今回の法案につきまして、順次質問させていただきます。

 まず、人口減少・超高齢社会を踏まえた今後のまちづくりのあり方に関する基本認識についてであります。

 本格的な人口減少・超高齢社会を迎える中で、大規模集客施設等の立地等の郊外開発が無秩序に進行する拡散型の都市構造を放置したままでは、高齢者を含めた自動車を利用できない多くの人々にとって暮らしにくく、また、既存ストックが有効活用されず、環境への負荷も大きな都市構造となってしまいます。

 このため、今後のまちづくりを進める上での基本的な理念、哲学としては、自宅から徒歩、公共交通機関などで行ける範囲に医、職、遊などの日常生活の諸機能が集約され、だれもが安心、快適に歩いて暮らせるコンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりを進めることが重要であると考えます。

 このように、二十一世紀のまちづくりという視点からまちづくり三法の見直しが必要であると考えますが、人口減少・超高齢社会におけるまちづくりのあり方として、コンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりについてどのようにお考えなのか、国土交通大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

 今回の都市計画法の改正では、だれもが安心、快適に歩いて暮らせるコンパクトシティーを進めるため、広域的に都市構造に影響を及ぼす大規模集客施設の立地可能な用途地域を見直すことにしております。これに対しまして、大型店をねらい撃ちにした商業規制で、消費者の不利益につながるとの批判も聞かれます。しかしながら、コンパクトシティーは、高齢者を含む多くの国民にとって優しいまちづくりであり、大規模集客施設の立地についての見直しは、このような二十一世紀のまちづくりを先取りするものであって、大型店に対する商業規制といった一面的なとらえ方にはくみし得ないと考えます。

 そもそも都市計画法は、その目的に「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与する」とあります。つまり、今回の改正は、地域の実情に即し、一体的にまちづくりを促進していくという本来的な枠組みを再構築するものであるととらえるべきです。

 そこで、コンパクトシティーを実現するために、都市計画がどのような役割を果たしていくべきとお考えか、また、それが今回の都市計画法の改正にどのように反映されているのか、国土交通大臣に伺いたいと思います。

 今回、大規模集客施設の立地可能な用途地域の見直しは、現行の六地域から、商業、近隣商業、準工業の三地域に限定しています。このゾーニングによって大型店の立地は規制されますが、大型店と定義されない一万平方メートル未満の専門店がロードサイドに林立すれば、結局は人の流れが郊外に向いてしまうと考えられます。この点について、国土交通大臣はどのようにお考えか、伺いたいと思います。

 続いて、公共公益施設の町中への集約についてお尋ねいたします。

 コンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりを進めるに当たっては、大規模集客施設のみならず、人々の生活に必要な病院や文化施設など、公共公益施設も中心市街地に集積することが望ましいと考えます。そのためには、公共公益施設を支援措置により中心市街地に誘致するだけでなく、郊外などに無秩序に拡散することのないよう、都市計画のコントロールを及ぼす必要があると考えますが、今回の改正では、公共公益施設の立地に関してどのような措置を講じるかについて、国土交通大臣の御所見を伺いたいと思います。

 次に、地方を初めとする中心市街地の現状について、経済産業大臣に質問いたします。

 コンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりを進めるに当たっては、町の顔となる中心市街地の活性化が必要不可欠ですが、地方の現状を見ますと、商店街に空き店舗が目立ち、公共施設が郊外に移転するなど、生活拠点としての魅力が失われている状況にあります。このような状況を踏まえ、生活拠点としての魅力を回復するための対応が必要であると考えますが、その施策について伺います。

 また、今回の中心市街地活性化策の内容は、住宅整備を含むインフラの整備と商業機能が軸となっております。しかし、町のにぎわいを取り戻すには幅広い視点が必要ではないでしょうか。地域の実情に応じて、医療や福祉、文化、歴史、教育など、多種多様な要素を組み込んでこそ、本来のまちづくりが達成されると思われます。内閣に設置される中心市街地活性化推進本部が、まさに各省庁にまたがる多様な政策のツールを整備すべきと考えますが、経済産業大臣の御所見を伺いたいと思います。

 次に、中心市街地活性化法では、基本計画の総理大臣認定制度を打ち出して、法律、税制の特例や補助事業の重点実施など、まさに選択と集中の仕組みの導入が図られます。しかし、これによって地域格差がますます拡大してしまうことに対する懸念も指摘をされております。この点について経済産業大臣はどのようにお考えか。また、この認定制度によって、既存の基本計画をどのように扱われるつもりなのか。また、中心市街地活性化協議会の構成メンバーをどのように考えておられるのか。地元の住民の参加問題も含め、経済産業大臣に伺いたいと思います。

 中心市街地の活性化の核は、やはり商業の活性化であります。中心市街地は、町の顔であるとともに、地域コミュニティーの場でもあり、今後高齢化が進む中、歩いて買い物ができる、必要なものが手に入るということは重要なことであると考えますが、肝心の商店がなければ意味がなく、商店があっても、必要なものが手に入らなければ意味がありません。今回の法改正により中心市街地の商業活性化を図り、町のにぎわいを回復することができるのでしょうか。経済産業大臣の御所見をお伺いいたします。

 今回のまちづくり三法の見直しを通じ、今後の新たなまちづくりの構築を期待いたしまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 高木議員にお答え申し上げます。

 人口減少・超高齢社会におけるコンパクトシティー、歩いて暮らせるまちづくりについてお尋ねがございました。

 国土交通省といたしましては、人口減少・超高齢社会のもとで、高齢者を初め多くの人にとって暮らしやすい町となるよう、都市機能の無秩序な拡散に歯どめをかけ、都市の既存ストックを有効活用し、さまざまな機能がコンパクトに凝縮した歩いて暮らせるまちづくりを推進することが必要と考えております。

 このため、まちづくり三法の見直しに当たりましても、中心市街地活性化法、都市計画法等の改正を行い、都市機能の適正立地と中心市街地の振興を図ることにより、コンパクトなまちづくりが実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 コンパクトシティーにおける都市計画の役割についてお尋ねがございました。

 人口減少・超高齢社会にふさわしいコンパクトシティーを進めるためには、都市計画を活用し、大規模集客施設等の都市機能の無秩序な拡散を防止することが必要と考えます。

 このため、今回の改正では、大規模集客施設について、商業地域等を除き、その立地を一たん制限し、立地に当たっては都市計画手続を経させることで、地域の判断を反映した適正な立地を図ることとしております。

 一万平米未満の専門店が林立することによる影響についてお尋ねがございました。

 今回の改正では、床面積が一万平米を超える店舗等は、広域から集客し、都市構造やインフラに大きな影響を及ぼすおそれがあることから、これらを規制することとしております。

 こうした規制に加え、中心市街地活性化法による支援策等によって、中心市街地の活性化を図り、その魅力を高めることで、人の流れを郊外から中心市街地に呼び込むべきであると考えております。

 公共公益施設の立地に関する措置についてお尋ねがございました。

 病院等の公共公益施設は、これまで開発許可が不要とされていたため、市街化調整区域等の郊外へ移転する事態が多数出現しております。

 コンパクトで歩いて暮らせるまちづくりを進めるためには、これらの公共公益施設が多くの人にとって便利な場所に立地するよう、まちづくりの観点からその適否を判断する必要があります。

 このため、今回の改正では、これらの施設を開発許可の対象とすることとしております。(拍手)

    〔国務大臣二階俊博君登壇〕

国務大臣(二階俊博君) 高木陽介議員にお答えをいたします。

 中心市街地の生活拠点としての魅力回復についてのお尋ねでありますが、中心市街地の生活拠点としての魅力回復を進め、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを推進するためには、商業等の活性化に加え、公共施設等の市街地集積や町中居住の推進など、多様な取り組みを総合的に実施してまいります。

 この観点から、各種の施策を総合的かつ効率的に進めていくために、国土交通省を初めとする関係省庁と連携して中心市街地活性化法案を提出し、政府を挙げて対応してまいるところであります。

 経済産業省としても、生活拠点としての魅力回復に向け、町中における買い物拠点としての商店街に対し空き店舗対策を実施するなど、活性化に努めてまいります。

 中心市街地活性化本部の役割についてのお尋ねでありましたが、御指摘のように、単にインフラの整備と商業の活性化を進めるのみでは町の魅力は回復いたしません。医療や福祉、教育などの公共的な機能の集積など、多種多様な取り組みを総合的に進めることが重要であります。

 本法案で内閣に新たに設置されることとなる中心市街地活性化本部は、政府を挙げて中心市街地の活性化を総合的かつ効率的に推進するため、多様な政策ツールについて調整機能を担うものであります。

 選択と集中による地域格差拡大の懸念についてのお尋ねがありました。

 内閣総理大臣による基本計画の認定制度を設けることにより、まさに選択と集中を行い、これまでの非効率な支援を是正し、認定された基本計画に支援を重点化することとしたいと考えております。

 これにより、効果的かつ効率的な支援が中心市街地において実施され、活性化が果たされれば、その地域のみならず、その取り組みが広く普及され、多くの地域の活性化にも貢献するものと認識しております。

 既存の基本計画の取り扱い及び中心市街地活性化協議会の構成員についてのお尋ねがありました。

 市町村が、現行法に基づき作成した基本計画については、新たに策定される基本方針に基づき見直しを行い、地域の方々の意欲を反映した実効性の高い基本計画を改めて作成し、認定の申請を行っていただきたいと考えております。

 また、本法案で新たに設ける中心市街地活性化協議会については、商工会及び商工会議所や中心市街地整備推進機構が中心となり、商業者、開発事業者、地権者を含め、幅広い関係者が参画することを期待しております。

 中心市街地の商業活性化についてのお尋ねがございました。

 中心市街地における商業は、人々が集い、語り合い、ともに助け合う、また、お互いにそこに住む人たちがコミュニティーとしてのにぎわいを創造するための重要な存在であると認識をいたしております。

 そのためには、まず商業者の方々自身が奮起していただくことが重要でありますが、経済産業省としましては、選択と集中という観点から、改正後の中心市街地活性化法に基づき、地元商業者の方々の意欲的な取り組みについて重点的かつ効率的な支援を行い、町のにぎわいを回復するように懸命の努力をいたしたいと考えております。(拍手)

副議長(横路孝弘君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣    竹中 平蔵君

       法務大臣    杉浦 正健君

       財務大臣    谷垣 禎一君

       文部科学大臣  小坂 憲次君

       農林水産大臣  中川 昭一君

       経済産業大臣  二階 俊博君

       国土交通大臣  北側 一雄君

       環境大臣    小池百合子君

       国務大臣    安倍 晋三君

 出席副大臣

       国土交通副大臣 江崎 鐵磨君


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