衆議院

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第27号 平成18年4月28日(金曜日)

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平成十八年四月二十八日(金曜日)

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 議事日程 第二十号

  平成十八年四月二十八日

    午後一時開議

 第一 平成十六年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百六十三回国会、内閣提出)

 第二 平成十六年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百六十三回国会、内閣提出)

 第三 平成十六年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第百六十三回国会、内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 平成十六年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百六十三回国会、内閣提出)

 日程第二 平成十六年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百六十三回国会、内閣提出)

 日程第三 平成十六年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第百六十三回国会、内閣提出)

 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(長妻昭君外四名提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。

 第四十九番、千葉県第七区選出議員、太田和美君。

    〔太田和美君起立、拍手〕

     ――――◇―――――

 日程第一 平成十六年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百六十三回国会、内閣提出)

 日程第二 平成十六年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百六十三回国会、内閣提出)

 日程第三 平成十六年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第百六十三回国会、内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、平成十六年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、日程第二、平成十六年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)、日程第三、平成十六年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)、右三件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。決算行政監視委員長筒井信隆君。

    ―――――――――――――

    〔報告書は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔筒井信隆君登壇〕

筒井信隆君 ただいま議題となりました平成十六年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外二件につきまして、決算行政監視委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 これらの各件は、財政法の規定に基づき、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。

 まず、平成十六年度一般会計予備費は、スマトラ沖大地震及びインド洋津波による被災国の救援等に必要な経費等十五件で、その使用総額は千百七億円余であります。

 次に、平成十六年度特別会計予備費は、農業共済再保険特別会計果樹勘定における再保険金の不足を補うために必要な経費等二特別会計の五件で、その使用総額は六十三億円余であります。

 最後に、平成十六年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額は、特定国有財産整備特別会計における国債整理基金特別会計へ繰り入れに必要な経費の増額等八特別会計の十九件で、その経費増額の総額は千九百六十三億円余であります。

 委員会におきましては、これら各件につき去る三月二十九日谷垣財務大臣から説明を聴取した後、四月二十五日に質疑を行い、採決の結果、各件はいずれも多数をもって承諾を与えるべきものと議決いたしました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一及び第三の両件を一括して採決いたします。

 両件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。

 次に、日程第二につき採決いたします。

 本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。

     ――――◇―――――

中山泰秀君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、消費者契約法の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 中山泰秀君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

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 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 消費者契約法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長佐藤剛男君。

    ―――――――――――――

 消費者契約法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

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    〔佐藤剛男君登壇〕

佐藤剛男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、事業者等の一定の行為による消費者の被害の発生または拡大を防止するため、適格消費者団体が事業者等に対しその差しとめを請求することができることとするとともに、適格消費者団体の内閣総理大臣による認定等の制度及び差しとめ請求に係る訴訟手続等について所要の規定を整備しようとするものであります。

 本案は、去る四月十三日本会議趣旨説明を聴取し、同日本委員会に付託されました。本委員会におきましては、翌十四日猪口国務大臣から提案理由の説明を聴取し、同月二十一日から質疑に入りました。同月二十六日には参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、本日、本案について質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案により、差しとめ請求に係る訴えは、事業者等による不当行為があった地を管轄する裁判所にも提起することができるものとする旨の修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(長妻昭君外四名提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案及び長妻昭君外四名提出、居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案について、順次趣旨の説明を求めます。国土交通大臣北側一雄君。

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 今回の構造計算書偽装問題は、多数のマンション等の耐震性に大きな問題を発生させ、多くの住民の安全と居住の安定に大きな支障を与えただけでなく、国民の間に建築物の安全性に対する不安と建築界への不信を広げております。

 また、今般の問題では、構造計算書の偽装を、元請設計者、指定確認検査機関、建築主事、いずれもが見抜けなかったことから、建築確認検査制度等への国民の信頼も大きく失墜しております。

 かかる問題の再発を防止し、法令遵守を徹底することにより、建築物の安全性の確保を図り、一日も早く国民が安心して住宅の取得や建築物の利用ができるよう、早急に制度の見直しを行う必要があります。

 このような趣旨から、このたび、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、建築確認検査の厳格化を図るため、一定規模の建築物について第三者機関による構造計算適合性判定を義務づけるとともに、三階以上の共同住宅について中間検査を義務づけること等としております。

 第二に、指定確認検査機関の業務の適正化を図るため、その指定要件を強化するとともに、特定行政庁が立入検査を行えるようにするなど、指定確認検査機関に対する監督を強化することとしております。

 第三に、建築士等の業務の適正化を図るため、建築士に対して構造安全性の証明を義務づけること等とするほか、構造規定違反等の重大な違反について最高で三年以下の懲役または三百万円以下の罰金を科すなど、建築士等に対する罰則を大幅に強化することとしております。

 第四に、建築士、指定確認検査機関等の情報開示を徹底するため、処分を受けた建築士の氏名の公表や、指定確認検査機関の業務、財務の状況に関する書類の閲覧等の措置を講ずることとしております。

 第五に、住宅の売り主などによる瑕疵担保責任の履行に関する情報開示を徹底するため、宅地建物取引業者に対し、契約締結前に保険加入の有無などについて相手方への説明を義務づけることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 提出者長妻昭君。

    〔長妻昭君登壇〕

長妻昭君 私は、民主党・無所属クラブ提出の、ただいま議題となりました居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して、提案理由及び内容を御説明申し上げます。

 一生に一度の何千万円もする、人生の希望を託した買い物。このマンションが、耐震偽装の発覚により、一夜にして価値がゼロになってしまう。絶望のどん底に突き落とされた多くの被害者が眠れぬ夜を過ごしております。姉歯物件以外でも、耐震性を満たさない建物が全国各地で次々に見つかっています。

 私たちの法案は、居住者、利用者、購入者などの立場に立って、安全な建物を支える、政府案にはない三本の太い柱を用意いたしました。

 まず第一本の柱は、設計、施工分離の促進です。

 姉歯元一級建築士は、国会の証人喚問で、偽装のきっかけとして、建設会社から厳しいコスト圧力があった旨の証言をしました。現在、構造設計士を含む一級建築士の多くの方々が、ゼネコンや建設会社、ディベロッパー等の下請的、隷属的立場に置かれています。

 本来、建築士は、良心に従って、法令に合致した設計をすると同時に、工事監理者として、建設現場で、建設会社の現場監督を指導する立場で、手抜きや手抜かりがないか厳しくチェックし、防止する役割を担っています。しかし、立場の弱い建築士が、設計段階で、厳しいコストダウンの要求を繰り返し突きつけられた場合、本来のあるべき安全な設計が本当にできるでしょうか。

 また、建築士が建設現場で厳しいチェックをすることは、コストアップ要因につながり、立場の弱い建築士が現場で工事監理を徹底できないという事情があることも事実です。

 設計が施工の下請になっていては、チェック機能が働くはずもありません。設計と施工を分離し、厳しいチェックを実現するには、建築士の地位と独立性を高めていくことが重要です。

 民主党案では、すべての建築士を建築士の会に御加入いただき、自治組織としての運営を図り、独立性を向上させます。その中で、建築士同士の情報交換を密にし、構造を初めとした専門建築士養成のための研修などを充実させてまいります。

 実際に、弁護士、公認会計士、税理士、行政書士、司法書士等にも全員に加入義務のある自治組織があります。

 また、現在、建築士の資格を持っていない、建設会社やディベロッパー関係者が建築士事務所を開設し、資本金を拠出して、株式会社として建築士を雇うケースが多く見られます。

 民主党案では、建築士事務所の開設者を建築士に限定し、株式会社とは異なる建築士法人制度を新設し、独立性を高めます。同時に、建築士に無限責任を負わせるなど、責任も強めてまいります。

 二本目の柱は、保険加入の促進です。

 現在、住宅の十年間瑕疵担保責任を保証するための保険がありますが、加入しているのは、平成十六年度、新築一戸建ての二八・四%、マンションに至っては新築のたった一・一%にすぎません。売り主が倒産しても保証される保険の普及が不可欠です。

 民主党案では、すべての一戸建て及びマンション販売の広告に、その住宅が保険に加入しているか否かを表示させることを義務づけています。保険に加入していない場合でも、加入していないことの表示を義務づけ、文字の大きさや体裁も規定し、違反には罰則を科します。

 これによって、消費者が保険加入の有無を明確に知ることができると同時に、保険に加入できない物件は売れ行きに影響が出ることになり、保険加入の促進が期待できます。保険に加入する際には建物が保険会社の査定を受けることになり、多角的なチェックがなされます。

 また、保険が普及すれば、売り主が支払う保険料は、より安全な建物に関してはより安くなります。逆に、手抜きをすればするほど保険料が上がる可能性が高まり、手抜きは経済的にも割に合わない行為となります。

 三本目の柱は、建築確認の確認済証は、民間確認検査機関の物件であっても、最終的には特定行政庁が発行するというものでございます。

 官から民への流れの中で、責任までもルールなく民間に丸投げしたツケを、ざる検査として今私たちは払わされているのです。

 民主党案では、特定行政庁に苦情や内部告発の窓口の設置を求め、民間確認検査機関が手がけた物件でも、不審情報が寄せられたものや不自然に早過ぎる建築確認に関しては、特定行政庁が済み証発行をストップさせることができます。車検でも民間が検査しますが、合格証である自動車検査証は、行政が発行しています。

 さらに、建築主事登録に設計や現場監督経験を要件とすること。すべての建物に中間検査と完成二年後検査を義務づけること。罰則の強化。一定規模以上の建物の建築確認に専門家同士による相互チェック、つまりピアチェックの体制も整備いたします。

 民主党案は、法案名にもあるように、あくまでも居住者、利用者、購入者の立場に立ち、役所や業界に厳しくても、安全な住宅を確保する制度でございます。しかし、政府案は、この期に及んでも、あくまでも役所や業界の立場に立って、余り厳しくない、従来の制度を取り繕ったびほう策にすぎません。

 政府案と民主党案とは、提供者側に立つのか、生活者側に立つのか、どの立場から制度を組み立てるのか、この立ち位置が百八十度異なるものです。

 役所や業界に差しさわりがない政府案は、国民の皆様にとっては大いに差しさわりがあります。居住者の安全を二の次にしていると言わざるを得ません。政府は、ざる検査を放置した責任ばかりか、再発防止の責任までも放棄しております。

 お集まりの議員各位の良心に訴え、何とぞ成立させていただくことを切にお願い申し上げ、私の趣旨説明を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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 建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(長妻昭君外四名提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。望月義夫君。

    〔望月義夫君登壇〕

望月義夫君 自由民主党の望月義夫でございます。

 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案に係る趣旨説明に対しまして質問したいと思います。(拍手)

 昨今のヒューマンエラーに起因する事故やトラブルには枚挙にいとまがありません。去る四月二十五日、今週の火曜日でございますが、福知山線列車脱線事故から一年を迎えました。追悼慰霊式が営まれましたが、私も参列させていただき、献花をさせていただきました。御遺族代表の慰霊の言葉に胸を詰まらせると同時に、私はこれを、安全、安心がほころびを見せる社会への警鐘として受けとめ、決意を新たにした次第であります。

 もちろん、我々自由民主党は、国民が最も切実に望んでいる食、輸送、治安そして住に対する安全、安心問題について真摯に取り組んでまいりました。

 とりわけ、昨年十一月に発覚した構造計算書偽装問題は、住宅、建築物という国民生活の基盤に対する信頼を根底から崩すものであり、早急に信頼を回復するための有効な手だてを打たなければ、社会的、経済的に極めて深刻な影響を広げかねないという認識に立ち、この問題に対して一貫して精力的に取り組んでまいりました。

 今回の問題は、建築設計士という専門職のモラルの問題にとどまらず、確認検査会社、建設会社、販売会社、コンサルタント会社、さらには監督に当たる行政を含め、あらゆる段階でそれぞれに問題点が指摘されるといった点で、我が国の建設、不動産業をめぐるさまざまな課題をさらけ出したものと言えます。

 また、本年一月には、全国チェーンのビジネスホテルにおいて、建物が完成し、完了検査を受けた後に、車いす使用者の駐車施設を撤去して客室として使用するなど、六十三件もの極めて悪質で反社会的な違法工事が常習的に行われていたことが明るみになり、全国の障害者の方々から抗議、苦情が殺到いたしました。まさに、我が国の建築行政に対する挑戦とも言える事件が相次いで起こっているわけであります。

 こうした中、我が国の建築物や建築活動に対する国民の信頼を回復するためには、民間だけでなく、行政の仕事のあり方を含め、全体の構造的問題を徹底的に総点検した上で、問題点を洗い出して正さなくてはなりません。

 自由民主党は、この問題の発覚直後、与党耐震構造設計偽造問題対策本部を設置し、政府に対し、マンション居住者の緊急避難や危険な建築物の早期解体のための措置を早急に講じること、再発防止対策を徹底すべきことなどの対策を申し入れました。その後も、耐震偽装問題対策検討ワーキングチームを設置し、現地調査や関係者からのヒアリングを実施し、緊急提言を取りまとめるなど、この問題に対して、真摯に、かつ精力的に取り組んでまいりました。

 こうした我が党の取り組みを踏まえ、国土交通省を初め政府においては、これまで昼夜を分かたず懸命の対応が図られてきたものと認識をしております。

 そこで、まず国土交通大臣にお伺いいたします。

 改めて、今回の問題をどのようにとらえられているのか、大臣の基本的認識と再発防止に向けた今後の取り組みに対する決意についてお伺いをしたいと思います。

 また、偽装された構造計算書により建築された危険なマンションの居住者の方々への対応と現状についてお伺いしたいと思います。

 さて、今回の問題は、資格者である建築士が悪質な偽装を行ったことが直接的な原因と考えられます。本来、建築士は建築物の質の向上に努める立場にありますが、私は、建築士の適正な業務の遂行を確保するための制度について課題が多いのではないかと考えております。

 また、建築確認や検査については、平成十年の建築基準法の改正により、指定された民間の機関でも実施できることになりました。一方、今回の問題では、民間の機関だけでなく地方公共団体の建築主事においても構造計算書の偽装を見抜くことができませんでした。このことは、そもそもの確認検査制度に問題点があると考えざるを得ません。

 そこで、国土交通大臣にお尋ねいたしますが、今回の法改正を含め、建築士の業務に関する制度をどのように改善し、また建築確認検査制度をどのように変えていこうと考えているのか、お答えを願いたいと思います。

 いずれにいたしましても、私は、今回の法改正を初め、建築にかかわる行政について徹底した改革を断行し、住宅、建築物に対する国民の不安が解消されることを心から望むものであります。

 さらに、ストック型社会への転換期にある今こそ、建築主、設計者、施工者はもとより国民全体が、安全で安心なすぐれた品質の建築物をつくり、これを社会の資産として長く大切に使っていこうという認識を共有できる、成熟した社会の実現を目指していかなければならないと考えております。

 このような社会を目指す上で、建築物や建築活動を支える基本的なインフラとして、建築基準法、建築士法を初め建築にかかわる各種の制度がさらに改善され、万全な形で運用されていかなくてはなりません。

 最後に、危険な分譲マンションの居住者やホテルのオーナーの皆さんを初め、今回の問題で被害に遭われた方々に対する万全の支援を強くお願い申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 望月議員にお答え申し上げます。

 今回の問題の基本的認識と再発防止に向けた今後の取り組みに対する決意についてお尋ねがございました。

 今回の問題は、本来法令を遵守すべき資格者である建築士が構造計算書の偽装を行い、その偽装を指定確認検査機関のみならず地方公共団体でも見逃してしまったものであり、まことに遺憾であります。

 今回の事件は、一部の建築士が偽装を行ったことに起因するものではありますが、それにとどまらず、建築物の設計、施工を行う側に課された課題、さらには偽装を見逃した建築行政側の問題としてとらえるべきであり、建築士制度や建築確認検査制度等の抜本的な見直しによる再発防止策が必要であると考えております。

 このため、指定確認検査機関及び特定行政庁の審査の実態を調査するなど、制度の総点検を行うとともに、この結果を踏まえまして、二月二十四日に社会資本整備審議会建築分科会において、早急に講ずべき施策について中間報告を取りまとめていただきました。この中間報告を踏まえ、再発防止策として、早急に対応すべきものについて、構造審査の厳格化や指導監督の強化、罰則の強化などの観点から、建築基準法等の改正案を提出させていただいたところでございます。

 今後とも、引き続き、今回のような事件が二度と起こらないよう全力で取り組んでまいります。

 次に、危険なマンションの居住者の方々への対応と現状につきましてお尋ねがございました。

 危険な分譲マンションの居住者等の安全、居住の安定確保のため、地域住宅交付金を活用した、相談、移転から取り壊し、建てかえに至る総合的な支援策を昨年十二月六日に提示するとともに、昨年度補正予算において地域住宅交付金五十億円を計上したところでございます。

 このような支援策をパッケージで提示したこと及び移転費、仮住居費に係る助成を実行したことにより、これまで居住者の方々の約九五%に当たります二百九十四戸の退去が進んでおります。

 また、建てかえに関しましては、都市再生機構等が作成した再建計画案をもとに、居住者の方々と地方公共団体との間で鋭意検討が進められております。現在、建てかえの対象となっておりますマンション十一棟のうち一棟において除却工事が行われました。また、六地区において建てかえ推進決議がなされているところでございます。

 今後、居住者の方々が可能な限り早期に合意形成を図り、建物の取り壊し、建てかえを円滑に進められるよう、地方公共団体と十分連携をとって取り組んでまいる決意でございます。

 次に、建築士の業務に関する制度及び建築確認検査制度の見直しについてお尋ねがございました。

 今回の改正案においては、建築士の業務の適正化を図るため、構造安全性の証明書の交付の義務づけ、建築士等に対する罰則の大幅な強化、処分を受けた建築士の氏名等の公表などの措置を盛り込んでおります。

 また、建築確認検査の充実強化を図るため、審査方法の指針の策定による確認検査の厳格化、第三者機関による構造計算適合性判定の義務づけ、三階建て以上の共同住宅についての中間検査の義務づけ、民間検査機関に対する指導監督の強化などの措置を盛り込んでおるところでございます。

 さらに、専門分野別の建築士制度の導入など、建築士制度の抜本的な見直し等の課題につきましては、夏ごろまでに方針を取りまとめ、所要の改正措置を講ずる方針でございます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 馬淵澄夫君。

    〔馬淵澄夫君登壇〕

馬淵澄夫君 民主党の馬淵澄夫でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案について質問を行います。(拍手)

 さて、さきの千葉七区の補欠選挙では、我が党の太田和美候補が劇的な勝利をおさめました。それは、小泉構造改革と、その結果もたらされた格差拡大に国民がノーを突きつけた瞬間でもありました。(拍手)

 小泉構造改革は、重点七分野の一つとして都市再生を掲げて、容積率を緩和し、都心にマンションを乱立させました。また、格差拡大社会は、この国の安心と安全の暮らしを脅かし始めました。つまり、小泉構造改革の影の部分であり、そして安心、安全に対する国民の信頼を足元から揺るがしたのが、それこそ、昨年十一月に発覚した耐震偽装問題だったのです。

 期せずして、私は、この問題に深くかかわることになりました。すべては、昨年の十一月の二十四日、私の国会事務所に突然届けられた二冊の構造計算書から始まったのです。耐震偽装のやみを暗示するこれらの資料をきっかけに、以降私は、参考人質疑、一般質疑、証人喚問、集中審議など、国土交通委員会並びに予算委員会にて合計十一回にわたって耐震偽装問題の質疑を行ってまいりました。

 しかし、残念ながら、今もって耐震偽装問題の真相は明らかになったとは言えません。庶民の夢であるマイホーム、これを失い、多重債務など将来の不安にさいなまれているマンションの被害者住民の方々、政府の支援を一切得ることができないホテルオーナー、さらには、非姉歯物件の耐震偽装が明るみになる中、果たしてうちは大丈夫なのかと心配している多くの国民の不安と不信は、払拭されるどころかますます高まるばかりなのです。

 一昨日、昨年十二月二十日の一斉家宅捜査から百二十七日目にして、八名の逮捕者が出ました。しかし、関係者の逮捕で事件は一件落着ではありません。耐震偽装問題は、事件化しても終わってはいない、何一つ解決せずに今も続いているのです。

 私は、まずこのことを、政府に対して、同僚議員の諸氏に対して、そして国民の皆様に対して強く申し上げたいのです、関係者の逮捕によって、姉歯元建築士を初めとする一部の者が起こした単なる事件として片づけてはならないということを。冒頭、まず大臣に、耐震偽装問題を単なる事件に終わらせないという強い御決意をお聞かせいただきたいと思います。

 私は、問題発覚の当初より、犯人捜しをするだけでは本質的な解決にはつながらないということを再三申し上げてまいりました。一部の人間の悪質な行為そのものは罰せられるべきものでありますが、一方で、制度の本質的な欠陥にも目を向けなければなりません。イーホームズ、日本ERI等の民間の指定確認検査機関のみならず特定行政庁でさえ、悪意を持って偽装が行われれば見過ごしてしまうというのが現行の確認検査制度なのであります。

 本来であれば、制度構築時にこのようなことも十分予見すべき立場にありながら怠ってきた行政の不作為の責任は、相当に重いと断じざるを得ません。制度構築に深くかかわってきた国土交通省、政府・与党の責任は徹底的に追及されるべきであり、そのけじめをつけずして、この国会での制度改正論議を始めることは許されません。国土交通省及び政府・与党の責任について、大臣からいま一度明確な御答弁をいただきたいと思います。

 私は、これまでの委員会の質疑でも、指定確認検査機関を導入した平成十年の建築基準法の改正時にさかのぼって政府の責任を追及してまいりました。当時の建設委員会の会議録をひもとくと、委員からの、民間開放によって確認期間が短くなるのかという質問に対して、時の住宅局長が、「格段にスピードが速くなる」とした上で、続けて次のように述べています。「民間にお任せした場合には、確認対象法令に合致しているか否かという、ただその一点を事務的、機械的に淡々とさばくというふうなことが業務になります。」これは偽装を見抜くことができなかった指定確認検査機関の主張と全く同じものであります。悪意の者が構造計算書の偽装を行った場合には見抜くことができない制度をつくってしまったという責任は明確にしなければなりません。

 現在の確認検査制度では偽装は見抜くことができない場合があることをお認めになった上で今回の法案を提出されるのか、この一点を端的に大臣からお答えをいただきたいと思います。

 私は、参考人質疑の中で、ホテルルートと呼ばれるビジネスホテルをめぐる耐震偽装問題への総合経営研究所、総研の関与の可能性を指摘してまいりました。そして、国土交通委員会での証人喚問では、総研が平成設計に対して具体的に鉄筋量やくい本数を指示したメモを示し、総研内河所長に対して「指示じゃないですか。」と迫りました。総研内河所長は、自分は知らない、はっきりとわからないと答弁をされました。

 確かに、指示性を明らかにするのは困難かもしれません。しかし、例えて言えば、会社の社長が、普通に行けば三十分かかるところを十五分で行ってくれと雇用関係にある運転手に言えば、それは暗にスピード違反をしろ、つまり法を犯すことを教唆しているのと変わらないのではないでしょうか。そのあげくに事故を起こしてしまっても、指示した者には責任はないと言えるのでしょうか。

 まさにこれは、川上から川下に、立場の強い者が弱い者へと無理を強いながら責任を押しつけていき、その結果、全く過失のない者が知らない間にそのしわ寄せを押しつけられてしまうという、無責任、責任回避の構造そのものではないでしょうか。この無責任構造をたださずしてどうして改革と言えるのか。第三者による構造計算書のチェックや罰則強化といった小手先の改革では、根本的な問題解決にはつながりません。大臣の御所見を伺います。

 私は、建設業界の抱える根本的な問題に踏み込んだ改革こそが国民が求めるものであると考えています。そこでポイントとなるのは、設計、施工の分離であります。

 我が国では、みずから設計し、のみを振るい、かんなをかける大工の棟梁に代表されるように、施工者が設計、施工一貫で請け負う伝統がありました。しかし、明治時代に入り西洋建築が日本にも導入される中で、次第に設計、施工の分離が推進され、建築家が施工を指導監督する監理の役を担うようになりました。ところが、我が国では、設計、施工一貫の伝統が強いために、単独の設計行為にお金をかけるという意識が薄い、そういう中で建設会社は、設計部門で人材を抱え、一貫で請け負うという現在のスタイルをつくっていきました。

 今回の法改正の中にも建築士法の改正が含まれておりますが、建築の専門家を資格として位置づける建築士法は、昭和二十五年、第七回国会において議員立法によって行われたものであります。提出者を代表して委員会での提案理由を説明されたのは、当時二期目の若かりし日の田中角栄元総理であります。

 当時の会議録を見ますと、提案理由の中で、「建築の設計は建築士に、工事の実施は建築業者にと、おのおの責任の所在を明確にすることにより、相互に不正、過失の防止をはかることができます。」と、設計と施工の分離の建前が述べられております。しかし、このときも既に、委員会では、設計、施工がより明確に分離されなければ材料のごまかしや不正工事が発生する、こうしたおそれがあることが指摘されていました。私は、設計、施工の分離の明確化にまで踏み込まなければ抜本的な改革は行えないと考えますが、大臣の御所見を伺います。

 また、私は、金融機関の責任ということについても考えなければならないと思っております。多くの方は、マンションを購入するに当たって銀行等から住宅ローンを借りています。現在、偽装マンションの被害者救済については建てかえの検討が進められていますが、現実には、二重ローンの負担に耐えることができないという悲痛な叫びを耳にします。

 欧米では、貸し手の責任が明確で、貸し手が担保価値を厳格に評価します。しかし、我が国では、不動産の財産価値は土地本位で、建物については数年たつとほとんど価値が認められることはありません。欧米に行きますと、古い住宅が大切にされています。手を加えることによって長期の資産としての住宅の価値を維持し、それが正当に評価される仕組みが我が国においても必要と考えますが、大臣の御所見を伺います。

 もう一つ、耐震偽装に絡んだ大きな論点がございます。一連の耐震偽装発覚の中で、伊藤公介元国土庁長官による口きき疑惑が問題となりました。小泉総理と同じ派閥に属し、総理の三度にわたる総裁選挙を支えてこられた伊藤元長官は、自民党の住宅土地調査会長を務め、ヒューザーの小嶋社長を初めとする業者や国交省の天下り先の法人から政治献金を受け、ともに海外視察にまで出かけられる間柄でもありました。次から次へと明るみに出てくるこうした政官業の癒着の構造をたださない限り、政府が幾ら再発防止に向けた取り組みを行うと言っても国民は決して信用はいたしません。大臣の御所見を伺います。(拍手)

 以上、指摘をしてきましたように、今回の政府案は耐震偽装問題を受けた法改正としては余りに安易で本質を見据えないものであり、マンションの居住者、ホテルの利用者といった国民の側に立ったものとは到底言うことができません。

 それに対して、我が党の法律案は、居住者、利用者、購入者の立場に立ち、保険加入、危険情報公表の促進、建築確認における行政の責任の明確化、建築士の独立性の確保の三点において政府案より実効性のある改革案となっていると思います。今挙げた三点について、それぞれ、政府案との違いを提出者にお伺いいたします。

 最後に、私の地元奈良にはたくさんの古い木造建築があります。法隆寺、薬師寺を手がけた伝説の宮大工棟梁、西岡常一さんの言葉を御紹介したいと思います。西岡さんは、家は、管理さえよければ、手入れをすれば三百年もつとおっしゃっておられます。我が国にはかつて、わざと誇りを持つたくみが建てた三百年間住める家があったんです。それが現在ではどうでしょう。地震で倒壊する危険のあるマンションにおびえながら住むことを余儀なくされている人たち、あるいは欠陥だらけの住宅を買わされた人たち。耐震偽装問題を機に、私たちにとって住まいとは何なのか、社会資本としての、国土創造の手だてとしての建築とは何なのかをもう一度真剣に考え、制度を抜本的に見直す必要に迫られていることを再度申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 馬淵議員にお答えを申し上げます。

 耐震偽装問題に対処する決意についてお尋ねがございました。

 今回の問題は、本来法令を遵守すべき資格者である建築士が構造計算書の偽装を行い、その偽装を指定確認検査機関のみならず地方公共団体でも見逃してしまったものであり、まことに遺憾でございます。

 今回の事件は、一部の建築士が偽装を行ったことに起因するものではございますが、それにとどまらず、建築物の設計、施工を行う側に課された課題、さらには偽装を見逃した建築行政側の問題としてとらえるべきであり、建築士制度や建築確認検査制度等の抜本的な見直しによる再発防止策が必要であると考えております。

 このため、早急に対応すべきものについて、このたび建築基準法等の改正案を提出させていただいたところでございまして、さらに見直しが必要な課題につきまして引き続き検討を進め、今回のような事件が二度と起こらないよう全力で取り組んでまいります。

 制度構築にかかわる国土交通省及び政府・与党の責任についてお尋ねがございました。

 建築基準法に照らした場合、今回の事件の責任は、一義的には、適法な建築計画を立案し、実行する責めを負う建築主側にあると考えております。しかしながら、建築確認事務の遂行に際し、指定確認検査機関のみならず一部の特定行政庁において偽装の見過ごしがあったことはまことに遺憾でございます。

 国土交通省としては、建築確認事務の総点検の結果も踏まえ、建築確認検査制度について徹底的に見直しを行い、責任を持って再発防止のための改善措置を講じることにより、建築確認検査制度の信頼回復に努めてまいります。

 現在の確認検査制度についての認識についてお尋ねがございました。

 今回の事案は、本来法令を遵守すべき資格者である建築士が偽装を行ったことに起因するものであり、指定確認検査機関のみならず地方公共団体でも見逃しが生じております。偽装の態様が多岐にわたっておりまして、これを見抜くためには、再計算や構造計算の過程についての詳細な審査が必要なものも多数見られたところでございます。

 したがいまして、平成十年の建築基準法改正が偽装を見抜けなかった直接の原因とは考えておりませんが、今回の法案は、今回のような偽装を確実に見抜くことができるよう、構造審査の厳格化を図り、現在の確認検査制度を抜本的に見直すこととしたものでございます。

 今回の問題に対する解決についてお尋ねがございました。

 今回の改正案につきましては、再発防止を図るため、一定規模以上の建築物についての第三者機関による構造計算適合性判定の義務づけ、民間検査機関に対する指導監督の強化、建築士等に対する罰則の大幅な強化等の措置を講ずることとしておりまして、これにより、今回のような耐震偽装は防止できると考えております。

 なお、専門分野別の建築士制度の導入など建築士制度の抜本的見直し等の課題につきましては、夏ごろまでには方針を取りまとめ、所要の改正措置を講ずる方針でございます。

 設計と施工の分離についてお尋ねがございました。

 建設会社が設計と施工を一貫して行うことについては、設計意図を十分理解した施工が可能となる、あるいは、施工方法も含めて検討された適切な建築の設計が可能となるといったメリットも指摘をされているところでございます。

 設計、施工を一貫して発注する方式、分離して発注する方式のいずれの方式におきましても、適切な建築活動を担保するため、設計図書どおりに施工が行われているかどうかを監理する工事監理が適正に行えることが重要であると考えております。

 このため、国土交通省といたしましては、社会資本整備審議会建築分科会において夏ごろまでに方針を取りまとめていただき、これを踏まえて所要の見直しを行ってまいりたいと考えております。

 議員の方から、手を加えることによって長期の資産としての住宅の価値を維持し、それが正当に評価される仕組みが必要という御認識をちょうだいいたしました。私も全く同感でございます。

 市場重視、ストック重視の住宅政策への本格的な転換を図る上では、適切に維持管理されていることが適正に評価され、古くても質のよい住宅が円滑に流通する市場の形成が不可欠でございます。こうした観点から、中古住宅の質についての情報を提供する既存住宅性能表示制度を設けるとともに、住宅ローン減税制度等において、古くても新耐震基準に適合する中古住宅については、築後経過年数要件を撤廃するなどの措置を講じてまいりました。

 これらの取り組みはまだ緒についたばかりではありますが、中古住宅の質や価格が適正に評価される市場の環境整備に向けて、施策の推進に努めてまいります。

 政官業の癒着構造についてお尋ねがございました。

 御指摘のようなことによって、これまで行政の判断が影響を受けたということは一切ございません。今回のような問題が二度と起こらぬよう、建築士制度や建築確認検査制度等の抜本的な見直しによる再発防止策を講じていくことが、何よりも重要であると考えております。(拍手)

    〔下条みつ君登壇〕

下条みつ君 民主党・無所属クラブの下条みつであります。

 馬淵議員の質問にお答え申し上げます。

 現在までに、姉歯元建築士による偽造から始まって、姉歯氏以外の建築士による偽造によっても、耐震強度が不足している建物が多数存在する上、施工業者のいわゆる手抜き工事も存在することが明らかになっています。これらの耐震偽装や手抜き工事などの瑕疵は、建物を購入された住民の皆さんが最大の被害を背負うことになります。

 民主党は、業界の利益を優先するのではなく、居住者、利用者、購入者の立場を最優先して法案作成を行いました。その意味では、御指摘のとおり、政府案とは立ち位置が全く違うのであります。また、国会での原因究明のみならず、私も現地に赴き、調査を重ね、皆さんの声も直接お聞きしました。

 家を購入することは、多分一生に一度の大きな買い物であります。皆さんは、何度も何件も建てる場所やモデルハウスを下見し、多くの人は、住宅ローンを組み、購入します。新居に引っ越し、これから楽しく暮らそうというやさき、天災が起きたように、自分の住んでいるマンションが、耐震強度が足りないから退去しなさい、修理しなければいけない、大変お金がかかると言われます。住民の皆さんの気持ちは察するに余りあります。

 私は、現場の実際のコンクリートのひび割れなどや、構造図と施工図に違いのある部分、また、姉歯元建築士でさえ望ましくないと言っている、柱と柱の間にあるはりの柱の間近に穴ぽこがあいていることを実際目の当たりにして、この手抜き工事は、怒りよりむしろ寒気さえ覚えました。手抜きをすればするほど業者がもうかる仕組みが続く限り、罰則だけ強化しても、問題の解決は難しいと痛感しております。

 では、どのような方策が考えられるんでしょうか。業者に対して保険に強制加入させると、悪徳業者も保険加入が容易になり、モラルハザードが起きかねません。また、強制加入の保険となると再保険などの仕組みも必要になり、制度が肥大化することになります。そこで、私どもは、保険加入の有無をきちっと表示させ、購入者の選択を促す方法を考えました。

 ただし、契約時に説明させる方式では不十分で、効果がほとんど見込めないと考えております。住宅の購入というのは、いきなり契約に至るというケースは余りなく、何度も打ち合わせをして話を聞いた上で、購入を決意して契約に至るというのが通例だからです。購入を決意した段階で保険加入の有無を説明されてもなかなか後戻りできないですし、契約書にサインする段階では、新居に夢が膨らんでほとんど上のそらだったりします。冷静な判断ができない状態で説明を受けたとしても、ほとんど意味がないのです。つまり、冷静な判断ができる状態のとき、それは極めて初期の段階でなければならないことになります。

 民主党の改正案では、この初期の段階、つまり広告の段階で、住宅の品質確保の促進等に関する法律第六条一項及び三項に規定する設計住宅性能評価書及び建設住宅性能評価書の有無、同法に基づく瑕疵担保責任の履行に関する保険の有無について記載させることとしております。広告に、ない場合もないと表示させるのです。

 広告の段階であれば、見ている人も冷静ですから、性能評価書がないとか、保険に入っていないという意味を十分に考えた上で、資料請求するかどうか、現地を見るかどうかを判断できると考えました。しかも、保険加入は任意ですから、悪徳業者は保険加入を断られるとか、加入できても保険料が極めて高額になるということが期待できます。

 重要事項の説明でこれらの項目を書面にて交付し説明を行うこと、及び売買契約等にも書面で交付することを義務づけています。手抜きをすればもうかる仕組みに歯どめをかけることができ、保険に加入した場合は、保険会社などもその建築物が十分な性能を持っているかについてチェックすることが期待できます。これにより、現在、共同住宅のわずか一・一%しか利用していない住宅性能保証制度の活用が促進され、安全、安心な住宅が供給されることになります。

 また、民主党はこれまでも、危険情報公表法案を提出しております。これは、生命身体に危害を及ぼすおそれがある情報の公表を義務づけるもので、建築物も対象とした法案を今国会に提出する予定にしております。耐震強度が著しく欠けた建築物であることを知った時点で行政に対して報告する義務がかかり、違反に対しては罰則がかかることとなります。

 以上のように、民主党は、居住者、利用者、購入者の立場に立ち、広告規制を行い、危険情報の公表を義務づけることとしており、その効果も十分に期待できるものになります。

 さらに、今後の課題として、ローンが返済できなくなった場合、その物件を差し出せばほかの物件や資産には被害が及ばないノンリコースローンの導入や、業者が保険に入らない場合、現場での手抜き工事に対する第三者機関等による施工中の検査等を強化して、監理を担保すべき体制などを課題と考えております。

 私がグランドステージ藤沢に伺った際、まだ残っていた老夫婦に、このお部屋はどうですかと聞きました。にこにこして、すばらしい、今でもここに住みたいですと話されました。そのときの私は、現場の工事も手抜きがあり、建物の鉄筋が半分しかありません、構造計算上、非常に危険な物件ですと言おうと思いましたが、口からは一言も言葉が出ませんでした。一度住んだ人は、その住みかに愛情を持ち、ついの住みかとして強い思いを持っております。この人たちの最後の人生のひとときを傷つけた今回の事件は、非常に罪が重いと思います。

 そして、このとき、現場の最後まで手抜きをさせないぞという強い思いを心に刻みました。これからも、この気持ちを忘れず、本法案の審議をしてまいりたいと思います。

 以上で答弁を終わらせていただきます。残余の質問については、同僚議員から答弁させていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔小宮山泰子君登壇〕

小宮山泰子君 馬淵議員の質問の二点目について答弁させていただきます。

 一昨日、耐震強度偽装事件に関係した姉歯元建築士などの関係者が逮捕されました。経済的理由があったにせよ、法律違反を起こし、社会を混乱させた本人の責任は極めて重いと言わざるを得ません。また、違法行為を行うことを事実上強制するようなことを行った建設会社や販売会社、それを見逃した指定確認検査機関、特定行政庁の責任は重大であります。

 さらに、建築基準法が法律の趣旨にのっとり十分に機能していたかと言われれば、そうでもありません。建築確認は形だけ、法令違反を十分に審査する能力もない状態が放置され、今回の事態を招いた国の責任を見逃すわけにはいきません。

 建築確認行為は行政の行為です。昨年の最高裁判決でも、建築基準法は、「建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについての確認に関する事務を地方公共団体の事務とする前提に立った上で、指定確認検査機関をして、上記の確認に関する事務を特定行政庁の監督下において行わせることとしたということができる。そうすると、指定確認検査機関による確認に関する事務は、建築主事による確認に関する事務の場合と同様に、地方公共団体の事務であり、その事務の帰属する行政主体は、当該確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体であると解するのが相当である。」とされています。

 ところが、実態は、民間確認検査機関の確認が特定行政庁の確認とみなされることから、特定行政庁の民間確認検査機関へのチェック機能は働かず、責任まで民間丸投げの状態になっていたのであります。政府案では、この部分が全くこれまでとは変わっておりません。民間確認検査機関が行った建築確認も特定行政庁の責任となるにもかかわらず、それをとめる手段がないという状態が続くのであります。

 民主党案では、責任の丸投げを認めず、確認済証や検査済証の発行権限を特定行政庁に限定することとしております。民間の指定確認検査機関が建築確認業務を行った場合でも、特定行政庁が確認済証や検査済証を出すことになります。民間確認検査機関が不自然なチェックを行っていた場合や、民主党案で特定行政庁に設置が求められている苦情受付窓口に情報が入った場合、特定行政庁が再度精査することになり、法令違反に歯どめをかけることができるようになります。

 さらに、民主党案では、特定行政庁の審査能力を高めるために、建築主事の登録に設計、工事監理等に一定期間以上の実務経験を要することとしております。これは、今回の耐震強度偽装事件でも明らかになったように、設計図面を簡単に見ただけでも耐震強度偽装が疑われる物件についても建築確認が出されていた反省を踏まえ、複雑な構造計算書を見るまでもなく的確な判断ができるようにしたものであります。これにより、行政のチェック能力も大幅にアップすることとなります。

 また、民間の指定確認検査機関については毎年業務報告を義務づけ、特定行政庁については毎年業務内容の公表を義務づけることとしております。これによって外部のチェックが働くことにもなります。

 さらに、すべての建物について中間検査を義務づけ、建物完成二年後の検査制度も創設するなど、居住者、利用者、購入者の立場に立った措置を講じてまいります。

 一方で、特定行政庁には過大な負担がかからないように、中間検査などの検査に際しては、検査項目をチェックリスト化し、チェックの有無がわかりやすく残るようにすることや、確認検査に際して、一定の項目について行政の確認項目から除外することにより、業務の合理化を図っているところでございます。

 多くの国民が人生の希望を託し、一生に一度の大きな買い物をする、家を購入する。だからこそ、民主党は、居住者、利用者、購入者の立場に立ち、責任の丸投げを許さず、チェック体制を強化してまいります。どうぞ、御審査のほどよろしくお願いいたします。

 なお、残余の質問に対しましては、同僚議員から答えさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔森本哲生君登壇〕

森本哲生君 馬淵議員の質問の三点目についてお答えをさせていただきます。

 今回の事件で明らかになった大事な課題の一つに、建築士の地位の向上があります。建築士の皆さんが責任と誇りを持って仕事ができる体制づくりこそ、再発防止のかなめでなければならないと考えます。ところが、政府案は、違反に対する罰則を強化するばかりで、建築士制度の改善は先送りされようといたしております。これでは、建築士の皆さんがますます肩身の狭い思いをすることになってしまいます。

 民主党は、多くのまじめな建築士の皆さんが肩身の狭い思いをすることがないよう、建築士の独立性を高め、地位を向上させなければならないと考え、建築士法を大改正いたします。

 まず、建築士の使命として、「建築士は、建築物の設計及び工事監理の知識技能の豊かな専門家として、独立した立場において、工事の実施を行う建設業者との適切な役割分担を踏まえて、建築物の災害等に対する安全の確保及び質の向上を図り、もつて個人の生命財産の保護と社会公共福祉の増進に寄与することを使命とする。」と規定し、建築士が高い使命感を持って仕事を行うとともに、設計監理と施工の分離をうたっているところであります。設計監理と施工が分離されてこそ、偽装や手抜き工事を防ぐことが可能になりますが、先ほどの大臣の御答弁では、そのことが不明確であります。まさに、物事の本質から目を背けた改正であると言わざるを得ないのであります。

 次に、建築士の国土交通大臣または都道府県知事による免許制度及び建築士会及びその連合会の任意加入制度を改め、建築士会及びその連合会を建築士法上の特別の法人として設立し、建築士の資格を有する者は、その登録を受けて会員とならなければ建築士となれないものといたしております。つまり、すべての建築士に建築士会への強制加入を義務づけることにより、建築士の品位の保持、業務の改善、適正化が期待できるものと考えております。

 また、建築士事務所制度の改善として、建築士事務所の開設は建築士のみ行うことができることといたしております。これまではだれでも建築士事務所を設置することができましたが、建築士事務所の主要な任務である建築物の設計については、基本的に建築士しか行い得ないものであり、建築士しか行い得ない仕事の責任は建築士が負うものであります。

 一般の方から見た場合、開設者イコール責任者イコール建築士ということを明確にするためにも、開設者を建築士に限ることといたしました。開設者や経営者が建築士でない場合、開設者や経営者から不当な圧力を受ける危険性が大きいことは今回の件でも明らかであり、特にコストダウンの圧力が加わった場合、法令違反を誘発する危険性はかなり高いのであります。したがって、建築関係の法律を熟知し、規範意識の高い建築士を開設者とすべきであると判断をいたしました。

 政府案は、この点について何ら改善が見られません。建築士事務所の開設者を建築士に限定すれば、結果的に建築士の地位も向上することになり、遵法意識も向上し、自浄作用も働くことになります。また、地位が向上すれば、ハード偏重で極めて安いと言われる設計料も業務に見合ったものが期待され、不当な経済的圧力に屈することもなくなるわけでございます。

 もちろん、地位が向上すれば、その分責任も重くなります。これまで株式会社のサラリーマンで有限責任しか負わなくて済むような立場から、無限責任を負う立場へと変わるわけであります。民主党案では、建築士法人という特別の法人格を設けることといたしております。この建築士法人の社員は建築士しかなることができず、社員たる建築士は無限責任を負うことになります。

 建築士事務所の改善と建築士法人の制度の創設により、設計監理と施工が分離され、建築士が居住者、利用者、購入者の立場に立つことができるようになります。

 このように、民主党案は、三者の立場に立ち、安全、安心な建物に住み、利用し、購入することができるようにするため、どのような制度が望ましいかを真剣に考えたものであります。ややもすると、供給側の論理がまかり通り、小手先の改革にすぎない政府案とは全く異なるものであります。

 本来であれば、建築士、施工主など、それぞれの職業倫理にのっとって適正なサービスが行われるのが理想であり、さらにつけ加えるならば、あくまでもこれは私見でありますが、人は、信じ合い、信じ合ってこそ人としての価値が生まれてくるものであり、そこにこれまでの我が国のすばらしい姿があったはずであります。

 そういった意味では、今まで述べてきたように、業法上の規定を設けることは後ろ髪を引かれる思いでございます。今政治が行うべきことは、現実を十二分に踏まえて、党派の利害を超えて、どちらの案が本当に居住者、利用者、購入者に安心を与えられ、安全を守られるか、このことを真剣に議論し、判断することであります。

 党派を超えた賛同がいただけることを期待し、私の答弁を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 斉藤鉄夫君。

    〔斉藤鉄夫君登壇〕

斉藤鉄夫君 公明党の斉藤鉄夫です。

 私は、公明党を代表して、建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。(拍手)

 まず初めに、建築という行為と公の関係についてお伺いします。

 建物を設計し、建築し、販売するという行為と、自動車を設計し、製造し、販売するという行為を比べてみます。ともに国民の生命、安全にかかわり、かつ対価もかなり大きな経済行為であります。しかし、自動車の場合、道路運送車両法という法律で、最終的な製品が満たすべき性能の基準が規定されているだけです。だれが設計しようと製造しようと自由です。最終商品の衝突破壊実験などによって、安全基準を満たしていることが証明されればいいわけです。

 建築の場合、自動車と違って、まず、計画、設計には国家資格が必要です。その計画、設計がもろもろの基準を満足しているかどうかの公、行政のチェックである建築確認があり、施工も、建設業法で規定された者が行います。そして、行政による中間検査、完了検査もあります。建築の場合、公の関与が他の経済行為と比べて極めて多いと言えます。

 このような現状に対し、一部の建築家や学者の間に、建築法制を根本的に改めて、行政と専門家の責任を明確に区分したらどうかという提言があります。つまり、公、行政は集団規定のみを行う、別な言葉で言うと、建築物をどこにどれくらいの高さ、大きさで、どんな形なら建ててもいいといった都市計画に関する規定のみを行い、個別の建築物の設計については、自動車の場合と同様に、性能評価としての単体規定として専門家である設計者にゆだね、全責任を負わせる、こういう提案でございます。

 もちろん、建築専門家の責任といっても力に限りがありますので、保険制度等の組み合わせが必要になってきますが、いずれにせよ、建築における行政と専門家の責任を明確にして、公の関与を少なくしようという問題提起と考えます。

 このような提案が建築家からなされるほど、現状は公の関与が強いことの基本的な理由はどこにあると考えていらっしゃるのか、また、公的責任は集団規定だけでいいのではないかという問いかけに対する国土交通大臣のお考えをお聞きいたします。

 ある建築設計が妥当かどうかを第三者がチェックする場合、その設計者が行った構造計算などの設計行為をそのままなぞってみても余り意味がないのではないかという専門家の意見も多く聞きました。それよりも、同等の力を持った専門家が、例えば大きな机に図面を広げて建築全体の構成をじっくり頭に入れ、その後にポイントになる部分について、例えば壁厚とか柱の太さ、鉄筋量をチェックする、不審な部分があれば設計者と議論するという、いわゆる仲間、ピアによるチェック、ピアチェックの方がはるかに第三者審査の機能を果たすと言われております。この場合、同じコンピューター計算を二度繰り返すわけではありません。

 今回、構造計算適合性判定機関において同じ計算をもう一度行うということですが、屋上屋を重ねることにならないか、社会に余分な負担を課すことにならないかという懸念があります。このような指摘に対する御見解と、ピアチェックこそ第三者による確認の主体にすべきではないかとの意見に対する御見解を国土交通大臣にお聞きいたします。

 次に、建築士制度についてお伺いします。

 建築設計と一口に言っても、中身は、いわゆる意匠、構造、設備に分かれ、その中でも細分化が進んでいると聞きます。一人の設計者がすべての分野に精通するということはなかなか難しい現状の中で、元請と下請設計に分かれてくる。意匠系が全体を見て、構造、設備がその下で設計をするという仕組みが多いそうです。これは、技術が高度化してくればいたし方ないことと思いますが、それであるならば、それぞれの設計者の資格と名前が表に出て明らかにされること、そして責任の明確化が必要になってくると考えます。専門分野別の資格をつくった方がいい、元請設計者の責任を明確にした方がいいと考えますが、この点についての大臣のお考えをお聞きいたします。

 これに関連し、建築士とは別に技術士という国家資格制度があります。建設部門もあり、優秀な建築関係者の多くがこの資格を有しております。この資格取得には、いわゆる技術者倫理というものもその審査内容に入っており、個人、組織の利益より社会の利益を優先させるという考え方に基づいた制度です。

 この技術士制度を今後の建築法制の中に生かせないか、技術士の建設部門と一級建築士の相互乗り入れなどが建築士の世界の倫理向上に役立つのではないかと考えますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

 最後に、住宅の購入者等の保護を図るための瑕疵担保責任制度の導入について質問いたします。

 設計者また施工者としての責任は、建築士法及び建設業法によって法律で規定されております。であるならば、その責任の明確化と、それを資金的に裏づけ、保証する保険制度の拡充は必要不可欠と考えます。今回、社会資本整備審議会建築分科会の中間報告においても、住宅の購入者等の保護のため、施工者、売り主の瑕疵担保責任保険への加入や、設計者の損害賠償保険への加入の必要性について指摘しております。これは、官と民の責任、役割分担を明確にする上で避けて通れない過程だと思います。今回の法改正において、保険への加入義務化を見送っておりますが、この問題についての大臣の御見解を伺います。

 戦後間もなくつくられた建築確認制度や建築士制度が時代や技術の大きな変化、進歩に対応できてこなかったのも、今回の事件の背景かもしれません。事件の再発防止のみではなく、今後目指すべき日本の建築法制、制度のあり方、行政、民間のそれぞれの責任と役割の明確化、そして、安心、安全に暮らすことのできる社会のあり方を総合的に検討する機会にすべきと訴えて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 斉藤議員にお答えいたします。

 建築物の建築における公的関与、公的責任についてのお尋ねがございました。

 建築物を建築、購入しようとする際には、ほかの財と比べまして非常に多額の費用を要します。加えて、構造、防火、避難などの安全性能等について、竣工した後に欠陥が見つかった場合に、それを改修しようとすれば大きな損失を伴うこととなり、建築物については竣工時点で必要な性能が確実に確保されていることが求められます。

 このため、現在の制度では、建築士法において、専門的知見を有する資格者のみが設計を行うことができることとするとともに、建築基準法において最低基準を定め、行政側が当該基準への適合性を確認することとしているものでございます。したがって、国民の生命、健康及び財産の保護を図るためには、集団規定だけではなくて、単体規定についても、確認検査により基準適合性を担保する必要があると考えております。

 次に、構造計算適合性判定機関による審査の必要性についてお尋ねがございました。

 今回の偽装物件の偽装内容には、コンピューターによる計算途中の数値の改ざんなど巧妙なものもあり、偽装を確実に見抜くためには、構造計算の過程等の詳細な審査や再計算を行うことが不可欠でございます。このため、今回の改正案では、建築主事等が行う審査に加え、構造の専門家である判定員を有する公正中立な第三者機関において構造計算の過程等の詳細な審査や再計算を実施することにより、その適法性のチェックを行うこととしたものでございます。

 なお、第三者機関ではなくて民間の専門家同士によるピアチェックにつきましては、公正中立な審査が行われたかどうか、十分な能力を持つ者により適切に審査が行われたかどうかなどを確認することが容易でないと考えております。

 専門分野別の資格、元請設計者の責任の明確化についてお尋ねがございました。

 専門分野別の資格を設けることや元請設計者の責任を明確化することは、建築士制度に係る大変重要な課題であると認識をしております。これらの課題につきましては、社会資本整備審議会建築分科会において引き続き現在審議をいただいておりまして、夏ごろまでには方針を取りまとめていただき、それを踏まえて所要の見直しを行っていく方針でございます。

 技術士制度を生かした建築士の技術者倫理の向上についてお尋ねがございました。

 御指摘の技術士の建設部門については、都市計画や道路、港湾、鉄道などを初めとする土木施設の配置計画、施設設計を主な職務としております。一方、建築士については、建築物の間取りや意匠などの計画、躯体構造の耐震性の確保など、建築物の総合的な設計を職務とするものであり、技術士とは技術の対象範囲が異なるものと認識をしております。

 しかしながら、技術士制度は、その試験内容に技術者倫理に関する事項が含められているなど、資格者に高い職業倫理を求めようとする姿勢を有しております。この建築士制度の見直しに当たりましては、ぜひ参考にさせていただきたいと考えております。

 保険への加入の必要性についての考え方についてお尋ねがございました。

 本法案におきましては、住宅の売り主等に対して、保険への加入の有無など瑕疵担保責任の履行に関する情報の開示を義務づけることとしております。また、設計事務所についても同様に、保険への加入に関する情報の開示を義務づけることとしております。

 情報の開示からさらに進んで、保険への加入など瑕疵担保責任の履行確保措置を義務づけることについては、被害者救済に必要な保険金の支払いが安定的に確保されるのかどうか、また、故意、重過失によって瑕疵が生じた場合の取り扱いをどうするのか等々の多くの課題が存するところでございます。このため、各方面から御意見をよく伺い、検討を進めるため、有識者の参画を得まして、住宅瑕疵担保責任研究会を設置し、先日の四月十八日に第一回の研究会を開催したところでございます。今後、関係機関とも連携を図りながら、夏ごろまでには基本的な方向性を取りまとめたいと考えております。

 いずれにしましても、瑕疵担保責任の履行の実効性を図ることは極めて重要な課題と認識をしておるところでございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 穀田恵二君。

    〔穀田恵二君登壇〕

穀田恵二君 私は、日本共産党を代表し、内閣提出、建築基準法等の改正案について質問します。(拍手)

 耐震強度偽装事件が発覚してから六カ月、一昨日、姉歯元建築士ら八人が逮捕されました。姉歯氏以外の建築士による新たな構造計算書の偽装、改ざんや、耐震強度不足の建築物の存在も次々と明らかになっています。こうしたもとで、多くの国民は、我が家は大丈夫かと、みずからの住まいを初めとする建築物の安全性への不安を募らせています。建築行政に対する信頼が根本から揺らいでいるのであります。

 一九九八年に、規制緩和政策によって建築基準法を改悪し、建築確認検査を民間任せにし、チェック体制も整えないままコスト最優先の経済設計を可能にするなど、建築行政を安全よりも効率優先に変質させました。このことに対する真摯な反省がなければ、再発防止はもちろん、建築行政に対する国民の信頼回復はできません。

 政府は、耐震偽装事件の再発を防止し、建築物の安全性に対する国民の信頼を回復すると言いますが、今回の事件の背景をどう見るかについて、まず北側国土交通大臣の所見を求めます。

 我が党は、九八年の法改悪に反対しました。今回の建築基準法改正案の審議に当たって、再発防止に何が必要か、安全、安心の建築行政をつくるために提案を発表してきました。この提案の内容を示しながら、以下、法案について質問します。

 第一に、建築確認制度、検査機関の問題です。

 現行の民間検査機関が構造計算書の偽装を見抜けなかった要因に、建築主などの顧客獲得をねらって、検査を早く、安くする競争がありました。建築物の安全を審査することが目的である建築確認検査は、本来、公の責任で行うべきものであって、営利目的の競争とは相入れないものです。したがって、民間検査機関は非営利の法人に限るものとすべきであります。

 また、建築確認検査は、昨年六月の最高裁判決でも、民間の指定確認検査機関が行ったものも含めて地方公共団体の事務とされていることから、地方自治体がすべて責任を持つことを明確にする必要があります。そのため、民間検査機関は地方自治体からの委託に基づいて検査業務を行うことにする、確認申請は地方自治体が受け付け、必要に応じて審査を民間検査機関に委託する、確認済証などは地方自治体が責任を持って発行する、こういう仕組みに変えるべきではありませんか。

 地方自治体の検査体制の問題では、確認検査の民間開放以降、特定行政庁の建築主事の体制の弱体化が深刻になっています。同時に、構造計算プログラムを備えていなかったり、年々高度化している構造計算技術の向上に対応できる専門家がいなかったり、建築確認業務を遂行する体制が整っていません。まず、地方自治体の建築担当職員の増員を初め、必要な研修、教育体制の整備など、国の責任で行うべきです。答弁を求めます。

 第二に、建築基準法の耐震基準についてです。

 現行の建築基準法が定める耐震基準は最低限であり、不十分です。大規模地震において、損傷はするが完全には倒壊せず人命を保護できる、しかし、余震による倒壊の危険性や、居住が困難になるほどの大きな損傷を受けるという基準であり、住み続けることができるものではありません。東京都を初め多くの自治体が現行基準を一・二五倍に引き上げて行政指導している現状も踏まえ、建築基準法の耐震基準そのものを引き上げるべきです。

 第三に、建築士制度について聞きます。

 建築士の違法行為に対する罰則強化は当然です。同時に、建築士が、建築物の安全性を確保するための設計と工事監理など、本来の社会的責務を果たせるような条件をつくる必要があります。

 建設業者や売り主などとの従属的関係の是正、専門分野別の建築士制度の導入、工事監理業務の適正化など、早急に検討すべきです。また、設計料の安さによって競争することを禁止しているアメリカなどに倣い、建築士の報酬を適切なものにすることも検討すべきです。見解を求めます。

 なお、今回の法改正では、建築士制度の見直しは先送りされていますが、今後いつまでに、どのように見直すつもりなのか、はっきりとお答えください。

 第四に、住宅購入者など消費者保護の問題です。

 耐震強度を初めとした建築物の安全性に関する情報、瑕疵担保責任の履行が可能かどうかなど供給サイドの信頼性にかかわる情報の開示を徹底することが必要です。今回の法案では、この点の情報開示をどのように強化しているのか、具体的にお示しいただきたい。

 加えて、販売価格については、初期の取得費用だけではなく、耐久年数、維持管理コストなどトータルコストの試算も開示するライフサイクルコストの考え方に基づく情報開示を検討すべきではありませんか。

 また、今回の事件では、売り主に賠償能力がないため、瑕疵担保責任が履行されないなど、深刻な事態が起きています。こうした事態を改善するため、売り主や設計、施工会社などに瑕疵担保責任保険への加入を義務づけることなど、瑕疵補償制度の改善充実を図ることは喫緊の課題であります。いつまでに、どのように対策を講じるのか、答弁を求めます。

 第五に、コスト削減競争について聞きます。

 今回の事件の背景に、安全をないがしろにしたコスト削減競争があったことは明白です。国民の安全を守る行政としては、これをチェックし、行き過ぎた競争に歯どめをかける必要がありました。

 ところが、これまで政府が推し進めてきたのは、アメリカと日本の財界の圧力にこたえて、住宅建設コスト低減のための緊急重点計画など住宅分野の規制緩和でした。市場に、安全をないがしろにする安上がり競争を助長したと言わざるを得ません。これを反省し、本来の、国民の安全を守るため、ダンピングを含む過当なコスト削減競争にメスを入れるべきだと考えます。

 また、建設会社、設計会社などの下請業者への丸投げの禁止を徹底することを初め、建設業法による下請保護、独占禁止法の遵守によって、不当な買いたたき、低価格発注をやめさせるために監督指導を強化することこそ、一連の耐震強度偽装事件を踏まえた政府のとるべき対策ではありませんか。答弁を求めます。

 最後に、偽装マンションを購入した被害者の救済問題です。まさに待ったなしの課題です。

 被害者には何の罪も責任もありません。にもかかわらず、いまだに解決のめどが立たないまま、時だけが過ぎています。多くの被害住民は、一世帯当たり平均二千万円を超える経済的負担を強いられている、精神的、肉体的、金銭的負担を背負ったまま、包括的な支援もなく、建てかえを進めることは困難だと訴えています。国の救済スキームが極めて非現実的なものであることを示しています。

 解決に当たって最大のネックは、二重ローン問題です。被害者住民が個人で銀行と交渉することは困難であることから、一、住民の既往ローンの債務軽減のために銀行等と交渉すること、二、販売会社など加害者に損害賠償責任を果たさせること、三、銀行や不動産関係業界などから基金等を募り、被害住民の債務返済に充てるなど、国が解決に責任を持つスキームに改め、被害者の切実な声にこたえるべきではありませんか。

 明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

国務大臣(北側一雄君) 穀田議員から十一問、御質問をちょうだいいたしました。

 平成十年の建築基準法改正に関する見解についてお尋ねがございました。

 同年の建築基準法改正により措置されました建築確認検査制度の民間開放につきましては、阪神・淡路大震災を教訓として制度の充実、効率化を図るため、地方公共団体が行ってまいりました確認検査事務について、必要な審査能力を有する公正中立な民間の機関においても行うことができることとしたものでございます。民間開放の進展によりまして、建物完成後の完了検査率が倍増し、違反建築物件数が大幅に減少するなど、制度の実効性が確実に向上しており、民間にできることは民間にという方向は間違っていないものと考えております。

 しかしながら、今回、一部の地方公共団体や民間検査機関において書類の偽装を見抜くことができなかったことから、再発防止に向けまして制度の抜本的な見直しが必要と考え、早急に対応すべきものについて建築基準法等の改正案を提出させていただいたところでございます。

 民間の指定確認検査機関のあり方についてお尋ねがございました。

 建築確認検査制度の民間開放は、阪神・淡路大震災を教訓として制度の充実、効率化を図るため、地方公共団体と同等の、必要な審査能力を有する公正中立な民間の機関においても行うことができることとしたものでございます。必要な要件を満たしていれば、非営利の法人に限る必要はないと考えております。民間開放の進展により、完了検査率の倍増、違反建築物件数の減少など、建築行政全体として実効性は確実に向上していることから、この方向は間違っていないものと考えております。

 このため、改正案におきましては、基本的に現行の枠組みを維持しつつ、今回の事件を踏まえ、確認検査がより的確に行われるよう、指定要件の強化や特定行政庁の民間検査機関に対する指導監督権限の強化を図ることとしております。

 地方自治体における確認検査体制の強化についてお尋ねがございました。

 今回、指定確認検査機関のみならず一部の特定行政庁においても偽装の見過ごしがあったことから、建築担当職員の増員、その資質の向上のための研修の充実強化など、建築確認も含めた建築行政全般についてさらなる体制強化を図る必要があると考えております。

 建築基準法の耐震基準の引き上げについてお尋ねがございました。

 建築基準法における現行の耐震基準は昭和五十六年に改正されており、中規模の地震に対してはほとんど損傷を生じず、極めてまれにしか発生しない大規模の地震に対しては、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないことを目標としております。

 阪神・淡路大震災等の近年の地震において、倒壊、大破等の甚大な被害を受けた建築物のほとんどが、現行の耐震基準が施行される昭和五十六年以前に建築されたものであり、昭和五十七年以降に建築されたものには大きな被害を受けたものは少なかったことから、現行の耐震基準はおおむね妥当なものと考えております。

 建築士制度の検討課題についてお尋ねがございました。

 建築士制度の見直しにつきましては、社会資本整備審議会建築分科会において取りまとめられました中間報告におきまして、引き続き検討すべき事項として、専門分野別の建築士制度の導入、建築士の資質、能力の向上、工事監理業務の適正化、報酬基準の見直し等の検討課題が挙げられております。

 建築士制度の見直し時期につきましては、社会資本整備審議会建築分科会において引き続き現在御審議をいただいておりますが、夏ごろまでには方針を取りまとめていただき、それを踏まえて所要の改正措置を講ずる方針であります。

 消費者保護のための情報開示の強化についてお尋ねがございました。

 今回の改正案におきましては、保険加入の有無などについての説明の義務づけ、建築士事務所に所属するすべての建築士の氏名、業務実績等の閲覧対象への追加、処分を受けた建築士の氏名等の公表などの措置を講じておりまして、消費者保護のための情報開示の徹底を図ってまいります。

 ライフサイクルコストの考え方に基づく情報開示についてお尋ねがございました。

 長期的に耐用可能となる良質な建築物を建設し、それを大切に長く使用することは、我が国の建築行政において重要な課題と認識をしております。建築物の耐久性を高める上で、耐久年数、維持管理コストなどライフサイクルコストを考えることは大きな意義を有していると考えております。こうした考え方について国民の御理解が進むよう、的確な周知に努めてまいります。

 また、住宅性能表示制度におきましては、耐久性の観点から、劣化を軽減するための対策の程度や地震に対する安全性の程度を評価しておりまして、引き続きその普及に努めてまいります。

 瑕疵担保責任保険などに関する考え方についてお尋ねがございました。

 本法案におきましては、住宅の売り主等に対して、保険への加入の有無など瑕疵担保責任の履行に関する情報の開示を義務づけることとしております。

 情報の開示からさらに進んで、保険への加入など瑕疵担保責任の履行確保措置を義務づけることにつきましては、被害者救済に必要な保険金の支払いが安定的に確保されるのかどうか、多くの課題が存するところでございます。このため、各方面から御意見を広く伺い、検討を進めるため、有識者の参画を得て、住宅瑕疵担保責任研究会を設置し、四月十八日に第一回の研究会を開催したところでございます。今後、関係機関とも連携を図りながら、夏ごろまでには基本的な方向性を取りまとめたいと考えております。

 建設会社、設計会社における丸投げの禁止の徹底等、監督指導の強化についてお尋ねがございました。

 建設業におけるいわゆる丸投げは、施工の責任関係を不明確にし、工事の質の低下、労働条件の悪化等につながることから、公共工事については法律により禁止をされており、民間工事についても原則禁止をされているところでございます。

 国土交通省では、違法な丸投げや下請業者への一方的なしわ寄せ等を防止する観点から、毎年度、下請代金の支払い状況につきまして書面調査、立入検査を行い、必要な場合には建設業法に基づき勧告、監督処分等の措置を講ずることとしております。

 さらに、建築士事務所の行う設計業務における元請、下請関係の適正化については、社会資本整備審議会において引き続き検討すべき事項とされております。夏ごろまでには方針を取りまとめていただき、国土交通省としては、それを踏まえて所要の見直しを行ってまいります。

 危険な分譲マンションに対する支援スキームについてお尋ねがございました。

 今回の事案に関し、最も緊急を要する課題は、危険な分譲マンション居住者の安全と居住の安定の確保でございます。このため、国と地方公共団体が連携をしまして、相談、移転から取り壊し、建てかえまでの支援策をパッケージで提示をいたしました。

 この結果、これまで、居住者の皆様の約九五%の退去が進むとともに、建てかえが必要なマンション十一棟のうち一棟で除却工事が開始をされました。また、六地区で建てかえ推進決議がされたところでございます。

 引き続き、地方公共団体と緊密に連携をしまして、居住者の安全と居住の安定の確保に最大限の努力をしてまいります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣    谷垣 禎一君

       国土交通大臣  北側 一雄君

       国務大臣    猪口 邦子君

 出席副大臣

       国土交通副大臣 江崎 鐵磨君


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