衆議院

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第29号 平成18年5月11日(木曜日)

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平成十八年五月十一日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十二号

  平成十八年五月十一日

    午後一時開議

 第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)

 第四 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)

 第五 海上物流の基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 教育基本法案を審査するため委員四十五人よりなる教育基本法に関する特別委員会を設置するの件(議長発議)

 日程第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)

 日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)

 日程第五 海上物流の基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 麻生外務大臣の日米安全保障協議委員会出席報告

 額賀国務大臣の在日米軍再編に係る日米協議に関する報告

 両国務大臣の発言に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 特別委員会設置の件

議長(河野洋平君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。

 教育基本法案を審査するため委員四十五人よりなる教育基本法に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、そのとおり決まりました。

 ただいま議決されました特別委員会の委員は追って指名いたします。

     ――――◇―――――

 日程第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長中谷元君。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔中谷元君登壇〕

中谷元君 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、地方制度調査会の答申を踏まえ、地方公共団体の自主性、自律性の拡大等のため、副知事及び助役制度並びに出納長及び収入役制度の見直し、財務に関する制度の見直し等の措置を講ずるとともに、議員の複数の常任委員会への所属制限の廃止等議会制度の充実を図り、あわせて中核市の指定要件の緩和、長または議長の全国的連合組織に対する情報提供制度の創設等の措置を講ずるほか、所要の規定の整備を行おうとするものであります。

 本案は、去る四月十九日本委員会に付託され、同月二十日竹中総務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。同月二十五日及び五月九日質疑を行い、これを終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長木村隆秀君。

    ―――――――――――――

 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔木村隆秀君登壇〕

木村隆秀君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における業務用冷凍空調機器に使用されているフロン類の回収をめぐる状況にかんがみ、当該フロン類の回収及び破壊の適正かつ確実な実施を確保するため、業務用冷凍空調機器の整備が行われる際のフロン類の回収を強化するための措置、業務用冷凍空調機器の廃棄等が行われる際のフロン類のフロン類回収業者への引き渡しの委託等を書面で管理するための措置等について定めるものであります。

 本案は、去る三月三十日本委員会に付託され、四月二十八日に小池環境大臣から提案理由の説明を聴取し、五月九日に質疑を行いました。同日質疑を終局した後、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)

 日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)

議長(河野洋平君) 日程第三、所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件、日程第四、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長原田義昭君。

    ―――――――――――――

 所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔原田義昭君登壇〕

原田義昭君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、日英租税条約について申し上げます。

 昭和四十五年に締結された現行条約が、締結以来、相当年を経ていることから、これにかわる新たな租税条約を締結するため、日英両政府は、平成十六年以来交渉を行ってまいりました。その結果、条約案文について合意を見るに至ったので、本年二月二日、ロンドンにおいて本条約の署名が行われました。

 本条約は、所得及び譲渡収益に対する国際的な二重課税を回避し、及び脱税の防止を目的としたもので、日英間の経済的交流、人的交流等の一層の促進を図るために、投資所得に対する源泉地国における税率の上限を全体的に引き下げるとともに、一定の親子関係にある会社間の配当、一定の金融機関が受け取る利子及び使用料を免税とする措置、また、条約の特典の濫用を防止するための措置等について定めております。

 次に、日印租税条約改正議定書について申し上げます。

 平成元年に締結された現行条約が、締結以来、十五年以上が経過していることから、同条約の見直しのため、日印両政府は、平成十七年二月以来交渉を行ってまいりました。その結果、議定書の案文について合意を見るに至ったので、本年二月二十四日、東京において本議定書の署名が行われました。

 本議定書は、現行条約の内容を部分的に新しくするもので、日印間の経済的、人的交流等の一層の促進を図るために、投資所得に対する源泉地国における税率の上限を引き下げること及びみなし外国税額控除の廃止について定めております。

 両件は、去る四月七日に参議院より送付され、二十七日外務委員会に付託されたものであります。

 外務委員会におきましては、二十八日麻生外務大臣から提案理由の説明を聴取し、五月十日質疑を行い、討論を行った後、採決を行いました結果、両件は賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第でございます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 両件を一括して採決いたします。

 両件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第五 海上物流の基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(河野洋平君) 日程第五、海上物流の基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長林幹雄君。

    ―――――――――――――

 海上物流の基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔林幹雄君登壇〕

林幹雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、海上物流の基盤強化を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、港湾における物流拠点機能の強化を図るため、埠頭の近傍における荷さばき施設の整備を国からの無利子貸し付けの対象に追加すること、

 第二に、国の指定を受けて特定外貿埠頭の管理運営を行う者を財団法人から株式会社に変更するとともに、管理運営主体に対する規制緩和を行うこと、

 第三に、水先人の資格要件の緩和、免許更新時の講習の義務づけ、料金規制の緩和等を行うこと、

 第四に、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構について、海運の効率化に資する高度船舶技術の実用化を支援する業務の追加等を行うこと

などであります。

 本案は、参議院先議に係るもので、去る五月八日に本委員会に付託され、九日北側国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十日質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決いたしました結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 国務大臣の発言(日米安全保障協議委員会出席報告)

 国務大臣の発言(在日米軍再編に係る日米協議に関する報告)

議長(河野洋平君) 外務大臣から、日米安全保障協議委員会出席報告について、額賀国務大臣から、在日米軍再編に係る日米協議に関する報告について発言を求められております。順次これを許します。外務大臣麻生太郎君。

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 去る五月一日に米国ワシントンDCにて開催された日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2について御報告をさせていただきます。

 今般の2プラス2には、日本側より私と額賀防衛庁長官が、米側よりライス国務長官とラムズフェルド国防長官が出席をしております。

 会合では、日米同盟が日本及びアジア太平洋地域の平和と安定に不可欠な基盤をなしており、グローバルな問題に対処する上でもますます重要になっていることを改めて確認しております。

 世界及び地域の情勢に関しても意見交換を行いました。その中で、イラクの復興及び民主化、アフガニスタンにおけるテロとの闘いについて、国際協力の重要性を確認しております。その際、米側より、自衛隊の派遣などの日本の支援に対する感謝の意が示されました。また、イランの核問題の外交的解決に向け、イランに対してウラン濃縮活動の停止を求めるなど、IAEA及び国連安保理を通じた国際協力の重要性を確認しました。

 北朝鮮につきましては、六者会合における共同声明の実施が重要であることを確認し、米側より、拉致問題を初めとする北朝鮮の人権問題に高い関心を有しているとの発言がありました。なお、当方より、拉致被害者家族の訪米に当たり、ブッシュ大統領を初め米側関係者の対応に謝意を表明しております。

 中国につきましては、軍事費増大に係る透明性が重要であることや、国際社会における責任ある利害関係者としての役割が期待されるとの認識を確認しました。

 さらに、今般の2プラス2においては、昨年十月の2プラス2で発表いたしました在日米軍の兵力態勢再編案について、その実施のための具体的計画を閣僚レベルで承認いたしました。この計画は、抑止力を維持しつつ、地元負担の軽減を実現する具体的道筋を描くものであり、今日の安全保障環境において日米安全保障体制を一層強化する上で、極めて大きな意義を有すると認識いたしております。

 今回のいわゆる最終取りまとめによって、兵力態勢再編に関する日米間の協議自体は一つの区切りがついた形になりますが、今回の会合後発表した共同発表文にもあるとおり、今後、この再編の計画や、計画検討作業などの役割、任務、能力に係る取り組みを着実に実施していくことが極めて重要であろうと存じます。

 政府としても、今後とも、これらの取り組みの意義について、国会での審議などを通じ、国民の皆様にしっかりと御説明をしていくとともに、関係省庁間で連携しながら、着実な実施に努めてまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 国務大臣額賀福志郎君。

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 私は、四月三十日から五月三日まで米国のワシントンを訪問し、五月一日、日米安全保障協議委員会において、麻生外務大臣とともに、ラムズフェルド国防長官及びライス国務長官と協議を行いました。また、五月三日、ラムズフェルド国防長官と協議を行いました。

 日米安全保障協議委員会におきましては、国際情勢、日米同盟の変革と再編、イラク人道復興支援を議題として意見交換を行いました。私からは、在日米軍再編の確実な実現に向けまして、地元との調整を含め、しっかりと責任を果たしていく考えである旨伝えました。また、イラクにおける自衛隊の活動につきまして、イラクが民主国家として自立することは、中東地域のみならず世界の安定に極めて重要であり、国際社会が協調してイラクを支援することが必要であることから、引き続き日米英豪の関係国間で緊密に連携していきたい旨を発言いたしました。

 日米安全保障協議委員会の共同発表におきましては、安全保障環境が変化していく中で、日米両国間で、弾道ミサイル防衛、両国間の計画検討作業、情報協力や国際平和協力活動等の分野で、二国間の安全保障、防衛協力の実効性を強化し改善することの必要性や、自衛隊と米軍の相互運用性を向上することの重要性を確認したのであります。

 また、在日米軍の再編につきまして、日米安全保障協議委員会として、再編実施のための日米のロードマップに記されております、いわゆる二〇〇五年十月の日米安全保障協議委員会における再編案の実施の詳細を承認したのであります。

 本再編案は、二〇〇五年十月二十九日の「日米同盟 未来のための変革と再編」における在日米軍及び関連する自衛隊の再編に関する具体的な計画の作成が完了したため、取りまとめられたものであります。個別の再編を実施することによりまして、同盟関係にとって死活的に重要な在日米軍のプレゼンスが確保されることとなります。日米両国政府は、再編に関する費用を、地元の負担を軽減しつつ抑止力を維持するという、二〇〇五年十月二十九日の日米安全保障協議委員会文書におけるコミットメントに従って負担をいたします。

 実施に関する個別の合意事項といたしましては、第一に、沖縄における再編があります。

 普天間飛行場代替施設につきましては、二〇一四年までの完成を目標とし、辺野古崎とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置し、V字形に配置することで合意をしたのであります。普天間飛行場の能力代替として新田原、築城両飛行場が緊急時に使用されます。

 また、在沖米海兵隊のグアム移転に関しましては、約八千名の第三海兵機動展開部隊の要員とその家族約九千名を、二〇一四年までに沖縄からグアムに移転いたします。第三海兵機動展開部隊のグアムへの移転のための施設及びインフラの整備費算定額百二・七億ドルのうち、日本は、これらの兵力の移転が早期に実現されることへの沖縄住民の強い希望を認識しつつ、これらの兵力の移転が可能となるように、グアムにおける施設及びインフラ整備のため、二十八億ドルの直接的な財政支援を含め六十・九億ドルを提供いたします。

 さらに、嘉手納飛行場以南の相当規模の土地の返還が可能となりました。日米両政府は、二〇〇七年三月までに、統合のための詳細な計画を作成し、本計画において、キャンプ桑江、普天間飛行場、牧港補給地区、那覇港湾施設、陸軍貯油施設第一桑江タンク・ファームについては全面返還が、キャンプ瑞慶覧においては部分的な返還が検討されます。また、キャンプ・ハンセンは陸上自衛隊の訓練に使用され、航空自衛隊は、地元への騒音の影響を考慮しつつ、米軍との共同訓練のために嘉手納飛行場を使用いたします。

 第二といたしましては、米陸軍司令部能力の改善であります。

 キャンプ座間の米陸軍司令部は二〇〇八米会計年度までに改編をされ、その後、陸上自衛隊中央即応集団司令部が二〇一二年度までにキャンプ座間に移転をいたします。この改編に関連をいたしまして、キャンプ座間及び相模総合補給廠の一部が日本国政府に返還されます。

 第三は、横田飛行場及び空域に関してであります。

 航空自衛隊航空総隊司令部及び関連部隊は二〇一〇年度、横田飛行場に移転します。また、横田空域の一部管制業務の日本側への返還がなされる一方で、関連空域の再編成等の包括的検討の一環として、横田空域全体についてあり得べき返還に必要な条件の検討等の措置をとることが追求されます。

 第四点目として、厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐であります。

 第五空母航空団の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐は二〇一四年までに完了し、海上自衛隊EP3、OP3、UP3飛行隊等の岩国飛行場からの移駐を受け入れるため必要な施設を整備します。また、普天間飛行場に所在するKC130飛行隊は岩国飛行場を拠点とすることとなりますけれども、訓練等は鹿屋基地及びグアムに定期的にローテーションで展開することとし、岩国飛行場に所在する海兵隊CH53Dヘリをグアムに移転することとしております。

 第五点目は、ミサイル防衛に関してであります。

 ミサイル防衛に関しましては、それぞれの弾道ミサイル防衛能力を向上させることに応じて緊密な連携が継続されます。また、新たな米軍のXバンド・レーダー・システムの最適な展開地として航空自衛隊車力分屯基地を選定し、本年夏までに、必要な措置や米側の資金負担による施設改修が行われます。さらに、米軍のパトリオットPAC3能力が日本における既存の米軍施設・区域に展開され、可能な限り早い時期に運用可能となります。

 最後の点は、訓練移転についてであります。

 当分の間、嘉手納飛行場、三沢飛行場及び岩国飛行場の三つの米軍施設からの航空機が、航空自衛隊千歳基地、三沢基地、百里基地、小松基地、築城基地、新田原基地を拠点として行われる移転訓練に参加をいたします。また、日米両政府は、共同訓練に関する年間計画を作成してまいります。さらに、共同使用の条件が日米合同委員会合意で定められている自衛隊施設につきましては、共同訓練の回数に関する制限を撤廃いたしますけれども、各自衛隊施設の共同使用の合計日数及び一回の訓練の期間に関する制限は維持されるのであります。

 以上が、再編実施のための日米のロードマップに記されております在日米軍再編案の実施の詳細であります。

 また、ラムズフェルド国防長官との協議におきましては、米軍再編、イラク人道復興支援等につきまして、率直に意見の交換を行いました。

 米軍再編につきましては、日米安全保障協議委員会において、米軍再編について最終取りまとめがなされたことを受けまして、今後、着実に実施していくことにつきラムズフェルド国防長官と認識が一致し、また私より、一九九六年の日米安保共同宣言発出後、当時予想していなかった事象が次々に起こっていることを指摘しつつ、日米防衛・安全保障協力の大きな目的、理念を示すことが重要であることを指摘いたしました。

 イラクにおける今後の自衛隊の活動につきましては、イラク全般の政治プロセスの進展状況、治安権限委譲の状況等を踏まえて考えていく旨を発言いたしました。

 今後、米軍再編につきましては、今般の日米安全保障協議委員会における合意を実現していくことが課題となります。また、日米安全保障協議委員会の共同発表に示されているように、変化する安全保障環境において、確固たる同盟関係を確保するとともに、さまざまな課題に対応するよう同盟の能力を向上するため、日米安全保障・防衛協力のあり方といった点を含め、政府全体としてしっかりと検討していくことが必要となると考えます。関係各位の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。

 以上であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 国務大臣の発言(日米安全保障協議委員会出席報告及び在日米軍再編に係る日米協議に関する報告)に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。寺田稔君。

    〔寺田稔君登壇〕

寺田稔君 自由民主党の寺田稔でございます。

 私は、自民党を代表いたしまして、ただいま議題になりました日米安全保障協議委員会、2プラス2の報告につきまして、総理大臣、外務大臣、そしてまた防衛庁長官に対して質問をさせていただきます。(拍手)

 さて、我が国は、時あたかも、今から五十五年前の昭和二十六年にサンフランシスコ講和条約に調印をいたしますとともに、同時に日米安全保障条約に署名をし、我が国におきます米軍の駐留を前提といたしました日米同盟関係を我が国の安全保障政策の柱として選択いたしました。私は、その選択は極めて正しいものであったし、現在においてもその妥当性を有しているものと確信いたしております。(拍手)

 それ以降、我が国は、我が国の平和と安全を確保しますため、自衛のために必要な最小限度において節度ある防衛力の整備に努めますとともに、自由を尊重し、そして民主主義を愛する自由主義国家として発展をしてまいりました。そして、今日に至りますまで、米軍は、安保条約第六条に基づきまして我が国に駐留をし、我が国の安全及び極東地域の平和の維持のために貢献をいたしております。

 そこで、まず冒頭、総理にお伺いをいたしますが、米軍が我が国に駐留をいたします意義、そしてまた在日米軍の役割、そしてまたさらに、RMAと呼ばれます、軍事におけます技術革命を経た後のトランスフォーメーションを経た米国の軍事変革につき、どのように御認識をされているのか、総理の基本認識をお伺いいたします。

 さて、冷戦の終結とベルリンの壁の崩壊後におきましても、地域紛争が多発をいたしております。またさらに、五年前の九・一一テロ以降、テロとのグローバルな闘いが国際社会の大きな重要課題となっております。そうした点に加えまして、我々日本が属しておりますアジア地域においては、北朝鮮の核の問題、そしてまたミサイルの問題、さらには中国の軍備増強の問題、これらの問題が存在をいたしております。

 このような近時の情勢を踏まえまして、昨年の二月、2プラス2が開催をされまして、大量破壊兵器の拡散の防止と、そしてアジア地域におけます平和と安定への取り組みが共通戦略目標として日米間で合意をされたわけでございます。そして、それを受けまして、昨年の十月の2プラス2におきましては、共同文書が発出をされまして、弾道ミサイル防衛、そして国際平和協力活動といった分野で日米間の安全保障協力の実効性を強化する必要性につきまして合意がなされました。そうした合意を踏まえまして、半年間、米軍再編の協議が精力的になされ、今回の合意に立ち至ったわけでございます。

 今回の合意は、抑止力の維持と地元負担の軽減という、一見相反する二つの命題を見事に克服したものでございます。

 そこで、まず、第一の命題の抑止力の維持につきましてお伺いをいたします。

 世界におけます紛争多発地帯として認識をされておりますのが、中東からアジアに至りますまでのいわゆる不安定の弧と言われているエリアでございます。そして、この不安定の弧の、我が国が属します東半分に属している地域、ここに着目をいたしますと、相手からの着上陸侵攻を阻止して、そして相手の第一撃をかわし、有効な抑止力と反撃能力を発揮し得る重要拠点基地、これが、インド洋のディエゴガルシアと、そしてまた、アンダーセン基地を中心といたします、グアムに存在をしております米軍基地であることは論をまたないわけでございます。

 そして、今回の合意では、七千名と言われました在沖海兵隊のグアム移転人員をさらに千名上積みいたしまして、八千名の海兵隊の削減、そして、家族も含めますと一万七千人の人員の移転が実現をすることになります。

 今回の米軍再編の目的の一つである抑止力の維持、これは、日米安保体制を効果的に機能させるためには必要不可欠であります。私としては、このような取り組みを高く評価いたしております。この日米安全保障体制によります抑止力は、これまで我が国の安全保障のために有効に機能をしてまいりました。仮にこれが万々が一損なわれるようなことがございますれば、我が国の安全、そしてアジア太平洋地域の安定を確保することは到底困難になるでありましょう。

 そこで、防衛庁長官にお伺いをいたしますが、今回の米軍再編に伴い、どのように抑止力が維持をされ、そして今後、抑止力維持のためいかなる施策を行っていかれるおつもりか、お伺いをいたします。

 また、今般の米軍再編は、朝鮮半島の情勢あるいは中国の軍備強化などの地域の安全保障環境を考えれば、その実現が極めて重要であります。米軍再編は、当然これらの地域情勢も踏まえた上で議論をされるべきものと考えますが、外務大臣は、現在の朝鮮半島におけます安全保障情勢、そして中国の情勢を一体どのように御認識をされておられるのか、お伺いをいたします。

 次に、もう一つの大きな命題であります地元負担の軽減についてお伺いをいたします。

 米軍の駐留は、基地の存在そのものやあるいは騒音等によりまして、基地周辺の住民の生活環境、自然環境に影響を与えております。特に沖縄におきましては、在日米軍基地の約七五%が集中をすることで、在日米軍基地によります負担が過重になっております。今後も日米安全保障体制を堅持し、安定的な米軍基地の使用を確保していきますためには、地元の負担をなるだけ軽減していくことが必要不可欠であるというふうに考えております。

 今回の米軍再編におきましては、地元負担軽減についていかなる基本方針のもとで検討がなされ、今後、具体的にいかなる関連諸事業が行われるのか、額賀防衛庁長官にお伺いをいたします。

 次に、米軍再編と関係地方公共団体との関係についてお伺いをいたします。

 関係地方公共団体の中には、これまでの政府の精力的な説明により、理解を示している自治体もあるのも事実でございますが、残念ながら、一部団体はまだ反対をしていることも事実であります。

 これまで政府は、米軍再編について、地元を初め国民の理解なくして実現をすることは困難であるというふうにしており、国民の理解と協力が得られるように誠心誠意説明をし続けるとしてきました。そして総理も、米軍再編について、地元の理解を得ながらその実現を図りたい旨発言をされておられます。政府においては、今後とも引き続き、関係いたします自治体へ十二分の説明を行っていくことが、今回の2プラス2の最終取りまとめの内容の実現のために重要であるというふうに考えております。

 今後、いかにして関係自治体を初めといたします国民の理解を得て基地再編を実現させていくお考えなのか、総理、外務大臣、そして防衛庁長官、それぞれの御決意のほどをお伺いいたします。

 最後に、経費負担についてお伺いをいたします。

 グアムへの海兵隊の移転経費を含めまして、今後の再編案の実施には相当額の経費を要するものと考えられます。特に、厳しい財政事情の中、また、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの回復を目指し財政構造改革を強力に進めます中で、納税者たる国民に説明責任を果たしていかなければ再編が実現しないものと思料をいたしますが、どのように説明責任を果たしていくお考えなのか額賀防衛庁長官にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 寺田議員に答弁いたします。

 在日米軍の意義、役割及び米軍の変革についてでございますが、アジア太平洋地域には、依然として不安定で不確実な状況が存在しております。在日米軍の抑止力は、我が国及び地域の平和と安定にとって不可欠な役割を果たしていると認識しております。また、米国が、新たな安全保障環境に最も適切に対処し得るよう、軍事技術の進展を活用しつつ軍事態勢を見直し、国際社会の平和と安定に一層資することは、我が国としても望ましいことであると考えております。

 地元の理解を得るための取り組みでございますが、米軍再編は、抑止力の維持、地元の負担軽減の観点から、ぜひとも実現すべき事案であります。政府としては、今後とも引き続き、地元の御理解と御協力を得るため、誠心誠意努力してまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 寺田先生から二問ちょうだいをしております。

 まず、朝鮮半島及び中国における安全保障情勢の認識に関するお尋ねがあっております。

 今月一日の日米安全保障協議会、通称2プラス2の共同発表にもありますとおり、アジア太平洋地域も、不透明性や不確実性を生み出す課題に引き続き直面をしております。朝鮮半島におきましては、北朝鮮の核開発、ミサイル開発、配備などは地域の安全保障における重大な不安定な要因となっており、また、中国につきましては、軍事力の近代化や年々増大する国防費につき、依然として不透明な点があると認識をいたしております。

 次に、在日米軍の兵力態勢の再編と地元への説明についてのお尋ねがあっております。

 今回の最終取りまとめに盛り込まれた在日米軍の兵力態勢の再編に係る案件は、これが実現すれば、在日米軍の抑止力を維持しながら、全体として在日米軍の施設・区域の周辺住民の方々の負担の軽減につながるものであります。

 在日米軍の兵力態勢再編については、地元住民を含め国民の理解なくして実行することは極めて困難。今回の最終取りまとめの意義や施策の内容につきましては、地元に対しましては可能な限り具体的な説明を行い、地元の御理解と御協力を得るべく、引き続き最大限の努力をしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 寺田議員にお答えをいたします。

 まず、今回の米軍再編に伴う抑止力の維持についてのお尋ねでございました。

 今回の再編案にある横田や座間での司令部の併置等々によりまして日米間の緊密な協力が促進されること、あるいはまた、共同訓練、情報の共有、運用の一体化等々できちっと抑止力の維持を図っていくことができると考えております。

 次に、地元負担軽減についてお尋ねがありました。

 今回、特に人口密集地における土地の返還、訓練移転による航空機騒音の軽減など、在日米軍の抑止力を維持しつつ、我が国全体として負担軽減を図ることといたしたのであります。また、再編を実施するに当たりましては、昨年十一月の閣議決定を踏まえまして、政府全体として、総合的な観点から今後必要な措置をとっていくことといたしております。

 次に、地元の理解を得るための今後の取り組みについてお尋ねがありました。

 米軍再編は、抑止力の維持、地元の負担軽減の観点から、ぜひとも実現しなければならない事案であると考えます。今後とも引き続き、地元の御理解と御協力を得るべく、誠心誠意御説明をしていきたいと思っております。

 先般の五月一日の2プラス2以降、即座に関係の市町村、知事さん等々には御説明に上がっているところであり、けさ、沖縄知事とは、今後、政府案を基本として普天間の代替施設の建設のために誠意を持って協議していくことで合意をしたところであります。今後も、各自治体に対しまして誠意を持って説明し、御理解を得る努力をしていきたいと思っております。

 最後に、米軍再編に伴う経費についてお尋ねがありました。

 米軍再編は、在日米軍の抑止力の維持と地元の負担軽減の観点から、政府としてぜひとも実現しなければならないことは、先ほども説明したとおりであります。これに伴う経費につきましては、厳しい財政事情を十分に踏まえながら、今後、米国との間で細部を調整し、我が国が負担すべき経費の内容の詳細を精査した上で、国民の皆さん方に説明できるように、関係省庁の間で調整をしてまいりたいというふうに思っております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 武正公一君。

    〔武正公一君登壇〕

武正公一君 民主党の武正公一です。

 民主党・無所属クラブを代表して、在沖縄米海兵隊グアム移転に関する等政府説明に対する質問を行います。(拍手)

 民主党は、日米同盟関係を我が国安全保障の基軸と位置づけております。地域の安定のかなめとして、日米同盟を有効に活用していくことが重要だと認識しています。同時に、過剰となっている日本側の基地負担を軽減することは、同盟関係を持続可能なものとするために政治が果たさなければならない重要な責務です。特に、在日米軍基地専用施設面積の七五%が集中している沖縄については、県民に過度の負担を強いている現状を重く受けとめ、一刻も早く負担軽減策を講じるべきです。

 かねてより、民主党は、在沖縄米軍基地の整理、統合、縮小、地元負担の軽減を求めて、二度にわたる、沖縄振興策を柱とする沖縄ビジョンを取りまとめ、発表してまいりました。また、政府・与党が運用改善でよいと主張し続ける日米地位協定の見直し、改定案を累次まとめ、発表してまいりました。

 このたびの在沖米軍のグアム移転は、米国が独自の軍事戦略に基づいて進めている世界戦略の一環であり、このことは、昨年五月の国防総省の非公開資料でも明らかになっています。ゆえに、日本側が基地負担軽減のために米側に要請したものでは必ずしもないと認識しています。本来は米本土に戻るのに、日本を守るためにグアムに移るなどというへ理屈を追認するべきではないのです。

 そもそも、政府は、米軍再編の全体像を把握していますか。また、在日米軍基地の再編に対し、日本の主体的な安全保障のあり方についての独自の基本計画がありますか。米軍再編と絡む問題として、米側から期限を切って迫られたために、何のビジョンも持たないまま、米側の言いなりに巨額の負担を受け入れたのが実情ではないでしょうか。(拍手)

 たった八千人の海兵隊員が沖縄から移転することを基地負担の軽減と殊さらに強調し、米側が法外な費用負担を求めてきたことは大変遺憾です。さらに、日本に米軍基地を置くことの地政学的、経済技術的な有用性や政治的安定性などの特質を十分にアピールすることもなく、厳しい財政状況の中で巨額の経費負担を押しつけられ、合意してきた政府の対応には、怒りすら覚えます。なぜ、日本がこのたびの移転費用を負担しなければいけないのか、明確な答弁を求めます。

 さらに、今回の米軍再編に伴って、他国においても米軍の国外移転がなされると承知していますが、日本のように移転費用を負担する国の例があればお示しください。一万二千五百名を削減する韓国を含め、具体的に総理に伺います。

 そして、この六十・九億ドルの負担をどういう法的枠組みで対応しようと総理はお考えですか。国民への説明責任から、国会に対する法案提出や協定承認の必要があると考えますが、総理のお考えを伺います。

 財務大臣には、財政法と国際協力銀行法の観点から、同様に考えを伺います。特に、SPC、特定目的会社への出資、融資を今後安易に多用しないように、歯どめが必要ではないでしょうか。

 外務大臣には、条約制定や取り決め締結の必要性について、同様にその考えを伺います。

 また、今回の2プラス2に先立って、四月二十五日、ローレス国防副次官の、日本側の総額負担は二百六十億ドル、約三兆円だろうとの発言には、極めて唖然といたしました。まず、この金額が、日本政府からではなく、唐突に米高官発言として報道で我が国に伝わってくる事実に大きな問題があります。特に、この日曜日のテレビのインタビューでは、日本側パートナーから得た数字と語っています。

 政府は、ローレス国防副次官の発言内容を事前に承知していたのですか。三兆円という規模の数字について、両国間で合意がなされているのですか。この発言の後、日本の閣僚からは、実は三兆円もかからないなど、てんでばらばらの発言が相次いでおります。こうした発言のもととなる協議を進めてきたのかどうか。実際に、在日米軍の再編に伴ってどのぐらいの費用負担が発生するのか、積算根拠を明確にお示しください。

 以上、総理に伺います。

 財務大臣には、八日の参議院行政改革特別委員会で、中期防にそのまま上乗せすることではいけないと述べていますが、その真意を御説明ください。中期防見直しの際、ミサイル防衛構想導入に伴い、陸上自衛隊隊員削減に財務省が走り、大騒ぎの轍がかいま見えるからでございます。

 既に、国防総省ローレス副次官に先立ち、防衛事務次官は二十四日の講演で、グアム移転経費を除き二兆円との発言を行っています。二兆、三兆と、豆腐を数えているのではありません。本省庁発注五百万円以上の全契約の七〇%から八〇%が随意契約であるような、見せかけにしろ、数合わせにしろ、小泉内閣五年間のやったふりの行政改革といいながら、さらに、政府提出、医療制度改革関連法案では二千五百億円の高齢者の負担増を課す一方、外交、防衛では、とりわけ米国政府との交渉では、この大盤振る舞いであります。

 この間、国会には十分な説明がされず、最終報告を迎えました。担当大臣は、協議中ですの一点張り。これで、政府は説明責任を果たしてきたと言えるのでしょうか。国会議員は報道でその交渉過程を知るという大変情けない事実がございます。国会の関与、すなわちシビリアンコントロールは果たせてきたとは言えません。

 在日米軍基地の移設について、受け入れ先である地元自治体、住民、はたまた国民の代表である国会の頭越しに行われたことは、全く許しがたいことです。政府は、米側との交渉を優先し、実際に基地を負っている地元自治体との話し合いをおろそかにしたまま、合意内容を押しつけようとしています。そのツケが、先般行われた岩国市の住民投票、岩国市や沖縄市の市長選において如実にあらわれたのではないでしょうか。政府が最初から、米側との交渉内容について地元に説明しないまま進めてきたために、全く理解が得られないのだと考えますが、地元への説明責任について、総理の認識をお伺いいたします。

 また、負担軽減と言いますが、二国間の安全保障、防衛協力の強化、改善を昨年二月の2プラス2共同発表以降、同盟の能力向上を昨年十月の2プラス2以降、今回もうたい、将来の共同訓練、演習のための自衛隊施設の使用拡大、共同使用の条件が合同委員会合意で定められている自衛隊施設については共同訓練回数の制限の撤廃を決めるなど、その負担はかえって拡散、拡大しているのではないでしょうか。

 さらに、「同盟関係における協力は新たな段階に入るもの」との「新たな段階」とは何を指すのか。

 以上、総理に伺います。

 そこで、防衛庁長官に伺います。

 三月末、総額九十八億ドルのグアム移転経費には、三億ドルの自衛隊隊舎もしくは宿舎の建設費が含まれていると報道されていました。協議では俎上に上がっていたのでしょうか。そうした計画があるのでしょうか。グアムでの戦闘機による共同訓練を行うのでしょうか。KC130飛行隊は、岩国を拠点としながら、定期的ローテーションで鹿屋、グアム基地に展開するとのことですが、これは面的な拡大を意味するのではないでしょうか。米軍のパトリオットPAC3は、既存の米軍施設・区域の何カ所に展開するのでしょうか。お答えください。

 総理、ミサイル防衛では、Xバンドレーダーでのデータを日本国政府と共有するとされております。バッジシステムの情報も共有するのでしょうか。自衛隊と米軍の相互運用性の向上をうたっていますが、日本の安全保障の主体性は情報面で確保できるのでしょうか。

 在日米陸軍司令部能力の改善について伺います。キャンプ座間の米陸軍司令部の改編は、米陸軍第一軍団司令部の一部移転を含んだユニット化であり、そのための施設整備の提供は、地位協定二十四条二項ののりを越えているものと考えるべきではないでしょうか。

 また、グアムへの移転に伴い、平成十八年度で二千三百二十五億円とされるいわゆる思いやり予算の削減をどう見積もっているのでしょうか。

 以上、防衛庁長官に伺います。

 思いやり予算では、この三月、期限を迎えた協定を二年延長する承認を国会も行いましたが、当初、二十四条一項から、光熱水料費、平成十八年度二百四十八億円の負担は見直すとの報道がありながら、見送られた経緯は、これからの米側の削減カードとしてとっておくためという指摘がありますが、外務大臣はこの指摘をどう受けとめますか。

 日米地位協定の改定について伺います。

 渉外知事県からの要望にもあった同協定の改定が最終合意に盛り込めなかったのは、極めて遺憾であります。一昨年八月十三日、沖縄国際大学米軍ヘリ墜落後、ちょうど十六日夕方、現場に着いた私の目の前で、後部ローターと胴体を結ぶ機体の撤去が米軍により行われていました。沖縄県警は遠巻きにして見るしかありません。地位協定十七条三項により、第一次裁判管轄権が米側にあるとされているからです。このときも、米側から日本側への事故通報がおくれました。九六年のSACO最終合意では、事故通報の適時確保努力、これを運用改善するとされていますが、結局、このありさまであります。

 改正ボン協定では、例えば、日米地位協定にはない低空飛行禁止が盛り込まれています。同盟関係における協力が新たな段階に入り、全国の米軍基地、自衛隊基地での米軍の展開の拡大が合意された今、負担軽減は地位協定改定がなければ画竜点睛を欠き、このことは沖縄のみならず全国共通と考えますが、総理の御所見を伺います。(拍手)

 また、米軍再編に伴う日本側の負担経費に係る財源をどこから出すのかなど、問題は多々あります。これだけの大事を国内で議論することなく米側と合意してきた政府のやり方について、改めて強く抗議をし、猛省を促したいと思います。その上で、今後、国会において、十分な審議時間を確保し、納税者の視点とシビリアンコントロールを徹底する見地から、予算委員会、外務、安保、財務金融委員会による連合審査、担当常任委員会などでの徹底した同時並行の審議を行い、合意内容を厳しく精査し、つぶさに検証することが当然と考えますが、どうお考えでしょうか。政府としての説明責任をそうした丁寧な対応で果たすという決意を、以上、総理に伺います。

 北東アジアの軍拡競争は避けなければなりません。拉致事件、竹島領有権、東シナ海海洋権益、北方領土返還など、国民の生命財産を守り、領土、領海を守る主張を当然行うための外交チャネルを多角的に活用できたかどうか、小泉内閣五年の総括として今問われなければなりません。それがないために緊張関係が高まり、いたずらに安全保障コストがふえてはなりません。将来の批判にたえ得る外交、安全保障を行うためにも、政府の説明責任を回避させないためにも、外交文書の三十年公開ルールを履行することを強く求めます。

 民主党は、主体的に日本の外交、安全保障政策に向き合って取り組んでいくことを国民の皆様に述べて、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 武正議員に答弁いたします。

 米軍再編及び我が国の安全保障政策についてですが、世界規模での米軍再編については、米国との緊密な連携等を通じて、我が国としても適切に把握してきております。

 また、我が国は一昨年十二月に、我が国の安全保障と防衛力の考え方を定める防衛計画の大綱を策定いたしました。今回の日米外務・防衛担当閣僚において発表されたロードマップを含む米軍再編に関するこれまでの成果は、同大綱の考え方を踏まえ日米で取りまとめたものであり、経費負担を含め、アメリカ側の言いなりになっているといった指摘は当たりません。

 沖縄における米海兵隊のグアム移転経費の分担とそのための法的枠組みについてでございますが、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担をなるべく早期に軽減するため、我が国も応分の分担をすることといたしたところであります。また、経費の分担のための具体的な方法については、法整備の必要性も含め、政府部内で検討を進めてまいります。

 米軍移転経費を負担した前例に関するお尋ねでありますが、駐留米軍の国外への移転に際し、我が国以外の米国の同盟国がいかなる財政的支援を行ったかにつき、確実に知り得る立場にありませんが、これまで承知している範囲において、御指摘のような事例は把握しておりません。また、在韓米軍の再配置に当たっての韓国側の負担については、現段階では確定していないものと承知しております。

 米軍再編に伴う経費でございますが、政府としては、ローレス国防副次官の発言内容を事前に承知しておりません。在日米軍の再編に伴う措置については、費用面も含め、これまで日米間のさまざまなレベルで協議をしてきましたが、具体的な金額を我が国が負担することで合意したことはありません。所要経費は今後精査していくこととしており、総額が幾らになるのかについて、現時点では明確にお示しすることは困難であります。

 基地を抱える地元への説明責任でございますが、米軍再編は抑止力の維持、地元の負担軽減の観点から行っているものであり、政府としては、今後とも引き続き、地元の御理解と御協力を得るため、誠心誠意努力してまいります。

 負担は増加したのではないかとの御指摘ですが、今月一日に発表した再編実施のための日米のロードマップは、抑止力を維持しつつ、我が国全体として負担を軽減するために日米双方が合意したもので、政府は、ここに示された具体案を着実に実施してまいります。

 日米同盟の新たな段階に関するお尋ねですが、我が国外交の基軸である日米同盟は、新たな安全保障環境に協力して対応していく必要がありますが、このたびの再編案を着実に実施することにより同盟の能力が向上していくこととなります。日米同盟における協力関係が新たな段階に入るとは、まさにこのような趣旨を述べたものであります。

 ミサイル防衛に関し、バッジシステムの情報共有と情報面での安全保障の主体性確保でございますが、日米安保体制のもと、ミサイル防衛に万全を期すためには日米間における情報共有が重要であり、バッジシステムの情報を含め、情報共有の具体的なあり方については日米間で緊密に調整しているところであります。我が国がみずからの情報収集能力を整備していくことが日米間での情報共有を円滑に進めるために重要であり、日米間での情報共有や相互運用性を進める中でも情報面での主体性は確保されると考えております。

 日米地位協定につきましては、政府としては、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えのもとに、運用の改善に努力してきており、先般の日米外務・防衛担当閣僚会談におきましても、このための日米間の協力の重要性につき、閣僚レベルで確認しております。今後とも、目に見える運用改善の成果を積み上げていくよう努力してまいります。

 国会への説明についてでございますが、米軍再編について、日米関係を基軸として、抑止力を維持し、日本の安全を確保することがいかに重要であるか、沖縄等の基地負担を軽減することを国民全体の問題としていかに考えなければならないかということを、従来同様、国会の場において丁寧に説明してまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 武正先生から二問ちょうだいをいたしております。

 まず、グアム移転経費の日本側負担に係る枠組みについてのお尋ねがありました。

 この問題は、今後、我が国の支援に係る具体的なスキーム、枠組みなどについて、さらに詳細な検討をしていく必要があります。関係省庁と相談をしつつ、国際約束の締結の要否といった点を含めて整理をしてまいりたいと存じます。

 次に、在日米軍駐留経費負担についてお尋ねがありました。

 現時点では在日米軍再編の進展の結果を見きわめることは困難であるとの特殊な事情を踏まえて、先般発効いたしました新たな在日米軍駐留経費負担特別協定は、従来の五年間の協定から暫定的な二年間の協定としたところであります。

 在日米軍の兵力態勢の再編に係る費用面の影響につきましては、現時点で明快に述べることは困難であります。(拍手)

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 武正議員にお答えをいたします。

 まず、自衛隊の隊舎の建設費についてでございました。

 お尋ねの報道につきましては承知はしておりますけれども、先般の日米防衛首脳会談における合意内容にはお尋ねの経費は含まれておりません。また、合意に至るまでの具体的なやりとりあるいは合意内容に含まれていないものについて言及することは、差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、自衛隊の隊舎をグアムに建設する予定はありません。

 次に、KC130のローテーションについてお尋ねがありました。

 KC130の部隊は、SACO最終報告どおりに岩国に移駐するとの結論に至ったところであります。米空母艦載機等の移駐に伴う、岩国飛行場における運用の増大による影響を緩和するとの観点から、同部隊は、ローテーションで海自鹿屋基地やグアムに展開することとしたのであります。

 次に、米軍のPAC3の在日米軍基地への配備についてお尋ねがありました。

 米軍のパトリオットPAC3が何カ所の在日米軍基地に配備されるかを含め、その具体的な展開のあり方については、今後、日米間で検討していくことにしております。

 次に、キャンプ座間の米陸軍司令部の改編についてお尋ねがありました。

 在日米軍の使用する施設及び区域に係る費用については、日米地位協定第二十四条の規定に基づいて負担されるものであり、在日米陸軍司令部の改編に伴う訓練センターなどの費用については、日米両国政府の協議の結果、米国政府が負担する旨合意したところでございます。

 最後に、いわゆる思いやり予算についてでございます。

 在沖米海兵隊がグアムに実際に移転した場合に、在日米軍駐留経費負担にいかなる影響があるかについてでございますけれども、削減、再編された在沖米海兵隊部隊が具体的にいかなる形で沖縄に維持されるのか等について、まだ正確になっておりません。これを正確に把握した上で考えていくことが大事であり、現時点で明確に述べることは困難であります。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕

国務大臣(谷垣禎一君) 武正議員にお答えいたします。

 まず、米軍基地のグアム移転費用の負担の枠組みについてのお尋ねでございます。

 在日米軍の再編に関しましては、日米の防衛・外交当局の間で協議が進められ、先般、日米安全保障協議委員会における合意に至ったところでございますが、この再編に伴う米軍基地のグアム移転に関しましては、その具体的な内容が現在のところまだ未定でございます。お答えすることが困難でありますが、今後、その内容が明らかになった段階で、法制上の措置の要否を含め、検討してまいりたいと考えております。

 次に、米軍再編と中期防衛力整備計画の関係についてでございますが、在日米軍の再編の所要経費の見積もりについては、今後、最終取りまとめの合意内容を踏まえて精査が進められることとなっておりまして、現段階では確定していないものと承知しております。

 このため、在日米軍再編のために必要となる経費の取り扱いにつき、現段階で予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきますが、現下の厳しい財政状況のもとでは、既存の防衛関係費についても一層の効率化、合理化を図り、米軍再編に要する経費がそのまま現在の中期防衛力整備計画に上乗せにならないようにする必要があると考えており、先般の衆議院行政改革特別委員会においては、その旨答弁申し上げたところでございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 佐藤茂樹君。

    〔佐藤茂樹君登壇〕

佐藤茂樹君 公明党の佐藤茂樹でございます。

 私は、公明党を代表して、在日米軍再編協議に関する報告につきまして質問をさせていただきます。(拍手)

 まず、今回の在日米軍の再編に関して、抑止力の維持と地元の負担軽減の観点から進められてきた協議が、日米両政府で合意に至ったことはまことに意義深いことであり、特に海兵隊のグアム移転など、沖縄県民の負担軽減に向けた道筋をつけたことは一定の成果であると評価をしたいと思います。

 しかし、最終報告の発表は、在日米軍再編の終着点ではなく、あくまでも出発点であります。政府の真価が本当に問われるのは、米国との合意を実施に移していく今後の過程であり、円滑に合意事項を達成するためには、政府が国民に対する説明責任を十二分に果たすことが不可欠であると考えます。

 そのような観点から、大きく十問、質問をさせていただきます。

 まず最初に、今回の2プラス2の共同発表において、「再編案の実施により、同盟関係における協力は新たな段階に入る」とありますが、在日米軍再編で日米同盟の協力が新たな段階に入るということは、具体的に何を意味するのか、そして日本の役割はどのように変化するのか、外務大臣に御答弁いただきたい。

 二点目に、外務省、防衛庁の2プラス2の概要には、閣僚は「グローバルな問題に対処する上でも「世界の中の日米同盟」がますます重要となっていることを確認」したとあります。この重要性が確認された世界の中の日米同盟とはどういう考え方なのか、明らかにしておく必要があると思います。

 もともと日米同盟は、日米安全保障条約に基づく日米安全保障体制を基盤とした同盟関係であり、特に米軍や自衛隊という実力組織を使う適用範囲において一定の枠があったはずであります。世界の中の日米同盟という言葉からは、この一定の枠を外れて、世界じゅういろんなところで、日米同盟という名のもとに何でも際限なくやっていくのかという懸念や、さらには、自衛隊と米軍の連携する場面が広がることで、米国の戦争に自衛隊が巻き込まれるのではないかという懸念も国民の一部に生じています。政府は、世界の中の日米同盟のもとでの協力を際限なくやらないためのどのような歯どめを考えているのか、明確にする必要があると考えます。

 二〇〇三年五月の日米首脳会談でこの言葉を発信し、その後、折あるごとによく使っておられる小泉総理に、世界の中の日米同盟とはどういうことなのか、誤解を招かないような明快な御説明をお願いしたい。

 三点目に、小泉総理は、外務大臣、防衛庁長官と協議し、六月に予定する日米首脳会談で、今回の最終合意の意義を世界に向けてアピールしていく方向で米側と調整を進める方針を確認したと報道されています。記者団にも、ブッシュ大統領との会談では私の考えをしっかり述べたいと表明されたそうであります。

 新たな日米同盟のあり方を内外に示し、国民にも近隣諸国にも懸念を与えないようにすることは、極めて大事な政治の責任であります。小泉総理は、在日米軍再編の最終合意の意義をどのようにとらえ、日米首脳会談でいかなる政治的メッセージを発しようと考えておられるのか、伺いたい。

 四点目に、在日米軍再編に関する日本側の財政負担についてお聞きします。

 報道各紙では、四月二十五日、ローレス国防副次官の、日本側負担は総額で約三兆円になるとの趣旨の発言が大きく取り上げられました。三兆円という数字が今でもひとり歩きしており、日本政府に対する国民の不信感を生んでしまっているような状況があります。

 その点について、先日五月二日、ローレス国防副次官は、訪米していた私どもに、その発言については細かく積み上げた数字ではないと述べ、金額の積算根拠は不十分であることを認められました。また、海兵隊のグアム移転の経費のことばかり言われるが、再編に伴う日本側の負担は米国よりもっと重いことを示したかったという趣旨の話をされました。

 いずれにしましても、日本政府として、はっきりとした数字を示すことはできないとしても、今この時点でおおよその数字を示すことが、税金を負担する国民によるこの再編への理解を得るための第一歩であるのではないかと考えますが、我が国の経費負担の総額について、どの程度になると見込まれているのか、防衛庁長官に御説明いただきたい。(拍手)

 今回合意されたグアム移転経費の日本側負担だけでもかなり高額であり、それに他の施設の経費を考慮すると、我が国の経費負担の総額は、毎年度の防衛予算と比べても極めて高額になることは間違いありません。通常の防衛予算と別枠で処理されるのか、枠内で処理されるのか、予算措置に関する政府の考え方を総理にお示しいただきたい。

 五点目に、共同発表において、「閣僚は、日本国政府による地元との調整を認識し、再編案が実現可能であることを確認した。」と日米政府間では合意をしております。しかし、地元自治体との理解と協力については、五月八日現在、関係五十五自治体のうち、一定の理解を示している自治体は二十四自治体、およそ四〇%にすぎません。

 このような現状を克服するために、ぜひ政府には、さらに誠心誠意、地元住民に説明し、理解と協力を得る粘り強い努力を傾注していただきたいと考えますが、防衛庁の今後の取り組みと決意をお伺いいたします。

 あわせて、再編に伴って負担がふえる自治体への手当てや、沖縄などの地元振興策を具体的に速やかに提示すべきと考えますが、政府の見解を伺います。

 六点目に、地元の負担を軽減しつつ、抑止力を維持するという再編の二大目標について、特に海兵隊のグアム移転など、沖縄の負担軽減に向けた道筋をつけたことは一定の成果であり、国民にも目に見える負担軽減としてわかりやすいと思います。

 しかし、抑止力の維持については、何点か明確にしていただきたいことがあります。一つは、一体何に対しての抑止力の維持なのか、具体的にお答えいただきたい。そして、海兵隊八千名が日本からグアムに移るにもかかわらず、抑止力が維持されるとする理由を伺いたい。

 七点目に、外務省、防衛庁の2プラス2の概要によりますと、額賀防衛庁長官から、「九七年の「日米防衛協力のための指針」に替わる日米安保の新しい目的・理念を考えていく段階にあり、日米同盟関係のあり方について新たな枠組みについての議論が必要との問題意識が示された。」とあります。

 額賀防衛庁長官の言う日米同盟関係のあり方についての新たな枠組みとは、具体的にどのようなイメージのものなのか、現行のガイドラインの枠組みのどこが不十分で、どのように変えるべきだと考えておられるのかもあわせて防衛庁長官の御答弁をいただきたい。

 この点について、麻生外務大臣は、現行のガイドラインについて直ちに見直すことを考えているわけではないと述べ、谷内事務次官も、今、不都合があるとは思っていないと再改定を否定されています。改めて、現行のガイドラインにかわる新たな枠組みについて、外務省としての見解を伺いたい。

 八点目に、今回の日米同盟協力関係の強化によって、アジア周辺地域において要らぬ懸念を起こさせないためにも、周辺諸国の理解を得ることも極めて重要であると考えます。外務省は、そのためにも、日米同盟の強化とともに、それを補うようなソフトパワーの外交戦略をセットで示す必要があると考えますが、外務大臣の見解をお伺いしたい。

 九点目に、今回の再編案の実現のためには、米海兵隊グアム移転に係る負担や地元振興策などの実施のために、立法措置を含めた検討が政府内で議論されていると思いますが、法整備についての政府の検討状況と今後のスケジュールを御説明願いたいと思います。

 最後に、SACO最終報告において日米両政府が普天間返還に合意しながら実現できなかった混迷の十年の再現にならないようにするための、総理の今回の最終合意の実行にかける強い決意を伺い、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 佐藤議員に答弁いたします。

 世界の中の日米同盟についてですが、日米両国は、世界におけるさまざまな問題の解決に世界の国々と協調しながら取り組んでおり、私とブッシュ大統領の間で、このような協力関係をさらに強化していくことを確認しております。

 この同盟関係は、日米安保条約に基づく協力に限られたものではなく、政治、経済分野をも含む幅広い分野で、日米双方が共通の価値観と利益に基づいて連携していくものであります。

 個々の問題や課題に対処するに当たって、具体的にいかなる協力を行うかについては、日米両国がそれぞれの国益に基づき、また、おのおのの法的、政策的枠組みのもとで主体的に判断するものであることは言うまでもございません。

 在日米軍再編に関する問題でございますが、今般の日米外務・防衛担当閣僚会談で承認された最終取りまとめは、在日米軍の抑止力を維持しつつ、地元負担の軽減を実現する具体的道筋を描くものとして、大きな意義を有するものと考えております。

 なお、次回の日米首脳会談の日程については現時点で決定されておりませんが、両国の協力関係については、日米首脳間でも引き続き緊密に話し合っていく考えであります。

 米軍再編に伴う予算措置でございますが、日本側の経費負担については、今後、所要の経費を精査していくことになりますが、厳しい財政事情を踏まえ、政府部内で検討を進めてまいります。

 負担がふえる自治体への手当てや沖縄などへの振興策についてでございますが、米軍再編については、関係自治体等の御理解と御協力が必要であります。関係自治体からの要望等を踏まえて、振興策などの具体的措置について検討する必要があると考えております。

 再編計画を推進するための法整備の検討状況と今後のスケジュールでございますが、先般の日米外務・防衛担当閣僚で発表されました再編に関する計画は、在日米軍の抑止力を維持しつつ、地元負担の軽減を実現するものとして大きな意義を有するものであり、今後、本計画を着実に実施するための施策について、法整備の必要性も含め、政府部内で検討を進めてまいります。

 普天間飛行場返還への決意でございますが、政府としては、普天間飛行場の早期返還に向け、過去の反省も踏まえて、今回、新たに周辺住民の方々の生活の安全、自然環境の保全、移設事業の実行性に留意した代替施設の建設計画を策定いたしました。この計画に基づいて地元市町村とも合意に至ったところであり、今後とも、地元の方々の御理解と御協力が得られるよう努力し、移設を確実に実施する考えであります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 佐藤先生から三問ちょうだいをいたしております。

 まず、日米同盟の新たな段階の意味についてのお尋ねがありました。

 今回、日米外務・防衛担当閣僚会合、いわゆる2プラス2の共同発表におきまして、同盟関係における協力が新たな段階に入るとされているのは、今般承認をいたしました在日米軍の兵力態勢再編の具体的な計画の実施を通じまして、日米安保体制を一層確固たるものとし、このような基盤の上に立って、今日の安全保障環境におけるさまざまな課題に日米が協力して対応していくという趣旨を述べたものであります。

 また、日米の役割につきましては、昨年十月の2プラス2共同文書で取りまとめられました日米の役割、任務、また能力の検討結果も踏まえて、今後、日米間の協力の向上に努めてまいります。

 一方、日本は、みずからを防衛し周辺事態に対応する、また、米国は、日本の防衛及び周辺事態の抑止や対応のため、前方展開兵力を維持し、打撃力及び核抑止力をもって日本の防衛力を補完し、地域の平和と安全に寄与するなどといった日米安全保障体制のもとの基本的な考え方に変わりがないということは、同文書に示されているとおりであります。

 次に、日米同盟の新たな枠組みについてのお尋ねがありました。

 今般の2プラス2共同発表にもありますとおり、今後とも、変化する地域及び世界の安全保障環境におきまして、日米間の安全保障並びに防衛協力のあり方について検討していくことは重要であると考えております。このような検討につきましては、今後、政府として、安全保障環境などを踏まえつつ適切に行ってまいりたいと考えております。

 最後に、今回の日米同盟協力関係の強化及び日本の外交戦略に関する周辺国の理解を得る必要性についてのお尋ねがありました。

 日米安保体制は、アジア太平洋地域の平和と安定に重要な役割を果たしてきております。在日米軍の兵力態勢の再編は、このような日米安全保障体制の基盤を一層確固とするものであります。このような日米同盟協力関係の強化の意義につきまして、近隣諸国に対しましても、引き続き説明に努めていく考えであります。

 また、日本は、これまで一貫して、日米同盟と国際協調を外交の基本として、アジア近隣諸国を含みます各国や国連などの諸機関とも緊密に協力しつつ、国際社会が抱えるさまざまな課題に積極的に取り組むとの考え方をとってきております。

 今後とも、国際社会の責任ある一員として、役割を積極的に果たしていくと同時に、ソフトパワーを活用しつつ、アジア太平洋地域、ひいては世界に発信していくことが重要であると考えております。(拍手)

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 佐藤議員にお答えをいたします。

 まず、米軍再編のための経費についてのお尋ねがありました。

 米軍再編のための経費は、今般の最終取りまとめの内容を踏まえまして、今後、米国との間で事務的に細部を調整し、我が国が負担すべき経費の内容の詳細をきちんと精査していくことになります。現時点において、責任を持ってこういう具体的な数字を申し上げる段階にないということをぜひ御理解をいただければありがたいと思っております。きちっと、必ず、国会、国民の皆さん方に御説明をさせていただきたいというふうに思っております。

 次に、地元の理解と協力を得るため、今後の取り組みと決意についてお尋ねがございました。

 米軍再編は、抑止力の維持、地元の負担軽減の観点から、ぜひとも実現すべき事案でございます。今後とも引き続き、地元の御理解と御協力を得るべく、誠心誠意御説明をしていく所存でございます。

 最終報告がまとまった直後、各自治体あるいはまた知事さん等々に誠意を持ってそれぞれ御報告をさせていただいております。きょうも稲嶺知事と、朝、会談を行いまして、政府案を基本にして、普天間の危険性を除去しながら、今後、この代替施設の建設に向けて具体的に協議をしていくことで合意をしたところであります。そういうように、具体的に各自治体とよく相談をしていきたいというふうに思っております。

 次に、抑止力の維持についてお尋ねがありました。

 抑止力の維持とは、テロや大量破壊兵器などの新たな脅威、アジア太平洋地域における不透明性あるいは不確実性の継続など、新たな安全保障環境に対処できるようにどうしたらいいかということでございます。

 在沖海兵隊司令部については、グアムに移駐いたしましても、旅団規模の海兵隊部隊が沖縄に駐留し、一定の初動対処能力が維持されること、また、航空機輸送や高速輸送艦の能力などによる機動力の向上等が見込まれることから、抑止力の維持は継続されるものと考えております。

 最後に、日米同盟関係の新たな枠組みについてお尋ねがありました。

 これは、日米両国は、テロや弾道ミサイル攻撃などの新たな脅威への対応、人道救援活動などの取り組みなど、さまざまな事態に対処し、協力して、いかに効果的にこの対応をしていくかが問われているわけでございます。

 このために、我々は、同盟としての能力を向上し、安全保障、防衛協力の目的や理念を示すことが必要であるというふうに思っているわけでございます。

 特に、一九九六年に日米安保共同宣言が行われて十年たちました。当時、冷戦後の同盟関係の意義が問われて、再定義を行ったわけでございますけれども、それでも、アジアの不安定性があるために、東アジアに米軍は十万人の前方展開部隊を存在させるということでありましたが、もう既にそれは過去のものとなりました。そして、その上に、テロの発生とか大量破壊兵器の拡散とか、さまざまな事態が起こっております。そういう中で、先般、日米同盟の戦略目標、そしてまた歴史的なこの同盟関係の強化、米軍再編が行われたわけであります。

 そういう中で、新しい日米同盟の目的とか理念とかそういうものが、やはり国民に対しても、あるいは周辺アジア諸国の皆さん方に対しても、メッセージを与えることが我が国の安全保障にとっていいのではないかということでございます。幸い、日米首脳会談がありますから、そういう中でそういう議論がなされることがいいということで、問題提起をしたところであります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 赤嶺政賢君。

    〔赤嶺政賢君登壇〕

赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表して、2プラス2報告について質問します。(拍手)

 政府は、米軍再編について、抑止力の維持と負担の軽減が基本方針だと説明してきました。しかし、今回の合意が沖縄県民の願う負担軽減になるのでしょうか。

 県内たらい回しはやめよという県民の総意を裏切り、今回もまた、普天間基地の代替と称して名護市辺野古への新基地建設を盛り込んでいます。滑走路を二本持つ巨大な基地を、豊かな大浦湾を埋め立ててつくるというのであります。これは、沖縄県民が拒否し破綻したSACO合意を焼き直し、さらに巨大化し、しかも住宅地に接近させるという、一層危険な計画ではありませんか。このどこが負担の軽減ですか。七割を超える県民の反対の声を総理はどう受けとめるのですか。答弁を求めます。

 グアムへの海兵隊司令部機能の移転は、アメリカ自身がグアムを沖縄、ハワイとともに新たな戦略拠点にする計画であります。にもかかわらず、どうして日本が基地建設費用を負担しなければならないのですか。グアムは米国領土であり、米軍を自国に撤退させる費用そのものです。県民の負担軽減を口実にその肩がわりをさせるものではありませんか。しかも、SACOで合意済みの土地の返還まで、金を出すことと引きかえにしているのであります。言語道断であります。

 こうした費用負担は、安保条約上も、日本の財政原則上も説明がつかないものであります。答弁を求めます。

 総理、再編にかかわる日本側の負担総額は一体幾らになるのですか。構造改革の名で相次ぐ国民負担増と社会保障切り捨てを進めながら、米軍には湯水のように血税を投入するのですか。

 先日、ローレス国防副次官は、日本の負担は三兆円と発言し、この数字は日本側の試算だと述べました。ところが、日本側は、途方もない数字だ、積算はこれからだなどと言い、おおよその負担額すらいまだに明らかにしていません。費用負担について、一体どういう検討と協議を行ったのですか。関係閣僚の責任ある答弁を求めます。

 日米同盟の再編の全体像は極めて危険なものです。キャンプ座間には、新たな米陸軍の戦闘司令部が米本土から移転してくる、そこへ陸上自衛隊の海外派兵司令部、中央即応集団を同居させる。横田基地には、自衛隊航空総隊司令部を移転し、日米共同統合運用調整所を新たにつくるとしています。原子力空母が配備される横須賀とあわせて、陸海空すべてで米軍と自衛隊の司令部は同じ場所に置かれ、一体化する。岩国は、嘉手納に匹敵する極東最大級の巨大な基地になる。その上、全国の自衛隊基地を米軍も使用できるようにし、あらゆるレベルで日常的に日米共同訓練を行うのであります。

 総理、なぜこのような日米の軍事一体化が必要なのですか。そもそも、アメリカが進める米軍再編は、先制攻撃戦略に同盟国を一層深く組み込み、世界規模で軍事態勢を再編成するものであります。共同発表に言う日米同盟の新たな段階とは、自衛隊を米軍の補完部隊として組み込み、米軍と自衛隊が一体となって世界のあらゆる地域に乗り出していくということではありませんか。答弁を求めます。

 こうした日米軍事同盟の再編強化に対し、全国各地で自治体ぐるみの反対の声が巻き起こっています。総理は、この声を正面から受けとめるべきであります。

 以上、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 赤嶺議員に答弁いたします。

 普天間飛行場代替施設と沖縄の負担軽減についてですが、今般合意された再編案が実現すれば、普天間飛行場の機能のうち、緊急時の機能と空中給油機の機能等は本土に移転し、ヘリの機能はキャンプ・シュワブに移設され、その結果、普天間飛行場の返還が実現するなど、全体として沖縄県民の負担の軽減に資するものであると考えます。

 政府としては、今後とも引き続き、地元の御理解と御協力を得るため努力し、基地負担軽減に伴う振興策などについても十分協議してまいります。

 海兵隊のグアム移転経費の根拠でございますが、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担をなるべく早期に軽減するため、我が国も応分の分担をすることといたしたところであります。

 米軍再編に伴う経費についてですが、所要経費は今後精査していくこととしており、総額が幾らになるのかについて、現時点では明確にお示しすることは困難であります。

 米軍再編の必要性についてですが、米軍再編は、新たな安全保障環境に適切に対処し得るよう、抑止力の維持と地元の負担軽減の観点から、ぜひとも実現すべきものであります。

 日米同盟の新たな段階についてですが、我が国外交の基軸である日米同盟は、新たな安全保障環境に対応していく必要がありますが、このたびの再編案を着実に実施することにより、同盟の能力が向上していくこととなります。日米同盟における協力関係が新たな段階に入るとは、この趣旨を述べたものでありますが、おのおのの主体的な判断に基づく協力であることは言うまでもございません。

 反対している地元についてですが、政府としては、今後とも引き続き、地元の御理解と御協力を得るため、誠心誠意努力してまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣安倍晋三君登壇〕

国務大臣(安倍晋三君) 赤嶺議員にお答えします。

 米軍再編に伴う費用負担についてお尋ねがありました。

 米軍再編に伴う措置については、これまで関係省庁間において、閣僚を含むさまざまなレベルで適宜意見交換が行われてきました。その際、こうした措置に伴う所要経費について、厳しい財政事情を踏まえ、我が国が負担すべき経費であるか否かをきちんと精査する必要があることについて認識を共有してきたところであります。(拍手)

    〔国務大臣額賀福志郎君登壇〕

国務大臣(額賀福志郎君) 赤嶺議員にお答えをいたします。

 まず、普天間飛行場代替施設についてのお尋ねがありました。

 政府といたしましては、普天間飛行場の早期返還に向けまして、今回、新たに周辺住民の方々の生活の安全、自然環境の保全、移設事業の実行可能性に留意した代替施設の建設計画を策定することで、関係地方公共団体とも合意に至ったところであり、一層危険な計画になっているとの御指摘は当たっておりません。今後も、地元とよく相談をしながら建設をしてまいりたいというふうに思っております。

 次に、在沖米海兵隊のグアム移転経費の分担についてお尋ねがありました。

 在日米軍の抑止力を維持しつつ、在日米軍基地の七五%が集中する沖縄の負担をなるべく早期に軽減するために、我が国も応分の経費を分担することが適当であるというふうに考えておるわけであります。

 米軍再編に伴う費用負担についてのお尋ねがありました。

 米軍再編に伴う措置につきましては、これまで関係省庁間においてさまざまなレベルで意見の交換、調整を行ってきたところでございます。ローレス国防副次官の発言の根拠については承知をしておりませんけれども、こうした措置に伴う所要経費について、厳しい財政事情を踏まえ、我が国が負担すべき経費であるか否かきちっと精査した上で、必要があることについては政府部内で認識を共有してきたところでございます。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣谷垣禎一君登壇〕

国務大臣(谷垣禎一君) 赤嶺議員にお答えいたします。

 米軍再編の費用負担についてどんな検討、協議が行われたのかという点でありますが、在日米軍の再編に伴う措置については、これまで関係省庁間において、閣僚を含むさまざまなレベルで適宜意見交換等が行われてまいりました。

 その際、こうした措置に伴う費用負担については、厳しい財政事情のもと、我が国が負担すべき経費であるか否かをきちんと精査する必要があることについて認識を共有した上で、日米間で協議を行い、最終的な取りまとめを行ったところでございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 辻元清美君。

    〔辻元清美君登壇〕

辻元清美君 社会民主党の辻元清美です。

 私は、米軍再編について三分間しかいただいておりませんので、小泉総理に早口で十の質問をしたいと思います。(拍手)

 一、政府は、普天間飛行場の代替施設ではヘリコプターの訓練を行うと説明してきましたけれども、なぜ、垂直に離発着するヘリコプターの訓練のために千八百メートルもの滑走路が必要なんでしょうか。普天間のたった三機の固定翼機のためだけでしょうか。本当に、オスプレーや戦闘機の配備は未来永劫ないのですか。

 二、普天間飛行場には港はありません。普天間のかわりというのなら、港湾施設までつくろうとしているのはおかしいのではないでしょうか。将来は、飛行場と軍港施設をあわせ持った、代替どころか、大規模な出撃基地に変身するのではないですか。

 三、座間に移転されるアメリカの陸軍の第一軍団司令部の作戦範囲は、日米安保条約の範囲を超える可能性はありませんか。

 四、Xバンドレーダーの青森への配備は、アメリカ本土のミサイル防衛のためではないのでしょうか。関係するアメリカのパトリオットはどこに配備される予定ですか。これらは集団的自衛権の行使に触れないのでしょうか。

 五、岩国を含め、全国の反対している人たちの声を尊重すると、ここではっきりと表明をしていただきたいと思います。

 六、グアムへの海兵隊の移転にかかる七千億円の日本側の負担の法的根拠は何ですか。安保条約の何条を根拠に負担と考えているのか、お示しください。

 七、現在のアメリカの軍事費は約四千六百五十億ドル、年間四十七兆円です。世界百六十カ国の軍事費総額の約半分をアメリカが使っております。このアメリカの軍事費の突出ぶり、軍拡路線をどのようにお考えでしょうか。

 八、アメリカは先制攻撃を認めていますが、小泉総理は先制攻撃というアメリカの軍事戦略をお認めになっているのでしょうか。

 九、このようなアメリカと軍事的に抜き差しならない関係に突き進む米軍再編は、抑止力をはるかに超えて、日本をアメリカの世界戦略の前線基地、出撃基地に変質させていくと考えられますが、いかがでしょうか。

 最後に、徹底的に財政の無駄をなくすと叫んできた小泉総理が、幾らかかるかもはっきりしない膨大な支出を、アメリカの要求であれば出すというのでは矛盾しませんか。総額三兆円という数字は、消費税一%分に当たります。日本は、アメリカの自動現金支払い機ではありません。

 米軍再編の推進は、これまでの日米関係をさらに二人三脚の鎖で縛って、演習場の中から戦場を含む世界じゅうに日本が引きずり出されていく、飛び出していくことにつながりかねないと憂慮を表明して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 辻元議員に答弁いたします。

 普天間飛行場代替施設の滑走路の長さについてですが、普天間飛行場代替施設の滑走路及びオーバーランを含む合計の長さは、千八百メートルとすることが日米間で合意されています。これは、ヘリコプターのほかに、普天間飛行場に所在するものも含め、短距離で離発着できる航空機の運用を可能としたものであります。

 オスプレーや戦闘機の配備でございますが、オスプレーについては、将来、現在米海兵隊が使用している輸送ヘリを代替していく予定であるものと承知しておりますが、米国政府から、その配備について何ら具体的な計画を有していないとの回答を得ていると承知しています。

 戦闘機については、今般の2プラス2文書に示されているとおり、米国政府は、当該普天間飛行場代替施設から戦闘機を運用する計画を有してはおりません。

 普天間飛行場代替施設に併設する港湾施設についてですが、普天間飛行場代替施設に設置される予定の桟橋は、この施設で運用される航空機の燃料補給のためのものであり、事実上の軍港機能をあわせ持つとの御指摘は当たりません。

 キャンプ座間の在日米陸軍司令部の改編ですが、キャンプ座間の在日米陸軍司令部は改編されることとされていますが、その中核的な任務は、日本国の防衛及び極東の平和と安全の維持となります。これは、日米安保条約第六条の規定する施設・区域の使用目的に合致したものです。

 ミサイル防衛に関連し、米軍のXバンドレーダーやパトリオットPAC3の配備について、またその集団的自衛権の行使との関係についてですが、Xバンドレーダーについては、昨年十月の2プラス2共同文書にあるとおり、日本に向かうミサイルを迎撃する能力及び日本の国民保護や被害対処のための能力を支援するために配備するものです。

 米軍のパトリオットPAC3の具体的な展開のあり方については、配備場所も含め、今後、日米間で検討していくこととしております。

 集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利であります。本レーダーやパトリオットを我が国に配備したとしても、米軍の能力が我が国防衛のために用いられることにつながりこそすれ、我が国が集団的自衛権を行使する問題は発生しないと考えています。

 地元への対応でございますが、米軍再編は、抑止力の維持、地元の負担軽減の観点から、ぜひとも実現すべき事案であります。政府としては、今後とも引き続き、地元の御理解と御協力を得るため、誠心誠意努力してまいります。

 海兵隊のグアム移転経費の根拠でございますが、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄負担をなるべく早期に軽減するため、我が国も応分の負担をすることといたしたところであります。

 米国の国防費でございますが、各国の国防費は、その国を取り巻く安全保障環境を初めとするさまざまな要素により、それぞれ異なるものと考えます。米国の国防費も、これらの要素により、現状の水準になっているものと理解しております。

 米国の先制行動についてですが、米国は、二〇〇二年九月の国家安全保障戦略で明記したとおり、米国が脅威に対して先制的に対処するために必ず武力を行使しているというわけではなく、先制を侵略のための口実としてはならないとの立場であり、この考えは本年三月の国家安全保障戦略でも踏襲されていると承知しています。我が国は、他国の国際法の解釈について有権的な評価をする立場にありませんが、いずれにせよ、米国は国際法上の権利及び義務に合致して行動するものと考えます。

 我が国と米国との安全保障面での協力ですが、日米の役割、任務、能力や在日米軍の兵力構成見直しに関する取り組みを進めることは、抑止力の維持と地元の負担の軽減を通じて日米安保体制を一層強化していくとともに、日米両国が安全保障面での協力を強化することを通じ、国際社会の取り組みに、より効果的に貢献していく上で極めて重要なものと考えており、日本が米国の世界戦略の前線司令部になるといった御指摘は当たらないと考えます。

 反対している地元への対応ですが、米軍再編は、抑止力の維持、地元の負担軽減の観点から、実現すべき事案であります。政府としては、今後とも引き続き、地元の理解、御協力を得るため、誠心誠意努力してまいります。

 再編に伴う経費でございますが、日米同盟は我が国外交の基軸であり、在日米軍の再編は沖縄を初めとする地元の負担軽減と抑止力の維持に資する重要な課題であるので、我が国が負担すべき経費の内容を精査しつつ、しかるべく予算上の措置を講じていく必要があると考えております。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  小泉純一郎君

       総務大臣    竹中 平蔵君

       外務大臣    麻生 太郎君

       財務大臣    谷垣 禎一君

       国土交通大臣  北側 一雄君

       環境大臣    小池百合子君

       国務大臣    安倍 晋三君

       国務大臣    額賀福志郎君

 出席内閣官房副長官、副大臣及び大臣政務官

       内閣官房副長官 長勢 甚遠君

       防衛庁副長官  木村 太郎君

       外務大臣政務官 伊藤信太郎君


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