衆議院

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第17号 平成19年3月27日(火曜日)

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平成十九年三月二十七日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十二号

  平成十九年三月二十七日

    午後一時開議

 第一 戸籍法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 モーターボート競走法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 戸籍法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 モーターボート競走法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 国立国会図書館法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)

 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

 国立国会図書館の館長の任命承認の件


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。

 第五十番、北海道選挙区選出議員、石川知裕君。

    〔石川知裕君起立、拍手〕

     ――――◇―――――

 日程第一 戸籍法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、戸籍法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長七条明君。

    ―――――――――――――

 戸籍法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔七条明君登壇〕

七条明君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、戸籍公開の原則を見直し、戸籍謄本等を請求できる場合を、戸籍に記載されている者を除き、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合に制限するものであります。

 あわせて、戸籍の記載の真実性を担保するため、婚姻、協議離婚等の届け書を持参した者が、婚姻、協議離婚等をする本人であることが確認できなかった場合には、本人に対して届け出が受理されたことを通知すること等としております。

 本案は、去る三月十九日本委員会に付託され、二十日長勢法務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑に入り、二十三日質疑を終局し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えておきます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長櫻田義孝君。

    ―――――――――――――

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔櫻田義孝君登壇〕

櫻田義孝君 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、基礎年金の国庫負担割合について、平成十九年度以降は、三分の一に千分の三十二を加えた割合に引き上げることとするものであります。

 本案は、去る三月十五日本委員会に付託され、翌十六日に柳澤厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、二十三日に質疑を行った後、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 モーターボート競走法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第三、モーターボート競走法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長塩谷立君。

    ―――――――――――――

 モーターボート競走法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔塩谷立君登壇〕

塩谷立君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、近年のモーターボート競走を取り巻く環境の変化に対応して、その公正かつ円滑な実施を確保しつつモーターボート競走の振興を図るとともに、公営競技関係法人のあり方の見直しを行うため、所要の措置を講じようとするものであり、その主な内容は、

 第一に、施行者は、モーターボート競走の実施に関する事務の一部を、モーターボート競走会に加え施行者以外の地方公共団体または私人に委託することができること、

 第二に、場外発売場の設置等をしようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならないこと、

 第三に、施行者は、日本船舶振興会への交付金の交付を行うことが著しく困難なときは、交付金の交付期限を延長することができること、

 第四に、施行者が日本船舶振興会に交付すべき交付金の額を定めた別表を改めること、

 第五に、関係法人の組織形態及び業務内容を改めること

などであります。

 本案は、去る三月二十日本委員会に付託され、同日冬柴国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、二十三日に質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決いたしました結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

加藤勝信君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 議院運営委員長提出、国立国会図書館法の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 加藤勝信君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 国立国会図書館法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)

議長(河野洋平君) 国立国会図書館法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長逢沢一郎君。

    ―――――――――――――

 国立国会図書館法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔逢沢一郎君登壇〕

逢沢一郎君 ただいま議題となりました国立国会図書館法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。

 本法律案は、我が国における情報提供の方法が多様化している状況を踏まえ、日本国内で刊行された出版物の目録である全国書誌の提供方法を見直すとともに、出版物の寄贈を行った発行者等に対する全国書誌の送付事務を廃止し、あわせて所要の経過措置を講じようとするものであります。

 本法律案は、本日、議院運営委員会において起草し、提出したものであります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。農林水産大臣松岡利勝君。

    〔国務大臣松岡利勝君登壇〕

国務大臣(松岡利勝君) 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案の趣旨につきまして、御説明申し上げます。

 我が国の国土の大部分を占める農山漁村については、人口の減少や高齢化の進展に加え、基幹産業である農林漁業をめぐる厳しい情勢、生活環境の整備のおくれ等により、その活力が低下しております。

 このような状況を打開し、今後、農山漁村の活性化を図っていくためには、都市住民の農山漁村への関心の高まりといった社会情勢の変化を踏まえ、農林漁業の振興とあわせ、農山漁村における居住者及び滞在者を増加させるという新たな視点からの対策が必要であります。このため、農山漁村における定住等及び農山漁村と都市との地域間交流を促進するための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、農林水産大臣による基本方針の策定及び地方公共団体による活性化計画の作成であります。

 農林水産大臣は、定住等及び地域間交流の促進による農山漁村の活性化に関する基本的な方針を定めなければならないこととするとともに、都道府県または市町村は、単独でまたは共同して、基本方針に基づき、定住等及び地域間交流の促進による農山漁村の活性化に関する計画を作成することができることとしております。この活性化計画には、計画の区域、目標、その目標を達成するために必要な事業、計画期間等を記載することとしております。

 第二に、地方公共団体に対する交付金の交付であります。

 国は、都道府県または市町村に対し、活性化計画に基づく事業等の実施に要する経費に充てるため、予算の範囲内で、交付金を交付することができることとしております。

 第三に、活性化計画の円滑な実施を図るための農林地等の権利移転に関する措置等であります。

 活性化計画に記載された施設の整備の円滑な実施を図るため、市町村が農林地等に係る所有権移転等促進計画を定め、その公告があったときは、計画に従って所有権の移転等が行われる措置等を講ずることとしております。

 以上、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。

 よろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。金子恭之君。

    〔金子恭之君登壇〕

金子恭之君 自由民主党の金子恭之でございます。

 ただいま議題となりました政府提出の農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案について、自由民主党並びに公明党を代表して質問いたします。(拍手)

 農山漁村は、美しい日本の原風景であります。結いの精神に代表されるように、住民が互いに支え合う心豊かな暮らしと都市にはない美しい自然、古来より農林漁業が脈々と営まれる中ではぐくまれた文化、歴史とこれらを大切にするよき伝統が代々はぐくまれております。国民の価値観が多様化し、ゆとり、安らぎなどが重視されるようになる中で、こうした農山漁村は、そこに暮らす方々だけではなく、都市に暮らす方々も含めた国民全体の共有財産と言えるものであります。

 しかしながら、現在、農山漁村が置かれている状況については厳しいものがあると言わざるを得ません。我が国は人口減少社会に移行しつつあると言われておりますが、農山漁村においては都市部以上にこの影響を受け、さらなる過疎化が進展するのではないかと懸念しております。また、地域の所得が減少傾向にあるなど、経済面でも厳しい状況に置かれていることも事実であります。

 私は、総理のおっしゃる美しい国を実現していくためには、このような厳しい状況にある農山漁村を守り、すべての国民が都市にはない農山漁村固有の魅力を享受できる社会を実現するための対策を講じることが必要であると考えております。

 こうした立場から、今回の法律案について農林水産大臣に質問させていただきます。

 農山漁村の活性化の基本的方向についてお尋ねいたします。

 従来より政府は、農山漁村の活性化に向けて、農林漁業の振興や中山間地域等直接支払い制度といった条件不利地域の是正対策など、さまざまな対策を講じてきたものと承知しております。

 このような中で、今回の法律案では、これらの対策に加え、農山漁村の居住者や滞在者を大幅にふやすことを目的として、新たな対策を総合的に講じることとされております。政府として、農山漁村の現状をどのように認識しており、今回の法案に基づく措置を含め、その活性化に向けてどのような対策を講じていくのか、その基本的な考え方についてまず伺いたいと思います。

 次に、法案の具体的内容についてですが、本法案で創設しようとしている制度の基本設計について伺います。

 農山漁村の活性化といっても、一つ一つの農山漁村を見れば、平地と中山間地、都市近郊と遠隔地といったように、地理的、社会的条件が大きく異なっております。これは、我が国全体で見た場合はもちろんそうでありますし、都道府県単位で見た場合でもこうした違いがあるのだろうと思います。

 また、農山漁村の活性化に関しては、従来より地方自治体を中心として取り組まれてきたものと思いますが、最近では、地域の住民の方々で組織する団体等、さまざまな主体が参画することにより、さらなる活性化が図られている例も少なくないものと承知しております。

 このような状況の中で、地域の実情に即した計画をきちんと策定した上で、地域の活性化を図っていく必要があるものと考えますが、今回の法案ではどのように対応することとしているのか、伺いたいと思います。

 次に、農山漁村の活性化に不可欠な農地の問題についてお尋ねいたします。

 農地は、国民の食料供給の基盤であり、かつ国民すべてが享受すべき多面的機能を有する貴重な財産であることから、その有効利用が必要であります。しかしながら、農村の活力低下に伴って、耕作放棄地の増加に歯どめがかかっていないのが現状であり、早急に対策を講じることが必要と考えています。

 このような状況を打開するとともに、農村の活性化を図るためには、まずは農業がしっかりとした競争力を持った産業として自立することが重要であり、このためにも、担い手をしっかり育成するとともに、担い手への農地の面的集積を加速化することが必要であると考えています。こうした観点から、今後、農地制度をどのようにしていくのか、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 次に、農山漁村への定住者等の受け入れをどのように進めていくのかについてお尋ねいたします。

 今回の法案では、農山漁村に住んだり、訪れたりする人々をふやすことにより、農山漁村の活性化を図ることとしています。

 地域において、どのような世代をターゲットにしてこのような対策を講じるのかについて考えた場合、本年より定年退職が始まり、その数が七百万人にも上るとも言われる団塊の世代については、十七年度に内閣府が行ったアンケート調査等で明らかになっているように、他の世代と比較して農山漁村に対する関心も高く、大変有望なターゲットになるのではないかと考えております。また、同じアンケートにおいて、二十代の若者についても農山漁村に対する関心が高いことが明らかになっております。

 さまざまな経験、知識を持った都市部の団塊の世代や若く活力を有する二十代の若者が農山漁村に定住することにより、集落活動等の担い手が確保されるとともに、地域に対して新たな価値観をもたらすことにもつながることが期待されることから、法案による措置のほか、これらの世代の農林漁業への新規就業といったことにも積極的に取り組むことが必要なのではないかと考えております。この点について、今後どのように進めていくこととしておられるのか、お伺いしたいと思います。

 最後に、政府全体の地域活性化政策体系における農山漁村の活性化の位置づけについてお尋ねいたします。

 地域の活性化については、まさに喫緊の課題であり、安倍内閣の最重要課題の一つにも挙げられております。現在、各府省において、地域活性化に向けた対策が講じられており、今国会にも、本法案を含めて合計九本の地域活性化関係法案が提出されておりますが、これらの措置がばらばらに行われるようであっては大きな効果は期待できないものと考えます。

 農山漁村の活性化に向けては、例えば農林漁業以外の地域経済の活性化や地域における雇用の促進といったことにも取り組んでいくことが必要と考えますが、本法案について、他府省所管の関連法案とどのように役割分担、連携を行っていくのかについてお伺いいたします。

 農山漁村の活性化に向けては、都市住民が農山漁村の持つ重要性に対して理解を深めるとともに、農山漁村の住民も、みずからが暮らす地域について、その魅力を再認識することが不可欠であります。私は、法案による措置に加えて、こうしたことに対する社会的機運を醸成していくことが極めて重要ではないかと考えています。

 これらのことについて、広報活動、啓発活動、教育活動等を通じて国民の理解を深めるよう努めることを政府に強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣松岡利勝君登壇〕

国務大臣(松岡利勝君) 金子議員の質問にお答えいたします。

 まず、農山漁村の現状認識とその活性化に向けた対策についてのお尋ねでありますが、農山漁村については、過疎化、高齢化の進展等により、今後急激に人口減少が進むと見込まれる中で、就業条件、生活環境の面でも都市との格差が存在すること等から、非常に厳しい状況に置かれている地域も少なくないものと認識しております。

 一方で、近年、国民がゆとりや心の豊かさなどの価値観を重視するようになってきている中で、多面的機能が発揮され、豊かな自然環境や美しい景観などに触れ合うことができる農山漁村に対する国民の理解と期待が高まっていることも事実であります。

 こういった現状を踏まえ、やる気のある地域が独自の取り組みを推進し、知恵と工夫にあふれた魅力ある地域に生まれ変わるための努力を応援していくとの基本的考え方のもと、地方の意欲や知恵と工夫を引き出し、地方の独自の取り組みを支援することが重要であると考えているところであります。

 このため、それぞれの地域が独自の取り組みにより、農山漁村における居住者や滞在者をふやすという新たな視点から活性化を進めるため、今回、農山漁村活性化法案を国会に提出したところであります。

 また、農山漁村の活性化に向けては、地域の基幹的な産業である農林水産業を新世紀にふさわしい戦略産業として育成することもまた重要であります。

 このため、意欲と能力のある担い手の育成確保に向けた改革を進めるとともに、農産物の輸出拡大やバイオマス利用の加速化など、攻めの姿勢で農林水産業の振興に取り組むこととしております。

 次に、本法案に基づく制度において、どのように地域の実情を反映させるのかについてお尋ねでございますが、本法案については、従来より地域の活性化を担ってきた地方自治体が中心となって、みずから考え行動することを基本にして地域の活性化のための計画を作成するとともに、計画の実現に向けて国が交付金の交付等により支援を行う制度としているところです。

 この場合に、地域の特徴に応じた計画策定を可能とするとともに、その自主性をより発揮させるため、市町村単位で計画を作成し、交付金の申請を国に直接行うことができる仕組みとしております。

 また、地域の活性化に向けた活動をさらに力強いものとしていくためには、多様な主体の積極的な参画を促し、これらが有する斬新なアイデアを生かすことが必要であると考えております。

 このため、農林漁業団体やNPO法人等の地域の民間団体がみずから定住等及び地域間交流の促進に寄与する事業等を実施しようとする場合は、地方自治体に対し、計画作成の提案をすることができる制度としております。

 次に、農地制度についてのお尋ねでありますが、我が国農業の担い手を育成確保し、その経営の安定を図るため、十九年度から実施される品目横断的経営安定対策等の農政改革とあわせて、担い手の農業経営、農業生産が展開される農地について政策の再構築を図ることとしたところです。

 具体的には、農地は農業経営、農業生産にとって不可欠な資源として有効利用するとの理念を明確化しつつ、担い手の規模拡大と効率的な営農を推進するため、農地の利用集積、特に面的にまとまった形での集積を加速化すること等を基本として、担い手の規模拡大と効率的な営農を推進する明快な農地政策を確立してまいります。

 また、優良農地の確保、耕作放棄地の発生防止等も含め、農地政策が直面する諸課題に対処するため、総合的な改革を進めてまいります。

 次に、農林漁業への新規就業についてのお尋ねでありますが、さまざまな経験、知識を持った団塊世代や活力のある若者が農山漁村に定住し、活躍していただくことは、地域の活性化にとって大変重要であり、農林水産省としては、内閣の重要課題である再チャレンジ支援策の一環として、定年後の団塊世代や若者等の農林漁業への就業を積極的に支援することとしております。

 具体的には、人生二毛作などを啓発するキャンペーンを実施するとともに、団塊世代の方々や若者等が経験がなくとも農林漁業につけるよう、希望者の情報収集や就業相談の段階から、実際に就業し、定着するまでの各段階に応じたきめ細かな支援措置を講じることとしたところです。

 最後に、他府省の地域活性化関連法案との役割分担、連携についてお尋ねですが、農山漁村の活性化に向けては、例えば、同一の地域において、本法案に基づく農山漁村の居住者や滞在者を増加させる措置とあわせて、地域産業活性化法案による地域産業の活性化、地域雇用開発促進法の改正による雇用の改善、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案による広域的な基盤の整備等、他府省所管の法律案に基づく措置を一体的に講じることにより、地域活性化に向けた相乗効果が発揮されることを期待しているところであります。

 このような観点から、本法案については、地域活性化政策体系において、国際交流、地域間交流を促すという視点を踏まえて展開する施策として位置づけられており、他府省の地域活性化関連法案と相互に役割分担、連携を行って地域活性化を図ることとしているところであります。

 今後とも、関係府省と十分連携を図りつつ、農山漁村の活性化に向けて取り組んでまいりたいと存じます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 黄川田徹君。

    〔黄川田徹君登壇〕

黄川田徹君 民主党の黄川田徹であります。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案について質問をいたします。(拍手)

 まずもって、一昨日の能登半島地震でお亡くなりになられた方の御冥福を申し上げますとともに、被災された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。また、関係各位の御尽力に敬意を表します。

 私は、過去、地震、津波で多くの犠牲が出ました三陸地方の出身であります。三陸地方は、三十年以内に九九%の確率で大規模地震が起きると想定されております宮城県沖に隣接しておりますので、本当に人ごとではない、そう思っております。

 さて、ふるさとを持つ人も都会で生まれ育った人も、日本人であればだれでも農山漁村に対しあこがれの念を抱きます。そんな農山漁村が荒れなんとしているとき、その活性化を図ろうとすることに異議を唱える者はまずいないでしょう。特に、団塊の世代の大量退職が始まろうとする今、都市住民の農山漁村回帰を後押ししようとする考え自体には、一定の理解が得られるものと思います。

 問題は、この法律案がどのような背景で提出され、現下の農政をめぐる情勢のもと、どのような位置づけを有するのかという点であります。

 農政をめぐっては、食料自給率の向上、農業経営の安定方策、農地制度の見直し、WTO、EPA交渉への対応など、課題が本当に山積しております。こうした農政の諸課題に当たられる農林水産大臣のこの職責たるや、極めて重いものがあります。

 しかしながら、このところ国会では、こうした農政課題ではなく、農林水産大臣御自身の政治家としての問題をめぐって疑念を呼び、現在に至るまで、大臣から、国民が納得する満足なお答えはいただいておらないと思っております。

 政治は、国民の信頼の上に立ってこそ初めて成り立つものであります。国民から信頼をいただくためには、透明性の確保が不可欠であります。私も、ここにおられる同僚議員も、みずからの政治活動に伴う事柄について地元で説明しなければなりません。農林水産大臣というお立場にあっては、なおさらであります。

 農林水産大臣がみずからに向けられた疑念、疑惑への対応に追われていたら、農政の推進は上のそらになってしまいませんか。また、きちんとした説明をしない態度が、国民の政治離れ、政治不信をますます加速するでしょう。

 天地神明に恥じず、農政を推進していくには、昨今取り上げられているみずからの事務所費の問題について、国民にわかりやすく説明し、疑念を晴らさなければなりません。これが満足にできないようであれば、説明責任を怠ったのであり、私は、強く辞任を求めます。こんな状況では、農政推進はおろか、この法案の農山漁村の活性化は不可能でありましょう。農林水産大臣の真摯な答弁を求めます。

 農政をめぐっては、いよいよ平成十九年産から、天下の悪法、担い手経営安定新法に基づく品目横断的経営安定対策が導入されます。

 昨年の通常国会で、民主党・無所属クラブは対案を提出し、活発に論戦を繰り広げました。あれから一年近くになりますが、四月一日からの品目横断的経営安定対策の本格実施を前に、農業、農村現場は混迷の度を深めております。経営規模で足切りをするという一方的な選別政策により、経営規模が小さい農家は、政策支援の対象とされないことから、一様に営農意欲を喪失し、地域全体が元気を失っております。

 政府は、みんなで集落営農組織をつくれば担い手となることができると猫なで声でささやきかけておりますが、集落営農を組織化するため、既存の担い手である認定農業者から農地を取り上げようとする貸しはがしの問題が顕在化するなど、各地であつれきが生じております。

 本来、農業、農村現場は、大規模農家、小規模農家、経営規模を拡大しようとする農家、規模を縮小しようとする農家など多様な主体が有機的に結合して成り立っているものであります。こうした農村地域社会において営々と営まれてきた互助の精神、結いの精神が品目横断的経営安定対策の導入の前に失われようとしていることは、与党の皆さんも本当にわかっているでしょう。

 これに対し、政府は、経営規模要件にも特例が設けられているから切り捨てではないとか、品目横断的経営安定対策と車の両輪の関係となる農地・水・環境保全向上対策を導入するなどと説明してまいりました。つまり、政府の説明によれば、農山漁村は活性化する、そういう理解になってしまいます。

 それならば、なぜ今になって、農山漁村の活性化を目的としたこの法律案を提出するのですか。政府のシナリオどおりに進むのであれば、この法律案は必要はないと思われます。しかも、この法律案は定住や地域間交流の促進をうたっていますが、その内実は、元気な地域づくり交付金など既存の予算措置を法律補助にしただけの、そういう代物でありまして、何ら新しい発想、新しい物の考え方、それが何もないわけであります。

 今回の法律案提出は、政府みずから、品目横断的経営安定対策に対する現場の不満、不安におののき、既存の予算措置を法律補助にするだけの法律案を急場しのぎでつくってお茶を濁そうとしたものであることは明白であります。これは、農業、農村現場を欺く、まやかし以外の何物でもありません。

 安倍総理は地方の活性化を内閣の重要課題として挙げておりますが、もし本気で地方の活力なくして国の活力はないとお考えであるならば、いっそのこと、品目横断的経営安定対策の誤りを認め、これを直ちに廃止し、民主党が掲げる戸別所得補償制度の、意欲のあるすべての農家を対象とする制度の導入をこの場で宣言されてはいかがですか。農林水産大臣の明快な答弁を求めます。

 今国会は、地域活性化を旗印にした法律案がメジロ押しであります。九本も出ております。法律案というものは、たくさん出せばいいというものではありません。

 こんな寸劇を耳にいたしました。年老いたお百姓さんが額に汗して農作業にいそしんでいると、地域活性化号という列車ががたごととあぜ道のほとりの線路を走っていく。あれは何だべとお百姓さんが見送りますが、地域活性化号はむなしく通り過ぎていき、農村現場には何ももたらさないというものであります。また、乗り込む車両によって行き先がばらばらであり、気がついてみたら全く違った場所に連れていかれるのではないか、そんな声も聞かれます。

 船頭多くして船山へ上ると言います。地域活性化というのは、各省ばらばらに取り組んだところで、満足のいく効果は上がりません。実効ある地域活性化策を講じていくためには、省庁横断的な施策の構築が必要と考えます。

 そこで、本法律案と他省庁所管の法律案との役割分担、連携の考え方、また、法律案の一本化による施策の総合化の是非につきまして、農林水産大臣及び官房長官の見解を伺います。

 この法律案に基づき交付金が交付される事業でありますが、農林漁業の振興のための生産基盤及び施設の整備に関する事業、生活環境の整備に関する事業、あるいは地域間交流のための施設の整備に関する事業とされております。

 一見して、施設整備が大変目立ちます。まるで、この法律案は、箱物整備のための交付金を配るという先祖返りしたような法律案ではないかと思われるわけであります。現下の厳しい財政情勢のもと、農山漁村の活性化のために真に必要な事業は何か、国としてももっと明確な方向性を示すべきではないでしょうか。

 また、施設用地確保のための農林地等の所有権移転等に係る手続の円滑化があわせて措置されることとなりますが、この法律案に基づく事業実施により、農地の転用が無秩序に進み、景観を損ね、環境を悪化させることのないよう歯どめが必要と考えますが、どのように対処する考えか、農林水産大臣に答弁を願います。

 次に、今、農地転用の話に触れましたが、農地政策をめぐって、農業外の一般企業の農業参入の加速化など、さまざまな意見、政策提言が寄せられており、農林水産省においては昨年十二月、有識者会議を立ち上げ、検討、検証に着手したと聞き及んでおります。

 そもそも、農地というもの、先人のたゆまぬ努力により、長い年月をかけて開発され、整備されてきた農業の基礎的な経営基盤でありまして、また、農村景観を形成する地域資源でもあります。私有財産であると同時に、公共財としての側面を有するものであります。

 最近の農地制度を見ると、平成十三年に農業生産法人の一形態としての株式会社の導入、平成十五年には特区における農地リース方式による一般企業の農業参入の容認、平成十七年にはリース特区の全国展開というぐあいに、目まぐるしく制度改正が行われております。こうした改正に次ぐ改正は、農業、農村現場に疲労感さえももたらしております。

 かけがえのない農地を守り、食料自給率向上を達成するためには、一部の有識者による拙速な検討ではなくて、国民、農民の意見を十分聞いて、時間をかけて農業、農村現場の実情に即した制度のあり方を検討すべきではないでしょうか。農地制度の改革に向けての基本姿勢を農林水産大臣にお尋ねいたします。

 次に、農林水産業を中心とする地域社会の最大の問題は、若い人たちの働く場がないことであり、このことが、農山漁村の過疎化が進行した最大の理由であります。農山漁村における定住人口をふやそうとするには、雇用の場が確保されなければなりません。法律案では、農林漁業の振興のための生産基盤及び施設の整備に関する事業が交付金の対象となっていますが、この法律案の枠組みのみでは十分な効果は期待できないと私は思っております。

 雇用の場を確保するには、行政機構を抜本的に改革することにより、我が国を明治以来の中央集権国家から分権国家へとつくりかえ、真の地方分権を実現することで、地域の活性化を図ることが最も有効な方策と考えます。補助金などの制度を廃止し、それに相当する額を地方に自主財源として一括交付するという民主党の政策は、まさに地方分権、地域振興に不可欠のものと考えますが、農林水産大臣及び総務大臣にその見解を伺います。

 農林漁業の振興を核とし、農山漁村が活性化すれば、命をはぐくむ農林水産物が生産され、豊かな緑と水がはぐくまれ、その恵みは、都市部を含め我が国全体に及びます。

 そのための政策としては、品目横断的経営安定対策と農地・水・環境保全向上対策を導入しようとしながら、突如この法律案を提出しようとするような場当たり的な方法では、効果は絶対に上がらないと思います。民主党の戸別所得補償制度を導入し、小規模な農業生産でも、子を産み育て、安心して生活できるよう総合的な農山漁村活性化対策を実施するという、全体として整合性のとれた政策を着実に推進すべきと考えます。

 心のふるさとである農山漁村が真に活性化し、都市住民も農山漁村の住民もともに生活維新が実現できることを願うとともに、大臣自身の政治家としての資質にかかわる問題に今後とも明快な答弁がなければ、松岡氏を農水大臣として我々は認めるわけにはいきません。このことを申し上げて、私の質問にかえさせていただきます。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣松岡利勝君登壇〕

国務大臣(松岡利勝君) 黄川田議員の御質問にお答えいたします。

 まず、私のことについてのお尋ねでありますが、事務所費等につきましては、現行制度に基づき、報告すべき点は既に適切に報告しているところであります。それ以上の報告の開示につきましては、現行制度が予定しておらず、制度のあり方にもかかわることから、差し控えさせていただきたいと思います。

 農林水産行政をめぐっては、御指摘のように多くの重要な課題がございます。私は、農林水産大臣として与えられた職務に全力を尽くし、成果を上げていくことが、国民の皆様に対する私の責務だと認識をいたしております。

 次に、品目横断的経営安定対策、農地・水・環境保全向上対策と本法律案の関係、必要性についてお尋ねでありますが、品目横断的経営安定対策は、産業政策として、担い手の明確化と施策の集中、重点化により力強い農業構造の確立を目指すものであり、農地・水・環境保全向上対策は、地域振興政策として、その基盤となる農地、水、環境の保全向上と農業の自然循環機能の維持増進を図るものであります。

 一方、本法案に基づく措置は、農業の発展との調和を図りつつ、定住等及び地域間交流を促進することにより、地域の活性化を図るものです。

 このように、これらの施策については、いずれも農村の活性化につながるものであることから、連携、整合性を図りながら推進することとしております。

 次に、戸別所得補償制度についてのお尋ねでありますが、民主党の戸別所得補償制度については、次のように問題点が多く、その導入は適切ではないと考えております。

 すなわち、第一に、WTO等国際交渉との関係であります。

 民主党は生産面積に基づく支払いとしておりますが、仮に、その支払い額が毎年の生産農家の生産費と市場価格との差額によって決定される場合には、これは既にアメリカにおいてもなくなっている、いわゆる不足払い制度であり、現行のWTO農業協定上著しく貿易歪曲的なものとして黄色の政策に分類され、今後大幅に削減される対象となるものであり、将来にわたって継続的、安定的な政策たり得るものとは言えません。また、現在のWTO農業交渉において、このような黄色の政策を我が国が増加させることは、交渉の方向性としてはもちろんのこと、途上国や他の国々とともに一部の先進国の国内支持を批判している我が国の交渉ポジションを大きく損ねることになると考えております。

 第二に、予算についてであります。

 民主党の一兆円については、既存の農林水産予算の三分の一とされているだけで、どの経費を廃止してこれに充てるのか等、財源の裏づけが明確に示されているとは言えないと考えております。とともに、現状を固定し、何らの改革、改善もなされないままに国民の税金を使うことには国民的にも納得が得られないことと考えられます。

 なお、今回の品目横断的経営安定対策においては、集落営農組織に参加する農家には規模等の要件はなく、小規模な農家や高齢者であっても参加できるとともに、集落の農地が少ない場合などについては、別途の基準を設け、地域の実情にも十分配慮しているところであります。このように、今回の農政改革は切り捨てや選別の政策ではなく、一定の努力をしていただくことによって担い手になり得る、まさに農村地域の農業の総合力が最大限に発揮される底上げの政策と考えております。

 次に、他府省の地域活性化関連法案との役割分担、連携と法案の一本化の是非についてのお尋ねですが、農山漁村の活性化に向けては、例えば、同一の地域において、本法案に基づく農山漁村の居住者や滞在者を増加させる措置とあわせて、地域産業活性化法案による地域産業の活性化、地域雇用開発促進法の改正による雇用の改善、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案による広域的な基盤の整備等、他府省所管の法律案に基づく措置を一体的に講じることにより、地域活性化に向けた相乗効果が発揮されることを期待しているところであります。

 このような観点から、本法案については、本年二月に取りまとめられた地域活性化政策体系において、国際交流、地域間交流を促すという視点を踏まえて展開する施策として位置づけられており、他府省の地域活性化関連法案と相互に役割分担、連携を行って地域活性化を図ることとしているところであります。

 なお、本国会に提出されている地域活性化に関する各府省の法律案については、地域活性化を目的としている点においては共通していますが、その対象や具体的な措置は異なっているため、法律案を一本化することは現実的でないと考えております。

 次に、施設整備など必要な事業のあり方についてのお尋ねでございますが、農山漁村における居住者、滞在者をふやすことにより地域の活性化を効率的に推進するためには、市町村の主体性を生かし、事業意欲のある市町村が積極的に活性化のための計画づくりに取り組むこと、農山漁村の活性化に関する国の基本方針を明確化し、地方公共団体がその方向に沿って総合的かつ計画的に活性化に取り組むこと、農林水の連携を強化することなどが必要であると考えております。

 このため、今般の法案に基づく措置においては、国が作成する基本方針に沿って、市町村が財政事情を踏まえつつ、廃校、廃屋などの既存施設の有効利活用を図るなど、地域が真に必要とする計画を作成して、国がそれを支援することとしているところです。

 さらには、農林漁業団体やNPO法人等のノウハウや自由な発想を積極的に取り入れたり、事業と一体となってその効果を増大させるために必要な地域提案メニューも取り入れることが可能な仕組みとしており、国が地方のやることを考え、押しつけるのではなく、地方のやる気、知恵と工夫を引き出し、地方独自の取り組みを積極的に後押ししてまいる所存でございます。

 次に、無秩序な農地転用等に対する歯どめが必要とのお尋ねですが、食料の安定供給を確保するためには、優良農地の確保は極めて重要です。一方、国土が限られている我が国では、社会経済上必要な土地需要にも適切に対応しつつ、優良農地の確保と有効利用に努めているところでございます。

 本法案では、活性化計画に基づき交付金を活用して整備される施設については、農林漁業の振興を通じて地域の活性化を図るという計画の基本的性格から、地域の農林漁業の健全な発展と調和がとれたものに限定されるものであります。

 また、所有権移転等促進計画についても、所有権の移転等の手続を円滑化することを目的としているものであって、農地の転用許可基準自体を変更するものではないことから、本法案により農地転用が促進されるものではないと考えております。

 次に、農地制度改革についてのお尋ねでありますが、我が国農業の担い手を育成確保し、その経営の安定を図るためには、十九年度から実施される品目横断的経営安定対策等の農政改革とあわせて、担い手の農業経営、生産が展開される農地について、農地の利用集積、特に面的にまとまった形での集積の加速化や農地の転用問題をも含めた優良農地の確保、耕作放棄地の発生防止等の課題の解決が不可欠であり、このため、農地に関する制度全般について、現在、検証、検討を進めているところであります。

 その検討の一環として、省内に学識経験者等から成る有識者会議を設置し、御意見を伺っているところでありますが、いずれにせよ、農地政策全般の多岐にわたる検討となりますので、今後とも、農業、農村現場の実態を踏まえ、改革スケジュールも念頭に置きつつ、各界各層の幅広い御意見をいただきながら、農地政策の確立を目指してまいります。

 次に、農山漁村の雇用確保に資する地方分権、地方振興策、補助金改革についてのお尋ねでありますが、食料の安定供給の確保や多面的機能の発揮といった農林水産業、農山漁村の果たすべき役割にかんがみ、農山漁村の活性化に向けては、国と農山漁村が連携して取り組むことが不可欠であると考えております。

 農林水産省の施策は財政力の弱い農山漁村において行われることが多く、農林水産関係補助金を廃止し、それに相当する金額を地方に自主財源として一括交付すると、市町村内でも市街地と農山漁村との投資の優先順位の問題等が生じる可能性があります。このような地域の事情により、国の施策目標を達成するに足る十分な振興施策が図られない可能性があり、国として補助金等により支援することが不可欠であると考えております。

 なお、農林水産関係の補助金については、地域にとって使いやすく、地域の自主性、裁量性が十分に発揮できるような仕組みへ転換してきたところでございます。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 黄川田議員にお答えをいたします。

 本法律案と他省庁所管の法律案との役割分担、連携の考え方、法律案の一本化等についてお尋ねがございました。

 地域の活力なくして国の活力はなく、地域活性化は安倍内閣の最重要課題でございます。そして、その基本となるのは、やる気のある地域が独自の取り組みを推進し、知恵と工夫にあふれた魅力ある地域に生まれ変わるための努力を政府全体で応援していくこととしておるところでございます。

 このような観点から、本年二月に地域活性化政策体系を取りまとめており、農山漁村活性化法案も各府省の地域活性化関連法案と相互に役割分担、連携を行って地域活性化を図ることとしているところでございます。

 なお、本国会に提出されております地域活性化に関する各府省の法律案については、その対象や具体的な措置は異なっているため、法律案を一本化することは現実的ではないと考えておるところでございます。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 地方分権についてお尋ねがありました。

 地方分権は安倍内閣の最重要課題であり、地方の活力なくして国の活力なし、この考え方のもとに、やる気のある地方がさまざまな行政分野で自由に独自の施策を展開し、魅力あるそれぞれの地域をつくることが重要であると考えております。

 そのためには、昨年の十二月に成立をしました地方分権改革推進法に基づいて、国と地方の役割を明確に分担し、国から地方へ権限、財源、税源を移譲し、地方の自立と責任を確立するための取り組みを行ってまいります。

 なお、民主党は、地方向け補助金を廃止して、一括交付することによって六兆円の財源を確保することができるといたしておりますけれども、その具体的な内容、方法が不明であり、実現可能性には疑問があるものと考えます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

 国立国会図書館の館長の任命承認の件

議長(河野洋平君) お諮りいたします。

 国立国会図書館の館長に長尾真君を両議院の議長において任命いたしたいと存じます。長尾真君の任命を承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣   菅  義偉君

       法務大臣   長勢 甚遠君

       厚生労働大臣 柳澤 伯夫君

       農林水産大臣 松岡 利勝君

       国土交通大臣 冬柴 鐵三君

       国務大臣   塩崎 恭久君

 出席副大臣

       農林水産副大臣  山本  拓君


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