衆議院

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第18号 平成19年3月29日(木曜日)

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平成十九年三月二十九日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十三号

  平成十九年三月二十九日

    午後一時開議

 第一 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件

 第三 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案(内閣提出)

 第四 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院情報公開・個人情報保護審査会委員任命につき同意を求めるの件

 食品安全委員会委員任命につき同意を求めるの件

 原子力安全委員会委員任命につき同意を求めるの件

 情報公開・個人情報保護審査会委員任命につき同意を求めるの件

 地方分権改革推進委員会委員任命につき同意を求めるの件

 公認会計士・監査審査会会長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 預金保険機構監事任命につき同意を求めるの件

 中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件

 日本銀行政策委員会審議委員任命につき同意を求めるの件

 日程第一 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件

 日程第三 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案(内閣提出)

 日程第四 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 株式会社日本政策金融公庫法案(内閣提出)及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 会計検査院情報公開・個人情報保護審査会委員任命につき同意を求めるの件

 食品安全委員会委員任命につき同意を求めるの件

 原子力安全委員会委員任命につき同意を求めるの件

 情報公開・個人情報保護審査会委員任命につき同意を求めるの件

 地方分権改革推進委員会委員任命につき同意を求めるの件

 公認会計士・監査審査会会長及び同委員任命につき同意を求めるの件

 預金保険機構監事任命につき同意を求めるの件

 中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件

 日本銀行政策委員会審議委員任命につき同意を求めるの件

議長(河野洋平君) お諮りいたします。

 内閣から、

 会計検査院情報公開・個人情報保護審査会委員

 食品安全委員会委員

 原子力安全委員会委員

 情報公開・個人情報保護審査会委員

 地方分権改革推進委員会委員

 公認会計士・監査審査会会長及び同委員

 預金保険機構監事

 中央更生保護審査会委員

及び

 日本銀行政策委員会審議委員に

次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。

 内閣からの申し出中、

 まず、

 会計検査院情報公開・個人情報保護審査会委員に小木曽國隆君、河野正男君及び早坂禧子君を、

 食品安全委員会委員に広瀬雅雄君を、

 情報公開・個人情報保護審査会委員に北澤義博君、高橋滋君、橋本博之君、橋本瑞枝君、村上裕章君及び吉岡睦子君を、

 地方分権改革推進委員会委員に井伊雅子君及び小早川光郎君を、

 公認会計士・監査審査会会長に金子晃君を、

 同委員に脇田良一君、引頭麻実君、田島優子君、根本直子君、櫻井久勝君及び西村義明君を、

 預金保険機構監事に飯田小夜子君を、

 中央更生保護審査会委員に宮本信也君を

任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 原子力安全委員会委員に鈴木篤之君及び早田邦久君を、

 地方分権改革推進委員会委員に丹羽宇一郎君を

任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 情報公開・個人情報保護審査会委員に大喜多啓光君及び寳金敏明君を

任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 情報公開・個人情報保護審査会委員に名取はにわ君を、

 地方分権改革推進委員会委員に露木順一君、増田寛也君及び横尾俊彦君を、

 公認会計士・監査審査会委員に市川育義君及び坂本道美君を

任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

 次に、

 地方分権改革推進委員会委員に猪瀬直樹君を

任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。

 次に、

 公認会計士・監査審査会委員に高橋厚男君を

任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。

 次に、

 日本銀行政策委員会審議委員に亀崎英敏君及び中村清次君を

任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第一 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長櫻田義孝君。

    ―――――――――――――

 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔櫻田義孝君登壇〕

櫻田義孝君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、戦没者遺族等の処遇の改善を図るため、遺族年金等の額を恩給の引き上げに準じて引き上げるとともに、年金の額の自動改定に係る規定を整備しようとするものであります。

 本案は、去る三月二十二日本委員会に付託され、翌二十三日柳澤厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十八日質疑を行った後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件

 日程第三 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件、日程第三、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案、右両件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長山口泰明君。

    ―――――――――――――

 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山口泰明君登壇〕

山口泰明君 ただいま議題となりました国際刑事裁判所ローマ規程及び国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、国際刑事裁判所ローマ規程について申し上げます。

 本規程は、旧ユーゴスラビア及びルワンダにおける大量虐殺等の事件の発生を機に、国際的な刑事法廷の設立に対する国際的な関心が高まったことを受け、国連の主催により開催された国際刑事裁判所設立に関する外交会議において、平成十年七月十七日にローマで作成されたものであります。

 本規程の主な内容は、

 国際的な関心事である最も重大な犯罪を行った個人を訴追し処罰するため常設の国際刑事裁判所を設立すること、

 裁判所は、最も重大な犯罪である集団殺害犯罪、人道に対する犯罪及び戦争犯罪に対して締約国等が管轄権を行使しない場合に管轄権を行使し得ること、

 裁判所は、締約国による付託、国連安保理による付託、または裁判所の検察官による捜査の着手がなされる場合に管轄権を行使し得ること、

 締約国は、裁判所が行う捜査及び訴追において十分に協力すること

等であります。

 次に、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案について申し上げます。

 本案は、国際刑事裁判所ローマ規程の締結に伴い、国際刑事裁判所が管轄権を有する事件の捜査等への協力のための手続規定及び裁判所における偽証等その運営を害する行為についての罰則を整備するものであります。

 本案の主な内容は、

 国際刑事裁判所に対する証拠の提供及び引き渡し犯罪人の引き渡しに関する規定等を整備すること、

 裁判所の財産刑等の執行及び保全に関する規定並びに裁判所に対する国際刑事警察機構を通じた協力に関する規定を整備すること、

 裁判所における偽証等の罪を新設すること

等であります。

 両案件は、去る二月二十七日に本院に提出され、三月二十日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、外務委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、同月二十三日麻生外務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十八日質疑を行い、討論の後、採決を行いました結果、国際刑事裁判所ローマ規程は全会一致をもって承認すべきものと議決し、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第二につき採決いたします。

 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、日程第三につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第四、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長桝屋敬悟君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔桝屋敬悟君登壇〕

桝屋敬悟君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、イーター事業の共同による実施のためのイーター国際核融合エネルギー機構の設立に関する協定等の締結に伴い、同協定等に基づく我が国の義務の履行を確保するため、主務大臣が独立行政法人日本原子力研究開発機構に対して必要な措置をとることを求めることができる措置を講ずるもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、主務大臣は、原子力の研究、開発及び利用に関する条約その他の国際約束を我が国が誠実に履行するため必要があると認めるときは、独立行政法人日本原子力研究開発機構に対し、必要な措置をとることを求めることができるものとすること、

 第二に、機構は、主務大臣から第一の規定による求めがあったときは、その求めに応じなければならないものとすること

であります。

 本案は、三月二十六日本委員会に付託され、翌二十七日伊吹文部科学大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十八日質疑を行い、討論の後、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 株式会社日本政策金融公庫法案(内閣提出)及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣渡辺喜美君。

    〔国務大臣渡辺喜美君登壇〕

国務大臣(渡辺喜美君) 株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 昨年五月に成立した簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、いわゆる行政改革推進法においては、政策金融改革として、平成二十年度において現行の政策金融機関を再編成し、新たに一つの政策金融機関を設立することとし、その機能を国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援する機能等に限定すること等の方針が規定されたところであります。

 政府としては、改革の後退は許さないという姿勢で政策金融改革に取り組んでおり、行政改革推進法等に則して、新たな政策金融機関として株式会社日本政策金融公庫を設立し、その目的、業務の範囲等に関する事項を定めるため、これら二法案を提出する次第であります。

 まず、株式会社日本政策金融公庫法案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、新たに設立する株式会社日本政策金融公庫の目的は、行政改革推進法の規定にのっとり、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援するための金融の機能並びに我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得を促進し、並びに我が国の産業の国際競争力の維持及び向上を図るための金融の機能を担うとともに、内外の金融秩序の混乱または大規模な災害、テロリズムもしくは感染症等による被害に対処するために必要な金融を行うほか、当該必要な金融が銀行その他の金融機関により迅速かつ円滑に行われることを可能とし、もって我が国及び国際経済社会の健全な発展並びに国民生活の向上に寄与することといたしております。

 第二に、新公庫の業務について、行政改革推進法において現行の政策金融機関の業務のうち廃止、縮小または限定することとされたものを忠実に反映するとともに、一般の金融機関が行う金融の補完を一層推進するため、証券化の手法を活用して一般の金融機関による貸し付けを促進するための業務等を追加することといたしております。また、主務大臣が指定する金融機関が行う危機対応業務に必要な信用の供与を行うことといたしております。

 第三に、新公庫の業務の適切な実施を図るため、役員及び職員、財務及び会計、監督等について所要の規定を整備するとともに、新公庫の設立に関する事項等を規定しております。

 次に、株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴い、恩給法を初め、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律を含む八十六の関係法律に所要の整備を加えるとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。

 以上が、株式会社日本政策金融公庫法案等二法案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 株式会社日本政策金融公庫法案(内閣提出)及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。木村勉君。

    〔木村勉君登壇〕

木村勉君 私は、自由民主党の木村勉でございます。

 自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました二法案について質問をいたします。(拍手)

 我が国が少子高齢化、グローバル化など急速な環境の変化に直面している中で、我が国の国際競争力を強化し、国民が豊かで安心して暮らすことのできる社会を実現するためには、行政改革に果敢に取り組み、民間の主体性や自律性を高め、その活力が最大限発揮されるようにすることが不可欠であります。

 我が党は、これまで、政府と連携して行政改革に全力を挙げてきたところであり、昨年五月に、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、いわゆる行政改革推進法を成立させ、その着実な実施に取り組んでいるところであります。

 この行政改革推進法の重要な柱の一つが政策金融改革であります。日本政策投資銀行及び商工組合中央金庫を完全民営化し、公営企業金融公庫を廃止し、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の四つの機関を一つの新たな政策金融機関に統合するという、大胆な改革の基本方針が盛り込まれております。安倍内閣は、こうした改革の具体化という重要な職責を担っております。

 初めに、政策金融改革の意義についてお尋ねをいたします。

 渡辺行政改革担当大臣は、本法案の趣旨説明において、改革の後退は許さないという姿勢で政策金融改革に取り組んでいると述べられました。改革の実行に向けた大臣の強い決意のあらわれと受けとめておりますが、そもそも政策金融改革は、我が国経済社会にとってどのような意義があるとお考えでいらっしゃるのでしょうか。御所見をお伺いいたします。

 次に、政策金融機関の統合効果についてお尋ねいたします。

 今般、現行の四機関が統合することにより、政策金融としてそれぞれ行われてきた業務が一つの機関で総合的に行われるようになり、経営の合理化、効率化が図られることが期待されております。民間金融機関の合併では、支店の統廃合や管理部門の合理化等が行われていますが、株式会社日本政策金融公庫について、政策として必要な業務の適切な実施を確保しつつ、また、利用者の利便性にも十分配慮しながら、どのように統合のメリットを発揮させていく方針なんでしょうか。行政改革担当大臣の御所見をお伺いします。

 次に、新公庫が生活衛生関係営業者への資金供給において果たす役割についてお尋ねをいたします。

 言うまでもなく、生活衛生関係営業は、飲食店、喫茶店、美容、理容、クリーニング、公衆浴場など、国民に大変身近な存在、健康な生活に不可欠な存在であり、その健全な発展に政策金融の果たす役割は極めて重要であります。このため、今回の政策金融改革においても、生活衛生関係営業者の方々への貸し付けはしっかりと残すこととされており、新公庫においても、資金ニーズに応じた融資が確保される必要があります。

 そこで、今回の新公庫法案において、生活衛生関係営業者の方々に対する資金の位置づけはどのようになっているのか、また、生活衛生関係営業の実情に精通した職員が窓口に配置されるなど、利用者の利便性が低下しないような体制がとられるのか、行政改革担当大臣の御所見を伺います。

 次に、新公庫が中小零細企業への資金供給において果たす役割についてお尋ねします。

 安倍総理が施政方針演説で述べられているとおり、地方の活力なくして国の活力はありません。こうした観点から、中小零細企業は、個性ある地場産品や地域密着型のサービスなどの提供を通じて豊かな消費生活の実現に貢献し、また、地域社会に雇用の場を創出するなど、まさに地域経済の屋台骨を支える役割を果たしており、その活力を引き出していくことが我が国経済にとって重要であることは改めて申し上げるまでもありません。

 国民生活金融公庫や中小企業金融公庫は、こうした役割を果たす中小零細企業への資金供給を行うという重要な機能を担っております。新公庫に統合された後も、その機能を十分に発揮していく必要があると考えますが、甘利経済産業大臣の御所見をお伺いいたします。

 次に、新公庫が農林水産業者への資金供給において果たす役割についてお尋ねをいたします。

 農業分野においては、今まさに、意欲と能力のある担い手に限定した品目横断的な経営安定対策を導入する農政改革を断行中であります。この改革を実のある改革とし、国内農業の体質強化を実現していくためには、担い手の、みずからの創意工夫や経営判断に基づき積極的な経営を行おうとする意欲を伸ばしていくことが肝要であり、政策金融として、こうした積極的な投資のための資金調達支援の役割がますます重要であると考えますが、農林水産大臣の御所見をお伺いいたします。

 最後に、新公庫が国際金融の分野で果たす役割についてお尋ねいたします。

 近年の企業活動のグローバル化等により、国際的な生産分業体制の構築が進み、国際競争は激しさを増しており、また、原油価格、金属価格などが大幅に上昇する中で、世界的な資源獲得競争が展開されています。このような中、我が国企業の国際競争力を強化するとともに、資源エネルギーの安定供給の確保への取り組みが不可欠であります。また、アジア通貨危機の際に、国際協力銀行は危機対応に大きな役割を果たしてきましたが、国際金融秩序の混乱への迅速かつ的確な対応は引き続き重要であります。

 こうした観点から、国際協力銀行から国際金融業務を承継する新公庫について、今後とも政府と十分連携をしながら、国益上真に必要な国際金融業務がしっかりと行われる体制が整備される必要があると考えますが、財務大臣の御所見をお伺いします。

 以上、二法案に対する基本的な所見についてお伺いいたしました。今後とも、政策金融改革が行政改革推進法にのっとって着実に実施され、簡素で効率的な政府の実現に向けて大きく前進していくことを期待し、私の質問といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣渡辺喜美君登壇〕

国務大臣(渡辺喜美君) 政策金融改革の意義についてのお尋ねがございました。

 今回の政策金融改革は、資金の入り口であります郵便貯金、この郵政民営化に続く資金の出口の改革でございます。資金の流れを官から民へ改革することによって、国民の大切な資産が民間部門で有効に活用され、経済の活性化につながることがその意義であると考えております。

 このため、現行政策金融機関の担っている機能を抜本的に見直し、完全民営化、廃止される機関の機能を政策金融の外側に切り出すとともに、必要最小限の業務を一つの新たな政策金融機関に担わせることにしたわけであります。

 次に、統合のメリットについてお尋ねがございました。

 現行四つの機関を一つに統合する主なメリットとしては、第一に、管理部門などの共通する業務の一元化、また同一地域に複数の支店が存在する場合の統合による役職員数の縮減、経費の縮減がございます。第二に、新公庫が一元的、効率的に資金調達を実施することによって、調達コストの低減が図られることであります。第三に、業務に関するノウハウの共有によって、新規創業の支援や事業再生支援といった共通の課題について連携した取り組みが行われるようになります。さらに、主要な支店における新しい公庫のすべての金融サービスに関するワンストップサービスの提供などが挙げられると考えます。

 生活衛生関係営業者の方々に対する資金の位置づけについてのお尋ねがございました。

 新公庫を設立するに当たり、生活衛生関係営業者の方々に対する貸し付けは、しっかりと政策金融として承継することにいたしております。新公庫法案においては、生活衛生関係営業者に対する政策金融の重要性にかんがみ、次のとおり、最大限の法的位置づけを行っております。

 第一に、第一条の目的規定に、行政改革推進法において生活衛生関係営業者を含むものとして用いられている「国民一般」の用語を用いるとともに、その点を第二条の定義において法文上に明示いたしております。

 第二に、業務を規定した第十一条別表第一において、三号から七号まで生活衛生貸し付けを明記いたしております。

 第三に、第二十九条の新公庫の資金計画において、生活衛生関係の貸付予定額の合計額を明らかにしなければならないことといたしております。

 さらに、新公庫の設立により生活衛生関係営業者の方々が融資や利便性について不安を持たれることのないよう、新公庫の運営に当たって十分配慮する方針でございます。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣甘利明君登壇〕

国務大臣(甘利明君) 中小零細企業への資金供給機能についてのお尋ねであります。

 中小零細企業は、日本経済の発展を支えていく原動力であります。その資金調達の円滑化は極めて重要であると考えております。

 このために、政策金融機関の再編におきましては、中小公庫や国民公庫が担ってきました中小零細企業への金融機能を、新たに設立される株式会社日本政策金融公庫にしっかりと承継することといたしております。

 今回の再編後におきましても、中小零細企業の方々の資金繰りに支障を来すことがないように万全を期してまいります。(拍手)

    〔国務大臣松岡利勝君登壇〕

国務大臣(松岡利勝君) 木村議員の御質問にお答えいたします。

 農林水産分野の資金供給に新公庫が果たす役割についてのお尋ねでありますが、現在、農政においては、御指摘のとおり、担い手の育成確保を通じた国内農業の体質強化を早急に進めるため、品目横断的経営安定対策等の改革を強力に推し進めているところであります。

 現在、農林漁業金融公庫が行っている長期、低利の資金供給は、このような農政改革等を進めていく上で不可欠な政策手段であり、新公庫においても、このような資金供給機能が十分に発揮される必要があります。

 したがって、今回の法案においては、一方で、行政改革推進法に従い、大企業向けの食品産業融資を廃止するなど政策金融改革の趣旨に沿った改革を行いつつ、農林漁業向け資金については、民間金融機関による参入が進んでいない状況にかんがみ、基本的に現行の長期、低利の融資機能を承継することとしたところであります。

 このような機能を十分発揮することにより、積極的な経営を目指す担い手の育成強化を通じた農政改革等の実現に、新公庫としても大きな役割を果たしていくものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣尾身幸次君登壇〕

国務大臣(尾身幸次君) 木村議員の御質問にお答えいたします。

 新公庫における国際金融業務についてのお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、我が国企業の国際競争力の強化、資源エネルギーの安定供給の確保及び国際金融秩序の混乱への迅速的確な対応は、引き続き重要な課題と考えております。

 このため、行革推進法及び新公庫法案においては、これらに係る国際金融業務は国際協力銀行から新公庫に承継される旨を明記しているところであります。

 これを踏まえ、政府としては、新公庫と十分な連携を図り、国益上真に必要な国際金融業務がしっかりと行われるよう努めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 佐々木隆博君。

    〔佐々木隆博君登壇〕

佐々木隆博君 民主党の佐々木隆博でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、渡辺喜美国・地方行政改革担当大臣に質問をいたします。(拍手)

 政策金融改革は、今ほど大臣からも答弁がありましたが、官から民へ、民間でできることは民間にというキャッチフレーズのもと、郵政改革に次ぐ二の丸として、小泉前政権が取り組まれてきた重要課題であります。しかしながら、今、小泉改革とは何であったのかを振り返ったとき、この官から民へ、民間でできることは民間にというわかりやすいフレーズがいかに多くの危険な意味を含んでいたかについて、私は戦慄を覚えざるを得ません。

 このような単純、簡潔な言葉で国民が惑わされた結果、格差の拡大、弱者の切り捨て、地方の衰退、ゆとりを失った教育などという形となって、日本じゅうが今、暗い影で覆い尽くされているというのが今日の偽らざる実態ではないでしょうか。

 小泉構造改革は、改革を至上命題とするばかりに、弱者に対するセーフティーネットに欠けるものでありました。そして、安倍内閣は、小泉前政権の政策をそのまま受け継ぐだけで、何ら指導力が発揮できず、荒廃した我が国を救う力を持ち合わせていないのは明らかであります。

 さらに、今、私は、本法案を初めとする政策金融改革関連法案を眺め渡したとき、改革の本旨を見失った小泉改革の負の遺産をここに再び見る思いがしてならないのであります。

 政府の失政により、我が国の金融界はここ十数年の間、まさに混乱のきわみでありました。かつて民間金融機関は、中小企業に対する身勝手な貸し渋り、貸しはがしに奔走し、国民の間には銀行に対する強い不信感が生じたことは否定できません。こうした事態を受け、政府系金融機関に対しては緊急避難的なセーフティーネットとして期待が高まり、現実に大きな役割を果たした時期があったことは紛れもない事実であります。

 しかしながら、二〇〇二年以降、経済財政諮問会議を中心にして行われてきた政策金融改革の議論は、貸出残高の半減や組織の一本化など、単純かつ表面的な大義名分ばかりが優先され、本来、どのような機能を政策金融が持つべきかということについて十分な議論が尽くされた感はありません。中小零細企業や農林漁業者などの小規模事業者や、格差拡大により大きな影響をこうむっている個人にとって、政策金融機関と民間金融機関はそれぞれどのように機能し、またどのように役割分担すべきかについて十分に検討されたのでしょうか。組織体制の一本化や貸出残高半減の議論は、その検討の結果として当然に帰結されるべきものだったのではないでしょうか。この点、私は、どうしても順序が逆だったような気がしてならないのであります。

 そこで、改めて伺います。

 政策金融が国民に対して果たすべき機能は何であるのか、そしてその観点から、今次の改革では何を実現しようとしているのか、すなわち政策金融改革の本来的な目的と意義というものについてお答えください。

 あわせて、新公庫は、会社法上の株式会社であり、政府が株式を全額保有する特殊会社であるとされております。言うまでもなく、新法人は、民間の補完に徹しながらも、民間金融機関のみでは適切な対応が困難な分野について業務を行うものですから、公的な性格を帯びたものであることは言うまでもありません。組織形態については独立行政法人とすることも検討されたようでありますが、会社法上の株式会社とすることについて、どのようなメリットが生じるのか、明快な答弁をお願いいたします。

 次に、新公庫の今後の業務のあり方について質問いたします。

 戦後の復興期に相次いで設立された政府系金融機関は、民間金融機関が供給することが困難な資金を融通することを目的として、中小企業や農林漁業の育成に大きな寄与を果たしてきました。しかしながら、我が国経済の発展につれて、政策金融が果たすべき役割は大きく変化し、肥大化したその機能を大幅に縮小すべき必要性があることはだれの目にも明らかであります。

 平成十七年十一月に経済財政諮問会議が取りまとめた政策金融改革の基本方針においても、政策機能を絞り込む方針は明らかにされておりますが、本法案に示された新公庫の業務のあり方を見ても、その大きな目的が達成されているのかの疑問を感じざるを得ません。

 統合の名のもとに旧公庫の業務を単にホチキスどめし、業務の限定もごくわずかであって、真に必要な分野のみに特化したとは到底言い切れないと感じるのは私だけでしょうか。本法案には、今後も新公庫の業務のあり方について検討し、業務の廃止等の措置を講ずる旨の規定がありますが、これを思い切って大胆に進めることが肝要です。この点に関する今後の方針について答弁を求めます。

 なお、官僚による恣意的な影響力を排し、無駄や非効率を解消して、スリム化、効率化を目指すということも政策金融改革の大きな目的の一つです。従来の縦割り行政の弊害をなくすことができるかどうかが、この改革の成果を判断する一つの試金石となっていることは間違いありません。

 しかしながら、この点においても、私は懸念を感じるものであります。新公庫は、当面、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫及び国際協力銀行の四機関が統合して発足しますが、これら統合によるコスト削減効果はいかほどのものでありましょうか。

 民間銀行の合併では、支店の統合で大きな合理化効果が生じています。政府は、統合対象となる旧公庫の合計二百三十三の国内店舗のうち、平成二十年度と二十一年度の二年間において、差し当たり二十四店舗の統廃合を行う予定と伺っておりますが、これは余りにもゆっくりしたものではないでしょうか。旧公庫の支店が重複して存在する都市は多数存在しますが、これらの都市においてはすぐにでも支店の統合を進めるべきであります。あわせて、職員数や給与基準の見直しによる人件費の圧縮や、資産の売却などによる合理化も重要です。

 そこで、質問をいたします。

 支店の統合、人件費の圧縮、資産の売却などをどのように進めていくのか、これらによるコスト削減効果はいかほどのものであるのか、具体的な数値目標をお答えください。

 また、新公庫では、旧公庫の業務区分ごとに内部組織が設けられ、これらの区分に応じて経理を別にし、勘定も別にすると予定されております。しかしながら、勘定を別にする根拠については、「政策金融改革に係る制度設計」では、政策の実施に係る責任を明確にするためとしているだけで、その具体的な理由はあいまいもことしたものです。責任の所在が複数あることは、かえって責任の所在があいまいになることではないでしょうか。責任を明確にするという文言は、聞こえはよいのですが、これはむしろ省庁の縦割りを温存し、役所の恣意的な影響力行使を天下り先で維持することになってしまうのではないでしょうか。ここに本当の意図があるとしか私には思えてならないのであります。

 責任を明確にするという言葉は、どのようなときに、だれがだれに対してどのような責任を担うという意味なのか、想定される具体的ケースについてお答えください。

 さらに、国民の最大の関心事である天下りの問題について質問いたします。

 これまで、政府系金融機関は霞が関の官僚たちにとって天下りの牙城とされてきました。天下りは国民の大きな批判を呼んでおり、この解消は国民的関心事であります。

 行革推進法では、この点について、特定の公務を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮するものとすると規定しております。また、本法案でも同様の条文がありますが、ここで言う配慮の意味するところは何なのでありましょうか。配慮だけでは骨抜きにされるのは明らかであり、この趣旨を生かすためにはさらに強力な措置が必要と考えます。新公庫において天下りの弊害を解消するための具体的な方策についてお伺いいたします。

 また、あわせて伺いますが、現行の旧公庫の経営陣は所管官庁の出身者が多くを占めていることは、周知の事実であります。天下りによる弊害の解消を目指す行革推進法の規定の趣旨を踏まえると、新公庫の発足に当たっては、よもや旧公庫のトップがそのまま横滑りし、新公庫の経営陣に居座ることはないとは思いますが、念のために、その点について明確な答弁を求めます。

 最後に、私は、借り手の立場に立った改革が実行されるかどうかということも、今次の改革の大きなポイントであると考えます。

 三月二十五日に能登半島地震が発生いたしました。このような場合、国金、中小企業公庫、商工中金等が低利融資を実施してまいりました。こうした災害においては、一日も早い連携と発動が必要であります。新政策金融機関においても危機対応は重要な役割であると考えますが、大臣の決意と所見を伺います。

 政策金融改革において、合理化が大きな目的とされているのは当然のことでありますが、それを最優先する余り、借り手に甚大な犠牲を強いるものであってはなりません。特に、中小企業や地方の経済界からは、一連の政策金融改革が弱者切り捨てになるのではないかとの懸念の声が上げられております。発足までの移行期間において、借り手の立場に配慮することは当然のことではありますが、改革した結果、国民生活、中小企業、農林漁業者に対する資金ルートが断たれてしまうようなことがあってはなりません。国民生活や地域経済に対する業務継続のあり方について、その方針を伺います。

 私は、改革を全面否定するものではありません。しかし、この間の小泉・安倍改革は、規制を緩和していろいろなことにチャレンジしてみろと言われ、飛び込んでみたら、そこにあるネットは余りにも大きな編み目であり、九割の国民は地面にたたきつけられ、立ち上がれない状態で、今度は再チャレンジだ、イノベーションだと言われているような状況であります。

 つまり、小泉・安倍改革は、機会の平等を奪い、格差を拡大してきた改革なのであります。改革には、民主党の主張する公正と公平と共生のセーフティーネットがあってこそ改革があるのだということを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣渡辺喜美君登壇〕

国務大臣(渡辺喜美君) 御質問の中で、民間にできることは民間にという小泉改革のメッセージが格差を生んできたではないか、こういう御指摘がございました。

 私どもは、そうは考えておりません。

 戦後レジームが成功した時代がございました。しかし、その戦後レジームの成功体験が何を生んできたか。膨大な借金の山であり、また官僚の天下りに見られるような、そういう後世代にツケが回りかねない現実を我々は直視をしなければなりません。戦後レジームの成功体験に安住をしてはいけないのであります。したがって、我々は、このような観点から、戦後レジームの変換の一つとして政策金融改革に取り組んでおるところでございます。

 政策金融の改革の目的と意義については、先ほどもお答えをいたしましたので、簡単に申し上げます。

 まず、資金の入り口である郵政民営化に引き続く資金の出口の改革であることは御案内のとおりでございます。資金の流れをいつまでも官から官へ流し続けていたのでは、この国の未来はありません。そこで、官から民へ資金の流れを変えることによって、国民の大切な資産が民間部門で活用され、経済の活性化が図られる、これが我々の眼目であります。

 このために、現行政策金融機関の担っている機能を抜本的に見直し、完全民営化、廃止される機関の機能を政策金融の外側に切り出すとともに、必要最小限の業務を一つの新たな政策金融機関に担わせることとしたのであります。したがって、セーフティーネットを全部切り離してしまうなどということを到底我々が考えているわけではございませんので、御安心をいただきたいと思います。

 次に、会社法上の株式会社とすることについてのメリットについての御質問がございました。

 新公庫を株式会社といたしますことは、やはり強固なガバナンスを発揮しつつ、効率的な事業運営の実現を図っていく必要があるからでございます。また、政策上必要な業務の的確な実施を図るために特殊会社としたところでございます。

 具体的には、株式会社とすることによって、運営は基本的に会社法に従って行われます。民間企業会計や企業的組織運営による透明性の高い効率的な運営も同時に目指してまいります。

 次に、新公庫の業務の今後の見直しについての御質問でございます。

 新公庫法案におきましては、一般の金融機関が行う金融を補完する、そういう趣旨の観点から、継続的な業務の見直しを行ってまいります。必要があると認めるときは業務の廃止その他の所要の措置を講ずる旨を規定いたしております。見直しに当たっては、政府の行政改革推進本部のもとに行政減量・効率化有識者会議を設けております。この有識者会議の専門のワーキングチームを近々設けていただき、このワーキングチームで徹底した、業務の肥大化、民業圧迫になっているかいないか等々についての議論を進めてまいる所存でございます。

 次に、支店の統合、人件費の圧縮等々、コスト削減の具体的数値目標についてのお尋ねでございました。

 現行四機関を一つの政策金融機関に統合するに当たっては、同一地域に重複した支店が多数ございます。先ほど佐々木議員が御指摘になられましたように、これを極力統合していく方針でやらさせていただきたいと考えます。また、これとあわせて、管理部門等の一元化等により役職員数の縮減、コストの縮減もあわせて図ってまいります。現行四機関の資産についてのデューデリジェンスをきちんと行い、必要のない資産があれば国に返還をいたさせます。

 これらにより、最大限の効率化を図ることが重要であると考えております。具体的な内容や目標については、今後、新公庫の設立に向けた準備の中で検討してまいります。

 勘定区分についてのお尋ねでございます。

 新しい公庫は、必要に応じて財政支援を受け、政策金融を実施する機関であります。したがって、各政策の実施状況について透明性を図るために、主要政策ごとに勘定区分を行うことにいたしております。勘定区分により明らかになる各政策の実施状況については、まず新公庫の経営責任者が政府のみならず国会及び国民に対し責任を負うと考えております。それぞれの政策を担当する主務大臣が、国会と国民に対して責任を負うものだと考えております。

 次に、新公庫への天下りの弊害の解消についての具体的方策についてお尋ねがございました。

 いわゆる天下り問題については、この国会で十分な議論をさせていただきたいと考えております。そのための法案の準備も、今最終的な詰めを行っているところでございます。いわゆる天下り問題について、安倍総理の指示により、各省庁によるあっせんをなくして新人材バンクへ一元化していく方向で、現在、法案化の作業を進めております。応援よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

 新公庫の経営責任者の選任については、行政改革推進法と新公庫法の両方で明確な規定をいたしております。新公庫については、第五条の経営責任者に関する条文が当然に適用されます。これに加えて、五条の趣旨を確実に担保するため、第五条の内容は新公庫の定款に経営責任者の選任の要件として記載をし、これにふさわしい者を新公庫みずから選任をすることにいたしております。すなわち、今までのように、どこそこ省の事務次官だから自動的にそこの総裁になる、こういう慣行は今後なくなるのでございます。主務大臣もこれをチェックいたします。これは、新公庫法にも明確な規定がございます。

 次に、現行四機関のトップが新経営陣への参画のいかんについてのお尋ねがありました。いわゆる横滑り問題でございます。

 新公庫の経営責任者については、ただいま申し上げました行政改革推進法並びに新公庫法の規定の趣旨に照らして、厳正に選任されるべきものであると考えております。

 次に、新公庫による政策金融の利用者や地域経済に対する円滑な資金供給についてのお尋ねがございました。

 その前に、もう一つお尋ねがございました。

 能登半島地震のような災害時において、この政策金融は万全を期すべきであると考えるが、新公庫法においても十分な措置がとられているかとの御指摘でございました。

 能登半島地震に際しましては、現行政策金融機関によって、特別相談窓口の設置や災害復旧貸し付けの実施等、迅速な対応がなされておりますのは御案内のとおりであります。

 新公庫法案におきましても、新公庫が引き続き政策金融として必要な機能を担うこととし、直接貸し付け等により迅速かつ円滑な危機対応を実施することに加え、完全民営化する商工中金や政策投資銀行を含む民間の指定金融機関を活用する危機対応制度を盛り込んでおります。大規模な災害を初め、危機による被害に対処するため、必要な制度的手当てを行っているところであります。これによりまして、新公庫の成立後も、迅速かつ円滑な危機対応が実施され、災害対策に万全が尽くされるものと考えております。

 最後に、新公庫による政策金融の利用者や地域経済に対する円滑な資金供給についてのお尋ねがございました。

 新公庫法におきましては、引き続き政策金融として必要な機能をしっかりと担ってまいります。また、民間金融機関を活用した危機対応制度を盛り込み、さらに、民間金融機関の貸し付けを促進し、民業補完を進める観点から、保証業務や証券化業務を追加補充するなど、制度的な措置は講じております。

 したがって、新公庫の成立後、民業補完を旨としつつ、民間金融機関の動向や地域経済の実情を十分把握し、政策金融として、必要なところに資金が円滑に供給されるよう運営していくことが重要であると考えております。

 以上、真摯に答弁したつもりでございますが、さらに足りないものについては委員会の審議にゆだねたいと思いますので、委員会の方で十分な御質問をお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣  長勢 甚遠君

       外務大臣  麻生 太郎君

       財務大臣  尾身 幸次君

       文部科学大臣  伊吹 文明君

       厚生労働大臣  柳澤 伯夫君

       農林水産大臣  松岡 利勝君

       経済産業大臣  甘利  明君

       国務大臣  塩崎 恭久君

       国務大臣  菅  義偉君

       国務大臣  高市 早苗君

       国務大臣  山本 有二君

       国務大臣  渡辺 喜美君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  林  芳正君


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