衆議院

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第20号 平成19年4月10日(火曜日)

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平成十九年四月十日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十五号

  平成十九年四月十日

    午後一時開議

 第一 温泉法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 武力紛争の際の文化財の保護に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 温泉法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 武力紛争の際の文化財の保護に関する法律案(内閣提出)

 漁港漁場整備法及び後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 株式会社商工組合中央金庫法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 温泉法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、温泉法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長西野あきら君。

    ―――――――――――――

 温泉法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔西野あきら君登壇〕

西野あきら君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、温泉の保護及び利用の適正化を図るため、温泉を公共の浴用または飲用に供する者に対する定期的な温泉成分分析及びその結果に基づく掲示内容の変更の義務づけ、土地の掘削等の許可に付された条件に違反した者に対する許可の取り消し等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月二十二日本委員会に付託され、翌二十三日若林環境大臣から提案理由の説明を聴取し、今月三日に質疑を行いました。同日質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 武力紛争の際の文化財の保護に関する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、武力紛争の際の文化財の保護に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長桝屋敬悟君。

    ―――――――――――――

 武力紛争の際の文化財の保護に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔桝屋敬悟君登壇〕

桝屋敬悟君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、武力紛争の際の文化財の保護に関する条約等の適確な実施を確保するため、所要の国内法整備を行うものであり、その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、海外の被占領地域から流出した文化財の輸入を規制することとし、輸入されたものについては、その損壊または譲渡等の行為について罰則を定めること、

 第二に、武力攻撃事態において、条約の保護を受ける文化財等を識別するための特殊標章の使用に関する規定を定めること、

 第三に、武力紛争事態において、正当な理由がないのに、その戦闘行為として条約の保護を受ける文化財を損壊する行為等について罰則を定めること

であります。

 本案は、四月三日本委員会に付託され、翌四日伊吹文部科学大臣から提案理由の説明を聴取し、去る六日質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

加藤勝信君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、漁港漁場整備法及び後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 加藤勝信君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 漁港漁場整備法及び後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 漁港漁場整備法及び後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長西川公也君。

    ―――――――――――――

 漁港漁場整備法及び後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔西川公也君登壇〕

西川公也君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、水産資源の増大等を図るため、適切な地方負担のもとに国が漁場整備を行うことができるよう措置するとともに、漁港施設の機能の高度化を図るため、構造改革特別区域における漁港施設の貸し付けに係る特例措置を全国において実施しようとするものであります。

 委員会におきましては、去る三月二十九日松岡農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、本四月十日質疑を行いました。質疑終局後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 株式会社商工組合中央金庫法案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、株式会社商工組合中央金庫法案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣甘利明君。

    〔国務大臣甘利明君登壇〕

国務大臣(甘利明君) 株式会社商工組合中央金庫法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 日本の産業競争力の源泉は、大企業に部品や素材を供給する中小企業にあり、また、地域の経済を支えているのも、各地域で特色ある事業活動を行う中小企業であります。商工組合中央金庫は、こうした中小企業のよい点を見つけ、はぐくむノウハウを持っており、融資と経営指導を一体として実施し、中小企業を支えてきました。

 こうした背景のもと、政策金融改革を着実に進めるとともに、商工組合中央金庫が有している中小企業に対する金融機能の根幹を維持するための措置を講ずることが、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律において定められております。本法案は、その内容を具体化したものであります。

 次に、本法案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、平成二十年十月における商工組合中央金庫の株式会社化を円滑に行うため、株式会社への組織転換のための措置を講ずることとしております。

 第二に、中小企業に対する金融機能の根幹を維持するため、中小企業団体とその構成員等に融資対象、株主資格を限定するとともに、中小企業に対する円滑な金融機能の提供に不可欠な強固な財務基盤を確立すべく、特別準備金の設置について規定をしております。

 第三に、政府保有株式の全部を処分したときは、直ちに本法案を廃止するための措置を講ずるとともに、中小企業に対する金融機能の根幹が維持されることとなるように、株主資格を制限するための措置その他必要な措置を講ずることとしております。

 以上が、株式会社商工組合中央金庫法案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 株式会社商工組合中央金庫法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。平井たくや君。

    〔平井たくや君登壇〕

平井たくや君 自由民主党の平井たくやです。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました株式会社商工組合中央金庫法案について質問いたします。(拍手)

 我が国をめぐる情報化、グローバル化等の急激な経済社会情勢の変化の中で、我が国の国際競争力を強化し、国民が豊かで安心して暮らすことができる社会を実現するためには、民間の主体性や自律性を高め、その活力が最大限発揮されるようにすることが不可欠であります。そのためには、果敢に行政改革に取り組むことが重要です。

 与党では、こうした観点から、政府と連携して行政改革に全力で取り組んできたところであり、昨年五月には、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、いわゆる行政改革推進法を成立させ、その実現に向けて積極的に取り組んでいるところであります。

 この行政改革推進法の重要な柱の一つである政策金融改革において、商工中金については、中小企業に対する金融機能の根幹を維持しつつ、完全民営化をすることとされております。安倍内閣は、我が国の産業を支える中小企業に対する金融機能を担う商工中金の完全民営化という重要な職責を担っていると言えます。

 初めに、本法案に関する質疑を行う際に前提となる中小企業の現状と中小企業施策に関する基本的な考えについてお尋ねします。

 我が国全体の景況は回復を続けていますが、中小企業についての回復力は弱く、また、地域によって回復にばらつきが見られます。

 我が国に四百三十万社ある企業のうち、九九%以上が中小企業であり、従業員数で見ても七割以上の方が中小企業で働いています。中小企業が明るい展望を持ち、活力ある事業活動を行ってこそ、景気回復、経済成長の成果が国民全体に広く行き渡り、我が国の経済が真に回復したことになると言えます。そして、我が国の経済の回復をバランスのとれた全国的な景気回復に発展させていくためには、地域資源の積極的活用、ものづくり産業の強化、事業を円滑に行うための環境整備、商店街の活性化など、中小企業が抱える多様な問題に対応した支援策を充実強化していくことが必要であると考えております。

 与党では、こうした観点から、政府と連携して地域の中小企業の活性化に尽力してきたところであり、平成十九年度の中小企業関連予算では、厳しい財政状況の中、三年ぶりの増額となる千六百二十五億円を計上し、平成十九年度税制改正では、長年の懸案事項であった留保金課税制度の撤廃を行い、本国会においては、中小企業対策関連法案を三本、地域活性化関連法案を九本提出するなど、中小企業の自律的かつ持続的な成長に向けて積極的に取り組んでいるところです。

 中小企業が置かれている状況についての経済産業大臣の認識と、それを踏まえた中小企業施策に対する意気込みについて、御所見を伺います。

 次に、商工中金が中小企業向け金融においてこれまで果たしてきた役割についてお尋ねします。

 商工中金は、政府と中小企業団体が連携して出資する金融機関として、中小企業の声を業務運営に生かしながら、総合的な金融サービスを安定的に提供することで、我が国の産業競争力を支える中小企業の企業価値の向上や持続的な成長を支援してきました。貸出残高は九兆円を超え、融資先数は八万社あるなど、商工中金が中小企業金融において果たす役割は極めて重要であります。

 また、数年前、貸し渋りや貸しはがしが横行していたときには、中小企業に対して安定的な資金供給を行うなど、全国の中小企業者にとってはまさに最後のよりどころとなり、高く評価されたものと承知しております。

 商工中金が中小企業向け金融においてこれまで果たしてきた役割について、経済産業大臣の御所見を伺います。

 次に、株式会社化した後の商工中金が中小企業向け金融において果たす役割についてお尋ねします。

 そもそも、今般の商工中金の改革を含む政策金融改革については、郵政民営化が国民から集めた公的資金の運用をいかに効率的、有効に使うかという、いわば入り口の改革であったのに対し、こうした公的資金を活用している政府系金融機関に関するいわば出口の改革と位置づけられる重要な改革であります。

 一方で、商工中金は、先ほども申し上げましたとおり、相互扶助の精神に基づき、主として所属団体向けの金融を行い、中小企業の発展に大きく貢献してきました。このようなメンバーシップ金融の仕組みは、中小企業向け金融を安定的かつ円滑に行う上で大変有効に機能してきたものであり、こうした枠組みは、商工中金が株式会社化した後も引き続き維持されることが望ましいと考えております。

 株式会社化した後の商工中金においても、中小企業向け金融機関としての性格はしっかりと維持されるのでしょうか。また、そのために必要な措置は、本法案にきちんと盛り込まれているのでしょうか。経済産業大臣の御所見を伺います。

 次に、政府が保有する商工中金の株式の処分についてお尋ねします。

 商工中金は、平成二十年十月の株式会社化のおおむね五年後から七年後をめどとして、政府保有株式の全部を処分して完全民営化することとされています。政府保有株式の処分に当たっては、商工中金の有する中小企業向け金融機能の維持に支障が生ずることがないように十分に配慮することが重要です。また、国民の貴重な財産である株式を適正な価格で処分することにも留意が必要です。

 そのためには、商工中金の経営努力を通じた企業価値の向上の状況を踏まえつつ、株主となる中小企業団体等の資金余力にも十分に配慮しながら、政府保有株式の処分を行うべきであると考えますが、その処分方針について御所見を伺います。

 最後に、完全民営化後の商工中金においても引き続き中小企業に対する金融が十分に確保されるのかという点についてお尋ねします。

 行政改革推進法においては、商工中金の完全民営化に当たって、商工中金の有する中小企業に対する金融機能の根幹を維持するための措置を講ずることとされ、同法の附帯決議においても、そのための制度を措置することとされたところです。長年の中小企業支援によって培ってきたノウハウは、完全民営化後も引き続き生かされるべきと考えます。また、中小企業の皆様からも、商工中金が完全民営化後も中小企業向けの金融に積極的に取り組むことが期待されております。

 商工中金は、完全民営化後も中小企業向けの金融機関として、引き続き中小企業に対する金融機能を維持していくのかという点について、経済産業大臣の御所見を伺います。

 以上、株式会社商工組合中央金庫法案に対する基本的な御所見についてお伺いしました。

 今後とも、商工中金が中小企業向けの金融機関として、我が国の産業の支えである中小企業の発展に貢献していくことを心から期待いたしまして、私の質問とさせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣甘利明君登壇〕

国務大臣(甘利明君) お答えいたします。

 まず、中小企業の現状と対策についてのお尋ねであります。

 中小企業の景況につきましては、業種や地域によって回復度合いにばらつきが見られ、全国の中小企業はいまだ景気回復を実感できていない状況であります。こうした中で、全国四百三十万の中小企業の知恵とやる気を生かして、その活力を高めることこそが、我が国経済の活性化を図る重要なかぎだと思っております。

 このため、あらゆる政策手段を用い、地域資源を活用した新事業展開を総合的に支援していくとともに、中小企業への円滑な資金供給、さらに、下請取引の適正化を初めとする中小企業の底上げ支援に万全を期してまいります。

 次に、商工中金が中小企業向け金融において果たしてきた役割についてのお尋ねがありました。

 商工中金は、これまで、その企業本来の能力を見きわめ、表面的な財務状況のみにとらわれずに融資や経営指導を行ってまいりました。また、貸し渋り、貸しはがし等が起きた金融危機時や災害発生時など、いざというときには真に頼りになる金融機関として融資を迅速かつ安定的に行うなど、多くの中小企業の成長、発展に尽力をしてまいりました。

 このような中小企業向けの金融機能を確保することは極めて重要であり、商工中金が引き続きこうした役割を適切に果たしていけるように、本法案において必要な措置を講じているところであります。

 次に、株式会社化後の商工中金の中小企業向け金融機関としての性格の維持についてのお尋ねがありました。

 商工中金につきましては、行政改革推進法において、完全民営化に当たって、中小企業向け金融機関としての機能を維持することとされておりまして、本法案においては、そのために必要な措置を規定しているところであります。

 具体的に言いますと、商工中金の株主資格や主たる貸付先を中小企業団体及びその構成員に限定するとともに、政府出資の一部を準備金化し、財務基盤を確立する等により、株式会社化後の商工中金が中小企業向け金融機関としての役割を適切に果たしていけるよう万全を期してまいります。

 次に、商工中金に係る政府保有株式の処分についてのお尋ねであります。

 行政改革推進法におきましては、政府保有株式について、市場の動向を踏まえつつその縮減を図り、株式会社化のおおむね五年後から七年後を目途として、その全部を処分することとされております。

 その具体的な処分方法につきましては、中小企業向け金融機関としての機能の維持、株主となる中小企業団体等の資金余力、国民の貴重な財産である商工中金の株式の価値最大化等に配慮しつつ、公平かつ適切な処分方法となるよう検討を行ってまいります。

 最後に、完全民営化後の商工中金の機能の維持についてのお尋ねがありました。

 行政改革推進法におきましては、完全民営化に当たって、商工中金の中小企業向け金融機能が維持されるよう必要な措置を講ずるものとされており、本法案においてもその旨を規定したところであります。

 具体的な措置の内容につきましては、株式会社化後の商工中金の経営状況等を踏まえまして検討を行うこととなりますが、商工中金が完全民営化後も中小企業のための金融機関であり続けられるよう、株主資格の制限等の必要な措置を講じてまいります。

 御質問にありましたいろいろな懸念がきちんと払拭されるよう、全力を投じて取り組んでいきます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 後藤斎君。

    〔後藤斎君登壇〕

後藤斎君 民主党の後藤斎でございます。

 民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました株式会社商工組合中央金庫法案につきまして、政府に対して質問を行います。(拍手)

 法案に先立ちまして、昨年来実施をされたいわゆる発電設備の総点検について、甘利経産大臣に御認識をお伺いします。

 過去の不正を正すということは大変重要なことでありますが、明らかになった事案を見ると、よくこんなものまで残っていたというような検査数値の改ざんから、原子炉の緊急停止や制御棒脱落という重大事案まで、発生した時期も本当にさまざまであります。これらの事実が明らかになるたびごとに、大々的に報道がなされ、結果として、電力会社や原子力発電に対する国民の信頼は大きく失われてまいりました。驚くほどの隠ぺいや改ざんを行ってきた電力会社の姿勢は大きな問題であり、体質の抜本的な改善が急務であります。

 しかしながら、一度失われた信頼を取り戻すことは大変な作業であります。大臣は、ここまでの事態になることを想定されていたのでしょうか。そして、これから国民の信頼をどのように回復していくお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

 そしてさらに、総点検と銘打ったものの、今後さらに過去のトラブル等が明らかになった場合、どのように責任をとるおつもりなのか、甘利大臣に明確な答弁を求めたいと思います。

 政府は、現在の景気は好循環を続け、戦後最長のイザナギ景気を超えてさらに長期化する可能性を秘めていると自画自賛をしております。しかしながら、多くの中小零細企業や地方経済の実態は、皆さんがよく御案内のとおり、好景気から取り残され、資金繰りにも困難を来し、金融機関から貸し渋り、貸しはがしを受け、後継者も不在になるという極めて厳しい状況に置かれております。

 安倍総理は、政権公約の中で、中小企業を税と金融で強力にバックアップすると。国家予算のうち、中小企業対策に使われているのは、先ほど三年連続で増加をしたと話がありましたが、たった〇・二%にすぎません。中小企業は、実に全国の事業所の九九%、労働者の八割が働いています。中小企業こそが日本の社会を支えているにもかかわらず、中小企業、地方切り捨てを続ける自民党政権の政治体質は、安倍政権になっても何ら変わらないと言わざるを得ません。

 また、安倍内閣は、経済・中小企業活性化の目玉として、今国会にいわゆる経済成長戦略大綱関連三法案を提案しておりますが、これも抜本的な中小企業対策とは到底言えません。

 これらの施策を見ても明白なように、我が国における多くの中小零細企業がここまで困難な状況に陥った一番の要因は、政府が中小企業対策について、明確な基本方針、長期的視点を持たず、場当たり的に金融、税制等を改正する対応に終始したことに尽きます。中小企業政策をないがしろにしてきたことについて、歴代の自民党政権は猛省すべきであり、官房長官、経産大臣に反省の弁を求めます。

 中小企業対策を中短期的視野で見た場合、一番の特効薬は、資金が必要になったときに調達が潤滑に行えるシステムをつくることに尽きます。特に、政策金融改革の流れの中で官の役割を縮小していくに当たっては、民間金融機関の対応が極めて重要になってきます。

 しかしながら、現在の民間金融機関の中小企業に対する融資姿勢を見ると、全民間金融機関のうち四割強の機関が中小企業向け貸出残高を減少させているなど、十分とは到底言いがたい状況にあります。その背景には、中小企業の実態を無視した金融検査がございます。表では地域金融機関と中小企業の結びつきを強化すると言いながら、裏では中小企業に厳しい検査を実施しているという状況では、民間の金融機関はいつまでたっても中小企業向け貸し出しに積極的になることはありません。

 例えば、自己資本に乏しく、これを短期資金に借りかえる、いわゆる疑似資本で補っている中小企業の実態からすれば、キャッシュフローによる債務償還年数で債務者区分を決めてはならない旨を現場まで徹底することが是が非でも必要であります。

 この点も含め、金融検査マニュアルと金融検査現場のあり方を徹底的に、中小企業の育成の観点からも見直すことが不可欠と考えますが、金融担当大臣の御所見をお伺いいたします。

 安倍内閣は、再チャレンジの場合でも円滑な融資が受けられる制度を策定するとおっしゃっています。このこと自体は当然なことでありますが、その前に、無条件というわけにはいかないまでも、窮地に陥った中小企業に対し円滑な融資を行うことを重要視すべきであります。そうすれば、当該企業の経営は助かり、倒産することもなく、わざわざ再チャレンジする必要も少なくなります。

 そのために、中小企業金融公庫、商工中金、国民生活金融公庫など政府系中小企業金融機関を通じた融資、信用保証協会の保証による銀行融資についての第三者保証の撤廃、無担保無保証枠の拡大や緊急つなぎ融資の審査の緩和等を行うべきと考えますが、経済産業大臣、財務大臣の御見解をお伺いいたします。

 特に、国民生活金融公庫については、いまだ相当程度、第三者保証人に頼った融資を行っているというお話をよく聞きます。人間関係をお金にかえ、最後にはその人間関係をも破壊してしまう第三者保証人という悪弊を、少なくとも、政府系金融機関が後押しをしているような状況は即刻是正すべきと考えます。国民生活金融公庫の中小企業向け融資に占める第三者保証人つき融資の割合はどの程度なのでしょうか。また、国民生活金融公庫の融資について、第三者保証人を速やかに原則撤廃する御決意がおありかどうか、財務大臣にお尋ねをいたします。

 他方、中小企業金融公庫の融資などについては、ほぼ第三者保証人をとっていないと強弁するという見方もございますが、実際の申込件数に対する融資の実行割合はどの程度なのか。現実にはかなりの件数が門前払いをされているというふうにも言われております。不動産担保や個人保証に依存しない融資を積極的に進めていくべきだと考えますが、この点について甘利大臣の見解をお伺いいたします。

 中小事業者の間では、政府系金融機関が統合、民営化された場合、融資枠が少なくなり、審査も厳しくなるのではないかという懸念も広がっています。

 昨年の行革推進法の採決の際、新政策金融機関の組織設計、運営に当たっては資金需要に質量とも的確にこたえること、商工組合中央金庫については完全民営化後も中小企業向け金融機関であることを確保することを旨とする附帯決議が採択されています。もしも政府系金融機関が統合、民営化された場合、今までよりも融資枠は減少せず、審査も厳しくはならない、そのために必要な財政措置も十分に講じていくということが必要だと考えますが、経済産業大臣、財務大臣の御認識をお伺いいたします。

 災害時の危機対応についてもお伺いをしたいと思います。

 先日も、能登半島において大規模な地震災害が発生いたしました。被災者の皆様方には心よりお見舞い申し上げます。

 災害時において、政府系中小企業金融機関の果たす役割は重要だったというふうに聞いております。相談窓口の設置や災害復旧貸し付けなどの措置がとられたようですが、新体制に移行した後も、このような災害が発生したとき、現在のような危機対応が可能となるのでしょうか。特に、現在、商工中金が行っている危機対応については、日本政策金融公庫に新たに創設される危機対応制度を活用し、指定金融機関によって、質量とも今までどおり不足なくカバーされ、機動的かつ円滑に危機対応がなされることになるのでしょうか。また、そのために必要な財政措置が十分に確保されるのか、経済産業大臣、財務大臣にお尋ねをいたします。

 天下りの問題についてもお伺いをします。

 移行期において、役員の選任については許可制は廃止されるものの、トップの人事は現在の任命制から許可制になるだけで、政府の関与が残されております。一方で、民間からの登用についても人材不足が指摘されるところであります。役員選任のあり方はどのような方向で行うのが望ましいのか、甘利大臣の御見解をお伺いいたします。

 完全民営化を進めていくためには、商工中金自身の自主的な経営努力が最大限発揮されるような環境を整えることが最も重要であります。中小企業向けの金融機関としての立場を保持していくためにも、完全民営化までの間、業務内容等をきっちり注視していく必要があると考えますが、甘利大臣の御見解をお聞かせください。

 また、政府から切り離されることによる資金調達コストの上昇も想定をされます。もともと、信用力の低い中小企業に対する長期的で安定的な融資は、利潤率が低いため、ビジネスモデルの再構築が必要だというふうにも言われております。損失が出た場合どうするのか、国が税金で補てんをするのでしょうか、中小企業にお金を回さず融資枠を減らして対応するのでしょうか、甘利大臣の御見解をお伺いいたします。

 新体制において、預金者の獲得も必要であります。本法案では、現行の預金者の制限が廃止され、広く一般から受け入れることも可能になります。しかし、民間金融機関の預金残高も伸び悩んでおり、民間との預金獲得競争が起こることも想定をされます。中小企業に対する円滑な金融機能を継続的に実施するためには、強固な財務基盤の確立が重要だと考えますが、甘利大臣の見解をお伺いいたします。

 これまで商工中金の資金調達に極めて重要な役割を果たしてきた政府出資については、既存の民間出資者に不当な利益移転が生じないよう手当てを行った上で、かなりの部分を準備金化することになっています。また、株式会社化に当たり、政府は商工中金の株式を保有するものの、五年から七年後を目途に全部処分をするという規定がされております。これらの政府出資は、当然、国民の税金ですから、最終的にはすべてが国庫返納されることになると考えますが、政府所有株式の処分方法等が法案では明確にされておりません。株式の処分を具体的にはどのような方法で行っていくのか、経産大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

 法案では、政府保有株式の全部を処分したときには、直ちに本法案を廃止するための措置を講ずるとされており、その際は、中小企業団体、その構成員向けの金融機関としての機能を維持するための必要な措置を講ずると規定されています。現時点では、必要な措置とは具体的に何を想定されているのでしょうか。完全民営化後も中小企業金融に特化することが期待されているのであれば、何らかの規制等が設けられるものと考えます。民間金融機関としての経営努力を行いつつ、中小企業団体及びその構成員向けの金融機能を維持するという二つの要請をどのように実現させていくのかについて、甘利大臣の見解をお伺いいたします。

 最後に、我が国経済は、バブル崩壊後、失われた十五年の間低迷をし、国民は、働く企業の規模の大小にかかわらず、苦しい時期を必死で頑張り、乗り越えてまいりました。最近になってようやく大企業の業績が回復してまいりましたが、苦しい時期に大企業と一緒になって頑張った下請中小企業は、引き続き苦しい状況になったままであります。

 市場メカニズムに任せておくだけでは解決できないこうした不公正な状況を変えていくことこそ、私ども政治家に与えられた使命であるというふうに考えます。下請中小企業が苦境に置かれたまま取り残されているのは、この分野で政府が十分な対応をしなかったことにほかなりません。景気回復の果実が地域の中小企業にも行き渡るよう、下請取引の適正化にしっかりと取り組むことが必要であります。経済産業大臣に今後の取り組みに関する考えについてお伺いをし、質問を終わります。

 御清聴大変ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 後藤議員にお答えを申し上げます。

 政府が中小企業政策を怠ってきたのではないかというお尋ねでございますが、全国四百三十万の中小企業の元気は日本経済全体の活力に不可欠でございます。

 このため、政府としては、中小企業基本法に基づいて、中小企業の経営の革新及び創業の促進、中小企業の経営基盤の強化などを基本方針として中小企業政策を実行してまいりました。また、今般、成長戦略の一環として、中小企業の生産性向上を図るべく、中小企業の底上げ支援についても強力に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、あらゆる政策手段を行い、中小企業の頑張りを力強く応援してまいりたいと思っております。(拍手)

    〔国務大臣甘利明君登壇〕

国務大臣(甘利明君) 後藤議員にお答えを申し上げます。

 まず、発電設備の総点検結果についてお尋ねがありました。

 総点検について、電力各社から三百を上回る多くの改ざんの事案につきまして報告がありましたことは、まことに遺憾であります。過去の案件がここまで多数に及ぶことは予想はしておりませんでした。

 経済産業省といたしましては、電力会社からの総点検結果や再発防止策の報告などを踏まえまして、近くその評価と対応を取りまとめ、発電設備のより一層の安全確保につなげてまいります。また、この取り組みにつきまして、担当大臣として、監督官庁として、国民の皆様への説明責任を果たしてまいります。

 なお、電力会社からは、今後、仮に新たな事象が判明した場合には、不正を許さない仕組みによりまして速やかに公表し、所要の改善措置を講ずると報告を受けております。

 次に、政府の中小企業対策が不十分ではないかとのお尋ねであります。

 全国四百三十万の中小企業の知恵とやる気を生かし、その活力を高めることこそが、我が国経済の活性化を図る重要なかぎだと考えております。

 これまでも、経済産業省としては、中小企業基本法に基づき、中小企業の経営の革新及び創業の促進、さらに取引の適正化といった中小企業の経営基盤の強化などを基本方針として中小企業政策を実行してまいりました。今後とも、あらゆる政策手段を用い、地域資源を活用した新事業展開を総合的に支援していくとともに、中小企業への円滑な資金供給、さらに下請取引の適正化を初めとする中小企業の底上げ支援に万全を尽くしてまいります。

 次に、第三者保証の撤廃、そして不動産担保に過度に依存しない無担保融資制度の拡大についてのお尋ねであります。

 経済産業省といたしましては、中小企業の資金調達円滑化のために、昨年度から、信用保証協会の保証に際しまして第三者保証人を原則求めないことといたしております。また、無担保無保証での創業を促すための制度を拡充するとともに、小規模事業者の経営改善のための無担保無保証の融資にも積極的に取り組んでおります。

 次に、新公庫の危機対応制度についてのお尋ねであります。

 新公庫法案におきまして、民間金融機関をも活用して災害時等の危機対応のための融資制度を創設することとしておりますが、この制度が機動的かつ円滑に発動され、中小企業の危機時の対応が十分なされるようにしっかりと取り組んでまいります。また、具体的な財政措置のあり方につきましては、今後、財政当局等とも協議をしつつ検討していくこととなりますが、これまで政府系金融機関が行ってきた危機対応機能が維持されるよう、必要な財政措置を確保してまいります。

 次に、株式会社化後の商工中金の役員選任の方針についてのお尋ねがありました。

 取締役の選任に当たりましては、必要な知識及び経験を有し、十分な社会的信用を有する者でなければならないこととしております。特に代表取締役の選任につきましては、他の特殊会社と同様に、主務大臣の認可を要することとしておりまして、その認可の際には、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないように十分に配慮をしてまいります。

 次に、移行期において中小企業向け金融機能が維持されるように注視すべきではないかとのお尋ねがありました。

 株式会社化後の商工中金につきましては、監理官制度を廃止するなど、政府関与を縮小しまして、経営の自主性を高めるための措置を講じているところであります。他方で、本法律案において、商工中金の株主資格や貸付先を中小企業団体等に制限する措置を講じており、政府としても、こうした措置のもとで、中小企業向けの金融機能が維持されるよう、その業務の状況等をしっかりと注視してまいります。

 次に、移行期の商工中金の財務基盤についてお尋ねがありました。

 商工中金は、我が国中小企業金融に極めて大きな役割を果たしておりまして、これまでの安定的な経営と同様に、今後とも健全な財務基盤を確保することが重要であります。株式会社化後の商工中金につきましては、特別準備金の設置等による財務基盤の確保、主務大臣による報告徴収及び立入検査等の措置を講ずることとしており、今後とも、商工中金による中小企業向け金融の円滑化に支障が生ずることのないよう万全を期してまいります。

 次に、商工中金の預金者の獲得についてのお尋ねがありました。

 商工中金は、既に中小企業者等から預金として約二兆五千億円を調達しており、今後とも十分な預金者の確保が重要であります。株式会社化後の商工中金につきましては、預金資格の制限の撤廃、政府出資のかなりの部分の準備金化等、財務基盤の維持強化のための措置等により、資金調達基盤が確立されるものと考えております。

 次に、政府保有株式の処分方法についてのお尋ねであります。

 行政改革推進法におきましては、政府保有株式について、市場の動向を踏まえつつその縮減を図り、株式会社化のおおむね五年後から七年後を目途として、その全部を処分することとされております。

 その具体的な処分方法につきましては、中小企業向け金融機関としての機能の維持、株主となる中小企業団体等の資金余力、国民の貴重な財産である商工中金の株式の価値最大化等に配慮しつつ、公平かつ適切な処分方法となるよう検討を行ってまいります。

 次に、完全民営化後の商工中金の機能維持に必要な措置についてのお尋ねであります。

 完全民営化時点において講ずる必要な措置の具体的な内容につきましては、株式会社化後の商工中金の経営状況等を踏まえまして検討を行うこととなります。その検討の上で、完全民営化後も中小企業に対する金融機能が維持されることとなるよう、株主資格の制限等の必要な措置を講じてまいります。

 次に、完全民営化後の商工中金に求められる要請に対する対応についてのお尋ねがありました。

 移行期の商工中金につきましては、本法案において、預金資格制限の撤廃や子会社保有の一部解禁等の措置を講じております。こうした措置と商工中金の経営努力とが相まって、完全民営化時点において、中小企業向け金融について最適なビジネスモデルの構築を図ることといたしております。完全民営化後は、このビジネスモデルを基礎としつつ、株主資格の制限等の措置により、引き続き中小企業向けの金融機能の維持の実現を図ってまいります。

 最後に、下請取引の適正化に関する取り組みについてのお尋ねであります。

 成長の成果を下請事業者に波及させる観点から、中小企業底上げ戦略として、取引価格の決定において下請事業者に十分な配慮をするよう要請文を発出し、業種ごとに下請取引適正化のためのガイドライン策定を指導、要請する等の取り組みを行っているところであります。

 引き続き、公正取引委員会とも十分に連携をとりつつ、実効性をしっかりと確保して、適切に対処をしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣尾身幸次君登壇〕

国務大臣(尾身幸次君) 後藤議員の御質問にお答えいたします。

 政策金融機関における中小企業向け融資についてのお尋ねがありました。

 政策金融機関が個人保証や担保に過度に依存せず、経営者の資質や事業の見込み等を評価し、適切に融資判断を行うことは重要であると考えております。このような認識のもと、政策金融機関においては、借り手のニーズを踏まえ、無担保無保証人融資制度の拡充や、第三者保証を必要としない融資制度の推進に努めているところであります。

 国民生活金融公庫、中小企業金融公庫の第三者保証についてのお尋ねがありました。

 国民生活金融公庫及び中小企業金融公庫においては、適切な融資判断に努めるとともに、個人保証や担保に過度に依存しない適切な融資判断に努めるとともに、無担保無保証融資制度の拡充に努めているところであります。

 国民生活金融公庫においては、第三者保証人を不要とする融資は、件数で約一五%となっております。その借り手の方々が、財務状況等が比較的厳しい中小企業であることから、借り手側がその実情に応じて第三者保証人を不要とする融資と、これと比較して金利の低い第三者保証人による融資とを自由に選択できる仕組みとしています。

 中小企業金融公庫においては、原則として、経営に関係ない第三者の個人保証を求めておりません。

 今後とも、政策金融機関において適切な融資判断が行われるよう努めてまいります。

 政府系金融機関の統合、民営化時の財政措置についてのお尋ねがありました。

 現行の政策金融機関四機関を統合して設立される新公庫については、行政改革推進法において、経営責任に帰すべき損失等を補てんするための財政上の措置は行わないものとしています。その趣旨に沿って、統合準備のための必要最小限の財政措置や財務基盤の強化を行うこととしております。

 また、民営化機関については、例えば商工中金において特別準備金を設けるなど、円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置を講ずることとしております。

 災害時の危機対応についてのお尋ねがありました。

 災害などの危機に際しては、政策金融として迅速かつ円滑な対応を実施することが必要と考えています。現行の政策金融機関は、例えば、能登半島地震のような災害時には、特別相談窓口の設置、災害復旧貸し付けの実施、既往債権の返済条件緩和等について迅速な対応を行っております。

 新公庫法案におきましても、新公庫が引き続き政策金融として必要な機能を担うこととし、新公庫みずからの貸し付け等により迅速かつ円滑に危機対応を実施いたします。

 加えまして、今回、政策金融機能の限定により、政策金融として対応できなくなった危機に対する金融について、民営化する政策投資銀行や商工中金を含む民間の金融機関を活用する制度を盛り込んでおります。

 このような制度的手当てにより、政策金融改革後においても、災害等の危機時において、適切な対応を実施していきます。(拍手)

    〔国務大臣山本有二君登壇〕

国務大臣(山本有二君) 金融検査マニュアルと金融検査の現場のあり方についてお尋ねがございました。

 金融検査におきましては、金融検査マニュアルの機械的、画一的な運用に陥らないよう配慮をするとともに、検査マニュアルの別冊、中小企業融資編を策定し、中小零細企業の経営の実態に応じた検査を行っております。さらに、適切な検査を求めまして、職員の研修等に努めてまいりたいと存じます。

 今後とも、中小企業の事業再生や地域経済の再生、活性化の観点も踏まえ、適正な検査を推進していく所存でございます。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣   尾身 幸次君

       文部科学大臣  伊吹 文明君

       農林水産大臣  松岡 利勝君

       経済産業大臣  甘利  明君

       環境大臣   若林 正俊君

       国務大臣   塩崎 恭久君

       国務大臣   山本 有二君

 出席副大臣

       経済産業副大臣  渡辺 博道君


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