衆議院

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第14号 平成20年12月11日(木曜日)

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平成二十年十二月十一日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第八号

  平成二十年十二月十一日

    午後一時開議

 第一 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案(第百六十八回国会、参議院提出)

 第二 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十九回国会、内閣提出)

 第三 国民健康保険法の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案(第百六十八回国会、参議院提出)

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十九回国会、内閣提出)

 日程第三 国民健康保険法の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)


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    午後一時二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

谷公一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 日程第一とともに、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案の両案を追加して、三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 日程第一 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案(第百六十八回国会、参議院提出)

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案、ただいま日程に追加されました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長赤松正雄君。

    ―――――――――――――

 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案及び同報告書

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書

 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔赤松正雄君登壇〕

赤松正雄君 ただいま議題となりました各案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 初めに、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案について申し上げます。

 本案は、郵政民営化の見直しに当たっての日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等を行おうとするものであります。

 本案は、第百六十八回国会の参議院提出に係るもので、昨年の十二月十二日に本院に送付され、今国会まで継続審査となっていたものであります。

 今国会においては、去る十二月九日発議者を代表し参議院議員自見庄三郎君から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、討論、採決の結果、本案は賛成少数をもって否決すべきものと決しました。

 次に、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案の両案について申し上げます。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案は、本年八月の一般職の職員の給与及び勤務時間の改定に関する人事院勧告を勧告どおり実施しようとするもので、本府省業務調整手当の新設、初任給調整手当の支給限度月額の引き上げのほか、新たな人事評価制度による評価結果の活用のための措置を講ずるとともに、一週間当たりの勤務時間を四十時間から三十八時間四十五分に改めるため、勤務時間法等について所要の改正を行うものであります。

 次に、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案は、退職手当制度の一層の適正化を図り、もって公務に対する国民の信頼確保に資するため、退職後に懲戒免職等処分を受けるべき行為をしたと認められるに至った者の退職手当の全部または一部を返納させることができることとする等の措置を講じようとするものであります。

 両案は、去る十二月八日本委員会に付託され、翌九日鳩山総務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。本日質疑を行い、採決の結果、両案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、両案に対しそれぞれ附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 三案中、日程第一につき討論の通告があります。順次これを許します。原口一博君。

    〔原口一博君登壇〕

原口一博君 民主党の原口一博でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 二〇〇七年十月一日、政府・与党の制度設計により、分社化ありきの民営化が実施されました。この分社化ありきの民営化が何をもたらしたのか。集配局は千減り、四百以上の簡易郵便局は閉鎖したまま再開のめども立っていません。郵政職員による懸命な努力にもこの分社化ではおのずと限界があり、各種料金の値上げも顕著です。

 アンケートによると、待ち時間が長くなった、国民生活の利便性が低下している、こういう現状が見てとれます。JR梅田駅でねんきん特別便約四万五千通がことし九月末から十一月末まで二カ月間もとめ置かれるなど、以前では考えられなかったことが起こっています。郵政を民営化すれば税金は安くなる、郵政のサービスはよくなると豪語されていた方々は、今この現状をどのように総括されておられるんでしょうか。

 ゆうちょ銀行の貯金残高は、過去三年間、毎年十兆円以上減少してきました。先日発表された平成二十年度の中間決算においても、四月から九月、半年でゆうちょの残高がさらに三・一兆円減少しています。このように、民営化後も事業を担う四社の経営の見通しは不透明です。さらに、地域社会で金融サービスが受けられなくなる可能性があるなど、深刻な問題が山積しています。

 民主党は、ことしの夏、さまざまな地域において次の内閣の閣議を開催し、多くの地方の皆さんの意見を伺いました。郵便局の全国ネットワークが維持できるんだろうか、ユニバーサルサービスはこれからもずっと維持できるんだろうか、十分なサービスを受け続けられないんじゃないか、切り捨てられていくのではないかという多くの不安のお声を耳にしました。このような不安は、格差に苦しむ地方で顕著に見られます。

 政府が行ってきた分社化ありきの民営化には多くの課題が残されています。だからこそ、今、郵政事業の抜本的な見直しを行うことが求められています。にもかかわらず、現在の民営化法には、ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険の株式は二〇一七年までに全株売却されることが規定されています。さらに、政府保有の日本郵政株式会社の株もできるだけ早期に三分の二まで売却する予定になっています。さらに、政府が承認した日本郵政株式会社の事業計画には、遅くとも二〇一一年度には上場を行い、ゆうちょ、かんぽの株式の売却をスタートする方針であることが明記されています。

 一たん株式を売却されてしまえば、問題が顕在化しても、株式を買い戻すことは事実上困難です。加えて、日本郵政株式会社は先月中に中期経営計画を発表するはずでしたが、これも先送りにしました。きのうですか、自民党さんの部会で求めた資料さえ出ていないじゃないですか。きょう総務委員会で、私たちは、そのユニバーサルサービスが維持できるという根拠になる資料を日本郵政に求めました。本当にこれでいいんですか。

 民主党は国民新党とともに見直し検証委員会を設置し、郵政事業における国民の権利を保障する改革のための議論を進めてきました。この法案も、社民党さんや国民新党さん両党との共同提案でございます。衆議院総務委員会で見直しのための小委員会、これは与党、野党の枠を超えてつくらせていただいたのも、このような危機感からでございます。

 本法案のように、郵政会社、銀行、そして生命保険の株式の売却を凍結することは必要不可欠な手続なんです。株式売却を凍結している間に、郵政各社のサービスと経営の実態を精査し、郵政事業の四分社化を見直さなければなりません。そして、郵便局のサービスを全国あまねく公平で、かつ利用者本位の簡便な方法で、三事業の一体的サービスを保障するとともに、株式保有を含む郵政会社のあり方を私たちは検討したいと考えています。

 この法案は、一部の方が誤解されているように、国営に戻すことを目的とした法律ではないんです。非効率なことを押しつけながら効率性を求める、分社化ありきの民営化を見直すことを目的としております。

 きのうの質疑でも、与党議員から株式売却について、所定の見直しの間、売却を見合わせるように、与党の皆さんも質問しているじゃありませんか。麻生総理は、郵政の株式売却凍結をめぐって十一月十九日に、凍結した方がいいと述べられました。鳩山大臣も正直に言っていますよね。しかし、その翌日には、高いときに売るのが当たり前だと述べ、みずからの発言が凍結を意味するものではないとの考えを示されました。これでは、首相の言葉の何を信じていいのかわかりません。

 麻生総理、あなたの本心は最初の言葉にあったはずです。どうして貫かないのですか。自民党議員や官僚があちらと言えばあちらに、こちらと言えばこちらに行き、状況に振り回され、原理原則を貫かない、これでは国民は惑います。

 私たちは、郵政事業の見直しについて明確な原理原則を持っています。それは、郵政事業における国民の権利を保障するため、また国民生活を確保し、社会地域を活性化することであります。国民本位の視点からの見直しなんです。

 郵便局会社は、各社からの手数料収入で成り立っています。手数料収入が安定的に入らなければ、ユニバーサルサービスは維持できません。しかし、八月、九月に手数料を値上げして、ようやくその分が黒字になっておりますが、現状はとても厳しい状況であります。

 来年の三月には法律で定められた見直しの期限が来ます。法律を改正し、国民に御理解をいただき、現場を整えるためにはそれなりの時間が必要なんです。日本郵政は、二十三万六千人もの人員を抱える巨大組織です。現場を考えるならば、株式を凍結して、腰を据えて見直し作業を進めるというのは当然のことではないでしょうか。

 郵貯法や簡保法がうたっていた理念を思い出してください。すべての国民が、あまねく公平で、そして確実に簡便なサービスを受ける権利、これを保障していた条項を思い出してください。公が保障していた国民の権利。貧しい人も過疎地に住む人も受けることができる金融の社会権を踏みにじる権利がだれにあるというのでしょうか。

 六万ページにも及ぶマニュアル。そして相次ぐ変更。六台のカメラに囲まれて仕事をする人たち、郵政を支えている人たちの現状を皆さんはごらんになっているはずです。広がる格差。経済金融危機。国民の現状を直視してください。

 多くの国民がお金を預けたり引き出したりする、生活に必要な金融の手段さえ奪われかねない状況ではありませんか。庶民は、簡便で確実な金融の決済手段を持つ権利さえないのでしょうか。

 次に紹介する論文、これを読ませていただいて、討論を終わりにしたいと思います。

 世界じゅうで危険なまでに恐慌の程度が深まっていった。景気循環をつくり出す要因、そして長期的なトレンドの双方が恐慌に影響を与えている。だが、経済変動の専門家たちは、恐慌の諸要因を見きわめ、計測可能なものについてはその衝撃の比率を考慮したが、最終的に、従来の分析手法では現状を判断できないことに気がついた。どうやら、計測不可能な要因が作用していた。つまり、これは各国にとどまらない世界全体の信用経済の問題であり、経済復興のためには、国ごとの対応だけでなく、世界全体の施策が必要であることを示唆している。新しい事態が何を意味するか考慮せずに、各国は、現在の急場をしのごうと多くのツケを将来に回し、世界生産的資源を費やしてしまった。紙の上での利益を人々が現実にお金にかえ出すと、肥大化した信用が収縮し、多くの投資家が浮かれた夢から目を覚まし、我を取り戻した。そしてパニックが起きた。

 これは、今の論文ではありません。一九三二年に、ハーバード・ビジネススクールの初代学部長のエドウィン・F・ゲイ博士がお書きになった論文であります。まさに今にも通じる話であります。賢者は歴史に学ぶ。愚者は状況に振り回されて原則を顧みない。

 官から民にというスローガンとは裏腹に、巨大な国債保有機関となり、地域から資源を奪っているではありませんか。二周おくれの改革論が奪ったもの、新たな本当の公を創造しなければならないときに、巨大な私物化を許したのではないでしょうか。先人の知恵と伝統を軽視した改革は改革ではありません。与党の皆さんの中にも、私と同じ考えを持つ皆さんがふえていると思います。

 麻生総理は、郵政株式の売却だけでなく、さまざまな発言がぶれています。迷走を繰り返し、この百年に一度の危機をこの状態では乗り切ることができない。三百二十兆円を上回る資産を持つ巨大な組織の見直しを麻生首相に任せるわけにはいきません。

 民意を問うことは、麻生総理、空白でも何でもありません。

議長(河野洋平君) 原口君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

原口一博君(続) 強いリーダーシップを支えるのは主権者の信任です。本法案を成立させた後に速やかに衆議院を解散し、私たちに郵政事業の抜本的な見直しを任せるべきであるということを主張し、討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案に対する賛成の討論を行います。(拍手)

 郵政民営化から一年を経過して、政府・与党が主張してきた民営化のメリットなるものは、根底から破綻をしているのであります。

 民営化で利便性が向上すると言ってきましたが、現実には、簡易郵便局の閉鎖は加速をし、郵便物の配達拠点であった集配郵便局は統廃合をされて、郵便配達のおくれや時間外窓口の閉鎖が行われました。さらに、各種手数料は値上げをされ、国民へのサービスは大きく後退をしました。そして、そのしわ寄せを受けているのが地方、とりわけ過疎地であります。

 自民党は、民営化で村が元気になると紙芝居までつくりましたが、これが全くの偽りであったことは、今や明白ではありませんか。

 小泉構造改革の本丸として進められた郵政民営化が、地方を疲弊させ、貧困と格差の拡大を加速しているのであります。

 郵政の職場では、長時間労働と非正規雇用が拡大し、労働条件がますます悪化していることも重大です。

 また、官から民へ資金を流すという看板もありました。その大号令のもとに、郵便局で大量の投資信託が販売されました。それが今や、元本割れで半分になるなど大暴落をし、国民に大損害を与えております。安心、安全の郵便局の信用のもとでリスクの高い金融商品を売りさばいた責任は重大です。まさに国家的詐欺と言われても仕方がありません。

 私たちは、二〇〇五年の郵政民営化法案の審議の際、官から民へのスローガンのもとに進められた郵政民営化が、アメリカの金融業界の要求に根差したものであると指摘しました。

 アメリカの金融業界が日本と世界に押しつけてきた金融の規制緩和が何をもたらしたかは、今や明白であります。マネーゲームに狂奔し、みずから大破綻しただけでなく、世界的な金融危機を引き起こしているのであります。

 郵政事業のユニバーサルサービスの深刻な後退、財界とアメリカが旗振り役となった構造改革路線の破綻。小泉内閣の進めた郵政民営化に未来はありません。根本から見直すべきであります。

 本法案は、郵政の株式売却を凍結し、国が日本郵政の株式を一〇〇%保有し、日本郵政がゆうちょ銀行、かんぽ保険の株式を一〇〇%持ち続けることとしています。これは、全国の郵便局ネットワーク、金融サービスのユニバーサルサービスを維持するなど、公益優先の経営へ見直しを図るための不可欠の条件であります。

 法案は、見直しの具体化については今後の検討にゆだねていますが、私たちは、四分社化の見直し、三事業の一体経営、国民にあまねく公平に貯金、保険のサービスを提供する金融のユニバーサルサービスを義務づけることなどが必要だと考えています。

 民営化のもとでの利便性の低下など、現状について、事実を徹底的に検証し、国民の財産である郵政の本来あるべき姿について国民的合意をつくるべきときであります。私たちはそのために力を尽くしていくことを申し述べ、賛成討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 重野安正君。

    〔重野安正君登壇〕

重野安正君 社会民主党・市民連合の重野安正です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 社民党は、郵政民営化によって、公共性や利便性よりも採算性や経営判断が優先させられることになり、そのツケは国民、利用者に負わせられることになる、同時に、郵便及び金融のネットワーク、ユニバーサルサービスが崩壊させられ、過疎地域や離島での生活、高齢者の利便性が損なわれることを強く危惧し、郵政民営化関連法案に反対しました。

 今回の法案は、国民、利用者の視点に立って、郵政民営化の問題点の監視、検証を進め、国民共有の財産である郵便局網と郵政三事業のユニバーサルサービスを守り、高めていこうという立場で提出したものであります。

 地方では、集配局の廃止、時間外窓口の縮小、簡易郵便局の閉鎖、局外ATMの撤去が相次ぎ、過疎地域のコミュニティーの崩壊に拍車をかけています。また、利潤最優先の施策の中で進められる効率化は、サービスの低下や人員削減と雇用の不安定化をさらに拡大させています。

 熱狂の中で郵政民営化法が成立した二〇〇五年と今とでは、金融や経済構造に対する状況が大きく変化しました。官から民へ、貯蓄から投資へという前提は崩れ去り、安心、安全、庶民の郵貯が求められています。空前の金融危機に直面する今、民営化、規制緩和、貧困、格差を拡大してきたこれまでの政治、経済、社会のあり方が根底から問われております。

 最後に、麻生首相もかつて、元経営者の立場で、五年たったらうまくいかなかったと証明できるんじゃないかと思うと述べていますし、一時は株式売却を当面凍結する意向も明らかにしています。まずは株式売却を凍結して、郵政事業が担ってきた公共サービスを維持発展させるためのスタートラインとしようということを呼びかけ、私の賛成討論とします。(拍手)

議長(河野洋平君) 亀井久興君。

    〔亀井久興君登壇〕

亀井久興君 国民新党の亀井久興でございます。

 私は、国民新党・大地・無所属の会を代表し、郵政民営化は間違った政治の象徴であると一貫して訴えてきた者の一人として、郵政株式処分停止法案について賛成の討論を行います。(拍手)

 申し上げるまでもなく、本法案は、政府が保有する日本郵政の株式とゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の株式売却を当面停止するためのものであります。

 百年に一度の危機と言われる現下の経済情勢、金融市場にかんがみれば、株式の売却は、明らかに国民の貴重な資産を危険にさらし、国益の大きな損失を招くものにほかなりません。これは決して推測や憶測ではなく、確信であり、真実であります。さきに麻生総理御自身が凍結した方がいいと発言されたのも、このためであると理解いたしております。

 国民の生命財産を守ることが政治の最も大切な責務である以上、株式売却を凍結し、国民に安心感を与えることは、まさに喫緊の課題であり、至極当然のことであります。

 本法案の委員会審議において、与党委員からも民営化見直しの必要性が強調され、鳩山総務大臣も基本的な制度設計について踏み込んだ見解を示されたように、抜本的な見直しについては、与野党を問わず、既に委員会の合意が得られているようにさえ思えます。

 本法案は、郵政民営化の見直しそのものではありません。あくまでも国民の財産、資産を守るための当面の不可欠な措置であり、真に国民のことを考えれば、与党においてもこれに反対する理由は全くないはずであります。

 本日の本法案の採決は、甚だ遺憾ながら、記名投票では行われません。しかし、たとえ起立採決でありましても、議員各位の法案に対する責任ある意思表示であることにはいささかも変わりはなく、隠れみのになるものではありません。いにしえより、義を見てせざるは勇なきなりと申します。議員各位がみずからの政治的良心に照らし、また真に国民の立場に立ち、良識ある判断をされることを心より期待し、賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立少数。よって、本案は否決されました。

 次に、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 日程第二とともに、日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第二 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(第百六十九回国会、内閣提出)

 日程第三 国民健康保険法の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第三、国民健康保険法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。厚生労働委員長田村憲久君。

    ―――――――――――――

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

 国民健康保険法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔田村憲久君登壇〕

田村憲久君 ただいま議題となりました両案について申し上げます。

 まず、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、障害者雇用施策の充実強化を図り、働く意欲、能力のある障害者の雇用を一層促進するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、障害者雇用納付金制度の適用対象を、その雇用する労働者の数が常時百一人以上である事業主に段階的に拡大すること、

 第二に、週所定労働時間三十時間未満の短時間労働者を雇用義務の対象に追加すること

等であります。

 本案は、さきの国会に提出され、継続審査となっていたものであります。

 今国会においては、去る十二月九日に参考人から意見を聴取し、昨十日に政府に対して質疑を行った後、質疑を終局いたしました。次いで、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対して附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。

 次に、国民健康保険法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、国民健康保険の保険料の滞納により、いわゆる無保険状態となっている子供が適切な医療を受けられるようにするため、被保険者証を返還した世帯に義務教育終了前の者がいるときは、その者に係る有効期間を六月とする被保険者証を交付しようとするものであります。

 本案は、昨十日の厚生労働委員会において、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、日程第二につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第三につき採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣  鳩山 邦夫君

       厚生労働大臣  舛添 要一君


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