衆議院

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第13号 平成21年3月10日(火曜日)

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平成二十一年三月十日(火曜日)

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  平成二十一年三月十日

    午後零時三十分 本会議

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本日の会議に付した案件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案(細川律夫君外六名提出)、求職者等に対する能力開発の支援及び解雇等による離職者の医療保険に係る経済的負担の軽減のための緊急措置に関する法律案(大島敦君外七名提出)及び内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案(細川律夫君外七名提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後零時三十二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

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 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案(細川律夫君外六名提出)、求職者等に対する能力開発の支援及び解雇等による離職者の医療保険に係る経済的負担の軽減のための緊急措置に関する法律案(大島敦君外七名提出)及び内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案(細川律夫君外七名提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案並びに細川律夫君外六名提出、雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案、大島敦君外七名提出、求職者等に対する能力開発の支援及び解雇等による離職者の医療保険に係る経済的負担の軽減のための緊急措置に関する法律案及び細川律夫君外七名提出、内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案について、順次趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣舛添要一君。

    〔国務大臣舛添要一君登壇〕

国務大臣(舛添要一君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 現在、我が国では、景気が下降局面にある中で、雇用失業情勢は厳しい状況にあり、その影響が、特に、非正規労働者の雇用調整の動きの急速な拡大として見られるところであります。

 このような状況に対応し、労働者の生活及び雇用の安定を図るため、雇用保険制度について、当面の緊急対策としての暫定措置も含め、その機能を強化するとともに、負担軽減の観点から特例的に平成二十一年度の雇用保険率を引き下げる等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一は、雇用保険法の一部改正であります。

 まず、有期労働契約が更新されなかったことによる離職者等については、被保険者期間が六カ月以上で基本手当の受給資格を得られることとし、また、所定給付日数を、暫定的に、倒産、解雇等による離職者と同様とすることとしております。

 次に、有期労働契約が更新されなかったことによる離職者及び倒産、解雇等による離職者であって、四十五歳未満である者または雇用機会が不足していると認められる地域に居住する者であり、公共職業安定所長が就職が困難であると認めた者等については、暫定的に、所定給付日数を延長して基本手当を支給することができることとしております。

 また、就業促進手当について、暫定的に、再就職手当の支給要件の緩和及び給付率の引き上げ等を行うこととしております。

 このほか、育児休業給付について、育児休業基本給付金及び育児休業者職場復帰給付金を統合し、全額を育児休業中に支給することとするとともに、給付率を賃金日額の百分の五十に引き上げている暫定措置を、当分の間、延長することとしております。

 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。

 平成二十一年度における雇用保険の失業等給付に係る保険料率について、暫定的に千分の八とすることとしております。

 第三は、船員保険法の一部改正であります。

 船員保険についても、雇用保険法の改正に準じて、失業保険金、再就職手当、保険料率等に関する改正を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日については、平成二十一年四月一日としておりますが、育児休業給付に係る部分については、平成二十二年四月一日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 提出者細川律夫君。

    〔細川律夫君登壇〕

細川律夫君 ただいま議題となりました雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案、内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案について、提出者を代表して、その提案の趣旨及び内容を御説明いたします。

 世界的な景気後退の中で、我が国の雇用失業情勢は急速に悪化をいたしております。企業による採用内定の取り消し、派遣労働者や有期労働者の労働契約の中途解除や雇いどめ、さらには正社員のリストラといった問題が発生しており、年度末とも重なる今月末にはさらに事態が深刻化することが懸念されております。

 こうした失業雇用情勢への対応に万全を期すため、次の二つの法律案を速やかに成立させることが重要であります。

 第一に、民主党、社会民主党提出の雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本法律案は、あまねく労働者の生活及び雇用の安定を図るため、雇用保険制度の拡充及び解雇等に伴い住宅からの退去を余儀なくされた者等に対する住まいの確保の支援についての雇用安定事業の実施等を内容とするものであります。

 まず、失業者へのセーフティーネットをより厚く、より広く適用するため、派遣労働者及び短時間労働者を雇用保険の被保険者とすること、基本手当の受給資格要件を緩和し、離職の日以前一年間に被保険者であった期間が通算して六カ月以上であれば受給資格を取得できるものとすること、雇いどめにより離職した者を特定受給資格者とすること、基本手当の日額を引き上げること、失業等給付に要する費用に係る国庫負担額について、本来の額の百分の五十五としている暫定措置を廃止し、本来の負担率である四分の一の負担に戻すことを定めております。

 なお、船員保険についても、これに準じた改正を行うこととしております。

 また、雇用安定事業として、解雇等に伴い雇用主または派遣先から提供されていた住宅からの退去を余儀なくされる派遣労働者、失業等給付を受給できずに困窮している失業者等に対して、再就職のための職業紹介及び職業指導、公営住宅への入居における特別の配慮等住宅への入居の支援、生活上の支援その他必要な支援を一体的に行うこと、派遣労働者に住宅を提供している雇用主または派遣先であって、派遣労働者等の解雇等の後も引き続き住宅に住まわせる事業主に対して、助成及び援助を行うこととしております。

 第二に、民主党、社会民主党、国民新党提出の内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案について御説明いたします。

 本法律案は、採用内定の安易な取り消しを防止し、内定取り消しに関する紛争の防止及び解決等を図るため、使用者が採用内定の通知を発した時点において労働契約が成立したものと推定すること、使用者は内定取り消しを行う場合があるときは、あらかじめ内定者に内定取り消しの事由を書面で明示しなければならないこと、内定取り消しは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とすること、内定を取り消された者が内定取り消しの理由について証明書を請求したときは、使用者は七日以内に交付しなければならないことと定めております。

 以上が、二つの法律案の提案の趣旨及び主な内容でございます。

 雇用状況が日増しに悪化していることを勘案し、何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いを申し上げます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 提出者大島敦君。

    〔大島敦君登壇〕

大島敦君 ただいま議題となりました民主党、社会民主党、国民新党提出の求職者等に対する能力開発の支援及び解雇等による離職者の医療保険に係る経済的負担の軽減のための緊急措置に関する法律案について、提出者を代表して、その提案の趣旨及び主な内容を御説明いたします。

 世界的な景気後退の中で、我が国の雇用失業情勢は急速に悪化しています。景気回復の兆しが一向に見えない中で、失業者の再就職が困難となり、失業が長期化することが想定されます。

 現行では、失業者は、求職者給付が終了しても再就職できない場合、生活保護に頼らざるを得ない状況に陥ってしまうことが懸念されます。そのため、再就職のための職業能力を身につけて再起を図ろうとする求職者のため、雇用保険制度と生活保護制度の間に第二のセーフティーネットを創設する必要が高まっております。

 本法案は、雇用及び失業に関する状況の悪化に伴い、多くの者が離職または自営業者が事業の廃止を余儀なくされていることにかんがみ、求職者給付の受給期間が終了した者や失業している廃業者等に対し、就職及び新たな事業の開始を促進するための能力開発を支援する求職者等能力開発給付を行う緊急の措置を講ずるとともに、解雇等による離職者の医療保険に係る経済的負担を軽減するための緊急の特例措置を講じ、もって求職者等の生活の安定を図ることを目的としています。

 雇用保険の求職者給付が終了した者や廃業した者等で、引き続き失業していて能力開発訓練を受けることを公共職業安定所で認定を受けた求職者について、能力開発訓練を受けた日数に応じて、受給資格の認定後三年間のうち二年間分を限度として支給することといたします。

 また、医療保険料が前年度収入を基準に算定され、失業者にとって経済的負担が大きいため、被用者保険に加入していて解雇等により離職した失業者が、退職後、任意継続被保険者については二年間、国民健康保険の被保険者については一年間、在職中の保険料の水準を維持することとし、保険者の減収については一般会計から補助することといたします。

 以上が、本法案の提案の趣旨及び主な内容でございます。

 雇用状況が日増しに悪化していることを勘案し、何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださりますようお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに雇用保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案(細川律夫君外六名提出)、求職者等に対する能力開発の支援及び解雇等による離職者の医療保険に係る経済的負担の軽減のための緊急措置に関する法律案(大島敦君外七名提出)及び内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案(細川律夫君外七名提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。藤村修君。

    〔藤村修君登壇〕

藤村修君 民主党の藤村修でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました内閣提出の雇用保険法等の一部を改正する法律案並びに議員立法により提出された三法案、その一つは、雇用保険法等の一部改正案、二つ目に、いわゆる求職者支援法案、そして三番目に、いわゆる内定取り消し規制法案について質問をさせていただきます。(拍手)

 昨年秋から始まった世界的な不況の波の影響は、輸出依存の日本経済に最も大きな津波となって押し寄せ、景気回復の兆しが全く見えない中、雇用失業情勢は急激に悪化しています。ことし一月の完全失業者数は二百七十七万人に上り、有効求人倍率は〇・六七倍にまで落ち込んでいます。

 厚生労働省が全国の労働局や公共職業安定所を通じて把握した調査によりますと、昨年十月からことし三月末までに、雇いどめや雇用契約の中途解除のために職を失う非正規労働者は十五万八千人、解雇される正社員は一万人近くと報告されています。しかし、この数字は限られた事業所からの任意の聞き取り調査の集計であり、この三月末に向けて事態がさらに悪化することが予想されます。こうした最悪の事態にも対応できるように、万全の雇用対策を準備しておくのが政治の責任であると考えます。

 そこで、まず、この三月末時点には正規、非正規の労働者に失業がどれくらい発生するのか、また、今後失業者数はどの程度までふえると想定しているのか、舛添大臣に政府の見解をお伺いいたします。

 次に、雇用保険財政に関連してお尋ねいたします。

 現在、失業等給付に要する費用に係る国庫負担額について、本来の負担率を百分の五十五とする暫定措置がとられています。しかし、現下の厳しい雇用情勢が長期化する場合でも十分に給付ができるのか、雇用調整助成金についても予想を超す勢いで申請がふえていますが、果たして原資は大丈夫なのかについて答弁を求め、この際、国の負担率を本来の四分の一に戻すべきではないかと考えますが、政府の見解をお尋ねいたします。

 政府は、昨年十月三十日に打ち出した生活対策の中で家計緊急支援対策として雇用保険料率の引き下げを打ち出し、今回の法改正にも盛り込まれていますが、経済状況がその後に急激に悪化していることを踏まえれば、給付の対象者もふえることは明白であり、引き下げるタイミングでないことは明らかです。

 ことし一月七日付の労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会の報告にも、労働者代表委員より、保険料率について、これを引き下げる場合や引き上げる場合には本来は合理的な理由が必要であり、現在の状況においては、引き下げるべきではないとの意見があったことが付されています。

 これからさらに雇用情勢が悪化することが予想されるときに、現行の保険料水準を据え置いても、安心できる保険給付や雇用維持のためのセーフティーネットを確保してほしいというのが、雇われている方々の思いではないでしょうか。

 なぜ政府案においては雇用保険料率の引き下げを一年間だけ行うのか、よくわかりません。保険料を引き下げて少しでも賃上げにつなげたいとの昨年秋の状況とは全く異なる現状を見るときに、なぜ保険料率引き下げなのかを御説明ください。

 次に、雇用保険の適用要件について伺います。

 現行では、一年以上の雇用見込みがあることが適用要件になっているため、数カ月単位の有期労働契約で働いている非正規の労働者の多くは雇用保険に加入しておらず、解雇あるいは雇いどめに遭った際に失業給付も受けられないという状況が問題になっています。厚生労働省の調査によると、非正規労働者約千七百三十二万人のうち、約六割に当たる、最大で一千六万人、一千万人を超す雇用保険に加入していない人たちがいます。

 しかし、政府案のように、適用要件を現行の一年以上の雇用見込みの規定を六カ月以上の見込みに変更しても、新たに加入対象となるのは百四十八万人程度で、雇用見込みが六カ月未満の労働者は雇用保険から抜け落ちたままです。これでは非正規労働者の約半分に対する雇用のセーフティーネットがない状態が続くことになり、一歩前進とはいえ、まだまだ不十分な改正です。

 適用要件を、この非常事態に当たって、思い切って拡大すべきだと考えますが、厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。

 次に、失業等給付の受給要件の緩和について伺います。

 今回の改正では、期間の定めのある労働契約が更新されず雇いどめで失業した場合にも、解雇、倒産等によって失業した特定受給資格者と同じように、被保険者期間が六カ月あれば受給資格が得られるようになります。

 この場合、失業給付を申請する際、雇いどめに遭ったと認定されるにはどのような手続が必要なのでしょうか。失業等給付の申請手続はただでさえ複雑で、制度改正の周知にも時間がかかると予想される中、申請者に余り負担がかからないようにすべきだと思いますが、何か手当てをお考えかどうかをお伺いいたします。

 次に、雇用のセーフティーネットのさらなる拡充について伺います。

 私は、今回の世界的な不況が、近年経験したことのない失業者の規模、長期化をもたらすおそれがあると懸念しております。

 現在は、失業した場合のセーフティーネットとして、雇用保険に加入した場合は失業手当の給付が受けられますが、再就職ができないままに失業給付の期間が満了してしまうと、生計を維持できなくなり、その先は、場合によっては生活保護に頼らざるを得ません。

 そこで、ある程度の期間をかけて新たな職業能力を身につけて再就職に備える間の生活費を支給する、第二のセーフティーネットを構築する必要があると考えます。

 現在、厚生労働省が実施している訓練期間中の生活保障給付制度は、所得が二百万円以下でジョブカード制度の委託型訓練受講者、派遣労働者等の雇いどめ、解雇等の離職者であって公共職業訓練の受講者等の要件を満たす人に月額四万六千二百円から十二万円までを貸し付ける制度です。厚生労働省の報告によりますと、昨日までの相談件数が約七百件で、貸付決定件数はたったの十件でした。

 この制度について、平成二十年度補正予算で五億円が計上され、平成二十一年度予算案では対象者約二千八百人余りを見込んで約十三億円が計上されていますが、果たしてこの程度の規模でよいのかどうか、お伺いを申し上げます。

 次に、野党から提出された雇用関係の三法案について質問いたします。

 まず、いわゆる求職者支援法についてお伺いいたします。

 新聞報道では、政府・与党においても、失業手当の給付期限が切れた失業者に対し職業訓練中の生活費を支給する制度の検討を始めたとの記事を拝見いたしました。今回、野党三党から提出された求職者等に対する能力開発の支援及び解雇等による離職者の医療保険に係る経済的負担の軽減のための緊急措置に関する法律案は、政府・与党が検討している内容と似ているように思いますが、いち早く法案提出されたことに敬意を表するところであります。

 先ほど趣旨説明をお伺いいたしましたが、もう少しかみ砕いて、わかりやすく、かつ簡潔に、本提出法案の特色や意図するところを御説明ください。

 続いて、野党提出の雇用保険法等の一部改正についてお伺いします。

 私は、政府案に対する幾つかの質問をしましたが、対案とも言える野党提出の雇用保険法等の一部改正においては、先ほど来の私の質問にはどのように答えられるのか、すなわち、政府案と違う点についてポイントを絞ってお答えいただきたく、お願いいたします。

 さらに、野党三党提出のいわゆる内定取り消し規制法案についてお伺いします。

 裁判所の判例において、採用が内定されればその時点での労働契約が成立したものと解されると理解しておりましたが、ここで新たに労働契約法の一部を改正するこの内定取り消し規制法案を提出された事情や理由について、わかりやすく御説明をお願いいたします。

 最後に、今後の雇用創出策について政府にお尋ねをいたします。

 我が国の経済を立て直すために求められているのは、少子高齢化や環境問題など二十一世紀の課題に対し雇用創出効果のある戦略的な経済政策です。

 アメリカでは、オバマ大統領が経済政策の第一弾として、地球温暖化と石油資源枯渇に対する新しいエネルギー政策として、再生可能エネルギーの供給増加や省エネ事業を柱としたグリーン・ニューディールによって二百五十万人の雇用を新たに創出すると発表しています。これは、雇用の創出策としてのみならず、新産業・技術の育成にもつながるものです。

 しかし、日本政府は、首相官邸に緊急雇用・経済対策実施本部を設置しているものの、各省庁が管轄する分野の雇用創出案をばらばらに持ち寄るだけで、将来への展望も政府全体としてどの程度の雇用創出策を実施するのかも判然とせず、麻生総理のリーダーシップが見受けられません。

 民主党は、経済危機の今こそ、日本の大転換をなし遂げるチャンスであるととらえ、積極的な経済政策を提案しています。

 戸別所得補償制度を初め、農林漁業の活性化策、ソーラーパネルの普及の徹底、再生可能エネルギー供給の増加等を柱とした環境のニューディールと、学校の耐震化工事、医療従事者、介護労働者の待遇改善及び大幅増員、教職員の拡充などを柱とする安全・安心のニューディールは、地域密着型の雇用創出が可能であり、これらの事業を含めた経済対策により、向こう三年間で二百万人以上の雇用創出を目指しています。

 そこで、改めて伺いますが、政府全体として、いつまでにどのくらいの規模の雇用創出をするのか、また、新たな雇用の受け皿と求職者を結びつけるために、どのように職業教育訓練あるいは就職支援を行っていくのか、厚生労働大臣に見解をお伺いいたします。

 百年に一度とも言われる経済危機から我が国が立ち直るには数年を要し、今までの経験からは、雇用情勢の改善は景気回復におくれることが予想されます。政府は、この不況の荒波から国民の生活を守ることに全力で取り組むべきです。

 しかし、今までの政府の対応を見ていると、国民の仕事や生活を守るという意気込みも覚悟も感じられず、雇用対策のタイミングが遅く、小規模な対策を小出しにしているばかりで、雇用不安は日増しに膨らんでまいります。

 野党三党案は、雇用に対する国の責任を前面に出し、大胆な制度を創設することでこの難局を乗り越えようということを提案しています。与党の皆さんにも、野党案に賛成するという御英断を呼びかけて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣舛添要一君登壇〕

国務大臣(舛添要一君) まず、失業者の見込みについてのお尋ねがございました。

 現下の雇用失業情勢は、一月の有効求人倍率が〇・六七倍と前月より大幅に低下するなど、厳しさを増しております。

 また、労働力調査によれば、前職が正規労働者であった失業者は、昨年十月から十二月期において、前年同期差で六万人増加、同様に、前職派遣社員については七万人の増加となっております。

 さらに、都道府県労働局やハローワークを通じた把握では、二月十八日時点で、昨年十月から本年三月までに職場を離れる非正規労働者は十五万八千人に上ることが見込まれております。

 鉱工業生産指数などの経済指標が大幅に低下する中で、政府経済見通しでも平成二十一年度の完全失業率は四・七%と見込んでおり、今後さらなる失業者の発生も懸念されることから、引き続き状況を注視していく必要があると思っております。

 国庫負担及び雇用保険二事業の財政についてのお尋ねがございました。

 雇用調整助成金については、御指摘のとおり、一月の休業等実施計画届の受理件数が前月に比べ七・一倍となるなど、申請が急増しております。

 雇用調整助成金は雇用保険二事業で実施しているところでありますが、平成二十一年度予算案で雇用安定資金残高は約一兆円であり、当面、財政運営の健全性は確保できるものと考えております。

 また、失業等給付についても、雇用失業情勢が急速かつ極端に悪化した場合を見込んでも、当面はその安定的な財政運営が確保できると見込んでいるところであり、現下の財政状況にかんがえれば、引き続き国庫負担の暫定措置を維持してまいりたいと思います。

 雇用保険料についてお尋ねがございました。

 雇用失業情勢が悪化する中では、雇用のセーフティーネットの強化とともに、家計や企業の負担を軽減して景気を回復させ、雇用創出につなげていくことも重要であります。

 このため、雇用保険料についても、雇用保険財政の安定的な運営が確保できることを前提とし、特例的に、二十一年度の一年間に限り保険料率を千分の八まで引き下げることとしたものであります。

 雇用保険料引き下げについて御議論があることは承知しておりますが、雇用失業情勢が悪化する中で、雇用創出とセーフティーネットを両立させていくために必要な対策であるものと考えております。

 次に、適用要件の拡大についてお尋ねがございました。

 政府案においては、倒産、解雇等による離職者であれば六カ月の被保険者期間があれば給付を受けることができることを踏まえ、雇用保険の適用要件を六カ月以上の雇用見込みに拡大することとしております。

 御指摘のように、雇用見込みが六カ月未満の労働者に雇用保険を適用することとした場合、一時的、臨時的な就労をする者も対象とすることになること、給付を受けるために必要な被保険者期間は六カ月とされており、保険料だけ払って給付を受けられない場合も多く生ずることが予想されることから、問題が多いものと考えております。

 次に、失業等給付の申請手続についてお尋ねがございました。

 今回の改正においては、期間の定めのある労働契約が更新されないため離職した場合、被保険者期間六カ月で受給資格要件を満たすこととしております。

 この確認に当たりましては、まず、労働契約の更新の明示があったか否か、次に、更新を希望したにもかかわらず契約が更新されなかった事実があったか否かについての確認が必要ですが、事業主が離職証明書にこれらの事項の有無を記入し、ハローワークに提出していただくことにより、労使双方の負担とならないようにしたいと考えております。

 なお、労使双方の主張に食い違いが見られる場合には、ハローワークにおいて離職者本人から改めて確認するなど、実態に即して判断することとする予定でございます。

 さらに、訓練期間中の生活保障給付制度についてお尋ねがございました。

 雇用保険を受給できない方々が、経済的に不安なく職業訓練を受講できるようにするため、本年度の補正予算において、訓練期間中の生活保障給付制度の創設、拡充を行い、訓練期間中の生活資金を貸し付け、一定の要件のもとで返還を免除できることとしたところでございます。

 訓練人員と予算規模については、離職者訓練の受講実績を踏まえ、雇用保険の受給資格のない方のうち、年収二百万円以下の主たる生計者を対象として設定したものでございます。

 本制度について、ハローワークの窓口等で積極的に周知し、引き続き、より使いやすい制度となるよう努めるとともに、訓練期間中の生活保障のあり方については、労使を初めとしてさまざまな御提案をいただいていることも踏まえ、与党とも議論を深めながら、真剣に議論をしてまいりたいと思います。

 最後に、雇用対策全体についてのお尋ねがございました。

 雇用失業情勢が厳しい状況にある中で、政府は、今後三年間で百六十万人の雇用の下支えと創出を目指す対策を取りまとめております。

 このため、第二次補正予算や来年度予算において、都道府県において雇用創出のために過去最大の規模となる四千億円の基金の創設、長期訓練の拡充など離職者訓練の強化、年長フリーター等を正規雇用した場合や派遣先が派遣労働者を雇い入れた場合の助成の実施などの施策について取り組むほか、既に講じている住宅・生活対策についても、着実に実施してまいります。

 さらに、厚生労働省においては、先般、医療・介護・サービス分野等の雇用拡大プロジェクトチームを設置し、今後、雇用創出が見込まれるこれらの分野の雇用吸収力を実際の雇用に結びつけるための具体的方策、その財源についても検討を進めることとしております。(拍手)

    〔郡和子君登壇〕

郡和子君 お答えいたします。

 日本には、雇用のセーフティーネットとして、雇用保険の求職者給付が終了した後のセーフティーネットが整備されていないということは、かねてから指摘されてきました。すなわち、雇用保険の受給期間が終了した後も再就職できないいわゆる失業状態にある方、それから廃業を余儀なくされた自営業者の方、こういった方々は、生活保護を受けない場合にはいかなる生活保障もないのであります。

 そこで、私ども野党三党は、この経済危機にあって、今後も雇用情勢、失業情勢がさらに悪化することをも想定し、雇用保険と生活保護の間の中間的な制度、いわば第二のセーフティーネットである求職者支援法、通称トランポリン法案をここに提起させていただきました。

 本法案の柱の第一は、求職者に対する能力開発給付であります。

 これは、失業状態にある受給資格者が就職や新たな事業を開始するために必要な能力開発訓練を受けている間、日額五千円、扶養家族がいる場合には日額六千円を一般会計から支給し、能力開発訓練中の生活の安定を図っていこうというものでございます。支給日数は、受給資格認定後三年間のうち、二年間分、七百三十日を限度といたしています。

 政府も、厚生労働省を中心に、現在、職業訓練期間中の生活保障給付の貸し付けを実施されておられますけれども、その決定件数がようやく十件を超えたばかりだと聞いております。このようなつつましやかな政策では、到底この深刻な経済危機を乗り越えることはできないと考えております。

 ここ数年続くと見られる厳しい日本経済において、私どもは、まず、およそ二十万人の方がこの能力開発給付の対象となると想定しております。そして、単に次に経済が回復するまでのつなぎとしてではなく、失業状態にある方が、夢をあきらめず、自信を持ってその働く意欲と能力を維持し、かつ、医療や介護、農林水産業など新たな産業に雇用されることも可能になるよう、きめ細やかなカウンセリングと比較的長期の教育訓練の実施が必要であると考えております。

 訓練機関としては、公共職業訓練のほか、高校や専門学校、大学等の教育機関、企業や経営者団体の人材開発研修機関等、さまざまなものが指定されるものと考えております。

 この一月には生活保護を受けている世帯が全国で百十六万世帯と過去最多になったと報道されました。この中には、働く能力が十分にありながら、働く場がない、雇用保険が受給できないといった理由で生活保護に至るケースも数多くあると見られております。

 今後、雇用失業情勢が一層厳しくなることが予測される中、私どもの提案している第二のセーフティーネットの創設により、再就職の意欲があるにもかかわらず能力開発に必要な生活支援等が受けられない方々に対して緊急に支援を行うべきだと考えております。

 こうした施策は、国家プロジェクトとして法律を担保に実行されることが重要であり、ぜひとも御協力をお願いしたく存じます。

 本法案のもう一つの柱は、解雇等により離職した失業者に対する医療保険の減免措置であります。

 サラリーマンが失業した場合に、在職中と比較して負担増になるものとして、本人分に加え事業主分も負担することになる任意継続被保険者の健康保険料、介護保険料、また、前年度の所得が算定根拠となる国保保険料、地方税を挙げることができます。また、年金保険料や居住費、子供の教育資金等も相対的に負担増になるわけでございます。

 かように、失業者の生活支援のあり方については、社会保障制度にとどまらず総合的な対策が不可欠でありますが、私どもといたしましては、特に健康に対する不安を払拭することは何より喫緊の課題であると考えます。

 そこで、本法案におきまして、特に生活設計が難しいと考えられる解雇等により離職した失業者について、退職後、任意継続被保険者となる場合は二年間、国民健康保険の被保険者となる場合は一年間、在職中の医療保険料の水準を維持することといたしました。

 国民健康保険及び健保組合の保険者の減収については、本法案の特例措置の適用により、減収する保険税収入の額に相当する額を国が一般会計から補助することにしております。

 現在、国保の保険料の滞納率は増加の一途をたどっておりまして、二〇〇八年六月現在、四百五十三万世帯、加入世帯に占める割合は二〇・九%と、過去最悪になっております。これ以外にも、組合健保脱退後、国保加入手続をしないケースも相当数見込まれるところであります。

 こうした国保未加入、また保険料未納者の増加により、疾病の重症化、これが結果的に健康弱者の増加を招かないようにすることは、政治の大きな役割であると考えているところです。

 以上でございます。(拍手)

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 民主党と社民党提出の雇用保険法改正案につきまして、政府案との違いについてというお尋ねがございました。

 大きく三点挙げたいと思います。

 まず、失業等給付に要する費用に関する国庫負担額についてでございます。

 昨年、社会保障費の伸びを毎年毎年二千二百億削減する一環といたしまして、本来の国庫負担率の百分の五十五とする暫定措置がとられるところとなりました。現下の厳しい雇用情勢におきましては、やはり雇用保険における国の雇用責任を明確にするためにも、私どもは、まず、国の負担率を本来の四分の一に戻すべきと考えております。

 次に、雇用保険料率についてでございます。

 政府案では、現行の保険料を生活対策といたしまして一年間のみ〇・四%引き下げることとなっておりますが、木を見て森を見ず、全く本末転倒な政策と考えます。

 昨秋以来の急激な雇用情勢の悪化を踏まえれば、引き下げるメリットよりも、むしろ、今日の状況の深刻さに対応するために、国民が望む雇用のセーフティーネットをしっかりとさせること、これが第一と思います。この間削減され続けた失業給付のあり方そのものを見直す時期になっていると思います。

 そして、政府案との違いの一番のポイントは、派遣労働者や短時間労働者など、非正規労働者も雇用保険の適用対象者とすることでございます。

 現在、三十日以内の期間を定めて雇い入れられる労働者については日雇い労働被保険者に区分されますので、ここでは、三十一日以上の雇用期間があるすべての労働者が、原則、雇用保険の一般被保険者となります。非正規労働者を中心に一千万人にも及ぶ方々が無保険状態となり、また、失業給付も現状では五人にお一人の方しか受けられていないという状況がございます。正規、非正規ということで、雇用保険の入り口から差別する政策をとってきたということがこの背景にはあると存じます。

 ところが、政府案では、一年以上の雇用見込みの要件を六カ月以上の雇用見込みに改めるだけの極めて中途半端なものとなってございます。このため、非正規労働者は、六カ月以上の雇用の見込みがなければ雇用保険の適用対象となりませんし、加えて、通算すれば失業給付を受け取れるはずの方も給付を受け取ることができないという状況が相変わらず生じます。六カ月未満の雇用見込みの短期契約労働者は、雇用が不安定なまま、セーフティーネットも整えられないという状態に押しとどめられるということになります。

 未曾有の経済危機にあって、今後、雇用失業情勢のさらなる悪化が懸念されます。

 これまでも、多くの派遣労働者を初めとする非正規労働者が、雇いどめや労働契約の途中解約などにより、失業を余儀なくされてまいりました。その数、十五万七千八百六人に達するという指摘もございますが、一月の調査に比べますと、約三万三千人増加をいたしております。

 また、派遣元事業主に実施いたしました調査では、契約を解除された派遣労働者が約二万人おられますうち、その後、雇用が継続された方はわずか一〇%にすぎませず、八割以上の方が離職を余儀なくされておるのが現状であります。

 こうした厳しい雇用情勢に置かれる派遣労働者が、一年以上の雇用見込みがなければ雇用保険にも入ることができず、派遣切り、期間工切りに遭っても雇用保険の受給がなく、住居を失い、路頭に迷う、これが現在の雇用のセーフティーネットの実態でもあります。

 私どもといたしましては、雇用失業情勢への対応に万全を期すためにも、私どもの雇用保険法改正案を速やかに成立させることが重要であると考えております。

 以上です。(拍手)

    〔糸川正晃君登壇〕

糸川正晃君 藤村議員から、内定取り消し規制法案を提出した事情や理由についてお尋ねがございました。

 今回の経済危機の中で、経営破綻した企業において、大卒者の内定者五十人以上の内定取り消しをし、一定額の補償金を支払って解決した例が出るなど、内定取り消しは近年になく深刻な状況となっています。

 この内定取り消しに関する労働契約法改正案は、私ども野党三党が、昨年末、参議院に提出し、可決され、この衆議院において、与党の皆さんの反対により、残念ながら、廃案となってしまいました。

 しかし、厚生労働省がまとめた新卒者の採用内定取り消し状況は、先月、二月十九日現在においても、三百四十二事業所で千五百七十四人と、ふえ続けているのが実態であります。

 新卒者の採用内定取り消し対策については、企業への指導を強化するため、既に職業安定法施行規則が改正され、新規学卒者の採用内定を取り消した企業名を公表する制度が施行されております。しかしながら、こうした行政指導は、採用内定取り消しを行おうとする事業主はあらかじめハローワークまたは学校の長に通知すべきものとされるという大前提のもとで実施されるものであり、採用内定の安易な取り消しを防止し、紛争の防止及び解決等に資するに足るとは到底申し上げられません。

 すなわち、施行規則だけでは、内定という労働契約を結んだ当事者、特に社会人としてまさに巣立とうという若者のセーフティーネットとしても心もとないというのが現実であります。

 採用内定については、就労を始めるのが学校卒業直後とされているだけで既に労働契約は成立していると解されております。すなわち、採用内定者の内定取り消しについては、最高裁判例において、客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができる場合にのみ許されるとされ、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実がなければ取り消すことができないとされているのであります。

 しかし、今般、かように内定取り消しが大量に横行するに至っては、この最高裁判例が一般に広く知られているとは到底言えないことが明らかになりました。

 残念ながら、現在の労働契約法においては、採用内定を意味する内定という言葉はどこにも見当たりません。

 これまで判例として明らかになっている内定に関する事項についてきちんと法律にすることは、無用な紛争の発生を事前に防止することになると同時に、内定取り消しで泣き寝入りする必要はないと生徒、学生そして親御さんたちに強く意識づけることができますし、同時に、社会への信頼を裏切らないことにもつながると考えております。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 伊藤渉君。

    〔伊藤渉君登壇〕

伊藤渉君 公明党の伊藤渉でございます。

 私は、自由民主党、公明党を代表し、ただいま趣旨の説明がありました雇用保険法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)

 現在の雇用失業情勢は、一月に有効求人倍率が〇・六七倍、すべての都道府県で一倍以下の状況となり、想像を超えるスピードで深刻の度を増してきております。国民生活を守る第一、これこそ雇用の安定を図ることであります。今後、さらなる雇用調整の懸念がある中、まず、企業にしっかりと雇用を維持していただくこと、それと同時に、雇用創出に取り組むこと、この二本柱が危機を乗り越えるかぎと考えます。

 冒頭、雇用を担当する厚生労働大臣に、雇用失業情勢の認識とそれを踏まえた強力な雇用対策についての御決意をお伺いいたします。

 このたびの雇用保険法等の一部を改正する法律案では、受給資格に係る要件の緩和、給付日数の延長に関する暫定措置の創設など、雇用のセーフティーネットを担う雇用保険制度をより強固にする改正であり、労働者の安心につながることになります。

 もちろん、セーフティーネットを張った上で企業の雇用維持をお願いすることは、大前提であります。政府・与党では、雇用維持のために雇用調整助成金の大幅な拡充を昨年末より進めており、現在、一万五千事業所、実に百四万人を超える労働者の雇用を守ることができております。セーフティーネットの雇用保険の充実とともに、雇用維持のための雇用調整助成金をさらに使いやすい仕組みとなるよう、配慮をお願いしたいと思います。

 今回の改正は、社会構造の変化に対応するものであると思います。つまり、非正規労働者が雇用者数の実に三分の一を占める状況において、今回の雇用失業情勢の悪化における倒産、解雇等による離職に限らず、雇いどめという形や、派遣労働者においては派遣切りという形で、非正規労働者にいち早く、かつ厳しい影響を与えている現状への対策です。

 厚生労働省の調査では、今月末までに十五万人を超える派遣労働者等の雇いどめなどが見込まれるとの推計も出されており、この状況を転じる対策が必要であります。

 特に、私の地元である愛知では、突出して厳しい状況、現状がございます。現場を回っても、非正規雇用者の雇いどめにとどまらず、正規雇用者の残業のカット、さらに日勤回数の削減、週休四日といった企業も出てきております。日々の生活費を稼ぐため、新聞配達などのアルバイトを始めようとしても、既に同じような状況の方々であふれてしまっているといった状況です。

 この危機意識の上で、政府・与党として緊急の対策を講じ、社員寮等からの退去を余儀なくされ、住居を失った方に対しての雇用促進住宅への入居あっせんや、最大百八十六万円の生活・住宅資金の貸し付けなどの取り組みが既に行われており、その効果も上がっております。

 今回の雇用保険制度の見直しにおける、非正規労働者の増加と雇用失業情勢の悪化とを踏まえた非正規労働者に対する一定の適用範囲の拡大を行うことと、非正規労働者の雇いどめなどへの対応として、雇いどめの場合の受給資格要件を緩和し、解雇と同様の六カ月で失業給付が受給できることは、我々与党の提言を速やかに講じた対応であり、評価すべきことと考えております。

 舛添厚生労働大臣に、改めて、非正規労働者の増加に対応した今回の改正であるとの考え方について、明確な御答弁を求めます。

 さらに、今後の対策として、公明党では、給付と負担のバランスを考え、雇用保険の給付のメリットが受けにくい失業者に対する生活支援と職業訓練を一体的に給付する制度の創設を提案しております。今回の改正は、切れ目のない失業者を支援するセーフティーネットの強化の大きな前進としての見直しであると信ずるものであります。今後も、現場に即したセーフティーネットの強化に与党としても対応をしてまいりたいと思います。

 一方で、再就職を強力に後押しする観点から考えたときに、必ずしも、長く失業給付をもらい続けることは、御本人にとってよい状況とは言えません。モラルハザードを防止しつつ、適切な給付がなされることは当然として、積極的に求職活動をし、職につけるよう、ハローワークで的確な再就職支援をお願いしたい。現実、厳しい雇用失業情勢の中で、所定給付日数が短い若者や雇用失業情勢の厳しい地域にお住みの方であれば、再就職の困難度も増すことが考えられます。このような方に対し、今回の雇用保険制度の見直しにおいてはどうこたえるのか、舛添厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。

 昨年来の新卒者の内定取り消しが問題となっております。与党としても早急な対応を政府に強く求めたところですが、この対策について、民主党より、内定取消しの規制等のための労働契約法の一部を改正する法律案が提出をされております。

 法案では、使用者が採用内定通知を発出したときに、そのときにおいて労働契約が成立したものと推定することとされております。一見、学生を守るように感じますが、このような規定を置くことは、内定を受ける学生にとって本当によいことなのか。実際に民間企業において就職担当をしていた者の立場から申し上げます。

 現実にこれほど経済情勢が厳しい中、これまで以上に内定を出すことに企業が消極的になることは容易に想像ができます。それによって就職内定がもらえず、不安な状況に置かれる学生がふえることになるだけではないか。この問題の本質的な解決になるとは到底思えません。

 逆に、景気がよくなったときには、企業は優秀な学生を拘束しようとして、内定通知を一方的に送りつけてくるようなことも起きる可能性があります。その場合、内定者は、この民主党の法案の推定規定によって、有効に反証ができないと労働契約が成立したものとなり、学生の自由意思が反映されないのではないか。

 民主党の法案は、現下の厳しい経済情勢のもとで、内定者の保護につながらないばかりか、かえって企業実務や学生の就職過程を著しく混乱させるものであると感じてなりません。

 政府においては、この未来ある学生らに対する内定取り消しの対策としてどのように対応をしているのか、舛添厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。

 次に、能力開発について伺います。

 能力開発によって必要な能力を身につけることは、より本人のキャリアアップにつながり、職の安定につながります。離職しても、今後の成長が見込まれる産業分野に労働移動をしやすくすることは、我が国の経済産業を考えた上でも極めて重要であり、これに資する職業訓練の充実が求められます。

 今後、より戦略的に労働移動がなされる職業訓練体系の構築が必要と考えますが、こうした取り組みについて、どのように展開をしていくのか、舛添厚生労働大臣の意気込みをお伺いいたします。

 最後に、育児休業給付について伺います。

 今回の法律案により、育児休業基本給付金と育児休業者職場復帰給付金の統合がなされ、休業開始時賃金の四〇%を一括して育児休業期間中に支給されることになります。また、平成二十一年度までの暫定措置であった給付率五〇%も、当分の間延長されることになり、雇用継続のみならず、少子化対策としても喜びの期待の声が届いております。

 今回の育児休業給付の見直しについても、よくよく周知を図ることをお願いしたいと思いますが、舛添厚生労働大臣の御決意をお伺いします。

 また、厳しい雇用情勢で、いわゆる育休切りになることが起きているとの報道もありますが、このような悪質な違法行為は厳に取り締まりを強化する必要があります。この点も、舛添厚生労働大臣に強くお願いをしておきます。

 以上、雇用保険法等の一部を改正する法律案の早期成立こそ、我が国の社会を支える大事なセーフティーネットが強化をされ、離職された方の再就職に向け、全力で支えることにつながると考えます。公明党は、今後とも、自由民主党と協力し、この雇用危機を乗り越え、雇用の安定と国民の安心のために全力を尽くしてまいることをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣舛添要一君登壇〕

国務大臣(舛添要一君) 伊藤議員から、雇用失業情勢の認識と雇用対策についてお尋ねがございました。

 現下の雇用失業情勢は、一月の完全失業率が四・一%と、前月より〇・二ポイントの低下となる一方、有効求人倍率は〇・六七倍と、前月より大幅に低下しており、厳しさを増していると認識しております。

 このため、厚生労働省におきましては、第二次補正予算や来年度予算において、労働者に休業や訓練などを行わせながら雇用を維持する企業への助成措置の拡充、都道府県において雇用創出のために過去最大規模となる四千億円の基金の創設、セーフティーネットを強化する観点からの失業給付の見直し、派遣先が派遣労働者を雇い入れた場合の助成の実施などに取り組むほか、既に講じている雇用促進住宅の活用や賃貸住宅入居のための資金貸し付けなどの住宅・生活対策についても、着実に実施してまいります。

 厚生労働省としては、各都道府県労働局、ハローワーク、労働基準監督署における事業主指導、再就職支援を含め、総力を挙げた取り組みを行うことにより、悪化する雇用情勢にしっかりと対応してまいります。

 次に、非正規労働者の増加に対応した改正の考え方についてお尋ねがございました。

 今回の雇用保険制度の見直しは、雇用失業情勢の急速な悪化の影響が非正規労働者に対する雇いどめという形で顕在化してきたことを踏まえ、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化を図ることを重点に改正を行うものであります。

 見直しの具体的な内容としては、非正規労働者に対する運用上の適用基準である一年以上雇用見込みを六カ月以上雇用見込みに緩和し、適用範囲を拡大するとともに、契約更新がなされなかった有期契約労働者の受給資格要件を現行の一年から六カ月に緩和することなどを法案に盛り込んでいるところでございます。

 これにより、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化が図られるものと考えております。

 続いて、再就職が困難な方への対応についてお尋ねがございました。

 今回の雇用保険制度の見直しにおいては、雇用失業情勢が悪化すると、雇用保険の支給が終了しても再就職が困難な場合が増加することが想定されることから、特に倒産、解雇等や雇いどめにより離職した者であって、四十五歳未満の求職者、雇用情勢が厳しい地域として厚生労働大臣が指定する地域内に居住する求職者、公共職業安定所長が特に再就職のための支援を計画的に行う必要があると認めた者に対して、個別に給付日数を六十日分延長することとしております。

 これにより、所定給付日数の短い若者や雇用失業情勢の厳しい地域の求職者に対する再就職支援機能の強化が図られるものと考えております。

 続きまして、学生等の内定取り消し問題への対応についてお尋ねがございました。

 採用内定取り消しにつきましては、これまで、ハローワークにおける特別相談窓口の設置、内定取り消しの防止について事業主団体への要請、労働契約法及び裁判例の周知徹底に取り組んできたところでございます。

 さらに、内定取り消しを行わずに、新規学卒者を採用後直ちに休業、教育訓練、出向させて雇用維持を図る場合にも雇用調整助成金の対象とする特例措置、企業名の公表制度に基づく企業への指導の強化、内定を取り消された就職未決定者を正規雇用した事業主への奨励金の支給などの新たな対策に取り組んでいるところでございます。

 こうした取り組みにより、内定取り消しの防止や内定を取り消された学生等への就職支援に、学校とも緊密に連携しながら、万全を期してまいります。

 続きまして、職業訓練体系の構築への取り組みについてお尋ねがございました。

 厳しい雇用失業情勢が続く中、より戦略的に労働移動を推進する上でも、今後の成長が見込まれる分野で再就職の実現に必要な職業訓練を実施することは重要であると考えます。

 このため、平成二十一年度予算においては、介護やITなど、今後の雇用の受け皿として期待される分野の職業訓練に重点を置き、新たに介護福祉士養成のための二年間の長期訓練を実施するなど、十九万人を超える訓練の実施を予定してあります。

 これらの訓練を確実に実施するとともに、今後成長が見込まれる産業分野への円滑な労働移動も視野に入れた効果的な職業訓練を進めてまいります。

 最後に、育児休業給付の見直しについてお尋ねがございました。

 育児休業を取得しやすくするためには、できるだけ収入の不安がない形で育児休業を開始できるようにする必要があり、職場復帰後に支給するよりも、全額を育児休業中に支給する方が効果的であると考えられるところから、今回、二つの給付を統合することとしているところでございます。

 また、平成二十二年三月三十一日までの暫定措置として育児休業給付の給付率を五〇%に引き上げている措置についても、少子化対策としての要請等も踏まえ、今回、当分の間延長することとしているところでございます。

 改正法成立の暁には、その周知徹底を図り、今回の改正の趣旨を生かし、安心して育児休業を取得し、雇用継続が図られるよう、全力で取り組んでまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、政府提出の雇用保険法改正案及び野党提出の雇用対策関連三法案について質問をします。(拍手)

 一月の自殺者が二千六百四十五人にもなったといいます。派遣切りされ、窓から飛びおりたいと思った女性がテレビで映し出されたように、今日の雇用、経済情勢の悪化が背景にあることは否定できません。今月末までに十五万八千人の非正規労働者が解雇、雇いどめされ、さらに正社員にも首切りが及ぶなど、悲観的な数字が連日報道されています。

 さまざまな雇用・失業対策が打たれてきましたが、このまま失業者がふえ続ければ対応し切れないと現場から悲鳴も上がっています。新たな解雇、雇いどめを食いとめることなしに、問題の根本解決はありません。政府はこの立場に本気で立つ決意があるのか、お答えください。

 厚労省は、昨年十一月二十八日に、偽装請負や派遣受け入れ期間三年を超えて働かせていた場合、派遣先に対して対象労働者の直接雇用を推奨するとの通達を出しました。大臣は、法違反の場合には厳正に対処すると繰り返し答弁していますが、では具体的に、昨年の秋以降、労働者からの直接雇用を求める申告件数はどのくらいですか。そのうち指導件数と解決件数を伺います。

 我が党は、労働者派遣法を九九年の原則自由化以前に戻せと主張してきました。派遣法の抜本改正は待ったなしですが、今国会でどこまで踏み込むのか、政府と民主党にそれぞれお伺いします。

 次に、法案について質問します。

 現在の雇用保険は、失業したのに給付を受けられない人が八割にも及び、その機能を十分に発揮しているとは到底言えません。

 その責任は、政府が財界の意向に沿って、労働法制の規制緩和と雇用保険の改悪を進めてきたことにあります。とりわけ二〇〇〇年の改悪では、離職理由による給付日数の格差が持ち込まれました。自己都合離職は、三カ月も給付を待たなければなりません。職を失い、日々の生活もままならない失業者の実情に全くそぐわないではありませんか。自己都合離職といっても、その実態は、会社から強制され、退職を受け入れざるを得なかった方たちが多いのです。自己都合とそうでない人を明確に区別することができますか。この際、離職理由で給付日数に差をつけることを見直すつもりはないのか、伺います。

 また、施行期日は四月一日となっていますが、これでは、三月までに職を奪われる失業者に改正内容が及びません。少なくとも、昨年秋からの急激な悪化に対応できるよう遡及するべきではありませんか。

 雇用保険は、強制加入であるとともに、失業給付に対する国庫負担が明記されています。失業は、政府の経済政策、雇用対策と無縁ではないからです。憲法の言う生存権と勤労権を保障するため、政府も責任を担うことが義務づけられています。

 ところが、昨年の財政制度審議会建議では、公然と国庫負担の削減や廃止が言及されています。見過ごしできません。政府は国庫負担を堅持するつもりがありますか。今回引き下げが予定されている保険料率についても、雇用情勢の悪化による給付増が見込まれるもとでは、むしろ維持すべきではありませんか。大臣の見解を伺います。

 最後に、政府案とこの間の経済対策や野党案には多くの共通点があり、我が党も積極的に提案をしてきたところです。今必要なことは、国民の期待に真にこたえ得る、よりよい法改正を実現することではないでしょうか。そのために努力することを心から呼びかけ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣舛添要一君登壇〕

国務大臣(舛添要一君) 高橋議員から、まず、解雇、雇いどめへの対応についてのお尋ねがございました。

 雇用失業情勢が厳しい状況にある中で、雇用、生活の安定を確保することを通して、暮らしの不安を取り除くことが、今何よりも重要なものであると認識しております。

 こうした状況に対応するため、厚生労働省といたしましては、各都道府県労働局、ハローワーク、労働基準監督署における事業主指導、再就職支援を含め、総力を挙げた取り組みを行ってまいります。

 また、労働者に休業や訓練などを行わせながら雇用を維持する企業への助成措置の拡充などにより、失業を予防する対策にも全力を尽くしてまいります。

 次に、労働者派遣法に基づく申告件数についてお尋ねがございました。

 労働者からの具体的な申告内容については、年度ごとに取りまとめることとしており、直接雇用を求める申告件数や指導件数もその中で把握することとしておるため、現時点では集計していないところでございます。

 なお、平成二十年四月から平成二十一年一月末までに受理した申告の件数は百九十二件となっており、すべての事案について調査を行い、法違反が確認された場合には厳正に是正指導を行ってまいります。

 続きまして、労働者派遣法の改正についてお尋ねがございました。

 現在、登録型派遣は二百八十万人もの方に利用されており、その中には自由度の高い派遣労働を望む者もおり、これを禁止することはかえって労働者の不利益になるため、平成十一年の原則自由化以前に戻すことは適切でないと考えております。

 他方、政府としても、労働者の保護を強化する観点から、労働者派遣法の見直しが必要と考えております。そのために、日雇い派遣を原則禁止するとともに、派遣元に対し、登録型の派遣労働者の常用化に努めるよう義務を課す、違法派遣を行った派遣先に対し、その労働者の雇用を勧告する制度を創設するなどの改正法案を提出しており、まずはこれについて御審議いただくことが最優先であると考えております。

 続きまして、失業等給付の離職理由による給付日数の違いについてお尋ねがありました。

 雇用保険制度においては、倒産、解雇など、あらかじめ再就職の準備をする余裕がなく離職を余儀なくされた場合には、給付日数の面で手厚い取り扱いをすることとしており、再就職の困難度を勘案して給付日数の重点化を行うことには合理性があると考えております。

 ハローワークにおいては、離職理由の判定は慎重に行っており、離職理由等について離職者が異議を唱えた場合には、離職者と事業主双方の主張を聴取した上で、実態を見きわめ、適切に判断しております。

 続きまして、施行の遡及適用についてお尋ねがございました。

 施行日よりもさかのぼって改正法を適用することにつきましては、既に受給中の人について、労使双方に労働者が更新を希望したか等を確認しながら改めて受給資格決定をやり直す必要があるとともに、手続に来た人だけを救うとすれば公平性の観点から問題があるなど、さまざまな困難がありまして、これは不可能であると考えております。

 なお、雇用対策全体といたしましては、雇用保険が受給できない者をも対象として、既に住居・生活支援の資金貸し付けや、訓練期間中の生活保障給付の拡充などの施策を既に実施しているところでございます。

 最後に、国庫負担及び雇用保険料率の引き下げについてお尋ねがございました。

 雇用保険の国庫負担は、保険事故である失業が政府の経済政策、雇用対策と関係が深く、政府もその責任を担うという考え方によるものであり、堅持することといたします。

 また、雇用保険料率引き下げにつきましては、雇用保険財政の安定的な運営が確保できることを前提とし、特例的に二十一年度の一年間に限り保険料率を引き下げることとしたもので、雇用失業情勢が悪化する中で、雇用の創出とセーフティーネットを両立させていくために必要な対策であるものと考えております。(拍手)

    〔細川律夫君登壇〕

細川律夫君 高橋千鶴子議員から、民主党は労働者派遣制度の見直しについて、どうすべきか、どのように考えているかというお尋ねがございました。

 民主党は、雇用の原則は、期間の定めのない雇用、直接雇用であるべきと考えております。

 昨年来、世界的な景気後退に入って以来、派遣切り、雇いどめがふえているなど、多くの派遣労働者が雇用の調整弁として扱われるという実態が浮き彫りとなっております。改めて、期間の定めのある雇用が多く、間接雇用である労働者派遣の構造的な問題を直視して、見直すべきであると考えております。

 私どもは、既に二年近く党内論議を重ねまして、労働者派遣法の改正案も準備もいたしているところでございます。

 その内容は、日雇い派遣などの短期の労働者派遣の禁止だけではありません。派遣先の企業が一定の違法行為をした場合には、派遣労働者が派遣先に対して雇用主であることを通告できる直接雇用みなし規定の創設、また、労働者の就業形態にかかわらず、就業の実態に応じた均等待遇の原則の確保、さらに、派遣先での不利益扱いの禁止や未払い賃金、社会保険未払いについての派遣先の連帯責任を求めるなど、派遣先の責任強化等を柱とした改正案でございます。

 今のままの法改正が行われない状態ですと、現在の労働者派遣法が悪法のまま残ることになってまいります。私どもといたしましては、民主党の改正案策定はいたしておりますけれども、他の野党の皆さん方とヒアリングやあるいは意見交換を今行っておりまして、労働者派遣法の見直しに向けて鋭意努力を重ねているところでございます。

 以上でございます。(拍手)

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 高橋議員にお答え申し上げます。

 自己都合退職と解雇等による離職により給付に差があることの問題点の御指摘がございました。

 私どもも、実際の労働現場において、解雇を自己都合退職と言いかえて離職を強要している実態が少なくないと認識しております。のみならず、会社都合の離職者が多いと国の助成金を受けられなくなる、あるいはイメージダウンなどを恐れて、労働者を上手にやめさせて、自己都合退職として取り扱う事業所すらあると聞いております。

 本来ならば解雇という範疇に入るべき労働者が自己都合と認定されれば、現行法におきましても、また政府案におきましても、離職前二年間に一年間の保険料納付という二重のハードルが課せられることにもなります。

 私どもは、労働者が雇用のセーフティーネットからこぼれ落ちる事態は何としてでも防ぐべきであると考えます。本来は会社都合なのに自己都合扱いされてしまう事例については、労働者が泣き寝入りすることのないよう、政府にはきちんとした運用と指導をさらに要請したいと思います。

 その上で、本改正案におきましては、自己都合離職における基本手当の受給資格につきましては、離職前二年間に一年間の保険料納付という現行の要件を、離職前一年間に六カ月の納付に短縮をいたしました。

 また、御指摘のとおり、自己都合離職における基本手当の給付日数の変更や給付開始時期については言及しておりませんが、別途提案させていただきました求職者支援法におきまして、自己都合、会社都合にかかわらず、雇用保険の求職者給付の受給が終了した方が能力開発訓練を受ける場合に、その受けている期間中、日額五千円、扶養家族がいる場合は日額六千円、月にして最高十二万円程度を支給し、受給資格者の能力開発、職種転換等を積極的に支援することといたしております。

 ぜひ共産党の皆さんにも御賛同いただきたいと思います。

 以上です。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       厚生労働大臣  舛添 要一君

 出席副大臣

       厚生労働副大臣  渡辺 孝男君


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