衆議院

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第21号 平成21年4月7日(火曜日)

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平成二十一年四月七日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十二号

  平成二十一年四月七日

    午後一時開議

 第一 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 議員辞職の件

 北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案(小坂憲次君外七名提出)

 日程第一 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び資金決済に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) この際、御紹介申し上げます。

 ただいま第三十回日本・EU議員会議、ゲオルク・ヤルツェンボウスキー欧州議会代表団長御一行が外交官傍聴席にお見えになっております。諸君とともに心から歓迎申し上げます。

    〔拍手〕

     ――――◇―――――

 議員辞職の件

議長(河野洋平君) 議員河村たかし君から辞表が提出されております。これにつきお諮りいたしたいと思います。

 まず、その辞表を朗読させます。

    〔参事朗読〕

    辞職願

  今般施行の名古屋市長選挙への立候補のため衆議院議員を辞職いたしたく御許可願います。

   平成二十一年四月三日

          衆議院議員 河村たかし

  衆議院議長 河野 洋平殿

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 河村たかし君の辞職を許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

谷公一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 小坂憲次君外七名提出、北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案(小坂憲次君外七名提出)

議長(河野洋平君) 北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。小坂憲次君。

    ―――――――――――――

 北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔小坂憲次君登壇〕

小坂憲次君 私は、自由民主党、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読をもちまして趣旨の説明にかえさせていただきます。

 案文を朗読いたします。

    北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案

  北朝鮮は、我が国をはじめ、国際社会からの度重なる中止要請を無視して、四月五日、ミサイル発射を強行した。

  そもそも今回の発射は、北朝鮮は弾道ミサイル計画に関連するすべての活動は停止しなければならない旨を規定している国連決議第一六九五号及び第一七一八号に明白に違反し、我が国として断じて容認できるものではない。

  本院は、改めて、北朝鮮に対して、国連決議の規定を遵守するとともに、六者会合共同声明を完全実施するよう強く求める。また国際社会に対し、それらの国連決議に基づく制裁規定を完全に遵守するよう強く求める。

  政府は、本院の趣旨を体し、我が国の断固たる抗議の意思を北朝鮮に伝えるとともに更なる我が国独自の制裁を強めるべきである。同時に、関係各国と連携しながら、国際連合安全保障理事会において、国際社会の一致した意思を決議等で明確にするよう努力すべきである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。

 この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣麻生太郎君。

    〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇〕

内閣総理大臣(麻生太郎君) ただいまの御決議に対しまして所信を申し述べます。

 北朝鮮による今回の発射は、ミサイル開発に直結するものであり、我が国を含む北東アジア地域のみならず、国際社会の平和と安定を損なう挑発的な行為であり、断じて容認できません。

 また、北朝鮮による今回の発射は、北朝鮮の弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の停止を求める国連安保理決議第千六百九十五号及び第千七百十八号に違反するものであります。

 政府としては、ただいま採択されました御決議の趣旨を体し、国際連合安全保障理事会が一致した強いメッセージを迅速に発出することを含め、米国や韓国を初めとする関係国と緊密に連携しつつ、最大限の努力をしてまいります。(拍手)

     ――――◇―――――

 日程第一 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長水野賢一君。

    ―――――――――――――

 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔水野賢一君登壇〕

水野賢一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、汚染土壌の適切かつ適正な処理を図るため、土壌の汚染の状況の把握のための制度の拡充、規制対象区域の分類等による講ずべき措置の内容の明確化、汚染土壌の適正処理の確保のための規制の新設等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、三月二十四日本委員会に付託され、同日斉藤環境大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。

 委員会におきましては、二十七日参考人から意見を聴取し質疑を行うとともに、三十一日及び四月三日の両日にわたり政府に対して質疑を行うなど、汚染土壌の適切かつ適正な処理をより一層推進する観点から、慎重かつ精力的な審査を行った後、三日に質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党より、改正後の法第六条第一項及び法第十一条第一項の指定に係る区域の略称を修正すること等を内容とする修正案が提出をされました。

 本修正案の趣旨説明の後、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長東順治君。

    ―――――――――――――

 我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔東順治君登壇〕

東順治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 我が国の経済は、金融危機による急速な景気の悪化や世界的な資源価格の不安定化等、さまざまな課題に直面いたしております。

 本案は、このような経済の急激な構造変化に対応するため、我が国の産業活動を革新し、あわせて産業活力の再生を確実なものにしようとするものであります。

 その主な内容は、まず、

 金融危機により資金調達が困難となった事業者に対し、融資や出資を行う金融機関の信用リスクを軽減する措置を講ずるとともに、

 みずからの経営資源以外の他社の経営資源を有効に活用する、将来の成長の芽となる事業活動を支援するため、株式会社産業革新機構を創設し、出資等の支援を行うこととするほか、

 将来性のある事業を他の事業者に引き継ぎつつ事業再生を図る中小企業の取り組みに対し、許認可の特例や資金供給の円滑化のための支援措置等を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月二十四日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託されました。

 本委員会においては、翌二十五日二階経済産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、参考人から意見を聴取するなど慎重な審査を重ね、四月三日質疑を終了いたしました。質疑終局後、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び資金決済に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、金融商品取引法等の一部を改正する法律案及び資金決済に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣与謝野馨君。

    〔国務大臣与謝野馨君登壇〕

国務大臣(与謝野馨君) ただいま議題となりました金融商品取引法等の一部を改正する法律案及び資金決済に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。

 まず、金融商品取引法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。

 現在の国際的な金融資本市場の混乱等を背景として、我が国の市場の機能の強化、利用者保護の充実を図り、信頼と活力ある金融資本市場を構築することが重要な課題となっております。このような状況を踏まえ、必要な制度整備を行うため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、市場の公正性、透明性を確保するため、信用格付業者に対し、登録制を導入するとともに、利益相反防止措置を含めた体制整備、格付方針の公表等を義務づけるなどの措置を講じることとしております。

 第二に、利用者保護の充実を図るため、金融分野における裁判外紛争解決制度、いわゆる金融ADR制度を創設し、紛争解決機関の指定制を導入するとともに、金融機関等に指定紛争解決機関との契約締結義務を課すなどの措置を講ずることとしております。

 第三に、公正で利便性の高い市場基盤の整備を行うため、金融商品取引所による商品市場の開設等を可能とするための制度整備を行うこととしております。

 次に、資金決済に関する法律案につきまして御説明申し上げます。

 社会的なインフラである資金決済に関するサービスにつきましては、信頼と活力のある金融資本市場を構築するため、利用者保護の充実を図りつつ、利用者の利便の向上やその適切な実施の確保を図ることが重要であります。こうした観点から、必要な制度整備を行うため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、利用者利便の向上を図るため、利用者に引き渡すべき資金と同額以上の資産保全を義務づけるなど所要の措置を講じつつ、銀行のみに認められた為替取引を銀行以外の者でも行うことができるよう、所要の制度整備を図ることとしております。

 第二に、発行者がコンピューターのサーバーなどに金額を記録する前払い式支払い手段についても、現行の商品券やプリペイドカード内に金額が記録されるカードと同様に規制の適用対象とし、利用者保護の充実を図ることとしております。

 第三に、銀行間の資金決済の円滑な実施を確保する観点から、資金清算を行う者に対する適切な監督等を行うため、所要の制度整備を図ることとしております。

 以上、金融商品取引法等の一部を改正する法律案及び資金決済に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び資金決済に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。大畠章宏君。

    〔大畠章宏君登壇〕

大畠章宏君 民主党の大畠章宏でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました金融商品取引法等の一部を改正する法律案、資金決済に関する法律案について質問いたします。(拍手)

 本法律案に対する質問に入る前に申し上げることがあります。

 既に、本院でも決議されましたけれども、鳩山幹事長談話で私たち民主党も表明いたしました、一昨日の北朝鮮の飛翔体発射についてであります。

 この行為は、我が国を初め国際社会からのたび重なる強い中止要請を無視する行為であり、断じて容認することはできません。

 国連を中心として、北朝鮮の国際社会への挑戦をやめさせ、拉致問題の一刻も早い解決、核の完全廃棄、ミサイルの脅威の除去を実施すべきであり、政府は毅然とした措置を講ずるとともに、強力な外交交渉を展開することを強く求めるものであります。

 さて、G20と言われるロンドン金融サミットが終わりました。五兆ドルもの財政出動などを決定したことを報道で知りました。これらの当面する世界的な経済危機に対して、国際社会と協調して対処することも重要であることも理解いたします。

 しかしながら、麻生総理は、経済危機、国際協調を大義名分として、やみくもに、国際通貨基金(IMF)、政府開発援助(ODA)、貿易金融など、世界に十四兆円もの資金を提供することを約束されました。こうした麻生総理の姿勢に対して、ただ単にアイデアもなく金を使うだけと国民から非難する声が上がっております。

 同時に、日本国の国の形、すなわち、麻生政権はどのような国づくりをしようとしているのかが全く見えないことが問題であります。

 小泉改革に象徴される、行き過ぎた市場原理主義による金融資本主義は崩壊いたしました。日本国民の生活への影響は重大であり、自己責任という名のもとに、国民生活の安全網が取り払われて、国民は今、無理やり空中ブランコをさせられているようなありさまであります。これでは、政府が目指す内需拡大などは実現しようにもできません。

 国民生活に重大な影響を与えている雇用、介護、医療、教育、物づくりなどの分野において財政上からの都合のみで国民生活の実態を無視した政策を推し進めてきた小泉改革を抜本的に改めるべきであります。

 まずは、小泉改革でずたずたになった農林漁業の再生、市町村から予算を搾り取る三位一体改革、派遣切りなどで社会問題化した雇用対策、お年寄りいじめの後期高齢者医療制度の廃止、そして郵政事業の抜本見直しなど、ふるさとと国民生活の現実を踏まえ、断行すべきと考えますが、財務、金融、経済財政と、政府の根幹を取り仕切る大臣を三つも兼務する与謝野大臣に、本音の御見解をお伺いいたします。

 次に、昨年十月のアメリカの金融破綻を契機に、世界経済、日本経済も大混乱となり、最近の中小企業を取り巻く経営環境はますます厳しさを増しています。特に、自動車減産が引き金になり、金融問題なども発生し、関連中小企業は厳しい現実にさらされております。

 また、金融の不良債権処理、債権回収における強引な取り立てなどに起因して自殺者も出るなど、社会問題化しております。

 整理回収機構を初め、現在の金融破綻処理や債権回収、企業再生について、金融担当大臣は、どのように認識し、今後どのように対処していくのか、お伺いいたします。

 さて、今回の金融商品取引法改正について質問いたします。

 今回の法改正は大改正であり、本来は一つ一つの法案を綿密に検討すべきでありますが、今回の衆議院での審議では、資金決済法案と一括審議であり、なおさら拙速な審議は行うべきではありません。このことをまず申し上げておきます。

 その上で、法案に規定されている裁判外紛争処理、ADRについて伺います。

 既に法務省所管でこのADR制度はスタートしております。また、金融については、既に証券業協会が認証を受けております。にもかかわらず、金融商品取引法の範疇でADR制度を新たに設けることは、まさに屋上屋を重ねることになると思われますが、金融担当大臣にお伺いいたします。

 次に、今回の金融ADR制度と国民生活センター、消費者庁との関係はどのように整理しておられるのか、消費者行政担当推進大臣及び金融担当大臣にお伺いいたします。

 また、指定紛争解決機関には業界団体が指定されるとのことでありますけれども、業界団体寄りの裁定がなされる懸念があります。さらに、指定紛争解決機関は業態ごとに設けられるとのことでありますけれども、業界横断的にすべきではないでしょうか。金融担当大臣にお伺いいたします。

 次に、アメリカでは、共通点を持つ一定の範囲の人々を代表して一人または数名の市民が全員のために原告として訴えることができるクラスアクション制度があります。このような制度が整備されていなければ、少額の被害を受けた市民が判例と異なる裁定を受けたときに、抗することができず、結局、泣き寝入りになるのではないでしょうか。クラスアクション制度導入についてどのように考えておられるか、法務大臣にお伺いいたします。

 今回の法改正では、格付機関をなぜ免許制、登録義務化にしなかったのか疑問です。また、施行までなぜ一年も期間をとっているのか理解できません。その間、問題ある格付機関を野放しにすることになるのではないでしょうか。金融担当大臣にお伺いいたします。

 さらに、金融商品取引所と商品取引所の相互乗り入れ自体は歓迎いたしますが、相変わらず、金融商品は金融庁、エネルギーや貴金属の先物取引は経済産業省、農産物の先物取引は農水省という、縦割り行政そのままであります。これでは投資家保護に差が出てしまいかねません。

 信頼される健全な市場を構築するためには、民主党が提案しているとおり、独立性が担保され、強力な権限を有し、幅広く金融商品取引を監視する新しい行政機関の創設が不可欠であると考えます。この件について、金融担当大臣にお伺いいたします。

 私たち民主党の政権下では、これらの省庁縦割り行政の弊害を打破して、「国民の生活が第一。」の旗のもとに、健全で信頼される市場を構築し、我が国金融市場、ひいては日本経済を一層活性化することをお約束いたします。

 最後になりますが、今、ふるさとで生活している国民は、生活不安と未来に対する不安でいっぱいであります。私たちは、未来に対する責任を果たし、国民が安心して暮らせる社会を実現しなければなりません。

 私は、まじめに働き、正直に生きている国民を守るため、日本国は戦争に負けたのであって奴隷になったわけではないという白洲次郎氏の言葉、プリンシプル、原理原則に基づき、筋を通すという日本古来の考え方をしっかりと持つ日本、市場原理主義経済から、お互いに助け合う、人間のための経済、国民のための政治へ転換させるため、政権交代実現に全力を挙げることをお誓いし、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣与謝野馨君登壇〕

国務大臣(与謝野馨君) 大畠議員の御質問にお答えいたします。

 まず、格差問題等について御質問がありました。

 格差の拡大など、これまでの改革に伴うひずみが指摘をされております。立場の弱い方々に厳しく当たるような市場原理主義的な考え方をとるのではなく、弱い立場の方々にも社会が目を向けるとともに、個々の企業や国民が安心して新たな挑戦ができる社会をつくっていくことが重要であると考えております。

 次に、整理回収機構の現在の金融破綻処理や債権回収、企業再建についてのお尋ねがありました。

 RCCは、公的資金を用いて破綻金融機関等から買い取った不良債権の回収等に努め、国民負担の最小化を図るという役割を担っております。

 また、個々の債務者の実情等を十分に把握し、中小企業を含む再生可能性のある債務者の企業再生に取り組むとともに、可能な限り、任意の話し合いによる返済を行ってもらうよう努めていると承知をしております。

 金融庁としては、RCCが関係法令等にのっとり、健全かつ適切な業務運営を行うよう、適切な監督を行ってまいります。

 次に、金融分野に新たなADR制度を設けることについてのお尋ねがありました。

 金融ADR制度は、金融機関に金融ADRの利用を義務づけるとともに、資料提出や結果尊重などの片面的な義務を課し、利用者保護の充実を図る点において、ADR促進法とは大きく異なる制度となっております。屋上屋を架すものではないと考えております。

 次に、金融ADR制度と国民生活センター、消費者庁との関係についてのお尋ねがありました。

 国民生活センターのADRは消費者庁が所管する一方、個別分野のADRは、その分野の利用者、事業主体、市場等について知見を有する当該分野の所管大臣の監督にゆだねる方が望ましいとの考え方に基づき、消費者庁の所管とはされておりません。

 金融ADRについても、他の個別分野のADRと同様に、消費者庁の所管とする必要は低いと考えております。

 なお、金融ADRの法案においては、他のADRとの連携についての規定を設けているところであり、金融ADRと国民生活センターのADRは、それぞれの特色を生かしつつ、適切に連携し、金融商品・サービスに関するトラブルの解決に取り組むことが重要であると考えております。

 次に、金融ADR制度における指定紛争解決機関についてのお尋ねがありました。

 本法律案においては、金融ADRの中立性、公正性を確保するため、紛争解決手続を実施する紛争解決委員について、少なくとも一人は弁護士等を含めるとともに、当事者と利害関係を有する者を排除することを求めることとしております。

 また、金融ADRの実施主体である指定紛争解決機関が公正かつ的確に業務を遂行できるよう主務大臣が指定、監督を行うこととしており、これらにより、指定紛争解決機関の中立性、公正性は確保されるものと考えております。

 次に、業態横断的な金融ADR機関についてのお尋ねがありました。

 金融商品・サービスやその販売チャンネルが多様化する中、利用者保護の充実の観点からは、業態横断的な金融ADR機関が設立されることが将来的には望ましいと考えられます。

 しかし、業界団体等によるこれまでの苦情処理、紛争解決の取り組み状況は区々であることや、専門性、迅速性の確保等の観点を踏まえ、今回の法律案においては、各業法ごとに業態を単位とした金融ADR機関を設けることとしております。

 なお、今回の金融ADR制度においては、一つの団体が複数の業態において紛争解決機関の指定を受けることも可能としており、まずは民間主導の業態横断的な取り組みが進むことが期待されております。

 次に、格付会社についてのお尋ねがありました。

 今回の法案では、金融資本市場において重要な影響を及ぼし得る格付会社に登録を求め、必要な規制、監督を行う観点から、登録できるとの規制を設けたものです。

 また、無登録の格付会社の格付の利用に当たり、金融商品取引業者等に追加的な説明義務を課すことで投資者保護を図ることとしております。

 なお、格付会社の登録制については、国際的な議論も踏まえつつ、政令等の策定作業を進める必要があること、施行までの間、格付会社は登録要件として求められる体制整備を進めていく必要があることを踏まえ、公布後一年以内に施行することとしております。

 次に、独立性が担保された、幅広く金融商品取引を監視する行政の創設についてのお尋ねがありました。

 民主党が御提案になっている、金融商品取引を監視する独立した行政の創設については、近年の金融コングロマリットの出現や金融商品の一体化といった流れを踏まえれば、金融行政当局に関しても、銀行、証券、保険の各分野を業態横断的に所管することが適当であり、証券行政部門を銀行・保険行政部門から切り離すことは適当ではないと考えております。

 また、金融商品取引を監視する機関に、商品先物取引を含め、幅広く金融商品取引を監視させることについては、商品先物取引は鉱物や農産物など現物の生産、流通に係る施策と密接に関連すること等から、なお慎重な検討が必要と考えられます。

 いずれにせよ、商品市場と金融商品市場をまたいだ不公正な取引等については、投資者保護に欠けることのないよう、関係各省と連携して適切に監視、監督を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣森英介君登壇〕

国務大臣(森英介君) クラスアクションの導入についてお尋ねがありました。

 クラスアクションについては、我が国の法制上、第一に、クラス構成員が訴訟追行権を個別に授権していないにもかかわらず、クラスの代表者が敗訴した場合に判決の効力が及ぶとすると、裁判を受ける権利との関係をどのように整理するのか、第二に、どのようにクラスを認定するのか、第三に、個別に損害額を認定する必要がある場合には利点がないのではないかなどの問題があると理解しております。

 したがいまして、我が国の民事訴訟手続にクラスアクションを導入することについては、こうした問題点を踏まえ、慎重に検討する必要があると考えております。(拍手)

    〔国務大臣野田聖子君登壇〕

国務大臣(野田聖子君) 国民生活センターと金融ADR制度との関係についてのお尋ねがありました。

 国民生活センターについては、昨年の通常国会において、重要消費者紛争に関する裁判外紛争解決手続を新たな業務として付与する法改正がなされ、本年四月一日より申請の受け付けを開始したところですが、このADRにおいては、金融分野の消費者紛争についても取り扱うこととしております。

 国民生活センターと金融ADR制度との関係でございますが、国民生活センター法において、他のADR機関との連携について、「重要消費者紛争解決手続の実施に当たっては、消費者紛争について裁判外紛争解決手続を実施する国の機関、地方公共団体及び民間事業者との適切な役割分担に配慮しつつ、これらの者と相互に連携を図り、紛争の実情に即した適正かつ迅速な解決が行われるように努めなければならない。」とされているところであります。金融商品取引法等の改正法が施行された際には、この趣旨にのっとり、相互に十分に連携を図ることにより、消費者紛争が適正かつ迅速に解決されることとなるものと考えております。

 現在、消費者問題に関する特別委員会において消費者庁関連法案を御審議いただいているところですが、消費者庁創設後は、消費者庁が国民生活センターを所管することとされていることから、消費者庁としても、国民生活センターを通じて適切な連携が図られるものと考えております。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  麻生 太郎君

       法務大臣  森  英介君

       財務大臣

       国務大臣  与謝野 馨君

       経済産業大臣  二階 俊博君

       環境大臣  斉藤 鉄夫君

       国務大臣  野田 聖子君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  谷本 龍哉君


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