衆議院

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第24号 平成21年4月17日(金曜日)

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平成二十一年四月十七日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十五号

  平成二十一年四月十七日

    午後一時三十分開議

 第一 自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 第四 特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 消費者庁設置法案(第百七十回国会、内閣提出)

 第六 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(第百七十回国会、内閣提出)

 第七 消費者安全法案(第百七十回国会、内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 日程第四 特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 消費者庁設置法案(第百七十回国会、内閣提出)

 日程第六 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(第百七十回国会、内閣提出)

 日程第七 消費者安全法案(第百七十回国会、内閣提出)

 消防法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案(厚生労働委員長提出)

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三十二分開議

議長(河野洋平君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第一、自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長水野賢一君。

    ―――――――――――――

 自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔水野賢一君登壇〕

水野賢一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、国立公園、自然環境保全地域等における自然環境の保全対策の強化等を図るため、国立公園の特別地域等における規制の対象となる行為の追加、海域における保護施策の充実、生態系の維持または回復を図るための事業の創設等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る六日本委員会に付託され、翌七日斉藤環境大臣から提案理由の説明を聴取し、十日及び十四日の両日にわたり質疑を行い、質疑を終局いたしました。質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第二、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長東順治君。

    ―――――――――――――

 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔東順治君登壇〕

東順治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、化学物質の管理について、その一層の強化を求める国際合意がなされるなどの国内外の動向にかんがみ、既存化学物質を含めた包括的な化学物質管理を実施するため、すべての化学物質を対象とし、一定数量以上の製造、輸入を行った事業主に届け出義務を課すとともに、国は、これを踏まえて安全性評価を優先的に行う物質を絞り込み、その評価を行う措置を講じ、あわせて、国際条約上、一定の例外が認められた化学物質について、規制を見直す措置等を定めるものであります。

 本案は、四月二日本委員会に付託されました。

 本委員会においては、四月三日二階経済産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、環境委員会との連合審査会を行うなど慎重な審査を重ね、四月十五日質疑を終了いたしました。質疑終局後、採決を行った結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(河野洋平君) 日程第三、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長渡辺具能君。

    ―――――――――――――

 道路交通法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔渡辺具能君登壇〕

渡辺具能君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における道路交通をめぐる情勢にかんがみ、所要の措置を講じようとするものであり、その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、駐車もしくは停車が禁止されている道路の部分または時間制限駐車区間のうち道路標識等により指定されたものについて、高齢運転者等標章を掲示した普通自動車に限り駐車または停車をすることができることとするものであります。

 第二に、高速自動車国道または自動車専用道路において車間距離保持義務に違反する行為をした者に係る法定刑を引き上げることとするものであります。

 第三に、七十五歳以上の者は高齢運転者標識をつけないで普通自動車を運転してはならないとする規定は、当分の間、適用しないこととするものであります。

 本案は、参議院先議に係るもので、去る四月八日本委員会に付託され、十日佐藤国家公安委員会委員長から提案理由の説明を聴取し、十五日質疑を行いました。質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第四、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長岩屋毅君。

    ―――――――――――――

 特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔岩屋毅君登壇〕

岩屋毅君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、科学技術に関する研究等の基盤の強化等を図るため、独立行政法人日本原子力研究開発機構により設置される特定中性子線施設の共用を促進するための措置を講ずるものであり、その主な内容は、

 第一に、特定先端大型研究施設の定義に特定中性子線施設を追加すること、

 第二に、文部科学大臣は、特定中性子線施設に係る基本方針において、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する基本的な方向等の事項を定めること、

 第三に、日本原子力研究開発機構は、特定先端大型研究施設の設置者として、中性子線共用施設を研究者等の共用に供すること等の業務を行うこと

などであります。

 本案は、四月六日本委員会に付託され、四月八日塩谷文部科学大臣から提案理由の説明を聴取し、去る十五日質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第五 消費者庁設置法案(第百七十回国会、内閣提出)

 日程第六 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(第百七十回国会、内閣提出)

 日程第七 消費者安全法案(第百七十回国会、内閣提出)

議長(河野洋平君) 日程第五、消費者庁設置法案、日程第六、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、日程第七、消費者安全法案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。消費者問題に関する特別委員長船田元君。

    ―――――――――――――

 消費者庁設置法案及び同報告書

 消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び同報告書

 消費者安全法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔船田元君登壇〕

船田元君 ただいま議題となりました消費者庁関連三法案につきまして、消費者問題に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、消費者庁設置法案は、消費者、生活者が主役となる社会を実現する国民本位の行政に大きく転換させるため、消費者庁を設置しようとするものであり、消費者庁の設置、任務及び所掌事務並びに消費者政策委員会の設置等について定めております。

 次に、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案は、消費者庁の設置にあわせ、消費者に身近な問題を取り扱う法律を消費者庁に移管すること等に伴い、関係規定の整備を行うものであります。

 次に、消費者安全法案は、消費者の被害に関する情報の消費者庁による一元的な集約体制の確立及び当該情報に基づく的確な法執行の確保を図るものであります。

 消費者庁関連三法案は、第百七十回国会に提出され、継続審査となっていたもので、去る三月十七日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日の本委員会において野田国務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。

 翌十八日に民主党提出の二法案とともに一括して審議に入り、同日に麻生内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行い、さらに参考人から数度にわたって意見を聴取したほか、四月六日には北海道及び兵庫県においていわゆる地方公聴会を開催し、昨十六日には再度麻生内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど、およそ六十時間に及ぶ熱心かつ慎重な審査を行いました。

 同日消費者庁関連三法案について質疑を終局した後、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・大地・無所属の会の六会派共同提案により、消費者庁関連三法案に対してそれぞれ修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 その主な内容は、

 消費者庁設置法の題名を消費者庁及び消費者委員会設置法に改めること、

 消費者庁の任務に関し、消費者基本法に定める消費者の権利の尊重等の基本理念にのっとり行うことを明記すること、

 消費者政策委員会の名称を消費者委員会とすることとし、内閣府本府に置き、あわせてその委員の権限行使の独立性を規定すること、

 内閣総理大臣に対する勧告及び建議並びに関係行政機関の長に対する報告徴求、資料提出要求等を規定するなど同委員会の権限を強化すること、

 消費者安全の確保に関し、消費生活に関する教育活動を加えること、

 内閣総理大臣は、国会に対し、消費者事故等に関する情報の集約及び分析の結果を報告しなければならないこと

等であります。

 その後、原案及び修正案について討論を行い、各案について順次採決しました結果、消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案はいずれも全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。

 なお、三法案に対して附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。小宮山洋子君。

    〔小宮山洋子君登壇〕

小宮山洋子君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題になりました消費者庁設置関連三法案に対する与野党共同修正案に賛成、また、修正部分を除く政府三法案に対しましても、現状よりは前進ということから、賛成の討論をいたします。(拍手)

 政府提出の消費者庁設置三法案と、民主党提出の消費者権利院、いわゆるオンブズパーソン法案、消費者団体訴訟法案とは、行政を監視する機関を行政の中に置くのか外に置くのかなど、そもそもの考え方、哲学が違う法案でした。

 三月十七日、ちょうど一カ月前にこの本会議で質疑をして、その後、消費者特別委員会で多くの参考人の方々に来ていただいての質疑や、関係する省庁の八人の大臣を個別に交えての質疑も含め、六十時間近い濃密な審議を行ったことによって、長年消費者の皆さんが強く望んでこられた消費者のための行政の一元化組織の法律を、政府案に民主党のオンブズパーソンの要素を、行政の中ではありますが、盛り込む形で修正合意をするに至りました。

 これは、奮闘された各党の理事、それを支えた議員の皆さんや法制局などの働き、そして、欠かさず傍聴された、きょうも来られているかと思いますが、消費者団体などの皆さんの努力によるものだと思います。

 一カ月の審議の間に、本当によい審議をしたんですけれども、一つ残念なことがあります。取材が少なく、記者の皆さんが余り書いてくださらなかったので、審議の様子が国民の皆さんに届かなかったということです。これは、私は、メディアの先輩として、メディアはもっと政策もしっかりと国民に伝えてほしいと思っています。

 それともう一つ、今回この修正合意ができたことは、与野党でしっかりと議論をすれば、本当に必要なものは、知恵を出し合い、力を合わせて、国民の皆様方のためにつくり上げることができるそのよい例だとも思っております。

 今回の修正合意の内容は、条文自体の修正は、法案名を消費者庁及び消費者委員会設置法としたこと、消費者の権利の尊重や消費者教育を明記したことなど、十四項目に上ります。今後の課題として附則に明記したものが六項目、さらに、具体的に詰めた二項目の合意事項など、全部で二十二項目にも上ります。それに加えて、私も議員生活十一年目でございますが、附帯決議が二十三項目というのは一番多いのではないかと思います。これをごらんいただいても、長く深い審議と、昼夜を分かたぬ協議が行われたことをおわかりいただけると思います。それだけ重要な法案をつくり上げたことを、与野党ともに、特に政府は肝に銘じて、これから消費者の権利を守るための実効性を上げるよう取り組む必要があると考えております。

 十四項目の条文修正の中で主なもの、例えば、当初は諮問を受けて意見具申をする消費者庁のもとの消費者政策委員会だったものを、民主党の権限強化の修正を入れて、内閣府本府に位置づけました。

 具体的には、各行政機関に対する資料提出、調査要求、関係各大臣に対する勧告と勧告に基づく措置の報告徴収、また、総理大臣に対する建議をみずからでき、勧告もできる消費者委員会に格上げをしました。消費者庁と対等に位置づけられた、各省庁に対してもしっかりした権限を持つ消費者委員会にできたことは、大きな成果だと言えます。これで、消費者団体の皆さんなどが、小さく産んでも大きく育てればよいのでとにかく今つくってくださいとおっしゃっていた消費者一元化組織が、民主党が魂を入れたことによりまして、最低限機能するものになったと思っております。

 次に、主な課題を幾つか挙げます。

 一つは、今申し上げた消費者委員会の委員や事務局の問題です。

 消費者委員会の委員は、二年以内に常勤化を検討することを附則に明記しました。そして、与野党の政策責任者と理事の合意事項として、初代の消費者委員会の委員について、常勤的に勤めることが可能になるよう人選し、財政的に措置も行うことといたしました。きのうの審議でちょっと気になったんですが、官僚の天下りは認めない、このことも含めてしっかり実行してほしいと思います。

 課題の大きな柱は、委員会でも最も時間を割いた地方の問題です。

 地方の窓口がしっかり機能しなければ、中央にどのような組織をつくっても、全国の消費者被害は救済できません。消費生活センターが各地にでき、官製ワーキングプアとも言われる相談員の皆さんの処遇が改善され、必要な研修も受けられて技能を高められることがぜひとも必要です。当面、今回の補正予算で上積みされる基金について、人件費に充て、交付要綱で手厚くすることなどを合意事項とし、三年以内に地方消費生活センターの位置づけ、人員配置、国の支援のあり方を、法改正も含めて全般的に検討すると附則に明記しました。この点は大きな宿題だと考えています。

 また、少額の被害が多数出ている場合に、適格消費者団体がかわって訴訟を起こす団体訴訟制度に、現在の差しとめ請求だけでなく、損害賠償請求もできるようにすべきという法案を、二〇〇六年の消費者契約法改正のときの法案からバージョンアップして、民主党は提出しました。これについては、不当な収益剥奪、加害者の財産散逸防止などを三年をめどに検討し、必要な措置を講ずると附則に明記しました。さらに宿題の期間を延ばしたわけですが、附則に三年をめどと書きましたので、しっかり取り組んでいってほしいと思います。

 このように、多くの皆さんの努力で、法律を待ち望んでいらした消費者の皆さんから、恐らく八十点はいただける修正になったのではないかと思っております。

 衆議院に常設の委員会として設けられた消費者問題特別委員会を中心に、国会は、多くの課題の解決に常時努めていくことが必要だと考えます。仕組みをつくっても、担う人が肝心です。これから最長九月までの任期の麻生内閣ですが、与野党修正の意思を踏まえて、発足に向けてしっかり準備をしてほしいと思います。

 行政の外に実行力のあるオンブズパーソンの仕組みをつくることについては、民主党が政権をとって実現することを申し上げて、私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 大口善徳君。

    〔大口善徳君登壇〕

大口善徳君 公明党の大口善徳であります。

 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、消費者庁関連三法案及び修正案につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 消費者問題特別委員会が本院において本年一月五日に設置され、船田委員長のもと、三月十七日から消費者庁関連三法案及び民主党提出の対案の審議が始まり、審議時間は五十八時間を超え、野田担当大臣はもとより、麻生総理には二度にわたって、さらに、八人の関係大臣にも出席していただき、熱心かつ充実した質疑が行われました。

 また、十一人に及ぶ参考人の方々、札幌、神戸二カ所での地方公聴会における八人の意見陳述者の方々から、地方消費者行政の最前線の生の声を初め、それぞれ、多様な、専門的な立場から、貴重な御意見をいただきました。

 さらに、理事会等において、オブザーバーを含めた全会派の代表者により、今週の月曜日から連日、昼夜を分かたず、真摯かつ精力的に逐条的な修正協議が行われた結果、昨日の特別委員会で、ついに修正案が全会派共同で提出され、原案とともに全会一致をもって修正議決されたことは、立法府の高い見識を示すものであり、我が国の議会制民主主義にとっても極めて重要な意義を持つものであると考える次第でございます。

 消費者行政の一元化、消費者庁の創設については、多くの消費者団体や日本弁護士連合会が数十年前から提唱し、ようやく重い扉が開かれたということであり、関係者の方々の地道な御努力と力強い御協力に心より感謝申し上げる次第でございます。

 政府案は、これまで、各省庁の縦割りのもとで、産業振興に付随する形で推進されてきた消費者行政の仕組みを大転換し、消費者を主役とする、政府のかじ取り役となる新たな組織を設置するものであります。すなわち、消費者行政を一元化し、消費者庁を設置し、同庁が、情報を一元的に集約、調査、分析し、消費者行政の司令塔として各省庁に対し勧告を行い、縦割りを超えて新法を企画立案し、消費者に身近な法律を所管し、各省庁への措置要求、すき間事案への対応の権限を持つという、これまでにない画期的なものであります。

 次に、今回の修正案について賛成の理由を述べます。

 第一に、政府原案の消費者政策委員会を消費者委員会に改め、独立性を担保し、その権限、機能を強化したことであります。

 具体的には、消費者委員会が消費者行政全般に対する監視機能を強化すべきものとの観点から、消費者庁のもとに置くのではなく、内閣府本府のもとに設置すること、委員の職権行使の独立性を明らかにすること、内閣総理大臣等への建議、内閣総理大臣への勧告、勧告に基づき講じた措置の報告の徴収、及び関係行政機関の長に対する資料要求等の各権限を新たに規定。さらに、附則で、十人以内の委員のうち、三人を常勤的に勤務できるよう人選し、施行後二年以内の常勤化を図ることを検討する旨規定した次第でございます。

 第二に、委員会の審査を通じて最も大きな論点の一つであった地方消費者行政の支援のあり方について附則に規定したことであります。

 いつでもどこでも相談員による一定水準の助言、あっせん等を得て問題を解決できるよう、相談窓口へのアクセスの確保と適切な相談員の配置、そして特に相談員の処遇改善が急務であります。

 そこで、修正案の附則において、施行後三年以内に、消費生活センターの適正な配置及び人員の確保、相談員の待遇改善等に関する国の支援のあり方について検討を加え、必要な措置を講ずるものとされたところであります。

 また、本委員会として、今般拡充された地方交付税措置を活用しつつ、平成二十年度第二次補正予算により設けられた三年間百五十億円の地方消費者行政活性化基金に新たに上積みをして、支援対象を相談員の人件費等に拡充するとともに、交付要綱等において処遇改善を図る地方公共団体への配分を手厚くする旨、全会派代表者間で合意をいたしました。

 第三に、被害者救済制度の検討について附則に規定したことであります。

 被害者救済制度の導入の重要性については、本委員会においても共通の認識でありました。今回、附則に施行後三年を目途として、期限を切って、加害者の財産の隠匿または散逸の防止に関する制度を含め、多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益を剥奪し、被害者を救済するための制度についての検討を加え、必要な措置を講ずるものとされたところでございます。

 これは、我々みんなの魂が入っているということでございます。

 今後、消費者基本法の消費者の権利の尊重等の基本理念にのっとり、消費者が安心して安全な生活を営むことができる社会の実現に向けて、与野党協力し、一日も早く消費者庁を創設し、地方消費者行政を強化することが国民に対する立法府の責務であることを深く自覚し、私も法案の成立及び成立後のさらなる体制の整備に努力してまいることをお誓い申し上げまして、賛成の討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) 吉井英勝君。

    〔吉井英勝君登壇〕

吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、消費者庁設置関連三法案について、与野党全会派による共同修正の上で可決することに賛成の討論を行います。(拍手)

 最初に、この法律は、消費者被害に遭われた方々や、それらの方々を支援して長年にわたり消費者運動に取り組んでこられた団体や弁護団、消費生活相談員などの皆さんの取り組みによって実現する力が生まれたものであります。改めて、消費者運動に取り組まれてきた皆さんに心から敬意をあらわしたいと思います。

 私は、一カ月前の本会議で、「各会派が知恵を持ち寄って、本当に消費者の立場で機能する法律に仕上げていくことが重要であります。」と述べましたが、与野党の共同修正という形でその第一歩は踏み出されることになりました。この法律を消費者団体、消費者運動に携わるすべての皆さんに使い尽くしていただきたいと思います。

 設立される消費者庁にも消費者委員会にも、その役割を果たすことを求めるものであります。

 食の安全問題からパロマ製ガス器具やシンドラー製エレベーターの死亡事故、さらに大和都市管財事件などの金融被害に至るまで、国会の審議を通じて、その実態と原因の究明の重要性が取り上げられました。なぜ、深刻な消費者被害が生じ、その拡大を防ぐことができなかったのか。

 その大もとにあったのは、産業育成行政や消費者保護の規制を骨抜きにした産業優先の規制緩和であります。輸入食品をチェックする監視員から消費生活相談員まで、国でも地方でも、規制緩和、行革路線によって、消費者の安全のための規制、監視、相談機能が弱体化させられたことは明白であります。

 今求められているのは、まさに、こうした消費者行政の規制緩和を根本的に見直して、消費者の権利や利益を守る立場に立つことであります。

 私たちは、消費者の皆さんと共同して、こうした立場から、国会の恒常的な消費者問題特別委員会で、法律施行後の消費者行政を監視し、チェック機能を果たしていきたいと思います。

 同時に、今回の立法では尽くし得ていないところについては、六党合意に盛り込んだ附則などを生かして、消費者の権利の実現に向けてさらに前進していくことが重要です。

 そのために尽力する決意を申し述べて、賛成討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 三案を一括して採決いたします。

 三案の委員長の報告はいずれも修正であります。三案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、三案とも委員長報告のとおり修正議決いたしました。(拍手)

     ――――◇―――――

谷公一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、消防法の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 消防法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(河野洋平君) 消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長赤松正雄君。

    ―――――――――――――

 消防法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔赤松正雄君登壇〕

赤松正雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、傷病者の搬送及び受け入れの迅速かつ適切な実施を図るため、都道府県が傷病者の搬送及び受け入れの実施基準を定めるとともに、当該実施基準に関する協議等を行うための消防機関、医療機関等を構成員とする協議会の設置等を行おうとするものであります。

 本案は、去る四月九日本委員会に付託され、同月十四日鳩山総務大臣から提案理由の説明を聴取し、十五日東京消防庁の災害救急情報センターの視察を行いました。本日質疑を行い、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

谷公一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案とともに、厚生労働委員長提出、社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及び厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案の両案は委員会の審査を省略して、三案を一括議題とし、委員長の報告及び趣旨弁明を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(河野洋平君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案(厚生労働委員長提出)

議長(河野洋平君) 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案、社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。厚生労働委員長田村憲久君。

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 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書

 社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案

 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔田村憲久君登壇〕

田村憲久君 ただいま議題となりました各案について申し上げます。

 まず、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、平成十六年に成立した年金制度改正法において、基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることとされたことに基づき、平成二十一年度及び二十二年度について、財政投融資特別会計から一般会計への特例的な繰入金を活用することなど所要の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月三十一日の本会議において趣旨説明が行われ、同日本委員会に付託されました。

 本委員会では、翌四月一日舛添厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、三日から質疑に入り、本日質疑を終局いたしました。

 次いで、自由民主党及び公明党より、施行期日についての修正案が提出され、趣旨説明を聴取いたしました。次いで、討論、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

 次に、社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、現下の厳しい経済社会情勢にかんがみ、事業主等の経済的負担の軽減に資するため、現行の年一四・六%の社会保険の保険料等に係る延滞金の割合を納付期限から一定期間軽減する措置を講じようとするものであります。

 次に、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、年金記録の訂正がなされた場合において、年金時効特例法に基づいて支払われる年金給付等の額について、その現在価値に見合う額となるようにするため、本来の支払い日から実際の支払い日までの間の物価の状況を勘案して算定した特別加算金を支給しようとするものであります。

 両案は、いずれも本日の厚生労働委員会において、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

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議長(河野洋平君) 三案中、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案につき討論の通告があります。順次これを許します。柚木道義君。

    〔柚木道義君登壇〕

柚木道義君 民主党の柚木道義でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました、政府提出、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部改正案に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 以下、その理由を申し上げます。

 本法案は、平成十六年年金法改正に基づいて提出され、国庫負担二分の一引き上げについて、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までの間のいずれかの年度に実施するとあります。しかし、税制の抜本的改革は何ら実現せず、困った政府・与党は、みずから存在しないと言っていた埋蔵金に依存したのです。これで百年安心とは、余りにも国民をばかにしています。

 さらに、このたびの厚生労働委員会審議において、極めて重大な事実が明らかになりました。

 政府は、本年二月に、将来の給付水準を所得代替率五〇・一%とする財政検証結果を公表していますが、この試算は、納付率八〇%を前提にしています。しかし、我々が、実績に近い納付率六五%とした場合の所得代替率を再計算するよう要求したところ、何と四九・三%という、五〇%を下回る数字が明らかになったのです。これは非常に重大です。

 平成十六年改正で政府・与党は、所得代替率五〇%を百年安心といって国民の皆様に約束したので、今回、無理やり五〇%維持ありきの試算を公表したのです。都合の悪い数字は隠ぺいして問題をやり過ごそうとする政府・与党の姿勢は、まじめに年金保険料を納め続けている国民の皆さんへの背信行為です。

 与党議員の皆さんも、三年連続減少している、現在六三・九%の国民年金納付率が突然八〇%になると本当にお考えの方がおられるなら、ここでぜひ手を挙げてみてください。いかがですか、皆さん。

 その上、舛添大臣の口から信じられない答弁が飛び出しました。今後の年金給付の予測を問う我が党議員の質問に対して、それは神のみぞ知るとまで開き直られたのです。いかがですか、皆さん。神のみぞ知るですよ。

 生活を切り詰めて保険料を納めている国民の皆様が将来の年金給付額は神のみぞ知ると言われたら、これではもう保険料を納める気など、うせてしまうではありませんか。舛添大臣、この神のみぞ知る発言を今すぐこの場で撤回してください。

 ほかにも、舛添大臣は、保険料納付率以外にもさまざまな指標があると逃げの答弁を繰り返されましたが、労働力推計や物価上昇率、賃金上昇率、年金の運用利回り等、とても現実的とは考えられない希望的数値のオンパレードであることが委員会質疑の中で明らかになりました。

 ここは、国民の皆様に、希望や願望ではない、実現可能な現実的な数値を再度設定し、所得代替率について再計算すべきです。

 このような舛添大臣に比べて、実は、麻生総理は、舛添大臣よりは現状をおわかりなのではないでしょうか。

 総理は、昨年三月の中央公論誌上で、こう書かれておられますよね。

 政府がどんなに百年安心とうたっても、自戒を込めて言えば、もはや信用する人はだれもいない。国民皆年金といううたい文句は、もはや死語だ。抜本改革しか、国民の信頼を取り戻すすべはない。私は宙に浮いた年金問題で民主党がつくった国家プロジェクトという考え方に全面的に賛同すると。

 ここまで書いておられながら、なぜ麻生総理は、総理に就任した途端に年金制度抜本改革の旗をおろしてしまわれたんでしょうか。ここでもまた、ぶれてしまわれたんでしょうか。

 以上、本法案への政府・与党の無責任きわまりない姿勢を見るにつけ、これを本院において否決し、真に必要な年金制度の抜本改革を行うべきです。それができないなら、一日も早く、いえ、一刻でも早く政権交代して、本当に国民の信頼に足る年金制度にチェンジしていくべきではないでしょうか。そのことを強く主張いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)

議長(河野洋平君) 井上信治君。

    〔井上信治君登壇〕

井上信治君 自由民主党の井上信治です。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案について、賛成の討論を行います。(拍手)

 我が国の公的年金制度は、加入者数約七千万人、受給権者数約三千四百万人を数え、給付費総額は約五十兆円に達するなど、我が国の社会経済上、なくてはならない制度として既に深く定着しています。

 公的年金制度については、世代を超えて制度が安定的に運営されることが、国民からの信頼を確保する必須の条件です。そのため、平成十六年の年金制度改正においては、今後さらに急速に進行する少子高齢化を見据えて、長期的な給付と負担の均衡を図り、現役世代の負担を過重なものとしないため、保険料の将来水準の上限を固定するとともに、負担の範囲内で給付を自動的に調整する仕組みを導入するなどの見直しを行いました。

 基礎年金の国庫負担割合の見直しについては、このような平成十六年改正の重要な柱として、国民年金法の本則上、それまでの三分の一を二分の一に改正したものであり、平成十六年改正による持続可能な年金制度構築のための大前提となるものであるとともに、政府・与党の国民に対する約束であることから、安定財源のあり方も含め、これを確実に実行する必要があります。

 本法案については、このような基礎年金国庫負担二分の一の実現の重要性にかんがみ、平成二十一年度及び平成二十二年度について、現行の基礎年金の国庫負担割合に基づく負担額のほか、財政投融資特別会計から一般会計への特例的な繰り入れを行い、国庫負担割合二分の一との差額を負担することとしています。また、その後、税制の抜本的な改革により所要の安定財源の確保を図った上で、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引き上げを恒久化するものです。

 このように、政府案の考え方は、現下の厳しい経済情勢のもとにおいて、年金制度の持続可能性を確立し、国民からの制度に対する信頼を確保するための極めて現実的かつ妥当な内容であり、早期にその実現を図るべきものと考えています。

 さらに、本法案の附則には、基礎年金の最低保障機能の強化等に関する検討を進め、制度として確立した場合に必要な費用を賄うための安定した財源を確保した上で、段階的にその具体化を図る旨の検討規定が設けられています。今後は、この検討規定に沿って、基礎年金の最低保障機能の強化等も含め、公的年金制度のあり方について、幅広い国民的な議論を進めていくことが重要です。

 今回、本法案については、厚生労働委員会において二十五時間を超える審議が行われ、今後の年金制度のあり方も含めた活発な議論が行われましたが、本法案に基づく基礎年金国庫負担二分の一実現の重要性については、いささかも異論の余地はありません。

 国民の制度に対する信頼確保を図り、今後の年金制度を持続可能な仕組みとするために必要な本法案に対し、賛成であることを表明し、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(河野洋平君) これより採決に入ります。

 まず、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

 次に、社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及び厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案の両案を一括して採決いたします。

 両案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(河野洋平君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。

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 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(河野洋平君) この際、内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。防衛大臣浜田靖一君。

    〔国務大臣浜田靖一君登壇〕

国務大臣(浜田靖一君) 防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 防衛省の所掌事務をより適切に遂行する体制を整備するため、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数の変更、防衛参事官の廃止、防衛大臣補佐官及び防衛会議の設置、防衛大学校等における研究の位置づけの明確化、陸上自衛隊の学校の生徒及び自衛官候補生の身分の新設、自衛官の勤務延長及び再任用に係る期間の伸長、第十五旅団の新編等の措置を講ずる必要がございます。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛省設置法の一部改正について御説明いたします。

 第一に、自衛隊の部隊等の改編等に伴い、自衛官の定数を九百一人削減するものであります。これにより、自衛官の定数は、二十四万七千七百四十六人となります。

 第二に、防衛大臣の補佐体制を強化するため、防衛大臣補佐官を新設し、政治任用者、文官及び自衛官の三者が一体となって防衛大臣による政策決定を補佐する防衛会議を新設するとともに防衛参事官を廃止するものであります。

 第三に、防衛大学校及び防衛医科大学校において自衛隊の任務遂行に必要な理学及び工学並びに社会科学並びに医学に関する高度の理論及び応用に係る研究を行うことを明確化するものであります。

 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。

 第一に、陸上自衛隊の学校において陸曹長以下三等陸曹以上の自衛官となるべき者として教育訓練を受ける職員として、生徒の身分を新設し、当該生徒を防衛省の職員の定員外とするとともに、三等陸士、三等海士及び三等空士の階級を廃止するものであります。

 第二に、任期制自衛官となるべき者として教育訓練を受ける職員として、自衛官候補生の身分を新設し、その任用期間等を定めるとともに、防衛省の職員の定員外とするものであります。

 第三に、定年に達したことにより退職することとなる自衛官について、本人の同意を得た上で、当該自衛官が定年に達した後も通算三年まで引き続き自衛官として勤務させることを可能とするものであります。

 第四に、自衛官への定年退職者等の再任用について、現行において一年以内の任期とされているところ、六十歳前に限り三年以内の任期を可能とするものであります。

 第五に、陸上自衛隊の部隊の改編に伴い、即応予備自衛官の員数を四十二人増加するものであります。これにより、即応予備自衛官の員数は、八千四百六十七人となります。

 第六に、南西地域における防衛体制を強化するため、陸上自衛隊の第十五旅団を新編するものであります。

 次に、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部改正について御説明いたします。

 第一に、防衛大臣補佐官の新設に伴い、防衛大臣補佐官に対する給与等について規定の整備をするものであります。

 第二に、陸上自衛隊の学校の生徒の身分の新設に伴い、生徒手当の新設等を行うものであります。

 第三に、自衛官候補生の身分の新設に伴い、自衛官候補生手当の新設等を行うものであります。

 そのほか、関係法律の規定の整備を行うものであります。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

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 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。神風英男君。

    〔神風英男君登壇〕

神風英男君 民主党の神風英男です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 まず冒頭、今般の北朝鮮によるミサイル発射事案について伺います。

 今回の発射誤報について、浜田大臣はヒューマンエラーと結論づけておられますが、果たしてヒューマンエラーだけの問題であったのでしょうか。

 検証報告によると、航空総隊司令部で、部隊から、スパークインフォメーション、飯岡探知との連絡を受けながらも、そのスパークインフォメーションをSEW入感と取り違えて、飯岡探知、SEW入感と中央指揮所に連絡し、その結果、発射アナウンスになったとの報告であります。

 確かに、この点については、ヒューマンエラーであると確認できます。しかしながら、この種の対応については、用語の使い方、伝達の方法、確認チェックの手順等について厳密なマニュアルがあってしかるべきと考えますが、報告を聞く限りでは、そのマニュアルが機能しているようには思えません。

 また、当然ながら、中央指揮所自体におけるSEWの確認チェックもマニュアル化されていると想像しますが、なぜその確認作業さえもなされなかったのでしょうか。

 つまり、誤報の原因は、そもそもマニュアルが存在していなかったことによるものか、またはマニュアルに不備があったのか、あるいはマニュアルは整備されていてもそのマニュアルを無視して行動したことに原因があるのか、防衛大臣の明確な答弁を求めます。

 さらに、五日には、前日の失敗から、折木良一統合幕僚長が中央指揮所で陣頭指揮に当たり、首相官邸に発射を伝えるよう指示したそうですが、危機管理への対応としてシステム化されているはずの指揮命令系統が、なぜ四日と五日で異なっているのでしょうか。四日と五日の指揮命令系統の相違点、また、そうなった理由について、防衛大臣に伺います。

 また、そうした背景には、危機管理能力をアピールしたい首相官邸が、とにかくできる限り早く情報を出せと防衛省に強いプレッシャーをかけたということを複数の関係者から聞いておりますが、その事実関係について、官房長官、防衛大臣に伺います。

 次に、北朝鮮は、おおよそのミサイル発射時間帯について、事前にアメリカ、中国、ロシアに通告し、さらには、米国を通じて韓国にもこの情報が伝えられていたと報道されています。では、日本に対してアメリカからの情報提供はあったのでしょうか。

 この点について、防衛省は、アメリカ経由等の情報も含めて、情報提供はないと明確に否定しております。しかし、その一方、外務省及び官房長官は、明確な回答を避け、日米間の緊密な情報交換はやっているとの発言に終始しております。

 この点について、それぞれの正確な事実関係について、外務大臣、官房長官、防衛大臣に伺います。

 また、仮に外務省がアメリカからの情報を入手していたとすれば、なぜ防衛省にはその情報が伝達されなかったのか、外務大臣に明確な答弁を求めます。

 さらに、韓国では、このアメリカからの情報提供によって、五日午前十一時二十分というミサイル発射前の時点で既に国家安全保障会議、NSCが招集されたということですが、仮に日本にもアメリカからの情報提供があったとするならば、なぜ首相の官邸入りが発射後の十一時三十六分になったのか、官房長官に伺います。

 結局のところ、このアメリカからの情報提供が日本にはなかったとすれば、四日の日本の誤報騒動の失態を見てアメリカが日本への情報提供を控えたとも想像できるわけであり、日本の危機管理能力の低さを世界に露呈する結果となってしまったわけですが、その点についてのそれぞれの立場からの見解を、外務大臣、官房長官、防衛大臣に伺います。

 さて、本題に入ります。

 本改正案は、もともと昨年の通常国会に提出され、本院で可決された後、参議院に送付されたものの、与党が審議に応じなかった等、参議院側の事情により、未了、廃案となった内容を含んでおります。

 その中には、陸上自衛隊の学校の生徒身分の新設や、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数の変更といった予算に関連する改正もありましたが、昨年の改正案が廃案となったことによる予算変更等の影響があったのかどうか、防衛大臣に伺います。

 また、本改正案の最大の眼目は、防衛省改革のための組織改革にありますが、近年、防衛省・自衛隊では、さまざまな不祥事が頻発しております。

 防衛施設庁による官製談合事案や、前次官による防衛装備品調達をめぐる汚職事件。また、航空幕僚長という要職にある者が、政府見解と明らかに異なる私見に基づく論文を公表し、更迭される事案も発生しました。

 特に、補給艦「ときわ」の給油量取り違え事案を初め、補給艦「とわだ」の航泊日誌誤破棄事案やイージス艦機密情報の持ち出し、護衛艦「しらね」の火災事案、さらにはイージス艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故等々、海上自衛隊の不祥事や事故が目立ちます。

 海上自衛隊は、昨今、通常の任務に加えて、補給新法によるインド洋での補給活動や、海賊対策のための海上警備行動によるソマリア沖・アデン湾での船舶護衛活動、さらには今回の北朝鮮ミサイル発射に対するイージス艦の展開など、さまざまな場面で多くの役割が求められています。

 その一方で、護衛艦隊の人員充足率の低下が現場で深刻な問題となっています。長期間航海に出て活動する職務が若者やその家族から敬遠され、海上自衛官のなり手が減っているとも聞きます。ましてや、不祥事や事故を頻発し、世論からの強い批判によって、隊員の士気低下や質の悪化、さらなる志望者の減少を招いているのではないでしょうか。

 まずは、海上自衛隊の抜本的な立て直しが急務と考えます。海上自衛隊が抱える問題と、隊員の規律回復、士気向上につながる組織の立て直しについて、防衛大臣の見解を伺います。

 防衛省のたび重なる不祥事を受けて、官邸に防衛省改革会議が設置され、昨年七月に報告書が取りまとめられました。この報告書を受けて、防衛省では、改革本部を設置し、今回の法改正に係る事項や、組織改革の基本方針等が決定されたものと承知しております。

 特に、昨年末に公表された「防衛省組織改革に関する基本的考え方」では、これまで内局優位とされてきた体制を大きく変更する、いわゆる制服組の権限拡大が盛り込まれました。本来、不祥事の再発防止が目的であったはずの防衛省改革が、大がかりな組織改革に変質をしています。

 背広組と制服組の対立構造は、これまでも指摘されたところであり、文官、自衛官相互の一体感の醸成と協働体制の確立は必要と考えますが、一連の不祥事の再発防止策として制服組の立場強化が果たして適当であるのかどうか、シビリアンコントロールの観点から、国会の場で十分に議論する必要があります。今後の組織改革について、防衛省内における現在の検討状況を伺います。

 防衛省改革の一環として、本改正案には、防衛参事官制度の廃止と、防衛大臣補佐官の新設及び防衛会議の新設が盛り込まれました。

 防衛参事官制度の廃止は、防衛省改革を主導した石破元大臣のかねてよりの持論だったと承知しておりますが、形骸化等の問題が指摘されていた参事官制度を廃止する理由について、改めて説明を求めます。

 また、新設される防衛会議や防衛大臣補佐官の位置づけや役割も不明確です。

 防衛会議は、防衛省の所掌事務に関する基本的方針について審議する機関とされていますが、防衛会議では、大臣に対して各委員が意見を述べるだけなのか、それとも、何らかの取りまとめ等を行い、その内容を基本的方針とするのでしょうか。どのような目的で会議を開催するのかがあいまいであり、このままでは形骸化するおそれもあります。

 また、これまで防衛省内でこのような各局各幕の責任者による会議は開かれてこなかったのでしょうか。

 以上、防衛大臣に伺います。

 さらに、防衛大臣補佐官についても、政治任用により、防衛省の所掌事務に関する重要事項に関し、大臣に進言等を行うとされていますが、まず、何のために大臣補佐官を置くのでしょうか。所掌事務に関する重要事項とは、具体的にはどのようなものか。政治任用によってどのような人材が任命されることを想定、期待しているのか。また、職務を通じて知り得た秘密が漏れる可能性はないのかという懸念もあります。

 このように、新たな機関の設置には多くの疑問や問題点がありますが、浜田大臣は、現在の大臣補佐体制にどのようなふぐあいがあるとお考えでしょうか。その上で、組織改革の必要性について、浜田大臣御自身の見解をお伺いします。

 冷戦時代と冷戦後、さらには北朝鮮を含む東アジア全域における日本を取り巻く脅威の質は、相当程度変化をしています。しかしながら、この三十年間、陸海空三自衛隊の予算額の推移、あるいは陸海空の現員数は、余り大きな変化をしていないように見受けられます。

 今般の北朝鮮ミサイルの脅威を初め日本に対する脅威の変化に、自衛隊の体制そのものが対応し切れていないのではないかという危惧を持ちますが、防衛大臣の見解を伺います。

 今から六十八年前、日本が航空機によって米戦艦を沈めた真珠湾攻撃は、実は、それまで世界の海戦思想を三百五十年にわたって支配した、大艦巨砲主義というそれまでの常識を転換させた画期的な出来事でありました。

 しかしながら、その後の大きな疑問は、おくれをとった米国の方が思想を転換し海戦の構造改革を遂げたのに対して、なぜ日本はいつまでも戦艦大和に寄りかかる戦略を転換できなかったのかということです。

 その疑問に対して、元航空参謀で真珠湾攻撃にも参加し、戦後は参議院議員を務めた源田実氏は、次のように答えています。長年苦労をさせてきた水兵たちに対して、もう君らの時代は終わった、これからは飛行機乗りの時代だとは言えなかった。

 悲しいほどに単純な答えですが、この改革を阻む病弊の本質は、今でも日本社会の至るところに横たわっています。

 そうした病弊に冒され、もはや時代的役割を終えた自民党にかわって、今後、民主党が新しいシステムへと転換していくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣浜田靖一君登壇〕

国務大臣(浜田靖一君) 神風議員にお答えいたします。

 まず、ミサイル発射に関する四月四日の誤報の原因に関するお尋ねがございました。

 今回の北朝鮮によるミサイル発射に際しては、米軍からの早期警戒情報による北朝鮮からの発射に関する情報が防衛省・自衛隊に伝達されたことを確認した場合に官邸へ伝達することとしておりました。四月四日の誤報事案は、このような守るべき手順を怠ったことによるものであると認識をしております。

 次に、防衛省の指揮命令系統に関するお尋ねがございました。

 四月四日の誤報事案を踏まえ、五日の実際の発射に際しては、早期警戒情報の有無を統合幕僚長を含めた複数の者で確認いたしましたが、四月四日及び五日の両日とも、防衛省中央指揮所においては、統合幕僚長の指揮監督のもと業務が行われており、指揮命令系統を変更したとの事実はございません。

 次に、首相官邸から防衛省へのプレッシャーについて質問がありました。

 ミサイル発射情報については、国民に迅速的確に情報提供するように努めることは当然のことであり、首相官邸からプレッシャーがあったとは考えておりません。

 次に、北朝鮮のミサイル発射時間に係る米国からの情報提供についてお尋ねがありました。

 これまで我が国は、北朝鮮のミサイル発射についても米国との間で情報交換を行ってきたところでありますが、その個別具体的な内容については、相手国たる米国との関係もあることから、お答えは差し控えさせていただきます。

 他方、防衛省、外務省、官房長官ともに、北朝鮮からミサイル発射時間に係る通報を受けたことがない旨お答えをしてきているところでございます。

 次に、日本の危機管理能力に関するお尋ねがございました。

 四月四日の誤報事案については、防衛省・自衛隊における情報伝達の不手際によるものであり、大変申しわけなく思っているところでありますが、翌五日の発射当日の対応については、限られた時間の中、情報収集や伝達を適切に実施できたと考えております。今後とも、このような事態に際しては、的確に対応してまいります。

 次に、昨年の法案が廃案になったことによる予算変更等の影響についてお尋ねがありました。

 平成二十年度予算においては、昨年国会に提出した防衛省設置法等の一部を改正する法律案に盛り込まれた施策に関連する経費を計上していたところ、同法案の審議状況等も踏まえ、同法案に盛り込まれていた自衛隊生徒制度の見直しに伴う経費〇・四億円を二十年度予算の第2号補正において減額修正したところであります。

 次に、海上自衛隊の抱える問題と組織の立て直しについてお尋ねがありました。

 海上自衛隊は、「しらね」火災事案、「あたご」衝突事案等の不祥事を受け、不祥事の発生防止を念頭に置き、組織に内在する問題について抜本的な解決を図ることを目的として、昨年十二月、改革の方向性を示した海上自衛隊抜本的改革の実行上の指針を取りまとめました。

 防衛省としては、この指針を踏まえ、海上自衛隊の不祥事の再発防止、中長期的な組織の体質改善を図る改革を進めるための施策の検討、この実施を行っていきたいと考えております。

 次に、今後の組織改革についての検討状況についてお尋ねがございました。

 防衛省改革は、防衛省改革会議報告書にも示されているとおり、さまざまな不祥事の再発防止に加え、現在の安全保障環境の中で防衛省・自衛隊をどのような実効的な組織として機能させるかという課題のもと、行っているものであります。

 防衛省としては、私を本部長とする防衛省改革本部のもと、文官と自衛官がその専門性に応じて協働できる体制を確立するとともに、防衛政策局の機能強化等を行う抜本的な組織改革について、二十二年度概算要求を行うべく、法改正等を含め、現在、精力的に検討を行っているところであります。

 次に、防衛参事官制度廃止の理由についてお尋ねがございました。

 防衛省の基本的方針の策定について防衛大臣を補佐する防衛参事官は、固定した分掌にとらわれず、機動的に活用することが期待されておりますが、同時に、官房長、局長は防衛参事官をもって充てることが法律上定められております。

 この結果、官房長、局長は、その所掌する業務への対応が中心となり、防衛参事官として防衛省の所掌事務全般にわたって大臣を補佐するという本来の役割を果たすことが困難である等の問題が生じていることから、防衛省改革会議報告書の提言を受け、このたび廃止することとしたものであります。

 次に、防衛会議の目的や各局各幕の責任者による会議の開催状況についてお尋ねがありました。

 このたび新設する防衛会議は、防衛大臣と主要な補佐者が一堂に会して審議することを通じ、防衛大臣の政策決定及び緊急事態対応を補佐するものであり、最終的な決定は、防衛会議が行うのではなく、防衛大臣が、防衛会議での審議等を踏まえ、みずから行うこととなります。

 防衛省では、これまでも、訓令等に基づき、主要な補佐者が参集する防衛会議等が開催されてきましたが、防衛省改革会議報告書の提言も踏まえ、新たな防衛会議は、防衛大臣の補佐体制としてこれを法律に明確に位置づけ、より実効的に活用していくこととしております。

 次に、防衛大臣の補佐体制についてお尋ねがありました。

 防衛省改革会議報告書では、防衛省における近年の不祥事を分析、検討してみると、防衛大臣による適切な指揮監督が十分貫徹しない組織の実態があったと指摘されております。

 防衛省としては、防衛大臣の指揮監督を貫徹させるとともに、その補佐体制を強化し、文民統制の徹底を図るためには、防衛会議及び防衛大臣補佐官の新設等の組織改革を行うことが不可欠と考えております。

 最後に、日本に対する脅威の変化について自衛隊の体制が対応しているかとのお尋ねがございました。

 政府は、冷戦終結以降、安全保障環境の変化に応じ、防衛力のあり方などを定めた防衛計画の大綱を二回見直しており、この大綱に基づき、自衛隊の体制を構築してきているところであります。

 現行の防衛計画の大綱では、弾道ミサイル攻撃等の新たな脅威や多様な事態に実効的に対応し得る防衛力を整備することとしており、引き続き、安全保障環境の変化に応じた体制を構築してまいります。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣中曽根弘文君登壇〕

国務大臣(中曽根弘文君) 北朝鮮のミサイル発射に関するお尋ねがございました。

 北朝鮮のミサイルの発射に関し、外務省といたしましても、これまで関係国と緊密に意見交換及び情報交換を行ってきたところでございますが、個別のやりとりの詳細につきまして明らかにすることは、相手国との関係もありまして、差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、外務省と防衛省との間で、しかるべく情報共有を行っているところでございます。

 日本の危機管理能力についてのお尋ねがございました。

 総理大臣官邸では、三月十二日に情報連絡室を設置し、これを二十七日に官邸連絡室に、発射直後には官邸対策室に改組し、外務省や防衛省とも緊密に連絡をとりつつ、情報収集及び対応に当たりました。

 外務省におきましても、三月十二日に連絡室を、また発射直後には、私を長とする外務省緊急対策本部を設置し、情報収集や対応に万全を期してきたところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、情報収集を含め、適切な危機管理対応ができたと考えております。(拍手)

    〔国務大臣河村建夫君登壇〕

国務大臣(河村建夫君) 神風議員の質問にお答えいたします。

 まず、防衛省の指揮命令系統変更の背景についてのお尋ねがございました。

 両日の指揮命令系統につきましては、先ほど防衛大臣からお答えを申し上げましたが、変更されたという事実はございません。

 なお、防衛大臣からも答弁したところでありますが、ミサイル発射情報について、国民に迅速的確に情報提供するよう努めることは当然のことである、このように考えております。

 次に、北朝鮮のミサイル発射に関するお尋ねがございました。

 政府は、これまで、関係国と緊密に意見交換及び情報交換を行ってきたところでありますが、個別のやりとりの詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり、差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにせよ、政府部内では、しかるべく情報共有を行ってきておるところでございます。

 次に、首相の官邸入りについてのお尋ねがございました。

 御質問のような情報提供の有無にかかわらず、総理は、ミサイル発射の情報を受けた場合には総理公邸から官邸に入ることといたしたところであり、発射当日においては、今申し上げた行動をとられたところでございます。

 なお、私につきましては、発射当日は、北朝鮮が国際機関に通告した時間の二十分前から官邸の危機管理センターにおいて待機をしておりました。

 いずれにせよ、当日の政府の対応に問題があったとは考えておりません。

 次に、我が国の危機管理能力についてのお尋ねがございましたが、先ほど、防衛大臣、外務大臣からお答えしたとおり、五日のミサイル発射に際しましては、情報収集や伝達を適切に実施できたと考えております。

 今後とも、国家としての緊急事態に適切かつ迅速に対応がとれるように、万全の体制をとってまいります。

 以上であります。(拍手)

議長(河野洋平君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣  鳩山 邦夫君

       外務大臣  中曽根弘文君

       文部科学大臣  塩谷  立君

       厚生労働大臣  舛添 要一君

       経済産業大臣  二階 俊博君

       環境大臣  斉藤 鉄夫君

       防衛大臣  浜田 靖一君

       国務大臣  河村 建夫君

       国務大臣  佐藤  勉君

       国務大臣  野田 聖子君

 出席副大臣

       防衛副大臣  北村 誠吾君


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