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第13号 平成22年3月11日(木曜日)

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平成二十二年三月十一日(木曜日)

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  平成二十二年三月十一日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(横路孝弘君) この際、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣長妻昭君。

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 現在、我が国では、雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあり、特に、非正規労働者の雇用の安定や雇用保険財政の安定的な運営に大きな影響を与えているところであります。

 このような状況に対応し、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化、雇用保険の財政基盤の強化等を図るために所要の措置を講じることとし、この法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一は、雇用保険法の一部改正であります。

 まず、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化を図るため、一般被保険者の適用範囲を拡大することとし、週の所定労働時間が二十時間以上であって三十一日以上雇用見込みの方については、雇用保険の適用対象とすることとしております。

 また、事業主が被保険者資格取得の届け出を行わなかったことにより、雇用保険に未加入とされた方について、二年以上前の時期に、賃金から雇用保険料を控除されていたことが確認された場合には、事業主が届け出を行わなかったことにより所定給付日数が短くなる不利益が生じないようにするため、現行制度において遡及可能な二年を超えて遡及して適用できることとしております。

 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。

 二年を超える遡及適用の対象となった方を雇用していた事業主が、事業開始時に必要な保険関係成立の届け出を行っていなかった場合には、保険料の徴収時効である二年経過後においても、保険料を納付できることとし、厚生労働大臣はその納付を勧奨することとしております。

 また、現下の雇用失業情勢に対応した雇用対策の実施に必要な財源を確保するため、平成二十二年度における雇用保険二事業の保険料率については、弾力変更の規定は適用せず、原則の千分の三・五とすることとしております。

 第三は、特別会計に関する法律の一部改正であります。

 雇用保険二事業の安定的な運営を確保するために、雇用調整助成金等のために必要な額について、失業等給付に係る積立金を使用することができる暫定措置を講ずることとしております。

 なお、この法律は、平成二十二年四月一日から施行することとしておりますが、遡及適用に関する部分は、公布の日から起算して九カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 この法律によって、非正規雇用の皆さん方の中で約二百五十万人程度の方が新たに雇用保険に入ることができる、セーフティーネットの拡充の法案です。

 ぜひよろしくお願いします。(拍手)

     ――――◇―――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(横路孝弘君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。石森久嗣君。

    〔石森久嗣君登壇〕

石森久嗣君 民主党の石森久嗣です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、長妻厚生労働大臣に質問いたします。(拍手)

 現下の雇用失業情勢は、有効求人倍率が、昨年八月に過去最低の〇・四二倍を記録した後、一月に〇・四六倍となりました。また、完全失業率についても、昨年七月に過去最高の五・六%を記録した後、一月に四・九%とやや改善はいたしましたが、依然として厳しい状況にあります。

 私たち民主党は、「暮らしのための政治を」「国民の生活が第一」「コンクリートから人へ」「この国の最大の資産は人」という政策目標を掲げ、国民の皆様の御信任をいただき、政権を担わせていただきました。この観点からも、雇用対策は我が国における最も重要な政策の一つと考えます。

 冒頭、現在の雇用失業情勢の確認と、それを踏まえた雇用対策について、長妻厚生労働大臣に御決意を伺います。

 雇用に関しては、企業の努力にも限界はあり、やむを得ず離職となる場合は否定できません。不幸にして失業する場合に備え、雇用のセーフティーネット機能の充実を今早急に実現していくことが求められております。

 非正規労働者が雇用者数の三分の一を占めるようになった現在、特に今回の雇用失業情勢の悪化は、倒産、解雇や雇いどめという形で、非正規労働者の雇用の安定に大きな影響を与えているものと考えます。

 今回の改正は、働く方のニーズも多様化する中で、雇用保険の適用基準を、現在の六カ月以上雇用見込みから三十一日以上雇用見込みに緩和するものであります。これまで雇用のセーフティーネットから排除されてきた非正規労働者の方々に手を差し伸べるものであり、国民の皆様の安心感を高めるものとして、評価すべきものと考えます。

 今回の改正における雇用保険の適用範囲の拡大の趣旨と内容について、長妻厚生労働大臣にお伺いいたします。

 現行制度においては、事業主が資格取得の提出を行わず、雇用保険に未加入とされた方について、二年を超えてさかのぼって適用できないため、離職をした場合に、所定給付日数が短くなる不利益が生じておりました。

 事業主に対しては、雇用保険に未加入のケースが発生しないよう、今後とも周知徹底していただく必要がありますが、今回の遡及適用期間の改善については、高く評価すべきものと考えております。

 この遡及適用期間の改善の内容について、長妻厚生労働大臣にお伺いいたします。

 雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされる中で、労働者の雇用の維持を図る企業に対して助成を行うものであります。リーマン・ショック以降、多くの企業に活用されてまいりました。

 さらに、連立政権樹立後、政府は、昨年十二月に、明日の安心と成長のための緊急経済対策を取りまとめてまいりました。企業の雇用維持努力への支援を強化するため、雇用調整助成金の支給要件の緩和を緊急的に実施しており、これが企業の雇用維持に大きく寄与しているものと考えております。

 雇用調整助成金の果たしている役割について、長妻厚生労働大臣にお伺いいたします。

 雇用調整助成金は、企業の雇用維持に大きく寄与しているものと考えますが、一方で、この支給要件緩和によって、支出が増加し、雇用保険二事業の財政不足を補う必要が生じております。

 現在、厳しい財政状況となっている雇用保険二事業について、今後の安定的な運営を確保するため、どのように取り組んでいくのか、長妻厚生労働大臣にお伺いいたします。

 鳩山総理大臣の施政方針演説及び長妻厚生労働大臣の所信表明において、平成二十三年度から恒久的な制度として求職者支援制度を創設するよう取り組んでいくことが表明されました。この制度を確実に創設し、雇用保険を受けられない方への第二のセーフティーネットを構築することが必要と考えます。

 求職者支援制度の創設に向けて、今後どのように取り組まれるのか、長妻厚生労働大臣にお伺いいたします。

 以上、雇用のセーフティーネットを中心に御質問をさせていただきました。

 私の地元栃木県宇都宮でも、昨今の雇用情勢は大変厳しいものとなっております。栃木県は、多くの自動車産業、電機産業の工場、それに関係の中小企業を多く抱えております。農業と物づくりが融合した、すばらしい地域であります。

 しかし、リーマン・ショック以来、失業率は四・六%、有効求人倍率は〇・四一倍と、全国平均を下回る数値であります。多くの企業が工場を閉鎖し、いまだに空き地が虫食いのように点在しております。中心市街地では商店街は活気がなく、地方経済の厳しさを物語っております。

 地元の皆様は、昨年の政権交代に多くの期待を寄せ、早い景気回復、雇用の安定、そして、鳩山政権の強いリーダーシップのもと、地方が元気になる政策の一日も早い実行を望んでおります。

 この雇用保険法等の一部を改正する法律案の早期成立により、我が国の社会を支える大事なセーフティーネットが強化され、多くの企業や働く仲間の皆さんが政権交代を実感していただけるよう、皆様の御理解をお願いいたします。

 今回の改正も含め、あらゆる施策を通じ、引き続き全力で雇用対策に取り組んでいただきますよう、長妻厚生労働大臣にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) 石森議員から、雇用情勢に対する認識と雇用対策についての御質問がありました。

 一月の完全失業率は、〇・三ポイント低下し四・九%、有効求人倍率は、〇・〇三ポイント上昇し〇・四六倍となっており、現下の雇用失業情勢は、持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にあると認識しております。

 こうした状況に対応するため、平成二十一年度第二次補正予算、平成二十二年度予算案に各種の雇用対策を盛り込みました。

 主なものを説明いたします。

 第一に、今後成長が見込まれる介護、福祉、医療、情報通信等の分野への就業を促進するため、これらの分野の、職業訓練の充実や雇用創出に取り組みます。この二十二年度は、約三十万人を超す訓練の定員を確保いたします。

 第二に、仕事を探すには住まいがなければなりません。このため、全国の主要なハローワークに住居・生活支援アドバイザーを配備して、総合的な相談に応じ、支援の実施機関へ誘導します。ハローワークは、職探しのアドバイスだけではないということになります。

 住宅手当についても、補正予算での措置により、一定の条件下で支給期間を六カ月から九カ月に延長します。

 第三に、厳しい雇用情勢の中、特に新卒者の就職難が憂慮されます。企業や学校を訪問して新卒者の就職を支援する高卒・大卒就職ジョブサポーターをハローワークに倍増し、配備します。また、未就職卒業者を体験雇用する事業主を支援する新卒者体験雇用事業により、円滑な就職を促進します。

 鳩山内閣が目指す、人間のための経済社会においては、国民が安心して働き、能力を発揮する雇用の場を得られることが何よりも重要なことと考えており、これらの雇用対策に全力で取り組む所存であります。

 雇用保険の適用範囲の拡大の趣旨と内容についてお尋ねがありました。

 雇用保険の適用範囲については、平成二十一年の雇用保険法改正に合わせ、昨年四月より、非正規労働者の方の適用範囲を、一年以上雇用見込みから六カ月以上雇用見込みに拡大しました。しかしながら、依然として、六カ月以上雇用見込みがないために雇用保険の適用とならない方があったところであります。

 そこで、現下の厳しい雇用失業情勢の中で、非正規労働者の方に対するセーフティーネット機能をより強化する必要があると考えており、本改正法案において、六カ月以上の雇用見込みを、さらに三十一日以上雇用見込みに拡大することとしております。

 この措置により、趣旨説明でも申し上げましたが、新たに二百五十五万人の方が雇用保険の対象になる見込みであります。

 遡及適用期間の改善の内容についてお尋ねがありました。

 現行制度上は、事業主が従業員の雇用保険の資格取得届の提出をしていなかった場合であっても、ハローワークが被保険者であったことの確認をした場合には、確認をした日から二年までさかのぼって雇用保険の被保険者とすることができます。

 しかしながら、遡及適用できる期間が二年までとされているため、事業主が労働者の給与から雇用保険料を天引きしていた事実が明らかにあるにもかかわらず、本来受給できるはずの金額が受給できない場合がありました。

 そこで、本改正法案は、このような場合には、二年を超えて遡及できることとするものであります。

 これにより、例えば、試算をいたしましたけれども、解雇等によって離職された四十歳の方が、六年前の給与明細等で給与から雇用保険料を天引きされていた事実が明らかである場合には、六年前までさかのぼることができるため、給付日数が九十日分から百八十日分に倍増することとなります。

 雇用調整助成金の果たしている役割についてお尋ねがありました。

 雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業や職業訓練等により労働者の雇用を維持した場合に、それにかかった費用を助成する措置であります。

 本助成金については、これまでも制度の拡充を行ってきたところですが、さらに、昨年十二月八日に取りまとめられた、明日の安心と成長のための緊急経済対策において、生産量要件の緩和を行いました。これにより、来年度は、従来であれば助成金の支給対象から外れることとなる約八十万人の方が引き続き助成金の対象となる見込みであり、全体では二百万人を超える方々が対象となるようにしたところです。

 これらの拡充の結果、雇用調整助成金を活用して休業等を実施する前に事業主が提出することとなっている計画届の受理状況は、本年一月現在で、対象事業所数が約八万三千事業所、休業等の対象者数が約百七十三万人となっており、雇用調整助成金は、非常に多くの事業主に利用され、労働者の雇用の維持に役立っているところであります。

 引き続き、本助成金の活用により、雇用の維持に取り組む事業主を全力で応援してまいります。

 雇用保険二事業の安定的な運営を確保するための措置についてお尋ねがございました。

 雇用保険二事業については、雇用調整助成金の要件緩和等により、多額の予算が必要となっております。その財源を確保するため、本改正法案において、緊急的かつ例外的な暫定措置として、失業等給付の積立金から雇用保険二事業に借り入れを行うこととするものであります。

 この措置により、平成二十二年度予算においては、雇用調整助成金のために、失業等給付の積立金から雇用保険二事業に四千四百億円の借り入れを行うこととしております。

 次に、求職者支援制度の創設についてお尋ねがありました。

 雇用保険を受給できない方々に対しては、緊急人材育成支援事業を創設し、昨年七月末以降、無料の職業訓練を実施するとともに、訓練期間中に月額十万円、養う御家族がいらっしゃる方には月額十二万円を給付しているところであります。これは、ハローワークで受け付け、相談をしておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 今後は、平成二十三年度からの恒久的な求職者支援制度の創設に向けて、労働政策審議会において検討を進め、平成二十三年の通常国会に法案を提出する考えであります。

 以上であります。(拍手)

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議長(横路孝弘君) 松浪健太君。

    〔松浪健太君登壇〕

松浪健太君 自由民主党の松浪健太であります。

 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、雇用保険法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 完全失業率、有効求人倍率は、現在過去最悪の水準であり、新規学卒者についても、昨年度末には約二千人の内定取り消しが発生し、現段階も改善の兆しは見えません。

 国民が塗炭の苦しみを味わう中、政治の責任はかつてなく重いわけでありますが、現実には、政治と金の問題により、政府への信頼は失われる一方であります。

 雇用情勢が厳しいとはいえ、雇用保険をめぐる不正受給事案は後を絶たず、計画的に失業保険を受給してから再就職するなど、確信犯的なモラルハザードも以前から存在します。

 だからこそ、我々は、法に触れなくても責任を果たすモラルこそが求められるわけであります。

 そこで、法案の具体的内容に踏み込む前に、まず、政府・与党に国民からの信頼を政治に取り戻していただくべく、伺います。

 平成十九年二月に小沢幹事長は記者会見を開き、確認書なるものを公開しました。その内容は、政治団体は不動産を登記することができないので、便宜上、小沢氏個人の名義とするというものであり、法務省の国会答弁によると、直接の法的効果はありません。

 ことし一月十七日付の朝日新聞は一面で、複数の確認書のうち平成十七年一月七日の日付のものについて、実際には平成十九年二月の記者会見に間に合わせで作成した文書だったことを指摘し、公私の区別をしていると強調した小沢氏の説明の根拠が崩れることになったと報道しています。

 法的効力もない文書を作成し、国民を欺こうとする行為は、法律で裁くことはできませんが、決して見過ごすことはできません。

 政府は、与党幹事長がうその書類に御丁寧に署名までして、国民を欺いたことについて、国民に謝罪すべきであります。このようにモラルを欠いた政府・与党から、雇用対策はモラルを持って利用してくださいとお願いされる国民の身にもなっていただきたい。政府のスポークスマンとして、このにせの確認書について官房長官の所見を伺います。

 さらに言えば、この平成十七年の確認書は、平成六年のチュリス赤坂購入の際につくられたとされる確認書とも一言一句同じであります。

 平成十七年からさらに十年以上前にそんな文書が作成できることがないということは、容易に推測されます。それを根拠に、今から三年近く前、平成十九年五月二十三日の予算委員会で、私は確認書はにせものの可能性が高いと指摘したところ、民主党は私に懲罰動議を提出いたしました。

 民主党の公式ホームページを開くと、いまだにこの懲罰動議を正当化する記事が閲覧できます。

 それによると、松浪議員は、質疑の中で、小沢代表が行った事務所費会見について、にせものの可能性が高い、にせものなら私文書偽造である、本物ならば法の網をくぐった確信犯と発言。懲罰動議は、これに対して抗議の意を示したものとあります。

 さらに、この記事によると、当時、国会対策委員長代理だった平野官房長官の記者会見での発言を掲載しています。官房長官は、当時、松浪議員の発言は誹謗中傷としか言えないものである、何の根拠も示さず、個人の推量、思い込みでの発言は議員として品位を厳しく問われてしかるべきであるとおっしゃっています。

 当時、私は、にせものの可能性が高いと指摘して懲罰動議を受けました。しかし、本日は、これは間違いなくにせものであるし、民主党が本気になって内部調査をすれば、にせものであることは容易に証明できると断言させていただきます。

 民主党において異議があるのであれば、ぜひとも再び私に懲罰動議を提出していただきたい。動議を提出しないのであれば、素直に非を認め、国民に謝罪すべきです。

 その場合、平野官房長官にも、国会対策委員長代理時代のさきの発言も撤回いただくのが筋だと思います。二者択一であります。官房長官、逃げずに明確にお答えください。

 さて、法案の具体的内容に入ります。

 今回の法改正は、昨年九月の与党三党合意に基づくものと認識しております。

 しかし、昨年三月、当時の民主党代表だった小沢一郎氏と社民党の福島みずほ党首の事務所が雇用しているアルバイトや私設秘書について、労働保険に未加入だったことが明らかになりました。

 福島大臣が代表を務める福島みずほ事務所は、平成十八年度まで数年間、雇用する私設秘書二人について労働保険に加入していなかったとされます。

 まず、社民党党首でもある福島大臣に伺います。

 党首みずからの事務所の労働者については労働保険に加入させていなかったにもかかわらず、平成二十年には、みずからが所属する政党会派で雇用保険の適用拡大を盛り込んだ法律案を提出したり、昨年のマニフェストに、憶面もなく「企業の社会保険・雇用保険逃れを許しません。非正規労働者について社会保険・雇用保険の適用を拡大します。」など明記したことは、大きな矛盾があります。このような言動こそが、政治家の信用を失墜させるのではありませんか。

 福島大臣は、日ごろから、労働者の味方であるかのような振る舞いをされているようにお見受けします。みずからの言動との整合性についてどのように考えているのか、御答弁ください。また、現在、この事務所に勤める労働者の労働保険及び社会保険の適用状況はどうなっているのか、お尋ねします。

 さらに、長妻大臣におかれましても、ほんの一年前まで、民主党代表の事務所でさえ労働保険に加入していなかった事案をどのようにとらえておられるのか、伺います。

 さらに、民主党のマニフェストとの整合性について伺います。

 今回の改正によっても、週所定労働時間二十時間未満の者には雇用保険が適用されません。これでは、「全ての労働者を雇用保険の被保険者とする。」というマニフェストは十分に履行されていないのではないかという疑問が残ります。改正案が見直しの途中段階でとどまっている理由と、今後の見直しの方向性について、御答弁ください。

 雇用保険制度は、みずからの労働により賃金を得て生計を立てている労働者が失業した場合の生活の安定を図る制度であります。

 雇用保険の適用範囲を拡大すれば、例えば家計を補助するために働く労働者、つまり、みずからの労働により賃金を得て生計を立てていない労働者にも雇用保険が適用される可能性があります。このような人々を適用対象とすることと雇用保険制度の趣旨との整合性はどのように確保されているのか、伺います。

 そして、この適用拡大により、短時間労働者など多数雇用している事業所にとって、事務負担が増加することになります。この雇用保険手続の簡素化が求められます。不正受給などの悪質な事例を防ぐ一方で、提出書類の簡素化を図るなど、事業主の事務負担を軽減する対応策について伺います。

 雇用保険二事業が失業等給付の積立金から借り入れを行うことができる新規定について伺います。

 失業等給付は労使の保険料と国庫負担を財源としているのに対して、雇用保険二事業は事業主のみが負担する保険料を財源としています。財源構成が異なる事業の間で借り入れを行うことは、制度の趣旨に合致しないのではないかという疑問があります。むしろ、借り入れを行うのではなく、雇用保険二事業の雇用保険率の引き上げで対応するか、特例的に国庫負担を投入すべきではないかと思います。

 約五兆円の積立金がある失業等給付に三千五百億円を追加投入するのではなく、財政状況が厳しい雇用保険二事業にこの三千五百億円を直接投入すべきではないでしょうか。今回、失業等給付の積立金からの借り入れで対応する理由を伺います。

 借り入れを行えば、当然のことながら返済を行わなければなりません。その返済方法について、改正案では、後日、雇用保険二事業の収支に剰余がある場合に、借入額に達するまで失業等給付の積立金に組み入れ、つまり返済をしなければならないこととしています。

 ところが、改正案には利子に係る規定がないので、返済に当たって利子は付されません。しかし、失業等給付の積立金も雇用保険二事業の雇用安定資金も、特別会計に関する法律第十二条により、財政融資資金に預託して運用しており、預託金には預託期間に応じて利子が付されることとなっております。雇用保険二事業への貸し付けに利子が付されないということは、失業等給付の積立金にとって、財政融資資金に預託すれば得られたであろう利子を得ることができないことになり、妥当なのかという疑問が残ります。やはり、利子をつけて返済すべきだと存じますが、いかがでしょうか。

 残りの質問は、さきの質問者の皆さんとダブりますので、割愛させていただきます。

 そのかわり、最後に申し上げます。

 平成六年、一九九四年は、まだウィンドウズが普及をしていない時代です。ワープロの時代です。民主党の一年生の皆さん、小沢チルドレンと言われる皆さんが本気になって調査すれば、それが本当かどうかわかります。そして、小沢一郎というその署名も、個人内変動というものがあります。この変動についても皆さんでお調べをいただき、この疑惑を皆さんで排除することが、小沢チルドレンと呼ばれる皆さんの役割ではないでしょうか。

 どうか皆さん、政治に本当の信頼を取り戻していただきますことを心よりお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) まず、労働保険の未加入に対する認識についてお尋ねがありました。

 労働保険の加入は事業主の義務であり、労働者を一人でも雇用された場合は手続を行っていただき、また、労働保険の保険料をお支払いいただく必要があります。

 個別の団体で労働保険の加入対象となる労働者がいるかどうかについては把握していませんが、国会議員が事業主となる団体であっても、労働者を一人でも雇用すれば、適切に手続を行う必要があります。

 次に、「全ての労働者を雇用保険の被保険者とする。」という民主党のマニフェストと、本改正法案による適用範囲の拡大の整合性についてお尋ねがありました。

 雇用保険制度は、みずからの労働による賃金で生計を立てている労働者の方について、失業時に必要な給付を行い、求職活動を支援することとしております。民主党マニフェストにおける「全ての労働者」とは、この雇用保険制度の趣旨から、対象範囲とすべきすべての労働者を指しているものです。

 次に、雇用保険の適用範囲の拡大と雇用保険制度の趣旨との整合性についてお尋ねがありました。

 雇用保険制度は、みずからの労働による賃金で生計を立てている労働者の方について、失業時に必要な給付を行い、求職活動を支援することを目的としているところであります。

 社会経済情勢の変化等により、働き方が多様化している中で、例えば、一定時間以上働いて、配偶者とともに家計を支えているパートの方などといった非正規労働者の方々も、みずからの賃金を生計の維持のために必要としていると考えられます。このため、本法律案において、週二十時間以上働く方で三十一日以上の雇用見込みのある方への適用を拡大することは、雇用保険制度の目的にかなうものであると考えております。

 次に、適用拡大に伴う事業主の事務負担の軽減についてお尋ねがありました。

 今回の適用拡大に合わせて、事業主の事務負担を考慮し、被保険者資格取得時における手続の簡素化を図る予定です。

 具体的には、これまで、従業員を雇用保険に加入させる際の事業主から資格取得届け出時に提出を義務づけていた雇用契約書などの確認書類については、原則として今後提出不要とする方向で考えております。

 なお、不正受給の防止についても十分に考慮する必要があることから、第一に、事業主として初めて手続をする場合、第二に、届け出期限を過ぎて提出する場合、第三に、過去に事業主が関係した不正受給があった場合など、届け出内容を十分に確認する必要がある場合には必要な書類は提出していただくということで、簡素化に努めてまいるところであります。

 次に、雇用保険二事業への借り入れについてお尋ねがありました。

 失業等給付から雇用保険二事業に借り入れることが必要になったのは、雇用調整助成金の要件緩和等により、多額の予算が必要になったためであります。二十二年度当初予算案においては、雇用調整助成金のために四千四百億円を借り入れることとしております。

 一方、雇用調整助成金の要件緩和のために必要な費用を一般会計で措置することは、雇用調整助成金は労働者や失業者ではなく事業主に給付されるものであり、これまで事業主負担の保険料のみで賄っていた経緯等を踏まえると、困難であると考えております。

 なお、今回の雇用保険二事業の財源を確保するための方策については、保険料負担者である労使も参加した労働政策審議会で合意した上で、暫定措置として、失業等給付に係る積立金から借り入れる仕組みを設けることとしたものであります。

 次に、雇用保険二事業の借り入れにおける利子の付与についてお尋ねがありました。

 雇用保険二事業のために失業等給付に係る積立金から借り入れた資金については、返済の際に利子を付さないこととしているところであります。

 この理由は、第一に、失業等給付費と雇用保険二事業費という同じ雇用勘定間の資金の融通であること、第二に、雇用調整助成金が失業等給付費の抑制効果が高いこと等を勘案したものであります。また、利子を付さないことについては、積立金の財源となる保険料を負担していただく労使の合意も得ているところであります。

 なお、平成十五年に創設された失業等給付費のための雇用保険二事業からの借り入れ制度においても、利子を付さないこととされていたところであります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣平野博文君登壇〕

国務大臣(平野博文君) 松浪議員にお答えをいたします。

 政治におけるモラルについての御質問でございますが、我が党の議員にかかわらず、政治と金にまつわる不祥事というのは国民の政治不信を増大させる、このことは、私は事実だと認識をいたしております。

 一般論で言えば、政治と金の問題につきましては、それぞれの当事者が説明責任を尽くすことは当然である、こういうことだと思います。

 お尋ねの小沢幹事長にかかわる不動産の確認書についての報道については、事実関係を承知しておらず、また、政府としてお答えする立場になく、お答えを控えさせていただきたいと思います。(拍手)

    〔国務大臣福島みずほ君登壇〕

国務大臣(福島みずほ君) 松浪議員にお答えいたします。

 私設秘書の二人についてですが、一人は、本採用になる前の四カ月間です。二人については、専門家である社会保険労務士に依頼し、さかのぼって支払い、一年前に適切に対処をいたしました。

 雇用保険への加入は、労働者にとって保障されるべき制度であると考えております。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       厚生労働大臣  長妻  昭君

       国務大臣  平野 博文君

       国務大臣  福島みずほ君

 出席副大臣

       厚生労働副大臣  細川 律夫君


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