衆議院

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第21号 平成22年4月13日(火曜日)

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平成二十二年四月十三日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十二号

  平成二十二年四月十三日

    午後一時開議

 第一 国民年金法等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

 第二 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

 第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 第四 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 第五 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 第六 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 第七 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第八 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 国民年金法等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

 日程第二 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

 日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第五 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第六 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第七 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第八 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。

 第八番、九州選挙区選出議員、遠山清彦君。

    〔遠山清彦君起立、拍手〕

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 日程第一及び第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第一 国民年金法等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

 日程第二 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律等の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)

議長(横路孝弘君) 日程第一、国民年金法等の一部を改正する法律案、日程第二、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。厚生労働委員長藤村修君。

    ―――――――――――――

 国民年金法等の一部を改正する法律案

 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔藤村修君登壇〕

藤村修君 ただいま議題となりました両案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 まず、国民年金法等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、障害年金制度について、受給者の生活状況の変化に応じたきめ細かな対応を図る観点から、障害年金受給開始後に子または妻を有するに至った場合にも年金の額を加算しようとするものであります。

 本案は、去る九日の厚生労働委員会において、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 次に、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、本年一月に日本年金機構が発足したこと等に伴い、遅延加算金の支給に係る事務等を、通常の年金給付と同様に、日本年金機構に行わせるための規定等を整備しようとするものであります。

 本案は、去る九日の厚生労働委員会において、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 両案を一括して採決いたします。

 両案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第五 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第六 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

議長(横路孝弘君) 日程第三、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、日程第四、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、日程第五、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、日程第六、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、右四件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長鈴木宗男君。

    ―――――――――――――

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とルクセンブルグ大公国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鈴木宗男君登壇〕

鈴木宗男君 ただいま議題となりました四件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 日・シンガポール租税協定改正議定書の署名は、本年二月四日にシンガポールにおいて、日・マレーシア租税協定改正議定書の署名は、本年二月十日にプトラジャヤにおいて、日・ベルギー租税条約改正議定書の署名は、本年一月二十六日にブリュッセルにおいて、日・ルクセンブルク租税条約改正議定書の署名は、本年一月二十五日にルクセンブルクにおいて、それぞれ行われました。

 四件はいずれも、締約国間の脱税及び租税回避防止の観点から、現行租税条約または現行租税協定の情報交換に関する規定を国際的な標準に沿った内容に改正するものであります。

 その主な内容は、

 第一に、情報交換の対象となる租税を、条約または協定の対象税目に限定せず、すべての種類の租税に拡大すること、

 第二に、一方の締約国から情報提供の要請を受けた場合に、自己の課税目的のために必要でないこと、銀行等が有する情報であること等は、締約国が情報の提供を拒否することを認めるものとは解してはならないこと

等であります。

 以上四件は、四月五日に外務委員会に付託され、七日岡田外務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。次いで、九日質疑を行った後、採決を行いました結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 四件を一括して採決いたします。

 四件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、四件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第七 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第七、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長田中眞紀子さん。

    ―――――――――――――

 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔田中眞紀子君登壇〕

田中眞紀子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、放射性同位元素及び放射線発生装置の使用等を取り巻く状況の変化に対応し、放射性同位元素によって汚染された物のうち放射能濃度の十分低いものの取り扱いに関する規定の整備等の措置を講ずるものであり、その主な内容は、

 第一に、放射線発生装置から発生した放射線によって汚染された物の廃棄等について、放射性同位元素によって汚染された物と同様の規制を行うこと、

 第二に、許可取り消し使用者等は、使用の廃止の際には、あらかじめ、廃止措置計画を定め、文部科学大臣に届け出なければならないこと、

 第三に、許可使用者は、文部科学大臣等から文部科学省令で定める基準を超えないことについて確認を受けることができ、この確認を受けた物は、放射性同位元素によって汚染された物でないものとして取り扱うとすること

などであります。

 本案は、三月二十三日本委員会に付託され、二十六日川端文部科学大臣から提案理由の説明を聴取し、三十一日に独立行政法人日本原子力研究開発機構原子力科学研究所等の視察を行いました。去る四月九日質疑を行い、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第八 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第八、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。安全保障委員長安住淳君。

    ―――――――――――――

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔安住淳君登壇〕

安住淳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、安全保障委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。

 本案は、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官の定数の総計は二十四万七千七百四十六人としたまま、海上自衛官、航空自衛官及び情報本部に所属する自衛官の定数を削減し、共同の部隊に所属する自衛官の定数を三十九人増加するとともに、即応予備自衛官の員数を十二人増加し、八千四百七十九人に改めるものであります。

 本案は、去る四月五日に本委員会に付託され、翌六日北澤防衛大臣から提案理由の説明を聴取し、九日に質疑を行い、質疑終局後、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(横路孝弘君) この際、内閣提出、高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣前原誠司君。

    〔国務大臣前原誠司君登壇〕

国務大臣(前原誠司君) 高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 高速自動車国道の整備については、国土開発幹線自動車道建設会議を廃止し、社会資本整備審議会での厳格な審議や事業評価の結果の公表等により、その過程の透明性を十分に確保することが重要であります。また、高速道路ストックを有効に活用し、高速道路の通行者等の利便を増進させるための高速道路の整備を推進することが必要であります。

 このような趣旨から、このたび、この法律案を提出することとした次第です。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、国土交通大臣は、高速自動車国道の整備計画等を定め、または変更しようとするときは、社会資本整備審議会の議を経なければならないこととしております。

 第二に、国は、高速自動車国道の整備計画を定め、または変更しようとする場合において、当該整備計画に係る高速自動車国道の整備に関する事業の効果の把握及びこれを基礎とする評価を行い、その結果を公表するほか、高速自動車国道の整備過程の透明性を確保するため、必要な措置を講ずることとしております。

 第三に、高速道路の車線の増設や既存の高速道路間を連絡する高速道路の新設または改築に関する一定の事業等を、高速道路利便増進事業として追加することとしております。

 第四に、国土開発幹線自動車道建設法を廃止することとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(横路孝弘君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。加藤学君。

    〔加藤学君登壇〕

加藤学君 民主党の加藤学でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま提案のありました高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案について、前原国土交通大臣に質問いたします。(拍手)

 道路特定財源制度は、道路が未整備な時代に創設された制度であり、戦後の経済復興に大きな役割を果たしてきました。しかし、我が国の経済構造や国民のライフスタイルは既に大きく変化し、行政に求められる資源配分のあり方も変容しました。もはや、道路だけを聖域化すべき時代は去りました。

 政策の優先順位も明らかにせず、硬直的、固定的な特定財源制度に裏づけられた道路整備を強引に推し進める構造には、大きな問題があったと考えます。

 民主党は、かねてより、道路特定財源の一般財源化、道路行政の抜本的改革を主張してきました。

 遅きに失したとはいえ、昨年の通常国会では、麻生内閣は、道路特定財源の一般財源化を図りました。しかし、自公政権が取り組んだ道路特定財源の一般財源化は、粉飾、まやかし、名ばかりの改革にとどまりました。

 昨年の衆議院選挙において、民主党は、道路をめぐる政策を中央集権的な国の形を変える突破口と位置づけ、社会資本整備にかかわる行政を根本的に改革すること、地域経済活性化のための高速道路の原則無料化を公約に掲げました。

 今般、政府が提出した法案は、地域主権による地域活性化を進める民主党の理念を着実に実施するためのものであると高く評価いたします。

 この法案は、どのような基本理念、原則に基づき、何を目指すものなのか。自公政権との政策理念の違い、政権交代があったからこそ実現できた点を含めて、前原国土交通大臣に明確なる答弁をいただきたい。

 初めに、高速自動車国道の整備過程の透明性の向上に関する施策についてお尋ねします。

 この法案には、民主党の政策提言の目玉であった、国土開発幹線自動車道建設会議の廃止などが盛り込まれています。全総、国幹会議という言葉に象徴される過去の道路政策をどのように総括されて今般の措置を盛り込んだのか、前原国土交通大臣の御所見を求めます。

 国幹会議を廃止し、国会、第三者機関で審議し、関係都道府県等からの意見聴取とあわせて、高速自動車国道の整備の内容を厳正にチェックする仕組みに改めることは、画期的な政策と受けとめております。

 高速自動車国道の整備効果を広く国民に明らかにするため、国に対し、事業評価の結果等の公表を義務づけるとのことですが、どのような形で、いかなる資料が提出されるのか、前原国土交通大臣から答弁をいただきたい。

 また、整備の各段階ごとに、社会資本整備審議会で審議し、学識経験者が計画の妥当性を専門的な視点からチェックするとのことですが、どのような手順と基準でこれに取り組むのか、あわせて明らかにしていただきたい。

 なお、二月二十六日、前原大臣より、社会資本整備審議会、交通政策審議会及び国土審議会の委員の改選について発表がありました。新政権にふさわしい、すばらしい人材が選ばれたと評価いたします。

 過去には、法定審議会は形骸化されていたとの批判も聞こえてきましたが、せっかくの人材を生かすために、これらの審議会の運営についても見直しを行うのか、頻度を上げて開催することも検討されているのか、前原国土交通大臣よりお答えをいただきたい。

 次に、高速道路利便増進事業の拡充等に関する施策について質問いたします。

 高速道路における交通事故の防止や交通渋滞の解消を図るための車線の増設、ミッシングリンクの解消など、高速道路の利便増進に対するニーズが一層高まっていると考えます。

 私が住んでいる長野県の伊那谷のような鉄道の便がよくない地方では、高速道路の交通がかなめであり、インターチェンジの増設によって一般道からのアクセスをよくすることが、高速道路の利便性を大幅に上げ、地域の経済に大きな経済効果をもたらします。

 今般の改正案では、これまでの料金の値下げ、スマートインターチェンジの整備に加えて、通常のインターチェンジの整備、車線の増設、既存の高速道路間を連結する高速道路の新設、改築、サービスエリア、パーキングエリアの整備が追加されました。これらの事業は、高速道路ストックを有効活用し、通行者等の利便性の向上を図るもので、新たに利便増進事業のメニューに追加することは時宜にかなうものと評価いたします。

 しかし、利便増進事業で道路をつくること等は道路改革に逆行するのではないかと誤解する方もいるようでございます。利便増進事業におけるメニューの追加を行う意義と目的について、改めて前原国土交通大臣より御説明をお願いいたします。

 なお、一九八七年に閣議決定した第四次全国総合開発計画に盛り込まれた一万四千キロの高速道路整備計画について、見直す可能性もあると伺っております。この点についても方針を示していただきたい。

 さて、四月九日、前原国土交通大臣より、高速道路の再検証の結果と新たな上限制の導入を含めた料金制について新しい発表がなされました。

 そこで、新たな料金制度を中心に質問いたします。

 NEXCOについては、ETCの設置状況にかかわらず、普通車は二千円という上限料金制が設けられ、首都高と阪神高速については、下限が五百円、そして上限が九百円という体系になり、さらに、エコカー割引も導入されると伺っております。

 これまでの複雑で不公平な割引制度が、わかりやすい、公平な制度に変わると期待しております。今回の、新たな上限制の導入を含めた料金制の基本方針、導入効果につきまして、前原国土交通大臣より明らかにしていただきたい。また、既存割引の廃止に伴う激変緩和措置を行うとのことですが、この点についても御説明を求めます。

 これに関連して、平成二十二年度高速道路無料化社会実験計画(案)についてお尋ねします。

 社会実験の区間については、一千億円の予算を前提として、首都高、阪神高速を除く高速道路、渋滞発生頻度、他の交通機関への影響も勘案して、ことしは、一千六百二十六キロメートル、高速道路の約一八%が選定されたと承知しております。

 本年の六月からの実施と聞いておりますが、その効果を見きわめていく必要があると考えます。今回は社会実験でありますが、平成二十三年度以降、本格実施に取り組むと受け取っていいのか、前原国土交通大臣より基本的姿勢を明らかにしていただきたい。

 最後に、道路整備に関連して、幾つかの視点から質問を行います。

 道路政策を策定、実施するに当たって、自動車交通だけを念頭に置くのではなく、しっかり日本の将来像、総合交通体系についても考慮する必要があります。

 陸海空の総合交通体系を確立せず、縦割りで連携のない非効率なインフラ整備が続けられてきました。現状では、高齢者や障害者など移動困難者の移動手段が十分に確保されているとは言いがたい状態であります。

 民主党、社民党は、政権獲得以前に交通基本法案を提出してきました。国民の移動の権利を明記し、交通基本計画により総合的な交通インフラを効率的に整備し、重複による公共事業の無駄遣いを減らし、環境負荷の少ない持続可能な社会の構築を目指すものであります。都道府県、市町村は、地域交通計画を策定し、地域住民のニーズに合致したLRTやコミュニティーバスなどの整備を推進することができます。

 政府としてもこうした法案を提出する意向があるのか、前原国土交通大臣より見解を求めます。

 道路特定財源が、レクリエーショングッズやマッサージチェア、アロマ器具などの購入に使われていたことが、かつて問題となりました。道路関係だけでなく、国土交通関連の予算、公益法人に関して、不透明な部分が残っていると言われております。

 前原大臣は、公共事業の大幅削減、道路保全技術センターを初めとする公益法人の改廃などを進めると同時に、他方で、地方で使い方を決められる社会資本整備総合交付金の創設、住宅政策にかかわる斬新な予算、税制措置、そして、観光を初めとする成長戦略の策定などに取り組んでおります。

 こうした実績を積み重ねてきた前原国土交通大臣にエールを送るとともに、与党の一員として、鳩山政権が進める国土交通行政の大改革をしっかりと支えていく決意を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣前原誠司君登壇〕

国務大臣(前原誠司君) 加藤議員にお答えをいたします。十問いただきました。

 まず、本法案の基本理念、原則についてお尋ねがありました。

 道路整備を初めとする公共事業については、国民にとって本当に必要なものかどうかを見きわめた上で、国民の安全を守り、我が国の国際競争力を強化するために真に必要なインフラ整備を戦略的かつ重点的に進めることが不可欠だと考えております。

 本法案は、このような認識に基づき、高速道路について、そのストックをできるだけ有効活用するとともに、整備過程の透明性を十分に確保し、真に必要な利便性の高い高速道路の整備を図るものでございます。

 次に、国土開発幹線自動車道建設会議の廃止についてお尋ねがありました。

 今後の道路整備につきましては、国民にとって本当に必要なものかどうかを見きわめ、真に必要な整備を戦略的かつ重点的に進める観点から、その過程の透明性を十分に確保することが不可欠であると認識をしております。

 このため、本法案において、審議が形式的かつ不十分で国会の意思が反映されていないとの指摘のありました国土開発幹線自動車道建設会議を廃止し、国会や社会資本整備審議会において整備の内容や効果などを厳正にチェックするための措置を制度化するものとしております。

 次に、高速自動車国道の事業評価についてお尋ねがありました。

 高速自動車国道の整備の過程の透明性を向上させるため、整備計画の策定等を行う場合、事業評価の結果を公表することとしております。

 具体的には、費用対効果分析の結果、渋滞や交通安全など道路利用者への影響、住民生活や地域経済、環境など社会全体への影響などについて取りまとめて、公表することによりまして、国会や社会資本整備審議会等における厳正なチェックを受けることとしております。

 次に、社会資本整備審議会における審議についてのお尋ねがありました。

 高速国道の整備に当たっては、計画、整備の各段階ごとに、社会資本整備審議会の議を経ることとするとともに、整備計画の作成等を行う場合には事業評価を実施し、その結果を公表して国会等による厳正なチェックを受けるなど、必要な措置を講ずるとしております。

 社会資本整備審議会における審議に当たりましては、地域の状況、交通需要、周辺道路の整備状況等を総合的に勘案して、各路線の必要性、緊急性等につきまして徹底的に御審議いただきたいと考えております。

 次に、社会資本整備審議会、交通政策審議会及び国土審議会の運営の見直しについてのお尋ねがございました。

 今般、政権交代を機に、これらの審議会の委員等に関して見直しを行いまして、具体的には、中立公正な視点、専門家としての識見、知見等を勘案し、総合的に判断をして、最適な人選を行いました。

 今回の改選においては、大きな方向性としては、国益、日本の今後のあり方というものを考えてくださる識見、見識を持った方を選ぶことといたしまして、社会資本整備審議会は十名、交通政策審議会は二名、国土審議会は九名の委員に、新たに就任をお願いすることといたしました。

 審議会の運営につきましては、国土開発幹線自動車道建設会議の廃止に伴い、既存の社会資本整備審議会の比重がかなり大きくなることなどもありまして、審議会の開催頻度を上げるなど、テーマに応じた工夫をしながら積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。

 次に、高速道路の利便増進事業の対象の拡充についてお尋ねがありました。

 利便増進事業につきましては、地域から道路整備についての強い要望があることも踏まえ、現在は料金引き下げとスマートインターチェンジの整備に限定されている整備メニューを、ミッシングリンクの解消、四車線化、インターチェンジ設置などについて拡充するものでございます。

 対象事業につきましては、厳しい財政事情を踏まえ、既存高速道路ネットワークの有効活用、機能強化を図るという利便増進事業の法律の趣旨に合致をし、かつ十分な投資効果を期待でき、また有料道路として供する東京外環や名古屋二環などに限定することとしております。

 次に、一万四千キロメートルの高速道路整備計画の見直しについてお尋ねがございました。

 高規格幹線道路網全体の整備のあり方については、これまでの経緯や国民の幅広い意見も踏まえつつ、必要な事業をできるだけ効率的に進めることができるよう、検討を進めたいと考えております。

 次に、高速道路の料金割引についてお尋ねがございました。

 現行料金割引は、一時的で持続可能ではないこと、割引の内容が複雑であること、特定の曜日、時間帯に限定した割引による交通集中により渋滞が発生をすること、ETC限定とするなど特定の車種に限定をしていることなどといった課題が生じているところでございます。

 新たな料金割引は、これらの課題を解決しつつ、物流コストの低減などの我が国が抱えるさまざまな政策課題への対応を図るために、上限料金制の導入、徹底した簡素化、地球環境に配慮することを基本方針として見直すことといたしました。

 次に、高速道路の原則無料化についてお尋ねがございました。

 高速道路の原則無料化につきましては、まずは、六月より、地域経済への効果、渋滞や環境への影響、ほかの交通機関への影響などを検証することを目的に社会実験をすることとしております。

 同じく六月から実施することとしている上限料金の試行とあわせて、その効果や影響の検証を行いつつ、国民の理解を得ながら段階的に取り組んでいきたいと考えております。

 最後に、交通基本法案についてお尋ねがありました。

 少子高齢化の進展、地球温暖化対策等の社会環境の変化に適切に対応していくため、交通基本法の制定及び関連施策の充実は重要な課題だと認識をしております。

 来年の通常国会の法案提出に向けて、これまで八回にわたりまして交通基本法検討会を開催するとともに、本年三月末に中間整理を取りまとめたところでございまして、五月から六月をめどに、交通基本法について、考え方と関連施策のあり方に関する検討結果を取りまとめる予定にしております。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 北村茂男君。

    〔北村茂男君登壇〕

北村茂男君 自由民主党の北村茂男です。

 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、ただいま趣旨の説明がありました高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する等の法律案について質問いたします。(拍手)

 鳩山政権は、高速道路政策を一体どうしたいのでしょうか、新たな高速道路の建設費用を一体だれに負担させようというのでしょうか、高速道路の原則無料化の旗はおろそうとせず、その一方で、料金引き下げの財源を高速道路建設に転用し、料金の実質値上げも容認しようとしています。鳩山政権による高速道路政策は、まさに支離滅裂であると言わざるを得ません。

 以下、ただいま議題となりました法律案に沿って、関係大臣にその見解を伺っていきたいと思います。

 鳩山政権は、コンクリートから人へという考え方のもと、公共事業予算について、これを抑制する方針を示しており、道路予算についても、原則として新規事業は行わないことといたしております。

 ところが、昨年十二月、各県連や地方の要望を受けて民主党幹事長室が取りまとめた民主党の平成二十二年度予算重点要望において、高速道路会社による高速道路整備を推進するため、利便増進事業を抜本的に見直すことが盛り込まれてからは、従来の新規建設抑制の方針が大きく変わってしまったのではないでしょうか。

 ただいま議題となりましたこの法律案では、高速道路利便増進事業の範囲について、これまでの料金引き下げやスマートインターチェンジの整備に加え、高速道路の整備等を新たに追加することといたしております。

 これは、東京外郭環状道路等の整備や、関越自動車道上越線等の高速道路の暫定二車線区間の四車線化など、昨年十月に、平成二十一年度補正予算の国土交通省関係事業に係る執行の見直しを行い、凍結をしてしまっていたものを、民主党の要望を受けて復活させるために改正を行うものと考えざるを得ません。

 今回、法改正を行い、高速道路利便増進事業の範囲を拡大することとした理由について、まず前原国土交通大臣に伺いたいと思います。

 民主党の予算に関する重点要望に関しては、前原大臣は、昨年十二月の記者会見において、利便増進事業を抜本的に見直して国が高速道路会社に対して支援をすることについて、これは我々が今まで申し上げてきた道路整備と全く違う考え方でございまして、これを二十二年度でということはとてもじゃないけれども無理であります、党としてのまとまった議論だとも認識をしておりませんと、否定的な見解を述べておられます。

 このように発言していた大臣が、今、御自分がおっしゃっていたことに全く反する法律案の趣旨説明を行っているのであります。大臣は、昨年の御自身の発言の重みをどのように考えておられるのでしょうか。どうして御自分の考えを変えられ、このような法律案を提出されたのかについても、重ねてお聞きをいたしたいと思います。

 この法律案では、高速道路の整備過程の透明性を確保するとうたわれておりますが、本法律案が成立してしまうと、高速道路建設費は、高速道路会社への道路資産の貸付料の減額という形で賄われることになり、政府の意のままに高速道路建設が行われることになるのではないでしょうか。国会でのチェックも難しくなり、国民の監視の目が行き届きにくいところで、党利党略などによる利益誘導のために高速道路建設が決まっていくというおそれを感じますが、前原国土交通大臣の見解を改めて伺っておきたいと思います。

 次に、法案に関連し、高速道路の料金引き下げ施策についてお伺いをいたします。

 現在、高速道路利便増進事業の財源である三兆円のうち、二・三兆円を使って高速道路の料金引き下げが行われておりますが、国土交通省は、四月九日に、高速道路の再検証結果と新たな料金割引を発表いたしました。

 今回発表されました料金割引は、普通車二千円、大型車五千円などの上限料金を設けることとしており、この法律案成立後、六月中に試行的に導入することとされております。

 二十二年度の激変緩和措置として、時間帯割引、大口・多頻度割引を残すこととしておりますが、激変緩和措置の後の対応は全く不明であり、トラック業界などの輸送業者への影響が大いに懸念をされるところであります。時間帯割引の廃止では、上限価格以下の利用が多いトラック事業者にとっては実質値上げとなるとの意見もあります。また、これまで休日限定であった普通車の割引が平日にも広がることで、鉄道やバスなどの利用者が減る懸念もあります。

 この新たな割引制度は、現行の料金割引制度と比較して、平均的な利用者そして多くのトラック事業者等に対しては、実質値上げになるのかあるいはそうでないのか、また、競合する他の輸送機関である鉄道事業者等にはどのような影響が生じると考えているのか、答弁を願いたいと思います。

 しかし、この制度に関して、一昨日、仙谷国家戦略担当大臣は、地元徳島市内の街頭演説で、高速道路の新料金制度で本州四国連絡道路の上限料金が他の地域より割高に設定されたことに関し、幾ら前原大臣が親しい同志でもこんなことは許してはならないと発言し、近く見直しを求める一方、馬淵国土交通副大臣は、昨日の会見で、これを明確に否定する発言をするなど、早くも閣内不一致の様相であります。

 民主党は、マニフェストにおいて高速道路の原則無料化を掲げ、高速道路は無料にすると国民に約束をされました。それにもかかわらず、今回の法律改正を行い、料金引き下げの財源を削ることで、無料化の社会実験区間を除き、結果として、休日等については値上げとなり、その一方で、高速道路の新設等を行おうとしております。これでは、高速道路が無料化されることを信じて民主党に投票された国民の理解が得られないのではないでしょうか。

 高速道路の原則無料化を政権公約に掲げながら、無料化の対象は三十七路線五十区間と全国のごく一部にすぎず、一方で、高速料金の実質値上げを導入する。これでは、高速道路の原則無料化の公約は、前原大臣、あなたの野党時代における昨年二月の予算委員会での発言、その表現をおかりすれば、まさに、やるやる詐欺ではありませんか。

 高速道路の無料化をやるのかやらないのか、やるならいつまでにやるのか、国民に明確に示す必要があると考えますが、前原国土交通大臣の見解を改めて伺っておきたいと思います。

 今回の新たな料金割引によって、平日の利用者増加による渋滞の増加や、環境政策に逆行するCO2排出量の増加などが懸念されます。渋滞等の課題の解消などに対し、どのような政策効果があると考えるのか、改めて大臣の見解を伺っておきたいと思います。

 また、地方において、これまで以上の地域経済活性化の効果が見込まれるのかどうかについても、原口総務大臣にその見解を伺っておきたいと思います。

 あわせて、民主党の高速道路原則無料化の方針は、マニフェストでは、流通コストの引き下げを通じて生活コストを引き下げる目的があるとされていますが、今回の新たな料金割引は物流においてどのような効果が得られるとお考えなのか、前原国土交通大臣にお伺いいたしたいと思います。

 さらに、高速道路無料化の社会実験や上限料金制度では、首都高速、阪神高速を除き、ETC車載器の有無にかかわらず対象となるため、料金所の渋滞解消、キャッシュレス化による利便性の向上、管理費の節減などのETC推進による従来の政策目的が消滅をしてしまいます。これまでにETCの車載器を購入した利用者に対しては、今回の措置をどのように説明されるつもりなのか、前原大臣にお伺いをいたします。

 続いて、高速道路の建設について質問をいたします。

 今回の法改正によって、高速道路利便増進事業三兆円の枠を利用して、高速道路会社により建設等が行われることとされておりますが、その財源はもともと国の税金であります。

 道路公団時代には、年三千億円の国費が投入されて高速道路建設がなされていましたが、道路公団民営化後は、高速道路会社への高速道路建設のための国費投入がなくなり、料金収入の範囲で道路建設が行われ、経営努力の結果、料金引き下げも可能になりました。

 こうした高速道路会社に国費投入をしないという道路公団民営化の基本的な考え方に反し、法改正により国費を投入するということは、道路公団時代の復活を意味するのではないでしょうか。高速道路会社による高速道路の整備に国費を投入することについて、前原国土交通大臣の見解を求めます。

 公共事業の削減と言いながら、このような手段を使ってまで建設するというのであれば、コンクリートから人へという方針を修正し、道路の必要性をしっかりと検証した上で、堂々と予算をつけて道路整備を実施すべきではないかと考えますが、前原国土交通大臣の見解を伺っておきます。

 次に、国土開発幹線自動車道建設法の廃止についてお伺いをいたします。

 これまでは、国土開発幹線自動車道建設会議、いわゆる国幹会議において、国会議員も委員として参加し、学識経験者とともに、高速道路の基本計画、整備計画についての審議を行ってまいりました。国幹会議のあり方については、さまざまな意見が出されていたことは承知をいたしておりますが、国幹会議をあえて廃止せずとも、審議のあり方を見直すことで十分な成果を上げることも可能であったのではないでしょうか。今回の法改正により、国幹会議を廃止し、社会資本整備審議会で審議を行う理由について、前原国土交通大臣の見解を伺いたいと思います。

 国幹会議は、国権の最高機関である国会の指名を受けた国民の代表者である国会議員が構成員として入っていましたが、社会資本整備審議会では、学識経験者のみであります。高速自動車国道の整備について透明性をどう確保されるのか、また、国会によるチェックのあり方をどのように考えており、国会での議論はどのように反映されるのかについて、前原国土交通大臣にお伺いをいたします。

 次に、高速自動車国道の整備についての事業評価のあり方についてでありますが、今回の法改正では、高速自動車国道の整備効果を広く国民に明らかにするため、国に対し、事業評価の結果の公表を義務づけることとしております。高速道路の整備の必要性を判断するための基準のあり方について、どのように考えているのでしょうか。

 また、現在は、走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少の三便益に基づいた金銭換算の可能な費用便益分析が行われておりますが、救急患者の搬送ルートを確保する、いわゆる命を守る道としての効果など、金銭換算が難しい道路の効果についても考慮して評価ができるようすべきであると考えますが、費用便益分析を見直す必要性についてどのように考えているのか、前原国土交通大臣に伺います。

 最後に、高速道路のあり方についてお伺いをいたします。

 前原国土交通大臣は、今後、国幹会議において審議が行われ既に決定されている基本計画、整備計画の扱いについては、変更はされない旨を発言されております。高速自動車国道の予定路線一万一千五百二十キロメーター及び整備計画路線九千四百二十八キロメーターについて完成させる考えはあるのか、お伺いをいたします。

 また、前原国土交通大臣は、三月十六日の記者会見において、昭和六十二年六月二十六日の道路審議会答申に基づいて決定された高規格幹線道路一万四千キロメーターの計画に関して、見直す考えを表明しております。

 地方にとっての高速道路の必要性を原口大臣に対し、そして、今後の高速道路の整備のあり方についてどのように考えているのかを前原国土交通大臣に、それぞれ見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣前原誠司君登壇〕

国務大臣(前原誠司君) 北村議員に十五問、質問をいただきました。お答えをいたします。

 利便増進事業を拡充した理由についてお尋ねがございました。

 利便増進事業につきましては、地域から道路整備についての強い要望があることを踏まえ、現在は料金引き下げとスマートインターチェンジの整備に限定されている整備メニューを、ミッシングリンクの解消、四車線化、インターチェンジ設置などについて拡充するものでございます。

 対象事業につきましては、厳しい財政事情を踏まえまして、既存の高速道路ネットワークの有効活用や機能強化を図るという利便増進事業の趣旨に合致し、かつ十分な投資効果を期待でき、また、有料道路として供する東京外環や名古屋二環などに限定することとしているところでございます。

 次に、利便増進事業の見直しによる高速道路会社への支援についてお尋ねがありました。

 今回の利便増進事業の見直しは、既に高速道路機構から国に債務承継された金額の範囲内で、つまりは措置済みの予算で、外環や名古屋二環など、投資効果が高く真に必要な道路整備や著しい渋滞が発生をしている区間の四車線化など、既存の高速道路ネットワークの有効活用や機能強化を図るという利便増進事業の趣旨に合致するものに限るとしておりまして、そしてまた、新たな国費を会社に投入するものではございません。

 したがって、新たに高速道路会社を支援するものではなく、考えを変えたわけではございません。

 次に、国民の監視の目が行き届きにくいところでは利益誘導のための高速道路建設が進められるのではないかとのお尋ねがありました。

 今回の法改正によりまして、利便増進事業を活用して新たに整備する道路については、整備手法などの再検証を踏まえ、また十分な投資効果が確認をされた外環、名古屋二環などに限定をしているところでございます。

 また、この再検証の結果については、国会等での議論に資するよう法案審議前に公表を行ったところでございまして、法案成立後にはパブリックコメントを行うなど、透明性の確保に努めていきたいと考えております。

 次に、新たな料金は値上げなのか、また、他の交通機関への影響についてお尋ねがございました。

 新たな上限料金制度については、一時的で持続可能ではなく、また複雑でわかりにくいなどの現在の料金割引の課題を改善して、広く利用者に料金割引を行うこととしたため、個別には、値上がる方もおられれば値下げになる方もおられると認識をしております。

 また、他の交通機関への影響につきまして、前政権下で時限的に行うこととされていた休日上限千円の実施による課題も踏まえ、できるだけ影響が小さくなるよう配慮した料金設定としたところでございますが、新たな上限料金制度は来年の三月まで試行するものであり、その試行の中で検証してまいりたいと考えております。

 次に、高速道路の無料化についてお尋ねがございました。

 高速道路の原則無料化については、まずは、六月より、地域経済への効果、渋滞や環境への影響、他の交通機関への影響などを検証することを目的に社会実験を行うこととしております。

 同じく六月から実施することとしている上限料金の試行とあわせ、その効果や影響の検証を行いつつ、国民の理解を得ながら段階的に進めていきたいと考えております。

 新たな料金割引による渋滞についてのお尋ねがございました。

 休日上限千円などの現行の料金割引により、特定の曜日や時間帯に交通が集中をして渋滞が発生をしてまいりました。これを踏まえ、新たな料金割引につきましては、平日と休日や時間帯の区別なく適用することによりまして、交通が分散をされ、現在の渋滞の緩和やこれに伴う一定のCO2の排出量の削減が期待をされているところであります。

 なお、CO2排出量の削減の観点から、軽自動車やエコカーを優遇した料金設定としております。

 次に、物流への効果についてお尋ねがございました。

 今般の新たな料金につきましては、上限料金制とすることによりまして、高い料金により阻害をされている地域間の移動が容易となり、長距離の物流コストの引き下げや輸送距離の拡大などについて大きな効果があると考えております。

 いずれにいたしましても、本年度の試行を通じ、その効果等について検証してまいりたいと考えております。

 次に、今後のETCの活用についてお尋ねがございました。

 現在の割引は、すべての割引をETCに限定するなど、現金利用者との公平性の観点から課題があるため、原則、区別をなくすこととしたところでございます。

 しかしながら、ETCにつきましては、ノンストップで料金支払いができることはもとより、新たな料金制度においても、都市高速の料金などについて、引き続き利用者にとってメリットがあると考えております。

 次に、高速道路の整備についてお尋ねがございました。

 今回の利便増進事業の見直しは、既に高速道路機構から国に債務承継された金額の範囲の中で、外環や名古屋二環など、投資効果が高く真に必要な道路整備や著しい渋滞が発生をしている区間の四車線化など、既存の高速道路ネットワークの有効活用や機能強化を図るという利便増進事業の趣旨に合致するものに限定することとしたものであります。また、新たな国費を会社に投入するものではございません。

 次に、高速道路の整備についてお尋ねがございました。

 国土交通省所管の公共事業予算については、コンクリートから人への方針のもと、平成二十二年度は約一五%の削減を行ったところであります。

 一方、必要な道路整備につきましては、厳格な事業評価のもと、既存予算の活用も図りながら、できるだけ効率的に進めていくこととしております。

 なお、仮に、利便増進事業として整備に充当される一・四兆円が十年間で使われ、単年度一千四百億円の整備事業が増加すると仮定した場合におきましても、平成二十二年度の公共事業予算は対前年度比約一三%減となることから、コンクリートから人への考え方を変えるものでは全くございません。

 次に、国土開発幹線自動車道建設会議の廃止についてお尋ねがございました。

 国土開発幹線自動車道建設会議につきましては、審議が形式的で不十分であることや、国会の意思が十分に反映されていないことなどに問題があるものと認識をしております。

 このため、高速自動車国道の整備に関し、その過程の透明性を十分に確保するために、国土開発幹線自動車道建設会議を廃止することといたしまして、国会や社会資本整備審議会等において整備の内容、効果などを厳正にチェックしていただけるよう、整備計画の策定等に当たって、事業評価結果の公表などの措置を講ずることとしたところでございます。

 次に、国会におけるチェックのあり方についてお尋ねがございました。

 国が整備計画の策定等を行う場合には、予算審議に向けて、高速自動車国道に係る事業評価の結果を公表することなどによりまして、国会において十分な御議論をしていただきたいと考えております。

 次に、高速道路整備の必要性を判断するための基準についてお尋ねがございました。

 高速道路の整備に当たりましては、無駄な道路を排除し、必要な道路整備を進める観点から、透明なプロセスのもとで厳格な事業評価を実施することが必要だと考えております。

 具体的には、費用対効果分析の結果、渋滞や交通安全など道路利用者への影響、住民生活や地域経済、環境など社会全体への影響などについて把握をした上で、関係地方公共団体等の御意見も伺いながら、総合的に必要性を判断することとしております。

 次に、道路の費用便益分析の見直しについてのお尋ねがございました。

 道路の費用便益分析につきましては、命の道や観光振興など重要な要素が抜けているのではないか、そういった御指摘もいただいているところでございます。地域に根差した事業評価を行うことは重要だと認識をしております。

 一方、三便益以外の多様な効果の評価については、有識者より、便益の計測精度や二重計上のおそれなどの課題が指摘をされている面もございます。

 このため、多様な効果の取り扱いも含めて、客観的かつ厳格な事業評価のあり方について、試行を重ねながら検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣原口一博君登壇〕

国務大臣(原口一博君) 北村議員から、二点お尋ねがございました。

 まず、新たな割引制度による地域経済活性化の効果についてお尋ねがございました。

 新政権は、定住自立圏構想、緑の分権改革、地域の創富力の拡大、これを掲げております。新たな割引制度は、物流コストをトータルとして下げることにより、地方の移動格差を改善し、地域経済の活性化も図ろうとするものと承知しています。

 また、曜日、時間帯の区別をなくすことで、特定の曜日や時間帯に生じている交通集中の緩和を図りつつ、休暇の分散化と相まって、地方における観光振興にも貢献するものと期待しております。

 次に、地方にとっての高速道路の必要性についてお尋ねがございました。

 高速道路は、国民の暮らしにかかわる重要な社会資本であり、特に地方においては、観光や企業立地などによる地域経済の活性化の観点や、救急搬送などの国民の命を守るインフラとしても、その整備について強い要望があるものと承知しています。

 真に必要な高速道路の整備については、引き続き、地方の御意見も幅広く伺いながら推進していくべきものと考えています。

 カリフォルニアと同じぐらいの面積と言われている日本の中で、たくさんのインターチェンジをつくって、そして多くの物流コストの増大を招くよりも、もっともっとインターの出口をたくさん置いて、そしてストロー効果のようなことがないように、地方からのそういう声もたくさん上がっているところでございまして、その声を踏まえた政権の運営をしていきたいと思っております。

 以上、お答え申し上げます。(拍手)

議長(横路孝弘君) 国土交通大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。国土交通大臣前原誠司君。

    〔国務大臣前原誠司君登壇〕

国務大臣(前原誠司君) 失礼をいたしました。十四問しか答弁をしておりませんでした。

 最後の答弁でありますが、今後の高速道路の整備のあり方についてお尋ねがございました。

 道路整備を初めとする公共事業については、国民にとって本当に必要なものかどうかをもう一度見きわめて、その上で、国民の安全を守り、我が国の国際競争力を強化する上で真に必要なインフラ整備を戦略的かつ重点的に進めることとしているところでございます。

 高速自動車国道一万一千五百二十キロメートルを含む、一万四千キロメートルの高規格幹線道路網全体の整備のあり方につきましては、これまでの経緯や国民の幅広い意見も踏まえつつ、必要な事業をできるだけ効率的に進めることができるよう、検討を進めてまいりたいと思います。

 以上です。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣  原口 一博君

       外務大臣  岡田 克也君

       文部科学大臣  川端 達夫君

       厚生労働大臣  長妻  昭君

       国土交通大臣  前原 誠司君

       防衛大臣  北澤 俊美君

 出席副大臣

       国土交通副大臣  馬淵 澄夫君


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