衆議院

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第23号 平成22年4月16日(金曜日)

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平成二十二年四月十六日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十四号

  平成二十二年四月十六日

    午後一時開議

 第一 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(秋葉賢也君外四名提出)

 第二 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件

 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙

 日程第一 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(秋葉賢也君外四名提出)

 日程第二 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件

議長(横路孝弘君) お諮りいたします。

 裁判官弾劾裁判所裁判員与謝野馨君から、裁判員を辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出を許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙

議長(横路孝弘君) つきましては、裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙を行います。

高山智司君 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。

議長(横路孝弘君) 高山智司君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に鴨下一郎君を指名いたします。

     ――――◇―――――

 日程第一 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(秋葉賢也君外四名提出)

 日程第二 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第一、秋葉賢也君外四名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案、日程第二、内閣提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長近藤昭一君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(秋葉賢也君外四名提出)及び同報告書

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔近藤昭一君登壇〕

近藤昭一君 ただいま議題となりました両案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 初めに、両案の要旨について申し上げます。

 内閣提出の法律案は、独立行政法人について、その財務基盤の適正化及び国の財政への寄与を図ろうとするもので、独立行政法人に不要財産の処分を義務づけること、政府出資等に係る不要財産の国庫への返納手続を定めるとともに、その不要財産が政府出資に係るものである場合の減資の手続を定めること、民間等出資に係る不要財産について、出資者に対する払い戻しの手続を定めるとともに、払い戻しをした場合の減資の手続を定めること等の措置を講じようとするものであります。

 次に、秋葉賢也君外四名提出の法律案は、独立行政法人に係る制度の改革を進めるため、新たに独立行政法人評価委員会を総務省に設け、独立行政法人の評価を一元的に行うこととすること、評価委員会は、独立行政法人の業務運営の改善等に関し、主務大臣に対し勧告ができることとし、勧告が行われた場合には主務大臣は独立行政法人に対し必要な指示をできることとすること、評価委員会の内閣総理大臣に対する報告及び意見具申の制度を設けること、独立行政法人の長及び監事の公募制を定めるとともに、その任命を内閣の承認制とすること、独立行政法人の監事及び会計監査人の職務権限を強化するとともに、監事の任期を法定化すること、非特定独立行政法人の役職員に係る再就職規制を導入するとともに、所要の罰則規定を設けること、独立行政法人の保有資産について、不要財産の国庫納付や減資等に係る規定を整備すること等の措置を講じようとするものであります。

 以上の両案は、いずれも今月八日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会に付託され、同日原口総務大臣及び提出者秋葉賢也君から提案理由の説明を聴取いたしました。次いで、十三日及び昨日一括して質疑を行い、討論、採決の結果、秋葉賢也君外四名提出の法律案は賛成少数をもって否決すべきものと決し、内閣提出の法律案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。赤澤亮正君。

    〔赤澤亮正君登壇〕

赤澤亮正君 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、ただいま議題となりました秋葉賢也君外四名提出の独立行政法人通則法の一部を改正する法律案に賛成、内閣提出の独立行政法人通則法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 与党の諸君、七カ月前の政権発足時を思い出してください。諸君は、改革を訴え、国民の信任を受け、そして政権の座に着いたのではなかったですか。そして、改革の志に燃えていたのではなかったのですか。諸君が訴えた改革、そして改革の志は、一体どこに行ってしまったのですか。ただいま議題となりました内閣提出法案は、本当に諸君のやりたかった改革を具体化するものになっていますか。

 私には、内閣提出法案は苦し紛れの財源あさり法案に見えます。財源のあるある詐欺で選挙に勝ったものの、政権交代後、財源を見つけられずに困り果てた政権与党が、実施すべき独立行政法人改革のうち、ほんの一部、財源確保の部分のみを拙速につまみ食いをする財源あさり法案に見えます。与党の諸君の改革の志は、一体どこに行ってしまったのですか。

 ちょうど四年前、当時野党であった諸君が国会に提出した行政改革の推進に関する法律案をもう忘れましたか。その法律案に込められた与党の諸君の改革の志は、一体どこに行ってしまったのですか。

 諸君は、四年前の法律案の中で、主務大臣が独立行政法人の長を任命しようとするときは、公募の方法により、選任することを原則とする、独立行政法人の業務の実績に関する評価が、客観的かつ中立公正に行われるようにするため、独立した公正な立場において評価を行うことのできる新たな機関を設置するものとする、独立行政法人の役員の離職後の就職について、独立行政法人の業務運営における自立性及び効率性を高め、並びに事務及び事業の実施の公正性に対する国民の疑惑や不信を招くことがないよう必要な措置を講ずるものとするなどとうたわれました。

 四年前に提出したこの法律案により、諸君が実現に闘志を燃やしたこれら一連の独立行政法人改革は、なぜこのたびの内閣提出法案に盛り込まれていないのですか。

 与党の諸君が四年前に主張したこれらの改革は、二年前に自公連立政権が提出し、残念ながら廃案になった法律案にも、そして今回我々が提出した法律案にもすべて盛り込まれています。

 我々の法案には、これらの改革だけでなく、二年前の法案と同様に、独立行政法人の理事長、監事の人事への内閣承認等により適材適所の人事を徹底すること、独立行政法人の役職員や子法人への調査権限を法定化するなど監事の職務権限の強化を行うことにより、独法の業務管理体制を強化することなども盛り込まれております。

 さらに、我々の法案は、今回新たに、非特定独立行政法人の役職員によるファミリー企業等への再就職あっせん行為に罰則規定を設けることにしております。

 我々の改革の志は貫かれております。我々の法案は、過去の与野党の主張を網羅的に取り入れており、現行の独立行政法人制度をより透明性の高いものに転換し、効率的な政府の実現に資するものとなっています。

 ただいま申し上げました過去の経緯に照らしても、明らかに与野党横断的に取り組めるはずの独立行政法人改革であるのに、なぜ与党の諸君は我々の法案に賛同しないのですか。選挙前、行政改革についてけんらんな大ぶろしきを広げておきながら、実際に政権をとってみたら、現実問題に直面し、改革の志が折れてしまったのですか。全くもって不可解と言わざるを得ません。

 さらに不可解なのは、委員会審議の過程で、ある民主党の質疑者は、政府案というのは甚だ不十分でつまみ食いだという指摘があった、私もそのとおりだと思うと発言をしています。別の民主党の質疑者は、今この段階でどうしても独法改革についての包括的な法案を出さなければならないとすればこの法案に近いものになるのだと思うと、野党案を評価しています。原口総務大臣も、野党提出者の考えの中にも私たちが取り入れるべきものがあると考えていると答弁しています。

 政府・与党が内閣提出法案の不備を認めること自体、異例なことであります。しかも、我々の法案に取り入れるべきところがあると政府・与党ともに認めている以上、与党の諸君に、行政改革を望む国民の願いに少しでもこたえる気持ちがあるのであれば、修正協議があってしかるべきです。至極当然のことであります。

 にもかかわらず、国民の願いをすっかり忘れ、自分たちの案を守ることにきゅうきゅうとして、我々が申し入れた修正協議に一切応じようとしない与党の諸君の振る舞いに至っては、まさに言語道断であります。我々が申し入れた修正の内容を検討した上で応じられないというならまだしも、門前払いというのでは、今や与党の常套手段となった数の横暴による非民主的な国会運営そのものであります。

 国民の支持を急速に失いつつある与党が、依然として、国民の声を代弁する少数野党に配慮しない、独善的な運営を続けることに強く抗議するものであります。与党の猛省を促します。

 事この期に及んでは、我々が持ち続けている改革の志を、与党の諸君は既に失ってしまったと断じざるを得ません。改革の志を喪失した政権与党の諸君の財源あさりのための改革先送り法案には、我々は断固反対であります。

 民主党が修正協議を拒否した理由は定かではありません。枝野大臣は、現行制度の枠内での改革は改革に値しないと答弁しています。現在の政府・与党の姿勢、自公連立政権に対する思いや立場がよくわかる言葉であります。しかし、そうであるなら、二年前の政府案全体を、改革に値しないとして、潔く葬り去るのが筋なのではありませんか。

 それをせず、不要財産の国庫納付の義務づけのみを盛り込んだ法律案を提出するというのでは、あるあると大言壮語した財源を見つけられず、事業仕分けをしても遠く目標には及ばない現実に直面し、慌てふためいて、どこからでもいいからお金を集めようという魂胆が見え見えであります。しかしながら、そのような政府・与党の節操のない姿にこそ、国民は不信の念を募らせています。だからこそ、内閣支持率が凋落の一途をたどっているのではありませんか。

 独立行政法人改革について、民主党幹部は昨年のマニフェストで、「法人のあり方は全廃を含めて抜本的な見直しを進める。」としています。枝野大臣も、現在の独立行政法人や独法制度そのものをゼロベースで見直し、私どもがマニフェストで約束した四年間で抜本改革をするつもりとしています。独法通則法の廃止をゴールにするという大臣の発言も報道されました。

 随分と大上段に構えた立派な物言いですが、その裏で政府は一体何をしているのですか。独法制度そのものをゼロベースで見直す、だから見直しの結論が出るまで野党の修正協議には一切応じられないと強弁する一方で、昨年秋の臨時国会に、独立行政法人地域医療機能推進機構法案を提出し、四月からは国立がん研究センターなど六つの独立行政法人をふやしているではありませんか。

 修正協議にも応じられないとするゼロベースの見直しの最中に、どうして新しい独立行政法人をつくることができるのですか。もはや与党の諸君の通弊になった感がありますが、ここでも、言っていることとやっていることが正反対なのであります。

 我々は、一方で前政権を全面的に批判し否定する格好をつけながら、他方で前政権の改革の成果の一部だけをつまみ食いする、こんな御都合主義で無節操な内閣提出法案に到底賛成などできません。

 民主党初め与党の諸君には、我々の法案と内閣提出法案のどちらが日本のためになるか、日本国民の願いにこたえるものであるかを冷静に御判断いただきたい。ぜひとも我々の法案に御賛同願いたい。内容を深く考慮せず、ただやみくもに我々の法案に反対するというのでは、国民への裏切り行為になるということを強く申し上げて、私の討論といたします。(拍手)

議長(横路孝弘君) 小室寿明君。

    〔小室寿明君登壇〕

小室寿明君 民主党の小室寿明です。

 民主党・無所属クラブを代表し、政府提出法案、独立行政法人通則法改正案に賛成、自由民主党・改革クラブ、公明党、みんなの党野党三会派共同提出の独立行政法人通則法改正案に反対の立場で討論をいたします。(拍手)

 独立行政法人は、百四団体、年間三兆円以上もの財政支出がなされているにもかかわらず、果たして効率的、効果的な運営がなされているのでしょうか。与野党問わず、また国民各層からも、多くの批判、疑念が指摘されております。

 例えば、二〇〇八年度における独立行政法人発注の契約のうち、約四分の一は競争性のない随意契約、同年十月時点の独法役員の三分の一近くはいわゆる天下りであり、独立行政法人が天下りの巣窟と言われるゆえんであります。

 民主党は、政権交代の原動力となったマニフェストにおいて、「独立行政法人の実施する事業について、不要な事業や民間で可能な事業は廃止し、国が責任を負うべき事業は国が直接実施することとして、法人のあり方は全廃を含めて抜本的な見直しを進める。」と掲げております。

 マニフェストは四年間を区切った国民の皆様との契約です。鳩山政権は、着実に誠実にその実現を図るために邁進してまいります。

 この独立行政法人見直しについても、来る四月の二十三日から二十八日、事業仕分け第二弾において俎上に上げ、独立行政法人が行っている事業の有効性、妥当性、効果的執行の現状と見直しの方向について、しっかりと国民の皆様の前で議論をしてまいります。

 さらに、この仕分け結果を踏まえ、行政刷新会議の場において、独立行政法人の存廃も含め、抜本的な見直しにも着手する予定となっております。

 今国民が求めているのは、逆立ちしても鼻血も出ないほどの徹底した無駄のそぎ落とし、既得権益にまみれた旧体制の政治を打ち破ることにほかなりません。

 その意味で、野党三会派共同提出の法案は、総論的には理解できるとしても、その施行が二年以内とされ即応性に欠けるものであること、さらに、現行の独立行政法人の存続を所与、当たり前のものとしているものであり、賛成することはできません。

 政府提出法案は、独立行政法人の抜本改革を見据えつつ、緊急かつ必要不可欠な課題である不要財産の国庫返納を義務づけたものであり、時宜にかなう法改正と存じます。

 この法案の成立により、二〇一〇年度の国庫返納見込み額は六千六百億円であります。昨年の事業仕分けの成果にほかなりません。さらに、仕分け第二弾を控え、今やるべきはこの法改正であることを重ねて申し上げたいと思います。

 なお、私は、国立大学法人や国立医療機構など、国にとっても地方にとっても必要不可欠で有益な独立行政法人が、独法化ゆえに厳しい試練にさらされている現実も承知しております。

 国の行政の一翼を担うこれら有益な大学、病院組織が単に国の財政負担軽減の目的で組織が劣化しているとしたら、それこそ本末転倒と言わなければなりません。その本来の役割をしっかりと果たせる独立行政法人改革たらんことを同時に願いながら、討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 柿澤未途君。

    〔柿澤未途君登壇〕

柿澤未途君 みんなの党の柿澤未途です。

 私は、みんなの党を代表して、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の政府案に反対、秋葉賢也君外四名より提出された法案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 独立行政法人改革の歴史を少しひもときたいと思います。安倍内閣当時、渡辺喜美行政改革担当大臣の時代です。

 独立行政法人にガバナンスをきかせ、傘下にファミリー企業との天下りネットワークを形成するような組織のあり方を許さないと同時に、その先には、民間でできることは民間にとの考え方のもと、独立行政法人の形態で行うべき業務なのかどうかを含めて、徹底的な見直しを行いました。

 さらに、渡辺行革担当大臣は、独立行政法人、例えば雇用・能力開発機構、UR、都市再生機構等、廃止または民営化を含む組織形態の見直しを掲げ、所管官庁や当時の閣僚とも大議論を繰り広げられました。その結果としてでき上がったのが、平成十九年の独立行政法人整理合理化計画であります。

 さらに、効果的、効率的な独立行政法人制度を実現すべく、平成二十年の通常国会に独法通則法の改正案を提出しております。今回の政府提出案の内容ともなっております不要財産の国庫納付義務のほか、独立行政法人評価機関の一元化、業務管理体制の強化、さらに非特定独法の役員の再就職規制等を盛り込んでおります。

 今回、自由民主党・改革クラブ、公明党、みんなの党で共同提案をいたしました独法通則法改正案は、この渡辺行革担当大臣当時の独法通則法改正案を基本的に踏襲、発展させたものであります。しかるに、当時、野党であった民主党は、独立行政法人改革の必要性を主張してきたにもかかわらず、法案の審議入りすら拒否し、結局、法案は、昨年の衆議院解散により審議未了、廃案となってしまいました。

 衆議院選挙の結果、鳩山内閣が発足をしましたが、新政権は、昨年十二月、平成十九年以来推し進められてきた独立行政法人整理合理化計画をいきなり凍結してしまいました。そして、政権をとって、今回提出をしてきた独法通則法改正案は、独立行政法人の財産を召し上げて国庫に返納させる、そのことだけを規定するものでありました。独法評価の一元化、なし。役員人事の公募制の導入、なし。ファミリー企業への天下り規制、なし。これでは、賛成できるはずがありません。

 現政権は、独立行政法人の制度自体にメスを入れるということにしていますが、このほど行われている独立行政法人を対象とする事業仕分け第二弾、いわゆる独法仕分けの作業が先行していて、現行の独立行政法人制度をどのような形で変えていくのか、その姿はいまだ全く明らかにされていません。

 その一方で、独立行政法人国立印刷局について、あたかも国営に戻すかのように受けとめられるような発言を、独法仕分けを担当する枝野大臣が行われております。

 渡辺行革担当大臣が苦労しながら、不十分ながらも到達した独法改革、整理合理化計画、その到達点をチャラにして、独法へのガバナンスをきかせる通則法の内容をすべて削除してしまう。しかも、一部の独法については、あたかも再国営化であるかのような、独法改革の流れに逆行するかのような発言も行われています。

 このような状況の中で、これから先、踏み込んだ内容の独法改革が現政権の手によって行われるという各閣僚の皆さんの答弁をにわかに信ずることができるでしょうか。

 現在、内閣委員会で審議が進んでいる国家公務員法の改正案、これについても同じように、公務員の身分保障のあり方の見直しや給与法改定のような公務員制度の抜本改革は、平成二十三年通常国会以降に先送りされてしまっています。

 これからやります、来年からやりますとの答弁では国民を説得することはできない、今必要なのは言葉ではなく具体的な行動だ、もはやそのような段階に立ち至っているのではないかと考えております。

 これが私たちが政府案への対案を提出したゆえんであり、あえて内容の乏しい法案にした政府案に反対、そして私たちの法案に賛成するゆえんであります。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) 重野安正君。

    〔重野安正君登壇〕

重野安正君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、内閣提出の独立行政法人通則法の一部を改正する法律案に対し賛成、自民、公明、みんなの党提出の同改正案に反対の立場から討論を行います。(拍手)

 今回の政府案は、財務基盤の適正化及び国の財政への寄与を図るため、業務の見直し等により不要となった財産の国庫納付等について所要の規定を定めるものであります。国家財政が厳しい中、国民負担の増加を抑えるためにも、いわゆる霞が関埋蔵金である特別会計や、独立行政法人、公益法人について、無理、無駄、むらを排する抜本的な見直しを行い、国の財政への寄与を図るべきであり、社民党とし、政府案に賛成するものであります。

 独立行政法人については、事実上、高級官僚の特権と化す天下りが内部の士気を低めるとともに、法人経営の自主性を阻害していること、総裁、理事長を初め役員への高額な報酬や退職金に対する国民の批判も根強くあります。あわせて、子会社やファミリー企業などの関連企業のあり方についても、不透明な随意契約による形だけの入札で高コストのファミリー企業が受託するシステムが温存されていること、親が多額の借金を抱えているのに、独占ビジネスで子や孫会社が巨額の利益を得ている構図など、問題が山積しており、入札、契約のあり方や、関係法人への天下りについてもしっかりと正していく必要があると考えます。

 こうした独立行政法人の実態を十分把握し、事業の意義や実績が乏しくなったもの、費用対効果の観点で大きな無駄を生むもの、類似の事業を行っているものについては、思い切ってメスを入れ、大胆に整理すべきは当然であります。各法人の事業、業務の内容が本当に国民のためになっているものか、政官業の癒着の温床となっていないのかなどについて、しっかりと見きわめた上で改革に取り組んでいく決意であります。

 他方、そもそも独立行政法人の行っている事業は、国みずからが主体となって直接実施しなければならないものではないものの、国民生活、社会経済の安定等の公共上の見地から、その確実な実施が必要とされる事業であります。

 見直しに当たっては、単に効率性、採算性の観点や、法人の組織形態、すなわち器の見直しにとどまるのではなく、中身である事務事業の内容及び実施手法、政策目的の徹底した見直しを行うことが大切です。その際、利用者及び現場の声を尊重し、社会的必要性や公共性の視点を重視し、廃止、民営化等を前提とした数合わせ、国民に対するサービスの切り捨てにならないように十分留意すべきであることは当然であります。

 また、改革を円滑に進めるためにも、独立行政法人で働く労働者の雇用問題についても万全を期すのは当然です。不要な事業は見直さなければなりませんが、同時に、今の時代に合った新たな国民のニーズにかなう事業への転換が求められております。国民生活、社会経済の安定等の公共上の見地から、その確実な実施が必要とされる事業の遂行にとってマイナスです。独立行政法人で働く労働者に対する横断的雇用保障制度の確立をあわせて求めたいと思います。

 最後に、野党案には幾つかの点で賛成できない点があることを申し添え、討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一、秋葉賢也君外四名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立少数。よって、本案は否決されました。

 次に、日程第二、内閣提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(横路孝弘君) この際、内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣長妻昭君。

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 労働者派遣制度につきましては、労働力の需給調整を図るための制度として創設されましたが、雇用の規制緩和という大義名分のもとに行き過ぎた規制緩和が行われた結果、日雇い派遣など社会的に問題のある形態が生じてしまいました。

 また、一昨年来の我が国の雇用情勢の急激な悪化に伴って社会問題化したいわゆる派遣切りにおいて、常時雇用する労働者でない方の労働者派遣についてはその雇用の不安定さが、製造業派遣についてはさらに技能の継承の問題が指摘されており、これらの問題に的確に対応した措置を講ずる必要があります。

 このため、常時雇用する労働者でない方の労働者派遣及び製造業派遣を原則として禁止する等、労働者派遣事業に係る制度の整備等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第でございます。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、派遣労働者の雇用の安定や保護を図るため、常時雇用する労働者でない方について、雇用の安定等の観点から問題が少ないいわゆる専門二十六業務への労働者派遣などの場合を除き、労働者派遣を行ってはならないこととしております。

 また、一昨年来のいわゆる派遣切りにおいて、製造業における派遣労働者の雇用の不安定さが問題になったことから、製造業務については、雇用の安定性が比較的高い常時雇用する労働者を派遣する場合を除き、労働者派遣を行ってはならないこととしております。

 第二に、雇用管理上問題のある派遣形態を禁止し、派遣労働者の雇用の安定や保護を図るため、日々または二カ月以内の期間を定めて雇用する労働者について、その適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務以外の業務については、労働者派遣を行ってはならないということとしております。

 第三に、派遣労働者の賃金等の待遇の確保を図るため、派遣元事業主は、派遣労働者の賃金等について、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡に配慮しなければならないこととするとともに、労働者派遣に関する料金の平均額と派遣労働者の賃金の平均額の差額が労働者派遣に関する料金の平均額に占める割合等の情報を提供することを義務化することとしております。

 第四に、違法派遣の是正に当たって、派遣労働者の希望を踏まえつつ雇用の安定が図られるようにするため、禁止業務に従事させた場合、無許可事業主等から派遣労働者を受け入れた場合、派遣可能期間の制限に違反した場合、常時雇用する労働者でない者を派遣労働者として受け入れた場合、またはいわゆる偽装請負の場合については、当該行為を行った時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込みをしたものとみなすこととしております。

 このほか、法律の題名を労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に改めるとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。

 最後に、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内において政令で定める日としておりますが、常時雇用する労働者でない方についての労働者派遣や製造業への労働者派遣の禁止については、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、常時雇用する労働者でない方についての労働者派遣のうち、雇用の安定に大きな支障がない等の一部業務については、その労働者派遣の禁止を、さらに二年を超えない範囲内において政令で定める日まで猶予することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 よろしくお願いをいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(横路孝弘君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。岡本英子さん。

    〔岡本英子君登壇〕

岡本英子君 民主党の岡本英子でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、鳩山総理並びに長妻厚生労働大臣に質問をいたします。(拍手)

 「働く命を守りたい。」施政方針演説で総理が述べられたこの言葉に、毎日必死に働いておられる労働者の方々は、どのような思いで耳を傾けられたのでしょうか。ようやく命ある人として見てもらえる、きっとそのように感じられた方も多いのではないでしょうか。

 前政権では、社会経済情勢の変化や働き方の多様化への対応といった聞こえのいい言葉とともに、規制緩和が行われてきました。人が生きるための原点とも言える雇用につきましても、また例外ではありませんでした。

 私たち民主党は、前政権が行った、行き過ぎた規制緩和を適正化し、雇用や生活の安定を図っていくことが最も重要であると考えております。

 労働者派遣制度の歴史を振り返ってみますと、昭和六十年に法律が制定をされました。当初は、常時雇用の代替のおそれが少ないと考えられる十三業務に限って認められておりましたが、対象業務は徐々に拡大の一途をたどり、平成十一年には原則自由化をされました。そして、平成十五年には製造業務への派遣も解禁をされたのです。

 このような、働く方々の命にも思いをはせない規制緩和が、一昨年のリーマン・ショックに端を発するいわゆる派遣切りを生む一因になったことは、もはや疑いようのないところであります。

 そこで、鳩山総理にお伺いをいたします。

 総理は、これまでの労働者派遣制度の規制緩和について、どのような認識をお持ちでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

 今回の労働者派遣法の改正案は、いわゆる登録型派遣の原則禁止、製造業務派遣の原則禁止など、これまでの前政権の規制緩和路線を百八十度転換し、規制を強化する内容となっています。

 また、派遣労働者の保護、雇用の安定を図るための措置が数多く盛り込まれており、法律の題名にも派遣労働者の保護を明記するなど、まさに政権が交代したからこそ、こうした法案が国会に提出できるのだと思います。

 総理は、施政方針演説において、労働をコストや効率で、あるいは生産過程の歯車としかとらえず、日本の高い技術力の継承をも損ないかねない派遣労働を抜本的に見直す決意を表明されました。

 そこで、総理にお伺いをいたします。

 総理は、今回の労働者派遣法の改正の意義をどのようにお考えでしょうか。お伺いをいたします。

 さて、一昨年のリーマンショックに端を発する派遣切りですが、製造業においては、約十四万人の方々が派遣切りに遭いました。これは、派遣切り全体の約九七%にも上る数であります。この数字を突きつけられたとき、製造業務派遣を全面的に解禁したことは間違っていたと私は思わざるを得ません。製造業は我が国の基幹産業であります。我が国経済への影響を考えても、また製造業における技能を継承していく観点からも、そこで働く方々の雇用の安定を図ることが重要であると考えます。

 そこで、長妻厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 今回の労働者派遣法の改正案では、製造業務派遣を原則として禁止することにしておりますが、その趣旨と具体的な内容について、改めて御説明いただきたいと思います。

 一昨年の派遣切りはその約九七%が製造業で起こったと申し上げました。では、問題は製造業務派遣だけなのでしょうか。派遣切りにおいては、派遣先との契約が打ち切られたとき、派遣元の事業主がかわりの派遣先を確保できないまま派遣労働者を解雇したり、雇いどめをしたりする例が多く見られました。こうした問題は何も製造業に限ったものではなく、派遣元での雇用が安定していない限り、どの業務でも起こり得る問題ではないかと思います。第二の派遣切りを起こさないためにも、雇用が不安定な形態での派遣は禁止すべきである、そのように考えます。

 そこで、長妻厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 今回の労働者派遣法の改正案において、いわゆる登録型派遣を原則として禁止することにしておりますが、その趣旨と具体的な内容について、改めて御説明をお願いいたします。

 派遣労働者にとっては、雇用の安定が図られるとともに、その待遇の改善を行うことが重要な視点であります。一般的に、派遣労働者の場合には、正社員に比べて年齢や経験年数に応じた賃金カーブの上昇が低く抑えられ、派遣先で同じような業務についている労働者と比べ、賃金などの待遇に格差が生じているという指摘も聞かれます。賃金などの労働条件は労使が合意して決めるものになっており、一概に評価できない面もあるかもしれませんが、少なくとも、同種の仕事についている場合に不当に賃金の格差があるのであれば、それは是正させていくべきであると思います。

 そこで、長妻厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 今回の労働者派遣法の改正により、派遣労働者の待遇の改善をどのように図っていくおつもりなのでしょうか。お答えください。

 労働者派遣の活用がふえ、すそ野が広がっていくにつれて、違法派遣を行う事業主もふえていると聞いております。実態としては派遣であるにもかかわらず、法の規制を逃れるために請負などと称して事業を行ういわゆる偽装請負が社会的な問題となったことは、記憶に新しいところです。

 違法派遣を行う事業主がふえれば、まじめに事業を行っている事業主が迷惑をこうむります。そして、何よりも、派遣労働者の方々が安心して働くことができなくなるわけです。増加する違法派遣に対しましては、迅速に、そして厳しく対応していくことがまさに急務であると思います。

 そこで、長妻厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 増加する違法派遣に対して、今回の労働者派遣法の改正により、どのように対処していくおつもりなのでしょうか、御説明をお願いしたいと思います。

 労働者派遣については、民間のみならず、国や地方自治体においても多数受け入れていると聞いております。公的な機関である国や地方自治体において、違法派遣はあってはならないと思います。違法派遣の対処として、今回、派遣の受け入れ先である民間には厳しい措置である労働契約の申し込みみなし制度を創設することとしました。

 一方、国や地方自治体が職員を採用する場合には、労働契約を締結するのではなく任用行為を行うこととするため、この労働契約の申し込みみなし制度をそのまま適用することはできないと考えます。しかしながら、違法派遣に当たっては、受け入れ先が国や地方自治体であっても、派遣労働者に対しては民間と同様の保護を与えていく必要があると考えます。

 そこで、長妻厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 違法派遣の対処として、国や地方自治体の場合にあっても、民間に適用される労働契約の申し込みみなし制度で講じられる派遣労働者の保護と同様の措置を講じていく必要があると思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。

 今回の労働者派遣法の改正案については、いわゆる登録型派遣の原則禁止、製造業務派遣の原則禁止など規制を強化することで、派遣制度を臨時的、一時的な労働力のニーズに対応するために活用してきた企業からは、必要なときに人を集めることができなくなるのではないかといった声も聞かれています。また、派遣労働者にとっても、これまで認められていた製造業務派遣等が禁止されることにより、雇用の選択肢が狭まるのではないかという意見も聞かれるところです。

 そこで、最後に、長妻厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 今回の労働者派遣法の改正によって、いわゆる登録型派遣などが禁止された後、仕事を求める方々のニーズと迅速に人員を確保したい企業のニーズは、どのように結びつけていくのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

 今回の労働者派遣法の改正案は、労使が厳しい議論を重ねながら、本当にぎりぎりのところで合意がなされたものと聞いております。企業には企業の、労働者には労働者の立場があっても、派遣労働者の保護、雇用の安定を図っていくべきであるという思いは共通していたからこそ、今回の改正案が実を結んだものだと思います。今回の労働者派遣法の改正は、派遣という働き方をより安定した雇用形態としていくための大切な第一歩であると考えます。私は、改めてその意義を強調しておきたいと思います。

 働く命を守る、私たち民主党に向けられた国民の皆様の期待にこたえるために、今回の労働者派遣法の改正も含めて、労働者の保護、雇用の安定に全力で取り組んでいただくよう、総理並びに長妻厚生労働大臣にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 岡本議員にお答えをいたします。

 まず、労働者派遣制度の規制緩和に対する認識についてのお尋ねがございました。

 岡本議員の御指摘のとおりでございまして、これまでの雇用に関する規制緩和はまさに行き過ぎたものでございます。特に、製造業務派遣については、行き過ぎた規制緩和の結果、ふえた派遣労働者が、例えばリーマン・ショックなどによって大量に解雇されてしまう、いわゆる派遣切りというものが多発をして、結果として、働く方々の命が軽んじられてしまうということになってしまったわけでございます。

 さらに申し上げれば、日本の高い技術力、こういった伝承を損ないかねない大変な問題が生じたと私どもは認識をいたしたところでございます。

 したがいまして、行き過ぎた規制緩和を適正化して、労働者の生活の安定を図ることが大変重要であるという考えのもとで、政権交代の結果、今回の改正が行われたことになりましたわけであります。

 以上でございます。

 二番目、今回の労働者派遣法の改正の意義についてのお尋ねもございました。

 今回の改正は、一昨年秋のいわゆる派遣切りを招いたことへの反省を踏まえて、行き過ぎた規制緩和をまず修正するということが第一の目的でございます。一方では、しかしながら、多様な働き方の選択肢というものは大事にしていかなければならないということで、派遣労働者の保護の強化を図るものでもございます。

 その意味において、登録型派遣の原則禁止、さらには製造業務派遣の原則禁止など、労働者の保護のための今までにない内容が盛り込まれておるわけでございまして、労働者派遣法の抜本改正と言えるものだと信じております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。

 ありがとうございます。(拍手)

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) 岡本議員の質問にお答えをいたします。

 まず、製造業派遣の原則禁止の趣旨及び具体的な内容についてお尋ねがありました。

 一昨年の秋以降、派遣先が派遣元との契約を途中で解除する、いわゆる派遣切りが多発し、派遣労働者の雇用の不安定さが指摘されました。

 私も、ことしのお正月、鳩山総理と一緒に、公設一時宿泊所にお邪魔をいたしまして、一昨年の秋、特に派遣、切られた若者が家を失ったということで、多くの方とお話をし、その事情をお聞きしたところでございます。

 特に、製造業務派遣において、派遣労働者の雇用の不安定さが顕著にあらわれました。また、製造業務に派遣労働者を使うことについて、製造業の技能伝承の観点からも問題があることも指摘をされております。このため、製造業派遣を原則禁止にしたわけであります。

 ただし、派遣元事業主に常時雇用されている労働者、すなわち、一年を超える雇用の見込みがあれば、比較的雇用が安定していると考えられます。このため、常時雇用される労働者については、原則禁止の例外としております。

 次に、登録型派遣の原則禁止についてお尋ねがございました。

 これも、一昨年の秋以降、派遣先が派遣元との契約を途中で解除する派遣切りが多発して、特にこの登録型派遣というのは、仕事があるときだけ雇用される、こういう形態の派遣でございます。私どもは、これも禁止をすべきと意見が出されましたので、今回、原則禁止を盛り込んでおります。

 他方、いわゆる派遣切り問題は、今般の経済危機の状況下で起こった問題でありますが、派遣元事業主に常時雇用されている労働者であれば、平時においては比較的雇用が安定しているものと考えられます。

 このため、今回の改正法案においては、これら常時雇用される労働者以外の派遣を原則として禁止することとし、派遣労働者の雇用の保護を図ることとするものでございます。

 次に、派遣労働者の待遇の改善についてお尋ねがありました。

 改正法案では、第一に、派遣労働者の賃金等の決定に当たり、派遣先の労働者との均衡を考慮する配慮義務を派遣元事業主に課しております。これにより、派遣労働者の賃金あるいは福利厚生、教育訓練の改善を進めてまいります。

 第二に、派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合、いわゆるマージン率と呼んでおりますけれども、この情報公開や派遣料金の額を本人に明示する義務をこの法案で課しております。これにより、派遣労働者がよりよい待遇の事業所を選択することができるようになります。

 こうした取り組みを通じて、派遣労働者の待遇の改善を図ってまいります。

 次に、違法派遣への対処についてお尋ねがございました。

 今回の改正案には、次のような内容が含まれております。

 まず第一に、派遣先に対し、違法派遣の場合、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす制度を創設することとしております。

 第二に、法違反を繰り返すなど悪質な派遣先に対し、これまでは、まず指導助言を行うこととしていましたが、今後は、即座に、より強力な勧告、公表を行えるようにします。

 第三に、許可を取り消された派遣元事業所の役員については、派遣事業の許可を与えないこととし、違法派遣を繰り返す者を派遣事業から排除することとしております。

 こうした取り組みを通じて、違法派遣に迅速に厳しく対処してまいります。

 次に、国と地方自治体の違法派遣を受け入れた場合の労働契約の申し込みみなし制度の適用についてお尋ねがありました。

 違法派遣を受け入れた派遣先が国あるいは地方自治体である場合であっても、派遣労働者の派遣先での直接雇用を図るという労働契約申し込みみなし制度と同様の措置となります。

 最後に、法改正後の仕事を求める方々と企業のニーズを結びつけることについてお尋ねがございました。

 派遣法が改正されても、常時雇用する労働者を派遣する事業や短期雇用の労働者を職業紹介する事業は禁止されておりませんので、これによりニーズを結びつけていくことになると考えております。

 今回の改正により、労働者が職を失うことや、人材が確保できないために企業の事業運営に支障を来すことのないよう、対処してまいります。

 以上、よろしくお願いいたします。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 棚橋泰文君。

    〔棚橋泰文君登壇〕

棚橋泰文君 自由民主党の棚橋泰文です。

 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、いわゆる労働者派遣事業法等を改正する法律案について、内閣総理大臣鳩山由紀夫さんに質問いたします。(拍手)

 なお、私は、みずからの言葉で質問いたしますので、鳩山さんにおかれましても、現場を知らない官僚の作文の棒読みではなく、みずからの言葉で答弁するよう、お願いいたします。

 また、いつものことですが、鳩山さんの答弁が不明確、意味をなさない場合には、再質問、再々質問をすることをあらかじめ申し上げます。

 鳩山さん、一昨日、衆議院の厚生労働委員会において、国民の負担増を内容とする国民保険法等の一部を改正する法律案の強行採決が行われ、昨日の衆議院本会議で可決されました。

 鳩山さん、あなたや、本来中立公正な立場である横路議長が、選挙対策しか頭にない小沢一郎さんのロボットであることは周知の事実ですが、子ども手当法案以外にも、この国会において、あなたは、さらに何回強行採決を繰り返すおつもりですか。あなたが与党の最高責任者であるならば、お答えください。

 さて、鳩山さん、派遣という立場で一生懸命働いている方々の職を守り、待遇を向上させることが、この労働者派遣事業法等を改正する法律案によって本当に実現するのでしょうか。

 まず最初に、この法案が成立した場合には、派遣労働者の方々の職が減ることもなければ待遇が下がることもないということを、内閣の責任において明言してください。できなければ、法案の撤回を求めます。

 サラリーマンの平均年収は一千万円という感覚の鳩山さんには理解できないでしょうが、現実の経済を見れば、多くの中小企業や零細事業主の方々を初め国民は、民主党政権下で、日本経済の先行きに多くの不安を感じています。

 その根源は、そもそも税収より国債発行額が多いという予算を強行に成立させ、中でも、子ども手当という名目で、参議院選挙目当てに、年度ベースで二兆七千億円ものばらまきを行う法案を強行採決により成立させた鳩山政権の友愛政策です。

 この子ども手当は、日本にいる日本人の子供でも、親が海外に単身赴任している場合には支給されない、一方、日本にいる外国人の海外にいる子供には、それが何十人いようと、必要な書類さえ提出すれば、子供一人当たり毎月一万三千円が日本国民の税金から支出されるという、ずさんきわまりない制度であり、日本国民をカモにするものです。

 この子ども手当について、恒久的財源をどのように確保していくのか、お答えください。また、不正受給や不適切受給が起きないよう、自治体任せではなく、国自身がどのような行動を行うのか、具体的にお示しください。

 このようなばらまき政策により、仙谷大臣ですら、どなたが見てもこの国が続くのかと不安心理を醸し出すのは間違いないと言っているとおり、この国の先行きに皆が不安を感じています。この状況下で規制を強化すれば、現実に何が起こるのでしょうか。法案の問題点を指摘いたします。

 まず、登録型派遣事業を原則として禁止することによって、特に製造業においては、中小企業や零細事業主が廃業に追い込まれる、あるいは大企業も含め、物づくりの現場が海外へ移転してしまうのではないか。お答えください。

 そして、登録型派遣で働いている、製造業を初めとする四十四万人と推定される労働者が失業することにならないのか。あるいは、いわゆる偽装請負などの形で、さらに不利な条件での仕事しかなくなるのではないでしょうか。これらの心配がないというのであれば、具体的根拠をお示しください。

 第二に、この登録型派遣事業の原則禁止によって、禁止対象となる四十四万人の派遣労働者のうち、何人の方が正社員になり、何人の方が常時雇用される派遣労働者になるのでしょうか。

 この改正案を出すに当たっては、当然のことながら厳密なシミュレーションを行っているはずでしょうから、シミュレーションの内容と前提を示した上で、具体的人数をお示しください。

 もし具体的人数がお示しできないというのであれば、四十四万人の禁止対象となる登録型派遣事業で働く方々の多くが失業することを鳩山内閣も認めているとしか言えませんので、当然、そのようなずさんな法案は撤回すべきです。

 第三に、この法律の登録型派遣の原則禁止の施行は公布の日から三年以内とされていますが、どのような状況が整えば実施するのでしょうか。

 第四に、労働需給も含め、今後の日本経済を、鳩山内閣は、内閣としてどのように運営していくのでしょうか。

 私は、労働条件の改善にも、安定した雇用の確保にも、経済の成長が先決だと考えています。鳩山政権下では、今後、GDPが名目で三%、実質で二%成長するとの主張がなされていますが、その具体的根拠も含め、今後の経済成長及び労働需給について明確にお答えください。

 とりわけ、名目成長率が実質成長率よりも一%高い、すなわち、デフレを脱却して物価上昇率がプラス約一%ということですから、鳩山政権が、いつまでに、どのようにしてこの状態に誘導するのか、これを明らかにしてください。

 鳩山政権、友愛というキャッチフレーズに象徴されるように、口先だけの政権であることは周知の事実ですが、同時に、現実の社会の実態にはお構いなし、書類さえ出せばいい、あとは自治体に責任転嫁をする、そういう政権です。外国居住の外国人の子供への子ども手当の不正受給についても、自治体に通知すれば責任を果たしたとしていることが何よりの証拠です。しかも、鳩山内閣の自治体への通知の内容は、書類が整っているかだけ、実態を調査することは念頭にすらない、そういう内容です。

 派遣法も同じ。まさに、鳩山政権は、官から民へではなくて、官僚丸投げ政権です。

 鳩山さんにお尋ねいたしますが、子ども手当や派遣法関係の通知は、内閣の責任において出されていると理解してよろしいのですね。お答えください。

 経済を支えるのは、一人一人の国民です。民主党政権がその場しのぎの甘い政策でだまそうとしても、国民は、そのうそをすぐに見抜きます。これでは、日本経済の再建に国民の協力を得ることはできません。

 派遣労働の問題解決のためには、社会全体の協力と民間部門の成長が不可欠です。そのためにも、子供をだしにした無分別なばらまき政策により国民、特に子供たちが近い将来の大増税で苦しむようなことをやめるべきです。国民の将来への不安を解消し、経済成長のために政府としてできることをする、このことが先決です。

 以上に対し、鳩山さんの答弁が不明確であったり相変わらず意味をなさない場合には、再質問、再々質問を行わせていただきますことを申し上げて、私の質問にさせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 棚橋議員にお答えをいたします。

 まず、今国会の採決に関する御質問がございました。

 国会は、理事会、委員会、本会議、それぞれ、理事、委員長、また議長の采配のもとに、各党各会派によって運営されるものだと承知をしております。したがいまして、政府として、その運営に干渉し、あるいは口出しをすることは、控えるべきものだと考えております。

 したがって、強行採決に関するお尋ねがありましたが、法案、議案の審議、採決につきましては、どうぞ国会で御議論、御決定いただきたいと存じております。

 それから、改正法案による派遣労働者の雇用及び待遇の影響についての御質問がまずありました。

 労働者派遣法の改正によって直ちに労働力の需要がなくなるわけではないが、労働者の雇用への影響というものが生じないよう、改正法案では、政府が職業紹介などの充実その他必要な措置を講ずるように努めるとしているわけでございます。

 また、改正法案では、派遣労働者の賃金などの決定に当たって、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮することとしておりまして、待遇の改善が図れるものだ、そのように私どもは認識をしております。

 子ども手当に関してお尋ねがございました。

 この財源についてということでございますが、平成二十三年度以降の子ども手当の財源については、予算編成過程において改めて検討していくことにしておるわけでありまして、基本的には、私どもは、マニフェストどおりに実施をしたい、そのように考えておりまして、その財源の確保のためには、より一層の、今まで以上の歳出の削減あるいは予算の見直しが徹底して行われなければならないということでございまして、枝野大臣の指導のもとで、その方向で、今、徹底して取り組んでいるところでもございます。

 子ども手当の不正受給などの防止についてのお尋ねがございました。

 子ども手当法の施行に当たっては、地方公共団体に適正な認定を期するようお願いするとともに、特に外国人の子供さん方が海外に居住する場合については、支給要件の確認の厳格化を図るために、いわゆる監護ということでありますが、少なくとも年に二回以上は子供との面会が行われていることを確認するなどを内容とする通知を発出しているところでございます。

 さらに、国としては、地方公共団体からの相談窓口を設けるとともに、不正などに関する情報を収集して提供するなどの取り組みを行うことにしております。

 また、子ども手当がその趣旨にのっとって適切に使用されるよう、広報を努めるように考えているところでございます。

 それから、登録型派遣の原則禁止に伴う、例えば中小零細企業の廃業、企業の海外移転あるいは労働者の失業などへの懸念についてのお尋ねがございました。

 登録型派遣が原則禁止されても、禁止の対象とならないいわゆる常時雇用の労働者を派遣元がふやし、派遣労働者を受け入れる中小零細企業へのニーズにこたえることで、企業の事業運営に支障を来すことにはならない、そのように私どもは考えております。

 また、物づくりを支える製造業務への労働者派遣の禁止についても、派遣先による直接雇用や、あるいは禁止の例外とされている派遣元における常時雇用される労働者への転換により、対応が可能だと考えております。

 また、製造業においては、雇用者が一千万人おられるわけでありますが、そのうちの規制の対象が約二十万人にとどまることで、製造業務派遣の原則禁止のみをもって企業が生産拠点を例えば海外に移転するということにはならないと認識をしております。

 今回の改正によって労働者が職を失うというようなことが決してあってはならない、そのように考えております。このために、雇用に与える影響の大きい、例えば登録型派遣やあるいは製造業務派遣の原則禁止については、施行日を三年後に設定し、その間に常時雇用型の派遣事業や短期雇用の職業紹介事業の普及を図ろうということにしているところでございます。

 それから、登録型派遣の禁止による効果についてのお尋ねがございました。

 御指摘の四十四万人ほどの方々のうち何人の方が正社員や常時雇用の派遣労働者になれるかは、その時々の景気あるいは雇用情勢にもよるため、十分には、当然、正確な値としてはまだ出しているわけではありません。しかしながら、派遣先に存在する労働力需要がなくなるわけではありません。したがって、安定的な雇用に移行されることが期待をされるわけでございます。

 このため、派遣労働者を直接雇用する事業主に対する助成制度の活用などによって、派遣労働者の安定雇用に向けた環境整備に努める所存でございます。

 それから、登録型派遣の原則禁止の施行時期についてのお尋ねがございました。

 法改正によって労働者が職を失うことがないように、改正法案におきましては、登録型派遣の原則禁止の施行日は三年以内の政令で定める日に設定をし、その間に、先ほど申し上げましたように、常時雇用型の派遣事業やあるいは短期雇用の職業紹介の普及を図ることとしているわけでございます。

 また、法案が成立をした後、実態調査を行った上で、労働政策審議会で審議をし、登録型派遣のうち、比較的問題が少なく労働者のニーズもある業務につきましては、さらに二年後までの政令で定める日までの間、禁止の適用を猶予することといたしているわけでございます。

 それから、日本経済と労働需給の運営についての御質問がございました。

 景気は着実に持ち直してきている、そのような認識ではございますが、しかしながら、まだまだ、自律性には乏しい、失業率が高水準にあることは、御案内のとおりでございます。基本的には、まだ厳しい状況から抜け出してはいないということでございます。

 したがいまして、政府は、こうした状況に対処するために、まずは緊急経済対策を打ったわけでありますが、平成二十二年度予算に盛り込まれた諸施策を一体として切れ目なく推進することによって、雇用を下支えすると同時に、景気回復への道筋を確かなものにしてまいりたいと考えております。

 中長期的に申し上げれば、新成長戦略というものをつくることになっておりまして、この推進を通じて成長のフロンティアをさらに拡大する、例えばアジアにまで拡大をしていくというようなことで、新たな需要と雇用を創造していくことにしております。

 また、現在、新成長戦略の枠組みの中で雇用・人材戦略を策定しているところでございまして、若者、女性、さらには高齢者の方々などの労働市場への参加や人材育成などの課題にも取り組んでまいりたいと考えております。

 それから、GDPの成長率の積算根拠についてのお尋ねがございました。

 新成長戦略の基本方針においては、環境や健康分野などにおいて我が国の強みを発揮するということが大事でありますが、すなわち、観光あるいはアジアとの連携強化、こういったものを通じてフロンティアを開拓する、さらに、これらを支える基盤としての科学技術や人材の強化を柱としているところでございます。

 これによりまして、中長期的には、他の先進国と同程度の経済成長をすることが可能ではないか。すなわち、二〇二〇年までに平均で名目三%、実質で二%を上回る成長を達成することは十分可能な目標だと考えております。

 この目標というのは、見通しというよりは、そのような目標に向けて政策を確実に実行していくという、私どもの政権の、政府の決意を表明したものであるということを御理解願いたいと存じます。

 デフレの脱却、物価上昇率の実現についてのお尋ねがございました。

 GDP名目三%、実質二%成長は、見通しというよりは、今申し上げましたように、そのような目標に向けての政策を確実に実行していくという決意を表明したものでございます。

 そのためにも、政府としては、二十二年度予算の円滑な執行と、新成長戦略、これを確実に推進していくことが大変重要であると考えておりますし、さらに、当面の最重要課題でありますデフレの克服に向けては、早期のプラスの物価上昇率実現に向けて、日銀と一体となって、できるだけ早い時期にそのような実現に向けて取り組むこととしているわけでございます。

 最後に、子ども手当、さらには派遣法関係の通知についてのお尋ねがありました。

 御指摘の通知は、それぞれの法律を踏まえ、その運用に関して、内閣の一員であります厚生労働大臣の権限に基づいて、担当部局長などが責任を持って発出しているものでございます。

 以上であります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 棚橋泰文君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。棚橋泰文君。

    〔棚橋泰文君登壇〕

棚橋泰文君 再質問いたします。

 私の質問に、内閣総理大臣鳩山由紀夫さんはほとんど答えておりません。

 もう一度質問いたします。

 まず、与党の最高責任者であるならば、強行採決について、今後何回するつもりなのか、お答えください。

 国会で十分に審議がなされたと言いますが、あなたの隣に座っている長妻さんなんかは、官僚よりもすごい官僚答弁で、空疎な答えばかりを並べています。もう一度お答えください。

 二つ目に、マニフェストどおり実現し、子ども手当については財源をこれから探していくという話でしたが、そもそも国民は、民主党のマニフェスト、これ自体を仕分けしてくれと思っているんですよ。後世にツケを残すような後回し、いいかげんな財源でばらまきはやめてください。

 三番目に、地方公共団体に頼んだから子ども手当の不正受給、不適切受給はないと言いますが、何で地方公共団体に全部押しつけるんですか。年二回の親子の面会、保護者、生計監護要件を持っている者との面会は、どうやってチェックするんですか。パスポートの出入国記録だけでわかるんですか。お答えください。

 さらに、職業紹介関係の分野を強化すれば四十四万人の雇用が守れると言われましたが、そもそも雇用のパイが広がらないのに、果たして守れるのでしょうか。もう一度お答えください。

 さらには、正社員、常時雇用される社員に、四十四万人の、禁止される、常時雇用される立場にない派遣労働者が移行することを期待したいと言われましたが、期待で物事を言われては困ります。確実な根拠をお示しください。

 さらに、景気は着実に持ち直してきていると総理は、鳩山さんはお答えになりましたが、本当に持ち直してきていると思っているんでしょうか。もう一度その点について、なぜ実質GDP二%、名目三%、これが実現できるのか、全く具体的なお答えがありませんでしたので、お答えください。

 さらに、デフレに関しては、日銀と協力してデフレが解消されることを期待したいというようなことをおっしゃいましたが、あなたの期待したいで世の中がよくなるはずはないんです。どうかその点もお答えください。

 さらに、経済成長に関しては、新成長戦略で我が国の強みを生かす、特に科学技術をと総理はおっしゃいましたが、科学技術が世界一でなきゃいけないんですかと言ったのは民主党なんです。本当に科学技術に力を入れるつもりはあるのか。三%、二%のそれぞれ名目、実質経済成長がなされるのかお答えをいただき、不十分であれば再々質問いたします。

 以上です。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 棚橋議員の再質問にお答えいたします。

 大体すべてお答えをしたはずだと理解しておりますが、改めてお答えをいたします。

 まず、今国会の強行採決に関するお尋ねがありましたが、前回、最初の御質問の中で、横路議長は小沢幹事長のロボットであるなどという発言は大変失礼ではないか、私はそのように申し上げたい。そして、採決につきましては、国会で十分御議論いただいて、決定していただければいい話でございます。

 子ども手当の財源については、先ほど申し上げましたとおりでありまして、マニフェストどおりに基本的には行いたい。そのためには、当然、財源は今まで以上に必要だということで、より一層の歳出削減に努力をするということは、言うまでもない話でございます。

 また、子ども手当の不正受給などの防止についてのお尋ねの中で、少なくとも年二回以上は子供と面会が行われていることを確認するということを申し上げたわけでありますが、これは、パスポートとかあるいは航空チケットなどで自治体が確認をすることが十分にできる、私どもは、そのように考えております。

 なお、この不正受給に関しては、これだけではありませんで、例えば、おおむね四カ月に一度の継続的な送金が行われているかというようなこととか、あるいは来日前の同居をされていたかどうか、あるいは実質を備えないと疑われる事案への厳正な対応、こういったこともあわせてしっかりと見てまいりたいと考えております。

 それから、改正法案による派遣労働者の雇用及び待遇への影響についてでございますが、これも先ほど申し上げたわけでありますが、派遣法の改正によって、直ちに労働力需要がなくなるわけではありません。したがって、労働者の雇用への影響というものは基本的には生じないものだと認識しているわけでありますが、改正法案では、政府が職業紹介などの充実など必要な措置を講ずるように努めたいと考えております。

 それから、登録型の派遣の禁止による効果でありますが、これは、先ほども申し上げましたように、まだ、景気、雇用情勢というものによって当然変動があるというわけでございますので、何人の方が正社員である、あるいは常時雇用がどのぐらいになるかというようなことは不明であるということでございます。しかしながら、派遣先に存在する労働力需要がこのことによってなくなるわけではないわけでありますから、安定的な雇用に移行されることが期待をされるわけであります。

 このために、派遣労働者を直接雇用する事業主に対して、助成事業、助成制度などの活用によって、派遣労働者の安定雇用に向けた環境整備に努めてまいりたいと考えております。

 それから、登録型派遣の原則禁止の施行時期についてのお尋ねでございます。

 このことに関しても、前回申し上げたとおりでございまして、まず、登録型派遣の原則禁止の施行日は三年以内の政令で定める日に設定をするということでございますが、その間に、常時雇用型の派遣事業あるいは短期雇用の職業紹介事業の普及を図る、こういうために三年間の期間をとるということにいたしているわけでございますが、さらに二年間、法案成立後に実態調査を行った上で、労政審で審議をしていただいて、登録型派遣のうち比較的問題が少ないと思われているような労働者のニーズもある業務について、二年後まで猶予できる、すなわち最高五年まで禁止の猶予ということを考えているわけでございます。

 また、経済と労働需給の運営については、先ほどもお尋ねに対して私どもの考えを述べたところでございますが、その中で、特に科学技術や人材の強化を一つの柱としております。

 別に私どもは、科学技術というものをおろそかにしたいなどということは決して申し上げているわけではありません。やはり、資源の少ない日本において、科学及び技術というものを積極的に活用する、知恵というものを活用することは、大変日本にとって重要であろうかと思っておりまして、私どもは、新成長戦略の柱の一つとして考えているということを再度申し上げておきたいと思います。

 以上であります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 棚橋泰文君からさらに再質疑の申し出がありますから、これを許します。棚橋泰文君。

    〔棚橋泰文君登壇〕

棚橋泰文君 再々質問いたします。

 理解能力と答弁能力のない総理大臣を持つと、野党の議員も、議場内交渉係も、大変苦労いたします。

 鳩山さんは、すべてお答えしたとの話ですが、まず第一に、横路議長の強引な国会運営がまさに小沢さんのロボットであることは、皆がわかっていることではないでしょうか。再度お答えください。

 なお、鳩山さんは大変正直なところがあるなと思って拝聴しておりましたのは、御自身が小沢さんのロボットと言われたことに関しては一切反論なさらない。この点は、御正直であることを私も認めます。

 子ども手当の財源について、恒久的財源に関しては仕分け等で努力をしているという趣旨の御答弁がありましたが、具体的にどうやって年度ベースで二兆七千億円、あるいは満額出せば五兆四千億円のお金が出るんですか。こんなもの、将来の大増税でしょう。それがわかっているからみんなお金を使わなくて、景気がよくならない。だから雇用が失われるんです。もう一度、具体的にお答えください。

 三番目に、不正受給に関しては、年二回の面接、パスポート等を調べればわかると言いましたが、パスポートに子供に会ったと書いてあるんですか。あなた方はそうやって、すぐ書類、形式さえ整えばいいと思っておりますが、世の中はそんなに甘いものじゃありません。間違いなく、鳩山友愛政策で国民の税金がカモにされます。

 もう一度、この点についても、実態として必ず年二回面会しているのか、これを国が、しかも、最後は自治体が悪いという言い方ではなく、どうやって確認するのか、御答弁ください。

 四番目に伺います。

 派遣法改正によっても一遍に経済が変わるわけではないから四十四万人の方の職は失われないという趣旨の御答弁がありましたが、このような法改正と、このような、後世に借金を残すというよりも、仙谷大臣ですらこの国の将来が不安だと言われるような財政の中で、まともな経営者であれば、残念なことに、できるだけ人を雇わずに、忙しい時期においても常用雇用者か常時雇用される派遣労働者の方の残業で対応するのが普通ではありませんか。これは全くお答えになっておりませんので、再度お答えください。

 経済の成長についてお答えがございませんでした。

 どうやったらGDPが名目で三%、実質で二%、デフレが約一%、こういう状況に持っていけるんでしょうか。この点についてお答えいただきたい。と同時に、鳩山さんみずからが言っていましたが、これからの景気の状況がわからないからこの法律がどうなるかわからないと言いましたが、そのような無責任な態度はやめてください。

 六番目に、登録型派遣事業に関して、この施行時期を三年以内に決めるけれども、景気情勢が悪ければさらに二年延ばすというお話がありましたが、本当に四十四万人の方が、二年延ばして五年は禁止されないのでしょうか。

議長(横路孝弘君) 棚橋泰文君、申し合わせの時間が過ぎましたから、簡単に願います。

棚橋泰文君(続) この法律を明快に読めば、二年延ばせる方は、今回禁止対象となる三年以内の施行の四十四万人の推定とされる方々の一部であるはずです。どうも鳩山さんは法律すら理解していないようですから、その点についてもお答えください。

 以上で再々質問とさせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 棚橋議員の再々質問に対してお答えを申し上げます。

 まず、強行採決のお話がございました。

 私は、横路議長が決して強引な議会運営をしているとは思っておりません。適正な国会の中での皆さん方の審議の結果の採決をされたわけでございまして、まさに、採決に関しては、何度も申し上げておりますように、国会で議論してお決めいただくべきものでありまして、それに基づいて横路議長が判断されたと理解をしております。

 子ども手当の財源に関してのお尋ねがございました。

 平成二十三年度以降の子ども手当に関しては、まだ子ども手当をどの額にするかということを最終的にも決めていない状況でありますが、私どもとしては、基本としてはマニフェストどおりに実施をしたいと再三申し上げているところでございます。そのときには、当然ではありますが、今まで以上に徹底した歳出の削減を行ったり、あるいは予算全体を見直していくという必要が出てくるだろう、そのように思っております。

 まずはマニフェストどおりに実施したいという子ども手当でございますが、平成二十三年度は、まだ結論は出していないことも御案内の中で御質問いただいていると思っておりまして、それに対して、私としては、真摯にお答えを申し上げているつもりでございます。

 それから、子ども手当の不正受給に対して、パスポートのお話がございました。

 私どもは、ただ単に、この子ども手当の、例えば海外にお住まいの外国人の方の子ども手当の支給に関しては、監護の問題で、少なくとも年二回以上の子供との面会が行われていることとして、これをパスポートにより確認するということ、これは、当然、それぞれの自治体で行うことができようかと思っておりますが、それだけと限らないと先ほど申し上げておるわけであります。

 例えば、親と子供の間で、生活費あるいは学資金などの送金がおおむね四カ月に一度は継続的に行われていることを銀行の送金通知などによって確認することも考えているところでもございますし、さらには、勤務などの別居の事由が消滅したときは再び起居をともにすることが必要であるという取り扱いを徹底して、来日前は親と子供が同居していたことを居住証明書などによって確認をする。

 さまざまな手だてによりまして、このような不正受給をできるだけ起こさないように考えているということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、経済のお話がございました。

 私どもは、くどいようですが、新成長戦略というものをこれからしっかりと夏に向けてつくり上げてまいりたいと考えております。

 この新成長戦略、言うまでもありませんが、環境あるいは健康、そういった側面というものを重視しながら、さらには、アジアを一つの内需と考えていくような形で成長戦略をつくり上げてまいりたいと考えておりまして、経済成長率というものを、GDP名目三%、実質二%成長は、くどいようですが、これは目標でありまして、海外においては十分に達成されている成長率だという理解のもとで、当然、日本としても、これだけの努力をする中で、新成長戦略を行うことによってGDPを成長させることができる、そのように考えておるわけでありまして、すなわち、決意を表明したものであるということを再三申し上げているところであります。

 以上であります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 古屋範子君。

    〔古屋範子君登壇〕

古屋範子君 公明党の古屋範子でございます。

 私は、公明党を代表し、ただいま趣旨の説明がありました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について、鳩山総理大臣並びに長妻厚生労働大臣に質問いたします。(拍手)

 まず初めに、今回提出された法律案の国会提出に当たり、公労使の三者によって構成される労働政策審議会のぎりぎりの調整による答申の内容に対し、事前面接の解禁について、見送ることとする修正がなされました。

 与党内融和を優先して、社民党からの修正を突如受け入れた政略には、経済界、労働界の双方から反発の声が上がっております。労働政策審議会より異例の大臣に対する抗議の意見書が出されるなど、余りにも乱暴な対応としか言いようがありません。議論に議論を重ね、三者で調整した結果を軽視する、これが鳩山政権の政治主導なのでしょうか。

 国民に見える形で政治を変えると政治主導を看板に掲げた鳩山政権ですが、実際に国民が見せつけられたのは、重要政策課題での内閣不一致の混乱ばかりであります。もはや、鳩山政権は機能不全に陥っているのではありませんか。

 長妻厚生労働大臣は重く受けとめますとおっしゃいましたが、特に労働法制については、非常に繊細な議論が求められるものであり、今後このようなことがないよう、強く求めたいと思います。

 初めに、鳩山総理に、労働政策審議会答申への対応について御見解を伺います。

 今回の改正案は、いわゆる派遣切りの多発など、派遣労働者の不安定な雇用への対応、また、キャリアアップの機会が少なく、待遇の改善を図る必要性がその背景にあると考えます。

 しかし、今回の改正案でこのような課題が改善されるのか、疑問な点も多く感じます。

 今回の改正案では、登録型派遣の原則禁止、製造業務派遣の原則禁止、日雇い派遣の原則禁止、グループ企業内派遣の八割規制など、事業規制の強化が盛り込まれております。

 私たち公明党も、今までの規制改革の流れをいま一度検証し、見直すべきは見直し、保護すべきは保護するとの姿勢を示し、最も不安定な日雇い派遣の原則禁止については、いち早く訴え、形にしてまいりました。しかし、製造業務派遣、登録型派遣の原則禁止については、中小企業経営の人材活用の圧迫や悪質な労働環境へ移行するのではないかなどの疑義があり、慎重な検討を進めてまいりました。

 目的は労働者保護であることを考えたときに、今回の改正により雇用を失う結果となっては、労働者を苦しめる結果につながるだけであります。また、事業規制の強化により、より不安定な雇用形態へと移行することが起きては、何ら問題解決とはなりません。

 今回の事業規制の強化で、どれだけの雇用喪失が起きるとお考えなのか、また、どのような労働移動がなされると考えておられるのか、厚生労働大臣の責任ある答弁を求めます。

 一方、このデフレ下で事業規制の強化をすることは企業の海外移転を促すことになるのではないかとの危惧がされており、労働者を保護するとともに、需要も喚起する方向での改革の視点も重要であります。しかし、需要の喚起への対策が何ら見えておりません。

 また、事業規制の強化で最も打撃を受けるのは中小企業であります。事業規制の強化を行うのであれば、労働者派遣事業等を利用してきた中小企業の労働力の確保を支援する措置も講ずる必要があります。

 中小企業が転業や廃業を余儀なくされたり、今いる正社員への残業の増加が起きてしまえば、問題を別に転嫁しただけになってしまいます。現実に中小企業は、常用型派遣、職業紹介で労働力を確保できるか、不安を抱えています。

 改正案の施行日が、施行後最長五年の猶予期間をつけ、配慮がなされているようですが、より現実的に中小企業への配慮を行うため、中小企業の経営への影響を勘案する期間措置も考慮するとの明記が必要ではないでしょうか。

 事業規制の強化に伴う中小企業の労働力確保に対する見解を総理にお伺いいたします。

 先日、派遣労働をされていた方から御意見をいただきました。

 その方は、今の国の動きを見据え、派遣から請負業務へ移行となり、この三月から請負として、同様の業務に携わることになったというのであります。しかし、請負業務となったことで、偽装請負の摘発を恐れ、現場では、発注先の従業員とは一切会話が出ず、今まで普通に話していた間で異様な雰囲気となっている。また、請負に変わったことで、機械や設備なども自己調達しなくてはならない。何よりも、派遣労働者のときには、ある意味で労働者派遣法による保護の仕組みがあったが、請負労働者には、保護される法制がなくなる。派遣切りのかわりに、下請切りに変わるだけではないかとの不安の声がありました。

 確かに、請負に関しては、専門に律する法律がありません。今回の規制強化で、さらに偽装請負が台頭してくるのではないかとの不安を現場で抱えています。現に、製造業務派遣が禁止になった場合にどう対応するのかとの民間の調査を見ると、期間工への切りかえやパート、アルバイトへの切りかえ、それに次いで、請負・委託契約への切りかえが約三割と回答しております。一方、新たに正社員として雇用すると回答したのは一割に満たない状況です。

 規制強化をするならば、請負や有期雇用などの就労形態についても法整備が必要ではないでしょうか。また、昨年、偽装請負の監視の強化を図り、請負事業の適正な雇用管理の改善と適正化に向けたガイドラインを策定しましたが、現場で適切な対応がなされるよう、より一層の努力が必要ではないでしょうか。

 請負事業者については、現在、優良適正事業者認定制度、いわゆるマル適マークについての検討が厚生労働省で行われていますが、労働者保護のために、社会保険、労働保険を適正に掛けない、賃金の未払い、正式な雇用契約を結ばないなどの不適格業者を排除する仕組みを設けることが必要です。

 このような点からも、請負事業の免許・登録制度も含め、法制化の必要性を強く感じます。今回の事業規制の強化により、労働移動が予想される可能性のある請負や有期雇用などの雇用形態に対し、一定の法制を講ずるべきと考えますが、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。

 今回の改正案では、派遣労働者の待遇改善が盛り込まれており、これは、前政権時代に提出した改正案が踏襲されており、一定の評価をするものであります。公明党は、いわゆるマージン率については教育訓練等の必要経費を除いた上で適切な比率となるよう、一定の規制を設けるべきと主張しておりました。まずは、情報公開を義務化するとの対応は、一歩前進と考えております。

 しかし、今回の改正案で見えてこないのが、派遣労働者の能力開発やキャリアアップの機会の確保についてであります。もともと、職務制約により能力開発が阻害されていることに対する不満は大きいものがあります。能力開発がなければ、派遣労働者として働いてもキャリアアップにつながらず、派遣労働者としての雇用の固定化にもつながりかねません。

 派遣労働者の能力開発についてどのように考えていらっしゃるのか、厚生労働大臣に伺います。

 民間の調査によると、短期派遣で働く人の割合として、フリーターが三〇・九%、学生が二三・五%、主婦が二〇・五%との調査が出ており、学生が学業との兼ね合いで働く場合や、主婦が家計収入の補助として働いている実態についても浮き彫りとなっております。

 今回の事業規制の強化により、女性の働く場が減るのではないかとの不安が多くあります。女性が主たる生計を担っていて、正社員として働くことを希望する者へは正規雇用への道を開く、派遣社員を希望する人へはそうした働き方を確保する、多様な働き方を選択できるということが重要です。

 多様な働き方で恩恵を受けることの多い女性の働き方を一方的に規制するのは、多くの女性を不安にさせるだけであります。この実態についての総理の御見解を伺います。

 そもそも、労働者派遣業は一時的需要調整として開始されました。問題は、正社員として働きたいがやむを得ず派遣労働者として生計を立てている方々への支援であります。公明党も、正規雇用への移行を強力に推進するため、助成金の拡充やインセンティブを働かせる改革を進めてまいりました。

 しかし、今回の改正案では、派遣元事業主に対し、一定の有期雇用の派遣労働者について、無期雇用への転換推進措置を努力義務としています。そもそも、一時的需要調整としての派遣労働から常用雇用を求めるというのは、制度上の矛盾ではないでしょうか。

 本来は、派遣労働の一時的需要調整としての働き方の選択肢は残しつつも、正社員として働きたい方の正規雇用への移行を可能とすることが筋であり、派遣労働自体を常用雇用とすることは、制度矛盾を生むのではないでしょうか。厚生労働大臣の見解を伺います。

 民間研究機関によるアンケート調査によりますと、今回の派遣法改正について、製造業務派遣の禁止について、賛成が一〇%、反対が六七%との結果が出されました。また、法改正により失職する可能性があるかとの質問に対し、失職すると思うが三六%、どちらともいえないが三三%。新たな仕事につく場合、労働条件はよくなるかとの質問に、よくなると思うが一六%、よくなるとは思わないが三九%との結果が出されました。

 この結果から、今回の改正案自体は、派遣労働者が望まない内容ということになるのではないでしょうか。であるならば、今回の改正は一体だれのための改正なのか。派遣労働者の当事者が一体どのような改革を求めているのか、もっと現場の意見を聞くべきではないでしょうか。

 この実態に対し、総理の御見解を伺います。

 冒頭申し上げたとおり、派遣労働を取り巻く近年の雇用不安に対し、制度上の改善すべき点は実際にあると思います。公明党も、見直すべきは見直し、保護すべきは保護すると主張してきたとおり、現場の声をもとに改善を図るべきとの姿勢でおります。

 しかし、真に労働者保護につながる改正となるかとの疑問を多くの国民は抱いております。単なる目の前の応急措置ではなく、事業規制の強化をすれば労働者が守られるとの安易な考え方であってはなりません。苦しんでいる労働者はどのような改革を求めているのか、日本の物づくり振興、国際競争の中での法制度はどのようにあるべきかとの視点での改革を実行すべきであると、強く申し上げます。

 労働者派遣の問題は、国民の関心が高く、生活に直結し、日本の産業の未来に直結する改革であります。明確な答弁を強く求め、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 古屋議員の御質問にお答えいたします。

 まず、労働政策審議会答申への対応についてのお尋ねでございます。

 今回の労働者派遣法の改正内容については、労働政策審議会において、労使がぎりぎりの線で合意していただいたものだ、そのように認識をしております。

 その合意を一部変更したことによって労使から懸念が示されたということは承知をしておりますが、それぞれの団体から異存は出なかったとも伺っております。すなわち、法案を取りまとめるために必要な最小限の修正を行ったものだと理解をしております。

 公労使三者構成の審議会で合意を図るという政策決定過程の重要性はよく認識をしているところでございまして、今後とも尊重してまいりたいと思います。

 また、事業規制の強化に伴う中小企業の労働力確保についての御質問でございます。

 改正によって、企業が必要な労働力を確保できなくなるようなことがあっては当然なりません。改正法案では、政府は、企業の労働力の確保を支援するため、職業紹介事業の充実などの措置を講ずるよう、法律にこのことも明記をしております。

 登録型の派遣及び製造業務派遣の原則禁止の施行まで最長五年間の猶予期間があるわけでありまして、その間に、中小企業も含めた労働力確保のための仕組みを十分につくってまいりたいと考えます。

 それから、事業規制の強化に伴う女性の働き方への影響についてのお尋ねでございます。

 改正によって、現在、労働者派遣という働き方を選択しておられる方が職を失うことがあってはなりませんし、まして、女性の皆さん方の多様な働き方を奪うことがあっては決してならないと考えております。

 このため、労働者派遣を全面的に禁止するのではありません。常時雇用される方以外の不安定な雇用形態の派遣のみを禁止するとともに、賃金についても、派遣先の労働者との均衡を求めるなど、派遣労働者の待遇改善のための措置を講じているところでもございます。

 施行日を最長五年後とすることなど、影響を最大限に緩和するとともに、政府は、禁止によって派遣で働くことができなくなる労働者の雇用の安定のために、職業紹介事業の充実などの措置を講ずるよう、法律に明記をいたしているところでございます。

 それから、改正法案に対する現場の意見についてのお尋ねでございます。

 御指摘のアンケート調査でございますが、これは、製造派遣を全面的に禁止することの是非を問うたわけでございまして、それに単純に賛成か反対かを問うアンケート調査でありました。すなわち、現実に、この改正法案の中でうたわれておりますような、常時雇用されている方以外の不安定な形態の派遣のみを禁止するという今回の改正案の内容を前提としたアンケート調査では必ずしもない、そのように認識しております。

 改正内容は、労働政策審議会において、労使の間で、現場の実態を踏まえた精力的な御議論をいただいて、派遣労働者の保護のために必要な内容を合意していただいたものでございまして、したがいまして、改正法案が早期に成立をして、派遣労働者の保護や雇用の安定が図られるよう取り組む所存でございます。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) 古屋議員にお答えをいたします。

 事業規制の強化による雇用喪失と労働移動についてお尋ねがございました。

 今般の労働者派遣法の改正に伴い派遣が禁止される業務に従事している派遣労働者は、平成二十年六月時点でございますけれども、約四十四万人となっております。これらの方々については、派遣先による直接雇用や、改正案において禁止の例外とされている常時雇用による派遣に移行していくように、私どもも政策的にバックアップをしていきたいというふうに考えております。

 また、事業規制の強化が雇用に及ぼす影響は、その時々の景気、雇用情勢にもよりますが、できる限り直接雇用などに移行させ、雇用の安定を図っていくことが必要と考えております。

 このため、派遣労働者を直接雇用する事業主への助成制度を設けているところであり、派遣労働者が安定した雇用につくことができるよう、環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

 次に、請負や有期雇用などの雇用形態についての法制化の必要性についてお尋ねがございました。

 雇用形態にかかわらず、労働者の雇用管理を適正に行い、その保護を図っていくことはもちろん重要であります。

 請負の場合は、労働者の派遣のように、雇用主と指揮命令者が異なっているわけではありません。このため、現時点では請負に関する特別立法を行うことよりも、請負事業主が使用者としての責任に基づき労働基準法等を遵守するよう、現行法の範囲で徹底するように指導することが必要と考えております。

 今後の有期労働契約に係る施策のあり方については、現在、有期労働契約研究会において御議論いただいているところでございます。報告書をことし夏ごろまでに取りまとめ、その成果を労働政策審議会における審議につなげ、必要となる施策を実行してまいります。

 次に、派遣労働者の能力開発についてお尋ねがありました。

 派遣労働者が、無期雇用への転換や、円滑に派遣の業務を行うことができるように、みずからの技能や技術の向上につながる職業訓練を受けられるようにすることは重要です。

 このため、本改正法案では、次の取り組みを通じて、派遣労働者が教育訓練を受ける機会の充実を図ってまいります。

 第一に、有期雇用の派遣労働者について、派遣労働者の希望に応じて、無期雇用の労働者への転換につながる職業訓練などに努める義務を派遣元事業主に今回の法案で課しております。

 第二に、派遣労働者に教育訓練を行うに当たり、派遣先の労働者との均衡を考慮する配慮義務を派遣元事業主に課しております。

 第三に、派遣労働者の希望、能力や経験に応じた職業訓練の機会の確保に努める義務を派遣元事業主にこの法案で課しているところでございます。

 最後に、派遣労働者の無期雇用化の推進措置の努力義務化についてお尋ねがありました。

 派遣の、無期雇用の労働者への転換につながる措置については、派遣労働者が希望する場合に限って派遣元事業主に努力義務を課しているものです。派遣労働者の希望を無視して無期雇用化を図るものではありません。

 また、正社員として働きたい方については、派遣労働者を直接雇用する事業主への助成制度を活用して、私どもも正社員化を全力で図っていく対策をとってまいりたいと考えております。

 よろしくお願いをいたします。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、労働者派遣法改正案について質問します。(拍手)

 一九八五年に労働者派遣法が成立してから四半世紀になります。職業安定法四十四条は、労働者供給事業、いわゆる人貸し業を明確に禁止しています。にもかかわらず、労働者派遣事業をその例外として認め、労働者派遣法が制定されました。我が党は、直接雇用を原則とする戦後の労働法制の根幹に風穴をあけるものだと厳しく批判し、反対しました。

 当初、派遣対象業務は十三の専門業務に限定されていましたが、規制緩和を求める財界の要求で二十六業務に拡大され、一九九九年には対象業務を原則自由化、二〇〇四年には製造業にも解禁したのであります。

 こうして次々と規制緩和が拡大されてきた中で、何が起こったでしょうか。この二十年間で、正規雇用が減少する一方、非正規雇用は二倍に拡大し、今や、労働者の三人に一人、若者と女性の二人に一人にまで広がりました。対象業務が原則自由化されてからの十年間で、派遣労働者は百七万人から三百九十九万人へと急増し、年収二百万円未満の給与所得者は一七・九%から二三・二%へと増加をしています。多様で自由な働き方などと言いながら、企業にとって安上がりで使い捨て自由の雇用が拡大され、大量のワーキングプアを生み出したのです。

 一昨年のリーマン・ショックを引き金に、大企業が先頭に立って二十五万人もの派遣切り、非正規切りを進めました。物のように働かされ、紙切れ一枚で首を切られる派遣という働き方を抜本的に改め、正社員が当たり前のルールを確立すること、このことが今求められています。総理、法案は、この声にこたえることができますか。

 我が党は、九九年の原則自由化前に戻せと主張し、派遣労働者の権利を守り、非人間的な労働実態を改善するため、製造業派遣の禁止、登録型派遣の厳格な規制などを内容とする立法提案を行ってきました。

 本法案は、製造業派遣、登録型派遣の原則禁止を言いながら、例外という形で二つの大穴をあけ、ほとんどが派遣のまま残されるという、まさに派遣労働原則容認法案と言わざるを得ません。

 以下、具体的に伺います。

 二つの大穴の一つが、製造業派遣を禁止すると言いながら、常時雇用する労働者の派遣を認めていることです。

 常時雇用とは、一体どういう意味ですか。これまで厚生労働省は、一年以上の雇用見込みがあれば、日々雇用や数カ月の短期雇用を繰り返している人も含まれると述べてきましたが、その定義は変わるのか、明確にお答えください。

 もともと、製造業で働く派遣労働者五十五万人のうち、六四%が常用型派遣と言われています。派遣契約の中途解除で解雇された派遣労働者の八割は常用型です。これで、どうして常時雇用が雇用の安定性が比較的高いと言えるのでしょうか。名立たる大企業が次々と派遣切りを行った問題の多い製造業派遣は、きっぱりと禁止するべきではありませんか。

 第二の大穴は、登録型派遣を原則禁止するとしながら、専門業務を例外としていることです。専門業務が、なぜ雇用の安定等の観点から問題が少ないと言えるのか、明確にお答えください。

 現在、専門二十六業務に百万人の派遣労働者が働いていますが、そのうち最も多いのが四十五万人を占める事務用機器操作業務です。二十五年前の基準で、電子計算機、タイプライター、ワープロなどの事務用機器の操作と定められたままであります。そのため、パソコンを使う作業があるからといって専門業務扱いにされ、実際には、電話の応対やお茶くみ、コピーとりなどの仕事をさせるなど、まさに名ばかり専門業務がまかり通っているのです。

 専門業務を偽るこうした違法行為を許さないため、対象となる専門業務を厳格に絞り込むべきではありませんか。

 専門業務の内容を見直さなければならないときに、厚生労働省政策会議では、専門業務を拡大すべきとの発言がなされているようですが、とんでもありません。

 現行では、専門業務で三年を超えて派遣労働者を受け入れている場合、新たに労働者を雇い入れるときは、派遣労働者に優先的に直接雇用を申し込むという義務があります。しかし、法案は、この優先的雇用申し込み義務を廃止するとしています。

 政府は、専門業務の派遣労働者から、わずかに残されていた正社員への道すら奪っても構わないと考えているのですか。

 次に、施行期日の問題です。

 登録型派遣と製造業派遣の原則禁止の施行期日を三年も先送りしたのはなぜですか。そればかりか、登録型派遣のうち、今後の検討で問題が少ないとされた業務は五年も猶予されるのです。使い捨て自由の派遣労働を本気で規制する気があるのか、疑念を持たざるを得ません。

 ほかにも、重大な改悪や後退した内容があります。

 違法派遣があった場合、派遣先が直接雇用を申し込んだとみなす、雇用申し込みみなし制度を盛り込みましたが、極めて不十分です。

 その理由は、派遣先が違法であることを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がなかった場合は適用されないとしていることです。派遣先が違法を知らなかったと言えば済まされてしまうのですか。派遣先の故意・過失要件は削除するべきではありませんか。

 また、直接雇用になっても、労働条件は以前と同じになることです。例えば、派遣元と三カ月の雇用契約を繰り返し更新し、初めから違法状態で何年も働いてきた場合、直接雇用されても三カ月の契約ということになるのか、お答えください。

 これでは、違法派遣で犠牲とされた派遣労働者を守ることはできません。期間の定めなく雇用される制度にするべきではないでしょうか。

 今回新たに、グループ企業内への派遣を認める規定が盛り込まれました。グループ企業内での派遣は、親会社が本来直接雇用すべき労働者を子会社である派遣会社に転籍させ、派遣労働者として活用するものです。禁止されている専ら派遣そのものであり、第二人事部と批判をされてきました。むしろ、グループ企業内派遣は厳しく規制するべきではありませんか。

 派遣先企業の責任逃れを許さず、派遣労働者の雇用と権利を守るためには、均等待遇の確保、派遣先の団交応諾義務、育児休業を理由とした不利益取り扱い禁止、性別を理由とする差別的取り扱いの禁止等の規定は盛り込まれるべきでした。昨年、民主党など野党三党が提出した法案にはあったこれらの規定が、なぜなくなったのですか。

 連立政権の一員である福島大臣にも、このような法案をどうして認めたのかお聞きします。

 今の労働政策審議会は、自公政権時代のメンバーがそのまま残っており、本法案は、基本的に前政権の案を踏襲するものとして作成されました。こうした中、政府がたった一点の修正、間接雇用である派遣法と相入れない事前面接の解禁を要綱から削除するというこの修正をしただけで、労働政策審議会が答申の尊重を求める意見書を出すという異例の事態となりました。

 大臣は労政審に対し、二度とこういうことがないようにすると謝罪したといいますが、事実ですか。答申を一つも変えてはならないとするなら、国会で審議する意味などなくなるではありませんか。大臣の行為は、派遣法の抜本改正を期待している多くの国民に対する裏切りにほかなりません。こうした国民にこそ謝罪すべきではありませんか。

 以上、指摘してきたように、派遣法案には数多くの問題点があります。国会審議に当たっては、派遣切りに遭った当事者を初め国民の声を十分くみ上げるべきであります。

 日本共産党は、徹底した審議を通じて、本法案の抜本的な修正を目指して奮闘する決意を述べ、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 高橋議員にお答えいたします。

 まず、今回の改正が抜本改正と言えるかどうか、お尋ねがありました。

 行き過ぎた規制緩和を適正化して労働者の生活の安定を図る、これは大変大事なことだと思っております。それとともに、派遣を含めて、多様な働き方が選択できるようにしておくことも、またこれも重要だと考えております。

 したがいまして、今回の改正法案におきましては、登録型派遣や製造業務派遣の原則禁止、違法派遣の場合の労働契約申し込みみなし制度、労働者派遣契約の中途解除時の損害賠償の定めなどを盛り込んでいるわけでございまして、これらは、いずれも派遣労働者の保護を強化するための抜本的な改正だと私どもは考えております。

 また、製造業務派遣と登録型派遣の原則禁止の例外についてのお尋ねでございます。

 製造業務派遣と登録型派遣については、派遣労働者の雇用の安定を図る観点から、原則禁止をいたします。

 一方で、派遣労働という働き方が一定の役割を果たし、ニーズがまだ存在しているということも、これも事実でございます。また、改正により、現在労働者派遣という働き方を選択している方が職を失うことがあってはならない、これも大事なことでございます。

 したがいまして、このため、雇用の安定の観点から問題のないもの等について禁止の例外とし、いたずらに働く場を失わせないように配慮をしたというところでございます。

 製造業務派遣の原則禁止についての御質問でございます。

 製造業は我が国の基幹産業であり、技能を継承していくためにも、労働者が安定的に雇用されることが大変重要であります。

 いわゆる派遣切りは製造業務派遣に多発したわけでありますが、派遣労働者の雇用の安定が図られず、製造業の技能の継承の観点からの問題も指摘をされて、製造業務派遣は原則禁止としたところでございます。

 ただ、一方で、雇用の安定性も比較的高く、技能の蓄積も期待される、常時雇用される労働者の派遣については、例外として認めることといたしたのでございます。

 いわゆる専門二十六業務を登録型派遣の原則禁止の例外とすることについての御質問でございます。

 いわゆる専門二十六業務は、派遣労働者自身が専門的な知識、技術、経験を有し、交渉力が期待されるなど、常時雇用でない労働者の派遣を認めても雇用の安定を確保する観点から問題がない業務だ、そのように認識をいたしたところでございまして、このため、登録型派遣の原則禁止の例外としたわけでございます。

 専門業務で三年を超えて派遣に従事する労働者に対して優先的に直接雇用を申し込む義務についてのお尋ねがございました。

 派遣元で無期雇用されている派遣労働者は、既に派遣元での雇用の安定が確保されているのに、この義務があることで、派遣先に引き抜かれる懸念から、派遣元が能力開発を行う意欲などをそぐマイナス効果が生じているなどという指摘もあるわけでございまして、こういった理由から、御指摘の義務を派遣元で無期雇用されている派遣労働者に限って除外をすることといたしたわけでございます。

 改正法案の施行期日についての御質問でございます。

 登録型派遣と製造業務派遣の原則禁止の施行日を三年後としたのは、禁止の結果、職をすぐに失うということがあってはならない、職業紹介の充実など、措置をしっかりと行うためには一定の期間が必要であると考えたのでございます。

 また、派遣可能期間は最長三年であり、その期間の途中で現在の派遣就業ができなくなるという事態が起こらないように、三年ということに配慮したところでございます。

 さらに、いわゆる派遣切りで問題が生じていない業務については、特に禁止の影響を緩和する必要があるということでございまして、段階的な施行とする必要があると労政審が判断をした、労使が合意したわけでございまして、三年に加えてプラス二年、すなわち最長五年ということで経過措置を設けたものでございます。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) 高橋議員にお答えを申し上げます。

 常時雇用の定義についてお尋ねがございました。

 常時雇用される労働者は、次の労働者を指すものと従来から解釈されています。

 第一に、期間の定めなく雇用されている労働者、第二に、雇用期間が反復継続されて、一年を超える期間引き続き雇用されている労働者または一年を超えて引き続き雇用されると見込まれる労働者です。

 なお、労働政策審議会においては、この常時雇用の定義を変更しないという前提で労使一致し、議論が行われましたので、定義を変更するということは考えておりません。

 ただし、今回の改正法案により、製造業派遣においては、日々雇用の労働者や二カ月以内の期間雇用の労働者を派遣することは禁止となります。

 次に、いわゆる常時雇用型派遣に係る雇用の安定性についてお尋ねがありました。

 一昨年秋からの世界的な大不況においては、正社員であっても解雇される人が出るなど、相当程度特別な状況であったと言えます。一方、それ以前の平時においては、派遣元で常時雇用されている労働者であれば、派遣契約が中途解除された場合、新たな派遣先をすぐに確保できた方などの割合が高いことから、常時雇用される労働者の労働者派遣は、比較的雇用が安定した形態であると考えております。

 なお、今回の改正において、派遣先は派遣契約の中途解除に当たり、新たな就業機会の確保など派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならないとの規定を盛り込んだところであります。

 次に、いわゆる専門二十六業務の絞り込みについてお尋ねがありました。

 専門二十六業務については、平成二十二年二月八日に専門二十六業務派遣適正化プランを策定し、地方労働局長に通知をいたしました。平成二十二年三月及び四月を集中的な期間として、指導監督を今実施しているところでございます。

 現行の専門二十六業務についてさまざまな御意見があることは承知をしておりますけれども、一般的に、専門二十六業務は随時見直しが行われるものです。労働政策審議会においても、今後必要に応じて専門二十六業務の見直しも行われると思われますので、その議論を踏まえて対応をしてまいります。

 次に、労働契約申し込みみなし制度について、派遣先の故意・過失要件を削除すべきとのお尋ねがありました。

 違法派遣の場合に、派遣先が派遣労働者に労働契約を申し込んだとみなす労働契約申し込みみなし制度については、労働契約の申し込みみなしが発動しないためには、派遣先が単に知らなかったのみならず、知らなかったことにつき過失がなかったことが必要でありまして、そのような場合は限定的であると考えられます。

 違法派遣を受け入れた派遣先に対してペナルティーを科すことで派遣法による規制の実効性を確保するのがこの制度の趣旨です。これを踏まえれば、そもそも派遣先が違法派遣であることを知らず、かつ知らないことについて過失がない場合にまで申し込みみなしの対象にすることは、難しいと考えております。

 次に、労働契約申し込みみなし制度が発動した際の、みなされる労働契約の内容についてお尋ねがありました。

 労働契約申し込みみなし制度によりみなされる労働契約の内容は、違法派遣のあった時点における労働条件と同一の労働条件となります。したがって、派遣元との労働契約が反復更新されてきた有期契約である場合については、みなし効果が発生する時点での労働契約において、例えば、もともとの労働契約が三カ月の二回更新の契約であればそのような契約が派遣先と派遣労働者との間に成立することとなります。

 次に、労働契約の申し込みみなし制度が発動された際の労働契約の期間は無期とすべきとのお尋ねがありました。

 有期の労働契約の派遣労働者についても無期の労働契約で申し込んだものとみなすことについては、申し込みがみなされる労働契約の労働条件を派遣元との労働契約よりも高いものにすることになりますので、適当ではないと考えております。

 次に、グループ企業内派遣についてお尋ねがありました。

 グループ企業内での派遣は、企業間の取引であり、これをすべて否定するものではありません。しかしながら、労働者派遣制度は広く労働市場における需給調整を図るためのものです。グループ企業内派遣ばかりを行うことは、グループ企業の第二人事部的な役割に変質してしまっており、本来の制度の趣旨に照らして適当ではないと考えております。

 このため、改正法案では、グループ企業内の派遣会社が一事業年度中にそのグループ企業に派遣する割合を八割以下とする義務を設けることとしております。

 次に、均等待遇の確保など三党案に盛り込まれていた規定が今回の法案に盛り込まれていない理由についてお尋ねがありました。

 労働政策審議会で議論を行った結果、改正法案では、同種の業務についているのであれば、バランスのとれた待遇を求める趣旨で、派遣先の労働者との均衡を考慮する旨の規定を設けるものとしたものであります。

 派遣先の団交応諾義務などの派遣先責任の強化については、改正法案を御審議いただいた労働政策審議会では、論点として掲げ、議論を行っていただきました。議論の過程で賛否それぞれの立場からさまざまな意見が出されましたが、最終的には、答申において、引き続き検討していくとの結論になったわけでございます。

 このため、改正法案の附則第三条第二項において「派遣先の責任の在り方等派遣労働者の保護を図る観点から特に必要と認められる事項について、速やかに検討を行うものとする。」との規定を設けたものであります。この規定に基づき、改正法案の公布後、労働政策審議会において議論を行っていただくことにしております。

 次に、労働政策審議会の意見書に対する私の回答についてお尋ねがありました。

 改正労働者派遣法案の内容が、本年二月に労働政策審議会において全会一致で答申した内容とは異なるものになったことについて、今月一日、労働政策審議会から遺憾である旨の意見書をいただきました。

 私は、これまでも、公労使三者で構成される労働政策審議会が、雇用労働政策の企画立案に不可欠であると考えており、今回、意見書をいただいた際には、その意見書を重く受けとめ、今後労働政策審議会の趣旨を踏まえ取り組んでまいりたい旨お答えをいたしました。

 最後に、国民に謝罪をすべきとのお尋ねがございました。

 私については、労使合意の重要性については十分に認識しております。今後とも、労働政策を決定していく上では、労使の理解を得る必要があると考えております。

 今回の改正は、いわゆる登録型派遣の原則禁止、製造業派遣の原則禁止など、労働者の保護のために、今までにない内容が盛り込まれております。労働者派遣法の抜本改正と言えるものであり、国民の皆様の御期待にこたえるため、しっかりと今後とも取り組んでまいります。

 以上、よろしくお願いをいたします。(拍手)

    〔国務大臣福島みずほ君登壇〕

国務大臣(福島みずほ君) 高橋議員に対して答弁をいたします。

 自民党政権下で、働く人たちの法律はずっと規制緩和をされてきました。その結果、非正規雇用がふえ、ワーキングプアがふえ、そして派遣切りということが起きやすくなったということを招いたのは、働く人たちの法律を規制緩和してきたことにあると確信をしています。

 だからこそ、政権がかわり、まずやるべきことは、雇用の再建、働く人たちの法律をきちっと規制していく、そのことが必要だとこの政権の中でも考えております。

 まず、その一歩として、派遣法の改正案、これをやるべきだと考えております。そして、労政審、労働政策審議会を経て、そして閣議決定をして法律を出す、これがILOの原理原則からも言われているところです。ですから、この労政審を尊重するということと、政治主導をきちっと果たすべきだ、その観点から、これまで精力的に議論を続けてまいりました。

 一つ、事前面接解禁、これの削除をいたしました。

 派遣法は、派遣元が派遣先に労働者を供給するというのが派遣法の本質です、性格です。それを、派遣先が労働者の面接をするということは、この派遣の構造からいって、合わないというふうに考えています。

 ですから、この本質に合わないものと、それから、今回の派遣法の改正案は、規制緩和されてきた労働法制を規制を強化するというところに本質があり、事前面接の解禁はこの規制緩和をするというものであり、規制を強化するという派遣法の改正案にそぐわない、正反対のものだと考えました。ですから、この点につきまして、事前面接の解禁を削除し、そして閣議決定をした上で、この法案を国会に提出した次第です。

 まだまだ、これについては、私たちは歩みをとめるわけにはいかないというふうには思っています。今度、この法案をきちっと議論し、そしてその後、働く人たちの法律に関して、引き続き必要な法整備につなげていく必要があると考えています。附則によっても、今後検討していくことがあると、きちっと盛り込まれています。

 今後、期間の定めのある契約についてきちっと規制をしていく、パートタイマーの法律についてきちっと規制をしていく、均等法の改正など、働く人たちの法律をきちっと規制し、雇用を再建し、生活を再建していくということをしっかりやってまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 服部良一君。

    〔服部良一君登壇〕

服部良一君 社民党、服部良一です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりましたいわゆる労働者派遣法改正案について質問を行います。(拍手)

 一昨年の日比谷公園の年越し派遣村は、私たちに大変な衝撃を与えました。私も現場に駆けつけました。菅副総理や我が党の福島大臣を初め、当時の各党の代表がそろい、派遣切りに遭った労働者の悲痛な叫びに呼応した熱気ある集会が行われていたことを鮮明に記憶しています。

 前政権のもとで規制緩和が進められ、格差が広がり、若者の貧困化、ネットカフェ難民、ワーキングプアなどのさまざまな社会問題が引き起こされました。そういった国民の怒りの爆発が、まさに政権交代を実現させました。

 働く人があすの生活も見えないような、過酷な貧困労働を拡大してきた派遣制度の抜本的な改正が必要であり、我が党の提案により、労働者を保護するという目的がより明確となった今回の改正案は、派遣労働者の保護に向けた改革の大きな第一歩であることを、ともに確認しようではありませんか。

 しかし、同時に、今回の改正案が、昨年六月の社民党、民主党、国民新党の三党合意案から後退したことは、我が党としては非常に残念であり、今後、派遣労働の現場の実態を注意深く把握し、さらなる法整備を視野に入れながら検討していかなければならないことをまず訴え、質問を行います。

 初めに、長妻大臣に、製造業派遣の例外規定である常用型雇用についてお聞きします。

 短期雇用契約の更新を繰り返す派遣労働など、有期雇用の労働者の保護をどのように担保するのでしょうか。名ばかり常用雇用がはびこる余地を残してはなりません。常用雇用が事実上期間の定めのない労働契約となる措置をとるべきだと考えますが、いかがですか。

 次に、事前面接についての見解をお聞きいたします。

 政府として労働政策審議会の答申にあった事前面接の解禁を今回の改正案から除外したことを評価します。大臣は、この事前面接の解禁について、問題点をどのように理解していますか。

 次に、登録型派遣の禁止から除外される専門二十六業種についてお聞きします。

 二十六業種の中には、事務用機器操作やファイリングなど、業務内容が拡大解釈され、違法に悪用されている実態があり、例外が幾らでも広がる危険性があります。専門二十六業種の専門性をいかに担保しますか、担保できますか。

 次に、派遣先の責任強化規定についてお聞きします。

 派遣先は労働者の労働条件を支配する地位にあり、労組法上の使用者として団体交渉応諾義務の道を開くべきだと考えますが、いかがですか。

 次に、労働政策審議会のあり方についてです。

 今回、労政審の委員は前政権と変わっておらず、また、職業安定分科会の公益委員には厚労省のOBがほぼ二年ごとに就任し、指定席になっている実態があります。これで公正公平な人選と言えるのか、派遣労働現場の声を反映しているのか、そのあり方を見直すべきと考えますが、いかがですか。

 最後に、鳩山総理にお聞きします。

 国民みんなが飯が食える、これは政治の基本です。雇用形態を問わず、国民の生存権は保障されなければなりません。命を大切にする政治に向け、同一価値労働同一賃金、均等待遇の実現に向けた決意をお尋ねします。

 二つ目に、派遣労働など非正規雇用、不安定な労働で苦労をしている多くの国民に真っ正面から向き合い、格差社会、貧困社会と言われる今日の日本社会の改革に取り組む総理の決意をお聞きして、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 服部議員にお答えをいたします。

 国民みんなが飯を食える世の中、そうならなければいけません。そのような世の中のために、ぜひ社民党さんと一緒に新しい日本の社会を築き上げていきたいと思っています。

 まず、均等待遇等の実現に向けた決意、貧困社会と言われる今日の日本社会の改革についての全体的な御質問がございました。

 そのために、私ども、今、労働者派遣法改正案、審議をいたしたいと考えているわけでありますが、まさに、行き過ぎた規制緩和を適正化して労働者の皆様方の生活の安定を図ることが極めて重要でございます。

 この労働者派遣法の改正案の中にもその趣旨が盛り込まれているわけでありますが、新成長戦略を私どもはつくろうと思っています。また、子ども・子育てビジョンも掲げさせていただいています。さらには、男女共同参画社会の実現というものも目指さなければいけません。このそれぞれの観点の中に十分に含まれております同一価値労働同一賃金に向けた均等・均衡待遇の推進に、これは積極的に取り組んでまいりたいと思っておりまして、ぜひ皆様方の御協力をお願い申し上げます。

 それから、労働者派遣法の改正は、派遣労働者の保護を強化する内容となっているわけでございます。このことによりまして、雇用の安定を図り、そのことが日本の社会全体の大きな改革に資するものだ、そのように認識をしております。したがいまして、まずは、その第一歩として、本法案の早期成立をぜひお願い申し上げたいと存じます。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣長妻昭君登壇〕

国務大臣(長妻昭君) 服部議員にお答えを申し上げます。

 製造業派遣の例外規定である常時雇用についてお尋ねがございました。

 常時雇用される派遣労働者であれば、一つの派遣先の派遣契約が解除されても、労働契約期間中であればほかの派遣先に派遣されることが通例であり、労働者の雇用の安定が期待できます。このため、登録型派遣や製造業派遣の禁止の例外としたものです。

 常時雇用を無期雇用に限定した場合、すべての派遣労働者を派遣元の正社員として雇用しなければならないこととなり、派遣元事業主に対して過大な規制を課すことになります。また、派遣元事業主に過大な規制を課した場合、事業運営が立ち行かなくなり、結果的に派遣労働者の失業につながるおそれもあります。

 このため、常時雇用の定義を無期雇用に限定することは困難ですが、しかし、派遣労働者の雇用の安定のためには無期雇用の方がより望ましいと考えており、今回の改正法案では、派遣元事業主に対して無期雇用を促進するための努力義務を課しているところでございます。

 次に、事前面接の問題点についてお尋ねがございました。

 派遣先が派遣前の労働者に面接を行う事前面接については、これを認めると、派遣先が指名した方を派遣元が雇用することにつながるおそれがあります。これは、派遣先が派遣労働者の採用に介入することとなり、派遣元が雇用主としての責任を果たせないこととなるため、現在でも労働者派遣法で原則として禁止をしているところであります。

 次に、登録型派遣の禁止の例外である専門二十六業務についてお尋ねがありました。

 専門二十六業務については、専門性が高いと思われるため、派遣労働者自身に交渉力が期待されるなど、雇用の安定を確保する観点から問題がないと考えられ、引き続き、常時雇用する労働者ではない方の派遣を認めることとしております。

 しかし、現行の専門二十六業務について、専門性がない業務を専門二十六業務と偽って派遣することが行われているとの指摘があります。

 そこで、一般事務との区分において問題が生じやすい事務用機器操作やファイリングなど専門業務についての解釈の明確化を図り、関係団体に周知するとともに、違法事例に対する指導監督を徹底することとする旨の通知をことしの二月八日に地方の労働局に出しました。当面は、こうした周知、監督の徹底を図ってまいります。

 なお、現行専門二十六業務の範囲自体が適切かについてさまざまな御意見があることは承知をしておりますが、一般的に、専門二十六業務は随時見直しが行われるものです。労働政策審議会においても、今後、必要に応じて専門二十六業務の見直しも行われると思われますので、その議論を踏まえて対応してまいります。

 次に、派遣先の団体交渉応諾義務についてお尋ねがありました。

 改正法案を御審議いただいた労働政策審議会では、派遣先の団交応諾義務を含む派遣先責任の強化について、論点として掲げ、議論を行っていただきました。議論の過程で賛否それぞれの立場からさまざまな意見が出されましたが、最終的には、答申において、引き続き検討するという結論となりました。

 このため、改正法案の附則第三条第二項において、「派遣先の責任の在り方等派遣労働者の保護を図る観点から特に必要と認められる事項について、速やかに検討を行うものとする。」という規定を本法案に盛り込ませていただいたわけであります。この規定に基づき、改正法案の公布後、労働政策審議会において議論を行っていただくこととしております。

 最後に、労働政策審議会の委員のあり方についてお尋ねがありました。

 労働政策審議会の公益、労働者、使用者の各代表は、それぞれの立場を代表して意見を述べていただいておりまして、これは、政権交代という政治的な動きがあったとしても変化するものではないと認識をしております。

 実際、昨年末の答申においても、「時々の派遣労働者をめぐる雇用環境の変化に応じて、制度の見直しを行うことは必要であると考えている。」そういう文言が盛り込まれております。各委員は、その時々の取り巻く状況を見つつ意見を述べていただいており、審議会のメンバーが交代していないという点は問題ではないと考えております。

 しかし、今御指摘もありまして、今後、公益委員における国家公務員OBについては、任命しない方向で検討をしてまいります。

 以上、よろしくお願いをいたします。(拍手)

副議長(衛藤征士郎君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(衛藤征士郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  鳩山由紀夫君

       総務大臣    原口 一博君

       厚生労働大臣  長妻  昭君

       国務大臣    福島みずほ君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  松野 頼久君

       厚生労働副大臣  細川 律夫君


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