衆議院

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第28号 平成22年5月13日(木曜日)

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平成二十二年五月十三日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十七号

  平成二十二年五月十三日

    午後一時開議

 第一 国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出)

 第二 幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出)

 第三 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 内閣委員長田中けいしゅう君解任決議案(浜田靖一君外五名提出)

 日程第一 国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出)

 日程第二 幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出)

 日程第三 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案(内閣提出)

 政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後二時五十九分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

高山智司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 浜田靖一君外五名提出、内閣委員長田中けいしゅう君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(横路孝弘君) 高山智司君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 内閣委員長田中けいしゅう君解任決議案(浜田靖一君外五名提出)

議長(横路孝弘君) 内閣委員長田中けいしゅう君解任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。長島忠美君。

    ―――――――――――――

 内閣委員長田中けいしゅう君解任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔長島忠美君登壇〕

長島忠美君 自由民主党の長島忠美です。

 私は、自由民主党・無所属の会、日本共産党及びみんなの党を代表して、ただいま議題となりました内閣委員長田中けいしゅう君解任決議案について、提案の理由を説明いたします。(拍手)

 まず、案文を朗読いたします。

  本院は、内閣委員長田中けいしゅう君を解任する。

   右決議する。

 以下、その理由を説明いたします。

 内閣委員会の所管大臣は九閣僚にもまたがり、非常に幅が広いことから、国会役員である常任委員長の中でも、とりわけ内閣委員長は、その人格識見ともすぐれていることが求められております。その意味では、経験豊富な田中けいしゅう君の内閣委員長就任が最も適当であろうと判断し、所属する民主党が推薦をしたのでありましょう。その結果が、何と、昨日の強行採決であります。

 今回の国家公務員法案審議に関しまして、田中委員長は、関連する総務委員会との連合審査、参考人質疑、さらに加えて公聴会を開くなど、委員会審査にある程度の配慮を心がけてきたとは言える、そう思います。しかし、審議が進むにつれ、新たな問題点が浮き彫りになってきている段階で、田中委員長は、昨日、我が党の小泉進次郎委員が大臣の答弁が不十分だとして質問を続けているにもかかわらず、また委員のだれからも質疑打ち切りの動議が提出されていないにもかかわらず、強権的に質疑を打ち切りました。

 委員会運営において中立公平であるべき委員長が、与党の主張だけに耳を傾け、一方的に審議を打ち切り、強引に強行採決したのは極めて異例なことであります。このような不誠実な委員会運営に、我々は激しい怒りを禁じ得ないのであります。

 もとより、委員会は、与野党委員の協議と合意形成の上に公平に運営がなされるべきであります。ところが、今月十日の国対委員長会談において、我が方の川崎国対委員長に対し、多数を背景に強引な国会運営を進める民主党の山岡国対委員長が、国家公務員法案については、十二日に委員会で採決し、十三日の本会議に上程するとの方針を伝えてまいりました。委員会の現場における協議を無視することこの上ない思い上がりであると思います。(発言する者あり)

議長(横路孝弘君) 静粛に願います。

長島忠美君(続) 委員会は、一党の国対のものでもなく、だれの支配下にあるものでもないにもかかわらず、少数政党に耳をかさない問答無用の国会運営で、先人が知恵と努力で積み重ねてきた健全な議会制民主主義は、悲しくも崩壊しつつあるのです。

 しかるに、内閣委員会において、中立公正たるべき田中委員長のもとで、まさか民主党国対の指示どおりに強引な運営がなされるとは、我々は想像さえしておりませんでした。田中委員長は、与野党の合意なくして議会を推し進めようとする与党方針にのみ加担し、余りにも強行な委員会運営を行ったのであります。このような暴挙は、少数の権利や意見を一方的に封殺するもので、断じて許されるものではありません。民主党の諸君に、おごれる者久しからずという言葉をぜひゆっくりかみしめていただきたい、そう思います。

 委員会における議論の中で、今回審議中の法案は、昨年の総選挙で民主党が掲げた脱官僚、天下り根絶とは全く逆方向に進みかねない法案であることが明らかになってまいりました。

 かつて、民主党が天下りバンクと呼んで、天下りを即刻廃止すべきだと批判を繰り返してまいりましたが、今回の法案では、名称を変えて恒久化しようとしています。この公約違反について、何ら納得の得られる説明がなされておりません。

 民主党が掲げた人件費二割削減の方向性はどう示されているのでしょうか。文字どおり受けとめるとしたら、人件費の二割削減のために給与を下げることを可能にするつもりなのでしょうか。それとも、人員を二割削減することが可能なのでしょうか。

 一方、天下りを根絶し、定年を延長するとしたら、単純に考えたら人件費は増加してしまうのではないですか。その整合性はどう示していかれるつもりなのでしょうか。とても議論が尽くされているとは言えない状況であると断じざるを得ません。

 また、公務員制度全体の方向性や工程表について資料を要求しているにもかかわらず、いまだ政府・与党は満足な資料を提供しようとはしておりません。

 そして、委員会の審議の真っただ中にあるにもかかわらず、鳩山総理から来年度の公務員新規採用半減の方向が示されたことには、大変に驚かされました。

 今後の採用をどう考えるのか、公務員を志望する方々の希望をいたずらにくじくことになるのではないか、このことが公務員制度改革の中でどういう意味を持つのでしょうか。総理御自身の口からお答えをいただきたく、委員会への出席を要求してまいりましたが、残念ながら、いまだ実現しておりません。

 まさか、また思いつきで言ったけれども、よく考えていなかったとおっしゃるつもりではないでしょうね。結果としていびつな公務員の構成を招いてしまうことに、どう説明をなされるのか。まだまだ疑問点は残っているのです。

 ここで、そもそも公務員制度を改革することは何のためなのか、改めて考えてみてください。

 それは、いかにしたら公務員をうまく生かして使えるのか、またいかにしてその能力を引き出すことができるのか、そして、公務員を生かして使うことによって、結果として効率的な行政運営を実現していくことにつながっていくのではないか、この点では、与野党ともに異論はないでありましょう。

 主権者である国民の奉仕者であるべき公務員が向上心とやる気をしっかりと保ち続けるために、国民の求める無駄のない効率的な法律とするべく改正していく姿勢こそ、我々国会議員の重大な責務だと考えております。

 私は、中越大地震でふるさとが被災をしたときに、勤勉で熱心な多くの公務員にめぐり会いました。泥をかぶり、汗を流す姿を何回も見てまいりました。このような公務員が国民の奉仕者として国民に受け入れられるために、中途な議論で終わらせてしまうことには、私の経験からも、絶対に許されることではないのです。

 このような共通認識に立てる公務員制度改革といったテーマこそ、与野党が国会で十分議論し、法案の修正協議なども含め、国会としての機能を発揮できる大きなチャンスであったのではないでしょうか。

 それが、このような田中委員長の最後の裏切りで、法案審議も修正協議もばっさりと切り捨て、強行採決を行うという信じがたい結果に終わることは、まことに残念でなりません。田中委員長には猛省を促し、本来であれば、みずから委員長職を辞していただきたい、そう考えております。

 政権交代後、民主党のやっていることは、政治主導の名のもとに公務員の関与を排除し、特に閣僚は、それぞれが勝手なことを発言しているようにしか見えません。その結果、内閣全体としての統一性や進むべき方向性が定まらず、国家国民を大いに混乱に陥れていると言わざるを得ません。

 とりわけ、国のリーダーである鳩山総理が沖縄訪問の際に発言した、海兵隊の抑止力に関する認識の低さに対しては、唖然とした国民が大多数であったのではないでしょうか。総理が我が国の安全保障上の基本中の基本である日米同盟関係について熟知していなかったというのでは、言うべき言葉も見つかりません。このような総理のもとでは、到底、国民の命と財産を守ってはもらえないだろうと国民はますます不安に陥り、総理の言葉はますます信用されなくなってしまうのです。

 総理、あなたは、昨年の総選挙の際、最低でも県外とおっしゃったのではありませんか。最近になって、公約ではなかった、党の考え方ではなかったと強弁をされていますが、国民にとっては、民主党の代表である鳩山総理が、個人であれ公人としてであれ、発言したことは、政権交代をしたときの約束と受け取るのは自然ではないでしょうか。そうでないと言い張るなら、当時の政府を攻撃するための方便として国民を犠牲にした、悪意に満ちた思いつき発言と断じざるを得ません。

 米国紙ワシントン・ポストのコラムニスト、アル・ケイマン氏が、四月の核安全保障サミット後、各国首脳の外交成果について書いたコラムの中で、鳩山総理のことが、ルーピーと、聞きなれない単語で表現をされました。このコラムは、鳩山総理を最大の敗退者、不運で愚かな首相と皮肉ったものですが、確かに、わずか十分間の会談でしかオバマ大統領と接触できなかったという悲しむべき現実を見るにつけ、その意味が重くのしかかってくることでしょう。

 米軍普天間飛行場の移設問題で五月末決着を唱えて、さんざん沖縄や徳之島の人たちの心をもてあそんだあげく、事態を混乱させてばかりいる鳩山総理、あなたの迷走ぶりは、国民にとって、もはや不幸でしかないのです。

 我々は、内閣委員会で公務員制度について論議を進めてきたところですが、鳩山総理は、四月八日、都内で開かれた国家公務員合同初任研修での訓示で、トップの首相が大ばか者であれば、そんな国がもつわけがないと発言したことが報じられております。まさに、今、我が国をもたないような状態にしてしまっているのはだれなのでしょうか。さきの党首討論では、みずからを、確かに私は愚かな総理なのかもしれませんと率直に認める総理が、新人公務員の前でよくもこのようなことが言えたものだと、私はあいた口がふさがりません。

 政権交代をしてから、随所で、知らなかった、秘書に任せておいたから知らなかったと、責任を逃れる答弁を何十回も聞かせていただきました。我々政治家にとって、知らなかったことは責任をとらなくていいのでしょうか。知らなかったことに対する責任は、我々政治家にあるのではないでしょうか。

 普天間の問題、高速道路の問題、子ども手当の問題、決められないでいることの責任が、国民を混乱に陥れているとしたら、そのことの責任はだれがとるべきなのでしょうか。決められない責任は、我々政治家、とりわけ政府の中枢にある大臣や総理にあるのではないでしょうか。そのことの自覚を私は強く求めたい、そう思います。

 このような総理を代表とする民主党にあって、しかも、その民主党国対の指示のまま委員会を運営する田中委員長のもとでは、これ以上、国の形の基本を論じる内閣委員会で審議を進めることはできません。この際、公平公正な審議を行うためにも、内閣委員長を即刻解任すべきであります。

 ここに重ねて内閣委員長田中けいしゅう君の解任を強く求め、私の提案理由の説明とさせていただきます。

 議員各位の御賛同を心から強くお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 討論の通告があります。順次これを許します。村上史好君。

    〔村上史好君登壇〕

村上史好君 民主党の村上史好でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました田中けいしゅう内閣委員長解任決議案について、反対の立場で討論をいたします。(拍手)

 その前に、昨日の内閣委員会での我が党の三宅雪子議員に対する暴力行為、言論の場で、また女性に対してこのような暴力行為を行う、まさに言語道断の行為であると強く抗議をして、討論に入りたいと思います。

 まず初めに、私は、田中委員長が行った委員会運営は何ら瑕疵のないものであって、このような決議案を提出するに至った野党の行為は、極めて合理性を欠いた、党利党略以外の何物でもない、そのことを明確にしておきたいと思います。

 野党諸君は、昨日の内閣委員会における国家公務員法等一部改正案の採決について不服があるようですが、同法案については、既に四十五時間に及ぶ審議がなされ、採決を行うに当たっての環境は十分に整っておりました。(発言する者あり)

議長(横路孝弘君) 静粛に願います。

村上史好君(続) すなわち、内閣委員会での八日間の審議に加えて、四月二十一日には、内閣委員会と総務委員会の連合審査が開催をされ、また、二十二日には、与野党双方の推薦による参考人質疑が行われました。さらに、二十八日には、五名の公述人に参加をいただき、公聴会が開催をされました。これら委員会、連合審査会、参考人質疑、公聴会における審議は、既に長時間に及んでおりました。

 これら与野党議員による熱心かつ真摯な審議の中で、委員各位からは既に相当数の意見や論点が出尽くし、さらに、それに対する政府側及び衆法提出者による答弁も十分になされ、同法案等に関する理解、見解は、それぞれの委員各位の心中で確固たるものとなっていたのであります。それが証拠に、今月六日には公明党の委員から政府案に対する修正案が提出されており、かかる状況においては、これら議案を採決するための機、十分に熟していたと言えます。

 にもかかわらず、この時期における採決を非難する野党諸君の姿勢は、合理性を欠き、到底理解できるものではありません。議案に対する議論が深まり、政府及び衆法提出者の答弁の蓄積もなされ、委員各位の議案に対する理解も深まれば、その次の過程として採決に至ることは、議会制民主主義において至極当然であり、自然の流れであります。かかる状況における田中委員長の行動は、委員長としての当然の職務を遂行したにすぎず、それを鬼の首をとったかのように非難する野党諸君の姿勢は、単なる時間稼ぎのパフォーマンスと断ぜざるを得ません。

 今、鳩山政権が推し進めるさまざまな改革に、国民は大きな関心と期待を寄せています。中でも、公務員制度改革は、一丁目一番地に位置すると言っても過言ではありません。内閣による幹部人事一元管理によって政治主導による行政のあり方を確立すること、また、官民人材交流センターの廃止によって天下りあっせんを根絶することなど、国民の関心の高い内容が同法案には多数含まれております。会期末が迫るこの時期においては、国民的関心の高い同法案について、機が熟したならば速やかに可決し、参議院に送付することが、国民から信託を受けた立法府の一員として責任ある行為であると私は確信をしております。

 最後に、本決議案提出者に申し上げたい。

 田中委員長は、委員会審議では一貫して、野党委員の要望に誠心誠意こたえてまいりました。公平かつ民主的に委員会運営がなされたことは、野党委員、皆さん自身が一番御存じのはずなんです。もうマスメディアのカメラに目を向けた行動ではなくて、今後は国民に目を向けた行動をとられることを強く要望するものであります。

 以上、田中けいしゅう内閣委員長解任決議に断固反対することをここに表明し、私の討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 小泉進次郎君。

    〔小泉進次郎君登壇〕

小泉進次郎君 自由民主党・無所属の会の小泉進次郎です。

 ただいま議題となりました田中けいしゅう内閣委員長解任決議案について、賛成の立場で討論をいたします。(拍手)

 冒頭、村上議員に申し上げます。

 きのうの内閣委員会で暴力行為があったということですが、きのう、暴力行為は一切ありませんでした。あったのは、民主党の強行採決であります。(発言する者あり)

議長(横路孝弘君) 静粛に願います。

小泉進次郎君(続) もし暴力行為があったとするならば、その暴力行為が一体何であるのかはっきりさせ、もし暴力行為がなかった場合、それを潔く撤回していただきたい。

 冒頭にそう申し上げ、今から賛成の理由を述べます。

 田中委員長、同じ神奈川県選出の大先輩にこのような形で向き合うこと、大変残念でなりません。

 きのうの委員会採決に至るまで、それ以前の田中委員長の委員会運営は、その豊富な経験に基づき、与野党の意見をしんしゃくしながら、公正な運営を行う努力をされていたように思います。

 しかしながら、委員長の今までの努力に対し、私は委員長の解任賛成討論でお返しをせざるを得ません。その責任は、民主党の一方的、強権的な国会運営にあり、それに対する委員長自身の抑止力の欠如であります。

 昨年の総選挙、民主党は四文字で日本政治の新たな一ページを開きました。政権交代。きのうの内閣委員会、民主党は別の四文字で超党派による公務員制度改革の可能性をつぶしたんです。その四文字が、強行採決であります。

 都合が悪いことを言われると、お決まりのように飛び出す決まり文句、それは、自民党だってやっただろう。自民党がやったあしき前例は踏襲しない、自民党にはできなかったことをやるのが政権交代の意義なんじゃないですか。それとも、政権についてから、学べば学ぶにつけて、強行採決が必要だと思ったんですか。

 田中委員長、きのうの強行採決、ただの強行採決ではありません。私の質疑を打ち切る動議がないまま、委員長の独断でされた強行採決という、異例の強行採決に結果としてなったんです。委員長のその強行採決という行為の何が問題か、以下に挙げる三点を述べ、それらを委員長の解任決議案に賛成する理由とします。

 第一に、議論が尽くされていないにもかかわらず、強行採決で法案審議を終わらせたことであります。

 内閣委員会が所管する公務員制度改革、民主党は、マニフェストで国家公務員の総人件費二割カットを打ち出しました。その一方で、各省による天下りあっせんの全面禁止と言う。つまり、退職者は減らない、高齢の役人はふえる、これでどうやって二割人件費の抑制ができるんでしょうか。

 きのうの委員会で、仙谷大臣は、給料を下げれば安くなっていいみたいな議論は慎んだ方がいいと私に言いました。しかし、そういう議論をしなきゃ達成できない公約を出したのは、民主党自身じゃありませんか。

 仙谷大臣は、二割カットの手段は三つあると繰り返し述べております。地方移管、給与改定や定員の見直し、そして労使交渉。しかし、これら三つの具体像もはっきりしません。しかも、本気でやろうと思ったら必ず手をつけなくてはいけない給与体系にも触れていない。労働基本権の付与、人事院のあり方の議論も先送り。

 さらに、法案審議の後半になって出てきた問題の一つが、来年度の公務員新規採用人数の半減、この問題に対する議論もまだまだ尽くされていません。

 なぜ半減になったのか。それは、そうするしかなくなった、自業自得の結果であります。公務員の総人件費は二割カットしなきゃいけない、でも天下りをさせ外に出すことはできない、それなら採用を減らすしかない。つまり、民主党がマニフェストに縛られる結果、割を食うのは若い世代。霞が関は高齢化。一体だれのための公務員制度改革なのか。

 こんなに論点が残っているまま法案を強行採決したことは決して許されることではなく、委員長の責任が問われるのは当然であります。

 第二に、委員長の強行採決は、超党派で公務員制度改革を進めるチャンスをぶち壊しました。

 政権交代がいつでも起き得る現在、与野党いずれの立場にあっても、いずれ政府を運用する可能性があるわけです。だからこそ、できるだけこういう問題は超党派で取り組む必要があるんじゃないですか。

 そもそも、今回の国家公務員法等改正案は、二〇〇八年六月に成立した国家公務員制度改革基本法に基づいて進められるべきでありました。なぜなら、基本法は、自民、民主、公明の与野党超党派で修正合意に至り、可決成立されたからであります。

 しかしながら、法案審議で明らかになったことは、民主党の基本法違反。基本法を、超党派でつくり上げたことを軽視というか無視、自分たちが都合のいいように改正案を出してきて、あげくの果てには強行採決。超党派でつくった基本法があるものを強行採決するなんて、断じて認めることはできません。

 四月二十三日の委員会質疑で、仙谷大臣は私にこう言いました。二〇〇五年の選挙以降、自民党さんが全く超党派での議論というふうなものに積極的にならなかった、私は、このことが日本の政治を今のような状態にしている、こういうふうに思います。きょう、そっくりそのまま、その言葉をお返しいたします。

 第三に、委員長の強行採決は、野党の声だけでなく、与党議員の意見もつぶしたということであります。

 四月六日、この本会議場では、国家公務員法等改正案の趣旨説明に対する質疑が行われました。今私が立っている場所に、与党議員が政府案に対する質問に立ち、以下のような発言をしました。

 「役所の現役幹部があっせんはしていなくても、先輩OBが後輩を呼び寄せるような、そんな天下りはこの法律で直接禁止することはできません。」つまり、この与党議員は、政府の法律案では天下り根絶は無理だと言ったんです。全くの同感であります。そして、こう続けました。「我が党は、国家公務員の総人件費二割カットを約束しております。しかし、この二割の中には、地方分権推進に伴う地方移管を含めるとされています。しかし、これでは、結局どこかの税金から人件費が支払われる点で実質カットとは言えません。」「地方へ移すという甘い手法ではなく、必要な人員削減を行い、足りない分は給与カットにしっかり踏み込むことにより、総人件費二割カットを実現する強い意欲をお示しいただけますでしょうか。」

 以上の発言は、野党議員の発言ではありません。与党議員からの発言であります。

 こういった発言は委員会での審議でもたびたび行われ、そのたびに、私たち野党もうなずき、拍手やエールを送っていたわけでありますが、このような与党議員の勇気ある発言、主張をつぶしたのがきのうの強行採決であり、委員長の責任が大きいと言わざるを得ません。

 以上申し上げた三点のとおり、議論が尽くされないまま、超党派で取り組む可能性もつぶし、野党だけでなく、与党内の勇気ある、常識的な主張さえも黙殺する結果を導いた責任を委員長は免れることはできません。

 委員長、委員長が果たすべき責任は、政権交代してもやっぱり政治は変わらなかったという、国民の期待を失望に変えた民主党に、丁寧な審議と議論を促し、与野党超党派の協力のもと、政治の信頼を回復させることではありませんか。それにもかかわらず、強行採決という、民主党自身がかつて強く批判した手法によって政治の信頼をさらに傷つけた委員長の責任は極めて大きい。したがって、解任決議には当然賛成であります。

 議員各位の御賛同を心からお願い申し上げ、私の田中委員長解任決議に対する賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、田中けいしゅう内閣委員長解任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 田中けいしゅう委員長は、与野党合意がないまま、みずから質疑終局を発議し、採決を強行しました。委員会の公平公正な運営を放棄し、法案の十分かつ慎重な審査に尽くすべき任務を投げ捨てたことは、極めて重大であります。

 第一に、今回の国家公務員法改正によって、幹部職員人事の仕組みが、政治家による人事への恣意的な介入を常態化させ、憲法が規定する全体の奉仕者としての公務員制度を変質させる重大な疑義があるにもかかわらず、その質疑に必要な資料が委員会に提出をされないまま質疑を打ち切ったことであります。

 法案には、幹部職員の任用の前提となる標準職務遂行能力を審査する適格性審査を政治家である内閣官房長官が直接行う上に、その公正性、透明性をチェックする第三者機関の規定もありません。その上、事務次官、局長、部長という職制上の段階を同一とみなすことで、その段階ごとに定められていた三つの標準職務遂行能力も一つになり、人事評価の基準がさらに抽象的になります。一層の恣意的評価が可能となるだけでなく、降格人事も同一の職制の横異動、転任とみなすことで、恣意的人事の歯どめである国公法の身分保障の原則も空洞化されています。

 法案は、この適格性審査の具体的な内容について政令にゆだねております。幹部人事が公正中立に行われるかどうかはこの法案の核心ですが、それを明らかにすべき政令案の骨子が委員会に提出をされないまま質疑を打ち切ったのは重大であります。

 適格性審査を合格した幹部候補から任用する際の基準となる官職についての適性にも客観的な基準はなく、幹部職員の任用に当たっては、その全過程に政権党の恣意的人事を可能とする仕組みとなっており、法案は、情実人事や政治の恣意性から国家公務員の中立性、公正性を守る国公法の成績主義と身分保障の根本原則を大もとから空洞化させるものと指摘しなければなりません。

 第二に、法案は、天下り規制を原則禁止から原則容認へと後退をさせた〇七年改悪国公法と並びの規定を自衛隊法にも持ち込むものとなっているにもかかわらず、この自衛隊法を所管する防衛大臣による説明も委員会として聴取しないまま質疑を打ち切ったことであります。

 天下りに関して、原則禁止から原則自由へと大改悪を行った〇七年の国公法改悪に対し、当時の民主党は、天下りの禁止期間を二年から五年に延長し、OBによる現役への働きかけなどを禁止する行為規制期間も、政府案の二年間に対し十年間とするなど、規制強化の対案を提出していました。

 今では、その立場を完全に投げ捨てただけでなく、事もあろうか、防衛施設庁事件、航空自衛隊の官製談合事件など、汚職、腐敗事件が相次ぎ、この間、みずから再就職あっせんを自粛するなど、いわば謹慎中の身である防衛省・自衛隊の天下りを解禁し、防衛省による自衛隊の一部幹部の天下りあっせんすら容認をし、その行為規制の監視さえ防衛省内の身内の機関にするというのが法案の内容であります。

 しかも、これは自公政権時代から防衛官僚によって準備をされていたものであります。政治主導を実現するための法案に官僚主導の法案が紛れ込んでいった理由をこそ委員会として解明をすべきであります。

 第三に、昨日の委員会で、私の質問に仙谷大臣は、地方支分部局の再編に当たって、国家公務員のリストラもあり得ると発言したことも重大であります。

 原口総務大臣は、これまで、再三、生首を切ることはできないと発言をしており、関係大臣の答弁が食い違っております。この点についても委員会としての解明がなされないままであります。

 以上、与野党の合意もなく、委員会として法案審議に必要な資料の提出、関係大臣の出席がなされないまま審議を打ち切った委員長は、二重に国民の信頼を裏切ったものであり、解任は当然であります。このことを強調し、私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(横路孝弘君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(横路孝弘君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十四

  可とする者(白票)       百五十六

  否とする者(青票)        三百八

議長(横路孝弘君) 右の結果、内閣委員長田中けいしゅう君解任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

浜田靖一君外五名提出内閣委員長田中けいしゅう君解任決議案を可とする議員の氏名

あべ  俊子君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君   赤澤  亮正君

秋葉  賢也君   麻生  太郎君   甘利   明君   井上  信治君

伊東  良孝君   伊吹  文明君   石田  真敏君   石破   茂君

石原  伸晃君   稲田  朋美君   今村  雅弘君   岩屋   毅君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   遠藤  利明君   小里  泰弘君

小野寺 五典君   小渕  優子君   大島  理森君   大野  功統君

加藤  勝信君   加藤  紘一君   梶山  弘志君   金子  一義君

金子  恭之君   金田  勝年君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君

河井  克行君   河村  建夫君   木村  太郎君   岸田  文雄君

北村  茂男君   北村  誠吾君   小池 百合子君   小泉 進次郎君

古賀   誠君   後藤田 正純君   河野  太郎君   高村  正彦君

近藤 三津枝君   佐田 玄一郎君   佐藤   勉君   齋藤   健君

坂本  哲志君   塩崎  恭久君   塩谷   立君   柴山  昌彦君

下村  博文君   新藤  義孝君   菅   義偉君   菅原  一秀君

田中  和徳君   田野瀬良太郎君   平   将明君   高市  早苗君

高木   毅君   竹下   亘君   竹本  直一君   武田  良太君

武部   勤君   橘  慶一郎君   棚橋  泰文君   谷   公一君

谷垣  禎一君   谷川  弥一君   谷畑   孝君   徳田   毅君

中川  秀直君   中谷   元君   中村 喜四郎君   永岡  桂子君

長島  忠美君   長勢  甚遠君   二階  俊博君   西野 あきら君

西村  康稔君   額賀 福志郎君   野田  聖子君   野田   毅君

馳    浩君   浜田  靖一君   林   幹雄君   平井 たくや君

平沢  勝栄君   福井   照君   福田  康夫君   古川  禎久君

古屋  圭司君   保利  耕輔君   細田  博之君   町村  信孝君

松浪  健太君   松野  博一君   松本   純君   三ッ矢 憲生君

宮腰  光寛君   村上 誠一郎君   村田  吉隆君   茂木  敏充君

森   英介君   森   喜朗君   森山   裕君   柳本  卓治君

山口  俊一君   山本  公一君   山本  幸三君   山本   拓君

山本  有二君   吉野  正芳君   赤松  正雄君   井上  義久君

池坊  保子君   石井  啓一君   石田  祝稔君   稲津   久君

漆原  良夫君   江田  康幸君   遠藤  乙彦君   大口  善徳君

佐藤  茂樹君   斉藤  鉄夫君   坂口   力君   高木 美智代君

高木  陽介君   竹内   譲君   遠山  清彦君   富田  茂之君

西   博義君   東   順治君   古屋  範子君   赤嶺  政賢君

笠井   亮君   穀田  恵二君   佐々木 憲昭君   志位  和夫君

塩川  鉄也君   高橋 千鶴子君   宮本  岳志君   吉井  英勝君

浅尾 慶一郎君   江田  憲司君   柿澤  未途君   山内  康一君

渡辺  喜美君   園田  博之君   平沼  赳夫君   与謝野  馨君

城内   実君   小泉  龍司君   衛藤 征士郎君   鳩山  邦夫君

否とする議員の氏名

安住   淳君   阿久津 幸彦君   阿知波 吉信君   相原  史乃君

青木   愛君   赤松  広隆君   東   祥三君   網屋  信介君

五十嵐 文彦君   井戸 まさえ君   池田  元久君   石井   章君

石井 登志郎君   石毛 えい子君   石関  貴史君   石田  勝之君

石田  三示君   石田  芳弘君   石津  政雄君   石原 洋三郎君

石森  久嗣君   石山  敬貴君   泉   健太君   磯谷 香代子君

市村 浩一郎君   糸川  正晃君   稲富  修二君   稲見  哲男君

今井  雅人君   内山   晃君   打越 あかし君   生方  幸夫君

江端  貴子君   枝野  幸男君   小川  淳也君   小沢  鋭仁君

小野塚 勝俊君   小原   舞君   緒方 林太郎君   大泉 ひろこ君

大串  博志君   大島   敦君   大谷   啓君   大谷  信盛君

大西  健介君   大西  孝典君   大畠  章宏君   大山  昌宏君

太田  和美君   逢坂  誠二君   岡島  一正君   岡田  克也君

岡田  康裕君   岡本  英子君   岡本  充功君   奥田   建君

奥野 総一郎君   奥村  展三君   加藤   学君   加藤  公一君

鹿野  道彦君   海江田 万里君   柿沼  正明君   笠原 多見子君

梶原  康弘君   勝又 恒一郎君   金森   正君   金子  健一君

神山  洋介君   川内  博史君   川口   浩君   川口   博君

川越  孝洋君   川島 智太郎君   川端  達夫君   川村 秀三郎君

菅   直人君   木内  孝胤君   木村たけつか君   吉良  州司君

城井   崇君   黄川田  徹君   菊田 真紀子君   菊池長右ェ門君

岸本  周平君   北神  圭朗君   京野  公子君   工藤  仁美君

櫛渕  万里君   楠田  大蔵君   沓掛  哲男君   熊谷  貞俊君

熊田  篤嗣君   黒岩  宇洋君   黒田   雄君   桑原   功君

玄葉 光一郎君   小泉  俊明君   小平  忠正君   小林  興起君

小林 千代美君   小林  正枝君   小宮山 泰子君   小宮山 洋子君

小室  寿明君   小山  展弘君   古賀  一成君   古賀  敬章君

後藤   斎君   後藤  祐一君   郡   和子君   近藤  和也君

近藤  昭一君   近藤  洋介君   佐々木 隆博君   佐藤 ゆうこ君

斉木  武志君   斉藤   進君   齋藤   勁君   斎藤やすのり君

坂口  岳洋君   阪口  直人君   笹木  竜三君   階    猛君

篠原   孝君   柴橋  正直君   下条  みつ君   城島  光力君

白石  洋一君   神風  英男君   首藤  信彦君   瑞慶覧 長敏君

末松  義規君   杉本 かずみ君   菅川   洋君   鈴木  克昌君

仙谷  由人君   園田  康博君   空本  誠喜君   田島  一成君

田嶋   要君   田名部 匡代君   田中けいしゅう君   田中 眞紀子君

田中 美絵子君   田中  康夫君   田村  謙治君   平   智之君

高井  崇志君   高井  美穂君   高木  義明君   高野   守君

高橋  昭一君   高橋  英行君   高松  和夫君   高邑   勉君

高山  智司君   滝    実君   竹田  光明君   武正  公一君

橘   秀徳君   玉木  朝子君   玉木 雄一郎君   玉置  公良君

樽床  伸二君   中後   淳君   津川  祥吾君   津島  恭一君

津村  啓介君   辻    惠君   筒井  信隆君   手塚  仁雄君

寺田   学君   土肥  隆一君   道休 誠一郎君   富岡  芳忠君

豊田 潤多郎君   中川   治君   中川  正春君   中島  政希君

中島  正純君   中津川 博郷君   中塚  一宏君   中根  康浩君

中野  寛成君   中野   譲君   中野渡 詔子君   中林 美恵子君

中山  義活君   仲野  博子君   永江  孝子君   長尾   敬君

長島  昭久君   長島  一由君   長妻   昭君   長安   豊君

仁木  博文君   西村 智奈美君   野木   実君   野田  国義君

野田  佳彦君   萩原   仁君   橋本  清仁君   橋本  博明君

橋本   勉君   畑   浩治君   鉢呂  吉雄君   初鹿  明博君

鳩山 由紀夫君   花咲  宏基君   浜本   宏君   早川 久美子君

原口  一博君   伴野   豊君   樋口  俊一君   樋高   剛君

平岡  秀夫君   平野  博文君   平山  泰朗君   福嶋 健一郎君

福島  伸享君   福田  昭夫君   福田 衣里子君   藤田  一枝君

藤田  大助君   藤田  憲彦君   藤村   修君   古川  元久君

古本 伸一郎君   細川  律夫君   細野  豪志君   本多  平直君

馬淵  澄夫君   前原  誠司君   牧   義夫君   牧野  聖修君

松岡  広隆君   松木けんこう君   松崎  公昭君   松崎  哲久君

松野  頼久君   松原   仁君   松宮   勲君   松本  大輔君

松本  剛明君   松本   龍君   三村  和也君   三宅  雪子君

三輪  信昭君   三井  辨雄君   水野  智彦君   皆吉  稲生君

宮崎  岳志君   宮島  大典君   向山  好一君   村井  宗明君

村上  史好君   村越  祐民君   室井  秀子君   本村 賢太郎君

森岡 洋一郎君   森本  和義君   森本  哲生君   森山  浩行君

矢崎  公二君   谷田川  元君   柳田  和己君   山尾 志桜里君

山岡  賢次君   山岡  達丸君   山口  和之君   山口   壯君

山崎  摩耶君   山崎   誠君   山田  正彦君   山田  良司君

山花  郁夫君   山本  剛正君   湯原  俊二君   柚木  道義君

横粂  勝仁君   横光  克彦君   横山  北斗君   吉川  政重君

吉田   泉君   吉田 おさむ君   吉田  公一君   吉田  統彦君

笠   浩史君   和嶋  未希君   和田  隆志君   若井  康彦君

若泉  征三君   鷲尾 英一郎君   渡辺 浩一郎君   渡辺  義彦君

渡部  恒三君   阿部  知子君   重野  安正君   辻元  清美君

照屋  寛徳君   中島  隆利君   服部  良一君   吉泉  秀男君

亀井  静香君   下地  幹郎君   松下  忠洋君   石川  知裕君

     ――――◇―――――

 日程第一 国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出)

 日程第二 幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出)

 日程第三 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第一、塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案、日程第二、塩崎恭久君外四名提出、幹部国家公務員法案、日程第三、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長田中けいしゅう君。

    ―――――――――――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出)及び同報告書

 幹部国家公務員法案及び同報告書

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔田中けいしゅう君登壇〕

田中けいしゅう君 ただいま議題となりました各案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 初めに、内閣提出の法律案の概要について申し上げます。

 第一に、幹部人事の一元的管理に関する規定を創設し、内閣人事局の設置に関する規定の整備等を行うものとしております。

 第二に、民間人材登用・再就職適正化センターの設置に関する規定の整備等を行うものとしております。

 次に、塩崎恭久君外四名提出の二法律案の概要について申し上げます。

 第一に、幹部職員を特別職とし、適用すべき任用、分限等の基準を定めるものとしております。

 第二に、内閣人事局を設置し、人事の一元化のために必要な機能を総務省等から移管するものとしております。

 第三に、再就職あっせん規制違反に対する罰則の創設等を行うものとしております。

 以上、各案は、去る四月六日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、翌七日仙谷国務大臣及び提出者塩崎恭久君から提案理由の説明を聴取した後、九日から質疑に入り、総務委員会との連合審査会、参考人からの意見聴取、公聴会を行うなど慎重に審査を行いました。

 五月十日には、内閣提出の法律案に対し、公明党より、早期退職勧奨の禁止等を内容とする修正案が提出されました。十二日には、本修正案について趣旨の説明を聴取した後、各案及び本修正案を一括して質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。質疑終局後、内閣提出の法律案に対し、民主党・無所属クラブより、施行期日を公布の日に改めること等を内容とする修正案が提出され、趣旨説明を聴取しました。

 次いで、各案及び両修正案について順次採決をいたしましたところ、まず、塩崎恭久君外四名提出の二法律案につきましてはいずれも否決すべきものと決しました。次に、公明党提出の修正案は否決され、民主党・無所属クラブ提出の修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、内閣提出の法律案は修正議決すべきものと決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。井上信治君。

    〔井上信治君登壇〕

井上信治君 自由民主党の井上信治です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及び幹部国家公務員法案に賛成、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論いたします。(拍手)

 最初に、与党の法案審議の進め方に対し、改めて強く抗議をいたします。

 本法案は、国家の運営の根幹をなし、国民に大きな利害を及ぼす公務員制度の枠組みを決めるものです。本来であれば、自公政権当時の国家公務員制度改革基本法と同様、できる限り多くの与野党が合意をして成立させるべきものであります。

 ところが、審議当初から、鳩山総理は、自信を持って提案しているので修正に応じるつもりはないと、修正協議を真っ向から否定されました。これは、国民の代表である立法府を冒涜するものにほかならず、到底看過できません。

 その後の審議の中で、この鳩山総理のいつもながらの軽い言葉は撤回をされました。それにもかかわらず、与党は、野党提出の法案に対してほとんど質疑することもなく、修正協議にも誠意ある対応が全くなされないまま、内閣提出法案の成立ばかりを最優先に委員会を運営しました。その集大成が、きのうの強行採決であります。このような議会運営は、与党の数を頼んだ横暴であり、尋常ではありません。内閣委員長はもとより、与党の猛省を求めます。

 そもそも、政府・与党の法案は、昨年夏のマニフェストで民主党が掲げた最大の目玉であったはずの脱官僚や天下りの根絶、国家公務員の総人件費二割削減を完全に放棄した、全く逆方向の内容です。

 このことは、審議の中でも何度も問いただしてきました。しかし、仙谷大臣を初め政府側の責任者は、その場しのぎの極めていいかげんな答弁を繰り返すばかりでした。

 今や、鳩山内閣は、国民との約束を完全にないがしろにし、支持母体である公務員労組の言いなりに、公務員天国の実現に突き進もうとしております。

 なぜマニフェストに違反をするのか、なぜ与野党で合意した基本法に違反をするのか、なぜかつての主張と正反対のことをするのか。政権交代に期待した多くの国民に対して、恥ずかしくないのでしょうか。

 心ある与党議員からは、天下り根絶や人件費の削減の実効性に疑問の声も上がりました。しかし、残念ながら、それでも、政府・与党は、本法案の問題点に真摯に向き合おうとはしませんでした。

 このような愚かな法案を断じて成立させてはなりません。

 次に、法案の主な問題点を申し上げます。

 第一に、本法案は、天下りの根絶を完全に撤回し、天下りを温存するものです。

 かつての民主党は、官民人材交流センターを天下りバンクと呼んで厳しく批判し、即刻廃止すべきと唱えておりました。ところが、本法案では、これを名称を変えて焼け太りさせ、恒久化をしています。

 当初、仙谷大臣は、センターが天下りあっせんを行うのは組織改廃時の分限免職時のみと答弁しました。しかし、審議の過程で、またもやこの答弁を覆し、早期退職勧奨、いわゆる肩たたきの際にも再就職あっせんを行うと軌道修正をしたのです。これは、天下りあっせんを温存することにほかなりません。

 さらに、鳩山内閣が多くの裏下りを行っていることも明らかとなりました。

 かつて、民主党は早期退職勧奨の禁止を唱えていたはずですが、驚くべきことに、内閣発足以来、千二百二十一人もの職員に退職勧奨を行っていたのです。しかも、このうち、退職勧奨を拒絶したのはたったの二人だというのです。

 これはどういうことでしょうか。もし、天下りあっせんをセットでやらずに、ただ退職勧奨だけをやっているとしたら、ほぼ全員が退職勧奨を受け入れるなどということはあり得るでしょうか。国民目線で、常識で考えてください。水面下で天下りあっせんをやっている、いわゆる裏下りがなされていると言わざるを得ません。

 委員会審議では、まず、こうした実態を現行法の調査権限を行使して解明すべきことを強く要求しました。しかし、仙谷大臣は一切応じませんでした。なぜ実態解明をしないのか。都合の悪い事実、つまり、鳩山内閣で大量の裏下りを容認してきたことが明らかになってしまうからではないでしょうか。

 これは、天下りの全面解禁にほかなりません。鳩山内閣は、政権をとってから、よくよく勉強をしてみたら、やはり天下りは続けざるを得ないという結論に達したのでしょうか。それは国民に対する重大な裏切りです。

 第二に、同じくマニフェストで掲げた国家公務員の総人件費二割削減も、全く本気で実現しようと考えていないということが明らかになりました。

 本法案では、野党提出の法案と異なり、給与の削減、給与制度改革については一切触れられておりません。給与を下げずして、どうやって二割もの人件費を削減できるのでしょうか。

 仙谷大臣は何と答弁したか。給与の削減については、いずれ労働基本権を付与した後、労働組合と交渉をする、しかし、交渉してみないことには削減できるかどうかはわからないと答弁したのです。

 マニフェストで国民に約束しておいて、やってみなければできるかどうかはわからない。こんな無責任な閣僚たちに政権を任せておくことは、もはやできません。

 第三に、幹部の人事制度も、極めて危険な制度です。

 部長級以上のポストについては、客観的な能力・実績評価は事実上行わず、偽りの政治主導の名のもとに、政治家が全く恣意的に人事を行う制度になっています。

 鳩山内閣発足以降、既にあちこちで、政治家による情実人事が行われ、機能不全に陥っております。本法案は、こうしたお友達人事を法的に追認しようとするものなのでしょう。見識も責任感もない政治家が、みずからの都合と好みで人事を行えば、国家を憂う優秀な公務員ほど士気が下がり、ごますり役人が横行する結果となることは間違いありません。

 まだまだ問題点は尽きませんが、本法案は、官僚たちに丸め込まれて与野党で合意した基本法を骨抜き、先送りをし、選挙のために公務員労組の言いなりとなり、マニフェストで国民と約束したことを平気で破る、公務員天国実現法案と断ぜざるを得ません。

 最後に、心ある与党の皆さんが勇気を持ってこの法案に反対されることを、そして、公務員制度改革の進展を望むすべての議員が自民党、みんなの党の法案に賛成されることを強く願って、私の討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 大泉ひろこさん。

    〔大泉ひろこ君登壇〕

大泉ひろこ君 民主党の大泉ひろこです。

 民主党・無所属クラブを代表して、内閣提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案について賛成、自由民主党、みんなの党提出の二法案について反対の討論をいたします。(拍手)

 明治時代、森林太郎という行政マンがいました。言うまでもなく、文豪森鴎外の実名です。医者としての最高位、軍医総監に上り詰めましたが、一時は北九州の小倉に左遷され、同期におくれること八年にしてその地位に就任しました。文章力は抜群、ドイツ語堪能の才能の人でありましたが、行政マンとしての評価は必ずしもそれと一致するものではありません。森林太郎は、白米を食べさせる条件で兵隊を募集したのだから、その政治的意図に沿い、兵隊に白米を食べさせることを主張しました。その結果、かっけをふやし、政策の失敗を犯したと伝えられています。

 鴎外は、余は森林太郎として死すと遺言し、墓石に叙位叙勲も文豪としての名誉も刻むことを禁じました。行政マン森林太郎が教えたのは、行政マンは、名を残すことではなく、位階に必ずしも満足できなくても、政治の意図に従い、知性を駆使して国のために働く存在であるということであります。その一方で、失政の責めを負わないままだった。それは今日まで続く官僚制の課題だろうと思います。

 今日、明治以来の官僚制が危機に瀕しました。九〇年代に始まる不況、財政難、戦後にできた制度の疲労に対し、行政マンは政治家とともに対応を誤ったとされています。高位高官の不祥事、明るみに出た天下りの実態は、公務員制度そのものの制度疲労が一般に知られるところとなりました。二〇〇八年、与野党合意のもと、国家公務員制度改革基本法が成立し、このプログラム法にのっとって公務員改革の具体化を図ることになりました。

 今回の内閣提出法案は、この公務員改革の第一歩であります。第一歩に盛り込まれたのは、幹部人事の一元化と天下り完全禁止です。

 まず、幹部人事は、内閣官房に内閣人事局を設け、幹部候補者名簿によって人事を行います。内閣での人事一元化は、各省の縦割り行政を排除し、任命権者と官僚の間にクッションを置いて、情実や恣意を極力回避します。すなわち、適格性審査で客観的に人物を評価し、合格した者のみが幹部候補者名簿に掲載され、内閣の協議のもと、任命権者が任命することになります。また、幹部候補者名簿には公募で選ばれた人材も登載し、公募人事を制度化します。

 事務次官級、局長級、部長級を職制上同一段階とみなし、これらの職制をまたがって任命するのは、すべて転任とされます。これは、広く人材を集める弾力的な方法であります。

 なお、事務次官のあり方については、附則において検討課題として取り上げ、政治主導の体制の中で最善の方法を見出していかねばならぬと考えます。

 もう一つの、天下り完全禁止は、国民に期待された政策であります。

 公務員を早期退職し、突出した条件で天下ることがセットされた一部の特権官僚の姿が公務員全体の印象を歪曲してきたことは遺憾であります。OBが自分の天下り先の予算獲得のために出身省に圧力をかけたことで、いわゆる無駄遣いも行われてきました。今まさに、その事実に対して、行政刷新会議、事業仕分けのメスが入っているところであります。

 もとより、人生五十年時代の官僚システムのまま放置されてきたことも天下りを必要悪とした原因であり、政治の責任も大きい。天下り完全禁止は、公務員バッシングが目的であってはならず、政治家と公務員の役割分担を明確にし、政治家が方針を決め、公務員が専門性を持って制度の運営に当たる環境をつくることが目的であります。

 したがって、今回設置される民間人材登用・再就職適正化センターは、今後、民間、国際機関、大学、自治体などの人事交流を主とし、公務員の職歴を豊かにして、専門性と現実感覚を十分に養う役割を負っていくことになります。人事交流は、従来とはけた違いの規模になることを期待します。

 また、いかにしても起こり得る分限免職に限って、再就職の業務も行うことになります。その目的がそれぬよう、再就職等監視・適正化委員会は、いわゆる裏下りなど脱法的行為に対して厳正な対処をすると政府答弁を得ています。

 今回の改正にあわせ、厳しい財政状況のもと、公務員人件費の二割カットが政府の公約となっています。民間で行われてきた人件費カットの知恵をかりて、新たな専門職の創設、地方出先機関の廃止、新規採用の抑制など、痛みを伴うが適切な処置を政府に期待します。

 同時に、国民感情を考えたときに、既に天下りしているOBのうち、六十五歳以上の場合は勇退していただくこと、天下り指定ポストと目される連続三代以上ポストはいかなる手段においても継続されることがないよう、政府に図っていただきたいと思います。

 なお、自由民主党、みんなの党提出の二法案につきましては、組織の改廃に伴い離職を余儀なくされる職員に対する再就職の規定が欠如していること、さらに、今後付与される労働基本権に先立って、人事院や総務省の機能移管が行われるため、その順序、整合性に欠くなど、問題をはらんでいます。責任ある与党の立場としては、いずれの法案にも賛成できません。

 政治家は国民の意を酌み、公務員はその政治の意を酌み、国のために働く。最後は、余は国のための一介の働き者として死すと言えるような公務員制度として運営してほしいと思います。

 そのためには、公務員改革は、第二歩、第三歩が用意されなければならない。特に、公務員に労働基本権を付与し、労使交渉のもとでその働き方を決めていく方針が出されている以上、その制度化の際には、給与、定員管理、級別定数の機能などを明確化し、公務員が定年まで働ける環境を整備することを望んで、討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 高木美智代さん。

    〔高木美智代君登壇〕

高木美智代君 公明党の高木美智代でございます。

 私は、公明党を代表し、政府提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに自民党、みんなの党共同提案による国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに幹部国家公務員法につき、政府案、衆法ともに反対の立場で討論をさせていただきます。(拍手)

 初めに、本法案の採決に当たり、政府案はつけ焼き刃の公務員制度改革であると指摘せざるを得ません。

 制度改革の全体像、さらには工程表、退職管理基本方針の提出を再三再四求めたにもかかわらず、全体像、工程表については、いまだ提出されておりません。

 また、退職管理基本方針に至っては、四月二十三日の四大臣会合で提出された総務省案がやっと二日前に提出されました。報道されているのに資料を出さない。さらに、その閣議決定は本法律施行時期に合わせて行うとしており、このような政府の不誠実な対応は、国会軽視以外の何物でもないと強く指摘をするものです。

 仙谷大臣は、繰り返し、来年の通常国会に、基本法のスケジュールにのっとり、パッケージで法案を提出すると答弁されていますが、であるなら、不十分な政府案を取り下げ、来年まとめて提出されてはいかがかと申し上げます。

 これまでの議論を踏まえ、五月十日には、公明党として修正案を提出いたしました。その審議も十分に行われない中、強行採決となったことは極めて遺憾であります。

 以下、公明党提出の修正案を踏まえ、反対の理由を述べさせていただきます。

 第一に、国民が求めている天下り根絶にこたえる内容とは言えません。

 かつて民主党が野党時代に国会に提出した天下り根絶法案や昨年の民主党のマニフェストに比べて、驚くべき後退ぶりであるのみならず、天下りの温床となっている早期退職勧奨の禁止も事前規制の規定も盛り込まれていません。

 内閣総理大臣による再就職あっせん規定も温存、事後規制に係る、あっせん禁止違反に対する罰則も設けない、さらには、天下り根絶の切り札と言っている再就職監視・適正化委員会は、従来より機能を弱め、独立性の強いと言いながら、再就職支援機関のもとに設置するのでは、やはり天下り自由化法案であったと申し上げるものです。

 また、退職管理基本方針の中に、独立行政法人等への役員出向が盛り込まれていますが、民主党は、二年半前、独立行政法人、特殊法人の廃止、民営化等の推進に関する法律案を準備していたはずです。さらに、重点政策五十にも盛り込みながら、廃止の見直しをしないまま、出向という名をかりて人を派遣するやり方は、自己矛盾甚だしいと言わざるを得ません。

 公明党は、政府案、衆法に比べ、天下り根絶への強い姿勢を示し、早期退職勧奨の禁止、また、事前規制を復活させ、在職中に密接な関係にあった企業、公益法人などへの再就職の禁止を離職後五年間に強化すること、さらには、あっせん禁止違反についての刑事罰二十万円以下を新設いたします。

 また、事後規制については内部通報も有効であることから、氏名の秘匿を保障した法整備を行い、監視委員会は新たに設置せず、現行の国家公務員倫理審査会を機能強化し、まさに独立した強い権限行使をすることとしております。

 第二に、総人件費の抑制について、給与法、退職手当法、定員法、共済組合法等、給与体系の抜本改革は先送りされ、法文上の検討項目にすら入っていません。定年まで働ける環境をつくり、総人件費を二割削減しますとしていた公約は破綻してしまったのでしょうか。

 退職管理基本方針に基づく試算もなされないまま、来年度の新規採用をほぼ五割削減するとの報道には驚きを禁じ得ません。将来の展望なく行き当たりばったりの、政治主導とは名ばかりの政権運営です。

 人件費の削減については、年功序列的な給与カーブを民間並みに見直すこと、専門スタッフ職制の拡大強化と給与等の整備、独立行政法人、公益法人への出向促進とともに、退職金は通算し一回のみとすること、また、高過ぎる退職金についても第三者機関の諮問を導入するなどの整備が急務です。年内に整備することを強く求めます。

 第三に、国家公務員制度改革の全体像がありません。

 官房長官並びに仙谷大臣は、基本法にあるとおり実施する、来年の通常国会にすべて提出をすると強弁しておりますが、基本法で示されている一年以内に措置すべき項目、十三項目のうち、今回の法案で盛り込まれたのはわずか一項目というお粗末さでございます。

 第四に、幹部人事について、情実人事、恣意的人事を排除するための取り組みが全く不十分であります。

 前駐日英国大使は、政治家は介入しない方がいい、なぜなら、官僚が政治家にくっついてしまう失敗があり得るからですと警告をしています。

 我が党は、適格性審査、幹部候補者名簿の作成に当たっては、第三者機関を関与させ、できるだけ客観的な評価に基づいて実施すべきと考えます。

 幹部人事の一元化についても、大幅な降任については不利益処分となるおそれが政府案では払拭できず、降任手続の条件も不明確です。

 第五に、労働基本権の付与について、労働組合との交渉プロセスが不透明です。

 政府は、労働基本権を付与すれば総人件費の抑制に貢献できるような答弁を繰り返していますが、その根拠はあいまいです。

 今後の検討に当たっては、基本法第十二条のとおり、協約締結権付与に伴う便益と費用を含む全体像を国民に提示し、広い議論を求めるべきであります。

 ギリシャにおけるスト権行使の例もあり、組合との交渉内容及び議論のプロセスを透明化しながら慎重に検討を進めることを求めるものです。

 以上、政府案について申し上げました。

 自民党、みんなの党提出の法案については、基本法にのっとった方向性が示されているものの、幹部公務員を課長まで降格することは実効性に疑念があること、また、事務次官の廃止後の具体像が明確とは言えず、公務員のモチベーションに対する影響が懸念されることから、反対をするものです。

 アメリカのルイス博士の分析によれば、政治任命が進むほど役所の効率が落ちるとしており、ハリケーン・カトリーナが起きたとき、担当長官が何の指示も出さなかったために多くの死者を出したという悲劇が伝えられています。

 政治的中立性が担保され、専門能力の高い人物が幹部公務員として任用され、国民のために奉仕する政治が実現されることを政府に強く求め、討論といたします。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一、塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及び日程第二、塩崎恭久君外四名提出、幹部国家公務員法案の両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも否決であります。この際、両案の原案について採決いたします。

 両案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立少数。よって、両案とも否決されました。

 次に、日程第三、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

高山智司君 日程第四は延期されることを望みます。

議長(横路孝弘君) 高山智司君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、日程第四は延期することに決まりました。

     ――――◇―――――

高山智司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(横路孝弘君) 高山智司君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長筒井信隆君。

    ―――――――――――――

 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔筒井信隆君登壇〕

筒井信隆君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、木材の適切な供給及び利用の確保を通じた林業の持続的かつ健全な発展を図り、森林の適正な整備に寄与するため、農林水産大臣及び国土交通大臣が策定する公共建築物等における木材の利用の促進に関する基本方針等並びに木材製造高度化計画の認定について定め、当該計画の認定を受けた者に対する林業・木材産業改善資金助成法及び森林法の特例措置等を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月十九日本委員会に付託され、翌二十日赤松農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、二十二日から質疑に入り、二十八日には国土交通委員会との連合審査会を行うなど慎重に審査を重ね、五月十一日質疑を終局いたしました。

 本日、本案に対し、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案により、国の責務として、必要な財政上及び金融上の措置に関する規定及び木造の建築物に係る建築基準法等の規制のあり方の検討に関する規定を追加すること、公共建築物における木材の利用以外の木材の利用の促進に関する施策に関する規定を追加すること等の修正案が提出され、趣旨の説明を聴取した後、採決を行った結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(横路孝弘君) この際、内閣提出、政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣平野博文君。

    〔国務大臣平野博文君登壇〕

国務大臣(平野博文君) 政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 国民一人一人が豊かさを実感できる真に国民のためになる政策を実現するため、内閣総理大臣のリーダーシップのもとに、縦割り行政の弊害を排した総合的な行政を行うとともに、国民的な観点から国の行政全般を不断に見直すことが求められています。また、国政の運営を、官僚主導、官僚依存から政治主導、国民主導へと刷新し、国民の代表たる国会議員が責任を持って政府の施策を決定する新たな体制を早急に構築する必要がございます。

 このような観点から、内閣官房に国家戦略局を、内閣府に行政刷新会議及び税制調査会をそれぞれ設置するとともに、国家戦略官等の新たな政治任用職を設ける等の措置を行う本法律案を提出する次第でございます。

 次に、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。

 第一に、内閣官房に国家戦略局を設置いたします。

 国家戦略局は、経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、租税に関する政策の基本及び予算編成の基本方針の企画及び立案並びに総合調整とともに、内閣総理大臣が指定する内閣の重要政策に関する基本方針の企画及び立案並びに総合調整に関する事務を所掌いたします。

 内閣官房副長官を一人増員し、国家戦略局長に充てるとともに、国家戦略局長のもとに国家戦略官一人を置くことといたします。

 なお、国家戦略局の設置に伴い、内閣府に設置されております経済財政諮問会議を廃止いたします。

 第二に、現在、五人以内に限ってその設置が認められている内閣総理大臣補佐官の定数を十人以内に増員いたします。

 また、内閣官房に、政務に関し、内閣官房長官等を補佐する内閣政務参事を、必要な情報の提供を行う内閣政務調査官をそれぞれ置くことができることといたします。

 第三に、内閣府に、重要政策に関する会議として、行政刷新会議を設置します。

 行政刷新会議は、内閣総理大臣を議長とし、関係大臣及び有識者から成る委員十人以内で組織をいたします。

 内閣総理大臣または行政刷新担当大臣の諮問に応じて、行政の刷新に関する重要事項について調査審議を行うとともに、当該事項に関し内閣総理大臣または行政刷新担当大臣に意見を述べ、さらに、行政の刷新に関する重要事項に関する施策の実施を推進します。

 また、必要に応じて、国会議員等を委員とする専門委員会を設置することができることといたします。

 第四に、内閣府に、特別の機関として、租税制度に関する事項について調査審議を行う税制調査会を設置いたします。

 第五に、国家公安委員会に、委員長たる大臣を補佐する大臣政務官一人を置くことができることとします。

 第六に、内閣府及び各省に、政務に関し、大臣等に必要な情報の提供等を行う政務調査官を置くことができることとします。

 このほか、国家戦略官の設置に伴い、国会議員と公務員の兼職禁止の例外を規定する等の関係法令の改正を行うこととします。

 以上が、本法律案の趣旨でございます。

 よろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

 政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(横路孝弘君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。橋本博明君。

    〔橋本博明君登壇〕

橋本博明君 民主党の橋本博明です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。(拍手)

 政権発足から約八カ月がたちました。この間、政権初の予算を成立させ、また、我々が総選挙の際にお約束をした子ども手当、高校授業料の無償化などに関する法案も成立いたしました。昨今の国民の厳しい評価については真摯に受けとめなければなりませんが、だからこそ我々は、引き続き国民との約束を着実に実現していかなければなりません。

 その国民との約束の中で、子ども手当や高校無償化と同様に我々が強く主張してきたのが、政治のあり方そのものの変革、つまりは政治主導の確立でございました。

 私自身、かつて国家公務員として、いわゆる官僚主導の政治システムの中で働いておりました。今も役所に残っている私のかつての同僚も含めて、多くの公務員は国家国民のために働いています。

 しかし、それでもなお、役所という特殊な環境で働いておりますと、例えば役所同士で無駄な縄張り争いをせざるを得ない。また、事なかれ主義、前例主義に阻まれて、なかなか新しい政策を打ち出すことができません。

 こうした官僚システムに日本の政策決定をゆだねてきたからこそ、さまざまな問題が先送りされてきたわけでありますが、では、こうした状況を生み出す原因は何だったのかといえば、私自身の経験も踏まえますと、官僚が度を越して政治の領分に分け入ったというよりも、むしろ政治の側に、より大きな原因があったと感じております。

 すなわち、官僚の敷いたレールに従っていれば楽だという思い、失敗して責任をとることだけは避けたいという政治家のあり方が、こうした状況を生み出す大きな要因だったのではないでしょうか。

 そこで、最初に、総理にお伺いします。

 官僚主導政治の弊害に対する御認識と、鳩山政権ではそれをどう克服しようとしているのか、本法案の必要性も含めて、お考えをお示しください。

 次に、法案の中身について質問をいたします。

 まず、本法案では、政治主導を確立する手段の一つとして、内閣官房に国家戦略局を設置することとしています。

 これまでの我が国の行政は、各役所が、ともすれば省益や局益に偏った施策を進める一方で、官邸はそれをまとめるだけに終わりがちでした。この国家戦略局は、そういった省庁の縦割りの弊害を改善するものと期待いたしますが、この国家戦略局設置の意義、ねらいについて仙谷国家戦略担当大臣にお伺いします。

 また、本法案では、これまで内閣総理大臣決定で設置されていた国家戦略室を局に変更しています。その趣旨についてもあわせてお答えください。

 この国家戦略局の所管事項は、経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、租税に関する政策の基本及び予算編成の基本方針の企画及び立案並びに総合調整に関する事務などが定められています。大変広範かつ重要な分野を担っていると考えますが、具体的にどんな仕事をするのかを確認いたします。

 この所管事項が経済財政諮問会議のそれと類似であることを考えますと、例えば、骨太の方針同様、概算要求に向けた基本方針の立案も想定されますし、また、既に中期財政フレームや新成長戦略等重要課題の検討も進めておられると伺っています。これから国家戦略局が担う仕事について具体的にどういったものを考えているのか、仙谷大臣にお伺いします。

 次に、鳩山政権が構想する国家戦略について伺います。

 戦略策定に当たり私が重要と考えておりますのは、世界の中の日本、とりわけ、どういった分野で我が国が世界に貢献できるかという視点です。グローバル化が進み、国家間の競争が激しくなる中で、どうやって生き残るのかという視点も重要ですが、市場原理主義の破綻を目の当たりにした我々としては、例えば、我が国が世界にどういう形で必要とされるのか、そういう視点も必要ではないでしょうか。

 先般示された新成長戦略においては、グリーンイノベーションとライフイノベーションの二つを大きな柱とし、この分野で世界最先端の知見を維持しつつ、同じ課題で困っている国々に対して解決策を提示する、課題解決国家といったビジョンを示しておられます。

 世界に役立つ国家として、さまざまな危機に直面する世界において日本はどのような名誉ある地位を占めるべきとお考えか、総理のお考えをお聞かせください。

 次に、行政刷新会議について質問をいたします。

 行政刷新会議は、無駄遣い排除の司令塔であり、現在進められている事業仕分けも大いに注目を集めています。私がこの事業仕分けで注目しているのは、一つ一つの事業について国会議員みずからが調べていく、その姿勢です。

 これまでの予算削減は、政治が大ざっぱに歳出を一律何%かカットしろと命じる、通称かんな削りと言われる手法がほとんどでした。その結果、具体的に何を削るかはすべて役所にお任せ、最終的には無駄なものも必要なものもひとしく削られていたわけであります。

 改めて、事業仕分けの目的と成果について枝野行政刷新担当大臣のお考えをお示しいただくとともに、今後は公益法人やさまざまな規制についても仕分けを行うと伺っております。私自身は特別会計を早急に仕分けるべきと思いますが、今後の仕分けのスケジュールについてもあわせてお示しください。

 さて、この行政刷新会議について、これまでは閣議決定で設置されていたものを、法律で明定することとしています。

 しかし、過日、仙谷大臣が指摘をされましたとおり、各役所の大臣が、要求大臣としてではなく査定大臣として活動されるのであれば、この会議そのものが必要なくなるとも考えられます。また、事業仕分けを通じて得られた成果は、単にその事業の是非のみではなく、類似の制度全体の見直しにつなげることが本当のねらいだというお話も伺いました。

 枝野大臣に、行政刷新会議の必要性と役割を御説明いただくとともに、今後、行政刷新会議で得られた成果をどうやって政府横断的に広げていくのか、お考えをお示しください。

 次に、来年度の予算編成についても触れさせていただきます。

 過日成立した予算は、限られた時間の中で、旧政権がつくり上げた予算をベースに、マニフェスト達成に必要な予算を上乗せしたものと認識しています。そういう意味では、来年度の予算こそ、我々の真価が問われる、ゼロベースでの見直しを行わなければならない予算と考えます。

 政務三役には、当然、みずからの役所の事業についてしっかりと仕分けをしていただかなければなりませんが、我々与党議員もまた、政策研究会を中心に、担当する役所の予算をしっかりと査定し、政務三役に御提案することが重要であり、これこそが国民の期待する政治主導ではないかと考えます。

 こうした取り組みの必要性について、総理の御見解を伺います。

 先ほど触れた経済財政諮問会議もそうですが、政治主導の観点からは、有識者による審議会や委員会についても問題があります。

 我が党の政策が、時に有識者の議論を経ないまま法案化されることについて、野党の皆様から、段取りを踏んでいないといった御批判をいただくことがあります。しかし、私自身の経験からも、旧政権の政策というのは、役人のつくった報告書が、ほぼそのまま審議会で認められ、法律の原案となっておりました。有識者の意見が有用であるのはわかりますが、それが国民の声を代弁しているわけではありません。

 そして、政治主導が重要なのは、それが国民主導につながるからであって、その意味で経済財政諮問会議は、官邸主導であったかもしれませんが、政治主導、特に国民主導ではなかったというのが私の認識です。

 政策立案の責任は政治にあり、その政治の責任は、最終的には選挙で国民の皆様に御判断いただく。それが我々の目指す政治主導であり、だからこそ、例えば税制調査会も、本法案において、政治家で構成される会議体にされたものと考えます。

 こうした考え方について、審議会のあり方の見直しも含めまして、総理の御意見をお聞かせください。

 本法案は、政治主導を確立し、それにより国民主導の政治を実現することを目的としております。その意味で、今回の改革を、単なるパフォーマンス、特に官僚バッシングに終わらせてはなりません。

 国家公務員法の一部を改正する法律とあわせまして、今回の改革が、角を矯めて牛を殺すの愚を犯すことなく、官僚もこれまで以上に役割を果たしてもらいながら、政治家が責任を持って政策を策定していく、そうした関係をつくり出す第一歩としなければなりません。

 また、システムづくりはあくまでも手段であり、本法案によって日本の政治は、これまで以上に政治家個々の力量、つまりは、与野党を問わず、すべての議員の努力が求められることとなります。

 そこで、最後に、総理にお伺いします。

 本法案を運用するに当たっての、総理を含む政務三役の皆様の決意、また、野党の国会議員の皆様に期待をされていること、さらには、今回初めて議席を預かることとなりました我々新人議員に対して期待される役割について御意見をお聞かせいただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 橋本議員にお答えをいたします。

 まず、官僚主導政治の弊害とその克服についての御質問でございました。

 これまで、長期政権が続く中で、役所の縦割り行政のもとで、国全体の立場からの戦略的な政策判断が十分に行われてこなかった、官僚が実質的な政策判断を行い、政治家はこれを追認するだけとなっていたこと、こういった問題があると認識をしています。

 したがいまして、本法案は、これらの問題を解決するために、政府部内の組織の見直しを行うためにつくらせていただいた法案であります。

 まず、縦割り行政の排除のために、総理のリーダーシップを十分に発揮できる体制として、国家戦略局を置き、新時代の国家ビジョンを作成し、高く広い視点からの総合的な行政を実現いたします。

 内閣府には、総理を議長とする行政刷新会議を設置して、各種の仕分け作業を初めとして、国の行政全般を国民的視点から不断に見直してまいります。

 また、国家戦略局長、国家戦略官及び国家公安委員会の大臣政務官の三つの政治家のポスト、さらには、各府省の政務三役などに対する補佐機能を強化するために政務調査官などの職を新設して、国民の審判を受けた政治家が政府の運営に名実ともに責任を持つ体制を構築することにいたします。

 課題解決型国家というビジョンに関する御質問がございました。

 これは、御案内のとおり、昨年末、新成長戦略、この基本方針をつくったわけでありますが、地球温暖化対策及び少子高齢化対策、この二つを地球規模の課題としてとらえて、これらの課題に正面から取り組むためのグリーンイノベーションとライフイノベーション、これを成長の二つの柱といたしたわけでございます。

 日本が世界に先駆けてこれらの課題に取り組むモデル国となることによって、我が国の研究開発力や企業体質を強化して、需要と供給の好循環を国内に生むと同時に、これらの先進的な技術や経験をアジア諸国を初めとする諸外国と共有して、世界の課題解決と成長の架け橋となる、これが課題解決型の国家ビジョンでございます。

 このことに関しまして、来月に新成長戦略の全体像と工程表を取りまとめます。官を開き、国を開き、そして未来を開く、こういった考え方のもとに未来の成長への具体的な処方せんを打ち出してまいりまして、世界に開かれた魅力ある日本に変えていかなければなりません。

 与党議員が各委員会ごとに予算を査定すべきだという御指摘がございます。

 日本国の憲法上、予算は内閣が提出することとなっております。したがいまして、まずは内閣の責任において、各省によります行政事業レビュー、行政刷新会議による事業仕分け、財務省による予算査定などを通じて、行政の無駄を徹底的に排除して、適切な予算を策定することが重要でございます。

 しかしながら、その過程におきまして、多くの与党議員の皆様方の御議論あるいはその検討成果というものを十分に活用しながら政治主導で予算の編成を進めていくという考え方は大変重要でありまして、今まさに、そのように行っていこうとしているところでもございます。

 今後とも、御指摘のように、予算編成過程で多くの与党の議員の皆さんが予算をしっかりとチェックする仕組みを工夫して、政治主導で、効率的、効果的な予算をつくってまいりたいと考えてまいります。

 審議会のあり方に関する御質問がございました。

 意思決定の前段階において有識者や専門家の御意見を聞くことは当然に必要なことでございますが、御指摘のとおり、最終的に政治家が責任を持って意思決定をすることが極めて重要でございます。

 審議会について、各役所の事務局が実質的に委員の人選を行って官僚主導型の政策決定を助長した面がある、これは、私はやはり事実だと思っております。このため、この内閣では、審議会の委員の選考過程における適正性を確保するということ、そして各役所の政務三役が説明責任を担うということにしております。

 一番大事なことは、官僚の意思決定のただ単なる形式的な隠れみのに審議会を使ってはならないということでございます。したがいまして、今後とも、政治主導による政策立案を進める上で、審議会のあり方についても必要な見直しをしっかりと行ってまいります。

 本法案の運用に当たっての政務三役の決意と野党議員及び新人議員への期待についての最後の御質問がございました。

 役所の政務三役に対しましては、この法案による体制強化を活用して、それぞれの役所において十分なリーダーシップを発揮してもらいたい、国民の視点で政策の調整あるいは決定を行っていくことを求めてまいりたいと思います。大事なことは、国民視線ということでございます。

 その上で、重要かつ広範な政策課題につきましては、閣僚委員会などを活用して政府全体としての調整を行い、総理である私がリーダーシップを発揮して最終的な判断を行っていくということでございます。

 野党の国会議員の皆様におかれましては、国会での議論などを通じて、真に国民のためになる政策の実現のための御尽力をぜひお願いしたいと考えております。

 また、さきの衆議院の選挙で新たに議席を得られた新人の議員の皆様方におかれては、国民の負託という重い責任を十分に認識していただいて、初心を忘れないで、それぞれの持ち場で国民本位の政治の実現に向けて全力で取り組んでいただきたい。新人議員の皆さん方が国民の目線、視線に最も近いということ、このことにぜひ自負の念を持って取り組んでいただきたい。そのことをお願いいたします。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣仙谷由人君登壇〕

国務大臣(仙谷由人君) 橋本博明議員から、国家戦略局設置の意義、ねらいについてお尋ねをいただきました。また、現在の国家戦略室から局への変更の趣旨についても御質問をいただきました。

 橋本博明議員の御指摘のとおり、各省各局による従来の縦割り、補助金、天下りのこの行政、これを廃さなければいけない。日本という国全体の立場から戦略的な政策決定を行う、戦略的に政策をつくって、戦略を設定するということが極めて重要であります。

 この観点から、本法案におきましては、総理直属の組織であります内閣官房に国家戦略局を置きまして、総理のリーダーシップのもとに、新しい時代の総合的な国家ビジョンを打ち出していくこととするものでございます。

 その際、国民の審判を受けた政治家が政府の運営に名実ともに責任を持つ政治主導の実現をする観点から、国家戦略担当大臣を支える政治家のポストとして、内閣官房副長官を兼任する国家戦略局長及び国家戦略官を新設いたします。いずれも、法律によってのみ設置が認められる職でございます。

 このように、政治家をその長といたしまして、重要な役割を担うことを踏まえて、名称を国家戦略室から国家戦略局と改め、内閣官房の組織として法律上明確に位置づけることとしたところでございます。

 もう一問いただいております。

 今後、国家戦略局が担う仕事は具体的にどのようなものかとのお尋ねでございました。

 今回の法案によりまして、国家戦略局は、現在と同様、経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、租税に関する政策の基本及び予算編成の基本方針の企画及び立案並びに総合調整に関する事務と、それ以外の内閣総理大臣が指定するものに関する事務を担うこととなります。

 具体的には、来月を目途に、中期財政フレーム及び財政運営戦略の策定と、新しい成長戦略及びその工程表の策定を着実に進めてまいります。

 加えまして、社会保障・税にかかわる番号制度の導入の検討、新年金制度の検討なども重要な課題として取り組んでまいります。

 今後も、総理から特に命ぜられた重要施策について積極的に取り組み、政治主導による新時代の国家ビジョンの作成に取り組んでまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣枝野幸男君登壇〕

国務大臣(枝野幸男君) 橋本議員にお答えをいたします。

 まず、事業仕分けの目的と成果、今後のスケジュールでございます。

 事業仕分けは、まず何よりも、国民の皆さんに税金の使い方、使われ方を透明化する、知っていただくということが大きな目的でございます。そのことを通じて、個別の税金の使われ方、その問題点をあぶり出し、その無駄を排除していく。

 御指摘いただきましたとおり、これまでのいわゆる歳出削減というのは、何%削減というようなやり方でやってきた。私は、これは一定の役割はあるとは思うんですが、まず税金の無駄遣いを削るという意味からは、個別の無駄がどこにあるのかということをしっかりと、政治家を含めて、検証し削っていく。その上で、狭い意味での無駄をしっかりと削る一方で、新しい事業を行うため、あるいは全体の財政の状況の中では、優先順位の低いところを、無駄とは言えないかもしれないけれども抑えていく、こうした場合には何%削減というやり方が効果的であるかというふうに思いますが、その前提として、まずは徹底して個別の無駄をしっかりと見ていく、そのことが重要である、そのことを目的としてこの事業仕分けを行っております。

 その成果といたしましては、金額的なこと以上に私が重要だと思っているのは、一つは、国民の皆さんが税金の使われ方というものに今まで以上に大変強い興味、関心を持っていただき、そして国民の立場、納税者の立場でこれを監視しようという強い意思を示していただいていること。そしてもう一つは、特に与党の政治家が個別の税金の使い方を削るという方向で動く、そのことが国民の皆さんから一定の御評価をいただく。これは政治の文化を大きく変える。これまでの政治家は、予算をふやすことについては一生懸命であり、予算をふやすことで国民から評価をされるということが言われてきましたが、むしろ削ることが大きな評価を受ける、このことを実績を積んでいくということが大変重要であるというふうに思っているところでございます。

 今後の事業仕分けでございますが、既に、五月二十日から四日間、公益法人などの団体、政府系の団体を中心といたしました事業仕分け第二弾の後半戦を実施いたします。

 その後については、実は現時点では白紙でございます。その結果、成果、あるいはそれによる制度改革などの動き等を見据えながら、あるいは、仕分けではございませんが、行政事業レビューというのもスタートしています、この結果などを踏まえながら、今後の事業仕分けについては検討していきたいと思っております。

 御指摘いただきました特別会計につきましては、実は、特別会計の事業もこれまで聖域なく事業仕分けの対象としてきておりまして、この特別会計の個別の事業のかなりの部分にメスが入っております。制度のあり方や、網羅的にあるいは特にターゲットにしてということについては、今申し上げたような視点で今後検討させていただきたいというふうに思っております。

 それから、行政刷新会議の必要性と役割についてでございます。

 行政刷新会議は、事業仕分けだけを行っているわけではございません。今も少し申し上げた行政事業レビュー、これは各省が主体になってやっていただきますが、これについて、行政刷新会議で決めて、そしていろいろなやり方について、連携をしながら、各省の内部で定常的にしっかりと毎年毎年税金の使われ方を公開プロセスの中でチェックしていくということをやっていただく、そのことを今スタートさせていただくことを進めております。

 あるいはまた、事業仕分けの成果、結果を踏まえて、これから独立行政法人の制度や個別の組織をどうしたらいいのかということについて検討、議論をさせていただき、その改革に努めていく。あるいは、公益法人に仕事をしていただいている政府の仕事、この委託の仕方、外注、アウトソーシングの仕方がいいのかどうか、こういった制度のあり方についても行政刷新会議が進めていくということであります。

 そうした意味では、もちろん今、各省の内部において、政務三役の皆さんが中心になって、査定大臣、査定三役という立場で、内部でそれぞれの無駄をみずから洗い出していただくということを進めていただいておりますし、これは大変重要なことでありますが、それを政府全体として統一的にやっていく、あるいは、各省の中だけではできない制度の話あるいは省庁横断的な話については行政刷新会議が担わせていただく重要性があるというふうに思っております。

 また、現に、それぞれの内生化をして、内部で削減をしていただくということに対して、例えば、事業仕分けも、行政刷新会議において事業仕分けが行われる、だから、そこでどういう議論をされるだろう、そこで議論をされるということを考えれば、ああ、我が省の中でこれは削らないといけないな、事業仕分けの現場に出たらとても通用しないな、こういった間接的な効果で今現にいろいろな事業が削減をされている、あるいは改善をされている、こういった効果といいますか、役割、機能を果たしているというふうに思っているところでございます。

 類似の事業に、制度全体の見直しにつなげる、まさに御指摘をいただいたことに向けて私どもはしっかりと頑張っていきたいというふうに思っておりますので、ぜひとも、今後とも御指導と御支援をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 平井たくや君。

    〔平井たくや君登壇〕

平井たくや君 自由民主党の平井たくやです。

 自由民主党・無所属の会を代表して、政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)

 まずは、鳩山総理にお伺いします。

 鳩山政権は発足して八カ月。発足時は七割近くあった支持率は瞬く間に急落し、国民の失望感は日増しに強まっています。最大の原因は、総理、あなたにリーダーシップがないことであります。この八カ月の間、鳩山総理御自身が決断を下した場面がどれだけあったでしょうか。残念ながら、私には、ひたすらひたすら低姿勢で、脱税逃れの言いわけにきゅうきゅうとしている総理の姿しか思い浮かびません。国民の多くが同じ印象を抱いているのではないでしょうか。

 そんな総理が就任以来変わらず貫いている姿勢は二つです。

 まず一つは、言葉が軽く、すべての政策に関してぶれてしまうこと。

 五月末には絶対に決めると言い張っている沖縄普天間移設問題では、発言のたびに内容が変わっています。消費税についても同様です。消費税の議論は早過ぎると言ったかと思えば、消費税の議論を始めることは、ある意味ではよい時期になると発言。また、高校の無償化法案に朝鮮学校が含まれるかについても二転三転し、ついには、揺らぎの中で本質を見きわめることが宇宙の真理だと、常人には理解できないような説明を始める始末であります。このような人物が国家運営の最高責任者として政治主導を声高に主張するとは、まさに噴飯物と言わざるを得ません。

 不動の姿勢の二つ目は、小沢幹事長のかいらい、言いなりであることです。

 政治と金をめぐる問題では、小沢幹事長と歩調を合わせて一貫して国会での証人喚問から逃げ回り、昨年末の予算編成においては、全国民からの要望なので可能な限り予算に反映させてほしいという小沢幹事長の命令を受け、マニフェストの目玉だったガソリンの暫定税率廃止をあっさりと取り下げ、小沢幹事長に対し、ありがたいと四回繰り返したと報じられております。

 現在の民主党は、経済面でも外交面においても、日本を内側から瓦解させるような悪政のオンパレードであります。

 鳩山政権発足後の半年を振り返って、総理は、御自分のリーダーシップ、政治主導をどう評価されておりますか。ここでぜひ自己採点をしてみてください。百点満点で一体何点だったんでしょうか。また、総理のおっしゃる政治主導とは一体何でしょうか。小沢幹事長の意向に従順であるということなのでしょうか。

 以上二点につき、私のような普通の人間にもわかるような表現で明確にお答えをください。

 さて、本法案は、政府の政策決定過程を政治主導にするための体制整備の法案です。

 しかし、残念ながら、今や国民は鳩山内閣に対して政治主導の実現など期待はしておりません。なぜかは、おわかりのはずであります。民主党がかつて政治主導で唱えていたことが、うそばっかりであるとわかったからであります。

 普天間基地の県外移設を唱えていたが、政権をとって勉強してみたら無理だったとわかった、これは鳩山総理がはっきりと認められました。それだけではありません。昨日の内閣委員会で強行採決された国家公務員法等の改正案の審議の中で、天下り根絶や国家公務員人件費二割削減など、マニフェストで明記していた内容も、すべてうそだったことが明らかになりました。

 かつて民主党の皆さんは、人材バンクは天下りバンク、公務員もハローワークに行くべきだと高らかに主張し、また、いわゆる肩たたき、早期退職勧奨は禁止すべきだと言っていました。ところが、先ほど採決された国家公務員法等の改正案は一体何ですか。人材バンクを恒久化し、天下りあっせんをやり続けることになっているのではないですか。早期退職勧奨の禁止などという言葉は、蒸発して完全に消えてしまったじゃないですか。

 かつて天下り根絶の急先鋒だった長妻昭議員、馬淵澄夫議員、先ほどの法案には賛成したのですか、本当に心から賛成したのですか、政治家として恥ずかしくないんですか。

 私は、大臣、副大臣としての答弁は求めません。ただ、あなた方がこれまで国民の前に明らかにしてきたことはこういうことであります。政治主導とは、できるかどうかをきちんと検証せず、選挙で国民受けしそうなことを高らかに唱えること、そして、選挙が終わったら直ちに手のひらを返し、やはり勉強してみたらできませんでしたと言って舌を出せばいいということではないですか。

 鳩山総理、これでも、政治主導の確立を今さら目指すのですか。全く信頼に値しない閣僚たちが政治主導の確立を目指そうとする、国民から見たら、これはブラックジョーク以外の何物でもありません。

 鳩山総理、あなたのような総理大臣のもとでは、むしろ官僚主導の方が望ましいとは思いませんか。あなたには政治主導など無理です。できないことを目指さない方がよいのではありませんか。また、万一にも政治主導の確立がこの内閣で実現したら、それこそこの国にとっての危機だと、御自分でも考えているのではないですか。御見解をお伺いします。

 ひょっとすると、鳩山総理は、本気で政治主導など目指してはいけないということを十分にわかっておられるのかもしれません。というのも、今回の法案では、どういう政治主導を目指そうとしているのか、具体的な姿が全く見えません。何の理念も哲学もなく、全く真剣味のない法律と言わざるを得ません。

 例えば、権力の二重構造について、どう考えているのですか。

 民主党がモデルと仰ぐイギリスでは、政権党幹部の全員が入閣しています。それに倣うのであれば、当然、民主党の幹部はすべて内閣に入ってしかるべきであります。

 民主党の最高権力者とされる小沢幹事長は、内閣に入っておりません。なぜですか。入閣すれば、本会議や委員会で答弁に立たねばならず、答えたくない質問に関しても、いや応なく答えなければならないからであります。小沢幹事長は、それを逃れるために内閣に入っていないのではないですか。自身の潔白を主張するなら、正々堂々と国会の場で説明すればいいのではないですか。

 権力の二重構造を排し、内閣の意思決定をスムーズに進めるためにも、小沢幹事長を即刻入閣させることが必要だと考えます。総理のお考えを明確にお答えください。

 また、かつてマニフェストで掲げていた、官僚依存でなく政務三役が中心になって政策決定するということは、引き続きやるのですか、修正するのですか。

 内閣委員会の審議の中で、仙谷大臣は、事務次官を廃止して、かわりに事務系副大臣をつくる可能性を示唆されました。この場合、政務三役の中に官僚のトップが入るのですか。政治主導はやめて、官僚主導の政務三役に切りかえるということですか。

 仙谷大臣、政治主導の確立と事務系副大臣の創設がどういう関係にあるか、御答弁を下さい。

 また、今回の法案では、政務調査官を置いて、政務三役をサポートすることになっています。しかし、一方で、現在総務省で検討されている退職管理基本方針では、これまでなら天下りしていた幹部官僚たちを役所の中で処遇するために、高位の専門スタッフ職なるものをつくろうとしています。その仕事も、政務三役の企画立案のサポートだそうです。一体、これはどういう関係にあるんですか。

 結局、政務調査官は、民主党職員を役所に連れてきて箔をつけるため、高位の専門スタッフ職は、幹部官僚たちを天下りのかわりに高給を保障するためのポスト。実際の仕事があるかないかなどはお構いなしで、ともかくポストのためにポストをつくったということとしか思えません。

 総務省では、落選した前国会議員を総務省顧問として任命し、非常勤報酬を支給しています。これも、実際の仕事があるかないかではなく、落選議員に肩書と非常勤報酬を与えるためにやっていることではありませんか。こんなことをやっていて、国家公務員の人件費二割削減などできるわけがありません。

 総務大臣、以上の点について御見解を伺います。

 今回の法案では、国家戦略局の創設についても定められております。

 しかし、そもそも、今ごろになって国家戦略局をつくっても遅過ぎです。なぜ、昨年九月、政権発足直後にすぐつくらなかったんですか。官僚依存から脱却を目指すというなら、官僚機構にかわってしっかりとした戦略策定を行う部隊が必要だったはずです。これをやらなかったから、予算の全面組み替えもできず、天下り根絶もできず、普天間問題は迷走に迷走を重ねたのではないですか。

 鳩山総理、今国会まで国家戦略局の創設をおくらせた理由をお聞かせください。

 国家戦略局の規定に関する具体的な問題点は委員会審議の中で伺いますが、きょうは、官房長官に一つだけ伺っておきます。

 国家戦略局の局員で国会議員がつくことのできるポストは、国家戦略局長と国家戦略官の二名だけになっています。なぜ、こんなことにしたのですか。これでも政治主導ができますか。

 本当に政治主導の国家戦略局をつくろうというなら、もっと大勢の国会議員が参画できるようにしなければならないことは明らかです。かつて、菅副総理が国家戦略担当大臣だったとき、民主党に国家戦略室への人的応援を要請したことがあったはずであります。

 今回、こんな法案にした理由は何か。小沢幹事長が国会議員を政府に余り大勢入れることに難色を示したからというだけではありませんか。御答弁ください。

 最後に、民主党の議員に申し上げます。

 あなたたちは、執行部の方針に唯々諾々と従うために議員になったんですか。それがあなたたちの本分なのですか。だとするなら、国民、有権者を愚弄していることにほかなりません。キャリアや党内の立場の差異こそあれ、同じく国民の負託を受け、我々はこの場に立っているものです。にもかかわらず、国民の多くが疑念や違和感を抱いている事態にあなたたちが口を閉ざしているのは、みずからの職責を放棄し、国民の意思を冒涜している以外の何物でもありません。あなたたちに民主の美名を語る資格はないと断言をいたします。

 さきの選挙の勝利は、鳩山政権への白紙委任ではありません。政治主導という名のもとに、内閣官房や内閣府に新たなポストを新設するなど大幅な組織拡大を図る。これは行政改革の精神にも逆行するものであり、民主党の国会議員や民主党職員にポストや給料を配るためのお手盛り法案だと言わざるを得ません。

 さきの総選挙は、政権を運転する運転手をかえた選挙です。しかし、鳩山民主党は、政治主導の名のもとに、車そのものまでも自分のものだと主張しているように思えてなりません。民主党の皆さんも、よく考えてください。政権交代とは、運転手の交代であり、日本という車の所有者は、あくまでも国民の皆さんであり、決してあなたたちではないんですよ。

 野に下った我々自民党に残されている取り柄の一つは、どこかの政党とは異なり、党内で自由に物が言え、議論ができることであり、物事は極めて民主的に決まっていることであります。

 自由民主党は、本当の意味で政治主導を実現することを国民の皆様方にお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 平井議員にお答えをいたします。

 総理としてのリーダーシップ、政治主導の評価についてのお尋ねがありました。

 御理解をいただきたいのは、政権がかわり、政策決定のプロセス、その哲学そのものが大きく変わったのであります。政治主導を目指す取り組みはまだ途上でありますので、その性格上、お尋ねではございますが、点数をつけられるというものではありません。しかし、着実に、マニフェストの、あるいは連立三党の合意に基づいて、一つ一つ実践を進めていると考えております。

 また、幹事長職についての御意見は御意見として承りますが、その意向に従順との御指摘は当たっておりません。内閣閣僚と与党、党の役員はその機能と役割が大きく違います。議論を尽くした上で、最終的には、総理として、政策は最後に私が決断することが肝心だと考えており、引き続いて職務の遂行に邁進してまいる所存でございます。

 選挙公約と政治主導に関するお尋ねでございます。

 選挙での国民に対する公約、すなわちマニフェスト、そして選挙後は三党の連立政策合意でありますが、これについては、誠実にその履行を目指し、多くの政策課題についてその実現に着手をしているところでございます。

 大幅な税収減がありました。また、時間的な制約などで公約を完全にも実現できていない場合もございます。そのことに関しては、率直にその旨を国民の皆様方に御報告を申し上げ、おわびしているところでございます。

 普天間の移設に関しては、危険性の除去と沖縄の負担軽減に全力で取り組んでいる最中であり、公務員の天下りの根絶、人件費の削減も、実現に向けて取り組む決意でございます。

 自民党とは異なりまして、マニフェストは極めて具体的であり、また、官僚依存内閣ではなく、政務三役が責任を持つ政治家主導も貫いているところでもございます。本法案の成立によってさらに政治主導を確立することこそ、我が国の危機を脱する道につながると考えております。

 権力の二重構造についてのお尋ねでございます。

 内閣と党の機能、役割に関する御質問でありますが、内閣閣僚と政党、党の役員たる幹事長職の機能、役割は明確に異なっております。したがいまして、現政権において、二重権力構造であるとの指摘は全く正しくありません。

 内閣は、政策決定に責任を持っております。また、与党が、国民あるいは地域の皆さんの声の集約とそれに基づく要望を政府、内閣に伝えるという役割を持つことは、当然のことであります。

 政府、内閣は、与党の意見のみならず、野党の御意見、国会の御審議、そして地方の意見など、幅広く国民の皆さんの声に耳を傾け、政府、内閣として責任ある政策決定と法令に基づく政策遂行を行っていることを申し上げておきます。

 また、政府閣僚と政党の幹事長職の兼務について、民主党は、さきの総選挙において、幹事長職の入閣案は採用しておりません。小沢氏に限らず、だれを幹事長に任用するかは党の代表が選任権を持ち、幹事長職の権限は党の規約に基づく党務に限定されたものであることを申し添えておきます。

 なぜ国家戦略局を政権発足後すぐに設置しなかったかというお尋ねでございます。

 昨年の九月、この新内閣が発足直後、直ちに予算編成のあり方の見直しなどに着手をする必要がありました。したがいまして、当面の措置として、内閣官房に国家戦略室を設置したところでございます。

 その後、新たな政治主導の仕組みをつくっていく中で、内閣官房のあり方を検討、精査し、内閣法に基づいた国家戦略局を内閣官房に設置するための本法案を本年の二月五日に国会へ提出させていただいたところでありまして、ぜひ、慎重にしっかりと審議をして、迅速に法案を成立していただければと思っております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣仙谷由人君登壇〕

国務大臣(仙谷由人君) 平井たくや議員から、政治主導の確立と事務系副大臣の創設との関係についてお尋ねをいただきました。

 国家公務員法等の一部を改正する法律案の附則に明記してありますとおり、事務次官のあり方につきましては、同法案による幹部職員の任用に関する新たな制度の創設の趣旨を踏まえ、幅広く検討してまいります。

 鳩山内閣におきましては、国民の審判を受けた政治家が国民の視点で政策の調整や決定を行い、政府の運営に責任を持つ政治主導体制を構築しているところでございまして、事務次官のあり方についても、これを前提として検討してまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣原口一博君登壇〕

国務大臣(原口一博君) 平井議員から、二点お尋ねがございました。

 政務調査官と高位の専門スタッフ職の関係についてお尋ねがございました。

 政治主導とは、政治の責任を明確にし、人を生かす国家経営、これが大事であると考えています。

 政務調査官は、政務三役に対し、国会議員との連絡調整、政党との連絡調整、各府省の政務三役間の連絡調整などの政務に関し、必要な情報の提供その他の補助を行うものでございます。

 他方、現在検討している高位の専門スタッフ職は、官房、局等に置かれ、高度の専門的な知識経験に基づく調査研究、情報分析等に基づき、政務三役が行う重要な政策についての企画及び立案を支援するものであって、両者の位置づけ、役割は、異なるものでございます。

 次に、総務省顧問についてお尋ねがございました。

 落選議員、落選議員とおっしゃいますが、私は、一度でも国会に議席を置いた方、この経験は大きいというふうに考えています。

 政治主導で政策を行っていくためには、幅広く意見を聴取することが重要です。このため、総務省では、現在十六名の方に、総務省組織規則第三百三十九条に基づき、総務省顧問に御就任をいただいています。

 それぞれ、障害者基本法の立案者、郵政改革の立案者、BPOのもとをつくられた方、そして、児童虐待防止法の起案者でもございます。地域主権の新しい国づくり、地域の活性化、郵政事業改革、行政改革などの総務省が抱える諸課題について、御専門の見地から適切なアドバイスを多々いただきました。

 事業仕分けについても行わせていただきました。総務省顧問の皆様のおかげで、使い切りの予算を、全部使ってはならないということで、総務省だけで一千億近いこの使い切り予算の見直しをすることができました。

 国家公務員人件費二割削減なんというのはできないということをおっしゃいますけれども、業績の悪い企業が、新規採用を去年と同じようにやる企業があるでしょうか。私たちはそれを抑制しているんです。

 旧政権で自分たちができなかったからといって、私たちができないという御指摘は当たりません。(拍手)

    〔国務大臣平野博文君登壇〕

国務大臣(平野博文君) 平井議員から御質問でございます。

 国家戦略局に入る国会議員の人数についての質問でございます。

 小沢幹事長が物を言ったために人数を減らした、こういう表現での御質問でございますが、本来、国家戦略局につきましては、その業務を政治主導で進めていくために、担当大臣のリーダーシップのもとに、局長及び戦略官の二名の国会議員を配置する、こういうことでございます。

 国会議員を政府内に配置することにつきましては、その費用対効果に加え、国会議員と公務員の兼職を制限する国会法第三十九条の趣旨も踏まえ、総合的な判断が必要でございます。

 今回は、このような検討を行った上で、政治主導確立のために必要不可欠な配置を含めて人数を決めたものでございます。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 遠山清彦君。

    〔遠山清彦君登壇〕

遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました政治主導確立法案に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)

 冒頭申し上げたいことは、もはや、今の政府・与党、特に民主党には、政治主導の確立を主張する資格が全くないということであります。

 今の政府・与党に対する国民の信用、信頼は既に地に落ちており、そのことは、三〇%を割り込み、危険水域に達したと指摘される鳩山内閣の支持率に如実にあらわれているとおりであります。

 普天間の問題は、今や政府の迷走ぶりを象徴する問題になっていますが、国民が怒っているのは、鳩山総理御自身が最低でも県外と言った公約を公約ではないと言い放つ、その無責任さと傲慢さに耐えがたいからであります。

 政治と金の問題では、だれも責任をとろうとしない。とっておりません。鳩山総理の元秘書の有罪が確定しても、知らぬ顔をし、国会での説明責任も拒否するありさま。小沢幹事長に対し、一般市民十一人で構成される検察審査会が起訴相当の議決を全会一致ですると、民意を反映させる司法制度に逆恨みをしたのか、民主党も賛成して成立した検察審査会法を見直そうという議連を立ち上げ、不見識な意見を言い合って気勢を上げる。

 宮崎県で口蹄疫の問題が発生していることを知りつつ、赤松農水大臣は連休中に遠く中南米まで外遊に出かけ、対応が後手に回った結果、多くの畜産農家を苦しめております。

 最近だけでもこのような情けない不祥事が続いており、国民はあきれ返っております。

 昨年、民主党政権をつくったのは民意だと思います。しかし、今、民主党は、その民意で得た多数におごり、民意そのものを踏みにじり、政治にとって一番大切な国民の信頼を完全に失っていると言わざるを得ません。

 信なくば立たずであります。日本における政治への信用をここまでおとしめた民主党にどんな改革を叫ばれようとも、もはやそこには何の説得力もありません。そして、その民主党が、政治主導の美名のもとに、行政を私物化し、さらに権力を独占しようという法案に、賛成する国民などおりません。

 今回の法案が目指す改革は、もはや民意なき改革、このことを強く申し上げ、以下、法案の問題だらけの中身について質問させていただきます。

 まず、今回の法案が、政策決定過程における政治主導の確立を目的としておりますけれども、肝心の政治主導の定義は全くなされておらず、外形的な機構改革のみを規定している点について伺いたい。

 政府の政策決定について、その最終判断を選挙によって国民から負託を受けた政治家が行うことは当然です。しかし、昨年九月以来の各省庁各部局における運用を見ると、そのあり方は千差万別であり、政治主導という言葉だけがひとり歩きし、弊害だけが大きくなっていると言わざるを得ません。

 例えば、政務三役の権限ばかり強調する余り、官僚が指示待ち症候群となり、行政の効率的な執行の妨げになっている問題、党派性を帯びている政治家の過剰介入による行政の中立性及び公平性が損なわれている問題、高度に技術的、専門的な諸課題について迅速に対応できない問題等が、二十一世紀臨調などの有識者団体から指摘をされております。

 これは、政治主導という言葉の意味が、政府・与党の中ですら共有されておらず、場合によっては、恣意的に解釈され乱用されていることを意味すると考えます。

 そもそも、政治主導とは、目的ではなく、国民の利益を増進するための手段なのではないでしょうか。鳩山総理として、政治主導とは一体何を意味するのか、何のためにその確立をしようとしているのか、明快な答弁を求めます。

 次に、政治主導の意味に関連し、国民が抱いているもう一つの懸念について伺います。

 鳩山総理は、政権発足当初から、内閣における政策決定の一元化を標榜し、政策は政府、国会運営と選挙は党という仕切りを公にされ、与党第一党の民主党から政務調査会を廃止いたしました。政務調査会を廃止するということはリスクの高い決断だったと思います。政府内に入れず、事業仕分けにも参加できなかった民主党議員の落胆は、察して余りあります。それも、政策決定の一元化という目的のための避けられない犠牲だったのでしょう。

 しかし、この方針もすぐに骨抜きにされ、小沢幹事長をトップとする幹事長室が地方公共団体等の政策的要望、陳情を集約し、密室で優先順位をつけて政府に働きかけをするという、政策決定の二元化が進みました。

 ガソリン暫定税率廃止の先送り決定に象徴されるように、政府内で何の公的権限も持たない小沢幹事長が公然と重要政策の決定に介入してきている実態を鳩山総理はどう見ていらっしゃるのですか。民主党の言う政治主導とは、実は政治家主導であり、もっと率直に言えば小沢幹事長主導、そういう意味であるんですか。

 今の内閣における政策決定過程に対し、小沢幹事長並びに民主党幹事長室が何を根拠にどの程度の権限を持っているのか、総理の見解をお示しください。

 次に、本法案には、内閣官房及び各府省にポストの新設や増員を図ることが盛り込まれておりますが、そこから派生する幾つかの問題点について伺います。

 まず、内閣官房に新設される国家戦略局の局長ポストに充てるため内閣官房副長官を一名増員するとされているが、なぜ現在国家戦略室長の任にある内閣府副大臣を充てないのか、その理由は不明であります。

 また、新設の国家戦略局長は、官房長官の指揮命令権のもとにあるようですが、国家戦略担当大臣の指示も職責上当然受けると思われますが、両国務大臣の指示が競合した場合の対処はどうするのかも不明であります。

 さらに、内閣官房に常勤、非常勤の政務参事と政務調査官、全府省に常勤、非常勤の政務調査官を新設することになっているが、その定数は政令で定めることになっており、この具体的な増員数も不明のままであります。

 これら法案の重要事項について国民に隠したまま法案を国会に提出すること自体、私は、極めて不誠実で許しがたい、このように思いますが、きょう趣旨説明をされたわけですから、これらの疑問点について官房長官から明快な説明を求めたいと思います。

 今申し上げた政務参事と政務調査官のポストには非国会議員の任用を想定していると認識しております。しかし、そもそもこれらのポストの職務の具体的内容も明らかではありません。両ポストの職名に記されている政務の定義とは一体何なのでしょうか。官房長官、これもぜひお答えをいただきたいと思います。

 一つのヒントは、法案で規定されている両職の給与であります。政務参事は月額七十二万六千円から八十五万円、政務調査官は月額三十七万六千円から六十二万一千円とかなり高額であります。この俸給月額は、国家公務員の特別職のうち、特定任期付職員の給与体系と同じです。

 特定任期付職員とは、関連法を見る限り、高度な専門的な知識経験を有する者をその専門的な知識経験が必要な業務がある場合に政府によって任用されてきており、給与体系を見る限り、新設される政務参事や政務調査官も同程度に高度な専門知識と経験を持った人材であると想定されます。

 ところが、一部の報道では、政府は、この高額給与の政務参事、政務調査官ポストのほとんどに民主党の党職員を充てる方針を固めたとされております。もし事実なら、とんでもない話であります。恥ずかしい話であります。党の政務調査会を民主党が廃止するのは皆様方の勝手です。しかし、その結果失業した職員を国民の税金で救済しようというのであれば、これは行政の私物化であり、言語道断の所業と言わざるを得ないのであります。

 政務参事や政務調査官をどのような基準で任用するのか、その基準を無視してまで民主党の党職員を任用することがあるのかないのか、民主党党首でもある鳩山総理の答弁を求めます。

 次に、本法案で設置される国家戦略局の所掌事務にかかわる問題について伺います。

 国家戦略局の所掌事務については、経済全般の基本方針、財政運営の基本、租税に関する政策の基本及び予算編成の基本方針の企画及び立案並びに総合調整に関する事務と規定されております。非常に広範囲の所掌になっているわけですが、これは財務省や税制調査会の所掌事務と完全に重複しております。

 法案を読む限り、所掌が重複する政策領域における政策決定過程において、国家戦略局と財務省と税制調査会がそれぞれどういう権限と役割を持つのか、これも全く不明であります。この点について、内閣の長である鳩山総理並びに菅財務大臣の見解を求めます。

 また、国家戦略局の所掌事務に、外交、安全保障という国家戦略の根幹にかかわる政策領域が含まれていないのはいかなる理由からでしょうか。

 確かに、一義的には、外交は外務省、安全保障は防衛省という司令塔的官庁が政府内に存在します。しかし、昨今の外交と安全保障領域の課題は多岐にわたり、国際テロリズム、環境問題、金融危機への対処、感染症対策等々、両省だけでは十分に対応できないものばかりであることは周知の事実であります。

 国家戦略と銘打つからには、当然に、このような諸課題に対し、関係省庁間を調整し、国益増進の観点から戦略的対応方針を打ち出す能力が総理官邸に必要だと考えますが、今回の改革ではこのような観点も抜け落ちている印象があります。外交戦略なきがゆえに今の普天間問題も迷走しているわけですが、この問題についての総理の見解を求めます。

 民間任用で五名増員するとされている内閣総理大臣補佐官の役割も不明です。

 総理補佐官は、内閣の重要政策に関し、総理に意見を具申すると法律では規定されておりますが、各府省に対して法律上の権限が全くないため、政策決定過程の中で総理の補佐業務を十分に行えるかどうか、疑問の声があります。また、内閣官房に国家戦略局が新設され、政務参事や政務調査官などのポストも増員される中で、権限や役割が法律上も不明の総理補佐官をふやすことに何の意味があるのか、理解できません。内閣総理大臣補佐官を五名増員してどういう効果があるのか、官房長官の見解をお示しください。

 最後に、鳩山総理、そもそも、これだけ国の財政が悪化し、行政改革の必要性が叫ばれ、政府・与党みずから事業仕分けで無駄遣いを削ろうと努力している中で、極めてあいまいで恣意的な概念にすぎない政治主導のために、行政機関を肥大化させ、国民の血税を使って、役割や権限が不明なポストをふやすことを本当に国民は望んでいるのでしょうか。鳩山総理は、どう思われますか。

 鳩山政権は、これから、公約である国家公務員の人件費の二割削減を実行されるのだと思います。その一方で、民主党の党職員だけ不透明な基準で公務員として採用し、高額給与で養うとすれば、これは、官僚のみならず、国民の目には許しがたい裏切り行為と映るのではないでしょうか。

 その国民の審判も、二カ月後にも予定されている参議院選挙で下されると思います。そろそろ目を覚まして、形だけの改革でごまかすのではなく、真に国民の側に立った政治を行っていただくよう、総理に強く申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 遠山議員にお答えをいたします。

 まず、政治主導の意味とその確立の必要性についてのお尋ねであります。

 政治主導とは、国民の審判を受けた政治家みずからが、国民の視点に立ち、政策の調整や決定を行い、政府の運営に名実ともに責任を持つことでございまして、これまでは、役所の縦割り行政のもとで、国全体の立場からの戦略的な政策判断が十分に行われてこなかった、まさにこれは旧政権でありますが、官僚が実質的な判断を行い、政治家はこれを追認するだけとなっていたこと、こういった問題があったと認識しております。

 したがいまして、本法案は、こういった問題を解決し、政治主導を実現するために、政府部内の体制の見直し、強化を行いたいと考えているわけでございます。

 政策決定の一元化に関するお尋ねがございました。

 三党連立の本政権におきましては、政策決定過程は内閣に一元化されております。その前提は、内閣と与党の一体化、このことであることは言うまでもありません。

 内閣は、国民の生活を第一とした三党連立合意、マニフェストを誠実に実行するために、政策運営に責任を持ち、閣議決定などを行っているところでございます。

 一方、与党は、政党として、国民の皆さんあるいは地域の皆さんの声を集約して、それを内閣に伝達し、あるいは要望し、意見を表明することによって政党の役割を果たしているわけでございまして、これは、与党のみならず、野党の皆さんも同じかと思います。

 党の幹事長あるいは幹事長室の権限、あるいはその根拠についてのお尋ねでございますが、権限ということではなくて、内閣、与党の一体化に基づいて、国民の皆さんの声、あるいは地域の皆さんの意見を政府の政策に反映させるための役割を果たしていると御理解いただきたいと存じます。

 それから、内閣政務参事、内閣政務調査官及び役所の政務調査官の任用についてのお尋ねでございます。

 内閣政務参事などは、政府における政策決定過程において政治主導を確立する観点から、内閣官房長官及び各府省の政務三役を政務面から補佐、補助する職として新設することとしています。

 内閣政務参事等は、内閣官房長官等の国会議員任用職を直接補佐する重要な官職であることから、政務面に精通した民間の有識者、与党職員、さらには議員秘書等の登用を想定しておるところでございます。

 その際、当然のことながら、給与の二重支給になることは行わないようにしております。すなわち、もし与党の職員を採用することになれば、言うまでもありません、非常勤ということでございます。非常勤でありますから、基本的な給与を払うことはありません。

 具体的な任用に当たっては、これらの職の設置目的に照らし、適切な人選を行ってまいりたいと考えております。

 国家戦略局、財務省、税制調査会の権限と役割分担についての御質問でございます。

 内閣官房に置かれる国家戦略局は、内閣の重要政策に関する基本的な方針の一環として、予算編成の基本方針、租税に関する政策の基本等の大枠としての企画立案及び総合調整を行います。

 一方、税制調査会は、租税制度に関する事項について調査審議を行う内閣府の機関であり、国家戦略局において検討する租税に関する政策の基本を踏まえつつ、毎年度の税制改正の詳細な内容から中長期的な税制のあり方まで幅広く検討することといたします。

 財務省は、国家戦略局が示す基本方針及び税制調査会における調査審議の結果に沿って、予算の編成、租税制度の企画立案の詳細な制度設計事務を行うこととなります。

 このように、それぞれの役割分担は明確でありまして、望ましい税財政の将来像を描くための政府部内の体制整備が図られるものだと考えております。

 また、国家戦略局の所掌事務に外交、安全保障の政策領域はないということでございましたが、国家戦略局は、経済全般の運営の基本方針、予算編成の基本方針等に関する企画立案、総合調整に加えて、御案内のとおり、内閣の重要政策に関する基本的な方針のうち、総理が指定するものについて企画立案、総合調整を行うこととなっております。

 すなわち、外交分野も含めて、その他の課題についてでもありますが、総理がそのときの情勢を踏まえて必要と認める場合には国家戦略局の所掌事務となり得るものでございまして、もう既に気候変動問題などは所掌事務として行っていただいているところでございます。

 行政機構の肥大化と、職務や権限が不明なポストをふやすことへの御質問でございます。

 本法案は、総理のリーダーシップにより、縦割り行政を排除するとともに、官僚の依存をやめ、国民の代表たる政治家が責任を持って国の政策を決定するための体制整備を行い、もって政治主導の確立を図る、これを目的としているわけでございます。

 したがいまして、国家戦略局などの司令塔機能を強化する一方で、地方機関の縮小など、行政組織全体の見直しを進めているところでございまして、行政機構の肥大化という御指摘は当たりません。

 また、国家戦略局長などの職務や権限については、法案上に明確に規定をしているところでございます。

 一言で申し上げれば、政治主導を行えば行うほど行政改革は進むということでございます。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣平野博文君登壇〕

国務大臣(平野博文君) 遠山議員から、五点の御質問をちょうだいいたしました。

 まず、新設の国家戦略局長に一名増員して内閣官房副長官を充てることについての質問でございます。

 国家戦略局は、総理直属の組織である内閣官房に置かれ、経済全般の運営基本方針、予算編成の基本方針等、内閣の重要政策にかかわる基本的な方針について、省庁の垣根を越えて政治主導で企画立案、総合調整を行う、こういう立場でございます。このために、国家戦略局長につきましては、内閣府の副大臣ではなく、内閣官房に置かれる政務担当の内閣官房副長官を充てる、このようにしたものでございます。

 なお、現在、政務担当の官房副長官は二名おられますが、いずれも、政治主導の政策決定推進のために、政府全体を通じた総合調整事務に多忙されている状況にございます。そのため、政務の内閣官房副長官を一名増員し、国家戦略局長に充てるということでございます。御理解をいただきたいと思います。

 二点目でございます。国家戦略局長に対し内閣官房長官と国家戦略担当大臣の指示が競合した場合の対処についての質問でございます。

 国家戦略局は内閣官房に置かれる組織でありますが、国家戦略局の所掌の事務については、内閣総理大臣によりその担当を命じられた国務大臣である国家戦略担当大臣がリーダーシップを持って発揮することが期待されていることから、御懸念のような事態は基本的には生じない、このように考えているところであります。

 仮に競合する場合には、官房長官と国家戦略担当大臣の間でしかるべく調整をするものとし、最終的には内閣総理大臣が裁定することになる、このように考えているところであります。

 三点目でございます。内閣政務参事、内閣政務調査官及び各府省の政務調査官の定数についての質問でございます。

 内閣政務参事等は、政府における政策決定過程における政治主導を確立する、こういう観点から、内閣官房長官等及び各府省の政務三役を政務面から補佐、補助する職として新設するものでございます。

 内閣政務参事等の定数につきましては、常勤は二十二名、非常勤につきましては今後調整することにより、それぞれ政令により規定することといたします。

 次に、政務の定義についての質問でございます。

 一般的には、政治と行政との調整に関する業務を言います。例えば、国会議員との連絡調整、政党との連絡調整、さらには各府省の政務三役間の連絡調整等々が含まれるものと承知してございます。

 内閣政務参事等は、政務三役等の政治的判断が求められる事案について、これらの連絡調整にかかわる補佐、補助の業務を行うことになると私は理解をいたしております。

 最後でございます。内閣総理大臣補佐官の増員についての質問でございます。

 現在、内閣総理大臣補佐官の定数は五人以内とされていますが、既に四名の補佐官を任用しているところでございます。これら四名の補佐官はいずれも国会議員でありますが、広く内外の英知を結集し内閣総理大臣の補佐を行うためには、民間人の登用を含め、さらなる増員を可能にすることが必要でございました。そのために、今回の法案におきまして、その定数を五人以内から十人以内に増員することにしたところでございます。

 なお、五人の増員につきましては、民間からの英知を集める、こういうことから、民間の登用に限定して運用するようにしたいと考えているところでございます。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣菅直人君登壇〕

国務大臣(菅直人君) 遠山議員の方から、国家戦略局、財務省、税制調査会の権限と役割分担について、所掌事務が重複することになるのではないかという趣旨の御質問をいただきました。

 既に総理の方からも詳しく答弁をしていただいていますので、若干重なりますけれども、簡単に答弁をさせていただきます。

 内閣官房に置かれる国家戦略局は、内閣の重要政策に関する基本的な方針の一環として、予算編成の基本方針や租税に関する政策の基本などの企画立案及び総合調整を行うものと承知をいたしております。

 また、税制調査会は、租税制度に関する事項について調査審議を行う内閣府の機関であり、国家戦略局において検討する租税に関する政策の基本を踏まえつつ、毎年度の税制改正の詳細な内容から中長期的な税制のあり方までを広く検討する、これが税制調査会の役割だと承知をいたしております。

 財務省は、こうした国家戦略局が示す基本方針や税制調査会における調査審議の結果に沿って、具体的なその年度あるいは補正といった予算編成、さらには租税制度の企画立案といった事務を行うことになります。

 このように、それぞれの役割分担は明確でありまして、財務省としても、関係する機関と連携を図りつつ、政策運営を行ってまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 江田憲司君。

    〔江田憲司君登壇〕

江田憲司君 みんなの党の江田憲司です。(拍手)

 総理、官僚主導から政治主導へ、そして、国民の手に政治を取り戻す、そう訴えられ、政権交代を果たされました。多くの国民も、これでやっと新しい政治が始まると大いに期待したものです。

 しかし、総理、一体どうされたんですか。その期待は見事に裏切られました。

 今の現状は、財務官僚依存に公務員の労組依存、おまけに、露骨な利権・利益誘導政治を主導する小沢幹事長依存。このトリプル依存に、政治と金の大スキャンダルが襲い、にもかかわらず、全く公党として自浄作用を果たさない民主党。これでは、無血の平成維新どころか、もう古い古い、二、三十年前の旧態然たる政治の再来ではありませんか。

 そして、やることといえば、財政規律もなければ、約束した予算の総組み替えもない。天下りの根絶もできず、税金の無駄遣いの解消も極めて中途半端。そんな中で、国民の生活が第一ではなく、民主党の選挙が第一の理念なきばらまき予算。おまけに、郵政も道路もJALも巨額な税金投入でひたすら国営・国有化。大負担、大借金、ひいては大増税の超大きな政府、社会主義路線で、こんな政治を続けていたら、遠からず財政破綻、いや、国家破綻ですよ。

 総理、あの政権交代後の高揚感に満ち満ちていた日々、そこから一体何をどう間違えたのか、逐次御指摘をしますから、御答弁を求めます。

 まず、スタートダッシュにつまずいたのが最大の原因でしょう。

 総理、なぜ、政権発足当初、その骨格人事や基本政策などを策定する政権移行チームを立ち上げなかったんですか。なぜ、鳴り物入りで導入する予定だった国家戦略局を、昨年秋、設置しなかったんですか。当時の報道によると、小沢幹事長のツルの一声でお蔵入りになったとありますけれども、それは事実ですか。

 こうしたつまずきが、今の普天間問題に象徴されるように、言ってることとやってることが全然違う、言ってることも毎日ころころ変わる。もう、もはや政権の体をなしていない鳩山政権の現状、ガバナンスの欠如を招いているんですよ。

 また、ガバナンスといえば、当初もくろんだ政策決定の内閣一元化ではなく、幹事長室への一元化が図られているんじゃないですか。陳情一元化や箇所づけ内示、料金値下げ財源を流用した高速道路の整備がその象徴でしょう。

 当初の構想では、幹事長も閣僚を兼務し内閣一元化を図るとされていましたけれども、なぜ、一方で政調会長は廃止しながら、小沢幹事長だけを例外扱いして入閣させなかったんですか。そもそも、この小沢氏の人事こそが、内閣と党の二元化、いや、党の幹事長室への権力集中を招いているんではありませんか。

 鳩山政権を見ていると、何か政治主導の意味を勘違いしているようにしか私には思えません。政務三役が勝手気ままにわいわいがやがややるのが政治主導ではないんです。それは政治家主導なんですよ。

 真の政治主導とは、国民の代表者たる内閣総理大臣が司令塔になって、国家経営の基本や戦略を決めて、それに基づいて閣僚や政務三役や官僚が具体的な政策を実行していくことなんですよ。

 その意味で、今回ようやく設置されようとしている国家戦略局をなぜ総理直属にしないんですか。局長にはたかだか官房副長官を充てるということになっていますけれども、そうなると、これは官房長官の指揮下に入るんですね。国家戦略局担当の専任大臣は置かないんですか。置く場合は、官房長官と担当大臣との関係はどうなるんですか。局員の人事権はどっちが持つんですか。人事権を担当大臣が持たないとすれば、こんな大臣が機能するんですか。

 また、戦略局に入る国会議員は、局長と戦略官二人だけなんですか。なぜ、もっと自由に政治家が入れるように登用しないんですか。それぞれお答えください。

 総理は、最近、不思議なことに、脱官僚とか脱官僚依存という言葉を一切おっしゃいません。施政方針演説でも一言も出てまいりませんでした。それもそのはず、現状は、官僚主導の打破どころか、特に財務官僚依存が甚だしい。最大の原因は、麻生政権時の補正予算の見直し、事業仕分け、年末の予算編成と、すべて財務省に取り仕切らせたからでしょう。

副議長(衛藤征士郎君) 江田憲司君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡潔に願います。

江田憲司君(続) 総理、この点、昨年末のラジオ番組で、財務省主導を払拭できたかどうかは反省しなければならないとみずから認めておられますが、具体的にどこが財務省主導だったのですか。

 組織管理の要諦は、会社であれ、役所であれ、人事と金を握ることです。民主党のだれかさんを見てもわかるでしょう。その意味で、みんなの党は、内閣人事局の設置に加えて、金、すなわち予算編成権を握る内閣予算局の創設を提案しています。実現するお考えはありますか。

 ちなみに、昔、総理がおられた新党さきがけは、大蔵省から主計局を分離し予算庁を設置するという提言をされているんですよ。藤井前財務大臣は予算編成権は財務省にあると豪語されましたが、憲法に書いてあるとおり、予算編成権は内閣にあるんです。念のため御確認ください。

 その上で、国家戦略局の所掌事務、予算編成の基本方針とは何か、財務省の役割は何か、私がその創設に深くかかわった経済財政諮問会議を廃止する以上、ゆめゆめ財務省に実権を握らせないようなことを、明確にこの答えをしてください。

 我々みんなの党は、以上の政府案の問題点をただすため、現在、正しい政治主導確立法案の提出を準備しています。我々の法案を虚心坦懐に受け入れ、さきに触れたトリプル依存の政治、特に小沢幹事長依存から脱却し、旧民主党結党の原点に立ち返らない限り、鳩山政権のあすはない、そう断言をいたしまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕

内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 江田議員から、五分間で十四問いただきました。お答えいたします。

 政権移行に関する政策については、民主党は、党内で議論を重ねて、マニフェストに集約をして国民の皆様に提示をいたしました。

 政権交代が現実のものとなった総選挙の後、マニフェストはもう既にあり、また、連立政権を展望して、連立政権政策合意の形成という政党間協議については、党機関として対応いたしました。そして、政権の姿、すなわち政権構想についても、既にマニフェストにおいて五つの原則、五つの策をお示ししておりましたから、それを実行に移すために、党三役が中心的に役割分担をして政権移行を進めてまいりました。

 すなわち、江田議員の言われる政権移行チームについては、党三役によって準備を進めることを確認し、現実に進められたと確信をしております。

 昨年秋に国家戦略局を設置しなかったことはなぜかということでありますが、昨年の九月の政権発足直後、直ちに予算編成のあり方の見直しなどに着手をするため、当面の措置として、内閣官房に国家戦略室を設置しました。

 その後、新たな政治主導の仕組みをつくっていく中で、内閣官房のあり方を検討、精査し、内閣法に基づく国家戦略局を内閣官房に設置するための本法案を本年二月に国会に提出をいただいたところでございます。ぜひ御審議をいただいて、速やかに成立を願いたいと存じます。

 政権移行チーム、国家戦略局と幹事長との関係でありますが、政権移行チームや国家戦略局に関して小沢幹事長の意向があったのではないかという御質問については、それは明らかに事実とは異なるとお答えをいたします。

 政権移行チームを、実質、党三役の構成で進めようという方針は、党代表としての私が当時の代表代行あるいは幹事長に提案して実施したところでございます。また、先ほど申し上げましたが、国家戦略局については、現行の法律の枠組みの限界があり、政権発足時は国家戦略室として発足をさせたものでございまして、ぜひこの法案を速やかに御審議をお願いしたいと存じます。

 次に、政策の一元化に関するさらなる御質問でございます。

 内閣と党幹事長室の政策に関する役割でございますが、江田議員には、ぜひ、内閣、与党の一体化という理念と、与党の果たす国民、地域の皆さんの声の集約という役割を御理解いただきたいと考えます。

 すなわち、政党は、政府、内閣の法的権能を持たず、お互いの役割はおのずと異なります。政党が国民や地域の声を政府、内閣に伝えないとするなら、それは政党の役割放棄にほかなりません。

 政府、内閣は、与党の意見のみならず、野党の意見、国会の御審議、そして地方の意見など、幅広く国民の皆様方の声に耳を傾ける、そして、政府、内閣として責任ある政策決定と法令に基づく政策遂行を行っているということを申し上げておきます。

 政調会長職の廃止、幹事長職の入閣に関する御質問にお答えいたします。

 まず、政策の内閣への一元化のために党機関における政策決定機関を廃止したため、その帰結として政調会長職は廃止をいたしたところでございます。

 次に、幹事長職の性格ですが、御案内のとおり、選挙対策はもとより、国会対応や組織対応など、幹事長職は、内閣、閣僚とは異なる機能を果たします。したがいまして、閣僚との兼職は、江田議員の言われる、内閣と与党の役割分担の混乱を招くと判断をいたしたところでございます。

 幹事長職を閣僚にするという構想は、個人的な意見としてはかつてありました。しかし、さきの総選挙においては、党としては確認をしなかったわけでございます。

 小沢幹事長への権力集中に関する重ねての御質問でございます。

 閣僚と幹事長職の役割について、江田議員は入閣案を民主党の考え方と誤解しておられますが、各国、それぞれの制度的な違いがございます。民主党としては、さきの総選挙において、幹事長職の入閣案は採用しておりません。

 したがって、小沢氏に限らず、だれを幹事長に任用するかは党代表が選任するものであり、また、その役割は、閣僚ではなく、党務に限定されたものであり、御指摘は全く当たりません。

 国家戦略局と内閣総理大臣の関係についてのお尋ねでありますが、国家戦略局は、総理直属の組織である内閣官房の一部局として、総理のリーダーシップを直接支えることになります。

 国家戦略局長と内閣官房長官の関係についてのお尋ねであります。

 内閣官房の事務については、内閣官房長官が統括することとされておりますが、従来より、必要に応じて担当大臣が置かれ、その担当する事務についてリーダーシップを発揮していただいているところであります。

 内閣官房副長官を充てることとしている国家戦略局長についても、国家戦略担当大臣のリーダーシップのもとで、国家戦略局の事務を掌理することとなります。

 また、内閣官房の事務については、内閣官房長官が統括することとされておりますが、従来より、必要に応じて担当大臣を置き、その担当する事務についてリーダーシップを発揮していただいているところでございます。

 国家戦略の策定についても、その企画立案、総合調整に関する法律上の統括権限は内閣官房長官に置きつつ、昨年の九月来置かれている国家戦略担当大臣にリーダーシップを発揮していただいているところであり、国家戦略局設置後においても、引き続いて国家戦略担当大臣にリーダーシップを発揮していただく予定でございます。

 また、国家戦略局の職員の人事については、内閣官房の職員を監督する立場にある内閣官房長官が、国家戦略担当大臣の意向を踏まえつつ行うこととなります。

 国家戦略局に入る国会議員の人数についてでありますが、国家戦略局については、その業務を政治主導で進めるため、国家戦略担当大臣のリーダーシップのもとに、国家戦略局長及び国家戦略官の二名の政治家を配置することにします。

 国会議員の公務員との兼職については、国会法上の制約もある中で、政治主導の確立のために必要不可欠な配置を行ったものでございます。

 平成二十二年度の予算の編成に当たっては、国家戦略担当大臣が中心となり、節目で私が指示をしながら、国家戦略室を中心に、閣僚委員会も活用しながら、官邸主導で予算編成を進めたところでございます。また、財務省が予算の原案をまとめることもやめたところでございます。

 予算編成のプロセスの中で、一部、財務省の官僚の関与が目立つ場面もあったかもしれないと思っておりますが、最終的には、政治主導で、かつてない、めり張りのきいた予算ができ上がったものだ、そのように自負をいたしているところでもございます。

 みんなの党の提案の内閣予算局の実現に関する御質問でございます。

 本法案では、総理直属の組織である内閣官房に国家戦略局を置き、財政運営の基本、予算編成の基本方針等の企画立案、総合調整を担わせることとしております。新設する国家戦略局を活用して、予算編成に当たって総理がリーダーシップを発揮し、真に国民のためになる政策を実現するための予算編成を行ってまいりたいと考えております。

 予算編成権の所在についての御質問でありますが、日本国憲法上、予算の編成は、まさに内閣が行うこととされているところでございます。

 最後に、国家戦略局の所掌事務である予算編成の基本方針の具体的内容及び財務省の役割についてのお尋ねでございます。

 国家戦略局の所掌事務である予算編成の基本方針は、内閣官房の所掌事務として内閣法に規定されている内閣の重要政策に関する基本的な方針の一つであり、毎年度の予算編成に当たっての基本的な枠組みや重点事項を示すものでございます。

 財務省は、国家戦略局の策定する予算編成の基本方針に基づいて、歳入歳出等の詳細に至る予算編成事務を行うことといたしております。

 以上であります。(拍手)

副議長(衛藤征士郎君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(衛藤征士郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  鳩山由紀夫君

       財務大臣  菅  直人君

       総務大臣  原口 一博君

       農林水産大臣  赤松 広隆君

       国務大臣  枝野 幸男君

       国務大臣  仙谷 由人君

       国務大臣  平野 博文君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  松野 頼久君


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