衆議院

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第33号 平成23年7月15日(金曜日)

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平成二十三年七月十五日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十三号

  平成二十三年七月十五日

    午後一時開議

 第一 農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 日本放送協会平成十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 第三 日本放送協会平成二十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

    …………………………………

  一 国務大臣の演説

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 日本放送協会平成十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日程第三 日本放送協会平成二十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

 野田財務大臣の財政についての演説及びこれに対する質疑




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    午後一時二分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第一、農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長山田正彦君。

    ―――――――――――――

 農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山田正彦君登壇〕

山田正彦君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、東日本大震災に対処して信用事業を行う農漁協等の信用事業の強化を図るため、その自己資本の充実に関する特別の措置を講じようとするものであります。

 その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、被災農漁協等に対し、主務大臣の決定を経て、農水産業協同組合貯金保険機構と農漁協系統金融の指定支援法人から、一体的に資本増強を実施しようとするものであります。

 第二に、被災農漁協等は、農林中央金庫と信用事業指導契約を締結し、信用事業の強化及び改善に向けた計画を実施の上、十年以内に、信用事業が改善した旨、または信用事業再構築に伴う資本整理を可とする旨のいずれかの認定を主務大臣に申請するものとしております。

 第三に、被災農漁協等において、将来、信用事業再構築に伴う損失処理が必要となる場合には、主務大臣の認可を受け、貯金保険機構の資金等を活用することができるものとしております。

 本案は、去る六月七日本委員会に付託され、翌八日鹿野農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、七月十四日質疑を行いました。質疑終局後、採決を行った結果、本案は全会一致をもって可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対して附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 日本放送協会平成十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日程第三 日本放送協会平成二十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

議長(横路孝弘君) 日程第二、日本放送協会平成十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書、日程第三、日本放送協会平成二十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書、右両件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長原口一博君。

    ―――――――――――――

 日本放送協会平成十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書及び同報告書

 日本放送協会平成二十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔原口一博君登壇〕

原口一博君 ただいま議題となりました両件につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 両件は、放送法第七十四条第三項の規定に基づき、会計検査院の検査を経て内閣より提出された平成十九年度及び平成二十年度の日本放送協会の決算であります。

 まず、平成十九年度決算について申し上げます。

 財産目録及び貸借対照表によりますと、一般勘定の資産総額は七千八百五十三億円、これに対し負債総額は二千六百二十三億円、資本総額は五千二百二十九億円であります。

 次に、損益計算書によりますと、経常事業収入は六千八百四十七億円、経常事業支出は六千四百十六億円であり、差し引き経常事業収支差金は四百三十一億円となっております。これに経常事業外収支差金等を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は三百七十五億円となっております。

 次に、平成二十年度決算について申し上げます。

 財産目録及び貸借対照表によりますと、一般勘定の資産総額は八千二百三十五億円、これに対し負債総額は二千七百二十九億円、純資産総額は五千五百五億円であります。

 次に、損益計算書によりますと、経常事業収入は六千六百十六億円、経常事業支出は六千二百八十八億円であり、差し引き経常事業収支差金は三百二十七億円となっております。これに経常事業外収支差金等を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は二百七十五億円となっております。

 両件は、昨十四日、片山総務大臣、日本放送協会会長及び会計検査院からそれぞれ説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって異議がないものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 両件を一括して採決いたします。

 両件の委員長の報告はいずれも異議がないと決したものであります。両件は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり議決いたしました。

     ――――◇―――――

小宮山泰子君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(横路孝弘君) 小宮山泰子さんの動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

議長(横路孝弘君) 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長田中けいしゅう君。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔田中けいしゅう君登壇〕

田中けいしゅう君 ただいま議題となりました承認を求めるの件につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を契機として、同年十月十四日以降、北朝鮮からのすべての貨物の輸入を禁止する等の措置が継続して実施されております。

 また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による第二回目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日以降、北朝鮮へのすべての貨物の輸出を禁止する等の措置が継続して実施されております。

 政府は、その後の我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、本年四月五日、これらの措置の継続を決定したところであります。

 本件は、一年を期限として四月十四日以降も輸出入禁止措置を講じたことについて、外国為替及び外国貿易法第十条に基づき、国会の承認を求めるものであります。

 本委員会においては、去る五月三十一日本委員会に付託され、六月一日海江田経済産業大臣から提案説明を聴取し、本日質疑に入り、質疑終局後、採決を行った結果、全会一致をもって承認すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説

議長(横路孝弘君) 財務大臣から財政について発言を求められております。これを許します。財務大臣野田佳彦君。

    〔国務大臣野田佳彦君登壇〕

国務大臣(野田佳彦君) 今般、東日本大震災の当面の復旧対策に万全を期すため、必要な財政措置を盛り込んだ平成二十三年度第二次補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。

 甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生から四カ月が経過しました。全会一致で御賛同いただいた平成二十三年度第一次補正予算に盛り込まれた事業を迅速かつ着実に実施し、被災地域の早期復旧に引き続き全力を挙げていきます。

 被災された多くの方々の生活は今なお厳しい状況にあり、喫緊の課題として、その再建を力強く支援してまいります。さらに、先般、東日本大震災復興対策本部を立ち上げ、東日本大震災復興構想会議からいただいた提言をもとに、本格復興に向けた施策の具体化について検討を進めております。政府としては、引き続き、間断なく迅速に復旧から復興へと取り組んでまいります。

 また、原子力災害は今なお継続しており、多くの方々が避難を続けられております。一刻も早く事態を収束させるべく、国の総力を挙げて対応していくこととしております。

 今国会に提出をいたしました平成二十三年度第二次補正予算の大要について御説明申し上げます。

 まず、歳出面において、一兆九千九百八十八億円を計上し、その内訳は、原子力損害賠償法等関係経費二千七百五十四億円、被災者支援関係経費三千七百七十四億円、東日本大震災復興対策本部運営経費五億円、東日本大震災復旧・復興予備費八千億円、地方交付税交付金五千四百五十五億円となっております。

 また、歳入面においては、追加の国債を発行せず、前年度剰余金受け入れ一兆九千九百八十八億円を計上しております。

 これらの結果、平成二十三年度一般会計第二次補正後予算の総額は、一般会計第一次補正後予算に対し歳入歳出とも一兆九千九百八十八億円増加し、九十四兆七千百五十五億円となっております。

 関連して、特別会計予算についても所要の補正を行うこととしております。

 以上、平成二十三年度第二次補正予算の大要について御説明いたしました。

 被災地域の一刻も早い復旧のため、何とぞ、関連法案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑

議長(横路孝弘君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。山本公一君。

    〔山本公一君登壇〕

山本公一君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいまの野田財務大臣の財政演説に対して質問をいたします。(拍手)

 東日本大震災から四カ月余りが過ぎました。いまだ避難生活を強いられている多くの被災者の皆様並びに東京電力福島第一原子力発電所事故によって厳しい環境に置かれている皆様に対しまして、この場をおかりし、改めてお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方々に衷心より哀悼の意を表するものであります。

 さて、これまでの政府の一連の災害対応を見てみますと、発災後四カ月がたつ現在、本来なら、被災者の生活は窮状から脱し、被災地全体の復興に向けた新たな取り組み機運が生まれていてしかるべきであります。

 にもかかわらず、被災地ではいまだに十万人近くの方が避難生活を余儀なくされ、瓦れきの撤去は遅々として進んでいないのが実情であります。また、仮設住宅の建設もおくれており、ようやく建設された仮設住宅も市街地からほど遠いなどの事情で、そこに暮らす住民に対するさらなる支援が必要とされております。加えて、生活の再建に不可欠な産業の再生や雇用の確保といった点も重要な課題として残されております。一方で、原発事故の収束のめども依然として立っておりません。

 今次の大震災については、被災地域の復旧復興が思うように進捗をしない一つの理由として、本来あるべき国と地方との信頼関係が失われてしまっているからではないかとも考えます。

 被災自治体では国を頼りにしようとしても、国がその信頼に足り得ない状況をみずからつくってしまっている。このことは、返す返すも不幸なことであります。国は、この際、被災自治体に対し、財源のことは心配要らないので復旧復興対策に邁進してほしいぐらいのメッセージは送るべきではないでしょうか。

 また、今次の大震災は、現在の円高、デフレ等による不況に拍車をかけ、日本経済全体へ大きく影を落としております。これを打開するための対策が、喫緊の課題として横たわっております。

 このような状況下において、我が党は、政府の対応が極めて不十分であると指摘するとともに、これまでに三次にわたる提言、五百七十七項目を政府に申し入れ、五月末には被災地の本格復興と日本経済再生に向けた緊急提言を行い、大規模な第二次補正予算を早急に編成すべきと主張してまいったところであります。今月、その具体策として、十七兆円規模の、本格的第二次補正予算に盛り込むべき政策項目及びその必要経費等を公表いたしております。

 質問時間が限られておりますので、ここではその内容の一つ一つについては披瀝をいたしませんが、まず第一のポイントは、国の責任でインフラ復旧、瓦れき処理等、普通の復旧を大至急進めること、二点目は、被災者の生活再建と産業再生に迅速に取り組むこと、三点目は、被災地のきめ細かいニーズにこたえるため、地方の判断で自由に使途を決められる地方財源を十分確保することであります。さらに、原発事故に緊急に対応するための仮払いの実施や汚染土壌の処理などに当面国の責任で財源を確保することや、災害に強い国土づくり、産業の基盤強化にも十分な予算を充てることが必要であるとしております。

 それに対し、今回の政府提出の第二次補正予算は、東日本大震災復旧・復興予備費の八千億円を含め二兆円規模ということでありますが、これでは甚だ不十分であると言わざるを得ません。

 そこで、個別の質問に先立ち、まずお伺いをいたします。

 震災から四カ月が経過し、いまだ復興の前段階である復旧にすら立ち至っていない状況下で、菅総理は、今回の補正予算の規模が適正であり、被災地の復旧復興と被災地域の皆様にとって国として十分な対応をとっていると胸を張って言えるのか、また、何ゆえ今回の補正規模が二兆円なのかについて、根拠もあわせてお答えをいただきたいと思います。

 次に、今回の補正予算編成の意義についてお伺いいたします。

 今回の二次補正予算には被災者生活再建支援金補助金三千億円が計上されておりますが、今回の災害の規模、被災者の状況を考慮すると、所要額を一次補正でわずか五百二十億円しか計上しなかったこと自体おかしなことであり、本来なら一次補正において計上されてしかるべき予算であったはずであります。菅内閣が一次補正において国債を発行しないということにこだわったがために今回の二次補正回しとなって、結局は被災者への支給がおくれることになったとも言えます。

 ここで改めて二次補正の中身を見てみますと、総額約二兆円の予算のうち、予備費が八千億円、地方交付税交付金が五千五百億円と、それだけで全体の約七割を占め、実質的な震災対策予算は六千五百億円にすぎません。一次補正では必要な予算が計上されず、二次補正では逆に、使途が決まっていない巨額の予備費が計上されている。何ともちぐはぐと言わざるを得ません。

 一次補正において財源として復興債を発行してさえいれば、今回の二次補正は必要なかったはずであり、結局、政府は、未曾有の大災害という非常事態においても、マニフェストに掲げたばらまき政策に固執し、その見直しを先送りにしたために、このような小出し、二度手間の予算となり、被災者支援、復旧復興が遅々として進まない状況を招来しているのであります。

 その意味でも、早急にマニフェストを見直し、本格的な復興予算を編成すべきであります。菅総理の御見解を伺います。

 次に、個別事項についてお伺いいたします。

 最初に、被災地における復旧の手順についてお伺いいたします。

 我々は、今なお無残な姿をさらして散乱する陸、海の瓦れきやヘドロの早急な撤去こそ、復旧に当たって真っ先に対処すべきものと考えます。しかし、瓦れきの仮置き場への搬入率は、現時点で三、四割程度にとどまっております。これでは、復旧復興の足がかりを築くことは到底できません。

 国の責任で、費用の全額を国が負担して、撤去した瓦れきの置き場の確保を早急に行う必要があります。瓦れき処理事業全体の効率化、コストの抑制、円滑な調整などについて、江田環境大臣の見解をお伺いいたします。

 次に、二重ローン問題への対応についてお聞きします。

 政府案では、二重債務問題についての救済の範囲が非常に限定されております。金融庁の調査では、震災の影響により、岩手、宮城、福島の三県で、返済困難に陥っている中小企業、個人は一万八千件、債務額は五千億円を超えていると承知をいたしております。

 事業者から債権を買い取る枠組みについて、弱小零細事業者の再起の機会が得られるよう十分な資金を持った新たな公的機関を創設し、被災事業者への融資や出資を含めて対応すべきと考えますが、菅総理の御見解をお聞かせ願いたいと思います。

 次に、国内経済への影響についてお伺いします。

 政府には、国内の経済への視点が欠如いたしております。財源確保のための公共事業一律五%削減の方針は、震災による景気の落ち込みを一層深刻なものにする懸念があります。復旧のための財源は、恐れることなく堂々と復興債を発行するなどして別途確保し、全国レベルの景気対策、防災対策、特に、産業、生活の基盤となる鉄道、道路、空港、港湾、堤防等の社会インフラ復旧など必要な公共事業を積極的に推進すべきと考えますが、菅総理の見解をお伺いいたします。

 ところで、第二次補正予算に盛り込まれている原子力損害賠償関連予算について問う前に、政府のエネルギー政策に対する基本姿勢についてお伺いをいたします。

 菅総理は、一昨日の記者会見で脱原発依存を表明されました。しかしながら、これについて、早速、総理の女房役である枝野官房長官は、首相は遠い将来の希望を語ったと述べ、仙谷官房副長官も、単なる願望を会見で言うのはいかがなものか、岡田幹事長も、民主党の方針ではないと語ったと報道をされております。これは一体どういうことでありましょうか。

 この際、改めて、菅総理の意図するところを国民に対して具体的かつ明確に御説明いただきたい。

 次に、原子力損害賠償支援機構法の関係経費についてお聞きをいたします。

 第二次補正予算においては、原子力損害賠償支援機構に対し資金を拠出するため二兆円の交付国債発行限度額を設定するとともに、政府保証枠二兆円を設定するとしております。

 原子力事故の賠償の全体額が見通せない状況において、これらの金額を設定した合理的な根拠は何なのか、また、財務省は、これ以上の金額を支出することになった場合、追加支出をする考えがあるのか、あわせて野田財務大臣の見解をお聞かせください。

 我々自由民主党は、東電だけでなく、農協や商工会などの協力で事務手続を迅速化し、現行、損害の概算額の二分の一、上限ありという仮払い条件を大幅に改善すること、自主避難など審査会の対象外となっている応急対策を実施し得る基金を設置し幅広い救済を実現すること等が必要と考え、六月二十一日には、自由民主党、公明党、みんなの党、たちあがれ日本・新党改革の五会派共同で、参議院に原子力被害者早期救済法案を提出したところであります。

 たとえ、第二次補正予算に計上されている政府補償一千二百億円や、原子力損害賠償支援機構法案が成立して資金が確保されたとしても、現状のままでは東電、審査会任せの状況は変わらず、原子力事故の被害者からの悲痛な声にこたえることはできません。それには、原子力被害者早期救済法案を原子力損害賠償支援機構法とともに早期に成立させ、救済条件を抜本的に変えるべきであると考えますが、菅総理のお考えをお聞きします。

 次に、財政運営について質問をいたします。

 冒頭申し上げましたとおり、本来、平成二十三年度第二次補正予算は本格的な復興のための補正予算であると考えられておりました。しかしながら、菅総理は、六月十四日、唐突に、第一次補正予算で足りなかった部分について、あたかも取り繕うかのように第二次補正予算の編成を指示しました。七月十二日には、これまた唐突に、第三次補正予算の編成準備の指示を行っております。

 このような唐突で場当たり的な指示が平成二十四年度の予算編成にどのような影響を及ぼすのか。

 昨年は、六月に財政運営戦略を決定し、七月下旬に翌年度の概算要求基準が示され、予算の編成作業が行われました。しかし、第二次補正予算の編成に加えて、第三次補正予算の編成準備によって、平成二十四年度予算の編成作業がおくれるのではないかとの観測が聞こえてまいります。

 平成二十四年度予算の概算要求基準が示される時期を含め、平成二十四年度予算編成のタイムテーブルを明確にお示しいただきたい。

 東日本大震災復興構想会議が示した復興への提言では、復興財源として基幹税の増税を求めております。第三次補正予算は、本格的な復興のための予算で、大規模なものとなることが想定され、財源、すなわち増税の問題は避けられません。

 本格的な復興に一日でも早く着手するためには、財源問題の結論を先送りにすることはできません。復興財源の問題の結論をいつまでに出すのか、明らかにしていただきたい。

 同時に、今やだれの目にもその破綻が明らかなマニフェストを撤回する必要があります。財源の裏づけのないばらまき政策のマニフェストを掲げたまま復興財源を増税に求めることは、到底許されるものではありません。ばらまき政策を撤回した上で、それでも足りない分については増税によって確保すべき、それが物事の順序ではないでしょうか。

 西岡参議院議長は、最近の論文の中で、私は、首相交代に必要な時間は、菅首相が居座ることによる壮大な時間の浪費に比べれば微々たるものと述べていると報じられております。このことを含め、みずからのリーダーシップの欠如と進退問題をめぐる一連の騒動の責任について、改めて総理の御認識をお伺いします。

 最後に、震災対策は与野党挙げて取り組むべきものであることは、多言を要しません。その意味で、本補正予算には、二重ローン対策や被災者生活再建支援基金の増額、放射能モニタリングの強化策など、我々が以前より提案している項目が含まれてもおり、必ずしも反対するものではありません。

 我々は、責任ある野党として、今後は、新たな体制のもとで国会全体が協力して建設的な実りある議論を続け、被災地の一日も早い復旧復興を目指すことができるよう努力することが重要であると考えます。

 そのためには、まずは与党みずからが早急に新たな体制へと環境整備をすることが先決であることを指摘し、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 山本公一議員にお答えを申し上げます。

 まず、補正予算の規模についての御質問をいただきました。

 本日提出した第二次補正予算案は、東日本大震災の復旧状況等の直近の状況を踏まえ、当面の復旧対策に万全を期すため、本格的な復興対策に先行して編成するよう指示したものであります。

 二兆円という規模については、平成二十二年度決算剰余金を財源としつつ、原子力損害賠償法等関係経費や二重債務問題対策、被災者生活再建支援金補助金などの被災者支援経費等、当面の復旧対策に万全を期すために必要な経費を計上した結果であります。

 当面、緊急に対応すべき経費を盛り込んだ予算であり、早期の成立をぜひお願い申し上げます。

 次に、補正予算とマニフェストの見直しについて御質問をいただきました。

 震災復興のための補正予算は、復旧、復興のそれぞれの段階に応じ、何回かに分けて編成することが適当と考えられます。第一次補正予算は、震災からの早期復旧に向け、まずは災害復旧等公共事業や仮設住宅の供与等の経費を計上したのに対して、今般の第二次補正予算においては、足元の状況も踏まえ、原子力損害賠償法等の関係経費や二重債務問題対策の経費などを計上しているところであります。

 今後の復興対策については、七月中にも取りまとめる予定の復興の基本方針等を踏まえたものとなりますが、その財源については、引き続き、マニフェスト施策を含め、歳入歳出の両面にわたり幅広く検討することが必要と考えております。

 一次補正、二次補正、合わせて約六兆円の規模であり、小出しとの御指摘は当たらないと考えております。

 次に、二重債務問題に関する御質問をいただきました。

 二重債務問題については、六月十七日に決定した政府の対応方針に基づき、現在、具体的な支援策について準備を進めており、二次補正予算においても、再生を目指す中小企業向けの相談窓口の強化など、関連する予算措置を盛り込んだものであります。

 御指摘の新たな公的機関の設立に関しては、政府の対応方針に基づき、中小企業基盤整備機構と地域金融機関が出資する新たな機構を設立し、地域の実情を踏まえた制度設計とすべく、被災県とも連携して、具体的な形を検討しているところであります。

 次に、公共事業についての御質問をいただきました。

 現在、復興対策本部において復興基本指針の策定の作業を進めているところであり、国土交通省においても、大震災を踏まえた今後の社会資本整備のあり方について議論が進められているところであります。

 このような議論を踏まえ、国民にとって真に必要な社会資本整備について、長期的な展望に基づいて、計画的、戦略的に進めていく所存であります。

 次に、脱原発依存に関する御質問をいただきました。

 一昨日の私の記者会見において、原発事故の発生を踏まえて、エネルギー基本計画の見直しや再生可能エネルギー導入の抜本拡大などのエネルギー政策に関する検討が進んできております、そうした中で、私自身の考え方として、私としては、これからの日本の原子力政策として、原発に依存しない社会を目指すべきと考えるに至った、つまり、計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していくと、私の考え方を申し上げたところであります。

 次に、野党提出の原子力被害者早期救済法案に関する質問をいただきました。

 今回の原子力事故により被害を受けた方々が迅速かつ適切に賠償を受けられることが重要であります。

 野党が提出されている国による原子力被害者早期救済法案については、現在東京電力が進めている仮払いの動きを生かしつつ、被害者救済をさらに加速するにはどうするのが最も効果的かという観点から、国会でよく御議論をいただきたいと考えております。

 いずれにせよ、政府としては、東京電力による迅速かつ適切な賠償に万全を期すためにも原子力損害賠償支援機構法案の早期成立が不可欠である、このように考えているところであります。

 次に、平成二十四年度予算編成についての御質問をいただきました。

 翌年度の予算を着実に編成することは、国民生活の発展、安定に重要であります。(発言する者あり)

議長(横路孝弘君) 静粛に願います。

内閣総理大臣(菅直人君)(続) したがって、まずは被災地の一日も早い復旧復興を図るため、今月中にも復興の基本方針を取りまとめ、それを実現するための三次補正予算の編成を進めてまいりますが、同時に、来年度予算編成についても、年内に編成ができるよう、しっかりと編成作業をしていくことが必要だと考えているところであります。

 次に、復興財源の問題の結論を決める時期についての御質問をいただきました。

 復興財源については、復興基本法に定められているように、まずは復興債を発行いたしますが、他の公債と区分して管理し、あらかじめ償還の道筋を明らかにすることとされております。

 この方針に沿って、今後、復興の基本方針を策定する際には、政府・与党のみならず、各党との間で、復興財源の確保についてどう取り組んでいくか、十分検討していきたいと考えております。

 次に、復興財源とマニフェストについての御質問をいただきました。

 復興財源とマニフェストとの関係について御質問をいただきましたが、マニフェストに関しては、現在、自由民主党、公明党、民主党の三党において、さきの三党合意に基づき協議が行われているところと理解いたしております。また、復興財源につきましても、復興基本法の制定経過を踏まえ、今後協議が開始されるものと認識しております。

 いずれにいたしましても、大震災からの復興とその財源確保については、与野党で、被災者、国民の期待にこたえるべく、精力的に協議を行い、成案を得ることを期待いたしております。

 最後に、リーダーシップと総理の責任についての御質問をいただきました。

 リーダーシップと進退問題についてはこれまでもお答えしてきたとおりでありまして、私の進退に関してはこれまで一貫して申し上げてきたとおりでありまして、特に変更はありません。

 なお、内閣総理大臣としてのリーダーシップに関しては、三月十一日の発災以来、内閣の長として、また対策本部長として、その責任を果たすべく、判断と決断をしてまいりました。

 今後も、これまでの取り組みの教訓を生かしつつ、被災者と国民の皆様に対する責任を果たしていく決意であります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

    〔国務大臣野田佳彦君登壇〕

国務大臣(野田佳彦君) 山本議員から、交付国債発行限度額及び政府保証枠の根拠及び追加措置の可能性についてのお尋ねがございました。

 当面必要となる損害賠償額は明らかではございませんが、被害者への迅速かつ適切な損害賠償を実施するため、十分な額の交付国債を機構設立までに準備していく必要がございます。

 現在の東京電力の仮払いが毎月数百億円程度の実績であり、今後、風評被害等に係る賠償支払いに対応して現在の数倍の損害賠償が必要となる可能性があるため、被害者への賠償に万全を期すべく、当面の損害賠償のために十分な額として、交付国債の額を二兆円とさせていただきました。

 また、政府保証枠については、安全確保のための費用などさまざまな資金繰り対応が必要となるため、十分な枠として二兆円としたところでございます。

 仮に、万が一、本年度中に損害賠償資金が不足するような事態があれば、第三次補正予算の編成等を検討することになると考えております。(拍手)

    〔国務大臣江田五月君登壇〕

国務大臣(江田五月君) 瓦れき処理についてのお尋ねがありました。

 今回の震災では、瓦れきの発生量が推計で二千万トン以上と非常に多く、また、行方不明者の捜索など、困難な状況の中で瓦れきの撤去が行われてきたことから地域によって進捗状況に差がありますが、市町村の努力により、瓦れきの仮置き場への搬入は着実に進んできています。

 環境省では、災害廃棄物の適切かつ効率的な処理を進めていくための指針、マスタープランを策定しました。今後は、指針に基づいて、集められた瓦れきのリサイクルや焼却、最終処分などを進めていく必要があり、現在、各県が具体的な処理の実行計画の策定を進めています。

 また、瓦れき処理の迅速化、効率化を図るため、環境省では、広域処理の調整を進めているほか、被災県に契約面や技術面での支援ができるよう環境省職員を常駐させ、県、市町村と協力しながら瓦れき処理を進めています。

 今後も、これらの取り組みにより、被災地の瓦れき処理が円滑かつ迅速に進むよう最大限努力してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 石井啓一君。

    〔石井啓一君登壇〕

石井啓一君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十三年度第二次補正予算案に対して質問をいたします。(拍手)

 東日本大震災から四カ月目の七月十一日、私は、岩手県の被災地で朝を迎えました。大震災で亡くなられた方々、被災された方々を思いまして、復旧復興への決意を新たにいたしました。

 九日から十一日まで、公明党の東日本大震災復旧復興支援対策チームのメンバーとともに、宮古市、釜石市、大船渡市、山田町など岩手県三陸沿岸の被災地を訪れ、市長、町長を初め漁業関係者の方々などと対話を重ねてまいりました。

 山田町の船越湾では、やっと小さな漁船を係留できるようになった漁港で、ブルーシートを広げて十数人の漁業関係者の方々と車座で懇談をしながら、御意見、御要望を伺いました。生活の糧である漁船や漁具を失い、いまだに生活の再建のめどが立たない状況の中で、ある漁師の方が発した、政府は一体何をやっているんだ、とにかくやることが遅いという言葉が胸に突き刺さりました。

 また、ある首長は、国の判断を待っていられない、みずからの決断で瓦れき処理など先行すべき施策を次々と実施したと話していらっしゃいました。今からでも国の覚悟を示してほしいと訴えられました。

 菅総理、これが現場の声です。あなたは、やるべきことはやってきたとおっしゃいますが、被災地では、今も二万人以上が避難所生活を余儀なくされ、瓦れきの撤去も進んでおりません。事実として、政府の対応が遅いのです。現場の声、被災者の心を真剣に受けとめていないと言わざるを得ません。

 このたびの二次補正予算案も、一次補正の四兆円の半分、二兆円という極めて中途半端な規模で、総理の延命が目的と思わざるを得ませんし、結果として、本格的な復興に向けた三次補正をおくれさせています。

 加えて、総理は思いつきや場当たり的な発想で一貫性のない指示を出すため、ますます現場が混乱し、対応がおくれてしまいます。

 まずこれらの問題を指摘して、具体的な質問に入ります。

 震災からの復興に向けて、中小企業の方々や農林漁業者が事業を再開する際に大きな障害となっているのが二重ローン問題であり、今般の震災の甚大さにかんがみ、政治主導により解決策を図ることが求められております。そのための重要な方策として、既存債務を一たん買い取った上で事業者の再生を支援する新たな機構の設置が不可欠と考えます。

 政府・民主党は、当初、機構そのものの設置に消極的でしたが、公明党、自民党との協議の中で、ようやく新たな機構の設置を受け入れました。しかし、その中身は、現行法の枠組み、省庁の壁を越えられない不十分な内容と言わざるを得ません。

 政府・民主党案の問題点を、三点指摘いたします。

 第一に、政府・民主党案では、旧債務の買い取り額が一千五百億円から二千億円程度のようですが、被災の実情とは全くかけ離れた、限定的なものにとどまっております。

 第二に、現行法の枠内、具体的には、経済産業省所管の中小企業基盤整備機構からの出資が主体では、農林漁業者なども対象としているものの、その性格から、農林漁業者への十分かつ確実な救済は期待できません。

 第三に、被災事業者を迅速に支援するためにはワンストップで支援する仕組みが必要ですが、政府・民主党案は、既存の中小企業再生支援協議会による支援と旧債務を買い取る新たな機構による支援というツーステップであり、使い勝手が悪いという点です。

 政府・民主党は、速やかに、私たち野党が参議院に提出した再生支援機構法案を成立させるべきであります。菅総理の決断を求めます。

 また、住宅ローンなどを抱える個人債務者の救済も重要です。

 その一つとして、現在、金融機関等の関係者間で検討され、本日中にも決定されると聞いております個人向け私的整理ガイドラインにおいて設立される見込みの第三者機関の手続費用については、被災債務者に負担がかからないように、国がその費用を助成し、二次補正予算の予備費で対応すべきと考えます。総理の答弁を求めます。

 次に、瓦れきの処理について伺います。

 東日本大震災からの復旧復興に向け、被災地で今最も必要とされる対策の一つが瓦れき処理であります。東北三県に限っても、瓦れきの推計量は約二千二百万トンもあります。

 公明党は、七月一日、瓦れき処理を国の責務として促進する災害廃棄物処理特別措置法案を四野党共同で衆議院に提出いたしました。その内容は、瓦れき処理について、被災自治体の要請に応じて国が代行すること、そして、処理費と施設整備・運営費のすべてを国が負担することが大きな柱です。

 本来であれば、震災発生後直ちに政府が提出すべき法案であります。ところが、野党の法案提出から一週間もたって、ようやく政府は、野党案をコピーしたかのような法案を提出してきました。

 その上、政府案では、一番の論点が欠けております。処理にかかった費用の自治体負担分を後から地方交付税で補てんすることにより結果的に国が全額を負担するとしておりますが、これは現行法の特例措置でもできることです。自治体の一番の足かせは、一時的であれ、拠出できる予算が確保できないことなのです。

 事態の緊急性にかんがみ、政府・民主党は、我々野党が提出した法案を早期に成立させるべきであります。総理の認識を伺います。

 次に、地盤の液状化や宅地崩壊への対応について伺います。

 東日本大震災は各地に想像を超えた被害をもたらしましたが、その一つに、現行の支援の仕組みでは全く不十分な、地盤の液状化や宅地崩壊による被害があります。総理は六月中旬に液状化被害を視察されたそうですが、視察されてから一体どんな手を打ったのでしょうか。全く伝わってきておりません。

 政府の対応が遅い一方で、被災市町村の中には、補助制度の創設など、宅地被害の復旧のために素早い対応をとっているところもあります。こうした自治体の取り組みを支援するとともに、これまでの制度の抜本的拡充や新制度の創設など、被災地域の家屋の特徴や被害の実情を踏まえた液状化対策や宅地崩壊対策に取り組むべきと考えます。総理の見解を求めます。

 次に、被災自治体の判断で活用できる復興基金の創設について伺います。

 公明党は、被災県それぞれの地域の特性や被災状況、特に原発事故の影響を抱える福島県の特殊事情などを踏まえつつ復旧復興を進めていくため、複数年にわたり地元のニーズに基づいて自治体の判断で活用ができる使い勝手のよい復興基金の創設が不可欠であると考えております。

 阪神・淡路大震災の際には、震災後およそ二カ月半で兵庫県と神戸市が資金を拠出し復興基金が立ち上がったことを見ても、菅政権の対応は鈍いと言わざるを得ません。

 公明党は、第二次補正予算に関する提言で基金の創設を主張いたしましたが、今般の二次補正における特別交付税の活用や第三次補正以降の復興交付金の創設で財源を確保し、早期に基金を創設すべきと考えます。総理の見解を伺います。

 冒頭申し上げたとおり、私は、先週から今週にかけて岩手県沿岸の被災地を訪れました。釜石市や大船渡市、山田町などでは、住民との意見交換やアンケート調査などを行い、既に復興基本計画の骨子やビジョンをまとめていらっしゃいました。九月には復興基本計画をまとめられるという状況であります。

 その一方で、政府からは復興基本計画策定に当たっての土地利用などの方針が示されないため、被災自治体は頭を抱えております。政府は、集落の高台への集団移転など大規模な土地利用の転換を伴う事業を被災自治体が実施する場合、法の弾力運用や規制緩和、補助制度のあり方など、現行制度の見直しや新制度の創設、財政支援をどのように行っていくのか。こうしたことの具体的な方針を早く示さなければ、自治体が復興基本計画を策定しても、絵にかいたもちになりかねません。

 また、復興基本法に盛り込まれた復興特区について、平野復興担当大臣は、法案を秋の臨時国会に提出すると発言されました。これでは、復興特区が指定されその効力が発揮されるのは、かなり先になってしまいます。被災地の早期復興を真剣に考えるなら、ぜひとも今国会中に提出、成立させて、復興を大きく前進させるべきと考えます。

 自治体の復興基本計画策定に当たっての土地利用などの方針や復興特区法案について、早期に策定すべきであります。総理の見解を伺います。

 申し上げたように、被災自治体では、今、復興に向けたビジョンや計画、基本方針の策定が進んでおります。政府としても、こうした自治体の取り組みに、財政支援や規制緩和など、あらゆる方向から支援していかなければなりません。特に、自治体の復興基本計画の前提となる、国による基幹インフラの復旧及び整備の方針を速やかに提示することが重要であります。

 例えば、大津波で壊滅的な被害を受けた被災地の防潮堤や防波堤について、未曾有の大津波の前では効果がなかったとの意見もありますが、被災自治体からは、津波被害の軽減に大いに役立ったと高い評価が寄せられ、一日も早い着実な復旧が求められております。

 また、三陸沿岸道路の早期整備が必要であります。この道路は、震災時の避難路となっただけでなく、救援物資や医療関係者を運ぶ、文字どおり、命の道としての役割を果たしました。被災自治体は、三陸沿岸道路の早期整備を待ち望んでおります。

 こうした基幹インフラの復旧整備の方針が見えてこなければ、被災自治体の復興基本計画策定のための前提条件が整いません。こうした方針を速やかに示していただきたい。国土交通大臣、明確にお答えください。

 次に、農林水産業者に対する支援策について伺います。

 事業再開に向けて、目下の課題は、既に述べたとおり、二重ローン問題の解決と、農地や水産関連施設、木材加工場等の生産インフラの復旧であります。

 復旧復興の見通しを示すことと並行して政府が責任を持って行うべきことは、被災した生産者に対する当面の生活支援です。

 一次補正予算では、経営再開に向けた復旧作業を行う農業者への支援金や、漁港の瓦れき処理作業に対して日当を支払うことといたしましたが、予算も限られており、現場の生産者は、これでいつまで生活を支えられるのか、不安を抱えていらっしゃいます。本格的な事業再開が可能となるまでの当面の生活支援策を講じるべきであります。

 我々公明党が提案している復旧困難な農地の一時買い上げなどは、復興計画の早期実行を担保するとともに、被災農業者等の当面の生活資金を確保することにも役立ちます。農林水産大臣の見解を求めます。

 日本経済の先行きも、決して楽観はできません。

 例えば、復旧復興が進まないことによる被災企業の再生のおくれ、電力不足の長期化に加えて電力料金の引き上げなどによる産業への影響、それに伴う企業の海外移転等による産業の空洞化、雇用の喪失、さらには国際競争力の低下も懸念されます。また、原油高などによるコストの押し上げ、欧州を初め世界経済の不透明感が増す中での為替相場の円の高どまりなど、日本経済の置かれている厳しい状況を十分に踏まえた経済対策を講じるべきであります。

 被災企業の再生支援、電力供給制限への対応、日本ブランドの復活と輸出の回復、個人消費の回復などを目指した総合的な経済対策について、本格的な復旧復興対策に加えて、第三次補正予算にしっかりと組み込むべきと考えます。総理の答弁を求めます。

 被災地では本格的な夏を迎えていますが、政治が手をこまねいていては、復旧復興への取り組みがおくれ、あっという間に冬が来てしまいます。既に、第三次補正予算の提出は早くても秋、執行に至っては冬になりかねない事態となりました。まことに遺憾であります。この時間的なロスを招いたのは、菅総理の身勝手な延命策によるものにほかなりません。

 政治の役割は、被災者の気持ちに寄り添い、被災された方々が希望を持って立ち上がる勇気と行動に対して最大限の支えとなることであります。

 国民の圧倒的多数は、菅総理が一刻も早く退陣し、新しい総理のもとで国民のため、被災者のための第三次補正予算が早期に編成されることを期待しているというふうに申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 野党が提出した再生支援機構法案に関する御質問を石井啓一議員からいただきました。

 二重債務問題は、六月十七日に決定した政府の対応方針を踏まえ、中小企業基盤整備機構と地域金融機関が出資する新たな機構を設立することといたしております。

 御指摘の、債権買い取りのための資金規模については、被災企業の債務残高や約定返済停止等を行っている債務者に対する債権額等の試算を勘案しつつ、まずは中小企業基盤整備機構の手持ち資金で対応していきたいと考えております。

 また、支援対象については、農林漁業者等も含めた幅広い事業者を支援対象に含めるとともに、それぞれの事業者の実情に合った支援策を講じてまいりたいと考えております。

 さらに、中小企業再生支援協議会の体制を抜本的に拡充し、事業の再開や事業再生の相談に幅広く対応できるよう、ワンストップ窓口として機能するようにしてまいります。

 具体的な仕組みの詳細については、被災地域ごとの実情も十分に踏まえ、被災事業者を迅速に支援できる体制を早急に構築していくことといたしたいと思います。

 次に、個人向け私的整理ガイドラインにおける第三者機関の手続費用についての御質問をいただきました。

 第三者機関の手続費用については、昨日開催された三党協議において、被災債務者の負担がないように措置するよう、政府に対して要請があったと承知をいたしております。

 いずれにせよ、二重ローン問題については、この六月に公表した二重債務問題への対応方針や政党間での御議論を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

 次に、瓦れき処理に関する野党提出法案に関する御質問をいただきました。

 市町村における災害廃棄物処理の費用負担については、野党案では国の十割補助とされておりますが、政府では、既に、国庫補助率のかさ上げを行うとともに、残る地方負担分についても全額を災害対策債により対処し、その元利償還金を一〇〇%交付税措置することにより、実質的に負担が生じないよう措置を講じているところであります。

 政府案により国が代行する場合についても、同様に適切な措置を講ずる予定であります。

 政府は、既に、災害廃棄物の処理について、被災地の自治体に環境省の職員を派遣し、県、市町村及び国が一体となって災害廃棄物処理を促進するなどの対策を講じているところであります。

 政府案は、処理体制等の課題を抱えている市町村における災害廃棄物処理の迅速化のために国が代行できるとしたものであり、引き続き災害廃棄物処理を速やかに進めてまいりたいと考えております。

 次に、液状化対策、宅地崩壊対策について御質問いただきました。

 御質問の液状化対策や宅地崩壊対策については、復興構想会議においても議論されてきたところであり、現在、政府の復興対策本部において、こうした復興構想会議の提言や被災地の御要望などを踏まえつつ、復興基本方針の策定の作業を進めているところであります。

 今後、補正予算における取り扱いなどを含め、地方公共団体とも連携をとりつつ、都市インフラの補強といったこととも連動させて、必要な措置の具体的内容について検討してまいりたいと考えております。

 次に、復興基金についての御質問をいただきました。

 今般の二次補正において地方交付税を約五千五百億円増額し、被災自治体等の財政需要に対応することといたしております。その上で、復興基金については、復興構想会議の提言において、地域においてこれまでの震災時の事例や民間基金の活用事例も参考にしながら必要な事業の柔軟な実施を可能とする基金の設立を検討すべきであるとされているところであります。

 復興基金については、今後、被災地の御意見や実情も十分に伺いながら、必要な支援を検討してまいりたいと考えております。

 次に、土地利用、そして復興特区についての御質問をいただきました。

 被災自治体においては、復興計画の策定が始まっており、その核となる土地利用の検討も進んでいると理解をいたしております。

 復興構想会議の提言では、都市計画法、農業振興地域整備法等の土地利用手続の一元化、迅速化、高台移転に伴う土地区画整理事業等の円滑化の仕組みの構築などが指摘されており、関係省庁において方針を取りまとめて、被災自治体に示してまいりたいと考えております。

 復興特区については、復興基本法においても「速やかに必要な法制上の措置を講ずるもの」とされており、被災地の意向を十分に伺いつつ、規制、制度の特例や手続の簡素化、経済的支援等について検討しているところであります。できるだけ早期に制度を創設できるよう、政府が一体となって取り組んでまいります。

 総合的な経済対策についての御質問をいただきました。

 我が国景気の先行きについては、持ち直していくことが期待されております。ただし、電力供給の制約や海外経済の動向等、景気が下振れするリスクが存在しており、これらを十分注視して経済財政運営を行っていくことが重要だと考えております。

 そのため、政策推進指針、五月十七日閣議決定したものに基づいて、大震災がもたらした制約を順次確実に克服するとともに、日本経済の潜在的な成長力を回復するよう取り組んでいきます。まずは、第一次補正予算を着実に執行するとともに、第二次補正予算の早急な成立が重要だと考えております。

 今後の補正予算については、東日本大震災復興対策本部において今月中に取りまとめる予定の復興の基本方針等を踏まえ、被災地の復興なくして日本経済の再生はなく、日本経済の再生なくして被災地の真の復興はないという考え方に立って、具体的な施策や規模を検討してまいりたいと考えております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣大畠章宏君登壇〕

国務大臣(大畠章宏君) 石井議員からの御質問にお答えを申し上げます。

 私の方には、基幹インフラの復旧整備の方針についてお尋ねをいただきました。

 国土交通省におきましては、復旧・再建に関する検討会を設置して、復旧復興に向けた施策について検討をしてまいりました。

 まず最初の御質問でございますが、防潮堤につきましては、被災した堤防を本格的に復旧するためには、堤防の設計に用いる津波の水位を適切に定める必要があることから、農林水産省と国土交通省が共同して開催している、海岸における津波対策検討委員会等の議論を踏まえ、七月八日に水位の設定方法等の考え方を都道府県等の海岸管理者に通知いたしましたところであります。

 次に、防波堤につきましては、産業復興に合わせた港湾の復旧や産業活動、まちづくりと連携した津波防災のあり方について、港湾管理者、そして地元自治体、さらには港湾立地企業などで構成される各港の協議会の中で検討しており、産業・物流復興プランとして七月末までにまとまるという見込みであり、防波堤の復旧については、各港のプランを十分に踏まえて、しっかりと進めてまいりたいと考えているところであります。

 次に、三陸沿岸道路につきましては、三陸沿岸地域の一日も早い復旧復興を図るための大きな柱として、八月中をめどに全線のルートを確定すべく取り組んでいるところであり、復興構想会議や高速道路のあり方検討有識者委員会の提言を踏まえ、早期整備に向けてしっかりと進めてまいります。

 最後に、現在、政府におきまして復興基本方針の策定を進めておりますが、国土交通省といたしましても、被災した地域の方々にできるだけ早く安心していただけるよう、防潮堤、防波堤及び三陸沿岸道路などの復旧復興に全力で取り組むことを申し上げ、答弁とさせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣鹿野道彦君登壇〕

国務大臣(鹿野道彦君) 石井議員の御質問にお答えいたします。

 被災農林漁業者の経営再開や当面の生活支援策についてのお尋ねでございます。

 農林漁業者の早期経営再開に向けた支援策といたしまして、先般の一次補正予算におきましては、農地・農業用施設や漁港、漁場等の復旧対策や、経営再開を目指す農業者や漁業者が行う復旧作業への支援、実質無利子での貸し付けなど、各般の支援措置を講じてきたところでございます。

 また、被災農業者等の当面の生活資金の確保につきましては、復興組合を通じて復旧作業を共同で行う農業者を支援する被災農家経営再開支援事業等を実施いたしているところでございます。

 なお、復旧困難な農地の一時買い上げなどにつきましては、地域の今後の土地利用にかかわることから、関係する県、市町村等の地元関係者による土地利用の見直しと一体となりまして、政府としてどのようなことが可能か、また、必要か、検討すべきものと考えております。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 宮本岳志君。

    〔宮本岳志君登壇〕

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、第二次補正予算案に関し、総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)

 先日私が訪問した被災地宮城県の、ある幼稚園の玄関に七夕飾りが立ててありました。短冊に子供の字で、「はやくおうちへかえれますように」「おとうさんのしごとがはじめられますように」、そう書かれてあるのを見て、思わず胸が詰まりました。

 大震災から既に四カ月がたったにもかかわらず、復旧と復興は遅々として進まず、被災地では、長引く避難生活による生活の困窮や雇用問題の深刻化とともに、震災関連死が相次いでいます。劣悪な避難所や仮設住宅の環境改善は待ったなしです。いつまでに、どのように改善するのか、明確にお答えください。

 瓦れきの処理では、岩手、宮城、福島の被災三県で撤去されたのは、まだ全体のわずか三割余りにしかすぎません。なぜこのような状況になっているのですか。

 瓦れきの処分場所の確保や財政負担について、国が全面的に責任を果たすことを明確にすべきですが、総理の答弁を求めます。

 一人一人の被災者が、破壊された生活の基盤を回復し、自分の力で再出発できるように支援することこそ、復旧復興の基本です。また、復興の進め方については、計画をつくるのは住民合意で、実施は市町村と県、国が連携して、財政の大半は国の責任でという原則を堅持すべきであります。

 漁業、水産業の再開、復興には、海の瓦れき撤去を優先しながら、ワカメ、昆布、カキ、アキシャケなどの生産適期、いわゆるしゅんに合わせた漁船、漁具の確保、養殖施設の復旧、魚市場の再開、冷蔵施設、水産加工場などの一体的な復旧についての支援策が不可欠です。そして、それを進めてこそ、甚大な打撃を受けた被災地の地域経済を前向きに動かし、新たな雇用も創出できるのではありませんか。

 その際も、復興は、あくまでも住民合意を尊重し、上からの押しつけであってはなりません。復興構想会議が示した水産特区構想も、企業が地元の意向を無視して強引に浜に入ることを許すようなものであってはならないと考えますが、総理の答弁を求めます。

 なりわいの再建にとって、二重ローンの解消は絶対に必要です。農林水産業、中小企業など、被災地にとって、マイナスからではなく、せめてゼロからの出発を、これは強い願いです。民間医療機関や私立学校、個人の住宅ローンに至るまで、二重ローン解消の対策が急がれますが、総理の答弁を求めます。

 被災地の復興は、住民が主役で決めるというのが大原則です。その最大の障害となっているのは、国の財政支援の方向が明確でないことです。

 津波浸水地域に建築制限がかけられているところでは、都市計画決定がなければ、何も前に進みません。

 また、集団移転や高台移転を希望しても、防災集団移転促進事業で国が出すのは四分の三のみで、残る四分の一は被災自治体の負担とされています。多くの集落で集団移転を希望している宮城県東松島市では、この事業の枠組みでは市の負担が二百から三百億円と試算されています。ただでさえ震災で税収の大幅な落ち込みが予想されている被災自治体がこのような膨大な負担を行うことは不可能です。

 被災自治体の財政の現状に照らせば、住民の総意で移転を求める集落、地域の取り組みには、国が全額支援すべきではありませんか。

 津波で浸水した農地の復旧・除塩事業や地盤沈下した宅地のかさ上げは、個人の力ではどうしようもありません。一時的に、被災した農地、宅地を国が買い上げる制度についても、その必要性が叫ばれてきたのに、一向に具体化されていません。一体どうするつもりか、総理の答弁を求めます。

 被災三県の雇用は一層悪化しています。ハローワークの職業相談件数は四十万件を超え、雇用保険離職票交付件数も十三万件に上っています。新規学卒者の就職難も深刻で、七月八日の厚労省の発表でも、来年三月卒業予定の高校生に対する求人受理数は、前年同月比で全国的に九%の減。中でも被災地は、福島県が四一%の減、宮城県は二八%の減と極めて深刻な事態であり、仕事の確保と雇用対策は待ったなしです。

 ところが、本補正予算には全く雇用関係の予算が組まれていないのは、なぜでしょうか。被災地の雇用を立て直そうと思えば、雇用調整助成金の拡充、柔軟な適用や、失業給付の額改善と期間延長、さらには公的就労の場を確保することを含めて、真剣な対策が求められると考えますが、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 そして、何よりも、震災を口実にした大企業の身勝手な解雇、雇いどめを許さず、新規学卒者の採用をふやさせるなど、大企業に雇用と地域経済への社会的責任を果たさせることが必要だと考えますが、総理の答弁を求めます。

 子供たちは復興の希望です。大震災と原発事故の影響から子供と教育を守ることは、被災地だけにとどまらず、すべての国民の切実な願いです。

 まず第一に、大震災による経済的貧困から子供たちが学業を断念せざるを得ないというようなことは、絶対にあってはなりません。

 学校納付金への減免制度をさらに拡充するとともに、今こそ給付制の奨学金に道を開くことが求められています。被災した学生には、お金を貸すのではなく、給付するのが当たり前ではありませんか。総理の答弁を求めます。

 被災した子供たちへの心のケアも切実です。養護教諭、スクールカウンセラーも含め、この際、教職員のさらなる増員をすべきではありませんか。文部科学大臣の答弁を求めます。

 そして第二に、放射線の被害から子供の健康を守ることです。

 被曝線量のモニタリングをきめ細かく行うこと、子供の健康調査を内部被曝を含めて行い、学校を初め子供たちが生活するすべての場所で徹底した除染を行うべきです。

 今回創設される福島県原子力被災者・子ども健康基金は県の要望を受けたものとのことですが、基金による施策の内容等については県に任されるということでよいのですね。答弁を求めます。

 原発事故の被害に遭っているのは福島県民だけではありません。周辺の各県にも広がっている放射能被害から住民の健康を守り、安全、安心を確保するためにどのような手だてをとるのか、答弁を求めます。

 六月下旬、福島県南相馬市内に住む九十三歳の女性が、みずからの命を絶ちました。「老人はあしでまといになる」「お墓にひなんします ごめんなさい」、こう書き残していました。私は、このニュースを、いても立ってもいられない思いで聞きました。

 議場の皆さんも、政治家ならば恐らく同じ思いではないでしょうか。このような痛ましい犠牲者をこれ以上絶対に出してはなりません。

 福島第一原発事故をめぐっては、一刻も早い事故の収束はもちろんのこと、あらゆる努力を国が尽くすことを求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 宮本岳志議員にお答えを申し上げます。

 まず、瓦れき処理における国の責任に関する質問をいただきました。

 市町村における災害廃棄物処理の費用負担については、国庫補助率のかさ上げを行うとともに、残る地方負担分についても全額を災害対策債により対処し、その元利償還金を一〇〇%交付税措置することにより、実質的に負担が生じないよう措置を講じているところであります。

 また、被災地の自治体に環境省の職員を派遣し、県、市町村及び国が一体となり、処分場所の確保を含めた災害廃棄物処理の促進などの対策を講じております。

 さらに、国が市町村にかわり災害廃棄物処理を可能とするための法案を国会に提出したところであります。

 こうしたさまざまな取り組みにより、引き続き自治体を全面的に支援し、国としての責任を果たしてまいります。

 次に、漁業、水産業の再開、復興についての御質問をいただきました。

 被災地の漁業、水産業の再開及び復興のためには、海の瓦れき撤去を進めるとともに、御指摘のように、漁期に合わせた漁業の再建と、水産流通加工業や関連産業との一体的再生が不可欠であります。

 一次補正予算においては、これらの一体的再生に資するよう、瓦れき撤去や漁船、養殖施設の復旧への支援策のほか、共同利用の流通加工施設の復旧を支援する事業等も盛り込み、現在、その執行を鋭意進めているところです。

 また、二次補正予算においても、製氷施設など共同利用施設の機器等の整備の拡充を盛り込んでいるところであります。

 今回の震災の被災地においては、水産業及びその関連産業は、多くの雇用を抱え、地域経済の核となってきたところであり、これらの産業の一日も早い復興に引き続き全力で取り組んでまいる所存であります。

 次に、水産特区構想について御質問をいただきました。

 今般の東日本大震災からの復興に当たっては、地域主体の取り組みが基本となるものであり、地域住民の意向を尊重しつつ復興を進めていくことが重要だと考えております。

 東日本大震災復興構想会議から提言をいただいた水産特区の具体化についても、地域ごとの漁業の特性等を踏まえるとともに、地元のさまざまな意見をしっかりと伺い、県や漁業者ともよく話し合いながら、真に被災地の復興に資するものとなるよう努めてまいりたいと考えております。

 次に、二重ローン問題解消の対策への質問をいただきました。

 二重ローン問題解消のための対策については、これまで、第一次補正予算やその関連法で、農林漁業者、中小企業、医療関係施設、私立学校を対象とした新たな融資・保証制度や融資条件の緩和を盛り込んだところであります。

 さらに、六月十七日に決定した政府の対応方針に基づき、第二次補正予算に、水産業共同利用施設の機器等の整備の拡充、再生を目指す中小企業向けの相談窓口の体制強化などを盛り込んだところであります。

 また、農林漁業者、中小企業や住宅ローンを借りている被災者などの債務問題に対処するため、個人向けの私的整理ガイドラインや幅広い事業者を対象とする債権買い取りの仕組みについても詳細な検討を進めているところであります。

 今後も、被災者の立場に立って、生活支援、そして復旧復興に総力を挙げて対応してまいりたいと考えております。

 次に、防災集団移転促進事業についての御質問をいただきました。

 御質問の防災集団移転促進事業については、復興構想会議においても議論されてきたところであり、現在、政府の復興対策本部において、こうした復興構想会議の提言や被災地の御要望などを踏まえつつ、復興基本方針の策定の作業を進めているところであります。

 今後、補正予算における取り扱いなども含め、地方公共団体とも連携をとりつつ、必要な措置の具体的内容について検討してまいりたいと考えております。

 次に、被災した農地や宅地についての御質問をいただきました。

 国が農地や宅地を買い上げることについては、東日本大震災復興構想会議の提言を踏まえて検討する必要があります。

 なお、今回の津波で浸水した農地については、地域の意向を踏まえ、排水機場や堤防の復旧、除塩等により、国が責任を持って、従来と同様の農地としての利用が可能となるよう取り組んでまいる所存であります。

 次に、大企業の雇用と地域経済への社会的責任についての御質問をいただきました。

 震災を契機として、被災地を中心に雇用に大きな影響が生じており、被災者の生活再建を図っていくことが重要であります。

 このため、雇用調整助成金や雇用創出基金事業を拡充するなど、第一次補正予算等による雇用対策の着実な実施により、被災地の雇用の維持、創出に取り組んでおります。

 特に、新規学卒者に対しては、七月八日に関係大臣から主要経済団体、業界団体に対し採用枠の拡大などについて要請をしており、第一次補正予算により増員したジョブサポーターを活用し、求人の確保に努めております。

 なお、震災を理由とした解雇、雇いどめが安易に認められてはならない。このため、日本経団連など主要経済団体に対しても、震災に伴う雇用の維持、確保に配慮いただくよう関係大臣から要請しているところであります。

 今後とも、被災地の雇用の安定に万全を期してまいりたいと考えております。

 次に、被災した学生への経済的支援についての御質問をいただきました。

 被災した学生が経済的理由により修学を断念することがないよう、二十三年度当初予算及び第一次補正予算において、貸与制奨学金や授業料減免等の拡充に努めたところであります。

 いわゆる給付制奨学金の導入については、今後とも、被災地でのニーズや実情を踏まえ、真に経済的に厳しい学生に対して、多様で手厚い奨学金等の支援を適切に実施してまいりたいと考えております。

 次に、福島県原子力被災者・子ども健康基金に関する質問をいただきました。

 御指摘の福島県原子力被災者・子ども健康基金は、福島県の要望に基づき、一、全県民を対象とした健康アンケート調査、二、避難住民を対象とした長期健康調査、三、子供を対象とした中長期的ながん検診、四、ホール・ボディー・カウンター等による内部被曝検査事業、五、子供や妊婦に対する個人用積算線量計、いわゆるフィルムバッジの貸与などを実施するものであります。

 次に、放射能被害から住民の健康等を確保する手だてについての御質問をいただきました。

 東京電力福島第一原子力発電所による放射能被害から国民の健康を守るため、すべての都道府県における空間線量率等の環境モニタリングを実施してその結果を公表し、また、放射能汚染された食品や飲料水による衛生上の危害を防止するため、基準を超えた食品や水道水の出荷制限、摂取制限を全国的に行い、さらに、校庭、園庭の空間線量率が毎時一マイクロシーベルト以上の学校等について、福島県外の学校であっても、土壌に関する線量低減策を講じる場合、設置者の希望に応じ財政支援を行うことといたしております。

 このように、福島県民のみならず、日本国民全員の健康を守り、安全、安心を確保するため、今後とも全力を尽くしてまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣平野達男君登壇〕

国務大臣(平野達男君) 宮本議員から、二問ちょうだいしております。

 避難所や仮設住宅の環境改善についてお尋ねがありました。

 震災発生から四カ月が経過しております。今なお多数の方が、六月末で約二万四千人でございますが、避難所に避難されておりまして、避難所の環境改善は引き続き重要な課題と認識しております。

 これまで、国や自治体の取り組みにより、食事や衛生面の環境は相当程度改善してまいりましたが、これから本格的な夏場を迎えようとする中で、暑さ、感染症対策が喫緊の課題であります。

 このため、避難所におけるエアコン等の空調設備の設置を推進するとともに、これが難しい場合には、ホテルや旅館の一時的な活用を推進するなど、自治体においてさらなる対策が講じられるよう、政府としても全力で支援してまいります。

 また、避難所の環境改善はもとより、被災者の方々には、できるだけ早く避難所生活を解消していただくことが重要であります。このため、引き続き、仮設住宅の建設や民間賃貸住宅の借り上げ等を推進してまいります。仮設住宅は、お盆までにはほぼ完成の見込みとなっているところでございます。

 さらに、仮設住宅に移られた高齢者の方々などが孤立化することなく生活できるような取り組みを進めていくことも重要であります。集会施設を設置し、高齢者のサポート拠点として活用するなどの取り組みも進めてまいります。

 次に、瓦れきの処理が遅いのではないかとの御指摘をいただきました。

 今回の震災は、被害が広範に及ぶ、複合的な災害であります。瓦れきの発生量が推計二千万トン以上と非常に多くなっており、また、行方不明者の捜索など、困難な状況の中で瓦れきの撤去が行われてきたという事情がありますので、この点については、ぜひ御理解をいただきたいと考えております。

 現在、地域によって進捗状況に差があるものの、市町村の努力によりまして瓦れきの仮置き場への搬入は進んできておりまして、約四割の瓦れきが仮置き場に搬入されていると認識しております。また、住民が生活している場所の近くの瓦れきを八月末までをめどに仮置き場へ移動するという目標は、ほとんどの市町村で達成できる見込みであります。

 今後は、国が示した災害廃棄物の処理指針に基づきまして、二次処理以降の処理について各県が具体的な実行計画を策定し処理を進めていくものと考えており、処理のさらなるスピードアップを図るため、環境省職員や専門家の派遣もあわせて行っているところであります。

 今後とも、環境省や各県、市町村と密接に連携して、必要な方策を講じつつ、瓦れき処理の迅速化を図ってまいる所存でございます。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣細川律夫君登壇〕

国務大臣(細川律夫君) 宮本議員にお答えをいたします。

 被災地におけます雇用対策についてのお尋ねがございました。

 被災地の雇用の状況は依然として厳しく、地元の被災した方々の雇用の機会を確保することは大変重要なことと考えております。このため、「日本はひとつ」しごとプロジェクトに基づきまして、その実施に全力で取り組んでいるところでございます。

 具体的には、復旧事業や重点分野雇用創造事業の積み増しによる雇用の創造、被災された方を雇い入れる企業に対しての助成の拡充や、出張相談、求人開拓による就職支援、さらに、雇用調整助成金の拡充や雇用保険の延長給付の拡充などによります、被災された方々の雇用の維持、生活の安定などに取り組んでおります。

 今後、先般取りまとめられました復興構想会議の提言も踏まえまして、被災された方々の雇用対策に万全を期してまいります。(拍手)

    〔国務大臣高木義明君登壇〕

国務大臣(高木義明君) 宮本議員にお答えをいたします。

 最初に、被災した子供たちのケアのための教職員の増員についてお尋ねがありました。

 東日本大震災により被災した児童生徒については、心のケアや学習のおくれを取り戻すための特別の指導を行うこと等が重要な課題となっております。

 このため、文部科学省においては、関係県と調整を行い、まず四月末に四百二十四名の教職員定数の増員を行うとともに、六月の末にはさらに六百五十六名の増員を行い、合計千八十人の教職員定数を措置しております。

 また、第一次補正予算においては、緊急スクールカウンセラー等派遣事業を実施し、スクールカウンセラー等を派遣するために必要な経費、千三百人相当分を措置しております。

 今後も、被災自治体と緊密な連携をとりながら、被災した児童生徒の心のケアに努めてまいります。

 次に、放射能の被害から子供の健康を守る取り組みについてお尋ねがありました。

 文部科学省においては、東京電力福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の放出状況を把握し、国民の安全や安心、政府の適切な対応に資するため、さまざまな手段を駆使し、環境モニタリングを実施しております。

 また、福島県が主体となり実施する県民健康管理調査の一環として、六月二十七日から、放射線医学総合研究所にて子供の内部被曝評価も含めた調査が開始をされ、続いて、七月十一日からは、日本原子力研究開発機構において子供も含めた被災住民二千八百人に対する内部被曝調査も開始されたところであります。

 さらに、学校内で児童生徒等の受ける線量を低減させ、より安心して教育を受けられる環境づくりのために、校庭、園庭の空間線量率が毎時一マイクロシーベルト以上の学校の土壌対策について、財政的支援を実施することにいたしております。

 加えて、第二次補正予算において、仮称、福島県原子力被災者・子ども健康基金に要する経費を計上しており、その中に、福島県内の校庭、園庭等の表土改善事業や通学路等の除染に対する財政的支援が含まれております。

 引き続き、関係省庁とも十分に連携をして、子供の健康を守るための取り組みを進めてまいりたいと存じます。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 中島隆利君。

    〔中島隆利君登壇〕

中島隆利君 社会民主党の中島隆利です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表し、二〇一一年度第二次補正予算案について質問をいたします。(拍手)

 東日本大震災の発災から四カ月が経過しました。しかし、今なお十万人近くの方が避難生活を強いられ、瓦れき処理の進捗率も三四%にとどまっています。

 また、福島第一原発事故の影響も深刻です。

 先日、社民党は、原発震災・被曝ホットラインに取り組みました。短時間にもかかわらず、百件余りの深刻な相談や意見が寄せられました。放射能汚染に対する国民の不安を示すものです。

 ここに加え、放射能、セシウムの暫定規制値を大幅に超えた牛肉が流通したことは、国民の不安をさらに助長しています。

 総理が原発依存社会からの脱却を鮮明に示したことは英断です。

 他方、前復興対策担当大臣の辞任、原発再稼働をめぐる閣内の混乱など政府の対応に国民の不信が高まっていることは、直近の世論調査の結果にも明確に示されています。

 総理、復旧がおくれ、原発事故への不安を解消できず、国民の信頼を損ねていることをどのように感じているのか、率直にお答えください。

 今回、被災者生活再建支援金の補助率を八〇%に引き上げるための予算が計上されました。しかし、支援金の支給件数は、一昨日調べましたところ、五万二千四件、支給率は二五%程度です。それも、基礎支給金にとどまっているものと推察します。

 おくれている原因は何ですか。支給体制は十分ですか。二十万とも言われる被災世帯への支給は、いつ完了しますか。総理、明確にお答えください。

 さて、仮設住宅の抽せんに応募して当せんしながら、入居を辞退する方が少なからずいらっしゃいます。その理由に、避難所から仮設住宅に移った途端、食事や物資の提供がなくなり、光熱費が自己負担になる、あるいは、医療や介護のサービスが受けにくくなるという高齢者の方もいらっしゃいます。

 家屋だけでなく就労の場も失った方々にとっては、仮設住宅に移ったからといって、直ちに、自立の道に入ったとはとても言えません。期限を区切ってでも、仮設住宅入居者の食事、生活支援をすべきではないですか。総理の考えをお聞かせください。

 二重債務対策についてお聞きします。

 補正予算案では、中小企業基盤整備機構等が出資する新たな仕組みに一億円の予算が計上されているわけです。債権買い取りがどの程度の規模になるのか、全くわかりません。

 債権買い取りの資金をどの程度準備するのか、見通しを示してください。

 中小零細企業の復興支援について伺います。

 三陸沿岸には中小零細の水産加工業者が多数存在します。しかし、水産加工業への支援は漁業協同組合などの共同利用施設に限定され、今回新たに百億円の予算が上積みされた中小企業組合等共同施設等災害復旧事業でも、複数の事業者で事業計画を作成し、認定された場合しか対象になりません。このままでは、独自に事業を再建しようと努力している中小零細事業者に廃業の道を迫ることになります。

 要件を緩和し、民間の加工施設や単独で再建を目指す中小零細事業者にも支援をすべきではないですか。

 次に、原発事故に関連してお聞きいたします。

 原子力損害賠償紛争審査会が今月中にも中間指針を取りまとめると聞いています。

 現在、避難区域の経済活動はほぼ停止しており、当然、損害賠償の対象になるものと考えますが、避難区域外の周辺地域でも、経済活動、事業活動に大きな支障が生じています。これら避難区域外の事業活動への影響も損害の対象にすべきではないでしょうか。

 また、特定避難勧奨地点に指定され避難する方々、あるいは避難区域外の周辺地域から自主的に避難されている方々に対しても適切な範囲で賠償すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 焼却灰や下水汚泥、放射性物質が検出されています。

 政府は、汚染された焼却灰や汚泥の再利用や埋め立ての基準を示すだけで、事実上、自治体任せにしています。しかし、処理の見通しが立たず、行き場のない汚泥、焼却灰が蓄積されているとも聞いています。

 放射性物質が検出された汚泥、焼却灰の処理に国が責任を負うべきではないでしょうか。答弁をお願いいたします。

 最後になりますが、震災被害から本格的な復興に踏み出すためには、被災地、被災者、そして各党が一致して協力できる体制のもとで、早期に大型の第三次補正予算を編成することが必要だと考えます。

 また、今回の災害で三陸鉄道やJR常磐線等は今なお不通となっており、地域の足が奪われています。一日も早い復旧が求められています。

 地域公共交通の果たす役割の重要性が鮮明になる中、会期中に交通基本法をぜひ成立させていただきたい。このことを強く申し上げ、私の質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 中島隆利議員にお答えを申し上げます。

 政府の震災対応についての御質問をいただきました。

 大震災発生から四カ月が経過いたしましたが、この間、全力で震災対応に取り組んできたところであります。被災者支援、復旧復興、原発事故など、いろいろとまだ不十分な点もありますけれども、おおむね、当初考えたことが一つ一つ前進してきていることは御理解をいただきたいと思います。

 被災者支援については、多くの方が避難所での生活を強いられておりますけれども、現在、自治体とも力を合わせ、被災者の目線に立った取り組みを進めております。

 瓦れきについては、四割というのが多いか少ないかというのは、非常に大きな範囲でありますので。その中で、八月末までに仮置き場へおおむね移転という目標がそれぞれの自治体で達成される見込みになっております。

 また、原発事故については、ステップ1が来週火曜日ごろに一定の期間が参りますけれども、一応のステップ1の目標は、当初の予定どおり、七月中旬に達成できる見通しになっております。

 その他、それぞれの項目についてまだまだ不十分な点があることはよく承知をしておりますけれども、いずれにしても、復旧復興に足踏みは許されません。今月中に復興対策本部で復興の基本方針を策定し、被災地域の声を受けとめて、復興対策や特区制度など、本格的な復興に向けた具体策をつくっていく、そういう所存であります。

 次に、被災者生活再建支援金についての御質問をいただきました。

 被災者生活再建支援金については、七月十四日までに財団法人の都道府県会館に届いた約九万件の申請のうち約五万二千件、申請があったものでいえば五八%について支給がなされたところであります。

 支援金を速やかに支給できるよう、被災自治体の支援を行うため他の自治体からの応援職員の派遣などを行うとともに、財団であります都道府県会館においても支給システムの更新など事務処理の改善を実施しており、今後、支給事務のさらなる迅速化が図られるものと期待をいたしております。

 次に、仮設住宅入居後の生活支援についての御質問をいただきました。

 被災者の方々にはできるだけ早く避難所生活を解消していただくことが重要であり、現在、仮設住宅の建設を進めております。

 一方、仮設住宅への入居を辞退される方々がおられることも聞いており、この理由としては、まず第一に、民間賃貸住宅など、より条件のよい物件を選択された場合もあります。また、食費等の経済的負担や立地の不便さなどが理由として挙げられていると承知をしております。

 このため、雇用の確保や、被災者生活再建支援金、義援金等の活用による被災者の経済的な負担への対応、さらに、自治体による応急仮設住宅からのバスの運行による被災者の移動手段の確保、仮設住宅などを巡回して被災者からの相談に応じる、こういった取り組みを進めているところであります。

 これらの方策を通じて、今後とも被災者の方々の支援に全力を挙げて取り組んでまいります。

 次に、避難区域外の事業活動への影響、特定避難勧奨地点や、避難区域外からの自主避難についての御質問をいただきました。

 避難区域外の事業活動への影響、特定避難勧奨地点や、避難区域外からの自主避難に伴う被害など、これまで取り扱われていない被害に関しても原子力損害賠償紛争審査会で審議を進めているところであり、今月中にも、原子力損害の全体像を示す中間指針を取りまとめていただく予定となっております。

 次に、放射性物質を含む下水汚泥等の処理についての御質問をいただきました。

 放射性物質を含む下水汚泥等の取り扱いについては、六月十六日に「放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方」が原子力災害対策本部において取りまとめられ、関係都県に周知をいたしたところであります。

 現在、地方公共団体では、この「考え方」に基づき、下水汚泥等について保管または処分等を行っているところでありますが、国でも、地方公共団体任せにするのではなく、この「考え方」に基づく処分や再利用を進めるため、関係業界等への働きかけを行っているところであります。

 国と地方の役割分担のあり方を含め、最終的な処分を進めるに当たって議論を要する事項について引き続き検討を進め、下水汚泥等の処理に万全を期してまいりたいと考えております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣海江田万里君登壇〕

国務大臣(海江田万里君) 中島隆利議員にお答えをいたします。

 まず、債権の買い取り等を行う新しい機構に関する御質問をいただきました。

 二重債務問題に対する政府方針を踏まえ、現在、設立に向け準備を進めている新たな機構が行う支援は、債権買い取りのほか、出資、融資等の手段を被災事業者の実情に合わせて用いていくことになります。

 債権買い取りの規模をどの程度にすべきかについては、被災県ごとの状況も含め、さまざまな要因によって左右されるものと考えております。

 まずは、被災企業の債務残高や約定返済停止等を行っている債務者に対する債権額等の試算を勘案しつつ、中小機構の手持ちの資金で対応していきたいと考えております。

 次に、中小零細企業の復興支援に関する御質問をいただきました。

 被災された中小企業の早期の事業再開を支援することは、経済復興の第一歩です。一次補正予算において、地域経済の核となる中小企業等のグループの施設復旧に対する補助事業として百五十五億円の予算を措置し、また、被災地域のニーズ等を踏まえ、二次補正予算案として百億円の拡充を予定しています。

 本事業は、例えば、一つ、水産加工、流通、造船等の水産関連の産業集積のような地域の特性を生かした集積、二つ、サプライチェーンの重要な一翼を担う部品供給などの物づくりの集積、三つ、地域コミュニティーを支える地域の中心的な商店街など、各県が地域の経済や雇用に重要な役割を果たすと判断した中小企業等のグループを重点的に支援することによって被災地域の本格的な復興を牽引していくことを目指すものであります。

 本事業においては、中小企業等のグループの共有施設や設備のみならず、グループを構成する個別の事業者の加工施設等についても補助の対象としています。

 なお、小規模事業者も含め、単独での再建を目指す中小企業に対する支援策として、小規模事業者経営改善資金融資、いわゆるマル経融資等の公的金融機関による融資や保証を大幅に拡充するとともに、仮設店舗、仮設工場等の整備を進めるなど、総合的な支援措置を講じてまいります。

 これらの措置により、引き続き、被災された中小企業の復興にしっかりと対応してまいりたいと存じます。

 以上でございます。(拍手)

副議長(衛藤征士郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(衛藤征士郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   菅  直人君

       総務大臣     片山 善博君

       法務大臣

       環境大臣     江田 五月君

       外務大臣     松本 剛明君

       財務大臣     野田 佳彦君

       文部科学大臣   高木 義明君

       厚生労働大臣   細川 律夫君

       農林水産大臣   鹿野 道彦君

       経済産業大臣   海江田万里君

       国土交通大臣   大畠 章宏君

       防衛大臣     北澤 俊美君

       国務大臣     枝野 幸男君

       国務大臣     玄葉光一郎君

       国務大臣     自見庄三郎君

       国務大臣     中野 寛成君

       国務大臣     平野 達男君

       国務大臣     細野 豪志君

       国務大臣     与謝野 馨君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  仙谷 由人君

       財務副大臣    五十嵐文彦君


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