衆議院

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第5号 平成24年2月21日(火曜日)

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平成二十四年二月二十一日(火曜日)

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  平成二十四年二月二十一日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 安住財務大臣の平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに川端総務大臣の平成二十四年度地方財政計画についての発言並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに質疑


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    午後一時三分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

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 平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに国務大臣の発言(平成二十四年度地方財政計画について)並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(横路孝弘君) この際、内閣提出、平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を財務大臣から求め、平成二十四年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を総務大臣から求めます。財務大臣安住淳君。

    〔国務大臣安住淳君登壇〕

国務大臣(安住淳君) ただいま議題となりました平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。

 まず、平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案について御説明申し上げます。

 平成二十四年度一般会計においては、日本再生重点化措置を実施し、我が国経済社会の真の再生のために予算を重点配分しているほか、提言型政策仕分け等を予算に適切に反映し、公務部門において徹底して無駄を排除することなどにより、予算の大胆なめり張りづけを行っております。

 このような努力を行った結果、平成二十四年度一般会計予算全体では、国債費が増加し、税外収入が大幅に減少する中で、歳出面で基礎的財政収支対象経費が六十八兆三千八百九十七億円、歳入面で新規国債発行額が四十四兆二千四百四十億円となっており、中期財政フレームを遵守しております。

 しかし、この新規国債発行額のうち、三十八兆三千三百五十億円については、特例公債の発行収入金が必要な状況となっております。

 本法律案は、こうした国の厳しい財政状況において、平成二十四年度の適切な財政運営に資するため、同年度における公債の発行に関する特例措置を定めるものであります。

 以下、本法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、平成二十四年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができることとしております。

 第二に、租税収入等の実績に応じて、特例公債の発行額をできる限り縮減するため、平成二十五年六月三十日まで特例公債の発行を行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以降発行される特例公債に係る収入は、平成二十四年度所属の歳入とすること等としております。

 次に、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本法律案は、昨年の第百七十九回国会において、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の国会による一部修正により追加されました同法附則第十七条第一項の規定を踏まえ、東日本大震災復興特別会計を設置することとし、その目的、管理及び経理等について定めるものであります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、この特別会計は、東日本大震災からの復興に係る国の資金の流れの透明化を図るとともに復興債の償還を適切に管理するため、復興事業に関する経理を明確にすることを目的とすることとしております。

 第二に、この特別会計は、衆議院議長及び参議院議長等並びに内閣総理大臣及び各省大臣が、法令で定めるところに従い、管理することとし、復興事業を統括する復興庁の長である内閣総理大臣の委任を受けた復興大臣が、この特別会計全体の計算整理事務を行うことができることとしております。

 第三に、この特別会計は、復興特別所得税及び復興特別法人税の収入、一般会計からの繰入金、復興債の発行収入金等をもってその歳入とし、復興事業に要する費用、各特別会計への繰入金、復興債の償還金及び利子等をもってその歳出とすることとしております。

 その他、この特別会計の予算及び決算の作成及び提出に関し必要な事項を初め、経理に関する必要な事項を定めることとしております。

 第四に、附則において、この特別会計は、復興庁が廃止されたときは、別に法律で定めるところにより、廃止するものとし、その際には、政府は、復興事業の進捗状況等を踏まえ、所要の措置を講ずることとしております。

 また、この特別会計の設置に伴い、平成二十三年度一般会計補正予算(第3号)において発行した復興債を承継するなどの必要な経過規定を設けることとしております。

 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本法律案は、国税に関し、新成長戦略の実現並びに税制の公平性の確保及び課税の適正化の観点から要請される特に喫緊の課題に対応するため、個人所得課税、法人課税、資産課税、消費課税、国際課税等について所要の措置を講ずるものであります。

 以下、その大要を申し上げます。

 第一に、個人所得課税について、認定低炭素住宅の新築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除制度の創設、給与所得控除の上限設定、勤続年数五年以内の法人役員等の退職所得課税の見直し等を行うこととしております。

 第二に、法人課税について、環境関連投資促進税制の太陽光発電設備及び風力発電設備に係る即時償却制度の創設、中小企業投資促進税制の拡充等を行うこととしております。

 第三に、資産課税について、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の拡充、延長等を行うこととしております。

 第四に、消費課税について、自動車重量税に係る税率の見直し及び環境性能にすぐれた自動車に対する軽減措置の拡充、延長、地球温暖化対策のための課税の特例の創設等を行うこととしております。

 第五に、国際課税について、国税に係る徴収及び送達の共助に係る国内法の整備、国外財産調書制度の創設等を行うこととしております。

 その他、試験研究費に係る税額控除制度における試験研究費が増加した場合の特例の適用期限を延長するなど、適用期限の到来する特別措置の延長、既存の特別措置の整理合理化等の所要の措置を講ずることとしております。

 以上、平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)

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議長(横路孝弘君) 総務大臣川端達夫君。

    〔国務大臣川端達夫君登壇〕

国務大臣(川端達夫君) 平成二十四年度地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 まず、平成二十四年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、被災団体が東日本大震災からの復旧復興事業に着実に取り組めるようにするとともに、被災団体以外の地方団体の財政運営に影響を及ぼすことがないよう、通常収支分と東日本大震災分を区分して整理しております。

 通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、国の取り組みと基調を合わせつつ、経費全般について徹底した節減合理化に努める一方、社会保障関係費の増加や地域経済の基盤強化等に必要な経費を計上し、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方交付税の総額を前年度に比して増額確保しております。その上で、中期財政フレームに沿って、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画と実質的に同水準を確保することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等の全額を措置する震災復興特別交付税を確保するとともに、全国的に緊急に実施する防災・減災事業について、全国防災対策費に係る補助事業費、地方単独事業費等を計上しております。

 以上の方針のもとに平成二十四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ六千四百七億円減の八十一兆八千六百四十七億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が一兆七千七百八十八億円、緊急防災・減災事業が六千三百二十九億円となっております。

 次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 地方税に関し、新成長戦略の実現並びに税制の公平性の確保及び課税の適正化の観点から要請される特に喫緊の課題に対応するため、自動車取得税に係る環境への負荷の少ない自動車を対象とした税率の軽減等の特例措置について要件を変更して延長するとともに、土地に係る固定資産税及び都市計画税について住宅用地に係る据置特例を廃止しつつ平成二十四年度の評価がえに伴う税負担の調整を行うほか、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 平成二十四年度分の通常収支に係る地方交付税の総額について、十七兆四千五百四十五億円を確保するとともに、単位費用の改定を行うほか、平成二十四年度分の東日本大震災に係る震災復興特別交付税の総額について、六千八百五十五億円を確保し、あわせて、電磁的記録による当せん金付証票を導入する等の改正を行うこととしております。

 以上が、平成二十四年度地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)

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 平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)、特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに国務大臣の発言(平成二十四年度地方財政計画について)並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(横路孝弘君) ただいまの趣旨の説明及び発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。野木実君。

    〔野木実君登壇〕

野木実君 民主党・無所属クラブ、野木実でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました公債発行特例法案、復興特会設置法案、租税特別措置法等改正案、地方税法等改正案、地方交付税法等改正案、平成二十四年度地方財政計画について質問をいたします。(拍手)

 冒頭、豪雪災害への対策についてお伺いをいたします。

 この冬の記録的な大雪は、百人を超える方がお亡くなりになり、各地に大きな被害をもたらしております。お亡くなりになられた方々とその御遺族に深く哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 除雪を担当する自治体の財源を確保することが、住民の命と安全を守ることに直結いたしております。政府から、豪雪災害に見舞われた自治体にどのような財政支援を行っているのか、伺います。川端総務大臣と前田国土交通大臣の答弁をお願いいたします。

 次に、東日本大震災の被災自治体への支援策について質問いたします。

 間もなく東日本大震災から一年がたとうとしております。被災された方々、そしてそれを支援する方々の御尽力で、被災地は復興に向けて力強い歩みを始めようとしております。

 これまで、政府は、四次にわたる補正予算により被災自治体への財政支援を行ってきましたが、集団移転、道路や学校の整備、被災者に対する生活支援など山積する問題を解決し、復興をなし遂げるためには、継続して財政支援を行っていく必要があります。

 平成二十四年度地方財政計画には震災復興特別交付税が盛り込まれておりますが、川端総務大臣に、その考え方についてお伺いをしたいと思います。

 また、三党合意に基づき、東日本大震災復興特別会計の設置を定める法案が提出されましたが、新たな特別会計を設置することには、特別会計改革の流れに反するのではないかという声も聞かれております。

 このたびの法案の目的について、安住財務大臣の考え方をお聞きしたいと思います。

 次に、福島再生のための支援策についてお伺いをいたします。

 原発事故によって設定された避難指示区域が見直され、住民の一日でも早い帰還を目指す避難指示解除準備区域が設定される方針が示されました。地方税法等改正案には、指示の解除後、原則三年間、固定資産税等の減額措置を適用するといった特例が盛り込まれております。

 避難指示が解除され、ふるさとに戻られる方々への支援として当然の措置であると考えますが、経済面だけでの支援ではなく、除染を行い、学校や病院を再開させるなど、肝心の生活基盤を整備しなければ、ふるさとに戻ることはできません。

 避難指示の解除に向けて、政府としてどのように取り組まれるのか、野田総理にお伺いをいたします。

 次に、地域主権改革の観点から質問いたします。

 住民サービスを受け、生活を向上させるためには、住民に身近な自治体の自由度を高めて、地域の特性を生かした創意工夫を発揮できるようにしなければなりません。民主党は、政権交代後、自治体の自由度を高めるため、一貫して、自治体が自由に使える財源を拡充してまいりました。

 財政が厳しい中、政府は、今般の地方交付税法等改正案でも、地方が自由に使える地方交付税を増額確保いたしました。政権交代後、三年連続の増額により、地方交付税は政権交代前と比べると約一兆六千億円もふえることになります。さらに、平成二十四年度予算案では、地方の自由度が高い一括交付金の拡充も図られております。

 地方交付税の増額や一括交付金の拡充の考え方や意義について、地域主権推進の担当でもある川端総務大臣の所見をお伺いしたいと思います。

 次に、長引くデフレからの脱却、経済の復興に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

 日本経済に大きな影響を与える円高への対策を進めるためには、政府と日銀が連携してこの難局に立ち向かっていくことが重要であります。

 総理と日銀総裁が綿密な連携をとられた結果、先般の日銀金融政策決定会合で、金融緩和や、物価の安定化に向けた事実上の目標が設定され、市場にも一定程度の好影響を与えていると認識をいたしております。急激なインフレのような事態には注視していく必要がありますが、デフレ脱却に向けて、今後とも引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 金融政策だけでなく、構造改革も含めた経済対策を並行して実施することが求められております。二十四年度予算案は、そういった経済対策の一環だと私は考えております。この予算が一刻も早く成立することが、国民から求められております。

 早期成立の必要性と具体的な中身及びその効果について、野田総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 経済対策は当然必要でありますが、昨年閣議決定した中期財政フレームにより、二十四年度予算では四十四兆円以下に国債発行額を抑えるということが求められております。

 また、一昨年政府が閣議決定した財政運営戦略において定めた、二〇一五年までに二〇一〇年度の基礎的財政収支赤字額対GDP比半減、二〇二一年度までに黒字化という目標に照らせば、おのずと、予算は、限られた範囲で最大限の政策効果を発揮させなければなりません。

 そのためには、まず、切るべきことはしっかり切り、成長の見込める分野に重点的に配分して効率化を進めていくことが必要であります。

 世界的に財政赤字への懸念の中、公債発行特例法案を提案するに当たり、政府として歳出削減に向けてどのような努力を進めてこられたのか、野田総理から国民にわかりやすく御説明いただきたいと思います。

 また、予算だけでなく、税制によって経済対策を講じることも重要であります。

 租税特別措置法等改正案には、自動車重量税の当分の間の税率の見直し、エコカー減税の拡充、延長、原料用途に係る石油石炭税の免税・還付措置の恒久化などの減税策が盛り込まれております。長引くデフレや不安定な為替市場の影響を受けて苦しむ日本の企業に対して、政府からの力強いメッセージになると思います。

 他方で、公債発行額を抑制するためには、確かな税収を確保することもまた、政府に求められる大きな課題であります。

 今般の税制改革の意図やその効果について、安住財務大臣から御答弁をお願いいたします。

 最後に、社会保障と税の一体改革について質問いたします。

 少子高齢化が進み、団塊の世代がいよいよ年金受給者になろうといたしております。これは、世界に例を見ない、新たな人口構造に入るわけであります。その対応する社会保障制度の構築が必要であります。そのための盤石な財源を確保することも、当然必要となってまいります。

 政府では、先ごろ、社会保障・税一体改革大綱を決定し、現在、野党各党の皆さんに御協力をお願いしているところであります。

 復興財源の御負担を国民の皆さんにお願いする中で、さらなる御負担をお願いすることは、私を含め与党議員は、大いに悩み、日々けんけんがくがくの議論をいたしました。しかし、今、政権を預かる与党として、来るべき時代に対応した社会保障制度改革を提示し、真摯にその御負担をお願いすることこそ国民の皆さんの将来の不安を払拭することになると、私はかたく信じております。

 加えて、さらなる御負担をお願いするために、政府としてあらゆる努力を尽くすことにより、国民の皆さんの信頼を得ることが必要であります。具体的には、国家公務員総人件費の削減、議員定数の削減、不断の行政改革など、徹底した歳出削減をまずは示すべきであります。

 社会保障と税の一体改革の実現に向けた野田総理の強い御決意を改めてお伺い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 民主党野木実議員の御質問にお答えをしたいと思います。

 まず最初に、避難指示の解除に向けた政府の取り組みに関する御質問をいただきました。

 避難区域等の見直しについては、県や市町村などの関係者との綿密な協議、調整を行いながら、三月末を一つの目途に、新たな避難指示区域の設定を目指すこととしております。

 住民の皆様の御帰還に向けては、野木議員御指摘の地方税法等改正案に盛り込まれた特例は重要な措置であると考えていますが、学校、病院を含む生活基盤の整備や除染も、復旧復興に必要な措置と認識をしております。

 生活基盤等のインフラについては、県、市町村とも意見交換しつつ、帰還に向けて必要な整備を進めてまいります。

 避難指示が出されている地域の除染については、除染ロードマップに基づき、市町村や関係機関と協議、調整を進め、三月末を目途として、各地域の具体的な除染実施計画を策定してまいります。

 あわせて、健康管理への支援を初めとする住民の安全、安心の確保、雇用や産業振興など、今後とも、復興庁を中心に、政府が一体となってしっかりと対応してまいります。

 続いて、経済対策の一環としての二十四年度予算案についてのお尋ねがございました。

 平成二十四年度予算においては、歳出削減によって捻出した財源を用いて、日本再生重点化措置を一兆円規模に拡充し、宇宙、海洋関連事業など、我が国将来の経済成長に資する施策を盛り込んでおります。

 また、これまでの四度にわたる補正予算を速やかに執行し、復興需要の早期顕在化を図るとともに、それに引き続き、三・八兆円規模の復興予算を確保し、来年度においても復興や除染などの事業が切れ目なく実施されるようにしております。

 これらの観点から、平成二十四年度予算を日本再生元年予算と位置づけておりますが、我が国経済社会の再生に向けた諸施策を来年度当初から直ちに実施するために、本予算の年度内成立が重要であると考えております。

 続いて、歳出削減についての御質問をいただきました。

 歳出削減については、政権交代以降、事業仕分けの活用などにより大いに取り組みを進めてきており、平成二十四年度予算においても、無駄や非効率を徹底して排除するため、提言型政策仕分けの提言を適切に反映させ、既存予算を見直すとともに、公務部門における定員や庁舎建てかえなどには特に厳しく対応しております。

 今後も、無駄の根絶、歳出削減に不断に取り組んでまいります。

 社会保障・税一体改革の実現に向けた決意についてのお尋ねがございました。

 若い世代を含め、国民が将来に不安を持たないようにするため、社会保障の充実、安定化と財政健全化とを同時に達成するための一体改革は、どの内閣であっても先送りできない課題であります。

 その中で、社会保障改革については、子育てや若者就労への支援を強化するなど、子供からお年寄りまで全ての国民をカバーする全世代対応型へと転換していくこと、人口構成が変化し、年一兆円の国費が増加する中、安定財源を確保することにより持続可能な仕組みをつくること、これらは待ったなしと考えております。

 また、野木議員御指摘のとおり、無駄遣いの根絶に不断に取り組むとともに、議員定数削減や公務員総人件費削減など、みずから身を切る政治改革、行政改革と一体改革を包括的に進めることにより、国民の納得と信頼を得るよう全力で取り組んでまいります。

 二〇一四年四月の消費税率八%引き上げまでの間に、このような政治改革、行政改革をやり遂げる決意でございます。

 こうした改革の意義や、包括的に進める改革全体の内容をわかりやすくお伝えしていく努力が欠かせないと考えており、私と岡田副総理を初め関係閣僚が先頭に立って、国民の皆様への情報発信に全力を尽くしてまいります。

 先週から、官邸ホームページに私のメッセージを掲載するとともに、「明日の安心」対話集会として、全国各地での対話も始めたところでございます。

 今後、与野党でしっかり協議していく必要があり、改革の実現のために、合意に向けた努力を重ねてまいりたいと考えております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

    〔国務大臣川端達夫君登壇〕

国務大臣(川端達夫君) 野木議員から、三点、お尋ねがありました。

 まず、今冬の豪雪災害への対策についてお尋ねがありました。

 今冬の豪雪により被害を受けた地方公共団体に対しては、まず、その資金繰りの確保の観点から、災害救助法適用団体など百四十七市町村に対し、三月分の特別交付税の一部、百五十五億円の繰り上げ交付を、去る十七日に決定したところであります。

 特別交付税については、三月下旬の決定、交付を目途に算定作業中ですが、除排雪対策に要する経費が多額に上ると見込まれる地方公共団体の財政運営に支障が生じることなく、安心して取り組んでいただけるよう、適切に対処してまいります。

 次に、震災復興特別交付税の考え方についてお尋ねがありました。

 震災復興特別交付税は、東日本大震災が我が国全体に未曽有の被害と影響をもたらしたことに鑑み、これまでにない対応として、地方交付税を別枠で増額するとともに、被災団体の実施するさまざまな復旧復興事業の地方負担分や地方税の減収分等の全額を措置し、その財政負担をゼロとすることとして、第三次補正予算において創設したものであります。

 平成二十四年度においても、震災復興特別交付税として、その所要額六千八百五十五億円を別枠で確保したところであります。

 最後に、地方交付税の増額や、一括交付金の拡充の考え方や意義についてお尋ねがありました。

 地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民に対しても一定の行政サービスを提供できるよう財源を確保するものであり、その総額の適切な確保を図ることは極めて重要であります。また、地方の自由度が高い一括交付金は、地域の特性を最大限に生かした活力ある地域づくりを支援することができるものです。

 これらのことから、平成二十四年度においても、地方交付税の増額確保、一括交付金の拡充を図ったものであり、地域のことは地域が決める、地域主権改革の推進に資するものと考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣安住淳君登壇〕

国務大臣(安住淳君) 野木議員にお答え申し上げます。

 特別会計の設置、それに、税制改正の意図と効果についてでございました。

 まず、特別会計につきましては、近年、特別会計改革においては、行革推進法等に基づき、特別会計の整理統合等が進められてきたところであり、先般閣議決定した特別会計改革の基本方針においても、区分経理の必要性を絶えず見直し、事業の目的が達成された場合には速やかに特会を廃止することを基本原則としております。

 他方、東日本大震災復興特別会計は、復興に係る国の資金の流れの透明化を図るとともに、復興債の償還を適切に管理することを目的としまして、三党合意及び復興財源確保法附則第十七条の規定に基づき、今回、設置することとしたものでございます。

 また、東日本大震災復興特別会計は、復興庁が廃止される平成三十二年度末までに廃止することを法案に明記しておりまして、特別会計改革の流れとの整合性にも十分配慮をしております。

 次に、平成二十四年度税制改正は、歳出歳入両面にわたる取り組みにより財源を確保しつつ、特に喫緊の対応を要する、まず、車体課税の見直しや、太陽光発電設備等に係る即時償却制度の創設等の新成長戦略実現に向けた措置、次に、国外財産の把握等に関する制度整備など課税の適正化に資する措置、給与所得控除の上限設定や地球温暖化対策のための税の導入など平成二十三年度改正における積み残し事項を中心に、改正を行うものでございます。

 今般の税制改正は、自動車や住宅などの分野における買いかえ、また取得等の促進、環境分野等における需要創出、技術革新の促進など、我が国経済の活性化に資するものと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣前田武志君登壇〕

国務大臣(前田武志君) 野木委員からは、豪雪災害に見舞われた自治体への財政支援についてのお尋ねがありました。

 引き続く豪雪によって被害に遭われた方々、御遺族の皆様に対し、心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。

 国土交通省といたしましては、道路の除雪等に対する支援を所管しており、道府県に対しては、各地域のこれまでの降雪状況を勘案し、保留していた社会資本整備総合交付金の一部、百一億円を二月十日に追加配分したところでございます。

 また、市町村に対しては、これまでも、全国的に異常豪雪となる場合には臨時の特例措置としての除雪費の補助を実施してきたところであり、本年二月十日には、補助の実施の検討に必要な降雪状況や除雪費の執行状況等を把握する調査を開始したところでございます。今後、その結果を踏まえ、市町村に対する支援をしてまいります。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 松浪健太君。

    〔松浪健太君登壇〕

松浪健太君 自由民主党の松浪健太です。

 冒頭に、一言お見舞いを申し上げます。

 天皇陛下におかれましては、一日も早い御回復を、国民とともに、心よりお祈りを申し上げます。(拍手)

 それでは、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました平成二十四年度における公債の発行の特例に関する法律案外二案について、総理並びに関係大臣に質問します。なお、真意が十分に伝わる御答弁をいただけない場合には、再質問させていただきます。

 しかし、まず、国民の皆さんにおわびをいたします。

 先週、巨額の損失隠し、飛ばしを行ったオリンパスの首脳陣が逮捕されました。しかし、政府が堂々と飛ばしを行っても、誰も逮捕はされません。おかしい。交付国債で粉飾された予算審議を行うこと自体に、国権の最高機関の一員として、情けない思いであります。国民の皆さんに、まことに申しわけなく思います。

 まず、交付国債について伺います。

 先日、ある財務官僚の方と議論しておりますと、交付国債について、その官僚は無意識に、この空手形はと言いかえておりました。官僚が思わず空手形と言ってしまうのも無理はありません。その財源となる消費税の実現性が余りに不確定だからです。

 消費税率を引き上げるための法案はいまだに提出もされていない。その上、政権交代時の総理であった鳩山氏も、当時の幹事長であった小沢氏も異論を唱えているのですから、とらぬタヌキの皮算用のタヌキは、どうもとれない確率が高い。さらに、一般会計に計上しないことを加えると、二重の意味で問題です。一般会計から借金を切り離すこと自体、公債特例法の議論を形骸化するもので、大変不誠実です。

 禁じ手と非難される交付国債の問題点を総理はどのように認識しておられるのか、伺います。

 今回のオリンパスの飛ばしについて、あるテレビ解説者は、この問題で一番深刻なことは、日本企業に対するマーケットの信頼が失われたことであると、的確にコメントをしていました。

 同じことが国家予算についても言えます。マーケットは、我が国の一般会計を見て日本の財政規律を判断します。しかし、交付国債のように、一般会計を通さず、しかも成立が不確定な消費税で穴埋めをする、こんな臆面もない飛ばしを行えば、損失隠しを行う日本政府の一般会計は指標として当てになりませんと国際的に公言しているようなものではありませんか。

 企業の飛ばしで首脳陣は逮捕されますが、国家が飛ばしを行っても、誰も逮捕されない。しかし、確実にマーケットの信頼は失われます。マーケットに対して余りに不誠実です。

 総理は、マーケットに対して誤ったメッセージを発していると自覚があるのか、ないのか、伺います。

 総理は、昨年の公債特例法をめぐる審議の中で、財務大臣として、中期財政フレームを守ったと胸を張られました。ことしはどうでしょうか。中期財政フレームを守りましたというアリバイ工作のために、一般会計のあり方をゆがめ、国民を欺き、マーケットの目を欺く。財政規律に対して余りに不誠実であります。

 中期財政フレームを守ったと去年と同じように胸を張れるのか、形式的に中期財政フレームを守ることでこれを形骸化したのか、二者択一で総理の認識を伺います。

 政府のごまかしが日本の信用を失わせます。信頼が損なわれれば、国債が調達できなくなる可能性もあります。そうなれば、我が国に債務不履行の危機が迫ります。ギリシャと違って、経済規模の大きな我が国を救ってくれる国はありません。

 もし債務不履行が起きた場合、国民生活にどのような危機が訪れると想定しているのか、総理に伺います。

 また、さらにわかりやすくイメージするために、例えば象徴的に、国民年金のみをもらっている七十五歳以上の高齢者を例に、年金や医療はどうなるのか、岡田副総理に伺います。

 昨年、公債特例法案をめぐっては、東日本大震災という未曽有の災害にもかかわらず、ばらまき四Kの扱いをめぐって議論が紛糾し、法案成立は八月二十六日にまでずれ込みました。

 ばらまき四Kについては、高速道路無料化以外は何の進展もなく、さらに、消費税の問題が事態を悪化させています。さきの予算委員会で、我が党の下村博文議員の質問で、三党合意がないがしろにされてきた実態も浮かび上がりました。

 その後の岡田副総理の対応は、不誠実そのものでありました。当時の幹事長である岡田副総理は、現在は発言する立場にないと説明を拒否されましたが、野党との信頼関係を損なったと思わないのか、思うのか、伺います。

 去年より状況が悪化していることは明らかであります。総理、早期の法案成立に向けて、昨年より事態が好転している点があれば、お教えください。なければ、ないで結構であります。

 今回の公債特例法への政府の対応は、一般会計に対して不誠実、マーケットに対して不誠実、財政規律に不誠実、三党合意に対して不誠実であります。

 ただ、安住財務大臣は、先般の予算委員会で、交付国債について、いい選択だとは思っていない、大変申しわけないと思うと答えられました。この答弁は、確かに誠実でありました。

 これまでさんざん政府を非難してきましたけれども、私も、政権交代をしてよかったなと思えることがあります。共通番号制度の導入であります。政権交代前には社会保障番号の導入ですらおぼつかなかったので、よくぞとの思いであります。

 拍手が起きると思いましたが、拍手が起きないので続けます。(拍手)

 政府は共通番号制度を導入して給付つき税額控除を行うとしていますが、所得の把握をよほどうまく機能させないと、給付の不正受給を招きやすい問題点があります。米国ではこの制度の導入時には三割が不正だったなどと言われますが、税、保険料の徴収漏れをなくすために、これを導入している国には歳入庁が存在しています。

 民主党政権は歳入庁の導入をマニフェストに掲げておきながら、進展が見られません。歳入庁は、いつまでに、どのように導入するのですか。総理に伺います。

 また、この議場を見渡しますと、自民、民主で議員は八割を占められております。しかしながら、今、自民、民主の現在の支持率を合わせても、これはその半分の四割程度しかありません。いかに我々の状況が民意と離れているか、痛感するものであります。野田内閣の支持率が低迷するのも、言いにくいですが、自民党の支持率が上がらないのも、現在の政治にビジョンと変革への気概が欠けているからだと思います。

 超高齢化という人類が未経験の危機は、戦争にも匹敵するインパクトを日本社会にもたらします。明治維新のきっかけは黒船という外圧でしたが、現在は超高齢化という内圧によって体制転換が求められています。

 かつて、廃藩置県によって明治の三大改革がなし遂げられました。学制、地租改正、徴兵制の導入で、教育、税制、軍事において近代国家に我々は転換したのであります。私は、道州制こそが、明治新政府に匹敵する新たなシステムの土台だと考えます。(拍手)ありがとうございます。

 自民党政権時代に行われた平成の大合併の行革効果は年間一・一兆円とされています。また、さらに、経団連は、道州制導入による行革効果は年間五兆八千億円という試算を出しています。果たして、政府は道州制導入による行革効果を幾らぐらいと試算しているのか、伺います。

 また、道州制以外に合理性を持って出先機関の廃止ができるとすれば、その方法をお教えください。

 現在は非常事態です。まずは超高齢化非常事態宣言を行って、国民と危機感を共有した上で将来ビジョンを大胆に示さなければ、もはや国家の破綻は避けられません。GHQから押しつけられた憲法をいまだに変えもせず、四十七都道府県の枠組みに至っては明治二十三年から変えてもいません。外交においては戦後を終わらせ、内政においては明治を終わらせる、それが、時代の岐路に立つ政治家の役割ではないでしょうか。

 税と社会保障の一体改革は、民主党政権には私は無理だと思います。幕末でいえば、江戸幕府が明治政府の制度設計を行うようなものであります。国民はそんなことを望みません。幕府の最後の功績は、大政奉還と決まっております。

 ただ、自民党も、幕府としての復活は望まれていません。私たちが中央集権体制の幕府を続けるのならば、国民は、橋下維新に無血開城しろと言ってきますよ。

 だから、我々は道州制をやらねばならない。もはや、中央集権体制の中で権力争いをしている場合ではありません。超高齢化という内なる黒船に立ち向かうために、一刻も早い大政奉還と道州制新政府の樹立を求めます。

 御皇室をいただく国柄を守りながらも、ゼロベースで国の形を変えるべき時期を我々は迎えているわけであります。政治家が血を流し、官僚が涙を流し、初めて国民は汗を流してくれます。

 先人の偉業に敬意を表し、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 自民党の松浪議員の御質問にお答えをいたします。

 まず最初に、年金交付国債に関する御質問をいただきました。

 今回の年金交付国債による対応は、二十四年度基礎年金給付費の二分の一と三六・五%の差額を国庫の負担としつつ、一般会計から年金財政への国庫金の繰り入れは消費税引き上げ後に消費税収を充てて行うことを明確にするために行うものであり、御指摘のような損失隠しや飛ばしを行うものではございません。

 また、年金交付国債は、財源確保を前提として、将来の一般会計からの歳出を約束するものであり、特例公債のように市場からの財源調達のために発行するものではないことから、今回の特例公債法案との関係が問題となるものでもないと考えております。

 さらに、消費税引き上げのための法案成立が不確定であるとの御指摘については、基礎年金国庫負担二分の一の財源を消費税を含む税制抜本改革に求めることは、自公政権から引き継いだ年金法本来の考え方にかなうものであり、年金財政の安定確保のためにも、御党の御協力をお願いしたいと考えております。

 我が国財政に対する市場の信認を損なわないようにするためにも、今回の年金交付国債による対応の趣旨を御理解いただくよう努めるとともに、社会保障と税の一体改革の実現に向けて全力で取り組んでまいります。

 続いて、中期財政フレームについてのお尋ねがございました。

 平成二十四年度予算は、厳しい財政状況の中、一兆円規模の日本再生重点化措置など必要な予算については確保する一方で、中期財政フレームに定められた新規国債発行額四十四兆円や歳出の大枠六十八・四兆円を、社会保障の自然増等をのみ込みつつ遵守しております。

 なお、年金差額分に交付国債を充てていることについては、先ほど申し上げたとおり、年金交付国債は、消費税引き上げによる財源を確保した上での将来の歳出を約束するものであり、財源調達のために発行するものではなく、また、市場から財源を調達するものでもないことから、四十四兆円枠との整合性に問題が生じるとは考えておりません。

 続いて、債務不履行に伴う国民生活への影響についてのお尋ねがございました。

 一般論として申し上げれば、財政が破綻状態に陥ると、いわば国として自主的な財政運営を行うことが困難となり、社会保障等の公共サービスの水準が大きく低下し、経済や国民生活に多大な悪影響が生じるものと考えております。

 こうした事態に陥らないようにするために、社会保障と税の一体改革を推進することにより、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を図っていく必要があると考えております。

 続いて、特例公債法についての御質問をいただきました。

 平成二十三年度の特例公債法については、昨年八月に、民主、自民、公明各党の幹事長レベルで交わした確認書に基づき、各党の理解を得て成立させることができましたことを感謝申し上げます。

 平成二十四年度予算においても、今年度と同様、多額の特例公債を発行することが必要不可欠な情勢であり、一日も早い法案の成立が現下の経済運営と国民生活にとって不可欠であることは、政党、会派を超えて御理解いただけるものと存じます。

 御指摘の高校無償化を初め、幾つかの政策課題については、昨年の成果を踏まえつつ政党間協議が行われており、合意が得られれば、政府としても誠実に対応してまいりたいと考えております。

 財政健全化を目指しつつ、当面は特例公債の発行を必要とすることは、どの政党が政権を運営するにしても避けて通れないことと御理解をいただき、ぜひ、各党の御協力をお願いしたいと思います。

 続いて、給付つき税額控除と歳入庁についての御質問をいただきました。

 給付つき税額控除については、御指摘のとおり、より正確な所得把握が必要であり、番号制度の本格稼働、定着後の実施を念頭に、再分配に関する総合的な施策の一環として、その導入に向け、検討を進めることとしております。

 歳入庁については、社会保障・税一体改革大綱において「直ちに本格的な作業に着手する」としており、副総理のもとの作業チームにおいて検討してまいりますが、新しい年金制度の内容や番号制度の導入状況などを踏まえて判断すべき課題であるため、時期については、今後、国民の皆様の視点に立った徴収体制を構築する観点から作業を進めた上で、判断をしてまいります。

 道州制の行革効果及び出先機関の廃止についての御質問をいただきました。

 地域主権改革においては、まず、受益と負担の相関関係が一番見える基礎自治体、つまり市町村に権限と財源を集中するべきと考えます。

 その上で、基礎自治体だけでできない部分を広域自治体が補っていくこととし、広域自治体については、当分の間、現行の都道府県の枠組みを基本と考えております。

 ただし、地域の自主的な判断として基礎自治体の足りないところを補完するための道州制については、将来的に検討していくことはあり得ると考えております。

 したがって、現時点においては、道州制の行政効果を試算することは考えておりません。

 また、出先機関の原則廃止については、アクション・プランに基づき、全国一律、一斉の実施にこだわらず、地方からの発意に応じて、できるところから実施する方針で進めており、既存の広域連合制度をベースに、当該制度を発展させるための検討を進め、必要な法案を今国会に提出すべく準備を進めているところでございます。

 続いて、時代の岐路に立つ政治家の役割についての御質問をいただきました。

 議員の御主張の内容が必ずしも明らかではございませんけれども、憲法のあり方については、まずは各党内でしっかり議論した上で、与野党間でしっかりと協議し、また、国民的な議論に基づき決していくべきものと考えます。

 地方制度については、住民自治や大都市制度のあり方、大震災を踏まえた基礎自治体の担うべき役割や行政体制のあり方などについて、地方制度調査会に諮問をしているところでございます。今後とも、国会においても積極的な議論を進めていくべきと考えます。

 また、外交においては、我が国は、平和憲法の理念に基づき、一貫して、アジアを初めとして世界の平和と安定を希求する立場を堅持しており、日米同盟を基軸とした確固たる外交方針をとっております。今後とも、この方針を貫いていくことが、我が国と国民の安全に不可欠と考えます。

 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

    〔国務大臣岡田克也君登壇〕

国務大臣(岡田克也君) 私には、二問、御質問いただきました。

 まず、我が国が債務不履行となった場合の、七十五歳以上の高齢者の年金と医療についての御質問がございました。

 仮定の話についてお答えすることは困難ですが、例えば、国債が信用を失い、政府が借り入れを継続できなくなるような財政危機が発生した欧州諸国では、年金や医療の大幅な給付カットや負担増などの厳しい措置がとられていると承知しております。例えば、ギリシャでは年金給付額の二割カット、ポルトガルでは、同一四%カットに加えて、医療費の個人負担の増額がなされているというふうに承知をしております。

 我が国の年金や医療等の社会保障制度は、保険料と公費を財源としており、国が債務不履行に陥らないようにすることは、社会保障の安定にとって不可欠であります。そのため、御指摘のような財政危機に陥らないよう、今後の社会保障・税一体改革について、ぜひとも与野党協議に応じていただきますようお願い申し上げます。

 次に、三党合意についての御質問がございました。

 二月十四日の三幹事長の確認書において、党として、不誠実であるとの批判を真摯に受けとめ、おわびを申し上げたものと承知をしております。前幹事長としても、党の対応に欠くる点があったことについての御批判については、真摯に受けとめております。

 私としては、平成二十三年八月九日のいわゆる三党合意は誠実に履行されるべきであると考えており、その旨、予算委員会においても繰り返し強調したところであります。

 与野党が国民の立場に立って誠心誠意協議し、合意に至ることは、極めて重要です。今後とも、こうした考えに立って、与野党間の真剣な議論、そして協力がなされることを強く期待しておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 以上です。(拍手)

議長(横路孝弘君) 松浪健太君から再質疑の申し出がありますが、残りの時間がわずかでありますので、簡単にお願いをいたしたいと思います。松浪健太君。

    〔松浪健太君登壇〕

松浪健太君 総理に、二点、お答えを求めます。

 一点目は、私は、昨年、現在の特例公債法案については八月二十六日まで採決がおくれた、成立がおくれたということを指摘し、消費税の問題、交付国債の問題は昨年に比べて悪化しているということを指摘したわけでありますけれども、これについては、総理は、昨年よりもこの困難な状況はさらに悪化しているという認識がおありかどうか、確認をいたします。

 もう一点、出先機関についてであります。

 私は、道州制よりも合理的に出先機関の廃止が行われるのか否かということを申し上げました。道州制においては、八ツ場の問題、こんなものは、はっきり言って、国会でやる必要はない、道州でやる仕事である、出先でやっていただく仕事であるという趣旨で道州制は行われるわけでありますけれども、道州制についての御理解が余りに少ないのではないかと思います。

 道州でしっかりとそれを渡せる。出先をしっかりと渡せる。出先の仕事というのは、国の、全体で行う仕事を分割する、まさに省庁の役割も分割をして行うというものであります。五月雨でやっていて、果たしてそれが確定的な問題だと言えるのかどうか、伺います。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 特例公債をめぐる状況が困難を増しているかどうかということが御質問の趣旨だと思いますけれども、去年も大変でした。ことしも大変ですけれども。だけれども、一日も早く成立をお願いしたいというふうに思います。

 財政状況は、それは日増しに厳しくなっていることは事実であります。だから、なおさらのこと、一日も早い成立をことしはお願いしたいと思います。

 それからもう一つは、道州制と出先機関の廃止で、私は、一問目の質問とちょっと趣旨が違うと思うんですけれども、道州制についての考え方はさっき申し上げたとおりです。基礎自治体を中心にやっていきながら、補完性の原理のもとで、最終的には自治体の判断で選択し得るということは申し上げました。

 出先機関廃止の取り組みについては、先ほど明確に政府の方針をお示ししたつもりでございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 伊東良孝君。

    〔伊東良孝君登壇〕

伊東良孝君 自由民主党の伊東良孝でございます。

 自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案外二件について質問させていただきます。(拍手)

 まず、質問の前に、天皇陛下におかれましては、本当にその御快癒を国民の皆様とともにお祈り申し上げる次第でございますし、また、ことしの冬、大変な豪雪で、日本海側の皆さん、北海道の皆さん、大変な犠牲者も出ているわけでございまして、改めて心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 さて、地方交付税についてお尋ねをいたします。

 政府は、平成二十四年度から平成二十六年度までの中期財政フレームにおきまして、国の基礎的財政収支対象経費につきまして歳出の大枠を実質的に上回らないとされている中で、地方公共団体に交付されている出口ベースの地方交付税を八百十一億円増額確保した、こう喧伝をしております。

 しかし、その実は、国税五税の法定率分は、交付税総額の六割強、額にして十一兆円余りにすぎず、残りは、国からの特例的な加算や繰越金、さらには地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金まで動員したあげく、ほんの気持ちばかりの増額を確保したというつじつま合わせであり、到底、困窮にあえぐ地方に希望を与えるというようなものにはなっておりません。地域主権改革という大言壮語の成果としては、情けない姿であります。

 そもそも、政権交代後、平成二十二年度及び平成二十三年度においては、概算要求段階では、財源不足額のうち国負担分につきましては交付税率の引き上げで措置することを求めていたにもかかわらず、平成二十四年度には、その要求すらしておりません。

 そこで、今回、地方公共団体の利息の過払いにより蓄積されてきた公庫債権金利変動準備金を、過大な利息を払った団体へ還元せず、平成二十四年度の地方財源不足額の補填に用いることとしているわけでありますが、これはどのような考え方によるものなのか。

 また、巨額の赤字地方債の発行が続いており、地方財政の持続可能性が懸念されますが、このような状態をどのように収束していくつもりなのか。

 さらに、平成二十三年度に、地方財源不足の補填については平成二十五年度まで折半ルールによることが合意をされているわけでありますが、平成二十四年度概算要求において、いわゆる国税の還元でありますけれども、交付税率の引き上げを要求しなかったというのは、腰が引けた対応であります。

 この折半ルールの合意があろうとも、国税五税の法定率の引き上げを引き続き要求していくことが重要であると考えますが、総務大臣に答弁を求めます。

 次に、公務員の労働協約締結権についてお尋ねします。

 一月二十六日の衆議院本会議における国務大臣の演説に対する質疑におきまして、我が党の谷垣総裁が、野田内閣が、消費税率の引き上げにより国民に負担を求める傍らで、民主党最大の支持基盤である連合の要請を受けて、国家公務員がみずからの身を切るどころか、身を切られないための労働協約締結権を付与する法案の成立を優先するとすれば、それは狂気の沙汰であるとの趣旨で発言したことにつきまして、その後、二月十三日の衆議院予算委員会における基本的質疑において、岡田副総理は、国家公務員制度改革関連法案は、自公政権下において成立した国家公務員制度改革基本法において、政府は自律的労使関係制度を措置するために必要な法制上の措置を同法の施行三年以内をめどとして講ずるものとされていることから、これを踏まえて、昨年六月、国会に国家公務員制度改革関連法を出した、このように答弁をされました。

 また、このとき、民主党の逢坂委員は、自公政権時代、自分が政権を担ってきたときに決めた法案のことを狂気の沙汰と言うのは、自分が自分に対して狂気の沙汰と言っているようなものでありますと、極めて他党の総裁に失礼な発言をいたしたのでありますが、野田総理も逢坂議員と同様な解釈をされたのかどうか、お伺いをいたします。

 これは、国家公務員制度改革基本法第十二条の条文を正確に理解せず、その解釈を飛躍させているだけにすぎないことを示したいと思います。

 国家公務員制度改革基本法第十二条には、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする」、このように明記をされております。民主党政権が、この条文の趣旨を理解することができず、国民への説明はおろか理解も全くなされないまま、労働協約締結権を付与する法案の成立を優先させるとすれば、やはりそれは、狂気の沙汰以外の何物でもないと断ぜざるを得ません。

 そもそも、現行の人事院による給与勧告制度は、国家公務員の労働基本権の制約に対する代償措置機能を果たすものとして、最高裁判所によってもその憲法上の意義を認められ、国と地方を通じ国民の間に定着したものであります。これを根本から変更するということであれば、現行制度のどこに問題があり、公務員への労働協約締結権の付与でどのように改善されるのかという幅広い論点について十分検討し、その経過を明らかにしていかなければなりません。

 連合の強い要請を受けて、労働協約締結権の付与ありきで抽象的な説明に終始しているだけでは、国、地方を通じて大混乱が想定されるだけだと考えますが、野田総理の答弁を求めます。

 民主党政権発足後、民主党は、政治主導、内閣一元化による税制の決定をうたい、政府税制調査会に全ての権限を集中することとしておりましたが、政権最初の平成二十二年度税制改正において、たちまち、旧道路特定財源の暫定税率や所得課税に係る扶養控除等の取り扱いをめぐって暗礁に乗り上げ、当時の小沢幹事長の実質的な裁断によって辛うじて収拾に至るという醜態をさらしたのであります。

 その後、次第に党側の関与が強まり、野田内閣に至っては、党税制調査会を設置し、その重点要望等を勘案して税制改正の方向性を定めることとなっております。

 これは、そもそも、たまたま政府に入っている一部の政治家のみに税制を左右する権限を与えるという、民主党の税制の政治主導に関する考え方に根本的な誤りがあったことを示すものと考えますが、民主党政権下でこのような意思決定過程の変化があった経緯、そしてその理由をまず野田総理にお伺いいたします。

 また、平成二十四年度の政府税調は、前半の日程が東日本大震災への税制上の対応と社会保障・税一体改革の議論に費やされ、平成二十四年度税制改正に向けた審議は例年より大幅におくれてスタートしました。消費税の引き上げは、民主党のマニフェスト違反であるのみならず、国民生活への影響を考えれば、このような短期間で議論すべき事柄とは思えません。

 平成二十四年度税制改正については、政府税制調査会においてこのような限られた時間内で無理な審議を行った結果、社会保障・税一体改革についても年度改正についても拙速に終わったのではないか、また、いずれについても、お膳立てをする官僚主導の色彩が強まったのではないか、こう危惧するものでありますが、以上の点につきまして、総理からお答えをいただきたいと思います。

 次に、地方税に係る個別の問題についてお伺いをしてまいります。

 最初に、自動車関係諸税の見直しについてお伺いいたします。

 かねて消費税との二重課税に当たるとの指摘のある自動車取得税と自動車重量税の取り扱いについて、産業界、さらには与党民主党からの要望を踏まえ、存廃を含めた検討が進められたとのことであります。しかし、結果としては、エコカー減税について、環境性能に極めてすぐれた自動車の負担軽減に重点化を図った上で、三年延長することなど、年次改正に属する事柄のみ決定され、自動車重量税ともども、抜本的な見直しは先送りされております。

 存廃を含めた抜本的な見直しが先送りされた理由とあわせ、自動車取得税が消費税との二重課税に当たるのかという点についての見解を総務大臣にお伺いいたします。

 また、民主党のマニフェストにおいては、自動車税、軽自動車税と自動車重量税の負担が相互に融通性があることを捉えて、自動車関係諸税の簡素化、納税者にとってわかりやすい税制の構築の観点から、将来的には、自動車重量税を自動車税、軽自動車税に統合し、税源移譲の対象とすべき、こうしております。

 今回、これを行わなかった理由を総務大臣にお伺いいたします。

 次に、軽油引取税及びガソリンの暫定税率についてお伺いします。

 これらの税に係る暫定税率につきましては、民主党は、かつて国会審議において、その継続に激しく反対し、マニフェストにおいても廃止を特記していたにもかかわらず、平成二十二年の税制改正においては、一般財源化により課税根拠を失った暫定税率は廃止するが、財政状況や地球温暖化に与える影響を考慮して、当分の間、現在の税率水準を維持するという意味不明な取り扱いを決定し、以後、この方針を維持してきているのであります。

 これは、明白なマニフェスト違反であるばかりか、財政状況や地球温暖化に与える影響を考慮してなどという理由づけも、以前からこんなことはわかっていたことであります。当時のガソリン値下げ隊の主張は、一体どうしたのでありましょうか。

 平成二十四年度税制改正に向けた議論の中では、この問題について積極的な検討が行われた形跡すら見られませんが、一般財源化により課税根拠を失ったとまで断言した旧暫定税率の税率水準での課税を続行する理由を改めて確認させていただくとともに、この措置をいつ廃止するのか、あるいは、廃止しないというならマニフェストを撤回されるのか、この点につきまして総務大臣にお伺いします。

 政府は、さきに社会保障・税一体改革素案を決定し、その中で、最も焦点となっていた消費税率の問題について、平成二十六年四月一日より八%へ、平成二十七年十月一日より一〇%へ段階的に引き上げを行う旨示した上で、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用、いわゆる社会保障四経費にのっとった範囲の社会保障給付における国と地方の役割分担に応じた配分を実現するものとしております。

 この場合、引き上げ分の消費税収の地方分は、消費税率換算で、平成二十六年四月一日から〇・九二%分、平成二十七年十月一日から一・五四%分とし、地方消費税の充実を基本とするが、財政力の弱い地方団体における必要な社会保障財源の確保の観点から、あわせて消費税の交付税法定率分の充実を図るとしております。

 さらに、これについて、改革素案では、現行二九・五%とされている消費税に係る地方交付税率を、消費税率の引き上げに応じて、平成二十六年度に二二・三%、平成二十七年度二〇・八%、平成二十八年度からは一九・五%とするとしております。

 改選による衆議院議員の任期中は消費税の引き上げは行わないというマニフェストをひっ提げて政権についた民主党が、改めて国民の信を問うことなしに消費税の引き上げを行おうというのは、許されないことであります。

 二点、質問をさせていただきます。

 地方消費税による配分と地方交付税を通じた配分がこのような割合に落ちついた理由についてお聞きします。また、地方交付税による配分割合をさらに引き上げることも考えられるが、そのような対応がとられなかった理由は何かということを総務大臣にお伺いします。

 また、地方に配分することとされた消費税の引き上げ分については全て社会保障四経費に充てるべきものと考えているのか、また、国と地方の協議の場を通じて、この問題を含め、地方と消費税の関係に係る問題点全般について地方の考え方を改めて聞く考えはないのかという点を総理大臣にお伺いを申し上げ、私の質問とさせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 自由民主党伊東議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、公務員の労働協約締結権に関し、基本法十二条、また、現行の人事院勧告制度の問題点、さらに、協約締結権付与の趣旨について御質問をいただきました。

 自公政権下において成立した国家公務員制度改革基本法第十二条において、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする」とされていることは十分承知をしております。

 今回の改革は、国家公務員の勤務条件の決定を、民間準拠を基本とする人事院勧告制度に依存し内閣の使用者としての責任が明確でない現状を改め、国家公務員に協約締結権を付与し、労使交渉を通じて労使が勤務条件について自律的に決定し得る仕組みに改めるものでございます。

 このような制度のもとで、使用者である内閣が、時代の変化に対応し、民間の給与や国の財政状況等も考慮しつつ、労使交渉を通じて人事給与制度の改革を進めていくことが重要と考えております。

 今回の制度改革の立案に当たりましては、基本法十二条も踏まえ、自公政権下において設置された労使関係制度検討委員会における議論等も参考にしながら検討を重ね、自律的労使関係制度に関する改革素案を公表し、パブリックコメントを実施した上で、「国家公務員制度改革基本法等に基づく改革の「全体像」について」を決定し公表するなど、国民に開かれたプロセスを踏んだ上で昨年六月に国家公務員制度改革関連法案を国会に提出しているところであり、できるだけ早く御審議いただきたいと考えております。

 続いて、政府税調における政策決定についてのお尋ねがございました。

 民主党を中心とする政権では、従来の政権と異なり、政府税調のメンバーを政務で構成することといたしました。現在の政府税調は、会長は安住財務大臣が務め、それ以外のメンバーも各府省の政務三役を基幹としています。

 旧政権時代においては、税制改正の内容が実質的には党税調で決定されるにもかかわらず、決定権限を持った党税調のメンバーが国会で野党に対して説明をしておりませんでした。

 現政権としては、実質的な決定権者こそ、野党、ひいては国民に対して説明責任を負うべきと考え、国会において、決定した者が説明する仕組みを採用しております。この基本的な仕組みは現在でも維持されています。すなわち、税制に係る政策決定の権限は、政府税調に一元化されております。

 一方で、税は政治の最も重要な課題の一つであり、そこに民意が反映されることは当然であり、その意味で、党が民意を集約し、これを政府に伝えるという役割分担になっております。

 政権交代以降、党の組織整備の過程で形式的には若干の変更がありましたが、党が集約した民意を政府税調に伝え、これを受けて政府税調が税制の内容を最終決定するという仕組みに変更はございません。

 続いて、社会保障・税一体改革及び二十四年度税制改正の審議に関するお尋ねがございました。

 二十四年度税制改正については、昨年度までと同じように、各省庁からの要望項目等を検討対象として、十六回にわたる本体会合での審議や政務レベルの折衝を通じて整理を行ったものであり、拙速との御批判は当たらないものと考えております。

 また、社会保障・税一体改革についても、一昨年十月に政府・与党社会保障改革検討本部を設置して検討を開始して以来、約一年二カ月に及ぶ政府・与党における議論の積み重ねを経て決定したものであり、これもまた、拙速との御批判は当たらないものと考えております。

 いずれにせよ、これらの改正については、政治家が構成員となっている税制調査会等における議論を経て決定されたものであり、官僚主導が強まったとの御批判についても当たらないものと考えております。

 続いて、地方に配分する消費税引き上げ分の使途についてのお尋ねがございました。

 社会保障・税一体改革大綱においては、地方に配分する消費税引き上げ分についても、現行の基本的枠組みを変更しないことを前提として、社会保障財源化することとしています。

 二月九日には、総務大臣と地方六団体の意見交換を行い、地方の社会保障に要する費用に充てるべき等の意見をいただいたところでございますが、こうした地方の意見等も踏まえ、官の肥大化に使われずに、全て国民に還元されることが国民にわかりやすい形で示すことができるよう、使途の明確化について検討を進めてまいります。

 今後とも、地方の意見も十分お伺いしながら、社会保障・税一体改革を進めてまいる所存でございます。

 残余の質問については、関係大臣が答弁をさせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣川端達夫君登壇〕

国務大臣(川端達夫君) 伊東議員からのお尋ねにお答えいたします。

 まず、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を平成二十四年度の地方財源不足額の補填に用いることとした考え方についてお尋ねがありました。

 平成二十四年度の地方財政への対応に当たっては、地方団体からも強い要請がなされた、平成二十三年度を上回る交付税総額の確保が最重要課題でありました。

 このため、前年度からの繰越金や剰余金の活用などにあわせ、地方公共団体金融機構法附則第十四条に基づき、機構の経営状況等を踏まえつつ、公庫債権金利変動準備金三千五百億円を国庫に帰属させた上で、地方財源不足額の補填に活用することとしたものであります。

 次に、巨額の赤字地方債の発行についてお尋ねがありました。

 地方財源不足については、国と地方が折半して補填することを基本としており、国は一般会計からの臨時財政対策特例加算、地方は特例債である臨時財政対策債の発行により対応してきているところでございます。

 このため、巨額の臨時財政対策債を抑制していくためには、まず、財政運営戦略等を踏まえ、地方歳出の不断の見直しを図るとともに、地方税収等の確保により財源不足を縮小していくことが重要と考えております。

 次に、交付税率の引き上げについてお尋ねがありました。

 平成二十四年度概算要求においては、折半ルールを前提としつつ、三位一体改革で削減された地方交付税の復元に相当する交付税率の引き上げについても要求をしたところであります。

 国、地方とも巨額の財源不足を抱えているという状況にあっては直ちに困難ではありますが、地方交付税総額は、国の特例加算や地方の臨時財政対策債で確保するのではなくて、交付税率の変更により安定的に確保するという制度の本来の運用に戻していくべきものであります。

 今後とも、国の財政状況、地方財政における財源不足の状況を踏まえつつ、交付税率の引き上げを粘り強く主張していきたいと考えております。

 次に、自動車関係諸税の抜本的な見直しについてお尋ねがありました。

 自動車重量税と自動車税の一本化など車体課税の抜本的な見直しに当たっては、地球温暖化対策の観点や国及び地方の財政状況を踏まえ、国、地方間の税源配分や自動車関係税全般の再編を図る中で検討する必要があります。

 このため、平成二十四年度税制改正大綱では、当面、自動車重量税の負担軽減等を図ることとしつつ、車体課税全般については、与党の重点要望に沿って、国、地方を通じた関連税制のあり方の見直しを行い、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ見直しを行うこととしているところであります。

 また、自動車取得税と消費税の関係についてお尋ねがありました。

 自動車取得税は、自動車の取得が一種の資産形成としての性格を有することにも着目して課せられる税であり、消費一般に課せられる消費税とは課税根拠の異なるものと認識をしております。

 また、EUを初めとする諸外国においても、付加価値税に加え、自動車の取得、登録に関する税があわせて課せられている状況を見れば、自動車取得税と消費税をあわせて課すことが直ちに二重課税になるとは考えておりません。

 次に、軽油引取税などの税率水準についてのお尋ねがありました。

 マニフェストでは暫定税率を廃止することとしておりましたので、平成二十二年度税制改正において、それまでの十年間の暫定税率については廃止した上で、地球温暖化対策との関係に留意する必要があることや、国及び地方の財政の厳しい現状に配慮する必要があることなどから、当分の間の措置として、それまでの税率水準を維持することといたしました。

 平成二十四年度税制改正においては、税制調査会における議論を経て、引き続き、当分の間として措置されている現行の税率水準を維持することとしたところです。

 当分の間の税率の今後の取り扱いなどについては、引き続き税制調査会で議論されるものと存じます。

 最後に、地方消費税と交付税法定率分の配分についての考え方についてお尋ねがありました。

 今回の引き上げに係る消費税収の地方分については、地域主権改革の推進及び地方の社会保障の安定財源確保の観点から、地方消費税の充実を基本とするが、財政力の弱い地方団体における社会保障財源の確保の観点から、あわせて消費税の交付税法定率分の充実を図ることといたしました。

 これに基づき、地方分一・五四%については、地方消費税は社会保障四経費の地方負担分に、消費税の交付税法定率分は地方単独事業に対応することとして、それぞれのシェアにより案分し、地方消費税に一・二%、交付税法定率分に〇・三%を配分することとしたところであり、最も適切な対応であると考えております。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 竹内譲君。

    〔竹内譲君登壇〕

竹内譲君 公明党の竹内譲です。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました特例公債法案外五案件につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)

 初めに、社会保障と税の一体改革について伺います。

 野田政権は、二月十七日、社会保障・税一体改革大綱を閣議決定しましたが、その内容は、さきに示した素案と全く変更がないものでありました。なかんずく、民主党の最低保障年金を柱とする新たな年金制度の詳細については、閣議決定をもっても示されず、平成二十五年に法案を国会提出するとしたのみです。これでは、与野党協議の前提が全く整っていません。

 民主党が政権をとってから二年半、これだけの時間があったにもかかわらず、年金制度の具体像がまだ国民に提示できていない。これほど国民を愚弄した話もありません。

 総理、中身を詰めていないのではなく、実現不可能な制度であることが白日のもとにさらされてしまうから詰められないのではないでしょうか。この際、新たな年金制度の公約は撤回されてはいかがですか。総理の答弁を求めます。

 また、与党内不一致もあらわになってきました。

 国民新党の亀井政調会長は、十九日のテレビ番組で、税と社会保障一体改革の決定について、実現不可能だが黙認したという趣旨の発言をされました。極めてゆゆしき発言であります。これが仮に事実であれば、政権党の責任放棄であり、この閣議決定は国民に対する詐欺的行為と言わざるを得ません。

 総理、実現不可能な閣議決定をしたのですか。もしそうなら、実現可能な閣議決定を再度行うべきではありませんか。亀井政調会長の発言をどう認識されているのかを含め、総理の答弁を求めます。

 また、国民新党で、内閣の一員でもある自見大臣の認識もあわせて伺います。

 さて、大綱では、社会保障の安定財源の確保などにより、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成への第一歩が踏み出せるとしておりますが、甚だ疑問であります。

 一月二十四日に公表された経済財政の中長期試算では、仮に、五%の消費税を引き上げた上で、大綱どおりに改革が実行され、さらに、成長シナリオの、名目三%、実質二%という成長率が実現したとしても、政府が掲げる目標の実現は極めて厳しいことが明らかになりました。

 加えて、もしも、国民に不安と混乱をもたらすだけの民主党の年金改革案が導入された場合、消費税換算で七%以上の上乗せの財源が必要となっています。

 財政健全化には、社会保障や地方財政を含めた歳出構造の抜本改革、経済成長による増収、民間活力の導入などが不可欠でありますが、民主党政権からはこうした取り組みが全く見えてこない。戦略がありません。このような努力もないまま、安易な消費税引き上げありきの姿勢は、断じて容認できません。総理の答弁を求めます。

 加えて、社会保障・税の共通番号制度について伺います。

 政府は、いわゆるマイナンバー法案を通常国会に提出しました。言うまでもなく、共通番号は、社会保障や納税など、国民、納税者の利便を高める反面、国等による個人情報管理のあり方やプライバシーの保護などの課題もあり、その導入に際しては、国民的な合意を得た上で、より慎重に制度設計を進める必要があります。

 しかし、野田政権は、そもそも、社会保障・税一体改革について、あれほど事前に与野党協議を求めるとしておきながら、事一体改革の重要なインフラである番号制度については、早々に国会に提出いたしました。このことに私は強い違和感を覚えます。

 なぜこれほど提出を急ぐのか。慎重に国民的な合意を得ることを優先すべきではないかと思いますが、総理の答弁を求めます。

 日銀は、二月十四日に、中長期的な物価安定のめどの導入など、大胆な金融緩和の強化を発表いたしました。市場関係者の評価もおおむね良好であり、私も、日本経済がデフレから抜け出すため、一歩踏み出したメッセージとして、一定の評価をするものです。

 他方、政府の動きは全く鈍い。デフレからの脱却と円高への対応をどうするのか、明確な道筋を示す必要があるにもかかわらず、政府・民主党からは一向にその方策が示されません。司令塔すらわからない。

 金融政策と財政政策は車の両輪です。需要を拡大するための具体的施策と財源を政府が示し、大胆に実行することが求められています。

 公明党は、金融政策とあわせ、内需拡大、持続可能な社会の実現、社会の防災機能強化を実現するための総合緊急経済対策を既に示していますが、政府として、金融政策と一体的に取り組むべき経済政策をどのようにお考えか、総理に認識を伺います。

 さて、日本経済が成長するためには、企業活動を安心して行えるよう環境を整えることも政府の責任であります。特に、安定的な電力供給体制の再構築は急務であります。東京電力による電気料金引き上げや、夏に向けた電力の安定供給体制に対する懸念、原油などの燃料高に伴う電力コストの増加など、中小企業や電力多消費産業にとっては深刻な課題です。電気料金が日本の三分の一である韓国への工場移転など、よりコストの低い国への海外流出の動きも始まっております。

 総理は、こうした厳しい電力供給状況が日本経済に及ぼす影響をどれほど深刻に受けとめ、対処するおつもりか、見解を求めます。

 さて、平成二十四年度予算案を見ると、日本経済が置かれたこうした状況を、野田内閣は、危機感を持って正しく認識しているのか、解決へ向けた道筋を本当に考えておられるのか、甚だ疑問であります。

 歳出削減や予算の組み替えも、民主党が公約した十六・八兆円という規模と比べるとほど遠い、否、全く成果が上がっていません。特に社会保障や地方財政については、歳出削減努力が甘く、ほとんど聖域化していると言わざるを得ません。

 まず、この指摘について、総理の見解を伺いたい。

 次に、粉飾的な手法のきわみである、基礎年金国庫負担二分の一のための財源についてであります。

 いわゆる交付国債の発行で一般会計の財政健全化を取り繕っていますが、制度的には、消費税が増税できなかった場合の財源は想定していないというではありませんか。年金積立金を取り戻したいなら消費税を引き上げろと言わんばかりのごり押しの財政運営は、国民の反発を招くだけです。

 交付国債に関する根本的疑問について、総理の見解を求めます。

 さらに、昨年八月九日に交わした民主、自民、公明の三党合意では、子ども手当の見直しのほか、農業戸別所得補償などについても、政策効果を検証し、必要な見直しをするとしていたはずです。しかし、三党協議も、いつの間にか打ちとめられてしまいました。

 特に農業戸別所得補償制度については、その後どのような検証が行われ、二十四年度予算案の中でどういった見直しがなされたのでしょうか。

 あなたは、施政方針演説の中で国家の信用という言葉を使われておりましたが、公党間の約束すら守ることができない政党に、国家の信用など語る資格はありません。そして、こうしたやり方が、民主党の政権運営の特徴ともいうべきその場しのぎの象徴であると言えるでしょう。

 これらの点につき総理の答弁を求めます。

 先ほど指摘した児童手当法改正案についてであります。

 総理、これは一体何ですか。昨年八月十一日の本会議において、二十三年度における公債特例法案に賛成する大前提として、政権党である民主党は三党間の合意に基づいて、これを誠実に履行することを私は強く求めたはずです。ところが、公債特例法案が成立したことをいいことに、臆面もなく、三党合意を骨抜きにした法案を今国会に提出されている。

 三党での合意は、「児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする」としており、子ども手当は廃止し、児童手当に戻すということでありました。それを、児童手当法改正案では、子どものための手当と名称変更してまで、体裁だけでも整えようと躍起になっている。当時の党代表、幹事長がかわったのだから過去の合意は御破算になるとでもいうのでしょうか。

 当然、名称は児童手当とすべきであります。総理の見解を求めます。

 次に、租税特別措置法案について伺います。具体的に指摘いたします。

 まず、成年扶養控除の見直しについてです。

 政府は、平成二十三年度税制改正において、当初、税制の抜本改革の一環として成年扶養控除の見直しを盛り込んでいました。しかしながら、三党協議の結果、平成二十三年度ではこれを先送りしましたが、今般閣議決定された社会保障・税一体改革大綱の中においては、「関連する社会保障制度の内容も踏まえながら、改めて検討する」と位置づけられています。著しくトーンダウンをしてしまいましたが、結局のところ、二十三年度改正時においては、政府は、関連する社会保障制度の内容を踏まえないで成年扶養控除の見直しを行おうとした。これは、すなわち、二十三年度税制改正での提案そのものが間違いであったということを意味するのではありませんか。

 種々の人的控除のあり方を含め、総理の見解を求めます。

 続いて、いわゆる地球温暖化税については、我が党も重要性を認めておりますが、東日本大震災に伴う原発事故の影響で火力発電の需要が高まっていることから化石燃料の需要増に伴う電気料金の引き上げも懸念され、一方で、エネルギー基本計画の見直し論議も進んでおります。

 被災地域を含め、企業に対する負担増や価格転嫁の問題、さらに、エネルギー基本計画との整合について、総理はどのようにお考えか、見解を求めます。

 さらに、自動車関係諸税について、私は、簡素化、グリーン化、負担の軽減の観点から、取得、保有、走行の各段階における複数課税を見直すべきと考えます。

 具体的には、地方財政へ配慮しつつ、取得時課税である自動車取得税は廃止した上で、保有時課税である自動車重量税と自動車税を統合し、軽減してはどうか、総理の見解を求めます。

 野田内閣は、社会保障・税一体改革を国民に説明するため、先週末より「明日の安心」対話集会を開始されております。しかし、年金改革を初めとした具体像のないあすを語る前に、過去の約束である二〇〇九年マニフェストの清算をこそまず国民に示すべきであると申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 公明党の竹内議員の御質問にお答えをしていきます。十四問いただきました。

 まず最初に、新たな年金制度に対するお尋ねがございました。

 新しい年金制度の創設に関しては、一体改革大綱において、制度の骨格を示しつつ、「国民的な合意に向けた議論や環境整備を進め、平成二十五年の国会に法案を提出する」としております。今後、新たな年金制度の具体的な給付や負担の姿について、まずは民主党内で検討していき、その上で、野党の皆様にも案をお示しして、議論を重ねていきたいと考えております。

 もとより年金制度は、政権交代のたびに変更されるべきものではなく、国民的な合意、与野党大多数の合意が不可欠でございます。したがって、まずは今回の一体改革を実現させ、それと同時に、現行制度、新しい制度の双方について与野党が議論を詰めていく中で、国民が信頼し、安心する、持続可能な年金制度の確立を実現させるべきと考えております。

 そうした観点から、現時点において、新しい年金制度の創設について、撤回するしないではなく、まずは一体改革実現のための中身の協議をお願いしているところでございます。

 続いて、大綱閣議決定に関する国民新党亀井政調会長の発言についての御質問をいただきました。

 十七日に行った一体改革大綱の閣議決定については、国民新党の自見大臣も署名をして、民主党、国民新党の連立政権として決定したものでございます。また、昨日、国民新党の下地幹事長は、記者会見で、国民新党は社会保障・税の一体改革の閣議決定について了解している、与党は一致している旨の説明を改めて行っているものと承知しております。

 社会保障・税の一体改革は、どの政権でも避けて通ることのできない課題であり、政府・与党一体となって、与野党の協議をお願いし、改革の実現に向けて全力で取り組んでいく決意でございます。

 続いて、財政健全化に向けた取り組みについてのお尋ねがございました。

 今回の社会保障・税一体改革においては、社会保障の充実だけではなく、効率化についてもあわせて実施することとしております。また、無駄遣いの根絶に不断に取り組むとともに、議員定数削減や公務員総人件費削減など、みずから身を切る政治改革、行政改革と一体改革を包括的に進めることにより、国民の納得と信頼を得るよう全力で取り組んでまいります。

 二〇一四年四月の消費税率八%引き上げまでの間に、このような政治改革、行政改革をやり遂げていく決意でございます。

 経済成長については、新成長戦略の実行を加速するとともに、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行するなど、日本経済の再生に全力で取り組み、中長期的に持続的な経済成長につなげてまいります。

 しかしながら、これらの取り組みだけでは、毎年一兆円規模になる社会保障費の自然増などへの対応は困難であり、消費税率引き上げを含む社会保障・税一体改革の実現により、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成への第一歩を踏み出す必要があると考えております。

 次に、番号制度の制度設計及び国民的な合意についての御質問をいただきました。

 番号制度は、より公平な社会保障制度の基盤となるものであるとともに、情報化社会のインフラとして国民の利便性の向上に資するものであり、可能な限り早期に、かつ確実に導入すべきものであります。

 番号制度の導入に当たっては、国民の皆様の御理解が不可欠であることから、御指摘のような個人情報管理やプライバシーなどの懸念に適切に応えるとともに、昨年の五月から全国四十七都道府県でシンポジウムを開催するなど広報活動に取り組んでおり、今後とも、より一層広報活動に注力してまいります。

 番号制度については、御党においてもその必要性についての認識を持たれているものと承知しており、野党の皆様の御意見も伺って、よりよい成案を得られるよう、国会においてぜひ御議論いただきたいと考えております。

 次に、経済対策に関する御質問をいただきました。

 公明党からは、かねてより、経済政策について多岐にわたる御提言をいただいてまいりました。政府としては、歴史的な円高と長引くデフレを克服するため、金融政策を行う日本銀行との一層の連携強化を図り、切れ目ない経済財政運営を行ってまいります。

 具体的には、まず、これまでの四度にわたる補正予算を速やかに執行し、復興需要の早期顕在化を図るとともに、景気の下振れ回避に万全を期します。

 また、新成長戦略の実行を加速するとともに、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行するなど、日本経済の再生に全力で取り組み、中長期的に持続的な経済成長につなげてまいります。

 二十四年度予算にも日本再生のためのプロジェクトを数多く盛り込んでおり、その早期成立を図ります。

 今後とも、防災・減災ニューディールなどの御党の御提言も踏まえつつ、経済財政運営に万全を期してまいります。

 電力供給状況について御質問をいただきました。

 日本経済の成長のためには、電力の安定供給と電気料金の抑制が極めて重要な課題であり、また、電力供給不足や電力コストの上昇は、産業立地にとっても大きな支障となると認識をしております。

 このため、昨年十一月にエネルギー・環境会議において取りまとめられたエネルギー需給安定行動計画に基づき、予算措置や規制・制度改革などあらゆる施策を総動員することでエネルギー需給の安定に万全を期すとともに、省エネ等による総需要の抑制と電力会社の経営効率化等によって電力コストの上昇を極力抑制してまいります。

 なお、今夏の具体的な対策については、今春を目途に、電力需給の見通しについてレビューを行い、取りまとめる予定でございます。

 歳出削減についての御質問をいただきました。

 歳出削減については、政権交代以降、過去三回の予算編成で、事業仕分け等も活用しながら、徹底した予算の組み替えを行ってきたところであります。また、二十三年度及び二十四年度は、中期財政フレームにおいて、社会保障の自然増や地方交付税交付金も含めた歳出の大枠を実質前年度以下にすることとしており、聖域を設けず、規律ある予算編成を行ってまいりました。

 これらの取り組みを通じて、例えば平成二十四年度予算においては、社会保障について、年金特例水準の解消や生活保護医療の適正化等の効率化策に取り組み、地方財政については、給与関係経費を初め経費全般について徹底した節減合理化に努めるなど、めり張りづけを行っております。

 いずれにせよ、無駄の削減を含む歳出の見直しは、不断の取り組みが必要であり、引き続き真摯に努力をしてまいります。

 年金交付国債に関するお尋ねがございました。

 今回の年金交付国債による対応は、二十四年度基礎年金給付費の二分の一と三六・五%の差額を国庫の負担としつつ、年金財政への国庫金の繰り入れは消費税引き上げ後に消費税収を充てて行うことを明確にするために行うものであり、粉飾的な手法とは考えておりません。

 また、消費税引き上げができなかった場合の財源を想定していないとの御指摘については、基礎年金国庫負担二分の一の財源を消費税を含む税制抜本改革に求めることは、自公政権から引き継いだ年金法本来の考え方にかなうものであり、年金財政の安定確保のためにも、御党の御協力をお願いしたいと考えております。

 戸別所得補償制度の見直しについてのお尋ねがございました。

 戸別所得補償制度については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討するため、昨年十一月二十九日から四回にわたって三党実務者協議が開かれましたが、昨年八月九日の三党合意に基づく協議としては、十二月十二日に一旦打ち切ることになったものと承知をしています。

 このため、二十四年度の戸別所得補償制度については、現行制度を前提に、必要な額を措置しております。

 二月十七日に行われた三党政調会長会談において、民主党から、本制度についての実務者協議の再開を提案したものと承知しております。三党協議が早期に再開されることを期待するとともに、合意が得られれば、政府として誠実に対処していく所存でございます。

 民主党の政権運営についての御質問をいただきました。

 まず、政党間協議については、公明党を含めた各党のこれまでの御協力に深く感謝申し上げます。その上で申し上げれば、政府としてこれまでも政党間協議の結論を尊重して対応してきており、その場しのぎとの御批判は当たらないと考えております。

 昨年来、政党間協議においては、大きな成果を上げております。また、先般の国家公務員給与臨時特例法案に関する三党政調会長合意も、大震災の復興、そして改革を進める上で、極めて大きな意義があると考えます。農家戸別所得補償の問題、さらに子どものための手当、高校無償化、郵政改革などに関しましても、実りある建設的な協議によって合意を得ることを期待しており、その結論については、政府としても、今後とも誠実に対処してまいる決意でございます。

 施政方針演説では、社会保障・税一体改革の重要性を御説明するために、国家の信用に言及いたしました。与野党が協議に基づき成案を得ていくことが、国家の信用を築くことにつながるものと考えております。

 三党合意と子どものための手当についての御質問をいただきました。

 三党合意は、昨年夏に、自民党や公明党の御協力をいただき、公党間の合意としてまとめたものであり、引き続き、合意内容を尊重して対応していきたいとの気持ちは変わりありません。

 一方で、二十四年度以降の子供のための現金給付については、昨年八月に三党で合意して以降、与野党間での議論が進展しなかったと承知をしています。このため、予算編成や法案の提出までの時間が限られる中で、三党合意の文言に即して、子どものための手当という名称とする児童手当法改正法案を先日提出いたしました。

 いずれにしろ、法案の成立には与野党での協議が必要であると考えており、今後、速やかに協議を開始し、法案の成立に御協力をお願いしたいと思います。

 成年扶養控除及び人的控除についての御質問をいただきました。

 成年扶養控除については、平成二十三年度税制改正大綱において、本来、成年者は基本的に独立して生計を立てるべき存在であることなどを踏まえ、その対象を見直すこととしたものでありますが、その際、現行の社会保障制度も踏まえた上で、障害者、要介護認定者などについては控除を存続するなど、広範な方について負担増にならないよう配慮したところであります。

 成年扶養控除を含む扶養控除のあり方については、今般の社会保障・税一体改革大綱において、「真に担税力の減殺に配慮が必要な方が対象となっているかとの観点や、課税ベースの拡大等の観点を踏まえるほか、今後さらに具体化される社会保障改革の内容や、給付付き税額控除の導入を巡る議論も踏まえた上で、検討する」こととしており、今後、これに沿って検討を進めてまいりたいと思います。

 次に、地球温暖化対策のための税に関する御質問をいただきました。

 地球温暖化対策のための税は、税制による地球温暖化対策を強化するとともに、エネルギー起源CO2排出抑制のための諸施策を実施していくためのものであります。

 エネルギー基本計画は現在見直しが行われておりますが、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの拡大など、エネルギー起源CO2排出抑制対策の推進は、震災以前よりも一層重要となってきております。

 また、地球温暖化対策のための税は、広く薄く負担を求めるものであり、急激な負担増とならないよう、税率を段階的に引き上げるほか、各種の負担軽減措置などを講じます。

 地球温暖化対策のための税の導入については、地球規模の重要かつ喫緊の課題である地球温暖化対策を進める観点から、平成二十四年度税制改正においてぜひとも実現を図る必要があると考えております。

 自動車関係諸税について御質問をいただきました。

 車体課税については、自動車産業をめぐる状況、地球温暖化対策や国及び地方の財政状況などを踏まえて、平成二十四年度税制改正において、自動車重量税の当分の間税率に係る税負担の軽減とあわせて、エコカー減税の継続等の見直しを行ったところです。

 今後、自動車取得税及び自動車重量税については、廃止、抜本的な見直しを強く求める等とした平成二十四年度税制改正における与党の重点要望に沿って、国、地方を通じた関連税制のあり方の見直しを行い、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ、簡素化、負担の軽減、グリーン化の観点から見直しを行ってまいります。

 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

    〔国務大臣自見庄三郎君登壇〕

国務大臣(自見庄三郎君) 竹内譲議員にお答えをさせていただきます。

 今回閣議決定した社会保障・税一体改革大綱は、国民新党の下地幹郎幹事長、亀井亜紀子政調会長もメンバーとして加わっている政府・与党社会保障改革本部で議論が行われ、本年一月六日に同本部で決定された社会保障・税一体改革素案とほぼ同じ内容のものであり、私が閣議で署名をさせていただいたものであります。

 社会保障・税一体改革に関しては党内でもさまざまな論議があったのは事実でございますが、大綱については、こうした手続を経て、国民新党としては正式に了承しているものと理解をいたしております。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 佐々木憲昭君。

    〔佐々木憲昭君登壇〕

佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、予算関連国税・地方税法案等について質問いたします。(拍手)

 初めに、社会保障・税一体改革についてお聞きします。

 野田内閣は、先週末、社会保障・税一体改革大綱を閣議決定いたしました。これは、先月閣議報告された素案とどこが違うのでしょうか。消費税の大増税も、社会保障の改悪も、そのままではありませんか。

 消費税を一〇%に引き上げて国民の懐から新たに十三兆五千億円も取り上げながら、社会保障の充実には五分の一の二兆七千億円しか回さない、あとは安定のために使うというのが政府の説明です。

 ところが、大綱を見ると、そのわずかな充実さえ帳消しにする改悪メニューがメジロ押しであります。

 物価スライドなどを理由とする年金の削減、医療の窓口負担の増加、介護保険利用料の負担増、子ども手当の削減、これだけでも二兆七千億円になります。これによって、野田内閣の言う充実部分は完全に吹き飛んでしまうではありませんか。

 それだけではありません。年金の支給開始年齢を六十八歳、七十歳に先延ばしされたら、さらに六兆円から十兆円の支給削減になるのであります。我が党の志位委員長の予算委員会での指摘に対して、野田総理はその事実を否定できませんでした。

 国民に消費税大増税も社会保障改悪も押しつける、まさに一体改悪であります。こうした内容がわかるにつれて、多くの国民が反対の声を上げているのであります。それでも、野田総理は、一体改悪を国民に押しつけるつもりでしょうか。

 自見大臣にお聞きします。

 前回の総選挙で、国民新党は、消費税は引き上げないとマニフェストに掲げたにもかかわらず、あなたは、なぜ、消費税増税を含む大綱を閣議決定する際、署名したのでしょうか。

 NHKの討論会で、亀井政調会長は、消費税増税は実現不可能な内容だと判断し黙認したなどと意味不明な発言をしました。閣議決定に黙認という態度がありますか。署名したということは、賛成したということではありませんか。国民に対する重大な背信行為だと言わなければなりません。

 自見大臣は、これまで、財務金融委員会で私の質問に対して、消費税増税には反対だと答弁してきました。大綱に賛成しておきながら、それを具体化した法案に反対できるはずがないではありませんか。明確にお答えをいただきたい。

 さらに重大なのは、大綱に議員定数削減を書き込み、「衆議院議員定数を八十削減する法案等を早期に国会に提出し、成立を図る」としていることであります。とんでもない話であります。

 選挙制度は、議会制民主主義の根幹をなす問題であり、政治的立場を超え、真摯に議論して国会が決めるものであります。まさに今、各党が参加する協議会で議論しているさなかであります。それを、なぜ、野田内閣が勝手に決めて、国会に押しつけるのでしょうか。直ちに撤回することを強く求めます。

 しかも、大綱は、「消費税率引上げまでに、国民の納得と信頼を得るため」と、消費税増税を押しつける地ならしとして位置づけているのであります。増税と議員削減は全く別の問題であるのに、関連づけることは筋違いではありませんか。

 日本国憲法は、政府の行為によって惨禍が起こることのないようにすると決意して、主権が国民に存することを宣言しております。その主権者国民を代表しているのが国会議員なのであります。したがって、国会議員の定数削減によって切られるのは、国民の声の伝え手であり、国民の声そのものではありませんか。しかも、国民の声を切り捨てておいて国民に増税を押しつけるという政府の大暴走を断じて許すことはできません。答弁を求めます。

 次に、消費税増税のもう一つの地ならしとされている国家公務員給与削減についてです。

 労働基本権制約の代償措置である人勧制度さえ踏みにじり、来年も再来年も公務員労働者に不利益となる大幅な賃下げを押しつけることは、二重の憲法違反であり、許すわけにはまいりません。これは、官民労働者の賃下げの悪循環を招き、内需を冷え込ませるだけであります。直ちに撤回すべきではありませんか。

 大体、賃下げの理由として、一昨年は財政再建と言い、昨年は復興財源と言い、ことしは消費税増税の地ならしとしての身を切る改革と言う。理由が二転三転しているのであります。このことは、賃下げがいかに道理がないかを示しているのではありませんか。

 提案されている租税特別措置法案には、三月末に期限を迎える研究開発減税の上乗せ特別措置の延長や海外投資等損失準備金の延長が盛り込まれております。しかし、民主党は、特定の企業や団体への租税特別措置は、実質的な補助金であり、運用状況を明らかにした上で、恒久化もしくは廃止という方針を掲げていたはずであります。

 今年度の研究開発減税は、九八%が大企業向けであり、わずか四百六十七社の大手企業のみが利用する見込みであります。海外投資等損失準備金に至っては、約五十件程度であります。まさに、ごく一部の大企業への優遇措置であります。

 特定の大企業への実質補助金と化しているこうした措置は、直ちに廃止すべきではありませんか。

 次に、来年度の地方財政計画についてです。

 政府は、地方の歳出を国と基調を合わせて抑制するとした一昨年六月の財政運営戦略に基づいて、一般行政経費、人件費、投資的経費を削減しています。

 とりわけ、一般行政経費単独では、社会保障関係経費以外の削減枠を設けています。社会保障関係経費以外の枠で幾ら削るのでしょうか。その根拠、基準は一体何でしょうか。社会保障改悪と貧困の拡大によって増加せざるを得ない国保会計への一般会計繰り入れや就学援助などの抑制につながるのではありませんか。

 これでは、住民の福祉を守る自治体の役割を果たすことはできません。答弁を求めます。

 公債特例法案について言えば、二〇一二年度予算案の一般会計の歳入総額九十・三兆円のうち、公債金額四十四・二兆円に対して税収は四十二・三兆円にとどまっており、公債依存率は、昨年よりもふえて、四九%となっています。しかも、公債金額のうち、赤字公債は三十八・三兆円であり、過去最大であった昨年度をさらに上回っているのであります。総理は、その責任をどう感じているのでしょうか。

 今やるべきことは、八ツ場ダムなどの無駄な大型開発や米軍への思いやり予算の削減、原発推進予算の大幅削減、政党助成金の廃止などの歳出の改革であります。歳入では、富裕層や大企業優遇の不公平な税制を改めることではありませんか。

 日本共産党が先日発表した提言は、十二兆円から十五兆円の財源確保ができることを具体的に示しております。この方向でこそ危機打開ができる、このことを強調して、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 日本共産党佐々木憲昭議員の御質問にお答えいたします。

 まず、一体改革に関し、大綱と素案の違いや改革の内容、国民への押しつけについての御質問をいただきました。

 先般閣議決定した大綱は、素案から、一部、法案提出等に伴う時点修正など、形式的な修正は行っておりますが、基本的には素案と同様の内容となっております。

 具体的には、子育てや若者就労への支援を強化するなど、子供からお年寄りまで全ての国民をカバーする全世代対応型へ転換していくこと、人口構成が変化し、年一兆円規模の国費が増加する中、安定財源を確保することにより持続可能な仕組みをつくることなどの内容を盛り込んでおります。

 その中で、社会保障制度の改革に当たり、制度の持続可能性を維持しながら必要な機能の充実を行うためには、制度の重点化、効率化も行わなければなりません。このため、今回の一体改革では、全体では、公費負担ベースで三・八兆円程度の充実、一・二兆円程度の重点化、効率化を行い、ネットで二・七兆円程度の社会保障の充実を行うこととしております。

 このネット充実額二・七兆円に対して、二・七兆円の社会保障の改悪メニューとの御指摘ではありますが、金額が基本的に給付費全体をベースとしており、比較のベースが一致していないこと、現時点で全く決定していない項目、今後の検討項目なども含めた試算であることに加え、世代間の公平や保険料負担の軽減に資する点も考慮に入れる必要があることなどを踏まえれば、両者を単純に比較することは適当ではありません。この旨、先般の予算委員会における志位議員の質疑においても、年金支給開始年齢の引き上げに関する部分も含め、私及び関係閣僚から答弁をしているところであります。

 いずれにしても、若い世代を含め、国民が将来に不安を持たないようにするため、社会保障の充実、安定化と財政健全化を同時に達成するための一体改革は、どの内閣であっても先送りできない課題であり、国民のため、この国の将来のため、国民の皆様の御理解を得ながら、やり遂げなければならないと考えております。

 続いて、選挙制度改革について、さらに、消費税率引き上げと議員定数削減の関係について御質問をいただきました。

 社会保障と税の一体改革により国民負担をお願いする前に、政治、行政がまず身を切るべきというのが、多くの国民の皆様の思いだと思います。その思いを我々はしっかり受けとめなければいけないと考えております。

 したがって、社会保障と税の一体改革は、政治・行政改革とも一体で包括的に進め、国民の皆様の納得と信頼を得ながら推進していくことが重要であると考えており、さきに閣議決定した大綱では、政府・与党が一致協力して改革を実現させるために、その決意を表明いたしました。

 選挙制度に関しては、国会でお決めいただくことはもとよりのこととして、各党にそれぞれ御意見があることも承知しております。各党協議会において、与野党で胸襟を開いて議論し、早急に結論を得ることを強く期待しております。

 定数削減と国民の声に関するお尋ねがございました。

 国会議員が、国民から選ばれ、国民の声を代弁して議会活動を行うことは、御指摘のとおりと考えます。同時に、国民は、行政のみならず、議会、議員、政治家の別なく、聖域なき改革を求めていると理解をしております。したがって、政治改革の今日的な課題は、一票の格差是正はもとよりのこととして、議員定数の削減も避けては通れない課題と認識をしております。

 議員、政党が国民の声を代弁することは当然のこととして、その機能は議員定数によって左右されるものではないと考えており、各党協議会におきまして成案が得られることを強く期待しております。

 国家公務員給与削減について御質問をいただきました。

 給与臨時特例法案は、我が国の厳しい財政状況と東日本大震災という未曽有の国難に対処するため、臨時異例の措置として、平均約七・八%という厳しい給与減額支給措置を、平成二十五年度末までの間、講じようとするものであります。

 先日、政党間協議で基本的な合意がなされたと承知しており、ぜひとも早期に成立させていただきたいと考えております。

 公債依存度及び赤字公債発行が過去最大になったことについてのお尋ねがございました。

 平成二十四年度予算については、公務部門を中心に徹底した無駄の排除に取り組み、中期財政フレームに定められた公債発行額の枠組みを遵守することができましたが、復興財源への活用などに伴い、一般会計における税外収入が大幅に減少したことなどから、公債発行額が四十四・二兆円、そのうち特例公債発行額が三十八・三兆円となり、当初予算ベースでの公債依存度及び特例公債発行額については過去最高の水準となりました。

 公債金収入と税収が四年連続で逆転するなど、極めて厳しい財政状況が続いていますが、こうした構造からの転換を図る観点からも、社会保障と税の一体改革を推進することにより、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成に向けて取り組んでいくことが重要であると考えております。

 大型公共事業、思いやり予算、原発推進予算、政党助成金などの削減や、富裕層、大企業優遇税制の是正について御質問をいただきました。

 大型公共事業については、予算編成過程で事業内容を精査し、設計、工事の段階でもコスト縮減を徹底することで効率化を図っています。

 在日米軍関係経費については、在日米軍の運用を安定的に支えるために必要な経費と認識していますが、在日米軍駐留経費負担のあり方については包括的な見直しを行ったところであります。

 原子力関係予算については、既存の経費を相当程度縮減する一方で、安全・事故対策等に必要な経費を重点的に計上しています。

 このように、それぞれしっかり精査を行った上で必要な予算を措置しているところであります。

 なお、政党助成制度は、民主主義の発展に重要な意義を持つものと考えていますが、各党各会派で御議論いただくべき問題と考えております。

 富裕層、大企業優遇の不公正税制との御指摘についてでありますが、例えば、二十三年度税制改正における法人実効税率の五%引き下げについては、我が国企業の国際競争力強化などを通じて雇用や国内投資の拡大を図る観点から実施するものです。また、二十三年度税制改正において景気回復に万全を期すため二年延長した上場株式の配当、譲渡益等に係る軽減税率については、経済金融情勢が急変しない限り、二十六年一月から確実に二〇%の本則税率に戻すこととしております。

 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

    〔国務大臣安住淳君登壇〕

国務大臣(安住淳君) 佐々木先生にお答えいたします。

 私への質問は、研究開発税制と海外投資等損失準備金の延長についてでございました。

 研究開発税制における増加型及び高水準型に係る措置については、技術革新の促進を通じて成長力の強化を図る観点から、その適用期限を二年間延長することとしたところでございます。なお、本措置については、統計調査によりますと、平成二十一年度において、大企業で五百十二件、中小企業で千十九件の適用があり、幅広く活用されているものと認識をしております。

 また、海外投資等損失準備金については、海外における資源開発に係るリスクへの備えを支援するための措置でございまして、我が国企業における海外での資源開発を促進し、資源の安定確保を図る観点から、その適用期限を二年延長することとしたところでございます。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣川端達夫君登壇〕

国務大臣(川端達夫君) 佐々木議員にお答えいたします。

 来年度の地方財政計画における歳出の削減等についてのお尋ねがありました。

 来年度の地方財政計画の一般行政経費単独における社会保障関係経費以外の経費については、財政運営戦略を踏まえ国の歳出と基調を合わせて取り組む観点から、概算要求組み替え基準を踏まえ、前年度に比し二・六%減の二千百三十一億円を減額しております。

 一方、地方財政計画全体としては、地方の社会保障関係費の増加を適切に計上すること等により、住民福祉の向上を初め、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成二十三年度地方財政計画と実質的に同水準を確保しているところでございます。(拍手)

    〔国務大臣自見庄三郎君登壇〕

国務大臣(自見庄三郎君) 佐々木憲昭議員から二つの質問をいただきました。

 前者の質問に対する回答でございますが、今回閣議決定した社会保障・税一体改革大綱は、国民新党の下地幹郎幹事長、亀井亜紀子政調会長もメンバーとして加わっている政府・与党社会保障改革本部で議論が行われ、本年一月六日に同本部で決定された社会保障・税一体改革素案とほぼ同じ内容のものであり、私が閣議で署名させていただいたものであります。

 社会保障・税一体改革に関しては党内でもさまざまな論議があったことは事実でありますが、大綱については、こうした手続を経て、党としては正式に了承しているものと理解をしております。

 後者の質問に対する答弁でございますが、今後、消費税増税に係る法案が閣議決定されようとするときの賛否については、仮定の話であり、お答えすることは適当でないと考えています。

 いずれにいたしましても、消費税の増税は大変重要な問題であり、その具体化に当たっては、今後、大綱に寄せられる民意等を踏まえ、さらに多面的、多角的に検討し、議論を尽くしていく必要があるというふうに考えております。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 斎藤やすのり君。

    〔斎藤やすのり君登壇〕

斎藤やすのり君 新党きづなの斎藤やすのりでございます。

 きょうは、議案全般について、野田総理にお伺いいたします。(拍手)

 先週十七日に、社会保障と税の一体改革の大綱が閣議決定されました。三月中に消費税増税の法案が提出されるようでございますけれども、私たち新党きづなは、法案が出ても反対いたします。

 増税の前にやるべきことがあります。今、増税をするためのアリバイづくりのように、突貫工事でさまざまな行財政改革をやろうとしております。国家公務員給与の七・八%削減、これは二年間の限定。独法改革も、幾らカットできるのか明確ではなく、単なる組織いじりの上辺だけの改革にしか見えません。民営化も看板のつけかえ、それから、国へ出戻りする独法もある、統合される独法も組織をまたぐものはゼロ。ここまでやるのか、そういう覚悟が、残念ながら、全く見えません。

 私は野田総理に聞きたい、シロアリ退治をしないで消費税を引き上げるのですかと。

 行財政改革は取ってつけたようなものしかなくて、増税だけは命がけ。これは、今回の特例公債法案の中で、あるものを見るとよくわかります。年金交付国債です。

 消費税を引き上げた後に増税分二兆六千億円を年金特別会計に繰り入れるという約束手形、言い方をかえれば、消費増税しなかったら大変なことになるからなという人質国債、脅迫国債にしか見えません。これは、一二年度の新規国債発行額を四十四兆以下に抑えるためというトリックでもあり、極めて質の悪いトリックにしか見えません。

 しかも、消費増税については、与党内でも、閣内でも、当然国会内でも、国民の皆さんの中でも反対の声は多く、マニフェストに書いていないということで、コンセンサスが得られていません。そんな中で、強引に、おどしにも見えるこの公債法案が提出されたことに怒りを感じざるを得ません。

 野田総理にお聞きします。

 もし消費増税の法案が通らない場合、この交付国債はどうなるのか、二兆六千億円の穴埋めをどう考えておられるのか、増税ができなければ積立金を崩すおつもりなのか、見解をお伺いいたします。

 津波の被災地では人口流出が続いています。気仙沼市では、この十一カ月で、人口の約六%に当たる四千人も人口が減ってしまいました。雇用の受け皿になっている水産加工工場の再建がおくれているからです。雇用がないから、泣く泣く、断腸の思いで、故郷を離れて仙台や首都圏に移る人が続出しています。

 ここに来て、ようやく、水産加工業などの地場産業の復旧の糧になりますグループ化補助金が出ました。これで再建への道筋はようやくつき始めてはいるんですが、現場の話を聞きますと、今の支給規模ではもとに戻すにはほど遠いというふうに言っております。

 支給されたグループはまだいいんです。宮城県では、五百二十七の申請のうち、支給が決定したのがたったの六十一グループです。予算の上限が決まっているので、審査が厳しいんです。もっと予算が必要です。被災地の人口流出を防ぐためには、地場産業のさらなる底上げが必要です。グループ補助金の上乗せは考えておられるでしょうか。

 一方、今回の復興特別会計には、各省庁の管轄の独法への交付金がつけられています。民主党の事業仕分けで明らかになった公益法人の金の使われ方については、仕分けの判定を無視、風化させる形で、今もなお不透明です。

 しかも、予算の獲得に合わせて公益法人への各省庁の権限と天下りが強化されるシステムはいまだ健在で、この独法の予算は、当然、全面的に被災地の復旧復興として使われるはずだと思いますが、その認識でよろしいのでしょうか。

 震災関連の事業は、緊急性、重要性の高いものばかりなはずです。だからこそ、地方の活力を導くためにも、わざわざ独法を経由する必要のないものは、自治体や民間に直接任せてスピードアップを図るべきだと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。

 マニフェストに書いていない消費増税には一生懸命で、マニフェストに書いてあることには後ろ向きの野田政権。控除から手当へという約束もどんどんフェードアウトをしております。

 所得控除は、税率の高い高額所得者に高額の還付が行われる、逆進性の高い仕組みです。所得にかかわらず必要な方へ手当てをするんだ、直接給付を行う仕組みへ転換するんだというのが、民主党の掲げる目玉政策の一つであったはずです。子ども手当というのは、まさにその象徴でございました。

 今回の法案では、給与所得控除に上限が設けられることが盛り込まれています。しかし、これは、現行の所得控除の延長線上へシフトすることであり、控除から手当へというマニフェストを真剣に実行していない姿勢を示すものです。

 所得税は、所得により、低い方から、税率五%、一〇%、二〇%、二三%、三三%、四〇%と累進課税されます。しかし、扶養控除など所得控除の制度は、控除される金額は一定で、還付される額は控除額に税率を掛けた金額、すなわち、高額所得者ほど還付金が多くなる仕組みです。

 例えば、七十歳以上の両親と同居して扶養する場合、扶養控除額は百十六万円になります。この控除により還付されるお金は、いわば高齢親族同居手当とみなすことができるものでございます。しかし、実際に還付される金額は、所得の低い税率五%の方には五万八千円、課税所得二〇%なら二十三万二千円、税率四〇%の高額所得者には四十六万四千円が還付されます。

 つまり、同じく両親を扶養する二つの世帯が、給料の低い方が五万八千円で、所得の高い方は四十六万四千円の手当が支給されるという見方ができます。これは不公平ではないでしょうか。高齢者を扶養するのに高額所得者ほどお金がかかるという考え方なのでしょうか。

 私たち新党きづなの綱領の中では、全ての人々が幸せを実感できるように、地域間格差、所得格差、世代間格差をなくすということを明確に掲げていまして、この控除の不公平感に強い問題意識を持っています。また、東日本大震災では多額の寄附により義援金が集まりましたけれども、寄附金も高額所得者ほど還付率が高くなります。これもやはり不公平ではないでしょうか。

 新党きづなは、政治献金を含めた寄附行為などの場合においては税額控除とし、ほかの所得控除が実施されている場合においては、子ども手当の理念を貫き、直接給付とする制度へ転換を図るべきだと考えております。税制上の逆進性を解消させ、国民との約束どおり、控除から手当への理念どおり、給付制へ転換していく必要があると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。

 マニフェスト違反といえば、TPPです。

 今回、エコカー減税が三年延長されました。このエコカー減税について、三年前にクレームを言ってきた団体があります。それは、米国の自動車ビッグスリーが加盟する業界団体です。彼らは、エコカーについて、輸入車を差別扱いしていて不公平だという抗議文書をUSTRに送っています。さらに、先日、この団体は、TPPに関するパブリックコメントで、日本国内の生産者のみが利益を受ける軽自動車規格に対する特別待遇は廃止するべきだとコメントしております。

 こういった意見は、TPP交渉下で日本に突きつけられる可能性があります。突きつけられた場合、野田総理は、エコカー減税や我が国の自動車の規格、技術基準などを守るつもりはおありでしょうか。仮に守ったとしても、ISD条項で提訴されるリスクもあるという認識はおありでしょうか。

 民主党が二〇〇九年の総選挙で掲げたマニフェストには「公平で、簡素な税制をつくる」と書いてあります。しかし、今改正では、それとは裏腹に、複雑でわかりにくく、国民が効果を体感できないものが多い。特に複雑でわかりにくい年金交付国債という禁じ手を使ってまで消費税を上げる姿勢に対し、私は、政権の中枢にいる方に対し、どうか目を覚ましてください、原点に戻ってくださいと強く訴えたいと思っております。

 こんなことでは、税制のみならず、政治の信頼も失ってしまうのも当然です。政府に対しては、国民の信頼を取り戻すためにも、できること、約束したことを実行してくださいと、心から、心から強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 斎藤議員の御質問にお答えいたします。

 まず、消費税率引き上げと行政改革の関係についてお尋ねがございました。

 消費税率の引き上げを含む社会保障・税一体改革は、経済再生、みずから身を切る政治・行政改革とも一体で、まさに包括的に進めていかなければならない大きな改革であると考えております。

 歳出削減、行政改革については引き続き無駄遣いの根絶に不断に取り組むとともに、公務員人件費については、政党間協議の結果、国家公務員給与の平均約七・八%を削減することで合意に至ったところであり、関連する法律を早急に国会で成立させるべく努力し、御指摘の独立行政法人については、大胆な統廃合と機能の最適化により、法人数を四割弱削減するといった改革を進めていくこととしており、今後、行政改革実行本部において、政府一丸となって、改革を総合的かつ強力に推進していきたいというふうに思います。

 増税をするためのアリバイづくりのような突貫工事という御指摘がございましたけれども、例えば公務員の人件費の削減については、大島さん、稲見さん、あるいは各党の実務者が、本当に血のにじむような努力をして今回合意したんです。

 評論では政治は進みません。このように粘り強く行政改革、政治改革を進める同志の皆さんとともに、これからも改革の姿勢を堅持していきたいというふうに思います。

 次に、年金交付国債に関する御質問をいただきました。

 今回の年金交付国債による対応は、二十四年度基礎年金給付費の二分の一と三六・五%の差額を国庫の負担としつつ、年金財政への国庫金の繰り入れは消費税引き上げ後に消費税収を充てて行うことを明確にするために行うものであります。

 消費税引き上げのための法案が成立しない場合の対応についてのお尋ねでありますが、政府としては、基礎年金国庫負担二分の一を実現するための財源は消費税を含む税制抜本改革に求めることが不可欠と考えており、これは現行年金法の本来の考え方にかなうものでありますので、年金財政の安定確保に向けて御理解をお願いしたいと思います。

 グループ補助金の上乗せについての御質問をいただきました。

 中小企業等グループ補助金については、これまで、百七十二グループ二千七百二十一社に対し、国費千三百七十六億円、県費と合わせて二千六十四億円の支援を実施しております。

 グループ補助金については、地域の産業の振興や雇用の創出を促すものとして大きな意義があり、地元からの要望も強いと承知をしております。このため、平成二十四年度政府予算案においても五百億円を計上しており、この予算の実現のためにも、予算案の早期成立に御協力をいただきたいと思います。

 東日本大震災復興特別会計における独立行政法人向け支出に関する御質問をいただきました。

 政府としては、東日本大震災からの復旧復興に全力で対応するため、必要となる復旧復興事業には適切に予算措置を行い、これを東日本大震災復興特別会計に計上しておりますが、この中には独立行政法人向けの財政支出も含まれております。

 東日本大震災復興特別会計に計上している独立行政法人による事業には、例えば住宅金融支援機構による災害復興住宅融資等の実施など、東日本大震災からの復旧復興の観点から、緊急性、重要性を有するとともに、独立行政法人を通じて実施されることが適当と判断されるものを計上しており、政府としては、これらの事業も活用しながら、速やかな復旧復興に向けて引き続き努力をしてまいります。

 所得税の所得控除の考え方についてのお尋ねがございました。

 超過累進税率を採用している現行所得税の所得控除制度では、控除による税負担の軽減効果が納税者に適用される限界税率に比例して大きくなるため、結果として高所得者に有利な制度となっていますが、これは、現行の所得税制上、課税所得を算出する段階で控除を行っていることによるものであり、高額所得者ほどお金がかかるという考え方によるものではありません。

 控除から手当への改革と寄附金税制についての御質問をいただきました。

 所得税の所得控除制度については、先ほど申し上げたとおり、結果として高所得者に有利な制度となっていることを踏まえ、これまで、所得控除から、税額控除、給付つき税額控除、手当へと改革を進めてまいりました。

 具体的には、平成二十二年度税制改正において、子ども手当の創設と相まって年少扶養控除を廃止し、高校の実質無償化に伴い、十六歳から十八歳に係る特定扶養控除を縮減したところであります。

 さらに、今後の扶養控除等のあり方については、社会保障改革の内容等を踏まえて、引き続き検討していくこととしております。

 なお、寄附金税制については、平成二十三年度税制改正において、認定NPO法人等に対する寄附に係る所得税の税額控除を導入したところであります。

 最後に、TPP交渉参加に向けた米国との協議についてのお尋ねがございました。

 我が国のTPP交渉参加に関する米国政府の立場は、御指摘のパブリックコメント等を踏まえて検討されているところと理解しています。

 今後、米国を含む関係国との協議を進めていく中で、自動車分野を含む個別の二国間懸案事項への対応を求められる可能性は否定できませんが、その場合でも、我が国としては、何が対応可能で何が対応困難かを明確にし、あくまでも個別に対応する考えです。

 また、御指摘のISDS手続を含む投資関連協定は、締約国が必要かつ合理的な規制を行うことを妨げるものではありません。なお、我が国は、既に締結した十五の投資協定及び九つの経済連携協定においてISDS手続を確保してきており、何ら新しい制度ではなく、また、我が国がこれまで同手続で訴えられた例はありません。

 以上でございます。(拍手)

副議長(衛藤征士郎君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(衛藤征士郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   野田 佳彦君

       総務大臣     川端 達夫君

       財務大臣     安住  淳君

       国土交通大臣   前田 武志君

       国務大臣     岡田 克也君

       国務大臣     自見庄三郎君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  齋藤  勁君

       総務副大臣    黄川田 徹君

       財務副大臣    五十嵐文彦君


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