衆議院

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第10号 平成24年3月23日(金曜日)

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平成二十四年三月二十三日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第七号

  平成二十四年三月二十三日

    午後零時三十分開議

 第一 不正アクセス行為の禁止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第六 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第七 沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第八 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第九 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十 都市再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十一 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 不正アクセス行為の禁止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第六 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第七 沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第八 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第九 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十 都市再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十一 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件


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    午後零時三十二分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 不正アクセス行為の禁止等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第一、不正アクセス行為の禁止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長荒井聰君。

    ―――――――――――――

 不正アクセス行為の禁止等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔荒井聰君登壇〕

荒井聰君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、近年における不正アクセス行為の手口の変化に対応し、その禁止の実効性を確保するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、識別符号の不正流通を防止するため、他人の識別符号を不正に取得する行為等を禁止するものであります。

 第二に、不正アクセス行為からの防御に関する啓発及び知識の普及に努める者に都道府県公安委員会を加えることとするものであります。

 第三に、国家公安委員会、総務大臣及び経済産業大臣は、アクセス管理者による防御措置を支援する団体に対し、必要な情報の提供その他の援助を行うよう努めなければならないこととするものであります。

 第四に、不正アクセス行為をした者及び相手方に不正アクセス行為の用に供する目的があることの情を知って他人の識別符号を提供した者に係る罰則の法定刑を引き上げることとするものであります。

 本案は、去る三月十三日本委員会に付託され、翌十四日松原国家公安委員会委員長から提案理由の説明を聴取いたしました。次いで、三月十六日に質疑を行い、質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第二、関税定率法等の一部を改正する法律案、日程第三、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、日程第四、銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第五、株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長海江田万里君。

    ―――――――――――――

 関税定率法等の一部を改正する法律案及び同報告書

 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

 株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔海江田万里君登壇〕

海江田万里君 ただいま議題となりました各法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、関税定率法等改正案について申し上げます。

 本案は、関税率等について所要の措置を講ずるほか、貿易円滑化のための税関手続の改善等を図るものであります。

 本案は、去る三月十三日当委員会に付託され、十四日安住財務大臣から提案理由の説明を聴取し、十六日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 次に、中小企業金融円滑化法改正案、銀行株式等保有制限法改正案及び企業再生支援機構法改正案について申し上げます。

 まず、中小企業金融円滑化法改正案は、中小企業金融円滑化法の期限を平成二十五年三月三十一日まで延長するものであります。

 次に、銀行株式等保有制限法改正案は、銀行等保有株式取得機構による株式等の買い取り等の業務の期限を平成二十九年三月三十一日まで延長する等の措置を講ずるものであります。

 次に、企業再生支援機構法改正案は、企業再生支援機構による支援決定期限を平成二十五年三月三十一日まで延長する等の措置を講ずるものであります。

 各案は、去る三月十六日当委員会に付託され、同日自見国務大臣及び古川国務大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、二十一日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、企業再生支援機構法改正案に対し、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案に係る、再生支援の申し込みをすることができる事業者から、政令で定める大規模な事業者を除くこととする修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、討論を行い、順次採決いたしましたところ、中小企業金融円滑化法改正案は全会一致をもって、銀行株式等保有制限法改正案は賛成多数をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決し、企業再生支援機構法改正案は、修正案は全会一致、修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決され、修正議決すべきものと決しました。

 なお、銀行株式等保有制限法改正案及び企業再生支援機構法改正案に対しそれぞれ附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) これより採決に入ります。

 まず、日程第二につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第三につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第四につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第五につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第六 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第七 沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第六、沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案、日程第七、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。沖縄及び北方問題に関する特別委員長福井照君。

    ―――――――――――――

 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書

 沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔福井照君登壇〕

福井照君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、沖縄及び北方問題に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 両法律案のうち、まず、沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案は、沖縄の自主性を最大限に尊重しつつその総合的かつ計画的な振興を図るための特別措置の充実等を図ろうとするものであります。

 次に、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案は、駐留軍用地跡地の利用の促進及び円滑化のための措置を効果的に推進するための特別措置の充実等を図ろうとするものでございます。

 両法律案は、去る十三日本委員会に付託され、翌十四日川端沖縄北方担当大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。

 翌十五日には、沖縄振興法の一部改正案に対し、宮腰光寛君外三名から、自由民主党・無所属の会、公明党、社会民主党・市民連合の共同提案による修正案が提出され、趣旨の説明を聴取した後、両案及び修正案に対する質疑を行いました。

 引き続き、翌十六日及び二十一日に質疑を行い、三会派共同提出の修正案について撤回を許可し、質疑を終局いたしました。質疑終局後、沖縄振興法の一部改正案に対し、沖縄の振興及び自立的発展を推進するため、特別措置の一層の充実を図ることとする修正案を提出し、趣旨説明の後、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第でございます。

 次いで、軍転法の一部改正案に対し、題名を「沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法」に改めること等の修正案を提出し、趣旨説明の後、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第でございます。

 なお、両法律案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第八 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第八、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長中山義活君。

    ―――――――――――――

 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔中山義活君登壇〕

中山義活君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、競輪及びオートレース事業をめぐる状況の変化に対応して、今後ともこれらの事業を持続可能なものとするためでございます。施行者の自主性を高めるなど、事業運営及び経営改善に資するための措置を講じようとするものであります。

 その主な内容は、交付金制度の改革、的中者に対する払い戻し率の範囲の拡大、開催回数、開催日程に係る規制の廃止等であります。

 本案は、去る三月十四日本委員会に付託され、十六日に枝野経済産業大臣から提案理由の説明を聴取し、二十一日に質疑を行った後、討論、採決を行った結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第九 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第九、児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長池田元久君。

    ―――――――――――――

 児童手当法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔池田元久君登壇〕

池田元久君 ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案、つまり原案は、中学校修了前の子供を養育している者に対し、手当を支給しようとするもので、その主な内容は、

 第一に、手当の名称を「子どものための手当」にするとともに、中学校修了前の子供を養育している者に対し、子供一人につき月額で、三歳未満の子供には一万五千円、三歳以上小学校修了前の第一子または第二子の子供には一万円、第三子以降の子供には一万五千円、小学校修了後中学校修了前の子供には一万円の手当を支給すること、また、平成二十四年六月分以降については、前年の所得が一定の額以上である場合には、一律五千円にすること、

 第二に、手当の支給に要する国と地方の費用負担の割合を改めること

等です。

 本案は、去る三月十五日本委員会に付託され、翌十六日小宮山厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取しました。

 二十一日、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党より修正案が提出され、趣旨説明を聴取いたしました。

 修正案の主な内容は、手当の名称を「児童手当」とし、法律の題名を「児童手当法」とすること、平成二十四年六月分の児童手当から適用される所得制限により児童手当が支給されない者に対し、当分の間の特例給付として、児童一人につき月額で五千円を支給すること、子育て支援に係る財政上または税制上の措置等に関する検討規定を設けること等です。

 次いで、原案及び修正案を一括して質疑を行った後、討論、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第です。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 討論の通告があります。順次これを許します。高橋千鶴子さん。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、児童手当法改正案に反対の討論を行います。(拍手)

 二〇〇九年の政権交代直後、民主党が真っ先に実行したのは、生活保護世帯の母子加算の復活と、相対的貧困率の公表でした。子供の七人に一人が貧困という衝撃的な数字とともに、子ども手当は、貧困の連鎖を断ち切るカンフル剤として、また、先進国の中でも極端に少ない日本の子育て予算を大幅に拡充する第一歩として、期待されたと思います。

 それがどうでしょうか。二〇一〇年最初に出された法案は、一年限りの時限立法であり、公約だった二万六千円の半額支給、全額国庫負担のはずが児童手当のスキームをかりて地方自治体にも従来どおりの費用負担を求める、継ぎはぎだらけのスタートを切りました。この二年間で四回の法改正を余儀なくされ、結局、一度もマニフェストに即した法案は出されませんでした。そして、子ども手当は名実ともに児童手当に戻り、あげく、増税だけが残ったのです。

 国民への約束を投げ捨てた政権与党民主党の責任は極めて重く、子ども手当を政争の具にしてきた自民、公明両党の姿勢にも怒りを禁じ得ません。

 まず第一に、手当と負担の関係です。

 昨年、所得税の年少扶養控除が廃止されたことにより、約一割、年収八百万前後で三歳未満の世帯で実質手取り額が減少しました。ことし六月からは、さらに住民税の年少扶養控除も廃止されることから、その影響は大きく広がります。夫婦と子供一人の世帯、中学生を除く年収四百万から五百万円以上の世帯が手取り減になります。

 子育てを応援するはずが、同じ子育て世帯を狙い撃ちにした増税で差し引き負担増とは、どんな言い逃れも許されるものではありません。

 民主党は、これまで、控除は所得の高い人ほど有利だから、一律に子ども手当を支給するかわりに控除を廃止して再分配機能を高めると説明してきました。この控除から手当へという理念から見ても、全くつじつまが合わないものです。

 次に、子育て支援策についてです。

 日本共産党は、当初から、現金給付と保育所増設などの現物給付を車の両輪で進めるべきだと主張してきました。

 年少扶養控除の廃止などによる地方増収分については、児童手当の地方負担増加分の相殺、子育て地方独自支援策は一般財源化など、子育て支援の現物給付拡充にはなっていないのです。さらに、税と社会保障の一体改革の中で充実策と位置づけている子ども・子育て新システムも、財源は消費税増税を見込んだものであり、公的保育の責任を曖昧にし、保育の市場化を進めるものであり、断じて認められません。

 東日本大震災から一年以上がたちました。あしなが育英会の調査では、親を亡くした子供が、一千二百六世帯、二千五人にも上ります。福島の県内外に避難あるいは転出した少なくない子供たちが、親と離れて暮らしています。このようなときに、子ども手当をばらまきだと叫んで復興財源に回せという議論には承服できません。

 また、目的規定に、「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有する」という前置きが入りました。当たり前のことを、なぜ、書く必要があったのでしょうか。子育ては自己責任を強調したいのか、あるいは、家制度へのこだわりですか。全く国民不在の議論であったと言わなければなりません。

 日本共産党は、子供が一人の人間として尊重されるという国連子どもの権利条約の精神の実現を目指し、子供の貧困の解消や公的保育の拡充など、安心して子供たちが成長できる施策の充実のために全力を挙げる決意を申し上げ、反対の討論といたします。(拍手)

議長(横路孝弘君) 長尾敬君。

    〔長尾敬君登壇〕

長尾敬君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案並びに民主党、自由民主党、公明党提出の修正案につきまして、賛成の討論を行います。(拍手)

 社会保障・税一体改革大綱にあるように、私たちは、子供が、家族や社会とかかわり、良質な環境の中でしっかりと育つ社会を目指しております。子育て支援は、個人への現金給付、待機児童ゼロを含め保育サービス向上等の現物給付、仕事と育児の両立支援の、三本立てで進めていかなければなりません。

 現金給付については、平成二十二年度に子ども手当を創設し、中学校修了までの子供に対し月額一万三千円の給付を始めましたが、給付のあり方などについて厳しい御指摘もあり、恒久制度構築に至りませんでした。

 現行の特措法の期限は今月末。平成二十四年度以降の制度について法律が成立しなければ、旧来の児童手当に戻り、受給者の皆様、給付事務を担う地方自治体に多大な影響を及ぼすことになり、自由民主党、公明党の皆様にも御協力をいただきながら、三党合意に即し修正されたものが今回提出をされております。

 三党合意により、目的規定を、「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資すること」を目的とする修正案と原案に賛成する理由を申し上げます。

 第一に、児童手当法に所要の改正を行い、子ども手当制度の支給対象等も参考とし、新たな児童手当制度が恒久的に構築されることになる点であります。

 結果、これまでの児童手当を中学校まで拡充し、その上で、全ての子供に五千円が支給されるという、子供に着目した積極的な子育て支援を実現することができます。

 第二に、年少扶養控除廃止の影響により、受給世帯の手取り額の減少をできるだけ緩和するための措置として、所得制限額以上である者に、当分の間、月額五千円の特例給付を行うこととしている点であります。

 第三に、現行の特措法に盛り込んだ事項を継続する必要があるという点です。

 給付対象の児童に対し国内居住要件を設定すること、児童養護施設に入所している児童等についても施設設置者等に支給する形で手当を支給すること、保育料を手当から直接徴収できる仕組みとし、学校給食等を本人同意により手当から納付する仕組みを実現しております。

 第四に、まだ給付申請をされていない方が数十万人いらっしゃいます。今月末までとなっております遡及支給の特例措置を平成二十四年九月三十日まで延長する必要があるという点であります。

 子は国家の宝であります。しかし、我が国の社会保障制度は、世代間バランスとして子供に対して手薄いと言わざるを得ないほど偏りがあることは、皆様周知の事実であります。これを是正するべく、子ども手当を国民の皆様にお示ししたわけですが、今回、一つの節目を迎えるに当たり、給付金額、財源負担など、当初のお約束に至りませんでした。

 それでも、政権交代から二年半、子ども手当という政策の議論を通して、子供を産み育てることの喜びとは何か、そのためにどのような環境整備が必要なのかについて大いなる議論がなされたことは、必ずや、将来の子育て政策の芽となり、幹となるであろうことを私は確信いたしております。

 以上、賛成する主な理由を申し述べ、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) 小林正枝さん。

    〔小林正枝君登壇〕

小林正枝君 私は、新党きづなを代表して、ただいま議題となりました児童手当法改正案、そして、民主党、自民党、公明党提出の修正案について、それぞれ反対の立場から討論いたします。(拍手)

 マニフェストとは、抽象的なスローガンや政策の羅列ではなく、選挙後に達成度を検証できるよう、政策の数値目標や実施期限などを具体的に明示した、政党の選挙公約です。私たち新党きづなのメンバーは、総選挙の際に、民主党の公認候補として、最も重要な政策として位置づけられた子ども手当について、中学卒業まで月額二万六千円の手当を二〇一一年度から支給しますと国民に訴え、約束し、当選を果たしました。

 多くの国民が民主党の掲げる子育て支援政策に共感し、総選挙の勝利に結びついたことは、疑いようがありません。ベビーカーを押した多くのお母さんたちが期日前投票をされていた光景を、今でも忘れることはできません。

 この妥協の産物と化した修正案は、たび重なる名称の変更と支給額の減額など、およそマニフェストの理念と余りにもかけ離れた内容になってしまいました。

 民主党の皆さん、この内容で本当によろしいのでしょうか。この一点をもってしても、十分に反対する理由になります。

 また、修正案では今後の控除の復活を求めており、控除から手当へという理念も後退してしまいました。

 さらに、社会全体で子供を育むという最も重要な理念が、「保護者が子育てについての第一義的責任を有する」という文言によって消されてしまったのではないでしょうか。日本の将来を担う次世代を育成するには、社会全体で取り組むことは当然のことであり、保護者に第一義的な責任を負わせるのを強調することは、国としての責務を放棄したことにつながるのではないでしょうか。

 さまざまな事情で保護者が不在となってしまった子供たちは、誰が責任を持って守るのでしょうか。子供にかかわる事件や事故が起こった際の責任転嫁のために、あえて加えた文言、あるいは保険なのでしょうか。

 国民は、憲法二十六条により、ひとしく教育を受ける権利を有しています。平等という観点から、修正案の九百六十万円という所得制限の根拠、さらに名称の変更についても、委員会審議において納得できる答弁を得ることはできませんでした。

 私たち新党きづなは、結党時に、国民との約束を守ることは国民とのきずなを守ることに通じると訴えてまいりました。今回の児童手当法改正案に賛成することは、私どもにとっては結党の理念を否定することになり、民主党の皆さんにとっては、マニフェストの一丁目一番地を否定することにつながるのではないでしょうか。

 何よりも、猫の目のようにくるくると変わる制度に翻弄され、何度もライフプランの変更を余儀なくされた多くの国民に謝罪すべきです。私たち新党きづなは、子育てこそ長期的な視野に立って取り組むべき政策であり、将来の日本への投資であると位置づけています。この重要な国策を、目先のことにとらわれ、妥協や政治的思惑の取引材料にしてはなりません。

 二宮尊徳の言葉に、遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧すというものがあります。物事を長期的な利益で考える人ほど裕福になり、短絡的に目先の利益ばかり考えている人は貧しくなるという意味であります。

 今の政府の姿は、消費税、TPP、年金問題などの対応全てが、近くをはかる者そのものなのではないでしょうか。

 私たち新党きづなは、当初案から大幅に後退し、骨抜きにされた修正案に対し、断固として反対することを表明して、私の反対討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) 永岡桂子さん。

    〔永岡桂子君登壇〕

永岡桂子君 自由民主党の永岡桂子です。

 私は、自民党・無所属の会を代表して、児童手当法の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 平成二十二年三月、児童手当制度の仕組みをかりる形で、子供の養育という本来は家庭が担う行為を社会全体で支えるとした、いわゆる子ども手当法案が成立いたしました。以来、はや二年の歳月が流れました。

 法律案が提出された当時、子供の出生順位、年齢、子供の属する世帯の所得などの条件にかかわらず、全ての子供に同額の手当を給付することなどから、政策効果や財政を顧みない単なるばらまきであり、あからさまな票目当ての選挙戦略にすぎないとの批判は大きなものがありました。

 また、児童手当制度を廃止し、子ども手当制度に変更することにしていたにもかかわらず、財源のやりくりに四苦八苦したあげく児童手当制度の仕組みを使わざるを得なかったことに対して、噴飯物であるとの指摘もありました。

 さらには、財源の確保はままならず、ゼロ歳から中学生まで一律一万三千円としたため、従前の児童手当制度と扶養控除が併存していたころより何と実質的な手取り額が減少する子育て世帯、これが数多く発生するという、まことに皮肉な結果となりました。

 当然のことながら、このようなとんでもなく問題の多い子ども手当法案に対して、さまざまな議論がまさしく百出いたしました。その一つ一つをここであげつらうほど、我が自民党は子供ではありません。

 初めての子ども手当法案の採決に際して、制度そのものが有する問題点、すなわち、国家財政を危うくしかねない余りにも大き過ぎる子ども手当の予算、子供のためという美名のもとに、子供そっちのけでおのれの理念に固執する姿勢を強く強く糾弾し、政権与党としての責任を問い、声の限りに叫んだことは、今は昔でございます。

 さて、この二年間を振り返ってみましょう。

 平成二十二年、子ども手当制度が鳴り物入りで発足したものの、恒久制度とすることもできず、それ以降はつなぎ法案の連続で何とか体裁を繕うありさまでございました。それも、初めの一年間はまだいい方でありました。次は半年間、その次はまた半年間です。ざんきの念の一かけらも見当たらないその所業は、まことに情けない限りでありました。

 このように、綱渡りに等しいつなぎ法案の連続で過ぎたこの二年間、扶養控除は廃止になり、当初宣言していた二万六千円どころか、手当の先行きも不透明なことが、図らずも、国民の皆様を不安にさせてしまいました。また、当初全額国庫負担と思われた子ども手当に実は地方負担があったことなど、自治体の皆様に対しても、その手続や負担の面などで多大な御苦労をおかけいたしました。

 社会保障の提供の基本は、あくまでも自助自立を第一とし、共助、さらには公助の順に従った政策の組み合わせによるものでなければなりません。重要なことは、安易なばらまきの道を排して、負担の増大を極力抑え、真に必要な社会保障を提供することなのです。

 いいですか。世の中に、百人が百人、全員が満足する制度や施策はないんです。政治は夢物語ではありません。政治家がすることは、たとえ全国民が満足できなくとも、国民が納得できる現実的な制度、施策をつくり、そのときの政治や経済情勢に応じて、よりよいものへと改善していくことなんです。

 本法律案は、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資するため、児童手当法に所要の改正を行い、対象年齢を中学生まで拡大するとともに、手当額を拡充するなど、新たな児童手当制度を構築するものです。そのために、名称を「児童手当」と確定するとともに、明確に所得制限を規定し、さらに、税制における年少扶養控除の復活を含め、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の検討条項を加えるという修正を行いました。

 今国会、民主党は、昨年八月の三党合意をほごにして、「子どものための手当」とした法律案を提出しました。公党間の約束は一体どこへ行ったのか、本当にひどいと、私たちの不信感が増したのです。

 しかし、年度末ぎりぎりになって、これは大変と大汗を流してあたふた駆けずり回り、白旗を掲げ、これほどまでの大修正をのむしかなかった民主党に対して、心から感謝を申し上げます。つなぎではない安定した制度となったことは、喜ばしいことであります。

 私たち自民党は、結党以来、そのほとんどを政権与党として、国のあるべき姿を考えてまいりました。政治家の言葉の重み、そして、合意という公党間の約束事の重要性は十分知っております。そして、そのように行動をしてまいりました。

 年度末を目前にして、事の重要性をよく理解した政権与党である民主党が、ここまで譲歩をしてつくり上げた新たな児童手当です。このことを多として、私たち自民党は、賛意を表明したのであります。

 自民党は、これまでの少子化対策にとどまらず、家族を幅広く支える家族支援政策を積極的に進めてまいります。子供に対する現金給付とともに重要な、待機児童の解消、保育制度の充実などの現物給付の充実を第一に考え、取り組んでまいります。

 家族の助け合い、すなわち、家族の力の強化により、自助を大事にします。自発的意思に基づく共助を大事にします。そして、その力が十分に発揮される社会を構築するため、全力を尽くしてまいります。

 子供を持った親が子育てと仕事を両立していくのは、実に大変なことです。子育てと仕事の両立が重荷とならないような働き方や社会的な支援策の確立は、何よりも重要な施策であると考えます。特に、子育てをしながら一人で生活を維持している母子家庭のお母さんが安心して子育てができるよう、よりよい就業、経済的な自立を支援するための政策など、公助を必要とする人への政策について、地方と協力して、総合的に強力に推し進めてまいります。

 今後とも、自民党は、被災者を初めとする全ての国民のため、誠実に真実を語り、勇気を持って決断する政治を行っていくことをお誓いし、私の賛成討論といたします。(拍手)

議長(横路孝弘君) 古屋範子さん。

    〔古屋範子君登壇〕

古屋範子君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案の修正案について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 子供に対する手当の制度のあり方については、昨年八月四日の自民党、公明党、民主党の三党合意によって、平成二十三年度末までの暫定措置及び平成二十四年度以降の恒久的な制度のあり方が明確になっています。

 これに基づき、平成二十三年十月分から平成二十四年三月分の支給額等の暫定措置を定めた特別措置法が可決され、今年度末までの手当の支給が可能となったことに加え、平成二十四年度以降については、児童手当法に所要の改正を行うことを基本とすることが同特措法に明記されました。

 このことは、まさしく、民主党が、中学生までの子供一人につき二万六千円を全額国庫負担で支給するという子ども手当を断念し、現実路線へと転換したことを意味するものであります。私たちは、この民主党の決断を歓迎し、平成二十四年度以降の対応については、三党合意を踏まえた恒久的な制度設計が政府から提案されるものと期待をしておりました。

 今般政府が提出した法案の中身は、昨年八月の特措法の内容を踏襲するものであり、おおむね了承できるものの、以下二点については修正が必要と判断をしました。

 一点目の名称については、児童手当法の改正案であるにもかかわらず、「子どものための手当」という名称を用い、子ども手当があたかも継続するかのような表現を残したことは看過できません。

 子供に対する現金給付は、政権交代以来この二年半余り、民主党政権の迷走によって、暫定的な法制上の措置が続いてきました。それは、児童手当法に基づく給付をベースとしつつ、それ以外の足らざる部分を子ども手当法で補うというものです。すなわち、名前こそ子ども手当法でしたが、その内容は、実質的に、公明党が昭和四十七年の制度発足以来一貫して推進してきた児童手当法の拡充そのものでありました。

 この間、公明党は、子育て世帯の安心につながるような持続可能な制度づくりや現物給付とのバランスを含めた財源確保などを求めてきましたが、民主党政権は一度も恒久的な子ども手当法案を提出することができませんでした。財源確保をめぐり毎年のように繰り返される綱渡りのような財政運営を見ても、子ども手当の実現が困難であることは明白です。

 いわば子ども手当は、民主党の数々のマニフェスト違反の象徴であり、国民への謝罪と説明もなくこれ以上その名称を使うことなど、到底許されるものではありません。

 子ども手当と完全に決別することを改めて明確にすべきであります。そして、政権交代後も廃止できなかった児童手当法に戻した上で、恒久的な制度づくりを行うことが当然の帰結であると断言いたします。

 二点目は、昨年八月の三党合意でも今後の検討課題となっていた所得制限世帯への給付です。

 そもそも民主党は、子ども手当創設のために、所得税の配偶者控除、扶養控除を廃止する考えを明らかにしていました。結局、配偶者控除を廃止せず、所得税の年少扶養控除の廃止に加え、予定していなかった住民税の年少扶養控除の廃止に踏み切りました。

 このため、扶養控除の廃止による影響を踏まえた実質的な手取り額について再検討が必要となり、昨年八月に成立した特措法では、三歳未満は一万五千円、三歳以上小学校修了前の第一子、第二子は一万円、三歳以上小学校修了前の第三子以降は一万五千円、中学生は一万円という支給月額に改められました。

 同様に、所得制限世帯についても、税制上または財政上の措置を含めた検討が必要であったにもかかわらず、十分な協議を行うことなく月額五千円の支給を決めた政府の対応には問題があります。

 以上の二点について、修正案では、手当の名称について「児童手当」とし、法律の名称も「児童手当法」に戻すことになりました。これは、当然の結論です。

 所得制限世帯への給付については、本則上の給付とはせず、当面の間の特例給付に位置づけ、今般の法改正後の児童手当の支給並びに所得税並びに道府県民税及び市町村民税に係る扶養控除廃止による影響を踏まえつつ、そのあり方を含め検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずることが附則の検討規定に盛り込まれることとなりました。

 さらには、依然として、昨年八月の特措法に基づく手当の未申請者がいることについて、その第一義的な責任は、制度改正の周知徹底が不十分であった政府にあり、未申請者に帰すべきものではないという公明党の主張を踏まえ、平成二十四年三月三十一日までとされていた遡及支給の特例措置等を平成二十四年九月三十日まで延長することが盛り込まれたことは、必要な措置と考えます。政府においては、引き続き、周知徹底に万全を期すべきです。

 以上が、児童手当法改正案の修正案に対する主な賛成理由です。

 今般の法案成立は、子育て世帯への安定した現金給付制度を継続するために必要な措置と考えますが、一方で、年少扶養控除廃止の影響を含めた実質的な手取り額については、さらなる検討が必要です。

 また、おくれている保育所整備等の現物給付について、政府は、子ども・子育て新システムの導入で対応する方針ですが、待機児童の解消策や財源確保の見通しなど不明な点も多く、その効果は未知数です。

 そのほか、依然として、第一子の出産を機に女性の約六割が退職されている現状を踏まえ、ワーク・ライフ・バランスの確保にも本腰を上げて取り組まなければなりません。

 本修正案の成立が、子育て世帯を取り巻くこうした課題をいま一度直視し、与野党が、安心して子供を産み育てられる環境整備に最優先で取り組む契機となることを念願して、私の討論を終わります。(拍手)

議長(横路孝弘君) 阿部知子さん。

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、児童手当法の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 しかしながら、この賛成は、児童手当が平成二十一年度以前の水準、対象に逆戻りして、受給者、自治体へ大きな混乱を及ぼすことを避けるという一点のためであり、本質的な賛成ではありません。

 我が国においては、古くから、子供は未来であり、宝であると言われてきました。しかし、この二年間の論議の過程では、子供たちの育ち行く権利、揺りかごとしての家庭の意味と役割、そしてそれらを迎え入れる地域や社会のあり方、必要とされる国の施策について、真剣に論じられたとは到底思えません。

 目的、対象年齢、支給水準、費用負担のあり方、所得制限の必要性などの本質的論議は、いわゆる三党協議の陰に隠され、国民からは見えなくなりました。

 また、住民税の年少扶養控除廃止の影響で、今年六月分以降、所得制限額以上の家庭だけでなく、年収四百万円台の中堅世帯の実質手取り額まで減少してしまい、そもそも何のための現金給付であるのか、その根幹が揺らいでいます。

 さらに、子ども手当の導入と年少扶養控除廃止をセットにした今回の手法が子育て世代内での所得再配分に帰結した点も大きな問題です。子供の育ちを社会全体で応援するという理念は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか。これでは、子ども・子育て新システムも含む社会保障と税の一体改革にも疑念を抱かざるを得ません。

 加えて、子育て世代から徴収する地方住民税増収分が、国民健康保険の都道府県調整交付金やエコカー減税地方負担分の振りかえなど、子育て施策とは全く関係のない分野に使われる一方で、地方独自の子育て支援策を何の検証もなく一般財源化することは、子供の施策そのものの後退につながります。

 子ども手当は、この二年間で四回も立法措置が繰り返されてまいりました。この間の混乱は、子育て世代の政治に対する不安感、不信感を増幅させ、また、現金給付と車の両輪である保育所の増設などの現物給付への取り組みを鈍らせてまいりました。

 私は、政治家一人一人がこの事態を真剣に受けとめ、国連子どもの権利条約の精神にのっとり、また、かつての文明開化期に西欧人の目に映った、素朴で絵のように美しい日本を取り戻すためにも、子供を守ることを最優先の課題と考え、誠実に取り組むことを訴えて、私の討論といたします。(拍手)

議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(横路孝弘君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十 都市再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(横路孝弘君) 日程第十、都市再生特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長伴野豊君。

    ―――――――――――――

 都市再生特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔伴野豊君登壇〕

伴野豊君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、大都市の交通結節点など都市機能が集積した地域において、官民の連携により、防災対策を計画的に推進するための措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、都市再生緊急整備地域における滞在者等の安全の確保を図るため、必要な施設の整備や円滑な誘導等について官民の協議会が計画を作成する都市再生安全確保計画制度を創設すること、

 第二に、計画に記載された退避施設、備蓄倉庫等の整備を促進するため、建築確認等の特例を措置するとともに、退避経路、退避施設及び備蓄倉庫の継続的な管理を図るための協定制度を創設すること

などであります。

 本案は、去る三月十五日本委員会に付託され、翌十六日前田国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、二十一日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十一 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

議長(横路孝弘君) 日程第十一、放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長原口一博君。

    ―――――――――――――

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔原口一博君登壇〕

原口一博君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本件は、日本放送協会の平成二十四年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めるものであります。

 収支予算は、一般勘定において、事業収入及び事業支出ともに六千四百八十九億円となっており、受信料については、昭和四十三年以降、初めてとなる値下げを本年十月から実施するとしております。

 事業計画は、東日本大震災を踏まえ、いかなる災害時にも対応できるよう、安全、安心を守るための公共放送の機能を強化するとともに、完全デジタル移行後の放送と通信の融合時代にふさわしい新たなサービスの開発をする等としております。

 資金計画は、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てております。

 なお、この収支予算等について、「受信料の値下げを実施し、サービスの充実や増収等に向けて取り組むとともに、東日本大震災を踏まえた公共放送の機能強化にも取り組むこととしており、おおむね妥当なものと認められる」との総務大臣の意見が付されております。

 本件は、去る三月十六日本委員会に付託され、二十一日、川端総務大臣から提案理由の説明を、日本放送協会会長から補足説明をそれぞれ聴取した後、質疑に入り、昨二十二日、質疑を終局し、採決いたしましたところ、本件は全会一致をもって承認すべきものと決しました。

 なお、本件に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 採決いたします。

 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣

       国務大臣    川端 達夫君

       財務大臣    安住  淳君

       厚生労働大臣  小宮山洋子君

       経済産業大臣  枝野 幸男君

       国土交通大臣  前田 武志君

       国務大臣    自見庄三郎君

       国務大臣    古川 元久君

       国務大臣    松原  仁君


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