衆議院

メインへスキップ



第9号 平成25年3月4日(月曜日)

会議録本文へ
平成二十五年三月四日(月曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第七号

  平成二十五年三月四日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案(遠藤利明君外十二名提出)

 国務大臣の演説に対する質疑


このページのトップに戻る

    午後一時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

越智隆雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 遠藤利明君外十二名提出、第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(伊吹文明君) 越智隆雄君の動議に御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案(遠藤利明君外十二名提出)

議長(伊吹文明君) 第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。浮島智子君。

    ―――――――――――――

 第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔浮島智子君登壇〕

浮島智子君 ただいま議題となりました第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党、生活の党を代表し、提案の趣旨説明をさせていただきます。(拍手)

 案文を朗読いたします。

    第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案

  オリンピック夏季競技大会及びパラリンピック競技大会の開催は、ロンドン・オリンピック・パラリンピックに見られるよう、国民に夢と希望を与えるものである。また、東日本大震災からの復興を世界に示すものであり、本年九月に開催地が決定される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会を東京都に招致するため、政府、国会が一体となって取り組むべきである。

  右決議する。

以上でございます。

 オリンピック競技大会は、世界各国のスポーツの発展とともに、スポーツを通じて、民族の相互理解を深め、世界平和への貢献に輝かしい成果を上げてきました。

 現在、この第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会には、東京、イスタンブール、マドリードの三都市が立候補都市として選出されており、現在訪日中の国際オリンピック委員会評価委員会による実地調査等を経て、本年九月七日、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催される国際オリンピック委員会総会において、この正式立候補都市の中から開催都市が決定される運びとなっております。

 スポーツは、世界共通の人類の文化であり、国際間の相互理解の促進に大きく寄与するものであり、昨年のロンドン・オリンピック・パラリンピックに見られるよう、青少年を初め、国民に大きな夢と感動を与えるものであります。

 また、パラリンピック競技大会は、障害者の自立と社会参加を促すとともに、人間の可能性の大きさを示すものであります。

 世界の平和と繁栄に貢献するとともに、さらに、昭和三十九年の東京大会が戦後の復興を示すものとなったように、東日本大震災からの復興を示すためにも、第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会を東京都に招致するため、政府、国会が一体となって取り組んでいかなければなりません。

 何とぞ議員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、本案は可決をいたしました。(拍手)

 この際、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。文部科学大臣下村博文君。

    〔国務大臣下村博文君登壇〕

国務大臣(下村博文君) ただいまの御決議に対し、所信を申し述べます。

 第三十二回オリンピック競技大会、第十六回パラリンピック競技大会を東京都に招致し、我が国において再び夏季オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会が開催されますことは、国民に夢と希望、感動を与え、また、東日本大震災からの復興を示すものになると存じます。

 政府といたしましても、ただいまの御決議の趣旨を十分尊重いたしまして、招致の実現に最善の努力を図ってまいる所存でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑

議長(伊吹文明君) これより、先週行われました四国務大臣の演説に対する質疑に入ります。大畠章宏君。

    〔大畠章宏君登壇〕

大畠章宏君 民主党の大畠章宏です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、安倍総理の施政方針演説等に対する質問をいたします。(拍手)

 なお、答弁内容によっては、再質問することを申し上げておきます。

 質問に入る前に、猛吹雪や豪雪により亡くなられた皆さん、さらに、エジプトで旅行中、突然の事故により亡くなられた皆さん、そして、アルジェリアにおけるテロにより亡くなられた皆さんの御冥福をお祈り申し上げます。

 さて、質問に入ります。

 現在の日本国は、少子高齢社会の到来、長期のデフレ経済に加えて、東日本大震災、原子力発電所事故など、まさに国難のときを迎え、二年が経過いたしました。

 さらに、現在、体罰やいじめ防止対策、外国で働く方々の安全対策や豪雪対策など、日本国政府が取り組むべき課題は多岐にわたっております。

 こうした状況のもとで、先週行われました施政方針演説は、キャッチフレーズや先人の言葉を引用して、総理の意気込みを歯切れよく語っておられました。

 しかしながら、かけ声とイメージを先行させるだけでは、国づくりは進みません。安倍総理が振りまくムードの先に、どのような日本国を具体的に目指しているのか、国の形が不明であります。民主党は、未来への責任を果たすため、国民の視点に立ち、しっかりとただしてまいります。

 以下、私は、現場から届いた国民の声を踏まえ、要点を絞り、質問いたします。

 まず第一点の課題は、東日本大震災対策であります。

 来週の月曜日は三月十一日。東日本大震災より丸二年を迎えることになります。大変残念ながら、昨年の十二月時点で確認されました、亡くなられた方は一万五千八百七十九名、行方不明の方は二千七百十二名、また、九月時点で震災関連で亡くなられた方は二千三百三名に上りました。

 改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますと同時に、被災されました皆さんにお見舞いを申し上げます。

 大震災当時、私は、国土交通大臣を拝命しておりました。

 二年前の三月十一日、国土交通省災害対策本部会議で、徳山東北地方整備局長から、真剣かつ深刻な状況報告を受けました。

 同時に、人命救助は七十二時間以内に行わなければならないという教訓を思い起こし、心を決め、人命救助を第一として、局長の判断が私の判断として、やれることは全部やり切ってくださいと要請いたしました。

 一緒に行動を起こしていただきました職員の皆さんや自治体の皆さん、そして自衛隊、警察、消防及び医療関係者の皆さん、さらには、道路の瓦れき除去作業などに全力で御協力をいただきました現地の土木建設業の皆さん、そして全ての関係者の皆さんに御礼申し上げます。

 その後の一カ月間で二万七千百五十七名の方を救出することができたと、後日、報告を受けました。本当にありがとうございました。

 しかし、今、三十二万人を超える避難者の皆さんの生活再建や復旧復興作業は、現在でも困難な状況にあり、なお一層力を入れて推進していかなければなりません。

 今後とも、被災者支援、被災地支援に全力を挙げることをお誓いいたします。

 さて、現在、被災された国民の皆さんに対する支援活動が各自治体の全面的な御協力をいただきながら進んでおりますが、幾つかの課題について安倍総理に質問いたします。

 これから申し上げることは、現地から届いた声の一部であります。

 第一点。国の支援で町の予算規模は十五倍にふえたが、応援の職員も含めて、町の職員は一・五倍にしかなっていない。通常の予算規模は五十億円であり、体制が脆弱である。町の外からの支援職員についても、なるべく長期の派遣を望みたい。

 第二点。復興公営住宅への入居希望者の七割は高齢者。高層住宅は建てられず、土地の確保に苦労している。

 第三点。ついの住みかではなく、ここはあくまで仮設住宅だ。今後の方向性も見えず、住民間のトラブルや健康状態の悪化が懸念される。

 第四点。復興公営住宅の建設、買い取りに当たっては上限価格が定められており、資材の高騰、人材不足により建設単価が高騰すると、この条件が満たされずに、建設が進まない。

 第五点。福島県内の警戒区域内のインフラ整備がおくれている。インフラ整備を早急に進め、避難市民が帰宅したくなるようなまちづくりを図る必要がある。

 第六点。平成二十四年度補正予算で巨額の公共事業が実施されることになったため、被災地の発注工事で、資材高騰、人材不足等による入札不調が多発し、復興に障害が出ているなどであります。

 もちろん、これは現地からの声の一部でありますが、こうした現地からの声を含め、東日本大震災にどのように対応するのか、安倍総理のお考えを、被災者及び自治体担当者によく理解できるようにお答えをお願いいたします。

 次に、原子力発電所事故対策について質問いたします。

 原子力発電所事故により、現在でも約十六万人の方が避難生活を余儀なくされております。さらに、現在も、原子力発電所事故等のため、毎日三千人を超える関係者が全力で原子力発電所の安全性確保のために汗を流しております。また、地域の除染作業もおくれております。

 安倍政権としての原子力発電所現地対策及び避難生活をされている住民支援対策、地域の除染対策について、どのように進めるのか、総理の答弁を求めます。

 次に、国内経済対策について質問します。

 長く続くデフレ経済からの脱却は国民の願いであります。最近の円安、株高傾向については、一定の評価をすべきと考えます。

 ただし、この安倍総理の経済政策が結果として本当に歓迎すべきものなのかどうかをしっかりと検証しなければなりません。

 事実として、現在、いわゆる三本の矢は安倍総理大臣が手にしているだけであります。

 第一の矢である金融緩和について、日銀が共同声明で約束した新たな金融緩和策の実行は平成二十六年からとなっております。

 第二の矢である財政出動について、総額十三兆円にも及ぶ平成二十四年度補正予算は成立したものの、柱となっている公共事業は、着工のおくれによる景気浮揚効果のおくれが心配されております。

 第三の矢である成長戦略について、政府は産業競争力会議や規制改革会議を設立し検討を始めているものの、その効果は未知数であります。

 このように、三本の矢はまだ一本も発射されていないとの見方もあるにもかかわらず、期待だけが膨らみ、株高と急激なる円安となっております。

 もちろん、輸出企業にとっては収益の改善に大きく寄与しておりますけれども、輸入品であるガソリン、灯油、食料品も値上がりし、さらに電気料金の値上げが加わり、国民生活や物流業者、漁業者、農家、そして物づくりの中小企業にも大きな影響を与え始めております。

 例えば、円安により、輸入部品を組み立て国内向けに物づくりに励む関係者より、毎月赤字となり、このままでは経営が大変だという声が届いております。これは、国内雇用を維持したいと思い、必死に雇用と物づくりを守ってきた中小企業からの切実な声であります。

 これら急激に進む円安に苦しむ中小企業への対策、そして国民生活への対策について、安倍総理の答弁を求めます。

 次に、成長戦略について質問します。

 成長戦略は大切です。これまでも、民主党として、環境、エネルギー技術、医療分野、ロボット、農業分野、社会インフラ海外展開、海洋国家戦略などに力を入れてまいりました。

 その中でも、特に科学技術面での支援が重要であります。

 先日、ノーベル物理学賞を受賞されました小柴博士より、未来の日本にとって、国際リニアコライダー、最新鋭の素粒子加速器の誘致は、日本の未来にとっても若者にとっても重要です、ぜひ国としての支援方針を明らかにしていただきたいとの要請を受けました。

 科学技術と知的財産権の確立は、これまでの日本国の発展に大きく寄与してまいりました。リニアコライダーを含めた基礎技術、科学技術に対する総理のお考えを答弁ください。

 次に、雇用問題について質問します。

 経済政策の目的は国民生活と雇用の安定であり、雇用環境の改善が図られなければなりません。したがって、デフレを脱却し物価上昇に転じても、雇用が創出され賃金が上がらなければ、総理の発言された、額に汗して働く人が報われる社会とはなりません。これが同時に実現しなければ、三本の矢はその場しのぎのカンフル剤となり、国民の望む、本物の、安定した経済成長とはなりません。

 総理の経済政策により、雇用の創出、賃金の上昇をどのように実現するか、額に汗して働いている方々によくわかるように、明快にお答えください。

 また、それが実現できないときの総理の覚悟をお伺いします。

 さらに、現在、学生たちは卒業時期を迎えておりますが、若年層の雇用問題は深刻な状況が続いております。この若年雇用対策について、総理の答弁を求めます。

 また、一年以下の期限つき雇用契約者数は増加し、一千四百十万人に上ると発表されました。さらに、最近では、ブラック企業や貧困、格差社会が広がる日本において、現時点でもこのように雇用状況は悪化しておりますが、政府の規制改革会議の中で、正社員の解雇において、金銭補償して雇用契約を終える制度導入の検討を始めたとのことであります。

 これは、額に汗して働く人が報われる社会を目指すと発言されている総理のお考えと逆行していませんか。総理の答弁を求めます。

 次に、経済連携について質問いたします。

 TPPに関して、総理は、施政方針演説で、聖域なき関税撤廃は前提でないことを、先般、オバマ大統領と直接会談し、確認いたしました、今後、政府の責任において交渉参加を判断いたしますと述べられました。

 これは、さきの日米首脳会談における共同声明で、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認するとうたったことを根拠にしているものと考えます。

 しかしながら、その文書の前段にある、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものというのは、昨年四月十日、当時の玄葉外務大臣がカーク米国通商代表との会談で既に確認していることであります。

 つまり、今回の首脳会談で明らかになったことは、聖域が認められたということではなく、聖域として認められるかどうかは交渉の中で決まるということにすぎません。

 これで自民党の政権公約の条件がクリアされたというのは、国民を欺く安倍トリックではありませんか。

 何をもって聖域なき関税撤廃が前提でないとの結論に至ったのか、総選挙時に自由民主党を全力で応援した農協関係者や医療関係者にもよくわかるよう、安倍総理、答弁をください。

 次に、外交・防衛問題について質問します。

 日米関係は、我が国の外交、安全保障の基軸であり、その深化を図ることは、どの政権であっても重要なことであります。

 一方、東アジアでは、日本の政権交代に加えて、中国では習近平体制がスタートし、韓国では、先週、朴槿恵大統領が就任するなど、大きな変化の時代を迎えています。

 日中、日韓関係は、経済に限らず、相互に非常に重要なものであります。同時に、中国艦船による挑発的なレーダー照射を初め、我が国と中国、韓国の関係には、近年、緊張が高まっている一面も否定できません。

 リーダー交代を契機に、近隣諸国との関係改善にどのように取り組むつもりか、総理の決意をお答えください。

 また、北朝鮮は、二月十二日に三度目の核実験を強行し、拉致、ミサイル発射などで地域の平和と安定を脅かす行動をとり続けており、強い憤りを感じます。

 日米首脳も北朝鮮問題での協力を確認したということでありますけれども、国連安保理における取り組みを含め、政府の対処方針について、総理の答弁を求めます。

 次に、民主党政権時代に行った数々の国民のための改革を今後継続するかどうか、総理に質問いたします。

 まず、事業仕分けや行政事業レビューについて質問します。(発言する者あり)

議長(伊吹文明君) 静粛にしてください。

大畠章宏君(続) 民主党政権時代に行った事業仕分けや行政事業レビューは、二〇〇九年と二〇一〇年だけで一兆三千二百七億円の財源を捻出しただけでなく、政府内に適切な緊張感を与え、地方自治体でも同じように仕分け作業を始めたところもありました。また、国民に対して予算策定過程の透明性を高めるなど、極めて大きな意義があったと国民からも評価されました。

 こうした事業仕分けや行政事業レビューの継続について、総理の答弁を求めます。

 次に、一括交付金制度について質問します。

 民主党政権は、地方自治体の自由度を高めるため、補助金の一括交付金を目指した地域自主戦略交付金を創設しましたが、安倍政権はこれを廃止しようとしております。

 しかし、地域自主戦略交付金は、最終的には、省庁の枠を取り除いて、地方自治体が自由に財源を使えるようにするための重要なステップでありました。地方自治体はむしろ一括交付金化を評価しており、運用改善を求める声はあっても、制度の廃止を求める声を聞いておりません。

 地域自主戦略交付金を補助金に戻し、地方交付税交付金を削減することは、地方分権、地域活性化に矛盾しますが、安倍総理の基本的考え方を答弁ください。

 次に、子育て支援と教育について質問します。

 民主党政権下では、三歳以下、毎月一万五千円、三歳以上中学生まで、毎月一万円を支給する子育て支援を行い、さらに、高等学校授業料無償化で教育を社会的に支援する制度をつくり、経済的理由による高校中退者を約半減させました。

 しかし、与党は、総選挙において、これらの子供たちへの支援制度を、ばらまきと批判しました。

 また、言うまでもなく、子供たちの教育の充実は、未来への責任の最たるものであります。

 そのため、民主党政権では、子供たち一人一人に目の行き届いた指導を行うため、小学校一、二年生について三十五人学級を実現いたしました。さらに、今後、少人数学級のさらなる拡充が必要と考え、三十五人学級を五年間で中学校三年生までの全学年に広げる計画を立てておりました。

 ところが、今、安倍政権は、公共事業のばらまきをふやし、三十五人学級の拡充計画を取りやめようとしています。

 総理は、子育て支援と教育を社会的に支援する制度や三十五人学級の拡充を、ばらまきと考えているのでありましょうか。総理の答弁を求めます。

 次に、年金・医療改革について質問いたします。

 かつての安倍政権時代に、消えた五千万件の年金問題や医療崩壊、救急患者の病院たらい回し事件などが浮上しておりました。(発言する者あり)

議長(伊吹文明君) 静粛にしてください。

大畠章宏君(続) 民主党は、二〇〇九年の政権交代後、これらの問題を解決するために大きな力を注ぎ、宙に浮いた年金記録照合作業を進め、一兆七千億円の支払いをすることにいたしました。

 にもかかわらず、政府は、ことし一月十七日、厚生労働省の年金記録回復委員会を解散しました。年金記録回復に当たって専門家の意見を聞く場がなくなったということであります。

 なぜ年金記録回復委員会を解散したのか、そして、今後、消えた年金対策を含めて、年金問題にどう取り組むのか、総理の答弁を求めます。

 また、民主党政権は、診療報酬をプラス改定にして、後期高齢者医療制度の実質的年齢差別医療十七項目を撤廃しました。

 後期高齢者医療制度について、今後どのように対処されるお考えか、年齢で区分する保険制度をどうするのか、日本国をこれまで支えてきた高齢者の皆さんによくわかるように、総理の答弁を求めます。

 次に、郵政事業に関して質問します。

 小泉政権時代、郵政民営化法が参議院で否決されると衆議院を解散するという、まことに強引な手法で郵政民営化を断行しました。郵便局を民営化すると日本はよくなるというお話でもありました。

 しかし、実際は、地域によっては唯一の金融機関となっていた郵便局の経営は難しくなり、長年地域に貢献してきた郵便局も閉鎖に追い込まれ、ますます過疎化が進みました。

 これに対して、民主党は、国民新党の皆さんや郵便局の皆さんとともに力を合わせ、政権交代を果たし、郵政株式売却凍結法を成立させました。さらに、昨年、公明党、自民党を初め多くの皆さんの賛成を得て郵政民営化法を改正し、郵政三事業の一体的なサービス提供を確保するなど、地域のための郵政事業改革を前進させました。

 地域の方々より、おかげさまで郵便局が利用しやすくなりましたと、感謝の言葉もいただいております。

 安倍総理は、この新たな郵政事業改革をどのように受けとめておられるか、今後どうするのか、質問いたします。

 次に、社会保障制度改革について質問します。

 自民党も公明党も賛成した社会保障制度改革推進法の中では、必要な法制上の措置については、この法律の施行後一年以内に、社会保障制度国民会議における審議の結果等を踏まえて講ずるものとすると定めています。

 ところが、民主党、自民党、公明党の三党実務者協議で、与党は、公的年金制度、高齢者医療制度について、現行制度を維持すればよい、制度改革でも法改正を必要としない場合もあるので、実務者協議は改正を前提としていない、民主党が主張する年金抜本改革は、たとえ現時点で三党が合意したとしても、法案作成は国民会議設置期限の八月二十一日に間に合わないと言い出す始末です。

 これでは、抜本改革から逃げ、法改正をしないつもりではないかと疑わざるを得ません。

 国民年金を含めた公的年金制度及び高齢者医療制度について法改正をするのか、総理の答弁を求めます。

 次に、衆議院議員の定数削減について質問いたします。

 昨年十一月の党首討論における野田前総理と安倍総理の約束は、この第百八十三回の通常国会で定数削減をやり遂げるということであります。この約束により、野田総理は解散を決断しました。これは、重大な、公の約束事です。

 二月二十二日に開催された三党幹事長会談において、民主党は、三党で直ちに協議を始めることを強く申し入れました。しかし、与党は、党内でこれから議論するので協議には応じられないとして、情報交換の場の設置にとどまりました。

 これは全くおかしな話であります。解散だけかち取って、あとはずるずると引き延ばし、国民の前で公に約束したことを破るのですか。もしそうであれば、これこそ、公約違反のそのものじゃないですか。

 先日の総理大臣の演説では、各党各会派で話し合い、しっかり結論を出していこうではありませんかと、まるで他人事のような発言でありました。

 安倍総理の責任において、今国会中に定数削減法案を成立させることを国民の前に明らかにしていただきたい。安倍晋三総理の誠実な答弁を求めます。

 最後に申し上げます。

 民主党は、一九九八年の結党以来、国民が主役となる政治を目指し、日本国において、国民の選択による政権が誕生する政治、政権交代ができる国を目指して努力してまいりました。

 戦後政治は、業界団体が主導する政治が長く続き、政官業癒着政治が横行しました。これに対して、民主党は、欧米並みに国民主導の政治を実現したいという思いで、今日まで歩んでまいりました。

 二〇〇九年に、その思いは国民に通じ、政権交代を実現することができました。しかし、昨年末の総選挙では大敗を喫し、再び政権交代となりました。

 この大敗を深く反省し、私たちは、新たに、海江田新体制のもと、党改革創生本部を立ち上げ、全国四十七都道府県に足を運び、党関係者の皆さんを初め、支援者の皆さんや国民の皆さんの率直な御意見を伺う運動を開始いたしました。

 そして、二月二十四日に開催した党大会で、第一次党改革方針と党綱領を決定いたしました。

 私たちは、生活者、消費者、納税者、働く者の立場に立ち、安心して暮らせる社会の実現を目指し、新たなスタートを切りました。

 どんな困難があろうとも、国民の視点で政治を行い、日本国の長い歴史と文化、伝統を踏まえた、お互いに助け合う社会、人を大事にする社会、そして、地域社会の中で全ての国民が安心して働き、暮らせる社会を目指して全力で行動することをお誓いし、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 大畠章宏議員の質問にお答えをいたします。

 東日本大震災からの復興におけるさまざまな課題について、現地からの声も含め、どのように対応するのかとのお尋ねがありました。

 現地の声に真摯に耳を傾け、復興の課題に速やかに対応することが重要と認識しております。

 このため、政権発足後速やかに、復興を加速化するよう指示をしており、復興大臣のもとに、住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォースを設置しました。

 このタスクフォースにおいて、速やかに住宅宅地等の工程や目標を公表し、その実現及び加速化に向け、御指摘の用地取得、資材不足、人員不足、入札不調などの課題に柔軟かつ迅速に対応するとともに、自治体のマンパワー対策に努めてまいります。

 また、福島県内の警戒区域内のインフラ整備については、区域見直しの進捗に合わせ、復旧工程表を作成して、復旧を加速していきます。

 仮設住宅等にお住まいの方々を含め、被災地の方々の生活を支援しつつ、これらの取り組みを通じて、将来の希望を持っていただけるよう努めてまいります。

 原発事故対策としての原子力発電所の現地対策及び住宅支援対策、除染対策についてのお尋ねがありました。

 私は、総理就任直後の最初の訪問地として、迷うことなく福島を選びました。そこで接した被災者の方々の、故郷へ一日も早く帰りたいという要望や思いに応えるため、縦割り行政を排し、現場主義を徹底するよう体制を抜本的に改組し、政府が一丸となって原発事故からの復興に取り組んでいるところであります。

 特に、東京電力福島第一原発については、一日も早い安全な廃炉が極めて重要です。国が前に出て研究開発の主導的な役割を果たし、世界の英知を結集して取り組んでまいります。

 原発事故で被災した住民の方々に対しては、被災者が将来の希望を持てるよう、避難解除区域の住民の帰還を促進するための取り組みや、直ちに帰還できない区域への将来の帰還に向けた保全対策などの施策も、速やかに実施してまいります。

 除染については、根本復興大臣と石原環境大臣のもとに関係府省の局長クラスを集めてタスクフォースを設置し、政府一丸となって取り組んでまいります。

 これらを迅速に進めることにより、福島の復興、再生を必ずや加速してまいる覚悟であります。

 中小企業への対策及び国民生活への対策についてお尋ねがありました。

 最近の為替動向により、製造業を中心に、中小企業、小規模事業者でよい影響が見込まれます。

 一方で、輸入資材等の上昇により影響を受ける中小企業、小規模事業者が一時的に収益を圧迫される場合には、セーフティーネット貸し付け等の政策金融により、しっかりと支援してまいります。

 また、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢により、企業の収益をふやし、雇用や所得の拡大を実現することで、中小企業、小規模事業者及び国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていきたいと考えております。

 成長戦略と科学技術イノベーションの関係についてのお尋ねがありました。

 科学技術イノベーションは、日本経済再生の原動力となるものであります。成長による富の創出を実現するための重要な柱であると考えます。

 このため、政府としてこれを強力に推進するとの考えのもと、総合科学技術会議の機能強化を図ることとしております。今月一日に安倍政権のもとでの会議をスタートさせたところであり、今後、科学技術の面から、成長戦略の策定に向けた具体的検討を進めてまいります。

 我が国は、世界最先端の加速器技術で世界のイノベーションを牽引していきます。その一環である国際リニアコライダーについては、大きな夢のある構想である一方、巨額の経費を必要とすることなどにも留意が必要と考えております。

 政府としては、まずは研究者レベルでの国際的な設計活動の進捗状況等を見定めながら検討していきます。

 雇用の創出や賃金の上昇の実現、若年雇用対策、規制改革についてお尋ねがありました。

 頑張って働く人の所得をふやし、本格的なデフレ脱却を実現できるかどうかに、安倍政権の経済政策の成否がかかっていると言っても過言ではありません。イノベーションや規制改革など成長戦略に取り組むとともに、利益を従業員に還元する企業を税制で応援するなど、雇用と賃金の増大を目指してまいります。

 若者の雇用対策については、未内定学生やフリーターなど、個々の事情に応じた就労支援をきめ細かく実施し、意欲があれば世のため人のために活躍できる機会をつくってまいります。

 雇用規制の見直しについては、これにより労働移動が円滑に行われるという見解がある一方で、多くの労働者が賃金によって生計を立て、雇用を通じて社会とさまざまなつながりが形成されているということを踏まえれば、労使間で十分に議論が尽くされるべき問題であると考えます。

 TPPについてお尋ねがありました。

 さきの日米首脳会談では、TPPについて、その意義やそれぞれの国内事情も含めじっくりと議論し、私から、さきの衆議院議員選挙で、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対するという公約を掲げ、また、自由民主党は、それ以外にも五つの判断基準を示し、政権に復帰したということをオバマ大統領に説明いたしました。

 その上で、オバマ大統領との間で、日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品といった二国間貿易上のセンシティビティーが両国にあること、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであること、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められないことの三点を明示的に確認し、日米の共同声明を発出いたしました。

 これらを踏まえ、公約との関係では、私は、TPPでは、聖域なき関税撤廃が前提とされるものではないとの認識に至ったものであります。

 日中、日韓関係及び北朝鮮問題への対応についてお尋ねがありました。

 日中関係は、最も重要な二国間関係の一つであり、個別の問題があっても関係全体に影響を及ぼさないようにコントロールしていくとの戦略的互恵関係の原点に立ち戻るよう、粘り強く訴えていきます。私は、対話のドアは常にオープンにしておきます。

 韓国は、基本的な価値と利益を共有する、最も重要な隣国です。日韓間には難しい問題もありますが、日韓双方で新政権が成立した機会を生かし、二十一世紀にふさわしい未来志向の関係を構築するために、朴槿恵大統領とともに努力をしていく考えであります。

 北朝鮮問題については、米国等と引き続き緊密に連携協力し、追加的制裁を含む新たな安保理決議の採択等、断固とした措置をとるべく、しっかりと取り組んでまいります。

 先般の日米首脳会談においても、金融制裁を含む追加的制裁も含め、日米間で緊密に協力していくことを確認したところであります。

 事業仕分けと行政事業レビューについてお尋ねがありました。

 無駄遣いの削減は政府として重要な課題であり、そのために、事業仕分けを含めたこれまでの手法にとらわれず、より効果的な取り組みについて検討していく考えであります。

 具体的には、現在、行政改革推進会議において、行政事業レビューの実施方法について検討を行っており、三月中にも改善策を取りまとめた上で、来年度から実施してまいります。

 地域自主戦略交付金の廃止についてお尋ねがありました。

 地域自主戦略交付金については、地方から、窓口の一元化や手続の簡素化、総額の確保などの課題が指摘されていました。これらの課題を解消するため、本交付金を廃止し、各省庁の交付金等に移行することとしました。

 その際、地方六団体からの意見を聞き、各省庁における交付金のメニューの大くくり化や、継続事業の着実な実施に必要な総額の確保など、地方の意見を反映した施策を推進しております。

 このため、本交付金の廃止は、地方分権改革、地域活性化に矛盾するとは考えておらず、今後も引き続き、地方分権改革を進めてまいる所存であります。

 子育てや教育を社会的に支援する制度、三十五人学級についてお尋ねがありました。

 子育てや教育を社会で支えることなどは重要であると同時に、そのための政策はより効果的に進める必要があると考えます。

 児童手当については、昨年度の三党合意に基づいて、その内容を見直したところです。

 また、高校無償化制度については、所得制限の導入も含め、真に公助が必要な方々への制度となるよう検討してまいります。

 小学校三年生以上の三十五人以下学級の推進については、これまでの政策効果の検証を行いつつ、必要な検討を進めてまいります。

 年金問題と後期高齢者医療制度についてのお尋ねがありました。

 年金記録回復委員会については、法的根拠がなかったことから見直すこととし、法に基づく厚生労働省の審議会に有識者による新たな委員会を設置し、今月中に審議を開始することとします。

 引き続き、国民への記録確認の呼びかけなど、年金記録問題にしっかりと取り組んでまいります。

 また、後期高齢者医療制度については、当初、御党より、年齢による差別との批判がありましたが、年齢で区別した診療報酬を廃止し、広域連合による制度運営も安定しているなど、現在では、十分に定着しているものと考えています。

 今後は、三党協議も踏まえ、国民会議において御議論いただき、改革を具体化してまいります。

 郵政事業改革の受けとめについてお尋ねがありました。

 郵政事業改革については、昨年四月、民主、自民、公明の三党合意を踏まえ、改正郵政民営化法が成立をし、そして、郵政三事業の一体的なサービス提供を確保するなど、措置が講じられたところであります。

 東日本大震災の復興のための貴重な財源を確保し、国民負担を軽減する観点から、日本郵政の企業価値を高めていくことが求められています。

 そのような中で、郵政民営化法にのっとって、郵政民営化の成果を国民に実感していただけるよう、ユニバーサルサービスを初めとした公益性を確保するとともに、経営の効率化やサービスの向上を進めていくことが重要と認識しており、政府として対応してまいります。

 社会保障改革に関する法制上の措置についてのお尋ねがありました。

 社会保障制度改革推進法に基づき、政府は、医療、介護、年金、少子化対策について議論する国民会議の審議の結果等を踏まえ、八月二十一日までに必要な法制上の措置を講じることとなっています。

 この法制上の措置の具体的内容については、改革推進法に沿って、国民会議における審議結果に加え、三党協議の状況など、さまざまな状況を踏まえて検討していく必要があると考えます。

 政府としては、八月二十一日の国民会議の設置期限に向けて国民会議で議論を深めるなど、社会保障改革のさらなる具体化に向け、しっかりと検討を進めてまいります。

 衆議院議員の定数削減についてお尋ねがありました。

 さきの三党合意においても、選挙制度の抜本的な見直しの検討を行い、今般の国会終了までに結論を得て必要な法改正を行うこととしています。私は、自由民主党総裁として、党に対し、積極的に取りまとめを行うよう指示をしております。

 いずれにせよ、議会政治の根幹にかかわる重要な課題であるので、各党各会派において御議論をいただいているところであります。

 私としては、しっかり改革を進めてまいる決意であります。(拍手)

議長(伊吹文明君) 大畠君、協議中ですから、自席で待ってください。(発言する者あり)

 同僚の皆さんに申し上げます。

 ただいま議場内交渉係が協議をしておりますので、静粛にお待ちください。

 大畠章宏君から再質疑の申し出がありますから、持ち時間四分弱の範囲でこれを許します。大畠章宏君。

    〔大畠章宏君登壇〕

大畠章宏君 先ほど安倍総理からいろいろと答弁を賜りましたが、私の質問に十分にお答えしていただいておりませんので、再質問をさせていただきます。

 一つは、この件については全くお触れになっておりませんが、今回の安倍総理の考えている経済対策によって日本の経済が回復したときに、いわゆる働く人に対する賃金の上昇をどのような形で導いていくのか、これがもしできないとき、総理はどのような覚悟を持っているのか、これについて質問します。

 これは、日本の経済にとって大変重要なことなんです。国民の所得が上がらなければ、日本国内の経済もよくなりません。そういう意味で、最終的な経済の回復というのは、国民の所得が上がって初めて、経済が回復したということになるんです。

 これは、安倍総理もそれをよく御存じで、そういうふうにしたいという話をさっきされましたけれども、それが実現できないときの覚悟を私は聞いているのであります。

 もう一つ重要なことがあるんです。(発言する者あり)

議長(伊吹文明君) 静粛に願います。

大畠章宏君(続) 先ほど安倍総理は、今回の解散というものを得るために、三年三カ月、さまざまな努力をされたようでありますけれども、特に十一月の十四日の党首討論において、安倍当時の総裁がどのような発言をされたのか、ここに私は議事録を持ってきています。

 野田当時の総理大臣が、定数削減はやらなければいけないんです、消費税を引き上げる前に、お互いに国民の皆さんに約束したことを、この国会で結論を出そうじゃありませんか、ぜひ、これは法案を提出いたしましたから、御党におかれても御決断をいただきますように強く期待します、この決断をいただくならば、私は今週末の十六日に解散をしてもいいと思っているんです、ぜひ国民の前に約束してくださいという質問がありました。

 それに対して、安倍総裁は、私たちは、まず〇増五減、これは当然やるべきだと思っていますよ、そして、来年の通常国会において、私たちは既に、私たちの選挙公約において、定数の削減と選挙制度の改革を行っていく、こう約束しています、今、この場で、そのことをしっかりとやっていく、約束しますよ、こう発言をされています。

 でありますから、先ほど、三党間でよく協議をしていただいて云々ということではなくて、これは、安倍当時の自民党総裁としての約束事なんです。

 ですから、改めて安倍総理大臣に、その覚悟といいますか、これを実現するという約束事を果たすことを、ぜひ国民の前で約束していただきたい。

 このことを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 大畠議員から、雇用や賃金の上昇について、私の覚悟を問いたいという再質問でございます。

 先ほど、その覚悟の上に私の考えを述べさせていただいているところでございますが、賃金においては、幾つかの企業において、景気をなるべく早く上昇させ、そしてデフレから脱却をしていくために、安倍政権の考え方に応じて、一時金あるいは賃金を上げていくという会社が出てきていることは、大変喜ばしいことであろう、このように思います。

 また、雇用においても、女性を中心に雇用の求人率が上昇をしていることについても申し上げておきたいと思うわけでありますが、覚悟について言えば、我々は、常に、全ての政策において覚悟を持って政策を推進しております。

 その覚悟において、何によって責任をとるか、それは、皆さん、我々は総選挙において責任をとるわけであります。

 そして、もう一点、定数削減についてお尋ねがございました。

 安倍総理が解散をかち取ったというお褒めの言葉をいただいたわけでございますが、解散を実行したのは野田総理であるわけでございまして、私がかち取ったという表現は、むしろ野田総理に対して失礼ではないか、このように思料するところでございますが、先ほど答弁の中で申し上げさせていただいたように、自由民主党の総裁として、党に対し、積極的に取りまとめを行うよう指示しております、こう申し上げているわけでございます。

 私は、行政府の長であります。行政府の長でありますから、この選挙制度の問題は、全ての党が、大きな党も小さな党もしっかりと議論をしていただくことがふさわしいのではないか、このように思うわけであります。

 今、石破幹事長を中心に、この制度について、あるいはまた削減について、議論をしております。また、与党でこの議論がもしまとまれば、それに速やかに皆さんが賛成をしていただければ、直ちに法案は成立するものと思われますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次に、小池百合子君。

    〔小池百合子君登壇〕

小池百合子君 自由民主党の小池百合子でございます。

 私は、自由民主党を代表して、政府施政方針演説に関して御質問をいたします。(拍手)

 安倍内閣が発足し、はや二カ月、いえ、まだ二カ月。安倍内閣は、このわずかの間に、経済対策を含む平成二十四年度の大型補正予算を成立させました。これに連動させる形で、平成二十五年度予算を間髪を入れることなく提出。

 総選挙の関係で例年とは異なる流れとはいえ、過去に例のないスピードで突き進んでおられます。まさに、安倍内閣の、決める政治の本領発揮であります。

 外交面におきましても、先月の御訪米で、まず、日米同盟の強固なきずなが確認され、そのことが世界じゅうへと発信されました。

 ホワイトハウスでの首脳会談では、バイデン副大統領、ケリー国務長官同席のもと、多岐にわたる日米間及び国際的な懸案事項について語り合われました。首脳同士のケミストリーを確認するとともに、良好な日米関係を取り戻されたことは、御同慶の至りであります。

 単に場なれしておられるだけではなく、この国が今なすべきこと、みずからがなし遂げなければならないことを深く胸に刻まれ、覚悟を持って、それでいて自然体で臨まれた結果ではないかと思います。ジャパン・イズ・バックと同時に、アベ・イズ・バックを印象づけたのではないでしょうか。

 各種マスコミの調査でも、内閣発足後も支持率は伸び続けております。多くは七〇%超えであります。まさに、ロケットスタートした安倍内閣の勢いそのものの結果でありましょう。

 ちなみに、私は、党の広報担当として、支持率だけでなく、為替・株式市場にも注視をいたしております。まるで経済金融番組を担当していたころのように、毎日毎時、チェックを欠かしておりません。それは、我が国が強い経済を取り戻すことこそが、震災復興の加速、雇用の創出、確保、そして世界でのプレゼンス確保につながると確信をしているからであります。

 しかし、高い支持率や期待値を反映する市場の動きは、あくまで助走、あるいは序章、プロローグにすぎません。これからが本番であり、国民が注視をするところであります。

 そこで、具体的な政策テーマについて順次お伺いいたします。

 間もなく三月十一日を迎えます。あれからもう二年の月日がたつわけであります。

 千年に一度と言われる大災害を目の当たりにしながら、当時、私たちは、野党という現実の壁に直面しつつも、全力を挙げて数々の議員立法を成立させました。どうせなら、当時の政権が素直に私たちの全ての提言、提案を盛り込んでくれればよかったと、今でも悔やまれるところであります。

 あれから二年、自民党は、再び国民の負託を受け、公明党の皆さんとともに政権を運営することとなりました。

 被災地には、避難生活を余儀なくされている三十二万人の方々を初め、今なお、数え切れないほどの人々が震災の爪跡に苦しんでおられます。

 私自身、阪神・淡路大震災の真っただ中で、先が見えないことが最大の不安なんですよとの被災者の声を、何百、何千回と伺いました。

 昨日は、自民党女性議員が、現場の声を伺うため、被災地を訪問いたしました。

 今、人々の心に寄り添い、その苦しみを我が苦しみとして、ともに復興への道を歩む、それなくして、我々が国民の皆様から政権をお預かりした意味はないとさえ思います。

 改めて、震災復興にかける総理の御決意と御覚悟をお聞かせいただきたい。

 震災からの二年で、道路、港湾といったインフラの復旧はある程度進んだものの、待ち望まれている生活の再建も産業の再生も、いまだ明確なめどが立っておりません。

 何をすべきかという時期は、とうの昔に過ぎ去っております。

 避難生活を送っておられる方々の住まいの再建、暮らしを支えるインフラの整備、医療、介護等のマンパワーの拡充、被災地域の生業、産業の再興、さらには、除染、中間貯蔵施設の整備、廃炉といった東京電力福島第一原子力発電所事故への対応など、私たちが解決していかなければならない諸課題は、既に明確であります。

 今問われているのは、それをいかに早くなすべきかであります。

 現在、自民党では、真に効果的な施策に関する提言の策定作業が急ピッチで進められており、近々、官邸に申し入れを行うこととなっております。

 震災後三度目の正月は、被災地の皆さんに生活再建の見通しを持って迎えていただきたい、これが、大島理森復興加速化本部長の口癖であり、自民党の思いでもあります。

 政府におかれましては、今回の与党としての提言を踏まえ、迅速かつ適切に対応されますよう、強く求めるものであります。

 我が国は災害大国であります。このたびの豪風雪による被害もしかりであります。

 被害者となられました地域の皆様方には、心からお見舞いを申し上げます。そしてまた、迅速な政府の対応を要請するところでございます。

 また、最近でも、栃木を中心にマグニチュード六クラスの震災が起こったばかりであります。災害は忘れたころにやってくるどころか、今なお進行中なのであります。

 我が党は、事前防災の考え方、すなわち、災害が起きてからの復興事業にかかる経費よりも、事前に補修等を行うことによって、結果として復興費用を抑制するという考え方に基づいて、命を守る公共投資を推進することといたしております。

 今後数年以内に極めて高い確率で首都直下型や南海トラフの巨大地震が発生すると予想されている今、事前防災の観点から、国土強靱化を積極的に進めるべきでありましょう。

 国民の財産と生命を守ることは、国家最大の使命。総理のリーダーシップを期待いたしております。

 日米同盟は、我が国外交の大きな柱であります。

 三年三カ月の民主党政権は、日米同盟の深化をうたいながら、問題を深刻化させるだけでありました。米国との信頼関係の揺らぎこそが、東アジア情勢の変化を誘発し、中国、韓国、ロシアなど周辺国との関係、摩擦、あつれきは、戦後最悪の状態となったと言わざるを得ません。

 総理、言うまでもなく、我が国外交の立て直しこそ急務であります。

 まず、TPPについて伺います。

 さきの日米首脳会談の結果は、TPPに特化する形で、日米共同声明として発表されました。聖域なき関税撤廃が前提ではないと、文書形式でも確認されたところであります。また、総理からは、御帰国後、TPPに参加するか否か、その判断と時期についてはお任せいただきたいと御報告を受けております。

 TPP参加をめぐっては、さまざまな意見があることは事実であります。

 さらに、かつて、SII、いわゆる日米構造協議が取り沙汰されたときも、障害、インペディメンツという言葉が抜けていたり、イニシアチブを協議と訳したり。古くは、敗戦を終戦、ユナイテッドネーションズ、連合国を国連と訳したように、和訳には国内世論への影響を勘案する傾向がないとは言えません。今回も、環太平洋という和訳が不正確ではないかとの指摘もあります。

 総理には、課題や問題点を率直に、そして正確に国民にお伝えいただくとともに、国益にかなう最善の道を堂々と歩んでいただきたいと考えております。

 そもそも国益とは何ぞやを含めまして、政府の方針をお伺いいたします。

 そもそも、日米同盟の毀損は、普天間移設問題に関する、国外、最低でも県外発言から始まりました。沖縄県民の期待をあおるだけあおり、裏切り、この問題を袋小路に追い詰めた原因と言わざるを得ません。

 しかし、覆水盆に返らずのことわざどおり、民主党の愚行を嘆いていても前進はありません。我々は、結果としての普天間の固定化だけは避けなければならない。そのためにも、地元沖縄との対話、信頼関係の醸成は重要であります。

 次に、中国、韓国、ロシア等の近隣諸国との関係構築についてお伺いいたします。

 尖閣諸島をめぐる問題を初め、日中間には懸案が山積しております。

 さきの施政方針演説で、総理はサッチャー元首相の言葉を引き合いに出されました。ちなみに、サッチャー首相を描いた映画では、シンク・イット、沈めなさいと指示するシーンもございました。

 総理の外交の基本である、国益を守る、主張する外交については予算委員会の場で議論を深めるとして、日中問題に関して、私は、別の視点からもお伺いしたいと存じます。

 PM二・五問題であります。

 最近、中国における微小粒子状物質、PM二・五によります大気汚染が問題となっております。従来の酸性雨や黄砂のみならず、PM二・五が越境して日本にも到達し、国内の観測値が高いとの報道もあります。

 我が国は、高度成長期の公害問題を克服してきた経験を踏まえ、これまでも中国とは環境面でさまざまな協力を進めてまいりました。

 私が環境大臣在任中にも、日中韓環境大臣会議を初め、事あるごとに、中国のカウンターパートと、大気や水の汚染防止、地球温暖化対策などについての技術的、制度的な知見の共有や提供を進めてまいりました。日本の水俣や四日市の経験を踏まえ、制度や技術についての解説DVDを中国語版にするなど、協力も重ねてまいりました。

 中国側は、かねてより、後発優位とうたい、先進国が犯した間違いを参考に、同じ過ちを繰り返しませんよと胸を張って言っていたことを思い出します。

 こうしたこれまでの協力にもかかわらず、そして、もはや世界の舞台では先進国として振る舞いつつ、今般のPM二・五によります大気汚染のような問題が発生したことは、まことに遺憾であります。たとえ制度を整えても、守らなければ意味はないのであります。

 中国の大気汚染は、我が国だけではなく、他の周辺アジア諸国にも影響を及ぼしております。日本は、アジアの環境政策のリーダーとして、中国に対し、積極的に環境面での対話を進めるとともに、周辺諸国とも協力して対応していく必要があります。

 中国では、知日派の外相も誕生すると伝えられております。政府のお考えをお聞かせいただきたい。総理に伺います。

 次に、日韓関係であります。

 二月二十五日、麻生副総理が特使として韓国を訪問され、朴大統領と、日韓関係や北東アジア情勢について意見交換をされました。日韓両国は重要な隣国同士であり、両国が緊密に協力することは、両国関係のみならず、北朝鮮問題など北東アジアの平和のためにも重要であること、今後、日韓の新政権同士、未来志向で緊密な協力を行っていくことで一致したと伺っております。

 総理は、今後の日韓関係をどのように高めようとされるのか、そのお考えを伺います。

 日ロ関係です。

 北方領土問題、エネルギー開発、北極海航路等、課題は横たわっております。

 先月二十一日、森元総理が、事実上の総理特使としてロシアを訪問されました。高齢化が進む元島民の皆様のお気持ちを考えると、少しでも前進させたい、また、戦略的に進めようとの思いは理解できますが、引き分けとする理由はあるのでしょうか。他の領土をめぐる動きへ与える影響をどう分析されるのでしょうか。そして、今後、どのようにロシアと向き合っていかれるのでしょうか。総理の方針、お考えを伺います。

 我が国と、中国、韓国、ロシアの近隣諸国の共通の悩み、それは北朝鮮問題であります。

 ミサイル発射や核実験の実施など、北朝鮮の数々の行動は断固として許されません。北朝鮮の暴挙を国際社会に訴え、米国を初め、中国、韓国、ロシアとの連携強化が不可欠であります。

 これまでも、我が国は、人、物、金の独自制裁を実施してまいりました。

 私は、国会の場で初めて朝銀問題にメスを入れ、アメリカ政府によるバンコ・デルタ・アジアへの制裁とあわせ、金の分野の制裁強化に努めてまいりました。

 北朝鮮への制裁を有効なものとするためには、実際の金や物の運び屋と言われております地方幹部の再入国制限も含めるべきではないでしょうか。

 独自制裁措置の強化について、政府の方針をお伺いいたします。

 北朝鮮には、これからも、核への野望を抱き、拉致を含め人権を無視して国際世界から孤立の道を続ける平壌スタイルのままでいくのか、それとも、民主化を決意し、世界へ門戸を開いたミャンマー・スタイルへと大転換するのか、後者の道を選ぶよう、中国を含め、世界が歩調を合わせて進めるべきでありましょう。

 尖閣諸島は、言うまでもなく、我が国が実効支配をしている固有の領土であり、尖閣諸島の実効支配を確保し続けることは極めて重要なことであります。

 一方で、中国国内の情勢を考えましても、中国を過度に刺激することは不毛な結果をもたらすものであり、冷静な対応も求められております。

 尖閣諸島の実効支配強化を含めた今後の方針についてお伺いをいたします。

 我が国の主権と領土、領海を断固として守るため、自民党では、国境を形成する離島を守り振興させる法律や、領海警備を強化する法律案を提案いたしましたが、さきの解散・総選挙で廃案となっております。

 これらの法律については、本来、政府として提出すべきものと考えますが、総理のお考えを伺います。

 第一次安倍内閣におきまして、私は、総理の命を受け、日本版NSC設立に向けた各種の準備を担当させていただきました。法案提出までこぎつけたものの、残念ながら、審議未了で廃案となっております。

 自民党は、さきの総選挙の政権公約におきまして、国家の情報収集・分析能力の強化及び情報保全に関する法整備によります体制の強化を図り、的確な情報を活用して国民の安全を守ること、すなわち、国家安全保障会議の設置を明記いたしております。

 NSCは日本にとって必要でありますが、リーダーによっては無用の長物になるおそれもあり、真に有効な機関とする必要があります。現在の政府の取り組みについて伺います。

 情報保全に関連し、サイバー攻撃への対処は極めて重要であります。この国会も標的となりました。

 現在、内閣官房情報セキュリティセンターを中心に取り組みが進んでいると聞いておりますが、法的な整理とともに、人材の確保も重要な課題であります。

 武力攻撃事態など、法的位置づけの判断基準を含め、取り組み状況について総理に、そして、人材確保について、アキバ事情にお詳しい財務大臣にもお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

 情報管理という観点から、日銀総裁人事について一言政府に申し上げたい。

 今回の総裁人事は、事前報道どおりの陣容となっております。国会で事前報道ルールが改められたとはいえ、このように情報が安易に漏れるようでは、NSCどころではありません。総理の問題意識を伺います。

 憲法改正であります。

 憲法の改正は、国会にのみ認められた権限であります。その責任は、国会の構成員である国会議員が負うことになります。国権の最高機関である国会が、最高法規である憲法を議論することは当然であり、憲法調査会の議論を早急に再開すべきであると考えます。

 憲法八十三条に財政の健全性確保条項を加えるところから着手すればいいといった考え方もありますが、憲法改正条項である九十六条について国会の意思を明確にすることは重要であります。

 ここにおられる皆様方には、ぜひ、ぜひ、御賛同をお願い申し上げます。

 さて、今回の予算で特筆すべきは、生活保護の見直しであります。

 民主党政権の三年間で生活保護費が急増いたしております。景気後退による対象者の増加もありますが、民主党政権による安易な対応が大きな原因と言わざるを得ません。

 不正受給への厳格な対処は言うまでもなく、生活保護水準や医療扶助の適正化、自立、就労の促進などの施策を通じて、総額の抑制に努めるべきであります。真に必要な人に生活保護が行き渡るようにし、納税者の理解が得られるような公正な制度にすべきでありましょう。総理のお考えを伺います。

 社会保障費は、今後、ふえる一方であります。生活保護費の適正化だけでなく、社会保障全体の改革は不可欠であります。国民の皆様にも厳しい現状と将来の見通しを伝え、御理解をいただくことも、政治家の使命であると考えます。

 消費税について、民主党が政治の責任を痛感され、消費税引き上げ法案の成立へと努力をされました。法律では、引き上げの時期が二〇一四年四月とされておりますが、景気の状況を勘案するとの文言も盛り込まれております。

 本年十月ごろには政府が判断をする必要があるわけでございますが、景気、経済の見通しについて、甘利経済財政担当大臣に伺います。

 消費税引き上げに際しては、生活弱者への配慮が必要であります。家庭を守る主婦の方々も、いわゆる複数税率、軽減税率について高い関心を寄せておられます。税率のあり方について伺います。

 また、中小零細企業にとって、消費税を転嫁できるのかどうかが大きな問題となっております。我が党としても転嫁をしやすくするための法整備を検討いたしておりますが、政府の取り組みについて伺います。

 教育です。

 日本の将来を担う子供たちは、国の一番の宝であります。だからこそ、教育再生が急がれる。

 第一次安倍内閣では、六十年ぶりに教育基本法を改正いたしました。しかし、その後の政権交代によって、改正教育基本法の精神にのっとった教育改革は一向に進んでおりません。日教組の支援を受けている民主党に、日教組のドンを党幹部に仰ぐ民主党に期待することが、そもそもの誤りであります。

 自民党が与党となった今、実現すべきこと、それは教育の再生であります。

 六・三・三・四制を見直す平成の学制大改革、教育委員会制度の抜本的な見直し、教科書検定基準の改善、力ある教師を養成するための教師インターンシップの導入など、総理は、今回の演説でも触れておられます。

 教育改革に対する政府の取り組みについて、また、大きな社会問題でありますいじめ対策について、まとめて伺います。

 ちなみに、自民党では、いじめ防止対策基本法案の議員提出を目指しております。これについても総理の御感想を伺います。

 加えて、幼児教育の無償化は、我が党の政権公約に明記され、公明党との連立合意にも盛り込まれております。財源問題のクリアが必要でございますが、政府の取り組みについてお伺いをいたします。

 福島の原発事故によって、我が国のエネルギー事情は一変をいたしました。原子力発電を推進してきた自民党にも大きな責任があることは言うまでもありません。再び政権を担う今こそ、真の責任を果たし、エネルギーの安定確保に努め、国民生活を守っていく決意であります。

 施政方針演説で、総理は、安全が確認された原発の再稼働を明言されたと思います。再稼働問題と原発ゼロは微妙に異なりますが、前政権での原発をゼロとする方向性をお変えになるのか、エネルギーのベストミックスをどのような形で決定していくのか、いつまでに取りまとめるのか、スケジュール感を含めてお伺いをいたします。

 今、地球温暖化対策、そしてベアという言葉、ベースアップですが、ともに死語と化しつつありますが、地球温暖化対策も重要であります。エネルギー安全保障も重要であります。

 自民党は、再生可能エネルギーを三年間集中導入することをさきの衆院選挙で公約をいたしております。政府として、どのようにこの公約を実現していかれるのでしょうか。

 また、再生可能エネルギーの導入を地域経済の活性化の起爆剤の一つと考えておりますが、政府の見解をお伺いいたします。

 さらに、いわゆるシェールガス革命は、世界のパワーバランスを変えるくらいのインパクトがあります。日ロ間の領土交渉でもこの点を考慮に入れるべきだと考えますが、総理のお考えをあわせてお示しいただきたい。

 さて、ちまたでは、アベノミクスという言葉が躍っております。アベノミクスとは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を核とした、安倍総理の経済政策を指しているところでありますが、この三本の矢について次に伺います。

 第一の矢は、大胆な金融政策であります。

 政府と日本銀行が、政策連携を強化し、デフレ脱却を目指して一体となって取り組むとの共同声明が発表されております。そのためにも、黒田新総裁人事を確実に決めねばなりません。

 一方、任期途中でアジア開発銀行の総裁を退かれる黒田氏の後任選びも重要であります。引き続き、アジアにおいて責任あるステークホルダーがADBをリードしなければならないと考えますが、総理のお考えを伺わせていただきます。

 それにいたしましても、アベノミクスへの市場の反応は上々であります。さきのG20財務相会議でも、国際的にも認知された形となりました。懸念材料は、欧州やアメリカ議会の動きなど、海外に潜んでいるとも言えましょう。

 さらに、円安は、ガソリンなどのエネルギーや小麦など食料品の輸入価格を引き上げております。アベノミクスの恩恵が感じられるまで、どうしてもタイムラグが生じざるを得ない。報酬の引き上げを企業に要請するなど、安倍総理は積極的に取り組んでいただいておりますが、ぜひとも、車座ふるさとトークなどを通じて、民のかまどを確認しつつ、政策を遂行していただきたく存じます。

 第二の矢です。機動的な財政政策。

 これはまさに、平成二十四年度の大型補正予算として既に放たれたわけでありますが、緊急経済対策を実施するため、十兆円を超える史上最大級の補正予算を編成いたしました。わずか一票差の薄氷を踏む結果ではありましたが、二十六日に成立をいたしました。

 我が国経済のためには一日も早い成立が必要でありましたから、参議院の良識に深く感謝を申し上げる次第でございます。

 また、先ほど大畠議員は、矢は三本とも放たれていないとおっしゃっておられますが、この二本目の矢については、皆様方の御同意を迅速にしていただくことによって、力強く放たれることでありましょう。よろしくお願いを申し上げます。

 いわゆる十五カ月予算でありますが、二十四年度の大型補正予算と二十五年度予算を合わせて、切れ目のない経済対策を実行できる予算となっております。

 二十五年度予算は、民主党政権下での三年連続して公債発行額が税収を上回るという異常な予算編成から脱却したものとなっております。税収の見込みが四十三・一兆円、公債金の発行が四十二・九兆円。プライマリーバランスを見ましても、マイナス二十四・九兆円からマイナス二十三・二兆円と改善をいたしております。

 大胆な補正予算と引き締まった来年度予算で、景気への対応と財政規律のバランスを実現した予算であると評価をしたいと存じます。

 第三の矢は、民間投資を喚起する成長戦略であります。

 第二の矢、機動的な財政政策は、あくまでもカンフル剤であって、この第三の矢、成長戦略こそが最重要であることは言うまでもありません。

 総理のおっしゃる、かばんに詰め込むべき魅力ある商品をたくさん生み出さなければなりません。そのためには、雇用、エネルギー・環境、健康・医療等の分野における思い切った規制改革が不可欠であります。

 また、科学技術・イノベーション立国、あるいは世界最高水準のIT社会も実現しなければなりません。

 さらには、戦略的な経済連携の推進により海外の成長を積極的に取り込むとともに、仕事と子育ての両立に必要な環境整備や支援等により若者や女性の活躍を後押しすることも必要であります。

 加えて、農産品の輸出拡大策を強化し、農業競争力強化等の攻めの農業の展開も求められます。

 アベノミクスの成功の鍵は、この成長戦略にこそあります。

 さて、今、この本会議場を見回しましても、女性議員は、まだまだ少数、万年野党であります。

 昨年暮れの総選挙の結果、自民党の女性議員数は選挙前の八人から一気に二十三人へと三倍増となりましたが、衆議院全体では五十二人から三十八人へと激減し、比率におきましても、一〇・六%から七・九%へと急降下いたしております。アラブの春前後のアラブ諸国における女性議員比率が平均一四%台といいますから、日本女性の春はいまだ遠しの状態であります。

 昨年十月の時点で、IPU国際比較で日本は世界百四十三位でした。さらなる転落は確実であります。日本が順位をずるずると下げているのではありません。他の国が、何らかの方策を実行し、順位を上げた結果であります。

 企業においても、女性管理的職業従事者比率では、フィリピンの五二・七%をトップに、アメリカ四三%、フランス三八・七%であるのに比べ、日本は一一・九%であります。

 欧米では女性取締役を有する企業が五〇%を超えていますが、日本は六・一%にとどまっております。たった一人という取締役をカウントして、この数字であります。

 数より質だと、今も議論百出でありますが、人口の半分が女性であることには変わりません。

 今回の総選挙で我が党が公約に盛り込んだ二〇・三〇、つまり、二〇二〇年までにあらゆる分野で三〇%の女性を登用するという政策は、何も目新しいものではありません。歴代の政権がこの政策を掲げながらも、遅々として進んでいないだけなのであります。

 私は、日本女性のエネルギーは、そこにあるということがわかっていながら十分に活用されていない地熱や地中熱、そしてメタンハイドレートと同じではないかと再三訴えてまいりました。

 男女共同参画の観点というよりは成長戦略として、意欲ある女性、子供を産み育てながらも働きたい女性、働かなければならない、日本には山ほどおられるような女性力の活性化こそが成長戦略の一丁目一番地になると考えるのでありますが、いかがでしょうか。

 女性力の活性化についてのお考え、また、予算にどのように反映されているのか、お伺いをしたいと思います。

 さて、最後に、東京オリンピックの招致活動もいよいよ佳境に入ってまいりました。評価委員会も来日中であります。総理の東京オリンピック招致への意気込みをこの場で伺いたいと存じます。(発言する者あり)レスリングもよろしくお願いいたします。

 ソチ冬季オリンピックも来年に迫っております。新種目であります女子ジャンプでは、きのうも見事な優勝を飾った十六歳の高梨沙羅さんの活躍がひときわ目を引きます。身がすくむような急傾斜の坂を日本女性が恐れることなく挑戦し、踏み切りよく大空へ、世界へと飛び出す。高梨さんからは、跳ぶのが怖いというよりも、跳ぶことが楽しいといった思いさえ伝わってくるではありませんか。

 生まれてこの方、デフレしか知らない高梨さんのような若い世代が、あすに希望を抱ける日本としなければなりません。また、だらだらと右肩下がりを続けた日本経済、だらだらと物価を下げ続けたデフレ経済の流れを断ち切るためにも、アベノミクスの果敢な取り組みに力強く踏み切ろうではありませんか。

 以上、私たち自由民主党は、国民の皆様にお約束した政権公約を着実に実行し、日本を改めて一番の国とするために安倍内閣を全力で支えていくことをお誓いし、私の質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 小池百合子議員の質問にお答えをいたします。

 復興に向けた決意についてお尋ねがありました。

 復興は、我が内閣の最重要課題の一つであり、私は、就任以来、毎月被災地を訪問し、被災者の方々の声を直接伺ってまいりました。

 解決すべき課題は地域ごとに異なり、かつ、今なお立ちはだかっていますが、復興庁を中心に、現場主義を徹底し、課題を具体的に整理して、一つ一つ解決してまいります。

 党から提言をいただいた際には、それを踏まえながら、被災地で今を懸命に生きる人たちに応えられるよう、被災自治体とともに、政府一丸となって復興を加速化してまいります。

 TPPについてお尋ねがありました。

 自由な貿易環境は、日本にとってプラスになるものであります。同時に、自民党が掲げた、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対するという公約、それ以外にも、自民党の総合政策集の中で示した五つの判断基準も含め、我々が選挙で国民と約束したことは、たがえてはならないと考えています。

 以上を踏まえ、TPPについては、国益にかなう最善の道を求めてまいります。

 また、日米の共同声明の日本語訳は、原文に即して忠実に作成していますが、いずれにせよ、御指摘の点も踏まえながら、今後とも、公開できることは、状況の進展に応じて、しっかりと国民の皆様に提供してまいります。

 PM二・五による中国の大気汚染についてお尋ねがありました。

 さまざまな公害問題を克服してきた経験と高度な環境技術を有する我が国が、他のアジア諸国とも協力して、この問題の解決に向けイニシアチブをとることが極めて重要であると考えます。

 これまで、中国に対しては、日中二国間や多国間の枠組みを活用した環境分野での協力を進めてきたところであります。こうしたことを踏まえ、既に、私から環境大臣に対して、この問題を解決するためにどのような取り組みができるのか検討するよう指示をいたしました。

 日本の環境技術を生かした協力を初め、アジアにおけるさまざまな環境分野の枠組みを活用した周辺諸国との協力、そうした取り組みを通じて多角的に検討を進め、問題解決に向けて積極的に取り組んでまいります。

 日韓関係についてお尋ねがありました。

 韓国は、基本的な価値と利益を共有する、最も重要な隣国です。日韓の間には難しい問題もありますが、日韓双方で新政権が成立した機会を生かし、二十一世紀にふさわしい未来志向の関係を構築するために、朴槿恵大統領とともに協力していく考えであります。

 北方領土問題及び対ロシア外交についてのお尋ねがありました。

 北方領土問題については、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという政府の方針は一貫しています。日ロ双方の立場には大きな隔たりがありますが、双方にとり、受け入れ可能な解決策を見出すべく、ロシアとの交渉に腰を据えて取り組んでまいります。

 領土に関する問題にはおのおの異なる背景があり、北方領土交渉の行方が他の領土をめぐる動きへ与える影響を予断することはできませんが、いずれにせよ、私は、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜いていく決意であります。

 今後のロシアとの関係については、アジア太平洋地域の戦略的環境が大きく変化する中で、互恵の原則に立って、あらゆる分野で日ロ協力を進めていくことが、日本の国益に資すると考えます。日ロ関係全体の発展を図りながら、最大の懸案である北方領土問題の解決を目指す考えです。

 国境離島に関する法案や領土警備強化の法案についてのお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く情勢は厳しさを増しています。国境離島の適切な振興、管理、警戒警備の強化に万全を尽くし、国民の生命財産、そして領土、領海、領空は断固として守り抜いていく所存であります。

 昨年、衆議院解散により廃案となった特定国境離島保全振興法及び無人国境離島管理法の二法案は、国境離島の適切な振興、管理のために重要であると認識しており、立法府の今後の動向も踏まえながら、政府としても検討を進め、しっかりと国境離島対策に取り組んでいく所存であります。

 国家安全保障会議についてお尋ねがありました。

 我が国の外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議については、外交、安全保障に関する諸課題につき、総理大臣を中心として、戦略的観点から日常的、機動的に議論する場を創設することで、政治の強力なリーダーシップにより、迅速に対応できる環境を整えたいと考えています。

 政府としては、有識者会議を立ち上げ、我が国の国家安全保障会議のあるべき姿について、本分野に関する深い見識等を有する方々からさまざまな御意見をいただきながら検討してまいります。

 サイバー攻撃に対する取り組みについてお尋ねがありました。

 サイバー攻撃と武力攻撃等との関係については、さまざまな議論が行われている段階であり、一概に申し上げることは困難でありますが、サイバー攻撃への対応は、国家の安全保障、危機管理上の重要な課題と認識しており、新たな情報セキュリティー戦略の策定作業を進めるなど、対策の強化に取り組んでおります。

 国会同意人事についてお尋ねがありました。

 同意人事案件につきましては、新たなルールを踏まえ、衆参両院への内示までのあらゆる過程で情報管理の徹底を図ってきましたが、今回、事前にマスコミに報道されたことは、極めて遺憾であります。

 事実関係については、調査を行い、先ほど議運理事会に調査結果を御報告させていただきました。

 政府としては、今後とも、内示までのあらゆる過程で情報管理の徹底に努めてまいります。

 憲法改正についてお尋ねがありました。

 自由民主党は、結党以来、憲法改正を主張しており、昨年四月には憲法改正草案を発表して、党として、二十一世紀にふさわしい、あるべき憲法の姿を示していると考えています。

 憲法の改正については党派ごとに異なる意見があるため、まずは、多くの党派が主張している、先ほども多くの方々から拍手をいただいたところでありますが、憲法第九十六条の改正に取り組んでまいります。

 生活保護の見直しについてお尋ねがありました。

 支援を必要とする人に確実に保護を行うという制度の基本的な考え方は維持しつつ、不正受給対策や医療扶助の適正化に取り組んでまいります。また、生活困窮者の自立・就労支援等の強化にもしっかりと取り組んでいきます。

 これに加え、生活扶助基準については、生活保護を受給されていない方との均衡も考慮しつつ、社会保障審議会における検証結果や物価の動向を勘案し、必要な適正化を図ることとしています。

 今後、こうした取り組みを通じ、国民の信頼に足る、持続可能な制度を確立していきます。

 教育再生に対する取り組み、いじめ対策及び幼児教育の無償化についてのお尋ねがありました。

 教育再生は我が国の最重要課題であり、内閣を挙げて、世界トップレベルの学力と規範意識を身につける機会を保障する教育体制を構築してまいります。

 いじめ対策については、教育再生実行会議の提言や与党における議論も踏まえ、道徳教育の充実、社会全体でいじめに向き合う体制づくりなど、いじめ対策の強化や法制化につなげてまいります。

 幼児教育の無償化については、関係府省の連携のもと、子ども・子育て支援新制度との関係、財源確保の観点等を踏まえ、検討を行ってまいります。

 エネルギー政策についてのお尋ねがありました。

 いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期してまいります。

 この点、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという前政権の方針はゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。

 今後、三年程度の間に、再生可能エネルギーの普及と省エネルギーの推進を最大限加速させていくとともに、原発の再稼働については、科学的安全基準のもとで判断していくこととしています。

 これらの行く末を見きわめながら、十年以内に新しい安定したエネルギーミックスに移行させていきます。

 こうした考えのもと、腰を据えて、じっくり検討してまいります。

 再生可能エネルギーの導入拡大についてのお尋ねがありました。

 再生可能エネルギーの普及は、エネルギー安全保障の強化、低炭素社会の創出に加え、新しいエネルギー関連の産業創出、雇用拡大の観点からも重要です。

 このため、固定価格買い取り制度を着実に運用することに加え、予算、税制措置、規制改革などにより、今後三年間で、最大限、再生可能エネルギーの普及を加速させてまいります。これが地域経済の活性化にも大きく寄与していくと考えています。

 エネルギーと北方領土交渉についてのお尋ねがありました。

 ロシアとのエネルギー協力は、我が国の燃料供給源の多角化、燃料調達費の低減という観点から重要であり、御指摘のようなエネルギー情勢の変化等も踏まえつつ、互恵の原則に従って協力を進めていく考えであります。

 北方領土問題については、日ロ関係全体を発展させていく中で、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、ロシアとの交渉を粘り強く行っていく考えであります。

 アジア開発銀行の総裁選挙についてお尋ねがありました。

 日本は、アジア太平洋地域の一員として、アジア開発銀行は、地域にとって極めて重要な機関であると認識しています。ADBの創立以来、日本は、資金面、人材面で多大な貢献を行ってきており、歴代の総裁を日本人が務めてきています。

 黒田総裁の後任についても、アジア各国を含む国際社会と緊密に協力してその重責を担うことができる最適任の人物を、日本から速やかに推薦したいと考えています。

 女性の活力についてのお尋ねがありました。

 仕事で活躍している女性も、家庭に専念している女性も、全ての女性がその生き方に自信と誇りを持ち、輝けるような国づくりを進めることが重要であると考えております。

 この使命を果たすため、安倍内閣においては、初めて、女性活力・子育て支援担当大臣というポストを創設しました。

 予算については、まず、平成二十四年度補正予算に、女性の起業・創業支援などを盛り込むとともに、平成二十五年度予算案においては、企業等における女性の活躍促進、女性研究者の活動支援事業などを計上しており、女性の活躍を一層推進するための関係施策を進めていく考えであります。

 オリンピック・パラリンピック東京招致についてのお尋ねがありました。

 東京招致については、三月一日に全閣僚による会議を設置、開催し、国内外において政府全体で招致活動をしっかりと支援するよう指示をいたしました。

 また、来日中の国際オリンピック委員会評価委員会に対し、政府としても、ぜひとも招致を実現すべく全面的に支援する考えであることを、本日、私から直接伝えたところであります。

 招致活動を国民的な運動に高めていくことができるよう、政府を挙げて全力で支援してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) まず、対北朝鮮措置についてお尋ねがございました。

 我が国は、これまでに、広範な対北朝鮮措置を講じてきております。

 二月十二日には、北朝鮮の核実験を受けて、在日の北朝鮮当局の職員の当局職員としての活動を実質的に補佐する立場にある者の再入国を認めないとの新たな措置を直ちに導入いたしました。

 北朝鮮に対してさらにどのような措置をとることが効果的かについては、米国、韓国、中国を初めとする関係国と引き続き緊密に連携し、二月十二日に発出した内閣総理大臣声明にもあるように、今後の北朝鮮の対応、国際社会の動向等を考慮しつつ、検討していく考えであります。

 また、尖閣諸島の有効な支配についてもお尋ねがございました。

 尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いがなく、現に我が国は、これを有効に支配しております。

 引き続き、尖閣諸島の有効な支配を継続するため、関係省庁間で連携し、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの決意で、毅然かつ冷静に対処してまいります。

 一方、中国との関係については、大局的観点から、戦略的互恵関係を進め、中国側に対し、事態をエスカレートさせることがないよう、国際社会ともしっかり連携しつつ対応してまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) サイバー攻撃に対する取り組みのための人材確保についての御質問をいただきました。

 御存じのように、この情報セキュリティーというものは日進月歩の分野であります。政府も、民間の最新の知見を取り入れていかなければならない分野であろうと存じます。

 このため、政府としては、各省庁において、最高情報セキュリティアドバイザーなどの形で民間専門家を登用するなど、高度な知識を持っておられる人材の確保に努めて、既に何名かの方がそういう職についておられます。

 加えて、秋葉原について特にという御質問だったので、これは、去る二月の二日、三日、ハッカー、ハッカーというのはサイバー攻撃をする人の総称ですけれども、ハッカーという人を集めて、国主催で、ハッカーの全国大会を日本で初めて秋葉原で開いております。

 なかなか、これまでは、犯罪者を助長させるだけではないか等々、御意見があったのは事実でありますけれども、アメリカでは、たしか二十年前ぐらい、一九九三年ぐらいからのデフコンが一番有名だと思いますが、そのころからずっとこれをやって、一番優秀な人はCIAに登用するとか、いろいろな形で最も優秀な人たちを登用している実態というものが現実であろうと思いますので、この二月の二日、三日、そういった形を実行いたしております。

 いずれにしても、高い専門性を持つ人材確保というものが今後とも重要な課題だと考えております。(拍手)

    〔国務大臣甘利明君登壇〕

国務大臣(甘利明君) 日本経済の今後の見通しについてお尋ねがありました。

 我が国経済は、世界経済の緩やかな回復が期待される中で、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢に一体的に取り組むことによりまして、着実な需要の発現と雇用創出が見込まれまして、平成二十五年度のGDPの実質成長率は二・五%程度、名目成長率は二・七%程度になると見込んでおります。

 次に、消費税の転嫁対策についてお尋ねがありました。

 消費税の円滑かつ適正な転嫁に支障が生ずることのないように、政府といたしましては、中小零細企業を含め、事業者の実態を十分に把握しつつ、与党における御議論を十分に踏まえまして、強力かつ実効性のある転嫁対策の具体化に取り組んでまいります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 藤井孝男君。

    〔藤井孝男君登壇〕

藤井孝男君 日本維新の会の藤井孝男です。

 私は、日本維新の会を代表して、安倍総理大臣の施政方針演説について質問をいたします。(拍手)

 日本を賢く強くすることを掲げて立ち上がった日本維新の会は、さきの総選挙において、五十四議席を獲得し、比例でいただいた票の総数は一千二百二十六万票余、全体の二〇%で、二番目の地位を占めました。

 私どもは、国会の第三党としての責任を自覚し、日本のため、国政の場にあって、是は是、非は非の基本姿勢で、今後の政治に責任を持って対処してまいる所存であります。

 この是々非々の立場から、さきの補正予算に対して、日本維新の会は、多くの問題点を指摘しつつも、デフレ脱出による国民経済の回復と、東日本大震災の復興促進という観点から、賛成をいたしました。

 安倍総理も指摘されたように、我が国には、今始めなければ将来取り返しのつかない課題が山積しています。

 経済、財政、社会保障、統治機構、エネルギー、外交、安全保障など、あらゆる領域で停滞、弱体化しています。今こそ、前例と既得権益に縛られない大改革、グレートリセットが必要であります。

 そのような大改革をなし遂げるためにも、戦後という短いスパンにとどまるのではなく、我が国の長い歴史を踏まえながら、その歴史を将来にどう生かすのかという深い歴史観に立つべきだと思います。

 同時に、国際環境の変貌を的確に捉えて国の繁栄と安全を確保するといった、広い世界観に基づくものでなければならないと思います。

 今回の施政方針演説において、総理は、現下の日本が直面するさまざまな課題を見据えつつ、強い日本をつくるという国家目標を提示されました。

 その問題意識を私どもは共有し、共感するものでありますが、我が国の長い歴史を踏まえながら、その歴史を将来にどう生かすのかという深い歴史観が余り語られなかったという点で、物足りないものがありました。

 また、強い日本をつくる、その手法においても違和感を覚えざるを得ません。

 江戸時代、米沢藩の十代藩主の上杉鷹山は、倒産寸前の米沢藩を見事再建した名君、今でいえば、経営の神様として有名であります。

 米沢藩は、会津若松で百二十万石であったものが、関ケ原の戦いの後は、米沢に移封されて、三十万石に減らされ、やがて十五万石に減封されました。

 にもかかわらず、上杉家は、家臣の整理もせず、体裁を保つため百二十万石時代と同様の生活を維持しようとしたことから、たちまち財政は悪化し、藩民の生活は困窮し、藩全体が暗く沈んでしまいました。

 九州の日向にいた鷹山が、養子としてわずか十七歳で家督を継ぎ、藩主となったのは、このような米沢でした。

 鷹山は、冠婚葬祭などについて、質素を旨とするよう領民に布告を出しました。同時に、一方的な上からの押しつけを避け、働き手の立場に立ちながら、新たな成長産業の育成と、それに対応する人材の養成に努めたわけであります。

 武士を荒れ地の開墾に登用して、基幹産業の農業の振興に力を入れるとともに、農家の副業として、桑、漆、コウゾなどの栽培を奨励しました。さらに、下級武士の婦女子を訓練して繊維産業の担い手とし、生産された原料を製品にして、付加価値をつけて他藩に輸出する手法をとりました。

 その結果、鷹山死して半年の後、ようやく年貢の未納がなくなり、翌年には借財をほとんど返済し、軍用金五千両を確保するまでになったといいます。

 翻って、安倍政権はどうなのでしょうか。

 強い日本をつくるためには国と地方が一致連携すべきですが、安倍政権は、地方の立場に立った施策をするという意識が少し弱いように思います。

 確かに、民主党政権の一括交付金制度は使い勝手の悪い制度でありましたが、地方に裁量権がありました。

 ところが、今回、地方に何の相談もなく、各省庁のひもつき補助金制度に戻してしまいました。しかも、建設国債が基盤にあるため、ハード事業にしか使えず、例えば、学校にパソコンを配置することには使えません。

 このように、必ずしも地方のニーズに応える仕組みとはなっていないのであります。それは、単に、地方に対する配慮が足りないということではありません。どこでどのような公共事業を行うかを霞が関で決定する仕組みそのものが問題なのであります。

 必要な公共事業は、国ではなく、地方が決めるように仕組みを変えるべきなのです。そうすることで、初めて、国と地方がそれぞれの持ち場でみずからの力を発揮できるようになると考えます。

 日本維新の会は、道州制を含む地方分権を強く主張していますが、それは、公共事業や保育などは地方に任せて、外交、安全保障や危機管理、マクロ経済政策など、国の役割を絞り込み、国の機能を強化すべきだと考えているからであります。保育園の設置基準について一々介入することが国の仕事だとは到底思えません。

 その改革の第一歩が、国の出先機関の改革です。

 実際、関西広域連合は、地方整備局などの移管を強く求めています。さきの民主党政権において閣議決定された、国の地方出先機関を広域連合に移管する法案を安倍政権としてはどうするつもりなのか、総理に伺います。

 さらに、自民、公明両党は、政権公約に道州制を高々と掲げ、出先機関を原則的に廃止することを前提に、既に道州制基本法案をまとめております。

 日本維新の会でも、道州制基本法プロジェクトチームを設置し、精力的に詰めの作業を行っています。この法案が国会に提出されるのであれば、我が党は全面的に協力する用意があります。

 既に完成している道州制基本法案を今国会に提出されるのか、もし国会に提出できないのであればその理由は何か、安倍総理にお伺いします。

 繰り返しますが、強い日本をつくるためには、外交、安全保障や危機管理、マクロ経済政策などは国が、地域経済の発展などの内政は地方が、それぞれの持ち場で頑張ることができるよう、統治機構を改革することが必要であります。

 ところが、地方に対する権限移譲や規制緩和が遅々として進みません。その原因の一つとして、国会に地方の首長の声がストレートに反映できる仕組みがないからではないかと考えます。

 そこで、地方の声をストレートに反映させるため、首長が国会議員を兼職できるよう、地方自治法、国会法などを改正し、衆議院または参議院を地域代表という性質を有する機関に改革すべきだと思いますが、安倍総理の見解をお伺いします。

 次に、経済財政政策について伺います。

 大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略をうたったアベノミクスは国際的にも好評で、政府が去る二月十四日に発表した平成二十四年十月から十二月期GDP伸び率は、前期比マイナス〇・一%、年率換算でマイナス〇・四%と、前期のマイナス三・八%から、マイナス幅が大きく縮小しました。

 景気は回復基調でありますが、それが本格的なものになっていくためには、民間投資を喚起する成長戦略が必要となってきます。

 ところが、今回の補正予算では、従来型公共事業に偏重していると言わざるを得ません。確かに、防災、減災のために必要な公共事業は実施すべきですが、それだけでは、日本が世界の成長センターになることは困難であります。

 従来型の公共工事拡大路線とは異なる、先端分野に重点を置いた競争力強化路線を目指すべきだと思いますが、総理の見解をお伺いします。

 成長戦略の柱の一つが、輸出産業の育成です。

 TPPについては、聖域なき関税撤廃が前提でないことを、総理は、オバマ大統領と直接会談し、確認したとのことであります。

 日本維新の会は、自由貿易圏を拡大する観点から、TPPの交渉参加には賛成し、国益に照らして実際の参加を決定すべきだとの立場に立っています。

 では、この国益とはどのようなものなのか。政府・与党は、政権公約において、TPPに関して守り抜くべき国益について、農林水産品における関税が除外または再協議の対象となることを第一にうたっています。

 我が国は、古来、豊葦原の瑞穂の国と称され、農林水産業とともに発展を遂げてきました。国際的にも、水、食料、エネルギーの争奪戦が激化している現状を踏まえれば、いつまでも安定的に食料を輸入できるとは限りません。安全保障の観点からも、日本における農林水産品の生産体制には配慮が必要です。

 しかし、関税撤廃の対象から農林水産品を除外すれば、日本の農林水産業は守れるのでしょうか。安倍総理は攻めの農業政策が必要だと指摘されましたが、その具体策はどのようなものなのでしょうか。

 私どもは、農林水産品を海外に輸出できる体制を構築することが重要だと考えます。

 具体的には、平均営農地を拡大するとともに、農業技術のノウハウを守る体制を強化すべきであり、そのためにも、輸出や知的財産保護に関する専門家や企業が、農林水産業に、より深く関与できるようにすべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 医療についても、安倍総理は、再生医療、創薬など、最先端の医療技術を積極的に活用して、世界に先駆けて健康長寿社会を目指しますと訴えられました。

 しかし、実際は、医薬品の承認審査の長期化などにより、ドラッグラグ問題が深刻化しています。

 そこで、例を挙げれば、大阪府では、国際戦略総合特区において、PMDA―WEST機能を整備し、関西以西での医薬品の承認審査、検査等の手続を迅速化し、製品化までの時間を大幅に短縮することを提案しています。

 このような医療分野での規制緩和をどのように進めていくつもりなのか、総理の見解を伺います。

 新たな成長産業をつくっていくためには、優秀な人材の育成が必要です。具体的には、世界最先端の科学技術立国を目指して、高等教育のカリキュラムの充実を図るべきです。

 そもそも、平成十八年に改正された教育基本法において、世界に通用する日本国民の育成が教育の目標となりました。にもかかわらず、ゆとり教育の見直しも学校教科書の改善も遅々として進まず、いじめ、自殺も絶えません。

 学習指導要領には、国歌君が代を歌えるよう指導するものとするとありますが、現場でその趣旨が徹底されているわけではありません。

 現行法では、学校教育に責任をとるのは教育委員会となっていますが、非常勤の教育委員による教育委員会に、その自覚は希薄と言わざるを得ません。

 教育に対する責任を明確にするためにも、自治体の長が責任をとることができる方向で、教育委員会制度を抜本的に改革すべきではないかと考えますが、総理の見解を伺います。

 エネルギー政策についてお伺いいたします。

 国内産業を成長させていくためには、その基盤となるエネルギーに対する確固たる政策が必要であります。

 原発の問題について、日本維新の会としては脱原発依存を掲げており、国全体のエネルギー政策を考えたとき、当面、原発を活用せざるを得ないといたしましても、新しい需給体制を構築し、安全基準、安全確認体制、使用済み核燃料、責任の所在に関するルールを明確に定めることが重要だと思います。そして、中長期的かつ段階的に原発依存から脱却し、次第に脱原発を達成することが望ましいと考えますが、政府として、この問題をどう考えるのか。

 あわせて、原子力発電への依存を減らすためには、石油、天然ガス、シェールガスの供給体制の拡充や新エネルギーの開発が必要ですが、この点についてどのような対策をとっているのか。

 資源小国日本のエネルギー戦略について、総理の方針を伺います。

 次に、財政健全化について質問します。

 本予算を含む十五カ月予算を全体で見れば、来年度予算のプライマリーバランスは、民主党政権の二十四・九兆円より三・三兆円も悪化しています。ここ数年の財政状況を見れば、税収四十兆円に対して歳出が百兆円規模となるなど、持続不可能な事態に陥っていると言わざるを得ません。

 このような現状を是正するため、私どもは、国の一般会計、特別会計等を連結し、予算ベースで財務諸表を作成、国の財務のコントロールを徹底すべきと考えます。

 日本維新の会では財政健全化法案を準備していますが、このような法的枠組みの必要性について、安倍総理の見解を伺います。

 昨年十一月十六日、民主、自民、公明三党は、衆議院議員の定数削減については、選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い、次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行うとする衆議院議員定数削減に関する合意書を取り交わしました。

 行政の歳出削減を断行する前に、まず、政治家が身を切る覚悟を示すべきです。

 日本維新の会は、議員定数三割から五割削減を公約として掲げましたが、先ほど、民主党大畠議員の再質問に答弁されましたけれども、この問題に対する総理の所信をお伺いします。

 次に、金融政策について伺います。

 日本維新の会は、財政、金融一体のマクロ経済政策を実施するためにも、政府と日銀の責任分担を明確化する協定が必要だと主張しています。

 安倍総理は、大胆な金融政策を提唱し、市場からも好感を持って受けとめられていますが、政府が日銀に物価目標を指示する場合、その目標を達成するため、日銀は、これまでの金融政策を変更せざるを得なくなります。その政策転換の責任は政府が負うことを明確化すべきです。

 政府と日銀の責任分担、日銀のガバナンスのあり方を再定義するための日銀法の改正が必要と考えますが、総理の見解をお聞きいたします。

 この大胆な金融政策の関連で、日銀総裁人事が注目を集めています。

 日本維新の会としては、日銀総裁となる人物は、少なくとも、日銀法改正に賛成であり、物価目標を達成しなかったときに責任をとる覚悟があることが望ましいと考えますが、総理のお考えをお聞きします。

 そもそも、日銀総裁候補がどのような人物なのか、国民の強い関心に応えるためにも、本日、議院運営委員会において総裁候補に対する質疑を行い、あす、副総裁候補に対する質疑を行う予定ですが、日銀総裁、副総裁候補に対する十分な審査時間を確保するなど、国民に対して説明責任を果たす観点から、国会同意人事の決定の仕組みを変えていくべきだと思いますが、総理の御見解を伺います。

 次に、震災復興についてです。

 震災当時、未曽有の困難に直面しながら、お互いを助け合い、支え合うという、人と人とのきずなのすばらしさが語られましたが、瓦れきの処理に対して、各地は非協力的になっております。

 特に、福島の放射能汚染土壌、廃棄物の中間貯蔵施設については、仮置き場の本格搬入から三年程度を目途として施設の供用を開始すると予定されています。また、平成二十四年度内に立地場所を選定するとなっていますが、進んでいるようには思えません。

 石原環境大臣に、現在の状況と今後の見通しについてお伺いします。

 三月二日から三日にかけて、北海道ではすさまじい暴風雪に見舞われ、残念なことに、八人の方が犠牲になりました。心からお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた多くの皆様にお見舞いを申し上げます。

 さて、東日本大震災の教訓を踏まえて、今回、防災、減災の観点から多額の公共事業が行われますが、ハード事業だけでなく、予報や予知などのソフトパワーの強化がおろそかになってはいないでしょうか。地震や津波の予知だけでなく、水害や台風、竜巻など、気象予報体制の抜本的強化が必要であります。

 しかも、その対象は、国内にとどまらず、世界規模での情報収集や分析まで広げていくべきであります。なぜなら、世界的な異常気象によって日本企業が海外で被害を受けたり、アジア、アフリカでの干ばつや洪水による農作物被害がマーケットに大きな影響を与えたりしているからであります。

 よって、気象情報に関する国際的連携や途上国への支援、そして環境政策との連携を見据えて、我が国の気象行政は世界規模に質、量ともに拡大すべきと考えますが、太田国土交通大臣の見解をお伺いします。

 外交、安全保障についてお伺いします。

 安倍総理も指摘されているように、北朝鮮の核実験、尖閣をめぐる中国とのあつれきと、外交・安全保障問題が山積しています。アルジェリア・テロによる邦人殺害、グアム島やエジプトでの事件、事故による死亡など、国外で邦人が危険にさらされるケースがふえています。

 アルジェリアのテロ事件を受けて、自衛隊による邦人救出を可能とする法改正が俎上に上っていますが、紛争地帯に救援部隊を派遣するためには、現地の関係者との密接に交渉できる人脈が最低でも必要であります。

 中国や北朝鮮に対する情報収集体制も決して十分とは思えません。世界各地の情報を収集し、分析する本格的な国際情報収集・分析機関を設置すべきと考えますが、総理の見解をお伺いします。

 日本維新の会は、日米同盟を立て直し、深化させることに全面的に賛成するものであります。そして、日米同盟の深化のためには、普天間飛行場の固定化を避け、沖縄の負担を減らすため、辺野古への早期の移転が必要となります。

 しかし、地元沖縄の自民党県連は、さきの衆議院選挙において、普天間飛行場の県外移転を公約に掲げ、戦いました。ホームページにおいても、県連の政策として、普天間飛行場の危険性除去と早期返還、県外移設の実現、固定化阻止に取り組みますとして、辺野古移設に反対しています。

 これは極めて不可解なことであり、ガバナンスに問題はないのか、自民党総裁である総理の見解を伺います。

 そもそも、総理は、沖縄の在日米軍の戦略的重要性を地政学的にどう理解されているのでしょうか。

 日米安保の裏の主役は、力をつけた中国であります。対中外交、対中安全保障は、日本にとって喫緊の課題であります。

 尖閣諸島に絡み、安倍総理は、中国に対し、強く自制を求める、国際的ルールに従った行動が必要と述べられ、岸田外務大臣は、日本は有効に支配していると指摘しました。

 しかし、尖閣諸島の領海に中国の公船が頻繁に侵入する事態が続き、中国は日本側の漁船を拿捕する様相も見せています。国際社会では、日本は有効支配しているとの言葉に違和感を感じ始めております。

 安倍総理は、さきの衆議院選挙の公約において尖閣諸島への公務員常駐を掲げましたが、まず、沖縄の漁業者たちのために、尖閣諸島海域で天気予報を流したり、尖閣諸島に船だまりや本格的な灯台を建設したりするといった実効支配強化策を直ちに実施すべきではないでしょうか。

 そもそも、今後、国籍不明の武装グループが尖閣諸島に上陸したりした場合、どう対処するのでしょうか。今の日本の法律で対処できるのか、現在の海上保安庁体制で排除できると思っておられるのか、総理に伺います。

 また、日米同盟を強化するためには、大統領や国務省、国防総省とだけでなく、例えば、日本周辺の責務を負っているハワイの太平洋軍司令部とも関係の強化が必要だと考えますが、この点について、総理の基本姿勢を伺います。

 日本維新の会は、バランス・オブ・パワー戦略に基づく防衛力の整備を主張しており、近隣諸国の軍事拡大に対応するためには、防衛費を大幅に増加させるべきだと考えます。よって、安倍政権が防衛費を十一年ぶりに増加したことを評価しますが、その増額は決して十分でないと考えます。

 今後、できるだけ早く与那国を含む南西諸島に自衛隊を配備すべきだと思いますが、具体的なスケジュールをどのようにお考えになっているのでしょうか。

 また、自衛隊を南西諸島に配備したとしても、現行法では、自衛隊に、平時における領域警備任務は付与されておりません。他国の海軍と同様、国連憲章及び国際法に基づいて、平時において領海警備を担当できるよう自衛隊法を改正すべきだと考えますが、総理の明確な御見解をお聞かせください。

 あわせて、総理は、集団的自衛権の解釈変更に前向きなお考えですが、変更に向けたタイムスケジュールをお示しください。

 北朝鮮は核爆弾の小型化を進めており、既に保有する中距離弾道ミサイルとともに、我が国にとっての核の脅威が現実化しています。外国の弾道ミサイルや長距離巡航ミサイルの連続した攻撃に対し、日本は、今のミサイル防衛体制では不十分なことは明白であります。

 国民を守る最高責任者として、抑止効果にすぐれている長距離巡航ミサイルの導入など、ミサイル防衛体制の強化についての認識を、国民に対し、明確かつ具体的にお答えください。

 総理は、北朝鮮による日本人拉致問題について解決に向けた決意を示されましたが、そのためには、北朝鮮と外交関係のある欧州諸国による働きかけ、米国、中国の強い協力が必要であります。

 特に中国の態度が鍵になります。中国に対してどのように協力を求めていくのか、見通しをお聞かせください。

 関連して、さきの日米首脳会談では、北朝鮮をテロ支援国家として再指定するよう要請されたのでしょうか。

 金融制裁では、北朝鮮が資産を保有する外国の銀行に対する締めつけが必要ですが、その情報の有無を含め、日米でどう動くのか、お答えください。

 一方、中国の大気汚染が日本国内の大気に悪影響を及ぼしていると言われます。

 一説によれば、中国から我が国に飛来する微小粒子状の汚染物質、いわゆるPM二・五を吸い込むと、肺の奥や血管に入り込み、ぜんそくや不整脈などを発症させるおそれがあるほか、肺がんの増加につながるなど、指摘されています。

 我が国の国民の健康にどの程度悪影響を与えるのか、政府は、全力を挙げて、事態の調査分析と解明に当たるべきです。

 その上で、中国発の大気汚染から国民の健康を守る対策を早急に策定するとともに、中国の深刻な大気汚染の原因が中国政府の環境政策の誤りにあることを指摘し、我が国は、被害を受けている立場から、有効な対応策を中国に求めるべきと考えますが、総理の見解をお伺いします。

 日本を取り巻く国際情勢は、今後ますます厳しくなる見通しです。この危機に対応するため、従来の統治機構を全面的に改革すべきです。

 内政についてはできるだけ地方に任せ、国は、外交、安全保障、危機管理、マクロ経済等に特化して集中的に取り組むべきです。国家の独立と安全を守ることが、国の第一義の役割だからであります。

 そして、我が国の統治機構を抜本的に改革するためには、憲法改正が必要であります。

 日本維新の会では、憲法改正に向けた国民的議論を深めることに全面的に賛成します。特に、国民の手で憲法改正を容易とするよう、まず憲法九十六条改正に着手すべきと考えますが、先ほど答弁されましたけれども、改めて総理の見解をお尋ねいたします。

 改革には痛みが伴います。改革案を示せば済むという問題ではありません。

 私は、冒頭に上杉鷹山のことについて触れましたが、「小説 上杉鷹山」を著した作家の童門冬二氏は、人間の世界には、物理的な壁、制度の壁、心の壁という三つの壁があるが、一番壊しにくいのは心の壁だと指摘しております。そして、童門氏は、鷹山の改革が成功したのは、藩民の心の壁を壊し、他人への優しさ、思いやりを復活させたからだと指摘しています。

 為政者なら誰でも国民のためと言いますが、真に改革の志を貫くことは容易ではありません。その困難さを熟知しているがゆえに、安倍総理も貝原益軒の言葉を引用して、何のために国会議員になったのか、その初心に立ち戻ることの大切さを訴えられたのだと思います。

 日本維新の会は、日本を賢く強くするため、統治機構改革を含む大胆な改革をなし遂げ、日本に希望と輝かしい未来をもたらしたいと思っております。その改革を必ずややり抜くことを国民の前にお誓いして、私の代表質問を終わりといたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 藤井孝男議員の質問にお答えをいたします。

 出先機関の機能を移譲する法案と道州制についてのお尋ねがありました。

 出先機関の機能を移譲する法案の取り扱いについては、市町村から、大規模災害発生時の危機管理体制などについて慎重な意見が表明されており、与党の基本的な考え方を踏まえ、地方の声も伺いつつ、慎重に検討を行う必要があると考えています。

 道州制の導入は、地域経済の活性化や行政の効率化などを目指し、国のあり方を根底から見直す大きな改革です。

 道州制基本法案は、早期の制定を目指し、与党で議論が行われています。その議論が集約され次第、法案が国会提出されることとなると考えております。

 今後、政府としても、連携を深め、取り組んでまいります。

 国会議員と地方自治体の長の兼職についてのお尋ねがありました。

 この問題は、衆議院、参議院にどのような性格を持たせるのか、また、それらをどのような議員で構成するのかという、国権の最高機関である国会のあり方にかかわる非常に大きな問題であります。

 したがって、各党各会派において、国会のあり方や国会議員と地方自治体の長の果たすべき職責をどう考えるかなどといった点について、幅広く御議論いただくことが必要であると考えております。

 成長戦略についてお尋ねがありました。

 安倍政権の三本の矢のうち、一本目の金融政策と二本目の財政政策については、既に大きく動き出しました。ただ、いつまでも国の財政で需要をつくり続けることはできません。今後、持続的な成長を実現するためには、民間の投資を促す成長戦略が最重要の課題となっていきます。

 成長戦略は、文章をまとめるだけではなく、政府が強力にコミットし、一丸となって実行することが、活力ある民間投資の誘発につながると考えています。

 今回は、日本経済再生の司令塔として、全閣僚が一丸となった日本経済再生本部を設置し、私自身が矢継ぎ早に具体策を判断し、次々と実行に移すこととしたいと考えています。

 攻めの農業政策についてお尋ねがありました。

 農業においては、生産額の減少、担い手の高齢化などの課題があり、TPP交渉への参加いかんにかかわらず、農業の活性化を図っていくことは、極めて重要な課題と考えております。

 このため、農業を成長分野と位置づけ、農産品、食品の輸出拡大はもちろん、農業の構造改革の加速化などの取り組みを推進していくことを通じ、農業を、多くの若者が働きたいと思える、魅力ある産業としていきたいと考えています。

 その際、あわせて、専門家の御意見を聞きながら、官民で協力しつつ輸出環境を整備するなど、課題の迅速な解決を図ってまいります。

 医療分野での規制緩和についてお尋ねがありました。

 いわゆるドラッグラグについては、審査ラグと開発ラグから成っており、審査ラグはほぼ解消されつつあります。しかし、開発ラグは、米国と日本での申請時期に差があるなどの課題があります。

 このため、開発早期からの支援の充実等に取り組むこととしており、日本発の革新的医療品を世界に先駆けて開発することを目指してまいります。

 国際戦略総合特区におけるPMDA―WEST機能の整備等の提案については、その内容をよく伺いながら、医薬品の迅速な実用化に向けて、どのような対応策があるのか検討してまいります。

 なお、医療分野における規制改革については、規制改革会議においても再生医療分野などの規制の見直しに重点的に取り組むことなどを通じ、健康を維持して長生きしたいという国民のニーズにお応えできる健康長寿社会の構築を目指します。

 教育委員会制度についてお尋ねがありました。

 教育再生を果たす上で、学校教育に誰が責任を持つのかを明確にするため、教育委員会制度の改革を行うことが不可欠であります。

 このため、現在、教育再生実行会議において、教育委員会制度の改革の方向性について御議論をいただいているところであり、今後、その提言を踏まえて、抜本的な改革に向けた検討を進めてまいります。

 エネルギー政策についてのお尋ねがありました。

 いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提。エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。

 原子力発電所の安全については、事故の検証も踏まえ、あらゆる事態を想定した新基準について検討してまいります。

 原発の再稼働については、この新基準のもとで判断していくこととし、三年程度で既存原発の行く末を見きわめながら、十年以内に新しい安定したエネルギーミックスに移行させていきます。

 その際、できる限り原発依存度を低減させていくという方向で検討してまいります。

 使用済み燃料の処分の問題は、国が責任を持って検討してまいります。

 原子力政策における国の責任のあり方についても、エネルギー政策についての検討とあわせて検討してまいります。

 石油、天然ガスについては、資源外交の積極的な展開や権益獲得に向けたリスクマネーの供給等を通じて、北米からのシェールガスの輸入の実現を含め供給源の多角化を図り、資源の安定的かつ低廉な調達に最大限取り組んでまいります。

 また、再生可能エネルギーについては、固定価格買い取り制度の着実な運用に加え、予算、税制措置、規制改革などにより、今後三年間で、最大限、その普及を加速させていきます。

 財政健全化についてのお尋ねがありました。

 国においては、平成十五年度決算分より、毎年、一般会計、特別会計を合算した決算ベースでの国の財務書類等を作成、公表しているところであり、引き続き、その有効活用等に取り組んでまいります。

 いずれにしても、財政健全化に向けては、長期的に持続可能な財政構造を確立するため、歳出歳入両面からの取り組みを進めていかなくてはなりません。

 政府としては、今後、経済財政諮問会議において、財政健全化と日本経済再生の双方を実現する道筋について検討を進めてまいります。その上で、財政健全化を、立法を含め、どのような形式と仕組みで確保していくかについても検討してまいります。

 国会議員の定数削減についてのお尋ねがありました。

 衆議院議員の定数削減については、さきの三党合意においても、制度の抜本的な見直しの検討を行い、今般の国会終了までに結論を得て必要な法改正を行うこととしています。

 私は、自民党総裁として、党に対して、積極的に取りまとめを行うよう指示をしております。

 いずれにせよ、議会政治の根幹にかかわる重要な課題であるので、各党各会派において御議論をいただいているところであります。

 私としては、しっかり改革を進めてまいる決意であります。

 政府と日銀の責任分担のあり方と日銀法改正についてお尋ねがありました。

 金融政策の運営に当たっては、政府と日本銀行の間で緊密な連携を確保しつつ、具体的な金融政策の手法については日銀に委ねることが適当と考えております。

 こうした考え方のもと、政府と日本銀行が緊密な意思疎通を行って、共同声明を取りまとめました。この中で、日本銀行が、みずから二%の物価安定目標を定め、できるだけ早期に実現することを目指すこととしております。

 日銀法改正については、将来の選択肢として常に視野に入れていますが、まずは二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することが重要であり、日本銀行が責任を持って大胆な金融緩和を行っていくことを期待しております。

 次期日銀総裁人事及び国会同意人事の決定の仕組みについてお尋ねがありました。

 次期日銀総裁については、デフレ脱却に向け、金融政策に関する私の考え方に理解をいただき、断固たる決意と能力でこの課題に取り組んでいただく方、そして国際社会への発信力もある方を念頭に人選を行い、最適任の人物として、先日、黒田氏を国会に提示したところであります。

 黒田氏は、アジア開発銀行総裁を八年余り務め、経済、金融政策に関する幅広い知見はもとより、同行のトップマネジメントとしても、国際的に非常に高く評価されております。

 日銀法改正については、将来の選択肢として常に視野に入れていきますが、まずは二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することが重要であると考えており、今後、国会の御同意を得て、黒田氏のもと、日本銀行が責任を持って大胆な金融緩和を行っていくことを期待しております。

 国会における国会同意人事の審査手続については、国会で検討されるべき課題でありますが、現行の手続は、さまざまな御議論を経た上で定められたものと承知しております。

 いずれにせよ、政府としては、国会の方針に沿って対応すべきものと認識しております。

 アルジェリアにおけるテロ事件を踏まえた国際情報機関の設置についてのお尋ねがありました。

 今般のテロ事件を初めとして、我が国を取り巻く国際情勢が一層厳しさを増していることから、政府全体の対外情報収集機能の強化を初め、我が国自身の能力向上を図るとともに、他国との連携強化を深めていくことにより、我が国の情報収集・集約・分析機能の一層の充実強化に取り組んでまいります。

 普天間飛行場の移設問題と自民党沖縄県連についてのお尋ねがありました。

 普天間飛行場の移設問題に関し、民主党政権は迷走いたしました。その間、地元沖縄県の方々の気持ちは大きく傷つけられましたが、これは我が党の沖縄県連についても例外ではありませんでした。

 我々は、政権発足後、何よりもまず、これまでに失われた国と沖縄県との信頼関係を取り戻すことから始めなければならないと考え、かつ、行動してまいりました。

 自民党は、沖縄県連も含め、普天間飛行場の固定化は、あってはならないと考えています。沖縄の方々の声に耳を傾け、信頼関係を構築しながら、普天間飛行場の移設を早期に進めてまいります。

 日米安保体制と尖閣諸島の警備等についてのお尋ねがありました。

 日米安保体制に基づく在日米軍の抑止力は、我が国の安全、ひいては地域の平和と安全の確保に不可欠です。特に、東アジアの各地域に近く、迅速な展開が可能な沖縄に駐留する米国海兵隊は、在日米軍の抑止力の重要な一翼を担っています。

 強固な同盟関係の構築のため、米国とは、太平洋軍司令部を含め、さまざまなレベルにおいて緊密に連携しており、先月、ロックリア太平洋軍司令官が訪日した際にも、閣僚レベルで意見交換を行っています。

 御指摘の尖閣諸島への公務員の駐在などの検討については、尖閣諸島及び海域を安定的に維持管理するための選択肢の一つと考えています。

 また、尖閣諸島及びその周辺海域の警戒警備については、海上保安庁、防衛省を初めとする関係省庁が連携し、状況に応じて警備体制を強化するとともに、仮に不法上陸があれば、関連する国内法に基づき、政府全体で厳正に対処します。

 いずれにせよ、尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、自国の領土、領海、領空を守るという断固たる意思を持って適切に取り組んでまいります。

 南西諸島への自衛隊配備と自衛隊法改正についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、南西諸島を初めとする島嶼部の防衛態勢の充実は極めて重要であり、まずは与那国島に、地元の御協力を得ながら、陸上自衛隊の沿岸監視部隊を平成二十七年度までに配備したいと考えています。

 また、現行の自衛隊法においても、警察機関による対応が困難な場合には自衛隊が治安の維持に当たることとされており、平素から、関係機関と連携しながら警戒警備に万全を期しているところですが、今後とも、国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、不断の見直しを行うことが必要と考えています。

 集団的自衛権についてのお尋ねがありました。

 先般、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会を改めて立ち上げ、前回の報告書が出されて以後の安全保障環境の変化を踏まえ、我が国の平和と安全を維持するため、どのように考えるべきかについて、検討を始めていただいたところです。

 政府としては、まずは、この懇談会における議論を待ちたいとの考えであります。

 ミサイル防衛体制の強化についてお尋ねがありました。

 外国のミサイルの脅威に対しては、日米安保体制による抑止力の向上に努めるとともに、我が国自身の取り組みとして、弾道ミサイル防衛や国民保護などにより適切に対応することとしているところであります。

 現在、自衛隊は、敵基地を攻撃することを目的とした装備体系を持っておりませんが、国際情勢の変化を踏まえ、国民の生命と財産を守るために何をすべきかという観点から、あるべき防衛力の姿について、常にさまざまな検討を行っていくことは当然である、このように考えております。

 北朝鮮の問題についてお尋ねがありました。

 北朝鮮に対して大きな影響力を有する中国の役割は極めて重要であるとの認識のもと、拉致問題の解決に向けて、中国を含め、米国や韓国、欧州諸国とも緊密に連携しつつ、全力を尽くす所存であります。

 先般の日米首脳会談においては、テロ支援国家再指定についての議論はありませんでしたが、拉致問題については、私から、自分の政権のうちに完全に解決するとの決意を表明し、改めて大統領の理解と支持を得たところであります。

 北朝鮮に対する追加的な制裁については、今後の北朝鮮の対応や国際社会の動向等を考慮しつつ、さらなる対応を検討することとしており、今般の日米首脳会談で一致したとおり、金融制裁も含めて、日米間で緊密に協力してまいります。

 PM二・五による中国の大気汚染についてのお尋ねがありました。

 中国の大気汚染の日本への影響については、環境省の専門家会合では、西日本などを中心に大陸からの越境汚染の影響もあったものと評価されており、今後も観測体制の整備を進めるとともに、実態解明に全力を挙げていくこととしております。

 現時点の国内の濃度は、健康への影響が心配されるレベルではありませんが、濃度が高くなった場合の注意喚起のための暫定的な指針を設定し、今後、各地方自治体において、必要な注意喚起を実施する体制を整備することとしています。

 また、有効な対応策を中国に求めるべきとの御指摘でありますが、日本の環境技術を生かした協力を初め、アジアにおけるさまざまな環境分野の枠組みを活用した周辺諸国と協力した取り組みなど、多角的に検討を進め、問題解決に向けて積極的に取り組んでまいります。

 憲法改正についてのお尋ねがありました。

 自由民主党は、立党以来、憲法改正を主張しており、昨年四月には、憲法改正草案を発表して、党として、二十一世紀にふさわしい、あるべき憲法の姿を示していると考えています。

 憲法の改正については党派ごとに異なる意見があるため、まずは、多くの党派が主張している憲法第九十六条の改正に取り組んでまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣石原伸晃君登壇〕

国務大臣(石原伸晃君) 中間貯蔵施設についてのお尋ねがございました。

 昨年十一月に福島県知事から調査の受け入れ表明をいただきまして、先週の金曜日に、調査を行う事業者との契約を終えたところでございます。

 地元の御意見を聞きながら、速やかに調査を開始いたします。

 調査の結果を踏まえ、その後は、安全性に十分配慮した施設の具体的なイメージをお示ししつつ、丁寧な説明を行い、設置についての地元の御理解を得たいと考えております。

 中間貯蔵施設は、言うまでもございませんが、福島の除染を進める上で必要不可欠な施設であることから、平成二十七年当初からの施設の供用を開始できるよう、最大限努力をしてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 我が国の気象行政の強化についてお尋ねをいただきました。

 御指摘いただきましたように、防災・減災対策を強化するためには、ハード、ソフト一体的な対策が必要であると考えております。

 このような観点から、地震、津波、風水害の観測、予報等、気象行政を強化することは、非常に重要な課題であると考えております。

 このため、気象庁は、大規模地震、局所的な豪雨や豪雪、竜巻等に対応した観測機器の充実や、予測技術の高度化、次期気象衛星の打ち上げ等、観測予報体制の強化に取り組んでおります。

 今後とも、防災・減災対策を強化していく中で、気象庁に求められる役割を十分に果たしていけるよう、観測予報体制の一層の強化を図ってまいりたいと考えております。

 また、世界規模で災害や気候変動の取り組みの強化が図られる中、国際機関との連携や途上国における予報能力を向上させることも、重要な課題であると考えております。

 このため、気象庁は、世界気象機関の枠組みのもと、国際連携や途上国支援、さらには、世界的な異常気象や温室ガスの観測にも取り組んでおります。

 今後とも、国際連携や途上国支援、環境対策の取り組みを積極的に展開し、世界をリードする気象機関となるよう努めてまいりたいと考えております。(拍手)

     ――――◇―――――

越智隆雄君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明五日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(赤松広隆君) 越智隆雄君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(赤松広隆君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       総務大臣     新藤 義孝君

       法務大臣     谷垣 禎一君

       外務大臣     岸田 文雄君

       文部科学大臣   下村 博文君

       厚生労働大臣   田村 憲久君

       農林水産大臣   林  芳正君

       経済産業大臣   茂木 敏充君

       国土交通大臣   太田 昭宏君

       環境大臣     石原 伸晃君

       防衛大臣     小野寺五典君

       国務大臣     甘利  明君

       国務大臣     稲田 朋美君

       国務大臣     菅  義偉君

       国務大臣     根本  匠君

       国務大臣     古屋 圭司君

       国務大臣     森 まさこ君

       国務大臣     山本 一太君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  加藤 勝信君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  山本 庸幸君


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.