衆議院

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第10号 平成25年3月5日(火曜日)

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平成二十五年三月五日(火曜日)

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 議事日程 第八号

  平成二十五年三月五日

    午後二時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)


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    午後二時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

議長(伊吹文明君) 昨日に引き続き、国務大臣の演説に対する質疑を行います。井上義久君。

    〔井上義久君登壇〕

井上義久君 公明党の井上義久です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました安倍総理の施政方針演説など政府四演説に対して質問します。(拍手)

 質問に入る前に、間もなく発災から二年を迎える東日本大震災で犠牲になられた方々に改めてお悔やみを申し上げるとともに、三十二万人を超えるいまだに避難生活を送っておられる皆様に、心からお見舞いを申し上げます。

 総理は、施政方針演説の冒頭で、共助や公助の精神は、単にかわいそうな人を救うことではありません、懸命に生きる人同士が、苦楽をともにする仲間だからこそ、何かあれば助け合う、そのような精神であると考えますと述べられました。全く同感であります。

 今を懸命に生きる被災された方々に寄り添い、平穏な生活を取り戻す復興、福島の再生に総力を挙げる、その姿こそ、総理が言われる強い日本ではないでしょうか。

 公明党は、これまで以上に、復興、福島の再生に力を尽くすことをお誓い申し上げます。

 さて、昨年十二月二十六日の連立政権発足以来二カ月余り、安倍内閣は、国民の期待を受けて、高い支持を得ています。

 年末年始を返上し、デフレからの脱却、経済再生という明確なメッセージのもとで編成された二十四年度補正予算、続く二十五年度予算案は、十五カ月予算と称されるように、予見可能性を明示し、その本格的な執行を前に、株価の上昇や円高の是正など、各種の経済指標を上向かせる効果をもたらしています。

 その効果を持続させ、経済を本格的な成長軌道に乗せていくためには、予算を執行する中で、国民の期待を現実にいち早く形にしていくことが必要です。二十五年度予算の早期成立を図り、期待を信頼に変えていく、結果を出す政治が求められます。

 一方、施策の推進、予算の執行に当たっては、スピード感と同時に、国民に対する丁寧な説明と、理解を得る不断の努力が必要であることも申し上げておきたいと思います。総理の決意を伺います。

 今回の総理訪米で、日米関係が再構築されたことを高く評価します。

 一方、北朝鮮の核開発や尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化など、不安定要因を抱える北東アジア地域の安定と平和に果たすべき我が国の役割は、これまで以上に重要になっています。日米同盟を基軸に、新たな指導者が誕生した中国、韓国との関係改善を急ぐべきです。

 オバマ大統領との会談で、TPP、環太平洋経済連携協定について、全ての関税撤廃を前提としないことが確認され、これを受けて、総理は、施政方針演説で、今後、政府の責任において、交渉参加について判断するとの方針を表明されました。

 しかし、TPPへの参加については、農業者を初め多くの国民が強い懸念を抱いており、交渉参加の判断に当たっては、特に次の二点に配慮し、慎重に行うべきです。

 一点目は、TPPが、貿易のみならず、医療や保険、食の安全など国民生活に幅広く影響する包括的な協定であることから、国民への十分な情報の開示、丁寧な説明を行い、国益についての国民的なコンセンサスをつくるとともに、その最大化に努めること。

 二点目は、農業は国の基であり、国土保全や環境保全など多面的な機能を有することや、食料自給率の向上を目指す方針との整合性などの観点から十分な検討を行い、守るべき農産品を明確にすることです。

 総理の答弁を求めます。

 東日本大震災からの復興、福島の再生について伺います。

 未曽有の大震災と原発災害から、間もなく二年を迎えます。総理は、就任早々から、大震災からの復興は内閣の最重要課題との方針を掲げ、福島復興再生総局の設置など復興庁の司令塔機能の強化や、復興予算枠二十五兆円への拡大などの取り組みを強力に進めてこられました。

 この間に成立した平成二十四年度補正予算、また、平成二十五年度予算案には、住民の定着を促進するための震災復興特別交付税の増額や、福島原子力災害避難区域等の帰還、再生を加速する事業、津波被災地域及び原子力災害被災地域における雇用創出のための企業立地補助金など、復興加速策が多く盛り込まれました。

 いずれも、被災地の要望を踏まえたものであり、早期の執行が期待されます。

 さらに、我が党が主張してきた高台への集団移転事業を促進するため、市町村による農地の買い取りを円滑に進めるための農地法の規制緩和も実現をしました。

 今、被災者にとって一番必要なことは、復興の加速は当然ですが、住宅の再建やふるさとへの帰還などの見通しを示すことです。先の見通しが明確にならなければ、総理が強調された、被災者の方々の希望をつくることはできません。

 復興にかける総理の決意と、住宅再建等の具体的な見通しを伺います。

 次に、具体的な課題について伺います。

 被災した女性たちが力を合わせて運営し、雇用を生み出している被災地の食堂のように、被災者自身が復興に貢献する企業を立ち上げることや、その企業を担う人材の育成を支援する地域社会雇用創造事業が今年度末で終了します。被災者からは、来年度以降もこの事業による支援を継続してほしいとの声が多く寄せられています。復興推進調整費等で本事業を継続し、引き続き支援していく必要があると考えます。

 被災地では、今、土地所有者が不在、不明で災害公営住宅等を建設するための用地取得が進まないなど、土地の境界や権利等の問題が復興の足かせになっています。

 現在、所有者等の所在を確認する体制強化のほか、土地収用法による収用手続や、民法の不在者財産管理制度など、現行制度を迅速に運用することで解決に向けた対応が進められていますが、十分ではありません。

 この際、一定の検証を行った上で、被災地及び復興期間に限り、土地収用法や民法等の改正も含め、復興事業のための用地取得の迅速化を図る特例法を設けるべきと考えます。

 現在、復興庁において、五回目となる復興交付金の配分計画の検討が進められています。復興格差が指摘される中、被災の状況に即した復興のために、復興交付金の、より弾力的な運用とともに、基幹事業や効果促進事業の対象を拡大する抜本的な見直しが不可欠です。

 中でも、文化・観光施設の建設や、災害公営住宅と市街地を結ぶ幹線道路の整備、ガス管の整備など、被災地全体の復興に欠かせない事業を早急に対象に加える必要があります。被災自治体からは、使ってはいけない項目だけを決め、それ以外は自治体の裁量に思い切って任せてほしいとの強い要望も寄せられています。

 震災で発生した災害廃棄物の処理について、昨年十二月末現在、岩手、宮城二県における処理の割合は四六%にとどまっています。環境省によれば、広域処理や再生利用の推進、被災地における仮設焼却炉の増設等により、目標の明年三月までに完了することは可能との見解が示されています。

 一方で、海底の砂やヘドロなどの津波堆積物、さらに、福島県の災害廃棄物等については処理が進んでいません。災害廃棄物の処理は復興の第一歩であり、一日も早い処理の完了を目指すべきです。

 以上、復興の加速に向けた諸課題について、総理の答弁を求めます。

 昨年秋以降、被災地では、復興需要の本格化に伴う生コンの不足や、資材価格、人件費の高騰、技術者不足等が原因で、工事を請け負う落札業者が決まらない入札不調が相次いでいます。中でも、宮城県では今年度の復旧復興工事の三八%、仙台市では四九%が不調に終わっています。

 こうした状況を改善するため、現在、国交省において、現地で生コンを生産する公設プラントの建設や、被災地と被災地以外の建設企業が共同受注する復興JV制度の導入などの実施、検討が進められています。

 これらの対策の進展状況及び抜本的な解決策について、太田国土交通大臣の答弁を求めます。

 平成二十五年度予算案について伺います。

 平成二十五年度予算案のポイントは、復興予算の総額を確保したこと、補正予算と合わせて十五カ月の経済再生予算としたこと、そして、財政健全化に向けて第一歩を踏み出したことです。

 復興予算については、二十五兆円という総額を確保したことにより、本格的な復興の進展が期待されます。支援の体制強化とあわせ、被災の実情に沿って、使い勝手よく、早急に執行することが求められます。

 また、平成二十四年度補正予算と合わせ十五カ月予算としたことで、日本経済再生のための成長戦略を着実に実行できる予算となりました。財政出動や金融政策、税制など、あらゆる政策手段を機動的に行使し、政策効果を引き出し、着実に経済を成長させることが重要です。

 あわせて、三年ぶりに税収が公債発行額を上回る予算となったことは評価されます。世界経済の不確実性がいまだくすぶる中で、無駄のない財政出動と成長戦略によって税収を確保しつつ、安定的な財政健全化の道筋を示すことが重要です。

 財政健全化目標の考え方、日本の財政の不確実性の解消を求める国際社会にどう応えていくのか、総理の答弁を求めます。

 税制改正について伺います。

 平成二十五年度税制改正のポイントは、景気回復や成長戦略を後押しする法人税等の見直しや、社会保障と税の一体改革を着実に進めるための個人所得税等の見直し、消費税率引き上げに伴う対応措置です。

 特に、法人税では、従業員の給料をアップしたり、雇用をふやす企業を減税する雇用促進税制の創設が盛り込まれており、働く人の所得を向上させる効果をどう引き出すか、これが問われています。総理の答弁を求めます。

 防災、減災について伺います。

 常に自然災害の脅威にさらされている我が国にとって、国民の生命と財産を守るための社会基盤の整備は、最重要課題の一つです。特に、社会インフラはその中核であり、整備強化は、国民の命を守る防災、減災に直結します。

 一方、インフラの整備をめぐっては、絶えず、ばらまきとの批判があります。国民の理解を得るためにも、今後の公共事業の推進に当たっては、国民の命を守る視点を一層明確にすべきと考えます。

 加えて、今後の公共事業で重要な観点は、社会インフラの将来を予測して計画的かつ効率的に整備、管理する予防保全の考え方、アセットマネジメントの導入です。アセットマネジメントの導入で、超長期にわたり社会インフラを安全に活用することが可能となり、コスト削減の効果も期待されます。

 命を守る視点やアセットマネジメントの導入など、公共事業のあり方を大きく転換すべきときであると考えます。総理の見解を伺います。

 多岐にわたる社会インフラは、国民生活や経済活動を支える基盤であり、着実な総点検の実施や、補修、修繕が求められます。しかも、その管理主体は、国だけではなく、地方自治体にも及びます。

 太田国土交通大臣は、ことしをメンテナンス元年と位置づけておられますが、まずは、維持管理体制の見直しに着手すべきです。

 問題は、施設の管理者や建設年次、維持管理の履歴といったデータが蓄積されていないことや、同一の施設であっても、点検の手法や適用される基準にばらつきがあるということです。点検についての基本的、統一的なルールが確立されなければ、点検そのものの信頼性をも脅かしかねません。早急にルールを策定すべきです。

 地方自治体への支援も欠かせません。防災・安全交付金の創設で財政支援は進みますが、職員不足に対する支援も必要です。

 地方自治体における土木部門の職員数は、建設投資のピーク時である平成四年度で約十八万八千人が在籍していましたが、平成二十三年度は約十四万二千人と、二五%も減少しています。

 国土交通省が持つ研究機関や地方整備局などが地方自治体を支援する体制の構築に力を注ぐべきです。国土交通大臣の答弁を求めます。

 社会インフラの点検、維持管理に対する認識が深まる一方、補修や修繕を担う肝心の建設産業が弱体化しています。その原因は、近年の急激な建設投資の減少です。

 建設投資額は、平成四年の八十四兆円をピークに、現在では四六%も減少し、これと軌を一にして、建設事業者は、人員削減や重機の放出に踏み切るなど、企業規模を縮小せざるを得ない状況にあります。今や、地域の建設産業は、地域のインフラを守る役割すら果たすことが困難になりつつあります。

 この実態を放置すれば、東日本大震災からの復興のみならず、今後、全国的に展開される社会インフラの補修や修繕、防災・減災対策にも支障が出ることは明らかです。

 建設産業への支援、とりわけ人材確保について、国土交通大臣の見解を伺います。

 デフレからの脱却と国民生活の向上について伺います。

 デフレによる消費低迷から生産の停滞、そして所得の減少につながる悪循環を断ち切らなければ、日本経済の再生はありません。

 政府は、大胆な金融政策、機動的な財政運営、民間投資を喚起する成長戦略を三本の矢としてデフレ脱却に取り組んでおり、経済界や市場関係者などからも高い評価を得ています。

 これからの課題は、成長戦略の具体化であり、成長の成果を、雇用や所得の増加など、国民生活の向上につなげていくことです。

 政府は、成長戦略の柱の一つに、製造業の復活を目指す日本産業再興プランを据えることを決定しました。製造業就業者数が一千万人を割ったとはいえ、物づくりは日本経済の重要な支え手であり、再興プランの方向性を評価します。

 製造業の復活に当たっては、六重苦と言われる障壁を取り除くのみならず、技術革新、イノベーションや人材育成、有望な技術を丹念に探し出して産業化するなど、企業の規模や実績にとらわれない支援を大胆に行うべきです。

 若者や女性に特化した支援も必要です。

 競争力を高めるためには、イノベーションの推進による新産業の育成が重要であり、新しい発想を持つ若者や女性に特化した支援策の導入で、新たなビジネスモデルが生まれると考えます。

 成長戦略のもう一つの柱が、規制改革です。

 障壁を乗り越えて成長を実現するために、緊急性の高い項目から大胆に規制緩和すべきです。

 一方で、昨年四月に関越自動車道で発生した高速ツアーバス事故に象徴されるように、行き過ぎた規制緩和が過当競争を生み、働く人の健康や安全が損なわれるような弊害を招くことがないよう、十分な配慮が必要です。

 これまでの規制改革を検証し、地域や現場の実情を踏まえた改革になるよう留意すべきです。

 以上、成長戦略をめぐる諸課題について、総理の答弁を求めます。

 暮らしに豊かさをもたらすためには、経済成長とともに、雇用の安定が不可欠です。

 正規雇用と非正規雇用の間にある、賃金、待遇などの格差の是正や、フリーターなどの若年者雇用対策の抜本的強化、ワーク・ライフ・バランスの実現等に力を入れるべきです。

 総理は、経済財政諮問会議の席上、産業界に対し、報酬の引き上げなどを通じて、所得の増加につながるよう協力をお願いしていくと発言されました。また、先日、私も、経団連との意見交換で、可処分所得をふやすために労働分配率を引き上げるよう要請しました。

 労働分配率を引き上げるとともに、柔軟な働き方への改革を実現し、経済成長による格差の拡大や固定化が生じないよう、最大限の配慮を行うべきです。総理の見解を伺います。

 地域の活性化について伺います。

 地域経済を支える中小企業支援について、平成二十四年度補正予算とあわせ、平成二十五年度予算案でも、物づくり中小企業のための技術開発支援や、中小・小規模事業者の経営支援、女性や若者を初めとした、意欲ある経営者が行う新商品や新サービスの開発支援のための予算が盛り込まれたことを評価します。

 また、地域の活性化のためには、まちづくりが重要です。

 平成十八年、疲弊する中心市街地を活性化させるため、中心市街地の立地ポテンシャルを高めることを目的として、まちづくり三法が改正されました。ところが、人口や行政施設などは微増したものの、思うように民間投資が進まず、活性化したとは言えない状況にあります。

 地域の歴史や文化を踏まえつつ、安全かつ効率的で、将来にわたって持続可能なまちづくりが可能となるよう、まちづくり三法の改正や税制・規制改革等、省庁横断的に取り組むべきと考えます。総理の見解を伺います。

 農林水産業について伺います。

 近年、世界的に食料需給が逼迫傾向を強める中、国内では、農業従事者の高齢化や後継者問題など、課題が山積しています。

 担い手育成や経営安定対策、基盤整備などにより、安心して農業が続けられる環境をつくるとともに、輸出促進や市場拡大にも一体的に取り組む、攻めの農業を推進すべきです。

 担い手の育成については、新たに農業を始めた人材が、技術を習得し、自立した経営者となるまでの間、息の長い就農、定着支援が必要です。

 また、農業収入を安定させ、魅力ある産業とする経営安定策が必要です。

 民主党政権下で導入された戸別所得補償制度は、多額の予算を計上したものの、法律に基づかない不安定な制度でした。二十五年度予算案では、名称を経営安定対策として、制度自体は維持し現場の混乱を防ぐこととしていますが、農業経営の安定のためには法定された制度が必要であり、早急に法制化に取り組むべきです。

 また、二十五年度予算案では、農業農村整備事業など、前政権下で大幅に削減された事業を復活しました。これらの事業は、農業生産力の向上や多面的機能の強化、防災・減災対策を促進する内容となっており、農業の持続的な発展に必要なものと認識しています。

 農地が有する多面的な機能は都市部においても重要であり、都市農園のニーズも高まっています。二十五年度予算案では、都市の農地に関する交付金の創設が盛り込まれていますが、今後、都市農業の位置づけを明確にしつつ、さらに力を注ぐべきと考えます。

 林業については、近年、国産材の需要が拡大しており、これを木材自給率の向上につなげていくべきです。また、林業は、国産材の供給のみならず、温暖化対策や水源涵養、生物多様性の保全など、多面的な機能が持続的に発揮されるよう、一層の対策が求められます。

 後継者不足や高齢化に対応し、担い手の育成、定着支援に一層力を入れることが必要です。

 その意味からも、二十五年度予算案で、農業分野でニーズの高い青年就農給付金と同様の制度が、林業、漁業分野でも導入されることは評価されます。

 世界有数の豊かな漁場を持つ日本において、漁業は、水産資源の安定的な供給のみならず、海岸保全などの多様な役割を担う重要な産業です。しかし、近年の漁業をめぐる状況は、高齢化による就業者数の減少や燃油の高騰など、課題が山積しています。

 漁業を持続的に展開し、多面的な機能をさらに発揮させるために、経営安定への支援や人材育成支援など、総合的な取り組みが必要です。また、漁船の燃油高騰対策も喫緊の課題であり、対応が求められています。

 以上、農林水産業の振興について、総理の見解を求めます。

 国民の健康を守る医療制度について伺います。

 まずは、高額療養費制度です。

 患者の自己負担に一定の上限額を設ける高額療養費制度について、抜本的に見直すべきです。

 その第一は、低所得者への配慮です。具体的には、七十歳未満の一般所得者の区分に、新たに年間所得三百万円以下の世帯区分を設け、月単位の負担上限額を四万円程度に引き下げることを提案します。

 第二は、年間医療費は同じでも、月単位であれば高額療養費が支給されない場合もあることなどを踏まえ、負担上限額に年間の上限額を設けるよう提案します。そのほか、世帯合算の仕組みなども検討すべきです。

 次に、難病対策です。

 難病患者の長期にわたる療養と社会生活を支えるとともに、これまで原因の解明すら行われていない疾患について、研究事業や医療費助成の対象に選定することを含め、抜本的な見直しを行うべきです。

 難病の原因究明や治療法の研究開発、医療、看護等の提供体制の確立も欠かせません。これらの課題解決に向け、法整備を含めた総合的な支援策が必要と考えます。

 以上、総理の答弁を求めます。

 介護保険制度について伺います。

 今後のさらなる高齢化を見据え、訪問介護・看護サービスの大幅拡充やICTの活用も含め、二十四時間三百六十五日利用可能な在宅支援サービスの基盤整備、サービスつき高齢者向け住宅の整備拡充などが必要です。

 また、介護サービスを支える介護・看護人材の確保、従事者のさらなる処遇改善も必要です。

 一方、介護保険を利用せずに元気に暮らしている高齢者に対し、介護予防などの取り組みを評価し、国民が健康増進に、より意欲を持てる環境づくりも進めるべきではないかと考えます。

 以上、介護保険制度の持続可能性を高める取り組みについて、総理の答弁を求めます。

 最後に。

 昨年十二月二十六日の連立政権から二カ月余り、劇作家であり、有名な文明評論家でもある山崎正和氏は、今回の民主党政権から自公連立政権への交代を、変革願望の幻滅の裏返しとしての現実改善への回帰と捉えることができると分析し、その上で、安倍内閣がとるべき選択は、小さな現実の物語をじっくりと落ちついて観察し、小さな改善の物語を確実に紡いでいくことだ、現実政策への回帰、これが、夢から覚めた日本がとるべき選択なのであると述べておられます。

 山崎氏の指摘どおり、今、私たちに求められているのは、目の前にある課題を一つ一つ解決し、確実に成果を積み重ねていくこと、二十四年度補正予算の早期執行とともに、二十五年度予算の早期成立を図り、予算を執行する中で、国民の期待を信頼に変えていくことだと思います。

 私たち公明党は、安倍内閣とともに、結果を出す政治を加速する決意を改めて表明し、代表質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上義久議員にお答えをいたします。

 平成二十五年度予算の早期成立と国民への説明についてのお尋ねがありました。

 二十四年度補正予算と二十五年度予算については、いわゆる十五カ月予算として一体的に編成しましたが、デフレからの早期脱却、経済再生に向け、二十四年度補正予算に続き、二十五年度予算についても早期に成立させていただき、速やかに執行することが可能となるよう全力を尽くしてまいります。

 また、これらの予算について、国会審議や予算執行段階の情報公開などを通じて、施策の中身などについて国民の皆様に丁寧に説明してまいります。

 日米同盟を基軸とした日中、日韓関係の改善についてお尋ねがありました。

 日中関係は、最も重要な二国間関係の一つであり、個別の問題があっても関係全体に影響を及ぼさないようにコントロールしていくとの戦略的互恵関係の原点に立ち戻るよう、粘り強く訴えていきます。私は、対話のドアは常にオープンにしておきます。

 また、韓国は、基本的な価値と利益を共有する、最も重要な隣国であります。日韓の間には難しい問題もありますが、日韓双方で新政権が成立した機会を生かし、二十一世紀にふさわしい未来志向の関係を構築するため、朴槿恵大統領とともに努力していく考えであります。

 TPPについてのお尋ねがありました。

 TPP交渉に参加するかどうかということについては、私が最終的に判断することとしておりますが、公明党のお考えはしっかり承っており、十分に留意してまいります。

 国民への情報提供については、今後とも、公開できることは、状況の進展に応じて、しっかりと国民の皆様に提供してまいります。

 農業は、国民に食料を供給し、地域経済を支える重要な産業であるとともに、日本の美しいふるさとと国土を守る多面的な機能を果たしており、こうした機能も大切にしていくことが重要であります。

 仮にTPP交渉に参加した場合でも、今般の日米首脳会談において日本の一定の農産品のセンシティビティーが認識されたことも踏まえ、このような農業の重要な役割が維持されていくよう対応していくことに変わりはありません。

 住宅の再建や故郷への帰還などの見通しについてのお尋ねがありました。

 東日本大震災からの復興は、安倍政権の最重要課題の一つです。仮設住宅等での居住を余儀なくされている避難者の方々に希望を持っていただけるよう、復興の加速化に全力で取り組むとともに、住宅再建の見通しをお示ししていくことが重要です。

 このため、政府としては、住宅再建やまちづくりの工程表及び住宅宅地の建設戸数の年度別目標や、原子力災害の被災地における早期帰還や定住に向けたプランを作成しているところです。これらについて、できるだけ早期に取りまとめ、お示ししてまいりたいと考えております。

 地域社会雇用創造事業についてのお尋ねがありました。

 同事業は、今年度末までに終了する予定の事業として実施しております。

 被災地における起業の支援は重要な課題であり、被災地のニーズを伺いつつ、その事業効果をよく精査した上で、類似事業の活用も含め、どのような形で対応するべきか、関係省庁において検討してまいります。

 所有者が不明な土地等の用地取得の迅速化についてお尋ねがありました。

 用地取得に関する対応については、職員が不足している被災自治体に対して、国が直接、調査業務の外注を働きかけているところです。

 また、土地収用に係る審査手続の迅速化や、財産管理人のなり手の確保を含めた財産管理制度の円滑な活用に向けた体制の構築を図るなど、柔軟な対応を進めてまいります。

 現在、被災自治体とともに、用地取得に係る具体的な課題の解決策を実際の事業に即して検討しており、可能な限り運用上の措置、改善策を講じつつ、制度上の課題が明らかとなった場合には、その改善方策も検討してまいります。

 復興交付金の運用柔軟化についてのお尋ねがありました。

 著しい被害を受けた地域における復興のために必要な事業のうち、災害復旧など他の制度で対応すべきもの以外については、被災地からの要望を踏まえ、復興交付金で対応できるよう、運用の柔軟化を図る必要があると考えております。

 私から復興大臣に対して、運用の柔軟化を図るよう検討を指示したところであり、第五回の復興交付金の配分とあわせ、近日中に結論を得ることとしております。

 東日本大震災により発生した津波堆積物、福島県の被害廃棄物等の処理についてのお尋ねがありました。

 被災三県において、津波堆積物は約一千万トン発生しており、平成二十五年一月末現在の処理割合は約一八%となっております。

 今後、処理施設をより効率的に稼働させるとともに、盛り土材など、復興工事の再生支援として積極的に利用拡大することにより、平成二十六年三月末までの処理完了を目指します。

 福島県の災害廃棄物については、住民の方々が避難されている地域やその周辺では、国が地方自治体にかわって処理を行う方針です。

 県内初の仮設焼却炉が本年二月から本格稼働を開始したところです。今後、さらに、仮置き場、仮設焼却炉等の施設整備を進め、災害廃棄物の撤去、処理を加速化し、住民の方々の帰還の妨げにならないよう、最大限努力をいたします。

 財政健全化についてお尋ねがありました。

 我が国の財政健全化に向けた取り組みについては、国際社会から注視されているものと認識しております。

 このため、平成二十五年度予算については、財政健全化目標を踏まえ、四年ぶりに税収が公債金を上回る状態を回復したところです。

 今後、財政健全化と経済再生の双方を実現する道筋の検討を進め、国、地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化との財政健全化目標の実現を目指します。

 制度改正についてお尋ねがありました。

 二十五年度税制改正においては、所得税等について御指摘の見直しを行うとともに、特に法人税では、研究開発税制の拡充や設備投資を促進する税制の創設等を行い、企業の成長投資を後押しするとともに、業績の改善した企業にはその利益を従業員に還元してもらうよう、給与等の支給や雇用をふやす企業に対する優遇税制を創設することとしております。

 成長戦略等の他の施策とあわせ、こうした取り組みにより、企業の収益向上と、雇用や所得の拡大の好循環につなげてまいりたいと考えております。

 公共事業のあり方についてお尋ねがありました。

 公共事業イコール無駄遣い、ばらまきという単純なレッテル張りから卒業しなければならないと考えており、公共事業について、思慮深い議論を進めていく考えであります。

 こうした考えのもと、今般の緊急経済対策においては、インフラの老朽化対策や耐久化などの、国民の命を守る事業に重点化したところです。御指摘のアセットマネジメントの考え方も取り入れながら、引き続き、こうした公共事業の重点化を進めてまいります。

 また、国民の納得を得ながら事業を進めていくことが重要であり、費用と効果が見えるよう、さらなる情報公開にしっかりと取り組んでまいります。

 成長戦略についてのお尋ねがありました。

 安倍政権の三本の矢のうち、一本目の金融政策と二本目の財政政策については、既に大きく動き出しました。ただ、いつまでも国の財政で需要をつくり続けることはできません。今後、持続的な成長を実現するためには、企業の競争力強化につながる成長戦略が最重要の課題になっていきます。

 成長戦略の具体化に当たっては、文章をまとめるだけではなく、全閣僚が一丸となった日本経済再生本部において、私自身が矢継ぎ早に具体策を判断し、次々と実行に移してまいります。

 さらに、企業の競争力強化が働く人の所得の増大につながらないと、持続的な経済成長は望めません。

 このため、先般、経済界のトップの方々を官邸にお招きをして、業績が改善している企業においては報酬の引き上げ等の御検討、御協力をお願い申し上げました。

 こうしたことによって、成長の成果を、雇用や所得の増加など、国民の生活向上につなげてまいりたいと考えています。

 日本産業再興プランと若者や女性への支援策についてのお尋ねがありました。

 製造業を初めとする日本産業の再興には、立地競争力を改善し、企業が国内に投資できる事業環境を整えることが必要です。

 さらに、グローバル競争の中で勝ち抜くためには、国内でイノベーションを起こし、付加価値の高い、新たな事業や産業を生み出していくことが欠かせません。

 また、御指摘のとおり、日本経済再生のためには、産業の競争力強化とともに、若者、女性の活躍を積極的に推進することで、さらに成長を押し上げていくことが重要です。

 現在開催している若者・女性活躍推進フォーラムにおいて、当事者である若者や女性、そして関係者のお話を、地方の声も含めてお伺いしながら、政府・与党一体となって、若者、女性の活躍を強力に応援してまいります。

 規制改革についてお尋ねがありました。

 規制改革については、雇用関連、エネルギー・環境関連、健康・医療関連を重点分野と位置づけ、これらを初めとして、経済再生に資するものから優先的に見直しを行うよう指示したところです。

 規制改革を進めるに当たっては、改革のための改革に陥ることなく、地域や現場の実態を含めた国民のニーズに応える社会を実現することを目指し、これまでの経緯も十分に踏まえながら、取り組みを進めてまいります。

 正規、非正規の格差是正、若者雇用対策、ワーク・ライフ・バランスの実現、労働分配率の引き上げ、柔軟な働き方の実現についてのお尋ねがありました。

 頑張って働く人の所得をふやし、本格的なデフレ脱却を実現できるかどうかに安倍政権の経済政策の成否がかかっていると言っても過言ではありません。

 このため、政府としては、非正規労働者の雇用の安定や待遇の改善に向けた取り組みや、若者に対する個々の事情に応じたきめ細かな就労支援、経済界や労働界など官民一体となったワーク・ライフ・バランスの実現に向けて取り組んでまいります。

 また、労働分配率の引き上げについては、イノベーションや規制改革など成長戦略に取り組むなどにより、雇用と賃金の増大を目指してまいります。

 柔軟な働き方の実現に関しては、労使を含め多様な観点から、そのあり方や支援策を検討していきます。

 地域活性化のためのまちづくりについてのお尋ねがありました。

 人口減少の中で、地域の経済活力を維持しつつ、高齢化が進む地域の住民にとって住みやすいまちづくりを進める必要があります。

 このため、政府としては、コンパクトシティーの促進など、省庁横断で政策を総動員して、まちづくりに取り組んでまいります。

 農林水産業の振興についてお尋ねがありました。

 農林水産業は、地域の経済を活性化するために重要な産業であり、攻めの姿勢で、農林水産業が有している潜在力を引き出していくことが必要です。

 このため、新規就農者の確保育成、輸出拡大や日本食の海外発信、農地の大区画化や農業水利施設の耐震化等の基盤整備の充実などを図りながら攻めの農政を推進するとともに、戸別所得補償制度の名称を経営所得安定対策に変更した上で、将来に向けて安定的な新たな仕組みの検討を行ってまいります。

 また、都市農業の有する多様な機能が十分に発揮されるよう、一層の振興に努めてまいります。

 林業の振興についてお尋ねがありました。

 林業については、我が国において森林資源が充実しつつあり、これを活用して木材自給率の向上を図るとともに、地球温暖化防止などの森林の多面的機能を持続的に発揮させていくことが重要です。

 このため、間伐等の森林整備や路網整備の推進、公共建築物等への地域材の利用拡大、新規林業就業者の確保育成などを図ってまいりたいと考えております。

 漁業の振興についてお尋ねがありました。

 漁業を持続的に展開し、多面的な機能をさらに発揮させていくためには、漁業の振興などに関する総合的な取り組みが極めて重要であります。

 このため、燃油高騰も踏まえた漁業経営安定対策の充実、新規漁業就業者の確保育成、水産業、漁村の多面的機能を高める活動への支援などを図ってまいりたいと考えております。

 高額療養費制度と難病対策についてお尋ねがありました。

 高額療養費制度については、長期にわたり高額な医療費がかかるがん患者などの負担を軽減するため、低所得者に配慮しながら、必要な見直しを行うことが重要であると認識しています。

 御提案をいただいた案を含め、高額療養費制度の見直しについては、国民会議での議論も踏まえつつ、財源の確保とあわせて検討を進めます。

 現在の難病対策については、御指摘のとおり、さまざまな課題があると考えており、政府としては、厚生労働省の審議会の提言も踏まえ、できる限り早期に、総合的かつ安定的な難病対策を構築できるよう、法制化その他必要な措置について調整を進めてまいります。

 介護保険制度についてお尋ねがありました。

 介護保険制度については、高齢化が進行する中で、在宅サービス等の充実、高齢者の住まいの確保、人材の確保や処遇改善等に取り組み、必要な介護サービスを確保しつつ、その効率化及び重点化を図ることが重要な課題です。

 介護予防については、介護保険の給付のほか、介護保険法に基づき、市町村の創意工夫のもと、さまざまな事業を行っており、今後とも、こうした取り組みを推進してまいります。

 政府としては、地域のお年寄りの皆さんに、質が高く、必要な介護が行われるよう、社会保障制度改革推進法に基づき、国民会議で精力的に議論するなど、持続可能な介護保険制度の構築に向け、改革を具体化してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 被災地における資材や人手の不足の対応についてお尋ねがございました。

 御指摘のとおり、被災地では、生コンクリートや技術者、技能者の不足、入札不調が生じており、対応が必要となっております。

 これらの問題を解決するため、一昨日、仙台市におきまして、被災自治体、建設業団体及び資材団体の方々に出席をいただき、調整会議を開催したところでございます。

 まず、入札不調についてでありますが、県や市のレベルで不調が多く生じておりますが、ロットの大型化など、各発注者が工夫を行っております。

 その後は、ほぼ契約ができていることを確認したところですが、今後も、状況を注視しながら、必要な対応をとってまいります。

 生コンクリートの不足については、骨材の不足やストックヤードの不足、あるいはプラントの不足など、地域によって原因が異なるため、それに応じた対応が必要であります。

 このため、三陸沿岸道路事業に供給するプラントを国が設置するよう指示したほか、ミキサー船の活用など、地区ごとに対策を講じることとしたところであります。

 また、技術者や技能者など人材の不足については、建設業の潜在力を発揮させるため、復興JV制度により全国からの確保に努めており、現在までに、合計百二十七のJVが結成されております。

 今後とも、現場の実態に対応した効果的な施策を講じることにより、被災者の皆様が復興を実感できるよう取り組んでまいります。

 次に、防災、減災に対しての施設の点検に関するルールの策定や、地方自治体への支援についてお尋ねがございました。

 高度成長期以降に整備したインフラが急速に老朽化することを踏まえ、国民の命を守る公共事業として、インフラの維持管理、更新にしっかりと取り組むことが重要であります。

 御指摘のあった、点検のルールの確立や地方自治体への支援体制の構築については、戦略的な維持管理、更新を進める上で、極めて重要な課題であると考えております。

 まず、点検ルールについては、現在、国交省として、その基準やマニュアルの見直し等を進めており、例えば道路については、新たに総点検実施要領を作成し、二月二十七日に、自治体に対して提供したところであります。

 また、御指摘いただいたように、市町村においては、職員の数が少ないなど体制に問題があるため、職員に対して、より広範な研修等を実施するとともに、個別の技術的な相談を開始したところであり、今後とも支援体制の一層の充実を図ってまいります。

 これらを含め、さまざまな施設の維持管理、更新について、より効率的に実施するための技術の開発や提供、構造物のデータベース化など、メンテナンス元年として、厚みを増す取り組みを重点的に進めてまいります。

 次に、建設産業の支援についてお尋ねがございました。

 御指摘のとおり、地域の建設産業は、インフラの整備、点検、維持管理、修繕の重要な担い手であるとともに、その地域の守り手でもあり、健全な発展が不可欠であります。

 一方、近年の建設投資の急激な減少や、それに伴う安値受注等により、経営を取り巻く環境の悪化と、技術者や職人となる若年の入職者の減少が見られるところであります。

 こうした中で、地域の建設産業の健全な発展を図るためには、インフラの維持や整備等の仕事について、将来が見通せるよう、計画的、安定的に行っていくことを示すことが必要だと考えます。

 さらに、そうした重要な仕事を担う地域の建設産業が国土や地域の守り手となっていることに建設産業自身が誇りを持つとともに、建設産業の外にいる人にもこうした認識を持ってもらえるようにしていくことが大事だと思います。

 また、技術と経営にすぐれた企業が活躍できるよう、単なる価格のみの競争ではない入札契約制度の改革も必要と考えます。

 さらに、学校等と連携した入職の促進や人材育成の充実も、極めて重要な課題と認識しています。

 このように、建設業の担い手の確保育成を図るための検討を鋭意行っているところであります。

 建設産業に従事する方々に自信と誇りを持っていただけるよう、全力で努力してまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次に、渡辺喜美君。

    〔渡辺喜美君登壇〕

渡辺喜美君 みんなの党代表渡辺喜美です。(拍手)

 間もなく、三回目の三・一一がめぐってまいります。亡くなられた方々には心より御冥福を申し上げるとともに、被災された皆様には一日も早い復興の実現をお誓い申し上げます。

 安倍内閣の高い支持率は、円安、株高に象徴されるように、長期デフレが終わり、日本が成長経済に戻っていくことへの期待感からくるものが大きいと思います。

 長引くデフレは、国力をそぎ、後世代にツケを回し、若者からチャレンジ精神を奪い、格差を拡大させてきました。

 みんなの党は、デフレ脱却の処方箋として物価安定目標を掲げ、そのための日本銀行法改正を、結党以来、訴えてまいりました。

 物価と雇用の安定はワンセット。物価が上がれば失業率は下がる、物価が下がれば失業率は上がる。雇用の最大化は、どの先進国でも金融政策の重要な使命です。雇用がふえれば所得が上がる、この自明の理を再認識すべきであります。

 安倍総理が政権を担ってイの一番に大胆な金融緩和を唱えたことは、国家経営として最良の策であったと高く評価をいたします。目のつけどころのよさに、長期政権の予感さえ感じました。

 問題は、今後どのように覚悟を持って実行されていくかにかかっています。期待感先行だけに、期待が剥げ落ちたときには逆回転のリスクがあります。みんなの党の政策をぜひ御採用ください。

 まず、デフレ脱却が確実にならないうちの消費増税は、絶対にやってはいけません。

 ことし四月―六月の成長率を見て決めるとのことですが、一体、どのような判断基準で増税を決定するのでありましょう。年率換算三%以上の名目GDPならよろしいのでしょうか。

 デフレ脱却のためには、日本銀行が今まで正当だと言ってきた理論を大転換しなければなりません。

 いわく、発行銀行券の範囲内でしか国債は保有できないという日銀券ルール。金融調節は為替水準には無関係だ、外債購入は日銀法上不可能だ、量的緩和は効果がない。デフレは少子高齢化のせいという俗説まで白川総裁は肯定してきました。

 総理がお選びになった三名の正副総裁候補には、このような発想の是非をお確かめになられたのでしょうか。

 デフレ脱却の大胆な金融緩和、すなわちリフレーション政策のためには、覚悟を持ってその実施を任せられる、総理と信頼関係を構築できる人材が必要です。その上で、日銀正副総裁には、今までの発想にとらわれない、筋金入りのリフレ派民間人を登用することであります。

 民間人には身分保障がありません。命がけで目標達成に邁進しなければ、政策決定会合で、総理の言う異次元の金融政策ができなくなるおそれがあるからです。

 総理も、当初はそうお考えになられていたのではないでしょうか。財務省、日銀、学者という従来型バランス人事案で、なぜ妥協してしまったんでしょう。

 日銀総裁に増税を最優先課題とする財務省次官級OBが就任すると、大胆な金融緩和が中途半端になるおそれがあります。実質二%、物価上昇二%で名目四%の成長が達成されてしまうと、税収がふえ、増税の必要が薄らいでしまうからです。

 また、外国為替の権限を財務省に温存したいと考える人が総裁になると、為替の安定は財務省の権限であり、物価の安定には含まれないとして、日銀による外債購入についても否定をするでしょう。

 外国為替特別会計の既得権益を温存しようとすると、金融政策はゆがんでくると言わざるを得ません。

 外為特会は、円高是正のために介入した資金でありますが、その使命は全く果たされていません。含み損益分岐点は百十五円程度と言われていますが、黒田東彦元財務官の時代に介入した十数兆円は、百二十円台で、ほとんど効き目はありませんでした。今でも膨大な含み損を抱えています。

 こうした点を、総理は、黒田氏本人ないしは推薦者にお確かめになられたのでしょうか。

 我が国の外貨準備高は、自由な金融政策ができず為替統制を行っている中国を除けば、世界最高です。

 なぜ、先進国でも例を見ないほど外貨準備高を維持する必要があるのでしょうか。それは、結局、外為特会の天下り利権温存のためではありませんか。総理大臣の御見解を伺います。

 さらに、総理は、金融政策の実施の手段として、制度論として、外債を買うという手段も考えられると述べておられました。一方、財務大臣は、外債の購入には否定的であります。

 財務大臣は、なぜ、そこまで否定されるのでしょう。閣内不一致ではありませんか。麻生財務大臣は、アベノミクスの最も重要な一本の矢である大胆な金融政策に否定的なのではありませんか。御見解を伺います。

 いずれにしても、日銀正副総裁人事については、フルオープンの国会の委員会で所信を聞かせていただき、これらの疑念に応えてもらった上で、最終的な判断をしたいと思います。きのう、きょうの衆議院議院運営委員会での短時間のヒアリングでは極めて不十分であると申し添えます。

 一月の政府、日銀の共同声明には、法的な根拠がありません。また、目標が達成できなかった場合の責任の問い方についても、経済財政諮問会議で検証するとされているほか、何も書かれていません。検証し、日銀総裁がとった手段が誤りで、目標が達成できなかったことが明らかとなった場合、どうするのでしょう。

 きのうの黒田氏のヒアリングでも、目標達成ができなかった場合の責任については、黒田氏は答えませんでした。本日の中曽宏副総裁候補も同じでありました。

 一方で、民間人である岩田規久男氏が、職を賭すと明言したのとは大違いです。

 やはり、日銀法を改正して、政府と日銀との間の取り決めに法的な根拠を持たせるとともに、目標を達成できなかった場合に日銀総裁の責任を問うことができる仕組みを導入すべきであります。

 現在の日銀法では、最高裁の裁判官にもないような過度の身分保障がついており、この仕組みを改めることは、大胆な金融政策の実効性の担保のために不可欠であります。総理の御所見をお聞かせください。

 また、その共同声明に規定されている二%の物価安定目標について、安倍総理は、日銀の責任で達成すべきであるとお考えです。一方、麻生大臣は、日銀だけではなく、政府との共同責任であるとのお考えをお持ちのようであります。

 総理、財務大臣、政府としてのお考えはどちらでしょうか。お教えください。

 自民党は、選挙公約において、天下りの根絶を明記しています。

 第一次安倍内閣のときは、参議院選の日程を延期してまで、各府省による天下りあっせんを全面禁止するという、霞が関にとっては驚天動地の法改正を行いました。

 天下りとは、官が民をステルス的に支配するため、役所が独立行政法人等を植民地化し、人事の一環として役人を送り出すことです。官僚統制、中央集権の生態系の頂点に位置するシステムです。

 第一次安倍内閣は、東京証券取引所自主規制法人理事長や成田空港株式会社の社長人事に天下りを行うことに猛反対いたしました。

 天下り人事は、必ず、規制改革や民営化によって持続的成長をもたらす場合の障害となります。前政権時代に決まったことではありましたが、日本郵政社長、公取委員長などの人事を見ると、安倍政権のかつての決意が揺らいでいるように思えてなりません。

 総理、選挙公約のとおり、天下り人事は今後一切行わないと考えてよろしいでしょうか。御決意を伺います。

 平成二十五年度予算案においても、公共事業の大盤振る舞い。

 既に被災地では入札不調が相次いでおり、その数は増加をしています。生コン等の資材価格は上昇の一途をたどり、型枠大工や鉄筋工など、人手不足、人件費の高騰が全国に波及し、予算が宙に浮き、天下り法人に滞留することになりかねません。

 また、地方負担を伴う公共事業は、地方がついていけず、景気対策にならない事態が予想されます。

 無駄な公共事業の急激な拡大による悪影響についての総理の御見解を伺います。

 加えて、官民連携のもとに、官民ファンドがメジロ押しです。

 例えば、PFI支援ファンド百億円。

 PFIの案件形成が進まないのは、現在の仕組みが、地方公共団体にとっては使いにくい、民間事業者にとっては事業的、収益的な魅力が薄いことによるものです。つまり、必要なことは、お金ではなく、制度改革、規制改革なのであります。

 また、クール・ジャパンを体現する日本企業の海外展開を支援するためにリスクマネーを供給するとして、五百億円。

 日本企業の海外進出を支援するファンドやコンサルティングサービスは既に民間に存在し、国がリスクマネーを供給する必要はほとんどありません。

 需要のない官民ファンドに多額の税金をつぎ込んでも、使用されずに、どこかの天下り法人の食い物にされてしまうとか、事業性も将来性もない事業に無理やり投資をして、毀損をさせてしまうかであります。

 官民ファンドは即刻取りやめるべきと考えますが、いかがでしょう。

 平成二十五年度予算においても、二・六兆円もの年金特例公債の発行が盛り込まれています。年金特例公債は、消費税増税の前提となるものであり、みんなの党は、絶対に認めません。

 補正予算の審議において野党四党で修正案を提出しましたが、その歳入の一つの柱は、この年金特例公債の発行の中止と、代替財源としての国債整理基金特別会計の積立金の活用であります。

 過去何度も取り崩されてきたこのへそくりを、中途半端に残しておく必要はありません。財務大臣の御決断で取り崩すおつもりはありませんか。

 成長戦略の推進において、規制改革は、お金のかからない措置として、極めて重要です。

 規制改革会議において、電力システム改革が最優先の課題の一つに挙げられていることは、高く評価をいたします。

 これにより、同じ企業グループ内の会社間での見せかけの発送電分離ではなく、みんなの党が提案する、脱原発につながる発電と送電の所有及び資本関係の分離、電力小売の自由化が迅速かつ着実に進められると考えてよろしいですか。総理及び経済再生担当大臣の御見解をお伺いいたします。

 一方で、規制改革の柱の一つであるべき農業改革の取り扱いが極めて小さいように見えます。

 我が国の農業は、成長産業となる潜在的な能力があるにもかかわらず、これまで八兆円の規模にとどまってまいりました。その原因は、農協既得権益の温存と、農地法による過剰な規制です。

 我が国の持続的な経済成長を考えるのであれば、株式会社の農地取得も含め、本来、成長産業であるべき農業分野の規制改革も、最優先案件の一つとして取り上げるべきではないでしょうか。総理及び経済再生担当大臣のお考えをお聞かせください。

 先月のオバマ大統領との日米首脳会談を受けて、交渉参加に向けた地ならしができたことは、遅きに失した感はありますが、高く評価をいたします。

 日本はできるだけ早く交渉参加すべきであり、安倍総理には、自民党内の反対勢力を抑え込んで、参加表明することを強く望みます。総理の御決意を伺います。

 また、TPP交渉への参加表明を皮切りに、東アジア包括的経済連携を初めとする経済連携協定の締結も、TPPと有機的に連携しつつ、推進していく必要があります。総理及び外務大臣の御所見を伺います。

 憲法九十六条の改正規定の要件緩和が議論をされています。みんなの党は、これに賛成です。

 時代に即した憲法改正を行う前にやっておくべきことは、公務員制度改革です。そもそも、そうした改革もできずに、憲法改正ができるとは、とても思えません。

 例えてみれば、電気とモーターで走る新車をつくろうとするとき、ボディーを先につくってみても、電池とモーターその他の部品が開発されていなければ、EV車は走りません。

 政党や官僚機構というものは、まさに、国家という車を走らせる中枢を担う部分です。新しい規範や建前は、それを動かす実体ルール、本音のルールが確立されていなければうまくいかないのが、この世の常です。

 第一次安倍内閣においては、国家公務員制度改革は最重要課題の一つに掲げられていました。野党時代の自民党は、みんなの党と共同で、国家公務員制度改革関連法案を国会に提出しました。

 総理、世界一イノベーションに適した国をつくろうとするなら、国家公務員制度改革で国家経営のイノベーションを行うことが有効です。閣法で今国会に公務員制度改革法案を出すと考えてよろしいですか。総理の御決意を伺います。

 みんなの党は、税と保険料の一体改革を訴えています。

 歳入庁の設置による徴収漏れの防止と収入の増加、社会保険料支払い額の上限の撤廃、社会保険料率の統一によって、給付と負担の適正化を図ることであります。

 歳入庁を設置して、推定十兆円からの保険料の徴収漏れをなくせば、消費税増税の必要はありません。また、七つも八つもある税や保険料の窓口を一本化でき、国民の利便性向上や行政改革につながります。

 政府の提出するマイナンバー法によって税収の着実な確保を目指すのであれば、窓口を一本化して、それを実行するための組織としての歳入庁の設置を一体で考えるべきではないでしょうか。

 みんなの党は、歳入庁設置法案を提出いたします。総理のお考えをお聞かせください。

 みんなの党は、ネット選挙解禁法案を、三月一日に、民主党と共同で提出をいたしました。

 選挙の主役は一般有権者であります。候補者のみならず、主役である一般有権者も、メールを含むインターネットを活用できるようにしようというのが、本法案の一番の肝です。与党の案と我々の案では、一般有権者のメール利用を認めるか否かが大きな相違点です。

 選挙におけるインターネットの活用は、国民と政治との距離を縮め、国民の政治への関心や参加を高めます。より多くの国民が、その民意を反映できるようになります。総理もおっしゃったとおり、投票率の向上につながってまいります。

 それなのに、なぜ、メールの送信を一般有権者にも認めないのでしょう。投票率が低い方が与党には有利ということなのでしょうか。総理の御見解を伺います。

 施政方針演説の中で、総理は、安全が確認された原発は再稼働すると明言されました。

 原発は、潜在的な危険性の高さにおいても、放射性廃棄物の処理においても、信頼性及び安全性が確保されたエネルギーではありません。

 一旦事故が起きれば、多くの人々が、故郷を追われ、働く場を失い、家族を引き裂かれ、周辺地域や国民経済に甚大な被害をもたらし、人々に不安と恐怖を与えます。今でも、福島第一の四号機の核燃料プールが崩れることを世界じゅうの専門家が心配をしています。

 原発は、むしろ、エネルギーとして極めて脆弱なものであったと考えるべきです。

 原発事故は、将来世代の人々も危険にさらされます。また、いまだに使用済み核燃料の最終処分の道筋が確立されておらず、仮に確立できたとしても、十万年以上の長い管理が必要です。

 原発の真のコストを考えたとき、原発が合理的な選択肢でないことは明らかです。我々は、原発の推進という国策を転換し、電力自由化によって経済合理性を基盤とした電力市場を構築することにより、脱原発を実現する責務があると考えます。

 みんなの党の考える、決められる政治は、原発を再稼働させることではなく、原発から撤退していく決断をしていくことであります。脱原発についての総理の御見解を伺います。

 省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの普及、発電方式等の効率化、エネルギーの地産地消の促進は、原発依存のエネルギー供給体制から脱却するためには不可欠です。

 そのためには、発送電の分離を基礎に、電力小売への事業者の自由な参入を認め、電力小売価格を全面自由化する電力自由化を進める必要があります。総理のお考えをお聞かせください。

 人類史上初の大震災に伴う原発事故で故郷を追われている福島の方々の悲痛な叫びをお聞きし、みんなの党は、これら被災者の生活再建を図る法案を提出してまいりました。

 福島第一原発の周辺の立ち入りが制限される程度に著しい汚染が生じている地域の土地を買い取り、または借り上げ、自然エネルギー事業や汚染の除去または低減に資する事業を行うこと等を内容とする法案であります。

 原発問題の早期の解決と被災地の復興につなげるために、総理にはぜひ御賛同をいただきたいのであります。御所見をお聞かせください。

 指定廃棄物の処理や除染について、前回の総理答弁では、現行の基準等を見直すとおっしゃっておられました。

 先月二十五日、指定廃棄物最終処分場候補地選定のこれまでの経緯を検証し、これを見直す方向であることが、環境省より発表されました。

 しかし、残念ながら、今回の決定は、矢板市や高萩市に設置を決定したことの白紙撤回ではありません。加えて、各都道府県に処分場を設けるという、法律のどこにも書いていない基準を規定した基本方針はそのままであります。これで本当に見直しと言えるのでありましょうか。総理の御見解を伺います。

 前回も伺いましたが、ハーグ条約については、安倍総理より、早期締結を目指す旨の答弁があり、これによって、国際的な子供の連れ去りは解決に向かうと期待されます。

 一方、国内においては、子供の連れ去り問題に対処するため、既に民法第七百六十六条が改正されました。しかし、その運用においては、法改正の趣旨が徹底されておりません。

 離婚相談を受けた弁護士の中には、まず子供を連れ去れ、もう一方の親から引き離せ、虚偽でもDVの主張をしろと指導し、金もうけをする者がいると言われています。

 この背景には、既成事実を追認し、子供を連れ去った親に親権、監護権を与える裁判所の運用があります。拉致司法と国内外で批判される実態です。

 条約批准を機に、裁判官等に対し、改めて、国内の民法七百六十六条の立法趣旨の徹底を図るべきと考えますが、総理の御見解を伺います。

 総理は、各党会派の皆さんと丁寧な議論を積み重ね、合意を得る努力を進めてまいりますとおっしゃっていました。みんなの党は、ただ単に批判をするのではなく、積極的に対案を提出し、なぜ、与党案がだめで、みんなの党がいいかを説明し、しっかりと議論をしてまいります。

 ぶれない、曲げない、崩れない、それがみんなの党であります。

 安倍内閣が闘う改革を進めていくのであれば、みんなの党は真摯に協力をいたします。

 一方、改革マインドを失った安倍内閣に対しては徹底批判していくことを改めて宣言し、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 渡辺喜美議員にお答えをいたします。

 消費税率の引き上げについてのお尋ねがありました。

 今般の一体改革による消費税率の引き上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持のために行うものであります。

 法律で来年四月に引き上げることが決まっておりますが、機械的に何が何でも引き上げるということではなく、一体改革の目的に沿って、税収を確保できることが重要と考えております。

 例えば、強いデフレが続いて、消費税率を引き上げても逆に減収になるようでは、意味がありません。

 本年秋に、附則第十八条にのっとって、名目及び実質の経済成長率等、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案して判断していくこととなります。

 いずれにしても、三本の矢で、長引くデフレから脱却をし、日本経済を全力で再生してまいります。

 金融政策や経済政策についての候補者の考え方を踏まえた次期日銀総裁、副総裁人事についてお尋ねがありました。

 次期日銀総裁、副総裁については、出身母体は問わず、デフレ脱却に向け、金融政策に関する私の考え方に理解をいただき、確固たる決意と能力でこの課題に取り組んでいただく方、そして国際社会への発信力もある方を念頭に人選を行ってまいりました。

 その際、私みずから、黒田氏、岩田氏及び中曽氏の三名の候補者本人と、私の金融政策、経済政策の考え方について意見交換を行い、最適任の方々として、先日、国会に提示したところであります。

 今後、国会の御同意を得て、黒田氏、岩田氏及び中曽氏のもと、日本銀行が責任を持って大胆な金融緩和を行っていくことを期待しております。

 渡辺代表にもぜひ御賛同をいただきたいと思います。

 外為特会が保有する外貨準備高についてのお尋ねがありました。

 外為特会が保有する外貨準備は、為替介入を行った結果として保有しているものであり、御指摘のような既得権益の温存のために保有しているものではありません。

 日銀法改正についてのお尋ねがありました。

 日銀法改正については、将来の選択肢として常に視野に入れておりますが、まずは二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することが重要であり、日本銀行が責任を持って大胆な金融緩和を行っていくことを期待しております。

 また、共同声明では、経済財政諮問会議において金融政策等について検証することとしており、日本銀行の説明責任を強化することにより、共同声明の実効性を確保する仕組みとしております。

 物価安定目標の達成責任の所在についてお尋ねがありました。

 共同声明において、日本銀行が、みずから二%の物価安定目標を定め、これをできるだけ早期に実現することを目標とすることが明確に規定されており、物価安定目標を達成することに関する責任は日本銀行にあるものと認識しております。

 なお、物価上昇は、実体経済の成長を伴って安定的に実現していくことが望ましいことから、政府としても、機動的なマクロ経済政策運営に努めるとともに、成長力、競争力の強化の取り組みを実行することとしております。

 天下りについてのお尋ねがありました。

 国家公務員の再就職に関して問題なのは、公務員OBの口きき、予算、権限を背景とした再就職の押しつけ等の不適切な行為であります。

 昨年立ち上がった再就職等監視委員会による監視のもと、こうした不適切な行為を厳格に規制していくことで天下りを根絶し、再就職に関する国民の疑念を払拭してまいります。

 公共事業の拡大による影響についてお尋ねがありました。

 平成二十五年度予算案における公共事業については、地方公共団体とも連絡をとり合いながら、インフラの老朽化対策や耐震化などの国民の生活を守る事業、成長や地域活性化を促す事業など、時代やニーズの変化に対応した、真に必要な経費を計上しており、無駄な予算は含まれていないと考えております。

 また、御指摘のあった被災地の入札不調や資材、人手の不足については、発注規模の大型化や公共工事用の生コンクリートのプラントの新設、技術者の配置基準の緩和などにより、柔軟かつ迅速に対応してまいります。

 その上で、地方公共団体と協力して、平成二十五年度予算案に計上している公共事業を早期に執行することにより、経済対策として、経済波及効果が早期に発現するよう努めてまいります。

 いわゆる官民ファンドについてのお尋ねがありました。

 日本の豊富な民間資金、多様な人材、すぐれた技術力などの潜在力を最大限に引き出し、成長による富の創出を実現するためには、市場へのリスクマネーの供給や、それを呼び水とした民間の出資や融資の促進が喫緊の課題であり、御指摘のいわゆる官民ファンドについては、このような課題への対応に資するものと考えております。

 また、各施策においては、十分な審査体制及びリスク管理体制のもとで、民間主導で投資案件の精査を行い、収益性の確保に努めることとしています。

 なお、国家公務員の再就職に関しては、再就職等監視委員会による監視のもと、国家公務員法に基づく再就職規制を厳格に運用し、天下りを根絶してまいります。

 電力の規制改革についてのお尋ねがありました。

 御指摘の発送電分離については、実質的に配送電部門の中立性が確保されることが重要です。また、御指摘の小売の自由化についても、実質的に消費者の選択肢が確保されることが重要です。

 これらの点に留意し、かつ安定供給を大前提としつつ、電力分野の規制改革を着実に進めてまいります。

 農業の改革についてお尋ねがありました。

 農業は、国民に食料を供給し、地域経済を支える重要な産業であるとともに、美しいふるさとや国土を守る多面的な機能を果たしており、私の内閣においては、農業を成長分野と位置づけ、その潜在力を引き出していくことが必要と考えております。

 その際、平成二十一年の農地法改正により、株式会社の農業参入は、リース方式であれば完全に自由化されており、現在、リース方式による参入を進めているところです。

 また、農協法は、農家組合員の選択により、自主的に農協の事業範囲を決めており、独占禁止法についても、不公正な取引方法に関しては、農協を適用除外としているわけではありません。

 今後、農業が多くの若者にも魅力ある産業となるよう、攻めの農業の展開を図ってまいります。

 TPP等の経済連携についてお尋ねがありました。

 政府としては、TPPについては、今般の首脳会談で私自身が得た認識も踏まえ、国益にかなう最善の道を求めてまいります。

 交渉に参加するかどうかについては、党内や米国との協議も踏まえ、私が最終的に判断をしてまいります。

 また、御指摘の東アジア地域包括的経済連携への取り組みを含め、アジア太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの経済連携を戦略的に推進してまいります。

 国家公務員制度改革についてお尋ねがありました。

 国家公務員制度改革の重要性については、国家公務員制度改革基本法が成立した当時と現在とで、いささかも変わっていないと認識しております。

 行政や公務員制度のあり方について、これまでの改革の成果に加え、国際的な大競争時代への変化を捉え、改革を進める必要があります。

 これまで、基本法に基づき提出された法案に対してさまざまな議論があったことも踏まえ、過去の経緯の総括を行った上で、必要な改革を進めてまいります。

 歳入庁の設置についてお尋ねがありました。

 歳入庁については、昨年成立した税制抜本改革法において、自民、公明、民主の三党合意に基づき、年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施するとされているところです。

 政府としては、この法律の規定に基づき、年金保険料の徴収体制をどのように強化していくのか、幅広い観点から検討してまいります。

 選挙におけるインターネットの活用についてのお尋ねがありました。

 選挙におけるインターネットの活用は、選挙運動のあり方という、まさに選挙の基本的ルールにかかわる極めて重要な事項であり、各党各会派において、これまで、意見集約に向け積極的に協議されております。

 現段階でなおさまざまな御意見があり、さらに議論を深めていただき、結論を得ていくことが重要と考えます。

 私としては、公正性に配慮しつつ、できる限り早期に選挙で解禁できるよう取り組んでまいります。

 原子力政策と電力自由化についてお尋ねがありました。

 原子力を含むエネルギー政策については、まず、いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提であります。

 この点、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという前政権の方針はゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。

 その際、電力システムの抜本的な改革に着手するとともに、できる限り原発依存度を低減させていくという方向で検討してまいります。

 電力自由化についてのお尋ねがありました。

 電力自由化については、電力供給構造のあり方及び小売全面自由化の工程等について検討を進め、安定供給を大前提としつつ、具体化を図ってまいります。

 この国会において、関連する法案を提出できるよう、準備を進めております。

 土地の買い取り・借り上げ法案についてのお尋ねがありました。

 原子力事故により生じた損害に関しては、国が被害者の土地や建物を直接買い上げ、借り上げて補償するのではなく、一義的に、原子力損害賠償法に基づいて、東京電力に賠償の責任を負わせることが適切と考えます。

 東京電力が着実に足元の賠償等に取り組むよう、原子力損害賠償支援機構法に基づく枠組みのもとで、政府としても、進捗状況をフォローし、しっかり支えてまいります。

 指定廃棄物の最終処分場についてのお尋ねがありました。

 指定廃棄物の最終処分場の候補地の選定については、前政権下での取り組みについて改めるべきところは改めて、自治体との意見交換を重視した選定プロセスに大幅に見直すこととしました。

 今後は、手順を踏んで着実に前進できるよう取り組んでまいります。

 各県で発生している指定廃棄物については、それぞれの地域の問題として、各県単位で処分することが適当であると考えます。

 民法第七百六十六条の改正の趣旨の周知についてお尋ねがありました。

 民法第七百六十六条は、離婚の際に面会交流や養育費の分担について取り決めることが子の利益の観点から重要であることに鑑み改正されたものであり、引き続き、その趣旨を広く一般に周知徹底してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 渡辺先生から三問頂戴しております。

 金融緩和の手段としての外債購入についての御質問であります。

 御存じのように、共同声明に基づき、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということが重要であります。

 日本銀行に対しましては、幅広い政策手段を御検討いただき、責任を持って大胆な金融緩和を推進されることを期待いたしております。

 金融緩和のため具体的にどのような資産を買うかは、一義的に日本銀行が判断すべきところでありますが、外債購入という選択肢があることにつきましては、私と総理大臣との間に不一致はありません。

 ただし、外債購入には、諸外国から見て、形を変えた為替介入を一方的に行うものと誤解されかねないという難点があります。したがいまして、現段階においては、慎重に考えるべき問題であると認識しております。

 御存じかと思いますが、日銀法上は、為替介入を目的とする外債購入については、日銀はあくまで、国の事務の取り扱いをする者として行うこととされており、日銀法第四十条において、日銀がみずから行うことは認められておりません。

 次に、物価安定目標の達成責任の所在についての御質問を頂戴しました。

 総理も答弁されましたように、物価安定目標の達成に関する責任は、一義的には日本銀行にあると私も認識しております。

 その上で、物価上昇は、実体経済の成長を伴って安定的に実現していくことが望ましいと存じます。

 したがいまして、政府としても、機動的なマクロ経済政策運営に努めるとともに、成長力、競争力の強化の取り組みを実行してまいります。また、財政運営に対する信頼を確保するため、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進してまいりたいと考えております。

 次に、年金特例公債と国債整理基金についての御質問を頂戴しました。

 年金財政の安定に向けて基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げるためには、安定的な財源を確保することが必要であります。

 このため、昨年成立いたしました法律におきまして、平成二十六年四月の消費税の引き上げにより恒久的な財源を確保すること、また、平成二十四年度及び二十五年度の財源は年金特例公債を発行して確保することと決められております。

 今回の予算でも、法律に沿った対応を盛り込んだところです。

 一方、国債整理基金は、将来における国債の償還財源として積み立てられているものであります。

 したがいまして、年金などの他の歳出の財源として取り崩すということは、将来世代への負担の先送りになる、また、財政規律について市場の信認を失いかねないということから、適当ではない、そのように考えております。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 経済連携協定の締結の推進に関するお尋ねがありました。

 自由貿易の推進は、我が国の経済外交の柱です。力強い経済成長を達成するためには、自由貿易体制を強化し、諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があります。

 そのため、御指摘の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や、日中韓、日・EUのFTA、EPAへの取り組みも含め、アジア太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの間で、高いレベルの経済連携を戦略的に推進いたします。

 TPPについては、さきの日米首脳会談も踏まえ、今後、政府として、交渉参加について判断いたします。

 これらの取り組みが相互に刺激し合い、全てが活発化するというダイナミズムが働いていくよう、経済連携を推進してまいります。(拍手)

    〔国務大臣甘利明君登壇〕

国務大臣(甘利明君) 電力自由化についてのお尋ねがありました。

 先般開催をされました第二回産業競争力会議におきまして、電力システム改革を初めとするエネルギー制約の克服とコスト低減への取り組みについて議論をいたしましたところ、民間議員の方々からも、電力システム改革が大変重要であるとの御意見をいただきました。

 御指摘の発送電分離や小売自由化につきましては、実質的に送配電部門の中立性や消費者の選択肢が確保されることが重要であります。

 安定供給を大前提としつつ、これらの点に留意をいたしまして、電力分野の規制改革を着実に進めていくことが重要だと考えております。

 次に、農業の改革についてのお尋ねがありました。

 先般開催をされました第二回の産業競争力会議におきましても、民間議員の方々から、農業の生産性向上、輸出競争力強化、六次産業化等を中心に、多岐にわたる御指摘をいただきまして、農業は十分成長産業になる可能性があるとの力強い御意見をいただいたところであります。

 成長戦略といたしましても、農業の輸出拡大と競争力強化を図っていくことが重要であると考えております。

 株式会社の農業参入につきましては、先ほど総理からも答弁がありましたとおり、平成二十一年の農地法改正によりまして、現在、リース方式による参入が進められていると承知をいたしておりますが、攻めの農林水産業の展開に向けて何をやり得るか、産業競争力会議におきましても、しっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問いたします。(拍手)

 間もなく、東日本大震災から二年目の三月十一日を迎えます。

 しかし、甚大な被害をこうむった被災自治体からは、二年たてば状況は変わっているはずと思い、踏ん張ってきましたが、まだ現場は壊れた建物の解体作業をしており、瓦れきも山積みですという実態が寄せられております。被災者からは、つらい期間が余りに長過ぎる、再建の意欲はなえてきたという痛切な声が寄せられております。

 復興を進めるに当たって、今何よりも政治に求められているのは、こうした深刻な実態を丸ごとつかみ、被災者と心を共有するという姿勢を貫くことではないでしょうか。

 この立場から、私は、緊急に正すべき政府の姿勢の問題点について提起いたします。

 第一は、あらゆる支援策に期限がついているという問題であります。

 先の見通しが持てないのに、災害救助法に基づく仮設住宅やみなし仮設の期限が来年度から一年ごとの延長となっていることが、被災者の不安を広げております。

 政府は、昨年九月末、被災者の医療、介護の減免措置を打ち切りました。生活もなりわいも再建のめどが立たず、不安といら立ちが募っているときに、一方的に支援を打ち切ったことが、どんなに被災者の心を傷つけ、どの施策も、いつ打ち切られるかわからないという国への不信を広げたか、はかり知れません。

 医療、介護の減免措置を直ちに復活させるとともに、あらゆる支援策について、支援が必要な人、地域がある限り、拡充することはあっても、絶対に打ち切ることはせず、生活となりわいの再建を最後まで支援し、被災者とともに歩む、このことを約束し、政府の支援策の大原則に据えるべきではありませんか。答弁を求めます。

 第二は、もとの場所に同じものをつくらなければ支援しないという、しゃくし定規な復旧の押しつけが復興の重大な足かせとなっているという問題であります。

 津波をかぶった海岸沿いの道路の整備は復興交付金の補助対象とするが、高台移転を考えて山側に道路の整備をしようとしても補助対象としないという事態が起こっております。もともと曲がりくねっていた道路を真っすぐに直した方がお金がかからないのに、もとの蛇行したままでないと補助対象としないという事態も起こっております。

 これまでのルールを現場に押しつけるのではなくて、現場にルールを合わせる、この立場での根本的な見直しが必要ではありませんか。総理の答弁を求めます。

 TPP参加に突き進む総理の姿勢に、公約破りのTPP参加は許せない、自民党も民主党と何ら変わらないという怒りの声が全国で広がっております。

 総理は、施政方針演説で、TPPについては、聖域なき関税撤廃は前提ではないことを、先般、オバマ大統領と直接会談し、確認いたしましたと述べました。しかし、これは国民を欺くものであります。

 日米首脳会談を踏まえて発表された日米の共同声明の冒頭には、TPP交渉に参加する場合には、第一に、全ての物品が交渉の対象となること、第二に、二〇一一年十一月十二日にTPP首脳によって表明されたTPPの輪郭、アウトラインにおいて示された、包括的で高い水準の協定を達成していくことを両政府が確認すると明記されております。

 それでは、二〇一一年十一月のTPPのアウトラインには何と書かれているか。関税並びに物品・サービスの貿易及び投資に対するその他の障壁を撤廃する。すなわち、関税と非関税障壁の撤廃がTPPの原則だと書かれております。

 さらに、同時期に外務省がまとめた報告書は、TPP協定交渉においては、高い水準の自由化が目標とされているため、従来我が国が締結してきたEPAにおいて、常に除外または再協議の対応をしてきた農林水産品、米、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産品等を含む九百四十品目について、関税撤廃を求められると明記しております。

 すなわち、日米共同声明で確認されたのは、TPP交渉に参加する場合には、全ての物品を交渉の対象とし、関税と非関税障壁を撤廃し、高い水準の協定、すなわち、これまで聖域としてきた農林水産品の関税を撤廃する協定を達成することにほかなりません。

 総理、聖域なき関税撤廃が前提ではないことが確認されたどころか、聖域なき関税撤廃を誓約させられたのが、日米共同声明ではありませんか。

 加えて、国民皆保険制度や食の安全、安心を守るなど、自民党が総選挙で掲げた、関税以外の五項目に関する公約については、総理は、日米首脳会談で一方的に説明しただけではありませんか。オバマ大統領から五項目を保証する発言があったのか否か、しかと答弁を願いたい。

 国民を欺き、公約を裏切り、農業、医療、食の安全を初め、国民生活と日本経済を土台から壊し、経済主権をアメリカに売り渡すTPPを推進することは、絶対に許されるものではありません。

 日本共産党は、交渉参加をきっぱり断念することを強く求めるものであります。

 賃上げと安定した雇用の拡大は、労働者の切実な願いであるとともに、デフレ不況打開のための最大の鍵となっております。

 私は、総理に二つの点を提起するものです。

 第一は、政府として、経済界に対して賃上げの働きかけを本腰を入れて行うことであります。

 総理は、この間、経済三団体首脳と会談し、従業員の報酬引き上げを要請しておりますが、経済界からの回答は、企業収益が回復すればいずれ賃金の上昇につながるという、事実上のゼロ回答でありました。

 しかし、大企業は、二百六十兆円もの内部留保をため込み、その一%程度を取り崩すだけで、八割の大企業が月額一万円の賃上げを実施できる力を持っております。

 内部留保の一部を賃上げに活用せよと、堂々と正面から経済界に要請すべきではありませんか。答弁を求めます。

 第二は、政府として、賃上げ促進政策を実行することです。

 厚生労働省の労働経済白書は、需要不足、デフレの生じている最大の要因は、所得の低下であり、それは主に非正規雇用者の増加によるものだと分析しております。

 そうであるならば、非正規雇用の増大をもたらした歴代自民党政権による労働法制の規制緩和路線を抜本的に転換し、労働者派遣法の抜本改正、パート労働法の改正など、正社員化への流れをつくるべきではありませんか。

 さらに、総理は、中小企業への大規模な支援とセットで最低賃金引き上げに大胆に取り組むべきだという我が党議員の提起に対して、重要な指摘であり、研究しなければならないと答弁されました。そこまで認めたのであれば、最低賃金引き上げを本腰を入れて実行することを、この場で明言していただきたい。

 総理の無制限の金融緩和宣言を機に、急激な円安で、輸入食料品、灯油、ガソリンなどが値上がりし、悲鳴が上がっております。こんなやり方で二%の物価上昇を目指すとなれば、生活必需品の高騰は必至となります。賃金が上がらないのに物価だけが上がる、最悪の事態を招きかねません。

 政府として目標を持つというのであれば、賃上げ目標こそ持つべきではありませんか。答弁を求めます。

 総理は、施政方針演説で、暮らしの不安に一つ一つ対応するといいながら、国民の最大の不安の一つである消費税増税について、一言も触れませんでした。なぜでしょうか。

 参議院選挙までできるだけ議論を避けて選挙をやり過ごそうという思惑があるとしたら、これほど国民を愚弄するやり方はありません。

 安倍政権の経済政策のもとで、消費税増税の根拠は、いよいよ総崩れとなっています。

 社会保障のためという口実は、生活保護の大幅削減を突破口に、介護、医療、年金、保育など、全ての分野で給付の削減と負担増が計画されるもとで、既に崩れ去っているではありませんか。

 財政再建のためという口実も、大都市環状道路や国際コンテナ戦略港湾など、無駄と浪費の巨大公共事業のばらまきが復活するもとで、もはや通用しないと考えませんか。

 一体何のための消費税増税か、国民にわかるように説明されたい。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

志位和夫君(続) わけても、総理にただしたいのは、消費税増税が家計と経済に与える深刻な打撃をどう認識しているのかということについてです。

 消費税率が一〇%になれば、政府の試算でも、年収五百万円のサラリーマン四人世帯で年間十一・五万円の負担増となります。他の増税や社会保険料負担増、児童手当削減等を含めれば、一カ月分の給与に相当する三十一万円もの負担増を強いられます。

 この四年間で見ても、労働者の平均年収が二十一万円も減っているもとで、さらに三十一万円、一カ月分の給料を奪い取る負担増が押しつけられて、家計が耐えられるとお思いでしょうか。

 一九九七年の消費税増税のときには、今とは逆に、四年間で、平均年収は二十一万円ふえておりました。それでも、増税が家計の底を突き破り、大不況の引き金を引く結果となりました。

 働く人の所得が減り続けているもとで、九七年を上回る総額十三・五兆円もの大増税を強行すれば、デフレ不況に苦しむ日本経済を奈落の底に突き落とすことになることは、火を見るよりも明らかではありませんか。

 国民生活と日本経済にはかり知れない打撃を与える消費税増税は、きっぱり中止すべきであります。答弁を求めます。

 総理は、施政方針演説で、安全が確認された原発は再稼働しますと、原子力規制委員会が七月にも制定するとしている新安全基準に基づいて、原発再稼働を強行することを宣言しました。しかし、新安全基準の骨子案を見れば、これをもって安全な原発を担保するなどとは、到底言えるものではありません。

 第一に、福島原発事故は、今なお収束しておらず、原因の究明にはほど遠い状況だということです。

 地震による損傷の検証のための国会事故調査委員会による現地調査は、東電による虚偽の説明で、妨害、隠蔽されたままではありませんか。

 規制委員会の専門家会合で、東電自身が、炉心溶融をした場合、その後に原子炉格納容器にどのような影響を与えたのかなどは確定しておりませんと証言しているように、事故が起こった後の経過すら、いまだにわかっていないではありませんか。

 総理、事故の原因もわからず、事故の経過すらわからないもとでつくられた安全基準で、どうして安全を担保できるというのでしょうか。

 第二に、新安全基準骨子案は、地震対策について、原発の真下を活断層が走っていても、露頭、断層が地表にあらわれていなければ設置を認めるなど、とんでもない骨抜きの内容となっております。

 大体、大震災を経て、日本の地震と津波の学問的知見の根底からの見直しが必要とされておりますが、それは緒についたばかりであります。このような状況でつくられた安全基準で、どうして安全を担保できると言えるのですか。

 第三に、新安全基準骨子案では、原子炉格納容器が壊れ、福島原発事故のような、放射性物質が大量に放出される事故、すなわち過酷事故が起こり得ることを認めております。

 一方で、過酷事故を想定しながら、他方で、世界最高の安全を強調する。総理、これは根本的な矛盾だと考えませんか。

 一月の本会議での私の質問に対して、総理は、安全神話に陥ってしまった点、政府として深く反省しなければなりませんと答弁しました。おわびという言葉も口にされました。しかし、総理が今行おうとしているのは、安全神話の再生産以外の何物でもないではありませんか。

 新安全基準をてこにした原発再稼働は、断じて認めるわけにいきません。総理の答弁を求めます。

 総理が、日米首脳会談で、普天間基地の辺野古移設を早期に進めると誓約したことに、沖縄で激しい怒りの声が噴き上がっております。

 県内移設反対は、揺るがぬ沖縄県民の総意であります。日本の一つの県の総意を丸ごとじゅうりんする国が、民主主義の国と言えるのか。総理は、沖縄からのこの怒りの声にどう応えますか。

 総理は、施政方針演説で、沖縄の負担軽減に全力で取り組みますと述べました。しかし、今、沖縄で起こっている事実はどうでしょうか。

 辺野古に建設が予定されている海兵隊の新基地は、V字形の二本の滑走路を持ち、約二百メートルの艦船が接岸できる護岸を持つなど、飛行場と港湾が一体化した最新鋭基地であり、新基地建設自体が、沖縄にとって耐えがたい負担の強化であります。

 また、MV22オスプレイ配備が強行され、普天間基地での離発着だけでなく、沖縄全土につくられた六十九ものヘリパッド、着陸帯を使用し、日米合意すら無視した、人口密集地、住宅地上空での飛行が常態化しております。

 さらに、最新鋭のステルス戦闘機F22ラプターが嘉手納基地に繰り返し暫定配備され、事実上の常駐化が進んでおります。

 そして、昨年来の米側の説明によりますと、沖縄に駐留する海兵隊は、減るどころか、現在の約一万三千人から、当面、二万人へと大幅に増加するとされております。

 このように、今沖縄で起こっている事態は、負担軽減ではありません。負担軽減どころか、負担増のオンパレードではありませんか。負担軽減などという偽りで新基地建設を押しつけることは、絶対に許されるものではありません。

 普天間基地の閉鎖、撤去、県内移設反対、基地のない平和で豊かな沖縄、沖縄県民のこの総意に正面から応えることを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 志位和夫議員にお答えいたします。

 大震災からの復興施策についてお尋ねがありました。

 復興の目標は、被災者の暮らしが再建されることです。被災地や被災者に寄り添い、生活の再建を支援してまいります。

 お尋ねの国民健康保険、介護保険等の窓口負担及び保険料の減免措置については、平成二十四年十月以降も、保険者の判断により実施が可能であり、財政負担が著しい場合には、減免額の十分の八以内を国が支援する措置を講じています。平成二十五年度においても、引き続き支援していく考えです。

 さらに、復興事業については、現場の実情に柔軟に対応できるように、復興交付金を創設し、その運用の改善を図ってきたところであります。関連する制度も活用し、現場に合った支援をしてまいります。

 TPPに関する日米共同声明についてのお尋ねがありました。

 さきの日米首脳会談では、オバマ大統領との間で、日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品といった二国間貿易上のセンシティビティーが両国にあること、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであること、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められていないことの三点を明示的に確認し、日米の共同声明を発出いたしました。

 これを踏まえ、私は、TPPでは、聖域なき関税撤廃が前提とされるものではないとの認識に至ったものであります。御指摘は当たりません。

 自民党が総選挙で掲げたTPPに関する五項目についてお尋ねがありました。

 さきの日米首脳会談では、TPPについては、その意義やそれぞれの国内事情も含めてじっくりと議論し、私から、さきの衆議院選挙で、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対するという公約を掲げ、また、自民党は、それ以外にも五つの判断基準を示し、政権に復帰したということをオバマ大統領に説明いたしました。

 なお、その際、私から、五項目の内容を具体的にオバマ大統領にお伝えしました。

 オバマ大統領との具体的なやりとりに関しては、米側との関係もあり、明らかにすることは差し控えますが、いずれにせよ、政府としては、TPPについては、国益にかなう最善の道を求めてまいります。

 TPP交渉参加を断念すべきとのお尋ねがありました。

 我々が選挙でお約束をしたことは、たがえてはならないと考えております。

 政府としては、TPPについては、今般の首脳会談で私自身が得た認識も踏まえ、国益にかなう最善の道を求めてまいります。

 交渉に参加するかどうかということについては、党内や米国との協議も踏まえて、私が最終的に判断をいたします。

 内部留保の活用による賃上げについてお尋ねがありました。

 従業員の報酬の引き上げを早期に実現すべく、先般、私自身、可能な限り報酬の引き上げを行ってほしいと産業界に直接要請しました。既に、この方針に御賛同をいただき、従業員の報酬引き上げを宣言する企業も次々とあらわれています。

 賃金等の労働条件については、各企業の経営状況や経済情勢等を踏まえて、労使が話し合って決定されるものです。政府の要請も踏まえ、労使間で真摯な話し合いが行われることを期待しています。

 政府としては、三本の矢で経済成長をなし遂げ、利益を従業員に還元する企業を税制で応援するなどにより、頑張る人たちの手取りをふやすことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。

 正社員化の流れをつくるための取り組みについてのお尋ねがありました。

 平成二十四年の労働経済白書においては、日本の家計消費を押し下げている要因に所得の低下があり、この所得の低下の要因として、労働者に占める非正規雇用労働者の比率の上昇とともに、正規雇用労働者の年収の減少があると分析しています。

 このため、政府としては、労働者の正規雇用化や処遇の改善に向けた取り組み等を行う事業主に対する支援を進めるとともに、イノベーションや規制改革など成長戦略に取り組むことにより、経済成長をなし遂げ、労働者全体の雇用と賃金の増大を目指してまいります。

 なお、自由民主党政権においては、経済産業構造の変化に応じて、必要な労働分野の改革を行ってきたところであります。

 最低賃金の引き上げについてのお尋ねがありました。

 最低賃金を引き上げていく環境整備のためにも、成長戦略により、企業の収益を向上させ、それが雇用の拡大や賃金の上昇をもたらすような好循環を生み出してまいります。

 こうした取り組みとあわせて、最低賃金については、中小企業への支援を工夫しつつ、労使と丁寧に調整しながら、その引き上げに向けて努力を進めてまいります。

 賃上げ目標についてお尋ねがありました。

 先ほど申し上げたとおり、賃金等の労働条件については、各企業の経営状況や経済情勢等を踏まえて、労使が話し合って決定されるものであります。政府の要請も踏まえ、労使間で真摯な話し合いが行われることを期待しております。

 政府としては、三本の矢で経済成長をなし遂げ、利益を従業員に還元する企業を税制で応援するなどにより、頑張る人たちの手取りをふやすことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。

 施政方針演説における、消費税の扱いについてのお尋ねがありました。

 施政方針演説においては、今国会における審議も念頭に、東日本大震災からの復興や成長戦略など、私の内閣として当面目指すべき施策について、重点的に御説明させていただいたものであります。

 自民、公明、民主の三党で合意し、法律を成立させた今般の一体改革において、消費税の引き上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持のために必要なものです。

 国会等の場において、こうした考えをお示しさせていただいており、議論を避けているとの御指摘は当たりません。

 社会保障・税一体改革の目的についてお尋ねがありました。

 消費税の引き上げを含む社会保障・税一体改革は、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から取り組む改革であり、引き上げ分は、全額社会保障に充てることとしております。

 社会保障改革については、今後、改革推進法に基づき、国民会議での議論を深めるなど、そのさらなる具体化に向けて検討を進めてまいります。

 また、生活保護については、受給されていない方との均衡も考慮しつつ、必要な適正化を図ることとしています。

 なお、御指摘の大都市圏環状道路及び国際コンテナ戦略港湾は、大都市の機能強化に資するとともに、産業活動を支えるものであり、これらは必要なインフラ整備と考えております。

 消費税と家計負担増を含む経済の関係についてのお尋ねがありました。

 今般の一体改革による消費税率引き上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持のために行うものであります。

 法律で来年四月に引き上げることが決まっておりますが、機械的に何が何でも引き上げるということではなくて、一体改革の目的に沿って、税収を確保できることが重要であります。

 例えば、強いデフレが続いて、消費税率を引き上げても逆に減収するようになるのであれば、意味がありません。

 本年秋に、附則第十八条にのっとって、名目及び実質の経済成長率等、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案して判断していくことになります。

 いずれにしても、三本の矢で、長引くデフレから脱却し、日本経済を全力で再生させてまいります。

 東電福島原発事故の原因究明と新安全基準の関係についてお尋ねがありました。

 東京電力による国会事故調査委員会への誤った説明については、東京電力が、先般、第三者検証委員会を設置して、検証が行われています。

 現在行われている安全基準の策定については、原子力規制委員会において、各種の事故調査でこれまでに明らかとなった情報を踏まえ、専門的知見に基づき、最大限取り組んでいるところであります。

 原子力発電所の地震、津波に関する新安全基準についてお尋ねがありました。

 原子力発電所の地震、津波に関する新安全基準については、原子力規制委員会の検討チームで、専門家を交えた検討が行われています。

 その検討では、東日本大震災で得られた地震、津波に関する知見を初め、最新の科学的知見を踏まえて、より厳格に地震、津波に関する安全性が評価されるよう、検討が行われていると認識しております。

 原発における過酷事故の想定と世界最高の安全の関係についてのお尋ねがありました。

 原子力規制委員会において、事故の検証等も踏まえ、過酷事故も踏まえ、あらゆる事態を想定した原子力発電所の安全に関する新基準について、現在検討が行われています。

 その際には、海外の規制基準を確認しながら、世界最高レベルの安全水準の基準となるよう検討が進められており、これらは矛盾するものではありません。

 安全基準と原発再稼働についてのお尋ねがありました。

 原子力発電所については、東京電力福島第一原発事故の反省に立ち、妥協することなく、たゆまぬ安全性、信頼性を高める安全規制、安全文化をつくり上げていくため、全力を挙げてまいります。

 その安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、安全と認められない限り、原発の再稼働はありません。

 一方、安全と認められた場合には、その判断を尊重し、再稼働を進めます。

 普天間飛行場の移設など、沖縄における基地負担の問題についてのお尋ねがありました。

 国土面積の約〇・六%しかない沖縄県内に全国の約七四%の在日米軍専用施設・区域が依然として集中しており、また、このような状況について、引き続き厳しい声があることは承知をしております。

 政府としては、このような沖縄の基地負担の現状を軽減することが、最優先で取り組むべき課題であると認識しています。

 現行の米軍再編については、普天間飛行場に所在する空中給油機の県外移駐、嘉手納以南の土地の返還を初めとする施設面積の縮小、在沖海兵隊九千人とその家族の国外への移転など、着実に負担軽減を図るものとなっています。

 F22戦闘機については、暫定的な展開であり、恒久的な機数増等を伴わず、また、オスプレイについては、老朽化したヘリコプターの更新であり、機数の増加などは伴いません。

 在日米軍再編については、現行の日米合意に従って、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減に全力で取り組んでまいります。

 特に、普天間飛行場の固定化は、あってはなりません。沖縄の方々の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しながら、普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 青木愛さん。

    〔青木愛君登壇〕

青木愛君 生活の党の青木愛です。

 私は、生活の党を代表して、安倍総理の施政方針演説に対する質問を行います。(拍手)

 先月、杉並区や足立区で、二歳未満の待機児童を抱えるお母さん方が、区役所前で、もっと保育所をつくってほしいと抗議デモをし、行政不服審査法に基づく異議申し立てをしました。杉並、足立それぞれで、千五百人以上のお母さん方が、子供を四月から保育所に入れられないという区からの通知を受けたからです。

 働くお母さん方が、待機児童の解消に向けて、ついに立ち上がったのです。

 安倍総理は、施政方針演説で、保育所の受け入れ児童数を拡大すると言われましたが、肝心の、保育所をふやすことには触れられませんでした。認可外でもいいから身近な場所に保育所をふやしてほしいという待機児童を抱えるお母さん方の切実な声が、安倍総理に届いていますでしょうか。

 私は、待機児童の解消に少しでもお役に立てばとの思いから、二年半前、地元足立区で、小さな小さな保育所を開設いたしました。お母様方の御協力をいただきながら、何とかやりくりをして、地域のお子様をお預かりしております。

 しかし、区の抱える課題の解決には、やはり政治の力が必要です。

 前政権で子ども手当をやり切れなかったこと、子育てのしやすい社会へのさまざまな改革にこれからというところで、政権を失い、地方分権を初めとする、より大きなこの国の改革に取り組めなかったことは、残念でなりません。改革の歯車をもう一度前へと回していきたい思いです。

 政府は、三歳から五歳を軸に、幼児教育の無償化の実現に向けた協議会を設置する方針と伺っております。

 幼児教育の無償化を否定するものではありません。ただ、課題である待機児童の対象年齢は、ゼロ歳から二歳がその八割を超えており、政策優先順位は、待機児童の問題の解決です。

 なぜ、働くお母さん方が本当に困っている二歳未満の予算がふえないのでしょうか。小規模保育所や保育ママの増設、無認可保育所への支援に加え、育児休業制度の大胆な拡充が求められます。

 来年度予算案を見ますと、国民一人当たりの少子化対策予算は、先進国の平均の半分以下です。申し立てをするほどに要望の高い、今、目の前にある問題に予算をつけず、幾ら景気対策とはいえ、いずれ人が住まなくなるのではと思われるようなところにまで、なぜ、また道路をつくり始めるのでしょうか。

 総理は、子供に係る予算の優先順位をどうお考えでしょう。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

青木愛君(続) 少子化が今のペースで進めば、五十年後には日本の人口は九千万人を切り、百年後には五千万人を下回ります。そして、千年後に人口はゼロになると、社会保障・人口問題研究所が試算をしています。

 高齢化で滅ぶ国はありませんが、少子化を放置すれば、国力が落ちて、いずれ国は滅びます。

 仮に、今日、出生率が人口維持水準の二・〇五を回復できたとしても、実際に人口減少がとまるのは五十年後と言われています。

 たびたび引き合いに出されるフランスでは、手厚い、きめ細やかな財政的支援を柱に、同じ所得でも子供の数がふえるほど所得税の負担が少ない大家族優遇の税制に切りかえ、出生率は二を回復いたしました。

 予算配分や税制のかじを今大きく切らなければ国の存亡にかかわるという危機意識を、安倍総理は持っておられますでしょうか。直ちに少子化対策に本気で着手しなければ、幾ら公共事業をふやして道路をつくっても、それらを使う人々がいなくなってしまうかもしれないんです。

 かじを切る方向性が間違っていませんでしょうか。御認識をお伺いいたします。

 被災地の復興は、大幅におくれています。地元関係者からは、地元の要望に沿った事業に予算がつかないとか、復興予算がついても、さまざまな規制や省庁の縦割りの弊害があって執行が難しいとの不満の声をいただいています。

 例えば、政府が五省庁四十事業という枠を決めたら、それに当てはまる事業しか承認されません。また、土地の移転や造成、住宅の建設のように、幾つもの省庁にまたがっている事業は、一向に進みません。これらは、ほんの一例です。

 先日、本院の予算委員会の質疑で、総理は、福島の復興が進まない理由を聞かれ、予算がついても、結局、ひもつきになっていて、その執行において、地元の方々の声を十分に吸収しながら、縦割りを排してその執行ができていない点もあると、率直に答弁されておられました。

 補助金がひもつきになっていて、縦割りの弊害があると総理自身が御認識しておられながら、二月に成立した十三兆一千億円の補正予算や平成二十五年度予算案は、中央省庁主導による従来型のひもつき補助金による公共事業で埋められています。

 私たちは、地方分権を進める立場から、ひもつき補助金を自由に使える一括交付金にかえ、地方自治体が地元の要望に沿った事業を効果的に実施できる仕組みづくりに努力をしてまいりました。

 しかし、総理は、地方分権化に逆行するかのごとく、従来の補助金制度に戻されています。復興の妨げとなっているひもつき補助金制度を、一括交付金に直ちに改めるべきと考えます。

 なぜ、総理は、権限をお持ちになりながら実行に移せないのでしょうか。その理由をお伺いいたします。

 アベノミクスが成功するかどうかは、それによって国民の所得がふえるかどうかの一点にかかっていると思います。

 円安のため、既に、ガソリンや食料は値上がりをしています。インフレ二%が達成されれば、さらに物価が上昇をいたします。年金や医療も、保険料は上がります。今や、値上げラッシュで国民負担がふえるのに、それに見合って所得がふえなければ、国民の生活は貧しくなる一方です。

 多くの国民がそのような状況下にあっても、総理は、消費税を増税されるのでしょうか。

 かつて、この本会議場で、国民の所得を倍増すると約束して、実現した総理もいました。いつまでにどれだけ所得がふえるのか、この場で国民にお約束をいただけませんでしょうか。

 日米首脳会談で、安倍総理は、TPP、環太平洋戦略的経済連携協定の交渉参加に一歩を踏み出され、近く正式に決断されると聞いております。

 グローバル時代の中で、自由競争の妨げとなる関税や非関税障壁を撤廃し、人、物、金、サービスを自由に行き来させれば、新しい可能性が切り開かれることは事実です。しかし、それぞれの国は、独特の気候や風土、そして固有の歴史、文化、習慣を持っています。そのことを十分に考慮しなければなりません。

 まず、農業問題についてお聞きいたします。

 TPP参加により、我が国は食物の自給率が大幅に下がり、農林水産省は、一三%に低下すると予測をしています。

 異常気象のために農産物輸出国が凶作の事態に見舞われたとき、日本は十分な食料を確保できるのでしょうか。不測の事態に備えるため、日本国民の食料は、一定程度、自国で賄う体制を整備すべきです。自給率向上の方策についてお答えください。

 食の安全の問題もあります。

 食のルールを統一するという名目のもとで、日本の厳しい残留農薬基準が国際基準に合わせて緩められたり、日本で禁止されている収穫後使用農薬の許可を求められたり、遺伝子組み換え食品の輸入が拡大したりすることが懸念をされます。

 これは、消費者にとって、極めて懸念する事態であります。総理はどのように対処されるおつもりか、お答えください。

 医療制度も直撃します。

 我が国の国民皆保険制度は、全国一律の比較的安い料金のため、安心して治療に通うことができます。世界に誇る制度です。

 現在は保険診療と保険外診療の併用は制限されていますが、TPPに参加すると、この制限や現行の保険制度は自由診療の妨げだと主張して、制度の撤廃ないしは縮小を強要してくるおそれがあります。

 そうなれば、公的医療保険の適用範囲が縮小され、高額で利益の高い保険外診療が拡大し、その結果、医療費が高騰します。自由診療枠の保険は、民間保険会社が対応します。この分野はアメリカがすぐれており、日本の一千兆円を超える個人資産を目的としていると言われています。

 総理は、国民皆保険制度の堅持についてどのようにお考えか、お聞かせください。

 交渉に際し、我が国の省庁縦割りの体制で臨んで、果たして国益を守れるのでしょうか。

 米国は、USTRという貿易交渉専門の組織が交渉窓口で、全ての役所の利害を調整した上で交渉してきます。もし交渉参加するというのであれば、日本版の通商代表部をつくって臨むという覚悟がおありかどうか、総理に伺います。

 また、この交渉には、参加者に協定締結後四年間を含む守秘義務が課されていますが、国民に交渉経過の情報をどのような方法で随時開示をするおつもりなのか、お聞かせください。

 福島の原発事故についてお伺いをいたします。

 今なお、不都合な情報が隠されたままです。ようやく東京電力は、昨年の九月に、福島第一原発から、九月時点でも、毎時一千万ベクレル、毎日二億四千万ベクレルの放射性セシウムが大気中に放出されていると発表しました。現在も放出が続いています。

 さらに深刻なのが、汚染水の処理の問題です。

 汚染水の貯蔵量は現時点で二十六万トンに達しており、近々、多核種除去装置で放射性物質を除去することになっていると聞いていますが、トリチウムは除去できません。

 トリチウムを含む汚染水をどのように最終処分するのでしょうか。そのまま海に放出することを総理は容認されるのでしょうか。御答弁をお願いします。

 加えて問題なのは、一日約四百トンの地下水が建屋に流れ込んでいるという事実です。これは、地下水脈と建屋とがつながっているということであり、逆に、建屋内の汚染水が地下水脈に流れ、そのまま海に流れ出ている可能性を否定できません。

 先月、福島第一原発の港湾内で捕獲したアイナメから、規制値の五千百倍ものセシウムが検出をされました。汚染水の漏えいが影響しているのではないでしょうか。その辺の実情を調査し、公表することをお約束いただきたいと思います。いかがでしょうか。

 福島県は、二月十三日、事故発生時に十八歳以下だった三人が甲状腺がんと診断され、七人に疑いがあると発表しました。チェルノブイリ事故の例を見ますと、発症は五年ごろから目立ってふえています。痛ましいことですが、今後、発症事例がふえることが予想されます。

 政府は、どのような対策を講じているのでしょうか。お聞かせください。

 総理は、世界一安心な国、世界一安全な国を掲げておられます。しかし、同時に、原発の再稼働を明言されました。原発を再稼働して、世界一安心で安全な国をつくると言い切れる、その根拠を教えてください。

 あらゆる技術が世界最高水準にあり、事故の経験を持つ日本は、脱原発を即断し、自然再生エネルギー世界一を目指すべきだと考えます。

 再生エネルギーの開発と普及は、地域密着の新たな産業を創出し、そこに住む人々に、雇用と、安心で美しいふるさとを提供します。また、その技術は、世界に貢献します。

 今こそ、自然再生エネルギー世界一を掲げ、世界を脱原発へリードすべきだと考えますが、総理の御意見をお聞かせください。

 一九四九年、湯川秀樹博士は、日本人初のノーベル賞を受賞し、敗戦で自信を失った日本人に誇りと自信を与えました。山中伸弥博士は、ヒトiPS細胞を世界で初めて開発し、昨年、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。これにより、画期的な再生医療の道が開かれました。

 従来型の公共事業に多額の公的資金を投資しても、社会や経済への波及効果は、昔ほど期待できません。インフラがある程度整備された成熟社会においては、投資の対象を、道路や建物ではなく、人に移すべきなのです。その代表的なものは、子育てと教育、そして福祉、さらには研究開発だと考えます。

 総理は、国際リニアコライダーを御存じのことと思います。ヨーロッパと北米とアジアが協力し、地下に四十キロメートルにも及ぶ直線型の加速器を構築し、高速に加速した電子と陽電子を互いに衝突させ、ビッグバン直後の状況を再現し、宇宙誕生の瞬間を解明しようという、夢の巨大プロジェクトです。

 ここから生まれる技術は、IT、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、医療、そして環境など、さまざまな先端研究分野に応用が可能であり、成長産業の創出や雇用の拡大が期待されます。四兆円以上の経済効果があると試算されています。

 世界で六カ所が候補地に挙がっており、そのうち二カ所が日本で、東北の北上山地と九州の脊振山地です。もし日本に誘致されれば、世界じゅうから科学者が集まります。

 被災地となった東北であれば、夢と誇りの国際研究都市となり、総理が発信された、若者たちが希望に胸を膨らませることができる東北となるでしょう。九州であれば、アジアに位置する世界中心都市として浮上するのです。

 誘致に関して、総理の前向きな御答弁を期待いたします。

 最後に。

 日本全国津々浦々を元気にする秘訣は、国民生活と密着し、地元事情に一番精通している地方自治体に、中央政府が握っている予算と権限を大幅に移譲することです。そうすれば、各地域の創意工夫が生かされ、互いに切磋琢磨し合って、特色ある元気な日本が創造されます。

 そして、希望と誇りに輝く世界一の日本にするためには、人にこそ光を当てるべきです。子供たちの笑顔があふれる国は栄えます。未来は子供たちの中にあります。

 以上、私たち生活の党の基本的な考え方を申し述べ、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 青木愛議員にお答えいたします。

 保育所の待機児童対策と子供に係る施策の優先順位についてお尋ねがありました。

 我が国における少子化の進展は、国民生活に深刻かつ多大な影響をもたらすものと認識しており、少子化対策は待ったなしの重要課題であると考えております。

 また、身近な場所で保育を受けたいという母親たちの声に、私も全力で応えていきたいと考えております。政府として、保育所の整備、保育士の確保を進めるなど、待機児童の解消に向けて、全力で取り組むこととしております。

 なお、今年度補正予算においては、国民の命と暮らしを守るインフラの再構築や子育て支援などのさまざまな施策が盛り込まれており、これらはいずれも重要なものであると考えております。

 また、幼児教育の無償化については、関係府省の連携のもと、子ども・子育て支援新制度との関係、財源確保の観点等を踏まえ、検討を行ってまいります。

 いわゆる一括交付金の廃止についてのお尋ねがありました。

 地域自主戦略交付金については、地方から、窓口の一元化や手続の簡素化、総額の確保などの課題が指摘されていました。これらの課題を解消するため、本交付金を廃止し、各省庁の交付金等に移行することとしました。

 その際、地方六団体からの意見を聞き、各省庁における交付金のメニューの大くくり化や、継続事業の着実な実施に必要な総額の確保など、地方の意見を反映した施策を推進しております。

 なお、福島の復興については、今年度補正予算及び来年度予算案において、帰還加速や長期避難者の生活拠点形成などのため、新たな現地のニーズにきめ細かく対応する施策を、福島ふるさと復活プロジェクトとして盛り込んでいるところです。

 消費税と国民の所得についてのお尋ねがありました。

 政府としては、三本の矢により、企業の収益機会をふやし、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていきますが、この過程では、物価のみが上昇するのではなく、企業の収益力向上の成果が適切に労働者にも配分されることが重要です。

 このため、私から、可能な限り報酬の引き上げを行ってほしいと産業界に直接要請したところであり、また、平成二十五年度税制改正においては、利益を従業員に還元する企業を支援することとしております。

 消費税率の引き上げについては、本年秋に、附則第十八条にのっとって、経済状況等を総合的に勘案し判断をしていくこととなります。

 その際、さまざまな経済指標を確認する中で、賃金など、雇用情勢も見てまいります。

 いずれにしても、三本の矢で、長引くデフレから脱却し、働く意欲のある人たちに仕事をつくり、頑張る人たちの手取りをふやし、日々の暮らしを少しでもよくするため、日本経済を全力を挙げて再生してまいります。

 TPPと食料自給率についてお尋ねがありました。

 食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国民に対する国家の最も基本的な責務であり、国内農業生産の増大を図り、食料自給率を向上させることは重要であると考えております。

 このため、TPP交渉への参加いかんにかかわらず、農業の活性化を図っていくことは極めて重要な課題であり、攻めの農政に力を入れていきたいと考えております。

 TPPと食の安全についてお尋ねがありました。

 食品の輸入について、科学的根拠に基づき食品安全に関する措置を実施する権利は、WTOの衛生植物検疫措置に関する協定で、我が国を含む各国に認められています。

 これまで得られた情報では、TPP協定交渉では、現在のところ、残留農薬基準等、個別の食品安全基準の緩和は議論されていないと承知しています。

 いずれにせよ、仮に交渉に参加する場合、食の安全が損なわれることのないよう、国際基準や科学的知見を踏まえつつ、適切に対応してまいります。

 TPPに参加した場合、国民皆保険制度への影響についてのお尋ねがありました。

 これまで得られた情報では、公的医療保険制度のあり方そのもの等については、TPP協定交渉において議論の対象となっていないと承知しています。

 国民皆保険制度は、日本の医療制度の根幹であり、この制度を揺るがすことは絶対にないということを申し上げたいと思います。

 TPP交渉に臨む際の体制についてお尋ねがありました。

 TPP交渉に参加するかどうかということについては、党内や米国との協議も踏まえて、私が最終的に判断することとしており、交渉参加後の具体的な体制といったお尋ねにお答えすることは困難ですが、いずれにせよ、TPPについては、国益にかなう最善の道を求めていくこととしております。

 TPPの交渉経過の情報開示についてお尋ねがありました。

 国民への情報提供については、外交上のやりとりでもあるため、公開できることとできないことがありますが、今後とも、公開できることは、状況の進展に応じて、しっかりと国民の皆様に提供してまいります。

 東京電力福島第一原発の汚染水の処理についてお尋ねがありました。

 東京電力福島第一原発のトリチウムを含む汚染水については、増加の原因となる地下水の流入抑制を図るとともに、放射性物質の除去などの処理を行った上で、タンクに貯蔵しております。

 最終的な処理方針については未定ですが、海への安易な放出は行わないこととしております。

 汚染水の海への流出についてお尋ねがありました。

 建屋内の汚染水については、建屋の外に流出しないよう、その水位が地下水の水位を上回らないように管理しているところです。

 また、発電所付近の地下水や海水について、定期的に放射能濃度の測定を行い、東京電力が公表しております。

 引き続き、関係者の皆様の御理解を得るべく、汚染水の管理に万全を期してまいります。

 福島県の甲状腺検査についてお尋ねがありました。

 御指摘の、福島県の甲状腺検査に関する結果については、専門家の見解では、原発事故によるものとは考えにくいとされています。

 一方、福島県の子供たちの生涯にわたる健康を見守ることを初め、住民の方々の長期的な健康管理を行うことは重要なことと認識しています。

 これまでも、政府としては、福島県が行う甲状腺検査を、財政面、人材面で支援しているところです。引き続き、真に必要とされる健康管理に対する支援に取り組んでまいります。

 世界一安心な国、世界一安全な国と原発再稼働についてのお尋ねがありました。

 原子力発電所に関しては、何より安全確保を最優先すべきものと考えています。

 東京電力福島第一原子力発電所事故も踏まえ、独立性の高い原子力規制委員会が設置されており、安全性についてはその専門的な判断に委ね、安全と認められない限りは、再稼働はありません。

 妥協することなく、たゆまぬ安全性、信頼性の向上を目指していく、安全規制、安全文化をつくっていく、そのために全力を挙げてまいります。

 再生可能エネルギーの普及と脱原発についてのお尋ねがありました。

 再生可能エネルギーの普及は、エネルギー安全保障の強化、低炭素社会の創出に加え、新しいエネルギー関連の産業創出、雇用拡大の観点からも重要です。

 このため、固定価格買い取り制度を着実に運用することに加え、予算、税制措置、規制改革などにより、今後三年間で、最大限、再生可能エネルギー普及を加速させてまいります。

 原子力を含むエネルギー政策については、まず、いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提であります。

 この点、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという前政権の方針はゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点を含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。

 その際、できる限り原発依存度を低減させていくという方向で検討してまいります。

 国際リニアコライダーの誘致についてお尋ねがありました。

 我が国は、世界最先端の加速器技術で世界のイノベーションを牽引していきます。その一環である国際リニアコライダーについては、大きな夢のある構想である一方、巨額の経費を必要とすることなどにも留意が必要と考えています。

 政府としては、まず、研究者レベルでの国際的な設計活動の進捗状況等を見定めながら検討していきます。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       総務大臣     新藤 義孝君

       法務大臣     谷垣 禎一君

       外務大臣     岸田 文雄君

       文部科学大臣   下村 博文君

       厚生労働大臣   田村 憲久君

       農林水産大臣   林  芳正君

       経済産業大臣   茂木 敏充君

       国土交通大臣   太田 昭宏君

       環境大臣     石原 伸晃君

       防衛大臣     小野寺五典君

       国務大臣     甘利  明君

       国務大臣     稲田 朋美君

       国務大臣     菅  義偉君

       国務大臣     根本  匠君

       国務大臣     古屋 圭司君

       国務大臣     森 まさこ君

       国務大臣     山本 一太君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  加藤 勝信君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  山本 庸幸君


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