衆議院

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第12号 平成25年11月21日(木曜日)

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平成二十五年十一月二十一日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十号

  平成二十五年十一月二十一日

    午後一時開議

 第一 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(第百八十三回国会、内閣提出)

 第二 民法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(第百八十三回国会、内閣提出)

 第四 国家戦略特別区域法案(内閣提出)

 第五 アルコール健康障害対策基本法案(内閣委員長提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第二 民法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第四 国家戦略特別区域法案(内閣提出)

 日程第五 アルコール健康障害対策基本法案(内閣委員長提出)


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    午後一時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(第百八十三回国会、内閣提出)

議長(伊吹文明君) まず、日程第一、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長梶山弘志君。

    ―――――――――――――

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔梶山弘志君登壇〕

梶山弘志君 ただいま議題となりました承認を求めるの件につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。

 本件は、平成十八年十月十四日から本年四月十三日まで北朝鮮船籍の全ての船舶の入港を禁止することとする閣議決定について、その後の我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、本年四月五日に入港禁止の期間を平成二十七年四月十三日まで二年延長する変更をしたため、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、国会の承認を求めるものであります。

 本件は、第百八十三回国会に提出され、継続審査となっていたものであり、今国会においては、昨二十日、太田国土交通大臣から提案理由の説明を聴取した後、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 採決をいたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第二 民法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第二、民法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長江崎鐵磨君。

    ―――――――――――――

 民法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔江崎鐵磨君登壇〕

江崎鐵磨君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、民法の規定中、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分の二分の一とする部分は憲法違反であるとの最高裁判所の決定があったことに鑑み、当該部分を削除し、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同等としようとするものであります。

 本案は、去る十一月十二日本委員会に付託され、翌十三日谷垣法務大臣から提案理由の説明を聴取し、十五日質疑に入り、十九日、本案に対し、民主党・無所属クラブ及びみんなの党の共同提案により、戸籍法の規定中、出生届書の記載事項からテキシュツシまたは嫡出でない子の別を削除すること等を内容とする修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取しました。

 昨二十日、原案及び修正案に対する質疑を行い、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告を申し上げます。

 また、読み上げにあって、先ほど、出生届書の記載事項から嫡出子、これをテキシュツシと私が読み違えたことを補足させていただきます。

 以上をもって御報告といたします。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 起立採決ですから、議席に戻ってください。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(第百八十三回国会、内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第三、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長富田茂之君。

    ―――――――――――――

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔富田茂之君登壇〕

富田茂之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、平成二十一年に成立した改正独占禁止法の附則に明記された、審判制度を全面にわたって見直す規定についての検討結果及び同法案に係る附帯決議を踏まえ、公正取引委員会が行う審判制度を廃止する等の措置を講じるものであり、その主な内容は、公正取引委員会が行う審判制度を廃止し、独占禁止法違反に対する排除措置命令等に係る抗告訴訟等について、東京地方裁判所の専属管轄とするとともに、公正取引委員会が排除措置命令等の行政処分を行おうとする際の意見聴取のための手続を整備する等の措置を講じるものであります。

 本案は、第百八十三回国会に提出され、継続審査となり、昨日、稲田国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 なお、法案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) 日程第四とともに、日程第五は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第四 国家戦略特別区域法案(内閣提出)

 日程第五 アルコール健康障害対策基本法案(内閣委員長提出)

議長(伊吹文明君) 日程第四、国家戦略特別区域法案、日程第五、アルコール健康障害対策基本法案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。内閣委員長柴山昌彦君。

    ―――――――――――――

 国家戦略特別区域法案及び同報告書

 アルコール健康障害対策基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔柴山昌彦君登壇〕

柴山昌彦君 ただいま議題となりました両法律案ですが、まず、国家戦略特別区域法案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、国が定めた国家戦略特別区域において、経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することが重要であることに鑑み、国家戦略特別区域に関し、規制改革その他の施策を総合的かつ集中的に推進するために必要な事項を定めるものであります。

 本案は、去る十一月八日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、直ちに本委員会に付託され、同日新藤国務大臣から提案理由の説明を聴取しました。次いで、同月十三日から質疑に入り、翌十四日参考人から意見を聴取しました。

 昨二十日、安倍内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行い、質疑終局後、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びみんなの党の四会派共同提案により、国家戦略特別区域計画への構造改革特別区域法に規定する特定事業等の追加等、国家戦略特区支援利子補給金に関する検討条項の追加等を内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取しました。

 次いで、原案及び修正案を一括して討論を行った後、採決いたしましたところ、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。

 次に、アルコール健康障害対策基本法案について、提案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 本案は、酒類が国民の生活に豊かさと潤いを与えるものであるとともに、酒類に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒がアルコール健康障害の原因となるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いことに鑑み、アルコール健康障害対策の基本となる事項等を定め、アルコール健康障害対策を総合的かつ計画的に推進することにより、国民の健康を保護するとともに、安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与しようとするものであります。

 本案は、昨二十日の内閣委員会において、全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) ただいまの両案中、日程第四につき討論の通告がありますので、順次これを許します。まず、反対討論、佐々木憲昭君。

    〔佐々木憲昭君登壇〕

佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特区法案に対し、反対の討論を行います。(拍手)

 反対する第一の理由は、この法案が、戦略特区における規制緩和を、国家の意思として、上から一方的に国民に押しつけるものとなっているからであります。

 法案では、内閣府設置法に基づき、戦略特区諮問会議という強い権限を持つ組織をつくり、総理が任命するメンバーで構成されることとなっております。そこには、大企業の代表が参加し、規制改革推進の司令塔としての役割が付与されているのであります。その意思決定過程には、労働者や消費者などの国民はもちろん、関係閣僚さえも参加させない構造となっております。

 国家戦略特区諮問会議と各地域の特区会議を足場に、財界言いなりの規制緩和と支援を行い、巨大な多国籍企業に特別の利益を与えることになるのであります。まさに、総理大臣を中心とするトップダウンの体制づくりであり、戦略特区諮問会議は、ブレーキのない、規制緩和暴走機関となるのであります。

 反対する第二の理由は、規制緩和に対する勤労国民の懸念の声、社会的、経済的な悪影響を受ける被害者の声をまともに反映する筋道がないことであります。

 森ビルなどの大企業が提出した特区提案の多数が非公開にされ、いまだに公開されておりません。そのため、国民は、提案の内容に即して、労働条件の悪化、環境破壊、医療被害、他事業者の経営悪化等についてどのような影響が出てくるのか、具体的な検討さえできない状況にあります。

 しかも、計画が実施された後、悪影響が出ても、被害者の声を聞いて事業を変更する筋道も手だてもありません。

 被害者の声をまともに聞かず、国民を実験台にするような姿勢は、到底許されるものではありません。

 第三の理由は、対日規制改革要望など、アメリカの積年の要求に応え、外国資本を特別扱いする余地を残しているからであります。

 対日投資の倍加を掲げ、税制などで外資への特別の優遇策を検討していることも明らかとなりました。

 仮に、今交渉中のTPPが妥結し、それが発効するという最悪の事態を招いたなら、国内の規制緩和がそれと重なり、国民の暮らしと健康を守る規制項目が一気に緩和、撤廃され、日米の多国籍企業が横暴を振るう、殺伐とした日本になる危険性をはらんでいるのであります。

 この法案が、大企業優遇税制とワンセットで提案されていることも重大です。

 大企業に対して法人税の減税を行う一方、国民には消費税増税を押しつけ、十三・五兆円もの所得を奪い取るなど、とても許せるものではありません。

 これでは、総理の言う失われた二十年は、克服できるどころか、一層深刻なデフレと経済の低迷をもたらすことになるではありませんか。

 大企業は、多国籍企業化して世界じゅうで利益を上げながら、内部留保を史上空前の二百七十兆円に積み上げております。

 その一方、国内経済を空洞化させ、非正規労働者は、二千四十三万人にふえ、雇用不安と低賃金に苦しんでおります。正規労働者の平均年収は、この間、七十万円も減少しました。ブラック企業が広がる中で、長時間超過密労働と過労死という深刻な社会問題を引き起こしております。

 安倍総理は、失われた二十年について、自民党に大きな責任があると答えました。それなら、規制緩和と大企業減税という既に破綻した政策を繰り返すことをやめ、国民生活に軸足を置いた政策に抜本的に改めるべきであります。

 このことを指摘して、反対討論といたします。(拍手)

議長(伊吹文明君) それでは、次に、津村啓介君。

    〔津村啓介君登壇〕

津村啓介君 民主党の津村啓介です。

 まず、冒頭、昨日最高裁判所大法廷で示された、二〇一二年衆議院選挙を違憲状態とする判決につきまして、同僚議員の皆様とともに、これを真摯に受けとめ、一日も早く、与野党がともに歩み寄り、日本国憲法に基づく司法府の判断に立法府として応えていくことを誓いたいと思います。

 以下、ただいま議題となりました国家戦略特別区域法案について、民主党・無所属クラブを代表し、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 私も、日本経済の力強い再生を願う一人であります。その意味で、約二年で二%のインフレ目標を達成し、デフレ脱却を実現するとされる、いわゆるアベノミクスに期待をし、必ず成果を上げていただきたいと思っております。

 私たち野党の役割は、与党が進める政策を、国会審議を通じ、三百六十度、あらゆる角度から評価を行い、副作用があれば早期に発見をし、注意を喚起し、次なる処方箋を用意することであり、その成果を邪魔したり、足を引っ張ることではありません。

 安倍総理、いわゆる異次元緩和、財政出動に続く第三の矢、成長戦略を、ぜひ成功させてください。建設的な議論と提案によって、しっかり応援させていただきます。

 今回の国家戦略特区法案に関連し、内閣委員会では、二十二時間二十五分の議論が行われました。その間、新藤大臣初め答弁者の皆さんは、しばしばノー原稿で、丁寧な御答弁に努められました。

 また、我が党の後藤祐一議員を初め、各党の質問者からは、中身の濃い質問が数多く出され、議論の成果は、先ほど御紹介された法案修正という形で実を結びました。

 既存の特区制度との連携強化は、地方自治体の負担を大きく軽減し、さらにチャンスを大きく広げる、意義深い修正であります。いわゆる雇用ガイドラインの策定については、厚生労働大臣の関与を可能とする修正が行われました。いずれも、高く評価されるべきものであります。

 私たち民主党・無所属クラブは、柴山委員長を初め、委員各位のこの間の御努力を多とし、重要な修正がなされた本法案に賛成することを決めました。

 一方、議論の中で、課題も多く明らかになりました。

 私は、今後の政策実行に当たっての最大の課題は、内閣に入られた七十名余りの政治家の方々の政治的リーダーシップのあり方、いわゆる政と官の関係だと考えております。

 私は、四年前、二〇〇九年の政権交代直後、国家戦略室を担当する内閣府大臣政務官として、今回内閣委員会の筆頭理事として本法案の修正協議に大変な汗をかかれた近藤洋介議員、当時の経産大臣政務官とともに、新成長戦略の取りまとめに当たった経験がございます。

 新成長戦略は、当時、一定の評価を得、大きく報道されました。掲げた政策の中には、安倍政権の成長戦略において引き続き取り上げていただいている政策も少なくありません。

 しかし、私たちの政治主導は未熟であったと思います。一定の成果を上げはしましたが、長く続きませんでした。最終的な審判は歴史家の手に委ねたいと思いますが、当事者として得た大きな教訓の一つは、ロジスティクスにおける戦略性の欠如であります。

 それは、特に、縦割りになりがちな各省庁に対して、総合調整機能、いわゆる横串の役割を期待されているはずの内閣官房、内閣府において顕著であります。

 私の尊敬する郷土の先輩、橋本龍太郎総理が強い政治的リーダーシップを発揮して実現された二〇〇一年の省庁再編の目玉の一つは、内閣府の設置による縦割りの打破、内閣全体の総合調整機能の強化だったはずですが、実態は、その理想からかけ離れております。

 アベノミクスと国家戦略特区の目標達成のために、三点御提言いたします。

 一つ目は、大臣、副大臣、政務官の複雑過ぎる所掌を整理し、サポートをする政務のスタッフをふやし、他省庁との兼務を解消することであります。

 大臣、副大臣、政務官がそれぞれ一人当たりで担当する範囲が広過ぎます。また、科学技術、IT、知財、宇宙、海洋など共通項の多い関連部局が、それぞれ別の建物に置かれ、それぞれ内部に複数の会議体を持っている現状では、政務三役の会議出席がままならない一方で、同じ有識者から同じ内容のヒアリングを別組織が行っている光景も日常茶飯事であります。それぞれの本部や会議や委員会が、実質的に文科省、総務省、経産省、国交省などの事実上の出先機関になっているとの指摘もあります。

 今回の国家戦略特区の事務方の実動部隊である内閣官房地域活性化統合事務局も、官邸や内閣府本府から遠い永田町合同庁舎に位置し、大臣以下の政務三役は、総務省の大臣、副大臣、政務官がそのまま丸々兼務をしています。これでは、わざわざ内閣官房に設置している意味が半減であります。

 二つ目は、極度に分散している庁舎、建物を統合整理することであります。

 今、内閣官房は八カ所、内閣府は、都内だけで十三カ所のビルに分散しています。大臣が何か確認をしようとしても、事務方は、同じ建物には、ほんのわずかしかいません。国会周辺は一方通行や右折禁止などが多く、車を飛ばして駆けつけるのに、十分以上かかるケースもしょっちゅうあります。申しわけなくて、余り気軽に呼ぶことができません。内閣に入られたことのある方には、御経験がおありだと思います。

 皆さん、今、総理官邸の斜め下、内閣府下交差点の一角に新しいオフィスビルが完成しつつあるのをお気づきでしょうか。合同庁舎第八号館であります。内閣府の新しい建物です。隣接する内閣府本府庁舎とともに、総理官邸のすぐ目の前、お膝元に施設が整います。

 その八号館がいよいよ来年四月から供用開始となりますが、内閣委員会の質疑によれば、大臣、副大臣は八号館の活用に余り関心をお持ちでなく、レイアウトの議論に必ずしも積極的には参画されていないようであります。ロジは大変重要であります。総合調整機能を強化する大きなチャンスです。ぜひ、政治的意思を持って、リーダーシップを発揮してください。

 三つ目は、大臣、副大臣、政務官が一堂に会する政務三役会議を頻繁に開催することであります。

 内閣府には、事務次官と官房長はそれぞれ一人しかいませんが、大臣は八名、副大臣は六名、大臣政務官は七名いらっしゃいます。ラインが、とても複雑になっております。

 先ほどのレイアウトの問題もあり、大臣と副大臣が別の庁舎で執務されているケースも多くあります。その結果、日程調整がつきにくく、大臣レクの後に副大臣レクや政務官レクがセットされることもあるやに聞いております。指揮命令系統を中抜きされているんです。上司が決裁した後に部下が報告を聞くんです。それでは副大臣と政務官は、単なる名誉職になってしまいます。ぜひここは、よくお考えになるべきところだと思います。

 ぜひ、政務三役会議を少なくとも週一回開催し、政治家が、しっかりと、目的意識と優先順位を共有して、部下たる官僚の皆さんに明確な指示出しを行ってください。国会でどんなに立派な演説をしても、単なるかけ声だけでは、実務の現場は動きません。ぜひ、政務三役が一体となって、政治的リーダーシップを発揮してください。

 法案の個別規制項目についても、今後、参議院の審議でさらに深く論点が整理されることを望みます。とりわけ、雇用規制の緩和、有期雇用の特例については、根本的な問題が残っています。

 以上、るる課題を挙げさせていただきましたが、安倍総理、そして新藤大臣、大切なことは、前に進むことであります。

 昨日の委員会採決の終了後、内閣委員会の委員の皆さんから、自然と拍手が沸き起こりました。与党も野党もなく、大勢の委員の皆さんが法案の修正可決を喜び、大団円を迎えたわけであります。

 あとは、実行であります。

 安倍総理、頑張ってください。大臣、頑張ってください。自民党の皆さんも、公明党の皆さんも、頑張ってください。与党には、国を変える大きな力があるんです。

 私たちも、責任政党として、国会を舞台に、しっかりと建設的な議論を尽くしてまいります。日本のため、世界のため、ともに頑張りましょう。

 終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(伊吹文明君) それでは、次に、松田学君。

    〔松田学君登壇〕

松田学君 日本維新の会の松田学です。

 私は、日本維新の会を代表して、国家戦略特区法案及び同修正案に対して、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 本法案について、当初、私たちは、このままでは賛成できないと考えておりました。アベノミクスの決定打として次は何が出てくるかと国民は期待していたにもかかわらず、この法案自体は、中身に乏しいものであり、これが第三の矢として期待された成長戦略の柱なのかと思わざるを得なかったからであります。

 総理が今国会を成長戦略実行国会と位置づけた割には、本法案の内容は、単に、事業者などからの要望のうち、着手できる項目を並べ、しかも、手続の円滑化や検討としたものが多く、骨太の国家戦略が見えるものとは言えません。アベノミクスとはこんなものだったのか、結局は、既得権益や官僚の決めた枠組みから出られないのが安倍政権だったのか、そのような印象を禁じ得ませんでした。

 もちろん、各分野で、いわゆる岩盤規制に穴をあける実験を行い、社会の課題解決モデルの構築で成功事例を生み出す、そういうプロジェクトを推進することが経済成長の起爆剤になるという本特区構想の考え方そのものは、我が党としても、その方向性を同じくするところであります。

 しかし、規制改革によってこの趣旨を実現するためには、各分野の岩盤規制を大きく組みかえる、制度の再設計が必要です。それを実験する特区が国家戦略なのであれば、そうした再設計の姿を示す、思い切った内容を期待するのが当然であります。

 今国会では、政府提出法案には、問題や不足は多いけれども、ないよりはましだろうという、法案としての完成度が必ずしも高くない法案が目立つように思われます。最低限のラインだけを描き、その趣旨には国会も野党も反対できないだろうとするやり方は、議会制民主主義の精神にもそぐわないのではないでしょうか。

 ただ、内閣委員会での本法案の審議を通じて、次のことが確認されました。

 第一に、本法案は、政府の今後の取り組みの枠組みをつくるものであって、改革措置の中身は、これから拡充していく性格のものであるということであります。

 第二に、その際に、他の改革措置との合わせわざで、本法案には盛り込まれていない政策理念との結合が図られるという発展可能性を有しているということであります。

 第三に、その点についての、担当大臣や総理の決意と覚悟が示されたということであります。

 日本維新の会の発祥の地である大阪府と大阪市は、共同で、国家戦略特区の提案募集に応じ、岩盤規制に風穴をあけ、民によるイノベーションを創出するという観点から、提案を行っています。

 それは、御堂筋エリアを対象に高度な人材や企業を集めるチャレンジ特区、外国人医療スタッフにも門戸を開放して混合診療の実施など最先端の医療サービスを提供する国際メディカル特区、先進医療の保険診療併用特区、人が集積し楽しい街を実現する大阪高度集密都市特区であります。

 これを実現し、大阪都構想を確かなものとすることが、日本の将来につながるのであり、その意味で大阪は、まさに国家戦略特区のモデルになるものと考えております。

 そして、本法案の足らざる部分として、大阪は、具体的に次の点を要望しております。

 第一に、医療分野については、本特区内で実施される先進医療や予防医療に関する保険外併用診療の範囲を拡大することであります。また、国際的な医療拠点の形成を図るため、試験研究の体制の整備などの措置を講じることです。

 第二に、雇用分野については、有期雇用の特例について、優秀な人材の活躍の機会が十分に確保されるよう、資格制限などをできるだけかけないようにするなど、特区制度が実効あるものとすることであります。

 また、労働規制の緩和につきまして、成果主義を踏まえた、自由な働き方を保障するような制度を盛り込むことを検討することであります。

 第三に、都市インフラの競争力強化について、空港や港湾、道路などの機能強化に必要な、規制の特例その他の措置を講じることであります。

 第四に、税制であります。

 大阪府、市では、既に国際戦略特区で地方税をゼロにし、地方として大胆に汗をかいております。頑張っている地域に対しては国も本気度を示すべきであり、地方税ゼロのエリアには国も法人税で特例措置を講じることなどを要望しております。

 内閣委員会の質疑では、日本維新の会は、法案に不足している点をるる指摘し、よりインパクトのある大胆な規制改革の実行を政府に迫りましたが、特に、以上の大阪の要望については、その多くについて政府側より前向きの答弁が得られたと考えております。

 特に私たちが重視したのは、税制であります。

 税制については、年末の税制改正で検討されるものであり、今回の法案は、とりあえず規制改革措置に関してまとめたものということでありますが、そもそも特区といえば、税制の特例措置がポイントになるものであり、それが欠落した特区であっては、十分な実効性が確保されないものと考えます。

 中でも、私たちが本法案に賛成する条件と考えたのが、地方公共団体が地方税を減免した場合の、法人税の特例措置であります。

 例えば、地方が、地域活性化のためにみずから身を削って地方法人事業税を減免しても、国税の側では、その分、損金算入額が減り、法人税負担がふえてしまいます。国の制度が地方の努力を無にするように働くというのでは、地方の自立や地域活性化を促進しようとする政策に逆行します。常識から考えても、いかにもおかしいと思います。これは、明らかに、政治がイニシアチブをとって是正すべきものではないでしょうか。

 残念ながら、この点についての私たちの提案は、法案の修正には至りませんでしたが、昨日の内閣委員会の締めくくり質疑におきまして、担当大臣である新藤大臣から、年末の税調プログラムで全力で取り組むとともに、必要な成果が得られるように取り組んでいくとするなど、要望を最大限に尊重する旨の御答弁があり、また、安倍総理からも、年末の税制大綱に向けて、地方の努力を踏まえて国の対応を考えていくという趣旨の御答弁をいただいたところであります。

 肝心なことは、これを実際に実行することであり、一連の審議を通じて、我が党としては、それが担保されたものと判断したところであります。

 このことを含め、国家戦略特区が我が党の要望を的確に反映した内容となる道が開かれているものとして、本案に賛成することとしたものであります。

 本法案は、アベノミクスの中に位置づけられているものであり、アベノミクスは、いわゆる三本の矢が整合的に組み合わさってこそ真に持続的な効果を発揮するものであって、これまでの二本の矢では、明らかに不足であります。

 一本目の金融政策は、日銀による国債購入で、それに相当する銀行からの日銀当座預金が積み上がっているだけでは、マネーはふえません。それが銀行の信用創造に回るためには、実体経済での実需の増大が必要であります。

 二本目の財政政策は、いわばカンフル剤であり、持続可能な政策ではなく、公共事業から民間需要へとお金が回っていかなければなりませんが、本年七―九月期のGDPを見ますと、伸びているのは、公共投資と、消費増税前の駆け込み需要で伸びている住宅投資ぐらいでありまして、本年初めには好調だった個人消費は、失速している状況であります。

 今のところ、三本目の矢がないまま、アベノミクスは、お金を積んだだけのものとなっているのではないでしょうか。

 しかし、日本には、もともと十分なお金があります。それは、日本が世界断トツ一位の対外純資産国であり続けていることが示すとおりであります。

 大事なことは、積まれたお金が、国内で有効な使い道や魅力的な投資先に回っていくことであり、そのためには、既存の戦後システムを大胆に組みかえるぐらいの大改革が必要でありますが、それは、強固な既得権益と正面からぶつかることを免れ得ないものであります。

 政府におかれましては、本法案が成立した後は、日本経済の生産性を底上げしていくための戦略的な道筋を提示し、文字どおり骨太の国家戦略を示していただけることを期待しております。

 そして、安倍総理が、今後の政策運営において、既得権益と闘う断固たる姿勢をお示しいただき、日本経済復活の道筋を力強く打ち出されることを、私どもは見守っております。

 安倍政権にはできないのであれば、私たち日本維新の会がその役割を担うことを宣言して、党を代表しての討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、大熊利昭君。

    〔大熊利昭君登壇〕

大熊利昭君 みんなの党の大熊利昭です。

 私は、みんなの党を代表して、ただいま議題となりました国家戦略特別区域法案について、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 本法案の目的は、我が国を取り巻く国際経済環境の変化その他の経済社会情勢の変化に対応して、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るために、経済社会の構造改革を重点的に推進するとされています。都市再生、まちづくり、教育、雇用、医療、歴史的建築物の活用、そして農業等、多岐にわたる内容と、これまで幾度も改革を拒み続けてきた部分に手をつけた革新性は、一定程度評価できるものであります。

 ところで、国家戦略特区制度のポイントは、支援措置ではなく、まさに政府発で行われる規制改革によって、民間、地方、政府が一体となって事業が実施される点であります。

 規制改革と支援措置が併存すると、企業はどうしても支援措置に流れてしまいがちであり、国家戦略特区の最大の特徴である岩盤規制改革を貫徹することが難しくなってしまうおそれがあります。

 その中で、利子補給制度という支援措置が盛り込まれております。

 この制度の対象先は、主にハイリスク・ハイリターンが想定されるベンチャー企業と考えられるわけですから、ローリスク・ローリターンである融資に係る利子補給制度は、本来は適さないと言えます。特区で活動するベンチャー企業に対しては、どうしても支援措置を講ずるということであれば、投資に係る措置とすべきであったと考えます。

 一方で、この利子補給金制度を一部修正することができた点は、率直に評価すると同時に、与野党の関係者の皆様に深謝申し上げます。このことにより、支援措置が無期限に続くこと等によるマイナスの影響を限定することができたと考えております。

 国家戦略特区法案では、特別区域計画を定めて認定を受ける仕組みが法定されていますが、このような仕組みは、往々にして、事前に詳細に計画を確定して役所の認定を受け、民間事業者は役所の過度なコントロールのもとで活動が認められるといった運用になることがあります。

 それに対して、新藤大臣は、昨日の内閣委員会において、政治主導といっても、自分一人だけで行えるわけではないし、役所に頼り切りになっているとも思わないという旨の答弁をされました。その言葉どおり、政治のリーダーシップや適切な組織運営によって、役所の不適切な運用による制度の硬直化と国家戦略特区の形骸化を防いでいただくことを望みます。

 安倍総理は、昨日の内閣委員会において、瑞穂の国である我が国の資本主義についてお答えになりました。安倍総理の言われた、企業というものは、強欲を原動力とするのではいけないのであって、公益性も備えていなければならない、そういう考え方は、そのとおりであると思います。

 一方で、世界で一番ビジネスをしやすいように環境を整え、資本そのものの競争力を強化することの必要性は、論をまちません。

 両者のせめぎ合いのもとで、日本がよりよい経済社会へ転換できることを望み、私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(伊吹文明君) 以上をもって討論は終局をいたしました。

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決に入りますので、自席に戻ってください。

 まず、日程第四につき採決をいたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり修正議決をいたしました。

 次に、日程第五につき採決をいたします。

 本案を可決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、本案を可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣    谷垣 禎一君

       国土交通大臣  太田 昭宏君

       国務大臣    稲田 朋美君

       国務大臣    新藤 義孝君

       国務大臣    森 まさこ君


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