衆議院

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第15号 平成25年11月28日(木曜日)

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平成二十五年十一月二十八日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十二号

  平成二十五年十一月二十八日

    午後一時開議

 第一 東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案(文部科学委員長提出)

 第二 薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 農地中間管理事業の推進に関する法律案(内閣提出)

 第四 農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案(文部科学委員長提出)

 日程第二 薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 農地中間管理事業の推進に関する法律案(内閣提出)

 日程第四 農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)


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    午後一時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) まず、この際、御紹介を申し上げます。

 ただいまトゥラ・シュエ・マン・ミャンマー下院議長閣下ほか議員団の皆さまが外交官傍聴席にお見えになっております。皆さんとともに心から歓迎を申し上げます。

    〔起立、拍手〕

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) 次に、御報告することがあります。

 永年在職議員として表彰された元議員小沢辰男君は、去る十月十三日逝去されました。痛惜の念にたえません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 小沢辰男君に対する弔詞は、議長において去る二十五日既に贈呈をいたしておりますので、これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに社会労働委員長 懲罰委員長の要職につき またしばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等小沢辰男君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) それでは、日程に入ります。

 まず、日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第一 東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案(文部科学委員長提出)

議長(伊吹文明君) 日程第一、東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。文部科学委員長小渕優子君。

    ―――――――――――――

 東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔小渕優子君登壇〕

小渕優子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。

 本案は、東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害について、被害者が早期かつ確実に賠償を受けることができるようにするための体制を国が構築するために必要な措置について定めるとともに、今般の原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例を定めるもので、その主な内容は、

 第一に、国は、国の行政機関における賠償の円滑化のための体制の整備、紛争の迅速な解決のための原子力損害賠償紛争審査会及び裁判所の人的体制の充実、原子力損害賠償支援機構による相談体制及び情報提供体制の強化その他の措置を講じるものとすること、

 第二に、今般の原子力損害に係る賠償請求権に関する民法第七百二十四条の規定の適用について、同条で三年間とされている消滅時効の期間を十年間とするとともに、同条で不法行為のときから二十年とされているいわゆる除斥期間を、損害が生じたときから二十年とすること

であります。

 本案は、昨十一月二十七日、本委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 なお、本案に関する決議を議決したことを申し添えます。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案を可決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 全会一致。御異議なしと認めます。したがって、本案は可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第二、薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長後藤茂之君。

    ―――――――――――――

 薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔後藤茂之君登壇〕

後藤茂之君 ただいま議題となりました薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、一般用医薬品のインターネット販売に関する最高裁判決等を踏まえ、医薬品及び薬剤の使用に際しての安全性の確保を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、一般用医薬品のインターネット販売を認めることとし、その販売方法等に関する遵守事項を定めるとともに、第一類医薬品について、その販売等に際し、使用者の年齢、他の医薬品の使用状況等を確認することとすること、

 第二に、医療用医薬品から転用して一定の期間を経過していない医薬品、劇薬等については、他の一般用医薬品とは性質が異なるため、新たに要指導医薬品として区分し、その販売等に際しての薬剤師の対面による情報提供と指導を義務づけること、

 第三に、指定薬物について、原則としてその所持、使用等を禁止し、違反した場合に罰則を科すこと

等であります。

 本案は、去る十一月二十日本委員会に付託され、同日田村厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、二十二日から質疑に入り、昨日質疑を終局しました。

 質疑終局後、みんなの党より、この法律の施行後一年を目途として、一般用医薬品以外の医薬品の販売等の実施方法に関する規制のあり方等について、関係事業者などの関係者により構成される合議制の組織の意見等を踏まえつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の規定を検討条項に加えることを内容とする修正案が提出され、趣旨説明を聴取しました。

 次いで、原案及び修正案について討論、採決を行った結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対して附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 日程第二につき討論の通告があります。順次これを許します。まず、中島克仁君。

    〔中島克仁君登壇〕

中島克仁君 みんなの党の中島克仁です。

 私は、みんなの党を代表いたしまして、ただいま議題となりました薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。(拍手)

 政府は、本年六月に、日本再興戦略、規制改革実施計画を閣議決定し、一般用医薬品については、インターネット販売を認めることとするとしておりました。安倍総理は、全ての薬のインターネット販売解禁を宣言したのです。

 ところが、どうでしょう。その後、本院に提出された本法案では、スイッチ直後品目及び劇薬等は、一般用医薬品とは異なるとして、新たに要指導医薬品の区分を設け、インターネット販売を認めないこととしており、規制強化とも言える内容です。

 ですから、安倍総理が本法律案に満足しているとは到底思えませんし、一部の与党議員の方々も、本音はじくじたる思いでこの場にいるのではないかと推察をいたします。

 対面診療を原則とする医療の世界でも、今や、インターネットを活用したテレビ電話等での遠隔診療が一定条件のもとで認められております。

 医療用医薬品のインターネット販売を認めず、新たに医療用に準じた医薬品の区分を設け、インターネット販売を認めない範囲をさらに広げることは、僻地医療の確保や在宅医療推進の方向性に反するばかりか、医療全体の質の向上に寄与しているセルフメディケーションを否定することにもなりかねません。

 言うまでもなく、我々みんなの党も、医療そして医薬品に関しては安全を第一に考えるべきとの立場ですが、医薬品のインターネット販売が、安全面において対面販売に劣ると考える客観的な理由が一体どこにあるのか、全く理解できません。医学、薬学の専門家が関与すれば、医薬品の適切な使用と安全性の確保は十分に可能であり、医薬品のインターネット販売だけを差別的に扱う科学的、合理的理由はどこにもありません。

 安全性を確保した上で、医薬品を使用する方々の利便性の向上を図ることこそが必要であり、本法案の規制強化の部分については、決して容認することはできません。

 以上の趣旨を盛り込んだ修正案を我が党は提出し、日本維新の会の皆さんにも御賛同いただきました。

 真の改革政党みんなの党だからこそ、本法案には反対であることを改めて表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、柚木道義君。

    〔柚木道義君登壇〕

柚木道義君 民主党の柚木道義でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 ことしの一月、最高裁で、第一類、第二類医薬品についてインターネット販売することを禁止した省令が、薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして、無効であるとの判決が出されました。この最高裁判決を踏まえ、事実上野放しとなっているインターネット販売に関する法律を整備することは急務であり、本法案の閣議決定が十一月十二日までずれ込んだのは、遅きに失したと言わざるを得ません。

 その原因は、本法案の立案過程にあります。

 安倍政権が、医薬品のネット販売を産業競争力会議も巻き込んで議論したことが間違いだったと思います。産業競争力会議のメンバーに医薬品のネット販売を行う事業者を入れたため、対象とする医薬品の対象をめぐって厚生労働省との激しい綱引きが行われ、時間を浪費してしまったのではないでしょうか。

 そもそも、安倍政権が、国民の健康、生命に直結する医薬品の販売を成長戦略と位置づけていることが、よく理解できません。安易に大量に医薬品を販売するようになってしまえば、医薬品による重篤な副作用、最悪の場合は死に至る事案が起こりかねません。

 最高裁判決でも、薬事法の規制は、医薬品の安全性の確保等のためであり、規制の具体化に当たっては、厚生労働大臣の医学的ないし薬学的知見に相当程度依拠する必要があると述べられています。にもかかわらず、厚生労働省に全面的に委ねず、産業競争力会議を一つの舞台として議論を進めたことは、大きな問題だったのではないでしょうか。

 本事案は、医薬品のネット販売を行う企業の利益ではなくて、国民の健康、生命を最優先に考えて議論すべき問題です。国民の生命、健康よりも、ともすれば企業の利益を優先しかねないのが安倍政権だと捉えられても、仕方がないのではないでしょうか。

 薬が売れるということは、別の側面でいえば、国民の健康を害することでもあるわけです。セルフケアという観点があるにせよ、それを成長戦略の目玉と言うには、いささか違和感があります。

 我々民主党が目指すべき方向性は、予防、社会的包摂、格差是正など、むしろ、国民の生活や健康をよくしていく積極的社会保障、ヨーロッパや世銀、IMFなどでも提唱されているインクルーシブグロース、いわば包摂的成長、なるべく格差なき成長、我が党の綱領にも示した共生社会の具体化、いわば、共生社会型成長モデルともいうべきものです。

 格差については、世代間格差、世代内格差の是正はもとより、子供の貧困、男女格差、健康格差、正規・非正規格差、老後の格差などの是正が重要です。そうした包摂的な支援を制度化している企業ほど、グローバル企業でもそうでない企業に比べて利益率が二倍との調査がございます。

 つまりは、国土強靱化より、国民生活強靱化が重要なのでございます。

 我々は、国民生活強靱化、つまりは、アベノミクスによる一部の方々だけがもうかるアプローチだけではなくて、共生社会型成長モデルともいうべき手法で、生活者全体が実感できる形で、社会保障、経済、財政の立て直しを求めてまいります。

 そうした思想、理念の違いを、ここではっきりとお示ししておきたいと思います。

 安倍政権が国民の皆さんの命や健康をともすればないがしろにするのは、本事案に限ったことではありません。社会保障をめぐって、安倍政権の中からは、社会保障の給付カット、負担増の議論ばかりが聞こえてまいります。要支援の方に対する介護保険サービスを市町村事業化する問題、特養の入所を要介護三以上に限定する問題、難病患者の方や小児がんの子供たちの医療の自己負担を引き上げる問題と、数を挙げれば切りがありません。

 政権内ですったもんだしたため、本法案には、練られていない部分が多く残されてしまいました。ネット監視の強化策という重要な部分でさえも運用に委ねられ、本人確認とも密接に関係する料金の支払い方法もはっきりしていないという、情けないありさまでございます。

 本法案には、曖昧な部分が多く、不安な面もあります。

 ただし、本法案が、ネット販売の対象から、毒性が強い劇薬と、医療用から一般用に移行して間もない、一般用医薬品としてのリスクが確定していないスイッチ直後品目を除外していること、薬剤師等の関与のもとに販売するルールを設けていることは、医薬品の購入者の利便性と安全性を両立させるものと評価ができるものと思います。

 厚生労働委員会の審議では、みんなの党から、医療用の医薬品についても販売の規制のあり方について検討する旨の修正案が提出されました。

 医師の処方箋が必要な医療用の医薬品は、効果、効能等において人体に対する作用が著しく、重篤な副作用が生ずるおそれもあるため、薬剤師が対面販売することが必要不可欠でございます。医療用の医薬品までもインターネット販売の対象とすることには反対であることも申し述べておきます。

 なお、本法案のもう一つの柱である、指定薬物の所持、使用の禁止についてでございますが、使用した人のみならず、周囲の方々の生命をも脅かす脱法ドラッグを取り締まることは、喫緊の課題であり、早急に実行すべきであります。

 最後に、本法案に基づく医薬品のネット販売によって国民の健康と生命が脅かされる事態が生ずることがないように、政府に対して万全の安全対策を講ずるよう強く求めて、私の賛成の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。(拍手)

 本法案は、一般用医薬品のインターネット販売を全面解禁するものです。

 ことし一月の最高裁判決を契機に、事実上、ネット販売は野放し状態となっており、早く適切な規制のもとに置くのは必要です。最高裁判決は、国会での審議抜きに施行規則で規制することは行政の権限を越えていると指摘したにすぎません。規制の範囲については、立法府に委ねられたのです。

 安倍総理は、六月五日、成長戦略第三弾のスピーチにおいて、インターネットによる全ての一般用医薬品の販売を解禁すると表明しました。これにより、全面解禁は政府の方針となり、安全性に配慮して例外とされたのは、わずか〇・二%のスイッチ直後薬品や劇薬のみでした。このような官邸の頭越しの決め方は、許されません。

 反対の第一の理由は、医薬品の対面での販売という原則を崩すことによって、専門家による情報提供、相談や受診勧奨などが十分行えず、安全性のリスクが高まると考えられるからです。

 第二に、インターネットでは、無届けや、にせ薬の販売など、悪質な業者を排除する仕組みに限界があるからです。

 薬事監査の体制を確保、強化することはもちろんのこと、一気に対象品目を広げず現行のままにとどめ、あくまで、ネットは対面販売の補完的役割に限定すべきであります。

 第三に、医薬品が、インターネットのショッピングモールで他の商品と同列に売られることによる弊害があるからです。

 モールでは、ポイントアップなど、まとめ買いを誘発する仕組みがもともとあること、お得意様番号の利用によって個人情報が名寄せされるおそれがあること、モール運営者の責任が曖昧で、問題があったときの管理責任が問われないことなど課題も多く、薬局単独のサイトに限定するべきであります。

 終わりに、厚労省の前庭には、一九九九年に建立された、薬害根絶「誓いの碑」があります。「命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」と。

 薬事法改正の歴史は、薬害被害者、遺族らの闘いの歴史でもあります。だからこそ、薬事行政は、たとえ消費者のニーズがあっても、安全性をないがしろにしてはならない、まして成長戦略には相入れないことを強く指摘し、反対討論といたします。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、河野正美君。

    〔河野正美君登壇〕

河野正美君 日本維新の会の河野正美です。

 私は、日本維新の会を代表して、ただいま上程されました薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案に賛成の立場で討論をいたします。(拍手)

 本法案は、現在まで野放しに放置されていたと言っても過言ではない、一般用医薬品の郵便等を利用した販売に関し、平成二十五年一月の最高裁判決を受けて、販売ルールを法的に整備することが、主たる目的と思います。

 言うまでもなく、医薬品は、直接体の中に入るものであります。時として重篤な副作用を生じるものであり、不幸にして生命を失う場合も十分に想定ができるものであります。

 したがいまして、薬剤の販売に際しては、医師が処方する場合も同じではありますが、専門性を有した者が介在し、極めて慎重に行わなければなりません。

 一方で、身近に医療機関や薬局がない地域に居住する方も少なくはないと思います。そういった地域に住む方々や、診療時間や営業時間にどうしても都合がつかないなど、さまざまな事情で医薬品を入手することが困難な方にとって、インターネット等で薬が手に入るということは、極めて有用なことでもあります。

 私は、二十年以上、医療の現場にいます。その中で、身近に見た大変不幸な出来事をお話しさせていただきたいと思います。

 私自身は、薬が欲しいときに、自分では処方はいたしませんが、大学病院勤務時であれば同僚ですとか、今ですと、部下の医師に処方をお願いするわけであります。大抵の場合は、自分が指名した希望の薬をそのまま処方してもらうことになります。逆の立場であれば、私も、依頼されれば、そういった処方を行います。

 随分前の話にはなりますが、病院職員、この方は、医療資格を持っておられない方でしたが、高血圧で、自分の勤務する病院においてお薬をもらっておられました。処方する内科のお医者さんは、高血圧のコントロールがなかなかうまくいっていないという印象を持たれ、この職員の方に、しっかりと専門病院で検査を受けるように勧めておられました。しかし、面倒なのか、あるいは自分の勤務先で休憩時間などに簡単に処方してもらえるからか、この方は、結局、専門病院には行かれませんでした。

 結果、四十代後半の方だったと思いますが、高血圧性脳出血で意識不明となられ、闘病生活の末にお亡くなりになりました。非常に不幸な出来事だったと記憶しております。処方していたベテランの先生は、内科医でしたが、大変悔やんでおられたことを記憶しております。

 医師の処方でも、こういう例がございます。したがいまして、対面による販売の代替手段として、メールなどを利用する一見複雑に思える手続は、極めて重要な手順であると考えております。

 加えて、本法案における幾つかの懸案事項を指摘しておきます。

 まず、転売目的などで、複数店舗を利用して同一薬を大量購入することに対する懸念です。二次販売が行われないように、しっかりとした対策を望みます。

 また、相手の顔が見えないインターネット取引の場合、模造品や粗悪品などにより、購入者に健康被害が生じるおそれがないかという点であります。

 これら懸念される点については、しっかりとした監視指導体制を構築していただきたいと思います。

 そのほかにも、初回購入の場合は煩雑な手続もやむを得ませんが、常用薬を購入したい場合など、インターネット販売の長所である、購入履歴などを用いた、手続の簡素化なども考慮すべき課題と思います。

 ところで、今回の法律では禁止とされている、医師または歯科医師から発行された処方箋を用いた薬剤のインターネットを用いた販売について、一言申し添えたいと思います。

 一般に、日常生活において、友人や知人などが、頭が痛い、歯が痛いなどといった際に、自分の持っている鎮痛薬を上げるなどという善意の行為が行われると思います。

 医師や歯科医師が診察を行った上で、専門性と責任を持って処方した薬であり、患者さんに対して、処方箋発行の際に、どのような薬で、どのような目的で処方し、どういった副作用が想定されるのか、そういったことを十分に説明していれば、薬剤を渡すという手段に関しては、郵送などを用いても特段の問題にはならないのではないかと思います。

 医療機関の近くにある、いわゆる門前薬局であれば、近傍の医師の処方傾向を把握しており、想定される薬を在庫していることと思います。一方で、患者さんが自宅の近所の調剤薬局に処方箋を持参した場合は、在庫がない場合も少なからずあります。患者サイドの利便性を考えれば、将来的に医師処方薬のインターネット販売禁止を続けることは、合理的根拠が乏しいと思います。

 私たち日本維新の会は、国民の利益にかなう規制改革の推進という観点から、本来であれば、安全性を担保した上で、医薬品のインターネット販売は全面的に解禁すべきという考えであります。

 本法案の策定に当たっては、医師、薬剤師を初め、医薬品販売に携わる当事者や学識経験者によって検討がなされています。検討会のメンバーに名を連ねた方を含めた有識者により、薬事法改正に関する緊急提言が示され、インターネット販売を禁止した医薬品の範囲について、再検討を求める意見が出されています。

 今回の改正は、一歩前進であることを評価し、賛成することといたしましたが、今回解禁の対象とならなかった医薬品等に関しましても、今般定められた医薬品の販売ルールの運用状況を注視した上で、国民にとって真の利益をもたらすように、今後の検討課題として、できるだけ早急に対応していただきたいと思います。

 最後に、本法案では、違法ドラッグ対策を強化する仕組みを盛り込んでおり、薬物乱用者による不幸な交通事故などが散発している現在において、重要な改正であると考えます。

 以上をもちまして、日本維新の会を代表しての賛成討論を終わります。(拍手)

議長(伊吹文明君) 以上をもって討論は終局といたします。

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 農地中間管理事業の推進に関する法律案(内閣提出)

 日程第四 農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第三、農地中間管理事業の推進に関する法律案、日程第四、農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長坂本哲志君。

    ―――――――――――――

 農地中間管理事業の推進に関する法律案及び同報告書

 農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔坂本哲志君登壇〕

坂本哲志君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 農地中間管理事業の推進に関する法律案は、農業経営の規模の拡大、耕作の事業に供される農用地の集団化、新たに農業経営を営もうとする者の参入の促進等による農用地の利用の効率化及び高度化の促進を図るため、農地中間管理事業について、農地中間管理機構の指定その他これを推進するための措置等を講じようとするものであります。

 農業の構造改革を推進するための農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する等の法律案は、望ましい農業構造の実現に向けた農業の構造改革を推進するため、新たに農業経営を営もうとする者に対する支援の充実、遊休農地の農業上の利用の増進を図るための措置の強化、投資事業有限責任組合による農業法人に対する投資の円滑化等の措置を講じようとするものであります。

 両法律案は、去る十一月十三日本委員会に付託され、同日林農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、十九日から質疑に入り、参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、昨二十七日質疑を終局しました。

 質疑終局後、両法律案に対し、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及び生活の党の五会派共同提案により、市町村は、当該市町村内の適切と認める区域ごとに、当該区域における農業の将来のあり方等に関する事項について、農業者等による協議の場を設け、その協議結果を取りまとめ、公表すること、政府による本法律案の施行後五年を目途とした検討の対象を、農地中間管理事業及び関連事業のあり方全般に拡大し、その検討結果に基づいて講ずる措置を必要な法制上の措置その他の措置とする等の修正案が提出され、趣旨の説明を聴取した後、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、両法律案はそれぞれ修正議決すべきものと議決した次第であります。

 なお、両法律案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、両案を一括して採決をいたします。

 両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、両案とも委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       文部科学大臣  下村 博文君

       厚生労働大臣  田村 憲久君

       農林水産大臣  林  芳正君


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