衆議院

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第6号 平成26年2月18日(火曜日)

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平成二十六年二月十八日(火曜日)

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  平成二十六年二月十八日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 新藤総務大臣の平成二十六年度地方財政計画についての発言並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに質疑


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    午後一時三分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の発言(平成二十六年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(伊吹文明君) この際、平成二十六年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣新藤義孝君。

    〔国務大臣新藤義孝君登壇〕

国務大臣(新藤義孝君) 平成二十六年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 まず、平成二十六年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、国の取り組みと歩調を合わせて歳出抑制を図る一方、社会保障の充実分等を含め、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行うとともに、防災・減災事業や地域の元気創造等の緊急課題に対応するために必要な経費を計上しております。

 あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画を上回る額を確保することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等の全額を措置する震災復興特別交付税を確保するとともに、全国防災事業について、所要の補助事業費等を計上しております。

 以上の方針のもとに、平成二十六年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ一兆四千四百五十三億円増の八十三兆三千六百七億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が、前年度に比べ三千七百三十億円減の一兆九千六百十七億円、全国防災事業が、前年度に比べ四百九十億円増の二千五百二十一億円となっております。

 次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 現下の経済情勢等を踏まえ、デフレ脱却と経済再生の観点から耐震改修が行われた既存建築物に係る固定資産税の減額措置の創設等を行います。

 また、税制抜本改革を着実に実施するため、法人住民税法人税割の税率の引き下げ、地方法人特別税の税率の引き下げ及びこれに伴う法人事業税の税率の引き上げを行うとともに、自動車取得税の税率の引き下げ及び環境への負荷の少ない自動車を対象とした税率の軽減等の特例措置の拡充、自動車の環境に及ぼす影響に応じた自動車税の税率の特例措置の拡充並びに軽自動車税の税率の引き上げ等を行うこととしております。

 さらに、東日本大震災に係る津波により被害を受けた土地及び家屋に係る固定資産税及び都市計画税の課税免除等の措置の延長並びに国際課税原則の総合主義から帰属主義への見直しを行うほか、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 平成二十六年度分の通常収支に係る地方交付税の総額について、十六兆八千八百五十五億円を確保するとともに、当分の間の措置として地域の元気創造事業費を設けるほか、普通交付税の算定に用いる単位費用の改正を行うこととしております。

 あわせて、平成二十六年度分の震災復興特別交付税について、新たに五千七百二十三億円を確保することとしております。

 また、地域間の税源の偏在性の是正等のため、地方法人税を地方交付税の対象税目に加えるとともに、交付税及び譲与税配付金特別会計に直接繰り入れることとするほか、当分の間の措置として、公共施設等の除却に要する経費に充てるための地方債の特例を創設する等の改正を行うこととしております。

 以上が、平成二十六年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)

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 国務大臣の発言(平成二十六年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(伊吹文明君) 総務大臣の地方財政計画についての発言と二法案の趣旨の説明に対し質疑の通告がありますので、順次これを許します。まず、山口泰明君。

    〔山口泰明君登壇〕

山口泰明君 ただいま上程されました地方税法外二議案について、自由民主党を代表して質問を行います。(拍手)

 質問に先立ちまして、このたびの豪雪により被害を受けられた皆様に対しまして、まずもってお見舞いを申し上げます。

 また、ソチ・オリンピックにおきまして、東日本大震災の困難を乗り越えて金メダルを獲得した羽生結弦選手を初め、若手やベテラン選手の活躍が、多くの感動を与え、日本じゅうを元気づけていることに、心から敬意を表したいと思います。

 それでは、第一に、現在の我が国の最重要課題である、地域の元気づくり、地域経済の活性化について、新藤大臣にお伺いいたします。

 全国の景気動向は、アベノミクスの三本の矢の効果によって、回復基調に転じ、長引くデフレからの脱却が見えてまいりました。この流れを確固たるものとし、安倍総理が今国会の施政方針演説で述べられたように、経済の好循環を実現するとともに、景気回復の実感を全国津々浦々にまで届ける、そのためには、国や経済界の取り組みだけでなく、地方自治体の努力が大変重要であります。

 全国各地の経済状況は、特に地方では、まだまだ、厳しさを脱したとは言えない状況も見受けられます。このことは、リーマン・ショックにより大幅に減少した地方税収が、いまだリーマン・ショック前の水準にまで回復していないことからも、おわかりいただけると思います。

 そうであるからこそ、全国各地で、それぞれの地方自治体が、地域のさまざまな資源を活用して地域の元気づくりに取り組むことが、大変重要なのであります。

 さらに、地域が元気を取り戻し、地域経済が活性化すれば、地方税収、すなわち自前の収入が増加することになり、地方財政の健全化、地方の自立にもつながっていきます。まさに、地方の活性化は現下の最重要課題であります。

 もちろん、地域の元気づくりの取り組みについては、地域がみずから考え、工夫することが、何よりも必要不可欠であります。他方で、国としても、地域の元気づくりに必要な支援を行っていくことが重要と考えます。

 そこで、就任以来、精力的に地域の元気づくりに取り組んでこられた新藤総務大臣に、今後の地域の元気づくりをどのように展開していくのか、お考えをお伺いいたします。

 次に、東日本大震災の教訓を踏まえた防災・減災対策についてお伺いいたします。

 東日本大震災から、間もなく三年がたとうとしております。

 被災地では、全国各地からの派遣職員の応援も得て、高台移転や公営住宅の工事が進みつつありますけれども、一日も早い住まいの再建を進めていかなければなりません。

 あわせて、東日本大震災の貴重な教訓を踏まえ、首都直下型地震や南海トラフ地震を初め、今般の豪雪災害、あるいはゲリラ豪雨など、今後予想される自然災害に備え、全国の地方公共団体で、地域の防災力を高め、災害に強いまちづくりに早急に取り組んでいかなければなりません。

 特に、住民の生命財産を守るための事業は、各地方公共団体の財政力のいかんを問わず、着実に進めていく必要があります。

 そこで、地方の財政状況が厳しい中、各地方公共団体が喫緊の課題である防災・減災事業に取り組むための支援策について、新藤総務大臣にお伺いいたします。

 次に、地方消費税の社会保障財源化についてお伺いをいたします。

 本年四月に、国、地方を合わせた消費税率が五%から八%に引き上げられ、地方消費税についても、一%から一・七%に引き上げられます。

 地方公共団体は、年金を除く社会保障施策のほとんどを担っており、国民に身近なところでサービスを提供する地方公共団体の役割は極めて重要であります。

 地方消費税率の引き上げは、地方における社会保障の充実及び安定化のための安定財源の確保と地方財政の健全化の同時達成を目指す観点から行われるものであり、地方税制にとって非常に重要な意義を有するものと考えております。

 このような社会保障・税の一体改革の趣旨を踏まえ、今回、引き上げられた地方消費税については、その全額を地方公共団体が社会保障施策に使うこととされており、今後、それぞれの地方公共団体が、地方消費税の増収分を社会保障施策に使っていることを地域住民にしっかり説明していくことが、極めて重要であると考えます。

 そこで、地方消費税の使途明確化について、地方公共団体は具体的にどのような方法で地域住民に説明をしていくのか、新藤総務大臣にお伺いをいたします。

 最後に、地方法人課税の偏在是正についてお伺いをいたします。

 地方消費税の税率引き上げにより、地方交付税の交付団体と不交付団体との間の財政力格差が拡大するため、税制抜本改革法においては、地方消費税の税率引き上げにあわせて地方法人課税のあり方を見直すことにより、税源の偏在性を是正する方策を講ずることとされております。

 また、平成二十年度に創設された地方法人特別税及び譲与税制度についても、税制の抜本的な改革にあわせて見直しを行うこととされております。

 新藤総務大臣は、地方法人課税の偏在是正について、平成二十六年四月の地方消費税の最初の引き上げまでには中身を明らかにしたいと言っておられます。平成二十六年度税制改革においてどのような措置を講じられるのか、お伺いをいたします。

 以上、私たち自由民主党も、オリンピックで活躍する選手に負けず、日本を、そして地域を元気にするために全力を挙げることをお誓い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣新藤義孝君登壇〕

国務大臣(新藤義孝君) 答弁に先立ちまして、このたびの豪雪によりお亡くなりになられた方々と御遺族に対し深い哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に対して心からのお見舞いを申し上げたいというふうに存じます。

 そして、いつも元気な山口議員から、四点のお尋ねをいただきました。

 まず、地域の元気づくりについてのお尋ねであります。

 日本経済の再生のためには、地域が元気を出し、人、物、金を動かし、地域経済の好循環を全国各地から起こしていくことが必要であり、アベノミクスの経済成長の実感を全国津々浦々にお届けするため、それぞれの地域の活性化の取り組みを支援する仕組みが必要であります。

 このため、総務省においては、地域の元気創造プランを実践し、全国に産学金官地域ラウンドテーブルをつくり、地域の資源と資金を活用して雇用を生み出す地域経済イノベーションサイクルを展開中でございます。

 また、電力の小売自由化で七・五兆円の市場が新しく地域にも開放されることを踏まえ、分散型エネルギーインフラプロジェクトや、自治体の有するデータを一元的にオープン化して民間に提供する公共クラウドなども推進中であります。

 今後とも、地域経済の好循環の実現により、アベノミクスの成果を全国津々浦々まで波及させてまいりたいと考えています。

 次に、各地方公共団体が防災・減災事業に取り組むための支援策についてのお尋ねをいただきました。

 地方公共団体が避難路等の施設整備や公共施設の耐震化、情報網の整備などの防災・減災対策に取り組む際の支援策については、現在、緊急防災・減災事業として、地方債の充当率を一〇〇%、元利償還金の交付税措置を七〇%とする地方財政措置を講じているところでございます。

 この制度については、平成二十五年度は、地方公務員給与費の臨時特例対応分として計上した経緯がありますが、地方公共団体の取り組み実績やニーズを踏まえ、歳出の重点化、効率化を図ることにより、平成二十六年度以降も、引き続き継続することにいたしました。平成二十六年度は、四百五十億円増の五千億円を確保したところでございます。

 各地方公共団体におかれては、こうした制度を積極的に活用し、喫緊の課題である、地域の防災・減災対策に取り組んでいただくことを期待しております。

 次に、地方消費税の使途明確化についてのお尋ねをいただきました。

 今回の消費税率の引き上げは、社会保障の安定財源の確保と財政健全化の同時達成を目指すものであります。

 各地方公共団体においては、この趣旨を踏まえ、引き上げ分の地方消費税収が社会保障施策に要する経費に充てられていることを、住民に対して十分に説明することが必要であります。

 具体的には、各地方公共団体の予算や決算の説明資料等において、引き上げ分の地方消費税収が社会保障施策に要する経費に充てられていることを明示していただくことにより、住民に対して十分に説明するよう、既に各地方公共団体に対して要請を行ったところであります。

 最後に、地方法人課税の偏在是正についてのお尋ねをいただきました。

 地方消費税の充実による地域間の財政力格差の縮小を図るため、税制抜本改革法の規定を踏まえ、偏在性の大きい法人住民税法人税割の一部を国税化し、その税収全額を地方交付税原資に繰り入れることとしております。

 また、暫定措置であります地方法人特別税及び譲与税制度につきましては、同じく税制抜本改革法の規定を踏まえて、その規模を縮小することとしております。(拍手)

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議長(伊吹文明君) 次の質疑者、福田昭夫君。

    〔福田昭夫君登壇〕

福田昭夫君 民主党の福田昭夫です。

 民主党・無所属クラブを代表して、地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 質問に入ります前に、今般の大雪により犠牲になられました方々、被害に遭われました方々に対しまして、お悔やみとお見舞いを申し上げます。

 政府におきましては、万全の対策をとっていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 さて、安倍総理は、アベノミクスが絶好調とのことで有頂天になり暴走を始めましたが、そう簡単には、長引くデフレから脱却できません。デフレから完全に脱却するためには、五年から十年計画が必要です。

 大胆にやるのは財政出動で、金融緩和は機動的に、そして、時間をかけてゆっくり民需を育てる成長戦略が大切です。

 平成恐慌とも言えるほどのデフレが続いています。こういう非常時には、金融緩和よりも、財政出動の方が効果が大きいのです。今のように日本銀行と連携すれば、できるはずであります。

 日本銀行がマネタリーベースを拡大しても、マネーサプライがふえなければ、内需は拡大しません。それどころか、資金が、国内に使われずに、金融緩和縮小を始めた国に流れて使われているとしたら、国民を裏切ることになりませんか。

 政府が計画的に大型予算を組めば、国、県、市町村、あるいは民間企業、個人等を通じて国内に資金が確実に回り、内需が拡大していきます。

 デフレマインドを変えたのは、安倍総理の功績です。でも、それだけではだめです。ぜひとも、アベノミクスを大胆に見直して、デフレから完全に脱却できるようにお願いをいたします。

 さて、去る一月三十日、総務省が発表した住民基本台帳に基づく平成二十五年の人口移動報告によると、東京圏への人口集中が加速しています。名古屋圏や大阪圏も三年ぶりの転出超過となり、東京圏の増加が際立っています。過疎過密の解消は、夢のまた夢です。

 人口減少が続く地方、道府県の最大の課題は、県民雇用の場をどうやって確保するかです。雇用は最大の福祉です。

 そのためには、地方が、それぞれの地域で、住民への医療福祉サービスを向上させるとともに、いかにして新しい産業を生み出すかが重要ですが、それに対する政府の果たすべき役割が非常に大きいと考えられています。

 また、二月十日、財務省の発表によれば、平成二十五年の経常収支が過去最少の三・三兆円となりました。

 最大の理由は、貿易収支が大幅に赤字になったからです。天然ガスや石油などの輸入がふえたところへ、アベノミクスにより、円安が進み、輸入額が前年度より一五・四%ふえたのに、円安で売り上げがふえるはずの輸出額が九・〇%増にとどまったからであります。

 一方、所得収支は、一五・八%増で過去最大の十六・五兆円の黒字となり、差し引きして、経常収支は、辛うじて黒字を保ちました。

 過去二十年間の経常収支の推移を見ると、貿易収支よりも所得収支の黒字が年々増加しており、貿易立国から投資立国に変わっていることがよくわかります。

 その結果として、平成二十四年末の我が国が有する対外純資産残高は、何と二百九十六兆円超となっており、世界一の金持ちの国であります。

 政府の役割は、輸出に力を入れるばかりではなく、外国から稼いだ資金を国内に投資してもらう環境をつくることではないですか。貿易立国から投資立国になった力を使い、国民生活の質の向上を目指した内需大国とすることによって、北海道から沖縄まで、地方が元気になる日本をつくるべきではありませんか。

 そこで、国と地方が協力すれば、地方が雇用の場を拡大して自立できる分野を、三つ挙げてみます。

 その一つは、医療、介護、児童福祉、障害者福祉、子育ての分野です。

 老若男女が安心して暮らせるような、ソフト、ハードのサービスを充実させるとともに、報酬を上げて、喜んで働ける職場をつくることです。労働力人口が減少する中で、特に、男女が子育て、あるいは介護しながら安心して働ける制度をつくることが大事です。

 そして、この分野では、国と地方が共同で、それぞれの地域で人材もサービスも賄えるようにすることが、地域の自立につながります。

 二つ目は、農林産物の生産と六次産業化の分野です。

 食料と木材の自給率を高めるとともに、農林産物の六次産業化を進めることが、地方の雇用の場をつくります。

 日本は、既に、世界一開かれた国です。米を初め重要五品目を守ることができないTPPの参加は、やめるべきです。農家一戸当たりの耕地面積を幾ら規模拡大しても我が国とは桁違い、その上、直接支払い額も桁違いの米国やEUと競争しても、勝ち目はありません。

 昭和二十五年、GHQ政府によって木材の丸太の関税がゼロにされて以来、我が国の山村が荒廃して、木材業者がいかに少なくなったかを見れば、よくわかるでしょう。輸出が雇用を創造するなら、輸入は雇用を破壊します。農山村に住む人がいなくなったら、国土防衛どころではありません。

 三つ目は、再生可能エネルギーの分野です。

 省エネと蓄電池の開発に力を入れるとともに、太陽光、小水力、バイオマス、地熱、風力など、再生可能エネルギーの開発整備に力を入れるべきです。再生可能エネルギーは、地方に産業をつくり、雇用の場をつくります。

 原子力発電を基幹エネルギーと位置づけるのは、やめるべきです。

 日本は、火山列島、地震列島です。使用済み核燃料、高濃度に汚染された核廃棄物を地層処分する場所は、どこにもありません。

 我々日本国民は、二度、原子力発電ゼロを体験しています。石炭、石油、ガス等の火力発電は、CO2除去装置をつければ、十分使用可能です。

 さらに、東京一極集中を加速させるような、大企業、大都市中心の国家戦略特区ではなく、民主党政権時代にスタートした国際戦略特区と地域活性化戦略特区を全国展開して、地方が雇用の場をつくり、自立できるようにしていただくよう、お願いをいたします。

 以上を踏まえて、質問に入ります。

 最初に、アベノミクスの目的はデフレ脱却であります。デフレ脱却は道半ばなのに、ことしの四月から消費税を引き上げるのは、政権公約違反ではないですか。甘利大臣にお伺いをいたします。

 次に、消費税引き上げ時に地方法人特別税は廃止を含めた見直しをすることとしていたと思いますが、今回、特別税を三分の一縮小して、かわりに法人住民税を引き下げて、国税、地方法人税を創設するというのは、単に特別税を住民税に変えただけで、地方自治体をだますような改正ではないでしょうか。総務大臣、お答えください。

 そして、消費税の引き上げに伴って、自動車取得税を縮小して、地方の生活の足ともいうべき軽自動車税を増税することは、地方の景気の足を引っ張ることになるのではないでしょうか。

 次に、アベノミクスで一部の輸出産業は為替益で潤っているようでありますが、景気回復の実感が地方には広がっていないことを認めておきながら、地方交付税の別枠加算を約四千億円も減額しました。言っていることとやっていることが矛盾しているのではないですか。

 次に、近年異常気象が続いており、ことしも、大雪などにより、多くのとうとい命が失われるなど、被害が多発しております。除雪費を初め、災害に備える財源を確保するべきと思いますが、いかがお考えですか。

 次に、国土交通大臣にお聞きします。

 国土強靱化、消費税の引き上げの際の景気対策の名のもとに、公共事業予算を急激に増加させたことで、資材高騰や人手不足などによる、公共事業の中止がふえています。国土強靱化も景気対策も看板倒れとなるおそれが強く、建設業界の実情を無視した公共事業偏重の予算編成に、無理があるのではないでしょうか。

 次に、同様の理由で、復旧復興工事の入札も、不調が続いています。復興加速化を掲げながら、矛盾しているのではないでしょうか。

 次に、東京オリンピックに向けた大規模事業が加われば、ますます公共事業の中止の増加が予想されます。先ほど申し上げた、医療、介護、児童福祉、障害者福祉、子育ての分野、食料と木材自給率向上と農林産物の六次産業化の分野、省エネ、蓄電池の開発と再生可能エネルギー等の分野で、一生懸命取り組む中小企業と家計の支援などを重視した予算に変更する考えはありませんか。財務大臣、お答えください。

 次に、平成二十二年の国勢調査の結果を踏まえれば、過疎地域がさらに増加することになります。過疎地域自立促進特別措置法の早急な改正はもちろんのこと、今までの、ハードに偏重しがちだった事業を、ソフト面にさらに拡充していくべきではないでしょうか。

 最後に、前国会で、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律を超党派で成立させましたが、平成二十六年度予算案でどのような対応を行ったのか、地域防災力向上のため、今後も同法の趣旨に従った予算編成を行っていくべきと考えますが、いかがお考えですか。

 終わりに、安倍内閣の経済政策は、格差を拡大した新自由主義そのものであります。米国のノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ氏は、一%の人が九九%の人を貧困にする経済をやめさせ、成長の恩恵が公平に分配されることを担保とする政治が求められていると言っています。

 安倍総理にそうした経世済民の心があることを期待して、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣新藤義孝君登壇〕

国務大臣(新藤義孝君) 六点のお尋ねをいただきました。

 まず、地方法人課税の偏在是正についてのお尋ねであります。

 税制抜本改革法の規定を踏まえて、地方消費税の充実による地域間の財政力格差の縮小を図るため、偏在性の大きい法人住民税法人税割の一部を国税化し、その税収全額を地方交付税原資に繰り入れるとともに、暫定措置であります地方法人特別税及び譲与税制度については、その規模を縮小することにしております。

 なお、与党税制改正大綱においては、消費税一〇%段階の対応として、「法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進める。また、地方法人特別税・譲与税を廃止するとともに現行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を講ずるなど、関係する制度について幅広く検討を行う」とされているところであり、この方針に沿って検討を進めてまいりたいと考えております。

 次に、軽自動車税の見直しについてお尋ねをいただきました。

 軽自動車税の見直しは、自動車関連税制において、自動車取得税廃止やその代替財源等が大きな課題であったところ、車体課税の不均衡の是正を検討すべきという地方財政審議会の検討会報告書、また、地方団体の御要望等も踏まえて、与党税制調査会における議論を経て決定されたものであります。

 軽自動車が公共交通機関の不十分な地域などで生活の足として使われているということは十分理解をしておりますが、今回の改正内容は、自動車取得税において軽自動車に係る税率の引き下げを行った上で、軽四輪車に係る新税率適用を平成二十七年四月以降に取得される新車からとするなど、さまざまな形で配慮がなされたものとなっていると考えております。

 次に、地方交付税の別枠加算の減額についてのお尋ねをいただきました。

 別枠加算は、リーマン・ショック後の景気低迷により税収が大きく減少したこと等により財源不足が拡大し、その状態が続いていること等から、継続されてきたものであります。

 平成二十六年度の別枠加算については、リーマン・ショックにより大幅に落ち込んだ地方税収の回復の程度を勘案して、一定の縮減を図った上で、必要な額六千百億円を確保したわけであります。

 その上で、地方が自由に使える財源である一般財源総額について、対前年度六千五十一億円の増とし、平成二十五年度を相当程度上回る額を確保しております。

 今後とも、地方が安定的に財政運営を行うことができるよう、必要な一般財源をきちんと確保してまいります。

 次に、除雪費を初め、災害に備える財源についてのお尋ねをいただきました。

 このたびの豪雪によりましてお亡くなりの方々と御遺族に対しまして改めて深い哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に対して心からのお見舞いを申し上げたいというふうに存じます。

 地方団体の除排雪や災害に係る財政需要については、地方債や普通交付税に加え、特別交付税で所要の財政措置を講じております。

 地方団体の除排雪経費については、普通交付税で標準的な所要額を措置するとともに、実際の所要見込み額が普通交付税措置額を超える場合には、三月分の特別交付税により措置することとしており、除排雪経費が多額に上る地方公共団体の財政運営に支障が生じないように対処することとしております。

 また、近年の集中豪雨や豪雪などの災害の発生状況等を踏まえ、災害対応に万全を期すため、今回の地方交付税法等の一部を改正する法律案において、交付税総額における特別交付税の割合六%を引き下げることとしている現行法を改正し、平成二十七年度までの東日本大震災の集中復興期間中は、その割合を維持することとしております。

 次に、過疎対策のソフト面での拡充についてお尋ねをいただきました。

 おっしゃるとおり、人口減少や高齢化が著しく進む過疎地域については、ハード事業に加えて、地域の課題に応じたソフト事業がますます重要である、このように私も考えております。

 過疎法においては、平成二十二年の改正により、過疎債についてソフト事業への活用が図られており、加えて、平成二十四年度補正から、過疎集落等自立再生対策事業を設け、地場産業の振興や日常生活機能の確保などを支援しており、今後も、これらによって過疎関係市町村のソフト事業を支援してまいります。

 なお、過疎法における平成二十二年の国勢調査結果の反映については、現在、各党間で御議論いただいているものと承知をしております。

 最後に、消防団の充実強化に係る予算案についてのお尋ねであります。

 法律を受け、まずは、平成二十五年度補正予算において、大規模災害時の地域の総合的な防災力の強化を図るため、消防団に対して、救助資機材を搭載した消防ポンプ自動車を無償貸し付けし、訓練を実施する経費を三十億円計上しております。

 また、平成二十六年度予算案においては、都道府県の消防学校に同様の車両を貸し付ける経費など、五・九億円を計上しております。

 加えて、トランシーバーやライフジャケットなどの安全装備品等の充実を図るため、装備基準を改正し、地方交付税措置を大幅に引き上げるとともに、消防団車両や拠点施設の機能強化については、緊急防災・減災事業債により支援を行うことにしております。

 さらに、消防団員の処遇の改善を図るため、退職報償金を一律五万円引き上げることとしております。

 今後におきましても、消防団の充実強化を図るため、車両や装備品等に対する財政支援を行うとともに、入団促進のさらなる強化や、処遇の改善、教育訓練の充実強化などに全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣甘利明君登壇〕

国務大臣(甘利明君) ことし四月の消費税率引き上げについてのお尋ねであります。

 政府といたしましては、デフレ脱却と経済再生を最優先課題として、三本の矢を一体的かつ強力に推進をしてきました。こうした取り組みを進めながら、社会保障の安定財源確保と財政健全化を同時に達成していく観点から、四月から消費税率を八%に引き上げることといたしました。

 消費税率引き上げの際には、駆け込み需要とその反動減が予想されることから、これを緩和するとともに、経済の成長力の底上げを図るために、五・五兆円規模の経済対策や一兆円規模の税制措置等を含む経済政策パッケージを決定いたしました。

 こうした措置を実施することによりまして、経済の好循環を実現し、デフレ脱却・経済再生と財政健全化の両立という政権の基本方針にのっとって、着実に取り組みを進めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 中小企業と家計への支援の充実についてのお尋ねがあっております。

 まず、御懸念の公共事業の執行については、国交大臣の方から答弁もあろうと存じますが、労務単価の見直しや入札手続の簡素化などにより、円滑な執行が進むよう取り組んでまいります。

 次に、御指摘の、医療、介護、児童福祉、障害者福祉、子育て支援、食料自給率、木材自給率の向上、農業の六次産業化、省エネ、蓄電池、再生可能エネルギーなど、今後の成長が見込めると思われる分野、重要性の高い分野において、頑張る中小企業や家計などを支援することは、極めて重要と考えております。

 このため、さきに成立をいたしました平成二十五年度補正予算及び平成二十六年度の本予算案におきましても、例えば、病床機能の分化、連携や、在宅医療の推進、医療従事者の確保、養成を図るための新たな財政支援制度の創設、社会的養護が必要な子供の増加への対応、待機児童解消加速化プランの推進を初めとする子育て支援、農業の六次産業化支援策や、木材利用拡大に向けた地域材活用プロジェクト、省エネルギー社会の実現に向けたエネルギー使用合理化支援補助金、中小企業へのものづくり補助金など、こうした分野に係る予算の重点化を図っているところであります。

 今後とも、引き続き、こうした取り組みを支援してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 公共事業予算及びその執行等についてお尋ねがありました。

 公共事業の入札不調については、大型建築工事や条件の厳しい工事などで発生をしていますが、予定価格の見直しなどにより、最終的に契約がされているところであります。

 さらに、現場の技術者を有効に活用するための発注規模の大型化や、資材価格の上昇に応じた最新単価の適用などにより、円滑な執行を図っているところであります。

 実際に、国土交通省の公共事業予算につきましては、十一月末時点で約七〇%が契約済みであり、昨年度同時期を上回る水準で予算の執行がされているところであります。

 また、平成二十六年度予算案における国土交通省の公共事業関係費は、今年度と比べまして実質的にほぼ横ばいであり、十分執行可能な水準であります。

 被災地における入札不調についても、発注工事の増加に伴い、条件の悪い工事を中心に発生をしておりますが、再発注時にロットの大型化など工夫を行うことにより、ほぼ契約に至っている状況でございます。

 これまでも、被災地については、事業の円滑な執行のための特例措置を講じていますが、さらなる復興加速化に向けて、間接工事費を増額する措置などを今月から導入したところであります。

 今後とも、東北の復興に万全を期すとともに、全国の公共事業について、円滑な執行に努力してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、馬場伸幸君。

    〔馬場伸幸君登壇〕

馬場伸幸君 日本維新の会の馬場伸幸です。

 まず初めに、先般来のたび重なる豪雪により被害に遭われた国民の皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに、いまだ孤立をされている地域のために政府として全力を挙げて復旧に取り組まれますよう強く要望を行い、両法律案の趣旨説明に対し、質問に入りたいと思います。(拍手)

 安倍総理は、今国会の施政方針演説で、我々が国会議員となったのは志を得るため、この国をよくしたい、国民のために力を尽くしたいとの思いからであったと述べ、ぜひとも国会議員となったときの熱い初心を思い出していただき、建設的な議論を行っていこうではありませんかと呼びかけられました。ごもっともなことであります。

 ただ、国民は、本年四月からの消費税増税に加え、来年秋に再び増税される可能性を感じ、不安感を募らせています。

 言うまでもなく、税金は、全国民が、額に汗し、身を削り、納めているものであります。したがって、国は、その貴重な血税を、一円の無駄もなく、かつ効率的に使用し、その税制は、できるだけ簡素に、かつ、出と入りがわかりやすいことが重要であります。

 先日、財務省は、国民が税金や社会保険料をどれだけ払っているかを示す国民負担率が、二〇一四年度に四一・六%になると発表しました。一三年度より一・〇ポイント高く、過去最高となる見込みだそうであります。その要因は、四月から消費税率が八%に引き上げられ、年金保険料も上がるためとのことであります。

 いわゆる国民負担率は、国、地方に納められている税金と、年金や医療の保険料などの総額が、国民所得の総額に対してどれくらいの割合かを示しています。

 国民が、国民負担率が上昇する増税に対し一定の理解を示しているのは、老後の不安をなくしてほしい、将来に夢や希望の持てる社会をつくってほしいという願いからであります。

 しかし、現状は、残念ながら、対処療法しか打ち出せず、根本的な大改革を行う兆しは見られません。

 ぜひ、現政権におかれましては、安倍総理のお言葉どおり、国と国民のためになるよう、今までできないと言われていたこと、そしてタブー視されていたことに果敢に挑戦し、日本大改革に取り組んでいただきたい。そのことを申し上げ、質問に入らせていただきます。

 さて、本年四月から、消費税率が五%から八%に上がります。

 現在、自動車には、消費税のほかに、自動車取得税、自動車重量税、そして、自動車税または軽自動車税がかけられています。

 自動車は、ぜいたく品として種々の税金が課せられておりますが、今では、公共交通手段が少ない地方にとって、生活する上で、なくてはならないものです。

 また、自動車は、国内需要、内需を支える重要な商品でもあります。

 本法律案では、消費税増税の影響解消のために、自動車購入時にかかる自動車取得税を、自家用自動車については二%分下げ、営業用自動車及び軽自動車については一%分下げるとしています。

 消費税増税分は三%であり、自動車取得税を下げても増税になります。消費税率を一〇%にしたときには自動車取得税はなくなる旨説明を受けています。であるならば、消費税率が八%である間だけ自家用自動車は増税になるということです。これは、おかしいと言わざるを得ません。自動車産業の国内への影響の大きさを考えると、大変な問題があります。

 消費税増税の腰折れに対する影響を考えるとき、自動車需要の維持が大切であると考えますが、このレベルの自動車取得税減税だけで需要を維持できるのでしょうか。どのような見通しを持っておられるのか、新藤大臣に答弁をお願いいたします。

 次に、グリーン減税について質問します。

 環境への影響を配慮し、電気自動車などを税制で優遇してグリーン化を進めること自体には賛成です。また、環境に適応した自動車には軽課措置をとり、逆に、古い車には重課措置をとることも、適切であると考えます。

 しかし、自動車開発の動向を考えますと、重い蓄電池を搭載した電気自動車より、軽い水素を利用した燃料電池方式の方が、将来の自動車として有力です。

 将来のグリーン化を考え合わせ、燃料電池車の普及に的を絞った政策も検討すべきです。燃料の水素ステーションの導入や、安全性を追求した自動運転システムの導入も積極的に推進すべき課題と考えます。

 日本は、自動車先進国です。国内税制の問題ではありますが、世界市場を考えて、日本の国際競争力を高める制度を見据えた対応をとることも必要と考えます。

 そのためには、自動車取得税を目的税化し、その一部を、水素ステーションの導入促進や、三年後を目途とした、首都高に自動運転システムを導入するための財源化とすることを検討すべきだと思いますが、新藤大臣の御見解を伺います。

 関連して、燃料基準の達成に応じた減税措置を進めることにおいて、一部の海外メーカーが米国において燃費効率を大幅に水増しした虚偽申請をしていた実例がありました。

 そのような制度破壊的行為を許すと、制度を維持できません。過去五年内に虚偽表示をしたメーカーはグリーン減税適用対象外にするなどの厳格な対処が必要であると考えますが、いかがお考えでしょうか。新藤大臣に答弁をお願いいたします。

 次に、軽自動車税について質問します。

 軽自動車は、燃費効率もよく、我が国の道路事情に適しています。

 にもかかわらず、本法案には、軽自動車に対する大幅な増税が盛り込まれています。その理由の一つに、軽自動車の性能向上が挙げられています。

 性能向上は技術の成果であって、国民がその成果を受益すべきです。それを、技術が向上したから税金を上げるというのは、筋違いです。

 軽自動車等を対象に一・二五倍から二倍という大幅な増税を行うというのは、外圧に負けたという印象を受けざるを得ません。その点はいかがでしょうか。新藤大臣に答弁をお願いいたします。

 次に、地方法人税について質問いたします。

 現在の地方法人特別税は、平成二十年度税制改正大綱において、地方消費税の充実を含む地方税制の抜本的改革が行われるまでの暫定措置として導入されたものです。言いかえれば、地方消費税の充実が実現した際には廃止されることが期待されている税ということです。

 今般、消費税増税が実現し、地方消費税分が一%から一・七%に上がることになり地方消費税の充実化が進みますが、それにもかかわらず地方法人特別税を存続すること自体が問題です。

 また、地方法人税なる新税を追加導入して地方消費税を国税に吸収するということは、前言をほごにしたまま、国民の目を欺く行為です。

 地方にとって、財源の地方移譲は、地方分権を推進していく上で絶対に必要です。政府は、粛々と、その方向に向けた努力をすべきです。

 今回のように、地方税を国税化して地方に再配分する手法は、政府が恣意的に税制を操作しようとするものです。また、わかりにくい税制の変更は、税制に対する国民の信頼を損なうことにもなります。

 暫定措置である地方法人特別税を利用して、地方税を国税に変える税制の変更は、地方のことは地方で決定する地方分権の流れと逆行する措置だと考えますが、いかがお考えでしょうか。新藤大臣にお答え願います。

 続いて、新築住宅固定資産税減額措置について質問いたします。

 本法律案に、新築住宅に係る固定資産税の減額措置の適用について、二年間の延長が盛り込まれています。

 住宅の取得は、国民の資産形成に寄与するだけでなく、個人投資の促進にもつながります。よって、新築住宅の需要維持政策は、期限を限った暫定措置の延長という形ではなく、むしろ、恒久的な制度化を目指すべきであります。今、新築住宅を購入することができる人のみが優遇され、まだ買えない人は適用を受けないという税制は、公平ではありません。

 新築住宅の購入に対する固定資産税の軽減措置の恒久化についてどのようにお考えか、新藤大臣にお答えいただきたいと思います。

 また、住宅の購入に関して言えば、中古住宅の重要性が高まっています。誰もが新築を購入できるわけではありません。しかし、マイホームは欲しい。そういう希望を実現することを通して個人住宅投資をふやすことが、経済成長にもつながります。

 一定の優良な中古住宅については登録免許税の特例措置が創設される予定のようですが、住宅需要を喚起する成長戦略の観点からは、例えば、住宅の品質確保の促進等に関する法律で定められている基準を満たす中古住宅に対しても固定資産税減額措置を導入すべきであります。

 優良な中古住宅に対する固定資産税の減税措置導入についてどうお考えでしょうか。新藤大臣にお答え願います。

 次に、耐震改修に係る措置について質問いたします。

 本法案には、耐震改修促進のための支援策として、地方税を減免する新しい税制措置が盛り込まれています。

 固定資産税の特例措置は、単に耐震改修の優遇措置をとるだけでなく、逆の措置、つまり、耐震改修が必要であるにもかかわらず改修しない者に対して、固定資産税の重課などのペナルティー制度も検討すべきではないかと考えますが、新藤大臣の御見解を伺います。

 次に、国家戦略特区に関して質問いたします。

 特定の事業の設備投資減税やベンチャー企業向け利子補給程度では、国際競争力を確保することは難しいと考えています。

 現在、大阪府及び大阪市でも、行政と民間が一体となって努力をして、国際競争力を高める、よりよい地方税制を目指しています。

 国際企業が投資を決定する最も大きな要因の一つは、税率であり、もう一つは、規制緩和であります。大胆な法人税減税と規制緩和を断行しなければ、実効性は期待できません。

 しかし、特区内では、この改革を導入することができません。これは、過去の特区が機能していない事実が如実に証明しています。

 なぜ、特区にそのような措置がとれないのでしょうか。

 大阪が特区内の地方法人税をゼロとしたにもかかわらず、国は、それを利益とみなし、国税をかけてきました。こんな不十分な特区制度では、地方は、有効活用することができません。

 維新の会として、再三再四、質問、要望してまいりましたが、地方が進める特区内の地方税制に対して、国税がそれを相殺する措置をとらないようにすべきであると考えますが、いかがでしょうか。麻生大臣にお答えをお願いいたします。

 地方税は、地方のためにあります。地方にとって使い勝手のよい制度に変えていくことが必要です。その観点からすれば、本両法律案は不十分と言わざるを得ません。

 ここにいる皆さん全てに御賛同いただけると思いますが、地方経済の発展なくして日本の将来はありません。そして、地方経済の発展を進めていくためには、地方の税制は地方が決める仕組みへと変えるべきなのであります。

 東京一極集中から、地方のことは地方が決定し、それぞれの地方の主体性によって経済成長を遂げていく地方分権型経済発展へ、経済発展のあり方も大きく変えることが求められています。その先駆けとなるのが、大阪都構想なのです。

 地方の自立を図る方向へ、このたびの法案を修正することを強く求め、私の代表質問とさせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣新藤義孝君登壇〕

国務大臣(新藤義孝君) 馬場議員から、八点のお尋ねをいただいております。

 まず、自動車取得税の税率の引き下げについてのお尋ねがありました。

 今般の税制改正における車体課税の見直しは、消費税率引き上げの前後における駆け込み需要、反動減の緩和も視野に入れ、税制抜本改革法第七条の規定に基づき、国及び地方を通じた関連税制のあり方の見直しを行い、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ行ったものであります。

 自動車取得税についても、このような観点から、与党税制調査会において議論された結果、自家用自動車の税率を五%から三%に、営業用自動車及び軽自動車については三%から二%に引き下げることとされたところであります。

 また、自動車取得税の税率の引き下げとあわせて、エコカー減税の拡充や自動車税におけるグリーン化特例の拡充等の措置も講じており、消費税率引き上げの影響緩和についても十分配慮した内容となっております。

 次に、自動車取得税の目的税化についてのお尋ねをいただきました。

 自動車取得税は、平成二十一年度の一般財源化に伴い、道路の整備管理に関する費用に充てるため課税する目的税から、自動車を取得した者が地方団体が提供する道路等の行政サービスから受益していることに着目して課税する普通税に移行したところであります。

 また、平成二十六年度与党税制改正大綱において、自動車取得税は、平成二十七年十月に予定されている消費税率一〇%への引き上げ時に廃止するとの方針が示されており、自動車取得税の目的税化は困難と考えております。

 次に、燃費の虚偽表示をしたメーカーへの対処についてお尋ねがありました。

 自動車取得税のエコカー減税及び自動車税のグリーン化特例は、経済産業省及び国土交通省が所管する、エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づく燃費基準の達成度に応じて減税率が定められております。

 また、自動車ごとの燃費値については、メーカーの申請に基づき決定されるものではなく、国土交通省が同法律に基づき厳格な手続のもとに算定しているものと承知をしております。

 現在に至るまで、燃費の虚偽申請及び虚偽表示を行ったメーカーは我が国においては存在しない、このように聞いておりますが、今後とも、エコカー減税制度等が適正に運用されるよう、関係省庁と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。

 次に、軽自動車税の見直しについてお尋ねをいただきました。

 軽自動車税の見直しは、自動車関連税制において、自動車取得税廃止やその代替財源等が大きな課題であったところ、車体課税の不均衡の是正を検討すべきという地方財政審議会の検討会報告書や地方団体の要望等も踏まえ、与党税制調査会において、車体課税のあり方全体についてさまざまな観点から議論がなされて、決定されたものであります。

 次に、地方法人課税の見直しについてのお尋ねをいただきました。

 税制抜本改革法の規定を踏まえて、地方消費税の充実による地域間の財政力格差の縮小を図るため、偏在性の大きい法人住民税法人税割の一部を国税化し、その税収全額を地方交付税原資に繰り入れるとともに、暫定措置であります地方法人特別税及び譲与税制度については、その規模を縮小することとしております。

 今回の見直しは、地方消費税の税率引き上げにより地方の税財源が拡大する中で行うものであること、また、法人住民税の税率引き下げ分に相当する額は、その全額が地方の固有財源である地方交付税の原資となり、地方の貴重な税財源であるという性格が失われることはないことから、地方分権に逆行する措置ではないと考えております。

 次に、新築住宅に対する固定資産税の軽減措置の恒久化についてお尋ねをいただきました。

 新築住宅特例は、住宅取得に係る初期負担の軽減、住宅建設の促進といった政策的な観点から講じられているため、その措置の必要性などを一定の期限ごとに見直す必要があるために期限が設けられているものであります。

 今回の改正においては、消費税率の引き上げや住生活基本計画の見直しが予定されていることなどを踏まえ、適用期限を二年間延長することとしております。

 新築住宅特例のあり方については、社会状況が大きく変容し、住宅ストックが量的に充足している現状なども踏まえ、住宅政策の観点から検討することとされており、所管省庁からの御意見も伺いながら、引き続き検討してまいります。

 次に、優良な中古住宅に対する固定資産税の減税措置導入についてお尋ねをいただきました。

 優良な中古住宅に対する固定資産税の減税措置の導入については、今後の住宅政策における中古住宅の位置づけ等に関する所管省庁の意見もお伺いしながら、新築住宅特例も含めた住宅税制全体のあり方について検討する中で議論すべき課題であると考えております。

 最後に、既存建築物の耐震改修に係る措置についてお尋ねをいただきました。

 平成二十五年十一月に施行された改正耐震改修促進法により、不特定多数の者が利用する大規模な建築物等について、耐震診断及びその結果の所管行政庁への報告が義務づけられたこと等を踏まえ、耐震改修を税制としても支援するため、固定資産税を減額する特例措置を創設することとしております。

 御提案の固定資産税の重課については、重課はどのような場合に課すことができるかを含め、耐震改修の促進施策全体の中における重課の必要性等に関する所管省庁の検討も踏まえながら議論すべき課題であると考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 特区内の税制についてのお尋ねがあっております。

 地方税の減免に際しまして、国税の調整を行うことにつきましては、いわゆる特区とは別に、地方団体が自主的に地方税の減免を行う場合との関係の整理というものなどなど、種々の論点があります。こうした対応を行うことにつきましては、当然、慎重な検討が必要であろうと考えております。

 いずれにいたしましても、特区に係る新たな税制については、今後、区域を指定し、事業内容が具体化をしました後に、まずは所管官庁において政策効果や特区内外への影響などを検証することが不可欠というように考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次の質疑者、濱村進君。

    〔濱村進君登壇〕

濱村進君 公明党の濱村進でございます。

 公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成二十六年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。(拍手)

 初めに、このたび各地で発生しております豪雪被害につきまして、お亡くなりになった方々に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げます。

 政府を挙げて全力で復旧に当たられますことを、重ねてお願い申し上げます。

 私にとって初めての本会議質問でありますが、この機会を与えてくださった全ての方々に感謝を申し上げます。

 まず、地方財政計画について質問いたします。

 このたびの平成二十六年度地方財政計画においては、昨年度の水準を上回る一般財源総額が確保されております。さらに、借金である臨時財政対策債を減額した上での財源確保は、財政健全化に向けての第一歩であり、安倍政権発足以降の経済政策、いわゆるアベノミクスの成果であると評価するものであります。

 とはいえ、地域における経済活性化はまだまだ途上にあることは、忘れてはなりません。そのために、地財計画においても、地域の元気創造事業費が積み増され、地域経済の活性化が図られているわけでありますが、国民の皆様にとってどのような恩恵があるのか、具体的な説明を新藤総務大臣よりお願いいたします。

 次に、歳出特別枠と交付税の別枠加算についてお伺いいたします。

 歳出特別枠は、リーマン・ショックに伴う著しい景気後退等を受け、実需に基づいた積算ではない、臨時異例の対応として実施されたものであります。そのため、景気回復局面においては、廃止するべきという議論があるのも無理はありません。

 一方で、多くの地方公共団体においては、増大する社会保障経費を捻出するため、血のにじむような行財政改革をされていることも事実であります。

 また、地方交付税の別枠加算についても、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源の確保を法定率の引き上げで対応することができないために講じられた措置であります。別枠加算することによって折半対象財源不足額が減りますので、臨時財政対策債を圧縮させることとなります。

 いずれにしましても、歳出特別枠と別枠加算は、本質的には借金であることに変わりはありませんので、財政需要を効率化しつつ、国と地方で負担のバランスがとれた税体系を構築することが重要であると考えておりますが、今後の方向性を踏まえて、総務大臣の御所見をお伺いいたします。

 続いて、公共施設等の老朽化対策についてお伺いいたします。

 地方公共団体においては、厳しい財政状況が続く中で、老朽化した施設の扱いが大きな課題となっております。また、地域においては、人口減少と少子高齢化が同時に進行しており、公共施設に対するニーズも変化しております。更新、統廃合の意思決定は、まちづくりの観点で最適な配置が必要でありますし、また、長寿命化、省エネ化などの取り組みが必要と考えます。

 昨年十一月にはインフラ長寿命化基本計画が策定されたところであり、インフラ老朽化を定量的に評価しやすいシステムの導入を推進しながら、老朽化対策に取り組むことが期待されております。

 総務省として各地方公共団体における公共施設の老朽化対策にどのように取り組んでいくのか、総務大臣に伺います。

 次に、第三セクター等改革推進債、いわゆる三セク債についてお伺いいたします。

 昨年末の総務省の調査では、財政難に陥っている第三セクターや地方公社は、全国千九百二十八法人のうち三百九十五法人、約二割もの法人が清算困難となる見通しであります。

 平成二十一年から二十五年まで集中的に財政健全化に取り組むこととなり、その手段としての三セク債の発行についても、二十五年度までの時限的措置として導入されました。これまで、百六十八件の債券の発行が認められてきましたが、うち六十四件が、二十五年度において駆け込み発行されました。

 こうした背景から、政府は、三セク債については、抜本的改革に着手している地方公共団体に限って二十八年度まで起債を可能とする経過措置を講じようとしております。赤字でも雇用の受け皿として存続せざるを得ない場合もある一方、三セク債による清算自体が住民の負担増を招くおそれもあります。

 経過措置によって自治体がどこまで第三セクターを改革することができるのか、また、そのための手法や手順の提供を含めて、政府としてどのように取り組むのか、総務大臣の御所見をお伺いいたします。

 次に、車体課税の見直しについてお伺いいたします。

 自動車は、特に、地方で生活する方々にとって、なくてはならない移動手段であります。また、産業面においても、日本の基幹産業の一つであります。消費税率の引き上げにより、家計や経済に大きな影響を与えることが想定されます。

 一方、自動車取得税は、税収の約七割について、市町村が管理する道路の延長及び面積で案分して交付されており、大きな面積を抱える過疎地域を初めとする地方の市町村にとって、大変重要な税源となっております。

 このように、車体課税の見直しについては、経済情勢への配慮や地方財源の確保など、さまざまな要素を考慮し、検討を行う必要があると考えます。平成二十六年度税制改正においては、どのような考えで、どう見直したのか、新藤総務大臣にお尋ねします。

 結びに、二〇一九年には、アジア地域で初となるラグビーワールドカップが日本で開催されます。全世界で四十億人が観戦する一大プロジェクトを地域活性化につなげるためにも、政府は試合や参加チームの合宿誘致を目指す自治体を全力で支援するべきであると考えます。

 世界的なスポーツイベントを通じた地域活性化への総務大臣の見解を伺い、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣新藤義孝君登壇〕

国務大臣(新藤義孝君) 濱村議員から、六点のお尋ねをいただきました。

 まず、地域の元気創造事業費の趣旨、目的についてお尋ねをいただきました。

 日本経済の再生のためには、地域が元気を出し、人、物、金を動かして、地域経済の好循環を全国各地から起こしていくことが重要です。このためには、地域経済の活性化のための財源を確保し、地方団体に積極的に取り組んでいただくことが必要であると考えております。

 このため、平成二十六年度地方財政計画においては、新たに、地域の元気創造事業費を創設し、平成二十五年度の、地域の元気づくり事業費から五百億円増額し、三千五百億円を確保いたしました。

 各地方団体においてこの財源を活用して地域経済の活性化の取り組みが実施されることにより、経済成長の成果を全国津々浦々に広め、地域の方々にその実感を得ていただくことを期待しておるわけであります。

 次に、借金に依存した地方財政運営の見直しについてお尋ねをいただきました。

 地方が安定的に財政運営を行うためには、地方財政計画において必要な地方の財政需要を適切に反映することが必要であります。

 一方で、借金に依存した地方財政運営は、決して好ましいものとは思っておりません。したがって、地方財政の健全な運営のためには、臨時財政対策債等の借金に頼らない財政体質を確立することが重要と認識しています。

 そのためには、アベノミクスの効果を全国津々浦々に届け、地方税の増収を図る等地方税の充実確保に取り組むとともに、歳出構造を見直すことで財務体質を強化し、地方の財源不足を解消することが必要であります。

 平成二十六年度においては、財源不足額を大幅に縮減し、臨時財政対策債の発行も前年度に比べ約六千億円抑制することとしており、引き続き、地方財政の健全化に向けて努力を重ねてまいります。

 次に、公共施設等の老朽化対策の取り組みについてお尋ねをいただきました。

 総務省では、地方公共団体における公共施設等の老朽化対策が計画的に行われ、財政負担の軽減、平準化が図られるよう、今年度末を目途に、各団体に対して、公共施設等総合管理計画の策定を要請することとしております。

 あわせて、計画策定に係る指針を示すとともに、計画策定に要する経費について特別交付税措置を講ずることとしています。

 さらに、この計画に基づく公共施設等の除却について地方債の特例措置を創設するため、今国会に地方財政法の改正法案を提出しております。

 これらの取り組みを通じて、地方公共団体における公共施設等の老朽化対策を推進してまいります。

 次に、第三セクター等についてのお尋ねをいただきました。

 第三セクター等改革推進債の経過措置は、現行法の期限である平成二十五年度末に抜本的改革に着手していながら完了させることができなかった地方公共団体に対応するため、今回の法律案において講じるものであります。

 対象となる地方公共団体におかれては、経過措置の活用により、道半ばとなっている抜本的改革を仕上げていただくことが必要、このように考えております。

 また、平成二十六年度以降においても、第三セクター等の抜本的改革を含む経営健全化を推進することが必要と認識しております。改革を加速するため、議員御指摘の、手法や手順の提供を含め、新たなガイドラインを策定する等の必要な支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、車体課税の見直しに当たっての考え方と、その内容についてのお尋ねであります。

 車体課税については、消費税率引き上げの前後における駆け込み需要、反動減の緩和も視野に入れ、税制抜本改革法第七条の規定に基づき、国及び地方を通じた関連税制のあり方の見直しを行い、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ、簡素化、負担の軽減、グリーン化を図る観点から見直しを図ったものであります。

 具体的には、消費税率引き上げに伴う負担軽減の観点からの自動車取得税の税率の引き下げ、自動車税におけるグリーン化特例の重点化、拡充を行うとともに、自動車取得税廃止後の代替財源確保の一環として、車体課税の不均衡の是正を行う等の観点から軽自動車税の見直しを行うこととしたわけでございます。

 最後に、世界的なスポーツイベントの開催を通じた地域活性化についてのお尋ねをいただきました。

 二〇一九年に、アジアで初となるラグビーワールドカップが日本で開催されること、私も誇りに思っております。

 全国十カ所以上の地域が会場となって全世界の人々に日本各地が注目されることから、地域の魅力を発信し、地域資源を生かした活性化につなげる絶好の機会であります。

 そして、続いて二〇二〇年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、全国各地がホストシティー、ホストタウンとなり、おもてなしの心で地域の活性化が図られると考えております。

 総務省が推進する地域の元気創造プランでは、全国各地の魅力を一元的に集めて世界に発信する公共クラウド、そして、各地で特色ある事業を立ち上げる地域経済イノベーションサイクルの全国展開などの取り組みを行っており、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックを初めとする世界的なスポーツイベントの開催に際し、これらの取り組みが地域活性化の起爆剤となるように、自治体の取り組みを全力で支援してまいります。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、椎名毅君。

    〔椎名毅君登壇〕

椎名毅君 結いの党の椎名毅です。

 私は、結いの党を代表し、ただいま議題に上がりました地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案並びに平成二十六年度地方財政計画について質問をいたします。(拍手)

 まず、二月十四日から十六日にかけての大雪により、関東甲信越地方や東北地方を初めとして甚大な被害が生じております。お亡くなりになられた方々と御遺族に深く哀悼の意をあらわすとともに、被害に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。

 我が党は、官権から民権へ、民間と地域が主役の日本、これをその使命とし、地方自治体への権限や財源の移譲を拡大することを訴えています。

 地方自治体への財源移譲に関連して、地方交付税制度について質問をいたします。

 平成二十六年度地方財政計画において、本年の歳入総額は八十三兆三千六百七億円であり、うち、地方交付税の金額は、総額十六兆八千八百五十五億円とあります。地方交付税法第一条の定める目的は、財源保障機能と財政調整機能の二つとされますが、現在では、特に財源保障機能が強調されているように思います。

 国と地方を合わせた租税のうち、地方税は約四五%を占めますが、他方、国と地方を合わせた歳出総額の五八%を地方歳出が占めます。地方交付税は、この乖離を埋める財源保障のために使われますが、結果、地方において受益と負担の関係が希薄化し、地方のモラルハザードを起こしています。

 あくまでも、自主財源の基本は地方税であるはずです。地方税の拡大など、独自税源の拡大をしていくべきではないでしょうか。今後の地方財政のあり方について、総務大臣の見解を伺います。

 税制抜本改革法七条五号に基づき、今回、偏在性の高い法人住民税の税率を引き下げ、見合い分を地方法人税として交付税原資とすることが提案されています。

 偏在性の高い法人住民税法人税割の一部を交付税原資とすることには一定の理解はできますが、自治体から独自税源を奪うという意味においては、地方分権の流れに逆行するのではないでしょうか。むしろ、地方自治体に偏在性の低い独自税源を確保することが必要ではないでしょうか。

 このような目的を達成するため、例えば、消費税の交付税繰り入れ分と法人住民税を税源交換し、これを地方消費税化することなどについて、総務大臣の見解を伺います。

 地方交付税の財源調整機能について伺います。

 現在、地方交付税制度は、総務省による垂直的な財源調整であり、地方の自主性尊重という観点から大きな問題があります。

 地方交付税制度を将来的に廃止し、地方自治体間の協議による水平的な財源調整の制度を設けるべきではないでしょうか。いわゆる地方共同税など水平的財源調整の制度を設けることに関して、総務大臣の見解を伺います。

 臨時財政対策債について伺います。

 本年の臨財債は、五兆五千九百五十二億円と予定されています。臨財債は、地方財政法五条の大原則に対する例外として平成十三年以降定められた特例措置であり、財源不足額の一部を国と地方で折半するものです。

 今回の改正で、さらに、平成二十八年までの間に限り臨財債の発行を認めることとしていますが、本来、あくまで特例措置であるはずです。平成二十八年の時点で抜本的な財源不足の対策を行うべきですが、御見解を伺います。

 また、臨財債のストックは、現在、四十八兆四千三百五十七億円と推計されています。

 各自治体が起債した臨財債は、後年度に交付される地方交付税で補填される仕組みですが、他方で、償還財源として後年各自治体に交付された地方交付税は、将来の償還のために積み立てられていないとの指摘もあります。ストックの臨財債の返済をどのように現実的に行うか、総務大臣の見解を伺います。

 臨財債以前は、財源不足対策として、交付税特会での借り入れを交付税原資として自治体に支払っていました。その借入残高は、現在、約三十三兆円です。いわば負の埋蔵金とも言えるこの借金について、本年二千億円、来年三千億円、以降、毎年一千億円ずつ増額して返済し、平成三十四年から平成六十一年までは一兆円ずつ返済する計画になっています。

 このような絵そらごとにも見える計画、どこまで実現可能性がありますか。財源はどうするのでしょうか。総務大臣に伺います。

 最後に、地域と民間が主役の日本を実現するため、地方の自立を可能とするような財政的な仕組みをつくることが必要です。私どもは、地方交付税制度の見直しを含めて、新しい地方財政の仕組みをつくるべく邁進することをお誓い申し上げて、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございます。(拍手)

    〔国務大臣新藤義孝君登壇〕

国務大臣(新藤義孝君) 椎名議員から、六点のお尋ねをいただきました。

 まず、地方税の拡大など、地方財政のあり方についてお尋ねをいただきました。

 一般論で申し上げれば、みずからの財源である地方税によって財政運営を行うことが理想であり、地方税の充実を図ることが、地方財政の目指すべき姿と考えております。

 他方、地方税の充実を図り、偏在性の小さい地方税体系を構築しても、なお税源の偏在が残っております。

 このため、全国どのような地域であっても、一定水準の行政サービスを確保するために必要な財源を保障する現行の地方交付税の機能は、引き続き適切に発揮されることが必要と考えており、今後とも、地方交付税について、必要な総額を適切に確保するように取り組んでまいりたいと思います。

 次に、地方法人課税の見直しについてお尋ねをいただきました。

 交付税原資となっている消費税を地方消費税とし、そのかわりに偏在性の大きい法人住民税を交付税原資とする税源交換は、偏在性の小さい地方税体系を構築するための有力な選択肢であり、今回、その趣旨も踏まえ、地方消費税率の引き上げとあわせ、法人住民税法人税割の一部を交付税原資化することにより、地方団体間の財政力格差の縮小を図ることとしたものであります。

 なお、既に、本年四月一日からの消費税率八%、すなわち、国の消費税六・三%、地方消費税一・七%への引き上げが決定されており、事業者の負担等を考慮すると、さらなる税率の変更を必要とする措置は困難であると考えております。

 また、法人住民税の税率引き下げ分に相当する額は、その全額が地方の固有財源である地方交付税の原資となり、地方の貴重な税財源であるという性格が失われることはないことからも、地方分権に逆行する措置ではないと考えております。

 次に、地方交付税を廃止し、新たな制度を設けるべきとのお尋ねをいただきました。

 地方交付税制度を廃止し、地方税収を財源として地方団体相互間で税収格差を調整することについては、納めた税金を他の地域の行政サービスに充てることについて納税者の理解が得られるかなどの課題があると考えています。

 さらに、我が国では、多くの行政分野で国と地方の役割分担等を法令等により定めており、地方団体間の財政力格差がある中で、どのような地域でも一定水準の行政サービスを提供できるように財源を保障することは、国の責務であると考えているわけであります。

 したがって、これを地方団体相互間の調整に委ねることは、課題が多いものと認識しています。

 次に、臨時財政対策債についてのお尋ねをいただきました。

 地方財政の健全な運営のためには、臨時財政対策債のような特例債に頼らない財政体質を確立することが重要と認識しています。

 このためには、アベノミクスの効果を全国津々浦々に届け、地方税の増収を図る等地方税の充実確保に取り組むとともに、歳出構造を見直すことで財務体質を強化し、地方の財源不足を解消することが必要です。

 平成二十六年度においても、地方は十兆円を超える巨額の財源不足を抱えているところでありますが、できるだけ早期に臨時財政対策債のような特例債に頼らない財政運営ができるよう、引き続き、財源不足の解消に向けて、努力を重ねてまいります。

 次に、臨時財政対策債の償還についてお尋ねをいただきました。

 臨時財政対策債の償還につきましては、元利償還金の全額を毎年度の地方財政計画に計上することにより、所要の財源を確保しております。

 また、臨時財政対策債の元利償還金につきましては、その全額を、後年度、地方交付税の基準財政需要額に算入することとしており、これにより、各地方団体が確実に償還できるように財源保障しています。

 今後とも、臨時財政対策債の元利償還金につきましては、地方財政計画の策定、地方交付税の算定を通じ、確実に対応してまいります。

 最後に、交付税特別会計借入金の償還についてお尋ねがありました。

 交付税特別会計借入金につきましては、平成二十三年度に法定した償還計画に基づき償還を行っています。

 地方財政は、毎年度巨額の財源不足が続いている厳しい状況にあります。平成二十六年度においては、計画どおり、前年度比一千億円増の二千億円を償還することとしております。

 今後とも、地方税収等の増収を図るとともに、歳出構造を見直すことで財務体質を強化することにより、交付税特別会計借入金の償還に向けた努力を継続してまいります。

 以上です。(拍手)

議長(伊吹文明君) 以上をもって、予定されておりました質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣    麻生 太郎君

       総務大臣    新藤 義孝君

       国土交通大臣  太田 昭宏君

       国務大臣    甘利  明君

 出席副大臣

       総務副大臣   関口 昌一君


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