衆議院

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第14号 平成26年4月4日(金曜日)

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平成二十六年四月四日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第八号

  平成二十六年四月四日

    午後一時開議

 第一 放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 株式会社海外交通・都市開発事業支援機構法案(内閣提出)

 第三 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とアラブ首長国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十五回国会、内閣提出)

 第五 平和的目的のための原子力の利用における協力のための日本国政府とトルコ共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十五回国会、内閣提出)

 第六 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外四名提出)

 第七 通信・放送委員会設置法案(原口一博君外三名提出)

 第八 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 株式会社海外交通・都市開発事業支援機構法案(内閣提出)

 日程第三 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とアラブ首長国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十五回国会、内閣提出)

 日程第五 平和的目的のための原子力の利用における協力のための日本国政府とトルコ共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十五回国会、内閣提出)

 日程第六 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外四名提出)

 日程第七 通信・放送委員会設置法案(原口一博君外三名提出)

 日程第八 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) まず、日程第一、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長伊藤信太郎君。

    ―――――――――――――

 放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔伊藤信太郎君登壇〕

伊藤信太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、核物質の防護に関する条約の改正の適確な実施を確保するため、特定核燃料物質をみだりに輸出入する行為等の処罰規定を整備する等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月二十八日本委員会に付託され、同日石原環境大臣から提案理由の説明を聴取し、今月一日、質疑を行い、質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 全会一致。御異議なしと認めます。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 株式会社海外交通・都市開発事業支援機構法案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第二、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構法案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長梶山弘志君。

    ―――――――――――――

 株式会社海外交通・都市開発事業支援機構法案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔梶山弘志君登壇〕

梶山弘志君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、海外において交通事業または都市開発事業を行う者等に対して支援を行う株式会社海外交通・都市開発事業支援機構を設立しようとするもので、その主な内容は、

 第一に、機構は、設立に際して国土交通大臣の認可を受けなければならないこととするとともに、政府は、常時、機構の発行済み株式の総数の二分の一以上の株式を保有していなければならないこと、

 第二に、機構は、国土交通大臣の認可を受け、対象事業者に対する出資及び資金の貸し付けのほか、当該事業者等に対する専門家の派遣等の業務を営むこと、

 第三に、国土交通大臣は、機構が支援の対象となる事業者等を決定するに当たって従うべき基準を定めること

などであります。

 本案は、去る三月二十四日本委員会に付託され、二十六日太田国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、四月二日、質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第三、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長江崎鐵磨君。

    ―――――――――――――

 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔江崎鐵磨君登壇〕

江崎鐵磨君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、法律事務の国際化、専門化及び複雑多様化により的確に対応するため、外国法事務弁護士が社員となり外国法に関する法律事務を行うことを目的とする法人として、外国法事務弁護士法人を設立することを可能にするものであります。

 本案は、去る三月三十一日本委員会に付託され、四月一日谷垣禎一法務大臣から提案理由の説明を聴取し、二日、質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告といたします。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とアラブ首長国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十五回国会、内閣提出)

 日程第五 平和的目的のための原子力の利用における協力のための日本国政府とトルコ共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十五回国会、内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第四、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とアラブ首長国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び、日程第五、平和的目的のための原子力の利用における協力のための日本国政府とトルコ共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とアラブ首長国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 平和的目的のための原子力の利用における協力のための日本国政府とトルコ共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鈴木俊一君登壇〕

鈴木俊一君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 日・アラブ首長国連邦原子力協定は、昨年五月二日、ドバイにおいて署名され、日・トルコ原子力協定は、日本側が昨年四月二十六日に東京において、トルコ側が同年五月三日にアンカラにおいて、それぞれ署名したもので、我が国とアラブ首長国連邦及びトルコとの間で、それぞれ、原子力の平和利用に関する協力のための法的枠組みについて定めるものであります。

 両件は、第百八十五回国会に提出され、昨年十二月六日、岸田外務大臣から提案理由の説明を聴取した後、継続審査となりました。

 今国会におきましては、四月二日に質疑を行い、討論の後、採決を行いました結果、両件はいずれも賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 両件を一括して採決をいたします。

 起立採決を行いますから、議席へ戻ってください。

 両件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、両件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第六 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外四名提出)

 日程第七 通信・放送委員会設置法案(原口一博君外三名提出)

 日程第八 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第六、原口一博君外四名提出、電波法の一部を改正する法律案、日程第七、原口一博君外三名提出、通信・放送委員会設置法案、日程第八、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長高木陽介君。

    ―――――――――――――

 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外四名提出)及び同報告書

 通信・放送委員会設置法案及び同報告書

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔高木陽介君登壇〕

高木陽介君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、原口一博君外四名提出の電波法の一部を改正する法律案は、無線局の免許手続としてオークション制を導入するとともに、現行の電波利用料制度を電波の経済的価値を反映した制度に見直す等の措置を講じようとするものであります。

 また、原口一博君外三名提出の通信・放送委員会設置法案は、通信及び放送の分野における規律に関する事務を公正かつ中立に行わせるため、内閣府の外局として、通信・放送委員会を設置しようとするものであります。

 次に、内閣提出の電波法の一部を改正する法律案は、電波の有効利用を促進する観点から、電波利用料の適正性を確保するためその料額を改定するとともに、災害時に非常通信を行う無線局等に係る手数料等を免除するほか、技術基準適合証明等の表示方法に係る規定の整備等を行おうとするものであります。

 内閣提出の電波法の一部改正案は、去る四月一日本委員会に付託され、同日新藤総務大臣から提案理由の説明を聴取し、原口一博君外四名提出の電波法の一部改正案及び原口一博君外三名提出の通信・放送委員会設置法案の両案は、翌二日本委員会に付託され、昨日、提出者を代表して原口一博君から提案理由の説明を聴取した後、三法案に対する質疑に入り、同日質疑を終局いたしました。

 次いで、通信・放送委員会設置法案について内閣の意見を聴取した後、順次採決いたしましたところ、原口一博君外四名提出の電波法の一部改正案及び原口一博君外三名提出の通信・放送委員会設置法案の両案はいずれも賛成少数をもって否決すべきものと決し、内閣提出の電波法の一部改正案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、内閣提出の電波法の一部改正案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、順次採決を行います。

 まず、日程第六、原口一博君外四名提出、電波法の一部を改正する法律案につき採決をいたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決をいたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立少数。したがって、本案は否決をされました。

 次に、日程第七、原口一博君外三名提出、通信・放送委員会設置法案につき採決をいたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決をいたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立少数。したがって、本案は否決をされました。

 次に、日程第八、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案について採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(伊吹文明君) それでは、内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国土交通大臣太田昭宏君。

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 道路法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 高速道路の建設開始から半世紀が経過し、今後、その老朽化対策として、計画的な更新を推進する必要があります。また、都市再生や地域活性化の観点から高速道路の活用を図るため、所要の措置を講ずる必要があります。

 このような趣旨から、このたび、この法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が高速道路株式会社と締結する協定や、機構が作成する業務実施計画に、更新事業に関する事項を定めなければならないこととしております。また、高速道路の更新財源を確保するため、建設債務の償還満了後の一定期間において、継続して料金を徴収することができることとしております。

 第二に、道路の上部空間を活用し、都市再生事業と高速道路の維持更新事業との連携を図るため、立体道路制度を既存の高速道路にも適用できることとしております。

 第三に、高架の道路の下部空間の活用を図るため、占用の許可基準の緩和や、占用者を公平に選定するための入札制度を創設することとしております。

 第四に、地域活性化の観点から高速道路の活用を図るため、スマートインターチェンジの整備に対する新たな財政支援を行うこととしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(伊吹文明君) 国土交通大臣の趣旨の説明に対し質疑の通告がありますので、順次これを行います。まず、泉健太君。

    〔泉健太君登壇〕

泉健太君 民主党の泉健太です。

 ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。(拍手)

 まず、冒頭、我が国と同じ地震国であり、このたび被害が発生したチリ国民の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。

 さて、今回の法改正について、私たち民主党は、これまで国民に何度となく約束をしてきた料金徴収期間の年限が、道路行政の改革が不十分なまま、なし崩し的にまた政府によって延長されようとしていることに、強く遺憾の意を表します。

 やはり、必要なのは、路線ごとの採算性を重視せずに甘い見通しで高速道路が建設される原因となったプール制、また、ゆがんだ償還主義の見直し、そして、高速道路整備計画の見直しではないでしょうか。

 今からさかのぼること十数年前、二〇〇一年から二〇〇四年にかけて、当時の小泉内閣における主要課題の一つが、道路関係四公団の民営化でした。

 民でできることは民に、小泉総理は、計画中の道路の一時凍結、そして国費投入なしの三十年以内の償還を訴え、道路関係四公団民営化推進委員会の人事では、作家の猪瀬直樹氏を任命するなど、反発は覚悟の上、捨て身の覚悟で人選したと、ボルテージを上げ、大胆な民営化を推進しようと試みたのです。

 それを受けた民営化推進委員会は、二〇〇二年十二月に意見書を取りまとめ、その中で、道路公団が莫大な借金を抱えた原因を、見通しの甘い償還主義、もうかる道路の料金で高速道路をつくり続ける全国プール制、公団の経営自主性を奪い、政治的意向が働いた国土交通大臣の施行命令、非科学的かつ無責任で透明性に乏しい過程で作成された需要予測、コスト削減のインセンティブが全く働かない身内的な高コスト体質にあると分析しました。

 そして、今後については、四十兆円の債務返済は国民負担を最小化、新たにつくられる組織の自己責任原則を貫徹するために、政治介入を排除し、株主に対して責任を負う体制を構築し、競争原理を導入という、明快な方針をまとめたのです。

 しかし、ここから、政府内、自民党内からの強力な巻き返しが始まりました。

 公団支社幹部による財務諸表の内部告発をめぐる混乱、そして藤井道路公団総裁の解任という中で、二〇〇三年十二月には、当初の民営化、経営の自主性を大きく後退させた政府・与党合意が決定されることとなったのです。

 意見書から大きく後退した政府・与党合意は、放漫経営の温床となる償還主義、プール制を維持し、そして、無責任な需要予測を容認するというものになってしまいました。

 その結果、この政府・与党合意に失望した推進委員会の当時の田中一昭委員長代理が、意見書の骨格を覆すものと考えざるを得ないとして辞任し、他の複数の委員も辞任、欠席通告をするという異例な事態となり、委員会は、事実上崩壊、そして機能停止に陥ったのであります。

 その後の民営化法は、まさに、その後退した政府・与党合意をベースにした、看板倒れの法案だったわけであります。

 我が党はもちろんのこと、自民党にも無駄撲滅PTなどがございます。税金の使途に目を光らせている議場の同僚議員の皆様ならば、あの民営化は抜本的な道路行政の改革にはつながらなかったと認識をされているのではないでしょうか。

 さて、具体的な質問に入ります。

 まずは、新規路線の建設についてです。

 現在のスキームでは、高速道路会社が債権、借入金にて新たな道路の建設を行うこととなっていますが、今後の少子高齢化や人口動態などを踏まえると、大都市圏を除いた各地方路線の新規建設は、路線単独の収支は合わないにもかかわらず、プール制が存続しているため、建設が認められることとなります。

 政府は、未事業化区間の高規格幹線道路千二百キロについて、全線着工を目指すのか、見直しを行うのか、お答えください。

 また、民主党政権時には、高速自動車国道法を改正し、国幹会議の廃止、そして事業評価結果の公表を国に義務づけるなどいたしましたが、今後の新規建設に際しての費用対効果の基準を具体的にどのように考えているのか、お答えください。

 また、計画交通量や料金収入の見通しが外れた場合、組織における責任を明確化し、担当者の人事や処遇に反映させるべきと考えます。そうした体制が十分と言えるか、お答えください。

 次は、償還時期についてであります。

 政府は、これまで、再三にわたり、新たに発足した独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が民営化から四十五年以内に債務を完済すると答弁してきました。すなわち、債務完済をもって料金徴収期間も終了し、高速道路は無料になると国民に約束をしてきたのです。

 この約束は守れないということでしょうか。御答弁をお願いします。

 また、日常的な更新や修繕は当然のことですが、笹子トンネルの事故や大震災がなくとも、当然、大規模更新や修繕については、前回の民営化時点であらかじめ推計をし、償還計画を策定すべきだったと考えますが、なぜ、今回の大規模更新・修繕については前回の計画に含めなかったのか、その理由をお答えください。

 当時の道路局長は、「大規模な補修計画みたいなものもあらかじめ十分相談してつくっていただく必要があるだろう。そうしたことを機構への中期目標に私どもとしてもしっかり指示をさせていただいて、そして、そうしたことを踏まえた協定を結んでいただく。 そして、結果、トータルのコストが最も安く、なおかつ効果的にしっかりした資産の管理ができる、こんな状態に努力すべきだろう、私どももそう思っているところでございます。」このように答弁をされています。

 機構の中期目標には、大規模改修は書かれていたのでしょうか。大規模改修についての協定は結ばれたのでしょうか。当時は、年間約一千億円の補修費のみを見込んでおりました。想定が不完全だったのではありませんか。御答弁願います。

 昭和四十七年にプール制が導入されたとき、償還期間は三十年でありました。それが、平成七年に四十年となり、平成十一年には四十五年、逃げ水のように無料公開は先送りをされ、とうとう無駄な道路建設に国民の批判もきわまった平成十三年に、五十年を上限に短縮を目指すとされ、平成十七年の民営化の際に、四十五年と定められたのであります。

 今回は、その四十五年をさらに十五年延長する改正です。これは大きな問題であります。

 前回の民営化議論の際、石原国土交通大臣は、いわゆるプール制のもとに償還期間がどんどんどんどん先送りされていくということには歯どめをつけまして、先送りはもう認めないと答弁をしておりました。

 太田大臣、当時の国交大臣の答弁、先送りはもう認めないという答弁について、これを政府としては撤回されたということでしょうか。明快に御答弁をお願いします。

 国民に希望を抱かせながら料金徴収を延長し続ける姿勢を、仕方ないで済ませることはできません。

 政府は、昨年六月二十五日の社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会の中間答申において、民営化時点では見込まれていなかった構造物の更新や大規模な修繕を計画的に進めることが必要と述べておりますが、繰り返しますが、そもそも、インフラの大規模修繕・改修は、当初から想定されるべきものであります。

 前回の民営化時にそれを見込まずに債務計算を行ったこと、そして今回、徴収期間をまた延長することにつき、この本会議場で国民へ説明と誠実な謝罪を行う必要があると考えますが、そのおつもりはあるでしょうか。お答えください。

 さて、この国土幹線道路部会の中間答申では、将来の維持管理負担のあり方について、更新については、課題を先送りせず、利用者に適切な負担を求めること、更新のために料金徴収を継続することについて将来世代の理解が得られるのではないかと考えていると書かれております。

 政府は、更新のためにと、名目は変えておりますが、本当は、今後も料金を徴収し続ける方針なのではないでしょうか。ならば、今回の道路の更新・修繕計画には費用がかかるわけです、そしてその後も修繕には費用がかかり続けるわけですから、堂々と、高速道路についての道路無料公開の原則を撤回するべきではないでしょうか。それとも、建前だけの道路無料公開の原則を今後も続けるのでしょうか。お答えください。

 このほど発表された大規模改修・修繕構想は、例えば首都高で六千三百億円。しかし、東京オリンピックの開会までには、この工事は完了しません。さらに、アベノミクスにより資材と人材が大幅に不足している中、各社の更新計画については、完了時期が明確ではありません。

 首都高、阪神高、NEXCO、本四高速についての、更新計画の完了時期についてお答えください。

 高速道路は、大変魅力的なものではあります。高規格で大がかりな工事は、それだけで地元への経済波及効果もあるでしょう。地元議員にとっては、政治的功績にもなるでしょう。そして、住民生活へのプラスの面のみを考えても、利便性、医療、災害などの緊急時対応などがあることも事実であると思います。

 しかし、四十兆円という巨額の債務を抱えた道路公団の失敗がなぜ起きたのか、効果に見合わない過剰投資はなぜ行われたのか、料金徴収期間が繰り返し延長されてきたのはなぜなのか、過去の国会がこのことをとめられなかったことを、今の国会に議席を持つ私たち議員こそ、真摯に受けとめ、過去を検証し、再度の失敗を防ぐ責任があります。そして、償還主義とプール制を見直す必要があります。

 今回の法改正は、結局は、更新の名のもとに、料金徴収が今後も永続することを端的に示したと言えます。その中で、私たちは、政府は新規建設と更新、修繕における道路財政モラルをいかにして保つのかを、注視しております。

 私たち民主党は、費用対効果の低い新規事業あるいは更新事業によって国民に大きなツケが回ることが繰り返されることがないよう、この法案について充実した委員会審議を求めてまいることをお誓いし、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 泉健太議員の御質問にお答えします。

 まず、高規格幹線道路の未事業化区間についてお尋ねがありました。

 高規格幹線道路は、地域の活性化や物流の効率化等に役立つとともに、リダンダンシーの確保など、災害面での弱点の克服にも必要なものと認識しています。

 未事業化区間については、地方自治体の意見を聞き、第三者委員会の意見を踏まえた厳格な評価を行いながら、必要な道路整備を重点的に進めてまいります。

 次に、費用対効果分析の基準についてお尋ねがありました。

 重点的な道路整備を進める観点から、透明なプロセスのもとで厳格な事業評価を実施することは必要です。

 具体的には、費用対効果分析等事業評価の基準を定めた実施要領を平成二十二年に改定したところであります。これに基づき、都道府県等への意見聴取や第三者による事前審査を実施するなど、厳格な評価を行ってまいります。

 次に、債務償還の責任体制についてお尋ねがありました。

 交通需要や料金収入を推計する際には、正確なデータや、学術的にも信頼できる推計手法を用いて、的確に行うことが必要であると考えております。

 今後とも、有識者の御意見を踏まえながら、最新の知見に基づいて、推計手法を改善するなど、債務の確実な償還が図られるよう、適切に指導してまいります。

 次に、四十五年以内の債務償還についてお尋ねがありました。

 現在の償還計画に基づく建設債務については、将来世代に先送りせず、四十五年以内に償還する方針を今後も堅持してまいります。

 その上で、本法案では、建設債務の償還満了後、更新に必要な財源を確保するため、十五年間を上限として料金を継続して徴収し、その後無料開放する考えをとっているところであります。

 次に、民営化時点の大規模更新、大規模修繕の推計についてお尋ねがございました。

 道路構造物の老朽化予測には限界があり、民営化時においても更新需要の発生は想定していましたが、具体の箇所や対処方法が十分には明らかになっていませんでした。

 その後、東日本大震災や笹子トンネル天井板落下事故が起こり、老朽化対策が一層必要であるという認識が共有されたところであります。

 このような認識のもと、建設後五十年が経過し、老朽化の進展により更新の必要な箇所が明らかになったことなどから、今般、更新事業に取り組むこととしたところであります。

 次に、民営化当時の維持管理、修繕の費用の見込みについてお尋ねがございました。

 民営化時は、それまで実施していた維持管理、修繕に加え、ETC施設や遮音壁などの取りかえに必要な費用を毎年約一千億円見込んでいたところであります。

 これに加えて、建設後五十年が経過し、老朽化の進展により更新の必要な箇所が明らかになったことなどから、今般、更新事業に取り組むことといたしました。

 次に、料金徴収期限についてお尋ねがございました。

 現在の償還計画に基づく建設債務については、将来世代に先送りせず、四十五年以内に償還する方針を今後も堅持してまいります。

 本法案は、その後明らかになった更新需要に対応するためのものであり、高速道路建設の債務を確実に償還するという、民営化の趣旨を踏まえた内容となっております。

 次に、更新に関する国民への説明についてお尋ねがございました。

 道路構造物の老朽化予測には限界があり、民営化時においても更新需要の発生は想定していましたが、具体の箇所や対処方法が十分には明らかになっていなかったところであります。

 そうしたことから、平成二十三年に第三者委員会を設置し、各方面からのヒアリングやアンケートを通じてさまざまな意見を聴取しながら御審議をいただき、昨年六月、更新のあり方について取りまとめ、公表をいたしました。

 その後、委員会における審議結果を踏まえ、本法案を提出するに至ったところであり、今後とも、国民の皆様に丁寧に説明をし、御理解を得られるよう努力してまいります。

 次に、無料開放原則との関係についてお尋ねがございました。

 道路は、無料開放が原則であり、我が国では、厳しい財政状況のもと、特別措置として有料道路制度を採用しているところです。

 本法案では、建設債務の償還満了後、更新に必要な財源を確保するため、十五年間を上限として料金を継続して徴収し、その後無料開放する考え方をとっています。

 次に、更新計画の完了時期についてお尋ねがございました。

 高速道路会社から、更新事業にはおおむね十年から十五年程度の期間が必要となる見込みであると聞いております。

 更新事業は、現在利用している交通を確保しながら行う難工事であるため、従来の建設事業に比べて、長い工期が必要となります。

 このため、今後、工期短縮を図ることや、工事中の安全で快適な利用方法について、検討を進めてまいります。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、次の質疑者、坂元大輔君。

    〔坂元大輔君登壇〕

坂元大輔君 日本維新の会の坂元大輔です。(拍手)

 質問に入ります前に。

 三月三十日に沖ノ鳥島の港湾工事現場にて発生した事故により、工事関係者五名がお亡くなりになり、四名がけがをされ、二名の方が行方不明となっております。お亡くなりになられた御遺族の方々にお悔やみ申し上げますとともに、心よりお見舞い申し上げます。また、行方不明二名の方の捜索活動に全力を挙げていただきますことを、冒頭、お願い申し上げます。

 それでは、会派を代表して、ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 私にとりまして、初めての、本会議での質問になります。関係各位の御配慮に、心より感謝申し上げます。

 全ての道はローマに通ず、これは、目的までの手段や方法は何通りもあるという意味のことわざです。日本経済の好循環のためには、アベノミクス、この道しかないとおっしゃる安倍総理にぜひとも知っていただきたい言葉でありますが、このことわざは、もともと、西洋文明の礎となった古代ローマが、道路政策を大変重要視し、いかにすばらしい道路網を誇ったかをあらわす言葉から、意味が転化したものです。

 私の愛読書である「ローマ人の物語」の中で、著者の塩野七生氏も、未舗装の道が当たり前だった当時、平坦かつ石によって舗装されたローマ街道は、まさに高速道路であり、ローマの大帝国への発展を決定的なものとしたと叙述されています。

 まさに高速道路は、国家の成長、発展にとって必要不可欠な、大動脈と呼ぶべきものであります。

 歴史の針を現代に戻すと、我が国でも、一九六二年、昭和三十七年十二月に首都高速道路一号線京橋―芝浦間が開通し、その後、全国的なネットワーク整備により、総延長は、もうすぐ一万キロメートルに達しようとしています。物流の主軸として日本経済を支えるだけでなく、国民生活になくてはならない社会資本として、完全に定着をしております。

 しかし、今、日本の高速道路のあり方は、大きな曲がり角を迎えています。

 開通からの経過年数が三十年を超える区間が、高速自動車国道においては約四割、都市高速道路においては約五割を占め、老朽化が進展し、大規模な改修や修繕が必要となってきました。

 平成二十四年十二月に起きた中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故以降、ようやく我が国においてもこの問題が認知されるようになりましたが、特に、オリンピックを六年後に控える東京の首都高速道路では、経過年数が五十年を超える箇所もあり、早急な取り組みが求められています。

 本法律の改正案は、こうした観点を中心として提出されたと理解しますが、以下、個別の点において質問をさせていただきます。

 二月に就任された舛添要一東京都知事が、就任会見で、首都高速道路の大規模改修を東京オリンピック開催の二〇二〇年までに終えたいと言及されました。選挙において、自民党都連と公明党都本部が推薦を出され、国政与党としても実質的に支援をされた、舛添知事の発言です。

 政府としても、二〇二〇年までの大規模改修完了に責任を持って取り組むと捉えてよろしいのでしょうか。明確な御答弁をお願いします。

 さて、今回の法改正案の中で最大のポイントは、高速道路の老朽化に対応した大規模更新、大規模修繕を業務実施計画に明記し、更新費の償還のため、料金徴収年限を二〇六五年まで十五年延長することであると考えます。

 しかし、そもそも、この償還主義を抜本的に見直し、償還後の維持管理費についても、受益者負担の考えに基づいて、継続的に利用料金を徴収して充当すべきではないでしょうか。

 債務を償還しても、毎年数千億円規模の維持費がかかるわけですし、新たに大規模更新が必要な箇所も当然出てくるでしょう。利用者から料金を取らず、そうした費用を全て国民が税金で負担することに、果たして国民の理解が得られるでしょうか。

 また、高速道路の建設費用には、減価償却の不要な土地代が相当程度含まれています。これも含めて建設債務として四十五年で完済しようとすれば、料金はどうしても高くなります。実際、同じく有料制のフランスやイタリアなどと比べても、日本の高速道路料金はかなり割高です。

 償還主義を見直して、継続的に利用料金を取るようにすれば、三、四割は料金を下げることができるとも言われており、その方が利用者にとってもメリットが大きいと考えますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。

 さきの問いに関連して、高速道路の料金政策について伺います。

 道路公団民営化以降の高速道路行政、特に料金に関する政策を見ると、根源的な問題に手をつけず、人気取り政策に力点が置かれた高速道路ポピュリズムが横行してきました。麻生内閣の休日上限千円の料金割引、民主党政権の高速道路無料化実験がその代表例ですが、その他さまざまな割引制度も乱発されてきました。

 しかし、巨額の財源を国費から捻出しているにもかかわらず、こうした料金政策が、果たして、利用者、国民にきちんと理解されてきたでしょうか。極めて複雑でわかりにくい料金制度の結果、車のナビに表示された正規料金と、料金所で表示される割り引き後の料金が余りに違うことに驚いた経験を持つのは、私だけではないと思います。

 いいかげんに高速道路ポピュリズムから脱して、割引の理念や実施目的を精査し、それぞれの割引制度の効果を確認、評価した上で、できるだけ簡素で安定的な料金を目指すべきだと考えますが、この点について御答弁をお願いします。

 続いて、高速道路会社のあり方について伺います。

 完全民営化したJRと違い、高速道路会社六社は、今も、国や地方自治体が一〇〇%出資する特殊会社、つまり公有企業であり、料金体系や社長人事も国土交通省が握っていて、会社としての自主性を発揮できない仕組みとなっています。

 民営化によって、サービスエリア事業関係では、新たなサービスを提供して利用者から好評を得ていますが、本業の高速道路運営でも、料金設定も含めて、多様なサービスを提供できるようにすべきではないでしょうか。

 我が党の橋下徹共同代表が市長を務める大阪市では、現在、市営地下鉄の民営化に向けて、職員給与の見直しなどさまざまな改革を行い、四月一日から、初乗り運賃を二十円値下げしました。消費税増税の中、値下げは助かるといった利用者の声をいただいています。

 やはり、高速道路会社も、自主的に弾力的な料金設定ができてこそ、真に民営化したと言えるのではないでしょうか。この点について、御答弁をお願いします。

 次に、市町村の管理する道路の老朽化対策支援について質問します。

 今回の法改正案により、首都高速道路等の大規模更新、大規模修繕が可能となれば、高速道路に関しての老朽化対策には一定のめどが立つわけでありますが、老朽化問題で最も深刻なのは、地方自治体、とりわけ、小さな規模の市町村が管理する道路であります。

 我が国の道路延長約百二十万キロメートルのうち約八四%、約百二万キロメートル、道路橋約七十万橋のうち約七五%、約五十二万橋を市町村が管理しており、高度経済成長期に集中的に整備された橋梁が急速に老朽化し、通行どめ等が増加しています。

 そこで、お伺いいたします。

 地方公共団体、特に、小さな規模の市町村では、財政力不足、専門職員不足などを理由に橋梁の老朽化対策が進んでいませんが、国として、どのように支援していく考えでしょうか。御答弁をお願いします。

 続いて、メンテナンス技術の向上促進についての取り組みについて伺います。

 国、地方自治体ともに、非常に厳しい財政状況において、予算の制約がある中で、道路の維持管理・更新費用の低減を図るため、革新的な技術の開発が求められています。国として、メンテナンス技術の革新をどう促していくおつもりでしょうか。

 具体的には、検査や補修は、小規模事業として地元の中小企業に優先的に発注され、また、検査結果に応じて個別的、応急的補修がなされる場合が多く、技術力の高い大手企業が新規建設に集中している現状を改善すべきではないでしょうか。

 もちろん、案件に応じて地元中小企業への配慮も行いつつ、性能発注、多種事業の一括発注、広域の施設を対象とする大規模発注、コンセッション方式など、技術力の向上をもたらす発注制度に取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。

 最後に、道路行政において喫緊の課題を一つ指摘させていただきます。それは、通学路における安全確保です。

 平成二十四年四月に、京都府亀岡市、千葉県館山市、愛知県岡崎市で、登校中の児童の列に車が突っ込むという事故が相次いで発生し、この問題が注目を集めました。私の地元である広島県福山市でも、つい先月、下校中の小学生四人の集団に信号無視をしたトラックが突っ込んで横転し、一人が意識不明の重体で、二人が重軽傷を負うという、痛ましい事故がありました。

 こうした悲惨な事故を極力起こさないようにするため、通学路の安全確保に関しては国としてどのような対策を行っているのか、具体的に御答弁をお願いします。

 冒頭に御紹介した「ローマ人の物語」の中に、ローマ人は、インフラを、人間が人間らしい生活を送るためには必要な大事業だと考えていたという記述があります。

 主要インフラの一つである道路において、我が国では、新規建設から維持管理、更新へという新しい局面を迎えていることは間違いありません。その新しい局面に対応した道路行政のあり方について、今後も積極的に提言していくことをお誓い申し上げまして、私の代表質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 坂元大輔議員の御質問にお答えします。

 まず、首都高速の大規模改修の工程についてお尋ねがありました。

 首都高速の更新事業に取り組むに当たり、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催時にどのような形で首都高速を御利用いただくかということも重要であると認識しています。

 現実には、都市内の限られた空間において、現在利用している交通を確保しながら行う難工事であるため、通常の工法や手続等により開催に間に合わせることは厳しい状況ではあります。

 今後、工期短縮を図ることや、オリンピック・パラリンピック開催中の安全、快適な利用方法について、東京都等とも連携しながら検討を進め、二〇二〇年の開催に支障がないよう、最大限の努力をしてまいります。

 次に、継続的な高速道路料金の徴収についてお尋ねがございました。

 道路は、無料開放が原則であり、我が国では、厳しい財政状況のもと、特別措置として有料道路制度を採用しているところです。

 このため、本法案においても、建設債務及び更新債務の償還満了後、無料開放する考え方になっています。

 高速道路を恒久的に有料にすることについては、利用者を初め広く理解を得られるかという課題もあり、今後も慎重な検討が必要であると考えています。

 次に、高速道路料金制度についてお尋ねがございました。

 料金割引については、これまでいろいろな割引を導入したことから、利用者から、複雑でわかりにくいという指摘があったところです。

 このため、今年度から、観光振興、物流対策など、実施目的を明確にし、高速道路利用の多い車に配慮するよう再編いたしました。

 また、料金水準について、建設費による区間ごとの料金差を是正し、整備重視の料金から利用重視の料金へと転換し、三つの料金水準に整理いたしました。

 今後とも、利用者にとってわかりやすい高速道路料金となるよう努めてまいります。

 次に、高速道路会社のあり方についてお尋ねがございました。

 道路関係四公団の民営化は、高速道路会社が民間ノウハウの発揮により、多様で弾力的な料金設定、サービスエリアやパーキングエリアの運営など、できる限り自由な事業展開を可能にしたものであります。

 具体的には、国の一方的な命令の枠組みを廃止して、会社の自主性を最大限尊重するため、申請方式を採用しております。

 民営化から八年が経過し、債務については順調に償還をするとともに、サービスエリアやパーキングエリアのサービスも向上し、今月からは利用重視の料金がスタートするなど、民営化の成果は着実にあらわれていると考えております。

 次に、市町村の橋梁の老朽化対策に対する国の支援についてお尋ねがございました。

 橋梁等の老朽化においては、約五十万橋を管理する市町村の役割と責任は極めて大きいと考えており、本格的に取り組んでいく必要があります。

 このため、橋梁等は、五年に一度、近接目視で点検するなど、市町村を含む道路管理者の義務を明確にいたしました。

 一方、市町村は、予算や体制、技術等の面で厳しい状況にあるため、国の技術者による支援や点検業務の地域一括発注など、支援策の検討を進めてまいります。

 次に、道路の維持管理・更新費用の低減を図るためのメンテナンス技術の革新と発注制度についてお尋ねがありました。

 メンテナンスサイクルを持続的に回していくためには、民間の技術力を引き出す仕組みづくりが重要と考えています。

 このため、舗装の性能規定発注、維持管理の複数年契約、複数工種の一括発注など、発注制度に取り組んでいるところです。

 また、レーザーを活用したコンクリートのひび割れを判別する技術や、センサーを用いたモニタリング技術などについて、公募し、試行するなど、民間の技術開発を促してまいります。

 引き続き、民間の技術力やノウハウを最大限活用し、維持管理の効率化に努めてまいります。

 次に、通学路の安全確保の取り組みについてお尋ねがございました。

 通学路の安全確保は、子供たちが学校へ安心して行けるようにするため、優先的に取り組む事項と考えています。

 特に、平成二十四年の、児童等が巻き込まれる痛ましい事故を受け、道路管理者、学校、警察等による緊急合同点検を行い、必要な対策を進めているところです。

 この中で、道路管理者は、昨年度末で、歩道整備など、おおむね八割の対策を完了しました。

 引き続き、自治体や地域住民と連携して、通学路の安全確保を進めてまいります。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、佐藤英道君。

    〔佐藤英道君登壇〕

佐藤英道君 公明党の佐藤英道です。(拍手)

 質問に先立ちまして、去る三月三十日に発生しました沖ノ鳥島における港湾建設工事の重大事故によってお亡くなりになられました五名の方々に対し、深く哀悼の意を表します。また、御遺族の皆様並びにおけがに遭われた方々に衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、残る行方不明のお二人が一日も早く御無事に発見されますよう、お祈りを申し上げます。

 さて、私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案につきまして、国土交通大臣に質問をさせていただきます。

 本法律案は、平成十七年の道路公団の民営化以来長年の課題となってきた、高速道路の安全性を長期にわたって確保するために必要である大規模修繕、大規模更新等について、その財源の手当て並びに具体的な道筋について定めるとともに、これまで十分な余地がないという要件に該当する場合にのみ認められてきた高速道路高架下等の占用基準を大幅に緩和することや、立体道路制度の既存適用を図ることにより、防災、減災及び地域の活性化に資するスキームを確立するものであります。

 また、平成十六年の社会実験事業以来、流通の効率化と地域活性化に大きな効果を発揮してきたスマートインターチェンジの整備に係る所要の措置を講じることを定めるものであり、本法律案は、高速道路の安全性と利便性を向上し、現今の社会情勢と国民のニーズに応え、さらには、その機能においてさらなる充実強化を可能とするものであるという点において、私は、高く評価すべきものであると思います。

 そこで、初めに、本法律案の所管大臣であられる太田国土交通大臣に対し、道路行政全般に係る大臣の御決意をお伺いさせていただきたいと思います。

 一昨年、大臣の就任会見は、防災・減災ニューディールというキーワードから始められました。

 まさに、首都直下、南海トラフ連動型等の巨大地震の発生が懸念されている現今の状況に対し、大規模災害から国民の命を守るという、国の第一の責任を担う大臣の強い御決意が感じられるものでありました。

 また、次に、経年劣化が進み、老朽化したインフラへの一刻も早い対応をと訴えられております。

 昨年冒頭には、二〇一三年をメンテナンス元年と位置づけ、社会資本老朽化対策会議を設置するとともに、緊急点検、緊急修繕、集中点検、管理基準の見直し、さらにはインフラデータベースの作成など、その陣頭指揮に立たれてこられました。

 これらは、社会資本の安全性と国民の安全、安心を着実に増進させる大変に重要な施策でありますが、特に、大臣がストックマネジメントやメンテナンスサイクルの考え方を取り入れて推進しておられる老朽インフラの長寿命化については、中長期的に維持管理コストが低減できる点でも、高く評価されるべきものと考えます。

 去る三月十一日、私のふるさとでもある東北地方は、東日本大震災より満三年を迎えました。

 何物にもかえられない大切な方々のとうといお命を奪ったあの震災のさなか、迫りくる津波から多くの命を救い、たくさんの方々の命をつないだのは、高速道路を初めとするインフラでありました。事実、宮城県の釜石山田道路は、震災のわずか数日前に供用開始された道路であり、あの道路がなければ助からなかったという声を、私は、現地で、この耳で伺いました。

 防災、減災のためのインフラの重要性と、長寿命化による中長期的なコスト削減の取り組みを正当に評価するならば、ごく一部ながらいまだに見られる、ばらまき、無駄遣いなどとの心ない批判がいかに的外れなものであるか、申し上げるまでもありません。

 しかし、一方で、私の地元北海道においても同様でありますが、命の道である地方の道路は、いまだにミッシングリンクという言葉であらわされるとおり、多くの箇所が途中で寸断されているというのが現実であります。

 さらに、観光立国日本の実現という観点でも、二〇二〇年に開催決定した東京オリンピック・パラリンピックの大成功と、訪日観光客二千万人の達成のためには、首都圏だけではなく、全国の地方都市の魅力ある発展が不可欠であり、そうした地方をつなぐ高速道路や国道、その発展を支える地方の道路網の強化が期待されるところであります。

 以上を踏まえ、国民の命を守り、我が国発展の根幹をなす、高速道路を初めとする道路及び道路網の維持管理並びに整備促進について、大臣の御決意を伺います。

 次に、我が国の道路のうち、そのメンテナンスに課題を抱える市町村道の問題についてお伺いをしてまいります。

 大臣は、本年初頭、防災、減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化を公共事業のメーンストリームに置き、さらに本格的に進めていきたいと、御決意を述べられました。

 本年は、前回の東京オリンピック開催からちょうど五十年の節目に当たり、当時建設された首都高速道路を初めとする全国のインフラについても、大規模な更新、修繕が不可欠となってまいりました。

 そうした中、このたびの法改正により、まずは、我が国の大動脈たる高速道路網において平成七十七年までの安全性が確実に担保されるということは、大きな前進と評価すべきものであります。

 また、現在、大臣の指揮のもと、直轄国道や都道府県道の修繕、長寿命化が着々と進みつつありますが、全国五十万もの橋梁を擁する市町村道の整備については、財政面に加え、特に技術者の圧倒的な不足という人的資源の問題に起因する対応のおくれが生じかねない状況について早急な対処が求められるところでありますが、今後どのような取り組みをされていくのか、大臣の御見解を伺います。

 次に、高速道路の維持更新の負担軽減と、地域活性化のための新たなスキームについてお伺いいたします。

 本法律案は、立体道路制度の既存高速道路への適用拡大を定めることとなっております。

 既存の高速道路について、改めて道路区域を立体的に定めることにより、新たに高速道路の上空に道路区域外と定められる区域が発生いたします。

 この高速道路上空の空間について、維持更新財源の確保と、地域活性化に資するという観点から、空中権を含めた積極的な有効活用が図られるべきと考えます。大臣の見解を伺います。

 最後に、スマートインターチェンジの整備について伺います。

 スマートインターチェンジは、現在までに、供用箇所は七十、事業中箇所が五十となり、地域の利便性の向上や活性化並びに流通の効率化を促進してまいりました。

 ますます高まるニーズに十分に応えるために、新たな補助金制度の創設が必要不可欠であると理解しておりますが、今後、この整備をどのように進めていかれようとしているおつもりか、大臣の御見解をお伺いして、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 佐藤英道議員の質問にお答えします。

 まず、道路の重要性に対する認識と、維持管理並びに整備促進の決意についてお尋ねがございました。

 道路ネットワークについては、地域の活性化や物流の効率化等に役立つとともに、リダンダンシーの確保など、災害面での弱点の克服にも必要なものと認識しています。

 特に、東日本大震災では、住民の避難場所や救援救助活動など、災害時に道路の果たす役割が再認識されました。

 また、地方公共団体が管理するものを含めて、高度成長期に建設された橋やトンネルの維持管理が重要になっています。

 国土交通省としましては、道路ネットワークの強化とともに、本格的なメンテナンスに万全を期してまいります。

 次に、市町村道のメンテナンスに関する今後の取り組みについてお尋ねがございました。

 橋梁等の老朽化対策においては、約五十万橋を管理する市町村の役割と責任は大きいと考えており、本格的に取り組んでいただく必要があります。

 このため、橋梁等は、五年に一度、近接目視で点検するなど、市町村を含む道路管理者の義務を明確化いたしました。

 一方、市町村は、予算、体制、技術面で厳しい状況にあるため、国等の支援策により、持続的なメンテナンスの仕組みを構築したいと考えています。

 次に、高速道路上の空間の活用についてお尋ねがございました。

 道路区域を立体的に定める立体道路制度につきましては、これまで、道路の新設または改築を行う場合に限られておりました。

 この法案によりまして、既存の高速道路に本制度を適用拡大すれば、道路の上部空間を活用することが可能になり、高速道路の更新と都市再生を一体的に進めやすくなります。

 今後、高速道路の上部空間の活用による維持更新負担の軽減や、地域活性化に向けた検討について、着実に進めてまいります。

 次に、スマートインターチェンジの整備についてお尋ねがございました。

 スマートインターチェンジは、既存の高速道路の有効活用や地域活性化を図る上で重要な施策であると認識しています。

 具体的には、これまでの整備により、周辺の交通渋滞の緩和に大きく寄与するとともに、周辺への工場や商業施設の誘致による雇用創出などの効果が見られています。

 今後は、財源がなくなる利便増進事業にかわるものとして、この法案において、道路予算による補助制度を創設し、地域の実情に合わせた整備を柔軟に進めてまいります。

 以上です。(拍手)

議長(伊吹文明君) 以上をもって、予定されておりました質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣     新藤 義孝君

       法務大臣     谷垣 禎一君

       外務大臣     岸田 文雄君

       国土交通大臣   太田 昭宏君

       環境大臣     石原 伸晃君

 出席副大臣

       国土交通副大臣  高木  毅君


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