衆議院

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第9号 平成26年10月31日(金曜日)

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平成二十六年十月三十一日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第四号

  平成二十六年十月三十一日

    午後一時開議

 第一 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定に基づく申告原産品に係る情報の提供等に関する法律案(内閣提出)

 第三 経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定に基づく申告原産品に係る情報の提供等に関する法律案(内閣提出)

 日程第三 経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定に基づく申告原産品に係る情報の提供等に関する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) まず、日程第一、関税暫定措置法の一部を改正する法律案、日程第二、経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定に基づく申告原産品に係る情報の提供等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長古川禎久君。

    ―――――――――――――

 関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び同報告書

 経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定に基づく申告原産品に係る情報の提供等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔古川禎久君登壇〕

古川禎久君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、関税暫定措置法の一部を改正する法律案は、経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の適確な実施を確保するため、牛肉に係る特別セーフガード措置の導入、飼料用麦に係る関税の撤廃に必要な制度の整備及び輸入貨物に係る自己申告制度の導入に伴う所要の規定の整備を行うものであります。

 次に、経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定に基づく申告原産品に係る情報の提供等に関する法律案は、経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の適確な実施を確保し、我が国の輸出貿易の健全な発展に寄与することを目的として、オーストラリア税関当局に対する申告原産品に係る情報の提供等を適正かつ確実に行うための措置を講ずるものであります。

 両案は、去る十月二十三日当委員会に付託され、二十四日麻生財務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十九日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、順次採決いたしましたところ、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、ただいま財務金融委員長より報告がありました両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、両案とも委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件

議長(伊吹文明君) 次に、日程第三に移ります。経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長土屋品子君。

    ―――――――――――――

 経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔土屋品子君登壇〕

土屋品子君 ただいま議題となりました日豪経済連携協定につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本協定は、本年七月八日にキャンベラにおいて署名されたもので、我が国とオーストラリアとの間で、貿易及び投資の自由化及び円滑化、食料供給、エネルギー及び鉱物資源、政府調達等の分野における経済連携を強化するための法的枠組みについて定めるものであります。

 その主な内容は、

 日豪各国は、相手国の原産品について、本協定の附属書に従って関税を撤廃し、または引き下げること、

 右の結果として、当該原産品の輸入の増加により国内産業に重大な損害等が発生した場合には、日豪各国は、当該原産品の関税のさらなる引き下げを停止するなどの二国間セーフガード措置をとることができること、

 さらに、我が国は、豪州産牛肉の輸入数量が一定の水準を超えた場合には、その関税を引き上げる特別なセーフガード措置をとることができること、

 本協定に定める関税率が適用される原産品であることの確認は、輸出国の権限を与えられた機関等が発給する原産地証明書、または産品の輸入者等が作成する原産地証明文書によるものとすること、

 日豪各国は、食料並びにエネルギー及び鉱物資源について独立した章を設け、それらの輸出を禁止しまたは制限する措置を導入しないよう努めること、

 日豪各国は、自国で行われる投資活動に関し、相手国の投資家等に対して内国民待遇及び最恵国待遇を与えるとともに、国家と投資家との投資紛争解決のための仕組みに係る見直しを含め、投資環境の可能な改善のための見直しを行うこと、

 日豪各国は、一定の要件を満たす政府調達に関する措置について、相手国の物品・サービス及びそれらの供給者に対し、内国民待遇を与えること

等であります。

 本件は、去る十月二十三日に外務委員会に付託され、翌二十四日、岸田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑に入りました。二十九日、農林水産委員会との連合審査会及び質疑を行い、質疑終局後、討論、採決を行った結果、賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決を行います。

 ただいまの外務委員長報告の件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本件は委員長報告のとおり承認することに決しました。

     ――――◇―――――

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(伊吹文明君) 次に、内閣提出、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。担当国務大臣有村治子君。

    〔国務大臣有村治子君登壇〕

国務大臣(有村治子君) ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応していくためには、みずからの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍することが一層重要になっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって豊かで活力ある社会を実現することを目的として、本法律案を提出する次第であります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本原則を三点定めております。

 一点目は、みずからの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性に対する採用、教育訓練、昇進その他の職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じて、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として、行われなければならないこととしております。

 二点目は、女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として、行われなければならないこととしております。

 三点目は、女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならないこととしております。

 第二に、政府は、基本原則にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針を定めることとしております。また、都道府県及び市町村は、基本方針等を勘案して、女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画を定めるよう努めるものとしております。

 第三に、内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、事業主が女性の職業生活における活躍の推進に関する取り組みを総合的かつ効果的に実施することができるよう、基本方針に即して、事業主行動計画策定指針を定めることとしております。

 第四に、常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主は、女性の職業生活における活躍の状況を把握し、改善すべき事情について分析した上で、事業主行動計画策定指針に即して、計画期間、定量的に定めた目標、取り組み内容等を定めた行動計画を策定し、公表すること等としております。また、女性の職業生活における活躍の推進に関する取り組みの実施の状況が優良なものであることなどの基準に適合する事業主について、厚生労働大臣がこれを認定することとしております。

 第五に、国及び地方公共団体の機関等においても、事業主としての行動計画を策定し、公表することとしております。

 第六に、常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主並びに国及び地方公共団体の機関等は、女性の職業選択に資するよう、女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表することとしております。

 第七に、国及び地方公共団体の機関は、地方公共団体の区域において、女性の職業生活における活躍の推進に関する取り組みが効果的かつ円滑に実施されるようにするため、関係機関により構成される協議会を組織することができることとしております。

 このほか、女性の職業生活における活躍の推進に関し、必要な事項を定めることとしております。

 この法律案の施行期日は、公布の日からとしておりますが、行動計画の策定等については、平成二十八年四月一日としております。

 また、この法律案は、平成三十八年三月三十一日限り、その効力を失うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(伊吹文明君) ただいまの法律案の趣旨の説明に対し質疑の通告がありますので、順次これを行います。まず、鈴木淳司君。

    〔鈴木淳司君登壇〕

鈴木淳司君 自由民主党の鈴木淳司です。

 ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案、いわゆる女性活躍推進法案に対し、自由民主党を代表して質問させていただきます。(拍手)

 全ての女性がそれぞれの生き方に誇りを持ち、輝くことのできる社会、これが自民党並びに安倍政権が実現を目指す社会の姿であります。

 安倍総理は、昨年の国連総会において、女性が輝く社会をつくると世界に向けて力強く宣言され、それを今、我が国は、一歩ずつ着実に推進する過程にあります。

 本年六月にまとめられた成長戦略では、女性の活躍推進に関する施策を大胆に盛り込み、また、去る九月に我が国で初めて開催された、女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム、いわゆる女性版ダボス会議では、内外から多くの女性トップリーダーが参加をされました。

 こうした一連の取り組みを我が国において具体化していく一つの柱になるものが、今回の女性活躍推進法案であるかと思いますが、まずは冒頭、女性のさらなる活躍推進に向けて、本法律案が持つ意義、及び、本法律案を通じて、我が国がいかなる社会の実現を目指そうとしているのかをお尋ねいたします。

 かつては、男性は外で働き、女性は家を守るものだといった時代もありました。しかし、今では、女性の社会進出も進み、共働きで家庭を営む夫婦も大変増加をいたしております。また、女性が働くことは、単に収入を得るためだけではなく、昨今は、まさしく文字どおり、女性が社会の中で主体的に輝ける分野を持つといった側面が強くなりつつあろうかと思います。

 そこで、みずからも働く女性として、今まさに大活躍をしておられる有村大臣にとって、女性が働くということが持つ今日的な意義をどう捉えておられるのか、あわせて御所懐をお聞かせください。

 さて、本法律案の策定過程では、一部に、社会が全ての女性に働くことを強要することにつながらないかとの懸念が示されたのも事実であります。

 そこで、改めて、確認の意味で大臣に伺います。

 女性の生き方はさまざまであり、専業主婦として家庭を支えることを望まれる女性もあれば、あるいは結婚や子育てといったライフステージに合わせて、自分の主体的な選択の中で、その時々に合った、それぞれの望む生き方、働き方を希望する女性も多くおられます。

 そうした女性のさまざまな思いの中で、果たしてこの法律案は、どのような範囲の女性を対象として、その活躍を推進していくことになるのでしょうか。

 また、あわせて、この法案が、あたかも社会の第一線で男性と肩を並べてばりばり働くことだけが女性が輝くことであるかのような誤った印象を社会に与えることがないような配慮も必要かと思いますが、担当大臣としての御所見をお聞かせください。

 さて、次に、今回の法案の最大のポイントとも言える事業主行動計画についてお伺いをいたします。

 本法律案では、従業員数が三百人を超える大企業、いわゆる一般事業主に対し、その行動計画の策定と公表を義務づけることとしております。

 女性の活躍に関する状況把握と改善すべき事情についての分析を踏まえた上での個々の具体的目標とはいえ、事業主行動計画の策定、公表の中で、定量的目標、いわゆる数値化目標の設定を義務づけることの是非については、法案の策定過程においてもさまざまな議論があったかと承知をいたしております。

 数値化目標がなければ結果は担保されないといった意見がある一方、逆に、企業の業態もさまざまな上に、数値化目標だけがひとり歩きする危険性はないのか等々のさまざまな意見があった中で、今回、事業主行動計画の中に一定の数値化目標の設定を義務づけたことの狙いは何か。

 各社の行動計画の策定は、本来ならば、各企業の自主性を尊重しつつ、社会全体を女性の働きやすい環境にしていくための、個々の企業それぞれの主体的な取り組みが具体化されるべきものであるものの、今回、あえてそれを一歩進めた形で、数値目標の設定、公表の義務化にまで踏み込んだことに関しての塩崎厚生労働大臣の御所見をお尋ねいたします。

 また、あわせて、すぐれた取り組みを行う事業者の認定や、それらの認定事業者に対する公共調達における一定の配慮規定をも盛り込んだことについて、女性の活躍推進の加速化に向けての大臣の御決意のほどをお聞かせください。

 次に、女性活躍と並ぶ、安倍内閣の最重要課題でもある地方創生との関係から、一点お尋ねをいたします。

 東京一極集中の是正と人口減少社会への対策として、地方での雇用機会、地域の魅力づくりが喫緊の課題となっております。

 それぞれの地域、それぞれの分野で女性の多様な活躍の機会をつくり出すことは、地方創生の大きなテーマでもあります。産業構造や地理特性、気候風土等、それぞれの置かれた地域固有の条件は千差万別であり、加えて、個々の企業単独の取り組みだけではおのずと限界もあろうかと思います。

 とすれば、地域が置かれた状況と課題や可能性等を的確に把握し、個々の企業を超えて、地域を挙げた産業施策、雇用施策に取り組む必要があろうかと思いますが、各地域における女性の活躍を推進するために、国はいかなる取り組みを進めようとしておられるのか、この機会にお尋ねをいたします。

 最後に、この法律案は、女性の職業生活における活躍の推進を目指すものですが、現に働いておられる女性や、これから働こうとする女性のみに限らず、さらに多くの女性に対して、そのさまざまな場面における活躍を応援し、仮に不安や障害があれば、それを取り除いていくことも極めて重要かと思われます。

 このような、社会全体の幅広い分野における女性の活躍を推進するために、この法律案に基づく取り組みのほか、政府において果たしてどのような取り組みが行われようとしているのか、有村大臣から御説明をいただければと思います。

 女性が活躍できる社会の実現に向け、従来より一歩踏み込んだ形として、大企業の定める行動計画策定の中での数値目標の設定も含め、計画的な取り組みの実施を求める仕組みを設けたことは一つの前進だと捉えますが、課題は、その実効性を上げ、真に女性が働きやすい、またそれぞれの分野で輝ける社会を築き上げることであります。

 職業生活はもとより、さまざまな場面での女性の活躍が一層進み、真に女性が輝ける社会の実現を期待して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣有村治子君登壇〕

国務大臣(有村治子君) 鈴木淳司議員の御質問にお答え申し上げます。

 本法案の意義や目的等に関するお尋ねがありました。

 働くことは、生活の経済的基盤であるばかりでなく、個人の自己実現にもつながるものと考えており、働きたい人が性別にかかわりなくその能力を十分に発揮することは、多様で活力ある社会づくりのためにも極めて重要です。

 女性一人一人の働くことへの思いはさまざまですが、現在、働けていないけれども働きたいという女性が約三百十五万人いらっしゃるなど、女性の力が必ずしも十分に発揮されているとは言えません。これまでもさまざまな施策を講じてきましたが、さらに一歩踏み込んだ対応が必要と考え、本法案を提出いたしました。

 本法案を通じ、さまざまな形で活躍したいという希望を持った女性が、その希望に応じて、個性と能力を十分に発揮できる社会を実現し、それによって、豊かで活力ある社会の実現につなげていきたいと考えております。

 本法案が対象とする女性の範囲等についてお尋ねがございました。

 本法案が対象とするのは、職業生活を営み、または営もうとする女性です。

 ただし、職業生活を営むか営まないかの選択や、昇進を希望するかしないかの選択は、あくまで女性みずからの意思に基づく主体的な選択によるものであり、例えば、みずからの判断によって主婦として育児等に専念している女性についても、その選択が尊重されなければならないことは当然でございます。

 こうした認識を踏まえ、本法案においては、第一条の目的規定を、「自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍すること」と規定し、本法案全体を通じて、女性のみずからの意思を基礎としております。

 働く場面における女性の活躍のあり方にはさまざまなものがございます。その現実を踏まえ、本法案では、女性の活躍のあり方を型にはめず、例えば、仕事と家庭が両立し得るような多様な勤務形態の整備や退職者の再就職支援の促進など、それぞれの女性の意思に応じた働き方の実現を推進することを目指しております。

 地域における女性の活躍推進に向けた取り組みに関するお尋ねがありました。

 女性の有業者に占める割合や管理職に占める割合などを見ますと、女性の活躍状況は地域によって異なっており、それぞれの地域の実情に応じて、効果的に女性の活躍を推進していくことが重要です。

 そこで、本法案では、第六条において、都道府県及び市町村が、その地域の実情に応じて、都道府県推進計画及び市町村推進計画を策定するよう努めることとし、第二十三条において、女性の活躍推進を行う関係者で構成される協議会の設置も可能としております。

 地域で頑張る女性の皆さんは、元気で豊かな地域社会に不可欠な存在です。女性の皆さんが、地域においても、その個性と能力を十分に発揮し、一層活躍できるよう、地方公共団体を初め関係者の御尽力を望みますし、政府としても支援してまいります。

 社会全体の幅広い分野における、本法律案以外の、女性の活躍推進に関する取り組みについてお尋ねをいただきました。

 安倍内閣が目指しているのは、全ての女性が生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会です。

 女性の置かれた状況は多様であり、おのおのの希望に応じて、女性が個性と能力を十分に発揮することができる社会をつくっていくことが必要です。

 こうした社会の実現のため、今月十日に取りまとめました、すべての女性が輝く政策パッケージに基づき、妊娠、出産、子育て、介護等への支援、女性の登用促進、ワーク・ライフ・バランスの実現、非正規雇用で働く女性の処遇改善、健康支援、母子家庭支援等、さまざまな状況にある女性を応援する施策を推進してまいります。

 また、全ての女性が輝くためには、女性の暮らしの質を高めることが不可欠です。日々の暮らしが穏やかで、より快適、安心、安全なものになるように、女性の暮らしの質を高めるための官民の取り組みについても検討を進めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 鈴木淳司議員にお答えを申し上げます。

 まず、一般事業主行動計画における数値目標の義務づけについてのお尋ねがございました。

 数値目標については、労働政策審議会においても、労使で活発な御議論がありましたが、行動計画の進捗管理や取り組み効果の検証の観点から望ましいと前向きな方向性を出していただきつつ、各社の実情に配慮が必要であるとの取りまとめがなされました。

 こうした議論を踏まえて、目標の内容や水準については、自社の課題の解決にふさわしいものとして各社の判断に委ねるが、行動計画には数値目標の形での記載を求めるという形が、より実効ある制度設計として適切と考えたところでございます。

 御指摘のように、各社の自主性を尊重しつつも、社会全体として着実な前進を図ることのできる枠組みとしたと考えておりまして、これにより、日本の女性の活躍推進を一段と加速化させてまいりたいと考えております。

 次に、一般事業主のすぐれた取り組みの認定などの女性の活躍推進の加速化についてのお尋ねがございました。

 本法案においては、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況等が優良である一般事業主についての認定制度を設けるとともに、認定を受けた事業主等の公共調達における受注機会の増大について規定をしております。

 これらの趣旨は、市場において、認定取得企業が評価、選択されることを通じて、企業の取り組みを促進しようとすることにあります。

 女性が活躍しやすい企業であるほど、競争力を高めることができる社会環境の整備に注力していくことにより、女性の活躍推進をしっかりと加速化させてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次の質疑者、郡和子君。

    〔郡和子君登壇〕

郡和子君 民主党の郡和子です。

 政府提出の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について、民主党・無所属クラブを代表して質問いたします。(拍手)

 安倍総理は、女性が輝く社会を高らかに宣言し、この法案を国会に提出されました。結党以来、男女共同参画社会の実現を訴えてきた我が党としては、大いにエールを送りたいと思います。

 しかし、女性が輝く社会の象徴として、内閣改造で五人の女性閣僚を起用したにもかかわらず、わずか二カ月足らずで、小渕優子経済産業大臣と松島みどり法務大臣が相次いで辞任。

 小渕前経産大臣については、東京地検特捜部の強制捜査まで行われている事態です。

 松島前法務大臣の問題も、法務行政の最高責任者である大臣が、公職選挙法違反が明らかでも、違法ではないと開き直る極めて悪質な問題です。

 名入りの線香セットを選挙区内に配り、議員辞職に追い込まれた小野寺五典議員のケースもあるように、政治家としては非常に重い事案です。にもかかわらず、閣僚辞任会見でも、松島氏には全く反省の色が見られませんでした。

 さらに、山谷えり子国家公安委員長にも大きな問題があります。在日韓国人・朝鮮人を攻撃するヘイトスピーチは、国際社会から強い批判を浴び、国連人種差別撤廃委員会から我が国政府に対し、毅然と対応するよう求められています。山谷大臣は、そのヘイトスピーチを行う在特会との親密な関係を取り沙汰されており、国家公安委員長として不適切だと言わざるを得ません。

 また、高市総務大臣は、ネオナチ団体代表との関係が海外メディアで報道され、大きな物議を醸しました。高市大臣はそれ以前にも、「ヒトラー選挙戦略」という物騒なタイトルの書物に推薦文を寄せたことがありますが、この本も海外から批判を浴び、絶版、回収に追い込まれたそうです。

 そして、本日議題となった女性活躍推進法案の担当である有村女性活躍担当大臣についても、脱税企業から献金を受けていたことが判明しました。有村大臣は、献金を受けたときはその企業は脱税をしていなかったし、事件発生後東京では報道されなかったので、自分が知ることはできなかったと述べて、責任はないと強調しましたが、国民の皆さんはそれで納得できたでしょうか。

 閣僚だけではありません。稲田政調会長は、高市大臣とともに、ネオナチ団体との関係が取り沙汰され、また、片山さつき参議院外交防衛委員長は、我が党を事実無根の話で誹謗中傷した上、政府から答弁要領を事前に入手し議事を進行するという、委員長として著しく中立性、公正を欠く前代未聞の行為を行いました。

 まさに、安倍政権の女性議員の活躍ぶりは、枚挙にいとまがありません。

 伊吹議長は、単に女性であるから、能力の有無にかかわらずポストをつけるというパフォーマンスだけは避けねばなりませんと述べています。

 女性が活躍する社会を売り物にする安倍総理の金看板は、メッキが剥げてしまいました。信頼回復を図るよう、厳正、適正な対応を強く求めます。

 さて、民主党は、これまで一貫して、シングルマザー、介護や育児と仕事との両立に奮闘している女性たちなど、あらゆる女性の活躍を支援し、男女問わずワーク・ライフ・バランスを保ち、人が人らしく生活できる男女共同参画社会の実現を目指し、真摯に考え実行してまいりました。

 この観点から、政府提出の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案に対し質問いたします。

 本法案は、安倍総理が大声を上げていた、二〇二〇年に指導的地位に占める女性の割合三〇%に言及はなく、これといった中身のない、あるのは法案名に女性活躍が入っているだけという空っぽ法案です。

 いわゆる大企業と言われる民間の事業主に法的に作成を義務づける行動計画では、必須項目が四つ。数値目標の設定に際しては、任意項目をプラスし、そのうちの一つの数値目標を設定すればよし。しかも、目標達成については、国及び地方公共団体には努力義務が課されているものの、民間では言及されておりません。

 目標を設定しながら達成を促さないというのは、一体どういうことなのでしょうか。

 安倍政権は、女性活躍と大声で叫びながら、なぜこのような空っぽの法案を出したのでしょうか。有村大臣、御説明ください。

 また、本気で女性活躍を推進したいと考えるのであれば、せめて一般事業主にも、行動計画の目標達成の努力義務を課したらいかがでしょうか。お答えください。

 この法案で一番危惧するのは、女性をいいように利用し、低賃金で大活躍という構図になるのではないかという点です。非正規の七割が女性。男女の賃金格差は依然およそ十対七。男女間、非正規、正規雇用の賃金格差の解消なくして女性の活躍はあり得ません。

 この点、法案では直接規定せず、肝心かなめの点は、今後、労政審で審議、厚生労働省令で決めるとのこと。これでは、本法案を制定する意味がなくなってしまいます。

 男女間、非正規雇用、正規雇用間の賃金格差解消に対して、低賃金で活躍にならないために、この法案ではどのように手当てされていますか。塩崎大臣、具体的にお答えください。

 今や、家庭のあり方は多様化し、それぞれの形で皆さんが一生懸命生活をしています。本法案では、「家族を構成する男女」という表現が出てきますが、シングルマザーや、両親を介護しながら働く未婚女性などに対して余りに配慮がないと感じます。

 よもや、この法案が想定するのは、正社員の夫と子供を持つ正社員の妻だけなどということはないと思いますが、念のため確認をいたします。法文の「家族を構成する男女」に込められた安倍政権の思いとは何なのでしょうか。

 働いている、あるいは働こうとしている全ての女性を対象にしているというならば、法文から「家族を構成する男女」を削除したらいかがでしょうか。有村大臣の御所見を伺います。

 現在審議されている労働者派遣法で、政府は、正社員になりたくてもなれない女性をふやす改正を進めています。輝く女性と全く整合性がとれません。

 口ではきれいごとを言いながら、実際には女性をおとしめる政策を進めているのではないでしょうか。塩崎大臣の御所見を伺います。

 以上のことを十分に踏まえ、ワーク・ライフ・バランスを保ち、男女共同参画社会が実現し、女性の活躍を阻害するあらゆる法制度、慣行、意識が是正されていくよう強く求め、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣有村治子君登壇〕

国務大臣(有村治子君) 郡和子議員の御質問にお答え申し上げます。

 本法案の実効性に関するお尋ねがありました。

 数値目標に関しては、女性の活躍に向けての課題の状況は、業種により、また事業主によって多種多様であることから、一律の項目の設定を義務づけるのではなく、状況把握、課題分析の結果を踏まえ、各事業主の課題解決を図るためにふさわしい項目を設定していただくことといたしました。

 各事業主がどのような数値目標をいかに選定するかは、まさに経営判断の一環であり、策定した計画が公表されることからも、適切な数値目標が選定され、目標達成に向けた努力がなされることが期待されます。

 なお、公的部門については、目標達成の定期的フォローアップを義務づける一方、民間事業主については、事業主からの申請により、取り組み状況を国が認定する仕組みを設けることで、各企業の戦略的な取り組みを促すことにいたしました。

 「家族を構成する男女」という規定についてお尋ねがありました。

 本法案は、母子家庭のお母さんや独身の方などを含め、職業生活を営み、または営もうとする全ての女性を対象としております。

 「家族を構成する男女」との表現は、平成十一年に成立した男女共同参画社会基本法の基本理念の規定から引いてきております。

 この表現は、女性の活躍のためには、男性についても、働き方や意識の改革が重要であるという趣旨であり、施策や取り組みの対象を限定するものではございません。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 郡和子議員にお答えを申し上げます。

 まず、法案における賃金格差解消への対応についてのお尋ねを頂戴いたしました。

 我が国の一般労働者の中での男女間賃金格差の要因を見ますと、女性の登用が進んでいないことや、勤続年数が男性に比べて短いことが大きな影響を与えております。

 この法案では、一般労働者の男女間賃金格差の最も大きな原因である管理職に占める女性割合や勤続年数の男女差について、状況把握、分析を行い、課題解決に向けた目標や取り組みを盛り込んだ行動計画を策定するよう求めることとしております。

 また、企業が行動計画を策定する際に踏まえることとなる行動計画策定指針においても、非正規雇用から正規雇用への転換に関する取り組み等について盛り込む方向で考えており、これらの枠組みを通じ、女性の活躍推進を加速化させることにより、男女労働者間の賃金格差の縮小につなげてまいります。

 次に、女性の活躍促進と労働者派遣法改正案の関係についてのお尋ねがございました。

 働き方が多様化する中で、みずから望んで派遣という雇用形態を選択する方もあり、育児などで仕事から離れていた方が、職場復帰のステップとして、まず派遣という形で仕事を得る場合もあります。

 他方、派遣労働という働き方には、キャリア形成等の面で課題があることから、今回の労働者派遣法改正案では、派遣会社に対し、計画的な教育訓練を義務づけるとともに、均衡待遇に関する責務を強化する等、派遣労働者の雇用の安定や処遇の改善を図るための新たな仕組みを設けることとしております。

 今回の改正等を通じて、非正規雇用を選択している女性も含め、全ての女性が輝く社会づくりを進めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、次の質疑者、上西小百合君。

    〔上西小百合君登壇〕

上西小百合君 維新の党の上西小百合です。

 維新の党を代表して、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問させていただきます。(拍手)

 日本は世界第百四位。この報道をじくじたる思いで耳にされた国民は多かったと思います。日本はあらゆる分野で世界上位国を自任している中で、去る二十八日、ダボス会議主催者でもある世界経済フォーラムが発表した世界各国のジェンダーフリーを示した指数で、残念なことに、日本は世界第百四位と報道されました。しかも、わずか百四十二カ国の中だけでの評価でしかありませんし、G7の中では堂々最下位のおまけつき。

 日本の男女格差解消の流れは、世界水準ではまだまだ発展途上国であり、その低ランクの要因は、「政治への参加」が百二十九位、「職場への進出」が百二位にとどまっているからだというのですから、事態は深刻です。

 このたび、指導的地位に女性が占める割合の政府目標は三〇%以上とされていますが、その根拠は何なのでしょうか。そして、その目標は、今回の法案が成立すれば達成できるのでしょうか。また、仮に指導的地位の女性の比率が三〇%以上になるとどういう社会になり、そして世界でどのくらいの位置になることを想定されているのでしょうか。有村女性活躍担当大臣よりお聞かせください。

 次に、先日の参議院予算委員会で、有村大臣は、御著書から、共働きの両親の子供は数十年後におかしくなるとのニュアンスが読み取れるとの指摘を全面的に否定され、主婦が働くことで夜遅くまで預けられる子供がふえ、社会を殺伐とさせると主張している団体の副会長をされている点の追及には、それは団体の主張で私の考えと一致するわけではないと強く反論されましたが、随所で伺う有村大臣の育児観、家庭観からは、結婚イコール嫁入り、文字どおり女が家に入ること、赤ちゃんは母親と肌を離さず育てるべきだといった儒教思想や家長制度論に近いものを感じてしまいます。

 古きよき日本の家族観をお持ちであることも、それはそれで評価されることも多いと思いますが、歴代大臣の中には、この本会議場で平然と、男尊女卑思想を披露される方もたくさんいらっしゃいました。

 そのような家族観でこのたびの法案の成果を期待するのはいささか疑問がございますし、また、御自身の思想信条と多少なりとも異なる団体の役員に就任される点も、多くの国民からすれば全く理解できません。日本女性の会の役員に就任された経緯と現況と、女性は家庭を守るべきという日本会議の伝統的な家長主義の家族観、結婚観に対する有村大臣の御所見からお伺いしたいと思います。

 私は、昭和五十八年四月に生まれました。その数日前には東京ディズニーランドがオープンし、テレビでは朝ドラ「おしん」が大流行していたそうですが、私が物心ついたころには、パソコン等のOA機器も普及しつつあり、女性の短大、大学進学率は高まり、社会進出も大幅に膨らんでいました。

 男女差別をなくすため、いわゆる男女雇用機会均等法で、かつての営業マンが営業職、看護婦が看護師と呼ばれるような変化もございましたが、男女が平等になった分、弊害も出ており、以前には想像できなかった女性の深夜残業や公共交通機関の運転士、車掌としての深夜勤務を、女性であっても拒否できないので、就職を断念したり退職したという話も伺います。

 その一例を述べさせていただきます。

 長年、私の地元大阪で、住民に親しまれ、利用されていたワンコインと呼ばれる格安タクシーが、ことし施行されたタクシー特措法の、憲法の自由競争の原則を無視した規制強化法案により姿を消してしまいました。施行理由は、低賃金で運転手の生活が成り立たず、格安運行では乗客の安全性が担保できないというものでしたが、実際には、タクシー業者自体は結構な利潤を出しており、白書を見ても業界の景気は上々で、利益を会社が社員に還元していないだけであり、価格が安いから安全性に乏しいなどというのであれば、航空業界のLCC等の存在を認めることができなくなるという非常に矛盾のある法案でございました。

 加えて、ここでタクシー業界の社員の労働形態に注目しますと、格安業者は、一人のドライバーが一台の車を預かり乗車をし、最低でも月に二十四日前後働けるのに対し、規制強化の業者は、一台のタクシーを数名で交代乗車していますので、一人当たり、月に最高でも十九日前後しか働けないので、手取りが少なくなります。タクシードライバーになる以上は、雇用機会均等法の趣旨に鑑み、真夜中を含む深夜や早朝勤務も、女性だからといって断りづらい、拒みづらいということがあり、思うように女性のドライバー数がふえないのが現状であります。

 このような皆様のために今回の法律案が立案されたのだと思いますが、従業員三百名を超えるタクシー会社はそうそうあるものではありません。ですから、当然、各社の努力目標で終わってしまい、悪く言えば、絵に描いた餅にすぎなくなる懸念がございます。

 また、男女の壁を外したがために、働きたい職種に応募できない女性が増しているパラドックスを国はどうお考えなのか、厚生労働大臣の御所見をお聞かせください。

 また、るる述べてまいりましたように、タクシー特措法の改悪は、乗りたいタクシーに乗る国民、消費者の選択の自由を奪い、そして、営業努力で採算が十分とれる範疇での格安サービスをする業者から、憲法で認められた営業の自由を奪うなど、早くも不都合が露見し続けていますが、国土交通大臣の御所見をお聞かせください。

 国会議員はもちろん、地方議員にも首長にも、そしていろいろな役員にも、まだまだ女性の占める割合は低いというのが現実です。北欧の成功例をもとに、定員の一定割合を女性に割り当てるクオータ制の導入を主張される方が近時急速にふえたように思いますし、第二次安倍内閣では、女性の活躍をアピールするかのように、五人もの女性閣僚を登用されました。しかし、結局は、うちお二方が辞任に追い込まれました。

 女性登用の数だけをふやして表面だけパフォーマンスをしても、大臣の仕事をしっかりこなすことができなければ意味がありませんので、女性の特別扱いと女性の重用の違いをしっかりと認識し、中身を重視していただきたいと思います。

 今回、こうした問題が発生したのは、女性政治家の裾野が広がっておらず、人材が不足しているからで、実質的な解決ができていなかったからだと言われていますし、本来なら、男性議員の中でより大臣にふさわしい方がいたとやゆする声も聞かれました。

 私も女性議員の一人として改めて精進を誓うものではありますが、有村大臣は、さまざまな分野にクオータ制を導入すること、特に議員定数に導入することをどのようにお考えでしょうか。クオータ制を含めて、女性の政治への進出を後押しするために、どのような見解をお持ちでしょうか。お聞かせください。

 また、閣僚ポストと同様に、社内で女性の管理職がふえれば、男性のポストは減ることになるので、男性にとっては受け入れにくい面も出てくると思います。

 日本の年功序列、長年勤めていれば管理職につけることを期待し、こつこつと頑張ってきた男性からすれば、女性の登用により、その機会を急に失うことになるわけです。それに対して、訴訟を含むトラブルや不平不満が起きることも想定されますが、そうしたケースは想定されていますか。そうだとすれば、どのように対応されますか。有村大臣にお尋ねいたします。

 今回の法案は、女性採用数や管理職登用など、数値目標の策定を大企業に義務づけるものですが、数値目標だけがひとり歩きし、目標実現のために企業の職場環境が悪くなるのでは意味がありません。

 法案の目的には、女性の職業生活における活躍を推進すると同時に、職業生活と家庭生活との両立を可能にすると明記されていますが、法案で義務化しようとしている事業主行動計画では、女性採用比率や女性管理職比率の目標を定めるとしており、職業生活における活躍の数値目標が強調される一方で、大切な子育て、介護などの家庭生活との両立についての施策が見えてきません。

 職場で地位を与えられ、活躍できるようになったからといって、家庭が犠牲になってしまえば、これも意味がありません。男性社員が、家庭を犠牲にして仕事に打ち込まなければ、なかなか実績を上げることは難しいというのが現実で、この両立というのは非常に難しい課題であります。仕事と家庭の両立を図る上でどのような施策、支援を考えているのでしょうか。お聞かせください。

 女性の職場での活躍のためには、やはり男性の理解と協力が欠かせないと思います。女性が職場で輝くためには、男性がもっと家庭で輝いてもらうことも重要です。男性社員の育児休暇、労働時間短縮、在宅勤務など、職場サイドからの仕組みづくりも重要ですが、男性が職場以外の場でもっと活躍できる環境をつくっていくなど、社会全体の取り組みが必要だと考えます。

 男性の家事や子育て参加、社会全体での意識改革について、御見解をお聞かせください。

 また、本法案では、各企業がつくった事業主行動計画に基づいて実施したすぐれた取り組みを認定し、公共調達などで優遇するとしていますが、その優遇を受けたいがために、企業が無理な目標、努力をし、かえって職場環境が悪化するということがあってはなりません。

 どういう価値観や基準に基づき、すぐれた取り組みと認定するのでしょうか。また、その後のフォローアップをどのようにしていくのでしょうか。政府の御見解をお聞かせください。

 また、国や地方の自治体においても、事業主行動計画の策定を義務づけることになるわけですが、計画をつくったけれどもできませんでしたでは、模範となる公共部門は済まされないと思います。目標が達成できなかったとき、模範となるべき国や自治体はどのように責任をとるのでしょうか。また、ペナルティーなどを想定されているのでしょうか。

 本法案は、女性の職場での昇進を一つ挙げていますが、働く女性の意識調査などにおいて、全ての女性が、必ずしもキャリアアップを望んでいるわけではないという現状もあります。

 法案の中には、女性にキャリア意識を持ってもらう啓発活動の実施なども盛り込まれていますが、自分の価値観やライフスタイルに合った仕事をしたいという女性も多くいます。この法案の施行で、キャリア志向の高い女性だけが尊重され、管理職への昇進を余り望まない社員が職場で窮屈な状況になってしまうことも予想されますが、多様な価値観を認め合う中で、どのようにバランスをとっていこうとお考えでしょうか。

 まだまだお伺いしたいことは多々ございますが、以上の点につきまして、具体的な、中身のある御答弁を真摯にいただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣有村治子君登壇〕

国務大臣(有村治子君) 上西小百合議員の御質問にお答えいたします。

 指導的地位に女性が占める割合についてのお尋ねがありました。

 二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合を三〇%とするとの目標は、平成二年の国連のナイロビ将来戦略勧告を踏まえ、これまでの政府決定で定められております。

 指導的地位への女性の参画が進むことにより、政策決定過程に多様な視点、新たな発想が取り入れられることなどを通じ、活力ある経済、社会につながることが期待されます。欧米の多くの国で、管理職に占める女性の割合は三〇%台となっており、政府目標を達成すれば、これと同水準になります。

 本法案では、各事業主に行動計画の策定を促しており、本法案に基づく各主体の積極的な取り組みが、目標実現の大きな推進力となります。

 本法案を含めたあらゆる手段を講じて、その実現に向けて全力を尽くしてまいります。

 日本女性の会等についてお尋ねがありました。

 御指摘の日本女性の会については、平成十三年に、先方からの御依頼があり、ボランティアで副会長をお引き受けいたしましたが、今回の大臣就任に伴い、公務以外の役職の退任をすべきということで、退任の手続をとっております。

 国務大臣として、特定の団体の主義主張についての見解を述べるのは、差し控えさせていただきます。

 クオータ制についてのお尋ねがありました。

 政治分野における女性の参画は、多様な民意の反映という観点から非常に重要であり、政府としては、各政党における自主的な取り組みがさらに進むよう、働きかけを進めてまいります。

 ただし、法令により、各種議員定数に一定の人数、比率などの割り当てをする強制的なクオータ制については、目的と手段のバランスの妥当性や、男性に与える過度の負担といった観点から、慎重な検討が必要と考えます。

 女性の登用によるトラブルや不公平、不満に関するお尋ねがありました。

 人材の登用は、各事業主の経営判断により、性別にかかわらず、意欲と能力に応じて、適材適所で適切に行われるものと考えます。

 仕事と家庭の両立支援に関するお尋ねがありました。

 女性の職業生活における活躍の推進のためには、仕事と家庭の両立に向けた環境整備が不可欠であり、例えば、厚生労働省では、育児・介護休業法の着実な施行や助成金の支給などの取り組みを行っています。

 こうした両立支援の施策も有効に活用しつつ、今後、本法案に基づく事業主行動計画策定指針において、継続就業に関する取り組みや長時間労働の是正など、働き方の改革に向けた取り組み等を定め、さらに支援を充実いたします。

 男性の家事や子育て参加、社会全体での意識改革についてお尋ねがありました。

 委員御指摘のとおり、女性の活躍を推進するためには、家事、育児に男女がともに携わることが重要です。

 しかしながら、長時間労働や休暇のとりにくさなどから、家事、育児を行う男性はまだまだ少なく、例えば共働き世帯でも、六歳未満の子供を持つ男性のうち約八割が全く家事を行わず、約七割が全く育児を行っていないなど、男性の家事、育児への参画はいまだ十分とは言えない状況です。

 去る十月十日に取りまとめた、すべての女性が輝く政策パッケージにおいても、男性の家事、子育てへの参画促進、男性の意識と職場風土の改革などに関する取り組みを盛り込んだところであり、部下の家事、子育てへの参画に配慮ができる上司を評価するなど、さまざまな取り組みを進めてまいります。

 国や地方公共団体の目標達成に関するお尋ねがありました。

 国や地方公共団体は、公的部門として、民間の模範となるべき存在であると考えております。このため、本法案第十五条第七項において、事業主行動計画に定められた目標を達成するよう努めなければならないこととしております。

 目標が達成できなかった際のペナルティーはありませんが、本法案第十五条第六項に基づき、国や地方公共団体は、毎年少なくとも一回、取り組みの実施の状況を公表することになります。これにより、目標の達成状況も含め、国民の皆様に明らかにしてまいります。

 政府として、目標達成に向けて、みずから定めた計画を着実に実施するのは当然のことであり、また、地方公共団体に対しても、国とともに率先垂範していただけますよう働きかけてまいります。

 女性のキャリアについての多様な価値観に関するお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、家庭の事情などで昇進を望まない場合など、女性の置かれている状況やその希望は多種多様でございます。働き方を選択する際は、その方の意思が尊重されるべきと考えます。

 このため、本法案は、第一条「目的」において、みずからの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性を対象とすることを明確にし、第二条第三項「基本原則」において、「女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならない。」と規定しております。

 これらを踏まえ、各事業主がつくる行動計画に、勤務形態の多様化が記載されることなども促していきたいと存じます。

 委員は、結婚イコール嫁入り、結婚は文字どおり女が家に入ること等があたかも私の結婚観であるかのようにおっしゃいましたけれども、そのようなことを口にしたことはありません。私がそもそも専業主婦として家にフルフル入っている状況ではないのに、そのような価値を人様に強いることなどできようはずもありません。著書は出したこともありません。引用される場合は、どうか的確に引用をしていただきたいと存じます。

 女性がどのような生き方を選択しても、それぞれが尊重されることが大事なことだと心得ております。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 上西小百合議員にお答えを申し上げます。

 まず、女性の深夜業と法案の行動計画の策定義務についてお尋ねがございました。

 御指摘の女性の深夜業につきましては、男女の雇用機会の均等を確保するため、平成十一年四月に解禁したものでございます。女性の活躍推進については、こうした職域拡大などキャリア形成を後押しするための取り組みと、仕事と家庭の両立支援を車の両輪としてこれまで進めてきました。

 今回の法案では、事業主行動計画の策定のための事務負担を考慮して、中小事業主は、計画策定を努力義務としております。

 一方、法案では、企業規模を問わず、取り組みの実施状況が優良な事業主を国が認定する仕組みを設けるなど、事業主への支援もあわせて行ってまいります。

 こうした支援を通じ、中小企業を含めた社会全体で、女性が働きやすい職場づくりが一層進むことを期待しております。

 次に、本法案の認定制度についてのお尋ねがございました。

 本法案で規定する認定制度の趣旨は、市場において、認定取得企業が評価、選択されることを通じて、企業の取り組みを促進しようとすることにあります。

 認定の基準を定めるに当たっては、女性の活躍状況の水準や、計画期間に達成された成果の進展度合いなどについて評価できるようにするとともに、業種、企業規模の実態に応じて、その努力を適正に評価することが大切であると考えており、具体的な内容については、今後、労働政策審議会においてさらに検討を行ってまいります。

 また、計画策定後は、各企業において適切にフォローアップしていただくとともに、例えば、基準に適合しなくなった企業等については認定を取り消すなどの対応を行ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 改正タクシー特措法についてお尋ねがございました。

 タクシーについては、平成十四年の規制緩和以降、サービスの多様化等の一定の成果が見られました。しかしながら、その後、景気低迷による需要の落ち込み等により、多くの地域で供給過剰の状態となりました。現在においても、その解消が十分に進んでいない状況にございます。

 また、タクシー事業においては、運転者の賃金が歩合制であることが一般的です。これを背景に、供給過剰のもとでは過度な運賃値下げ競争が発生しやすく、労働環境の悪化や安全性やサービスの低下につながる傾向が強いとの特性があります。

 議員立法による今般のタクシー特措法の改正は、こうした状況を踏まえて行われたものと承知しております。規制緩和の方針は堅持しつつ、供給過剰や過度な運賃値下げ競争による弊害等が発生している地域のみを対象として、期間を限定して、必要な措置を講ずることとしたものと認識をしております。

 国土交通省といたしましては、改正タクシー特措法の適切な運用を通じて、タクシーが利用者にとってさらに安全で、安心して利用できる交通機関となるよう取り組んでまいります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次に、高木美智代さん。

    〔高木美智代君登壇〕

高木美智代君 公明党の高木美智代です。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問いたします。(拍手)

 少子高齢社会の進展に伴い、企業においても、大量生産という量から多様なニーズに応える質への転換が図られ、新しい需要を掘り起こすイノベーションなくして勝ち残れない時代となりました。

 女性の力を大いに活用し、生活に根差した視点を生かすことが、より重要になってきています。我が国の未来は、女性の活躍にかかっていると言っても過言ではありません。

 既に政府においては、十月三日、総理を本部長とする、すべての女性が輝く社会づくり本部を設置し、十月十日には、すべての女性が輝く政策パッケージを発表しました。その中の「企業等における女性の活躍の迅速かつ重点的な推進」について提出されたのが、本法案であります。

 さきに公明党は、本年五月、女性の元気応援プランを総理に提言しました。解決の知恵は現場にあるとの信念で、党所属の全議員の約三割に当たる女性議員が力を合わせ、女性が新たな担い手として活躍している学術研究、農林水産業、土木などの現場に足を運び、聞き取り調査をするなどしてまとめたものです。

 有村女性活躍担当大臣におかれては、この提言内容をどのように受けとめていただいているか、まず御認識を伺います。

 また、先般発表された政策パッケージでは欠けている視点もあり、今後、技能労働者や技術者などを育成、雇用するプランの策定、女性研究者への支援など、さらに踏み込んだ第二弾が必要と考えますが、有村大臣の御見解を伺います。

 マタニティーハラスメントについて伺います。

 今月二十三日、病院で働いていた女性が、妊娠を理由に降格させられたのは不当だと訴えた裁判の判決で、最高裁判所は、妊娠や出産を理由にした降格は原則違法で無効だという初めての判断を示しました。

 本来、働く女性が、妊娠、出産を理由に解雇されたり、退職を勧められたり、心ない言葉を受けたりするマタニティーハラスメントは、法律上禁止されています。しかしながら、ある調査によれば、およそ四人に一人が被害を受けたと答えており、横行している実態が明らかとなっております。

 本法案では、国、地方自治体、企業に対して、女性の活躍推進に関する行動計画の策定を義務づけておりますが、政府が指針を定める際に、マタハラ防止対策を盛り込むことも必要ではないでしょうか。

 政府は直ちに、現場の実情を把握し、その防止に力を入れるべきであると考えますが、塩崎厚生労働大臣の答弁を求めます。

 女性の就労継続に何が必要かを聞いた調査では、子育てしながら働き続けられる制度や職場環境と答えた女性は八割を超え、勤務時間が柔軟であることとした女性は六割に上ります。

 必要とされているのは、女性が働きやすい環境をつくり上げることであり、育児や介護の休暇を取得しやすい職場の雰囲気が求められているのです。介護離職が近年、男性にとっても深刻な問題となっており、女性が働きやすい職場は、実は男性にとっても働きやすい職場であると言えます。

 特に、長時間労働の是正など、働き方の改革は急務の課題ですが、依然として七割強の企業で取り組まれていません。長時間労働は生産性を低くする原因でもあり、今後どのように長時間労働の是正を促していくのか、塩崎大臣の御見解を伺います。

 女性の登用について伺います。

 政府は、二〇二〇年までに、指導的地位に占める女性の割合を三〇%にするとの目標を掲げていますが、現実は、目標にほど遠い状況にあります。

 女性管理職が少ない理由としては、第一に、総合職の採用自体、女性の方が少ない。コース別雇用管理を行っている企業における総合職採用の男女比率は、男性の競争率十七倍に対し、女性は六十三倍と、明らかに女性の方が狭き門となっています。

 第二に、知識や経験を持つ女性がいない。第三に、在職年数などの条件を満たしていない。この第二と第三の理由は、勤続年数の男女格差が反映していると思われます。ほとんどの女性が役職者になる前に、育児や介護などの理由で退職するからです。

 また、入社後の配置、教育訓練などに関して男女差があることも否定できません。安定的に就労継続ができなければ、退職により役職対象者が減少するのは当然のことではないでしょうか。

 このような悪循環を抜本的に見直す必要があります。

 レーバー、労働者からリーダーへ。女性を単なるレーバー、労働者で終わらせてしまうのではなく、リーダーに育て、登用していくところに、日本の国や企業の発展もあると考えます。

 本法案において、その対応策はどのようになっているのか、有村大臣の答弁を求めます。

 また、出産、子育てのために一旦退職した女性が再就職しようとしても、正社員への壁は高く、パート、アルバイトなどの非正規が大半です。研修やマッチングなど、きめ細かな一貫した支援が必要と考えますが、女性の潜在力を掘り起こすための具体策をどのように考えているのか、政府の答弁を求めます。

 女性の活躍による効果について伺います。

 ある調査では、人材活用の観点から、育児・介護支援や柔軟な職場環境推進に取り組む企業は、何もしない企業に比べ生産性が二倍以上高く、女性だけに特化した支援策を講じる企業は、生産性等に結果を生んでいない、男性も含めたワーク・ライフ・バランスのための取り組みが必要であるとの報告があります。

 また、勤続年数の男女格差が小さい企業、再雇用制度がある企業、管理職比率が高い企業の方が、利益率が高い傾向が見られるとの調査報告もあります。

 本法案により、国、自治体、事業者に自主目標の設定義務が課され、取り組みの結果が期待されるところですが、企業が法にのっとって取り組みを進め、施策の実効性を高めるためには、女性の活躍がどのような効果をもたらすのか、また、その経済効果について、政府において試算を行い、提示すべきと考えます。さらに、業界別に取り組みの具体例などを提供する必要もあるのではないでしょうか。

 政府として、女性の活躍効果をアピールするために今後どのように取り組まれるのか、有村大臣の答弁を求めます。

 今月二十五日、日韓・韓日議員連盟合同総会がソウルで行われ、新たに発足した女性委員会で、仕事と家庭の両立に向けた女性の継続就労をテーマに活発な議論が行われました。

 M字カーブはOECD諸国の中で日韓両国のみに残る状況となっています。また、出産、育児のために一旦離職した女性が再就職する際は、パートなどの非正規雇用を選択せざるを得ないなど、課題は驚くほど共通しています。

 しかし、異なる点は、韓国は既に我が国よりも先進的な取り組みが導入されており、国会におけるクオータ制により、女性議員は一六%を占め、我が国の一〇・八%と大きな開きとなっています。また、企業に女性の活用を促す法律や制度も、本法案と同様の措置を二〇〇六年から実施し、既に効果を上げつつあるという点でした。

 両国間の議論の結論は、ワーク・ライフ・バランスへの取り組みが不可欠であり、女性の問題は男性の問題、企業の文化まで変える必要があるということでした。

 日本における今後の取り組みについて、有村大臣の御決意を伺います。

 最後に一言申し上げます。

 世界経済フォーラムが今月二十八日に発表した、各国の男女格差の少なさを指数化したランキングにおいて、世界百四十二カ国中、日本は百四位、G7では最下位でした。女性議員の少なさや上場企業の役員に占める女性比率の低さが足を引っ張ったと指摘されています。

 女性の活躍推進は、まさに国の命題であります。女性の活躍を加速化させる取り組みが実を結ぶよう、政府を挙げて推進していただくことを切に願いまして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣有村治子君登壇〕

国務大臣(有村治子君) 高木美智代議員の御質問にお答えいたします。

 公明党の女性の元気応援プランについてお尋ねがございました。

 本年五月、公明党より、女性の元気応援プランを御提言いただきました。同プランは、公明党の女性議員全員がヒアリングや現場を視察してまとめられたとのことで、御党の強みである現場力と女性の視点が生かされた、具体的で力強い御提言であると拝読をさせていただきました。中心的に取りまとめられた高木委員の御貢献に心からの敬意を申し上げる次第でございます。

 その目指しているところは、全ての女性が生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会の実現であると認識をしております。

 こうした社会の実現のため、ただいま議題となっております女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案を提出させていただきました。

 さらに、今月十日に取りまとめた、すべての女性が輝く政策パッケージに基づいて、妊娠、出産、子育て、介護への支援、女性の登用促進、ワーク・ライフ・バランスの実現、非正規雇用で働く女性の処遇改善、健康支援、母子家庭の支援等、さまざまな状況にある女性を応援する施策を推進してまいります。

 女性研究者などの支援についてお尋ねをいただきました。

 安倍内閣は、日本再興戦略やすべての女性が輝く政策パッケージに基づいて、女性研究者等を支援しております。

 具体的には、女性研究者が仕事と家庭を両立できるような働きやすい環境づくりを進めるとともに、研究機関における女性研究者の採用、登用を促進いたします。

 まずは、これらの施策を通じて女性研究者等の活躍を促し、その能力が発揮されるよう取り組んでまいります。

 女性登用に向けた対応策に関するお尋ねをいただきました。

 女性管理職が少ない理由としては、まず採用が少ないこと、働く女性の約六割が第一子出産を機に退職することなどが挙げられます。これを改善するためには、委員御指摘のとおり、ロールモデルとなり得るようなリーダーの育成が重要だと私も考えます。

 このため、本法案では、女性の採用、教育訓練、昇進などの機会の積極的な提供、仕事と育児の両立を基本原則として定めた上で、採用、配置、昇進など、職業生活の各ステージに関する状況を把握し、課題を分析して、幹部への育成策などの行動計画を策定することを事業主に求めており、この取り組みを通じて、女性リーダーの計画的な育成が進むものと考えております。

 出産、子育て後の再就職支援についてお尋ねをいただきました。

 御指摘のとおり、出産や子育てで離職した女性の再就職は、パート等の非正規雇用が多くなっています。

 このため、正社員として再就職をしたい女性への支援、望まない非正規雇用で働いている女性の処遇改善など、さまざまな状況に応じた支援を行うことが重要だと認識をしております。

 先般取りまとめました、すべての女性が輝く政策パッケージに基づいて、家事、子育てなどの経験を生かした再就職支援や、非正規雇用で働く方々の正社員への転換の促進などについて、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと存じます。

 女性の活躍の効果に関するお尋ねをいただきました。

 御指摘のように、企業にとって、女性の活躍が経営上のメリットとなることを御理解いただき、その主体的な取り組みを促すことは極めて大事な観点だと思っております。

 本法案に基づき国が策定する基本方針では、女性の活躍が推進されることによる効果について、わかりやすくお示しいたします。

 また、役員や管理職に女性を登用した実績や情報の開示がすぐれている企業を表彰し、好事例、いわゆるベストプラクティスを広く発信していきたいと考えております。

 今後とも、こうした取り組みを通じて、女性の活躍により得られる効果を周知し、企業が経営戦略としても主体的に女性の活躍を推進していただけるよう取り組んでまいります。

 ワーク・ライフ・バランスの推進についてお尋ねがありました。

 女性の活躍を推進するためには、男女がともに仕事と家庭等を両立できる環境整備が喫緊の課題だと認識をしております。多様で柔軟な働き方の推進や働き方の改革等、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた取り組みを進めていきたいと思っております。

 今回のパッケージでも、長時間労働の抑制を初めとした働き方改革、男性の家事、子育てへの参画促進、男性の意識と職場風土の改革に関する取り組みなどを一つの柱立てにして、これからも進めていきたいと考えております。

 また、委員おっしゃるように、長時間労働への対応は、本法案の目的を達成するためにも重要なテーマの一つであると考えております。長時間労働への対応について、具体的な成果を得るように努めてまいりたいと存じます。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 高木美智代議員にお答えを申し上げます。

 まず、いわゆるマタニティーハラスメントについてのお尋ねがございました。

 妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いは、男女雇用機会均等法等に違反するものとして、決して許されるものではなく、法に違反する企業に対しては、迅速かつ厳正な是正指導を引き続きしっかりと行ってまいります。

 一方、議員御指摘のとおり、そうした事態が起こらないための防止に向けて、これまで以上に力を入れていく必要があると考えており、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの背景となるような職場風土の改革について、新法に基づく行動計画策定指針に盛り込む方向で検討したいと考えております。

 さらに、現場の実態把握についても、どのような形での把握ができるのか、御指摘を踏まえ、しっかりと検討し、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いが起こらないような社会の実現に向け、取り組んでまいりたいと思います。

 次に、長時間労働の是正などの働き方の改革についてのお尋ねがございました。

 男女がともに、子育て、介護等と仕事を両立しながら生き生きと働いていくためには、長時間労働の是正が重要であると考えております。

 このため、十一月に、著しい過重労働等が認められる事業場への重点監督を行うとともに、働き方の見直しに意欲的に取り組む企業の事例を収集した上で周知し、あわせて、職場意識改善助成金等による業務の効率化への支援にも取り組んでまいります。

 同時に、労働政策審議会において、長時間労働の抑制等に向けた労使の自主的取り組みを促進するための方策について検討しており、こうした検討を通じて、生産性の高い働き方の実現を目指してまいります。

 次に、出産、子育てで退職した女性への再就職支援に関するお尋ねがございました。

 我が国では、第一子出産を機に、約六割の女性が退職する状況にありますけれども、一旦退職した女性であっても、希望に応じ、再びその力を最大限に発揮していただけるような社会の構築が必要と考えております。

 このため、離職した女性の再就職支援や、非正規雇用から正社員への転換支援を引き続き推進するとともに、新法に基づき、企業が行動計画を策定する際に踏まえることとなる行動計画策定指針においても、パート等から正規雇用への転換に関する取り組みや、女性の再雇用や中途採用に関する取り組み等を盛り込む方向で考えております。

 こうした取り組みにより、出産、子育て等で退職した女性を含め、全ての女性が、その個性と能力を生かしていただける社会の実現に努めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次に、杉田水脈さん。

    〔杉田水脈君登壇〕

杉田水脈君 次世代の党の杉田水脈です。

 私は、党を代表し、内閣提出の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問いたします。(拍手)

 総理は、所信の中で、女性が輝く社会を目指すと力強くおっしゃいましたが、その内容は、待機児童ゼロ、子育て支援員など、今まで少子化対策として行ってきたことを女性施策に焼き直したものばかりでした。

 本法案も、女性の職業生活における活躍にのみスポットを当て、その対象を、みずからの意思によって職業生活を営む女性に限っています。

 全ての女性が輝くために国がやるべきことは、女性らしく生活するための選択肢をふやし、その選択に自信と責任を持てる環境づくりです。が、本法案は逆に、女性の選択肢を狭めて、ライフスタイルを上から押しつけるものです。

 本法案で、女性の職業生活における活躍のみを対象にしたのはなぜか、有村女性活躍担当大臣にお聞きします。

 現在、若い女性の間で、専業主婦を希望する人がふえています。

 民間の調査では、未婚の女性の半数以上が、出産後は専業主婦になりたいと回答しています。二十代の専業主婦希望は五八・五%と、特に多いという結果が出ています。

 また、みずからの意思によって職業生活を営む女性と法案には書かれていますが、実際に地元を回ってお母さん方と話すと、本当は家で子育てに専念したい、でも、収入が少ないので働きに出なければいけないといった声が多く聞かれます。まさに、みずからの意思に反して職業生活を営んでいる女性が多く存在します。

 今月、我が党の平沼党首の代表質問に対し、総理は、家庭で子育てに専念したい方も、子育てと仕事の両立を望む女性も、その希望を実現できるよう、さまざまな支援措置を講じてまいりますとお答えになりましたが、本法案では、この答弁がどのように具現化されているのでしょうか。有村大臣にお聞きいたします。

 平成十五年に制定された次世代育成支援対策推進法、この法律は、十年の時限立法として、それまでの少子化対策の取り組みに加え、男性を含めた働き方の見直しや、社会保障における次世代支援といった柱を掲げています。本法案と同様に、国の指針を設け、それに基づく行動計画の策定を全ての自治体などに義務づけたものです。

 対象を、次世代を担う子供たちとするか、職業生活を営む女性とするかの違いがありますが、自治体や企業が策定する具体的な計画までおりてくると、多くの部分が重なると思われます。

 有村大臣、先の通常国会で、平成三十六年度末まで延長する法改正が行われたこの法律と本法案の違いを、次世代育成支援対策推進法のこれまでの成果、実績とあわせて御説明ください。

 我が国は、昭和六十年に締結した女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に基づき、国連委員会に対し、政治的、社会的、経済的及び文化的活動に女性が男性と平等に参加することに対し、残っている障害を克服するための措置を報告しなければなりません。これは、本法案で自治体や企業に課している女性の採用比率や女性管理職比率などの定量的目標設定といった内容と一致しますが、国連に勧告されたから本法案をつくったのですか。

 この法案と、いわゆる女子差別撤廃条約、そしてそれをもとに策定された男女共同参画基本法との関係をお尋ねします。

 本来、日本は、男女の役割分担をきちんとした上で女性が大切にされ、世界で一番女性が輝いていた国です。女性が輝けなくなったのは、冷戦後、男女共同参画の名のもと、伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等を目指してきたことに起因します。

 男女平等は、絶対に実現し得ない、反道徳の妄想です。女性にしか子供を産むことができない、この当たり前のことに目を背けた政策を続けた結果、男性ばかりか当の女性までが、女性にしか子供が産めないことをネガティブに捉える社会になってしまいました。その結果、ドメスティックバイオレンスが蔓延し、離婚が増加、少子化や子供の貧困の原因となっています。

 次世代の党は、この男女共同参画基本法という悪法を廃止し、それに係る役職、部署を全廃することが、女性が輝く日本を取り戻す第一歩だと考えます。

 総理の著書「美しい国へ」からの抜粋です。最近ジェンダーフリーという概念が登場した、生物学的差異や文化的背景も全て否定するラジカルな考えを包摂する和製英語だ。

 また、以前、ジェンダーフリー教育を考えるシンポジウムにおいて、総理は、結婚や家族の価値を認めないジェンダーフリーは文化の破壊につながるとも発言していらっしゃいます。

 有村大臣も、以前から総理と同様の発言をしていらっしゃるので、我々と考え方は同じだと思いますが、次世代の党の考え方について、現在の政府の見解をお聞かせください。

 いつから女性は弱者になったのか。国の施策において、やたら主語に女性を持ってくるようになって以来、どんどん女性が弱者として扱われるようになりました。

 女子差別撤廃条約の破棄、男女共同参画基本法の撤廃を行い、男女がお互いに尊重し合える社会を取り戻すことを日本国の皆さんにお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣有村治子君登壇〕

国務大臣(有村治子君) 杉田水脈議員の御質問にお答えいたします。

 女性の職業生活における活躍のみを法案の対象とした理由等についてお尋ねをいただきました。

 職場に限らず、地域、家庭など、女性の活躍の場面はさまざまであり、女性が、それぞれの希望に応じ、個性と能力を十分に発揮することができる社会を実現することが必要です。

 御指摘のあった先般の総理御答弁は、こうした趣旨をおっしゃったのだと認識をしております。

 現在、すべての女性が輝く政策パッケージに基づいて、安心して子育てや介護をしたい女性、地域で活躍したい女性など、全ての女性が輝く社会づくりに向け、諸施策を推進してまいります。

 その一環として、働く場面での女性の活躍に関し、国、地方公共団体、民間企業の主体的な取り組みを加速するために、本法案を提出いたしました。

 本法案と次世代育成支援対策推進法との違いに関するお尋ねがありました。

 次世代法は、次代の社会を担う子供の育成を図るものでありまして、これまで十年間の取り組みによって、民間企業において両立支援制度の導入、利用が促進されたことや、育児休業取得率が男女ともに上昇するなどの成果が上がっています。

 一方、本法案は、女性の職業生活における活躍を推進するものであり、女性に対する採用、昇進などの機会の積極的な提供と、職業と育児のみならず介護なども含めた家庭生活との両立を定めています。

 それぞれの法律に基づく行動計画は、内容が重なる部分もありますが、女性の採用、育成、登用などに関する取り組みなどは、次世代法の行動計画には記載されていないものでございます。

 本法案と女子差別撤廃条約、男女共同参画基本法との関係に関するお尋ねがございました。

 本法案は、働く場面での女性の活躍推進のための取り組みを加速化させるため、我が国が主体的につくったものであり、女子差別撤廃条約に係る勧告を受けて作成したものではございません。

 また、本法案は、第一条の目的規定で、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとる旨を規定しております。

 男女共同参画の考え方についてお尋ねがありました。

 男女共同参画社会とは、男性、女性ともに、社会のあらゆる分野において活動、参画する機会が確保されて、均等に社会的利益を享受することができ、ともに責任を負うべき社会であり、男女の区別を否定したり、国の伝統文化を否定したりするものではありません。

 いわゆるジェンダーフリーにつきましては、平成十七年に閣議決定した第二次男女共同参画基本計画において、「「ジェンダー・フリー」という用語を使用して、性差を否定したり、男らしさ、女らしさや男女の区別をなくして人間の中性化を目指すこと、また、家族やひな祭り等の伝統文化を否定することは、国民が求める男女共同参画社会とは異なる。」と明記をされており、この見解に変わりはございません。(拍手)

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副議長(赤松広隆君) 次の質疑者、三谷英弘君。

    〔三谷英弘君登壇〕

三谷英弘君 みんなの党の三谷英弘です。

 私は、みんなの党を代表して、ただいま議題となりました女性活躍推進法案について質問いたします。(拍手)

 先日、女性初の衆議院議長となりました土井たか子さんが亡くなりました。直接お会いしたことはありませんが、伊吹議長が発表されたコメントにおいても、女性初という枕言葉の最もふさわしくないのは土井議長だとされるほど、能力があり、活躍されていたのだと思います。

 近時、どの社会にも、どの企業にも、スーパーウーマンがふえています。仕事はばりばりできる、家事も育児もしっかりとやる、さらに、美しくファッションにも気を使う、そういう女性が社会で活躍すること自体は喜ばしいことだと思います。

 しかし、一握りのスーパーウーマンが活躍しているのを見て、女性が活躍していると目を細めていてよいのでしょうか。普通の女性が、自然体のまま、家庭を持ちつつ、育児等に従事しながら社会参加もできる、そういう環境をつくらなければ、いつまでも、本当の意味で女性の活躍する社会の実現を図ることはできません。

 さて、この女性活躍推進法案の、本人が希望する限りにおいて、職業生活と家庭生活とを円滑かつ継続的に両立できるようにするという目的自体はすばらしいものです。

 しかし、その目的達成のための手続として明確にすべき点があるため、以下、質問いたします。

 まず、民間企業においては、所有者、一般には株主の利益の最大化を追求する中で、結果的に男性が多い環境が生まれてしまっていることは否定できません。

 その中で、無理に行動計画を策定させ、定量的目標の達成を求めるのは、企業の自由な経済活動に足かせをはめ、国際競争の中ではマイナスに作用しかねません。

 この法案は、企業においてそういうマイナスを甘受すべきとするものか、それとも、企業において策定された行動計画を達成させることが、逆に企業の利益を大きくするものだという理解あるいは信念に基づき準備されたものか、厚生労働大臣のそもそもの立場を御教示ください。

 次に、本法案では、国は、女性活躍に関してすぐれた取り組みを行う一般事業主に認定を行うものとされ、その認定自体を企業へのインセンティブの一つと位置づけているようでありますが、その認定基準が曖昧だと、逆に不平等が生じかねません。

 優遇措置等を受けられるか否かに関して行政の恣意が働かないような客観的な認定基準を定めることはできるのでしょうか。

 さらに、民間企業に定量的目標を課すると、数値目標の達成の意識ばかりが先行し、無理が生じかねません。

 数値目標達成のため、保育園に子供を預けられるめどもないのに女性従業員をやめさせない、そのあげく、怪しいベビーシッターに子供を預け、不測の事態が起きるなどという悲しい事態も起きかねません。最終的な被害者は、女性であり、家族です。

 企業に行動計画を策定させる前提として、まず、女性が社会進出できる環境の整備が進んでいなければ意味がないのではないかと思いますが、その点、どうお考えでしょうか。

 また、これに関連して、待機児童の問題や介護の問題が厳然としてある中では、女性の活躍はかけ声倒れで終わりかねません。

 例えば、具体的に、待機児童として、保育所に入りたいのに入れない児童の数は全国で何人いるのか、また、その問題について、今後何年で解決するのかに関してしっかりとしためどが立っているのか、お答えください。

 加えて、本法案に基づき企業が設定する定量的目標として、例えば女性採用比率や女性管理職割合等を定めることが考えられますが、ただ単に雇用数全体における比率を見ても仕方ありません。雇用管理区分ごとに分けて考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 また、ここに言う定量的目標として、女性管理職の比率という客観的な目標もあれば、アンケートに基づく女性従業員の満足度といった主観的な目標もあります。いずれも数値目標です。

 本法案において求められる定量的目標の定め方について、何らかの基準はあるのでしょうか。

 以上、全て塩崎大臣に伺います。

 最後に。

 ただいまざっと議場を見回して思うことは、やはり女性が相当少ないということです。

 男性の方が優秀なのでしょうか。違うでしょう。もちろん、有権者に選ばれる立場ですから、結果に関しては誰も確約をすることができません。が、少なくとも、女性の候補者をふやさなければ、女性の議員もふえようがありません。

 数えてみますと、衆議院議員のうち、自由民主党に所属する方は、議長を含めず二百九十四人、参議院も合わせると三百人をはるかに超え、民間事業者であれば、優に行動計画の策定が義務づけられます。

 民間事業者に行動計画の策定を義務づけるのであれば、まず自分から。自由民主党の中で女性候補者の増加を進めるよう、有村大臣、所属する政党に働きかけることはないのでしょうか。

 また、こちらは三百人を下回っているので、あくまで努力義務相当ではございますが、同じ質問を、公明党に所属される太田大臣にも伺います。

 みんなの党は、このたびクオータ制を導入し、国政選挙の候補者については、女性と男性とが他の性の倍を超えないということを目標にいたしました。もちろん、優秀でない候補をその性別ゆえに立候補させるということを進めるわけではありません。

 男性、女性ともに、優秀な候補者の擁立に力を入れていく立場を表明させていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 三谷英弘議員にお答えを申し上げます。

 まず、一般事業主に行動計画の策定を求めることの趣旨についてのお尋ねがございました。

 女性の活躍推進は、まず、女性自身が仕事を通じてさまざまな経験や成長等をすることが可能となり、女性自身の能力の最大限の発揮につながるという大きな意義があります。

 また、それだけでなく、企業にとっても、グローバル化が進展する中、組織内の多様性を高め、さまざまな人材の能力を生かすことは、イノベーションの促進、組織の対応力を高めることにつながります。

 このように、女性の活躍推進に向けた行動計画を策定し、取り組みを進めることは、女性はもとより、企業にとっても大きな利益をもたらすことになると考えており、このような考え方に基づき、一般事業主に関する諸制度を構築したところでございます。

 次に、認定基準の設定についてのお尋ねがございました。

 一般事業主の認定は、取り組みの実施状況が優良なものであること等の基準を満たすものに対して行うこととしております。

 具体的な認定基準については、法案成立後に労働政策審議会において審議していただき、その御意見を踏まえて決定することとなります。

 審議会での検討に当たっては、女性の活躍状況の実績とその改善度合いの両面で評価を行う、業種、企業規模の特性に配慮した基準とするという方向性を念頭に、さらに議論を深めていただくこととしており、これを踏まえて、適切な認定基準の設定に努めてまいりたいと思います。

 次に、女性が社会進出できる環境整備についてのお尋ねがございました。

 本法案においては、各企業に行動計画の策定を求め、女性に対する採用、教育訓練等の積極的な機会の提供や、仕事と家庭の両立支援のための取り組みを行っていただくこととしております。

 それと同時に、子育て支援の分野でも、しっかりと環境の整備を行うことが重要であると考えております。

 このため、例えば、安心して子供を預けることができる環境整備に向けて、待機児童解消加速化プランを着実に実施し、必要な保育の受け皿の確保を進めているところでございます。

 こうした環境整備と、本法案に基づく企業による取り組みをあわせて進めることで、女性の活躍に向けた基盤整備を強力に推進していきたいと考えております。

 次に、保育所の待機児童についてのお尋ねがございました。

 保育所の待機児童数については、四年連続で減少しており、平成二十六年四月では二万一千三百七十一人となっております。

 政府としては、平成二十九年度末までの待機児童ゼロを目指し、昨年四月に待機児童解消加速化プランを策定しましたが、平成二十五、二十六年度の二カ年の整備目標である約二十万人分の保育の受け皿を確保することが見込まれております。また、その後、二十七年度から三年間で、さらに約二十万人分の受け皿の確保を進めていくこととしております。

 このプランは、今後女性の就労がさらに進むことによる潜在的な保育需要も見込んだものであり、取り組みを強力に進めてまいります。

 次に、雇用管理区分ごとの定量的目標の設定についてのお尋ねがございました。

 定量的な目標の指標やその水準は、各企業が、それぞれの課題解決にふさわしいものを、その実情に応じて定める必要があります。雇用管理区分ごとに目標を設定するか否かについても、具体的に抱えている課題に応じて各企業において判断すべきものと考えております。

 なお、女性の活躍の推進は、非正規雇用を含むあらゆる女性を対象とするもので、目標設定の前提となる状況把握の項目をどのような形で設定するかについては、さらに労働政策審議会において議論を深めることとしております。

 最後に、定量的目標の定め方の基準についてのお尋ねがございました。

 定量的目標については、状況把握、課題分析の結果を踏まえ、各社の課題の解決を図るためにふさわしい目標であることが必要でございます。

 このため、具体的な指標やその水準については、各企業の実情に応じたものとなるよう、一律の基準は設けないこととしております。

 なお、各企業における状況把握や課題分析の的確な実施に資するよう、省令や行動計画策定指針において有効な手法等を示していくこととしております。これにより、各企業の実情にふさわしい目標設定がなされることを期待しております。(拍手)

    〔国務大臣有村治子君登壇〕

国務大臣(有村治子君) 三谷英弘議員の御質問にお答えいたします。

 女性候補者の増加についてお尋ねをいただきました。

 政治分野における女性の参画は、多様な民意の反映という観点から、非常に重要です。

 委員御所属のみんなの党では、国政選挙の候補者について、クオータ制の導入を決定されたと伺っております。

 これまで、男女共同参画担当大臣が、各党に対して、議員候補者や党役員における女性の割合が高まるための取り組みを行っていただくよう要請を行ってきた実績もございます。

 私自身、自由民主党において、十三年前、若い力が入ることが大事だ、女性が入ることが大事だということで、先輩方に引っ張っていただいて、初当選のそのスタートラインに立たせていただくことができました。

 そのようなことで、自民党の谷垣幹事長、お話をさせていただきたいと、委員の御提案でございますので、三百人ということもあります、各政党における適材適所の主体性がさらに進むことを願い、私自身、責任を持って呼びかけていきたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 公明党は、これまで、国会、地方議会におきまして、女性の視点を生かすということから、女性候補を積極的に登用してまいりました。

 ちなみに、現在、公明党の国と地方の議員に占める女性議員の割合は、三割を超えております。

 政治の場においても、女性がさらに活躍できるよう進めていくことが大切であると考えております。(拍手)

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副議長(赤松広隆君) 次に、高橋千鶴子さん。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問します。(拍手)

 政府と経団連などが主催し九月に行われた女性が輝く社会に向けた国際シンポジウムのハイレベル・ラウンドテーブルで、総理は各国の女性たちを前に、二十一世紀こそ女性に対する人権の侵害のない世界にと強い決意を表明されました。

 しかし、足元を見れば、ジェンダーギャップ指数、百四十二カ国中百四位が示すとおり、先進国として恥ずべき状況です。働く女性の二人に一人が非正規雇用であり、賃金は男性の半分にすぎません。働く女性の四割以上が年収二百万円以下です。それは、将来の無年金、低年金につながります。女性の貧困は無視できません。

 この事実そのものが、人権を脅かす問題ではないですか。

 経団連は、女性の活躍は、女性のための施策ではない、企業の競争力を左右する経営戦略、日本経済の持続的な発展を可能とするための成長戦略そのものであると提言しています。

 総理は、成長戦略スピーチで、女性の活躍はしばしば社会政策の文脈で語られがちです、しかし私は違いますと宣言し、女性の活躍を成長戦略の中核に据えると表明されました。その趣旨は、あくまで企業の競争力を高めるための、女性の活躍ではなく活用ということではありませんか。

 法案は、基本原則で、家族を構成する男女が、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨とすることを掲げています。

 子育て世代である三十代の男性は、五人に一人が週六十時間以上の長時間労働です。専ら女性が家事、育児負担を担い、保育所不足も追い打ちをかけ、妊娠、出産を機に六割が退職せざるを得ない状況です。世界一の長時間労働である日本男性と、世界一睡眠時間が短いのが、日本の働く女性なのです。

 仕事と家庭の両立、職場での女性の活躍を阻んでいるのは、この長時間労働だという認識はありますか。残業時間の上限規制を法定化するなど、長時間労働を抜本的に変える、実効性ある労働時間規制に踏み出すべきです。

 政府は、労働法制改悪を、あたかも女性や子育て世代に資するかのように言い繕っています。しかし、労働者派遣法の改悪、残業代ゼロ制度、限定正社員制度が、ハードワークと非正規の二極化をもたらすことは明白です。

 輝きたい女性は際限のない長時間労働を甘受しろということですか。家庭責任を負う女性は、両立どころか、今以上に正規雇用から締め出され、不安定、低賃金に固定化することになるのではありませんか。

 女性の活躍をうたう本法案は、ここにこそ焦点が当てられなければなりません。

 法案は、女性の登用促進のために、雇用主に対し、実態把握と数値目標を含む行動計画策定を求めています。その項目は、今後国が定める指針によるとされています。

 これは、限られた女性の登用だけでなく、正規、非正規を問わず、働く女性全体の労働条件、職場環境の改善を目指すものでなければなりません。

 とりわけ、男女賃金格差、コース別雇用管理や雇用形態等の違いによる間接差別をなくすことを位置づけるべきではありませんか。

 また、非正規労働者の比率、産休、育休等両立支援制度の取得状況等も含めて実態を明らかにし、改善のための数値目標、行動計画策定と公表を義務づけるべきです。

 なぜ、公表する情報は事業主任せなのですか。また、国は、民間企業と横並びを決め込むのではなく、先んじて女性登用と格差是正に努めるべきではありませんか。明確にお答えください。

 女性登用に本気であるなら、男女雇用機会均等法を抜本改正し、非正規から正規雇用への流れをつくるとともに、均等待遇を実現して、男女ともに人間らしい働き方を保障する法整備を目指すべきです。

 最後に、法律で夫婦同姓を義務づけている国は、先進国で日本だけです。

 一九九六年、法制審議会は、選択的夫婦別姓制度導入を含む民法改正の法案要綱を答申しましたが、いまだ法改正は実現していません。答申後、法制化が実現していないのはこの民法改正だけであり、国連女性差別撤廃委員会からも再三厳しい勧告がなされています。

 人権侵害のない世界を目指すのであれば、まず、女性に対する差別的規定の残る民法を改正すべきです。答弁を求めます。

 女性たちは、強い日本を取り戻すという安倍政権の野望のために都合よく利用されることを望むはずがありません。

 日本共産党は、女性への差別を解消し、男女がともに人間らしく働き、暮らす、ルールある社会実現のために力を尽くす決意を表明して、質問といたします。(拍手)

    〔国務大臣有村治子君登壇〕

国務大臣(有村治子君) 高橋千鶴子議員の御質問にお答えをいたします。

 女性の貧困についてお尋ねをいただきました。

 生活や就業などの面でさまざまな困難を抱える女性が安定した生活をできるようにすることは、女性の活躍の基礎となるものです。

 すべての女性が輝く政策パッケージに基づき、母子家庭に対する生活、就業に関する包括的な支援や、来年四月に施行する生活困窮者自立支援法に基づく支援などを着実に進めます。

 女性活躍の趣旨についてお尋ねをいただきました。

 安倍内閣が目指しているのは、全ての女性が、それぞれの希望に応じ、職場においても家庭や地域においても、個性と能力を十分に発揮して輝くことで、活力ある社会を実現することです。

 子育てと仕事の両立を望む方もいれば、家庭で子育てに専念したい方もいます。さまざまな状況にある女性が希望に応じた活躍ができるよう、取り組みを進めてまいります。

 女性の長時間労働に関するお尋ねがありました。

 女性が輝く社会を実現するためには、男女がともに仕事と家事、育児、介護等を両立でき、働きたい女性がやむを得ず離職することなく、その希望に応じて能力を発揮できる環境を整備することが必要です。

 そのためには、長時間労働を是正することが極めて重要です。

 すべての女性が輝く政策パッケージに基づき、ワーク・ライフ・バランス実現のための法的措置の検討、企業の職場風土や意識改革の促進、テレワークの導入促進などを関係省庁とも連携して推進いたします。

 事業主行動計画策定指針に位置づける事柄や、行動計画等の義務づけに関するお尋ねをいただきました。

 本法案における指針の内容は、厚生労働省の労働政策審議会の審議を経て決定することを予定しており、その指針に即して各事業主が行動計画を策定することになります。

 行動計画の策定に当たっては、事業主が抱える課題は、業種により、また事業主によって多種多様であることから、各事業者が、状況把握、課題分析の結果を踏まえ、課題の解決を図るためにふさわしい項目を選択し、目標を設定することにしています。

 その中で、非正規雇用に関する課題への対応等につきましても、必要に応じて、行動計画において目標や取り組みが盛り込まれるものと考えております。

 事業主が公表する項目と国の取り組み姿勢に関するお尋ねがありました。

 事業主の情報に関しては、公表範囲そのものが企業の姿勢をあらわすものとして、求職者が就職先を選ぶ際の判断材料になると考えます。

 また、御指摘のとおり、国は率先して女性が活躍できる職場づくりに努めるべきであると考えております。

 今月十七日に取りまとめた国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針に基づき、各府省は、目標数値を盛り込んだ取り組み計画を本年末をめどに策定、公表し、取り組み状況について毎年度公表いたします。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 高橋千鶴子議員にお答えを申し上げます。

 まず、長時間労働に関する認識や労働時間規制についてのお尋ねがございました。

 我が国における長時間労働は、仕事と生活の調和や、女性の活躍の障壁となっていると考えております。このため、企業に対する監督指導の強化など、働き過ぎ防止に取り組んでいるところでございます。

 さらに、現在、労使の代表が参画する労働政策審議会において、時間外労働の限度のあり方も含めた長時間労働抑制策や年次有給休暇の取得促進策、子育てや介護等の事情を抱える働き手のニーズに対応したフレックスタイム制の見直し等について検討を進めており、結論を得た上で、次期通常国会をめどに法的措置を講じてまいります。

 男女を通じた人間らしい働き方に向けた法整備についてのお尋ねがございました。

 女性が、出産、子育てを通じて安心して働き続け、活躍できる社会の実現に向けては、性差別や妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いを禁止する男女雇用機会均等法や、均等・均衡待遇の確保を目指すパートタイム労働法を土台とした上で、新法によって、企業に対して、女性の活躍推進に向けた定量的な目標、取り組みを盛り込んだ行動計画の策定等を求めていくことで、女性がその能力を十分に発揮できる環境を整備していくことが重要と考えています。

 同時に、企業が行動計画を策定する際に踏まえることとなる指針において、長時間労働是正など働き方改革に向けた効果的取り組みや、非正規雇用から正規雇用への転換に関する効果的取り組みを盛り込むこととしたいと考えております。

 こうした取り組みにより、男女を通じた人間らしい働き方ができる社会の構築を目指してまいります。(拍手)

    〔国務大臣上川陽子君登壇〕

国務大臣(上川陽子君) 高橋千鶴子議員にお答え申し上げます。

 選択的夫婦別氏制度の導入等を含む民法改正についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、平成八年二月に法制審議会から民法の一部を改正する法律案要綱について答申を受けましたが、この中には選択的夫婦別氏制度の導入等が含まれております。

 選択的夫婦別氏制度の導入等を含む民法改正にかかわる問題は、いずれも我が国の家族のあり方の根幹に深くかかわるものであり、国民の理解を得ながら行う必要があると考えておりますが、現時点においても国民の間にさまざまな意見があることから、今後も引き続き、国民各層の意見を幅広く聞き、各方面の議論の推移を注視していく必要があるものと認識しております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次の質疑者、青木愛さん。

    〔青木愛君登壇〕

青木愛君 生活の党の青木愛です。

 党を代表して、ただいま議題となりました法律案について質問をいたします。(拍手)

 安倍総理は、女性の活躍を成長戦略の大きな一つに位置づけられました。しかし、女性が輝き活躍することは、成長戦略のためではなく、日本国憲法が保障する男女平等の施策として当然のことであることを、まず指摘しておきます。

 先般、最高裁において、広島市内の病院に勤務する女性理学療法士の裁判がありました。妊娠、出産後に降格、減給となり、不利益を受けたというものです。判決は、男女機会均等法の趣旨を重視した極めて妥当なものでした。

 しかし、現実には、職場で肩身の狭い思いをしながら、裁判所に訴える女性はまれではないでしょうか。

 訴えなければ不利益をこうむる社会であってはなりません。妊娠、出産がライフステージの中でハンディとなる社会であってはなりません。

 女性がその能力を十分に発揮するためには、非正規雇用の増加や長時間労働等の是正を初めとする労働環境の整備と、子育て、介護など家庭生活のさまざまな課題を同時に解決しなければなりません。

 政府は、こうした課題に対して政策パッケージを取りまとめていますが、一方で、非正規雇用をふやす結果につながる労働者派遣法改正案を提出するなど、非正規社員の正社員への転換促進や長時間労働是正について、実効性のある具体的な政策を打ち出しておりません。

 このような政府の姿勢では、この法案の目的である豊かで活力ある社会の実現にはつながりません。

 さらに、在宅勤務や短縮労働の推進、幼児や学童の養育場所の確保など、取り組むべき課題は多いと考えますが、有村担当大臣の御所見をお伺いいたします。

 そして、本法案において、事業主は女性の活躍に関する数値目標や取り組み内容を公表することとされていますが、どのような項目を公表するかは、事業主の実情に応じて自由に定められることとされています。

 数値を公表するのであれば、女性採用比率や女性管理職比率などの最低限必要な項目の公表を義務づけ、さらに関連項目として、従業員の残業時間、有休取得状況等、男性も含めた労働環境、処遇全体を明らかにしなければ、この法律に実効性をもたらすことはできないと考えます。

 さらに、企業の取り組みを促し、国としては、第二十二条の情報提供とともに、第二十一条の啓発活動を活発に行う必要があります。

 啓発活動については、企業や社会への働きかけはもちろん、学校教育において女子学生に対するキャリア教育や指導的立場に立つ機会を充実させる必要があると考えます。担当大臣の御見解をお伺いいたします。

 政府は、女性の就労拡大に向け、配偶者控除、配偶者手当の見直しを進めています。いわゆる百三万円の壁、百三十万円の壁の問題です。

 パートなどで働く多くの主婦は、この百三万円の壁を超えないように就労時間を調整しています。働く女性からの不公平感の指摘はあるものの、約一千四百万人が適用となる配偶者控除の廃止は大きな増税となります。

 手当も廃止、控除も廃止し、この上、消費税率八%に続き、来年十月には一〇%に引き上げられようとしています。これ以上の家計に対する相次ぐ重い負担に果たして耐えられるのでしょうか。これで本当に、女性が輝いて活躍し、豊かな暮らしを実現できるのでしょうか。

 私は、むしろ、それぞれの壁を取り払うのではなくて、百三万円、百三十万円の額を引き上げるべきではないかと考えます。あるいは、控除を廃止した分は給付型に変えて生活を支えるべきではないでしょうか。そうでなければ、特に子育て世帯の可処分所得の減少は少子化をさらに加速させることにつながると考えますが、担当大臣のお考えをお伺いいたします。

 先日、シングルマザーを応援するNPO法人から実情について説明を受けました。皆、厳しい状況の中で子育てしつつ、精いっぱい頑張って生きておられます。

 今さら輝くなどと言わないで、身分を安定化し、最低賃金を引き上げてほしいとの要望を受けました。このことについて、担当大臣の御所見をお伺いいたします。

 こうした一つ一つを改善することなく、単に女性の就労を促すのであれば、全ての女性が輝く社会といいながら、その実態は、子供を産みなさい、育てなさい、親が年とったら介護しなさい、さらに働きなさいと女性に二重三重の役割を求め、女性が輝くどころか、女性を心身ともに疲弊させるだけの結果に終わるのではないかと危惧されます。

 過酷労働に追い込まれた男性の自殺は高い値となっています。女性も同様のリスクにさらすのでしょうか。

 政治の目的は、国民がより安全で、より豊かな生活ができる社会をつくることです。人気取りのスローガンではなく、豊かな国民生活に資する一つ一つの課題解決の積み上げをして初めて、女性も輝く社会の実現につながることを指摘し、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣有村治子君登壇〕

国務大臣(有村治子君) 青木愛議員の御質問にお答えいたします。

 働く女性を取り巻く課題についてお尋ねをいただきました。

 議員御指摘のとおり、望まない非正規雇用で働く方々の正社員への転換、長時間労働の抑制、仕事と子育て等の両立を可能とする環境整備などの取り組みは大変重要であると認識をしております。

 すべての女性が輝く政策パッケージに基づき、正社員実現加速プロジェクトの推進、仕事と家庭の両立に向けた企業の取り組みを促進し、ワーク・ライフ・バランス実現のための法的措置を検討するなど、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと存じます。

 本法案に基づく事業主による情報の公表と啓発活動に関するお尋ねをいただきました。

 事業主の情報に関しては、求職者が就職先を選ぶ際の判断材料であり、どの情報を公表対象として選ぶかは、まさに経営戦略の一つでもあると考えます。

 また、女性の活躍を推進するに当たり、広く御協力をいただけるよう啓発活動を進めていくことは重要だと認識をしております。

 御指摘の、女子学生への啓発については、文部科学省がキャリア教育を推進しているほか、内閣府も、理工系分野への選択を応援するホームページを運営しています。

 今後とも、幅広く情報提供や啓発活動を進めていきたいと考えております。

 配偶者控除の見直しに関するお尋ねをいただきました。

 今月二十一日に開催されました経済財政諮問会議で、安倍総理から、関係大臣が協力して、女性の活躍に向けて総合的な検討を進めるよう指示がありました。

 配偶者控除に関しては、現在、政府税制調査会において、関連する諸控除のあり方も含めて論点を整理しつつ、議論が進められていると理解をいたしております。

 女性の活躍をさらに進め、持続的な経済成長を実現するためにも、働き方に公平に報いることができるフェアな社会づくりに向けて議論が進められることを期待しております。

 母子家庭への支援に関してお尋ねをいただきました。

 母子家庭の母など、さまざまな困難を抱える女性が安定した生活をできるようにすることは、女性の活躍の基盤、大前提となるものだと考えております。

 すべての女性が輝く政策パッケージに基づき、母子家庭に対する生活、就業に関する包括的な支援などを着実に進めます。

 最低賃金については、平成二十五年度から二十六年度にかけて引き上げが行われたものと承知をしておりますが、母子家庭の母など、さまざまな困難を抱える女性が少なくないという現状にもしっかりと目を向けて、必要な支援をしていくことを含め、全ての女性が輝く社会づくりに向け、全力で組んでまいります。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣    麻生 太郎君

       法務大臣    上川 陽子君

       外務大臣    岸田 文雄君

       厚生労働大臣  塩崎 恭久君

       国土交通大臣  太田 昭宏君

       国務大臣    有村 治子君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  赤澤 亮正君


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