衆議院

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第20号 平成27年4月24日(金曜日)

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平成二十七年四月二十四日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十四号

  平成二十七年四月二十四日

    午後一時開議

 第一 電気通信事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 電気通信事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)、地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 電気通信事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、電気通信事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長桝屋敬悟君。

    ―――――――――――――

 電気通信事業法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔桝屋敬悟君登壇〕

桝屋敬悟君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、電気通信事業の公正な競争の促進、電気通信役務の利用者及び有料放送の役務の国内受信者の利益の保護等を図るため、電気通信事業の登録の更新に関する制度の創設、電気通信役務及び有料放送の役務の提供に関する契約の解除並びに本邦に入国する者が持ち込む無線設備を使用する無線局に係る規定の整備等を行おうとするものであります。

 本案は、去る四月十五日本委員会に付託され、十六日高市総務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十一日から質疑に入り、昨日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対して附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(大島理森君) 日程第二、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長江藤拓君。

    ―――――――――――――

 競馬法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔江藤拓君登壇〕

江藤拓君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における競馬をめぐる情勢の変化に鑑み、海外において実施される特定の競馬の競走について、日本中央競馬会等が勝馬投票券を発売できることとする等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月十七日参議院から送付され、同月二十一日本委員会に付託されました。

 委員会におきましては、翌二十二日林農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十三日質疑を行いました。質疑終局後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)、地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、地域再生法の一部を改正する法律案及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣石破茂君。

    〔国務大臣石破茂君登壇〕

国務大臣(石破茂君) 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、地域再生法の一部を改正する法律案及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 地方分権改革は、地域がみずからの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマであります。

 本法案は、平成二十六年から新たに導入いたしました地方分権改革に関する提案募集方式に基づく地方公共団体の提案等を踏まえ、本年一月に閣議決定した対応方針に基づき、地方公共団体への事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直し等を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、住民に身近な行政を地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするため、農地転用の権限移譲を初めとして、国から地方公共団体または都道府県から指定都市等への事務、権限の移譲等を行うこととし、関係法律の改正を行うことといたしております。

 第二に、地方がみずからの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直し等を行うこととし、関係法律の改正を行うことといたしております。

 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うことといたしております。

 次に、地域再生法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 我が国は、二〇〇八年をピークとして人口減少局面に入っております。また、東京一極集中と地方からの人口流出が急速に進行する中で、地方においては、人口減少が地域経済の縮小を呼び、地域経済の縮小が人口減少を加速させるという負のスパイラルに陥るリスクが高くなっております。このため、人口減少を克服し、地方創生をなし遂げることが喫緊の課題となっております。

 こうした課題を解決し、地方において、仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立するとともに、町の活力を取り戻し、人口減少と経済縮小の悪循環を断ち切るための政策パッケージとして、政府は、昨年末に、まち・ひと・しごと創生総合戦略を閣議決定したところであります。

 この法律案は、同戦略を踏まえ、各種生活サービス機能の提供を維持するコンパクトビレッジ、いわゆる小さな拠点を形成することにより、中山間地域等における持続可能な地域づくりを推進するとともに、地方への本社機能の移転を含む企業の地方拠点の強化を行うことにより、地方での安定した良質な雇用を確保するために提出するものであります。

 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。

 認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置として、次の措置を追加することといたしております。

 第一に、地方活力向上地域特定業務施設整備計画の作成並びにこれに基づく独立行政法人中小企業基盤整備機構による債務保証及び認定事業者に対する課税の特例等を追加することといたしております。

 第二に、地域再生土地利用計画の作成並びにこれに基づく農地等の転用等の許可及び開発許可の特例等を追加することといたしております。

 第三に、自家用有償旅客運送者による貨物の運送の特例を追加することとしております。

 第四に、農村地域工業等導入促進法に基づき整備された工場用地等のうち遊休工場用地等において、同法に規定する工業等以外の産業を導入可能とする特例を追加することとしております。

 また、地域再生の担い手となる地域再生推進法人として指定できる法人の範囲を拡大することとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。

 次に、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 我が国が取り組むべき重要な課題は、成長戦略の着実な実行を図り、その効果を全国に波及させていくことにあります。そのためには、二〇一五年度までを集中取り組み期間としておる国家戦略特区を活用し、国、地方公共団体、民間が一体となり、スピード感を持って規制改革を実行していくことが必要です。

 これまで、国家戦略特別区域諮問会議等において、特区ごとに設置する区域会議や全国の地方公共団体、民間からの提案も踏まえ、国家戦略特別区域に係る新たな規制の特例措置等について検討を行うとともに、構造改革特別区域推進本部において、全国からの提案募集を行い、構造改革特別区域に係る新たな規制の特例措置について検討を行ってまいりました。

 今般、これらの検討結果に基づき、経済社会の構造改革をさらに推進するため、この法律案を提出する次第であります。

 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。

 国家戦略特別区域法の改正については、第一に、学校教育法等の特例として、グローバル人材その他の産業の国際競争力の強化等に寄与する人材の育成のため、公立学校の管理を民間に行わせることができることとしております。

 第二に、児童福祉法の特例として、保育の需要に応ずるため、都道府県知事が行う試験の合格者に、一定の期間は区域を限定する保育士の資格を付与することといたしております。

 第三に、出入国管理及び難民認定法の特例として、家事支援サービスを提供する企業に雇用される外国人の入国、在留を可能とし、あわせて創業人材について、一定の要件のもとで入国を促進することとしております。

 第四に、都市公園法の特例として、保育等の福祉サービスの需要に応ずるため、保育所等の社会福祉施設のための都市公園の占用について、一定の基準を満たす場合に許可することとしております。

 第五に、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の特例として、医薬品の研究開発等に係る国際競争力を強化するため、血液を原料とした研究用具の業としての製造を認めることとしております。

 このほか、公証人法の特例、医療法の特例、水産業協同組合法の特例、国有林野の管理経営に関する法律の特例、国家公務員退職手当法の特例、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の特例、外国医師等が行う臨床修練等に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律の特例、特定非営利活動促進法の特例及び設備投資減税等に関する課税の特例に係る規定を追加するとともに、国及び関係地方公共団体は、外国人等の起業を促進する等のため、外国人等に対し、法人の設立の手続に関する援助を一体的に行うことその他の措置を講ずることといたしております。

 構造改革特別区域法の改正については、道路整備特別措置法等の特例として、通行者の利便の増進を図るため、地方道路公社が管理する有料道路の運営権を設定する場合に、民間事業者による当該道路の運営を可能とすることとしておるほか、通訳案内士法の特例に係る規定を追加することといたしております。

 以上が、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、地域再生法の一部を改正する法律案及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに成立いたしますようお願いを申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)、地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。黄川田仁志君。

    〔黄川田仁志君登壇〕

黄川田仁志君 私、黄川田仁志は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま課題となりました地方分権一括法案、地域再生法改正法案及び国家戦略特区法改正法案について質問いたします。(拍手)

 人口減少克服と地域活性化を一体として実現する地方創生は、活力ある日本社会を維持するために、国を挙げて取り組まなければならない待ったなしの最重要課題です。

 政府は、昨年末に、五十年後に人口一億人程度を確保する長期ビジョン及びその実現に向けた五カ年の総合戦略を策定しました。これらを受け、各地方では、地方人口ビジョン及び地方総合戦略の作成が始まっております。ことしは、まさに地方創生元年と言えましょう。

 地方創生によって十分な成果や効果を得るためには、今まで以上に国と地方が危機感を共有し、地方の特色を鑑みた明確な目標を定め、粘り強く継続的に取り組んでいく必要があると考えます。このことは、中山間地域から首都圏地域に至るまで例外はありません。

 そこで、まず、地方の多様性を生かした地方創生の目指す姿とはどのようなものか、石破大臣の所見をお伺いします。

 次に、第五次地方分権一括法案についてお伺いいたします。

 地方創生を進めるためには、個性を生かし自立した地域をふやす必要があると考えます。そのためには、地方の発意と多様性を重視した取り組みが必要であり、地方分権も力強く進めていく必要があります。

 地方分権改革は、第四次一括法案の成立により、第一次安倍内閣で設置した地方分権改革推進委員会の勧告事項に一通り対処したこととなりました。

 政府は、昨年から、これまでの委員会による勧告方式にかえて、地方の発意に根差した提案募集方式を導入し、農地の総量確保のための仕組みの充実及び農地転用許可の権限移譲などが実現しております。

 今般の第五次地方分権一括法案は、提案募集方式における地方からの提案を踏まえ、国から地方公共団体への事務、権限の移譲や義務づけ、枠づけの見直しをさらに進めるものです。

 今回の改正がどのように地方創生に資するのか、石破大臣の御見解をお聞かせ願います。

 次に、地域再生法の改正についてお伺いいたします。

 地方再生の大きな課題の一つに、人口減少、少子高齢化や地域産業の衰退が顕著な中山間地域等をどのように維持、活性化していくかがあります。

 これらの地域では、商店や公共交通などが撤退し、最低限の生活サービス機能の維持すら困難な状況です。

 本法案では、厳しい状況にある中山間地域等で、どのような地域づくりを目指し、どのような支援をしようとしているのか、石破大臣よりお考えをお聞かせください。

 また、人口の東京への過度な集中を是正するためには、地方で安定した良質な雇用機会を創出し、特に、若者が地方にとどまることのできる環境を整備する必要があります。このためには、東京二十三区に集中している企業の本社機能の地方への移転や、地方における新増設を促進することが重要であります。

 そこで、本法案では、こうした東京二十三区からの本社機能の移転等による地方拠点強化を促進するために、どのように取り組もうとしているのか、石破大臣より御答弁をお願いします。

 次に、国家戦略特別区域法の改正についてお伺いいたします。

 アベノミクスを推進するためには、成長の上で障害となっているいわゆる岩盤規制を改革し、全国にその効果を波及させなければなりません。しかし、現実には課題も多く、喫緊に実現できるわけではありません。したがって、国家戦略特区を活用して、スピード感を持った規制改革を実行していくことが必要と考えます。

 また、地方のやる気、特性を生かした大胆な規制改革を実現することは、全国の地方創生にとっても非常に重要です。

 そこで、まず、石破大臣に、今回の国家戦略特別区域法の改正案の意義をお伺いいたします。

 また、規制改革による地方創生を実現するために、新たに、国家戦略特区として、地方創生特区を指定する予定と伺っております。地方創生を成功に導くためには、やる気のある地方の取り組みを、国、民間も含めた三者が一体となって、強力に推進していく必要があると考えます。

 石破大臣に、あわせて、地方創生特区を指定する目的、地方創生特区への期待を述べていただきたいと思います。

 結びに、地域活性化といいましても、地域によってその目標は異なってまいります。

 その地域にとって、何を達成すれば元気につながるのか。

 このたびの地方創生では、安倍総理、石破大臣、関係閣僚の皆様のリーダーシップのもと、地方の発意と多様性を十分に鑑み、これまでにない、多種多様な元気を日本じゅうに生み出していただきたい。そして、我が国の持続可能な経済成長を力強く牽引していただきたいと思っております。

 私どもも、責任政党自由民主党の一員として、政府と一体となって地方創生の実現に全力で取り組んでまいることをお約束し、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣石破茂君登壇〕

国務大臣(石破茂君) 黄川田議員からは、合計六問頂戴をいたしました。

 まず、地方の多様性を生かした地方創生の目指す姿についてのお尋ねであります。

 地方創生の取り組みは、経済の好循環を全国津々浦々まで届けるとともに、その好循環を支える町に活力を取り戻し、人々が安心して生活を営み、子供を産み育てられる社会環境をつくり出すことを目指すものであります。

 東京圏の人口集中、過密の是正は、地方の人口減少問題だけではなく、東京圏自身が現在抱える、住宅価格が高い、待機児童が多いなどといった課題に加え、二〇二五年以降、大都市圏、特に東京圏において、高齢化に伴う医療、介護、住まいなどの問題が極めて深刻な事態となることがほぼ確実とされており、こうした問題に対処する上でも必要なことであります。

 こうした認識のもと、昨年末の長期ビジョンにおきまして、地方創生を進めるに当たりましては、地方と東京圏がパイを奪い合うゼロサムではなく、地方と東京圏がそれぞれの強みを生かし、日本全体を牽引していくプラスサムでなければならないとし、東京圏については、今後は、日本のみならず世界をリードする国際都市として、ますます発展していくことを強く期待するとしたところであります。

 他方、東京圏においても、その実情は一様ではなく、地域によっては人口減少や高齢化が進行しているところもあると考えられます。

 そのような地域も含め、地方創生の実現のためには、国が地方を変えるのではなく、地方みずからが、地方の実態に応じた処方箋を示し、実行することで、地方がみずから変わっていくことが重要です。

 現在、地方公共団体において地方版総合戦略を作成していただいております。国としても、意欲と熱意のある地方公共団体に、情報支援、人的支援、財政支援を実施しておるところであります。各地方公共団体においては、住民や産官学金労言等の参画を得つつ、地方議会において十分に御議論をいただきながら、地域における創意工夫を結集していただきたいと考えております。

 地方創生は息の長い取り組みですが、この流れが不可逆的かつ自律的に動き始めることが重要であります。このため、国は引き続き、意欲と熱意のある地方公共団体の取り組みを、今回の三法案に基づく施策を含め、あらゆる手段によって支援いたしてまいります。

 地方分権についてであります。

 地方分権改革は、地域がみずからの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマであります。

 地方の発意と多様性を重視した改革を推進するために、平成二十六年から新たな提案募集方式を導入したところ、地方創生、人口減少対策に資する提案が地方から多く寄せられました。

 第五次地方分権一括法案は、こうした提案を踏まえ、このうち法律事項について所要の改正を行うものであります。

 その内容として、例えば、農地転用許可の権限移譲により、地域の実情に応じた主体的な土地利用に資する、保育所型認定こども園の認定の有効期間の廃止により、認定こども園制度の積極的な活用を通じた保育体制の充実に資するといったものがあり、地方創生に大きく寄与するものと考えております。

 次に、地域再生法改正法が目指す中山間地域における地域づくりとその支援策についてのお尋ねでありますが、御指摘のように、中山間地域等は、人口減少、高齢化の大変厳しい状況にあります。しかし、そうであっても、地域の多くの住民がそこに住み続けたい、先祖伝来の田畑を守っていきたいといった意向を有しており、人々が長年住んでいるふるさとをどのように支えていくかを考えることが重要であります。

 このため、地域再生法改正法案では、日常生活に必要なサービスを提供する施設を集約し、周辺集落と交通ネットワークで結ぶコンパクトビレッジ、いわゆる小さな拠点を形成するために必要な措置を盛り込んでおります。

 具体的には、地域住民の合意のもとで、例えば、歩ける範囲で必要なものが手に入り、地域の人との交流もできるよう、診療所、集会施設、保育所、商店、ガソリンスタンドといった生活サービス施設を集約するための措置、周辺集落から農産物の出荷代行等が行えるよう、拠点と周辺集落をつなぐコミュニティーバス、ディマンドバス等が、人だけではなく貨物も運べるようにするなど、交通ネットワークを確保するための措置、地域のブランド野菜の栽培や農産物を生かした特産品の生産といった、地域ぐるみの産業振興を可能にするための措置を盛り込んでおります。

 このような施策により、各地域がそれぞれの実情等を踏まえ自主的かつ主体的に行う、住民の安心な暮らしを守るための取り組みを支援してまいります。

 次に、企業の地方拠点強化に関するお尋ねであります。

 御指摘のとおり、東京一極集中を是正し、地方での安定した良質な雇用を確保するためには、東京二十三区に集中している企業の本社機能の地方への移転や地方における新増設を促進することが重要であると考えており、今回提出させていただいた地域再生法の改正案においては、各地域の計画的、戦略的な企業誘致の取り組みとあわせて、企業を支援する枠組みを整備することといたしております。

 その一環として、自治体が作成する企業の地方拠点強化に係る計画に基づき、事務所、研修施設等の本社機能の移転、新増設を行う事業者に対して、オフィス設備に関する設備投資減税や雇用促進税制の特例等の措置を講ずることといたしております。

 また、本社機能の移転や新増設に必要となる資金について、民間金融機関からの借り入れまたは社債による事業資金の調達を行う際に、独立行政法人中小企業基盤整備機構が債務保証を行う制度や、事業者に対して事業税、不動産取得税または固定資産税の軽減措置を行った自治体に対して、その減収額の一部を地方交付税で補填する制度もあわせて講ずることとしております。

 本法案に基づく支援措置によって、事業者の東京からの移転を促す契機とすることで、東京一極集中を是正し、東京から地方への新しい人の流れを生み出すことを目指してまいります。

 次に、今回の国家戦略特別区域法の改正案の意義についてでありますが、国家戦略特区は、いわゆる岩盤規制改革全般について突破口を開き、民間投資を喚起することで経済成長につなげていくものです。

 本改正案は、全国各地の熱意ある自治体等から提案された地方創生に資する規制改革事項等を盛り込んでおります。

 また、法案に盛り込んだ規制改革事項は、自治体や民間事業者から、過去何年も、類似の規制改革提案がなされてははね返されてきたものがほとんどであり、改革の分野として、医療、福祉、教育などの幅広い分野が含まれております。

 これらの措置により、岩盤規制分野にもさらなる突破口を開き、新たな産業や雇用が創出されるものと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 福田昭夫君。

    〔福田昭夫君登壇〕

福田昭夫君 民主党の福田昭夫でございます。

 質問に先立ち、下村文部科学大臣に対する刑事告発が受理された件について一言申し上げます。

 現職大臣に対する刑事告発が受理されたのは、極めてゆゆしき事態です。下村大臣は、みずからの疑惑について全く不合理な説明に終始し、答弁も、二転三転どころか五転六転、あげくの果てには開き直りともとれる発言を繰り返すなど、国民に対する説明責任を全く果たしていません。

 国民が納得する説明ができない以上、みずから進退を考えるべきであります。

 以上申し上げ、三法案等について質問に入ります。(拍手)

 安倍政権は、その独裁性ゆえに、地方を創生させるどころか、日本を破壊し、国民を不幸に陥れつつあります。その大きな理由は、次のとおりであります。

 一つは、我が国は本当に民主主義国家なのか、疑いたくなります。

 その具体例は、解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認しただけでなく、それを前提に安全保障関連の法律を改正しようとしていることに加え、法案の提出も国会での審議もなしに、日米防衛ガイドラインの改正を米国と協議しようとしていることです。

 また、国民の救済が目的の行政不服審査法によって沖縄県知事の指示を無効にしたことや、政権与党が報道の自由を脅かすようなことをしていることは大変心配であります。

 二つ目は、アベノミクスによって日本が破壊されることです。

 確かに、デフレマインドを払拭することには成功したかもしれませんが、過度の円安政策は日本をだめにします。

 世界的に著名な投資家ジム・ロジャーズは、円安誘導は最悪です、自国の通貨の価値を破壊することで地位が上がった国はありません、今はいいが、いずれ大きなツケが回ってくる、安倍総理は日本を破壊させた男として歴史に名を残すでしょうと述べています。

 次の世界的な株価大暴落、ブラックマンデーの引き金をアベノミクスが引く可能性が高いと言わざるを得ません。

 アベノミクスがなぜだめなのか、私の考え五点と、経済の再生と財政健全化策を申し上げます。

 第一に、トリクルダウンがあることを前提にスタートしたこと。

 第二に、デフレ脱却が目的なのに、インフレ時の経済を冷ます政策を盛んにやっていること。逆に、経済を温める政策が必要です。

 第三に、金融緩和と財政出動の効果の違いがわからないでやっていること。

 日銀がマネタリーベースを二百九十兆円に拡大しても、国内で使われなければ効果は薄いのです。この三月末現在で、何と当座預金に百九十八兆円も眠っているのを御存じでしょうか。

 第四に、所得税も社会保険料も余り納められず、可処分所得も余りない、年収二百万円以下の非正規雇用を増加させていること。既に、全雇用労働者の四割、二千万人超が非正規雇用者です。

 第五に、累進性をフラット化した不公平税制を進めていること。

 経済を成長させる要因は、個人消費が六割、設備投資が最大二割と言われています。経済を成長させ、財政を健全化させるためには、年収二百万円以下の非正規雇用を縮小させ、中間所得層を最大化することと、全ての税金の累進性を強化して、税収を確保することが大前提です。

 同時に、五年から十年の計画的な財政出動で内需を引き出し、経済を成長させ、財政の健全化を目指すべきです。

 既に手おくれかもしれませんが、我が国を破滅させないためには、改革断行国会でアベノミクスを大胆に見直すべきであります。

 それでは、質問に入ります。

 まず、地方創生の大前提となる問題について質問いたします。

 一つは、地方創生にとって必要な地方の財源をカットするような動きがあるので、我が国の財政破綻の可能性についてお伺いいたします。

 我が国は、経常収支が黒字で、約一千兆円の国債を全て自国の通貨、つまり円建てで発行しているので、今すぐ財政破綻をする可能性はないと思いますが、いかがですか。

 しかし、いわゆる団塊の世代がほぼ現役引退をする十年後までには、経済の再生と財政健全化の道筋をつけなければと思いますが、いかがでしょうか。

 二つ目は、東京一極集中是正の具体策についてお伺いいたします。

 東京の魅力が大き過ぎて、具体的な是正策なくして地方の創生はあり得ません。例えば、フランスのパリのように、今以上の量的な拡大は認めず、質の向上を目指して国際都市として成長させる。世界一の省エネ、CO2削減を実現する緑豊かな国際環境ビジネスモデル都市として創造するとか考えるべきであります。そうすることによって、地方創生の多くのメニューが生きてくると思いますが、いかがでしょうか。

 次に、第五次地方分権一括法案に関連してお伺いをいたします。

 今回の第五次地方分権に当たって、政府は地方公共団体等から地方分権の項目を提案募集しました。結果、九百三十五件の提案に対し、提案の趣旨を踏まえて対応するものや、現行規定で対応可能として実施するものが四百九十五件となり、およそ半数が実現することとなりました。当初、提案募集に対する各府省からの第一次回答は、千六十件の提案のうち、実施はたった九件にとどまったと聞いています。

 時代の趨勢により陳腐化されたもの、長年の規制の歴史の中で意義を失った規制があるのかどうかを各府省みずから検証し、国が必ずしも縛りつける必要のない規制は、積極的に緩和を進めていくか地方の裁量に委ねることを、政治のリーダーシップによって強く進めていく必要があります。

 今回、半数ほどの実現にこぎつけたことについて、石破大臣はどのようにお考えなのか。あわせて、今回実現できないものとされた提案を含め、今後どのような分権を進めていくお考えなのか、お聞きをいたします。

 次に、農地転用についてお伺いいたします。

 今回の農地転用許可に関する権限移譲は、かねてより各自治体が強く要望しており、各自治体の実情に応じ機動的な農地転用を行うようにできることは、一定の前進と評価もできます。

 しかしながら、もう少し広く、先を見通して法案に向き合い、政策を論じることが必要です。単に農地の転用という一点だけでなく、都市部と農地の土地利用、都市計画、ひいては国土利用について、一体的、戦略的に考える必要があります。

 場当たり的で局所的な農地転用が相次ぐことともなれば、農業の生産性を下げるばかりか、郊外部の乱開発やスプロール化によって、行政コストの増大など、地方都市の消滅に一層の拍車をかけることともなりかねません。

 長期的、また広域的な観点を踏まえ、農地の集約化と転用のあり方について、より一層、国もまたリーダーシップを発揮する必要があると思いますが、農林水産大臣のお考えをお聞かせください。

 次に、地域再生法改正案に関連し、遊休工場用地の有効活用についてお伺いいたします。

 改正案では、都道府県または市町村の地域再生計画申請の際、遊休工場用地活用のため、農工法対象業種以外であっても新たな業種を記入すれば、導入することが可能とされています。

 しかし、無制限に業種を拡大すれば、大型ショッピングセンターの誘致などのために農地転用が利用される可能性もあるのではないでしょうか。

 農工法の趣旨を踏まえつつ、優良農地の確保を図るため、本法案の施行、運用において、このような行為を防止するためにどのような措置をお考えか、農林水産大臣の答弁を求めます。

 次に、国家戦略特区法等改正案についてお聞きいたします。

 全体を通じて、十分かつ慎重な議論を省略し、特区という重箱に安易に何でも無理やり詰め込んだ感があります。その幾つかについてまずこの場で質問いたしますが、特別委員会で審議するなら、各政策事項を所管する委員会委員の審議権を保障するとともに、政府各府省が特別委員会で所管省庁として責任ある立場での答弁対応を行うことを求めます。

 外国人家事支援人材の活用について、本法案では、地方自治体等による一定の管理体制のもと、家事支援サービスを提供する企業に雇用される外国人の入国、在留を可能にするとしています。

 女性の活躍推進等が目的とのことですが、働く女性にとって、家事支援を外国人に頼むメリットは何があるのでしょうか。家事支援を外国人に頼みたいという女性は、人数的にどの程度いるのでしょうか。

 また、入国、在留を認める外国人について、地方自治体等による一定の管理体制のもと、家事支援サービスを提供する企業に雇用されていることを条件にしていますが、具体的にどのような企業であれば認めるのか、現時点では決まっていません。

 悪質な事業者が入り込み、外国人を安い賃金で長時間労働させるような事態が起こらないよう、どのような仕組みを想定されているのか、適切な処遇を確保するためにどのような方策を検討しているのか、失業した場合の再就職支援をどうするのか、以上について、石破大臣の明快な答弁を求めます。

 地域限定保育士の創設についてお聞きします。

 本案では、保育士不足解消等に向け、都道府県が保育士試験を年間二回行うことを促すため、二回目の保育士試験の合格者に、三年間は当該区域のみで保育士として通用する資格を付与するとしています。

 保育士不足解消が目的であるならば、約六十万人もいる、保育士の資格を保有しながら保育士業に従事していない潜在保育士対策が急務です。

 保育士として従事することを希望しない理由で最も多いのは、低賃金です。平成二十七年度予算では処遇改善の予算が計上されていますが、それだけは、一般の職種との賃金格差を埋めることはできません。

 試験の回数をふやして保育士の数をふやしたところで、待遇が改善されなければ、潜在保育士がさらにふえるだけではないでしょうか。また、地域限定の資格では、資格を取った人から見れば、規制の強化と見ることもできます。

 この点、厚生労働大臣のお考えをお伺いいたします。

 公立学校の運営の民営化についてお聞きします。

 本法案には、現在の学校教育ではグローバル人材の育成や個性に応じた教育ができないかのような理由で、公立学校の民営化が盛り込まれています。しかし、その論拠は全く不明であり、中教審でも何ら議論されていません。

 特区だからという安易な考えで学校教育に大きな変更をもたらすことの影響について、この場で国民や保護者が納得できるよう、石破大臣の説明を求めます。

 もう一つ行きます。

 また、本法案では、高年齢退職者が活躍できるよう、シルバー人材センターが、週二十時間ではなく、四十時間の就業についても派遣事業を行うことを可能にするとしています。

 働く意欲と体力のある高齢者に働いていただくこと自体は、高齢者の生活の安定、生きがいづくり、労働力不足解消のために重要であると考えます。しかし一方で、高齢者を非正規、低賃金で利用し、若者などの就業を阻害するようなことがあってはいけません。

 法案では、労働力不足が課題となる地域等に限定するとしていますが、労働力不足が課題となる地域をどのように認定するのか、具体的な基準を厚生労働大臣にお伺いいたします。

 日本の再生には、地方の再生が不可欠であることは言うまでもありません。これらの法案が真に地方の再生につながるのか、委員会での審議を通じて、しっかり十分見きわめていくことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣石破茂君登壇〕

国務大臣(石破茂君) 福田議員にお答えいたします前に、先ほどの黄川田議員の御質問に補充をさせていただきます。大変失礼をいたしました。

 地方創生特区を指定する目的、地方創生特区への期待等についてのお尋ねでございます。

 地方創生特区は、熱意のある自治体が、規制改革により地方創生を実現できますよう、国家戦略特区をさらに進化させ、手続の簡素化や専門家の派遣など、国が総合的な支援を行うものとして指定をするものであります。

 三月十九日の国家戦略特区諮問会議におきまして、地方創生特区の第一弾として、秋田県仙北市、宮城県仙台市、愛知県の三地域を指定したところであります。

 これにより、地方創生を規制改革により実現するという新たなモデルが構築され、全国の地方創生をリードすることを期待いたしております。

 福田議員にお答えをいたします。

 四問のお尋ねをいただきました。

 まず、東京一極集中是正についてであります。

 東京圏の人口集中、過密の是正は、地方の人口減少問題だけではなく、東京圏自身が現在抱える、住宅価格が高い、待機児童が多いなどといった課題に加えまして、二〇二五年以降、大都市圏、特に東京圏において、高齢化に伴う医療、介護、住まいなどの問題が極めて深刻な事態となることがほぼ確実とされており、こうした課題に対処する上でも不可欠であります。

 したがって、地方創生を進めるに当たりましては、長期ビジョンでも掲げておりますように、地方と東京圏がパイを奪い合うゼロサムではなく、地方と東京圏がそれぞれの強みを生かし、日本全体を牽引するプラスサムでなければなりません。

 昨年末に取りまとめました総合戦略では、地方における雇用の創出や移住など、四つの基本目標に対し政策パッケージを設け、それら全てに具体的な成果目標を設定するとともに、その効果を検証するPDCAサイクルを組み込んでおります。これらを総合的に実施し、地方創生を進めることで、東京一極集中の是正を着実に進めていくことといたしております。

 同時に、東京圏が引き続き我が国の成長エンジンとしての役割を果たすとともに、世界をリードする国際都市として発展することが重要と考えており、そうした観点から国家戦略特区に指定するなど、国際都市としての魅力を一層高めてまいります。

 次に、提案募集方式についてであります。

 今回、地方から多くの御提案をいただき、このうち、学識経験者による充実した御審議をいただきました重点事項につきましては八割以上、重点事項以外を含めた新規事項では六割以上について、実現、対応することとし、長年の懸案でありました農地転用許可の権限移譲等を含め、大きな成果を上げることができたと考えております。地方六団体からも、高く評価するとの声明をいただいております。

 また、今回実現しなかった提案につきましては、具体的な支障が明確に示されていないものや、自治体間に意見の相違のあるものなどがございます。

 これらも含め、平成二十七年の提案募集におきましては、国、地方ともに十分な検討、調整期間を設けることができるよう、募集期間を昨年よりも前倒しいたしており、いただいた御提案について一つ一つ丁寧に検討し、政府を挙げて実現を図ることにより、地方の発意に根差した地方分権改革を着実に進めてまいります。

 次に、外国人家事支援人材の活用についてであります。

 外国人家事支援人材を受け入れ、国家戦略特区内において家事支援サービスの提供を行うことで、就労意欲がありながら、重い家事の負担により社会での活躍が困難であった女性の活躍を推進することが可能となると考えられます。

 家事支援サービスについては、事業者からは潜在的な需要があると聞いており、今後、市場規模が拡大すると推計されていることからも、サービスの利用ニーズはあるものと考えられます。

 外国人家事支援人材の受け入れにつきましては、不正入国、在留を防止することのほか、外国人家事支援人材に対する人権侵害の防止を図ることなど、制度の運営に万全を期する必要があります。

 このため、政令で定める基準に適合する企業が直接雇用することとしており、関係各府省とともに策定する指針に基づき、関係各省及び地方自治体等と連携して管理体制を構築し、失業した場合の再就職支援策等の御指摘の点も含め、適正に運用をいたしてまいります。

 次に、国家戦略特区における公立学校運営の民営化による影響についてであります。

 公設民営学校の特例は、国家戦略特区において、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に寄与する人材の育成をより効果的に行うため、学校の管理について民間の知見を活用するものであります。

 他方、公設民営学校も学校教育法第一条に基づく学校として、学校の設置は引き続き自治体が行いつつ、学校教育法や学習指導要領等に沿った教育を行うこと等を前提としており、その点でほかの学校と変わらず、学校教育制度を大きく変更するものでもございません。

 さらに、自治体は、管理に関する基本的な方針等についての条例を定め、法人の指定に当たっては議会の議決を要することとしており、住民の御理解を得ながら進めていく仕組みとなっております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 現在の財政状況と今後の財政健全化の道筋についてのお尋ねがあっております。

 日本では、今までのところ、預金等の潤沢な国内の家計金融資産の存在等を背景に、低い金利水準で安定的に国債が消化をされていますという、まことに幸運な状態が続いてきておりますのは御存じのとおりです。

 しかし、今後、高齢化が進展する中では、こうした幸運な状況がいつまでも続くとは限らず、国に対する信頼が確保できるよう、今のうちから財政健全化にしっかりと取り組む必要がある、我々もそう考えております。

 政府といたしましては、経済再生と財政健全化の両立を目指し、団塊の世代が七十五歳になり始める直前の、二〇二〇年度における基礎的財政収支の黒字化目標をしっかりと堅持し、本年夏までに、その達成に向けた具体的な計画を策定してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣林芳正君登壇〕

国務大臣(林芳正君) 福田議員の御質問にお答えいたします。

 農地転用についてのお尋ねがありました。

 今回の地方分権改革における都道府県等への農地転用許可権限の移譲に当たっては、優良農地の確保を図りながら地方分権を推進する観点から、農地転用許可基準の見直しは行わないこととしております。

 また、都市計画と農業振興地域整備計画との適切な調整を行うことにより、計画的な土地利用を図りつつ、優良農地の確保と担い手への集積、集約化が図られるよう、国としても積極的に取り組んでまいります。

 次に、遊休工場用地の有効活用についてのお尋ねがありました。

 この特例措置の対象となる遊休工場用地等は、過去に、農工法に基づき整備されたものの、一定期間遊休化している土地であることから、新たに農地転用が行えるものではありません。

 また、この特例措置は、地域の産業の現状などを踏まえ、地方公共団体が作成し、農林水産大臣の同意を得て、内閣総理大臣が認定した地域再生計画に基づき行われる事業を対象とするものであります。

 工場用地を意図的に遊休化させ、大型ショッピングセンター等を誘致することは本改正の趣旨に反することから、本特例措置の趣旨、内容について、地方公共団体に対し徹底するとともに、適切な運用に努めてまいります。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君) 福田昭夫議員から二問頂戴をいたしました。

 まず、地域限定保育士制度についてのお尋ねでございます。

 法案に盛り込んでおります地域限定保育士制度は、保育士試験が現在年一回実施されている中、三年間はその地域で働いてもらうことを前提に、二回目の試験を実施することで資格を取得しやすくするものであり、保育士確保につながるものと期待をしております。

 保育士確保のためには、こうした新たな取り組みに加え、本年四月に施行された子ども・子育て支援新制度のもと、消費税財源を活用して、公定価格上三%相当の処遇改善を行うほか、潜在保育士の再就職支援としてマッチングの強化にも取り組んでまいります。

 厚生労働省としては、地域限定保育士制度の活用に加え、保育士の処遇改善や潜在保育士対策などを総合的に進めることで、保育の担い手の確保にしっかりと取り組んでまいります。

 シルバー人材センターの就業時間の緩和の特例についてのお尋ねがございました。

 本法案では、シルバー人材センターに関する本特例の適用を受けようとする場合は、地域における労働力需給の状況等に配慮しなければならないとしているものであり、労働力不足の基準を定めて一定の地域を認定する仕組みとはなっておりません。

 区域計画の認定に当たっては、申請者の判断を尊重しつつ、地域の求人や求職の状況等を十分踏まえた上で、御指摘のように若者の就業を阻害するおそれの有無等にも留意をし、適切な判断がされるものと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 小熊慎司君。

    〔小熊慎司君登壇〕

小熊慎司君 維新の党の小熊慎司です。

 維新の党を代表して、通告に従い、質問をいたします。(拍手)

 地方創生は安倍内閣の重要課題の一つであると位置づけ、これまで非常に複雑で大きな課題に真正面から取り組んでこられました。現在、本院におきましても、本会議や委員会などで真摯な議論が積み重ねられているところです。

 少子高齢化、地域の過疎化などの課題を抱える課題先進国として、今後、我が国がいかに問題を乗り越えていったかという姿勢を世界に示すことで、国際社会におけるフロントランナーとしてリーダーシップを発揮することが可能になりますが、その道は大変に険しいことは言うまでもありません。

 そもそも、少子高齢化対策や人口対策は、これまで、それぞれの地方や国が何もしてこなかったわけではなく、必死に努力を積み重ねてきたところですが、残念ながら、大きな流れを変えるには至っていないのが現状です。

 これまで行われてきた施策や使われてきた巨額の予算によって地方がどのようになったのか、十分に検証した上で今後の地方創生を図らなければ、的確な政策は打ち出せないはずです。

 戦争や疫病の流行といったことなどを除けば、社会構造の変化による短期間での人口減少ということは歴史上経験したことのない課題であり、その解決には、これまでの慣例やしがらみにとらわれない覚悟ある対策が必要です。

 そこで、質問に移ります。

 まず、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案についてです。

 地域における仕事を創出していくことは地方創生の一つの大きな鍵ですが、地域での教育、人材育成をどうしていくかということは、それ以上に重要な鍵となります。

 今回の法律案に盛り込まれている都市公園内の保育所設置や公立学校の民間運営の解禁については、保育と教育の規制緩和の一歩前進で、地域における教育のあり方の多様性を可能にするものであり、一定の評価をするところです。

 しかしながら、国家戦略特区については、全般的に改革のスピードが大変遅いと言わざるを得ません。少子高齢化への対応としても、ある程度の評価ができる取り組みはそう多く見受けられません。

 地方に人口が定着しない大きな理由として、教育環境の問題があります。そもそも、大学などの高等教育機関が東京に集中し過ぎていることも大きな問題です。

 そこで、小中高から大学に至るまで、より多様な教育の形を認めるような大幅で大胆な規制改革が特区でも全国でも必要と考えますが、政府の考えをお伺いいたします。

 地域における雇用の創出、また、自然環境、国土の保全のために農業の果たす役割は、大きな期待を持って注目をされています。しかしながら、現状は、就業者の高齢化や低収入等の課題を抱えており、抜本的な改革が求められています。

 農業の活性化のためには、株式会社などの参入の促進が必要で、そのために、株式会社の土地所有解禁や、農業生産法人を通じた土地所有を容易にするべきと考えます。

 そこで、政府はなぜ、一旦は検討された農業生産法人への出資要件の緩和を断念されたのか、お伺いをいたします。

 また、地域の雇用創出のために、全国の自治体がしのぎを削り、企業誘致に努力をしています。

 国家戦略特区内の一部地域では、法人事業税や固定資産税の減免等の地域独自の優遇措置を行い、住民サービスの財源を削ってまで企業誘致を行っています。

 ところが、こうした減免により、法人税の損金が減ってしまい、国税負担が逆に重くなって、地方税の減免効果が減殺されてしまっているのが現状です。

 こうした状況が生じてしまうことは、国の方針に整合性がないと言わざるを得ませんが、政府の考えをお伺いいたします。

 次に、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、いわゆる第五次地方分権一括法案についてお伺いをいたします。

 明治以来、我が国は、中央集権型のシステムで近代化をなし遂げ、発展をしてきました。しかし、現在の社会状況下で、従来のような全国一律の基準でさまざまな課題に対応していくには、限界が生じています。

 地域の問題を解決するために、市町村は県に、県は国にお伺いを立てるといった中央集権的な仕組みや考え方に終止符を打ち、個人、そして地域が自立できる社会システムを確立し、個人、地域の創意工夫、民間の自由な競争によって経済と社会を活性化する必要があります。

 国の将来を切り開いていくためには、より効率的で自律分散型の統治機構を確立することが急務で、さまざまな分野における抜本的な改革が求められています。

 今回の法律案はそうした改革を進めるものではありますが、残念ながら中途半端な改革にとどまっている取り組みも散見されます。社会状況の激変を踏まえれば、漸進的ではなく急進的に行わなければなりません。巧遅は拙速にしかずとも言います。

 そこで、お聞きいたします。

 農地転用許可について、二ヘクタールから四ヘクタールの転用に係る国との協議の廃止は評価をするところではありますけれども、四ヘクタールを超える農地転用については国との協議を残しており、地方が大規模な再開発を行う際の大きな障害となってしまいます。

 この点については、岡山県知事なども批判をしておりますが、なぜ国との協議を残したのか、お伺いをいたします。

 また、公共職業安定所、いわゆるハローワークについても、早期に権限を地方に移譲すべきです。指定都市市長会からも業務移管に関して提案がなされるなど、地方の要望が強いにもかかわらず、改革が進んでいません。

 国は、こうした改革に、地方の声を聞かず、なぜ後ろ向きで認めないのか、理由をお伺いいたします。

 次に、地域再生法の一部を改正する法律案についてお聞きいたします。

 企業の地方拠点強化税制は、地方創生の目玉の政策の一つであり、大企業の多くが首都圏に集中している状況を是正し、地方での雇用を創出することを目的とされています。その目的そのものについては否定をするものではありませんが、その実効性と効果を厳しく検証しなければなりません。

 地方創生長期ビジョンは、この政策の重要業績評価指標、いわゆるKPIは、二〇二〇年までの五年間で企業の地方移転を七千五百件としております。この評価指標が単なる企業移転数のみでは、地方創生のための課題解決に結びつけるには十分ではありません。

 例えば、都市と地方の賃金格差に切り込まなければ、企業が地方に移転しても、地方の安い賃金に合わせられてしまう状況が生じます。また、これまで真面目に地方に税金を納め、貢献してきた既存の企業への配慮も必要です。

 つまり、量だけの指標ではなく、その質も問われなければ、さまざまな課題が生じてその目的を達成することができない竜頭蛇尾の政策になると考えられます。

 そこで、企業の地方拠点強化税制の指標には、より実践的な地域経済への効果などを掲げるべきではないでしょうか。見解をお伺いいたします。

 あわせて、先の政策指標にも見られるとおり、この政策は、企業誘致で全国に拠点都市をつくろうとしています。過去何十年間も繰り返されて効果のなかった国の企業誘致政策とは何が違うのか、お聞きをいたします。

 さらに、今回の地方拠点強化税制は、集中地域以外は全て地方活力向上地域の対象となり得ます。めり張りもなく、どこでもいいから地方を支援というのでは、国の目指す方向が、過去の地域政策と比べても、さらにわかりにくくなるのではないでしょうか。政府の認識をお伺いいたします。

 また、関東の多くの都市、大阪市全域、京都市、神戸市、名古屋市などの一部が支援対象外となっています。この点について、我が党内でも激しく議論がなされ、政府に説明を求めたところ、首都圏整備法や近畿圏整備法などが根拠となっていると説明を受けたところです。

 しかし、これらの法律は、太平洋ベルト地帯が一体として発展した高度成長時代の大変古い法律です。東京の一極集中是正が課題の現代には全くそぐわないと言わざるを得ません。御見解をお伺いいたします。

 同時にお聞きいたしますが、国は、地域再生法三条で、地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する義務を負っています。本来、重要な法改正にあっては地方の意見を十分に聞くべきであります。さきに挙げた諸都市だけでなく、東京二十三区も多様であり、それぞれの区の意見もあるはずです。

 地方活力向上地域から外れる地域の首長からヒアリングなどをなぜ行っていないのでしょうか。今後はその予定があるのでしょうか。お伺いをいたします。

 そして、この制度で認定事業者が本社移転などの際に借入などを行うときは、独立行政法人中小企業基盤整備機構の債務保証を利用できるとしています。しかし、同機構の産活法の債務保証業務は、一昨年十二月に独法評価委員会からは廃止を含めた見直しの勧告も出ており、経済産業省におきましても見直し方針を出しているところです。

 この独法に新たな債務保証事業を始めさせることは、地域再生よりも、むしろ、国の独法の無駄な業務を温存、拡大するだけにはならないか危惧されるところですが、見解をお伺いいたします。

 さて、人口減少についての地方創生長期ビジョンでの目標は、二〇六〇年までに人口一億人を維持することを掲げています。この目標のためには、出生率を一・八までに高めなければならないなど、大変厳しい目標であり、社会保障・人口問題研究所の推計では、二〇五〇年を待たずして一億人を割ることが示されているのが現実です。

 現時点で日本の人口は約一億二千七百万人で、人口一億人の維持とはいうものの、政府の目標値は、二割以上現在から人口が減ることを覚悟しているわけです。

 しかしながら、東京圏では二〇五〇年代まである程度人口が維持されるのに対し、ほかの地方ではそれ以上に急速に人口が減ることがさきの研究所の推計でも示されており、二割以上の人口減少が全国一律で生じるわけではなく、地方間での人口の格差が予測をされています。

 そこで、国全体で一億人の人口を維持というだけでは、どのような国の姿を目指しているのかが不明確になり、具体的な政策についても、その方向性や整合性に問題が生じることとなります。人口の総数だけではなく、人口移動のあり方や、各地方間での人口減少の格差が大きくなり過ぎないようにするなど、政府として、ある程度の方向性を示し、目標をつくるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

 人口減少時代に、地方の成長戦略のないまま、どの地方も住民や企業を誘致し合うようになると、日本全体がマイナスの人口の状況の中では、ゼロサムゲームどころではなくて、マイナスサムのゲームになってしまいます。地方政策は、地方が新たな価値を生み出すプラスサムを生じさせることを目指すべきです。

 東京への集中是正を最優先と考えるならば、大阪都構想を実現し、大阪をグローバルな都市間競争で勝てる都市圏にしたり、また、さまざまな日本全国の都市の活性化を目指し、道州制を導入して国の権限、財源を一括して地方に移譲するなど、真に地方が主役になる政策を目指すべきであると考えます。

 この人口減少の問題は、現代における我々に課せられた、与党、野党ということではなくて、政治に課せられた重要な、乗り越えなければならない課題であります。

議長(大島理森君) 小熊君、時間が来ております。

小熊慎司君(続) この課題を乗り越えるためにしっかりと改革を断行すべきであることをお願い申し上げ、お伺いをし、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣石破茂君登壇〕

国務大臣(石破茂君) 小熊議員から、十四問御質問いただきました。

 より多様な教育の形を認めるような大幅な規制改革の必要性についてであります。

 特区制度は、全国規模の規制改革が困難な場合などに、地域を限定して規制改革を行うものです。国家戦略特区につきましては、特区ごとに事業の進捗状況等を評価し、その際、規制の特例措置の全国展開についても判断することになっております。

 今回の国家戦略特別区域法の一部改正案では、地域の特性に応じた多様な教育を行う観点から、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に寄与する人材を育成するため、公立学校の管理について、民間の知見を活用する特例を盛り込んだところであります。

 今後も、地方公共団体や民間事業者からの具体的な提案をもとに、国家戦略特区等の仕組みを用いて、引き続き必要な規制改革に取り組んでまいります。

 農業生産法人への出資要件の緩和についてでありますが、農業生産法人の出資要件の緩和につきましては、本年三月十九日に開催をした国家戦略特別区域諮問会議において、国家戦略特別区域基本方針、平成二十六年二月二十五日閣議決定をしたものであります、及び「日本再興戦略」改訂二〇一四に基づき、国家戦略特区に係る区域会議からの提案を踏まえ、検討を加えることといたしました。

 このような取りまとめができましたことは、農業生産法人への出資要件の緩和について大きな一歩を踏み出せたもの、このように考えておりまして、集中取り組み期間内に国家戦略特区での検討を進めてまいりたいと考えております。

 国家戦略特区内で一部地域が独自に優遇措置を講じた場合の減免効果についてであります。

 本件につきましては、特区に指定されていない地方自治体が自主的に地方税減免を行う場合との関係の整理などさまざまな論点があるため、慎重な検討が必要な事柄であります。

 国家戦略特区におきましては、設備投資減税や研究開発税制の特例など企業負担を軽減する大胆な措置を講じておるところであり、まずはこれらを積極的に活用いただきたい、かように考えておる次第でございます。

 農地転用許可の権限移譲についてでありますが、今般の農地転用許可に係る権限移譲につきましては、二ヘクタール超四ヘクタール以下の農地転用に係る国との協議を廃止するとともに、四ヘクタール超の農地転用に係る許可権限について、国との協議を付した上で、都道府県及び農林水産大臣が指定する市町村に移譲することとなっております。

 四ヘクタール超の農地転用許可に係る国との協議につきましては、大規模な農地の転用は、食料の安定供給等に必要な農地の総量確保への影響が大きいことから、国の一定の関与は残したものであります。

 今般の見直しについて、地方六団体からは、これまでの地方分権改革の取り組みの中で特筆すべき決断であるとの高い評価をいただいておるところであり、地方側の長年の懸案でありました農地転用許可の権限移譲について大きな前進を見たものと考えておる次第でございます。

 次に、ハローワークの権限移譲についてであります。

 ハローワークの無料職業紹介等につきましては、これまで、地方公共団体との連携を強化するため、ハローワークの業務と地方公共団体の福祉相談所の窓口業務を同一の施設の中で一体的に実施する取り組み、知事が国の出先機関である労働局長に指示できる仕組みであるハローワーク特区を進めてまいりました。

 さらに、最近の取り組みとして、地方公共団体との連携強化を図る観点から、ハローワークの求人情報を地方公共団体にオンライン提供する取り組みを昨年九月に開始したところであります。

 したがいまして、ハローワークの事務、権限の移譲等につきましては、このような、ハローワークと地方公共団体の連携強化の取り組みの成果と課題を検証することが重要であり、その結果等を踏まえて、ILO第八十八号条約との整合性にも留意しつつ、結論を得てまいりたいと考えております。

 政策目標のお尋ねについてであります。

 地方創生のためには、地方において急速に進みつつある人口減少に歯どめをかけるため、地方での安定した良質な雇用を創出することが重要であり、昨年末に取りまとめた総合戦略におきましても基本目標として掲げられております。

 そこで、今回提出させていただきました地域再生法の改正案におきましては、東京二十三区に集中している企業の本社機能の地方への移転や地方における新増設を促進するための枠組みを整備することとしており、こうした取り組みを含め、その目標として、五年間で企業の地方拠点強化の件数として七千五百件を設定するだけではなくて、地方において四万人の雇用を創出することを掲げております。

 この新しい枠組みのもとで、量的面のみならず、質的側面にも配意しつつ、地方において仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込むという好循環を生み出してまいりたいと考えております。

 国の企業誘致策についてのお尋ねでありますが、これまで、国による政策としては、工場を中心とした地方での企業拠点の整備を促進してきており、これらの施策の結果として、工場が地方において相当程度整備をされてきております。

 一例を挙げますと、平成十九年に策定された企業立地促進法では、平成二十五年度末時点までに、約二千五百件の企業が作成する工場等の立地計画を承認して支援してきたところであります。

 他方、オフィスにつきましては、これまで地方への展開が十分行われていなかったことを踏まえ、東京二十三区に集中している企業の本社機能の地方への移転や地方における新増設を促進するために、今回提出しております地域再生法の改正案におきましては、各地域の計画的、戦略的な企業誘致の取り組みとあわせて、企業を支援する枠組みを整備することといたしております。

 その一環として、事務所、研修施設等の本社機能の移転、新増設を行う事業者に対して、オフィス設備に関する設備投資減税や雇用促進税制の特例等の措置を講じるなどの取り組みを行うこととしており、こうした支援措置によって、オフィスの東京からの移転等を促す契機とし、国と地方、民間企業等が一体となって地域の活性化を推進していきたい、このように考えております。

 企業の地方拠点強化の支援対象地域についてでありますが、東京圏のみならず、近畿圏や中部圏の中心部は、既に人口や産業が集中している地域であります。さきに申し上げたとおり、地方創生のためには、地方において急速に進みつつある人口減少に歯どめをかけるため、全国津々浦々に安定した良質な雇用を確保することが重要であり、昨年末に取りまとめました総合戦略にも基本目標として掲げております。

 このため、今回の地方拠点強化の支援対象地域につきましては、企業誘致に計画的、戦略的に取り組んでいる地域に対して、できる限り広く恩恵が及ぶように配慮しているところでございます。

 首都圏整備法の区域を用いることは不適切ではないかとの御指摘であります。

 本制度は、限定的に一部の地域を支援対象外としており、具体的には、首都圏整備法等において、産業及び人口の過度な集中を防止する必要があるとされております既成市街地等の地域及び同法の既成市街地の近郊においてその無秩序な市街地化を防止する必要があるとされている近郊整備地帯としております。

 これらの地域は、現在でもほかの地域と比べて突出して人口や事業所が集中していることから、本制度の支援対象とした場合、周辺地域からその地域への移転が促進され、ますます人口や産業が集中する弊害が生じるおそれがあり、また、東京からの移転が特定の地域へ集中するおそれもあります。したがって、本制度の対象外とすることは妥当であると考えております。

 地方からの御意見に関するお尋ねでありますが、本制度の内容につきましては、除外地域も含め、事前に全国知事会へ御説明をし、調整をいたしました上で昨年末の与党税制大綱に盛り込まれたところであり、平成二十六年十二月三十日に発表された平成二十七年度与党税制改正大綱に関する知事会の声明におきましても、当該税制の創設について評価をいただいております。

 本制度の制度設計の過程におきましては、除外地域も含め御意見を頂戴するとともに、当該地方公共団体には、真摯に御説明をし、本制度を御理解いただいたと認識しておりますが、国会での御審議等を通じまして、さらに御理解をいただけるよう努力をいたしてまいりたいと考えております。

 独立行政法人中小企業基盤整備機構の債務保証についてであります。

 本社機能等を有する施設の地方移転や地方における拡充を促進するためには、事業者にとって大きな負担となる施設設備に係る費用の調達を支援することが有効であります。このため、今回、地域再生法を改正し、同機構に新たな債務保証業務を追加することといたしました。

 御指摘のありました政策評価・独立行政法人評価委員会における勧告は、同機構が行う債務保証業務のうち、平成二十六年一月に廃止をされました産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に基づく事業再生の円滑化を目的とした債務保証業務に関するものでありまして、今回新たに措置する債務保証業務につきましては、当該勧告の趣旨に鑑み、主管省庁と連携し、適時適切に業務の状況につき検討しつつ実施をしてまいりたいと考えております。

 人口減少についての見解でありますが、地方創生の実現に向け、国は、昨年末、長期ビジョン及び総合戦略を閣議決定いたし、その中で、人口減少問題に対し、人口減少に歯どめがかかると、二〇六〇年に一億人程度の人口が確保されるとしておるところであります。

 総合戦略におきましては、その基本的な考え方として、人口減少を克服し地方創生をなし遂げるために、東京一極集中の是正、若い世代の就労、結婚、子育ての希望を実現することに加え、当面の人口減に対応するために、地域の特性に即して地域課題を解決するといった視点に基づき、人口、経済、地域社会の課題に対して一体的に取り組むことといたしております。

 その上で、これらの基本的な考え方に対応し、四十九本の政策パッケージを設け、おのおのにつき具体的な成果目標を設定するとともに、その効果を検証するPDCAサイクルを組み込んでおるところであります。

 現在、地方公共団体に対しましては、これらを勘案し、二十七年度中に、地方の実情に応じた地方人口ビジョン及び地方版総合戦略の策定をお願いしております。

 国は、引き続き、意欲と熱意ある地方公共団体に、情報支援、人的支援、財政支援などを実施いたしてまいります。

 地方創生はゼロサムのとり合いではなくプラスサムを目指すべきであるという御指摘であります。

 今回の地方創生におきましては、移住者や企業を奪い合うゼロサムではなく、地方の所得や雇用の増加を通じたまち・ひと・しごとの創生によりプラスサムを目指すこととしており、今後、各地方公共団体が、地域の実情に応じた今後五カ年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめた地方版総合戦略に基づき、仕事が人を呼び、人が仕事を呼ぶ好循環の実現により、地方の所得や雇用の増加など、それぞれの地方において新たな価値を創出していくことが重要であります。

 各地域のこうした取り組みにより、それぞれの魅力を発揮していくことができるよう、政府としても支援をしてまいります。

 最後に、道州制などの改革の断行についてでありますが、地方創生は、地方と東京圏を対立構造として位置づけるものではございません。地方創生を進めるに当たりましては、地方と東京圏がそれぞれの強みを生かし、日本全体が成長していくプラスサムを目指してまいります。

 一方、道州制は、地域経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つであり、国と地方とのあり方を根底から見直す大きな改革であります。与党におきまして、議論を前に進めるべく精力的に検討が重ねられてきておると承知をいたしております。

 道州制と地方創生については、活力ある地域づくりを目指すという点では共通をしており、それぞれのアプローチからの取り組みを同時並行的に行っていくことが重要と考えております。

 大阪都構想は、大阪市を廃止し特別区を設置することにより、二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとするものと理解をいたしております。今後、大阪では、大都市地域特別区設置法に基づく住民投票が行われる予定であり、その成否につきましては地域の御判断に委ねられているもの、このように考えておる次第でございます。

 以上であります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 石田祝稔君。

    〔石田祝稔君登壇〕

石田祝稔君 公明党の石田祝稔です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました三法律案について、石破大臣に質問をいたします。(拍手)

 公明党は、地方創生で最も大切なことは、地方創生の担い手である人がかなめであり、中心でなければならない、女性、若者や障害のある方、高齢者などの視点を生かして、地域で生活する人々が力を発揮していく環境を整えていくべきだと一貫して主張してまいりました。まさしく「人が生きる、地方創生。」であります。

 いわゆるこの地方創生三法案は、昨年末のまち・ひと・しごと創生長期ビジョン、総合戦略閣議決定後、地方創生に係る初めての重要な法案となりますが、これらの法案を進めるに当たっても、どこまでも人の視点をかなめに取り組むことが重要だと思います。

 改めて、人をかなめとする地方創生について、石破大臣の見解を伺います。

 以下、各法案について具体的に伺います。

 最初に、第五次地方分権一括法案について伺います。

 平成五年の衆参両院における地方分権の推進に関する決議から二十年余りがたちました。その後、平成七年に成立した地方分権推進法のもと、地方分権推進委員会が設置され、機関委任事務の廃止等により、国と地方の関係を上下、主従から対等、協力の関係に変えた第一次地方分権改革が進められました。

 次いで、平成十八年に発足した第一次安倍内閣では、平成十八年に成立した地方分権改革推進法のもと、地方分権改革推進委員会が設置され、その勧告に基づき、昨年成立しました第四次地方分権一括法に至る、四次にわたる地方分権一括法により、義務づけ、枠づけの見直しや地方公共団体への権限移譲などの具体的な改革が進められました。

 この間、二十年という長い歳月の中で、地方分権改革は着実に歩みを重ねてきたと言えると思います。

 今回の第五次地方分権一括法案は、こうした地方分権改革の流れの中でどのように位置づけられるものと考えているのか、石破大臣に伺います。

 次に、今回導入された提案募集方式について、石破大臣は、国が選ぶのではなく地方が選ぶことができる地方分権を目指すものであるとのお考えと聞いています。これは、地方の提案が国の制度を変える画期的なシステムと言え、地方からの期待も大きいとも聞いています。

 この提案募集方式による地方分権改革を今後どのように進めていこうと考えておられるのか、あわせて大臣にお伺いいたします。

 次に、地域再生法改正案についてお伺いいたします。

 この法案は、昨年十二月二十七日に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略を受けて、大きく二つの点で改正を行うものです。

 一つ目は、中山間地域等の人口減少に伴い、医療、介護、福祉、教育、買い物、公共交通など、生活・福祉サービス機能を一定のエリア内に集め、周辺集落と交通ネットワーク等で結ぶ小さな拠点形成と持続可能な地域づくりの推進です。

 二つ目は、地方で安定した良質な雇用確保を行うため、企業の地方拠点の強化の促進等を図るため、本社機能、新増設を行う事業者に対する支援措置等を行うものです。

 公明党は、地方創生に関連する多くの施策の中で、中山間地域等における小さな拠点の形成を公明党重点五分野の取り組みの一つとして位置づけ、現在、地方議員とともに積極的に取り組んでいるところであります。

 一口に中山間地域と言っても、地域の課題、ニーズはさまざまであり、その地域に合った拠点の形成を図っていくことが重要だと考えます。

 例えば、高知県では、県内の各地域に集落活動センターを設置し、それぞれの地域の課題やニーズに応じた地域ぐるみの活動を推進しております。また、神奈川県山北町では、町内企業、町民の一〇〇%出資による会社がコンビニやカフェなどの機能を備えた小さな拠点を整備、運営をし、町が特産物、観光情報の提供等、公共機能部分で協力する取り組みを進めております。

 そこで、さまざまな課題やニーズに対応した小さな拠点の形成を推進するためには、本法案による支援措置に限らず、財政的な支援も含めた総合的な支援が必要だと考えます。また、先ほど挙げた参考事例は横展開すべきであると考えますが、石破大臣の見解をお伺いいたします。

 また、地方創生に関する我が党の重点五分野の一つに、地域しごと支援を掲げております。

 地方での安定した良質な雇用機会を創出することが、地方へのUターン、Iターン、そしてその地への定住を促すなど、地方への新しい人の流れをつくり、人が主役の地域社会を実現するために必要です。

 地方での安定した良質な雇用の創出に向け、本法案に盛り込まれている地方拠点強化税制は重要ですが、それだけでは十分ではなく、国と地方公共団体が一体となって取り組んでいくことが必要だと考えますが、石破大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 次に、国家戦略特区法改正案について伺います。

 地方を創生し、人口減少を克服していくに当たっては、規制改革、地方分権改革、社会保障制度改革などさまざまな改革を通じて効果的、効率的な社会経済システムを構築していくことが必要であることは言うまでもありません。

 規制改革という点については、各地域がみずからの特性や資源を生かして創意工夫を生かした取り組みを推進しようとする場合に、障害となっているような規制があるのであれば、迅速に改革していく必要があると考えます。

 地域における規制改革を実現し、地域の創意工夫を生かした取り組みを推進するに当たっては、岩盤規制改革の突破口と言われる国家戦略特区制度がその重要な役割の一翼を果たすことが期待されますが、そのためには、国家戦略特区制度における規制改革事項は、地域、現場のニーズを適時的確に把握し、反映したものである必要があると考えます。

 そこで、まず、石破大臣に、今回、国家戦略特別区域法の改正案の提出に当たり、どのように地域、現場のニーズを吸い上げられたのか、お伺いいたします。

 加えて、国家戦略特区制度が地方創生に果たす役割について、石破大臣にお伺いしたいと思います。

 ことしは、地方創生元年と言われ、各自治体において、地方版総合戦略の策定や事業実施など本格的な取り組みが開始されています。地方創生の実現には、長期的視点から、腰を据えて取り組むべきであると考えています。

 その際、地方創生の実現には、地域に根を張る我が党の役割は非常に大きい、このように私は思っております。公明党の特徴であります、国会議員と地方議員三千人とのネットワークを十分生かしながら、これまで以上に地方創生実現のために全力で取り組むことをお誓いし、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣石破茂君登壇〕

国務大臣(石破茂君) 石田議員より、七問御質問をいただきました。

 人をかなめとする地方創生についてのお尋ねであります。

 地方創生では、人が生きがいを持って生活をし、この地域に住んでよかったと実感できる地域社会を目指すことが必要であります。このため、地方にやりがいのある仕事をつくり、若者や地域内外の意欲ある人材の地方への移住、定着を促進することが重要であると考えております。

 この理念のもと、昨年末に、国の総合戦略を策定いたしました。今後は、戦略に盛り込んだ施策を活用しつつ、各地方の自由な発想に基づく地方版総合戦略を支援し、人が主役の地方創生を推進してまいります。

 また、総合戦略に盛り込まれた主要な政策をさらに推進するため、各省庁において行う政策の深掘りやフォローアップ、地方再生の新たな原動力となる新型交付金の検討、地方支援、広報普及のあり方などについて盛り込む予定としております、まち・ひと・しごと創生基本方針をことしの六月中をめどに策定することにいたしております。

 地方創生は息の長い取り組みであり、この流れが不可逆的かつ自律的に動き始めることが重要であります。このため、国は引き続き、意欲と熱意のある地方公共団体の取り組みをあらゆる手段によって支援していくとともに、各府省庁の縦割りを排除し、相互に連携しつつ、総合戦略に基づく取り組みを長期的、継続的に実施することにより、公明党が力強く提唱しておられます、人が生きる地方創生、人が輝く地方創生の実現を目指してまいります。

 次に、第五次地方分権一括法案についてのお尋ねであります。

 平成五年からの第一次地方分権改革では、国と地方との関係を、上下、主従の関係から対等、協力の関係に変え、地方分権改革の理念を構築し、地方の自主性、自立性を高めました。

 平成十八年からの第二次地方分権改革では、第一次から第四次までの地方分権一括法により、義務づけ、枠づけの見直し並びに国から地方、及び都道府県から市町村への権限移譲を推進し、延べ三百六十六法律の改正を実現いたしました。これにより、地方分権改革推進委員会の勧告事項については一通り検討し、対処したところであります。

 以上の成果を基盤とし、地方がイニシアチブを発揮しつつ、引き続き改革を推進するため、平成二十六年から、地方の発意に根差した新たな取り組みとして、提案募集方式を導入いたしました。

 第五次地方分権一括法案は、この新たな取り組みにおける地方からの提案を踏まえ、地方公共団体への事務、権限の移譲等を行うものであり、地方の発意による、地方のための制度改革の仕組みを確立するものと位置づけられると考えております。

 提案募集方式についてであります。

 平成二十六年に新たに導入したこの方式につきましては、有識者による客観的な議論を含めて、地方の提案を解決する仕組みができ、地方六団体からも、高く評価するという声明をいただいておるところであります。

 地方分権改革有識者会議におきましても、地方側議員から、今後とも地方の立場に立ってさらに強力に推進されたいといった意見表明がなされておりますことから、平成二十七年も提案募集方式による地方分権改革を進めてまいります。

 本年は特に、地方創生が本格化し、各地方公共団体でもさまざまな地域課題があらわれてくると考えております。本年の募集につきましては、募集開始を前倒しし、検討期間を充実しておりますので、いただいた提案について一つ一つ丁寧に対応し、可能な限り実現を図ってまいります。

 小さな拠点の形成の推進についてでありますが、人口減少、高齢化が進む中で、中山間地域等において住民の方々の安心な暮らしを守ることは重要な課題であると認識しており、必要な支援を行ってまいります。

 昨年末に取りまとめた総合戦略では、町の創生の政策パッケージの一つとして、中山間地域等における小さな拠点の形成を位置づけ、各種の生活サービスの維持を図っていくこととしております。

 具体的には、国は、地域再生法改正法案におきまして、生活サービスを提供する施設の集約や交通ネットワークを確保するための措置等、コンパクトビレッジ、いわゆる小さな拠点の形成に必要な措置を盛り込むとともに、二十六年度補正予算や二十七年度予算で準備した地方創生先行型交付金や地域再生戦略交付金などによる財政支援、地方創生人材支援や地方創生コンシェルジュによる人的支援、地域経済分析システム、RESASや、御指摘の高知県の集落活動センター、神奈川県山北町の小さな拠点といった優良事例の紹介による情報支援等により、地方公共団体を総合的に支援いたします。

 これらの支援を行うことにより、御指摘いただきました事例のような地域の実態に合った小さな拠点の取り組みが全国各地において広がっていくよう、これから先、図ってまいる所存であります。

 地方における雇用創出でありますが、御指摘のとおり、東京一極集中を是正し、地方での安定した良質な雇用を確保するためには、東京二十三区に集中している企業の本社機能の地方への移転や地方における新増設を促進することが重要であると考えており、今回提出させていただきました地域再生法の改正案におきましては、各地域の計画的、戦略的な企業誘致の取り組みとあわせて、企業を支援する枠組みを整備することといたしております。

 その一環として、自治体が策定する地域再生計画に基づき、事務所、研修施設等の本社機能の移転、新増設を行う事業者に対し、オフィス設備に関する設備投資減税や雇用促進税制の特例等の措置を講ずることといたしております。

 他方、企業で働く従業員の方々あるいはその御家族にとっては、教育、医療、介護などの生活環境が整備されているかどうかという観点は極めて重要であり、こうした生活環境整備の観点では、地方公共団体の果たす役割が大きいものと認識をいたしております。

 また、本社機能の地方への移転や新増設を行うのはあくまで民間の事業者の皆様方でありますため、現在、事業者の方々がそうしたことを行う上で何が必要であるかということについて、経団連等にお尋ねをしておるところであります。

 そうした結果も踏まえながら、国と地方と民間とが一体となって東京から地方への新しい人の流れを生み出すことを目指してまいります。

 次に、国家戦略特別区域法の改正案に係るニーズの吸い上げについてであります。

 国家戦略特区におきましては、特区ごとに設置する区域会議におきまして、関係する自治体や民間事業者から、随時、地域や現場のニーズに沿った規制改革の提案を受け付けております。

 また、昨年夏に全国から追加の規制改革事項を募集いたしましたところ、自治体や民間事業者の方々から二百六件の御提案をいただいたところであります。

 今回の改正法案には、区域会議や全国の自治体、民間事業者の方々から提案がなされました地方創生に資する規制改革事項を盛り込んでおるところでございます。

 最後に、国家戦略特区制度が地方創生に果たす役割についての御質問をいただきました。

 先ほど申し上げましたとおり、今回の改正法案には、区域会議や全国の自治体、民間事業者から提案された地方創生に資する規制改革事項を盛り込んでおります。各国家戦略特区におきまして、これらの規制改革を行うことにより、地方の創意工夫を生かした取り組みを実現してまいります。

 加えて、地方創生を規制改革により実現しようとする熱意のある自治体を国家戦略特区における地方創生特区として選定いたしました。これらの区域が規制改革を実現していくことで、地方創生のモデルとして、それが全国に横展開するとの役割を果たすものと考えておる次第でございます。

 以上です。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣    麻生 太郎君

       総務大臣    高市 早苗君

       厚生労働大臣  塩崎 恭久君

       農林水産大臣  林  芳正君

       国務大臣    石破  茂君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  平  将明君


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