衆議院

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第11号 平成13年5月18日(金曜日)

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平成十三年五月十八日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 横路 孝弘君

   理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君

   理事 古賀 正浩君 理事 西川 公也君

   理事 島   聡君 理事 中沢 健次君

   理事 河合 正智君 理事 塩田  晋君

      岩崎 忠夫君    亀井 久興君

      川崎 二郎君    後藤田正純君

      阪上 善秀君    実川 幸夫君

      谷川 和穗君    近岡理一郎君

      平井 卓也君    三ッ林隆志君

      渡辺 具能君    渡辺 博道君

      井上 和雄君    石毛えい子君

      大畠 章宏君    細川 律夫君

      山花 郁夫君    山元  勉君

      太田 昭宏君    松本 善明君

      北川れん子君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村井  仁君

   国務大臣

   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君

   国務大臣

   (科学技術政策担当大臣) 尾身 幸次君

   内閣府副大臣       仲村 正治君

   内閣府副大臣       松下 忠洋君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   法務副大臣        横内 正明君

   内閣府大臣政務官     阪上 善秀君

   内閣府大臣政務官     渡辺 博道君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進事

   務局長)         西村 正紀君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   興  直孝君

   政府参考人

   (警察庁長官)      田中 節夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   石川 重明君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    漆間  巌君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議

   官)           素川 富司君

   内閣委員会専門員     新倉 紀一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  小西  哲君     後藤田正純君

  宮澤 喜一君     平井 卓也君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     小西  哲君

  平井 卓也君     宮澤 喜一君

    ―――――――――――――

五月十七日 

 自公保連立内閣の即時退陣に関する請願(日森文尋君紹介)(第一六二七号)

 内閣官房機密費疑惑の徹底究明に関する請願(吉井英勝君紹介)(第一六二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件




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     ――――◇―――――

横路委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房行政改革推進事務局長西村正紀君、内閣府政策統括官興直孝君、警察庁長官田中節夫君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁警備局長漆間巌君、法務省刑事局長古田佑紀君及び文部科学省大臣官房審議官素川富司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

横路委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢沢一郎君。

逢沢委員 自民党の逢沢でございます。きょうは、四大臣の先般の所信の意味合いを兼ねたごあいさつについて質問させていただきたいと思います。

 また、改めて、四大臣、それぞれ閣僚への御就任、おめでとうございます。自民党を変える、日本を変える、大変強い決意で小泉総理は頑張っていらっしゃる。非常に高い国民の期待また支持を受けている、その総理のもとの内閣、閣僚として、国の今と国民の将来のためにしっかり頑張っていただきたい、冒頭、心からそう申し上げておきたいと思います。

 きょうは、尾身大臣、村井大臣、石原大臣、三大臣にそれぞれ簡略にお答えをいただきたいと思うわけでありますが、まず、科学技術担当の尾身大臣にお伺いするわけであります。大臣の手元にこの資料が届いておりますでしょうか。

 日本はここのところ、ちょっとかつての勢いがないのではないか、そんなふうによく言われるわけでありますが、いろいろ調べてみると、科学技術、特に技術開発の分野では非常に強い力を持っているし、また十二分に発揮をしている。

 例えば、一九九八年あるいは九九年でありましたか、アメリカでどの企業がたくさん特許を取得したか、それを調べてみると、アメリカのあの市場で特許をたくさん取得した企業をずっと並べてみると、ベストテンの中に日本の企業が七社入っていた、そういう事実があります。こんなことはどういうわけか余り日本では報道されないんですね。もっと、日本の強さ、あるいは頑張って新しい技術について開発が進んでいる、そういう事実を国民に知らしめる、そんな努力が必要なのではないか、そう思います。

 きょう、お手元に配らせていただいたこの「「新規・成長十五分野」の雇用規模・市場規模予測」、これは数年前に通産省が産構審の議論等を踏まえてまとめた資料でございまして、もう既に数年たっているわけでありますが、二〇一〇年にはこういった分野が大きく成長しているであろう、また成長させなくてはならない。千八百万人程度の雇用が確保され、そして予測では五百五十兆ほどの規模になる。プレーヤーはもちろん民間でありますけれども、それを政治や行政が的確に支えていく、そういうことが必要ではないかと思います。

 大臣は所信のごあいさつの中で、特にライフサイエンスや情報通信、環境、ナノテクノロジーの四分野に重点を置きたいというふうにおっしゃられました。実はちょっと事前に申し上げていなかったわけでありますが、幾つもの分野の中で、特にどうしてこの四つの分野に絞って重点を置くんだというふうに御判断をされておられるのか、簡略にお答えをいただけたらありがたいと思います。

尾身国務大臣 従前の科学技術基本計画などにおきましては、実は戦略的重点分野を決めておりませんでした。しかし、やはりこれから科学技術創造立国を目指していくときに、重点分野を決めて戦略的にこれを進めていこうという考え方で、いろいろ関係方面の御議論をいただきまして、また識者の御判断もいただきまして、ナノテクノロジー・材料それから環境、情報、ライフサイエンスという分野を決めたわけでございます。

 情報は国民一般に認められている発展分野だと思いますが、ライフサイエンスにつきましては、ゲノム研究が非常に進んでまいりまして、国家的重点戦略として進めていかないとアメリカを中心とする外国におくれをとる、そういう意味で日本の水準をさらに高めていこうということで決めたわけでございます。また、ナノテクノロジーにつきましては、日本はかなりいいところまで来ておりますが、このまま放置しておきますとアメリカに抜かれてしまうといいますか、さらに先に進められてしまうというようなこともございまして、そういう世界的な趨勢を見た上で戦略的重点分野として四分野を決めたということでございます。

逢沢委員 選択と集中、ぜひ国民が納得できる成果を上げていただきたい、そして、その成果が他の分野にもいい影響が及ぶような指導力をぜひ大臣にも発揮をいただきたいとお願いをいたしておきます。

 さて、先端的な技術を開発していくということになりますと、いい意味でやはり日米が協調、協力しながら、しかし競争しながら新しいものを開拓していく、そういうことは大切な視点だろうと思いますが、大変ショッキングな事件の報道がアメリカから届いたわけであります。理研の研究所の研究員の方を含む二人の研究員がアメリカ司法当局にスパイの容疑で起訴をされるというショッキングな事件が起こりました。アルツハイマー病の研究という、文字どおり最先端の科学技術分野で発生した事件でありまして、私としても大変重大な関心を払っているわけであります。

 きのうの夕刊でも最初の罪状認否の審理が行われたということが大きく報道されまして、芹沢先生ですか、そういった疑惑を完全に否定された、こういうことでありますが、しかし、理研の岡本先生の身柄の引き渡しについて、アメリカはある意味で自信を持っているんだ、腰を入れて取り組むんだ、そういうことも報道されていまして、ただならぬことだなというふうに思うのはひとり私だけではなかろうというふうに思います。

 そこで、尾身大臣としてこの事実に対してどういう認識をお持ちか、あるいはこのことが報道されて以降何か大臣として行動されたのか、指示をされたことがあるか、あるいはこれから先どういう対応が必要であるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

尾身国務大臣 私ども、この事案を聞きましたとき、全く予想していなかったことでございますが、そういう企業機密、研究の機密のようなもの、あるいはそれの材料を持ち出したという嫌疑がかけられているわけでございますが、その持ち出したことが、一つは個人のいわゆる窃盗罪的なものになるという考え方と、それから外国の政府あるいは政府に準ずる機関のために持ち出したということ、二つの種類に分けておりまして、後者の方は、やや俗に言うスパイというような感覚で罰則も強化されているということでございます。

 私どもは、今文部科学省と理研に調査チームをつくりまして内容の調査をしているわけでございますが、現在までのところ、私が聞いております限りにおいては、理研そのものは当該人物からそういう意味のデータをもらったこともないということでございまして、まだ真相はよくわからないわけでございますが、少なくとも第二の範疇に入る内容ではないというふうに私ども承知をしておりますが、今後とも調査をしっかり行いまして適切な対応をしてまいりたいと考えている次第でございます。

逢沢委員 いずれにしてもアメリカ司法当局の動きを注視するしかない、こういうことでありますが、どうぞ的確、適切な対応がとれるような状況づくりを心からお願い申し上げておきたいというふうに思います。また、必要なタイミングで言うべきことはきちんと発言していただく、そのことについても申し上げておきたいというふうに思います。

 尾身大臣に最後の質問になるわけでありますが、ごあいさつの中で、研究開発システムを改革していかなきゃいけない、そのことをおっしゃられました。大学のすぐれた研究成果が産業の場で実用化をされるということについて、大臣とされても大変重要にお考えでありまして、私も全くそのとおりだなというふうに思います。

 大学改革の一環として、各大学、国立大学は自己評価をやりなさい、そして、まだ必ずしも十分できていないようでありますが、その自己評価を第三者に評価してもらいなさい、そういう仕組みができているわけでありますが、その自己評価、第三者評価の中に、本当に大学が役に立っているのか、特に科学技術分野での成果が上がっているか、その成果が地域社会や、あるいは広く日本の産業界に有用に展開をされているか、そういうことについては必ずしも十二分な状況になっていないんではないか、私はそういう認識を持つわけであります。大臣とされてどういう認識をお持ちか、そして国民の方に、意味のある大学の成果が上がっている、そういう認識を持ってもらうために何をやっていく必要があるか、御答弁をいただきたいと思います。

尾身国務大臣 研究開発における評価の問題は大変大事でございまして、いわゆる客観的な評価とか第三者による評価とかいう表現で言われておりますが、今までどうも、ともするといわゆる大学の大御所と言われる教授のコントロールのもとにある種なれ合いの評価が行われてきた、評価と称するものが行われてきたのではないかという反省に立ちまして、この評価をしっかりやっていきたい。そして、これは事前に、提案された段階での評価をするのと同時に、研究成果がある程度出た事後の段階においても評価をして、成果のあるものについては予算、人員をふやし、成果の上がらないものについてはそれを減らすという、厳しい、評価と支援体制の関係をしっかりつけるような形でやっていきたい。

 具体的にどういうふうにしていくかということについて、今、総合科学技術会議の方でできるだけ早期に結論を出すべく、私ども検討中でございます。また、いろいろな御意見を拝聴しながらやってまいりたいと思います。

逢沢委員 現場を所管する文部科学省とも十分連携をおとりいただいて、科学技術担当大臣としての見識でリーダーシップを発揮していただきたい、そうお願いを申し上げておきます。

 それでは、村井大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 所信のごあいさつの中でもおっしゃられましたように、日本は世界の先進国の中では最も安全な治安のよい国であると自他ともに認識をしてきたけれども、最近の犯罪の増加、凶悪化もしているし、国際的な広がりも持ってきたし、ハイテク化もしてきたし、そういうことに十分対応する質と量を備えていかなくてはならない、そういう認識を披瀝されたわけであります。

 かつては交番というのは、その固有名詞自体が世界じゅうに有名になった、認識をされたわけでありますが、最近はどうもその交番の評判が必ずしも国民にとっても十二分な評価になっていないのではないか。私はやはり、質ももちろんよくしていかなくてはならないけれども、必要最小限のマンパワーの確保ということは必要なのではないかなというふうに思われますが、先進国の中では、単位人口当たりのお巡りさんの数、少ない人数でいい仕事をしてもらわなくてはならぬわけでありますが、今どういう状況になっているのか。もし十二分でないと認識をするならばどういう計画でどう増員をしていくのか、同時にあわせて質をどう確保していくのか、改めて大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。

村井国務大臣 ただいま逢沢委員から大変適切な御指摘をちょうだいしたわけでございますが、私、先般の所信のごあいさつの中でも、ただいま逢沢委員御指摘といいますか御引用のような認識を申し上げました。

 しかし、一方でいろいろ問題が出ていることも事実でございまして、数字をちょっと拾ってみますと、警官一人当たりの負担人口という数字がございます。これは時点がさまざまでございますので、直接比較が可能かどうか問題は若干ございますが、日本が平成十三年度、今度増員を二千五百八十人いたすわけでございますが、それをやりました上で五百五十一人ということになります。それに対しまして、平成十年でイギリスが三百九十五人、アメリカが平成八年の数字しかちょっと私も今手元にございませんが三百八十五人、ドイツ、フランス、イタリー、いずれも平成十一年でございますが、ドイツ三百十五人、フランス二百九十三人、イタリア二百七十六人というような数字がございます。

 私ども、できますれば五百人程度まで持っていければと思うわけでございますが、それをやりますにはどうしても二万三千人ぐらい増員を図らなければならないということでございまして、これはなかなか現在の行財政の厳しい環境の中で難しいことでございますが、その中でも、ここのところ、全国で一万数千人程度はふやしていただきたい。その第一歩として本年度二千五百八十人ふやしていただいたということでございまして、これをさらに努力を続けたいと思っております。

 ただ、御指摘のように、ただむやみにふやしましても質を伴いませんとこれは大変問題がございますので、やはりある程度きちんとした基準を持ちまして漸次ふやしていくという努力をしなければいけない、数カ年かけて増員を図る、こういうことではないかと思っております。

 今後とも、逢沢委員初め諸先生方の一層の御支援を賜ればありがたいと存じます。どうぞよろしく。

逢沢委員 警察の大変残念な事件、不祥事の記憶は消えないわけであります。国民ももちろんそういう思いを持っているわけでありまして、十二分にそのあたりのことを体しながら、国民の理解を得ながら、もちろん財政もお考えをいただきながら、しかし、必要なことは前に進めていただかなくてはなりません。よろしくお願いを申し上げます。

 それでは石原大臣、お伺いをいたします。

 いろいろ私も数字を改めて調べてみたわけでありますが、今、日本に公務員の方というのは何人いらっしゃるのか。ちょっと時間がありませんから、いただいた資料で確認をいたします。国家公務員が約百十万人、地方公務員の方が三百二十万人でありまして、これは国民の方は余り認識をされていないかもしれませんが、先進国の中で単位人口当たりの公務員の数というのは本当に日本は少ないんですね。コンパクトな、言ってみれば比較の上では小さな政府でやっているという事実がありますし、特殊法人の職員四十三万八千六百四十四人を加えたといたしましても、先進国の中でも飛び抜けて単位人口当たり少ない公務員の数で国の経営、運営がなされておるというのが事実であります。

 ただ、日本のようにコンパクトな国、そして一言語であり、ほぼ一民族ということから考えますと、さらに効率を高めていくということはできるわけでありますし、また必要かというふうに思います。

 改めて、国として、これから国家公務員をどういう考え方で削減される御計画であるか。そして、直接の大臣の所管は離れるかもしれませんが、今約三千三百ある全国の市町村に、もちろん国が押しつけるわけにはいかないけれども、いろいろな条件を整えて、やはり合併ということについて前向きに取り組んでもらいたい、将来的には千ぐらいの市町村になってもらえないかな、そういうことも出ておるわけでありますが、そうなりますと地方公務員の数は大体どのくらいにスリム化されるのか。そういう見通しをお持ちでございましたら、まずお聞かせをいただきたいと思います。

石原国務大臣 逢沢委員の御質問にお答えさせていただきたいと思うんですけれども、今、村井大臣との討論の中で、やはり質の問題も言及されておりましたし、単位人口当たりの公務員の数は諸外国と比べると決して多くはないということも事実だと思います。しかし、やはり行政改革を進める上で目指すべき政府というものはスリムで効率的な政府であるわけでございますので、そのような観点からも、やはりさらなる公務員の方の削減問題というものも重要ですし、公務員の方の質を高くしていくということも必要だと私は思っております。

 もう委員御存じのことだと思いますけれども、昨年七月に閣議決定されました定員削減計画で、この一月の六日にスタートいたしました省庁再編後の十年間で二五%の削減を努力していくということでございます。その具体的な内容につきましては、十年間で少なくとも一〇%の計画的な削減、そして今度、エージェンシー、独立行政法人化による一層の定員削減、さらには全体の数を抑制していく増員の徹底した抑制、そういうことで、本年度、純減と独立行政法人への移行を合わせておよそ二万四千人が削減されることになっております。

 地方公務員のところにつきましては、総務省が主管でございますが、個人的な見解として申し述べさせていただきますと、やはり、今、村井大臣との議論の中でございましたように、警察とか教育とか消防といったものは国が配置基準を決めているところでございますので、国と同様に論ずるということはまた難しいということは、もう委員御理解されているところだと思っております。そんな中で、国の定員削減計画の動向をしっかりと踏まえていただいて、数値目標の公表などを通じて、地方公共団体に対しても定員の適正管理というものが総務省から強く要請されていくものと考えております。

逢沢委員 時間が参りましたので、残念ながらやめざるを得ないわけでありますけれども、どうぞ、行革担当大臣として的確なリーダーシップの発揮をお願いいたしたいと思います。また別の機会をいただいて、民営化の問題あるいは分権の問題、また特殊法人についての議論は別途させていただきたいと思います。ありがとうございました。

横路委員長 島聡君。

島委員 民主党の島聡でございます。

 新たな大臣を迎えまして、御就任、本当におめでとうございます。

 また、我が国民にとりましても非常におめでたいことが、五月十六日に雅子様の御懐妊が正式に発表されました。まことに慶賀にたえないわけでございまして、皇太子妃殿下におかれましては、よりお健やかに過ごされまして御安産になるように、私もお祈りを申し上げている次第でございます。

 さて、小泉総理もいろいろな場面で御発言をしておられますが、いわゆる女性の天皇陛下も可能な形で皇室典範というものを改正すべきではないかというような議論が幾つかのところから出ております。現在の皇室典範というのは、第一条におきまして「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」とあります。今まで何回かこの内閣委員会で議論はされております。

 官房長官にお尋ねをいたしますが、私は、男女どちらが御誕生になりましても国民が心から喜べる、さらに皇統の継承あるいは男女平等の観点から、女性の天皇陛下というのも可能なように皇室典範を改正すべきだというふうに思っております。

 一九九二年四月七日の参議院内閣委員会で質問がされました。それに加藤紘一官房長官が幾つか答えられております。男系の男子が皇位を継承するとなっているが、皇位継承者を男性に限っている理由は何かということに答えまして、我が国古来の伝統というものは男系男子が皇位を継承する、こういうことが長い伝統になっております、そういう考え方に立って男系男子が皇位を継承する、こういう定めになっているというようなことを答えられております。

 御存じのように、百人一首の「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山」と歌われた持統天皇初め何人かの女性の天皇陛下がおられるわけであります。福田官房長官も、個人的にはと断られながら、皇室典範を変えて女性の天皇陛下というものがあってもいいんじゃないかという御発言をされておるわけでありますが、二つ続けてお聞きします。

 まず第一点、今でもこの我が国古来の伝統というものは男系男子が皇位を継承するという伝統となっているので、そういう定めになっている、そういう答弁、それは変更がないのかどうか。

 それから第二点、続けてお聞きします。加藤紘一国務大臣、官房長官ですが、こういうふうに答えています。「この規定は皇統に属する男系の男子が皇位を継承するという伝統を背景として制定されたものでございます」、これは憲法二条について答えているものであります。「同条は、皇位継承者を男系の男子に限るという制度を許容しているものと私たちも考えております。」ということになっています。

 これはわかりにくいのですが、いわゆる、別に憲法を改正しなくても皇室典範というのは改正できる、私はそう思うのですが、それでよろしいかどうか、確認をしたいと思います。

福田国務大臣 このたび、皇太子妃殿下が御懐妊されました。本当に国民の一人としてもうれしく思っております。

 御質問のことでございます。これと関係のない立場でお答え申し上げる次第でございます。

 まず第一の皇統に属する男系の男子が皇位を継承する、これは皇室典範の第一条に明記されておるわけでございますから、このものが変更されていることはないわけでございますので、この考え方に基づいて今物事が進んでいる、このように考えていいというように思っております。

 それから、憲法との関係ですね。憲法第二条、これは皇位の世襲のことを規定しているわけでございますけれども、これは世襲という日本の古来の伝統を総じて世襲制度ということでもってあらわしているというように思いますので、この考え方に基づいて今男子がということになっているんだろうと思います。

 しかし、憲法で別途規定されますように、男女平等だというような観点もございますし、そういうことも含めていろいろな議論がこれから行われるのではないかなというように私は思っているところでございます。

島委員 今小さく男女平等というお話もされましたが、九二年四月の参議院内閣委員会での社会党の三石議員の質問に対しまして、皇室制度は歴史と伝統に基づいたものであり、これを守るということと男女平等を目指すことは矛盾しないという答弁をされておられます。それについて私は異を唱えるわけではありませんが、世界の潮流を見ますと、例えば、ノルウェーはノルウェー憲法六条で、一九九〇年までは男子に限ると言っていました。ベルギー憲法は六十条で、これも男子に限ると言っていました。ノルウェーは九〇年に、ベルギー憲法も同じように九一年に変えております。

 官房長官、今お聞きいたしましたら、憲法は特に変えることなく、皇室典範だけを変えて女性の天皇陛下が可能であるというふうな解釈でよろしいかということが一点。

 それから、今、これからいろいろなところで検討されるというお話でありましたが、その検討は、今までは、これは加藤紘一官房長官の答弁ですが、日本社会の中における男女平等の問題は、別途に我々は追い続けていかなければならないテーマであろうと思っておりますとこの問題について語っていらっしゃいます。

 私は、世界の潮流を考えたら、例えばノルウェーは、王室でも男女平等の原則が適用されるべきだという考え方に基づいて憲法を変えて、女性の女王様ができるようになりました。そういうような形で素直に考えて取り組んでいったらどうか。

 その二点をお尋ねしたいんですが、お願いします。

福田国務大臣 最初の話、それは、憲法の規定の範囲で変更できる問題だろうというように私は理解いたしております。

 それから、九二年の今御指摘の加藤官房長官の発言等を御引用されましたけれども、私は、いろいろなところで、そのときも答弁の中に、宮内庁でも研究、勉強をされる、こんなふうな答弁がございましたけれども、憲法調査会での議論もあろうかと思いますし、いろいろな角度でもって討議、検討されるべき問題だと思います。

 と申しますのは、これは日本古来の伝統というものであり、また大きく言えば日本の文化でもあるというようにも思いますので、そういうことも考えながらこれから考えていただきたい、もう既に考えていらっしゃると思いますけれども、結論を出すべく考えていただきたい、このように思っておるところでございます。

島委員 ぜひともこの国会で、また内閣府、宮内庁を担当させていただきますこの内閣委員会で、きちんと私ども議論をしていきたいと思っておりますし、我が党でも十分検討をし、そして、私どもの鳩山代表は今国会中でまとめたら立法をということも言っております。私ども内閣の部門会議でもそういうような議論をしておりますので、今後、十分議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思う次第であります。

 きょう、多くの大臣に来ていただいておりますので、まず、科学技術関係の話及びメールの話等々をしたいと思います。

 まず、尾身大臣、おめでとうございます。

 総合科学技術会議ができました。これは、総合科学技術会議の運営についての顧問会議の見解、昨年の五月二十二日に出ております。「総合科学技術会議が総合戦略を策定するに当たっては、経済財政諮問会議と同様、会議自体が原案を作成すべきである。」等々書いてあるわけです。ほかには、例えば「総合戦略に関する重要部分については会議自体が原案を作成すべきである。」つまり、会議の機能をきちんと強化して戦略的にやりなさい、そういうことが書いてあるわけであります。

 今回、基本計画が出されました。尾身大臣、率直に申し上げまして、経済財政諮問会議は割と注目を浴びているのですが、残念ながら、総合科学技術会議はそれほど注目を浴びていないと私は思っております。今後、それをどのように改良し、そしてまたこの顧問会議見解に基づいてどのような運営をされていくのかということをお聞きしたいのが一点。

 続けて恐縮ですが、この基本計画に、目指すべき国の姿で、五十年に三十人がノーベル賞を受賞できるほどの知の創造と活用というのがございます。五十年に三十人というとすごい話でございまして、私が今四十三歳ですので、後九十三まで生きると三十人のノーベル賞が見られるという話でございますが、いつごろからこれがスタートしていくのか。桜の咲くころには景気が回復するという名言を残された尾身さんでいらっしゃいますので、いつごろからスタートするかということをお答えいただきたいと思います。

尾身国務大臣 お祝いのお言葉をありがとうございます。

 総合科学技術会議が科学技術政策の基本に関することについて原案作成の段階からこれをやるべきであるという御意見につきましては、私ども、大変ごもっともなことだと思っております。

 経済財政諮問会議と比べて総合科学技術会議が目立たないのではないかという御意見でございましたが、私は実はそうは思っておりませんで、今までの活動状況等を見ておりますと、従前は、一月六日以前は科学技術会議というのがございました。そこの科学技術会議というのは、実は一年に一遍、総理大臣を議長として開催をされて、三十分とか四十分で各省の代表あるいは学識経験者の方々も一度御発言をされてしゃんしゃんと終わるというような、まあ、表現は悪いかもしれませんが、やや形式的な会議でございました。

 しかし、今度の総合科学技術会議につきましては、月一遍開催をしておりまして、いわゆる有識者の議員を含めまして、総理大臣を議長といたしましてかなり活発に議論をしておりまして、その議論のたびごとに、新しい、いろいろな今後の科学技術政策の根幹にかかわる考え方を出しているところでございます。つい最近におきましても、第二期の科学技術基本計画を作成いたしました。

 これもおっしゃるとおり、原案の段階から内容を詰めて提案をしておりまして、最初の五カ年間、十七兆円だったものを二十四兆円に、金額ベースでも約四〇%の増を図るということ、あるいは、従来、全然そういう考え方がなくて、いわば総花的に各分野についての記述をしておりましたものを、情報、ライフサイエンス、環境、ナノテクノロジーという四重点分野に絞って、戦略的重点分野としてこれを提示していくというようなことで、かなり実質的なものを出しているというふうに私は考えております。

 それから、実は今、今の四重点分野を中心としてそれを検討する専門調査会、あるいは評価についての専門調査会、それから科学技術システム全体、研究開発システム全体を抜本的に変えるための専門調査会、それから生命倫理に関する専門調査会、それから学術会議のあり方に関する専門調査会、あるいは今後、産官学の共同研究の推進に関する専門調査会というようなことで、極めて精力的に鋭意議論をしております。会議費がパンクして官房長官にまた追加をお願いしたいというふうに思っているほど、実は精力的に議論をしておりまして、とりあえずは予算編成期の六、七月ごろを目指してある種の方向性を出していきたいというふうに考えている次第でございまして、おいおい、ここでも島先生を初めとする先生方の御意見も聞きまして進めてまいりたいと思いますので、ぜひ、党派を超えた御支援、御理解を心からお願い申し上げる次第でございます。

 ノーベル賞の問題につきましては、戦後五十五年間に自然科学系のノーベル賞学者というのが、日本では実は六人でございます。湯川秀樹先生、朝永振一郎先生、江崎玲於奈先生、福井謙一先生、利根川進先生、白川英樹先生でございますが、実は、この戦後五十五年間にほかの国がどうかということを見ますと、アメリカが百八十人、イギリスが四十四人、ドイツが二十七人、フランスが十人という方々が自然科学系のノーベル賞をとっているわけでございます。

 日本はそれに比べて六人という非常に少ない数でございまして、基礎研究がおくれているなどなど、いろいろなことが言われておりますが、これは言葉のハンディキャップも一つはありまして、まだまだ国際社会における日本の研究が評価されていないというのも一つの原因ではないかというふうに考えます。

 私ども、この基本計画におきまして五十年間で三十人程度というのは、日本の科学技術の力をもってすれば極めてリーズナブルなことであろうと思います。多分、先生は目標が達成されたかどうかを御自身で確認できることになるのではないかと思いますが、私自身はそこを確認できるかどうかわかりません。

 ただしかし、これは思いがございまして、やはり、科学技術を本当に振興するためには、ノーベル賞そのものをとることが大事というよりも、例えばマラソンで高橋尚子選手が優勝をする、田村亮子選手が柔道で金メダルをとる、そのことによって若い女性が柔道をやったりマラソンをやったりしよう、そういう意味で、ノーベル賞をとる人がふえてくれば、じゃ、私もノーベル賞をとれるかな、三十人のうちの一人に入れるかなということで、若者が科学技術の分野にどんどんと自分の人生をかける、そういう方々がどんどんふえてくるというふうに私は考えております。

 したがいまして、山高くすることがすそ野を広くすることになって、全体としての日本の科学技術水準の向上、ひいては日本の国力の増進に極めて大事であるということでございまして、基礎研究の分野も含めて、国家の目標として、このたび非常に明確に三十人という目標を出させていただきました。

 桜が咲くころには私の予言が実現しませんでしたが、この予言は必ず実現をさせ、そしてそれをまた一つの軸として科学技術創造立国を実現していきたいというふうに考えておりますので、ぜひ、政治の分野の皆様におかれましても、日本の国を超一流の科学技術大国にするために御支援をお願い申し上げる次第でございます。

島委員 しっかりと見守り、また参加もしていきたいと思っております。

 官房長官、小泉内閣メールマガジンを出されるという話をされました。このメールマガジン、どういうような形にするかということは、聞くところによるとまだこの一カ月ぐらい準備してという話だそうであります。

 問題は、メールマガジンをやるときにメールアドレスが随分集まるであろう、特に今人気が高いですから。個人情報が随分集まるわけであります。当然、その処理、個人情報等の原則、OECD八原則とか、あるいは今個人情報保護なんかでやっている基本原則なんかがあります。それは、その原則に基づいて当然処理され、かつ、きちんとやられると思っておりますが、例えばOECD八原則は、目的明確化の原則、収集目的を明確にし、データ利用は収集目的に合致すべきである、利用制限の原則、データ主体の同意がある場合、法律の規定による場合以外は目的以外に利用、使用してはならないとあります。

 当然、これは政府が集められるメールアドレスでありますので、それを他の転用、例えばそれを使ったアドレスをどこかの政党の何か広報に使うとか、そんなことは全くないと思いますが、それを確認したいと思いますので、答弁をお願いします。

福田国務大臣 御指摘のとおり、小泉総理が所信表明で小泉内閣メールマガジン、メルマガを発刊するということで、これは国民との対話を重視する、そういう観点から発行することになるわけでございます。その内容、システム、そういうものについて、運用体制の構築に向けて現在検討中でございます。

 大体の概要を申し上げますと、A4判の二ページというぐらいの規模でございまして、毎週その中身を変えて発行する。中身は、総理の考え方、総理の個性、そういうものが出るような、文章になりますかそれとも会話になりますか、それからその時々の関心事項についての関係大臣の意見とか、いろいろな行政の中身の紹介とか、こういったようなものになるわけでございます。それで、毎週木曜日発刊、こういうことでございますが、双方向性ということも視野に入れておるということでございます。

 今後登録を受け付けることになります個人のメールアドレスにつきましては、メールマガジンの配信目的にのみ使用することは、これはもう当然のことである、こういうように認識しておるわけであります。

 このことは、現在国会に提出中の個人情報の保護に関する法律案の「基本原則」において、「個人情報は、その利用の目的が明確にされるとともに、当該目的の達成に必要な範囲内で取り扱われなければならない。」と規定していることでございますので、これはもう当然そういうような考え方でやるつもりでございます。

島委員 当然でございますので、よろしくお願いをしたいと思っております。

 委員長、ちょっとこれを見せますので、お願いいたします。

 今のメールでございますが、これはメールが入る電話機、iモードというものでございますが、そこに、今突然私のところにも大至急というメールが入ります。大至急と書いてあるから何かと思ったら、あなたに会えますというような出会い系サイトというものであります。この出会い系サイトで会った方がそれによって殺人に巻き込まれるという痛ましい事件も今起きております。

 いわゆる迷惑メール、スパムメールというのですが、突然来る。突然来て、私のところでも一日平均五通来ます。問題は、それを受け取る方も、一回受け取ると二円数十銭かかるということでございます。全く知らない人からかかってきます。二円数十銭かかってきて、これは単純に計算しますと、大体、一日二円で五通で十円かかって、利用者数の半分ぐらい、一千二百万人ぐらいと考えますと、一年で四百三十八億円かかるようになります。これは、例えば、今の電話番号が十一けたで、〇九〇から始まって数字がとうと並ぶだけですから、自由に出せる、そういう形になっています。

 聞き及ぶところによりますと、福田官房長官もよくそういうメールを受け取るそうでございますが、迷惑メールに対してどのように対応しているのか。これは、今現実に非常にいろいろな問題が起きていると思います。どのように対応していくべきか、小坂副大臣にお尋ねします。

小坂副大臣 島委員御指摘のように、最近、携帯電話あるいはPHS、また一般のインターネットのメールも同じでございますが、特に今問題にされました携帯、PHSの迷惑メール、スパムメールとおっしゃいましたけれども、大量に送られることからバルクメールとか、あるいは内容が取るに足らないということからジャンクメールとか呼ばれるわけですが、これらは、今、携帯電話の番号をメールアドレスに使用しているからそういうものが起こるのではないか、こういう御指摘でございます。

 いろいろな考え方があるのですね。一つは、まずそのメールアドレスの部分ですが、御指摘のように、十一けた使っております頭の三けた、〇九〇、〇七〇、これはそれぞれの携帯あるいはPHSをあらわすわけですね。その後の三けたは事業者に割り当てられるコードでございますし、その後の五けたがそれぞれの固有番号でございますから、その固有番号を、コンピューターでぐるぐる回しながら一番から九万九千九百九十九とやりますと、その通数分は、約十万通は大体送れるわけですね。コンピューターが自動送出をしまして、そして当たったものはそのまま受け取られるけれども、返信されてきたものはそこから削除しますと、そこにメールリストができ上がってしまう。こういうことで、このメールリスト自体が販売をされるというような状況もありまして、いろいろな迷惑メールがはんらんしてくる、こういう状況にあるかと思います。

 しかし、これは必ずしも番号だけでなくて、アルファベットの組み合わせでも、コンピューターで自動送出して、そして拒否されたものは除外し、受け取られたものだけをリスト化するというソフトがありまして、これらが販売されるという状況にありまして、これらはイタチごっこのようなものでございます。

 また、この迷惑メールは、言ってみれば新聞に折り込まれる広告のようなもので、そこに住所があれば必ずそこに到達するということになってまいります。

 メールの使い方は人さまざまでございますが、携帯電話というのは、不感地域、受信しない地域がありますものですから、その電話番号あてに、留守のときでも何かを伝えたいときのために電話番号がそのままメールアドレスに使えるという利点もありまして、これを希望される方もあります。したがって、携帯の事業者によりましては電話番号をアドレスに使わない事業者がありますが、そこには逆に、電話番号をそのままメールアドレスに使えるようにしてくれという希望も出ているというふうに聞いております。

 これらを制限する方法は幾つかございます。これは、まず、携帯電話の番号をメールアドレスにしている事業者については、これを変えることができるもので、これを啓蒙するようなパンフレットをつくっていただいて、そして配布していただいておりますし、また、さらに広報を強化していただくようにお願いを申し上げております。

 また、事業者間で話し合っていただきまして、こういったものをどのようにして防いだらいいか、これを拒否する方法はないだろうか、こういうことも検討していただきました。しかし、これには通信の秘密という一つの壁があるわけですね。したがって、メールの内容を機械がチェックするといいましても、やはり閲覧しているような形になりますので、これは通信の秘密に触れるのではないか。この点につきましては、携帯電話でなくてインターネットの方で今訴訟が起きております。この訴訟の行方というものが、一つ判例として参考になるわけであります。

 一方、米国におきましては、下院の立法によりまして、メールを送る際には、内容が勧誘であるのかあるいは広告であるのか、これをメールの頭に明示しなきゃいけない、そしてまた次回からは断ることができるという告知をしなきゃいけない、あるいは発信者の実際の住所を記載しなきゃいけない、あるいは機能する返信アドレスをつけなきゃいけない、こういう制限を課して、それ以外のものは、これに違反した場合には罰則をするというようなことを規定した法律を今制定しております。

 こういったことを日本でも検討すべきではないか、そういう段階にそろそろ来ているかな、こういう気もいたしまして、事業者といろいろ検討しながら対策をとっておりますが、基本的にはそれぞれの利用の仕方がありますものですから、それぞれの個人がそれを選択できるように、その選択可能な方法を十分に告知するように今お願いをして、それを進めていただいているところでございまして、私どももその意味の広報を進めてまいりたいと思っております。

島委員 どんどん、イタチごっこですけれども、スピードで対策をとっていかないと仕方がないと思いますから、しっかりやっていただきたいと思います。時間がありましたら、どうぞ御退席くださいませ。

 時間がございませんので、いわゆる金正男ではないかと言われる人の問題について質問をいたします。

 あれはすぐに帰してしまったわけでありますが、警察庁にまずお尋ねしますけれども、これは例えば、法律に従ってやったといいますが、入国管理法によれば、当然不法入国罪で刑事告発をすることもあったら、逮捕してもっと調べることもできたはずだと思います。もっといえば、警察庁は、逮捕を念頭に刑事告発するように、法務省に主張すべきだったのじゃないかと私は思います。その辺の経緯も含めて、警察庁長官、どうなっていますか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 本件に関しましては、五月一日の夜でございますが、法務省から警察庁に連絡がございまして、本件の処理に関しまして法務省と警察庁との間でさまざまな意見の交換が行われました。最終的には、法務省が法令に基づきまして退去強制手続により処理するということになったものでございます。

島委員 横内副大臣、おめでとうございます。

 法に従ってという話がありますが、刑事訴訟法第二百三十九条、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」それで、森山眞弓法務大臣は、金氏と思われる人がまざっていることを最初から情報を提供されていたといって、予算委員会で答えています。ということは、どうも犯罪があると思料できたのではないか。だけれども、今回、これでも告発しなかったということに関して、副大臣として、本当にこれは法に従ってやっていると思われますか。

横内副大臣 今回の件につきましては、四名の不法入国事案が五月一日に発覚したわけでありますが、出入国管理法上は、そういう不法入国に対しては退去強制手続をとるということになっておりまして、法律にのっとって本人たちが希望する中国に退去強制をさせたということでございます。

 そこで、先生がおっしゃるように、刑事訴訟法に基づいて告発ということも確かにあり得るわけでありますが、実際の運用として、偽造パスポートを使った不法入国、不正入国というのは非常に、年間でいえば何千件というようにあります。例えばこの五月、この事件が起こった五月一日の時点でも、この四人を含めて十八件の不法入国があったわけでありまして、そういうものを全部告発するということになりますと、なかなか事務的に、実際問題として警察の方も大変ですし、できないということで、我々としては、処理例としては、やはり麻薬を持っているとか、あるいは過去に犯罪歴があるとか、明らかにその人間が犯罪にかかわっているというような、そういうものが想定されるときに告発をしているということでございまして、今回の場合は、休暇というようなことで、犯罪があるという状況がなかったものですから、本来の法律に基づいてこの退去強制の手続をしたということでございます。

島委員 今、犯罪がなかったと素直に言われたが、本当にそうか、きちんと調べてくださいよ。言えないことがあるかもしれないけれども、きちんと副大臣として調べて、確認してください、また質問するから。私の調べでは、ドミニカ生まれのリ・ヨンヒという、一九六八年に生まれたという人だと言われておりますが、その人が特殊訓練を受けた形跡がある、特殊訓練を受けた人間であったという形跡があるのです。

 これは、そうしますと、出入国管理法五条十一、「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張」する者というふうに当たる場合もあるのです。本当にそれはきちっと調べてあるかどうか、きちんと調べておいてください、また質問をしますから。政治家主導でやるといってお互いにやってきたのですから、政治家主導をきちんと、官僚から聞いて、また質問しますから、やっておいてください。お願いします。

 官房長官に、この前お尋ねしたことについて、あのとき検討しますと言われたので、再びお聞きいたします。

 官房副長官三名、私どもは、皆様方が言われるところの事務の副長官も、きちんとこの国会、委員会に出てきて質問に答えるべきだという主張をしております。それは、今回内閣法が変わりまして、第十四条に「内閣官房に、内閣官房副長官三人を置く。」とあって、この「任免は、天皇がこれを認証する。」とある。つまり、天皇陛下が認証されるという意味で、ほかの、事務次官は認証官じゃありませんから、非常に重い意味がある。だから、皆様方が政務、事務と分けておられるけれども、それは区別がない。だから、きちんとこういうふうにここで議論すべきだ、質問に答えるべきだという話を私はしました。検討しますとおっしゃいました。

 それで、今回、二人だけ官房副長官が所信のごあいさつをされましたが、あのときから三人やるべきだと私たちは言っています。今度、竹中大臣が出られるときに、同じようにもう一人、皆さんが事務と言われる方も、ほかと同じようにあいさつ、所信もして、そしてその後委員会でもきちんと答えるべきだという主張をしておりますが、検討をしますとおっしゃったので、その検討結果を教えてください。

福田国務大臣 今のお尋ねの件は、三月二十八日の内閣委員会の議論の中であったことでございますけれども、検討いたしまして、そして認証官というものは、内閣総理大臣または内閣の任命に関し、その職務の重要性にかんがみ、天皇陛下の認証を必要とする官職である、こういうことでございます。

 それで、官房副長官の職務の内容についてのことではないのですよ。要するに、そういう位が高いということであって、職務の内容を規定するものではない、こういうことでありますので、その点の御理解をいただきたいということです。官房副長官の職務の内容については、認証官となる前後で何ら変わっておりません。認証官であることとだれが答弁するかとかいうようなことは、これは別の問題であるというように御理解をいただきたいと思います。

 国会への出席、答弁につきましては、政治的な責任という観点から、これは私が対応する。特に、例の報償費の問題とか、これは私が対応するということになりまして、また、私が例えば時間的に対応困難といったような場合には政務の副長官に対応させる、こういうことになっております。また、事務の官房副長官は、内閣官房の事務を総括するという立場でございまして、具体的な事務の内容を問う質問であれば、個別の施策及び業務に直接責任を負います審議官等の政府参考人に答弁させるということになっております。

 こういうような業務分担のもとで、私とそれから政務の官房副長官、これが委員会でのあいさつや答弁をしておりまして、国会法上はさらに認証官でない大臣政務官なども出席要求ができる、こういうことになっております。

島委員 内閣法第十四条三というのがあります。「内閣官房副長官は、内閣官房長官の職務を助け、命を受けて内閣官房の事務をつかさどり、及びあらかじめ内閣官房長官の定めるところにより内閣官房長官不在の場合その職務を代行する。」とあります。つまり、内閣官房副長官は、三の「内閣官房の事務」、これは皆さんが勝手にそうやって言っているだけで、事務と政務と分けているだけで、全員事務なんです、法律的には。区別がないのです。法律に従ってやってくださいよ、区別がないのだから。どうですか。

福田国務大臣 内閣法十四条、ここに、官房長官の職務を助け、命を受けて内閣官房の事務をつかさどるということでございまして、私が仕事の分担を定める、それができるということじゃないのでしょうか。そのように私は思っております。

島委員 ちょっと今の答弁だと納得できません。これは、理事会でも引き続き主張しますし、より検討していただきたいと思いますが、よろしいですか。よろしいですね。再検討ということでよろしいですか。答弁してください。

福田国務大臣 再検討と申されても、私が今答弁されたことしかないのでございまして、今の答弁をもって結論としていただきたいと思っております。

島委員 納得できません、これでは。理事会できちんと議論していただきたいと思います。よろしいですか。

横路委員長 今お申し出の件は、理事会において協議します。

島委員 では、終わります。

横路委員長 石毛えい子さん。

石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。

 内閣官房長官、恐縮でございますが、通告いたしました質問は、男女共同参画社会の形成に関しまして選択的夫婦別姓を中心にということでございましたけれども、その前に、けさの新聞報道に関連しましてお尋ねしたいと思います。

 「ハンセン病訴訟、控訴へ」、もう一方の新聞は「控訴検討」というふうに書かれております。もうつとに御存じのとおりでございますけれども、ハンセン病患者さんの隔離政策の見直しを怠ったとして政府と国会の責任を熊本地裁が判決に対して認めた、そのことに関連しまして原告団のハンセン病患者さんからは、控訴をしないようにというような要請書が法務大臣に手渡されましたり、また、国会内に設けられました議連といたしましても、内閣官房長官にも要請をさせていただいているというふうに私は理解をしておりますけれども、この新聞によりますと、例えば、ちょっと読ませていただきますが、「「元患者への感情論と法律論は冷静に分けて考えるべきだ」(首相周辺)との意見が政府内で大勢を占めた。」というような報じられ方がしております。

 大勢を占めて控訴ということに方向性は大体定まった、そういう理解になるのでしょうか。そしてまた、私は、感情論と法律論は冷静に分けてというこのとらえ方自体もやはり問題があるのではないか。一九六〇年にWHOがハンセン病の方の隔離政策というのは問題だという勧告を出しているわけですから、少なくともそれ以降は政府にも国会にも責任はあるわけでございまして、決して元患者さんたちの御主張が感情論というわけではないと思います。

 この新聞報道を見まして、真偽のほどいかんということと、それから今政府がどんなふうにお考えになっていらっしゃるかということを、通告していなくて恐縮ですけれども、お尋ねしたいと思います。

福田国務大臣 お尋ねの件は、今大変議論が盛んに行われておるところでございまして、数日前の判決に基づきまして、その内容を精査して、そして関係する部署でもって今検討している最中なんですよ。また、その検討結果を、結論をまだ受けとめているわけでございません。今まさに検討している最中だ。こういうことで、結論ではないんだ、そしてまた、結論に近いようないろいろな新聞報道があるということでございますけれども、それは、そういうようなことを活字にして出すほどのことを言うような状況でもないということはまず申し上げなければいけない、こう思っております。

 この判決につきましては、それに対する法的な判断というもの、この部分の研究もございますし、また一方、厚生行政上の問題ということもございますし、また、国会の怠慢とかいうことも言われておるといったようなことでございまして、いろいろな角度でもってこのことに対する判断を示さなければいけないということで、各分野で今研究しております。恐らく来週になると思いますけれども、その結論を出していただいて、それを取りまとめてどうするかという判断を最終的に政治的な判断も加えてしなければいけない、そんなことではないかと思っております。

 今御指摘というか、御紹介くださいました新聞報道のような形では今表明してはおりませんし、また、それが適正かどうかということも私はちょっと疑問に思っておりますので、どうかそういうことで御理解いただきたいと思います。

石毛委員 私も、民主党の男女共同参画・人権・消費者担当のネクストの構成員といたしまして、ハンセン病患者さんの暮らしていらっしゃいます熊本ですとか岡山あるいは東京多磨のそれぞれの療養所をお訪ねさせていただきまして、患者さんともお目にかかっていろいろなお話を伺わせていただいております。

 繰り返しになりますが、一九六〇年のWHOの勧告以降、その前にももうプロミンという非常にいいお薬も開発されていたわけでございますから、やはり政府そしてまた国会の責任ということを真摯に考えなければならないのだというふうに私は受けとめております。そうした意味で、ぜひとも控訴はされないようにということを私からは要望させていただいて、質問に入らせていただきます。

 この小泉新内閣がスタートをいたしましてから衆参代表質問もなされました。その中では、聖域なき構造改革という総理の大きな御主張がございまして、その一環というふうに申し上げてもよろしいかと思いますけれども、男女共同参画社会の形成、それに関連しまして選択的夫婦別姓の実現という観点からの代表質問が、枝野議員、土井議員、浜四津議員、小林議員、四名の議員から代表質問で触れられている、こういう経緯がございまして、この課題の重要性ということが浮き彫りにされたというふうに理解をいたします。

 また、五月八日だったと思いますが、民主党、共産党、社会民主党さん共同で、選択的夫婦別姓、また、婚姻の年齢ですとか再婚禁止期間、あるいは非嫡出子の相続差別の解消を定めました民法の一部改正案を衆参両院に提出させていただきました。

 そしてまた、つけ加えさせていただきますけれども、内閣官房長官には、五月八日だったと思いますけれども、野党の女性議員十七名、そして枝野議員、黒一点と申しましょうか、一緒に、この法案をぜひ官房長官としても真摯にお受けとめいただけますようということで、法案をお渡しさせていただきました。

 少し前置きが長くなりましたけれども、この選択的夫婦別姓に関しましては、先ほど来の議員の代表質問への御答弁で、これは参議院での民主党の小林元議員への御答弁でございますけれども、森山法務大臣が踏み込んだ御答弁をなさってくださっておられます。

 御紹介させていただきますので、お聞きいただければと存じますけれども、

  価値観が多様化いたしました今日、自分がなれ親しんだ姓を結婚後もずっと持ち続けたいと思う人がふえていると思われます。また、少子化が進みまして一人っ子同士の結婚というのも少なくございませんし、そのような現実から、別姓を選びたいという男女、また選んでほしいというその親御さんたちも少なくございません。

  特に、女性が職業を持つことが普通になりまして、今の制度では結婚届をいたしますと名前を変えなければならないことの多い女性が職業上不利をこうむるというのは大変困るというふうに私は思っております。私自身はそんな考えでありますので、希望する人が別姓を選択できる制度をつくることがよいというふうに考え、いろいろの場でそのような意見を表明してまいりました。

法務大臣、この法案を所管する大臣でおられますけれども、私個人はというふうにお断りがございますが、こうした別姓の実現に対する積極的な見解を御表明いただいております。

 そこで、官房長官、選択的夫婦別姓に関しましてどのような御所見をお持ちか、ぜひお聞かせいただきたい。お願いします。

福田国務大臣 最近、この問題については、この委員会でもまた参議院の方でもよく議論をされるようになったというように思っておるのですけれども、この制度の導入につきましては、これはもう毎回申し上げているのですけれども、婚姻制度とか家族のあり方とかいったようなことに関連する問題でございますので、国民とか関係方面の意見が分かれている、こういうことも言われておりますし、そのようなことだと私も思っております。

 政府としましては、国民各層の御意見を幅広く聞いて、そしてまた各方面における議論の推移を踏まえながら対処していく必要がある。これは当たり前の話でございますけれども。そして、昨年十二月に閣議決定しました男女共同参画基本計画におきましても、こういうふうに申しております。男女平等等の見地から、選択的夫婦別氏制度の導入について、国民の意識の動向を踏まえつつ、引き続き検討を進めるということでございまして、この参画会議の中に基本問題専門調査会がございます、そしてそこの中でもって検討項目の一つとして取り上げようというようにいたしております。そういうような場面でもって議論をし、国民世論の動向を踏まえながらさらに検討を進めるということになりますけれども、これはやはり、この委員会でもそうでありますけれども、より活発な議論をしていただけるのではないかな、そして世論形成に努めていただけるものでないかな、こんなふうに思っております。

 また、前回調査から五年経過しておりますこの夫婦別氏に関する世論調査でございます。これも、大分この五年間に国民の考えも変わっているのではないかなというように思っておりますので、これをことし世論調査をするということは森山法務大臣の方からも発表がございましたけれども、その結果に私は大変関心を持っております。その結果なども見ながら考え方を固めていきたい、そういうふうに思っております。

 また、このような検討とともに、政府としましては、旧姓を使用できないことによる女性の社会生活上の不便や不利益、職業上の問題が今御指摘されましたけれども、そういうものを少しでも軽減するために何かできることはないかということを考えておりまして、関係省庁に検討を行うよう、男女共同参画局に指示をしているところでございます。

石毛委員 官房長官、世論調査に関心をお持ちということですとか、より活発な議論を期待してというふうにおっしゃってくださいましたので、ぜひ、そのより活発な議論に官房長官もお加わりくださいまして、官房長官個人のお立場では、森山法務大臣がお答えくださいましたように、希望する男女が結婚に際してそれぞれの姓を選んで使用し続けるということに関しまして、長官はどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。

 例えば官房長官のお子さん、私は何人いらっしゃるかも、それから性別も存じ上げませんけれども、男性の国会議員の方の中には、風聞でございますけれども、お一人か何人かわかりません、女のお子さんだけしかおられない方の中には、別姓選択、実現すればいいな、自分のうちの姓は続いていくなというようなお気持ち、お考えの方もおられるやに私伺ったこともございますので、そうしたことを少し受けとめていただきながら、官房長官個人としてどんなふうにお思いになっておられるか、ぜひお聞かせください。

福田国務大臣 幸いにして私のところは、幸いかどうか、男と女と両方子供がおりますので、差し迫った必要性はないのですけれども、しかし、今おっしゃったように、一人しかいないとかいったようなときに本当にどうするのかな、これは私も想像をたくましくしまして、いろいろなケースを考えてみるということもあるのです。こういう議論をしますとどうしてもそういうことも考えなければいけない、こんなことで、それはその必要性もあるのかななんということも私は個人的には思います。その方が便利だな、こういうことは思います。便利であるということですね、利便性。

 しかし、それ以前に、そういう男の方に一緒にするとかそういうことが社会的に決まっていることがけしからぬとかいったような議論もありますから、その辺も社会の動きの中で国民がどのように考えるか、そういうふうな気持ち、考え方の変化というものも見ていかなければいけない、そんなふうに思います。

 今申し上げましたように、職業上不便であるとか、例えばパスポートのときに困るとかいったような現実的な問題はあるわけですけれども、これは、行政的に何かいい方法はないのかなということは考えておりますけれども、根本的な問題でもって、男の方に統一しなければいかぬだとか変えなければいかぬだとかいったようなことについて、そのことを重く受けとめられる方については利便上の問題は一切これは無視でございますので、そういう方に対してどういうふうにすべきかということになるわけでございます。

 そういうところで私個人的には、古来のそういう習慣、風習、そういうものをどう考えるか、そういうものは守った方がいいのかななんということも考えながら悩んでおるというのが現実でございます。

石毛委員 官房長官、私も歴史にそれほど詳しいわけではございませんので、もしかして私の認識が間違っているかとも思いますが、官房長官は今、古来というふうに表現なさいましたけれども、日本に暮らす人たちが名字を許されたのはそんなに歴史の昔のことではございませんので、そんなにいにしえの伝統という話ではなくて、むしろ社会機能としてどんなふうに考えていくかということ。それから、それぞれの姓ということでいえば、今女性の方が圧倒的に男性の姓に変えていくということの方が多いわけですから、女性の立場からいえば、やはり誕生以来自分が使ってきた姓に対するアイデンティティーというものがなかなかうまくシフトしにくいというようなこともありますし、ぜひともこのことは、古来などとおっしゃいませず、機能的にプラクティカルな話としてお受けとめいただいた方がよろしいのではないかと私自身は考えます。

 そしてまた不便、不利益に関しまして、今、各省庁で論点をピックアップというふうに御指摘くださいました。歓迎すべき作業だと思いますけれども、もしそれで通称でいいのではないかというような方向性が導かれますとすると――今、違うとおっしゃいましたから違うんですね。そういうアウトプットを想定してということではないというふうに理解させていただいてよろしいですか。

 わかりました。それでは調査結果を拝見して、また議論に加わらせていただきたいと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 この民主党、野党の民法改正の法案の中に盛られております、嫡出の子ではない子供さんの相続についてでございます。

 改めて御説明申し上げるまでもないと思いますが、いわゆる法律婚をされているお子さんと法律婚をなさっておられないカップルの間に誕生した子供さんにつきまして、相続差別がございます。非嫡出子の方は半分になる、こういうことがあるわけですけれども、このことに関しまして、民法がこういうふうに規定していることに関しましてどのような御感想、御意見をお持ちになりますか、その点をお答えいただきたいというふうに思います。

福田国務大臣 嫡出である子と、でない子の法律上の差異の問題でございますけれども、これは家族制度などのあり方とか国民生活にかかわる重要な問題でございますので、国民の意見が大きく分かれている、こういう認識でございます。ですから、今後、このことについての議論の動向を見守りながら対処するということではないかと思っております。

 この差異を解消できるかどうか、これはやはり議論がどのようなことになっているのか、これをやはり私としては見守りたいというふうに思っております。まだそういう意味においては議論が成熟していないと思います。

石毛委員 後ほどちょっと、世論調査の方法について私思うことがございますので、その点を申し上げさせていただきたいと思いますけれども、男性の方が最初に結婚されて、その結婚した関係が法律婚で、そのお子さんは嫡出子ですね。その結婚された関係の中でパートナーの女性が亡くなられて、次に事実婚をされた関係の間にお生まれになられた子供さんは非嫡出子ですね。こういう理解でよろしいのでしょうか。

 これは質問していないのですけれども、今、世論の動向を見守りたいということで、お考えいただければというふうに思うわけなんですが、そうすると、法律婚か事実婚かという違いはあるでしょうけれども、実体的に家族を形成して、そして親子、夫と妻の関係ということの家族をつくり上げるという関係は同じで、片方は法律上のお子さんとして嫡出子になり、片方は事実婚のお子さんとして非嫡出子という扱いになるとすれば、そこに相続差別が起こるとすれば、社会常識といいますか、社会的なとらえ方としておかしいんじゃないかという思いがするのでございます。

 こういう嫡出の子と非嫡出の子という法律上の分け方と、それからそうした子供さんたちがどういう婚姻関係とどういう家族のつくり方との中で暮らしておられ、また相続の関係を持たれるかというのは、法律婚で整理するほど単純ではない社会の実態になっているのだというふうに私は考えるわけなんです。

 ですから、家族制度という、官房長官、一言でくくってしまったというふうに私は思いませんけれども、もうそろそろ、それぞれの家族の中で夫と妻あるいは親子の関係が実態上どういうふうにあって、どういうふうに形成されてきていて、そして相続なら相続ということに対してどういう権利が発生するのかというようなことを、やはりもう一回きちっと精査する時期に来ているのではないかというふうに私は考えます。少し抽象的な話になって恐縮ですけれども、受けとめていただければと思います。

 それから、ぜひともこの点は指摘させていただきたいのですけれども、子どもの権利条約、これは日本の政府は児童の権利条約というふうに称しておりますけれども、この第二条で、すべての子供はいかなる例外もなく、途中省略します、社会的出身、財産、出生その他の地位によって差別されることなくこれらの権利を有する、これが国際的な条約規定でございます。そしてまた、国連の人権の委員会でもこうしたことに関する日本政府に対する指摘もございますから、ぜひともここは受けとめていただいて、民法改正の中に非嫡出子の相続差別も、民主党、野党の法案には盛り込まれているということを受けとめていただけますように要請したいと思います。

 次の質問でございますけれども、今、私たちのところには、この問題に取り組んでいらっしゃる女性の方、あるいは男性の方もですけれども、しばしば訪問いただいております。

 その中に、それこそ私ぐらいか私よりちょっと若い年代の方で、例えば研究職で、旧姓とそれから法律上の姓の違いが認められなくて困ったというような方の層だけではなくて、本当に、今若い方たち、どんどん職場に出ておられますから、ぜひ別姓の実現をと要請に来られる市民の方たちも、若い女性の方たちがたくさんおられます。その皆さんも、法務大臣も、個人的にとお断りになりながらとても積極的な御答弁をくださったことでもありますし、ぜひこの通常国会中に民法一部改正の法案を審議して可決、成立させてほしいというのが、大きな要望として私ども承っているわけですけれども、この点、大臣、この通常国会中にぜひとも審議にのせて可決、成立させるというその御意思はいかがでございましょうか。

福田国務大臣 嫡出子、非嫡出子の問題、これは、基本的には当事者、親同士の問題という感じもします。また、そのあり方というか、どういうことでそういうことになったのかという、そこら辺の事情というのは外からうかがい知れないようなことがあって、当事者のところで解決をしていただかなきゃいけないものが多いんだろう、こういうふうに思います。

 しかし、社会が非常に複雑になってまいりまして、単純化、単純な考え方で割り切れない部分が多くなってきているという社会の変化をやはり考えなければいけないということでありますので、その辺のことも含めて考えて対応しなければいけない、このように思っております。

 この国会で民法改正とおっしゃられたんだけれども、この通常国会、与党の方の政権交代等ありまして御迷惑かけて申しわけないのですけれども、重要法案が大変たくさんございます。それを何とか片づけないと、やはり景気に対する影響などもございますので、ぜひこの重要法案をまず成立させていただきたい。そして、余裕がございますればそういうものに取り組むということも、これは考えることなのかどうか、まあこの辺はこれからの検討ということにさせていただきたいと思います。

石毛委員 申し上げたいことはありますけれども、時間の関係もございますので。

 官房長官、御存じではいらっしゃると思いますけれども、九六年の二月に法制審が民法一部改正の法律案要綱を決めましてから、九七年の三月に、私ども、今の民主党になる前の民主党でございますけれども、改正案を衆議院に提出いたしておりまして、時間がありませんから途中を少し省略いたしますけれども、二〇〇〇年十月三十一日の参議院提出で廃案になるまで、既に過去七回、衆参への提出を経てきております。今回はそういう意味では八回目ということになるわけでございます。

 これは私の少し予断の発言になるかとも思いますけれども、これは、余裕があって時間があったらというような位置づけというよりは、やはり日本の経済社会を支える労働力を男女ともに担っていくというような観点でも、女性の職場進出とそれからこの夫婦別姓というのは重要な関連がございますから、そのあたりもお受けとめいただきまして、私どもは、九七年、九六年、もっと申しますと、もう二十年来この主張をしているというような女性たちもたくさんおりますので、事の重要性をぜひとも御認識いただけますようにお願いをいたします。

 関連しまして、法務大臣も、それから今官房長官の御答弁でも、世論の動向ですとか議論の深まりというような御発言がございますけれども、この世論の動向というときに念頭に置かれておりますのは、「家族法に関する世論調査」というのが重要な一つのベースであろうかと思います。これに関しましてもいろいろ申し上げたいことはございます。

 例えば、世論の動向を読む場合に、二十代、三十代の女性は、選択的夫婦別姓ですとかそうしたことに関する肯定感というのは非常に高い割合ですから、これからの社会を担っていく人の思いや考えを重視するのか、そういう立場から、反対する方に対して政策的にもあるいは世論の形成という意味でも説得をしていただくのかという、世論の見方というのもあると思います。

 きょう、私はちょっと強調させていただきたいと思いますのは、この世論調査は調査員の方の面接調査でしているわけなんですけれども、調査の項目が、例えば、嫡出でない子の相続分に関しまして、正式に婚姻していた配偶者との間に生まれた子供とか、それから、嫡出でない子に関しましては、亡くなった人と正式に婚姻していなかった人との間に生まれた子供というような、こういう表現がございます。

 正式か正式じゃないかというのは、一〇〇%というほどではないかもしれませんけれども、価値誘導の表現の仕方だと思います。正式なことは正しくて正式じゃないことは正しくないというような、そういう含意があると困りますので、細かい点は結構でございます、お聞きいただければと思いますが、調査の方法と中身については十分吟味をして、このことを強く求めている団体の方とも協議を重ねていただいて世論をキャッチしていただきたいという、これは私の要請でございます。ぜひともお受けとめいただきたいと思います。

 もう時間がございませんので、最後にお伺いさせてください。

 今までの質問とも関連するかと思いますけれども、日本の女性の働き方として、よくM字型雇用ということが言われます。説明を申し上げるまでもなく御理解いただけていると思いますけれども、このM字型雇用についてどういう問題認識を政府としてお持ちでいらっしゃるか、その点をお伺いさせていただきたいと思います。

福田国務大臣 このM字型の雇用体系と申しますか、現状でございますね。これは、育児などの家庭責任、これが相変わらず女性に大きくかかっているということが原因だろうということで、仕事をしている女性みずからの意思に反して仕事を中断する、こういう場合が多く生じている、その結果生じているものだという認識をいたしております。

 この問題の解決でございますけれども、雇用の場において男女の均等確保対策を進める、そして男女がともに育児について家族の一員としての役割を果たしながら働き続けることができるように、仕事と育児との両立支援対策に積極的に取り組まなければいけない、こんなふうに思っております。

 そのために、現在、男女共同参画会議におきまして、仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会、こういうものを設置いたしまして、保育所の待機児童ゼロ作戦、これは小泉首相の所信表明にもございましたけれども、そしてまた必要な地域すべてにおける放課後児童の受け入れ体制の整備、こういうものに取り組み、今後重点的に取り組むべきいろいろな問題点や配慮しなければいけない点について、六月をめどに検討を進めていきたい、このように思っております。

石毛委員 質問時間終了ということでございますけれども、女性の就労に関する意識調査などを見ておりますと、小さいお子さんの年齢がゼロから四歳、あるいは五歳、六歳ですか、そのぐらいのお子さんを育てていられる非就労の女性の方の就業希望、この意識調査は、高いところでは七〇%、あるいはそれを超えているような統計が政府の報告書でも出されております。

 M字型雇用という現実があるということは、決して多くの女性が求めていることではないということを強く私から申し上げさせていただきまして、今官房長官御答弁くださいました政策を積極的にお進めいただきたい。そしてまた、その内容につきましては、厚生労働省の施策を、委員会でも、例えば両立支援法の審議などはこの通常国会で進められると思いますので、またそこで積極的に審議に参加をしていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

横路委員長 山元勉君。

山元委員 民主党の山元でございます。

 石原大臣は、構造改革断行内閣、こうおっしゃる小泉内閣の一員になられたわけです。今の状況で言いますと、例えば、もう沈没寸前だという財政の問題も含めて、改造あるいは改革が大変重要なんだということはだれもが認識しているところですが、その一つの大きな、基礎的といいますか基盤的な改革の行政改革を担当される。大変だろう、頑張ってほしいなというふうに思います。

 きょうは、時間が少のうございますから、その行政改革の課題の中で、とりわけ公務員制度の改革についてお尋ねをしていきたいというふうに思っています。

 大臣は、二十六日に初めての記者会見で、突然の御指名だったのでびっくりしているというのが今の率直な感想です、こうおっしゃって、そして、公務員制度改革については、公務員の方々も、国のことを思い、この国を少しでもよくしようという思いを持って働いてくださっているわけですから、その方々が働きがい、生きがいを感じられるようにしていくことは言うまでもありません、こう基本的な立場についてはおっしゃっているわけです。

 一昨日、この委員会でごあいさつがございました。三週間たっているわけですが、四月の二十六日に思いをおっしゃっていただいた、具体的なことはなかった、これは承知できるとしても、三週間たっておとつい、具体的なことについて余りおっしゃっていないわけですね。公務員が誇りを持って働けるような制度を実現する必要があると考えています、三月にお示しした「大枠」にのっとって検討を進めて、六月には基本設計について成案を得て、その後法案化していきたい、こうおっしゃっているわけです。

 私は、今申し上げましたように、大変重要な改革ですが、三週間たって、思いだけではなしに、大臣の取り組む基本的な考え方、もう少し具体的にお示しをいただきたいとまず思います。

石原国務大臣 山元委員にお答え申し上げます。

 私も、これまで山元委員が、この公務員制度改革、給与の問題、公務員のあるべき姿について、長年にわたりまして国会におきまして御発言をされ、また、立法の過程においても大変すばらしい御見識を御開陳いただいているということを十分承知しております。

 その一方で、私、記者会見で申しましたように、これまで私は、党の方で、規制緩和につきましては、金融、財政の主査として六年間ぐらい取り組んでまいりましたけれども、事公務員制度につきましては、正直申しまして、今回、この特命担当相に任命されましてから本格的に勉強させていただいているというのが率直なところでございます。

 そして、所信でも申し述べさせていただきましたように、やはり山元委員と私の思いは一緒だと思っております。すなわち、公務員の方々が、その職場で働き、生きがいを感じ、国家公務員の方は、この国の二十一世紀のあるべき姿をしっかりと模索していく、また地方公務員の方々は、地方にあって地域住民の方々へのさまざまなサービスを提供され、信頼をされていく。

 そんな中で、私は、ポイントは、大きく二十世紀と二十一世紀変わってきたのは、これは、一九九〇年の冷戦の崩壊によって経済活動が国境を越えて、俗な言葉で言いますとボーダーレス化してグローバルに進展している中で、公務員の方々も新たな政策を立案するような視点が不可欠になってきた。すなわち、国際戦略性のある政策。それともう一つは、私は規制改革以外の分野では金融と税制を中心に仕事をしてきたわけですけれども、その他の分野でも非常に高度の専門性のある政策を立案できるかできないか、公務員の方々にもそういうものが問われている時代であると認識しております。

 また、実施部門というのでしょうか、そういう部門においても、公務員の方々は、やはり基本は国家国民に奉仕するというところがポイントでありますし、また、公務員の多くの方々はその基本認識を持たれていると思いますけれども、とかくこれまで、やはり歴史の中で、前例踏襲主義とか、あるいは、これも山元委員の方が詳しいと思うんですけれども、予算消化主義とかこういうものがその一方であって、国民サイドから見るとどうしてもコスト意識やサービス意識というのでしょうか、こういうことが足りなくて、新しい国家公務員像はやはりこういうものも求められている。

 こうした状況を十分に踏まえまして、この新しい二十一世紀に、先ほど来申しておりますように、公務員の方々が誇りを持って働けるように公務員制度を改革していくということが重要だと考えております。

 御承知のように、本年の一月六日に中央省庁の再編がなされたわけですけれども、前大臣であります橋本元総理が申しておりますように、やはりハードな部分、器は五十年ぶりに大きく改革した、しかし、その中で働く公務員の皆さん方の制度というものが本当にワークするようになってこそ魂が入るんだと。私もまさにそのとおりだと思います。公務員の方々の行動原理に直接影響を及ぼすこの公務員制度改革というものは極めて重要であると思いますし、これまでのように、山元委員の高い見識からのお知恵、また意見の開陳というのも十分聞かせていただきまして、この新しい制度に力を傾注させていただきたいと考えております。

山元委員 国際化だとか、あるいはコストという言葉を使われましたけれども、より効率的な行政を進めるとか、そういうことについては私も同じ必要を感じています。後で具体的にもう少し申し上げたいと思いますけれども。

 さて、そういう公務員制度を抜本的に変える、そして六月中には基本設計を出すと。あと四十日ほどしかないわけですね。きょうまでどういう作業を具体的に進めてこられたのか、どういう節をつくっていらっしゃるのか、作業の今の状況とこれからのもう少し具体的なスケジュールについて、お考えを聞かせていただきたい。

石原国務大臣 委員御指摘の点は、まさにタイムスケジュールがあと四十日と迫ってきて、その中で国会審議もございますし、また、冒頭お話を申しましたように、私も公務員制度改革については本当に、これまでの経過というものをはたから見ているというようなことが多かったと思うんですが、それの当事者になりまして、今いろいろ研究もさせていただいているところですけれども、私は、やはり基本は、三月にお示しした「公務員制度改革の大枠」というものを尊重すべきだと思います。すなわち、これはもう委員御承知のことだと思いますけれども、二つの大きな柱があったと思います。一つは目指すべき国家公務員像、そしてもう一つは目指すべき行政組織としての姿。

 目指すべき公務員像というものは、やはり新しいファクター、先ほどグローバル化、そして国際性、戦略性みたいなお話をさせていただきましたけれども、やはりこれまでの人事制度というものがどちらかというと年功序列、横並び主義、こういうものに代表されております。その中で、若い公務員の方々、特に私は国家公務員の私よりも若い方々と交流を、また話をさせていただく中で、やはりやる気が出るような制度というものを若い方々は望んでいらっしゃる。「大枠」でも示しておりますように、信賞必罰の人事制度というものもやはりこれからの二十一世紀の公務員制度の中には私は必要だと思いますし、そしてこれはなかなか難しい問題でございますけれども、この時代に、大きな変化に富んで、そして国際性という新しいファクターが非常に強まったとき、多様な人材をいかに確保し、そして育て活用する。また、それと、国民の皆さん方から御批判の大変強いところのいわゆる天下り、適正な再就職ルールの確立。そしてもう一つは目指すべき行政組織という、この二つの大枠の中で今鋭意検討されておりますが、今この段階で、残念ながら、どのようなものが新しくこの三月の「大枠」から飛び出て決まっているかということをまだお示しできるような段階にないということもまた事実でございます。

 そして、委員御指摘のように、四十日という限られた時間の中で国会でも十分に検討していただきたいですし、また、連立政権を組んでおりますので、自由民主党、保守党、公明党の皆様方とも、また有識者、見識者、関係者の方々とも十分な意見交換を、限られた時間ですけれども話をさせていただきまして、一日も早く先生御指摘のような具体的な姿、そうは申しましても六月はグランドデザインでございますので、ここから四角いビルにするのか丸いビルにするのかということを決めて、窓をどこにつけるんだ、エスカレーターをつけるのか、あるいは何階は四LDKにするのか三LDKにするのかといった話を今年度の末までに詰めていくというのがスケジュールだと思っております。

山元委員 「大枠」を検討してということ、基本設計を出すんだと。前の「大枠」もそうでしたけれども、今度の基本設計も、一体、基本設計とはどういうものなんだということがよくわからないんですね。今おっしゃったように、四角のビルか三角のビルか、窓をどうしようか、そういうことを言われると、一体どういうふうに具体的に公務員制度が変わっていくのか、どういう検討をされているのか、わかりにくいわけですね。

 例えばこの「大枠」の問題にしても、この三月に出されたときには閣議決定も閣議了解もなしですね。内閣の総合調整機能の発動だという言葉がありました。そういうことが既成事実になっていく。各省庁や、あるいは当事者、職員団体の皆さん、実際の仕事に当たっている公務員の皆さんの意見を聞くのではなしに、内閣の総合調整機能の発動だ、閣議にもかけないんだと。それがひとり歩きをしていって、基本設計、ビルは四角にしましょう、窓はこうしましょう、トイレはこうしましょうということが出てきて、それがどんどんと進むような状況では困ると思うんですよ。

 ですから、「大枠」のときのように各省庁やあるいは閣議でも相談しないでぼんと四角のビルだというのが出てくるのか、そこのところはどうなるんですか。

石原国務大臣 お答えいたします。

 山元委員の御指摘の点はごもっともな点も多々あると思うのでございますけれども、やはりこの中央省庁の再編というものは、内閣官房の機能を強化して、総理大臣のリーダーシップのもとに物事を短時間にスピーディーに決めていくという要素も、この省庁改編の中で一つの大きな重要な要素であったのではないかと思います。

 そんな中で、今委員御指摘の政策調整システムでございますが、これにつきましても、もう資料を委員既にお持ちのことでございますので省略をさせていただきますけれども、政府全体としての政策の方針を示し、戦略的かつ主導的に総合調整を行うことと、内閣官房及び内閣府における総合調整についての指針がございますので、この指針にのっとって「大枠」が提示され、決められたと承知しております。

山元委員 事は一時的なものではなしに、あるいは軽いものではなしに、国の形をつくっていく、国の行政のあり方をつくっていく大事な基本の問題です。ですから、調整機能の発動だというようなことでどんどんと既成事実をつくっていってもらったら困ると思うんです。実際に今、先ほども大臣がおっしゃったように、効率化とかあるいはグローバル化だとかいろいろな要請がありますから、そのことについて検討しなきゃならぬ。けれども、私は、さっき大臣が大分お褒めになったけれども、それほどでもないんですけれども、ずっと、日本の公務労働はどうあるべきか、行政はどうあるべきかということは随分と論議をしてきたし、そして研修もあったし、制度改革もあったし、人事院の努力もありました。政府の努力もありました。そういうものをどういうふうにここで変えるのか。

 例えば、これは公務員制度調査会の要請で、三月に人事院から人事システムについての研究報告が出ていますね。それから、今出そうとされているのが、女性の登用あるいは採用の拡大というのを今進めていらっしゃる。ずっと継続してきているわけですね。ところが、この「大枠」のところでは、ずばりと新しいのを検討するんだと。今までのずっと積み上げてきた、ゼロからの見直しという言葉がよく簡単に使われるけれども、今まで、人事院にしてもあるいは政府当局にしても、公務員制度をないがしろにしてきたと私は思いません。

 そういう意味でいうと、大変なことを、抽象的な大枠や基本設計だということをおっしゃるんですが、ちょっと危なっかしいと思うんですが、ひとつ、そういう大仕事をしている、「大枠」を出された内閣官房行政改革推進事務局、これは一体どういう法的な位置づけがあるんですか。こういう今まで継続してやってきた、例えば人事システムについてこうあるべきだという研究報告を三月にしておられて、これからというところに違うものがずかっと書いてある。この推進事務局というのはどういう権限でどういう法的な位置づけがされてあるのか、そこのところをお尋ねしたいと思います。

石原国務大臣 山元委員はまさにこの問題の大家でございますから、今御指摘いただいたのは、まず冒頭、公務員制度調査会の答申等のお話と人事院等が出したペーパーのお話がなされていたと思うのでございますけれども、私は、まずちょっと冒頭に、組織の位置づけのお話をさせていただく前に、公務員制度調査会、これも答申が出ております。平成十一年でございますか、私も読ませていただいたんですけれども、その方向性というもので「大枠」とオーバーラップする部分、特に参考にしてこういう形になったんだろうなと思う点は多々あるんじゃないか。基本理念の部分ではそんなに違いがあるとは私は感じておりません。この点につきましては、先生から、私の認識が若干違うようでありましたら、また御意見を賜りたいと思うんですが。

 行革推進事務局は、もう委員御承知のように、内閣法第十二条第二項第二号において、ちょっと文言を読ませていただきますが、「内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画及び立案並びに総合調整に関する事務」を置いて、この内閣官房がつかさどるということを受けて、改革を推進していく上で内閣総理大臣によりまして決定をされたということでございまして、内閣官房に新行政組織がスタートした一月六日に設置されたものと承知しております。

山元委員 いや、政策、施策について総合的に検討する機関があることはいい。けれども、事によりけりです。例えば、給与制度をどうするんだ、退職金の問題もそうだ、定数の問題もそうだ、こういうことをすっきりと出してくることができるのかどうか。例えば、国家公務員法の中にも公務員の職員団体が交渉できるということはしっかりと書いていますね。交渉のらち外で総合政策だからといってどんどんと事が進められるというのは、私はやはり、法の精神をないがしろにしているだろうというふうに思うんですね。

 ですから、今までは、憲法二十八条にきっちりと団体交渉権を含めて三権が書いてある、そして、それを公務員の場合は剥奪をするから、代償措置としての人事院勧告だ、人事院制度があるんだ、こう言ってきました。この内閣委員会で何回も、人事院制度は堅持をしますというのは、総理も官房長官も皆、答弁になってきた。今度の場合は相当違う感じがして、これは危険だという感じがするわけです。憲法二十八条に書いてあることや、国家公務員法にそういう給与や勤務条件については公務員たりとも交渉ができるんですよということが書いてあるわけですから、そのことを忘れて今まで政府が、政府の委員会等がどんどんとこうやってやったことはないですよ。

 まさに、労使という言葉があるけれども、この使用者である政府が一方的に労働条件について変えていく相談をしていいということにはならないというふうに思うんですが、その点はどうですか。

石原国務大臣 この点につきましては、委員も私も立法府の議員として選出をされ、私は今、小泉内閣で行政改革を担当する大臣という立場にありますけれども、憲法を遵守していく。憲法というのは、私の考えを若干述べさせていただきますと、国のすべての法律のもとである。憲法の解釈をめぐってはいろいろな論争がなされるということも、憲法というものがこの国のありようを規定していて、商法や民法の条項数に比べて非常に限られた、百条ちょっとの法律ですべてのことを言い尽くしている、そういうことでございますので、私はここの点につきましても、実は委員と相違なく、この憲法の精神というものは尊重して、その中で新しい行政のシステムがスタートいたしました。

 正直申しまして、電話がなかなか新しい役所になったらかからないとか、瑣末な不手際もあるようでございますけれども、そういうことがあるということは、まだ完全にこの新しい行政組織が一〇〇%フル稼働していないということは認めざるを得ない。そんな中で、この問題につきましても、先生のお考えを尊重させていただきまして十分議論をさせていただきたいと考えております。

山元委員 この国家公務員にかかわって、国家公務員法の百八条の五にはっきりと、当局は、職員団体から給与、勤務時間その他勤務条件について、申し入れがあったときには応ずべき立場にある、交渉しなさいよということになっているわけですね。そこのところをしっかりと踏まえておかないと、これから本当に公務員の皆さんが、大臣がおっしゃるように誇りを持って、自分たちの権利もきちっとということでなかったら、これは日本の行政にとって大変大きなマイナスになるだろうというふうに思います。

 ところで、当局は交渉に応じるものとするということが書いてあるんですが、今の時点では、この問題について、明らかに勤務条件や何かについては話をされているんですが、職員団体の交渉相手というのは、交渉当事者というのはどこですか。推進事務局ではないだろうというように思うんですが、どこですか。

石原国務大臣 今の委員御指摘の点も、非常に私は重要だと思うんです。といいますのは、どんな制度をつくっても、私はその制度で働くのは嫌ですよと公務員の方が言ったら、では、その人たちにやめてもらって新しい人を全部連れてくるなんてことは絶対できるわけじゃありませんので、公務員の方々は、やはり国家国民に奉仕するという意思を持って、民間企業でおれはもうけてやるんだとか、そういう志とはまた違ったところで働かれているわけですから、委員の御指摘はわからなくもないのでございますけれども、そこの部分はしっかりと、制度を変えて法的な変更がなされる場合は国会で御審議をいただきますし、またさまざまな機会で行革事務局と職域団体の方とも議論がなされるということを私も聞いておりますので、こういうことがこれからも続いていくでありましょう。

 ただ、忘れてならないのは、この公務員制度改革は、公務員の皆様方の視点ということも非常に重要でありますけれども、国家そして国民が注視している、国民の視点ということを忘れて議論はしていけないのではないか。そういう点も十分留意をしていかなければならないと私は認識しております。

山元委員 いや、言われることは立派ですけれども、私が端的にお尋ねをした、交渉相手というのはだれなのか。当事者ですから、日本の行政をどうするかということについては一緒になって考える立場でもあるし、そのことが政治の責任でもあります。けれども、いやしくも国家公務員法に、勤務時間や給与その他の勤務条件について当局は交渉に応じなければならない、こう書いてあるのです。これほど大事な、制度改革をしよう、勤務条件を変更しようという論議をしているときに、今最後のところでおっしゃったけれども、職員団体の意見を聞く、それは大事だと。それでは、だれが聞くんだ。事務局が聞くのか、大臣が聞くのか。総務省の人事・恩給局ですか、あそこは当事者たり得ぬだろうと思うのですけれども、そこのところをきっちりと、今の大臣の御答弁ではどうもはっきりとしていない。

 今できないのか、それともこれからしなきゃならぬと考えていらっしゃるのか、どういうふうにお考えですか。

石原国務大臣 山元委員御指摘の当事者というのは非常に広い概念だと私は思います。図らずも今御指摘されましたように、公務員制度調査会は、所管は総務省、人事・恩給の部局が担っている。そういう意味では、新しい役所でならば総務省も当事者でございますし、またこの制度をどうするんだという制度のグランドデザインを描かせていただいているという意味でいいますと、事務局は行政改革推進事務局である。しかし、ここで出てきたものが成案となって法律改正を伴うものであるならば、広い意味では国会も当事者でございますし、もちろん、先ほど山元委員が御指摘されましたような、労働基本権の問題をめぐって制約というものがなされているということは、委員御指摘のとおり、人事院という存在が人勧、勧告ということを行うという事実からしてみましても、実は人事院も大きな当事者である、私はこのように認識をさせていただいております。

山元委員 私は、大事な三月の「大枠」、そして六月の基本設計という段階までどんどん進んでいる中で、今の大臣のお答えは極めて不十分だというふうに思うのですよ。

 しっかりとこのことを、みんな頑張ってくれよ、誇りを持って働いてくれよ、働きがいを持って働いてくれよということをきちっと一面で言わないと、行政をどうするかということについては真剣になって政治や国会が考えなければならぬけれども、働く当人のことについて、やはりこの国家公務員法にはっきりと書いてあるように、適法な申し入れがあったときには交渉に応じなければならぬ。ちょっともう質問時間がありませんから、そこのところをこれからきちっとしなければ、後、本当に生きがい、働きがいを持ってということにならないというふうに思います。

 そういう点でいうと、今大臣がおっしゃったように、労働基本権の問題、これはまず、こういう改革をするときにはどうするんだということを、大事な大原則を前に考えなければいかぬというふうに思います。問題が出てきたらということではなしに、こういうふうに抜本的な改善をするときにはそのことがきちっと前提になっていなければいけないというふうに思います。一昨日ですか、連合の皆さんとお話しになったそうですけれども、これはぜひ話をして、改革が嫌だとか変わることが嫌だということを言っていることはない。私もそうは言っていないわけですから、そこのところはしっかりとしていただきたい。

 最後に、天下りの問題、大きな一つの柱ですが、あれが出たときに私も奇異に感じたのですが、各新聞、全紙と言ってもいいでしょうが、天下りの問題について懸念を表明しているのですね。役人がという書き方をしてあるけれども、事実上天下りを緩和するのがねらいだというような書き方までしてある新聞もありました。それぞれの新聞が、日本の新聞の社説ですべてのところが、「天下り「緩和」の恐れ」とかずっと書いてあるのですね。これは、ある新聞なりある学者あるいはある政治家が言ったことではなしに、すべてと言っていいくらいの新聞の社説が、天下りについて緩和をするのではないかと。

 これは、大臣が承認するという。今まで人事院が管轄していました。けれども、人事院に限らず、第三者機関できちっと基準を決めて掌握するようなシステムをつくらぬと、各紙が書いているように、緩和をするのではないかということ。

 私もこの問題については長い間やってきました。退職年齢について引き上げていく。五十三歳で課長が全部やめていく、どうするんだ、関連のところへ行くんだということが今までありました。だから、年齢を引き上げるとか、いろいろなことが問題ありますけれども、いずれにしても、これはしっかりと仕組みをつくっていただかないと、私は、マスコミを初めとして国民の皆さんが心配している天下りの危うさというのがますます膨らんでくるような心配をしているのですが、一言だけそのことをお尋ねします。

石原国務大臣 この点につきましても、山元委員とそう考えの相違はないと思うのですけれども、御指摘の点を十分踏まえさせていただきまして、お手盛りになるというようなことのないように、疑念を生じさせないように、具体的な方策を詰めてまいりたいと思います。

山元委員 終わります。ありがとうございました。

横路委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十四分開議

横路委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井上和雄君。

井上(和)委員 民主党の井上和雄でございます。

 まず本日、警察庁にちょっとお伺いしたいのです。

 委員各位も御存じかもしれませんが、先月の十一日、四月十一日に、栃木県警宇都宮中央署の大久保巡査部長、五十一歳が、散弾銃を持った男に撃たれ、殉職されたという事件がございました。

 まずは、大久保巡査部長の御冥福を心からお祈りいたしたいと思います。そしてまた、残された御家族、三人のお子さんがいらっしゃったということですが、本当にお気の毒だと思います。

 この事件について、特に大久保巡査部長が殉職された状況に関してちょっとお伺いいたしておきます。

 新聞報道によると、大久保巡査部長は、タクシー会社に散弾銃を持った男が押し入ったという通報で、宇都宮中央署の署員十名と現場に駆けつけた、そして、その男のいる応接室に入ったところを撃たれ、結果殉職されたということです。この新聞報道を私よく読みますと、大久保さんが防弾チョッキを着ていなかった、現場の署員のうち防弾チョッキを着ていなかったのは同巡査部長だけだったということです。防護衣、刃物から身を守るものは着衣していたのだが、防弾チョッキはしていなくて、県警によれば、防弾チョッキ着用は各自の判断に任せているということで、そして、ベテラン刑事が防弾チョッキをつけないというのは考えられないことだという警察のコメントも出ています。

 私、この記事を読んで、非常に遺族の方にお気の毒だな、この問題に関してはどうしてもこの委員会でも取り上げなければいけないなということを思いました。

 まず、この新聞報道自体が、警察のコメントもそうですが、何か本人が防弾チョッキをつけなかったのがいけなかったのだというふうにも、うがった見方をすればとれると思います。まして、もしこの新聞報道が、これは正しくないというふうに私伺いましたけれども、防弾チョッキ着用というのは各自の判断によるということが事実であれば、これは、日夜危険な勤務を行っている警察官の生命を守るのはまず警察がやるべきことであって、ましてや現場の状況を把握できるのは、当然、指揮官とかそういう上層部が判断をして、部下の安全確保のために、防弾チョッキをつけろ、つけないという指示をきちっとするべきだと思うのですけれどもね。

 昨日、ちょっとレクの際にお伺いしたのは、県警としてはちゃんと防弾チョッキに関しては指示をしている、ただ、防弾チョッキのサイズが大久保巡査の体格に合わなかったので、そのことによって着用されていなかったのじゃないかという話を聞いたのですけれども、それだったら当然、体格に合うものをきちっと整備しておくべきものであって、今回の殉職に関しては、私は、こういった警察としての警察官の生命を守るということに対して、きちっとしたことがやられていなかったからこういうことが起こったのじゃないかと思うのですが、この件に関しては田中長官、いかがでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の事案は、本年四月十一日午後四時二十四分ごろ、宇都宮市内のタクシー会社に銃を持った男が来ているとの一一〇番通報等を受けまして、警察官十名が現場臨場し、そのうちの八名が被疑者を制圧しようとした際、被疑者がやにわに警察官に向け散弾銃を発砲したため、散弾が一名の警察官の左下腹部に当たりました。撃たれた警察官は直ちに病院に搬送されたものの、同日午後六時十八分、搬送先の病院で失血し、殉職したものであります。

 防弾チョッキの着用の有無等についての御指摘でございますけれども、殉職した警察官は、いわゆる防弾チョッキではありませんで、チョッキに軽金属の防護板を内装いたしました防護衣を着装していたものと承知をしております。

 この事案につきまして、防弾チョッキを着用するように指示をしていたかどうかというような御質問でございますけれども、一般的に、防弾チョッキを着装するか否かの判断につきましては、事案によりまして、上司が指示して一斉に着装させる場合もございますし、また現場の警察官の個々の判断により着装する場合もございます。

 今回の事件におきましては、被疑者が銃器を所持しているとの情報もありましたことから、刑事課長等の幹部が、防弾チョッキの着装と大盾の携行について、課員に対し事前に指示していたとの報告を受けております。しかし、この殉職した警察官がいわゆる防弾チョッキを着装していなくて、違う防護衣を着装していたという経緯につきましては、これはどういう理由でそういうふうになったのかということにつきましては確認できておりません。そういう報告を受けております。

 それから、防弾チョッキの規格と申しますか、そのお話がございました。

 一般的に、防弾チョッキの規格でございますけれども、やはり我々の職務執行の過程におきまして銃器で殉職した警察官の約六割が胸部、胸の部分を撃たれているほか、主に上半身を撃たれている警察官が多いということでございまして、そしてまた機動性を考慮した場合に、胸部を中心とした上半身用の防弾衣を整備し、露出している頭部については防弾ヘルメット、その他につきましては大盾を使っているというところでございます。

 しからば、我々が現在使っておる防弾チョッキを殉職した警察官が着装していたならばこの殉職事案を防げたかということになりますと、残念ながら、撃たれた部分につきましては、この防弾チョッキをつけていてもカバーし切れなかった部分であるというような報告を受けているところでございます。

井上(和)委員 私がレクのときに伺った、防弾チョッキが体型に合わなかったんじゃないかという話は聞いていないんですけれども、もしそういう事実があれば、やはりきちっと全員がぴちっと体に合うような、着用できるものを整備すべきであって、そういうことにお金を使わなきゃだめですよ。

 それで、あと長官、下腹部を撃たれて亡くなったということなんですね。しようがないというようなことなんでしょうか。

 私は昨夜、ちょっとインターネットのホームページで、アメリカのセキュリティー会社の防弾チョッキを売っている会社のホームページをずっと見てみたんですね。やはりフェデラルエージェント、要するにFBIなんかはちゃんと下半身までカバーできるものを使っているみたいなんですよ、これはボディーアーマーというんですけれども。

 だから、やはりそういうものは、例えば銃を持って押し入っているという状況がわかっているなら、やはりある程度そういうものを装備しておいて使うというようにしないと、異常な、凶悪な事件がふえているときですから、これから警察官の生命を守れないと思いますよ。ぜひこれは考慮していただきたいと思います。

 いかがでしょう。村井国家公安委員長、この件に関してどういう御感想をお持ちになりましたか。

村井国務大臣 この件でございますけれども、冒頭、委員仰せになりましたように、警察官が、犯人逮捕に当たりまして身の危険を顧みず勇敢に行動した結果、とうとい命を落とされたということでございまして、本当に私も、御本人、そして御遺族の無念いかばかりかと察するに余りある思いであります。

 そういう意味で、本当にこのようなことは起こらないようにいろいろ工夫をしてまいらなければならないということは全く同感でございまして、今委員の御指摘の点も踏まえまして、装備の点などにつきましても、私ども十分に対応をする努力をこれからもしてまいりたいと思います。

井上(和)委員 旧日本軍では、指揮官は兵隊を死なせに行くのに平気だった、要するに、生命の価値というのを余り考慮しないで多くの方が亡くなったという事実もあるので、私は、本来だったら部下が殉職した場合には上司は当然責任をとられるべきだ、やはり状況判断が悪かったということだと思うので、本来、そういう殉職をした場合に、本当によくその事情を調べて責任をとらせるべきだと思いますので、ぜひそういうこともお願いします。

 あともう一点、殉職事故のリストがちょっと出ていましたけれども、やはり防弾チョッキをちゃんと着ていれば防げた事件がほとんどですよね。だから、過去九五年以来の事件が何件かありますけれども、そういう意味で、指示をきちっと徹底して生命を守るということに最大限の努力をしていかなければいけないということをぜひお願いして、私の警察に対する質問を終わりたいと思います。

 それでは、官房長官にお伺いしたいんですけれども、森総理から小泉総理大臣にかわられまして、ずっと昨今話題になっていました官房機密費、報償費が、一体これまでと同じように使われるのか。それとも、改革を目指している小泉総理ですから、当然報償費に関してもいろいろな面で、額に関してもいろいろおっしゃっていますが、使い方とかそういうものに関しても、恐らく相当考えられているんじゃないかと思うんですね。

 それで、五月の連休中に多くの国会議員の方々が外遊されました。官房長官、これらの議員さんに対して報償費からのせんべつというものをお渡しになりましたか、お伺いいたしたいと思います。

福田国務大臣 報償費につきましては、国政の円滑な遂行という目的にかなうものでなければいけないということ、そしてまた、真に目的にかなうものであるかどうか、すべてについて再点検を行う、執行及び管理の一層の適正化のための体制を整備する、こういう考え方を持ちまして今年度の執行に当たっておるところでございます。

 はっきり申しまして、私がこの職に就任いたしましてからは、今申しましたような趣旨を最初から貫いてきている、こんなようにお考えいただきたいと思います。

 なお、外遊のときの云々という話ですね。これは、そのようなことでは使用していないということで御理解いただきたいと思います。

井上(和)委員 少なくとも五月の連休中、小泉政権成立以後、外遊する議員に対してせんべつを渡していないということでよろしいですね。この問題に関しては国民の方も大変興味を持っていらっしゃると思うので、今の官房長官の御答弁、どうもありがとうございました。

 引き続きまして、交通安全対策に関してお伺いしたいと思います。

 今回、私が事務局長を務めております超党派の議連である交通事故を考える議員の会というのがあるんですけれども、その会長は逢沢一郎先生、今いらっしゃいませんけれども、本委員会の筆頭理事に御就任されました。私も逢沢先生のもとで交通事故の議連の活動を今やっているわけです。私としては百万の味方を得た思いでもありますので、今後とも一生懸命この問題に取り組んでいきたいと思っております。

 福田長官、四月の十一日に、ちょうど長官がいらっしゃらないときに、私、中央交通安全対策会議というのが第六次交通基本計画の実施中であった過去五年間に何回行われましたかということをお伺いいたしまして、そのときは坂井副大臣が御答弁になったんですね。過去五年間に二回開かれたというふうにお答えになりまして、私はこれは二回しか開かれていないというふうに理解いたしました。

 つまり、交通安全対策基本法の第十四条には、この対策会議というのが交通安全基本計画を作成し、及びその実施を推進することにあるというふうにあります。だから、会議が過去五年間に二回しか開かれなかったということは、計画は作成したけれども、その計画の推進に関しては怠ってきたというふうに私は理解できると思いますし、恐らく国民もそういうふうに理解するんじゃないかと思います。

 そういった意味で、改革を目指している小泉政権ですから、ぜひ毎年一回ぐらいは総理のお時間をとっていただいて会議を開いて、私は、本当に真剣に交通安全対策に国を挙げて取り組んでいるんですよという姿勢を見せていただきたいんです。秋には例年の交通安全週間が実施されますから、その際にぜひこの会議を開いていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。官房長官へお伺いいたします。

福田国務大臣 まず、委員が交通事故問題を考える国会議員の会の事務局長さんをしてくだすっているんですね。交通安全対策問題に対して大変真摯な御協力をいただいておることに、心から敬意をまず申し上げたいと思います。

 御指摘の中央交通安全対策会議、これは御指摘のとおり、平成八年、平成十三年と二回しかしておりません。五年間、五年置きみたいな感じなんですけれども、まだ二回しかやっておりません。それは事実でございます。この対策会議は、交通安全基本計画を作成するということを主要任務としておるということなものですから、基本的には基本計画策定時に開催するということになっております。

 ただ、つくってそのままということじゃなくて、この実施の推進に関しては、この対策会議のもとに、内閣官房長官、私を長とする関係行政機関の事務次官等を構成員とする交通対策本部というものが設置されております。この対策本部は、必要に応じて、春及び秋の交通安全運動の実施要綱等の決定を行っているところでございます。

 そしてまた、このことは、交通事故死など大変大きな数字が今出ておりまして、そういうことは内閣としても大変大事な問題であるという認識は十分しております。ですから、閣議でも随時、交通安全対策の問題に取り組んでおるわけで、また、この報告とか関係省庁への協力要請とか指示とかいうものを行っております。

 閣議で取り上げられた交通安全対策関係のことは、十二年度において九回ございます。そして、平成十三年度は五回ございます。かなり取り上げる案件としては多い方ではないかと思っております。このことはひとつ御了承をいただき、御理解いただき、決してこの問題に対して軽視しているとかいうことでないということはどうぞ御理解いただきたいと思います。

井上(和)委員 その件に関しては理解しますが、政治家というのはやはり結果責任です。第六次基本計画中の目標を達成できなかったという事実があるわけですから、ぜひ反省していただきたいというふうに思います。

 そして、小泉総理、今大変国民的な人気がありますから、総理がやはり先頭に立って、交通事故対策、しっかりやるんですよと言いますと、恐らくこれはかなりの国民的なインパクトがあると思うんですよ。閣僚会議でいろいろ話をしたところで、ほとんど外部には話もわからないし、国民に対しても見えないと思います。そういった意味で、小泉総理によろしくお伝えして、会議をぜひやっていただきたいと思います。

 それでは、問題を変えまして、石原大臣に特殊法人のことに関してちょっとお伺いしたいんです。

 特殊法人に関しましては、昨年十二月一日に閣議決定された行革大綱で、平成十三年度中、つまり今年度中に特殊法人等整理合理化計画の策定を進めることになっておりますね。今回の行革ではゼロベースから厳しく事業を見直していくというふうに理解しております。

 大臣は自民党の政策新人類の代表でいらっしゃいまして、金融問題に関しては大変な御見識をお持ちだというふうに思います。そこで、本日は、特殊法人の中でも特に政策金融機関、大きいものでいえば住宅金融公庫とか公営企業金融公庫、国際協力銀行、いろいろありますね。こういった政策金融をやっている特殊法人、これを一体どういうふうに見直していくのかということに関してお伺いしたいと思います。

 それで、ことしの一月十八日に自民党の行政改革推進本部の総会がありまして、新聞報道によれば、小泉純一郎氏が、国営の金融機関を持つというなら一つでいいと述べ、住宅金融公庫、中小企業金融公庫などの政策金融機関を一つに統合すべきだとの考えを示したということであります。私、この記事を読みまして、小泉総理の真意というのは、日ごろ御主張されている政策的な整合性から考えても、単に統合だけじゃなくて、当然その役割も見直して、業務も縮小してリストラしていく、そういうお考えだと思うんです。

 今の公的金融機関の融資残高というのは、民主党の石井紘基議員が見積もっている数字ですと約六百四十八兆円に上ります。民間の金融機関の融資残高が今約六百兆円です。つまり、民間よりも大きい融資を公的な機関が担っているという状況になっている。これは日本の金融マーケットの健全な発展を阻害している大きな要因になっているということは、恐らく大臣もお認めになっていると思うんです。

 こういった政策金融機関の問題に関してどういうふうにお考えになっているんでしょうか、お伺いいたします。

石原国務大臣 井上議員の御質問にお答えいたします。

 政策金融を担っている金融機関に、住宅金融公庫あるいは国際協力銀行や日本政策投資銀行等、九つぐらいの金融機関があり、そのほかにも融資業務を行っているものが二十七あるということは承知しておりますし、また、小泉現総理が自民党の行革本部で、私も幹事をやっておりましたのでその場におりましたけれども、政策金融は一つでいい、そういう御持論を述べられた、そういうお考えがあるということも承知しております。

 そんな中で今どういうことが行われているかということについても、井上議員がもう既に質問の中で触れられておりましたけれども、今、政策金融機関を含めまして特殊法人の全事業、業務の洗い直しみたいなものをやっておりまして、四月に論点整理をお示しさせていただいたところでございます。

 そしてこれから本年度中に、政策金融、九つありますけれども、これも含めまして、そのほかの特殊法人、あるいは特殊法人まがいの認可法人もたくさんございますので、こういうもののあるべき組織論、これをすべて変えていく。その基本は、委員が御指摘されましたように、民業を圧迫していて存在意義がもうないものは廃止する、民営化できるものは民営化する、あるいは、どうしても政策的なものとして残さなければならないものはエージェンシー化する。そのように、すべてのものについてその新しいあるべき姿を今年度中に取りまとめる、その中で今委員御指摘になられました政策金融につきましてもあるべき姿を御提示させていただきたい、こんなふうに考えております。

井上(和)委員 私は、この点に関してぜひ大臣のリーダーシップを発揮していただきたいんです。今の答弁は恐らく事務方が書かれたんじゃないかなというような気がするのです。小泉総理は何で人気があるのかといろいろな有権者の方に聞くと、あの人は自分の言葉で話しているんだ、だから人気があるんですよと言う方は多いですよ。ぜひ石原大臣のお言葉で、行革の責任者であるわけですから、逆に官僚を引っ張って、こういうふうにしろということはできるお力をお持ちだと思うのです。

 それで、各論に入らせていただきますけれども、今も大臣、民間でできるものは民間に任せる、民業圧迫をさせないということをおっしゃいました。そこで、住宅金融に関してちょっとお伺いしたいんです。

 今、住宅ローンの貸出残高の中でいわゆる公的住宅ローン、いろいろなところがやっているんですよ、御存じだと思いますが。その公的な住宅ローンの残高が約四割なんです。住宅ローンというのは、二十年、三十年、長期の貸し出しになりますから、これまでは民間ではできなかったということがあって、政府系金融機関が果たした役割は確かに大きかったと思います。しかし、最近では、金融技術が発達していますし、民間でも十分やれる分野にもなっています。

 長期固定金利でやっているんだと政府がよく言いますけれども、あれだって十年間で金利を見直しているわけですから、本当の固定金利じゃないわけです。逆に民間では、今、三十年の固定金利というのをソフトバンクのグループで住宅ローンをやり出した会社もあるぐらいです。逆に民間でいえば、利ざやも取れるし、リスクウエートも五〇%ですから、事業としてもリテールの分野では非常に有力な分野であって、やりたいというところも多いですよ。そういった意味で、まさしく民間ができる住宅ローン、こういうものはもう民間にやらせるべきだと思います。

 ただ、例えば低所得者とかシックハウスとか障害者とか、そういうなかなか民間からお金を借りられないという分野に関しては、当然公的な分野でやっていくべきであるはずです。しかし、今のような公的な融資による住宅ローンはもう必要ないし、特に民業圧迫ということで、逆に健全な金融の発展を阻害していると思うんですけれども、いかがですか、大臣。どういうふうに思いますか。自分の言葉でお答えください。

石原国務大臣 井上委員に、褒められたり、自分の言葉でしゃべっていないとか御批判をいただいたりしておりますが、先ほどの答弁も自分の言葉でしゃべったつもりでございます。まだならし運転なので、ふだんの私と違うというように思われるかもしれませんが、そこのところは御理解をいただきたいと思うのです。

 井上委員の質問は、私が言おうと思ったことを質問の中で全部話に入っておりますので、重複する部分は避けたいと思うのですけれども、住宅金融公庫は、御承知のように昭和二十五年にできました。そのときの設立目的は、言うまでもなく、みずからが居住するための住居を取得しやすいためにという目的だと思います。そして、長期で固定で低利であるという三本柱があったからこそ、多くの方々がこちらから融資を受けられたと思います。

 そこから先なんでございますが、委員の御指摘は、私、考え方ではほぼ一致しております。と申しますのは、現在、民間金融機関も、固定といいましても五年、十年、そして十年になれば金利は五年物に比べても民間ですから多少高くなっておりますけれども、固定のものが出てきておりますし、今のこの低金利水準は、一九九五年の公定歩合の〇・五%に端を発しまして低金利時代が続いておりますし、この低金利がいましばらく続くものと多くの方々が予想しております。そんな中で、やはり民業に任せられるところは民業に任すという総理のこの行政改革に関する哲学、そして民業を圧迫しているものは民間に任せる、官業は民業の補完であるべきであるということならば、委員の御指摘のとおりの姿が一つの完結する姿だと思います。

 そして、もう一言付言させていただくならば、実は住宅政策につきましては、これは民主党の方々も賛成をいただいている案でございますけれども、ローン控除、税の部分でかなり手厚く手当てをしております。

 そういうことを考え合わせますと、住宅金融公庫が低利でお金を貸していることができるのは、すなわち利子補給を行っているわけで、公のお金が入っている、減税という形でも施策が出ている、この整合性ということもあわせて、今井上委員おっしゃられたような形で整理統合。そして、政策金融だけではございませんで、特殊法人全部をやはり見ていかないと、これだけやった、よし、これだけ民営化した、これだけ廃止したということですと、ほかの法人が他人事のような顔をしてしまいますので、広い意味で、やはり特殊法人七十七、そして特殊法人に準ずる認可法人も含めて事業内容をしっかりと見直して業務を縮小する。そして、業務形態として民業を圧迫していてする意味がないものはもう廃止する、あるいは民営化する、あるいはエージェンシー化するといったような形で年度内に姿をお見せして先生の御負託にこたえるよう、努力をさせていただきたいと申し述べさせていただきたいと思います。

井上(和)委員 抵抗勢力が手ごわいと思いますけれども、ぜひ負けないように頑張ってください。質問を終わります。

横路委員長 太田昭宏君。

太田(昭)委員 総合科学技術会議が発足をしました。科学技術立国にするということは極めて大事なことで、まずこの問題についてお聞きをしたいと思いますが、頑張ってもらいたいということなんです。

 日進月歩の科学技術の諸分野についての調査とか評価が不可欠だというふうに私は思いますけれども、総合科学技術会議に、日進月歩ということからいきますと、変化しますから、果たして能力があるのかな、どのように調査、評価を行うのかということを懸念しております。まず、体制があるというふうにお考えなのか。

 また、現実には、大学とか国立研究所、技術官僚を抱える文部科学省、あるいはまたほかの省庁の技官の役割というのは、私はこれは非常に大事であるというふうに思っております。行革は行革としながらも、かなり変化激しいこの科学技術についての調査、評価、あるいは文部科学省その他の省庁との役割分担、協力というのが必要かというふうに思いますが、そのあたりについて見解をお伺いしたいと思います。

尾身国務大臣 二十一世紀、科学技術創造立国に向かって私ども日夜努力をしているわけでございますが、行政改革に伴いまして総合科学技術会議が発足をいたしました。従前の科学技術会議は、総理を座長にするという点では変わりがなかったわけでございますが、関係各省の大臣、閣僚、それから学識経験者等によりまして構成されておりましたが、会議そのものは一年に一遍やるというようなことでございました。しかし、総合科学技術会議になりましてから、大体一月に一遍開催をしておりまして、日本の科学技術のあるべき方向等について議論をし、方向づけをしているところでございます。

 そういう中で、総合科学技術会議の事務局は約百人程度でやっておりますが、私が科学技術政策担当の閣僚ということで、その事務局も統括をしながら、総合科学技術会議の活動を支えていくという仕事もやらせていただいているわけでございます。

 そういう中で、今委員御指摘の、各官庁には技官、いわゆるプロの技術関係者がおりまして、やはり科学技術政策を立案する上におきましては、技術についてのプロ、技官の方々の能力を官僚システムの中で活用するということも大変大事だというふうに考えております。文部科学省あるいは経済産業省、厚生労働省、農林水産省などなどにそういう方々がいるわけでございますが、そういう方々の能力も活用をして、それを全部取りまとめた上で、調査分析等も総合科学技術会議の事務局が中心となって行い、方向づけをしていくというふうに考えているわけでございます。

 いずれにいたしましても発足早々でございまして、試行錯誤をしながら、いわゆる分科会といいますか、専門調査会を今五つ六つ同時並行的に走らせておりまして、極めて精力的にみんな頑張っている次第でございまして、私自身もその責任者として、今後また議会の先生方の御支援もいただきながら頑張ってまいりたいと思っている次第でございます。

太田(昭)委員 私は、尾身大臣が長年手がけてきた科学技術関係について、大臣に就任されて、二十一世紀ということを考えますと、ぜひともその辺のリーダーシップを発揮していただきたい、このように思っています。

 予算委員会でも私は何度も言ったことなんですが、技術力の低下ということが非常に問題になっていて、スイスのIMDの調査等によりますと、最初は、九〇年代前半は一位とか二位ということでずっと今日まで来たわけですが、どんどんこれが総合力で低下をするという事態で、十六位だった時代もあったのですが、この間、新聞を見ますと、二〇〇一年度のランキングということで、総合力では、いわゆる競争力になるのでしょうか、二十六位にさらに下がっている。教育分野の競争ということでいうと二十三位、大学教育に至っては最下位であるというような、そんなデータが出ております。

 原子力とかロケットがうまくいかないとか、あるいは、私も技術屋の端くれで、土木をやっていたわけですが、トンネルの崩落とかあるいは医療ミスとか、いろいろな問題がありますから、これはもう細かくは申し上げませんが、技術力の低下、またこのIMD等の指摘の競争力強化ということについて、ぜひともリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思いますが、決意がございましたら答弁をいただきたいと思います。

尾身国務大臣 スイスの国際経営研究所、ランキングを毎年出しているわけでございますが、今御指摘のとおり、日本という国のいわゆる総合競争力が、一九九七年に十七位でありましたのが二〇〇一年には二十六位というふうに、四十九カ国中二十六位というふうに下がってきているわけでございます。

 これは、バブルがはじけた後のいわゆる失われた十年ということに対して、事実上新しい技術開発投資がなかなか進まなかった、それからいわゆる企業も投資が進まなかったということも一つの原因であろうと思っておりますけれども、私ども、総合科学技術会議の発足、それから第二次の五カ年計画をつくってことしの四月からスタートということになりました。そういう中で、資金を投入することはもとより、研究開発システムの改革などを行いまして、何としても全体の総合力、競争力を高めていく方向に全力で取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。

 大学の教育が競争経済のニーズに見合っているかどうかという一つの基準で、先ほどのお話にございましたように四十九カ国中四十九位という、要するに一番びりであるということになっておりまして、大学の教育あるいは研究システムの改革ということも、もっと弾力的に、つまり競争原理を入れていく、それから有為な人材を育てていく、若手の研究者の能力を発揮していくという方向にシステムを改革していかなければならないのではないかというふうにも考えている次第でございます。

 日本人の若者の潜在的な資質がほかの国に劣っているとは思っておりませんが、研究開発のシステムあるいは大学の教育のシステムなどにおいて、やはりまだ非常に抜本的な改革の余地があるのではないかというふうに考えておりまして、今鋭意、その内容、改革の方向づけについて検討中でございます。

太田(昭)委員 教育というと、すぐそれは文部省の仕事でございますとかいう、今までそういうことだったと思いますが、ぜひともこれからは尾身大臣のもとで、そういうようなことも含めて、横断的といいますか、そうした体制をとっていただきたいというふうに思います。

 尾身大臣に最後の質問ですが、総合戦略のポイントという中で特に重点ということで、ライフサイエンスあるいは情報通信、そして環境、ナノテクノロジー・材料という四分野があります。

 ナノテクについては、特に我が国が推進をしていかなくちゃいけない重要な課題だというふうに思っているわけですが、私は、第一期科学技術基本計画あるいは第二期計画、こういうふうに見ますと、第一期が十七兆なんですね。第二期というのが二十四兆ということで、二十四兆といったらかなりアバウトな目標のような気がするわけです。

 そこで、財政が非常に厳しい状況の中での試算ですが、聞きますと、ことしの平成十三年度予算額というのは今調査をしているというようなことで、初年度ですからどうしてもそういうふうになっているのかというふうに思いますけれども、第一期に十七兆、第二期二十四兆はいいのですが、毎年のこの科学技術基本計画の予算額というようなことについては、着実にきちっと踏まえながら戦略を立ててやるということが私は大事だと思います。ことしは、一月に発足をしたところですから、今調査というのはいいのですが、本来は、総合科学技術会議がしっかりと、どれだけのものをやる、下から積み上げる予算というものになってきて、それが具体的なものというふうにならなくてはいけないと思います。

 私が気にしているのは、具体的に見ますと、補正も加えますと十二年度予算が三兆七千五百億ということになる、今年度は三兆四千四百八十六ということで、対前年度比でいきますと、補正があるないというのは当然あるのですが、減っているという状況にあります。

 こうしたことも、毎年毎年のことで、予算というと何で今ごろ調べているだろうというふうに当然だれしも思うわけでありまして、補正というものの位置づけということもあるのですが、私は、ここの予算充実ということに全力を挙げていただきたいというふうに思います。この質問が一つ。

 もう一つは、国会への報告とか、ナノテクについてもぜひともこれはやっていただきたいというふうに思いますし、あるいは、アメリカ等もやっていますが、技術開発等をしたということについては顕彰制度というようなものでできるだけ表に出していくというようなことも非常に大事だというふうに思っておりますので、予算については余り細かいことは結構ですが、その辺の見解と、国会への報告あるいは顕彰制度等について、簡単で結構ですが、お答えいただければというふうに思います。

尾身国務大臣 十三年度の予算につきましては、当初予算ベースで対前年度、十二年度比五%ということでございまして、当初予算としては私ども非常に積極的な予算を組んでいるというふうに考えておりますが、ただ、昨年度は補正がございまして、それを考えるとまだ足らないということでございまして、私ども、いろいろなチャンスにその予算の増額を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 それから、来年度の予算につきまして、実は総合科学技術会議でもかなり議論をしているわけでございますが、不必要なところは削る、これは国全体の予算の中で削りながら、二十一世紀をつくり上げる必要な科学技術予算をどうやってふやしていくかというのが実は大変に大きな政治的な課題でございまして、私ども、こういうところに使ったらいいとかいうことについては、総合科学技術会議で御議論をいただいております。

 しかし、日本全体の予算の枠組みは経済財政諮問会議で決めるというようなことでございまして、総合科学技術会議である種の方向性を出したものを経済財政諮問会議に持ち込みまして、本当に国として必要な予算の獲得を図っていく、そして二十一世紀をそれによって切り開いていくということをぜひ政治決断でやっていただきたいと思う次第でございまして、公明党の大幹部でございます太田先生のお力もぜひそういう面でおかりしたく、この機会にお願いを申し上げる次第でございます。

 もとより、科学技術の発展のためには政治のサポートというのが、あるいは議会のサポートというのが大変大事でございまして、科学技術の研究開発の進捗状況あるいは問題点等について、できるだけ機会を見て私ども御説明を申し上げ、御理解をいただいて進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 それからまた、科学技術あるいはプロジェクトの開発に功績のあった人に対する顕彰ということは大変実は大事でございまして、ともすれば地味な活動をしている研究者あるいは技術者、そういう方々の功績をしっかりとたたえながら、生きがいを持って頑張っていただく、国づくりに頑張っていただく方々に対する顕彰、今でもあるわけでございますが、なお一層制度の充実を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

太田(昭)委員 私は東京ですが、三宅島の噴火災害について質問したいのです。

 昨年の六月二十六日に噴火が始まりましてもう一年になろうとしています。今までの災害は、災害を受けてその対応をどうするかということであったのですが、もう発想を変えなくちゃだめだ。昨年の九月一日に私は船で行きました。偉い人は飛行機で行ってぱっと帰る人がいますが、私は船で行きまして、それで船で帰ってきたその帰りがちょうど全島避難で一緒に来たというような状況で、その生活ぶりなんかを肌で感じさせていただいたのです。

 これは、内閣がかわるというようなことがありまして、継続ということはありますが、新しい発想で、もうあと一年ぐらいしかもたないというような人が避難の方には多いのですね。東京都との連携のもとでぜひとも力を入れていただきたいということをまずお願いしたいと思います。

 この間アンケートがとられまして、具体的には、収入が全くなくなった世帯が二一・九%、月額で五割以上減ったというのは一〇%、年金生活者と公務員を除くと、収入は七八%の人が減っている。今の状態で今後どれだけもつかと聞いたら、一年ぐらいだろうというのが七一%というような状況ですから、要するに、一年しかあともう本当にもたないよということの悲鳴を上げているわけでありまして、私は、具体的な生活支援ということについて何らか手を打っていただかなければならないのではないか、善処をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

松下副大臣 おっしゃるとおりだと思います。長期化を見越した対策をしなきゃいかぬじゃないかということですけれども、まさにそのとおりだというふうに考えております。雲仙・普賢岳の例でも、私も当時はその担当者として建設省で対応した経験がございますけれども、あれも大変長期にわたりました。やはりそういう面でしっかりと対応しなきゃいかぬと思っているところであります。

 今委員がおっしゃいましたけれども、三宅村が行った生活実態アンケート、約二二%の人たちが全く収入がなくなったということでありますから、このことだけをとっても、それ以外の人たちも含めてどういう状態であるかということは、約三千九百名の人たちの避難の状況はよくわかると思っております。これまでも東京都と連携していろいろやってまいりました。これはもう御承知のとおりだと思いますけれども、さらに、被災者の方々のお声と実態をしっかりと受けとめて、一層三宅村の人たちへの対応を考えていかなければいかぬ、こう考えております。

 また、火山活動が依然として続いておりますけれども、一日も早く帰島したいというその気持ちもやはり酌み取らなければいけませんので、島の方においても、道路の確保でありますとか電気、電力の確保、これはもう常に、いつでも帰ってきていいようにしっかりしなければいかぬということも一方ではしておりますし、火山ガスが充満していろいろ危険な状況でありますけれども、そこを乗り越えながら、常駐して作業ができるような人たちの対策も既に四日から始めておりまして、これからも力を入れてやっていかなければいかぬな、こう考えておるところでございます。

太田(昭)委員 借入金が返せない、あるいは医療費が増加している。四一・七%の人が医療費が増加しているとおっしゃっているわけですね。私も聞きますと、病院に行く交通費とか、お年寄りが多いわけですから、付き添いが必要になるというようなことで、そうした細かい配慮を、二千世帯という限られた世帯でもありますから、弁慶と義経ののりづくりではありませんけれども、一粒ずつしっかり対応していくというようなことの方がいいのりができる、私はそういうふうに思います。全体的な広大な体系よりも、ぜひとも細かいことについて政府として対応していただきたい。

 そういう意味では、既往債務に対する利子補給の問題、あるいは災害復旧資金融資の利子補給制度額の引き上げの問題、さらに、まとめて申し上げますが、雇用ということについても、東京都がそれぞれ全力を挙げていることは事実ですが、政府としても、東京都に任せないで、雇用ということについては、数字だけ挙げますと、本当はもうちょっとこういうところに行きたいのだけれども、我慢して職があればいいなというようなことも雇用されているということに入っているわけでありまして、希望のところにできるだけというようなことも含めた雇用対策というのが大事だというふうに思っております。

 借入金の問題、医療費の増加の問題、また雇用の問題、それらについて万全な体制を組んでいただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

松下副大臣 アンケートの中身をつぶさに研究し、そして対応策を考えております。三千九百人という方は多いといえば多いのですけれども、一人一人の問題をきちっと対応していくことにしてはそんなに多い数字でもないと考えております。ですから、今おっしゃったように、一つ一つの問題をきちっとつぶしていきながらやっていきたいというふうに思っておりまして、東京都とあわせて国の方もしっかり対応してまいります。

 きょうは、この委員会が終了した後、村井大臣と阪上政務官が、被災者の方々が三宅島の特産の農産物の栽培作業に従事しておられる三宅島のげんき農場というのが八王子のインターの横にあるのですけれども、そこを訪問して被災者の方の生活実態を直接お尋ねして、そのところもしっかり参考にしながら対応してまいりたいと思っておりますし、私も、国会日程を調整しながら三宅島に行ってまいりたいと思って、今準備をしているところでございますから、しっかりやってまいります。

 以上でございます。

太田(昭)委員 終わります。

横路委員長 塩田晋君。

塩田委員 自由党の塩田晋でございます。

 国民の生命と財産を守り、安全な生活確保のため、第一線の警察職員の方々は、家族を含めて、日夜命をかけて公の任務としての警察活動に身を挺しておられます。このことに対しまして深甚な敬意と感謝を申し上げたいと存じます。

 そうした中、なおも犯罪が後を絶たず、最近におきましては戦後最大の犯罪件数といったことも起こっております。現場の警察職員の方々は非常に苦労しておられるのが現状でございますけれども、今後、犯罪ゼロの日本を目指して警察はどのように対処をしていかれるか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

 これに、なおつけ加えまして、警察官で殉職をされた方々をお祭りしてある霊所があると思うのですが、大臣、まだお参りされていないと思いますけれども、お忙しい中、ぜひとも早い機会に参拝をされまして、犠牲者に対しまして慰霊のお参りをしていただきたい、このことをお願いいたします。

村井国務大臣 塩田委員から大変御理解のあるお言葉をちょうだいいたしました。

 まず、後段のお話からでございますが、私も、現場主義というのは大変大切なことだと思っております。そんなこともございまして、昨日でございますが、警視庁と、それから最近捜査本部が設置されました二つの事案につきまして関係する警察署に参りまして、説明も聴取し、激励もいたしてまいりました。ただいまのお話の殉職した警察官の慰霊の施設でございますが、できるだけ早く参拝をさせていただきたいと思っております。

 それから、犯罪ゼロに向けてということでございます。もちろん、そういう精神で努力をしたいと思っておりますけれども、最近の治安情勢、先般の所信の表明の際にも申し上げましたけれども、動機や背景が理解できない犯罪でございますとか、少年による凶悪犯罪でございますとか、そういうものが発生いたしましたり、ひったくりとかあるいはピッキングというような身近な生活空間における犯罪が多発するというような非常に厳しい状況にございまして、一方で、社会全体に、匿名性と申しましょうか、これが高まりまして、人と人とのつながりが希薄化しまして、捜査に対する国民の皆様の御協力がなかなか得にくくなるなど、捜査をめぐる環境は非常に厳しくなっているということも、ひとつ御認識をいただきたいと思います。

 私といたしましては、警察に寄せられる国民の期待をしっかり受けとめまして、国民の安心と安全を確保するように警察を指導してまいりたい、このように思っているところでございます。

 そしてまた、安全というものは決してただではないということでございまして、厳しい財政状況ではございますけれども、必要な人員あるいは装備、それにそれを支える予算、こういうものも確保いたしまして、また科学捜査力なども充実していく必要がある、こんなふうに思っております。それからさらには、国民の皆様の治安維持に対します御協力、御理解、これも大事なことでございます。

 さような意味で、塩田委員初め委員各位の御理解と御支援をぜひ賜りたいとお願い申し上げる次第でございます。

塩田委員 大臣の非常に意欲的な積極的犯罪ゼロ対策に向かっての御意思を発表されまして、心強く感ずるところでございます。

 ところで、警察というものは、何といいましても物理的な強制力を持った国家権力の発動ということでございます。国の組織、活動の一番基本になる、そういう性格のものだと思います。言うならば、国の最も強力な骨組みであると言っても過言ではないと思うんです。

 この国家権力の発動ということは、違法行為に対して法を執行するという立場にあるわけでございまして、警察官は、長官初め第一線の警官に至るまで、それぞれ独自の判断をもってこの法の執行に当たらなければならないという、また公務員としても特別の権限を与えられた、非常に重大な職務を日夜執行しておられるわけでございます。

 そういった観点から申しまして、今大臣が言われました国民の協力また信頼、これがやはり絶対必要だと思うんですね。その信頼を失うような事件が最近も発生しておるわけですね。外からの問題もありますけれども、やはり内から腐食をしていっては国民の信頼を失うことになりますので、そういったいろいろな不祥事がありますが、これに対してどのように対処をして国民の信頼を回復するためにやろうとしておられるか、お伺いしたいと思います。

 もう一つは、そういうスキャンダルとともに、迷宮入りになったような事件がありますね。例えば三億円強奪事件だとかあるいはグリコ事件だとか、あるいはまた、これも本当に重大な問題だったと思うんですが、国松長官が狙撃をされて、しかも犯人がいまだにわからない、迷宮入りしている、こういうこともありますね。これなんかは内外ともに国民の安心感が崩壊していく一つの大きな要因だと思うんですね。

 こういった問題につきまして、国民の信頼を回復するためにどのような対策に取り組んでおられるか、その御決意をお聞きしたいと思います。

村井国務大臣 まず第一点でございますが、委員十分御理解いただいておりますように、ほとんどの警察職員は本当に日夜、寒暑を分かたず職務に精励しているというのが実態でございまして、そういう警察職員が引き続き高い士気を維持していくということが私は非常に大事なことだと思っておるわけでございますが、一方、一部のことではございますとはいえ、大変不祥事案が相次ぎまして、国民の御信頼を損なっているというのは大変遺憾なことだと思っておりまして、これを回復するということは、警察にとりまして当面する最優先課題の一つだと思っております。

 さような意味で、国家公安委員会及び警察庁におきましては、昨年八月に取りまとめました警察改革要綱に基づきまして、警察行政の透明性の確保と自浄機能の強化、それから国民のための警察の確立ということで、警察行政の根本問題につきまして見直しと改善を進めているところでございます。先国会におきまして公安委員会の管理機能の強化を図ること等を内容とする警察法の改正をしていただきまして、本年三月以降、順次これが施行されているのは御案内のとおりでございます。第一に、監察の指示等に係る規定は三月一日、苦情処理及び警察署協議会の規定が来る六月一日、監察体制の整備は四月一日ということで実施に移しているところでございます。

 今後、こういった措置によりまして警察の自浄機能をさらに強化されるように国家公安委員会としても努力をしてまいりたい、そしてまたこれを第一線に浸透させてまいりたいと思っております。実は、きょうも都道府県公安委員長の皆様方にお集まりをいただきまして、かような趣旨につきましても地方につきまして徹底を図った経過もございます。

 それから、第二点に御指摘になられました、結局解決できなかった事案が警察に対する信頼を失い、信頼を損なうという点は全く御指摘のとおりでございまして、いずれにいたしましても、いろいろ原因があると思うのでございます。初動の時期におけるさまざまの誤りあるいは手落ちでございますとかいうようなこともあるかも存じませんし、それぞれいろいろな事情があって未解決に終わっている事案があると思います。

 ただ、いずれにいたしましても、こういったことをある種の教訓といたしまして、警察それぞれの担当レベルにおきましていろいろな分析を加え、このようなことが重ねて起きないように努力を継続していくということは私どもに課せられた課題ではないか、こんなふうに思っているところでございます。今後ともよろしく御指導をお願いしたいと存じます。

塩田委員 ありがとうございました。

 今お話がございましたことに関連いたしまして、現在の国家公安委員会そして警察庁、また都道府県の委員会そして都道府県警察本部の体制、これは私は、これだけ行政改革を国として断固としてやると言われながら、これにどうして手をつけられないかと思うんです。

 今の三条委員会、大臣とされましても歯がゆい思いをしておられるんじゃないかとは思うんです。しかも、一般の意見は、公安委員会、委員が五人いましても全く形骸化している、実際やっているのは警察庁長官以下の第一線の警察職員だ、こういうことで、この今の組織で大臣の指導監督責任というものが本当に十全であるのかどうか。この三条委員会についての大臣の率直な御意見を賜りたいと思います。

 私は変えるべきだと思っているんです。昔の内務省の形を必ずしも理想的とは考えていないんですけれども、これだけ大きな強力な権力機構がこんな今の体制でいいのかどうか。戦後のいろいろないきさつがあったと思います。これはアメリカがつくったことですよね。若干直してきたといっても基本はそうですね。こんなことでいつまでもいいのかどうかということについて、私は意見があるんですけれども、大臣の率直な御意見をお伺いいたします。

村井国務大臣 大変お詳しい塩田委員のお説でございますけれども、私も、この国家公安委員会委員長という職を拝命いたしましてまず気がつきましたことは、私は警察に対していわゆる指揮監督をする立場にないんだということでございます。国家公安委員会といういわゆる三条機関が警察を管理する、そして私は国家公安委員会を代表し総理するという立場ではございますけれども、五人の委員さんの間で意見が一致しましたことを私は代弁する、あるいはその議事の取りまとめをする。可否同数ということが仮にまれに起こりましたら、それは私が採決することはありましょうけれども、そういう立場だということに気がつきまして、なるほどと思ったわけでございますが、やはり、今塩田委員いみじくも仰せになりましたように、国家権力の非常に強い形であらわれるのが警察でございます。

 そういう意味では、警察の民主的管理、これは非常に大事なものでございますし、それからもう一つ、戦前の経験にかんがみまして、政治的中立、これももう一つ重要な要素でございまして、政党人たる政治家が就任する国務大臣が任命される国家公安委員長という立場がどうあるべきかというのは、これはやはり相当議論を要する問題ではないか。

 私は、現在の国家公安委員会、そして警察との関係、あるいは地方の公安委員会、それと地方のそれぞれの警察との関係というのは、いろいろな世間の御批判を受けまして大変覚せいしたのではないか、目覚めたのではないかという感じを持っております。

 実は、地方の公安委員長さんにお集まりいただきましたきょうの会議も大変活発な御議論ございましたし、私、わずかな、まだ二回にすぎませんけれども、公安委員の先生方と委員会で御議論を拝聴しておりましても、大変熱心なまた活発な御議論が行われておりまして、私自身も啓発されるところが非常に多い、それが今の正直な感想でございます。このままで運用よろしきを得れば、私は、本来目的とした民主的な管理ということは十分可能になり、また政治的中立性も確保できるのではないか、そんなふうに正直思っているところでございます。

塩田委員 大臣のお考えはわかりました。

 ただ、民主的なチェックをする機能は国会あるいはこの委員会でやればいいことで、三条委員会でもって大臣の指揮監督がフィルターを通さなければ出ていかない。

 また、きょうは各都道府県の公安委員長が集まられて非常に活発に意見交換されたそうです。それは結構でございますけれども、やはり地方におきましても国と同じような形骸化している面、例えば公安委員会の委員の名前なんか県民はほとんど知らないですよね。そして、同じような状況が警察本部長と公安委員会との間にあると思うのですね。ここにおられる警察庁長官が全国の警察本部長を集めて指示をされ、訓示をされ、督励される、これが実際の警察を動かしている本体なのですね。

 そういう形をやはりもっとすっきり形を整えた方がいいのではないか、このように思うのですが、これは行政改革の大問題になると思いますし、民主的チェックをどこでするか、今までのような形が本当に、形骸化しておってもある程度意味があるのかどうか、こういったこともいろいろ議論になると思いますが、これはこれとして今後の検討課題として私も取り組んでいきたいと思います。

 これに関連いたしまして、現在の警察庁長官は各省庁の事務次官会議に出席をされておるわけですね。これは警察庁長官だけですね、長官として事務次官会議に出られるのは。片や各省庁の事務次官は国会には出ない。これは従来の慣例ですね。

 ところが、警察庁長官は国会の委員会にも出られる。しかも、長時間ここに待機もし、答弁もされる。この時間は大変な、私はむだとは言いませんが、日夜、二十四時間警察職員は働いている、凶悪犯罪に対しても対策をしておられる、それの一番の最高責任者、実力を持った最高責任者がここで時間をとられる。そういったこともあって、各省庁の事務次官は事務次官会議に出るけれども国会に出られないということですから、私はそこは、これは国会との関係もあるので、国会の委員会でどうするかという問題あるのですけれども、考え方としては、例外的に国会に事務次官会議に出ている人が一人だけ出ている、おかしいのではないか、またいろいろな行政事務の執行の上では支障があるのではないか、このように思うのですが、大臣はいかがお考えですか。

村井国務大臣 塩田先生の大変お詳しい知識に基づいての御意見でございますが、これはもうそういう意味で大変失礼なお答えになりますが、国家公安委員会と警察庁というのは別の組織でございますから、そういう意味で国家公安委員会を代表して私が出席し、それから一方、警察庁をそのトップである警察庁長官が代表して出席している、そういう関係がまずあるということが現在の立て方だと思います。

 しかしながら、今塩田委員仰せになられました点は非常に重要な点を含意していると私は思うわけでございまして、やはり組織の事務責任者が、国会は大変大切でございますから、もちろんそこに出席してきちんと責任を持って御答弁を申し上げるというのは、これは大変大切なことではございますが、一方で、中をきちんとおさめていくということも、これもまた重要なことでございます。

 確かに、事務次官会議の出席者の中でただ一人、警察庁長官のみが国会に出席して答弁をする責任を担っているということが果たしてよろしいかどうかというあたりは、これはもう文字どおり、まさに委員御指摘のように、国会の方で御理解が得られるかどうか、御判断をどのようにいただけるかという問題でもございまして、私からはちょっと、そういう現状を御説明申し上げ、私なりに、それぞれの組織のトップが出て御答弁を申し上げる形をとっているという事実のみ申し上げまして、あとは国会の御判断におゆだねすることではないか、こんなふうに思っております。

塩田委員 警察庁にも次長がおられるわけですから、そういったことも含めて、国家公安委員会、三条組織ですね、これを含めて今後の課題として問題の検討材料にしていきたいと思います。

 それから、これは警察庁長官に、もうあと一問の時間しかございませんので簡単にお答えいただきたいと思います。

 来日外国人による凶悪犯罪というものが多発しておる。そしてまた、国際マフィア、中国だと言われますけれども、いろいろな国際マフィアが日本のやみの世界、夜の世界を支配しているという向きさえあるわけでございますが、こういったものに対してどういう対策をしておられるのか、現状につきましてお尋ねいたします。

 それからもう一つ、過激派と言われるグループがありますが、これは今もう公然と路上にも出てくるし、私、この間連合の集会に行ったら、ある特定の過激集団の名前を言いながらビラを配っておるのですね。しかも激しいビラですね。何十人かが公然とやっておるのです。そういう状況の中で、警察がアジトに踏み込まれたところ、警察の大変な情報を全部コンピューターに入れてあったということがわかった。しかも、幹部の個人宅の状況からやりとりまで入っておったような報道もあるわけですね。

 これは重大なことですね。一番の権力の中枢のところで、しかもそれがウイルスというかハッカーというか、入ってこられて、しかもつかまれておったという事実が警察でつかまれたわけですね。これは大変な危機だと思いますよ。危機的な状況だと思いますが、この二点につきましてお伺いいたします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 まず第一点の問題でございますけれども、御案内のとおり、犯罪情勢は大変厳しゅうございまして、お話しのように、来日外国人による犯罪あるいは国際マフィアによる犯罪等々、凶悪な犯罪がふえております。

 こういうような犯罪に対して、私どもは現在どのような体制をとっているかと申しますと、やはり体制の強化ということで、警察官の配置等を常に見直しまして犯罪発生実態に即した体制をとる。組織、人員の効率的運用を図っておりますし、また、誘拐事件とか銃器・薬物事件に対応した訓練の充実等によりまして優秀な捜査官の育成を図っております。

 また、大臣からお話がございましたように、科学技術の導入、科学捜査力の強化にも努めておりますが、特に、お話しのような来日外国人等の問題につきましては、入国管理局、税関、海上保安庁等の国内関係機関との取り締まりの連携、あるいは外国の捜査機関との情報交換、国際的な組織犯罪への対策、さらには都道府県を越えた共同合同捜査の推進による広域犯罪対策等を進めてまいっているところでございます。

 また、防犯面におきましても、ピッキング犯罪をどうやって防ぐかということにつきまして、関係機関と連携強化、さらには業界団体への積極的な働きかけも行っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、犯罪情勢は大変に厳しいという認識を持っておりまして、国民の皆さんの協力を得ながらいろいろな対策を進めてまいりたい、かように考えております。

 またさらに、体制の強化等につきましても、大臣からお話がございましたように、委員の皆さん方の御理解を得ながら、増員等につきましても引き続き御協力を賜りたいというように存じておるところでございます。

 それから二つ目の、過激派の御指摘の問題がございました。無線傍受した事案というお話でございましたが、これは、警視庁が平成十年四月に千葉県の浦安市内の革マル派の非公然アジトを捜索いたしまして、無線機、録音機、カセットテープ等を押収して、警察の無線を傍受したということを解明した事案でございます。

 このアジトからいろいろなものを押収したわけでございますけれども、今もお話し申し上げましたように、傍受したということが判明いたしましたので、直ちにこれに対する対策をとっておりまして、現在では万全の措置を講じているという考えでおるところでございます。

 なお、本件に関しまして、お話しのように、被疑者を検挙いたしまして、また関係者を指名手配しているところでございます。

 なお、過激派に対しましての取り締まりの体制、姿勢の問題について御指摘がございましたけれども、私どもは、革マル派を含めまして、この極左暴力集団につきましては、違法行為の摘発に努める一方、ゲリラ事件とか内ゲバ事件の根絶あるいはその検挙に向けて最大限の努力を重ねておりまして、今後とも、組織の総力を挙げて極左対策を推進してまいる所存でございます。

塩田委員 ありがとうございました。終わります。

横路委員長 松本善明君。

松本(善)委員 官房長官にまず伺います。報償費の問題です。

 十五日の予算委員会で塩川財務大臣が、報償費についてのテレビでの自分の発言について、忘れたとか記憶にないということを連発されました。

 考えてみますと、十二年前の話をテレビでは極めてリアルにお話しになったんですよ。それが四カ月たったらすっかり忘れてしまう。私は、だれもそれは信用できないんじゃないか。塩川さんを知る人によりますと、大変記憶のいい人だと言うんです。私は、この忘れたというのはとても信用できない。忘れたという方針でいこうということではなかったか、こう思うんですが、官房長官はこの答弁を聞かれてどういうふうに思われましたか。

福田国務大臣 十二年前のことですが、あの方は二カ月しか官房長官をしていないんですね。ですから、その二カ月のことを十二年たってどのぐらい覚えているかということはあろうかと思います。

 私も、就任したのは半年前です。正確に言えば六カ月半ぐらいですけれども、官房長官の仕事というのは本当にいろいろなことがございまして、それも多岐にわたるものですから、また細かい仕事がたくさんあるんです。ですから、正直申しまして、私が最初のうち二カ月間にやったことを思い出せと言われても、なかなか思い出すのは難しい。松本委員がおっしゃるので、今思い出しても思い出せない。

 この間の予算委員会でもって突然そういう話が出て、恐らくとっさのことでもって塩川大臣も答えに窮したというように思います。印象の薄いことを、それも十何年前のことについて話をしろと言われても、それはちょっと無理なんじゃないかと思いますよ。私は、塩川先生というのは大変人格高潔な方でございますので、インチキを言っているというように思いませんし、そのような昔のことだったということで、私はやむを得ないと思いますよ。

松本(善)委員 あのときに福田官房長官はたびたび塩川さんに耳打ちをされて、それはテレビにも映っておりましたし、私も見ておりましたけれども、忘れたということで頑張れと言っていたんじゃないかなと憶測をするんですが。

 といいますのは、やはりどうしてもおかしいんですよ。翌日の十六日の午前の衆議院の財務金融委員会では、これは民主党の議員からの御質問で、議員の勉強会のお世話として官房機密費が当時使われていたが今はない、当時は使われていた、こう答弁をされたんですよ。これは報道もされましたが、一部認めた、こう言うんですが、私は速記録をちょっと調べてみました。質問者は、議員の勉強会のお世話として使われた、今はないと言うことと同時に、テレビインタビューの答えも含めて当時では事実だったわけでありましょうかという質問をしているんですよ。そして、財務大臣は、その当時以前はそういうこともあったということでありますと全面的に認めた。それで、質問者もそれを確認して次の質問に入っているんですよ。

 私は、速記録を見ますと、質問者が確認したとおりだというふうに思いますが、それで読んでいただいてもいいんですが、それはそれとして、まだあるんです。速記録はそうなんだが、一部であろうと全部であろうと認めたかどうか、それはともかくとして、全部忘れたというのが翌日になると思い出したんです、一部であろうととにかく。そうでしょう。とにかく、覚えていたということなんですよ。記憶があったということなんですよ。これは、一日で前日の答弁がうそだったということを自分で証明したようなものですよ。それは明白ですよ。

 官房長官、さっきのあなたの耳打ちの話と一緒にお答えください。

福田国務大臣 塩川大臣がどのようにお考えになって言われたか、直接お聞きになった方がいいと思うんですよ。来週、参議院の予算委員会がございますね。そこでそういう話をしていただければいいんじゃないでしょうか。

 今、耳打ちしたと。あれは、実は私、前に塩川大臣から聞いたことがあるんですよ。そのときに、何か質問されたじゃないですか、この委員会でもって、もしくは予算委員会でもって、何でしたか、一月か二月か、塩川大臣のお話が新聞や雑誌に出ている、それはどうなのかと。私は塩川大臣に伺いました。そのときに塩川大臣は、先ほど申しましたように、古い話で、そしてあのころ元官房長官ということで随分取材があったそうです。何社も来て、いろいろな人が来たと。そのときに、自分がやったということでなくて、そのころたくさん出ていた新聞なんかを見て、そういう記事によってその記事を紹介した、こんなふうなことを話しておられたんです。そのことを私はたしかこの委員会でもお答えしたんじゃないかというふうに思いますけれども。

 そういうことだったので、そのことを塩川大臣が先日の予算委員会で説明されたらどうなんですか、こういうふうに塩川大臣に申し上げたわけですよ。忘れたというふうに答弁しろなんということを、そういう悪知恵をつけるようなことは私はいたしませんから。

 何か非常に委員も楽しんでいらっしゃるようですけれども、そんなことでなくて、まじめに私どもは対応しているつもりでございます。よろしくお願いいたします。

松本(善)委員 やはりおかしいのですよ。

 それではまじめにやりましょう。まじめなところでいきますと、国会議員がテレビを前に話すということは、広く国民に向かって言うということですね。官房長官も記者会見を毎日やっておられて、それについてはやはり慎重な配慮をしてやっておられると思うのですよ。いわば公的な発言ですよ、マスコミに対する発言、テレビであろうと何であろうと。やはり、国会議員がテレビで発言したことは責任のある発言。世間ではこれは本当だと思うのですよ。塩川さんのテレビのあれも、もう極めてリアルで、それは自分の体験としてしゃべっておられることは明白です。

 官房長官、塩川発言をうそだと思っているのかどうか、それとも、塩川さんという人はテレビの前で無責任な発言をする、そういう人だと思っているのかどうか、私はそういう問題になると思うのですよ。それは、テレビで発言したことをちょろちょろひっくり返したりしたら、国会議員としても人間としても絶対信頼できないですよ。それは、私は塩川さんという人に対する評価の問題だと思う。私は、あれをうそだと言うのは、塩川さんに対するかなりの侮辱になるんじゃないかと思いますよ。

 だから、これはうそだと思っているのか、それとも無責任な発言を塩川さんという人はやる人だと思っているのか、お答えいただきたいと思います。

福田国務大臣 予算委員会で忘れたと答弁しました翌日に具体的に話をしている、おかしいじゃないかという先ほどの質問がございましたね。あれは、テレビをちょうだいしたのですよ。たしか御党からいただいたんじゃないですか。それを見て述べたことでありまして、それは、テレビを見なくたって自分のおっしゃったことを思い出したかもしれませんけれども、そういうことで多少変化があったって当然だろうと思いますよ、それは。あそこの予算委員会でもって、ここで一生懸命思い出して不正確なことを言うよりは、忘れたと言って、そして翌日に言うとか、また別の機会に言うとかいう方がいい、その方が正確だということもあるわけですよ。ですから、そういうようなお考えでされたんではないかと私は推察をしております。

 あの方がおっしゃったことがどうのこうのとおっしゃいましたけれども、そういう発言をされていたころは、テレビに向かってという話でございますけれども、多少、議員会館の割合気楽な立場でもって自由な発言をしたということかもしれぬし、また、聞き方の問題もありますし、ですから、それがすべてだというように考える必要はないんじゃないかと思いますよ。その場その場で、その場の雰囲気でもってまた言い方を変えるというようなこともあるかもしれませんし、何とかサービスして、どういうことをしているのかということを言いたいというサービス精神でそういうふうに表現したのかもしれぬし、その辺がどうなのか、それは御本人にお尋ねいただいたらいいと思いますが。

松本(善)委員 御本人にも聞く機会ができるわけですが、福田官房長官も大分苦しい答弁で。

 テレビを見たから変わったんじゃないかと言われますが、それとも違うのですよ。その十六日の、今申し上げました衆議院財務金融委員会での答弁、これは午前中です。午後、記者会見で、ビデオを見てびっくりしたと言うわけです。こんなことを言うたかな、そんなはずないと思うがな、これは発言の覚えもないし内容も誤りだと。これは二日間の間に二転三転です。私は、これは報道も聞きまして、忘れたということでいこうという方針がこの一日で崩れちゃった、この結果がこういう形で出ているんだというふうに判断をしましたね。

 それについて弁解してもまた苦しい答弁になるでしょうから、それは答弁は求めません。しかし、何でこれだけやるか。福田さんとはいろいろつき合いもあるんだけれども、これはやはり国政上の非常に重大な問題ですよ。

 我が党が予算委員会で提起をし、それから筆跡鑑定もしたいわゆる「報償費について」という文書があるでしょう。いわゆる古川メモ。これは何遍もここでも取り上げました。これは平成元年五月という記載があるのです。これは、塩川さんが同年六月三日から官房長官に就任されたんです。塩川さんに対する引き継ぎメモなんですね。塩川さんのテレビ発言との関係で見ますと、この文書の存在は非常に重大な意味を持ってきている。

 それで、上納問題も、この問題の中心問題は、野党対策に使ったということと、それから外務省から上納があるということ。これは塩川さん、両方ともはっきり答弁している。それで、田中外務大臣はこの上納問題を調査すると言ったけれども、すぐ後退しましたけれども、塩川さん、これについても、外務省のある枠から持ってこいよといって上納させている、これはテレビで認めているわけです。

 私は、この問題は、小泉総理大臣も調査しないと言うんだけれども、やはり内閣として根本問題ですよ。これはきちっと調査をしないといけない。改革、改革と言うけれども、こういう調査は改革の最小限の責務じゃないか。これさえやらなけりゃ改革なんと言うのはやめた方がいい、私はそう思いますが、官房長官、どう思いますか。

福田国務大臣 松本委員も再三再四にわたり、御党で入手したと称する文書をもちまして、どうだ、どうだ、こういうふうにおっしゃるわけでございますけれども、私どもは一貫してこの文書の存在というものは、私どもの方から出したものでないということを申し上げているわけでございまして、そのことを認めてくださらないと本当に困るのですね。

 私どもはあの文書を認めておりません。これからも認めるつもりもございませんし、どこでどうやってつくったか、どういう種類のものか、また、筆跡鑑定云々とおっしゃるけれども、あの文書、コピーのコピーのまたコピーといったようなものの筆跡鑑定というものは果たしてできるものかどうかとか、いろいろ疑念もございますし、そもそも私どもの調べる対象でないということでございますので、ひとつ、もうこれ以上の御質問は勘弁願いたい、こう思っているのです。

松本(善)委員 そうはいかないんですよ。官房長官、自分の言うことを認めてくれと言うけれども、これは客観的にあるんですよ。内部告発から始まったんでしょうから、だれが出したかということはなかなか出てこないと思いますよ。だけれども、客観的にあるんですよ。これは本当かどうかということを調べればいい。内閣は当然調べればいい。私どもは、国会でもやはり調べる必要があると思うのですよ。

 この問題は、会計検査院がずっと事実上検査してこなかったからこういうことがやられているんだけれども、存在意義が問われている。国会も、この問題についてちゃんと調査をしなければ、存在意義が問われるわけです。

 前から申し上げておりますけれども、筆跡鑑定の問題、それから証人喚問など、真相を明らかにするための協議が必要だと思いますが、委員長、引き続きこれを協議していただくようお願いしたいと思います。

横路委員長 お申し出の件は、理事会でもって協議いたします。

松本(善)委員 それから、官房長官、もう一つお聞きします。

 官房長官、報償費の使途については言えないという答弁をずっと一貫してこられましたね。新内閣になる前の三月二十八日の本委員会で、私はその憲法上、法律上の根拠について聞いたところが、「よく考えて、出直してまいります。」という御答弁で、そのとき、官房長官がその法律上の根拠も知らないで言えない、言えないというのはとんでもないじゃないかといって、少し激論になりましたが、きょうは激論でなくて、どういう根拠であるかということをお聞きしたいと思います。

福田国務大臣 先般の議論では、憲法との関係で報償費云々とおっしゃるので、私は、憲法と報償費の関係というのは余り聞いたことがない話だったものですから、これはそんなことが何か書いてあるのかなと思って申し上げたというだけのことであります。

 国家機関がその任務を遂行していく上で公の利益の保護という観点からある事項を公表しないということは、これは許されているものだと考えております。内閣官房の報償費については、その経費の性質上、予算に計上されて以来、その使途などは公表しないという取り扱いをしているのです。という扱いですね。

松本(善)委員 やはり法律上、憲法上の根拠が言えないわけです。ないわけですよ。戦前は根拠があったのだ、機密費。だから、機密費ということになればそうなんです。ところが、戦後の憲法は機密費というのを認めない。だから、政府も報償費、報償費といって答弁するわけでしょう。それを言えないというのは、機密費というなら、それはもともと機密だからということになるかもしれぬ。だけれども、法律上の根拠が言えないのですよ。

 結局、森内閣のときの答弁と同じなわけだ。人事も官房長官から副長官から森内閣と全部同じ。答弁も全く同じだ。これは、いわゆる報償費問題についての疑惑隠しの内閣と何にも変わってないというふうにしか考えられない。答弁は求めませんけれども。

 それで、今度は村井大臣に伺いたいと思います。奈良県警の問題。

 国家公安委員長は、所信のあいさつで警察への信頼の回復を強調される。きょうも答弁の中で言われました。この警察の不祥事が相変わらず続いているわけですよ。その中でこの奈良県警の贈収賄事件の処理というものはやはり際立っている、一つの特徴ですね。それは、マスコミが、逮捕もしないで捜査が終わったなんて言っているのは異常だと全部の社説が書いた。それから、被疑者が自殺をしたということで、これも何紙ものマスコミが社説で書きました。ここでもたびたび各党の議員が議論をいたしました。

 この贈収賄事件、被疑者の逮捕もせずに書類送検した。これは全く常識外のことで、私は捜査をしたことにはならぬということをこの委員会で申しましたが、当然世論のごうごうたる非難も浴びて、奈良地検は、当然のことながら、送検されてから、捜査不十分ということで、大阪地検や京都地検の応援を得て関係先の再捜索を決定した。ところが、県警が捜査の合同実施を申し入れ、捜索の着手が一日おくれて十八日になった。一方、十七日に、奈良県警は佐川急便の原田前社長を逮捕したのですよ。その日に、収賄したと言われている元警視が焼身自殺です。これは、憶測すれば、情報が漏れたのじゃないだろうかということさえ考えられます。

 マスコミでは、究極の逃亡、徹底した証拠隠滅と社説で批判をされる。別の大新聞の社説は、「およそ警察の部外者が取り締まり権限を持つ警察官に金品を渡す際、見返りを期待しないことはない。金品は改めてわいろ性を判断するまでもなく、わいろそのものだ。」「全国の警察が部外者からは、たとえ儀礼でも“びた一文”受け取らぬ姿勢を確立させない限り、事件の再発防止はおぼつかない。」こういうふうにして言っています。

 奈良の公安委員会も、先ほど国家公安委員長は活発だと言っているけれども、これは何にも機能していないです。専門家の判断だから尊重しなけりゃならぬとか、記者会見もしない。これだけの全国的大問題になって公安委員会が何にも機能していない。

 私は、この問題について、警察の不祥事をなくすためにどうするつもりなんだということを、国家公安委員長とそれから警察庁長官にも聞きましょう。

 それから、時間もありませんので、法務省刑事局長にも一緒に聞いておきます。元警視の焼身自殺といいますのは、これは地検としても重大失態です。贈収賄罪というのは一定の社会的地位のある人に多いですから、自殺をするというおそれがあるから、身柄については細心の注意を払って、そういうことのないように逮捕をするとか、そういうことをやらにゃいかぬ。それがこういう事態になった。この現状を失態と考えているかどうかということと、それから捜査の現状、これをちょっと報告していただきたい。それから、やはり奈良県警を、警察だから、これからのことを考えると余り徹底してやるとやりにくいとかなんとか、そういう配慮を絶対してはいかぬ。断固としてやらないと、捜査機関、国の捜査そのものに対する信頼がなくなります。そういう妥協のない断固とした捜査が必要だと思うけれども、刑事局長にはその三点、伺いたいと思います。

 以上、お答えいただきたいと思います。

村井国務大臣 松本委員御指摘のこの事案でございますけれども、私も過去の速記録などもずっと一通り目を通させていただきましたりいたしました。奈良県警の元警視が奈良佐川急便から給与名目で長期にわたり、かつ多額の振り込み入金を受けるなど、このこと自体とんでもないことでありまして、重大な不祥事案であるという認識を私もいたしております。

 そういう意味では大変遺憾なことなのでございますけれども、ただ、本件については、検察庁とも協議をしながら厳正な捜査を進めてきたところでございますけれども、奈良県警においては、運送業者から元警視に対する金銭の授与というものは明らかにできたわけでありますけれども、しかし、そのわいろ性というものを証拠上認定するには至らなかった、そこで逮捕しなかったんだ、このような報告を受けているところでございます。

 結果的に元警視が焼身自殺したということで、残念なことでありますけれども、今後とも、奈良県警において、奈良地検とも連携をとりつつ、国民の信頼を得られるように徹底した調査、厳正な捜査を行いまして事案の解明に努めるよう、警察庁を私としても指導してまいる、そういうつもりでございます。

田中政府参考人 本件事案につきましては、この委員会でも御質問がございまして答弁申し上げているとおり、極めて遺憾な事案でございます。

 この事件につきましては、奈良県警では、委員会でも答弁いたしましたとおりの捜査経過をたどって、三月十五日、書類送致をしたわけでございますが、書類送致後も、事案の徹底解明のために検察庁と共同して所要の捜査に当たってきたわけでございます。この今御指摘ありました警視とも随時連絡をとり、所在を確認するなどしていたというふうに報告を受けておりますが、結果としてこの元警視が死亡したということはまことに残念なことであります。

 今後も、奈良県警に対しましては、検察庁と共同して厳正な捜査を進めるよう指導してまいりたいと考えております。

古田政府参考人 御指摘の事件につきまして、被疑者が自殺をするに至ったということは、これはまことに私どもとしても残念なことに思っている次第でございます。まずそれを冒頭に申し上げたいと思います。

 ところで、この事件につきましては、ただいま警察庁長官からの御答弁もありましたように、本年三月十五日に奈良県警から収賄罪により被疑者二名、贈賄罪により被疑者二名の各送致を受けて、検察官において捜査を開始したわけでございます。

 その捜査上、四月十八日及び十九日の両日にわたりまして関係先の捜索を行い、種々の観点から捜査を進めてきておりまして、現在も鋭意捜査を継続しているという状況でございまして、引き続き厳正に捜査を行った上で、事案の内容に応じた処理をするというふうに承知しております。

松本(善)委員 これで終わりますが、やはり警察官が給料以外に金をもらう、こんなことがないようにしなければいけない。わいろ性の問題じゃないのですよ。私は、そういうことをきちっとやらなければだめだということを申し上げて、質問を終わります。

横路委員長 北川れん子さん。

北川委員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。よろしくお願いします。

 まず、石原大臣の方に、公務員制度の改革について、先ほど山元委員に対して日本国憲法の遵守というお話も出ておりましたので、少し触れさせていただきます。

 三月二十七日に発表されました「公務員制度改革の大枠」において、公務員制度改革と労働基本権の関係についての言及がないということ、この辺をどう考えていらっしゃるのかを一つお伺いしたい。それと、自民党の行政改革推進本部は、三月二十三日、労働基本権の回復を前提に意見交換を継続ということを組合と合意をされたというふうにも聞いておりますが、今後どのように当事者である組合との話し合いを具体的に持つように考えていらっしゃるのか。この二点、冒頭にお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 北川委員の御質問にお答えしたいと思うのですけれども、労働基本権の問題を今個別に取り上げてどうこうするというような議論はなされていないものと承知しております。すなわち、給与制度をどのように変えていくのか、これも公務員のまさに存在にかかわる非常に重要な問題でございますので、そういう全体の中でこの労働基本権の問題は議論をされていく問題だと認識しております。

 そして、憲法二十八条の問題でございますけれども、これはもう北川委員、昭和四十八年の最高裁判決を御承知の上で御質問されているのだと思いますけれども、憲法二十八条は、私が読むまでもなく、公務員も含めたすべての労働者に労働基本権が認められていますけれども、やはり国家公務員という国のマネジメントをつかさどる、国の中枢を占める仕事は制約を受けてもいいのだというような判決内容で、そのかわり人事院等があるというような形になっているのだと承知しております。

 それともう一つ、党の方の問題の御指摘があったのでございますが、これは私が答えるのが適切ではないと思うのでございますけれども、党の方でかようなことがなされているものと承知しております。

北川委員 党の方では、継続して話し合いを進めるということを言われていたのだと思いますが、担当大臣としましても、組合側との積極的な話し合いということはぜひ持っていただきたいというふうに思います。

 司法の段階での判断というのは、特に小泉内閣は改革ということを言われておりますが、そのときそのときの時代性に応じて司法の決定したことに関しての新しい息吹も見られるということもありまして、労働基本権の制約、これが合憲だということを指していらっしゃると思うのですが、これに関しては法学者の中でも意見は二分しているわけです。それも御存じだろうと思います。違憲だという意見の方が多いわけですから、その点を踏まえて、ぜひ新しい感覚の石原大臣には、新しい時代の労働者問題という点を踏まえて、公務員制度改革について情報公開をしていただくということをお願いしたいと思います。

 次に、特殊法人の改革ということでお伺いをしたいと思うのです。

 ここに、年金福祉事業団の九八年度の事業収支が出ているわけですが、今年の四月一日から新年金資金運用基金に旧年金福祉事業団というのが表の看板の名前が変わりましたけれども、これについての財務の内容はどういうふうに説明を受けて、聞かれたのだったら、それをどう把握というか、分析されたのかをまずお伺いしたいと思います。石原大臣にぜひ、今もう書類を持っていらっしゃるようなので、お願いをしたいと思います。

西村政府参考人 各特殊法人等からは事務局の方でまずヒアリングをしておりますので、その状況を御説明させていただきます。

 現在公表されております平成十一年度の決算で申しますと、旧年金福祉事業団の財務状況は、勘定別に申しますと、グリーンピアとか貸付事業を行っています一般事業勘定、ここは資産が十兆八百四十八億、負債が九兆千七百四十二億で、九千百七億円資産が上回っております。それから、資金の運用事業を行っております資金確保事業勘定、それから年金財源強化事業勘定、ここでは負債が二十六兆九千四十五億円、それから資産が二十五兆五千二十九億円ということで、負債が一兆四千十六億円上回っております。これらを合計いたしますと、四千九百十億円負債が資産を上回っているということでございます。

 厚生労働省の方の説明では、この資産は、時価評価が行われていないなど、一般の企業会計原則とは異なる特殊法人の会計原則によっておりまして、いわゆる債務超過とは異なるというぐあいに説明を聞いております。

 しかし、一方では、現在財政制度審議会におきまして、特殊法人の会計処理につきましては、従来の基準での財務諸表とは別に、新たに特殊法人等が民間企業として活動をしていると仮定した場合にはどういう財務諸表になるか、時価評価とか連結といった企業会計原則に従って作成、公表するという議論が行われております。今後は、こういうものが公表されますと、民間企業と同じような評価ということができるのではないかと考えております。

 以上でございます。

石原国務大臣 北川委員の御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 今西村局長の話を聞いて、厚生省の説明のとおりだな、これで万々歳だ、すべてがうまくいくと思っている委員の方は少ないのではないかと思っております。私も、局長が後段に申しました、仮に特殊法人が民間会社と同じような活動をしていると仮定したときの財務諸表が出てきましたら、今私が冒頭申しました疑義というものが明らかにされるのではないか、その段階でこの問題については私の個人的な見解を申し述べさせていただきたい、こんなふうに考えております。

北川委員 私が見ているのが九八年ということで、そのときでしたら負債額の方が資本金を一兆ほど上回っていた。今四千億円ぐらいになっているということで、下がったのか、計算の仕方がどうだったのかということが今の段階では詰められないのですが、株の見方も時価で見るかどうかということで違いがあろうと思いますが、今石原大臣がお答えになった、いろいろな情報を得てからというその時期、めどとしては大体いつごろというふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

石原国務大臣 北川委員にお答えいたします。

 財政審は所管が財務省でございます。私の方からも財務省の方に、仮に特殊法人が一般事業会社と同じような経営を行っていたらという、私たちの極めて常識に近いと思われる財務諸表を早急に取りまとめていただきたいと言っておりまして、この三月決算で、先行指標といたしまして、これまたいろいろな委員会で問題が出てきております道路公団等のものがまず出てまいりまして、遅くとも来年度中にはすべての特殊法人の極めて民間に近い財務諸表が明らかになり、この問題の抱える大きさというものが明らかになってくるのではないかと推察をしているところでございます。

北川委員 来年度中ということで、多少スパンが長いなというのが今のお聞きした感想なんですよね。多分市民や国民の皆さんというのは改革が早くということだろうと思いますので、そこの乖離をぜひ埋めていただきたいというのが一つと、民間企業と同じような評価であれば倒産しているのも同じということだろうと思うんですが、石原大臣は、この間の累積赤字の発生原因とその責任の所在、それをどういうふうに明らかにされていこうと思われているのか。来年度中への分と、それと並行して、今までなぜこういうふうになったのか、累積赤字の発生原因と責任の所在はどこにあったのかということは明確にしないといけないと思うんですが、これに対処される姿、姿勢をまずお伺いしたい。

 それと、これは素人の判断というか、普通の市民、多くの市民は、自分の掛けた年金の掛金が給付以外、ですから、今試算によれば、受給するものとそれから入ってくるものとであれば年金が崩壊するというようなことはないんだという試算も出ています。いろいろな運用段階での失敗等々が積み重なって四千億円という債務超過が出ているわけですが、年金の掛金を給付以外に使うことに対して石原大臣はどういうふうに考えていらっしゃるか。給付以外に使う必要はないと考えていらっしゃるのか、それは今までのを踏襲するべきだと考えられるのか、お答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 北川委員にお答えしたいと思いますが、冒頭ちょっとお話をさせていただきたいのは、いわゆる旧年金福祉事業団、現在の新年金資金運用基金につきましては、一応所管大臣が厚生労働大臣ということでありまして、私は行政改革の観点からこのお話をさせていただくということでお許しをぜひ得たいと思うのでございます。

 先ほど局長の答弁の中にもございましたけれども、厚生労働省は、資産の時価評価が行われていないこと等一般の企業会計原則と異なる特殊法人会計原則によっていることから、いわゆる債務超過とは異なるものであると説明しているということは事実だと思います。

 それにつきまして、北川委員が今るるお話があったと思うんですが、私どもは、行政改革の観点から、この四月に「特殊法人等の事業見直しの論点整理」というものを発表いたしました。その中で、新しい特殊法人に衣がえしたこの年金資金運用基金を初めとする公的資金運用を業務とする特殊法人については、運用の目標が設定されているか、そしてその運用が正しかったかどうかというような適正な事後評価が実施されているか、そして重要な点でございます、ここが北川委員の御指摘の点だと思うんですけれども、組織内の運用管理、チェック体制は万全であったのか、こういうものに照らして判断をしていただきたい、こういうふうに論点整理をさせていただきました。

 これから、この論点整理、年金資金運用基金に限らず、公的資金を運用している機関がございますので、すべての法人の事務事業について、これも先ほど来お話をさせていただいておりますけれども、その業務の廃止、整理縮小・合理化、そしてその整理が終わった後には、この特殊法人、委員御指摘の年金資金運用基金も含めて、組織形態はこのままで本当にいいのか、年金というものが公的なお金であるからこういうことでいいのかということも含めて、改めて抜本的に見直すということになるのではないかと考えておりますし、見直していかなければ、今北川委員の御質問のようなことに答えることができないのではないかと考えております。

北川委員 少し、やはり責任の所在を追及するということが難しいのかなというのが今の御答弁を聞いていての感じなんですけれども、責任を追及しないと物事の改革というのはされないということが前提であろうと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それで、今の掛金を給付以外に使わないというのはどうなんでしょうか。これからの新しい道ではないかといいますか、当たり前ではないかという気がするんですが、いかがでしょうか。

石原国務大臣 北川委員の御質問の趣旨は重々承知しているのでございますが、冒頭お断りを申しましたように、行政改革全般、特殊法人全体を所管する、行政改革を推進する担当大臣として、今この段階で、個々の事業団の経営責任あるいは業務内容、そういうものについて細かくお話をするということは、全体の改革に影響をいたします。

 すなわち、先ほど来申しておりますように、七十七の特殊法人、そしてさらには特殊法人もどきと言われる認可法人も含めて、その事業のすべての洗い直しをさせていただいている最中でございます。そして、その事業が本当に今この時代にマッチしているものか、そういうものを整理して、その後、すべての特殊法人、委員御指摘の基金も含めて、そのあるべき組織形態にまで今年度中に方向性を明示する、そして、行革大綱に記載されております五年間という集中期間内に、所要の特殊法人等の改革の法的措置が必要なものは法律を準備するということになっておりますので、御理解を賜ればと存じます。

北川委員 時間がないので、また石原大臣にはお伺いしたいと思います。

 次に、尾身大臣の方に、科学技術担当でいらっしゃるということで、ITERの誘致の推進ということをこの間の所信的発言で御発言になりました。十七日には、ITER懇が最終報告の中に、今度はもっと踏み込んで、日本への立地は意義があるというふうにしたということが新聞報道をされました。

 ITERはトリチウムを使うということで、これは放射性物質を使いますから、廃棄物も出ます。この委員会は内閣府ということで、パブリックコメントや核の廃棄物について議論される委員会であろうと思いますので、そこでお伺いをしたいわけですが、日本にITERを誘致するに足る理由を端的にお答えいただけたらというふうに思います。

尾身国務大臣 資源が乏しくて、非常に外国のエネルギー、特に石油などに依存をしている我が国にとりまして、核融合は、トリチウムあるいは重水素という資源がほぼ無尽蔵と言われておりますし、また、核分裂と比べまして安全対策が比較的容易であるというふうに言われているわけでございまして、遠い二十一世紀の先の方を考えたときには、日本の、エネルギー資源の乏しい我が国の問題点を解決するための有力な選択肢であるというふうに理解をしております。

 原子力委員会のITER計画懇談会におきまして、昨日でございますが、我が国が計画に主体的に参加するだけではなしに、その設置国となることの意義が大きいという結論を出されたわけでございます。私ども、これから原子力委員会あるいは総合科学技術会議でこのあたりを議論いたしますけれども、日本のエネルギー事情の特徴あるいは核融合の将来性から見て、この報告を前向きに受けとめて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

北川委員 今、安全というお言葉が一言出てきたわけですが、トリチウムの環境への漏えいというのは、今の技術ではそれをとめることは不可能であるとか、ニオブの94やニッケルの56という核の廃棄物は二万数千年から数百年保管をしなければいけないということがあって、そこの部分に対しての面が安全という言葉にひっくるめられると消えてしまうという面が強いというふうに思うわけです。温暖化防止に役に立つというふうにお答えになるかなと思ったら、そうではなかったので、意外だったのですが。

 自然エネルギーは日本には有効に存在しているというふうに思いますが、尾身大臣の見解はいかがなんでしょうか。

尾身国務大臣 自然エネルギーと言われましてもいろいろございますが、委員は何をお考えでしょうか。

北川委員 尾身大臣はどのようなものをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。

尾身国務大臣 言われているものは、水力、地熱というもの以外に、例えば太陽光発電とか太陽熱とか風力発電とか廃棄物発電とか、あるいは廃材等による発電などなどがあると考えております。

 今委員のおっしゃいます自然エネルギーというようなものが、一体、我が国のエネルギーの需給バランスの改善に本当に貢献するかどうかということをしっかりとお考えをいただきたいと思います。これからの見通し得る将来におきまして、例えば今後十年間の後をとってみましても、いわゆる自然エネルギー、新エネルギーというものは全体のエネルギーの中で一・六%程度しか占め得ない、政策をいろいろやりましてもせいぜい三%ということでございまして、その三%のエネルギーの比率をもって、我が国のエネルギー問題、輸入に頼っているエネルギー問題を解決することにはほど遠いというふうに私は考えているわけでございます。

 そういう意味におきまして、核分裂の原子力発電あるいは核融合の将来を見通したときに、この核融合という方式のエネルギー源というのは日本のエネルギー問題の解決に大いに役立つという意味におきまして、通常のいわゆる自然エネルギーとは将来における重さが違うというふうに考えている次第でございます。そういう意味で、将来の日本の経済のあり方あるいはエネルギー需給のあり方を考えましたときに、この核融合の推進というのは極めて大事であるというふうに考えております。

北川委員 これは建設に十年で、二十年の実験ということで、実験後も電気が発電できるかどうかわからないという点を、尾身大臣は全部抜かして今の発言をされている。自然がなければ人類というのは住めない状況になるわけですから、自然をいかに有効に使うかということにこの十年をかけるかどうかで随分違うということを、ぜひ私は、この間のいろいろな流れの中で、尾身大臣、科学技術担当大臣としては酌み取っていただきたい。

 それに、これは建設費が五千三百億円、運転費が二百八十億円、廃炉費が五百億円、そしてあと基盤整備や核の廃棄物の問題等々を含めますと膨大なお金が要る。今、日本は六百六十六兆円の債務を抱えているという中で、日本の三候補地に対して誘致が有意義であると、財政状況からの観点はどのように踏まえていらっしゃるのでしょうか。

尾身国務大臣 エネルギーの輸入に要するお金というのはもう何十兆円の規模で一年間に必要でございまして、そういうものに対して依存をしているという日本の現状を考えましたときに、将来に備えて新しい核融合というエネルギー源を開発することの重要性というものは、十年、二十年のタームではなしに、五十年、百年の、私たちの孫やひ孫やその後のことを考えたときには極めて大事であるというふうに考えております。

 当初、核融合のこのプロジェクトは約一兆円かかるというふうに言われておりましたが、五千億程度でできるというぐあいに設計変更をしたわけでございますし、それからまた、国際的な協力プログラムとして推進をしていく、その中で、我が国のようなエネルギー状況の国にとりましては、この核融合の推進ということは国の将来から見てどうしても必要であるというふうに考えている次第でございます。

 もとより、全体の財政事情が許す範囲内でこの問題を推進していくという方針には変わりはございません。

北川委員 財政状況が許す限りということですので、どういうふうな判断をされるかということに注目をしていきたいと思いますけれども、一兆円というお金を自然エネルギーにかければ、日本は、どこの国にも依存しなくても自立したエネルギー政策ができる可能性があるということをぜひ踏まえていただきたい。核の廃棄物と労働者への被曝を押しつける中で、私は、トリチウムが安全というところで尾身大臣が発言されたことには問題が大きいと思います。

 また、二〇〇〇年六月二十七日に茨城県警がジェー・シー・オーの事故以降初めて意見書を上げております。三候補地のうちどこに絞るかといったときに、こういう意見書の存在というものは大きな意義を持つのか。また、今回二井知事もびっくりしたという、国が上関の原発の意見書を急に照会しなければいけないとなった背景に、亀井政調会長のツルの一声というのが後押しであったという新聞報道も出ております。

 そういう面からいって、三候補地を一候補地に絞るときの政治家に対しての規制というものは、新内閣の今のお立場にいらっしゃるところで、そういうものを排除する方法と、多くの国民が無関心ということは、情報が流されていないから無関心であるというところがポイントだろうと思いますが、これをどれほど多くの方々に安全な面もそして安全でない面も知らせて、どういうふうに誘致に向けて一候補地に絞られるのかを御説明いただきたいと思います。

尾身国務大臣 一兆円というお金を使ったら、新しいエネルギーで日本のエネルギー需給問題が解決できるとは到底思えません。

 そして、新しい候補地、この候補地につきましては、私どもはいろいろな事情を考えて、ベストな候補地を選んで外国と話し合いをさせていただきたいと考えております。

横路委員長 時間が終わりました。

北川委員 時間がないということですので、質問に対しての答弁の後半はなかったというふうに思いますので、改めてよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

横路委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 内閣提出、道路交通法の一部を改正する法律案の審査のため、来る二十三日水曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十二日火曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十八分散会




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