衆議院

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第15号 平成13年6月6日(水曜日)

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平成十三年六月六日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 横路 孝弘君

   理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君

   理事 古賀 正浩君 理事 西川 公也君

   理事 島   聡君 理事 中沢 健次君

   理事 河合 正智君 理事 塩田  晋君

      岩崎 忠夫君    亀井 久興君

      川崎 二郎君    北村 誠吾君

      実川 幸夫君    竹本 直一君

      谷川 和穗君    近岡理一郎君

      林 省之介君    菱田 嘉明君

      三ッ林隆志君    渡辺 具能君

      渡辺 博道君    井上 和雄君

      石井 紘基君    石毛えい子君

      上田 清司君    大畠 章宏君

      金子善次郎君    細川 律夫君

      山花 郁夫君    山元  勉君

      太田 昭宏君    冬柴 鐵三君

      松本 善明君    北川れん子君

    …………………………………

   議員           太田 誠一君

   議員           牧野 隆守君

   議員           若松 謙維君

   議員           井上 喜一君

   国務大臣         石原 伸晃君

   国土交通副大臣      佐藤 静雄君

   内閣府大臣政務官     渡辺 博道君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   財務大臣政務官      中野  清君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  塚本 壽雄君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   津田 廣喜君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   牧野 治郎君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長

   )            今村  努君

   参考人

   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君

   内閣委員会専門員     新倉 紀一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  小西  哲君     菱田 嘉明君

  阪上 善秀君     林 省之介君

  宮澤 喜一君     北村 誠吾君

  井上 和雄君     金子善次郎君

  細川 律夫君     上田 清司君

  山花 郁夫君     石井 紘基君

  太田 昭宏君     冬柴 鐵三君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     竹本 直一君

  林 省之介君     阪上 善秀君

  菱田 嘉明君     小西  哲君

  石井 紘基君     山花 郁夫君

  上田 清司君     細川 律夫君

  金子善次郎君     井上 和雄君

  冬柴 鐵三君     太田 昭宏君

同日

 辞任         補欠選任

  竹本 直一君     宮澤 喜一君

    ―――――――――――――

六月六日

 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八八号)(参議院送付)

同月一日

 中小自営業の家族従業者等に対する施策を含めた男女共同参画基本計画の策定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二五六号)

 同(石井郁子君紹介)(第二二五七号)

 同(小沢和秋君紹介)(第二二五八号)

 同(大幡基夫君紹介)(第二二五九号)

 同(大森猛君紹介)(第二二六〇号)

 同(木島日出夫君紹介)(第二二六一号)

 同(児玉健次君紹介)(第二二六二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二二六三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二二六四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二六五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二六六号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第二二六七号)

 同(中林よし子君紹介)(第二二六八号)

 同(春名直章君紹介)(第二二六九号)

 同(不破哲三君紹介)(第二二七〇号)

 同(藤木洋子君紹介)(第二二七一号)

 同(松本善明君紹介)(第二二七二号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第二二七三号)

 同(山口富男君紹介)(第二二七四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二二七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特殊法人等改革基本法案(太田誠一君外四名提出、第百五十回国会衆法第一六号)




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     ――――◇―――――

横路委員長 これより会議を開きます。

 第百五十回国会、太田誠一君外四名提出、特殊法人等改革基本法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長塚本壽雄君、財務省主計局次長津田廣喜君、財務省理財局次長牧野治郎君、文部科学省研究開発局長今村努君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

横路委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山元勉君。

山元委員 おはようございます。民主党の山元勉でございます。

 大変大きな法案の審議のトップバッターということで、責任が重いというふうに緊張をしておりますが、よろしくお願いをしたいと思います。時間もなんですから、端的にお伺いをしていきたいというふうに思います。

 提案者の皆さんにお伺いをしたいんですけれども、この法案は昨年の十一月に提出された。そのときは、七十二日だったと思いますが、ロングの臨時国会の最中でした。十二月一日に行革大綱が発表されるその半月前に出されたわけですけれども、それからその審議は一回もないままに今日に至っているわけです。この問題というのは非常に大きい。国民的にも大きな注目を集めている法案です。十一月の十五日に出されてきょうまでなかった、その原因は一体何だったんですか。臨時国会でも審議がされなかった。そして、この国会ももう六月に入っているわけですから、ここのところまで置いておかれた理由、どういう理由があったのか、その原因についてお伺いしたい。

太田(誠)議員 私の理解では、この内閣委員会の運営の問題だと思っております。提案者側はいつでも答弁できる状態にあったわけでございます。

山元委員 こういう答弁が返ってくるとは思わなかったですね。委員会も責任があるかもしれませんけれども、これだけのものをつくられた提案者が委員会なりあるいは委員の皆さんに早く審議をということを積極的におっしゃる責任があるんだろうと思いますし、そういう法案だというふうに思います。衆法というのはそういうものだというふうに思いますから、その理由というか、責任を追及していてもなんですけれども、大いに責任を感じてもらいたいと思います。

 そこで、この法案とその後に出された行革大綱、たしか十二月一日に政府が閣議決定したと思いますが、その行革大綱と先立って出されたこの法案との違いといいますか、質の違いはどういうことですか。

太田(誠)議員 十二月一日に政府が閣議決定した行政改革大綱は、本法律案の内容のほか、与党協議会で合意をいたしました見直し基準についても盛り込まれております。政府・与党一体となって特殊法人等の改革に取り組んでいるというところでございます。

山元委員 そうすると、本質的にも形でも余り変わらない、きちっと沿うている、こういうことですね。

 それならなお、なぜ今になって、六月になって。

 聞くところによると、最初は一日でこれをやるんだ、こういう乱暴な話があったようですけれども、こういうしゃにむに成立させるんだというのは、特殊法人と認可法人で百六十三法人ある、それをどういうふうに整理するかということについては、国民的な問題でもありますし、私の立場からいうと、第一、そこに働いている何十万人の人、特殊法人だけでも三十何万人ですか、そういう人たちが、これは年を越すのに一体どうなるんだ、ゼロから見直しだということなんですよ。ですから、非常に重い法案だというふうに思うんです。

 与党が推進本部を持っていらっしゃる。政府が推進事務局を持っていらっしゃる。二つ、両輪になっているわけですね。よい言葉で言うと両輪になっているわけです。そこのところで仕事をずっと進めていらっしゃるというふうに聞いているんですけれども、一体そこのところで、法案はきょう始まったところですけれども、ずっと推進本部なり推進事務局がつくられてどういう仕事を進めていらっしゃるのか、その進捗状況なりあるいは問題点についてお聞かせをいただきたい。

石原国務大臣 山元委員の御質問にお答えさせていただきます。

 先ほど、本議員立法と行革大綱の関係につきましては提案者の太田議員の方から御説明がございましたが、私どもの考えとしては、特殊法人改革が行革大綱の中で重要な位置に位置づけられているという認識のもと、その大枠、具体的には、これももう何度も、前回もお答えさせていただきましたけれども、平成十三年度中に大綱に示された見直し基準に沿って個々の特殊法人ごとに事業の一つ一つを見直しさせていただいて、廃止すべきものは廃止する、整理縮小・合理化等の整理合理化計画を図るとともに、それができましたら、特殊法人の組織形態のあり方、これも廃止できるものは廃止する、民営化できるものは民営化する、独立行政法人化その他、組織形態について講ずべき措置を決定し、その見直し結果を盛り込みました特殊法人等整理合理化計画を策定する、そしてこれを具体化するために平成十七年度までに法制上の所要の措置を講じていくというようなスピードで、現在内部で検討させていただいているところでございます。

 具体的に申しますと、これも前回お答えさせていただいたところでございますが、行革推進事務局において本大綱に基づいて事務作業を進めておりまして、委員御存じのとおり、十八の事業類型、これは公共事業系とか政府金融機関系とか、七十六の見直しの論点を取りまとめて発表させていただきまして、この論点にのっとって、六月の第四週を目途にもう一歩進みました方針、基本方針的なものをお示ししたいと今鋭意作業中であると御理解をいただければと思います。

山元委員 先ほども言いましたように、百六十三、対象になっているわけですね。そこのところを法案もないままにこの大綱で進められているわけですけれども、今大臣もおっしゃるように、統合、廃止、独法化、いろいろの手法で整理をしよう、こういうふうに作業を進めていらっしゃる。そして、今も六月第四週というふうにおっしゃいました。もう六月に入って六日ですけれども、一体できるのかどうかということですね。というよりも、それでいいのかどうかということだというふうに思います。

 四月に推進事務局が、これは政府の方ですね、論点整理をされて、そこのところにも、今大臣がおっしゃるように、見直しの論点を踏まえて、今後、各省等における検討を含め、六月をめどに一定の中間報告をまとめる、そして十三年度中に合理化計画の策定を進める、こうなっているわけですね。中間まで六月中にやって、今年度中にと。これは四月に出されたのですけれども、去年の臨時国会のところから一年というふうに言われているわけですね。きょうに至ってそういう状況ですけれども、いかにも乱暴過ぎるという感じがしてならぬわけです。

 それは具体的に、これはもう皆さん御承知ですけれども、特殊法人七十七の中には、例えば宇宙開発事業団もあれば国際協力銀行もあれば住宅金融公庫もあれば石油公団もある、あるいはNTTもあるしJRもあるわけでしょう。そういうものを含めて、大きな事業体を含めて七十七、認可法人を含めたら百六十三の事業について、到底無理だというふうに私は思いますよ。

 そこで、ちょっと尋ねたいのですが、大綱でいいますと、二〇〇二年の三月三十一日、今年度中に計画を策定する、こうなっているのですね。この法案でいうと、この法案が成立後三月以内に施行してそれから一年ということになるのと違いますか。大分ずれが出てきているわけですね。ここのところは、二カ月、三カ月の間というのは作業としては非常に大事ですよ。大綱で言っている来年の三月三十一日に計画をつくり上げるというのと、三月後に施行してそれから一年間というのと、えらい違いです。そこのところは提案者はどう考えていらっしゃるのか。

若松議員 今、山元委員の御指摘ではございますが、私ども提案者といたしましては、十一月十五日にこの法律案を出しまして、あわせて、いわゆる政治主導でこの改革を進めなければいけないということで、十一月二十日に与党行財政改革推進協議会において具体的な改革のための指針なり基準というものを提示いたしました。そこで十項目の見直し基準が出たわけですけれども、あわせて、そういった中身を含めた十二月一日の行革大綱ができました。

 さらに、政治側といたしましても、与党といたしましても、それ以外に特殊法人絡みの問題点はないか、そういうさまざまな観点から見直しをしてまいりまして、その結果出てきましたのが、民間法人化した中にもやはり行革上問題があるといったところを、先ほど委員が御指摘になりました四月三日の「特殊法人等の事業見直しの論点整理」、ここにおいても民間法人化というところでしっかりと当時の橋本大臣から指摘していただきました。

 あわせて、私ども与党といたしましては、行革推進本部の方が各特殊法人とかなり詳細なヒアリングを行っておりまして、その結果、四月三日のいわゆる詳しい論点整理ができたということで、私は、委員の御心配はそんなに深刻ではないのではないか、かえって実務的に着々と確実にこの特殊法人改革を早期に行うための作業は進めていると理解しております。

山元委員 大綱というのは閣議決定でしょう。今審議しているのは、国会として承認するかどうか、本当にそれでいいのかどうかということを、今見えるものを審議しているわけです。だから、大綱によって着々としているから法案はということでは基本的にないと私は思うのです。法案について可否を問い、あるいは手直しするところを問い、そういうことをきちっとして、これで作業をやるんだということが本当だというふうに思うのです。

 いずれにしても作業を進めていらっしゃるのですけれども、私は重ねて申し上げますが、今ここで、だから半年延ばしなさい、一年延ばしなさいということについてやりとりしようと思いませんけれども、極めて困難だということを承知して、丁寧な仕事をしていただきたいというふうに一つだけ申し上げておきたいと思います。

 そして、その中身ですね。問題は中身なんですけれども、国の隅々で百六十三の法人が仕事をしているわけで、国民の皆さんの生活なり仕事というものに大きな影響があるのだけれども、この法案の基本理念を見てみると、そういうところに目配りをしてとかそういうことのためにということは何も書いていない。簡単に言うと、国民生活とか国民のためにというのはなくて、例えば、開き直って、行政改革をやれば国民のためだとおっしゃるかもしれぬけれども、これだけ隅々まで、津々浦々まである特殊法人、認可法人の整理をこういう目的でするんだということが国民の皆様にわかるような基本方針、基本理念を書いてもらわないと困るわけです。

 今まで幾つかの、きょうも新聞にも出ています問題、例えば財投の問題だとか天下りの問題だとか、あるいは民営圧迫だとかいろいろな問題があった。それについてどういうふうにねらいとして改革をやるんだということについて、単に改革の名において整理をするということについては間違いだというふうに私は思いますから、その点、基本理念について少しお尋ねしたいと思います。

太田(誠)議員 お答えいたします。

 政府の活動については、従来、その政府の活動によって利益を受けるというか、便益を受ける側の受益者としての国民の方に大変ウエートがあったわけでございます。しかしながら、その受益者の受ける便益を強調する余り政府の活動がどんどん大きくなっていって、それが今度は逆に、税を負担するタックスペイヤーとしての国民の負担は考えないでいいのかという議論がここ十年ぐらい提起されてまいりまして、その観点から事柄を見直せば、政府の活動、特殊法人等を含めてそれは問い直されるべきだ、このような問題意識で本法律案を提案いたしたところでございます。

 すなわち、そちら側ももちろん見なければいけないけれども、従来からそれは十分に強調されてきたことでございますので、この法案はタックスペイヤー側の立場から考えているということでございます。

山元委員 繰り返し言いますけれども、この問題については国民的な批判がずっとあった。自社さ政権のときに、自民党の代表は水野清委員だったと思いますけれども、私はさの代表としてこの特殊法人の整理について一生懸命やりました。あのときはたしか九つ、整理統合というんですか、非常に難しい仕事だということは承知をしています。けれども、この難しい問題を、大きな問題をきょうまでずっとほうってきた政権与党の皆さんのこの責任は非常に大きいと思うんです。けれども、大きいからといって、今重ねてどかどかと半年、一年で結論が出るはずがない、出したら間違いを起こすというふうに思えてならぬのですよ。

 そこのところを、責任が一体どこにあるのか、だからどうするんだということについて、いや、そんなこと考えてへんといったらまた別ですけれども、責任がどこにあるんだ、だからどうするんだという決意を聞かせてもらわないと、国民的にはわかったということには私はならぬと思うんです。どうですか。

太田(誠)議員 お答えいたします。

 今、山元議員からお話が出ましたけれども、この特殊法人改革については、それこそ自社さ政権時代から取り組んでおりまして、山元議員も役割を果たされたわけでございます。問題の所在そのものは前から指摘をされておりまして、累次の政府のこれまでの行政改革においても取り上げられ、さまざまな手直し、見直しがなされてまいりましたけれども、十分に徹底することができなかったうらみはあるわけでございます。そこで、このような特別に法律を提案して取り組んでいこうということでございます。

 今、時間的に御懸念の、そんなに急速にやっていいのかということでございますが、世の中にはいろいろな議論がありまして、何でそんなに時間がかかるんだ、もっと早くやれという御意見も一方ではあるわけでございます。どこかで踏ん切りをつけなくちゃいけないということであります。

 この六月中に骨格を定めて、そして今年度内に整理合理化計画を決定するということでございますので、この整理合理化計画そのものをもって具体的なそれぞれの法人の今後の行き先というのは決まってくるわけでございますが、その内容をこの六月中に骨格を定めたいといたしております。早過ぎるというのか、遅過ぎるというのか、我々はいいところではないかと思っているところでございます。

山元委員 具体的な問題が幾つかありますから、後で同僚の委員から財政、経済の問題等については詰めますが、私は、一つ具体的な問題として、まずいわゆる天下りの問題ですね。

 これは言われて久しいわけですけれども、さっき、累次というふうにおっしゃいましたけれども、何回かやってきた。現在どうなんでしょう。そういうことがずっと批判をされて、あるいは見直しをされてきた、人事院も一定の役割を果たしてきた、けれども、今の実態をどういうふうに見ていらっしゃるのか。

 私どもも、民主党として行政監視部門会議というのがありまして、特殊法人からずっとヒアリングをしました。目に余るものがあるというふうに思いましたけれども、一体この提案者は今の天下りについてどういうふうに認識していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

太田(誠)議員 お答えいたします。

 天下りの問題というのは、逆に、一つの特殊法人あるいは認可法人が形成されてきた過程というのは、先ほど申し上げましたように、こういういいことがあるんだ、一部の国民にとってはこういう便益があるからこういうものをつくろうではないかということで次々と設立をされてきた。特に近時は、特殊法人、認可法人ではなく、公益法人という形でもって新たな役割を担う類似の機関が設立をされてきているわけでございますが、その際に、これは実はその省庁の出身の方々の退職後の職場として確保されたのではないかという疑いを持たれるものもあるわけでございます。

 したがって、天下りに対する批判というのはそういう国民の疑念というものを言っておるわけでございますので、まさにそれに対する抜本的な答えとしては、その存在そのものが、本当に限られた予算あるいは限られた国民の負担能力の中で、そこまでそのような事業をやる必要があるのかどうかということを問うこと自体が天下り問題への究極の答えになるというふうに考えて、この法案を出しております。

山元委員 まだるっこしいという感じがするんですね。根本的に特殊法人について見直したら天下りの問題が解決されるだろうと。けれども、大臣はさっき、廃止する、全部何もなしにゼロにするというような乱暴なことはおっしゃっていないわけです。独立行政法人化とか民間とか、そういう天下りの受け皿としては何も変わらぬとも考えられるわけですよ。この特殊法人を整理したら、存在そのものを問えば天下りがなくなる、それは違うと思う。きちっとそのことに焦点を当てて、公務員制度、キャリアのあり方についてきちっと論議をしてこの問題について対処しなければ、やはり、渡り歩きだとか高い退職金だ、給与だということについては、人数も含めて一向に変わらないと思うんですが、もう一回。

太田(誠)議員 この特殊法人の整理合理化の結果どうなるかといえば、廃止、民営化、それから独立行政法人への移行、あるいは物によってはもともとあった国家行政機関に戻るという業務も出てくると思うわけでございます。その場合に、廃止をすれば、そこに天下りというか退職後行かれた方々は、存在そのものがなくなるわけでございますから、その役職ポストはなくなる。民営化すればその役職ポストもなくなる。独立行政法人化した場合には、それはどうなるかということはこれからのことでございますけれども、業務が国の方に戻ってくるということになれば、それは現在の国家公務員が取り組むわけでございまして、OBが、退職した方々がそこで果たす役割はなくなるということでございますので、相当いわゆる天下りポストというのは減るというふうに考えてよろしいのではないかと思います。

山元委員 いや、特殊法人が独立行政法人になる、省の管轄は変わらない、仕事も、確かにあわせて見直すわけですけれども変わらないとすれば、形が変わった、経営形態は変わったけれども、受け皿は何にも変わらぬわけですよ。かえって巧妙になるというふうに考えられるんです。

 そこで、大臣、この間の公務員制度問題のところでお尋ねをしたのと同じ問題を、石原大臣はお手盛りになるようなことがないようにという答弁だったんですが、そのときにも私は申し上げました。この「公務員制度改革の大枠」が先月出て、今月末に基本設計が出てくる。この政府の「大枠」が出たときに、新聞各紙一斉に、すべての新聞だというふうに私は思っています、社説で、「キャリア制度を廃止せよ」、あるいは天下りについてはということで見出しもつけて、「官僚の“お手盛り人事”が心配だ」とか「天下り「緩和」の恐れ」とか、天下り問題についてやはり危機感を持っておるのです。そのことについてきちっとこたえるようなお考えがこの提案者になかったら、私は、ただ特殊法人や認可法人を政治という名でいじくって、そして大きなこの問題については、今の太田議員の御答弁だと甘い甘いという感じ、どうにもならぬという感じがするのですが、どうですか。もう一遍。

太田(誠)議員 お答えいたします。

 石原大臣が役割を果たしておられます行政改革推進本部は、三つの改革に取り組むということになっておりまして、それは、与党三党が去年の十一月に協議会で決定をいたしまして、ほぼそれに沿う形で閣議決定をしていただいたものでございますが、そこで、今提案しておりますこの法律は特殊法人等改革でございますが、もう一つの柱として公務員制度改革があるわけでございます。

 公務員制度の新たな設計につきましては、当然これは、今の公務員制度の中で、退職後の公務員が今どうしているか、わたりのことも御指摘をいただきましたけれども、さまざまな問題を抱えておる。これに対して同時に答えを出していかなければならないということは問題意識としてあるわけでございまして、公務員制度改革としては、今山元委員が御指摘の点については、これもまたあわせて答えを出していくというつもりでおります。

石原国務大臣 公務員制度改革に関係いたしますので、若干コメントをさせていただきたいと思いますが、委員の御指摘はごもっともなことが多々あったような気がいたします。特殊法人等への公務員の皆様方のいわゆる再就職、天下り問題については、委員並びに国民の皆さん方も非常に強い関心を持っているということを政府としても十分認識しておりますし、特殊法人等が中央省庁からの再就職の安易な受け皿にならないようにと行革大綱でしっかりと明示しておりますので、その考え方にのっとりまして、これまでも政府がたびたび閣議決定等をしてルールをつくっておりますが、それを厳正に遵守させるとともに、今後この法人自体の改革の検討とあわせてこの問題をじっくり詰めていかせていただきたい。

 これも先般の委員会で委員の御質問にお答えさせていただきましたけれども、いわゆる「大枠」の中で明確かつ厳正な承認基準を設ける、そしてディスクロージャーをする。ディスクロージャーをするというのは、天下りが承認された案件について、出身府庁と再就職先との関係等の情報を詳細にインターネット等で公表していく。あるいは、再就職しちゃった後の行為規範というものを導入する。委員御指摘のように、こういうものを具体的に詰めていって、お手盛りという言葉が適切かどうか問題でございますけれども、お手盛りと通称言われるような疑念が生じないような厳格なルールを設定させていただきたいと考えております。

山元委員 そうすると、大臣、世論は天下りについて、あるいは今度の公務員制度改革について、袋だたきとは言わぬけれども、大きな新聞の見出し、社説の見出しが「天下り「緩和」の恐れ」とか「キャリア制度を廃止せよ」とか、そういうことを言っておる。それにきちっとやはりこたえなければ国民の批判に耐えられないというふうに私は思うのです。

 ですから、もう一回ですが、太田議員のおっしゃったようなことではだめで、私は天下りをあわせて、これは特殊法人を整理して、そして形態が変わろうが何であろうが、他のところにもそうですが、天下り規制のための法制の検討が必要だ。あるいは、今度出てくる整理計画の中にきちっとそのことを書き込んでいって、天下りとはかくあるべしだということを言わないと、この新聞なんかでも、この間私どもも批判したのは、人事院は構うな、大臣の許可だ、これはお手盛りになる、こういう批判ですね。天下りについては人事院は関係ないと。ですから、人事院とは言わぬけれども、少なくとも第三者がきちっとそのことを評価できる規制が必要なんだろう。そういう規制をどこかできちっとする、そういうことはできませんか。するお気持ちはどうですか。

太田(誠)議員 天下りに対する規制というときに、個人の職業選択の自由というものは、これは憲法上の問題でもございますので、簡単にいかないというところがあるわけでございます。しかしながら、さまざまな公務に携わって、現に予算や法律の執行をしていたということとの関連での天下りについては、いろいろな工夫をしなければならないと考えております。

 ただ、大臣の決裁とするとしたことは、これは政治主導ということの二〇〇一年の行政改革の精神に直接関係をしていくことでございまして、従来はこれは各省庁の決裁、あるいは決裁権限の配分の問題でございますが、つい最近までは大臣決裁事項というのはほとんどなかったわけでございまして、事務次官までで省内の決裁は終わっておったわけであります。それを順次今拡大をし、大臣自身が決裁をするということに移行してきておる中で、ここで閣議決定をいたしましたものは、政治家たる大臣が、その責任において再就職について、政治家としての責任でもって決裁をするという考え方でございます。

 したがって、これはまさに当該大臣の責任でもって行うことでございますから、もしいいかげんなことをすれば、政治家としてその人は問われるわけでありますし、いいかげんなことをしたらば、それは次の選挙でそこのところを問われるはずだ。そういう国民に選ばれた大臣というものが責任を負うということがこれは相当のチェックになるであろう。それができないというのは、それは要するに大臣になる人の資質の問題でございますし、立法府が問われる。議院内閣制でございますから、立法府の中の人が大臣になるわけでございますから、その人にできないということであれば、これはやはり何をか言わんやということではないかと思います。

 しかし、それだけで十分だとは思っておりませんので、これはもちろん与党としても、結論を出す際にはもっともっと、山元委員にも御納得をいただけるようなことを考えなければいけないと思っております。

山元委員 憲法上職業選択の自由があるとか政治家主導、政治主導だというのは、おっしゃることはもっともだというふうに思います。

 けれども、政治主導で、例えば今現在もある省では、大臣と官僚と人事がうまくいっていないところがありますね。ですから、非常に大臣がころころとかわる、諸外国のように二年も三年もというのではない日本の今の大臣のありよう、そのことは変えていかなければいかぬけれども、そういう中で次官や官僚の皆さんが、こういくのだ、こういう理由ですというて言われたら、大臣は、だめだよと拒否権をやったら、またあそこみたいになってしまうような感じがするのですよ。非常に難しい。

 いずれにしても、このことはきちっと、今太田議員おっしゃっていただきまして、検討するということですから、ぜひ検討をして、こういうチェックをするのだ、山元さん、わかったかという明瞭なものをぜひつくってもらいたいと私も思うのです。

 これは、憲法上の職業選択の自由であるけれども、税金をむだ遣いして、給料がべらぼうに高い、退職金は渡り鳥だ、いろいろあるけれども、事業そのものも、やはり省益と絡んで、省の既得権益と絡んでゆがんでいっていることは事実なんですよ。そしてもう一つは、何よりもそこに働いている人は、わしは二十年、三十年働いてきたけれども、ぽんぽこぽんぽことてっぺんだけ出てくる、おりてきて、わしらの給料は大体国家公務員並みだけれども、天下りでぽっと来るとわしらよりもずっと高い給料で、一年、二年でウン千万円の退職金だ、ばかみたい、働いておれぬよというような、平たい言葉で私言いますけれども、そういう士気にかかわるというのか、事業の正常な推進ということを阻害している天下りの問題だということをしっかりと踏まえて検討していただきたいというふうに思います。

 その際に、やはり官僚の皆さんが天下りするのは、例えば、今幾つになっているんですかね、五十三か四で課長になると、五十代に入ると次の行き先を考えて、多数の官僚の皆さんが、わしはどこへ行くんだと。天下りについてポストを減らすということに賛成したと言ったら、おまえ、ちゃんと自分のところを食いつぶしたら、こうなって、行くところない、こういうのがずっと来ているんです。

 だから、官僚の皆さんの退職年齢を、今公務員は六十歳ですから、六十歳までいけるように、一遍にはいきませんから、三年に一歳分ずつでも延ばしていくようなことを基本的に考えないと、今の若年の退職という公務員のキャリアのあり方については変えないと、これはどうにもならぬ問題だというふうに一面思いますから、ぜひそのこともあわせて検討を進めていただきたいというふうに思います。

 その次に、二つ目の問題として、計画を策定されるというふうに言われていますけれども、いろいろの関係者あるでしょうけれども、理解だとかわかったとかそれがいいなという、簡単に言えば理解と協力がなければできないことだろうというふうに思いますが、そういう関係者の皆さんとの協議といいますか、一応ヒアリングは全部されたようですけれども、一体その関係者との協力の環境をどうつくるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いしたい。

太田(誠)議員 政府の方で、推進本部事務局を初め、関係の特殊法人からヒアリングを行っておるというふうに聞いておりますから、それは石原大臣の方が後ほどお答えになると思います。

 そこで、例えば六月中に何か具体的な基準のようなことが明確になってきた段階で少し見えてくる、どこがどうなる、整理合理化の中で、計画の中でどこがどうなるというのが見えてくる、あるいはこの年度内に決まる整理合理化計画で定まる、そのあたりで徐々にどちらの機関の関係者とどういうお話をするかということが定まっていくのではないかと思います。あらかじめ何を実際には特殊法人がしているのかということは、これだけの数でございますので、我々も、あるいは政府の今の事務局も全貌を熟知しているわけではないと思いますので、そこの、どういう仕事があってどういうニーズがあるんだということをきちんと掌握することがまず第一だと思って、その作業を終えたところだと認識をいたしております。

 当然のことながら、大変国民経済的にも大きな存在であり、また雇用の問題もございますので、関係者との調整は、これから五年間の実行されるまでの期間は一生懸命続けていかなければいけないものだと考えております。

石原国務大臣 山元委員にお答え申し上げます。

 行革推進事務局の方は、本年一月の発足以来、先ほど来委員御指摘の七十七特殊法人、八十六認可法人に対しまして直接ヒアリングを行いまして、四月に論点整理を公表いたしました。そして、その四月以降も、事業別の見直し論点を踏まえまして、特殊法人等を所管する各省庁と、各特殊法人等の事業について政策的な必要性、さらには、その必要性が認められたとした上でも、その特殊法人が行うことが本当に妥当なのか妥当でないのかを中心に、数次にわたりまして意見交換をしております。

 限られた人間で限られた時間ではございますけれども、十分に論議をさせていただいていると認識しております。

山元委員 私の質問、気持ちがわかってもらっていない。関係者の理解と協力を得てこの大仕事をするということが明確な立場でないといけないということを私申し上げているんですね。

 例えば、今度の出ている十三条でも、そういう言い方ですると、私いつも乱暴な言い方をするんですが、勝手なことが書いてある。これからできる推進本部は、行政機関、地方公共団体及び独立行政法人の長並びに特殊法人の代表者に対して、資料の提出や意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。自治体やあるいは法人の長に対して、あるいは特殊法人の代表者に対して、資料の提出や意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができると書いてある。

 私が言っている理解と協力というようなことは何も書いてない。この大仕事をする、あるいは日本の津々浦々にある法人の整理をする、経営形態も変えますというときに、理解と協力ということはかけらもないという感じがするんですよ。この十三条についてどうですか。その点は含まれているんですか。

太田(誠)議員 お答えいたします。

 この場合に、山元議員がお使いになっております理解と協力という言葉と、十三条ですか、ここで言っております協力というのは、恐らく違う次元の話だろうと思います。

 大体、それこそ情報公開法がこの四月から効力を発するわけでございますが、行政機関あるいは特殊法人においても、その内容をつまびらかにしたくないという姿勢は前から見られるわけでございまして、それについて、従来は、縦割り行政、行政各部の分担管理というふうなことを言って、お互いこの守備範囲は人には見せないんだということが定着をしてきた我が国の行政の土壌の中で、この一条があることがどれほど仕事を進める上において大切なことかということは、強調しても余りあるものがあるわけでございます。

 そのことと、山元議員が御懸念の、今までやってきた特殊法人の事業についての受益者、あるいはそれに依存してその中で今までお仕事をしてこられた方々、それぞれに対する配慮というのは違ったことでございまして、理解と協力を求めるという場合には、それは、今それこそどこがどうなるかという行き先がわからないのに、それぞれ理解と協力を求めることもできませんので、そこが明らかになってくる中で徐々にお話をしていかなくちゃいかぬ、だれの理解と協力を求めていかなくちゃいかぬということが煮詰まってくるのではないかと思います。

山元委員 今、少し受益者と働いている人への配慮という言葉が出ました。

 例えば、この一覧表で見ると、一番先に奄美群島振興開発基金というのがぱっと見たらあるんですけれども、私はあのとき、さっき言いましたように、自社さ政権のときにこれをやるときに、奄美群島の法人が問題になりました。奄美の人、そして奄美で仕事をしている人、今おっしゃるように仕事をしている人と受益者がだっと来られた、助けてほしいと。そして、中身を聞いてみたら、ほかのところのようにごっつい乱暴な仕事をしている特殊法人ではなかったです。

 ですから、そこのところで働いている人、受益者というのは、汚いと言えばおかしいけれども、既得権益を守ろうとする人ではなしに、その法人が果たしてきた役割をしっかりと引き継いでほしいとかちゃんと手当てをしてほしい、打ち切らないでほしい、殺さないでほしいという意味ととっていいと思うのです。そういうようなことはきちっと配慮をしなければ理解と協力は得られない、仕事は進められないというふうに思うのですね。ですから、そこのところはしっかりと太田本部長にお約束をいただきたいような気持ちがあるのですよね。

 この法律で、すべての大臣が入って推進本部ができるのですね。そこのところでは、そのことについてはやはりきちっと最大配慮をしなければならぬ。とりわけ労使の関係について、働いている人ですね。私は何回も言うけれども、自社さのときに、話をしていたその特殊法人の職員団体の皆さんが来られたときに、泣いて言われたのです。今世間では、特殊法人特殊法人だと。うちの息子が学校へ行っていじめに遭っている、おまえのところのお父さんは特殊法人だろうと。本当ですよ、これは。

 それは、一生懸命になってそこで働いてきた、政府の仕事をしてきた、そういう人たちの気持ちだとかあるいは仕事の意義というのはしっかりと受けとめてやらぬと、はい、ゼロからということではならないということはしっかりと考える、そういう理解と協力もひとつ大事なことだというふうに本部長にお願いをしたいし、そして、推進本部に副本部長で入られるのですか。そこのところできちっと約束をしておいていただきたいというふうに、よろしいですね。

石原国務大臣 私も、特殊法人が存在として悪だとは思っておりませんし、各役所の実態業務を、この高度成長の中で、行政官庁ができない部分をかわりに実務としてやってきて、委員御指摘の奄美諸島の機関にしても、離島の振興、そしてそこに暮らす方々の生活に最大限の配慮を払ってきたということは事実だと思います。

 ただ、これまでは右肩上がりの経済で、国の財政にも余裕がありましたし、多少のむだはあったのかもしれませんけれども、それを許容することができましたけれども、この新しい時代に入りまして、行政組織、制度を新しい時代にふさわしいものに変えていくという観点から、先ほども話しましたけれども、その業務の廃止、整理縮小・合理化、民間、国その他の機関に移せるものは移すというような改革を現在進めている。

 基本的には労使の問題というのは、各特殊法人の経営陣と労働側の問題であると認識しておりますけれども、委員御指摘のとおり、やはり良好な労使関係を構築することは極めて重要であると認識しております。

山元委員 ぜひ、これはこの仕事を円滑に進めるためにも、やはりきちっとした対応をしていただきたいというふうにお願いしておきたいのです。

 そこで、雇用、労使の問題にかかわってもう少し。改革断行内閣ですから、改革、だから整理をするのだ、こうおっしゃる。けれども、改革には必ず光と影というのか、痛みが出てくるわけですね。その痛みがどこへ行くのか。今度の場合、ごそっと退職金をもらっていた、給料をもらっていた人が痛いというのだったら、それはいいですよ。けれども、太田さんのお言葉では受益者とおっしゃいましたけれども、実際それによって助けてもらってきたというか、援助してもらってきた人も打ち切られる、あるいはそこで一生懸命働いてきた人たちがある日突然自分の職場がなくなる、こういう痛みの偏り方ではぐあいが悪い、いけないというふうに思うのです。

 そこで、雇用の問題で、何回も出しますけれども、前の特殊法人の整理のときには、水野清先生も、わかった、それは心配だということで、総理大臣を本部長にして雇用対策本部というのをつくったのですよ。万が一、ここのところで雇用問題が出たときにはきちっと論議をしますということで、閣議決定がされて、きちっとした雇用対策本部というのができたのです。そのときに私どもも言ったけれども、これが立ち上がってもらうことがないようにしたいと。雇用問題が起こったらきちっとやりますという対策本部をつくるのだけれども、この対策本部は動かないでいてもらいたいと。そういう事態をつくってはならぬという意味ですね。

 けれども、そこのところである省の人がつい言われた。うちの問題でその本部が立ち上がったらえらいことだから何とか頑張ります、こういうことをおっしゃった官僚がいらっしゃる。動いてほしくないけれども、雇用対策本部をきちっと置くくらいの決意で雇用についてはきちっとした対策をしますということは、今度新しくできる推進本部にそういう決意として必要だというふうに思うのですが、どうですか。

石原国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたが、二十一世紀に見合った組織形態というものを現在模索していっている最中でございます。そして、具体的な改革を進めるに当たりましては、今回の特殊法人改革の趣旨を十分に踏まえつつ、委員御指摘の点につきましても適切な配慮を払ってまいりたいと考えております。

山元委員 具体的にこの法案で言いますと、五条の推進計画を策定するというところで、整理の仕方については、廃止、民営化、独立行政法人等への措置について計画を立てると書いてあるのですね。やはり雇用の問題の維持、確保に関して講ずべき措置について推進計画の中ではきちっと位置づけるという、この五条のところに魂として入らなければいかぬと思うのですよ。

 ですから、今私は条文についてどうこう言いませんが、これは一遍しっかりと考えていただいて、こういうものなのです、皆さん、安心してください、政府は、このような状況の中で、政府自身が雇用問題を起こす、失業者をつくるというようなことはいたしません、そういう配慮をきちっとしながらこの合理化計画を進めますとこの五条のところに入れる、そういうお気持ちはどうですか。検討してください。

太田(誠)議員 予想される雇用の問題についてあらかじめ法律に書くかどうかということでございますが、それはもちろん、私どもも起こり得る雇用問題については十分考え、心の準備をしておかなければいけないと考えておりますけれども、これはさっきの法律のそもそもの精神で申しますと、タックスペイヤーたる国民の目を背にして提案している法律でございますので、最初から余り雇用問題を前面に取り上げておりますと、何をしているのかわからなくなってしまうというところもあるわけでございます。

 まず、これが本当に優先順位の高い、国民、納税者の負担に値するものであるのかどうかということをきちんとして、そして整理合理化計画が立った後に、それでは、そこで今活躍をしていただいております方々が、新たな政府の姿、この国の形の中でどういうふうにしてまた活躍の場を持っていただくかということだろうと思いますので、そこは、むしろ整理合理化計画の方が先になければいけない。気持ちはもちろんそこは考えなくてはいけませんけれども、形としては先になければいけないのではないかというふうに思っております。

山元委員 それは、目的をこちらへずらして、これがまずありき、そんなことは言っていないのです。けれども、行革大綱でも特殊法人の整理について十項目立てられたのです。それは例えば簡単に言うと、民業を圧迫しているものとかあるいはもう役割が済んだものとか、いろいろ書いてあるわけです。

 例えば、簡単に言うと、役割が済んだと判定された法人だったら、これは職場がなくなるわけでしょう。いや、あなたたち、そのまま遊んでいてもいいけれども、給料をやるということにはならぬのです。役割が済んだというふうに認定したら、この十項目の中に入ったら、そうしたらそのときには当然そのことが起こるのです。起こるけれども安心してくださいよ、そのことは責任を持ちます、政府みずからが失業者をつくるというようなことはしませんよということは、言って当たり前と違うのかと思うのです。

 それは、これから策定する合理化計画の中に入れるのか、何らかの形でそのことはきちっとしてほしい。それは政府がするのか、法案提出者がこの計画の中できちっとするのか、そこのところは責任を持ってもらわないと、役割が終わった法人は整理しますといって、そのことがまずありきではない、それはないですよ。どうですか。

太田(誠)議員 例えば、ある特殊法人のある業務を民間委託とか民営化をしたという場合には、そこに現におられる方々が、新しく民間の例えば株式会社などになったところにそのままいるという道を選択するのかどうかという、いわゆるそれぞれの人生の選択の問題も絡んでくるわけでございます。そうならないように、もし必要があれば、我々は国会議員でございますので、国会としてあるいは国会の中の与党として、そういう雇用問題について起こってきたことについて責任を持って取り組まなくてはいけないということは、そもそも、このようなものを設置し、毎年毎年一般会計から巨額の繰り入れをしてきたという立場からの責任がございますので、そういうことをしてコミットしてきたものについて、知らないということは言えないわけでございます。

 だけれども、それが先行してきて、雇用問題まずありきと、その方々、同じ職場にずっといて同じ仕事をずっとしておられればそれが一番安心なわけでございますけれども、そういっていたならば、では何のためにこの改革をやるんだということになるわけでございます。いろいろなそれぞれのそこで働いている方々の人生上の非常に大変な岐路、あるいはリスクを含む状態になるということはよく承知をしておりますけれども、それに対しては、今の立法府といいますか、国会あるいは国会の中の一つの勢力として、我々は責任を持って取り組んでいかなければいけないということだと思います。

山元委員 いや、どうも話が逆転していますよ。私が申し上げているのは、こういう仕事を本当に、役割が済んだとかいろいろそういうことを言うけれども、きちっとそのことについては責任を持ちますよということはきちっと担保しておかないと、うちの仕事は大体終わってきた、この行革大綱の分類でいうと近い将来に終わるものと書いてある、そうだ、終わりますと働いている人は言わないですよ。現に今までの特殊法人で、本来の目的が済んできたら、新しい仕事をどんどん海外にまで広げていった特殊法人はたくさんあるでしょう。そういうことにしてはいけないという前提に立てば職場を失う人ができるかもしれぬ、そのときにはきちっとしますということをなぜ一言きちっと、今責任を持つことは当然だという意味のことをおっしゃったけれども。

 石原大臣、行革大綱の目指すところからいっても、これからつくられる推進本部、これは本部長が総理で他の国務大臣は全部副本部長になられるのですか。石原大臣も大きな役割をこれから果たしていただくのだろうと思うのですが、そこのところはきちっと、私は先ほど言ったように、条文の中に、法文の中に入れる手直しをして明確にしてほしいというふうに思いますけれども、どうも責任を持つことは当然だという言い方だけで、すっきりとしない。これはまたこれからも問題になると思いますけれども、大臣、できる本部の中で、そのことについては大きな課題であるときちっと認識しているということだけはおっしゃっていただきたいのですが、いかがですか。

石原国務大臣 山元委員にお答えいたしますが、本法案は、議員立法として、特殊法人等の改革そのものに関する基本理念や国の責務等について定めているものでございます。具体的な内容につきましては、この法案に基づいて、この法案が可決成立した暁に、事務事業及び組織形態の見直しの結果明らかになってくる。そんな中で、委員が御指摘されたような点についても、先ほども申しましたけれども、適切な配慮を図っていきたい、こんなふうに考えております。

山元委員 ぜひこのことについては魂を入れてきちっとした本部をつくっていただきたい、あるいは、合理化計画ですか、つくっていただくようにお願いを申し上げまして、終わります。ありがとうございました。

横路委員長 金子善次郎君。

金子(善)委員 民主党の金子善次郎でございます。

 最初に、現在の政府の行政改革の取り組み体制でございますが、確認をさせていただきまして、今回の議員立法のこの法律の位置づけと申しますか、その辺につきましてお伺いをしたいと思います。

 平成十二年の十二月に現在の政府のもとで行政改革大綱というものができたわけでございますが、その推進体制というのは、行政改革推進本部というものができまして、これが平成十二年の十二月十九日の閣議決定、そのもとに、本年に入りまして一月、行政改革推進事務局というものができたわけであります。

 そこで、この事務局の仕事でございますけれども、特定の重要事項の実施に関する企画及び立案並びに総合調整を行うとされているわけです。この推進事務局は、要は、今申し上げましたように、特定の重要事項の実施に関することを所掌するというふうに位置づけられている、これでよろしゅうございますか。

石原国務大臣 金子委員の御指摘の点は、当法案で指摘しておりますいわゆる独立行政法人に関する事務局を設けるということがいかんということでございましょうか。質問の趣旨がちょっとわからなかったのですが。申しわけございません。

金子(善)委員 ちょっとお聞きになっていなかったようでございましてあれですが……(石原国務大臣「いや、聞いていたのです」と呼ぶ)意味がわからなかった、それは済みません。これはお答えは結構でございます。

 そこで、この事務局は四つの推進室に分かれているわけでございます。この四つは、御承知のとおり、行政改革推進調整室、これは全体の調整でございますからまた別の意味があるかと思いますが、特殊法人等改革と公務員制度改革、それから行政委託型公益法人等の改革というのがございまして、これらが重要事項というようなことを扱うセクションということになるわけです。

 行政改革大綱というのは我が国の行政全般にわたりまして改革をしていこうというような網羅的な内容になっているわけですが、この推進事務局はこの三つ、これを特に組織を設けて推進していこうというような形になっておりますけれども、この三つは特に重要なものであるというような位置づけがなされている、そういうふうに解釈してよろしいのでしょうか。

石原国務大臣 委員御指摘の点は、行政改革推進事務局の所掌事務について、特殊法人改革、公務員制度改革、行政委託型公益法人の改革の三つが重点的であるか否かという御質問であるならば、そのとおりでございます。

金子(善)委員 三つの分野、そのとおりということで答弁がございました。

 今回の法律でございますが、そのうちの一つである特殊法人等改革に限定しているわけでございますけれども、全体の行政改革大綱がございまして、その中で三つの分野、さらに今回この法律でその一つだけを抜き出してこういうことで合理化計画をつくっていくというようなこと、あるいは改めて推進体制というものを法律的につくっていくというようなことになっているわけでございますけれども、なぜそうなのかというところの意義づけと申しますか、その辺について。

若松議員 答弁いたします。

 金子委員からの御質問で、行革大綱に特殊法人改革、そして公務員制度改革、公益法人改革があると。この改革で、特殊法人改革を今回法案として審議をいただいております。

 なぜこうなったかという御質問だと思いますが、御存じのようにこの特殊法人改革というのは、淵源をたどれば、第一次臨調がたしか昭和三十八年にこの特殊法人の行革が始まったと思っております。こういう形で、長年、政府におきましてはいろいろな行革を行ってきたわけでありまして、昭和の後半におきましても、情報公開の制度とかさまざまな整理合理化等に取り組んできた、こう考えております。しかし、では、どうだったかといいますと、結果的には十分な成果は得られていない、そう私どもは認識しております。かつ、現在の特殊法人等を見ますと、いまだに多くの課題を抱えている。

 こういうことを考えますと、やはり特殊法人というのは何にも増して行革の大きな目玉ではないか、ここの改革なしにそれ以外の改革はないんじゃないかというぐらいの決意でこの特殊法人等改革基本法をまとめてきた次第でございます。さらには、御存じの中央省庁等改革基本法におきましても、特に特殊法人の整理合理化、これをはっきりと明言しておりまして、こういった状況も踏まえて今回の集中的な改革の一環としての法案を取りまとめた次第でございます。

 では、特殊法人等以外の改革の分野ということですけれども、先ほどの公務員制度改革、公益法人改革、これにつきましては、先ほどの行革大綱にも述べられているのとあわせて、与党行財政改革推進協議会においても引き続き鋭意協議を進めております。こういった順序に基づいて、今必要な措置を講じている最中でございます。

金子(善)委員 この行政改革の中で、数多い分野の中で三つの分野が大切だ、その中でさらに一番大事なのが今特殊法人改革だというようなお話だったと思うんです。公務員制度改革、これから御質問もいたしますけれども。

 それほど大事だと思っていながら、どうも私ども民主党の立場から考えまして、わざわざ法律をつくって五年間でやりますよと。今の世の中のスピードからいって、この三つの分野から格別にこれだけ取り出してやるというそこまでの意気込み、与党という立場ですか、なかなか大変なことだということはわかりますけれども、法律をわざわざつくってやるその意気込みからして五年というのは長いんではないか。民主党としては三年で何とかやっていく努力をしていきたいということを考えているわけなんです。その辺、どう考えられますか。

若松議員 私どもが集中改革期間をなぜ五年にしたかということですけれども、過去において、当時、新進党時代に、九七年でしたでしょうか、いわゆる特殊法人の整理法案なるものを提案いたしました。そのときの改革期間として三年というものを設定したわけですけれども、現実にこの法案は国会に提出されずに新進党が解体してしまいました。これほどこの法律の大変難しい話。

 かつ、詰めれば詰めるほど、特に先ほど山元委員が御懸念された雇用の対策とかというものは、では、三年で整理できるかというと、私ども慎重に考えれば考えるほど、やはりもっと十分な期間をとるべきではないか。しかし、とり過ぎると改革はおくれてしまう。そういうバランスを考えると、やはり五年間というもの、いわゆる平成十八年三月三十一日までに必要な措置はすべて行う、こういう結論にした次第でございまして、法律ができて一年以内に計画をつくって、さらに十八年三月までに必要な措置を行う、この四年間というのは決して長くはない。

 しかし一方、これもはっきりと言っておりますが、整理が、また合理化ができるものは、別に五年以内にやらなくてもことしでも来年でもいいわけです。ですから、できるものは早目にやっていこう、そういうこともあわせて考えております。

金子(善)委員 ただいま御答弁がありましたが、そうしますと、五年というのは、ただいまの答弁をその言葉どおり受けとめまして、順次やれるものからやっていくんだという計画も当然これから出してくるというふうに受けとめてよろしいわけですね。それをイエスかノーかだけで言ってください。

若松議員 先ほどの整理合理化計画、この法律にのっとった計画案の策定に一年間かかります。ここで優先順位というのが明確になります。そこで、早いものは当然早くやっていく、こういう結論になります。

金子(善)委員 そこでお伺いしますけれども、これは若干法律的な意味と申しますか、今度の基本法案で提案されております十四条の事務局は、これは法律で定められる事務局ということになると思いますが、現在の内閣官房に置かれております行政改革推進事務局の中のいわゆる特殊法人等改革推進室、これは法律関係はどういうふうな位置づけになるんでしょうか。そこを、与党の方とそれから大臣の方からもお答えいただきたいと思います。

若松議員 まず私ども与党の方から説明させていただきますが、まず、行政改革推進本部、これは閣議決定でなされた組織と理解しております。そこで、この法律を成立させていただいてこの十四条の規定で成立した際には、特殊法人等改革推進本部事務局、これは法律に基づいたいわゆる事務局でございます。ですから、今後、この法律に基づいた事務局が当然閣議決定よりも優先するわけですから、ここにおのずと今あるようなさまざまな行革の事務局は統合されていく、そう理解しております。

石原国務大臣 今若松議員が御指摘されたことと重複いたしますけれども、当方にございます行政改革推進事務局は、行革大綱に定められた改革事項について集中的な実施を図るために、今若松議員が御指摘のように、閣議決定に基づき内閣に設置された行政改革推進本部、この本部長は総理大臣でございます、そのもとに設けられたものであり、内閣総理大臣の決定に基づき内閣官房の中に設置されたというところは、まさに若松議員の説明のとおりでございます。

 特殊法人等改革推進本部事務局は、今回御提案されておりますこの議員立法に基づき新たに設置される特殊法人等改革推進本部の事務局でございまして、本法案に基づき内閣に設置される部局であると認識しております。

 具体的に、特殊法人等改革推進本部事務局の設置については、特殊法人改革の担当組織との密接な連携を確保できるよう、本法律の成立、施行後に制定する政令によって定めてまいりたい、こんなふうに考えています。もちろん、連携は密になるということでございます。

金子(善)委員 答弁としてはそういうふうに答弁するしかないと思うんですけれども、何か行政改革組織というものを考えた場合に、一部のところだけが法律でなされて、そのほか、重要分野だといいながら別のところがある、何か整合性が余りにもとれていないんじゃないかというような気がします。そもそも、特殊法人だけ今回の法律で議員立法で上げてしまうというのは、大変失礼な言い方かもしれませんけれども、選挙目当てで、とにかく特殊法人だけでも行政改革やりますよというような、そうした全体的な整合性というものを無視した形でのこの議員立法の法律じゃないかというようなことを印象として強く思っておりますので、それはコメントだけにさせていただきまして、答弁は結構でございます。

 次に移らせていただきますけれども、時間の関係もありますので、ちょっと順番を変えて質問させていただきたいと思います。

 これは大臣の方にお伺いいたしたいと思います。

 三月の二十七日でございますが、行政改革推進事務局の公務員制度等改革推進室から「公務員制度改革の大枠」というものを示されまして、また最近、それの給与関係の、まだまだ細部ではないと思いますけれども、一応のものが示されて各省の方に提示された。私どももこれは入手してございますけれども、その中で幾つか問題があるなという感じがするものがございますので、これにつきまして質問させていただきたいと思います。

 これは、先ほど山元委員も質問されたかもしれません、重複するかもしれませんけれども、まず天下りの問題につきまして質問したいと思います。

 実は、この「大枠」を見ますと、人事院の事前承認制度というものをなくして、そして大臣の直接承認あるいは公表制と申しますか、それと再就職後の行為規制、これを導入することによって、一種の歯どめと申しますか、というものが、人事院の事前承認制に変えてするから大丈夫だということなのだと思いますけれども、実際のところ、これを発表された当時、大臣も覚えておられると思いますが、マスコミ、当然新聞が主でございますが、これが一斉に取り上げまして、かなり批判的な論調があったと思うのです。私も公務員出身でございますから、いろいろ感慨深いものがあるわけですが、ただ、これは、正していかなければならないことは正していかなければならない。

 そういう点から、大臣が人事院の承認制度にかかわらないでやるというのは、野方図になっていく可能性というのは非常にあるのではないか。恐らくこの新聞論調、マスコミの批判というのはそういうところから出ているなという気がしたわけです。これは、最近の新聞論調で政府の行政改革のいろいろなことが出てくるわけですが、それに対して非常に敏感な反応があったということでは珍しいことだったのではないかなという感じも実はしたわけでございます。

 行革担当大臣とされまして、この問題についてこの「大枠」に沿って今後進めていかれるのか。この問題に限定してではございますけれども、これはそうなのかそうではないのか、そこだけでもお答えいただければありがたいと思います。

石原国務大臣 金子委員にお答えいたしますが、「大枠」にのっとって議論を深めてまいりたいと考えております。

金子(善)委員 ただいまの答弁、大臣は、「大枠」にのっとって議論を深めるという、いずれにしましても「大枠」にのっとってやっていくということを表明されたわけでございますから、これは、この問題のみならず、現在の政権といたしましての大きな路線が敷かれたというふうに受けとめさせていただきます。これはかなり大きな問題だと思っております。

 そこででございますが、その次のところで、もう一つこれも気になるのですが、「大枠」でこれも書いてあるのです。国家公務員の採用試験ですが、合格者の数をとにかくふやしていくのだというようなことがこの「大枠」に載っております。今でも、これは正確かどうかわかりませんが、定員の約二倍ぐらい合格者を出しているのではないかというような話も聞いたことがあるのですけれども、実際のところ、一方においては、試験を受かりながら採用してもらえないというような不満も出ているやに聞いているところでございます。

 この「大枠」の中で合格者の数をふやさなければならないというような必要性があったのかどうか。恐らく、これに答弁を求めますと、広く人材を求めるというような、そういう観点からというようなお答えが返ってくるような気がするわけですが、実際のところ、いろいろあちらこちらでるる話を聞いておりますと、どうも必ずしも必要性があるとは思えないような理由で合格者の数をふやしていこうというような意図がかいま見られるような気がしてならないわけであります。

 私の言いたいのは、要は優秀な人材を採用したい、そこは当然のことだと思いますが、ですから、採用試験のあり方、単なる筆記試験と申しますか、がり勉の人だけが合格するということではなくて、いろいろな方策は必要かもしれませんけれども、合格したけれども採用されないという数を今後もふやすというのは、どうも筋論からいってもおかしい議論ではないかというふうに思っておりますが、その辺、大臣のお考えはいかがでございますか。

石原国務大臣 金子委員の御指摘は、公務員の採用、1種試験の合格者数と採用者数の間に開きがある、平成十二年度で見ますと、申込者数が三万八千八百四十一人に対して合格者数が千二百二十八人、実質的な採用者数が五百六十五人でございますから、千二百二十八を五百六十五で割ると二倍ちょっと、そういう御指摘だと思います。

 私は国家公務員試験を受けてないので、試験の内容がどのような分野で、どのように多岐にわたっているものかは存じ上げませんが、私は民間企業、ジャーナリズムの世界におりましたが、ジャーナリズムの世界でも、実は、試験の順位で採用すると女性ばかりになってしまう。ちなみに、私の大学卒業年次の首席も女性でございました。それは成績順というものが、女性の方がすぐれているのかどうかは別にいたしまして、そういうふうに偏る傾向にある。

 こういう偏る傾向の中で二十一世紀の日本と世界とのあり方を見たとき、やはり広範囲に、先見性、そして創造力等、新たな公務員像として求められるものがあるという中で、各省庁が、金子委員は自治省出身であると存じておりますけれども、今自治省も総務省という大きな役所の中で、採用も各省庁ごとではなく、今度は総務省という形で採用されると思うのですが、きっとこれまでの自治省として採用してきた人とまた違う方を求めることになる。そんな中で、こういうふうに合格者数と採用者数に平成十二年度を見ても二倍ちょっとの差があるというような現状があらわれているものと認識しております。

金子(善)委員 ただいま大臣の御答弁につきましては、いろいろな人材を求める、これからの公務員と申しますか、行政の世界におきましてもさまざまな能力のある方々を求めていく、そこはだれもが異論のないところだと思います。

 ただ、先ほども心配申し上げましたとおり、それは試験の内容とか、いろいろ工夫は当然できるわけでございまして、ただ単に合格者数を広げていって、でも実際には採用されないのだよというふうにはならないように、そういうことでぜひこれは要望をしておきたい、このように思います。

 それと、次に申し上げる点が一番重要な点だということで御答弁をお願いしたいのですけれども、今回の「大枠」のことでございますけれども、いわゆる抜本的な制度改正、特に給与あるいは昇進の問題でございますとかさまざまな面で抜本的な改革を今考えておられる。これが「大枠」で示されたことは、私どももよく承知をいたしております。

 そこで、まず大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、今度の改革というものは、いわゆる公務員の勤務条件に関することも当然含まれているというふうに考えてよろしいですね。それをお答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 質問にお答えする前に、先ほどの質問で、委員から、採用試験について、時代にマッチしたものに変えていこうという御提言がございましたが、賛成でございます。本質論に立ち返ってそのあり方を抜本的に見直していかなければならないと考えていることを、まず申し述べさせていただきたいと思います。

 今の御質問は、給与等の条件の変更等含まれているかという御質問だったと思うのですけれども、そのとおりでございます。

金子(善)委員 私から申し上げるまでもなく、我が国の制度のもとでは、公務員のいわゆる労働基本権、これは制約をされているわけでございます。それは公務員の特殊性と申しますか、一般の民間の勤労者とは違う扱いを受けている。そういう中で、制約をするかわりに人事院というものを設けまして、人事院が存在することによって初めて、国際的にも、ILOという国際労働機関という場がございますが、そこで初めて日本のいわゆる労使関係というのは公務員の分野でも完結している、こういう位置づけを得ていると思うのです。

 今回のこの一連の制度改正につきまして、私どももいろいろ、連合の方々とかその他さまざまな方々から、これまでの取り組み状況につきまして、取り組みというのはあくまでも推進事務局の取り組みでございますけれども、聞いてみますと、この労働基本権の、先ほど大臣が答弁されましたように、勤務条件というものもまさに今度の改革の大きな柱の一つであるということを言われながら、どうも人事院というところのかかわりというのが見えてこない、あるいは、組合と申しますか、連合との話し合いにつきましても、真摯な態度でこれに臨んでいるとはとても思えない。こういうことであってはやはり問題であると私は考えております。

 やはり、この労使の関係というものは、あくまでも使用者も、使用者というと政府になってしまうわけですが、公務員として働く方だって、当然みんな行政をよくしようということで働いている立場でいるわけですから、自分たちが働く勤務条件をどうするか、こういうような場合にはしかるべき政府のそうした態度というものがあって当然だと私は考えております。そういう点につきまして、大臣のお考え方をちょっとお聞きしておきたいと思います。

石原国務大臣 本質的には、金子委員の御指摘と私の考え方は相違がございません。

 意見交換をしていないというような御批判をちょうだいしたのですが、調べてみましたら、二月二日から十六回、労働側の方と事務局は議論をしております。うち、連合系の方が八回でございます。私は、先日、五月十六日に、連合官公部門の各委員長様方と三十分程度議論交換をさせていただきましたし、また機会があればお話をさせていただきたいということを、自治労の榎本委員長ですか、申し述べさせていただいて、その意思に何の変更もございませんし、また、全国労働組合総連合の皆様とも、五月二十五日に、当委員会の委員でもあります松本善明先生ほか、意見交換をさせていただいております。

 これで足りないというならば、こちらの方のマンパワーの関係もありまして、できる限りの配慮をしているというのが当方の考え方でございます。

金子(善)委員 大臣の今のお答えですが、私は、何回会ったかとかだれとだれが会ったのかとか、そういうことを申し上げるつもりはないのです。制度的に、組織的にどういう対応をしてこの原案というものが生まれてきたかということを問題にしているわけです。

 私から申し上げれば、少なくとも、労働基本権というものを組合サイドに与えないのであれば、当然人事院という存在をそこで重要視していかなきゃならない、労働基本権を与えるということであれば、人事院というものはそれだけ機能は弱まってもいい、そういうことになると思います。その辺の基本的なところをよく踏まえた上でこの問題には対応していただきたいということを強く要請を申し上げておきたいと思います。

石原国務大臣 その点につきましても自治労の榎本委員長ともお話をさせていただいたんですが、公務員制度の全体のあり方の中で、今委員御指摘の労働基本権の問題も、もちろん同じ代替措置として人事院があったということも認識しておりますし、そのことについても議論をしましょうということで、私、委員長に実は質問したのですよ、スト権あるじゃないですかと。東京都で賃金を四%カットしたときにストをしているわけですよ、現実に、スト権がないのに。そうしたら、いや、あれは違法ストなんですと委員長がおっしゃいました。あと、日教組の委員長もいらっしゃった。公立の小学校でストをやったのですね。小学校でストをやりましたよ、非常に疑問に思いました、何で学校の先生がストをやるのかと言いましたら、いや、あれも実はいけないんですというような話がありました。

 やはり、新しい時代なんですから、その点も含めてどういう制度がいいのかということを考えていきたいと思っております。

金子(善)委員 ぜひ私が申し上げた点に沿いまして、なお一層の努力をお願いしておきたいと思います。

 時間が参りまして、通告させていただきながらできない点があったことをおわび申し上げたいと思います。

 なお、最後になりますが、先ほど我が党の山元委員の方から強く要請を申し上げましたけれども、やはり働く立場からすると、今の日本は、リストラというようなことで、民間企業と申しますか、非常に不安感を持っているという時代になっております。そういう意味で、国民全体が改革は必要だというようなことは、私も町を歩きながらいろいろな人に会って話をしていると、みんながそう思っております。ただ、余りにもリストラ、リストラというようなことで将来に不安を感じながらやっていくということは、恐らくその組織にいる方々としても、その改革に対する協力の姿勢というものが影響されると思うのです。そういうことで、使用者の立場にある政府としてはそういうことをよく考えながら対応していただきたい、これを最後に御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

横路委員長 石井紘基君。

石井(紘)委員 石井紘基でございます。

 石原大臣、これは理念法みたいなもので、中身はほとんどない法案だと思うのですが、しかし、理念だけでもこういう形で大胆に与党の方で出されたということは、私は大変高く評価しているわけです。ただ、こうした特殊法人あるいは認可法人というものは大変膨大に広がっているわけで、大変多くの人たちに多大な影響を与える問題でありますから、本来であれば政府がきちっと、こうこうこういう改革をいついつどういうふうにやります、その結果雇用がこういう状態になるけれども、それはこう回復するのだ、あるいはこういう点で心配がないのだということを、きちっと政府が責任を持って提示すべき問題なんですね、そもそもは。

 ですから、なぜこれを政府がきちっとした、そういった責任を持った形での出し方をしなかったのか。長い経過は結構ですので、政府としてのこの法案に対するそういう意味での御見解が聞きたいと思うのですね。ぜひこれは、期待されている有望な石原伸晃大臣でございますから、大胆にけれんみなく、さっきのように後でちょっとつけ加えたり慎重な発言は、取り繕ったりということは、僕は必要ないと思うのです。大胆にどうぞおっしゃっていただきたい。

石原国務大臣 石井委員にお答えいたします。

 最後つけ加えたのは前向きにつけ加えたのであって、後ろに戻ったわけじゃなくて、かなり自分なりには踏み込んで言ったつもりでございますので、そこのところは御理解をいただければと思っております。

 私も、この四月に就任いたしまして、なぜ議員立法が先に、行革大綱の前に提出されたかという詳細については存じておりませんけれども、やはり行政改革をともかく進めていかなければならない。そんな中で、この特殊法人というものを、私も実は自社さ政権時代、一九九五年に、これは菅幹事長、村山総理のもとであったのですけれども、進めまして、このときはどちらかというと、事業の見直しよりも数を減らしていこう、政府系金融機関をともかく減らせ、そういう号令一下のもとで、当時の輸銀と開銀の合併ができないかということをやって、さきがけは宇佐美さんなんかともやらせていただいたのですけれども、四カ月間ぐらいかかって、結局OECFと当時の輸銀をくっつけるに終わってしまった。私は、これは数合わせに終わってしまったな、失敗したなと思っております。

 そんな中で時間が流れて、行革大綱というものがやはり問題意識の集積として出てまいりまして、やはり今回は、事業が本当にやる必要があるのか、法人が存在する必要があるのか、事業の見直しから入って、その後組織形態を、民営化できるものは民営化する、また要らないものは廃止する、あるいは独立行政法人に行く、種々の形態を改めるということを、七十七法人すべてについて政府として責任を持ってお示ししたいということで、今鋭意取り組ませていただいていると御理解を賜ればと存じます。

石井(紘)委員 そうすると、今これは衆法で出ておりますが、政府がさらに、もっと突っ込んだ対応策を準備するのだというふうに私は受けとめたいと思います。

 そこで、提案者に伺いますが、これはなぜ五年間というような期間にしたのか。集中改革期間とかいっていますが、五年間なんというのは、これは江戸、明治の時代じゃないのだから、そのころは外国へ行くにも船で行かなければ行けなかったけれども、今はもう日進月歩というかIT時代で、一週間、十日でがらっと変わってしまうのです。今の政権、自民党の政権の勢いだって、一月前と今じゃえらい、ある意味じゃ違うでしょう。そういう時代に五年間なんというので、これは改革になりますか。

井上(喜)議員 この集中改革期間が五年間というのはいささか長過ぎるのじゃないか、こういうような御意見かと思うのでありますが、法律の中にも書きましたように、一年間でこの計画をつくるということであります。この一年間だって、これはなかなか大変なことなんですね。別表に書いてありますように、特殊法人が七十七、認可法人五十五、これすべてについて改革の実行案をつくっていくということでありますから、大変なことだと思います。さらに、これはすべて法律に基づきまして設立されておりますので、法律の改正作業がございます。さらには、その法律の改正に基づきまして実行していかないといけないわけであります。

 確かに、三年とか四年でできるものもあると思うのでありますけれども、もう少し時間がかかる。例えば民間の皆さんが参加をするような場合に、どういう形で参加をしていくのか、若干の時間がかかる。あるいは、特殊法人を改組していきます場合にも時間がかかる。そういうのを見込みまして五年間ということでありまして、決してこれはそんなに長い期間ではない。その期間内にできるものにつきましてはできるだけ早く対応していく、こういう姿勢でございます。

石井(紘)委員 さっき大臣が事業を見直してと言われたのだけれども、事業というよりも形態が問題なんでして、いろいろな特殊法人がどんどん広がっちゃって、そしてビジネスの、経済活動の領域に入り込んで経済を侵略しちゃった、こういうことですから、商売をやめるということがこの改革の中では大事なので、そうしますと、そういう中で政府が責任を持って今後もやっていかなければならないこともあるわけですね。

 それは、行政の管理事務としてやっていかなければならないことがある。それは、例えばかつての住宅公団なんというのは、その後住宅・都市整備公団なんというふうになって、また去年あたりは都市基盤整備公団なんというように、だんだんと、最初は都市における労働者の確保等々でもって住宅をやっておったのが、いつの間にか住宅というのは消えちゃって、地上げ公団になってしまう、こういうようなことになってきているわけですね。ですから、そういう場合に、住宅なら住宅は生きた人がそこに住んでいるわけだから、その人たちと、国民と契約をして、政府の政策として責任を持ってやってきているわけだから、そういったものは不安のないようにきちっと、こういう改革案を出すときにも、そうした問題を同時に解決策を出していくということが非常に重要だと思うのですね。

 そこで、まずそうした特殊法人というものの存在とは一体何なんだということについて、ちょっと議論をさせていただきたいと思うのです。

 これは設置法というものでできているわけですが、この設置法の上位の法律というものは何だかわからないわけですね。上位の法律がないわけですよ。何か離れ小島のようにぽんと浮かんでできたものが特殊法人で、それで、この問題は過去にも議論させてもらったことがありますけれども、これは行政機関なのかあるいは民間の機関なのか、何だかわからないわけですね。あらゆる社会における機関、団体というのは民間か行政かどっちかしかないわけだから、そのどっちでもない。あげくの果てには、答弁は、続総務庁長官のときにはこれは民間団体ですという答弁があったんですが、そうしたら後ろの方から政府委員が出てきて、いや公法法人ですなんというわけのわからない答弁があったんですね。

 公法法人といったって、これは司法機関でも立法機関でも行政機関でもないということになれば一体何なんだという点で、これは我が国の法体系を明らかに外れておる存在なんですね。そうした点で適法性がないんですよ。その点で、一言、特殊法人というものはそうした基本法の根拠がないんだというふうに思いませんか。どうですか。

井上(喜)議員 おっしゃるように、特殊法人、認可法人はそれぞれの経緯がありまして、本当に多様な法人になっております。確かに労働三法の適用からいいますと、このほとんどが労働三法を適用されるのでありますが、例えば刑法の適用につきましては公務員とみなされるようなそういう特殊法人もあるわけですね。

 考えてみますと、日本銀行から、日本放送協会があり、そのほかいろいろな団体がありますけれども、かつては一般会計あるいは特別会計でやっておりました事業を特殊法人にしたような例、あるいは、国の直接の仕事じゃなかったけれども、どうも国がやるのには必ずしも適当じゃない、あるいは民間にやらせるのも適当じゃないというようなことが特殊法人に所掌させるというようなこともあったりしまして、確かに種々雑多でありますけれども、それだからこそ、特殊法人は、単なる民法法人、単なる商法上の法人ではなしに、まさに法律でもちまして特殊法人として設立され、特定の業務をし、また所管の官庁において必要なる監督をする、こういうことになっているわけであります。個々具体的に法律で規制されている、これが特殊法人の現状だと思います。おっしゃるように一般法はございません。

石井(紘)委員 そういうことで幽霊みたいな存在でございますので、この法案というものは、特殊法人という形態というものはすべてなくすんだ、まあ料理の仕方はどういうふうにするかは別として、これはすべてなくすんだということをもう一回ちょっと確認したいと思います。

井上(喜)議員 この特殊法人というのをどう理解するかということでありますけれども、今、一般的には独立行政法人というのがありますね。私は、特別なるこの独立行政法人の形が特殊法人だろうと思うんですね。総称して言えばそういうことなんだろうと思うんです。ですから、特殊法人をなくするなくさないというよりも、今回、それぞれにつきまして見直しをして整理合理化計画を立てるということでありまして、その結果、もう事業を廃止するところもありましょうし、あるいは民営化をするところもありましょうし、あとはまた別の組織に変わっていくものもあろうと思うのであります。

 したがいまして、特殊法人をなくするなくさないというよりも、事業を見直して、その事業本来に即して事業をやっていくといいますか、あるいは廃止していくとか民営化していくとか、そういうことが大事じゃないか、そんなふうに思います。

石井(紘)委員 先ほど、一般法に基づいていないと言われながら、この特殊法人という経営形態はなくすんだということをおっしゃらないということは、どうも、どこまで理解されているのかなというふうな感じがいたします。

 石原伸晃大臣、特殊法人というものは法的にはそういう存在でありますので、組織の形態としては法的には必ずしも好ましくない、ですから、一たん特殊法人という形態は廃止した方がいいだろう、そういうふうに思いませんか。

石原国務大臣 先ほども御答弁させていただいたんですが、今、各特殊法人ごとに十八類型、公共事業をやっているところあるいは政策金融をやっているところで、存在意義があるのかないのか、やっている事業が特殊法人としてやっているのが適切なのか適切じゃないのかというふうに精査しております。そして、六月の第四週を目途に、その特殊法人が存在意義が、その業務があるのかないのかということをお示しいたします。その結果、組織形態論として、廃止するもの、民営化するもの、独法に移るもの、そういうものが明らかになってくる。それが石井委員御指摘の改革の方向性で、ゴールとしては一致することを見出すことも可能ではないかと私は認識しております。

石井(紘)委員 私の考えではそれは順序が逆であって、事業から必要か必要でないかと入るのでなくて、まず特殊法人という形態というものをなくす、その上で個々の事業を見直すなら見直すというふうに持っていくべき問題であろうと思うわけですね。

 そこで、今、独立行政法人とかという話も出ましたが、これは見直しの中で、この法案を見ますと、独法に入れるものは入れる、廃止するものは廃止する、あるいはその他のところに突っ込むものは突っ込むというようなぐあいに書いてありますけれども、定員の問題はどうなりますか。独立行政法人というのも、この大きな問題は、この職員が総定員法には入らないけれども公務員の身分であるという非常にあいまいな存在なんですが、この職員の身分については、見直していく中で、これは公務員の定員に入れることは今総定員法があるからできないと思うんですが、公務員とするのか、あるいはそうではない形が出てくるのか、その辺は先行きどんなふうに考えておられるんですか。

井上(喜)議員 特殊法人等の職員というのは、今国家公務員じゃございません。これは見直しをしていくのでありますけれども、これを見直して国家公務員にしていくということは、まずあり得ないことなんだろうと思うんですよね。ですから、見直しの結果、廃止をするとかあるいは民営化をしていくとかあるいは独立行政法人になるとか、あるいは別の形態とか、いろいろなことになると思うのでありますが、そのいずれをとりましても国家公務員というような中には入ってこないだろうと思います。

石井(紘)委員 そうすると、どこへはみ出していってしまうのかはっきりしませんが、国が直接やるべきものというようなこともこの選択肢の中にはあるんでしょう。国が直接やるべきものということがあったとすると、それは公務員でないとおかしいですよ。だから、そういう意味においては、これは総定員法なんかの見直しも必要になってくる。

 これは、行政の肥大化という問題は、公務員の数が多いということでは、私は必ずしも言い方として正しくないと思うんです。そうではなくて、天下りの外郭団体あるいは商売、ビジネスをやるそういう団体を行政が持ち過ぎている、そこが行政の肥大化の問題なんでありまして、ですから、そこのところもやはり今後もう一回考え直していかないといけない問題があると私は思うんですね。

 それから、次へ移ります。

 それでは、廃止をする法人、これは大体各設置法を見ていきますと、解散について規定されております。その解散をするには清算、財産をどうするというようなことも書いてございます。清算をして解散をする、こういう法人が多く出てくることになるのではないかと思いますが、その廃止の方法についてどんなふうなことが考えられるか、お考えはございますか。

井上(喜)議員 まさにこの一年の検討結果、どうするのか、こういうことが決まるのでありますが、その中で解散が決まるような特殊法人があります場合は、法律でそれを規定する、こういうことであります。今特殊法人につきましての法律はたくさんありますが、大部分が解散については別に法律で定める、こういうことになっております。

石井(紘)委員 別に法で定めるというあいまいな規定もございますけれども、大部分の設置法は、解散という項目がございまして、解散した場合には、債務を弁済して、なお残余財産があるときは、これを各出資者に対しその出資額を限度として分配するとか、こういう清算の規定も必ずあるのです。

 これは、この一、二年の間に廃止をされたということになっている、例えば雇用促進事業団だとか住宅・都市整備公団だとか年金福祉事業団だとか、こういったものは、本来清算をしなければならないにもかかわらず、ただ単に、廃止をして、その廃止の瞬間に全く同じものをつくる形をとった、そして名称だけ変えた。これは廃止でも何でもない。こういうやり方を今後もやることがあり得ると思いますか。

井上(喜)議員 確かに、解散をしてその後どうするかにつきましては、まさにこれから向こう一年間の間にどのような計画をつくるのか、それにかかっているというふうに考えます。

石井(紘)委員 そうすると、まだほとんど何もお考えになっていないということですか。それではちょっと無責任じゃないんでしょうか。

 石原大臣、廃止というのは書いてございますから、当然相当数の特殊法人は廃止ということになるのだと思いますが、廃止をするということは、決してごまかしちゃいけないと思うのですね。ただ単に結果的に名前を変えただけだったというようなことがあったら、せっかくの今の国民の皆さんの期待も吹き飛んでしまうだろうと思うのですよ。

 そこで、特殊法人の廃止に当たっては清算をするということを明言していただきたいと思うのですが、いかがですか。

石原国務大臣 先ほど来石井委員の議論を聞いておりまして、石井委員の議論は、特殊法人という形態をなくしてしまえ、そこからアプローチしていけという御指摘でございます。

 当方は、これまでの流れの中で、事業形態を見直す論点整理を出しまして、十八類型ごとに、公共事業系、政策金融機関系といったような中で、当該特殊法人がやっている事業が本当に社会的に存在意義があるのか。すなわち、なぜ特殊法人ができたかということを考えますと、政策的な必要性があったからこそ民間企業がやらないで特殊法人ができたわけでございますので、今の時代に必要か必要じゃないかというようなことを精査した後に、形態として解散するものが出てくるかもしれませんし、民営化するものが出てくるかもしれません。また、政策的意義として独立行政法人、すなわち、独立行政法人に入りましたら監査等が厳しくなりますので、放漫な経営が抑制される。組織形態論が、残念ながら石井委員の考え方とは逆で、その後に、その姿を年度内を目標にお示ししたいと考えておるところでございます。

石井(紘)委員 石原大臣、政策的な必要があるからということでここまで来た。この現状は、すべて政策的な必要があるからということでこうなった。その事業の必要性、必要じゃないか必要であるかといったら、今までそれが十年も二十年も繰り返されて、事業は必要だということになって、今日まで来たのです。今おっしゃっているのとこれまで言われてきたのと違っているところが何もない。その論理でいきますと、相変わらず、必要か必要じゃないかといったら、これは必要だ、民間でできるかできないかというと、民間企業でできないからやっているんだなんという、そういう歪曲されたお役所の論理ででき上がっている。それが何にも変わらないことになるんですよ。

 ですから、例えば、必要があって設置されたと言われるけれども、住宅公団なんというのは、最初は、ごく小さな、住宅に困っている都市の住民に対して憲法に基づいて最小限の住宅を提供しようということでやってきた。それが今度は、広さも広がり、あるいはまた住宅金融公庫とセットになってマンションもつくれる、そういう大規模な経営をするための支援も住金あるいは住都公団というものでできるようになった。

 長期の資金というものは一般の民間でできないようにしておいて、政府だけができるようにしておいて、そして、民間ではできないから国がやるんだ、こういう手前勝手な、都合のいい理屈を組み立ててずっと今までやってきたわけですよ。いろいろな規制や法令をつくって、民間では大規模な土地の開発なんてできないようにしておいて、そして、民間ではできないから政府がやるんだといって、まさに利権の展開をしてきたわけじゃないですか。

 だから、そういう考え方でやっていったら、私はこれはどうも心配だなと思わざるを得ないので、そこは、冒頭に申し上げましたように、特殊法人というものはまさに権力を利用した経済への侵略なんだ。これは全部とは言いませんよ。基本的にそういうことだ。そのためにさまざまな制度、法令をつくってやってきたところが、今さっぱり立ち行かなくなってしまったんだという認識をぜひお持ちいただきたい。

 ちょっと具体的なことを申し上げますが、それでは、財投債というようなことを昨年から導入して、これは特殊法人でも財投の資金を使っているところと使っていないところがございますが、使ってきたところが中心です。財投債でもって、財投からの直接の借り入れじゃなくて市中から調達するなんということですが、それは保証があるわけですから、必ずしも市中から調達しているとは言えないわけです。そうすると、この財投債というのはどういうふうになるのでしょうか。これも制度として見直すということになるのかどうなのか、それが一つ。

 それから、今特殊法人の財投からの借入金残高というのは、毎年十兆円近く、何十年にもわたってずっとふえているのです。そして、とうとう今、三百兆円に達しているわけです。ですから、これは、このまま続けていけば雪だるま式にどんどんふえていって、国の借金が六百六十六兆といいますけれども、これも国の借金なんです。これを足すと、今一千兆円ですよ。ですから、この特殊法人の借金残高というものはどういうふうに考えていくのか。その点について、考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。その二点。

石原国務大臣 一義的には財投の話は財務省でございますが、私の手持ちの資料で御説明をさせていただきますと、三百兆にならんという借金という御指摘は、多分、有償資金として財投機関が借りている二百三十五兆円というものをお指しになっているんだと認識しております。

 また、年々十兆円ずつふえているのは、いわゆるこれまでの財投スリム化、ことしから財投改革をやりまして、ちょっと正確な数字は定かでありませんが、二十の特殊法人が財投機関債を発行して市中からお金を調達する、発行できないものは、委員御指摘のような財投債という形でこれまでとほぼ類似した格好でお金を借りてくるというふうに整理できると思います。

 特殊法人七十七、認可法人八十六で、このお金の流れを見てみますと、一般会計でおよそ四兆円、特別会計で三兆六千億円程度が流れております。財投計画では、今年度はおよそ二十五兆円が財投計画で特殊法人の方に流れる。また、委員御指摘のとおり、畜産事業団等は牛肉の関税がそのまま流れておりますので、ここは有償資金を借りていない。多岐にわたっているものと認識しております。

井上(喜)議員 財投債をどうするのかということでありますけれども、整理合理化計画をつくる、全体として特殊法人等の検討を進める中で資金調達をどうするのかということは、当然これは検討の対象になると思うんですね。その関連におきまして財投債とのかかわり、関係も出てくるんじゃないかと思います。

 それから、借入金残高の処理、これもそういう全体のこれからのありようを検討する中でこれまた検討しないといけない項目だろう、こんなふうに考えます。

石井(紘)委員 財投機関債というのはやはり市中から調達ですから、これは国際的な格付や何かがありまして、生き物なので、特殊法人を廃止するというのはいいんだけれども、こういうことだと、そうした財投機関債なんかの格付とか評価に対して影響が出る心配があるんじゃないかと思いますが、どうでしょうかね。

井上(喜)議員 この資金をどういう方に調達するかということでありまして、そのときには今おっしゃるようなことがあるかもわかりませんけれども、しかし、資金調達が困難な場合は政府保証とかそういったことが必要になりますので、いずれにしましても、資金調達がスムーズにできるような対応をしないといけないんじゃないか、こんなふうに思います。

石井(紘)委員 それから、さっき借金の、たしか二百三十五兆円、特殊法人だけの累積残、財投からの借り入れ分はそうですけれども、それがいずれにしてもあるわけで、重くのしかかっているんですね。特殊法人の改廃という場合に際して、これは非常に大きな問題ですよね。いつものように、これまでずっとやってきたように、みんな国民の負担に寄せてしまうというのは。これは、最近では本四連絡橋公団なんかもそうですし、あるいは緑資源公団だった林野のあれもそうですし、古くは国鉄もそうですし、そうやってみんな最終的には国民の負担に持ってきてしまうわけですね。

 特殊法人の廃止に際してそうした整理の仕方というのは非常に重要だと思いまして、私は一つ提案も含めて申し上げるんですが、子会社、孫会社というのはたくさんあります。本体は大赤字で、道路公団なんかもこれは三十兆の赤字、これは借金残高です。一日の利息だけで三十億円です。利息だけで一日、日本道路公団だけで三十億円。こういうものが持っている子会社でみんなため込んでいるわけだ。アリンコやミツバチがみつを奥の方に隠してしまっておくのと同じように、そこへみんなため込んでいるわけだ。

 道路公団に孫会社を整理しろと言ったら、そうしたら何をやったかというと、ほとんど簿価で、出資額そのまま取ってきた程度のものしかお金を取ってこない。ところが、そこは膨大に資産が膨らんでいるわけです。言ってみれば、馬が種つけして、あるいは肉牛か何かに種つけして立派な肉牛ができたのに、つけた種しか持ってこない。人も出し、金も出し、仕事も出し、みんなそうやって税金でやってきて、種だけしか戻さない。こういうやり方をやるから国民の皆さんは不信なんですよ。

 だから、立派に肉を太らせたら、その肉を出資分だけ、半分出したら半分持ってこないとだめなんだ。そういう子会社、孫会社と連結をした清算の仕方をするということは大事なんですよ。これをそうしないで株でもって分けちゃいますと、あるいは民間に委託なんといったって、現実問題としては本当の民間への移行なんというのは極めて問題があるんですから、清算をするときにきちっと、今まで国民がつぎ込んできた例えば道路公団の三十兆円なんというものは、あるいはもっとつぎ込んできましたよ、百何十兆円つぎ込んだ、そういうものを持って帰ってくる。そこのところの決意をきちっと大臣とそれから井上先生から伺います。

石原国務大臣 石井委員にお答えしたいと思うんですが、いわゆる借金とおっしゃっておりますけれども、これは、財投から借りてきたということでは借金でありますけれども、この有償資金を利息を乗っけて返すことができるかできないかということが実は今問われているのでございまして、道路公団の例が出ておりますけれども、道路公団が仮にこれからむだな採算性の悪い道路をつくらないで、現在の道路を運営して、委員御指摘の財投からの返済を返せるか返せないかといえば、私は返せると思います。そういう意味では機能しています。ただ、ここからまた新たに事業をやっていって、車が何も通らないような道路をどんどんつくっていけば返せない。

 そして、一番新しい数字が今来たんですけれども、平成十三年の四月二十七日現在では、財投から特殊法人が借りているお金が二百五十六兆七千四百十億円、また、認可法人が五千九百六億円、合わせて二百五十七兆数千億のお金をこれは返していかなければならない。これが返せるのか返せないかということを特殊法人ごとに議論をしていかないと、委員御指摘のような懸念が生じると理解しております。

石井(紘)委員 大臣、ぜひ頑張ってください。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

横路委員長 上田清司君。

上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。

 石原大臣は、私、組閣のときに、田中眞紀子外務大臣とともにこれは小泉内閣の飛車角か、こういうふうな理解をして大いに期待しているところでございますが、よき悪しはともかく田中外務大臣の方が目立って、どうも角落ちしているんではないかというような、そういう雰囲気もなきにしもあらずでございますので、きょうは誘導質問をたくさんしますから、気持ちよく答えて華々しくデビューしていただきたいというふうに理解しております。どうぞよろしくお願いいたします。

 与党三党で特殊法人等改革基本法案をつくられたこと、プログラム規定ではないかというふうなことでありますが、それはそれで評価いたしますが、ちょっと中身が薄いのではないかと私どもは考えておりまして、修正案を出させていただいております。その辺に沿って少し議論をさせていただきたいと思います。

 石原大臣にお伺いしますが、与党案では、一年の検討期間を経て、その後四年で整理合理化あるいは廃止、民営化していく、こういうスケジュールです。御承知だと思いますが、一昨年六月に政府系金融機関の統合問題がありました。いろいろ組み合わせについて議論もありますが、国際協力銀行は輸銀と基金が一緒になって一つの大きな組織をつくったり、あるいは北東公庫と開銀が一緒になり日本政策投資銀行になった。これは十カ月でやりましたね。何でこれは四年もやるんですか。私どもは二年でやろうという話をしているんですけれども。

石原国務大臣 上田委員にお答えいたします。

 先ほど来、衆法でございますので、発議者の方から、できるものはやっていくんだという御意見の御提示がございましたように、私どもとしても、できる法律は速やかに通していただいて改革を進めてまいりたいと考えております。

 なぜ五年あるかというと、やはり、先ほど来御同僚の議員の方々から御質問が出ておりました雇用問題等も考え合わせますと、すべてのものを手当てをしていくには全体で五年、このぐらいはかかるんじゃないかということで五年ということを申し述べさせていただいているわけでございます。

上田(清)委員 今のは衆法ですが、内閣あるいは担当大臣として、この与党の衆法にほとんど乗っかってやっていく、こういう決意なんですか。

石原国務大臣 お答えいたします。

 乗っていくとか乗っていかないというのは適切な言葉じゃないと思いますが、これはまさに委員御指摘のとおり、昨年十二月決定されました行革大綱と軌を一にしてできたものでございますし、その趣旨というものは同一でございますので、力を合わせて一緒にやっていくと理解しております。

上田(清)委員 ちょっと質問に答えておられないと思いますが、内閣として別建てで法律を出されたりするつもりがあるのかどうか。

石原国務大臣 これも先ほど来お話をさせていただいているんですけれども、まず、特殊法人に限ってお話をさせていただくならば、論点整理というものを四月に出させていただきまして、六月の第四週を目途に、十八類型ごとに、各特殊法人が抱えている事業について、これが必要あるのかないのか、あるいは存在意義があるのかないのかといったような論点で特殊法人改革の事業見直しの取りまとめをさせていただきまして、それを受けて各特殊法人と、今度はそれが本当に私どもの指摘どおりなのかそうじゃないのかという議論をやりまして、整理合理化計画を年度末を目途につくっていく。

 そんな中で、例えば必要性がないということを該当する特殊法人が認めたような場合は、すぐにその特殊法人の、先ほど同僚の石井議員からありましたように、解散する場合には別途定めるというようなこともございますので、法律を準備する、その他もろもろの諸般の法律的な手当てを五年間をかけてやっていくと御理解を賜れればと存じます。

上田(清)委員 御承知のとおり、私どもの修正案の中にも、実は雇用問題に関しては丁寧な配慮をしていかなきゃいけないということについての附則を加えております。

 そこで、一昨年やった政府系金融機関、これは大変大きな機関でありまして、これらにまさるものは、現存する七十七の法人で、既に民営化されているJRだとかそういう特殊なものを除けば、多分道路公団やあるいは都市基盤整備公団、これ以上のものはもうないんじゃないかというぐらい大きな統合をしたわけですね。この場合も、ほとんど雇用問題に何ら支障なく問題を片づけた経緯がございます。十カ月であります。そういう論点からすれば、何か与党の枠組みは少しゆっくりし過ぎているのではないか。世論の枠の中からすると、とても考えられない。特殊法人の問題点、後で具体的な事例を出させていただきますが、大変大きな問題になってきております。

 そういう意味で、先ほど石井議員は、市場経済のインベーダーだ、こういうふうな言い方もしておりますし、いろいろな試算の仕方もありますが、考え方によっては、政府並びに政府関係機関関係であるいは日本経済のGDPの六〇%近くを占めているのではないか、こういう試算もあります。いろいろな試算のとり方がありますから、この議論を深くするつもりはありませんが、ただ、いずれにしてもこの特殊法人問題というのは大変大きな問題を抱えていますので、一年の検討の後四年でやっていくというこの枠組みについては、どうしても私はいかがなものかというふうに思っておりますが、再度この点についてお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 御指摘は御指摘として承らせていただいて、できる限りスピードアップをしていきたいと思いますが、委員御承知のように、いわゆる政府系金融機関は、二銀行、六公庫、一金庫でございます。これの統廃合一つをとってみましても、やっている業務が多岐にわたる、また融資残高を見てもかなり莫大なものでございます。これを今、業務内容として、この各二銀行、六公庫、一金庫につきまして、そこのやっているどういう業務は要らないのではないかというようなことを、この十八類型ごとの中の一つの政策金融という部分で、この六月の第四週を目途に出させていただきたいと考えております。そんな中で、そこからがいよいよ本当の改革ができるかできないかということが問われてくるんだと私は思います。

 このほかにも、これも委員もう既に御承知のことだと思いますが、二十七の機関は融資業務を行っている。これも先ほど来御同僚議員が指摘されていたように、仕事をやっちゃいかぬといったら、自分で見つけてきて仕事をふやしていった結果、二十七も融資業務をやっている。これも、やはり民業を圧迫しているような場合は、速やかに中止してもらう、そういう方向で検討するように事務局には指示を出しているところでございます。

上田(清)委員 そこで、私どもの案の中に、すぐやってほしいものとして、特殊法人の役員の報酬及び退職手当については、即座にでも一般公務員と同じような措置をすべきではないかということを入れておりますが、この点についてはどうですか。

石原国務大臣 委員御指摘の特殊法人の役員報酬等については、自民党の野中行革本部長時代に、やはり出身省庁の次官の方がかなり多く総裁とか理事長になられていて給料が高いということで、これはいかがなものかということで引き下げた経緯がございます。

 行革大綱、委員もう既にお読みのことだと存じますけれども、民間及び公務員との均衡、業績等に配慮しつつ、そのあり方、すなわち役員報酬並びに退職金が問題だと私は個人的には思っておりますけれども、そういうものも見直していく。そしてまた必要なことは、やはり、その特殊法人に一体どういう人がいてどのぐらいの給料を持っているのか、特殊法人である以上はその情報を開示する必要がある、そういう問題認識のもとに特殊法人等を含みます独立行政法人等の情報公開法も当委員会に付託をされているものと理解をしております。

上田(清)委員 理解はしていてもだめですよ。やるかやらないかを聞いているんですから。

 だから、例えば、これは、小さくて恐縮ですけれども、同じプリントを出させていただいていますけれども、渡り鳥A氏の一生じゃないですけれども、退職金の流れを書いております。もうわかっているんですよ。七十七の特殊法人で、かつては大臣よりも三割ぐらい高いような特殊法人もたくさんありましたが、御承知のとおり、昨年の四月一日から、最高額を次官級にするということで統一をしております。

 しかし、退職金が一番問題だというようなことも言われましたけれども、御承知のとおり、退職金がなぜ高くなるかというと、もう釈迦に説法で恐縮ですけれども、一般の公務員の大体四倍ぐらい高くなります。なぜなら、普通の公務員は勤続年数で掛けていくのですが、一月で掛けていくという特殊なやり方。まさにだから特殊法人なんでしょうけれども。したがって、大体百分の三十六で月数を掛けていきますから、三カ月たつともう一年分になってしまう。だから退職金が四倍から五倍になってしまう。

 こういう法外なことをむちゃくちゃやっているし、それに準ずる公益法人もたくさんやっている。これは財務省の関係の公益法人ですけれども、証券保管振替機構の役員報酬などは、月額二百五十万で年収三千二百万だ、下手をすると総理大臣よりも高くなっちゃう。何でこういうことが許されているのかということを本気でやられるのかどうか。考えていますとか理解していますとかではだめなんです。来年からやるかやらないか、四月一日からやるかやらないかということを言っているのです。

石原国務大臣 大変厳しい御指摘でございます。真摯に受けとめさせていただきまして、役員報酬並びに役員の退職金の水準を判断するために、今その前提として、先ほど来お話をさせていただいておりますように、各特殊法人が行っております事業をゼロベースから見直させていただいておりますので、委員のお考えを最大限尊重して見直すよう、努力をさせていただきたいと思います。

上田(清)委員 日本語の理解ができないんですか。やるのかやらないのかと聞いたんであって、検討するとか見直すとかという話は聞いてないんです。

石原国務大臣 上田委員の御指摘を最大限尊重して見直すことを努力していくと申し上げていることで御理解を賜ればと思います。

上田(清)委員 奥に深い決意があるものだというふうに理解をいたしました。

 それで、先ほども財投の話も少し出ておりますが、この一番前のところに出しておりますが、これは委員の皆様にも釈迦に説法で恐縮ですが、日本の会計あるいは財政制度というのは、一般会計よりも特別会計の方が大きいんだ。特に、予算委員会初め、あるいは大蔵委員会等々で一般会計の議論はたくさんしておりますが、特別会計の議論をしてない、こういうことでありまして、特別会計が三十七会計あって、歳出が三百七十三兆、まさに一般会計よりもはるかに多い金額を扱っている。もちろん、入れたり出したり、出したり入れたりで、本当にわけわからなくなっておりますが、ダブルカウント分の二百兆を引いても、まさに日本の会計は二百五十兆も扱っているのであって、八十兆じゃないんだ。こういう理解のもとに、特に、一般会計から特別会計にいきなり四十九兆円繰り入れされて、それが特別会計に流れたりあるいは特殊法人に流れたりしていくという、この構図にもやはりきちっとメスを入れていかないといけないと思います。

 先ほど、石井議員からの議論の中で、財投改革をやったということでありますが、これはやったということになるんでしょうか。私は、まさにやったふりをした、事実、財投機関債はほとんど発行されてない、このような理解をしておりますし、何度も大蔵委員会で当時の宮澤大蔵大臣とも議論をしました。原則財投機関債、それでもだめなら政府保証、そして最後に財投債だというふうな話ですが、どうも最初が財投債で、その後が政府保証債で、最後にちょろちょろっと機関債だ、こういう現実になっているということで財投改革ができたのかどうか、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 何か大蔵委員会のようなていをしてきておりまして、私、財務省担当大臣ではございませんが、委員御指摘のとおり、財投機関債、今年度から発行するわけでございます。一番大きいところで商工組合中央金庫二千億円、日本政策投資銀行一千億、公営企業金融公庫一千億、国際協力銀行一千億、道路公団一千五百億と、金融をやってきた者の目からしますとどれも少な過ぎる、やはり五千億程度のボリュームがないとマーケットとして成り立たない、こういうふうに認識しております。

上田(清)委員 石原大臣からすれば、財投改革は十分進んでいない、こういう理解だというふうに私は思っております。

 特殊法人改革は、お金の流れからも見ていかなくちゃいけない、それから現場の仕事も見ていかなければならない、そして特殊法人が抱える公益法人、あるいはまたそれに関連する出資した企業等々も見ていかなくちゃいけない、大変多岐にわたって問題を明らかにしておりますが、とりわけ特殊法人のデパートと言われる日本道路公団に私は焦点を当てて、特殊法人問題の根というものを明らかにさせていただきたいというふうに思っております。

 先ほど来、借金ではないということで、私も、借金的性格を持つ債務だ、有償債務だ、こういうふうに理解をしておりまして、確かに累積でもう二十七兆になっております。この性格、ずっと昭和三十一年から見ていきますと、例えば、昭和四十八年には二兆円、そして十年後の五十七年には七兆九千億、さらに十年後の平成二年には十六兆、平成十一年度の、現在で二十七兆六千億、こういう累積償還債務が残っている。返すどころかどんどんふえてきている。

 先ほど石原大臣も言われましたように、これから、むだ遣いというか、あるいはまた車の走らないような、どちらかというと人よりもタヌキが多いような地域に道路をつくらなければという前提で、私は意外に財務はいい線いくんじゃないかというふうな想定もしております。

 しかし一方では、もっと速いスピードで国民に安心を与える仕組みをつくる必要があると思っているんです。例えば、大体道路公団のメーンになっております、名前は変わりましたけれども旧道路施設協会、二つに分かれましたけれども、ここにいわゆる道路公団の施設内のパーキングエリアを初めさまざまなところを四十六億円で貸してしまう。一方、この道路施設協会は、テナント料をこれらの施設から五百億取る。即座に四百五十五億もうかる仕組み。まさにぼろもうけの構図。こちらの資料の中にもぼろもうけと焼け太りの構図というのを出していますけれども、今申し上げましたこういうのを許さなければいいんですよね。道路施設協会を通さなくて、いきなり道路公団がこの五百億のテナント料を取ってしまえば、財務に随分貢献するんじゃないですか。

石原国務大臣 委員御指摘の「道路施設協会ボロ儲けの構図」を見させていただいて、まさにこういうことが行われているとしたら大変だという認識を一にいたしまして、特殊法人の抱える子会社一千社についても、現在、鋭意分析中でございまして、委員御指摘のような解決方法も一つの選択として検討させていただきたいと考えております。

上田(清)委員 非常に明快なお答えをいただいております。なぜこういう公益法人を通さなきゃいけないのか。まさにこれは公益じゃなくて官益なんですね。OBの方が天下りされる。原則、道路公団の総裁をやられた方はここの理事長になっていかれる。

 そして、その次のページに「焼け太りの手口」というふうにして書いておりますが、亀井当時建設大臣のときにいろいろ議論をしているうちに、けしからぬ、こんなに肥大化した公益法人は許されないといって、二つに割っちゃおうと。割ったのはいいんですけれども、しっかり焼け太りしているんですよ。これがうまいんです。だから、注意しないと、改革、改革といっても、いつの間にか焼け太りするのがうまいんですよ。ここを政治家が注意深く見ていかないと。

 ちょっと黒くて見えませんが、道路施設協会のときには役員が十六人だったんです。そのうち十三人が天下りです。ところが、二つに割ったら、合わせて役員が三十人になって、OBが十七人にふえてしまった。こういうたぐいのだましのテクニックでいかにも改革したというようなことをあっちこっちでされたら大変な迷惑でありまして、こういう認識を基本的に石原大臣は持っておられるかどうか。せっかく太田本部長も来ておられますので、こういうことについて与党は責任を持ってやっていかれるのかどうか。あわせてお二人にお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 お答え申し上げます。

 ペーパーはかなりショッキングなタイトルで、「渡り鳥」とか「焼け太り」とか「ボロ儲け」とか書いてございますが、役員の数がふえるということは特殊法人改革の趣旨を逸脱しているものと認識しております。そんなこともございまして、先ほど来同僚議員から議論がございました公務員制度改革の中で、これも御批判はありますけれども、これまでの人事院の承認制を廃止して大臣が責任を持つ。この結果を出した大臣は世間から責任をとる。よろしいと大臣が客観的な理由をもって認めるのであればいいですけれども、知らなかった、こんなになっているのかということのないように、明確かつ厳格な承認基準を設けて、大臣の直接の承認を必要とするものに改めていきたい。いわゆる押しつけ型天下りに対する国民の批判にこたえて、今公務員制度のあり方の中で検討させていただいていると御理解をいただきたいと思います。

太田(誠)議員 この間、自民党の方で建設省の道路局の課長さんたちにおいでをいただいて申し上げたことでございますが、何か特定財源があると、それは道路局のものであるように勘違いをしているのではないか。道路特定財源といえども、別に建設省が取っているわけじゃなくて、国民を代表して国会でつくった法律でもって強制徴収をできるようになっているわけでありますので、それはやはり公のお金だ、歳入は国民のものであるということをよく認識しなくちゃいかぬ。特定財源が自分たちのものだと思い、また自分の責任でもって資金調達をしたような錯覚があるけれども、委員御指摘のとおり、それはまさに政府が保証し、国民の負担による税金を担保にしているから調達できるわけであって、それもまた国民のものであります。

 そういう気持ちであれば、特殊法人を経営していく中で、これは公のお金を自分たちは預かっているのだという自覚を持たなくちゃいけないものが、何か特定財源は自分たちのもの、あるいは自分のリスクでその資金を調達しているような錯覚をして、そして、この法人は政府から独立したものであるとある局面では言うわけです。そして、その気持ち、政府から独立したのだから、自分たちのかい性でこうやって収入があっているように思って、そしてこういう財団法人をつくったりあるいは株式会社をつくったりしていくということになるわけでございますから、そこは、一番根っこにある、これはだれのものなのか、特殊法人はだれのものなのか、あるいはそこで使われているお金はだれのものなのかということをよく認識することから、みずからこういうことをしないように改めていく、そういう体質をつくらなければいけないと思っております。

上田(清)委員 その意思というか意気を買いたいと思います。そういう点では、ともに一生懸命やっていきたいと思います。

 それで、先ほどちょっと触れました償還の問題であります。先ほど前提をつけました。しかし、なかなか具体的なことはめったに言わない、太田本部長も長官をやられました総務省の行政監察局の調査で、日本道路公団に関する十一年四月の財務内容を中心とする結果報告書がございます。割と淡々と報告されて主観を入れないのがこの行政監察局のなぜか非常に特色なんですね、もっと主観をしっかり入れてほしいのですけれども。ところが、珍しくこの道路公団や本四架橋公団の報告には主観を入れています、非常に今後の問題について、財務内容について危惧しているという。

 例えば、一般有料道路事業関係なんかでは、ことごとく未償還であったり、あるいは半分ぐらいが建設資金を償還するに至っていない。つまり、一般の有料道路に関してはもうめためただということを指摘しています。それから、通常の高速道路についても、「今後、採算性の低い路線について、新たに償還の対象への編入が進むこととなれば、高速道路事業の経営に及ぼす影響が懸念される。」これは総論の部分であります。もう少し奥の方に詳しい議論が出ておりますが。

 実は、本四架橋公団でも五十六年後には東名並みになるというふうに御本人たちは言っていらっしゃるのですよ。本四架橋公団の交通量、収支比率が、今東名が御承知のとおり百円を稼ぐのに十五円ですが、五十六年後には本四架橋公団は東名並みになると。しかし、太田先生、よかったですね、さすがに総務省、ちゃんとそんなにならないと書きましたよ。どこからそういうのが出るのだという、そのぐらい激しく批判をしております。

 これまでも、アクアラインもそうであります。建設の予定額と実際の償還額、いつも予定額よりもはるかに上回る仕組みになっていること、それから常に通行量を上乗せして出してきていること、現実はそうじゃないということ。これからどんどん人口も減っていくことを想定せざるを得ない。今の人口統計でいきますと、あと二十五年後ぐらいには首都圏だけでも八百万人少なくなる。そういう状況の中で稼ぎ頭の東名あるいは名神におぶさりながらほかのところでやっている現状からすると、到底今のような道路公団の運営やあるいは形態ではとてもやっていけない、このように私は考えております。

 小泉総理からも民営化の指示が出たというようなことも新聞報道で出ております。その経緯については定かではありませんが、こういう問題を解決するには、これはもう民営化以外方法はないのじゃないか、こういう想定も私どもは、まだ結論は出しておりませんが、考えております。私どものメンバーの中でかなりの多数の意見になってきております。

 この点について、小泉総理から具体的な指示があったのかなかったのか、それから具体的にどういう形態で考えておられるのか、道路公団に特化してお答えいただきたいと思います。

石原国務大臣 上田委員にお答えいたしますが、先ほど来この委員会で御答弁をさせていただいておりますように、現在は、各特殊法人の事業の見直しをゼロベースから行い、さらに委員御指摘の子会社等も視野に入れて分析中で、六月の第四週に類型ごとに方針を、方針と申しますか中間取りまとめのようなものをまとめさせていただきたいという中で議論が進んでおります。委員御指摘の、小泉総理から、日本道路公団を民営化しろ、民営化を検討しろというような指示は一切ございません。

 私の方から若干道路公団についてコメントさせていただきますと、フローで見ますとここは二兆円の収入がある。ですから、先ほどもお話しさせていただきましたように、むだなものをつくらなければ、トータルでいうならば返せるのじゃないか。ただ、委員が再三再四御指摘のように、この償還計画というのは対前年比必ずプラスで、特に本四架橋公団等はかなり高いプラスで通行量を見込んでいる。そういうところにリアリティーがあるのかないのかということをしっかりと見きわめていかなければならない、そんなふうに認識しております。

上田(清)委員 時間がなくなってきておりますが、ペーパーには入れておりませんが、実はもう一つ、私の方でパネルを持っております。

 極めて楽観的な数字で、高速料金は二分の一にできるという、全くの私見であります。なぜそういうことが可能なのか。実は、今申し上げましたように、料金収入が二兆二千百四十三億、これは十一年度ベースであります。それから、借入金が二兆九千四百八十三億、政府出資金、政府補給金が合わせて三千六百億、こういうものが収入の形になっておりますが、料金収入だけでいけば二兆二千億。実際の支出というのは、建設費が一兆三千八百億、そして維持管理、一般管理費を含めて二兆一千百六十億ですから、つじつまは十分合っているのですね。政府出資金も補給金も要らない。ここだけを見れば、単年度の収入、支出だけを見れば、借入金も要りませんよ。政府出資金も政府補給金も要りません。むしろ黒字です。

 では、何が問題かというと、過去の借入金の返済がネックになっているわけでありまして、元本だけで二兆二千六百二十億返しているし、金利分で一兆円返している。毎年こういう状況になっているわけです。この議論を私はするつもりはあるんですが、時間がありませんのでできないというのが現況でありますけれども、割とそういう意味でのキャッシュフローの部分ではいい。しかし、過去の債務二十七兆というのは大変なものでありまして、たまたま金利が今非常に低い状態ですからいいのですが、金利が一%、二%上がっていくと償還計画も全部崩れてしまう、こういう構図になっていることも含めて、相当思い切った改革が必要だということを申し上げます。

 それから、実は、先ほど申し上げました特殊法人、公益法人には、いわゆる天下り禁止の規定がありませんでした。そこで、私ども、つい先ごろ、ネクストキャビネットで了承いただきまして、法案を用意しております。中身については、こういうことであります。

 退職後、営利企業への就職は、今まで二年ということにしておったのですが、今度は五年にしよう、五年にすれば影響力はなくなるだろう、こういう考え方がまず一つであります。それから、今まで公益法人や特殊法人には何も網をかぶせてなかった、これも入れましょう。官界の方には大変厳しい案であります。それから、退職勧奨の制限もやめてもらいましょう。とにかく早くやめてくれというようなことはさせない。それから、指定職以上の方については、どこに就職したかということに関してはリストを発表しましょう。

 こういう、官が民から見て非常に優遇されている、あるいは不信感を持たれていることに終止符を打って、新たなる官民あるいは民官の体制をつくろうというのが私たちの考え方で、法案をお見せしないままにお尋ねするのも大変恐縮ですが、骨子はたった四点で、非常にわかりやすい法案であります。退職後の営利企業への就職を、今まで二年ということで人事院で決めていたものを五年に延長する、そして特殊法人、公益法人等も天下り禁止に加える、それから早期退職の勧奨はしない、あるいはまた指定職以上のリストを発表する、こういう天下り禁止法案を私どもは出しております。そういうことでございますので、ぜひ与党あるいは政府においても前向きにこの部分についても取り組んでいただきたい、あるいは明確に御答弁も賜りたい。

 これは最後になります。時間になりましたので、正確にお答えをいただきまして、質問を終わります。どうぞよろしくお願いします。

石原国務大臣 今の御指摘の点は四点であったと思いますが、現在、公務員制度の抜本的な見直しの中で、給与制度のあり方について、きょうは太田提案者としておいででございますが、党の行革推進本部、あるいは与党の皆さん方と議論を始めたところでございます。

 この後、この天下りの問題は避けては通れない問題と、与党三党また政府も認識しておりますので、先生方の御意見も参考にさせていただきながら、二十一世紀にふさわしい公務員制度をつくっていくよう努力をさせていただきたいと思います。

上田(清)委員 どうもありがとうございました。終わります。

横路委員長 冬柴鐵三君。

冬柴委員 公明党の冬柴鐵三でございます。

 この特殊法人等改革基本法案が審議に上ったということは、大変感慨深いものがあります。

 昨年の六月二十五日に選挙が終わりまして、翌日、自由民主党、公明党、保守党、三党による連立政権合意をいたしました。その中で、安易に増税に走ることなく、徹底した行財政改革を行うため、与党三党行財政改革推進協議会を立ち上げるという合意をいたしまして、三党幹事長が入り、そして座長には自由民主党の野中広務さんに務めていただきまして、暑い夏、十数回の会合を重ねまして、十二月一日でしたか、行政改革大綱ができましたが、その下敷きとなる我々の「特殊法人等の見直しのための基本方針について」というものをまとめ上げたわけでございます。その中では、きょうは提案者になっていられますが、太田さん、若松さん、井上さんが大変活躍をされました。そういう経過もありますので、きょうは時間をちょうだいして質問をしたいと思います。

 私は、特殊法人の改革を考えたときに、一番大事なのは、とにかく毎年毎年、一般会計及び特別会計それから財投、そこから巨額の資金が注入されているにかかわらず、その特殊法人等、すなわち特殊法人と認可法人に対して行ったお金が一体どうなっているのかということがわからない。すなわち、説明責任、アカウンタビリティー、それから情報公開、ディスクロージャー、そういうものが著しく欠けているというところが、私は非常な問題意識を持っておりました。

 したがいまして、改革を進める手順として、今、百数十に及ぶ特殊法人等についてそれぞれヒアリングを行い、そしてこれについて、先ほどから担当大臣の御答弁にもありますように、いろいろな業務ごとに分類をし、そしてそれがどういう特色を持っているかということを克明に分析をしていただいている。これは非常に重要な仕事ですけれども、私は、その根底に、特殊法人の財務情報、そういうものがまず明らかにされないと、さきの上田さんの質問を聞いておりましても、日本道路公団というものの実態が非常にわかりにくいというような点からもわかるように、この点をはっきりさせなきゃならない。

 そういう意味で、特殊法人には一体赤字がどれぐらいあるんだろう。これについては、ある人は、「特殊法人「戦慄の蕩尽」」、そんな本を書いている人がありますけれども、そういう見方もあるんですね。むちゃくちゃになっているんじゃないか。そして、これをどう解消していくのかということも、非常に我々関心を持っているわけでございます。

 そういう意味で順次聞いていきたいのですけれども、特殊法人等に対して、平成十三年度、この間成立した予算ですが、そのベースでは、七兆五千八百億円にも及ぶ出資金、貸付金、補助金が支出されることになっておりますし、また二十四兆四千百億円に達する財政投融資が予定されていると私は承知しておるわけでございますが、それに対する確認と、過去五年間にそれぞれの額はどういうふうに計上されてきたのか、その点について御答弁をちょうだいしたいと思います。

津田政府参考人 特殊法人等、等というのは認可法人でございますが、平成十三年度におきます特殊法人等に対する出資金、貸付金、補助金等の予算措置でございますが、今御指摘のとおり七兆五千八百十八億円となっております。

 それから、過去でございますが、平成九年度では約七兆八千三百四十六億円、十年度が七兆二千五百六十六億円、十一年度が七兆四千七百六十三億円、十二年度が七兆五千七百九十四億円というふうになっております。

牧野政府参考人 財投についてお答えいたします。

 特殊法人等に対します平成十三年度の財政投融資は、今御指摘いただきましたように、二十四兆四千百二十七億円となっております。それから、過去五年間でございますが、平成九年度、これは三十四兆四千七百八十億円、それから十年度が三十三兆七千七百九億円、十一年度が三十六兆二千七百四十四億円、十二年度が三十三兆六千二百三十二億円というふうになっております。

冬柴委員 ちょっといろいろ関連して、財投が、九年度から十二年度が大体三十三兆から六兆というところであったわけですが、一挙に二十四兆に減ったのは何か理由があるんですか。

牧野政府参考人 お答えいたします。

 平成十三年度は財投改革の初年度でございまして、財投改革で一番大きく変わりましたのは、今までは、郵便貯金あるいは年金、これが強制預託になっておりまして、自動的にお金が集まってきてしまうということでございます。それをいかに使うかというような仕組みになっていたわけでございますが、十三年度からその預託制度がなくなりまして、いろいろ事業を念査いたしまして、真に必要なものについて資金を調達して貸し付けて事業をやっていただくというように制度が変わったものですから、特殊法人を含めました財投全体の総額が一五%減という大幅な減少になっております。

冬柴委員 ここにも一つ大きな問題があると思うんですが。自動的に集まってきた金が自動的に流れる場合と、努力して集めないと集まらなくなった場合とで年間十数兆円変わってくる。そして、今まで三十六兆が二十四兆になっても、これは余り支障なく事業が進んでいくんじゃないかと僕は思うんですけれども、それほどに特殊法人はやはり改革しなきゃならないというふうに、この金額を見ても非常によくわかるわけでございます。

 先ほど来の答弁の中で出ていましたが、特殊法人等に対する財政投融資残高というものは二百五十七兆三千三百十六億円、こんなすごい金額になっている。これを御確認いただくのと、じゃ、一般会計、特別会計からの累積額、すなわち出資金ですね、出資金ですからそれは資産計上されるものでしょうけれども、それはどうなっているんでしょうか。

牧野政府参考人 お答えいたします。

 特殊法人に対する財政投融資の累計総額は幾らかというお尋ねでございますが、平成十一年度末の特殊法人等に対します財政投融資の残高は、御指摘ございましたように、二百五十七兆三千三百十六億円となっております。

津田政府参考人 現在進行中の平成十三年度末の予算ベースにおきます特殊法人等に対する出資金の残高でございますが、一般会計分が約二十二兆八千二百十二億円、特別会計分が十五兆七千二百二十一億円、合計で約三十八兆五千四百三十三億円となっております。

冬柴委員 費消してしまう補助金を除きまして、そうすると、現在、二百五十七兆と、一般会計、特別会計から出た約四十兆を加えると、三百兆程度がこういう形で動かされているという実態がわかるわけです。

 では、そういう投入した額が一番大きくなっているような上位五社を、十ほど聞きたいんですけれども、時間がありませんので五法人で結構ですけれども、累計の総額を、財投、それから十三年度で結構ですけれども、予算ベースはどうなっていますか。

牧野政府参考人 お答えいたします。

 恐縮でございます。今手元に十一年度末の数字をちょっと用意いたしましたので、それで説明させていただきます。

 財政投融資残高の上位五法人、これは、住宅金融公庫で七十四兆二千七十億円、年金福祉事業団で三十五兆八千九百六十億円、それから日本道路公団で二十一兆四千六十二億円、日本政策投資銀行が十七兆千二百五十九億円、公営企業金融公庫が十五兆八千四百七十八億円となっております。

津田政府参考人 平成十三年度末の予算ベースの出資金残高でございますが、一番多いのが国際協力銀行で七兆二千七百七億円、二番目が宇宙開発事業団三兆一千二百八十一億円、三番目が中小企業総合事業団、信用保険部門を含めまして二兆九千七百七十九億円、四番目が核燃料サイクル開発機構二兆九千二百八十二億円、五番目が日本道路公団二兆二千八百四十九億円でございます。

冬柴委員 私、決算委員長だったときですが、石油公団、開発公団を取り上げてやっていたんですけれども、相当な残高があるんですが、中をずっと調べてみると、ほとんど資産性がなくなってしまって貸し倒れ金になっていた。すごい金額でした。もちろん、政策目的を持って石油の油井の試掘、発掘をするわけですから、それが全部いわゆる山仕事でございまして、当たるも当たらない場合もあるんでしょうけれども、それにしてもすごい金額が湯水のごとく流れ込んでいた。

 私は今聞いて、すごい金額、七十兆とかあるわけですけれども、本当にこの内容は一体どうなっているんだろう、資産性があるんだろうか。もし株式会社にこの組織を全部変えるとしますと、資産は一々評価をして、そしてその額で引き取ってもらわなければ株式会社は成り立ちません。そうすると、そこで莫大な金額、差金が出るのではないかということを非常に恐れるわけですけれども、今までこういう問題についていわゆる公会計というものが行われてこなかった。

 この点について、ちょっと通告していませんけれども、提案者の若松さん、あなたは公認会計士だから、どうしてこうなっていたのか、これは一体どうなっているのか。

 私の主題は、特殊法人改革というのは、たくさん、百五十にも広がってしまったものを、類似のものを整理統合して、そして合理化し、そして事務も透明にし合理化するということがもちろん大事ですけれども、その前に、財務内容の実態が、国民にいわゆる説明責任を尽くしていないし、これは全部国民の財産ですから、そしてまた、ディスクローズされていないという点が一番問題だと思うんですけれども、どういうふうに認識していますか。

若松議員 ただいま冬柴委員御指摘の公会計の件ですけれども、御存じの、八年前に私が議員にならせていただく以前、いわゆる公認会計士がだれも国会議員でおりませんでした。そのときから同僚の谷口議員とも、この公会計、特に行政面での情報公開、特に財務の情報公開をしっかり主張してまいりました。しかし、当時野党でしたし、かつ、当時の大蔵省も貸借対照表は国には要らない、こう一貫して主張してきたわけでございます。さらに、特殊法人等も、昭和の終わりごろでしたけれども、その財務情報のディスクロージャーも要求したわけですが、一向に改善しない。こういうことで、まず我が党としましても、公会計はとにかく重要な行政側の構造改革の第一歩である、こう主張いたしまして、昨年十二月一日の行革大綱に盛り込まれたところでございます。

 ですから、まさに公会計が最も必要となる、かつ、特殊法人と特別会計というのは一体の関係になっておりますし、そこにぶら下がる公益法人等々、連結等も採用しなければいけない、時価会計も適用しなければいけない、ここがいよいよ始まらなければいけない、また、始まらなければこの特殊法人改革は失敗に終わってしまう、そういう自覚をしておりまして、ぜひともこの公会計の制度の仕組みは早急に、与党そして政府一体となって仕上げてまいりたいと思っております。

冬柴委員 公会計の場合に、国の予算の中には一般会計と特別会計がありますが、これも連結されなければならない。そしてまた、その下に今言うように約三百兆に及ぶ出資金や貸付金を受けている特殊法人等がある。その下に、先ほど上田議員も指摘しておられましたけれども、ファミリー企業というか団体というか、そういうものを持っている。こういうものの総額が国民の資産の正味あり高になるのじゃないかと思うのですね。

 ここでちょっと聞いておきますけれども、国土交通省、先ほども言っておられましたが、日本道路公団ばかり挙がって申しわけないのですけれども、そこのファミリー企業というのは一体どうなっているのですか。ファミリー団体、公益法人、あるいは公団が出資して設立した営利法人、現在何社になっていますか。

佐藤副大臣 お答えいたします。

 日本道路公団が出資している会社が四社ございます。

 それと、先生御承知のとおり、前に道路施設協会というのがございましたけれども、そこが非常に多くの出資している会社を持っておりまして、そこが平成十年に二社に分割をいたしました。もっとサービスの向上をしよう、もっと競争させてもっとしっかりした経営をさせようと二つに分割をしましたけれども、そのときに、下にあるのが全部で六十六社ございます。その六十六社のうち、株を既に全部引き揚げましたのが六十二社、もう既に道路施設協会が株を持っていません。それから、残る四社のうち、一社は上場株であり、残る三社も引き続き今売却先を考えているところであります。

冬柴委員 公益法人はどうなんですか。そういうのは出ていませんか。いわゆる日本道路公団の仕事を専らやっている、あるいはおおむねその仕事をやっているというようなものはどうでしょうか。

佐藤副大臣 恐縮です、ちょっと今……。

 公益法人は三社ございますけれども、これは財団法人道路サービス機構というのとハイウェイ交流センター、それから日本道路公団と契約、出資はないものの占用許可を受けて、これは道路サービス施設の整備や運営を行っております。

冬柴委員 出資関係がどういうふうになって仕事がどうなっているか、そこら辺から、これがいわゆる子会社、孫会社と言っていいのかどうか非常にわかりにくいのですけれども、この公会計はどこまで進んでいるのでしょうか。

 そして、国の貸借対照表、いわゆる一般会計と特別会計の連結というもの、これはやろうということで、行革大綱の中にもそのようにあります。それから、国の貸借対照表と特殊法人のいわゆる公会計連結財務諸表というものをつくろうという思想があるように私は思っているのですけれども、その先の、特殊法人とファミリー団体、今言われましたけれども、そういうものとの連結とか、そういう思想は今進んでいるのでしょうか。その点についても提案者から御答弁をいただきたいと思います。

太田(誠)議員 お答えいたします。

 冬柴委員は、真実はこの法律案の提案者の代表格になられるべき方でございますが、私はたびたび与党協議会の中でこのような観点からも御指摘をいただいてまいりまして、これは今のところはまだ自民党のところで主としてやっておりますが、我々は今特別会計と特殊法人を連結してみるということをやっております。

 当然それは、その先の特殊法人とそのファミリー企業群というものも連結をしたものを将来はつくらなければいけない。なぜならば、それではどこまでそこを追求していけばいいかというと、結局国の支配に属さない組織のところまでいかないと、国の支配に属するものの中のやりとりというのは、言ってみれば内輪の、帳簿上と言ったら失礼だけれども、内輪の問題でございますから、国が支配するところの最後まで持っていって、そこで幾ら税金が使われたのかということが間接的にはわからなければいけないと思っております。

 しかしながら、大変膨大な資料でございますので、我々、ちょっとてこずっておるというのが現状でございます。

冬柴委員 次の用事があるものですから、もう最後の一つにさせていただきますけれども、恐らく道路公団なんかの資産計上の仕方も、我々は、例えば企業会計原則による貸借対照表、損益計算書等のいわゆる財務諸表、これには会計学上の財務諸表論とか経営比較論とかいろいろなものを適用して縦横無尽に分析できるのですよ。そして比較できるのですよ、合理的にやっているかどうか。ところが、公会計はそれでやるのですか。例えば、道路公団の道路はきちっと評価して資産計上して、そしてそれについて減価償却とか。まず、建設の時点から供用開始までは資産に計上せずに今までやってきたのじゃないでしょうか。

 そうすると、その中へ経費が全部ぶち込まれるから、これが過大か過小か、そんなことを全然比較できずに、でき上がったものの金額だけが道路の価格とされたのでは、これはどこが建設途上で問題だったかというのがわからないと思うのですけれども、どういうことを考えているのですか、この公会計は。

若松議員 具体的には、十二月一日の行革大綱での、公会計を早期に見直し、改善するという観点から、今特に財務省が中心になってやっております。いよいよ具体的な会計基準が今月中にも出ると理解しておりまして、私も実はざっとそのドラフトを見せていただきまして、今委員が御指摘の点は反映されていると理解しております。

 これにつきましては、具体的なお話ですから、お話を聞かせていただきたいと思います。

中野大臣政務官 冬柴委員の御質問にお答えしたいと思います。

 特に、今、公会計の見直し、改善についての議題と思いますが、財務省といたしまして、先ほどお話ございました国の貸借対照表、これにつきましてはこれからも改善をしてわかりやすくしたいということで努力したいと思いますし、特別会計の財務諸表につきましても、昨年の十月に作成のガイドラインができたというのはもう御承知でございますから、これをもとにいたしまして、いわゆる自民党の行革推進本部とか与党三党で作業が行われると思いますので、それに全面的に協力させていただこう。また、特殊法人の処理につきましても、この六月十九日の審議会で財務諸表の作成指針を取りまとめますので、九月末には企業会計原則に準じた具体的な開示を行うというような取り組みが今後とも進められるわけです。

 ここまではいわゆる総論でございますけれども、例えば今、先ほど来お話しのとおり、いわゆるファミリー団体等の問題を含めましたいろいろな特殊法人の会計の処理につきまして申し上げたいと思いますけれども、特殊法人が民間企業として活動をしたというふうに仮定した場合の財務諸表というものを考えた方がいいのではないだろうか。

 ところが、最近のいわゆる企業会計原則、この中には、例えば連結決算重視とか、それから時価評価、それからまたキャッシュフロー重視とか、それからまた、例えば退職金についてももっと明確に規定をしろとかというような、そういう新しい考え方があるわけでございますから、そういう新しい企業会計原則、これを当然民間が今までやってきたわけでございますから、これとあわせてそういうものをやっていきたい。

 それと一緒に、特に申し上げたいのは、国民に負担を付すべきコストというものが当然特殊法人の場合にはあるわけでございますから、そうしますと、いわゆる行政コスト計算書というのでしょうか、そういうものも当然つくって、例えば道路を使っても、減価償却もしないなんというのではなしに、いろいろなものを民間的な発想でもってやってまいりたい。その中には、当然、冒頭おっしゃいましたファミリー団体といいましょうか、そういうものを含めたいわゆる子会社との連結決算とか、それからまたいわゆる公益法人の情報開示というようなものをつくらせていただく。

 これは、先生が今日まで与党三党の中で御努力なすってきたそのお姿に対して、我々も財務省として全力を挙げて協力させていただく、そのことをお誓い申し上げながら御説明にさせていただきます。

冬柴委員 行革担当大臣、どうも済みません。

 こういうふうに組織を整理統合し、そしてわかりやすい形にする、そしてそれを合理的な運用ができるということともに、今まで抱えている、本当にその実態が明らかになったら恐ろしいような、そういうものがある。それで、私は、それを解明するのが、公会計を早く成立をして、そしてそれを実行していくことが非常に大事な視点だと思いますので、一言御答弁をちょうだいしたいと思います。

石原国務大臣 冬柴委員が与党三党の中でこの問題を御提起されまして、今公会計の点について御言及されましたが、この点が極めて有効であると認識しております。

冬柴委員 では、終わります。ありがとうございました。

横路委員長 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時四十七分開議

横路委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。塩田晋君。

塩田委員 自由党の塩田晋でございます。

 この特殊法人等改革基本法につきまして、まず、太田提案者にお願いします。

 これは基本法となっておりますが、現在基本法は約二十ほどあると思うのです。その中には、ぜひともなければならない基本法、あったがために非常によかったという基本法と、あったがために非常に害毒を流している、例えば教育基本法ですね。これなんかは、私の考えとしまして、GHQに日本の案に手を入れられて削られたばかりに五十年間えらい目に遭っているというものだと思うのです。そういうものもあれば、せんだってできましたIT基本法、これも中身は、基本法と言いながら、若干方向が具体的に示されておりますが、我々は十分でないということで反対をしたのですけれども、そういうものもありますれば、環境関係におきましては基本法が四本あるのですね。それから、ものづくり基本法というものがありますね。

 同じ基本法といいましてもピンからキリまであるといいますかたくさんあるわけですが、この提案されました基本法は、ぜひともなければならない基本法なのか。また、あってはならないものではいけないと思いますけれども、あってもいいし、なくてもいい、どちらでもいい。これはなければ本当に困るんだというのはどこが一番根拠になっているのか。なければならない根拠ですね、これについてお伺いいたします。

太田(誠)議員 塩田委員に答弁を申し上げます。

 法律というのは、これは何にもならない法律も世の中にはたくさんございます。それは、法律は、ある方向に向けて国民を縛ったりあるいは政府を縛ったりするという、強制力のない法律というのは、だれからもこれは嫌がられないけれども、何もできないということになるわけでございますから、要するに、縛るか縛らないかということが法律として意味があるかないかだろうと考えております。

 そういう意味では、この我々が提案しているものは明らかに政府を縛るわけであって、これは、一年のうちに整理合理化計画を示し、そして五年以内にこれを実行しなくちゃいけないという、期限を切るということは大切なことでございます。

 現に、ただいま二〇〇一年の一月六日から省庁改革、再編成がスタートをいたしておりますけれども、この場合は、三年前の今ごろ、改革基本法において、内容というよりも期限を切ったわけでありまして、二〇〇一年の一月六日からスタートするという法律であったわけでございます。それにのっとって、おととしに省庁改革推進をする十七法案が同じ時期に成立をいたしまして、それによってこの省庁再編成、そしてさまざまな政治主導を主眼とする今の行革が行われておるわけでございますので、まさにそれに倣って、我々はこの特殊法人の改革基本法を提案することによって、その後、整理合理化に関するさまざまな法律が出てきて、実際に五年後には実行されるということになるわけでございます。大変意味のある法律であろうかと思っております。

 なお、政府において既にその体制ができているではないかということでございますが、政府はこの法案ができるという前提でもって今の組織、仕組みができているわけでございまして、法律が成立をしないということになったら、政府としては、例えば内閣がかわれば、閣議決定だけでございますので、閣議決定も変えることはできるわけでありまして、もうやめとこうかとか変えようかというふうなことはあり得るわけでございますので、縛っておる。この状態でもって最後までやり通さなくちゃいかぬという、立法府として、国民を代表する国会として政府にたがをはめておるという大変意味のある法案でございます。

塩田委員 太田提案者から御説明いただいたわけですが、今のお話だけですと、ただそれだけのための基本法かという感じがするのですが、今言われました中央省庁等改革基本法、現在施行されておりますが、これは期限は切ってないですね。期限をかけて政府を縛ってないですね。今回のこの法案は期限を切っておるということですね。中央省庁の再編の関係の仕事は大体終わって、六月にはもう閉めるというような状況になっておるわけですね。その点はいかがですか。

太田(誠)議員 中央省庁改革の基本法におきましては、「この法律の施行後五年以内に、できれば平成十三年一月一日を目標として、中央省庁等改革による新たな体制への移行を開始するものとする。」というふうに書いてある。だから、縛っている。そして、目標が一月一日でございましたが、実際には一月六日に行われたわけでございますので、この法律も、基本的には期限を切る法律、そこが一番切れ味の鋭いというか、そういうものであったと私は思っております。

塩田委員 若干、限時立法、今回の法案ははっきり出ておりますが、前のはそうでない。そして、改革本部の関係の仕事も大体終わったという状況になっておりますね。

 そこで、石原大臣にお伺いしたいと思いますが、今回のこの衆法の基本法について、政府としてはどのようにお考えでございますか。

石原国務大臣 塩田委員にお答え申し上げます。

 本法律案の趣旨並びに意義については、今太田発議者の方から意見の開陳がございましたが、まさに政府が進めようとしている行政改革と軌を一にしているということで、本法案が施行されました後は有効的に行政改革が進んでいく、そういう意味でこの法案を一日も早く成立させていただきたい、そういう立場でございます。

塩田委員 政府としてはこの衆法の基本法案に賛成であるということをはっきり言われたわけですが、そうであるならば、中央省庁改革基本法のときには閣法で出された。今回は閣法で出されないで衆法でやられる。これは、衆法の方が先走ったから間に合わなかったんですか。どうしても閣法にしないという理由がありましたら御説明願います。

石原国務大臣 詳細につきましては、最初から議論をされております若松発議者の方から御説明ございますが、決して閣法がおくれたということではなくて、行政改革というものは、与党も野党も、また政府も進めなければならない、そういう気持ちが一になった中でこちらの法律案が最初に出てきて、今御審議をいただいていると理解させていただいております。

若松議員 この法律が提出されましたのが昨年十一月の十五日で、さらにその五日後の昨年十一月の二十日に、与党行財政改革推進協議会におきまして、特殊法人等の見直しのための基本的な方針、いわゆる十項目でしたけれども、これも基準として国会内でつくらせていただきました。それを加味した上で、十二月一日に閣議決定いたしました行革大綱という形で特殊法人の包括的な改革を盛り込んだ次第でございます。ですから、結果といたしまして、与党そして政府一体となってこの法案の提出に至った次第でございます。

塩田委員 この法案を見ますと、中身が、行革推進本部というのは、現に置かれて太田元大臣が担当して随分実績を上げてこられたと思うんですけれども、閣議決定によって置かれる、そういう行革推進本部の中で、現在も組織的には特殊法人の室が置かれているわけですね。そういった中で特殊法人の改革推進を、基本法がなくても閣議決定をして、そういう組織を持ってどんどん実質的に進めればできないことはないんじゃないか。

 この基本法の内容を見ますと、特殊法人等改革推進本部を設置するということ、それから本部長が総理大臣である、それから副本部長ですか、そして内閣を構成する閣僚全部が部員になるということでございますから、屋上屋を架すような、そういう組織をつくるというような形だけではないか、中身があれば別だけれども。

 これは、さっき言われましたように、縛りをかけて、一年間のうちに計画をつくって、それを法制化して五年以内に可及的速やかに実施をしていく、こういう内容なんですね、骨格は。その中身はどうするかというのは、ただ特殊法人の名称と認可法人の名称が並べられてあるだけで、これをどうするという具体的なイメージが出てこないのですね。

 そこにいっぱい、法案の中に掲げられておりますのは、廃止ということ、整理縮小ということ、合理化、そして他の実施主体への移管、これは独立行政法人も含めてのことだと思いますけれども、そういった抽象的な方向が掲げられておって、それでは、廃止というのは全部の、特殊法人七十七ですか、認可法人五十五、このうち大体幾らぐらいを廃止するという目標を持っているのだとか、あるいは独立行政法人にはどれぐらい持っていくとか、民営化はどうすると、もう今作業をしておられると思うのですね。大体のめどというか目標というか、そういうものがあるんじゃないですか。あれば、どれぐらいの規模かということを御答弁願いたいと思います。

太田(誠)議員 お答えをいたします。

 ただいまの、まず屋上屋になっているのではないかということ、それからまた、閣法ではなくて議員提案というのはどういうことかということでございます。

 これは、国会は全国民を代表しているわけでございます。そしてそれが唯一の立法府ということになっております。それからまた予算についての議決権もあるわけでございますから、国民から負託された、税収というものがきちんと使われているかどうかということについて判断をするのは国会の当然の役割でございます。

 また、多くの特殊法人等を正当化しております法律はすべて閣法であって、政府の中から出てきたアイデアを法律にして固定化して、この数十年間ずっとやってきているわけでございますから、その中から、政府の方から自発的にそれを整理合理化、大胆に改革する案が出てくるのを待つということはできない。立法府としては、国民から預かった大切な税金、あるいはそれが担保に入っておる借金といったものを考えれば、これは塩田委員におかれましても、何とかしなくてはいけないということはお考えになると思いますから、立法権者としては当然の行為であるというふうに思うのでございます。ですから、政府がやることを待っているというのは我々の、それこそ立法府の怠慢になるというふうに考えております。それが一点でございます。

 それから、廃止、民営化について。これは、与党協議会の中でもたびたび、一省一法人とか、一省二法人とかいう発言も飛び交いました。早く具体的なイメージをお示しして、国民やあるいは関係者に早く気持ちを整理させた方がいいんじゃないかというふうな意見もございましたが、それをいたしますと、その対象になったところは、なぜうちだけがということになるわけでありまして、これは納得をされない、大変不満を持たれるというのが行政改革のときのお定まりの、いつも起きることでございます。

 だから、全体がかかる基準、ルールというものを示して、これはどこも同じように基準にかかるところはこうなるのですよというふうにしか、法治国家の行政改革はそれしか方法がないんじゃないかというふうに思うのでございます。したがって、結論が出る、ことしのうちに整理合理化計画が確定するわけでございますので、できるならばそれまでに、六月でも構わないのですけれども、全体のルールができ上がるまでは個別の名称を出して、それがどうであるか、そこだけに議論を集中するのは得策ではないというふうに思っております。

塩田委員 今お話ございました。怠慢であってはならぬ、国会の使命だ、こう言われたわけですが、それは逆に言えば政府が怠慢じゃないのですか。

太田(誠)議員 政府を監視し、政府を律していくというのが立法府の役割でございます。そして立法権はあくまでも国会のものでございますので、それを行使するかどうかということは、やはり委員や私どもの方が問われているというふうに思うのでございます。政府は、そのような法律に基づいて執行するのが行政の役割でございますので、やはり立法の責任はこちらの方に、これからは特に我々の方にあるというふうに思っております。

塩田委員 水かけ論になりますからこの辺でやめますが、今のお話だと、中央省庁等改革基本法、これがやはり政府が出されたわけですからね。これはもうこれでおきましょう。

 そこで、国会なり我々議員の責務ということになりますと、これほど大きい問題、法案では単に国会への報告になっていますね。これをどうして承認ということにしないのですか。

太田(誠)議員 整理合理化計画は、これはいろいろな大部な内容になろうと思いますけれども、その中で法的な手当てをしなければいけないものについては、当然、整理合理化計画の後にワンセットの法律として出てくると思うのでございます。その際に、国会で、国民の代表として、それでいいのかどうかという御審議を十分いただくことが大切でありまして、整理合理化計画と関連する、その後に同時に提案されるものは同一のものだ、国会としてはそこで十分にその意思を反映することができると思います。

塩田委員 石原大臣にお伺いします。

 中央省庁改革基本法の成立から施行後、現在に至る、また今月いっぱいである面では終わる、こういう動きでございますが、実績等についてどのように評価しておられますか。お願いいたします。

石原国務大臣 塩田委員にお答え申し上げます。

 塩田委員は、行政の、どちらかというと私などよりもプロ中のプロでございますので、何が変わったかという点についてはもう重々御承知の上での質問だと思うのでございますが、一にやはり、政治主導ということが一つの特徴ではないかと思っております。

 副大臣、大臣政務官の導入によりまして政治主導が強化された。それと、一府二十二省庁であった役所の縦割りの弊害というものが、一府十二省庁と統合したことによりまして弊害が是正される。あるいは独立行政法人、すなわちエージェンシーというものをつくったことによりまして、政策評価の結果等の公表によりまして、行政の透明性は以前にも増して向上したのではないかと思っております。

 また、十年間かかって公務員定数を二五%削減するといったように、行政のスリム化また効率化が図られるものと考えておりますが、これも小泉総理が申しておりますように、この中央省庁改革というのは行革のスタートにすぎない、これから公務員制度改革、あるいは特殊法人改革、公益法人改革、規制改革と、累積する行政改革の問題を処理していって、二十一世紀にふさわしいこの国の姿というものを打ち出していければ、こんなふうに考えております。

塩田委員 中央省庁の改革につきましては、特に太田国務大臣が大変な御努力をされまして、内閣一体として明治以来の大改革をやられたということは私も評価するものでございますが、実態は果たしてそのとおりなのか。もしくはこれからだということもあるでしょうけれども、確かに大改革でございましたが、省庁の看板をかけかえただけだ、あるいは判こを変えたりあるいは封筒をつくり直しただけだ、こういう酷評をする人もありますけれども、やはり、これからの行政改革が本当に実を結んで実質ともに成果を上げられるように、今後とも頑張っていただきたいと思います。

 そこで、私たちは、自由党といたしまして、まあ認可法人は別としまして、特殊法人については三年以内にまず全廃する、そして原則全部民営化する、そういう方針を持っております。そして、どうしてもこれは特殊法人なり国の関係でやらなきゃならぬというものについては立法化をしてこれを再構築していく、こういう方式を我々は訴えておるわけです。

 具体的に、先ほど言われましたように、どの特殊法人を残してどれをどうする、どこをどう改革するというのは、一つ一つ大変な問題だと思うんですが、原則はまず廃止という方がすっきりして、また公平であるんじゃないか、こう思うんですが、こういう考え方についてどのようにお考えでしょうか。

若松議員 塩田委員とは新進党以来、ずっとこの行革、特に特殊法人改革にともに携わってまいりました。そこでの議論は、まさにサンセット方式と申しまして、一定期限内にこの特殊法人の形をなくすと。この方針は、今回の与党三党で提出いたしました特殊法人改革等基本法も全く同じでございます。

 しかし、具体的にどれについて民営化するか、また廃止するか、国に戻すかとか、そういったやはり丁寧な議論をなさないと、雇用の不安になったり、また権利の継続のところに問題が起きたり、そういったことも踏まえまして、この法律にありますような計画の一年間、そしてさらに平成十八年三月三十一日までに先ほどのサンセットの趣旨を実現する、こういう形に変えたものでございます。

塩田委員 特殊法人の個々につきましてここで議論する時間もないし、材料もないと思うので、またお答えになることも、まだまだ検討中ということで、中身の具体的な問題についてはなかなかいかないと思うんですけれども、先ほど来の御議論を聞いておりますと、例えば道路公団につきましてかなり議論がございましたので、私もちょっと中に踏み込ませていただきたいと思います。

 道路公団につきまして、これは基本原則からいいましてやはり廃止をして民営化をすべきである、どうしても残さないといけないものは民営化してやっていくということを我が党内におきましても真摯に今検討中でございます。この中間的な結論ですけれども、例えば、資産、債務等は別にしまして、運営だけを民営化していけば七千億円で年間やっていける、そして現在の高速料金、これは三分の一にできる、三分の一まで少なくすることは可能だという一応試算もいたしております。

 これはもう皆さん御承知のとおりですけれども、一般高速道におきましての料金は、料金のうちの三〇%は金利に支払われている。高速道路につきましては、これは実に料金のうちの六二%は金利の支払いに充てられているわけですね。これなんかは非常に高くなっている現在の日本の高速道の料金の実態なんです。外国に比べてもうべらぼうに高い。また、会計上の処理をすればとっくに償還されておっても、ゼロでもいいところが、今なお料金がどんどん上げられていっている、こういった実態がある。国民は非常にこれは不思議に思っているわけです、なぜこんなに高くなっていくのかと。

 これは先ほどもありましたように、新しい道路をどんどんつくって、借り入れで借金はふえる、その金利はふえる、それを償還していくために料金を上げなければならぬということですが、我々の計算で、やり方次第では三分の一にできる、このように考えておりますが、石原大臣、先ほど来の論議の継続でひとつお伺いします。

太田(誠)議員 済みません、招かざる答弁者で申しわけありませんが、一つ私が前から今のような御議論の場合に申し上げておりますのは、高速道路の通行料金というものの考え方は、いわゆる今のコストを賄えばそれでいいという考え方なのか、それとも、混雑税の考え方をとっていく方が合理的であろうと思っております。

 したがって、一番伝統的な、最適な通行料金の設定の仕方というのはどういう考え方かというと、低く設定しておくと道路が混雑をするので高く設定をしておいて、そして高く設定して徴収した料金をそれと補完的あるいはそれと代替的な手段の方に投入するのが合理的であるという、大変有名なフランク・ナイトという人の論文がございますけれども、その考え方が通行料金の最適な設定になると思うのでございます。

 例えば、今の首都高速の場合には、恐らく大半の区間は半分どころかただにしてもいいんだろうと思いますけれども、ではそこで首都高速をただにしたとか半額にしたときに、わっと交通量がふえて、そもそも何のために料金を払ってそこで利用者が乗るのかというと、早く行きたいから。早く行きたいのに、安いためにみんながわっと集まって早く行けなくなるというのでは、何のために高速道路のネットワークをつくったのかわからなくなるわけでございますので、そこの設定の仕方についてはさまざまな考え方があると思うのでございます。

石原国務大臣 塩田委員にお答えいたします。

 今太田先生が御指摘になったのは、ある意味では時間をお金で買うという感覚が随所にあらわれていたような気がいたしますが、やはり有償資金で物をつくっているわけでございますから、その借りたお金を返していくには、料金収入が見込めなかったら返していけないわけであります。採算性の見通しが適切であるのかないのか、あるいは社会的情勢としてその法人として存在することが意義があるのかないのか、このような観点を道路公団を含む公共事業系の分野においては論点整理で指摘をさせていただいております。

 これをもう一段踏み込んだものをこの六月の第四週にはお示しさせていただきまして、道路公団の事業の見直し、そしてその後には組織の見直し論に入っていく、そういうステップを踏んでいかせていただければと考えております。

塩田委員 道路公団につきましては、まだまだ議論すべき問題がいっぱいあると思います。八千八百人もいて何をやっているかということから議論しますと、限りなく議論が続くと思います。

 それで、太田提案者が今言われましたことに反論するわけじゃないんですが、私の地元で最近、高速道路、一カ所で料金所が廃止になったのですよ。通行料を今まで取っておったのを、ゼロになったのですね。そうなりましたら全く渋滞がなくなったのですよ。さっさと行っていますよ。そういうことも効果としてあるわけですね。

 そして、大臣も言われましたけれども、新しい道路の建設をする、それを全部、もとからのところにもかけてプールで料金計算しますからこのようなことになっておるので、そこのところを根本的に考え、また債務と運営とを分けて、運営だけでもスリム化して民営化すれば、これは七千億円どころじゃない、もっと少なく、三分の一以下の料金にもできる、このように思います。

 この議論はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

横路委員長 松本善明君。

松本(善)委員 提案者に聞く前に、大臣に伺いたいと思います。

 この行革の問題で石原大臣とは初めての議論になりますので、根本問題からちょっと伺いたいと思います。

 日本共産党は、行財政改革については極めて積極的に考えているのです。その方向は、不要不急の公共事業に徹底的にメスを入れて、公共事業五十兆円、社会保障二十兆円という財政構造を変えることとか、それから天下りなどの政財官の癒着を断ち切ること、それを進めていくについては国民生活へのサービスは切り捨てない、後退させないというようなことが中心であります。

 大臣に行革全体について伺いたいというのは、さきの行政改革会議の最終報告が、今の行革の一つの中心に据わっていると思いますけれども、ここでは、この半世紀に四百兆円から五百兆円の負の遺産を残した、この解決を行財政改革の重要課題としていると思うのです。ところが、今、この負の遺産はこの四年間の間に膨れ上がって、今年度末には六百六十六兆円になろうとしている。これは宮澤前財務大臣も言われたことですが、まさに財政構造が破局に近い状態になっている。

 これは自民党を中心とする政権の行財政改革の失敗ということではありませんか。大臣はどういうふうにお考えになっていますか。

石原国務大臣 松本委員にお答えを申し上げます。

 行財政改革というのは、本当に幅広いテーマでございますし、昭和三十年代から論議をされてきて、それなりの成果もあったと私は思います。私が記者時代に取材をいたしましたいわゆる土光臨調そして中曽根行革、分割・民営化論、こういうような成果は出てまいりました。そんな中で、この特殊法人、きょう議論されていますような問題は、やはりこれも昭和四十二年ぐらいから議論をさせていただいてまいりまして、百十二ありましたいわゆる特殊法人も現在では七十七になっておりますし、国鉄も分割・民営化された。それなりの成果はあったと思いますが、まだ不十分な点が多々ありますし、むだがある、透明性も確保できていない。

 今回の改革は、小泉総理が所信で述べられておりますように、一月六日になされた中央省庁の再編というもの、これは単なる通過点として、ゼロからすべてをまた見直してむだを省いていくというのがこれからの行政改革であると認識をさせていただいております。

松本(善)委員 大臣に申し上げておきますが、大まかな政府の方針やいろいろなことはわかっていながら聞いているのですよ。短い時間の間に設問をしているので、それに答える形で、これは議事録を国民が見ますから。

 私の聞いたことは、六百六十六兆円、行革会議の最終報告のときは四百兆から五百兆と言っている、四年間、何の成果もなく、減らすということについてはむしろ逆になっているじゃないか、これについてはどう考えているのだということを一言もお答えにならないというような答弁の仕方では困るということを申し上げて、次の質問とあわせて、もし答えることがあるならば言っていただきたいと思います。

 特殊法人の改革について今ちょっとお述べになられたわけですけれども、これも私ども積極的に考えております。

 先ほども述べましたような基準で、特殊法人のむだや放漫経営あるいは腐敗構造に徹底的にメスを入れる、その上で不要な特殊法人を解散させることも当然であります。国民生活に必要な特殊法人については、公共的役割を担うにふさわしいものに改革し、運営も民主的に改革する必要があると考えています。官僚の特殊法人への天下り、特殊法人から関連会社の天下りの規制、さらに関連会社に利益をため込むというようなことも規制する必要があるのは当然だと思います。

 しかし、特殊法人そのものは、政府の政策を執行する機関ですね。特殊法人の業務計画、予算、人事などの許可や認可は、所管省庁が持っております。特殊法人のいろいろな弊害について、今もずっと議論がされて、それから大臣もいろいろなことをやろうとしていらっしゃいますが、そういう問題が起こってきている原因をもたらしたのは、やはり長年の自民党中心の政治の結果ではないか。政府自身の政策の問題ではないか。特殊法人改革を進めるならば、やはりこの責任についての反省が必要なのではないか。この点についてはどういうふうに認識しているのだろうか。

 就任されたばかりということではありますけれども、やはり過去の問題についての総括といいますか、考え方が必要なので、先ほどの質問に対するお答えもあわせて、お答えいただきたい。

石原国務大臣 松本委員にお答えしたいと思うのですが、松本委員も国会の私の大先輩でございまして、予算委員会等でこの財政の問題は再三再四御質問されているということを私重々承知しております。

 私は財政を担当している者ではございませんので、個人的な主観でしかこの六百六十六兆円の問題はお答えすることができない。そういうことも含めまして行革に絡めて先ほどは御答弁をさせていただいたのでありまして、委員御指摘の、いわゆる国債残高が膨らんだということでいうならば、六百六十六兆は必ずしも国債の残高と一致している数ではございませんので、私は正確にお答えできないというふうに御理解をいただければと思っております。

 また、国債の残高がなぜこのように膨張してしまったかというような質問がございましたら、ぜひ財務大臣の方に予算委員会等で御質問いただければと思っております。

 そして、後段の質問でございますが、改革というものは、やはり過去の失敗を乗り越えていかなければ大きな改革というものはなされません。成功もあれば失敗もあった。総じて言えば、自由民主党が、また小泉内閣がこれだけ高い支持率を得ているということは、自民党の過去の政策に対して国民の皆様方が評価をしてくださっていると私は理解をさせていただいております。

松本(善)委員 しかし、行政改革もやはり負の遺産の解決の一環として行政改革会議が位置づけていることは明白なんですよ。これは財務大臣の問題だというわけにはいかないと私は思う。

 それから、特殊法人の問題につきましては、これは、その事業をやるかやらぬかということから始まって、全部政府が決めていくのですよ。だから、政府がその問題についての反省なしに、いや、成果もあれば失敗もあるというようなことでは、私は済まないのじゃないかと思う。根本的に、特殊法人だけの問題というのじゃなくて、やはり今までの政府の政策の反省に立って事を進めなければならぬということを指摘しておきます。

 この法案についてでありますけれども、既に同僚委員からいろいろ聞かれていますが、これは屋上屋ではないかとか、この法案は本当に要るのかというような質問もございました。

 私は提案者に聞きたいのですが、この内容は昨年十二月の行革大綱とほとんど変わらないと思う。ただ、違うのは、特殊法人等改革推進本部を設置するというところだけじゃないだろうか。法案の基本理念については、一定の見直しの考えが述べられておりますが、行革大綱にも事業と組織についての見直し基準が明記をされております。基本的な考えは同じというふうに読めますけれども、そういうふうに理解していいでしょうか。

若松議員 松本委員とは、行政改革特別委員会以来ずっと一緒に行革に携わってまいりました。最近、その特別委員会がなくなり、松本委員とはできる機会がなく、非常に寂しく思っておりましたが、きょう久しぶりに御質問をいただいて、今元気がよみがえってまいりました。

 そこで、御質問の十二月一日の行革大綱と今回の特殊法人改革法案が全く同じじゃないかという御指摘でしたが、経緯をもう一度御説明させていただきますと、昨年の十一月十五日に与党としてこの特殊法人改革基本法を提出いたしました。当然、この国会の、いわゆる政治の意思というものは強烈に行政に伝わっておりまして、その行政も国会の意を体して、そして十二月一日の行政改革大綱につながったということでありますから、今の時点におきましては、いわゆる与党、政治側の決意と行政の決意とは一体である、そう理解しております。ゆえに、中身もほぼ一致していると理解しております。

松本(善)委員 そういうことなので、これの中身がどうなっていくかというのは、やはり政府がどうするかということにかかわっていくと思いますので、大臣にこれから質問していこうと思います。

 それで、小泉首相は、特殊法人改革では、民営化できるところは全部民営化する、統合できるところは全部統合する、廃止できるところは全部廃止する、こう言っています。こうした主張はスリム化、効率化一辺倒で、その事業が持っている公共性が切り捨てられるというおそれが非常に強いんじゃないだろうか。

 四月に行政改革推進事務局が発表いたしました論点整理を見ますと、民業圧迫の排除、自己責任、市場機能整備という観点ばかりが中心で、憲法に基づく基本的人権を保障するという立場、国民生活に必要な特殊法人の運営を民主化し、公共的役割を担うにふさわしいものに改革する、そういうような観点が全くない。これは一体どうしたことなんだろう。そういうものはもうなくていいんだ、こういうふうに政府は考えているのかどうか、大臣のお考えを聞きたいと思います。

石原国務大臣 松本委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 昨年十二月一日に閣議決定をいたしましたいわゆる行革大綱においては、特殊法人等の改革をその重要な柱と位置づけておりますことは委員御承知のとおりだと思います。その大枠は、具体的には、平成十三年度中に、大綱に示された見直しの基準に沿って、おのおの特殊法人ごとに、今委員が御指摘されましたように、事業の一つ一つのあり方を見直し、廃止、整理縮小・合理化の整理合理化を図りますとともに、その組織形態のあり方も見直し、その結果として、廃止すべきものは廃止する、民営化すべきものは民営化する、独立行政法人化、その他組織形態について講ずべき措置を決定いたしまして、その見直し結果を盛り込んだ特殊法人等整理合理化計画を策定するとともに、これを具体化するために、平成十七年度末までに法制上の所要の措置を講ずるということでございます。

 そんな中で、社会的に政策として必要なものがあるのであるならば、もちろん社会的政策として必要なものは残ってまいりますし、また、これまで多くのむだが指摘され、また透明性が非常に低いということが指摘されている特殊法人でございますので、できる限り情報を開示させていただきまして、むだを省いて効率のいい組織形態に見直していくと御理解を賜ればと存じます。

松本(善)委員 必要なものは残すということなんですけれども、やはり発表されましたこの見直しの論点整理なんかを見ますと、今私が言いました基本的人権を保障するとか国民生活に必要なものをどういうふうに見るか、公共的役割をどう見るかというような基準がないわけですよ。それはどういうわけか。これはないことは明白なんです。それについてちゃんと国民にわかるようにするために、やはり具体的な事例で御質問しようというふうに思います。

 都市基盤整備公団は、貧困な日本の住宅事情の中で、住宅部門の分譲住宅からは撤退、賃貸も縮小を進めてきた。その理由は、公団が住宅建設する使命は終わったというもの、事業本来の目標は達成したという基準が使われてきたわけであります。

 都市整備公団の事業本来の目的は、低廉な住宅を供給するということにあります。だれが見ても、その環境を満たしているという状況にないことははっきりしております。住まいというのは人権なんです。これを保障するのは国の責任だ、こういうふうに思いませんか、大臣は。

石原国務大臣 松本委員にお答えいたしますが、松本委員は弁護士として人権の問題に広く携わってきたと私は承知しております。そんな中で、日本国の憲法は基本的人権を保障しているわけでございますから、憲法に保障されていることを、各法律あるいは行政がつかさどることにおいて尊重することは当然のことでございます。そういうふうに私は理解をさせていただいております。

 先ほど、特殊法人についての問題点はるる御指摘させていただきましたが、従来から、これも委員御承知のことだと思いますが、経営責任の不明確性、事業運営の非効率性、不透明性、組織、業務の自己増殖、経営の自律性の欠如等の問題が指摘されていることもありまして、今後新たな時代にふさわしい組織形態を見直していく。そんな中で、この都市基盤整備公団、委員御指摘になりました公共事業系のこの公団につきましても、あるべき姿、論点整理の中では次のように指摘をさせていただいております。

 社会経済情勢の変化等により、当初の計画どおり事業が進捗しなかったり採算性に問題が生じたりしていないか、地方公共団体、他の特殊法人、民間等において類似の事業が行われているものについては、事業を実施すべき必要性が明らかになっているか、また、事業間の調整がなされているかどうか、この観点に立ちまして見直しを行わせていただきたいと考えております。

松本(善)委員 たくさんある特殊法人をどういうふうに見ていくかということの基準が大事なんです。やはり一つ一ついろいろ違いますから、その基準の中に先ほど言いましたようなことがないんじゃないだろうか。それは、都市基盤整備公団なんかについても判断するときに欠けることになるんじゃないかということを聞いているわけです。

 私はもうちょっと進めて聞きますが、日本の住宅事情はウサギ小屋と言われているように劣悪であります。最低居住基準というのがありますが、四人家族で、三DK、五十平米というものであります。言うならば、これ以下の住宅は人の住む住宅に値しないということも言える。ところが、こうした住宅が三百万戸を超えております。政府は、一九八五年までに解消するという目標を掲げましたが、今でも同じ状況です。ヨーロッパでは公共住宅が二、三割あるというのに、日本では八%しかありません。こういう住宅事情の中で、公団住宅の役割というのは大きい。

 ところが、小泉総理大臣は厚生大臣時代に、住都公団売却でかなりの増税を阻止でき、国債発行を阻止できると衆議院の予算委員会で答弁をしております。その答弁を持ってきておりますけれども、こういう考え方は私はとんでもないことだと思う。公団住宅は、売却するどころか、国が責任を持ってもっと充実させる必要のある分野じゃないか。こうした国民の期待は大きいわけなんですが、この法案と、それから今政府のやっていこうとしていることで、この国民の期待にこたえることができますか。大臣に伺いたいと思います。

石原国務大臣 松本委員にお答えいたします。

 私は、松本委員の質問に割と正面からお答えさせていただいているつもりなんですが、基本的人権については憲法において保障されているわけでございますから、委員がどの点で私の答弁にこだわられるのか、今も理解できないということを冒頭申し上げさせていただきたいと思います。私は、基本的人権は当然守られるべきだという認識を今も持っております。

 そこで、御質問の点でございますが、今回の見直しの主な論点、これも委員既に御承知のことだと思いますが、事業の必要性の意義ですね。すなわち、社会経済情勢の変化により不必要となっていないか、そして、先ほども申しましたけれども、採算性がとれるのか、民間と競合していないのか、民間の市場を奪っていないのか、これが新しい時代に必要な認識だと私は思います。

 都市基盤整備公団が住都公団時代に低廉な住居を提供してきたということは存じておりますが、今民間が同じようなものを供給するようになった時代に、この公団というものが存在する意義があるのかないのか、こんなことも幅広く議論をさせていただきたいと思っております。民間の事業者の側からは、公団の賃貸住宅の平均家賃が五万七千円、これに対しまして民間は六万六千七百円、ここに格差があるために民業を圧迫している、こういう話を聞く機会もあるわけでございますから、民間ができるところは民間に任せていくという原点にのっとってこの特殊法人改革を進めさせていただければと考えております。

松本(善)委員 だから問題なのですよ。大臣は、基本的人権は憲法に保障されているから十分考えていると言われるけれども、この効率性と、それから民間がもうけ本位だけでやっていった場合には、日本の住宅問題はなくなるわけですよ。住宅政策の放棄になるのです。だから、この問題についての基準がないじゃないかと。それでこの特殊法人改革をやっていけば、小泉さんが厚生大臣のときに言ったように、住都公団は売却するのだ、なくしていくのだ、こういうことになるのです。そうすると住宅政策放棄になるのですよ。その点、どうも大臣は私の指摘が十分理解されていないのじゃないか。

 もう一つ例を挙げましょう。日本育英会について。

 育英会は、教育の機会均等に寄与することをその目的に掲げております。論点整理と一体になっている特殊法人等の事業類型一覧、これによりますと、日本育英会は、政策金融と施設設備所有の項のその他提供管理というところ、それから情報収集というところに分類が載っております。

 そういう事業類型という表面的な分け方自身に問題があって、その問題になっております政策金融の論点は十項目挙げていますけれども、民間金融機関との競合、コスト、民業圧迫、民間並み自己査定等々、こういう民間との関係を論点に挙げているわけです。そこには、学生や国民の教育の機会均等から見て、奨学金の役割などの国民の視点からの現状分析は全くない。そういう観点は全くない。学生やその家族がその考え方の中にないのですね。

 問題は、国民が必要な事業が切り捨てられるスリム化なのか、それとも、政策金融だけれども、そういう金融という観点からだけの、いわば大銀行のためのスリム化なのかということが問われているわけです。これは、教育の問題がやはり完全にすっぽ抜けておる。それでいいのかということを聞いているのですよ。そういう基準で論点整理をやり、特殊法人の問題に対処するということで、一体国民に対して責任を負えるのかという問題を聞いているのですよ。

石原国務大臣 松本委員にお答えいたします。

 今の松本委員の御指摘を聞いておりまして、大分問題点がクリアになってまいりました。と申しますのは、私のお答えと松本委員の質問がなぜかみ合わないのかなということを考えておりましたが、松本委員は、論点整理における私どもの指摘に対して、論点整理が間違っている、そういうふうにおっしゃられているわけでございますので、私どもの考えと意見がそぐわないのではないかと考えております。

 先ほどの御質問と今度の御質問にお答えをさせていただきたいと思うのですが、賃貸住宅勘定の収支を平成十一年度下半期損益計算書で見ますと、いわゆる収入に当たります管理収入が二千七百三十八億円に対しまして、管理諸経費、一般管理費、支払い利息その他もろもろが四千二百六億円、その間に実に千四百億円程度の差があるわけでございます。この差をいわゆる税金で穴埋めしているというのが賃貸住宅の収支であります。この千四百億円の補給金、国庫補助というものをどのようにとらえるのかという観点が必要であると私は再三再四申し述べさせていただいているわけでございます。

 また、委員御指摘の日本育英会について申しますと、私どもの論点整理の中では、これは政策金融すべてについてでございますが、民間並みの自己査定を行い、貸付資産等のリスク管理を厳格に行っているか、そして民間金融機関が行っている業務と競合していないか、この観点に立って見直しをさせていただきたいと考えているところでございます。

松本(善)委員 少しかみ合ってきましたけれども、私どもの言いますのは、論点整理がやはり不十分だ、間違っているということなのですよ。その論点整理の基準の中に、やはり住宅政策とか教育政策とかそういうもので国民の税金を使っても充実させなければならぬ部分がある、ただ市場原理万能とかそういうような考え方だけで、金融機関や企業の側だけの考え方でこれをやってはだめだということを言っているのですよ。

 さらに、学費の問題で育英会の問題をもうちょっと言いましょう。

 今日の学費は超高額水準であります。大学の初年度納付金は、国立で七十五万円、私立で百二十八万円、家計支出の二割から三割を占めています。一九七〇年から二〇〇〇年度の三十年間の大学授業料高騰は、国立が約四十倍、私立が十倍であります。この間の家計支出が約四倍ということを見れば、狂乱的と言ってもいいぐらいです。この原因は、自律自助、受益者負担を進めてきた行政改革で国立学校特別会計への一般会計繰入率や私立大学等の補助率を引き下げてきた、こういうところにある。こういう超高学費化は、いわば自民党行革がもたらしたものと言ってもいいのじゃないか。これをさらに進める気なのか、それでいいのかということを聞いているのですが、大臣、どう考えていますか。

石原国務大臣 議論がかみ合ってくると考え方の相違が逆の方向で広がっていってしまうのは御容赦願いたいと思うのですが、私どもの今回の特殊法人改革は、冒頭申しましたように、経営責任が不明確である、あるいは非効率に運営されているのじゃないか、組織、業務が自己増殖しているのじゃないか、経営の自律性が損なわれているのじゃないかといったような観点に立ってこの論点整理を見直している中であります。

 そんな中で、日本育英会については、先ほどお話をさせていただきましたように、日本育英会が組織として民間金融機関と競合しているのではないか、民間並みの自己査定を行い、貸付資産等のリスク管理を厳格に行っているか、やはり透明性を高めて、それで健全であるならば事業として残るかもしれませんし、また、一般会計の中で、今御指摘をされましたような奨学金の問題等、他のツールを使いまして助成をしていくということもあるわけでございますので、ともかく、むだを省いて透明性を高めるという観点において今回の改革を断行させていただきたい、こんなふうに考えている次第でございます。

松本(善)委員 効率化をするとか、それからむだを省くとか、透明性を拡大するとかというのはいいですよ。私ども、それは必要なことだと思います。だけれども、政府の基準の中に、先ほどの住宅政策だとか教育政策だとか、そういうものが抜けているわけですよ。だから、総理大臣が厚生大臣のときに言われたように、住都公団を売却したらどうだ、こういう話になる、そこに問題を感じている。

 さらに申しますと、国際的に見ますと、中等高等教育は無償、奨学金は返還不要の給与制が大勢であります。日本の全貸与制というのは極めて国際的に見ればおくれた水準です。高等教育の公的支出の対GDP比を見ましても、OECDの場合は平均一%に対して、日本はその半分の〇・五%です。今少子化が問題になっていますけれども、出産抑制の最大理由は、教育、子育て費用の過重負担なのです。これが、政府機関であります国立社会保障・人口問題研究所の調査でも明らかになっています。小泉内閣はさらに国立大学の独立行政法人化とか民営化を進めようとしていますが、そういうことになりますと、ますます教育の機会均等が奪われ、学費がもっと高くなるということは明らかなのじゃないか。

 私は、この特殊法人改革の問題についてそういう視点がなかったら、これは日本の教育とかそれから日本の国民の学力とかそういうような問題にも重大な影響があることになるのじゃないか、それを効率化とか透明化とかそういうような観点だけで進めてはいかぬのじゃないかということを言っているのですよ。そこの点はどう思うのですか。

石原国務大臣 時代の変化ということも御理解をいただきたい。そんな中でその制度の持つ社会的な意義が薄れているのであるならば見直しを行っていこう、この公的な金融機関並びに二十七の融資を行っている分野について統廃合を行っていくというのが時代の要請であると認識をしております。

松本(善)委員 そうなると、やはりその見直しの基準や特殊法人の改革についての、私どもは積極的だと最初に申しました、しかし、それは基準が大事なんですよ。政府の言っている基準では、今私が指摘しましたように非常に危険なものだ、やはり見直しの基準の中で守らなければならぬものは守るということがきちっとないとこれはだめだと私は思うのですよ。

 次は、天下りの問題でありますが、特殊法人への天下りは、現行法ではいわば自由になっている。その所管する各省庁が天下りで役員や幹部を送り込んで、事実上特殊法人を植民地化したというふうにまで言われています。余りのひどさに政府の閣議決定で役員の比率制限を決めましたけれども、これも十人以上の役員が対象なので、抜け穴だらけであります。この法案には、天下り規制の検討は挙がっておりません。行革大綱では公務員改革の中で触れておりまして、民間企業の場合は大臣の承認にし、特殊法人の場合は役員出向制度の創設と。

 私は、これでは天下りはますますひどくなってくるのじゃないのか。私どもは、天下りは全面禁止という立場から参議院に法案を提出しております。天下りの全面禁止というのを主張しているのは、今や我が党だけではなくて、立場は違いますけれども、政治評論家の屋山太郎氏などもそう言っております。これは産経新聞に載った屋山氏の文で、「天下り全面禁止の時がきた」というのですね。特殊法人も公益法人も業界団体もすべて禁止すべきだ。屋山さんは、役所が民営化やスリム化に反対するのは、その事業が官営にふさわしいかどうかではなくて、天下り先を失いたくないという理由からにすぎない、こうまで言っています。これはいろいろな理屈をつけますけれども、私は的確だと思います。人材が足りなくて官界から補充するというのは高度成長時代だったからで、これは政治家が大号令をかければ解決するんだ、迂遠なようだけれども、これこそが行革と官民癒着解消の決め手になる、屋山さんはそこまで言っています、立場は全く違う人ですけれども。

 しかし、やはり天下り問題の本質とは私はそこだと思います。それをいろいろな理屈をつけて天下りを温存しようというようなことを絶対やってはならない。石原大臣は、若いから、その才能を見込まれてなられたのでしょうから、天下りについては全面禁止をする、大号令をかけると小泉さんにも言って、これはとにかく全面禁止だというぐらいの構えでやる考えはありませんか。

石原国務大臣 先ほど来松本委員との議論を通観しておりまして、今、産経新聞の屋山太郎さんの「正論」をとられて松本委員が意見を述べられる、世の中変わったなと、何かがつんと頭を打たれたような気がして一つちょっと思い当たったのですが、先ほどの特殊法人を使っての教育水準の維持ということが本当に必要なのか、私は非常に疑問に思います。特殊法人ではない主体が教育の均等、そして奨学金が欲しい方への奨学金等を十分やれるほどこの国が成熟してきたわけですから、やはり特殊法人が行っているそのような融資業務というものは、私はこの際見直していくべきであるということを、今がつんと頭を打たれたので感じました。

 それともう一つ、今は天下り全面禁止についての意見の御開陳があったわけでございますけれども、私どもといたしましても、特殊法人については、再三再四出ております昨年十二月に閣議決定された行革大綱にのっとりまして、新たな時代にふさわしい組織の転換、その観点から、これももう再三再四この委員会でも申し述べさせていただいておりますが、その業務の廃止、整理縮小・合理化、民間、国その他の運営主体への移管等の改革を進めている最中でございます。

 そんな中で、特殊法人等への公務員の再就職、天下りという問題についても、国民の皆さん方が、また御同僚の議員が強い関心を持っているということは十分認識しております。特殊法人等が中央省庁からの再就職の安易な受け皿とならないようにということは委員と私の気持ちは一だと思いますし、行政改革大綱に従いましてその適正化について、これまでも閣議で累次の閣議決定をさせていただいておりまして、これを遵守するとともに、今後、特殊法人の法人自体の改革、先ほど松本委員は育英会等の特殊法人はそのまま残せというような御意見でございましたけれども、特殊法人自体の改革の検討とあわせて検討を進めていきたいと考えております。

松本(善)委員 「正論」を引用したというので御意見がありましたけれども、だれが言おうと正論は正論ということで私どもはやっております。

 問題は、育英会を残せとかそういう議論じゃないのですよ。全体の基準が、特殊法人改革の基準について、例えば論点整理の基準が経営の観点からだけだ、それではだめなんじゃないかと言っているのですよ。教育政策とか住宅政策とか、国民が必要なものはちゃんと残すんだということは見えないのですよ、この論点整理の中に。そこのところがないから、これではだめだ、こういうことになるのです。

 きょうは時間がありませんから、これ以上の議論はできませんけれども、根本問題はそこにあるのですということを申し上げて、私の質問を終わろうと思います。

横路委員長 北川れん子さん。

北川委員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。よろしくお願いします。

 まず初めに、情報公開法、ことしの三月十六日に内閣に提出されておる独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案との絡みでお伺いをいたしたいと思っています。

 核燃料サイクル開発機構、旧動燃でありますが、九五年の「もんじゅ」のナトリウム火災事故によるビデオ隠しや再処理工場事故の虚偽報告の反省から、九八年、意識改革を掲げて改組され、機構の名前も変えられていったわけです。にもかかわらず、ことしになりまして新聞紙上に大きく出ました。四月三日、七日、そして五月十一日と、いずれも朝日新聞紙上で核燃機構の不透明な予算の部分が報道されています。

 同法人は、四月十八日に調査結果報告書、また追って五月十六日には予算の執行等に関する調査結果について、それぞれ発表しておりますが、大枠においては「「二重帳簿」、「裏金の捻出」、「給与の水増し」はありません」としながらも、その一方で「一部手続きの不備や不適切な予算執行管理等業務運営面で厳しく反省しなければならない点がいくつかありました。」と述べています。

 こうした問題はどうして起こってきたのか、今どういうふうに考えていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。

今村政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のございましたように、今回の一連の報道を踏まえまして、私ども文部科学省といたしましても実態の調査をいたしました。その結果、全体として不正につながるような事柄はなかったものの、予算の執行、管理において不適正の部分があったことは事実でございます。

 こうした事柄は、やはりサイクル機構の管理部門の全体の弱さというものがございまして、管理の徹底を私どもとしては求めていきたいというふうに考えております。私どもといたしましては、サイクル機構が講ずべき措置を指示いたしたところでございまして、今後、サイクル機構が適切な業務運営となるよう、特に管理面、ダブルチェック体制、外部の管理機構の導入といった事柄で適切な業務運営ができるように改善をしていきたい、このように考えております。

北川委員 特殊法人の腐敗は政府の腐敗という意見もあったり、政官業の癒着の問題が先ほどどの委員からも出ていたと思うのですが、核燃機構の予算というのは、全額、国の予算から出ていると考えてよろしいのでしょうか。

今村政府参考人 核燃機構の研究開発予算の大宗は国の予算でございますが、核燃機構は事業を行っております。例えば、東海再処理工場を運営いたしておりまして、再処理の受託をいたしております。それに伴う収入がございます。また、「ふげん」という新型転換炉がございますが、これは発電能力を持っておりまして、実際に発電をいたしております。その売電収入もございます。これら全体を合わせて核燃サイクル機構の事業予算の一部を形成いたしております。

北川委員 その部分というのは全体から見たらとても微たるものであります。例えば「もんじゅ」でも、事故後、とまっても毎年百億円かかって、再開に向けて、きのう安全審査という話も出ましたが、三百億円から五百億円以上つぎ込まないと再開はできない等々、こういう予算が無造作に使われていくことの根本的な原因の中に、情報公開を今までしてこなかったというところに問題点があるのではないか。ダブルチェックと言われるが、国会も機能を果たすことができないまま来たわけですが、競争相手を持たない組織という面もあるわけです。

 特殊法人改革には情報公開が何よりも必要であって、それなくしては特殊法人改革はないと断言できるのですが、先ほど言いましたこの法案がまだ審議にはかかっていません。いないところで、この基本法案の方を議員提案で先に出された意義はどこに見出せばよいのでしょうか。

若松議員 ただいま北川委員から御指摘のございました独立行政法人等情報公開法案でしょうか、これは、昨年十二月一日の行革大綱にも、この通常国会に提出して成案を得る、こういう理解でありまして、私どもは、この特殊法人等改革基本法、きょう審議をしていただいているわけですが、あわせてこの情報公開法案の成立もぜひとも早くしていただきたい、そういう気持ちであります。ですから、委員御指摘のように、私どもはぜひともこれは一体として取り組んでまいりたい、そのように希望している次第でございます。

北川委員 そうしますと、一体と言うのですが、六月二十九日で閉会を迎えるという期限がありながら、これがいつ一体になるのかなというのが問題点になると思うのです。

 この情報公開制度が審議されてくる中で、この法案に行くまでの間の過程を、中間報告等々眺めさせていただきますと、例えば、ここはいろいろなことを制限してあるわけですね。すべてを見せるわけではないわけです。特殊会社も対象から外していますし、特殊法人とか認可法人を設立するかわりに多くの政府関連法人を株式会社形態にすれば、この情報公開制度の網からは漏れるという懸念を、市民団体側は当初から提案しているわけですね。

 こちら側の今審議しておりますこの基本法案で、一年をめどに、それぞれ民営化したり、統廃合したりとか、縮小したりとか、株式会社にしたりとか、いろいろありますね。となりますが、特殊法人、認可法人でないというふうになってしまった場合には、この情報公開制度の網はかけられないで終わるのかどうか。

 審議の過程でもう六月八日が採決ですから、こちらの基本法案の方が早いわけですね。そこら辺の日時の一体化について、今この段階の時点で、この法案の関係資料の中に盛り込まれている特殊法人、認可法人が、名前が個々出されていますが、これはこの基本法案の行方がどうなろうとも情報公開制度の網をかぶるというふうに見てよろしいのでしょうか。その点いかがですか。

井上(喜)議員 情報公開法の法律の体系とこの基本法案というのは一応別にありまして、したがって、今お尋ねの情報公開法の公開対象の団体になるのかどうかは、情報公開法の体系の中、審議の中で明らかにしていくべきじゃないかと思うのですね。通常でありましたら、私はそういうぐあいになるんじゃないかと思うのです。

 これは、特に情報公開をするということでこの基本法案をくくっているわけじゃありませんので、特殊法人につきましての長い歴史の中で、この際、抜本的にこれまでと違った角度で見直そうというのがこの法律でありまして、お尋ねの点からの御質問というのは情報公開法の中で議論を深めていただきたい、こんなふうに思います。

北川委員 ですから、先ほどの御答弁の中で一体化をして見ていきたいというふうにおっしゃったので、私は確信が持てるのかなと思ったのと、特殊法人や認可法人の政官業の癒着の問題は、もともと情報公開制度という概念を当初から、設立の五十年前なら五十年前、三十年前なら三十年前に持ち込んで、ダブルチェックが市民にもわかるようにしていらっしゃれば、利権や金権の窓口になるというような配分とか、ファミリー会社、子会社の問題等々までに行き渡らなかったのではないかと思うのです。

 その点は、今の基本法の考え方からすると、情報公開の問題というのは外していらっしゃるというふうに見てよろしいのでしょうか。

若松議員 まず、情報公開法と特殊法人改革基本法、先ほど井上議員からも御説明がありましたが、御存じのように、特殊法人改革基本法は、この内閣委員会で審議をいただいております。情報公開法の方は総務委員会で行われておりまして、これは閣法でございます。それぞれ法律が出た経緯も違いますし、その所管の委員会も違います。ただ、非常に関係がありますので、私の先ほどの一体というのは、当然、関係があるからこそ同時に成立すれば望ましい、そういう観点からの説明でございます。

 それはぜひ御理解いただきたいのと、あわせて、特に、例えばNTTとかJRとか、そういった特殊会社については情報公開から漏れるというような御指摘がございましたが、反対に、そういった特殊会社というのはほとんど公開会社でありまして、いわゆる証券取引法に基づく有価証券報告書という、かなり詳細なディスクロージャーがなされております。そういった観点から、何かこの法律ができることによって情報公開から漏れる、そういう御理解は私は適切ではないのではないか、そう理解しております。

北川委員 適切ではなくても省かれるということで、普通の特殊法人の中でも、省いて情報公開制度の対象には入っていない特殊法人や認可法人がかなりあるということを理解していらっしゃると思うのですけれども。

 ですから、私が端的に言いたいのは、基本法として出されたのですけれども、先ほど数々の御提案、御意見とかがある中にも出ていましたが、基本法案に足るような法案ではないのではないかという意見も端々に聞こえてまいりました。まずは、情報公開制度という形で積み上げられた法案の方の審議をしてから情報公開を行き渡らせるということ自身が大事である。

 それで、私は、やたらに不安を増殖するような、働いている人、プロパーの方たち、また住都公団の皆さんであれば住まわれている二百万人の住民の方々、そういう方々への不安の解消には、どちらかといえば、情報公開をきっちりしていく中で、どこに、だれに責任があったのかという問題を突き詰めるということが先ではないか。基本法案という出し方自身に不信感を抱くものの一つに、そこら辺の網かけを、ざるの中の、逆に言えば情報公開にかからないようにするということの提案の一里塚になるのではないかというところがあるんですが、いかがなんでしょうか。

若松議員 何といっても、この特殊法人改革基本法の立法の趣旨というか動機は、当然、さまざまなむだ遣いとか天下りの問題とか、かつ巨額の財政赤字、こういったところから、これは早急にしなければいけない。あわせて、それぞれの特殊法人、認可法人等の業務内容等もやはり情報公開されなくちゃいけない。やはり、改革の対象は同じでありますが、それぞれ情報公開と、いわゆる経営体としての中身または組織形態としての見直し、これもともに必要だと思っております。

 ですから、どちらが先かというよりも、やはり一緒に審議されて、かつ、早急にともに成立した方がいいと考えておりまして、どちらがいいか悪いかという議論ではないと思っております。

北川委員 そうしましたら、しつこいようですが、この法案の中に示してあります特殊法人、認可法人の個々の情報公開は、この基本法案でどういうふうに一年後なるかわかりませんけれども、きっちりと情報公開をしていただけるという御回答の一部にさせていただきますので、よろしくお願いします。

 それから、六月四日にはジェー・シー・オーの事故の問題で裁判が行われていますが、その中で一つ、松永技師長が、科技庁の当時の担当者は旧動燃からの出向者で、事情に詳しかった、現場を二回も視察しており、八四年の加工業者としての認可を受けるときのことですが、一バッチが現実にそぐわないとわかる人だったと。動燃と科技庁、だから特殊法人と監督官庁との関係性を暗に示していらっしゃる話を裁判の中で発言されていらっしゃるわけですね。こういうふうに、人事の問題での不透明、これが九九年のジェー・シー・オーの事故の遠因になったとも考えられるということを、この松永技師長は六月四日の裁判で証言されたということが大きく各新聞に報道されているわけですね。

 特殊法人の一番の問題は、先ほどからも出ておりましたが、予算と人事を天下りの方々が握っていて、本雇い、プロパー雇いの方々が切磋琢磨できない、意見が言えない、二年で帰っていく天下りの方々の姿を見ていてやるせない等々のやる気のない中での押しつけ、あるときは新聞で大きく、むだだ、むだだとたたかれる、そういう状況があると思うんです。

 特殊法人に勤めるプロパーの方は、一九九八年現在では四十八万八千人等いらっしゃって、役員が八百人等。役員の方を度外視しても、このプロパー雇用の方々の問題についてこの基本法案のどこにも触れられていないんですが、その点はどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。

井上(喜)議員 この基本法は、整理合理化計画をつくりまして、それに基づいて整理合理化を進めていく、こういうことになっているわけであります。今のプロパー職員といいますか、雇用というんですか、こういうことにももちろん中身としては関係してくるわけですね。見直した結果、組織を変えていかないといけないとか、あるいは事業規模を縮小していかないといけないとか、そういう問題が出てまいりますから、そういう場合に、雇用についてどのような配慮をするのかというようなことですね。

 当然のこととしてこれは考慮をしていくべきことでありまして、そういう整理合理化の対象になりました法人が、雇用の安定といいますか、身分の安定といいますか、そういうことについてそれぞれ努力していくと思うんですね。例えば、雇用の規模が縮小するような場合は、雇用をあっせんしていくようなことは当然やっていくべきことだろう、こんなふうに思います。

北川委員 それが法文に書いてないところにどこに確信を持てばいいかということで、心配だから、この基本法のどこに入っているのかというのをお伺いしたわけです。

 特殊法人労連の方々のアンケートでは、天下り役員はもう全く役に立たないというパーセンテージが四〇%という形で出していらっしゃるわけですよ。推進本部の中にも外部者というのが入らない。当事者だけで推進本部をつくっていって四つの段階を区分けをされるというところに、私などは、当事者で区分けをするということが基本法案に盛られているのですが、そうしましたら、関係者同士の内輪の話にしかならないのではないかというところが一番心配なわけです。

 ですから、先ほどの答弁の中には入っていなかった、基本法案にはないけれども、プロパーの方々の雇用の問題についてはどこで担保するのかというのをまたもう一度お伺いしたいのと、それから、推進本部の中に外部者ですね、例えば第三者機関なり公募なりいろいろな形で、今は住民参加なり市民参加、ダブルチェックでそこも推進本部にチェック機能を持たせなければいけないというふうに思うんですが、いかがでいらっしゃいますでしょうか。

井上(喜)議員 整理合理化計画を作成します場合は、もちろん法律の建前としては推進本部が作成することになっておりますけれども、その中には各省大臣が本部員として入っておりますので、各省ともそれぞれの関係の特殊法人とは十分な意見交換をすると思うんですね。そういう話し合いをまとめて全体の計画がつくられていく、こんなふうに思います。

 したがいまして、今、民間人との話といいますか、民間人の意見の反映というような点につきましても、それは、そういう必要があれば随時行われていくものと考えておりますし、また、雇用の問題なんかも、恐らくそういう特殊法人の具体の扱いになってまいりますと、私は、話として当然出てくる問題だろう、こんなふうに思います。

北川委員 そうしましたら、推進本部の人事構成については考慮の余地がある、世論とか意見等々が出されれば考えていくというふうに押さえさせていただいてよろしいでしょうか。

井上(喜)議員 これは、総理大臣を本部長といたしまして、副本部長、本部員で構成されておりますけれども、それは各省大臣でもって構成しますから、本部員そのものが民間人で構成されるということはございません。

北川委員 何も全員がと言っているわけではなくて、その中の情報公開のありようと、そしてその人事の中に第三者機関を含むということは当たり前ではないかということをお話ししているんですが。

井上(喜)議員 計画を作成する過程で関係の方の御意見を伺うということは当然あると思うのでありますけれども、中の本部の組織そのものに民間人を入れていくということは、私どもとしては考えておりません。

北川委員 そうしましたら、考えていないということは、世論をもう少し高めなければいけないなというふうに私も思いました。

 次に、住宅・都市整備公団の居住者の方々の不安というのがいろいろな形であると思うんです。これが、四つそれぞれ、なかなかこれは難しい団体だなという、公団自身の存在を、独立行政法人にはふさわしくないと決められているというところではあるわけですし、ですから、居住者の方が、逆に言えば不安になっているということがあるんです。

 一九九九年の五月十四日の衆議院建設委員会での附帯決議、それからまた、一九九九年六月八日の参議院の国土・環境委員会の附帯決議と、それぞれ整備公団に変わるときに附帯決議がなされているんですが、この決議の遵守という、そこら辺は、この基本法案の中、細かく言うことはできないかもわからないんですが、この附帯決議というのはこの基本法案とは乖離しないというか、遵守していただけるというふうに見てよろしいのでしょうか。

若松議員 ただいま委員の方から、都市基盤整備公団の具体的なお話がございました。

 まず、この法案の性格ですけれども、当然、各特殊法人等の事業及び組織形態についてどのような措置が講じられるかというのは、この法案にあります特殊法人等改革推進本部、これが各特殊法人等について見直しを進める、こういう段取りになっておりまして、その結果、一年以内に特殊法人等整理合理化計画を策定する、こういう段取りになっておりますので、現段階においてこの特定の都市基盤整備公団、これについて確たる答えは実は持ち合わせていないのが実情でありまして、それがまたこの法案の性格でもあろうかと考えております。

 しかし、この法案が成立後は、当然この法案に従って、すべての特殊法人全般にわたって、与党としても、行政側が不適切な行動をやっておれば強力に申し入れも行うでしょうし、先ほどの附帯決議等も、これは国会決議でありますので、私どもは政府がしっかりとそういった決議を今後作業の中で反映すると理解しております。私個人としても上尾に住んでおりまして、公団に住んでいる方が大変多い地域でもございます。特に居住者側の代表者、協議会の方ともお話をさせていただく機会もいただきまして、そのときにも居住者側から、やはり居住者側も実は納税者であります。ですから、特殊法人のむだ遣いは許されない、そういう強い信念をお持ちの協議会のメンバーもおられまして、はっきりと都市基盤整備公団は民営化した方がいいという御意見の方もいらっしゃいました。

 そういった意見はあるにしても、いずれにしても、さまざまな御意見の居住者があるわけですから、先ほどの附帯決議はしっかりと行政としても反映していただきたい、そう念願しております。

北川委員 二〇〇一年の二月二十三日の公明新聞というのがあるのですが、そこに例えば、独立行政法人になることはないわけですから廃止か統合か民営化というふうになるのですが、「民営化されれば「家賃が上がる」などと、“ウソの三段論法”で不安を助長させている」、そういう何かチラシがまかれたということを冬柴幹事長がおっしゃっていて、それを何か内閣官房特殊法人等改革推進室の松田隆利室長と語っている対談の部分があるのですけれども、例えばこれは、では、うその三段論法だということですから、民営化されれば家賃が上がるということはないと与党の当事者がおっしゃっているので、そうなんですかね。

若松議員 先ほどまで冬柴幹事長がこちらにおりましたけれども、こちら側で答弁する手続がありませんので、私がその幹事長の言葉についてそのとおりですとかという、また、これは委員会の審議ですから、党の幹部の主張とまた違うかと思います。

 いずれにいたしましても、やはり居住者の不安を解消するのは政治家として当然のことでありますし、その思いが恐らく幹事長として家賃の値上げにはつなげないように頑張ると。また、民営化になるかどうかはこれから審議するわけですけれども、いずれにしても、この都市基盤整備公団が経営の効率化が行われることによって、また貴重な家賃がさらに効果的に使われる、こういったメリットも恐らく考慮されて幹事長は発言されたのではないかと解釈いたします。

北川委員 何か最後の、上がるというようなことも、理解してくださいねということを言って……(発言する者あり)いやいや、そういうふうにやはり聞こえますよね。だから、どこに責任があるのか。もともとその定義もあいまい、官なのか民なのか、働いている人自身も余りわからない。けれども、安定した職場として求めた方が多かった。入居者の方たちも、公だから、安定的に、最終的にこの都市で住もうと決めた場合には公団の方が有利だといった場合、なぜこの基本法案まで出して特殊法人や認可法人の統廃合を進めなければいけなくなったかという責任がどこにあるのか。

 その責任がいかにも、先ほどの御答弁だったら何か納税者の方にあるような、だれに責任があるかということの明確さが、各委員からいろいろな追及の形で出ていたのですけれども、皆さん、のらりくらりとかわしていらっしゃった。そこが一番不安なんですね。だれに責任があるのですか、基本法案まで出さなければいけない。

若松議員 二点あると思うのですけれども、まず、自社さ政権のときに、当時九十近くあった特殊法人が、いわゆる統廃合によりまして現在の七十七になった事実は確かだと思います。しかし、それは、厳しい見方をすれば看板のかけかえという批判も否定できないわけですね。それよりも、この七十七すべてに対してどうするのか、こういう根本的な疑問に対しては、その閣議決定の積み上げは答えになっていないわけです。

 ですから、私どもは政治的な判断で、いわゆる特殊法人という形態を、基本的にはサンセット方式でなくしていこう、こういう基本法、法律をつくって、かつ平成十八年の三月までに必要な作業を行う、こういういわゆる退路を断つやり方をしているわけであります。これにつきまして、この四、五年なり特殊法人、認可法人の改革の作業が行われるわけですけれども、そこで当然、ではだれが責任を負うかというと、やはり政治家でございます。私たちの判断が正しければ有権者に支持いただけるでしょうし、私たちのこの法案が大変な混乱を起こせば、当然私たちは審判が下されるわけです。ですから、責任というのは最終的には政治家がとるわけでありますから、それは明確ではないでしょうか。

 以上です。

北川委員 いや、私が言っているのは、基本法案の責任ではなくて、出した後の責任ではなくて、なぜ基本法案まで出さなければいけないほど、特殊法人や認可法人というものに対して信頼感――もともと、ある時期必要だったから、社員も募集してやった。けれども、一定程度の任務を終えたら廃止していくということの明確さが労使にもちゃんとあったりとか、かかわる市民や影響を及ぼすところ、例えば認可法人の中に日本赤十字社とかが入っているわけですね。それで、なぜか、新聞で大きくたたかれるところと市民生活に細かく分け入っているところ等々の問題の部分の整理もできていなくて、そして、なぜここまでしなければ特殊法人や認可法人をきれいに廃止していったりスムーズに時代の流れにできなかったのかというのは、もちろん政治家の責任ということですね。

 基本法案を出した後の責任ではなくて、なぜここまで特殊法人や認可法人を野放しにして政官業の癒着の問題等々に踏み込むことができなかったのかという問題は、政治家の責任であるというふうに今言われたと解釈していいわけですか。

若松議員 まず、要は、この五時間にわたる審議は、この法案の必要性というところにかなり議論が費やされたと思っております。それで、当然、提案者は与党でありますので私どもが答弁させていただきましたが、いずれにいたしましても、昭和三十八年から始まった特殊法人の改革の積み上げというのが、結果的には現在の特殊法人がさまざまな国民の批判の対象になっている。

 では、今委員がさまざまな、また違った面での問題点を指摘されておりますが、それをも含めた改革案は何なのか。こういうふうに長年の議論を重ねた結果、私どもはやはり、そういう批判の多い特殊法人、認可法人という形態はなくしてしまおう。サンセット方式、これが一番わかりやすい回答ではないかと思います。そういう趣旨をもちましてこの法案をつくった次第でございます。

北川委員 それはとても危険だと思いますね。なくしてしまってすべてが終わるということではなくて、そこに物があるわけですし、現実に必要だから今あるという問題の部分があって、与党の方々の責任を踏まえた上で基本法案を出したというふうに見てよろしいのでしょうか。

若松議員 ですから、まず責任問題につきましては、法案を出した責任を議論しても余り価値ある答えは出ないと思いますので、いずれにしても選挙で審判が下されるわけです。

 大事なのは、あくまでも、この法律ができることによって四十数万人の方が一挙に失業になるとか、何かそんなイメージの御理解をされているので、そうではなくて、不必要なものは、廃止とか整理縮小・合理化、または他の実施主体への移管、いわゆる独立行政法人に行く。また、独立行政法人というのは定期的な見直しがあるわけです。従来の特殊法人というのは、一度設立したら、いわゆる解散規定がなかったわけなのですね。ところが、独立行政法人というのは継続的に見直し規定があります。こちらの方がいわゆる改革の手が入りやすい仕組みになっております。

 ですから、そういった意味で、国民のむだをなくす行政という期待にこたえるには、やはり今回の基本法という形がベストではないか、そういう理解をしております。

北川委員 先ほどもちょっと出してくださったのですが、自社さの時代にも、この改革に取り組もうということでいろいろなプロジェクトが組まれて提案が出されてきましたが、自社さで取り組んだ特殊法人の整理合理化についてはどういうふうな評価をされているのでしょうか。

若松議員 私どもは、その自社さ政権での、特に先ほど言いました、正確には忘れましたが、九十近くの特殊法人が七十七まで整理合理化されたというところは評価いたします。しかし、自社さ政権の改革はそこまでではなかったかと理解しております。国民の本当の期待というのはそれではないと思います。それは、単純に看板のかけかえだけではないかという国民の多くの批判というのは適切な批判ではないかと思っております。

 ですから、そういった観点から、本当に国民の批判にこたえるには、先ほども何度もお答えしておりますが、この批判の多い特殊法人という形態、そしてその事業の中身、それ自体をやはり踏み込んで改革していくしかないのではないか、そういった観点からこの改革基本法を提出した次第でございます。

北川委員 時間が来てしまったのですが、政治家の介在がいろいろと取りざたされているというところも含めて、自自公、自公保政権のときに、では、何ができたのかということをもう一度考えていただいて、与党の責任ということをまた明確にした形で基本法案の提案を再度明確にしていただきたいということをお伝えして、質問を終わります。

横路委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会




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