衆議院

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第3号 平成13年11月28日(水曜日)

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平成十三年十一月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大畠 章宏君

   理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君

   理事 西川 公也君 理事 石毛えい子君

   理事 中沢 健次君 理事 河合 正智君

   理事 工藤堅太郎君

      伊藤信太郎君    岩崎 忠夫君

      亀井 久興君    川崎 二郎君

      佐田玄一郎君    佐藤 剛男君

      阪上 善秀君    実川 幸夫君

      竹本 直一君    近岡理一郎君

      三ッ林隆志君    渡辺 博道君

      枝野 幸男君    岡田 克也君

      金子善次郎君    細野 豪志君

      松沢 成文君    山花 郁夫君

      太田 昭宏君    松本 善明君

      北川れん子君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村井  仁君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君

   国務大臣

   (科学技術政策担当大臣) 尾身 幸次君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   内閣府副大臣       仲村 正治君

   内閣府大臣政務官     阪上 善秀君

   内閣府大臣政務官     渡辺 博道君

   政府参考人

   (人事官)        小澤 治文君

   政府参考人

   (人事院事務総局総務局長

   )            平山 英三君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会

   事務局長)        木阪 崇司君

   政府参考人

   (警察庁長官官房国際部長

   )            村上 徳光君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    漆間  巌君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 田村 政志君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力

   安全・保安院長)     佐々木宜彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力

   安全・保安院原子力防災課

   長)           山下 弘二君

   内閣委員会専門員     新倉 紀一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  渡辺 具能君     佐藤 剛男君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  井上 和雄君     金子善次郎君

  日野 市朗君     山花 郁夫君

同日

 辞任         補欠選任

  金子善次郎君     井上 和雄君

  山花 郁夫君     日野 市朗君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法の一部を改正する法律案起草の件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件




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     ――――◇―――――

大畠委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として人事官小澤治文君、人事院事務総局総務局長平山英三君、内閣府原子力安全委員会事務局長木阪崇司君、警察庁長官官房国際部長村上徳光君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、警察庁警備局長漆間巌君、総務省大臣官房審議官田村政志君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院原子力防災課長山下弘二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大畠委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。

細野委員 竹中大臣、おはようございます。民主党の細野豪志でございます。

 昨日になりまして、塩川財務大臣及び福田官房長官の方から、閣僚の株取引の解禁をしてはどうかという発言が出てまいりました。実はこれは通告はしておりませんけれども、ことしの一月にでき上がりました、閣僚に関しては基本的に在任期間中は株取引を禁ずるという規定を、今になって変えるという話が、私の印象としては突如出てきたようなイメージを持っております。

 竹中大臣自身は、マクドナルドの株を千五百株ですか、お持ちであるというような報道もございまして、経済学者でいらっしゃいますので、当然株取引は過去やってこられた経緯が恐らくおありなんだろうというふうに思っております。この提案に対して、当然これは塩川大臣は閣議で提案をしたいというふうにおっしゃっているんですが、現段階での竹中大臣の基本的なお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 塩川大臣が閣議でそれを提案されるかどうかというのはちょっと私はお聞きしておりませんけれども、議論としましては、今株式市場が低迷している、できるだけ多くの個人株主にこの市場に参入してほしいというふうに、これはマクロ経済の立場から当然考えるわけであります。

 ところが、閣僚の株式の取引は御承知のようにルールで禁止されております。本来でありましたらインサイダー取引というのは厳に禁止されるべきであって、閣僚、まあ政治家もそうだと思いますが、比較的いろいろな情報が入ってくる立場にある人はこれを慎んだ方がよいのではないだろうかというのがこの取り決めの趣旨であったというふうに理解をしています。しかし、考え方としては原則自由であって、立場にかかわりなく、インサイダー取引をきちっと取り締まる、そういうルールのもとでもう少し自由にしてもよいのではないか。現実問題として、これは閣僚だけではなくて、官僚の上の方の方々もこれに準じて自粛をしているというのが現状だと思いますので、そこからこういう議論が出てきているというふうに承知をしております。

 これは大変微妙なところだと思います。インサイダー取引禁止のルールをきちっとつくれるかどうかということがその前提になりますので、これは少し時間をかけて議論する必要がある問題だと思っております。

細野委員 私も、株取引自体はこれは経済の潤滑油でございまして、できるだけ効率的なところにお金が流れていく流れはぜひつくっていきたいというふうに思っております。私も前職はエコノミストの端くれでございましたので、自分で予測をしたら責任ぐらい持とうというので、為替をやったり株をやったりしておりました。その金は全部選挙で吹っ飛びまして、今は株を買う余裕は全く個人的にはないわけですけれども、一般人が株を取引することは、どんどんむしろ税制の優遇措置なども含めて奨励していくべきだというふうに思っています。ただ、閣僚の株取引に関しては、果たして今これを解禁できるのかどうか、私は大きな疑問を持っております。

 先ほど竹中大臣もおっしゃいましたとおり、そもそも、特に経済閣僚の皆さんは、みずから経済の政策をつくられるわけですね。その過程で、経済にどういう影響があるか、どういう企業に影響があるか、それも当然見えてくる。その中で御自身が実際の株取引をされていて、公正な経済政策をおつくりになることができるのかどうかという点が一点。

 もう一つは、塩川大臣がこうおっしゃっているんです。政治家が株を取引しないことで株のイメージは下がっている、閣僚に株の取引を禁止することは株のイメージを下げるんだということをおっしゃって、それを変えたいんだとおっしゃっているんですが、現実は違うんですね。リクルート事件なんかにも代表されますけれども、政治家が要するにインサイダー取引なり未公開株なり不明朗な株の取引をするから、政治家が株取引をするから株のイメージが下がったんであって、これは全く逆の議論だと思うんですよ。

 今、国民感情からして、閣僚が株取引する、開始するということは、今の経済状況などを勘案しても、過去の経緯を見ても、明らかにこれは拙速もしくは間違った方向だろうと私は考えるんですが、私の所見に対して竹中大臣はどういうお考えをお持ちでしょうか。

竹中国務大臣 繰り返し申し上げますが、ちょっと塩川大臣のその御発言を私は存じ上げておりませんので一般論ということになりますけれども、閣僚が経済政策に携わっているというのは、これは事実だと思います。しかし、その決定にどれほど力を持っているかどうかというのは、これはケース・バイ・ケースで、実際の議会での決定権をお持ちの先生方の方がお力をお持ちになる場合も当然のことながらあるんだと思います。世の中、とにかくどこかで線引きをしなければいけないということなんだと思うんですね。その線引きをどこでするかというのは、最後は決めの問題になってくる点が確かにあろうかと思います。

 ただ、いずれにしても、先ほども申し上げましたように、多くの人に、個人投資家に入っていただくに当たって、何か株というのは非常に、言葉はちょっと適切じゃないかもしれませんが、何か暗い面を常に持っている。確かに株で不正な取引を得た人がたくさんいたということは事実だと思いますので、そのイメージを引きずって、何か余り普通の人が手を出してはいけないものというようなイメージがどうもあるのではないか。それを払拭するために、閣僚も含めてもう少し株式に対する社会的な見方を変えようではないかというのがこの議論の発端であるというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたように、これは委員まさに御指摘になったように、閣僚のそういった意味でのインサイダー取引を本当に取り締まれるのかという大変難しい技術上の問題もありましょうから、この点は慎重にじっくりと議論する必要があるとは思っております。

細野委員 株取引のダーティーなイメージがもしあるとすれば、それを公正な市場をつくることによって払拭したいというのは、竹中大臣と私、全く見解は同じでございますが、それを閣僚が株取引をすることによって実現できるとは思いませんので、慎重に検討していただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。

 次に、私が通告をいたしましたメーンの質問でございます竹中大臣の住民税をめぐる問題につきまして、十三日に予算委員会で上田清司議員がもう既に聞いておられますので、引き続きもう少し詳しく聞かせていただきたいと思います。

 私自身が感じております問題というのは、そもそも経済閣僚でいらっしゃる竹中大臣が脱税疑惑をかけられていること自体、非常に問題があるということを感じるからでございます。

 一年前、森総理大臣がゴルフ会員権の、あれは借りたんだとか、譲渡じゃないのかという脱税疑惑というのがございました。これは野党サイドとしては追及はしたんですが、結局余りはっきりしないままやみに葬り去られたというイメージがございます。ちょうどあの時期は確定申告の時期でございまして、私、伊豆半島が選挙区なものですから、物すごく景気が悪い、その中で確定申告をする方が、国の代表があんなことをしていて我々はもうばかばかしいという発言を非常に数多く受けました。

 竹中大臣にはぜひ、年末に差しかかるこの時期にこの疑惑を晴らしていただく決意を持っていただきたいと思うんですが、まずこの点、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 週刊誌にそういう記事が出たというのは承知しております。しかし、今委員、疑惑というふうにおっしゃいましたけれども、本当にそんな疑惑はあるんでしょうか。これは、私自身が税金はきちっと納めなきゃいけないというふうに思ってずっとやってきたものを、週刊誌が一つそう書いたことをもって疑惑というふうに言われると、私も大変困るわけであります。

 疑惑を思わせるような記事の書き方を当然向こうはプロフェッショナルですからするわけですが、書き過ぎると私が名誉毀損で訴えることになりますから、名誉毀損を逃れるための非常に巧みな書き方をしている週刊誌の記事、これは恐らく委員の先生方も一度や二度そういう目に皆さん遭っておられるんだと思いますけれども、私自身はそういう疑惑があるとは思っておりませんが、私自身、何ら恥じることはない行動をとってきたと思っておりますので、これは私のプライバシーの問題は別としまして、答えられる範囲では何でもお答えするつもりでおります。

細野委員 その決意を伺った後に、少し事実関係を押さえていって、これが果たして疑惑なのかどうかということをぜひこの場所で私は明らかにしたいというふうに思っております。

 御存じのとおり、住民税は基本的には一月一日に住所がある場所の市町村で捕捉される、そういう形式をとっております。竹中大臣の場合は、九三年から九六年の四年間にわたって、一月一日、米国に移住をされていて、この間住民税を払っていないということになっておるわけですね。

 まずお伺いをしたいのは、私、内閣のホームページを拝見しますと、竹中大臣の資格といいますか略歴の中に、九〇年から九六年は慶応義塾大学の総合政策学部の助教授ということが書かれているわけですね。上田清司議員の質問に対しては、コロンビア大学で何かをされていたというお話がありましたけれども、慶応義塾大学の助教授をやられると同時に、コロンビア大学で何をされていたんでしょうか。

竹中国務大臣 コロンビア大学のビジネススクールに日本経営研究センターというところがございます。ヒュー・パトリック教授が所長をしていらっしゃるところでありますけれども、そこのセンターの客員研究員をその間させていただいておりました。

細野委員 そこで大臣は、コロンビア大学からは所得を得ていらっしゃったんでしょうか。

竹中国務大臣 これは、どういうステータスでアメリカに住むか、アメリカに住むに当たりましては御承知のとおりビザが必要になるわけでありますけれども、ビザのステータスが何であったかということにかかわると思います。

 私は、客員研究員というふうに申し上げましたが、交換研究員用のビザ、J1ビザというビザがありますが、それで行っておりました。このJ1ビザというのは、これはちょっと正確ではないかもしれませんが、通常の場合は所得を現地で稼ぐということは認められていないと思います、特別の場合は認められるかもしれませんが。これはなぜかといいますと、交換留学生のビザもそうなんですけれども、外国から何かの技術を持った人間が入ってきてそこで仕事をするとアメリカ国民のジョブのオポチュニティーを奪ってしまう、だから、研究に来てください、ないしは教育に来てください、しかし、所得については別途、これは普通の場合は奨学金とかどこかからの、別のところからの研究費ということになりますが、私はそういうステータスでございます。

 したがって、その期間に関しては、アメリカでの所得は原則として得ておりません。

細野委員 そうしますと、日本では慶応義塾大学の方で助教授をされていたわけですから、四月から七月の四カ月間ですか、毎年日本で春期の講座を持っておられて、そこで当然所得を得ていたということになりますね。

 つまり、確認をしたいんですが、この間、日本では所得を得ていて、アメリカでは所得を得ていなかったということでよろしいでしょうか。

竹中国務大臣 基本的には、その間の集中講義に関して慶応大学からいわゆる給料が支払われておりました。

 あと、若干の追加をさせていただきますけれども、これは解釈をどのようにさせていただいたらいいのかちょっとわかりませんが、その間、アメリカで研究をしておりまして、アメリカのことを例えば原稿にまとめていろいろなところで発表する、それに対する所得は得ておりました。所得の源泉は、それにお金を支払う、原稿料等々支払う出版社等々は専ら日本の会社であったというふうに記憶しておりますが、研究活動、調査活動をアメリカにおいて行っていたというのは一点、前の質問に関連しますが、申し上げておきたいと思います。

細野委員 これは事前に総務省の方に、どういう形で住民税というのは納めるものなんですかと随分確認をしたんですが、確かに非常にグレーなゾーンはあると思います。ただ、これはもう一度しっかりと確認する必要はあるんですが、所得を日本で得ておられた。職業というのは非常に重要な住民税のテーマになってくるわけですね。その点を、ちょっと後ほど総務省の方からも聞きたいと思います。

 もう一つ、竹中大臣にお伺いをしたいのが、実は、台帳課税主義についてでございます。

 上田清司議員が十三日に質問されたことに対して、竹中大臣はこういうふうにお答えになっています。一月一日に住民票に登録されているところで住民税を払うという、いわゆる台帳課税主義というのは、基本的には財政学のどの教科書にも出ていることですから、大学一、二年生の学生で勉強している人ならみんな知っているはずだと思います。

 済みません、私、ちょっと財政の専門家でないのでわからないんですが、この台帳課税主義について、竹中大臣のお考えを、御存じのところを、簡潔で結構ですので教えていただけますでしょうか。

竹中国務大臣 今記憶していることですので、学問的に見て、また法律上正確かどうかというのはちょっと自信がありませんけれども、基本的には、税というのはすべて実態に合わせて払うものだというふうに思います。したがって、住民税というのは、どの国に住んで、どの地域に住んで、どこの住民サービスを受けているのか、それに対する応益の課税であるというふうに思っています。

 したがって、例えば青森に住んでいる人がいて、東京に三カ月間出稼ぎに来ておりました。その場合に、これは出稼ぎに来ているんですから、東京で払うべきか青森で払うべきかという問題があるんだと思います。しかし、その場合、実態を反映して払うというのが原則だと思います。

 ただし、人間、移動しますから、実態把握を一人一人についてやるというのは、これはすごい大変なことなんだと思うんです。したがって、ルールを決めて、一月一日に住民税の基本台帳に載っている場所で払おう。そうすると、青森から出稼ぎに来ている人もいるだろうし、逆に、東京から青森に行って生活している人もいるかもしれないけれども、全体で見るとそんなに大きなそごが来されないのではないだろうか。徴税コストを安くするための一つの技術として、一月一日の住民税台帳を基本にするというのを運用上の重要なルールにしているのではないか、そのように理解しています。

細野委員 重箱の隅をつつくつもりは全くないんです。私、財政学の教科書を五冊、主なものをぜひ見せてくれといって国会図書館で借りてきました。台帳課税主義というのは一つも載っていないんです。

 これは総務省の方にも確認をしたんですけれども、台帳課税主義というのは何のことをいうかというと、固定資産税は所有者課税を原則としている、ただ、その所有者というのは、課税技術上の要請から、例えば土地であれば登記、そういう台帳に基づいて課税するということを言っているんですね。

 ただ、住民税がどうか。住民税をどういうふうに取るかというのを各自治体に対して指導しているペーパーを見ると、実は、要するに、その前提となる住民票の移転というのは、客観的居住の事実を基礎に、これに当該居住者の主観的居住意思を総合して決めていいと。つまり、住民票の移転なんというのは、主観的に、おれがここに住んでいると言えばある程度自由に動かせるということをここで言っているわけですよ。

 こんな状況で、竹中大臣がおっしゃるように台帳課税主義、逆からいうと、徴税当局からすると、要するに、一月一日に住所さえ置いてあればもうそれでいいんです、それ以上裏をとる必要がないんですというような、こんな原則を、これを適用すればですよ、もう脱税し放題ということになってしまうわけですね。

 竹中大臣の御認識で、私、基礎にあるのはこの台帳課税主義だなというのをずっといろいろ発言を聞いて感じておるんですが、これは間違いなく、経済学者である竹中大臣としては非常に不本意だと思うんですが、事実認識の間違いであり、基本的に極めて問題のある間違いであると私は思うんですが、竹中大臣、この点を修正されるおつもりはございませんでしょうか。

竹中国務大臣 まず最初の教科書の件は、書いてあるのもあれば書いていないのもあるのかもしれません。

 御質問の主たる目的は、台帳課税主義についてどのように解釈しているのかという御趣旨だと思うんですが、これは、先ほど申し上げましたように、どこかの基準で、何か基準を決めないと、徴税のコストというのはやはり異常に高くなってしまうんだと思うんですね。

 そこで、台帳、これは住民税台帳なのか、固定資産のものなのか、いろいろありますけれども、その台帳である程度の時点でフィックスしない限り課税できない。これが何でもかんでも非常にしり抜けの制度になるかどうかということになると、これはちょっと私がお答えするべき問題じゃなくて、この制度を設計している省庁にお答えいただく問題かもしれませんが、経済学者としての私が理解していたところによりますと、しかし、これはどこかで台帳を抜けばどこかの台帳に移さなきゃいけないわけですね。したがって、先ほど青森と東京の話をしましたけれども、トータルで見るとどこかで捕捉されるわけでありますから、それは全体で見てそんな不合理なシステムではないのではないかというふうに認識をしています。

 これは、より詳細はその制度設計をしておられる省庁にお尋ねいただくべき問題だと思いますが、私の解釈は、以上申し上げたようなことであります。

細野委員 竹中大臣の解釈というのは、非常にある部分独創的、学問の常識から外れる話なんですね。台帳課税主義というのは、あくまで台帳に載っていたらそこの人が払わなければなりませんよという原則が貫徹される場合に言うのです。実態に即して税を捕捉するという住民税のケースは、これは台帳課税主義とは全く違う。台帳課税主義に当たらないのです。そこに竹中大臣の住民税に対する基本的なお考えの間違いがある。

 要するに、御自身が住民票を抜いているからそこで払わないことは、ここでおっしゃっているように、大学一、二年生でもわかることである、当然であるということがよくあらわれていると思いましたので、指摘をさせていただきました。そこはぜひ事実確認をもう一回していただいて、考えをもう一度整理していただきたいということだけお願いをしたいと思います。

 もう時間もございませんので、もう少し詰めて聞いていきたいんですけれども、とにかく住民税は、台帳課税主義にのっとっているのではなくて、実態に即して払わなければならないということになっております。

 竹中大臣にもう一度確認をしたいんですけれども、九二年の七月から九四年の六月まで、二年間はアメリカに居住していることになっているんですよね。ただ、この時期に慶応義塾大学の助教授もやっていらした。この間の住民票の移転というのは、これは本当に実態に即しているんですか。

 もう一つ言うと、これは上田清司議員の質問に対してもお答えにはなっているんですが、九四年と九五年は十月と十一月に住民票を移しておられる。これも、私が見ているところ、一連のお話を聞いていて、決して実態に即しているとは思えないんですよね。

 この四年間、一月一日はすべて米国に居住しておられる、所得は日本で得ておられるのにですよ。所得は日本で得ておられて海外で所得は基本的に得ておられないのに、この四年間は慶応義塾大学の助教授をしておられながら、この移転が本当に実態に即したものというふうに言い切れるのかどうか。竹中大臣、この点をお答えください。

竹中国務大臣 まず、委員御指摘の台帳課税主義の最初の話は、これはちょっと言葉の問題なのかもしれませんが、私の申し上げているのは、これは実態に即して払うものである、これは税の、所得税、住民税を通したすべての基盤であるというふうに思います。しかし、課税はやはり一種の技術、テクニックが要りますから、課税技術では台帳に基づいて課税するという方針をとっている、そういう意味で申し上げているわけで、課税の本質は委員おっしゃっていることと私が申し上げていることは変わらないというふうに思います。

 そこで、後半の実態の話でありますが、その間生活実態はどこにあったのかというのは、これはまさに実態の話であります。前の委員会でも申し上げましたが、私はニューヨークの郊外に家を所有しておりました。そこに家族がおりました。妻がおりました。娘がおりました。猫も二匹飼っておりました。娘は現地の高校に通っておりました。向こうでの、アメリカでのローカルタックスは全額払っておりました。その間、四月の半ばから七月の半ばまで集中的に日本に来て教えたわけでありますけれども、その間ももちろん家族に会いに帰ってはおります。

 重要なのは、何年かについて住民票の移転がおくれた時期があるというのはそのとおりでございます。本来でしたら、七月の中ごろ、アメリカに戻るときに住民票を抜かなきゃいけなかったんですが、物すごい忙しさで抜けないで行ってしまった、次回に東京に出張したときに慌てて抜いた、そういう事実はございます。したがって、住民票の移動がおくれたというのはそのとおりであります。

 しかし、生活の実態がどこにあったかということに関しては、今申し上げたように、私は、アメリカで住んでアメリカでローカルタックスを納める、ちょっとそれ以外に方法はなかったのではないかというふうに今でも思っております。

細野委員 移転が実態に即すかどうかという部分に関しては、竹中大臣自身、おくれたと。もしくは、当初の九二年から九四年に関しては移転すら行っていらっしゃらないわけですね。必ずしも実態に即しているとは言えないということは間違いないと思うのです。

 竹中大臣に、時間がないのであと二点だけお伺いしたいんですけれども、所得を日本で得ておられたのに、住民税を果たしてアメリカで払っておられたのか、ここもぜひ聞きたいところですが、きょうは結構です。

 アメリカでは、納税証明書を提出するという習慣がございます。大臣は御存じですね。竹中大臣は、アメリカに精通している立場からして、この点について開示する気持ちがあるかどうかということが一点。

 もう一つは、一月一日に住所を海外に持っていれば住民税を払わなくていいですよという話をほかの方に勧めたという話が、実は、我が党の関係者から私の耳に入ってきております。

 これが非常に問題なのは、竹中大臣は実態に即してやっておられたと仮定しても、ほかの方にこれを勧めたということになると、これは、その方が実態に即しているかどうかという話とは全く別の議論として大いに問題があると私は思うんですよ。

 上田清司議員のこの質問に対しては、そういうことは記憶しておりませんと御回答になっている。外務省の上納問題で、重要閣僚の方が記憶にございませんと連発をしてひんしゅくを買いましたけれども、あの方は御高齢であるということもあって御愛きょうで済んだ部分もあったんだろう。ただ、竹中大臣は、経済閣僚の中心でまさに小泉政権の中の知恵袋なわけですから、この回答は到底納得できないんですが、これはあったのかなかったのか。御記憶の非常にいい竹中大臣に明快にお答えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 そういうことを人に勧めたということの記憶はありません。税の制度をいろいろ話したことはあったかもしれません。現実問題として、例えば民主党の先生に勧めるといったって、そんなことはできないわけですよね。先ほど申し上げましたように、住民票を日本から抜こうと思ったら、アメリカに住むという証明が要るわけですね。つまり、ビザのステータスが要るわけです。ビザのステータスというのは、普通は実態がないと取れないわけですから、そんなことを勧めるということはやはりあり得ないのではないのでしょうか。したがって、税の議論は幅広くいろいろなことをしたかもしれませんが、勧めるということはしておりません。

 それと、前半の納税証明の話ですね。これは、先ほど冒頭で株式のルールの話がありましたけれども、株式の取引のルールも日本とアメリカで若干違います。納税証明書を開示するかどうかのルールも、日本とアメリカで若干違います。私は、日本のルールに従って当然やらせていただこうと思っておりますので、私の求められているものは出します。もう既に出しているつもりであります。それ以外のものについて、これは私のみならず、私の家族のプライバシー、私の家族が、私が私人であったときにどれだけの所得を稼いでどういう額を納税していたというのは、私のプライバシーの問題であるというふうに思っております。

細野委員 ありがとうございました。

大畠委員長 次に、金子善次郎君。

金子(善)委員 民主党の金子善次郎でございます。

 私からは、まず公務員制度改革の問題について質問をさせてもらいたいと思っております。

 昨年の十二月に行政改革大綱が出されまして、本年になりまして、三月には大枠、六月に基本設計、九月に新人事制度の基本構想、十一月に行政職に関する新人事制度の原案と、次々に出されているわけでございますが、まだ、改革の全体像と申しますか、これが見えない、断片的な提案になっているように思えてならないところであります。

 特に、今回の改革の視点、私どもも、評価する視点は当然評価するべきものはあるというふうに考えながらの質問をさせてもらいたいと思っているわけですが、特に今回は、職員については能力、業績主義を柱に据えようとしながら、労働基本権問題と人事院の機能のあり方につきましては極めてあいまいであり、先送りの感が非常にしてならないわけでございます。

 そういう中で、この十二月には大綱を取りまとめる、そして必要な法改正は次期通常国会で一部取り上げようというような話も聞いているわけでございますが、政府のこれまでの対応ということにつきましては、いわゆる誠実さと申しますか、大きな問題に対する取り組みの姿勢について非常に疑問を抱かざるを得ないということをまずもって冒頭申し上げた上で質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、十一月二十一日付の朝刊あるいは二十六日付の夕刊等で、公務員制度に関する行革推進事務局の見直し案というものが自民党の行政改革推進本部に報告され、了承されたという報道が行われているわけでございますけれども、この報道の事実関係について、事実かどうか、まずもってお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 金子委員の御指摘が十一月二十六日、二十八日のどの新聞の何を指しているのか必ずしも理解できておりませんけれども、確定したような事実というものは現段階ではなく、すべての問題につきまして鋭意検討させていただいているということでございます。

金子(善)委員 実際のところ、私どももいろいろなルートがございますから、事実関係としていろいろなことが動いているということは当然承知しているわけでございます。我々もプロジェクトチームをつくりまして、この重大な公務員制度改革、こういう問題に真剣に取り組んでいこうということで今取り組んでいるわけでございますが、推進事務局の方に、そういういろいろな報道がなされる、いろいろな話が各方面から出てくる、そういう中で、民主党の方にも公式な形で資料を示して説明してもらいたいという要求と申しますか要請をしているわけでございますけれども、それに対して甚だ不愉快なほど非常に拒否的な反応が出ているわけでございます。こういうことについて、大臣、どうお考えになられますか。

 再三にわたりまして、我々にも進んでいる状況というものを説明してもらいたいという話に対して、全くほとんど進んでいませんからと。一方においては十二月に大綱を出してしまう。あと何日あると思っておられるんですか。その辺の姿勢についてまず質問したいと思います。

石原国務大臣 これは、金子委員も自治省の幹部職員としてお仕事をされた経験からいきまして、当時、与党と野党、どちらの側に御説明に行かれたのかというような問題点、当方といたしましては、詳細が決定次第、与党でございますので、与党の皆様にお計らいいただき、そして、新聞報道とは違って、本当にかっちりとした形になった段階で民主党の皆様にもお示しさせていただきたいと考えているところでございます。

金子(善)委員 ところで、これは新聞報道でございますが、国家公務員の給与ランク別定員、これまではいわゆる級別定数と呼ばれたものでございますけれども、これは、これまでは人事院が給与法の意義を受けまして決定をしていたわけでございますけれども、これについて財務省の方に関与を拡大させるというような報道があったわけでございます。

 報道は報道として、この級別定数でございますけれども、これは言うまでもなく、給与の実質的な上下配分あるいは職員の昇格の可能性にかかわる問題であろうと思います。これは勤務条件に該当するかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。

平山政府参考人 お答えいたします。

 現行の級別定数は、先生おっしゃるように、給与の実質的な上下配分、それから個々の職員にとりましては昇格可能性、そういったことを左右するものでございますので、勤務条件に該当するというふうに認識しております。

金子(善)委員 それでは、これも報道にございませんが、これは当然だと思いますけれども、勤務時間、休暇、これは勤務条件に該当しますか。

平山政府参考人 お答えいたします。

 勤務時間、休暇、これも給与に並んで重要な勤務条件であるというふうに考えております。

金子(善)委員 今勤務条件だというようなことで答弁いただきましたが、とすると、この問題は深く労働基本権、そして我が国でございますと人事院制度ということでいわゆる代償措置という表現で呼ばれているわけでございますが、これに深く関係する問題である、こういう認識でよろしいですか。これは、人事院とそれから石原大臣、両方にお伺いしたいと思います。

平山政府参考人 ただいまの点でございますが、先生おっしゃいますとおりに、勤務条件ということで人事院の代償措置に深くかかわっているというふうに考えております。

石原国務大臣 この問題につきましては、再三再四、御同僚の委員の方々にもお答えをさせていただいているんですが、勤務条件にるるの休暇等が入るということは事実だと思いますし、労働基本権も重要な問題であるという認識は持っておりますけれども、勤務条件にかかわる制度の詳細な決定が今なされていない中で、労働基本権のあり方をどうこう、どうあるべきかということを政府の側から述べることは困難であると考えているところでございます。

金子(善)委員 今石原大臣の答弁のそこが私は非常に大きな問題をはらんでいるんではないかというふうに認識をしているわけでございます。

 やはり、この公務員制度の改革という問題は、深く労働基本権、これは憲法で保障された権利でございますので、憲法改正しない限りはこれをいいかげんに扱うということはできない、当然のそういう仕組みになっているわけでございます。この労働基本権の仕組みについて、今考えておられるというようなことを言われたわけでございますが、現実の政治の動きとして、あるいは行政の動きという表現でもよろしいかもしれませんけれども、十二月には大綱をつくるということを政府として表明されているわけでございます。

 しかも、我々が承知しているその一連の動き、当然これは公式な情報ということにはならないかもしれません。先ほども申し上げました。それは、かたくなに推進事務局の方から我々に対して説明していただいてないからそういうことでございますけれども、我々も政治の場にいるわけですから、当然いろいろな情報というものは入ってくるわけでございます。

 そうしますと、この労働基本権問題、まだ一向に方向性を出さないで、どんどん十二月に、十二月といってももう数日で十二月でございますから、これでもう大綱に踏み切っていきますよ、公務員制度の中身を決めていきますよというこの姿勢、何か労働基本権問題を付随的な問題であると。私は、この問題はむしろ公務員制度の基本的な問題、労働基本権を与えるか与えないかというのは別の問題としまして、この労働基本権問題の存在というものが中心的な問題であるというふうな認識をしているわけでございます。

 そういう意味で、これは私ども民主党といたしましても、六月に基本設計を出されるというような段階で、今後労働組合との実質的な意味での交渉あるいは協議というものをやってもらいたいというようなことも申し上げたこともございました。今の状態を見ておりますと、この労働基本権問題が大きな問題であるということは、中心的な問題であることから、だれもがそれが大切な問題であると思っていることは言うまでもないわけでございますが、どうもそのところがぼかされていると申しますか、石原大臣として中核的問題としてそこにはっきりした意思表示がないと、いずれの問題も透明性が欠けてくるというふうに思えてならないわけでございますけれども、その点どうでございますか。

石原国務大臣 この点は金子委員にも先般の内閣委員会でもお答えをさせていただいているところでございますが、十二月に公務員制度に関する大綱案を取りまとめるということでございます。ここに何の変更もございません。

 そして、特殊法人改革も、報道されていることを金子委員も十分に御承知されていると思いますが、総理がおっしゃられたこの先行七法人、いわゆる道路公団等の廃止、民営化につきましても、十一月の末ということで、昨日、政府の方の行革の関連する特殊法人改革推進本部、総理本部長のところで政府として正式に決定をさせていただき、また、与党として昨日の夕刻御了承をいただき、本日は与党の方の行財政調査会に報告するという日程を見ていただいてもわかりますように、この重要な労働基本権の問題は今鋭意検討させていただいておりますし、先ほど来御議論のある勤務条件に関する制度についての具体的な検討というものを今進めている中で、この検討の中で労働基本権の問題について我が党また与党の皆様とともに十分検討しているということでございます。

 給与制度を初めとした勤務条件にかかわる制度の詳細な設計が実はまだ確定しておりませんので、先ほど来申しているように、労働基本権のあり方について具体的なことを論ずることが不可能であると申し述べさせていただいているんでございまして、この進め方については何ら問題はないという認識を持たせていただいているところでもございます。

金子(善)委員 私は今、大臣のその答弁をお聞きして大変残念に思っております。と申しますのは、今、十二月に大綱をつくるということについては一切変更はないということを言われたわけでございます。一方において、そのほとんどの事実関係が、平たく言えば国民の目の前にほとんど触れていない。しかも、これは大臣御案内のとおり、いわゆるILOの場におきましても、日本政府は、誠実に交渉、協議をするというようなことを約束されたわけでございます。これは六月のILO総会でございます。

 これに対して、大臣はどういう認識を持っておられるかわかりませんが、恐らく、政府の方でまだ中身を詰めていないので交渉できないのは当たり前じゃないかということを言われているわけですが、もう十二月に大綱、実質的な内容、政府としての大方針を出しますよと。いろいろなことは、これからの国会審議、いろいろなところを通じて制度全体が動き出すということになるのは当然のことでございますけれども、政府としての大方針を出すのに対して、そういうようなことでもう一カ月もないと。

 組合関係と申しますか労働団体はどういうふうに認識しているかと申しますと、私どもも、連合の官公部門と、連絡会というところがございますが、接触をしていろいろ話を聞いております。この連絡会の出している、これは公式に一般に出している文書もございますけれども、政府の本当の意味での誠意が全く感じられない、こういうことを言っているわけです。一方、ILOにおきましては、政府は誠実に交渉、協議するということを約束しているじゃないですか。ところが、我々が官公部門の連絡会と接触した感じで、話を聞いてもそのとおりだというふうに思っております。

 この点について、いわゆる官公部門との接触の状況、誠意ある態度で接しておられるというふうに断言できますか、大臣。

石原国務大臣 これも先ほど御答弁させていただいたんでございますが、政府・与党で、与党の側とお話をさせていただいて、与党の側でも案がまとまらなくて、そういう段階で野党の皆様方とこれ以上私どもがお話をしていくというようなことは物理的にもかなり不可能に近い状態でございます。

 私といたしましても、もう既に六回ほど組合の皆様方とお話をさせていただいておりますし、ただいま金子委員御指摘の問題は、鳩山代表の方から私の方に六月二十七日に、公務員制度改革に関する申し入れとして、金子委員もおいでになられたと思いますが、そのときお受け取りさせていただきまして十分お話もさせていただいておる。これ以上中心的にこの問題で御議論をされたい、したいというのであれば、ぜひ政権をおとりになって、あるいは小泉政権にお入りいただいて御議論いただく以外、ちょっと方法が見当たらないとしか申しようがございません。

金子(善)委員 大臣、よくよく質問を聞いていただきたいと思うんです。私は何も民主党に対して説明してほしいということを今の質問で申し上げたわけじゃないんです。ILOの場で労働団体と誠実な交渉、協議をするということを国際的な約束をされたわけなんです。一方において、労働界の方は、全く誠実だとは思えないと。何回もお会いしたということは私も聞いております。ただ、常に入り口論でとどまっていて中身に入っていけないと、労働界の方も非常に悩みを抱えている。一方において、十二月に大綱をつくってしまう。

 そういうようなことで、何も民主党に対して説明してほしいというようなことを大臣に今質問したわけではございません。あくまでもILOの場においての約束を本当に守っておられますかということで申し上げたわけでございまして、いずれ政権をとったら云々ということは全く関係のない話だと思います。

 時間の関係もありますから、先に移らせていただきたいと思います。

 ところで、推進事務局の方に人事院の方から人が派遣されておりますが、何人派遣されておりますか。

小澤政府参考人 二十三人でございます。

金子(善)委員 実は、私どもも承知しておるんですが、二十三人の身分でございますけれども、恐らく人事院と内閣官房職員としての併任扱いになっていると思うんです。私は、こういう人事制度、これは公正中立な立場で本来考えていかなきゃならない基本的な分野だと思っておりますが、人事院から人を出す、内閣官房にそれだけの企画立案能力がないから手伝いに来てほしいということでの要請があったからそういうふうに人を出しているんだろうと想像いたします。それはともかくとして、人事院の身分を併任したまま、人事院のあり方自体が問題になっているそういう中で併任のままで行っているということにつきまして、人事院として問題ないと思っているんですか。

小澤政府参考人 六月に、内閣総理大臣を本部長といたしまして全大臣で構成される行政改革推進本部、ここで公務員制度改革の基本設計というのが決まったわけですが、その際、人的な面を含めて一層の協力が求められたわけでございます。

 人事院も、第三者機関ではありますけれども、内閣の一員でありますし、また、人事に関する専門機関ということであります。したがいまして、人事院としても、長年培ってきた専門的知識あるいはノウハウを生かすということは非常に有意義なことだろうというふうに考えまして、内閣官房からの要請をお受けしたということでございます。

 それで、ここに人事院から人を出しておるわけですが、出したからといって、第三者機関としての立場というのは変化ございませんで、代償機関あるいは中立機関というような機関として適切な役割を果たしていきたいというふうに考えております。

金子(善)委員 人事官、正確に答えてもらいたいのです。併任という形でやって何ら問題ない、そういう認識でおられるかということを質問しているわけなんです。人を派遣しているという事実関係はこちらで十分承知しておりますので、問題がないのかどうか。

小澤政府参考人 定員の問題もございまして併任という形になっておるわけですが、人事院としては問題ないというふうに考えております。

金子(善)委員 併任で中立機関の人事院が問題ないという答え方を今したわけですが、我々は問題があると思っております。そういう認識でやって人事院たるいわゆる中立公正機関としての役割を果たせるか、私はそういう認識を持っておりますが、それで本当によろしいのですか、何の問題もないということで。

石原国務大臣 ただいま人事院の方から御答弁がございましたが、現在二十三人おいでいただいております人事院の職員の方は、行革事務局の職員として発令をさせていただいておりますし、私の指示のもとで公務員制度の検討作業に鋭意本当に取り組んでいただいております。

 その一方で、もう御答弁がありましたけれども、人事院は、中立機関として、当事務局におけるこれらの職員の作業とは別個に、必要な意見を述べることができるということになっておりますから、人事院の独立性は何ら影響を受けるものではない、そのような観点から問題がないと考えているところでございます。

金子(善)委員 答弁としてはそうせざるを得ないということなんだろうと思いますが、私は、非常に好ましいことではないというふうに認識をしておりますので、指摘をさせていただきたいと思います。

 お忙しいところ、官房長官にもおいでいただいておりますが、これは今後の問題として関係する分野であるということで、大臣の確認をさせていただきたいという趣旨でお願いしたわけでございます。

 実は、現在の内閣法のもとで行政改革推進事務局というものが設置されまして、石原担当大臣が公務員、行政改革を担当されておられるわけです。

 内閣法の第十二条で、「内閣に、内閣官房を置く。」という規定がございます。その二項の第二号が「内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画及び立案並びに総合調整に関する事務」、それと四号に「行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務」というものがございます。事務的な説明を受けておりますけれども、恐らく二号でこの行政改革推進事務局というのは設置されているというふうに考えておるわけでございますけれども、それは間違いないのか、今後ともこの法律の適用でいくのだということなのかどうか、明確な答弁をお願いしたいと思います。

福田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、この行政改革推進本部というのは、行政改革大綱に基づく行政改革推進本部の設置について、これは閣議決定が昨年の十二月になされておりますけれども、それに基づいていろいろとこういう公務員制度等の検討を進めているところでございまして、これは御指摘のとおりでございます。

金子(善)委員 官房長官の方から、この行政改革推進本部の仕事は内閣法第十二条第二項の第二号の規定に基づくものであるという明快な答弁をいただきまして、ありがとうございました。いずれこの問題はこれからの問題に関係する問題でございますので、質問をさせていただきました。

 ところで、これは官房長官にお聞きすることか、あるいは石原大臣にお聞きすることなのか、ちょっとよくわからない。実は、今度の中央省庁の行政改革の内閣機能につきましては、いろいろな学説等を見ても、非常に難解だというのが今の学説の通説になっておりまして、いろいろ理解が難しいところがあるというようなことがよく言われております。それは今回の主たる問題でございません。

 実は、労働基本権が絡む、つまり自己完結的ではない権限のもとに、こう言っては恐縮でございますが、現行法上は、大きな公務員改革をするという場合、現行法と言っていいのか、あるいは労働基本権がはっきりしていない、そういう中で、本来であれば、どういう改革をするかということになりますと、一番一般的に考えられるケースとして、まず、ちょっと過去の例を申し上げたいと思います。

 今は行政改革もなされまして中央省庁の体制も変わりましたので、これまでは、例えばの話でございますが、古くは定年制度の導入、昭和五十二年当時でございますが、このときは閣議決定で、定年制度を導入しますと、これは内閣としての方針を出しまして、それを、当時の総理府総務長官、現在では恐らく内閣府になるのかと思いますけれども、そちらの方で人事院の方に意見を出してほしいというような要請を行っております。定年制度の場合は、昭和五十二年の十二月二十三日の閣議決定で、要請をすぐ行いまして、約半年後、人事院総裁の方から当時の総理府総務長官の方に意見具申がなされております。

 それから、つい最近では、平成九年でございますが、ある不祥事の事件がございまして、職員の期末・勤勉手当の取り扱いについてということで、これも、当時の総務庁長官でございますが、平成九年の四月二日、人事院総裁の方に、取り扱いをどうしたらいいかというようなことで、大きな問題だというようなことで意見の具申を要請いたしております。それに対しまして、人事院の方では、四月二日の要請に対して四月の九日に返事を出したというようなことがございます。

 本来でございますと、現行法としては労働基本権は守られているわけです、人事院というものがあって代償措置がございますから。ところが、この人事院の代償措置を機能させないまま、今、内閣官房の第二号の規定による権限に基づいて企画立案作業をなさっているというのが現状なわけですが、これはどうも全体が一気通貫しないと申しますか、自己完結型じゃないなという感じがするわけでございます。

 その点について、大臣、これは可能性の問題としてでございますけれども、今後、今は労働基本権は現実に与えられておりませんので、この大綱を決める後に人事院に改めて意見を聞いていくというようなことが考えられますか。その可能性についてお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま委員御指摘になられた点は、国家公務員法の第二十三条「人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出なければならない。」という昭和二十三年制定の制度にのっとって人事院が意見具申を時の総理府に行ったということだと思います。

 この法律がある以上、その部分については変更がないものと承知しております。

金子(善)委員 変更がないということで条文を引かれましたので、そうすると、重要な変更事項については人事院の方に改めて意見を聞くというようなことがなされる、そういうふうに解釈すればよろしいんでしょうか。ちょっと大臣の今の御答弁、よく理解できない面があったんですけれども。大変恐縮でございますが。

石原国務大臣 再三再四これも申し述べさせていただいておるのでございますが、どうもこの議論は、鶏が先か卵が先かということで、鶏が先だと言っている私たち行政の側と、金子委員を中心とする方々のような、卵が先だ、労働基本権の議論が先だという議論とに、堂々めぐりをこの委員会でもしているような気がいたします。

 そんな中でお話をさせていただくのであるならば、それをやるかやらないかということは、この大綱がまとまってどういう形になるのかということを受けて時の政府が判断することになると思います。

金子(善)委員 いや、これは大臣、かなり認識の違いというそれだけで済まされない大問題があると私は思います。と申しますのは、日本だけじゃないんです。世界のどこの公務員制度でも、やはり労働基本権というものの扱いというのは憲法なり法律できちっとしているわけなんです。日本も当然しているということでございます。

 そういう中で、今の最高裁判決は、昭和四十八年の四月二十五日の最高裁の大法廷の判決でございますが、最も大切なのは、労働基本権を制限するに当たっては、これにかわる相応の措置が講じられなければならないということで、日本の場合は人事院制度がつくられているということを指摘しているわけなんです。

 それで、ここでお伺いしますけれども、今度の大綱を出されるというその中身ですが、大臣のお話を聞いておりますと、大綱を出して、その後で交渉するみたいな何かニュアンスを感ずるんですけれども、恐らく政府としては、大綱を出した以上はそれを実現する立法作業にもどんどん入っていく、そういうようなことになっていくと思われるわけなんですけれども、いわゆる勤務条件に関する事項がかかわっている限りは、必ず労働基本権とのかかわりを解決した上じゃなければこれは完結しないと思うんですが、どうも大臣の御発言を聞いておりますと、その辺の認識が全然足りないんじゃないかというふうに指摘せざるを得ないわけなんです。

 確かに、この労働基本権問題をどうするかということは大問題で難しい問題だ。それは十分わかります。しかしながら、難しい問題であるからこそ、その問題をはっきりさせて、大きな国民の期待にこたえられる、これからの二十一世紀の本当の日本の公務員制度のあり方というものをつくっていくんだ、それぐらいの認識がなければとてもとてもこういう問題には対応していけない、このように私は思っているところであります。

 したがいまして、きょうは時間がございませんので、民主党といたしましても、決して改革の中身がだめだとかそういうことを申し上げているわけではないんです。このやり方が余りにも各方面からおかしいと言われている。我々もおかしいと思っている。労働団体当局も、本当の誠意というものが感じられないと。確かに、事務当局とは六十数回会ったということも聞いております。しかしながら、ほとんど入り口論で終始していると。これではとても誠意ある態度、ILOで約束された態度とは言えないと思います。

 以上、申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

大畠委員長 続きまして、中沢健次君。

中沢委員 おはようございます。民主党の中沢でございます。

 きょうは、国家公安委員長の村井さんと警察当局と少し時間をかけまして議論をしたいと思うんです。

 石原大臣の方は後半の恐らく十分ぐらいでありますから、どうぞ退席されて結構であります。

 さて、村井国家公安委員長、一年半ぐらい前、実は、場所は別な会場でありましたけれども、当時は保利さんが国家公安委員長、警察庁の長官は現在の田中さん、もう随分警察の不祥事をめぐって議論しました。率直に言って、責めるというか、野党の、あるいは党派を超えて、ああいう不祥事をやはり何とか警察全体、国家公安委員会全体の中でしっかりとけじめをつけて国民の信頼を回復すべきである、こういうやりとりを随分やりました。恐らく、当時の保利国家公安委員長も、田中長官初め警察の皆さんも、本当に苦労をされたと思います。

 それからおよそ一年六カ月、私から見るとかなり、皆さん方の努力がずっと積み上がって国民の信頼は回復をしつつある。しかし、まだ幾つかいろいろな問題がやはり出ているわけでありまして、きのう、きょうの新聞にも出ています。具体的には申し上げません。やはり大事なことは、警察という実力部隊に対する国民の信頼というのを、ぜひひとつ新しい国家公安委員長として、そういう使命感に燃えてとにかく頑張っていただきたい、これが一つ。

 それから、きょうの具体的な議論をする前提として、私はやはり国内の治安対策の総本山が警察だと思うんですよ。自衛隊法の改正のときにもいろいろな議論をしました。私はそうだと思うんです。民主党もほとんど、そういう意味では、濃淡ありますけれども、やはり警察に対する期待は強いと思います。

 そこで、この問題についての村井さんの基本認識を改めてお尋ねしたいと思います。

 もともと日本の警察は、戦前の反省から、簡単に言いますと自治体警察、こんな基本、しかも民主警察、こんな基本、私は、二本立てで、この土台の上に立って今日の警察の実力部隊が存在をすると思うのです。

 しかし、今度の国内のテロ対策でいうと、確かに事件の起きたのはアメリカですけれども、日本人も残念ながら巻き添えを食らう。今日のアフガンのああいう戦争の推移を見ると、日本国内におけるテロの危険が非常に現実味を持ってきている。そうなると、すべての分野にわたって、やはり警察が今まで以上に、そういう基本的な認識を含めて、自衛隊じゃなくて自分たちが全責任を持って日本の治安をしっかり守っていく、こういうことが非常に私は大事だと思うのです。

 これは、国家公安委員長一人じゃなくて、全国およそ二十三万人の都道府県警察末端に至るまでそういう認識をしっかり持って事に当たる、こういうことが非常に重要だと思うのです。ぜひひとつ村井さんの口から、私の質問に対する答弁というよりも、国民に対するメッセージとして明確なお答えを冒頭いただいておきたいと思います。

村井国務大臣 中沢委員から大変御激励もちょうだいしたわけでございますが、まず警察の不祥事の問題につきましては、私も、これはもう前任者あるいは前々任者同様に大変重い問題と受けとめまして対応に努めてまいっているところでございますが、一つだけ明確に申し上げることができると存じますのは、以前のように何となく仲間内で隠してしまうということではなくて、きちんと表へ出して、それで各都道府県の公安委員会においてしかるべき御判断をいただくというようなオープンにする体質、体制というものがほぼ定着しつつあるのではなかろうか。これは私は改善への一歩だろうと思っております。

 それから、私、もう一つ、国家公安委員長に就任いたしましたときに記者会見で一言申したことでございますが、警察官に限らず、公の仕事に携わる人間に対する尊敬の思いが国民の間に広がることが望ましいということを申しましたけれども、それは逆に申しますと、きちんとした仕事をしているという誇りを一人一人の警察官が持つことによって恐らくそういう尊敬というものも得られるのではなかろうかという含意でございまして、きちんとした仕事をしてほしいと思っております。

 それから、今委員特に御指摘のございました、治安の維持を第一義的に担うのは警察である、その御認識は全くそのとおりだと思っております。まさに地方に根差した、まさに身近なところで警察がきちんとした仕事をしていく、これが何といっても大事なことだと思っております。

 今度のテロに関連いたしましていろいろな御議論が世上ありましたことは、私もよく認識をしております。時間の関係でできるだけ手短にさせていただきますけれども、一つやはり大事なことは、テロを行うあるいはこれを支援する可能性のある組織あるいは人に関する情報収集活動、これが非常に大事でございまして、これを抽出しまして、不審者を抽出しまして不審点を解明し、それからその動向を監視するというような仕事、これは予防でございます。それから、実際に何かが起きましたときにそれに対応するというようなこと、これが二つ目。いずれにしましても、これは一般の市民の中に紛れ込んでいるテロリストによる行動をチェックするということでございますから、さような意味では市民との接点が非常に大きい。そういう意味でも、やはり警察がこれを担うというのは当然のことであろうという認識は、私も委員と完全に共有するものでございますことをこの機会に特に申し上げておきたいと存じます。

中沢委員 基本認識は私もそうでありますが、ほとんどの国会議員あるいは国民と共有できると思います。ぜひひとつ、その使命感で全軍をいい意味で叱咤激励して頑張っていただきたいと思います。

 そこで、各論に移りたいと思いますが、まず、警察の情報部門に対する人的なあるいは能力的な強化をどうするか、これも極めて緊急の課題だと思うんですね。先週も、我が党の同僚議員の方からそういう観点で幾つかありました。

 私は、やはり一つは、いわゆる危機管理センターと警察がどう機能的に連携をするかという問題、もう一つは、警察の内部で、今までもいろいろ工面されているし、人材を養成されてきたと思うのでありますが、都道府県警察ということを原則にしながらも、この種の情報ということでいうと、相当やはり警察庁が前面に出て、全国一元的なそういう人的な配置あるいは能力の向上、こういう観点がどうしても必要ではないか。

 基本は都道府県警察だと思います。しかし、この種のセクションは、やはり全国一元的に、この際、警察庁が今まで以上に、単なる調整だとか全国のネットを単に集約をするとかというやや消極的な態度ではなくて、もっと人材の養成だとか具体的なさまざまな、国内における、今ちょっとお答えがありましたけれども、そういうところに対するきちっとした点検なんかが十分できるように、これは早急にやるべきではないか。場合によっては来年度の予算の中に、概算で出していないにしても、十二月ごろが本番だと思いますから、そういう観点で国家公安委員長としては頑張った方がいいんじゃないか、あるいは担当の警察庁として全力を挙げてはどうか、こう思うんですが、いかがでしょう。

漆間政府参考人 お答えいたします。

 現在の警察制度というのは、警察庁という国の機関と都道府県警察から成り立っているわけでありまして、基本的に執行的事務というのは都道府県警察が行っているわけです。

 ただ、その中で、やはり警察というのは、地方的な性格の事務と国家的な性格の事務をあわせ持って執行しなきゃならないという性格を持っておりまして、特に国家的な性格の部分については、いろいろな都道府県に対する関与の仕方はありますけれども、やはり警察庁として責任を持って見ていくという仕組みがとられているというふうに思っています。

 現在においても大変重要なのは、国際テロというような問題に関しては、やはりこれは国の公安にかかわる問題でもありますので、例えば情報収集をするにしても、都道府県が情報収集をする場合には、警察庁の主導と調整に基づいて、基本的に警察庁に実際に上がってきた情報は一元化される。それから、国際テロになりますと、これは都道府県というか国を越えていろいろな拠点ができたり、あるいはネットワークができたりしているわけでありまして、それに対応するためには各国の治安機関と大変緊密な連携をとらなきゃいけない。そういう作業は、都道府県警察がやるのではなくてまさに警察庁がやるということになっておりまして、現在も、そういう意味で、各国の治安機関との情報交換を通じて情報入手の強化に努めているわけであります。

 そのような形をつくりながら、今後とも、情報を入手するために、海外の治安機関と情報交換をする場合には、やはり人間関係の醸成というのが大事です。また、国内で情報をとるのも、まさにそういう協力者というのをつくれるかつくれないかというのは大変大きな要素でありまして、そういう意味でも、人材の確保とかあるいは人的基盤の整備とか、そういうものに努めて、全体として的確に、国と都道府県警察が一緒になって対応できるというような形にしていきたいと思っております。

中沢委員 私は、今のような基本的なスタンスはそのとおりだと思うんですよ。ただ、やはり今までと違ってテロ対策というのは非常に重要だ。そうすると、大体お役所というのは、機構をつくって人を配置しなければ具体的な仕事ができないんですよ。これは、政治家といえどもそのことはよく知っているつもりなんですよ。そうするとやはり、今の公安、外事が中心になってやっているそのセクションで本当に事足りるのか、こういう問題は僕はあると思いますよ。

 これ以上申し上げませんが、そういうことなども含めて、ぜひひとつ、本当に国民が大丈夫だなと安心できる、こういう姿をしっかりつくっていく必要があると私は思います。これは具体的に提言をしておきたいと思うのです。今後、ひとつ検討していただきたいと思います。

 さて、各論の二つ目でありますが、文字どおりの実力部隊の機動隊とSATについて、関連がありますから簡単に聞いておきます。

 今までも、この委員会でいろいろな議論がありました。私は北海道の出身ですから、北海道の都道府県警察あるいは出先の方面本部、私の地元の夕張の警察の皆さんとはそれなりにいろいろなおつき合いがあります。本当に皆さん苦労されていますよ。というより、今度のテロ関連でいうと、北海道には泊の発電所があります。これは全国にももちろんあります。改めて、周辺警備、二十四時間体制でやっている、本当に大変御苦労な話だと思いますよ。北海道はもう既に雪が降っていまして、全国もいろいろあると思いますが、そういう苦労も含めて大変だと思うのです。

 さて、そこで具体的に聞きたいのは、詳細の答弁は私は期待しません。全国的な観点で聞いておきたいと思いますが、機動隊が、都道府県警察の部隊が配置されている、管区の機動隊も配置をされている。いざという場合にある意味で臨機応変にそれぞれほかのところに出向いてやるという体制、既に沖縄の米軍基地はそういう体制を実績として持っている、これは承知をして聞いているんです。これからの問題も含めて、そういう臨機応変の体制は十分備えていると思うんですが、その辺は間違いがないかどうか。

 それから、SATの関係は、僕らは余り、日常はもちろん、事件がなければ具体的な活動に触れることにはなっていません。しかし、古い話でいうと、函館の空港のハイジャック、あるいは例の高速道路のバスのハイジャック、テレビを見る限り、やはり大変な実力部隊らしい成果を上げていると思うのです。特に、いろいろなことが想定されますけれども、アメリカ国内でもやはり原子力発電所の警備をどうするか、こういう報道があります。日本でも、そういう意味で既に周辺警備がされている。

 さて、SAT、数からいってもそんなに多くない、配置の場所もごく限定をされている。本当に何かあったら、恐らく、自前のヘリコプターも全部、装備も含めて十分備えはされていると思うんですが、何かあった場合、機動隊がまず警護をする、治安をする。しかし、その後、恐らくSATが出動するということになることも十分想定をされると思うんですね。

 そういう場合、機動隊と同様にSATについても、十分万全のトレーニングをやっているし、装備も能力も国民が安心できるような状態であるのかどうなのか。これは全国的なレベルで結構でありますから、個別の話は別にいたしまして、その事実について、どういうふうになっているか、お答えをいただきたいと思います。

漆間政府参考人 機動隊あるいは管区機動隊等の全国的な展開の方の御質問にお答えしたいと思うんですが、全部で、機動隊あるいは管区機動隊を合わせまして大体一万二千余全国にいるわけでありまして、さらに第二機動隊というのもございまして、これを合わせると約三万になります。

 基本的には、こういうものに対応して、何かが起こる、それはその当該の県の機動隊等が対応できないという場合にまさに全国展開をするわけでありまして、これは警察法六十条という規定がございますから、これでまず原則事前に警察庁に報告をするというふうな定めがされておるのは、まさに警察庁が基本的にどこにどういうふうに展開させるべきだということについて判断をするという前提でございます。

 したがいまして、基本的な、六十条の援助の要求というのはそれぞれの都道府県の公安委員会から出されますけれども、警察庁として、やはりここの部分については強化しなければならない、国家的な見地から必要な意見を言ったりあるいは指示をしたりすることになるわけでありまして、そういうことでこの六十条を効果的に使いまして、全体として集団警備力が、一番そのものを配置しなければならない場所に的確に、また短時間に対応できるように、今その仕組みをつくっているところであります。

 それから、SATについてでありますが、SATは、御承知のとおり、七都道府県、約二百名という規模であります。これにつきましては、外国の治安機関の特殊部隊と比肩してもまさに力が劣らない、それは国外でも競技会形式でこういう訓練をやりますが、そういう競技会でも一位をとるぐらいの実力を持っているほど、部隊として練度が上がっているというふうに見ております。

 ただ、御承知のとおり、二百名という非常に少人数でありまして、これを何か事案があったときにすぐ出すという場合には、やはりそれを補完するものが必要であるという考えでありまして、そこで全国の機動隊に銃器対策部隊というのを配置しているわけであります。SATが早く着けるところはSATが行きますが、もしそれが対応できない場合には、一時的に銃器対策部隊が対応し、そしてSATがそれに、もちろんヘリコプター等がありますから派遣されていく、こういうような形をとりながら万全な体制をつくりたいというふうに考えております。

中沢委員 時間があればもっと具体的な内容をいろいろチェックをしたり、あるいはそれぞれお答えをいただいた方がより国民が安心をすると思いますが、いずれまたそういう機会があると思うのです。

 そこで、各論の三番目になると思いますが、国際的な組織犯罪について幾つかお尋ねをしたいと思うのです。

 かつて地方行政委員会で、いわゆる暴力団新法をつくる際にも随分真剣な議論をしました。その経験を改めて思い出しているのでありますけれども、やはり官邸中心に国家公安委員長が副本部長になって国際組織犯罪対策本部を設置されて、三回会合をやっている。私は、やはり時期をしっかりとらえて政府側の責任を果たしているんだなという思いなんです。

 ただ、あの折にもいろいろ議論しました。やはり国内の暴力団と国際的なその種の暴力団が、地下人脈、地下水脈で、人と金とさまざまなものを含めて結託されては大変だ、将来本当にそういう問題がありますねという話をした記憶があります。

 そこで、まず具体的に聞きたいんですけれども、例えば中国の蛇頭という国際的に有名な暴力団、あるいはマフィアと言っていいんでしょうか、シンジケートと言っていいんでしょうか、ロシアにもある、遠くはヨーロッパにもアメリカにもある、そういうところが日本の暴力団と結託をして、例えば密入国、麻薬、銃器の密輸入等々、最近は自動車の不正輸出も非常に目立っていますよね。そういう事実について、捜査当局、治安当局としては、しっかり情報を集め、そして、国内で起きた事件については厳正に捜査をして検挙をしている、こういう状況だと思うのです。

 これは全体を聞きますと大変な時間がかかりますから、後で国家公安委員長の方からも聞いておきたいのでありますが、特にきょうは薬物、麻薬について取り上げたいと思うのです。

 時あたかもアフガン戦争真っ最中。八月に内閣委員会でヨーロッパへ行きまして、イギリスに行きました。その折に、内務省の担当官が、実はアフガンの麻薬がイギリスにどんと入ってきて、もう国内的には大変です、日本はどうですかと言うから、僕ら専門家ではありませんから、いや、実は、日本の場合は、アフガンというよりも東南アジアですよ、こんなお話をした記憶があるんです。

 具体的に聞きたいと思うのです。国内の暴力団とその種の海外の暴力団が結託をして麻薬について一体どういう状況に日本が置かれているか、あるいは事件の発生、検挙がどういう状況になっているか、これからの対策を含めてどういうことにしっかり重点を置いてやろうとしているか、まとめてお答えをいただきたいと思います。

 なお、念のために、これは見たことがあるか。僕は、今度の質問に当たって、事前に警察庁からいろいろ情報もいただきました。これもいただきました。私は初めて見ました。もう見れば見るほど、これは大変な問題だな、日本という国だけじゃなくて、国際的にこれはもう相当大変な問題だという思いを率直にしています。後ほどまた村井さんからも聞きたいと思いますが、事務当局から。

黒澤政府参考人 薬物の関係につきまして、国際的な犯罪組織、それとまず日本の暴力団がどんなつながりがあるのか、この点につきましては、我が国の薬物は委員御案内のとおり覚せい剤がほとんどでございますけれども、日本の暴力団は覚せい剤の密輸、密売の中核的な存在でございまして、国際的な犯罪組織等と結託して大量の覚せい剤を国内に密輸入している状況がうかがえるわけでございます。この国内に流入いたしました覚せい剤は、今度は暴力団とそれからイラン人などの来日外国人薬物密売組織によって密売されている状況にございまして、薬物の密輸、密売には国際的な犯罪組織や暴力団が深く関与しておるというのが実態でございます。

 この暴力団が海外の犯罪組織から薬物、今申し上げましたように特に覚せい剤でございますけれども、これを国内に持ってくるわけですが、その際に、暴力団はやはり日本警察がよくわかっておりますので、例えば、最近は外国人の犯罪組織の一員が国内で荷受け人になってしまう、従来はやくざ者が受けていたんですけれども、そういったような形。あるいは密売についても、やはり暴力団は目立ちますので、また子供たちの薬物が大変問題になっておりますけれども、イラン人だと割と買いやすいという面もあるようでございまして、もちろん値段が従前と比べて安くなっておる、そういった面もあるんですけれども、そういった、密売人がイラン人ということで、そちらの方にやくざ者は卸す。やくざ者も密売をしておる事実はございますけれども、そのように、うまく、巧妙に外国の犯罪組織グループとやくざ者が結託をしてこの種事犯を敢行しておる、これが実態でございます。

 そして、この薬物情勢につきましては、今、覚せい剤につきましては第三次の乱用期でございまして、なお高原状態にありまして、大変厳しい状況でございます。昨年は一トンの覚せい剤、一昨年は二トンの覚せい剤が押収をされておるようなことでございますが、とりわけ最近は、MDMAというような錠剤型の合成麻薬でありますとか、それから乾燥大麻、これが押収量が過去最高になるなど、薬物情勢というのは大変、一段と厳しさを増しておる状況でございます。

 こういった厳しい状況を踏まえまして、現在、内閣総理大臣を長といたします薬物乱用対策推進本部のもとに、政府を挙げまして薬物乱用防止五か年戦略を推進いたしておるところでございますが、そうした中で、警察では、薬物問題を治安の根幹にかかわる最重要課題の一つとしてとらえておりまして、薬物の供給の遮断と需要の根絶、この両面から総合的な対策を推進いたしております。

 具体的には、税関、海上保安庁等との国内関係機関や外国取り締まり機関との連携による密輸入事犯の検挙、暴力団等薬物密売組織の摘発、それから、何といいましても薬物犯罪収益の剥奪、それから末端乱用者の徹底検挙、あるいはまた、薬物乱用の防止のための効果的な広報啓発活動の推進、さらに、国際的な連携協力が必要でございますが、各種の国際協力をやっておるわけでございますけれども、その中で、薬物の密造地帯における薬物対策の支援等、国際協力を行っておるところでございまして、今申し上げましたような各種施策、もろもろの施策を今後とも強力に推進してまいりたいと存じておるところでございます。

中沢委員 言うまでもありませんが、麻薬というのは大変悲惨で、人間が人間でなくなる、テレビでもよくやっています。国際組織犯罪というのはいろいろな事犯があると思います。しかし、この中で、やはり薬物、麻薬というのは、最大、何とか解決をしなければいけないテーマだと思います、これは国内的にはもちろん、国際的にも。

 ですから、今お答えがありましたように、私は、やはり国際的に、今までもいろいろやっていると思いますよ。この種の会合だとか専門家のさまざまな情報交換だとか諸対策をやっていると思いますが、さらに一段と、簡単に言えば、これに金を大いにかける、予算をどんどん使う、そのぐらいの決意で私はやるべきだと思います。一番最後、また村井さんから聞きます。

 各論の最後にしたいと思いますが、俗に言うフーリガン対策についてお尋ねをいたします。

 来年、サッカーのワールドカップ、日韓共同開催、全国で十カ所のサッカー場で開催されます。まだ対戦の組み合わせが決まっていませんから、どこのサッカー会場でどこの国のチームが競技をやるか決まっていません。それが前提なんですけれども、しかし、言われておりますように、サッカーの盛んなところ、特にイギリス、俗に言うフーリガン、暴れ者と言っていいのかならず者と言っていいのかよくわかりませんが、結構いるわけです。単なるサポーターという領域を超えちゃって、本当にどうしようもない、かなりたくさん実在するわけです。

 それで、この種のワールドカップにはその種のフーリガン対策はどうしてもついて回るというふうに聞いています。先ほど、ちょっとイギリスに行った話をしましたが、その折にも、内務省のフーリガン対策の責任者に会いました。風貌も、みずからフーリガン対策をやるような大変な存在感で、僕は英語わかりませんから、通訳の皆さんの話を聞きまして、いや、さすがに大したものだな、日本のワールドサッカーにフーリガン対策でぜひお越しくださいなんという話もしたわけなんです。

 それはともかく、法務委員会あるいは本会議で関係法案が通りました。来年、十カ所でやる。そういう国からのチームもかなり参加をされます。参加をされることは大歓迎ですよ。これは開催地にとってはある意味で景気浮揚策にもなる。もう随分前宣伝もやっていますから。北海道も札幌のホワイトドームでやります。

 そこで、具体的に聞きたいのは、やはり、このフーリガン対策そのものはかなり専門家の間でも、国内的にも国際的にもいろいろな準備はしていると思うのです。僕はこの間警察の皆さんに聞いて初めて言葉としてもわかったんですが、イギリス警察の中でフーリガン対策の専門官がいる、スポッターと言うらしいですね。国内にはまだそういう専門の警察官は養成はもちろんされていないと思うのですけれども。

 しかし、ワールドカップの大会ということになってくると、正直言って、一つはテロ対策という観点も大事だ。もう一つは、やはり今までの国際的な経験でいうと、フーリガン対策も必要だ。スポッターということを即時に日本でつくり上げるなんというのは、それはもう絵にかいたもち、無理だと思いますよ。ですから、イギリスに限らず外国のそういう専門官を中心にして十分連携をとって、一つはやはり水際で、つまり出入国管理の段階できちっとそういう人方については入国をさせない、これはもちろんだと思います。しかし、その網をくぐって入ってきた人方に対して、競技場を中心にどうやって具体的なそういう騒動が起こらないような対策をするか、これも必要だと思いますね。

 ですから、その種のスポッターを含めた国内の、テロ対策のことは聞きませんけれども、フーリガン対策について十分な備えをぜひやっていただきたい。まず事務当局からお答えをいただきたいと思います。

漆間政府参考人 まさに国際テロ対策とフーリガン対策というのは似ておりまして、いずれもまさにフーリガンを国内に入れない、それから拠点をつくらせない、悪いことをさせない、こういうことの対応であります。その中で最も重要なのが国内に入れないということでありまして、そのために、今海外の、特にヨーロッパあるいは南米の治安機関と連携をとりながら対応しています。

 現実の問題として、もし中に入ってきてしまった場合、先ほど御指摘になりましたスポッターというのが、これはヨーロッパのみならず南米にもおりまして、今のところそういう者が入ってくる可能性があるというところについて、日程がきちっと決まってどこで試合をするということがわかりました場合には、スポッターを当該国から派遣していただくということでもう話はできております。あとは、具体的にいつ派遣していただくか、こういうことでありますので、このスポッターと連携をとりながら的確に対応していきたいと考えております。

中沢委員 最後に村井さんに一つだけ。

 今いろいろ議論しました。機動隊、SATあるいは麻薬対策、今のフーリガン対策、これはやはり予算というか金目の問題にそれぞれ関係すると思います。十分、来年度の予算も含めて具体的な作業がされていると思いますが、そこのことだけちょっと、国家公安委員長として、最高責任者として、決意も含めて、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。

村井国務大臣 今中沢委員と事務当局とのいろいろな質疑を拝聴しておりまして、最近話題になりましたテロ対策それから組織犯罪対策、第三次薬物乱用期と言われる薬物問題ないしはフーリガンに象徴されるワールドカップの問題、治安をめぐる私どもの課題、非常に重いものがたくさんあるわけでございます。

 それに対しまして、ハードの面でいろいろやることもございます。

 しかし、やはり最も私ども考えなければなりませんのは、二十三万人の警察官、これは第一線で一生懸命やっているわけでございますけれども、それではなかなか手が回りかねるという面もあるわけでございまして、どうしても一万人程度の警察官は、どうやりくりしてみても不足しているという現状でございます。しかし一方で、質を落とすわけにまいりません。そう急に採用というわけにもいきません。できれば来年度何とか五千人の増員を図りたいということでお願いを申し上げておる。

 当然、それに関連いたしまして、さまざまの経費につきましてもお願いを申し上げておるところでございまして、いずれにいたしましても、治安の維持に任ずる国家公安委員会の責任というものを十分自覚いたしまして対応をしてまいりたいと存じますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。

中沢委員 ありがとうございます。

 そこで、石原大臣、残り時間がわずかになりました。簡単に質問したいと思うのです。

 一つは、特殊法人問題。大変御苦労されていると思いますよ。うちの党内にもいろいろな意見があります。

 あえてそのことの中身は触れませんが、明日、政労連の皆さん、私も同行しますけれども、大臣にお会いをすることになっています。直接の労使関係がありませんが、やはり担当大臣として、政労連という労働組合の皆さんとも誠心誠意お会いをして、全国で四十万ぐらい署名簿を集めたという話もありますから、ぜひ今後の問題も含めて誠意を持って対応していただきたい。これが一つ。

 それからもう一つは、公務員制度の問題です。

 率直に言って、今の局面で我が民主党と石原大臣と全面対決をするという状況ではない。これははっきり申し上げます。ですから、十二月の大綱に向かって、与党とのすり合わせもまだまだ残っているでしょう。そういう話もいろいろ聞いています。私も、個人的に与党の皆さんとも非公式にいろいろな話し合いもさせていただいています。本当に苦労が多いと思うんですよ。

 しかし、六月の委員会で、ILOもそうでありますが、大臣答弁、参議院でもありました。とにかく、公務員制度、国民が期待をするような公務員制度の改革、それは労働基本権問題と密接な関係がある、こういうことでこれから労働団体と誠心誠意交渉、協議をやっていくんだと。私は、見る限り、交渉はやっていると思うのです。ただ、残念ながら現状は、交渉はやや中断状態です。なぜ中断したかということは聞きません。

 そこで、私は大臣にきょう聞きたいのは、十二月の大綱、私はまだ機が熟していないと思いますけれども、制度と労働基本権問題をしっかり着地をしてほしい。仮にその着地ができないのであれば、率直に言って十二月の大綱ということはもう少しじっくり腰を構えて、乱暴な表現かもしれませんが、変な着地をするよりも、もっといろいろなところと十分話をしながら、仮に時期が若干ずれても私は構わないと思いますよ。

 こういうことは余り公式の場では言わない方がいいのかもしらぬですが、私はかなり責任を持っていますから、あえて、十二月の大綱で着地をしてほしいけれども、変な着地をされたらこれからやはり国際的にも袋だたきに遭いかねないなという懸念もありますから、十分承知だと思いますけれども、そういうことも含めて、今の大臣の、私は全面対決しませんよということが前提ですから、さっき言うように政権とりなさいなんというのは、それは全面対決の場面でお互いに言う話でありまして、それはそれとして、やはり十二月の大綱に向かってどういう着地をするつもりなのか。着地ができなければ先送りをした方がかえっていいのじゃないか、私はこのように考えております。この点について、率直なお答えを聞いておきたいと思います。

石原国務大臣 中沢委員の御質問は二点、特殊法人改革における特殊法人で働いている方々の雇用の問題と、そして、公務員制度改革の大綱をまとめるに当たっての、先ほど来同僚の金子議員ともかなり議論になりました勤務条件と労働基本権の問題等のあり方の二点だったと思うのです。

 一点目は、今回の特殊法人改革が、これも再三再四申し述べさせていただいておりますが、簡素で力強い政府をつくっていく、そんな中で、これまでそれなりの機能を果たしてきた特殊法人も、時間がたつにつれまして肥大化したり硬直化したり不透明な部分が出てきて、こういうものを直していこうという観点で、事務事業を実はゼロベースから見直させていただいております。

 そして、当然のごとく、特殊法人の事務事業の見直し結果によってこの雇用の問題というものが決まってまいりますけれども、これもちょっと読ませていただきますが、当委員会でも特殊法人等改革基本法の審議の中で附帯決議をつけさせていただいております。それは、政府としてもそれを受けたわけでございますけれども、「特殊法人等の改革の推進に当たっては、これまで維持されてきた当該特殊法人等の職員との良好な労働関係に配慮するとともに、関係職員団体の理解を求めつつ、その雇用の安定に配慮すること。」これは与野党全会一致で決まっていることでございますので、この附帯決議の趣旨を踏まえて、適切な配慮を払ってまいりたいと考えております。

 二点目の問題でございますが、委員の御指摘は、まとまらなければ先送りしてもいいんじゃないかというような御指摘でございましたが、先ほど御答弁させていただきましたように、現在、十二月中の大綱の策定を目指して鋭意検討させていただいているところでございまして、勤務条件に関する制度の具体的な検討を議論していく中で、もちろん、この労働基本権の問題は、ILOとの関係やこれまでの当委員会での議論というものを十分踏まえさせていただきまして結論を出していかなければならない重要な問題である。その結論につきましては、いましばらく検討中でございますので、お答えできないということを御容赦いただきたいと思います。

中沢委員 終わります。ありがとうございました。

大畠委員長 続いて、工藤堅太郎君。

工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございますが、竹中大臣にお伺いをいたします。

 経済財政諮問会議は、十一月に入りまして、規制改革とか不良債権の処理でありますとか、またデフレ対策など、個別のテーマごとに集中的に審議をされたというようにお伺いをしているわけでありますが、それにしても、このたびの第二次補正予算編成についての政府の取り組みには、実は唖然としたわけであります。

 つい先般、十三年度補正予算を国会で議決したばかりでございます。もちろん、この補正予算を審議する前から、与党の方から第二次補正の必要性が言われておったわけでありますけれども、これに対して総理も財務大臣も絶対にあり得ないと言明をしておられたわけであります。それをわずか一、二週間で、そうそうたるメンバーで構成されております経済財政諮問会議が二次補正の必要性を認めたということになったわけでありまして、これでは、現下の経済状況の認識を甘くとらえておったと言った方がいいのか、落ち度があったと言った方がいいのか、それをみずから認めているようなものだ、私はこのように思うわけでありますが、その点について、まずお答えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 先般、第一次の補正を御承認いただきました。

 第一次の補正といいますのは、実は、九月の七日だったと思いますが、九月の最初に、総理の方から、雇用を中心としたこういう補正を考えろという指示を私たちいただきまして、作業を進めてまいりました。その後、九月の十一日に例の同時多発テロが起こった。その後、状況がかなり変わったということが一つあるのだと思います。

 しかし、九月十一日の時点でも、これが経済に対してどのぐらいのインパクトを持つかということはまだよくわかっておりませんでした。さらに、約一カ月後にアメリカのアフガン攻撃が始まって、事態がどんどん変化していく状況でございました。その変化の状況を、私たち一生懸命いろいろな情報を集めながら分析をしておりましたわけでありますけれども、その時点で第二次補正が本当に必要かどうかということを十分に判断する材料はなかったということだったと思います。

 しかし、一方で、このまま日本の経済がデフレスパイラルに陥るリスクはないかという、どこかで決断しなければいけない。これが実は、第二次の予算等々の編成の時期、これはもう物理的な準備の時期等々を考えますと、十一月の末にはかなりはっきりとせざるを得ないという、ぎりぎりのところの時期的な制約があったわけでございます。その点で、その間も毎日、第二次補正の間も一生懸命情報収集と分析をしてきておりましたけれども、それに基づいて、この一、二週間の間に最終的に二次補正の決断をさせていただいたというのが実情でございます。

 こういった状況の変化と時間的な制約という中での意思決定というふうにぜひとも御理解を賜りたいと思います。

工藤委員 もとより、先般の補正予算の規模では、我が党としても、景気浮揚という観点からいえばほとんど効果がないだろうというようなことで疑問を呈してまいったわけでありますけれども、今回の二次補正の規模にいたしましても、真水で二兆五千億、あるいは事業費規模で四兆円程度、これでは、先ほど大臣の言われたデフレスパイラルに陥らない程度としか考えられない、このように思うわけであります。

 竹中大臣は、担当大臣として、三十兆円枠にこだわって本当に景気を浮揚させることができると考えておられるのかということでありまして、そこで、どういう経緯でこの予算規模が決まったのか、また景気浮揚にどの程度効果があるというふうにお考えになるのか、その点もお尋ねをいたしたいと思います。

竹中国務大臣 どのような意思決定をしたのかというお尋ねだと存じます。

 まず、数字の問題でございますけれども、国費として二・五兆円投入させていただくというようなことが一つのめどに、今のところはまだ明確でありませんが、あくまでもめどになっております。

 その場合、委員、真水というお言葉をお使いになりましたけれども、真水が二・五で事業費が四というふうには解釈しておりません。これは、地方にもその分いろいろな事業を計画していただくということをお願いしているわけで、この地方の中で出てくるようなものについても真水部分がかなりのものが出てくるというふうに考えております。これは今の時点でその規模や効果を正確に議論することはできないのでありますけれども、私の認識としましては、真水で見ても四兆円に近い、その程度のものになってほしいというふうに考えております。これは今後の議論、組み方次第の問題ではございます。

 さて、どうしてそういう数字が出てきたのか、その効果がどういうことかというふうに思うのですが、委員、景気浮揚というお言葉を数度お使いになられましたが、まず、景気が悪いから景気をよくするために補正予算を組むという考え方では決してございません。これは、残念だけれども、経済というのは景気がいいときも悪いときもある、それに対して政府が過度に裁量的な介入は行うべきではないというふうに考えているわけであります。

 しかし、今、先ほどからちょっと申し上げた、需要がスパイラル的に悪化するような懸念があるときは、これは食いとめなければいけない。したがって、あくまでも目的は、単に景気をよくするということではなくて、デフレスパイラルのリスクを回避するためのものである、これが基本的な目的、考え方でございます。

 では、その目的に従って議論を進めるに当たって、これは、例えば真水で一兆とか、そういう小規模のものでやるならばこういう役割は果たせないだろうというふうに考えました。

 では、しかし、規模が大きければ大きいほどいいか。短期的に大きければ大きいほど需要を刺激する効果はあるわけでありますが、御案内のように、膨大な借金を抱えている、国債の金利上昇や値崩れが将来的に懸念される、そういうことを唱える方も多い中で、やはり大量の国債を発行して非常に大きな規模の予算を組むこともできないだろう。その意味で出てくるのは、やはり中規模ということではなかったかと思います。中規模の一つのめどとして四兆円前後、三兆とか四兆とかという数字が漠然と出てくるわけでございますけれども、そういった論理構成の中で補正予算の編成を総理は決断された。

 その上で、では、それをどのように資金調達するか、これはまた別の次元の話が出てくるわけでございますが、お尋ねの経緯ということに関しましては、以上申し上げたとおりでございます。

工藤委員 私は、ちょうど一週間前、先週のきょうなわけでありますけれども、この場から質問を申し上げました。現下の経済情勢が本当に厳しいんだということを申し上げたわけであります。特に竹中大臣に申し上げたのは、地方の中小企業、もうきょうあすにも景気をよくしてほしい、悲鳴が聞こえるような状況だということを申し上げたつもりだったわけであります。

 今の大臣の御答弁は、デフレスパイラルに陥らない程度に、そういうようなことで考えている、景気の浮揚というようなことではないというようにお聞きをしたわけでありますけれども、私は、これではもう本当に中小零細企業は大変だろう。例えば、この年末、年度末、来年度、ますます景気が落ちるような状況になるんじゃないか、そういう点で心配するものでありますから、この際、カンフル剤的な施策を講じて何とかこれを上向かせるような、そういうようなことをしたらどうかという御提言を申し上げたつもりだったわけであります。

 すなわち、再言することもなんですけれども、土地譲渡益課税、これを二年程度の時限立法で、税率も三%で抑えてやるということになれば、千四百兆もあると言われている金融資産、これが動くことになるだろう。あるいは消費税も、同じく二年程度の時限立法で凍結をするということになれば、これも景気が相当動くことになるだろう。あるいは株式のことも申し上げたつもりであります。

 あのときは、まだまだたくさんあるということを、こういう種類のものがあるということを申し上げましたが、先日、新聞を見ておりましたら、自民党の麻生政調会長が、相続税、贈与税の税率を大幅に下げた方がいいということを発言したということが出ておりましたけれども、これも実は、私のたくさんあるものの一つだったわけであります。ただ、贈与税とか相続税、これは必ずしもカンフル剤にはなるとは思いません。思いませんけれども、やらないよりはやった方がいいというようなことで、これも大事なことでありますから、ぜひともこういうふうにしてほしいというように思っている一つでございます。

 私は、今回のこういう程度の補正予算とか二次補正、これをやっても、景気が浮揚するというような、大臣は、そういうことの観点でやっているんじゃない、デフレスパイラルに陥らない程度にやっているといって考え方が全然違うわけでありますが、税についてはもちろん財務省ということでありますけれども、担当大臣として、十四年度の予算編成にカンフル剤的なこういう施策を講ずることについてどう考えておられるのか、そういう点でも御所見をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 ちょうど一週間前だったと思いますが、工藤委員から非常に多くの御示唆をいただいたことを鮮明に記憶しております。

 今のお話で、地方の経済状況の御指摘がございました。私自身も非常に厳しくそういう認識を持っております。したがって、今回の新しい緊急改革プログラムの中でも、地方の活性化、これがまさに構造改革の重点七分野の非常に重要なものでありますので、そういった点に配慮したものにぜひともしていかなければいけないというふうに思っているわけでございます。

 まさに、工藤委員の御指摘は、経済の活性化のために政策手段を総動員すべきであるという御指摘だと思います。まさにそういう問題意識で、御指摘のありました諮問会議での集中審議をしてまいりました。集中審議で、工藤委員の問題意識を反映したような議論、そういうことも考慮すべきであるというような意見は明確に出されております。

 問題は、しかし、主として税のこと等を工藤委員はお挙げになったと思いますけれども、これは財務省でお考えになることであり、カンフル剤というお言葉をお使いになりましたが、税というのはやはりシステムでございますから、半年や一年制度を変えても、なかなか効果というのは実は出てこない性格のものだと思います。その意味で、やはりシステムを根底から、経済を活性化させるための経済思想を反映してしっかりつくるということが大変重要なのだと思うわけであります。

 実は、諮問会議の場におきまして、総理御自身から、税制の骨太の部分について、その根幹の部分について、年が明けたら諮問会議で議論をしろという御指示が出まして、まさに工藤委員御指摘のような問題意識を受けてこの仕組みをしっかりつくる、これはとても短期的にできる問題ではなくて、しっかりとその議論をして、まさに構造改革としての税の問題を議論するということにはぜひ着手したいというふうに思っております。

工藤委員 今、大臣から御答弁いただいたわけでありますけれども、私は先般も申し上げましたが、構造改革は今のスピードよりももっと早く、きちっとやるべきだということを申し上げました。

 ただ、景気がどんどんと落ち込んでいくだろう。その落ち込むような状況になれば、きのうきょう景気が悪くなったんじゃなくて、十年も前から、きょうあすにでもと言いながら、中小零細企業が本当に身を削って頑張ってきて、そしてもうどうしようもないところまで来ているというふうに私は考えるのでありますけれども、大臣、先ほど私が申し上げました年末、年度末、来年度、こう見た場合に、景気が上向くと考えておられますか。それとも、何か打つ手があるというか。奇策といいますか、そういうのを持っておられるんでしょうか。そうであれば私は安心して本当にいい内閣だなと言えるわけでありますけれども、そういうのがないと本当に大変だというように認識をしているものですから、大臣の御認識はどういうことか、それをちょっとお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 私は、まずやはり日本の経済というのは大変な地力、潜在力を持っているというふうに思います。その潜在力を引き出すのがまさに構造改革であるというふうに思うわけです。

 実は、二〇〇一年度と二〇〇二年度、この二年、日本の経済は本当に大変厳しいところに今追い込まれていると思います。その構造改革のおくれがさまざまな形で経済を弱体化させて、そこに世界的なIT不況と同時多発テロによる世界的な不況の波が襲っている。その意味では、この一、二年がまさに辛抱のしどころだというふうに思うわけです。

 しかし、五百三十項目の政策項目を改革工程表に入れさせていただいた。その中の規制改革等が、私は間違いなく、少しずつではあるけれども、日本の経済にじわじわと効いてくるというふうに思うのです。

 来年度に関しましては、引き続き厳しい状況が予想されますが、多くの専門家の予測では、アメリカ経済に関して、来年の後半からよいサインも出てくる。今外から吹いてきている非常に冷たい外的なショックが少し和らぐ方向に行くという状況の中で、日本の経済がじわじわと地力を発揮していく。経済をよくするのは、私はやはりこれしかないのだと思います。

 奇策はあるかというふうにお尋ねがありましたが、やはり経済というのはなかなか奇策というのはないわけで、しっかりと、構造改革、規制改革や特殊法人の民営化等々がその象徴でありますが、民間でできることは民間に持っていって活力を引き出す、規制を少しでも解除して活力を引き出す。そうした中で、私は、日本の経済が本来持っている力、ここまでの日本の繁栄を築いた地力を我々は持っているわけですから、それをやはり引き出すことが重要なのだと思っております。

 それに関しては、ある程度の需要の支えはもちろん必要なわけで、その意味では、これも前委員に申し上げたかもしれませんが、三十兆円の国債発行をするということはGDPに対して六%の財政刺激をやるということですから、これはこれでやはり政府の引き続く役割なんだと思うのですね。それを有効に活用させていただくことによって、日本の経済の地力を引き出すことによって、苦しい一、二年を何とか克服していきたいというふうに思っているわけであります。

工藤委員 いや、大臣のおっしゃることは非常にわかりやすいと思うんですが、ただ、見解の相違というか考え方の違いというか、例えば、税をいじくっても半年や一年ではなかなか効果が出てこないとかといったような、さっきそういうようなお話もされましたけれども、私は、時限立法でやった場合にはその間は必ず動く、しかも大きく動くというふうに、例えば、今二六%のものが三%になるということになれば、その間は私は必ず相当の金が動くというふうに思うのです。

 ですから、そういうのがカンフル剤で、それが半年や一年で効果があるとは思えないと言ったところで、私はそれは効果があすからでもあるような状況になるだろう。消費税も同じだ。いわゆるその時限立法の期間、その間はそういうふうになるだろう。そういうものをやっていかないと、この一、二年が勝負だとか一番苦しいときだろうとか、そう言ったところで、もう本当に落ち込んでいる、大変だということを、いわゆるそういう内面的な力が我が国にはあるんだと言ったところで、どんどん落ち込んで、いわゆる倒産件数がふえたり、また失業率がふえたり、もうこれ以上ならないうちに私はそういう施策を講ずるべきだろう、そのように思うものですから、うるさいくらいといいますか、執拗にこの問題をお話し申し上げているわけなんです。

 何とかこのことを御理解いただいて来年の施策にでも反映をさせていただければというふうな気持ちで申し上げておりますので、御所感がありましたらお願いします。

竹中国務大臣 工藤委員の御指摘は非常に理解できるところがたくさんございます。

 誤解のないように申し上げておきたいんですが、確かに御指摘のように、時限立法であるからこそ効果があるというような、そういう短期の制度変更はあり得ると思います。集中的にいろいろな支出を前倒しさせるとか、そういうものは確かにあり得るのかと思います。ただ、実際の政策運営を全体として考えますと、そういうふうに短期的に制度をころころと変える国である、この国はいつ制度が変わるかわからないと思われることによって世界のマーケットから不信を買うかもしれない、やはりそういうマイナス面もあるのだと思うんですね。

 要は、御指摘のとおり、やはりケース・バイ・ケースであろうかと思います。この非常に厳しい二年間、集中調整期間をしのぐために、そういう柔軟な発想で何かできることがあるかどうか、これは工藤委員の御指摘を踏まえながら、引き続き私なりにぜひ考えさせていただきたいと思います。

 御指摘に感謝申し上げます。

工藤委員 終わります。

大畠委員長 続いて、北川れん子さん。

北川委員 社民党の北川れん子です。よろしくお願いします。

 私は、十一月七日に事故を起こしました浜岡原発のことでお伺いをしたいと思います。

 昨日ですけれども、浜岡一号炉というのは、営業が七六年で九番目に古い、九番目に営業時間が長い、そしてまた形が旧型である原子力発電所だということでありました。そこへ視察に入ったわけなんですが、緊急炉心冷却系の一つであります高圧注水系の余熱除去系配管の破断、破裂場所、だから格納器の中に、危険箇所にも入ったんですが、そしてその破断、破裂場所を見ました。そして、制御棒駆動機構ハウジングの水漏れ場所ですね、こちらも格納器の中に入って視察をしました。

 社民党の衆参議員三名と専門家が三名、原子力情報室の方が二名、そしてスタッフが八名、総勢十六名だったんですが、この危険区域に入って一時間七分で私などは〇・〇四ミリシーベルトという被曝を受けた、そういう記録もいただいて帰ってきたわけです。

 そして、ガンマ線の計測器ですが、これも各自それぞれ持って入ったんですが、私が持っていたのは最高で九・九九九マイクロシーベルトまでしか計測できないんですが、それがピーピー鳴る箇所がたくさんありました。ですから、説明を受けた場所からすると三百倍から五百倍ぐらいの放射能汚染というものがあるんだろうというのも推測できたわけですね。

 そして、中部電力の説明では、今、七八年営業の二号炉は、地域住民も心配しているため、自主的判断で停止、三号炉は点検中で停止、四号炉はBWRだが設計が違うため運転、五号炉は、ABWRは建設中という説明でありました。

 そして、この破断事故というのは、月一回の高圧注水系の作動試験を開始しているその折に、バルブをあけたところ破断が起きたというふうに説明があったんです。

 ここでお伺いしたいんですが、これはすなわち、原子炉からの水抜けが起きて、緊急に水を送り込む必要が生じても動作不能という事態になったのか、簡単に言うと、緊急炉心冷却装置というものが作動しないというようなことに至ることが起こったのではないかというふうに思うんですが、事故から二十日たったわけですが、どういうふうな理解を現時点でされているか、お伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 今回配管の破断がありました箇所は、ECCS系の一つであります高圧注入系でございます。原子炉の安全の確保は多重に設計をされております。そういう意味で、高圧注入系を含めて全部で五系統ございます。したがいまして、今回破断事故が起こりました瞬時に、高圧注入系は隔離をされまして、その機能が果たせないということでございます。しかしながら、安全系は多重に設計をされているということを御承知おきいただきたいと思います。

北川委員 一応そういうことでは、今の御説明では動作が不能に陥ったということは認めるというふうにお答えいただいたと思うんですね。

 それで、私もこのパイプというのを見たんですが、直径十五センチで厚さが一・一センチありました。専門家の方も視察を終えてから、緊急非常用冷却配管があんなに破壊して吹っ飛んでいる。三十秒間暴れ回るわけですけれども、しかも、とめている支持部というのが真ん中で吹っ飛んでいる。上に上ったメンバーは、暴れ回って配管が当たったところがいろいろ傷がついているところも見たり、それからはしごがぐちゃっとなっているのも見たりということもありまして、かなり衝撃が大きく出て、それがもっと次の破裂に行くすんでのところで手動でとめたということだったろうと思うんです。

 そうしますと、今、多重防護をやっていらっしゃるということなんですが、その多重防護自身がかなり危険な状況にあったんだということを私たちは専門家の意見も聞いて理解したんですが、いわゆる安全圏内の七十気圧なんかで吹っ飛ぶというのはおかしいというのが専門家の直観のお話でありました。七十気圧という普通の安全圏内の気圧でなぜ吹っ飛んだと今思っていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 今先生御指摘のように、現場を私も見ました。非常に大きな力がかかったものと私どもも推測をいたしておりまして、そういう意味では、今までのいわばSCCでリークが起きたというような配管のいわゆる傷とかそうした事象を超えるものだという認識を今も持っておりますが、ただ、全体として、この事象がどうして起こったのかということを今原因究明中でございますので、その原因究明の中で明らかにしてまいりたいと思っております。

北川委員 傷を超えたという御答弁は、傷があったというふうに言われたことと受けとめさせていただきまして、次に行きます。

 その傷、亀裂というものが伝播する、だから七十気圧で吹っ飛んだのではないか。この推測にしか至らないのはなぜかというと、寸法とか形状の生データ、それから温度データ、製造データ、すべてまだ出ていないんですよね。これを出していただきたい。そして、いわゆる皆さん方がお抱えになっていらっしゃるメンバー、専門家だけの解析調査ではなく、違う考え方で物事を見るメンバー、そういうメンバーにも解析をさせていただきたい。これを本当に強く思いました。

 ですから、そういう生データが出ていないので、専門家はとても慎重ですから、私たちに言ってくれたのは唯一、やはり美浜の破断と同じぐらいに重大な事故であったというふうに現場を見てさらに確信したということをお伺いしました。

 次にお伺いしたいんですが、配管の内側には、軸方向に数ミリに一本ぐらいの間隔で亀裂が幾つもできていたという報道がありましたが、これは事実ですか。

佐々木政府参考人 現在、当該配管部の切断をいたしまして、材料の破面あるいは断面の調査を実施しているところでございます。私も現場で、その破断した配管に幾つかのおっしゃるような条痕というのは見ました。ただ、これがいわゆる熱疲労によるものかどうか等、今後の調査で明らかにしてまいりたいと思います。

 なお、さっき先生が御指摘になりました、いろいろ情報、生データの公開等、私どもは適宜、今後の作業の進捗状況に応じまして公開の精神でやってまいりますし、また、原子力安全委員会にも御報告しながらやっていく所存でございます。

北川委員 本当にありがとうございます。

 生データというのは進捗状況に応じるというふうに言われたところはちょっと気になるんですね。生データは生で出してもらいたい、これは本当に希望であります。そして今、報道にあったような事実があるんだということを御回答いただいたと思います。

 次に、今言ってくださった切り出したパイプ、私たちが行ったときはもう、ちぎれて暴れた、破裂したところは切り取って、なかったんですよ。メンテナンスエリアに切り出したパイプが置いてあったわけですが、この切り出し作業というのは労働者の人たちにすごい被曝をさせるものだと聞きました。こういうふうに資料に、中部電力も、労働者の方が作業をしていらっしゃるところ、二重の手袋で黄色い服でという姿を写した写真もいただいたんですけれども、格納器の中がより一層なお、格納器の外に漏れなかったからいいではないか、他者に影響を及ぼさなかったからいいではないかというのが今の見解なんですが、中にいるメンバー、特に集中コントロール室じゃないところにいる現場のメンバー、ここに多量の被曝というものを強いていらっしゃると思うんですが、この点は後でもう一度お伺いしたいと思います。

 そして、今の切り出したパイプとかテストピース、これが、中部電力は日立、東芝ですよね、関係会社が。日本原電、ここの研究機関に持ち込んだと言われたんですよ。原子力安全委員会にお伺いしたいんですが、これで公平な調査ができるんでしょうか。

佐々木政府参考人 最初におっしゃいました作業者の被曝管理でございますけれども、原子力発電所におきます放射線業務の従事者の被曝管理につきましては、法令に基づきまして、被曝線量限度が五年間で百ミリシーベルトを超えず、かつ、いずれの年も年間五十ミリシーベルトを超えないこととされております。事業者は、これを踏まえまして、作業者の被曝放射線量をできるだけ低くおさめるように義務をつけられているわけです。私どもも、その報告をきちんと聞くということにしております。

 それから、今後の調査計画の中で、今先生が御指摘の材料の関係の破面あるいは断面の調査でございますけれども、私どもとしては、日本原子力研究所もクロスチェックの機関としてこの材料の関係の調査をしていただくことにより、より客観性を求めていろいろな角度からの御意見を賜って調査を進めたいというふうに考えております。

北川委員 ということは、幾ばくか公平でないところもあるから、そのテストピースとかちぎれて本当に躍り上がったところというのは、他者が見たいと言えば、きっちり検査状況としていただけるということも含めてお考えなのかというのもお伺いしたいんですが、今は保安院の方からお伺いしました。

 原子力安全委員会にお伺いしますが、原子力安全委員会が一番根幹的に、安全性の面を届け出のときから見ていっていらっしゃるメンバーであります。だから、二十八年前つくられ、運転が二十六年前から始まったこの浜岡一号炉を見ていらっしゃるわけですが、今の保安院のお答えを聞かれてどう思われたのかというところと、それからもう一つは、炭素鋼でつくられた系統まで、いわゆる定検には入っていないわけですよね。そういうことまで含めて今回の事故はいろいろなことを示唆しているというふうに思うんですが、その点は今はどういうふうに思っていらっしゃるのか、あわせてお伺いしたいと思います。

木阪政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生、浜岡の一号炉につきまして言われましたけれども、私ども、この安全委員会が発足したのは昭和五十三年でございます。したがいまして、設置許可がおろされたときは原子力安全委員会ではなくて原子力委員会の時代でございますが、もちろん安全規制はずっと継続しておりますので、私どもは、安全規制という観点からではずっと見ておるということは確かであろうかと思います。

 それで、今回の事故に関しまして、私どもは、先ほど保安院長の方からもお話がありましたように、現在、先ほどの日本原子力研究所等を通じまして、専門的な原因調査、その金属面を調査したり、そういうデータがいずれ出てくるというふうに考えておりまして、そういうデータが出てきた段階で私どもとしてきちっとした判断をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 確かに、今回のような配管、先ほど先生言われましたように、十五センチぐらいの配管が破断をしたというようなことがもちろんございますので、私ども、非常に重く受けとめているということでございます。したがいまして、私どもとして、通常の事故調査というよりは、私ども自身も事故調査の専門部会を開催いたしまして、このための専門のワーキンググループをつくりまして、現在、事故調査を進めておるというところでございます。

北川委員 私は、原子力安全委員会というのは保安院から情報をいただくという成り立ち方が、原子力安全委員会は、独自のスタッフ、専門家、そして労働者も含めて情報収集をできる形での公平な提言ができるメンバーですね、それを身内にというか、自分たちの配下に持たないと、保安院から出される情報だけで、それから新聞情報で原子力安全委員会が成り立っているとしたら心もとないなというのを思っている面があるんですね。

 きょうは、原子力安全委員会のメンバーである須田委員、このメンバーも視察に入られたということを新聞で知ったんですが、そのメンバーにおいでいただきたいというふうにお願いしていましたら、今、外国の方へ行かれているということで無理だということだったので残念だったんですが、十一月二十一日に、毎日新聞の報道では、原子力安全委員会の須田委員が、七月ごろから水漏れが続いていたデータ、これは中部電力も出してくれたと思うんですけれども、季節の変動で多少はこうなるから余り気にしていなかったということなのか、見なかったというのか、ちょっとわかりませんけれども、この七月ごろから水漏れが続いていたデータを自分はもらっていなかったということを発表されているのが載っていたんですけれども、これというのは事実なんでしょうか。ですから、保安院からこういう報告を受けていなかったということを十一月二十一日の新聞では報道されていたんですが、これは本当だったんでしょうか。

木阪政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、事故調査をするに当たりまして、もちろん保安院から情報提供をいただくということと同時に、先ほど申し上げましたワーキンググループの専門委員、それから私どもの事務局の職員、これは、事故が起こって直後にもう既に事務局の職員も現場に入り、みずからの調査活動を現在も進めているところでございまして、先ほど先生言われましたように、決して保安院からだけの情報でやっておるということではもちろんないわけでございます。もちろん、科学的なデータというものは共通のものということもございますので、当然参考にしながら進めているということでございます。

 須田先生の件でございますが、須田原子力安全委員は、先ほど先生も言われましたように、十六日に現地に調査に入られました。そのときの模様も、今先生言われたとおりでございますが、この前のワーキンググループにおきまして、先生今御紹介されたようなことで、情報を出してほしいという発言をされたのは事実でございます。

 その後、今私ども、保安院ともいろいろ御相談をさせていただいておりますが、御質問のデータを含めまして必要なデータについて適切に提供していただけるものというふうに考えております。

北川委員 事実だったということなんですが、では、保安院にお伺いしたいんですが、保安院の方では、せっかく持っていたのに、結局、七月から漏れていたとは判断できないというふうに言っている報道も載っていました。せっかくデータを持っていても、判断できなかったら中部電力に対する指導もできないので、一体だれが判断するのか。保安院にあると思っていらっしゃるのかどうかということ。

 それともう一つは、八八年の九月にも水漏れ事故を起こしておりますよね。この水漏れを察知するために取りつけた露点計という計測器からそういう漏水の兆候が見られたということだったと思うんですけれども、結局、十一月十五日に明らかになったということであれば、中部電力が気がついていなかったのか、それとも大切なこととは思っていなくて保安院の方へ報告しなかったのか。これは、配管破断と破裂の状況から九日偶然見つかったというか、偶然気がつくというふうに話がいってしまうわけですが、この水漏れ事故というのを十二年前にも起こしている。それは、建造日からすると十二年後なんですよね。そしてまた十二年目に漏れを起こしているということも含めて、私はこれはすごく重大だと思うんですが、保安院の権限というのは、わかった七月の段階、もしくは八月の段階で中部電力に何らかの指示をするべきではなかったのかというふうに思うんですが、この辺はどうなっていたのでしょうか。

佐々木政府参考人 今回、制御棒駆動機構の案内管からの水漏れにつきまして、これがいつから水漏れが始まったかということは、今後の原因究明の中で一つの重要なファクターであると思っております。私ども規制当局がこの状況を聞きましたのは、十一月の十二日でございました。

 今先生御指摘のように、一九八八年に中性子計測のインコアモニターのハウジングでやはり漏れが生じたということで、中部電力は自主的に露点計というものを設置いたしまして、微少な漏れを事前に察知するという対策をとったわけでございますが、私ども、今、この露点計というもののデータの有効性の問題、そして、いろいろな監視装置がありますけれども、こうしたものとのデータのバランスから、これがどういう判断基準できちんとそうした漏えいというものをこの露点計を設置したことによってつかまえられるか、こうしたことは、いろいろな総合パラメーターと十分に整合性を検証した上でないと軽々には判断はできないというふうにも思っております。

 露点計自身が正常な稼働状態であったかということも含めて、詳細に中部電力の方から我々もよく説明を聞いて判断をいたしたいというふうに思っております。

北川委員 今のをお伺いしていると、軽々な判断をしているうちに大事故に至る事故が起こったというふうにしか私には聞こえてこないんですが、次に尾身大臣の方にお伺いいたします。

 先ほどから何点か言っていることは、いわゆる原子力発電所二十五年寿命説というのを建設の当時にはきっちり言っていました。それが、今なぜか、六十年もたすんだというふうに変わってきました。これは経済性の論理からそうなったと思うんですが、もう十二年前の事故のときから言われていましたが、老朽化、応力腐食割れ等々の問題というものは表面化していたんですね。これに対しての今の尾身大臣の御見解。そして、今回、生データを本当に早く、瞬時に出すということは、これからの原子力発電所を推進される側にいらっしゃるメンバーにとってもとても重要だと思うんですが、そのことに対しての御見解。そして、今回の調査、分析に関しましては、ぜひ推進派以外のメンバーの専門家、学者、市民運動、地域周辺住民等々がきっちり調査、分析できるような形というものを、テーブルを持つべきではないかと思いますが、これに対しての大臣の御見解。三つあわせてお伺いしたいと思います。

尾身国務大臣 この浜岡原発事故につきましては、大変大事な原子力の安全性の問題でございまして、私ども、全力を尽くしてその原因解明をするのと同時に、今後ともこういう種類の事故が絶対に起こらないようにしてまいりたいというふうに考えております。

 何かあったときには一時停止、自動的に停止するという設計もしているわけでございまして、設計上の構造としても、私どもとしては、安全性には万全を期せられているというふうに考えております。

 長い間、長期運転をしておりまして古くなったというようなお話がございましたが、定期的な検査も行いまして、必要な機器の補修あるいは補充あるいは交換等を行うというようなことで、きちっとその管理をすることによって安全性を確保しているものと考えているわけでございます。

 ただ、それにつきましても、安全性の問題は大変大事な問題でございますので、安全委員会の審査等におきましても、できるだけのデータを公開し、透明性のある形で審査をし、国民の皆様に御理解と納得をしていただけるような形をとりたい。そして同時に、原子力を推進していく立場にある私どもといたしましても、安全性の確保というのは最重点項目でございますから、これを絶対に間違いないようにしていきたいというふうに考えております。

 この安全審査委員会の委員の構成等でございますが、これにつきましては、まさに最前線にある最善のメンバーで専門家を集めて審査をしているわけでございまして、むしろそれをきちっと公開をした中で、透明性を持って審査をしていくということが大変大事だろうというふうに考えております。

北川委員 時間が来たので最後ですけれども、九三年から九四年に、第十三回定期点検の折に、一連の老朽化対策工事を行っていらっしゃるんですよ。このとき、余熱除去系の蒸気凝縮系の配管を取りかえている。この配管、エルボー部というんですが、L字形に変更するように指示した。これが今回の破裂の事故につながるというふうになっているんですが、保安院も配管がどうなっているか知らない、安全審査の対象にもなっていないということなんですね。

 尾身大臣は今、安全性を自分たちのメンバーでやるんだということを繰り返して言われたと思うのですが、安全委員会も知らない審査の対象になっていたり、保安院も配管を知らない、こういう現実はどういうふうに思われますか。

佐々木政府参考人 当該破断部の配管は第三種管という位置づけをいたしておりますが、設置許可の申請の中でそのシステム系はきちんと審査をいたしておるところでございます。

 今先生御指摘の改造したということでございますけれども、基本的に圧力や温度の使用条件が変化しておりませんで、配管の引き回しを変えた、その目的につきましては、破断箇所の下流側にあります弁からの熱交換器への蒸気漏えいを防ぐという保守管理の観点から行ったというふうに我々は理解いたしておりますが、この工事そのものについては、今申しましたように、設計審査の基本的な考え方も変えていないということで、工事計画の認可の対象とはしておりません。

北川委員 延長していただきましてどうもありがとうございました。終わります。

大畠委員長 続きまして、松本善明君。

松本(善)委員 石原大臣に特殊法人の改革問題で質問しようと思います。

 二十二日に政府・与党は特殊法人改革問題で合意をし、大臣もその趣旨で行革推進本部に報告をされたと思います。この内容は大変問題があって、マスコミも指摘をしていますが、道路公団でいえば、むだな高速道路づくりをやめるという保証はどこにもないし、道路特定財源の一般財源化の公約も全くやろうとしていない。その一方で、国民生活にかかわり、その充実が求められております公団住宅の都市整備公団や住宅金融公庫は廃止するということでありました。

 これは公共住宅に対する国の責任を放棄するものだと思いますが、特殊法人は国の政策で設立をされて運営をされてきた。自民党も与党としてそれは深くかかわってきたものであります。この変更というのはやはり国の政策そのものの変更に直結をするわけで、住宅についていうならば、日本の住居水準をどうするのか、あるいは、どういう町並みにするのか、防災をどうするとか、公共住宅政策はそのためにどう活用するのか、こういう議論が必要だと思うのですけれども、そういうものはなくて、一切抜きで、あるのは民間でできることは民間にゆだねるということだけのように思います。

 石原大臣に伺いたいのは、今回の都市公団と住宅公庫の廃止を今後の日本の公共住宅政策にどう位置づけているのか。言いかえれば、小泉内閣の住宅政策はどういうもので、公団住宅の都市整備公団や住宅金融公庫を廃止することによって住宅政策をどういう方向に進める考えなのか、あるいは、住宅金融公庫法の「健康で文化的な生活を営むに足る住宅」を供給する、そういう理念はもう放棄をしてしまうのか、こういう点についてまず最初に伺いたいと思うのであります。

石原国務大臣 ただいま松本委員の御指摘の点は、昨日政府の方の特殊法人等改革推進本部で決定をいたしました住宅金融公庫並びに都市基盤整備公団の廃止に関しまして、今後の住宅政策のあり方についてはどのように考えるかという質問とお受け取りさせていただきました。

 住宅金融公庫につきましては、御承知のように五年以内に廃止することとさせていただいております。そして、この融資業務については段階的に縮小する、そして住宅金融公庫が先行して行うこととしている証券化支援業務については、これを行う法人を設立する等々でございます。

 また、都市基盤整備公団については、集中改革期間中に廃止する。集中改革期間は平成十七年度いっぱいでございます。そして、みずから土地を取得して行う公団賃貸住宅の新規建設は行わない、賃貸住宅の管理については、可能な限り民間委託の範囲を拡大し、効率化を図るなどとなっております。

 そんな中で、委員の御指摘でございます住宅政策のあり方は、もう既に、個人の方が住宅を取得するという上では、これは期間がございまして、マックスの状態で一兆円の住宅取得促進の減税がございます。そんな中で、この住宅金融公庫が行っておりますいわゆる国庫の補給金による利子補給が行われている融資というものは段階的に縮小させていただきたいと考えているところでございます。

 その主な理由は、住宅ローン市場におけるこの住宅金融公庫の持つ割合が七十六兆円と、既に住宅ローン市場の四割に達せらんということでございます。こういうものを考え合わせたときに、そしてまた減税がある中で、これからの住宅政策、もう既に世帯数よりも住宅の方が多い、また、結婚される方々の確率論から申しますと、家を持っている方同士の結婚の確率が一番多くなる、また、二〇〇七年以降は日本の総人口が減少に転ずる、こんな中で公的な住宅政策を担う機関が要るのか要らないのかという議論の中で、このような決定をさせていただいたわけでございます。

 なお、このようなことで、民間ができることは民間にゆだねるという基本原則のもと、市場の活性化、構造改革が図られるものと存じておりますが、政策当局におかれまして、これからも、それではこの住宅金融公庫が行っているいわゆる直接融資業務、そしてまたそれにかわる信用保証業務、そういうものが必要なのか必要じゃないのか、この五年以内に廃止する中で御議論が行われていくものと承知をしているところでございます。

松本(善)委員 今まで進めてきた自民党を中心とする政府の公共住宅政策を大きく転換するということになるわけですね。これは私は、やはり公共住宅から大きく撤退をする、そういう方向に転換をするものだというふうに言わざるを得ない。福祉の原点である国民の住生活の改善を阻むということになりませんか、今あなたの言われたことは。

石原国務大臣 ただいま松本委員御指摘の点は、都市基盤整備公団が行う賃貸住宅についてのお話だと思いますが、先ほども申し述べさせていただきましたように、みずから土地を取得して行う公団賃貸住宅の新規建設は行わないとさせていただいておりますが、もう既に七十万戸を超える都市基盤整備公団の賃貸住宅というものがございます。さらに、この都市基盤整備公団、昔の住都公団でございますけれども、これは、都道府県あるいは市区町村が廉価な公共住宅というものを供給できないというような状態の中で、国の政策として行ってまいりましたが、現在では、都道府県また市区町村の賃貸住宅というものも十分整備されてきているものと認識をしております。

松本(善)委員 今、総住宅数の中には、居住にたえない住宅だとか、バブル期のワンルームマンションなど、空き家になっている居住世帯が六百三十二万戸もある。さらに、我が国の最低居住水準というのは、四人世帯で三DK、五十平米以下の戸数が約三百万戸ある。政府は一九八五年までにこれを解消すると言ってきたのですけれども、依然として三十万戸も残っている。これは住宅が足りているというような状態では決してありません。

 時間の関係で住宅金融公庫に絞って質問をいたしますけれども、これはもうこれだけでも強い反対があります。

 石原大臣、九月二十一日、都内での講演の中でみずから言っておられますが、手紙やメールやファクスで袋だたきに遭っていると。このことは、国民のマイホームを持ちたいという要望が強いことを示しているし、住宅金融公庫が役立っていることのあらわれでもあります。

 「週刊住宅情報」の調査によりますと、首都圏の住宅購入意向者の七八%が住宅公庫の存続を希望している。しかも、住宅金融公庫の融資がなければ住宅購入はあきらめると思うという人が八%、住宅購入意欲が薄らぐと思うが二五%、合わせて三三%が住宅をあきらめる、また購入意欲が薄らぐと言っている。住宅金融公庫の廃止は、まさにサラリーマンのマイホームの夢を打ち砕くということになりませんか。

石原国務大臣 その点につきましても、先ほども御答弁させていただきましたが、小泉改革の哲学は、民間にできることは民間にゆだねるということでございます。民間金融機関が住宅金融公庫融資に近い長期、固定、低利の住宅ローンを提供できるようにしていくために、証券化支援業務を通じて民間金融機関がこの長期、固定、低利のローンを提供できる、もう既に二、三の金融機関でそのような状態が出ております。

 そして、もう一つポイントは、いわゆる公的金融の占める割合が我が国は非常に大きいということでございます。総融資残高八百兆円弱の部分におきまして、この住宅金融公庫を初め、残り八つの金融機関、さらには特殊法人等々で二百兆円にならんとする融資を行っている、この大きさをどう考えるか。市場を中心とした経済社会を活性化していく上で、公的なボリュームが大き過ぎるという観点に立ちまして、今回、この住宅金融公庫の改革、廃止というものを検討させていただいたところでございます。

松本(善)委員 それが大き過ぎるということで、それを撤退して民間に任せていくということが公共住宅政策の後退であり、そして放棄だ、こういうふうに言うわけです。

 もう少し細かく申し上げますと、先ほどもお話がありましたが、住宅金融公庫は五年以内に廃止をして、融資業務は縮小し、銀行などが長期、固定の住宅ローンを提供するための証券化の支援業務を担当する法人を新設するということにしていますけれども、これは、大筋は、国の利子補給金を減らして住宅金融公庫の直接融資を縮小する一方で、銀行などの民間金融機関にこれを行わせる、先ほど来答弁されていることはそういう趣旨であります。

 この住宅ローンの証券で銀行が利益を得るためには一定の手数料が必要です。証券を買う投資家は高金利を好みますし、その負担は住宅ローンの利用者に重くなる。だから、アメリカの場合は、ローン利子控除制度があって、六・九兆円という大規模な減税措置がとられております。日本の控除額は五千五百九十億円ですから、この五・七倍であります。アメリカの自宅購入は、年収の五倍の日本に対して三倍と言われております。そういうアメリカでもこれだけの減税措置をとる。

 民間に仕事を回していくということになりますと、金利が高騰するんじゃないか。これは、エコノミストを初め国土交通省もその懸念を示しております。石原大臣は、高金利になるのではないか、この懸念については、どういうふうに考えていますか。

石原国務大臣 委員御指摘のとおり、証券化をすることによりまして手数料が発生することは事実でございますが、現在、民間金融機関が実施している住宅ローンについては、個人預金を中心とした資金調達でございますので、その金利というものは変動金利あるいは短期の固定金利というものが中心になっておりますけれども、今後、民間金融機関の債権を買い取り、証券化する業務を通じて安定的な資金調達が可能となることから、民間金融機関による長期、固定、低利の住宅ローンが確保されていくものと考えております。

 そこで、政策論になるわけでありますけれども、委員御指摘の五千億円超の控除の金額はマックスで一兆円を超えるわけでございます。アメリカで六・九兆円の住宅ローン控除というものが行われることも承知しておりますが、片や、ヨーロッパのイギリス、フランス、イタリアというような国では、住宅金融公庫と匹敵するような公的な金融機関が利子補給を行って低利で融資をしていたということも、もう既にこれを廃止しております。また、イギリス、イタリア、フランス等では、ローン控除に当たるような住宅減税というものもやめている。

 そういう状態の中で、これからの日本の社会構造、二〇〇七年にいよいよ日本の人口が減少していくという中で、また二〇二七年に高齢化のピークを迎えるといった中で、住宅を取得する人だけにそれだけ手厚い住宅取得の政策を打っていく必要があるのかないのかという政策論の中で判断をさせていただいているところでございます。

松本(善)委員 ヨーロッパの例を話されましたけれども、ヨーロッパの公共賃貸住宅は日本の約三倍であります。オランダが、全住宅に対する公共賃貸住宅の割合は四〇%、それからスウェーデン、二二%、イギリスが二二・六%、これはサッチャー政権で減らしたのですが、その前は三三%、日本は七%にすぎません。だから、住宅事情がヨーロッパとは全然違う。

 しかも、全体として、長期、固定の金融を低利でやるということは、民間金融機関としてもうからないから非常に大変です、手数料だけの問題ではなくて。だから、証券化をしても、投資家は高金利を望む。それが一体できるのかどうか。今まで住宅金融公庫がしていたような融資が民間でできるのか。できないのではないかということの懸念が方々からされているわけです。これは経済法則からいっても当然なんです。民間にやらせれば、これは商売ですから、住宅金融公庫のように、低利で長期、固定の融資をするというのはできなくなるのじゃないですか。

石原国務大臣 そこがまさに政策論でございまして、ダイレクトローンを本当にこれからやっていく必要があるのか、あるいはアメリカで行われておりますようなジニーメイ、ファニーメイに代表されるような政府保証のついた保証でやっていくのか、そういうものを含めて検討していくということでございまして、住宅政策で弱者の方々あるいは困っている方々を発生させるような気持ちは毛頭ございません。

松本(善)委員 それで、では、住宅金融公庫は廃止しても形は減税でやるんだ、国の出す金は変わらない、だから低所得者についても何の心配もないというのなら、何にも変わらぬじゃないですか。形を変えるだけであって、何も変わらぬじゃないですか。それはやはり、住宅政策が後退して、民間をもうけさせようということじゃありませんか。銀行にもうけさせようということではないか、その懸念をみんな持っていますよ。どうお考えですか。

石原国務大臣 先ほども委員に私の方で申し述べさせていただきましたが、この少子高齢化社会の中で、住宅を取得する人だけにそれだけ手厚い施策を打っていく必要がこれからもあるのかないのか。それであるならば、賃貸住宅を借りている方々には何の補てんも実はないわけでございます。五百万人の方が、そして新規の方で大体五十万人の方が、利子補給金として毎年四千億から五千億、単純計算しても一人当たり八十万から百万円の利子補給を受けるような状態を続けていく必要があるのかないのかというような政策的な観点から議論をさせていただいております。

 ドイツではもう既に住宅税制というものはございません。フランスでも、ローン利子控除、一九八三年に控除が変更された後、一九九七年に制度を廃止しております。また英国でも、住宅ローン利子控除制度が一九九四年に税額控除に変更された後、二〇〇〇年に制度を廃止しております。イタリアでも同様でございます。

 そのようなことを考え合わせたときに、これからの住宅政策として、ダイレクトローンで国費を年間四千億円も五千億円もつぎ込んでいくことが、この財政事情の中で、また住宅政策として必要なのか必要じゃないのかということの判断のもとにこのような改革を行わせていただいているものでございます。

 そして、委員御指摘のように、銀行救済ということを考えてこのようなことをやっているのではありません。特殊法人等の廃止、民営化を進めることによりまして、事業の効率化、民業圧迫の是正、サービスの多様化、国民負担の軽減等が図られる、こういうことを目的にやっておりまして、住宅金融公庫の改革についても、国民にとってこのようなメリットがあると考えており、銀行救済を目的としたものではないということは断言させていただきたいと思います。

松本(善)委員 今の日本の住宅の状況が欧米に比べてもう住宅政策が必要がないのだと言わんばかりのことを言っておられますけれども、先ほどの公共住宅の欧米との比較の問題、さらに、欧米は住宅取得費は年収の約三倍ですが、日本は年収の五倍なんです。年収がたくさんの金を出していると言うけれども、住宅取得については欧米よりもはるかに日本が困難だ。そういう状態のもとで金は出し過ぎているということが果たして言えるのかどうかという問題が問われている。

 あなたは、銀行のためじゃない、こういうふうに言われておりますけれども、九月二十二日、都内の講演で石原大臣は、民間金融機関が長期、低利の住宅ローンに進出し、住宅公庫の七十兆円を超す良質なローン債権を欲しがっている、これを紹介して、この住宅ローンの民間への移動で日本の金融機関も元気づくということを強調した。銀行の不良債権処理にも直結をし、いってみれば国の財産を経済活性化につなげる宝だ、同公庫廃止の効果をこういうふうに言って強調をしておられる。民間の評論家も、これで銀行が元気になるということを言っているのは石原大臣も御承知でしょう。みずから銀行がこれで活性化するというふうに言っておられるじゃないですか。

石原国務大臣 再三再四申し述べさせていただきますように、特殊法人等の廃止、民営化を進めることによりまして、事業の効率化、民業圧迫の是正、サービスの多様化、国民負担の軽減が図られます。住宅金融公庫の改革におきましても、国民にとってこのようなメリットがあると考えておって、銀行救済を目的としてこれをやっているのではなくて、先ほども申しておりますように、住宅金融公庫に年間四千億から五千億の国費を投入して、毎年借りるであろう五十万人の方々にそれだけ手厚いことをやっていく必要があるのかないのかということに論点を置いているわけでございます。

 住宅証券、この住宅ローン債権を証券化することによって新たなビジネスチャンスが生まれ、民間の金融機関が活性化するということは決して悪いことではないですし、松本委員におかれましても、民間の金融機関がつぶれて、今から三年前の金融危機のような状態を招いた方がいいとはお考えになっていないのではないかと推察させていただくところでもございます。

松本(善)委員 住宅政策の後退を問題にしているんですよ。

 中国地方で開かれたタウンミーティングで、柳澤金融大臣も、住民から、これをやっていくと銀行からでは融資が受けづらいという質問に対して、銀行は心を入れかえて、住宅金融公庫よりよくなったと言われるぐらい頑張らなきゃいかぬ、もうけるのじゃなくて、もっと銀行がちゃんといい住宅ローンの政策をとるべきだと言っています。

 私は、どういうふうに弁解をされても、この結果が銀行が住宅金融公庫にかわってもうけをふやし、そして住宅政策が後退するということになることはもう明白だと思います。

 最後にお聞きをしたいのですが、公的金融機関がいっぱいあります。一番むだ遣いをやっているのは何かといえば、だれでもわかりますけれども、むつ小川原とか苫小牧東に融資をしてきた日本政策投資銀行じゃないか。公的金融機関でまず真っ先にやらなければならぬといったらここではありませんか。何で公的金融機関の中で最初にこの住宅金融公庫を取り上げるんですか。そこはどういう政策判断ですか。

石原国務大臣 まさに政策判断といたしまして、住宅取得のために年間四千億から五千億円という国費を限られた方々に与えることが公平なのか、公正なのかという判断に基づいて今回の決定をさせていただいたところでございます。

 そして、委員御指摘のような政府系の大きな金融機関は、この住宅金融公庫のほかに八つございます。今回の特殊法人改革では、すべての特殊法人、認可法人を対象として、廃止、民営化を前提に、ゼロベースから事務事業を徹底的に見直しを行おうということでございます。

 住宅金融公庫などの先行七法人、いわゆる道路四公団を含めて七法人については他の法人に先駆けて実質的な結論を昨日得たところでございますが、住宅金融公庫以外の政策金融機関につきましても、十二月の特殊法人等整理合理化計画の策定に向けて、民間にできることは民間にゆだねることを基本原則として、事務事業の徹底した見直しを行っていく所存でございます。

松本(善)委員 なぜ住宅金融公庫が真っ先なのかという説明には、私は全くなっていないと思います。

 それで、限られた人になぜそういうことをしなければならぬかということを盛んに言われますけれども、住宅事情が、住宅をもっと充実をしていかなければならないということは、それを政策としてとってきておる。自民党がやってきたことですよ。それはもう当然の話です。先ほど来何遍も言っているように、限られた人というのは、欧米から比べて非常に富裕だとか、もうそんな援助はしなくてもいいというようなものでは決してない。

 私は、石原大臣、何遍もいろいろ同じことを言われますけれども、やはりこの結果は住宅政策の大きな後退で、銀行が今まで住宅金融公庫がやってきた仕事をやって、そして利益を上げるという結果になるということを指摘して、質問を終わりたいと思います。

大畠委員長 以上で松本善明君の質問を終わります。

     ――――◇―――――

大畠委員長 続きまして、警察に関する件について調査を進めます。

 未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得た次第であります。

 この際、本起草案の趣旨及び内容について、私から御説明申し上げます。

 まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。

 近年、少年の非行や喫煙、飲酒などの問題行動は、深刻な社会問題となっております。

 最近の少年非行は、凶悪化、粗暴化の傾向を示しておりますが、こうした少年の多くにおいては、重大な非行に至るまでには、喫煙、飲酒などの問題行動があることが指摘されております。少年補導の大半も、喫煙、飲酒によるものであります。

 そして、このような少年の問題行動が、路上、繁華街等で公然と行われる傾向が強いものとなっている一方、たばこや酒類を販売する業者の一部が、依然として、客が二十歳未満であることを知り、またはこれを知り得る場合であっても必要な注意を払わずに、たばこや酒類を販売している実態があります。

 少年の喫煙、飲酒は、少年自身の問題だけではなく、社会の責任の問題でもあります。

 昨年、未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法の改正により、未成年者に対するたばこ等の販売禁止違反に対しても両罰規定を設け、さらに、たばこ等の販売及び酒類の提供禁止違反に対する罰則を強化する措置が講じられたところであります。

 しかしながら、依然として、二十歳未満の者に対して、たばこや酒類を販売している実態がなくならない状況にあります。

 そこで、今回、未成年者の喫煙及び飲酒の防止に一層資するため、たばこの販売業者等において年齢の確認その他の必要な措置を講ずる必要があることから、本起草案を提出することとした次第であります。

 次に、本起草案の内容について御説明申し上げます。

 まず第一に、たばこ等を販売する者は、年齢満二十年未満の者の喫煙の防止に資するため、年齢の確認その他の必要な措置を講ずるものとしております。

 第二に、営業者であってその業態上酒類を販売または供与する者は、年齢満二十年未満の者の飲酒の防止に資するため、年齢の確認その他の必要な措置を講ずるものとしております。

 なお、本案は、公布の日から施行するものとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 未成年者喫煙禁止法及び未成年者飲酒禁止法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大畠委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大畠委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決しました。

 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会




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