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第3号 平成14年2月28日(木曜日)

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平成十四年二月二十八日(木曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 大畠 章宏君
   理事 逢沢 一郎君 理事 阪上 善秀君
   理事 渡辺 具能君 理事 渡辺 博道君
   理事 藤村  修君 理事 細野 豪志君
   理事 河合 正智君 理事 工藤堅太郎君
      岩崎 忠夫君    小野 晋也君
      奥山 茂彦君    嘉数 知賢君
      亀井 久興君    実川 幸夫君
      谷川 和穗君    谷本 龍哉君
      近岡理一郎君    西川 公也君
      望月 義夫君    石毛えい子君
      野田 佳彦君    山花 郁夫君
      山元  勉君    横路 孝弘君
      太田 昭宏君    吉井 英勝君
      北川れん子君
    …………………………………
   国務大臣
   (内閣官房長官)
   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 村井  仁君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   国務大臣
   (科学技術政策担当大臣) 尾身 幸次君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  和氣 太司君
   政府参考人
   (内閣府男女共同参画局長
   )            坂東眞理子君
   政府参考人
   (内閣府原子力安全委員会
   事務局長)        木阪 崇司君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           真野  章君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院長)     佐々木宜彦君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 内閣の重要政策に関する件
 栄典及び公式制度に関する件
 男女共同参画社会の形成の促進に関する件
 国民生活の安定及び向上に関する件
 警察に関する件


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     ――――◇―――――
大畠委員長 これより会議を開きます。
 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官和氣太司君、内閣府賞勲局長佐藤正紀君、内閣府男女共同参画局長坂東眞理子君、内閣府原子力安全委員会事務局長木阪崇司君、金融庁総務企画局長原口恒和君、総務省大臣官房長畠中誠二郎君、総務省行政管理局長松田隆利君、総務省行政評価局長塚本壽雄君、外務省大臣官房長小町恭士君、外務省欧州局長齋藤泰雄君、厚生労働省社会・援護局長真野章君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺具能君。
渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。
 私の方から、先般のJR九州の列車の追突事故についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。お尋ねしたいことはたくさんあるんですが、きょうは、事故現場における指揮管理といいますか、そういうことについて絞ってお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず最初に、この事故によりましてけがをされた方々、あるいは強いショックを受けられました方々に対しまして、心から御同情申し上げ、そして一日も早い御快癒をお祈りするものであります。
 この列車の事故がありました宗像市は、実は私の選挙区でございます。私は、当日、会合がありましてテレビを見ておりませんで、事故があったのを知るのが少しおくれたのでありますが、事故が起こったのは大体九時半でありますが、私が現場に到着いたしましたのは十時半過ぎだったんじゃないかと思います。一時間ぐらい過ぎておりました。それから十二時過ぎまで現場にいたと思います。
 私が到着しましたら、現場は黒山の人でございました。JRとおぼしき方、消防団の方、警察の方、そしてプレスの方。プレスの方が非常に多いという印象を受けました。それに、私のようなやじ馬といいますか、見物人がたかっておったわけであります。皆さんは反対車線の上り車線の方にたむろしておりまして、現場を非常に興味深そうに見ておりました。私も大変興味がありまして、どこでぶつかったかとか、あるいはどういう被害かということを、車両の下に首を突っ込んで、もう本当につぶさに見ることができました。列車の中には、まだ、血のりのついたハンカチとかあるいはちり紙も散乱している、そういう状況でありました。
 私は、つぶさに見ることができたということをここで申し上げたいわけではなくて、そういうことが許された状況であったということを申し上げたいわけであります。
 私は、その現場に立ちまして、全体を管理統括している人はだれだろうかなというふうに思ったわけです。消防団は消防団で一生懸命頑張っておられました。JRの方から後で聞いたら、本当にお世話になったということでありました。それから、警察の方もいろいろ動いておられるようでした。それぞれがそれぞれの目的に従って活動しておられたわけでありますが、この全体を、例えば作業の調整だとか連携だとか、そういうものが私は必要ではないかというふうに思いましたが、それをだれがやっているのか、司令塔がだれなのか、どこでやっているのかというのを、多少不可解な思いで見ておったわけでございます。
 それを強く感じたのは、反対車線の方に上り列車が通過するときでありました。真っ暗やみの中に、明かり、ライトを照らしながらゆっくりと上り列車が接近してきたわけであります。そのとき、数人の方が、列車が通りますからどけてください、退避してくださいということをおっしゃっておりまして、みんなそれに従ってよけたわけですね。その暗やみの中を明かりをともしながら列車が入ってまいりました。しかし、そのとき、我々の前にはロープも何も張ってありませんでした。
 私は、そういうものを見ながら、それぞれがそれぞれの目的で動くのはいいけれども、やはり全体を見渡す司令塔が必要なのではないかなというふうに思ったのと、現場の管理といいますか、これがこの程度の、この程度と言っては申しわけないですけれども、もっとひどい、例えば今度のニューヨークのテロ事件だったりした場合だとか、あるいは、まだ危険なものが散乱しているというようなこともあり得るわけですから、やはりその辺はちゃんと、危機管理のマニュアルというか、準備があってしかるべきではないかというふうに思ったわけであります。
 今度の事故のような場合、本来はだれが現場の全体を統括する立場にあったのか、そして実態はどうであったのかというあたりを大臣にお尋ねしたいというふうに思うんです。
 特に、それぞれは、司令本部といいますかヘッドクオーターは、例えばJRですとすぐ近くの駅に置いてあるとか、県にも対策本部が設けられたようであります。それから、国土交通省にもあったと思います。そういうところと現場との連携はとれたかもしれないけれども、それぞれの連携の間のリンクがどうなっていたのかなというふうに思うと、いろいろこれは国としても考えなきゃいけないことが多々あるというふうな思いで現場を見詰めていたものですから、時間をいただきまして、あえて質問させていただくわけでございます。
 最初に申しました現場における管理統括というか司令塔は、私は、現場に旗でも立ててここが司令塔ですよというようなことがあってもよかったんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういう現場における管理、司令というのはどうなっていたか、実態はどうだったかということをお尋ねしたいと思います。
村井国務大臣 私も、まずもって、先般のJR九州における電車衝突事故におきまして負傷された皆様にお見舞い申し上げますとともに、一日も早い御快癒をお祈り申し上げたいと思う次第でございますし、また、大変残念な事故でございましただけに、あのような事故が再び起きることのないように、関係者において、また十分な原因の究明等々、対応をしっかりやってほしいと願う者の一人でございます。
 今、渡辺委員御指摘の問題は、非常に重要な問題であることは私も全く同感でございますけれども、なかなか直接にお答えをすぱっと申し上げられるような状況にない、率直に申しまして、今の御指摘をまた私ちょっと持ち帰りまして、少し研究をさせていただきたいと思うのでございます。
 どこかが仕切るというようなことが果たしてできるのかということになりますと、これはもう事案それぞれによりましていろいろ難しい。この場合、やはり、JRの線路上で起きた事故でございますから、まずJR自体がどうされるかという問題が多分あるんだろうと思います。
 それから、なぜ起こったのか、責任が那辺にあるかということになりますと、これは警察としてしかるべき捜査を遂げなければならない、そういう問題も一面あるだろうと思います。
 それから、今委員御指摘のように、例えば、これは上り線ですか、上り車線に別の車が入ってくるということになりますと、そこで思わざる二次的な事故が発生する危険があるかもしれない。それの防止ということ、これも大事な配慮だろうと思います。
 これは、消防団からJRから、あるいはその他いろいろな機関がこういった事態になりますと応急活動に来るわけでございますから、そのそれぞれの機関がそれぞれに適切な活動ができるように、支障が起こらないように、それからまた人命救助を第一義としまして、警察としましては、一つは交通整理、それからもう一つは雑踏整理といいますか雑踏規制、こういったような行動を常識的にはとるということだろうと思うんですが、そこで全体を統括する、仕切るというようなことが果たして警察にゆだねられることが自明であるかどうか、このあたりが大変難しい問題なんじゃないかと私は思う次第でございます。
 ただ、私どもの中でどんな対応をしたかということだけごく簡単に申し上げさせていただきますと、九時三十分に起きました事故につきまして、九時三十一分に一一〇番通報によりまして警察としては承知をいたしまして、いわゆる認知をいたしまして、それからとりあえず動ける宗像署の関係者を現場に急派したわけでございますが、結果的に現場に到着いたしましたのが九時五十五分でございましょうか。それから、さらに他の応援部隊が着きましたのが十時十三分くらいになっております。これでとても対応できるような状態じゃないことが明確になっておりましたので、機動隊が動いたわけでございますが、機動隊の現地到着は零時十五分、このように承知しておりまして、その時点では、改めてトラロープなども張りましたりして規制をきちっとやり、後は粛々と進んだと承知はしております。
 ただ、ちょうど渡辺委員がおいでになられたころは混乱の極致であったろうことはこの経過からもよく理解できるところでございます。ただ、これは大変重要な御指摘でございますので、私ども、もう少し勉強させていただきたいと思う次第でございます。ありがとうございます。
渡辺(具)委員 大変難しい問題ですから、今のようなお答えしか現状ではできないというか、当然のお答えかもしれませんが、しかし、大臣も今言われたように、そういう必要性は非常に認められたわけなので、その辺についてまた御検討いただきまして、また折あればお尋ねしたいと思います。
 きょうは、これで質問を終わらせていただきます。
大畠委員長 小野晋也君。
小野委員 きょうは、限られた時間ということでございますから、科学技術政策について、尾身担当大臣にお尋ねしたいと思います。
 まず、尾身大臣におかれましては、この職におつきになられまして以降、非常に総合的な形で日本の科学技術振興に御尽力をいただいて、とりわけ産学官の連携問題、これはかねてより非常に重要な課題であったと思うわけでございますが、なかなか具体化が行われなかったわけでございますが、大臣みずからが各所へ出向いていかれながら産学官のサミットを開催されるなど、非常に大きな実績を上げておられますことに心より敬意を表しておきたいと思います。
 本日は、新世紀を迎えまして、科学技術という問題を改めてとらえ直す必要があるのではないかという観点から御質問させていただきたいと思っているわけでございます。
 この新世紀を迎えまして、私たちは、かつては二十一世紀というと非常に夢や希望のあふれる時代をイメージしていたわけでございますが、現実には、昨年の九月十一日、ちょうど大臣がアメリカにおられるときに同時多発テロと言われるようなものが起こったり、その後のアフガニスタンにおける戦争、また、連鎖をする形でのイスラエル、パレスチナ間での紛争の激化、また、経済情勢をめぐりましても、アルゼンチンの経済破綻等、いろいろな問題が起こってくるのを拝見しながら、これらはひとえに政治の問題であり、また経済の問題であり、また軍事の問題である、こういうふうにとらえられることが多いわけでございますが、私は、この背景をじっくり考えていきますと、やはり、科学技術の問題というものを抜きにして今の時代の混迷というものを考えることができないのではなかろうか、こんな印象を持ち始めてきているわけであります。
 つまり、科学技術というのは、非常に大きな成長性を持つ分野だと思うのですね。わずか一世紀前、何があったかということを今振り返ってみますと、ライト兄弟が初めて動力飛行に成功するのがちょうど百年近く前のことということになるわけでありまして、百年前の科学技術などというと、もう随分古い昔のことだというような印象になってしまうのであります。
 一方、政治だとか経済という方面においては、多少の進歩はあるにしても、科学技術ほどの進歩が見られるとはなかなか評価できない分野であろうということの中で、どうも、科学技術という人類が持った巨大な道具というものと社会のシステムというものとの整合性がとれにくくなってきているのではなかろうか、こんな印象がしてならないところがあるわけであります。
 そこで、科学技術の問題を考えてまいります中で、この生い立ちからいえば、当然、これは西洋の合理主義と言われるようなもの、また、それのみならず、いろいろな背景を持った西洋世界の母体の中から生まれ育ってきたということを評価せねばならないわけでありますが、これだけ巨大なものになってきたときに、果たして、この西洋が持ってきたところの思想のもとにこの科学技術というものが統御できる問題なんだろうかというような新たな課題を私は感じ始めてきたわけであります。
 つまり、西洋というふうに大くくりにすること自身にも問題があるかもしれませんが、例えば、アメリカの思想というふうなことを考えてまいりました場合には、大きく言うと三つ問題点があるような気がしてならないんですね。
 一つは、一神教的正義というものが余りにも大きく振りかざされることによって、みずからの許容できる範囲を超えたものに対しては、それを敵対視してしまうという現象があるような気がしてならないわけであります。
 二つ目には、弱肉強食の考え方が余りにも強過ぎて、強きものが勝ち残ることこそが進歩であって、弱きものは滅んでいっていいというような、そういうふうな一つの主観が潜んでいるような気がしてなりません。
 さらにまた、物や金というような、即物的という表現が的確かどうかわかりませんが、そういうものが評価基準としてあったとしても、人間の精神性というようなものをそこに織り込むということについては、科学技術の世界というのが特に顕著な世界ではありましょうけれども、何らかのちゅうちょを持っておられるような気がしてならないというような、こんな課題もあるわけでありまして、こういう母体の中から生まれる科学技術というのが、どうしても敵対的なものといいますか、競争的なものをはらむ、余りにも強くはらみ過ぎる、または体系から合わないものをもうとにかく排除してしまうというような性格を持たざるを得ないようなところが生まれてしまっているというようなことがあるのではなかろうかという気がしてならないわけであります。
 つまり、これから二十一世紀に我々がよりよき世界を実現する、人類社会を建設していこうということを考えてまいりました場合には、この巨大な力を持った科学技術というものの中に新たな思想を織り込んでいかざるを得ないのではないか。もっと調和的に人々の幸福というものを直視するような考え方が科学技術というものの中に組み入れられない限り、科学技術がどんどん巨大化するということに対して、人類社会はついていくことができなくなってしまう、こういう懸念を最近持ち始めているわけでございまして、その点に関して、大臣、総合的に科学技術を担当される大臣として、御所見をお伺いしたいと思う次第であります。
尾身国務大臣 日本のみならず、世界の文化、文明論にわたる課題であるというふうに考えております。科学技術は、真理の探求を通じて自然界の原理を探り、自然現象の解明をし、その中からまた新しい産業を生み出していく、そういうことが科学技術の一つの大きな課題であるというふうに考えております。
 したがって、科学技術の進歩によって新しい産業が生まれ、経済が活性化し、そして、それぞれの国とかあるいは組織が新しい技術開発によって発展をしていくという面がございます。それと同時に、科学技術によって生み出された成果というものは、人類共通の資産として、人類社会の発展に少なくとも物質的な面で非常に大きな貢献をしてきたということも事実であろうというふうに思います。
 したがって、私ども、各国の間あるいは各グループの間で科学技術の研究開発についての競争というものが行われているわけでございますが、同時に、その科学技術によって得られた知見あるいは新しい発明、発見というものが人類共通の資産として使われていくという意味で、人類社会全体の発展のためにこれが大きく貢献しているということも事実でございます。
 そういう中で、先ほどの百年前の状況と比べますと、政治も経済も、それから軍事も、私たちの生活も、科学技術の発展によって極めて大きな変革を遂げてきている。また、世界全体が近くなってきている。つまり、世界全体のコミュニケーションの発達あるいは交通の発達ということによって、人類全体が、この地球というところに生活をしている私どもが一つの共通のツールを持ってくるようになり、また、時間距離も近くなっているという意味で、文明の差というものが科学技術によって一つの文明の方向に行くことになっていくだろう。そういう意味で、科学技術をいい意味で活用して人類社会全体の調和ある発展に貢献させていく、こういうことが大変大事なんだろうというふうに考えている次第でございます。
小野委員 非常に深いところからの御見解をお示しいただいて、大変ありがとうございました。
 大臣が御指摘のとおり、これはまさに人類文明の根幹にかかわる部分の問題でございまして、一つの世界共通のツールとして、どういう民族であれ、どういう文化を持つ人々であれ、この科学技術というものを、共通に評価することができるというものを我々人類が手にしているということは、これは極めて大事な人類社会の発展段階上の問題だろうと思うわけであります。それがある小さなレベルでの問題である限りは、それほど私たちはこういう問題を指摘するまでもなかったんだろうと思っているのでありますが、非常に巨大な力を持ってきた。一国の政治が統御できるというものをはるかに超えるようなレベルのものになってしまっている。また、経済の問題にしても、経済体制が科学技術というものをコントロールできるというような状況でもなくなってきつつある。
 例えば、グローバリズムということが今言われるわけでありますが、その根底にあるものは、明らかに情報社会の進歩だと思うんですね。コンピューター技術ないしは通信技術というものが非常に高度に発展したがゆえに世界が一つのネットワークで結ばれるようになって、そこで自由自在に情報をやりとりするのみならず、競争が展開されるようになる。
 このグローバルになった競争ということについて、それ自身を否定するものではありませんが、しかしながら、余りにも弱肉強食的な発想を根底に置いた競争を展開していくという場合に、世界が一つになって過激な競争をし続けていくということが果たして本当に人類社会の発展ということに結びつくんだろうかというようなレベルでの根本的な疑問も生まれ始めているわけでありますし、また、経済という問題が、その社会が持つところの民族の文化だとか思想だとか慣習だとか、こういうものも非常に荒々しく破壊していくというような問題も生まれてきつつあるような状況が生まれてきているという時代に、科学技術の社会における位置づけというものを一つ考え直す必要があって、科学技術は純粋な体系だからこそこれだけ発展してきたということは評価しつつも、純粋であり続けて本当にいいのかという問題もこれから入ってくると思うんですね。
 人類がついていけないまでに巨大化してしまって、科学技術のための社会が生まれるのではなくて、人類のための科学技術であるということのためには、科学技術の側に自己調整的な要素を織り込んでいかねば、これから健全な発展ができなくなってしまうに違いない、こんな思いがしてならないところがあるわけでございます。
 そこで、私ども日本の国として、では何がそういうところになし得るかという問題になってくるわけでありますが、例えば、今アフガニスタンの復興問題ということでいろいろな議論がなされておりますけれども、現状で見ると、教育面における支援をやりましょう、または地雷を除去するためにいろいろな御協力をいたしましょう、治安維持のための対応をいたしましょう、こういうことはもちろん大事なことであります。
 しかし、同時に、なぜゆえにこういうアフガニスタンの問題は起こってきたかというと、一つの文明問題が背景にあるという指摘をせざるを得ないと私は思うんですね。その部分をアメリカは避けながらこれまで取り組んでこられたわけでありますけれども、しかし、これはやはり直視すれば、どうしたって裏に文明問題というのを考えざるを得なくなってくる。つまり、対立的な考え方を持つ文明観をベースにする限り、世界が一つになり、世界が小さくなればなるほど争いが起こり、混乱が続いていくということは避けがたいことになってくるわけでありまして、そこに私たちは新たな思想を織り込んでいく必要が生まれてきているのではないか。日本の国が持ってきた和をもってとうとしとなすというような調和を尊重するような思想を織り込んだ文明社会のイメージをつくり上げていく必要があるのではないか。
 そのときに、この科学技術という強力な道具というものをどう統御する文明社会をつくるかということが問われてくることになるに違いない。つまり、西洋の思想の中から生まれてきた科学技術であるとしても、それは道具として私たちは人類共通の大きな財産として評価しつつも、それを動かす思想というものは我々の思想を織り込んでいくということを新たに考えていいのではないか、これが私は二十一世紀人類社会において日本がなし得る非常に大きな貢献になるのではないか、こんなふうな思いを持っているわけでございます。
 今、日中韓の間で友好の年ということで本年動いていくわけでありますが、近隣諸国で、調和の思想を一方に持ちながら、しかし、そのあらわれ方がすべて違っているところの日中韓が共同で科学技術というものに対してそれぞれの国の思想を織り込んでいった場合に、どういう世界文明のイメージをつくり上げることができるかということにおいて真摯な議論を展開することは極めて有意義なことではないだろうか、こんな思いを持っている次第であります。その点について、大臣の御見解はいかがでございましょうか。
尾身国務大臣 科学技術は人類のためにある。しかし、同時に、科学技術によって人類全体が振り回されるかもしれない。そのことをどうやって人類社会としてコントロールし、そして、科学技術といういわばツールとも言えるものを、人類の社会の健全な発展、平和の維持、そういうものに活用していくかという課題であり、極めて大事なこれからの世界的規模の問題であるというふうに考えております。
 日中韓という三国、いわばかつて同文同種と言われていたこの三国の間でそういう考え方を、一つの思想を打ち出したらどうかというお話、大変示唆に富んだ考え方であるというふうに考えております。いわゆる異なった文明が対立的関係から対話の関係にあり、考え方の違う文明がともに共存共栄する、そのことの基盤というものをつくらなければならない。科学技術の時代にこれをつくり上げることは、まさに人類の英知を使わなければならないと考えているわけでございまして、それは、単なる科学技術ではなしに、科学技術を人類の発展、幸せのために活用するという英知を私どもは持たなければいけないと考えております。
 そして、その人類の英知そのものは、科学技術固有のことから出てくるのではなしに、別の次元の、より高い、人類のこれからのあり方の根幹的なあり方、そういうものを考えたときに初めて出てくる思想であると考えておりまして、まさに科学技術が人類を支配するかもしれないという時代に、本当は人類の幸せのために科学技術があるという一番根源的な立場に立ち返って私どもは諸般の問題を解決し、また考え方をきちっと決めていかなければいけない、そんな思いがするわけでございます。
小野委員 ぜひこの点、日本の国の持っているものに対して古来より世界の人たちから評価されてきたのは、調和の思想だと思います。異なるいろいろなものをみずからの中に融合しつつ、そしてそこに矛盾を感じずに済むような思想、文化、こういうものが今どう適用できるのか、具体的には私もわかりませんが、大いなる可能性を切り開くものであると信じておりますので、大臣のお立場からも、またそういうことに対する御検討をお願いできれば幸いでございます。
 続きまして、あと一点、御質問させていただければと思うのでございますが、新しい技術開発という問題について、今までもいろいろな政策をこの国においてとってまいりました。しかしながら、それが非常に大きな広がりを持つという印象にはなかなか立ち至りにくいところがあったのも事実でございます。
 例えば、私どもは今、自由民主党の中でロボット介護研究会というのを発足させまして、家庭における介護の仕事を一部分ロボットで代替することができまいかというようなコンセプトを打ち出して、月一万の負担をいただいたらロボットで介護をやれますよというようなことに適合するようなロボット開発を産業界に依頼していこうというようなことを考えているわけでございますが、こういう問題に取り組もうとした場合に、今までの研究費助成の考え方でいきますと、特定の、例えば大学の研究者にお金を渡す、ないしは企業の研究チームに対して、ちょっとこれはいろいろな共同研究のような形をとることが多くなるだろうと思いますが、そんな対応をする、また、税制上のいろいろな対応措置をやる、こういうことをやってきたわけでございますけれども、そうすると、特定の部署における研究を援助するということに比較的なりがちになってくるわけであります。
 それに対して、ロボット介護のような新しいコンセプトのものをこれからどうつくるのか、方向がまだ見えないけれども、いろいろな可能性がそこに潜んでいますよというようなことになった場合には、大学であれ、町工場の社長であれ、どこかの研究者であれ、だれだってそれに参入しながらその研究開発に取り組むことができるという環境を整えることが非常に広範に大きな影響を及ぼすことになるのではなかろうかと考えました場合に、一つの提案として、懸賞金方式による研究費助成というコンセプトを取り入れることはできないだろうか。
 つまり、我々が求める研究ターゲットはこのあたりだ、技術ターゲットはこのあたりだというのを設定して、そのターゲットに到達をすれば、到達した段階で過去にさかのぼってその研究費に対して助成を行うというふうな形にすれば、まさに町工場の社長さんがみずからいいアイデアを持って、数人の社員と一緒にこんなものをつくり上げてみたぞというようなものも研究の対象になる。そうなると、アカデミックな世界だけが持っているようなそういう発想でない、新しい、思いがけないような発想も拾い上げながら技術を加速的に進展させることができるのではないか、こんな提案を持っているわけでございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
尾身国務大臣 ロボット介護というお話がございました。ある種の目的を国として決めていわばそれぞれの分野の人々に競争させる、そして、その目的を達成した人にさかのぼって懸賞金的なお金を出す。大変にユニークな発想であると考えております。
 研究に成功、失敗はつきものでございまして、一つの目標を達成した人に懸賞金を出すという考え方、大変おもしろいと思うのでございますが、最初からリスクを持って、事業なり企業なり個人が自分で全部リスクをとってこれをやれるかというところに現実性において多少問題点があろうかと思いますが、目標のつくり方といいますか、ターゲットのつくり方などによっては大変におもしろい成果を得る可能性もあると考えておりますので、今後とも研究課題として勉強してまいりたいと思います。
小野委員 ありがとうございました。
 では、質問を終わります。
大畠委員長 次に、石毛えい子さん。
石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。
 きょうは、男女共同参画あるいは障害者プラン等々、多少テーマがたくさんに広がりますけれども、官房長官にお伺いさせていただきたいと思います。後ほど、竹中大臣にもお伺いさせてください。
 まず最初でございますけれども、多くの女性、また男性も実現を望んでおりました選択的夫婦別氏制度につきまして、百五十二、百五十三国会答弁では、森山法務大臣もかなり積極的な御所見を申されておりましたし、官房長官も積極的にいろいろな場面で御答弁をいただいたと思います。
 世論も、世論調査によりましても、これは幾たびとなく指摘されてきたことですけれども、選択的夫婦別氏に賛成という世論が、九六年に三二・五%、二〇〇一年では四二・一%。とりわけ、二十代、三十代の方につきましては、女性だけではなく、男性も五割を超えて賛成をしている、こういう状況まで来ております。
 今国会では、政府としまして、この選択的夫婦別氏制度実現に向けて、民法の一部改正案の法案提出というのはどのような見込みでございましょうか。そのことをお尋ねいたします。
福田国務大臣 ただいま委員から御説明ありましたように、世論調査でも、若い世代を中心としてこの制度は考え方が進んできているというように思います。
 また、昨年の十月に、男女共同参画会議でも、基本問題調査会で中間まとめをいたしたのでありますが、そこでも、これは公表いたしておりますけれども、個人の多様な生き方を認め合う男女共同参画社会の実現に向けて、選択的夫婦別氏制度を導入する民法改正が進められることを心から期待する、こういう提言だったのは御案内のとおりでございます。
 そういうような状況でございますので、政府としても、できるだけ早期に本制度を導入するということを目指して具体的な検討を進めていく必要があるというように考えておりまして、現在、法務省を中心といたしまして、関係方面の理解を得るための作業を進めている、こういう状況なのであります。
 しかし、この問題は、理解をしていただく努力はしているにもかかわらず、それに反対する方の意見もかなりあるということも事実でございまして、そういう点を克服すべく今努力をしている、こういうふうに思っております。これは政治課題としても大変大事なことでございますので、各党、そしてまた国会において十分な議論が行われるということも期待をいたしております。
石毛委員 今大臣から、専門調査会が昨年十月に出されました中間まとめの結論部分も御指摘いただきましたし、積極的な御答弁をいただいたと思います。
 ただし、いろいろな意見があって、国会内でもということでございますけれども、御存じのように、民主、共産、社民はもう法案提出をしておりますし、参議院では継続審議になっているという状況でございます。
 取り組みの仕方としてはいろいろあると思いますけれども、例えば、今内閣府として取り組まれておられますタウンミーティングで、経済だけではなく、このテーマを主題に据えていただいて国民的な議論を巻き起こしていくとか、あるいは、それに呼応して国会の中でも多様な場で多様な検討の機会を設けていただくとか、いろいろな御意見はあると思いますけれども、選択的というところがまず多様性を認めているというところでございますから、法律自体は非常にソフトなつくりになっているというふうに私は考えておりますので、今国会で政府として提出に至らせていただけますように、ぜひともの御尽力を要望したいと思います。
 それでは、次の質問でございますけれども、配偶者暴力防止法の施行に関してお尋ねいたします。
 本年四月に全面施行になるわけでございますけれども、どのような実施体制が確定されておりますでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 昨年の十月十三日から一部を除いて実施されております配偶者暴力防止法につきましては、この法律の円滑な施行に向けた男女共同参画会議の意見も踏まえまして、関係府省庁などにおける各種施策の実施と相まって、新設されました保護命令制度などによりまして一定の成果が得られている、こういう状況でございます。一定の成果と申しますと、この保護命令が発令されたのは今までに百二十三件あると承知いたしております。
 また、本年四月一日には配偶者暴力相談支援センターなどに係る規定が施行されまして、各都道府県では、婦人相談所などにおきまして、被害者の相談、カウンセリング、一時保護、それから各種情報提供などの業務が行われているということになっております。
 現在、各都道府県におきましては、支援センターの機能を果たす施設の決定、必要な人員配置や予算の措置、それから関係機関の連携ネットワークの構築、そういうようなことを四月の施行に向けた準備ということでもっていろいろと手配をしている、そういう状況にあるというふうに承知しております。
 また、内閣府におきましては、関係府省庁と連携協力いたしまして、配偶者暴力防止法に関する広報啓発、それから職務関係者に対する研修、そういうものについて最善を尽くしておる、こういう状況にございます。
石毛委員 取り組みの状況を御指摘いただきましたけれども、私は、この配偶者暴力防止法の施行にかかわりまして、ぜひとも福祉との連携をきちっととって、婦人相談所自体の位置づけが福祉領域ではあると思いますけれども、さらに丁寧なと申しましょうか、網の濃い、そうした連携をとっていっていただきたいという考えを持っております。
 そこで、きょうは厚生労働省から真野社会・援護局長においでいただいておりますので、社会福祉法の実施に伴いまして二〇〇三年四月から市町村地域福祉計画の策定に入っていく、そういうプログラムになっているということを知らされておりますけれども、そのプログラム策定に至ります前段で、社会保障審議会福祉部会でこの策定に向けた指針のあり方を出しておられる。その中で、「地域福祉推進の理念」というところで、住民参加の必要性ですとかともに生きる社会づくりと同時に、男女共同参画の視点が必要というふうに指摘をされていらっしゃいます。
 これは理念ということでございますので、理念と、それからもう少し具体的に実施プログラムというようなところまで、まだそこはこれからなのかもしれませんけれども、この三月には全国の担当者会議をされるとも伺いましたので、この配偶者暴力防止法と、それから男女共同参画、地域福祉というこの相関で、どのような具体的な進展状況でおられるのかということを御説明いただきたいと思います。
真野政府参考人 先生御指摘いただきましたように、社会福祉法の施行に伴いまして、来年の四月から、市町村で地域福祉計画を策定していただく、また都道府県では、この市町村の地域福祉計画を支援するための計画をつくっていただくということになっております。
 私ども、審議会で御議論をいただいておりまして、御案内のとおり、住民に身近な市町村でみずからの地域の福祉を考えていただこうというのが今回の趣旨でございます。それを、地方分権の趣旨からまずは自分の地域のことをお考えいただくということですけれども、それのいわば技術的な参考といたしまして、審議会で御議論いただきまして、今先生御指摘の意見書をいただいております。
 それをこれから都道府県、市町村で地域によって考えていただくということになりますが、この計画の趣旨は、従前ございます三プランと異なりまして、それぞれの地域の総合的な計画を考えていただくということでございますので、今議題になっております配偶者の暴力に関する問題、それに対して、そういう被害を受けられた方々への支援というものも、地域でどういうふうに体制を組んでいくか、それを関係自治体、関係都道府県、それから関係団体との協力体制をどういうふうに組んでいくか、こういうことも含めて、当然市町村の計画を御議論いただくときに御議論いただけるもの、我々としてはそういうふうにまた指導もしていきたいというふうに思っております。
石毛委員 ありがとうございました。
 現場の方のお話を伺いますと、支援センター、都道府県婦人相談所が担うということになっております。ここは、必ずしも専門従事者が十分に整っているというところまでは至っていない。
 それから、大きな問題点として指摘されておりますのは、福祉の関連で、例えば生活保護ですとか児童扶養手当に結びつけていく、あるいは自立のための職業訓練、そうしたサービスに結びつけていく。これは、真野援護局長も御答弁くださいましたように、まさに市町村、地域に住んでいる方が地域で一番身近にアクセスできる、それが一番重要だと思います。
 ですから、都道府県の支援センターといいますのは、一時保護シェルターの絡みとか、広域的にやり得ること、やらなければならないことはあると思いますけれども、同時に市町村で、身近なところで、繰り返しませんけれども、相談機能あるいは福祉に結びつける、あるいは職業訓練に結びつけるという、そのアクセスが十分に整っているということが、総合的な配偶者暴力防止とそれから自立の支援というそのことに結んでいくのだというふうに考えております。
 そこで、ぜひとも、官房長官の御答弁では、内閣府、関係省庁で連携をとっておられるというふうに御答弁くださいましたので、この点に関しまして、官房長官の方からもう一度御所見なり御感想なりを伺わせていただきたいというふうに思います。
福田国務大臣 御指摘のとおりだと私も思います。やはり、市町村レベルということもございましたけれども、生活に密着したところでもってよく見ていくということが必要なんだろう、行政の面からもそういう立場というのは必要なんだろうと思います。そういう意味において、広報啓発活動などにおいてもそういう面の配慮をしてまいりたいと思っております。
石毛委員 ありがとうございました。
 ぜひとも地域福祉計画、これは自治事務でございますから、市町村の主体性というところでございますとは思いますけれども、厚生労働省、内閣府、よく連携をおとりになられまして計画の中に指摘をしていただけますように要請を申し上げまして、次の質問に入ります。
 人権教育のための国連十年というこのプログラムも内閣府で所管をされておられるところでございます。もう一方で、これも御案内のとおり、二〇〇〇年に人権教育・啓発に関する基本法が制定されまして、その法の中で基本計画を策定するということになりまして、ただいま法務省、文部科学省から、基本計画をまとめるに当たりましての中間まとめが発表されまして、それに基づいてパブリックコメントを求めて、ちょうど今最終まとめの段階に入っているのではないかと思います。三月中に閣議決定というふうに、基本法に基づきます基本計画についてはそのような段階にあるというふうに伺っておりますけれども、この基本計画の策定に関しまして、人権教育のための国連十年推進本部はどのようなかかわりを持たれてこられたのでしょうか。その点の確認をまずさせていただきたいと思います。
福田国務大臣 人権教育のための国連十年推進本部、これは、平成九年七月に人権教育のための国連十年に関する国内行動計画を取りまとめ、これに基づいて関係府省庁において所要の施策を決定し、着実に推進している、こういうことでございます。
 御指摘の、三月に決定いたす予定にいたしておりますところの人権教育・啓発に関する基本計画、その基本計画におきましても、ただいま申しました平成九年の国内行動計画、その後の討議なども十分に配慮しながら、人権という普遍的文化を構築するために、この基本計画をまずそういうふうな観点から作成しまして、そしてその上で今後とも国内行動計画の実施に努めてまいる、こういうふうな関係になっております。
石毛委員 もう一度確認させていただきたいと思いますけれども、基本計画を策定して、その実施を図りながら、その上で、国連人権教育の十年の国内行動計画も同時に施行していく、そういう御答弁だというふうに伺ってよろしいですか。基本計画を実施しながら、人権教育の十年国内行動計画もその上で実施をしていく、そういう相関関係だというふうに確認させていただいてよろしいでしょうか。
福田国務大臣 ちょっと表現の仕方がまずかったかもしれませんけれども、もう少し明確に申しますと、この平成九年の国連十年に関する国内行動計画、これに基づきまして、今、所要の施策を着実に推進している、こういうことですね。そういう施策は着実に推進しながら、今後策定が予定されています人権教育・啓発に関する基本計画などの動向も配慮しながら、人権という普遍的な文化を構築するための国内行動計画の実施に努めてまいる、こういう意味でございます。
石毛委員 基本計画の今後の動向も配慮しながら行動計画を進めていくということで、当面並行するという御答弁だったかと伺います。
 少し細かい質問に入りますので、審議官の御答弁をいただくことになるかとも思いますけれども、法務省、文部科学省の中間取りまとめを拝見しておりますと、例えば人権教育に関しまして、学校教育、社会教育という指摘はあるんですけれども、幼児の大切な育ちの場であります保育所という指摘はないというふうに断定してもよろしいかなというふうに思うんです。それから、人権教育という観点では、企業ですとか職域という場の指摘というのは非常に重要だと思いますけれども、企業、職域に関する指摘も余りないということ。それから、特定職業従事者に関する指摘も極めて薄いというふうに私は思うわけでございます。
 これは中間取りまとめですと言われればそれまでなのですけれども、どうも、内閣府の方の人権教育のための国連十年推進本部に記載されている内容、これも私は十分だというふうには思いませんけれども、きちっと連携をとられたのかどうなのか、あるいはシェアをしたのかどうなのか、その辺が極めてあいまいであるということ。
 それから、例えば保育所ということで言えば厚生労働省ですし、それから職域ということで、それを労働という観点からとらえればやはり厚生労働省になりますし、セクシュアルハラスメントに関しましては、男女雇用機会均等法の改正の中で位置づけられたという経緯もございますから、この人権教育・啓発に関する基本計画、例えば、法務省、文部科学省だけではなくて、全省庁きちっと総合的に取り組むべきであったのではないか、というよりも取り組むべきであるというふうに私は考えるわけでございます。
 具体的なところで、例えば特定職業従事者に関しまして、あるいは人権教育の場の設定に関しまして、あるいはほかのこともあるかと思いますけれども、内閣府の人権教育のための国連十年推進本部は、こちらの人権教育・啓発に関する基本計画の策定に向けた進行にどのようにかかわられたのかということを御説明いただきたいと思います。
和氣政府参考人 先生御指摘のとおり、人権にかかわる啓発活動等につきましては、文部科学省、法務省以外の府省におきましても、政府全体といたしまして取り組むべき重要な課題と認識しているところでございます。
 人権教育のための国連十年推進本部といたしましても、文部科学省及び法務省はもとより、関係行政機関が十分に協力しつつ、我が国における人権という普遍的な文化の構築に向けて、人権教育・啓発に関する施策の一層の推進に努めてまいっているところでございます。
 委員御指摘の基本計画とそれから国内行動計画ということのかかわりでございますが、これは国会におきましても附帯決議がなされておりまして、基本計画の策定については、国内行動計画等を踏まえ、充実したものにすることということを踏まえまして、私どもとしても、現在のパブリックコメントを得た案につきましても拝見をさせていただきまして、政府全体としての人権教育・啓発について取り組んでいるところでございます。
石毛委員 答弁いただかなかったことと同じではないでしょうか。附帯決議に基づきまして取り組んでおりますという中身は、全然御指摘いただいておりません。もう一度、もう少し中身に踏み込んで御答弁をいただけたらと思います。
 例えば、先ほど御指摘いたしました保育所、企業、職域というような点ではどうだったのかとか、特定職業従事者に関する点ではどうだったのか、あるいはそのほかにもあるかもしれませんけれども、具体的に、どういう論点をめぐってどういう協議をされたのかということをもう少し御指摘いただければと思います。
和氣政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年十二月二十日に中間取りまとめが出ておりまして、そこの中で、さまざまなこの国連十年の国内行動計画に関する記述もなされております。具体的に申し上げますと、「人権教育・啓発の推進方策」という第四章のところでございますが、そこで、「第三章に記述した人権教育・啓発の基本的な在り方を踏まえつつ、国連十年国内行動計画に基づく取組の強化及び人権教育・啓発に関する人権擁護推進審議会の答申で提言された人権教育・啓発の総合的かつ効果的な推進のための諸方策の実施が重要である。」という記述がございます。
 先生御指摘の人権にかかわる特定職業従事者に対する研修等でございますが、例えばこれは、細かくて恐縮でございますが、各人権に関する取り組みということで、「三 人権にかかわる特定職業従事者に対する研修等」ということで、それぞれ、かかわりの深い職業に従事する者に対して、「人権教育・啓発に関する取組を強化する必要があり、国連十年国内行動計画に基づく関係省庁の取組は今後とも充実させる方向で積極的に推進する。」ということでございまして、そのあたりで、具体的な、国連十年計画と今の基本計画ということで私どもとしては見させていただいて、総合的にやっているということでございます。
石毛委員 ぜひとも、各省庁にわたりまして、こちらの法務省、文部科学省が規定しております内容が人権十年の国内計画とどういうふうにきちっと重なり合うのかということを点検、検証していただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
 時間がございませんから、これ以上質問を深くしていくことができませんけれども、私は、今申し上げましたように、例えば厚生労働省というところで見ましても、警察庁という観点からしましても、特定職業従事者の研修をどうするかというのは大変重要な課題でございますし、それから、この委員会で私はしばしば、議会人、司法関係の方に関する人権教育というのも重要な課題であるということを指摘させていただいてまいりました。
 そうした観点から思いますにつけ、私は、各省庁あるいは内閣府に人権課というようなそうしたセクションをきちっと設けて、そしてそれを内閣府が総括的に統括していくべきではないか、というよりもべきである。そうしないと、人権といえば法務省、教育といえば文部科学省というこの常識的な枠組みから脱却することが非常に困難という、そういう状況で政策が立てられると、どうしても、人権の普遍性という観点からも行政の総合性というような観点からも抜け落ちていく課題が非常に多いというふうに考えているところでございます。
 そこで、最後に大臣にもう一度御答弁をいただきたいと思いますけれども、私は、人権をきちっと所管する課をそれぞれの省庁に置くべきであるということと、それから、この内閣府の方の人権教育のための国連十年推進本部の行動計画は二〇〇五年までだったと思います、そこで、二〇〇五年以降、内閣府はこの推進本部をどのように位置づけていくおつもりがあるかというようなところで、大臣からの御答弁をいただきたいと思います。
福田国務大臣 行政組織の一つとして位置づけるという御提案がございました。また、その後の御質問がございました。その辺は、全体の枠組みの中でどういうふうにすべきか、行政上の問題、全体の問題がありますので、しかし大事な課題だと考えておりますから、あわせ検討させていただきたいと思います。
石毛委員 ぜひとも内閣府としてきちっと所管すべきであるという私の主張を申し上げまして、この件は終わります。
 次ですけれども、障害者プランの推進に関して、これも内閣府なんですけれども、まず、進捗状況に対する評価を簡単に教えていただきたいと思います。
福田国務大臣 障害者プランは、平成十四年度が最終年度となります。数値目標を設定した項目の平成十二年度までの進捗状況を見ますと、知的障害者更生施設については既に目標値を達成、これはオーバーしております。そのほか、精神科デイケア施設、これは九七%の達成率、それから日帰り介護事業九二%など、そういうものが九〇%以上の目標達成整備水準にある、こういうことが言えるわけでございまして、全体としてはおおむね順調だということは言えると思います。
 一部、例えば重症心身障害児の体制整備がおくれているとか、もう一つ、短期入所生活介護事業、これがおくれている分ですけれども、それ以外はおおむね順調だというように考えております。
 残された期間において、関係省庁と十分に連携をとって、目標の達成に向けて最善を尽くしてまいりたいと思っております。
石毛委員 私自身は、入所施設は一〇〇%をオーバーして達成していて、地域のサービスについては立ちおくれている、グループホームなども立ちおくれているという、そのギャップを大変危惧しておりますということを申し上げます。
 この障害者プランは、昨日、一昨日等の報道によりますと、さらに延長されるというふうに知らされております。そこで、これは私の方から申し上げさせていただきたいと思いますけれども、さきの国会でも、それから今国会でも、障害を持つ方の欠格条項の見直しというのが図られております。ところが、私の手元に、例えば秋田県の公務員採用で、聴覚障害二級の方が、要するに言葉によるコミュニケーション、会話によるコミュニケーションができない方は受験資格がないといいましょうか、活字試験では合格していますけれども、面接になると不合格。それは、聞こえないから県民の方との会話ができない。これは、補助手段なり補助者を手当てするとか、あるいは筆談でも用を足せるとか、それから配属の部分がどこかという工夫の仕方もあると思いますし、とにかく、聞こえない方に関して採用を切っているというのは、秋田県の場合ということで、県からの採用方法について変えるつもりがありませんという回答がことしの二月二十五日の段階で来ている、こういう状況があります。
 それから、鹿児島県では、聴覚障害の方が国家公務員の2種試験に合格をしたということで、内定したんですけれども、十一官庁回ってやっと内定したのが厚生労働省というような、こういう報告もございます。
 そこで、要請だけさせていただきたいと思いますけれども、ただいま国連では、国連障害者の機会均等化に関する基準規則、これを条約化していこうということで、昨年秋の国連総会で条約化に向けた特別委員会が設置される、こういう状況に来ております。それから、障害者差別禁止法につきましては、世界四十三カ国で制定されているという状況でございます。それから、私はとりわけ強調したいと思いますけれども、サラマンカ宣言でも、障害者の機会均等化に関する基準規則におきましても、障害を持つ子供の統合教育、あるいは障害を持つ子供を包み込むといいますか、インクルーシブな教育というのはもう世界の潮流になっておりますけれども、日本の文部行政は相変わらず分離教育を基軸に置きまして、この体制が変わるというような状況には今ないというふうに私は認識しているところでございます。
 これから、障害者施策推進本部、懇談会が設けられたと報道されておりますので、障害当事者の方の参画をきちっと位置づけていただきながら、国際的なスタンダードのこともよく念頭に置いていただきまして、ぜひとも、だれでもが対等、平等に多様性を認め合って暮らしていける、そうした方向で次のプラン策定に臨んでいただきたいということを要請させていただきます。
 大変恐縮ですが、時間がありませんので、竹中大臣に一点だけお伺いをさせてください。
 所信表明の中に、NPO等ボランティアの活動促進ということについて触れられておりました。私は、これからの二十一世紀の社会は、政府セクターそれから企業セクターのほかに、市民セクターがきちっと社会の中で活動できるそうした社会システムを形成するということが大事であるというふうに考えております。日本でも六千のNPOの認証がなされるようになっております。
 そこで、具体的に、税制支援も含めまして、この活動促進策につきまして、竹中大臣、どのように御認識されておられるか。ちょうど、経済財政諮問会議の中でも、経済再生のための税制度についての検討というところが着手され始めているところでございますので、この市民セクター、第三の活動セクターと申しましょうか、そのことに対する支援策をぜひとも積極的に展開していただけますよう要請も含めて質問をさせていただいて、終わりたいと思います。
竹中国務大臣 委員御指摘いただきましたように、まさに、行政でも営利セクターでもない第三のセクターとしてのNPO、NGO、成熟した市民社会というのが私は一つのキーワードだと思いますが、その中の非常に大きな主役にならなければいけない分野だと思います。そういったものに対する社会的な認知でありますとか制度的な整備というものがようやく固まりつつあって、そのことの重要性ということに関しては、昨年の骨太の方針でも先月の中期展望の中でも、かなりしっかりと位置づけをさせていただいたつもりでおります。
 内閣府として我々がやるべきことは、一つは、やはり、普及に関するまず調査を行ったりとか、教育、啓蒙のようなことがあります。それに関しては、さまざまな活動を既に行っております。委員直接お尋ねの税制でございますけれども、その税制も昨年の暮れからようやく動き出したということで、その執行状況を今しっかりと見守っているところであります。
 御承知のように、経済財政諮問会議では、税制全般の抜本的な見直しの論議というのを始めつつありますので、その中で、骨太方針にも書かれたそういった市民セクターといいますか、成熟した市民社会にふさわしい制度設計というのは、当然のことながら、重要な問題意識にしていかなければいけないという決意でやっていくつもりでおります。
石毛委員 民主党といたしましては、さきの国会にNPO支援税制を既に提出したという経緯もございますので、ぜひ受けとめていただきまして、積極的な支援策を講じていただけますよう要請いたします。
 終わります。ありがとうございました。
大畠委員長 細野豪志君。
細野委員 おはようございます。
 私の方からは、今座っていただいております四大臣の主に所信に対します質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、冒頭、福田官房長官に幾つか御質問させていただきます。
 私は、小泉政権の一つの特徴としては、いわゆる内閣主導といいますか、官邸主導といいますか、トップダウンで政策決定をされてきた、ここに大きな特徴があったのではないかというふうに思っております。その状況から、この一、二カ月の状況、大きく変わっております。支持率が低下して、小泉政権が持っていたこのトップダウンの決定の方向というのが果たしてこれからどういう方向に行くのかというのは、我々野党の立場からしても、また国民の立場からしても、極めて注目されるところではないかというふうに思っております。
 私は、外務委員会にずっとおりまして、今も在籍をしておりますので、田中外務大臣の大臣としての、何というんでしょうか、資質といいますか、問題点、いろいろ感じた部分がございました。もしかしたら、福田官房長官も同じ思いを持っておられるのかなと思うんですが、一点だけ、田中外務大臣が間違いなく正しいというふうに思いますのは、最後の予算委員会のあたりでおっしゃっていました政治改革なくして構造改革なし、この政治改革というところをキーワードにされたのは、田中外務大臣、極めてお目が高かったのではないかというふうに思っておるんです。
 今、鈴木宗男議員の政治的な圧力などいろいろ言われておりますけれども、私、仕組みとしては、やはり一番問題があるのが与党の事前審査ではないかというふうに思っておるんです。いろいろ私自身が見ておりますところ、官房長官に関して、この事前審査について、十分前向きな発言が聞かれないような気がするんですけれども、今のところどういうふうなお考えを持っておられるか、まずお伺いをしたいと思います。
福田国務大臣 私は、政府、与党は一体というような言葉もずっと言われてきているわけでありまして、従来の政治の手法というものは、まさに政府、与党一体となってお互いに協力し合う、こういう関係にあったんだろうと思います。
 今、政治主導というようなことも言われております。政治主導というのは、一体、突き詰めると何か。これはどうも、総理大臣が主導していく、そういう政治体制じゃないのかな、政策決定じゃないのかな。こういう、いわゆるトップダウンということになるかと思います。民主党の方々、特にお若い方々、その手法をお好みになっていらっしゃるというふうに私は思っておりますけれども、それは確かに政治手法として一つの方法であろうかと思っております。
 橋本行革でもって政治主導ということも強く叫ばれるようになってきたというような状況の中で、私は、小泉総理はそういう方向に政治を持っていく努力をされておられるというふうに思っております。支持率どうのこうのということと関係なしに、小泉総理の手法というのは、今まで一貫してそういう方向でやられているのではないかというように思っておりまして、私は、今の小泉総理のそのやり方そのものは大変いいんじゃないかと思っております。
 皆さん方の気持ちも酌みながら、そして、今このように、今までのように右肩上がりである一定の方向は間違いなく行けるんだ、そういう中で来た日本の状況というのはもうなくなったわけでございます。これからは、新しい時代を模索する、そしてまた国際社会の中で、また国際環境が著しく変化する中で無事に日本丸を航行させるということのためには、機動的に政治判断ができ、また政治を主導できる、そういうトップダウンということ、これも私はやはり大事な要素だと思います。
 しかし、政治は総理大臣一人でやるものではないということ、これも事実でございますから、それは政府、与党一体となり、適切な関係を保ちながら、できるだけそういうような状況に、もしくは環境に対応できるような体制をもって進むべきだ、こんなふうに考えております。
細野委員 政府と与党は一体なので事前審査は問題がないのではないか、そういうお答えだったかというふうに私は解釈をいたしました。
 私の考えは少し違っております。憲法は確かに議院内閣制という形で、国会が総理大臣を選ぶ、これが一体になるんだというお考えのようですけれども、私自身は、国会が総理大臣を選ぶということ自体がそれの正当性の根拠を与えている、これは事実だと思うんです、議院内閣制の本旨だと思うんですが、一方で、内閣と議会というものは、ある部分で緊張関係を保っている必要があるんではないか。それが、具体的に言うと、最終的には内閣総理大臣の解散権という形で出てくるものだというふうに考えておりまして、今の事前審査のあり方というのは、この議会と内閣の緊張関係をある部分で崩しているんじゃないかという気がしてならないわけでございます。
 その具体的なあらわれ方が、私は自民党のある議員の方に伺ってなるほどなと思ったことがあるので御紹介させていただきたいんですが、自民党の若手の議員の方にとっても、委員会で発言するよりも部会で発言した方がはるかに影響力を行使できるんだ、言いたいことが言えるんだ、法律の中身についても議論できるんだということをおっしゃるわけですよね。
 実際、きょうの質疑を見ておりましても、自民党の方、与党の方の質問時間は非常に短い。質問しなくていいよという話。野党は一生懸命この場所を利用して……(発言する者あり)いや、私は、もっとそこは自民党の方もこの議論に入っていただきたいと思っています。理事ですので、もしそういう御要望があればやりたいというふうに思います。
 なぜかといいますと、部会という場所では影響力を行使するけれども、委員会では発言をしない、この中で政策決定がなされている、法案決定がされているという面があると思うんですね。
 部会と委員会の違いは何かといいますと、これは一点に尽きると思うんです。国民に開かれているか、それとも国民からクローズドになっているか。この部会なり審議会なり、そういう与党内での部分を重要視して委員会を軽視する、国会を軽視するという姿勢は、私は、これは国会軽視というよりは、もろに国民軽視の発想なんではないかというふうに思うんですが、この問題について、官房長官、どのようにお考えでしょうか。
福田国務大臣 今おっしゃっておられることは若干プラスアルファの誤解があるんじゃないかと思います。仮に、今、部会で決まった、議論してというようなお話ございましたけれども、自民党の部会はオープンなんですね、本当に。非常にオープンな場でございまして、その結果も新聞をよくごらんになればもう刻々報告はされている、こういうことでございますので、隠されたところでこそこそやっている、そういうイメージは、これはぜひおやめになっていただきたい、こういうように思います。
 私は、さっき申しましたのは、適切な関係ということなんですよね、政府と与党と一体というふうに申しましたのは。政府、与党一体というのを強調されたのは、今じゃない、もっと前の段階でございますけれども、今それが少し変わってきたということは申し上げました。今、私は、適切な関係というのは、適切なる緊張関係も入っているんですよ。緊張関係も入った適切な関係、そういうことを含めた適切な関係というふうに御理解いただきたいと思っております。
 委員会のこともお話しになりましたけれども、これは、委員会のことは委員会で決めることだし、野党の方は時間をたくさんくれというふうに要求もされるんでしょう。その言い分を聞いてそういう結果になっているんだろうというふうに思いますので、その辺のことは私が申し上げることはないんだろうと思いますけれども、そんなふうな感想を抱いております。
細野委員 事前審査に関しては、正直、余り前向きな答弁を引き出せなかったんですが、自民党の中に国家戦略本部というのがあって、そこが中間報告を出されたという記事も拝見をいたしました。与党のサイドにも、自民党の中にも、与党の事前審査手続慣行を簡略化、合理化する新しいルールを検討するというような中間報告が出たということなんですね。与党サイドにもそういう動きがあるにもかかわらず、官邸サイドの中枢にいらっしゃる官房長官がそこについてもう少し前向きな発想がないと、リーダーシップというのはどうなのかなという印象を私は持ちました。これ以上お伺いをしませんが、そのことだけ申し上げたいと思います。
 せっかくたくさん大臣の方に来ていただいているので、総理のリーダーシップ、まさに肝いりで入られた竹中大臣は、この事前審査というものに関してどういうふうにお考えになっているのか、一言で結構ですので、御答弁いただけますでしょうか。
竹中国務大臣 内閣と与党は、官房長官のお話にもありましたように、本当に協力、一体となって、同時にある種の緊張感というのは常にそこはあるわけでありまして、いろいろな経緯を経てでき上がった一つの方向であるというふうに思っております。
 それについて、もちろんそれを、現状に満足することなく、さらにいろいろな議論があるということも承知しておりますけれども、そういった議論があるということ自体が一つの健全性の証明性なのかなというふうにも思います。
細野委員 この議論は党として求めておりますので、今後とも機会がありましたらさまざまな場面で御提言をしていきたいというふうに思います。
 次に、有事法制につきまして、所信にございましたので、福田官房長官の方に御質問させていただきたいと思います。
 この所信を見ますと、大規模テロ、武装不審船、大規模自然災害などに言及されているんですね。これらの「各種の緊急事態に対する国の備えに万全を期するとともに、武力攻撃の事態に対処するための法制の整備を進めてまいります。」この「ともに」の読み方が少し問題になってくると思うんです。
 いわゆるこの武力攻撃の事態というのは、まさに自衛隊法に言う防衛出動の要件になるわけですが、今政府で検討されている有事法制というのは、この防衛出動に限ったものということでよろしいんでしょうか。福田官房長官にお伺いします。
福田国務大臣 有事法制は、今政府として考えておりますことは、もちろん国家の緊急事態というのは、御指摘のとおり、外部からの武力攻撃、それにとどまることならずいろいろな形態があるわけでございます。それに対して間隙なく対応していかなければいけない、こういうことでありますけれども、この有事法制ということでこれから御検討いただこうと考えておりますものは、武力攻撃の事態への対応、こういうことでございます。
 その際の法制上の不備を是正するということは、長年にわたる重要な課題であるということになっておりましたので、そういうことを踏まえましてこの有事法制整備、こういうふうに考えているところであります。
細野委員 武力攻撃の事態に対処するための有事法制だということでよろしいわけですね。
 としますと、問題になるのが、大規模テロであるとか武装不審船であるとか、こういう問題へ果たして周辺的な法整備が並行して進んでいるのかどうかという点なんでございます。
 例えば、自衛隊法の規定によりますと、治安出動というのがございます。今、防衛出動に関しては、例えば、一般で報道されているところによりますと、第二分類というのがあって、そこでは、例えば、防衛出動が発令をされて自衛隊に関する車両が通らなきゃならなくなったときに、道路が崩れておったら、それを修理することができない、それを自衛隊の部隊が修理することができるような法律を、防衛出動については有事法制という形で整備するという話が出ております。
 でも、考えてみると、これは決して防衛出動に限る話ではなくて、いわゆる治安出動のような場合、自衛隊が出動しなければならないような場合でも十分想定し得るわけですよね。この部分も私はあわせてきちっと検討する必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、この辺の検討はなされているんでしょうか。
福田国務大臣 今御指摘になったいわゆる大規模テロ、これは議論のいろいろあるところでございます。大規模テロが起こって、そしてそれがどういうことになっていくのか、そういう経過をずっと考えていきますと、それが単なるテロで終わるのか、それとも有事法制の範疇に入ってくるのか、こういうことなんでありますけれども、これもやはり先ほど申しましたように、武力攻撃というものであるかどうか、そういう認定が必要なわけですね。
 ですから、一概に言えないという部分もあるかもしれぬけれども、しかし、その大規模という意味ですね、その意味から考えて武力攻撃になるかもしれぬというその可能性は強いんではなかろうか。例えばアメリカの九月十一日、ああいうものは武力攻撃とみなす、こういうような考え方もできるんではないかというように考えております。
細野委員 今の福田官房長官の御答弁というのは、いわゆる有事というものを防衛出動よりももう少し広くとらえる必要があるんではないか、そういう御認識を示されたものと解釈してよろしいんでしょうか。今検討している有事法制の範囲を、防衛出動の概念に限らず、もう少し広げることを考えた方がいいのではないかという解釈でよろしいのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
福田国務大臣 今考えております有事法制、この中には、当然のことでありますけれども、我が国の防衛のための自衛隊の行動、そしてまた米軍の行動の円滑化のための必要な措置、それから住民の避難誘導、それから国民の安全確保の観点から必要となる措置、または国際人道法を尊重するという観点から必要となる措置、こういうような課題があるわけです。そういうものを含めた体制、有事法制体制、こういうふうに考えております。
 それから、もう一つ申し上げれば、武力攻撃の事態への適切な対応を考える場合に、防衛出動命令を発令する前に必要となる措置も検討の対象になる、こういうことであります。
細野委員 ぜひきちっとした形での有事法制の議論を私はしていく必要があるというふうに思っているんです。
 というのは、なぜこんなことを申し上げるかというと、国民の今の不安というのは、二十年前のように、北から大軍が攻めてきてどう北海道で守るかとか、そういう関心ではなくて、さまざまなテロや不審船の事案があったときに、この国を果たして守っていけるのかどうか、心配はそこにあるわけですよね。初めに防衛出動ありきの議論でスタートをする有事法制というのは、今の世界の情勢からすると、まさに机上の空論で、決して実態に即したものではないということを御指摘させていただきたいと思うんです。
 もう一点、御指摘させていただきたいのは、やはり、防衛出動というところに限ることによって、実際のところは、法律をつくってみたはいいけれども、治安出動であるとか、あと、この間できました警護出動ですか、ああいう部分も含めて法の空白ができる可能性がある。
 我々民主党としては、有事法制の議論を、何もドンパチやるのがいいという話ではなくて、何かあったときに法の空白をつくらないためにやっていくんだという観点から取り組んでいるものですから、政府の方としても、ぜひそこの部分、国民の負託にこたえるような形で検討していただきたい、これは私から御要望させていただきます。
 加えまして、今私が言ったような観点でいう有事法制ということになると、これは警察というところも大きくかかわってくるところだと思うんですよね。日本の場合、どこからが警察でどこからが自衛隊によるのか、このあたりの区分けは、今まで必ずしも明確にされてこなかったんではないか。そういう平時におけるテロ対策のようなものに関しては、防衛庁よりもむしろ警察庁の方が取り組んでこられた経緯もあるわけですよね。
 この有事法制に向けて、国家公安委員長として、村井大臣、どのようにお考えになっているか、スタンスを、短くて結構ですのでお聞かせいただけますでしょうか。
村井国務大臣 日本に限らずどこの国でも、日本の場合は自衛隊ということになりますか、よその国ではいわゆる軍隊ということになりますが、これと警察との関係、これはどういうふうに仕切るか、結構難しい問題でございまして、各国においてさまざまの対応がなされているのが実態でございますけれども、いわゆる一般的な治安を維持する、これは第一義的に警察の任務だ、これは世界じゅうどこをとりましても一般に共通した認識だろうと思っております。
 さような意味で、できるだけ簡単に申し上げますが、国民に、有事への備えのみならず、今委員御指摘の大規模テロ等につきましても万全を期しているんだという安心をしていただくためには、有事法制と並びまして、そういう面での法制面、あるいはその他の運用面等々欠けたところはないか、私どもとしても十分研究をしていく必要がある、このように思っております。
 警察といたしましては、諸外国の法制なども含めましていろいろ研究はさせていただいているところでございまして、まだ特段の結論を得ているわけではございませんけれども、現在、警察に与えられている権限、それと諸外国の警察が持っている権限との対比でございますとか、今度起きました事案の性格でございますとかというような点でいろいろ研究を進めているということを御認識いただければありがたいと存じます。
細野委員 村井大臣からは、かなり前向きな御答弁をいただいたというふうに思います。
 有事法制は、どうも今の流れを見ておりますと、この通常国会中に防衛出動の部分が出てきそうだということですので、これについて、私どもとしてきちっともちろん議論をしていきたいというふうに思っておるのですが、加えて、周辺の法整備も、これは国民の権利を守るという観点からも並行して進めていただきたい、このことだけ御要望させていただきたいというふうに思います。
 続きまして、不審船にかかわって出てきております海上保安庁の問題について、少し御質問させていただきたいというふうに思います。
 実は、臨時国会中に一度、村井大臣の方には、枝野議員の方から、海上保安庁を国家公安委員会のもとに警察庁と同時に集約したらどうか、そういう話がございました。それについては、全部移すのはなかなか難しいというような御答弁をいただきました。
 その後、昨年末の武装不審船の事件がありまして、そこの連絡の不行き届きであるとか、さまざまな議論があった中で、聞き及ぶところですと、いろいろ与党サイドにも、海上保安庁の位置づけについて、考えた方がいいのではないかというような話が出てきたというふうに聞いております。
 具体的にちょっとお伺いしたいのですが、村井大臣の前国会中の答弁はこうです。海上保安庁は、非警察的業務を含んでいるので、いきなり国家公安委員会に入れるのは難しい。確かにそうなんです。海難救助であるとかさまざまな業務をやられているので、それを一遍に国家公安委員会に移すのは難しいという面があると思います。
 ただ、海上保安庁の方に伺うと、大体人員が一万二千人ぐらいいらっしゃる中で、いわゆる治安に携わっている方というのは三千人ぐらいいらっしゃる。この部分はやはり役割分担をして、具体的に国家公安委員会に移すことを国として検討していく時期にもう既に来ているのではないかというふうに思うのですが、これはまず村井大臣にお伺いしてもよろしいでしょうか。
村井国務大臣 ちょっと整理してお答えさせていただきますと、先般、中央省庁の再編が行われました際に、確かに、行政改革会議の中間報告という段階でございましたけれども、海上保安庁を国家公安委員会の管理のもとに置くべきであるという御提案があったことは一つの事実でございます。
 ただ、その後、いろいろなさらなる研究が行われました結果、海上保安庁の業務の中に、今委員御指摘のほか、例えば海洋汚染防止それから灯台の管理、水路測量、こういったような犯罪取り締まり以外の業務が非常に多くを占めている。今委員御指摘のように、犯罪防止というのは一万数千のうちの三千程度だというような御指摘もございましたが、そういうことで、最終的には海上保安庁を国土交通省のもとに置くということに整理がされまして、昨年一月、省庁再編が一応終わったということでございます。
 それ以来、まだ一年余りということでございますので、私は、今委員の御指摘でございますけれども、やはりここで直ちにまた再編論議をするというよりは、私ども心がけるべきは、海上保安庁との事実上のいろいろな協力関係、これを緊密にしていく。これは治安対策上、大変大切なことでございまして、私どもも、密航事案の処理、これは、例えばつい最近でございますと、去年の十月でございますが、千葉県沖でかなり大人数の中国人の密航事件を捕らえておりますけれども、これなども海上保安庁が表へ出ながら、海のことでございますから、しかし陸上では警察も十分にタイアップをしながら対応した。
 そういう意味で、情報交換ですとか合同取り締まりだとかいうようなことをこれまでも随分やっておりますけれども、そういう意味でこれから力を合わせてやってまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
細野委員 ここで結論が出る問題だとは思っておりませんが、不審船の事件があったときにインタビューで答えられていたのが扇大臣であった。扇大臣がいい悪いの問題ではなくて、日ごろ道路行政であるとか観光行政をやられている方が、武装船だといったときに、コメントを求められてしどろもどろになるのは、これはある部分、やむを得ないところがあるのではないか。
 私自身、年末に海上保安庁に、実際にどういうことをやられているのかと直接行って話を伺いました。国土交通省というのは物すごい陳情の多い役所でして、人がいっぱいいるわけですよね。非常に開かれた役所である。その中で、ワンフロアに海上保安庁というのがあって、そこだけはセキュリティーが非常にきちっとしていて、入るのも一々だれか出てきてもらわないと中へ入れてもらえない。ここに国土交通省の持っている性格と海上保安庁が持っている性格の大きな違いがやはり象徴的にあらわれているんじゃないかというふうに思うものですから、村井大臣がおっしゃったとおり、すぐに省庁再編の終わった後また変更というわけにいかないにしても、少し本気でこれは考えていただきたいことだということを御要望させていただきたいと思います。
 福田官房長官にも一つお伺いをしたいんですが、実は、現在、海上保安庁は大変大きな役割を担っております。といいますのは、テロ事件以降、それこそ海辺にある原子力関係の施設を外で二十四時間体制で守っている。今までこれは全くやっていなかったことを新たにやっているわけですよね。現場の方に話を伺いましたら、大変に御苦労をされているというのがよくわかります。必要なことだとも思います。
 そこで、一つお伺いしたいんですが、海上保安庁の予算というのは年間大体千七百億円ぐらい、大体これはイージス艦が一つ買えるぐらいの値段だそうでございます。治安に当たる方の人数は三千人いらっしゃるんですね。先ほども言いました。
 一方で、では海上自衛隊というのはどうかというと、予算規模は一兆円を超えておる。人員が四万三千人。海上自衛隊というのは、まさに何かあったときに最終的に出てくるところなので、そこがもちろん必要であるとは考えます。必要性は認めますが、今海上保安庁が担っている業務の重さと自衛隊が果たさなければならない役割というもののこの重さとこの予算と人員の差、これは私ちょっといろいろな形でギャップがあり過ぎるんじゃないかというふうに思うんですよ。
 これは答えは一つじゃないと思うんですが、業務の中身を少し海上自衛隊にも担ってもらうか。というのは、海上自衛隊に要するに警備の一部を担ってもらえるような、そういう法整備をするか、もしくは人員なり予算を海上保安庁にもう少しつけるか、どっちかにしないと、今の状況というのは非常にバランスが悪くて、海上保安庁の現場の方に率直に言って大変厳しい状況が生じていると私は考えております。
 福田官房長官に一言お考えをお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 海上保安庁、海上自衛隊、これはそれぞれの役割を果たしているわけですね。その上で、仕事が忙し過ぎるとか人員がどうのとかいったようなことは、これは当然どこの役所もそういうことはあるわけで、行政、政府の各部署でそういうようないろいろな問題はあると思います。
 陸上でいえば自衛隊と、防衛庁は、これは比較にならぬかもしれぬ。陸上自衛隊、比較にならぬかもしれません。陸上自衛隊は海外に行くこともあるんだということも含めて比較ができないかもしれぬけれども、それにしたって随分ギャップがあるじゃないかとかいったような議論もあるかもしれぬ。
 ですから、それは全体的な立場で総合的に判断しなきゃいかぬとは思いますけれども、おっしゃるように、今回の事件で不審船事案というものでもって脚光を浴びたあれを見ていますと、大変仕事は厳しくて気の毒じゃないかとかいったような、そういう見方も当然できるわけですね。その辺についての配慮は、やはり全体的な立場から考えていかなければいけない問題かもしれません。しかし、役割分担ということで今やっているわけでございますから、一概にそういうふうに言い切れるかどうかということはよく検討させていただきたいと思っております。
細野委員 私も過去をひもといてびっくりしたんですけれども、朝鮮戦争のときというのは、いわゆる掃海、機雷を除去する掃海は海上保安庁がやっていたそうです。今なら考えられないんですよね。あんな危険なことは海上自衛隊がやるに決まっているとみんな思って、私も思っていましたけれども、実はかつて海上保安庁はそこまでやっていた時代があるんですよね。ですから、自衛隊がやるべきものと海上保安庁がやるべきものというのは、これは相対的に、世の中の流れが変われば当然それに対応して、むしろ積極的に変化を求められているんじゃないかというふうに思いまして、こういう質問をさせていただきました。
 今、福田官房長官にそういう御答弁をいただきましたので、それで前向きに御検討いただけるということを期待したいというふうに思います。
福田国務大臣 今のことでちょっと補足させてください。
 先ほど委員の言われました海上保安庁の仕事をふやしたらどうかとかいったようなこと、これは極めて本質的な問題でございますので、そのことの役割分担を変えるとかそういうことを私言っているわけじゃなかったんですよ。検討するというのは、あくまでも予算の配分とかそういったものについて、それから人員ですね。そういうものが妥当かどうかということについての検討だということでございまして、仕事は、やはり海上保安庁は警察なんですよね、海上警察なんです。陸上の警察と同じように、海上警察なんですよ。その役割の範囲で仕事をされるということは、これが絶対的な問題だというふうに考えております。
細野委員 人員と人の面で配慮をする可能性があるということでございますね。(福田国務大臣「検討すると言っている」と呼ぶ)はい、わかりました。私の方としては、むしろ業務の面も含めて積極的にあるべき姿というのを模索していただきたいということだけお願いをします。
 官房長官、私の方からは以上でございますので、お忙しい方だと思いますので、もしあれがありましたら、どうぞ御退席ください。
 続きまして、村井大臣に幾つか伺っていきたいというふうに思います。
 所信の中で拝見をいたしまして、今の日本の治安に対して非常に強い危惧を表明された、しかも、それへ向けてきちっとした対応を前向きに述べられたところは、私は必要なことだなというふうに感じました。
 そこで、特に所信の中にもありましたワールドカップの警備についてお伺いをしたいんですが、ソルトレークシティーでオリンピックが終了いたしました。幸いにしてテロは起こりませんでした。アメリカでは、武装兵士を含めて一万五千人導入してソルトレークを守ったそうです。町を守ったそうです。
 今度世界的なイベントということになるとワールドカップになるわけですよね。ワールドカップは、これはオリンピックと違いまして会場が分散しています。町を面で守ればいいわけじゃなくて、まさに分散した点を守らなきゃならない。そういう難しさがワールドカップであるというふうに思っていまして、日本の治安が今問われているというふうに思いますので、村井大臣にはぜひきちっとした対応をしていただきたいということをまずお願いさせていただきます。これについては御答弁は結構です。
 一つ、私は大きな危惧を持っていることがあるんです。それは、いわゆる現場でそれぞれ守っていらっしゃる都道府県の警察の方とサッカーの方の運営をするJAWOCという組織、これがどれぐらいきちっと連携をしているかということなんです。といいますのは、会場の外は警察が守るけれども、会場の中はJAWOCが守るということになっていますね。このJAWOCと警察の連携がどれぐらいとれているかというのは非常に重要になってくるというふうに思うんです。
 私、つい先日、ある警備会社、これはワールドカップの警備を受託した会社なんですが、その人間と話をする機会がございました。それで一つ衝撃を受けました。どういう衝撃かと申しますと、細野さんのところで若い学生でワールドカップの警備をしたい人を何人か連れてきてくれという話だったんです。二、三日研修を受ければワールドカップが警備できるという話なんですね。言質をとるわけじゃないんですが、もうだれでもいいから来てくださいとその方はおっしゃいました。
 私は驚いたんですね、この時期にまだそういう状況なのかと。これは年末だったんですが、今改まっていれば結構なんですけれども、荷物検査から中の治安から、警備員が守るわけですね。そこの部分で、都道府県の警察というのはそれぞれの警備会社の所管で監督も機能も持っているはずなのに、JAWOCの方がまだ警備会社との契約の中でそのレベルなのかというのは、私、これは大きな問題だなというふうに感じたわけでございます。
 私からこれは御要望なんですが、例えば本人確認をするとか、過去の犯罪歴を調べるとか、人権の部分で非常に難しい線はあると思いますよ。ただ、最低限それぐらいのことはそれぞれの都道府県警が、JAWOCにやらせるか、もしくは自分たちでやるか、枠組みはお任せしますが、これは早い段階で、できればもう三月、四月ぐらいまでにはやって、だれがどこを守っているんだということを、警備会社を含めてきちっとやはりそこを指導していただきたい。そうじゃないと、私が経験した事例からいうと、どこのだれそれかもわからない人が、警備員でございといって、二日ぐらい研修をしてワールドカップの会場に立ってしまう可能性がある。
 この問題を御指摘して、村井大臣に御要望させていただきたいというふうに思います。
村井国務大臣 恐らく、大変人脈の広い細野委員を信頼されて、おつき合いの中で信頼の置ける人を御紹介いただけるんじゃないかというような含意もあってそんなお話があったのかと存じますけれども、それはそれといたしまして、一般論として、このワールドカップの大会の警備の問題につきまして、御指摘ございましたように、ちょっと申し上げさせていただきたいと存じますが、警察による警備とともに、今御指摘の日本組織委員会、JAWOCの実施する自主警備、この両方でやるという体制でございます。公道等公的部分につきましては警察が実施する。会場内等主催者が管理する部分については、警察による警備にあわせまして自主警備が行われる。したがって、中も警察もちゃんと関与いたします。この点をぜひ御認識をいただきたいと存じます。
 これはもう、従来とも、サッカーの世界クラブ選手権等、大規模なスポーツイベントでずっととられてきた手法でございまして、それなりのノウハウの蓄積がある、このように理解しております。
 ただ、今回、非常に大規模でございますので、そういう点では、JAWOCとの間で警察と大変綿密な警備計画の調整もしておりまして、現に、JAWOC本部、各支部に合わせて三十八名の現職警察官が出向しておりまして、JAWOCの実施する安全対策につきまして指導を行っているというのが実態でございます。
 そういう意味で、自主警備の中核を担う警備員につきましては、今委員御指摘のように、一定の質を確保するというのは当然のことでございまして、また、警察と自主警備に当たる関係者との間の共同訓練、こういったものをきちんとやっていかなきゃいけないと考えておりまして、そういう点での指導を十分に今委員の御指摘を踏まえましてやらせていただきたい、このように考える次第でございます。
 なお、もう一言、ソルトレークシティーのときに、いわゆる迷彩服を着た州兵でございますけれども、これが随分あらわれて警備に当たっているということがございます。私も多少勉強してみたつもりでございますけれども、これは必ずしも直接警察官と同じような意味での警備に当たるというよりは、若干デモンストレーション的なニュアンスもあったということはひとつ御指摘を申し上げた方がよろしいかという感じがいたします。
 それから、州兵という存在自体が、ある意味では、軍人なのか警察官なのかちょっと、それぞれ州に属するいわゆる兵員でございまして、確かにUSアーミーという表示はしておりますけれども、州知事の管理下にあるというのをソルトレークへ集めてきたというようなことでございまして、通常、よその国で軍人と認識されるものと同じかどうか、そのあたりは必ずしも国際的な相互比較ができない存在だという点もちょっと御認識いただければありがたいと存じます。
細野委員 重要な点なんで、前向きに御答弁いただいたとは思うんですが、確認をさせてください。
 個々の警備員の、要するに、だれがどこを守っているのかというのを警察できちっとリストをつくられるおつもりはありませんか。ぜひ、私、これをお願いしたいというふうに思います。
村井国務大臣 リストをつくるというところまでいくかどうかということは、これはそれぞれの警備対象、それから警備会社の実態、それからJAWOCに出向しております、これは、JAWOCにおいて警備課長というようなポストは、それぞれ支部の警備課長というのは、現職の警察官が出向して任に当たっているケースがほとんでございますけれども、そういうところでよく、今委員御指摘の点も踏まえまして対応させていただきたいと存じますが、具体的にどのようにやるかということにつきましては、これはそれぞれのノウハウもあることでございますから、ひとつお任せをいただければありがたいと思います。
細野委員 それはお任せするしかありませんので、責任を持ってよろしくお願いをいたします。
 あと、ワールドカップについて、これは御答弁要りませんので、御要望だけしておきたいと思います。
 実は、サッカー関係者から、今、日本の警察に対してある不信感を持たれている部分があるんです。
 といいますのは、ヨーロッパなんかの場合は、サッカーのワールドカップのような大きなイベントがある場合に、すべて道路を封鎖してチームを移動させる。というのは、テロの危険性が一番高いのは実は移動中なんだという議論があるんです。ワールドカップの会場はあらゆる形で守りますのでそれは結構だと思うんですが、ここの部分の、要するに、道路をとめる措置を日本の場合はやってくれないんだ、道路交通法上の規定でできないんだといううわさが随分流れていて、これは韓国もやるそうですので、私の知っているところでは心配をされている方が結構いらっしゃいました。
 これは、警察の方に伺ったら、例えば、そこのチームの場合は極めてテロに遭う可能性が高いということであれば、道交法六条で、「必要があると認めるとき」ということで誘導を行うことができるということを聞いてほっとしておりますので、これは全部やれとは言いません、やる必要もないんでしょう。ただ、必要な部分に関しては、会場の近くだけとめるとかいう話ではなくて、住民の通っている、通行人の安全を確保する意味でも、テロに備えて、要するに優先的に道路を通すような措置もお願いをしておきたいと思います。これは御答弁は結構です。
 次に、残念ながら、ひとつ私の方から僣越ながら苦言を呈させていただきたいのが、不祥事についてでございます。
 平成十四年度には、この治安情勢の悪化を受けて四千五百人の増員を警察庁の方は要望されている。これは、必要なことであれば予算措置としてやはりあり得るだろうというふうに思うんです。ただ一方で、国民の警察に対する不信感というのは決しておさまったわけではないわけでございます。資料もいただいたんですけれども、平成十三年の懲戒処分を受けた警官の数は四百八十六人、平成九年から平成十年あたりが大体二百人ぐらいで推移をしておったところを見ると、これは倍以上の数字になっておる。平成十二年度からは若干減っていますけれども、この水準というのは極めて高いというふうに私は思います。中身を見ても、免職三十八人、停職七十九人、これは惨たんたる状況だというふうに思うんですね。
 国家公安委員長、村井大臣にお伺いしたいのが、委員長にとってはこの内閣委員会での所信というのが、恐らく年に何回か、ほかにあったら、失礼であればお許しいただきたいんですが、国民に対してきちっと、ことし警察行政はこういうふうにやっていきますよということをおっしゃる場面だったと思うんですね。このときに不祥事について何も言及がなかった。今、外務大臣は事あるごとに不祥事の話をしています。外交の話がなさ過ぎると思うぐらいしておる。警察の方も、同じぐらいとは申しませんけれども、依然として不祥事が起こっているにもかかわらず一言もなかったというのに関して、私は正直、違和感を持って拝聴いたしました。
 この辺について、具体的な何か取り組みがありましたら、短目にお願いをいたします。
村井国務大臣 私の所信の中では、真に国民の期待にこたえる警察という言葉を使いまして、そこで含んだつもりではございますが、それはそれといたしまして、確かに御指摘のように、平成十三年度四百八十六人、平成十二年度はこれが五百四十六人だったわけであります。
 この背景でありますけれども、ぜひ御理解いただきたいと存じますのは、やはり例の神奈川の事件あるいは新潟の事件、本当に警察、何とも国民の皆様に弁明のできないような恥ずかしい事案がいろいろございました。そして、公安委員会、国家公安委員会も含めまして、警察刷新会議という大きな陣立てをいたしまして、警察のまさに出直しのための改革を行い、そして警察法の改正までお願いを申し上げた、そういう経緯がございます。
 そこで、何が変わったかということをあえて私なりに認識を申し上げさせていただければ、いわゆる身内のことであるということでかばい立てをするというようなことをともかく払拭した、これは私は自信を持って申し上げることができるのではないかと思っております。
 そして同時に、ある意味では、過去のうみを出していると申しましょうか、あるいはみそぎをしていると申しましょうか、最近報道等に出てまいります不祥事案というのは、例えば五年前のものとか四年前のものとか、こういうものも結構あるわけであります。それから、平成十二年、十三年に処分をいたしましたものも、例えば、実際の事案そのものは平成九年、平成十年というような過去に起きたものがその時点で発覚して、それでこれを処分したというようなケースもあるわけであります。
 もちろん、こういうものの根絶を期したいわけでありますけれども、今そういうことで一生懸命きれいにしている段階でございますが、同時に、私は、もう一つ考えなければならないことは、本当に、寒いときも暑いときも、また昼夜を分かたず、第一線で一生懸命治安維持のために努力をしている大部分のまじめな警察官諸君の士気を阻喪させるようなことがあってはならない。あるいは、命がけでやっている警察官の皆さんの、何といいましょうか、積極的な精神というもの、犯罪に立ち向かう積極的な姿勢というもの、これを傷つけるようなことがあってはならない。しかるだけではいけないという思いももう一つございます。
 そういうような意味でぜひ御理解をいただきたいと思いますのは、今、どんなささいなものでありましても、諭旨免職というような形で警察の中でこっそり片づけるのではなくて、すべて各都道府県公安委員会にまで必ず御報告を申し上げる、そしてその御判断を得ながら処分をするという、そのオープンな体制だけはきちんととっておる、このことは御認識をいただきたいと存じます。
細野委員 現場で頑張っていらっしゃる方には我々も日々遭遇をしております。特に、今警視庁の方は二十四時間体制で守っていらっしゃって、私は歩いて赤坂宿舎まで帰るものですから、御苦労さんですと言いながら帰るんですが、そういう方のためにも、逆に、不祥事を起こしている者に関してはきちっと処罰するということだと私は思います。
 もう一つ委員長に、村井大臣にお伺いしたいのが、国家公安委員会についてでございます。
 今度、五人の委員の方のうちの一人が交代をされるということで、党内でもいろいろ議論をいたしました。極めて国家公安委員会の役割は重い、それはもう委員長ももちろん御認識をいただいていると思いますが、やはり、警察行政を積極的にやっていかなきゃならないと同時に、不祥事をきちっとおさめていかなければならないという状況の中で、同意人事については、我々としてはできれば賛成の方向でということを考えております。
 ただ、問題なのが、これは余り積極的な議論ではないんですが、ぜひ御認識いただきたいんですが、国家公安委員会の委員の方の月給というのは百三十四万六千円ということです。確かに、非常に見識のある方になっていただいているというのは重々承知しながらも、私は、それぞれの方、国家公安委員会に入られる方、顔ぶれを見ていまして、皆さん、全然、こんな高給を欲しいと恐らく思っていらっしゃらないだろうというふうに思うんです。加えて言うと、今、警察がこれだけ不祥事が多いと言われている中で、社会の見る目も極めて厳しい。これは特別公務員全体について言えることだと私は思うんですけれども、特に非常勤の特別公務員ですね。
 この国家公安委員会の百三十四万六千円ということに関しても、委員になられる方も、それほど高給を望んでいらっしゃらない、むしろ社会的な意味を考えられている。国民の間にも、この金額を見たら、やはり相当問題があるんじゃないかと考える方は多いと思うんですが、国家公安委員長として、この問題について総務省の方に引き下げを提案するぐらいの意気込みがあってもいいんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
村井国務大臣 警察の管理のあり方というのは結構いろいろ議論のあるところだと思うんです。私は、今の国家公安委員会制度というものは、これはもう長々申し上げる必要はございませんけれども、戦前の内務大臣による警察の管理という体制の反省の上に立ちまして、国民の各層の意見を常時的に反映させるシステムとして国家公安委員会という制度が創設されたんだと理解しております。そのためには、やはり多様な国民の意見というものを代弁できるような委員構成、また高潔な人格、高い識見をお持ちの方を網羅する必要というようなところから現在のような処遇が行われているんだろうと私は理解をしております。
 実際に、その担っております権能というものを考えますと、本当にこれはなかなか大変な権能でございまして、警察というのは、私はやはり国家の本当に基本的な統治機構だと思っておりますが、内閣総理大臣が緊急事態を布告する、あるいは自衛隊の治安出動を認めるかどうか、警護出動を認めるかどうかというような国家治安にかかわる非常に緊急かつ重大な事態への対応というものが、これはすべて国家公安委員会の議に付されることが必要になっております。そのときに必ず参集してもらわなきゃいかぬというようなことでございまして、この拘束というのは当然相当厳しいものがございます。
 そういうようなことを総合勘案いたしますときに、三条委員会としての国家公安委員会の委員というのに対する処遇が相当なものであるべきであるということは、現在の状態が過大であるというふうには、私には到底考えることができない。
 もっと言いますと、要するに、リタイアした人、第一線から引いた人に言ってみれば隠居仕事に来てもらうというような話でしたら、これまた話は別かもしれません。現にアクティブにいろいろな分野で第一線で活動していらっしゃる方にやっていただく、しかも常勤という形態でやっていただく、それはそれなりの処遇があってしかるべきだと思っております。
細野委員 この問題については、国の三条委員会等の委員の給与のあり方については、党としても提案をしてまいりますので、そこで議論をするということで結構ですけれども、ある部分で、やはり警察全体を統括している大変な仕事だというのはもちろんわかります。ただ、今、例えば某商社の社長なんかは、業績が悪くなって株主に配当ができなければ無給で何年間かやるというような方までいらっしゃるんですよ。この民間の現実というのも知る必要があると思うんですね。
 では、我々国会議員はどうか、国家公安委員会はどうかといったときに、それだけ厳しいからこそ、ある部分で、国会議員も給料を下げる、それと同じとは申しません、違う種類の問題ですけれども、国民の警察に対する信頼が上がるまでは、国家公安委員会も、その上げる努力をするという前提で給料を引き下げるということぐらいの発想があってもいいと私は思います。
 これ以上御答弁は求めません。国家公安委員長、以上ですので、ありがとうございました。
 続きまして、尾身大臣の方に幾つか伺ってまいりたいと思います。
 時間が限られてまいりましたので、ちょっとはしょりながら参りますけれども、浜岡原子力発電所の問題について幾つか御質問させていただきたいというふうに思います。
 原子力安全委員会を所管されている尾身大臣でございますので、その事故については大体概要は御存じだというふうに思いますけれども、現在、浜岡原子力発電所の一号機、二号機が、一号機のさまざまな事象によりましてとまっております。
 私、この問題を考えたときに、経済産業政策という経済産業省の保安院の方が担っているものと少し違う立場、いわゆる一歩離れたところから、原子力安全委員会が果たさなければならない役割というのは極めて重いと思っておるんですが、この一号機、二号機をこれからどうやっていくか、どういう条件が整えば再稼働できるのかというあたりについて、今の段階でどういう御判断をされているか、まずお伺いしたいと思います。
尾身国務大臣 原子力発電のエネルギー供給に占める役割の重要性というものは極めて大事であると認識をしているわけでございますが、しかし、原子力につきましては、その安全確保が大前提でございます。
 浜岡の原子力発電所に発生いたしました事故につきましては、原子力安全委員会に原子力事故・故障調査専門部会ワーキンググループを設置いたしまして、専門家の皆様によりまして、この事故の原因究明と再発防止のための対策についての調査審議をしていただいているところでございます。
 私どもとしては、この原子力安全委員会におきまして徹底した原因究明をし、再発防止策を取りまとめていただきまして、原子力の安全確保に万全を期していきたいと考えております。
 これからの運転再開の条件ということにつきましては、この取りまとめられました再発防止のための対策がしっかりと講じられること、それからさらに、地元の方々の御理解、御協力をいただく、この二つの要件が満たされることが必要である。そして、私どもは、あくまでも安全の絶対的確保を基本的な考え方として取り組んでまいりたいと考えております。
細野委員 私は、原子力発電というもの全体については、必要性の部分も含めて否定するものではございません。基本的にそういう立場に立っております。
 ただ、なぜこの原発が、二つがこれほど今、特に静岡県内で話題になるかというと、やはり東海地震の問題なんです。東海地震の予知の問題が出てきておる中で、これを再び動かすということに関して危険性を感じられている方が、特に若い方にかなりふえているということをぜひ御認識いただきたいと思うのです。
 そこで、一つ、私がこの間聞いて驚いた話を御紹介させていただきたいと思います。
 先日、地震予知連絡協議会の前会長であられます茂木清夫東大名誉教授から話を伺う機会がございました。地震のオーソリティーですね。予知連の前会長でございますが、浜岡原子力発電所についてどう思うかという話を伺いましたら、今まで、浜岡原子力発電所の建設についても運営についても、今回の事故についても、全く何ら連絡はない。要するに、浜岡原子力発電所という東海地震の範囲の真ん中にあるこの原子力発電所と、予知連及び判定会ですか、この二つの連携というのは全くなされていないんだということをおっしゃって、茂木名誉教授は非常に憤っていらっしゃいました。
 私、びっくりしたのですが、客観的な事実として、予知連は一九七〇年に地震の特定地域というのを指定しているのです。これは七八年に想定を見直しているのですね。七〇年につくって七八年に見直している。浜岡原発というのは、一号機の着工が七一年なんです、見直しの前なんです。二号機が七四年なんですね。予知連が地震の想定の見直しをしている、この最中に建てられた原子力発電所の建設、運営に関して、国として見通しを変えているのに、予知連なり判定会と浜岡原子力発電所が連携をとれていないというのは、私本当に驚いて危機感を持った経緯がございます。
 わざわざ原子力安全委員会というダブルチェックを設けているのは、要するに、そういう経済産業省・保安院という現場に近いところと一歩離れてさまざまな総合調整をできるからだと私は考えるのです。気象庁が所管をしております判定会なり予知連と連携をとって、もう一度地震の想定を見直して最終的に再稼働を判断するというのが私は安全委員会の責任だと思いますが、尾身大臣、どうお考えでしょうか。
尾身国務大臣 東海地震につきましては、想定されている最大規模のマグニチュードは八・〇というふうに聞いております。そして、浜岡原子力発電所は、その八・〇を上回るマグニチュード八・五の地震に対しても安全を維持できるということを安全審査において確認をしているというふうに聞いている次第でございます。
 したがいまして、そういう意味から見まして、浜岡原子力発電所の耐震上の安全性については大丈夫であるという判断を原子力安全委員会はしているわけでございます。
細野委員 いわゆる気象庁側ですね、判定会なり予知連を入れて検討し直すおつもりはございませんか。
尾身国務大臣 予知連における想定最大事故の最大の規模が八・〇であり、浜岡原子力発電所の設計は八・五のマグニチュードのものにも耐えられるということを安全委員会で確認をしているわけでございまして、安全性についてはそういう意味で確保されているものと考えております。
細野委員 私は、何度も強調するようですけれども、要するに原子力発電所の必要性の部分についてもきちっと国として意思を持つべきだというふうに思っているのです。
 ただ一方で、実は、原子力賠償法という法律を見てなるほどなと思ったので、ちょっと引用させていただきたいと思うのですが、「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。」何か事故があったときは事業者が責任を持ちなさいと書いてある。「ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。」ここは、事業者ではなくて国が責任を持ちなさいよ、大規模災害については、地震、これは国が責任を持ちなさいよということをはっきりこの法律で言っているのですね。
 その安全委員会に私は非常に大きく期待をしておりますし、原子力発電というものを国民に理解してもらうための一つの生命線になる事案じゃないかというぐらいに思っておるものですから、慎重かつ長期的な視野に立って御検討いただきたいということを御要望させていただきたいと思います。
 時間がなくなりましたので、最後に、竹中大臣、大変お待たせいたしまして申しわけございません。質問させていただきたいと思います。
 昨日、総合デフレ対策が発表されまして、私も拝見をいたしました。新聞等の評価はさまざまでございます。市場の評価も、株は上がっている、円は下がっているというような評価で、いま一つ定まっておりません。
 私どもは、今の日本の経済状態というのは、既に金融危機が起こっているのだろう、金融危機が水面下で起こっている状況が本当に現実のものになっているというふうに考えておるのです。金融再生法なり早期健全化法という、数年前に我が党も深くかかわったこの法案を再提案して、公的資金の導入も含めて全力でこの問題に取り組んでいこう、そういうスタンスでおります。
 公的資金の注入、ここが一番注目されるところだと思うのですが、竹中大臣は、従来のコメントを見ておりますと、特別検査の結果を見てということでございました。その認識は今も変わっていないということでよろしいのでしょうか。短くで結構ですので、お願いします。
竹中国務大臣 現状をより的確に把握して大胆かつ柔軟な行動をとるためにということで、昨年の秋に特別検査を行うということを金融庁にも御決定をいただいたわけであります。それに基づいてまさに果敢な政策をとろうというのが基本的なスタンスでありますし、そのことはきのうのデフレ対策の中に織り込まれております。もちろん、私自身もそういうふうに考えています。
細野委員 では、法律に照らして具体的にお伺いします。
 預金保険法に言う、信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるとき、このときに公的資金投入の可能性が出てくるという法律構成になっておりますけれども、いわゆる政府見解として従来漏れ聞こえております、例えば金融機関の連鎖倒産であるとか連鎖的な資金繰りの悪化であるとか、そういった事象が生じたときにこれは該当するのか。もしくは、私は、これが起こってからでは到底遅いと思うのですね。予防的な注入というものに関して、こういう政府から漏れ聞こえてきておりますような要件ではなくて、竹中大臣なりに御判断する余地があるのかどうか。その辺についてどういうお考えをお持ちか、お聞かせいただけますでしょうか。
竹中国務大臣 政府から漏れ聞こえるということが何を意味するのか。私の知る限り、そういった危機的な状況を事前に認識することは非常に困難であるというふうに、少なくとも金融当局は考えておりますし、総理もそのような答弁をしておられる。全くそのとおりなんだと思うのですね。
 そこは、さまざまな想定は、仮定に仮定を重ねる話ですから、それは私自身も仮定を重ねろと言われれば重ねられる考えはありますが、私の立場で、国会の場で、こういうことが一つのケースであるというようなことを申し上げられるような性格のものではないと思います。まさに金融当局が言っているように、そこは総合的に判断すると言うしかないんだと思います。
細野委員 預金保険法に言うこの解釈というのは、いろいろな解釈があり得ると思うのですね。私自身は、及び民主党としては、予防的注入が絶対必要だろうというふうに考えております。
 これはあくまで可能性ということですけれども、ここに該当するような、いわゆる重大な、信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあるときと認められれば、特別検査を見てとおっしゃいましたけれども、こういう事態が生じれば三月末までの注入もありというふうに竹中大臣はお考えになっているでしょうか。
竹中国務大臣 これは、そのように法律で定められているわけですから、そのようなおそれがあれば、検査がどうであれ、それは、そういうようなおそれがあれば積極果敢に政策を打つ、そういう強い、つまり金融危機は絶対に回避するという強い決意を持って臨んでいます。
細野委員 金融当局から一歩離れたところで経済全体の運営を任されているのが竹中大臣だというふうに私は考えますので、ぜひここの部分に関しては、若干トーンが途中から下がったのかなと私自身報道等を見ておりまして感じておるものですから、きちっと対応していただきたい、このことを最後にお願いさせていただいて、竹中大臣に関するもう少しさまざまな討論は、また他の委員も含めて今後させていただきたいというふうに思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
大畠委員長 次に、野田佳彦君。
野田(佳)委員 民主党の野田佳彦でございます。
 昨日の石原大臣の所信表明を受けまして、三十分ほどでございますが、基本的なことを質問していきたいというふうに思っております。
 まず、特殊法人改革についてでございます。
 きのうの所信の中で、特殊法人等改革については、昨年十二月に特殊法人等整理合理化計画を策定いたしました、その内容は、道路関係四公団の民営化や都市基盤整備公団、住宅金融公庫、石油公団の廃止等、これまでにない踏み込んだ内容となっております、以下続くわけでございますが、確かに、これまでにないボリュームでさまざまな法人を見直そうとされたことは事実だと思います。ただ、踏み込んだ内容と評価するかについては、まさに、例えば道路四公団については第三者機関の議論いかんでありますし、石油公団などについては、ただの看板のかけかえではなかったのかというふうに思っていますので、踏み込んだ内容というふうには私は率直に受けとめてはおりません。
 そのことを踏まえまして、幾つかの法人について質問をさせていただきたいというふうに思っています。
 まずは、道路関係四公団でございます。
 これについては、確かに、高度成長を支える上で、東名があり、名神があり、首都高があり、阪高があり、その一定の貢献というのは、やはりこれは認める。一定の貢献どころじゃなくて、日本の動脈としてすごく原動力になったというふうに私は評価をしていますが、ただ、公団方式の高速道路の整備のあり方、基本的な特徴である償還主義とプール制、その弊害が最近は顕著に出てきている。
 償還主義というのは、言葉をかえれば、これは時間軸のどんぶり勘定につながる。プール制というのは、もうかる路線ともうからない路線を抱き合わせをする空間軸のどんぶり勘定である。結局は意味なき拡大につながるということで、これらの公団の見直しの議論が出てきたんだろうと私は思います。
 そのことを踏まえて、道路関係四公団の民営化をすること自体は、私も民主党も、これは賛成であります。賛成でありますけれども、問題は、昨年の暮れに、この道路関係四公団の見直しをするに当たり、償還期間をいっときは小泉総理は三十年と主張していたにもかかわらず、五十年と後退をしてしまったこと。国費投入のゼロ方針というのは、かなり縛りをきかせる意味でまた評価はしましたけれども、償還期間の後退というのは、とても私は残念でありました。
 加えて、きのうの読売新聞の夕刊。自民党の道路調査会、「高速道路建設について、国道や高規格道路の建設計画を見直し、浮いた道路特定財源を投入する構想を固めた。五十年の債務償還期間の延長をして高速道路の法定路線一万千五百二十キロの完全整備を図る考え」。債務の償還を七十年、八十年という議論も出てきているそうでございまして、これは、報道が違うと言われればそれは困るんですけれども、基本的には、こういう動きとか考えが出てくること自体、まだまだこの高速道路の整備のあり方についてちゃんとした縛りができていないのじゃないかという疑問を持っています。
 私は、その債務の償還が五十年というのも、これは本当にかなり後退したと思っていますが、ましてや七十年や八十年などという、そんな先の見えない未来まで延ばすことには強く反対をしなければいけないと思っていますが、この件について、石原大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま野田委員が御指摘されました記事は、私昨日読ませていただいたわけでございますが、どなたがどんなことを言っているのかというところまでは実は書いてありませんので、詳細についてはコメントできる立場にございませんが、一般論として言わせていただくならば、何で七十年、八十年という数字が出てくるのかな。一つ考えられる数字としたら、国債の償還期間が六十年ですから、六十年という数字が出ると、何かそういうことを言っている人がいるかなというような想像もできますが、もう想像の域を超えているというふうに思っております。
野田(佳)委員 想像の域を超えている。では、大臣としては、こんなのは問答無用、意味のない話だと認識をされているというふうに私は理解をさせていただきます。
 これから法案の審議に入る四公団の民営化の推進委員会の件なんですが、問題はその人選だと私は思うんですね。どういう人選をするか。改革姿勢が骨抜きになるか後退するか、あるいはちゃんと国民の望んでいる方向に結果が出せるか、かなりこれは人選によるだろうと私は思っております。国会同意人事については予算委員会で議論させていただきましたので、そのことは触れませんけれども、どういう人選をするかについてお尋ねをしたいんです。
 というのは、石原大臣は、整備計画の九三四二、これは全部つくるという前提ではないという認識を持っていらっしゃると思うんです。一一五二〇についても、同じようにこれは当然見直しをされるものだという前提で予算委員会では御答弁をいただきました。私は、その立場は賛成です。ただ、国土交通大臣は、これらの整備計画や法定路線は生きているという認識である。
 この違いのまま第三者機関で公平な人選ということは、例えば自民党の道路をつくりたいという人たちは、公平な人選という意味は、九三四二は全部つくる、一一五二〇は全部つくるという人も入れてくれ、それが入るのが公平という感覚だと思うんですね。公平な人選の具体的な中身をぜひ教えていただきたいと思います。
石原国務大臣 この点につきましては、予算委員会等でも御議論を委員とさせていただいたんですが、まず第一番目に言わせていただきたいことは、法案を国会の方に提出させていただいておりますので、この法案を委員会で通していただいてこの委員会ができて、この人選がスタートすることになると私は思います。そして、この委員会が国交省のもとではなくて内閣に設置されるということは、総理がリーダーシップを持って人選に当たれるということでこういうふうになっていると御理解をいただきたい。
 その上で、総理は、本会議だったと思いますけれども、改革意欲に富んだ方になっていただくと明言されておりますので、改革とは何かということを御理解いただければ、改革意欲の富んだ方がこの委員の中に入られて公平、公正に見ていってくださる、私はこのように理解をさせていただいております。
野田(佳)委員 私は、これからの高速道路の整備のあり方というのは、借金でつくるかとか予算でつくるかというのは、これはある意味では本質的な問題ではないと思っております。あるいは、フル規格じゃなくて多少のコストダウンを図るとか、いろいろなアイデアが出てきています。これも本質的な問題ではないと思っています。要は、むだな道路をつくるのかつくらないのかという視点ですよね。
 その意味では、今の大臣の御答弁は言外に、改革意欲に富んだ方を選ぶということは、九三四二とか一一五二〇とかを大前提で道路をつくろうという意欲の人たちを入れるということではないというふうに私は受けとめましたけれども、それでよろしいですか。
石原国務大臣 これは、扇大臣が答弁されていることは間違っていないと私は思うんです。計画としては生きている。しかし、採算性、先ほど委員が御指摘されましたように、償還主義とプール制の抱える問題というものが顕在化してきている中で、この委員会で御議論をいただいた結果として、全部つくることはできないんじゃないかというふうに私は考えているということでございます。
野田(佳)委員 本当は、第三者機関に議論をゆだねる前に、上下分離方式なのか上下一体方式なのかということは、やはり閣議決定の前に方向を決めた上で第三者機関にゆだねるべきではなかったのかなというふうに私は思うんです。私は、上下分離になってしまったんだったら、この民営化というのはほとんど意味がなくなってしまうという気がしてなりません。
 過日の予算委員会ではまだ、上下一体方式ではなくて、上下分離の方式の可能性も残っているような御答弁があったように私は思いまして、それでは困るなというふうに思っているんですが、上下一体、上下分離、その是非について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 この点も以前、野田委員と御議論をさせていただいたと思うのでございますが、実は、各国の高速道路の民営化の事例を、私も現場にも行きましたし、書物等でも読ませていただきました。上下一体化で民営化している部分、その一つの国の中、地域の中で、それがリース方式やコンセッション契約といった形で上下分離になっているケース、さまざまなケースが特性としてあったと思っております。
 日本でこの上下一体論で議論をしたとき、一つ大きな問題として生じるだろう点は、いわゆる固定資産税、採算性のとれている東名等は十分固定資産税を払っていくことは可能でございますけれども、ぎりぎりで行われているところが固定資産税をどうするのかといったような問題もきっと発生してくると私は思います。
 ですから、第三者委員会の皆様には、さまざまな利点、上下一体方式のメリットあるいはデメリット、上下分離のリース形式あるいはコンセッション方式のメリット、デメリット、この日本の国土、そして日本の道路事情、そういうものを予断なく御議論をいただいて方式を決定していただければと考えております。
野田(佳)委員 その第三者機関の検討の内容、中身の問題なんですが、それがどこまで含まれていくかということについてお尋ねをしたいのです。
 個別路線の優先順位とか整備計画は議論をしないというお話でございますよね。ただ、その算定基準を明確に打ち出すということですけれども、その算定基準によって、要は、新しい会社が引き続き建設をしていくような路線の一つの分類が見えてくる。あるいは、必要な道路だけれども、この新しい組織形態ではなくて国や地方が公共事業としてつくっていく。あるいは建設を中止する。少なくともこの三分類が採算性の検討チェックの中から明確に出てきて、個別路線の話が当然のことながら浮かび上がって見えてくるというものでなくては意味がないと思うんですが、その辺はどうでしょう。
 加えて、どこかの講演会では、料金の引き下げについても検討するような内容が出ておりましたけれども、そのことも含めてお尋ねをしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま野田委員が三通りに分析されたことは、私もそういう分析は十分あり得ると認識しております。採算性の基準をこの委員会ができて御提示いただきますと、当然、有料道路としてつくれるのか、つくれないのかというものもはっきりしてくると私は思います。
 そして、地方の講演で私が言及させていただいたのは、民営化するということがなぜよいのかということを国民の皆さん方が実感していただくという視点をやはり忘れてはいけないという形で、御議論の中で、これだけの道路、先ほど委員が御指摘されましたようなコストの削減論も出ておりましたけれども、コストを削減することによって料金が下がるということも十分考えられる、こういうようなことも、まだ法案が通っておりませんけれども、設置される推進委員会で御議論の対象にぜひしていただきたいし、なるものと考えているというような旨の発言をさせていただいたところでございます。
野田(佳)委員 道路関係の公団につきましては今度また法案が出たときにさらに具体の話を議論させていただきたいと思いますが、そのほかの特殊法人について少し質問をさせていただきたいと思います。
 まず、住宅金融公庫なんですが、あらゆる特殊法人、私は、その最初に見直しをする視点として大事だと思っているのは、その設置法の第一条を見ることだと思っています。この住宅金融公庫の第一条を見ますと、「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設及び購入に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」ということで、私は、現状においては、その意味では第一条から見てももう役割は終わっただろうというふうに思っていまして、基本的には廃止の方針には賛成でございます。賛成でありますけれども、問題は、その以後の具体の問題でございます。
 私どもは、公庫の直接融資は段階的に撤退をしていく、そして住宅融資はすべて民間金融機関にゆだねるようにする、ただし、低所得者等の政策的配慮が必要な者については利子補給などの方法をとるという考えです。加えて、民間では選別融資が行われるという心配があるならば、我が党が提案をしている金融アセスメント法を制定するということで対応するというような考えなんですが、加えて、民間が新規で長期固定の住宅融資をする際の支援策として、債権を証券化する、そうした新たな組織を政府の方はお考えですね。
 これは独立行政法人になっていると思いますけれども、私どもは、このローン市場が将来大きくなったときに、また独立行政法人が今の特殊法人、住宅金融公庫のように巨大な壁になってはいけないと思っていますので、その証券化市場において、やはり最初からスタートするのは、特殊会社とかそういう形態でスタートすべきではないかという認識を持っています。
 この点については、大臣のお考え、いかがでしょうか。
石原国務大臣 ただいま委員御指摘されました点は大変心強く受け取らせていただきました。第一条は、非常に重要な設立法の根拠に当たる部分でございますので、やはりその役目というものは使命を終えつつあるという認識を共有しているのではないかと思ったわけでございます。
 そして、ただいま委員の御質問でございますが、この証券支援化業務、残念ながらまだ市場規模が大変小さくて、ここのバックアップの市場が整備されないことには、民間金融機関がローンの債券化を行うとしても十分な新しい商品の設計に資することができない、こんなようなことから、整理合理化計画の中では、民間住宅ローンの証券化支援にかかわる業務について独立行政法人を設置して行うということを決めさせていただいたわけでございます。
 もちろん、議論の中で、ただいま委員が御指摘されましたように、一体どのような組織形態でこの業務を行っていけばいいのかという議論はございました。そして、その業務は、新たに発行する住宅ローン担保証券のいわゆる信用力の担保、債券が持つ、証券が持つ信用力を実は確保していかなければならない。あるいはまた、円滑に資金をこういうふうに調達していかなければこの業務というものは成り立たないわけでございます。そのとき、委員御指摘の特殊会社と当方がやるべきだという独立行政法人、どちらが今言った二点の観点から業務が円滑に行われるかということを総合的に判断させていただきまして、独立行政法人において行うと決めさせていただいたところでございます。
野田(佳)委員 ちょっとほかにもいろいろ聞きたいのがあるので先に行っちゃいますけれども、では、石油公団に入りたいと思います。
 私は、石油公団は、道路公団と同じぐらいに先行七法人の中で関心の集まっていた法人だと思うんですが、結果的には大半の機能が残るし、職員の削減になるわけでもないし、行革としてはどうなんだろうというふうに思っています。
 例えば、開発融資は、これは国際協力銀行か何かになるわけですよね。石油開発支援とか石油備蓄業務、これは金属鉱業事業団、今度独法になるそうですけれども、そちらが引き継ぐ。それで、公団傘下の開発会社は、これは整理、売却しますけれども、残った企業というのは特殊会社が引き継ぐという形態で、多分、ほとんどの機能は残っていく。だったら、では何で石油公団を解団するんだろうというそもそもの疑問を持たざるを得ません。これこそ本当に看板のかけかえに終わっているだけではないかと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 この点につきましては、もう委員御承知のように、我が党の総務会長であります堀内総務会長の問題の御提起というものが石油公団にスポットライトが当たる第一歩だったと思います。
 そのときの問題意識としては、やはりかなりの国民の税金が補助金の形で補充されている、そして、本来、特殊法人という形態で行うべきではない業務等々もある、そういうものを整理していくという中でこの組織論の見直しというものがスタートいたしました。
 そしてまた、ただいま委員御指摘されましたけれども、職員の削減についてなのでございますけれども、まだ法律案が出てきておりませんので、新体制というものがどういうふうになるかということは予断を持って言うことができませんけれども、一般論として言わせていただくならば、あるいは行革の観点から言わせていただくならば、特殊会社と独法に分かれるわけでございますけれども、あるいは金探に移る部分もあるわけでございますけれども、やはりそこの適正規模というものが実はありますので、その適正規模に見合った、逆を返しますと、業務に見合った適正人員になりますので、私はリストラというものは当然行われるというふうに認識しております。
 そしてもう一つ、看板のかけかえという御批判をちょうだいしたわけでございますけれども、今回の改革、組織の方に目が行きがちでございますが、実は、組織の見直しにとどまらず、行っております業務、もう既に時代の要請のなくなっているものはやめていただきたい、その上で、例えば備蓄業務については国が直轄で行った方が効率的であるというふうに、石油公団のやっております事業について分類をさせていただいております。そしてまたその上で、廃止あるいは民営化できない事業のうち、国の関与、必要性が高い事業については、委員御指摘のいわゆる独法の方に移す。
 また、現在石油公団が保有しております開発関連資産は、うまくいっているものとうまくいっていないものがございますので、厳正に資産評価を行って、整理すべきものは整理し、売れて国庫の収入になるものがあるならば売却して適正な処理を行うということでございますので、これは単なるかけかえではないと私は思っております。
 そしてまた、資産を処分、清算するための組織、これは時限的でございますけれども、その組織で処理に当たらせて、その終結を待って民営化を行うということでございますので、すべてやっているものが残って、あるいは働いている規模も変わらないであるならば看板のかけかえかもしれませんけれども、十分にそういう点には留意をしておりますので、そういうことではないというふうに当方は認識をさせていただいているところでございます。
野田(佳)委員 予算委員会では多少意地悪な質問をしたこともあるかもしれないので、きょうは前向きに、ちょっと提言型で行きたいと思っているのです。
 私は、金属鉱業事業団も廃止論なんです。だから、金属鉱業事業団と統合する形というのは過ちである。しかも、同じ経済産業省の、同じ所管のところの法人をくっつけるというやり方はいかがなものかと思うんですね。
 例えば、金属鉱業事業団は、レアメタルの備蓄とか鉱害関係事業、これは引き続き何らかの公的関与の枠組みが必要だと思いますけれども、探鉱調査、技術開発などの事業、これは類似法人の業務と重複している、そちらと統合すべきだと思っています。
 例えば、探鉱融資業務についてはほかの政府系金融機関でいい、それから、探鉱調査、技術開発事業は旧地質研究所、産業技術総合研究所に吸収する、それから、金属鉱産物備蓄事業は石油備蓄とともに国の責任で外部委託する、鉱害関係事業は新エネルギー・産業技術総合開発機構に吸収するという考え方で、金属鉱業事業団自体解体可能だと思うのですけれども、お考えはいかがでしょうか。
石原国務大臣 ただいま野田委員が御指摘されましたような事業の類似法人への統廃合という案も、検討の段階では私どもも検討したということは紛れもない事実だと思っております。
 その中で、これは委員御指摘のとおりでございますが、特殊法人の整理合理化計画では、今まずお話しになりましたいわゆる探鉱技術開発の事業、これは限定的に絞っていく。そしてまた、先ほどお話しいたしました備蓄事業、備蓄対象、備蓄量、これも最小限に絞っていく。事務事業を非常にスリム化する。鉱害防止業務の貸付資産のリスク管理の適切な実施、こういうものは引き続いてやっていただくという形で、今のままの金属鉱業事業団ではないというふうに整理を実はさせていただいております。
 そして、組織形態については、先ほどの質問で出てまいりました、石油公団と統合して独立行政法人を設置するというような整理に実はさせていただいたわけでございまして、方向性は一緒ですけれども、その処理の方法が、今委員御指摘された切り方、私どもの必要なものだけを最小限にしていく切り方という処方の仕方に相違があるのではないかと思っておりますけれども、特殊法人改革推進において、今委員の御指摘も十分踏まえさせていただいて、適切にこの進捗状況をフォローアップしていて、今のような委員の御批判にこたえるように努力をしていきたいと考えております。
野田(佳)委員 空港関係も聞きたかったんですが、時間五分前になってしまいましたので、公務員制度の方に移りたいと思います。
 きのうの所信で、公務員制度改革について大臣の言及がございました。「政府としては、真に国民本位の行政の実現を図ることを基本理念として掲げ、国民の立場から公務員制度改革を抜本的に改革する」云々と出てくるわけですが、国民本位あるいは国民の立場からという言葉がある割には、これまでの大枠、基本設計、大綱に至るまでの過程において、私は、余り国民に見えない形で議論が進んできたと。
 私は、何か職員団体だけのことを言っているわけではありません。例えば、特殊法人は、桜井よしこさんとか加藤秀樹さんとか、大臣の諮問機関なのかわかりませんが、猪瀬さんとか、いろいろな方が特殊法人改革の議論を巻き起こしてきた。公務員制度改革もとても大事なんだけれども、残念ながらそういう世論喚起もないし、限られた人で何となくすとんと決められてきてしまったような印象を持っていますけれども、大臣、その辺についての特に反省みたいなものはございませんか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたように、私の所管している業務のうち、特殊法人改革、公務員制度改革、公益法人改革、規制改革、この中で、正直申しまして、メディアの方々あるいはかなり多くの言論人の方々が注意を持って、あるいは国民の皆様方も注視していた分野は、特殊法人改革が一番大きかったということは事実だと思っております。
 しかしながら、委員が御指摘されましたように、この公務員制度改革というものは、二十一世紀の公務員、すなわち、国家のあるべき姿、行政のあるべき姿に直結するだけに、非常に重要な問題でございますし、働いている方々がどんな意見をお持ちか、あるいはそれを見ていらっしゃる国民の方がどういう意見をお持ちかということは十分に承知していなければ、いい処方せんというものは書けないと思っております。
 幸いにも、インターネットが発達いたしまして、私のところにもかなり、公務員の方あるいは国民の方々からEメールという形で御意見をちょうだいいたしました。その数は千六十一通。これは募集をしたわけでございますけれども、平成十三年の三月二十六日からことしの二月十六日まででございますが、千六十一通、本当に多岐にわたっていろいろな御意見をちょうだいいたしました。
 そんな中でも、やはり公務員に代弁されるような年功序列、コスト意識のなさ、そういうものに対して、あるいは、昨今にぎわしております官僚の責任の所在、こういうものに対しては信賞必罰で行うのが当然であるといったような意見が実はかなり多く寄せられておりまして、そんな意見はかなり参考にさせていただいておりますし、あるいは、なかなか人目には触れないんですけれども、さまざまな雑誌媒体を使いまして、政府広報という形で、こういうことをやっています、こういうことに対して御意見のある方は御意見をお寄せくださいというような努力はさせていただいてまいりました。
 しかし、その一方で、これまでよくありましたような公聴会方式あるいは審議会方式をとっておりませんので、委員がおっしゃられたような批判があるということも十分に承知しておりますので、今後、委員がただいま御指摘されましたように、組合関係の方々だけではない、もっと幅広く、この問題を注視している方々の意見というものも聞く機会は設けていかなければならないと考えております。
野田(佳)委員 職員団体の方もILO提訴をしているそうですから、こちらの方もちゃんと意見交換してほしいと思いますが、その上で広範な議論をしていって、公務員制度改革というのはもともと大蔵省の変な接待疑惑あたりから出てきた議論ですね。最近はもっとリアルに公務員制度を変えるべきだという事象が多いじゃないですか、外務省の問題、BSEの農水省と厚生労働省の問題等々。改めて、そういう視点で国民の声をちゃんと聞いた公務員制度改革にすべきだと私は思うのです。
 私、ちょっと具体的な段取りを聞きたいんですが、基本法を今国会で閣法で出すんですか、出さないんですか。その点についてお尋ねしたいと思います。
石原国務大臣 委員が今御指摘されているのは、公務員制度改革基本法として昨今新聞に出ているものを指されているんだと思うんですが、現時点で政府として、今行っている国会に公務員制度改革の基本法を閣法として提出するという準備はしておりません。
野田(佳)委員 では、もう質疑時間が終わりましたから質問はしませんが、議員立法で出てくる動きも何かあるようですけれども、それもおかしいというふうに私は思っています。これはやはり出すんだったら閣法なんですが、しかし、まだそこまで議論が煮詰まっていないという認識を強く表明して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
大畠委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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