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第5号 平成14年4月10日(水曜日)

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平成十四年四月十日(水曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 大畠 章宏君
   理事 逢沢 一郎君 理事 阪上 善秀君
   理事 渡辺 具能君 理事 渡辺 博道君
   理事 野田 佳彦君 理事 細野 豪志君
   理事 河合 正智君 理事 工藤堅太郎君
      岩崎 忠夫君    小野 晋也君
      奥山 茂彦君    嘉数 知賢君
      亀井 久興君    古賀 正浩君
      実川 幸夫君    谷川 和穗君
      谷本 龍哉君    近岡理一郎君
      西川 公也君    望月 義夫君
      石井 紘基君    石毛えい子君
      藤村  修君    山花 郁夫君
      山元  勉君    横路 孝弘君
      太田 昭宏君    斉藤 鉄夫君
      吉井 英勝君    北川れん子君
    …………………………………
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   政府参考人
   (内閣官房道路関係四公団
   民営化推進委員会設立準備
   室長)          坂野 泰治君
   政府参考人
   (警察庁交通局長)    属  憲夫君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   津田 廣喜君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   参考人
   (首都高速道路公団理事長
   )            瀬田悌三郎君
   参考人
   (本州四国連絡橋公団総裁
   )            藤川 寛之君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十日
 辞任         補欠選任
  石毛えい子君     石井 紘基君
  太田 昭宏君     斉藤 鉄夫君
同日
 辞任         補欠選任
  石井 紘基君     石毛えい子君
  斉藤 鉄夫君     太田 昭宏君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――
大畠委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房道路関係四公団民営化推進委員会設立準備室長坂野泰治君、警察庁交通局長属憲夫君、財務省主計局次長津田広喜君及び国土交通省道路局長大石久和君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君、首都高速道路公団理事長瀬田悌三郎君及び本州四国連絡橋公団総裁藤川寛之君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。
斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。
 法案の内容について直接議論する前に、日本の有料道路制度ということについて少し考え方を確認しておきたいと思います。
 私、アメリカで生活をしたことがあるんですが、アメリカでは自動車専用高速道はほとんど無料だったと記憶しております。一部有料がありましたけれども、それは、まあ長大橋でありますとか非常に特殊なトンネル、それもかなり安かったという印象でございます。このようなアメリカのシステムの基本的考え方は、自動車専用高速道路とはいえ、国民の基礎的なインフラであって、これは公が責任を持って整備するという考え方ではないかと思います。
 翻って、日本の高速道路、また有料道路というのは、道路公団やいろいろな公団とはいえ、事業者が料金を取って経営するという形態をとっております。いわば国民全体の共通のインフラというよりも直接的な受益者のためのインフラ、こういう考え方だと思いまして、基本的に我が国と私が住んだことのあるアメリカと道路に対する考え方が違うのかな、このように思った次第でございます。
 そこで、まず、なぜ日本では、アメリカのように、自動車専用高速道路とはいえ国民共通のインフラであって、これは公が責任を持って整備するという考え方に立たずに、有料道路という形での事業形態をとるように至ったのか。また、有料といいましても、採算性を問われるまで非常に日本の道路は高いものになっております。その経緯等について、まずお聞きをいたします。
大石政府参考人 我が国が米国に比べてなぜ有料が多いのかという御質問でございます。
 一言で申し上げれば、モータリゼーションの爆発時代にほとんどしっかりした道路インフラがなかったということだろうというように思います。
 振り返って我が国の交通の歴史を見ますると、江戸時代までは車による物資輸送がございません。ほとんど人力や馬といったようなものに頼っておったわけでございます。明治に入りましてから陸上で物を運ぶという輸送形態が始まりましたが、これは鉄道を使うといったようなことでございました。戦後の復興期まで、幹線交通は鉄道や内航海運がそのほとんどを担っていたと言っていいと思います。
 昭和三十年代に入りましてから経済活動が活性化し、我が国の自動車保有台数は昭和三十年に九十万台となりました。現在七千万台を超えてございますが、こういったモータリゼーションの爆発的進行と、それから自動車交通への依存が高まるにつれ、道路整備のおくれが極めて目立つようになった、これを、厳しい財政制約のもと、キャッチアップする必要があったということだろうというように思います。
 一般国道でも舗装されておりませんでした当時の時代背景下にあって、厳しい財政制約のもと、都市内の道路、未舗装道路の解消や都市間幹線道路の整備、道路改良の促進、都市間高速道路の整備を並行して早期に行う必要があったということから、無料公開の原則の例外として、昭和三十一年に現在の道路整備特別措置法が制定されまして、公団等が借入金で道路を建設し、料金収入で管理費や金利を賄いつつ建設費を償還する有料道路制度が導入された、こういう経緯があると考えています。
斉藤(鉄)委員 一言で言うと、お金がなかったのとモータリゼーションの爆発的な進展ということかと思います。
 そういう日本の置かれた事情の中で、ある意味で有効にこの有料道路制度が、また高速自動車専用国道制度が運用されてきたわけですが、なぜここに至って行革の対象となり、見直しが行われることになったのか、何がそれでは問題なのか、今どういう課題があるのか、これについて国土交通省はどのように認識をされているんでしょうか。
佐藤副大臣 先生御承知のように、日本の国は今予想もしなかったようなマイナス成長になってしまいました。非常に厳しい経済情勢の中で、有料道路の採算性というものを非常に多くの方々が言われるようになってきましたし、それだけに償還の見通しというものが困難なところも出てきております。さらに、人口がピークを迎えて減り続ける、そのために利用者も少なくなってくる、そんなことも考えられるようになってきました。それで、採算性の確保ということが非常に大きな課題として私たちに今突きつけられてきているわけであります。
 さらに、整備された路線には交通量が少ないところもある、そんなことも指摘をされておりますし、先ほど申し上げましたとおり、多くの事業費がかかるために採算性を確保することは難しいのではないか、そんな路線も最近見られてきております。同時に、経済全体がデフレ傾向でありますから、料金が高いのではないのかと、非常に割高感が今出てきております。そんなような多くの課題が指摘されてきておりますから、今この機会に見直すべきだろう、そんなことが御意見として出されてきております。
 しかし、私たちとしましては、与えられた条件の中でいかにしてネットワークを形成し、そして一般道路とみんな一緒になって交通網をどうつくるかということが非常に大きな課題でありますから、そのためにはいろいろな基準を落としたり、それからまたいろいろな工夫をしなければならぬと思っています。その最大限の工夫をしながら、多くの国民の期待にこたえられるように、ネットワークの形成、整備というものをしていかなければならぬ、そう考えております。
斉藤(鉄)委員 非常に我が国を取り巻く状況が変わってきたということのようでございますが、一番最初に、私の問題意識は、私はアメリカしか知りませんけれども、あの国は、高速道路といえども国民の共通のインフラであって、これは公が責任を持って整備するという考え方でありました。日本はそうではなくて、いろいろな事情があったにせよ、高速道路については採算性を問うということ。しかし、今、佐藤副大臣のお答えは、事情が変わってきたから今回民営化という話が出てきたということでございますが、それでは、例えば採算性を問うというもっと根本的なところに立っての、採算性を問うといいますか、採算性という考え方そのものが果たして道路というものに対して適用できる考え方なのかどうかという、もっと根本的なところへ議論を進めることも本当は必要だったんではないかと私は思っておりますが、その議論を進めるためには、もう少し質問をしていきたいと思います。
 先ほどアメリカの例を挙げたわけですが、海外ではどのような手法で自動車専用高速道を整備しているのか。特に、有料制度を導入して高速道路を整備している国があれば、どのような国においてどのような主体が高速道路の建設、整備、管理を実施しているのか、この点についてお伺いします。
大石政府参考人 海外における高速道路の整備の方法についてお尋ねでございます。
 主要先進国でございますアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア等を見てみますると、これらの国におきます高速道路の計画はすべて国が策定いたしております。
 アメリカでは、原則無料で、連邦政府の助成のもとに州政府が建設、管理を行っております。一部の区間で州の公社等が管理する有料道路がございますものの、これは全延長のわずか六%という程度でございます。
 イギリスにおきましては、無料で国が建設、管理を行っております。
 ドイツは、連邦政府の助成のもと、州政府が建設、管理を行っておりますが、大型車に対しましては、現在は有効期間に応じたバウチャーの購入が義務づけられておりまして、アウトバーンは大型車に対しては有料だ、このような状況になってございます。
 フランス及びイタリアの高速道路は、これはドイツに比べてスタートがおくれたということもございまして、限られた財源のもとで早期に整備する必要性から、多くの地域において有料道路として整備されております。しかし、このような国にあっても、地域開発のおくれております例えばフランスの西部、ブルターニュ地方でありますとかイタリアの南部地域の高速道路は、国が整備して無料で供用いたしております。
 フランス及びイタリアの有料の高速道路は、民間会社が国と特許契約を結び、これはコンセッション契約と言っておりますが、国にかわって建設、管理を行っている、このような状況でございます。
斉藤(鉄)委員 いろいろな制度、無料、有料、それから民間主体、公共主体、さまざまな手法があるのはわかりましたけれども、そういう中でそれぞれ国はどのような役割を果たしているのか。今の答弁の中にあったのかもしれませんけれども、もう一度国の役割についてお伺いいたします。
大石政府参考人 先ほど御説明いたしました中で、特に有料制度を入れております国におきます国の役割ということについて御説明申し上げますと、例えばフランスの有料道路は、一九五六年に、国が約半分を出資するほか、公的機関が一〇〇%出資いたしまして設立いたしました混合経済会社と言われますSEMが建設を開始いたしました。これは、一九七〇年に民間会社も有料道路事業が実施できることとなったために、四社の民間会社が参入いたしましたが、一九八〇年代に経営不振になった三社をこのSEMが吸収いたしまして、結果としてSEMは全有料道路の九〇%を管理している、このような状況になってございます。残る一社、これはコフィルート社という会社でございますが、これが全有料道路の約一〇%を管理いたしております。
 イタリアの有料道路は、一九五〇年に、全額国が出資する特殊法人、これは産業振興会社といいますが、ここが一〇〇%出資いたしましてアウトストラーデ社が設立され、整備されてまいりました。おおむね建設が完了いたしましたこと、並びにEU加盟に伴う財政再建の一環として、一九九三年に同社を将来民営化する法律が制定されまして、二〇〇〇年に政府保有の株式を処分し、同社は完全に民営化されました。同社及びグループ会社は、全有料道路のうち約六〇%を運営し、残る区間を民間会社十八社が運営いたしております。
 フランス及びイタリアの有料道路の実施主体となります民間会社は、国と特許契約を結びまして、国にかわって建設、管理を行っております。これらの民間会社が高速道路を建設するに当たり、国は相当程度の補助金などの助成を行っておりまして、高速道路につきましては、契約期間終了後、国に移管し、国が管理するということになっております。
斉藤(鉄)委員 かなりの情報量をばっと短い時間におっしゃったのでよくのみ込めていないんですけれども、要するにかなり国が関与している、こういう理解でよろしいんですか。
大石政府参考人 今御説明いたしましたように、道路の計画について国が責任を持って行っていないという国はどこもありません。と同様に、有料道路の期間が終われば国に返るという仕組みを持っていない国もありません。そういう意味でいいますと、建設の助成を含めて、高速道路の建設、管理につきましては有料道路といえども国が大きく関与している、このような実態であると考えています。
斉藤(鉄)委員 外国の状況はよくわかりました。
 石原大臣にお伺いいたします。
 私の理解では、国の高速道路を含めた基幹道路の全体の枠組み、この全体の枠組みについては、国土交通省の国土開発幹線自動車道建設会議、国幹会議と呼ばれているそうですけれども、この国幹会議が決める、このように理解をしております。
 この国幹会議と、それから新たにできる道路四公団民営化推進委員会、この委員会の関係をどのように理解したらいいのか、ちょっと私の中でまだすとんときておりません。採算性のとれるところだけを新しい民営化された組織が担い、採算性のとれないそれ以外のところはこの国幹会議に基づいて国土交通省が直轄で行うという理解でいいのか。また、委員会は個別の路線についても審議をすることがあるのか、論及することがあるのか。このことについてもお伺いいたします。
石原国務大臣 斉藤委員にお答え申し上げたいと思います。
 高速自動車道路の個別路線の整備というものは、今御審議をいただいております本委員会ができまして、そこで採算性の確保なり基準を決めていただきまして、その意見を踏まえて、高速自動車国道法に基づいて、国土交通大臣が今委員御指摘の国幹会議の議を経て政府で最終的に決定するということになります。
 では、今御審議をいただいているこの推進委員会においては、整理合理化計画に基本的なものを明示させていただいたわけですけれども、これまでは国費が投入されておりましたけれども、国費は投入しない、償還期限は五十年を上限として短縮を目指す、これが基本方針なんですけれども、この基本方針のもと、これまでも委員会で大変議論になっているところの道路交通需要の見通し、今金利が低いですけれども、金利の見通し、さらに費用対効果分析の考え方について御検討いただきまして、新たな組織による高速自動車国道の整備の前提となる採算性の確保に関する基準などについて、当推進委員会から御意見をいただくというふうになると考えております。
 また、委員御指摘のそれ以外のものというものは、毎年毎年の予算編成の中で国土交通省が御検討されるものと理解をしております。
斉藤(鉄)委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、別の角度から同じ質問を、石原大臣と国土交通省佐藤副大臣にお伺いしたいと思うんです。
 今回の新しい委員会では、新しい組織と採算性の確保について議論をするということでございました。ということは、新しい組織が担うのは採算性の確保が図られる路線、部分だと思います。しかしながら、道路というのは採算性だけで割り切れるものではないと思っております。私は島根の山奥の高齢化率五〇%という小さな村の出身ですが、お医者さんもいない、救急車を呼んでも近くの村から一時間かかる、ちっちゃな道路しかない。こういうところについて、日本はこれから効率化を目指すんだからそういうところは切り捨てるというんだったら別ですが、やはりそういうところにも日本国憲法のもとで国民の方がお住まいになっているわけですから、そういう方に対しての道路整備ということも考えていかなきゃいけない。そういう採算性だけで割り切れない部分というのが今回の委員会で審議する範囲の外にある。この関係がどうなるのか。
 だから、今回は、採算性のガイドラインを出して、その中の道路に関する運営をする組織についてだけ議論をして、そのほかの道路については、これは採算性がとれないとはいえ高速道路もあるかもしれません、基幹道路もあると思います。そういうものについては国交省が、国が責任を持って考える、こういう理解でよろしいんでしょうか。同じ質問を国交省と石原大臣に。
佐藤副大臣 この法で決められた予定路線というのは、やはりそれぞれ全国、都市と農村を結びつけたり、さらに都市部の環状道路を整備したり、いろいろなネットワークをつくるということでこの一万一千五百二十キロというのは決められているんだと私は思います。それだけに法で決めたんだと思います。
 しかし、その中において、採算性の合うところ、合わないところ、いろいろあります。そういうものを第三者委員会で検討されるんだと思いますけれども、しかし、最終的には国幹会議において決められて、そしてそこで方針が決まっていくのだと思います。そのときに、私たち道路を担当する国土交通省といたしましては、いかにしてネットワークをつくるか、農村と都市をどうやって結びつけるのか、さらに考えれば、将来やはり道州制の方向というものがきちっと議論されていくのだと思います。
 そうしたときに、地域を結びつける重要な高速ネットワークというものが必要なんだろうと思います。しかし、今までの基準でいくとなかなか難しいと思いますから、いろいろな基準を下げたり、地方の知事の皆さんにも協力していただいたり、さらにいろいろな工夫をしながらネットワークの形成をしていくことが大事だろうと思っておりますから、全力を挙げて多くの皆さんの期待にこたえられるように、制約された中ではあるけれども頑張っていこう、そう考えております。
石原国務大臣 実は、私もタウンミーティングのときに、島根の道路事情あるいは交通事情を見てまいりました。あそこは中国山脈が迫っておりまして、海のところも、実は国道ですけれども一車線道路しかない。南に行けば行くほど寒い地域になっていく。そんな中で、大きな川があるわけではありませんから河川を利用することもない、交通はもう道路に頼らざるを得ないということを実感してまいりました。
 そういうことを考え合わせますと、先ほども申し述べさせていただきましたように、整理合理化計画の中においても、新たな組織により建設される路線以外の道路の建設というものについても、直轄方式による建設を毎年度の予算編成で検討するとしっかりと明示をさせていただきまして、国土の均衡ある発展と道路の整備というものに資するような政策というものは、今佐藤副大臣が御答弁されましたように、国幹会議の議を経て、政府として最終的に道路建設を決めていくということになると考えております。
斉藤(鉄)委員 石原大臣にお伺いします。
 閣議決定の中に、特殊法人等合理化計画ですけれども、償還期間は五十年を上限ということになっております。この償還期間後はもう国民全体のインフラである、こういう考え方に立って、民営化された組織から切り離されて、切り離されるかどうかわかりませんけれども、無料開放される、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
石原国務大臣 整理合理化計画の中では、このように書かせていただきました。「現行料金を前提とする償還期間は、五十年を上限としてコスト引下げ効果などを反映させ、その短縮を目指す。」と。
 今御審議をいただいておりますこの法案の成立がなされた後できます委員会においては、一定期間内の債務償還と債務償還後の無料開放というものを基本として議論がなされるのではないかと今の段階では考えております。
斉藤(鉄)委員 よろしくお願いします。
 次に、この委員会で議論する内容ですけれども、道路四公団にかわる新たな組織及びその採算性の確保について調査審議するということになっております。
 先ほどの議論ともちょっと重なりますが、具体的に何を議論するのか。民営化の対象、これ以上だったら民営化してもいい、ここまでだったら建設してもいいという採算性のガイドラインを出すということなんでしょうか。また、地域分割とか上下分離、上下一体というようなことも言われているわけですけれども、このようなこともその審議の中に含まれるんでしょうか。
石原国務大臣 先ほど来申し述べさせていただいておりますように、採算性の確保について調査審議していただいて、その結果に基づいて総理大臣に意見を申し述べていただきたいと考えております。
 その中で、新たな組織については、業務や財務のあり方を含みまして、その具体的な内容について御意見をちょうだいすることになると考えております。そんな中で、ただいま委員が御指摘されました、いわゆる上下一体とすべきか、あるいは上下分離とすべきか、または統合すべきか、地域分割をすべきかというようなことが御意見の論点になってくるものと想定をされるところでございます。
 そして、採算性の確保につきましては、一番重要なポイントはやはり、これも当委員会で再三御議論いただいている道路交通量の需要見通しですね。それで、ばかにならないのが、実は、今は一九九五年からの低金利でほぼ金利がないのが日常になっておりますが、過去の金利動向を見ますと五、六%。道路建設というものは何十年もネットワークの整備にかかっておりますので、十年間ぐらいよりも長い金利動向をやはり分析していかなければならない。
 今度の改革の出発点であります採算性ということを考えると、費用対効果分析についての考え方を御検討いただいて、新たな組織による事業の前提となる採算性の確保に関する基準というものの御意見をちょうだいする。ここは大変難しい御審議になると思います。これからの高齢化社会とこの道路需要、ネットワークが整備されてどうなるのかというのは、本当に専門的な御意見をいただいてやられることになると思いますけれども、そういうものの意見をぜひごちょうだいしたい、こんなふうに考えております。
斉藤(鉄)委員 次に、国民生活に直結した重要で広範な議題をテーマにする委員会でございます。国会同意人事というのは、まさに国民生活に直結した重要で広範な議題をテーマとする審議会については国会同意とするというのが国会同意の定義でございますので、今回、国会同意にしなかった理由は何なのでしょうか。
熊代副大臣 国家行政組織法第八条に基づいた委員会は、先生御承知のとおり、必ずしもこれでなければならないというぎりぎりの規制はないのでございますけれども、これまでのいろいろな任命実績等を勘案しますと、おのずと、ぼんやりとといいますか、一定の線が浮かんでくるということでございまして、政治の基盤に関することを扱うものや、それから国民の権利義務に直接かかわるもの、そういうものについては国会同意人事をということでございます。
 本委員会は、道路関係四公団の改革について、特殊法人等の整理合理化計画に沿ってその具体化を図るというための検討でございますので、最初に申し上げたようなそういうものではないのではないかということで、これまでの慣例からしますと国会同意人事としていただく必要はないのではないか、そのように考えているところでございます。
斉藤(鉄)委員 一〇〇%すっと納得できないところもございますが、時間がもうありませんので、最後に本四公団について二つ質問をさせていただきます。
 一つは、この閣議決定の中に「関係地方公共団体の負担」ということを挙げておりますが、この点について本委員会はどのような考え方で検討していくのか、地元は大変な心配をしております。
 二点目、技術の問題でございます。
 私は超党派の科学技術と政策の会の幹事をさせていただいております。日本の技術力を向上させていかなきゃいけないということでございますが、道路四公団、特に本四公団の持つ長大橋の建設、維持、整備の技術は世界に冠たるものでございます。その技術力は将来に承継していかなきゃいけない。この点についてはどのようにお考えでしょうか。
石原国務大臣 私、前段の方の債務の処理方法についてどう考えるかという点についてお答え申し上げたいと思うんですが、整理合理化計画の中ではこのように書かせていただきました。「債務は、確実な償還を行うため、国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理することとし、道路料金の活用も検討する。」と。
 この基本方針のもと、道路交通需要の見通し、金利の見通しなどについて、できます委員会で御検討いただき、できる新たな組織が債務を確実に償還できる方策についてどうあるべきか、もちろん、今委員が御心配されている地方の負担等につきましても御意見をいただきたいと考えております。そして、この御意見をちょうだいして、意見を踏まえまして、政府として必要な対応を図ってまいりたいと考えております。
佐藤副大臣 道路四公団の技術の蓄積のお話でありますけれども、今まで道路四公団が、実用新案権、合計六百二十七件あります。非常に多くの技術を蓄積しました。これらの技術は、いずれも建設、管理という実務を通じて組織として蓄積されてきたものであります。
 特に、先生がおっしゃった本四公団などは、世界一のつり橋でありますから、その長大橋の建設、管理、この技術というのは世界一と言ってもいいぐらいのものであります。それだけに、そういうものをほかにもっと応用してもらおう、使ってもらおうということで、長大橋をつくるときの業務の受託ですとか、JICAを通じて国外への専門家の派遣ですとか、いろいろなことを今までやってきております。
 これらのことを、これから日本が大きく国際貢献をしていくときに、もっともっと使うべきものだろうと私は思っております。これからの国際貢献というのは、金や物ばかりじゃなくして、こういう技術を、すぐれた技術をどんどん出してやる、使ってもらうということが大切なんだろうと思います。
 それだけに、私たちも、各公団が積み上げてきた技術力というものを、後輩に継承していく、次の世代に継承していくということも含めまして、しっかりと重要な課題として取り組んでいきたいと考えております。
斉藤(鉄)委員 終わります。
大畠委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、石井紘基君。
石井(紘)委員 民主党の石井紘基でございます。
 特殊法人等整理合理化計画の簡単な文章の中に記されております道路四公団についての改革の方向性というようなものの中で、まず幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 五年間で、平成十七年度までの集中改革期間内に民営化するということを前提に道路四公団を廃止するということでありますが、この民営化ということはどういうことなのか、伺います。
石原国務大臣 石井委員にお答え申し上げたいと思います。
 民営化という意味でございますが、民営化の形態については、整理合理化計画の中で、特殊会社化、JRなどがそうでございました、民間法人化、完全民営化、または地方共同法人化のいずれかの措置を講ずることとしております。
 民営化を前提とした新たな組織の具体的な内容については、ただいま御審議をいただいておりますこの法案によってつくられます委員会において調査審議をしていただこうと考えているところでございます。
石井(紘)委員 今の民営化の、その民営ということの幾つかの概念でありますが、特殊会社ということも含むということのようでありますけれども、特殊会社というのは何ですか。例えば、今特殊法人の中にある電源開発だとかJRだとかというような特殊会社ですか。
石原国務大臣 お答え申し上げましたように、JRも、三社につきましては昨年度、株式の完全民営化というものが、売却がなされたわけでございますが、設立当初は特殊会社でございました。そのように御理解をいただければと存じます。
石井(紘)委員 特殊会社というのは、そうすると特殊法人ですよ。特殊法人を特殊法人にするということですか。
石原国務大臣 ただいまJRのプロセスを申し述べましたように、目指すべきものは完全民営化と理解をしております。
石井(紘)委員 私が聞いておりますのは、この法案のタイトルに使われておる民営化ということ、それから道路四公団に関する民営化、ここで使われておる民営化という言葉は、恐らく同じ意味で使われているんだろうと思いますので、その民営化ということを聞いているのでありまして、遠い先に目指すのが民営化ということなのか、今法案に出されているように民営化をするということが前提になっているのか、どうもはっきりしないので、もう一回答弁してください。
石原国務大臣 若干誤解があるようですが、整理合理化計画に示された民営化の形態というものについて今私が御説明をさせていただいたのでございまして、道路四公団がどのような組織形態になるのかは、今言いました形態論の中からどうあるべきかということを、本法案の審議の後に決定されます推進委員会において御結論をいただきたい、このように考えております。
 そしてまた、民営化のメリットとして、例えば特殊法人等を委員御指摘のような特殊会社化する場合、どういう変化が起こるのか。委員は、特殊法人から特殊法人にするだけだというようなことをおっしゃられておりましたが、実は、株主が存在いたしますので、株主の監視のもとで採算性、効率性を加味した事業運営というものがこれまでと違って行われることになります。その結果、事業の採択に当たっては収益面での的確な判断が可能となるほか、事業運営全般についてコスト意識の徹底が図られるというようなことも想定できると私は考えております。
石井(紘)委員 今おっしゃったことはすべて、これはJRにおいてもNTTにおいてもあるいは電源開発においても、今現在特殊法人になっているところの経営の手法と同じであります。株式をだれが持っているか。もちろん、株式会社ですから、株式はだれかが持っているわけでありまして、その多くは政府が持っている。これが特殊法人なんです。どこが違うんですか。
石原国務大臣 国鉄とJRが違うように、違うと思います。
石井(紘)委員 それはちょっと答弁になっていないので、はっきりしてくださいよ。それははっきりしないとだめですよ。
 今、特殊法人合理化計画における、そこに書かれている民営化ということを説明したんだということで、道路四公団の民営化、この法案のタイトルに示されている民営化ということと分けておっしゃられたようにも聞こえますけれども、その説明の内容は同じことですね。ですから、民営化ということについてはっきりしておきましょう。
 私は石原大臣の言葉じりをとらえるつもりはありませんので、ちょっと前へ進めて、民営化ということのここの法案に言われているところの概念というものはどういうものなのかということについて、もう一回きちっと整理をして答弁してください。
石原国務大臣 特殊法人整理合理化計画における民営化の概念、形態については先ほど申し述べたとおりでございます。
 それでは、委員がただいま御指摘いただいておりますこの道路四公団の民営化、すなわち、民営化を前提とした新たな組織の具体的内容は、この法案の審議が終了してできる委員会で調査審議をしていただくという性質のものでございます。これが第一点。
 もう一点、公団から特殊会社になるのはステップアップだと私は思います。先ほども、株主の監視のもとでの採算性の確保、効率性の確保というお話をさせていただきましたけれども、やはり経営者が株主に対して説明責任を果たす必要があるため、これまでのように親方日の丸のような、責任意識を持っていないとは申しませんけれども、希薄であったとされるような事業運営というものは是正される、それだけでも大きなステップアップだと私は考えております。
石井(紘)委員 私は、内容がどういう意味で、ステップアップかステップアップでないかという議論をしているんじゃありません。
 今言われたように、特殊会社にすることは公団とは違うんだ。それがステップアップだと思うか思わないかは別として、特殊会社というのは特殊法人ですね。そうすると、特殊法人の中での公団か特殊会社か、こういう分類の違いということになりますけれども、それでよろしいんですか。
石原国務大臣 先ほど来申し述べておりますように、今御審議いただいておりますこの法案によってできます委員会において、道路四公団の具体的な民営化の姿というものは、調査、御審議をいただいて決定されます。これが一つでございます。
 それともう一つ、委員の御質問は、特殊会社と公団、これが特殊法人であるかということでいえば、特殊法人でございます。
 そしてもう一つ、委員が例を出されたのは電発。これは株式会社です。特殊法人です。しかし、もうまもなく株式を全部マーケットに売りまして完全民営化されます。先ほど、国鉄とJRのお話をさせていただきました。昭和六十年代にJRに民営化されました。しかし、それは特殊会社として民営化されたのであり、昨年、採算性の確保ができている三社については完全民営化の方向がなされた、そういう御理解でしていただければと存じます。
石井(紘)委員 そういう意味ではステップアップというふうに言われるのは理解できますよ。ただ、やはりそれは特殊法人なんです。ですから、こっちの特殊法人からこっちの少しステップアップをした特殊法人に移すということになってしまいます。
 先ほど来、大臣言われているように、これはこの委員会において民営化の内容について決めるんですと。その委員会では、民営化の内容はどういう分類があるかといえば、完全に民間が株式を所有しているところの株式会社というのもあるけれども、一方では、そういう政府が株式を所有するところの特殊会社というものもその概念の中には含まれますよということですから、そうすると、当然にして、今考えておられる民営化ということの中にはこの特殊会社ということも含まれるんだ。大臣、おっしゃったように、明確に答弁されたように、特殊会社は特殊法人でございますよ、そういうことですから、特殊法人が依然として、ステップアップしたかどうかは別として特殊法人である、そういう民営化ですよ、そういうこともあり得る民営化ですよ、そういうことをおっしゃっているわけですね。今までの議論は明らかにそうでありますから、それではもう一度、そうだということを肯定してください。
石原国務大臣 しつこいようですけれども、今御審議いただいている法律案にのっとって検討委員会が設立されて、その検討委員会で調査審議して新たな組織の民営化の姿というものの御答申をちょうだいすることになります。そのことを前提として言うならば、委員の御指摘は委員の御指摘のとおり、私も同意をさせていただきたいと思います。
石井(紘)委員 わかりました。それで、この特殊法人の民営化ということは、つまり、もう一回相変わらず特殊法人でいるということもある、そういう意味なんだということが明らかになったわけでございます。
 それから、特殊法人合理化計画の中ではっきりさせておきたい二点目、国費の投入について、これは、道路四公団の中の日本道路公団についてのみ、国費の投入は平成十四年度から中止をするということであります。
 まず、なぜ日本道路公団だけ国費の投入を中止して、阪神あるいは首都高あるいは本四、こうした他の三公団については国費の投入を中止するというふうに明記されていないのか、その点を御答弁ください。
石原国務大臣 これは、昨年の議論の過程の中で、総理大臣の強いリーダーシップのもと、毎年三千億円の国費が注入されております日本道路公団に関しましては、補助金という形で税金が入っているわけでございますので、国費を投入しないという抜本的な政策を決定いたしました。
 その一方で、ただいま委員御指摘の首都高、阪高については、国、地方の役割分担のもと、適切な費用負担を行うという方針を示させていただきました。
 これはどういうことかと申しますと、これは委員御承知の上で御質問のことだと思いますが、日本道路公団は、実は地方の出資がなくて国の出資がございます。建設見込みの事業費を含めて、これから建設する事業費を含めて償還計画を立てて料金収入を見込んでいるのに対しまして、一方の首都高、阪高というものは、国と地方が一対一で実は出資をしております。建設工事が終了し、道路が実際に供用される段階で、実際にかかった建設費を回収する形で、実は償還計画を立てて料金収入というものを設定しているという大きな違いがございます。ですから、国と地方が協力して支援するという従来のスキームを、委員御指摘のとおり、とるようにしたわけでございます。
石井(紘)委員 そうすると、これは、四公団一体として検討するというふうに書いてありますこの特殊法人合理化計画、一体として検討するというところでもって、国費の投入は、例えば、将来、三つの道路関係の公団が一緒になった、あるいは四つ一緒にしたという場合に、日本道路公団に出していた国費については入れないんだけれども、ほかの道路公団に対して出していた国費は続けていくとか、何か妙な形になって、どうもこれは理解ができないと思うわけでございます。
 もう一つ、この点でお尋ねしておかなきゃいけないのは、国費というのは何を指しているんでしょうか。
石原国務大臣 大変基本的な御質問でございますが、先ほど申しましたように、日本道路公団については、民営化を前提とするとともに、今始まりました平成十四年度以降、国費は投入しないと、小泉総理大臣のリーダーシップのもと、決定させていただきました。
 ここで、委員御指摘の国費というものは、道路の建設資金としての政府の出資金、民間企業でいうところの資本金です。それと、財投からお金を借りてきたりしております借入金の支払い利息に充てるための政府の補給金、利子の補給金というのでしょうか、この二つを国費と今回の整理合理化計画では意味させていただいているところでございます。
石井(紘)委員 国費という場合は、国の予算から出るお金のこととは違うんでしょうか。
 何か、質問の仕方がなぞかけみたいになっちゃうといけませんので詳しく申し上げますと、国費という場合には、国の予算で計上された、そしてそこから支出されるものが国費だと私は思うんですけれども、そうだとしますと、国の予算から出ているのは、国の予算というのは、御承知のとおり、一般会計や特別会計や、あるいは財投会計も今年度から国会で審議、決定をされて決まっているわけでございますから、広い意味で言えば、財投会計までこれは国の予算ということになると思うんですね。
 少なくとも特別会計は、国の予算の本体と言ってもいいものだと私は思うんです。一般会計というのは八十兆そこそこございますけれども、このうちの五十兆円は特別会計に入って、特別会計は三百兆以上の規模でもって運営されているわけですから、国の予算執行の大部分は実は特別会計で行われているわけですね。ですから、これがいわば実質的な本体です。そういうふうに考えますと、一般会計から出されているものだけが国費だということはできません。
 そうした場合、国費といいますと、例えば、大変多額な、毎年、日本道路公団だけで三兆円の借り入れをしてくるわけでありますが、その大部分は財務省の財政融資資金から調達をしてくるわけであります。こっちの方は、これは当然国費でありますから聞きませんけれども、これは投入をしていくということですか、これも含めて国費だから投入しないという意味ですか。はっきりしてください。
石原国務大臣 道路公団がどういうお金を調達するかということは、公団あるいは国交省の方からお聞きいただきたいと思いますが、委員御指摘のとおり、私も、一般会計、特別会計のお金というものは国費であると認識しております。
 しかし、委員が後段申されました、昨年までは全部いわゆる財投直接借り入れでしたけれども、財投債、財投機関債というふうに昨年から変化して、七年間は前の制度も入っている今は過渡期ですけれども、調達したそういうお金というものは、実は国費という概念には入れておりません。なぜかと申しますと、財投というものは特別会計で運営されておりますけれども、実は金利が乗っかって償還されております。純粋な国費とは差別して、整理合理化計画では、国費という言葉を先ほど言いましたものに、すなわち、政府出資金及び政府の補給金と決定させていただいたわけでございます。
石井(紘)委員 大臣もお認めになるように、これは明らかに国費なんですね。そして、財投機関債の方は、これはともかくとして、日本道路公団なら日本道路公団が市場に、政府機関から調達するのが多いんですけれども、一応、市場に形の上では投げかけて市場から調達という形になっておりますから、これは別として、財投債の方は、これは財政融資資金で調達をしてそこからお金を持ってくるわけでありますから、これは明らかに国費である。その利息は補給金という形でもって政府が出している。そうすると、この利息の部分だけを今後は出さない、財投債で調達するところの財政融資資金からの調達については、これは相変わらずやっていくんだ、こういうことでよろしいわけですね。それでよろしいですか。
石原国務大臣 新たな組織が資金をどこからどういう形で調達してくるかということは、新たな組織の経営者の方が決めることになると思いますが、現在は、今過渡期という言い方を私はさせていただきましたけれども、どういう形で資金調達をしているかということは、詳細については国交省、道路公団にお聞きいただきたいと思いますが、大筋では、委員の言うような形で建設資金や運営資金を調達しているということは事実だと思います。
石井(紘)委員 この辺は国交省なんだから、国交省の方が答えなさいよ、あなた。石原さんばかりにあれして。
 そうすると、この文章に書かれている国費という言葉は違ってくるんですよ。十四年度以降国費を投入しないと。今、石原大臣が言われた新たな組織と言われても、まだ新たな組織になっていない。十四年度から既に国費は投入しないということになっているわけなんですが、そこはともかくとして、国費を投入しないということは間違っておりませんか。誤りじゃありませんか。国交省、どうですか。
 これは国交省が出した案じゃないから国交省は答弁できないと言わないで、国交省の考えを言ってくれればいいんです。道路公団を所管しておるところの国土交通省はどういうふうに思うか、自分のところの考えを言えばいいんです。
大石政府参考人 国費の概念についてのお尋ねでございますが、私どもも、先ほど来、石原大臣が御答弁しておられますように、いわゆる国費は道路公団等に対する出資金及び利子補給金が国費の概念に当たると考えてございまして、公団が発行しております債券を回転していくために調達しなければならない新たな資金、これは財投資金であったり外債であったり、あるいは財投機関債であったりするわけですが、そういうものは国費の概念に該当しない、このような理解をいたしております。
石井(紘)委員 そういう答弁だと、国土交通省の佐藤副大臣にもちょっと聞いておかなきゃいけませんよ。これは、間違ったことを残しておいたら大変なことになりますからね。
 従来は、財政投融資計画というのがあって、そこからの借り入れということで、御存じのとおり、郵貯や年金その他の資金、資金運用部の財政投融資計画という中から借り入れてきた。現在は、財務省の財政融資資金が管理して財投債を発行して調達してくる。財政融資資金からこっちへ来るわけです。それは、今年度から国会にもかけられて国会で審議、決定されるところの日本の、我が国の予算の重要な柱になったわけです。そういう意味で、ここから来るお金が国費でないということを断言できますかね。
大石政府参考人 国費のその概念についてのお話でございますが、先生おっしゃいますように、国を運営していくために必要なお金、そういうものを広く国費と呼ぶんだというようなお話になりますと、今先生が御指摘になった部分もまさしく国の運営に必要な資金でございますから、国費と広く言う言い方もあるのかもわかりません。
 ただ、我々がいわゆる道路公団等の運営に関して言うときの国費というのは、利子のかからない出資金だとか補給金だとかいうものを国費と言っておりまして、その他の有利子資金と区別したそういう言い方で使っております。
 また、今回の特殊法人整理合理化計画の中で使われました国費という概念も、私たちが通常使っております国費の概念と同様の考え方で使われていると理解をいたしております。
石井(紘)委員 道路公団はちょっと別世界みたいなことを言っておりますから、厚生省におられた副大臣いらっしゃいますから、どうですか、熊代副大臣、あなたはどう思いますか。
熊代副大臣 わざわざ答弁の機会をいただきましてありがとうございます。
 国費、先ほど局長がお答えしたとおりでございまして、広い意味では財投資金も国費というふうに、新しい形のあれも言えないことはないと思いますが、一般的には、財投資金を借りてその金利までも公団等が払うわけでございますので、それはそれなりにやっておりますので、出資金とか補給金とか、直接にいただくものを国費という使い方をしております。それで、行政改革での国費を投入しないというものは、そういう言葉遣いに従って国費を投入しないと書いてあるということだというふうに理解しております。
石井(紘)委員 それじゃ、道路公団を離れて一般的に言って、財政融資資金のお金、ここで扱うお金というものは国費ですか、国費じゃないですか。はっきり言っておいてくださいよ、熊代さんの将来にもかかわる問題ですから。
熊代副大臣 重ねて御質問でございますが、これはやはり定義によるんだと思いますね。ですから、もし財投資金を、あるいは今ですと財投機関債ですか、それを投入して、その元利合計を後ほど補うというときには、その後ほど補ったものは確かに国費なんだと思いますけれども、財投資金そのものを借りて運用するときの、借りているときのものは、うんと広い意味では国費でございましょうけれども、ここで我々が使っております国からもらうものを国費という狭い意味では国費じゃないんじゃないか、そのように理解しているところでございます。
石井(紘)委員 どうもそれじゃ、元厚生省のお役人としては落第ですね。
 では、国会に出される予算というのは、あの予算書を見てみればこんなにありますよ。一般会計予算、特別会計予算、財政投融資計画、これはみんなことしから全部出てきて決めたんですよ。そうすると、このうち、国の予算、国費を扱ったものというのはどれとどれで、財政投融資、これは違うんですか。財務省のやっている財政融資資金の特別会計、これは予算じゃないんですか。国費じゃないんですか。
 私、こんなことで余り時間をとりたくないんだけれども、そういう落第の答弁をするから、これは日本の国の予算という一番肝心な問題ですからはっきりさせなきゃいけないんですけれども、どうですか、変えてもいいですから、もう一回答弁してください。
熊代副大臣 先生御指摘の予算の過程で承認されるというものは、御指摘のようにいろいろあると思いますが、私が申し上げているのは、この場合に使われている国費と、それから一般的に使われている国費という意味では、御指摘のすべての予算ないしは各国会承認にかかわるものがすべて国費ではないというふうに理解させていただいているところでございます。
石井(紘)委員 どうも皆さんちんぷんかんぷんのようだから、これはもうやめましょう。もう少しちゃんと勉強してください。
 それから、今度は、道路の償還期間の問題ですね。これが上限五十年というふうになった。これは改革なんでしょうかね。どうなんでしょうかね。
 我が国の高速道路の償還期間というのは、これまでの経過を簡単に言いますと、もともとは償還期間というのは三十年だった。平成七年にこれが四十年に延ばされて、平成十一年には四十五年に延長されてきた。こうやって、当初は、三十年たったら通行料ただになりますよといったものが、いや、四十年たたないとなりませんよ、その後、四十五年たたないとなりませんよということになってきて、今度は五十年たたないと償還できないということになってきた。これ自体も、後で議論しますように、大変大きなごまかしがあるわけです。
 そうすると、これは改革でも前進でもなくて、むしろ有料道路、この高速道路の料金というものは永久にただにならないということをここで宣言したと同じことになるんじゃないかなと思うんですが、財政法なんかでは道路の償還期間というものはどういうふうになっていますか。大体五十年になっているんじゃありませんか。国交省、おわかりでしょう。
大石政府参考人 償還期間の考え方はいろいろなものの組み合わせで成り立っておりますが、そのうち、今先生御指摘の大蔵省令によります構造物の耐用年数、これは減価償却資産の耐用年数などに関する省令で定められておるものでございますが、例えば、自動車道の中で土づくりのもの、土工部分で構成されておるようなものにつきましては四十年、それから金属づくりのもの、これは橋梁のようなものでございますが、こういうものにつきましては四十五年、それから同じく橋梁でも、鉄筋コンクリートづくりのものについては六十年、それからトンネルなどの鉄筋コンクリートづくりのものについては七十五年、このように規定されております。
石井(紘)委員 さっき、私、耐用年数と言わなかったかもしれませんが、耐用年数を今お答えいただきました。私もちょっと質問の中でその言葉が正確に出ていなかったと思いますが、そうすると、道路の耐用年数は大体四十年から六十年前後だ、鉄筋コンクリートのもので六十年だということで、高速道路というのは大体鉄筋コンクリートかと思いますが、その償還期限は、上限ですが、これは五十年にするということは、壊れて使えなくなるまであと十年しかないということですね。
 ということは、この高速道路というのは今後、当初言われていた、将来ただになりますよということはほとんどあり得ない。補修工事をずっとやっていかなきゃならないわけですからね。耐用年数がどんどん来てしまいますから。そういうことになるんじゃありませんか。いかがですか。
大石政府参考人 先ほど申し上げました大蔵省令に基づきます耐用年数の期間は申し上げたとおりでございますが、現実には、道路を良好に管理する、あるいは、危険箇所あるいは崩壊箇所等を事前に察知して改修していくことによりましてもっと長く使えるような事例が多くございます。
 私たちが使っております道路、構造物の中でも、明治時代や明治の初めにつくられたものが現在なお立派に機能しているといったようなものもございまして、そういうことから申しますと、道路公団が管理する道路を良好に管理することによって、私たちは今ここで定められた期間よりも長く使えるというような実績も持っております。
石井(紘)委員 おかしなことを今言われましたね。家なんかでも何千年ももつのもあるんですよ。これは、補修してあれをやるから、重要文化財とか遺跡とか、そういうものは何百年、何千年ともつのはもつんですよ。そういうことを言っているんじゃないでしょう、この税法で言っている耐用年数というのは。
 修理やって、壊れそうなところをもう一回直して、柱を直して、そして今度は、柱を直してから、またしばらくして上も直して新しくしていく。こうやっていけば、この耐用年数というものが、六十年なら六十年たったら一斉にばっとつぶれるものじゃないということ、そんなことぐらい常識じゃありませんか。
 だから、私がさっき言っているのは、あなたの答弁は全然取り違えているわけですね。勘違いといいますか、筋違いといいますか、おかしな答弁をされたわけですが、そういうことで、一応我が国では、道路というものは耐用年数が五十年とか六十年というふうになっている、それで償還期間が五十年ということになれば、ほとんどこれはただになることはないということをはっきりさせたということになりませんかと質問したわけです。
 どうですか、佐藤副大臣。
佐藤副大臣 もちろん、償還期間と耐用年数を加味しながらやるわけでありますけれども、一番大事なことは、集中的に償還をしていくと大変な負担だということ。世代間を超えて負担をしていく、それで長期に償還期間をつくるわけであります。要するに、世代間の負担の公平性の確保という面からこれは考えていくわけであります。
 今、大石局長が話しましたとおり、やはりうんともつものもあります。長い間もつものもありますけれども、一応の決まりに合わせて耐用年数等も考えながら、今申し上げたことを中心にやっているものであります。
石井(紘)委員 それじゃ、この道路公団の改革について委員会をつくるというわけですね。先ほど来の議論の中で、この道路四公団は一体として検討して、そして十四年じゅうにまとめる。この目的、方針の柱というものは、要するに、まとめて言えば、一つは組織形態というようなものを変えるんだということ、それから財政の仕組みということも変えるんだ、主にこの二つが内容ですかね、大きく言えば。
 そうすると、そうした目的、方針に沿った形でのこの委員会の構成というものが私は求められることになると思うんでありますが、石原大臣はどういうふうにお考えでしょうか。そういう目的に沿った人事ということになれば、例えば、これは学問の世界の問題ではない、これまでの行政組織あるいは財政のあり方というようなものと密接に関連した人事でなければおかしいんじゃないかなというふうに私は思いますが、その点はいかがですかね。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘された点も重要な要素だと思っております。
石井(紘)委員 国土交通省はこれについて何かいろいろ思惑あるいは思いがあるように巷間伝えられておりますが、見解は何かあるんですか、人事について。
大石政府参考人 我が国の高速道路の今後のあり方を規定する委員会でございますから、私どもといたしましては、そういった職務に精励された上で、かつ公平、公正な御議論ができる方々で委員会を構成していただければというように願っているところでございます。
石井(紘)委員 道路公団のOBあたりからだれか入れたいななんという考えはないでしょうね。
大石政府参考人 私どもがとやかく言うべき筋合いのものでは全くないと考えています。
石井(紘)委員 佐藤副大臣、道路公団のOBは入れるつもりは全くないというふうに言えますか。
佐藤副大臣 全くありません。
石井(紘)委員 それから、先ほど、基本的に学問の世界の問題じゃない、七人しかいない委員ですから。そうすると、土木工学学者だとかあるいは交通経済学者だとかいうような立場はいかがですか。どう考えますか。
佐藤副大臣 大事なことは、客観性、公平性を持って見れる方、さらには、もちろん今先生おっしゃったような学者の方、いろいろな方が考えられると思いますけれども、私たちがとやかく内容について申し上げる立場にはございません。
 何といっても大事なことは、国家国民の視点に立って、公平な立場でこれからの道路というものを考えてくれる、そういう人をひとつ選んでいただきたい、そう思っています。
石井(紘)委員 石原大臣、これは行政改革全体とも関連するんですが、やはり一つは、市場経済といいますか、経済のことは民間がやって、民間で経済の活力を増していくということ。それからもう一つは、やはり政府の財政運営上、政府が、本当は経済がやるべき投資活動だとか、いわゆる商売ですね、この商売を余りやり過ぎて借金をどんどんつくる。行政がやるわけですから、当然、それはお金がかかって借金がどんどん膨らんでいくことになるわけですから、そういうことの改革を目指して行政改革あるいは構造改革そのものを考えておられるんじゃないかなと思います。
 そういう点からいったら、今度の道路公団の改革についても、これはそうしたダイナミックな改革にふさわしいそういう委員会にしなきゃいけないんじゃないかと思いますが、何かこの委員会の構成について大臣の考えがあると思うんですよ。個人的な考えでも何でもいいですから、ちょっと聞かせていただけませんか。
石原国務大臣 佐藤副大臣も御答弁されましたように、やはり特定の利害にくみするような方がいてはいけないと思います。やはり、国民的視野に立ったすぐれた見識をお持ちの方、そういう方、委員御指摘のとおり限られた七人の委員でございますので、そういう方々になっていただきたいなという希望を持っておりますが、現在、ではどういう基準でどんな人にというようなことは、現在この法案の御審議の最中でございますので、一切、基準というものはどこでも決めてはおりません。
石井(紘)委員 これがどういうメンバー構成になるかというのは非常に国民的な関心も高いところでありますから、ぜひひとつ間違わないように小泉さんにやるように、そういう点では石原大臣の役割もポジションも重要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、道路公団には道路施設協会というのが従来ございました。道路施設協会にはまた、出資のファミリー会社というのがたくさんございました。一時は六十七、八ございました。それがまた本当は、子会社、孫会社、ひ孫会社、やしゃご会社、今までだあっとつくったものですから、何百というファミリー会社が道路公団にはございます。
 その中の特に旧道路施設協会、これは非常に問題の組織でございまして、私は何年も前からこの財団法人を廃止せよということを何度も何度も繰り返し申し上げてまいりました。
 亀井建設大臣のときに、わかりましたということで、廃止しますと答弁したんです、私の質問に対して。そうしたら、廃止したことはしたけれども、同じようなものを新たに二つつくったといういわばペテンに私がかけられてしまったとも言えるわけでありますが、もともとこういうものは不正、不当なものだからなくそうということで廃止ということになったんです。ところが、似て非なるものを二つつくられたという結果になった。
 その道路施設協会が分かれてできた二つの、今ハイウェイ何とか機構とか道路何とかサービスとかというこの二つの財団を問題にしたいと思うんですが、その前に、その旧道路施設協会が出資してつくっていたところの公団からいえば孫会社、この孫会社を整理しろ、財団法人は出資を解消しようということも、またいろいろな議論の中で政府の閣議の決定となって、平成九年、十年ごろですか、出資を解消していくということになりまして、それで道路施設協会は出資した株を、本当は私が申し上げていたのは、出資してつくった会社を全部整理しなさい、廃止して清算して、そしてその資産を全部持ってきなさい、こういうふうに言っていたわけですが、そういうことをやらずに出資した株を売却した。
 売却をしたその状況について伺いたいと思うんですが、つまり、出資した金額はもともと幾らだったのか、そして売却して得た金額は幾らだったのか、そして何社について株を売却したのか、そのあたりについて、まずちょっと御答弁ください。
大石政府参考人 旧道路施設協会が保有していた株式の処分に関するお尋ねでございます。
 平成九年十二月十六日の閣議決定で、公益法人の設立許可及び指導監督基準におきまして、株式の保有等を行っております公益法人は、原則として平成十一年九月までに保有する株式を処分することとされたところでございまして、旧財団法人道路施設協会は、出資会社六十六社、これは現在は合併等によりまして五十九社になってございますが、そのうち六十二社、同様に現在は五十五社でございますが、について持ち株を処分し、出資関係を解消いたしております。
 株式の処分に当たりましては時価で処分することが原則でありまして、公認会計士とも相談の上、株式の配当額を投資の利回りにするという考え方を参考としながら、売却先との交渉により処分したと聞いてございます。
 六十二社の株式の売却先は全体で百八十七社であり、協会の出資を受けていない一般会社が百三十三社、七一%でございますが、となっており、できるだけ多くの会社に引き受けていただくよう努力をしたと聞いております。
 なお、六十六社の簿価は三十五億一千万円でございまして、処分価格は六十四億六千万円でございます。
石井(紘)委員 今おっしゃったのは、時価で処分した。間違いありませんか。
大石政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど私、六十六社の簿価が三十五億と申しましたが、六十六社の簿価は三十五億一千万でございますが、そのうち、処分いたしました五十五社の簿価は十五億八千万円、未処分の四社が残ってございますが、これの簿価が十九億三千万円でございまして、この六十二社の簿価、十五億八千万円分を六十四億六千万円で処分いたしましたものでございます。これは時価でございます。
石井(紘)委員 本当に間違いないね。実勢価格でちゃんと資産の評価を行って、そして一株幾らであるかということを出して、そして市場でもってそれを売却しましたか。
 ここでうそを言われると、これは後で大変なことになりますよ。
大石政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、株式の処分に当たりましては時価で処分することが原則であり、公認会計士とも相談の上、株式の配当額を投資の利回りにするという考え方を参考にしながら、売却先との交渉により処分したと聞いておるところでございます。
 なお、先ほど申しましたように、平成九年の十二月十六日の閣議決定から平成十一年の九月末までに保有する株式を処分することとされたことから、処分期間が限定された期間の中で株式の引受先を探さなければならず、一部株式について持ち合いとせざるを得ない状況になったと聞いております。
石井(紘)委員 あなた、うそばかり言っているんじゃないよ。何ですかそれは、時価じゃないじゃないですか。しかも、一部企業については持ち合いとせざるを得なかったと。うそじゃありませんか、それは。はっきり言ってくださいよ。もう一回。うそじゃないですか、その答弁は。
大石政府参考人 処分いたしました、先ほど六十五億と申しましたが、処分価格は六十四億六千万円でございますが、このうち、旧協会出資会社が引き受けました部分が三十億円でございまして、四七%でございます。これを、先ほど、一部株式について持ち合いとせざるを得ない状況となったと御説明させていただいたところでございます。
石井(紘)委員 では、これはいろいろうそがたくさんありますが、まず、その株式の売却先のリストを後で公表してくださいね。それでいいですか。
 私はいただいておりますから申し上げますが、これは一部の会社どころじゃないですよ。全部の会社がこれは持ち合いですよ。私は、この売却先の企業名とそれからその株式が一株幾らで何株売ったかというようなことも求めておりましたが、それはどうしても出せないと。
 そこで、それはちょっとおいておいて、この売却先の企業名、これは取引先の銀行、生保等を除いては全部出資企業じゃありませんか。孫会社じゃありませんか。ファミリー企業じゃありませんか。違うんですか。どこが違うんですか。あなたは一部持ち合いとなったというふうに言いましたけれども、どこが一部なんですか。
大石政府参考人 私が申し上げましたのは、処分いたしました処分の価格といいますか、六十四億六千万売ったわけでございますが、その四七%が旧協会出資会社によって引き受けられ、その他の会社で三十五億、五三%でございますが、引き受けられたという状況を御説明したものでございます。
石井(紘)委員 だから、その他の会社というのは、要するに取引先の銀行でしょう。あるいは一部生保でしょう、保険を掛けているから。そういうことじゃないんですか。それ以外は全部ファミリーでしょう。
大石政府参考人 そのとおりでございます。
石井(紘)委員 では、違うじゃないですか、答弁が。全部ファミリーじゃないですか。いいですか。例えば、奥羽道路サービスというような会社、これは協会の出資会社です。この出資会社を、この株を売るのに、新日本道路サービスだとか、東北道路サービスだとか、東日本ハイウェイ・パトロールだとか、仙台道路エンジニアだとか、そういう兄弟の別の会社に全部引き取らせたんでしょう。
 これは、どの会社の株をどの会社に幾らで何株売ったかというのをなぜお出しにならないんですか。
大石政府参考人 先生、具体の会社名をお出しになりましたので、その部分で補足の御説明をさせていただきますと、例えば奥羽道路サービスという例をお出しになりましたが、この株式の売却先は新日本道路サービスや東北道路サービスあるいはハイウェイ・トール・システム等々のいわゆる旧の関係会社でございますが、それ以外に、岩手銀行でありますとか秋田銀行、東北銀行、青森銀行、明治生命保険相互といったようなところに売却されておりまして、これの比率が先ほど申しましたように、全体として上のグループが四七%、下のグループが五三%、こういう状況を御説明したところでございます。
 旧財団法人道路施設協会の株式の処分につきましては、相対の個別取引によりまして売却を行ってございまして、売却先によりまして売却単価が異なってございます。売却先ごとに売却金額を公表した場合、同じ株式の売却単価の差が明確となりまして、他社より高く買い入れた関係者が、会社に損失を与えたとの責任結果を追及される可能性がございます。このため、関係者に不利益が生ずるおそれがあるとともに、信義に反することになりますので、売却先ごとの売却金額は公表できないとしておるところでございます。
石井(紘)委員 よくあなた、堂々とそういうことを国会の場で言いますね。大変なことを言っているんですよ、今。
 ちょっと、一つ一つ聞いていきますが、どこの企業に幾らで売ったかということが、その値段はまちまちだと。さっき言われた、限られた期間で、ほんの数カ月しかなかった、だから、同じ時期に同じ会社の株を売るのに、こっちの会社には幾ら、ここには幾ら、ここには幾らと全部値段が違う。その理由は、今言われた。
 まず一つの問題は、これは時価なんですか。時価相場というのはこういうことをいうんですか。
大石政府参考人 先ほどの答弁の途中で時価でと申し上げた部分が誤解を生んでおるとすれば修正する必要がございますが、先ほど申し上げましたように、時価で処分することが原則で、したがって、公認会計士と相談しながら、株式の配当額を投資の利回りにするという考え方を参考にして、売却先ごとの交渉により処分したわけでございまして、そういう趣旨を申し上げたわけでございます。誤解がありましたら申しわけございませんでした。
石井(紘)委員 あなた、重ね重ねうそを言わないようにしてくださいよ。株式の利回りを参考にするといったって、それだって、まちまちだというんだったら、違うじゃないですか、値段が。
大石政府参考人 株式の配当額を投資の利回りにするという考え方を参考にしながら、売却先とそれぞれ相対で交渉したものでございまして、したがって、すべてが同一の価格に落ちつくというものではなかったというように理解しております。
石井(紘)委員 これは、参考にするなんて、何でも参考にするということはできるでしょうよ。だから、参考にしてもそれは何も意味をなしてないわけでしょう、それぞれ売却価格が違うんだったら。
 それから、何でその資料を出さないんですか。さっき言った、相手側が迷惑するというんですか。そういうことをやっていいんですか。では、国の方は迷惑しないんですか。
 そのやっている財団というのは、これは国交省の所管の、いわば国の丸抱えの財団なんですよ。道路公団の仕事を全部やっているんですよ、随意契約で。九十数%は随意契約で全部やっているんですよ。もし財団法人を整理して、その財団法人が消滅した場合には、その資産は国庫に納入されるんです。
 だから私は、この中間でもって不明朗なビジネスをやって、天下りが全部やって、そしてなれ合いで随意契約でもって道路公団の仕事を全部とってやって大太りをしたこの財団法人を廃止しなさいと言ったわけですよ。廃止すれば莫大なお金が国庫に戻ってくる。道路公団の借金の穴埋めの一部にも使える。
 いいですか、そういうお金を、あなたたちは二束三文で、三十五億出して何十年か前につくった会社を六十億そこそこで売った。これはもう簿価よりさらに減っていると言っていい話ですよ。三十年も四十年も前に三十五億使ったもの、今の値段で六十億ちょっとですよ。
 これは時価じゃありません。実勢価格じゃありません。通常の株の売買と違います。通常の実勢価格の株の売買でやればこの百八十倍になるということは、国交省も道路施設協会も私に言ったじゃありませんか。この百八十倍になるんじゃありませんか、市場で売却すれば。六十億の百八十倍といったら幾らですか。これは国交省、莫大な国損を与えたということになりますよ。どう思いますか、佐藤さん。副大臣。――答弁がないから、時間がもったいないからしゃべりますが、いいですか、そういう意味では、大変な国に対する背任を行ったということになりますよ。
 それからもう一方では、売られた企業の方でも、一応、株式会社買っているわけですから、ファミリー企業でもって、天下りの会社だとはいえ。そっちの方でもまちまちの値段で買わされているわけですから、こっちも背任で訴えることができるわけですよ。だから公表できないと言っているわけでしょう。
 副大臣、どうですか、こういうことをやったということについてはあなたは。背任の疑いがあるじゃありませんか。莫大な国損を与えているんじゃありませんか。
佐藤副大臣 すべからく透明性がなければならないと思っております。国民の皆さんから見て、みんなわかる、やはり疑いのあるようなことではいけない、そう思っております。十分にもう一回見直しながら、どうしたら国民の皆さんにわかりやすい形になるのか、そんなことも考えてみたいと思います。
石井(紘)委員 委員長、これはそういうことでございまして、原因はいろいろあると思うんですよ。これは、政府が子会社を本当は清算しなくちゃいけない。というのは、いわば国民の金で、国の金で出資して株式会社つくってやったわけですから、公的な金ですよ、少なくとも。でもって株式会社という私企業をたくさんつくってきたわけですから、それは私有財産になるわけですから。だから、それは不正な、法的に言っても、高いレベルでは不法行為になる話なんです。ですから、それは廃止をして清算して、その資産を吸い上げてこなきゃならなかったわけです。
 ところが、そういうことをやらずに、今のような、さらに不正を重ねて、本当は百八十倍の価値があるものを百八十分の一の値段で売らざるを得なかった。ところが、道路公団の子会社なんて、買う人いませんよ、そんな株を。それは、つながっているから、天下りがいるから初めて仕事が来るのであって、天下りがいない一般の会社がその会社の株を引き受けてみたところで、あるいはオーナーになったところで、その瞬間に仕事が来なくなりますからつぶれるんですよ。ですから、そういう関係があるから、これは一般に売れないんですよ。そういう非常に不正の塊のような問題なんです、この問題は。
 ですから、委員長、どこの会社、売り先のリストは出ているんです、この売り先に対して、処分をしたところの企業の株、何株を幾らで買い取らせたか、このリストを委員会としてどうしても提出をしてもらわなくちゃなりません。そうしないと、今の、国損を幾ら与えたかという問題、あるいは背任の罪に当たるか当たらないかという問題、このことが解明できません。
 委員長に、これはこの場でもって提出をするようにということを、委員長の指示を出していただきたい。
大畠委員長 石井委員からの質疑を聞いておりまして、また、大石道路局長並びに佐藤副大臣からもいろいろお話がございましたが、どうも、私自身も釈然としないといいますか、よくわからないところもございますので、先ほど佐藤副大臣の方から、国民の目から見てわかるような形にしなければならない、そのような努力をするというお話もございましたので、今の申し出については理事会で諮りまして、できるだけ石井委員の期待にこたえることができる資料を提出するかどうか、この理事会の中で諮ってみたいと思います。
 石井君。
石井(紘)委員 委員長、申しわけございませんけれども、私は、この審議もそう何週間も行われないだろうと思いますので……(発言する者あり)今筆頭理事がそうですよとおっしゃいますが、この資料がなければこの問題について解明することができませんし、審議ができませんので、ひとつ恐縮ですが、今、私ここで待っていますので、私の質問時間を三分か四分とって結構でございますから、理事会を開いていただいて、そして提出させるように決定していただきたいと重ねてお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
大畠委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
大畠委員長 速記を起こしてください。
 それでは、先ほどの石井委員の指摘についてはお昼の理事会で諮りますので、それをもって、後日また質問時間がございますので、その関連するものは後日ということで、きょうの予定された質疑を続行していただきたいと思います。
石井(紘)委員 そうしますと、この法案についての審議も相当長時間やらなきゃならぬということになりそうですね。
 それで、ちょっと石原大臣に伺ってみたいのです。
 先ほど申しましたように、道路公団や国交省に限らず、特殊法人や公益法人というものがべらぼうにたくさんの子会社やファミリー会社を持っているということは先刻もう周知のとおりでありますが、特殊法人や公益法人等の政府関係機関が国の予算を使っていながら出資して私企業をつくるということは、少なくとも公金を私的に流用するという話になるわけです。公金を私的に流用するということになる。石原大臣はそう思いませんか。
石原国務大臣 委員の御質問の意義が、特殊法人あるいは公益法人という、先ほどの国費の議論じゃありませんけれども、広い意味での国費を利用して事業を行い、その延長線上で子会社、孫会社という私企業である株式会社を使って事業の完成を図るということが、要するに公のお金が私企業に流れるという意味であるならばそのとおりだと思いますが、よく言われるような私的に使うという意味とは若干違うんじゃないかと思います。
石井(紘)委員 これは私的に使うどころか、私的な目的のために行われていると言ってもいいのですよ。つまり、道路施設協会のファミリー企業のように、道路公団がほぼ無条件といっていいぐらい随意契約でもって、しかも市中の価格より相当高い価格でもって発注する、なれ合いと言ってもいいぐらいの契約の仕方をしているということは、これはもう明らかであります。
 それでまた、天下りもそういうところに次々に二回目、三回目というふうに行くわけですね。だから、人も行っている、そして給与や退職金、報酬を取っている、それで仕事も流していく、こういうようなものは、あまたある財団法人等々の中のすべてとは言えませんが、しかしこれが大勢でありまして、そうすると、これは明らかに公金の私的な流用である、公的なものを私する行為であるというふうに言って間違いないだろうと思うんですね。
 だから大臣、そういう観点から、答弁はしにくいでしょうから結構ですが、ひとつ厳しくこうした問題には対処をしていかなくちゃいけない。構造改革の最も大事な点だと思います。
 そこで、では質問は、そういうことで資料が出ませんのでこの点については後に送りまして、次の問題に移りたいと思います。
 今、高速道路上に、何というんですか、自動車の速度測定機というものがたくさん設置されております。これは、きょうは警察庁にも来ていただいているんですが、まず国交省の方から、国が設置している速度測定機というものは、各公団ごとに出れば公団ごとにということですが、出なければ全体で結構ですが、どのくらいございますか。
大石政府参考人 速度違反自動取り締まり装置の設置状況でございますが、まず道路公団につきましては五、首都高速道路公団につきましては二十四、阪神高速道路公団につきましては三十一、福岡都市道路公社につきましては三でございます。
石井(紘)委員 警察庁の方は後で聞きますが、これは何の目的で設置しているんですか。
藤井参考人 道路公団でございます。
 各公団ごとにちょっと事情が違うと思いますので、まず、道路公団が設置している速度抑制設備のことを申し上げます。
 昭和五十四年、ちょうど中央道を環八まで開通させるのに、地元住民が環境問題で非常に大きな問題を提言されました。そこで私ども、環境に配慮して、騒音とか振動の低減を図るためには通行する車を抑えなきゃいけないということで、それを一つの提案として地元と御相談したら、それで一応御納得いただいたということで、高井戸と調布の間に、御承知のように上り線、下り線とも二カ所つけておるという意味で、これはまさしく道路管理上、そのようなものをやりました。
 それからもう一点は、平成十年の五月ですが、東京外郭環状道路が首都高速の五号線とつながりました。そのときに、美女木というところでございますが、ここでもってやはり、ちょうど平面におりて交差するものですから、信号制御された平面交差によって交通処理を行うという特殊な道路構造のために、高速道路をずっと走ってきたものが出し過ぎちゃうというとここで事故の発生を伴うということから、特別な交通安全対策を道路管理上も必要だということを求められまして、公安委員会等とも御相談をし、地域の市町村とも相談いたしまして、ここにやはり二カ所つけさせていただいたということで、道路公団の道路としては、管理者としては、この二カ所についてそれぞれ今のような理由で設けたものでございます。
石井(紘)委員 では、国土交通省に伺います。
 今、五十四年につけたものは環境対策だ、十年につけた美女木二カ所は交通安全対策だということですが、先ほど言われたのは全体で六十カ所前後あるわけですね。そうすると、これは、それぞれについて環境対策とか交通安全対策とかという目的があるわけですか。
藤井参考人 今私が申し上げましたのは、道路管理者として環境と交通安全という意味でつけたところがその二カ所でございます。それ以外に速度規制として別の目的からおつけになっているところは、これは公安委員会等と別の形でございますので、この辺は、私ども道路管理者としての道路公団としては、占用許可を出していただいてつけていただいているところはその他に数多くございます。
瀬田参考人 首都高速でつけておりますので、私どもの考え方を申し上げたいと思います。
 公団は、良好な道路交通環境を確保する、そのために、交通安全対策基本法の第五条がございます。これは、道路管理者等については、交通安全を確保するために必要な措置を講じなければならないという基本法の第五条の規定の趣旨を踏まえまして、速度の出し過ぎによる交通事故の発生に伴う通行どめや道路損壊の防止、あるいは振動、騒音などの自動車公害の低減を図ることを目的として、無人速度監視装置を設置いたしております。
 以上でございます。
石井(紘)委員 そうすると、どうも日本道路公団の場合とか首都公団とか、各公団によって、あるいは設置場所等によって多少の目的の相違があるというように感じられますね。
 そこで、これは建設費はそれぞれの公団が出しておられるわけですか。
大石政府参考人 道路管理者側で設置いたしております速度測定装置につきましては、それぞれ日本道路公団、首都公団、阪神公団の建設費ないしは維持修繕費で設置いたしております。
石井(紘)委員 これの名称は何と言うんですか。私は先ほど速度測定機と言いましたけれども、これは公団では何と言うんですか。無人速度監視装置というふうに言うんですか。
瀬田参考人 私どもではそのように申しております。
石井(紘)委員 それでは、公団関係はちょっとおいておいて、警察庁に伺いたいと思いますが、警察庁も各道路公団の高速道路上に同種の機械を設置していると思いますが、どのくらい設置しておられますか。
属政府参考人 速度違反自動取り締まり装置の設置状況についてでありますけれども、本年三月末現在で申し上げますと、国費で設置しておりますのが、高速国道並びに指定自動車専用道路においてトータルで八十一基設置をしております。また、これ以外に都道府県警察が独自につけておりますのが七十四基ございます。
石井(紘)委員 それは何の目的でつけているんですか。
属政府参考人 高速道路において警察が設置をしております速度違反自動取り締まり装置は、速度の出し過ぎによる交通事故が多発する路線などに設置をいたしまして、交通の安全と円滑を図るとともに、道路の交通に起因する障害の防止に資するために設置をしているものでございます。
石井(紘)委員 その名称は先ほどの道路公団とは違う名称ですか。これは速度違反自動取り締まり装置というふうに言っているわけですか。
属政府参考人 私どもは、速度違反自動取り締まり装置というふうに呼んでおります。
石井(紘)委員 そこで、警察庁と公団とそれぞれに伺いたいんですが、公団じゃなくて国交省でも結構ですが、これは一基幾らぐらいするものですか。
瀬田参考人 いろいろなタイプがございますが、二千五百万から三千万程度でございます。
石井(紘)委員 警察関係がつけている装置は、設置費から維持費からすべて、これは当然、警察関係の予算から出ているわけですね。
属政府参考人 警察で設置しておる速度違反自動取り締まり装置の設置費それから維持費については、当然、警察で持っております。
石井(紘)委員 さて、そこで、道路公団が設置しているものと警察が設置しているものとそれぞれあるということがわかったんですが、相当数ある。今度は機械の種類ですが、警察で設置しているものと公団で設置しているものは、この機能や機械のメーカーや種類というものについて、基本的な、根本的な相違がありますか。
瀬田参考人 機能には変わりはないと思います。
 先ほど申しましたように、形式が二つ、私どもは採用しておりますので、警察のものはどういうものを採用しているのか私は承知しておりませんので、機種が同じかどうかについては、私は御答弁申し上げられません。
石井(紘)委員 これはレーダー式、ループコイル式というのがありまして、これは阪神高速とか首都高の場合は、三菱電機だとか松下電器だとか東京航空計器だとか、そういうところの製品でございますが、警察の場合もほぼ同様のものじゃないかと思いますが、いかがですか。
属政府参考人 基本的にはほぼ同じようなものを設置しているというふうに承知をしております。
石井(紘)委員 そこで問題は、道路公団がこういうものを設置して、そして機械の性能も機能も種類もほとんど同じようなものだということになりますと、先ほど公団から説明がありましたように、公団が設置しているすべての機械は、走っている車の速度を自動的に測定して、そして一定の速度に達するものについてはぱっと光って、そして記録をし、そしてそれがそれぞれの警察の方に回っていく、こういう仕組みになっているんじゃありませんか。
瀬田参考人 先ほど公団の設置目的については御答弁申し上げましたが、この目的の実効を上げる観点から、同装置の運用につきましては、公団、警察の両者が連携して行うことが必要であると認識しておりまして、そういうことで現在運用しているわけでございます。
石井(紘)委員 またいいかげんな答弁、やめてくださいよ。これで警察と公団とが連携してそうしたスピード違反の取り締まりというようなことをやるというような規定がどこにありますか。
瀬田参考人 ただいま申し上げましたのは、私どもの目的は、先ほど申し上げましたように、いわゆる交通安全対策基本法にございますように、交通の安全を確保するために必要な措置を講じなきゃならない、そういう目的のためにつくったわけでございまして、速度の出し過ぎによりまして交通事故の発生に伴う通行どめ、これは非常に当公団にとりましてはゆゆしき問題でございますので、交通事故の発生に伴う通行どめや道路損壊、あるいは環境の自動車公害の低減、そういうことを図る目的として無人速度監視装置を設置している、そういうことでございます。
石井(紘)委員 ちょっとこれは答弁にならないね。私が聞いているのは、速度の取り締まりというようなことを警察と連携してやるというような規定がどこにあるかと。あなたは首都高の人でしょう。それで、取り締まりの権限というものは公団にはないんですよ。だから、そういういいかげんな答弁しないで、では、国土交通省、だれか答弁してください。あなたはいい。国土交通省、だれか答弁してください。
大石政府参考人 瀬田理事長の御答弁と同様の答弁になると思いますが、公団がこの装置によりまして、通行車両の速度の測定、車種の判別を行いまして必要な情報を収集することが可能となってございますが、この無人速度監視装置によりまして速度抑制の実効性を上げる、それを担保する必要があると考えますと、これは公安委員会による取り締まりの実施が必要でございまして、そういう意味におきまして公団と公安委員会が共同でこの施設を使用している、そのように理解しております。
石井(紘)委員 でたらめを言ってはだめだ。局長、あなたのところに取り締まりの権限がどこにあるんだ。ないならないとはっきり言いなさいよ。取り締まりの権限はないでしょう。――あなた、何で私の発言中に邪魔するんだ。あなたのところは何で警察から天下りが入っているの、役員に。黙ってなさいよ。
 いいですか。国土交通省、局長、あなたは新米かどうか知らないけれども、ちゃんとした答弁しないとだめですよ。交通違反の取り締まりというのは警察なんですよ。公団にはそういう権限はないんです。公団が設置しているスピードメーターは、さっきも言うように、警察のものと機能が同じです。警察のものは、一定の速度規制というものを警察でしいておって、そしてその速度規制をオーバーするとスピード違反ということで取り締まりの対象にしているわけです。
 あなたの方の目的は、公団の方の目的は、さっきから言うように、一般的な交通安全対策、例えば、余り急なカーブの道路はつくらないとか、あるいは高速道路そのものがいろいろな交通の出口や入り口でもって邪魔にならないようにだとか、そういう一般的な交通安全というのは当然ある。それから、環境対策ということもある。それは、近所が住宅が密集しているところでトラックが猛スピードで走ると相当の騒音が出る。そのために、防音壁をつくったり道路の構造上の環境対策というものとともに、そうした車の制限、例えば、音がたくさん出てうるさいトラックは内側を走りなさいとか、あるいはこっちは追い越し車線でこっちが走行車線だとか、いろいろな対策がある。
 ところが、スピードを警察と同じ速度制限で、そしてそれを超えたら違反の取り締まりをやるということは道路公団の仕事じゃない。うなずいておりますけれども、理事長、そうでしょう。イエスかノーか、時間がないからそこだけ答えてください。
瀬田参考人 当公団は取り締まり権限を持っておりません。
石井(紘)委員 そういうことです。
 そこで、道路公団は、さっきの話だと、首都高、阪神高速、日本道路公団その他を含めて約六十前後のこうした取り締まりの機械を、一基二千数百万から四千万前後する、メンテナンスの金がかかる、設置するにはそれなりのさまざまなコストもかかる、こういうことをやっておるわけです。
 そのうちの、交通安全というのは目的にもちろん入れてあるけれども、しかしこれは環境対策というようなことが言われておる。環境対策にもかかわらず、警察庁と同じ速度制限というようなことでやっている。これはどう見ても、この仕事は公団の仕事ではない、公団のやることじゃない。環境対策はいろいろな形でできるし、それが記録されたものが警視庁に行くということが環境対策じゃない。取り締まりが環境対策じゃない。
 環境対策だったら、そこでもって例えば警報を発するだけでもいいとか、あるいは、そこで一定の道路交通安全や環境対策上のペナルティーを何らかの形で、料金上あるいはその他でもって科すという方法だってあるかもしれない。少なくとも、取り締まって罰則を前提としたそうした行為を行うということはあなた方の目的ではないはずだ。これはむだ遣いじゃありませんか。
 今首都高の理事長もうなずいていますけれども、国土交通省、こういうスピードメーターを道路公団の予算で、料金の予算で、あるいは国の予算でこうしたものを取り締まりのために設置するということは、これは今までの責任をとってもらわなきゃならない話だし、同時に、今後やめてもらわなきゃならない話なんだけれども、どうですか。はっきり言ってください。
大石政府参考人 安全な交通状態を出現し、かつ環境を保全するという目的のために、道路管理者がやらなければならないことはたくさんございます。今、先生が例に出されましたように、遮音壁を高くするだとか、あるいは最近では、舗装路面を非常に音を吸収しやすい形に変えていく、このような事業を鋭意進めております。
 と同時に、実際に走行していただく方々が余り大きな騒音が出ないような走行状態を選んでいただけるだとか、あるいは大きな荷物を積んだトラックがジョイントのところで大変大きな振動が起こるような走り方をしていただかないといったようなことも必要でございまして、そういった交通がどういう形で実現しているのか、その状態を見るために無人速度監視装置をつけているわけでございます。
 先生がまさしく御指摘のように、これを我々は取り締まり権限はございませんから、したがいまして、その実効性が上がるために、単に警告が出るだけじゃなくて、場合によっては取り締まりの対象になるかもしれないというそういう装置があるということで実際に速度を落としていただくために、私たちはこういうことを公安委員会とともに運用している、こういうことでございます。
石井(紘)委員 あなたたちは、料金を取って、そして国民に借金の負担を負わせて、そしてその上にそれを処罰するというやり過ぎのことまでやっているわけですよ、結果的に。警察へそれをすぐ通告するわけだから。そういうユーザーに対する脅迫まがいの弾圧、こういうようなこともあなたたちは加担することになるんだよ、それで。いいですか。そういうことをやっているんだ。警察がやるんだったら取り締まりでそれはいいんですよ、取り締まりだから。あなたたちはそれが目的じゃないんだ。
 首都高ではこの取り締まりの部分は、先ほど答弁をされましたけれども、適当でないということですから、例えば騒音が出るから、あるいは交通安全対策上危険が増すから、スピードは何らかの形でコントロールをすることはいいとして、取り締まったり警察へそれを送ったりということはやり過ぎです。そういう機械を設置するのはやり過ぎです。
 だから、そういう機械は除去します、今後設置しませんということを言えますか、首都高。
瀬田参考人 先ほど来御答弁を申し上げますように、この設置目的は、スピードの出し過ぎによって交通事故が発生する、これは私どもにとってはゆゆしき問題でございますので、その抑止力になることがまず一つでございます。それプラス環境問題ということでございますので、これは現在、その目的にかなっておるというふうに思いますので、私どもが今ここで撤去するということを御答弁申し上げるわけにはまいらないと思います。
石井(紘)委員 これは、要するに警察の業務というか、警察の任務に自分たちが加担してその一翼を担うということですから、あくまでも続けるということになると、あなたは大変な誤解をしていることになりますよ、それは目的と違うことですから。いいですか。
 抑止力を働かせて、その抑止力というものが警察権力であるということでそのスピードに対する、あるいは交通安全に対する抑止力ということを公団が理解しているとしたら、公団はえらい大間違いですよ。国交省、どうですか、そう思いませんか。
大石政府参考人 道路交通における交通安全を実現し、よりよい環境を創造していくために、私たちは、道路管理者は、公安委員会といろいろな局面で連携をいたしております。それは道路をつくる際にも、どのような規制を前提として道路構造をどのように変えていくかといったようなこともやってございます。
 と同様に、先ほども言いましたように、私たちももちろん、私たちの責任で警告を発するようなことをするわけでございますが、一部の不心得な方々がそういう走行状態によりますと違反状態になるということで、より強い抑止力を働かせるために、私たちはこの部分でも公安委員会との連携をしている、そういう意味でございます。
石井(紘)委員 警察権力やあるいは取り締まり、処罰ということを道路公団は抑止力として使う権限はない。そんなことはどこにも規定もされていない、法律上も。それは、あなたはそういつまでも言い張るんだったら、道路公団は、ユーザーに対しても国民に対しても大変な損害を与えているということになります、こういうものを設置して。これは重大な問題として後に残しておきます。
 それからもう一つ、道路公団は、ETCという自動料金支払い機、こういうものを随分金をかけてつくりましたね。これはそれぞれの公団ごとに、本四はないようです。阪神はきょうはおいでいただいておりません。これは交通費がかかるから私は来なくていいと言ったんですが、国交省を含めて、この日本道路公団、首都高、阪神高速道路公団それぞれに、それからその他もあるでしょうから、国交省の人からもそれは当然答弁してもらわなきゃならないんだけれども、どのぐらい設置してどのぐらいの金をかけたんですか。
佐藤副大臣 ETCにつきましては、昨年の十一月三十日から全国の料金所にサービスを拡大いたしまして、現在六百八十一カ所の料金所でサービスを実施いたしております。平成十四年度末までにおおむね九百カ所に拡大する予定であります。総額で千六百三十億円程度要するものと見込んでおります。
 それで、お尋ねありました、日本道路公団で千九十億円、首都高で三百八十億円、阪神高速で百六十億円、合計千六百三十億円であります。
石井(紘)委員 それで、この利用率はどういうふうになっておりますか。
佐藤副大臣 この利用率でありますけれども、当初、一日五万台ぐらいの利用者で〇・九%でしたけれども、四カ月たっておりますけれども、今、利用率は一日十万台、一・七%であります。
石井(紘)委員 高速道路の実情をかいま見てみますと、大体今まで大きな料金所ですと十カ所前後のゲートがあって、そのうちの幾つかのゲートがETC専用になっておる。最近は、そっちの方はもうがらがらで、車が行かないから、残りのところへ全部車が殺到しますから、これは、料金所の渋滞を解消するためというふれ込みでもってETCが設置されたと記憶していますが、逆に料金所の渋滞がずっと延びちゃっている。これはどういうことなんですか。
佐藤副大臣 本当は、これは全体で五〇%程度の利用率に達しますと交通渋滞はおおむね解消すると言われておるのであります。ですから、今つけている方々がETCのレーンを使えるというように公団を指導しておりますけれども、しかし、混雑が予想される場合には、兼用といいますか、そういうふうに切りかえる、しょっちゅう切りかえながら混雑しないように気をつけさせております。
石井(紘)委員 これだけ、千六百億円以上かけて、毎年のメンテナンスも相当かかるでしょう。そうしておいて、しかもユーザーにとっては不便な状況をつくって、利用率はせいぜい一・七%だと。
 これは、今後これが伸びるというふうに言いたいんでしょうけれども、それは多少伸びないことはないだろうけれども、これを利用するためにはユーザーは相当お金がかかるわけですね。何万円もかけて、ETCを利用するためにユーザーがそんなお金を出す、私はそういう人はそう多くはいないと思いますが、総裁、これはあなたの見通しはどうなんですか。
藤井参考人 例えば、経路誘導のいわゆるVICSと称しておりますが、車の前に場所を表示する機械、これも最初はほとんど伸びておりませんでした。しかし、今はかなりの伸びをしております。確かに先生御指摘のとおり、車載器の高さと、それから利用の実態から、二十三万台ぐらいしかまだつけておりませんけれども、これから本格的な割引制度も、今まで国土省の方から、ことしの夏を目標になるべく十四年度の早い時期に取り組むという方針も出されておりますし、私ども、それに対して全面的に努力をしております。
 そういうような全体的な制度が整っていくことによって、また、新車を新たに売る場合には、今新車にそういうのをつけた形の車が大分出始めております。というようなことで、全体の仕組みが動く中で最終的に極めてポピュラーな形になると思っております。
石井(紘)委員 これはいろいろな経緯があって、批判もあって、いろいろな論争もあってやってきたのを強行してやったわけですから、総裁、あなたは重大な責任を持たなきゃいけませんよ。
 それからもう一つ、責任を当面持ってもらわなきゃならないことを、最後、時間が来ましたから申し上げますが、財投機関債の発行の件ですね。これは、当然のことながら、道路公団なんというのは日本道路公団だけで二十七兆円も借金があって、そして借金残高が年々どんどんふえていく。毎年の新たな借り入れを起こしてその借金を返していくというような、まさに地獄のような、民間では到底成り立たないどころか、世界じゅう聞いたことも見たこともないような、そういうような実態なんですから、道路公団というのは。
 そこで、財投機関債なんというものが、まともな、真っ当な市場であったらそんなものは受け入れられるわけがないんです。ところが、どういうふうなやり方をやったか知らないけれども、ある程度は、多少は財投機関債というものの引き受けがある。しかし、予定どおりさっぱりいかないものだから、平成十四年度は四千億ということのようですね。昨年度でも数百億しかいかないものが、十四年度は四千億だと。
 時間がありませんから、端的に御答弁いただきたいんですが、国土交通省の局長も、これはあなたの方がむしろより大きな責任を持たなきゃなりませんよ。首がかかる問題ですよ。この財投機関債が四千億いかなかったらどうしますか、総裁。
藤井参考人 私ども、この予算をお決めいただいたときに、政府保証の外債、そしてその財投機関債、それから政府借入金、それから民間借入金と多様な組み合わせで予算をお認めいただきました。
 私ども、これの数字は一つセットされておりますから、それを目標に最大限努力するわけでございますが、やはり国民にとって、少しでも金利の安いものを私どもが経営という立場で見れば確保してそれを使わせていただくということが、料金にとってもいいわけでございますので、財投機関債四千億を私は発行すべく全力を挙げますけれども、最終的にはいろいろな金利とのバランスを考えて全体の中で資金を確保していく、こういう努力をさせていただければありがたいと思っております。
石井(紘)委員 国土交通省の局長はどうせ、答弁さっきからあいまいでどうしようもないからいいです。
 そこで、もう一つ総裁、さっきから言われるように、国費という概念があいまいですが、この投入はストップすると。これは従来は主に、補給金を除いては出資金でありましたから、新規建設のために投入されてきたわけですが、三千億前後、この分が入ってこないということになりますと、新規建設ですから、当然その分建設が減るということになりませんか。その分、ぴったりじゃなくてもいいんだけれども、新規建設は、今後、計画とは別に、計画はありますけれども、その計画のとおりには少なくとも進みませんよということになるんじゃありませんか。どうですか。
大畠委員長 時間が来ていますので、簡潔に答弁をお願いします。
藤井参考人 今のことに対しては、私どもは、そういう与えられた条件のもとではございますけれども、それなら一層当事者としての努力をもっとしろというふうに強く国から言われたというふうに理解いたしまして、コスト縮減についても一層また努力したいし、増収策も、例えば新事業などをもっとどんどんやって、新しい増収が出ることも今までとは違って一層努力しなきゃいかぬし、金利のことも資金も、先ほど言ったように一番安いものを組み合わせて使わせていただくとか、そういったようなことを全部努力して、かつ有利子の借入金の残高をふやさなければそれだけ利息払いが減りますから、そういったことも含めて、全体の事業の中で採算性は確認することは当然でございますが、そういう中で必要なネットワークは、やはりつなぐことによって収入がふえる路線は幾らでもございますので、最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
石井(紘)委員 では、時間が参りましたから、まだ本当は、あなたが青木さんに言われて、こういう区間を中止するのを言ったと思ったら、またすぐ、いや、中止しませんと言ったり、非常に優柔不断なその場その場のいろいろな事情に流される、そういうやり方についてもどうかなということを質問したかったんですが、これはまあ同僚の別の議員が後でやると思いますので、それをやめて、今の答弁の一言、新規事業を一生懸命開発してみたいなことはとんでもない話であります。道路公団はそんな新規事業をやっちゃいけません。そのことを最後に申し上げまして、終わります。ありがとうございます。
大畠委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。
 次に、工藤堅太郎君。
工藤委員 一時間の質問時間をいただきましたので、しばらくおつき合いをいただきたいと思います。
 法案審査に入る前に、石原大臣に、これまでの行政改革の流れについて御感想を賜っておきたいと存じます。
 小泉内閣の看板であります聖域なき構造改革、これが現在の我が国の経済あるいは社会システムにどのような影響を及ぼし、あるいは将来の国家像をどのように描こうとしているのか、相変わらず定かではないわけでありますが、そうした中で、小泉総理が声高らかに叫び、国民の関心を引きやすい郵政三事業及び道路公団等に関する改革案がようやく俎上に上りまして、その第一陣として今回のいわゆる道路第三者機関設置法案が国会に提出をされました。
 郵政関係では、民営化の先鞭をつける封書やはがきの取り扱いに関して民間に開放するための法案が、現在、与党とりわけ自民党の了解取りつけに難渋して立ち往生の状況にある、こういうようなことを聞いているわけであります。
 石原大臣、入閣をされまして一年、改革の二本柱ともいうべき竹中さんと石原大臣のお話をテレビやその他の報道を通してお聞きしておりますと、イギリスのサッチャー政権あるいは米国のレーガン改革は、就任して四年または六年目で改革の具体策が見えてきた、小泉内閣はまだ一年しかたっておらず、総理は懸命に頑張っておられる、改革に対する姿勢は当初からいささかもぶれていない、最近、こういうような共通するお二人の発言が目立ってきているように思うのであります。内閣支持率の低下に伴って内閣の求心力が落ちてきたのではないかとの問いにしても、小泉総理は、今や抵抗勢力は協力勢力になってこれまでになく内閣は安定してきていると、強気の発言をしておられるわけであります。
 こうした発言を聞いておりますと、さすが事の大変さに今ごろ気づいたんだろうか、言いわけをし始めたのではないか、言葉は悪いのでありますけれども、私はそのような感想を持つわけであります。小泉総理のおっしゃる抵抗勢力は、前にも増して深く潜行し、強大になってきているのではないかというような気がいたすわけでありますが、こうした私の見解に対する石原大臣の御感想を賜っておきたいと存じます。
石原国務大臣 工藤委員にお答え申し上げたいと思います。
 私がいろいろなところで改革のスピードの話を出させていただくのは、日本のメディア等に出させていただいたときに、御質問として、具体的なものを早く見せろというような御質問が大変多いからでございますが、私もこの仕事につけさせていただいて、イギリス、フランス、イタリアあるいはオーストラリア等々を歴訪させていただきまして、海外から、あるいはアメリカの、この間ブッシュ大統領がいらっしゃいました、その前にも政府高官の方がいらっしゃってディスカッションをしたのですが、改革のスピードということで議論には実はならないのですね。どなたも遅いというようなことは言われない。
 そこで、他の諸外国の改革のスピードがどのぐらいだったのかということをいろいろ調べてみましたら、サッチャーさんは、八三年に第二次サッチャー政権ができて、イギリスの方が抵抗勢力が強かったと、エディ・ジョージさんというイングランド銀行の総裁が話をしてくれましたけれども、方向を示すのに五年かかった。日本の場合は、昨年四月に誕生して、年末に公務員制度改革あるいは特殊法人の整理合理化計画の方向性を示すことができたので、スピード感は遅くないと。今実際にここで道路四公団のあるべき姿を検討する委員会の審議がスタートしまして、これで具体的にもう物が見えてまいりますし、連休明けには石油公団の廃止法案も出てまいります。そういう具体的な姿があらわれると、国民の皆さん方も、おお、小泉さん、やっておるじゃないか、そういうことになるんじゃないかというような話をさせていただいているわけでございます。
 総理がおっしゃられておりますように、恐れず、ひるまず、とらわれず、行政改革、規制改革というものに取り組んでいきたい、決意には何の揺るぎもないと申し述べさせていただきたいと思います。
    〔委員長退席、野田(佳)委員長代理着席〕
工藤委員 石原大臣のお考えはよくわかりましたけれども、昨年の小泉内閣誕生に対して国民の皆さんがどれほど期待感を持ったか、言うまでもないわけであります。大臣が今回の道路公団等の改革に関して、自民党の部会や調査会でさんざんやり玉に上げられたり、そうした光景をテレビ等々でごらんになった国民の皆さんが同情の気持ちを持っても不思議ではございませんが、しかし、今やその気持ちも、改革のスピードの遅さ、不良債権は二、三年で処理しますといったような公約が不履行確実の現状等に愛想を尽かしつつあるのではないか、私はこのように思うわけであります。
 以上、前置きはこのぐらいにいたしまして、質問させていただきます。
 まず初めに、民営化推進委員会を国家行政組織法第八条に基づき設置するとのことですが、現在、いわゆる三条機関並びに八条機関として設置されている組織はどのくらいあるのか、またいかなる業務を担っているのか、簡潔に御説明を賜りたいと存じます。
坂野政府参考人 国家行政組織法三条は、国の基本的な行政機関の種類を掲げておるものでございまして、府省とか庁とかそういうものもあるわけでございますが、多分お尋ねは行政委員会に当たる委員会が幾つあるのかということじゃないかと思いまして、まず委員会の数を申し上げます。
 行政委員会と言われておるものでございますが、例としては、公正取引委員会のように、みずから行政決定権限を持って準司法的機能を果たすようなそういう委員会でございますが、それが現在七機関ございます。
 それから、国家行政組織法八条に基づきます機関、これはいわゆる審議会と言われておるものでございますけれども、このいわゆる審議会等に当たる八条機関では、現在百三の機関がございます。この審議会は、政策形成に資するような種々いろいろな提言を行うものから、例えば検査、検定に関する基準をつくったり、あるいは不服審査等について判断を行ったり、さまざまの任務を果たしておるものがここに入っておるわけでございます。
工藤委員 変な質問だと思うかもしれませんが、歴代内閣で三条及び八条に基づいた委員会なり審議会の数が最も多かった内閣はどなたの内閣のときか、委員会や審議会の設置により、どのような成果を得られたのか、例示をしていただきたいと思います。
坂野政府参考人 先ほど申し上げました行政委員会でございますが、過去のデータを調べてみますと、昭和二十七年度に大幅に整理をいたしましたのですが、その整理直前の数が二十三ございました。これがまず一番行政委員会で数が多かったときでございます。
 それから、審議会等に当たる八条機関でございますが、これも過去を調べますと、昭和四十年度に二百七十七という一番多い数でございました。
 それで、どの内閣だったかということについてお尋ねでございますので、行政委員会が一番多かったとき、これは吉田内閣だったと思います。それから、審議会二百七十七であった昭和四十年度の内閣は佐藤内閣であったと思っております。
 この行政委員会あるいは審議会がどういう役に立ってきたのかというお話でございましたけれども、先ほど申し上げた公正取引委員会を例に挙げれば、独占禁止法違反の取り締まりその他については相当な成果も上げ、かつまた国民から大きな期待を寄せられている、そういう例だと思っております。
 また、審議会、これは各種の行政、さまざまな場面でいろいろな成果を上げておられると思いますが、例えば行政改革という点で申し上げれば、昭和五十六年の第二次臨時行政調査会、いわゆる土光臨調と呼ばれたものがございますし、国鉄改革のために、この臨調の後でございますが、国鉄再建監理委員会というものも設けられて、かなりの成果を上げたものと考えております。
工藤委員 なぜこのようなことをお聞きしたかといいますと、昨年来小泉総理が、道路公団を民営化すればむだな公共投資をしなくて済み、財投資金を投入することもなく、逆に法人税や固定資産税を納めてくれるのでいいことずくめだと話されていたことによりまして、国民は、これまでの手法ではなく、今すぐにでも総理のリーダーシップで改革に着手をして実現するものと期待したと思うのであります。
 ところが、あに図らんやで、与党内ですったもんだした上、これまでのように八条機関を設置して検討、これでは従来の政治手法と何ら変わっていないんじゃないか、このように受けとめたのは私だけではないと思うのであります。
 改めてお尋ねをしますが、石原大臣、こうした従来からの審議会や委員会を設置して検討をしなければならないという手法しかこの改革を断行する手だてがないとお思いなんでしょうか。いかがでしょう。
    〔野田(佳)委員長代理退席、委員長着席〕
石原国務大臣 工藤委員が所属されます自由党が、小沢党首のリーダーシップのもとに、かなり思い切った御提言、そしてまた物事の決め方についても過去の踏襲に縛られない大胆な御提言を出されているということは十分承知しておりますが、私ども自由民主党、そして今は三党連立政権でございますが、民主主義のプロセスとして、昨年三党で道路四公団の廃止、民営化という大方針は八カ月かかって決めたわけでございますけれども、それでは、一体これからどういう組織でどういう道路をどういうふうにつくっていけばいいのかといったようなところについては、やはり第三者機関を設置して、今御審議をいただいている審議が終わりました後できてくる委員会によって、一党一派にとらわれることない中立、公正な方、改革意欲に富んだ方が、これからのあるべき姿、そして採算性の確保の明確な基準等をお示しいただくということがより民主的ではないかな、そんなふうに考えているところでもございます。
 いずれにいたしましても、いわゆる八条機関として内閣府に設置させていただき、ことしじゅうに総理に対して意見を述べていただき、その意見を踏まえまして、揺るぎない決意を持って工藤委員の御批判にこたえられるよう改革に取り組んでまいりたいと考えております。
工藤委員 私は、時の政権が国民にみずからの改革の意思を明確に伝えて政治主導で解決策を提示することは可能だと思いますし、今回の道路公団改革などは十分にやれると考えるわけであります。
 例えば、昨年改革を打ち上げた時点で内閣が素早く行動を起こして、担当大臣並びに副大臣あるいは政務官、与党から数名でも参加をされて政治主導のチームを編成して、速やかに改革の大枠の方針を決定する、それに基づき、民間のシンクタンク等に広く意見を求めて、その作業の中で内閣の方針にかなう、かつ国民に十分説明がつく案をあくまで政治主導のチームで決定して内閣が一丸となって遂行する。こうしたことが不可能だと思っているうちは小泉内閣の掲げる大統領的リーダーシップなど到底発揮できるはずがない、私はこのように思うのでありますが、大臣、いかがでしょう。
石原国務大臣 ただいま委員が御言及されました点は、我が党の中でも国家基本問題調査会等々で議論をされておりまして、その形を目指して今改革が行われている。昨年初めて副大臣、大臣政務官というポジションが決まり、今回も初めて熊代副大臣に行政改革、特に特殊法人改革等の担当で、また公益法人等々の担当をお任せしてやっておりますが、まだ全体として、要するに、今工藤委員が御指摘の内閣に与党の人間が入るチーム、そのような形に至っていないということは事実だと思います。
 しかし、それを目指してやっていかない限り、本来言うところの政治主導の改革というものはできないという認識を私も共有させていただいております。
工藤委員 少し目先を変えて日本道路公団藤井総裁にお尋ねをいたしますが、正直なところ、十分な資料が少なくて、昨年我が党が道路公団改革プロジェクトチームを組んで精力的に活動した際に公団関係者並びに国土交通省から提供された資料に基づいて幾つかお伺いをしてみたいと思うのであります。これまでの質疑と重複するかもしれませんけれども、その点は御容赦をいただきたいと存じます。
 まず、公団が民間企業であると仮定した場合の貸借対照表及び損益計算書に基づき作成された平成十二事業年度行政コスト計算書を見ますと、公団が保有する減価償却累計額は約四兆八千四百億円、償却後の事業資産の合計は約三十二兆八千百億円。一方、債務は、財政投融資が原資の道路債券が約二十一兆百億円、これに金融機関からの借入金約五兆七千九百億円など、これを加え、約二十七兆四千百億円。減価償却分を加えても資産が負債を上回っていることになります。損益計算書を見ても、結果的に経常利益は約五千百六十億円に達しておりますし、現時点では立派な黒字経営ということになるわけであります。
 そこで、整備計画路線九千三百四十二キロを念頭に置かずに、現時点で道路公団を民営化することは十分可能だと思いますが、総裁、いかがでございましょうか。
藤井参考人 民営化の内容等については、先生御承知のとおり、その条件の設定によって幅広く考えられます。したがって、その内容等がどうなるかということが、私ども一番、関心といいますか重要なことでございますが、そういうことを含めて今度のこの法律に基づく委員会でもって御議論され、そしてその方向性を出されるということでございますので、その際に、私どもとしてできるだけのデータを出させていただいて、そして御協力させていただいて、政府の決定に沿って適切に対処したいと思っております。
 先生の御指摘のような、現時点では収支率が五〇%といったようなことで、今までの考え方では十分ではございますが、今度、新しい見方でも十分だということを国民に理解されるような努力をしたいと思っております。
工藤委員 これは、なぜ総裁にこのようなことをお聞きしたかといいますと、先ほど申し上げましたように、昨年、我が党が公団関係者をお呼びいたしましていろいろ質問をした際、出席された方々が、例えば民間企業のような減価償却費を計上していないのはなぜかとお聞きいたしますと、もちろん、計上されていない理由はわかっているんでありますけれども、極めて違和感を覚えるような姿勢でお答えになっていたのを印象深く覚えているわけであります。
 私が申し上げたいのは、一九五六年に公団が発足した当初の効率性が、平成に入ってから、償還期間を三十年から四十年、四十五年、そして今回五十年と野方図に延長した結果、著しく低下をしてまいりまして、その上、将来の需要予測もまともに当てにならないような状況の今日であります。二十年、三十年後には第二の国鉄になるかもしれない危険性が大であるにもかかわらず、少なくとも、心ある公団職員なら、現在の国民感情に照らしても、みずからの立場を正当化することのみに言及しているような姿勢をとっていただきたくないということなんであります。
 もちろん、整備計画は法律事項でありますから、我々政治に携わる者の責任は極めて大きいことは申し上げるまでもございません。法案が成立をすれば、民営化を前提にして委員会で論議をされ、結論を得るわけですから、そうなれば、現在の職員の大半はそちらに身を移すことになるんじゃないでしょうか。民営化の形態によっては実質的に今の主導権を維持できるなどと思わずに、総裁以下、次の世代に不要な負担をかけないためにも、どうすればいいのかお考えをいただきたいと思いますが、総裁の御意見をお伺いしたいと思います。
藤井参考人 先生御指摘のように、道路公団が今までやってきた方式について一番国民に批判を受けたのは、どんどん有利子の負債がふえていく、こんなのが将来返せるのか、ここがまず最初だったと思います。
 そういうことで、私ども、道路整備を進めるに当たって、ネットワークとして利用者にサービスを提供していくために仕事をしていくということはもう当然でございますが、その際にも、今後とも国土交通省の指示に従って対処していくわけですが、まず考えることは、有利子借入金残高、これを今後ふやさないようにどうやったら努力できるかということで、十四年度の予算案のときに、昨年の八月に初めて、こういうものをふやさないということを基本にしようという姿勢を打ち出しました。
 そうしますと、二兆一千億、約二兆円の料金収入がございます。これから借りてきたお金を返すわけでございます。それから、管理費をそれから取るわけでございます。残ったものは、料金収入ですから現金でございます。これをベースに建設をしていくという物の考え方をすれば、いわゆる有利子資金というのはそのために借りてこなくてもいい、こういう考え方ができますので、そういう考え方をまず定着させよう。いわゆるプライマリーバランスでございます。
 それから、そうはいうけれども、もう十四年度に供用を予定している区間もございますし、関連事業としてせっかく投資したのに、民間としては、これでは金利を抱えてえらいことになるということもございますから、今まで公表していたものはそういう努力の中で予定どおり供用は目指すよ、しかし、そのためには一層コスト縮減とか増収策とか、いわゆる、今先生がおっしゃったような、今後負担の増がどんどん積み重ならないようにする努力を形でもって示していくということを私どもしたいということで、公団の内部でも絶えずこれが我々の最大の関心事として検討のベースにございます。
工藤委員 それでは、整備計画及び償還期間について伺いたいと思います。
 本年三月末時点で、整備計画九千三百四十二キロのうち六千九百五十九キロが開通済みでありまして、残りが二千三百八十三キロですね。この残りの整備事業費は、公団の資料によれば、約二十兆六千億、二〇二一年度には終了する、それと同時に債務の残高がピークを迎えて、二〇五一年には債務残高はゼロになるとしているわけであります。この数字に間違いはございませんでしょうか。
藤井参考人 現在の整備計画区間九千三百四十二キロのうち、この三月末に六千九百五十九キロ、未開通が二千三百八十三キロ、約二十・六兆が十四年度以降の残事業費ということでございます。
 平成十一年十二月の第三十二回国幹審のときに償還見通しを立てました。そのときに、建設完了は二〇二〇年ということをこの審議会で国土庁が御報告なさいました。二〇二一年度に未償還残高のピークを迎え、二〇五〇年度に債務残高がゼロということをその三十二回の国幹審に立てて申し述べたわけでございますので、先生の数字は間違いございません。
工藤委員 そこで、今年度から国費約三千億円がカットされたわけでありますが、予算を編成するに当たって金利負担等の面でどのような影響があり、事業の遂行に支障を来すや否や、その辺、お伺いをしておきたいと思います。
藤井参考人 国費三千億円のカット、これは非常に大きなものでございます。今まで、昭和三十一年から現在までに、平均しますと約十分の一の国費を、出資金、合計で約二兆二千億でございますが、補給金、金利の補給として一兆五千億を入れて、ちょうど補助金のレベルの見方をしますと、平均すると十分の一の補助という形で高速道路をつくってまいりました。
 そのベースは、御承知のように、債券及び借入金で事業をやる、そして、それは元金も利息も料金収入で償還するという原則でやってきたわけですが、それが余り料金にはね返るのはまずいということもございますし、それから、利息がどんどん高くなったらえらいことになるということで、調整として国費制度が活用されたわけでございます。これは先生の御承知のとおりでございますが、この昨今の金利が低い状態の中で、いわゆる合理化計画のベースに十四年度以降国費は投入しないという国の決定がなされたということでございます。
 そこで私どもは、今、利子補給金や政府出資金に調達されていた国費はカットされるわけですから、そうなれば、金利の負担、これをもっと今までより弾力的に考えなきゃいかぬ。だから、先ほども申し上げましたが、いろいろな金利の資金を充当する際、絶えず一番安い金利のものでそれを入れていく。ただ、政府借入金というのは、もう政府の枠の中で決まっていることでございますからこれはできないまでも、そのほかのものは多様な、短期、中期、長期という借入金がございますし、そういうものを組み合わせる、これが、まず金利意識が一番だと思っております。その中で、申し上げましたが、コストも、例えば今までの構造を、暫定二車というような考え方のつくり方も思い切ってもっと見直してみるとかといったようなことで、いろいろなつくり方も含めたコスト縮減、これも思い切ってやらなきゃいかぬと思っております。
 そういう中で、今回の、こういう委員会でもって私どもの方にいろいろな御指示が国として出てくるわけですから、そうなれば、私ども道路公団として現在の段階でできることといえば、借入金の残高を最小限に抑えるようにしていく。ということは、基本的に言うと、これから新たな借金をふやさないで、そして返す方が中心になる、言ってみればこういう経営方針をベースにやれば、この三千億のカットというのも国費が足りないからという意味から出てきた政策だと思いますので、これに全面的に協力しながら、私ども必要なネットワークを最大限に確保できるものということでやらせていただきたいと思っております。
工藤委員 ある民間のシンクタンクの予測によりますと、国費補助をゼロにして試算した場合、金利負担軽減に果たす国費の役割が大きく影響して、公団が債務ゼロとなるとしている二〇五一年ですか。五〇年とさっき聞いたようですが、五一年ですね。五一年には逆に債務残高が七十四兆円を超える事態を招くと指摘をしているところがあるわけです。
 これまでの建設計画では常に費用予測が上方修正されてきたことを考慮すれば、今後の経済の推移にもよるわけでありますが、さらに債務がふえることも想定されます。これらの試算に対してどのようにお考えになっておられるか。
藤井参考人 先生今御指摘の、二〇〇二年の二月二日、ことしの二月二日の週刊東洋経済の記事にそのような記事が載っていることを私どもも承知しております。
 これは、実は、私どもよく勉強しましたけれども、この状況だけに限ってみれば、償還計画の前提条件となる金利の見通しとか料金水準とか交通需要の見通しとか組織形態のあり方といったような諸条件がどういうふうに設定されているのか、どう考えているのかが不明なために、そのシミュレーションというのが私どもわかりません。
 私どもは、いろいろなたくさんのケースの勉強を国土交通省の指導のもとにやってはおりますが、そういう意味でこのことについてのコメントは差し控えますけれども、要は、債務残高が七十四兆円になるような事業の進め方をしないようにということを、先ほど言いました採算性を確保し、かつ必要なネットワーク整備を最大限努める中で有利子借入金の残高をふやさないことを基本としてやっていく。
 では、なぜ基本で絶対ふやさないということを言わないのかといえば、今までの債務がずっと、四年債務とか三年債務がありますから、それの支払いというのが義務額で出てきます。そうすると、この数年はそういう義務額とのことも考えて整理しなければいけませんので、ふやさないんだけれども若干の微調整は出てくるなと思いながら、考え方はふやさないということを方針としてやらせていただければ、七十四兆という議論にはならないと思っております。
工藤委員 本当にそのように大変な状況にならないように頑張っていただかなければならないわけであります。二〇五一年の社会がどうなっているかは皆目見当もつきませんけれども、道路建設に関して言えることは、計画の残り二千三百八十三キロの大半が、恐らく未来永劫採算がとれないであろう、これはもう間違いなく確実だろうというような気がいたすわけであります。
 これまでの質疑の中で再三指摘をされていますけれども、例えば、東京湾アクアラインや本四架橋に関しての需要見込みの数字など、今さら挙げるまでもなく、言葉は悪いかもしれませんけれども、でたらめに近い、こう申し上げてもいいような状況なわけであります。本来、民間企業だったらとうに倒産でしょう。石原大臣の言われるように、パブリックカンパニーだからもっているようなものだ、私もこのように思うわけでありまして、こんな姿勢では問題にならないわけであります。
 自民党の一部かと思いますが、償還期間を五十年にしたので計画路線はすべて建設できると話している方がいらっしゃるそうでありますけれども、本当に将来を考えておられるのかと疑問に思うところもあります。
 余談になりましたが、そこでお尋ねします。
 償還期間を三十年から四十年、また、四十五年、五十年、次々延長してまいりましたけれども、その都度どのような理由で延長されてきたのか。
 十二年度の公団のコスト計算書に基づき収支率を計算しますと、減価償却や除却損処理を行わない公団方式では、収入に対する管理費や金利の費用の割合、すなわち収支率でありますが、先ほども総裁言われましたが、営業中の高速道路で五〇%と低いわけでありますが、いかにも収益率が高そうに見えるわけであります。しかし、民間企業の会計方式で計算すると、公団全体では八一%にも達している。さらに、法人税や固定資産税などを加味するとほとんど利益が残らない計算になるわけでありますけれども、こうした収支率についても、先ほどの延長されてきた理由とともに数字を示して教えていただきたいと思います。
藤井参考人 先生御承知のように、有料道路事業の場合は、建設費の償還事業なんです。建設費を借入金で借りてきて、それを返すまでの間、必要な維持費はその間の費用として入れるけれども、建設費が返し終わったらそれは普通の公共道路にする、これが有料道路事業でございまして、言ってみれば、建設資金償還主義といったような考え方でございます。
 それが、最初、三十年という物の考え方で始まりました。三十年がいいのかどうかもその当時あったわけですが、いわゆる料金水準をできるだけそのときの物価水準を見ながらあるレベルに抑えるということと、将来の各世代がひとしく負担するという公平確保、世代間の負担の公平確保、こういう基本的な考え方が歴代の道路審議会での議論のベースにございました。
 そこで、まず、昭和四十七年の三月の道路審議会の答申においてプール制ということが導入されました。当時は、東名は東名、東北道は東北道というふうにばらばらでございました。そうすると、料金の負担のレベルが変わってまいります。そういうことから、一緒にしましょう、これがまず何よりも真っ先に出てまいりました。それで、このプール制の導入に当たって、四十七年の三月の道路審議会の答申において、そのプール制でやる場合の料金徴収期間としては三十年ぐらいが適切かなという提言が出ましたので、まず三十年が一つの歴史としてずっとやってまいりました。
 その間、料金も実は上げてまいりました。昭和四十七年のキロ当たり八円から、五十年のキロ当たり十三円というふうに上げてまいりました。五十四年にはキロ当たり十六円六十銭、五十七年にキロ当たり十九円六十銭と、全部利用者に負担をお願いしてまいりました。
 その結果、償還四十年の時点で二十四円六十銭という額がどうしても必要になってまいりました。これは、いわゆる物価の上昇等に基づく事業費の高騰から料金の負担を上げざるを得なかった。けれども、二十四円六十銭以上無理だぞ、そうなれば、世代間の公平負担から考えるべきだということから、四十年という提言が平成四年の審議会でなされて、そして、平成六年の認可のときにそういう形になったわけでございます。
 そうなりますと、平成六年以降は料金という問題が国民にとって非常に重くなりましたから、もう料金は上げられない、上げるべきではない、むしろもっと下げる方が必要なんだけれども当面は据え置く、こういう思想がこの段階で強く出ました。それを受けて、平成七年の十一月に、道路審議会の答申で、仕事はやはり早目に、早くつくって国土の活性化のために役立とう、そういうためには、国民、利用者の負担を最小限にしてやるのに、国費の負担も最小限にするのにおおむね五十年という思想が出てまいりまして現在に来ているわけでございます。
 私ども道路公団は、これをベースに、平成十一年の認可のときに、現行の料金水準のもとに現在の償還期間を得て、そうやってきております。ですから、ベースは全部料金負担、それから国費の投入と償還期間がもう入り組んだ形で出てきているという点だけは御理解いただければと思っております。
工藤委員 次に、石原大臣にお尋ねをします。
 改めて、基本的な問題になりますけれども、今回の民営化を前提にした改革がどのような背景から生まれてどのような効果を国民にもたらすのか、現在高速道路を利用している方にはどんな恩恵があるのか、償還期限がとうに過ぎた料金はいつになったら安くなるのか、あるいは約束どおり無料になるのか、その辺もお答えをいただきたいと思います。
石原国務大臣 大変基本的な御質問だと思うんですけれども、やはり、原則は、民間にゆだねられることは民間にゆだねるという小泉改革の基本に沿って整理合理化計画を閣議決定したわけであります。その中で、今御議論いただいております道路四公団については、民営化を推進することによりましてコスト意識がより一層芽生えてくる、あるいは採算性を重視した営業というものが行われるといったようなメリットが考えられます。その中で、この整理合理化計画の中で、新たな組織は民営化を前提とする、日本道路公団には国費を投入しないという基本方針を定めたことは、もう委員御承知のとおりだと思います。
 今後は、今御審議いただいておりますこの法案で委員会ができました暁には、この委員会の意見を踏まえて、先ほど来申しておりますように、経営の効率性、透明性、あるいは利用者のサービスの向上、巷間言われている民営化のメリットを幅広く国民の皆さん方が享受できるような形で改革の具体化に取り組んでまいりたい。また、本委員会においては、整理合理化計画に示された基本方針のもとに採算性の確保について検討されるとされており、その検討の中で、ただいま委員が御指摘されました料金の問題、この無料化も含めて、あるいは償還期間のあり方についても検討されることになると認識をしております。
工藤委員 二十年後とか三十年後のことも結構でありますけれども、現に利用されている方々、さらに大事なことは、現下の経済情勢に照らして、物流の観点からも、料金の還元、引き下げが多大な効果をもたらすだろうと思うのであります。我が国ほど物流コストの高い国はありませんので、そういう方面で国民生活への貢献をお考えになっていいんじゃないか、このように思うわけでありますが、簡単にお答えをいただきたいと思います。
石原国務大臣 委員のお考えにはまさに同感で、先ほどちょっと抽象的な概念で、国民の皆さん方がサービスの向上を享受できるようにという言い方をいたしましたけれども、まさに委員の御指摘のとおり、実際に物流コストが下がる、乗った高速道路の料金が下がるという形で初めて国民の皆さん方が喜ばれるのだと私も認識しております。
工藤委員 次に、料金の全国プール制と償還主義について伺いたいと存じます。
 これまで公団が事業を続けてこられたのは、言うまでもなく、路線ごとに収支を計算するのではなくて、全国料金プール制と償還主義に支えられてきたからでありますが、これらの制度がこれまでの高速道路建設に寄与したことはある程度評価されていいんだろう、このように思います。
 反面、今後の経済情勢や社会の変化を考慮すれば、言うなれば少子高齢化や経済活動の変化等でありますけれども、今の時期を逃しては、これからの道路建設が将来の財政を圧迫する要因になるのはほぼ確実でありますから、改革のメスを入れるのは当然なことだと思うのであります。
 大臣は、この二つの制度がもたらした効用と弊害、これをどのように認識しておられるか、先ほどの質問と重複するかもしれませんが、その点をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 まず、この全国プール制あるいは償還主義の効用ということですけれども、やはり、国に高速道路を直接つくる財力がないときに、限られた時間に限られたお金で高速道路網を急速に整備するといったような利点があったと思っております。その償還主義を採用した際、ネットワークを形成している路線については全路線を一体として扱うプール制というものが途中で採用されたと承知しております。
 しかし、建設時期の違いに起因して生じる建設費や維持管理費の差が料金に反映されるという不公平を回避しつつという目的はあったわけでございますけれども、その一方、採算性の悪い路線の整備を行うために、一番最初にできました東名、名神、たしか、私も覚えておりますが、三十年後は無料になる、すごいなと思っていたことが現実には起こっていなくて、いつまでも料金が徴収されてしまうといった問題点や、ネットワークの整備ということでプール制の範囲がどんどん広がってきた。それによりまして償還期間が当初の三十年から、先ほど総裁が御答弁されましたが、順次延長されて五十年ということになって、五十年になりますと、委員も再三再四御指摘されたように、本当に無料になるのかよといったような問題点が指摘されているんだと思っております。
工藤委員 当然、民営化をすれば料金のプール制も償還主義もなくなると考えるわけでありますが、何げなく使われておりますこの民営化という言葉でありますけれども、本法案でも、二条によって、推進委員会が、現在の四公団にかわる民営化を前提にした新たな組織及び採算性の確保について調査審議するとの規定が、唯一、目的らしく書かれているわけであります。
 そこでお尋ねをいたしますが、この民営化の概念を明確に説明いただきたいと思います。
坂野政府参考人 この法律案による委員会は、既に御答弁申し上げておりますとおり、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、四公団にかわる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保に関する事項について調査審議する、そういうものでございます。
 そこで、その特殊法人等整理合理化計画におきましては、民営化の意義について四つの類型を挙げておりまして、一つは特殊会社化、二つ目は民間法人化、三つ目が完全民営化、四つ目が、仮称でございますが、地方共同法人化、このいずれかの措置をとるということを定めておるわけでございます。
 したがいまして、今回提案いたしておりますこの法律案におきましても、この民営化については、同様の意味で私ども用いているところでございます。
工藤委員 一般に民営化といいますと、だれでも、完全民営化、すなわち、普通に活動している株式会社等を想定するわけであります。万が一にも、現在の形態に近い、今答弁されました特殊会社となれば、事はなかなか容易ではないと思うんであります。なぜなら、特殊会社では、政府が株のすべてを持つかあるいは大半を保有するということになるんでしょうから、そうなりますと、経営者が必ずしも自由な発想で事に臨むことができない。その上、政治家初めいろいろな人たちの介入の余地を残しているといったようなことになるわけでありますので、石原大臣、ぜひとも完全民営化の線で改革に当たられるように御要請を申し上げたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
石原国務大臣 新たな四公団にかわる組織の業務、財務のあり方を含めて、今御審議をいただいている法案でできます委員会で審議していただくことになると思いますが、そのときの重要なポイントは、今委員が御指摘された点だと思います。すなわち、出資等の国の関与が一体どうなるのかならないのか、公的な助成がそのとき行われるのか。それともう一つ、これはまたこれからの議論でやはり一番重要だと思いますけれども、いわゆる税制でございます。税制、すなわち公租公課の観点。これらの観点から御議論をいただいて、完全民営化にすべきか、また、完全民営化を目指す上でも、その前段階の特殊会社というのがあるのかないのか、総合的に検討されて結論が出てくると思いますが、私もやはり目指すべきものは完全民営化であると認識しております。
工藤委員 わかりました。
 関連しまして、これまでの質疑で何度も取り上げられてきたわけでありますが、いわゆる上下分離方式についてお聞きをいたします。
 巷間伝え聞くところによりますと、与党あるいは有識者の一部に、管理運営部門は民営化、建設部門は独立行政法人化、そういう上下分離方式を主張している向きがあるように聞くわけでありますが、旧国鉄改革に伴ってJR各社と新幹線保有機構に分離した結果について、あるいはイギリスのサッチャー改革での失敗例も既に挙げられているところでもあります。私はあくまで、管理、建設、すべてを一体化した民営化が望ましいと考えるわけでありますが、改めて大臣の所信をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 この点は再三再四議論になっている点でございますが、私は、やはり本法律案が成立した曉にできます委員会の皆様方が予断なく御議論をいただきたいと思っている次第でございます。ですから、その中で、上下一体、今JRの例を出されましたけれども、そのものも重要な検討課題の一つになってくるように思います。
 上下一体か分離かという問題については、海外にも、イタリア等はコンセッション契約でありながら上下一体でありますし、その一方で、コンセッション契約ですけれども上下分離のところもあります。内外の事例も参考にしながら、道路管理権限、先ほど出ました公租公課、いわゆる税金の問題、資金調達、経営責任、効率性やサービスの観点から、そのメリット、デメリットなどを十分にこのできます委員会で御検討されて総合的に御判断をいただけるものと確信しているところでございます。
工藤委員 いずれにいたしましても、改革後退のそしりを受けないように、民営化の概念をよく説明されていくことが大事だというふうにお勧めを申し上げたいわけであります。
 次に、三条に、委員は七名以内と規定されましたけれども、これまで重要な改革でも、五名以内とか五名程度、必ずしも人数の多い少ないは関係ないと思いますが、なぜ七名以内にしたのか。余計な話ですが、教えてください。
熊代副大臣 私の方から回答させていただきたいと思います。
 委員の人数につきましては、先生御承知のとおり、日本国有鉄道再建監理委員会は五人、臨調は一次も二次も七人とか、行政改革推進会議の三次は九名とか、いろいろございましたわけでございますけれども、本委員会は、一つには、十四年中に意見を取りまとめなければならない、非常にスピードが必要だということであります。しかし、それにもかかわりませず、国民的関心の非常に高い事項であるということでございますので、五人、九人の真ん中の七人というようなことで設定させていただきました。
工藤委員 わかりました。
 委員の人選について、次にお尋ねをいたします。
 改革が成功するためには、その担い手としての委員の構成をどうするか、これにかかっていると思うのであります。どのような人選をするかですべてが決まるのであろうと思うわけでありますが、これまでの報道によりますと、経済界代表、自治体首長、公認会計士、行政法の専門家、国土計画の専門家、交通経済の専門家、経営者として高い識見を有する者をメンバーにするということでありますけれども、これらの基準で選考すると考えてよろしいわけでしょうか。
 マスコミの論調では、地方自治体の首長を加えるのは問題だと指摘している向きもありますが、どう考えておられるのか、その辺をお尋ねいたします。
熊代副大臣 委員につきましては、御承知のように、すぐれた識見を有する方々としまして、改革意欲に富み、国家国民的視点に立ちまして、特定の分野及び利害に偏することがなくて公正な判断をなし得る方々を適切に選任すべきものというふうに考えているところでございます。
 御指摘のような報道があることは十分承知しているところでございますけれども、そのような具体的基準を現在策定しているわけではございませんで、本法案を成立させていただきました後で考えたいというふうに考えているところでございます。
工藤委員 もう大分時間も少なくなってまいりましたが、次に、七条に規定されている事務局の構成についてお聞きをいたします。
 既に準備室ができておって、常識的には、法案成立と同時に事務局にスライドすると見るのが一般的だと思うのでありますが、先日の質問に対し、大臣はまだ未定のような話をされておりました。余りにそっけない答弁で、大臣らしくないと感じたわけであります。確かに、省庁間の綱引きや、下手に答弁をして何だかんだ揚げ足をとられるのを警戒しておられるのかとも思うのですけれども、先般、我が党に対する準備室の担当者のお話では、現在の準備室の構成は、国土交通省から八名、総務省から三名、財務省から一名の計十二名である旨の説明をいただいております。事務局のメンバー構成いかんが委員会の審議結果に影響を与える可能性は否定できませんから、その辺を含めて考え方をお聞かせいただきたいと思います。
坂野政府参考人 事務局のことでございますので、まず私の方から御説明させていただきたいと思います。
 御指摘のとおり、現在、準備室、十二名でやっております。この委員会がこの法案の成立を待って設立された暁には公式に事務局を立ち上げなければならないと考えておりますし、事務局の体制についても、必要な人員を確保して充実を期したいと考えておるわけでございます。
 ただ、まだ現時点、法案を御審議いただいている最中でもございますし、具体的に人選に入っているとか、人数を決めるとか、そういうことをする段階にはまだ至っていないわけでございます。いずれにしましても、現在、非常に厳しい定員事情にあるということを考えますと、可能な限り各省から併任の形でいろいろ応援をお願いするという形にならざるを得ないんではないかと思ってはおるわけでございますけれども、まだこれから具体的な検討を進めたいというふうに考えておるわけでございます。
 なお、事務局、確かに大切な役割を果たすものにならなきゃならぬと思っておるわけでございますけれども、ただ、この事務局が委員会審議を左右するというようなことがあっては逆にいけないんではないか。委員の方々のまさに主体的な御審議、それを確実に補助をする、そういう役割として専念をする事務局でなきゃならぬと思っておりまして、そういう意味で的確な人材を確保していく必要がある、そういうふうに考えておるわけでございます。
石原国務大臣 ただいま坂野準備室長から御答弁したとおりでございますが、やはり、事務局によって委員会の審議が一つの方向性が出るようなことは厳に慎まなければならない。参考にすべしは、やはり国鉄再建監理委員会の事務局というものが、ヘッドは運輸省の方じゃございませんで、当時の大蔵省の方でございますし、運輸省の方は十四名、大蔵省が六名、行管庁が四名、労働省が二名、総理府が二名、厚生省が一名等々でございまして、幅広く横断して国家的な問題を考えたというものを参考にしていかなければならないと認識しております。
工藤委員 これまでの一連の審議の中で、たびたび大臣は、それは委員会で審議しますのでといったような言葉をよく使われたわけであります。確かにそれはそうだと思いますけれども、事の重大性からすれば、本法案の条文は余りにも簡単で、すべては昨年十二月十九日に閣議決定した特殊法人等整理合理化計画を吟味しなければなりません。
 そこで、極めて疑問に感ずることは、委員会で審議しますからと言いつつ、例えば合理化計画の中で、1の日本道路公団についての記述を見ますと、(1)はいいとしても、(2)の3の「現行料金を前提とする償還期間は、五十年を上限としてコスト引下げ効果などを反映させ、その短縮を目指す。」などという文言は、委員会に民営化をあらゆる面から検討させるとの見地からすれば、文言の表現はどうあれ、民営化に重要な部分を既に決定して足を縛っていることになりはしないかといったような思いがいたすわけでありますが、いかがでしょうか。
石原国務大臣 ここの点も再三再四御議論になっているんですが、私どもが昨年、整理合理化計画を策定するとき、高速自動車道の料金はどういうふうに決まっているかといいますと、道路整備特別措置法、道路特措法に基づいて、当該道路の建設費や維持管理費に要する費用を一定の料金徴収期間内の料金収入総額によって償還できるように実は現行制度が決まっているわけでございます。
 その一方で、御議論として、償還期限を延ばせば料金が下がる、あるいはもっと道路をつくれるという意見があることは確かでございますが、やはり償還主義というもののキャップを厳しくすることによって、また、採算性の基準というものを厳しくすることによって、むだな道路をつくらないというキャップを実はかぶせさせていただいたというのが整理合理化計画の文言の持つ意味でございます。
 改めて申しますと、採算性の確保のためにむだな投資に歯どめをかける観点から、民営化を前提とした組織においては、今委員が御指摘されたような、償還期限を五十年を上限としてコストの引き下げ効果などを反映させてその短縮を目指すと示したわけでございます。
 また、償還終了後、今の計画ですと二〇五一年でございますかのあり方については、国交省がいろいろなことをお考えになるんじゃないかな、そんなふうに考えております。
工藤委員 もう時間が参りましたのでやめますけれども、解釈によって何とでもなるというようなことになるかもしれませんけれども、講ずべき措置として堂々とこういうものを条文化した方がいいんじゃないかというようにも考えるわけでありますので、また別な機会に質問させていただきます。
 きょうは、ありがとうございました。
大畠委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。
 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十五分開議
大畠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 私、最初に本四公団の総裁の方に、巨額の負債をもたらした原因は一体どこにあるのか、その責任はどこら辺にあるとお考えなのか、これを伺っておきたいと思います。
藤川参考人 本四連絡橋につきましては、三ルートの建設が昭和四十五年に決まりまして、本州と四国の間が海で隔てられているということが本四間の交流の大変妨げになっているということで、三ルートの架橋を建設しようというのが決まりまして、当公団がその建設に当たるということで、昭和四十五年から事業がスタートしたわけでございます。
 当初は、三ルート同時に建設に着手して、できるだけ早く建設に着手するということでスタートしたわけでございますけれども、オイルショック等がございまして、実際には、逐次建設が進められたというような形になっております。
 当初、スタートしたときには、当時、高度成長期でございまして、右肩上がりの将来の経済成長というのを見込んでおりました。そういうこともございまして、三ルートの建設をできるだけ早く進める、それと同時に将来の利用交通量等につきましてもかなり見込めるんじゃないかということで、採算が可能だということでスタートしたところでございます。
 しかしながら、御承知のとおり、当初、スタート時に考えておりました右肩上がりの経済成長というのがかなり想定したものと違ってきているということもございまして、当初想定した利用交通量がかなり実績では下回った形になっている、そのために収入がかなり落ち込んでいる、そういうところがございまして、結果的に、現時点ではかなり大きな負債というんですか、それを生むというような形になっているというのが実態でございます。
    〔委員長退席、野田(佳)委員長代理着席〕
吉井委員 本四公団で、負債総額は今四兆六千九百八十四億円ぐらいですか。それで、〇一年度末決算で、管理費や金利負担千六百二十七億円に対して料金収入がわずか八百六十九億円ぐらいですから、経費の半分。ですから、累積赤字は大体今年度末には一兆円を超える見通しになるようにも伺っておりますが、この点は大体そういう見通しですか。
藤川参考人 平成十二年度末の状況といたしましては、今お示しいただいた数字のとおりでございます。
吉井委員 それで、総裁からも今お話ありましたけれども、やはり出発点の過大な見通しということが改めて非常に問題になってくると思うんです。
 児島・坂出ルートについて、八八年一月に変更したときでも、八八年度計画、一日当たり二万四千九百台、それに対して実績が一万八百二十三台の四三%と。この計画に対する実績ということでいきますと、八九年、そしてその翌年の九〇年と、これはそれぞれ三五%、三六%と、大体三分の一ですね。
 これじゃということで、今度は、九一年の変更のときには、計画そのものを、当初見ておった二万八千四百十台を一万一千三百七十台に、当初計画の四〇%に縮小したわけですね。それでいっても、九六年には、その計画で二万四千二十台というふうに見通しておったのが、実績は一万五千二百十一台。ですから、変更してもなお六三%しか達成できない。
 九七年にまた変更しておられますが、これは、九七年に二万七千九百二十台と見ておったのを、その計画を一万五千八百六十台に下げた。しかし、これは変更前の計画に対して五七%の縮小なんですが、最初の八八年の変更のときの計画、当初の計画の三万六千三百四十台に対して、実績は四四%。
 ですから本当に、どんどん計画を縮小してもなおそれが達成できない、こういうふうな状態になってきていると思うんです。十四年前の八八年の計画に対しても小さいんですが、さらに、当初計画に対してだったら四〇%とか、全くもう、見通しが本当にがたがたという状態なんです。これはやはり、この事業そのものが本当に出発時点で過大見通しをやってしまった、そこが最大の問題の一つだと思うんですが、改めて伺っておきたいと思います。
藤川参考人 今も御指摘がございましたが、実際にどの程度の利用交通量が将来見込めるかという推計につきましては、その推計をやった当時の、政府が公表している最新の経済成長率とか、あるいは将来の人口がどうなるかというような資料をもとに本四間の輸送量というのを想定いたします。あと、船とか鉄道とか、いろいろな機関分担がございますので、そういう機関分担の中で実際に道路でどの程度輸送されるかという輸送量を推計して、あと、実際に車一台に何人乗るかとか、あるいは貨物車が一台当たり何トンぐらいの貨物を積むかというような原単位を想定して、それで推計しているわけでございます。
 私どもとしても、できるだけ精度が上がるように、精度のいいものになるようにというので努力はしているわけでございますけれども、今御指摘がございましたように、実際の経済環境というのが、やはりどうしても当初予測したものとかなり食い違ってくるということがございまして、輸送量なんかも思ったように伸びない。それから機関分担にしても、実際に、フェリーなんかが料金値下げ等をやって、もっと道路に転換するだろうと思ったものがなかなか転換してこないとか、あるいは、一台当たりの輸送量、いわゆる貨物が実際に運んでいるトン数なんかもだんだん減ってくるだろうという想定をしていたのがなかなか落ちないというような、なかなか想定どおりいかないというところもございまして、かなり食い違ってきているのが実態でございます。
 そういうことで、私どもとしては、今まではどちらかというとモデルで推計するようなことが中心だったわけでございますけれども、御承知のとおり三ルートが開通いたしまして、実際に三ルートを通っている車の実績交通量というのが出てまいりましたので、これから先の交通量の予測については、実績交通量をベースにしてかなり精度が上げられるんじゃないかというふうには考えております。
吉井委員 これは、七〇年代半ばにこの計画が出たときから過大という問題があったわけですね。既に中央ルートになる児島・坂出ルートで見通しがどんどん狂ってきているということがわかっている中で神戸・鳴門ルートを、もうそのときに神戸・鳴門ルートに取りかかるのかどうかとか、その見通しを含めてやらなかったら採算全体が大変なことになってくるのに、実際には進めたわけですね。
 その結果、明石海峡大橋と大鳴門橋がありますが、では、こちらでどうなっているかというと、九八年に全線供用開始やって、九九年は計画台数は三万一千三百五十台でしたが、実績値でいうと二万三千五十四台、七四%。大鳴門橋で、九九年に二万五千二百二十台の推計値が、実績は一万五千九百十六台。いずれにしても六割から七割というところですね。
 ですから、これは、実績数で見ても減ってきているし、対計画数比でも減ってきて目標の六、七割、こういうことになってきているんですが、最初の児島・坂出ルートのときに、本当に見込み違いだったということがわかっていながら、なおかつ計画は、ずっと最近の新しいものについてもやはり非常に甘い過大計画を立てて、実績値は相変わらず六、七割、こういう事態になっているんじゃないですか。
藤川参考人 お話がございましたように、神戸・鳴門ルートの利用交通量の推計、最新のものにつきましては、平成九年度に推計したものでございますが、先ほどもお話し申し上げましたように、前提となっている経済の成長率を、政府が公表しております二十一世紀の国土のグランドデザイン、それに基づいて二・七五%という将来の経済成長率というのを見込んでいたわけでございますけれども、それが、現実には今やマイナスになっているというような状況でございます。そういう経済成長に伴う輸送量の増というのも想定しておったんですが、それがむしろかなりマイナスになってきているというようなこともございまして、今御指摘がございましたように、かなり狂ってきているということでございます。
 私どもとしては、できるだけ精度を上げたいということで努力はしたつもりでございまして、意図的に過大に見積もるというようなことはやっておりません。できるだけ実態に合うようにということで、実績あるいは最新の知見とを踏まえて努力してきたつもりではございますが、残念ながらそういうことになったということでございます。
吉井委員 財政も採算性も全部度外視してのお話ならばそういうこともあるのかもしれませんが。
 さらに、尾道の方のルートですね。三ルートが全部できあがった。それでどうなっているか。
 三ルートの県境断面での一日平均交通量は、九七年の償還計画のときの計画交通量五万三百台に比べてみても、〇〇年の実績は三万六千台で七〇%。実際に償還計画のときにかなり厳しく見た数字にしても、なおかつ七割しかいかない。それぐらい、七〇年代半ばに考えたときはもとより、最近考えられたものからしても、どんどんこの計画は狂ってきているというのがまず実態だと思うんですが、三ルート全体についても伺っておきたいと思います。
    〔野田(佳)委員長代理退席、委員長着席〕
藤川参考人 三ルート全体につきましては、いわゆる本四間の県境断面の交通量ということで、最新の平成九年度に策定いたしました償還計画で予測しておりました交通量というものが五万三百台程度でございます。
 これが、今もお話がございましたが、平成十二年度の実績交通量では三万六千台ということで、計画の七二%になっているということでございますが、これも、理由につきましては、先ほど申し上げましたように、輸送量そのものがかなり私どもが想定したものを下回ってきたということと、それからフェリーの料金のダンピングがございまして、かなりフェリーから転換するだろうと想定していた転換交通量が見込めなかったというようなこと等がございまして、今御説明申し上げましたように、計画をかなり大きく下回っているのが実態だということでございます。
吉井委員 ずっと今まで言いわけをいろいろなさったのですけれども、そこで、石原大臣、実はこの議論というのは四半世紀前なんです。一九七六年に、我が党の当時書記局長をやっておりました不破哲三議員が予算委員会で取り上げました、本州と四国の間にそもそも三本も橋をかける必要性があるのかと。財政、採算性、全部度外視したら、それは一本より二本がよく、二本より三本がいいという論理になるかもしれませんが、その浪費の計画を追及したことがあります。
 本四公団の破綻の原因というのは、結局は、過大な交通量予測、それに基づく虚構の採算見通しにあったということが一番根本にあると思うのですね。私は、その点については石原大臣も率直に認められるんだろうと思うのですが、これをまず伺っておきたいと思います。
石原国務大臣 ただいまの委員と藤川総裁との御議論を聞かせていただきまして、私も、償還計画を決定するときの需要見通しというものに大きな差異があったことが今般の負債を招いている大きな要因であるということを認識した次第でございます。
吉井委員 差異があったというふうなそんな話じゃなくて、これは本当に根本的な誤りを出発時点で犯しているのですよ。ですから、採算見通しはもとより、交通量予測とかきちっと立てておれば、一本であったのか二本であったのかとか、そのことを含めた根本的な検討が深められたはずであります。
 九八年度の会計検査院報告では、本四公団について、この道路の建設費は、当初計画に比べて大幅に増加し、金利を含めた償還を要する金額も大幅に増加している、また、償還財源である道路料金収入について見ると、その基礎をなす推定交通量について当初推定の計数を見直しその引き下げを行ったにもかかわらず、実質交通量がこれを下回っている状況にあることから、支払い利息を賄えないものとなっていると所見を述べております。やはり赤字の原因が過大な交通量予測にあったということは、会計検査院がきちっと指摘をしているところですから、だから、私は、差異があったという、確かに差異と言えば差異なんですが、やはり根本問題は過大な交通量予測にあった、この点だけはきちっと押さえておく必要があると思うのです。
 もう一遍、大臣の答弁を改めて伺っておきます。
石原国務大臣 今御議論をいただいておりますこの民営化推進の検討委員会でも、やはり今委員が御指摘されました道路交通需要の見通しというものが大きなポイントになるということは、再三再四この委員会で御同僚の委員から御指摘があったことでございます。その点につきましては私もまさに同感でございますし、今委員御指摘の点についても、そのようなことだと考えております。
吉井委員 次に、道路公団の総裁の方に伺っておきますが、東京湾アクアラインの場合ですね。これは、計画と実績はどうなのかということをやはり見ておく必要があると思うのです。
 九七年度、計画二万五千四百六十八台、実績が一万一千八百七十六台ですから四七%。九八年度は、計画は二万八千七百二台、実績が九千九百九十六台で三五%。九九年度は四月から〇〇年一月までの途中になりますが、三万一千五百八十一台が九千六百五十一台の三一%。ただ、計画段階では一日交通量五万台考えていますから、これからいけばもう二〇%ほどという状態だと思うのですが、これは多少予測が外れたという程度のものではない、本当にひどい事態と言わざるを得ないのじゃないですか。
藤井参考人 アクアラインにつきましても、先生御指摘のように非常に、私どもも今いろいろと見直しをしております。
 当事業が行われた許可の段階では、昭和六十二年でございましたが、このときに、やはり三十年という償還期間で、供用初年度三万三千台という計画を立てたわけでございます。それが、いわゆる供用時、平成九年の十一月でございますが、この時点では、初年度の交通量二万五千ということに見直しまして、かつ供用後の二十年後も五万三千というふうな計画で、償還期間を四十年とさせていただいて計画の修正をいたしました。そして、現在、平成十二年の七月にさらに三千円の料金の見直しということもさせていただいて、そのときに、供用初年度のときに一万二千台ということで償還期間五十年、こういう経緯を経ております。
 そういう中で、私ども、利用交通量のこれだけの差異があったのは、大都市圏でございますから車が本来非常に多い地域でございます、それなのになぜこういうことが起きたか。
 もちろん、当初の見込みのいろいろな問題点があったのはそのとおりだと思っておりますけれども、やはり、東京の南回りバイパスと言っていいかと思いますが、そういう路線の性格から、房総半島における地域のいろいろな利用計画等々、地域のいろいろな問題点。あるいは、それに関連して、高速道路あるいは圏央道といったような関連道路網のネットワークがそれと一緒になって、そして今のような混雑している京葉道路だとか東関東自動車道、いわゆる湾岸道路がもう十四、五万台も通って満杯で、成田から東京に来るのに非常に見込みが立たない。こういう状態のときに南回りバイパスという効果もねらって計画を立てたわけでございますが、それが、そういうアクセス道路といいますか、連結道路のいろいろなことが計画どおりいかなかったといったような幾つかの問題があったのは事実でございます。
 そこで、私ども、そういうものを今国と一緒になって、私どもも汗をかきますけれども、国として、そういうネットワーク効果、開発効果、あるいは経済の活性化といったような根本になる、もともと想定の前提になる状況は少なくともその状況に持っていっていただいて、そして、全体の採算性といいますか、利用の実態が、せっかくつくったものが地域の人たちにちゃんと使っていただけるような、そういうことで、今いろいろと国と一緒になって検討を一層進めているところでございます。
吉井委員 あなたのところも、財政も何も何にも考えずにのお話だったら、今の言いわけのお話も、まあそういうもんかいなという感じになるかもしれないけれども、負債総額は、日本道路公団は二十五兆を超えるのでしょう。これは旧国鉄並みなんですよ。
 それだけの負債総額を抱えて、それじゃ、おっしゃった、当初計画した時点で五万台だったものが、八七年の許可のときは三万三千台に落としてみたが、なお供用開始のときには二万五千台と当初計画の半分にしている。だけれども、それは全部償還計画を計算するための見直しの数字であって、そもそもこれは五万台というところを見越して、だからこれをつくるんだということを考えられたと思うんですが、その見込みの時点で、その見込みが全く間違っていたのか、つくったんだけれども使わない方が悪いのか、これは一体どこに問題があるとお考えなんですか。
藤井参考人 もちろん、私どもそういう計画を立てる側のそれぞれの、その時点で最大限の推計はしたつもりではございますが、そのことについて十分でなかったことはそのとおりだと思います。
 ただ、この東京湾にこういうルートをかけるという計画は非常に歴史の古い計画でございまして、それは、東京圏という大都市圏の言ってみれば活性化というか、そういう意味で、今都市圏の再生というのがありますが、東京圏の再生の大きなプロジェクトとしてこれを活用するんだ、そういう基本的な物の考え方が前提にあります。
 したがって、そういう意味で見たときに、先ほども言いましたが、例えば今圏央道は全然つながっておりません。一部しかつながっておりません。要するに、成田からも使いにくい状態になっております。あるいは、その他の地域からも使いにくい状態になっております。そういうようなことでまだまだ不足の部分がたくさんある状態で、この計画そのものが要するに効果がないじゃないかという結論を出すのはいかがかなとは思いますけれども、その間において、国民の負担である料金とか、あるいは国民の負担増にならないような最大限の努力を、私どもも、その間でプール制というようなことも導入してやらせていただいておりますが、国と一緒になって一層のいろいろな工夫等をさせていただこうと思っております。
吉井委員 これは、財政も採算性も全部度外視して、今のお話ですと本当に夢のような話を、絵を描いてやっていくのは、それはそれでいいのかもしれませんよ。おっしゃった、圏央道も全部つながってと、そうすると首都圏をずっと道路でくるくる何回か回るようなサーキットを楽しむ分にはいいかもしれませんけれども、しかし、そういう話じゃないでしょう。これは、いろいろおっしゃったけれども、この過大な見込みによってこれをやって、大変な負債を抱えて、しかしだれも責任をとろうとしない。本当に気楽な話じゃないかと思うんですよ。
 それで、伺っておきますが、日本道路公団の財務状況も、約二十七兆円にも及ぶ固定負債を抱えて深刻ですが、毎年二兆円の道路料金収入があり、五十年後には債務を返済する計画に一応なっているわけです。しかし、公団のドル箱の東名は初めて交通量が前年比で減少してきている。
 道路公団では、予測を一割下回っただけで三十一兆円もの借金が残るという試算もありますね。予測が一割下回ったら三十一兆の借金が残るんですが、では一割五分下回ったらどうなるか、二割下回ったらどうなるか。借金がさらにふえることは明白なんです。このアクアラインの場合は予測の三割、四割しかないわけですけれども、アクアラインのようにどんどん下回ってくる。アクアラインも、当初の計画からすると二割というところなんですね。ですから、一割下回ったら三十一兆の借金が残るという話もあながち外れた話じゃなくて、あながちどころか、かなりこの試算というのは意味を持ってくるわけで、これがさらに一割五分とか二割下回ったらどうなるのか、きちんとその試算というのは出しておられますか。
藤井参考人 私ども、先生も御承知のように、高速道路については、全体の要償還額と償還を済ませた額ということから収支率であるとか償還率というものをきちっと出して、そしてチェックをいたしております。
 さらに、今後やっていくものについても、午前中も申し上げましたけれども、いわゆる有利子負債の残高がふえないような努力を基本としてやっていくという姿勢の中には、先生がおっしゃったような、収入が大幅に落ちるとは私ども思っておりませんけれども、変動があったときでも、それに対して対応できるような経営体質を持つべきだということを考えております。
 二割も三割も四割も高速道路の収入が落ちるということは、我が国の経済そのものがとてつもない状況になるということの前提でございますので、それについてはちょっとコメントを差し控えさせていただきます。
 一方、有料道路については個別採算でございますから、一本一本について損失補てん引当金制度との対応を考えながらチェックをいたします。そして、それを国にも御報告し、そして国と一緒になって毎年、言ってみれば決算の確認をさせていただいている、こういうことでございまして、アクアラインについては、先生御指摘のとおり、その中で私どもが一番心配しているというか、我々が着目し、常にこれについてどうするかということを考えていかなけりゃいけない路線というふうに思っております。したがって、先生の御指摘というのは、私ども極めてこれからも注意していかなきゃいけない御指摘をいただいたものと理解しております。
吉井委員 総裁は、なかなかお元気でお声も張り切っていらっしゃるんですけれども、しかし、きちっと償還計画を出したりしていろいろやっているんだとおっしゃるんだが、これは狂いっ放しなんですね。いっしゅく、これは見通しの下方修正をやっているわけですよ。ですから、今きちっとやっていますからと元気に発言されてもその保証は全くないということをまず言っておかなきゃいかぬと思うのです。
 最大限の努力をということで、先ほどプール制のことも言われました。現在、東名、名神高速というのは、実は道路公団の稼ぎ頭なんですね。この路線の料金収入で地方の不採算路線をつくってきた、いわゆるプール制問題なんですが、全国の高速道路を一つの道として、全体の建設費を全体の料金収入で賄って採算を合わせるという制度ですが、この料金プール制が、実は地方の高速道路建設を促進するとともに、採算とかそういうことは全く無視して、時にはむだとも思われるような高速道路をつくる仕組みになってきたと思うのですよ。ところが、この採算割れ確実と言われている第二東名とか第二名神高速道路なんかの建設、これを強行すれば財務状況は一気に悪化して、その借金のツケを国民が負担することになることは明らかだと思うのです。
 ですから、そこで石原大臣に伺っておきたいんです。やはり道路公団の改革で今何より必要なことは、高速道路整備計画を一たん凍結して、やはりきちんと見直しをして、抜本的に縮小していくということを考えないと、今までのペースでそれ行けどんどんでやっておったんでは、これは本当に大変な事態を招くと思うのですが、これは大臣の方に伺っておきたいんです。
石原国務大臣 先ほども御同僚の議員の方とのディスカッションの中でこのプール制の問題というのは出たと思うのですけれども、やはりそのことも含めて、今委員が御指摘されたことは非常に示唆に富んでおりますので、この法案の審議の後にできてまいります検討する委員会でそこが最大のポイントになってくる。そのポイントの要素は、先ほど来私が申させていただいておりますように、いわゆる採算性の確認、そういうところに尽きるのではないかとディスカッションを聞かせていただいておりまして強く感じているところでございます。
吉井委員 これは新しい委員会をつくるまでもなく本来考えなきゃいけないことなんですよ。高速道路計画をやはり一たん凍結して、きちんと見直しをして抜本的に縮減をする、それは国会で検討すべき課題なんですよ。そのことが本来、改革というならばやらなきゃいかぬことだということを申し上げておきたいと思います。
 それで、道路整備の財源となる揮発油税、自動車重量税などの道路特定財源も問題です。今やこの特定財源は年間五兆八千億円に達して、道路建設事業を最優先してやってきたものなんですが、小泉総理は、昨年の参議院選挙のときに道路特定財源の一般財源化を公約したわけですが、〇二年度予算で一般財源化したのは自動車重量税の一部で、特定財源全体のわずか四%にすぎないと思うんですね。これでは公約違反と言われても仕方がないと思うんです。
 そこで、特定財源の一般財源化というのは財務省としてはどういうふうに考えているのか。これは速やかに実施すべきものではないかという点での財務省の考え方というものを伺っておきたいと思うんです。
津田政府参考人 お答えいたします。
 平成十四年度の予算におきましては、公共投資を全体として約一割削減したわけでありますが、その中で、道路予算につきましてもかなりの削減をいたしました。その結果、自動車重量税を含めますいわゆる道路特定財源の額が道路の歳出の額を上回ることになりましたので、これを使途の限定なく一般財源として活用したわけでございます。
 十五年度は、十四年度で現行の道路整備五カ年計画が終了いたしまして新たな五カ年計画の策定時期になるわけでございまして、したがって、今度は財源につきましてもまた新たな議論が必要になります。
 特定財源につきましては、道路を含めまして、税制でございますから、その基本的なあり方につきましては、これから経済財政諮問会議でありますとか政府の税制調査会などの場で幅広く検討が行われることになっております。私どもとしては、そうした結果も踏まえて十五年度の予算に臨んでまいりたいと考えております。
吉井委員 昨年あれほど大騒ぎして、結局、特定財源全体のわずか四%にすぎなかった、〇三年度はこれから新たな議論だということで、財源問題というのはどこかへ今や浮いたままという状態だということだけ今確認させていただきました、政府の方はそういう状況だと。
 安倍官房副長官に来ていただきましたので、ちょっと順番を変えまして、せっかく来てもらったから先に伺います。
 今、宗男型政治とよく言われる、公共事業をめぐっては、政官業癒着、天下り問題、渡り鳥官僚、ファミリー企業や口きき問題など、利権構造があり、それを一掃するという改革は最大の課題の一つになってきておると思うんです。
 道路公団をめぐって同じような事件が相次いでいて、道路公団が来年度から国費投入を打ち切ることから十三件の工事発注を見送ったことに対して、自民党青木参議院幹事長は、その中に地元島根県の山陰道があるのに事前の説明がなかったと激怒されて、これを撤回させたということが言われておりますし、加藤元自民党幹事長の関係の山形県の問題も今は有名です。私たち調査に行きましても、地元山形県では、加藤消費税と呼ばれる公共事業の大体三%から五%の口きき料が取られていたという問題とか、それから公共事業をめぐって政治献金をさせる、こういう宗男型政治というものが横行しているということが非常に大きな国民の不信や怒りになっています。
 そこで、政治家絡みで公共事業に口をきいて受注企業から政治献金を受け取る、つまり税金の還流というもの、これはやめるべきだというのが多くの国民の声であり、小泉首相は、公共事業を請け負った会社からの献金や寄附の規制を強化するために政治資金規正法を今国会中に成立させたいという御意向のようでもありますが、この点について、最初に安倍官房副長官から、政府の意向というものを伺っておきたいと思うんです。
安倍内閣官房副長官 御承知のように、最高裁の判決によりましても、政党に対する企業・団体の献金については、憲法上の政治活動の自由の一環として、政治資金の寄附の自由を持つことについては認められているところでございます。他方、平成十二年に、政治家個人の資金管理団体に対する企業・団体献金は禁止をされているということでございます。
 今委員から御指摘がございました公共事業を受注している企業の献金についてでございますが、今まで、補助金を受けている企業につきましては、これは禁止をされているわけでございますが、他方、国との契約ということにつきましては、国と私法上の契約関係にあるにすぎないということでございますから、法律的には何ら問題がないというふうに考えております。しかしながら、今御指摘があったように、いろいろな疑惑を持たれることは厳に慎まなければならないところでございます。そういう意味におきまして総理が指摘をされたわけでございますが、ただいま党においても、何かすべきことがあるかどうかという検討をしているところでございます。
吉井委員 そうすると、何か今のお話を聞いていると、この間小泉さんが言われた、公共事業を請け負った会社からの献金や寄附の規制を強化するために政治資金規正法を今国会中に成立させたいという御意向のことは、マスコミ等でも見たわけですが、余りそういう意向はないということですか。
安倍内閣官房副長官 総理がおっしゃったことは、今いろいろな問題が出てきているわけでございまして、政官、また業との関係についていろいろな指摘がされている中で、いろいろな疑いを持たれているという中において、必要な制度の改正があるかどうかも検討しなければいけないということをおっしゃっているわけでございまして、その総理の御発言によって、今党においていろいろな議論をしているということでございます。
吉井委員 先ほどおっしゃった企業からの献金の話は、八幡製鉄判決などを念頭に置いてのことかと思いますが、これは税法学者や憲法学者の間からも、その理解は間違っているという指摘もありますので、私は、そう簡単に、企業献金が祭りと同じような寄附扱いという発想じゃないんだという、ここが大事だということだけ指摘しておきたいと思います。
 小泉首相は、公共事業を受けた企業からの献金をやめようという、その点で党の方で検討というお話のようなんですが、ただ、大手ゼネコンの集合体である日建連に三月末、三億円の献金を要請しているという問題があります。これでは、口では規制を言いながら、その裏で献金要請しているということでは、パフォーマンスということになってきますから、小泉内閣は、先ほどもあなたの方からお話があった、今の国民の厳しいこうした問題に対する見方というものをきちんと受けとめて、やはり本気で規制強化しようという意思をお持ちなのかどうかというところを、片方では献金要請なんかすると問題になってきますから、この点、まず伺っておきたいと思います。
安倍内閣官房副長官 要は、民主主義にはコストがかかるわけでございまして、そのコストをどのように分担しようかという観点も踏まえて今議論を始めているということでございます。もちろん、明らかに問題があるというのは、特定の企業から依頼をされてその企業に受注をさせるという行為をお金をもらってやった場合には、これは今でも罰則があるわけでございますが、しかし、公共事業を受注している企業と議員という関係、議員への献金、また政党への献金という、議員個人への献金は今できませんが、政党への献金ということは当然議論をしなければならないであろうということだと思います。
 今御指摘のございました献金の要請というのは、私はちょっと承知をしておりません。
吉井委員 献金というのは本来、民主主義のコストは何だというお話なんですけれども、個人は政治参加の自由がありますから、個人が政党に対して個人献金をするのは当然これは自由なわけですが、ただ、企業が政治献金するというのは全然性格が違います。
 そこで、次に、少し国土交通省に伺っておきますが、この公共事業の問題で、島根県と福岡県と宮崎県の三県について、あらかじめこういうことをということでお示ししてありますが、九七年度から〇一年度までの五カ年間に国直轄道路事業、その事業費がそれぞれどれだけあったかをここで伺っておきたいと思います。
大石政府参考人 御指摘の三県におきます平成九年度から平成十三年度までの五カ年間の事業費でございますが、一般国道の直轄の改築事業費で申し上げますと、島根県におきましては、一般国道九号江津道路など十四カ所につきまして約一千三百億円、福岡県につきましては、一般国道四百九十七号今宿道路など二十五カ所につきまして約一千八百億円、宮崎県につきましては、一般国道十号延岡道路など十五カ所につきまして約七百億円の事業費をもって整備を進めておるところでございます。
吉井委員 それで、実はこれら事業の上位五事業のいずれかで工事を請け負った主な企業から、政治献金の額というのを調べてみました。
 青木幹雄参議院幹事長は十一社から二千七百九十八万円、古賀誠自民党道路調査会長は十二社から一千百八十四万円、江藤隆美自民党道路調査会最高顧問は三十六社から六千八十一万円。つまり、自民党道路族の幹部の方が地元に道路建設を引っ張って、その建設省直轄道路事業を受注した企業から政治献金をもらう。つまり、これが問題になっている税金の還流ということで厳しい国民の批判や怒りを買っているわけですよ。
 小泉内閣として、道路公団改革を口にするならば、やはりこういう実態というものを正していく。先ほども、公共事業受注企業からの献金というのはやめるべきだというお話をされましたが、やはり、こういうあり方というものの実態を正すということが、少なくとも道路公団改革を口にするならばまずなすべきことだと思うんですが、この点、安倍官房副長官に伺っておきたいと思います。
安倍内閣官房副長官 先ほども申し上げたわけでございますが、民主主義にはコストがかかるという中にあって、個人または企業・団体から、個人そしてまた政党が献金をいただいているわけでございまして、献金をする方の側としては、それぞれの分野に精通をしている、また理解をしている議員に対して献金をするということなんだろう、こう思うわけでございます。今委員が名前を挙げられた方々は、道路行政に対しては非常に通じている方々でございまして、そういう中にあってそういう関係の会社が合法的に献金をしておられるんだろうと思うわけでございます。もし問題があるとすれば、特定の企業が自分が受注をするために口をきいてもらうという依頼をして受注をするという行為があれば問題でございますが、そういう問題は当然なかったのだろうというふうに私は承知をしております。
 ですから、話はまたもとに戻るわけでございますが、今言った方々が献金を受けているということとは全く別に、全体として、一般論として、公共事業を受注している会社等が献金をするということについての議論というのはするべきであろうというのが総理のお考えなんだろうと思います。
吉井委員 この問題をめぐって自民党の党内でも随分議論なさったときに、道路族として最も活躍されたという言葉は、その場合、その皆さんの方からすればなるのかどうか知りませんが、そこで名前が出てきた方がそういう国の直轄の道路事業を請け負う企業から献金をもらう、この形はだれが考えてもやはり透明な話じゃなくて、これは企業からしますと見返りを期待してやるんですよ。見返りを期待して金を出さなかったら、これは株主からは背任で訴えられることになります。それで、見返りを期待してやれば、まさにそれはわいろ性を持ったものなんですよ。だからこそ、この宗男型政治の一掃ということが今言われているときですから、ここにきちんとメスを入れなかったら、幾ら改革だ何だと言ったって、それも改革の名に値しないということを私ははっきり言っておかなきゃいけないと思います。
 道路四公団を改革するというのなら、やはり採算の見通し、必要性、そういうものがはっきりしない、むだな計画と指摘されているような路線などの高速道路計画はきっぱり中止するということ、そうしてこそ税金の使い方をばらまきのような公共事業中心から転換することもできるし、同時に、そういう事業にかかわって政治献金という形での金を懐に入れていくという、そういうとんでもない問題を一掃することにもなりますから、今やはりこの問題を通じて、改革というからにはそこのところをきちっとやるべきだということを私は改めて申しておきたいと思います。
 途中、飛びましたので、ほかのテーマに移りたいと思います。安倍官房副長官、結構です。
 それで、次に、この経営形態について、道路公団は民営化するということを前提にしています。首都高、阪神高速、そして本四連絡橋公団も道路公団と同時に民営化を行うということを閣議決定しているんですが、この閣議決定で、民営化は事業の採算性が高いということを第一条件としているというふうに思うんですが、これは大臣、まず間違いないですね。
石原国務大臣 この点も御同僚の議員から再三再四出ておりますが、採算性を重視するということが民営化の重大なポイントの一つでございます。
吉井委員 そうすると、採算のとれない路線はどういうふうにするんですか。
石原国務大臣 個別の道路の建設に当たりましては、国交省に国幹会議等ございまして、政府で最終的に決定することになりますが、税金で整備する方法等、多々ございますことは委員ももう既に御承知のことだと存じます。
吉井委員 既に採算がとれなくて大きな負債を抱えているところですね、そういうところは路線を見ていけばちゃんと整理して出てくるわけですが、そのときに、採算がとれない路線をどうするのかということはきちっと明らかにしておく必要があると思うんですが、これはどうされるんですか。
石原国務大臣 その点につきましては、整理合理化計画の中でも触れさせていただいているのでございますが、ちょっと箇所が今出てきませんが、その内容は、各年度の予算の中で措置をしていく、そういうふうに書かせていただいているところでございます。
吉井委員 採算のとれる東名とか首都高などを民営化して、収益の悪い路線や法人は借金だけが残されるということになってきますと、その借金をどうするのかという問題が出てきますね。その借金はどういう扱いをするんですか。
石原国務大臣 高速道路に限って言うならば、現行の計画、現在の路線で言うならば、採算性は確保されている、すなわち、償還年数が来たとき償還が完了するということでございます。
 ちょっと先ほどのところを補足させていただきますと、その他路線の建設、例えば直轄方式による建設は毎年度予算編成の中で検討する、今委員御指摘の採算性に乗らない路線の建設については、整理合理化計画の中でそのように処理をさせていただいているところでございます。
吉井委員 これからの問題もあります。ただ、同時に、既に負債を抱えているところですね。
 塩川財務大臣は昨年の講演で、国鉄を再建するときに実施した清算事業団的な手法を使わざるを得ない、長い年月をかけて処理することになる、税金投入やむなしという考え方も示しています。
 国鉄の分割・民営化のときには、債務だけが国民に押しつけられてくる、鉄道や駅の一等地など、もうかる部分は民営化されているんですよね。この結果、本州のJR三社は黒字となったんですが、清算事業団が引き継いだ借金は、減るどころか逆に膨れ上がっていって、結局国民の税負担が増大しました。
 ですから、道路四公団の民営化というものも、こういう同様の事態を繰り返すことになるのではないかという根本問題があります。これについて伺っておきたいんです。
石原国務大臣 JRのときと道路の場合の大きな違いは、現在の道路公団は、二兆円からのキャッシュフローがありまして、現行の計画でいけば二〇五〇年に償還が終了する、すなわち有償資金の返済というものが終了するということを意味しているんだと私は考えております。
吉井委員 それが、冒頭に公団の方と議論をしておりました。見通しはどんどん狂ってきておるんです。それが大体最初の計算どおりうまくいっておったら、今ごろ問題は出ていないんですよ。問題が行き詰まったから修正計画、修正計画、しかも交通量の予測値はどんどん下方修正していく、下方修正していくとますます採算が厳しくなるということでやってきたわけです。だから、あなたは今何かうまくいきそうなお話なんですが、そもそも、うまくいく話だったら、最初からこういうことになっていないんですよ。
 ですから、実際には、採算性のとれる路線は民営化ということにしたとしても、採算のとれないものは結局民営化というわけにはいかない。それは切り離す。切り離したときに、そこの借金はどうするのか。その借金は、採算がとれるように、償還計画うまくいくようにいきますというわけには簡単にいかないんですね。そこをどうするのかということを伺っているんです。
石原国務大臣 私が申しておるのは、現行供用されている建設済みの路線のままであるならば、償還計画は、多少の需要見通しあるいは金利動向の変化等々、すなわち金利動向でいいますと高振れでございますね、あっても許容範囲ではないかと推測をしていることを申し述べたことでございます。
 また、委員の御念頭にあるのは、冒頭の御審議を聞かせていただいておりますと、本四の三つの橋の債務が念頭にございましてただいまのような御質問になられているんだと存じますけれども、本四の三本の橋につきましては、採算性を確保するということは極めて難しいというような御発言が総裁の方からありまして、私もそのようだと考えております。そのために、毎年八百億ずつ十年間にわたりまして補助をするというような政策も昨年決定をさせていただいたと御理解をいただきたいと存じます。
吉井委員 先ほども、前原議員に対する資料が提出されまして、これについては前原議員がまた改めて議論されるでしょうから私は触れませんが、皆さんが試算されたという試算値はあくまで一つの試算値であって、しかし、先ほども議論しましたように、実際にはその予測値が狂ってきているんです。それは、本四公団だけの話じゃないんですよ。アクアラインの問題だけじゃないんです。各地でその問題があるわけです。
 そうすると、採算の非常に悪い、赤字の路線を民営化だといって引き継いだら、民営化した会社はうまくいかないので、そういうところは大体引き継がないわけですよ。そうすると、採算のいいところは民営化して、採算性の悪いところは国鉄清算事業団方式ということになってきますと、まさに、今、総額どれぐらいでしたかね、物すごい数字になりますね。今は三十七兆七千億ぐらいでしょう、四公団全体で負債総額は。これは簡単に解消できるものじゃないんですよね。そうすると、民営化して採算性の成り立ついいところは民営化した企業が引き継いでやっていきます、しかし、三十七兆七千億円の中の多くの非常に採算性の悪い部分、現に抱えている負債、その処理というものについては、結局それはどうなってくるのかということ、どうするのかということをやはり明確にしなきゃいけないと思うんです。
 特殊法人の整理合理化計画では、本四公団に関しては、債務の確実な償還を行うため、国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理することとし、道路料金の活用も検討するということで、道路料金の活用も検討はするんだけれども、結局、地方自治体の負担ということもかなり大きな比重を占めてきて、これに対して関係自治体は、既に二千五百億円を出資しており、拠出反対だということを政府に申し入れていますね。
 料金収入を前提にしているのに、見込み違いがあったから自治体に負担、こういうやり方は余りにも安易で無責任なやり方です。こんなやり方でしたら、何でもあとは国と地方自治体の負担でということでやるんだったら、そもそも国鉄のときだってJRにしなくても、負債の分を全部国や自治体が面倒を見ますよということでやっておったら、別に昔も今も変わらないわけで、ですから、採算性のいいものは民営化しますが、悪いものをどうするかということについて、やはりきちんとした考え方というものを示していただかないと、これは説明にならないと思うんです。
石原国務大臣 委員が既に、本四架橋の部分については、私どもの取りまとめました整理合理化計画の内容を御紹介いただきましたので、その点は割愛させていただきますが、いずれにいたしましても、先ほど来申しておりますように、交通需要の見通しというものが大幅に狂ったことによって現在の事態を招いている一つの原因であるということは議論からも明らかでございます。
 そんなことを踏まえて、当法案成立後の検討委員会で道路交通需要の見通しというものをしっかりとやり直していただく。あるいは、金利というものも大変重要なポイントでございますので、ここの部分につきましても御検討いただき、そして新たな組織が債務を確実に償還できる方策について、実はこの委員会で、今委員は清算事業団方式を御指摘されておりましたけれども、幅広く御議論をいただいて、本委員会がそのような意見を踏まえた段階で政府として必要な対応をとらせていただきたいと考えております。
吉井委員 清算事業団方式は、私が言っているんじゃなくて塩川大臣が言うてはりますので、塩じいさんの話なんですが。
 やはり、見通しが狂ったんじゃなくて本当に過大な予測、採算性についても、見誤ったということと、その責任というものをだれがきちんととるのか、そこを明らかにしないと、もうかるところは、おいしいところは別なところが食べていっても、借金、多額の負債については国民にツケ回しをする、そういうふうなやり方を安易にやっておったんでは、これはとてもじゃないが国民的理解の得られるものにはならない、このことだけ指摘して、時間が参りましたので、本日の質問をこれで終わります。
大畠委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後二時三十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時六分開議
大畠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。北川れん子さん。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。
 私は戦後生まれなんですけれども、少し道路についての私の体験というか経験を聞いてください。
 私は、三つから大阪の町の中で育ちましたので、交通事故というのはもう既にありました。ですから、私などの両親は自転車を買ってくれなくて、それはなぜかというと危ないからということで、心配性の親を持った子供時代だったわけです。それで、道路というのは、遊ぶ場所ではなくて車が通るところという、私はもう四十八なんですけれども、小さいときからそういう環境で育った者として、大きくなったときに、自分に何か欠落しているなというのをすごく感じたことがあります。というのは、どこまでも泳いだ経験がある人や、どこまでも走った経験がある人、どこまでも潜った経験がある人というのはすごくうらやましく思っていたわけですね。
 だから、道路は知っているけれども道は知らないという戦後生まれなんですけれども、石原大臣にまずお伺いしたいのは、石原大臣の道路についてのイメージというか思いというか、何かそういう印象的なことがあれば話していただけませんか。
石原国務大臣 私も同じ戦後生まれでございますが、まだ脱脂粉乳を飲み、物がなくて、洋服などもパッチをしているのが当たり前というような時代に育ったわけです。
 道路の思い出と申しますと、隣町に行く道が舗装されていなくて窓を閉めなきゃいけなかった、これがやはり道路に対して非常に思い出が深いわけですが、ついせんだってそこを通りましたら、立派な二車線道路になっていて、今そんな話をしても、実は、道路というものが土ぼこりが立つというような話。
 あるいは、北川委員が言われましたように、路地で遊ぶ、昔は細い路地が家の間なんかにありまして、そういうところで遊んだ記憶もございますけれども、そういう路地で遊んでいるお子さんというものは最近見かけなくなった、そういうような感想を持っております。
北川委員 どうもありがとうございます。
 だから、すべからく、いわば都会に生まれた者というのは、道路で遊ぶという経験がなく大きくなってしまったかなと思うのですけれども、きょう審議しているのが高速道路ということで、人は全然通らないところです。
 私が本当に高速道路で、最近の事件で思いますのが、中国縦貫道でありました上家法子さんという関西の中学二年生の、そのとき一年生だったかな、女子中学生が、ある中学の教諭によって何らかの形で車外にほうり出されて、その後トラックにひかれて亡くなったという事件がありましたが、私にとってはすごく印象的なんですね。
 ということで、道路があるんですけれども、午前中からずっと審議を聞かせていただいてきて、いろいろな煮詰まった議論がされてきました。そこでお伺いしたいんですけれども、今回の民営化推進委員会の設置法について、今は設置法だからということでその扉の中には入れないというわけですけれども、これと、幾ばくかの議員もおっしゃっていましたが、日本国有鉄道再建監理委員会との比較で聞かれた方もありました。
 国鉄の問題ということは、私たちの党にとってもいろいろな感慨深いものがある出来事だというふうに歴史的には理解しています。この国鉄清算事業団の問題も、九八年の十月二十二日解散をするわけですが、債務のうち二十三兆五千億円は結局国民負担として一般会計で六十年、私はもう生きていないかもわかりませんけれども、六十年かけて返済されるというふうな過程を踏みました。ですが、この日本国有鉄道再建監理委員会が設置されたときは、中曽根首相は、すべからく三条委員会に近い八条委員会として設置をするということも明言して出発していったわけですね。
 そこでお伺いしますが、今回の設置法、いわゆる八条機関というふうにぼんと書いてあるんですが、いかがでしょうか、時の中曽根さんがおっしゃった三条委員会により近い八条機関なのか、八条機関により近い審議会なのかという感じでどちらかなというのと、それと、文言を少し精査してみると、少しずつ後退しているんですよね。国鉄監理委員会のときは、権限の中に決定という文言があったんです。今回の委員会は決定の文言がありません。この二点について、まず初めにお伺いしたいと思います。
熊代副大臣 この新しく提案されています委員会と国鉄監理委員会の比較で御質問いただきました。
 委員御承知のとおり、委員の任命ですね、三条委員会は原則として基本的に国会承認である、八条委員会は国会承認のものもあるし、そうでないものもあるということでございますけれども、一つは、決定のお話もございましたけれども、既にこれは民営化ということが昨年の閣議決定で決定されておりまして、それの組織形態のあり方と、それからその採算性をいかに確保するかとかの採算性の問題ということを中心に審議していただきたいということでございますから、国鉄のときと、恐らくスコープがかなり狭いんだろうというふうに思います。事柄は重大ではありますけれども、かなり方針が決まってしまっている、そういうこともございますので、八条委員会そのものでございます。
 八条委員会で、しかも、国民の権利義務に直接関係があるとか政治の基盤そのものに関するものという、八条委員会の中でも慣習的には国会承認人事とする、それに該当しないのではないだろうかということでございまして、八条委員会で国会承認でない、そういう委員会として提案をさせていただいております。
北川委員 ということだったら、もう本当に簡単ですよね。これはもう民営化推進だから、民営化推進以前のことについては議論する余地はないという進み方をするということで決定。しかし、先ほどいろいろな委員のお話をお伺いしていましても、民営化にもいろいろあるんだ。段階を踏んだ民営化もあるし、その民営化をどの道路で区切るかという問題も残されていますし、西日本、東日本、先ほどは道州制という問題もお話しになった方もありましたが、民営化にとってもいろいろな方法があると思うんですが、決定権がないということがここで確認ができるかなというふうに思うんです。
 もう一つ、今回の推進委員会の方には、必要があるときは内閣総理大臣に勧告するとあるんですよ。必要がなければ内閣総理大臣に勧告しなくてもいいという感じに受け取れる委員会、結局、大して権限も決定権も、それから勧告する余地も余り持たない委員会。八カ月余りを、どのような方たちが、改革にすごく前向きな人たちを呼ぶんだと今水面下でいろいろ工作をしていらっしゃるということが新聞に出ているんですが、この必要があるときはという文言というのが必要はないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
坂野政府参考人 今御指摘の条文でございますが、委員御指摘の国鉄再建監理委員会も当時、ごらんいただきますと、この条文の中に勧告権を持った条文がございます。国鉄再建監理委員会の場合におきましても、当時は、これは再建法の第八条に書いてあるわけですが、「委員会は、必要があると認めるときは、」云々云々で、「勧告することができる。」そういう規定を国鉄再建監理委員会が置いていた。私どもとしては、同じ考え方でこの民営化推進委員会についても勧告権を付与したいと考えておるわけでございます。
 この「必要があると認めるとき」というのは、委員会として意見を述べて、それに基づいて政府が施策を実施するわけでございますけれども、その実施状況を委員会としてフォローアップをして、我々の委員会が出した意見について十分実現されないのではないかというような懸念を持たれたような場合、その委員会が御判断をされて勧告をするということを書いておるわけでございまして、委員会でないほかの人が判断をするわけじゃないという意味でこれを置いておるわけでございます。
北川委員 だから、大人の世界でやることなので、国鉄の再建監理委員会のことを、入っていたから踏襲したんだというふうにおっしゃるんですけれども、ある部分はトーンダウンをさせた委員会として設置しておきながら、そこは踏襲しているということ自身が、私自身はちょっと、ここまで手かせ足かせをされた委員会をだれが前向きにやろうとするのかというのがすごく見ものだなというか、どなたが人選されるというのが今一番みんなの関心事になっていて、もう名前がそれぞれ浮上していますよね。猪瀬直樹さんとか中村英夫さんとか森地茂さんですとか、いろいろな形で出ています。女性の名前も幾ばくか挙がっていますけれども、だれがするかということさえも私たちは関与することはできないわけです。
 石原大臣は、内閣総理大臣に、こういう方がいいよとか、こういう方のサジェスチョンを受けると、小泉さん、あなたの思うような意見を出してくれるよとか、いろいろなネットワークをお持ちでいらっしゃると思うんですけれども、そういう示唆をされる御予定はおありになりますか。
石原国務大臣 この点につきましても午前中の議論の中でも出てまいりましたが、どういう方がいいのか、またどういう分野の人がいいのかといったような具体的な基準というものを選定しているわけではなくて、今御議論いただいておりますこの民営化を推進する検討委員会が設立された後、委員が任命された後、その委員の方々が幅広い観点から、そしてまた先ほども御議論が出ておりましたけれども、一つのところに偏るのではなくて、国民の視点、国民の利益の向上を最大使命に、改革意欲に富んだ方が委員に任命されるものと思っておりますし、総理もまた、そのようなお話を本会議でもされていたと承知しております。
北川委員 恐れ多くて小泉さんに示唆することはないんだということを今言われたのかなという気もしますが、私が冒頭で言いました私の個人的な体験、道路は知っているが道は知らなく育った者としての欠落感、そういう声というのを代弁するような方は今まだいないと思うんですね。
 けれども、潜在的にはそういう思いを持っている人は多いということで、どういう偏りを持たないことがいいというふうにされているのか、その辺のレベルも少しわかりませんが、ぜひ、そういう点なども踏まえて、人選に関しては、名前が挙がれば、国鉄のときもそうだったわけで、今から思い返してみれば、ああ、この人選だからこういうふうになっていったんだなと。それでも最終的には委員長というのは苦渋の思いを吐露してしまったということがあったわけですね。そういうことで、人選に関してはみんなが目を光らせているということをくれぐれも思ってください。
 それで、この委員会に対しての予算が一億九千万円ほどつきます。とすると、単純計算したら、一人の委員が月に三百万ぐらいかなという計算に私にはなったんです。大体あと八カ月でできるのかという意見もある現在において、委員会の開催回数なんですけれども、どれぐらい、どの時間という形で思っていらっしゃいますでしょうか。
坂野政府参考人 委員会が発足して、十四年内、年末までにどれぐらいの回数の会議を開くかというお尋ねでございますけれども、これはやはり、委員会が設置されて、委員の方々の御協議の中で開催頻度なり開催回数というものが決められていくということになると思いますので、あらかじめ私どもの方から何回ということを申し上げるわけにはいかないと思っております。
 ただ、回数というよりは、定性的に申し上げれば、十四年の年末までに意見を取りまとめなきゃならぬということを考えますと、相当濃密な審議をしていただく必要があると思っておるわけでございまして、そういうふうに考えれば、そんなに少ない回数で済むというふうには思っていないというふうに御理解をいただければと思っております。
北川委員 今の局長の答弁は、すごく半面正直で、半面うそを言っているなと。といいますのは、すべて日程は、七人であろうが、自分たちの予定と、スケジューラーがいるような方を多分任命されていくんだろうと思うんですね、そういうポジションにいる人。そういう人たちを取りまとめて委員同士がやるような委員じゃないわけですよ、はっきり言えば。すべからく、事務局、事務方がおぜん立てをした中で、次、ありますからということで、みずから次は次はというような方がなっていただければ幸いですが、そういうことではないから、あえて準備室もつくられて事務方を準備されているわけです。
 そういう意味では、事務方の差配も含めてこの予算でやったらということで、透けて見える点があるので聞いたわけですから、今の前半の御答弁というのは少し前向きな答弁ではないというか、これに対する局長としての意気込みが感じられないというふうに思いますので、再度お伺いしたいと思います。
 猛烈に委員がやろうとしても規制をしてくるのが、大体すべからくの今までのありようであったわけですから、どれぐらいという目安はお出しいただいた方がいいと思います。私たちはこの扉の中に入っての審議ができない、常にこの扉の前でしか今やれていないということで、あえてお伺いしたいと思います。
坂野政府参考人 回数の見込みを言えというお話でございますが、まことに恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、この委員会ができ上がって、そして委員会の活動をどういうペースでどういうふうにやっていくかというのは、やはり委員会としてお決めいただくものでございまして、私どもからあらかじめ申し上げるべきものではない、そういうふうに思っております。
北川委員 では、ぜひその委員に、スケジューラーや秘書を置くような人ではなくて、全部自分で自分のことをコントロール、統括できる人を選んでいただきたいというのが希望ですけれども、声なき声として聞いてください。
 それでは大臣、今局長がそういう御答弁をされているんですが、総理大臣が十二月三十一日までという期限もつけてやっていらっしゃる。この審議に対しては、急ピッチでなければ審議の不徹底というおそれがもう見えてくると思うんですが、今、担当大臣としてはどうでしょうか。局長の御意見をお聞きになってどう思われたのか。立派な答弁をしたなと思われたのか、もう少しこう言ってくれたらよかったのになと思われたのか、その辺、いかがでしょうか。
石原国務大臣 坂野室長から御答弁させていただいたわけでございますが、週に何回やるのかというのは、なかなか今、二回だ三回だと言うことは難しいと思うんですけれども、先ほど来、この審議で重要なポイントになってくる点として、各委員の御質問の中にも出ておりましたように、採算性の確保、すなわち、需要見通しがどうなるのかというところに大きなポイントがあるということで、私もそのとおりであると思って意見を拝聴していたわけでございます。
 そんなものを、数値を、前提条件、いろいろなケースを出させて、それを分析していくことに一つの問題をとってもなるわけでございますので、かなり濃密な御審議というものをお願いするし、また委員の方々も、改革意欲に富んだ方という大前提がついておりますので、意欲に富んで濃密な御議論を展開していただけるものと期待をしているところでございます。
北川委員 そういうふうになると、私は、国会の方にいる立場としては、それと同じく並行して、担当委員会として国土交通委員会がずっと十二月三十一日まで付き添って伴走するような形で、今委員会がこうなっているというのを見ながら、自分たちのところで一般質疑でその委員会のありようと対比させながら審議をしていくというような二段構えでないと、少し心配だなという気もいたしました。
 それで、次にお伺いしたいんですが、これは先ほどもありましたように、道路関係四公団民営化推進委員会です。もうすべからく決まっていました。この前段で、通常は、各大臣がそれぞれの特殊法人を管轄する省庁に去年お出しになったように、存続か廃止か、なかなかそれが返ってこなくて再度お出しになったという新聞報道も見ましたけれども、存続か廃止かという議論がワンステップ前にあったと思うんですね。この存続か廃止かの問題のときに、一番印象に残っていらっしゃる御議論はどのようなことがありましたでしょうか。
石原国務大臣 党の議論等は、熊代副大臣が事務局長をされておりましたので、また熊代副大臣からお聞き願いたいと思いますが、これも午前中の審議の中で大変出てまいりましたけれども、やはり、道路公団というものが財投すなわち利子のあるお金を借りて道路を建設してきた。そして、返済をしていく償還計画が予定どおりいくのかいかないのか、また、どういう問題があるのか。
 すなわち、先ほども御答弁させていただきましたような道路の需要見通しというものが非常に重大になってまいりますし、金利の動向を低く見積もる、あるいは需要見通しを高く見積もれば限りなく道路がつくれるという計画になってしまう。そこには、民間企業のいうところの採算性、効率性という概念、またユーザーの立場というものは入ってこない。そういうものを変えていかなければならないということが根底にございまして、現行の組織ではない、それにかわる民営化された組織で運行していくことが、諸外国の例を見ましても適当ではないかという結論に達した、こんな議論にかなりの時間を費やしたと記憶をしております。
熊代副大臣 私は、この副大臣になる前に、自由民主党の行政改革推進本部の事務局長をしておりましてずっと議論をしてまいりまして、その中で、廃止か民営化という議論は、いろいろな法人についてそういうのはあったわけですけれども、この道路四公団については、廃止か民営かというのは、余りというかほとんどなかった議論だと思います。民営化するのに道路も含めて根こそぎ民営化するのか、道路というのは土地も含んでおるわけですけれども、高速道路が民間の株式会社の所有になっていいんだろうか、公共用物であるから公物は民間の所有にしちゃいけないんだという議論と、国鉄はそうしたんだからそういうのを思い切ってすべてを民営化してしまってもいいんじゃないかとか、あとは、四つばらばらにするのかまとめてするのかという議論がございまして、廃止するという議論はもともとなかったというふうに思います。
北川委員 今のそこをちょうど聞きたかったんですよね。廃止か存続かのときに、廃止の議論がなくて存続、存続だったら民営というふうに動いていったんだろうと思うんですが、特殊法人の法律の一番の大きな欠陥が、一定事業が達成したときには廃止をするという項目があの法律になかったんですよね。ですから、永劫続くという形で労働者の方も入社をいたしましたし、国会の方の審議、それから行政の方の部分でも、省庁の省益という部分では広げる。縮小ということは余り考えない時代でした。ですから、広げるということで、いつの時点でやめるかという部分がなかったのが、法律の欠陥として特殊法人の設置の法律自身が持っていたのではないかという気がするんですね。
 それと、もう一点なんですけれども、これはなぜ廃止にならなかったのかなというと、道路は物体が残るということがありますね。橋も残ります。ですから、廃止ということになると、管理、補修事業をほったらかしにしてぶら下げておくか、建っているものがそのままありますということで、その沿線住民にすれば、日陰のままあなたは住み続けてくださいということを言うのと変わりはないというふうになると思うんですね。だから、道路や橋の問題は廃止できない。
 私は、そうなのかなというのが少しありまして、もう少し廃止という面からの議論の引っ張り方があると、今回のような、即座に、どういう形かはわからないけれども、とりあえず民営化という議論まで、国民もついていけない段階で一足飛びに行っちゃうような形にならなかった。小泉首相の改革が、いかにも民営化すればすべてが丸くいくというような形にすっ飛びに行ってしまったのは、廃止の議論の引っ張り方が少なかったからではないかというふうに思うんですね。
 今なお不透明なのが、新しい、残りの道路をつくるのかつくらないのか、それは国がやるのかこの民営の会社になったところがやるのか、それさえも、委員会がお決めになることですからというふうにげたを預けてしまって、ぐうの音も出せないというか、私たちは何も言えないわけです。
 副大臣の方にお伺いしたいんですが、もう少し廃止の議論の引っ張り方があってもよかったのかなと。今、いかがですか、率直なところなんですけれども、道路はつくってしまうと存続せざるを得ないという方向に行くのか、欧州のように、道路のアスファルトをめくって大地に返還していくという形に出てくるところとか、路面電車を通すとか、いろいろな形で道路行政も変わってきました。という意味で、この場合、廃止の議論ということにもう少し、そういう論者を入れなければならないわけですが、そういうことへの引っ張り方が必要であったかなというふうに、なぜ今になってこういう朝からの議員の議論が出てくるのかなというのが私は不思議なものですからあえてお伺いしたいんですが、廃止の議論をもう少し尽くすべきではなかったのかとか、どうでしょうか。全くそういうことは思いも寄らなかったから存続イコール民営化に走ったのか、廃止ということもイメージの中にあったのか、その辺を少しお聞かせください、担当していらっしゃったということで。
熊代副大臣 先生がおっしゃいましたように、高速道路は厳然としてあるわけですから、そう簡単に廃止はできない。もし公団を廃止するならば、国で全部引き受けるとか、そういうことにしなければならないわけですので、それもまた新しい問題、税金の投入とか物すごい問題が出てまいりますので、むしろ、廃止というよりも完全に民営化して、国庫からお金が行くのはなくしようと。
 民営化といいますのは、特殊会社になったとしても独立で採算をとらなければいけない。赤字になるようでしたら、それは成り立たなくて、いずれつぶれることになるわけですね。ですから、民営化で、国民の皆様にちゃんと奉仕できて、しかもペイして、つぶれないで立派に立ち行くことができる、そういうためにはどういう方策があるのかというのが一つの大きな視点だったと思います。
 もう一つは、そうはいっても道路は公物だから、下は独立行政法人か何かでちゃんとしまして、上だけを民営化して、そこで借金はすべて返す。それで、今すべて建築をとめれば、今はすごく経営状態がいいんですね。今現在ですとすごく経営状態がいいわけですから、それは返せるんじゃないか、そういう御提案も、これは政府の方の委員会、石原大臣の私的諮問機関の方の御意見ですが、そういう意見もございました。それも印象に残ったことでございますけれども、御指摘のように、とにかくそこにあるものを生かして、しかも、将来にわたって財政的に負担にならないものをつくり上げようというのが我々の関心事だったと思います。
北川委員 私、なぜそう言うかといいますと、九五年のあの阪神・淡路大震災で阪神高速道路がばたんと倒れてうねっているところを現実に見て、私は尼崎だったんですが、近くの方が夜中そこを通っていて亡くなったとかというのと、つくったものは壊れるんだなという実感を伴って見た経験者の一人であるということで、あるものは壊れるんだ、それと、必要がないものなら壊していっていいんだ、片づけていくというのもこれからの政治手法の中にはあるのではないかということをそのとき教えられたのと、もう一つは、私たち尼崎というのは、道路が通過する町です。人がとどまらないけれども、とどまらない理由の一つに、道路が通過する町だからという前提があります。
 阪神・淡路大震災という多くの人災、私は天災よりも人災の場面が多かったと思っている立場をとる者なんですが、そのときに、多くの悲しい出来事があったけれども、道路沿線住民が喜んだことが一つあったわけですね。それは何だと思われますか。
熊代副大臣 冒頭にお話ございました道路の思い出がございます。私は田舎の生まれですから、しかも少し時代が前ですので、道路は、キャッチボールをするとかそういうところがございまして、大変道路に愛着を持っておるものですから、道路を廃止しようとか、ばたっと倒れたらいいというふうにはなかなか思わないんです。
 沿線の人たちが喜んだのは、ちょっとわかりませんけれども、どうですかね、倒れてしまったんだから使えないし。ちょっとわかりません。教えていただきたいと思います。
北川委員 多分わかっていらっしゃるんだろうと思うんですけれども、それは、使えないんですよね。車が通らない、静かである。物すごい静かであるということ、静けさが返ってきたという喜びと、それから排ガスを吸わなくていい。
 残念ながら、私たちの町も公害認定患者をある時点で打ち切られましたので、新生児でぜんそくになっても公害患者とは認められないというふうになってきました。でも、いるんですよね。ぜんそく患者はいます。それで、排ガスがない暮らしがこんなに気持ちがいいのかということで、近い状況といえば、都会に住む者としては正月三日がそうなんですね、田舎へ帰られるので。それで、あのときみんな沿線住民が喜んだのは、その静けさと、ぜんそくの症状が幾ばくか軽くなったということでした。
 それが、本当に余り続かずに、突貫工事でばあっとやっていらっしゃるのも私は見ました。突貫工事で、すごい速いピッチで投入されて、何が何としても国のそういう倒れたものを見せてはいけないというぐらいに慌ててつくられた姿も見たものですから、やはりノースリッジの、その一年前のアメリカの震災におけるありようと随分違うというのを私は学びましたね。だから、多分いろいろなものが物すごい高騰をしたと思います、すべての資材やコンクリートや機材が。そういうときに、あのときに必要だったのか、あのときにもう少し住民や本当にしんどい人たちへの救済に回す税金投入ということのあり方もあったのではないかと、ちょっと嫌みに思ってしまうぐらい突貫工事であったのも思い出します。沿線住民にはずうっと補修の音が夜中まで、下は普通、日中動かしていますから、夜突貫工事でやっていましたので、ですから、沿線住民は倍ほど苦労をしたということをぜひ覚えていてください。
 それで、事務局体制が私はすごく大事だろうと思うんですが、事務局も利害関係者というものを出すべきではないと思うんですよね。その点などは今どのような感じで御検討されているのか、教えてください。
熊代副大臣 委員会の事務局につきましても、法案の成立後に、その施行後に発足させることにしておりますので、この法案を御可決いただかなければなかなか取りかかれないわけでございますけれども、現時点で想定されますことは、なかなか、民営化ということは決まっていますけれども、その形ということ、大変な議論をしなければならない委員会でもあると思いますので、相当な職員が必要であるということですので、やはり出向者を求めてするということになると思います。
 具体的にどの省庁から何人出向するかというのは、現時点では確定しておりませんけれども、いずれにしましても、事務局が委員の先生方の議論をコントロールするというのは、それは、犬がしっぽを振るんじゃなくて、しっぽが犬を振るようなことになりますので、そういうことは一切ないように、すばらしい先生方が選ばれると思いますので、その先生方が自由に議論をしていただくのを助ける、そういう体制でやってまいりたいというふうに考えているところでございます。
北川委員 新聞紙上では幾ばくか書いてあったんです。情報公開の点では一番先鋭を行くような形にしたいというふうに答えられていたものが新聞の中に入っていたんですが、念押しなんですけれども、その委員会が、その日にあった議事というのを、国会の方への提出の時期も含めてなんですけれども、資料も含めてすべて明らかにしていただけるんでしょうか。それを再度お伺いしたいと思います。
熊代副大臣 委員会の審議状況につきましては、先生御承知のように、中央省庁等改革基本法にも、会議または議事録は公開することを原則とする、運営の透明性を確保するというようになっておりますし、それを受けて閣議決定もございます。ですから、原則としてマスコミが入って公開、そうしますと翌日には必ずそれが記事になるということでございますが、それは委員の先生方がお決めになることでございますので、きょうはしかし非公開で議事録要旨にしようというようなことも、委員の先生方がこの法律及び閣議決定をもとにお決めになることでございますが、基本的には、先生の御指摘のように、情報公開が徹底されるというふうに考えています。
北川委員 きょうも一部、七十通りか何かを書いていただいた資料が出てきました。議員にとっても、国会の調査権というのは名ばかりで、ほとんどの資料とかが分析できるほどいただくというケースはまれなものですから、これはどのメンバーにとっても、今回の四公団の民営化推進ということで、その前段の議論はもうコミットできなかったわけですし、この民営化の議論に対して、すばらしい委員の先生たちだろうとは思いますけれども、その段階段階で適切な、自分たちの議論に深まりを持たせるためにも、ぜひ、今のお言葉はもっと充実して、していただきたいと思います。
 それで、私自身も幾ばくか、この公団の中で働いていらっしゃる方からの意見を聞かせていただいたことがあります。どの本にもいろいろ書いてありますけれども、午前中、先ほどまでいらっしゃいましたけれども、総裁という方は省庁から、本省から来られる方が多いわけで、もともと入社して育った人のことを、ごめんなさい、何か言葉がありましたね、プロパーというんですか、プロパーの方が総裁になるということはあらかじめないわけですよね。そういう中でのやはり職員の士気の低下というのと、特殊法人は全くの行政形態ではなくて、収支、決算も情報公開するというのが特殊法人であったろうと思うんですけれども、幾ばくかそういう手法は用いられてきているけれども、非効率的な事務のありようとかということがあった中で、少しずつ労働者のやる気のなさというものが生み出されていったのではないかという気がするんです。その点などはどういうふうに思っていらっしゃいますでしょうか。
石原国務大臣 ただいま北川委員が御指摘されました点は、今回の民営化を議論する上で私どももかなり議論をさせていただいた点でございます。
 すなわち、委員御指摘のとおり、プロパーの職員が特殊法人で総裁、理事長になるケースがほとんどない。しかしながら、そこに働いている人たちは、そこの特殊法人をいいものにしようとする志を持って入社をされているわけでございます。これからは、やはり、特殊法人は理事長も総裁も天下りであるというような特殊性を排除していくということも一つ重要なポイントであるという議論の結論に私どもの中でも達したということを御報告させていただきたいと思います。
北川委員 そうしますと、先ほどの問題で、なぜ廃止にならなかったかというのは、やはり現物があるということと、日本の効率よい経済のありようを追求するためには高速道路は必要というお立場だろうということ。政策ですよね。それともう一つは、労働者がいるということですよね。廃止してしまうと労働者がどこへ行っていいかわからないということもあると思うんです。
 民営会社というのは、トップの人というのは、民間会社になった場合、これから、労働者の中からこの人がふさわしいというふうに決めていけるような会社なんでしょうか。
石原国務大臣 内部から、あるいは、民間会社でございますので、今どんな民間会社でも、他業種他分野から経営者が来るということが民間企業では当然になってきておりますので、そのことも当然、今度の民間会社がどのような形になるかはまだ決まったわけではございませんが、念頭に置いて議論がなされたと御承知いただきたいと思います。
北川委員 ということになると、日産のゴーン社長みたいに、すごく効率的に、特化していろいろなことを、リストラしたりIT化したりとかやれるような、そして、何か新しい事業ときょう総裁もおっしゃっておりました。何か新事業、あの高速道路で及びもつかないような新事業をもしかしたら開発されていくのかもわからない。
 そういう人は、どちらかというと、日本の中にいるのではなく、道路が最も有効的に活用されている大きな国、例えばアメリカから社長が来るとかというのが予想されるのではないかというのが私の結論なんです。それと、先ほど石原大臣がおっしゃった言葉でいうと、大体銀行ですよ。銀行から来る。債務処理のすべからく手際よいあり方ということで、そういう金融関係から社長が来る。それは、士気の低下にまた同じくかぶさってくるのではないかという気がします。
 どうでしょうか、今の予測としてはどういう方が社長、トップにふさわしいとお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
石原国務大臣 藤井総裁がいないから言うわけではございませんが、やはり経営意欲に富んで、採算性を重視して、効率的で、ユーザーである国民の皆様方に喜んでもらえる、そういう民間会社になっていただかなければ、何のための構造改革あるいは特殊法人の改革かということになるのではないかと思っております。
 整理合理化計画の中にもこのように書かせていただいたんでございますが、「移行後の法人において、常勤役員について、法人の業務内容等に応じ、内部登用を含め民間人の積極的な起用に努める。」と明記をさせていただいたところでございます。
北川委員 私はちょっと今の大臣の言葉が理解できなかった点もあるのですけれども、ほとんど男の人の職場なんですよね。それで、男の人が元気に仲よく明るく働いてもらうということを考えるのには、男の人が一番ふさわしいのかなという気もするのですけれども。
 大臣は、去年の六月二十五日には、不採算の高速道路はつくらない、こう民放の番組で発言されて、ああ、やるんだな、もう道路はつくらないんだなという空気を日本の中に出されたんですけれども、どうもだんだん後になっていくと、いや、不採算の道路は余りないんだ、つくろうとするのは全部採算性が高いというふうになって変わってきたかなと思うのですけれども、その点はどうですか。言葉って怖いという気もするのです。一たんテレビ映像で映った空気というのが、多くの市民というか有権者は、きっとそういうふうに民営化してくれるんだというふうに思っていると思うのですね、労働者以外は。当該の労働者以外はそういうふうに思っていると思うのです。
 その点などは、民放でお話しになったという点が新聞に去年の六月二十五日に出ているのですけれども、今の率直な御意見はこのときと同じなのかどうか、お伺いしたいと思います。
石原国務大臣 今も気持ちは変わっておりません。有料道路である以上、これから不採算路線をつくっていくということは、償還計画に大きな差異を生じるわけでございますから、民間会社がその運営をやっていくということは不可能である。民間会社でありますとつぶれてしまいますので、不可能になります。ですから、今回の整理合理化計画の中でも、またこの法案の中でも、この採算性の基準というものをしっかりと検討委員会でおつくりいただきたい、そういうふうになっておりますし、総量のキャップをかける意味で、国費を投入しないで償還期限は五十年を限度に短縮を目指すとそこで縛りをかけたわけでございます。この縛りをかけることによりまして、現在予定されている事業量はそのまま実行することができないということは、きょうお示しいたしました七十二通りの資料の中にもはっきりと書かれていると考えております。
北川委員 私は、あの七十二通り見せていただいて、まだよくわからないものですから、あえてお伺いしたのです。
 償還が五十年ということでの議論が先日もありまして、私は白熱した議論を聞かせていただいたのですけれども、耐用年数というのがありますよね。例えば今国は、高速道路ということで、随分速いスピードで結構重たい重量の車が通るというふうに計算されていると思うのですけれども、高速道路ではどれぐらい、そして橋、本四ではどれぐらいという耐用年数についてはどこかで明確にされていたと思うのですが、あえてちょっとお伺いしたいと思います。
大石政府参考人 耐用年数についてお尋ねでございますが、午前中の御質問でもお答え申し上げました。今大蔵省が持っております基準ですと、それぞれ土工部分について四十年、それから橋梁部分のコンクリート部分については六十年とかあるいは七十年とかという考え方を持ってございます。しかし、これはあくまでそういう意味での目安でございまして、私たちの管理のやり方あるいは維持修繕の頻度、維持の仕方等々に応じて使える年数は変わってくるというように思っています。また、本四の主要構造物につきましては、ケーブルだとかそういった部分がメーンでございますが、こういったものについては百年間の使用に耐えるというようなことを目標に設計をいたしております。
北川委員 ありがとうございました。
 前段でも、本四の特に橋は、特殊な技術と自分たちの管理能力とか、それからさびを落とすとか、多くの人からは理解できない、いろいろな点ですごく努力をして技術を積み上げてきたという声も聞いていたので、百年もつということなんですが、ちょっと対比が違うかもわかりませんが、原子力発電所も、当初二十五年、それが四十年、六十年というふうにだんだんなってくるものですから、この耐用年数、特にコンクリート劣化の問題、新幹線整備事業でも私は指摘したのですけれども、コンクリート劣化の問題に関して、また金属疲労とかの問題に関してもまだまだ解明尽くされていない点があります。
 そういうふうになるとこの償還の五十年というのはすごく微妙で、今出された線もすごく微妙で、結局償還する前にまた、逆に言えば大補修というものをしなければならない時期というのが償還の五十年手前で来るのではないかという予想が、特に道路の場合ですね。本四の場合はちょっとわかりません。何と申し上げていいか、私は、あそこで一番心配しているのは、中央構造線が走っていますので、地震がさらに来るだろうと予測している立場をとっているので、その点でちょっとよくわからないです。
 ただ、道路の面に関しましては、五十年償還の前に大規模補修事業ということでの、今回、新幹線整備事業のような対比の中で、そういうときがもう来るのではないかというふうにこの耐用年数からも読み取れると思うのですが、その点などの解決の仕方は一応クリアした上で推進委員会に提案されるのでしょうか。その点も含めて推進委員会が議論するのでしょうか。
大石政府参考人 耐用年数が長ければ大規模補修ということになってしまうのではないか、あるいはつくりかえるほどの補修になってしまうのではないかという御懸念でございますが、確かに、私たちの例えば耐震技術で見ましても、地震が起こるごとに新たな知識を得ておりまして、それに応じて改修をしていくというようなことを繰り返しております。
 例えば、我々、古くつくりましたものですと、関東大震災に学ぶということで設計したわけですが、その後、例えば三十九年に新潟地震が起こりまして、液状化という現象が外力として私たちの計算に入るようになりました。また、最近の地震でいいますと、阪神・淡路も、我々が予測もしなかったような金属の破断だとかというようなことが起こりまして、その都度それに応じた補修というようなことをやってございます。現在の道路公団も、あるいは首都公団も阪神公団も、そのような考え方で新たな知識に基づいて改修を続けておりますが、今後この公団を引き継ぐことになる会社も、長い間国民の皆様に使っていただくために、そのようなことを学びながら補修をしていくものだというように思います。
北川委員 物すごく模範回答をいただいたのですけれども、阪神・淡路大震災も、神戸黒書という本が出ている中で書いてあったのですけれども、三十年前にもう審議会で生越忠さんという方が意見を述べていて、この三十年のスパンの中では瀬戸内で大規模な地震が起こる可能性が高いので、神戸市の町づくりというものは、すべからくそういうことを踏まえた上で、活断層それから深層活断層も含めて解明した上でやるべきだという意見を言っていたにもかかわらず、そこのところが全然、審議会から外の行政や議会の方へ流れ出ずに、眠ったままであの阪神・淡路大震災を迎えたということが記録の中で掘り起こしがされたということがあります。
 それで、今はすごく素直な模範回答をいただいたのですが、阪神・淡路大震災、あれも、それはわかりませんよ。人々というか、私なんかも率直な感想で思ったんですけれども、三十年の間には来るであろうかもしれなかったけれども、早まったのはあの工事があったからではないかというように後から思って、みんなで言っていたことがあるんです。
 阪神・淡路大震災で特に学んだことです。あれは直下型の都市災害でした。六千数百名、もしくは孤独死も含めていれば八千名近い方になったかもわかりません、倒れてきた分の圧迫のかげんで腎臓とかを痛められた方もありますので。あの統計は後出ていませんからわかりませんが、あんなにたくさんの方が亡くなる必要はなかった都市災害であったんですけれども、阪神・淡路大震災で殊に学んだ点というのがありましたら、道路の面、それから橋の面で教えてください。
大石政府参考人 先生の御質問は随分幅広い御質問でございますので、阪神・淡路で学んだものにつきましては、例えば道路の計画面で学ぶべきこと、あるいは設計面で学ぶべきこと、あるいは発災後のいろいろな対応においてなし得た、こうしておけばよかったなというようなことで学ぶべき点、いろいろございます。
 全部について申し上げるわけにいきませんが、設計面で申しますと、あれだけ短い時間にあれだけのエネルギーが解放される、実際にエネルギーが解放された時間は十三秒でございますが、十三秒の間であれだけのエネルギーが解放されるということは、私たち余り予測いたしておりませんでした。また、関東大震災で大きな地震があって、それを外力として入れていたわけですが、それよりも大きな外力の破断現象のようなものが局部的には起こり得るといったようなことも我々は余り考慮に入れていなかったというようなことがございます。
 それよりも何よりも、私、一番大きな反省は、需要があるからといって須磨だとか神戸の断面にすべての交通をぶち込んでしまった。新幹線も山陽線も旧国鉄も、それから山陽道も二号も、それから阪神高速もといったような道のつくり方というのは外国では余り例がありませんで、例えばドイツなんかの場合ですと、四車線の道路が必要な場合は二車線ずつ分けてつくるというような、国土のリダンダンシーだとかフレキシビリティーといったような考え方で交通施設をつくっておりますが、私たちは、需要があるところにつくるのが正しいんだという考え方でつくってきた。
 そんなことも、あのときは日本海側に物すごい交通が回りましたが、というようなことも大きな反省点だろうというように思っておりまして、いろいろな面で、計画面、設計面あるいは発災後の対応において多くのことを学ばさせていただきました。
北川委員 今局長の方はすごく熱っぽく語ってくださったので、多分、阪神・淡路大震災ではもっと深くいろいろな数値も出されて、ああ、こうすればよかったな、ああすればよかったなという点がおありになったんだろうと思います。確かに、私たち西に住む者として、東からの流れの中での西、通過地点の一都市に住む者としましては、やはりその点を事前に予見するというか、予防措置を講じられる行政であってくれたらなという感じを持ったのは率直な感想です。
 ですから、今回の民営化推進委員会ですか、そのメンバーですね。どちらかといえば、地質学的な問題を点検、検証できる方、そして、今ある高速道路をどう見るかといった点で新しい視点を持ち込んで、何とかこの日本の国土に路面電車をもう一回復活させようとさせている方とか、いろいろな人材は育っています。
 局長もすごく熱心に言ってくださった点からすると、阪神・淡路大震災での教訓というのは、やはり大きなものを行政の方には残したんだなと思いますし、ぜひ、そういう意味合いでこれからの町づくりがないと、あのときに犠牲になった多くの方々が、なぜ自分たちが犠牲にならなければならなかったのかという、はっきり言って、あの後、住宅の不良に関しても、道路で亡くなった方も、すべてだれも裁判には訴えなかったと記憶しています。すべて天災というところで息をのんでしまったというか、その怒りを身内も遺族も静めてしまったし、家族全員が死んだ方もありました。ということで、私たちはもう寿命を全うしないで死ぬ方というのを見たくないというのが率直な感想なんですね。
 最後に石原大臣にお伺いします。
 そういう意味では私は、JRの清算事業団の問題というのは根が深く、そして、闘争団の皆さんの状況も含めて最後にお聞きしたいんですけれども、寿命を全うして死ねる労働者のありようというのが、この二千名近くいらっしゃる四公団の皆さんの労働現場における働きを、今までの評価も含めて、これ以降、定年までというのか寿命までというのか、これからもやっていただける。
 あの中に、多くの方が自殺をされていった家庭とかも教えていただきましたし、私たちと同世代の人が地方で住むために、国鉄というのはとてもいい働きをしていたというふうに私は思っています。都市へ集中するのは、来たくないんだけれども、稼げる場所がないから都会へ来るんですよ。自分がこの風土や生まれたところが、そして生まれた町の人々が好きであれば、だれも出ていきたくはない。
 そういった面で、ぜひ、労働者の人たちと積極的に会うということではどのようなお考えをお持ちかを最後に聞いて、質問を終わりたいと思います。
石原国務大臣 特殊法人、なかんずく道路公団を初めとする四公団に働いている皆様方の雇用というものは一体どうなってしまうんだろうと心配されている方もいらっしゃると思います。そんな問題につきましては、当委員会でも、また参議院の内閣委員会でも、特殊法人基本法の審議の中で、特殊法人等で働いている職員の雇用の安定にも配慮しつつ必要な対策を検討する必要があるとの附帯決議が付議されたところでございますし、政府としても適切な配慮を払ってまいりたい。
 先日も私、特殊法人で働いている方々とお話をさせていただいたこともございますし、中にいる人間にしかわからない組織の問題点等々もございますので、できる限り接触はこれまでどおりしていきたいと考えておりますし、今度できます委員会の皆様方も、当然のごとく、特殊法人の雇用ということについても十分な御研究あるいは御提言がいただけるものと確信しているところでございます。
北川委員 どうもありがとうございました。これで終わります。
大畠委員長 これにて北川さんの質疑は終了いたしました。
 次回は、来る十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時七分散会


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