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第12号 平成14年5月22日(水曜日)

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平成十四年五月二十二日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 大畠 章宏君
   理事 逢沢 一郎君 理事 渡辺 具能君
   理事 渡辺 博道君 理事 野田 佳彦君
   理事 細野 豪志君 理事 河合 正智君
   理事 工藤堅太郎君
      岩崎 忠夫君    小野 晋也君
      奥山 茂彦君    嘉数 知賢君
      亀井 久興君    実川 幸夫君
      高橋 一郎君    谷川 和穗君
      谷本 龍哉君    近岡理一郎君
      西川 公也君    望月 義夫君
      石毛えい子君    河村たかし君
      後藤  斎君    武正 公一君
      藤村  修君    山花 郁夫君
      山元  勉君    漆原 良夫君
      太田 昭宏君    桝屋 敬悟君
      吉井 英勝君    北川れん子君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣         竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   総務副大臣        若松 謙維君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  藤井 昭夫君
   政府参考人
   (内閣府情報公開審査会事
   務局長)         松村 雅生君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十二日
 辞任         補欠選任
  古賀 正浩君     高橋 一郎君
  仙谷 由人君     後藤  斎君
  山元  勉君     武正 公一君
  横路 孝弘君     河村たかし君
  太田 昭宏君     漆原 良夫君
同日
 辞任         補欠選任
  高橋 一郎君     古賀 正浩君
  河村たかし君     横路 孝弘君
  後藤  斎君     仙谷 由人君
  武正 公一君     山元  勉君
  漆原 良夫君     桝屋 敬悟君
同日
 辞任         補欠選任
  桝屋 敬悟君     太田 昭宏君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 個人情報の保護に関する法律案(内閣提出、第百五十一回国会閣法第九〇号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七〇号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七一号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出第七二号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――
大畠委員長 これより会議を開きます。
 第百五十一回国会、内閣提出、個人情報の保護に関する法律案並びに内閣提出、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井昭夫君、内閣府情報公開審査会事務局長松村雅生君、総務省行政管理局長松田隆利君及び総務省自治行政局長芳山達郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。
後藤(斎)委員 おはようございます。
 先週お約束をしたとおり、細かい議論にきょうは入らせていただきますが、冒頭、官房長官にお尋ねをしたいと思います。
 先週の金曜日にお尋ねをしておるんですが、官の規制が強くなるというふうに言われている、私たちは少なくともそう考えておりますが、この個人情報保護法案、基本法も含めてですが、一方で、きのう、有事法制に関する問題で公聴会が強行採決されました。
 基本法でも言われているように、メディア規制とも言われておりますが、表現の自由や報道の自由そして個人の自由も、ややもすれば束縛をしてしまう。そして一方で、有事法制も国民の財産や基本的人権を制限する。そんなものがなぜ一括、小泉内閣が出されてきたのか、私は不思議でなりません。昨年、基本法については既に国会に出されておりますが、継続になった意義、それらを全く考えていない。国家が国民を管理する、その規制に関するものが一挙に吹き出している、そこがメディアの皆さんや国民の皆さんが大変心配している点ではないかなというふうに私は思っています。まさに戦前の国家総動員体制の準備でもあるというふうな声も一部であるというふうに私自身は認識しております。
 官房長官、この個人情報基本法案、行政に関する保護法案も含めて、有事法制の国会の審議のあり方も含めて、どんな形で小泉内閣として考えているのか、冒頭、お尋ねをしたいと思います。
福田国務大臣 まず申し上げたいのは、この個人情報保護法案というのは、メディアに不当な公権力行使を及ばさないように万全の措置を講じております。メディアを規制するというものではなくて、そして、国民を管理しようという考えがあるものではございません。
 特に、この必要性を申し上げれば、近年、民間企業や行政機関全般にわたりましてコンピューターやネットワークを利用して大量の個人情報を処理している。そうした個人情報の取り扱いは今後ますます拡大していくということであります。個人情報は一たん誤った取り扱いをされますと、これは個人にとりまして取り返しのつかないことになるということもございます。
 実際、企業の顧客名簿などが大量に流出するといったような問題が相次いで起こっております。また、個人情報が売買の対象とされる、こういうケースも生じておりまして、個人情報の取り扱いに対する社会的な不安、これが広がっているというのが現状だというように認識しております。そこで、国民が安心してIT社会の便益を受けられるよう個人情報の適正な取り扱いのルールを定め、国民の権利利益の侵害を未然に防止しよう、これがこの法案の趣旨でございます。
 また、国際的に言いましても、御案内のとおりであるかもしれませんけれども、個人情報保護に関する各種の取り組みが進められております。特に、EUにおきましては、近年、個人情報の保護のレベルが十分でない第三国への個人情報の移転を制限する方針を打ち出している、こういうこともございます。こういうような状況とか、電子商取引の急速な拡大等を背景に、国際的にも整合性を保った国内法制の整備が急務でございます。
 以上のような状況を踏まえまして、この法案を、よりよいIT社会の実現に向け、その制度的な基盤の一つとして個人情報保護のための仕組みを整備しよう、こういうものでございます。
 特に、近年と申しますか、IT戦略ということが叫ばれておりまして、この戦略を推進するための本部も内閣に設けております。そういうような状況の中で、個人情報をぜひ保護する体制を整備しないと、IT戦略も実行できない、有効に活用できない、こういうような部分が非常に大きく叫ばれておる、こういうような背景もあるわけであります。
 有事法制につきましては、これは全く関係のない話でございまして、これも、小泉内閣がスタートするときに、小泉内閣の施政方針として取り上げた課題の一つでございます。それを実行に移しているだけということでございますので、これも、予想のできるところで、そういうことが起こるかどうかはわかりませんけれども、武力攻撃事態というものがあった場合に我が国としてどういう体制をとるか、そして国民を守るかという観点から法案をつくったわけでございまして、今回の個人情報保護法案とはこれは関係のないことでございます。
後藤(斎)委員 私がお話をしたのは、国民の側から見れば、ややもすれば、一括して国家が国民の義務権利そして報道の自由も規制をする、それが一気に出されていることが非常に不安感をあおっているという趣旨でお話をしたのであって、その点、今官房長官がお話しになられたように、そうではないということは、それぞれパーツが違うからいいんだということでなくて、やはり国民の目から見れば、今国会の最終段階に来ていろいろな議論がされている、それがやはり有機的に連動しているというのはぜひ御認識になって、いろいろな場でまたきちっとお話をしていっていただきたいというふうに思う次第でございます。
 竹中大臣、先週も議論がありましたが、総理から、先週、法案の修正の指示があったというふうな報道がされ、竹中大臣もそれをお認めになっております。
 その修正というのは、一部報道機関の修正案に対する修正を指示されたということですか。それとも、国会の審議や国民の議論の中で柔軟に対応していくべきだということで、もっともっと幅広い意見を取り入れて法案について考えていけというふうなことなんでしょうか。その点をまずお尋ねしたいと思います。
竹中国務大臣 一連のその修正のお話、十三日の総理発言をめぐることでございますけれども、前回も明確に申し上げましたように、修正をしろ、修正を検討しろというような指示を総理から受けたことはございません。この点は総理自身が、十四日の記者との懇談会で、法案の修正を指示したものではないということを明確に述べていらっしゃいます。十二日の読売新聞に掲載された修正案に関して、非常に前向きに熱心に御議論をいただいている案であるのでよく勉強しておくように、あくまでそういう趣旨でありました。
 読売新聞、その後、作家の吉岡忍さんを初めとするグループ等々がまたいろいろな提案を出しているということも我々承知しておりまして、そういったものについても十分に勉強しておくことは当然のことであるというふうに思います。まさに、皆さんに御議論をいただくに当たって、さまざまな意見を勉強しておくという趣旨であります。
 もちろん、現在の私たちが提案している案は、政府として最大限の努力を講じたもので、最善のものとして御提案申し上げているということは言うまでもないことでございます。
後藤(斎)委員 今の大臣の御発言の中に、よく勉強しておけということは、先ほどお尋ねした、幅広い意見、委員会の質疑も含めて、これから柔軟に対応していくという趣旨で理解してよろしいのでしょうか。
竹中国務大臣 柔軟に対応といいますか、これはまさに幅広く国会で御議論いただくわけでございますから、我々としては、法案を提出する側としてはベストのものを提出した、その上でまさに国民の代表である皆さんに御議論をいただく、そういう趣旨で申し上げているわけです。
後藤(斎)委員 では、ちょっと切り口を変えて話をしたいと思います。
 仮に、抜本修正をするという中で対応がもし進んでいくとしたら、それは、残り少ない会期であります。もう一カ月を切っております。基本法は、メディア規制も含めて国民の大きな議論の対象になって、まさにもっと慎重にすべきだということで、仮に継続審議をし、例えば行政四法案の方だけ先行分離審議をする、そのような柔軟な対応というのは考えておられるんでしょうか。それとも、あくまでも一括ということにこだわって対応なさるんでしょうか。
竹中国務大臣 あくまで最善のものとしてお出ししておりますので、仮にというその御質問に対してはなかなかお答えのしようがないのでございますけれども、法案の性格として一つ申し上げるとするならば、基本的に、個人情報保護法というのはまさに基本法で、アンブレラの一番上のところに来るものであります。その基本的な考え方に基づいて、一体的、総合的にこのIT時代にふさわしい個人情報保護のための法整備をするというのが、やはり全体として政策として求められていることだというふうに思います。
 こういう基本原則をこの法律で確立し、そのもとで各分野にふさわしい個別法制の整備を図る、そのための第一歩であるということでありまして、行政機関法等は、この個人情報保護法に定められた基本原則の内容について、行政機関等にふさわしく具体化するものであるということなんだと思います。であるからこそ、個人情報保護法案の第十一条に基づいてこの行政機関法が制定されるという形にもなっているわけであります。
 その意味では、繰り返し言いますが、IT社会にふさわしい個人情報の保護のシステム、データ利用の有用性に配慮しながら人格権を守るという目的のために、個人情報保護法と行政機関法とは一体的に整備されることが必要であるという観点から、今、御審議をお願いしているわけでございます。
後藤(斎)委員 確かに、基本法とその中身の官民一体ということは、そこの点については整合性があるということはよく理解できます。ただ、行政機関に関する個人情報保護の法律、これは、昭和六十三年の行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律、この全部改正であります。確かに、基本法の十一条との関連もよくわかりますが、この部分だけとってみても、仮にこれが先行して処理をされても、全部改正ということであれば成立するんじゃないですか。
竹中国務大臣 行政機関については、一九八八年の行政機関個人情報保護法が既に存在している、それの見直しを今行おうとしているわけです。一方、民間部門における法整備は全くといっていいほど整備されていない。むしろ、民間部門における法整備が急務であるという側面があるんだと思います。
 それが、一九九〇年代に入ってからの欧米諸国における一連のこの部門における法案整備、御承知のように、OECD、EU中心にこういう整備が進んでいるわけでありますので、そういう点からいたしますと、個人情報、民間部門における法整備が急務であるという事情は、やはり十分に勘案しなければいけない問題だというふうに思っております。
後藤(斎)委員 竹中大臣、確認なんですが、その民間の個人情報の保護、これをしなければいけないということ、これもよくわかります。ただ、法体系の話を先ほど大臣がされましたので、六十三年の全面改正ということであれば、その分だけでも済むんじゃないでしょうか、大臣、どうお考えになっていますかということをお尋ねしたのです。その点だけ簡単に。できるんでしょうか、できないんでしょうか。
竹中国務大臣 法律の問題として、法体系の問題としてできるかできないかという問題が一つあろうかと思いますが、IT担当大臣としては、IT社会にふさわしい法整備をやはり全般としてやっていく必要があるということで今回のことをお願いしているわけで、IT政策、IT時代における人格権を守るという政策の観点から、やはり一体で整備していただくのが望ましい、ぜひそのようにお願いしたいものだというふうに思っているわけです。
後藤(斎)委員 法律的な問題は、大臣、これは次にもう一度きちっと確認をしたいと思いますので、法制局も含めて、その辺は整理をしていただきたいと思います。
 なぜ今、メディアの皆さん、きょうもたくさんいらっしゃっていますが、一年間、確かに継続審議になっておった中で、その問題について何の調整も、話し合いというか意見聴取みたいなものは、過去の立法過程ではいろいろなパブリックコメントを求めたりしたという話は聞いておりますが、なぜここに来てこれだけの、メディアの皆さんから、また有識者と言われている皆さんから、この法案に対する強い、また反対の意見があるのか。この一年間、どんな形でメディアの皆さんと基本法について御議論を、メディアの皆さんを含めてですが、なさっているのか、簡潔にちょっと御答弁をお願いします。
藤井政府参考人 メディア等の調整についてお答えいたします。
 御質問の趣旨の中にもございましたけれども、当然、立案に当たって、二回の部会とか委員会を設けて立案しているわけですが、その部会、委員会の中では、メディアの方々からも御参集いただいて意見を言っていただく、あるいは、それぞれ中間報告とか中間整理の段階で、一回オープンにした上で再度意見をいただくというようなことで、メディアの方々の御意見もできるだけ立案に反映されるように努力してきたところでございます。また、法案が成案を得た段階でも、あらゆる機会をとらえて、個別のメディアの方々に対しても説明に回ってきているところでございます。
後藤(斎)委員 逆に、審議の中で、冒頭官房長官にもお尋ねしましたが、官が絶対である、メディアの報道や取材の自由はできるだけ排除をしようという意思というのはなかったんですか。
藤井政府参考人 お答えいたします。
 法制化専門委員会での検討の中でも、メディア等からの御意見をいただきまして、委員会としても、この法案がメディアを規制するものであってはならないというようなお考えから、その成果物である大綱の中にも、メディアとの調整規定を設けられたところでございます。
 例えば、法目的の第一条、ここには、個人情報の利用の有用性と個人の権利利益の保護ということを明記しておるわけですが、当然、メディア等の、憲法の保障する基本的人権に資するような利用のされ方というのは、個人情報の利用の有用性のいわば典型的な使われ方だということでございます。
 そういう考え方で大綱とか今回の法案の全体が構成されているだけではなく、第五章の個人情報取扱事業者に対する義務規定というのは、いわば予防的なルールを守っていただくというようなことで、特に検閲の関係等の乱用的な公権力の関与というものが問題になりかねないということで、この第五章の個人情報取扱事業者の義務規定あるいは主務大臣からの関与ということについては、メディアの報道目的の利用については全面的に適用除外している。
 また、メディアだけに限りませんが、情報保護というのは収集する側と提供する側があるんですが、収集する側のメディア側だけを適用除外にするということであれば取材が問題があるというような御指摘もございましたので、相手方も表現の自由を損なわないようにする必要があるということから、主務大臣の配慮義務というものを四十条に定めているということでございます。
 なお、第二章の基本原則のメディア等に対する適用問題についても、これも法制化専門委員会で相当御論議いただいたんですが、結論的には、基本原則というのはそもそも各人、万人がみずから努力する義務である、しかも公権力による関与とか罰則も一切ないということで、こういった努力をしていただくということ自体、メディアに不当な報道規制になるというおそれはないということで、基本原則からの適用除外というのはされていないということでございます。
後藤(斎)委員 今の点については、かなり問題があるというふうに思っております。引き続き、これからも同僚議員から細かく質問をさせていただきますので、その点、よろしくどうぞお願いします。
 総務大臣、前回もお尋ねをしておりますが、それ以降、私も幾つかの自治体にも含めて確認をしておりますが、本当に八月五日から住民基本台帳ネットワークが稼働していいかどうかというのは、ほとんど一部の担当者にしか自治体の中でも知られておりません。
 私は、みずほが、この何年かかけてネットワークを組んで三銀行が一緒になった、それだけであれだけの問題を起こした、トラブルを起こした。それで、住民基本台帳ネットワークというのは、三千を超える自治体が、全部そのネットワークが結合しなければ意味がないわけですよね、もともとの趣旨ですと。
 本当にその数字を、きちっとそれぞれの自治体に把握をされて、大臣この間、絶対大丈夫だと、絶対とは言いませんでしたが、大丈夫だとお話をされておりましたが、その後いろいろな形で各自治体を調べていただいて、大丈夫だと本当に今思われておりますでしょうか。
片山国務大臣 せんだっても申し上げましたが、システム構築の進捗状況をその後も私確認しましたが、再度確認します。まだ約二カ月ぐらいありますから確認いたしますが、現在の状況では、指定情報処理機関というのを地方自治情報センターにしておるんですよ。ここにおいては、全国ネットワークやサーバー等の機器の整備が終了して、ソフトウエア開発も、ほぼこれは完了して、今一部修正をやっている、こういうことでございますし、また、地方団体においては、委員御承知のように、都道府県単位でまずネットワークを組むわけですから、そこで、都道府県ネットワークや都道府県や市町村における関係機器の整備も全団体で終了している。それから、それに伴うテストも終了している。
 まあ、みずほの場合、私はよくわかりませんけれども、あれは全国的なネットを三つ一緒にしたというところがなかなか大変だったんじゃないかと思いますけれども、我々の方は完結したネットワークをそれぞれつないでいくわけですからね。都道府県につないでいって、それを指定情報処理機関で全国的にまとめていくということで、同じじゃないと思いますが、大変な作業であることは事実なんで、今後ともさらに状況について点検しながら、八月五日にはスムーズにスタートするように努力いたしたいと思っております。
後藤(斎)委員 今の点で、私の知り得ている範囲では、NTTさんが基本ネットワークは仕組んでいるという話はお聞きしています。ただ、それ以前、いろいろなネットワークはそれぞれの自治体でやった、それはまさに別物で対応している。それに新しいNTTの基本ネットワークをつなげている。これは同じようなことが起こる可能性というのはやはり否定できない。これは本当に徹底的にきちんと検証をして、本当にスムーズに、パンクしてしまったら、本当にそのときには大変な事態になると思いますから、それには絶対ならないような形で私はやっていただきたい。
 確かに当時、私たちも含めて党は反対をしておりました。後でまた同僚議員からその点については細かく質問をさせていただきますが、本論に入りたいと思います。
 私は、行政機関の保有する個人情報保護法案については、ある意味では、従来であれば各省が行政サイドでやっていた部分、それを法律で一定の枠組みを設けて裁量権の歯どめをかけているということでは、一定の評価は私はできるというふうに思っております。
 ただ、私は、後で目的も含めてきちっとお話をしますが、やはり、法案の目的が行政の運営の円滑化みたいなことに主眼を置いて、本来の目的であります個人情報の保護という部分が軽んじられているというのが一点。そして、行政機関の目的外利用を広く認め過ぎているというのが二点。そして、安全確保義務違反に関する罰則規定がない。もろもろ、もっといっぱいあるんですが、私は、抜本的にこの修正を本気でやっていかない限り、やはりこの行政機関に関する方も大変大きな問題を持っているというふうに思っています。
 一条は目的であります。目的というのは、もう言うまでもなく、それぞれの法律の趣旨、一番の基本原則をあらわすものであります。原案では、行政機関における個人情報の利用拡大と、最後に「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護する」ということで、私は大変抽象的ではないかなというふうに思っています。
 冒頭、官房長官や竹中大臣にもお話をいただいたように、この目的は全体、あくまでも、時代背景としたら高度情報通信社会の発展に伴う行政機関における個人情報の利用が拡大している中で、そういうものをきちっと明示をしながら、なおかつ、個人のプライバシー権の保護という観点をいえば、個人情報の開示ないし訂正、利用停止の請求権利、これはいろいろな地方自治体の条例を見ても、明確に、開示権、訂正権、利用停止権に関する権利というのは、ほとんどの自治体では目的に入れ込んでおります。
 まず目的をきちっとしていくことが、この法案全体の流れが国民の皆さんから見てもわかりやすい形になっていく。そして、個人の権利利益という非常に抽象的な概念が今原案にありますが、私は、今お話しした二点について、まずこの目的自体を修正していかなければ二条以下の部分が生きてこないというふうに考えておりますが、総務大臣、その点についていかがでしょうか。
片山国務大臣 目的は、今委員言われましたように、なるほど、「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、」とありますけれども、その下に「個人の権利利益を保護することを目的とする。」。後ろに書いてある方がメーンなんですよ。図りつつ、これをやると。
 行政部門の中に個人情報がだんだんはんらんしてくるようになると、やはりその取り扱いについてきちっとルールを定めて、結果としては国民皆さんの権利利益をきちっと保護していくということがこの法律の建前ですからね。法律は、法制局とも協議して、立法技術上の議論もありますからいろいろな書き方がありますが、これは、行政の便宜のためというよりも、国民、それぞれ個人の皆様の権利利益の保護を図るということに私はメーンがあると。
 そこで、今開示や訂正の請求権のお話がありましたが、これはほかのところでぴしっと書いているんですから。十二条と二十七条に書いておりますから、それをまた目的規定にわざわざ入れるというのも、まあこれは書き方の議論ですけれども、法律上は明確にしているわけであります。
後藤(斎)委員 確かに、大臣がおっしゃるように、個人の権利利益の保護というのは目的にあります。しからば、大臣、その個人利益の保護というのは、具体的にどんなことを想定しておられるんですか。
片山国務大臣 この個人の権利利益とは、個人情報の取り扱いの態様いかんによって侵害されるおそれのある個人の人格的、財産的な権利利益であり、プライバシーということがよく世上言われますけれども、そういうものもこの人格的、財産的な権利利益の中には含まれておる、こういうふうに考えております。
後藤(斎)委員 先ほどお話をした、本人が情報開示をしたり、訂正したり、利用停止をする、そういう権利は含まれていないということですか。
片山国務大臣 これはこの権利利益の範囲をどう考えるかということですけれども、私は、含まれている、こういうふうに思っております。
後藤(斎)委員 何か時間が来たみたいなんですけれども、もう一点。この法律の中には取得の目的の規定が入っていないというふうに思っております。取得について、どんな形でやるのかという明文規定がないのは何ででしょうか。
若松副大臣 委員の、いわゆる行政機関が適法かつ適正な取得を義務づける規定を置くべきではないか、そのような質問だと理解したわけでありますが、行政機関の長が法令を遵守して適法に個人情報の取得に当たるべきことは、当然憲法上の要請であると理解しております。また、行政機関の職員が法令を遵守することは国家公務員法等により規律されておりまして、行政機関法制におきまして適法取得に関する規定を置いていないのは、このように行政機関が不適法な取得をしてはならないという法規範が既に確立していることから、改めて規定しなかったものでございます。
後藤(斎)委員 時間が来ましたので、今の点も含めて、引き続き次回にしたいと思います。よろしくどうぞお願いします。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、武正公一君。
武正委員 おはようございます。民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。
 まず冒頭、竹中大臣には、先週の質疑の中で、本法案の提出に当たり、住民基本台帳法改正案の附則第一条第二項、これを理由に挙げられ、そしてまたIT化の進展ということを挙げられておりますけれども、情報公開法の制定もこの個人情報保護法提出の大きな理由になっているのではないかと考えますが、御所見を伺います。
竹中国務大臣 情報公開法、平成十一年に制定されたそのものの立法過程において、委員御指摘のように、行政改革委員会の意見書の中で次のように述べられているところがあります。本人開示の問題は基本的には個人情報の保護に関連する制度の中で解決すべき問題である、そういう指摘がございました。
 ただ、個人情報保護法案は、IT化の進展等を背景に、民間部分をも対象にして、個人情報の有用性に配慮しながら、今総務大臣もおっしゃったような、プライバシーを初めとする個人の権利利益を保護するために立案されたものである、この趣旨はあくまでもそういうところにございます。情報公開法と直接これがつながっているということではないというふうに認識をしております。
武正委員 先週の委員会での質疑もございまして、金曜日に総理が出席して改めて政府の姿勢を問うといった形で委員会が組まれているように伺っておりますので、きょうは、行政機関の個人情報保護法を中心に、総務大臣に、そしてまた内閣の方針につきましては官房長官そして松下副大臣にということで御答弁をお願いしたいと思います。
 同じ質問になりますが、この行政機関の個人情報保護法を行政機関の情報公開法、いわゆる情報公開法と比較いたしますと、行政機関の個人情報保護法の十三条の一項、三項、十四条、十五条、十六条、十七条、十八条、十九条、二十条、二十一条、二十三条、二十四条、二十五条、四十三条、これが、情報公開法の四条、五条、六条、七条、八条、九条、十条、十一条、十二条、十三条、十四条、十五条、十九条とほとんど一言一句同じでございます。このことも、私は、情報公開法の制定が本法案提出の理由と見るのでありますが、総務大臣の御所見を伺います。
片山国務大臣 先ほども竹中大臣からお答えがありましたように、情報公開法の制定を提言した行政改革委員会の意見がありますね。その中に、本人開示の問題については早急に専門的な検討を進め、その解決を図る必要がある、関係省庁においては個人の権利利益の保護の観点からそういうことをやれ、こういう意見が言われている。こういうことを受けてつくったということもありますし、今委員御指摘のように、情報公開の方と大変似ておりますよね。むしろ向こうを参考にしながら立案した、こういうことであります。
武正委員 竹中大臣からは、直接は関係はないんだ、総務大臣からは、行政機関の個人情報保護法については参考にしながらつくったということでありますが、情報公開と個人情報保護と密接な連携、関係がありながら、実は、しかし法律の目的が全然違うといったところをこれから指摘をさせていただきたいと思います。
 まず、行政機関の個人情報保護法四十二条で「審査会への諮問」とされておりますが、情報公開・個人情報保護審査会、これは情報公開法制定時は九名、独法の情報公開法が施行されると三名ふえて十二名、そして今回の個人情報保護法施行でプラス三名、十五名となるわけですが、先ほど言ったように、情報公開と個人情報は、大変連携密接なものがありますが、法律の目的が違う。九名に独法で三名ふやしたのはわかるとして、個人情報保護という大変大事な側面なのに独法の公開と同じ三名というのは、個人情報保護を軽視しているのではないかと考えます。そしてまた、そもそもこれは法律の目的が違うわけですから、審査会は分けるべきではないか。さらに、情報公開法でも議論のあった三条委員会にすべきではないかと思いますが、以上、総務大臣の御所見を伺います。
片山国務大臣 数の問題なんですが、新たな制度ということもありまして、どのくらいの審査会の諮問件数になるかということは今は予測困難であります。ただ、都道府県や政令市における状況等を勘案して、情報公開関係の四分の一ぐらいでどうかな。なるべく少数精鋭で、こういうことですが、実際は、十五人の中でやるんですから、状況に応じてはその分担関係を変更することもあり得るし、業務量を見ながら今後考えていけばいいんではなかろうか、こういうふうに私は思っているわけであります。
 それから、例の三条か八条か、こういう議論はありますけれども、諮問機関として第三者的な立場から中立公平な意見を述べる。決定権者はそれぞれ各大臣ということになるんでしょうけれども、諮問機関の答申、それをそのとおり尊重するということでやっておりますから、三条というとちょっと物々しいですよね。だから、そういう意味では、八条で、機能さえしっかり担保できればいいんではなかろうか、こういうことであります。
武正委員 二つに分けるべきであるということはいかがでしょうか。
片山国務大臣 我々は、十五人の中でやった方が効率的ではないかと考えておりますけれども、状況によっては、今後の検討課題に私はなると思います。
武正委員 先ほど、地方自治体のお話をされました。これは行政機関等個人情報保護法制研究会第四回の議論の中で東京都の例を挙げておられまして、東京都では、平成十二年度の新規諮問を見ると、情報公開審査会が二十五件、個人情報保護審査会が七件となっていて、情報公開の諮問件数に比べると個人情報保護の諮問件数は少ない、これを理由に挙げているんですが、これは後ほど指摘をしますが、全国の自治体の個人情報保護条例が個人情報を対象としておりまして、本法のような形で個人情報ファイルを公表する、そうするとどこに自分の個人情報があるかわかるというような仕組みはとっていないといった問題点も地方自治体の条例にあるということを指摘させていただきます。
 先ほど来のお話ですが、行政機関の個人情報保護法と行政機関の情報公開法は目的が明らかに異なるというふうに考えます。もちろん、これは個人情報保護法も同じであります。
 ちなみに、個人情報保護法では、目的のところ、かいつまんで言えば、個人情報の適正な取り扱い、そして基本となる事項を定め、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務など、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する。行政機関の個人情報保護法においても、行政機関における個人情報の取り扱いに関する基本的事項を定め、行政の適正かつ円滑な運営、これはいろいろ問題がありますが、個人の権利利益を保護する。一方、情報公開法は、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判のもとにある公正で民主的な行政の推進に資する。明らかに目的が違うわけですね。
 ですから、先ほど審査会も二つに分けるべきであるといったことで、検討に値するといったことが総務大臣から御答弁があったというふうに私は理解をいたします。
 さて、不服審査会の性格について、先ほど、物々しいという総務大臣の御答弁がありましたが、八条と三条の違いは、申すまでもなく、三条の方が、例えば各省の大臣に対してやはりきちっと物が言える、八条では、建議というのでしょうか、下から物を申し上げるというような形で、明らかに格が違うといったことが言われておりますので、私はやはり三条委員会がふさわしいというふうに思うのですね。
 これについては、総務庁の行政管理局がまとめておられる行政改革委員会の「情報公開法制の確立に関する意見関係資料」でも、不服審査会の性格については、裁決機関とするとの考え、三条委員会にするとの考え方もあり得るが、しかし、裁決機関とすると、一般に手続が厳格になり、簡易迅速な救済の実現が困難になるおそれがある、そこで諮問機関とすることとした、八条委員会にすることとしたということなんですが、昨年スタートした情報公開法での不服審査会については迅速さに欠けているという指摘がございます。
 不服申し立て件数は千三百四十二件、うち諮問件数は三百八十四件、ですから千件近い件数が棚上げになっている。また、開示決定の期間延長がされたものが四万五千七十一件中七千七百四件、それも三百六十日以上というようなケースもある。これは、各省庁が諮問するまでの期限がないということで、省庁側で抱えてしまっている。
 これも、やはり私は、三条委員会として各省庁に対してきちっと諮問を速やかにするようにというような性格も必要ではないかなと思うのでありますが、重ねて、三条委員会にすべきと考えますが、総務大臣の御所見をお願いいたします。
片山国務大臣 三条委員会は大変独立性が強くなるのですね。それから、手続が今言いましたように厳重になる。そういう意味では機動性に欠けるというような議論が三条委員会についてある。三条と八条については昔から議論があるのです。
 そこで、今委員が言われましたこの処理状況なんですが、昨年の四月に情報公開法を施行いたしましたが、本年の五月二十一日までに、諮問件数四百二十七件のうち、二百五件を答申済み、取り下げが四件あって、結果としてはそれをカウントすると二百九件、約五割ですね、これが処理済み、こういうことでございます。
 スタートしてまだ一年ということもあると思いますし、いろいろな関係人からの状況聴取も手間がかかっているということがあると思いますけれども、余り時間をかけるのは必ずしもよろしくない。こういうことはもう少しスピードアップを図ってもらう、こういう必要があるのではなかろうかと思いますし、今回の審査会の委員さんは両議院の同意を得て任命されるということも大変権威が高いわけでありまして、三条、八条の議論はよく行われるのですけれども、私は、三条よりも八条の方が、トータルとしてはそういう考え方がベターではなかろうか、こう思っております。
武正委員 この情報公開については、開示率八九%、ただし部分開示が三三%ということでございます。部分開示が多いといった問題も指摘をされておりますし、また、文書管理の法制化が必要であるということですね。
 我々も、いろいろ各省庁に資料を要求しますと、もう五年たちましたので破棄処分にしましたというような答えが返ってくるのですが、失われた十年と言われる中で、やはり十年は見たいわけですね。あるいは二十年前から見たいんですが、ないですという答えが出てくる。これについては自民党の若手議員も、新聞で、結局情報公開法で請求しなければ省庁から資料が来ないということも報道にあります。
 こういった問題点を指摘して、今の三条委員会の件、これは官房長官にお伺いしたいのですが、この通常国会では、人権擁護法案で、法務省の外局として人権委員会を国家行政組織法三条委員会として設ける。これは、その意味では一つ前進したのかなというふうに思うのですが、ただ、民主党とすれば、法務大臣、法務省のもとではやはり問題だ、内閣府の外局とすべきということを対案として提示をしております。
 しかしながら、聞くところによりますと、法務省の外局である司法試験管理委員会ですか、これを三条委員会から八条委員会におろす、格下げにする。こういったことで、一個三条委員会にしたら一個は八条委員会に戻しますよ、こんな形にうかがえるわけなんです。
 私は三条委員会はもっとどんどんつくっていいというふうに思うのですが、内閣として何らかの方針のもと臨んでおられるのか、官房長官、御所見をお願いします。
福田国務大臣 まず、人権擁護法でございますけれども、ここに新たに整備されます人権救済制度におきまして、公権力による人権侵害や報道機関による人権侵害を特別の救済手続の対象としております。これを所掌する人権委員会については、高度の独立性を確保する必要があることから、いわゆる三条委員会として設置する必要があると考えております。
 また一方、司法試験管理委員会につきましては、司法制度改革審議会意見でもそのあり方の見直しが提言されておりますが、中央省庁等改革基本法第二条に規定する基本理念、また同種の国家試験の多くが国家行政組織法第八条に規定する機関で実施されているということなどを総合的に勘案しますと、この委員会はいわゆる八条機関として改組することが適当、このように考えている結果でございます。
武正委員 いわゆる行政改革の視点からということはございますか。
福田国務大臣 行政改革におきましても、三条委員会は、これについてはふやすべきでないという考え方が示されていると思います。
武正委員 私は、さきの質問で続けて聞いたのですけれども、行政改革の視点からというふうに伺っております。
 ただ、やはり国民の知る権利、これは附帯決議になりました、情報公開法のとき。今の情報公開の流れの中において、また、行政のさじかげん、裁量をできるだけ減らしていくという意味では、独立行政委員会は、これは行政改革会議が最終報告で言っております。戦後二十幾つあったのが今七つですね。行政改革会議は、行政委員会を公正中立性や専門技術性などの必要から評価し、現行の諸委員会を存置する、残すという方向を打ち出すとともに、政策の企画立案機能と実施機能の分離という理念のもと、行政委員会を実施機能の分離、充実の観点から活用、新設するという展望を示しているのですが、平成四年の証券取引等委員会、平成七年の地方分権推進委員会、平成十一年の原子力安全委員会、いずれも三条委員会を求めたわけですが、見送られ、八条委員会になりました。
 私は、増設を求めていく、増設すべきであろうというふうに考えますが、再度官房長官の御所見を伺います。
福田国務大臣 三条委員会につきましては、独立行政機関であるこの委員会が、大臣で構成される内閣が行政責任を負うという憲法上の考え方から、我が国の行政制度にはなじまない、こういう批判もございまして、公正中立的な立場において慎重な判断を必要とする受動的な事務を主とするものを除いて昭和二十七年以来大幅に整理されまして、現在は七機関のみ、こういうことになっております。
武正委員 当時、吉田茂、吉田内閣のときでありますが、行政委員会制度の再検討ということで、二十幾つあったものを減らしていこうということが決められたのは承知をしております。しかし、私は、先ほど来触れておりますように、行政委員会、これはやはり日本国憲法のもと、国民主権といったことを実現するためにつくられた制度ですよね。私は、やはり行政の準立法、準司法的なものは独立をさせていくべきだろうというふうに考えております。
 さて、次に移らせていただきますが、情報公開審査会は、事務局の定員、現在九名、独法が施行されますと十一名。これでいくと、先ほどの委員が三名、三名ふえたんで、本法案施行後は二人ふえて十三名になってしまうのか。事務局がたった十三名。そしてまた、その他各府省からの併任職員が十四名という今の現状ですが、各国の監督制度の事務局は、イギリスの情報保護委員会が百名、フランスの情報処理及び自由に関する国家委員会が六十名、ドイツの連邦データ保護委員会が六十二名からしても余りにも少ないと考えますが、松下副大臣、御答弁をお願いします。
松下副大臣 確かに、委員が今おっしゃったような状況になっております。
 調べてみたんですけれども、各国における個人情報保護の監督機関、これはいろいろあるようでございます。例えば、イギリスの例でいきますと、これは国だけではなくて地方公共団体でありますとか民間団体をも対象としているということ、それから、個人情報保護の制度上の問題そのものにもいろいろ権限を有していくという幅広い大きな組織であるというふうなことがわかっておりまして、職員数だけで単純に比較はできないかなというふうにも思っております。
 我が方の情報公開審査会、これは内閣府に今あるわけですけれども、情報公開に関する諮問事件を調査審議するということになっております。開示請求者から開示請求が役所に出てくる、役所がそれを開示する、あるいは開示しないと決定して不開示を通知する。こうなったときに、開示請求者が、それじゃ不満だということで不服申し立てをする、それが行政機関を通してこの情報公開審査会に来るということで、この不服申し立てに対する審査をしていくということに限られているということもありまして、仕事の中身は限定されているのかなというふうに思っております。
 そういうことからいきますと、現在、おっしゃったように合計二十四人体制で進めておりまして、今仕事はこれできちっとこなしているなというふうには思っております。
 今回の法案によって、情報公開審査会が情報公開・個人情報保護審査会へ今おっしゃいましたように改組されてくる、そして個人の情報保護関係の諮問事件を新たに処理していくことというふうになってくるわけですけれども、これはまた状況を見ながらさらに必要な整備充実は行っていかないかぬかなとも思っておるところでございます。
武正委員 先ほど総務大臣も状況を見ながら、今も松下副大臣も状況を見ながらと言う。これだけの大事な重要法案をスタートしてから考えようというような政府の姿勢は、到底容認できないのでございます。
 そして、次に移らせていただきますが、安全確保、六条、従事者の義務、七条については、国家公務員法の守秘義務だけでは不十分であり、アウトソーシングする法人、従事者の守秘義務を違反した場合の義務違反に対する罰則がない。少なくとも、住民基本台帳法六章にあるように、従事した職員及びアウトソーシング法人、従事者に対する罰則規定を新設すべきと考える。この国家公務員法の守秘義務の罰則は一年以下の懲役、三万円以下の罰金。住民基本台帳法の守秘義務違反の罰則では二年以下の懲役、百万円以下の罰金に比べても軽過ぎる。日弁連さんは、重大かつ深刻な被害が生じ得ることに対する罰則であることが明らかになるような法定刑、三年ないし五年とすべきというような提言も出しておりますが、この点について、総務大臣、御所見をお願いいたします。
片山国務大臣 今回の行政機関法制は、個人の秘密に限らず、広く個人情報一般を対象としております。したがいまして、個人情報の漏えいによる実質的な支障の有無を問わずに一律に適用される罰則規定を設けることは適当でない、こういうふうに考えております。また、個人情報の漏えいのみを特に重く処罰するとしたら、全般の似たものとのバランスの問題などがある、こういうことでございまして、これは法務省その他ともよく協議しながら慎重に検討を重ねる必要があるのではないかと考えております。
武正委員 「公務員と秘密保持義務」ということで、石村善治さんが、「とくに行政の「公開原則」のもとでは、「公務員の秘密保持義務」にいう「秘密」の内容・態様について再検討・再構成されるべきことが緊急の課題」というふうにされておりますし、また、これは沖縄密約事件第一審判決、東京地裁でありますが、「わが国のような民主主義国家においては、公務は原則として国民による不断の監視と公共的討論の場での批判又は支持とを受けつつ行われるのが建前である」ということでありますので、情報公開、公開原則、その中での公務員の秘密保持義務、これは緊急に見直す必要があるということで、私はこの罰則はやはり重くしていかなければならないというふうに考えます。
 その理由として、年次別刑法犯の検挙人数が、平成十二年、十三年と前年比二〇%の高い伸びを見せております。ちなみに、平成九年千二百九十三件ですが、平成十三年にもう千六百二十一件ということで、特に十二年、十三年と高い伸びを見せておりますが、このように公務員の犯罪、刑法犯がふえている。こういったことも多くの国民はまた報道で知るところであります。
 その点でいっても、この公務員の情報漏えいといったこと、しかも、これは情報をどういう形で漏らしたのかというその見きわめが大変あいまいでありますから、そういった中で、果たしてこの罰則で十分なのかどうか、再度、総務大臣の御所見、御答弁をお願いいたします。
片山国務大臣 委員の御意見、御心配は、それなりに私も理解できないことはないものですから、まあこれも同じ答弁でおしかりを受けるかもしれませんが、状況を見ながら、幅広く検討させていただく対象にいたしたいと思っております。
武正委員 本法案では絶対罰則を重くしていくべきだなというふうに私は考えます。
 さて、最後に、自治体の条例なんですけれども、先ほどあるいは先週、八割の自治体でもうつくられていますよと総務大臣の御答弁があったんですが、ただ、冒頭言っておりますように、個人情報そのものを保護し、そして開示対象としておりまして、個人情報保護と情報公開が一緒くたになった形になっているんですね。これは、個人情報が一定の規則で蓄積されるに至った個人情報ファイルという形で地方自治体の条例も明文化すべきではないのだろうか。
 それをされなかった理由というのが、我が国最初の条例である春日市の条例に範をとったからだ、あるいは、我が国で初めて自己情報開示請求権を規定したと考えられる大阪府公文書等公開条例が、情報公開制度の中でこの自己情報開示請求権を規定したからだというふうに言われておりますが、この自己情報を個人情報ファイルという形で条例に規定すべきだと考えますが、大臣の御所見を伺います。
片山国務大臣 地方公共団体における個人情報保護条例は、それぞれの団体が自主的な判断によって制定される、こういうものでございますけれども、例えば、その条例を見ますと、個人情報取扱事務の事前登録だとか、個人情報取扱事務登録簿の作成、公表、閲覧などに関する規定を設けているところもありまして、地方公共団体の判断によってそれなりに適切な個人情報の保護措置を講じているところがある、こういうふうに我々は認識いたしております。
 総務省では、地方公共団体に対しまして、我々こういう法律をつくるんですから、こういう法律を一つの参考にして条例の中身についての精査を行ってもらって、必要があれば改正してもらう、こういう指導もいたしたいと考えております。
武正委員 参考になるのは、西宮市の個人情報保護条例のように明文化していくべきだろうと考えます。そのためにも、やはり、審査会が一緒くたになっていると、情報公開と個人情報保護が一緒くたでいいのかというような誤解を招きますので、私は、これはやはり分けるべきということを再度申し上げて、あと一分でありますので、日弁連が二〇〇一年二月二日に意見書で、地方公共団体の措置ということで、条例制定等の施策ということを基本法制にも盛り込むべきではないかということを言っております。ですから、地方自治体に対して、努力義務という基本法制でありますが、私は、この条例制定等の施策というような形も盛り込むべきではないかということを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて武正君の質疑は終了いたしました。
 次に、河村たかし君。
河村(た)委員 まず、個人情報保護法について、ちょっと総理大臣の解釈というものがこれはどえりゃあ重要なものであるということで、一応確認しておきますが、この間の四月二十五日の本会議で、要するに義務規定の適用除外として報道などの四分野を挙げている。それには、週刊誌、テレビのワイドショー、ノンフィクション、小説、映画とかそういうものが入るかどうかということについて、総理が、御指摘の雑誌、写真週刊誌、ワイドショー等においても同様であるというふうに答弁されておりますが、これは間違いないですね。
竹中国務大臣 総理が本会議で……(河村(た)委員「一言でいいです」と呼ぶ)そのとおりでございます。
    〔委員長退席、野田(佳)委員長代理着席〕
河村(た)委員 そうしますと、総理がかわった場合でも、これは当然そのとおりになりますよね。
竹中国務大臣 基本的に立法者の趣旨としてそういうことを総理は表明されたわけで、非常に大きな意味を持つということだと思います。(河村(た)委員「何だって」と呼ぶ)立法者の趣旨として申し上げておりますので、そのとおりだということでございます。
河村(た)委員 では、それを確認しておいて。
 それから、この法制度ができた一つの原因として、いわゆるEU指令というのがあります。九五年に出たEU指令、これが言っておるのが、EU指令二十五条は、第三国にヨーロッパのデータを移す場合は適正な水準の保護を保障していないといかぬということを言われて、それに基づいてこれは努力をしたということになっておるわけです。
 何かEUから言われたことありますか、これについて。
竹中国務大臣 九五年のEU指令の二十五条の話だと思いますけれども、加盟各国に対して法制化を求めるとともに、第三国の移転制限規定があるわけですけれども、日本に対して具体的に発動されたり議論された例はこれまでのところはないということであります。
河村(た)委員 何もないわけだ、これは。何も言ってきておらぬわけだ、九五年、もう七年間。それなら、これだけ問題になっておるのに、ほとんどこれは全ジャーナリズムが反対しておる。それから━━━でも本当の自由を愛する人は反対しておる。こういう状況下において何で無理やりやるんですか、こんなのを。これはどうなっておるんですか。慎重にやればいいじゃないの、何にもEUは言ってきていないのだから。
竹中国務大臣 基本的にこの立法の趣旨は、先ほども申し上げましたけれども、IT時代にふさわしい個人情報の保護、個人の人格権を守るということからこれは必要であるというのがIT政策上の大前提であります。
 その上で、EUのお話が出ましたけれども、これまでのところはそういった議論はないわけでありますけれども、将来的には、しかも近い将来にそういうことは十分に考えられるというふうに私は思っております。
河村(た)委員 では、近い将来に考えられるなら近い将来までこれは十分ちゃんと慎重審議して、それでいいと言ったらどうですか。
竹中国務大臣 近い将来というのはあすにもそういうことがあるかもしれませんから、これはやはりきっちりと準備しておかなければいけないという趣旨です。
河村(た)委員 何にも言ってきていないのだ、実はEUは、こういうのをつくったと。アメリカなんかはセーフ・ハーバーといって、ガイドラインを積み重ねていいと言っておる。通産省もこの間までそう言っておったわけだ。何でこんなころっと変わって、これはうそじゃないのかな。
 もっと慎重に、本当に、自民党の中の自由を愛する皆さんが賛成するような体制まで持っていってそれからで十分じゃないですか。あなたは間違っておるよ、何も言っていないんだから。何も言っていないんだ、EUは。言ったでしょう、あなたは。――あなたは関係ないよ。大臣、大臣。関係ないじゃないか。大臣ですよ。
竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、この法案の成立を急いでお願いしたいと思っている理由は一つではありません。基本的には、今この瞬間も私たちの個人情報ははんらんしているわけで、これはやはり一刻も早くとめなければいけない、そういう非常に強い懸念があるんだと思います。
 そのために法整備の準備を過去数年間進めてきたわけでありまして、対外的な関係においても、一種のグローバルスタンダードを満たすという意味でも、これはやはり法整備が急がれる状況にあるというふうに強く認識をしております。
    〔野田(佳)委員長代理退席、委員長着席〕
河村(た)委員 とにかく何も言ってきていないということははっきりしました、これは。何にも言ってきていない、EUは。急がれる、そういう必要があるといったって、そんなのは別に何も今国会で無理にやらぬでも、こんな状況なら十分ゆっくりやってもいい。やらないかぬじゃないです。だから、本心はそこじゃないんじゃないの、本心は。もっと理由があると言っておったでしょう。やはり八月五日に国民に番号がつけられる。この日に日本国民は囚人になる。このためにやろうとしているんじゃないのかな、これは。どうですか。
竹中国務大臣 河村委員の持論は私なりによく存じ上げているつもりでございますけれども、立法の趣旨そのものはそういうふうに、これは総務大臣の方から後でお話があるかもしれませんが、むしろ国家がコントロールすることではなくて、むしろこれは逆に住民の、各自治体がネットワークをつくる、その中でさまざまな利用目的を制限する、そういうことを防止するために、これは住基ネットの方でありますから私が申し上げることではありませんけれども、この住基に関連するさまざまな法整備が今総務省を中心に行われていて、それと、実は個人情報の保護という観点から、先ほどから申し上げましたように、包括的な法整備を行うことが時代の要請として求められているという中で今の議論をお願いしているわけです。
河村(た)委員 では、もう一回竹中さんにちょっと伺いますけれども、国民に番号をつけて管理を強めることは間違いない、これは。いろいろなデータが入ることは間違いない。私は自由主義経済論者だと竹中さんを思っていますし、どちらかというとケインズ流よりシュンペーター流であると自分も言っておられたじゃないですか。そういう人間にとって、こんな番号をつけるのを、これは共通番号ですよ。私は運転免許証とか基礎年金番号とかそれぞれ別の番号をつけることは反対しておりません。それは現にありますよ。だけれども、国民共通番号、あなたは何番です、一生不変の、全国民に番号をつけるということは、あなたの目指しておる経済像と違うじゃないですか。堂々と言ったらどうですか。
 そうやって国民を全部管理してきちっと措置していこうというのは、どっちかというとケインズ流の考え方じゃないですか。自由主義経済論者というのは、国家の仕事をなるべく少なくしていって、いろいろな人がいろいろなところでビジネスを起こす、そういうのをどんどんサポートしていこうというのが新しい考え方じゃないですか。現に世界でも全く違っていますからね、言っておくけれども。自民党の方、何を考えておられるのか知らぬけれども。
 私は自民党の人にお願いしたいよ。自民党はやはり自由を守ってきた、非常に重要な活動をされたのですよ、戦後。自民党がこんな役人にだまされてしまって、総務省に、本当に情けない。自民党の中の本当の自由主義経済を愛する人たちが、これはだめだと言って立ち上がらなければいかぬ。こんなことをやったら、本当に二十一世紀の日本はだめになるぞ。竹中さん、あなたはそのリーダーじゃなかったのか。私はそれを考えて、本当に期待しているんだよ、民間から来たから。自民党は自由を守らなければいかぬ、自由を。どうですか、竹中さん。(発言する者あり)
大畠委員長 議場では静かにお願いいたします。
竹中国務大臣 竹中さん、あなたは自由主義経済論者だろうというふうに河村委員からきょうは言われるだろうなというふうに思っておりました。
 ちなみに、ケインズも国が国民を管理しろということはもちろん言っておられないわけでありまして、国民に付した番号をもとに国があらゆる情報を一元的に管理、収集するという国民総背番号制と今議論されていることは全く異なるものであるというふうに私は思います。これは国家による個人情報の一元管理を行うものではない。住基台帳ネットワークシステムというのは、この間これは総務大臣からも……(河村(た)委員「これは読むんじゃなくて、自分の意見でしゃべらないと」と呼ぶ)いやいや、事実を確認しながらしゃべっておりますが、これは自治体の共同システムであって、国が一元的にそもそも管理するシステムではありません。それと、情報の範囲を制限して、利用目的を制限するということでありますから、むしろさまざまな個人情報を一元的に管理、収集することを認めないというシステムを我々は想定しているわけであります。
 自由が重要なことは言うまでもない。個人の人格を守るということもその意味で大変重要であるというふうに思っているわけであります。
河村(た)委員 全く情けないわ、やはり政府に入るとこれほど周りに包囲されるのかと思って。竹中さん、本心では泣いておると思うよ。自分の考えておることと違う、実際。
 人間に番号をつけて、何がそれを統一的に管理するのじゃないんですか。冗談じゃないですよ。それじゃやめなさいよ、そんな番号。必要ないじゃないですか。まず、そんなことを何のためにやるんですか。運転免許証番号に基礎年金番号、別々にしておけばいいじゃないですか。自治体も何の不都合があるんですか、今。とんでもない話なんだ。
 だから、私が竹中さんに期待しておくのは、僕は大臣になったことはないので……(発言する者あり)まあ、いいですよ、後で聞きますから。大臣になったことないですからあれですが、いかに民間の経済をやっておる人でも、こういう官僚機構の中に入ってしまうとやはり言わざるを得ないのか、そういう役所の作文を。これは限定的に、目的を限定しておるからと今言われましたけれども、背番号でないと。とんでもない話ですよ、そんなもの。それなら番号をつけるなよ、そんなこと、四情報だけだったら。住所、氏名、生年月日、性別だけだったら、要らないじゃないですか、そんなこと。もう既に納税者番号にも使いたいとかなんとか、変なことを言っておるじゃないですか、めちゃくちゃな、整理番号があるにもかかわらず。全く情けないというふうにまず思います。
 それから、住基ネットの各コンピューターがずっとありますわね。最後、これはどこかに集めて、完全分散管理じゃないようです。どこにあるんですか、コンピューターは。一億二千七百万国民の全データ、全データといっても、当初は六情報です。住所、氏名、生年月日、性別、番号、それから付随情報、この六情報と、うそを言っておりますが、この六情報を全部集中してどこかでコンピューターに入れていかなきゃいかぬわな、大臣。どこにあるんですか、これは。
片山国務大臣 河村委員、これは国が一元的に管理するシステムじゃないんですよ。地方団体が共同でやるんですよ。だから、都道府県が……(河村(た)委員「それなら、みんな嫌がっておるやつをやるのをやめなさいよ」と呼ぶ)いやいや、どこも嫌がっていませんよ。(河村(た)委員「何を言っているんだ、アンケートで出しているじゃないか」と呼ぶ)いやいや……
大畠委員長 質疑は委員長の了解を得ながらやってください。
片山国務大臣 すべての団体が合意して、共同でシステムをつくろうと。四情報ですよ、委員が言われるように。しかし、それは四情報だけで、しかもそれは住民票の出し入れを大変簡便にする、国民のための便宜を図るということと、もう一つは、これから申請、届け出をオンライン化するわけでしょう、電子政府、電子自治体で。そのときの情報確認を、本人確認を行政が求めたときにこたえる仕組みがなきゃいかぬ。そうでなきゃ、一々住民票の添付をして附帯書類を持っていくようなことになるわけですから。
 そういうことで、地方団体が共同でやろうということなんで、それをやってもらうような法的な根拠を与えたわけでありますが、それは東京にあります。それは東京にありまして、これは全都道府県から委任を受けて……。それは東京にありまして、これを公表することがセキュリティー上いいかどうかという議論もありますので、しかるべきときに、ちゃんとあります。
河村(た)委員 東京のどこですか。東京と言ったって広いじゃないですか。東京のどこにあるんですか。
片山国務大臣 これはちょっと我々も相談しなきゃいかぬのですけれども、都道府県、関係のところと。セキュリティーその他の面からなるべくこれを公表しない、こういうことなんです。二十三区内にあります。
河村(た)委員 あなた、国民一億二千七百万人に対して失礼だぞ、まず政府は。個人の全情報が集まるところがどこにあるか答えられない。何を言っているんだ、一体。とんでもない話だよ。こんなところに任せていいのかね、こんなばかな、こんな秘密主義の。
 それじゃ、これはだれが管理しているの、このコンピューター。
片山国務大臣 こういうことなんですよ。都道府県に法的な責任、権限があるんですよ。それを、いろいろな照会について一元的に回答する機関があった方がいいというので、指定機関をつくっているんですよ。地方自治情報センターなんですよ。その地方自治情報センターがそれをやっている、こういうことでございまして、委任した都道府県の了解を得ないとそれを言うことはいかがかな、こう思っているわけでありまして、セキュリティー上のいろいろな議論があるから、それを万全な、そういう意味での対応をとった後、公表するということはあると思っております。
河村(た)委員 これは本当に公表してもらわなきゃいかぬ。とんでもない話だ。そんな重要なセキュリティーの問題があるんだったら、何で何とかセンターというところにやらせるの、そんなもの。いいかげんにしておいてもらわないといかぬよ、そんなの。それならそれで、あなたが自分で出ていって、直轄でやったらどうですか、そんな秘密なら。そうでしょう。何とかセンターという外郭団体に任せておいて、セキュリティー上、大事だからどこにあるか言えません、そんなの全然話にならぬぞ、これは。執行、やめなさいよ、こんなばかな秘密主義の。官尊民卑も甚だしい、これは。
片山国務大臣 今言いましたように、都道府県の委任を受けた委任機関なんですよ、地方自治情報センターは。もともと地方自治情報センターというのは、都道府県や市町村のいろいろなことについての情報処理の委任を受けてやるシステムを開発したり、いろいろなことをやる機関なんですよ。だから、そこが委任を受けているんで、委任者の意向を聞かないと私は言えないと言っているだけの話なんで、国会軽視でも何でもありませんよ。
河村(た)委員 KSKシステムというのがありますわね。御存じかな。国税総合管理システム。これはデータを国税庁が持っていますよ。これは今は朝霞にあります。前は、横浜へ行って、私、見に行きました、何をやっているんだといって。国税の、要するに全部のデータですよ、税のデータ。それでもちゃんと言っているんですよ、当然、国民、納税者に対して。失礼だということですよ、それは。納税者に対して、あなたたちのデータがどこにあるかということを言うというのは国の義務ですよ、そんなの。それを、何ですか、今めちゃくちゃな話をしておって。そんなこと、県がどうのこうのよりも、率先して自分のところから、ここにあってこうですよ、それが務めであって、何を言っておるんですか、一体。
片山国務大臣 データ保護やプライバシー保護は徹底して管理されなければいけませんね、一般論として。
 そこで、今言っているように、法的な権限は、国税とは違うんですよ。国税は国ですよ。今回のシステムは地方団体の共同システムなんですよ。地方団体が中心なんですよ。だから、その委任者であるそこと相談しないと、公表することは私の一存ではいかない、こう言っているので、どこがおかしいですか。
河村(た)委員 そんな、総合的に集めるようなところが言えぬようだったら県にいろいろなことを頼んだりとかそんなことを言う資格もないですよ、そんなもの。
 あなたは、そんな、県がどうのこうのよりも、一億二千七百万人の全データを全部入っているコンピューターを預かる責任者なんだよ。集めるなよ、そんなことだったら。じゃ、何でばらばらにさせなかったんだよ、そんなら。自己矛盾も甚だしいじゃないか。まことに申しわけない、すぐにでも公開すると言ったらどうだ。それができなかったらやめてくれよ、こんな話は。本当に国民に失礼だよ。そう思わないですか。
 これは本当に国民がみんな怒るよ。自分のデータがどこに集中されているか、場所もわからない。それで、その管理が、何だよ、外郭団体だよ。
 それからもう一つ言う。大臣、福田さん、有事法制とか言っておるんだったら、例えばこういうところに、もし電源がアウトになったらバックアップとっておるかどうか。これから海外にぼんととられるかわかりませんよ、全情報が。そんなことを隠しておいてやることがいいというのは官尊民卑も甚だしいんだよ、これは。それはきちっとみんなに知らせて、こういうところできちっと、国民の皆さん、やります、それこそがいわゆる有事法制の原点じゃないですか、そんなもの、危機管理の。これはちょっと大臣、どう思いますか。――いや、福田さんに頼む。同じ答弁ばかりだと参っちゃうから。
片山国務大臣 同じ答弁じゃありませんよ。
 いや、今何度も言いますように、都道府県が責任を持っているんですよ、都道府県内のネットワークについて。それを全国的につないで、例えば住所が変わったときにどこでもその住所変更の手続ができるような簡便さなんですよ。そこで、地方自治情報センターという指定情報処理機関がやるのは、行政から確認が来たときにあちこちにばらばらやるのは手間が大変だから、都道府県の委任を受けて、情報確認の回答だけを一元的にやるんですよ。しかも四情報ですよ。全情報を一元的に国が管理するなんというシステムはやりませんよ。根本的にそこにあなたの誤解がある。
河村(た)委員 何を言っているんだよ。そんな、住民票をとるだけならそんなことやるなよ。何の必要もない、そんなのは。電話とファクスで十分だよ。冗談じゃないですよ。どんどん業務も拡大してもうやっているじゃないか。冗談じゃない。
 では、このことを言っておると次が行けませんので、次に変わります。
 次は、これは前の民主党の委員からも質問がありましたけれども、このいわゆる個人情報保護法が施行の前提であるということを言いまして、福田さんもそのことについて答弁されておりますけれども、その姿勢ですね。小渕さん、亡くなられましたので、その姿勢は、内閣の一つの継続性として、官房長官、これは引き続き堅持されておられますね。
福田国務大臣 先ほども、総理がかわったらば変わるかどうか、こういうことでございましたけれども、そういうことではないと答弁ございました。
 平成十一年の改正住民基本台帳法案の国会審議の過程において、十分な個人情報保護措置が講じられているものの、なおプライバシー保護に対する漠然とした不安、懸念が強まっているということを踏まえまして、議員修正によりまして、「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」こういう規定が追加されました。この所要の措置は、民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることなどを示すものとの自治大臣答弁もなされております。住民基本台帳ネットワークシステムの実施に当たりまして、「民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提である」という小渕総理の答弁がなされました。
 そして、こうした国会審議を踏まえまして、政府として昨年三月に国会に提出をしたところでございまして、そういう経過でございます。
河村(た)委員 では、その前提であるといって小渕さんがおっしゃられたこと、この内閣の姿勢は引き続き守られますね。
福田国務大臣 それは、その考え方を踏まえた上で、今この法案の早期成立をお願いをしておるところでございます。
河村(た)委員 そうすれば、本当にこれがもし成立しなかった場合、当然その内閣の意思を引き継ぐんだから、この施行はできませんね。
福田国務大臣 この平成十一年の改正住民基本台帳法案の国会審議において、「民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提である」という総理答弁がなされたことは今申し上げたとおりでございますけれども、したがいまして、この住民基本台帳ネットワークシステムの実施に際し、個人情報保護法が成立しているということは望まれるところでございまして、したがって、繰り返しますが、法案の早期成立を図りたいと考えておるところでございます。
河村(た)委員 望まれるじゃなくて、それは内閣として当然引き継ぐんだから、これは一体性がありますから、そういう前提であるから、望まれるんじゃなくて、施行できないということでいいですね。
福田国務大臣 この住民基本台帳システムの実施につきましては、これは公布の日から三年以内に施行するということ、それからまた、各地方公共団体がもう本年八月の施行に向けまして綿密なる着実な準備をしているところでございます。そういうことを考えますと、この住基システム、これは実施する必要があると考えております。なお、あわせて個人情報保護法案も早期の成立を図りたい、こう考えております。
河村(た)委員 はっきりしてもらわないと、やはり官房長官として内閣の意思をはっきりさせるかなめのお仕事だと思うんですよね。だから、それは施行されるかどうか、希望を言っておるのは希望ですけれども、少なくとも国会を通すときに、皆さん、あのときの国会議員というのは全員、小渕さん、あのときはわざわざ出てきてもらいました。三党合意まであります、これはわざわざ。各新聞も見ていますと、新聞記事はいいですが、前提であるとはっきり書いてありますよ。そういう前提のもとでこの法案を通したんですよ、私は大反対しましたけれども。だから、当然のことながら、その前提ですから、これは施行はできませんね。個人情報保護法が通らなければ施行は、前提だと書いてあるから、できませんね。
片山国務大臣 今官房長官が御答弁しましたように、住基法は三年以内に施行すると法律に書いているんですよ。だから、これは施行しないと法律違反になるんです。そこで、我々としては、この国会でぜひこの個人情報保護関係の法制の成立をお願いしているわけであります。
河村(た)委員 法律があると言いましたけれども、その法律制定の前提として内閣総理大臣がきちっと解釈を示したわけだ。そういうことなんだ、これは。これは当然、その法律というのはそれに従って、では、先ほど言ったジャーナリズムの問題でもそうですよ、報道機関でも。フリージャーナリストは入るかどうか。入りますというて総理大臣が答えているんでしょう。だから竹中さん、言ったじゃないですか、そういうふうにやりますといって。あのときもそうなんです。その法案が通るときには、個人情報保護法成立が前提であると言っているんだから。
 あなた、とんでもない話だよ。総理大臣の意思というのはどうなるんだよ、私たち何遍も聞いて。単なる希望なのか、これは。それなら、質問できないよ、こんなの。一切あなたたちの答弁は希望なのかね。今の法案のいろいろな解釈の前提になることを皆さん言っているんじゃないですか。それを信用するから私は聞いているんじゃないですか。何なんだよ、あなた、そんなの。総理大臣が言ったこと、どう思っているんだよ。何回も言っているんだよ、これは。官房長官に聞いています。私は内閣の意思を聞きたいんだ。
福田国務大臣 私は、再三申し上げていますとおりでございますけれども、早期に成立というのは、この国会でもって成立させていただきたい、こういうことを申し上げているわけでございまして、小渕総理が、この住基ネットワークシステム、これが成立をするときに、三年ということも申し上げましたけれども、プライバシーの保護に対する漠然とした不安、懸念を払拭するための環境整備が必要、こういうことはございました。それにこたえて今回、個人情報システムのこの法案を提出いたしまして、情報保護、こういうことを図りたい。そして、そのことによって、急速に情報化社会が進展しております。したがいまして、プライバシー保護に対する漠然とした不安、懸念を払拭するための環境整備を図る、こういうことであります。
河村(た)委員 こんなの全く質問できないよ、こんなことだったら。総理大臣のきちっとした答弁について、答弁というか前提だと。約束について次の内閣に引き継いでいって、そこがそのとおりであるときちっとした有権解釈を示せない、こんなふうだったら質問しようがないじゃないですか。ええかげんにしておいてくれよ、本当に。
大畠委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
大畠委員長 それでは、速記を起こしてください。
 それでは、河村委員からの御質疑で、この個人情報保護法という法律案が通らない場合に、住民基本台帳法の施行というものが期日が迫っておるのですが、そのことについては実施をするのか実施できないのか、このことについて御質問がございました。これについて、改めて答弁をお願いいたします。福田内閣官房長官。
福田国務大臣 住基ネットワークシステム、これはもう法律で決まっていることでしょう。八月五日に施行ということになっておるので、これは法律ですから、これはそのとおり施行する、これはもう当然のことであります。
 私は、今まで、その当然のことを前提として、あと個人情報保護法案について早期に、すなわちこの国会で御審議いただいて成立させていただきたい、こういうことを申し上げているんで、何の不思議もないと思うのですけれども。
 それでは、小渕総理のその発言の趣旨との関係で申し上げれば、この個人情報保護について、その個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提であると認識しておる、こういうことでございまして、これは小渕総理の政治姿勢を示したもの、こういうように考えております。
 一方、住基システムの方は、これは法律でございますから、これはもう日にちも決まっている法律でございますから、それはそのとおりやるというのは当然のことだというように考えます。
大畠委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
大畠委員長 それでは、速記を起こしてください。
 それでは、先ほど、政府の方からも答弁がございましたが、河村委員に対する答弁を、もう一度よくわかるように……(発言する者あり)
 福田内閣官房長官。
福田国務大臣 お答えします。
 改正住民基本台帳法は、それ自体は、同法の附則第一条第一項の規定によりまして、「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」、平成十四年八月五日から施行することとされておりまして、法律上、個人情報保護法の成立が住民基本台帳ネットワークシステム施行の条件とはされておりません。
 また、改正住民基本台帳法附則第一条第二項において、「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」というように規定しておりますけれども、これを踏まえまして、政府としては平成十三年三月に個人情報保護法案を国会に提出することになりました。そういうことでございます。所要の措置を講じております。(発言する者あり)
大畠委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
大畠委員長 それでは、速記を起こしてください。
 河村委員からの質疑の答弁内容については、議事録を起こして理事会で精査をさせていただきます。そして、その後のことについては理事会で決めさせていただきます。
 そのようなことで、河村君の質疑時間が既に終了しておりますので、河村君の質疑の答弁については理事会で討議をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 河村君、ありますか。
河村(た)委員 とにかく、総理大臣の発言は極めて重い、これは当たり前のことです。
 私たちも、こうやっていろいろ聞いておるときは、やはり皆さんが今の法律についてどういう解釈を示される、それは当然有効だから聞いておるのです。もし無効だったら全く委員会というのは意味をなさない、国会が成り立たない。それを申し上げて、終わります。
大畠委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。
 なお、河村委員の発言中、理事から、不適切な発言があったとの指摘もございましたので、このことにつきましては、速記録を調査の上、後刻理事会において協議いたしたいと考えております。
 次に、工藤堅太郎君の番でございますが、先ほどのお話がございまして、このことが明確になるまで質問は後回しにさせていただきたいと考えております。
 そこで、工藤君の次に準備されております漆原良夫君の質疑に入ります。漆原良夫君。
漆原委員 公明党の漆原でございます。
 本法案についてお尋ねします。
 個人情報保護法を今国会で成立させる必要性について、先進諸国における法制化の状況も踏まえて御説明を願いたいと思います。
竹中国務大臣 個人情報保護法の必要性でございますけれども、御承知のように、日本は今、世界一のIT国家を目指して、世界最高水準のIT国家を目指してさまざまな制度整備を進めております。企業等からの個人情報の大量な漏えい、個人情報の売買事件が社会問題化しているこの状況の中で、プライバシー等の侵害を防止して国民生活を守るために、IT社会の必要な、不可欠な基盤法制として、この法制の制定は急務であるというふうに考えます。
 諸外国との比較のお尋ねでありましたけれども、今、OECD加盟国二十九カ国中で、民間部門を包括的に対象とする個人情報保護法を持っている国は二十四カ国であります。民間の包括法を有していないのは、個人情報保護法を有していない二カ国は別としまして、三カ国のみという状況になっております。
 加えて、この法案でありますけれども、基本法制として必要最小限の規律を定めるとともに、その保護の必要性の特に高い分野については、この法律の規律を上回る厳格な措置を講じるための特別法の制定を条文上要請しているという形になっております。
 さらには、地方公共団体が保有する個人情報に関しては、現在約六割の団体が何らかの条例を制定しているところでありますけれども、この法案に沿いまして必要な条例の制定または改正を進めてもらう必要があるというふうに思っております。
 こうしたことから、この法案の審議、成立がおくれますと、個人情報保護施策全体に影響を及ぼすということとなりますので、御審議をいただいた上、ぜひともこの国会での成立をお願いしたいというふうに思っているところでございます。
漆原委員 法案の中身についてお尋ねしたいと思うのですが、法第一条、目的が書いてありますが、ここで、「個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」こう規定しております。
 ここで言う個人情報の有用性というのはどんなことを意味するのか、お聞きしたいと思います。
藤井政府参考人 お答えします。
 法目的の個人情報の有用性について御質問がございました。
 当然、個人情報は現代社会では大いに利用されているわけですが、それはやはり有用であるから利用されているわけでございまして、そういった側面もバランスをとる必要があるというような考え方に沿うものでございます。
 具体的には、さまざまな有用性というのはあると思いますが、一つの典型的な例は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、憲法上保障されているような基本的人権に資するような利用のされ方、これはメディアなんかがやはりその例として挙げられると思いますが、そういったのは当然有用性として評価されるべきものと思います。
 それ以外にも、五章の規定で念頭にある一般企業が顧客データを利用するという側面を考えますと、これはもちろん企業の面でも経済的な効率性、合理性という側面もございますが、むしろ、やはりいかに顧客ニーズを的確にしてサービスに反映させるかとか、あるいは顧客サービスを迅速に提供できることを可能にするかとか、申し上げれば、消費者の立場に立ってもやはり個人情報の有用性はあるということです。
 こういったもろもろの有用性をやはりバランスをとりつつ個人の権利利益保護を図るというのが、この法目的としているところでございます。
漆原委員 法三条では、「個人情報を取り扱う者は、次条から第八条までに規定する基本原則にのっとり、個人情報の適正な取扱いに努めなければならない。」こう規定しております。
 しかし、この部分についての個人情報保護基本法制に対する大綱では、その説明部分で、「なお、個人情報の保護に当たって個人情報の有用性に配慮することとしている本基本法制の目的の趣旨に照らし、個々の基本原則は、公益上必要な活動や正当な事業活動等を制限するものではない。基本原則実現のための具体的な方法は、取扱者の自主的な取組によるべきものである。この趣旨は、報道分野における取材活動に伴う個人情報の取扱い等に関しても同様である。」こう解説されているわけですね。
 しかし、法三条で、先ほど述べましたように、単に「個人情報を取り扱う者は、次条から第八条までに規定する基本原則にのっとり、個人情報の適正な取扱いに努めなければならない。」としか規定しておりません。
 大綱に示されたこの精神はこの法律ではどのように具体化されているのか、お尋ねしたいと思います。
藤井政府参考人 公益上必要な活動や正当な事業活動、いわば個人情報の利用の有用性と言っていいものでございますが、こういった有用性への配慮は、個人情報保護法制度全体について、やはりそういう考え方でつくらなければいけないということでつくっているとともに、当然、今申し上げました有用性の配慮というようなのは法目的に明記しているところでございまして、この法目的に明記するということは、法制の個々の条文の解釈に当たってもその解釈原理に当然なるという意味で、御指摘の点については、もう法目的に明記していることから、当然に基本原則もそういう趣旨で解釈されるべきことは明確であるということで、改めて規定することとはしていないというところでございます。
漆原委員 法第四十条に明確に、主務大臣の配慮義務ということで、信教の自由、表現の自由、政治活動の自由、学問の自由の観点から配慮義務が規定されておりますが、この表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由の基本的人権が尊重されなければならないというこの精神を第三条のところで明確に宣言するべきではないか、こういう意見もあるんですが、この点についての御見解を問いたいと思います。
藤井政府参考人 表現の自由等について、なぜ基本原則で再度明記されていないかという御質問の趣旨でございますが、またちょっと法制的、技術的な御説明になって恐縮でございますけれども、もともと憲法上の自由というのは、いわば法律に上位する規範でございます。そういう意味では、もともと本来、法律に書くかかわらずに守られるべき義務でございます。
 ということもございますが、もう一つ、法目的に、今申し上げました個人情報の利用の有用性、それのいわば典型例として、当然、基本的人権にかかわるようないろいろな個人情報の取り扱いは、その法目的の趣旨に沿って解釈されなければならないということは明確であるというところから、特段規定することとしなかったところでございます。
漆原委員 確認しますが、法第三条には明記されておらないけれども、法の全体の精神から、基本的人権が大事である、尊重すべきであるということが明記されていると同様な解釈がなされるというふうに伺ってよろしいんでしょうか。
藤井政府参考人 そのとおりであります。
漆原委員 次に、本法案に対しては、メディアの方から、言論の封殺だとかメディア規制法などといった強い批判がなされております。本法案は、メディアとの関係をどのように考えて、またメディアに対してどのような配慮がなされているのか、説明願いたいと思います。
竹中国務大臣 先ほども申し上げておりますけれども、この法案のねらいというのは、IT社会を前提にしまして、主として一般の企業においてコンピューター処理されている顧客情報等を念頭に置いておりまして、消費者等の権利利益を保護するということであります。これによってメディアの活動を規制するというような意図は全くございません。
 メディアにつきましては、むしろ法律の規制対象とならないように、次の三点で十分措置しているというふうに考えております。
 第一としましては、万人を対象とした最初の基本原則は、メディアにも及ぶわけではありますけれども、これは各人が自主的に守るよう努力すべき抽象的な規律であり、公権力による関与や罰則等々、一切ございません。
 第二に、報道分野については、事業者に対する義務規定、さらには主務大臣の監督、そうした第五章の適用を全く除外しております。
 さらに、三点としましては、取材の相手方に対する懸念もあるようでございますけれども、これは表現の自由に対する主務大臣の配慮義務を明記しておりまして、公権力の介入の余地を排除しているということであります。
 IT社会における個人情報保護の必要性、これは何度も申し上げましたけれども、さらには、メディアに対する不当な権力行使は排されるべきである、この二点について、メディアと政府との間にはむしろ共通の認識があるというふうに考えております。
漆原委員 法第五十五条第一項一号はメディアに対する適用除外の規定でありますが、義務規定だけではなくて、第五章第二節に規定されております主務大臣の監督の適用も除外をされております。その理由について説明を願いたいと思います。
藤井政府参考人 御指摘の認定個人情報保護団体というようなものは、主として苦情等の処理に当たるいわば任意の団体でございます。もともと、つくるかつくらないかというのは事業者の方々の任意なのでございます。したがいまして、メディア等適用除外されている方々でも、任意であるからは、つくりたければつくれる制度があっていいじゃないかという考え方もあり得ると思います。
 ただ、これはいろいろな関係方面等の御意見をお聞きしていたところ、もともと外されている分野について、任意であっても、わざわざ主務大臣の認定を受けるような形での認定団体というものをつくるというニーズが余り見込まれなかったということが一つ。
 もう一つは、逆に、認定団体に対する大臣の関与というのも、これは実はほとんど皆無に近いのでございますが、むしろそういう主務大臣からの関与を通じて、本来適用除外になっている分野に行政権力が介入するというふうに誤解されるのではないかというようなこともございまして、そこは、本来であれば、あくまで任意で設立していただくものに対していわば主務大臣が後ろ支えというか、その程度の制度ではあるんですが、この際、適用除外された分野についても、あわせてこういう認定団体の制度を設ける必要がないということで設けなかったというところでございます。
漆原委員 同項本文は、原則適用除外として、ただし書きで「ただし、次の各号に掲げる者が、専ら当該各号に掲げる目的以外の目的で個人情報を取り扱う場合は、この限りでない。」と規定しておりまして、少しわかりにくいかなという感じがしますが、専ら云々というのはどういうふうな意味になるのか、御説明願いたいと思います。
藤井政府参考人 この適用除外に関する規定は、御指摘のとおり、一たん適用除外にした者の中からさらにまた適用にする者を規定するという趣旨で、ひっくり返し、ひっくり返しで規定しているものですから、非常にわかりにくいところがあろうかと思います。
 ただ、御指摘の趣旨のとおり、専らというのは、少しでも報道に関連するような個人情報の取り扱いであるという場合は、これはむしろ、表から申し上げますと、それはもう適用除外されるのである。逆に、全体として、全くと言っていいくらい報道に関係のない個人情報の取り扱い、報道目的とは関係のない個人情報の取り扱いについては、これは適用除外されませんよ、そういう趣旨でございます。
漆原委員 次に、宗教活動と政治活動には、括弧の中で「これに付随する活動を含む。」というふうに規定してありますが、報道及び学術研究にはその旨の規定がありません。この差別はどのような理由によるのか。また、宗教活動と政治活動の方が報道及び学術活動よりも適用範囲が広いと考えられるのか。その辺をお答え願いたいと思います。
藤井政府参考人 御質問の件も、すぐれて立法技術的な、ちょっと細かい説明になって恐縮なのでございますが、結論から申し上げますと、なぜ違うことになったかと申しますと、宗教団体とか政治団体、これについては既存の法律で宗教法人法とか政治資金規正法で概念がある程度法律上規定されちゃっていた。その規定のされ方が、非常に中核となるような事務だけを規定していて、普通であれば副次的と申しますか、付随的な活動、そういったものがこのままほっておきますとこの法律の適用除外にならないというふうに読まれる可能性があったということで、そこは、そういうものも本来、そういう既存の法律がなければ、当然宗教活動とか政治活動といっていいようなもの、そういう付随的なもの、そういったものも適用除外されるんですよということを明記したということでございます。
 これに対して報道と学術研究については、これも非常に法制技術的な御説明で恐縮なんでございますが、もともと報道とか学術研究について既存の法律で定義的に定めている規定がなかった。非常に一般概念としての理解のされ方で、それをそのままこの法律でつくっている。その場合、どういうことかと申しますと、宗教法人とか政治資金規正法等の政治活動、政治団体のように限定的に解されずに、報道に付随するような行為、こういったものも当然この法律の条文では適用除外されるということには紛れがないということで、特に付随事業というような形で拡大していないということでございます。
 御質問の趣旨から申しますと、それでは範囲は違うのかというと、報道それから学術研究、政治活動、宗教活動、いずれも範囲は異ならないということになります。
 個々の条文の関係はちょっと御説明を省略させていただいてよろしいでしょうか。趣旨としてはそういうことでございます。
漆原委員 たくさん指摘されておる中で、義務規定の適用が除外される報道機関の中に出版社やフリーのジャーナリストは含まれるのかどうか、いかがでしょうか。
藤井政府参考人 御質問の件でございますが、出版社であっても、報道活動を業として行っておると言われるものは当然この五十五条一項一号の報道機関に含まれる、例示には挙がっていませんが、当然含まれるというふうに理解しております。
 それでは、なぜ出版社を例示に挙げなかったかという点でございますが、これは出版社の営業形態からいって、主として報道事業をやっておられるというような出版社はむしろ普通ではなく、いろいろ広範な著作物を販売されているのが通例であるということで、出版社をいわば報道機関の典型的な例として例示するということはちょっとなじまないということで明記していないということでございます。
 繰り返しになりますが、出版社であっても、報道を業として行っている場合は当然それは報道機関に含まれるということは明確だと思っております。
漆原委員 フリーのジャーナリストも報道目的のために活動している場合は当然含まれるというふうに理解させていただいて次に移りますが、事実に基づく小説を書く作家の皆さんは報道機関に含まれるのかどうか、お答え願いたいと思います。
藤井政府参考人 これも小説家、いわゆるノンフィクション作家とかモデル小説作家とか、細かく分ければジャンルはいろいろあるようでございますが、この法律から見た場合、問題は、その著作物なるものが報道的目的を持っているかどうか、含まれているかどうかで決められる。
 ただ、報道目的を持っている場合は当然報道機関の行う報道目的の行為ということになるんですが、では、純粋文芸作品のようなものはどうなるかというと、それは、もともとその登場人物が架空の人物ではなくて実在の人物をモデルにしたものであったとしても、そのモデル人物というのはいわば創作物であるということで、そもそも個人情報ではないんではないかというふうに考えているところでございます。
 加えて、今申し上げた話は、もともと第五章の個人情報取扱事業者の適用対象となる事業者になるか否かということは、その作家の方が、個人データ、個人情報をいわば相当規模のデータベースとしてその活動に用いられているという前提がありまして、そういうことがなければ、基本原則上のせいぜい自主的な努力義務の対象となるにすぎないということでございます。
 あと、いずれにしても、付言させていただきますけれども、政府との関係においては、第四十条で表現の自由については配慮義務が課されているということでございますので、いわば公権力がそういう作家の御活動に関与するということは禁じられているということでございます。
漆原委員 この点に関して、作家の皆さんは大変心配をしておられるわけですね。
 EU指令の第九条にこう書いてあります。プライバシー権と表現の自由に関する準則を調和させる必要がある場合に限り、ジャーナリズム目的または芸術上、文学上の表現目的のためにのみ行われる個人データの処理について、適用除外を定めなければならない、こう規定をされておるわけですね。
 本法案では報道目的だけが適用除外になっておりまして、表現目的は適用除外になっていない。今おっしゃった法第四十条で表現の自由については主務大臣に対する配慮規定が置かれているだけである。明文における適用除外の場合と配慮規定では、法文上も天地、雲泥の差があると私は思っております。
 芸術上、文学上の表現目的を本法案において適用除外にしなかった理由を尋ねたいと思います。
藤井政府参考人 芸術上、文学上の表現等を適用除外としなかった理由について御質問いただきました。
 これはちょっとEU指令との比較ということで御説明させていただきたいのですが、EU指令でも、ジャーナリズム目的または芸術、文学上の表現目的のためにのみ行われる個人データの処理について適用除外と考えてもいいというような話になっていて、具体的には各国の法制に必要な範囲で任されているわけでございますけれども、ドイツの法律なんかを見ても、芸術目的というのは除外されていないわけですが、文学目的といっても、事実上ルポルタージュ的なものだけが除外に限定されているというような状況もございます。
 そういった各国の制度も踏まえつつ、問題は、ちょっとこれも法制的な御説明になるのですけれども、もともと著作物等であっても報道に引っかかるものは報道で適用除外される。それと、実質的に国家公権力の関与というものは配慮義務で排除されている。
 それから、実は、途中プロセスとしての作家等のいわば取材ファイルは国家公権力に対しては関与を排除されているのですけれども、いわば当事者間での義務関係というものは法律上残っておるわけでございます。
 これも、先ほど申し上げましたように、多分事実としてそんなに相当規模の個人データを有しておられる方はちょっと考えられないのではないかということと、仮に適用になったとしても、これも何かひっくり返した言い方になるのですけれども、実は義務規定というのは、当然、冒頭御説明申し上げましたように、そもそも個人情報の有用性、それの配慮をした上で権利利益保護ということでございますので、個々の義務規定においても著作者のいわば表現の自由というものは保護される、そういう規定ぶりになっているということで、これはちょっと本当に技術屋的な御説明で恐縮なんですけれども、今の制度でも、特段、適用除外とするほどの状況も認められないし、実益もないというところで、今のところは適用除外ということにはしていないというところでございます。
漆原委員 法理論上は私もわかる気がします。いっぱい理屈を積み重ねていけば、四十条だとか憲法だとか積み重ねていけばそうなるんだな、保護されているんだなということが理解できます。
 しかし、難しい法律論と作家の皆さんがぱっとこの法文を見て受ける印象というのは、全然また違った別物じゃないのかなと思います。特に支障がなくて事実上守られているというふうに今審議官おっしゃるのであれば、これはむしろ、表現の自由という観点から正面から認めたっていいじゃないかと私は思っております。そのことを意見として述べさせていただきます。
 時間がなくなってきましたので飛ばします。
 報道機関が義務規定の適用除外となっていたとしても、取材の相手方に義務規定が適用されれば、情報提供者が萎縮をして必要な情報が得られなくなる、こういう心配がメディアからなされております。
 本当に、政治家だとか官僚のいろいろな悪を暴露するというメディアの力というのは大変なものだな、予算委員会なんかでも週刊誌を参考にしながら質問しているケースがよくあるわけですが、やはりそういうメディアの効果というのは認めてやらにゃいかぬな、私はこう思っているんですね。
 したがって、そこに情報提供者が罰則を受けるようなことがあると、メディアの言うとおり、情報提供者が萎縮して必要な情報が得られなくなる、こういう批判がなされている。これについてどう思うかということと、多分、法四十条で大丈夫だというふうにおっしゃるんだと思うんだけれども、それなら、そこのところをもっとはっきりアナウンスしておいた方がいいんじゃないかなというふうに私は考えておるのですが、御意見を伺いたいと思います。
竹中国務大臣 漆原委員の御指摘、重要なポイントであるというふうに思います。
 この法案においては、取材相手が個人情報取扱事業者に該当する場合には、第三者提供の原則禁止を初めとする例の第五章の義務規定が適用されることになります。
 ただし、これは、今委員も御指摘くださいましたけれども、公権力によって報道の自由が侵害されるといった問題につきましては、この法案の四十条の表現の自由に対する配慮義務によって、取材相手に対して表現の自由を妨げないような、主務大臣の報告徴収、助言、勧告、命令、こういったものは行わないということになっておりますので、そのような問題が生じる余地はないというふうには考えます。
 しかしながら、メディア等において御指摘のとおりの不安、懸念が強く持たれているということは確かでございまして、その意味からも、この委員会における、国会審議における答弁を通じまして立法者の意思が明確になるように、私としては努力してまいりたいというふうに思っているところでございます。
漆原委員 ちょうど時間となったようでございますので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
大畠委員長 これにて漆原君の質疑は終了いたしました。
 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 桝屋敬悟でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 今の漆原委員の質問に続きまして、同じ公明党から、私は、行政機関の個人情報保護について中心に議論をさせていただきます。
 先ほどこの委員室に入ってまいりましたら、同僚の河村委員が厳しく官房長官をしかっておられる姿を見まして、私も肝を冷やした次第であります。と申しますのも、私も、平成十一年の住基法の改正のときに、当事者の一人として審議に参加をさせていただいたわけでありまして、河村委員の怒りに満ちた厳しい指摘というのは、叱責というのは、これは私も身に当たる話だな、こう感じさせていただいた次第であります。
 そういう意味では、あのときもそうでありましたが、個人情報の保護に関する法制あるいはシステムというものは、みんな必要だと各党こぞっておっしゃったし、本当にできるのかという指摘があったぐらいでありまして、最近の一連のマスコミの報道を見ておりましても、異口同音に、前段としては、やはり法制は必要だ、個人情報保護法は必要なんだという議論とともに、なお問題がある、こういう論法であります。
 そういう意味からいきますと、河村委員のあの厳しい指摘は、一日も早く法律を上げろ、こう言われているような気がいたしまして、私はそのように理解をさせていただきながら、しかも、今回のこの委員会では、基本法とそれから今から議論したい行政機関の個人情報保護法、一緒に議論されるという。これは、基本法を出したときに、民間の方から官はどうなっているんだという声があったわけでありまして、そういう意味で、やっと二つそろったということは、河村委員の指摘も重く受けとめながら、両方あわせて一日も早くやらなきゃいかぬな、こう私は責任を感じておる一人であります。
 そういう意味で、幾つかの議論をさせていただきたいと思いますが、一点目に、今申し上げた民間部門との比較の問題であります。
 基本法制には、もう議論がありますが、第五章に民間部門の規律が書いてあるわけであります。個人情報取扱事業者に対して、自主性、自律性を尊重しながら、必要かつ最低限の規律、規範を求める、こういうものであろうと思いますが、では、行政機関の保有する個人情報保護、この取り扱いについてはどうなのか。やはり公的部門としての制度化の特徴があるのではないか、民間と比べてどうなのかということを端的に、これは副大臣からお伺いしたいと思います。
若松副大臣 今桝屋委員から、基本法制第五章の民間部門の規律、いわゆる必要かつ最小限の規律のことについて御説明いただきました。
 一方、行政機関につきましては、まさに公的部門にふさわしく、行政の公開性、透明性の向上の観点を加味しながら、個人情報の取り扱いに関しまして、個人情報保護の観点から厳格に制度化した次第でございます。
 具体的には、まず、民間は、これも以前触れさせていただいたかと思いますが、一定規模以上の体系的に整理された個人情報、いわゆるデータベース化された個人情報、これを規律の対象の中心としているわけでありますが、行政機関法制では、保有する行政文書に記録されているすべての個人情報を対象としております。それと、行政機関は、個人情報ファイルの保有に当たりまして、総務大臣への事前通知制度、いわゆる事前チェック型の制度を導入しております。
 そして、民間でございますが、データベース全体の包括的な利用目的等を公表する制度にしているわけでありますが、行政機関は個別の個人情報ファイルごとに管理する仕組みをとっておりまして、利用目的、記録項目、経常的提供先等、詳細な事項を整理し、公表することになっております。
 さらに、行政機関は、不開示等基準、開示請求手続等につきまして詳細かつ明確に規定されておりまして、民間は、事業者の認定団体による苦情処理が中心となっております。
 これにつきましては、行政機関は、さらに、不開示等の決定に対して不服申し立てがある場合には、第三者的な不服審査会、いわゆる情報公開・個人情報保護審査会への諮問を制度化している次第でございます。
桝屋委員 今の副大臣の御説明のように、やはり民間と違いまして行政でありますから、公的部門としての今の副大臣御説明のそうした内容が整理をされているんだろうというふうに私は思っております。
 大臣に続けてお伺いしたいんですが、やはり一連のマスコミの報道を見ておりますと、どうしても、この二つの法律を並べると、官に甘くて民に厳しいということがあるのではないかという指摘がある。特に、例えば六条の「安全確保の措置」、これは個人情報の漏えいに対する安全確保の措置を規定するものでありますが、あるいは七条の「従事者の義務」、これは守秘義務に当たりますけれども、そうした規定において、義務違反に対して罰則がないではないか、民間は厳しい罰則があるんだよと。こういう、多分に誤解の部分もあろうかと思いますが、私は、国家公務員法や地方公務員法だけで、本当にその守秘義務だけで足りるのかということは確かに思います。
 今まで、国家公務員法の守秘義務違反で本当に責任をとらされた、あるいはきちっと法廷の場で明らかにされたということが過去どのぐらいあったのかということを思いますときに、ここはやはり明確に説明をしていただきたいな、こう思うわけでありますが、この点はぜひ大臣にお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 今桝屋委員が言われましたように、官に甘くて民に厳しい、こういう御意見もちらほら耳にいたしますけれども、例えば、漏えい行為等に対して、罰則の適用を見ますと、民間部門については直接罰則で担保する仕組みになっていないんですね。自主的に是正してもらおう。助言をする、勧告をする、さらには改善命令も出す、こういうことで自主的に直してくれと。その改善命令について聞かない場合だけ罰則をかける、こういうことなんですね。
 ところが、今度は、官の方と申しますか行政機関の方は、行政機関の長は、大臣は、これは特別職ですから国家公務員法の適用がありませんけれども、長を補佐する職員の義務違反につきましては、国家公務員法による服務上の懲戒処分の対象にストレートになるわけでありまして、守秘義務もございますけれども、法令の遵守義務違反についていろいろな罰則がストレートにかかる、こういうことでございまして、この点は、私は、民よりは官の方がずっと厳しくなっている、こういうふうに思うわけであります。
 また、公務の場合には、職権乱用罪、公用文書毀棄罪等、こういう刑法上の罪につきましても、犯罪構成要件を満たす場合には直ちに処罰の対象になる、こういうふうに思っておりまして、この一つの法律にどこまで書いているかという議論はありますけれども、仕組みとしては相当官に厳しい仕組みになっていると思います。
桝屋委員 今大臣おっしゃった法第七条、これをもし義務違反を犯したならば法令遵守義務違反、そして懲戒処分になるんだという点は、ぜひともこれからもよく説明をしていただきたいし、特に民間の方に御説明をいただきたいと思います。
 私、きのう本屋で「電子自治体」という本を見ました。小泉さんの絵があるので気になって開いてみたんですが、開いたら大臣の顔がばっと一面にありまして、電子政府、電子自治体だ。これはいいのでありますが、これをずっと見ておりますと、電子、ITの、電子政府、電子自治体の光の部分はばっと出ている。影の部分はどうも後ろの方へ、ないかと思ったらありましたので安心をいたしましたけれども、この中に、ハッカーは外からではない、ハッカーはうちから来るんだという指摘がありまして、そのとおりだなと思ったわけであります。
 これから、二十一世紀、電子政府、電子自治体というものを大臣は目指されている、政府を挙げて目指されているわけでありまして、そうした観点からも、ぜひともそうした取り扱いをする職員に、これはセキュリティーをやればやるほど扱いは難しくなる。だから、魔が差すといいますか、漏えいをしようと思わずに、少し使いやすくしようと思う心が働く。私も役人をやっておりましたからよくわかるんですが、これが役人の道理でありまして、そこにITの世界には大きな落とし穴があるということをぜひ御理解いただいて、全職員に督促をお願いしたいと思います。
 もう一点、そういう意味でお尋ねしますが、今回の行政機関の保有する個人情報保護法、あるいは独法もそうでありますが、あくまでも中央の機関、国の機関ということになろうかと思いますが、地方団体が持っております個人情報保護、これも住民生活に密着をする大事な話でありまして、特に電子政府、電子自治体ということでは大事な点だろうと思いますが、これは今後どうなるのか、どう整備をされていくのか、お伺いしたいと思います。
片山国務大臣 御指摘のとおりでございまして、電子政府、電子自治体をつくる場合には、まずセキュリティーをしっかり、楽なことなんか考えずにこれを確保してもらいたい、こういうふうに思っております。
 そこで、地方団体の場合ですけれども、状況は同じですね、国の行政機関と。そこで、今個人情報保護条例の制定などをやっている地方団体が、全団体の六〇・一%に当たります千九百八十二団体。三千三百ですけれども、約六割が個人情報保護条例を持っている。それから、条例でなくて、首長さんの規則や規程等により対策を講じている団体を加えますと二千六百二十四団体。全団体数の七九・六%が何らかの形で個人情報保護対策を地方団体としてもとっている。
 こういうことでございますけれども、内容についてはいろいろあると思いますし、この国の行政機関の個人情報保護法ができることを機会に内容を精査してもらいまして、できるだけ国に合わせた対応をとってもらうように、今後とも指導を十分やってまいりたいと考えております。
桝屋委員 大臣、私は地方団体、今六〇%という話をいただきましたけれども、ここの整備を本当に急ぐんだろうと思います。その急ぐという意味からも、今回の法制を一日も早くやり上げて、今回、基本法制の中に、十六条、十七条に、地方団体における必要な措置、ただ、これは「努めなければならない。」という努力義務規定ですから、ぜひこれは、大臣が目指される電子政府、電子自治体ということでは、早急に手を打たれる必要があるだろう。
 今回の行政機関が保有する個人情報保護法、これが各自治体にとっては一つの規範になるだろうと思いますから、これを一日も早く仕上げなきゃならぬ。と同時に、もう内容もある程度見えているわけでありますから、年度当初の部長会議等ではさまざまに情報を落とされているようでありますが、中には、いまだに、情報漏えいを心配する余りオンラインそのものも禁止しているというような自治体もまだあるようにも感じますし、ここは相当頑張らないといかぬのではないか、こう思っております。その辺の対応方をぜひお願いしたいと思います。
 それから、一つ先へ質問を飛ばしまして、本当は一条一条やっていきたいところでありますが、四条の関係であります。
 いわゆる利用目的の明示ということでありますが、行政機関が情報を収集する、その場合の利用目的を明示しなきゃならぬ、そしてそれはちゃんと相手に伝えなきゃならぬということでありますが、この明示というのはどういう形で行われるのか。
 それから、明示することができない場合ということで例外規定が置いてありますが、果たして例外がそんなにあるのかなと。今回の個人情報の保護の最大のポイントは、やはり自己の情報のコントロール権を確保するということでありますから、ぜひともできるだけ明示をしていただくのがいいわけでありますが、例外規定というのは例えばどういう場合があるのか。そんなに多くないんじゃないかと思っておりますが、具体的にお示しをいただきたいと思います。
松田政府参考人 まず、お尋ねの利用目的の明示の仕方でございますが、一般には、申請とか届け出等の手続によりまして個人情報が集められるということになるわけでございます。そういうものが多いと思いますけれども、書面による取得の場合は書面で利用目的を明示する、あるいは、ITでございますが、電子申請というようなことになりましたら、電子媒体で利用目的を明示するということがあろうかと存じます。緊急の場合等々において、口頭でどうしても明示をしなければいけないという可能性もなくはないと思っております。
 この利用目的を明示することが除かれる場合が第四条に書いてございます。「人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要があるとき。」とかいうようなこと等いろいろ書いてございますが、こういうケースは非常に少ないと思いますけれども、万が一あった場合のための規定として掲げておるものでございまして、中には、本人に利用目的を明示することによって例えば監査や検査事務の関係で手のうちがわかっちゃうような、そういう利用目的を明示するとか、あるいは交渉事務に関していろいろな対処方針がわかってしまうような、そういう業務に支障を及ぼすような、そういう場合もあろうかと思いますが、いずれにしましても、万が一あった場合の規定として置いているわけでございます。
桝屋委員 数は少ないだろうとおっしゃいましたが、ここは多くの方が関心を持たれているところでありまして、我々もしっかりと注視をしていきたいというように思います。
 今官房長官、お帰りになりました。最後に、もう時間もないので、同僚の河村委員の気持ちをそんたくしてもう一回お願いをしておきたいと思います。
 私は、今回の一連の個人情報保護というシステム、法整備をする中で、これは本会議でも申し上げましたけれども、最後、大臣、作業が終わった段階で住基ネットにぜひもう一回返っていただきたい。先ほどから御答弁がありますように、住基ネットそのものは、当然ながら、プライバシーの保護について、情報漏えいについて十分な対策が講じられているとはいいますものの、なお漠然とした不安があるというような議論が随分行われたわけでありますが、私は、今回のこの行政機関の個人情報保護法、このシステムというものをもう一回整理して、これから見て今の住基ネットは本当に大丈夫なのかということを、先ほどの地方自治体の条例の問題もあります。全国の自治体が動くわけでありますから、ぜひとも、さらなる個人情報保護措置を住基ネットにおいてもあわせて検討いただきたいというふうに私は思っておる次第でございます。
 最後にお願いを申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて桝屋君の質疑は終了いたしました。
 この際、休憩いたします。
    午前十一時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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