衆議院

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第16号 平成14年6月28日(金曜日)

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平成十四年六月二十八日(金曜日)
    午前十時十九分開議
 出席委員
   委員長 大畠 章宏君
   理事 逢沢 一郎君 理事 小島 敏男君
   理事 渡辺 具能君 理事 渡辺 博道君
   理事 野田 佳彦君 理事 細野 豪志君
   理事 河合 正智君 理事 工藤堅太郎君
      岩倉 博文君    小野 晋也君
      奥山 茂彦君    亀井 久興君
      実川 幸夫君    高木  毅君
      谷川 和穗君    谷本 龍哉君
      近岡理一郎君    中本 太衛君
      西川 公也君    望月 義夫君
      家西  悟君    石毛えい子君
      藤村  修君    山花 郁夫君
      横路 孝弘君    太田 昭宏君
      吉井 英勝君    北川れん子君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣         竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  藤井 昭夫君
   政府参考人
   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・
   ガス事業部長)      迎  陽一君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十八日
 辞任         補欠選任
  岩崎 忠夫君     岩倉 博文君
  嘉数 知賢君     高木  毅君
  古賀 正浩君     中本 太衛君
  山元  勉君     家西  悟君
同日
 辞任         補欠選任
  岩倉 博文君     岩崎 忠夫君
  高木  毅君     嘉数 知賢君
  中本 太衛君     古賀 正浩君
  家西  悟君     山元  勉君
    ―――――――――――――
六月二十八日
 高速道路の障害者用駐車場に駐車する健常者への罰則に関する請願(小沢鋭仁君紹介)(第六三七四号)
 透明で民主的な公務員制度改革の実現に関する請願(小沢鋭仁君紹介)(第六三七五号)
 同(土田龍司君紹介)(第六五〇一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 個人情報の保護に関する法律案(内閣提出、第百五十一回国会閣法第九〇号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七〇号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七一号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出第七二号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――
大畠委員長 これより会議を開きます。
 第百五十一回国会、内閣提出、個人情報の保護に関する法律案並びに内閣提出、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井昭夫君、防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、総務省行政管理局長松田隆利君、総務省自治行政局長芳山達郎君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 私は、先日のこの委員会で、総務省の情報公開請求の問題について質問いたしました。
 これは、ことしの四月から五月にかけて、徳島県の行政書士の石橋吉治さんと石川県の重森憲治さんが総務省に、オンライン一括法案作成過程を知るために関連する行政書士法改正案関係資料、すなわち立法過程を知ろうとして、情報公開法に基づいて開示請求をされたことについてです。
 ところが、五月十九日に突然、日本行政書士会連合会長から二人は、オンライン化法に係る協議に招集を受けて、その五月十九日の協議の場で、総務省への情報開示請求を取り下げるように指示を受けた。
 そもそも、情報公開という観点からすれば、情報公開請求した御本人はほかの人に漏らしていないわけですから、そうすると、請求者の情報を外部に漏らすということについては、これは情報公開請求を受けた側から漏らすということなしには考えられないという問題もありまして、請求者の情報を外部に漏らすことはもちろん許されないし、請求者に取り下げを求めることも間違いですし、団体を使って圧力をかける、こういうことをやっては大変なことになりますから、調査、報告を大臣に求めました。
 そこで、総務省が行政書士の石橋さん、重森さんの両氏が情報公開法に基づいて開示請求しているという事実を日行連会長に伝えないと、会長は両氏が開示請求しているという事実を知らなかったわけですから、まず、この問題について、大臣はこの事実を調査されたのか、総務省の調査結果はどうなっているか、このことを最初に伺いたいと思います。
片山国務大臣 六月二十六日の当委員会におきまして吉井委員から御指摘を受けまして、御指摘を受けましたように、直ちに私どもの方の所管の自治行政局長に命じまして厳重に調査をさせたところでありまして、せんだって自治行政局長から報告を受けております。
 その報告によれば、今お話しの行政書士法の一部改正に関する情報公開請求に関し、日本行政書士会連合会に請求者氏名等を情報提供した事実は一切ございませんし、また、同連合会を通じて請求を取り下げるように働きかけた事実も一切なかった、こういう報告を受けております。
吉井委員 まず、どういう調査体制でされたのかということを伺っておきたいんです。
 今おっしゃったように、自治行政局長を責任者として、これは、行政課長、課長補佐、係長、課員など、昨日も伺っておりますと、あらかじめ担当者四名を聴取したと。調査というのはそういうことだと伺っているんですが、大臣、そういう内容ですか、大臣のされた調査は。
片山国務大臣 行政書士法の所管は行政課なんですね。だから、そのラインの行政課長や行政課の課長補佐や係長その他、そういう者についてのヒアリングをやったわけですが、ヒアリングは、局長なり審議官なり、行政課のライン系列以外の者によってやった、ヒアリングをした、こう報告を受けておりますし、また、日本行政書士会連合会会長についても同様な方法で詳細にヒアリングをした、その結果だと聞いております。
吉井委員 行政課長さんというのは、情報開示請求者の情報を外部に漏らした可能性のある人物の一人ではないか、あるいは請求者に開示請求の取り下げを求めた人物の一人ではないかということについて、調査を受ける側の人なんですね。この自治行政局自体がそういう部署であったわけなんですよ。ですから、その調査を受ける側の局長さんが受ける側の人の調査を行ったということになると思うんですが、この点はどうなんですか、大臣。
片山国務大臣 そういう見方もできますが、局長や審議官は、この行政書士法あるいは委員が言われるようなことに関係した業務を直接やっておりませんし、それは、逆にその意味ではいろいろなことの事情がわかるわけでありますから、だから、そこで客観的にしっかりした公平な調査をするようにと私が指示いたしましたので、それに基づいてした結果を先ほど報告いたしたとおりであります。
吉井委員 調べられているはずの当の自治行政局久保行政課長が先日の朝日で、担当者や関係者から事情を聞いたが、開示請求の情報を第三者に漏らしたり取り下げを働きかけた事実はないと言っているんですね。
 つまり、調査を受けた、おまえさん、漏らしたことはないか、圧力かけたことないかと聞かれる当の本人が、自分が担当者、関係者から事情を聞いた、その結果、第三者に漏らしたり取り下げを働きかけた事実はなかったと言っているんですが、そういうことを言っている人を調べて、何か意味のあることが出てくるんですか。
片山国務大臣 委員がこの前、二十六日の委員会で言われたのは、何か課長補佐の名前を言われましたよね。だから、行政課長が責任者ですから、その責任者についてヒアリングをする、責任者がいろいろ事情を調べる、関係の職員に聞くということは当然あっていいわけでありまして、私はそれは一向に構わないと思っております。
吉井委員 これは、私、ある課長補佐ということを言いました。課長補佐を含めて、この行政課長を含めた、まさにこの自治行政局の中の問題なんです。ですから、そこの問題を、これは課長かもしれない、課長補佐かもしれない、その漏らした本人かもしれない人が、第三者に漏らしたり取り下げを働きかけた事実はなかったと言うことは、これはおかしいんじゃないですか。
片山国務大臣 委員は疑いを持って言っているわけで、たまたま日本行政書士会の連合会の会長が知っておったから、それは、知っておったのは自治行政局の行政課の関係者から聞いたに違いないという憶測なんですね。
 いやいや、今あなたが言われました二人の行政書士の方は、全国にこういう請求をしているとかファクスを送ったり、いろいろなことを自分でしゃべっているわけですから、そういうことで行政書士会の連合会長は事を了知した、こう言っておりますから、詳しいことは自治行政局長に聞いてくださいよ。
吉井委員 私も、大体おっしゃることは皆調べた上で物を言っていますからね。それで、ファクス云々の話もおっしゃるだろうということは全部織り込み済みの質問をやっているんです。
 それならば、ちゃんと報告書にして出されたらいいんですね、だれが、いつ、どういうときに、だれにファクスを送ったかとか、ファクスを送っているからわかるというお話であれば。そうするとそのアリバイが成り立つかどうかもすべてわかるわけですから。
 私は、疑ってとかそういうことを言っているんじゃないですよ。きちんと事実をまず究明しよう、それが大事なわけです。
 大体、日行連会長らには、本来、この開示請求の取り消しを求めるメリットなんてないんです。それは全国の行政書士の皆さんと同じ立場なんですよ。総務省は、行政一括法案を通すのに、二十年来の自動車業界からの強い要望と、それを受けた国土交通省の力などもあって、行政書士法十九条の改正をやりたかったわけですね。だけれども、行政書士会はみんな、その改正には何のメリットもなく、言ってみればデメリットだけがあるわけです。この点では、会長さんも、何のメリットもないことでは一致しているんです。一緒なんですよ。
 だから、十九条改正をやりたかったのは、行政書士会でなく、総務省や国土交通省、自動車業界の方になりますから、総務省が会長に頼まない限り、大体日行連の会長の側には開示請求の取り下げを求める行動に出る必然性というのは全くないのですよ。大臣は、その点はどういうふうに考えてはるんですか。
片山国務大臣 委員はメリットがないと言われましたけれども、これは、行政書士会の方と自動車業界の方が大変な対立を長く続けてきたんですよ。今度法律改正をすることについて、両方の対立がそのまま続いたんですよ。そこで、中でいろいろな話し合いが行われて、今までのいわばやり方をお互い認めよう、こういうことで話がついたわけであります。
 それをメリットと見るかデメリットと見るか。委員は、デメリット、メリットはない、こう言うわけですけれども、今の行政書士会側にとってもあるいは自動車の登録業界側にとっても、大変メリットがあるということで法案がまとまったわけですから。それは、委員としてのお考えを言われるのは結構でございまして、メリットがないから何のあれもしない、これはあなたの完全な憶測じゃないですか。
 詳しいことは自治行政局長から聞いてください。
芳山政府参考人 ただいまの行政書士会の御要請の点ですけれども、これは長年来の行政書士会の強い要望でございました。電子時代を迎えてオンライン化についてもぜひとも業務の形で導入したい、これは二年前からの要請でございますし、会全体の重点要望でございました。
 それで、電子自治体、電子政府の世の中になって、ぜひともこれを今回実現したいということが行政書士会の動きでございました。それは、士業界でいいますと、今回のオンライン法の改正に伴って、ほかの、税理士会も社会保険労務士会も含めた士業界全体がそういうオンライン化の法案に、今度導入しております。
 ただ、ちょっとほかの業界と違いますのは、先生から御指摘がありましたように、自動車関連業界との関係が長年来の懸案でございました。そういうところで、今回の改正について、どういう調整のもとでやっていくのかということを関係省庁ともまた関係業界同士とも御議論した上で、今回こういう形で六月七日に閣議決定して法案を出したわけでございます。そういう意味で申しますと、今回の改正は行政書士会としての御要望でございました。
 ただ、先生御案内の十九条の改正をするかどうか、これについては、一部御反対の御意見もいろいろあったやに聞いております。そういう中で、会長として会の中をどうまとめるかということを長く腐心されたということを、ヒアリングの間で聞いております。
吉井委員 その話はまた後でおいおい入っていきますが、私は、法案の性格についての見解とか、それをきょうやるつもりは全くないんです、法案審議じゃありませんから。
 それで、今大事なことは……(発言する者あり)いや、そっちの方の法案のことで、この行政書士法はこの委員会じゃないから。
 それで、今メリットの話については、これは実際のところ、一条、電子化する方の話ですね、その問題と別な話と両方ありますから。片方についての話はあなたがおっしゃったとおりで、私もよう知っているんです、その話は。それで、もう一つの違う方については、これはメリットはないんです、十九条改正の方については。その話は後でまた触れます。
 では、大臣のおっしゃった、ファクスその他で知られておったんだという話、私もいろいろ調べておりますから、伺っておきたいと思います。
 会長さんが、どの会員さん、だれから聞かれたのか、いつそのファクスを何時に受けられたのかとか、そういうのを全部調べた上で言っておられるんでしょうね。どうぞ答えてください。
芳山政府参考人 実は、今回の大臣の命を受けて事情聴取をいたしました。行政課の職員も、また会長さんについても来ていただいて、長時間ヒアリングをいたしました。その中で、先生御指摘がありましたように、どうして十九日に来ていただいてお話をしたのかということで、総務省の方から情報を提供したからわかったんじゃないのかというのが一つの大きな課題でございました。
 それで、その点についてお聞きしまして、会長さんの言でございますけれども、今回の改正に当たっていろいろ反対の御意見もある、そういう根強い反対の運動もある、その一環で、行政書士法の一部改正に対する情報開示請求書の写しを全国の理事、単位会長、有志さんあてにファクスないしメールで送信をされておるということから、会長は、その送信を受けた複数の行政書士から情報を得ておる、これは十九日の前でございますけれども、受けておると。
 具体的にどこどこというのも聞いておりますけれども、固有のお名前は省略させていただきますが、具体的にお聞きをした上で、これは全体として、会長としては、今度の改正に当たって行政書士全体の取りまとめに支障を生ずるんじゃないか、また関連する他業界の反応を危惧されるということもありまして、ぜひとも今回の改正について御趣旨を御理解いただきたいということで会議のセットをされたというぐあいに聞いております。
吉井委員 実はそこが、ずっと日がたってからファクスを見たという話になるのか、あるいは、先に総務省からだれが開示請求しているかは聞いておったんだけれども、それにかかわるファクスについてはその後で知ったのかとか、そこのところは非常に大事なところなんです。
 それを調査しておられると思うのです。だから、それをどうぞ言ってください。
芳山政府参考人 先ほど大臣が申しましたように、総務省から一切情報提供しておりません。
 それで、そのメールの発信でございますけれども、直前の五月十三日に、五月十二日付の開示請求書の写しを合わせたセット版を全国の理事さん、単位会長さんあてにファクスなりメールを送信しているということを、会長さんとしては入手をされたということが一点と、さらに、それ以前にも、四月の二十九日付の開示請求書の写しが全国にファクスで送信されておるという情報を単位会長さんから得ているということを聞いております。
吉井委員 その十三日の話ですが、それを受けて、ファクスの発信日は今おっしゃったものとして、いつ会長さんはそれを入手されたんですか。
芳山政府参考人 それは、お聞きしますと、五月十五日以前であります。
吉井委員 だから、五月十五日以前のいつ、どなたから聞かれたかということを伺っているんです。
芳山政府参考人 具体的に名前を承知しておりますけれども、具体的な名前は省略させていただきます。日にちは、十五日以前ということでその情報を入手したということを聞いております。
 なおかつ、それ以外にも、これらのファクスなり写しを見た会員から問い合わせが多くあったそうでございまして、これについて、全国行政書士会連合会の専務理事さんなり幹事長にもメールが送られたということが事実でございます。
吉井委員 これは五月十五日以前とおっしゃるんですが、十五日の以前というのは時間がいろいろあるわけですから、だからそれはいつなんですかということを、非常に単純なことを聞いているんです。何日付の写しがついていたとかどうとかいう話も、それはそれで、おっしゃっていることは百も承知の上で聞いていますから。問題は、会長さんがそのファクスと言っているのをいつ手に入れられたのか、お聞きになったのかということを聞いているんです。
芳山政府参考人 私が聞いておるのは、先ほど来申し上げておりますように、ある会の会長さんから、少なくとも五月十五日以前、我々も何日というのを知りたかったんですが、会長さんの御記憶は、何日というのはちょっと特定できないけれども十五日以前と。ただ、十三日に十二日付のファクスが送付されたということですから、その間だろうということでございます。
吉井委員 これは、いつ会長さんが実際に知ったのか、それは十五日の朝なのか、十四日の夜なのか、十四日の午後なのかとか、そこはあなたの方で結局特定できていないんです。私が調べたところでは、実は、それよりも以前に会長の方から話が出ておりますから、これはほかのルートからは入らないんです。これは、総務省の方から話が出ない限り、会長さんの耳に入ったということには、時系列を追っていきますと、それは成り立たないんです。それが、幾つかの資料その他含めて聞いている内容です。
 同じ朝日新聞の紙上で、久保課長は、担当者や関係者から聞いたがとした後で、この問題で開示請求者からの事実確認や抗議などもないと言っているわけですが、これは本当なんですか。これは調べはりましたか。
芳山政府参考人 抗議等の事実はないということを課長は言いました。これは、先ほど大臣が御報告しましたように、先生から御質問があって、直ちに所管課長として職員にそういう事実はあるのかということを確かめた次第でございまして、そういう事実は一切ないと。なおかつ、私が所管の課長でございますので、今回命じられましたので、課長を含めてラインのすべての人にお聞きをしました。
 それで、抗議等ではございませんけれども、実は、五月の二十何日ですか、ある行政書士の方から御質問があったわけでございまして、抗議とは課長は理解をしておりませんけれども、一部行政書士の皆さんから開示請求にかかわる御質問があったということは聞いております。ただ、抗議とは受け取っておりません。
吉井委員 重森さんですね、五月二十四日に片山大臣と久保行政課長あてで、「行政書士法改正案について」という文書をファクスで届けていらっしゃるんですが、この文書の中で、「行政書士連合会を通じ、小職の情報開示請求に圧力をかけた事実を公表するとともに」と記載しているんですね。だから、久保課長に事実確認を求め、抗議の意思はきちんと示している文書が二十四日に届けられていたんじゃないんですか。しかも重森氏は、その問題に、行政課の職員から、この件でオンライン化法案のメモはないとすぐ電話をもらっているということですから、局長の方は、事実調査の中でこういうことをきちっと確認しておられるのかどうか。
 朝日の方では、久保課長は、担当者、関係者から聞いたが、この問題で開示請求者から事実確認や抗議なんかないと言っているんですが、現実にはそうじゃないことが出ているんですね。だから、きちんきちんと一つ一つ調査しなきゃいけないんですが、これは局長の方は聞かれたんですか。
芳山政府参考人 ただいまの件ですけれども、行政書士法の一部改正に関する開示請求者の一部の皆さんから文書を受け取ったのは、先生が御指摘のとおり事実でございます。
 ただ、その中に、表現として、行政書士法改正案の説明をしなければ、行政書士会連合会を通じ、情報開示請求権に圧力をかけた事実を公表するというような内容を含んだ内容でありましたため、我々としては圧力をかけた事実はないということでございますので、一切これについては対応しなかったということを聞いております。
 この文書については、先ほどお話ししましたけれども、行政課長としては抗議と受け取ってはいないということで聞いております。
吉井委員 調査を受けている立場の人が、記者の人から質問されると、それに答えて事実に反することを言っているわけです。だから、結局、自治行政局の中で、その課長さん、補佐さん、その人たちが実はこの問題については漏らしたのではないかという問題や、あるいは圧力をかけるように、あるいは団体を通じてとか、まさにそのことが情報公開のあり方として問題になっているときなんです。
 言ってみれば、被疑者が被疑者の取り調べをやるというふうな調査ではやはりだめなので、防衛庁リストの問題でも、途中からにしても、言ってみれば被疑者の立場にある局を外して人事局長が調査に当たったわけですが、総務省としても、少なくとも、開示請求者を外部の者に漏らしたのではないか、あるいは団体を使って圧力をかけさせたのではないか、そのことが疑われるあるいは問われるという、大臣は疑惑の目で何でも見てくれるなというお考えかもしれないけれども、事実を究明するということはそういうことなんですよ。そのときに、どうなのかと疑われている局に任せて調査ができるというものじゃないですから、やはり調査体制からしてきちんとしたことをやって調べるべきだと思いますよ。大臣、どうですか。
片山国務大臣 委員は、あなたの大変親しい二人の書士の方の言うことだけ聞いていろいろなことを言われている。しかも、全部疑い、憶測ですよ。あなたがそれだけ言われるならしっかり調べて証明してくださいよ。私の方はきっちり調べてそういう事実はないということを申し上げているんです。
吉井委員 私の方は私の方でちゃんと調べているんですから、ですから、その調べた、いつファクスをだれからという、さっき聞いたってちゃんと答えられないじゃないですか。それをちゃんと出せばいいんですよ。大体、人の手のうちを調べる方ばっかり考えて、言ってみればアリバイ、すり合わせになるようなことになっちゃいけないわけですから、だから提起した問題についてきちんと答えればいいんですよ。
 オンライン一括法の中で、税理士法、さっきも言ってはりましたが、社会保険労務士法、海事代理士法など改正とともに行政書士法の改正も検討されたわけですね。行政書士法改正案だけ別な業界団体の利益に絡んで他の士業法とは異なるものとなっているとして、これはアンフェアじゃないかという声が寄せられているわけですよ。
 全国の行政書士会総会や理事会などのいろいろな決議等も私も、大阪の方が来られました、いただきまして、電磁的記録などを書類とみなす改正部分については賛成だと、さっきおっしゃったとおりですよ。賛成しておられるのですよ。しかし、守秘義務を負わせない者に手続を代行させたり、国会の関与しない総務省令にゆだねる改正部分には反対するという決議が各地でなされているじゃありませんか。
 鳥取県の定時総会では、「オンライン化手続も可能となるための法整備は不可欠のものと理解するが」として、個人情報の流出に対しての取り締まり法規、個人情報保護法等が先行すべきものであることを強く訴えるとともに、行政書士法第十九条に定めのある――その前に、全国各地の行政書士会総会や理事会の決定なども読ませていただきましたが、電磁的記録などを書類とみなす改正部分には賛成だ、守秘義務を負わせない者に手続を代行させたり、国会の関与しない総務省令にゆだねる改正部分には反対だという決議が次々となされておって、それで鳥取の総会の方は、今言った行政書士法十九条に定めのある部分についてはほかのところと同じ趣旨の決議が行われていると。
 もちろんきょうはこの法案の議論をしているんじゃないんですが、問題は、この作成過程でとってきた総務省の態度が今問われていると思うんです。五月十四日に総務省行政課で課長補佐、事務官が日行連専務らに会って見解をお述べになった日行連の記録がありますね。それは皆さんの方も既にごらんになっていらっしゃるものですが、そこには、「オンライン化法案について新たな要望は可能か」という日行連の質問に対して、「新たな要望とは何か、国会議員から法案について呼び出しがかかり、その都度出向き、相手の疑問をすべて論破している、その数は百を超える」「新たな要望を受けることはできない、執行部として、寄せられた疑問、質問をすべて論破されたい」と課長補佐が言っているわけですね。つまり、日行連の方たちに対して総務省の方は、この行政書士法改正案については、もう国会議員百人全部我々は論破してしまったんだ、それぐらいやっているんだから、あなたたちは論破しなさいということを言っておられるじゃありませんか。
 では、伺っておきますが、論破したとする百人の国会議員の名前を聞かせてくださいよ。
芳山政府参考人 二点、今御質疑がありました点を申し上げます。
 後ろの点で、ビラの中に百名を超える国会の議員さんを論破したということを書いてあります。それで、こういうのが事実なのかということを確かめました。これについて担当者が日行連に対して申し上げたことは、行政書士から苦情や陳情が国会議員の先生方にも非常に多く届いておるということでございまして、行政課としても、今回の法律改正案について説明を求められれば直ちに参って、先生、また秘書の皆さんに御説明、御報告をしているということでございまして、ぜひとも日行連の方も、中でいろいろ御意見がありますけれども、中でそういう形の説明を十分してほしいという趣旨を申し上げたわけでございまして、先生言われるように、百名を論破した、毛頭そういうことを言っているわけじゃございません。
 そして、前の点でございますけれども、行政書士会が中で、単位会で反対決議があったりいろいろした中で、今回どうして他士業と違って十九条の独占のところが一部排除されたのかということは、確かにいろいろ御議論がございます。これは、オンライン化に伴って、書類の作成プラスオンラインという形で一条の二の改正のみをすれば一番いいわけでございますけれども、これについては、先ほど来申しておりますように、関係省庁との法案の成案を得ることができない、ないしは業界との調整がつかないということでもしも法案ができないならば、行政書士法案のみが法律が出せない、他士業はすべてオンラインになるということもございまして、会の中でいろいろ御議論がある中で会としておまとめになるということでございます。
 事実を申しますと、会の方の会長さんにお聞きしますと、四月に役員会の中で大筋の了解を今回の改正について得たということでございまして、六月の札幌総会でもってこの改正についての反対動議が出たようでございますけれども、圧倒的多数によって今回の改正案を支持されたということでございまして、行政書士会全体としては、今回の六月七日に閣議決定された案について、総会としては賛成であるということを我々としては伺っております。
吉井委員 まず、ビラのことで言っているんじゃないんです。これは行政書士会の方の資料がちゃんとあって申し上げているんですが、そこで、やりとりを皆、ちゃんとメモって出していらっしゃるんですね。その中で、オンライン化法案について新たな要望は可能かと聞いたら、その要望というのは何や、国会議員から法案について呼び出しがかかり、そのたびに出向いて、もう国会議員の疑問は全部論破してきたんだ、百人を超えるんだということなんですが、百人もの国会議員も論破した法案なんだから新たな要望を出してもだめだとあきらめさせるために百人の国会議員と言っているわけですから、論破されたとしている国会議員は行政書士の皆さんをあきらめさせる道具に使われたということにもなりかねないわけで、これは議員本人としても非常に不名誉なことですよ。
 ですから、少なくとも私は論破されていないんですが、氏名をやはり明らかにする、百人の名前を明らかにしてどのように論破したのか説明していただきたいと思うんです。
芳山政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、百名の皆様を論破してということは一切ございません。今度の改正について、一部、こういう改正はいかがなものかということで、議員会館の方にファクスやメールやまた要請書という形で突然参ったら、議員の皆様の秘書の方から、ぜひともどういう改正か教えてほしい、また、手続、閣議決定に至らない過程の議論でございましたので、質問があれば参って、延べの数でございますけれども、そういうかなりの数で御説明をしてまいりました。今回の改正はこういう経緯のもとで改正案を今まとめ中であるということでぜひとも御理解をということでございまして、そういうことを御了解賜りたいと思います。
吉井委員 この文書は理事長会議で配付された文書なんですよね。この文書を回収せよということも総務省は日行連に言ってこられたわけですが、情報公開担当の総務省で開示請求者のリストを第三者に漏らしたのではないかという問題があり、団体を通じて開示請求取り下げをさせるという圧力をかけたという問題もあり、その団体幹部には、国会議員の百人も論破されたんだから、もう総務省がつくった法案に屈服して成立に協力せよと言っているのと同じ意味合いになってくるんです。これで行政機関の個人情報保護法案を扱えるのかという問題があると思うんですよ。
 オンライン化法の一環として行政書士法改正案をつくっているんですが、こういう強権的、陰湿なやり方をやって、しかも住基ネットも強行スタートさせるということになってくると、これは本当に大変なことですから、私はやはりこの百人の名前、一体どの国会議員に会われて論破されたのか、きちんとそれは説明される必要がありますよ。
芳山政府参考人 百名云々というのは、先ほど来申し上げておりますように、延べの形で、陳情書が参ったところについて、言われたら直ちに参って説明をしておるというようなことでございまして、固有の名前について整理しているわけではございません。
 それともう一つ、先生言われた意味で行政書士会連合会に総務省の方、行政局の方で圧力をかけ、お願いして、法案についてのまとめをしてくれということをしたことは一切ございません。そういうことの事実は先ほど大臣が申し上げたとおりでございます。
吉井委員 私は、やはり執行部の方たちが行かれたときに、執行部として、寄せられた疑問、質問、すべて論破されたい、国会議員百人を論破したんだということを言ってきておられるわけですから、法案を通すためには行政課が強い態度で臨んでこられたことはもうはっきりしているわけですよ。だから、会長に、この法案のメリット、デメリットということを言えば、別に内部にそんな矛盾があるわけじゃなくて、これはみんな、私はこの法案そのものについては別にあれこれ言っているんじゃないんですが、しかし、この行政書士会の方からすると十九条の問題についてはデメリットありということで、これは多くの方が一致しているところなんですよ。
 ですから、そういうときに、会長に開示請求を取り下げさせよ、これはそういう立場で臨んでこられたということが、情報公開の問題でまさに問われているのは、法案の作成過程のさまざまな問題について全部明らかにしようじゃないかというところから始まっているわけですから、明らかにされちゃ困るということがないならば、百人の議員、どの議員を論破されたのか、どういう論破をされたのか、きちんと説明されたらいいわけですが、今説明はできないという状態ですよ。
 そこで大臣、改めて私求めておきたいと思うんですが、やはり、さっき言いましたこのファクスをいつ、それは確かに言っておられるように、日行連側が先にそのファクス等を通じて知ったのか、しかし、時系列的に追っていけばそれは知ることができなかった。そういうふうになってきた場合は、それは情報公開にかかわったところから漏らしたという可能性が出てくるわけですから、これは少なくとも疑問を呈せられている人たちが調査をしたって余り意味がないわけです。
 ですから、調査した日時その他、だれがだれに、いつ、本当に開示請求者のお名前を漏らしたのか漏らしていないのか、あるいは圧力をかけるということになったのかなっていないのか、それはきちんと調べたものを、調査報告をまとめて公表をされたい。これは大臣の方で徹底してやっていただきたいと思いますが、大臣に伺っておきたいと思います。
片山国務大臣 何度も申し上げておりますように、私の方は、しっかりとした調査をやった結果、情報の提供もないし圧力もかけていないと言っているんですよ。あなたの方がある、あると憶測でお言いになっている。それは、あると言われる方がしっかり証明してくださいよ。ないものをないという証明は難しいんですよ。あるならあるといった証明の方がずっと易しい。ぜひお願いしますよ。
 それから、百人の国会議員の論破云々ということで、課長か何かが言ったと言いますが、できるわけがないでしょう。一人だって大変なんだから、国会議員の皆さんに御了解いただくのは。百人も言うたら、課長の強がりですよ。そんなものをここで本気で取り上げて、百人の名前を出せなんというのも私はいかがかと思いますよ。
吉井委員 百人を論破したということでもって、あなたたちが何を言ったってだめなんですよ、まさにそういう形での圧力をかけているわけですから。そして、私が言ったように、ない、ないとこれは簡単に言える話じゃなくて、皆さんの方が出しておったらこれは大問題なんですよ。情報公開担当の省においてその開示請求者の氏名を漏らしたとなったらそれ自体大問題なんですよ。開示請求を引き下げろということを言ったらこれは大問題なんですよ。だから、ありませんとしか普通は言いようがないんですよ。あると言ってしまったら大変なことなんだから。
 だから、それならば、さっき言ったように、ファクスをいつの何時に受け取ったとか、どっちが早かったのか。この会員の間で流れているというお話が会長の耳に入ったのが早かったのか、それとも、会長がそれよりも早くに石橋さんらにこの問題について話をした方が早かったのか。そこのところがまさに今核心になるところですから、それは私の方に提供せよと私はさっきから言っているんですから、きちんと調査をして明らかにする、これをやってもらわなきゃならぬということを申し上げまして、次に、大分時間が参りましたから、行政機関の個人情報保護法案に照らしての幾つかの問題について伺いたいと思うんです。
 まず福田官房長官に伺いますが、憲法で保障された基本的人権である思想、信条の自由、法のもとの平等など、その保護について、これは小泉内閣として擁護する立場にきちんと立たれるのは当然だと思うんですが、まずこの点について伺っておきたいと思います。
福田国務大臣 内閣として、憲法に書いてあることを遵守するということであります。
吉井委員 それで、今まさに、センシティブ情報の問題についてどういう取り組みをするかが問われてくるわけです。
 資源エネルギー庁に最初に伺っておきますが、原発給付金の受け取りを拒否した人のリストには、思想、信条にかかわる情報も記載されていました。こういう思想、信条にかかわる情報は、国の交付金、道県の補助金交付による電力会社から住民への給付金を受け取らない人の給付金の返還の際には、そういう個人の、なぜあなたは受け取らないのかとか、あなたはどういう考えの持ち主なのかとか、そういうことはまず全く聞く必要がない、調べる必要がないと思うんですが、これはどういうふうに考えているんですか。
迎政府参考人 お答えを申し上げます。
 報道にございました原子力立地給付金というものは、原子力発電所等が立地をしております地域における実質的な電力料金の割引というものを目的といたしまして、立地地域の電力需要家に対しまして、国から道県への交付を行いまして、これを原資といたしまして給付金を交付するものであります。
 本給付金の交付事業といいますのは……(吉井委員「いやいや、そんなのはわかった上で聞いているんだからね。受け取らない人の返還の際に、辞退」と呼ぶ)それで、この給付金の給付というのを個々の電気の需要家の方々に給付をする際に、大変少数ではございますけれども、その給付金の受領の辞退をされる方がおられるというふうなことでございます。
 実際に、この給付というのは確実に行わなければならないというふうなことで補助金の執行とか行われているわけでございますので、それが、辞退というふうなことがございまして給付ができなかったというふうな場合は、はっきりと、きちんとその事態を把握して、それについては補助金を減額するとかいうふうなことが必要になってくるわけでございます。その過程で、では、きちんと給付について御説明を申し上げて、それで御本人がはっきりとその給付を辞退されたというふうな事実を、この事業を執行しております道県ですとか電源地域振興センターにその報告が行っていたというふうなことでございます。
 辞退をする理由について、中でいろいろ辞退をされる方がおっしゃるわけでございます。ですから、例えばその中に、自分はその原子力に反対であるのでこの給付金は辞退をいたしますというふうなことをおっしゃった場合がありますと、そういうことで御辞退があったというふうなことの報告が行っているというふうなことでございまして、特に、その方について何か思想、信条を調査してそれの情報を流布させたとか、そういうふうなことではなくて、御本人がおっしゃったことを報告に書いておったというふうなことでございます。
吉井委員 原子力立地給付金受領辞退申出書に受領辞退の理由を書く欄は本来要らないんでしょう。大体、不正が介在しないように、辞退された方にはお金が出ていない、それはどこか別な人が別なところに流用することはないということを会計上きちんと検査するとか、その体制をとっておけばいいものであって、受領辞退の理由は何だ、私は原発が嫌いだからとか何だとか、その人の信条にかかわるものは一切書いてもらう必要ないわけですよ。要りませんというだけでいいんですよ。何でそのことをきちんとできないんですか。
迎政府参考人 ただいま申し上げましたように、今まで行ってきたというふうなことは、辞退ということを確認したという情報を伝達するものであるというふうなことでやってきたわけでございまして、それ自体が直ちに不適当であったというふうには判断しておりません。
 しかしながら、個人情報の保護について万全を期するということが重要であるということについては御指摘をまつまでもないわけでございまして、今後、受領を辞退する事実を確認するに当たって、その目的の達成に必要最小限の情報収集ないしその報告というふうなことで、交付金の交付先である道県あるいは電源地域振興センターを指導してまいろうというふうに考えておるところでございます。
吉井委員 振興センターその他が、要りませんと辞退された方のお金を着服するとか不正に流用するとか、不正がはびこっちゃならないのは当たり前なんですよ。だから、そのためにきちんと会計検査をするなりなんなり別なシステムをつくっておけば、要らないという人は、要らない人のお名前がわかればそこへ出さないわけですから、それだけのことなんですよ。受領辞退の理由ということを書かせる中で、受領辞退についていろいろな考え方を書いてもらうとか何だとかいうことを一切必要としないんですよ。そうじゃないですか。
 では、これからもこれを書かせるということですか。
迎政府参考人 まさに執行の適正ということでやってきたわけでございまして、先ほど申し上げましたように、最小限の報告事項というふうなものがどういうことになるのかということについては事実を把握した上で検討したい、こういうことでございます。
吉井委員 内閣官房機密費の話をしているんじゃないんですよ。領収書が要らなくてどう使われているかわからないような話じゃなくて、この場合は、決まったお金があって、受領を辞退された方についてはそのお名前だけわかれば、その人へ払っていないんだから、それだけのことできっちりするわけですよ。だから、その人についていろいろなことを問うような、受領辞退の理由だとかそういうものは一切必要としない。そのことが何ではっきり言えないんですか。おかしいじゃないですか。
迎政府参考人 これは、辞退をされる方にもいろいろおられまして、辞退の申出書というのをはっきり書いていただける方もあるわけですけれども、そういうものも書きたくないというふうにおっしゃるような方もあるわけでございます。そういう場合に、末端の給付事務を担当する者がいろいろお話しに上がる。それで、お話しに上がった記録というふうなものをつくっておる。後々の紛争を避けるために意思をきちっと確認するためのやりとり等を行って、そういったものが報告をされていたというふうなことでございますので、もちろん後々の紛争を避けるというふうなことも必要であるわけですけれども、それをどこまで、補助金の交付の適正化という点で、道県といったところまでその報告を求めるかという点については、今後いろいろ検討をしたいということでございます。
吉井委員 今の発言は大変なことだと思うよ。受領を辞退される方について峻別する必要はないんです。後々の紛争を避けるために、そこに生かすためということですが、では目的外ですね。何でこの理由を書いて、その人が後々の紛争ということで、例えば次の原発立地について巻町のような投票なりなんなりをお考えになっているのかどうか知りませんが、そういうことは一切必要ないんですよ。
 次に、引き続いて伺っておきますけれども、センシティブ情報を資源エネルギー庁の外郭団体の電源地域振興センターが電力会社から受け取って自治体に提供していた問題について、どんな調査をされてどう対処していくのか、これはもう一言で結構ですから言ってください。
迎政府参考人 ただいま申し上げました、後の紛争を避けると申し上げたのは、要するに、受け取る意思があったのに自分が給付されなかったというふうな、そういう紛争という意味でございまして、何か目的外というふうな……。それで、今申し上げましたように、辞退申出書というのをはっきり書いていただければ問題ないわけですけれども、そうでない場合に、いろいろなやりとりがあった記録等が出てくるというふうなことでございます。
 どういう調査をするのかということでございますけれども、これは都道府県への報告事項の中身ですとか、あるいは各電力会社から電源地域振興センターに上がってまいります報告の内容等についても若干の多い少ないみたいなものがありますので、その辺をきちっと把握をした上で、確認の上で、最小限のものは何かというふうな観点で検討をしたいというふうなことでございます。
吉井委員 もうそんな話は全然だめね。
 これは、原発給付金の受け取り拒否をした人のリストに思想、信条にかかわる情報も記載されていたということで、それが自治体に提供されていたという問題ですが、先ほど福田官房長官は、内閣として、もちろん基本的人権である思想、信条の自由などを擁護する立場で臨むということをおっしゃったわけですが、こういうふうな個人情報の収集や記載や、あるいは自治体への提供という問題については、これは憲法上やはりゆゆしい問題として、必要でないものはそもそも理由を書く必要はないようにするとか、これは憲法上の問題としても内閣としてもきちんと考えていかなきゃいけない問題じゃないですか。憲法違反とまで言えるかどうかは別として、憲法上、こういうことはあいまいにしちゃならぬということはやはり考えなきゃいけないんじゃないんですか。
福田国務大臣 今お話を伺っておりました。
 業務上どうしても必要だということについてその情報をとるということについて、すべて個人にかかわることはだめということになるのかどうかということもあろうかと思います。
 本件につきまして経済産業省で、今お話をしているように、調査を行いました。これまでのところは直ちに問題ということではないようでありますけれども、個人的な情報の取り扱いという観点から、必要最小限の情報にとどめるというような、万全を期していたのかどうか、さらに調査し、必要があれば検討していきたいというような報告を経済産業省から聞いておるところでございます。
吉井委員 これは非常に具体的な話なんです。原発立地給付金受領辞退申出書の中では、辞退される方が書けばしまいなんです。その人は、何で私は要りませんとか、物の考え方について一切書く必要はないのに、それを書く欄がもともとあるわけですよ。その書く欄はもともと必要ないじゃないか。それは、個人のセンシティブ情報を集める意図がなければ、要するに、不正を排除するためであったら別な手段があるわけですから、そういうことをやる必要ないじゃないかということを言っているんですよ。
 では、竹中大臣に伺っておきたいと思うんです。
 こういうものを今回の個人情報保護法案では、どういう扱い、今回のようなこういうものはやめなさいということになるのか、法律上は禁じていない、構いませんよということになるのか、どういう扱いにされるんですか。
竹中国務大臣 民間の企業について、民間部門等々について、このような情報の収集がどのような扱いを個人情報保護法の中で受けるのかという御質問だというふうに思いますけれども、個人情報保護法では、これが個人情報の取扱事業者である場合には、利用目的をできる限り特定する。それは、思想、信条にかかわるものであろうとなかろうと、利用目的をできる限り特定する必要がある、必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならない、そういう位置づけになるわけであります。
 かつ、その利用目的については、個人情報を収集する際には、当然のことながら、本人に通知して、または公表しなければならないし、収集した情報を第三者に提供する場合は、原則として本人の同意を必要とするということになりますから、そういう形での取り扱いを受けるということになるわけであります。
吉井委員 時間が来てしまいましたから、この種のものはまた次の機会にしたいと思います。
 ただ、いずれにしても、今回の問題にあらわれているように、必要でないものを収集する、そういう欄があれば、それは最初から排除をする、また目的外に使われることのないようにするとかいうことをきちんと最初から答弁でも明確にできるぐらいでないと、とてもじゃないが心もとない話だということを言わざるを得ません。
 そして、情報公開について、こういう公開について、そもそも役所の方が全部、関係団体と非常に密接な影響力を行使して、圧力と言われても仕方のない力を行使して、口裏合わせをさせるとかアリバイづくりをやっていると言われても仕方のないようなところへいってしまったら、これは本当に、情報公開という法律があっても開示請求者が抑制されてしまう。情報公開というものがなされなくなるし、まして、開示請求を撤回しろ、直接にしろ間接にしろ、そういう形になるということはとんでもないことだということを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
大畠委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、山花郁夫君。
山花委員 民主党の山花郁夫でございます。
 冒頭、今の吉井委員の質問と関連いたしまして少々質問をさせていただきたいと思います。
 総務大臣、今、調査の結果、情報提供したという事実、そして圧力をかけたという事実は一切ないんだという御答弁だったかと思いますが、もう一度確認をお願いいたします。
片山国務大臣 先ほども申し上げましたが、調査の結果、行政書士会連合会会長に情報提供した事実もないし、また、圧力をかけるように依頼した事実もありません。
山花委員 それで、先ほどの質疑の中で、役所の方の担当者からヒアリングをしたということをおっしゃっておられましたが、私も、きのう夜の時点で聞いたときには、四名の方からヒアリングをしているんだと。四人の人と、あと関係の団体と言っていましたから、恐らく行政書士会なんでしょう。ただ、担当者四人ぐらいから聞くのに何でこんなに時間がかかるんだと思ったんですが。
 先ほどの御答弁だと、行政課長とか課長補佐とかそういう人たちだというお話でしたが、だれから調査をされたのかということを明らかにしていただけますでしょうか。
芳山政府参考人 大臣の命を受けまして、厳正な調査を実施するために、今回、行政書士の業務にかかわりのない職員を補佐の立場で得つつ実施をしました。
 それで、指摘を受けた以降、二十六日、二十七日、総務省の行政書士の業務担当関係者、行政課長、課長補佐、係長、担当員から実施をしました。また、二十七日、日本行政書士会連合会の会長さんに来ていただいて、事実の確認を行いました。
 以上でございます。
山花委員 要するに、四名の方から事実についてヒアリングを行ったということですね。
 ただ、先ほど私、総務大臣、御答弁の中で、ちょっと発言で気になったことがあったんですけれども、なぜ行政書士会の会長さんがこの情報公開請求について知り得たかということについて、情報公開請求をした行政書士の人でファクスを送ったりいろいろやっているんですよという言い方をされていました。
 それによって知り得たというような言い方ですが、その人の名誉にもかかわることですし、会長がそのファクスなどによって知り得たのだと、それによって知り得たというのは、それは知り得たという話ですから可能性の話で、それによって初めて知ったんだということをちゃんと言わないと、つまり、本来であれば、今回、この問題というのは、総務省の方で情報提供していない、圧力をかけていない、そのことの証明でいいのかもしれませんけれども、大臣がああいう言い方をされるということは、会長が何でその情報公開について知り得たのかということをちゃんと証明して報告していただかないと、それこそ名誉にかかわることじゃないでしょうか。どうでしょうか。
片山国務大臣 吉井委員は、情報提供があったから会長が知っている、こうおっしゃるから、いやいや、ほかのいろいろなこともあるので、情報提供がなくても知り得る可能性はありますよと。例えば、当該二人の行政書士の方が、開示請求をしたとかいろいろなことについてファクスを何人かの方に配付している、そういうことの話を聞きましたので、可能性としてはありますよということを言ったんですよ。情報提供しか会長が知り得ないということはあり得ない、こういうことを申し上げたわけであります。詳細には、聞いてくださいよ。
山花委員 ですから、そのことは私は別に否定していないですよ。つまり、そういう可能性があったと。
 つまりは、情報公開請求があったということを総務省の方から日行連の会長の方に言わなかったとしても、そういうふうな形で、ファクスを送られたりとか、理事の方に送っていたとか何か言われていましたけれども、つまり、ほかで知り得たという話にはなりますが、私が申し上げているのは、何で知ったか。つまり、それによって知り得たという話にはなりますよ。先ほど、吉井委員に対して、あなたの言っていることは憶測だ何だと言っていましたけれども、これだって推測じゃないですか。それによって知り得たという話であって、それで初めて知ったということではないですよね。そこについての証明が必要なんじゃないですか。
芳山政府参考人 知り得たじゃなくて、知ったわけでございます。先ほどそういう御答弁をしたと思いますが、連合会の会長さんに来ていただいて、その事実の関係を調査しました。
 それで、五月の十九日にお二人に来ていただいて、今度の法律の改正の趣旨についてぜひ正しい御理解をしていただきたいということでお集まりいただくということでございますけれども、それは、十三日に、十二日付の開示請求書の写しの、合わせてセットを全国の理事さん、単位会長さん、また有志の皆さんにファクス、メールを送信しておる。そして、自分としては、会長は、行政書士会の会長さんから送付されたものを十五日以前に入手をしたということでございます。それともう一つ、それ以前にも、四月二十九日付の開示請求書の写しを全国に同人が発付しておりますので、それについても単位会の会長さんから情報を得たということでございます。そういうことで知った。
 それで、では、どうしてそういう会合を持ったのかということでございますけれども、先ほどお話ししましたが、会長としては、これについて、行政書士会連合会として長年の懸案の課題でございますし、組織運営上の混乱を来すために、ぜひとも今回の改正の案について御理解を賜りたいということで、ぜひ会を開きたいという形で十九日に開いたわけでございます。
山花委員 そのことと、要するに、私が大臣に言っていることは、御発言の中で、会長が知り得たかどうかという事実とはまた別の次元で、情報公開請求をした、先ほど吉井委員は名前も挙げられておりましたよ、その中で総務大臣は、最初、芳山局長がお答えになる前に、その行政書士の人はファクスを送ったりいろいろなことをやっているんだ、そういう言い方をされたじゃないですか。だから、そういう言い方をするということは、その行為によって知ったんだというふうに受け取れますよ。
 そうだとすれば、そのことについて、もし今のお話、間違いないということであれば、やはりちゃんと報告書なりなんなりつくってこの委員会で報告されるべきじゃないですか、書面で。いかがでしょうか。
片山国務大臣 これだけ丁寧に報告をしておりますし、議事録にちゃんと残りますから、もうこれ以上の調査をするつもりはありません。
山花委員 時間的な話で、例えば、今口頭でいろいろ聞いて、こっちもメモとっているぐらいであれですけれども、十三日にセットの写しがあったりとか、結構、日にちのこと、経過のお話がいろいろあるじゃないですか。
 委員長、これを報告書の形で、ペーパーの形で出していただくように求めたいと思います。
大畠委員長 理事会で協議いたします。
山花委員 それはお願いいたします。
 この問題はとりあえず一たん切りまして、法律の入り口のところで少し議論させていただきたいと思いますが、今回、民間の方の個人情報の保護法制というものと総務省から出されている行政の方の個人情報の保護法というものが出ております。同時に今この委員会で審議をしているわけでありますけれども、この第一条のところの書きぶりです。
 恐らく、こうやって同じ時期に出してくるわけでありますから、書き方についても調整をされたんではないかと推測をいたしますが、その中で、個人情報保護法の方なんですけれども、民間事業者を対象とする方の内閣官房が出されているものについては、「高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ、」ということで、今回出されたことについて、高度通信社会の進展が伴っているから、いわばデータバンク社会というのが到来しているというバックグラウンドが書かれているんですけれども、行政の方の個人情報保護法についてはこれが書かれておりません。
 これは一体どういうことなんでしょうか。つまり、対比して読めば、反対解釈すると、行政については特にそういうバックグラウンドがないかのようにも読めるんですけれども、この点、御答弁お願いいたします。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 行政機関個人情報保護法案でございますが、これは、内閣官房の方から出されております基本法制を受けて制定される個別法、基本法に対して個別法の関係にございます。したがいまして、基本法制と同様の背景のもとに立案をさせていただいているところでございます。
 このため、基本法制の方で書かれております高度情報通信社会の進展ということを自明のものと考えまして、この行政機関個人情報保護法案の方には特に明記しておらないわけでございまして、高度情報通信社会の進展を立案の背景としている点につきましては、基本法制と変わるところはございません。
山花委員 つまりは、今回の、個人情報保護法という内閣官房から出されているのが基本法制で、総務省から出されている方が個別法であると。つまり、いわばもう表裏一体、密接不可分のものである、そういうことであると理解をいたしますが、この点について、これを前提にして、後、少し議論させていただきたいと思います。
 この第一条、これは両方ともそうなんですが、書きぶりについて少々気になるところがございますけれども、私どもは、どうも今回出されているこの法律というのは、行政の便宜ということに重きを置いていて、ついでに個人の情報を保護するというような、いわば官の方に非常に都合のいいような法律ではないかというふうな形で見ているわけであります。
 例えば、基本法制と言われましたが、個人情報、内閣官房から出されているものですが、第一条、「目的」ということでいろいろ書いておりますが、一番最後のところに、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」と、個人情報の有用性という言葉が書いてありますけれども、当然、これはだれにとって有用かといえば、行政の機関ですね。個人情報を持っている個人にとってそれが有用なケースもあるでしょう。あるでしょうけれども、あえて、今回のこの法の枠組みで言っている個人情報の有用性というのは、当然、行政機関の側の便宜というふうに読めると思いますし、また、行政機関の保有する個人情報の保護の方にも同じような、「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」こういう書き方になっているわけであります。
 私の日本語の語感からすれば、先に本来の、いわば本旨の部分を書いておいて、それをやりながら、ついでにこういうこともありますよというふうに書くのが普通ではないかと思います。
 例えば、今手元に東京都の個人情報保護に関する条例というものを持ってまいりましたが、東京都の方はこう書いてあります。「この条例は、個人に関する情報の取扱いについての基本的事項を定め、都の実施機関が保有する個人情報の開示及び訂正を請求する権利を明らかにし、もって個人の権利利益の保護を図るとともに、」これが主目的として書いてあって、「都政の適正な運営に資することを目的とする。」と。
 一義的には、やはり個人の、しかも、個人情報の開示及び訂正を請求する権利を明らかにした上で、もって個人の権利利益を保護するんだ、これをちゃんとうたった上で、結果として都政の適正な運営に資することを目的とする、こういう書き方の方が私は素直に受け取れるんですけれども、今回のこの書きぶりだったら、やはり行政の便宜ということを主たる目的としてつくられた、こういうふうに読めるんです。この点についていかがお考えでしょうか。どういう御説明なんでしょうか。
松田政府参考人 まず、行政機関個人情報保護法の方につきまして御説明させていただきますが、行政機関法制におきまして、第一条に書いてございますように、「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」と規定しているところでありまして、文理上、個人の権利利益の保護が主であることは明らかであると我々は考えております。
 現実に、この法律におきましては、個人情報の原則開示あるいは目的外への利用の原則禁止、例外は限定的に規定するということを行っておるところでございまして、まず個人の権利利益の保護が主であるというふうに考えております。
山花委員 内閣官房から出されている方についてはどうでしょうか。
藤井政府参考人 お答えいたします。
 ひとつ、条文の文理ということで御説明したいと思いますけれども、基本法制においても、「この法律は、」云々云々「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」こう書いております。御質問の趣旨は、「しつつ」というところの言葉の意味合いだろうと思っております。
 これは、文理的には、やはり主目的は、この法律は個人の権利利益を保護することを目的とするというのが一番の主目的でございまして、いわば、その際にという意味で「しつつ」はかかるわけでございまして、やはりこういう権利を保護するという際には個人情報の有用性にも配慮するんだ、こういう趣旨だということでございます。したがいまして、主たる目的は個人の権利利益保護ということであることは文理上も明らかだと思っています。
 なお、同様の議論は、昭和六十三年の行政機関の個人情報保護法、当初御論議いただいたときでも当委員会で御論議いただいていまして、そのときの高鳥総務庁長官からも同趣旨の御答弁を申し上げているところでございます。
 加えて、若干、御質問の中に有用性とは何かというような御質問がございました。
 これは確かに、個人情報の情報主体と言っていいと思いますけれども、御本人の権利利益の有用性というようなものもございますが、それだけじゃなしに、やはり社会的な有用性というようなものも有用性の中に含まれると思っておりまして、例えば、今メディアとの関係でいろいろ御論議いただいておりますけれども、ああいうメディアの報道の公益性のようなもの、そういったものもこの個人情報の有用性に入るという趣旨でございます。
山花委員 いや、だって、先ほどこれは両者表裏一体のものだと言われましたから、行政の方を読めば、「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ」と、これに対応するのが個人情報の有用性に配慮するというふうに読めるわけですよ。
 だから、今いろいろ言われましたけれども、本来、この書き方については疑問があります。しかし、御答弁の中では、個人の権利利益ということ、あくまでもその保護が主目的だ、そういうお答えだったと思いますが、ただ、全体の構造を見るとそうなっていないんですよ。それが問題なんですよ。
 あえて確認をさせていただきますが、本来はそういう趣旨で提案をされたわけですよね。ところが、これはかねてより私どもも議論させていただいておりますが、水曜日のときに、仙谷委員からも総務大臣に罰則のことについて質問がされておりました。私は仙谷委員のように高尚な話はできませんが、ただ、言われていることについては私はそのとおりだと思っていたんですけれども、どうもお認めになっておりませんね。これは本会議などの場でも議論がございましたけれども、改めてもう一回ここでちょっと議論させていただきたいんです。
 理事会でペーパーをお配りさせていただくことを御了解いただいておると思うんですが、静岡新聞などからとった資料で、行政の方と民間の方の対比の表というものがございます。
 今回、これを対比してみますと、つまり、民間の方に関しては、ここに書いてございます利用目的制限だとか適正取得、利用目的通知、二十一条、二十二条、二十三条から三十五条まで、この点に違反した場合については、政府の助言とか勧告とか命令、これがクッションになっていますが、それでもこういったものについて罰則が設けられている。
 これに対して、私聞いていて、仙谷委員の議論を理解されているのかされていないのかちょっと疑問だったんですが、この紙だと、守秘義務違反ということで罰則という形でかかっていますが、そもそも行政機関の方の法律には罰則規定というのはないですよね、法律上は、この法律の中には。だからこそ、この点について民間の方に厳しくて官僚の方には優しいじゃないか、こういう議論があるんですけれども、これは今までこの委員会で、その中身についての議論よりももっと違うところの方が時間を割かれていましたが、この点についても今まで何度か議論があったわけです。
 本会議のときからいろいろ御答弁されていましたが、その答弁について、そうじゃないんだというその説明、まだ変わらないですか、総務大臣。
片山国務大臣 変わりません。また、変わるわけがない、同じことを言っているんですから。
 そこで、この民間と官僚の、今お配りになったこのペーパーなんですが、民間の方は罰則がかかるまでに、今委員が言われたように、助言がまずある、勧告がある、命令がある、それを全部こなすわけですよ。残った悪質なものだけ罰則をかける、こういうことですね。
 それから、公務員の方は、そこにありますように、書いているのは守秘義務違反ですよ。守秘義務違反だけこれは挙げているんで、この上に職権乱用だとか公文書毀棄罪に該当するものがあれば、例えば、この下の方の開示や訂正や利用停止やなんかで、これはそっちの罰則がまたかかるわけですよ。それ以外は懲戒処分でいく。こういうわけで、しかも直罰ですよね、直罰方式で。
 そういう意味で、どこまでを罰則にかけるかというのはいろいろな議論があるので、国家公務員の場合には、公務員法上に懲戒処分なり守秘義務違反の罰則なりがあるので、そっちでいけるではないかというのが立法過程における議論なんですね。法制局なんかとも相談し、罰則については法務省とも相談しますから。
 そういうことで今回こういう制度にいたしたわけでありますが、私は仙谷委員に言ったのは、仙谷委員を初めとして皆さんが言われていることもわかるので、ただしかし、罰則をかけるとすれば、今のいろいろな、直接の権利侵害になるとか、刑罰とのバランスをどうするとか、犯罪になるわけですから、構成要件該当性というのが犯罪をする大きな特色ですから、構成要件にたえ得るのか、そういうことのもっと詰めた検討が必要じゃないでしょうか、そういうことで将来の検討課題ではないでしょうか、こういうふうに申し上げたわけでありまして、本会議も、仙谷委員に対する答弁も、委員に対する答弁も、全く同じでございます。
山花委員 ちょっとこの点についてはもう少し詰めた議論をさせていただきたいと思います。
 当然のことだと思いますが、竹中大臣も福田官房長官も、当然この点については同じ認識だということでいらっしゃいますよね。――うなずいていらっしゃいますから、そうだというふうに受けとめさせていただきたいと思います。
 今のお話ですけれども、民間のケースでいいますと、この表の見方ですが、利用目的制限、適正取得、利用目的通知、ここに挙がっているのは、クッションがあると言われましたけれども、行為の態様として見たときに、違反すればすべて罰則の対象、つまり、これは懲役ですから刑罰ですよ。これがかかれば、有罪が確定すれば前科ということになるわけです。
 ただ、これは役人の場合、まず、そもそも違反したとしても、本当に守秘義務違反がかかって罰則の対象になるのは、これは安全管理措置と第三者提供制限だけじゃないですか。その他のは懲戒処分でと今言われましたけれども、これも前から話をしていますが、民間の、例えば竹中大臣、大学の方にいらっしゃったと思いますが、違法なことをやれば、内部的にやはり懲戒だ何だというのは当然あるわけですよね。首かも知れません。それとは別に、この法律、民間人の場合は罰則がかかってくるわけですよ。いいですか。それで、役所の方のこっちの方は罰則なしで懲戒だけという話じゃないですか。やはりこれは、民間の方に厳しくて官僚の方に優しいということじゃないですか。どう説明されるんですか。
藤井政府参考人 行政機関法制の方はまた総務省の方から御答弁いただきますが、基本法制の方の趣旨について御説明させていただきたいと思います。
 確かに、この資料には利用目的制限とか適正取得とか、こういういろいろな義務が取扱事業者にかけられております。しかし、その義務というのは、法律がその事業者に対してこうしなさいという義務でございまして、基本的に、事業者の方が自主的にやはり改善していただく、そういうための義務という形になってございます。
 ところが、いろいろ社会問題化したりした場合、やはり行政として関知できない状況が出てくる場合がある、そういったときにはいろいろ主務大臣から、まず資料を収集していただくなり、それに対して助言をするとか、それでもだめな場合は勧告をするとか、勧告でもだめな場合は命令処分を課すという形になって、その過程で事業者の方が自主的に改善されていただければ、これはもうこの法律上の義務は履行されたということで、その後の罰則というような問題は、基本法制では全然念頭に置いておりません。
 罰則が問題になるのは、あくまでも、改善命令が出されたにもかかわらず命令が遵守されない、やはりその命令を担保するためという意味で罰則をかけているわけでございまして、そこは行政機関法制の場合の守秘義務とか懲戒処分と言われるものと、性格はやはり相当違うというふうに考えているところでございます。
    〔委員長退席、野田(佳)委員長代理着席〕
山花委員 法の立て方が違うということはわかりますよ。それはわかりますが、結局、行為をする態様の観点から見たときに、つまり、罰則を設けるということは、それによって応報感情の回復を図るとかそういう議論もありますが、一方で、今場内からもありましたけれども、抑止効果というところがあるわけじゃないですか。
 そうだとすると、懲役六月だって、これは恐らく行為に、例えば利用目的制限、適正取得、この中でも、六月以下ですから、どれだけに相当するかというのは個々のケースによって違うのでしょうけれども、およそ罰金とかそういうことではなくて、懲役六月というのはかなり重いと思いますよ。これについて、すべての行為について網がかかっている形になっているということを申し上げているわけですよ。つまり、政府の助言とか勧告、命令、これに従わなかった、最終的な場合だと言っていますけれども、それは最終的にはこういうものが控えていますよという形で、すべての行為に網がかかっているじゃないですか。
 行政の方は、そういうことではないですね。先ほども申し上げましたが、懲戒処分があるからと言いますけれども、民間だってそんなことはあるんですよ。当たり前のことですよ。それが、言ってみれば、行政の方は懲戒だけ。つまり、行為の方に注目をしたときに、こういう行為をやったらこういうふうな激烈なことが起こりますよということでいうと、民間の方がやはり厳しいという話になるじゃないですか。そこのところの説明になっていないわけですよ、今の話は。どう説明されるのですか。
藤井政府参考人 委員の御指摘は、罰則という制度の効果についての御理解の問題から始めなければいけないのかなと思っております。
 確かに、罰則というのはある意味で抑止力という面からも評価される面があると思いますけれども、基本的にやはり罰則というのは、何か間違ったことをしたということに対する制裁的な意味合いがあるだろうと思います。
 抑止力という面では、確かに罰則も一つの要素ではあろうかと思いますが、これは前から大臣から御答弁いただいていますように、むしろ、まず法律を運用する職員の認識の問題とか、あるいは、従来御説明させていただいておりますように、いろいろな本人チェックの仕組みとか公表制度とか、そういったもの全体で抑止力を期すというのがこの制度のつくり方になっているということでございます。
 今、委員からの御質問は、抑止力という点からだけの比較ということでそういう御指摘があったんだろうと理解いたしますが、ただ、先ほど御答弁申し上げましたとおり、民間の場合は、個々の事業者が仮に一回でも利用目的制限に違反するということであればすぐそれが罰則を受けるのかというと、そういうものではなくして、むしろ、利用目的制限なら制限に反するということであれば、まず自分で直してください、自分でも直されない場合に主務大臣が必要最小限の関与をする。関与をしたにもかかわらず守らないという場合には、その関与の最強力な命令処分、これを担保するものとしての罰則という意味合いであるということで、そこは、先ほど来の御説明に重複することになりますが、いわば国家公務員法の守秘義務なんかの罰則とは相当意味合いが違う罰則ですということを申し上げている次第でございます。
    〔野田(佳)委員長代理退席、委員長着席〕
山花委員 今の御説明で、公務員の場合は職員の意識などに頼るところがあると言いましたけれども、そういう答弁からしても、この間の防衛庁のリストの問題は何なんですか。
 つまり、官僚は悪いことをしないなんという前提に立ってそういうふうな議論をされると困るんですよ。民間の方は、要するに、いつまでも言っても直らないような悪いやつらばかりいるからこういう仕組みにしたんだというような話じゃないですか。要するに官尊民卑の、本当によく出ているわけですよ。
 それと、片山さん、先ほど、刑罰法規の罪刑法定主義とかいろいろ言われていましたが、今回のこの法律について、懲戒処分という形でそれなりに厳しいペナルティーがあるじゃないかという御答弁だと思うのですけれども、これは、法律的な議論をされるんだとすると、私は非常に疑問があるのです。だって、懲戒処分もそうですけれども、内部的な話だということがまず一つ、これは先ほど来申し上げていることですが。守秘義務違反がかかるじゃないかというのは、これは私には詭弁にしか聞こえない。なぜか。
 私が先ほど、仙谷委員の指摘が理解されていたのかされなかったのかという話なんですが、先ほど役所の方からの御答弁ですと、この法律の目的のところですが、第一義的には主たる保護法益というのは個人情報である、つまり個人の権利利益である、そういうことを言われていましたね。今、表に対比して出しましたけれども、こういった行為というのは、個人の権利利益をいわば侵害した、法益を侵害したケースですね。ということは、個人の権利利益を侵犯したような人に対して、それ相当の、それに対応する形での罰則がなきゃいけないじゃないですか。今回の法律にはないんですよ。
 いいですか。守秘義務違反という国家公務員法上のもの、保護法益は何ですか。プライバシーじゃないじゃないですか。性質が違うものですよ。守秘義務というのは、国家公務員の、いわば公の利益を守るためのものですよ。それで網をかけようとしているわけですよ。全然性質が違うじゃないですか。つまりは、今回のこの法律に対して罰則がないじゃないかという指摘は認めなきゃいけないと思いますよ。いかがですか。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども内閣官房の方から御説明がございましたように、民間の方は、先生のこの資料にございますように、違反がございましても直ちにペナルティーがかかるわけではございません。政府の助言、政府の勧告、命令、そういうものに従わない悪質な事態に対して、法令をまさに遵守させる最終的な担保として罰則がかかっているというふうに我々理解いたしております。
 これに対しまして、官の方は、そもそも民間が自主的な規律を前提とした非常に緩やかな規制であるのに対しまして、先般来御説明申し上げさせていただいていますように、非常に厳格な規律を前提にし、違反に対して直ちに罰則といいますか、違反に対するペナルティーがかかるような仕組みになっております。
 法令遵守義務違反に対して懲戒処分ということでございます。それから、個人の秘密も漏えいした場合に、公務員法の守秘義務違反に問われるケースがございます。それから、大臣からも御答弁申し上げましたように、職権乱用をして個人情報を入手すれば、まさにそれに問われる場合もございますし、あるいは、個人の情報を開示すべきであるにもかかわらず当該文書を廃棄した等々の場合には、公用文書毀棄罪ということで、まさに個人情報保護に関連する別途の一般的罰則がございますので、それによっているわけでございます。
 最終的には、この法令を遵守させる最終的な担保、民間の場合の罰則に対応するものとしては、まさに行政機関の責任ということで、大臣等々の政治的な責任も含めて対処をしていくということでございます。それ以前に、個々の職員に対してこのようなペナルティーがかかるということでございます。
山花委員 冒頭の御答弁と、ちょっとおかしいんじゃないですか。
 今回のこの法律というのは、あくまでも主たる目的は個人の情報である、個人の権利利益である。そうであるとすれば、ここに出ているような行為というのは個人の権利利益の侵犯として見なきゃいけないわけですよ、服務規律違反だとかそういうことではなくて。この法律の議論を離れて言えば、およそ法令遵守に違反すれば、それは公務員秩序を乱したりであるとか、そういった、むしろ公の、つまり公務の方が保護法益なわけじゃないですか。今のような御答弁で、懲戒とか、あるいは今回の守秘義務違反というのはこういうのがありますよというのは、それは国家公務員法を根拠にしているわけですよ。法益は何ですか。個人情報じゃないじゃないですか。
 つまりは、今回のこの法律というのは、先ほどの御答弁、第一条の目的のところで、個人情報の保護というのが主たる目的ですよと言っておきながら、罰則のところになれば、今のお答えだと、これはあくまでも、要するに行政の円滑な遂行とかを妨げた、そういう方で罰則がかかっている、そういうふうに聞こえるじゃないですか。どうですか。
藤井政府参考人 今、基本法制も通ずる問題として、保護法益が何かというような御質問がございましたということで、その点について御答弁させていただきたいと思います。
 確かに両法案とも、個人の権利利益の保護を目的とすると言っております。ただ、個人の権利利益は当然プライバシーを初めとしたもろもろの個人の権利利益が含まれているというふうに考えておるわけでございますが、法律の中身は何かと申しますと、むしろ、そういう個人のプライバシーを初めとした個人の権利利益がIT社会の中で侵害を受けるようなおそれ、危険性が増大している、そういった個人の権利利益の侵害のおそれがある段階で一定の法律上のルールをつくる。これはいわば予防法制と言っていいと思いますけれども、権利利益の侵害が始まる前の段階で、むしろそういう侵害が起きないようなルールなりシステムなりをつくろうというところにこの法律の一番の特色があるというふうに考えてございます。
 したがいまして、これは難しい学問的な議論が出てくるんだろうと思いますが、例えば、利用目的制限のルールを外れたということで即個人の権利利益に侵害が生じたというふうに判断できるかどうかというのは、これはまた一つの研究課題ではあると思いますが、ただ、申し上げたいのは、この法律は、その段階で個別具体的な権利利益侵害が起きているかどうかにかかわらず、やはり法律上の義務としてこういうルールを守ってくださいという義務を課しているというところに大きな意義があるというふうに考えているところでございます。
山花委員 やはりちょっとよくわかっていないんじゃないですか。
 いいですか。つまりは、国家公務員法というのは、あくまでもそれは国家公務員の規律に違反したということが違法なわけでしょう。例えば、警察官が警察官職務執行法などに反して一般の民間人に対して暴行を行ったりとかすれば、刑法上の罪と国家公務員法上の服務規律違反と両方かかりますよね。保護法益が違うからですよ。わかりますよね。当たり前のことですよ。
 今回のこれというのは、個人情報を侵犯したとしても罰則がかからない、そういう仕組みじゃないですかということを申し上げているんですよ。いいですか。一般的な法違反ということで、確かに守秘義務違反とか懲戒処分はかかりますよ。だからそれを繰り返し言っているんです。あくまでもこの法律というのは行政の方を守るためのものであって、個人の権利利益を守るためになっていないじゃないかと。何となれば、ここを一つとっても、個人の権利利益を侵害したという理由に基づいた罰則というのが公務員にはない、そのことを言っているんです。どう説明されるんですか。
松田政府参考人 先ほども御説明申し上げましたように、民間の方のケースでもそうでございますが、内閣官房から説明がございましたように、個人情報を保護するためのいろいろな規律、ルールをここでつくりましょうということで基本法の方は提案させていただいているわけでございます。
 そこで、そのルールに対する違反があった場合に、ここに一連の助言ですとか勧告とか命令ということでそのルールが守られるようにしていこうということになっているわけでありますが、最終的に、そのルールを守らない悪質な個人情報取扱事業者、それに対してまさにこのルール、この法令を守らせるために罰則がかけられているというふうに我々は理解いたしております。
 それに対しまして、公務員の方は、憲法及び国家公務員法でそもそも法令を守れということになっておるわけでございます。その上で、守らない場合につきましては懲戒処分、さらには、先ほど申し上げましたように、犯罪に該当するような秘密の漏えいですとか職権乱用的な事態ですとか公用文書毀棄的な事態ですとか、そういうものに対しましてはまさに罰則がかかるわけでありまして、そういう法令を守らせる仕方の違いであるということでございます。
山花委員 答えになっていないと思うんですよ。
 公務員には法令遵守義務があるというのは、それはそのとおりでしょう。私が先ほどから申し上げているのは、その例で言うと、さっきの警察官の話になるんです。
 つまり、警察官だって公務員ですよね。法令遵守義務がある上に、例えば警察官職務執行法だとかいろいろ規律を定めた法律がある。それに違反して、例えば人をあやめたりけがをさせたりすれば、身体、生命という保護法益を守るという刑法があって、傷害罪なり殺人罪なりが成立して、その話と、服務規律違反だとか国家公務員法の方で違反した行為だという評価はまた別途あるわけじゃないですか。それは、公務員秩序であるとか公の、保護法益は公のものなわけですよ。今言っている例で言えば、生命だとか身体というのは個人の法益なわけですよ。服務規律違反だとかそういうことで足りるという話にならないですよね。つまり、ちゃんと法益を守るためのサンクションがあるのが普通じゃないですか。今回のこの出てきている法案というのは、それに対応するものが公務員についてはないじゃないかということを言っているんです。ないという事実は、これは認めないと、どうしようもないでしょう。
 先ほど来、同じことを言われるんだったら、もう答弁しないで結構ですよ。公務員法違反だとか守秘義務違反だとかそういうのがございますと言っていますけれども、それは当たり前のことで、さっきの、例えば警官が人を殺したり服務規律に違反するようなやり方でピストルを乱射したりとかそういったときに、では、殺人罪とかそういう法制というのはそもそも要らないんですねというようなことですよ。要らないんじゃなくて、その場合はあるわけですよね、現に。
 今回のこの法律については、そういう形で、個人情報を侵犯したこの行為に対応するサンクションはないということですねという、これは事実の問題ですよ。事実としてそうですねということは、これは認めなきゃいけないじゃないですか。ここは全然難しい話じゃないですよ。評価じゃないですよ。
 ちょっと総務大臣、どうですか。これは……(片山国務大臣「今、やりとりやっているんだ」と呼ぶ)
 では、聞き方を変えます。
 今私が申し上げたことは理解していただいたと思いますが、もう一回申し上げますけれども、要するに、水曜日の仙谷委員の法益の議論というのはそういうことだったんですよ。つまり、保護法益がもし個人情報保護が主であるとすれば、それに対するペナルティーがあるべきだという言い方をすると、我々の立場になるでしょう。ただ、それは捨象して、事実として、今回出てきている法案に、例えば守秘義務違反という公務員法上の規律に触れた、懲戒処分という、公務員法上の規律に触れたという結果として個人情報が守られることはあるかもしれませんよ。あるかもしれませんけれども、個人情報を侵犯したという理由に基づくペナルティーは今回の法律にはありませんねという、これは事実の問題です。事実としてそうですねということはお認めになりますよね。否定できないと思いますよ。
片山国務大臣 今いろいろやりとりをされていますけれども、公務員というのは、御承知のように法令遵守義務があるんですね。御承知でしょう。その法令の、今回は個人情報保護という大きな法益があるんですよ。それを守らない者にペナルティーをかけるんですよ。
山花委員 いや、ですから、結局、もう少しざくっとした言い方をすれば、今言われたように、そういうふうに、結果として個人情報が守られるというような現象は起こるかもしれない。今の御答弁というのは、ちょっとくどいようですけれども、わかりやすく同じ例で申し上げますと、警官がいます。(片山国務大臣「わかった、わかった。もうその話はいい。あなた、警官が悪いの……」と呼ぶ)いやいや、仮の話ですよ。
 それで、服務規律があるんだから、例えば法的には多分、併合罪だか観念的競合だかわかりませんけれども、そういう評価になるかもしれませんが、一応別途の法律があるという例と対比すると、今の御答弁というのは、警官でいえば服務規律なり国家公務員法なり警察官職務執行法なりがございますという話にすぎないんであって、個人の生命、身体が侵害されたときには、それに対応するものとして刑法というものがございますが、刑法は、生命、身体を守るという保護法益があって、それに対するペナルティーがある。聡明な方ですから、こんなにくどく言わなくてもわかると思いますが。
 要するに、今回政府から提出されている法案というのは、今言ったように、結果として守られることはあるかもしれませんが、事実として言うと、個人情報を保護するということを目的としているんですが、それを侵犯したケースについてのペナルティーはないですよねという単なる確認ですよ、これは。
片山国務大臣 今回の仕組みは、基本法制の方は私の所管じゃありませんが、結果として守らせるということです、個人情報保護を。そのためのルールづくりをどうやるか、官と民をどうやるかということを考えてやっているんですよ。
 だから、何度も同じことを言いますけれども、民の方は、こういうことの違反があったら即罰則をかけるんじゃないんですよ。まず助言をし、助言でも聞かなければ勧告をし、勧告をして聞かなければ命令をするんです。命令というのは、これは一種の行政処分ですから。行政処分を聞かないことの違反として罰則をかけるんですよ。だから、極めて狭いんですよ、この罰則は。網は広いですよ、言われるとおり網は広い。しかし、結果としては、行政処分に対する違反について罰則をかけるんですよ、簡単に言いますと。そういうことで担保しているんです。極めて狭いんですよ、極めて。いろいろな手続を経ているんです。自主的に直してもらうということです。
 官の方は、これは全体の奉仕者で、公務をやっておりますから、今国家公務員法というのがありますよ。これは法令を全部守れということなんですよ、全部の法令を、警察官であろうが普通の公務員であろうが。法令遵守というのは大きいものになっているんですよ。そこでまず一つの担保があって、またその中で犯罪の構成要件になるものは、例えば守秘義務だとか職権乱用だとか公文書を捨てたり適当に扱うとか、そういうことは刑罰にしているんですよ。それ以外は懲戒処分でやる、行政処分でやる、こういうことなんですね。
 ところが、懲戒処分は、おまえ緩いじゃないかと。緩くありませんよ。懲戒免職なんというのは、もう場合によっては罰則以上の大変なペナルティーになる。あるいは、停職、減給、戒告、こうあるわけでありまして、公務員の方はそっちの方でルールを守らせよう、担保しよう、こういう考え方で組み立てを違えたわけでありますが、皆さんの方はといいますか、いろいろな方の意見で、罰則が一つもないのは、国家公務員法にゆだねて何にもないのはおかしいじゃないかという議論があるので、その議論の気持ちはわかりますということを私は仙谷委員には申し上げたわけであります。
山花委員 いや、答えてないじゃないですか。罰則があるのかないのかという、つまり、プライバシーとかそういう個人情報保護法を侵犯したことについて、イエス、ノーで答えられるじゃないですか。今回、政府提出のものは罰則はありませんねということを言っているんですよ。
片山国務大臣 守秘義務違反というものは、これは機密漏えい罪で、罰則であります。
山花委員 これは先ほどから申し上げていますように、守秘義務違反というのは、結果としてプライバシーとか個人情報が保護されることはあるでしょうよ。あるでしょうけれども、守秘義務違反というのは、それだけですか。外交機密を漏らしたとか、そういうことが守秘義務違反じゃないんですか。守秘義務ということは、プライバシーも入っているかもしれませんが、主目的としては、本来はこれは国家的法益なんですよ。
 ということは、先ほどから申し上げていますように、今回の法律というのは、個人情報の保護ということを言われましたけれども、そうじゃないじゃないか。つまり、反射的利益みたいな形で個人情報が、つまり行政が適正なことをやります、公務員というのは法令遵守義務がありますと先ほど言われました。それはそのとおりでしょう。その結果として個人情報が守られますよという話なんであって、あたかも個人情報というのは、何かその結果の反射的利益みたいな議論じゃないですか。(発言する者あり)
松田政府参考人 公務員法の守秘義務違反につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、国家機密とかそういうものに限られませんで、職務上知り得た秘密、したがって個人の秘密も対象になります。そういう意味で個人情報の保護にもつながる話であるということを申し上げたところでございます。
 それから、違反に対してすぐ罰則がかからないという意味では、民間の場合も同じでございまして、一定の違反をしても、罰則がかかるわけではございません。
山花委員 ですから、何でわからないんですか。守秘義務違反というのは私も認めていますよ、個人的な法益が入ることもあると。ただ、私が聞いているのは、それはあくまでも一般的なルールですよねということです。それでさっきから何度も警察官の例を出しているわけです、別に警官に敵意があるわけじゃないけれども。一般的なルールと別に、今回のこの個人情報保護という名前が、タイトルがついた法律だけれども、そのことを侵犯したという固有の理由に基づいた罰則というのはないですよねという、これは確認ですよ。評価じゃないです。確認をしているんです。いかがでしょうか。
片山国務大臣 今も局長が言いましたように、業務上知り得た秘密ですよ、仕事の上で。個人情報を扱う人は全部個人情報を知り得る。だから、それはぴしりと、守秘義務違反というか、秘密漏えい罪という罰則を適用するんです。
 だから、そこで、目的外利用にストレートに罰則がかけられないじゃないかという不規則発言が委員の方からありましたけれども、民の場合も同じなんですよ。目的外利用したからすぐ罰則をかけるわけじゃないんですよ。何度も言いますように、何度も手続を経て、行政処分に違反した場合に罰則をかけるんです。(発言する者あり)いや、だから、公務員の場合に直罰をかけるとすれば、目的外利用が本当の個人の権利利益のどういう侵害になるのか、それがどういう罰則と相応するのかという、そこの慎重な検討が要るということを我々は申し上げているわけであります。
山花委員 要するに、今の御答弁というのは、慎重に検討しなきゃいけないということですから、今回の法律にはないという話ですよね。そうですよね。
 ちょっとこだわりますが、今の御答弁はちょっと気になりますね。守秘義務違反とか秘密漏せつ罪とか、それは、でも刑法じゃないですか。(片山国務大臣「同じですよ」と呼ぶ)いやいや、同じじゃないですよ。要するに、今回、個人情報について、確かに秘密を漏らせば守秘義務違反になるかもしれませんが、私は先ほどから申し上げていますが、守秘義務違反というのは、これはあくまでも一般的な規律なんであって、今回の個人情報保護法制ができたことによってできた法律ではなくて、前からあるもので、これは特に今回の個人情報保護というか、個人情報を侵犯したことに対してのサンクションとしてもともとあるわけじゃない。
 もっと言えば、個人情報と絡まない形で、例えば総務省でこのことをやっている役人の方が違法行為をやったりとか、あるいは秘密を漏らしたりすれば、今回のこの個人情報保護法の中にひっかかってこないものだって当然守秘義務違反にかかってくるわけですよ。今回のこの法律にひっかかれない形でごく普通に、例えば、今回これで個人情報保護取扱何とか室とかできるのかもしれませんが、そこの役人が違法行為を行ったとかあるいは秘密を漏らしたとかすれば、必ずしも個人情報じゃなかったとしたってこの守秘義務違反がかかってくるという、あくまでもその程度のものなわけですよ。今回の個人情報を侵犯したということに基づいての罰則はないんですねということを言っているわけです。
 ちょっと時間がなくなってきましたので。
 先ほど場内からあって、私が聞いていないのに答弁されていましたけれども、そもそも、利用目的制限とかそういうところでひっかからないことがあるんじゃないかという議論がありますよ。あるけれども、私は、その前のことを言っているわけです。そもそも、ペナルティー、罰則が、個人情報保護ということの、これを侵犯したことに基づく、これを固有の理由とする罰則は今回のにはないですね、そういう話をしているわけです。
片山国務大臣 手を挙げないのに指名していただいて大変ありがとうございます。
 守秘義務違反というのは、これは委員御承知のとおりですよ。ただ、守秘義務違反が全部罰則の適用になるかどうかというのはまた別の議論で、権利侵害なんかの場合にはなる。そうでしょう。軽いものについては懲戒処分、こういうことでございまして、そういうふうに御理解を賜りたい、こういうふうに思っております。だから、重大な個人情報の保護を、守秘義務に違反すれば罰則はストレートにかかるわけです。
山花委員 だから、それは現象として、つまり結果としてそうなるという話だということを申し上げているんですよ。
 いいですか。単なる事実の、今回の事実認識としてはないですねという、でもそれはお認めになるわけですよね。(片山国務大臣「言っている意味がわからない」と呼ぶ)意味がわからないというのは、つまり、結果として保護法益が守られるということはいっぱいありますよ。つまり、公務員法で懲戒だとか何だとかあれば、およそ違法行為はやっちゃいけないわけですから、そうしたら、ありとあらゆる国家公務員が基本的に、悪さするとは言いませんけれども、悪さすることについてはすべてそれで担保されているということになるじゃないですか。
 それにもかかわらず、例えば個別の法律がいろいろあるわけですよね。何度も言いますが、警察官についてはこれこれという法律があって、そういう法律があるわけじゃないですか。つまり、すべての一般的なものにかかるものがあるからといって、それにひっかかったとしてもそれは現象なのであって、あくまでも、この個人情報保護という法制があって、個人情報を侵犯したということに対するペナルティーとしての罰則はないんですねと。ないんですねというか、見ればわかりますよ、ないんですから。ほかにいろいろなのがありますという話はもうわかりますよ。結果としてそうなりますということだけれども、そのことを私は冒頭より指摘しているわけです。
 つまり、今回の法律の読み方、一条の「目的」のところで、どうも、個人情報の保護だとタイトルがついているけれども、実際は中身が違うじゃないか。個人情報ということよりも、むしろ行政がいかに円滑に動かせるか、そういうようなための法律なのであって、要するに、冒頭の書きぶりについても確認はさせていただきました。いただきましたが、そのときにも、あくまでも権利利益の保護ということが目的だ、そう答弁されたにもかかわらず、今の実際の中身を見てみると、この罰則一つとったってそうだということです。
 つまり……(発言する者あり)いや、時間はまだありますよ。今回のこの法律については、それを固有とする罰則とペナルティーというのがなくて、今の御答弁からもわかるように、結果として個人の権利利益が守られることがあるということです。
 結局、このことについてまだお認めにならないようですから、例えば目的外利用についての罰則が民間にあるけれども公務員に必要ないということについて、これの理由、最後に一言、それについてだけお答えをお願いいたします。
大畠委員長 時間になっていますので、簡潔に答弁をお願いします。
 総務省……(山花委員「大臣」と呼ぶ)それでは、総務省の方から答弁いただいた後、大臣に答弁を求めます。
松田政府参考人 目的外利用につきましては、端的には、公知の事実を含めて個人情報というのはあるわけでございまして、それを目的外に、ルールに違反したからといって直ちに罰則をかけるかどうか、そういう重要な問題があるわけでございます。
 それから、民間の場合はあるというお話でございましたが、民間の場合も、利用目的外で利用した場合に直ちに罰則がかかるわけではございませんで、先ほど来御説明していますように、悪質な事業者に最終的に法令遵守のために罰則をかけているにとどまるわけでございます。
片山国務大臣 局長の答弁と同じであります。
山花委員 時間が来ましたので、終わります。
大畠委員長 これにて山花君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております各案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十五分散会


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