第2号 平成14年10月30日(水曜日)
平成十四年十月三十日(水曜日)午前八時五十分開議
出席委員
委員長 佐々木秀典君
理事 逢沢 一郎君 理事 青山 丘君
理事 小野 晋也君 理事 渡辺 博道君
理事 伊藤 忠治君 理事 細野 豪志君
理事 河合 正智君 理事 西村 眞悟君
浅野 勝人君 大村 秀章君
奥山 茂彦君 嘉数 知賢君
金子 恭之君 木村 隆秀君
菅 義偉君 谷川 和穗君
谷本 龍哉君 近岡理一郎君
林 省之介君 福井 照君
石毛えい子君 鈴木 康友君
山内 功君 山花 郁夫君
山元 勉君 横路 孝弘君
太田 昭宏君 吉井 英勝君
北川れん子君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官)
(男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
国務大臣
(経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
国務大臣
(規制改革担当大臣) 石原 伸晃君
国務大臣
(科学技術政策担当大臣) 細田 博之君
国務大臣 鴻池 祥肇君
内閣官房副長官 安倍 晋三君
内閣官房副長官 上野 公成君
内閣府副大臣 根本 匠君
内閣府副大臣 米田 建三君
内閣府大臣政務官 大村 秀章君
内閣府大臣政務官 木村 隆秀君
内閣府大臣政務官 阿南 一成君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 藤井 昭夫君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 春田 謙君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 貞岡 義幸君
政府参考人
(人事院事務総局勤務条件
局長) 大村 厚至君
政府参考人
(人事院事務総局公平審査
局長) 潮 明夫君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 岩谷 滋雄君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長
) 坂東眞理子君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 吉村 博人君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 栗本 英雄君
政府参考人
(警察庁交通局長) 属 憲夫君
政府参考人
(警察庁警備局長) 奥村萬壽雄君
政府参考人
(法務省刑事局長) 樋渡 利秋君
政府参考人
(外務省総合外交政策局長
) 西田 恒夫君
政府参考人
(外務省アジア大洋州局長
) 田中 均君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長
) 白川 哲久君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 水田 邦雄君
政府参考人
(経済産業省貿易経済協力
局貿易管理部長) 細川 昌彦君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・
ガス事業部長) 迎 陽一君
参考人
(原子力安全委員会委員長
) 松浦祥次郎君
内閣委員会専門員 小菅 修一君
―――――――――――――
委員の異動
十月三十日
辞任 補欠選任
亀井 久興君 浅野 勝人君
高橋 一郎君 福井 照君
大畠 章宏君 山内 功君
同日
辞任 補欠選任
浅野 勝人君 亀井 久興君
福井 照君 高橋 一郎君
山内 功君 鈴木 康友君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 康友君 大畠 章宏君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
警備業法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十四回国会閣法第三五号)
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
この際、福田内閣官房長官・男女共同参画担当大臣、竹中経済財政政策担当大臣、谷垣国家公安委員会委員長・食品安全委員会(仮称)等担当大臣、石原規制改革担当・行政改革担当大臣、鴻池構造改革特区担当大臣及び細田科学技術政策担当・情報通信技術担当大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。福田国務大臣。
○福田国務大臣 内閣官房及び内閣府の事務を担当する大臣として、一言ごあいさつを申し上げます。
小泉内閣は発足以来聖域なき構造改革の断行に取り組んできたところであり、この路線を確固たる軌道に乗せるため、内閣官房の責任者として、また、内閣府の事務全般を取りまとめる立場から、各大臣と緊密な連携を図りつつ、断固たる決意で改革の実現に向けて全力を尽くす所存であります。
現在直面する最重点の課題は日本経済の再生であり、早急に総合的な対応策を取りまとめます。
今般開始された日朝国交正常化交渉においては、本交渉に関する閣僚会議において決定された基本方針に従い、拉致問題を日朝間の諸懸案の最優先事項として取り上げるとともに、核問題及びミサイル問題や工作船問題を含めた安全保障上の問題についても、我が国としての立場を明確に主張し、問題の解決に向けて最大限の努力を行ってまいります。
拉致問題については、二十四日、政府は、帰国された拉致被害者五人の方々については、家族を含めて自由な意思決定を行うための環境の設定、特に家族全員の日本への帰国が不可欠かつ急務であると考え、今後とも日本に滞在していただき、また、現地に残っておられる御家族について、その安全の確保及び早期帰国と帰国日程の確定を北朝鮮に対し強く求めていく等の方針を決定しました。あわせて、生存が確認されていない拉致被害者の方々についての事実解明も、国交正常化交渉の中で引き続き強く求めてまいる所存であります。
内閣官房におきましては、大規模テロ、不審船、大規模自然災害など、国と国民の安全に重大な被害を及ぼすおそれのある各種の緊急事態に対し、国としての備えに万全を期してまいります。
また、都市再生本部が中心となって、関係省庁とも連携を図りつつ、全国で四十四カ所の都市再生緊急整備地域における整備の推進を初めとする都市の再生に関する施策を重点的に推進してまいります。
さらに、情報収集衛星の導入など、情報の収集及び分析機能の強化に努めてまいります。
男女共同参画社会の実現は内閣の最重要課題の一つであり、私は、男女共同参画担当大臣として、また男女共同参画会議の議長として、その実現に努めてまいります。男女共同参画会議では、総理の指示を受けて審議を行っている、女性の個性や能力が活用されるような女性のチャレンジ支援策について、今年度中の取りまとめに向けてさらに議論を進めてまいります。また、今年四月に全面施行になった配偶者暴力防止法の的確な運用に努めてまいります。
今国会には、特殊法人改革の一環として、内閣府所管の法人である国民生活センター及び北方領土問題対策協会を独立行政法人とするための二法案を提出しております。
このほか、来年度からの十カ年のための新たな障害者基本計画の策定や、次代を担う青少年の育成に係る骨太のビジョンづくりを進めるなど、広範にわたる内閣府の担当する施策に適切に対処してまいります。
委員長を初め理事、委員各位の御理解と御協力をお願いいたします。(拍手)
○佐々木委員長 次に、竹中国務大臣。
○竹中国務大臣 経済財政政策担当大臣として、一言ごあいさつを申し上げます。
先般の内閣改造で、経済財政政策担当大臣に加え、金融担当大臣を拝命いたしました。我が国経済、産業の再生に向けて、経済財政、金融に一体として取り組んでまいります。
我が国の景気は、引き続き一部に緩やかな持ち直しの動きが見られるものの、環境は厳しさを増しており、デフレの克服が現在の最重要課題となっております。
このため、政府は、六月に閣議決定した「基本方針二〇〇二」の具体化に加え、今般、不良債権処理の加速を含む金融システム安定化策とあわせ、雇用や中小企業のセーフティーネットも視野に入れた総合的な対応策を取りまとめることとしています。
この対応策は、金融システム、税制、規制、歳出の四本柱の改革を加速し、デフレを克服しながら、民需主導の自律的な経済成長の実現を目指すものです。
平成十五年度予算編成については、本年八月、経済財政諮問会議で、マクロ経済との整合性を踏まえた「予算の全体像」が取りまとめられました。一般歳出及び一般会計歳出全体について実質的に今年度の水準以下に抑制するとの目標のもと、制度、政策の抜本的な見直しを行うなどむだを大胆に排除するとともに、我が国経済の活性化を図るため、新重点四分野への思い切った重点配分を進めることとしています。今後は、十一月末を目途に策定する予算編成の基本方針に向け、諮問会議でさらに議論を進めます。
税制改革については、今月、諮問会議で「税制改革の全体像」が取りまとめられました。この「全体像」では、一、経済活性化を最重要課題とする包括的かつ抜本的な税制改革の第一弾として十五年度税制改革を行うこと、二、十五年度税制改革において、一兆円を超えるできる限りの規模の先行減税を行うことなどが必要であるとしています。
また、政策金融改革については、諮問会議で議論を深め、年内に結論を得ます。
こうした努力により、「構造改革と経済財政の中期展望」で示した経済社会の姿を実現し、財政健全化の道筋への早期復帰を目指します。このため、今後、「改革と展望」を改定し、歳出歳入両面の措置、それらを踏まえた歳出歳入の見込み等を盛り込みます。
聖域なき構造改革が進められる中、NPO税制の見直し等の施策に引き続き取り組むとともに、消費者保護基本法の見直しや公益通報者保護の仕組みを含めた新たな消費者政策のあり方に関する検討を進める等、国民生活の安定と向上のための政策を総合的に推進してまいります。また、国民生活の観点から構造改革の進展度等を評価するための新たな指標を作成してまいります。
我が国経済は厳しい状況にありますが、今後の経済財政運営については、経済情勢をよく見きわめながら、その運営に万全を期する決意であります。委員長を初め理事、委員各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。
以上でございます。(拍手)
○佐々木委員長 次に、谷垣国務大臣。
○谷垣国務大臣 国家公安委員会委員長・食品安全委員会(仮称)等担当大臣として、一言ごあいさつ申し上げます。
まず、警察行政について申し上げます。
最近の治安情勢を見ますと、昨年の刑法犯認知件数は戦後最多を記録しましたが、本年も増加傾向が続いており、特に、国民に不安を与える路上強盗やひったくりといった街頭犯罪等の増加が顕著であります。
こうした厳しい情勢のもと、良好な治安を回復し、国民が求める安全と安心を確保するため、犯罪の抑止と検挙の両面にわたる取り組みの強化に最大限の努力を払ってまいります。
交通情勢につきましては、本年の交通死亡事故は大幅に減少しておりますが、交通事故の犠牲者を一人でも少なくするため、効果的な交通指導取り締まり、交通安全教育の充実、交通安全施設の整備等の諸対策を推進してまいります。
警備情勢につきましては、昨年九月の米国同時多発テロ事件以降、引き続き国際テロの発生が懸念されるほか、極左暴力集団や右翼、オウム真理教の動向にも注意が必要であり、今後とも、情報収集や警戒警備活動を強化するとともに、違法行為に対する事件捜査の徹底に努めてまいります。
北朝鮮による日本人拉致容疑事案につきましては、今般、北朝鮮が拉致の事実を認め、謝罪の意を表明しましたが、これは、長期間にわたって日本国内外において行ってきた地道な捜査が正鵠を得たもので、北朝鮮がこれを認めざるを得なかったということであり、警察では、引き続き、事案の全容解明に向けて徹底した捜査を進めてまいります。
以上のような厳しい治安情勢に的確に対応していくためには、警察力の一層の充実強化が必要であります。警察においては、地方警察官一万人緊急増員三カ年計画を策定し、平成十四年度に続き、平成十五年度予算概算要求においても、四千人の増員要求を盛り込んだところであります。今後とも、人的基盤の強化や処遇の改善に取り組むとともに、警察改革の一層の推進を図り、真に国民の信頼にこたえることのできる警察の確立に努めてまいります。
続きまして、食品安全行政について申し上げます。
食の安全性に関し、消費者の信頼を回復することは、国政の喫緊の課題であります。このため、政府としては、食品安全行政に関する関係閣僚会議において今後の食品安全行政のあり方を取りまとめ、それ以来、食品安全委員会の業務・組織並びに食品安全基本法について検討を行っているところであります。
平成十五年度に設置される食品安全委員会は、食品の安全性に関する科学的なリスク評価とそれに基づく関係行政機関への勧告及び緊急時における政府全体としての危機管理のための取り組み、さらに消費者等関係者との間で幅広い意見や情報の交換を行うこととしており、このための新たな体制の確立に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
以上、所管行政について申し上げましたが、国民の皆様がこれまで以上に安全に、かつ安心して暮らせる社会を実現するため、全力を尽くす所存でありますので、委員長、理事及び委員各位におかれましては、よろしく御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)
○佐々木委員長 次に、石原国務大臣。
○石原国務大臣 行政改革・規制改革担当大臣として、一言ごあいさつを申し述べさせていただきます。
行政改革、規制改革は、小泉内閣の進める聖域なき構造改革の最重要課題の一つであります。政府は、平成十七年度までの集中改革期間に各般の行政改革を実施することとしておりますが、昨年は計画づくりの年であり、ことしからはそれらを着実に実施していく期間であると考えております。
まず、特殊法人等改革については、昨年十二月に閣議決定した特殊法人等整理合理化計画の着実な具体化を進めてまいります。
既に、計画具体化の第一弾として、さきの通常国会において石油公団や簡易保険福祉事業団の廃止のための法律が成立するなど、六十九法人について具体的措置が講じられておりますが、今国会には、具体化の第二弾として、特殊法人等改革四十六法案を提出したところでございます。
また、道路関係四公団を初め、政策金融、空港など、これから年末にかけて政府として結論を得なければならない課題も山積しております。改革の実を上げるため、引き続き全力を尽くしてまいります。
次に、公務員制度改革については、国民の立場から公務員制度を抜本的に改革することにより、行政のあり方自体を改革することを目指し、昨年十二月に閣議決定した公務員制度改革大綱の内容を実現するため、現在、その法制化作業に鋭意取り組んでいるところであります。制度全体の基礎となる国家公務員法の改正案を平成十五年中を目標に国会に提出し、あわせて関係法令の整備を十七年度末までに計画的に行い、十八年度を目途に新たな制度に移行することを目指しております。
また、公益法人制度改革については、本年三月に決定した取り組み方針に基づき、NPO、中間法人、税制等の関連制度を含めた抜本的な改革に取り組むこととしており、本年度中を目途に公益法人制度等改革大綱(仮称)を策定いたします。本年八月には、公益法人制度改革の主要な論点を整理して公表し、広く国民から御意見を募集しました。近く、民間有識者から成る懇談会も開催し、いただいた御意見等を参考にしつつ、改革大綱の策定に向けた検討をさらに深めてまいりたいと考えております。
最後に、規制改革についてでございますが、経済社会の構造改革を進め、経済の活性化を実現するためにも、規制改革は極めて重要な課題であると考えております。こうした考えのもと、引き続き規制改革推進三カ年計画の積極的かつ着実な推進を図るとともに、総合規制改革会議において、年末の答申取りまとめに向け、積極的な調査、審議に努めてまいりたいと考えております。
委員長を初め理事、委員各位の御理解と御協力を心からよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○佐々木委員長 次に、鴻池国務大臣。
○鴻池国務大臣 このたび内閣府の防災担当大臣を拝命いたしました鴻池祥肇でございます。あわせて構造改革特区を担当させていただくことになりました。
災害から国民の生命、身体、財産を守ることは国政の最重要課題の一つと認識しており、関係省庁と連携を図りながら政府一体となって防災対策の推進に取り組んでまいる所存であります。
現下の我が国の厳しい経済情勢を打破するためには、構造改革を強力に推進していかなければなりません。
構造改革特区は、官から民へ、国から地方へという小泉内閣の構造改革をさらに加速させるための一つの突破口となるものであります。国民に構造改革の具体的な成果が見えるよう、大胆に取り組んでまいります。
委員長を初め理事、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。(拍手)
○佐々木委員長 次に、細田国務大臣。
○細田国務大臣 科学技術政策担当大臣及びIT担当大臣として、一言ごあいさつを申し上げます。
まず初めに、小柴昌俊博士がノーベル物理学賞を、田中耕一氏がノーベル化学賞を、日本人として三年連続、かつ初めて二人同時に受賞されることとなったことは、我が国の科学技術水準が国際的にも高く評価されていることを示すものと考えております。お二人に心からの敬意を表したいと思います。
電力会社による自主点検記録の不正問題等については、国民の信頼を著しく損なうゆゆしき問題であり、昨日、史上初めて、原子力安全委員会において、ダブルチェック機能を最大限に生かして、内閣総理大臣を通じ経済産業大臣に対して、総合的な原子力安全強化策を勧告いたしました。
資源の乏しい我が国において、核燃料サイクルの確立は重要な政策であり、安全確保を大前提に国民の信頼回復と理解に向けてさらに努力してまいります。
私は、昨年策定された第二期科学技術基本計画に沿って、科学技術創造立国を目指し、総合科学技術会議の機能を十分に発揮させつつ、総合的かつ重点的な政策展開を図ってまいります。
第一に、基礎研究の推進とともに、重点四分野を中心に戦略的重点化を進めます。先般、各府省の平成十五年度概算要求施策について、優先順位づけを行ったところであります。今後、これが予算に十分反映されるよう、財政当局と連携してまいります。また、経済活性化のための研究開発プロジェクトを戦略的かつ同時並行的に立ち上げます。
第二に、科学技術システムの改革を大胆に進めます。研究成果が事業化に結びつかない、いわゆる死の谷状況を克服するため、ベンチャー創出・育成の支援や知的財産の移転の円滑化などを進めるとともに、競争的研究資金の大幅な拡充と制度改革、知的財産の保護と活用、地域科学技術振興等に取り組んでまいります。十一月には、産学官連携サミットを開催します。
第三に、科学技術を国際レベルで適切に管理、活用するため、科学技術と人類の未来に関する国際的なフォーラムの開催に向け、国内外に働きかけを行います。
さらに、国際熱核融合実験炉、ITER計画について、ことし五月三十一日の閣議了解に沿って、国内誘致が実現できるようその推進に努力してまいります。
IT革命の推進については、二〇〇五年までに世界最先端のIT国家となることを目指し、情報通信インフラ整備の推進、教育の情報化・人材育成、電子商取引等の推進、電子政府の実現、情報セキュリティーの確保を柱とする「e―Japan重点計画・二〇〇二」を着実に実施してまいります。また、個人情報の保護に関する法律案につきましては、国民が安心してIT活用のメリットを享受するために不可欠な基盤でありますので、よく御審議をいただいた上で、ぜひとも早期に成立させていただくよう、関係各位の御理解と御協力をお願いいたします。
委員長を初め理事、委員各位の御理解と御協力を心よりお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
○佐々木委員長 次に、安倍内閣官房副長官、上野内閣官房副長官、米田内閣府副大臣、根本内閣府副大臣、阿南内閣府大臣政務官、木村内閣府大臣政務官及び大村内閣府大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。最初に、安倍内閣官房副長官。
○安倍内閣官房副長官 内閣官房副長官の安倍晋三でございます。
佐々木委員長を初め諸先生方の御指導、御鞭撻を賜りながら官房長官を補佐してまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いします。(拍手)
○佐々木委員長 次に、上野内閣官房副長官。
○上野内閣官房副長官 内閣官房副長官の上野公成でございます。
佐々木委員長を初め諸先生方の御指導、御鞭撻を賜りながら、安倍副長官とともに福田官房長官を支えてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。(拍手)
○佐々木委員長 次に、米田内閣府副大臣。
○米田副大臣 このたび、内閣府の副大臣を拝命いたしました米田建三でございます。
私は、内閣府本府の事務のうち、規制改革、総合科学技術政策、防災、男女共同参画、沖縄北方対策、青少年健全育成、栄典及び国際平和協力業務などの政策を担当するとともに、内閣府に係るIT関係の政策を担当いたしてまいります。
官房長官を初め関係大臣を支え、全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、委員長を初め理事、また委員各位の御指導と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○佐々木委員長 次に、根本内閣府副大臣。
○根本副大臣 このたび、内閣府の副大臣及び内閣総理大臣補佐官を拝命いたしました根本匠です。
私は、経済財政政策、国民生活、道路関係四公団民営化推進委員会関係、構造改革特区関係の政策を担当するとともに、行政改革の推進及び食品安全委員会(仮称)等に係る施策を担当いたしております。
官房長官を初め関係大臣を支え、全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、委員長を初め理事、委員各位の御指導と御協力をよろしくお願いいたします。(拍手)
○佐々木委員長 次に、阿南内閣府大臣政務官。
○阿南大臣政務官 このたび、内閣府の大臣政務官を拝命いたしました阿南一成でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
内閣府本府の事務のうち、防災、男女共同参画、青少年健全育成、栄典及び国際平和協力業務などの政策を担当いたしております。
委員長を初め理事、委員各位の御指導と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○佐々木委員長 次に、木村内閣府大臣政務官。
○木村大臣政務官 このたび、内閣府の大臣政務官を拝命いたしました木村隆秀でございます。
経済財政政策、国民生活関係の政策を担当するとともに、構造改革担当大臣を補佐してまいります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
○佐々木委員長 次に、大村内閣府大臣政務官。
○大村大臣政務官 このたび、内閣府の大臣政務官を拝命いたしました大村秀章でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
内閣府本府の事務のうち、規制改革、総合科学技術政策、沖縄北方対策及び原子力関係の政策を担当するとともに、内閣府に係るIT関係の政策を担当いたしております。
委員長を初め理事、委員各位の御指導と御協力、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
○佐々木委員長 各大臣、副大臣、政務官の皆さん、きょうは御苦労さまでございました。どうぞよろしくお願いいたします。
――――◇―――――
○佐々木委員長 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井昭夫君、内閣官房内閣審議官春田謙君、内閣官房内閣審議官貞岡義幸君、人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、人事院事務総局公平審査局長潮明夫君、内閣府大臣官房審議官岩谷滋雄君、内閣府男女共同参画局長坂東眞理子君、警察庁長官官房長吉村博人君、警察庁刑事局長栗本英雄君、警察庁交通局長属憲夫君、警察庁警備局長奥村萬壽雄君、法務省刑事局長樋渡利秋君、外務省総合外交政策局長西田恒夫君、外務省アジア大洋州局長田中均君、文部科学省研究開発局長白川哲久君、厚生労働省政策統括官水田邦雄君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長細川昌彦君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長松浦祥次郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山元勉君。
○山元委員 おはようございます。民主党の山元でございます。
きょうは、福田官房長官も御出席をいただいて、一番バッターに立たせていただいたわけで、責任は重いと思っておりますし、今、こういう機会ですから、国民的な課題になっております日朝関係の問題、拉致の問題あるいは核保有の問題についてお尋ねもしたいと思いますし、デフレ対策について、きょうの新聞で、トップ記事で、産業再生・雇用対策本部を立ち上げるんだ、こういうことも出ていました。
こういう国民的な課題についてもお尋ねをしたいわけですけれども、これへ入るともう時間がありませんから、一言だけ官房長官にお願いをしておきたいんですが、今の状況というのは、本当に一刻も猶予がならないような状況ですし、総理の言葉をかりるわけではありませんけれども、ぜひ大胆かつ的確に、早急に対策、施策を打ち出していただきますようにお願いを申し上げまして、この問題については、また場を変えてのお話にさせていただきたいというふうに思います。
きょう、私は、公務員制度改革について審議をさせていただこう、こういうふうに思っております。
まず最初に、官房長官にお尋ねをしたいわけですけれども、この公務員制度改革というのは、当面の施策あるいは対策ということではなしに、国の将来、百年の大計とも言ってもいいほどの大きな改革のテーマでございます。だからこそ、今まで大枠だとか基本設計だとかあるいは大綱だとか、先日は、人事のあり方についてのたたき台というのが推進事務局からも出されました。そういうふうに、重ねて重ねて、何段階でも提示をされてきているわけです。
それほどの大きな問題であるということは理解をします。政府の思っていらっしゃることは少し見えてきた気がいたしますが、しかし、国民的な理解を得る努力をされているか、それが高まっているかというと、そうではない。当事者の職員団体の皆さんも理解をして納得あるいは支持をしているかというと、そういうのはきつく言えば全くない、こういうような状況にあるんだというふうに私は思っています。
そこで、法案を早く提出するんだというふうに構えていらっしゃるけれども、政府、内閣として、この改革について一体どういう思いを持っていらっしゃいますか。二十一世紀の公務サービスのありよう、国民のためにどういう公務サービスを提供する仕組みをつくるんだ、あるいはそこで働いている皆さんの労働条件ですね、意欲を持って、士気を高めて仕事ができるような、そういう仕組みをつくるのか。二十一世紀、これからの将来の公務サービスのあり方について、内閣として一体どのように描いていらっしゃるのか、簡潔にお願いをしたいと思います。
○福田国務大臣 今、山元委員御指摘のとおりでございまして、これはもう長期にわたる課題、ここで決めれば長期にわたってその制度が有効である、こういうことになりますので、これは極めて慎重に扱わなければいけない、そういうふうな問題であろうと思います。
ただ、世の中、もう随分変わってまいりまして、行政課題も非常に複雑化し、そしてまた高度化する、こういうような背景もございます。そういう中で機動的な行政運営が求められている。こういう状況の中にありまして、我が国の行政に対しては、時代の要請に応じた政策の策定とか国民のニーズにこたえた公共サービス、こういうものが十分に行われているかどうか、こういうことについてはいろいろな指摘があるのは御案内のとおりでございます。
そういうために、今回の改革では、本当に国民本位の行政の実現を図るということ、こういうことを基本理念といたしまして、現行の人事制度を能力、業績を反映した制度に改めるということ、それから公務員制度を国民の立場から抜本的に改革するということでございまして、公務員自身の意識、そしてまた行動自身を大きく改めることによりまして行政のあり方自体を改革する、こういうことを目指しているわけでございまして、御指摘のとおり、慎重に扱っておるわけでございます。
○山元委員 この問題は、一面に、今もおっしゃるように、すぐれて労使の関係、働く者の意識や行動を変えていくんだ、こういうようにおっしゃいました。確かにそのことは必要。けれども、それは首に綱をつけてやるわけにいかぬ。公務員の皆さん自身がそういう意識や行動を変えていく、そういうものをつくっていかなければいけないんだというふうに思っていますが、今聞きますと、公務員連絡会のニュースも、私も時々見るんですけれども、非常に強い懸念を持っていらっしゃる。
そこで、自分たちのことではなしに、今おっしゃるような、変化をしていくそういう世の中に対応した政策なりあるいは公務サービスというのを提供することが必要なんだ、これは職員の皆さんも全く同じ意識を持っていると思うんですね。けれども、これについては大きな疑念を持つということで、もう官房長官もごらんいただいたと思いますけれども、請願を集められる。この中身は、端的に三つ書いてあるんですよ。
これが一番の思いだというふうに思いますが、公務員制度改革大綱を撤回して、国民と労働組合が参加した公正、透明な公務員制度改革案をつくること。自分たちも参加して、そして自分たちも意欲を持って公務労働に参加をしたい、携わりたい、こういう思いだろうと思いますし、二つ目の問題は、キャリア制度と天下りについて禁止をすること、これが二つ目です。三つ目が、対等、平等な労使関係をつくるために労働基本権を回復すること。
こういうふうに、こういう言い方はどうかわかりませんけれども、私もそういうことをやった経験があるわけですけれども、しかし、スト権奪還、ストライキをやりたいというような思いは全然なしに、公正な公務員のあり方というのを求めているという三項目の請願、何とこれは一千万を超した。余り例がないと思うんです、こういうテーマで。一千万といいますと、有権者の十分の一を超すわけです。そういう人たちが、そうだと言って署名をしているわけです。このことはやはり政府として、これからの作業の上でもしっかりと重く受けとめる必要があるというふうに思うんです。
先日、私も参加して、衆議院、参議院の議長、副議長に要請に参りました。こういう署名が集まりました、重く受けとめてもらいたい、こういう要請をいたしました。そのことについては御理解をいただきました。官房長官、どうです。政府として、一千五十何万ですよ、その署名、こういう国民の意思というのを重く受けとめてこれからの作業を進める、そういう基本的な立場について御理解いただけますか。
○福田国務大臣 これは、先ほど申しましたように、将来にわたる、長きにわたる重要な制度を今改革しよう、こういうようなことでやっておるわけでございます。したがいまして、その重要性は極めて大きいものであるということを考えておりますので、この検討に当たりましては、職員団体を初めとしていろいろな団体、いろいろな識者等々の方々からの御意見も徴しながら、慎重に検討を進めているというところでございます。
そういうことで、意見交換を通じましてよりよい制度の具体化を図るということで、具体的な形でもって法案をまとめていきたい、このように考えておるところでございます。
○山元委員 ぜひ、今官房長官がおっしゃったようなことが政府として取り組まれていく、具体的に進められるように御努力をお願いしておきたいと思います。
そこで、具体的な作業、中身について石原大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、先ほどあいさつで、十五年中に国会に法案を提出して十七年度末までに計画的に整備を行う、こうおっしゃいました。そこで、先ほど申し上げましたように、国民的な、あるいは当事者同士の合意がなかなか進んでいない状況の中ですけれども、推進事務局でどういうふうに今作業を進められているのか、どこまで行っているのか、今後についてどうお考えになっていらっしゃるのか、担当大臣としての現状の把握についておっしゃっていただきたいというふうに思います。
○石原国務大臣 先ほどの所信の中でもお話をさせていただきましたように、国家公務員法の改正案を来年の国会に提出すべく準備をさせていただいております。
官房長官が申しましたように、大変多岐にわたる長期的な課題でございますので、関係法律及び政令、各府省等の下位法令の整備というものもかなり莫大な量になるものと想像しております。そういうものは十七年度の末までに計画的に行いまして、新しい制度に平成十八年度を目途に移行していきたい、こんなタイムスケジュールで行わせていただいておりますし、委員の御懸念、あるいは多くの組合員の方の御懸念にありますように、職員の皆さん方、関係者と幅広くこれからも意見交換を行わせていただいて、大綱の具体化に向けた検討作業を鋭意進めさせていただきたい、内閣委員会等々の場でこれからも先生とも御議論をさせていただきたい、このように考えております。
○山元委員 先ほども言いましたように、国民的な合意というのはなかなか難しい問題だというふうには思います。けれども、そういう重い、大きなテーマを、今の状況で見ると、どうも密室で行われているような、あるいは国民的な議論を抜かして、飛ばしてやっていらっしゃるような気がしてならぬわけですね。
この問題は、先ほど官房長官に申し上げましたように、当面の施策や政策ではないわけですから、間違えば本当に大きな禍根を残すわけです。
そこで、今大臣も、これからこの内閣委員会の場でもまた論議をしてまいりたい、こうおっしゃいました。これは一つの提案ですけれども、いきなり閣議決定された法案がぼんと出てくるのではなしに、まとまったものを法案化する、あるいは提出する前にこの委員会で議論をしていただく。いわば中間報告をしていただいて、委員会としての意見をしっかりと、それはどういうような持ち方、委員会だけでもいいし、参考人に来てもらってもいいですけれども、しっかりと一遍論議をして、禍根を残さないようなことを手続的にやるべきではないか。委員会に中間報告をして、いわば国会論議を中間に挟むということについて、石原大臣、どうですか、できませんか。
○石原国務大臣 これまでも、四月ぐらいも山元委員とこの問題につきましてかなり踏み込んだ議論もさせていただいておりますし、中間取りまとめなるものを時期を区切ってつくるというような計画は今持っておりませんので、その都度都度、委員会で、整理の段階、あるいは、もちろん職員団体あるいは人事院等制度所管省庁との意見交換というものを私ども行っておりますので、そういう途中経過、私もこれから機会をとらえて、学識経験者の皆様からも改めて、もう少し煮詰まった段階で、こんなふうに煮詰まってまいりました、これをどうお考えになりますかと、そういう場を設けていきたいと考えております。
当委員会におかれましても、委員また理事の皆様方、また佐々木委員長もこの問題につきましては御専門、知識が大変おありの方でございますので、その都度、お呼びいただければ御議論は十分にさせていただきたい、こんなふうに考えております。
○山元委員 大臣がそうおっしゃっているんですから、委員会として、理事会で一遍相談をしていただいて、中間的まとめはつくる予定はない、こういうふうにおっしゃるわけですけれども、その都度ということではなしに、本当に中間的に、こういうものでという中間まとめをして論議をすることが大事なんではないか。これはそれほど大きな問題だというふうに思っていますから、一回理事会でお諮りをいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○佐々木委員長 御提案については理事会で検討させていただきたいと思いますので、御了承ください。
○山元委員 それでは、よろしくお願いしたいと思います。
それでは具体的に、先ほども少し言いましたけれども、推進事務局が人事制度の設計の考え方について、議論のたたき台というペーパーを出していらっしゃいます。各省庁やあるいは団体にも示されたようですけれども、大臣、これはどういう性格を持っているのですか。例えば前文とかそういうのはないわけですよね。これは何のためのどういう意味を持つものだということについては説明がないわけですが、どういう性格のペーパーですか。
○石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたのは、新たな人事制度の考え方、いわゆる議論のたたき台として、たしか八枚ぐらいのペーパーで、一枚にまとめますと、山元委員のところにも行っていると思いますが、こういうふうな整理の紙でございます。
これはどういうものかということでございますが、昨年の末に閣議決定されました公務員制度改革大綱では、公務の安定的、継続的な運営の確保の視点、さらに、国民生活へ与える影響の観点などを総合的に勘案いたしまして、いわゆる、前回も大変御議論になりました公務員の皆様方の労働基本権の制約について、今後もこれにかわる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持することというような整理をさせていただきました。
現在、政府において、公務員制度改革大綱を受けまして、先ほどもお話しいたしましたように、平成十五年中の国会に国家公務員法の改正案を提出すべく検討しておりますが、今御指摘いただきましたこのいわゆるたたき台というものは、労働基本権制約下において人事制度の具体的な仕組みを考えるために、委員が先ほど署名のお話をされましたが、署名の中心になられた職員団体の皆さん、あるいは関係府省庁と広く議論を行うために整理をさせていただいたものだと御理解をいただきたいと思います。
現状と改革の考え方、そして問題点等々が羅列されておるわけですけれども、職員の利益の保護というところが一つ大きなポイントになっていくのではないか。人事管理の基準、手続、あるいは救済制度の手続、これをどういうふうな形でリニューアルしていくかということを取りまとめた考え方だと御理解をいただきたいと思います。
○山元委員 言いましたように、ねらいというのですか、前書きも何もないわけで、よくわかりにくいんですよ。そして、結局は私、これは内閣と人事院との権限の切り分けといいますか、巧妙に人事院から内閣に権限が移っていく、そういう説明書きのような気がしてならぬわけです。大臣、どうですか。
○石原国務大臣 この点は委員も読まれて御質問されていると思うんですが、改革の基本的な考え方というものは、人事制度の設計や運営につきましては、内閣主導の理念のもとに、内閣がみずから責任を持って行うことができる枠組みに変えていきたいと考えております。
それに伴いまして、いわゆる下位の規範等の決定、政令で行うのかあるいは人事院規則で行うのかについてどうすべきであるのか、これはもちろん職員の皆さん方の利益の保護の関係から整理をしていかなければならない、そういうものを総体的に考えまして実現されるよう、最適なシステムになりますようにしていかなければならないということをまとめさせていただいたものでございます。
○山元委員 よくこの全体の性格というのがつかみにくい、だから論議がしにくいペーパーになっているんだろうというふうに思います。
そこで、それでは少し具体的にお尋ねをしたいんですが、例えば、これは三ページにあるんですが、「労働基本権制約の代償措置の確保」という項目が七行にわたってあるわけです。これは大問題なんだけれども、その制約の意義だとかあるいは代償措置のありようについては極めて言葉が足らないわけです。
これは、去年出された大綱では、「公務員の労働基本権の制約については、今後もこれに代わる相応の措置を確保」していくと書いてあるんですが、ここのところは「代償措置の確保」。だから、これはそれに当てはまるんですか。例えば、大綱が言っている「相応の措置を確保し」ということと、ここに書いてある「代償措置の確保」について、わずか七行、これは中途半端で、どういうふうに制約をしてどういうふうに代償措置ということは書かれていないんですが、相応の措置なんですか、これは。
○石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたのは、三ページの「労働基本権制約の代償措置の確保」という形で書かせていただいておるのでございますが、これはもう委員も既に御承知の上で御質問されていると思うんですけれども、いわゆる全農林最高裁判決、昭和四十八年四月二十五日の中で代償措置であると示された三点、すなわち、勤務条件が法律で定められていること、これが私は法律を読ませていただいてメーンだと思うんですけれども、これにさらに、勤務条件について人事院の国会及び内閣に対する勧告または報告が義務づけられていること、そして三点目は、人事院に対して職員の行政措置要求及び不服審査請求の道が開かれていること等々について、今後の公務員制度改革においてもこれらの措置は維持をしていくということを、端的に七行、それだけを書いておりますので、説明がございませんので議員のような御質問になるんだと思いますが、そのことを引き続いて維持していくんだということを述べているものだと御理解をいただきたいと思います。
○山元委員 大臣、承知をしているとおっしゃるけれども、承知をしていないんですよ。よくわからないんですよ。今、全農林の判決についておっしゃる。けれども、全農林の判決についても中郵の判決についても、決して基本権を与えることが憲法違反だ、憲法に禁止しているとは言っていないのであり、与えることができる、可能だということの指摘をしている判決が出ているわけです。ですから、ここのところはもう少ししっかりと、公共性だとか中立性だとかいろいろなことを公務員に求められるんだったら求められる、だからこうする、しかし、だから内閣が一方的な労働条件、勤務条件の決定を行わないんだと。法令主義を全く無視するわけではありませんけれども、そういう労働基本権を尊重する立場というのはきちっと明確にした中でこういうことが言われなければならない。全農林判決があたかも労働基本権を与えることを禁止しているというふうには全然解釈できないわけですからね。
そこのところ、きょうは全農林の問題について突っ込んでやろうとは思いません。少なくとも、権利として憲法の二十八条に保障されているものについて公務員の皆さんが制約をされる、だからこういうことなんだ、だから恣意に当局がやらないんだということだけはきちっとわかりやすく書いていなければいけないのと違いますかということを申し上げているんです。
○石原国務大臣 この点も、実は大綱を決めるに当たりまして、かなり関係府省庁あるいは公務員制度改革推進室の中でも議論の多かった点、議論が分かれた点、あるいは我が党の行革本部でもいろいろ意見の相違のあった点でございます。
すなわち、委員御指摘の労働基本権、これを公務の世界ではどうとらえていくのか、そしてこの代償措置として、先ほど私が主たるものとして御説明しました、勤務条件が定められていることということがうたわれているわけですけれども、政府としては、今後の公務員制度改革においても労働基本権制約の代償措置というものはやはり重要であろうと。委員の御指摘は、これを与えよという御指摘もあると思うんですけれども、その代償措置としてとらえていくというこれまでの考え方の枠組みを大綱では維持していくんだということを決めさせていただいた。先ほど申しましたように、その点につきましては、実はさまざまな意見があったということも承知しておりますし、また、委員と私どもとの意見に相違があるということも認識はしております。
○山元委員 私は今、ここの論議で、労働基本権を与えるとかどうとかということについて申し上げていない。
少なくとも、このペーパーではしっかりとして、労働基本権を剥奪する代償措置と。この大綱に言っていることとここで言うていることとは違うじゃないか。勤務条件まで法律、法令主義にずっと移していく。さっき私は切り分けていくと言いましたけれども、人事院から移していく。なお一層公務員の皆さんの労働者としての権利を奪っていくような流れをつくりながら、きちっとした代償措置になり得ていないということを申し上げているわけです。
だから、ILOの方に少し進みたいと思いますが、ILOでもこのことはもう常識なんです。日本の公務労働者がそういうふうに不十分な代償措置になっている、なお一層そのことが内閣の方に移っていくということについて、大変問題があるというふうに思うんです。
このことについては人事院がどう考えているのか。今まで人事院は代償措置としての機能を果たそうという努力をしてこられた。このペーパーで、この流れの中で人事院の権能はどうなっていくのか。人事院の見解を先にお尋ねしたい。
○大村政府参考人 お答えします。
公務員を含むすべての勤労者に労働基本権を保障している憲法二十八条のもとで、公務員について、労働基本権を制約する以上、民間における労使交渉にかわるものとして代償措置が不可欠であります。このために中立第三者機関として人事院が設置されておりまして、公務員の勤務条件の設定については、その基礎的な事項を人事院勧告に基づき法律で定めるとともに、法律の委任を受けた事項につきましては人事院規則で定める枠組みによる、そうすることで代償機能が適切に発揮される仕組みがこれまで確保されてきたというふうに認識しているところでございます。
今回の改革でございますが、公務員の労働基本権制約の仕組みが引き続き維持されるということでございます。したがいまして、憲法上の要請としまして、人事院による代償機能が適切に発揮される仕組みが引き続き維持されることが不可欠であろうというふうに考えております。
このため、新人事制度の設計に当たりましては、給与、勤務時間はもとより、能力等級、任用、評価等さまざまな勤務条件に関する事柄に関しまして、使用者である政府が一方的に決めるのではなくて、その基礎的事項について人事院勧告に基づき法律で定められるとともに、その法律の具体化に必要な基準については、法律の委任を受けて人事院規則で定める仕組みを整える必要があるというふうに考えております。それが憲法の趣旨にかなうものであると理解しているところでございます。
○山元委員 いや、人事院が今まで果たしてきた機能から考えて、今度のこういう改革について、このペーパーについて見てみると、私は、先ほど全農林の問題をおっしゃいましたけれども、その代償機能さえも果たさなくなっていくよという危機感を持っているわけですね。これは憲法の問題にかかわってくる問題です。そこのところ、憲法の問題とかかわるかどうか、そのことについては人事院はどう考えるんですか。
○大村政府参考人 勤務条件につきまして、使用者の方で一方的に定めるということになりますと、憲法上のいろいろな議論が出てくるというふうに認識しております。
○山元委員 石原大臣、あらゆる国民が憲法によって守られるあるいは保障されるいろいろな権利があります。この二十八条の権利というのも非常に大事な権利ですよね。それを奪うその代償措置ということについては、よほど当事者同士の理解がなければいかぬでしょう。けれども、今の状況でいうと、今までその役割を果たしてきた人事院も、憲法にかかわる問題だというふうに言っているわけです。大きく後退をするわけです。だから、そこのところについてはきちっと説明ができなければいけないと思うんですが、大臣はどうお考えですか。
○石原国務大臣 今の点は、先ほど来御答弁させていただいておりますように、労働基本権制約の代償措置というものは、今人事院の方から答弁がありましたように、今後も憲法の関係から確保していかなければならない、これは私もそのように考えております。
しかし、そのバランスの問題が私は一つあると思うんですね。そのバランスの問題というのは、すなわち、私どもが考えますのは、人事制度の設計とか運営というものは、実は本当は内閣がみずから責任を持ってやってこなかったんではないか。どちらかというと、おんぶにだっこの部分があったんではないか。すなわち、先ほど人事院規則で云々という話が人事院の方から答弁がありましたけれども、多くの事項をすべて人事院規則に委任して、人事院に、言葉をかえますと過度に依存し過ぎたんじゃないかということが、今回私どものこの改革の問題点としてあるわけであります。そこが、先ほど、説明文が非常に、これはたたき台ですので、箇条書きになっていて少ないので、その点が委員御指摘のとおりわかりにくいという御批判につながっているのだと思いますけれども。
一ページ目に、今私が申し述べたことは、「適切な行政運営の実現のため、本来人事制度の設計・運営に当たるべき内閣が自ら十分に責任を果たさず、人事院に過度に依存している状況。」ということを公務員制度の現状として認識しております。その結果、矢印で、「各府省による適材適所の人事管理を阻害し、機動的・弾力的な行政運営を制約。」している。このことと、その労働基本権制約の代償措置を私どもも今後とも維持していくということでございますので、必ずしも委員御指摘のとおり相矛盾するということはないのではないかと私は考えております。
○山元委員 いや、それはもう話にならないですね。今まで内閣が機能を果たしてこなかったと。そうじゃないでしょう。私も何回聞いたかわからない。今までは、第三者機関としての人事院の勧告とかあるいは発言を最大限尊重するというのは、歴代の官房長官もそれぞれの大臣もおっしゃってきた。だから、そういう今までの代償措置としての機能を十分果たすように、そういう期待が人事院にあったし、人事院もそれについて努力をしてきた。
私は、個人で言うと、もっともっと労働基本権を労働者に与えるべきだ、団体交渉権も与えるべきだ、こういうふうに思っていますよ。けれども、いずれにしても、人勧制度というものがあって、人事院が大きな役割を果たさなければならぬ。石原大臣が今言ったのとは全く逆です。バランスが必要だ、今まで内閣が役割を果たしてこなかったというのはとんでもない話。それだと、だから、最初に申し上げましたように、人事院から内閣に機能を移していく、そういう切り分けのためのペーパーにすぎないことになってしまうというふうに思うんです。
だから、そこのところはしっかりとした論議を、今まで全農林判決、あれは一九八一年ですか。三十年前ですか。今は社会の状況が違う、権利の意識も違う。そういう状況の中でさらに後退をするようなことがあってはならぬというふうに思っているんです。あの時代から、労使関係も、あるいはそういう国民的な意識も社会情勢も変わってきているわけです。大臣は先ほど全農林について少しおっしゃったけれども、そうではないというふうにぜひ、偉そうな言い方やけれども、勉強していただきたい、御理解をいただきたいというふうに思います。
もう少し進めますが、この問題については、大綱が示される一週間ほど前にこういう方向でということが当事者に連絡があって、全く議論はなしでと言ってもいいくらいで大綱が閣議決定をされたというふうに聞いています。これは、大臣が考えるようにさらに内閣が仕事をするんだという立場にたとえ立つとしても、百歩も二百歩も譲ってそうしても、それでも当事者と十分な協議をする必要があるというふうに思うんですが、それはいかがですか、これからの措置。
○石原国務大臣 この点も非常に難しい問題なんですが、何をもって十分とするのか。期間が区切られており、そしてスケジュールがあり、お互いが本当にもう十分なんだというのが十分なのか、いや、こっちがもう十分だと思うのか、いや不十分だと思うのか、そこもやはり兼ね合いがあると思います。
その点につきましては、私どもも誠心誠意、これからも取り組ませていただきたいと考えております。
○山元委員 大臣、そこまでおっしゃるんでしたら、十月に連合の皆さんが推進事務局に質問事項を出されましたね。大臣、御承知ですか。推進事務局に出しましたと私も聞いたんですけれども、この質問事項について、前文のところにこういう書き方がしてある。誠心誠意とおっしゃったけれども、十一回交渉、協議は重ねてきたと。大臣、よろしいですか。回数はともかく、我々が示した問題点、疑問点に対しては明確で納得のいく説明が行われていないこと、二つ目、一度たりとも我々の意見が反映された事例がないことなど、当局に全く誠意がないと書いてあるんです。
石原大臣は、誠意を持って節目節目で相談、協議はしているんだ、こうおっしゃる。けれども、公式にそうやって質問事項として出されたものの中にここまで書いてあるんです。これは、一番最初に戻りますけれども、大上段に構えるわけじゃないけれども、これからの日本の公務サービス、公務労働のあり方にとっては不幸なことですよ。
だから、本気になってそのことについて協議をして、最初に私も申し上げた、スト権をよこせというような話とは違うんだ。公正で透明な公務員制度をつくろうということですから、そこのところにこたえて、このようなことがもう書かれぬような話し合いをすべきだと思うんですよ。大臣が直接でなければ、事務局にきちっとそのことは命じるべきだと思うんです。どうですか。
○石原国務大臣 やはりこれまで、正直申しまして、公務員制度改革は抜本改革というものはなされてこなかったんだと思います。
昭和二十三年でございますか、人事院が発令されまして、そして人事院が労働基本権制約の代償措置として間に入って、さまざまな公務員制度のありようを細かく決めてきた。しかし、今回の改革の原点は、やはり過度に依存し過ぎたんじゃないか。すなわち、行政があり、その中に人事院があるのか。国家である以上は、やはり内閣がすべてをコントロールしていかなければ国家としての体をなさないわけですけれども、人事院のそのポジショニングというもの、これを一体どこにどう置くのがこれからの公務員制度として時代に合ったものなのか、合わないものなのか。
そういう中で、私は別に、回数、数をやれば誠意を示しているなどとは思っておりませんけれども、基本的な哲学、すなわち、どこのポジショニングをとるかによって意見が相反するということはあると思うんです。
ただ、相反するものがあった中で、我々はこう考えるからこのポジショニング、さっき言いましたけれども、内閣がみずから十分に責任を果たすような新しい体制をつくっていきたい、この基本がありますので、この基本がポジショニングでずれていますと、そちら側の御要望というものをこちら側が全部リジェクトするという結果になるというのは、私はある意味では議論の必然であると。
それであるとするならば、ではなぜこちら側がそういうリジェクトをするのか。すなわち、基本哲学のところの議論というもの、これは哲学論でありますから、憲法九条の議論と同じようなものなのかもしれませんけれども、やはり双方が双方の考え方を真摯に披瀝し合うことによって理解を深めるという以外、私は、ベクトルの方向が違う方向を向いている以上は、どこか球体になってそれが回ってこない限りは意見が一致しない。
しかし、そうはいいましても、哲学論の基本的な制度設計の大きな変更、当然大きな制度変更でありますから、これまでその制度に親しんできた側からすれば、何でこのベクトルが、今までは平行で、少なくともいつかは交わるような方向で進んでいたものが、今度は何でこう放射状に行ってしまうのかというような御懸念があるのではないかと、今の委員が御指摘されました質問書に、あるいは当方の説明に対する受けとめ方に端的にあらわれているのではないかと認識しております。
○山元委員 大臣がおっしゃるようなそういう考え方ですと、これは、公務員の皆さんも労働者だとすると、この憲法二十八条に保障している団結権、団体交渉権、団体行動権という労働三権を与えて主な権限を内閣が持つというんだったら話はわかりますよ。これは労使の関係です。けれども、そうではないということであれば、百歩譲ってそれを認めるとすれば、第三者機関がより公正な力を持つようなそういう努力をすべきであって、内閣がやるんですということは、今のこの憲法の問題が起こってくる。
そういうことについて、これはもう時間が余りありませんからまたの機会にしますけれども、そこのところは、公務員の皆さんも労働者だ、一緒になって働きますよ、公務サービス頑張りますよと士気も熱意も持ってやれるようなそういう労働条件、勤務条件というものをつくっていく基盤としてぜひ論議をしてもらいたいというふうに思います。
それから次、もう時間がありませんから、天下りの問題。
端的に申し上げて、官房長官、小泉総理も、早期退職勧奨制度を是正するんだ、こういうことをおっしゃっていますし、内閣として、この天下りについては、直接的には在職期間を延長する。これは、前の委員会で石原大臣と私もやって、このピラミッド型、だんだんと上が細ってくるんでなしに台形にしてずっと勤務年数をふやしていくんだ、五十済んだらしりが軽くなるようなことでは困ると。公務の質の問題もありますし、それぞれの働いている人の問題もありますから、ですから、早期退職という制度をどういうふうに改善をしていくのか。
私の言ったピラミッド型から台形型へというのは石原大臣も御理解をいただいたというふうに思っていますけれども、一遍、内閣として、この問題についてどういうふうに全体の公務員の退職時期のあり方について取り組んでいらっしゃるのか、考えていらっしゃるのか、官房長官にお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 天下りにつきまして、これは世間で大変強い批判があるということは、もう周知のことであると思います。したがいまして、この問題について、これを見逃すというか見過ごしていくということはできない、そういう段階にあると思っております。
いろいろな考え方がありますけれども、これは公務員の一生の問題でございますので、やはり制度の中でも極めて大事な位置づけをしなければいけないと思っております。これはまた慎重に取り扱うべきものであるということは、まず申し上げておきます。
早期退職慣行の是正は、総理からも、早急に見直しをするように、こういうことで強い指示がございます。各府省において、勧奨退職年齢を引き上げるための計画策定の検討が行われております。また、今回の公務員制度改革におきましては、能力とか実績主義の徹底による実力本位の処遇のもとで、キャリアパスの多様化による個々の職員の能力を生かした人材活用を行うことを基本としております。
そういうことでありますが、再就職とか在職期間の長期化問題、こういうことにつきましては、中高年齢者の人材活用、また、行政部内の適正な人材配置を図るというようなことを行いまして、国民の信頼を確保し得るような再就職ルールの確立、こういうことも図っていかなければいけないということで検討を進めておるところでございます。
○山元委員 石原大臣、これは、事務局にも検討するように、そのありようについて形をつくるように命じているんだというのを前に御答弁あったと思うんですが、その後、事務局としてあるいは大臣として、どういうふうに作業が進んでいる、姿が見えてきたか、こういうことについてお伺いしたいと思います。
○石原国務大臣 この点も山元委員と議論いたしまして、早期勧奨退職、現在五十二、三歳であるものを全員が六十歳まで働けるようにして天下りを減らしていくべきだということでは意見が一致いたしました。ただ一点、一致しなかったところを今思い出しますと、職員の給与のピークを私は五十六歳ぐらいに持っていった方がいいと最後に言いましたら、委員が食ってかかってそこは意見が違うと言われて、この議論がたしか終わったなということを覚えておるんでございます。
ただいま官房長官から御答弁がございましたように、私も事務局に指示をいたしました。そしてまた、七月の末には、総理から各府省に、どういうふうにやればこの勧奨退職制の年齢を引き上げることができるのか計画を策定しろ、そして、全体の取りまとめは総務大臣が行い、行革担当相もそれを補佐しろと指示がありました。
それから三カ月たったわけでございますけれども、昨日までに、第一ラウンドの各府省からのヒアリングというものが、これは古川官房副長官、内閣の方で取りまとめておりますので、一巡した。もちろん、現在デフレ対策等々忙しい金融庁とか、あるいは大使の年齢が認証官でありまして高い、六十歳以上の大使もいるといったような外務省、また大変外務省の方も今忙しくしておりますので、全部が完全に終わったわけではございませんで、まだこれから問題点の整理のためにヒアリングを重ねていくんですが、その中で出された意見、二つぐらいあったような気が私はするんです。
一つは、これも議論の中でよく出たんですけれども、結果としては昇進が遅くなるんじゃないかと。そうすると、昇進が遅くなることによって士気が低下するおそれがあるんじゃないかというような懸念も出されたようでございますし、また、退職年齢が全体が六十に近づいていけば、能力に見合ったポストというものも必要になってきますけれども、総ポストみたいなものはともかく、局の数も行革の観点から減らそう、なるべく簡素化しようということで、ポストの数も必要じゃないかと。それは士気にかかわる問題なのかもしれませんが、こういう問題をクリアしていくことがまた必要ですし、そういう施策というものは私はあると思っています。
どういう今後のスケジュールかと申しますと、これからもう少しヒアリングを深めていきまして今のような問題の回答を出して、来年からすべて六十というわけにはなかなかできないのは単純なことでございますので、徐々に数年かかって年齢を引き上げていくために、来年から制度変更をできるように、今鋭意検討している最中でございます。
またもう少し煮詰まりましたらお話もできるのかと思いますが、ちょうどワンラウンドが終わった、そのような段階でございます。
○山元委員 今、大臣、率直におっしゃいました。
国民的には、本当に天下りというのは公務員制度をゆがめる、あるいは政治をゆがめる元凶の一つだ、こう言われているんですね。それを何とかして、先ほど私、働いている本人さんのためにも延長する必要があるんだというふうに言いましたけれども、今の省庁のヒアリングじゃ、昇進が遅くなって士気にかかわってくるとか、あるいはどんどんと課長のポストが幾つも要るようになってくる。高齢社会になってきたんですから、定年退職もずんずん延ばしていって、それは、課長は今までは四十歳代だったけれども、五十歳代でもいいじゃないですか。
そこのところをしっかりと何が大事なんだということを論議して、やはり頑張ろう、長い間ずっと積み上げてきた自分の経験とかそういうものを公務の中に生かしていこうということをきちっと考えなきゃならぬ。ポストが少ないからこれはふやさなきゃならぬ、ふやせへんとか、昇進が遅くなるとか、そんなことを各省意見を上げてくるのは、本当に官僚のための官僚論議だということになりますよ。
ですから、そこのところは、しっかりとした物差しを内閣としてもつくっていただきたい。今の五十二歳、五十三歳をどうするんだということについて、これは石原大臣が七月、参議院で答弁していらっしゃる。現在、平均で調べますと五十二、三歳程度の早期のこの勧奨退職というものを、段階的に時間をかけて、とりあえず五十七、五十八歳ぐらいまで持っていくことがまず現実的な対応ではないかと考えておりますと答弁していらっしゃるわけですね。一つの数字も出てきている。
だから、そこのところへいくことが、本当に公務員制度の全体の姿として、あるいは本人それぞれの働きがいとして、そういうビジョンなんだということをもっと率直に出された方がいいと思うんですよ。各省庁へ聞いたら、士気が衰えると。そんなばかなことを論議している時期ではないと僕は思うんです、そのことは。行政改革だとかあるいは公務員制度改革をやっていくときに、しっかりとした論議をぜひしていただきたいというふうに思います。
時間がありませんから、天下りについては世論も厳しいですよ。大綱が出たときに、各新聞それぞれ、ごらんになったと思う。社説で、もう本当にひどい書き方がしてありますよ。天下りが緩和されただけの大綱だ、お手盛りにしてはならないとか、こういう新聞の社説がどんどん出た。そのことを忘れて、今のような論議の次元ではいけないということを、大臣、官房長官もしっかりと腹に入れてお取り組みをいただきたいというふうに思います。
最後になっていくんですが、一つはILO勧告についてです。
十分に当事者との理解がある上での労働、勤務のありようということをつくっていかなければいけないわけですけれども、十一月にILOの見解が出されるというふうに聞いています。六月のILO総会でいろいろありました。政府も十分協議をしますと約束してこられた。そのことを受けて十一月の末にはILOの見解が示されるというふうになっているんですけれども、どうもILOの見解は日本の政府を厳しく指弾するんではないかという心配を私もしているわけです。
それが出た段階でまた問わなければいけませんけれども、今、石原大臣、どういうふうにお考えになっていますか、ILOを見ていらっしゃいますか。
○石原国務大臣 この御質問にお答えする前に、前段の質問の天下りのことでちょっと言い足りなかった点があるんですが、私があえて役所がこんなことを言っているよというのを披露したのは、そこにもうパーセプションギャップがある、民間の方々、我々と官僚の側に差があると。私も何言っているんだと心の底からその話を聞いたとき思いましたけれども、そういう現実があるということを披露させていただいたのであって、内閣としては、この問題を総理みずから是正するとはっきり言われておりますので、早期勧奨退職を引き上げていくという方向で、来年度の実施を目指しているということを改めて申し述べさせていただきたいと思います。
御質問の点でございますが、ILO結社の自由委員会に対してなされた提訴に関しては、私ども、九月、先月ですか、政府見解を提出になるなど、対応させていただいております。
私も実は、あのとき山元委員はおいでにならなかったのでしたかね。国際自由労連のガイ・ライダーさんとか、国際公務労組、PSIのハンス・エンゲルベルツさんなんかと、私もかなり突っ込んだ意見交換を実は一時間ぐらいさせていただきました。そんな中で、当方の立場をいろいろ説明して、先方も、いや実は一緒にこの問題をやっているんだというような話も聞かせていただいたわけであります。
十一月に審議がなされて勧告が出るかということについては、情報としては承知しておりますが、まだいつどんなものが出るかというようなところまでは承知しておらないのが現状でございます。勧告が出た場合は、どういう勧告が出るかもわかりませんが、内容に応じて適切に対応していかなければならないと現段階では考えております。
○山元委員 ILOはやはり世界の良識の機関ですから、ここから出てくることについては、今適切に対応というお言葉がありましたけれども、ぜひこれはやはり最大限尊重して努力をするというふうに構えて、受けとめていただきたいというふうに思います。
時間が余りありませんから、最後に、先ほど一千万署名、請願について官房長官にお尋ねをしました。
石原大臣にもお伺いをしておきたいわけですけれども、今石原大臣を中心にして取り組まれている公務員制度問題について、先ほど申し上げましたが、ああいうふうに働く側の人も思っていらっしゃるし、一千五十万の署名というのは大きな署名です。例えば消費税のようにすべての国民ががっとなる、目に見えるということではない請願について、千五十万人の人がわかったといって署名をされている。そのことは、やはり政府としても、あるいは事務を担当している推進事務局も、大きく重く受けとめないといけないというふうに思います。そうでなければ民主政治の日本だということは言えないんだというふうに思います。
紹介議員も先日、私も含めて二百三十七名でしたか、出た、こういうふうに聞いていますが、そういうものについて事務当局としてしっかりと受けとめる。先ほど私は厳しい言葉で、事務局には一つも聞いてもらえたことがないとか、いろいろなことがありました。請願の中にも、これはやはり大綱をまず撤回して話し合いをもとへ戻せという趣旨が出ているわけですけれども、事務局として、いやそれは構わぬ、マイペースでいくんだ、規定の路線でいくんだというふうに大臣として指揮をとられるのかどうか、石原大臣にお伺いしたいと思います。
○石原国務大臣 請願の内容のコピーは私持っているんですが、一に、公務員制度改革を撤回し、国民と労働組合が参加した公正、透明な公務員制度改革案をつくること、こう書いてあるわけですね。
政府としてつくりました大綱を、御請願は一千万あるんですけれども、現在のところ撤回する考えは持っておりません。その検討に当たっては、これからも職域団体を初めとする関係者の方々と幅広く意見交換を行いまして、御理解を得て、先ほど官房長官が答弁いたしましたように、長期的な国家の大計にかかわる問題でございますので、議論を深めてまいりたいと思っております。
○山元委員 大臣、当局の立場としてはそうおっしゃると思う。けれども、私が申し上げたのは、マイペース、今までの既定路線で行きますかと聞いているわけです。撤回しますか、しませんかとは問うてへん。だから、そこのところは千五十万の署名をしっかり受けとめて、こういう疑念があるんだなということはしっかりと受けとめた仕事をしていただきたいというふうに、大臣にお願いというんですか、要望をしているわけです。これはここで結論が出るわけじゃないんですけれども、ぜひそういうふうにしっかりと受けとめた仕事をこれからしていただく、作業をしていただくようお願いを申し上げておきたいと思います。
官房長官にもお願いをしたいんですが、最初一千万署名のことは申し上げましたけれども、先ほど私は、この大きな仕事を中間報告を出してここで論議をすべきや、こういうふうに申し上げましたら、中間まとめをする予定はなしに、その折その折にという話がありました。私は、やはり中間まとめをして、そして一遍、内閣委員会なら内閣委員会、あるいはもっと違う場なら違う場で中間的な論議をして、ああ、これで支持が得られる、皆頑張ってくれるなという改革法案をつくるというための努力を内閣としてもしていただきたいんですが、そういう中間的な論議をひとつタイミングを見つけてやるということについて努力をしていただけませんか。
○福田国務大臣 石原大臣からもお話し申し上げました。この問題は大事な問題であるだけに、いろいろな場で御意見を聞きながら慎重にやらせていただきたいと思います。
○山元委員 十分ではありません。終わります。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で山元君の質疑は終了いたしました。
次に、山内功君。
○山内(功)委員 民主党の山内功でございます。まず、谷垣大臣にお伺いをしたいと思います。
警備情勢につきまして、テロの発生あるいは右翼などの動向にも注意が必要であり、今後、警戒警備活動を強化すると先ほど所信を述べていただきましたが、具体的にどういう点について主に重きを置いて取り組まれる考えなんでしょうか。
○谷垣国務大臣 テロにつきましては、やはり未然防止ということが何よりも大事だろう、こう思っております。したがいまして、テロリストを国内に入れない、それから国内に拠点をつくらせない、そしてテロを起こさせない、こういうことが一番基本であろうという観点から、そう考えますと、やはりまず関連情報の収集ということが一番大事であろうと思います。したがいまして、国の内外の関係機関との連携というようなことに重点を置いていかなければなりませんし、それから不審者の動向の監視といった点も重要になろうかと思います。それからハイジャック防止とか、あるいはいろいろな関連情報の分析に基づく重要拠点を重点的に監視する、パトロールする、こういうようなことが必要ではないかと思っております。
具体的な施策として行ってまいりましたのは、今申しましたように、まず、各国治安機関と連携したテロ関連情報の収集強化、それから二番目に、入国管理局などと連携したテロリスト潜入防止のための水際対策、それから三番目に、全国の機動隊へ機関けん銃約千四百丁を配備するというようなことを行いました。それから四番目に、いわゆるNBCテロ対策専門部隊を増設いたしました。それから五番目として、警視庁総理大臣官邸警備隊、隊長以下約百名でそういう警備隊を設置いたしました。それから六番目として、極左暴力集団あるいは右翼、それからオウム真理教による違法行為の徹底した取り締まり、こういった措置を講じてきたところなんですが、今後とも、そのときそのときの情報分析に基づきまして不断の見直しを行って、先ほど申し上げました未然に防止するということを徹底してまいりたい、こういうふうに思っております。
○山内(功)委員 では、まずテロの問題についてお聞きしますが、先日、石破茂防衛庁長官が、自衛隊のテロ対策については、治安出動でどこまで対応できるかを検証し、足りなければ法整備が必要だと述べて、自衛隊が今後警察権に積極的に介入していく考えを明らかにしていますが、谷垣大臣はどういうお考えでしょうか。
○谷垣国務大臣 一般に、国内においてテロが発生した場合は、まず国内の治安維持に第一義的な責任を負う警察で全力を挙げてその解決を図っていくというのが今の法制度上のまず第一番だと思うんですね。具体的には、テロリストによる人質立てこもり事件、こういうようなものに備えまして、全国約二百名から成る特殊部隊、SATと言っておりますが、これを編成しまして、テロリストの制圧とかあるいは人質救出といった特別の訓練を行ってきております。
それから、所要の警察官にテロリストの交渉などに関する訓練も積ませてきているところでありまして、こういった警察の総合力を発揮して事件の対応に当たっていきたい、こういうことでありますが、しかし、それをもっても十分でない、治安を維持することができないという場合には、今、石破大臣のお話も引かれましたけれども、内閣総理大臣が自衛隊に治安出動を命ずることができるものとされているわけでして、その場合には、やはり自衛隊と警察の連携が何よりも大事だろうと思います。
治安出動に関する協定というのを今警察と自衛隊の間で結んでおりますが、こういう協定に基づいて、近々、共同図上訓練の実施を行うよう検討しているところであります。
○山内(功)委員 第一義的にはテロは警察の役割だと今おっしゃいましたが、そうすると、自衛隊との連携をする、あるいは自衛隊に治安出動の発動を求めるというような場合、その基準とか区分けというか、そういうメルクマールはどこに設定しておられるんですか。
○奥村政府参考人 お答えいたします。
治安出動をする際でございますけれども、これは今大臣からお答えいたしましたけれども、治安出動に関する協定というものを防衛庁と国家公安委員会との間で結んでおりまして、どういう場合に自衛隊が治安出動をするかというのは、これは自衛隊法に書いてございます。「一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合」でございます。そして、その手続といたしまして、これは私ども国家公安委員会あるいは防衛庁の方から総理大臣にそういうことを具申するということになっております。
○山内(功)委員 では次に、右翼の問題ですが、右翼についての情報収集はどのような方法で行っているのでしょうか。
○奥村政府参考人 一般に右翼につきましては、極端な国家主義的な主張に基づく暴力主義的な活動を行いましたり、あるいは重大事件を引き起こしたりすることが間々あるわけでございます。このため、警察といたしましては、不法事案の発生を未然に防止するという観点から、その動向には関心を払っておりまして、必要な情報収集活動を行っておるところでございます。
ただ、情報収集活動の具体的な手段、方法につきましては、事柄の性格上、答弁を差し控えたいと思います。
○山内(功)委員 右翼については、それが一人右翼であっても集団右翼であっても、団体の代表者の氏名あるいは構成員、それから団体の住所などは常に把握しておられるのでしょうね。
○奥村政府参考人 大体把握をしております。
○山内(功)委員 では、それを前提にしてお聞きしますが、民主党の石井紘基議員殺害の事件については、私たち同僚議員としても非常に怒りを持っております。
この問題について、まず、事案の概要についてお聞きしたいと思います。
○谷垣国務大臣 私どもの同僚、石井紘基議員が暴漢によって刃物で殺害されるという、大変許すべからざる事件が起きたわけでございます。私も、石井さんのありし日の姿を思い浮かべて、大変悔しい思いでおります。石井紘基さんの御冥福を心からお祈りしたい、こう思っているわけでございます。
事案の概要につきましては、十月の二十五日、石井さんが自宅の玄関から出てこられたところを待ち伏せしていた被疑者に刺殺される、こういうものでありました。
警視庁におきましては、直ちに特別捜査本部を設置しまして捜査に取りかかったわけでございますが、翌十月二十六日、出頭した被疑者を殺人罪で通常逮捕したところでございます。
今後、警視庁におきまして、被疑者の取り調べ、関係者からの事情聴取などを行って、事件の動機、背景等を含めて、全容解明に向けて徹底した捜査がなされるよう、国家公安委員会委員長としても警察当局を督励してまいりたい、こう思っております。
○山内(功)委員 では、まず一般的なことからお聞きしますので、警備の実態にも入り込むこともお聞きするかもしれませんが、できるだけ具体的な説明をお願いしたいと思います。
まず、一般の国会議員には警察の警護は行われないのですか。
○奥村政府参考人 警護というのは、総理大臣、閣僚、国賓のほか、その時々の情勢を踏まえまして、警護が必要であると私どもが判断した方について警護を行っておるわけでございます。
お尋ねのように、国会議員であるということだけをもって直ちに警護を行ってはいないところでございます。
○山内(功)委員 では、現状ではだれに対して警護を行っているのでしょうか。
○奥村政府参考人 ただいまお答えをいたしましたように、内閣総理大臣、閣僚、国賓のほか、その時々の情勢を踏まえまして、警護の必要があると判断いたしました方について警護を行っております。
だれに対して警護を行っているかということを明らかにすることは、警護活動に支障を来すおそれがあるので、答弁は差し控えたいと思います。
○山内(功)委員 警護の先進国はどこで、例えばどういう範囲で警護を行っているかというようなことは、実情はどうなんですか。
○奥村政府参考人 警護というのは、まず国家として非常に重要な警察活動でございまして、各国ともそれぞれの歴史的経緯がございますし、それからその時々の治安情勢というのがございます。そういうことを踏まえましてやっておるわけでございます。どこが先進国かどうか、この先進国の定義の問題もあろうかと思いますけれども、一概に比較することは困難であるというふうに思っております。
外国におきましても、この具体的な警護対象者の範囲とかあるいは警護の内容につきましては、これはやはり事柄の性格上公表されておりませんので、お答えするのは困難でございます。ただ、一般的に申せば、国家元首あるいは首相等につきまして警護が行われているというふうに承知をしております。
○山内(功)委員 警護先進国でどのような体制をとっているのかとかをもう少し明らかにしてもらわなければ、日本もサミット加盟国ですので、他国の実情はどうかということも我が国の警護活動をどうするかということの重要な参考になると思うんですがね。
外国で、一般の国会議員について警護を行っている国というのはないのですか。例えば、サミットなんかに来る外国の国会議員についてはどうなっているんですか。
○奥村政府参考人 外国におきます具体的な警護につきましては、今申し上げましたように、事柄の性格上公表されていないわけであります。
ただ、サミット参加をしております先進七カ国について申しますと、この七カ国の国会議員が日本に参りました際に、警護員が同行してきたという例はないというふうに承知しております。
○山内(功)委員 日本の国会議員の私邸などに情勢に応じてパトロールを行っていると聞いているのですが、その程度はどうなんでしょうか。
○奥村政府参考人 国会議員の方々の私邸につきましては、通常、特別な警戒はしておりません。ただ、不穏な情勢がありますときには、必要な警戒を行う場合もございます。その場合のパトロールの程度でございますが、やはりその時々の情勢あるいは住宅環境等によって異なりますので、一概には申し上げられないところでございます。
○山内(功)委員 それでは、石井事件の具体的な問題点についてお聞きします。
この伊藤容疑者は一人右翼だと聞いていますが、いずれにしても不審者であって警戒を要する人物だということは警察としては把握していましたか。
○奥村政府参考人 お答えいたします。
今回の被疑者は、いわゆる一人一党の政治団体を主宰しておる右翼でございます。ただ、昭和六十三年ごろまでは右翼的な活動を行っておりましたけれども、その後、目立った活動はしていないというふうに承知しております。
○山内(功)委員 過去に、要人を対象にテロをやる、国会議員をやるつもりだなどと発言をしていた人物ではないのですか。
○奥村政府参考人 報道ではいろいろそういうことが言われておりますけれども、私どもはそういう事実については把握はしておりません。
○山内(功)委員 二、三週間前に伊藤は、知り合いの複数の右翼や暴力団関係者に、石井は当選回数を重ねるにつれ生意気になった、必ずやってやると繰り返して言っていた人物ではないのですか。
○奥村政府参考人 本件につきましては、今警視庁で鋭意捜査中でございますが、今お尋ねのようなことは、私どもとしてはこれまでのところ把握はしておりません。
○山内(功)委員 世田谷区役所内の各会派の区議や区の幹部をよく訪ねていっていたということは把握していますか。
○奥村政府参考人 今お尋ねのことも含めまして、今警視庁で鋭意捜査を行っておるところでございます。
○山内(功)委員 区役所に作務衣の姿で頻繁に訪れるので、職員も区の幹部も不審であると思っていた人物ではないですか。
○奥村政府参考人 そうしたことがいろいろ言われておるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、今警視庁で鋭意全容解明に向けて捜査をしておる最中でございます。
○山内(功)委員 区議や区の幹部の都合を聞かずに区役所に来て、それぞれの部屋に勝手に入ってくるというような異常な行動をとる人物だったんじゃないんですか。
○奥村政府参考人 今、警視庁の方で、本人の取り調べ、それから関係者等からいろいろ事情聴取をして、この事件がどういうものであったか、動機、背景がどういうものであったか、あるいは被疑者がどういう人間であるかということにつきまして捜査をしておるところでございます。
○山内(功)委員 先ほどの答弁の中で、右翼団体については住所は当然に把握していますというような回答をいただきましたけれども、十月十七日に立ち退きをさせられたということについては把握をしていましたか。
○奥村政府参考人 ただいまのお尋ねの件につきましては、私ども、把握はしておりません。
ただ、右翼につきまして私どもいろいろ情報収集を行っておるわけでございますけれども、右翼もいろいろございまして、非常に右翼活動が活発なものと、必ずしもそうでない、本件の被疑者のようにもう十数年以上右翼的な活動を余りしていない等、いろいろございます。
○山内(功)委員 右翼的な活動をしていなければその右翼団体については活動を把握しなくてもいいというような議論はないでしょう、先ほどのお話では。
○奥村政府参考人 私どもは、右翼につきまして情報収集活動を行っておるわけでございますけれども、今申し上げましたように、右翼の中にも活動が非常に活発なものとそうでないものとがございます。この被疑者の場合も十数年間ほとんど右翼的な活動をしていないということでございまして、その対象の状況によりまして情報収集活動にも当然濃淡が出てくるということでございます。
○山内(功)委員 いや、濃淡はいいんですけれども、右翼団体だと認定したのなら、右翼団体の住所地が一人右翼の場合には当人の自宅なわけですから、その自宅を退去させられたということについては把握すべきだったんじゃないんですか。
○奥村政府参考人 今、右翼の数、私どもが把握しておりますのは、全国で一万人おるわけでございます。この一万人のすべてについて、その住居が変わったということまですべて私どもが把握するというのは、必ずしも適当ではない面もあろうかと思っております。
○山内(功)委員 先ほど谷垣大臣は、不審者の洗い出しについては積極的に対応していきたいと答弁されたので、その答弁の警備情勢に対する意気込みと警備局長の答弁との間に温度差があり過ぎる気がするんですけれどもね。一万団体あろうが常に不審者の動静について注意を払う、少なくとも石井事件のような事件を発生させないという心構えが警備局長にうかがえないんですが。
○奥村政府参考人 今回の事件は、私ども、現職の国会議員を刺殺するという大変重大で凶悪な事件という認識を持っております。
こういう事件は起こしてはならないわけでございまして、今後とも、右翼の取り締まりあるいは情報収集には、なお努めてまいりたいというふうに考えております。
○山内(功)委員 世田谷区役所の職員も区議さんも近所の人たちも、事件が発生した後、あの人がやったのではないかと伊藤のことをぱっと念頭に思い描いたと言うんですよ。反省する点はないんですか。
○奥村政府参考人 私どもは、私どものできる範囲内で情報収集、取り締まりをこれまで鋭意全力を挙げてやってきたというふうに思っております。
○山内(功)委員 私としては、団体数が多い少ないという問題とか、あるいは、右翼として認定している限りは、最近の活動歴があるかないかとか、そういう問題で右翼団体の住所地についても全く注意を払わない、あるいはきょうの答弁でも、具体的な指摘をさせていただいてもなかなかはっきりとお答えしていただけない。この石井問題については、警察庁としてはもう少し真剣な対応をとっていただきたいと思っています。
では次に、細田大臣にお伺いします。
細田大臣は、先ほどの所信の中で、個人情報の保護に関する法律についてはよく御審議をいただいた上でというお願いをこの委員会に対してされましたが、これは今後どんなことがあっても特別委員会をつくってほかで審議をするという考えはないというふうに聞いてよろしいんでしょうか。
○細田国務大臣 その問題は国会側の問題だと思います。
政府としては、法案を提出して御審議をいただきたいということで、これは、法律の目的等、どうしても今の社会情勢から必要な法案でございますので、内容の問題を含めて御審議をいただきたい。その場については、院の方でまた御検討いただきたいと思っております。
○山内(功)委員 政府提出の個人情報保護法案について、大臣は今の政府案をどう思われますか。
○細田国務大臣 近年、IT社会が進展いたしまして、民間企業あるいは行政機関全般にわたりまして、コンピューターやネットワークを利用して大量の個人情報が処理されております。現に、我々政治家も、それぞれ言えば、私のところでも七万件ぐらいの方々のデータをコンピューターに入れるというような時代になっております。個人商店の皆さんもたくさん持っておられます。
そういう情報のあふれる、またデータ処理されている中で、昨今、特に違法な状況といいますか、違法と今言ってはいけないわけでございますが、個人情報をたくさん持っております企業からの漏えい事件、これが新聞等で報道されているものだけでも、本年で大きなもので十一件、昨年も十件、一昨年も二十一件というふうにこの三年間で四十件も出ており、それが数万件あるいは数千件の個人情報を例えば社員が故意に他に漏らすというような事件が発生しておりまして、やはり日本国民の個人個人の立場から見ると大きな問題が発生しておるわけでございます。
そこで、個人情報保護法案は、このような状況を踏まえまして、一般の企業においてコンピューター処理されている顧客情報等を念頭に、消費者などの権利利益を保護することを目的としておりまして、政府としては、十分内容的に検討した上で提出しておるわけでございますが、一般の世論あるいは国会においてもさまざまな御議論が行われ始めているということはよく承知しております。ぜひともよろしく御審議をお願い申し上げまして、よりよき法案が成立いたしますことが今の国民においても非常に重要なことだと考えておりますので、私どもも一生懸命成立に向けて皆様の御理解をいただきたいと努力いたしたいと思っております。
○山内(功)委員 前国会で読売新聞の試案が出たのを契機に、総理が内閣委員会で審議入りをする前に修正を検討するように述べたことについてはどう思いますか。
○細田国務大臣 七月二十九日の与党三党首会談におきまして、本法案が表現の自由を侵すものでないことをより明確にする等の修正の検討について合意されたところでございます。
また、総理が十月二十二日の参議院本会議におきまして、本法案など継続審議となっている法案につきまして与野党の協議を進めながら対応していくことも大事であるとの認識のもとに、単に与党だけの観点からということよりも、国益を中心にして、野党の意見でも参考にすべきは参考にし、協力を求める場合には協力を求めるという立場で進めていくことが重要との考えを示されたところであります。
私としては、総理のこうした考えを踏まえまして、与野党における御議論をお願いしたいと思っております。
○山内(功)委員 今のは私の通告した次の質問に対する答えでして、私が聞いたのは、前国会で内閣委員会で審議入りする前に総理が修正について言及したことについてはどう思うかということをお聞きしたんですよね。だから、それについては出し直しをする、それが政府としての態度ではないかと思って聞いているんです。
○細田国務大臣 読売新聞が修正試案を出したときに、たしか前大臣が、竹中大臣が担当大臣でしたが、そのときにお答えしたと伺っておりますけれども、竹中大臣から、法案の修正を指示したものではないことを明確に申し上げたということをおっしゃっておられると承知しております。現在御審議をお願いしている法案は、政府として最大限の努力を講じた最善のものと考えております。
ただ、もちろん国会において法案審議をされることは当然でございまして、また、その過程でさまざまな修正が行われるということは多くの法案についてあることでございますし、また、非常に重要な法案でございますので、このことは十分御審議をいただきたいと思っております。
○山内(功)委員 七月に与党合意が成立したということでしたが、現在は、総理は大臣に対して法案の修正を検討するように具体的に指示を出しているのですか。
○細田国務大臣 総理から直接、具体的にこのように直せというような御指示はいただいておりません。
○山内(功)委員 それでは、大臣はこの政府案について修正を検討しようとされているのですか、されてないのですか。もしされているとしたら、どの点を検討しようとされているのでしょうか。
○細田国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたが、政府としては、政府の知恵を結集して、現在の事態に対応するためには最善の案を御提示したつもりでございます。
特に、問題は二つに分かれますが、いわゆる報道の自由との関係で大きな問題が提示されました。他方、先ほど申しましたように、IT時代、情報処理時代になっていろいろな事件が、情報を売却するとか、そういう事件が発生しましたので、これに対応して何らかの法律制定が必要であるという事態があることも事実でございます。
特に表現の自由等の問題につきましては、あれだけ報道の関係からも意見が出されましたし、与野党間でも議論が行われておりますから、むしろ私は、技術的な問題もさることながら、やはり表現の自由を中心とするいろいろな法律論、憲法論等々もあると思いますので、これは十分に与野党間あるいは与党間でも御議論をいただきたいと思っております。
それ以外の技術的な問題等については、またこれからさらに、まだ規定について、個別の規定がどうであるという御審議をこの法案については十分いただいておりません。まず最初に報道の自由の関係から議論が入ってしまったものですから、この法律の中身についての御議論を余りいただいていないと承知しておりまして、ぜひとも議論を深めながらいい法律をつくってまいりたい、またつくっていただきたいと思っております。
○山内(功)委員 例えば、前国会で私たちが主張していた中に、簡単なことだと思うんですけれども、報道機関の義務規定の「適用除外」のところで「機関」と書いてあるので、フリーライターやノンフィクション作家など個人が含まれるのですかと聞くと、含まれると言われるので、それは「機関」という文字には読み込むことができないから、個人も含まれると言われるんだったらどうしてそのことを条文に明記しないのですかと、これは、法律を読むと至極簡単な改正の作業だと思うんですけれども、そういう簡単な部分の見直しもされていきますか。
○細田国務大臣 報道を行う雑誌等を発行する場合の出版社とか、報道を行う場合のフリージャーナリストは、いずれも報道機関に該当する、義務規定の適用が除外されるというふうに解釈をしておりますが、その前に、報道機関あるいは報道の問題そのもの、表現の自由との関連という非常に大きな問題が今議論をされておりますので、その議論の中でまた十分に御議論をいただきたいと思っております。
○山内(功)委員 報道の最先端である放送局とかあるいは新聞社などが、表現の自由については基本原則も外すべきだという主張もしているんですが、御存じでしょうか。
○細田国務大臣 さまざまな御議論があると承知しておりますし、これについては、表現の自由という立場から、より規制がかからないと申しますか、法律の対象外にしてほしいという強い御意見があることも理解しております。
ただ、この問題は、ぜひとも今国会、関係政党間あるいは委員会で御議論をいただきたいと思っております。
○山内(功)委員 もちろん十分な審議はするつもりなんですが、例えば、住基ネットを稼働させるのならば個人情報保護の措置が必要だと国会で小渕総理が答弁をされているのにもかかわらず、それを無視して八月に稼働をしたという事実もあるのじゃないですか。
○細田国務大臣 ちょっと住基ネットの問題は、必ずしも私の所管として申し上げることが適当であるかどうかわかりませんけれども、私は、個人情報の保護という観点からは、やはり法制度は必要であると思いますし、関連して、これは他省からの提出法案でございますけれども、行政機関のこの問題についての規制を強化する内容とか、独立行政法人その他、あるいは地方公共団体にも条例においてやるわけでございますけれども、全般的な規制と申しますか、国民に大きな権利利益の侵害が出ないような法制度の整備は、いずれにしても必要であると思っております。
○山内(功)委員 必要論が先に出るのは政府としては仕方がないのかもしれませんが、政府の答弁あるいは解釈について、数カ月前に言ったことと違うことを述べているというような感じを私は持っておりますので、法律をきちんと規定する、条文を細かく規定をしていく、あるいは間違った解釈が入らないような法律を制定していくという視点から、この個人情報保護法については今後とも審議をさせていただきたいと思っています。
終わります。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で山内功君の質疑は終了いたしました。
次に、奥山茂彦君。
○奥山委員 奥山でございます。
私は、先ほど論議になっておりました石井紘基議員の刺殺事件に関する問題、並びにテロ対策、それから遺棄化学兵器、今中国で残されておりますが、この問題につきまして主に質問をさせていただきたいと思っております。
先ほどの山内議員に対する答弁の中でずっと出てくる話は、捜査上答えられない、こういう話がたびたび出てきておるわけであります。我々も、警察の捜査というものは、確かにいろいろと捜査の過程というものはなかなか表へ出しにくいとは思いますが、政治絡みの問題になって、特に、我々国会議員が国会でいろいろと発言をする、その発言が暴力によってゆがめられるということ、これは絶対にあってはならないということは、もう改めて言うまでもないわけであります。そういう中におきまして、国会議員が正常な国会での発言ができる環境をつくる、確保していくということは、これはもう警察としてもやはり考えていただかなければならない課題ではないかと思います。
そういう中におきまして、この石井議員に対して、お亡くなりになられましたので、我々も心からお悔やみを申し上げたいと思います。
そして、この何日か後に、これは同じ民主党の前田雄吉議員が、何か街頭演説のときに少年に殴られたというようなニュースも出ておりました。
我々も、いろいろなところで、地元へ帰ると街頭演説をしたりしますと、時には、消費税のときには石を投げられたり罵声を浴びせられたりということもあったわけであります。これはしかし、外での話なのである程度は仕方がないかなと思いますが、国会のいろいろな発言の中でやはり巨悪を正していくということは、国会議員としての務めでなければならないわけであります。その言論が正常な形で守られなければならない。この点につきまして、谷垣大臣に、警察の立場として、ひとつどのようにこれから取り組んでいただけるかということで、冒頭にお尋ねをしたいと思います。
〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕
○谷垣国務大臣 今奥山委員からお尋ねの点は、私ども、国会で自分の思うところをしっかりと述べ合って、そしてよい結論を出していく、そして民主社会を支えていくという、我々の活動の一番根底を脅かすような行動、これは断じて許すわけにはいかない、こういうことだろうと思います。
そして、石井議員の件も、あるいは前田議員の件も、現在捜査中でございますけれども、徹底的に捜査をして、その背後関係等も明らかにしていかなければいけないと思っております。
そこで、先ほど、これは山内議員の御質疑のときにあるいは御答弁すべきだったのかもしれませんが、警備局長の答弁と山内先生の御議論を私も聞いておりまして、なかなかここは、率直に申し上げて悩みも深いところでございます。先ほど申し上げましたような民主主義社会の根底に関することでございますから、警察としても全力を挙げなければならないという面は当然ございます。それから、より多く言えば、未然防止ということが一番これは考えなければならないことでございますが、現在のいろいろな人権体系等を見ますと、公権力が出ていくのは、事前にできる場合というのは、かなり限定的にいろいろなことが考えられている面がございます。事後であれば、もちろん強制捜査、何でもできるわけですけれども、そのあたりの兼ね合いをどうとりながらやっていくかということは、現場においても悩みがあるところだろうと思います。
これは、簡単に両断して、こうだからこう、ああだからああ、こういうふうには簡単に言えない面がありまして、その事前抑止と人権保護の観点から、事後には強制権が発動できる、このバランスをどうとっていくかということに悩みながら最善を目指していきたい、こう思っております。
○奥山委員 今回の石井議員のケースの場合は、どちらかというとやや政治絡みの少ないケースではないかと思いますが、国会の発言をめぐって例えば右翼が車で押しかけてくるというようなケースはこれまでたびたびあったわけであります。もちろん、公然とやってくるところは、これは事前からわかるわけでありますが、突然襲われるというようなことになってまいりますと、これは警備は事前の十分な対応ができないということもあり得るわけでありますから、そういう場合に、特に右翼に関連する、過去において政治絡みで問題を起こしておったような右翼の情報というものは、これはやはりある程度国会議員にも耳に入るようにしてもらいたいと思います。
それともう一つは、右翼とか、あるいはえせ同和とか、あるいは総会屋とか、今、いわゆる暴力団とかやくざが、最近は暴対法が非常に厳しくなった関係もあって、二枚看板、二足わらじをはいておるというようなケースが非常に多いわけであります。この伊藤白水というのも、右翼と名乗っておりますけれども、実際は思想的な面が余り裏づけがないように我々は感じてきたわけでありますけれども、これなんかも、一人右翼というか、あるいはたまたま本人の都合で右翼と名乗っておるのかよくわかりませんが、そういうケースではないかと思います。
本当は全然横のつながりのない思想右翼というのが一番怖いということが昔から言われておったわけでありますから、そういう対応が、もちろん我々も気をつけなければならぬけれども、それによって国会議員としての言動を変えるということはできないわけでありますから、そのあたりは、本人がある程度自主的に申し出ることによって警察の警備を受けるとか、そういう体制を私はやはりつくっておく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点についていかがでしょうか。
〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕
○谷垣国務大臣 実は、私も国家公安委員会委員長になりましてから、同僚の議員の方々から、実はこういうことがあったんだけれども少し配慮してもらえないかというようなお申し出を、まだそんなたくさんはいただいておりませんが、いただいたケースがございます。それで私も、警察当局の方にその話をしまして、ある程度事情もよく伺って配慮をするようにというようなことを申した例もございますので、それは、何かいろいろな問題をお感じになりましたら、遠慮なくおっしゃっていただいたらいいのではないかと思っております。
○奥山委員 これは、谷垣国家公安委員長が一つ一つ相談を受けていただいたらありがたいんですけれども、体制としてはなかなかそうはならないと思いますので、警察の特に警備が、特に非常に問題が起こりそうだ、我々が仮に過激なというか、いろいろな問題を追及するときには、場合によってはいろいろな団体から反発とか嫌がらせの電話とか、そういうものがどうしても出てくるわけでありますから、そういう場合の国会議員の方からの申し出が十分受けられるという体制をやはりふだんからつくっておいてもらいたいと思います。
それともう一つは、やはり過去いろいろな問題を起こしたような人物に関する情報とかいうのは、これはある程度公開してもいいんじゃないかと思うんですが、警備上の問題があろうかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○奥村政府参考人 ただいまの初めの方の点でございますね。御相談、お申し出の点につきましては、これは私どもも、現にそういうお話があったときはお話を伺った上で対応しておりますし、また、国会で質問された事柄につきまして、一部の、これは右翼、左翼と申し上げませんけれども、団体、組織が反発をいたしておるということで、現に警戒措置をとったようなこともございます。
それから、右翼の情報でございますけれども、右翼が何らかの行動を起こそうとしているということでターゲットになっているというようなことがあります場合には、私どもはその情報を提供いたしたいというふうに思っております。
○奥山委員 今うわさの右翼のことばかり申し上げましたが、実はこれは左翼にも同じようなことがありまして、過去は左翼の活動の方がはるかに活発でありましたから、ひとつその点もよろしくお願いを申し上げたいと思います。
それから二点目は、テロ対策の問題であります。先日からモスクワのオペラ劇場で占拠事件が起こって、これは大変な方が亡くなられたわけであります。同じような問題がインドネシアのバリ島でも起こっておりますし、これは死傷者は出ておりませんが、イエメンの紅海の沖でフランスのタンカーが爆破されたりというような一連の事件というものは、これはもちろんその真相は明らかになってはおりませんが、いわゆるアフガンのアルカイダが今向こうの方を追放されたというか逃げ出して、これが世界じゅうに広がっておるということもいろいろ言われているわけであります。
それで、そのアルカイダの一つのテロの標的というものは大体アメリカに向いているわけで、しかし、アメリカの警備が非常にかたいと、これはその周辺の同盟国に向いていくということは十分考えられるわけであります。
そしてまた、改めて言うまでもないんですが、テロというものはなかなか見えない相手でありまして、予想されたところにテロが起こるということにはならないわけであります。まさに突発的に起こるわけでありますから、これに対する警戒をするというのは、これはもう大変な労力と人員がかかわっていかなければならないことは、改めて言うまでもないと思います。
日本はアメリカとの同盟国であります。そういう意味では日本もその標的になりかねないわけでありますが、そういったアルカイダ等の情報というものは日本はどの程度把握しておるのかどうか、これは警察の段階ではどの程度把握されておるのかどうかということ。
それから、あのオペラ劇場と同じような施設、日本は非常にたくさんの人が集まる施設というのはたくさんありまして、いろいろな劇場とか駅のターミナルとかデパートとか、そういうさまざまなところに人が常に集まるわけでありますが、そういうところがややもすると標的に、ターゲットになりやすいということが十分考えられる。今警察庁で、たしか五百八十カ所、最重要警備対象施設とされているということを聞いておりますが、どのような場所がその警備対象にされておるのか。あるいは、日本の警備体制そのものが今どういう体制をとられようとしているのか。長官。
○奥村政府参考人 まず初めのアルカイダの情報でございますけれども、御案内のとおり、昨年米国で同時多発テロが起きまして、先般バリで起きる、またフィリピンで起きる、それからモスクワでああいうテロ事件が起きております。私どもは、やはりテロ関連情報を収集するというのが一番大きな課題であるということで、国内外の機関と情報交換をしておりますし、また、私どもも独自でも情報を収集しております。
アルカイダの情報でございますけれども、アルカイダはアフガンから追われましてアジアそれから中東等に大分散らばっておるようでございます。日本に入ってきている可能性がないかどうかということにつきまして、私どももいろいろ情報収集をしておりますけれども、はっきりと、アルカイダのメンバーが日本に入ってきたというような情報にはまだ接しておりません。
それから、警戒の問題でございますけれども、私ども、去年の九・一一以来、各重要な施設につきまして警戒警備を実施をしてきております。具体的には、アメリカ大使館、米軍基地等の米国の関連施設、それからアメリカを支援する英国等の関連施設、あるいは総理大臣官邸等の政府の関連施設、それから原発等の原子力の関連施設、そして空港等その他の我が国の重要施設に対する警戒警備を強化してきておるところでございます。
モスクワでは、今回オペラ劇場が占拠されたわけでありますけれども、こういう劇場とかスポーツ施設といった大勢の人の集まるところにつきましては、通常は施設の管理者等による自主警備を原則としております。私ども警察といたしましては、この施設管理者等の関係者と連絡を密にいたしまして、警戒上の留意事項、注意点等をきめ細かく指導しておるところでございますし、また、必要に応じまして所要の警戒を私どもでも行っておるところでございます。
○奥山委員 今警察庁で、一万人の職員をこれから三年間かかって増員をしたい。これはテロ対策に特に重点を置いて考えられているんじゃないかと思うんですが、仮に、今のような劇場とか人の集まる場所、今五百八十カ所の中にそういうものは入っていないですね。だから、そういうものも警備の対象として十分頭に置いて警備をしてもらわなければならないわけであります。本来常時警備されておるところは避けて、逆に言うと、インドネシアのバリ島の歓楽施設が攻撃されたということでありますから、本当にテロほど厄介なものはないわけですね。弱いところ弱いところを突いていくということになりますから、その辺の体制が大丈夫ですかということをもう一遍聞かせていただきます。
○谷垣国務大臣 奥山先生、いろいろ御心配いただいてありがとうございます。
それで、先ほど警備局長が申し上げましたこういうところを重点的に警備しているというのは、だれが考えても、そういうところを重点的に警備するというのは当然のことだろうと思います。しかし、そのほか、やはりこういうのは、ここをやっておりますというのを明らかにしますとそこは避けるというようなことになりますので、こういう議論をしますとき、いつも一番難しいのはその辺でございまして、確かに我々としては、一万人ふやしていただきたいということでやっておりますのは、もう少し人員も必要だ、これはもちろんテロ関係だけじゃありません、一般の治安もございますけれども、できるだけそういうあたりはいろいろ考えながら重点的に配備をしていきたい、こういうことでございます。
○奥山委員 それから、警備局長が先ほどおっしゃいましたけれども、いわゆるいろいろな情報は、昨年の九月十一日の同時多発テロに関しては、警察かどこかが一部事前に聞いておったにもかかわらずそれが共有されておらなかったというような問題がとかく論議されたわけでありました。これは、特に外国のいろいろな情報というものは、やはり常に政府が共有をしておるということでないといけないのではないかと思いますし、そしてその情報というものは数限りなく入ってくるわけですね。もう何万、何百万と入ってくるんですね。実際にその中で本当に正確なというか的確な情報というのは本当に数えるほどしかないわけでありますから、その辺の分析がきちっとできて、しかも必要な体制がとれるように、日本の情報収集体制がとれておるかどうかということであろうと思います。
これは、警察だけではなくして、外務省、自衛隊、それから経済産業省とか、いろいろなところがその情報をやはり収集してくるわけでありますし、また、いろいろな外国からの情報というものもいろいろな形で伝えられるわけであります。これが本当に政府に共有されるような体制に今十分なっておるかどうか。特に、内閣情報室というものがその後つくられたわけでありますが、その後の体制はどうなっておるのか、お尋ねしたい。
○貞岡政府参考人 御説明申し上げます。
テロに関する情報については、内閣情報調査室を初め、情報を担当する機関が内閣のもとで相互に緊密な関係を保ちつつ、平素から収集しているところであり、諸外国の関係機関との間においても迅速かつ緊密な情報交換を行っているところであります。
このようにして収集した情報の内閣における集約、分析については、その任に当たる内閣情報官のもとにそれらの機関の上級幹部が定期及び随時に参集して情報の評価、分析を機動的に行っているところであり、その結果については直ちに官邸に報告しているところであります。
また、報道等の公開情報については、平成八年に内閣情報調査室に内閣情報集約センターを設置して、二十四時間の情報収集、集約体制を構築しているところであります。
今後とも、情報の集約、分析機能の充実強化に一層努めてまいりたいと考えております。
○奥山委員 情報をいかにして的確に収集してテロを起こさせないようにするということが、これはもうもちろん一番の防衛体制でありますから、特にそのあたりは十分力を入れてもらいたいと思いますし、我が国の場合は、アメリカやヨーロッパ諸国と比べまして、軍事面で情報管理をするということが非常におくれておったということが言われているだけに、その情報の収集管理体制というものをひとつ十分体制をつくっていただきたいと思います。
それから、さっき、山内委員と同じような内容で重なって申しわけないんですが、例えば、この前のモスクワのような事件が仮に起こったとしたならば、瞬間に判断するのは、もちろん警察と自衛隊、両方が体制をすぐ整えるということになると思うんですが、なかなかその判断のつきにくいケースがあるんですよね。実際にテロリストが、工作員が日本の国内に入った、しかしどこへ行ったかわからない、どの程度が入ったかわからないという段階では、大体警察が当初対応してもらうと思うんですが、実際に、どうも後の情報が上がってくると、非常に強力な武器を持っておるというようなケースが出てきた場合に、その判断は、大体、第一義的に警察が先に出て情報収集をして、その情報によって内閣総理大臣が判断するということになると思います。その場合に、内閣総理大臣は治安出動をかけるということにはすぐにはならないんじゃないかと思いますね。そういう場合の警察とそれから自衛隊、そして官邸との体制はどういう体制で進めていかれるのか、少しその辺をお尋ねしたい。何か協定がありますね。
○奥村政府参考人 実際に事案が起こりました場合にどうか、こういうことでございますけれども、これはやはり第一義的に治安維持に責任を持っております警察がまず出るということでございます。まず警察が出まして情報収集をし、また対応するということでございますけれども、片や、そういう事案が発生している可能性があるというときには、自衛隊の方でも情報収集のための出動というのが自衛隊法で一定の要件のもとに認められております。自衛隊がそういう情報収集に出る場合もございます。
お互いに連携をとりまして活動するわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような防衛庁と国家公安委員会との間で治安出動に関する協定というものを結んでおります。これに基づきまして私どもお互いに連絡をとるわけでございますけれども、治安出動の必要性があるという場合は、防衛庁長官あるいは国家公安委員会がそれぞれに他方に連絡をした上で、相手方の意見を付しまして内閣総理大臣に意見具申をする、そして総理大臣が自衛隊法七十八条に基づきまして自衛隊に治安出動を命ずる、こういう仕組みになっております。
○奥山委員 わかりました。
拉致問題で一言だけ、警察が今どのような対応をされているかということをお尋ねしたいと思います。
現在、十五名が拉致と認定されているわけでありますが、それ以外に、今国民の各層から、いろいろな拉致でないかという問題を警察に捜査してもらいたいということで挙げられていると思います。何か、聞くところによりますと、三十件あるとか五十件あるとか、いろいろな話があるわけでありますが、警察庁として今、まだこれ以上に拉致の疑いがあると言われるものがどのくらいあると見ておられますか。
○谷垣国務大臣 今奥山委員おっしゃいましたように、我々がこれは北朝鮮の関与している拉致事件容疑だと考えているのは十件十五名なんですね。それ以外にも関与が否定できないものが、これは幾つということは申し上げていないんでありますが、北朝鮮関与なしと否定できないものがやはりございます。
これは今いろいろなところで事情を聞いたり洗い直しをしていただいておりまして、私どもとして、ある程度これは蓋然性があるということになりますれば、当然のことながら、外交ルートあるいは赤十字、いろいろなものがあると思いますが、さらに解明を北朝鮮側にも迫っていくということであろうかと思っております。
何件ぐらいあるということについては、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○奥山委員 まだほかにも警察庁にお尋ねしたいことがたくさんあるんですけれども、時間がありませんので、中国の遺棄化学兵器についてお尋ねをいたします。
中国は早い時期から日本側にたびたび遺棄化学兵器を早く処置してもらいたいという要求をしてきたわけでありまして、そして、一九九〇年代の初めごろから本格的に交渉をして、九七年に日本が化学兵器禁止条約に批准をいたしまして、十年間でその兵器をすべて処理する、製造もやめるということを世界に言ってきたわけであります。
そして、遺棄化学兵器のほとんどは全部、日中戦争のころの中国の本土内に残されているわけでありますから、これについて日中覚書が一九九九年に交わされまして、その後、北安市それから孫呉県に行かれて化学兵器の発掘をされて、今、一時保管をされているわけであります。そして、その兵器のほとんどが中国の延辺朝鮮族自治区のハルバ嶺というところに今埋設されて、日本側の調査で約六十七万発埋められているということであります。この兵器を処理するということで、日中覚書に基づいて、来年の三月までに両国で話し合いをして、処理プラントの方法、それからインフラを含めた資金計画をこれからまとめるということになっておるわけであります。
このハルバ嶺地区というところは、敦化市とか延吉市とか、こういう周辺の町の水道の水源地になっております。しかも、もし遺棄化学兵器が腐食してガスが漏れる、毒液が漏れるということになると一帯が汚染をされるということで、非常に中国政府は心配をして早く処理をしてもらいたいということで、今話し合いを進めてきて、いよいよ本格的に来年度からプラントの計画に入っていかなければならないわけでありますが、一九九七年に条約を結んで、十年間で一応中国側と処理をするという話し合いをしてきたわけであります。
それでまいりますともう余り年月がないわけでありますが、その点について、中国側に日本は誠実に約束を履行していかなければならないということであります。その進捗ぐあい、それから話し合いの経過、少しその点をお示しいただきたいと思うんです。
○岩谷政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生御説明のとおりの状況でございまして、中国側との話し合いを鋭意進めておるところでございます。
先生御説明のとおり、来年の三月末をターゲットにいたしまして主たるプラントの処理技術及び立地場所を決定するということで、今、実験等を鋭意行っておるところでございます。
また、環境基準の問題がございまして、これにつきましては、中国の環境基準を採用するということで、環境基準策定のあり方等についても中国側と協議を進めております。これにつきましても、本年度中、来年の三月末までに策定するということで進めておるところでございます。
今後でございますけれども、二〇〇七年、平成十九年までに化学兵器をすべて処理するという義務を負っておりまして、現在、着実に事業を推進しております。
こういったような大量の古い化学兵器を処理するという事業は、世界を見ましても前例のないことでありまして、いろいろ複雑な問題がございます。引き続き中国側の協力を得つつ、一日も早く処理をするということで、鋭意努力を行ってまいりたいと思っております。
○奥山委員 これは日中間の過去の歴史の負の遺産と言えるわけでありまして、靖国問題もあるし、そして教科書問題も中国には責められておりますけれども、やはりこれは、中国側に対してただ謝罪するということではなくして、ことしは日中友好三十周年の年でありますから、日中友好の共同事業として、これから両国でお互いに協力してこの化学兵器を処置していこうということになって、中国側もその点は十分理解をしてくれておると私は思います。
だから、そういう意味で、ことしは日中友好三十周年の年になりますから、なおさら共同の事業というものをより速やかに進めていく必要があるのではないかと思います。この事業が今のところでは、進めていくのにもう時間がないわけでありますけれども、誠実に我々はできる限り約束を履行していくということが日中友好の非常に大きなポイントになってくるんじゃないかと思いますので、ひとつその点は十分に進めてまいりたいと思います。私もまた現地へ寄せてもらいましたので、現地の状況というものは十分承知をしておりますから、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
それから最後に、男女共同参画についてお尋ねを申し上げたいと思います。
まだまだ男女共同参画というものは、日本人の意識というものはおくれている面が多々あるんじゃないかと思います。
いまだやはり農村へ行きますと、お嫁さんはやるものや、お嫁さんはもらうもんやというようなことをよくおっしゃるわけであります。大体、日本は男の子が生まれると親戚じゅうが寄ってたかってお祝いをしますが、女の子が生まれたときは内輪でそっとやるというようなところもなきにしもあらずであります。また、日本はまだまだ私生子とかそういうものには非常に冷たい目がありますし、ましてシングルマザーなんかは、やはり特に冷たい目で世間から見られがちであります。こういったもろもろの問題を含めて、やはり男女共同参画というものは進めていかなければならないと私も思っております。
ところが、これは厚生労働省ですか、文部科学省ですかな、「ラブ&ボディ」というパンフが出されまして、中学生の性教育というパンフになっておるんですが、これが何かピルの勧めのような文面があったり、それからジェンダーフリーというものの何か履き違えと違うかというようなパンフも政府の出先の公的な機関から出ておったりしているわけでありますが、この辺は、よほど男女共同参画の本当のねらいというものが何かということを私はきちっとやはり知ってもらわなければならないんじゃないかと思います。
私は、基本的には、男の子は男らしく、女の子はやはり女らしく育てるというのは、いつの時代でも変わりはないんじゃないかと思います。こういった点で、ひとつ御見解をお尋ねしたいと思います。
○坂東政府参考人 今御指摘ございましたように、男女共同参画というのは、二十一世紀の最重要課題ということで、国も一生懸命やっているわけですけれども、地方がどういうふうに取り組んでいただけるかということは大変重要で、条例づくり等を通じて、その意識、人々の意識が、理解が深まるようにいろいろ努力をしていただいているところでございます。
最後に御指摘ございました男女共同参画関係の関係省庁の外郭団体から出されております資料等についてでございますが、学校教育における性教育の充実、あるいは男女平等を推進する教育、学習などについては、基本法あるいは男女共同参画基本計画の趣旨を踏まえて、関係各府省の判断と責任において行われるということになっております。ちなみに、基本計画では、性の問題につきましては、児童生徒の発達段階に応じ、生命尊重、人間尊重、男女平等の精神に基づき、みずから考え判断する意思決定の能力を身につける教育をするというふうに言っております。
今後とも、男女共同参画社会の形成の促進に係る施策が適切に行われるよう、男女共同参画会議あるいは男女共同参画推進本部などにおいて、関係省庁と十分そういった意思の疎通を図るということに努めてまいりたいと思っております。
○奥山委員 ありがとうございました。
最後ですけれども、今、地方の市町村、自治体で男女共同参画の基本法もまだ制定されておらない地方がまだかなりあるようであります。なかなか地方の足並みが十分そろわない面もありますので、ひとつその辺はこれからも十分指導をしてもらいたいと思います。
それから、我々も、離婚した場合は、男性の世間が見る評価よりもやはり女性の方に冷たい目が行きがちであります。これが今の社会の姿でないかと思いますので、やはりその辺に意識の問題がまだまだ残っているんじゃないかと思います。ひとつその点も十分考えながら一応男女共同参画というものを進めてもらいたい、それをお願いさせていただいて、終わらせていただきます。
○佐々木委員長 以上で奥山茂彦君の質疑は終了いたしました。
次に、石毛えい子さん。
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。
本日は、個人情報保護法案の関連で、一問といいますか一つのテーマで、それから、後で官房長官がお見えくださいますので、少子化をめぐりまして質問をしたいと思います。
最初に、個人情報保護法案に関連してでございますけれども、先ほどの山内議員の質問、それから報道等々によりますと、この個人情報保護法案は与党三党で修正法案を出されるというような報道もあり、先ほどの細田大臣の御答弁ですと、それは、大臣の関知するところというよりは、与党三党あるいは立法府での意向がいかがなものかというような御答弁だったと思います。
この法案、現在の個人情報保護法案、これからどういう帰趨をたどるのかわかりませんので、ぜひ、問題点の一つとして、これまでは報道の自由、表現の自由というところが大変にクローズアップされてまいりましたけれども、私が考えておりますところ、そもそもこの個人情報保護法案が対象とする個人情報というのはどういうことであるのかということ、それはまだ、前国会でもそれほど質疑に上ったというふうにも記憶をしておりませんし、それから、今後この個人情報保護法案がどのような中身になっていくかということを勘案したときにも、この個人情報ということをどのようにとらえるかということは非常に重要だというふうに考えておりますので、この個人情報をめぐりまして、条文に即して何点か確認的にお尋ねをしておきたいと思います。
まず第一ですけれども、個人情報保護法案の目的は、第一条に、「個人情報の適正な取扱いに関し、」「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護すること」というふうになっているわけですけれども、その個人情報の定義に関しましては、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」というふうにございます。
この「その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」というこの点は、この法案ではどのような内容を意味しているのかということ、その点をまずお尋ねします。
○細田国務大臣 本法案におきます個人情報は、その中に含まれる情報によりまして特定の個人を識別することができる情報を指すものでございます。そして、お尋ねの記述等により個人を識別することができるものとは、氏名、生年月日以外の記述や、個人別に付された番号、記号、その他の符号等をいうものでございます。なお、映像、音声などであっても、それにより個人の識別に至る場合はこれに含まれると考えるわけでございます。
例えば、個人別に付された番号、記号、その他の符号というと、すぐ思い浮かぶのは、電話番号とか口座番号とかクレジット番号とか保険証番号とか、いろいろなものが個人に冠されておりますので、そういったたぐいのものが含まれるというふうに御理解いただきたいと思います。
○石毛委員 それでは、今の御答弁の中に、映像とか音声というようなことも指摘をされていたと思いますけれども、それを具体的にもう少しお示しいただくことは可能でしょうか。
○細田国務大臣 必ずしもこれは明確にどういう場合というわけではございませんが、例えば個人の写真等を集めた情報、それをまたコンピューターに入れたような情報というのも一応考えられますし、音声の解析等もこれからだんだん進んできたり、そのことがセキュリティーの関係でまたデータになったりする可能性もございますので、幅広く考えられるということを申し上げたような次第でございます。
○石毛委員 それでは、この法案の第十一条三項でございますけれども、この三項で、「個人情報の性質及び利用方法にかんがみ、個人の権利利益の一層の保護を図るため特にその適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報について、保護のための格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置その他の措置を講ずる」というふうにございます。
第二条の個人情報の定義に加えましてと申しますか、別建てで第十一条第三項の規定があるわけですけれども、ここに言いますところの「個人情報の性質及び利用方法にかんがみ、」「特にその適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報について、」というのはどのような内容を指すのか。また、先ほど大臣が御指摘くださいました第二条の方の個人情報の定義とどのような関係に立つのか。それから、「保護のための格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置」というのはどういうことを意味しているのか、「その他の措置」というのは何なのか、この点について御答弁をお願いします。
○細田国務大臣 本法案は、個人情報が取り扱われる分野のいかんを問わず、個人情報取扱事業者が個人情報を取り扱う際の必要最小限度の規律を定めることにより、個人の権利利益が侵害されることを未然に防止するものでありまして、情報の性質による区別をしていないわけでございます。
したがって、個人情報の性質及び利用方法にかんがみまして、本法案を踏まえまして、さらに保護のための格別の措置を講ずる必要がある分野につきまして、この十一条三項に基づき個別の措置を講じるとしているわけでございます。各所管省庁において、本項の趣旨を受けて、それぞれの所管する個別分野における個人情報の取り扱いの実態を踏まえつつ、本法案の規律に加えてどのような措置が必要かについて幅広く検討が進められるものと承知しております。
例えば、金融分野ですとか電気通信分野というようなところは、こういったことの対象として考えられる分野でございます。
○石毛委員 もう少し具体的に、例えば金融分野、電気通信というふうに言われましたけれども、例えば、厚生労働省が関係するところの医療や健康に関する情報ですとか、あるいは文部科学省もいろいろな意味で情報を持っていると思いますし、さまざまな場面で大臣が御指摘になられました情報を保有していると思います。先ほどの二条の定義の方の御答弁では、番号、記号、符号というように、非常に抽象化をされておっしゃられたと思います。この十一条の方は事案は非常に具体的になってくるのだと思いますけれども、そのあたりをもう少しきちっと御答弁をいただきたいということ。
それから、それぞれの所管省庁というふうにお答えになられましたけれども、どこの省庁を意味しておられるのかというようなこともあるでしょうし、それから、何よりも伺いたいと思いますのは、保護のための格別な措置が講じられるような必要な法制上の措置ということについて、どれぐらい具体的に進行しているのか、あるいは進行させようとしているのか。
既に大臣御承知のように、この第十一条一項、二項は「国の行政機関」「独立行政法人及び特殊法人」ということでございまして、これも前国会で、例えば国の行政機関について違反をした者の罰則規定がないということで大きな論議を呼んだというような問題点がございまして、一項、二項に関しましては既に、問題点があるとはいいながら、政府からの法案は明らかにされている。三項につきましては具体像が何にも見えてきていないという中で、この第二条の個人情報の定義と第十一条三項の個人情報の定義が具体的な中身として違ってくるわけだと思いますので、大変重要なポイントだというふうに私は認識しておりますけれども、もう少しお答えを敷衍していただければと思います。
○細田国務大臣 これは、いわば今後の必要性が生じた分野について幅広く方針を示しておるという意味がございまして、例えば、わかりやすいことを一つ申しますと、保健師助産師看護師法というのがありますね。昨年までは、実はこの方々の秘密保持義務と罰則というのが規定されていませんでした。しかし、やはり保健師さん、それから助産師さん、看護師さんもいろいろな個人の情報に接することはできるし、また、病院等は非常に大きなコンピューターで処理をするというようなことから非常に大量の情報にも接することができることから、法律改正を行いまして秘密保持義務を法改正していただき、また、違反については六カ月以下の懲役または十万円以下の罰金に処するというような規定を設けたわけでございますね。医師法その他はまたその前からあるわけでございますが。
新たに今後さまざまな分野で、こういった情報サービス網、ネットワークが整備されるに従って、これまで余り予想されなかった分野もこの必要性が生ずる分野があります。そういった分野は、例えば先ほどの例では、厚生労働省がこれは必要だということで法改正に至ったように、例えば今後、いわゆる個人信用、金融ですとか個人の金融資産とか、この辺はまだ法律的な保護がありませんけれども、これがどうしても必要になってきたなということになればこれはまた手当てをしていただきたいと思いますし、IT時代の中で新たなこれからのサービス業というものがどんどんふえてくる可能性もあります。したがって、そういったものに幅広く適応し得るような規定を置いたということでございますので、この趣旨を御理解いただきたいと思います。
それからもう一つは、「法制上の措置その他の措置」と言っておりますが、法律に限りませず、政省令の制定、あるいは「その他の措置」というのは、ガイドラインの策定等々、案件により性質が異なると思いますので、必要な措置を各担当の所管の官庁に考えていただきたいと思っておるわけでございます。
○石毛委員 少子化に関する質問の時間もぜひと思いますので、余り細かい点に踏み込んでいくことができないのですけれども、きょう私が質問をカットするかもしれませんけれどもと申し上げながら通告をしました部分で、例えば第二条三項五号というところで、「その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ない」という、この御答弁をいただくというのではなくて、私の方からの主張になりますけれども、例えば保健師さんがいたり、それから保育士さんがいたりということで、非常に規模の小さい民間の保育園、例えばでございますけれども、そこである子供さんに何らかの障害がおありになったり、あるいは例えば病気をお持ちになっていらっしゃったりというようなことがあるという事実も想定をされるわけですし、さまざまな事実が想定されて、確かに守秘義務はかかっているかもしれないけれども、しかしながら、この法案も行政機関が保有する法案も、児童福祉上必要であればとか、そうした規定でいわば除外規定というか例外規定があるということになりますと、非常にセンシティブな個人の特定にかかわる情報が必ずこの個人情報保護法案の中で守られるという仕組みにはなっていない。
それで、大臣が御答弁になりましたように、各省庁がどのように対応していくかというのはこれからのことであって、場合によってはそれは政省令にとどまるということもあり得るという御答弁ですと、とても個人の情報を、特に私が申し上げたいのは、センシティブな情報を本当にこの法律で守れるということにはならないということを申し上げたいと思うわけです。
少なくとも、先ほど指摘をしました十一条の三項に関して、政府としての明確な方向性をお示しいただくことが第一に必要だと思います。
それから、この個人情報保護法案、政府は盛んに、この法案を提出するに際しましてOECD八原則やらEU指令やらを持ち出されるわけですけれども、その中にはセンシティブ情報の収集禁止が含まれているわけでございます。それは、日本の政府が出しているこの個人情報の保護に関する法律案の中には含まれていないという、そこのところの確認をぜひとも大臣にお願いをしたいと思いますし、修正の方向、いろいろな修正点、あるいは抜本的に改正すべきということになるかと思いますけれども、その一つとして、センシティブ情報の収集禁止というのは法案の中に明確に位置づけるべきだということを私としては申し上げまして、時間の関係で大臣からの御答弁をいただかなくて大変恐縮でございますけれども、この件に関しましては終わらせていただきます。
次でございますけれども、つい、九月二十日でございますね、厚生労働省から「少子化対策プラスワン 少子化対策の一層の充実に関する提案」というものが出されまして、私は、少子化対策というこの政策が、従来行われてきておりました少子化対策から比べると、もしかしたら質的な展開をする、そうした段階を迎えているのかというような感もいたしておりますので、この点に関しまして官房長官にもお尋ねさせていただきたいと思いますが、その前に、きょうは厚生労働省からおいでいただいておりますので、少子化対策プラスワンが発表されたことに関して、今なぜプラスワンなのか、それからプラスワンという対策のエッセンスは何なのかということを簡単に御説明いただきたいと思います。
○水田政府参考人 お答え申し上げます。
これまで、少子化の主な要因は、晩婚化、結婚年齢の上昇ということにあるとされておりましたけれども、本年一月の新人口推計におきましては、これに加えまして、新たに夫婦の出生力の低下という現象が見られたわけでございます。それによりまして少子化は今後一層進展すると予測をされているところでございます。
少子化対策につきましては、厚生労働省といたしまして、これまでも、子供を産みたい人が産み育てやすい環境づくりを基本的な考え方として、エンゼルプランの推進を初めとした施策を推進してきたところでございます。
今般まとめました少子化対策プラスワンにおきましては、少子化の一層の進行を踏まえまして、こうした従来の取り組みに加えまして、さらに、男性を含めた働き方の見直し、地域における子育て支援、社会保障における次世代支援、子供の社会性の向上や自立の促進、こういった四つの柱に沿ったもう一段の取り組みを進めるという観点から取りまとめたものでございます。
○石毛委員 時間がないのでちょっと迷ってしまうのですけれども、もう一度、水田局長にお答えいただけたらありがたいと思います。
少子化の一層の進行ということと、それから、その事態を、晩婚化ということだけではなくて、夫婦の出生力そのものの低下という新しい事態をとらえている。これがプラスワンという対策をとる一番大きな実態といいますか、とらえている事態だというふうに思いますけれども、少子化の一層の進行、それから夫婦の出生力そのものの低下という、このこと自体の重大性の認識といいましょうか、そのあたりはいかがなんでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
ただいまの御質問、なかなか答えにくいのでございますけれども、今回の新人口推計で、さらに将来の合計特殊出生率は下がったわけでありますけれども、その要因として夫婦出生力の低下という現象が見られたということでございまして、これに直接こたえるというよりは、全般的にまず晩婚化、晩産化という事態があり、かつ、その上に今度、夫婦の出生力の低下という現象が加わったわけでございますので、こういった少子化の流れを変えるために総合的な対策を打ち出さなければならないということで、今回、少子化対策プラスワンという対策を打ち出したわけでございます。
したがいまして、夫婦出生力の低下そのものをどうこうするというよりは、少子化の傾向はいろいろな積み重ねがございますので、総合的な対策を打たなければならないという認識が一層強まったということで、プラスワンステップということで、もう一段の施策を進めるということで取りまとめたものでございます。
○石毛委員 晩婚化とか夫婦の出生力そのものの低下ということをどのように認識するかということは非常に重要な問題で、論議を本当に深めていく必要があることだというふうに思いますが、もう時間もありませんので、またの機会ということにいたしまして、きょう官房長官、お忙しいところをお戻りいただきまして恐れ入ります。
私は、概念に流れるというふうに言われると私としては本意ではないんですけれども、少子化対策と少子化社会ということがどれだけ、どのように整理をされて政策化されているのかがよく私には理解しかねる、し切れぬというような気持ちがございます。
それで、実は、大臣も御存じかとも思いますが、この「人口減少社会の設計」という本が、ごく最近の本でございますけれども出されていて、少子化社会そのものをどのようにとらえるかということは必ずしも少子化対策をとらなければならないということとイコールではないという。
日本は、少子化社会に対する政府としての評価といいますか、そのことをどのようにしてきているのかということを、いろいろな文章があるのかもしれませんけれども、私はきちっと認識をしてはおりませんので、大臣は所信表明演説では次代を担う青少年の育成に係る骨太のビジョンづくりということで出されていらっしゃるわけですので、少し理屈っぽくなりますけれども、少子化対策というのは、単純化して言ってしまいますけれども、少子化社会が進行して労働力が減少になるから少子化対策が必要になるのだというイコールフッティングで結びつけていく考え方もあると思います。
それから、少子化それ自体は、いろいろな意味で子供の活力とか子供の人間関係の豊かさとか子供の育ちに対して影響がある。まさに大臣が御担当になっていらっしゃる青少年の育成に係る骨太のビジョンの中身にも関係するかと思いますけれども、少子化自体が問題というよりも、少子化状況での子供をいかに元気に自分自身を実現していくように育てるのかというとらえ方もあると思いますし、少子化対策はとらないで、ある程度現状を前提としながら、高齢者の方にもっと元気に働いてもらうとか、障害のある方がもっと働けるような社会、女性がもっと働けるような社会ということで、少子化が労働力人口にイコールではないという対応の仕方もあろうかと思います。
それから、産みたいのに産めない、産みたい、育てたいのに産めないとか、少子化社会をどうこうするというよりは、少子化という事態を強いられている女性やそのお相手の男性、カップルの立場を大事にして少子化対策をとるという、微妙に違うというふうに私は思うんで、そこのあたりをどれだけ整理するかが実は少子化対策にどれだけの力量を込めていくかということの政策の重さといいますか、政策意思のかたさを決めていくときの重要な判断ベースになるのではないかという思いがしております。
非常に抽象的ですけれども、大臣は男女共同参画の御担当として子育てと仕事の両立支援策を御担当でもいらっしゃいますので、その少子化に対する御認識をぜひ伺わせていただきたいというふうに思いましたんですが。
○福田国務大臣 なかなか難しいテーマを突きつけられまして、この一、二分で回答せいといってもなかなかできないテーマだと思います。
少子化ということは、いろいろな意味があると思うんですよ。非常に幅が広い、そしてまた将来にわたる問題でございますので、それも、ここ五年、十年とかいうふうな話でもない場合もあり得るということでありますので、議論がばっと広がってしまう可能性がある。
しかし、今現在少子化ということで社会的に騒がれていることは、今はさすがにそういうことを言わなくなったかもしれぬけれども、そうですね、今でも言っているかもしれませんけれども、日本の人口がどんどん減っていく、何百年後にはゼロになっちゃうみたいな極端な意見もありまして、そうなったら大変だというような、そういう視点もあるかもしれません。そういう将来の人口という問題があるかもしれません。
しかし、今お示しなされたその新書版の本でございますけれども、その中に書かれているのは、多少減っても、それは一人一人の生活が充実する、そして国家としてもやはり他国に比べて範たるような国家になれるというような視点のものもあるわけで、いろいろな見方があります。そこら辺は程度の問題だと思うんですね。
それから、多少の少子化現象が起こっても、それに耐えられるような、また対外的にも十分な競争力のあるような、そういう国家であり続けることができるかどうかといったような問題もあります。片や、隣には人口がもうどんどんふえていくという国もあるわけでございますから、その対比というような問題ももしかしたらあるかもしれぬということであります。
しかし、今言われております少子化対策というのは、当面、晩婚化、晩産化ということを言われましたけれども、そういうものに対してどういうふうに考えるかということであろうかと思います。その晩婚化、晩産化が、今の社会的ないろいろな制約のもとで、また若い人たちが将来に対して不安を持つといったようなことからそういうような現象が起こっているというのであれば、それは正していかなければいけない課題であるというように考えておりますので、私は、今の少子化対策というのは、どちらかといえばそっちの方に重点を置いていろいろな対応を考えていくということではないかと思います。そのことによって若い人たちが健全なる家庭をつくり、そして健全な生活を送っていけるということを目指していけるような、それも希望を持ってそういうことを実行できるような、そういう社会をつくるということが大事なので、そのための対策を考えていくべきであろうかと思っております。
○石毛委員 質疑時間が終わりましたので、一言だけ申し上げさせていただきたいと思いますが、少子化対策プラスワンはことし末に向けてもっと具体化していくというふうに伺いました。私は、この書かれている政策のかなりの部分には賛意を表しますけれども、これが啓蒙奨励策ではなくて、例えば男性の育児休業取得率、今〇・五%の実態が一〇%になるまで何年間で実現するのかという目標年次を示すこととか、もう少し社会的にみんながこのことに合意形成をしていくその枠組みをきちっと出していかないと、それは社会にとっては大変きつい場面もあるかと思いますけれども、それをどれだけ強力に出していくかどうかというのは、実は少子化ということをどのように認識するかということとかなり相関があるというふうに私は考えておりますので、前段少しくどいようなことを申し上げたわけです。
時間が終わりましたので、また質疑の機会をいただければと思います。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で石毛えい子さんの質問は終わりました。
午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時七分休憩
――――◇―――――
午後零時三十一分開議
○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。横路孝弘君。
○横路委員 私は、初めに石井紘基代議士に対する事件について質問したいと思います。
石井代議士は、さきの通常国会でも、この内閣委員会でも、道路公団の問題について大変熱心に質問されていました。彼は、国民の納めた税金がいかに正しく使われているかということをテーマにして、防衛庁の見積もりの水増し問題であるとか、特殊法人、あるいは農業基盤整備事業とか鈴木宗男代議士への政治献金問題とか、幅広く努力されてきたんですが、本人も本当に無念だろうと思って、我々も全く言葉もありません。御冥福を心からお祈りしたいと思います。
今回の事件で、先ほど山内代議士からも話がありましたが、幾つかちょっとお伺いしたいことがあるので、申し上げたいと思います。
二十五日の午前十時半ぐらいですよね、事件が起きたのが。すぐ捜査本部をつくられたと思うんですけれども、どんな体制で、どこに、いつつくられたのかということを、担当の方でも結構でございますので、お答えいただきたいと思います。
○奥村政府参考人 お答えいたします。
事件は、十月二十五日の午前十時三十五分ぐらいに発生をしております。特別捜査本部、これを十月二十五日の午後、十三時〇〇分、八十名の体制で北沢署につくっております。
○横路委員 それは、八十名はどういうところから参加したんでしょうか。私の承知しているところでは、普通、殺人事件ですから捜査一課ですよね。しかし、捜査一課のほかに、公安三課からも最初からこの特別捜査本部に参加しているというように承知していますけれども、そうですか。内容はどういう参加になっていますか。
○奥村政府参考人 これは、殺人事件ということで捜査一課が主体でございますが、あるいは右翼の関係があるかもしれないということで、公安三課からも捜査本部に入っておるところでございます。
○横路委員 普通の殺人事件の捜査本部体制というと、まあやはり捜査一課が中心ですから、公安三課が最初から入るというのは異例のことだというように思います。
つまり、事件が起きて、起きた瞬間に、ああ、あいつだなというぐあいに公安三課の中でわかったんじゃないんですか。公安三課が参加したのは、どういう経過があって最初からこの特別捜査本部に公安三課から参加したのか。
○奥村政府参考人 これは、右翼が犯人だというような情報だとかいうものがあったわけではございません。過去、国会議員の方々が、こういうテロといいますか、殺人あるいはその他の犯罪の被害に遭われるという場合に、右翼の場合もあるわけでありますので、そういう可能性もあるのではないかということで入ったわけでございます。
○横路委員 そこはちょっと納得のできないところなんですね。
この人は、逮捕歴も結構、七、八回ある男で、しかもほとんど暴行傷害ですよね。それから、刃物を持って入ったということで、銃刀法でも有罪判決を受けたこともあるんじゃないんでしょうか。右翼団体にも所属をしていたことがあるということで、多分、事件が起きた直後に、バンダナを巻いた四十から五十ぐらいの男という目撃情報というのは三十分後か一時間後ぐらいには警察に入っていたと思うんですね。その瞬間に彼だというように公安三課の中で考えた人間がいたんだろうというように私は思うんですね。
一般的に、国会議員だから右翼という構造ではなくて、この目撃証言とつながって、そういう判断を公安三課でやられたんじゃないんですか。
○奥村政府参考人 ただいまも申し上げましたとおり、初めから右翼だということで公安三課員が入ったわけではございませんし、また、そういう判断をしておったわけではございません。
○横路委員 こういう経歴のある男で、しかも右翼団体とも関連があるということになると、警察の方は、一応、こういう人の担当者というか、時々声をかけて、どうしているのかということを確認するような仕事というのはしているわけです。
例えば、総理大臣がある町に視察に来るというと、やはり、いろいろと問題のある人について、警察は、今どうしているかなというようなことを確認して、例えば、いないというと、慌てて少しどこにいるのかと捜したりなんかするというような、そういう警備の態勢をとっているんですね、普通。私も北海道で行政の仕事をしていましたから、天皇陛下が来られるとか総理大臣が来られるとかいうときには、いろいろなそういう態勢、警備としてしっかりやっているわけです。
ですから、この男についても、そういう態勢をとっておったんでしょう。それは、しょっちゅう会うとかなんとかということじゃなくて、どうしているのかなということを時々確認するような行動というのは公安三課でやっていたんじゃないんですか。
○奥村政府参考人 この被疑者は、守皇塾といういわゆる一人一党の政治団体を主宰しておりまして、昭和六十三年ごろまで右翼的な活動を行っておりまして、その過程で事件も起こしておるわけでありますけれども、その後十数年間、目立った右翼的な活動は私どもで把握していないところであります。
警視庁におきましては、この被疑者につきまして、右翼であるということで所要の対応はしておりましたけれども、今申し上げましたような活動が、目立った活動がここしばらくずっとないということで、それなりの対応をしておったということでございます。
○横路委員 警視庁に自首してきたときに、公安三課に連絡をとってほしいということを本人が申し出たという新聞の報道がありますが、事実ですか。
○奥村政府参考人 本人、出頭してまいりまして、公安三課の人間と話をしたいと言ったというふうに聞いております。
○横路委員 それは、やはりつき合いがあったからでしょう、だれか、公安三課の人間が、この男と。
この男が、一人一組織ばかりじゃなくて、もっと大きい組織とのかかわり合いも、何かそこで運転手をしていたとかなんとかということでかかわりのある別の組織もあるようでして、ですから、普通の人間が、そんな、公安三課になんていうのは、だれもわかりませんよ、公安三課が何かなんというのは。それは、前からそういうコンタクトがあって、犯人と言われているこの伊藤の方も、したがって公安三課にと言っていったわけでしょう。ですから、だれか公安三課で、この一、二カ月、この犯人と接触した人間がいるんじゃないんですか。それは調べられましたか。
○奥村政府参考人 本人が公安三課ということで出てきたわけでございますけれども、これは本人が、先ほど申し上げましたように、昭和六十三年ぐらいまでいろいろ活動しておりましたので、その時点までは公安三課の人間とコンタクトがあったというふうに思っております。今回参りましたのも、そういうときのことがあって来たのではないかというふうに思っております。
ここ一、二カ月の間に公安三課員が彼と接触しておったかどうかということにつきましては、これは私どもの情報収集の中身の話でございますので、差し控えさせていただきたいと思います。
○横路委員 いや、それは差し控えさせてもらいたいと言われてもですね。
実は、新聞の報道に、この犯人が、もとそういう意味でコンタクトがあった公安関係の警察官に対して電話して、おれはこういうことをやるよという話をした、それで、会って、そんなことやるなと説得した、そうしたら落ちついていたので、それで安心して戻ったというような趣旨の報道があるんですね。
それは、だれか会った人がいるんでしょう。それは答えられないなどというと、いや、本当はそうならば、私は石井さんの事務所の方に確認したけれども、こういう動きがあるから注意しなさいよと一言言われていれば、それは対応が違ったと思いますよ。
私は、そんな意味で、経緯、経過の中で、特別捜査本部にすぐ公安三課から十名も入っているということ、それから、それまでのいろいろな経過、出頭するとき公安三課と言ったことなどを考えますと、その辺のところはお答えできないということではなくて、ちょっとよく調べて、こういうことを二度と起こさないために、そういう情報があったらその情報の処理をどうするかということは、警察として非常に大事なことだと思うんです。
そこを、特別捜査本部ができて公安三課が入った経緯、経過、それからこの男についての従来の公安サイドの視認といいますか、そういう対象者として、どんな活動をやっておられたのか、この一、二カ月、だれか会って話を聞いた男がいるのかいないのかというようなことを、ちょっと大臣の方の責任で調べていただきたい。そういうことでないと、我々、こんな新聞報道を見て、警察はどうも知っていた人間がいるらしい、いるのなら、ちょっと注意してくれればこんなこと起きなかったんじゃないかとだれでも思いますので、ちょっとそこのところを大臣に。
○谷垣国務大臣 午前中も申し上げましたが、やはり、私どもの同僚であられて、我々自身も言論で仕事をしているものでありますから、こういう形で事件が起こる、警察としても徹底的に背景は調べて、今後二度とこういうことが起こらないように取り組まなければいけないと思っておりますので、今後、捜査の過程でしっかりその辺はやるように、私からも督励をいたしたいと思います。
○横路委員 では、その調べをちょっと待ちたいというように思います。警察の方、もう結構でございます。
では、竹中大臣にお尋ねしますが、いよいよきょう、最終的に総合的なデフレ対策を含めて決めるということでございます。大臣もいらいらしているようですが、我々国会の方もいらいらしているのは、何をどうしようとしているのか、特に金融システムの安定化ということで、例えば資産査定の厳格化とか自己資本の充実とか、項目は挙がっていますけれども、どうもその内容について余りお話しされないで、今はただひたすら皆さんの意見を聞いているところだけですといって答弁されているところに、実はみんなのいらいらの原因があるわけですね。
例のアクションプログラムということで、大臣の名前の文書についても、いや、これは知りませんとかいうような話になっていますので、この文書そのものについてはお伺いしませんけれども、いずれにしても、今の銀行の状況、金融システムを考えますと、やはりこれをしっかり健全化、安定化するということが非常に大事だと思うんです。
大臣の認識をお伺いしたいんですけれども、今までのところ、金融庁は、いや、各銀行の自己資本比率は十分ですよ、今公的資金を入れる必要はありませんよ、こういうお話を柳澤さんのときはずっとされてきたわけですね。それで通されてきた。しかし、竹中さんは、いや、やはり巨額の不良債権というのは潜り込んでいるのではないかという心配、あるいは自己資本の質もどうも余りよくないんじゃないかという思い、そういうことがベースとしてあるんだと思うんですね。
きのう、日銀の総裁も、衆議院の財務金融委員会で、大手銀行の中核資本の中で繰り延べ税資産と公的資金の比率が高い、それはやはり内容が正常ではないというようなお話をされておったわけでございますけれども、竹中さんの認識もやはり同じような、つまり、資産査定の厳格化と自己資本の充実ということを特に挙げておられるわけでしょう。
つまり、それは、やはり今までの資産査定が余り厳格じゃなかったな、いろいろ問題があるな、自己資本も一応は八%を超えていることになっているけれども、やはりその質については問題が多いなということがベースにあって、今回の金融システムの安定化というかなり思い切った対応、対策をされようというように御決意をされたんではないかと思うんですが、その点はいかがでございますか。
○竹中国務大臣 これまでも、前金融担当大臣それと金融庁は、不良債権問題の克服に向けてさまざまな努力を行ってきたわけでございます。その意味では、特に過去の一年ないし一年半、世界的な経済が収縮する中で、いわゆる危機を起こさせないというような形での行政、そのための努力は、私はやはりそれなりに評価されるべきだというふうに思っております。
しかしながら、今、構造改革をさらに進めていく上で、より強固な金融システムをつくっていかなければいけないというふうな段階に差しかかっていると思います。
その点で見ますと、不良債権処理、これは銀行もルールの中で当然一生懸命やってきたはずではありますけれども、資産の査定等々について、どうも銀行当局の認識とマーケットから寄せられる声とはギャップがあるのではないだろうか、この点はやはり素直に着目をしなければいけないのだと思っております。
自己資本の質についても、日銀総裁の言葉を引用されましたけれども、これはさまざまな議論がある。しかし、そもそも税制等々も違うというような中で、この問題をどのように落としどころを見つけていったらよいのか。
いずれにしても、より強固な金融システムをつくる、もって十六年度には不良債権問題を終結させろというのが総理からの指示でございますので、今申し上げましたような認識に基づいてシステムを、これは、こことここを変えればうまくいくというようなものではなくて、やはりトータルなシステムを、お互いがかかわり合いを持っておりますから、議論しなければいけないと思っております。そういうことを今最終的に詰めている段階であるということでございます。
○横路委員 大臣自身のお考えをお伺いしたいわけです。例えば自己資本の質が悪いというような意見についてはどうですか。そのように思いますか。いや、大丈夫だ、問題はないということですか。
○竹中国務大臣 金融担当大臣に就任してからいろいろな御指摘もいただきましたけれども、金融の規制監督当局というのは、やはり、自分自身の考えを申し上げて、それで後から制度を決めるというようなものであってはいけないというふうに思っております。さまざまな意見を聞きながら、こういう形でやるという当局としての行動を決めてから、どうしてそのような考え方を持つに至ったかということをお話しする。イングランド銀行の言葉で、行動すれども弁明せずという言葉があるというふうに教えてくれた先輩がおりますけれども、そういうような形で、今、とにかく、急いで新しい規制監督の方針を発表して、その上で粛々と行政を進めたいというふうに思っているところでございます。
○横路委員 例えば、具体的に、査定の厳格化ということのためにいろいろな議論があるわけです。例えば、銀行の自己査定と金融庁の検査との間にギャップがある、その格差はやはり公表して、銀行の経営者にもうちょっとちゃんと責任を自覚させた方がいいという問題もありますし、引き当てに関するディスカウント・キャッシュフロー方式、これは大臣も何か、きのうですか、前向きにお答えされたというように聞いていますが、そういう問題とか、あるいは、銀行間の債務者区分の統一、例えば、ある銀行は破綻懸念先にして引き当て率は七割なら七割、ところが、同じ企業に対して別の銀行は要管理先にして引き当てが二〇とか、ばらばらになっているのを統一して対応していこうとかですね。例えば、資産査定の厳格化ということのためだけでもこういう議論があるわけですが、これは具体的に一つ一つについてどうお考えですか。
○竹中国務大臣 資産査定をきっちりとやるという場合に、銀行の自己査定と金融庁の査定が違う場合には、これはやはり、もちろん話し合いをしながらではありますけれども、そのギャップは埋めてもらわなければいけない、資産査定の厳格化というのはやはりそういうところから出発するのだというふうに思います。
さらには、その査定をするに当たって、これは専門家が以前から、日本では十分には採用されていないけれども、やはり考えてみる必要がある方法があるのではないかという議論がなされていることは十分に承知をしております。DCFはそのうちの一つなんだろうと思います。
また、区分を統一するのが、これまた不良資産に対する資産査定を、これは銀行のというよりは、銀行システム全体として信頼性のあるものにするためにやる一つの方法ではないか。今申し上げたようなことは、これは以前から専門家の御指摘としては十分にあったというふうに承知をしております。
繰り返して言いますが、まだ今最終の調整の段階でありますので、私はこうするつもりだということはちょっと今、この時点で申し上げることを差し控えさせていただきたいのでありますが、そういったこれまでの専門家の意見を十分に俎上にのせて、その上でトータルとしてどのようにやっていくべきかということを議論しているつもりでございます。
○横路委員 今私が挙げた三つの点は、議論の対象にはなっているんですか。ともかく、今お答えできないということでずっと通されていますからね。それでみんなが、いや、そうじゃなくて、これについてと、個々の問題について中身に入って議論がなかなかできない状況にあるわけですよ。
そうじゃなくて、例えば今の自己査定と金融庁検査の格差の問題だって、それは話し合いは今までしてきたでしょう。話し合いはして、そこでの調整をやっちゃった。後でお話ししますが、長銀についての判決文を見ると、そういうことで、検査の方がむしろ誘導して自己査定の方に迎合したような話が出ていますけれども、そうじゃなくて、この問題は、調整するんじゃなくて、銀行の経営者に自覚を促すというには、こういう違いがありますよというのを公表しなきゃだめです。それはどうなんですか。
○竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、自己査定と金融庁査定のギャップをどのように埋めるかということは、これは資産査定を厳格化する上で大変重要な出発点であろうと思っております。
そのために、例えばそれを公表する方がよいのか、公表するとしたってどういう形でやればよいのか、これはやはり金融行政のまさに一つの具体的なイシューになるということだと思いますので、我々としては、そのギャップを埋めるためにどのような方法があるか、これは、先ほど言いました新しい方法を採用するということも含めて、そのギャップをどのように埋めるかということを今トータルで議論しているところでございます。
いずれにしましても、今委員御指摘のようなことも含めて包括的に議論をして、最終的に調整をしているところでございます。
○横路委員 金融システムの安定化というのは、別に銀行や銀行の頭取を守るための話じゃなくて、預金している人間やお金を借りて実際に活動している中小企業をどうやって守っていくのかという話なんですから、そこをひとつ軸に置いて御議論をいただければと思います。
一つ、長銀の事件、九月十日に判決がありました。これは有罪判決なわけですが、この中で非常に大きかった点は何かというと、やはり債権についての評価ですね。やはり問題の債権償却、引き当てというのは一期で一括して行うべきであって、複数の期にまたがった分割償却、引き当てはできないという点の指摘が一つございます。
つまり、これは債権の評価、第三類、第四類に本来当たるべきものを第二類にして、引き当て率は違いますから、そこで銀行の方の体力の範囲の中でやればいいんじゃないかということで、何かそのとき、大蔵の方の当時の検査官もアドバイスをして第二分類の方に引き上げたということで、本来五千八百四十六億円の回収不能債権があったにもかかわらず、二千七百十六億円しか引き当てをしなくて、三千百三十億円を回収可能債権にしていたという認定がベースになった有罪判決になっているわけです。特にその分類のところでいうと、銀行からいうと、それは経営を支援する支援先なんだから分類を格上げするのは当然なんだ、こういう意見に対して、それはやはり合理性がないですよという判決になっています。
これはもちろん、控訴されていますから、この判決が確定するかどうかわかりませんけれども、しかし、これから金融行政を進めていく上で、ここの償却、引き当てはやはり一括してしっかり行うべきであるというのは、これは原則なんだと思うんですね。
この判決についてどのように受けとめておられるのか。これはこれからのいろいろな検査のあり方にも影響を与える判決ではないかというように思いますけれども、大臣のお考えはいかがですか。
○竹中国務大臣 個別の、今の訴訟の問題につきましては、委員御自身、御指摘してくださいましたように、今控訴をされているということでもありますので、その判決へのコメントというのは差し控えさせていただきたいと思いますが、基本的な考え方としては、こういった意味での経営者の責任はやはり当然重いと思いますし、まずもって今我々がやろうとしているのは、銀行を守るためのものという位置づけだけしていなくて、預金者、投資家、そして貸付企業がしっかりとこの金融システムの恩恵を受けるようなものでなければいけないということなのだと強く思っております。
とりわけ、具体的に御指摘がありました、いわば委員の御指摘は、銀行の体力を見ながらの分割償却のようなことが行われているのではないだろうか。これはやはり断じてやってはならないことだと思います。これは、リアルタイムでその資産を正しく評価するというのがまさに資産査定の大原則でありまして、そこを揺るがせてはならないと思います。
今後の可能性云々ということで支援するというような判断そのものが、実はこの資産査定の中に入っていなければいけないわけで、そのために将来の収益をどう見るかというような手法も取り入れたらどうだという議論が専門家からはなされてきたのだと思っております。
繰り返しになりますが、リアルタイムで資産査定をきっちりと行っていく、それがこの不良債権問題解決に向けた極めて重要な第一歩であるというふうに思っております。
○横路委員 そうしますと、やはり要注意債権が問題になるわけですね。この中には、やはり限りなく不良債権に近い要管理債権も入っているわけでして、ここで引き当てが全然違ってくるということになってしまっているわけです。
日本の金融機関の今の問題は何かというと、やはり過少資本の問題だと思うんですね。ちゃんと引き当てをするだけのパワーがないといいますか、資本が過少になってしまう。本来は、過少になれば、公的資金を入れるなりなんなりして対応しなければいけないわけですけれども、したがって、どうしても資産査定が甘くなってしまって引き当てが十分に行われないということになり、あるいはそれが貸しはがしにもつながっていくということで、今の金融問題の基本というのは、やはりこの過少資本問題をしっかり解決するということがまず基本のベースじゃないですか。
○竹中国務大臣 もしも、御指摘のように本当に資本が過少であれば、それに合わせて資産を圧縮せざるを得ないような状況も生じ得ましょうから、健全な金融機関が十分な自己資本を持って運営しているというのは、これは一般論としては大変重要な状況であろうかと思っております。
私が金融担当大臣に就任してから申し上げてきたことは、資産査定と自己資本とガバナンスの話というのはまさしく三位一体になっているということなのだと思います。自己資本が少ないと収益率が低下して不良債権を十分に処理できないような構造ができている可能性は、可能性としては、またリスクとしては出てくるわけで、逆に、不良資産の査定が不十分であるから十分な収益力が上げられなくて自己資本が過少になってきたという可能性もあるわけでありますから、ここはやはり三位一体で同時解決をしていかなければいけない。
しかも、優良なところにもしお金が回っていないというのであれば、それはやはりガバナンスがおかしいということにもなるわけでありますから、そこは委員の御趣旨もそういうことであろうかと思いますが、お互いが、資産査定、ガバナンス、自己資本、それぞれやはりきっちりとトータルで見ていくことが重要なのであって、これだけ一つ解決すればあとは自動的についてくるというものでは決してないと思っております。
○横路委員 その厳格な査定の中に、特にこの要注意債権、その中の要管理債権、これの引き当て率を少し上げるというようなこともお考えですか。
○竹中国務大臣 これは具体的に議論を幅広く行いたいと思っておりますけれども、私は、個々の資産の査定を現実に合わせてしっかりとやっていくというオーソドックスなやり方がやはりベースにあるべきであるというふうに思っております。
○横路委員 十月十八日の日に、UFJホールディングスとあさひ銀行に対する行政処分ということで業務改善命令を出しましたよね。これはどういうことで出されたんですか。
○竹中国務大臣 御指摘のように、十月十八日に、UFJホールディングスとあさひ銀行に対して業務改善命令を発出しております。
御承知のように、これは業務改善計画に基づきまして中小企業に対する融資を確保しなければいけないわけでありますが、この二行について、その貸し出しの取り組み状況を報告徴求しまして精査しましたところ、UFJについては、中小企業向けに限定した貸し出し目標の設定を行っていなかったということ、あさひについては、十三年度下期において中小企業向け貸し出し目標の設定を行っていなかった、こうした目標達成に向けた実効性ある施策が十分に講じられたとは認めがたいというふうに判断した。つまり、みずから的確に履行しようとしていないと認められたというふうに判断したわけでございます。
金融庁としては、業務改善計画の提出とその着実な実施を命じたところでございます。
○横路委員 この健全化計画の中にそういう目標というのは入っていないんですか、中小企業に対してどうするかという。さんざん今まで国会でも議論されてきた。目標は明確に決まっているんじゃないの。
○竹中国務大臣 いや、これは、中小企業に対する貸出計画の目標を決めさせているわけであります。
○横路委員 それで、七月の金融庁でつくった経営健全化計画フォローアップを見ますと、UFJは、国内の貸し出しでも三兆五千三百九十八億減っていますよね。それから、中小企業に対しては二兆五千二百四十七億減っているわけですね。プラス五百億の健全化計画目標に対して減っている。これはもう貸しはがしを行っているということだと思うんですね、この数字を見ていますと、中小企業に対して、こんな、二兆五千二百四十七億も貸し出しが減っているわけですから、つまり、もう銀行としての機能を喪失していると言っていいんじゃないの。
○竹中国務大臣 目標がこれだけ大幅に達成できなかったというのは大変大きな問題であるというふうに認識をしております。
当然、その理由等々の徴求をしているわけでございますけれども、一つには、中小企業向けの貸し出しが、需要がうまく存在しなかったということ、それと、大企業グループの中の中小企業で、ポートフォリオの組みかえといいますか、債権債務関係の組みかえが行われた、そういう事情で十分でなかったという報告を受けております。
しかし、それにしましても、目標を十分に設定していなかった等々、やはり非常に大きな問題があると考えまして業務改善命令を出したという次第でございます。
○横路委員 そうはいっても、ふやしているところだってあるわけですね、実績。需要がない、需要がないというのは、それは銀行がいつも言いわけのように言うことなんですが。確かにデフレ経済で、経済もこういう状況ですから、需要はそんなに多いとは言えないけれども、しかし、需要はないわけじゃないので、これだけ大きな貸し出し減ということになれば、これは完全に資産圧縮を行ったということじゃないんですかね。ですから、自己資本比率が、たしかUFJは一一・何%だったと思いますが、自己資本比率だけではやはり銀行の評価はできないということだろうと思うんですね。
これでもう、本当に銀行としての一番大きな、つまり人間の体でいえば血液のように、お金というのは回っていかなきゃいけないわけですから、その回す役割を果たしていないというような銀行というのは、やはりこれは銀行として評価できるんですか。
○竹中国務大臣 メガバンクに限りませんけれども、やはり銀行が担っている社会的な役割、社会インフラとしての役割は極めて大きいものでありますから、であるからこそ、銀行の資産査定や自己資本やガバナンスを強化することによって健全な資金仲介機能が機能できるような状況に持っていく必要があるというふうに考えているわけでございます。
これは、やはりマクロ全体でとらえますと、なかなかベースマネーがふえてもマネーサプライがふえない、信用乗数が低下しているという、システム全体として見るとやはり厳しい事実がありますので、であるからこそ、先ほどから申し上げているような三つのポイントに対して適切に配慮し、かつ、その間、中小企業金融が滞らぬように、新たな参入の促進等々も含めて、総合的にやはり金融システム強化の施策を打つ必要があるというふうに思っております。
○横路委員 たしかここの頭取は銀行協会の責任者ですよね。これは、業務改善命令を出して、銀行の方は何と答えているんですか、この今の現状、状況について、例えばUFJとあさひの方は。
○竹中国務大臣 業務改善命令を発出した後の対応でございますけれども、具体的方策を織り込んだ業務改善計画を平成十四年十一月十五日までに提出させる、それを着実に実施する、それについては、改善計画提出後三カ月ごとにその実施状況を報告することを求めるということにしております。
○横路委員 今の、中小企業に対する銀行の方の、貸出金利を上げろとか、資産、土地が下がったからどうというような形の貸しはがしは、本当にひどいんですね。それで、こういう現実で、例えばホットラインをつくるとか、そういう銀行に対するもっとしっかりとした指導を行うとかいうようなことが議論されていますけれども、私は、やはりそういう体制をとることが必要だと思うんですよ。
この点については、今のこの貸し渋り、貸しはがしの状況とそれに対する対応について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○竹中国務大臣 今委員が御紹介くださいましたように、既に先週、貸しはがし、貸し渋りのホットラインというのを金融庁の中に設けております。これを今、金融庁で稼働し始めた段階でありますけれども、金融庁、東京に知らせるということだけではなくて、地方でも対応可能なように、これは財務局等々にお依頼するということも含めて制度づくりを議論しているところでございます。
さらには、その結果を何らかの形で銀行の検査に反映させていくということも私は必要であると思っておりますし、そのような方向で検討をしております。
さらに加えて言えば、先ほども申し上げましたように、やはり、中小企業に対する新たな金融の仕組みをつくっていくということも同時に並行してやっていくことが大変重要であるというふうに認識をしております。
○横路委員 それで、不良債権を平成十六年度中に終結させると言っておられますが、その終結というのは、どういう状態をもって終結だと考えておられるんですか。
○竹中国務大臣 これは基本的には、トータルの判断として、日本の金融システムが十分に安定して、より強固になったという、その信頼感を国民及び市場で得ていただけるような状況にするというのがまさに終結の意味であろうと思います。
とはいうものの、やはりその中間目標的なものは私は必要だというふうに思っておりますので、それについても十分今議論をしているところでございます。
○横路委員 今、不良債権比率が三月期、主要行で八・四%ですよね。これはやはり減らしていくということだと思うんですね。半分にするというのか、あるいはもっと減らすようにするのか。それはどういう議論をしているんですか。
○竹中国務大臣 今まさに議論をしているところでございますけれども、総理も以前、その比率を半分ぐらいにするというような御答弁をなさっておられますし、そういうこれまでの目標、その目標に向かって政策を加速させるという意味ですから、そうしたことも考慮に入れて今議論をさせていただいております。
○横路委員 経済財政諮問会議の民間人の議論の中でも、あるいは竹中さんもこういう言葉を使われたと。経営状態のよい銀行、悪い銀行という言葉。よい銀行は自主的に判断をして自主的にやっていただく。悪い銀行は公的資金を導入して国有化を含めた措置をとっていかなきゃいけない。じゃ、一体、そのよい銀行、悪い銀行というのはどういうことなのか。自己資本比率だけでいっても、今さっぱりそれだけではよい銀行か悪い銀行かわからないということで、その厳格な査定から始まった三つのことなんでしょうが、これを峻別するそのメルクマールというのはどこにお考えですか、よい銀行、悪い銀行と皆さんが使っている言葉。
○竹中国務大臣 御指摘のペーパーは民間議員の四名のお考えということだと思います。これは一つの考え方の整理ということで出されたものだというふうに思っておりますので、具体的にどのようにこれを政策としてやっていくかというのは、これは行政上の判断の問題になろうかと思います。
しかし、いずれにしましても、資産査定をきっちりと行って、自己資本比率をきっちりと見て、それでガバナンスをきっちりとやる仕組みをつくっていけば、これはやはりその結果として銀行システムがより強固になっていくような一つのメカニズムが生まれてくるというふうに思っております。
○横路委員 不良債権の処理。
一つは、間接償却といいますか、引当金をしっかり積むということですね。そして、積んでもし過少資本になれば、それは資本を注入していくということだと思います。
それから、直接償却というものが進められる過程で、倒産、失業というのは具体化、現実化するわけですね。引き当てをして、そのことによって金融機関からのいろいろな融資などがやはり滞るということになれば、それはいろいろな影響がもちろん企業にも働いている人にも出るわけでございますけれども、そこのところをしっかり、何か不良債権処理するとすぐ議論になりますが、今の状況は、主要行の破綻懸念先以下の債権でも十五兆四千億ありますから、これを二年間で処理をするということになれば、それに伴って倒産、失業がもちろん出てくるわけですね。
しかし、この間接償却と直接償却というのはやはり区別して考えなければいけないというように思うんですね。やはり、そこの間接償却、引き当てをしっかり積んで銀行の今の現実の姿を明らかにするということがまず第一。それから後は、直接償却によって生じてくるさまざまな影響をどうやって解消していくのかということで、中小企業への金融や雇用の問題、全体的なデフレ対策を含めた政策が必要になってくるというように思うんですが、そこのところが時々混乱している嫌いもあるなというように思って議論を見ておりますが、その辺はいかがお考えでございますか。
そしてもう一つ、時間もありませんので、今のこの十五兆四千億、二年間で処理をするとして、どんな倒産、失業の状況になるというのを見て、それをベースにして、これから将来のことも考えてデフレ対策をまとめられるんだと思うんですが、それはどういう現状の認識でどんな政策になるんでしょうか。
○竹中国務大臣 大きく二つの御指摘と御質問があったと思いますが、まず、やや技術的なところからいいますと、いわゆる間接償却で引き当てる、それが先である、その後、いわゆるオフバランス化をしていくというプロセス、プロセスの認識としては御指摘のとおりだと思います。そうした議論が時として非常に混乱しているというのも、私もそのとおりであると思います。
ただ、重要なのは、十分な引き当てを行った場合は、これはいわゆる簿価と時価が一致するわけでありますから、それは同時にオフバランス化を加速する要因にも私はなってこようかと思います。むしろ重要なのは、そのオフバランス化に当たって、その再生のメカニズムですね、この企業の再生のメカニズムをいかに組み込んでいけるか、ここが今回の、実は、これから二年半、不良債権償却の加速を行おうとしているときの最大のポイントであると思っております。
実は、これが第二の質問にも関連するわけでありますが、この再生については、新しい再生の仕組みをつくるということを今目指して調整をしておるのですが、この再生の仕組みづくりいかんで、ないしはその不良債権の資産査定の状況次第で、その後のさまざまな経済のパフォーマンスは実はかなり大きく変わってくるわけでございます。その意味では、現状では、基本的な考え方、基本方針を今一生懸命議論しているわけでございますけれども、実際に償却がどのように進むか、さらには再生のメカニズムがどのようにつくれるかという状況の中で、御指摘のようなマクロ経済的な問題についても十分慎重に見きわめながら対処していきたいというふうに思っている次第でございます。
○横路委員 最後に、税効果会計ですね、これについてちょっとお尋ねしたいと思うんです。
これはルール変更だという議論がありますが、実際は、実体以上に過大になっているわけですね。だから、実体に合わせるという意味では、ルールの変更じゃなくて、そういう実態の是正措置ではないのか、私なんかはそんなぐあいに思うんですが、ここは、大臣、いかがお考えですか。
これは今度どうなるんですか。何かさっぱりよくわからない。やめにしちゃうんですか。先に延ばすんでしょうか。僕は先に延ばすというのは一番悪いと思います。先に延ばせば、それに向けて銀行はもう資産圧縮やるに決まっていますよ、それは。そうすると、まだひどい状況になりますよ。こういうのは、やるかやめるか、どっちかですね。
しかし、実際を見ると、実体以上に過大になっているわけですから。だって、過去三年間、大手行はどのぐらい税金を納めているんですか。それ一つ見てももう過大ですよ。ですから、質の非常に悪い自己資本の状況に今なっている、こういうことだと思うんですが、ここはどんなぐあいにお考えになるんですか。それで、どうするんですか。
○竹中国務大臣 ルール変更というお言葉が出ましたが、その場合、この問題、今回非常にクローズアップされたわけですが、やはり三つのルール、三つの分野でのルールがあるということが重要なのだと思います。
一つは、やはり企業会計上の問題である。企業会計上、その資産性をどのように見るかという問題。
もう一つは、税制の問題があります。今の税制に基づいて今のような形状になっているという面があるわけであります。
もう一つは、これは金融当局としてのBIS基準に基づく監督のルールというのがあります。監督のルールというのは、これは適宜適切に変えていかなければいけない性格のものでありますが、企業会計のルール等々についてはそれなりの継続性が重要であるという点も、これは理解できるところであろうかと思います。
したがって、この問題を最終的にどのように決着させるかというのは、これは大変重要な問題であると思いますが、その資産性については十分やはり正しく認定しなければいけないという問題でありますので、今御指摘のような点も踏まえて、最終的に、今そのシステムづくりの最終調整をしているところでございます。
○横路委員 やることはやるんですか。
○竹中国務大臣 やるということの意味だと思いますけれども、この問題については、自己資本をどのようにより厳格に見ていくかということの中でしっかりと議論をして、その新しい金融規制監督の方針の中に織り込んでいきたいというふうに思っております。
○横路委員 小泉総理は、ともかくこの不良債権処理問題を、平成十六年度中ですか、終結させると言っているわけですね。そうすると、きょう、わずかな時間で若干議論した査定の強化などのいろいろな措置というのは、やはりすぐやるべきことはたくさんありますよね。それはいつまでにどうするんだということを、今まではいろいろな改革工程表やなんか、みんな時期を明示してやってきているじゃないですか。今回もそこはちゃんと明示してやられることになるんですか。
○竹中国務大臣 今基本方針を詰めておりますので、基本方針が決まり次第、具体的にどのような工程でやっていくかという工程表を直ちにつくる、今、そういうつもりでおります。
○横路委員 官房長官が来られたから、質問を要求していませんが、ちょっとお尋ねしたいと思うんです。
十一月中旬に今年度の税収の実態というのが明らかになると思うんですね。それに対するいろいろな対応策というのをとらざるを得なくなります。そういうことで、今の金融システムとデフレの総合的な対応ということを含めて、三十兆円枠の問題とか補正予算はいつどうするかとかというような問題がいろいろと議論されているわけなんですけれども、大体、これは明らかになるのはいつごろ、やはり十一月中、下旬ぐらいになるんですか。大体、十一月いっぱいでわかるんでしょう。
○福田国務大臣 お尋ねの件は、確定的にいつ税収がどうなるかということについて明らかになる時期について、私も正直言ってまだわかりません。いずれはなるんだろうと思います。そう遠くはないと思います。その段階で今後のことは判断すべきと考えております。
○横路委員 いずれにしても、この金融システムですね、冒頭申し上げましたように、銀行の頭取だとか銀行のためじゃなくて、それを預金している人とか借りている人のため、ひいては日本の経済のためということでございますので、大分何か銀行からいろいろとやられているようでございますけれども、そういう基本的な立場に立って政策づくりに御努力いただきたいということを申し上げて、終わります。ありがとうございました。
○佐々木委員長 横路孝弘君の質疑は終了いたしました。
次に、西村眞悟君。
○西村委員 御苦労さまでございます。
まず、拉致の問題からお聞きしますが、昨日クアラルンプールでは、北朝鮮側は、拉致問題は終わった、つまり、五名生存、八名死亡ということで結果が出て、謝罪もあって終わったんだという認識を示しました。
実は、この北朝鮮の認識と我が日本の認識が共通していた期間があったと私は判断しております。それは、九月十七日午前十時ごろから翌九月十八日にかけてでございます。この共通の認識が日本側の錯誤に基づくものであるならば、これは我が国外交の脆弱性を示して余りあるものでございまして、どういう脆弱性かといえば、今まで貴族的な優雅なマナーで食事をすることしか知らなかった者が、ならず者とテーブルをともにしてのどに食べ物が通らなくなって頭が真っ白になった、こういう脆弱性であります。
日本側の錯誤ではないということでありますならば、これは、北朝鮮当局と我が外務省アジア局が、拉致問題は日朝両国の正常化の障害であるから、ショックではあっても一挙にその障害を除去しようとするというふうな合意のもとで共通の認識に達しておったということを強く推測せざるを得ない。錯誤であれ錯誤でなかったにしろ、いずれにしても日本国民の生命にかかわる共通の認識であった、このように私は思います。
さて、今、その共通の認識からは脱却しておられるのが、先ほどの官房長官の「生存が確認されていない拉致被害者の方々についての事実解明も」という言葉で明確に示されておりますので、今は我々は官房長官と同じように、生存が確認されていない拉致被害者の方々、横田めぐみさんや有本恵子さんや八名の方々なんだというふうに我々共通で話ができるんですね。
しかしながら、九月十七日当日はどういう状態であったかといえば、ピョンヤンにおける内閣総理大臣の会見は、「帰国を果たせず亡くなられた方々のことを思うと、痛恨のきわみであります。」こういう内閣総理大臣の公式の発言がある。つまり、八名は亡くなられたんだという前提であります。
次に、同日同時刻ごろ、官房長官が、外務省飯倉公館において御家族を個別に部屋に呼ばれて、残念ながらあなたのお子さん、息子さんもしくは娘さんは亡くなられておりますというふうに言われたわけであります。これは、北朝鮮の認識と同様、つまり、北朝鮮の八名死亡ということを我が方が真実であるという前提で、総理大臣は哀悼の意を表し、官房長官は家族に死亡宣告をしたということでございます。
これが、先ほどの錯誤に出たるものか、錯誤ではなくて、五名生存、八名死亡ということで、あきらめてしまえということで一挙に障害を除去しようとする策動に出たものかわかりませんけれども、いずれにしても、北がそのときに死亡年月日を通知しておって、これは意図的に我々が知ったのではなくて、朝日新聞で知ったわけでありますが、それを見れば、我々なら、あの確実な目撃証言とこの死亡年月日は合わない、北の言うことは信用できないな。日本の外務省は、ピョンヤンで生死を調べたのか。調べる時間も調べる手段もなかったのではなかったか。
そうであるならば、これは先ほど官房長官が言われたように、生存が確認されていない拉致被害者という認識に基づいて行動するのが正しいということになったわけですが、仮にこれが、死亡年月日が我々の知るところとならずに、そのまま総理大臣も官房長官も、帰国を果たせず亡くなられた方々のことを思うと、痛恨のきわみであるということでいきましたならば、生存が確認されていない被害者の方々の命は今ごろどうなっていたんだろうと背筋が寒くなるわけですね。
したがって、ここで別に私はいろいろ非難めいたことを申し上げておるわけではないですが、日本外交が脆弱であれば、この日朝交渉におけるタフな日本外交の再生の転機にならねばならないという思いから、当日の経緯と官房長官の心理、ピョンヤンから、総理大臣の言うように、帰国を果たせず亡くなられた方は八名おったんだということを権威あるもののように通知されたのかどうか。このことについて、官房長官、御答弁いただけますか。
○福田国務大臣 拉致被害者の安否の情報の御家族への伝達、このことについてお尋ねでございましたからお答えしますけれども、これは、首脳会談が行われたピョンヤンで代表者の責任で作成した資料に基づきまして、私とそれから植竹副大臣、当時の副大臣でありますが、飯倉公館で待機中の御家族に対しその内容を伝達いたしました。生存とか死亡とかいったように書いてあっただけの、本当に簡単な紙であったわけであります。
その際、私は、御家族の方々に対しましては、北朝鮮政府からの通報によるとと、そういうような言い方でもって、その安否が伝えられましたということをそれぞれの御家族の方に申し上げた次第でございます。
○西村委員 私の疑問は疑問としてこれ以上は申し上げませんが、ただ、ピョンヤンで、先ほど言いましたように総理大臣の発言というものが非常に重いとするならば、まさしく、「帰国を果たせず亡くなられた方々のことを思うと」と、北朝鮮の言う八名死亡ということを真に受けられておるということであります。官房長官が今飯倉公館で言われた内容はわかりましたけれども、総合して死亡宣告という形で家族に衝撃的に伝わったことはどうかお心に入れておいていただきまして、今後とも拉致問題にはよろしくお願いいたしますけれども、相手の前で錯誤に陥る、相手の前で頭が真っ白になる、これを一度体験させられた者は、やはり当事者から外した方がよろしいかなと私は思いますね。
次の質問に移りますが、核の問題であります。
北朝鮮が核を保有しているのか否か。これは、私のいろいろ記録しているところによると、一九九四年、ペリー国防長官は、北朝鮮は二、三発の原子爆弾を完成している、このように言ったと。それから、アメリカの国防報告書は、北朝鮮は二、三発の核を保有している可能性が高い、このように毎年報告があると思います。我が国の防衛白書は、本年の白書においても、核兵器開発疑惑を持たれているというふうにはなっております。
二〇〇二年、本年の九月十六日、ピョンヤン会談の前日のラムズフェルド国防長官のプレスブリーフィングでは、イラクに対しての攻撃を正当化する説明の中で、核保有直前の国からその危険を摘み取るための先制攻撃である、このように言っておりました。
これは裏を返せば、また、裏を返して答えたわけでありますが、既に核を保有している国は危険だから先制攻撃の対象にはしない、こういうことである。既に核を保有している国で先制攻撃のやり玉に上げていない悪の枢軸というのは、北朝鮮のケースである。
したがって、一九九四年のペリー国防長官の先ほどの発言、ラムズフェルドのこの発言の陰に隠れている認識は、北朝鮮は既に二、三発の核を保有しているんだということであります。
さて、我が国はどのような認識を持っておるのかということについて、官房長官はどう認識されておりましょうか。
○福田国務大臣 北朝鮮が核兵器を保有しているかどうか、これは、今おっしゃったラムズフェルド国防長官の発言などございます。種々の情報があるということでありまして、日本政府として、北朝鮮の核開発に関していろいろな情報に接しております。そういう情報には接しておりますが、北朝鮮の体制というのは、これは閉鎖的な体制でございまして、この開発の現状について断定的なことを申し上げることは私どもには今できません。
○西村委員 だれも見たことがないのであります。
さて、核開発については防衛白書でも述べてありますが、本年のブッシュ政権は、ジュネーブにおける枠組みが北朝鮮によって遵守されているという認定は本年行っておりません。そして、十月、御承知のとおり、北朝鮮は核の開発をしていることを認めたんだということを日本を初め世界に公表したわけであります。
これで、ピョンヤンの共同宣言の終着駅である日本の金が北朝鮮に渡るということは、この認識がある限り難しくなっている。なぜなら、この宣言、アメリカの認識、北朝鮮の自白があり、さらに生物化学兵器は核にかわる大量破壊兵器でありますが、この運搬手段であるミサイル開発も含めて北は大量に持っている、配備しているということは我が政府も防衛白書で認識しているところでありますから、これらを総合すると、ピョンヤン共同宣言の終着駅である国交回復、経済支援は現政権にはできなくなったな。なぜなら、今後、世界で起こるあらゆるテロの惨害に関して、日本はテロ支援国としての責任を世界から負わされかねない事態になったからであります。
それで、核は見たことがありませんけれども、核にかわる生物化学兵器は、つまり大量殺人兵器は北朝鮮は保有しており、そして、これは現実に上を飛んだんですが、ミサイルの長射程化を確実に進めてきたということは我が政府の認識であります。
ここで、この極東、朝鮮半島と我が国の間にいかなる事態が起こっているかということについて、官房長官の見解をお伺いするわけですが、一九七九年の欧州におけるSS20とパーシング2に関するNATOの二重決定という事態がケースワークとして非常にふさわしいので引用いたしておりますが、これは、SS20という中距離核弾頭ミサイルをソビエトがNATOに向けてヨーロッパで配備した。それまでヨーロッパでは、驚くべきことに、オネストジョンとかナイキハーキュリーズとか、そういうふうな全く役に立たない、SS20とは対抗できないものを配備しておっただけでありました。
そこで、ドイツのシュミットは何と演説したかといえば、SS20のヨーロッパの展開によって生じた核戦力の不均衡を懸念して最初にその警告を発したのがシュミットでありましたけれども、演説の要旨はこうであります。我々の多くは、政治的、軍事的バランスが我々の安全保障にとって必要条件であるということに同意する、私はこのバランスを重視しない方がよいというのは幻想にすぎないと警告したいと。
このような認識から始まって、核を保有せずして核戦略を考える、その中でSS20に対抗するパーシング2をヨーロッパに入れて、相互確証破壊の状態をつくりながら軍縮交渉を始め、一九七九年十二月十二日にパーシング2導入の決定をし、その八年後にINF条約が締結されてヨーロッパからSS20は撤去されたのであります。
この経緯を見ますと、朝鮮半島と我々の間には非常な軍事的アンバランスがあるのではないか。いかにして抑止力を維持するのかというのが、我々の国家の安全の問題意識でなければならない。核を持たない我々日本が核戦略をもって相手の核を抑止しなければならない。一九七〇年代にはヨーロッパのSS20の問題だと他人事で片づいていたものが、そのときに余り核戦略を我が国が考えなかったので、また、抑止論というものを現実に直面して考えなかったので、今その事態に直面しているんだというふうに私は思うんです。
官房長官は、軍事的バランスが我々の安全保障にとって必要条件であるということについて、この意見についてはどうでしょうか。
○福田国務大臣 八〇年ですから、もう二十年たちましたね、あのパーシング2の話題がありましたのは。あのときの状況と今とは大分様相は変わっているんですね。あのときは、米ソが核戦力を増強する、そういう時期にあったわけです。ただいまは、米ロが核戦力を縮減するということで協調してそのような方向を目指しておる、こういう状況でありまして、根本的に環境が変わっているということはあるかと思います。ですから、そのときの状況を今回の北朝鮮の問題に当てはめることができるかどうか、こういうことが根本的にあるんじゃないかな、こういうふうに思っております。
いずれにしましても、我が国としては、米国との安全保障条約を堅持して、その抑止力のもとで自国の安全を確保する、そしてまた非核三原則を堅持していくという立場でございます。
同時に、我が国は、数日前ですけれども、さきの日米韓三国共同声明にございますように、北朝鮮の核開発に対して重大な懸念を有しており、北朝鮮に対しては、核開発計画の廃棄を含め、核問題の解決を働きかけている、こういうことでございますので、国際協調の中において北朝鮮の核の廃棄というものをこれから求めていくということになろうかと思います。
○西村委員 米ソの時代とはかなり違います。SS20の問題は米ソの問題だといって、他人事であったわけですね。今、北朝鮮の核開発、核保持、私は保持しているという前提でいつも話をするわけですが、これも北朝鮮とアメリカの問題だと片づけてしまっていいのかという問題意識が私にございます。アメリカの核の傘が我が国に開いているのかということであります。アメリカは、アラスカ等の主要都市に核ミサイルが落ちる危険性を覚悟して日本に核の傘を開くのか。
ここでまたシュミットのことに返るわけですが、シュミットはみずから主体的にパーシング2を導入した。あの米ソの時代にですね。これはアメリカとソビエトの問題だとは思わなかった。そのために彼は何をしたかといえば、アメリカが使っている言葉を点検した。
シアター・ミサイル・ディフェンス、シアターとは何だ。劇場だ。アメリカから見て、ドイツのSS20を配備されたところは戦域であり劇場なんだ、アメリカには関係ないんだ、これがシアターという言葉になってあらわれる。中距離弾道ミサイルというのはシアターですよね。シアター・ニュークリア・フォーセス。こういう言葉自体が、我々が依拠できないんだと。まさに、中距離であるか戦略核であるかはアメリカから見た話であって、アメリカ本土に落ちるのは戦略核で、落ちないのはシアターであるというふうな規定自体がおかしいんだと。
アメリカの同盟国にとっては、アメリカがシアターというところがすなわち原爆が落ちるところ、戦場になるんだ、だから、自分たちが主体としてやらねばならない、こういう考え方から出発したNATOの決定なんですが、日本もぼつぼつ主体的に、核が出てきた、北朝鮮も、これはアメリカ相手に話をすることで日本は関係ないと言う。ああ、そうか、日本は関係ないのかと思わずに、主体的に取り組まねばならない時期に来ているのではないか。なぜなら、北朝鮮の運搬手段からして、核が落ちる可能性があるのは日本しかないからですね。そういうことで、官房長官のお答えはわかりますが、どうもこのままでは済みそうにないなと思うんですよね。
五月十三日に早稲田大学で官房副長官が、法的には核は保有できるんだと。これを受けて五月三十一日、ある政府首脳、これは官房長官のことであったと後でわかるんですが、非核三原則も変わることがあるかもしれない、こういうふうに述べられて、ある意味では、従来の非核三原則にプラスする議論するなという非核四原則のもとで不毛な議論が少々あったんですが、今から思い返してみれば、本当に今の事態に対処すべき柔軟な頭脳を持って発言されたと思うんですね。
私のこの議論も、核に関することですから、実りある方向になっていくのかなっていかないのか心配でありますが、どういうふうに御質問したら答えが出るんでしょうか。非核三原則も、少なくとも非核四原則と言われるものはない、議論してもいいんだ、これはもう明らかです。北朝鮮が核をまだ開発しておる、十年間開発すれば少々のものはできているだろうという前提で我々は動かねばならないんですから。
北朝鮮の核が仮に落ちるならば、我々の上に落ちる。落ちなくとも、核を落とすぞという恫喝のもとで外交をやられ、我々は屈服するのか屈服しないのか。落とすのなら、相互確証破壊、こちらもそれほどの抑止力は持っているぞという、シュミットが決断したような体制を我が国がとるのか。つまり、持ち込ますのか。非核三原則はもはや極東においては過去のものとなったという宣言を内閣が行うのかどうか、こういうことなんですね。
今、これで御質問してお答えがすっと出るとは思いませんが、少なくともシュミットは非核三原則に縛られて行動はしなかった。仮にシュミットが非核三原則に縛られて行動しておったときに、SS20は撤去されたであろうかと思うわけであります。
官房長官、非核三原則を守ると先ほども御答弁なさいましたけれども、これはなぜ守るんですか。NPT条約があるからですか。我が国の安全が非核三原則で守られると確信するからですか。私は、アメリカの核の傘が開いているのかどうかわかりませんよと、これも確認したことがありませんから言っておるんですが、アメリカが核の傘を開けなくとも、非核三原則は我が国は堅持するんですか。これはちょっとお聞きしたい。
〔委員長退席、細野委員長代理着席〕
○福田国務大臣 この問題は、議論を始めますと危ないところに行ってしまいますので、十分注意してやらなきゃいかぬのでありますけれども、我が国の核兵器の保有の選択肢というものは、この選択の仕方によっては我が国をめぐる国際環境を不安定化させる、もうそれだけで終わってしまうという可能性があります。そういう意味におきまして、我が国の平和と繁栄の維持という我が国の目的に何の利益ももたらさない、そういう状況もあり得るわけですね。
今、私どもの住んでいる時代というのは、まさにそういう時代である。願わくば、核のない、地球上すべての国で核がなくなってしまうということがあれば、これはこれでいいわけであります。核がなくなれば、その次にまた別のものを考えるというのであってはいかぬのでありますけれども、そういうことでない核のない世界というものは、これは究極の我々の望むところでありまして、どちらかといえば、そっちの方に我が国として努力をすべきものではないのかなというように思っております。
そんなことで、我が国の戦後とってきた政策を今後も続けていくということが今は大事であるというふうに思っています。
○西村委員 私も、当然そのような願望を持っております。病気になるのが嫌だ。がんという病気は本当に痛ましい。それをなくすにはどうすればいいのか。国立がんセンターをなくしてしまえばがんという病気はなくなるのか。いや、なくならない。病院は病気を治すためにあるわけですけれども、同じだと私は思うんですね、相手は持っているわけですから。近くの独裁者が営々と核開発を進めておって、大体持っておるわけです。
それで、余り議論しても仕方がありませんが、私は、自分でつくるとか言っているわけじゃないんです。持ち込ますことも必要だと。現実に、太平洋を航行しているアメリカ第七艦隊にはあるじゃないか。
それから、ことしの五月の非核三原則議論のときに、NPT条約があるから核は持てないんだとかいう議論がありましたけれども、NPT条約の第十条だけはここで述べさせていただきます。「各締約国は、この条約の対象である事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する。」これはNPT条約です。
したがって、この条約を締結しておる以上は、我が国の至高の利益が危うくされる事態とはいかなる事態かということは、条約、条文にあることですから、それを議論して考えておくのが我が国の政治の責務ではないか、このように思います。考えていなければ、いざというときに頭が真っ白になりますから。
それで、質問は日本の治安の方に移ります。治安の現状と警察の対処能力の再検討について御質問しますが、もういろいろ申し上げても仕方がありませんので、具体的な事例をぽんぽんと挙げて申し上げます。
五百キロの金庫を引きずり出そうとして、これは失敗した。金塊ですね。二、三百キロの金庫ならもう数分でどこかへ持ち去られる。これはユンボか何かを車に積んで動き回っているやつらだ。これが全く捕まらない。我が国の犯罪通報体制、それからいわゆる一挙に犯人の車を検挙するべく道路を封鎖する体制、これに何か欠陥があるんですか、いかがですか。全く捕まらない。重機をもってする、二、三百キロの金庫を持っていくあの窃盗団。いずれでもお答えください。
〔細野委員長代理退席、委員長着席〕
○栗本政府参考人 今先生から御指摘の重機等を使用した窃盗事件、特にATMを対象といたしました事件が最近目立っております。
これまで主として関東圏で発生しておりますけれども、私ども警察庁に報告されました件数が九月末で三十四件ございます。残念ながら、これらの事件につきましては、今のところ検挙されたという報告は受けておりません。
いずれも大変巧妙に、極めて短時間、今先生が御指摘になりましたように、三、四分の間に壊して持ち去れなければ未遂の形態で逃走する。それから、重機そのものも窃取したものを使っておりますし、また、ATMをほかへ持ち去るものにも盗難車両を使う。そういう意味で、非常に巧妙、大胆かつ計画的な事件でございます。
そういう意味で、既に三十四件出ておりまして、私ども警察といたしましても、発生しております関係県におきまして互いに情報交換をやりまして、その上での必要な初動体制を確立して、現在、早期検挙のために全力を尽くしているところでございます。
○西村委員 まさに日本は、昔スパイ天国と言われましたが、スパイ天国はそのままで、今や犯罪者天国になりつつある。かたぎはピストルを持てない、武器は持てないけれども、かたぎでない者は自由に武器を持っておる、これが現状になりつつあります。
そこで、警察官が持っているニューナンブは五発しか入りません。しかし、今日本でかたぎでない者が持っているピストルは、それは日本人であるか外国人であるか知りませんが、二十連発ぐらいはあるわけです。五発の弾しか入っていない警察官が二十連発のピストルを持っている犯人に対抗できるはずがない。
ここで、警察官が持つピストルはもっといいピストルを持たす、そして警察官本人の身の安全を守りながら職務を遂行してもらう、また、決められた、これを持てじゃなくて、ある選択肢から自分が一番用いやすい、自分の性に合った高性能のピストルを警察官に所持してもらう、こういう発想の転換が必要だと私は思いますが、大臣、いかがですか。
○谷垣国務大臣 通常想定される事案に対しては、現在、個々の警察官が携帯しているけん銃で対応が可能であるというふうに今見ております。
しかし、平成十三年度の補正予算では、テロや銃器を使用した重大事案に対処するために、連射性能を有する機関けん銃を整備したところでございまして、治安情勢と事案に応じた適切な措置を講ずるよう警察当局を督励しているところでございます。
○西村委員 いずれにしても、ニューナンブだけが操作できるということじゃなくて、任務を遂行するためにも、みずからを守るためにも、もっといろいろな武器に精通さすということが必要だと私は思っておりますので、申し上げておきます。
それから、今クアラルンプールでも金、金と向こうは言っておるんですが、日本国内でも金、金ですわね。この金、金、金庫という強盗団は外国から入ってきよる。この出入国のだれが入ったかの情報は、警察の方が犯罪捜査のためにお伺いを立てれば教えてくれるというのではなくて、IT、ITとこれほど言われるわけですから、直ちに全入国者の情報が治安維持を目的とする警察の中にも入るという体制にできないものかと思いますが、これについての御見解はいかがですか。
○奥村政府参考人 外国人による不法事案それから国際テロもございます。こういったものを未然防止するためには、やはり私ども警察が入国管理当局と緊密に連携することが極めて大事であると考えております。このため、現在、国際海空港で偽変造旅券による不法入国事案、あるいは指名手配中の被疑者が認知された場合、こういう場合は入管の方から通報をいただいておりますし、平素から相互に緊密な連携を図っております。
今国際テロ情勢も厳しいわけでありますし、国際組織犯罪も大変ふえておるということで、外国人による不法事案の発生等を防止するために、引き続き必要な情報を円滑に共有できるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○西村委員 よろしくお願いします。
さて、日本は島国ですから、日本に物が入る、人が入るのは、飛行機に乗ってくるか船に乗ってくるかであります。物は圧倒的に船であります。日本に来る、また日本から出ていく飛行機と船、これの安全をいかにして守るのか。船長と機長、その他一定の乗務員に武器を携行せしめるという方向をとらざるを得ないのではないか。
なぜなら、世界は安全は金で買うわけでありますから、そのような安全装置を用いない、持っていない日本の飛行機に客が金を払って乗るはずがなく、安全を確保する手段を持っていない日本の船に貴重な物資を積み込ませるはずがないからであります。
これもぼつぼつ具体的な検討段階に入ったのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○奥村政府参考人 ハイジャックなどの防止を目的といたしまして機長等にけん銃を持たせるという案でございますけれども、機長等にこういうけん銃を持たせるということは、それが逆に犯人を刺激する、そして乗員、乗客あるいは航空機を危険にさらすことにもなりかねないということをやはり考慮する必要があるんじゃないかというふうに思っております。
また、船舶とか航空機内、そういう特殊な場所でけん銃を撃つということは、地上で撃つ場合に比べまして非常に高度な技術が必要であります。けん銃の使用になれていない者が使用するということは、誤って撃つとかあるいは犯人にそれをとられるというような危険性もありまして、十分かつ慎重に検討すべきものと考えています。
なお、先般のワールドカップの際には、ハイジャック等のテロ事案の未然防止のために、国内便あるいは国際便につきまして、警察官を警乗させたということがございます。
○西村委員 ピストルを持っていたら犯人を刺激するといって、刺激してやめさせたらいいんじゃないですか。ピストルを持っていたら、犯人が必ず持っている機長のピストルをとって危険になる、そういうのだったら、何か知らぬけれども議論ができない。
あっち飛び、こっち飛びしましたが、時間を余して、質問を終えます。
○佐々木委員長 以上で西村眞悟君の質疑は終了いたしました。
次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私は、きょうは核燃料に関する質問をしたいというふうに思います。
核燃料物質というのは、プルトニウム八キログラムで長崎型原爆の一発分、九〇%高濃縮ウランなら約二十キログラムで広島型原爆一発を製造することができることになります。ですから、それだけに、国際的に核燃料物質のバランスについては、条約上の義務もあり、国において厳しい管理を行っているところです。
したがって、政府は、各電力会社がどこの国のどこの鉱山から幾らの天然ウランを買い付けているか、輸入割り当ての段階から、輸入許可証、支払い許可証の発行、さらには支払いが終わった後、支払い完了後の電力からIL、PLの正本の収受に至るまで、すべてこれはよく知っているわけですね。実際、それがきちんと行われていなかったならば、契約したウランと違うものが、分量に差が出たときに、それがどこかへ行ってしまうといわゆる核兵器開発疑惑ということにつながってきますし、日本政府自身の責任も問われることになります。
そこで、こうした問題については政府もよく知っているわけですよ。問題は、実は国連決議でナミビアの天然資源の持ち出しが禁止されていた時期に、政府の了解のもとに電力各社はナミビアのウランを輸入していた事実、そして政府と電力が一体となって国際的無法貿易を行っていたというところが私は重大な問題だと考えております。
今日、東京電力等電力各社の事故隠し、データ改ざん事件等、経済産業省の原子力安全・保安院が内部告発を受けて二年間隠していた問題、今、電力と行政、政府のなれ合いなり癒着なりに国民の厳しい批判が向いているときです。しかし、この癒着の問題というのは、考えてみれば、出口の原発トラブル隠しだけでなくて、入り口のウラン輸入の段階から始まっている。私は、きょうの質問でこの問題を明らかにしていきたいというふうに思います。
お手元に資料を配っていただいておりますが、実は、十月七日にエネ庁の方に説明を受けたときに、最近の電力各社の天然ウラン契約に関する実績その他、資料はいただきました。そのときに、日本が天然ウランを購入するときの契約の形態はほとんど酸化ウラン、U3O8という形での鉱石で買うという御説明もいただきました。
それでは、各電力会社が七〇年代に契約して、七七年ごろから八〇年代末、つまり九〇年のころまでナミビアから購入していたウランもU3O8の鉱石の形であったと思うわけですが、その契約の相手先、引き取り期間など、これはどういう状況だったのかということについては、なかなかエネ庁の方からは資料がいただけないわけですが、私の方で電力各社の資料に基づいてまとめた表が、お手元に配らせていただきました「ナミビアのウラン鉱石を購入する際の相手企業との契約一覧表」なんです。
北海道電力、七三年十二月のNUFCOR社、これは南ア共和国の会社ですが、形態がU3O8という鉱石の形態で、契約量が五百五十ショートトン、これは鉱石換算ですね。引き取り期間は一九七八年から八三年。これは、九〇年までに幾ら輸入したかという実績は五百五十ショートトンですから、ちょうど契約量はきっちり入ってきたということになります。
この表はそういうふうに見ていけばいいわけです。RTZミサというのはミネラルサービスのことです。それから東北電力で、南アにあった住友商事のものから入った分もありますが、基本的にNUFCORとRTZ社から、この間、それぞれの契約年度、月がいつか、契約先がどこで、形態はどういうもので、契約量はどういうものであったか、引き取り期間は何年から何年にしておったか、それをどの程度引き取ったかというのがわかるのが九〇年までの実績です。
まず、これは、いきなりきょう私がお出ししても、いや、それは確認できませんということになるでしょうから、昨日のうちにきちんとエネ庁の方にまずお示しをして、この表と全くそっくりのものじゃありませんが、中は基本的に同じなんですが、まず確認を求めました。
この七〇年代の契約はこのとおりなのか、これをまず確認したいと思います。
○迎政府参考人 この表については、昨日ちょうだいいたしまして拝見をいたしました。
それで、各電力会社が一九九〇年以前においてNUFCOR社あるいはRTZ社とウラン購入契約を有していたというふうなことは、これは公知の事実でございますが、ここにございますような契約日、契約量等、あるいは契約の詳細については当省としても確認をする立場にございません。個別の商取引の内容ということでございますので、確認ができておりません。
○吉井委員 確認できているかできていないかは、後ほどゆっくりお聞きします。
七〇年代に各電力が契約を交わした相手のNUFCORとRTZ、あるいはRTZの子会社のミネラルサービス、これはどこの国のどんな企業か、ナミビアにウラン鉱山を持っているのかいないのか。この点、これもあらかじめお聞きして資料をいただいたんですが、かなり大ざっぱな資料だったものですから、念のために伺っておきたいと思います。
○迎政府参考人 NUFCOR社は南アフリカ共和国にございます会社でございまして、ウラン鉱山は所有をしておらないというふうなことでございます。
それからリオ・ティント社につきましては、英国の会社でございまして、ウラン鉱山は、ナミビア、南アフリカ共和国、オーストラリアに所有をしておるということでございます。
○吉井委員 RTZの方をお聞きしたんですけれども、リオ・ティントもリオ・ティント・ジンクも結局同じ会社ですから、それはそれでいいんですが、NUFCOR社は南ア共和国の企業で、要するにウラン鉱山を持っていない、それから六弗化ウランへの転換施設を持っている企業でもないということもお話を聞いております。皆さんの方の説明ですね。だから、南アがアパルトヘイト政策をとり、軍事的に支配していたナミビアからのウラン鉱石を日本の電力会社に販売するだけの会社であったということになるわけですね。
RTZの方は、南アの宗主国であるイギリスの会社なんですが、ナミビアにロッシング・ウラン鉱山を持っている会社であり、皆さんの説明では、六弗化ウランへの転換設備はないが、ナミビアのウラン鉱石U3O8を電力へ販売していた、こういうことですね。この事実をまず確認しておきたいのですが、あわせて、RTZミネラルサービスというもの、これはどんな会社かも伺っておきたいと思います。
○迎政府参考人 リオ・ティント・ミネラルサービスというのは、リオ・ティント社の子会社というふうに思われますが、詳細は承知しておりません。
○吉井委員 私、大体九月の末に、これらの企業についての情報をお聞かせいただきたいということで、一カ月ぐらい前からずっと何度もお聞きをしてきました。これぐらいのことはすぐ調べてわかる話だと思うんですね。
今、RTZミネラルサービスのことについて、子会社と思うがそれ以上わからぬということですが、結構有名なんですよ、この会社は。何で有名かといったら、ペーパーカンパニーとして有名なんです。これはRTZの子会社で、RTZがスイスにつくったペーパーカンパニーなんですね。チューリヒから大体十五キロほど離れたツークという町において登記されているという会社で、人口が二百人という、町というより村、うんと小さい村ですね。事務所は貸し部屋で、RTZミネラルサービスの社員はゼロで、幾つかのペーパーカンパニーが共同して一人の人を雇い入れているわけですね。留守番の人が一人いて、ここはただの郵便受けみたいなものだ、RTZあてに手紙などはほとんど来ない、こういう会社だということは結構以前から有名な会社なんですね。
このRTZミネラルサービスという全くのペーパーカンパニーが、これは中部電力の七七年八月の契約だとか関西電力の七六年二月の契約、中国電力七二年七月の契約などなどが出てまいりますし、実はそのほかのところでも顔を出すんですが、こういうふうな企業を相手にして電力が天然ウランの購入をナミビアからしていた。そういうことをエネ庁の方はどういうふうにつかんでおられたのですか。
○迎政府参考人 先ほども申し上げましたように、個別の契約ですとかについては、当省として確認する立場にないわけでございます。
それから、RTZ社等からウランの購入を行っていたというふうなことは事実でございますけれども、購入された当該ウランがナミビア産であったかどうかというふうなことは特定をできないというふうに考えております。
○吉井委員 あなた、大変なことを言うてはるんですよ。ナミビアから天然ウランの購入契約を結んで、それが、例えば百トンなら百トンがきっちり日本に入ってきたのかどうか。契約上は百トンだったんだけれども、実は九十八トンであった、その二トンがどこかへ消えてしまった。これは、そういうことがあいまいになりますと、その二トン分が国際的に核兵器開発疑惑にもつながってくるんですよ。日本はそれに責任を負わなきゃいけなくなるんですよ。だから、そんないいかげんな話というのはまず成り立たない。
重ねて伺っておきますが、ナミビアからウランが入ってきていたということは、これは承知しておられるんですね。
○迎政府参考人 要するに、ウランの購入契約というのは、これはナミビアのものであるかどうかというふうなことは把握をしておらないということでございまして、要は、ウラン燃料の形で輸入をされる、それで、鉱山からのいわゆる原石といいますか、転換前のものがどのように動いて、ナミビアからどこに出たとか、それがどこに輸出されたというふうなことはわからない、こういうことでございます。
○吉井委員 そんないいかげんな話、後でゆっくり伺いますけれども、なぜナミビアから出たということを答えたがらないのか。私は非常に不思議だと思いまして、いろいろ外務省にも伺って勉強させていただきました。それが二つ目の資料です。「ナミビアに関する国連決議等」で、外務省アフリカ第二課からいただいた資料、それから国連決議等から作成したものです。
要するに、ナミビアという国は、一九二〇年に当時の国際連盟は南ア連邦をナミビア、当時の南西アフリカの受任国とする委任統治にすることを決定したのですが、第二次世界大戦が終わって、一九四五年、国際連合は南西アフリカを国連の信託統治制度下に置くよう決めようとしたんですが、南アが拒否して南西アフリカの統治を続行し、南アはナミビアでもアパルトヘイト政策を強行していったんですね。ここからいわゆるナミビア問題が生まれてきた。
それで、一九六六年の国連総会決議二一四五号でナミビア独立に向けて、六七年には二二四八号決議でナミビア理事会の設立。このナミビア理事会においては、理事会布告、要旨だけここへ書いておきましたが、要するに、理事会の同意、許可なしにナミビアの天然資源を探査、試掘、販売、輸出、分配はできない。これを運んでいる船舶、コンテナその他は捕獲され、没収されるんですよ。そして、没収されたものはナミビア住民の利益のために信託下に置かれ、将来、ナミビア独立の際には、布告違反の団体、個人には損害賠償責任がある。こういう内容なんですよね。さらに、六九年にナミビアからの南アの即時撤退決議や、同じく安保理決議二六九で南ア非難と即時撤退、一九七〇年には安保理決議二七六号ですべての国に南アとの取引禁止が決定されていますね。
その後、ずっと国連安保理は何度も決議をしてきたわけですが、一九七四年の九月には国連安保理でナミビアの天然資源に関する法令を決議して、国連の直接責任下でナミビアの天然資源保護を決定し、七四年以降、ナミビアの天然ウランの販売契約は南アにはできないということになっていたと思うんですよ。NUFCORというのは南アの会社ですよね。その南アの会社と日本の電力会社が契約をすること自体ができないし、ナミビアのウランを持ち出すことはできない、こういうことであったと思うわけです。
そういうふうに、ナミビアの天然資源についての問題の扱い、あるいはナミビアという国についての当時の扱いについては、国連決議等、外務省の方からいただいた資料を整理してこういうふうになると思うんですが、念のために外務省の方に確認しておきたいと思います。
○西田政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、二十九回の国連総会、これは七四年でございますが、すべての国連加盟国に対し、国連ナミビア理事会が七四年九月に制定をいたしましたナミビアの天然資源に関する布告の完全実施を確保するよう、あらゆる適切な措置をとることということを内容とします決議三二九五を採択しております。そのような中で、我が国としてもしかるべき措置をとったということでございます。
○吉井委員 実は、これは七四年当時の国会でも議論がありまして、七四年の十二月十九日の予算委員会でしたが、当時の宮澤外務大臣、国連決議には拘束力がある、布告には決議を強制する強制力はないが、しかし国連に協力する政府の基本方針はある、民間企業の契約も政府方針に協力してもらうべきである、これは外務大臣の答弁であったと思います。それから、当時の三木総理大臣の答弁、「方針として、国連決議に従って今後は処理する」、これが七四年当時の日本政府の方針であったと思うんですが、外務省の方に改めて確認しておきたいと思います。
○西田政府参考人 お答えをいたします。
御案内のように、総会決議というものは必ずしも法的な拘束力はございませんが、当然、加盟国としまして、それを政治的に遵守するということについては政治的な責任があるというふうに考えておりますので、ただいまの御引用の外務大臣及び総理の答弁と変わっておりません。
○吉井委員 そこで、まず契約日は、全部、日本原電のガス炉の下の二つを別にすれば、大体七〇年から七七年ごろまでのものなんですね。そして、当時の国会での総理答弁、外務大臣答弁からして、七七年以降、実際に契約したものが日本へ入ってくるんだ、その入ってくるものについては、この政府答弁にのっとって国連決議に従って今後処理する、そういう立場が貫かれているはずなんですね。
ところが実際には、この引き取り期間、この間に入ってきたというのが九〇年実績なんです。そうすると、これは本来、一九九四年五月の安保理九一九号決議の南ア制裁解除決議までの間は日本としてはそういうことはできなかったと思うんですが、しかし、現実にはこれがやられていた。
そこで伺っておきたいのは、まず、実際に例えば九州電力とNUFCORの間の契約書などを見ますと、「一九七八年一月二十三日付で締結した契約に基づき、」ここにあります九州電力の七八年一月、NUFCOR社との契約の締結、この締結に基づき、その契約書の十八条、「契約の発効」というところを私は見まして知ったんですが、「契約の条件に対し日本政府の認可が九州電力におりたときに本契約は発効するものとする」というのがあるんですね。
ウランの国際契約では、エネ庁の方のIQの発行、つまり政府の認可なしにはできなかったんですよ。これはナミビアから入ってきたということを知らなかったどころの話じゃないんですね。資料もいただきましたが、原産国を書かなきゃいけないんですよ。エネ庁の方は、例えば九州電力の契約書の一部を今挙げたんですが、政府はナミビアからの輸入はしない、それは総理答弁その他でもはっきりしているんですが、しかし一方で電力は入れてこようとする、それに対して、この政府答弁以降の契約書の中でも政府の認可なしにできないということが契約にうたわれ、そして政府はそれを許可してきた。
エネ庁の方は、伺っておきますが、ウラン購入契約の中で、まずウランの輸入割り当て、IQをとり、輸入に当たってILをとる、そして支払い前にPLをとって、契約する前にはあらかじめエネ庁の担当課がヒアリングするわけですね。それで、どこの鉱山からの輸入であるか、どこの国かと原産国も明らかにしないともともとオーケーが出ない。オーケーが出て許可したことを確認しないとそもそも契約は成り立たないんですよ。
これはエネ庁の方に、まず契約についてはそういう形になっていることを先に確認しておきたいと思います。
○迎政府参考人 先ほども申し上げましたように、その契約については、私ども確認をしておりません。
○吉井委員 これは本当にとんでもない話だと思うんですよ。総理大臣の答弁があって、国連決議に従うんだ、それで対処すると言っているのに、電力の方は、当時の通産省、今の経済産業省の方に、ちゃんと本契約が発効するためには日本政府の認可が必要だという契約文があって、それで許可を求めてきているんですよ。その前の段階で、輸入割り当てというのでちゃんとやっているわけですよ。
輸入割り当ての段階では、ちゃんと、原産国はどこかとかみんな明らかにしなきゃいけない。知っているか知らないかの話じゃないんですよ。これを知らないことにはもともとこんな契約はできないんですよ。今のは答弁になりませんよ。
○細川政府参考人 今委員御指摘のIQの制度上の問題についてちょっとまず申し上げたいと思います。
先生が御指摘のとおり、ウラン鉱石、またはこれを製錬、転換、濃縮したウラン燃料を輸入する場合には、外為法あるいは貿易管理令に基づきまして輸入割り当てを受けることになっております。この輸入割り当てにおきまして商品名あるいは原産地、船積み地という情報が記載されることになっておりますが、ウラン鉱石が第三国で製錬、転換、濃縮されて輸入されるような場合には、このような加工が行われた国が原産国となる、このように理解しております。
○吉井委員 そんなでたらめを言っちゃだめだよ。七〇年代の初めは、どこで六弗化ウランに転換するかということが決まる前に契約しているんだよ。なぜそんなことが言えるんですか。最初の輸入割り当てというのは、原産国はナミビアならナミビアということをちゃんとしない限りできないんですよ。あなたは最近の話でごまかそうとしているけれども、違うんだよ。
一番最初の七〇年代初めの契約というのは、転換契約の方は別にあって、まずウランの購入契約から始まっているんだから。その転換契約を、これはまた別な機会にやりますが、RTZなどにまた電力が売ることによって、そこからどの企業で転換するかということが始まっているわけで、ちょっとこの仕組みは、核燃料の話はややこしくなりますから、これ以上詳しくやっても皆さんにわかっていただきにくいかと思いますので簡潔にしておきますけれども、そんなごまかしはだめなんだよ。一番最初の契約というのは、どこの会社に転換をお願いするかということが決まってないんだから、それは原産国ナミビアということを書く以外にないんですよ。
資料がきちんと残されているならば、これはすべてが明らかになるんです。皆さんが焼却処分をしていない限り、全部明らかになりますよ。IQそれからIL、PL、必要な資料はあなたのところにあるわけだから、焼却していないならば。当時のものについて、提出をして明らかにするべきだというふうに思います。
そこで、私は細田大臣に伺っておきたいんですけれども、これはもともと、原子力委員会の七一年四月一日の決定でウラン資源確保対策懇談会が設置されて、このメンバーは、六人の原子力委員の方と、東電、関電、電事連などの電力代表の方が入って、金属鉱業会社の代表、動燃などの事業団も入り、通産省、科学技術庁の局長らが入ってこの懇談会をつくったわけです。
七一年六月二十五日に報告をまとめて、「大量のウランを確保するためには、引き続き民間において海外のウラン生産業者との間に、長期、短期購入契約を進めることが必要である。」と。この方針に基づいて、ナミビアのウラン、特に当時開発されていたウラン鉱山といったら、ナミビアというのは世界的に見ても非常に大きな量を占めていたんですよ。そことの契約をしてきたわけなんです。
問題は、この原子力委員会のお墨つきのもとに、国策としてナミビアからのウラン購入を進めてきたわけですから、国連決議に違反してでも進めるということでやってきてしまったと思うんですよね。政府の方は、総理大臣は、国連決議に基づいて、これは尊重して対処するんだと言っているんだけれども、しかし一方、当時の通産省、エネ庁の方は、原子力委員会の懇談会決定などでお墨つきを得たとして、ナミビアからのウランの購入はできないのに、国連決議に違反して進めていくということにしてきたということになるんじゃないですか。
○細田国務大臣 吉井委員おっしゃったとおり、昭和四十六年、一九七一年の四月、このころにようやく日本も原子力発電の設置が次々に進みまして本格化したころでございますが、そのころにウラン資源確保対策懇談会を設置し、審議を行いまして、長期、短期の購入契約をウラン生産者との間に進めることが必要であると結論づけたことは事実でございます。
しかし、海外からのウラン資源の確保に当たりまして、当然のことながら、関係する国際約束に従うことは必要であるという前提のもとで行われたものと考えております。
○吉井委員 国際約束というのは、当然のことながら国連決議が一番の国際約束だと思いますが、それに基づいてやってきたものと思うというふうにお考えですね。
○細田国務大臣 そういうふうに私は考えております。
先ほどの七一年の原子力委員会の結論でございますが、その後、七四年にナミビアの天然資源についてということで布告が行われておる。しかし、その前に行われている七一年の方針は、当然国際約束に違反してよいという内容は含まれないと考えております。
○吉井委員 国際約束も何も、もともとナミビア問題については、もっと早い時期から、きちんとした国連の方の、六七年のナミビア理事会設立とか、ずっと七〇年代前からあるわけです。
その間に、もともと、アパルトヘイト政策をとり、民主主義も自由も何もない、非常に抑圧状態にあるナミビアを軍事的に支配している南アの国の会社との契約を結ぶとか、そこから持ち出すとか、そのこと自体が無法なことであったわけなんですが、しかし、国連決議が出されたもとで、それでもそこから外へ持ち出すというのは、これは国際的な取り決め違反の、もう密貿易のたぐいなんですよ。そんなことはやっちゃならないわけで、それをやってきたというのが今の問題なんです。
だから、最初に聞きましたように、各電力会社は、このRTZについてもNUFCORについても、確認を求めても答えられない。何で答えられないんだ。最近の資料だったらちゃんと出しているんですよ。何で七〇年代のものは出してこないのか。出せないんですよ。これは、とんでもない国際的な密貿易をやっていたということになるからじゃないですか。
もし、そうじゃないというんだったら、エネ庁の方でやれといったってなかなか大変ですから、これは細田大臣の方で電力会社とかけ合って、私のこの求めた表ですね、七〇年代のナミビアのウラン鉱石購入をめぐる契約の相手方、契約量、引き取り期間、そして九〇年実績、これらについて、これはちょっと事務方の方では無理ですから、原子力担当の大臣としてきちんとこれを確認していただきたい。どうですか。
○細田国務大臣 貿易関係の所管というのは、前も今も、前の通産省、今の経済産業省でございますので、やはりそちらの方が基本であると思います。
私の方は、原子力政策の基本とそれから原子力安全政策、その両方の委員会を所管して監督する方の立場、あるいは基本計画を立てる方の立場でございますので、関係大臣とも協議をいたしますが、ぜひ委員からは経済産業省の方に依頼をしていただきたいと思います。
○吉井委員 何か、経産大臣に私から頼んでくれという話であり、何とも大臣が情けない話だと思うんですが、同じ内閣の中で言うのは当たり前でしょう。
しかも、あなたのところは原子力委員会を管轄しているわけですよ。原子力委員会が七一年四月一日の決定に基づいてウラン資源確保対策懇談会を設置して、そして六人の原子力委員も入って決めたのが、民間の方でもナミビアその他から長期にわたる契約を結んでということをやってきたんだから、所管の大臣が、あなたが経産省へ頼みたければ御相談されたらいいんですよ。私に頼むというのは筋違いじゃないですか。ちょっと答弁をやり直してください。
○細田国務大臣 七一年というと三十年前の決定でございますけれども、私どももずっと原子力委員会そのものは運営してきておりますので、できるだけ御意向に沿って調査をいたしたいと思いますが、その調査は、経済産業省に対して照会することによっていたしたいと思っております。
○吉井委員 三十年前、いかにも古い話のようにおっしゃるけれども、違うんだよ。九〇年ごろまでずっと、南ア制裁が解けたのは九四年ですよ。その間、ずっとナミビアから、南アの会社のNUFCORと契約してみたり、イギリスが多くの資本を出してつくっているにしても、RTZというところがナミビアにあるロッシング鉱山から掘り出して持ってきたり、あるいは、その契約を途中でごまかすために、RTZミネラルサービスというスイスの全くのペーパーカンパニー、世界で有名なほどのひどいペーパーカンパニーを使って、そこと大電力会社が契約を結んだりしているんですから。
こんなことは、経産省と一体となって調べるのが当たり前ですよ。お願いするような話じゃないですよ。原子力担当大臣の名がそれで通るのかなと私は疑問に思いますよ、そんなお話では。
これは、この一カ月ほど、ずっと私は経産省にこの内容でお話ししてきたんですが、電力の方がなぜ出せないかといったら、まさに電力はみんな知っているんですよ。七〇年代の最初に契約し、七〇年代後半から九〇年ごろまでナミビアから輸入してきたことは、これは国連の決議違反なんだ、安保理決議の違反なんだ、ナミビア理事会の布告違反なんだということをみんな知っているからですよ。違反して密貿易をやってきたことになるんですよ。だから、大変な問題だから出したがらないんですよ。
それだけの問題ですから、両大臣相談して、きちっと調べていただきたいと思います。
最後に、福田大臣に伺っておきますが、七七年までの間に日本の電力会社はNUFCORやRTZとのウラン購入契約を締結したわけですが、今お聞きいただいたように、U3O8の、鉱石の形のものもあれば六弗化ウランに転換してのものとかいろいろありますが、ナミビアかどこかわからない形にして、間に幾つかの会社をかませて、六弗化ウランという、転換企業をかませて転換して購入するなど、さまざまな策を講じてきたということは、私も調べてわかってまいりました。
電力会社と通産省、現在の経済産業省は、一体となって南ア制裁の国連決議を無視してやってきたんですよ。通産省は、原産国ナミビアというのでも全部オーケーを出して、輸入割り当てをやったり、インポートライセンスを出したり、ペイメントライセンスを出したりしてきたんですよ。全部これは知っているんだから。
だから、この構図は、東京電力の不正事件、内部告発を二年間隠してきたのと同じなんですよ。両者の間に深い癒着構造があり、経済産業省と電力会社の癒着問題、私がきょう提起した問題なども、やはり徹底して調べていただきたいんですが、それを、経済産業大臣といったって、経済産業省はもともと調査される側なんですから、電力会社と経済産業省のこの間の癒着問題については内閣としてきちんと調査して報告をしていただきたい、そのことを福田大臣に求めたいと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 お聞きしておりましたが、この問題について所管の官庁がしっかり対応すべきだというようにまずは思います。癒着があるのかないのか、これはその対応の中ではっきりするでしょう。しかしながら、いやしくも所管の官庁とそれから業界が疑念を持たれるというようなことがあってはならないというようには思っております。
○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
○佐々木委員長 以上で吉井英勝君の質疑は終了いたしました。
午後三時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後二時四十二分休憩
――――◇―――――
午後三時五十一分開議
○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。太田昭宏君。
○太田(昭)委員 今回も、竹中大臣には朝からずっと質問が続いていたかと思います。バケツをひっくり返したような事態というか騒ぎになっていると思いますが、私は、ここの委員会は金融担当大臣ではなくて経済の担当大臣ということで、関連ということで金融についても若干お聞きをしたいと思っております。
私は、現場をいろいろ回ってみますと、今回のことに限らず、この秋から貸し渋り、貸しはがしという事態は大変な事態になっていることを実感してならないわけですね。今回、それに加えて、もし、発表というか新聞報道されたようなことであるならば、四十兆とも五十兆とも言われる貸しはがしは起きる。先日、私は直接大臣にもお話を申し上げました。
そこで、とにかく定期預金が三千万あります。ところが、そこまで貸してくれるというのが、全然そうなっておりません。それどころか、その枠内ですらも貸してくれない。それで、運転資金とか毎年のリズムの中で返済をする。しかし、返済したらもう最後、新しく貸してくれないということを大変心配して、ことしの暮れは越せないのではないかということが現場の実感なんですね。
私もいろいろな人の話を聞いてみたりしますと、竹中大臣周辺の人にも聞きましたら、これは理論の混乱がありますよとかいろいろなことを言うんですが、私は、理論の整理というもの以上に、こういう理論でやります、そして、それが現実には、結果としてどういうふうに現場は受けとめるか、銀行はどういうふうに受けとめるかという、その銀行の動きというものも、ある意味では、動いている経済の動体視力というものが非常に大事なことではないかというふうに思っているわけなんです。
そういう意味で、第一に、まずこの貸しはがし、貸し渋りということについて、私は、徹底的に中小企業等をバックアップしてもらうという手を今回のことに限らずお願いをしたいというのが第一。
それから、あわせて、私、先日申し上げましたが、今回は、何のために竹中大臣のそうした提言等がなされたのかという目的がなかなかはっきりしない。ある意味では、公的資金を投入するためにやっているところがあるのではないかというようなことすらもある、目的をもっと明確にすべきであるということ。
同時にまた、税効果会計の問題等もありますけれども、そこで、貸し渋りという現場の実態というものに即した対応をぜひともお願いしたいということ。
それから、郵貯を民営化し、銀行を国有化するというようなことは、一体、全体的な戦略としてはいかなるものかという話が、優先株を普通株にするということの中から出ているわけですが、これらの三点についてお聞きをしたいと思います。
○竹中国務大臣 太田委員のお話の中で動体視力をしっかり持てという御指摘は、大変重要な御指摘であるというふうに思っております。重要なのは、中小企業の分野で特に信用が収縮している、この点をやはり経済の政策課題として直視するということが極めて重要であると思います。
しかしながら、これは、よく見てみますと、信用の収縮はもうずっと何年も起こってきている。銀行の貸出総額がバブルのときにGDPに比して非常に拡大してしまって、それが九〇年代の後半まで減らなかったんですけれども、それ以降、毎年毎年、大体二十兆とか三十兆とか、銀行の残高の収縮が続いている。
むしろ、今回の目的は何かという御指摘もありましたが、銀行が不良債権のために傷んで信用収縮をしていくような状況にストップをかけるということが、実は不良債権処理をしっかりと加速させて、自己資本をしっかりと持って、ガバナンスを強化して、この不良債権問題を終結させる最大の目的であるというふうに思っております。
その意味では、やはり自己資本をしっかりと充実してもらうことが大変重要になってくるというふうに私は思います。しかし、財務の内容が傷んでいる過程においては、今回発表したいと思っている総合的な金融システムの中で、中小企業を念頭に置いた新規の貸し手をどんどん参入させていくということも、これは総合的には大変重要な問題になっているというふうに思っております。
一方で、貸しはがし、貸し渋りのホットライン等々をしっかりと持って、不当な資産の圧縮を防ぎながら、しかし、やはり健全な銀行をつくることによってしっかりと信用を拡大していく。一方で、政府系金融機関等も時には使い、また、新規の参入も含めて中小企業に対する信用が確保されているような状況をつくるのが、これが我々金融庁、金融行政を担当する人間の最も重要な仕事であろうというふうに思っております。
最後にお尋ねがありました、民営化を進める中で公的なセクターの役割ということでありますが、これは一部に報道されていますように、国営化とかそういうことを目的にしているものでは断じてありません。
しかし、とにかく民間の金融機関、民間でできることは民間にというときは、民間が非常に健全で効率的でしっかりしているということを前提にしてそういう議論が成り立つわけですが、その民間がしっかりしていない段階では、やはり公的な部分がしっかり枠組みをつくれるときは枠組みをつくって、まず民間をしっかりさせるということが今必要になる。特にこれが金融の部門では必要になっているというふうに私は思いますので、そういった枠組みをつくって民間にしっかりした民間になっていただくというのが、民の力は民でという、民の力を活用するということの本来の意味であるというふうに思っております。
○太田(昭)委員 きょうは時間がそんなにありませんから、今お話しになった中小企業に対しての資産査定ということについては、資産査定の厳格化という厳格化の中身が、ディスカウント・キャッシュフローというようなことがいろいろ言われたりするんだが、むしろ資産査定に対して、中小企業に対して特段の配慮というものが私は必要であろう、そこを基本にすべきであるというふうに思いますが、いかがですか。
○竹中国務大臣 資産査定をしっかりとしていただかないと銀行が健全にならない、やはり、それはそれで大事なことであろうと思います。しかし、資産査定をしっかりするということの基本は、決して新しい何かの違った手法を取り入れるということではなくて、これは既に銀行は自己査定を行っておりますが、金融庁は金融庁でしっかりとした金融庁の査定を行っているわけでありますから、その金融庁の査定に合わせる形でしっかりと査定をしていただくというのがやはり最も基本的であり、ここが一番重要なところであろうと思っております。場合によっては、ディスカウント・キャッシュフロー等々を含めた新しい手法が必要になるというふうに思っておりますが、これは技術的な問題も含めて、中小企業に適用されるような話ではないだろうというふうに認識をしております。
もう一点、中小企業に対する金融という観点からは、今回は、当面の重要課題として、主要行を対象にした政策的な枠組みを議論する。もちろん、主要行の貸出先のこれまたかなりの部分は中小企業ではありますけれども、地域の中小機関等々、いわゆるコミュニティーバンキングといいますか、そういう世界については、これはやはり別の論理で動いている世界があるわけでございますから、それは別の問題としてしっかりと議論していくというような基本的な姿勢を持っております。
○太田(昭)委員 税効果会計の話の論議の中で私が痛感したのは、アメリカでは、不良債権の転売市場というのが非常に確立をされているという、そこの日米の違いなんですね。
私は、短期間に不良債権が売却できるとか、あるいは税制の優遇措置もあるとか、さまざまな形で不良債権の転売市場というものが日本はおくれている、ここをどうするかというようなことが非常に大事なことであろうというふうに思いますが、この辺はぜひとも、市場を形成するということに努力をするということをお願いしたい、こう思います。
○竹中国務大臣 税効果の話に関しましては、背景となる税法の違い等々を含めて、やはりバックグラウンドを踏まえた議論が当然のことながら必要であるというふうに思います。御指摘の転売市場もそのうちの一つかというふうに思いますが、これは、じゃ、しからば、どのようにしたらそういった市場が広がってくるんだろうかということに尽きるんだと思います。
先ほどから資産査定の厳格化を申し上げておりますけれども、資産査定がより厳格になされていって、そうしますと、銀行から見ると、貸付資産の簿価と時価が一致してくるわけでありますから、これをそういった市場でいわゆるオフバランス化をするということを加速させる非常に重要な誘因になるというふうに思います。
その際重要なことは、回収だけではなくて再生させる、企業を再生させるということを念頭に置いてそういった市場をつくっていくということであろうかと思います。やはり、それがなければ経済実態はよくならないわけでありますから、そのために、今回は、再生のための新たな仕組みを全政府を挙げてつくろうではないか、考えようではないかということが視野に入っておりまして、そこを重要な提言にしたいというふうに思っています。
そういった幾つかの措置を通じまして、御指摘のように転売市場というのは、要するに、資産がもっと有効に活用されていって企業も再生できるという話であろうと思いますので、そのような仕組みづくりに努力をするつもりでおります。
○太田(昭)委員 二十一世紀は二十世紀と比較して、インフレとデフレということを言うならばデフレの時代になるというふうに思うわけですね。これは、冷戦構造が崩壊をして、新しい労働力というのが市場に参入をしてくるという九〇年ごろからの動きというのは当然そうですが、これからますますそうした傾向は強くなるという中で、長期的な視野に立ってのまさにデフレ対策というのが必要になる。
そのときに、何といいましても経済の活性化戦略というのが私は非常に大事なことだというふうに思うわけです。非常に財政的に緊縮にしなくちゃいけないとか、いろいろなことで財政再建ということは当然視野に入れなくちゃならないんですが、一番やるべきは経済活性化の戦略というものが非常に大事だ。その点では、むしろ私は、この間の本会議でも言ったんですが、守りの対策ではなくて攻めの対策ということが非常に大事であるということを申し上げたいというふうに思っているわけですが、この攻めの対策、すなわち、将来に向けた自信と活力をもたらす積極的な、総合的な経済対策というのを打ち出すべきだ。これが一つ。
それから同時に、これは補正予算にも関連してくるんですが、技術開発という点において、この間のノーベル賞の田中さんのお話じゃないんですが、もっともっと日本のそうした知恵というものを生かしていく、そうしたことが非常に大事だ。公共事業の乗数効果が低下していると言われる。まあこれはカウントの仕方というのも私はあるかというふうに実は思っているわけですが、それはそれとして、この技術開発、産官学の連携というものをもっともっと進めていくという中で、一千億ぐらい投入すれば五倍ぐらいの生産誘発効果が見込まれるというようなデータもあるわけで、私はそこにもっともっと力を注いでいくべきだ、こういうふうに思います。
攻めの具体的な対策と、そして特に技術開発というものを中心にした産官学の連携ということについて、さらにもっと予算もつけるべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○竹中国務大臣 経済活性化を財政制約の厳しい現実を踏まえてどのように実現していくかということは、御指摘のとおり最大の課題であるというふうに思っております。
その中に攻めの姿勢を入れる、特に技術開発回りで工夫できることがあるのではないだろうかと。この攻めの点に関しては、ことしの骨太第二弾の中でいわゆる三十のアクションプログラムというのをつくっておりまして、その中の一つに、例の構造改革特区、鴻池大臣の御担当のも入ってくるわけでございますけれども、技術の問題に関しても、幾つかの新しい工夫をしているつもりでございます。
例えば、技術のシーズがあるんだけれども、それが商品化に結びつかないと言われるような分野に関しては、内閣官房で、それをどのようにしたら商品化が可能かというようなことについての調査を今真剣に行っているところでありますし、これは細田大臣の御担当のところで、幾つかの象徴的なプロジェクトに対して優先的にお金をつけるというようなこともやっている。
今回は、そういったアクションプログラムをより早く、より大きくやる。その中に税制の改革、来年の税制改革ですね、先行減税をやるということを総理は意思決定しておられるわけで、それをきちっと絡めてやっていくということが重要になっていると思っております。
今の段階では、どういうことができるかということをとりあえずパッケージとして議論をいたしまして、その後、どういう措置が必要になるかということを改めて総理の御判断で検討するということになっているわけであります。
○太田(昭)委員 今お話に出ました構造改革特区というのは、私も各地を回っていろいろな話を聞きますと、それを命綱にするような要望というのは非常に強いわけですね。
私は、この構造改革特区、また、都市再生本部がやっている都市再生の地域がもう指定されて動き始めているわけですが、この構造改革特区というのが、何となくどうもうまくいかないというような懸念が一方ではあり、一方では物すごく要望が強い、期待しているということについて、鴻池大臣、特に私は、神戸に行ってもそんなことを直接お話を聞いたものですから、ぜひともこれは力を入れていただきたいし、これは計算がなかなか難しいかもしれないけれども、どのくらいの経済効果というのがあるかというような点について、鴻池大臣にお聞きしたいと思います。
○鴻池国務大臣 経済特区、構造改革特区を担当せよと言われましてから、早いものでちょうど一カ月であります。室長以下二十六名、今、懸命に法案作成に努力をいたしているところでございますが、これはおもしろいと私は思いました。ある程度の知識はございましたけれども、四百二十六の提案を拝見いたしたり、それなりの理由を拝見いたしたりいたしますと、これはおもしろい。かつての長崎の出島のごとく、あるいは信長の楽市楽座のごときものではないかというふうなことも考えました。
そこで、ただいまの御質問の幾らぐらいかというのは、わかりません。できる限り御提案を今精査いたしまして、規制を外していく、規制改革していくという作業に入っておるところでございます。しかし、その経済的な効果は私はある程度見込まれると思います。
例えば、荒れ地に株式会社が入って耕してよいという農業の特区がございます。あるいは特老に株式会社が入ってよしというようなことも、それぞれの関係省庁の御努力によりましてこれが開けることに相なりました。そういうことから考えれば、いい意味で全国的にいいものが飛び火をしていけば、それなりの大変な経済効果あるいはそれ以外の活力というものが生まれてくるというふうに信じながらこれからも頑張ってまいるつもりでございますので、どうぞ先生の、あるいは委員の皆様方の御指導と御鞭撻をちょうだいしたいと思います。
○太田(昭)委員 最後になりますが、せっかく鴻池大臣来られているので、三宅島にこの間早速行かれたということで、私は大変評価したい、感謝したいと思います。
私は、ちょうど二年前の全島避難のときに三宅島視察に行きまして、その日に行ったものですから、帰りの船で三宅島の人たちと一緒に来ました。家族同然に犬を連れたり、鳥も鳥かごに入れたりして一緒に来まして、私は、おばあさんたちの荷物を担いで手伝ったりして東京に着いたことを覚えておりますが、二年たって、極めて特殊な状況でもあります。
私は、ここは特別法をつくるとか災害復興基金というものをやるとか、帰島が実現するとしても、住むところはもうめちゃくちゃになっているわけですから、公営住宅というものをつくって、そして手直しをしながらいかなくちゃいけないというようなこともありますし、ぜひともそうしたことについて、現場を視察されたという大臣が、しかも私がよかったなと思うのは、阪神大震災の経験もある大臣ですから、三宅島について相当バックアップするという決意をきょうは述べていただいて、やっていただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。
○鴻池国務大臣 この十五日にヘリコプターで島に参りました。その前段に、東京都庁の三宅村の役場に参りました。村長さん以下張り切って仕事をしておられましたので、励ましのお言葉も申し上げながら島に渡ったわけでございますが、聞いていたこと、また映像で見た以上に大変すさまじい光景だなというふうに思いました。
私が参りましたときは、ガスが一日五千トンから二万トン出ておる。最近は少々少なくなってきたと調査報告を聞いておりますけれども、それでもやはり、多いときで一万トンのガスが出ているというふうに聞いております。頂上の方まで御案内をいただきましたけれども、立木は全部皮がはがれて真っ白なまま立ち枯れている状況でした。ヤブツバキの緑がいささか頑張って咲いておるのに、一種の感動を覚えたようなところでございました。
今太田先生おっしゃいましたように、まさに悲惨な状況でございますが、ちょうど一時帰宅の方々とお目にかかる機会を得ました。バスで全員がお集まりになって、船に乗って帰られる瞬間でございました。バス一台ずつ回りまして、ごあいさつをして激励を申し上げました。必ず帰れる日があると思って、それを信じながら一緒に頑張りましょう、こう申し上げたわけでございます。
大変な状況だけれども、しかし、島民の皆さん方が二年間ここまで頑張っておられるわけでありますから、今までの施策というもの、ちょうど、ダムを一生懸命つくったり、クリーンハウスというんですか、作業員の方々がガスが出たときにそこへ入って泊まるというようなところも見学いたしました。そして、一時帰宅ではなく、二日でも三日でも島に帰れるようなハウスをつくるという現場も拝見してまいりました。
やはり、今委員おっしゃったように、二年を経過した時点で、三宅村も東京都も国もいかように考えていくかというようなことを、我々、御提案のものを含めまして検討をしていく必要のあるときではなかろうかと思っております。
ただ、ガスさえ引いてくれれば、島民みんな喜んで帰って、そしてもとどおりの心豊かな生活ができる、これも片一方では祈るような気持ちでございます。
○太田(昭)委員 ありがとうございました。
○佐々木委員長 太田昭宏君の質疑は終わりました。
次に、北川れん子さん。
○北川委員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。よろしくお願いします。
まず初めに、石原大臣の方に公務員制度改革大綱からお伺いしたいんですけれども、いわゆる通称天下りというものが人事院承認制から各省の大臣承認制に変わる、これはなぜ変えられるんでしょうか。
○石原国務大臣 ただいま北川委員御指摘の天下り、いわゆる再就職の問題は、もう古くて新しい問題で、国民の皆さん方の関心が大変高く、また批判の大きい点であると承知をしております。
そんな中で今回の改革は、これまで、第三者機関である人事院が承認基準の認定や、あるいは承認をゆだねる、承認をするしないを人事院にお任せしていたわけですけれども、それを今回、内閣自身がもっと厳格な承認基準をつくり、なおかつ内閣自身の総合調整のもと、各大臣の責任において再就職の承認を行うことによって責任の所在を明確化する、こういうことを仕組んだ制度だと御理解をいただきたいと思います。
○北川委員 責任の所在が明らかになっても、そのことにおける便益が、そのときには大臣でなかったりとかということもありますし、適切な運用といっても、それを検証する第三者機関という意味での人事院承認制の方が、少なくともまだ客観性が担保できるというふうに思っております。
この問題は、十月七日の新聞報道にもありましたように、いわゆる公共事業の業者みずからが、役人の老後は公共事業で賄っているんだと、何か自嘲ぎみな言葉を言うような空気をつくっていることに加担するというふうに思うのですけれども、大臣はかわっていきますし、第三者機関での検証というものが必要だとは思われませんでしょうか。
○石原国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたように、今は第三者機関である人事院にゆだねております。その結果、推移を見ていただければいろいろなことがわかってくるのですけれども、平成十二年と十三年で比べますと、承認基準に合っていれば再就職を認めざるを得ないということで一年で三十人程度ふえてしまうということも、この第三者機関が行うことでも現実では起こってしまいます。そういうことをやはり総合的に勘案いたしまして、内閣がこの承認基準というものを政令でしっかりと定めて、運用について内閣が責任を持って行う。
委員の御指摘は、大臣がかわってしまうからということでございますが、そういう点につきましても、だれだれ大臣のときにどういう方をどこに再就職を承認したということを公表することによりまして、幾ら大臣がかわろうとも、大臣がかわって急にお手盛りで十人天下っていたものが三十人になったら、その人は政治家としてかなり資質を問われることになるわけでございますので、そういうことがないようにしておりますし、さらに刑事罰も考えて、要するに、天下りを受ける企業の側等々があるということは、何らかベネフィットを受けるということが前提にあるというようなことがとかく言われておりますので、そういう、後輩に話をかけたり後輩にちょっと融通しろというようなことがわかった場合には、行為規制を設けて刑事罰を科す。二重、三重にこれまでよりも厳しくすることによって、ただいま委員が御指摘されましたような新聞の御批判というものにこたえていかなければならない。
今のままでは、やはり現状維持が精いっぱい、さらには、承認基準さえクリアしていればまた年度によってふえてしまう、そういう現実をも直視して改革案をまとめさせていただいたところでございます。
○北川委員 情報公開の担保はみずからおっしゃっていただきましたので、ありがとうございます。
しかしながら、公務員として仕事をしている中で得た資格や経験というものがまたさらに職の種になるというのはいかがなものか。やはり、不況の折には民間を公務員に採用していく、そういう御姿勢をもっと積極的に示していただきたいということを申し上げて、今後の取り組みを観察させていただきます。
お時間の方が、出ていかれるということですので、どうぞ、これで終わります。ありがとうございました。
では次に、警察の問題といいますか、昨今の不祥事とか不適切な行為とかという言い方でいろいろ、去年は、俗称機密費ですけれども、機密費の問題から、ことし六月一日に懲戒処分の指針なども一部訂正されたりということで、公務員の方々の倫理というものや公務員の処罰の対象も厳しくしていくということがあったと思うんです。
十三年度、十二年度、一九〇〇でいいますと、去年とおととしですから二〇〇一年と二〇〇〇年の懲戒処分の状況というのを表でいただいたんですけれども、多少やはり、減給、戒告という割と細かな、軽微な事案、不祥事がふえているように思うんです。
これらがふえているというふうに認識されているのか、ふえているというふうにみなされているのであれば、どういう土壌が警察の中でこういう事案を醸し出していると御判断されているのか、お伺いしたいと思います。
○吉村政府参考人 懲戒処分の状況についてのお尋ねでございますが、一番新しい数字で申し上げますと、平成十四年、ことしの一月から六月、上半期で、警察庁管区警察局と都道府県警察を含む全警察職員に対しましての懲戒処分者の数は三百十九人でございます。これは、前年同期、十三年上半期と比較をいたしますと、前年、十三年上半期が二百十五人でございますから、百四人増加をしております。
前年の数との増減理由を単純に分析することは困難ではございますが、最近は、飲酒あるいは異性等に絡む私行上の事案が目立っているということはうかがえるところでございます。
○北川委員 わかりやすい飲酒と異性等の信用失墜ということがふえているとみずからおっしゃっていますので、わかりやすいことが起きているということは、やはりかなり職場の空気というものが緩んでいるというか、それとストレスがたまる要素が多分にある、そういうことにかかわってくると思いますので、ぜひ不祥事が大事に至らないように、そういうものが空気として流れないような警察、開かれた警察というものをどういうふうにつくり上げていこうと思っていらっしゃるのか、教えていただけますか。
○吉村政府参考人 先ほど御説明いたしましたように、私行上の事案がふえておるわけでありますが、大きく懲戒処分の事案を見ますと、私行上、私の事案と業務上の事案とに分けられると思います。
警察におきましては、私行上の事案はもちろんでございますけれども、ポイントはやはり業務上の不祥事案の絶無を期すということが一番重要であると考えておるところでございます。そのために、発生をいたしました一件一件、具体の事例につきまして、その原因を十分に分析した上で、具体性がなければ余り訴えるところがないわけでありまして、内部の職員に対しまして、具体的に非違事案未然防止のための対策を今後とも講じていきたいと思っております。
それから、平成十二年の国会での警察法の一部改正におきまして、国家公安委員会あるいは都道府県の公安委員会が従前より警察の内部における監察に関する権限が強化をされたこと等がございますので、公安委員会から適切な管理、指導を受けながら、今後とも、職務倫理教育の充実、あるいは業務上の不祥事案防止を図るための幹部による指揮監督あるいは業務管理の徹底ということの諸施策につきまして、都道府県警察を私どもとしても指導してまいりたいと思っております。
○北川委員 指導の徹底をしていただくということでありますので、ぜひやりがいのある仕事、警察というところは、救済というか、人々への不安や恐怖から逃れさせてあげる、そういう大事な役目を担っていらっしゃると思いますので、そこの方が当事者よりも不安や恐怖を抱えて仕事をしているという事態だけは少なくとも未然にキャッチできるようなシステムというものをとっていただきたいということをお願いしたいと思います。
それで、きょう、検察庁の方にもお伺いしたいわけですけれども、加害者への担保というものは幾ばくか戦後つくられてきて、昨今、犯罪被害者への目の向け方というものが充実されてきたという点において少しお伺いをしたいわけですけれども、きょうお伺いしたい事案は、例えばあいまい性が高い事案についてお伺いします。
例えばどういうことを言うかといいますと、自殺とも断定できないけれども他殺とも断定できないとか、殺人とも断定できないけれども交通事故とも断定できないとか、病死とも断定できないけれども交通事故とも断定できないとか、例えば拉致もそうだと思うんです。拉致とも断定できないけれども行方不明とも断定できない、誘拐とも断定できないけれども拉致とも断定できない。断定できないものの間の幅に対して警察というものは、救済とかシステム的な充実をどう図っていかれようとしているかということについてお伺いをしてみたいと思うんです。
刑事訴訟法四十七条があります。そこにはこう書いてあるわけですね。「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」これは初動捜査の段階からかぶせられる法ということですので、警察が初動捜査で出かけていった交通事犯に関しては、これは四十七条がかかってくるので公開はできないというふうに読めます。その後に、「但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」という担保事項があるわけですが、昨今いかがになっているんでしょうか。
不起訴の記録の閲覧要求というのが、新聞などでは、被害者側また親族側から要求されているケースが、少年法のときにもありましたが、見たいという欲求度が高まってきているというふうに聞いていたわけですけれども、この昨今の現状を少しお述べいただけますでしょうか。
○樋渡政府参考人 今委員が御指摘になられましたように、刑事訴訟法に四十七条という規定がございます。不起訴記録につきましても、関係者のプライバシーを保護し、または捜査、公判に対する不当な影響を防止するため、刑事訴訟法四十七条により原則として公開が禁じられておりますが、同条のただし書きによりまして、「公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」とされておるところでございます。
他方、犯罪被害者の保護の必要性にかんがみまして、交通事故による事件を含め、不起訴記録につきましては、被害者等が民事訴訟等において被害回復のため損害賠償請求その他の権利を行使するために必要と認められる場合におきまして、客観的証拠で、かつ、代替性がなく、その証拠なくしては立証が困難であるという事情が認められるときには、記録の開示を認める運用を行っているところでございます。
○北川委員 パーセンテージでお答えいただけるかなと思っていましたら、今そういう文言でお知らせいただいたので、私はきのうパーセンテージをいただいていたので、年々、開示のパーセンテージが、九四・九%、去年は九八・五%、ことしは九八・五%と、見せてほしいと言えばほぼ一〇〇%に近い部分が、ただし書きから以降の公益上の必要があるとお認めになって開示をされているということを知りました。
こういうような事態を生み出したのは、何がこういうふうな状況を警察や検察庁に生まれさせたのでしょうか。何だと思われますでしょうか。
○樋渡政府参考人 先ほど説明申し上げましたように、不起訴記録につきましては、従来、刑事訴訟法四十七条により、原則不開示とする取り扱いがなされておりましたが、近時、犯罪被害者に対します配慮とその保護のための諸政策を講じることが重要な課題となりましたことから、被害者等に対する不起訴記録の開示のあり方について改めて検討を行いまして、平成十二年二月から、不起訴記録の開示につきまして、先ほど申し上げたような弾力的な運用をしているところでございます。
○北川委員 主語がちょっとなかったわけですけれども、私自身は、考えますところ、やはり、その死体になられた方、また、死に至る状況に置かれた方に対しての思いが強い方々、なぜこんな状況になったのかということを知りたいという側の、事実が何であったかという、そういう欲求度が高まってきたからだというふうに思いますけれども、多分警察や検察庁もそういうふうに思っていらっしゃるんではないかというふうに思います。
そこで、私も初めてこういう仕組みを知ったわけですけれども、検察審査会というのが一九四八年から営々と、十一名の陪審員のような形で、客観担保ができる制度として仕組みが組まれているというふうにお伺いしました。
それで、この不起訴になった分に関して、どうして不起訴になるのという、不起訴と断定されたものが正しいかどうかをここで審査をするという制度ですから、一つの異議申し立ての入り口にはなっていると思うんですが、ここで出た判断が、いや、まだ納得できないといった場合には、システム的にどういうふうな救済方法があるんでしょうか。
○樋渡政府参考人 お答えいたします。
検察官の公訴を提起しない処分の当否に関します検察審査会議の議決に対しましては、残念ながら不服申し立て等の救済主体は現在ございません。
○北川委員 ぜひここで谷垣大臣に知っていただきたいわけですけれども、警察の初動調査から始まって検察へ送られて、部署も変わっていきます。けれども、大体の事故や事件というのは予測できない状況の中に当事者も周りの者も陥れられていくという状況がありますので、ぜひこの検察審査会がもっと活発に動くようにしていただきたい、それは予算立てもそうだと思いますが。
それと、ここの判断がすべてにならざるを得ないということが先ほどの御答弁であったと思うんですけれども、ここの判断さえもやはり認めることができないんだというふうに言われている方がいらっしゃいます。
氷山の一角で、たくさんいらっしゃると思うんですが、たまたまこれは、「警察十年の大嘘を暴く」ということで、ある死体の傷をもとに警察が判断した病死が妥当であろうという判断と、いや、これはひき逃げとするのが妥当である、これを十年、警察にいろいろな公開質問状を送ったり請願書を送ったりお話しに行ったりということで繰り返されている木村荘一さんというのが自費出版のような形で出していらっしゃる御本なんですね。
目撃者もいない、そして自己責任にされてしまった場合のその不当性に対して、大臣などはいかがでしょうか。きょう午前中には石井紘基元衆議院議員の問題などもありました。今度は動機が何かということを知りたいと思うのが愛する人たちの気持ちだろうと思いますよね。常に真実を知りたいといった側への、大臣、新しくなられましたので、どういうふうに御決意を持たれているか、ぜひお伺いしたいと思います。
○谷垣国務大臣 まず、一般論から申し上げますと、警察が捜査をしまして、それで起訴するかどうかというのは検察官がその権限を持っておられるわけですが、捜査をしまして、やはり我々は、法と証拠に基づかないで犯罪をでっち上げるというようなことは、これは許すべからざることでございますから、やはり法と証拠に基づいてきちっと捜査をして、その上でこれが、ここに犯罪ありというふうに判断できれば、我々の方からは検察に送致をして、そして検察官の方でしかるべく起訴するかしないかという手続をとられる。だから、我々からすると、法と証拠に基づいた捜査をきちっとするということがまず第一だろうと思います。
しかしながら、今、北川先生がおっしゃっておられることは、警察の側では常に法と証拠に基づいて捜査を遂げなきゃならないんですが、目撃者もいなかったり、いろいろなときの、事故と申しますか、そういうときになかなか、さっきおっしゃったように、これは例えばひき逃げであるとも断定できない、しかし、倒れて、病気とかとっさのいろいろな、脳出血とかあるかもしれませんが、何とも断定できないということがやはりあり得るんだろうと思います。そういうときに、犯罪だと考えられないものを事件として持っていくわけには警察の立場としてできないわけですが、私は、やはりこれから警察の捜査のあり方として考えなければならないことは、被害者の視点に立った捜査というものをできるだけ心がけていくということではないかと思います。被害者やあるいはその御家族のお気持ちもよく聞きながら捜査を遂げていくということになるんだろうと思います。
警察におきましても、その辺、捜査員の教育等、今いろいろ心がけていることと私は思っておりますが、そういう被害者の視点に立った捜査を遂げていくように、私も国家公安委員長として督励いたしたいと思っております。
○北川委員 どうもありがとうございます。後で大臣の方にお届けしたいと思いますので、十年間の時間の長さという意味においてぜひ読んでいただきたいし、法も時代とともにつくることができるし、変わっていきます。
それから、証拠のことなんですけれども、初動のときの証拠の保全と、それの客観事実をどうお互いが共有できるかといった問題において、救急病院で運ばれたところにたまたま外科医の先生がいらっしゃればとてもありがたいんですが、日本の体制はそういうふうにはなっておりません。たまたま専門分野は全然違うというケースも多いというふうに聞いております。その点なども含めて、これから被害者の方に目を向けていただけるというお言葉をいただきましたので、よろしくお願いをいたします。
次に、文科省と原子力安全委員会の方にお伺いをしていきたいと思うんですが、これはきのう発売になった「プレイボーイ」であります。これは福井県の方ではきょう発売ということですが、この中に、「もんじゅ」というものが福井県敦賀市にあるわけですけれども、タイトルがこうなっているわけです。「オレらの税金が原発「夜の研究開発費」に流用されている!!」
これは、財政法違反とか機密費の問題のときにもいろいろあって、同じ問題をまたやっていて、官官接待もしくはマスコミ接待を、二〇〇一年六月五日に安全審査の、許認可の工事の申請をされていますよね。原子炉設置変更の届けを出すのが去年の六月五日。その前の年の二〇〇〇年の暮れぐらい、十月から以降かなり頻繁にやっていらっしゃるというのが、情報公開制度ですから、情報公開で引いてわかったということを記事にした文でありまして、きょうは地元の方がこういうB4の裏表で、六千戸世帯に新聞の折り込みも入れました。ぜひ「プレイボーイ」を読んでみて、きょうのにこんなことが書いてあるよと。
私たち、二十三万人の署名を出したというふうにもお伺いしています。「もんじゅ」の停止に関しましては、再開はやめろという意見、そしてまた各周辺市町村は、三十五のうち三十市町村が意見書を上げています。「もんじゅ」再開に向けては、慎重からやめろというものまで上がっているというのが現実でありますが、このきのう発売の「プレイボーイ」に書いてある事実は事実でしょうか。これは文科省担当になられるんでしょうか。いかがでしょうか。
○白川政府参考人 お答え申し上げます。
核燃料サイクル開発機構の会議費の執行の問題でございますけれども、本件は、実は昨年、サイクル機構の予算、定員管理に係る問題が出てまいりました。その折に、その問題への対応の一環といたしまして、昨年の五月に、私ども文部科学省の方からサイクル機構に、会議費の支出について徹底的に適正化を図るよう指示をいたしまして、サイクル機構においてこれまでにも、会議費の支出基準の改正とか定期的な確認をきちんと行うといったような改善を図っておるところでございます。
それで、先生御指摘の週刊誌に報じられた件でございますけれども、これはサイクル機構の敦賀本部でございますが、そこにおきます平成十二年度の会議費の執行等に係る問題でございます。これにつきましては、やはりまず事実関係をきちんと調べることが必要であると考えておりまして、そのために、既に、大臣の御指示もございまして、十月の二十八日、おとといでございますが、サイクル機構の理事長に対しまして、事実関係についてきちんと調査を実施して文部科学省の方に報告をするよう指示をしたところでございます。
私どもといたしましては、サイクル機構の報告を受けまして、サイクル機構が適切な業務運営を行うよう指導してまいりたいというふうに思っております。
○北川委員 管轄の省庁の今の御意見では、別に大したことないじゃないかと。財政法違反もあり、もしかしたら詐欺かもわからないし横領かもわからない。詐取、窃取、先ほど言いました公務員の倫理規程も、そこまでいくと免職なんですね。
これは、本部長代理とか「もんじゅ」の所長とかという人が対応しているという伝票が情報公開で出されているわけですよ。県議とか市議、相手の名前は出ていません。出してくれないわけですね、黒塗りで。ここにそれの出金票とか領収書とかもありますが、例えば二〇〇〇年の十月二十三日は、東京で市議会も県議会の議員も両方接待しているわけですよ。十一月二十二日だったら、まず夕方六時から九時までは県議を接待し、夜の九時以降マスコミを接待している。そういう記録が残っているわけなので、理事長に聞くんじゃなくて、当事者の本部長代理か「もんじゅ」の所長、同じ人なんですよね、にお聞きになった方が早いんじゃないですか。
○白川政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、今回新たに週刊誌の方に報じられました事案につきましては、週刊誌の方に報じられておりますような不正な支出が行われたかどうかという点も含めまして、きちんと事実関係をまず把握する必要があるというふうに考えておりますので、先ほど申し上げましたように、サイクル機構、組織としてきちんと事実関係について調査をして報告をするように指示をしておるところでございますので、その報告を受けまして厳正に対処してまいりたいというふうに思っております。
○北川委員 これは委員長にお願いをしたいわけですが、サイクル機構は去年四月三日も、裏金づくりを二十年やっていた、期中節約費や社内調整費というもののありようも問われていますし、きょうはたまたままた、三年間に及んで千二百億円も申告漏れがあったわけですよ。
彼らは、税金というものが八割も投入されているという実態の自分たちの足場を見ていないということがありますので、すごく生ぬるい調査に着手しようと文科省はしているように思いますけれども、これは事実の報告書をこの委員会に提出するということをぜひ要求していただきたいということを委員長に要求したいんですが、いかがでしょうか。
○佐々木委員長 理事会に諮りまして処置を考えたいと思いますので、御了承ください。
○北川委員 私も理事会の一人なんですけれども、オブ理事ということで、なかなか難しい点もございますので、委員長の御英断を含めてよろしくお願いをしたいと思います。
○佐々木委員長 どうぞ、理事会でまた御提案ください。
○北川委員 それで、先ほど財政法違反だと言った点は、なぜ接待が、大したことないじゃないか、接待なんかよくあるんだ、そこで意見交換した方が、お酒、先ほども警察のことでありましたけれども、やはり賭博、お酒、これは飲まれちゃいけないというのが鉄則ですよね。本音を言い合うことはできるんですけれども、なかなか難しい。
これはその以前の問題で、この予算科目が、高速増殖炉研究開発費、管理費という目から使われているわけですよ。これはいいんでしょうか。
○白川政府参考人 お答え申し上げます。
予算科目上、「もんじゅ」等の研究開発費が会議費として支出されたということにつきましては、一般論としては、「もんじゅ」の研究開発の推進に必要な範囲の支出であったとすれば容認し得るものと考えておりますが、しかしながら、先ほども御答弁申し上げましたように、平成十二年度の会議費の執行について、頻度、額等について社会通念上常識の範囲を超えるようなものがあったということでございましたので、昨年、平成十三年五月でございますけれども、文科省の方からサイクル機構に、会議費の支出について徹底的に適正化を図るよう指示を既に出しておりまして、サイクル機構におきまして、既に会議費の支出基準の改正とか定期的な確認を行うよう改善を図っておるところでございます。
○北川委員 すごい通り一遍の御回答で、すごく残念に思います。
この審査を去年出されて、大体一年後にどうするかということを決める重要なポイントを握っていらっしゃるのが原子力安全委員会なんですね。原子力安全委員会の松浦委員長にもきょうお越しをいただいているわけですけれども、「もんじゅ」再開に向けて、一年がもう過ぎましたが、どのようなめどを持っていらっしゃるのか、現状を教えていただけますでしょうか。
○松浦参考人 原子力安全委員会、松浦でございます。お答え申し上げます。
現在、原子力安全委員会では、行政庁から諮問を受けまして第二次審査を行っております。現在、第二次審査の最中でございますので、まだ、いつ審査を終了するということは、現在は申し上げるのを差し控えさせていただきたいと思います。
○北川委員 では、一年ぐらいがめどというふうに大まかに思っていたわけです。今、この「もんじゅ」に向けては裁判も行われているという現実がありますし、なぜ一年を過ぎたのでしょうか。
○松浦参考人 お答え申し上げます。
安全審査におきましては、原則的にいつもそうでございますが、いつまでに審査を終わるということのめどを申し上げることはございません。これは、安全審査がしっかり終わるまで行うということでございます。
○北川委員 その中に、不祥事または税金、公金の不正な使われ方というものは考慮の範囲に入るんでしょうか。
○松浦参考人 お答えします。
今の御質問のような項目に関しましては、原子力安全委員会の所掌ではないと考えております。
○北川委員 なぜ現実を見ないんですか。
○松浦参考人 原子力安全委員会が行います審査というのは、経済産業省からこの設置許可を行っていいかどうかということについての問題が指摘されまして、それについて、それが妥当であるかどうかを科学技術的な観点から審査するというのが仕事でございます。今先生がおっしゃいましたようなことは、諮問の対象になっておりません。
○北川委員 人間がやることに対してへの厳しい目がやはり科学の場にないという事実は、「もんじゅ」は、はっきり言ってナトリウム火災は絶対起こらないと言っていたわけですよ。それが起こってしまえば、起こりますよという感じで居直られてきて、本当にこの怒りは全国に充満しているわけですね。
そして、それを動かしている本人たちが、二〇〇一年に向けて、自分たちの優位に、自分たちが願うことに関して一番どこをポイントとして押さえれば、例えば、きっちり、福井新聞なんかも記事の出し方がやはりこれを契機に変わってきているわけですよ。検証ができるわけですよ。押さえているわけです。そういう人たちがやっているということに関して、どうして審査の対象にならないんですか。
○松浦参考人 御指摘の点に関しましては、私どもは、それは所管官庁である文科省の方が裁量されることだと存じ上げております。
○北川委員 文科省がだめだから原子力安全委員会に言っているんじゃないですか。
○松浦参考人 いいえ、それは先生御指摘の視点が違うんではないかと思います。「もんじゅ」の施設に関して科学技術的な視点から審査するというのが私たちの仕事でございますので、これは私たちは、私たちの仕事として認識しているところを進めるところでございます。
○北川委員 物を動かしているのは人間であって、隠ぺい体質や同じことを繰り返しているということに関して、もう少し松浦委員長の方も目を向けていただきたい。そのことが視野に入らないという言い方は、立場上わかりますよ。
そうしたら、次にお伺いしたいわけですけれども……(発言する者あり)立場でおっしゃっているということはわかるということです。
松浦委員長の方にお伺いしたいわけですけれども、関西の方で公開討論会の開催を求めますということを、十月十九日、福井において置かれたシンポジウムの席でも御発言がフロアから出たのを、私も同席しておりましたので、そういう要望があるということの声の大きさというものを確認したわけですが、松浦委員長は声の大きさを確認されたのかどうかといった点と、これは開催できないんだ、福井でやればいいじゃないか、福井にある「もんじゅ」だからと、そういう言い方の中に、事務局の方から、ではなぜできないのかと聞きましたところ、関西は近いから福井一カ所でよい、予算がない、委員は忙しいから応じられないということでお断りになったというふうに聞いているんですが、これは事実ですか。
○松浦参考人 お答え申し上げます。
原子力安全委員会は、広く一般国民の方々から原子力安全に関する御意見を伺いたいということで、一昨年、平成十二年八月から、全国いろいろなところでシンポジウムを七回にわたって行っております。
今般十月十九日に福井で行いましたのは、先ほど先生御指摘の「もんじゅ」に関して福井の方で非常に関心が高いということ、それから、福井県は十五基の原子力発電所が動いているということで、原子力安全に関する御関心が非常に高い、そういうことで、福井で「もんじゅ」とそれから防災をテーマにしてシンポジウムを開かせていただきました。
先ほど先生御指摘のように、そのときに、関西の方で開いてくれということをおっしゃったことは、私も十分認識しております。しかしながら、そのときに、既に関西から、先生を初め相当多くの方が京阪神からおいでいただきまして、非常に熱心に御討議をいただきました。我々は、一般の国民の方々から原子力安全に関する御意見を伺うのは非常に貴重な機会だと思っておりまして、全国いろいろなところで広く行いたいと思っております。関西でというお言葉ですが、「もんじゅ」に関してはやはり福井で開くのが妥当だと思ったものですから、福井で開いたわけでございます。
今後もいろいろな全国各地で開きたいと思いますけれども、先般の関西の方々からの御意見は、相当に専門的にレベルの高い御質問でございました。こういうものにつきましては、ああいうシンポジウムで議論いたしますと、一般参加者の方からは、あれはよくわからないというふうに言われるというふうに認識しております。したがって、この間のような御質問は、我々としては、原子力安全意見・質問箱という窓口を開いておりますので、そこへ御質問いただいて、原子力安全委員会で審議してきちんとお答えする、そういうことでお答えしたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
○北川委員 三百人ほどいらっしゃった中で、とても高いレベルの議論に、皆さん黙ってギャラリーは聞いていらっしゃったという現実も私は拝見させていただいております。技術のレベルに関しては、同じような意見をちょうちょうはっしやれるように、こちら側のフロアの皆さんの、意見を聞きたいという声も高いということをお伝えして、ぜひもう一度御再考いただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で北川れん子さんの質疑は終了いたしました。
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○佐々木委員長 第百五十四回国会、内閣提出、警備業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。谷垣国家公安委員会委員長。
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警備業法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○谷垣国務大臣 ただいま議題となりました警備業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、最近における警備業の実情にかんがみ、警備業者等の欠格事由について、暴力団員と密接な関係にある者等を追加するとともに、精神病者に係る事由の見直しを行うほか、変更の届け出手続を簡素化すること等をその内容としております。
以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、警備業者等の欠格事由に関する規定の整備についてであります。
その一は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定による一定の命令等を受けてから三年を経過しない者を、警備業者、警備員、警備員指導教育責任者及び機械警備業務管理者の欠格事由に追加するとともに、暴力団員等がその事業活動に支配的な影響力を有する者等を、警備業者の欠格事由に追加することとするものであります。
その二は、精神病者に係る欠格事由のうち、警備業者、警備員及び機械警備業務管理者に係るものを、心身の障害により業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるものに改めるとともに、警備員指導教育責任者に係るものを削ることとするものであります。
第二は、変更の届け出に関する規定の整備についてであります。
これは、警備業者は、一定の事項の変更に係る届け出書については、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会にのみ提出すれば足りることとするものであります。
その他所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律の施行日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
○佐々木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十一月一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時散会