衆議院

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第4号 平成14年11月6日(水曜日)

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平成十四年十一月六日(水曜日)
    午前九時五分開議
 出席委員
   委員長 佐々木秀典君
   理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君
   理事 渡辺 博道君 理事 伊藤 忠治君
   理事 細野 豪志君 理事 河合 正智君
   理事 西村 眞悟君
      石田 真敏君    大村 秀章君
      奥山 茂彦君    嘉数 知賢君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      菅  義偉君    砂田 圭佑君
      高橋 一郎君    谷本 龍哉君
      近岡理一郎君    林 省之介君
      菱田 嘉明君    石毛えい子君
      岩國 哲人君    大畠 章宏君
      長浜 博行君    山花 郁夫君
      山元  勉君    横路 孝弘君
      太田 昭宏君    吉井 英勝君
      北川れん子君
    …………………………………
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   国務大臣
   (科学技術政策担当大臣) 細田 博之君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   内閣府大臣政務官     木村 隆秀君
   政府参考人
   (人事院事務総局勤務条件
   局長)          大村 厚至君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   山本繁太郎君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    奥村萬壽雄君
   政府参考人
   (総務省人事・恩給局長) 久山 慎一君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          荒木 慶司君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         尾嵜 新平君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           河村 博江君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議
   官)           坂野 雅敏君
   政府参考人
   (経済産業省貿易経済協力
   局貿易管理部長)     細川 昌彦君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・
   ガス事業部長)      迎  陽一君
   参考人
   (原子力安全委員会委員長
   )            松浦祥次郎君
   内閣委員会専門員     小菅 修一君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月六日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     菱田 嘉明君
  谷川 和穗君     砂田 圭佑君
  大畠 章宏君     長浜 博行君
同日
 辞任         補欠選任
  砂田 圭佑君     谷川 和穗君
  菱田 嘉明君     石田 真敏君
  長浜 博行君     大畠 章宏君
同日
 辞任         補欠選任
  石田 真敏君     金子 恭之君
同日
 理事西村眞悟君同月一日委員辞任につき、その補欠として西村眞悟君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十一月五日
 透明で民主的な公務員制度改革の実現に関する請願(楢崎欣弥君紹介)(第一号)
 同(山田正彦君紹介)(第二号)
 同(井上和雄君紹介)(第二七号)
 同(植田至紀君紹介)(第二八号)
 同(大石正光君紹介)(第二九号)
 同(大谷信盛君紹介)(第三〇号)
 同(鍵田節哉君紹介)(第三一号)
 同(金子善次郎君紹介)(第三二号)
 同(川内博史君紹介)(第三三号)
 同(北橋健治君紹介)(第三四号)
 同(桑原豊君紹介)(第三五号)
 同(重野安正君紹介)(第三六号)
 同(城島正光君紹介)(第三七号)
 同(鈴木康友君紹介)(第三八号)
 同(達増拓也君紹介)(第三九号)
 同(中川正春君紹介)(第四〇号)
 同(長浜博行君紹介)(第四一号)
 同(葉山峻君紹介)(第四二号)
 同(鳩山由紀夫君紹介)(第四三号)
 同(原陽子君紹介)(第四四号)
 同(伴野豊君紹介)(第四五号)
 同(藤村修君紹介)(第四六号)
 同(細川律夫君紹介)(第四七号)
 同(牧義夫君紹介)(第四八号)
 同(牧野聖修君紹介)(第四九号)
 同(山内惠子君紹介)(第五〇号)
 同(山田敏雅君紹介)(第五一号)
 同(山田正彦君紹介)(第五二号)
 同(山元勉君紹介)(第五三号)
 同(横光克彦君紹介)(第五四号)
 同(安住淳君紹介)(第七七号)
 同(今川正美君紹介)(第七八号)
 同(大島敦君紹介)(第七九号)
 同(奥田建君紹介)(第八〇号)
 同(後藤斎君紹介)(第八一号)
 同(今田保典君紹介)(第八二号)
 同(佐藤敬夫君紹介)(第八三号)
 同(手塚仁雄君紹介)(第八四号)
 同(土井たか子君紹介)(第八五号)
 同(土肥隆一君紹介)(第八六号)
 同(東門美津子君紹介)(第八七号)
 同(中井洽君紹介)(第八八号)
 同(中西績介君紹介)(第八九号)
 同(中村哲治君紹介)(第九〇号)
 同(日野市朗君紹介)(第九一号)
 同(平野博文君紹介)(第九二号)
 同(前田雄吉君紹介)(第九三号)
 同(松野頼久君紹介)(第九四号)
 同(山井和則君紹介)(第九五号)
 同(山元勉君紹介)(第九六号)
 同(五十嵐文彦君紹介)(第一〇六号)
 同(江崎洋一郎君紹介)(第一〇七号)
 同(大島令子君紹介)(第一〇八号)
 同(鎌田さゆり君紹介)(第一〇九号)
 同(五島正規君紹介)(第一一〇号)
 同(近藤昭一君紹介)(第一一一号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第一一二号)
 同(田中慶秋君紹介)(第一一三号)
 同(玉置一弥君紹介)(第一一四号)
 同(土田龍司君紹介)(第一一五号)
 同(野田佳彦君紹介)(第一一六号)
 同(樋高剛君紹介)(第一一七号)
 同(前原誠司君紹介)(第一一八号)
 同(松本剛明君紹介)(第一一九号)
 同(松本龍君紹介)(第一二〇号)
 同(山村健君紹介)(第一二一号)
 同(山元勉君紹介)(第一二二号)
 同(渡辺周君紹介)(第一二三号)
 同(大出彰君紹介)(第一二八号)
 同(金子哲夫君紹介)(第一二九号)
 同(後藤茂之君紹介)(第一三〇号)
 同(島聡君紹介)(第一三一号)
 同(高橋嘉信君紹介)(第一三二号)
 同(平岡秀夫君紹介)(第一三三号)
 同(松崎公昭君紹介)(第一三四号)
 同(水島広子君紹介)(第一三五号)
 同(山元勉君紹介)(第一三六号)
 同(荒井聰君紹介)(第一四一号)
 同(伊藤英成君紹介)(第一四二号)
 同(一川保夫君紹介)(第一四三号)
 同(熊谷弘君紹介)(第一四四号)
 同(樽床伸二君紹介)(第一四五号)
 同(中塚一宏君紹介)(第一四六号)
 同(日森文尋君紹介)(第一四七号)
 同(松原仁君紹介)(第一四八号)
 同(山元勉君紹介)(第一四九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 古物営業法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十四回国会閣法第六八号)
 内閣の重要政策に関する件
 栄典及び公式制度に関する件
 男女共同参画社会の形成の促進に関する件
 国民生活の安定及び向上に関する件
 警察に関する件


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     ――――◇―――――
佐々木委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に西村眞悟君を指名いたします。
     ――――◇―――――
佐々木委員長 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、内閣府政策統括官山本繁太郎君、警察庁警備局長奥村萬壽雄君、総務省人事・恩給局長久山慎一君、総務省自治行政局公務員部長荒木慶司君、厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君、厚生労働省社会・援護局長河村博江君、農林水産省大臣官房審議官坂野雅敏君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長細川昌彦君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長松浦祥次郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩國哲人君。
岩國委員 おはようございます。岩國哲人でございます。民主党を代表いたしまして、行政改革について幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 最近新聞を見ますと、道路の問題あるいは郵政の問題、小泉政権における重要課題が連日のごとく紙面をにぎわしておりますけれども、郵政にしても道路改革にしても、上下一体とか上下分離とか、ますますわからない方にばかり議論が走ってしまって、どの程度こういった重要課題について一般の人の理解が進んでおるのか、甚だ疑問に思います。
 国会の中では、一般庶民の、一般納税者のわからないような議論ばかりが飛び交っている。例えば道路問題についても、上下一体とか上下分離という言葉が毎日のように新聞には出てきますけれども、具体的にその内容はどれだけわかっているものなのか。例えば、島根県の出雲市の駅前で百人の人に聞いてみて、上下一体がいいのか上下分離がいいのか、それは一体何事ですか、その程度の関心。もちろん、上下一体がいいか上下分離がいいか、わかる人は百人に一人もおらないのです。私の住んでいる世田谷は少しましかもしれませんけれども、隣の杉並区の永福町の駅前で百人の歩いている人に聞いても、どっちがいいかという意見が言える人はやっと百人に一人ぐらいの話。丸の内の三菱商事の建物の前で、昼休み、百人の三菱商事の社員に聞いても、百人に二人が答えられる程度。
 一体こんなことで国会が機能を果たしているのか。行政改革というのは、役所の組織を右につけかえたり左につけかえたり、そういうことではなくて、あくまでも、国民にわかりやすく、政治が国民の暮らしをよくするために役所のサービスをどうよくしてくれるかという原点がもうすっかり忘れられているんじゃないかと私は思うんです。役所が残したツケをどう返すかという話であったり、役所の権限をあっちへ持っていったりこっちへ持っていったり、その程度の話になってしまっている。
 行革の根本的な出発点というのは、最小のコストで最大のサービスを上げる、行政は最大のサービス産業ということを私は言ってきましたけれども、それをどういう方法でわかりやすく国民に答えを出すか、その原点がほとんど忘れられているんじゃないかと私は思います。もっと身近な問題、行政というのは国民の一人一人にとって非常に大切なものであり、そしてわかりやすいものでなければならない、その原点はどこへ行ってしまったのか。
 例えば、行政サービスという点からいいますと、幾つか、まず質問させていただきますけれども、年号の問題。この事業は昭和五十三年から平成六年までかかりました。はい、何年かかりましたか。そのたびに、ありもしない昭和七十何年か何かに換算して、また引き算して、こんなことをいつまで我々はやらなきゃならないのか。この年号の問題、西暦の問題については、役所の文書の上で必ず使われる問題であり、いつも使う問題であり、そして、世界のこういった国際化という現象の中で、よりこの問題が私は意識されているんじゃないかと思います。
 西暦と元号について、行革担当大臣としてどのような考えを持っておられるのか。そんなことは役所の権限と関係ない、縄張り争いと関係ないかもしれません。しかし、だからこそ間違っていると私は申し上げているわけです。すべての役所にとって必要なものであり、すべての役所の物差しであり、庶民の生活の時間的な物差しである。それを、他の国と同じように西暦を原則とすべきだと私は思います。
 私は、鈴木永二さんを長とする行革審の専門委員として、その中でも同じような提案をいたしました。私の意見は少数派として採用されることはありませんでした。
 しかし、島根県出雲市では、二十人の市民代表が十八対二で、堂々と西暦を使うべきだと、出雲市役所は、平成元年から一九八九年としてこれを使っております。日本じゅうが西暦を使っても、出雲は神の国でございますから、ちょっと私のところは遠慮しますと言ってもおかしくないような土地柄で、一番最初にそれを使っている。議会でそれをちゃんと認めている。西暦を原則としている。
 今の日本の新聞も同じです。朝日新聞、毎日新聞。産経新聞を除いては、すべての新聞は、西暦を前に、括弧の中に年号を併用しています。産経新聞はその逆でありますけれども、いずれにしても併用しているということについては変わりはない。なぜ役所はかくもおくれているのですか。
 こういった国際感覚への意識の切りかえ、そして行政事務の合理化という点から、私は、西暦は非常に大切な行革の出発点であるとさえ思います。
 まず、石原大臣の所感をお伺いします。
石原国務大臣 非常に哲学的と申しますか、慣用として使っている元号をどのように考えるのか、あるいはまた、西暦換算している現実とどう整合性を保てるのか、さまざまな示唆に富んだ御質問ではないかと考えておりますが、内閣を組織する一人として、原則西暦そして元号併用と今この場で委員の意見に賛意を示すのはいかがなものかというのが率直な感想でございます。
 明治の元年は、実は西暦を使っていたそうでございます。その後、歴史の変遷がございまして、委員御承知のように、五十四年に閣法で元号法というものが制定され、その政令の一つとして平成という新しい元号が使われるように十四年前になった、こういうもの。そして、それがまた、私も覚えておりますが、小渕当時の官房長官が平成とこういうふうに上げまして、時代が新しく変わるな、一つの時代が終わったなということを国民の皆様方が元号が改まることによって感じたという事実もあるのではないか。そういうものをこれからどう考えていくのかというような問題であると現在は整理をさせていただいております。
岩國委員 だから私は、大臣として、失格とまでは言いませんけれども、能力、識見、非常に欠けているんじゃないかと思うんです。
 内閣の一員として自分がどういうふうにする、そうじゃなくて、行革の責任というのは、行革というのは自分に任せてほしい、ほかの内閣の人の意識は低くても、あなた自身の意識はもっと高く、それを主張すべきじゃありませんか。閣議の中でちゃんとそういうことを主張したことはありますか。答えてください。
石原国務大臣 ストレートな御答弁になっていなくて委員がお怒りなのかと存じますが、私は、やはり小渕官房長官が平成という新しい元号を示されて、新しい一つの時代の区切りと新しい時代のスタートというものを国民の多くの方々が感じたという事実、こういうものもこの御議論の中では考えていかなければならない。すなわち、原則西暦、元号並立という委員のお考えには御賛同いたしかねると意見を申し述べさせていただいたわけでございます。
岩國委員 小渕、小渕と小渕総理大臣の名前をおっしゃいますけれども、それは平成の時代に入って十一人の総理大臣の一人にしかすぎないわけです。小渕さんのお名前をおっしゃいますけれども、官房長官が総理大臣になられたからこそその重みがあるとおっしゃりたいんだと私は思います。
 仮に官房長官がおっしゃろうと総理大臣がおっしゃろうと、私は、時代が大きく変わってきている。例えば、明治維新のときに明治天皇は、これからの日本における正式な服装は、洋服をもって正式な服装とすると。たった三行ぐらいの短い言葉です。これだけで、洋服は正式な服装である。これは意識改革にも、それから生活改革にも大変大きなことだったと思うのですね。そういう点では、私は、明治天皇のそういう見識というものを高く評価するわけです。
 それに比べて、それから百何十年たってこういう世界化が進みながら、なぜ、役所の文書に、この年号にこだわらなければならないのか。少なくとも併用するというぐらいの。私は年号を廃止しろと言っているわけではないんです。西暦を使うことに、どこにそのデメリットがあるんですか。メリット、デメリット、行革担当大臣らしい、もう少しプロフェッショナルな答弁をしていただけませんか。
石原国務大臣 この問題は水かけ論になるかと思いますが、私は、日本のこの百十数年の、明治以降、明治元年は西暦であったということも申し述べましたが、その後、明治、大正、昭和、私は、何年生まれですかと聞かれたら、西暦ではなく昭和三十二年生まれであると言う世代に育っておりますので、委員の意見とは相入れないというふうに申し述べさせていただいているわけでございます。
岩國委員 それでは、西暦を使うということは、役所の仕事の流れ、それから一般生活において、デメリットはどういう点がありますか、メリットはどういう点がありますか。そういった西暦化を進めるということについて、行革という観点から検討されたことがおありかどうか。情緒的、文学的な表現に押し流されて、そういう実際の行政改革、行政サービスの改善にどういうふうにプラスになるのか、マイナスになるのかということを行革本部で検討されたことがおありなのかどうか。それをお伺いしているんです。
石原国務大臣 ただいま委員が御議論されております元号法について、行革本部で御議論をしたというような記憶はございません。
岩國委員 したことはないということですけれども、これからもする予定はありませんか。
 行革全体の中で、わかりやすい行革というのはこういうことです、行革というのは皆さんの暮らしをこういうふうに変えていく、役所の仕事をこういうふうに変えていく、役所の文書はこういうふうに変わりますと身近なわかりやすい例で示す、その中にこれを位置づけようというお考えはありませんか。
石原国務大臣 私は、西暦表記を否定するものではございませんが、自分の人生の中で元号が身にしみついておりますので、行革論議の中で、元号を使うことによって年代を表記することに不便というものは何ら感じておりません。
岩國委員 自分本位でばかり答弁されるのはいいかげんにやめてもらいたいと思うのです。いいですか。
 これからの若い方は昭和で答えるとか平成で答えるという世代になっていないということを考えないと、自分や自分の周りの世代のことだけで考えておったのでは、その程度の感覚で行革を進めておられるのですか。これからの三十年、五十年、百年の国民の意識というものを先取りして行革というのはやらなきゃいかぬのじゃないのでしょうか。
 再度御答弁願います。
石原国務大臣 ここは意見の分かれるところだと思うのでございますが、私は、グローバリゼーションが世の中をすべてハッピーにするとは到底思えませんし、国民の間に根づいたものを否定して原則西暦にするという考えはコンセンサスを得ておりませんし、三十年後、五十年後の未来を先取りしているとは、残念ながらそういうふうに考えられないというふうに申し述べさせていただいているところでございます。
岩國委員 年号というのは、歴史的に見ても、もう御承知のことと思いますけれども、北東アジアの地域で始まって、それで中国で使われ、韓半島で使われ、そして日本に伝わってきて日本も使うようになった。今、その本家本元を調べてみても、全然そういった年号は使っておらないのです。歴史的にはもう既に消滅しております。私は、分家のその分家みたいなところだけがいつまでもそれに固執するというのも非常におかしなものではないかという意見を申し上げまして、こういった文書の簡素化、そして文書表示の国際化というのは行革の大事な要素であるということをぜひ認識していただきたいということを申し上げまして、次の問題に移ります。
 今、銀行の不良債権についていろいろ取り上げられておりますけれども、そういった民間の不良債権、それから公的部門の不良債権、こういった民と公と二つのものがあろうかと思います。民間の不良債権については、大臣は、あるいは金融庁の方ではどういうふうな数字を頭に置いて、アバウト、総額、大くくりでどれぐらいというふうに認識していらっしゃいますか。金融庁の方からお答えいただけますか。
伊藤副大臣 今、私どもが、いわゆる金融再生法の開示債権の状況の中で、不良債権の比率で申し上げますと、全体で大体八・六三%というふうに認識をいたしております。
岩國委員 金額で百五十兆というふうなものがよく新聞あるいは雑誌等にあらわれております。それは、どういう時点でどういうとらえ方ということはいろいろあろうと思いますけれども、百五十兆という金額は、全くこれはかけ離れた数字でしょうか。
伊藤副大臣 金融再生法の開示債権の状況で四十二兆、約四十三兆円というふうに認識をいたしております。
岩國委員 四十二兆、四十三兆というのは、我々民主党が調査した数字、以前予算委員会等でも党の調査結果として発表しましたのは百五十二兆、そういった数字も皆さんに提示してまいりました。それが四分の一に減ってしまったというのであれば、大変結構なことである。あと一年たてば、そのスピードで減っていけば、来年ぐらいになったら黙っていてもなくなるぐらいの、大変明るい話で結構だと思いますけれども、実態はむしろ、この一年間を見ると、小泉総理大臣自身も、十兆減らしたけれども逆に二十兆ふえてしまったと。それがこの一年間のトレンド。したがって、一年前の三十兆、四十兆は今はもっとふえているのではないかというのが一般の理解であるわけです。
 そういった民間の不良債権というものを一つ置きまして、もう一つは、公的部門。今、金融の不良債権に対する議論がいろいろなされておりますけれども、私は、そういう現場に三十年間いた人間の実感として、この不良債権の治療方法は基本的に大きく間違っていると思います。
 しかし、この委員会では、金融問題を論ずるところでありませんからそれはさておきますけれども、そういった経済が、人間の体に例えるならば、人間の体の中の臓器の一部分だけに焦点を当てて、体全体を診ることなしに、体全体の調子を問うことなしに、問診することも触診することもなしに、その臓器の一部分だけにレントゲンを当てて、しかも臓器の、体でいえば左側の腹の方にばかり、民の部分にばかり焦点が当てられて、左の片腹ばかり一生懸命探っているというのが現状ではないかと思うんです。
 したがって、民の方の不良債権の問題が仮に片づこうとしても、右腹の問題が残っている。右腹というのは、石原大臣、その公的部門の不良債権の問題なんです。専門の銀行家がしてあれだけの不良債権を残したのであれば、専門家でないお役人があれだけの郵貯、財投を使って、きれいな、不良債権が全然ない仕事ができたとは私は思わないんです。そういった、専門家だからいい仕事ができたと必ずしも言えませんけれども、一般的な想像としては、左に百五十兆あれば右側にも百五十兆のおかしな部分がある。
 これは私だけが言っているのではなくて、そうした外国の専門家、そして、それを引用して、加藤寛元税調会長もそのことを新聞にはっきりとおっしゃっています。そういう政府の数字をかなり長年にわたって手にしておられた加藤寛さんが、そういったものに基づいて、公的な場所で百五十兆ということをおっしゃっている。これについて石原大臣は、この公的な部分の不良債権について、どれぐらいの数字を頭に置いて行革に取りかかっておられるのか。
 行革と公的部門の不良債権とは、切っても切り離せない。現に、道路公団なんかがいい例でしょう。道路公団だけにしても、何十兆とあれだけの、回収できない、いつになったら債務が返済できるかもわからない、これは明らかに民間で言う不良債権そのものなんです。道路公団だけじゃなくて、たくさんそれはあるでしょう。全部合わせて百五十兆の内訳をおっしゃっていただけませんか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました百五十兆円、たしか昨年の国会でございますか、民主党の方がまとめられた金額でございますが、これは、カテゴリーでいいますと旧カテゴリーのツーに入ります要注意から要管理、少し灰色なところまで含めて百五十兆、そういうお話をされて、第一分類であるところの健全債権以下をすべて不良債権と言われている数字だと思っておりますが、そこは伊藤副大臣が御答弁されましたように、認識が、不良債権というのは何を指すのか、定義の問題で数字が一致していないのではないかと、お話を聞かせていただいておりまして感じたところでございます。
 さて、私の方に関係いたします官の不良債権、官の不良債権という概念は、定義が実は明確なものはございません。これは、ことしですか、通常国会で岩國委員と御議論させていただいたわけですけれども、行政コスト計算書、その当時は十二年度の行政コスト計算書でございますが、新しい数字が出ましたので、行政コスト計算書対象七十八法人、このうち特殊法人が五十四、認可法人二十四ベースでいいますと、欠損金の合計額がおよそ二十九兆円、剰余金の合計がおよそ二十一兆二千億。差し引きしたものが欠損金、対象法人全体の不良債権的なるものだと考えておりますが、その合計はおよそ七兆八千億円弱ということで、ことしの通常国会で委員と御議論をさせていただいたときよりもおよそ四兆円、正確には三兆八千億ぐらいになると思いますけれども、ふえている。
 その理由は、委員が御指摘されましたように、簡易保険福祉事業団とか年金福祉事業団といったような運用に携わる金額が大きいところで、欠損金が一兆円のオーダーで増額していると認識をしております。
岩國委員 これは、石原大臣から答弁いただいた数字、昨年、ちょうど一年前の十一月十三日の予算委員会で、欠損額は約二十七兆円、当時朝日新聞にもそういったことが報道されておって、今、この欠損額二十七兆円が三十兆ぐらいに膨らんでおるんですか。そして、仮に三十兆というふうに押さえたとしましても、先ほど伊藤副大臣から御答弁いただきましたけれども、民に比べてもはるかにこれは少ない数字。
 つまり、全く同じ次元で比較するわけにはいきませんけれども、お役人が、お役所がやる投資あるいは貸し付けの方は不良債権の額が非常に少ない。不良債権が少ないという点からいえば、銀行を国有化すれば、日本の銀行はすべてお役人がやればもっといい仕事ができる、そんなふうな結論にも至りかねないわけです。
 また、国のバランスシートという観点からとらえますと、今、国の債務超過というのは幾らになっておるのか。百八十七兆円、約二十三兆円、前年度末より拡大している、こういったような数字もあります。この債務超過すべてが不良債権というとらえ方はできませんけれども、この債務超過の額について、この三年間の推移というものを御説明いただけますか。
石原国務大臣 これは財務省の方で所管しておりますので、財務省の方が数字を持っているものと認識しております。
岩國委員 それでは、その質問に加えて、政府系金融機関を除く特殊法人の現在の債務残高、これもどなたかから御答弁いただけますか。
石原国務大臣 先ほどお話を申し上げましたとおり、行政コスト計算書対象法人は七十八法人だけでございます。特殊法人は、うち五十四しか含まれておりませんので、後刻、行政コスト計算書以外の部分を合わせて、欠損金の累計額あるいは剰余金の合計額等々をお示しさせていただきたいと思います。
岩國委員 それでは、不良債権の問題から離れまして、再び行政改革全般の中の、権限を渡すことあるいは財源を渡すこと、それから人的資源を渡すこと、権限、財源、人間、この三ゲンセットが大切だと地方分権の場合について私は何回も述べてまいりましたけれども、こうした行政改革におきましても、組織をどうする、あるいは権限をどうするといったこと以外に、これはすべて人がやることですから、その職場そのものが改革の対象にならなければならないと思うんです、労働条件にしても、雇用の問題にしても、あるいは管理職への登用の問題にしましても。
 これは今まで予算委員会その他で取り上げてまいりましたけれども、公務員職場における男女差別の実態調査、これは完了したのかどうか。これは野中官房長官のときにも私は質問させていただきました。三年前になりますけれども、野中官房長官は、直ちに実施し、そして自主的に調査し、公表し、明確にしていくべきであるとはっきりおっしゃったんです。それから丸一年以上たって、〇一年の四月に調査が開始され、文書が全国の自治体に配られました。その結果が私のところにやってきたのが〇一年の中ごろだったと思います。
 確かに調査は完了している。しかしそれは、書類の上で男女差別を認めるような、そういう書類や条例や規則は全部なくなりました。要するに、上辺をなでただけで、実態調査に踏み込んでおらなかったんです。
 再び私は依頼し、もっと実態を調べていただきたい、文書になっていないもの、石川県の鳥屋町の例なんかもありますけれども、これはもう裁判にもなっているんです、そういうことを申し上げて、特に北陸だけではなくて、日本海沿岸だけではなくて、全国各地にこういうものは存在するから、公務員職場における男女差別というものの実態をもっともっとよく調べてほしいと。そして昨日、私のところに、四枚物の紙でその調査結果が参りました。全国の自治体のごく一部、三十幾つかだったと思いますけれども、それについて調べた結果、そういう男女差別についてはもう、採用あるいは昇級、昇格という点については残っておらない、こういうお答えでしたけれども、四枚のメモの中に、結婚という言葉は一つも入っておらないのです。
 地方の公務員職場に行きますと、女性が結婚した場合に、御主人と奥さんとどちらがやめさせられるか。男性がやめさせられるという例はほとんどないわけですよ。これは、地方のそういった環境の中で、結婚して、奥さんが残ってだんなさんがやめさせられたということは大変恥ずかしいことだという意識が非常に残っているがゆえに、ある意味で、優秀な方でも奥さんの方がおやめになるということが実態として次々と起きている。あるいは、若いときに結婚しても職場に残ることはできるけれども、御主人の方が管理職に採用された途端に奥さんの方はやめなきゃいかぬ、そこでまた次の関門が待ち構えている、こういう実態もあります。
 こういった、行革の中で、このように公務員職場における男女差別の実態というものについて、石原大臣、どの程度これを意識していらっしゃいますか。行革というものはそんなところまで入るべきものじゃないという感触でとらえておられるのか、閣議その他で積極的に、行革の根本は人にありという意識を持って行動しておられるのかどうか、その辺をまずお聞かせいただきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました、行革の一環である地方分権で、人と権限と財源、この三つを移譲するということは私も賛成でございますし、行政改革の中において、ただいま委員御指摘のいわゆる男女差別の実態、こういうものがあるその根底には性別に基づく固定的な役割というものがあるんじゃないかということを感じている方がかなりのパーセントを占めることによりまして、有能な女性が自分の能力を十分に発揮できない、こういう問題があります。
 バランスのとれた質の高い行政を実現する上では、そういう弊害というものを除去していくべきであると私も考えておりますし、公務部門における女性の採用、登用の拡大に積極的に取り組んでいる最中でございますし、今般の改革の中でも、公務員制度改革でございますけれども、能力や業績に応じた任用や処遇を可能とする制度を構築いたしますとともに、人材育成を図る仕組みを整備することによりまして、今委員御指摘のような、意欲と能力のある女性を登用し、そういうことが進んでいかなければならないというふうな認識を持っております。
 調査の詳細については、所管する総務省の方にお尋ね願いたいと思います。
岩國委員 総務省その他、いろいろ所管のところはあると思いますけれども、私が石原大臣にあえてこの質問をこの場で申し上げておりますのは、やはり行革というものは、非常に大切な小泉内閣の公約の一つでもあり、小泉総理がそれを公約されたから大切だという意味ではなくて、これは長年の累積、役所をとにかく改革しなければならないというのは国民的コンセンサスが非常に高いところだと私は思います。
 であるがゆえに、そういった職場を変えていくこと、それはとりもなおさず、地方の封建的、保守的、閉鎖的と言われる社会を変えていくのは、役所が変われば市が変わる。そのためにも、この行革ということは、地方の社会を変えていくという上で、東京とはまた違った意味で、全国の地方において非常に大切な切り口である。だからこそ、石原大臣に、私は、こういう職場における労働環境の改革ということにももっともっと努力していただきたい。また、大いにそれも発言し、閣議でも行革を実行するためにはこういう点が改善されなければならないんだという感覚を持っていただきたいと私は思います。
 次に、行政サービスの改善についてお伺いいたします。
 行革というのは、わかりやすく言えば行政サービスの改善だと思います。最小のコストで最大のサービスをする、これが命題であるにもかかわらず、最大のコストをかけて最小のサービスしかしていないんではないか、これがすべての問題の出発点だったと思うんです。最大のコストを最小のコストに下げる、最小のサービスを最大のサービスに上げていく、これを全国の役所において実行させること、これが行革大臣の私は使命だろうと思います。
 出雲市でもどこでも、役所というのは、役に立つところと書いてありながら、土曜日は閉めるわ日曜日は閉めるわ。土曜日、交番はあいています。日曜日、デパートもあいています。役に立つところという看板をかけながら、土曜日も日曜日も店を閉めている。こんな役所はおかしいんじゃないか。
 平成元年、一九八九年十月から、出雲市役所は、あけてあけてあけっ放し、土曜日、日曜日、一遍も店を閉めたことはありません。民間のショッピングセンター、ジャスコというところは、行革に協力しようというので、無料で一角を提供し、電気代も無料、家賃も無料、もう十四年間ずうっと、あけてあけてあけっ放し、駐車場つき、ショッピングつき、勤務は五日、サービスは七日、これを実行してきております。
 全国の役所に同じようなことをさせる、これこそ私は行政改革じゃないかと思うんです。行政サービスを一般の奥さんたちにもわかりやすく、これが小泉内閣の行政改革なんだ、行政サービスはこういうふうに変わっていくんだ、そういう上下一体とか上下分離とか難しい言葉ばかり躍らせるんではなくて、一番身近な、年号が変わっていく、役所の窓口サービスがこうやってわかりやすく、よくなっていく、しかも同じ人数でそれが実行できる、そういう方向に持っていくべきじゃないかと思います。
 大臣は、こうした役所の窓口サービスを、わかりやすく、際立って改善させるということについてどういう意欲を持っておられますか。お答えください。
石原国務大臣 岩國委員が出雲市の市長時代に今おっしゃられたような取り組みをされたということを当時拝見いたしまして、まさに地方分権を地でいっているな、こういう自治体が日本全国に広がるべきである。と申しますのも、私も議員になる前はサラリーマンの生活をしておりましたが、役所に行こうと思って行けるというのはやはり土曜日であります。土曜日に閉庁していて住民票一つもとれない。そういうものも各自治体で今改善が進んで、土曜日に住民票がとれるような仕組みも構築されつつありますが、国が各自治体に対してそれを強制するということが、先ほど言いました権限と人と財源を渡そうとする地方分権にそぐわないのではないかと私は考えております。
 やはり、その地域のリーダーというものを地域の住民がその政策で選んでいく、それがまさに地方分権であり、地方の活性化であり、地方の行政サービスの活発化につながるものだと信じております。
岩國委員 大変きれいに聞こえる答弁ですけれども、やる気がないということをおっしゃっているだけじゃないかと思います。
 要するに、国が強制しろということじゃなくて、強制ではなくて、いろいろなやり方、指導の仕方というのはあるはずです。例えば補助金の交付についても、そういったことを実際にやっているところとやっていないところで差をつける、こういったことは自由にできるわけです。そういったサービスを向上させたところについては、そういう努力に対して補助金を交付する。市町村合併を推奨しようと思ったら、国は今いろいろな方策を既にとっているでしょう。地方からは強制ではないかという声が上がるぐらいのことをやっているわけですから、何も、そういった窓口サービスを改善し、市町村合併とは違って、もっとわかりやすくて納税者に歓迎されるようなことを国が前に出てやっているんだったら、国が恨まれることなどはあるはずがありません。そういうことをもっともっと強力に指導する気持ちがあるかないかということなんです。
 国はやるべきことをやりませんから、はい、私はやりません、市町村、どうぞ御勝手にやってください、これが地方分権の精神でございます、これじゃ世の中変わらないじゃありませんか。やる気のない市町村をやる気のあるように指導していく、当然これは、補助金なんかを、金を出している以上、口もある程度出して、国民のために行政サービスというものを全体としていいものに変えていくのは国と地方との共同責任だと私は思うんです。共同責任じゃないんですか。お答えください。
石原国務大臣 現に、地方自治体で土日のサービスというものを行うところが出てきた、それを住民が判断する。東京でも、委員お住まいでございますが、わかりますように、行政サービスのいいところに平気で皆さん引っ越すわけであります。それと同じように、市区町村というものもこれから差別化されていく。そういう中でこの問題は、中央が押しつけるのではなくて、隣の町が、隣の村が、隣の市がやっていて何でうちはやっていないんだ、そういう首長さんがかわる、新しい首長さんが出てくる、そんな中で、今委員が御指摘されたような問題が全国に広がっていくのが望ましいと私は考えております。
 また、この問題は総務省の問題でございますので、総務省がどのように考えているかという点につきましては、総務省の御意見というものを聞いていただきたいと思います。
岩國委員 そういった、勤務は五日、サービスは七日、休暇を交代でとって土曜日も日曜日も窓口をあける。つまり、同じインフラを五日間で使用しようとするか、七日間に平準化してやるか。出雲市の例を挙げて恐縮ですけれども、出雲市は、土曜日、日曜日のサービスをふやしたために職員は減りました。なぜ減ったか。土曜日、日曜日、駐車場つき、ショッピングつき、便利がいいからそちらへお客さんが行かれる。月曜―金曜日のお客さんが減る。十人のカウンターの職員が七人で対応できる。七割の職員で十割の仕事。同じ予算規模、同じ人口規模の自治体に比べて七割の職員で仕事をやっています。三割分だけ人件費が安い。三年間の人件費の節約で出雲市はドーム球場をつくっております。
 そういうコストを削減した自治体に対して、国としては補助金をカットするんですね、それだけ人件費の需要が少なくなったと。私は逆じゃないかと思うんです。そういう合理化をしたところに対しては、むしろ報賞的な意味で、よくやったという意味でやらなければ、全国どこも一生懸命行革に努力をするということにならないと思うんです。
 行革を推進しようとすれば、補助金交付という判断基準も、もう少しそういった、コストをどれだけ下げたか、サービスをどれだけ上げたか。出雲市の場合には、サービスはふやした、コストは減らした。これが、全国の民間企業が一生懸命努力していることなんです。サービスをふやした、コストもふえた、これはどこの市でもやることです。どこの企業もこんなことはやれます。コストを減らした、サービスも減った、これもどこの会社でも簡単にできます。難しいのは、サービスはふやす、コストは減らす。こういう難しいところに知恵を使い、指導をし、行政サービスというのは最小のコストで最大のサービスができるんだ、その方向へ持っていくのが行革の仕事じゃないかと思います。
 次に、道路問題について大臣に質問させていただきます。
 高速道路の問題について、わかりにくいところにどんどん議論が行っておりますけれども、大臣も幾つか視察されたようですけれども、私は、二十年間、ヨーロッパ、アメリカで車に乗っておりました。車の運転免許証も私は五つ持っております。乗って乗って、いろいろな国を回りました。アメリカもドイツもイギリスも、高速道路というのは全部原則無料です。高速道路は、アメリカでは原則取られておらない、だからフリーウエーと言われています。日本は、高速道路の料金が高いからハイウエーと言われています。同じ高速道路も、アメリカではフリーウエー、日本ではハイウエー。
 見てください。日本の道路は余り車が走っておらぬでしょう。渋滞するのはごく一部のときだけ。夜はあれだけの高速道路があくびして、居眠りして、車を余り運んでいない。道路が楽をしている。これを道楽というんです。高い税金を使って道路をつくって道楽をさせている。道が楽をして人が苦労をしている。人は結局、夜わざわざ高速道路の下を走っておるでしょう。不景気になればなるほど高速道路の料金というものは、経営者は節約しなきゃならないから、不景気になるとどんどん一般道路を走って、排気ガスは出る、運転手は疲れる、交通事故はふえる、そして道路収入は上がらない。
 私は、高速道路は無料で開放すべきじゃないかと思います。アメリカもドイツもイギリスも、こういうことを言えば軍国主義者のように聞こえますけれども、ああいう高速道路、基幹道路というのは国防のためにつくっているんです。一朝事があれば軍隊をどこへでもすぐに、軍隊の移動を速くさせるために立派な高速道路を準備し、しかし、アメリカといえども毎日毎日戦争をやっているわけじゃありませんから、戦争をやらない日はどうぞ皆さん御自由にお使いくださいと、無料で、フリーで開放してフリーウエーと言っておるんです。
 日本はどうですか。道路をつくるというと、その道路をつくった借金のツケをどうするか、あるいは道路収入をどう上げるか、道路を使ってどうやって銭もうけをするか、銭もうけや借金返しの話ばかりで、道路をどうやったらみんなが楽しく、もっと使いやすくするかという根本が忘れられているでしょう。
 道路を無料で開放する、小泉政権の改革というのは、目が覚めるような、これが改革かと、道路を無料で使わせてくれる、そこの原点から出発したらどうですか。そして、債務返済については、私ども民主党の中にも、八十人近くの国会議員が案をつくって、そしてそういうものを発表しておりますけれども、プリペイドのライセンスプレートという形に切りかえて、一般乗用車については四千円、あるいはタクシー、ハイヤーについては年間三万円、大型バス、大型トラックについては年間十万円、それさえ払えば北海道から沖縄まで全国の高速道路を無料で走れる。プリペイドだということになれば、もっと走ろうもっと走ろう、車が動き、人が動き、物が動き、サービスが動く。景気がよくならないはずがないんです。
 そういう、高速道路で元を取ろうという小さな視野じゃなくて、経済全体を膨らませるための動脈なんだと。政府はしょっちゅう、高速道路は動脈動脈とおっしゃるでしょう。人間の体に例えて言うならばまさに動脈ですよ。動脈であるならば、まさにそれは動脈らしい使い方をする。一々血管が心臓から足へ行くために料金を幾ら取った、そんなことではなくて、無料で血液というものはどんどん体の中を回っているんです。もっと動脈らしい、原点に返ってみたらどうですか。それを、動脈どころか金脈探しに使っているような政治家がいたり。道路は動脈であるという認識に立って、私は今の道路改革論議は最初からやり直してもらいたい、そのように思います。大臣の所感をお願いします。
石原国務大臣 道路は本来無料であるべきだと私も考えております。
 高速道路が日本で発達をいたしましたのは、昭和三十年代の後半から四十年代にかけて、急激なモータリゼーションの発展に伴い、高速道路というものを整備しなければならないという国策でつくられたものであります。しかしながら、当時の経済状態、三十九年が東京オリンピックでございます、国費をもってスーパーフリーウエー、委員の言われるところのフリーウエーをつくる余力がなかった。そこで、国民の皆様方が熱心に貯金をしていただいております郵便貯金あるいは簡易保険からお金を借りてきて、利子の乗っかったお金で道路をつくったのが日本の有料道路、高速道路のスタートでございます。その結果が、現在全国に七千キロの高速道路網が整備された。その見合いで、四公団合わせての借入金の残高はおよそ四十兆円と巨額なものになったわけであります。
 計画は、残念ながら交通需要を、二〇〇六年、日本の人口がピークを迎えますけれども、交通量は伸び続け、ピークが二〇三〇年にやってくるといったような信憑性の大変薄いものになっています。その結果が、この四十兆円にならんとする借金が道路料金収入では返せないのではないか、こういうおそれが生じてきたわけであります。そこで、道路公団にかわる効率的な組織をいかにつくっていくかということで、現在、道路民営化推進委員会で御議論がなされております。
 委員御指摘の、自動車から四千円、ハイヤー、タクシーから三万円、トラック、バスから十万でございますか、この問題は、そういう走るか走らないかわからない車に、営業用の車にとっては有利かもしれませんが、高速道路を乗らない方ももちろん車によってはあるわけでございます。地方に参りますれば、一家に二台車があるのが当然でありますが、一台はその町の中を走るだけに使って、長距離は大きい車で行く。では、小さい車も大きい車も一律お金を取るということ、そのプリペイドカード方式というものに対して国民の皆様方が賛意を示すのか示さないのか。先ほどの委員のお話を聞かせていただきましたように、出雲市の百人に聞いてみる必要もございますでしょうし、世田谷区の百人に聞いてみる必要もある。そういう数値に裏づけされて国民の皆さん方のコンセンサスというものができれば、委員御指摘の案というものも現実化するのではないかと考えております。
岩國委員 それでは、やってごらんになったらどうですか、国民にわかりやすく。それをやらないで、今そういう方式を全然検討もしないで、依然として有料制というもので高速道路を使いにくくしているだけの話。高速道路を無料で開放してみよう、国民の手に返す、国民の手に直行させる、これはあなたの道路です、そういう実感を持たせること、それが私は発想の転換であり、これこそ改革だと思うんです。
 今あなた方がやっているのは、世直しといいながら手直しぐらいの話でしょう。債務返済も、プリペイドという発想に立てば、今大臣がおっしゃった二台、大変すばらしい参考例です。一家に二台あるということは、二台目が走らないときは一台目が走るということです。家族でもってどこかへ旅行する、温泉に行く。二台目は走りませんよ。二台目が走らないということは、一台目が高速道路を走るような使い道をしているからこそ二台目が走らなくて済むという例なんです。そういうふうに考えれば、四千円、四千円、一家で八千円、一台目が八千円払って二台目が払わなくて済む、そういう考え方、受け取り方もできるわけです。
 これはちゃんとした正しい上手な広報のキャンペーンをすれば、今のようなやり方がいいのか、高速道路を無料で開放してもらう、こういう仕組みに変わる方がいいのか、それは大臣がそのようにやってみた方がいいというんだったらやってみたらどうですか。それをやりもしないで、一部の人間だけでこの道路問題を議論して、そしてまた何十年間この仕組みを、不便な道路、そして道路が楽をする道楽行政をいつまで続けるか。やってみる気はありますか。
石原国務大臣 道路公団を初めとする道路四公団の民営化の方法につきましては、現在、民営化推進委員会で御議論をいただいております。昨日私も委員会を拝聴させていただいておりましたけれども、その席で、委員が御指摘されましたように、やはり、道路は一体だれのものなのか、その観点から、大変使い勝手が悪く三本もできてしまった本四架橋については、現在通行料金が大体五千円から六千円と、競争関係にあるフェリーに比べてもかなり割高なものについては、値段を半分にすべきであるという思い切った大胆な提言がきのうなされました。
 道路民営化推進委員会の委員の方々も、いかに日本の高速道路を、委員がおっしゃられるように道楽ではなくて本当に使い勝手のいいものにどういうふうに変えていけばいいのか。すなわち、通行料金を限りなくゼロにどういうふうに近づけていくことができるのか、その見合いで、もう借りてしまった借金というものを本当にどうやってやれば返すことができるのか、そしてまた、委員御指摘のように、政治の道具にしているというような御指摘もございましたけれども、むだな道路をいかにつくらない仕組み、歯どめをつくっていくのかという真摯な御議論がなされているものと承知をしております。
岩國委員 ぜひ、私が提案申し上げました、まあ人数はわずか民主党の八十人の国会議員です。しかし、民主党の代表選挙、四人が名乗りを上げ、四人のうち二人ははっきりとそういうことを政策として取り上げ、当選された鳩山代表も、高速道路は無料ということをぜひ検討すべきだと。四人のうち三人ということになります。
 参考までに、毎日新聞の菊池論説委員は次のような意見を表明されたことがあります。日本じゅうの有料道路をあしたから無料にすること。その費用は年間たった二兆円。どこまで走ってもただ。そうすれば、自動車を買おうかと思うだろうし、田舎に遊びにも行く。JRや飛行機も、対抗上、値下げや家族旅行優遇などでサービスも向上する。地方の旅館もはやる。レジャーが活発になる。宅配便や流通が新しい商売を考える。生鮮食品がぐっと安くなる。内需拡大で日本経済は一挙に活性化する。しかも、一人一人の幸せ度が増し、将来不安がなくなり、ますます消費が拡大すると。同じ毎日新聞の玉置論説委員も同じことをおっしゃっています。
 私は、さらにそれにつけ加えて、地方分権というときには地方経済の活性化が必要です。地方が苦しんでいるのは、高速道路をつくってもらいたい、できたら、高い高速道路の料金があるから使わない、使った場合には、流通コストを大阪の市場や東京の市場に行くときにそれだけ農産物、漁業、林業の製品のコストにオンしなきゃならない、したがって手取りが少なくなる、そういうことに苦しんでいるわけです。
 地方の経済の活性化のためにも、都市経済の活性化のためにも、私は高速道路というものは、さっき半分にしたと。それは思い切ったという表現でありますけれども、思い切ったというよりも、それはただ値切っただけの話。思い切ったというのはゼロにするということを思い切ったというんですよ。値切った話ではなくて、思い切った発想というものをぜひ取り入れて、私は道路改革を、これこそ小泉内閣の目の覚めるような、わかりやすい、あの料金徴収所は来年の一月からなくなります、これだけでも暗い日本が明るくなるような気がするんです。ぜひ御一考をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
佐々木委員長 以上で岩國君の質疑は終了いたしました。
 次に、西村眞悟君。
西村委員 まず警察当局にお尋ねして、その後官房長官にお尋ねいたしますので、よろしくお願いします。
 警察当局はつとに、JR東労組に過激派である革マルが浸透しているという事実を突きとめられた上、重大な関心を持って注視、また対応をされてきたところでありますが、まことに我々の問題意識も、国民輸送の大動脈、基幹産業であるJR東の中に過激派である革マルが浸透していることは、国政上も治安上も見逃し得ない、見過ごすことができないという問題意識を持っておりました。
 このたびマスコミに報道されたところによりますと、概略、JR東労組の幹部らが、組合の指示を拒否した組合員を無理やり退職させたとして、警視庁公安部は一日、強要の疑いで、過激派革マル派幹部で同労組大宮地方本部執行副委員長ら計七名を逮捕し、三十数カ所を家宅捜索したという記事が出ております。
 長年、JR東における革マル問題に関心を持って捜査を続行された警察から、この事件の概要をお教えいただけますでしょうか。
奥村政府参考人 お答えをいたします。
 ただいま議員御指摘の事件は、今月の一日に警視庁で検挙した事件でありますけれども、JR東労組の組合員であります七名の被疑者、これが、同じくJR東労組の組合員であります被害者に対しまして、この被害者がJR東労組と対立するほかの組合のメンバーと行動をともにしたというようなことに言いがかりをつけまして、JR東労組の組織の破壊者であると決めつけました。そして、平成十三年、昨年の一月から昨年の六月の下旬ころまでの間、集団でこの被害者を脅迫いたしまして、この被害者の方を、同じ年の二月末に、本人が所属しておりますJR東労組から脱退をさせますとともに、その後、七月末でJR東日本そのものを退職させた、そういう強要事件であります。
 警視庁におきましては、十一月一日に革マル派活動家を含む被疑者七名を通常逮捕いたしまして、JR東労組中央本部等の関係箇所三十二カ所に対する捜索や検証を実施するなど、現在、所要の捜査を推進しておるところであります。
西村委員 マスコミの報道を先ほど御紹介しましたが、この問題は、労働組合内における執行部の方針を強要したという、単なる労働組合内の普通の問題と申したら語弊がありますが、普通の問題なのか。それとも、過激派の革マルというもの、この組織がJR東労組に影響力を及ぼすための革マルの問題なのか。いずれの問題でございますか。
奥村政府参考人 今回の事件の被疑者の中には、警察で革マル派活動家と見ている者が一人おりますし、またほかの一人も、被害者を脅迫する過程で、おれは革マルだというような発言を行っているところであります。
 ただ、議員お尋ねの、今回の事件が労組の問題なのか、それとも革マル派が労組に浸透していることによって起きたものなのかという点につきましては、現在、警視庁におきまして捜査を行いまして事件の全容解明に努めておるところでありまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
西村委員 警察当局は、以前からJR東労組内の革マル問題で、アジト摘発等の事案を足がかりとして、かなりの情報をつかんでおられると思いますが、発表が可能な範囲で、再びこの場において、今回の事案も視野に入れた上で、JR東労組に浸透する革マル派のトップはだれなのか、人員は何人なのか、また、このJR東労組の中に浸透する革マル派は組織として何をしようとしているのか、また、革マル派はJR東労組の支配権を既に手に握っているのか、それともそれをほとんど手に入れつつあるのか、こういうことについて総合的に公表できる範囲で公表していただけませんでしょうか。
奥村政府参考人 お答えをいたします。
 ただいま申し上げましたとおり、本件の事件につきましては、現在警視庁において捜査を行っているところでありまして、具体的内容につきましてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、警察といたしましては、平成八年以降、革マル派の非公然アジト十三カ所を摘発いたしまして、これらのアジトの一部から押収した資料の分析によりまして、革マル派が国労役員宅あるいはJR連合傘下のJR西労組役員宅に侵入した事件を検挙する一方で、JR総連・東労組内における革マル派組織の実態について解明を進めているところであります。
 これまでのこうした警察活動を通じまして、警察といたしましては、JR総連、JR東労組に対しまして、革マル派が相当浸透していると見ているところでありまして、こういう見解にはいささかの変更もないところであります。
 いずれにしましても、今後とも、JR東日本という公共交通機関の労働組合における極左暴力集団、革マル派の動向につきましては、重大な関心を払ってまいりたいと思いますけれども、今議員御質問の、JR東内の革マル派が何人であるとか、あるいはトップがだれだとかということにつきましては、捜査の具体的な中身になりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
西村委員 まことに御答弁ありがとうございました。これからも、JRを中心とする革マル過激派問題をお取り組みいただいて、日本の治安を維持するよう御努力いただきたいと存じます。
 次に、拉致問題に移りますが、北朝鮮側が五名の生存という報告をした中で、曽我さんの件は日本の警察が察知していなかった拉致でありました。この拉致の状況を説明するに、北朝鮮当局は、日本国内にある組織(日本人)が曽我さんを拉致して我々に引き渡したのである、こういうことを言っておるんですが、彼らが言う、この日本国内に日本人を拉致して引き渡す組織があるということについては、警察としてはおおよそ捜査で結論が出ておりますか、この実態は。
奥村政府参考人 北朝鮮が、曽我ひとみさんにつきまして、日本人の現地請負業者から引き渡しを受けて連れてきたと説明しておりますことは、当然私どもも承知をしておりますが、ほかの事案を含めまして、現在警察におきまして、こうした日本国内での協力者の有無につきましても、まさに捜査を行っているところであります。仮に、日本国内での協力者が明らかになって、その協力行為が具体的な刑罰法令に違反するという場合には、これに対しまして厳正に対処をしていきたいと思っております。
 ただ、北朝鮮による事実関係の説明には、日本国内での協力者に関する点も含めまして、非常に不十分な点とかあるいは疑わしい点がありまして、今後とも、外務省を通じて、北朝鮮に対しましてさらに詳細な説明を求めていきたいと思っております。そして、事案の全容解明のために最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
西村委員 日本人拉致問題は、個人犯罪ではなくて組織犯罪であります。それで、あれほど速やかに拉致が実行されるというのは、日本国内にその組織があるということはほぼ明らかになっておるんだ。その実態はわからないという中で、朝鮮総連の元幹部の方々が書いた本などを見ますと、朝鮮総連の組織に属しておる者が工作員上陸地点を日本国内で調査して、それを上陸適地であるというふうに北朝鮮側に通報して、そのとおりそこから上陸してくるというふうなことを地図に詳細に書き示した本もあるわけであります。
 今御答弁いただいた日本国内の拉致を可能にする工作組織と朝鮮総連との関係については、どの程度具体的な実態をつかまれておるか、これについての御答弁をお願いします。
奥村政府参考人 今御指摘の朝鮮総連の元幹部が書いております本に、北朝鮮の工作船の着岸ポイントということで三十八カ所が掲載されているというようなことは承知しておりまして、そうした場所を含めまして、私ども、必要な捜査を行ってきているところであります。
 お尋ねの請負業者と朝鮮総連等との関係につきましては、捜査の中身でもありますし、現在捜査を行っておるところでありますので、そうした関係があるのかどうかを含めましてお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
西村委員 重大な関心を持っておられると思いますので、以後、よろしくお願いします。
 警察は、北朝鮮側が入国の事実はないと言っておる久米さんについては、この実行犯人を一遍逮捕しておるわけであります。同時期ごろアベックの拉致未遂があって、そこでの物を得ておるわけであります。また、平成九年の時点で、六件九名が北朝鮮に拉致されておると警察は直ちに発表されたわけであります。
 これらの事実を総合すると、拉致事件というものが実行された直後ごろに、警察はこれは北朝鮮による拉致であるという判断に達しておったのではないか、こういうふうに思いますが、六件九名の平成九年に認められた拉致事件が、いつ北朝鮮による拉致であると突きとめられていたのかを含めて、いつごろそれが警察にわかっておったのかということについての御答弁をいただけますでしょうか。
奥村政府参考人 最初に御指摘になりました昭和五十二年に発生をいたしました宇出津事件、これにつきましては、共犯者の検挙によりまして、被害者が海岸に連れ出されて北朝鮮の工作船で拉致をされたということが事案発生当初の段階から確認をできたわけであります。
 一方、昭和五十三年の七月から八月にかけまして福井、新潟、鹿児島で連続発生をいたしましたアベックの拉致容疑事案、それから富山県で発生をいたしましたアベックの拉致未遂事案、これにつきましては、発生の時点では、目撃者がいない、証拠品もほとんどないということであったわけであります。
 警察といたしましては、御家族その他の関係者からの事情聴取、付近の聞き込み、その他可能な限りの裏づけ捜査を行いましたほか、韓国当局を含む関係各機関との情報交換など、一つ一つ証拠を積み重ね、情報を集める、まさに地をはうような捜査を営々と行ってきまして、その結果、北朝鮮による日本人拉致容疑事案と判断するに至ったわけであります。
 なお、警察庁といたしましては、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす観点から、いろいろなことをやっております。
西村委員 李恩恵を公表された警察に私は敬意を表するわけであります。しかしながら、やはり久米さんの件は大体そのころ認知だと。地をはうような努力をされておった、しかし、我々の政治の世界を含む国民世論の知るところではなかったと。
 ここで、皇后陛下が十月二十日のお誕生日に表明された、「自分たち共同社会の出来事として、この人々の不在をもっと強く意識し続けることができなかったかとの思いを消すことができません。」というお言葉に、私は、自分自身が深く衝撃を受けるほどの職務怠慢を感じました。それをもって、警察もまた、この問題に取り組んでいただきたいと存じます。
 この拉致問題について最後に聞きますが、北朝鮮が曽我さんのことは自白いたしましたけれども、現代コリアというこの問題に取り組んだところには、五十件以上の行方不明者が、ひょっとして私の娘、息子は北朝鮮に拉致されたのではないかという問い合わせがあります。この中で、明らかに数件は拉致ではないかと直ちに判断し得る事例もある。これは徐々に徐々に表面に出ております。共同体の中における人々の不在について、我々がもう一度点検し直しておるわけであります。
 これも、この行方不明の人たちはどうして行方不明になったのかということについての、過去から振り返っての洗いざらいの捜査を体制を立て直して今やるべき時期だと思うんですが、それをどのようにしてやっておられるのか。また、この体制を立て直すためには今の警察組織ではだめで、再発防止とかそういう観点からもう一段の工夫が要る。そういう御意見があれば承っておきたいと思いますが、お願いいたします。
奥村政府参考人 私ども警察といたしましては、この拉致容疑事案につきましては、極めて重大な事案であるという認識のもとに、これまで本当に地をはうような捜査を営々と行ってまいりまして、その結果として、十件十五名につきまして北朝鮮による拉致容疑事案というふうに判断をするに至ったわけであります。
 議員お尋ねのこの十件十五名以外の事案につきましても、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があると見ておりまして、各都道府県警察に指示をいたしまして、現在、鋭意所要の捜査や調査を進めておるところであります。
 なお、体制等の問題につきましては、私ども従来から、沿岸住民の方々に御協力を得ながら、海上における警備艇による警戒あるいは沿岸部におけるパトロール、検問等の各種対策を実施してきております。その結果、戦後約五十件の北朝鮮関係の諜報事件の検挙のうち、沿岸部において潜入、脱出等を企てた工作員等の事件を十五件ほど検挙しておるところでありますけれども、この拉致容疑事案の全容解明に向けてさらに努力をしてまいりたいと思いますし、こうした事件が起きないような体制についても検討してまいるというふうに考えております。
西村委員 ありがとうございます。
 次の質問に移りますが、官房長官との問答になろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 十一月四日に新聞に掲載されました「正田邸 取り壊しへ」という見出しの記事を私は読みまして、そこに財務省の見解として、「建物は老朽化が激しく、継続使用は困難。更地にして競売した方が、土地が高く売れる」との判断で取りつぶすことを決めたと。そして、付近の住民を中心とした保存の運動を展開しておるのだが、財務省は「たび重なる改築や補修で歴史的価値は失われている」ということで、取りつぶす方針は変えていない。この問題に私がぶち当たってから、我が国の形からこの問題に我々は取り組むべきだ、このように思いました。
 財務省の判断、コメント等々を住さんという保存運動をされている住民の方から聞きますと、これは我々の国家の官僚ではなくて、これらの官僚の意識は、共産主義の官僚であっても立派に務まる意識をしているな、金正日の官僚でも優秀に出世するだろうなという感じがしました。したがって、官房長官とは、この国の形からこの問題を議論したいと存じます。決して個々の方々の意見を云々するのではなくて、この国の形から。
 さて、我が国の形を見るに、憲法第一章は「天皇」であります。したがって、憲法体系から、天皇、皇室との関係を無視して我が国の形はありません。内閣総理大臣を我々議会で指名しますが、それだけでは内閣総理大臣になりません。憲法六条によって天皇が任命して初めて内閣総理大臣でありまして、我々衆議院議員のこの地位、首も、憲法七条によって天皇が衆議院を解散するという国事行為をされなければ我々の首は切れない。したがって、最高裁判所長官、総理大臣、二人は三権の二つの長でありますが、天皇に任命されてその地位につき、国権の最高機関と言われる衆議院を天皇は解散し得る地位にあられる。
 これは、天皇の地位が、国家組織に権威を付与して国家を運営せしめるかなめに位置するその地位ではないか。したがって、我が国は立憲君主国と判断し得る。これについては、官房長官、いかがですか。
福田国務大臣 いろいろな御意見もあろうかと思います。国の形、これはいろいろな考え方があると思いますけれども、やはり歴史、伝統、風俗、習慣、そういうものがすべて総合されて形となっているというように思っております。そういう意味において、天皇の存在というものは、これは大きな中心的な立場である。
 ただ、憲法にもありますとおり、天皇は国家の象徴であるということでございますので、我々は国家の象徴として天皇を今考えておるわけでございます。私は、それはそれで大変立派な考え方だと思っておりまして、そのことで形が崩れることもないし、この形を維持することは十分可能である、こう思っております。
西村委員 それで、その象徴というお答えは憲法第一条ですね。私が申し上げたのは、その象徴を受けて具体的に、総理大臣、国務大臣という言葉も、これは大臣(おおおみ)と書いておるんですな、大臣(おおおみ)、大いなる家臣だということであります。そして、この天皇の地位は、権力を持って権力的に維持されてきたのではなくて、文化の中心、共同体の権威の中心として、政の中心として、国民の敬慕の情により支えられてきた象徴たる地位である、この象徴という言葉自体に国民の情というものと不可分の要素がある、このように私は考えます。
 官房長官、これはいかがですか。一々お聞きして申しわけないですが、これは個人的なことではなく、この国の形、立憲君主国たる我が国の形を官房長官と問答しておるわけですから、よろしくお願いします。
福田国務大臣 天皇は国の象徴である。象徴というのは、これもちょっと厳密に言うとなかなかいろいろな考え方があるんだろうと思います、象徴的存在とか、そういう言葉もありますし。しかし、我々は象徴として考えておるわけでありますので、そういう意味において、国家のあり方というもの、それは天皇を象徴として考えている、そういうのが日本のあり方であると思っております。
西村委員 さて、象徴という言葉では一致して、これを中心にして議論はできると思いますが、憲法第一条、天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であるという、この地位になられる方の母となる皇后陛下の育たれた家が今問題になっている正田邸である、これは事実でありまして、そして、これが国有財産であります。
 さて、国有財産は公用または公共優先の原則を徹底して管理、処分すべきである、これはもう当たり前のことであります。そこで、日本国の象徴になられる方のお母さんの育たれた家が国有財産であり、公共、公用優先の原則を持って管理すべきであるならば、この問題は公中の公の問題として、他の一般の国有財産とは区別して、特殊な国有財産として、とりわけ国民の敬慕の念、国民の意識、国民が皇室という歴史的存在に対していかなる思いを持っておるのか、この思いを無視してこの管理、処分はなされ得ないと私は考えますが、官房長官の御意見はいかがですか。
福田国務大臣 確かに、今回のこの正田邸の処分につきましては、いろいろな御意見があることは確かであります。委員の御指摘されたようなお考え、これも多くの方もお持ちかもしれません。そういう考え方もありますが、しかし、国としては、また政府としての考え方というのは、それはそれでやり方というものはあるわけであります。そのやり方にのっとって粛々と進めていくということは、これは政府としての義務である、こう思っております。
 ですから、そういう御指摘を総合判断して、しゃくし定規に何もやるという意味ではありません。しゃくし定規にもう決まったとおりやりますということにしてしまいますと、文化の薫りもしないし、また情けも何もないというような、そういう非常にルールだけの判断ということになりますけれども、しかし、そういうルールはルールでありますので、それは進めます。しかし、そのときに合わせて、しゃくし定規でない考え方、これは当然それに加える必要はあろうかと思っております。
 こういうゆかりのあるものについては特にそういう配慮をしなければいけない。しかし、そういうような配慮をして総合的に判断した上でどういうふうにするかという、これは結論は出さなきゃいけないわけでございまして、そういう結論に従って今粛々と事を進めておるというのが現状でございます。
西村委員 私も日本人としての情緒を濃厚に持っておりますから情緒的に御質問もしたいと思いましたが、今質問させていただいておるのは、我が国家の憲法体系からくる我が国体、国の形から解き起こしますならば、新聞報道にあるように、この建物は更地価格を下げるので有害である、したがってこの建物を解体した方が土地が高く売れていいんだ、歴史的価値はないんだ、このように答弁し、このような意識を持ってこの国有財産を官僚は維持管理してはならない。いやしくも日本国の官僚であるならば、日本国憲法の形を体すべきである。
 行政は内閣に属する。その内閣の長は内閣総理大臣である。総理大臣という言葉は大臣(おおおみ)と書く。この大臣(おおおみ)を任命された方は天皇である。この体系から、明らかに財務省の役人の頭の中はおかしい、これこそ天皇に任命された国務大臣をいただく内閣が決定しなければならない、こう思うんですね。
 官房長官も今お答えになっておりますが、象徴であり、内閣の大臣を、長を任命し、認証された方のお母さんの生まれ育ったところで、今から申し上げますが、国民がどれほどこの保存を望んでいるか、こういうことを察知いただきましたならば、官僚に任せず内閣が徹底してやる、これを切にお願い申し上げる。
 それで、この問題と関連しますが、建物の価値についての議論をちょっとしておきたいんです。
 管理する財務省がマスコミに答弁し、保存運動の方々に答弁したところでは、この建物は使用価値と交換価値はないんだ、むしろ更地にとって有害だという認識でありますが、果たしてそうなのかなと。物の価値、国有財産というものの価値は、使用価値と交換価値だけで決まるのか、歴史的価値もあるだろう、こう思うわけですね。
 そこで、「日本近代建築総覧」という本がありまして、これは日本建築学会が編集している本でありますが、明治の建物の総覧をつくった、しかし、大正、昭和戦前の建物に対する明治建築以上の破壊のすさまじさ、これに遭遇して、戦前期を含む昭和までの建物総覧をつくることにした。例えば、神戸の異人館等々はそのような中で保存され、そして今、ああ、残しておいてよかったということになっているわけです。
 この総覧は、明治、大正、昭和戦前を通じての、日本近代建築の歴史の証人、文化活動の遺産のすべてを網羅した台帳となった。リストはごらんのように、ただ一行ずつのものにすぎない。悲しいほどあっけない。しかしそこには、調査担当者の万感の思いが込められている。特に重要なもの、あるいは注目すべきものと考えられる作品には、備考欄に丸印を付したのであると。
 それで、この総覧の中に正田英二郎邸、この本件の皇后陛下の育たれた家が出てくるわけです。そして、今読みました、特に重要なもの、あるいは注目すべきものと考えられる作品には、備考欄に丸印を付した、この丸印が、まさにこの皇后陛下の生まれられた家にあります。そして、設計は清水組であり、設計書も残っております。したがって、復元、保存は可能であります。
 財務省の言う価値がないというものは、不動産屋ならともかく、バブル時代の感覚のみで、ただ土地を見れば金に見えるという不動産屋の感覚ならともかく、建築学会の評価においても、また正当な思いを持って保存運動に立ち上がっている国民の思いをもっても、重大な本当の価値のあるものだと私は思うわけでございます。
 官房長官、私の今御報告申し上げたこともよろしくお心に入れていただきたい。
 さて、我が国における歴史的価値とは何か。これは、我が国における歴史的価値の中で、皇室との関係において国民が歴史的な価値があると認めるものであろう、このように思いますね。皇室との関係が我が国の憲法体系からどうあるかと先ほど言いました。
 官房長官に、先ほど、これは官僚に任せておったらだめだというふうに言いましたので、どのようにこれの保存運動が始まり、どのような応対があったのかということだけは、私が申し上げた判断の前提でありますから、お伝えして、この質問を終えたいと思います。
 この正田邸が、夏、七月の初め、草ぼうぼうになっておりまして、付近の皆さんが、美智子妃殿下が出ていかれた家に雑草が生い茂っている、したがってこれを刈ってくれと区に言ったら、区は、これは管理は国だからといって断られた。しかしながら、それからしばらくして小泉総理がこの裏に移ってこられて、住民が言ったからではない、警備上の理由だといって草は刈った。
 そこから、区にこの保存を要請したところ、区は財務省当局に照会して、区長が財務省当局に照会いたしましたところ、当該土地建物は昨年六月に物納されましたが、現在国有財産として国が大切に管理しているとのことでございます、このように国が責任を持って管理しておりますので、品川区としては今後の推移を見守っていくことが最も適切な対応ではないかと考えているところですと。財務省は区に、国が大切に管理しているんだと言ったようであります。これが九月十九日に区長の答弁となってある。
 しかし、一カ月もしない十月十七日、取りつぶし方針が明確になり、それはなぜかといえば、保存運動をしている住という方の自宅に財務省の二人が来た。それで、取りつぶし方針を伝えたという。二千五百の保存の署名があるんだ、待ってくれと言ったら、まあ署名ぐらいは受け取っておこうかということで、十月二十二日、二千五百の署名から三千五百八十六の署名に膨れ上がっておったんですが、これを住さんは自宅に来た財務省のところに持っていった。
 そうすると、既に署名は受け取りながら、署名を受け取る前日の十月二十一日に解体業者に告示をしておる。それで、住さんを中心に住民が口頭で、また文書で、我々が努力して買い取りたい、ナショナルトラスト運動というのはこのようにして歴史的な建物を保存するし、景観も保存しているんだからということで買い取りたいと言ったんですが、財務省は、絶対だめだと。一人、名刺も出さない者がおって、名刺はくれないけれども絶対だめだと。このような中で、上の建物を指して、これがあると売りにくいという不動産屋の感覚が出てくるわけです。
 こういう感覚は、先ほど官房長官と私が問答した、国民の象徴たる地位にあられる方のお母さんが育たれたお家であり、かつ国民がその保存を願い、また、近代建築総覧の中では建築学会が特に重要なものといって指定している建物に対する態度では断じてない。このような官僚は、北朝鮮の金正日のもとで仕事をさせれば優秀になる。日本国という我が立憲君主国のもとでこういう官僚に任せる問題ではないと強く思うわけですね。
 これは、官房長官もよく御承知のとおり、個人が望むとか望まぬとかいうことではなくて、我が国の国有財産の中の皇室ゆかりの財産を公中の公として我々がどのように管理すべきか、これは国民総意の問題ですね。したがって、再度お願いしてこの質問を終わりますが、今概略お伝えしたような官僚サイドの頭で処理できる問題ではありません。
 これから官房長官の方に保存署名は持っていってもらいたいと思うんです。今現在で八千。一昨日は正田邸の前で街頭に置いておきましたら、一昨日だけで二千集まる。今まで街頭で署名したことないんです。それでも八千ですから。一昨日だけで二千ですから。ゆめゆめ、先ほどの官僚のように、もう取りつぶしの告示をしているのにしゃあしゃあとして受け取る。受け取らなかったらいいんですよね。そういうことで、官房長官、よろしくお願いいたします。切にお願いいたします。
 質問を終わります。
佐々木委員長 以上で西村眞悟君の質疑は終了いたしました。
 次に、北川れん子君。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。
 きょうは、まず初めに、災害援護資金のことについてお伺いをいたしたいと思います。
 これは、阪神・淡路大震災が一九九五年に発生したわけですけれども、そのときに、災害弔慰金の中の制度である災害援護資金というものの制度を利用したもので、五年間利子が猶予されているわけですが、二〇〇〇年でその五年の利子の猶予が切れるというふうにもなってきている。こういうときにお伺いするわけですが、この五年間の返済の状況についてまずお伺いをしたいと思います。
河村政府参考人 阪神・淡路大震災に係る災害援護資金の貸し付けについてでございますけれども、貸付期間は十年間で、平成七年に阪神大震災が起きたわけでございますけれども、五年間の据置期間が終了いたしまして、平成十二年九月から償還が始まったところでございます。
 その償還状況についてのお尋ねでございますけれども、平成十四年九月末現在、今年九月末現在で、兵庫県全体で五九%、約六割の償還率となっておるところでございます。
北川委員 この厳しい状況の中にあって六割の方が返していらっしゃるということなんですが、あと四割、その期日が刻々と迫っている中で、なかなか返しにくい状況というものを調べていらっしゃる皆さんからアンケートの結果というものを教えていただいたわけです。
 ことしの八月七日に発表された阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議の方々の災害援護資金返済状況調査結果があるわけですけれども、それによると、借り受け人で亡くなってしまった方が二千四十三人、自己破産が千二百五十九人、行方不明というか、所在がわからなくなった方が七百三十九名というふうになっています。私は尼崎が立候補地だったわけですけれども、例えばその尼崎では、亡くなった方がもう既に百九人、二・七二%、自己破産者は九十六人で二・四%という形で出ていまして、行方不明者は五十五人で一・三七%という形で、かなりの高率の形で状況の悪化というものが見られるんです。
 厚生労働省は、阪神・淡路の九五年以降の経済状況も踏まえてなんですけれども、どういうふうに対処をしてこられたのか、その辺をお伺いしたいと思います。
河村政府参考人 災害援護資金の貸し付けにつきましては、公費、税金を原資としておりまして、当然のことながら返済していただくことを前提とした制度でございますけれども、貸し付けを受けている方々にもさまざまな事情があることも踏まえまして、償還が円滑に行えるように、月払いによる償還も認める、あるいは少額償還を可能とする、やむを得ない事情がある場合には支払いを猶予するなどの、貸し付けを受けている方々がなるべく償還しやすくなるように工夫をしておるわけでございまして、先ほどおっしゃいましたような、貸し付けを受けた方が死亡した場合というのは償還免除という形になるわけでございます。
北川委員 死なないと償還免除にならない。それはシステム的にそうなんですが、私はそのとき市議会の対策特別委員の、無所属一人議員の一人としてメンバーの一人であって、そのときに私などは、災害救助法に別に現金での支給がだめだという一文は全然ないんですね、それを時の政府の首相がそういうふうに読めるんだというふうに言い切ったということに関して、特別委員会でも問題にしたことがあったんです。
 そのときに、もう一つ問題にしていたのが連帯保証人の問題だったわけです。今、死亡された方は免除というお答えが返ってきたわけですけれども、生き続けていらっしゃる方が返せなくなった状態のときに連帯保証人にかかってきて、その連帯保証人になった方から今相談件数がウナギ登りになってきているんだということをこの県民会議の方からお伺いしているわけなんですけれども、そういう実態。あえて言えば、多少、やはり細かな実態まで厚生労働省は把握されているのか、各市町村、特に兵庫県下の市町村が多かったと思うんですが、何か聞き及んでいらっしゃるか、その点をお伺いしたいと思います。
河村政府参考人 この災害援護資金を借り受ける場合に、連帯保証人というか、保証人をつけるという制度になっておりまして、そういう形で運用をしておるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたようなさまざまな工夫、少額返済、あるいは償還金の支払い猶予、あるいは月額償還というような、償還しやすいような工夫というのは、当然のことながら市町村を指導してそのようにいたしております。
 市町村において行われる事業でございますから、個別の人の細かい事例まで私どもが把握しているわけではございませんが、全体状況につきましては把握しておるつもりでございます。
北川委員 先ほど、六割の方は返して、あと厳しい方々がどうしても残ってしまうという数字を教えていただいたわけですけれども、連帯保証人も、まず親が七%、子供が三四・二%、兄弟が一四・九%、親戚が一一・四%、友人が二一・一%、妻が〇・九%となり、上位六位まではほとんど親族になるわけです。親族は、大概同じような地域で暮らし合っているということがあって、大なり小なり、あの阪神・淡路大震災で受けた傷というか財産の欠落というか、そういうものはあったわけで、連帯保証人がしんどくなってきている状況を、まだ余り眼中にはお入れになっていただいていないと思うんですが、あの時代、保証人制度というのは国際的にも日本だけがとっている制度で、保証人制度をやめてほしいというのを私もすごく強く要求した一人でしたので、この辺の状況を踏まえて、連帯保証人にかぶってきている、連帯保証人がもうしんどくなってきているということをぜひわかっていただきたいと思います。
 次に、これは一九七三年の法律なんですけれども、利子三%という数字が出ておりまして、今、利子を払うだけが精いっぱいで原資までなかなか返せないというような、無力感みたいなものにもなっているんですが、連帯保証人への部分を何とか猶予してもらえないかという相談以上に多いのが、この利子の三%に関しての免除。
 そうすると、聞くところによると、国、厚生労働省は、各自治体に、そういうふうに柔軟に対応したらいいよというふうに指導されているらしいんですけれども、二〇〇五年から国に対して、原資千三百億円の、国、県、市と分配されている分の国から借りた分を返していかないといけないという時期に入ってくることもあって、柔軟な対応をとってはいないというふうに聞いているんですが、厚生労働省はその辺はどのようにお受けとめになっていらっしゃいますでしょうか。各自治体、県、市は柔軟な対応をとっているというふうに見ていらっしゃるのか。もしくは、やはり取れるものは取ろうというふうな風潮になっているのではないかと危惧されているかとか、その辺はちょっとわかりませんが、どういうふうに感じていらっしゃるかを教えていただきたいと思います。
河村政府参考人 この利子の問題につきましては、法律ではっきり三%ということが書いてあるわけでございます。償還期間は十年でございますから、平成七年から平成十七年までの償還期間ということになりますが、無利子である据置期間というのがあるわけでございまして、通常でございますと、三年間無利子、あとの七年間で返すという形になっておりますが、阪神大震災の場合には、そういった事情を考慮いたしまして、据置期間を五年間という形にいたしております。
 仮に、こういう据置期間を設定せずに償還を求めるとした場合には、五年間据え置きの場合は、利子というのは、実質は一・六四%ということになります。利子というのは、結局何に使われているか。市町村の事業として行われておるわけでございますが、貸付事務費なりあるいは貸し倒れリスク、そういったものに備えるということでございますので、利率の面からいっても適正、妥当なものではないかというふうに思っております。
 それから、貸し付け条件につきましては、先ほど申しましたように、市町村も指導いたしまして、少額返済あるいは償還猶予というものを活用して、市町村において実態に見合った支払い促進というものを行っておるというふうに承知をいたしておるところでございます。
    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕
北川委員 そうしましたら、その詳細、少額返済などの措置の具体的な実態というものは把握されていらっしゃいますでしょうか。
河村政府参考人 災害援護資金の全国的な状況を申し上げますと、償還額の状況につきましては定期的に把握をいたしておりますが、この阪神・淡路大震災の場合につきましては、兵庫県あるいは神戸市から、こういったさまざまな工夫がとられた実情というのは私どももお聞きをいたしております。例えば、償還者全体のうちで、神戸市の場合は少額返済が一八%ぐらいであるとか、そういうような形でお聞きはいたしておるところでございます。
北川委員 ちょっと数字は私が把握しているのとは、私はもう少し低い数字のときのを聞いているんですが、近々のそういう調査の報告も実態を把握されているということなんですが。
 次に、内閣府の方にお伺いしたいんですが、被災者は、厚生省所管の災害援護資金だけではなく、今お伺いした部分だけではなくて、そのほかの融資も受けています。結構いろいろな、五つぐらいのところから借りていらっしゃる方とかいるわけなんです。災害援護資金の問題だけではなくて、被災者対策措置の実態の把握というものが必要であると思うんですが、その辺の実態調査を、それぞれ猶予の期間が迫っているということもありまして、とろうとされているかどうか、その辺の御決意の方をお伺いしたいと思います。
山本政府参考人 防災対策は非常に広範な領域にわたっておりまして、関係する行政機関も多数にわたっておるわけであります。これらの行政機関全体として一体となって力が発揮できるようにする、国として、地方公共団体と連携して防災対策のために最大限の力が発揮できるようにする、そういうふうにすることは内閣府の非常に大事な仕事だと考えております。
 ただ、先ほど来論議されております個別施策の運用につきましては、私どもとしては、制度の運用主体であります地方公共団体等において、所管省庁と十分な連携のもとに適切に措置していくということがあるべき姿だというふうに考えております。
北川委員 ちょっと今の御返事は冷たいなと一瞬思ったので言葉が出なかったんですが、なぜかというと、せっかく災害対策大臣が内閣府の方にできて、これから日本が地震の活動期に入るというのはもう数年前から言われていて、特に瀬戸内は、地震がなぜか起こらない地域というような迷信みたいな言われ方をしていたところであって、ですが、やはり二十年前、予見の明がある学者の方は、そんなことはないと。活断層の動きからいくと厳しいものがあるから、殊に神戸の町づくりというものは気をつけなさいよという審議会での提言というものがあったというのも聞いております。
 そういう中にあって、今お答えになったのは、各省庁がやることだという御返答だと思うんですけれども、事お金自身が厳しくなっている現在の状況にあって、一瞬の天災だった時期から、あれは天災ではなくて人災に入ったというのは私も確実に感じている面というものがありますので、きょうは鴻池大臣にお越しいただけなかったので、殊に内閣府の総合調整機能をどうか発揮していただきたいということをつけ加えさせていただきたいと思います。本当にみんな厳しい状況に京阪神は追い込まれていますので、ぜひその実態をわかっていただきたいと思います。
 次に、農水省、厚労省に、食の安全の点でお伺いをいたします。
 ことし、ナシの問題で無登録農薬、そんなものがあったのかと初めて私なんかも気づいたわけですけれども、残留農薬基準の問題の対処についてお伺いをしたいと思います。
 近年、果物類が、私も保育園などで経験したんですけれども、ナシとかカキとかを皮ごと食べるというか、昔からの食の食べ方が随分変わってきていて、だんだん世代が若くなるにつれ、皮をむいて食べる果物は殊に、とてもおいしく、豊作でよくできた年であってもなかなか売れないという実態にありまして、カキとかナシとかという農家の皆さんは、近年ずっと厳しい状況にあるんですね。そういうところで、品質改良、ナシなどは特にいろいろ改良されてきて、食べやすいもの、甘いものというふうにきているわけです。せっかくことしはいいナシができた年だったんですけれども、登録されていない農薬が出たということで、自殺まで追い込まれた農家の皆さんもいらっしゃるという状況になってしまったわけです。
 多分生産者の方も、無登録農薬ということに関してはいまいち意識はなかったと思います。あのBSE問題で、肉骨粉が入った飼料を食べさせているという意識がない畜産農家が多いというのを、現場を歩いて私自身はちょっとびっくりしたんですけれども、現場の農家の皆さんとか畜産農家の方というのは、農協とかいつもつき合っている方とかを信頼し切っているというところがありますので、疑ってかかるのが余りないというのが実態であるわけです。
 去年、都道府県の残留農薬調査の結果を取りまとめられたわけですが、そのとき、基準値を超えた場合にその原因を解明するなどフォローアップをして情報を公開するべきだというふうにも思っています。基準がなければ安全だと思ってしまう。ですが、よく見ると、この農薬というのは、DDTとかディルドリンとかヘプタクロルとかマラチオン、ダイホルタンとか、これは魚毒性がCだし、PCNBだと魚毒性がAになってきて、ディルドリンとかはPOPs条約にも禁止されている農薬であるとかいうことで、無登録農薬といったら、かなり危険な農薬が含まれているというのを私も初めて知ったわけなんです。
 何か基準がなければ安全なように思ってしまう我々の感覚があるんですが、厚労省は、この基準がないということと安全といったこととの乖離をどう見ていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
尾嵜政府参考人 今先生からお話ございますように、残留農薬の基準というのは、今世界的に使われておりますおよそ七百種類ぐらいの農薬がございますが、そのうち国内で、日本の方で基準を設定いたしておりますのが二百数十でございます。基本的には、私ども、今後はこういった残留基準を設定して、ポジティブリスト制に持っていきたいというふうに考えております。来年の通常国会には、そういうものを含めた食品衛生法の改正を行いたいというふうに考えておりまして、ある程度の計画期間を持ってそういうポジティブリスト制に持っていきたいというふうに考えております。それが基本的な考え方として、私、持っているところでございます。
 ただ、現実には今申し上げたような状況でございまして、そういった基準がないものにつきましては、そういう基準がない農薬が検出された場合には、例えば一日許容摂取量、ADIと申しますが、ADIでございますとかあるいは国際的な基準が設定されている数値を参考にいたしまして、それが影響があるかないかという判断を現場でやっておるというのが実情でございます。
北川委員 現場でやれというのは農家にやれということにかぶってくるわけなんですが、その農家自身が、なかなか情報が開示されていないとか、入手する手段を持たない方たちもたくさんいて難しいんですが、基準がないものはまず売らないとか輸入させないとか、基準がないものを検出されないようにするべきだと思うんですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。
尾嵜政府参考人 今お答え申し上げましたように、基本的には御指摘のようないわゆるポジティブリスト制ということで、基準をできるだけつくって、そういう基準ができておらないものにつきましては御指摘のように輸入とかあるいは国内流通をさせない、そういう制度に持っていきたいというふうに考えております。
 ただ、現実には、先ほど来申し上げておりますように、全国あるいは世界的に使われている農薬の七百のうちのおおよそ二百数十という基準しかまだ我が国ではつくっておりません。そういう意味では、今直ちにポジティブリスト制ということで、この二百以外を使用禁止にする、あるいは流通をさせないということは、私ども、現実にはできない状況であると思っておりますので、そういった基準をできるだけ早急につくった上でポジティブリスト制に移行したいという考え方を持っているところでございます。
北川委員 早急と言われても三年間ぐらいはかかるだろうと。三年間自身も、担当者のコメントが新聞に載っていたのを読むと、とても厳しい、三年間でそれができるかなというのが現実だというふうにありますが、そのスパンの間ですね。もう自殺農家まで出してしまった現状とイメージだけがつくわけですね。そうしたら、何かナシは農薬の塊だみたいに思ってしまう、ホウレンソウはそんな塊だというふうに思ってしまう消費者側の心理というものがあります。
 食の安全に対しては、消費者はより安全なものを求めたいというか、安全であってほしいという願いを行動であらわす人と、お金を払うということの対価であらわす人と両方いるわけですけれども、その間のスパンですね。ポジティブリストにするなり基準をつくっていくなりの間を、今回の起きた事件の教訓というものはどういうふうに反映されるのか、教えていただきたい。
尾嵜政府参考人 先生の御質問の中身は二つあるんだと思っておりますが、一つは、無登録の農薬についての対応と申しますか、取り扱いという観点からの内容。そこにつきましては、制度上は農薬取締法という、これは農林水産省の方が所管されております法律に基づいてのものでございます。そういったもので当然使用禁止になっているものについては、私どもも、食品衛生法上、そういうものが検出されてはならないということで対処しているわけでございます。そこのところは、ポジティブリスト制であろうがなかろうが、排除されるべき内容でございます。
 私が申し上げておりますポジティブリスト制については、使用がされるべきものというふうに考えた場合の農薬については、基準を設定していないものについては基準をつくるという考えでございまして、それについては、今御指摘のように、私どもも、おおよそ三年ぐらいは計画期間を置く必要があると思っておりますが、そういう段階ですべてを基準がないからといって禁止するわけにはいかないと思っております。
 ただ、先ほど来お話し申し上げておりますように、そういった基準がないものが検出された場合に、その基準がないわけでございますが、数値が検出されたという場合には、先ほど来申し上げましたADIというような数値が基本的には設定をされておりますので、そういった数値との比較、あるいは、そういった国際的な基準が設定されている場合にはその基準を参考に判断をさせていただいているということでございます。
北川委員 厚労省は人の体への影響という面での農薬の面を今お話しになったと思いますので、次に、農水省にお伺いいたします。
 農家とおつき合いになっていらっしゃる農水省は、この無登録農薬の問題を農家の皆さんにどういうふうに伝え、何をあなたたちは気にしなくてはいけないというか、作物をつくるときに無登録農薬を買ってはいけないということをまず言わないといけないと思うんですが、そういうことをされたんでしょうか。
坂野政府参考人 御説明します。
 無登録農薬につきましては、既に御承知かと思いますけれども、七月三十日、山形県で農薬販売業者が逮捕されて以来、いろいろと情報提供を各都道府県を通じてしたということであります。また、この農薬を売った販売店、これは全国で営業所は約七万店ございます。これを総点検しております。農林省としても、特に必要なところについては、販売業者、営業所の立入検査を実施しているところであります。その中で、現在までの今の実情、実態を申しますと、昨日時点で、無登録農薬を二百五十四の業者が販売し、農家としては三千八十九戸の農家が購入をしたということが判明しておるわけでございます。
 まず、これらの情報についてどうなっているかということでございますけれども、各都道府県を通じて把握した情報については公表ということに努めておりまして、県別の無登録農薬の販売、購入状況とか無登録農薬に関します概要だとか、それからダイホルタンとかプリクトラン、ダイホルタンの残留性等につきまして逐次プレスリリースということにあわせまして、農水省のホームページに掲載したところであります。
 この問題は、食の安全、安心という視点からは大変重要な問題でございますので、今お話がありましたような、無登録農薬を使用した農作物は食卓に上がらないということをまず一点目として、それから二つ目には、販売、使用した者に対する徹底的な処分と指導を行うことが重要というふうに考えております。
 ただいま御指摘のありました、各農家には各都道府県を通じましていろいろ、こういうような適切な農薬を使いなさい、それから、もっと、例えば今回ですと無登録農薬を使ったものは出荷しないようにとか、そういうような情報の提供、また指導、研修等を行っているところであります。
 なお、今回のいろいろの事案を考えますと、現行の農薬取締法というものは必ずしも十全でないという認識をしておりますので、そういう認識のもとに、農薬取締法の改正法案を今国会で提出したところでございます。
    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕
北川委員 私も生産者の方と幾ばくかのつき合いがあるんですが、三十年例えば米づくりをやっているとしても、関西地方でも年に一回しかお米の植えつけというのはできない、そうすると、三十年農業をやってきたといっても三十回の経験しかないんだというふうな言われ方をした若い生産者がいて、結局、食卓に上らせないとかと今強く言っていただいたんですが、農家は、いかに見ばえがよくてきれいに、そして自分たちの生産現場に出る人数が限られ限られて、かなり六十代が中心で担っているのが日本の農家の現実ですよ。
 そういう中で、いいよと勧める農協があったり出入りの業者があったりするとつい使ってしまうという、そういう仕組みになっているわけですね。それを農水省はよく御存じの上で今食卓に上がらせないと言われるんですが、天候とかある中で、使っても、結局は同じ作業をされていることでできた創造物というか生産物がもうむだになってしまうというような責任転嫁を生産者に課すということに、私はとても農水省の生産者保護の面が欠けていると思うんですね。
 私自身は、きっちりしたリスク、これを使えば売れなくなるかもしれないよというリスクも含めて教えてあげる。例えば肉骨粉だって、もうあの時代でわかっているわけですから、使うんだったら使っていい、だけれども、こういうリスクが出てきて、狂牛病とか、そういうBSE関係につながるような事件になるかもわからないよとか、皆さん言うべきですよ。はっきり言って、生産者に何も知らせずに労働だけさせて、その生産物は無登録農薬がかかっていたからだめですと、結局はもうお金が、収入がないという状況を生産者に課すわけですから。借金なんですよ。どの農家も借金しているんですよ、一生懸命。そういうことをぜひわかっていただきたいと思います。
 残留農薬基準が設定されていない農薬は使用禁止にするべきだと思うんですけれども、これに対しての御見解をお伺いしたいと思います。
尾嵜政府参考人 私の方からは、食品衛生法上の取り扱いとして、基準ができておらない農薬は先ほど来申し上げておりますように数あるわけでございますが、例えば農薬取締法、先ほど来お話がございますような、そこでは登録がされておるというもので基準ができておらないものがございます。これは、農薬取締法で使ってもいいということでそういう形になっておるのに、私どもの方で基準がまだつくられておらないというものでございます。
 そういったものについては、先ほど来御説明申し上げておりますように、できるだけ早くタイムラグが生じないように基準をつくっていくという形をつくりたい、同時に、そういった基準をできるだけ早くつくった上で、ポジティブリスト制ということで、そういう基準がないものについては流通をさせない、あるいは販売をさせない、そういうふうな制度に整理をしたい、そのための法改正を来年の通常国会には提出したいという考え方でございます。
 そういう意味で、今登録をされて基準ができていないものについて、使用はできることになっておるわけでございますので、それをすべて使用できない、流通させない、食品衛生法上も販売なり流通をさせないというふうな措置を直ちにとることは私ども難しいというふうに考えておるところでございます。
北川委員 難しさを克服するのが行政マンの心意気というものだろうと思います。
 それで、食品安全委員会担当大臣になられた谷垣大臣にお伺いしたいわけですが、先ほど農水省はホームページにも載せたよとかといって情報公開しているような言われ方をするんですが、有機農業者は比較的若い世代が多くて、自宅にパソコンを何台も持っている人たちももちろんいるし、世界の情報を入手している方たちもいるし、知っているわけですけれども、多くの、今六十五歳以降の大体中心で担っていらっしゃる方の部分というのは随分変わってきていると思います。
 食の流通の面において、厚労省と農水省という、省庁が違うということでのタイムラグができる点等々をお聞きになっていて、私は一括したチェック体制が必要ではないかというふうに思うんですが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
谷垣国務大臣 今、北川委員おっしゃった縦割りで全体の姿がなかなか見えないじゃないかという御指摘だったと思うんですね。
 それで、今度私は担当は、食品安全委員会を新しく立ち上げる、それで食品安全基本法を来年の通常国会に提出するというのが私の役割ですが、今構想している新しい食品安全に関する行政のあり方というのは、完全にそれらが一つの行政組織の中でやるという構想ではありません。
 食品安全委員会の役割は、食品を科学的、中立的にリスクを評価していく、そして、実際に食品のリスクの管理をする行政は農水省であったりあるいは厚生労働省であったりするわけですが、そこに私どものこれからつくっていく委員会は客観的な科学的基準のリスクの評価でいろいろ勧告を行う。それから、実際にそういう管理を行っている役所のやっておられること、指導とかあるいは規制というものに対してモニターというかモニタリングをしていく。そして、この食品に関係するところは、先ほどからお話しのように、生産者といいますか供給事業者もあれば消費者もあり、行政もあるわけですが、そういうところといろいろな情報を入れたり出したりといいますか、コミュニケーションをしていく。こういうのが食品安全委員会の役割でございます。
 ですから、今度の考え方というのは、食品安全委員会とそれから農水省、厚生労働省、地方自治体も入るだろうと思いますが、一元的に一つの体制になっているわけではなくて、そこのところがお互いに適度な緊張感を持って、チェック・アンド・バランスというのがいいかどうかわかりませんが、緊張感を持っていく、こういう体制をうまく動かすようにつくっていこうというふうに今考えているわけです。
 しかしながら、要するに、そういうものがみんなばらばらであってはいかぬじゃないかということだろうと思いますね。それで、最後は一体となって食品安全行政というものをやっていかなきゃならないわけで、そこのポイントの一つが情報ということだと思います。
 六月十一日に関係閣僚会議の取りまとめをしていただいておりますが、食品安全委員会は、「内外の危害情報を一元的に収集・整理する。」こういうふうに整理していただいておりまして、それに見合うような組織をつくっていかなきゃならない、こう思っております。
北川委員 どうもありがとうございました。
 もう時間がないので次に移りたいと思うんです。原子力安全・保安院長とそれから細田大臣の方にお伺いしたいわけですが、十一月二日の福井新聞に、「原子力安全委員会による第二次審査は最終盤を迎えているもようで、早ければ十一月中にも終わる」と報道されていますが、これは事実かどうかということを保安院長の方にお伺いしたいのと、それから細田大臣の方には、科学技術担当大臣として、原子力政策の中での今後の「もんじゅ」のあり方についてどのような認識をお持ちなのかをお伺いしたいと思います。
松浦参考人 原子力安全委員会の松浦でございます。今、保安院長というお言葉でございましたが、この所掌は原子力安全委員会でございますので、私から答えさせていただきます。
 核燃料サイクル開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」の設置変更、これは原子炉施設の変更でございますが、これだけに限らず、すべての原子炉の設置許可等の段階に行う安全審査に関しましては、原子力安全委員会は非常に慎重に審議を続けております。
 本件に関しましては、平成十四年五月八日付で経済産業大臣から諮問を受けておりまして、この諮問に対して、当委員会の原子炉安全専門審査会におきまして第百三部会をつくりました。この百三部会で審議を続けておりますが、これまで同部会では八回会合を開きましたし、また、そのほかに現地調査といたしまして、核燃料サイクル機構の大洗工学センター、それから「もんじゅ」の建設所にも行きまして慎重に審議を進めております。まだ慎重な審議を進めておるところでありまして、現時点では審査がいつ終わるかということを申し上げるわけにはいきません。
佐々木委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお答え願います。
細田国務大臣 高速増殖炉についてのお尋ねでございますが、ウラン資源の利用効率を飛躍的に高めて技術的にエネルギー自給への道を開くことを可能とするということで、また、高レベル廃棄物を削減し、環境負荷の一層の低減を図ることも可能でございます。そういうことで、将来のエネルギー問題の解決のために、我が国としては高速増殖炉の技術を選択肢として進めてまいりたいと思っております。したがって、「もんじゅ」についても、早期の運転再開を図ることが重要と考えております。
北川委員 どうもありがとうございました。
佐々木委員長 以上で北川れん子君の質疑は終わりました。
 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 きょう、私は原子力問題について質問したいと思いますが、最初に、東電の不正事件にかかわって質問いたします。
 原発については世の中には賛成の方も反対の方もおられます。しかし、原発の危険から安全を守るという点では、ほとんど一〇〇%の人々の間で意見の違いはないわけです。そういう中で、今、電力会社、それから原子力保安院の方は、この面では余り信頼されていない、そういう時代になってきております。それは今回の不正事件等があったから特にそうなっておりますが、そういう中で、原子力安全委員会の方は、やはり安全行政の面で今信頼されるかどうかということが問われてくる非常に大事なときになってきておると思うわけです。
 そこで最初に、原子力安全委員長の松浦さんにお伺いいたしますが、私も、東電不正事件の記者発表のありました八月二十九日には、福島第一原発の三号機の格納容器の中へ入って調査に行ってまいりましたが、私がそのとき調査しましたのは、制御棒駆動水圧系配管にひびが入って貫通する寸前にまでなっていたという問題の調査に行きました。
 もちろんこれは、貫通したとしても、そこで水圧がとれなくなっても、実はボールバルブが働いて圧力容器内の七十気圧の水圧によって制御棒が一応作動するというバックアップのシステムがあるとか、いわゆるフェールセーフという発想でいろいろ仕掛けをつくっているということは知った上での質問なんです。
 しかし、それにしても、この制御棒の駆動水圧系配管で必要な基準肉厚が欠けるぐらいひびが進行してしまっている場合とか、あるいは、それが貫通してしまっているひび、こういうものは別段あっても構わないという立場で臨むのか、これはゆゆしき事態だと見て臨むのかというのは、これは原子力安全という点では出発点の問題で非常に大事なところだと思いますので、これはどちらのお考えに立っておられるか、安全委員会の見解というものをまず最初に伺っておきたいと思います。
松浦参考人 お答え申し上げます。
 今、先生御指摘のように、今回の制御棒駆動機構にあります配管が、ひびがあって、そして水が漏れたといたしましても、それだけで直ちに原子炉の制御に重大なことが起こるというわけではありません。しかしながら、こういう状態で運転が継続されるということはあり得ない、それは許されるべきではないと思いますので、運転を再開する場合には、配管を健全なものにしてすべきだと思います。
 それから、今回のトラブルは、非常に多くの配管がクラックを生じておりますが、これは重要な点でありますので、これについて十分に今後検査をすべきだと思います。
吉井委員 ひびが入ったまま運転を再開するとか設置を認めるのは、これは論外だというのはわかり切った話なんですね。
 しかし、実は、前の検査のときにはかなり傷は大きかったんだけれども、ひびは入っていなかった。しかし、運転中にひびがさらに進行して貫通してしまったとなれば、やはり大変な問題ですから、この点は、一応今お答えはあったんですけれども、厳しく臨むということがまず大事だと思うのです。
 その上で伺っておきたいんですが、実は私が調査に入ったときは、ひび割れの見つかったのは、四つのブロックに、その場合配管があるんですが、一つのブロックで七十本ぐらいの配管で、格子状にありますが、その中で六十一本中三十六本、つまり損傷率六〇%だったんですね。その中で、中には必要肉厚が三ミリなきゃいけないのに一・九ミリしかないというまで傷が進行していたものもあったわけです。ところが、その後東電の方で全数検査をやったら、損傷率は八六%、配管を完全に貫通しているものが三本見つかったということですね。
 ですから、私がここでお聞きしておきたいのは、あれは、たまたま別な配管工事のためにばっさり切断したから検査できたんですが、通常の定期検査のときは、構造上も、この一ブロックの配管というのは、全部格子状にあるのは、安全委員長はそういうのは専門家だからよくおわかりのところなんですが、これは非常に検査ができない構造になっているんですね。
 それから、被覆する塗料を塗っていますから、塗料をはがさないと検査できないんですね。また、これは構造上、真ん中の方へ手を差し入れること自体ができないものなんですが、ですから、超音波探傷装置で調べるといっても、通常の定期検査では簡単じゃないということを私は現場で確認しましたし、東電の技術系の幹部の方もそれは認めておりました。
 そこで、問題は検査手法とか検査機器の開発ですね。それから、検査の精度の向上というものが必要だと思うのですが、これについては現在技術的に完成しているのかどうか、これを伺っておきたいと思います。
松浦参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のように、あの装置は非常に検査がしにくい構造になっております。現在の技術の段階は、一応実用に供するという段階かという程度でありますが、御指摘のように、今後ますますその技術開発を進めて、より詳細にきちんと実態を把握できるようにしないといけないと思いますので、安全委員会としても開発を期待するところではあります。
吉井委員 ですから、あの問題についても検査手法や検査機器の開発段階なんです。
 次に、東電福島第一原発四号機について、保安院の報告を読んでいますと、再循環系のポンプの吐出側の継ぎ手部で最高使用圧力九十六・〇気圧、最高使用温度二百九十八度Cのときに、配管の必要な基準肉厚は二十八・一二ミリメートルである、約三十ミリですから三センチ近いものですね。二十八・一二ミリメートルが基準肉厚だというのが保安院の示しているところです。
 これに対して、実際にひびの深さを公称の肉厚から、これは腐れ代その他を足して実際に使っている公称肉厚ですが、それから傷の分を差し引いたら、現在の肉厚が二十八ミリしかないという状態のものがありました。再循環系配管にちょっとしたひびが見つかったという段階のものじゃなくて、基準肉厚が満たされるか満たされないかというところまで傷が進行しているというのは、これはやはり深刻な問題としてきちっと受けとめて対応を考えなきゃいけないと思うのですが、これも安全委員長に伺っておきます。
松浦参考人 お答えいたします。
 再循環系の配管につきましては、圧力バウンダリーを構成するものでありますので、安全確保上ここに問題があってはならないと思います。どの程度のひび割れを許容するかというのは、これは、ああいう圧力系の配管ですと、そのひびの長さといいますか、周方向の長さ、すなわち中心からの角度がどのくらいかということによって厚さが変わると思いますので、どこからがということは一概には申せないと思います。
 ただし、これにつきましては、現在、日本機械学会で民間基準の策定のための検討を進めておるということで、その方向を我々としても十分によく見きわめていきたいというふうに考えております。(吉井委員「ただ、基準肉厚が満たされないと困るでしょう」と呼ぶ)
 二十八・一八と言われました。それは計算上これだけ望ましいということでありますので、そのぎりぎりのところは、測定に関しまして誤差もありますので、そこぐらいまでいきますと、それはもう当然対応しなければならないというふうに思います。
吉井委員 そうなんですね。基準肉厚があり、もともとそれに腐れ代というのを足すんですね。あるいは、二・一倍とか安全係数を掛けて肉厚を決めるんです。そこから傷がどんどん進行していって、とうとう基準肉厚を切るかどうかというところまでいったわけです。これは非常に深刻な問題だということで受けとめなきゃならぬと思います。
 次に、東電、東北電力、中部電力、日本原電などで見つかった炉心シュラウドの方のひびの問題ですが、私も、例えば柏崎に行ってビデオを見せていただきました。あれは圧力容器の中にビデオカメラを入れて目で見て探すんです。その上で超音波探傷装置も原子炉の水の中へぶら下げて自動制御で動かしながらはかるんですが、これはなかなか傷を見つけるのも難しい。
 傷の深さの測定は誤差がかなりあって、精度よく見つけるのは困難というのは、実はこれも、東電、浜岡でも見てまいりましたが、浜岡原発の技術系の幹部の皆さんから直接聞いた話です。また、原子炉の中で探傷装置も見せていただいたり、ビデオの映像で傷の確認もやりましたが、この炉心シュラウドの傷の報告がそれ以降もだんだんふえてくるんですね。つまりそれは、技術者の方が語っているように、検査が難しい。
 つまり、この面でも検査機器の開発や検査手法と検査評価の確立が今必要な段階じゃないかと思うんですが、この炉心シュラウドの検査については、これまた一〇〇%完成された技術と考えておられるのか。検査の手法とか検査機器の開発自体に今もっと力を入れなきゃいけない段階だとお考えなのか。これは安全委員長に伺っておきます。
松浦参考人 お答えいたします。
 シュラウドの検査に関しましては、先ほどの制御棒駆動のパイプよりははるかにまだ検査しやすいところでございます。ただし、おっしゃるように、炉心の中でございますので、目で見てもなかなか見つからないというところがありますので難しいわけでありますが、現在の技術は一応、実用段階になっているというふうに認識しております。
 ただし、これに関しましても今後技術開発を進めて、より詳細に把握できるような技術になることを我々は期待しておりますし、また、そのことを東京電力も、あるいはその他の電力、それから保安院も検討しておりますので、その検討を我々は注意深く見守っていきたいと思います。
吉井委員 シュラウドを外へ出して検査するのはおっしゃるとおりなんです、目で見れば。しかし、通常の検査のときというのは水の中で調べるんですね。しかも、少し汚れがあると、その汚れを削り取ってから見たりするので、これを見つけるのはかなりの熟練を要するというのが、東電や浜岡の技術者の工場長さんとか、そういう技術系の幹部の方の御説明であって、そんな簡単な話じゃありません。
 原子力の安全の基本が、つまり検査の手法とか評価とかその段階でまだ確立しているとは言えないということを、やはりきちんと踏まえて取り組んでいかなきゃいけないということを指摘しておきたいと思います。
 そこで、細田大臣に次に伺っておきたいんですけれども、不十分な検査技術の水準であっても、インディケーション、兆候と指摘されたものを深く究明する努力も行わないで報告もしない、隠し続けたりデータ改ざんを行ったという、この東電などのやってきたことは本当に私は許しがたいことだと思っているんです。ただ同時に、保安院が内部告発を二年間隠してきたことは、これもまたさらに許されないことだと思いますが、驚いたのは、さっきの制御棒駆動水圧系配管のひびなんかは、これはもう十四年間隠し続けてきたんですよ。十四年前に見つかっていたわけです。
 その東電もひどいんですが、実はこの問題、最初に経済産業省の方に来てもらって伺いますと、この程度の傷は国の報告徴収の対象にはならないと考えているというのが最初の回答でした。甘い検査やなれ合いの対応など電力と経済産業省の癒着に今国民の厳しい批判の目が向いているときなんですよ。
 ですから、この東電事件でIAEAなどから調査を言われてきた前任の尾身大臣の後を継がれて、原子力の担当大臣として、細田さんにはやはり原子力行政をきちんと正すという決意や気概というものが求められているときだと思いますが、中間的にこの点だけ聞いておきたいと思います。
細田国務大臣 原子力の問題に非常にお詳しい吉井先生でございます。私自身も、原子力の問題、非常に大きな関心を持って従来政治家として取り組んでまいりましたが、このたびの諸問題は、委員御指摘のとおり、非常に遺憾なものでございます。そして、原子力安全・保安院自体の体制、あるいは法律内容もさらに厳格に改正をする必要があると思いますし、また、先般、原子力安全委員会のダブルチェック機能を最大限に生かさなければならないということで、法令に基づきまして、内閣総理大臣を通じまして経済産業大臣に対しまして勧告を行ったわけでございます。
 委員御指摘のとおり、今後、原子力安全規制体制については、さらに対策を強化してまいりたいと思っております。
吉井委員 細田大臣に引き続いて伺っておきたいんですけれども、福島第一原発の一号機で、次々とまたいろいろ出てきていますが、原子炉格納容器の気密性検査、漏えい率検査の問題が出てきましたね。
 私も実は、政治家の方に転身する前にプラント設計をやって、物をつくったら、圧力検査とか、場合によっては十のマイナス七乗、八乗という真空容器の状態で、宇宙のロケットにもかかわってくるスペースチャンバーなんかの気密性能試験をやりましたが、その検査自身、実際にやっておる者からするとなかなか大変なんですが、ただ、その漏えい率検査を、データの改ざんをするために、検査前にガスを余分に封入するということまでやっていたということですね。そうすると、そもそも東京電力というのは、あそこが出してくるデータは何なのかと。安全性も何もあったものじゃないですね。
 私はそこで大臣に、東電にうそをつかせない、正直に対応させるために何をやっていこうとしておられるか、簡潔で結構ですが、伺っておきたいと思います。
細田国務大臣 御指摘の点につきましては、まさに意図的に国の検査を欺くという法律違反を犯したものでありまして、言語道断であると考えているわけでございます。
 したがいまして、先般の勧告におきましても、規制にかかわる法令を見直すこと、検査実施体制を抜本的に見直すこと、適切な技術基準を策定すること、規制の対象とならない故障等に関する情報なども原則としてすべて開示すること、そして社会的監視機能を持つ申告制度を適切に活用すること、これを内容とする勧告を行っております。
 特に、やはり企業の内部できちっとしたことが行われることについて、申告制を日本企業の風土の中でしっかりと活用し、これがまたこの改善に貢献するようにする仕組みも非常に重要であると思っておりますが、さらに安全委員会による二重チェック機能の強化を図ってまいりたいと思っております。
吉井委員 一連の不正事件がありまして、国に報告するべき気密性の検査、これまでデータを改ざんしてごまかしておった、うそをついていた、本当にけしからぬ話であります。
 そこで、前回取り上げましたウラン鉱石の輸入問題に移ってまいりますが、前回、最後に福田大臣の方に、私、そのとき配付いたしました「ナミビアのウラン鉱石を購入する際の相手企業との契約一覧表」というのを提出して、そして、各電力会社に、契約日も、契約先も、契約の形態が鉱石か六弗化ウランかとか、契約量、引き取り期間、それから一九九〇年までの、つまり南ア制裁が解除されるまでの間、その時期に当たる九〇年までの輸入実績、これは、各電力会社からもらっている分を一覧表にまとめた。
 これは、国連決議に反するようなことはだめだというのは、三木総理の答弁など以来、ずっと日本政府はそういう立場で来ているはずですから、その事実を確認するために、まず内閣としてもこういうことをきちっと調べるようにということで取り組むことを求めておきましたが、既に調査するということで始めていただいていますか。
福田国務大臣 この件につきましては、昭和四十九年の国連ナミビア理事会布告の実施状況について、通産省において布告の存在と内容を事業者に周知し、その後も、昭和六十三年、衆議院商工委員会において田村通産大臣から、今後はナミビアからのものが含まれないことが明らかな契約とするよう指導する旨答弁したところでございますので、このとおり措置をされていると承知をいたしております。
吉井委員 そのお話というのは八八年のお話で、その少し後にも、ナミビアの独立、そして南ア制裁解除というのは九四年に行われているわけです。実は一九七四年、五年のときにも国会で議論がありまして、三木総理の方がきちんと答弁をしていた問題でありますから、これはそのとき、それ以降措置されたという話じゃなくて、それ以前もどうだったのか、このことをきちんと調べるということが必要だと思うんです。
 実は、今おっしゃった田村通産大臣の答弁の中でも、国連決議の趣旨尊重ということと新たな契約はナミビア以外にさせるということとあわせて、既存契約についても調査するというのが国会答弁でありました。ですから、当時から、七〇年代初めからの既存契約についても調査するというのが国会答弁ですから、今のお話を伺っていると、私がこの間資料を出して調査をお願いした件は、始まり出しの段階なのか、まだ十分始まっていないようでありますから、これはぜひ大臣の方で、きちんと内閣を挙げてやっていただきたい。
 きょうは、私伺いたいと思いますのは、実はそういうウランの購入契約や輸入手続がどういう流れになっていくのか、お手元に資料を配付させていただいております。
 それで、資源エネルギー庁と電力会社との関係で、この矢印、ずっと見ていただいたらおわかりのとおりなんですが、最初に、契約合意前にヒアリングを受けて、ウランの輸入割り当て、IQを申請を受けて出すとか、そうすると電力はウラン鉱石の会社と契約を正式に成立させて、そして次にはILの申請をやって、インポートライセンスを得て、それから手続が進んでいくわけです。これは、あらかじめ資源エネルギー庁の方に昨日この内容を確認しておきました。
 それで、資源エネルギー庁の方から、この時期の分は、例えば七〇年代は通産省原子力産業課と言っておりましたとか、そういうお話を伺ったところだけは部分的に手直ししておきましたが、まず、資料一に挙げましたウラン購入の契約と輸入手続については、基本的にこれは間違いありませんね。エネ庁の方に聞いておきます。
迎政府参考人 お答え申し上げます。
 七〇年代に、資源エネルギー庁、当時の原子力産業課といたしまして、ウラン購入契約に先立ちまして、その産出鉱山を特定する目的で事業者からヒアリングを行ったというふうなことはないと承知しております。要するに……(吉井委員「今おっしゃったのは一応の御意見として、あとの分は合うてますね」と呼ぶ)ですから、最初の、一番上の、どこの鉱山からの輸入かを特定するというふうな目的でのヒアリングというのはやっておらない。
 それで、現在でも半年ごとに、輸入割り当て枠を設定する目的で、ウランの輸入予定数量を各電力会社から受け取るというふうなことはやっておりますけれども、ヒアリング等は行っておらない、こういうことでございます。
細川政府参考人 ウラン精鉱、あるいはその加工したものについての輸入の手続でございますが、委員お示しの資料の中で幾つか、若干修正させていただきたいと思っております。
 一つは、支払い許可、PLの欄でございますが、ウラン代金の支払い、こうなっておりますが、正確には、転換等の役務の対価のための支払い許可、このように理解しております。
 それから二点目でございますが、手続完了のところで、通産省の貿易局へ裏書きしたIL、PLが行っておりますが、正確には外為銀行にこれが返還されるというふうに理解しております。
吉井委員 それはきのう聞きました。時期によって、外為銀行に提出の場合と、以前は通産省貿易局だったという話ですから、別にこれは間違っているわけじゃないんです。
 それから、ウラン代金のことは右の方にちゃんと書いておきました。鉱石と別に役務取引の場合にはこうやるんだとわかった上での話ですからね。ですから、基本的にこの表は正しいということを認めていただいたわけです。
 それで、ウラン鉱山のお話がありましたけれども、実は、一九六六年通産省告示第百七十号で、IQを受けるべき貨物の原産地、必要な事項は公表するとなっているんですね。これは当時の通産省告示で決まっておりますから、品目にはウラン鉱、天然ウラン、ウラン化合物ということがありますから、今おっしゃったのは最近の話で、昔のことは余り御存じないんでしょうが、六六年の告示に基づいてウランの説明はあったというのは、電力会社の燃料担当者が、かつて仕事をしておった人が皆言っているわけですから、それは余りあいまいなことを言ってもだめです。
 次に伺います。
 資料四を先にごらんいただきたいんですが、「ウランの国際契約の流れ」、これは一般的に電力会社とどういうかかわりかということですが、これも、昨日これを見ていただいて、それで右側の上から三つ目の箱のところを、コミュレックスというのを入れて、これにBNFL、これをお聞きしたので入れた以外は、基本的に、まずIQを得てウランの購入契約は成立、先ほどもおっしゃった転換する場合には転換契約がそれぞれ交わされ、さらに濃縮ウラン契約が結ばれて、こういう流れで電力会社にウランがウラン燃料棒の形なり燃料体の形で入ってくるということを確認をしてもらっていますので、改めて、私の理解が間違っておったらいけませんから、資料四についてエネ庁の方から伺っておきたいと思います。
迎政府参考人 これを拝見いたしましたが、特段間違い等ございません。
吉井委員 それで、この資料四の形に基づいて具体的にどう進んできたかというのが、資料二「関西電力のケース」、それから資料三の「九州電力の場合」であります。
 なお、先ほど、契約合意前のヒアリングのことで少しおっしゃっておられたけれども、九州電力に昨日確認してもらって、私が前回指摘しました九州電力の契約書の十八条だったと思いますが、日本政府の認可を得て契約が成立する、つまり、日本政府がその段階からウランはどこから買っているかということを確認しての契約成立であったということがその話を伺ってわかりました。
 資料二の、関西電力へNUFCORやらRTZミネラルサービス、このミネラルサービスの方は、この間も御紹介しましたが、スイスの有名な全くのペーパーカンパニーで、人口二百人ぐらいの村の中に登記だけしているという会社ですが、そういうところからウランを買うんですが、このウランがナミビアのウランです。それをERAに転換してもらって、UF6の形で日豪ウラン資源開発を経由して関西電力に入ってくる。このERAというのは、RTZが六八%出資し、七〇年代に契約したころはまだなかった会社なんですが、八〇年に設立、この会社へは日豪ウラン資源開発も一〇%出資しているというところですから。
 なぜこういう形をとったかというと、結局、国会で問題になって、ナミビアから直接ウラン鉱石を購入すると国際的に大きな問題がある、ですから、資料四のところにも書いておきましたが、転換契約の会社を間にかませるわけですね。例えば、RTZという会社と転換契約を結びますと、そこがイギリスのBNFLで実際のU3O8をUF6の形に転換して、その後濃縮工場に送る。
 つまり、関西電力にしてもあるいは九州電力にしても、九州電力は、エルドラードという会社とRTZ、そして九州電力の三社契約を七七年九月十三日に結んでおりますが、なぜこういうややこしいことをしていくのか。結局、南アが、NUFCORがナミビアを支配して、ナミビアからウランをとってきてそれを九州電力に売るという形では国際的に大問題です。ですから、これは最初NUFCORと契約を結んでおったのですが、エルドラード社に転換契約を依頼して、UF6の形で九州電力が購入する。エルドラードとRTZと九州電力の三社間契約を結んで、結局、日本に入ってくるときは、皆さんがよく説明されるように、UF6の形で入ってくるんです。
 原鉱石がナミビアのものかどこのものかわかりません、八〇年代以降ずっとそういう話を続けてこられたんですが、関西電力についてもそうですよ。ですから、私は、四の資料に示したこの形で関電も九州電力も、東京電力はまた次の機会にと思っているんですが、東京電力も全部そういう形で国際的な違法行為をしてきた、このことは大変重大な問題だと思うんです。
 まず、輸入の原産国の承認の段階からかかわってきている資源エネルギー庁は、全くこういうことは知らなかったというお話なのか、かなり知っていたのか、伺っておきます。
迎政府参考人 まず、ここにございますようなウラン鉱石の購入契約というのは、例えばRTZですとかそういう会社と鉱石の購入契約をやるわけですけれども、その契約上、鉱山等を特定したような契約は一般的に行っていない。それから、先ほど申し上げましたように、契約の合意前にどこの鉱山から輸入するかを特定するというふうなことはないということでございまして、私どもとして、どこの鉱山からというのを把握しようというふうなことは基本的にはやっていなかったということでございます。
 今先生の方から御指摘のありました関西電力あるいは九州電力の事例につきましても、これはナミビアのものがERAを通じて入ってきたというふうなことはなかったというふうに認識をしております。これは、ウラン精鉱自体は豪州のERA社からのものであるというふうなことでございまして、ERAからウラン鉱石を輸入したというふうなことは、これはRTZの子会社ではございますけれども、これは豪州のウランを輸入するための契約であったというふうに理解をしております。
 それから、九州電力のケースにおきましても、NUFCOR、RTZ、それぞれと別の契約をしておるわけでございますけれども、何かナミビアからの輸入を偽装するためにいろいろな契約を結んで横流しをしたというふうな事実はない、そういうことはなかった、あるいはそういう事実は把握はしていない、こういうことでございます。
吉井委員 RTZミネラルサービスは、スイスにあるペーパーカンパニーなんです。スイスのどこにウラン鉱山があるんですか。その他、ヨーロッパの企業のお話をされました。ヨーロッパのどこにウラン鉱山があるんですか。
 大体、そういうことは本来皆さん知っておったんですよ、あなたはまだその時代は通産省に入っておられなかったかもしれないけれども。一九六六年の通産省告示第百七十号で、IQを受ける前に、つまりIQを受けないと契約を結べないんですよ。その時点で原産地については必要な事項の公表ということがきちんと決まっていたんです。その品目は何か。全部公表というわけじゃありませんが、ウラン鉱、天然ウラン、天然ウラン化合物、全部これは公表することになっていたんです。だから、そういうことを言う前に、これは全部通産省が知った上でやっていたんだということが今大きな問題であると私は思います。
 それで、電力がどうやったか、契約はわからないと言ってみたり、後段部分だけえらい詳しくおっしゃるんだけれども、一番大事な前段部分を明らかにしない。その前段部分というのは、まさにこの間私が取り上げました「ナミビアからのウラン鉱石を購入する際の相手企業との契約一覧表」、これを電力に確認されたらいいんです。電力がこのとおりだと言ったら、ではNUFCORはその当時はどこからの分ですか、RTZミネラルサービスはどこからのものですか、リオ・ティントといったって、その当時はどこからのものですかと。
 RTZといえば、ナミビアにロッシング鉱山を持っておったんですよ。そこからウランを掘り出して売っておったんですよ。そこと日本は契約していたんだから、だから、あなたがそれだけ一生懸命、電力の方がナミビアからの国際的な不法行為、密貿易に当たることをやっていなかったんだということを力を込めておっしゃるんだったら、その前に、私が指摘しましたこの表について、官房長官からの指示も受けとめて、まず電力の方にきちんと問い合わせをして調べるべきだ、このことを申し上げておきます。
 官房長官、私、前回も提示したこの表について、先ほどもお答えいただいたんですが、疑惑が持たれることがあってはならないとか、所管の官庁がしっかり対応すべきという、そういう今の段階の話じゃないと思うんです。
 これは、七四年十二月十九日の三木総理、宮澤外務大臣答弁もこの間御紹介したとおりです。それから、きょう大臣もおっしゃった、八八年十一月九日の田村通産大臣答弁でも、国際的不法はやっちゃならないと。それで、既存契約についてもちゃんと調査するんだというのが政府のとってきた立場であるはずです。
 ですから、所管官庁にしっかり調べるように指示するにしても、これは外務省だ、経産省だというところで話を振り合っているんじゃなくて、やはり福田官房長官として、内閣挙げてこういう問題についてはきちんと調べていただきたい。
 本日提示しました事実については、経済産業省というのは、実は、これまでの電力との癒着などがあって、これは調べられる側なんですよ。調べる側じゃなくて調べられる側にもあるわけですから、国連決議違反の不法行為への加担問題もあるわけですから、ですから、内閣官房長官として、内閣としてこれは真剣に調査をして報告をしていただきたい、私はこのことを福田大臣に求めたいと思います。
福田国務大臣 ただいまいろいろ伺っておりまして、やはり事実関係の把握、これがまず必要なことだと思います。
 そういう意味におきまして、先般も私から申し上げたのは、担当する省庁におきましてしっかりと掌握するということがまず先にあるわけでございますので、このことを担当省庁においてやってもらうべく指示をしたいと思います。
吉井委員 もう時間になってまいりましたので終わりますが、私は、田村さんがおっしゃったように、やはりこれについては既存の契約であってもきちんと調査をする。国連決議やら国連安保理決議に反して、日本の電力会社は全部ナミビアからの天然ウランの輸入をしておった。直接入ってくるときには六弗化ウランの形で、わからないような形をつけたにしても、こういう不法行為をやっておったということは、やはり過去の問題を日本がどれだけきちんと清算してこれからに臨んでいくかということにもかかわってきますから。
 しかも、エネ庁の方は、電力やら電事連やらいろいろなところとの関係もあれば、天下りやいろいろな問題がありますから、なかなかこの間あげた表の事実関係すら調べることができない状態なんです。それで電力に聞いてみたら、イエスともノーとも言えないと。本当だからノーとも言えないわけなんですが、そういうことをエネ庁の方に答えているようであります。それだけに、これは国際的にも極めて大変な問題ですから、内閣としてきちんと調査をしていただきたいと重ねて求めて、終わりたいと思います。
佐々木委員長 以上で吉井英勝君の質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
佐々木委員長 次に、第百五十四回国会、内閣提出、古物営業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。谷垣国家公安委員会委員長。
    ―――――――――――――
 古物営業法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
谷垣国務大臣 ただいま議題となりました古物営業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 この法律案は、古物の取引における高度情報通信ネットワークの利用の拡大等にかんがみ、情報通信の技術を利用する古物営業に係る業務に関する規定を整備するとともに、古物競りあっせん業者に係る盗品等の売買防止等のための規定を整備すること等をその内容としております。
 以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
 第一は、情報通信の技術を利用する古物営業に係る業務に関する規定の整備についてであります。
 その一は、いわゆるホームページを利用して取引を行う古物商は、都道府県公安委員会に提出する許可申請書に、そのホームページを識別するための一定の符号、いわゆるURLを記載しなければならないこととするとともに、氏名または名称、許可証の番号等を当該ホームページに表示しなければならないこととするものであります。
 あわせて、その表示の真正性を担保するため、都道府県公安委員会は、当該古物商の許可証の番号等をホームページを利用して公衆の閲覧に供するものとしております。
 その二は、古物商がホームページを利用して競り売りをしようとする場合に行う届け出について、手続規定を整備するものであります。
 その三は、規制緩和要望に基づき、古物商が古物の買い受け等をする場合の相手方の真偽を確認するための措置として、相手方による電子署名が行われた電磁的記録の提供を受けること等を追加するものであります。
 第二は、古物競りあっせん業者に係る盗品等の売買防止等のための規定の整備についてであります。
 その一は、いわゆるインターネットオークション等、古物競りあっせん業について、都道府県公安委員会に対する届け出を義務づけるとともに、盗品等の疑いがあると認める古物についての申告その他の古物競りあっせん業者の遵守事項を設けるものであります。
 その二は、古物競りあっせん業者のあっせんの相手方が売却しようとする古物について、盗品等であると疑うに足りる相当な理由がある場合においては、警察本部長等は、当該古物競りあっせん業者に対し、当該古物に係る競りの中止を命ずることができることとするものであります。
 その三は、古物競りあっせん業者は、その業務の実施方法が、国家公安委員会が定める盗品等の売買の防止及び速やかな発見に資する方法の基準に適合することについて都道府県公安委員会の認定を受け、その旨の表示をすることができることとするものであります。また、古物競りあっせん業を外国において営む者についても、同様に認定を受けることができることとしております。
 その他、品触れの発出方法の追加に関する規定、警察職員による立入検査に関する規定等、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律の施行日は、古物商が買い受け等の相手方を確認するための措置に関する規定及び警察職員による立入検査に関する規定の整備にあっては、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日とし、その他の部分にあっては、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
佐々木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る八日金曜日午前九時十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時七分散会


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