衆議院

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第6号 平成14年11月13日(水曜日)

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平成十四年十一月十三日(水曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 佐々木秀典君
   理事 逢沢 一郎君 理事 青山  丘君
   理事 小野 晋也君 理事 渡辺 博道君
   理事 伊藤 忠治君 理事 細野 豪志君
   理事 河合 正智君 理事 西村 眞悟君
      大村 秀章君    奥山 茂彦君
      嘉数 知賢君    梶山 弘志君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      菅  義偉君    高木  毅君
      高橋 一郎君    谷川 和穗君
      近岡理一郎君    馳   浩君
      林 省之介君    山本 明彦君
      石毛えい子君    岩國 哲人君
      大島  敦君    大畠 章宏君
      島   聡君    中村 哲治君
      山花 郁夫君    山元  勉君
      横路 孝弘君    太田 昭宏君
      吉井 英勝君    北川れん子君
    …………………………………
   国務大臣         鴻池 祥肇君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   文部科学副大臣      渡海紀三朗君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   内閣府大臣政務官     木村 隆秀君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  増田 暢也君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局私
   学部長)         玉井日出夫君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  小島比登志君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局消費経済部長)     小川 秀樹君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   内閣委員会専門員     小菅 修一君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十三日
 辞任         補欠選任
  嘉数 知賢君     馳   浩君
  金子 恭之君     梶山 弘志君
  谷本 龍哉君     山本 明彦君
  大畠 章宏君     大島  敦君
  山花 郁夫君     島   聡君
同日
 辞任         補欠選任
  梶山 弘志君     金子 恭之君
  馳   浩君     嘉数 知賢君
  山本 明彦君     高木  毅君
  大島  敦君     中村 哲治君
  島   聡君     山花 郁夫君
同日
 辞任         補欠選任
  高木  毅君     谷本 龍哉君
  中村 哲治君     大畠 章宏君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 構造改革特別区域法案(内閣提出第六九号)


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     ――――◇―――――
佐々木委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、構造改革特別区域法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中城吉郎君、総務省自治行政局長芳山達郎君、法務省入国管理局長増田暢也君、文部科学省高等教育局私学部長玉井日出夫君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、厚生労働省医薬局長小島比登志君、厚生労働省老健局長中村秀一君、経済産業省商務情報政策局消費経済部長小川秀樹君及び国土交通省港湾局長金澤寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林省之介君。
林(省)委員 皆様、おはようございます。連日の御精励、御苦労さまでございます。私は、自由民主党の林省之介でございます。
 本日の審議は、構造改革特別区域法、私は、この法案が趣旨どおりに実施をされるならば、必ずや我が国の経済の活性化にもつながる、まさに国民生活の活性化にもつながる大変すばらしいものであるというふうには考えております。ただ、その移行過程の中で種々問題が発生するのではないかと考えるところがあるものでございますから、きょうは、そのあたりのところについての質問をさせていただこうと思っております。
 そこで、まずお尋ねをいたすわけでございますが、例えば市町村合併、このことがそれこそ民間の方々にも、言葉として、どうなるんだろうというふうに語られ出してからもう四、五年経過をしているだろうと思うのでございますが、現在のところ、市町村合併が今どの程度に推進をされているのか、あるいはどの程度に各自治体からそういう申請のようなものが上がっているのか、検討中であるのかというあたりのところについてお伺いをいたします。
芳山政府参考人 ただいまの市町村合併の進捗状況でございますけれども、平成十二年十二月一日の行政改革大綱以降でございますが、暦年で平成十三年の合併事例は、さいたま市、西東京市等初め五件でございます。十四年に入りましてからこれまで三件、香川県のさぬき市、つくば市、大船渡市ということでございますが、今後、半年余りの間に十数件の合併が実現する見込みでございまして、来年四月の静岡市、香川県の東かがわ市、熊本県のあさぎり町というようなことでございまして、十数件程度の合併が実現する見込みであります。
 平成十七年三月が合併特例法の期限でございまして、現在、全国的に合併の機運は盛り上がっているものと思っております。
 数字的に申し上げますと、十月一日時点の調査で、現在、各市町村における法定協議会、任意協議会ないしは研究会というのを設けて、複数の団体で合併の検討をしている市町村数は全国の約八割、全国の三千二百十七の市町村のうちの八割を超える二千六百四十七でございまして、特に法律に基づく法定協議会の数は全国で百四十、構成市町村数五百六十二でございます。また、都道府県が、合併の機運が熟しているということで、合併重点支援地域を指定しておりますのが百九十一地域八百六十二市町村というぐあいになっておりまして、四月一日の調査時点に比べて二倍以上に増加をしている、こういうような状況でございます。
林(省)委員 確かに、今お聞きをしますと、件数的にはかなりなものがある。しかし、現実に今まで合併が実現したという件数はまだまだ極めて少ないわけであります。そして、今それを検討している自治体におきましても、果たして本当に合併が実現をするのかという見通しについて、局長のお考えをちょっと聞かせてください。
芳山政府参考人 ただいま申し上げましたように、全国的には、十七年三月の期限に向けて、各市町村いろいろ話し合いの努力をしているというぐあいに思います。
 合併そのものの協議については、市町村合併が手段でありまして、やはり目的は町づくりということでございまして、デメリットをなるべく少なくして、合併のメリットをなるべく最大にするということでございます。これまで、今先生御指摘の点でいいますと、デメリットの面でいうと、住民の声が届かなくなるのではなかろうかとか、周辺になって声が届かなくなる、また文化や伝統が途切れるんじゃないかというような点が指摘されていますが、これらの点についても、我々、できる限りの制度改正等を今まで行ってきておりまして、例えば住民の声なり周辺ということについては、合併特例法の改正の中で旧村単位の地域審議会というものをつくって、そこの代表で新市長に対する意見を具申できるようなことで、これまでも、先ほどの熊本県のあさぎり町もこの地域審議会を導入いたしましたが、そういうような事例が出てまいっております。
 また、住民の声の面でいいますと、もちろん、支所、出張所の設置とか、ないしはこの前の郵便局の委託の法案というのもおつくりいただきまして、なるべく住民のサービスが身近で使えるようにというようなこともやっております。
 平成十二年十二月の行政改革大綱の中で、与党の目標であります千というのを重く受けとめて、今その実現に努力をしております。
 これまで、制度改正で、ことしの四月に地方自治法の一部改正がありましたけれども、これも、議会で法定協議会を否決をした場合に、住民発議で、住民投票で法定協議会を設置できるようにするとか、また、ことしの八月三十日に市町村合併支援プランの拡充ということで、関係各省庁の連携施策で拡充策に取り組んでおりますが、いずれにせよ、十分な成果が上げられるように、啓発を含めて、引き続きいろいろ努力をしてまいりたいというぐあいに考えております。
林(省)委員 今お聞きをしたのは、局長の見通しとして、これぐらいな件数はいけるんじゃないですかねということを聞かせていただきたかったわけですが、私の選挙区でも、一つの、三十六万ぐらいな市と人口三万ぐらいな町とが合併どうこうという話がずっとあるわけです。これが遅々として進まない、また、進んでいないと言った方がいいと思いますが、その原因を私なりにいろいろ調べますと、一番反対しているのはだれなんだといったら、地方議会議員ですよ。これがぐずぐず言っているんですね。まさに自分たちの議席につながっていくわけであります。それにプラスするところの、今度は自治体の首長であります。二つ合併すれば一人で済むわけですから、自分の首が飛ぶわけであります。そのあたりが一番のネックになっていると私は思うんですね。
 しかも、住民の声というのは、今おっしゃったような文化の問題もあるでしょう。いろいろな問題があるでしょうけれども、合併することによって得をしますかと。大阪ですからね、どちらかというと損得勘定がまず頭に出てくるんですよ、合併して、おれら、得するのか。私は、ある自治体に対しては、私の考えを余り強く言っちゃいかぬけれども、それとなく、ここは損しますよ、こちらは得をするでしょうねという言い方をいたしております。何でそんなことが言えるかというと、これは明らかに、いろいろな財政上の問題でありますとか、あるいはそれぞれの自治体が持っているところの行政能力、これにやはり大きな差があると私は考えております。
 したがいまして、今回の特区法についてもそうなんですね。行政能力の高いところ、人、物、金、これが集まっている地域と、人もろくなのがおらぬ、大変失礼ですけれども、その辺の縁故関係で、ちょっと町に土地売ったからうちの息子入れろというような、そういう町も随分あるんですよ。そうすると、当然、はっきり申し上げて、行政能力落ちます。全然考えられない。まして今回の特区法案について、こんな計画立ててなんというのは到底無理ですよ、はっきり申し上げて。
 今、そういう状況の中での町村合併そのものが、ある意味では、どんどんと町村合併ができたところとそうじゃない周辺とで、私は、町村合併の一番大きなメリットは、私なりの考え方としては、まずは人件費がうんと安くなるということですよ。当然、二つあわせれば、丸々の人数要らぬわけですから、三分の一ぐらいは要らぬでしょう。その人件費が浮くだけでも住民サービスに回せるじゃないですか、こんな話をすると、そうすれば我々にとっても得なんですかねというようなお話である程度の納得が得られる。
 少なくとも、ある一定の情報開示をしっかりとして、そして住民に対してそれこそ合併の賛否を問うような住民投票のようなものをやって町村合併に至るというような状況であれば、皆さんも御納得いただけるんでしょうけれども、どうも今、裏でぐちゅぐちゅやっているのは、今申し上げたように、まずは地方議会議員が積極的にやろうとしない。首長もそれに便乗するような形でぐずぐず言っている。こんな状況が恐らくいろいろな地域であるだろうと思うんですね。そういう状況を踏まえた上で、局長としては、どの程度にいわゆる町村合併が進捗をするんだろうかということの見通しを先ほどはお聞きしたかったわけでございます。
 時間の関係もございますから、そのことばかりにいつまでも時間をとるわけにはまいりませんので、そこで、特区の方の話にいきたいと思うんでございます。
 今、特区法について、確かに、先ほども申しました、そのとおりに、趣意どおりに実現をしていけば、恐らくこれはすばらしい形ができ上がるだろう。だけれども、これが市町村間の格差をどんどん広げる結果になりはせぬかな。そのおそれというのは、今も申し上げたように、まさに市町村間の行政能力に大きな差があるというふうに私は思っているわけでございますが、これは大臣、どのようにお考えでございましょうか。
鴻池国務大臣 確かに、林委員のただいまの御発言の中に、各市町村の行政能力、いわゆる人材がしっかりしているところとしっかりしていないところとあるぞ、こういうことで、私も兵庫県の尼崎市以下、それぞれ見ておりますけれども、似たようなところも随分ございます。
 市会議員の有力者が自分の親戚をどうしても入れろとか、いろいろなことで能力が全部落ちているんじゃないかと思われる節がたくさん見えております。しかし、その中で、この特区構想を理解されて、よし、うちの町で、うちの市でこういうことを提案すればどこかで活力が出てくるぞ、こういうことで、このたび八月三十日に締め切りをいたしました第一次提案募集に関しましても、五十九の町、十一の村でなかなかすばらしい提案も出てきておるところでございまして、その地域の特性に応じて規制を緩和する、改革をする、こういった考え方をその町、村また市の職員が十分理解して、今後もこの特区構想に提案をどんどん出していただくことを期待するところでございます。
 なお、一月の十五日を締め切りに、第二次の提案募集をいたしているところであることも申し添えたいと思います。
林(省)委員 それで、確かに今大臣もおっしゃったように、一部の自治体では、斬新な、あるいは中にはあっというようないろいろな計画が出てきた。仮にこういうものが実現されていったといたしますと、住民に一番強い関心があるのは、地域による差もあるんだろうと思うんですけれども、この特区法のいろいろな条文を見ておりまして私が一番気になったのは、実は学校教育法の特例でございます。
 かつて、私の選挙区は教育疎開なる言葉を生み出した地域でございます。日教組の力が非常に強くて、親たちは、この地域では絶対公教育は受けさせたくない、そんなことで、主として子供たちが中学校に就学をしようというころになると、いろいろな手を使いました。お金の本当にある人は、自分が考える、教育のいいところだなと思われる地域にそのまま移転をするわけであります。しかし、そこまでの力のない方といいますか、経済力のない方は何をなさるかというと、近くの親戚の家などに子供さんとお母さんなりお父さんなりの住民票を移して、住んでいるのはこの町に住んでいるわけです。そして、学校は住民票を置いている地域の学校に行っている、こういうことをやったわけでございます。
 これは、教育疎開という言葉が一時はやったことがございますが、やはり子供さんの教育ということについては親御さんは大変な関心を持っておられます。どの親であろうと、恐らく一生懸命、何とか自分の子供にしてやりたいというお考えが強うございますから、こうして見せてもらっている中で私が一番気になるのは、学校教育法の特例でございます。
 そんな中に、例えば幼稚園を三歳児が二歳児からでもいいですよ、こういうものもその特例の中に入ってくるんだろうと思うんですが、私はこれには大反対でございます。子供を親から早く切り離せば切り離すだけ親子のきずなが薄くなるんですよ。まさに家庭崩壊、学級崩壊、これをそれこそ助長するような法案であろう。
 私は少し、いつも教育については極端なことを言いたがる方なんでございますが、乳飲み子を人様に預けて働かなければ飯を食えないというんなら、その金は国で面倒を見る、そのかわりにあなたはこの子供についてきちっとした責任を持って教育をしてください、この子がとんでもないような犯罪を犯したような場合にはあなたも同罪ですよぐらいな強い決意で国が幼児教育に力を注いでもらいたいという願いを私はずっと持っております。
 どちらかといえば、親の愛情薄く育てられた子供の方が、これは明らかにいろいろとその後に問題を起こす。学校においてもしかり、社会に出てもしかりというのは明らかなデータがございます。それを、親と子を早く切り離すようなことを奨励するような、これは部分の話でありましょうけれども、私はこの問題についてはいかがなものかなという思いを強く持つものでございます。
 そんな中で、今申し上げているように、この間の、ちょうど金曜日の本会議でも、総理も答弁の中でおっしゃいました。そして、鴻池大臣もその答弁の中でおっしゃったことの中で、いい考えが出てくれば、それこそ民間株式会社に学校教育を任せてもいいんじゃないかというようなお話がございました。
 私は、義務教育についても、今の学校教育、学校教育だけの場面で考えるならば、最も手っ取り早いといいますか、最も有効な方法は公設民営化であろう、私はこう思っております。
 それぞれの学校が、教師集団がそれぞれの教育目標を掲げて、極端な話を申し上げるならば、我が校は、朝から全員で国旗を掲揚して国歌を斉唱して、その後校歌を全員で合唱して、それから授業にかかります、授業内容はこういうことをやります、どうぞ皆さん来てください。いや、我が校は、国旗も国歌も関係ありません、音楽の時間には北朝鮮の労働歌ばっかり教えますよ、いかに共産主義、社会主義がすばらしいかということを一生懸命教えますよ、どうぞ皆さん来てください。それぞれが教育目標を掲げて、あとは親と子の責任で学校を選んで行ってください。(発言する者あり)いや、そんなことはあり得ません。そんなばかな親がおるわけがありません、こんな時代に。僕は、それぐらいのことを思っていますよ。
 ちょっとお尋ねしたいんですが、今、例えば公立の中学校で、全国平均で生徒一人当たりの教育費がどれぐらいかかっているかというのを教えてください。
玉井政府参考人 申しわけございませんが、今手元に資料が整ってございませんので、ちょっとお答えしかねるのでございます。後ほどまたお話を申し上げます。
林(省)委員 それでは、私が文部科学省から教えていただいた平均値を申し上げます。これは一九九九年、文部省からいただいた資料では、全国の公立の中学校、平均でございますが、生徒一人当たりの教育費は九十七万八千円ぐらいでしょう、約九十八万でしょうというふうに教えられております。すなわち、九十八万円近い公的なお金でもって今中学校の公教育が行われているわけであります。
 私は、私学にずっと育ってまいりました。私のおりました、学校の名前はおいておきますが、その大学の併設の中学校、いろいろな補助金、助成金、全部合わせましても、生徒一人当たりの教育コストは八十万以内ですということを言っております。二十万近い差がある。
 親御さんに、皆さん、どうぞ私立でもいいですよ、地元の公立でもいいですよ、どちらの学校に行かれますかと言ったら、いやお金がかかるから私立は、こうおっしゃるんです。お金は要りませんよ、地元の公立でも、皆さんがいいと思う私立でも、どうぞ御自由に選んで行ってくださいともし申し上げたら、ほとんどの親は私立に行かせますよ。なぜですか。それは、公教育がよくないということをわかっているからですよ。
 だったら、九十八万もの金をかけているんですから、アメリカのバウチャーのような形にして、そして親に教育券を九十万ぐらいは出す。国と地方で八万ぐらいもうかるわけですから。そして、学校は、公定価格を決めて八十万以上は取っちゃだめですよ、あとの十万はどうぞ教科書を買ったり学用品を買ってあげてください。こんなことだって考えられるわけでございますね。
 大臣、いかがでしょうか。この特区における学校教育に民間株式会社を参入させてもいい、今そんなことについて文部省に対しても調べを進めてもらうようにお願いをしてある、たしか大臣、金曜日にそんな意味のことをおっしゃったと思いますが、いわゆる教育への民間株式会社参入について、とりあえず、現段階の大臣のお考えというものをお聞かせいただきたいと思います。
鴻池国務大臣 林委員は、関西の雄の私学を御卒業なさり、また教鞭をとり、教授になられまして、御発言に随分そういう意味で説得力があると承りました。幼児教育に関しましては、私は同意見でございます。
 株式会社参入につきまして、実は、私は、八月三十日に締め切られた提案、その一カ月後に担当大臣に命ぜられました。列車が到着する寸前にその列車に飛び乗ったような感じでございます。
 しかし、大詰めになりまして、大きな、先行的な意味のある特区構想として、これは直接ただいまの御質問と関係ありませんが、医療に株式会社はいかがか、農業に株式会社はいかがか、教育の分野に株式会社はいかがか、こういういわゆる目玉の提案がございました。しかし、担当役所同士での話がなかなか進まずに、最終段階で私は、各担当大臣とお目にかかり、ひざ詰め談判の意見調整をお願いしたわけでございますが、教育の分野におきましては、やはりただいまのところ株式会社参入ということについては考えがたし、こういう担当大臣からのお話もございましたし、私自身も、極めて短時間の間の責任者の立場でございましたので、今回につきましては見送りたいという話を受けまして、しかし、なお一層の検討をお願いしたいと。
 その理由は、やはり供給者側、教育に供給者とかそういう表現はおかしいかもしれませんけれども、供給者側と、いわゆる受給者側、受ける方の選択というものを自由にすべきではないか、このような発想から、ぜひとも引き続き検討をお願いしたいと。総理の方も、ぜひとも引き続き検討するように、こういう指示をいただいておるところであります。
玉井政府参考人 先ほど、林先生の方から、公設民営の御指摘がございました。まさに民間活力を教育の世界に導入する、活用する、その仕組みとして我が国には独特の学校法人制度があるわけでございまして、したがって、林先生もまさにその機能をよく御案内のとおりでございます。
 しかしながら、小中学校につきましては、私立が大変少ない、大変参入しにくいのが現実の姿でございました。そのために、私どもは、特色ある学校が義務教育においても必要であろう、したがって、私立も小中学校が設置が促進される必要がある、こういう観点から、ことしの三月、それまでまとまったものがございませんでしたけれども、小学校設置基準、中学校設置基準を制定してミニマムを明らかにして、そして認可がより促進されるような仕組みをとったわけでございます。
 また、今回の特区構想におきましても、民間活力を生かす御提案が幾つかございました。私どもは、最大限その趣旨を生かしたいということで、できるだけ実質的にその御要望がかなえられるようにということを考えたわけです。
 そのために、例えば、構造改革特区において不登校の児童生徒を対象とするような学校を設置したい、こういう例もございますので、したがって、そういう場合には、学校法人でございますけれども、その参入要件を大幅に緩和いたしまして、校地、校舎の自己所有要件を撤廃する、こういう考え方を持っているわけであります。そうすると、民間の方あるいはNPOの方、あるいはさまざまな方々が、学校法人という形をつくりながらいろいろな形で学校経営に参入できる。こういうことをやることによって先ほど先生がおっしゃった公設民営方式の促進が図られるのではないか、ぜひそういうことを私どもとしてはやっていきたい、まさに特区の趣旨を生かしたい、こう思っております。
 ただ、先ほど先生が一番最初におっしゃったとおり、教育はやはり利潤を追求するものではないものですから、極めて公共性が高いところでございまして、利潤の追求を目的とした株式会社が直接に設置するということはやはり適切ではないんではなかろうか、やはり全国的な、あるミニマムの教育水準は維持する必要があるのではなかろうか、こういうことでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。
林(省)委員 今、おっしゃることはよくわかるんですけれども、確かに、だれにでも任せていいですよというものではないこと、これは事実であります。
 しかし、僕が言っている公設民営化というのは、少なくとも現行の学校の中で、先ほども申し上げたように、では我々はこういう教育をしましょうというグループが集まってやるようなことだったら簡単にできるんじゃないですかと。日教組の特に極端な考えを持っている人たちなんというのは、いつでもすぐ集まりますよ。おれたちはこんな学校をやるんだといって幾らだってできるわけですから、そのあたりのところを、せめて、もう少し自由なところに任せていってみたらどうなんでしょうか。
 総理や大臣のおっしゃった、民間株式会社、確かにだれだって、だけれども、学校運営をして、私学であれば利潤の追求、利益の追求なんということを言うとこれはとんでもない話になりますけれども、ある一定のものがちゃんと上がってこなければ次の段階には入っていけないんですから、当然ある一定の、利益と言うと言い方は悪いけれども、運営費を求めていくのは当たり前のことでありましょうし、今、私立の学校をつくろうとしたら、どれだけの許認可のための書類を出さなきゃいけないか。私どもの大学が一つの学部を申請するだけで、四トン積みトラックに書類八杯ですよ。一学部、それだけのものを持っていかなきゃ、これはもう十年ほど前の話ですけれども、今は随分簡素化されたと思いますけれども、そんなばかなことをやっているから、いつまでたってもなかなか思い切った教育改革ができないんだろうと僕は思っています。
 そんな中でのこのたびのこのいわゆる学校教育の特区における考え方、これは非常にすばらしい。国民の皆さん方がこの特区構想の中で一番何に期待しておられるか、僕も聞きました。教育にいろいろ問題のある地域ほど、学校教育、ここに一番期待しておられます。大臣、ぜひ、簡単に文部省とのやり合いの中で引き下がらぬで、がんがんやってください。私はいいことだと思っています。
 そして、これだけ自由に物が選択できる時代を迎えて、唯一選択する余地のないのは、私は、公立の小学校、中学校じゃなかろうかと思っています。今、少しは選択の幅の広がる地域が出てまいりました。しかし、まだほとんどの地域が、はい、ここの土地に生まれた人は小学校はここですよ、中学校はここですよと決められているわけですよ。こんなばかなことはこんな時代には全くおかしいと私は思いますから、少しずつでもいいですから、せめてその特区の中で。
 だけれども、特区の中にそういういい学校が、あるいはいい教育制度がどんどんでき出しますと、恐らく住民の大移動が起こる可能性がありますよ。私はこのことを心配します。あそこはいい、住民サービスもいい、自然環境もいい、教育もいいなんというような地域が仮に特区になれば、お金のある人はどんどんそこへ行きますよ。それで、そういう少し問題のある地域にだれが残るんだ。動くに動けないお年寄りや、また少し極端な話をするかもしれませんが、余り税金をお払いいただけない、そんな方々ばかりが残った地域はどうなるんですかというような問題も地域間格差が大きく広がった場合に出てくる可能性がある。
 一つは、大変いいことなんです。そして、これはいかぬということでまたこの地域が頑張ってくれる。頑張ってくれればいいんですが、頑張る気力もなくなった、頑張る財力もない、そんな状況が仮に出現したら、これは仮の話でございますけれども、とんでもないことが起こる可能性もあるので、十分にしっかりと目を光らせながら、言うならば、最終的な決定権者は総理のようにお聞きしていますから、極端なことを言うと、総理が、この町はいい町だからどんどんやりなさい、この町はいろいろ問題があって、計画だって余り大したものじゃない、ずさんなものだから、これはだめですよというようなことだって起こり得る状況ではないかと思います。それがいい、こうおっしゃる方もおられますけれども、それは、やはり同じ日本国民として、行政サービスの点に大きな差が出てくる。
 現に東京二十三区では、例えば、私の聞いている範囲では、乳幼児の医療無料は六歳までありますよ。しかし、私の地域には、乳幼児の医療無料はありませんと言った方がいいんです。両親の年収に所得制限を加えていますから、三百三十四万五千円以上の収入のある人には、乳幼児の医療無料は適用しません。同じ日本なのに、ある町は乳幼児の医療無料がない、ある町は六歳まで無料です、やはりおかしいんじゃないかな、そんな懸念を抱きながら、何とかこれがいい方向で進んでまいることを心より大臣にお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
佐々木委員長 林省之介君の質疑は終了いたしました。
 次に、島聡君。
島委員 民主党の島聡でございます。
 構造改革特別区域法案、重要広範議案で、本来なら総理出席を求めまして議論をすると私どもは要求していたわけでありますが、何か最後の方にしたいという話なので、残念ではありますが、やむを得ず、きょうはこういう形でやらせていただきます。ただ、鴻池大臣は特命担当大臣ということでございますから、本当にその特命を帯びられる方ですから、しっかりとやらせていただきたいと思います。
 民主党のネクストキャビネットの総務大臣をしております島と申します。よろしくお願いします。
 鴻池大臣、初めてお会いするのでいろいろと聞いてみましたら、何か、信なくば立たずというのがモットーである、勧善懲悪というのもモットーであると。特にこのような構造改革特別区域、規制改革、こういうのは本当に国民の信頼が要る。信なくば立たずというのもありますが、まさに政治もそれでありますから、もしきょう総理がおられたら、ちょうど鈴木宗男議員の裁判も始まるところでありましたので、内閣府にはそういう御関係の深い政務官もおられたので、ぜひそれも聞こうと思ったんですが、それはまた今度に回しまして、きょうは、構造改革特別区域法案の質問から入っていきたいと思っています。
 まず最初に、鴻池大臣、剣道も五段でいらっしゃるそうでございます。そういう方でございますので、日本経済新聞で読んだんですが、十月に厚生労働省に乗り込まれたと。十一日の会議の直後、株式会社を一つも認めていないのは理解できないと憤慨したと。なるほど、さすがに剣道五段、だんとやられると私は思ったんですが、このとき、どんな話をされてどんなことで話がまとまったのか、そこをちょっと経緯だけ教えていただけますか。
鴻池国務大臣 先ほども御答弁申し上げた中で申し上げましたが、八月三十日にこの特区法案、提案締め切りになりました。九月三十日に私が就任をいたしまして、十月の十日にはこのプランがスタートするという段階のときでございました。
 しかし、先行的に、象徴的に、この特区の進め方、構想の中で、医療の分野、教育の分野、また農業の分野に自由競争を入れる、株式会社を参入させるというのは大変大きなテーマであると私自身が認識をいたしました。そこで、各省との調整ぐあいを聞きますと、この三つについては大変難しいということでございましたので、私自身が各省に参りまして担当大臣とお目にかかって、私なりのお願い、説得もさせていただきました。
 ただいまの委員の御質問は、厚生大臣と会ったときいかがであったか、こういうことでございますが、大先輩でもいらっしゃいますし、長い厚生大臣の御経歴もおありの方でございます。私自身は十日目の大臣でございましたので、まさに謙虚に、こういう構想について御理解をいただきたいということのお願いをいたしました。
 私の発言の趣旨は、これは全国一律のことではございません。例えば、東京の千代田区に、医療の最先端の技術を持った、あるいは機器、機材を持った株式会社の病院をつくる。これについては、いわゆる資金の導入が大変たやすくなる、また、株式会社方式にすれば株主に対しての説明責任というのも大変重くなる、こういった利点もございます。
 アメリカ等へ行って大きな病気を治さなきゃならぬというような日本の現状から考えた場合に、東京都で大きな手術あるいは大きな病を治せるといったようなことも、供給者側の考えとは別に、患者側としては大変なメリットがあるのではないか。
 また、国際的に随分進んでまいりました日本の国、特に東京は外国人が多いということから、そういう方々のメリットも考えられるのではないか、そういうことを強く申し上げました。
 あわせて、現在、六十九の株式会社の病院がございます。これとの整合性についても考えられるのではないか。町で六十九の病院が大変混乱を起こしておる、こういうことも今のところは聞いていない。
 こういうことで、実は、私の方からひとつ御理解をいただきたいというお願いをいたしたところでございますが、厚生大臣の方からは、やはり医療の営利ということについて今のところは考えがたい、そして、一つは、やはり今の国民皆保険の中において、全国一律に公平に医療が受けられる日本の制度というものをこのまま維持をすべきである、こういう考え方から、今、鴻池の提案のことについては、今回についてちょっと猶予をしていただかなければならない、こういうお話でございました。
 そこで、私の方からは、なお一層引き続き御考慮いただきたい、提案を続けさせていただきたいということを申し上げてきたというところであります。
島委員 今おっしゃったように、一挙に全国ベースで展開するのは難しいから、だからそれを地域のイニシアチブで先行実施していくんだ、それが今回のコンセプトですね。それでやっていくんだということは、なるほどと。
 これは、第三次行革審のパイロット自治体というのが昔ありました。私も、第三次行革審のパイロット自治体のころはまだ議員じゃありませんでしたけれども、松下政経塾というところにおりまして、地域から日本を変える運動というのを、「ちにか」と言うんですけれども、そこでパイロット自治体をぜひやりなさい、やった方がいいですよという話をしていたんですが、結果として随分骨抜きになっちゃって、要するにやったところは何だったんだという話になっていて、今回もそうなることを実に恐れています。
 我が党としても、どうもこれは、看板はいいんですけれども、やってみたら全部骨抜きになって、その結果、何にもならない、羊頭狗肉、そうなってしまう法案が多過ぎる、そういうことをつくづく感じている状態であります。
 鴻池大臣、今のお話は非常に迫力も感じました、やはりびしっと、勧善懲悪の。そのつもりでやってほしいんですが、何かだんだん変わってくるんですよね。小泉さんも、昔ばあっとやったんだけれども、今、だんだん手が下がってきたり、何か目が下に向きそうになっちゃうので。
 それで、構造改革特別区域法案、実はこれは、第三条にあるいわゆる基本方針、内閣総理大臣は基本的な方針の案を作成する、これが非常にポイントなんです。これが閣議決定がきちんとされたならば随分進むんです。
 今、鴻池大臣が、厚生労働大臣に行かれたとしても先輩だという話をされた。そうなんです、先輩は先輩なんですが、やはり法の中でやるわけですから、特命大臣には特命大臣の権限があるわけですね。内閣府というものの存在もあります。
 ちなみに、私は、内閣府が新しく設置されたときに内閣委員会の理事をやっておりました。久々に来て懐かしい思いがします。まだ個人情報保護法があるそうですから、随分昔の話だなと思って。あれは私がやっていました。それを感じるわけでありますが。
 この基本方針というのが実はポイントで、第三条ですが、内閣総理大臣は、構造改革等に関する基本的な方針を定めるというふうにあるわけであります。このときに、かなり具体的なことを書いていく、そしてそれを閣議決定する。そうすると、それは先輩とかそんなんじゃなくて特命担当大臣としての仕事になるわけですね。だから、これがポイントだと私は思います。例えばそこに、これは我が党なら、私たちが政権をとったらこうします。規制改革、構造改革にのっとっている限り却下しないという意味の方針を出します。あるいは、地方自治体からの要望を可能な限り入れる、そういう文言も入れます。私たちが政権を持てたら。
 ですから、この基本方針に、規制改革、構造改革にのっとっている限り却下しない、そのような基本方針を入れる、そういう思いがありますか。どうですか。
鴻池国務大臣 ただいまの島委員の、キャビネット内閣、私どもならこうするという思いに近い思いを私も持っておるということを申し上げたいと思います。
 この基本方針におきましては、例えば次のような定める予定を申し上げたいと思います。構造改革の推進等の意義、目標、定期的な特区に関する提案募集など政府が実施すべき施策の基本方針、内閣総理大臣が計画を認定する際の基準、政省令、告示、通達等も含む特区において講じられる規制の特例措置と関係行政機関の同意の要件。
 ただいまのお話のように、地方公共団体の計画を原則として認める姿勢につきましては、基本方針において内閣総理大臣の認定基準を明確にする、それとともに、関係行政機関の同意要件ということが今いろいろなところで御指摘をいただいているところでございますが、同意要件についても裁量権のないものとしたい、このように考えておるところであります。
島委員 近いものと一緒のものというのは全く違いますから、ぜひとも、だんだん骨抜きにされないようにしないと我々は反対だし、そういう姿勢ですので、きちんと、羊頭狗肉にならないようにしていただきたいというふうに思います。
 改めて、特命担当大臣、私は先ほども言いましたように内閣委員会に最初のころからおりましたので、特命担当大臣の権限を、これは懐かしいので見てみました。二〇〇一年六月十三日に議論したんです。
 まず、閣議決定のときに反対が出る可能性があります。その閣議決定は、今は、御存じのように、憲法では内閣は連帯して責任を負うとありますから全会一致制なんだけれども、当時、そんなことをいったら閣僚は拒否権を持つじゃないですかという話を福田官房長官とやりました。だから多数決制を導入した方がいいんじゃないかと。橋本前総理が、行革推進本部だと思いますが、そこでの提案にもあったように、やった方がいいんじゃないかという話をしました。そのときに、福田国務大臣はこの内閣委員会で、その過程の中に多数決とかいったようなことがあるかもしれぬという話をしましたから、だからできるわけであります。
 それで、特命担当大臣の権限を改めてきちんとしたいと思いますが、法文上は、内閣府設置法の第九条に特命担当大臣というのがあって、第十二条に特命担当大臣はどんなことができるかということが書いてあります。「特命担当大臣は、」「事務の遂行のため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、勧告することができる。」だから、先輩とかそんなのは関係なくて、勧告ができるんです。そしてさらに、「特命担当大臣は、」勧告して、「その勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。」つまり、やっておるかと聞くことができる。そしてさらに、「特命担当大臣は、第二項の規定により勧告した事項に関し特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、当該事項について内閣法第六条」、これは指揮監督権の話ですが、それを、「措置がとられるよう意見を具申することができる。」というふうになりますというふうに法文上理解しますが、そういう理解でよろしいですね。
鴻池国務大臣 さようでございます。
島委員 つまり相当なことができます。だから、基本方針で、今大臣がそう思われたならば、近いとそれとは違うんですよ。近いという部分を私は気にしているんですよ。だんだん骨抜きにして近いんですよというのをすごく気にしています。それだけ閣議決定をきちんとしたら、あとは鴻池大臣、先輩も何もないんです。勧告して、プラン・ドゥー・シー、チェックして、もしできなかったら総理大臣に言って、総理大臣は指揮監督をすればいいんですから。やるかやらないかは、そうすると、もう今までのようにノーアクション・オンリートークは通用しない。法文上できるのにやってない、そういう話になるわけであります。
 これに今そのとおりとおっしゃいましたから、そのとおりだということで、しっかりやってください。
 次の質問でございますが、法文の質問をちょっと申し上げます。
 先ほどちょっと言われましたけれども、法文の第四条の八、九ですね。内閣総理大臣は、構造改革特別区域計画が掲げる基準に適合すると認めるときは認定ができるんです。ところが、その九に、内閣総理大臣は、前項の規定による認定をしようとするときは、関係行政機関の長の同意を得なければならないんだと。そうすると、さっきちょっと言われましたけれども、関係行政機関の長の同意を得られなかったらどうなるのか。
 まず、同意を得られなかったらどうなるのかということをお聞きします。どうですか。
鴻池国務大臣 これからやってみなきゃわからぬことなんですけれども、同意を得なかったらいかがということでありますけれども、私の考えは、各地方公共団体の判断が尊重され、要件に適合しておれば関係行政機関の長は原則として同意をしてもらわなければ困る、このように思っております。
島委員 原則としてというのもよく使うんですよ。今の、原則として、わかります、そうやって言わざるを得ないことは。仮定の質問だし、これからやってみないとわからないというのは、それはもう大臣の行動次第なわけですね。その原則を幅広くやっちゃって骨抜きにするかどうか。こういう法案は、要するに、骨抜きにできることが仕組んである法案なんです。それについてどう思われますか。
鴻池国務大臣 骨抜きがあるか骨がそのまま残っておるかというのは本当に食ってみなきゃわからぬ話だと思うんですが、人がやることでありますから、いろいろな方向からいろいろな御批判やら御意見があると思います。これについては、十分耳を傾けながら、私自身の与えられました任務というものをしっかりと踏まえて進んでいきたい、このように考えております。
島委員 もう大分一般論になってきましたから。食ってみなければわからぬけれども、食う前に見れば大体わかるというのもありまして、そういうおそれを感じている法案です。私たちが法律をつくるのならもっときちんと規定します。
 法案的な話でもう一つ聞きますと、なかなか不思議な法案といえば不思議な法案で、いろいろな基本方針はこれから決めるわけですけれども、一応、十四の事例が出ている法案であります。十一条以降に十四本、この法律を直すんだというのが出ています。マスコミ的に言うと「官が抵抗 改革小粒に」とかそんな感じで書いてある、そういう法案になっています。
 お聞きしますが、まだ基本方針が閣議決定されていないし、大臣は私たちの思いに近くて、原則として却下しないとか、規制改革、構造改革にふさわしいものにするとか、地方自治体からの要望を可能な限り入れるとかいうのがありますけれども、この法案の具体的なところを見てみますと、何か、官がとりあえずOKと言ったものだけ入れた、調整して何となく可能だったものだけ入れたと。そうすると、基本方針もそうなっちゃうんじゃないか、そういう思いがあるんですが、この十四本を法律として入れた、考えた基準、それは何ですか。
鴻池国務大臣 提案された四百二十六の提案、これを精査していきまして、約千近い規制があったことは御存じのとおりでありますが、これについて、既にこれはもうできるものではないかとか、あるいは全国レベルでこれは検討できるものではないかとか、既に政令ですぐできるものではないか、こういったものを役所、室の方で精査していったわけでございますが、その中で、あと、やはり役所同士の提案についての意見交換、調整があったということは事実でございますから、これは官が主導したんではないかという、形で見ればそうかもしれないことだと思います。
 ただ、私は、これは第一回でございますので、これから、先ほど申し上げましたように、一月十五日を締め切りとして第二弾の募集を既にかけております。その推移を見ながら、この特区構想のできる範囲の、実現するためにはどうしたらいいかということを絶えず考えながら進めていかなければならない状況ではなかろうかと思うわけでございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
島委員 今いみじくも言われました、官が主導したということもあるかもしれないと。そういうことがないようにしなくちゃいけないと私たちは思います。
 また法文の方に入りますが、第一条の目的のところに、「この法律は、」とあって、いろいろな分野が書いてあります。「教育、物流、研究開発、農業、社会福祉その他の分野における経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図り、」とあります。
 今、鴻池大臣、最初に私が質問したことで、医療の話をとうとうと言われましたね。この社会福祉というところに医療が入っていますか。
鴻池国務大臣 医療も含まれておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
島委員 大丈夫ですか、今ので。
鴻池国務大臣 済みません。きちっと書いたものを読まないと、わからぬところはきちっとやります。
 株式参入について各省の指示を行うことができるかについては、閣議決定による基本方針がどこまで具体的な決定がなされるかによるということを踏まえて、ただいまのところは含まれていないという理解をいたしておるところであります。
島委員 非常に不思議なんですね。鴻池大臣が法案を出され、医療も、先ほど熱っぽく語られた。熱っぽく語られて、多分、我が党の中でもそうだなと思う人もおったと思いますよ。ところが、今、社会福祉というのに入っているかと言ったら、入っていると言って、その後入っていないと。私は、事前にレクを受けたから、入っていないというのを知っていたんですが。
 何で入っていないのかというのは今何か早口で言われましたけれども、でも大臣、不思議だと思いませんか。大臣はそういう思いでおられて、大臣が出されておられる閣法の法律にそれが入っていないというのはおかしいと思われませんか、大臣。どうですか。
鴻池国務大臣 紆余曲折の答弁をして大変恐縮であります。
 もう一度申し上げますと、第一条の規定の中には、社会福祉の中に医療は含まれない、こういうことであります。(島委員「もう一度お願いします」と呼ぶ)第一条の規定の中、社会福祉には医療は含まれない。
 ただし、第一条の目的規定の例示は、法案の第四章において特例措置を講じることとされている分野の代表的なものを例示したものにすぎず、ここに例示されていないからといって、今後、この法案の対象とならないわけではない。
 医療への株式参入につきましては、先ほど私が申し上げたとおりであります。
島委員 今のお話であるように、医療は、入らないわけではないけれども、社会福祉には入らないと。多分、その中にはいろいろな紆余曲折があったんでしょう。大臣が紆余曲折の答弁と言われたように、恐らくそういうのがあって、今、副大臣が言いたくて仕方がないという顔をしていますけれども。
 ただ、大臣、お気をつけいただきたいのは、本当にもしそういう答弁で、もっとこっちが普通の委員会だったら、どうなっているんだというふうに言われるときがありますから、しっかりしないと、そんな今おっしゃったような方針も全然貫けませんから、しっかりやっていただきたいと思いますね。
 ということで、医療の方に入ったので。
 お待たせをしています、副大臣の皆さん。きのう実は質問をとりに来られた官僚の方々にも申し上げたんですけれども、本当に彼らが一生懸命、きょうは副大臣はいろいろなところで大変だからほかの方にとか参考人にとか言われていました。僕はよく彼に言ったんだけれども、君たちが言う必要はない、政治家同士で議論をするんだ、もしあるなら政治家にちゃんと言わせろという話をしたところであります。
 木村副大臣、お待たせをしました、さっき言いたくて仕方のなさそうな顔をしていました。それはそうだと思います。十一月七日の朝日新聞、木村大臣の発言というのがあります。「医療市場狙うユダヤ人のような亡者 木村副大臣が発言 株式会社参入など批判」。一つずつ聞いていきます。
 すぐに何か不適切な表現だと言われたと。クリントンさんが使った言葉ですが、この不適切というのはどこが不適切なのか。ちなみに、報道で「発言は以下の通り。」と。読みます。どこかということを言ってください。
 社会保障の大切さが叫ばれているが、社会には市場原理主義者がいる。三十兆円の医療市場を虎視眈々と狙っているユダヤ人のような我利我利亡者がたくさんいる。そういう人たちに対して、私どもはお互い力を合わせて、がんばらなければならない。神聖なる医療の分野に訳のわからないものが入ってきて、大きなダムを崩そうとしているのではないか。市場原理主義者に対しては、私ども、断固闘い、日本の社会保障の素晴らしいシステムを守り抜いていかねばならない
 どこが不適切なんですか。
木村副大臣 不適切な部分だけ、こういうことでありますと、そこの、特に外国のところに何か誤解を与えるような場面があったのではないかな、こういうところでございまして、この辺はここを取り消しさせていただいたようなわけでございます。
島委員 ということは、これは私が言っているわけじゃありませんから。今おっしゃった外国名の誤解、木村副大臣が言われた言葉なので御容赦願いたいと思いますが、「ユダヤ人のような」ですか。
木村副大臣 そこの外国名、そこが特にでございます。
島委員 そこの外国名がということですね。ということは、「我利我利亡者」というのはいいんですね。
木村副大臣 そこは委員の御判断にお任せをしますけれども、特に問題点は、やはりそこの、全然私はそういう意図はなかったんですが、たまたまそういう外国のところが出たというところが特にでございます。
島委員 木村さんは副大臣ですから、副大臣というのは認証官ですし、総理とともに一緒に内閣を支えるお立場ですよね。
 それで、ちょっと聞きますけれども、これは総合規制改革会議の中間報告なんかにも、今、例えば、「民間参入・移管拡大による官製市場の見直し」で、株式会社の市場参入・拡大で医療とかいうふうに書いてあって、そういう議論をされているわけですね。我利我利亡者というのは、この総合規制改革会議のメンバーとかそういうことですか。
木村副大臣 もちろん、それは特定したものではございません。
島委員 それは特定したものではないけれども、入っているんですか。
木村副大臣 世の中にはいろいろな方がおいでになりまして、本当に一生懸命まじめにやっていただく方もあれば、やはり、何というんですか、どうしても利潤の追求を行っている方々もたくさんおられておるわけでございますけれども、特に医療の分野というのは、人間の生命にかかわる分野でございます。そこに余りにもそういう利潤追求みたいなものが行われるのはいかがなものだろう。しかも、その原資は皆様方からお支払いをいただいている貴重な保険料でございまして、やはりそういうのは公平に使われていく必要があるのではないかな、そのように思っているような次第でございます。
島委員 いや、私が聞いているのはそんなことを聞いているんじゃなくて、我利我利亡者というのはだれをイメージしているんですか、鴻池大臣をイメージしているんですか、そういう話を聞いているんですよ。
木村副大臣 鴻池大臣はイメージしておりません。私は鴻池大臣とは同期生であります。
島委員 同期生とか、そういう話じゃないんです。
 木村副大臣がそういう発言をされて、株式会社参入だと批判をされておられる。「一衆議院議員として、」というふうにこれは報道では伝えています、副大臣ではないと。その一衆議院議員と副大臣というのはどういうふうに区別していらっしゃいますか。
木村副大臣 たまたま、あの会合におきましては、衆議院議員木村義雄、こういう自己紹介をしたものですから、それでございます。
島委員 ということは、衆議院議員として自己紹介をすれば何をやってもいいんだ、そういう話ですか。
木村副大臣 そのように新聞が書いただけでございます。
島委員 まあ、まだこれからですから、きょうはこれぐらいにさせていただきます。
 ほかにも副大臣が来られて、時間で答えられないといけませんが、私が言いたいのは、内閣というのは一致しなくちゃいけないんですよ。内閣が一つであって、しかも総理がリーダーシップを持ってやろうとしているその大事なときに、その場所にいられるときに何かリップサービスでぱっぱっと言われて、後で私は一衆議院議員として言ったなんということがどこまで通用するのか。もう一回、これはきちんとしたところを調べてどういうふうに言われたかというのを見ますけれども、それは本当に辞職して言われるなら構わないけれども、そこにとどまって、何か言った後は一議員として言ったとか、そういうのはどうもおかしいということだけ指摘をさせていただきます。
 質問に入ります。
 この厚生労働省の、後で鴻池大臣にはそれについて聞きますが、自治体からの提案者が、いわゆる医療産業、株式会社医療参入、病院について提案をしました。それに対しまして厚生労働省は、特区に実現できても全国的に適用できないことが考えられるので特区にはなじまないと書いたと。そうですよね。それでいいですね。
木村副大臣 御承知のように、日本は皆保険制度をとっておりまして、国民の皆さんがいつでもどこでもフリーアクセスというものを堅持しているわけであります。特に、先ほども申しましたように、医療というのは人の生命、身体にかかわる大事なことでございます。ですから、これは全国でやはり一律であることが望ましいわけでございまして、特区制度の対象として株式会社を考えることは大変課題が多いんではないかな、このように考えているような次第でございます。
島委員 鴻池大臣、さっき私はたしか、特区法案というのは全国に先駆けて先行実施をするんだというふうに聞いて、全国一律の中で先行実施なんだというふうに聞いたんです。今の副大臣の答弁だと、全国一律じゃないとそれは許さぬという話になっているんですが、それはどうなんですか。
鴻池国務大臣 私は、この担当になりました時点から、これは全国一律で、難しいあるいはいろいろな歴史的な問題とかいろいろなものを抱えている規制を一点に集中して、一点、これをパイロットケースとして、パイロット自治体ではございません、パイロットケースとしてやり上げる。そして、これがよりよきものならばよりよき方向に飛び火していく、これを私は随分多くの国民の皆さんからも期待されているものだと信じながら進めていく所存でございます。
島委員 今おっしゃったようによりよき方向に一点飛び火していくという話とさっきの話と随分矛盾するんですが、どうですか。
木村副大臣 必ずしもよりよき方向に行くのかなということを考えますと、それはいかがなものかな、このように思っているような次第でございます。
島委員 だから先行実施するわけでしょう。
 必ずしもいい方向に行くのかなというのは、もっと具体的に言ってください。だから先行実施しようという要望だってあったわけですから。必ずしもよりよき方向に行くのかなというのは、どういう点が悪い方向に行くというふうに考えているんですか。
木村副大臣 株式会社の医療経営の参入ということでございますと、株式会社というのは、やはりできる限り多くの利潤を追求するし、またそれを配当しなければいけない、こういうことになるので、これを実現するということになりますと、例えば利益確保のための、こんなことはあってはいけないんですけれども、過剰診療的なインセンティブも働きますし、やはり、そういう適正な医療をなかなか提供できないんではないかな。
 それから、営利性を持つ株式会社が収益の高い医療分野に集中しないか。クリームスキミングというのがありますが、言ってみればおいしいところばかりをとるような医療をどんどんしていきますと、かえって医療費の高騰を招いてしまうんではないかな、こういうふうに思っているような次第でございまして、やはり、先ほどから言っておりますように、株式会社の医療への参入というのが、必ずしも日本の医療の質の向上やそれから医療の削減につながるのかな、こういうことを考えますとこれはいかがなものかな、このように思っているような次第でございます。
島委員 私の記憶あるいは聞き間違いでなかったら、もう株式会社、六十九あるとおっしゃいましたんですか、さっき。
鴻池国務大臣 既に株式会社として、先ほど六十九と申し上げましたが、事務方から六十七の訂正がございました。今ここに訂正をさせていただきたいと思います。六十七です。
島委員 そうすると、その六十七の株式会社は利潤を追求してうまくやっていない、そういう話ですか。
木村副大臣 この株式会社は、当初、結構株式会社制度の病院がたくさんあったんですね。しかし、やはりだんだん今の医療法人の方へ、いろいろな制度の関係上、移行してきたところがありまして、残ったところが六十七、このように伺っているわけでございまして、必ずしも後から株式会社として入っていたところではないわけでございます。
 もちろん、その中ではしっかりと地域の医療に貢献しているところがたくさんあるのは、それは当然のことでございます。ただし、それが全部とは言っていませんけれども。
島委員 だから先行実施でやればいい、そういう話なんでは。今おっしゃったように、木村さんも認めたじゃないですか、今うまくやっていると言って。
木村副大臣 先ほどの答弁をまた訂正するようで恐縮なんですが、六十二だということでございます。現在、医療は、株式会社立病院は六十二だそうでございます。
 現存している株式会社立の病院はどういうものかと申し上げますと、当該会社の従業員の福利厚生を確保する趣旨で開設されたものである。病院経営自体から利益を上げることを目的としていないわけでございます。要するに、会社の企業の福利厚生施設の中の一環として位置づけられているわけでございまして、先ほどから言っておりますように、利潤追求というものとは少し、株式会社、先ほど申しましたように、歴史的に残っているというところを申し上げた、そのことでございます。
島委員 六十九が六十七になって六十二になって、本当に、普通の委員会で、普通これだけどんどんどんどん答弁が変わるというのも珍しいなと思います。ぜひ、答弁をきちんと準備して、あるいは、政治家で副大臣をやっていらっしゃるあるいは大臣をやっていらっしゃる方がきちんと答弁ができるようにしないからちっとも日本の政治はよくならないと言われますから、しっかりやってください。
 もう一つ、今度は逆のことを聞きます。
 私も、厚生労働省の反論になるほどなと思ったところが一つあるんです。株式会社に伴う参入問題は、医療の質、安全性にかかわる問題であり、試行が失敗した場合に事後的な対応は不可能であると。つまり、体とか生命に関することですからね。これについて、特に、一部の地域の住民のみをリスクにさらすことは問題だということがこれまた回答で書いてはあるんです。それはそうかなと思うんですが、でもこれは全体にも同じことが言えますよね、一部地域住民にそういうことがあるということは。それについてはどういうお考えですか。
鴻池国務大臣 まず、おわびを申し上げます。
 六十九と言ったり六十七と言ったり、また木村さんが六十二と言ったり、きちっといたします。また御報告を申し上げます。
 実は、私、木村さんとは本当に同期でとても仲よくしている一人でございまして、しかし、本件に関しましては切り結ばなきゃいかぬというふうに思っております。
 そして、ただいま島委員からのお尋ねでございますが、現在、病院の株式会社も、福利厚生から出発したとはいえ、地域のその企業に全く関係ない方々の医療に当たっている、命を救っていることも現実でございます。これも十分私の強い発言の中に含まれているところでございます。
 もう一つは、今回、特区で提案をされてきた株式会社で医療参入したいという提案は、これは一商社とかあるいはほかの企業ではなく、提案者はみんな立派なお医者さんであるということなんです。立派な医院です。週刊誌の情報でも一番二番にランクされるぐらいの医療機関としてはすばらしい病院の経営者が、株式参入をして、そして、例えば千代田区の中に高度な医療を行えるような病院をつくりたいと。これがどうして全国に申しわけない事態が起きるのかということは、私は木村さんの発言でも理解しかねるところがあるということは、本当はこっち向いて言わなきゃいかぬかもしれませんが、申し上げたいと思っております。
島委員 時間が少なくなってきていますので、文部科学副大臣、もしお時間が、きのう役人の人が何か大変一生懸命僕に頼んでいましたから、先に質問だけして、終わりましたらどうぞ引いてくださっていいですが、一問質問をさせていただきます。私は、役人が余りそうやってやるというのも本当にいかがなものかと思いますよ。もっと堂々と、役人は中立的に政策を考えてもらって、政治のことは政治家がやるべきだというふうに思いますので。
 同じように、学校への株式会社参入につきまして、要望事項が結構多いのだけれども、文部科学省はどのような見解をお持ちなのか、どうぞ。
河村副大臣 株式会社のいわゆる教育、学校経営への参加、こういう問題であります。
 基本的な認識は、私のもとに統一見解的にございますが、先ほどの話のように、教育は、株式会社が利潤を追求するようなわけにいかない、教育は利潤を追求するものでなく、極めて公共性が高いものであるから、利潤の追求を目的とした株式会社が学校を直接に設置することは不適切なものであると考える。株式会社も、学校法人を設立することにより大学等を設置することは可能であり、実際に多くの企業が学校法人を設置して大学を設置し、成果を上げている、これが基本的な認識であります。
 今回の特区に対しましては、地域の要望にこたえるために何を考えたらいいかということで、実質的に企業が学校教育に参入したと同様になるように、専門職大学院であるとか、あるいは不登校の児童生徒を対象とした学校など、特定の種類の学校の設置については学校設立の要件を緩和しよう。先ほど来、トラックいっぱい要るというような話もありましたが、そういうことがないようにしようということを、例えば、校舎は自分で全部持たなければいかぬというようなことは、貸しビルでもできるではないかというように緩めて、実際のことができるようにしようというのが今回の文部科学省の基本的な認識でございます。
 ただ、私も政治家として、これだけの要望があり、また大きな話題になっている、学校を株式会社でできないことはないだろう、こう思うのです。先ほど来、立派なお医者さんがやりたいとおっしゃるように、それは立派にやっていただけることもあり得るだろう、こう思うわけです。
 ただ、事教育ということになりますと、今までの、これは日本の伝統としてやってきたものでありますから、その考え方を変えるということであればそうかもしれませんが、教育基本法の六条で、教育というのは公のものであって、だから、学校を設置するのは国あるいは地方公共団体あるいは法律に定める法人のみがこれをやるんだということで、公共性を非常に重んじた、戦後最初にスタートしたとき、このことを強くうたったものがございます。
 したがって、これは特区だけで認めるとかなんとかよりも、教育の基本的な概念に関する問題でありますから、特区だけで株式会社がやるということになると、株式会社が持つ特性というものをやはり考えなければいかぬ。教育に対しては、やはり利潤追求とかなんとかということは抑制的でなければいかぬ。この基本精神からいくと文部科学省としてはこれに否定的にならざるを得ない、これが基本認識である、このように思います。
島委員 先ほど、自民党の林議員は全く逆の議論を展開しておられたと思いますが、鴻池大臣、いかがですか。
鴻池国務大臣 私が遠山文部科学大臣に本件に関して調整、要請のお願いに行きましたときとただいまの副大臣の御答弁は全く同じでございました。
 私は、いわゆる営利を考える者がすべて教育に参入しては絶対にいけないということを考えた場合に、そうなんだろうか、それじゃ今の現状はどうなんだろうかということを思います。
 例えば、中国人をいっぱい入れてどこかへ行かれてしまってどうにもならなくなった酒田なんとかという学校もありますし、帝京大学なんか、何となく斜めから眺めていてもどうもおかしいなという感じがいたします。そういうことから考えれば、もっと学生なり保護者、親に立派なサービスができるようなことができるならば、私は、株式会社でも問題ではないのではないかと思います。
 ちょっと長くなりますけれども、群馬県の太田市というところが、これは文部省の大きな御理解のもとに、英語で授業をするというものができました。これは非常におもしろいことだと思います。
 これまた文部省の批判になって問題になるかもしれませんが、今どき、ゆとりを随分子供たちに与えて、そしてどうしようかということで、今度、土曜日に塾の先生を学校へ呼んできて勉強させよう、こういうことをやっている。そういうようなことを考えれば、株式会社が教育の中に入っていってよき例をつくっていく、それも一カ所あるいは二カ所、それぐらいのことはいいじゃないか、このように私は思っております。
島委員 私の地元でも、愛知県高浜市というところが、間もなく、多分いろいろな、株式会社じゃありませんけれども、教育の多様化についての議論をまた出してくると思います。先行事例もきちんとやっていきたいと思いますので、しっかりお願いします。
 どうぞ、お時間ありましたら、木村さんもお時間ありましたら、結構でございます。
 さて、北村さん、どうもお待たせいたしました。
 今回、先行実施の話でありますが、端的に、私どもは農地の取得まで可能にしようなどという話をしているのです。北村さんとは、大先輩でありますが、前に同じ党だったときもたしかあったと思いますので、あえてもう一回、ホームページを見させてもらいました。愛郷無限、郷土を愛すること無限である、そういう方であります。
 今回、農地取得の容認につきましては、農林省は、地域との調和や農地の適正かつ効率的な利用を担保するための代替措置を講じた上で、農業生産法人以外の企業法人による農業経営が可能となるような特区で対応できないか検討中とあります。この代替措置とは何ですか。
北村副大臣 島委員から御質問がございました。今回の、農林水産省が特区において農業生産法人以外の企業の農業参入を認めるか認めないか、こういう中で、随分と全国のいろいろな方々からの御意見もございました。
 特に、農業関係者等の方々からは、参入される株式会社が投機目的で取得をされたのでは困るなという意見が強かった。あるいは、経営をやっている途中でどうしても経営がいかなくなって経営を中止せざるを得なくなって、そのことによって逆に農地が遊休化されてしまうというようなことがあったのではこれまた大変だな、そういう懸念があったものですから、そういう意味で地方公共団体等からの貸し付け方式にする、これが不適正な利用に対する契約解除措置をとり得ることになる、こういうふうに思いまして、今回、そういうふうにしたということでございます。
島委員 質問は、北村副大臣、貴省の回答では、地域との調和や農地の適正かつ効率的な利用を担保するための代替措置を講じた上で可能になるように検討すると言っているんだから、その代替措置とは何だと聞いているのです。
北村副大臣 大変失礼いたしましたが、今回の農用地の代替措置、これは一つには地方公共団体等との協定の締結というのがあります。それは、地方公共団体からの貸し付け方式ということが代替方式でございます。
島委員 何かよくわからないですが、具体的に聞きます。北海道の大野町というのは、失礼ですが、北村議員の選挙区ではないんですね。ああ、それでか。それではだめですな。
 愛郷無限の北海道大野町から、地域の建設業者による農地取得の可能化なんて出ているんですよ。私たち民主党は、もちろん、むだな公共事業に対しては厳しい態度をとっていますけれども、でも、自立しようとする建設業者に対しては、それは自立もしていってもらうべきだと。一つの大きな流れとして、例えばその地域の建設業、きっと考えたんでしょう。これは、北海道の大野町だけじゃなくて、いろんなところがあります、私が聞いているだけでも。いずれ農業をやっていきたい、今まで割と似たところもあるしと。そういうものだったら先行的に実施すればいいじゃないかと私は思うんですよ。
 こういうところにこれを否定したわけですから、具体的に、どうしてこれを北海道大野町には否定したんですか。
北村副大臣 今回、北海道の大野町の農地取得を認めなかったということにつきましては、先生今御指摘のとおり、どんどんやればいいじゃないかという指摘、これがあるのも事実であります。
 しかし、先ほど申したとおり、投機目的でこれを取得された、あるいは途中で経営がいかなくなったというときのことを考えたとき、あるいは、株式会社が参入するに当たって、運転資金等々あるいはそれを取得する財源までその企業に負担をかけるというよりも、貸し付け方式で、そういう取得する財源があるのであれば、運転資金の中でそれをやっていただいた方がより経営的に安定するのではないか、こういう思いがあって、今回の大野町の提案に対しましては、農地取得ではなくて貸し付け方式がいいという判断をさせていただいた。
 しかし、先ほど大臣からお話のあったとおり、今回のこのことを考えて、検証していきながら、将来、そういう企業が本当にその地域の方々と農業をやっていける、そういうことがお互いに理解が得られるのであれば、それはまたそのときに考えていくことではないのかな、このように考えております。
島委員 愛郷無限は、決して選挙区だけ無限に愛するという意味じゃないと思いますから、北海道のことですから、しっかりやってください。
 それで、時間の関係で手短に申し上げますが、農地転用許可というのはよくある話であります。私の地元である刈谷市からも、農地転用を、四ヘクタールを超えるものを面積要件を緩和しろという話があって、ノーだった。それは、農地法で、こういうふうに農林省は答えている。農地転用許可の条件の緩和については、施設の建設により、周辺農地へ影響を与えたり、農村景観が損なわれ、農村の魅力を失わせたりすること等がないように、次期通常国会に提出を検討しているというんですけれども、私、地元だからわかるんだけれども、別に、そんなことをやったって農村の魅力を失いません。だとしたら先行実施を認めればいいと思うんですが、なぜ認めないんですか。
北村副大臣 結論から申し上げますと、農山村地域の新たな土地利用の枠組みの構築の検証とあわせて、平成十四年度中に検討するということにしております。
 農地の転用許可に関してどのような対応が可能かについては、特区に関するさまざまな提案を踏まえて、市町村長あるいは農協、農業団体等地域の方々と意見交換をしながら、農山村地域の新たな土地利用の枠組みの構築の課題とあわせて十四年度中に検討する。
 これらの検討に当たっては、農山村をめぐる国民の価値観の変化を踏まえて、農山村地域における土地利用に関する課題に対応していくという観点から、住民合意のもとで、農地等の適切な保全及び利用を図る市町村のイニシアチブに基づく取り組みを推進することが重要である、こういうふうに考えておりまして、十四年度中に検討をしてまいります。
島委員 大臣、最後に、最初、そのように大臣の思いを聞きました。実は、竹中平蔵大臣とも同じようなやりとりをやったんですよ、ここで、二〇〇一年。そのとき竹中さんは元気だったんですね。今はごらんのとおりなんですよ。
 それで、先ほどおっしゃったように、特区の制度を導入した以上、基本方針には、規制改革の趣旨に沿っている限りは原則として却下しない、それぐらいの基本方針を入れる、そういう思いである、それはよろしいですね。
 もう一度それを確認したいのと、それから、私、サッチャー女史に会ったことがあるんですが、サッチャー女史がイギリスを再建するとき何をやりましたかと聞いたんです。十年間で規制緩和と税制改革をやりましたと。それが一番重要なわけであります。
 今度、規制改革については、それほど重要なので、本当に、まず特区で推進するか、そうじゃなかったら全国ベースで推進するかと。今、農林水産副大臣は、来年度、十四年度、農地転用を全国ベースでやるんだという話、それを理由にして特区にしないと言っているわけだから。そういうことですね。だから、特区で推進するか全国ベースでやるか、それぐらいの、そういう方針でやるべきだと私は思いますが、どうですか。
鴻池国務大臣 委員の御発言のとおりだと思います。
 なかなか難しいところ、歴史があるところの規制というものは、まず特区で風穴をあける、突破口とする、それがいい意味で今申し上げた飛び火をしていくということも、これはひとつ大変期待をするところでございますけれども、特区構想が生まれたことによって全国レベルの規制改革、規制緩和、規制撤廃というものが広がっていくということに、私も期待をいたしているところでございます。
島委員 終わります。
佐々木委員長 以上で島君の質疑は終了いたしました。
 次に、岩國哲人君。
岩國委員 大臣、おはようございます。
 私が出雲市長をしておりますとき、九五年、阪神大震災、大臣の地元で大変な災害が起きました。私はその朝、その知らせを聞いて、出雲市の消防車を直ちに出動させました。その夜、NHKのテレビで、そうしたよそからの応援隊が続々と入ってきて、そして、出雲市消防車が第一号として画面に映し出されたとき、私は、消防の動きに感動したことがありました。
 先日、日曜日のテレビ番組で、大臣が、そのときのことを、阪神大震災のときの無念な思いをおっしゃっていまして、そのとき自分は落選中だったので政治家としての行動がとれなかったと。その無念さを今大臣はこの構造改革特区の問題に注いでいらっしゃるんじゃないかと私は感じておりました。
 ぜひ、そのときの悔しさというもの、いろいろな行政の壁があったために命を落とされた方、あるいはそのために災害が広がってしまった、そのときのことは、地元のことですから、大臣、一番よく御存じのとおりです。こういう古臭い行政のシステムは、人を幸せにするどころか、人を不幸せにしている。これが今の内閣が取り組むべき一番大きな課題ではないか、私はそのように思いますが、いかがですか。
鴻池国務大臣 阪神・淡路大震災の折、ただいま初めて承りました、一番に消防自動車を差し向けていただきまして、まことにありがとうございました。
 おかげさまで、神戸の町を中心として、ほぼもとどおりの姿に戻りました。大変全国から御心配をちょうだいいたしておりますが、しかし、亡くなられました六千五百四十二名、また行方不明者三名の姿は戻ってまいりません。そういうことから考えた場合に、防災の大切さ、そこにかかわる行政のスピーディーな動きというものが本当に大事だということを身をもって痛感しましたことを、冒頭に申し上げたいと思います。
 その悔しさが今の立場というと、そうではないんですけれども、特に防災担当大臣と特区を命ぜられたということは、私なりに大変感慨深いものがあるということを申し上げたいと思います。
 そして、この理念と方向性については、先ほど来申し上げておりますように、活力が本当になくなってきた日本列島の中に、規制を改革することによって活力が生まれるならば、それを早くやっていかなければならないと考えておりますが、何度も申し上げておりますように、総理の指導力をもちましても、なかなかこれが全国的レベルで動き出していないということも事実でございます。
 そこで、七月に特区構想ができ、一点風穴をあけて、一カ所でも二カ所でも、経済のみならず、教育、農業、医療の分野でも、これを活力あるものにせしめていきたいというこの構想につきまして、私自身、与えられました時間をしっかりこれにつぎ込んでいきたいと覚悟を新たにいたしているところであります。
岩國委員 今回の構造改革特別区域法案、この趣旨説明は本会議で伺いました。そして、小泉内閣は、この特区を今度のデフレ対策の大きな柱として位置づけられておる。私は、これはそう間違いではないけれども、本筋ではないんじゃないかと思います。
 この構造改革特別区域というものは、経済、景気が悪いからこういうものを取り上げるという取り上げ方が大体この法案の性格や顔を見えにくくして、誤解させているんじゃないかと思います。政治家としてもともと我々が考えなきゃならないのは、景気が悪かろうとよかろうとこれには取り組まなきゃいけないのであって、デフレ対策の大きな柱として位置づけるのは、私は邪道だと思っています。この法案が泣いていると思います。まず、そういった法案の中の文章、そして提案理由等についても、私は大胆に修正すべきところは修正していただきたい。
 この法案を立派に生み落とすために、この法案そのものを喜ばせるためには、経済、景気対策の一つとしてこういうことに取り組むものも、もちろん地方の要望としては出てきております。しかし、景気対策と関係のないものもたくさん大臣は見ていらっしゃるでしょう。例えば、教育と経済活動は、これは全然また異質のものであるはずです、言葉遣いとしましては。また、文化活動と経済活動、これもまたはっきり違うもの。しかし、文化活動、教育活動はたくさんこの中に出てきておる。
 つまり、地方自治体は、小泉総理や鴻池大臣の説明にもかかわらず、彼らが求めているものは、私もその一人でありましたけれども、もっと目線の低い、最小のコストで最大のサービスがどうやったらできるのか、もっと行政にスピード感覚を取り返すためにはどうすればいいのか、住民本位の行政を展開するためにはどうすればいいのか、そのための風穴をあけるんだというのが私は提案理由の説明になければならないと思います。
 あそこでも経済、ここでも経済の活性化、何でもかんでも経済とか経済の活性化ということは、私はおかしいと思います。国民生活の向上ということも文章の中には入ってきますけれども、なぜ国民生活の向上は経済活動の活性化なくしては得られないのか。そのような位置づけ、そういう理念の説明の仕方が私は残念です。ゆえに、提案理由の説明にしましても、法案の中についても、今私が申し上げました、行政そのものを改革し、住民本位の行政を展開するために、このような大臣のおっしゃる風穴をあけることによって日本のおくれた行政を底上げしていこう、住民本位の、スピード感覚のある、サービス感覚のある、そういうものに変えていこうという趣旨に言い直して、必要な部分は大胆かつ柔軟に修正していただくだけの雅量を持っていただきたい、私はこのように思いますが、いかがでしょうか。
鴻池国務大臣 実は、参議院の内閣委員会、また、当然衆議院で御審議をいただいて、初日でございますけれども、大きなところでそういう御質問もございました。私は、閣法でございますから、最善のものとしてこれを提出させていただいているということを言わなければならない立場でございますけれども、しかし、当委員会で十分な御審議をいただき、御議論をいただいた上で、これはどうかという御提案があれば、私は、この法律というのは、この構想というのは大変大事なものだと思いますので、十分耳を傾けて、謙虚に委員会での御結論について検討させていただきたいと思っております。
岩國委員 我々も、野党という立場ではありますけれども、できるだけそういった住民本位の行政を一歩でも二歩でも前進させるために、この法案を活用できるのであれば、いろいろな修正すべき点は修正し、そういう方向でこれを成立させていただきたい、私はそのように思っております。
 それでは、個別の質問をさせていただきたいと思いますけれども、今までのいろいろな質問に答えて、大臣は、こういった風穴をあけることによってそれを全国に敷衍させていくんだと。先ほどは飛び火という表現もされましたけれども、飛び火程度ではなくて、これはもう燎原の火のごとく早く普及させていかなければならないわけです。
 そうした中で、今まで案件が上がってきておる中で、そして、来年の四月から正式な申請を受けられて、遅くとも三カ月以内ということは、早ければ五月か六月に幾つかの特区が動き出す、そういうことになるわけですけれども、そういった特区に、いつまでも特別区として運命づけるものと、もう一つは、成功すれば全国にそれを、法律を改正することによってどこでもできるようなものにするもの、この二種類が大きく分けてあると思うんですね。
 前者の場合は、結局、独占し、集中することにしかメリットが生まれてこない場合。例えば、国際物流、そういった構想が福井県の敦賀市からもあるいは北九州市からも出ておりますけれども、これは全国どこでもかしこでもやり出せば、集中のメリットはないし、効率は悪くなるし、そういう独占という立場からくる経済性も失われるわけですから、そういうある程度いつまでたっても独占的な存在にすることによって初めて生きてくる特区と、あるいは、一日も早く、全国、教育制度なんかそうだと思いますけれども、何も独占させる、集中させる必要はないというものと、二つ色づけがありますけれども、これはきちっと峻別して各自治体に説明されますか。御答弁をいただきたいと思います。
鴻池国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。私は謙虚に、できたら飛び火がいいと言っておりますけれども、本来やはり、燎原の火のごとく燃え盛って広がっていくことが望ましいと思います。そういう意味で、全面的な規制緩和の一里塚であると位置づけながら進めていきたいと考えておるところでございまして、そういう意味で、各都道府県から出てまいりましたものを十分精査して、そして評価をして進めていきたい、このように考えております。
岩國委員 小泉総理の一里塚発言というのもありました。郵政の公社化というのは一里塚なのか、一里塚で終わってしまう一里塚なのか、これはいまだに本会議で議論中でありますけれども、大臣ははっきりと、それは先へ行くための一里塚であるということであるならば、この九百以上も申請があった中からわずか一割ぐらいしか認められなかった。つまり、九割はだめという指導を受けている。中には事実誤認というようなものもあったようですけれども、具体的にどの種のどういう提案か、わかりやすく我々に説明していただけませんか。一つで結構です。
中城政府参考人 御説明申し上げます。
 先生御指摘のように、今回提案されましたのは、規制項目にいたしますと九百三ございます。この中で特区として実施するものは九十三項目、それから全国で実施するというもの、これにつきましては百十一項目ございまして、今回規制の特例として実施できなかったけれども、これから引き続き検討するものが百四十一項目ということでございまして、特区として実施するもの、全国として実施するものとこれから実施するものというのを合わせましたうち、特区で実施するものと全国で実施するものの割合が大体六割ぐらいということでございます。そのほか、提案の中で、現行で対応可能というものが三百十一項目あります。それから、その他のものとして、事実誤認といったものが二百四十七項目あるということでございます。
 特区として実施できるもの九十三項目の中には、今回の法案に入っている十四本の法律事項というようなものがございますし、全国で実施するものというものにつきましては、例えば、次期通常国会で労働者の派遣について改正法を準備するといったようなものがございます。
 それから、引き続き検討するものというものの中には、先ほどから議論になっております病院とか学校などの株式会社化といったようなものが含まれております。
岩國委員 東京都の荒川区の例でしたが、先日新聞に報道されておりましたけれども、こうしたところから特別養護老人ホーム、なぜ地方自治体が参加しなければ認められないのか。新聞報道によりますと、特別養護老人ホームに地方自治体の参加がなければ民間だけではできない、したがってその件は申請として受け付けてもらうこともできなかった、こういったような記事ではなかったかと思いますけれども、もっともっと一〇〇%民間であっても認めるという方向に行かなければ、まるで行政がそういう仕事の独占を図っているような印象を与えてしまうのじゃないでしょうか。この点、大臣のお考えはいかがですか。
中村政府参考人 厚生労働省の老健局長でございます。
 今特別養護老人ホームのお話について出ましたので、少し御説明をさせていただきます。
 まず、先生、荒川区というお話がありましたが、多分足立区ではないかと思います。足立区と志木市の方から、今回の特区に関連いたしまして、民間活力を利用するために、特別養護老人ホームが株式会社が運営できるようにしてほしいという御要請をいただきました。
 ちょっと御説明させていただきますと、特別養護老人ホームの運営というのは、第一種社会福祉事業ということで現行法律ではされております。社会福祉法では、第一種社会福祉事業は、社会福祉法人以外の方が行う場合には都道府県知事の認可を受けて認められるということになっておりますので、それだけでありますと、今でも株式会社は特別養護老人ホームができるということになるわけでございますが、昭和三十八年にできました老人福祉法におきまして、特別に第一種社会福祉事業であっても特別養護老人ホームは地方自治体と社会福祉法人に限定している、こういうことでございました。
 私ども、このことについてどう考えているかということを申し上げますと、自由に民間で介護をやっていただいたらどうかということにつきましては、株式会社は有料老人ホームができます。有料老人ホームに対しましては、自由に運営できますし、そこの介護体制が整っておりますと公的な介護保険制度の方から一月お一人当たり二十万円という介護保険の費用が出ます。逆に株式会社に対しましては、憲法上の制約から社会福祉法人のように社会福祉施設整備費が出すことができない、こういう制約もございますので、私ども、株式会社と社会福祉法人の役割分担としては、有料老人ホームの方に資金調達が可能な株式会社の方はやっていただきたい、実はこう考えておったところでございますが、地方自治体の方から、それでも、特別養護老人ホームについても株式会社がやることを認められないかということで、今回特区において試行がされるということでございましたので、私ども、この点を考えまして、株式会社に特別養護老人ホームを設置するということについて道を開いたところでございます。
 その際、株式会社の問題といたしましては、やはり収益が悪くなった場合には退出されてしまうということが社会福祉法人よりも自由にできるということがございますので、その点については、特区において試行的に実施される場合に、地方公共団体の方からのお申し出もございますので、地方公共団体が十分関与できる、まず公設民営方式及びPFI方式でやらせていただいたらどうかということで申し上げたところであります。
 先生の方からは、そういうことが過剰な規制になっているんじゃないか、せっかく特区で認めても出てこないのじゃないかという御懸念だと思いますが、同じ社会福祉事業のケアハウス、これにつきまして、PFI方式で、規制緩和の一環でやっておりますけれども、現に、杉並区、中央区、市川市、愛知県の高浜市において、こういうPFI方式の枠組みを利用してケアハウス等の整備を行うような実施方針の公表が行われておりますし、杉並区においては既に株式会社の事業者の選定が行われておりますので、そういった意味で、私ども、足立区、志木市の方が具体的に今回の枠組みでやっていただけるかどうかということは、また正式に、四月に公募した場合のことになると思いますが、第二次公募もあるというふうに伺っておりますので、特に大都市を中心にして、かなり道はあるのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
岩國委員 公設民営という表現も使われておりますけれども、もう少し民設民営というタイプももっともっと導入する道を広げることにおいて、この提案理由の説明で、私は経済効果を強調するのはおかしいとは言いましたけれども、しかし、やはりそういうものも副次的に我々は期待したいわけですから、それを公設民営というところで線を引っ張ってしまうというのは、ちょっと、提案理由のあの大上段に振り構えた、経済、経済とおっしゃることとおやりになっていることとは矛盾しているんじゃないかと私は思うんです。
 やはり、民設民営にもある程度の制限は必要でしょう。今おっしゃったように、出るときも出やすいけれども、退出するときも早過ぎるというのでは、利用した方の非常な御迷惑ということも当然ありますから、やはり公益性のある事業という場合には一定の拘束条件もつけるということは、当然、ギブ・アンド・テーク、話し合いで可能なものだと思いますから、公設民営という言葉でもってそこで線を引くことなく、民設民営に私は持っていくべきだと思います。
 例えば、NPO活動というのは最近全国各地で非常に活発になっております。そのNPOに関連して既にいろいろな提案が出ておりますね。例えば北海道の栗山町のNPOによる農地トラスト計画、あるいは茨城県つくば市の新エネルギー関係のそういったプロジェクト、これもまたNPOでやりたいと。東京の杉並区でも、教育改革、こういったことに関して、これは、民間、NPO、そういったところが出資することによって官の手ではなくて民の手でやってみよう、こういった構想があります。
 今三つの例をNPOに関連して申し上げましたけれども、これはいずれも皆さんの考えでは実現不可能ですか、実現可能という目でこれを認定していこうというお考えですか。大臣がもしお答えにくいようでしたら、どなたかかわりに。
鴻池国務大臣 実現可能にすべく努力すべきことだと存じております。
 もう一点、ただいまの役所の説明で委員も御不満のようなお顔をされておりました。しかし、これは、とにかくパイロットケースとして、ここへ来た以上一たんやってみる。やってみて、そして、民の方が、どうも官のハエが頭の上でうろうろしてやりにくいというような話になれば、これをもう一度お互い協力して考え直していく、こういうことにせざるを得ないのではないかと思います。
 とにかく、今回は八月三十日に締め切りの提案を精査して、ただいま我が室長が御報告申し上げました数字でやってみるということにぜひともしたい、このように思っているところであります。
岩國委員 こういった民間活力をこれから使っていくということは、財源が政府そのものは限られているわけですから、PFIもその一つでありますし、こういう特区構想に絡めて、できるだけ民間企業がもっと出やすいような、そして民間企業がインセンティブをその中で見出すことができるような、そういう指導なり、あるいはこの法案の運営というものをやるべきではないかと私は思います。企業のみによる設置というものは認めないとか、運営や資金拠出に限って認めるということであれば、全面的な企業の参加というのは非常に期待しにくいことになりますから、その辺についても十分これは留意していただきたいと思います。
 そういった民間企業という中で、国内の民間企業の元気がちょっとないときに、当然この特区構想で我々が期待したいのは、外国の資本がどれだけこれについて入ってくるかということであります。
 今まで、中国でもアイルランドでも英国でも、いろいろな国で経済特区というものを考えたときに期待したのは、全部、外国資本がどれだけそれぞれの国に入ってくるかということであったわけです。中国のシンセンという地区は特にそういった点でも代表的な例ですけれども、それぞれにおいて成功しております。タイミングもよかったかもしれません。しかし、それぞれの構想が、外国企業に十分に魅力的な構想を打ち出しておったからではないかと思うんです。
 今回、九百件の中で、外国企業はどれぐらい手を挙げておりますか、大臣。大臣は少なくとも、片仮名の名前、外国企業の名前ぐらいであれば、九百あっても珍しい名前だから少しは目にとめられたと思いますけれども、大臣の目にとまる、耳に入った外国企業の数というのはどれぐらいありましたか。
鴻池国務大臣 地方公共団体を通じて、外国企業の参入というものに関しましては、国際空港や国際港湾等の周辺において、外国人がビジネスをしやすい環境を整備して外国からの投資を促進するために、外国人の研究者の在留期間の延長や、外国人の弁護士、医師等による外国人向けのサービス等の規制を特例として求める、こういうことでございまして、他の、外国が日本へ入ってきてこうしたいということは、今のところないと私は承知をいたしております。
 その中で、外国人の研究者の在留期間、これは、法務大臣と意見調整をいたしまして三年が五年に延びたとか、そういうことの今のところの特区になっておるところでございますが、ちょっと私の勉強不足のところを室長から補足させたいと思います。
中城政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほど大臣から申し上げましたように、国際空港や国際港湾等の周辺、そういうところで外国人がビジネスをしやすい環境を整備するというような特区構想というのは、多くの自治体から出されておりまして、例えば、福岡県福岡市で出されている福岡アジアビジネス特区とか、兵庫県の国際経済立地促進地域とか、横浜市の交流特区とか、大阪府の国際交流特区、神戸市の国際みなと経済特区といったようなところから出されております。
岩國委員 これは、日本に対する投資が非常に少ないということは、たびたび国会の中でも取り上げられてきたことでもあります。日本の資本そのものが日本の中で投資される、つまり設備投資が非常に不振であるということがこのデフレ現象を招いている。これはもう釈迦に説法であります。
 もう一つ。では、日本のお金に元気がないのなら、ゼロ金利政策で、結局、給料をもらえないから、お金がたんすの中で寝たきりになる。どうしても給料は欲しい。お金はアメリカへ行って、出たきりで帰ってこない。寝たきりと出たきりの日本のお金には期待ができない。
 それでは、外国のお金はどうなのか。外国のお金が日本に入ってくることは非常に少ない。先進国の中で国外からの投資が非常に少ないというのが日本の特徴なんですね、大臣。それは何が原因だったと思われるのですか。日本はいいマーケットでないからですか。規制が難しいからですか。税金が高いからですか。技術が低いからですか。労働の質が悪いからですか。何が原因だと思われますか。
鴻池国務大臣 やはり、今私が担当させていただいている観点からすれば、規制というものが非常に大きな壁になっておるというふうに解釈をいたしているところであります。
岩國委員 確かに大臣のおっしゃるように、いろいろな複合的な要因ではありますけれども、外国の企業が一番問題にするのが、行政の不透明性、あるいは役所の認可事項が余りにも多過ぎる。だから、日本というのは魅力的なマーケットで出たいけれども、恐らく期待利益も大きいけれども、手間暇がかかり過ぎる。こういったところに一つの大きな難点があり、そこに風穴をあけようというのが、大臣、この法案の大きな目標でしょう。
 日本のお金に期待できないんだったら、小泉さんがデフレ対策の大きな柱として位置づけているのは、ユダヤ系の我利我利亡者も含めた、そこに一番期待していらっしゃるわけでしょう。それがだめだとおっしゃったら、この法案の価値のほとんどはなくなるということです、経済的、数量的インパクトは。
 我利我利とユダヤ系を排除したのでは、これは意味がないということになりはしませんか。大臣のお考えを聞かせてください。
鴻池国務大臣 さすが岩國委員の御経歴から、なるほどとうなずかせていただいておるわけでございまして、この特区構想につきましても、魅力ある地域、魅力ある仕事が、日本の企業は言うに及ばず、海外からの企業が進出してくることを大いに期待しながら進めていかなければならないと、ただいまの委員の発言を聞かせていただいて思った次第であります。
岩國委員 国際的に見て、大臣の地元の関西地方もそうでありますけれども、世界で見て、日本ほど仕事のしやすい、そして仕事の魅力、リターンの大きいところは世界にないと思います。
 まず第一に、人口がこの小さな島に住んでいる。もう周りじゅうにお客さんだらけ。百人のお客さんを探すのに、アフリカでは何週間もかかる。日本では、新宿の駅前に十分立っておれば百人の人が通り過ぎる。こういうお客さんが過密と言われるところに住んでいるというのは、商売をする上に一番有利な条件のはずですね。
 二番目に、財布の空っぽの人が百人歩いているんじゃなくて、まあよその国の名前を挙げてはいけませんけれども、世界で一番金融資産が大きい、世界で一番膨れた財布を持って歩いているのは日本。数が多くて、財布は膨れておって、新しい製品を説明したらすぐわかるという教育程度の高さがある。別の国に行けば、新しい製品を説明しても、一週間説明してもわかってもらえない。
 いろいろな商売、ビジネス環境に恵まれながら、世界の先進国の中で一番日本に対する対日投資の額が少ないというのは、まさにこれは行政のおくれそのものだと私は思います。
 したがって、この構造改革特区において、一番インパクト、そして目に見える形で効果があらわれるのは、教育も文化もそれぞれに、行政サービスも大切なことではあります。やらなければいけません。しかし、政府が一番期待し、また国民の我々も期待しているのは、行政に風穴をあけてみたらこれだけ変化が起きてきたということがわかりやすい形であらわれるのは、やはり外国の資本が入ってくることでしょう。来年の四月以降、そういった正式申請を受け付けられる。半年たっても一年たっても片仮名の名前が一つもあらわれてこないというのでは、はっきり言って私は、この法案はその段階において失敗だったという評価をせざるを得ないと思うんです。
 大臣はそれだけの可能性をしっかりと見ておられるかどうか。そして、法案を通したらそれで大臣の責任は終わりましたということではないでしょう。法案に目鼻をつけて、しっかりと外国企業が参入しやすい日本の風土をつくってみせたという評価を来年とらなければならない。その自信はありますか。
    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕
鴻池国務大臣 御説を聞かせていただきながら、極めて大事なことであると認識を新たにいたしているところであります。
 残念ながら、第一次募集の御提案に関しては具体的なところはございませんけれども、ぜひとも委員の過去の御経歴から、そういった御提案をしていただけるようなそういうものをおつくりいただいて、お互いに努力をしながらただいま委員がお示しいただいたような理想に向かって進んでいきたい、このように思っておりますので、引き続き、この特区法案について委員のお立場、御経歴からお力添えをいただきたい、このように思っております。
岩國委員 決して私は、今までの経歴から外国の資本だけを優遇しようとかいうつもりはありません。むしろ、森内閣、小泉内閣において、私は外国の資本を優遇し過ぎたんではないかという事例を予算委員会の中でも見てまいりました。木村副大臣、退室されましたけれども、予算委員会の中で頻繁に木村副大臣は不規則発言をしておられました。その数多い不規則発言の中に、非常にいい発言を私はよく聞いておったのです、日銀の政策の誤りについて、あるいは外国資本に対する対応について。
 その中の一つは、長銀の処理の問題がありました。確かに、長銀というある意味では国民の一つの大切な企業、しかも国のお金がかなり入っておった。それを外国の資本に売ってしまったわけですね、わずか十億円で。何千億のお金をかけて十億円で売ってしまう、持参金つき。しかも、今度はキャピタルゲインが、利益が出たときに、リップルウッドという外国資本、まさにゴールドマン・サックスというのは木村副大臣の一番嫌だとおっしゃるユダヤ系の代表的な金融機関であるわけです。ユダヤ系の我利我利に、しかも安値で売って、しかも持参金まで渡して、将来売却したらキャピタルゲインタックスもかからないという、世界の歴史の中で考えられないような恩典までつけて渡してしまった。私はこれには反対いたしました。全くの愚策である。その当時の金融庁長官は、その責任も含めてその後辞職されました。
 私はこういう行き過ぎた対応を期待しているわけでも何でもないわけです。国内の法人に対してもフェアでなければならないし、しかし、外資系だからといって過剰サービスをしてよその国から笑われている、このような法案になってはならないと思いますけれども、やはり外国の資本がどんどん魅力を感じてくる、魅力のあるマーケットであるがゆえに、国内の資本に元気がないときには、こういう機会に入ってきてもらいたい。
 しかし、十年前には、大臣も御承知のようにジャパン・バッシングという形でもって、日本のよさに対するねたみ、やっかみというのは随分ありました。最近は元気がなくなったためにジャパン・バッシングはやんで、そのかわり外国の資本も来なくなって、香港、上海、ソウル、シンガポール、ジャパン・パッシングと言われる時代がやってきました。むしろ今ではバッシングの方が懐かしかったという企業人の声が聞こえるぐらいです。
 大臣の選挙区でも、神戸空港、新空港という構想が、私もつまびらかではありませんけれども、例えば神戸新空港を外国の資本で建設させてほしい、経営させてほしい、収入も得たい、こういうふうな物流特区のようなものが出てくれば私はおもしろいと思いますけれども、今度の法案の中に、そういう大胆な、外国にとって目玉となるようなアピール性の高いものがちょっとないんじゃないでしょうか。つまり、国内の地方自治体が、ふだんの恨みつらみ、不便さ、そういうものをかなり吸い取る、これも行政改革の大切なことではありますけれども、デフレ対策の大きな柱というには大きなものがこの中に入っておらない。そういう目玉として、大臣はこれは本当に期待できるんですか。再度お答えいただきたいと思います。
鴻池国務大臣 先ほども申し上げました。今回の第一次提案募集の中身については、極めてそういうことの期待できない状況でございます。来年一月十五日に締め切りで募集をいたしております提案につきましてそういうものが含まれてくることを私は期待をいたしておりますし、そういう構想のもとにぜひとも大いにこの提案に参入をしていただきたい、このように思っております。
 そういう意味からいえば、我々の役所の方で、国内にはPRをしておりますけれども、国外というか、国内にいる外資系企業に対するアプローチもある程度必要なのではないかなという気も今いたしておるところでございます。
岩國委員 今大臣、非常に貴重な発言をされましたけれども、こういった国内の、東京にあるアメリカの商工会議所あるいは大使館、そういった外国の経済人の集まりあるいは組織、そういうところからのこれについてのヒアリングというのはどの程度され、どういう意見がその中から出てきておりますか。
鴻池国務大臣 私が就任いたしましてからは、全くそういうことはございません。ただ、日本経団連の方には、私が出向きまして、過日御説明を申し上げ、御協力をお願いしました。
岩國委員 全くそういうことはございませんというのは、全く御意見がなかったということですか、全くそういう機会は持たれなかったということなんですか。どちらなんでしょう。
中城政府参考人 大臣の就任前でございますけれども、アメリカ大使館の方からは、この特区構想に対して非常に関心があるということでございまして、特に米国では、これのやり方がトランスペアレントで、透明で、それで非差別的なものであるということを期待するということがアメリカの方の報告書にも載っているというふうに承知しております。
    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕
岩國委員 大臣御承知のように、公あるいは非公式にアメリカのいろいろな企業の代表が日本に来られている。我々政治家と接触を試みておられますね。それは広い意味の国際的なロビー工作である場合もあります。それは、いい意味のロビー工作は、我々もいろいろな意見やそういうことを聞くということは、政治家として当然やらなきゃならぬことです。しかし、この法案について、今、局長ですか、答弁されましたけれども、アメリカ大使館が、ああ結構でございますねぐらいの話で、それ以上本当に、この法案を利用してもらおうという営業精神、言葉は悪いかもしれませんけれども、官僚としての営業精神が欠如しておるんじゃないですか。この法案ができたら、この法案をどれだけ活用してどれだけ日本の国民のために商売してやろうという意欲は全然感じられません。どれだけ多くの代表に会われたんですか。どういう企業を想定し、想定した企業の東京における代表にどれだけ会って、どういう意見がこの法案について出てきておるのか、それを再度答弁してください。
中城政府参考人 米国大使館とはさまざまなレベルで議論させていただいておりますけれども、特にアメリカ大使館の方は、米国内でもこの制度についてのPRをしたいということで、ジェトロと協力したPRをしたいという話を聞いております。
岩國委員 ですから、我々に、国会でこの法案を出す前に。出した後で聞いて歩けといったってしようがないでしょう。出す前に、どういうふうな内容にすればアピール度が高くなるのか、外国の企業は関心を持ってくれるのか、いい法案をつくろうというマーケティング精神がないんですよ。法案というのは、いろいろな機会をどんどんつくる、機会を与えて、そして民間企業にどんどんやる気を起こさせようというんだったら、みんなが使いたくなるそういう法案をつくらないと。
 今までの役所はそれでよかったかもしれません。しかし、小泉さんになってから変わったはずでしょう。民間にできるものは民間にやらせる、何度も何度も我々本会議場で聞かされていますよ。その肝心の民間にやらせるもの、民間にできるもの、それをもっと数をふやそうというのがこの法案の提案理由の説明にあったじゃありませんか。その提案理由と全然違う法案のつくり方をやっておって、しかも一番使ってほしそうな外国の代表的な企業との接触さえもない。あなた方が接触したのは、アメリカ大使館の中にいる役人でしょう。役人と役人との、結構でございますね、そのうちにやりましょう、その程度の話でここへあなた方は法案を持ってきているんですか。もっと血となり肉となる、みずみずしい法案を盛り込んできてもらいたいと思います。今までの法案はみんな行政マンでつくった法律かもしれない。今度は行政に風穴をあけようということでしょう、大臣。今までの行政がだめだから、自民党をぶっ壊すと言った小泉さんが行政をぶっ壊す勢いでこれに取り組んでおられると私たちは理解し、それを期待しているわけです。
 であるならば、外国の意見という異質の意見をどんどん大胆に取り入れて、変えるべきところは変えた方がいいと私は思う。法案的に間に合わないんだったら、大臣、先ほどの大臣の答弁では大変自信のなさそうなお話でしたけれども、しかし、来年以降、少しおくれてでもいいから法案を修正し、追っかけてでもいいものにして、そういうところの、大きな外国との風穴をあけるような修正を、間に合うならこの法案の審議中にやるなり、少し時間がかかるならヒアリングをやって第二次修正を盛り込むなり、そういうふうにできませんでしょうか。御答弁をお願いします。
鴻池国務大臣 先ほど島委員からの御質問のときにも私は答弁を申し上げました。本委員会の御議論を十分踏まえて、修正等につきましても、閣法でありますから最善の法律であるということを私は申し上げる立場だけれども、大きな耳を傾けたいという答弁を申し上げました。今もその気持ちに変わりございません。
 そして、本日、私は勉強不足で、大変いい御提案をちょうだいできたと思っております。実は私は、時間があればこの件について日本全国できるだけ出前持ちをしよう、このように思っておりました。既に二、三の計画がもうできておるところでございます。そして、民からいい提案をちょうだいしたい、こういうPRを努めてまいるつもりでおりましたけれども、ただいまの御指摘というものは非常に大事だと思いますので、一度、外国企業あるいは外国のそういう御興味のあるところと私自身も出会いまして、いかがなものかということを話してみたいというふうにここでお約束をしたいと思います。
 ただ、修正あるいは新たな法案ということに関しましては、ただいまの法案はこれで私はどうかお願いしたいと思っております。ただ、修正等に御議論が進みますれば、我々といたしましても耳を傾けるつもりでおります。
 ただ、もう一つ、一月十五日に締め切ります第二次募集で新たなものが出てくれば新たな法案として追加することに相なっておりますので、ぜひとも一月十五日締め切りの第二次の提案について、私どもは大いに期待をいたしますと同時に、まだ日数がございますので、そういう御理解の上で誘導をしていただければ大変ありがたい、このように思っております。
岩國委員 いろいろな国との接触をそれぞれのお立場の方がされた方が私はいいと思います。外国の意見というのは、中には、随分勝手な意見が多かったり、それから理屈の通らない意見もはっきり言ってございます。しかし、千差万別いろいろありますけれども、そういうものを取捨選択しながら、玉石混交の中からいいもの、これは本筋として使える、日本の国民にも納税者にも十分説得、説明ができるという提案、要望というのはもっともっと早く取り入れるべきだったんじゃないかと思います。時間的にも制限があるでしょうけれども。
 例えばニューヨークの日本商工会議所という組織がありまして、そこは、アメリカのいろいろな企業が、情報をとりに来たり、接触しています。そこに専務理事で狩野務という、私は同じ出雲の出身ですからしょっちゅう行っては会っていますけれども、そういう専務理事の意見なんかを聞かれるのが一番まず、ある意味では安直な方法かもしれません。大臣自身がお聞きになった方がいいと私は思います。大体どういう文句をいつも言われているのか、そういうことを要領よく説明してくれるでしょう。まず、そんなところを出発点として、そして具体的にいろいろな層の意見を聞かれた方がいいと思います。
 そうした外国の要望の中、そして日本の行政の不透明性というものから生まれたノーアクションレターという制度、大臣御存じですね。このノーアクションレターという制度は導入されてまだ日が浅いわけですけれども、具体的にどれぐらいの件数が使われておりますか。実例としてどれぐらいありますか。
中城政府参考人 ちょっと資料を持ち合わせておりませんので、恐縮でございます。
岩國委員 実際にどの程度各省庁ごとにそれが使われて役に立っているのか、資料を提出していただきたいと思います。
 私が得ておる限られた情報では、このノーアクションレターというのは、だめならだめ、この案件はだめですということを事前にちゃんとし、そしてそれを公開するという、行政の透明性を高める非常に画期的なシステムであり、日本もそれをやろうということで始まったわけですけれども、どこに原因があるのか、このノーアクションレターという制度そのものがノーアクションで終わっておるわけです。まあしゃれではありませんけれども、結局ノーアクションで終わってしまって、ほとんど使われていない。
 この点についても、もう少し外国のいろいろなところにヒアリングをされると、一体あの制度はどうなっているのか、あるいはなぜ使われていないのか、その辺を事前によくお調べにならないと、この外国の企業の参入の壁というのは高いままでいつまでも残ってしまう、そういうことになると思います。日本のノーアクションレターがなぜノーアクションで終わっておるのか、その辺も本当はこの法案に非常に関係してくるところが多いんじゃないかと思います。
 外国からばかりじゃありません。いろいろな地方自治体からも、九百件あって九十件しか認められない。その中には、いろいろな理解や意識のミスマッチというのもあるでしょう。しかし、ミスマッチではないにもかかわらず認められなかった、隣の市は認められたと。そして、日本で起こることは、結局、そこには有力な国会議員がおったからあそこは認められて、こっちはおらなかったから、そういう次元の話にだんだんなっていくわけですよ。なっていくというか、はっきり言って政治家がそういうふうに誘導していく場合もあります。
 この構造改革特区法案の一つの暗い面、心配しなければならない面は、今までの補助金の分捕り合戦をそれぞれの各地区の国会議員がある意味ではやってきたわけですね。これを口ききといいます。今度は口ききの材料の一つにこの構造改革特区がなってはならないと思うんです。
 そうさせないためには、このノーアクションレターという制度、そういった政治家や国会議員の口ききが行われたからあのメリット、特典をあの市はもらったんだ、あの県はもらったんだといううわさを封じる大変有力な、そして必要な制度、このノーアクションレターというものをもう一回、使われていないんだったら使われるようにし、そしてこの構造改革特区法案を本当にフェアで、そして将来のよりよい行政を目指すための武器とするためには、私はそれを活用し、併用すべきだと思います。そういう意見、要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
 御意見がありましたら。
中城政府参考人 先ほどお尋ねがあったのは、恐らく民間企業から出るノーアクションレターということで、これは総務省の方で取りまとめているものでございますが、それとは別に、この本法案の第四条の七項のところで、地方公共団体が関係行政機関の長に対して法律の解釈それから命令など規定の解釈について確認を求め、それを速やかに行政機関の長は回答しなければいけないという回答義務をつけるという規定を設けております。これは、地方公共団体の求めに対して国が出さなければいけない一つのノーアクションレターというような制度をこの法律には盛り込んでいるところでございます。
岩國委員 そのことは、今答弁いただきましたけれども、私はその第四条七項、それを読んだ上で、つまり、この構造改革特区法案というのは、このノーアクションレターという制度を本格的に法案の中に盛り込んでそれをはっきり義務づけているというところに非常に特徴があるわけです、私の質問の仕方が悪かったかもしれませんけれども。
 それであるがゆえに、ノーアクションレターがどれだけ使われておるかということの確認さえも、大臣も、皆さん、しておられないでしょう。ノーアクションレターというものを持ってくればこの法案がきれいに見えるというだけの話でここへ書いてあるだけなんです。
 私が質問しても、ノーアクションレターが導入されてから何年何カ月の間に各省庁においてこれこれの件数がありました、これだけ実用に供されておりますから大いに頼りになります、これが用心棒でございますからここにちゃんと記入しました、こういう説明ができなければいけないのじゃないですか。ここに書いておけば、書いただけで安心して、そしてノーアクションレターがノーアクションで終わっている、こんなことの繰り返しじゃどうにもならないと思います。御意見があれば。
鴻池国務大臣 このノーアクションレターにつきましては、今委員が御指摘ございましたように、一つの用心棒的な存在になると私も思っております。各省庁どれぐらい使ってきたかということにつきましては、資料がございませんので、後ほど提出をさせていただきたいと思います。
 そしてなお、さらに申し上げれば、この特区法案が骨抜きになるかならないかという非常に大きな部分がこの制度にあると思いますので、現在、私の考えでありますけれども、書面をもってこれを行う、このように前向きに考えておるところでございます。
岩國委員 質問を終わります。
佐々木委員長 以上で岩國君の質問は終了いたしました。
 次に、太田昭宏君。
太田(昭)委員 私は、この数年、経済構造改革が極めて大事であるということは言い続けてきました。特にまた、景気対策、経済構造改革、財政改革、財政構造改革と非常にばらばらに使われているということについて気になってきましたが、経済構造改革が必要なことは言うまでもありませんが、不況下における、また失業下における構造改革というのはなかなか世界に類例のない、大変なことだと思います。
 何回もデフレ対策というものが出されても、なかなかそれが実行に移されない、あるいは急所を外しているというようなこともきっとあるのでしょうが、金融の仲介機能を回復させるということと、需給ギャップというもの、二十兆と言われますが、需要面そして供給サイドからそれを解消していくというようなやり方もあるでありましょう。
 しかし、経済の教科書的に言えば、Y=C+I+Gという、GDPというものは、消費と、そしてインベストメントという公的資本形成と、そしてG、ガバメントということの足し算であるということは経済学の一番最初で勉強するわけですが、このIということからいきますと規制緩和ということは極めて大事であるということで、今回、このデフレ対策の重要な柱として経済改革特区法案というものが提案されたということについて、本当にこれがうまくいけばいいし、また、うまくいかなければならないということを私は思うわけです。
 そこで、今のノーアクションレターということがノーアクションだという話もありましたが、もっと言うと、大体どれぐらいの経済効果というものをねらい定めているのかということについてまずお聞きをしたいわけです。こうした特区の実現によってどの程度のデフレ対策、経済効果というのを見込んでいるのか、あるいは景気、雇用などに対してどういう効果があると見ているのか、それをどういう体制でフォローアップしていくのかということについて伺いたいと思います。
鴻池国務大臣 なかなか難しいことでございまして、これをやればこうなっていくというのが見えにくい特区構想でございます。
 これをとにかくできるものからやっていく、できないものはどのようにすればできるか、これを懸命に考えながら現在に至っているところでございますが、フォローアップ体制につきましては、十月十一日に構造改革特区推進本部におきまして決定された推進のためのプログラムにおいて、特区法案成立後、一年以内に構造改革特区において実施される規制の特例措置の効果、影響等を評価するための体制をつくる、こういうことを決めてございますので、そこでフォローをしていくということに相なろうかと思います。
 冒頭の御質問につきましては、きちっと答えられずに恐縮でございますけれども、これが動き出してくればどのようになるかということも、ある程度はつかんでいかなければいかぬ時期に来ているというふうに思います。
太田(昭)委員 政治はある意味では環境もつくり、リーダーシップをとるということが非常に大事ですから、非常に要望が強い、受け入れましょう、そして経済効果、このくらいありというようなメッセージを、きょうが無理でも、ある時点で出して引っ張っていくということが非常に大事なことではないかというふうに私は思いますので、ぜひともその辺、ちょっと考えて、メッセージ性ということも政治の大きな役割であるということで、大臣あるいは内閣挙げてそうしたことについての発言をお願いしたいと思います。
鴻池国務大臣 ただいま委員御指摘のように、メッセージというものは大事、アナウンス効果というのも非常に大事なことであると承知をいたしておりますので、できるだけ早い時期に、この法案が成立し、これだけの規制改革が成ればどのような効果があるかということを勉強を始めたいと思っております。
太田(昭)委員 神戸にこの間行きまして意見をいろいろ聞いて、我が党で、列島縦断フォーラムで聞いたのです。大臣も、皆さんちょうど兵庫なので、私、話をしますが、一番強かったのは、関西を初めとして、本当に何とかこれで経済を持ち上げたいという意欲が非常に強くて、特区のことについてかなり集中しました。
 そこで、税財政について、規制緩和をしました、さあどうぞと言われても、税とか財政あるいは国のいろいろな金融措置を初めとしてどういうバックアップ体制がとれるかということについて、非常に要望が強かったわけですね。
 税というのは今なかなか難航して、自民党の中でもいろいろなことがあるようですが、しかし、これは非常に長期的な国全体の制度ではあるから、この特区というものと税というのはなかなか難しい側面はあろうかと思いますが、私は、国の金融機関というものを含めて、これは民間がやりたいといっても、かなりベンチャー的なものもありますし、資金は今、簡単に貸してくれるというわけでもない。これをどうするか。仕事がない、あったら何か飛びつくということで、私は、この辺の規制緩和をしましたというだけではなかなかこれが成功しないのではないかというふうに思っておりますので、今回のはやらないんですというだけでは、現実にはそうした私が申し上げた経済効果というものはなかなか大変なことであるということの上で、ぜひとも税財政によるバックアップ体制をとってもらいたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
鴻池国務大臣 委員からお話ございましたような要望というものはよく聞こえてまいりますし、自由民主党の本件の特命委員会におきましてもそういう御議論が強くあったということもお聞きしておるところでございますが、この構造改革特区の構想では、国から地方へ、官から民へという流れの中で、自助と自立の精神を尊重して、地方が自主性を持って知恵と工夫の競争による活性化を図るものであるという位置づけでございまして、この推進本部で決定しました基本方針におきましても、構造改革特区に対して従来型の財政措置は講じないということにいたしておるところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
太田(昭)委員 その辺は非常に要望の強いことでもありますから、難しさとかこの法案の性格ということはあるんですが、現実面として、現場でどういうふうにするかということについてはよく目を注いでおいていただきたいというふうに思います。
 法案の基本理念、きょうは私は理事の人に冒頭ちょっとやらせてくれと言ったのは、非常に基本理念的な話なんです。それは、規制ということは、経済的規制もあれば社会的規制ということもあるんですが、この規制緩和という、これはいい規制、これは外す、いろいろなことがどういう見地から整理されているのかということがちょっと私は見えない部分があるわけなんです。
 地方から要望がありました、要望を各省庁でこれはできるかできないかということを検討させていただきました、そういうふうに言うんですが、単に、要望があって、できるとかできないかの基準ということで整理されたのと、安全性だとか利便性だとか経済効果とか、こういう観点で整理をしたんですというような、一番基本になる規制緩和の整理のコンセプトというのは一体どういうふうになっているかということについてお聞きをしたいと思います。
鴻池国務大臣 委員おっしゃいますように、私も、規制というもの、どうしても守らなければならない規制というのはあると思います。やはり、日本の風景がその規制を外すことによって変わってしまうような、あるいは伝統とか文化というものがなくなってしまうようなことであってはならないというふうに思います。そのためには規制というものは大事な部分があるというふうに思っておるところでございます。
 ただ、ただいまの基本理念的にどういうところで決定しているのかという御質問でございますが、九月二十日に構造改革特区推進本部で決定されました推進のための基本方針には、「地方公共団体や民間事業者等の自発的な立案を可能とするよう、可能な限り幅広い規制を対象とする。」とされておりまして、この基本方針に従って、地方公共団体や民間事業者から出された規制改革事項については、実現するためにはどうすればよいかという方向で検討してまいったところでございます。
 一方、地方公共団体や民間事業者の要望のうち、単に特定の地域における税の減免を求めるもの、補助金等の使途の拡大を求めるものにつきましては対象外といたしております。さらに、地域に限定して規制改革を行い得ないような性格のものについても、特区になじまないとして対象外といたした次第であります。
太田(昭)委員 私は、初めに特区ありきということがなかなか難しい法案にした、またそれが、そうしなければできなかったのかもしれませんが。
 要望を受けましたと。九十三項目について今回は規制を考えるということですが、そのほかに、百十一項目の、地域限定ではない、オール・ジャパンで規制が緩和されるという、そこのところが非常に大事だなというふうに思うんですね。
 特区から始めてモデルをつくって広げるというのと同時に、いっぱい要望がありました。九百を超えるものがありました。整理して、今大臣おっしゃったように、税とかそういうものは外しました。これはむしろオール・ジャパンでやった方がいいんだというのが百十一出てきたということは、そこの百十一を推進するというのはどこになるかよくわかりませんが、この百十一を外すということは非常に大事なことで、政府としてこれをどういうふうに推進をして、この構造改革特区法案と同じスピードでこの百十一項目についてオール・ジャパンの体制を政府としてはとるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
鴻池国務大臣 この特区の構想が出て、提案を募集したゆえに九百の提案が出てきた。それを精査いたしましたら、今申し上げましたように、税とか減免とか資金が要るとかというようなものは外しながら、百十一については、これは全国レベルでできるじゃないかということが初めてあぶり出てきたわけでございますので、これにつきましては、関係各省庁が積極的かつ精力的に規制緩和の方向に向かっていっていただかなきゃいかぬと思いますし、それについてチェックをするのが私どもの役目である、このように考えておるところであります。
太田(昭)委員 私は、数ではないのですが、九十三と百十一なら、こちらが非常に大事だ。そういう意味では、内閣を挙げてこれは本当に同じスピードでやるということが今回の地方自治体を初めとする努力に対して報いる道ではないかというふうに思いますので、ぜひともそこはいろいろな機会に目を光らせていただいて、大いにやる、同じスピードでお願いをしたい、このように思います。
 この地域限定のものとオール・ジャパンのものをどうやって立て分けたのか。私は、出ていることをよく見ますと、これはむしろ場所を限定するというよりも、日本全体ということ、オール・ジャパンにした方がいいなということをも含めて、それが九十三の中に入ってきているという感じがしてならないのです。
 株式会社がPFI方式あるいは公設民営、管理委託等によって特養ホームを運用できるようになる。これはどういう事情で地域限定になったのかという感じがしますし、こういうものは私はどんとオール・ジャパンでやった方がいいというふうに思いますし、これはこういうことだから全国でなくて地域限定だ、これはこうだから地域限定でなくて全国だと、その辺の立て分けがうまく整理されていないのではないかという感じがしてならないのです。
 極端に言いますと、規制緩和という本来第一義的にはオール・ジャパンであるべきものが、逆に、初めに特区ありき、地域限定ということでゆがめられてしまっているのではないかということについて、この法案の審議の前提として、きょうは私、一番最初に質問させてもらいたいというふうに我が党の理事に言ったのはそういうことで、この辺の整理は一体どうなっているのでしょうか。
鴻池国務大臣 その整理に値する答えでありますかどうかでありますけれども、全国一律で外すべき規制、緩和すべき規制はやるべきだというのは大変全国的な御意見であります。しかし、これがやはりかなわない。一挙にやると大変な弊害が起きることもあるし、徐々にやっていくことによってその意味があるとか、これはどうしてもいましばらくは弱者に対する配慮にならない、こういったようないろいろな意見、歴史というものの中で、全国一度にこれを外してしまうということはやはり無理だという結論に至っていると思います。
 ただ、その努力は石原大臣のもとでされておるところでございますけれども、特に、その中にあって、特区というものをつくって、これを風穴としていこう、これを加速させて、その成功例が、私は何度も申し上げておりますようにいい意味で飛び火していく、これを主眼点として特区の構想がある、このように御理解をいただきたいと思います。
 百十一と九十三、どう分けたのかということに関しましては、ちょっと私はまだ精査いたしておりませんので、答弁が必要でしたら関係室長からさせたいと思います。
中城政府参考人 今回、地方から出てきた案件のうち、まず、我々が関係省庁との間で特区でできないかということで交渉いたしましたけれども、特区でやるよりもむしろ全国で先にやりたいと言われたものが百十一件あったということでございまして、基本的に、全国でできるものは全国でやるというのがこの基本的な考え方でございます。
太田(昭)委員 そこで、特区で成功したということを認識した上でオール・ジャパンの一般緩和に持っていくということなんですが、私は、そこのプロセスというのは非常に大事なことであろうというふうに思います。そこまで意思を通してやっていくということが、今回の特区法案という、成功しました、成功するでしょう、次にそれを一般化していく、オール・ジャパンに持っていく、そういうことのスピードと意思というものが非常に大事だと思うのです。その辺は、この法案の中で三十六条の一、そして三十六条の二、時間の関係でもう中身は申し上げませんが、これらはそうしたプロセスということだとも聞いておりますが、そういうふうに解釈するのか、それならば、私は、プロセスについて、答弁でもいいし何でもいいから、もう少し明確にきちっとしておく方がいい、まずそれだけお願いします。
中城政府参考人 御指摘のとおり、第三十六条において、各関係行政機関の長は、定期的な調査を通じて規制の特例措置について不断の見直しを行うとともに、特例措置が講じられている規制自体のあり方についても、全国的な規制改革を推進する観点からその見直しに努めるということにしているものでございます。
 また、関係行政機関の長は、全国的な規制そのものを見直す等の必要な措置を講ずるに当たっては、各規制の特例措置の適用を受けている地方公共団体に限らず、広く当該規制や特例措置のあり方について意見を聞くことが望ましいと考えられていることから、地方公共団体その他の関係者からの意見を聴取することになっているということでございます。
太田(昭)委員 そこで、私はさっき、初めに特区ありきという、これは非常に難しい性格を持っているんです。
 よく出される、満三歳に達する年度の当初から入園できるような幼稚園で、そうした年齢制限の特例というのがあったりする、そうしたものをこの特区法案でかぶせる。かくかくしかじかの条件でこの特区というものはやりますよと言った。今度は、それが成功しました、オール・ジャパンに持っていくというときに、逆にそうした条件を付するということが足かせになるのではないのかなという感じが私はすごくするわけなんです。もう少し胸張って、どんと持っていくものは持っていくという意思を持ってやった方がいいんじゃないかというふうに私は思うんですが、その辺はどうですか。
中城政府参考人 個別の規制の特例において定められている幾つかの条件というのは、規制の特例を受けるための条件を定めたものでありますが、それは基本的に地方公共団体の判断が尊重されるというものでございまして、したがって、新たな規制となるようなものではないというふうに認識しております。
 例えば、先ほどの幼児のものでございますが、幼児が減少しまたは幼児が他の幼児とともに活動する機会が減少したことにより学校教育法に掲げる目標を達成することが困難であると認められることから幼児の心身の発達を助長するために特に必要がある場合と書いてありますが、そういうふうに地方公共団体が判断すればということで、その判断を尊重するということでございます。
 なお、先ほど申し上げましたように、法案三十六条において、関係行政機関の定期的な見直しの調査を行うということ、そしてその調査結果を構造改革特区推進本部に報告すること、それから、関係行政機関の長は、その調査結果や地方公共団体の意見を踏まえて必要な措置をとるということでございますので、これらの条件が一般的な規制改革というものの妨げにならないように適時適切に見直していきたいというふうに考えております。
太田(昭)委員 まさにその最後の語尾のところ、適時適切に見守ってまいりたいという、そこのところ、私は本当に心配しているから、この辺については、ざっと読んで立派な答弁だと思うけれども、最後のところが一番大事なんだ、本当は。そこのところを、私は本当に、見守るんじゃなくてしっかりやってもらわなくちゃ困る、こう思います。
 それから、各省庁が政省令や通達で特区制度にたががはまってしまうという、かえって上乗せ規制になってしまうのではないのかという懸念があるわけです。政省令の作成段階から特区推進室が具体的に関与することが私は大事だ、こう思いますが、いかがですか。
鴻池国務大臣 本法案における個別の規制の特例において政省令で定めることとしている事項は、届け出の様式など手続的な事項や法律で定められた事項について、その範囲内でより具体的に定めるものが多いということであります。一部には、どのような場合に規制の特例措置が適用されるかについて具体的内容を定めるものもありますけれども、地方の自発性を最大限に尊重するというこの法律の趣旨に沿った内容となるよう、今後各省庁と調整をしていきたいと存じております。
太田(昭)委員 渡海先生がいらっしゃるのでまとめて最後にお聞きしたいと思います。何問かあるんですが、産官学連携ということに絞ってお話をしたいと思います。
 インキュベーション施設というのが私は非常に大事だというふうに思うんです。国立大学の資産が国有財産ということで、ずさんな管理があってはならないということは前提なんですが、インキュベーションとして活用する際には、できるだけ制約なしに企業に利用させることができるように運用すべきだというふうに私は思いますが、いかがかという点が一つ。
 それから、国立大学の独立行政法人化と産官学連携についてということなんですが、TLOや大学発ベンチャーとか、あるいは、今申し上げましたインキュベーション施設などに出資して推進することを可能にするべきであるというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
渡海副大臣 産学連携ということは大変重要な課題でございまして、日本の経済社会が持続的に、また活性化をしていくという意味では大変重要な問題だと考えております。
 先生おっしゃいましたインキュベーション施設、広い意味では例えばTLOなんかもその途中段階の一つの施設だというふうに思いますが、この施設利用という面に関しては、昭和六十一年に研究交流促進法ができまして、これは、人員的な問題も含めて、施設利用ということをできるだけ民間に開放しよう、こういう制度ができたわけでございます。ただ、使いにくいというふうなお話もございまして、その後、平成四年と十年に改正をいたしておりまして、現状では、まず、例えば大学の施設、国立研究所の施設等の施設並びに敷地を非常に安い費用で提供する、それを民間が共同研究で使っていただく、そういう制度があるわけでございますが、民間の側にもいろいろなインセンティブなり、また理由もあるわけでございます。
 例えば、今回の特区の中では、そういうものを外すことによってより利用していただきやすいように考えた点がございます。具体的に申し上げますと、これまでは、例えば共同研究をやると、その全データ、記録なりさまざまなそこでとれたデータを国に報告をしなければならない。これは民間企業からとりますと、実は意外と、企業秘密とまでは言わなくても、自分たちの成果なんですね。そういうものを最終的な研究成果の報告だけでいいというふうに変えた点とか、施設利用という点でいきますと、従来は共同研究というその段階だけであったものを、その後、その研究を利用して企業が単独で応用研究を行う、そういった場合にも施設なり敷地を使えるというふうにこの特区の中では規制緩和をするというふうにしておるわけでございます。これによってかなり交流が図られるんではないかなというふうに思っております。
 あともう一点、このインキュベーション施設に対する独立行政法人としての従来の国立大学、これの出資の問題でございますが、これは、実はこれまでの勉強会では、弾力的に運営をするということで経営的センスも取り入れるということでございますから、そういった点も非常に前向きに、積極的に検討していこうということでございますが、同時に、やはりお金の出し方というのは少し精査をしなければいけないなというのが一つの方向でございます。
 これは当然、現在の方向でいきますと、交付金という形で独立行政法人に、国からの、税からの費用が出るわけでありますから、同じような形で実は出資をいたしますということになれば、では民間のインキュベーション施設というものに対して例えばイコールフッティングになるのかとか、こういった問題をきっちりとやはり精査をしていく、私個人の考えとしてもそういう必要があろうというふうに思っております。ただ、これから十六年の独立行政法人化に向けて、今、法案も含めて作業をいたしておる中で、できるだけやはりそういったことが可能になるような十分な検討を進めてまいりたい、そのように考えておるところでございます。
太田(昭)委員 まだ一分ぐらいあるようですから、一つだけ聞きますが、静岡かと聞いていますが、高度専門医療機関において企業と医師、医療機関が連携して臨床研究を行う。これは私は臨床研究は早期に実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
小島政府参考人 お答えいたします。
 先生の御指摘は、医師主導あるいは病院主導の治験ということだと思いますが、これにつきましては、本年七月、薬事法が改正されまして、今まで企業だけに認められておりました治験というものが医師主導の治験ということで導入をされたわけでございます。一定の論理性を確保しつつ、その研究成果を将来的な薬事法の承認申請に利用する目的で未承認の医薬品等を企業が病院に提供できるという道が開かれたわけでございます。
 これにつきましては、私ども、最初三年間の猶予をということで国会に御提案を申し上げたわけでございますが、全国から非常に要望が強いということで、これを早期に実施するため、前倒しで公布の日から一年以内というふうにされたところでございます。現在、本規定の施行に向けまして、医師主導の治験の倫理性、科学性を担保するための基準づくり、作成に努めているところでございまして、一年以内の的確な実施に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
太田(昭)委員 ありがとうございました。
佐々木委員長 以上で太田昭宏君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。西村眞悟君。
西村委員 どうも、よろしくお願いします。
 午前中の大臣の御答弁、非常に好感が持てまして、率直におっしゃっておられる。私、これからある意味では書生論を大臣とさせていただきたい。
 見えにくい特区構想であります、どれだけの経済効果なのか、きちっとは今答えられないのが恐縮であるけれども、一挙にやれない以上は徐々にやるんだ、特区で風穴をあけ、成功例を飛び火させていくんだと。これはよくわかっております。その上で、私は、根本に返りまして、この法案の前提の議論をいたしたいなと思うわけですね。
 と申しますのは、本法案のいろいろな特区ができていくという前提での日本国のあり方を見るときに、ある意味では合成の誤謬、いろいろなものがモザイクのように重なり合って、人心はどうなるのであろうか。人心をしてうまざらしめんことを要す。単純じゃない。この我が自由な国における国民の活動は、国家の最低限の規制はシンプルであり、その上で各人が各人の良識と社会のルールに従って自由な活動を展開している、これがあるべき姿なんであろうかと思うわけです。
 その意味で、今必要なのは、この社会に、ある意味では戦後五十年の病弊がたまっておるとするならば、その根本を抜き、その源をふさぐという大議論であろうかと思うわけですね。したがって、本法案に触発されながら大臣と書生論を展開しようではないか、これも意義があるではないかと思うわけであります。
 この法案の前提は、規制の見直しと変更であろうか。これは、総理の所信、規制は全国一律という発想を地方の特性に応じた規制に転換するのであるという所信から明らかであろうと思います。つまり、規制の見直しと変更だ、それを地方の特性に応じてやるんだということでありますよね。
 この前提として規制の見直しをするならば、有用な規制があるではないか、これをもっと点検し改良していこうという方向と、それと同時に、無用な規制が仮にあれば、これを撤廃していこうではないか、こういう第一段階の見直しがあり、そして、有用な規制に関しては、全国一律が必要なのであろうか、それとも、この規制は全国一律である必要がないので、本法案に行くわけですが、各地域特性ごとにこの規制を変えていこうではないか、こういう論理的な順序になろうと思うのです。
 そこで、本法案は、規制の必要性、無用な規制、この点検には踏み込んでいない。これはこれで現段階としてはそうなんだと私は思うのですが、大臣はどうお考えですか。
鴻池国務大臣 冒頭に国家論のお話が少々出ましたので、この話に終始できるならば、西村委員と同じ気持ち、同じ思想だということを申し上げて答弁をしなきゃいかぬなというふうに思っておるところであります。
 ただいまの御質問でございます。
 まず、規制は全国一律という発想を地方の特性に応じた規制に転換しようとしているのか、こういうことでございます。
 この法案における規制とは、単に民間の事業活動に対する国の許認可等による制限のみを指すものではなく、手続や手数料の徴収等も含めて、広く社会的、経済的活動一般に関して何らかの事項を規律するものであるということを申し上げたいと思います。したがいまして、規制の対象となりますものは、民間事業者に限らず、地方公共団体等の活動を何らかの形で規律しているものについて、すべてこの法案における規制として考えているところでございます。
 次に、有用な規制、無用な規制というお話でございました。この制度は、全国的に規制改革の進展の遅い分野があること等を踏まえて、できるだけ幅広い規制を対象に地域を限って特例措置を講じるものであり、地域の特性に応じた規制を実現するためにはどうすればいいかという観点等から検討を進めてきたものでございます。
 したがいまして、規制を有用なもの、無用なものに区分することを前提に検討したものではないということを御承知いただき、そもそも社会的にその有用性を失した規制については、特区制度の対象とするかどうかにかかわらず、規制改革会議等で不断に見直すべきものであると考えております。
 全国一律であることが必要な規制と全国一律であることが必要でない規制とについてのお話もございました。
 規制は全国一律という発想を、地方の特性に応じた規制との発想に転換しまして、地域の特性に応じた規制を実現するためにはどうすればいいかとの観点等から検討を進めてきたものでございます。地方公共団体からの規制の特例要望に対し、地方の特性に応じた規制を実現するためにはどうすればいいかとの観点から、特区制度の対象とすべきかどうかとの検討を進めてまいりました。
 このような検討の中で、全国で実施する規制改革事項も百十一項目出てきており、これらについては、十二月に予定されております総合規制改革会議の第二次答申に向けた検討における対象とすることになっておりまして、そこと十分な連携を保っていきたい、このように考えております。
西村委員 無用な規制については、今この場では検討されていないという趣旨の御答弁ですが、ぜひ同時に、無用な規制、せっかく全国自治体から上がってきているわけですからね。
 これをずらっと見ますと、資金調達の手段として知的財産権を信託するための制度をつくってほしいと。今、知的財産権は、信託によって資金調達が可能とはなっていないわけですね。これは規制されておるわけですよ。しかし、知的財産権こそ、例えば学生が知的財産権を保持して、それでベンチャー企業を起こそうとするときに、それをもって資金調達の手段とできる、ある意味では技術立国日本の最大の武器になるものではないか。ここに規制がかぶっておる。
 本法案ではそれは対象にはしていないということなんでしょうけれども、地方から上がってくるものについてはそういう意見もあるわけでございますから、どうか内閣として同時に検討していただきたい。
 それで、規制については全国一律が必要なわけで、赤信号ではとまる、青信号では進む、これは全国一律が必要な規制であります。地方によって特性に応じた規制でいいんだとおっしゃったので、この問題についていきますが、例えば本法案における出入国管理及び難民認定法、外国人の在留資格それから社会保険労務士の代理業務の追加、これは、ある意味では全国一律であることが必要な規制ではないんでしょうか。
 つまり、赤信号ではとまる、青信号では進む。社会保険労務士の資格を取ればその資格は代理業務を持つんだとか持たないんだとか、出入国管理、外国人のいわゆる非常な研究者がおる、これは特区であろうがなかろうが、この者の研究が日本の国益にかなうならば、在留資格はこの者について特に検討してもいいんだ、もう全国一律に、三年ぐらいで、はいおさらばしてくれというのはおかしいんだと。これは全国一律の規制にふさわしい規制ではないんでしょうか。どう思われますか。
鴻池国務大臣 ただいま委員が例に言っておられました外国人研究者の在留期間につきまして、就任早々、私も随分努力、苦労をいたしました。悪口ではありませんけれども、それなりに国柄を思う法務省とすれば、そんな簡単に外国人を長く置かすわけにはいかぬというお考えも当然あったことと思いますが、十分話をしまして、優秀な外国人研究者については五年ということに御了解を得た次第でございます。
 今の御指摘でございますけれども、我が国の経済の活性化のために、規制改革を行うことによって民間活力を最大限に引き出し、民業を拡大することが必要でありますし、一方、さまざまな事情によって全国的な規制改革の進展が遅い分野があるということは何度も申し上げたとおりでございます。
 構造改革特区とは、こういう状況に風穴をあける、こういうことで地方や民間がまず自発的に構想を立案していただく。それぞれの地域の特性に応じて規制の特例を導入することによって構造改革をさらに加速させていく有効な手段である、このように思っておるところであります。
 ただいま申し上げました外国人研究者の在留期間の延長に関する出入国管理及び難民認定法の特例措置につきましても、研究開発や産業の発展の素地が高い地域においては、外国人研究者の在留期間の延長や外国人研究者が研究活動とあわせて経営活動を行うことにより研究の効率的な推進や産業発展が見込まれることから、ただいま申し上げましたように、在留期間の特例を認めていただいたわけであります。
 なお、今回、構造改革特区において実現しました規制の特例措置については、規制の特例措置の適用状況について定期的に調査を行って、必要に応じて全国的な規制の見直しを行うことができるものと考えておるところであります。
西村委員 法務省の出入国管理についてお触れになったからちょっと申しますと、法務省にはそれを言う資格がないんですよ。なぜかといったら、犯罪者の不法在留はだだ漏れ。それから、私はもう五年以上言っているんだけれども、北朝鮮にいる日本人は日本に帰れないんだ、しかし、毎年一万人の在日の方々は北朝鮮に帰ってまた再入国してくるんだと。日本人は帰れない、毎年一万人の北朝鮮の方は自由に日朝間を往来している。再入国を禁止してくれと。一切聞かない。
 一方では、大臣おっしゃったように、外国人、正式な、知的な研究者はお引き取りいただいている。しかし、網の目をくぐって入ってきたやつについては見て見ぬふりをする。それから、在日の方々は入り放題。日本人が全く帰れていないことを見て見ぬふりをする。これは法務省でありますが、もっと強くおっしゃっていただいたらよかったですな。
 つまり、私の考えは、これは全国一律の規制なんです。その人にとって判断するんです、その人の研究成果、その人の頭脳。特区があったからではないんです。
 それから、社会保険労務士。この資格を国家が与えれば代理の業務ができるのか否か。これは国家一律の資格である。弁護士資格と同じであります。これを弁護士特区と考えると、例えばこの特区では弁護士は地方裁判所の代理権しかないとか、この特区では最高裁の代理権まで与える、こんなばかなことないですよ。国民の法的サービスを受ける機会は全国一律に与えられていなければならない。
 したがって、この法案についての私の第一の疑問は、地方の特性に応じた規制と称しながら、国家の哲学として全国一律が必要であるべき国民の法的サービス、国益に関してどうなのかという観点に関しての全国一律であるべき規制も裏口からなだれ込んでいる。整合性がとれていないなと。
 それから、各省の意見を聞かれるのはいいですけれども、これは各省の意見を聞いて定まる問題ではない部分が多いなというのが、大臣の御答弁を聞いていても感じられるところであります。したがって、政治に決断がないんですな。病弊のもとを抜く、そして源をふさぐ抜本塞源の決断がないんではないかな。
 さて、地方の特性に応じた規制ということに入りますが、地方の特性に応じた規制とは何ぞや。これは、我が国家が言うそもそもの規制なのか、それとも地方自治の本旨の範囲なのかということであります。
 地方の特性に応じた規制は、地方の自由な領域ではないのか。例えば歩行者天国、これは歩行者天国特区とは言わない。地方がその道路事情に応じて、そして居住者の要望に応じて、ある曜日を定めて、その区域に歩行者天国を設定して自動車の通行の自由を禁止する。これは特区と言わない。地方の自由な領域の地方自治の本旨の問題である、こう思うんです。
 例えば先ほどの、赤信号ではとまる、青信号では進むの例で挙げますと、この道路は時速四十キロを超えてはならない、あの道路は八十キロを超えてはならない、これは八十キロ特区、四十キロ特区とは言わない。その地方というか、地域の道路事情、特性に応じた領域なんですね。
 したがって、私の思いとしては、規制というべき対象でない領域に規制という言葉をかぶせながら、本来は特区という命名をしなくてもいい領域に対して特区という命名をする法案ではないのか、これが私の疑問なんでございます。歩行者天国は特区とは言いません。それと同じに、地方の特性に応じた規制は地方の自由にゆだねるべき領域だ、こういうふうに国が認定してそれでいいんじゃないですか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
鴻池国務大臣 まず、法のもとの平等という話が出ました。(西村委員「いやいや、それ出てへん」と呼ぶ)さっきおっしゃっていましたよ、法のもとの平等。では、それは後にしましょうか。
 いわゆる規制の特例を地域の特性に応じて講じるこの法案は本来の地方自治の本旨にかなっているかどうかという御趣旨でもございました。
 この構造改革特区は、国があらかじめモデルを示す従来の地域振興策というものではございませんで、地方公共団体が自発的に計画を立案して、地域の特性に応じて規制の特例を求めてくるものであるということであります。また、本制度の構築に当たっては、全国から特区構想のアイデアを募集して制度の基礎といたしておるところであります。
 このように、地域の実情に合わせて地方公共団体の発案で国の規制を変えていくという構造改革特区制度は、地方の自助と自立の精神を最大限尊重した制度であると認識をいたしているところであります。
西村委員 そうなんですが、これは憲法の体系上、地方自治の本旨にゆだねる領域ではないのかというのが質問の趣旨ですね。
 それで、次が法のもとの平等です。
 本法の目的は本当にいい目的ですわな。「もって国民生活の向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。」この目的から、さて、我々政治は何を決断すべきか。大道は何か。これは、旧来の陋弊を破るということ。五カ条の御誓文にある、旧来の陋弊を破る。国民の自由な領域を今こそ広げるべきだ、地方のことは地方にゆだねるべきだ、それによって国民の個性に応じた多様な活動が我が国土において花開く体制をつくるべきだ、これが大道だと思うのですね。
 私個人の個性とお隣におる人の個性が違う。これを平等、不平等とは言わないんです、この体制では。しかし、この法案の体制では不平等という言葉が出てこざるを得ない。なぜなら、十四の分野での特区をこしらえるわけですね。ということは、規制があるわけですよ。規制があるという前提での特区だ。したがって、この社会保険労務士という同じ試験を受けて合格した者が、向こうへ行けば代理の業務ができて、ある意味では金もうけできる。自分のお客さんをがっと広げることができて、ここでは広げることができない。これは法のもとの平等に反するのではないか、国家が資格を付与する本旨に反するのではないか、こういうことです。
 それから、地方公共団体の申し出、発案に応じて国家が許可するとおっしゃいますが、これは、国家が規制を前提としているからそうならざるを得ないのであって、地方自治の本旨のもとにおいて自由に行うべき行為ではないか。それを、わき道を経て国の方に要求させて国が認めるという形で与えるというのは天地違う話ですよ、こう思うのですね。
 規制を残している以上、法のもとの平等に反するのか。そして、現憲法体制上は、地方自治に特有な国の立法は地方自治の住民の投票が要るという、憲法が前提としている地方自治特有の立法に対する手続、プロセス、住民投票というプロセスを無視することになるのではないか。これが私の素朴な疑問なんですが、いかがでございますか。
鴻池国務大臣 地方にすべてを任していくという大前提というのは大変大事なことであると思います。ただ、政府規制というのは、政府が過去ずっとかけてきている規制でありますので、これを一律に外していくということがなかなかできない。そこで、地方に我々が声をかけまして、あなた方の地方であるいは民間で、規制を外すことによって活力が出る、あるいは規制を外すことによって経済的な効果が生まれるようなアイデアを出してください、こういうことで募集をした、それが基礎となってこの構造改革特区というものができておるということをもう一度申し上げたいと思います。
 今回の制度は、各法律の規制目的は変更せずに、一定の地域特性を備える区域においても異なる手段によって同一の目的を達成しようと思うものであるということもつけ加えたいと思います。
 したがいまして、地域の特性に応じて異なる規制の特例を設けることについて、個々の規制について規定する法律の目的に照らして合理的な説明が可能であれば、法のもとの平等の問題は生じないのではないかと考えておるところであります。
 また、今回の制度においては、すべての地方公共団体が地域特性に応じた計画の作成、申請を行うことができる機会であるということも申し添えたいと思います。
西村委員 法のもとの平等に反すると自覚して法案は出されるはずがないので、それをクリアする論理は持っておられるとは私も思うんですけれども、大道かわき道かという議論から、書生論からするならば、私は大道があるではないかと申し上げているんです。この同じ目的を達するに抜本的な大道があったのではないか、惜しいことをしたなと。
 そして、この法案の特別区の意義を否定しているわけではないんです。確かにそうだ。確かにそうだけれども、その効果を予測するならば、本法の目的というのはいささか大言壮語に過ぎるのではないか、こういうふうに思いますね。これはお聞きしてもお答えなさらないと思いますから、お答えは要りませんが。
 本法案を見て、私は本当に、法案作成組織の頭脳の構想力の枯渇、これは民族の生命力の減退ではないかと思うほどに感じました。これは何をやっておるんや、もっとやることがあるじゃないかと思いましたな。
 これはなぜか。やはり政治が旧来の陋弊を破るという決断をしていないんですね。今まさにそのときなんです。そして、その内閣だから、国民的人気はあるんですけれども、この時期、政治というのは機を見て決断しなければならない、その機が今来ていると思うんですが、この法案を議論しているのは、いささか矮小化されたモザイクの議論をしているのではないか、こういうふうに思います。
 それで、法のもとの平等、地方自治の本旨と本件の関係についての議論をしても、いろいろ平行線であろうかと思います。したがって、これは今回はこれでとめます。
 次に申し上げますのは、ケースワークで申し上げますと、先ほど私が言った規制撤廃、国民の自由な領域の拡大。したがって、当然そこで必然的に起こることは、各地方の実情に合った姿が出現してくる。こういう流れからしてなおかつ特区というものを欲するならば、特区とは何であろうか。このように思いましたら、特定の国税の特区、特定の行政罰廃止の特区、これは二つの特区の本来の姿であろうと思いますね。つまり、特定の行政罰の特区ですから、賭博の行政罰を廃止する、それから売春の行政罰を廃止する、これも例としてはあるかもわかりませんよ。あの赤坂だ、新宿だ、見てください。表向きの規制の行政罰がなまじっかあるものですから、さっきの法務省の出入国管理が、形式では偉そうなことを言っているけれども、日本国の体制として驚くべき犯罪を犯している外国人を放置している状態である。
 この形式と実質を総合的に判断しますならば、やみに隠れた部分を表に出してきっちりとけじめをつけるこのような特区が今私が例に挙げた二つの分野で必要だと、政治家なら当然この問題は考えなあきまへん。きれいごとでこの世の中は運営されませんからね。こういうものも国民の自由な領域が拡大される中での特区なら特区だろう。我々は、水清ければ魚すまず、仏様でも悪魔でもない、この両様織りまぜた存在ですから、この実社会にはそれがあるだろう。なぜ、この典型的な特区に問題意識のかけらもこの法案はないのか、こう思います。御感想はいかがですか。個別的に、カジノももう一つも。
鴻池国務大臣 もう一つの方についてはちょっと知識がないもので、最近、新宿、池袋をうろうろしておらぬものですからお答えはしかねるわけでございますが、カジノにつきましては、私がこれを担当させていただきましてから各所でこういう話題が私に向かって投げかけられてきていることも事実でございます。
 この地球上の国連加盟国、百八十九カ国だと聞いておりますけれども、そのうちの七十三カ国だけがカジノを認めていないということなんです。その七十三のうちに我が国も入っております。そのほかはどういう国かといいますと、一つずつ精査しておりませんけれども、聞くところによりますと、イスラム教国家であるとか砂漠が随分多いところであるとか密林が多いところであるとかといったようなイメージでお考えいただければいいところではないかと思います。そういう意味で、先進諸国といいますか、一応のいろいろなものが買える、売っている、あるいは食事がいつでもできるというような国にはほとんどカジノがあるというふうに私は聞かせていただいておるところであります。
 構造改革特区でも、五件のカジノをやりたいというのが出てきておりました。南からいきますと、宮崎、大阪、加賀、岐阜と東京都の荒川区であります。そういうところが出てまいりましたけれども、現在、これをすぐさま検討に入るということはいささか、国民的、世論的なものを考えた場合には先に送った方が、私は何でも先送りにするのは大嫌いな方なんですけれども、これだけはちょっと先に送った方がいいんではないかという判断をいたしました。やはり、出してこられたところの県民、住民の意思はいかにあるべきか、あるいはこれを全国レベルで導入するのがいいのかどうか、刑法との関係はどうなっているのかといったことをいましばらく勉強する必要がありますし、私自身もカジノというものに足を入れたこともございませんので、一度見学をしてから十分検討したいなというふうな思いもございます。
 しかし、今委員がおっしゃいましたように、神でも仏でも悪魔でもない我々とすれば、政治家としていろいろなところで決断をしていかなければならぬ、そういう思いは同じところであるということも申し添えたいと思います。
西村委員 歌舞伎町のやみにあるもう一つの分野については、国民意識の成熟を待ってまた議論したいと思いますが、我々は余り偽善者であって国政を運用しておれば非常に危険であるという分野であります。
 今私が御質問したのは、規制撤廃という大道を進んでもなおかつ特区が必要だというならこの二つの分野であろうかという部分について質問したわけであります。
 さて、現法案においての不満を申し上げますと、農地のことであります。いろいろ地方からの要望も見ましたけれども、農地ですね。
 都市近郊は、大臣も御承知のとおりの近郊で、我々国民の意識は、百姓になりたいというサラリーマンの人が百姓になれる体制にあるのかといえば、ない。なぜなら彼らは農地を手に入れることができないからであります。これまた、農地を購入できる人たちは、都市近郊において意外に老齢化が進み、つまり三反ぐらいの農地を、一反でもよろしい、手に入れる気は毛頭ない。したがって、農地にはペンペン草が生えて相続を待つという状態になってくるわけですね。
 やはり、サラリーマンも数代さかのぼればみんな百姓なのが我が国の姿であって、忙しいこの都会での一つのサイクルを終えれば、悠然として一反ぐらいの土地を耕作して自分が肉体が動くまで過ごしたいという国民の思いに現在の法制はマッチしていないんですね。こういうこともなぜ構造改革特別区域法案に入らなかったのか。この事情は検討はされたのか、されていないのか。検討はされて、こうだったということをお聞かせいただければありがたいと思います。
鴻池国務大臣 私は、構造改革特区構想で先行してどうしてもしたいなという総理のお考え、気持ちというのはよくわかっておるつもりでありますが、そのうちの一つが農業の株式会社参入の問題であろうかと思います。
 これにつきましては、一応のところ株式会社参入が認められることになりました。しかし、御批判がございますように、農民を一人役員に入れろとか、土地は売らないよとか、地方自治体から借りろ、こういったことでまだまだ規制があるじゃないかと言われるものにつきましてはまさにそのとおりであろうかと思いますけれども、教育の分野あるいは医療の分野におけます株式参入の難しい状況から考えれば、農林省はよく考えてくれている、進んだ、このように思っておるところでございます。
 しかし、今のお話のように、都市住民等が農地に関する権利を取得するための下限面積というのがあるようでありますが、下限面積要件の緩和に関してどのような対応が可能かについては、今後、農林水産省において、特区に関するさまざまな提案を踏まえて、市町村長、農業団体、地域の方々と意見交換しながら、農山村地域の新たな土地利用の枠組みの課題とあわせて平成十四年度中に検討するということをお約束していただいているところであります。
西村委員 短い時間で議論を経まして、大臣に最後にお聞きしたいのは、我々政治家の望みとしてはこの法案に関してはこういうことなんだろうかということなんですな。
 つまり、法は法なきを期す。それと同様に、本法における特区はいずれこの特区がなくなることを期するんだ。うまいこといけばこの特区が全国に飛び火すればいいんだ、実験でうまいこといかなければ、それはそれで飛び火してはならぬ、したがって、うまいこといかない特区なんかやめざるを得ない、うまいこといく特区は全国に飛び火して、それが風穴をあけることになるんだ、したがって、本法における特区はいずれ特区なきを期す、その目的を持って我々政治家としてはこれを見たらいいんだ、大臣の午前中からの答弁をお伺いすればこういうふうに大臣は思っておられる、我々にもそう思ってくれとおっしゃっているのかどうか。ちょっと御答弁を。
鴻池国務大臣 お互いにそれぞれの立場でこれは努力しなければいかぬと思います。特に担当いたしております私どもが懸命の努力をしていく必要があると、思いを新たにいたしているところでございます。
 謙虚に、うまくいけば、できたら飛び火をしてほしい、このような表現もいたしましたけれども、午前中の質問で、それは燎原の火のごとく燃え盛るように考えるべきではないか、こういう思いの御質問がございました。ただいまの西村委員の御発言もそれと同様だろうと思いますし、今私も、うまくいく特区の例は燎原の火のごとく全国に広がっていただきたい、このような思いで頑張っていきたいと思っておりますので、どうかよろしく今後とも御支援のほどお願いしたいと思います。
西村委員 やめます。ありがとうございました。
佐々木委員長 以上で西村眞悟君の質疑は終わりました。
 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 今度の構造改革特区法案というのは、何がこの法律の中心かというのは、なかなかすぱっと、一言で言えば何かというのは、わかるようでわからないようなややこしいものですが、ただ、はっきりしてきたのは、なかなか政府が思うように規制緩和が進まない、そこで、特区を設けて一点突破、全面展開、こういう方針で臨んでいこうとしておられる、これがこの法案の一番の中心だということは大体明らかになってきたというふうに思うんです。
 そうなりますと、結局、これはそもそも規制緩和の問題と一体の法律ですが、規制というものについては、当然、もう古くなった、実態に合わないもので廃止すべきものがありますし、また、人間の知恵で、いろいろ歴史的な積み重ねの中で生み出してきたルールであり、そういう規制で残すべきものもあります。それから、ヨーロッパ基準などと比べてみてもかなりルールがおくれているから、つくっていかなきゃいけない規制もありますから、なかなか十把一からげにして、とにかく規制を緩和すればすべてよしとする万能論ではうまくいかないというふうなことをまず考えなきゃいけないと思うんです。
 そこで、きょうは私、具体的な事例も含めてお聞きしていきたいと思うんですが、最初に、商業特区とでもいうべきものですね、今度の大型店規制の緩和にかかわる特区の問題から質問したいと思うんです。
 政府のこれまでの大店法改悪、廃止ということで、政府の委託調査の結果報告を見ていると、これは政府参考人の方に最初に伺っておきたいんですが、商店街実態調査報告書というのは、三年に一回、ずっとこれまで進めてきています。八八年から九七年にかけての間、最近のデータがまだつくられていないというものですから九七年で仕方がないんですが、従業員五人未満の零細商店、町の商店街を構成してきたところですね、ここで見てみますと、一九八八年の百二十九万六千四百四十四店が、九七年には百五万九千三百五店へと、二十三万七千百三十九店、零細商店がなくなってしまった。これは倒産もあれば廃業もあるわけですが、一方、雇用者数の方で見ますと、同じく従業員五人未満の零細商店の従業員数では、八八年に二百八十六万一千六百九十人おられた方が、九七年には二百三十三万二千五百六十六人へと、この点では、五十二万九千百二十四人、物すごく減っているわけですね。
 一方、大型店の方は、八八年の二千七十店が九七年に三千二百四十七店ですから、確かに、大店法の骨抜きをやったり、九八年に廃止しましたけれども、その中でどんどんふえて、千百七十七店ふえていますね。
 では、零細商店で五十二万九千人減った雇用が大型店の方で吸収されたかといえば、これは八八年の四十六万六千八百四十八人が、九七年で六十六万五千七百九十三人ですから、十九万八千九百四十五人の増加、つまり、差し引きすれば、この分野では三十三万人、雇用が減っているわけですね。
 ですから、規制緩和をやれば、商業がすべてうまくいって、雇用も伸びてと、そういうふうには必ずしもいかないということがここに出ていると思うのです。
 まず最初に、零細商店での二十三万七千余の店の減少、五十二万九千人余の雇用が減ったこと、大型店では、千百七十七店ふえて、雇用では十九万八千九百四十五人ふえたんだけれども、零細商店と大型店との雇用の関係で見れば三十三万人減ったという、この事実の方を最初に政府参考人の方から伺っておきたいと思います。
小川政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘のとおりでございまして、商業統計によりますと、一九八八年、昭和六十三年で、小売の商店数が約百六十二万でございましたけれども、九七年に百四十二万、全体数がそうなってございます。
 五人未満の零細な商店さんを見ますと、八八年は約百三十万店舗であったのが、九七年には百五万九千ということでございます。従業員百人以上の大規模の店舗は、同じく二千七十店舗から三千二百五十店舗ほどへの増加ということでございます。
 従業員数で見ましても、委員御指摘のとおりでございますけれども、五人未満、八八年で従業員数約二百八十六万人、九七年で二百三十三万人でございます。一方、大規模店舗、百人以上でございますけれども、四十六万九千人から六十六万六千人への増加ということでございます。
 ただ、全体数で申し上げますと、小売業全体では、八八年、従業者数六百八十五万から、九七年、七百三十五万に増加してございますので、五人から百人の規模のところで増加が見られたというところはあるかとも思います。
 以上でございます。
吉井委員 通常で言いますと、第一次産業から第二次、さらには第三次という、第三次産業への比重が移ってきていますから、すっとそちらがふえてということで、ある意味では、普通といえば普通というところがあるんです。
 ただ、大事なことは、それにしても、九四年から九七年という商業実態調査の三年間の間には、逆に雇用の面でも減ってきているんですね。だから、一時期、第三次産業へ比重が変わっていったからふえたんだけれども、そこからさらに下がってきたという、九七年の九兆円負担増のときの消費不況がどんと来てからさらにこれが後退してきたということをあわせて見なきゃいけないんですが、残念ながら、それは政府の方の統計はまだそろっていませんので、減っていることは定性的にわかるのですが、定量的にはそこは議論のできないところです。
 ここで大臣に伺っておきたいのですが、郊外に大型店が巨大なショッピングセンターをこの時期どんどんつくったんですね。規制緩和が進む、巨大なショッピングセンターがどんどん郊外にできる。同じ大型店が、中心市街地に先に自分が出した店舗を引き揚げてしまう。これで、巨大店舗が来て商店街は打撃を受けた上に、いい悪いは別として、とにもかくにも核店舗であったところが撤退するものですから、ますます中心商店街が寂れていく。全国各地で商店街がシャッター通りに変わり、多くの中小零細商店、地域商店街が大打撃を受けてきたというのは、これは大臣も、地域を歩いておられてよく御存じのところと思うのです。
 やはり、このときも、八〇年代末に、特にアメリカの圧力を受けて、大店法の骨抜きという規制緩和を進めてこういう事態が広がってきたことは明白ですし、全国の商店街の多くが疲弊して、それは、商店街が疲弊するだけじゃなくて、商店の皆さんは同時に消費者でもありますから、雇用が失われれば、当然、地域経済が衰退していく、お祭りがうまくできなくなる、消防団活動がうまくいかなくなるという地域社会崩壊の要因をつくり出してきたということは、これは、やはり規制緩和というのは何でもいいから全部進めればいいというものじゃないという、やはりそこはきちんと見なきゃいけない部分を非常に特徴的に示している事例の一つだと思うんですが、まず大臣に、この点についてのお考えというものを伺っておきたいと思います。
鴻池国務大臣 規制というものにはいろいろな種類が当然ございます。先ほどもどこかの答弁で申し上げましたように、守らなければならぬ規制というのは、私はあると思うんです。それは、商店にしても、町の風景を変えてしまうような規制緩和をする。あるいは、もっと卑近な例で言えば、路地裏の駄菓子屋さんがなくなってしまうようなものも規制緩和の中に、酒屋さんも当然あるでしょうし、そこで日本の本来の風景、伝統、文化、こういったものが損なわれていくような規制というものについては、私はやはり一考すべきである、しっかりとしておくべきではないかと思っております。そういった中で、委員が今御指摘がございましたように、商店が壊れていくぞということについても十分考慮しなければならないと思います。
 ただ、神戸は余り御存じないかもしれませんが、兵庫県の神戸の三宮駅をおりたところからずっと商店街が元町駅、神戸駅までございます。その間に、駅前にそごう百貨店、しばらく歩きますと大丸百貨店がございまして、この近辺の商店街は、もう日本じゅうにも負けないぐらい随分にぎやかで、人がたくさん入って、きれいな店が並んでおるというふうに私は思います。ただ、大丸から今度は西に行きまして神戸駅の方に向かいますと、百貨店から遠ざかるほど町がだめになってきているという現象もございます。
 そういった中で、一概に大店舗がやってきて周りがつぶれてしまう、いなくなってしまうということは、神戸の例しか知りませんが、そういうこともあるということを私は思っておるわけでございまして、そういう意味から、地域活性化のために、そういう利益になるために大型小売店舗を持ってきたい、こういうことがいわゆる地域からの提案としてあった場合には、そこにはやはり特例措置というものを、地域の実情に応じて規制を緩めていく、認めていく、こういうことも大変必要であろうかと思いますので、関係省庁に検討を要請いたしておるところであります。
吉井委員 断っておきますが、私は大型店を敵だとか悪だとか見て話をしているんじゃないんです。
 例えば、私は九〇年代の後半、随分各地の大型店を調査して回りましたが、小樽の方に国鉄清算事業団用地三十万平方メートルを使ってマイカル小樽というのが出店しました。それから、大臣もマイカル明石は御存じだと思うんです。巨大店舗が郊外ないしは市の中心部からかなり離れたところに出店していって、マイカル小樽ですと小樽を初め周辺の商店街がまず打撃を受けて、マイカル明石ですと明石の魚の棚商店街が大分打撃を受けてというのは、これは大臣も御存じだと思うんですね。そのマイカルは倒産して撤退してしまう。消費者は、もとの生活用品を買ったりする買い物の場が、最初の大型店の進出で地域の商店街がつぶされ、今度は大型店という、そこがつぶれてしまうと、これは消費生活そのものの基盤が失われてくる、こういう問題があるわけです。
 ですから、これはどこにどうつくるかつくらないかという議論だけじゃなしに、やはり出店も閉店も撤退も、企業利益だけ考えて行うような身勝手なことを余り勝手にやってくれたら、これは中小商店がつぶれ、商店街が消え、消費生活も大変になってくるという問題とか、やはり住民の暮らしそのものが大変になるんですが、そういうことはお構いなしということでは、やはりこれは困るわけです。
 そういう無責任な企業活動の身勝手はやはり放置しておいたのでは暮らしも町づくりもうまくいきませんから、特区というんだったら、やはりこういう無責任な企業行動を規制して、高齢化していく住民の暮らしをしっかり支える町づくりを考え、そういう高齢化社会を支えられるような商店街を、どのように役割を果たせるようなものをつくっていくのか、その中で今大臣おっしゃったような核店舗としてそれが役割を果たせるような仕組みやルールをどのようにつくっていくのか、やはりそのことを本来考えないと、これは一路、規制緩和の一点突破だということだけでやっておったんじゃうまくいかないと思いますね。どうですか。
鴻池国務大臣 先ほどもほんの少しでありますが申し上げましたように、国の方がモデルを示すのではなく、地方から自発的に要望してくるものについて十分な検討、そしてできるものからやっていく、できないものはどうやったらできるかということを考えていくというのが今回の構造改革特区の精神でございますし、そのように進めていかなければならないと思っておりますので、自発的な立案を待って検討を加えていきたいと考えております。
吉井委員 私は、特区が規制緩和万能の一点突破、全面展開のその入り口になるという発想じゃだめだと思うんです。
 かつて大店法が果たした役割というのは、不十分ながらも、開店日、閉店時間、休業日数、店舗面積の調整によって大型店と地元商店街が競争しながら共存できるという、つまり、経営的にも成り立たないことには、幾ら競争だといったって共存できる範囲でないと、ばたばたつぶれたんじゃ商店街はそもそも成り立たないわけですから、そういう点では、それをかつてはいろいろ問題があっても目指している面があったんですね、大店法の時代。
 大型店規制については、実は欧米で見れば、これは当然のルールなんですね。アメリカの例もかつて国会でも取り上げたことがありますが、バークレー市の規制条例ですと店舗面積の調整をやっているんですね、何という業種のお店はこれだけの面積と。だから、店舗数がある程度になってくるとそこから先はその店は出せないとかですね。
 フランスでは、ロワイエ法とその九六年改正法で、大型店は出店許可制にして、中小小売業への影響と雇用への影響を調査することを義務づけて、これは罰則の強化もやっているんですね。イタリアも、商業基本法で大型店の出店は許可制です。
 イギリスは、九〇年に都市・田園計画法の制定で郊外に巨大ショッピングセンターの進出などを規制して、九三年の環境運輸省通達で、既存の中心街の活力、機能の維持、活性化につながる計画の策定を義務づけるということをやりました。
 ドイツは、六〇年の連邦建設法と六二年の建設利用令の制定で、都市中心部または特別の指定地域以外では床面積千二百平方メートル以上の大型店は原則禁止だ、こういうふうにやはり国全体としてルールを定めて、その中で、こういうルールとは別に、個々のところが歴史的景観を守りながらどう発展させるかとか、それはそれぞれに考えればいいことだと思うんです。
 これは政府参考人に念のために確認しておきます。外務省の当時の西村欧亜局長が九八年の予算委員会答弁で、概略、今のような各国のルール、仕組みというものを答弁しておりますが、経産省の方もこの仕組みについてはちゃんと御存じのことだろうと思いますが、確認しておきます。
小川政府参考人 お答え申し上げます。
 各国の商店といいますか大規模商業施設の出店規制の概要ということでございますけれども……(吉井委員「大体今言うたのは間違いなら間違いと言ってください」と呼ぶ)
 基本的に、おっしゃられたとおり、フランスのロワイエ法などを見ますと、一定の商業調整の観点も含めながら出店許可制度がとられておるわけでございますけれども、我々の理解では、例えば、イギリスなどは許可制度をとってございますけれども、基本的な観点は都市計画法上の観点に立ったゾーニング規制的なものではないかと。それから、米国も、今委員御指摘のカリフォルニア州のバークレー等の都市でおっしゃられたような規制がございますけれども、国全体としては、やはり都市計画の観点からのゾーニング制度が基礎になっておるのではないか、そんな理解をしてございます。
吉井委員 これは、外務省にも当時確認しておりまして、経済的規制や社会的規制、こういうのを組み合わせてと。そのときに、それぞれに都市計画の手法も含めてやっていくとかいうことはありますが、いずれにしても、全体としてやはりそういうルールというものをつくっているんですね。
 先ほど大臣は、それぞれ大変になっているところ、そこは自主的に計画を出してというお話ですが、計画を出すにしても、例えば、福岡県の飯塚市で、これは先ほどと同じ例なんですが、ジャスコ飯塚店というのが、かつて一万四千平方メートルで出店したんですね。中心商店街は打撃を受けました。しかし、来た以上はということで、つぶれたところもありますが、核店舗にして、後いろいろ頑張っているんですね。
 その後、ジャスコが、すぐ隣接の穂波町に、敷地七万二千平方メートルで店舗面積二万二千平方メートルの、今度は郊外型のジャスコ穂波店というショッピングセンターを、巨大なのを出したんですね。そうすると、周辺三十キロ圏の商店街は打撃を受けますから、当然、飯塚の中心商店街も大変になってきたんですが、その中心商店街にあったジャスコは、飯塚市との約束をたがえて撤退するんですね。もう解体処分して更地です。そうすると、中心商店街は、また核店舗を失って大変な打撃を受けるということになりました。
 九八年の国会でこの議論があったときに、我が党は、大店法廃止に反対するだけじゃなくて、大店法を、大型店の身勝手な進出や撤退に一定の規制を加える、社会の、経済の仕組みの中で完全な規制というのはもちろん難しいわけですが、少なくともそれを行うルールを改正案として出しました。身勝手な進出と企業の都合だけで勝手に撤退するという、この歯どめをやはりきちんとつくっておかないことには、個々に特区だといって、寂れてしまったから、さあ、どうしましょうということだけじゃなかなかうまくいかないんですよ、実態として。
 そこで、商店街や中小の小売業者、それから、これからどこでもどんどん高齢化していっているわけですから、高齢化していく中での消費者の買い物の場をきちんと守ることとか、株式会社だから利潤追求第一だということで、会社の都合だけで、勝手に郊外に店舗を出したり、勝手に撤退してしまったり、こういう無責任なやり方については、きちんとしたルールというもの、規制の仕組みというものを考えておかないと、幾ら特区ということをおっしゃるにしても、本当に特区ということを考えるならば、実は、規制緩和の一点突破、全面展開のためじゃなくて、そういうきちんとした仕掛けを特区以前の問題として考えるということがまず先だと思いますね。この点は大臣に伺っておきたいと思います。
鴻池国務大臣 明石の例を出していただきました。そこから少し電車で西へ二十分ほど行きますと高砂市というのがございますが、ここで駅前のそごう百貨店が閉店ということになりまして、私の友人たちがいっぱい、周りで小さな仕事、商売をやっておる者が大変困りました。ヤマトヤシキという姫路の百貨店が来てくれるということになって、ちょっとほっとしているところでございまして、今委員の御発言については、よく理解をいたす立場でもございます。
 ただ、この特例というものは、新たなところに新たに持ってきてどうしようということよりも、今委員がおっしゃいましたように、疲弊が進んでいる中心市街地、これの将来の活性化のために、どうしても核店舗、大型店舗が欲しいというところを我々は一つの対象といたしているところでございまして、この活用に当たっては、都道府県が、あらかじめ関係市町村との協議、これは当然のことでありますし、住民等に説明して意見を聴取した上で申請を行うことができるということになっておりますので、関係者の意向を十分反映させることが可能であるということを御承知をちょうだいしたいと思います。
吉井委員 そごうの話は、あれは三年ほど前でしたか、そごうと新生銀行の問題で私も国会でも取り上げたことがありますので、そこは覚えているところです。
 ただ、今おっしゃったお話も、核店舗に頼るだけじゃなしに、本当は、その地域の持てる内発的な力といいますか、そこを発展させた、そして高齢化社会を支える商店街としての役割を果たすことによってその商店街もまた成り立っていく、そういうものをどう生み出すかということが、京都の西新道錦会商店街など、やはりそういう取り組みというものが始まっているところがありますので、それは大事なことなんですが、そのときに、特区だということでやらないことにはできないというものじゃない。
 今特区の中で問題になっているのが、九八年の大店法廃止と立地法のときの最大の問題の一つは、法の目的から、大店法にあった中小小売業の事業活動の確保というのを削除して、そして大型店の進出を野放しにするというところが問題でした。そのとき、大店法の廃止で変更勧告、変更命令の権限がなくなったわけですが、それでは、大店立地法をかわりにつくったが、これでかわり得るのかと。それはノーだというのがそのときの大きな問題でした。
 それにしても、申しわけ程度に、大規模小売店舗立地法第五条四項の新設の届け出、第六条四項の変更の届け出というのは、第八条の都道府県の意見等、第九条の都道府県の勧告等と結びついてあったわけです。大型店の進出の届け出を受けた都道府県が、その内容を審査し、意見を述べるか否か、勧告するか否かを決定しない段階では、大型店の新設は認めさせないということになっていました。
 それなのに、今度の特区法では、大規模小売店舗立地法第八条、九条の規制撤廃を図るわけですよ。これは、都道府県等の意見や勧告を通じて大型店の出店計画に対して地域住民の意見を反映させる、わずかばかりの仕組みであった部分さえ空文化させるということになってくると思うんですね。これは、特区の名において地域住民の意見も入り口から切り捨てられる、こういう形になるんじゃないですか。
小川政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど大臣の御答弁にもございましたけれども、今回の大店立地法に係る構造特区の特例措置でございますけれども、まず、あくまでも対象を中心市街地に限定しておるわけでございます。
 その中心市街地で、何とか小売商店さんと大型店との共存共栄で中心市街地が再活性化されるということを期待いたしまして、手続の前提といたしましては、まず、各都道府県が主体となって申請するわけでございますが、あらかじめ関係市町村と十分協議しますとともに、各地元の中小小売店などの事業者さん、それから商工会議所とか商工会等の地元の中小企業団体、あるいは住民の方々から十分意見をお聞きして、合意が形成されて初めて特区の申請をなされるということでございますので、地元の発意に基づく、合意に基づく中心市街地の振興ということで、むしろそういった効果を期待しておるところでございます。
吉井委員 それならば、もともと八条、九条の撤廃というのは要らないわけですよ。
 今、地域からのというお話ですけれども、企業活動として中心市街地から撤退し郊外へという、これをやってきているわけですから、そこが中心市街地へ戻ってくるかどうかということは簡単な話じゃないわけでして、あわせて、立地法に変えるときに、生活環境保持に転換したんだという説明でした。環境問題への対応とか、出店可能地域では環境問題からの規制を行うんだという話でした。その結果として出てきたのが、今度問題になっています大規模小売店舗立地法施行規則第四条第一項の四号から十二号ですね。つまり、駐車場の収容台数の確保のための来客自動車の台数予測算出根拠だとか、それを設けたわけですね、この規則の中で。これは大店法廃止を強行するための言いわけとしてつくられたもので、十分なものではなかったんですが、ただ、いずれも、少なくとも周辺道路の渋滞の回避とか騒音の抑制、悪臭や衛生対策などといった周辺地域住民の生活環境の安定に最低限必要で不可欠なもの、こういうことでこれはつくられたわけです。
 この法案では、今度の特区法では、それを撤廃するわけですから、つまり、それさえ届け出事項の対象から外す。これでは、当初言っておった環境を守る基本さえ取っ払ってしまうということになるんじゃないですか。
小川政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、先生御案内のとおりでございます。旧大店法廃止に伴う措置といたしまして、委員御指摘のとおり、生活環境保持の観点から大店立地法を制定するということをしたわけでございますけれども、あわせて、いわゆる町づくり三法ということで、都市計画法等によるゾーニング規制による一種の地方公共団体発意による立地規制が可能な制度、それから、中心市街地活性化法による全体としての政府一体となった中心市街地活性化の諸措置というものを組み合わせて制度化しておるわけでございます。
 今回の特区にかかわる御質問でございますけれども、確かに今回大店立地法にかかわります諸手続の簡素化を図るわけでございますけれども、申し上げましたとおり、その前提といたしましては、都道府県が、各市町村それから地元住民と十分な協議、すり合わせをして、その発意によってなすということでございまして、むしろ、その手続で八カ月、十カ月かかるよりは、大店舗にいち早く、少しでも早く来てほしい、それによって中心市街地の衰退を抑えたいということで、そういう場合に今回の措置に乗ることを認めるということでございます。
 それから、届け出の書類もあわせて簡略化するわけでございますけれども、その場合も、当然、基本になります建物の配置でありますとかそういった書面は添付して、内容は届け出の中からわかるような仕組みになっておるわけでございます。
吉井委員 大臣、ずっと聞いてもらっておわかりのように、八〇年代に随分アメリカから大型店規制をやめろと。これは当時外務大臣も本会議で答弁されましたけれども、アメリカは、ヨーロッパに対しては、日本よりも厳しいそういう規制を撤廃しろということは一切言わないで、日本にだけ言ってきたわけですね。大型店、大店法骨抜き、とうとう廃止という方向へ来て、その中で、冒頭に御一緒に見てまいりましたように、中小零細商店がどんと減ってくる、雇用もどんと減ってくる、大型店はどんとふえる、しかし失われた雇用は吸収されていない、こういう現実が規制緩和の中で出てきたわけです。
 大型店の出店も撤退も野放しというこれが根本にあって、それにかわって一応今答弁にあったように違う仕掛けをつくったのだが、ゾーニング規制だ、あるいは中心市街地活性化だといってもうまくいかない。だから、やはりうまくいかないというこの根本を外して、避けたところでやったって、これはうまくいかないのは当たり前のことなんですが、うまくいかないにしても、今度特区法案で考えているのは、申しわけにしろ言っておった当初の環境対策だとか、あるいは、都道府県のかかわりによって窓口の段階で住民の意見が十分反映されるという、これも今度は撤廃してしまう。今度の法律で撤廃するわけですから。
 だから、そういうふうなやり方では、これまでの規制緩和でただでさえ深刻になった地域経済をさらに深刻にさせてしまうということは明らかで、やはり構造改革特区法でこうした規制緩和万能主義をさらに進めてしまうと、国民生活と地域経済に一層大きな打撃を与えるということになりますから、私は、これはやはり特区以前の問題として、大もとのところでこういう大型店規制を野放しにしてしまった問題について、改めてきちんとしたルールを検討して考えていくということを考えなきゃいかぬと思うんですね。
 これは大臣に伺っておきたいと思います。
鴻池国務大臣 今回の特区の大型店舗をどうするかという発想は、先ほども申し上げましたように、穴があいて疲弊して、そこの地域の住民なり地域の商店なり、あるいは市町村長なりが、強い要望を持って大型店舗の誘致をしたい、そういう提案について、通産大臣が要件に合致していると判断すれば内閣総理大臣がこれを認定するということであります。
 委員がおっしゃいましたように、私もそう思います、大型店舗だけに頼ってその町が活性化するということ以外のことも考えなきゃいかぬ、そのように全国的な商店街等の疲弊を見ておりまして思うところもございますけれども、今回の特区構想は、今私が申し上げましたとおりの発想でございます。
吉井委員 疲弊させた根本原因を明らかにしてそれを大もとで断ち切る、改めていくということをやらないと、その根本を抜きにして次のことを、もうだめだったら今度は次と、そのやり方でもって大店法を廃止して立地法をつくったのだが、中心市街地活性化法をつくったのだが、さっぱりうまくいかない、だからまた次のこととなっているだけですから、これはやはり大もとに立ち返った根本的な対策というものを考えていかないと、そこには、そういう地域の商店街や地域社会を崩壊させるような企業の一時的な大きな力でもって進出も撤退も勝手気まま、やはりそういう無責任な行動に対するきちんとしたルールというものをつくるということがまず先決である、そのことを申し上げまして、時間が大分迫ってまいりましたので、きょう予定していたことの多くはまた次回にしたいと思います。
 総合デフレ対策の中でも、規制改革の加速を一つの柱として掲げているわけですが、これは大臣に伺っておきます。
 公的関与の強い分野を中心とした規制改革として、総合規制改革会議の十二月の第二次答申に向けて、医療、福祉、教育、農業等を挙げ、取り組みを始めるということを明記しております。この規制改革会議の中間取りまとめを見れば、この分野の規制緩和策の方向は、各分野への株式会社の参入が大きな柱といいますか課題となっています。十二月の第二次答申で株式会社の導入の規制緩和を打ち出す、こういうことで進めていかれるのか、この辺をまず伺っておきます。
鴻池国務大臣 ただいまのところ、株式会社参入については、それぞれの御批判がございますけれども、農業の分野ということに相なっておりまして、教育、医療の分野につきましては先に送るということに相なっておりまして、ただいまお話しのとおり、十二月に予定されております第二次答申としての取りまとめに向けてさらに調査をし、審議はされていくものと思っております。
吉井委員 ちょうど終了しましたの紙が来ましたから、次回に残りはやりたいと思います。終わります。
佐々木委員長 以上で吉井英勝君の質疑は終了いたしました。
 次に、北川れん子君。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。よろしくお願いします。
 まず初めになんですけれども、なぜ十一月七日に第二次提案募集を来年の一月十五日までの締め切りでされるというふうになったのでしょうか。第一次、第二次、第三次と、もともとそういうふうに続くと思われてこの構想を、アイデアを募集ということに着手されたのか、第一次のアイデアの内容が薄かったのか、件数が少なかったのか、その辺の事情をお伺いしたいと思います。
鴻池国務大臣 この構造改革特区構想というのは、委員御存じのとおり、七月にこの構想が生まれました。そこでまず、官から民へ、あるいは国から地方へという発想、哲学のもとに、地域に対して提案を募集いたしました。四百二十六の提案がございました。これを精査いたしまして、ただいまの法案御審議をしていただいているに至っておるわけでございますが、十一月七日に第二次募集をいたしまして、締め切りが必要でございますから一月十五日を締め切りといたしまして、さらなる光った御提案、アイデアをちょうだいしたいということでその作業を開始しているところでございます。
北川委員 歯磨きのチューブを絞りに絞ってアイデアをひねり出すというか、そういうことなのかもわかりませんけれども、今おっしゃった件数の中で、地方公共団体が四百二十六のうち二百四十九、民間、大学が十八と。私なんかは思いのほか民間からの募集というものが少ないのではないかなという気がいたしておりますけれども、第二次集約では、大臣、どれぐらいの件数が、そのうち採用されるのは一割程度ということになると思うんですけれども、一月十五日までですから、あと約二カ月、お正月を挟むわけですが、どれぐらいのものが上がってくるというふうに御自身は思っていらっしゃるでしょうか。
鴻池国務大臣 ただいま募集中でございますので、何件提案が出てくるかということはわかりません。
北川委員 というか、期待しているといいますか、数の多さというものが、どれほど国民それぞれに浸透して、ああ今、国は特区構想ということで経済の活性を図ろうということを周知徹底しているかという意味合いにおいて、どれぐらいの件数だったらまあよしとしようというか、隅々まで行き渡って、自分たちがそういう特区の構想を募集しているということを多くの人が知る機会を得ているか、そういう判断になると思ったものですから、件数的に大臣は第二次募集でどれぐらい上がってくれたらいいなというか、うれしいなと思うか、再度お伺いしたいと思います。
鴻池国務大臣 今申し上げましたように、件数ではなく、きらりと光る、我々が前向きに取り組んで、そして提案された地域なりそれに関連しておる企業なりが随分活力が出る、そういうものが出てくればいいと。
 ただ、委員御承知のとおり、今も日程的なものも申し上げましたけれども、第一回は、七月にこの構想が始まって八月三十日が締め切りでした。今、新聞紙上、あるいは私自身もテレビ等に出演させていただきながらPRにこれ努めております。また、時間のある限り地方に出向きまして、そして出前持ちの精神でこの特区構想について多くの方と語り合いたい、このように思っておるところであります。
北川委員 今までの官と民の交流がいかばかりであったかということと、今おっしゃったように、砂金のように、珠玉のものを求めているのだという点を強調されたと思うんですが、きょうの産経新聞に、世界の主要国・地域を比較した二〇〇二年版経済競争力報告というものの発表の数字が、よくダボス会議ということで紹介されていますけれども、載っていました。この中に、技術革新の点では日本が五位なんですよね。
 そこで、もう一度お伺いしたいんです。日本はノーベル賞もとったということで、技術革新的には民間レベルでも頑張っているという点が実証されたと思うんですけれども、今回、民間からの提案ですね、先ほどもちらっと触れたんですが、地方公共団体の方が多くて民間は少なかったわけですが、民間企業からのヒアリングというものはあったのか、提案は採用に至らなかったのかどうか、その辺、少し内輪のことに触れてみたいと思うんですが、どうであったのでしょうか。
鴻池国務大臣 御指摘のように、今回民間からの御提案は十八件でございました。その他が地方公共団体でありました。ただ、例えば委員のお地元の兵庫県の姫路あたりで、新日鉄がリサイクルについての提案を出してきました。これも市町村、いわゆる市レベルで共同で上がってきておりますので、そういうのを含めれば民間のアイデアというのも比較的あるのではないかと思いますが、先ほど答弁申し上げましたように、私自身、出前持ちをしながら、民間からのアイデアもできるだけ出していただきたいということをPRしたい、このように思っております。
北川委員 今回、島津製作所というものが、今おっしゃった、大企業と行政というのは結びつきがすごい深いというのは、戦前あった財閥が戦後は解体されたといえども、やはり大企業といえば財閥系だったものからの流れというものが大きく日本の中には戦後もあるわけで、今回どちらかというと、珠玉のアイデア、砂金のようなアイデアというのは、ちっちゃな民間会社とか中小企業とか、そういうところにぜひ大臣が出前持ちで行って話を聞いていただくという意気込みでやっていただきたいと思うわけなんです。
 日本は必要な規制がなくて不必要な規制が多いんじゃないか。その一つのあらわれとして、先ほどの順位の点で、経済の自由度というものが、香港が九年間連続一位ということなんですけれども、日本はやはりことしも三十五位ということなんですね。外国の人々から見ると日本はそんなに魅力がないというところに至っていると思うんですけれども、その辺は大臣の御認識は、そうだと思うのか、違うと思われているのか、その辺いかがですか。
鴻池国務大臣 先ほど岩國委員から御質問がございました、御質問というよりも委員の持論を展開されました。私は、自席におりまして、なるほどとうなずかせていただいたことがございます。というのは、やはり海外からの企業というものが日本に入ってきにくい、海外から日本に対する魅力がない、しかし、日本には金があり、そして人数が多くて自由がある、しかし、その中でも出発点としてなかなか難しいところはやはり規制にありではないかということに私は同調をいたしておった次第であります。
北川委員 三十五位はしかるべくして三十五位なんだなというのが大臣の感想でもあるということなのかもわかりませんし、日本は、GDPでも先進七カ国と言われる中で最下位で、全体でも二十位だというふうになってきているという数字も紹介されています。そういう中での特区構想が、苦しい苦、苦悩の苦、特別の区がそういう苦悩の苦にならないようにしていただきたいというふうに思うんです。
 この四百二十六件のうちに本当は必要な規制がないのではないかという点で次にお伺いしたいわけですけれども、企業の活動に対する規制の強化はどれぐらいの範囲、今回持ち出されているのでしょうか。どういう範囲で、規制の緩和ではなくて、規制の強化は四百二十六のうちにどれぐらい含まれているのでしょうか。
鴻池国務大臣 本件は規制の緩和を主眼点といたしておりますので、規制の強化はただいまのところ一切ございません。
北川委員 ゼロということで、私も全部見たわけですが、ほとんどの用語が、緩和、簡素化、迅速化、弾力的運用、拡大ということで、どちらかというと規制を強化するというものは本当になかったわけなんですが、本当にそれでいいのかなというのが私の思いの中にあるわけです。雇用の悪化とか企業の倒産、環境悪化、安全衛生の低下などの弊害が生じる場合もあるわけですよね。よくなる場合もあるかもしれない。よくなる場合の範囲もどちらかといえばある幾ばくかの範囲の中で、あとは悪くなったということも物事にはよくある話でありまして、こういう弊害が生じた場合、責任はだれが持たれるというふうにこの法律構成上はなるのでしょうか。
鴻池国務大臣 委員が今不安に駆られておられる弊害というか失敗例というのをお教えいただきたいと思います。(発言する者あり)
北川委員 期せずして委員の方から、何を指してと。まだ始まっていないわけですから、私はどういうデメリットがあると思っているのかと。
 例えば私は、大臣おっしゃったように、尼崎です。尼崎港という港がありますよね。今回も港湾のことがいろいろ取りざたされているわけですが、二十四時間港湾システムをやるとか。二十四時間空港というのが関西新空港で沈んでいくというのが出ていますけれども、もしなった場合、尼崎は、自動車の公害訴訟とかで裁判の一定決着を見たけれども、改善はされていないということでまた提訴という段階に入られたと聞いておりますけれども、一定程度静けさが戻ってきて、住民としては夜の十二時以降は寝やすい状況に幾ばくかなったかなと。
 でも、今度港が二十四時間活性化になったとする。そこのヤードとか大きないろいろなものを貸してもらえる。では、尼崎で借りようとする企業が出てきたとしたら、二十四時間活性化は港の場面としてはいいかもしれない。でも結局、そこを二十四時間活性化するわけですから、次の朝まで荷物をとめ置くということは普通の人は考えないわけで、やはり夜、荷物をとりに来られるということで、トラックが通る回数がふえるとか、排気ガスがふえるとか、騒音がふえるとか、照明が明るくなるとか、そういう点というのは、やはり住む者としての心配というものをこの経済特区、構造特区の中に私は見るわけなんですが、そういう点はいかがでしょうか。
鴻池国務大臣 尼崎の港周辺に人家は一軒もございません。しかし、あなたがおっしゃるように、通行等については第二阪神国道、四十三号線あたりでいろいろ問題があることも承知をいたしておりますが。
 いいですか、もう。
北川委員 まだあるんですか。
鴻池国務大臣 これは、発展途上国以外、先進諸国の港等については、二十四時間というものが役所もいわゆる通関業務を含めてほぼ当たり前のことになっておったのを、今回、主要貿易港でやるということになっておりますので、近隣他国との競争力というものが貿易を通じてプラスになるということのメリットはあるということでございます。
北川委員 一軒も港湾の近くに住宅がないというのは、やはりちょっと誇大な言い方といいますか。
 21世紀の森構想を、一千ヘクタール、四十三号線の南側を尼崎は予定しておりまして、そのうち、やはりあの湾岸地域の広大な敷地の中に住宅を建てるという構想はかねてから持っているわけです。そこを商業ベースとして開発して国体用のプールとかそういうものを五十五ヘクタールつくろうという予定で、今、七年前のあの阪神・淡路大震災を受けてから、やはり南北の交通の便をよくしてやろうというのがあります。そして、今も人家がないというわけじゃない。
 大臣、申しわけないんですけれども、湾岸線の使用率からいっても、なかなか湾岸線はやはり高くて使ってもらえないという状況の中では、内道路を使うというのが尼崎の現実なんですよ。ですから、湾岸に一軒もないという言い方は私はすごく拡大解釈だと思いますけれども、譲ってそれがそうだとしても、それがずっと人家がないところを通るというわけではないわけで、内々の中に入ってくるというのは予想されるので、ぜひそういう点があるということをお認めいただきたい。現実認識においても共有認識を持たないと、特区の問題は規制の強化への配慮がなさ過ぎるということで、これは各地に問題をもたらす大きな萌芽を残すというふうに私は思います。
 それで、次に進みたいんですけれども、九条の認定には取り消しというところしかなくて、責任の明確さや、また判断基準の客観性の担保というのが規定されていないというふうに思うんですが、これは認定の基準を緩くするのか厳格にするのか、その辺、どういうふうに読めばよろしいんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
鴻池国務大臣 お待たせをいたしました。
 九条につきましては、文言のとおりでございますが、「その認定を取り消すことができる。」ということに書かれておりまして、その他の事項につきましては関係行政機関との今後の協議になると思いますし、特区構想の中でよりよく方向性を見出していくこととなろうかと思います。
北川委員 明確にその基準が緩くなるのか厳格になるのかということにはお答えにならなかったので、多分その場合は基準が緩くなるということだろうと思うので、取り消しの基準も緩い、それで、先ほどいみじくもおっしゃったように、規制のすべて緩和なわけですよね。だから、規制の強化を提言した人のは多分取り上げられなかったであろう、九百件あったばかりのその一割という数字の中で、あとの多く、規制の強化を提案した方のも顧みられなかったのではないかというふうにも思うわけで、認定の基準は少なくとも緩和に行っているわけですから、認定の取り消し基準というのは厳格にするべきだというふうに私は思いますので、ぜひこの点なども、マニュアルを、ガイドラインをお出しいただくようにお願いしたいと思うわけです。
 企業に好かれるための自治体間競争の激化になるのではないか。午前中の議論の中にもあったように、お金を持っている人たちが多く住んでいる、税金をたくさん払っている人たちがよりいい思いをするような特区構想であればいいなというお話をされて、でもそうじゃない人たちはどうなるんだろうと幾ばくかの心配もされた御意見が出ておりました。私自身は、企業に好かれるための自治体間競争というものに対して、尼崎の戦後五十七年間というものは、まさに企業に好かれるためにあった尼崎というものが、五十七年後はどうなったかといったら空洞化になっちゃったという現実を踏まえて、鴻池大臣も尼崎御出身だという点において、このことへの反省というか、今の現実の尼崎の状況を見ていて、なぜ新しい活気あるものが次々と生まれるような都市にならなかったのか、その点の御自身の思いというものがあればお聞かせいただきたいと思います。
鴻池国務大臣 私は、尼崎という町に生まれ、五十数年間住まいをいたしておりました。随分人情味のあるおもしろい町であったことは間違いありませんけれども、やはり委員がおっしゃいますように、公害等で何となく汚いなと言われる町であったことも事実でございます。大分空気もよくなってきたとは思いますけれども。
 ただ、私は、そこに住んでおっただけで、反省すべきところはございません。市長も市会議員もやったことがありませんから、住まいをしておっただけですから、反省をしますかと言われても、反省すべきところはありません。
 それから、企業に好かれるための自治体間の競争であるというのは、本会議でも委員、御質問がございましたけれども、それは、本会議の答弁でも申し上げましたように、全く当たっていないということを申し上げておきたいと思います。
北川委員 では、逆に言えば、住民としての苦悩を尼崎に住んで感じなかったということを御紹介になったのかもわからないんですが、私は、偶然尼崎で、ある大人になった時点から暮らすということを経験して二十年足らずですので、よく新住民というジャンルに組み分けられるんですが、尼崎にはすごい愛着を感じます。そして、殊に昔の尼崎の風景や景色を知っている方がどんなにそのことを熱っぽく語ってくれるかという点において、今一番寂れている南の方が、どんなにきれいな砂浜で、どんなに活気があって、労働者がどんなにたくさん商店街を濶歩して明るい兆しを感じたか、そこに道路が通ることで分断されて随分変わっていくんだといった点をすごく紹介してくださって、今なお、みんなはいいところを求めて住むわけですよ、空気のいいところ、環境のいいところ、文教地区へ。今なお住み残っていらっしゃる方がいるという現実において、私は、尼崎はすごいと思っているわけですよ。
 やはり、そこに愛着を感じた幾ばくかの歴史を絶対に体に体感して逃さない人たちがいるといった点において、尼崎の将来は私は希望があるものと見ているわけで、鴻池大臣は尼崎の中でとてもいいところに住まわれていたのかもわかりませんけれども、そういう一抹の自分の思いで、今なお、目をつむれば白浜の砂浜が見えるといった方たちの思いをぜひ酌み取って、企業に好かれるための自治体であると、住民は泣く、泣かざるを得ない目を引き受けなければいけないんだといった点を、ぜひ私は知っていただきたいと思っているわけなんです。共存共栄、それももちろん、ずっと尼崎は歴史的に責任を果たしてきた町だというふうに思います。
 次にお伺いしたいんですが、これはとてもおもしろい順位があったんです。一番何のジャンルが多かったかというと、農業が九十四、研究が六十九、観光・国際交流が五十七、生活・サービスが四十六、教育が四十四と、数字的に見ると、分析するとこういうふうに続くわけです。農業に対して、こんなふうにしてもらいたい、あんなふうにしてもらいたいというものがたくさん出ているんですが、兵庫県の場合は、兵庫県も尼崎も、生活・サービスというところの欄が提案がなかったんですね。その点は、大臣、どう思われるかということと、大臣は一番何を、どのジャンルに期待を持っていらっしゃるのか、ついでにその辺などもお伺いしたいと思います。
鴻池国務大臣 尼崎をいかに愛しているか論議はまたの機会にさせていただきたいと思います。
 しかし、委員御存じの庄下川、あそこで昔、私の親父なんか、泳いでおったんです。それが今はもうガスの出るようなああいう汚いもの。それを私、衆議院議員になりまして、我田引水ではありませんけれども、河川をきれいにするモデル河川という事業にのっとりまして、予算を引っ張って帰ってきて、あの川に魚が泳いでいるでしょう、あれは実は私が頑張ったんです。ですから、委員もあの町の唯一の、唯一じゃないね、たくさんいらっしゃいますけれども、議員でいらっしゃいますから、ぜひとも我々の愛する尼崎をよりよくするために御尽力をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それと、何に期待するかということは、提案をしてくるのが地方あるいは民間でございますので、それが上がってまいりました折に、すべてのものをできる限り、できないものはできるように規制緩和をしていくというのが私の役目であろうかと思いますので、特定にこれに関してはというものは、今のところ、申し上げるものはございません。
北川委員 とても立派な先輩議員を持ったことに感謝をしたいと思います。どのジャンルもぜひ関心を持って。
 次に、阪神・淡路大震災以降の尼崎を含め、兵庫などに生活や暮らしの面に対しての提言がなかったという点において、私は何を心配しているかというと、やはりそこまで募集をしているということが行き渡っていないのではないかという点を心配しているわけでありまして、ぜひ、第二次募集においては広報の強化をしていただきたいということを改めてお願いしたいわけです。
 次の質問は、港湾関係者の皆さんの方から、港湾、運送事業者の業域と港湾労働者の雇用に対して、今回、特区構想の中にも港湾関係のものがいろいろ出てきていまして、十四条に定められました。その点への重大な影響がこれを入り口にして年度を経るごとに出てくるのではないかという心配の声や懸念の声が上げられてきたので、そこをお伺いをしたいと思うのです。
 港湾の目的以外にはこれは使用できないというふうにこの十四条を読めばよろしいのでしょうか。きょう、担当の部局の方にお越しをいただいておりますので、その辺、まず初めに確認をさせていただきたいと思います。
金澤政府参考人 お答えいたします。
 委員から、港湾の特区制度、港湾法等の特例制度の趣旨についての御質問があったと思います。
 この十四条の港湾の特区制度についてでございますが、現在、アジアの諸港と非常に激しい国際競争の中で、我が国の港湾の地位というものが相対的に低下してきておりまして、国際競争力の強化というのが非常に重要な課題となっております。
 その中で、現下の厳しい財政制約のもとで、我が国港湾の国際競争力の強化を図るために、施設整備といういわゆるハード面のみならず、国や地方公共団体が整備したそういう公共埠頭、港湾の埠頭でございますが、とりわけ公共コンテナターミナルにつきましては、既存ストックの有効活用の観点から、民間企業の経営能力を活用してその運営の効率化を図っていくといった、そういうソフト面での施策の推進というものが重要性を増してきております。
 このため、民間の経営能力を活用しまして、国や地方が整備しました公共コンテナターミナルの効率的な運営、ひいては港湾の国際競争力の強化というものを実現するために、いわゆる特区内の重要港湾におきまして、公共コンテナターミナルの一体的、効率的な運営事業、そういうものを行おうとする民間企業のうちから、港湾管理者が、公告とか縦覧などの公共性というものを担保するための手続をきちっと経た上で、一定の要件に該当するものとして認めた、そういう民間企業に対しまして、いわゆる行政財産でございます公共コンテナターミナルを一体的かつ長期的に貸し付ける、そういうことができるということを、港湾法等の特例措置を特区法案に盛り込んだところでございます。
 本制度、地方公共団体の自発性というものを重視する特区におきまして積極的かつ適正にこれが活用されまして我が国の港湾の国際競争力の強化が実現されますように、私どもも積極的に取り組んでまいっていきたいと思っております。
北川委員 私がお伺いした質問は、縦覧をするとかそういう手続をやった上で、なおかつ、テーマは港湾の目的以外には使用はできない、そういう項目があってそういう今の御説明に続くのか、港湾の目的以外にも使えるということがあって以下の御説明に続くのかということをお伺いしたかったのです。
金澤政府参考人 少し長い説明をして恐縮でした。
 いずれにいたしましても、港湾の目的に使うという制度でございます。
北川委員 では、港湾の目的以外には使えないんですね。
金澤政府参考人 港湾の管理運営に使う目的でございます。港湾以外の目的には使えません。
北川委員 ありがとうございます。
 では、それが共通認識だ、港湾の目的以外には使えないというふうに出てきたわけなんですけれども、先ほどおっしゃった、重要港湾が千二百三の港のうち百二十八あるというふうにお伺いして、尼崎はこの重要港湾の中には入っているのかなどうなのかなと思いながら百二十八を思い浮かべていたんです。
 それで、お伺いすると、スーパー中枢構想というのがおありになるようで、来年までには、この重要港湾の中でも最スーパー、ですから、最も力を入れて国自身も、というか、港というのは地方自治体の財産権が発動できるところの唯一のものなわけですけれども、地方自治体と国が一体になってスーパー中枢をこの港湾とこの港湾とこの港湾にしようということで選定しよういうのをやっているんだというふうにおっしゃったわけですが、この特区構想との整合性といいますか、そういうものはどういうふうになっているんでしょうか。
金澤政府参考人 特区構想と申しますのは、特区が認定されたところにおきまして、先ほど申し上げたように、企業の申請それから港湾管理者の認定、そういうことに基づきまして合理的な港湾の経営ができるようにしていこうという制度でございます。
 一方、スーパー中枢港湾の構想として私どもが今進めておりますものは、国際海上コンテナ貨物の取り扱いにおきましてより効率的で経済的な港湾物流サービスの供給を目指しまして、いわゆる既存ストックを有効活用いたしましてコンテナターミナル運営の大規模化を図ります。それとともに、我が国の中においていわゆる中枢港湾と私どもが指定しているところがございまして、これは東京湾、大阪湾、伊勢湾、北部九州の四地域でございますけれども、その地域におきまして、先導的、実験的にそういうソフト、ハード両面にわたる支援を行うような港湾、そういう制度改革を進めていきたい。そういうことによって、国際競争力、アジアの例えば韓国の港、台湾の港、あるいはシンガポールとか中国の港、そういうところに港湾貨物が平たい言葉で言いますと流れていくような状況が出かけておりますので、我が国の港湾の競争力をつけることによって我が国の経済の活性化に資したい、資していきたいという思いで、そういう中枢港湾構想、スーパー中枢港湾構想というものを進めております。
 したがいまして、今回の行政財産である港湾施設の貸付制度、そういうものと、それからスーパー中枢港湾における次世代高規格コンテナターミナルの整備、そういうものの整備の促進にも今回のこの制度が資するものとして、他のソフト、ハード施策とあわせまして港湾管理者の自発的な判断によって積極的に活用されていく、このことを期待しているところでございます。
北川委員 お伺いしていると、やはり特区として提案された港、例えば今たまたま私が思い出したのは、博多港なんかは特区ありスーパーあり、スーパー特区というふうになって、ある意味、どこかはそういうふうになっていくんだけれども、では、そうじゃない非特区の港湾の衰退とか港湾労働者の雇用の喪失といいますか、今まで尼崎や神戸地域に住んでいた者がスーパー特区にあそこがなったからといってすぐ転居とか、なかなかそういうふうに労働者というのは動くことはいかないわけで、その非特区になった港湾への配慮。
 といいますのは、海運事業が戦前は日本は有名というか、とても立派に稼働していた国だったわけですよね。それが今港が寂れてきているという状況の中には、そういう新しいものがつかめていないということだろうと思うんです。そういう中で、余りにも港も多過ぎるといった点がもともと問題点としてあると思うんですが、非特区になるところへのこれからの重点課題というようなものは、この特区構想とは少し外れるとは思うんですが、今港湾局長のお立場として、どういう配慮が必要かなというのはもうそろそろ頭の中に思い描いていらっしゃるのか、今はスーパー特区の方に向けて集中してやりたいと思っていらっしゃるのか、その辺、少しお伺いしたいと思うんです。
金澤政府参考人 我が国の港湾の役割というもの、特に国際貿易港のお話を委員はされておりますようですから、そのお話について述べさせていただきますと、いわば食糧は六割ぐらい輸入しておりますし、エネルギーは一〇〇%輸入しております。工業製品も多くのものが輸入されるような状況になってきております。
 その中で、そういう工業製品とか消費物資というのは、コンテナ貨物という形でコンテナに詰められて輸送されているという形態が大勢でございます。そういうコンテナ貨物を我が国の中でどのように扱っていくかということについて、私どもの政策といたしましては、先ほど申し上げました、これをやはり拠点的、重点的にやっていくということが経済合理性にかなっておりますので、いわゆる物流コストを下げなけりゃいけませんから、そういう意味で、我が国の中に中枢港湾というものを指定いたしました。それは東京湾、伊勢湾、大阪湾、北部九州でございます。これは我が国のやはり主要な経済地帯でございます。あるいは、人口が多い地帯でございます。それと、中核港湾といいますのは、まあ地方ブロック別に一つずつぐらい、全部で八港ぐらい指定しております。こういうところを重点的に港湾の整備を図りましてコンテナの取り扱いをしていこう。
 そのほか、港が多くあるというふうにおっしゃいましたが、港はコンテナを扱うばかりでなくて、いわゆる製造業の原材料を輸入している港湾もございますし、あるいは、例えば北海道で申し上げますと、いわゆる牧畜のための飼料穀物を輸入しているような港湾もございます。あるいは、木材を輸入しているような港湾もございます。こういうバルク貨物をいっぱい輸入しているような港湾もございます。それは、それぞれの地域にそれぞれの生産拠点において港が整備され、運営されております。
 こういうものをいかに効率的に合理的にやっていくかということで、ハードの面では、どんどん船型が大型化していますから、それに対応するように整備をきちっとやるということとともに、ソフトの面においては、経営の合理化が果たせるように、港湾の運営が合理的に行われるように、さまざまな施策を今展開している最中でございます。その施策の一つが今回の特区法でお願いしている内容でございますし、また別途、PFI法の中でも、PFIの制度を使ってやれるような方策も考えさせていただいております。
 港湾の制度は、なかなか一言でここで御説明するには、非常に複雑な、非常に多段階といいますか多層の階層性を持っておるものですから、いずれにいたしましても、私どもとしては、我が国の経済を活性化し、国民の生活が安定化するように、ハード、ソフトあわせまして、しかも重点的投資が果たせますように、効果が早く上がりますように努力させていただいている。その中の一つのメニューとして、今回、特区法の制度をお願いしているということでございます。
北川委員 やはり、頭の中がもうすべて特区で充満されているというのがよくわかりました。ぜひ、非特区の問題においても、なぜかといいますと、やはり物をつくる日本というのが内輪になければ港の活性がないというのは、まさに局長が今おっしゃったと思うんですよ。資材、原材料の行き来がないことには港湾というのは潤ってこないわけですので、ぜひ物づくりの日本になるためにも何が必要かという点を強調していただきたいと思うんです。
 そこには、次には労働者というところになると思います。
 それで、十五条に入管法の改正というのがあって、私はこれがなかなかわかりにくいので、またいずれのときかにもお伺いしたいと思うんですが、きょう教えていただいた数字でおもしろかったのが、投資・経営の上位五位の国というのがアメリカ、韓国、イギリス、フランス、ドイツなわけですね。研究にかかわる新規入国者の推移で上位五位が中国、韓国、インド、ロシア、アメリカ。でも、年々日本に対しての数字は減ってきているというのを御紹介いただいたわけですが、まず、この入管法の改正によりまして、港湾労働者に外国人がなりやすい状況が生まれてくるという心配はないのかどうか。
 ちょっと時間の分数が少なくなってきたので、本当はこの間にもう一つ質問があったんですけれども、突拍子もないと思われるかもわかりませんけれども、単純労働への外国人の就労というものに道を開くことにこの特区構想はならないのかといった点をお伺いしたいと思います。
増田政府参考人 今般の特区法における入管法の特例措置は、地方自治体が地域活性化の観点から設定する特区、具体的には産学連携による研究推進と産業活性化の高いポテンシャルを有する地域に所在する研究施設等で研究活動に従事する外国人研究者等に限って在留期間の延長等の特例措置をとろうというものでございます。
 したがいまして、この特例措置を設けることが、ただいま委員お尋ねの、いわゆる単純労働者の受け入れに将来つながっていくものとは考えておりません。
北川委員 またその辺の議論は次のときに譲りたいと思いますので、きょうはどうもありがとうございました。
佐々木委員長 以上で北川れん子君の質疑は終わりました。
 次回は、来る十五日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時一分散会


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