第2号 平成15年2月26日(水曜日)
平成十五年二月二十六日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 佐々木秀典君
理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君
理事 星野 行男君 理事 渡辺 博道君
理事 中沢 健次君 理事 山内 功君
理事 遠藤 和良君 理事 西村 眞悟君
大村 秀章君 奥山 茂彦君
嘉数 知賢君 金子 恭之君
亀井 久興君 木村 隆秀君
菅 義偉君 高橋 一郎君
谷川 和穗君 谷本 龍哉君
近岡理一郎君 林 省之介君
石毛えい子君 大畠 章宏君
平野 博文君 横路 孝弘君
太田 昭宏君 吉井 英勝君
北川れん子君 江崎洋一郎君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官)
(男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(産業再生機構(仮称)担
当大臣) 谷垣 禎一君
国務大臣
(科学技術政策担当大臣) 細田 博之君
国務大臣
(経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
国務大臣
(規制改革担当大臣) 石原 伸晃君
国務大臣 鴻池 祥肇君
内閣府副大臣 米田 建三君
内閣府大臣政務官 大村 秀章君
内閣府大臣政務官 木村 隆秀君
内閣府大臣政務官 阿南 一成君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 小山 裕君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 春田 謙君
政府参考人
(人事官) 佐藤 壮郎君
政府参考人
(人事院事務総局勤務条件
局長) 大村 厚至君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 山本信一郎君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長
) 坂東眞理子君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 吉村 博人君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 瀬川 勝久君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 栗本 英雄君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 林 省吾君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 齋木 昭隆君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長
) 安藤 裕康君
政府参考人
(国税庁課税部長) 村上 喜堂君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議
官) 丸山 剛司君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長
) 白川 哲久君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房総括
審議官) 鈴木 直和君
政府参考人
(厚生労働省健康局長) 高原 亮治君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局次
長) 三沢 孝君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局
障害保健福祉部長) 上田 茂君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 辻 健治君
政府参考人
(国土交通省政策統括官) 鷲頭 誠君
政府参考人
(気象庁予報部長) 北出 武夫君
政府参考人
(環境省総合環境政策局環
境保健部長) 南川 秀樹君
内閣委員会専門員 小菅 修一君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小山裕君、内閣官房内閣審議官春田謙君、人事官佐藤壮郎君、人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、内閣府政策統括官山本信一郎君、内閣府男女共同参画局長坂東眞理子君、警察庁長官官房長吉村博人君、警察庁生活安全局長瀬川勝久君、警察庁刑事局長栗本英雄君、総務省自治財政局長林省吾君、外務省大臣官房参事官齋木昭隆君、外務省中東アフリカ局長安藤裕康君、国税庁課税部長村上喜堂君、文部科学省大臣官房審議官丸山剛司君、文部科学省研究開発局長白川哲久君、厚生労働省大臣官房総括審議官鈴木直和君、厚生労働省健康局長高原亮治君、厚生労働省職業安定局次長三沢孝君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長上田茂君、林野庁森林整備部長辻健治君、国土交通省政策統括官鷲頭誠君、気象庁予報部長北出武夫君及び環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石毛えい子君。
○石毛委員 おはようございます。民主党の石毛えい子でございます。
内閣委員会、本日は私、福田国務大臣、石原国務大臣に、男女共同参画社会推進、そしてまた障害者基本計画、さらに公益法人改革をめぐって質問をいたします。よろしくお願いいたします。
最初に、男女共同参画社会推進をめぐりまして、福田内閣官房長官にお尋ねをいたします。
一九九九年に、男女共同参画社会基本法が、多くの女性の期待をもって制定されました。そして、それに基づきまして男女共同参画社会基本計画が策定され、その後今日まで、四十の都道府県で男女共同参画社会推進条例、またそれに基づく基本計画が制定され、策定されていると聞いております。
ところで、この間、一部の論調あるいは新聞報道などで、都道府県が策定している条例の中に、男女共同参画社会基本法あるいは基本計画に照らして逸脱しているのではないかというような主張が見られます。
幾つか私も都道府県の条例を拝見させていただきましたけれども、例えば男女共同参画社会の推進に当たって、性と生殖に関して男女が相互に健康とそして権利を尊重して進めるというような規定ですとか、それから、男女の性別、役割分担を固定化するような表現を公衆に対してするときにはしないように努力をする、努めるとか、また、苦情処理機関を設けるとか。
四十の都道府県が条例を制定しているわけですから、それぞれ異同、多少の違いがあるのは当然だと思いますけれども、例えば、今私が挙げましたような中身に関して、繰り返しになりますけれども、男女共同参画社会基本法、あるいはこれに基づいて策定されております男女共同参画社会基本計画の趣旨とは違うのではないか、こういう指摘が見られます。
私は、男女共同参画社会の推進という観点から規定されているという意味にとりまして、特別に逸脱していることはないというふうに理解をしておりますけれども、この際ですから、この内閣委員会のスタートに当たりまして、官房長官の御所見をきちっと確認させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○福田国務大臣 結論を申し上げれば、私も委員と同じ考え方でございます。地方公共団体におきまして、男女共同参画基本計画の趣旨を踏まえて、また各地域の特性に応じて住民の意向などを踏まえ条例を作成している、こういうように認識しております。
そもそも共同参画基本計画は、平成十二年、これはもう御案内のとおりでございますけれども、この計画の中において、基本的施策の一つとして「生涯を通じた女性の健康支援」というものを掲げまして、「女性も男性も、各人がそれぞれの身体の特徴を十分に理解し合い、思いやりを持って生きていくことは、男女共同参画社会の形成に当たっての前提」である、そしてまた、「女性が自らの身体について正しい情報を入手し、自分で判断し、健康を享受できるようにしていく必要がある。」こういうふうにしているわけでございます。
今委員御指摘のように、地域によって多少の考え方の違いがあるかもしれないというふうにおっしゃいました。それはそういうこともあるかもしれません。しかし、基本的な考え方はそういうことでございまして、やはり私は、こういうことについて、いろいろ議論が分かれることはありますが、社会的風潮とかいったようなものがこういうような条例に対しての解釈に影響を与えるのかどうか、こういったようなことが一つ問題になるのではないかというようにも思っております。
ですから、この基本計画、それに基づく条例を正しく理解し、そしてまたこの考え方を普及させていくということの前提として、やはり社会が健全でなければいけないということもあるのではなかろうかと思います。この健全の意味も、時代によって多少変化していくということもあるのかもしれませんけれども、やはりいろいろな意味における健康な社会というものを目指すべきであるし、その目指す方向の中にこの基本計画もある、こういうふうに理解しております。
○石毛委員 ありがとうございます。
領域は少し違いますけれども、領域が違うと申し上げない方がよろしいでしょうか、例えば育児休業の法案は男女がともに取得できるわけですし、それから、これからの日本の社会を考えますときに、二〇〇七年ですか、日本は人口減少に入っていく、その人口減少、それから、働く方たち、労働力不足をどのように補うかということでいえば、百二十万人、女性が新たに労働市場に登場してきてくれるように推奨策をとらなければならない、こういう観点も披瀝されるようになっております。
そしてまた、男女共同参画社会基本法、また都道府県の条例が制定されまして、これから市町村でも基本計画を策定していく、そういう段階に現在はあろうかというふうに思っております。ぜひ、男性も女性もともに相互の人権、人格を認め合い、そして力を合わせていく、男女共同参画社会を推進していく、その中で、それぞれ男性も女性も主権者、主体として積極的に人生を刻み、そして社会の中で責任、役割を果たしていく、そういう観点でこの男女共同参画社会の形成が積極的に推進されますようにと考えるものでございます。どうもありがとうございました。
それでは、私はきょうは、障害者基本計画をめぐりまして、その策定のプロセスと申しましょうか、そのあたりで少し、福田国務大臣、障害者施策についても所管でいらっしゃいますので、議論をさせていただきたいと思います。
それで、障害者基本計画は、いつ策定になるかということを大変注目されておりましたけれども、関心あるもの、本当にこの策定に関して注目をしていたわけでございますけれども、昨年の暮れぎりぎり、十二月二十四日に閣議決定をされております。
この障害者基本計画の策定の経過とほぼ並行いたしまして、大臣も御存じでいらっしゃるところだと思いますけれども、アジア太平洋障害者の十年最終年ハイレベル政府間会合が、十月の二十五日から二十八日まで、滋賀県の大津市で開催されております。
少し参加者などを紹介させていただきますと、三百五十三名という大変多くの方が参加をされて、ESCAP加盟国あるいは地域から、二十七カ国及び地域で閣僚級の方九名を含んで百二十八名が参加をされて、NGOほかの方も二百十二名、そのほかに国連からの参加の方もいらっしゃいますから、合わせまして三百五十名を超える参加ということでございます。
つけ加えさせていただきますと、その前年ですか、日本からも、このESCAPのアジア太平洋障害者の十年の会議の中で、さらに十年間延長するという提言をして、その延長が決まった、そういう経緯の中でこの政府間会合が持たれたわけでございます。
この政府間会合で、最終日に報告書が採択されたということでございますが、その報告書の一番のエッセンスといいましょうか、本質でございますけれども、どういうことが言われているかといいますと、インクルーシブで、バリアフリーかつ権利に基づく社会の促進を目指す「びわこミレニアムフレームワーク」、これが採択になったということでございます。インクルーシブとかバリアフリーとか、片仮名文字がたくさん使われておりますけれども。
それから、もう一つつけ加えさせていただきますと、質問取りの事務方の方に伺いますと、正式にこの報告書の採決は、この四月に行われるESCAPの総会ということだと伺っておりますけれども、字句修正などあっても、内容的な変化はないということで、私は、十月の政府間会合で採択された内容が、これからのアジア太平洋障害者の十年で実現していく中身だというふうに理解してよいと思っております。
このインクルーシブで、バリアフリーかつ権利に基づく社会の促進を目指す「びわこミレニアムフレームワーク」、これが、ちょうど時期を並行して行われておりました障害者基本計画の策定プロセスを経まして、基本計画にどのように反映されているかということ、そのことについての御認識をまず官房長官にお尋ねしたいと思います。
○福田国務大臣 委員の御紹介ありましたように、昨年の十月に、アジア太平洋障害者の十年最終年のハイレベル政府間会合が開催されました。そこで採択されました「びわこミレニアムフレームワーク」、こういうものがございまして、ここでは、アジア太平洋地域での障害者施策の取り組みを一層推進するために、すべての人のための障壁のない、かつ権利に基づく社会に向けた行動課題をうたったものでございます。もう委員御指摘のとおりでございます。
今回の新しい障害者基本計画では、このフレームワークの趣旨も踏まえまして、その「基本的な方針」において、まず、だれもが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会の考えに立つということ。次に、障害者は、社会の対等な構成員として人権を尊重されること。さらに、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している諸要因を除去すること。こういうことなどを明らかにいたしております。また、各分野別の施策においても、この方針に基づいて一層の取り組みを進めていこう、こういうふうに考えているところでございます。
○石毛委員 官房長官からは、おおよそ、障害者基本計画の「はじめに」の部分で基本的方針として触れられています、そこでの記述内容を御指摘いただいたと思いますけれども、どうも私には、本当に、ミレニアムフレームワークでアジアの地域で実現しようというふうに議論をし、採択をしたという内容が実現されているかどうかということに対しまして、疑問を持っているということでございます。
例えば、これは政府間会合の結果を内閣府の方からいただきました仮訳ではございますけれども、この中では、例えば、障害者に対する機会均等や平等な扱いと公正に関する法律、政策を制定及び施行するというような、こういう文言がございます。
参加をしていた方から伺いますと、この施行するというのは、日本政府の発言によりまして、どうやら、採択された文章では検討するというふうに変わったようではございますけれども、そこは、中身について本質的な変更をしたものではありませんから、おいておいていいかと思います。つまり、障害者に対する機会均等や平等な扱いと公正に関する法律、政策を制定という、こういうような言及というのは障害者基本計画の方には見られないということをまず指摘したいと思います。
それから、私は、二十一世紀の社会、当事者、市民が政策の決定に参画していくということは大変重要なことだというふうに考えるものでございますけれども、例えば、ミレニアムフレームワークの方では、障害者による団体、途中、省略しますけれども、団体等が、障害に関する政策の実施やモニタリングを促進し、調整するため、障害に関する国家の調整委員会を設立し、強化するという、障害に関する国家の調整委員会を設立というようなこともフレームワークの中では言及されておりまして、それをアジア太平洋障害者の十年の行動計画の中に位置づけていくということになると思いますけれども、こうしたことが障害者基本計画の中には具体的な事項として指摘されていないというふうに私は認識しております。
少し具体的な中身に入って、官房長官には、具体的な中身であるという点でお答えしにくいかと思いますけれども、そこのあたり、どのようにお考えになりますか。御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○山本政府参考人 ただいま石毛委員から、中身にわたりましてお話がございました。
ミレニアムフレームワーク、先生御指摘のように、非常に包括的で、内容も非常に詳細な、なおかつ前向きな内容となっております。これに向かって、我が国も含め、アジア太平洋の諸国が今後十年間取り組んでいこうというのが基本であろうと思います。我が国も、そういう観点から政策を進めていきたいというぐあいに考えておるところでございます。
それで、先般策定しました障害者基本計画の中で、例えば、法律のいろいろな整備という面につきましては、先生お持ちのペーパーですと三十五ページあたりに、例えば、「必要な法制的整備」ということで、障害者関係の各種法令の見直し等による将来的に必要な法制的整備についても検討していくという記述であらわしておりまして、これから、障害者の観点からいろいろな法律を見直していくということで、これまでも、交通バリアフリー法あるいはハートビル法、あるいは欠格条項の見直しといったものに取り組んでまいりましたけれども、これからも、いろいろな法制的な面につきましても、こういう観点から取り組んでいきたいというぐあいに記述をしておるところでございます。
それから、障害者の皆様方がいろいろな政策過程に御参画をいただいていくということにつきましても、生活支援等の分野で、例えば、さまざまなレベルの行政施策に当事者の意見が十分反映されるようにするため、当事者による会議、当事者による政策決定プロセスへの関与等を支援していくことを検討していくということを記述しておりまして、障害者施策の推進に当たりまして、障害者の皆様の御意見を十分反映していくという形で、今後とも、この計画に沿って施策を進めていきたいというぐあいに考えているところでございます。
○石毛委員 恐縮でございますけれども、後段の部分、山本政策統括官に、障害者の方の参加につきまして触れた部分を、先ほど、法制的整備については三十五ページと御指摘いただいたんですけれども、意思決定過程への参画という部分につきましても、念のために御指摘をしていただければと存じます。いかがでしょうか。
○山本政府参考人 新計画の冊子の十ページの中ほどに、そういった趣旨の記述をつけておるところでございます。
○石毛委員 確かに、「ウ」というところに、「障害者団体や本人活動の支援」というふうに記載されてございますけれども、もう少し私はこれに関して続けたいと思います。
この部分、ミレニアムフレームワークの方では、障害に関する政策の実施やモニタリングを促進し、調整するため、障害に関する国家の調整委員会を設立し、強化するというふうに、調整委員会というような明確な、これは恒常的な機関の設置というふうに受けとめてよろしいんだと思いますけれども、国連でも、既にそうした作業はされているわけですし、日本でも、積極的に、障害者団体あるいは障害者の方の参画を実現していくんだとすれば、この十ページの「障害者団体や本人活動の支援」ということではなくて、調整委員会、つまり、政府、行政と障害者団体の方がきちっと相対し、対等な関係でモニタリングをしたり、評価をしたり、政策立案を協議していく、そういう機関を設置するということを、私は、ミレニアムフレームワークでは言及しているんだと思います。基本計画の方は、そういう意味では、「関与等を支援することを」、それで「検討する。」なんですね、「検討する。」と。
ちなみに申し上げますけれども、この障害者基本計画の中で「検討する」という文言は、これは全ページ、何文字だかわかりません。数えてはいませんけれども、「検討する」という文言だけ数えましたら、「検討」という表現が二十出ているんです、大臣。十年間の計画の中で「検討」が二十も出ている計画というのは、政府計画の中にあるのかどうか、私は存じませんけれども、これだけあいまいなといいましょうか、そういう計画も珍しいのではないかと思います。
もう一度、今政策統括官がお答えいただきました、この「政策決定プロセスへの関与等を支援することを検討する。」というのは、恒常的な機関の設置というふうに理解してよろしいのかどうかということを確認させていただきたいと思います。
○山本政府参考人 今委員御指摘のように、フレームワークの中で、障害に関する国家の調整委員会を設立し、また強化するという記述がございます。その趣旨は、そのフレームワークの前段にもございますように、要するに、障害者当事者の方あるいはその団体が主体的にそういう政策策定に参加をしていく、参画をしていくということを推進していくことが望ましいということから、このように書かれているものと思われます。その具体的な展開は、それぞれの国がいろいろな状況にございますので、その国の状況に応じて、最も望ましいやり方で参画を図っていくということがその趣旨だろうと思います。
そういう意味で、私どもは、この趣旨を踏まえて施策を進めてまいりますし、また、現在の障害者基本法の中でも、計画をつくりますときには、障害者及び障害者の福祉に関する事業に従事する者の意見を代表すると認められる方々の意見を聞いて、閣議決定をして決めていくようにという定めもございます。
私ども、既にそういったことに取り組んでいるということでもございますが、なお、よく、今後、一番よろしい方法をさらに検討していきたいと思います。
○石毛委員 何か時間がどんどんなくなっていってしまいますけれども、もう少しこだわりますと、この「当事者による政策決定プロセスへの関与等を支援することを検討する。」ということで、主語は、要するに政府なわけですよね。それで、支援するわけですから、政府が支援をするという文言、しかも、その支援することを検討するわけですから、支援するというふうに断定しているわけでもないわけで、非常にあいまいなんですね。全体が全部、まあ全部というのは少し言い過ぎかもしれませんけれども、大変あいまいな計画であるということなんですね。
ミレニアムフレームワークは、確かに、これは拘束力、強制力があるわけではなくて、アジア太平洋地域の五十数カ国でしょうか、それが合意形成したものを各国でどのように具体化していくかというのは、それはその余地があると思いますけれども、フレームワークの方は、調整委員会を設立するということですから、常に調整委員会において当事者参画が図られるということを言っているわけです。
これを日本流にどうするかというのは、この「関与等を支援することを検討する。」では、私は、余りにも政策決定といたしましてトーンダウン、レベル低下をしているというふうに申し上げざるを得ないということで、ぜひ、支援を検討するなどではなくて、政策決定プロセスへの関与等を実現していく機関を設けるというような、そうした中身に変えていただきたいというふうに思いますけれども、もう一度、御答弁はいただけますか。
○山本政府参考人 これまでも、できるだけ参画していただくように、新計画でもそのようなことで、御参画いただいてまいりました。今ここに、ミレニアムフレームワークに書いてございます趣旨を最大限生かせるように、私どもとしても、これからもさらに参画を支援していきたいというぐあいに考えます。
○石毛委員 私は、違うと思いますよ。参画を支援するという、先ほどの発言に重なりますけれども、やはり、支援ということでは主体が違うと思うんですよね。政策はいろいろな種類とか質という意味でディメンションがあるんだと思いますけれども、決定過程へというのは、別にこれは支援ではなくて、やはり決定過程なんですから、参画を共同していくという、そうした観点での恒常的な参画組織を実現していくことが決定的に重要なポイントだと思いますので、このことは申し上げておきたいと思います。
関係して、次の質問でございますけれども、確かに今統括官が言われました、一つの表現だというふうに政府はおっしゃりたいんだと思いますけれども、この基本計画を策定する過程で新しい障害者基本計画に関する懇談会が開催されておりまして、これは私は一つの前進面であるとは受けとめておりますけれども、発言者の実名入りで、発言の内容がそのままインターネットで公開をされております。ただ、では、その発言がこの基本計画にどのように生かされているかといいますと、これまた大いに疑問であるというのが私の観点ですけれども。
まず、七回の懇談会が開催されておりますけれども、どのような役割を求めたのか。これは政府のさまざまな政策の策定に関する決定プロセスの問題だというふうに思いますので、官房長官に御答弁をいただきたいと思います。
○福田国務大臣 新しい障害者基本計画を策定するということに当たりまして、いろいろな意見をお聞きしなければいけない、こういうことで懇談会を開催いたしました。障害のある人とか障害者福祉関係事業団体の代表の方、また学識経験者などから成ります二十七名の委員で構成されておりまして、昨年六月から十一月まで、七回にわたって精力的に開催いたしました。
委員からは大変貴重な御意見をいただきました。さまざまな分野にわたるものでございますけれども、例えば、知的障害者、精神障害者の方々、またその家族の方々、そういうような方々のニーズを直接お聞きする、こういう機会に恵まれたわけでございまして、そういうような貴重な御意見をいただきまして、この障害者基本計画は、この懇談会の御意見を踏まえまして取りまとめて、昨年の十二月に閣議決定いたしたわけでございます。
今後、この新計画の着実な推進に向けて、政府一体となった取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○石毛委員 政府が計画をつくったり政策の方向性を定めていく場合に、一番法的にきちっと位置づけられているのは審議会だと思います。審議会の答申の内容につきましても、それが全面的に政策展開になるかどうかというのは、その間に開差がある場合もありますけれども。そのほかに、大臣の私的諮問機関ですとか、あるいはこのような懇談会ですとか、さまざまな場が設けられておりまして、その懇談会もあたかも政策決定への参画の一つの仕組みとして、懇談会の参加者の方は、大いにその政策決定過程に参画できるという意味で、懇談会の参加への意義を感じ、とても熱心に参画されたんだというふうに私は思います。
ただ、私は、この七回の懇談会の記録をインターネットで全部拝見したんですけれども、委員の方の中には、基本計画、これも素案の段階ですとかいろいろとオープンにされてきているわけですけれども、それに対してかなり批判的な見解が出されています。それは、先ほどの、政策統括官がお触れになりました必要な法制的整備の見直しというところでいえば、ここは本当に概括的に「各種法令の見直し等による将来的に必要な法制的整備について検討する。」ということで、具体的に懇談会の意見の中でさまざまな法制的整備について指摘をされている、そのことについて、こちらは具体的にそれを受けていない、基本計画の方は受けていない。概括的には受けたのかもしれませんけれども、受けていない。
挙げられているのを記憶の限りで、例示でございますけれども、例えば、差別禁止法をつくるべきだという意見、これはかなり強く何人かの委員から主張されておりますし、それから今、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法というふうに、それぞれ障害ごとに分かれております福祉法を、総合福祉法に変更すべきだというような御意見もあります。それから、これはずっと厚生労働省の施策の中で展開されてきたことですけれども、成人障害者の方に対して民法上の扶養義務を見直すべきだという、廃止すべきだという、そうしたことの御意見も明確に出されているわけです。
先ほど、私は触れませんでしたけれども、「びわこミレニアムフレームワーク」の中で、障害に関する行動計画、五カ年というふうに規定している中でも、権利に基づくアプローチの促進ということで、世界的には四十以上の国が障害に関する差別撤廃法を採択し、アジア太平洋地域では九カ国が採択した、これは「のみ」という書きぶりになっていますが、こういう規定がございますし、各国政府は、法律や政策は国連の人権や障害に関する標準に見合うようにすべきであるというような規定がございます。
ですから、発言を戻しますと、懇談会の中できちっと発言されている、その部分がとても基本計画の中に生かされたというふうには言い切れないというふうに私は受けとめているのでございますけれども、いかがでございますでしょうか。
○山本政府参考人 七回、精力的に懇談会で会議をいただきました。要するに、障害者の方の目からいろいろな御提言をいただく、政策提言をいただくという趣旨でございまして、非常に今回の懇談会の開催というのは意義があった、その多くがこの障害者新計画に結実をしていったというぐあいに考えておるところでございます。
いろいろな御意見がございました。今委員おっしゃいましたように、そのすべてが網羅的に、発言者の方の内容をそのままに反映していない部分も、それはあろうかと思います。いずれにしましても、そういう形で非常に、参加していただいた皆さん方からもそういうよかったという御発言をいただいたところでございます。
法的な整備等につきましては、今後またいろいろそういう皆様方の御意見も聞いて精査をしていきたい、整備を図っていきたい、こういうぐあいに考えておるところでございます。
○石毛委員 抽象的な、総括的なやりとりをしていても、具体的な実りが、どのように答弁いただけるかというのはわかりませんので、少し具体的に確認をさせていただきたいと思います。
これは、懇談会第七回、最終回でございます。委員の中からは、やはりこの最後の回になりましても、具体的な指摘で受けていない部分があるというようなことで、批判的な見解が披瀝をされておりまして、それに対しまして、京極座長が答弁をしているといいますか、座長が答弁するお立場じゃないでしょうから、御発言をしている部分がございます。
それはどういうふうに御発言をされているかといいますと、例えば、委員の方から出された「意見書も議事録もすべて記録に残っておりますので、場合によっては、意見書がどういうふうなプロセスで各省協議から文案に反映されるかというフローチャートといいますか、流れ図、説明するようなもの、報告書が出た後でいいと思いますけれども、資料集としてつくる。」という御発言がございます。続けて、「皆様が出された意見書そのものは重要な記録として資料に載せられる、あるいは報告書が出たときに冊子の中に参考資料として載りますので、後の人がこの部分が入っていないんじゃないかということが言えるような資料とする、最終的な報告案がまとまりましたらそういう処理にしたらどうかと思っています。」こういう御発言をなさっていらっしゃると思います。
京極座長の、この報告書というのは何を指しておっしゃっているのかちょっと私にはわかりませんけれども、計画のほかに報告書が出るのか、報告書と資料集が出されるのか。報告書、資料集の中に、総合福祉法ですとか、それから民法の扶養義務規定の見直しですとか、差別禁止法ですとか、さまざまな具体的な指摘がございます。確かに、私は、ITの部分ですとか、バリアフリーの部分ですとか、かなり計画の中に盛られているものはあると思いますけれども、そうではない、権利規定にかかわるような部分というのはほとんど「検討する」とか、それから先ほどの「必要な法制的整備について検討する。」というような漠とした表現に丸められている。それに対する委員の皆様の御批判に対して座長がこういう発言をされたのだというふうに受けとめますけれども、流れ図ですとかフローチャートあるいは報告書、資料集で、どの発言がどういうようにこの計画の記述の中に実を結んでいったのか、そのことを明らかに文書としてお出しになられるのかどうか。座長は「処理にしたらどうかと思っています。」というふうに発言されておりますので、当局、担当された政府としてはどのようになさるか、そのことを確認させていただきたいと思います。
○山本政府参考人 基本計画としては、今先生お持ちのように、こういうことで策定をさせていただきました。それから、座長がおっしゃいました、いろいろな、もちろんその意見書でございますとかそういうものというのは議事録に載っているわけでございますが、先生おっしゃいましたようなものをどのように整理をして残していくのかということについては、また座長とよく相談をして適切なものにしたいと考えておりますが、報告書という形でお出しするというところまでは今考えておりません。
○石毛委員 報告書としてお出しになるということは考えていらっしゃらないということでございますか。
○山本政府参考人 一応基本計画ということではこれで完結をしておりますので、懇談会の後処理としてどういうきちんとした整理が望ましいのか、するのか、これはよく座長と相談したいと思います。
○石毛委員 私は、この基本計画を読みましても、懇談会の中でかなり激しくやりとりされている、そうしたことに関してほとんど読み取れる人はいないのではないかと思います。おまけに、「検討する」というような文言が二十回も出てくるようなこういう基本計画で、それでは二〇〇三年から二〇一二年までの間に日本政府が障害者施策に対して本当に共生社会の実現に向けて何をしていくのかというのがわからない、読み取れない部分がいっぱいあります。
確かに、五年間の数値目標で、例えばバリアフリーに関する部分などはどのようにしていくかということは、かなり明確に出ているというふうに私も受けとめている部分もございますけれども、それでも、例えば真に必要な入所施設のあり方というのはどういうことなのかというのもよくわかりませんし、三十三万人ですか、入院していらっしゃるうち、社会的入院が七万人を超えているというふうに言われている精神障害の方につきましても、それはどういうふうにしていくかということも必ずしもこの計画では明瞭に読み取れるわけではありません。ましてや、さまざまな法律をどのように検討するのかしないのか、素材にのせるのかのせないのかというようなことは、ほとんどの方がこれを見たってわからないと思います、この計画では。
今、この計画は完結しているというふうに御答弁になりまして、報告書、懇談会報告をどのようにまとめるかということにつきましては座長と検討するという御意見では、私はちょっと納得しかねるといいますか、計画をつくりました、要するに政策主体としてどのようにこれからの方向性を進めていくおつもりなのか。
これは、懇談会というのは、言ってみれば政府の正式機関ではないわけですよね。まあ正式を、何をもって正式というかいわないかということもあると思いますけれども、例えば政令に基づいて設置されたものでもないのだと思いますし、言ってみれば任意の懇談会なんだと思います。そこで座長と相談してこれから決めていくと言われましても、私は、この中で盛られているまさに具体的なそれぞれが非常に重要な意味を持っていると思いますので、基本計画は閣議決定されたもので変更の余地がないとおっしゃられればそれまでなのかもしれませんから、座長が言われているように、明瞭にフローチャートのようなものをつくって、何がどこに含意されているんだということをきちっと明らかになるようなものをぜひ出していただきたいと思いますけれども、もう一度御答弁いただけますでしょうか。
○山本政府参考人 できるだけこの計画の内容がよくわかるようにという趣旨から座長の発言もあったものと思いますので、適切な、今先生おっしゃったようなことで、この計画をみんなで推進していくという観点からの資料整理がきちんとできるように、座長ともよく相談をしてきちんとやりたいと思います。
○石毛委員 それはいつごろまでに明確にしていただけますか。
○山本政府参考人 できるだけ早くやりたいと思います。
○石毛委員 くれぐれも、検討しますと同じ語意ではないというふうに私は解釈させていただきますので、ぜひとも早急にお願いいたします。
非常にこだわりましたのは、今、国際的な関係の中で、国連でも御承知のように障害者の差別禁止に向けた条約策定に向けて委員会設置になっているところでございますし、国内的にも、実態的なさまざまなサービスの充実とともに、やはり最も求められている、そのことが差別禁止ないしは権利を実現するというこの規定が求められているわけでして、その部分に関しまして基本計画はほとんど明らかにしていない。その部分がほとんど「検討する」ということになっているわけですので、これだともしかしたら十年間の間、貴重な二十一世紀初頭といいましょうか、最初の障害者基本計画十年が何も権利に関しては具体化していかないということになりかねない。そのことを非常に危惧するわけでございますので、ぜひともこの中身をよく受けていただきたい。このことについてはずっとこだわり続けてまいりますので、申し上げさせていただきまして、次の質問に移ります。
もう時間がほとんどなくなってきてしまいましたけれども、福田官房長官に一言だけお尋ねしたいと思います。
一月十四日から、支援費問題にかかわりまして、障害をお持ちの方々が、寒い中で厚生労働省前に、車いす初め皆様が座り込みをするなど、大変な危機的な状況が起こってきたわけですけれども、そのことにつきましては大臣は御存じでいらっしゃったでしょうか。そのことをまずお尋ねします。
○福田国務大臣 新聞で読みました。
○石毛委員 支援費の問題は、もう時間の関係もありますし、それから事細かに触れる余裕がありませんけれども、基本計画の方では、一番大事な「基本的な方針」、その「考え方」の中で自己選択と自己決定のもとに社会のあらゆる活動に参加、参画するとともに、こういう基本的な方針が示されています。また、視点としまして、利用者本位の視点で、地域での自立した生活を支援することを基本に、障害者一人一人のニーズに対応してライフサイクルの全段階を通じて支援を実施するという、地域でというようなことですとか、自己選択、自己決定のもとにという、これが一番のエッセンスになっているのがこの基本計画なんですけれども、支援費の問題といいますのは、ホームヘルパーを在宅、地域で暮らす方に派遣する場合に各自治体に対して配分基準を設ける、こういう内容。いろいろあるわけですけれども、そこはもう省略しまして、配分基準を設けるという内容ですけれども、この利用者支援、自己決定、自立支援という観点から、厚生労働省のこの支援費の配分基準を設けるということに関して、私はそごしているのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○福田国務大臣 十五年度から、障害者がみずから福祉サービスを選択する仕組みでございます支援費制度が施行されることになっておりまして、これは、新しい障害者基本計画において、地域での自立した生活を支援するということを施策の基本としている、そういうことでございます。
○石毛委員 時間がありませんので、これについてはまた改めまして機会をいただきたいと思います。
済みません、石原国務大臣。大変お待ちいただきまして、残り時間が少なくなってしまったわけですけれども、公益法人制度の抜本的改革に向けた取り組みについて、二〇〇二年の三月二十九日に閣議決定がされておりまして、二項目あります。
公益法人、民法第三十四条の規定により設立された法人について、関連制度等も含めて抜本的な、体系的な見直しを行う、その見直しは、二〇〇二年度中、つまりことしの三月末を目途に大綱を閣議決定して、それに沿って進めていくというような、こういう段取りになっております。
現況から少し詳しくと思ったんですけれども、済みません、時間がありませんので。
それで、この間、大臣も御存じのとおり、新聞報道ですとかインターネット等々で公益法人改革の漏れ伝えられている内容につきまして大変いろいろな意見が出されておりますし、三月二日の日曜日ですか、公益法人改革オンブズマンという市民団体の立ち上げというようなこともお聞きしております。
私は、結論的に申し上げたいと思いますけれども、これほど非営利法人原則課税というふうに、まだ公式に出されたわけではないと思いますけれども、そうしたことが伝えられている中で、特にNPO法人関係者の中からは非営利法人原則課税というのはおかしいというような意見がたくさん出てきておりますし、公益法人協会からもいろいろな意見が出されてきておりまして、ここに至って急速にいろいろな意見が出されてきておりますので、私自身は、三月中にこの公益法人改革の大綱を閣議決定するのは拙速ではないかというふうに考えているところでございますけれども、そのことに関しまして大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○石原国務大臣 ただいま委員の方から公益法人制度をめぐりまして、政府として、スケジュールと、公益法人、実は民法三十四条法人ですけれども、明治以来抜本的改革を行っていなかったので、今回この公益法人のあるべき姿、これからの時代に合ったあるべき姿というべき大綱、仮称でございますけれども、こういうものを来月の末を目途に策定する、そして委員の御質問は、いろいろな意見があるから拙速ではないか、そういう御質問であったと存ずるところでございます。
この点につきましては、もちろん、二万六千公益法人がございますし、そんな中で、今、民間非営利活動を現在の社会経済の中でこれまでよりも積極的に位置づけていこう、その一環としてNPOというものができて、ここも一万を数えるほどの法人ができてきた、こういうのが現実だと思います。
そんな中で、昨年来、かなりさまざまな分野から御意見も実はちょうだいしております。というのは、公益法人制度に対してはどういう問題があるのか、これはもう、委員は民主党の方でNPOの局長をされるなどこの問題についての専門家でございますから、釈迦に説法かもしれませんが、やはり縦割りになっていて認可基準が不明瞭であるとか、さらにはさまざまな不祥事を起こす公益法人等々もある。そういうことの中から、どういう論点があるのかということを昨年の八月に論点整理という形で発表させていただきまして、パブリックオピニオンもちょうだいしたほか、公益法人を現在実際に運営している方々、あるいはNPO法人を運営している方々、また学識経験者の方々等々の懇談会もつくらせていただいて、私もその会合に出席をさせていただきました。
やはり先ほど言いましたような設立許可や公益性、この公益性という言葉が一つポイントだと思うのですけれども、これが自由裁量で不明確であるといったような意見も出されましたし、NPO法人を運営している側からは、公益法人とどう相違があるのか、あるいは公益法人サイドからは、NPOをどう見ているのかといったような有意義な意見を聞かせていただき、現在鋭意検討しておりまして、後段の、税の部分については、これも委員御承知のことだと思いますけれども、現在、政府税調の中にワーキンググループができて、原則課税、原則非課税といったような問題も御議論をされていると承知しております。
ただ、私、誤解があると思うのですけれども、原則課税ということによってすべてを全部課税する、すなわち、NPOという法人は善良な一般市民の方々からの寄附によって運営されているケースが非常に高いわけですから、それを全部課税しちゃうよというような意味で原則課税ということが論議されているのではなくて、設立が不明瞭である、先ほどお話ししましたように、官庁の縦割りの中で設立されて自由裁量が働いている、そういうことに対して、その問題点を除去していく上では、やはりこれからは準則というんでしょうか、設立したいものは設立してください、そういう形が望ましいんじゃないかという声がかなり大きな部分であった。そうであるとするならば、だれでも設立できるものが全部原則非課税ですよというのはいかがなものかということでこの原則課税論が私は出ているのだと思います。
個人的な意見ですけれども、これはもちろん政府税調で御議論をされることになるわけですけれども、私としては、やはりこういう寄附税制、こういうものはせっかく十五年度改正でかなり緩和されたわけですね、三つの点を中心に。こういうものが一つのメルクマールになっていってしかるべきものだと認識をしております。
○石毛委員 新聞報道等によりますと、まだ政府税調の中の非営利法人に関するワーキンググループでも、原則課税と原則非課税の論が大変激論を交わし合っているというふうに受けとめていいんだと思いますけれども、公益法人改革、三月末を目途にというところで、それは間に合わせると言われてしまえばそれまでですけれども、とても一つ一つの論点を詰めていくのは間に合うのかどうか。では公益性をどう担保するかということでも、新しくどのような第三者機関をつくっていくのか、あるいは所轄官庁が関係するのかしないのか、多岐にわたるさまざまな論点があるというふうに思います。
それから、懇談会につきましても、私は、懇談会というのは、先ほどの障害者基本計画に関しましても、大変、くせ者だという表現はちょっと言葉が過激かもしれませんけれども、どういうような権能を持っているのかわかりにくい。
この公益法人改革に関しましても、七回の、昨年十二月までの段階のがインターネットでオープンにされておりますけれども、七回目のその懇談会でも、論点はいろいろ指摘されていますけれども、それに対する方向性の認識が一致しているわけではないということで、とても三月中に合意形成して閣議決定に持ち込んでいくというような段階ではないのではないかというふうに私は考えているわけでございます。
そういう意味では、これは三月中に閣議決定するというのは目途ということでございますから、必ずしも三月中に閣議決定をフィックスしなければならないというものではない。だって、まだ原案が示されていないんですよね、社会的には。ですから、その原案に対してどのような意見があるかということも定かではないような段階で三月中に閣議決定していくというのは、私はいかがかというふうに思っております。
目途ですから、ぜひともこの間、十分な論議を尽くしていただいて、閣議決定、拙速しないでいただきたいというふうに要請したいと思いますけれども、いかがなものでございましょうか。
○石原国務大臣 税の部分につきましては、さまざまな意見があるということは承知しております。公益法人の課税実態が、許されることを逸脱しているものがあるという意見、あるいは、その一方で、NPOを支援していく税制というものを維持していくという意見、さまざまなものがあることは承知しておりますが、政府税調のワーキンググループ、水野先生が座長でございますけれども、三月の第一週には座長の原案というものも出ると聞いておりますし、こういうものも十分拝見させていただいて、三月の末を目途に、私どもで整理したこれからの公益法人のあるべき姿というものをお出しすべく、今鋭意努力をさせていただいていると御理解をしていただきたいと考えております。
○石毛委員 目途ということでございますから、その点を再度申し上げさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で石毛えい子君の質疑は終了しました。
次に、西村眞悟君。
○西村委員 あらかじめ申し上げた質問事項に従って質問いたしますが、十二時からの十五分については男女共同参画社会関連の質問といたします。
では、お願いいたしますが、私は、旧正田邸解体問題に関しては強い問題意識を持っておりますので、これについて再度質問いたします。
この旧正田邸は国有財産である、相続税の物納を受けた国有財産である、これは公知の事実であって、この前提で行政は解体を決定して、実際に解体工事を開始したわけでありますが、現に私がここでこの国有財産の管理に関して質問をしているので明らかなように、これは官房長官、政治の問題である。国会で審議してもいい問題であり、むしろ審議すべき問題の中に入っている。これの出発点の確認は、官房長官、いかがですか。
○福田国務大臣 これは行政の問題でもあるから、したがいまして、国会で議論してはいけないということはないと思います。
○西村委員 ということは、これは国会で審議する問題として私は審議している、この審議は何ら不当ではない、むしろもっとやれ、とめる理由は全くないということですね。
○福田国務大臣 とめる理由は、全くこちらとしてはございませんが、これは委員も大変御熱心でございまして、委員のお気持ちも大変よくわかるところもございます。しかし、今まで累次御説明を申し上げております、そういう御説明で御納得をいただけたらばいいなというふうに正直私は思っております。
○西村委員 それは国会議員の越権である、議論してはならないという御発言は何もなく、いろいろこの問題について私に対して御説明いただいているということで、この問題はやはり政治問題ですね。国会で審議している、現に今進行中の問題であります。
さて、この問題に関して、もう私の質問はおわかりだと思いますが、時候のあいさつ等々のことではなくて、現に今、国有財産の管理として国会で取り上げられているこの問題に関して、政府が言うように、皇后陛下御自身は旧正田邸を残してほしいとのお気持ちがないことを、客観的な事実として国会議員や地元で保存運動を行っている関係者に御承知いただくために、皇后陛下の御意向を公表しながら、保存運動をやめていただきたいとかいう説得をする、宮内庁が。これは許されないのではありませんか。
時候のあいさつ等々ではなくて、現に行われている国有財産の管理に関して、皇后陛下の御意向を客観的事実として公表することによって解体を実施する根拠にする、保存運動をしている人にその保存運動を断念させるということは、してはならないのではありませんか。
○福田国務大臣 これも委員には以前にお答えしたことでございますけれども、この旧正田邸に関しまして、皇后陛下には建物を残してほしいというお気持ちがないことを常々申されていたというように聞いております。しかしながら、ゆかりの建物を取り壊されるのはおかわいそうだという気持ちでもって、取り壊しに反対する方が出てきたということから、何も知らせないといった場合には、皇后陛下のお気持ちが誤解されたまま事態が進展することになってしまうおそれがあると考えられました。
そのため、宮内庁から、皇后陛下の、御遺族の一人としての率直なお気持ちを客観的な事実としてお知らせすることとしたものでございまして、もとより国有財産でございます旧正田邸の処分の決定に介入するというような趣旨ではなくて、御指摘のように、皇后陛下の御意向に従うよう国民に要請した、そういう事実ではございません。
○西村委員 今、官房長官のお答えで、おかわいそうだという発言が出ました。おかわいそうだという動機で保存運動をやっている人にはともかく、これが歴史的、文化的、建築学的な文化遺産であるという観点から保存運動をやっている人には、おかわいそうという気持ちをもって説得はできないのではないですか、どうですか。
○福田国務大臣 それは、そういうことも正しいと思います。ただし、この建物がそういうことでないならば、文化的な価値があるか何らかの価値がある、こういうような観点からその存続を不必要とする、こういうことになるんだろうと思います。
文化庁は、この文化的価値については、建築以来数度にわたり大きく改造、改修が行われていると聞いており、現状を判断すれば建造物としての文化財の価値は著しく損なわれていると考えられる、こういう見解を示しております。
この財産は、相続税の物納により引き受けた財産でございまして、財務省は、国有財産の管理及び処分の基本方針に従って、建造物としての文化財的価値をも考慮しつつ処理策を決定した、このように理解をいたしている次第でございます。
○西村委員 それはわかっておりますが、この問題以前に、再度聞きますが、皇后陛下の御意向を語って、我々に口コミで、内々社会ですな、これが伝わってくるのならともかく、地元で保存運動をしている人に保存運動をやめるように説得する材料として使う。また、軽井沢町が移築を申し出ておったのでありますが、この皇后陛下の御意向の発表によって移築を断念した。つまり、確定的に旧正田邸というものが解体されるように作用させたということに関して、私は再度お聞きしますが、この論理は許せないと私は思っております。
なぜなら、このお気持ちを、客観的事実という言葉のレトリックを用いて御承知いただくために公表をできるならば、前も申し上げました、時間が足らずにお答えは十分でなかったんですが、皇后陛下は小泉内閣を支持するお気持ちはないということを、客観的な事実として公表することもできるんです。
したがって、こういう論理を用いて今回の問題を乗り切られたら、将来非常な禍根を残すのではないか、このように思いますが、私のこの考えは間違っておるんですか。
○福田国務大臣 一般論として申し上げれば、それは、委員のおっしゃることは正しいと思います。しかし、本件についていえば、天皇家が政治に関与するとか、そういったような性質のものでございません。ですから、私は、委員の御懸念というのは、今回のことについて申し上げれば、ないというように申し上げたいと思います。
○西村委員 本件ではないということは、私もそう思いたいですが、しかし、一般論として私の言うことが正しいというならば、この一般という基準の中にある本件でこれが正しいのかという説明にはなりませんね。
宮内庁というか、政府が発表する客観的事実として申し上げることが本件ではよかったと。一般論で私の言うことが正しいというなら、原則として、国会で審議される事項に関して、皇后陛下のお気持ちはこうだからこうだという客観的な事実を公表してはならないということなんですから、本件でもだめなんじゃないですか。
それで、皇后陛下のお気持ちがあるから私も正田邸解体に納得しろ、こういう論理なんです、行政は。だとするならば、この国会は、皇后陛下のお気持ちをどのようにして確認するんですか。大切な国民の国有財産が解体して消滅するか保存されるかの重要な判断のポイントで、皇后陛下の御意向だから保存運動はやめろ、解体に納得しろというなら、その皇后陛下の御意向をいかにして我々は確認するんですか。
○福田国務大臣 皇后陛下のお気持ちを確認する方法は、これは直接的にはないと思います。ですから、先ほど申しましたように、客観的な事実としてそういうようなことがあるということを申し上げた、まあ紹介したというのがこの説明になっております。
○西村委員 皇后陛下のお気持ちを確認するすべはない。だったら我々は、皇后陛下のお気持ちを体してということは言えないんじゃありませんか、確認するすべがないんですから。どうなんですか。確認するすべがないというのは、あるかないかわからぬということですよ。だから言えないんじゃないですか、これが容認されるならば。
○福田国務大臣 私も、どういう事実があったか、これはわかりません。わかりませんが、その事実を確認しているのは宮内庁である、こういうことになります。
○西村委員 そもそも、官房長官も確認できない、しかし、国有財産の解体是認、保存運動中止の本当に重要な要素となるこのようなことを、皇后陛下に公表を前提としてその気持ちを尋ね、公表するのが妥当なんですか。そもそも、皇后陛下御自身として、仮にですよ、国有財産を保存しましょうか解体しましょうか、お気持ちはどうですかと聞かれたら、お答えになるお立場なんですか。聡明な皇后陛下は、政府の決めたことを、いや、政府は解体と決めたらしいが、あれは保存しなさいと言うはずがないではありませんか。
だから、皇后陛下のお言葉というものは、官房長官も確認のすべがない。それでいいんです、この政治問題に関して。しかし、政治の責任を全く負わない宮内庁の役人が、確認したと称して、我々にならともかく、直接一般国民に、保存運動をやめなさい、皇后陛下は御迷惑されておる、こういうことを許していいんですか。私は許せない。
○福田国務大臣 これは、先ほども申し上げました、また繰り返しますが、皇后陛下が常々そういうことをおっしゃっていた、そういう事実を、宮内庁が事実として確認していることを伝えた、客観的な事実として伝えたということでありまして、これは別に、この問題が起こってそういう皇后陛下のお気持ちがどうだと、こういうことでなくて、その前からそういうことを言っておられたというように私は理解いたしております。
いずれにしましても、このことは、国有財産の管理及び処分の基本方針に従いまして、建造物としての文化財的価値をも考慮して財務省として決定したものである、こういうふうに承知をいたしております。
これと並行いたしまして、文化庁に対しては本件物件の建物の文化財的価値について照会しておりまして、昨年十月初めごろ、建造物としての文化財の価値は著しく損なわれているという見解を確認していると承知しております。
○西村委員 押し問答みたいになるので、しつこいように思われるかもしれぬけれども、私は本当に重要なことだと思っておるんですね。官房長官自身も確認のすべがないということは御答弁なさった、そして国有財産の解体に関する皇后陛下のお気持ちであると。
再度言いますが、この問題が起こってからではなくてというふうにおっしゃいました、平素からそういうお気持ちを漏らされておったと。これを客観的事実として申し上げる、これも官房長官は確認したわけじゃない。これが許されれば、平素から小泉さんは嫌いだとたびたびつぶやいておられた、これを客観的事実として申し上げることもできる。何か歯どめがないものですか、歯どめが。平素から申し上げていることを客観的事実として公表することが宮内庁ができるなら、とんでもないことになる、こう思うんです。
この私の問題意識は、私はこの国の議員としてまともだと思うんですが、何か私、偏執狂ですか。まともだと思うんですが、官房長官、どうですか、コモンセンスだと思うんですが。
○福田国務大臣 私は、委員は大変お考えの深い方でいらっしゃいまして、この問題に真剣に取り組んでいることは大変大きな意味があると思います。そういうことで、私も、委員の御質問に対しては真摯にお答えしなければいけないというように思っておりまして、何度も何度も同じことを質問されますけれども、飽きずに答弁しているつもりでございます。
○西村委員 議論は有益なものでありまして、きょう、やっとわかった、官房長官も確認するすべがない。こういうことを非常に重大な問題だと受けとめて質問する議員が国会の中にいるということは、御承知おきいただきますように。そして、多分私の論理は正しいと思いますよ。これはアリの一穴で、立憲君主制を腐食させます。
さて、おかわいそうだということはともかく、正田邸が価値がないと。これが、再度言いますが、官房長官、自分が生まれ育って、御両親とともに幼児期の懐かしい思い出が詰まった家の解体を望む人は一人もおりません。これは我々のコモンセンスです、常識です。それを、あえて仮に宮内庁が聞いたとすれば、公表を前提として、本当のことをお答えになるはずがない、もはや国有財産ですから。そういうことを公表すること自体、懲戒免職に値しますな。特に、国民の一人に電話をかけて、保存運動をやめろ、皇后陛下に迷惑をかけたと。彼、電話をかけた者しかわからないことを、官房長官にもわからないことを、さも、それこそ金科玉条のごとく。
尾崎行雄の弾劾演説というのに、詔勅をもって弾丸となし、玉座をもって胸壁となして、もって政敵を狙撃するものなりというものがありましたか。大正、明治の政治家の方がこの問題の重要性については敏感だったと私は思いますよ。我々も、再度これは敏感にならなければならないと思っています。まして、政治的責任を負わない者が勝手に国民に電話をかけて、皇后陛下の御意向を語るとは何事か、国有財産の処分に関して、こう思っているんです。
さて、おかわいそうというお気持ちとは別に、この建物は価値があるのかないのかということについて文化庁が判断したことは御説明を受けてわかりますが、ほかは、価値があると判断しているという材料も多いということは、官房長官もおわかりいただいておるわけでしょうか。
例えば、日本建築学会の日本近代建築総覧では、「とくに重要なもの、あるいは注目すべきものと考えられる」ということで、リストに載っております。そして、「これを拠点として地方の建築ならびに都市の文化遺産の見直しが広く行われるようになることを切に期待するものである。」こうなっておるわけであります。
また、文化庁の説明と称するものは、増改築が行われているので価値がないというふうになっております。しかし、絵画や彫刻の改ざんならともかく、建築物というものは人が使用し、住み続けるものでございます。したがって、文化女子大学の内田教授は、増改築の件について、「いずれにしても、正田邸は増改築を経ているが、それらは昭和八年の創建時の様子を保ちつつ行われたもので、当初の状況をよく留めるといえる。それらの増改築は、昭和八年からスタートした家族生活の痕跡であり、それらこそ」、「それらこそ」ですよ、「戦前・戦後のわが国の都市における中小規模独立住宅の生活の変遷を具体的に知りえる貴重な住宅の遺構といえるのであり、登録文化財としての価値を十分有していると考えられる。」このように、今御紹介した二つの価値があるという判断があるわけです。
それでも官房長官は価値なきものという国有財産に対する答弁を維持し、そしてこれを解体、消滅させてしまうことを支持されるわけですか。
○福田国務大臣 この建物が文化財として価値があるかないか、これは私も専門家でないからわかりません。したがいまして、文化庁の、文化財保護法、この法律に基づいて判断をした、この関係当局の判断に従う、その判断が妥当なものであるかどうかということでなかろうかと思います。
ですから、そういう文化庁の判断に基づいて財務省も処分を決定した、こういうことであるかと思いますので、文化財の議論になってしまいますけれども、私は行政当局として妥当な選択をしたのではないかと考えております。
○西村委員 文化庁の判断をもって解体を根拠づけて、それを維持されるようですが、文化庁の判断というのは増改築という建築学的な観点からのみでありまして、歴史的な観点からの価値があるかないかの判断はされていないんじゃないですか。これが皇后陛下の御生家であり、そして、国民は御成婚のときに感慨を込めて眺めた住宅があれだという歴史的価値、そして我が国の国体から導かれる価値。
つまり、我が国は憲法第一章一条に「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」であるという条文を持つ国家にして、その天皇陛下の配偶者、皇后陛下であられる、そして、いずれは天皇陛下の御生母になられる方である。したがって、文化庁の判断にこの私が言った歴史的、社会的、国家の構造からくる価値判断はありますか、ないでしょう。
文化財というものは、文化財保護法でわかりますように、政府の責務は、第三条で「文化財がわが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、且つ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存が適切に行われるように、周到の注意をもつてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない。」こう書いてある。「わが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできない」、まさにそうではありませんか。我が国の昭和の御皇室、国民が初めて国民の御皇室と感じたあの御成婚の歴史と、そして二千年にわたる我が国の天皇という存在の歴史、これらを皆体現しているものではありませんか。文化庁の今の判断がどうしてそこに及んでいるんですか、全く片手落ちではありませんか。
○福田国務大臣 文化財として法律に基づいてどのようにするかという、内容については私もわかりません。わかりませんが、その法律に基づいて正当な判断をしたというように私は承知をいたしております。
○西村委員 もう一度この文化的価値を見直していただけませんか、まだ今現存していますから。あれを解体してしまえば、取り返しがつきません。いま一度見直す必要があると思います。再度、どうですか、見直していただけませんか、官房長官も存じませんと言われたわけですから。
○福田国務大臣 これは文化財保護法でもって判断を示しているわけでございます。ですから、その判断を変えろということになるような委員のお話でございますが、法の執行という意味において、これはやはり慎重に考えなければいけないと考えております。
○西村委員 私も慎重に考えて、あの文化庁の判断は極めて浅薄であると。これは国民の前に堂々と説明する必要があるだろう。そして、片やこの建物に価値があると署名した八万五千人の人たち、それから先ほど紹介した日本建築学会、そして建築史の内田教授等々との論争にたえ得る判断であるかどうか、慎重に判断してから、まだあるわけですから、私は解体はやめるべきだと思います。
これで質問を終わります。
○佐々木委員長 以上で西村君の質問は終了いたしました。
次に、山内功君。
○山内(功)委員 民主党の山内功でございます。
きょうは谷垣大臣に主にお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。
大臣は、所信の表明で、最近の治安情勢は極めて厳しい状況にある、国民の安全と安心を確保するために、警察の役割はより強く期待されている、現下の治安情勢に的確に対応するために警察力の一層の充実強化が必要で、地方警察官四千人の増員予算を盛り込んだと主張されておられます。私もこの意見については賛成なんですけれども、こういう増員計画を国民の皆さんに納得してもらう、あるいは大臣の思いを国民の皆さんに理解してもらうためには、警察官あるいは警察行政が信頼されるということが大前提だと思うんですけれども、どう思われますか。
○谷垣国務大臣 今委員が御指摘のように、治安情勢が大変厳しくなってきておりますので、それに取り組みますには、やはり警察官の人的増強といいますか、こういうものが極めて大事であるというふうに思いまして、今委員が御指摘のような、ことしは四千人の増員をお願いしているわけであります。
しかし他方、増員だけすればそれで解決するというものでないことはもう委員の御指摘のとおりでございまして、全体の信頼を取り戻すという大きなテーマ、もちろんございます。その大きなテーマのもとで、この増員した警察官のみならず、警察官の資質の向上、こういうことが極めて大事なのではないかと思っております。
したがいまして、各級警察学校あるいは職場における教育、これを一体的、計画的に推進をしていかなきゃならない。そういう意味で、そういう中で法の執行者に求められる倫理観と職務執行能力を磨いていく必要がある、こういうふうに考えております。
○山内(功)委員 しかし、最近のニュースを拾っただけでも、大変残念な事件がたくさん生じています。
例えば、一番新しい事件では、長野県警の警察署長が天下った交通安全協会で、専務理事として、私たちが免許の更新に行ったら必ず取られる協会費あるいは補助金の中から七百万円も横領している。しかも、その当時県警の幹部、もう一人も共犯者として捕まっている。交通遺児をふやさないとか無事故の社会を実現したいというような、そういう思いというか、そういう気概というのがもう低下しているんじゃないでしょうか。
○谷垣国務大臣 今の長野県警の、長野の安全協会の報道が最近ございました。一番住民に近いところで安全意識の向上を住民と一体になって取り組むべき安全協会の中で御指摘のような事件が起きたことは、大変残念なことだと思っております。
この事件につきましては、現在長野県警で捜査中でございますけれども、警察庁におきましても、今後同種事案の再発を防止するために、都道府県交通安全協会の経理に係る指導監督の徹底について通達を出したという報告を受けております。
いずれにしても、公益法人である交通安全協会が国民から批判を受けることのないように、厳正、的確な指揮監督がなされなければならないと考えております。
○山内(功)委員 もっと交通安全協会を、組織に手を突っ込むとか、天下りをきちんと規制していくとかいうような考えはないんですか。
○谷垣国務大臣 先ほどちょっと通達を出したということを申し上げましたけれども、通達の骨子は、協会経理の再点検をしろ、立入検査における現金、預金の出入状況と会計帳簿の突き合わせ等をきっちりやるように、それから監査の強化、監査体制の強化、監査内容の充実について監査担当役員への指導を強化する、それから協会役員への指導を強化する、こういう骨子で通達を出して、その趣旨で徹底してやってもらいたいと思っております。
○山内(功)委員 もう少し私としては考えていただきたいんですが、この公益法人改革とか交通安全協会の問題については、また逐次大臣と議論をしたいと思っています。
最近出た最高裁判所の判決で、違法収集証拠について最高裁が初めて画期的な判断をしたという判決が出ました。逮捕状を示さずに逮捕をして、そこで出た覚せい剤の反応を鑑定した鑑定書を使って有罪とは認定しないという内容の判決なんですけれども、まず、逮捕状を示さない警察官がいるとか、あるいは逮捕状を示したという書面を後で虚偽文書を作成しているとか、裁判所の法廷で、被告人は逮捕状を示していないと言っているけれどもどうかということで呼ばれた警察官が、堂々と、逮捕状を示したという虚偽の証言をする、こういう一連の警察官の態度を見て、大臣、どう思われますか。
○谷垣国務大臣 今委員が御指摘の最高裁判決が出た事案は、平成十年五月に、滋賀県で警察官が被告人を窃盗、車上ねらいの共犯だという容疑で通常逮捕、そして同日、被告人から尿の任意提出を受けたところ、その尿中に覚せい剤が含まれていたということで、この人物を覚せい剤の使用、所持容疑で再逮捕したという事案でございます。
本件は、公判で、窃盗容疑での逮捕時における逮捕状提示の有無が争われた。今委員もおっしゃったところでございますが、第一審それから控訴審判決において、逮捕状の提示はなかったと認定されまして、御指摘の最高裁判決でもこの事実認定を前提として、被告人から任意提出された尿に関する鑑定書について、違法収集証拠として証拠能力を否定すべきであるとされたわけでありますが、こういう判決が下されたことを私どもは厳粛に受けとめていかなければならないと思っております。
今後とも、適正な捜査を行うように、指導あるいは教養、教育を徹底してまいりたい、こう考えております。
○山内(功)委員 また、三日ほど前の新聞では、警察署において交通切符の送致事務を担当していた警察官が、三年間もその切符の処理を忘れていて、酒気帯び運転等十件の交通切符を時効にさせたという事件がございますが、これなどはもうまさに警察官としての仕事をしていないと思うんですけれども、どうですか。
○谷垣国務大臣 この件に関しましても、十一件の処理を適切にしなかったために、酒気帯び運転十件につきまして時効が完成をしてしまったという事案でございまして、大量に処理していく中でこういうことが起こったというふうに聞いておりますけれども、大変残念な事件だと思っております。
この点につきましては、システム等も改めまして、交通切符の適正な取り扱いを期するため、もちろん指導、教養というものも徹底しなければなりませんけれども、交通切符等管理システムというのを導入しまして、切符の保管とか処理状況について確実な把握と管理を行うことにしてこの種事案の防止に努める。これはまだ全国全部入っておりませんけれども、今逐次導入をしているというところでございます。
○山内(功)委員 しかし、今大臣が言われたことは、そんなことは当然もう何十年も前からしておくべきことじゃないんですか。切符の管理を、例えば一人の警察官しか関与させていないということ、もう全く論外だと私は思います。
この事案で責任を問われたんですが、当該の巡査が本部長訓戒、その指揮監督をしているいわゆる警察署の上司も本部長訓戒、これは余りにも軽い処分じゃないんですか。
○吉村政府参考人 本件の事実関係につきましては今大臣から御答弁されたとおりでございますが、大分県警の監察課で当該事案について調査をいたしましたところ、当人につきましては、意図的にもみ消す、放置をするということではなくて、いわば失念をしたということの事実関係でございましたので、今御指摘のとおり、当該巡査長を本部長訓戒で、その上司二名を本部長訓戒等の措置としたというふうに承知をしております。
○山内(功)委員 しかし、飲酒運転あるいは酒気帯び運転の罰金刑相当の人、十人の有罪の人を処罰しなかったわけですよ。無罪の人は絶対に一人でも処罰してはいけないけれども、こういう悪質な交通事犯の場合に、十人もの人を処罰しなかった。しかも、罰金の総額は幾らになるんですか、十件分で。質問レクで聞いたでしょう、調べていませんか。これは相当な額でしょう。これは県警の収入になるんですかね。こんな多額の罰金を取り損なったのに、訓戒だけで終わっていいんですか。
○吉村政府参考人 ただいまお尋ねの酒気帯び運転は五万円以下の罰金でありますから、十人ということで掛け十ということにはなります。
繰り返しになりますが、意図的にこのようなことをやったということであれば県警としてしかるべき対応措置をとったと思いますが、失念をしたという事実関係でございましたので、県警におきまして、大分県の公安委員会とも連絡をとった上で、管理を受けた上で、以上申し上げましたような措置をとったということで御了解をいただきたいと思います。
○山内(功)委員 奈良県の警察署でこういう事件がございました。これも数日前に報道に接したんですけれども、去年の十二月の三十日に逮捕されて留置をされていた人が、ことしの一月八日になって、実は覚せい剤を打つのに使っていた注射器を留置場の中で十日間持っていましたといって、十日たってから検事の調べのときに注射器を検事に提出した、こういう事件がありましたが、これは大臣、どう思われますか。
○谷垣国務大臣 今御指摘の事案は、去年の末に奈良県警の警察署で留置場内に注射器が持ち込まれたというものでございまして、こういう不適正な事案が起きたことはまことに残念なことだなと思っております。
事実関係を聞きますと、この被疑者はキャバレーに下着姿で入店していたため保護したということですが、その保護を解除するとともに強制採尿を行って、覚せい剤使用で緊急逮捕した。ところが、逮捕前に、保護していたときに家族から着がえが入っているスポーツバッグの提出を受けていたが、その中に注射器が、この家族も気づいていなかったようですが、注射器が入っていたという事案でございます。
これは大変不適正な事案でございますので、さらにこの点も諸対策の推進に努めなければならないと思います。公安委員会は、警察から監察の実施状況や被疑事案の対応については、これは適時適切に報告を受けて、警察を管理する立場からチェックを行い、指導しているところでございますが、こういう不適正事案の再発防止のためもろもろの対策をしっかりやっていくことが重要であるというふうに私も思います。今後、そういう観点から警察を督励していかなければならないと思っております。
○山内(功)委員 しかし、一月前ほどの報道では、留置場の中で覚せい剤の譲り渡しがあったというような事件も起こっているんですよ。
私は、今、この奈良県の警察の留置場内で起きた事件については、逮捕から十日もたってから検察官に注射器を提出したというのが非常におもしろいと思っているんですけれどもね。注射器を提出するのは、逮捕された日でも、翌日でも、翌々日でも取り調べ刑事に提出すればいいのに、十日もたってから検察官に提出したということは、そのことだけでも、国民警察という、もっと、被疑者あるいはそういう悪いことをした人たちからも、自分の悪いことあるいはいいことみんな、警察官はきちんと聞いてくれるんだという信頼感が何かないのかなという感じがするんですけれどもね。
この留置場の係の人やその上司の人、この人たちに対しての処置は、所属長注意で終わっているんですよね。これは物すごく軽くないですか。
○谷垣国務大臣 今、奈良の事案と、それから留置場の中で覚せい剤を譲り渡した事件、これはことしの一月末、群馬県警で起こった事件でございますが、この群馬の事件は、禁制品である覚せい剤が留置場内に持ち込まれたということで、私はこれは極めて遺憾な事件であると思っております。ここはもう厳正に対応していかなければならないと思っておりますが、先ほどの奈良の事案の場合には、今十日間と委員おっしゃいましたけれども、どうもこれはそれまで着がえの機会がなかったようでありまして、たまたまそのときに着がえをして見つかった、こういうことと聞いております。
いずれにせよ、こういう不適正な事案が起きないようにきちっと指導してまいるつもりでございます。
○山内(功)委員 きょうは時間の関係で概括的にしか見ませんけれども、例えば違法収集証拠、つまり逮捕状を示さずに逮捕する、あるいは捜索・差し押さえ令状を示さずに捜索をする、それによって発見されたものを証拠としては使わないですよと、裁判所がきちんとそういう違法収集証拠の問題として議論をする、それによって警鐘を鳴らす、それはいいんですよ。だけれども、裁判所に行かない限りそういうことを警察官の皆さんが感じ取ってくれなければ、やはりそれは余りよくない制度だと思うんですね。
だから、本来は教養課程とかあるいは警察学校の段階、あるいは、もう毎日酸っぱくこういうことをしてはいけないとか、そういう対処が全然なっていないと思いますので、例えば違法収集の問題について見れば、教則本をつくって、こういうことが過去の判例で問われましたというようなことをしっかりと教え込むとか、あるいは、その人たちは職務熱心で、多少違法なことでも一生懸命捕まえるためにやったんだという思いがあって、かばう気持ちがあったとしたら、それはやはり間違った考えなので、そういうことをやった人たちも含めて、しっかりと厳しい処分をしていかなければ、今後ますます同じ事件が繰り返されると私は思っています。
そこで、今までの事件は死亡ということとは無関係だったんですが、警察官の行為態様が原因となって死亡したという事件がありますので、以下、そのことについてちょっと時間をとらせていただきます。
京都の九条警察署において、大変不適切な、不法な保護事犯がございましたが、その概要をお伺いしたいと思います。
○吉村政府参考人 お尋ねの事案でございますが、平成九年の一月十六日に、京都府九条警察署におきまして、同署員が、泥酔をした男性を警察署の中の車庫コンクリート上において保護をしておりまして、容体が急変した当該男性を病院に搬送いたしましたが、男性が死亡したというものであります。
その事後対応に当たりまして、当時の署長等が部下に、実際はコンクリートの上で保護をしておったわけでありますけれども、パトカーの中で保護をしていた、その旨の虚偽の公文書を作成させて、行使をしたものでございます。
本件につきましては、昨年の十月ごろに府警本部の監察部門にこのような事案があるのではないかという情報提供がございまして、京都府警におきましては京都府の公安委員会、京都府警から警察庁に連絡が即座にございましたので、国家公安委員会にも警察庁から報告をいたしまして、京都府警では、昨年十月二十六日に特別捜査班を設置いたして、調査、捜査を遂げてきたところでございます。
ことし二月十四日に至りまして、保護に当たった警察官三名を業務上過失致死及び虚偽有印公文書作成、同行使で京都地検に書類送致、さらに、五名の署長等を虚偽有印公文書作成、同行使で同様に書類送致をいたしまして、同じく同日付で、国家公安委員会と京都府警察におきまして、当時の署長を初め関係警察官八名を停職、減給等の懲戒処分にしたというものであります。
○山内(功)委員 この人の場合には、後でわかったことですが、病院に通院中の方であったようですし、実際その日、朝の八時四十分に行き倒れていた場所が病院の前だと聞いているのですけれども、泥酔者などで異常があると認められる方を保護する場合には、必要により医師の診断や治療を求める措置をとるよう配慮することが警察官の職務として求められているのではないですか。
○瀬川政府参考人 御指摘のとおり、泥酔者で異常があると認められる者を保護する場合には、必要により医師の診断、治療を求める措置をとるようにというふうに定められているところでございます。
本件におきましては、保護に着手した時点で、被保護者に外傷等がなかった、強い酒のにおいがしたということで、単なる泥酔者と判断をいたしまして、その時点では、医師の診断、治療は必要ないという判断に至ったものというふうに報告を受けております。
しかし、署に保護してから約二時間経過後も目を覚まさないということで、こういうことがあるのかという照会を病院にしたという経緯はございます。ただ、このときに保護の状況等について詳細に説明しなかったということがありまして、病院側から特段の指示がなかったということで、そのままの状態にしていたという経緯がございました。
○山内(功)委員 車庫に運び込んだということですけれども、車庫は、約四十四坪の、三方が囲まれて、パトカーなどが駐機している施設ですね。下はコンクリートの床面。一月ですから大変冷えると思うんですけれども、そこの上に、何というんですか、人をぽんと寝かせておくという、これは保護なんですか。
○瀬川政府参考人 保護の場所につきましては、規則におきまして、保護房、保護室を基本といたしまして、また、警察署あるいは派出所、駐在所といったところで保護をするということになっております。
車庫内のコンクリートの場所というのは、いずれにいたしましても保護場所としては適当でございませんし、当日の被保護者の状況や、御指摘にありましたような車庫の構造あるいは当時の気温等からして、全く保護場所として適当な場所とは言えないものであった、このように考えております。
○山内(功)委員 毛布はかけたのですか。
○瀬川政府参考人 そのような措置も講ぜられていなかったものと報告を受けております。
○山内(功)委員 パトカーの中で常時監視はさせていたということは聞きましたが、自分たちはパトカーの中でエアコンをきかせて見張りをして、その人はコンクリートの冷たい床に置いておかれて、保護したと言われる。大臣、この様子を見られてどう思われますか。
○谷垣国務大臣 これは、委員御指摘のとおり、保護をしたと言うには極めて不適切な対応であって、まことに残念なことだと思っております。
○山内(功)委員 最寄りの駐在所の警察官が、この保護された方を発見してから二時間、三時間、そういう状態で置かれていたわけなんですけれども、保護した人が一向に目を覚まさない。泥酔をしていても、何時間かすると起きる。泥酔をしていても、もうお昼ですから、お昼には起きるんじゃないか。しかし、その人は一向に目を覚まさない。そのこと自体が異常ではないかと思って、その時点で速やかに医師の診断を受けに連れていくということは判断できなかったんでしょうか。
○瀬川政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたとおり、保護してから二時間後ぐらいに一たん病院の方に照会はしたという事実がございます。実際、実務上、泥酔した保護者につきましては、四、五時間目を覚まさないというようなことはあり得るわけであります。
しかし、本件につきましては、御指摘ありましたような保護の場所でありますとか、保護の方法でありますとか、また結果として、午後になりまして病院に搬送した後、一時間余りで亡くなられたという事実がございます。こういったことから考えますと、もっと早い段階で医師の診断を受けさせるべきではなかったかというふうに思われます。今回の事案を踏まえて、反省すべき点は今後の業務に生かしてまいりたいと考えております。
○山内(功)委員 午前十一時四十分ごろ病院に照会したとのことですが、それは、まず聞きます、本当ですか、その証拠はありますか。そのときの病院の指示内容については、警察の方で控えたメモはありますか。コンクリートの上で寝かせていることなど、その人の置かれている状況については説明をしたのですか。
○栗本政府参考人 ただいまのお尋ねの件につきましては、京都府警におきまして、先ほど来話が出ておりますように、厳正な捜査をした結果、証拠上、関係警察官が病院に対しまして、泥酔状態の被保護者が約二時間経過後も目を覚まさないことにつきまして照会を行ったことは認められておるところでございますが、その際、先ほど生活安全局長からも答弁がありましたように、被保護者を外気の当たる車庫のコンクリート床上に寝かせていることなどについて病院側に説明をしていなかったために、病院側からその後の措置について特段の指示がなされなかったものと判断されるとの報告を受けているところでございます。
○山内(功)委員 この事件というか本件事実は、どういうことで発覚したんでしょうか。
○吉村政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、昨年の十月に府警本部の監察部門に、不適切な保護の事案があるという旨の情報提供があったことが端緒でございます。
○山内(功)委員 警察官はこういう泥酔者とかあるいは精神的に錯乱状態に陥っている人、こういうような人を保護する責任がある、つまり保護義務があると思うんですが、実際に、保護をして、その人が保護された状態でもちろん死なせるようなことをさせてはいけないわけですから、そういう義務があるとすれば、この警察官たちの行った行為、あるいは行わなかったという行為は、業務上過失致死なんという軽いものではなくて、保護責任者遺棄致死罪に該当するのではないですか。
○栗本政府参考人 本件の保護の取り扱いにつきましては、御指摘のように、厳寒期に外気の入る車庫内のコンクリート床上に被保護者を長時間寝かせたというものでありまして、警察官として被保護者の安全確保のために求められる注意義務を著しく欠いた極めて不適切なものであります。また、被保護者の死亡というまことに重大な結果が生じている事案でございまして、これらを踏まえまして、京都府警におきましては、先生今お尋ねの罪種も含め、あらゆる可能性を念頭に置いて厳正に捜査を行ったところでございます。
その捜査の結果、本件につきましては、保護の場所、方法等において極めて不適切なものが認められるわけでございますが、被保護者を路上放置の状態から署内の車庫に移送した、これは交通事故とか犯罪被害の危険を回避するためでございますが、そのような措置、あるいは、先ほども出ておりましたように、常時、直近におきまして警察官が待機し、監視に当たっておる、これは、被保護者が立ち上がって転倒したり、あるいは嘔吐による窒息などの危険を防止するためにそのような措置をとっておりますし、また、被保護者の症状の急変、例えば呼吸困難になるとか、あるいは苦しみ出すとか、こういうような事態に即時対応すべく体制が一応とられていたと認められるわけでございます。
したがいまして、証拠上は、関係警察官の行為につきまして、それによって被保護者に、生命身体に対するより危険な状況が新たに生じたとか、少なくとも路上放置と同程度の危険な状況が継続するほどの保護義務の懈怠を認定するまでには至らなかったと報告を受けているところでございます。
したがいまして、証拠上、先ほど先生御指摘の保護責任者遺棄致死罪の認定には至らなかったものでありますが、この事案の重大性にかんがみまして、認定可能な業務上過失致死罪で時効にもかかわりませず立件、送致し、本件事案及びそれに対する警察の一連の捜査の経緯、結果、これをすべて検察庁に対して明らかにすることとしたものと報告を受けたところでございます。
○山内(功)委員 時効にかかったようなものでも事件として立件をして送致したというのは、大したことじゃないでしょう、だって、検察官が時効により終了しますと裁定すれば終わるわけですから。
私は、この保護について、全く無責任な行為をしたことも物すごく問われる問題だと思いますが、あと、警察署長以下全員が、パトカーの中で保護していたことにしようなと言って口裏を合わせたり、そういう書類をつくったり、そういう報告を警察庁にしたり、それで四年間も発覚できない。たまたま昨年、内部通報者、情報提供者があったから発覚した。そういう事実がなければ、一人の人が亡くなったのにやみからやみに葬られる、こういう事件が私は問題だと思っているんですよ。虚偽有印公文書作成罪、同行使罪だけでも、これは担当の警察官も逮捕して、がんがんと調べて厳罰を科すぐらいのことをしないと、ほかの日本じゅうの警察官、わからないんじゃないんですか。どうですか。
○栗本政府参考人 本事件捜査につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、府警としては大変重要な事案と受けとめまして、所要の体制をとって厳正な捜査をしたわけでございます。その捜査の結果、被疑者につきまして、証拠隠滅や逃亡のおそれはない、そのような観点から逮捕の必要性を認められず、このような形での事件処理になったものでございます。
○佐々木委員長 谷垣大臣、何かありますか。
○谷垣国務大臣 今事実関係についていろいろお尋ねをいただいたわけでありますけれども、私も、最初にこの事案の報告を聞きましたとき、保護の不適切さもこれは著しい、これはもう御指摘のとおりであります。しかし、それと同時に、その後、虚偽の公文書を作成、行使した。まことにあってはならない事件でございまして、こういうところで御答弁申し上げますと、まことに残念とか遺憾とか言うわけですが、どういう言葉で表現したらいいのかわからない、適切な言葉が見つからないような気持ちでございました。
それで、報告を聞きましたときには、今も刑事局長から答弁がありましたように、これはやはりきちっと捜査を遂げて、そしてまず京都の公安委員会でもきちっと審議をしていただく、それから、国家公務員については当然私どもの国家公安委員会に上がってくるわけですけれども、まずその前提としてきちっと捜査を遂げてくれということを申したわけであります。
しかし、いずれにしても、こういう事件が起こったことはまことに残念なことでございまして、私ども国家公安委員会としても、一連の不祥事が起こりましてから国家公安委員会の監察の責務も重くなっているわけで、今鋭意それに取り組んでいるわけでありますけれども、全力を挙げてこういう事案が再び起こることのないように力を尽くしていきたい、こう思っております。
○山内(功)委員 私も、本当に大臣に期待しているんですけれども、しかし、本件が全く特異な事件であったかというとそういうわけじゃなくて、平成十年の八月にも、これは埼玉県警で、泥酔状態の男性を発見して貨物自動車の荷台に乗せて警察署の駐車場にそのまま置いていた、二時間後に男性が死亡した、しかし警察官が発見した時点でその人は死んでいたように口裏を合わせて内容虚偽の書類を作成したという事件も起きているんですね。だから、もう何回かあるんです。
本件と比較して、この平成十年の埼玉県警の事件のときは、そういう虚偽文書を作成した警察の幹部二人が懲戒免職になっているんですよ。その懲戒免職になったのに比べて、今回九条警察署であった事件では、警察署長も停職がたった三カ月、担当の警察官でも三カ月、その上司が減給十分の一がたった三カ月。平成十年の事件に比べても今回のは何か処分が軽くて、こんなので本当にいいんだろうかと私は思うんですね。何か警察全体が、そういう行き倒れの人や泥酔者の人というのは厄介なものだとか、あるいは保護するに値しないというか、価値の乏しい存在だと思って常日ごろから警察行政を担当しているのではないかと思って、不安なんですね。不安というか、もう言葉に言いあらわせない無念さがあるんですよ。
現在の経済情勢とか社会情勢から見て、今後、ホームレスの人や行き倒れの人が増加していき、警察の保護の取り扱い件数なんかもふえるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、どう考えておられますか。
○谷垣国務大臣 保護した数は、このところ十年ぐらいの統計を見ますと、ふえているとき、減っているときございまして、この二、三年、確かに最近十年ぐらいでは、十九万六千六百七十八人、前年に比べて五千五百人ふえている、増加の傾向にあることは事実でございます。
ただ、これもどのぐらいあるかは正直言ってなかなか正確な予測は不可能なんですが、いずれにせよ、この数年ふえてきた趨勢ということも考えますと、保護業務というのは、先ほどから御指摘のように、まことに警察に課せられた大事な業務でございますから、しっかり取り組んでいかなきゃいけないなと思います。
今回の事案を受けまして、警察庁からは、全国の都道府県警察に対して先ほど申し上げたような通達を出しておりますが、再発防止に努めて、適正な保護業務を行えるようにさらに督励をしていかなければいけない、こう思っております。
○山内(功)委員 最後の質問になりますけれども、九条署が不幸なことに保護室がなかったことも本件の要因の一つだとは思うんですね。
だから、保護室が未設置の警察署について予算上の措置をもっと早くとって、こういう事件が起きないためにも保護室の整備を、日本じゅうの留置施設とかそういう施設の中で保護室がないところにはどんどん整備を進めていく、予算措置もきちんととります、県警に、あるいは県の県警を預かる予算部門についてもしっかりとお願いをしていくというような思いを、ちょっと大臣、言ってもらえませんか。
○谷垣国務大臣 実は、九条署の事件を聞きましたとき私が最初に事務当局に聞きましたのは、先ほどからの御議論のように、コンクリートの上に放置するといって、ほかに適切な場所はなかったのかということを聞いたわけでありますが、もちろん、この対応が不適切なものであったことは先ほどから再三申し上げるとおりでございますけれども、今委員御指摘のように九条署に保護室がなかったということも、これは事実でございます。
今、全国の警察署で八八・七%保護室が設置されているわけでありますが、ないところがございます。各都道府県警で所要の保護室の設置に努めていただいているわけですが、警察庁、つまり国の予算でも、警察署建設時に補助金の交付対象とする、これは平成十二年以降からそういう扱いにしておりまして、未設置の警察署にこれから逐次保護室の整備を強力に進めていかなければならぬ、こう思っております。
○山内(功)委員 法務省の官僚が、法務大臣には一々連絡する必要がない、そういうようないわば大臣をなめたような発言をする。組織が大きくなると、末端の起こしたことを上司が知るということもなかなか難しいかもしれないし、それをまた国家公安委員会が認知をするということも大変な作業かもしれませんが、私もこんな事案のことを内閣委員会で大臣と余り話したくもないし、私は谷垣大臣を尊敬しておりますので、谷垣大臣が大臣でおられる間は、ぜひこういう不祥事、不適切と言われるような事案が起きないように、しっかりと警察行政を担っていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で山内君の質問は終わりました。
次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
私は、きょうは、公務員制度の問題について質問したいと思います。
まず最初に石原大臣に伺いますが、ILOの報告は、公務員制度改革の労働組合との協議について、委員会は、多数の会合が持たれ、国及び地方レベルの職員団体の代表の見解が聴取されたかもしれないが、それに基づいた措置まではとられなかったと結論づけています。言うなれば、政府が言うように七十七回、六十六時間交渉したと言っても、単に組合の意向を聞きおくにとどめ、これではだめですよということを言っているんですね。ILOがこれまでの協議をこのように判断していることについて、まず大臣としてはどう考えておられるかを最初に伺います。
○石原国務大臣 ただいま委員が御指摘のとおり、ILOの勧告の中では、当方の主張というものに対して理解が得られなかった。推測するところは、こちらが言っていることを、どうもそうじゃないんじゃないか、ただ話を聞いただけで、意見を整合性を持たせることがなかったんじゃないかと勧告は言っているんだと私は理解しております。
○吉井委員 実際に聞きおくにとどめだけということになっているから、こういうふうになるわけですから、じゃ、ILO報告で言っている、職員団体の代表の見解は聴取されたかもしれないが、それに基づいた措置までとられなかったという内容について、大臣にもう少し突っ込んで聞いておきたいんですが、国家公務員労働組合連合会などの公務員連合会の要求書、申し入れ、こういうものがありますが、何か大臣としてその中で大綱に盛り込んだものはありますか。
○春田政府参考人 お答えを申し上げます。
私ども、職員団体の皆様方とは、公務員制度改革、私どもが事務局として発足以来いろいろとお話し合いをさせていただいております。中で、いろいろ御議論いただいているテーマは、まさに人事制度、それから公務員制度の全般にわたる御議論を申し上げておりますので、今お尋ねの件でございますけれども、私どもも今回の改革の趣旨ということについては、いろいろと御議論をさせていただく中で、できるだけ今回改革をしようとすることについて組合の皆さんにも御理解をいただかなきゃならない。具体的な内容がはっきりしないものについては、やはり具体化する中で十分協議していかなきゃいかぬ。そういうような部分では共通にそういう認識を職員団体の皆さんともしながら相談をしてきているところでございまして、私ども、そういう意味では、職員団体の皆さんからの御意見というものもどういうふうに具体的な制度の中で生かしていけるかということを御相談しましょうということで、今まで協議を行ってきたところでございます。
その意味では、私どもも見解的に組合の皆さんがおっしゃられるということと私どもとが完全に同一であるという部分というのはどこなのか、こういうふうに御指摘いただきますと、改革そのものの考えということもありますので難しいところもございますが、私ども、できるだけ御理解をいただけるところを多く確保できるように取り組んでいかなきゃならないという姿勢で取り組んでおるところでございます。
○吉井委員 私、政府参考人に聞くときにはちゃんとそう言いますから。昨日レクに来られたときに言っておきました。あなたが大臣になられたんなら、大臣と聞いたらあなたが立ったらいいんだけれども、私は石原大臣に質問したんです。
それで、今、長々としゃべったんだけれども、要するに、全般にわたる議論をしたとかなんとか、いっぱいしゃべりました。大臣、聞いてはってようわかると思うんだけれども、要するに、国家公務員労働組合連合会から要求書、申し入れ書など、大臣も目を通しておられると思うんですよ、大臣に来ているものとか。あなたの前任であったとしても行革担当の大臣、例えば橋本さんに出たものとか見ておられると思うんだよね。それについて、何か一つでも大綱に盛り込んだものがあるのかという質問ですから、あなた自身がこれを盛り込みましたというのがあれば、お答えいただいたらいいんです。
○石原国務大臣 大綱の文言の中で文言どおりというようなものがあるかどうかということについては、今大綱を持ち合わせておりませんし、そのときどういう意見があったかということを詳細に合わせないと何とも言えませんが、さまざまな議論、協議をさせていただく中で、私どもの今回の改革に対する位置づけ、公務員制度改革の位置づけ等々はお話をさせていただきました。当然のように、国公労の方々と意見の相違点が大きかったということは事実だと思っております。
○吉井委員 要するに、何も取り入れていないんですよ。何十回交渉しても、組合の言っていることは何も取り上げない。こうなりますと、一方的な伝達、労働組合の意見は聞きおくという、こういうのを協議と言ってみても、国際的には誠実に交渉、協議とは言わないというのが報告で示されているところです。やはり、国際労働基準に適合していないとILOは言っているわけですから、これまでの協議のやり方を国際基準に合うように改善する、つまり、それは勧告が言っているように、「公務員制度改革の理念及び内容について、この課題についてのより広範な合意を得るため、また、法令を改正し、結社の自由の原則と調和させる見地から、全ての関係者と十分、率直かつ有意義な協議が速やかに行われる」、こういうレベルの協議を行うように改善するべきだということを指摘しているのは、これは大臣もよう知ってはるとおりなんです。
それで、こういう協議にしていくという、この考えは持っておられるのかどうか、伺います。
○石原国務大臣 室長の方からも答弁をさせていただきましたように、数度にわたりまして意見交換をさせていただいておりますが、根本的に今度の制度を変えるということで、現状を維持すべきであるというスタンスに立つものと抜本的に物を変えていこうという中で、一致点を見出せないということはあって当然ですし、意見の相違というものがあるのは、また労使の間でこれは当然のことだと思います。
そこに、どのような整合性を持って労使が協調し、いい職環境というもの、そして働く意欲と、また社会からも公務員の信頼というものを高めていくという努力を政治の側で行っていくという立場に立って今回取り組ませていただいていると御理解をいただきたいと思います。
○吉井委員 大体、この報告自体が、公務員制度改革大綱の案を労働組合に示したのが、二〇〇一年十二月二十五日閣議決定ですから、その閣議決定の七日前だったんですね。政府は、この重要な問題を検討するのに、当局は時間が必要だったということで当局の方は時間をとっているんですが、職員団体にとっても、より以上という表現の適否はともかくとして、少なくとも同じぐらい重要な問題なんですよ。
ところが、職員団体の方が政府の立場を検討して建設的対策を示すにはより多くの時間が必要であったのは当然なんですが、時間が必要であったろうということを指摘しているこの意見は、私はやはり当然な指摘だと思うんですが、この点についてはどうですか。
○石原国務大臣 この時間の問題、ただいま委員が御指摘されましたのは、大綱を示す前段階としてインフォメーションを出したところと、その間が短かった、もう少し十分に職域団体の方々がその大綱なるもののよしあし、こういうものを十分に検討する時間が必要ですし、さらに、働く側の立場としてそういうことも、そちらのまとめる、労使というのは公務の世界でいいますと政府側になるわけですけれども、政府側が時間が必要なのと同じように、働く側も検討する時間が必要であるという御指摘だと思います。
それはまさにそのとおりだと思いますが、それであるならば、どのぐらいの時間がいいのか。どのぐらいの時間が適切なのかというところで、そこにも感覚の相違があったということは、私は事実だと思っております。
○吉井委員 中間報告に対して、全労連は「歴史的かつ画期的」と評価し、連合は「日本の公務員制度改革はいまや日本一国にとどまらず国際的な課題となる新しい局面に入った。」というふうに言っておりますが、いずれにしても、中間報告が求める国際労働基準、そのレベルと結社の自由原則に沿った公務員制度改革を行うために、政府と関係労働組合との交渉や協議の開始を求めています。
速やかにそうした立場から関係の労働組合と交渉を行うということを強く求めておきまして、今官房長官入ってきてもらいましたので、少し順番を変えて、官房長官にかかわる質問を先に幾つかしたいと思います。官房長官も今入ってきはったところで頭の切りかえ大変やと思いますけれども、要するに、きょうは公務員制度改革の問題で質問しています。
それで、公務員労働法制の問題について、昨年十一月二十一日に、御承知のように、ILO二百八十五会期の理事会は、結社の自由委員会がまとめた日本の公務員制度にかかわる中間報告を承認しました。
この報告は、日本の労働運動のナショナルセンターである全労連と連合が昨年二月、三月に提訴していた案件について行われたものなんですが、報告、勧告の内容は、現行の公務員制度における労働基本権の制約はILO八十七号条約と九十八号条約に違反しているということ、公務員制度改革で労働基本権制約を維持するという政府の考え方を再考して、これらに関する法令等について、関係労働組合と率直で有意義な協議を速やかに行うことなどを政府に求めています。
勧告は、我が国の公務員労働法制を国際労働基準、国際的なレベルに適合するような改定を求めているわけですが、そこで、これらの問題について、憲法九十八条二項では、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要」と規定しています。官房長官は、日本政府はこの批准しているILO八十七号、九十八号条約は遵守する、この立場に立っておられると考えていいんですね。これをまず官房長官に伺います。
○福田国務大臣 条約は、これは遵守しなければいけないと思います。
○吉井委員 小泉首相も一月二十三日の予算委員会で「遵守します。」という答弁ですから、ですから、日本政府は国際労働基準としてのILO条約に適合した改革を行う、あるいは、国内事情のみを優先してILOから指摘されている国際労働基準遵守勧告を軽視するのかという、この基本的なところが今厳しく問われているときですから、重ねて官房長官に伺っておきますが、政府として、国際労働基準としてのILO条約に適合した改革を行う、この立場で臨みますね。
○福田国務大臣 結社の自由の原則を初めといたしますILOの原則について、これは政府としても十分理解いたしまして、今までも尊重をしてまいってきたところでございます。
今回のILOの勧告は、現行の公務員の労働基本権の制約、これがILOの条約に違反しているということなど政府の見解と異なっているところがある、こういうことでございますので、引き続き政府の見解等について正しい理解がされるように働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○吉井委員 ILOに理解が違っていますからと働きかけるんじゃなくて、この立場に立って、日本の公務労働についてきちんとした国際基準で進めていく、その立場が必要なんだということを申し上げておきまして、次に、さらに労働基本権のいわゆる代償措置について伺いたいと思う。
初めに福田大臣に伺いますが、官房長官は給与関係閣僚会議の座長を務めておられると思うんですね。政府は人勧を尊重するという立場をとっているわけですが、その理由はどういうところにありますか。
○福田国務大臣 労働基本権の代償措置としての人事院制度というものが日本にはございます。そういう制度のもとにおいて人事院勧告というものを尊重するというのは、これは我が国の制度であります。
○吉井委員 今おっしゃったように、労働基本権の代償措置機関の人事院の勧告を尊重する、これは、憲法二十八条、そしてそこに示された労働者の労働基本権にかかわるということで当然のことだと思うんですが、そういうことでいいんですね。間違いありませんね。
○福田国務大臣 二十八条は、人事院において勧告するということを怠ってはならない、こういうのが二十八条一項にございます。(吉井委員「何を言うてはるのかようわからぬ」と呼ぶ)ちょっとちっちゃい字なので見えないんです。
○吉井委員 では、そのちっちゃい字の部分だけ、政府参考人で結構です。
○春田政府参考人 恐縮でございます。
国家公務員法の二十八条におきまして、「情勢適応の原則」ということで見出しをつけた条文でございます。この中で、いわゆる民間の社会一般の情勢に適応するように、勤務条件に関する基礎事項につきましては常時これを変更することができるということで、人事院におきましてこのことについて勧告することを怠ってはならないということで、特に給与の内容につきましては、給与表に定める給与につきまして五%以上の差が生じる、そういったときには国会、内閣に適当な勧告をしなければならないという規定がなされておるわけでございます。
○吉井委員 要するに、ストライキ権を初めとする労働基本権について制約があるわけですね。ですから、その代償措置として人事院が設けられ、その勧告を当然のことながら尊重する、こういうことになっているわけですね。
人事院にそこで伺っておきますが、国家公務員法第二十三条は、「人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出なければならない。」というふうに示されておりますが、この法律の趣旨はどういうことですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
例えば、民間企業ですと、勤務条件に関することは労使交渉で決定されるわけでございます。ところが、御承知のように、公務員は労働基本権が制約されておりますので、その労使交渉の代償として、人事院が勤務条件の変更に関するようなことに関しましては意見を申し出る必要があるという趣旨であろうかと思います。
○吉井委員 それでは、現在進められている公務員制度改革について、人事院としてどのような意見の申し出をしておりますか。
○佐藤政府参考人 人事院もこれまでにいろいろな節目ごとにいろいろなところで意見を申し上げておりますけれども、この二十三条に関連して内閣と国会に意見の申し出をするかどうかということについてでございますけれども、まだ公務員制度改革は議論の途上にございます。人事院といたしましても、いろいろなルートで意見を申し上げることができるわけでございますので、今後とも、情勢の推移をしっかりと見きわめながら、場合によってはこの二十三条による意見の申し出を行うこともあるというふうに御理解をお願いしたいと思います。
○吉井委員 だから、現在進められている公務員制度改革については、まだ人事院としてはきちんと正式に意見は言っていないということですね。
○佐藤政府参考人 意見の申し出をこの二十三条に従ってするかどうかについては、まだ正式に意思決定をしたわけではございません。
○吉井委員 そこで、官房長官に伺いますが、人事院からの意見の申し出がないのに公務員制度改革を進めていく、こういう立場ですか。
○石原国務大臣 ちょっと整理をさせていただきたいと思うんですけれども、今回の公務員制度改革というものは、戦後、昭和二十三年ですか、人事院制度ができて、五十年以上の間、基本的な枠組みの変更が一切なされないでやってきました。しかし、これが時流に合っていない、あるいは、公務員の方々のやる気、また世間の目、こういうものも変わってきた中で、公務員制度改革を行い、時代に合ったものにしなければならないと考えて発議されたものだと思います。
そこで、内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画及び立案並びに総合調整の事務、これはもう吉井委員御存じのことだと思いますけれども、一昨年の一月の省庁再編によって内閣府に与えられた総合調整機能、国民に対して行政運営の責任を有する内閣がこの公務員制度改革の企画立案、総合調整を行うこととして適当であると考え、現在、このように公務員制度改革の案を検討している。その中で、この五十有余年の歴史の中で、人事院の、今まで御議論をいただいておりますこの代償措置並びに先ほどの二十三条の意見の申し出等々のことができるという制度のもとに運用されてきた。こういうふうに私どもは解釈し、今、先ほど来答弁をさせていただいている事務局を中心に法制作業に取り組んでいる。
ですから、この法制作業、もちろん人事院の方がこの中に、四十四名のうち十八名、職員の方が来ていただいて、専門的知識を十分に活用いただいて鋭意検討している。そんな中で、正式な意見の申し出ではございませんけれども、人事院の方としての考え方等々は内閣の方にしっかりと伝えられていると御理解をいただきたいと思います。
○吉井委員 公務員制度の問題ということを考えるならば、もともと国際的には当たり前になっているストライキ権を初めとする労働基本権をきちんと認めるという、国際レベルに持っていく中での議論というのは当然のことなんですが、制約されている中での代償措置の人事院制度とか、そういうものについて、一方的に時流に合わないだとか何だとか勝手な決めつけじゃなしに、やはり本当に制度ということを考えるならば、全体の奉仕者としての透明性の高いものにしていくためには、政官業癒着を断ち切るとか、汚職とか、天下りというのはもともと、言ってみれば汚職の先物取引みたいなものですから、こういうものをきちんとどう是正するのかとか、本当の意味での公務員のあり方というものが検討されるべきなんですが、全然違うところでの議論になってしまっている。
これまで、人事院の意見の申し出がなくて公務員の勤務条件にかかわる法案を立案し、法案を提出したことがあるのかどうか。これは担当大臣、どうですか。ありますか。
○石原国務大臣 これは、内閣府ができて、内閣府の総合調整機能を発揮するという観点から、今回、内閣官房に公務員制度室ができて議論をしているということであって、過去においては、人事院の代償措置というもので五十有余年変わらない制度が運用されてきたと御答弁をさせていただいたところでございます。
○吉井委員 内閣府ができたところで、公務員の労働基本権が制約されているんだったら、当然のことながら、その代償措置としての機関の意見をきちんと聞くなどそうしたことを、もちろん当該の労働組合との交渉、協議も当然やるのは当たり前ですが、そのことをやらずに、法律ができたから、今度の法律で企画立案ができるから、だからよいというのは通らないということをはっきりさせなきゃいけないと思うんです。
労働基本権の制約にかかわる問題だからこそ、法律改正というのは、使用者側が勝手に改廃するということは、これは、勝手に改廃するということに人事院が関与せず、一方的に使用者が労働条件を改悪するということになってしまう問題ですから、そういうことはやはり許されない。やはりこの場合は、きちんと人事院の意見の申し出がないままに公務員の勤務条件にかかわる法案を立案し、法律を提出する、そういうやり方は、これはやめなきゃいかぬというふうに思うんです。
そういう点で、やはり労働組合との交渉、協議も不十分、代償措置とする人事院との協議も不十分のままで法改正作業を進めることそのものがやはり重大な問題だと思うんです。公務員労働者の労働条件変更を政府が一方的に進めるということは、これは憲法やILO条約にかかわる重大な問題ですから、これは官房長官、法律を今度変えたんだから企画立案ができるかということだけじゃなしに、やはり、まさにそこに今度のこの報告の精神というものがあるわけですから、国際的に通用するものへ、その立場でこの問題について考えていく、この報告を尊重するという立場で臨むということを、やはり大臣としてはっきり言ってもらった方がいいと思うんです。
○福田国務大臣 若干、若干というか、もう少し大きいかもしれませんけれども、見解の違いがあるように思うんです。
職員の勤務条件に関する事項であっても、法律案の提出権、これ自体は内閣に有するものでございまして、人事院が国家公務員法第二十三条に基づいて法律案の制定、改廃に関する意見の申し出を行う権限を有しているということはありますけれども、だからといって、人事院の意見の申し出がなければ法律案を提出できない、そういうことにはならぬと考えております。
また、今回の改革では、中央人事行政機関が事前かつ個別詳細にチェックする仕組みを見直すこととしておりまして、それは、とりもなおさず、人事院の役割そのものを見直すということになることから、内閣が改革の検討を進めることが適切である、こういうふうに考えております。
いずれにしても、今回の公務員制度改革に関する法律案の立案に当たっては、人事院や職員団体等の関係機関と十分に意見交換を行いながら検討作業を進めていくつもりでございます。
○吉井委員 法律案の提出権、それは内閣にもありますし、国会の方にも、国会は国会として議員立法で提案する権利はきちんとあるわけですが、問題は、この問題についての法律改正作業を進めるその上で、代償措置とする人事院との協議も不十分、労働組合との交渉も協議も不十分、こういうことでは、この問題は進めるべきじゃない。
時間が終了しましたか。残る問題は、今度、十二時半からですか、そこで質問することにして、何か妙なぐあいだけれども、とりあえず中断することにします。
○佐々木委員長 以上で吉井英勝君の質疑は終了いたしました。
次に、北川れん子君。
○北川委員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。よろしくお願いします。
まず初めに、細田大臣になんですけれども、一月二十七日、名古屋高裁で出されました、「もんじゅ」の原子炉設置許可処分は無効、安全審査のやり直しを命じる、そういう判決が出たわけですが、この判決に対する御認識の方からお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、中沢委員長代理着席〕
○細田国務大臣 今、北川委員がおっしゃいました高裁判決におきまして、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の原子炉設置許可処分につきまして無効確認等請求訴訟でございますが、国側敗訴の判決が言い渡されたことにつきましては、極めて遺憾に存ずるものでございます。
「もんじゅ」の設置許可につきましては、昭和五十八年の当時、原子力安全委員会におきまして関連分野の専門家を結集して、当時の最高水準の知見を踏まえまして安全審査に最善を尽くしたというふうに認識しております。
審査を行った専門家数、昭和五十八年の設置許可時におきましても、五十人に及ぶ原子炉熱工学、物理、原子炉制御学、安全工学、核工学、材料工学、計算力学、構造工学、高温材料強度、環境材料強度、応用電気化学等におきまして最高の陣容で審査をしてまいったつもりでございますが、今回このような判決を受けましたことを極めて遺憾に思います。
そこで、ただ、基本的な認識等におきまして、あるいは審査の体制につきまして疑問のある判決内容が幾つかございますので、現在、その点につきましては、原子力安全委員会として見解を表明してまいりたいと思っております。
政府といたしましては、上訴を決定しておるわけでございます。
○北川委員 当時は万全の科学的な知見だったということをとうとうとお述べになったと思うんですけれども、高裁判決というのは、事実の認識と、それから安全審査においての認識というものは、もう判断が出て無効であったというふうに言っているわけですから、今の大臣の御答弁、そして所信のところにも入れていらっしゃった「原子力安全委員会としても十分検討しているところであります。」というのは、これは司法判断に関する政治的な介入の発言だというふうにしかとれませんが、いかがでしょうか。
○細田国務大臣 上告審においては、おっしゃいましたように、事実認定の問題について争うのではなく、法律的な判断について争うべきであるということは手法的に当然のことでございますから、委員のおっしゃったことは理解できるわけでございますが、若干、そういった判断の面においてもやはり不十分なところがあるのではないかということを上告理由にしております。間もなく上告理由書が関係各省の間でも協議の結果出されることになっておりまして、その理由を出す期限が三月ということでございますので、現在、関係省庁等においても協議をしているところでございます。
○北川委員 これが論争になっているところだと思うんですが、もう高裁判決は、「原子炉の潜在的危険性の重大さの故に特段の事情があるものとして、その無効要件は違法(瑕疵)の重大性をもって足り、明白性の要件は不要」というふうに出しているわけですね。それを、あえて今、上告理由の中の、明白性の要件が不要だというところにまとまって、協議をされているということなんですけれども、その態度に対して、原子力安全委員会を包括して構成、チームをつくっていらっしゃるのかどうかをお伺いしたいと思います。
○細田国務大臣 チームと申しますよりも、いろいろ法律的な論点もございます、膨大な判決でございますので、個々の論理の組み立て方等につきましても必ずしも論理的でないようなところも散見されますので、それらも含めまして、関係省、そして私の方の内閣府としては、原子力安全委員会の判断において、やはりいろいろな判断も出されておりますので、その安全委員会事務局としての考え方も出して、それらを総合して、法務省の方で対応していただくということにしております。
○北川委員 それは、以降の安全審査において、原子力安全委員会が能力を持たなくなるところにしかならないということの明言であるというふうにしかとることができません。
この判決は、確かにおっしゃるように九百ページから千ページに近いものになっていますが、骨子はわずか五十一ページで、本当に論理的にまとめられております。大臣はそれをお読みになったのでしょうか。
○細田国務大臣 その千ページに及ぶものを読んだかと言われれば、読んでおりませんけれども、その論理の要旨は聞いておりますし、その問題点等も把握しております。
ただ、やはり専門的な議論が必要ですので、その理由を、今、あと約一月かかりますけれども、最終的にどことどこが異存があるということをこれから詰めていく段階でございます。
○北川委員 私は、五十一ページの骨子が、もう既に論理的にまとめられているのがあると言ったのにもかかわらず、お読みになっていない、五十一ページさえも読んでいないということのあらわれであったと思うんです。
中には、原子力安全委員会の審査の放棄でもあるというような形での表現もございまして、この高裁判決に関しての科学技術大臣としての対応としては、まことに私は遺憾であるとこちらから言い直させていただきたいというぐらいの御対応で今後臨まれるということがわかったといいますか、本当に、この高裁判決の意味においては、安全審査のやり直しをする以外にはこのことの論証ができないというふうな論理立てになっておりますので、ぜひ大臣は明確にお読みいただきたいと思います。
それで、次に「もんじゅ」の改造工事のことについて、もう既に二月二十日の新聞では、核燃サイクル機構が、一たんは、秋にはやりたいと。いや違った、個人的な見解だったと言っているんですが、もう既に国はそういうふうな状況を把握していらっしゃるのか。ましてや、これは最高裁判決が出る前に、安全審査自身をやり直しなさいと言われているわけですから、設置変更許可はそれに伴うものであるというふうに判決も下しております。そこに違法な、もし最高裁判決が高裁判決を確定するふうな判断を出した場合は、着工、工事に対しては違法な支出になると思いますけれども、その辺の判断はどういうふうにお持ちでいらっしゃるんでしょうか。
○白川政府参考人 お答え申し上げます。
今先生お触れになりました、サイクル機構の関係者が改造工事着手の時期について触れたという件でございます。
これは、高裁の判決がございました後、サイクル機構の方は報道関係者へ説明をしたわけでございますけれども、その過程で、福井で説明会を開催した際に、その説明者が改造工事着手の時期につきまして個人的な思いを話したということは事実でございます。
しかし、これはサイクル機構としての見解ではございませんで、その後、サイクル機構は訂正をしたわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど細田大臣のお話にもございましたように、今回の「もんじゅ」に関する判決につきましては国側として納得できないところがございますので、一月三十一日に上訴をされたところでございますので、その判決が確定していない現段階においては、「もんじゅ」の設置許可処分は法的にも有効であるというふうに認識をしております。
高速増殖炉の開発の重要性は言うまでもないわけでございますけれども、高速増殖炉の開発に限らず、原子力の開発事業のためには、地元の御理解、御協力が不可欠でございますので、私どもは、「もんじゅ」の計画が少しでも前進できるよう、地元の御理解、御協力を得るために最大限の努力を続けていきたいというふうに思っております。
○北川委員 答弁になっていなかったと思うんですけれども、安全審査のやり直しを高裁が判決を出したという、それも、憲法違反の部分も判例違反の部分も、明確に論理はもう立てられた中で高裁判決が出されているところにおいて、この設置変更工事の代金というのが百七十億ばかりが不正に支出をされる、そういう事態にも及ぶことであるがゆえに、私は最高裁判決が出る前に着工、工事ということはあってはならないという質問をさせていただいたわけですが、細田大臣、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
○細田国務大臣 判決の論理立ての中で私どもが必ずしも承服できないところがたくさんございまして、これはこの上告審に提出する資料として現在詳細を検討しておりますので、それがどれであるということを今の段階では申し上げられませんが、それはそれとして、今準備しております。
他方、高速増殖炉そのものは、ウランという限られた資源が、今はウラン235のみを利用するという〇・五%程度の利用率でしかないものを、これを中性子を当てることによりまして不活性なウランを六〇%まで上げるという意味で、将来のエネルギー開発として非常に重要なものであるということも政策的に確立した方針でございますので、その間の整合性をとりながら進めてまいりたいと思っております。
○北川委員 経団連の会長の説や、それからまた一部閣僚の説の中には、プルサーマル計画、プルトニウム計画においては、今、細田大臣の見解とは違う意見をお述べになっている方もいらっしゃいますので、今、やはり違法な支出をすることに関してできるだけ繊細に対応するということが必要ではないかという質問に対しては、回答がなかったというふうに思わせていただきます。
では、同じ問題で、先ほどプルトニウムの話をされましたが、ITERというのがあります。国際熱核融合実験炉ですね。これのITER会議が先日、二月にロシアで行われたわけですが、この成果と、それから、具体的に今後、五月のウィーンでありますITER会議で誘致を決める状況にまで至った八回目の会議だったのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○細田国務大臣 去る二月十八日、十九日に、ロシアのサンクトペテルブルクで政府間協議第八回目が行われました。従来は、日本、EU、カナダ、ロシア、既参加四極と申しておりますが、参加しておったわけでございますが、やはりITERの将来のエネルギー源としての重要性に着目いたしましてアメリカが参加を表明して、このたびも参加をいたしました。そして、中国の政府間協議への参加も全会一致によりまして承認をいたしまして、主要国六極がITERの、将来の核融合炉の重要性、そしてこれからの実験炉の建設の重要性については合意を見たわけでございます。
ただ、どこにつくるかというようなサイトの問題については、我が国が昨年五月、閣議了解によりまして青森県六ケ所村に誘致しようという了解をしておるわけで、誘致をしておりますが、このことにつきましては、各極あるいは各国がそれぞれに熱心でございまして、フランス、スペイン、カナダが自国に誘致をしたいということを言っておる、そういう状況でございます。
○北川委員 では、何も成果がなかったという話でいらっしゃると思うんですよね。細田大臣は日本に誘致したいというその先頭に立っていらっしゃるわけですから、何か横並びの四つのサイトがあってということを今ごろ御紹介になっているわけですし、二月の成果がどうだったのかと聞いても、今のお答えなわけです。
共同評価最終報告書概要というのが出されておりますけれども、あれを読みましたら、素人でも、日本が一番、やはり耐震性の問題、活断層の問題、それから豪雪地帯であるということで、設計からもう一回見直さなきゃいけないのではないかというような文言があって、あとの三つのサイトの方が有利じゃないかなという気がしたんですけれども、中国、アメリカが出てきたことで、より一層駆け引きが激しくなって、誘致合戦になる。
しかし、ITERにおいても、反対の声というものが地元にあるということ、そして、あのときの不鮮明な那珂か六ケ所かの判断、大島大臣に軍配というふうにも当時表現されましたけれども、その点においても今後以降瑕疵が残るという点を考えても、情報公開ということはぜひよろしくお願いをしたいと思います。
それで、次は細田大臣のETFの問題についての情報公開ということでお伺いをしていきたいと思うんですけれども、このETF、十五プラス一商品、銘柄があるらしいんですけれども、いつ御購入をされたのか、そしてまた、具体的な商品名は何であったのかを教えていただきたいと思います。
○細田国務大臣 実は、閣僚懇談会で話題が出まして、新聞をにぎわした日は二月の七日の金曜日でございます。そして、二月十日の日に、月曜日であったんですが、ちょうど予算委員会等も国会の方がなくなって時間ができたときに、昼間に、それでは自分で購入をしてみようかということで証券会社を訪れたわけでございます。
個別のどの証券会社の何という銘柄かということは差し控えさせていただきますが、通常の、非常に今売り上げの最も大きいものらしいのでございますが、TOPIXと連動する、そういうETFでございます。
○北川委員 ということは、記者会見の以降ですね。二〇〇三年の二月の何日かに買いに行ったということをおっしゃったんですか、今。(細田国務大臣「十日に」と呼ぶ)二月の十日に買いに行かれたわけですね。
それで、TOPIXということですので、大体銘柄はわかってくるんですよね。では、大臣が買ったのがもうかるのかなと素人で思う方がいるかもわからない。そこのところにおいて、今回最も問題になっています、二〇〇一年一月六日の閣議決定で出た大臣規範というのがあります。
このETFは、いつ上場されましたか。
○細田国務大臣 上場は、私、ちょっと類推も入りますが、昨年、いや、平成十三年七月に一斉にETFが上場されたときと同時だと思っております。
○北川委員 そうですね。七月十三日に上場ということです。この規範は、一月六日に、二〇〇一年、おっしゃった平成十三年に閣議決定をしている。その中に、信託等。竹中さんはETFは大臣規範には入らないものなんだとおっしゃるわけですが、そうではないと思うんですね。信託等の等のところに入って、一月六日にはまだ姿をあらわしていなかったETF、七月十三日の存在ということになって、大臣が買われたのが二〇〇三年二月十日。この規範の中に、「政治家であって国務大臣等の公職にある者」はというふうに入っていきますが、これは大臣規範にも抵触しますし、それから、きのうの予算委員会で五十嵐委員が詰めていらっしゃいましたインサイダー取引にかかわる。
それで、御前身は、細田大臣は通商産業総括政務次官という、通商産業のかかわりで精通されていらっしゃると。先ほど、銘柄も、かなり限定される範囲の中のがわかるというふうになっていくわけですが、これというのは、まさに、情報収集をされる一番の立場にいらっしゃる方がやってはいけないことの規範に入るんじゃないですか。――いや、私は細田大臣にお伺いしている。(福田国務大臣「大臣規範は私の担当だから」と呼ぶ)いや、御自身の見解をまずお伺いしてから。よろしくお願いします。
○中沢委員長代理 まず細田さんの後、官房長官。
細田国務大臣。
○細田国務大臣 ETFそのものは、御承知のように、すべての株価の平均値を反映しておるわけでございますので、個人の力でどうこう動かすというようなことができるはずもない、一日の取引が何億株もある中で形成される平均株価によるものでございますので、御指摘のようなことは当たらないと思っておりますし、そういうことはないというようなお話もございました。
それから、それが常に上昇するかというような話もよくありますが、御存じのように昨日などは大幅に下落しておりますので、目下購入価格割れをしておりますし、別に私はそれでもうかるという前提で買ったのではなくて、竹中大臣からも御紹介ございましたが、やはり日本国民全体が貯蓄から投資へということで、個人の投資を活性化しなければならない、そういった中で我々も一役買おうというようなお話がありましたので、そういうことに賛同したわけでございます。
それから、過去に私は通産省にも長く勤めておりましたし、個別の産業の個別の株につきましては、それぞれの情報もございますので、私は在職中そういった株の取引は個々にしたことはありませんし、国会議員としてもしたことはございません。
○北川委員 ですから、株の取引と別に大して変わらないというぐらいの単位の問題のETFだということを、やはり御認識が、国民一般の方のモデルとなるというお立場なら、私は、この大臣規範に抵触しますし、インサイダー取引でも、竹中大臣は民間でいらっしゃって国務大臣、政治家ではないという点が今後問われるのかと思いますけれども、私は、ETFの問題をそのような状況に引っ張っていくというのは、モデルになりながら、失敗するかもわからぬ、もうからなかったから、ではいいじゃないかというのは、今のは居直り発言にしか聞こえなかったんですが。
では、福田官房長官、お願いします。
〔中沢委員長代理退席、委員長着席〕
○福田国務大臣 大臣規範のお話がございましたから申し上げますけれども、大臣規範では、閣僚としてやってはいけないこと、そういったことは、法律で書いていないようなことについても閣僚のルールとして決めている、そういうものがございます。それを大臣、副大臣、政務官規範、こういうふうに称しております。
その中で、お尋ねのETF、これが規範の外なのか中なのか、こういう話でございますけれども、そもそもこの大臣規範で、株式の取引について、また不動産とかそういうものの取引について、これは閣僚である間は自粛するといったようなことになっております。
これは随分前になりますけれども、株にまつわる事件がございました。要するに、インサイダー取引、先ほどインサイダー取引というふうに言っておられましたけれども、これは個別の銘柄について、その会社の情報を知り得る立場にいる人が情報を提供したということでインサイダー取引である。そういうことは、閣僚とかそういうような立場にいる者はそういう情報を得やすい立場にいるのではないか、また政府の施策を前もって知る立場にいるから誤解を招く可能性があるのではないか、そういうような趣旨でもって、株式については自粛しよう、こういうことになりました。
ただ、そのときも、投資信託のような、自分の意思でもって株価を左右できないような、もしくは特定の銘柄についての知識だけでは判断できないようなものについては、これはそこまで規制することはないのではないか、こういう判断でもって、投資信託はよろしい、こういうふうになっておりまして、今でも投資信託は閣僚として買っても構わないということになっております。
株式をそもそも買ってはいけないということになりますと、これは株式の信用というものもございます。政治家は株を買うときには慎重になきゃいかぬ、それは当然ありますけれども、しかし、それをむやみに拡大しまして株式全体が萎縮してしまいますと、今の資本主義市場というものは成り立たなくなってくるということもあります。これはそういう認識を持ってもらったら誤解なんでありまして、株式には大いに民間の方々が参加していただきたい、株を持っていただきたいというように思うくらいでございますけれども、しかし、閣僚にあってはそれは自粛しようということで、証券投資信託、投資信託だけはいいということになりました。
今回のETFは、まさにその投資信託の一種であるというように思いますし、今まで言っております投資信託よりもはるかに投機性がない、そういうたぐいのものでありますから、今回閣僚間で申し合わせをして、これは、株式が今低迷しておりますし、そしてまた民間側の株式離れということもありますので、少し注目してもらいたいな、そういうような意味も込めましてこの申し合わせをした、申し合わせというか、竹中大臣が提案をした、こういうことになります。
そのETFの中でも、これはいろいろございます。TOPIX連動もしくは日経二二五連動とか、まさに株式相場そのものなんですよ。ですから、日本の経済、その実態を反映するものであって、決して投機とかそういうことで言えるものでない。長い目で見れば、それは投機だというふうに言えば言えないことはないかもしれぬけれども、個別のインサイダー取引とかそういったようなもののしにくい、極めてしにくいものであるということであります。
ETFは、そういうものと、もう一種類あるんです。それは、個別の産業、例えば機械産業だとか建設機械メーカーだとか、割合と限定した、業種を限定したそういうETFもあるんですよ。この間閣僚懇で竹中大臣が言われたのは、まさにTOPIX及び日経二二五、この部分についてのみ閣僚間で協力してはどうですかというような提案をされたということでありますから、これは、大臣規範にも違反することでもないし、インサイダー取引にも関係するものではない、こういうことであります。(北川委員「やめてください」と呼ぶ)
○佐々木委員長 北川君。(北川委員「あんな、ひどいですよ、今の質問……」と呼ぶ)いや、だから質問の中でその意見を言ってください。北川君。――質問の中で御意見を言ってください、言い分があれば。どうぞ。
○北川委員 いや、私は別にETFの具体的な中身を宣伝してくださいというふうにお伝えしたわけではなくて……(福田国務大臣「理解していないようだから親切に申し上げた」と呼ぶ)いや、理解していますよ。この中の、規範の中に、どこに信託はいいというふうな文言があるんですか。この規範の中のどこに信託はいいんだという文言があるんですか。
○福田国務大臣 ちょっと、その文言、等とかそういうものが入っているかどうか、これはわかりませんけれども、趣旨からいって、大臣のルールとしておかしくない、こういう判断で決めたわけです。
○北川委員 このことは、この後国民とか市民とかが判断する内容の中に含まれてくることでありますし、政治家というものが、人数的にも圧倒的に少ない人が動けばどうだこうだというような、そういうような、萎縮するからという形の判断というのは、産業構造において私はおかしいと思いますし、先ほどの答弁は、私は、本当に今の内閣の姿を露呈しているというか、政治規範にも、解釈をつけないことには規範にならないような規範でやっていこうという内閣だという限定にしかならないと思いますけれども。
私はこの後に谷垣大臣とかにお伺いしたくて準備もしてきましたけれども、福田大臣の答弁、五分も説明しなければいけないような、規範にもとるのではないかと聞いたのに対してETFの説明に入るようなことは、本当に一人の国会議員の質問に対して失礼だと思いますけれども。
○福田国務大臣 しかし、私が今のように説明しないと、本当のところわからないでしょう。おわかりになっていないようだから説明したんですよ。私は親切心でやったと思っています。
○北川委員 きのう予算委員会でも追及されている内容であるわけでして、何もETFの内容を説明してくれなどとは一言も申し上げておりませんけれども。
○福田国務大臣 知っていると言えばいいんだ。質問したらいいですよ、具体的に。何ですか。文句だけ言わないで質問してください。具体的質問。何聞きたいの。
○北川委員 私の何が、ですから、今の大臣の答弁からお伺いしていますと、ETFの内容を私に説明していただいたというふうにしか理解できないわけです。私は、大臣規範とはいかがなものかということでお伺いしているわけですから、答えにはなっていないと思います。
これはもう委員長判断してください。
○福田国務大臣 大臣規範が何かということですか。そういうことですか。
○佐々木委員長 北川君、ちょっとその点、どうですか。今逆質問があったようだけれども。ちょっと質問と答弁がかみ合っていないようですね。
時間も来ているようですけれども、北川君、どうしますか。もう一回尋ねてみますか。
○北川委員 私は、細田大臣の個人的な問題の中から、今お話を細田大臣にしている中で、福田大臣が、内閣総体は私に責任があるからと途中で手をお挙げになったから、何をおっしゃるのかということでお伺いをしていたわけですよ。そうしたら内容は、ETFの内容に入るようなお話を私に説明してくださっているわけですよ。私のお伺いしている質問は、大臣規範の問題と時系列でお伺いしていた範囲のことであって、ETFの内容を聞いていたわけではないということで、答弁にはなっていないのではないかということです。
これは、申しわけないですけれども、委員長が判断してください。
○佐々木委員長 では、ただいまの点は北川委員の御意見として承らせていただくことにして、それでなお、時間が参りましたけれども、北川委員、質問はまた後ほどもありますね。ですから、この継続でお聞きになりたいとすれば、後ほどもう一度、再質問のときになさったらどうでしょうか。ということで、一応ただいまの質問というかお話は、御意見としてということでいかがかと思いますけれども。
ということで、一応北川れん子さんの質疑、ここで中断をいたしまして、次に、西村眞悟さんに再度御質問いただきます。
西村眞悟君。
○西村委員 またよろしゅうお願いします。今度は男女共同参画社会に関して。
最近報道された各自治体の条例について意味不明の文言等があって、男女共同参画社会とは何か、ジェンダーのフリーか、全く社会的、文化的な性差をなくすものが男女共同参画社会なのかということで、わからなくなっておりますので、政府の御見解をちょっとただしたいと思います。
報道によりますと、性の自己決定権、これは性と生殖に関する権利という概念を明記した条例があります。産経新聞が報道したわけでありますが、この性の自己決定権の規定とは内容は何だろうか。
これは例えば、援助交際における、何が悪いの、私の権利じゃないの、中絶、何が悪いのか、私の権利じゃないの、こういうことを意味しかねないと私は思っておる。そういうふうに解釈される場合もある。現実に、そのように言い放って、援助交際が何が悪いのと続けている風潮もあります。
官房長官にお聞きしたいんですが、担当大臣として、この各条例に盛り込まれた性と生殖に関する権利、性の自由、自己決定権、これは何なのかということについてお教えいただけますか。
○福田国務大臣 地方公共団体で男女共同参画に関する条例を出しております。条例を決めているわけでありますけれども、この男女共同参画社会基本法の趣旨を踏まえまして、各地域の特性に応じ、また、住民の意向等を踏まえまして作成されていると認識をいたしております。
この条例にあります性と生殖に言及した規定は、男女共同参画基本計画で、生涯を通じた女性の健康支援に関して、女性も男性も各人がそれぞれの身体の特徴を十分に理解し合い、思いやりを持って生きていくことは男女共同参画社会の形成に当たっての前提である、そして、女性がみずからの身体について正しい情報を入手し、自分で判断し、健康を享受できるようにしていく必要がある、こういうふうに定めていることに沿って地方自治体でも条例をつくっているというように理解しております。
こういうような条例の規定は、男女の生涯を通じた健康のために、いつ、何人子供を産むか、産まないかなどについてみずからの決定を尊重する趣旨である、こういう認識でございます。また、これらの取り組みは、正しい情報を提供することなどによりまして、まずは望まない妊娠を防ぎ、中絶や堕胎に至らない状況をつくることも目指すものでございます。
条例は、あくまでも法令の範囲内で策定されているのは当然でございまして、刑法とかそれから母体保護法に触れるものではございません。
○西村委員 一応、条例の文言が、国法、国の刑法等々で矛盾するものでないという御答弁なんですが、今の御答弁にあらわれた産むか産まないかというのは、妊娠するか妊娠しないか、これはわかるんですが、妊娠した後で産むか産まないかは女性が決めるということの意味に解されるんですが、こうではないんですね。
○福田国務大臣 それは、個人の意思というものはあります。しかし、そのことを決めることについては、それぞれの人の価値判断とかいうものもあろうかと思います。その前提として、そういうことをしなければ、例えば中絶とか堕胎するとかいうことを決めなければいけないような背景があるのかどうか、それが妥当なものかどうかといったようなことは、当然、私は個人の価値判断の中に入ってくるんだろうと思いますよ。ですから、そういうことをしなさい、してもいいんですよということを推奨しているものではないということは、これはもう自明のことであります。
それは、やはりその時々の社会の状況、例えば家庭環境だとか、また社会の状況などに影響を受ける部分も多いと思います。そういうことが当然だというふうに皆が認識しているような社会では、そういうことはしやすいということもあるんじゃなかろうかと思いますから、それはそれでまた別途いろいろ考えなければいけないことはあろうかと思いますけれども、そういうことを条例とか基本法でもって推奨しているものではないんだということは、これは御理解いただけるかと思います。
○西村委員 ちょっと確認ですが、性の自己決定権というものは中絶を容認するものではないわけですね。
先ほどの質問は、産むか産まないかは女性が決める、それから、妊娠した後で産むか産まないかは女性が決める、産まないと決めれば中絶ということになりますね。これをいわゆる性の自己決定権は容認する概念なんですかと、確認のためにお聞きした。容認というか、認める、中絶を認める、オーケーですよという意味ですね。
○福田国務大臣 これは法律論じゃないと思いますね。法律じゃなくてむしろ、そうじゃなくて、そういうものを容認するかどうかということ、これは、本人がその必要があるかどうか、その必要が、先ほども申しましたように、本当に必要なのかどうかという、そういうような個人の問題もあるし、また、先ほど私があわせて申し上げたのは、そういうことを容易に許すような社会があるのかないのかということも、これも大事な要素だというふうに思っております。
○西村委員 どうもちょっと確認し切れていないんですが、私は児童の権利に関する条約の条文をちょっと申し上げます。
この条約には条文の前文がついておりまして、その箇所を少し指摘しますと、「この条約の締約国は、」「児童の権利に関する宣言において示されているとおり「児童は、身体的及び精神的に未熟であるため、その出生の前後において、適当な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とする。」ことに留意し、」次のように協定した。第一条「児童とは、十八歳未満のすべての者をいう。」第六条「締約国は、すべての児童が生命に対する固有の権利を有することを認める。」
この条約を起案した国はプロテスタントの国であって、この児童の権利条約は、日本文では明確には示されていないけれども、前文と今私が読み上げた条文を総合して解釈するならば、出生の前後における、つまり中絶を禁止している条約ではないかな。
したがって、官房長官が今お答えになった点については、我が国の国法はこの条約の効力において下位にあるわけですから、やはりこの条約を締結した国として、いやしくも条例においても中絶を容認するかのごとき風潮が生じてはならないために、十分、点検、調査しなければならないのではないか、こう思いますが、いかがですか。
○福田国務大臣 児童の権利条約なんですけれども、児童の範囲を十八歳未満、今委員御指摘のとおりでございますが、十八歳未満の者である旨規定し、特に出生前の胎児を含む旨の断りがないこと及び意思表明、教育等の本件条約のほとんどの規定が明らかに出生後の児童のみを対象としたものであり、胎児を対象とすると考えなければならないという規定はないことなどから、本件の条約上の児童は胎児を含まない、こういうような解釈をいたしております。
これは、胎児の保護について、この条約審議においても種々議論がされたようでございます。そして、結局、本件条約の保護の対象として胎児を含めることについてはコンセンサスが成立しなかった、こういうような経緯もございます。
○西村委員 いろいろ質問もしたいんですが、何分十五分ですので、本日はこれにて中断します。
○佐々木委員長 以上で西村眞悟君の質問は終了いたしました。
次に、引き続いて吉井英勝君。
○吉井委員 それでは、先ほど最後に福田官房長官に質問をしておりますときにちょっと時間になっちゃったので、半端なことになった分を少し整理して、さっきの大臣の答弁にかかわって、私の方でも整理してみますと、要するにこういうことだと思うんですよね。
国民はすべて、憲法二十八条で労働基本権を保障されているわけですね。これは、本来は公務員含めて全部保障されているんです。しかし、二つ目に、公務員は憲法二十八条の労働基本権が制約されているわけですよ。そこで、三つ目に、制約されているけれども、人事院という代償措置があって、だから憲法違反ではないというのがこれまでの政府の考え方です。四つ目に、だから、公務員の労働基本権にかかわる法律案の提出ということについては、当然、憲法二十八条の要請にこたえた形でなければならないわけです。この点では、内閣に提出権があるとしても、憲法違反のものはもちろん政府もしないのは当たり前ですが、憲法を制約する代償措置としての人事院の意見等、これを無視して勝手にはできない、公務員にかかわる法案ですね、こういうふうに整理して、そういう立場で臨むんだということを確認しておきたいと思います。
○福田国務大臣 今委員のおっしゃられたように、結局、代償措置として人事院が存在するということでありまして、戦後、我が国はその制度を利用して非常にうまくやってきたんじゃないかなというふうに思っております。そういうことから、先ほど時流という言葉がありましたけれども、時流に合わせた改正も必要かもしれぬというようなことで今いろいろ検討しているというところでありますけれども、基本的な考え方、枠組みというものは、これは変えないということでありまして、憲法に抵触するということにならない範囲で今考えている、検討がなされているというふうに私は考えております。
○吉井委員 ですから、そこのところを、一番最後のところをきちんと。
要するに、公務員の労働基本権にかかわる法律案の提出に当たっては、公務員の場合は、労働基本権を制約されているわけですから、その代償措置としての人事院があるわけですから、当然のこととして、人事院等を無視して提出するということにはならない、立法作業を進めることにはならないと。この点は大臣も、先ほど来の答弁を聞いていて、大体そういうことでいいと思うんですが、そこだけちょっと確認しているんです。
○福田国務大臣 今おっしゃるとおりでございまして、先ほど来石原大臣からも答弁していると思いますけれども、人事院、また団体ですね、労働組合、そういったような団体等との意見調整もしなければいけないということで、それはもう十分考えておるところでございます。
○吉井委員 そういう形で、要するに、憲法二十八条の労働基本権は、本来的にはもちろん公務員含めてあるわけですから、それを制約する代償措置としての人事院ですから、その点では労働組合との交渉、協議も十分やらなきゃいけないし、代償措置とする人事院との協議も十分進めるということで、それが不十分なまま法律改正作業を進めるということ自体が重大問題ですから、そういうことはないようにしてもらわなきゃならない。このことを申し上げまして、官房長官、いいのですか、何か用事があるようなお話でしたから。そのことを確認して、行ってもらって結構ですから。
次に、石原大臣に伺いますが、その前に、人事院総裁に伺っておきますが、能力等級制の問題についてです。
人の能力を評価するということは、もともと非常に難しい話ですが、この制度導入には疑問が多くて、これからよく検証する必要があるというふうに思うわけです。これはまた、能力等級制度の問題は代償機能とも深くかかわってくる問題です。
そこで、予算委員会の議論では、人事院総裁は勤務条件だと明確に言い切っておられますが、人事院総裁の言われた意味をもう少しよく理解するために、人事院の方から少し突っ込んで、能力等級が勤務条件だということを説明していただきたいというふうに思います。
○佐藤政府参考人 まず第一点は、能力等級制度、要するに給与の等級でございますけれども、これは、昇格、昇給に深くかかわっているわけでございまして、ある意味では、給与に直接かかわったシステムでございます。したがいまして、給料の等級をどう決めるかということは、やはりこれは勤務条件そのものではないかと。
今回の公務員制度改革の議論の中で、行革事務局の方の御説明によりますと、能力の評価と給与の等級というのは直結するんだということをおっしゃっておりますので、やはりどうしてもこれは大事な勤務条件の一つだというふうに結論せざるを得ないというふうに思います。
○吉井委員 石原大臣も、この点では同じように考えておられますね。そこを大臣に伺います。
○石原国務大臣 ちょっと今、佐藤人事官の話が、私、理解できなかったんですが。
ちょっと長くなって恐縮なんですけれども、能力等級というのは、二つのことによって成り立っていると思うんですね。すなわち、ポスト、職務というんでしょうか、を遂行する上で発揮することが求められている能力としての職務遂行能力基準というものが一つあると思います。これに基づいて職員の方々の職務遂行能力の発揮度を評価して、その結果を活用して職員を任用する、すなわち職員の能力等級を決定するというものが一つの線としてあります。そして今御議論がありました給与の部分があると思うんですけれども、給与は、現行の俸給月額にかわる基本的な給与種目として、職員に対し能力等級に対応した給与を支給するけれども、具体的な給与額についてはもちろん人事院が関与していくわけであります。
そうしますと、どういうことかといいますと、職務遂行能力基準は、職務を遂行する上で通常必要とされる能力を摘出してきたものでありまして、職員の、どういう職に任用しようというような問題、あるいはどれだけの仕事をしているか、絶対評価等に活用するための基準でありますけれども、職員の方々の能力等級に対応する、イコールで具体的にその給与というものが直接決定されるものではない。
これは予算委員会でも私は答弁をさせていただきましたし、片山総務大臣も申し述べていたように、一列、二列、三列とあってこういう形でつながっておりますので、今人事官の方が答弁したこととは私ども違う解釈をしておりまして、能力等級を通じてこっちとこっちがつながりますので、勤務条件に関係し得るもの、片山大臣は勤務条件的なるものという表現をされたと思うんですけれども、職務に求められる能力をピックアップしてきたものでありますから、勤務条件そのものではないのではないかと私どもは考えております。
○吉井委員 今、片山さんの話が出ましたが、これまでの関係する答弁をずっと見ていくと、総務大臣は、労働基本権と代償措置はパラレルの問題という立場から、二〇〇一年十一月の参議院総務委員会で我が党の宮本議員の質問に答えて、級別定数の労働条件性を認めた答弁をしています。
大臣、そうすると、能力等級制度になるとこの級別定数の考え方というのはどういうことになってきますか。
○春田政府参考人 御答弁申し上げます。
能力等級制度を導入いたしまして、それぞれの能力等級に従って職員の能力評価をいたしまして、その結果に基づきまして任用する、能力等級の決定というのもそれぞれ職員ごとに決定をするということでございます。
こういう枠組みをつくっていくということで、これは現行の制度と比較いたしますと、現行は実は職務の等級というので、いわゆる給与を支払うための基準として、給与法に基づきましていわゆる職務給というものが支払われるという形の中で等級が設定されておるわけでございます。その中で、それぞれの級にどれだけのいわゆる定数を配するかということで、この点につきましては現在、人事院さんの方でそれを決定するということをされておられるわけです。
今回、能力等級制度を導入することによりまして能力等級というのが、先ほど来お答え申し上げておりますように、いわゆる任用であるとか評価であるとか、あるいは給与の支払いにももちろん関係するわけですが、そういう人事制度の基本としてのいわゆる等級制になるということでございまして、そういう意味では、現行の給与の等級をなしておりますところのいわゆる職務給の級でございますが、そういうものとは性格が異なることになるものであるというふうに理解をしております。
したがいまして、現行のいわゆる級別の定数というものと、新しい制度のもとにおきましてもいわゆる能力等級に応じまして人員の枠というものが設定されるということになるわけでございますが、この人員の設定の枠組みに関しましては、今までの、いわゆる職務給に基づきますところの級別の定数というものとは必ずしも性格は同じではない、むしろ、性格はそういうふうに変わってくるものであるというように認識をしております。
○吉井委員 ぐちゃぐちゃ答弁したけれども、要するに、能力の評価というのは極めて難しいんです。
現実はどうなっているか。能力とは全く無関係に、公務員労働の中でも昇級昇格差別等があって、現実に裁判になっている事案がたくさんありますよ。そういう中で、今おっしゃったような話で簡単にいくものじゃありません。
国営企業労働関係法第八条では、昇職、降職の基準は交渉事項とされています。現行では、級別定数は代償措置の範囲で人事院が関与しています。勤務条件である労使の交渉事項を使用者が勝手に変えるというのは、これは大臣、問題じゃないですか。
○石原国務大臣 ちょっと、黒板か何かがあればもう少し簡単に説明できると思うんですけれども、今室長の方から話しましたように、先ほど私も言ったんですが、職務遂行能力基準というのは、職務を遂行する上で通常必要とされるという能力をピックアップした。言葉をかえますと、今の制度というものは、等級がありまして、この人の体、頭が持っているものはこれだろうと思ってそこに割り振って、そこが人事院の決められる俸給というものにイコールでつながっているのが現在の制度だと思うんです。
しかし今度は、職務、まずポストを、例えばこういう能力、例えば外務省でいうならば、北米一課長のやる仕事というものはこういうものであるという職務というんですか、ポストを決めます。それと似ているけれども、安保課長はこんなものである。そこに、これまでであるならば、この人はこういう能力があるからここの課長だ、だから給与が幾らだという形で決まっていたわけですけれども、今委員御指摘のように、一つの例をとっても、おれの方がここのポストには能力があると思うけれども、客観的な基準というものもなくて、何でそういうところにおれはいなきゃいけないんだというような不服とか請求があるということは、私も承知しております。
これを三つの縦の線で横につないでいこう、先ほど説明しましたので重複は避けますけれども、そういうものを仕組んでいこう。当然、委員御指摘のとおり、個人の能力を判断するということは非常に難しい、これはもう片山総務大臣が答弁をされておりますけれども、それをいかに客観的な基準で評価し、さらにその評価をする人間のトレーニングも行い、また複数の人間が評価する、そして、もちろんそれでも今と同じように、おかしいじゃないかと思う人がいるならば、その審査請求ができるシステムをそこにはめていく。
ですから、やはり試行を重ねていく中で、この客観的な基準に見合った仕事というものが理解をされていくのではないかと私は考えております。
○吉井委員 現実には今あなたがおっしゃった、同じ頭だったらこのラインというところなんでしょうが、しかし、それが恣意的にラインが変えられているんです。だから昇任昇格差別というのはいっぱいあるわけです。
それで、時間が来たということですから終わらなければいけないんですが、人事院と政府答弁は明白に食い違っています。これは非常に、憲法上の重要問題であるわけですが、一方では労働基本権制約は現状を維持する、しかし一方で、勤務条件であるものについて使用者が一方的に決定できる制度を検討する、これはもう明らかに矛盾であり、労働基本権の侵害ということになってきます。それはまたILO勧告にも逆行するものでありますから、今後引き続きこれは議論をしてまいります。
そもそも、人の能力を評価するなんというようなことは簡単な話じゃないのに、それを十分な協議もなく、政府の方で一方的に立法作業を進めるなんということは許されない、このことを申し上げまして、残念ながら時間が参りましたので、終わります。
○佐々木委員長 以上で吉井英勝君の質疑は終了しました。
次に、再び北川れん子君。
○北川委員 社会民主党・市民連合の北川れん子といいます。
この十五分は竹中大臣をお願いいたしておりましたので、よろしくお願いします。
きょうは、先日問題になりました全銀協の、二月十日に訂正、「本人確認法事例・解釈集の訂正について」という、この二枚のコピーなんですけれども、これをもとにお伺いをしていきたいと思うんです。
今回、だれが告知をしたかわかりませんけれども、問題があるんじゃないかと総務省に問い合わせたことが発端になりまして全銀協の通達というのがわかったわけですけれども、竹中大臣はどういう点が問題であったと認識をされているのか、お教えください。
○竹中国務大臣 そもそもの話といいますのは、全銀協で本人確認に関するガイドラインをつくると。本人確認というのは、御承知のように、金融機関で、例えば新規に口座をつくる場合とか、大口の引き出しをやる場合に、これは本人を確認する必要があるわけでございますけれども、そのときにどういう書類がそれに該当するかということに対するガイドラインをつくったわけでございます。
一方で、まさに住民基本台帳法では、例の住民票コードの通知書については、その提出を求めては、これは法律上いけないわけです。提示を求めてはいけないということで、そんなことをすれば、これは明らかに金融機関は法律違反になります。
もう一つ、仮にですけれども、もし向こうがこれで本人確認してくださいというふうに持ってきた場合には、これは片山大臣も答弁しておられますが、厳密な意味での法律違反ではないけれども、やはり好ましいことではないということになる。ところが、全銀協のQアンドAの書き方は、そういった違法な行為であるとか、違法ではないけれども不適切な行為を導いてしまう可能性があるような書き方になっていたということだと思います。これは、明らかに全銀協のQアンドAは不適切であったということになる。
加えて、そのQアンドAをつくる段階で金融庁にも問い合わせがあって、金融庁はそれをチェックする重要な機会があったにもかかわらず、そういった十分なチェックが行い得なかった、行うことができなかったという意味で、これは、金融庁自身にやはり適切ではない、不適切な行為があったというふうに認識をしております。
それに基づいて、今委員御指摘のように、二月の十日付で全銀協から訂正の連絡文書を発出して、住民票コードの利用制限等が遵守されるよう各行に周知徹底を図っている。金融庁としても、今回のことを厳しく受けとめ、そういうことが起こらないように指導を徹底しているというところでございます。
○北川委員 今おっしゃってくださったように、この議論がなったときに、告知の要求は違法だけれども、明確にそのことの部分を、規定するというところの部分がなかったという点において、先ほども、窓口のところでどうだったかというところに置くとあいまいになるというふうになると思うんですけれども、これはひとつ、予算委員会でも金融庁のその担当者の参考人要求というのも出て、全銀協に参考人として来てもらって、当時どうだったかと。
きっちり金融庁は、何か、聞いていると、一人の人が担当して、一人の人が、ああ、いいですよという感じでやったということですから、先ほど大臣がおっしゃったように、担当者が一人であったということも、ぜひチェック体制をダブルでやるということにしていただきたいと思うんですが、これを調査するとおっしゃいました。
調査の今の進みぐあいと、それから期限は、明確にはできないとあの時点では、二月十日時点ではおっしゃっていたんですけれども、いつごろまでというふうに思っていらっしゃるんでしょうか。
○竹中国務大臣 今申し上げましたように、QアンドAそのものに不適切な部分があった、それを事前にチェックする立場にあった金融庁の対応にも不適切な部分があったということでありますから、そういう事実を踏まえて、我々としてはしっかりとした対応をしなければいけないというふうに考えております。
まずやらなきゃいけないこと、三つあるというふうに思いますが、そのうちの一つが、先ほど申し上げましたように、二月十日にこれは既に行ったわけでございますけれども、全銀協から訂正を行って、住民票コードの利用制限を遵守するようにということをきちっと示すということ、これがまず出発点としての第一に我々がやるべきことであったと思っております。
第二は、こういうことが起こらないように金融庁の内部の体制をしっかりとさせるということだと思います。今、北川委員から内部の体制のお話がございましたけれども、私の方から即厳重に、庁内に対しては、今回のことを反省して、こういうことが二度と起こらないように厳重に対処するようにということを指示をいたしました。
第三に、もう一歩進んでやはりやらなければいけないことがあるだろう。これは、先般、予算委員会で民主党の河村委員からも御指摘をいただいたことでございますが、そういう不適切なQアンドAが、短期間とはいえ出ていたわけだから、それによって国民が本当に被害を受けていないのか、そういうことをちゃんと調べるべきではないのかという御指摘がございました。これはもうそのとおりだと思います。私の方としては、全銀協に指示をいたしまして、そのことの調査を速やかに行うようにということを申し述べました。
調査すべき点としては二点あろうかと思います。そういうケースがあるか否かということと、これの事実関係を調査するということであります。もし万が一にもそういうことがあったとしたら、それをどのように対応しているのかという、そのフォローアップの措置についてもやはり調査をしなければいけないと思っております。
我々のこういう指示に基づきまして、全銀協は既に、二月二十一日であったと聞いておりますけれども、加盟行に対して、今申し上げたような調査依頼を行ったところであります。これは、店舗の数が多いとか、いろいろ時間的に難しい問題もありますけれども、調査結果については各行から全銀協に対して報告があって、これを全銀協において速やかに取りまとめて、我々もその結果を聞きたいというふうに思っているところでございます。
○北川委員 あるかないかというのは、みずから住民票コード通知書を持ってきて窓口で渡してしまった方があるかないか、そういうことがどういうふうに処置されたかということを調査しているということなんですけれども、この二月十日をもとにというふうにお伺いしたのは、この二月十日の部分に、「なお、銀行窓口で当該通知書をコピーし保管している場合には、当該コピーを破棄する。」と。だから十日は、残念ながら、訂正もしたんですが、もう業務の指示まで出ているんですね、違法に収集した個人情報を破棄するという。これは違法を重ねることになるというふうに思うんですけれども、この全銀協の指示に対しては、金融庁はチェックをされていたのでしょうか。
○竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、そういった提示があったのかどうかという、その事実関係の確認をするというのがまず第一のポイントでございます。それを受けて、もし万が一あった場合には、それに対してどのような対応を行ったか、それこそ破棄したのか、それをどうかしたのかということも含めて、今、調査をするようにということで全銀協に指示をしておりまして、全銀協はそのような調査の依頼をすべての各加盟行に対して発出したというふうに聞いております。
○北川委員 それは、先ほどの質問と同じことをまた短く言ってくださったと思うんですが、今私が聞いたのは、二十一日の調査内容はまだ私、文書を見ておりませんが、二月十日に既に全銀協は、「会員殿」ということですから、全銀行に対して、先ほど読みました、違法に収集した住民票コード通知書があれば当該コピーは破棄しなさい、「破棄する。」と書いてあるんですよね。ですから、違法にとりあえず収集したものを違法に破棄するという指示をもう全銀協が二月十日に出しているんですが、このことを金融庁は確認をした上でこの文書の配付が会員になされたのか。違法に収集したものを破棄するということは証拠隠滅になるのではないかという点でお伺いしたんですが、いかがでしょうか。
○竹中国務大臣 この法律を主管しているのは総務省でございまして、二月十日付の全銀協の発出した「本人確認法事例・解釈集の訂正について」という文書は、これは総務省の指摘によって行われたものというふうに認識をしております。
私がお伺いしておりますところでは、仮に金融機関が住民票コード通知書のコピーを保管していた場合、速やかにそのコピーを破棄することは、むしろ住民基本台帳法の趣旨に合致するものというふうに総務省としてはお考えになっておられるのではないかな、私自身はそのように認識をしております。
○北川委員 では、二月十日のこの文書というのは、金融庁はタッチをされずに、全銀協が総務省の指摘を受けて、総務省の検査のもと、出したものであると聞いているということですか。
○竹中国務大臣 総務省の指摘に基づいてこれは全銀協がお出しになったものでありますけれども、金融庁も確認をしております。
○北川委員 だから、金融庁の確認の部分の中で、先ほど、ダブルチェックがもう二月十日はやっていらっしゃったと思うんですけれども、当該通知書のコピー、違法に収集したもの――では、もう一度お伺いしますが、竹中大臣は、住民票コード通知書には何が書いてあると認識していらっしゃるんでしょうか。
○竹中国務大臣 基本的には、本人を識別する四つの項目が記載されているものだと認識をしております。
○北川委員 そうですよね。四つの項目だから、住民票コードがついているんですよね。そのものをコピーすることというのは、これはまさに違法なことであるわけですが、その違法に収集しているかもしれない証拠物を廃棄するように、破棄するようにと書いてあるんですが、この部分においては金融庁も、では、関与されたということでは、これは破棄してはいけないものというふうにならないでしょうか。
○竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、この法律を所掌しているのは総務省でございまして、その総務省の指摘に基づいて全銀協が行ったものだというふうに認識をしております。
総務省のお考えになっていることとしては、これは私の認識でありますけれども、総務省としては、先ほどまさに申し上げましたように、仮に金融機関が住民票コード通知票のコピーを保管していた場合、速やかにそのコピーを廃棄することは、むしろ住民基本台帳法の趣旨に合致するものというふうに総務省はお考えだ、私はそのように認識をしております。
○北川委員 ですから、コピーまで残すということがまさに違法、三十条の四十三に抵触するという行為の発覚にまでなるわけで、窓際で、窓サイドで、本人がみずからナンバーをささっと言ったのを聞いただけ、書きとめなかったとかといった場合にはずばり違法じゃないというのが総務省の見解で、ここがまさに論争、法律の条文が足りなかった、九九年の住民基本台帳法の改正のときに。これはまた総務省との話し合いになりますけれども。
まさに金融庁も、今お伺いしていると、またそこの部分は総務省ということで、せっかく先ほどは、責任のかなりの部分を、自分たちの発出する文書の検閲において金融庁自身がみずから抜けていた点があったとおっしゃったにもかかわらず、再度詰めていくとそれは総務省だというふうに言われるのは、少しまだ認識がお足りにならないといいますか、あえて言えば、ことし一月六日から本人確認法が、テロの問題で去年発布されたものがことしの施行になりまして、本人確認法が変わりましたよね、金融庁全般に関して。ということも置いて今回事例集が、新たにマニュアルが出されたわけですから、その点の認識においては、金融庁はまだ甘いんじゃないかというふうに思います。
では、明確にお伺いしたいんですけれども、違法に収集した個人データを破棄することは証拠隠滅になりませんか、なるとお考えにはなりませんか。いかがでしょうか。
○竹中国務大臣 これはちょっと所掌外の法律の解釈の問題だと思いますので、私の方からどうこうということはちょっとお答えできないということは、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。
私、前半に申し上げましたように、我々としては、これはもう解釈の問題ではなくて、明らかに法律の違反に結びつくような、結びつきかねないような、そういう書き方をガイドラインの当初はしていた。その点に関しては、それを見落としたという点に関しては、あの金融庁の対応は不適切であったと。
そのために、私たちとしては、先ほど言いましたように、まず、すぐにそれを訂正するということ、それと今後起こらないようにするということ、さらに、それによって被害が生じていないかということに関しては万全の体制でもって調査する。これは我々金融庁の責任でございますけれども、今、北川委員がお話しになっていることというのは、その解釈なりの問題でございますので、これはぜひとも総務省の方といろいろと議論をいただくべき問題であろうかなと思います。私の認識は、総務省はそのような解釈だというふうに認識をしているわけでございます。
○北川委員 いや、金融庁がかかわった部分もあるということでいらっしゃったので、あえて言えば、「破棄する。」という文言は、やはり目ざとく見つけられて回収するというふうにチェックをしないといけなかったのではないかということを申し上げているんですけれども、いかがでしょうか。
○佐々木委員長 竹中大臣、時間が来ていますので。
○竹中国務大臣 はい。
その辺は解釈の問題でございますので、総務省とぜひ議論賜るべき問題だと思います。私の方としましては、総務省と相談しながらやっておりますので、金融庁として万全の体制をとったつもりでございます。
○北川委員 これは解釈の問題ではなくて、金融庁もこのことには関与していたわけですから、明確に、また御検討いただくようにお願いしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で北川君の質疑は終了いたしました。
次に、大畠章宏君。
○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
各大臣から所信をいただきまして、そのことにつきましてそれぞれお伺いをさせていただきます。
最初に、これは質問通告の中には入っていませんが、官房長官に、事前準備が要らない形でちょっと一つ質問させていただきます。
昨日も報道がありましたが、北朝鮮のミサイルらしきものの発射実験がある、あるいはまた国内でも経済問題、あるいはイラクの問題、まさに多岐にわたる課題がたくさん同時並行的に動いておりまして、これを今何と表現したらいいのかということですが、よく一言で言いますと国難という言葉がありますね。しかし、ある方から私は言われたんですが、国患、国が患っているといいますか、国の災難、国の難儀、まさに国患と称するのが適切ではないかという話をいただいたことがありますが、官房長官は今この日本の国の現状について、一言で言いますとどういう状況だと考えておられるか、まず最初に伺います。
○福田国務大臣 今いろいろな問題点を指摘いただきましたけれども、国難とか国患とかいうのとちょっと違うと思いますけれども、経済の問題も、これも大きな問題だと思います。
経済問題は、国内的な要因もございますけれども、例えば、海外から安くよいものが入ってくるような時代になったというようなことも一つの客観情勢というか環境、そういうような問題も経済の中にはあるんだろうというように思います。ですから、そういうものを、内外を見ながら対応していくということが必要なんだろう、そういうことが迫られている。
しかし、内外という意味で申し上げますと、まさにイラクとか、それから北朝鮮の問題とか、いろいろ外的要因によって我が国の対応を考えていかなければいけない、そういう問題も今ちょうど軌を同じくして押し寄せてきたというか起こっている、こういう状況でございますので、こういうものにどうやって対応していくかということは、これは大変な問題でございますので、委員を初め国会の先生方にも御協力いただきながら、このいろいろな問題解決に努力していかなければいけない、そういうようにも思っております。
いずれにしましても、大変な、大変と言うと大騒ぎするような大変になりますけれども、冷静に事態を見詰めながら的確な対応をしていくということが実に求められているときではないかというふうに考えております。
○大畠委員 そういう意味では、与党、野党、経済界、労働界、そしてまたさまざまな分野で活躍をされている方がおられますけれども、みんながどうやってこの国の一つの、国患と称する人がおられましたけれども、国のこの難儀を乗り越えていくか、まさにみんなが力を合わせてやっていかなければならない、大変厳しい状況に今来ていると考えるわけであります。
さて、そういう状況の最初に、竹中大臣がどうも三十分ぐらいしかいられないという話を聞いておるんですが、そういうことから、大変恐縮でありますが、竹中大臣にまずお伺いをしたいと思います。
一つは、小泉総理の一番のサポーターといいますか、お互いにサポーターになっているように感ずるわけでありますが、竹中さんのサポーターは小泉さんだし、小泉さんのサポーターは竹中さん、この二人が日本の経済問題について大変大きな影響力を与えているわけでありますが、まさにそういう重責を担うときに、現状認識はどうなんだと、これが狂いますと、方針というものも間違ってしまいますから。
そこで、地域経済に対する現状認識を問うわけでありますが、そのときに、私どもは、民主党として中小企業アンケートというのを昨年からとらせていただきました。要するに、現場主義、いわゆる現場を知らないで物を語ることはできないんじゃないか、こういうことからアンケートをとりまして、五百十七社からお答えがありました。
中小企業向けの融資は消極的であり、中小金融公庫、商工中金、国金等に融資支援をその分拡大してほしいとか、中小企業の金融の取り立てが厳し過ぎる、大手企業に甘過ぎる、こういう回答もありますし、連帯保証人がなくても借りられるシステムの創設を、非常にいろいろ切実な声がございました。借りるときに書類が多過ぎる、これはずっと昔から言われている話ですね。そういうものとか、さまざまな声があるんですが、そこで、大臣として、この地域経済の現状をどう認識されておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
○竹中国務大臣 内閣府の経済財政部門では、マクロ経済の動向をしっかりと見ていく、同時に、地域経済の動向についても、さまざまな手法でまさに現場の情報をできるだけ早く取り入れられるように、いろいろな仕組み、努力をしているつもりでございます。
地域経済の状況でありますけれども、輸出の回復等々によりまして、十四年度の半ばあたりには、いずれの地域においても底入れをしたというような姿が描かれます。しかし、その後は、多くの地域で持ち直しの動きは続いているんだけれども、やはり緩やかになってきているというのが現状ではないかと思います。これは短期の状況でございます。
しかし、同時に、雇用情勢は依然として厳しくて、完全失業率は各地で過去最高水準になっている、この点に地域経済の厳しさが集約されているというふうに思います。さらに、消費者の購買態度が非常に慎重になってきているということから、非常に注意深くこれを見ていかなければいけない、各地域の状況を見ていかなければいけない状況であろうかと思っております。
地域別には、若干のばらつきがございますが、この十一月の時点で地域別にいろいろ動きを見てみますと、いわゆる上方修正といいますか、前よりは少し判断がよくなっているという地域としては、北陸地方があります。一方で、逆に少し悪くなっているという地域としては、南関東や近畿地方が挙げられる。
もちろん、申し上げましたように、地域によってばらつきがあるわけでありますが、総じて、今申し上げたような動きの中で、地域経済、大変厳しい状況が続いておりますので、その動向には細心の注意を払わなければいけないというふうに思っているところであります。
○大畠委員 今、総じてのお話がございましたが、現実問題は、大臣も御存じのように、自殺者もふえておりまして、実は、私もこの民主党のアンケート結果を見まして非常に驚いたんですが、知人で借金苦が原因で自殺をしたという人を知っているかという問いに対して、卸売関係では何と六一%の人が、知っている人で自殺をしたという回答がありますし、建設業では二九%、流通二五%、製造業二四%、その他のサービスでも二一%、小売では二〇%。平均すると回答者の中の三割の人が、知人で借金苦によって自殺をした人を知っているというんですね。ここまで追い詰められているんです。
ですから、私は、地域の経済というのはかなり深刻な状態になっている。特に東京にいますと、経済の実態というのがよくわからないんですね。竹中大臣も多分地域にも行ったことがあると思うんですが、地方の方に行きますと、本当に東京とは一変しちゃうんですね。あそこのお店も閉まっちゃった、こっちの商店も何かやめたみたいだ。これが、小泉さん、竹中さんが求めている、いわゆる一つの目標過程の中にあらわれている現象なんです。
私は、そういうものを考えますと、何かどうも、小泉さん、竹中さんが非常に自信を持って進めている今の金融政策あるいは金融財政経済政策といいますか、何か私は微妙にといいますか、竹中さんが考えているようなものとは違う形の現象があらわれているんじゃないか。いわゆる、手術をするときに患者の脈拍あるいは血圧、体温等々が非常に下がり始めている、このまま手術を進めていいのかどうか、やはり指標を見なければなりませんから、そういう意味では、何か非常に、竹中さんは、これはもうかりますとか、あるいは、これは大丈夫ですとかという元気のいい話が出ますが、どうも地方の実態としては、だんだん容体が悪化してきているというとらえ方を私はしているんですね。したがって、そういう状況を見た場合には、手術の方針を変えるということも決断しなきゃならないと私は思うんです。
そこで、声としてもう一つあるのは、中小企業に対する金融というものが、竹中さん、一生懸命取り組んでおられると思いますが、日本銀行の金融経済統計月報というものを見ますと、信用組合というものの貸出比率といいますか貸出残高、これが非常に減少しているんですね、急激に。この統計を見て私が感ずるのは、どうも地域のところのお金のめぐりが悪くなっている。これは竹中さん御存じのとおりだと思うんですが、その一つの原因がいわゆる金融庁の、何度も同僚議員からも指摘がされておりますが、何か都市銀行と地域の金融機関に対する検査方法といいますか、いわゆる物差しが同じで、とにかくやれということの方針に従ってやっているところの地域では、商店街とか零細企業が非常に厳しい状況に至っているという話も聞いているんですね。
実際に、県外のある信用金庫の支店長さんのアンケート結果というのもずっと見せてもらったんですね。そうすると、非常に、金融監督庁の検査官で検査によっては対応が異なるとか、中小零細企業の実態に即した形ではないとか、そういうもので、あそこはだめだ、ここはだめだ。例えば、非常に売り上げが落ちているので毎月の返済額は少し落としてほしいというので、裁量で落とすと、それも、これはランクを下げるとか、非常に地域経済の実態に合った形でない金融庁の検査というのがあって貸せなくなっているというものが、この信用組合のいわゆる中小企業向け貸出残高の異常とも言えるほどの落ち込みというものになっているんじゃないかと思うんですね。
そこで、竹中さんにお伺いしたいのは、そういう現状を見ながらも、なおかつ現状のまま進むのか。いわゆる昔の戦争でいいますと、二〇三高地を突っ込めばいいんだというこれまでの方針でやった場合に、ばたばたとそういう地域の零細企業が倒産するという状況が生まれるわけでありますが、それでもなおかつ竹中さんはここのところを突っ走るという決意かどうかというのをお伺いしたいと思います。
○竹中国務大臣 私自身、御指摘いただきましたように地方の生まれ育ちでありまして、地方にルーツを持っておりますので、委員御指摘のような地域経済の疲弊というものを大変厳しい状況であるというふうに受けとめております。特に、その厳しさの中の中核に金融の問題があるということも、これは、同時に私は金融も担当しておりますから、そのことも大変重く受けとめているつもりでございます。
そういう状況にあって、しかし、どうしてもやはり我々原点で考えなければいけないのは、例えば不良債権の処理をおくらせて、不良債権の処理をやらなくてもいいというふうにはもちろんどなたも考えていないと思う。しかし、それをおくらせてそれで日本の経済がよくなるかということなわけですが、不良債権の処理がなかなか進まないことによって、何か三カ月ごとに何月危機、何月危機というふうに叫ばれて、むしろ日本経済全体が非常に危うい状況になるのではないかというようなことを指摘された時期もあった。その意味では、不良債権の処理はやはり粛々と、厳しいけれども進めていくという方針は、これは私はどうしても貫かなければいけないものだと思います。
しかし、委員御指摘のように、そこにやはり非常に厳しい問題があるというのは、これは事実でありますし、私自身も厳しく認識しているつもりでありますので、ここはやはり三段階、三つの政策を同時に行っていくということが重要なのだと思います。
一つ、これはもうよく出てくる話でありますが、検査マニュアルの話がございます。
検査マニュアルは、中小企業に関する別冊もつくっておりますし、それを見ていただきますと、中小企業は別なんだ、中小企業は、零細企業は別なんだよ、大手とは違うのだ、それに即した多様な実態判断をしてくれということを、マニュアルにはこれはもうきちっと書いてあるわけでありますが、現実問題として、いろいろ聞こえてくる話は、やはりそれは徹底していない。建前はそうだけれども現場では違うのではないだろうか、この御指摘は確かに聞こえてまいります。
当面、だから第一段階としては、このマニュアルについて、特に中小企業編について、これはもう銀行の現場のみならず債務者についても非常に周知徹底して、そういうことが現場で起こらないような努力を、地道な努力をしていくということは、これは一つであろうかと思います。
第二の問題としては、これはまさにセーフティーネットでございます。
倒産の問題というのは、これは大変我々も心を痛めておりますが、ちょっと、非常にこれは短期な話に聞こえるかもしれませんが、この半年ぐらいとりますと、毎月、月々の統計では、倒産の件数に若干の頭打ちないしは低下の傾向も見られます。それと同時に、これは経済産業省が中心になってつくりました例のセーフティーネット融資の増加と、倒産の頭打ち、わずかな低下というのがやはり同時に起こっている。その意味では、こういった意味でのセーフティーネット保証、それと政府系金融機関からの融資、そういうものをセーフティーネットとして整備していくということがやはり大変に急がれると思います。今回の予算等々でもそのことはかなり突っ込んで検討したつもりでございます。
三番目に、これはより大きな問題でございますが、これは私が金融担当大臣に就任したその日から、リレーションシップバンキングという、普通の大手のグローバルバンキングとは違うジャンルで、そのあり方について、不良債権処理をどのように進めるか。これは違う、もうはっきりこれは違うということの前提のもとで新しいやり方を議論しようというその枠組みをスタートさせております。
金融審の中にリレーションシップバンキングの専門のワーキンググループをつくりまして、年度中、したがって三月末までですね、あと一月ぐらいで、その件について新しいやり方の結論を出してもらうように、今専門家にお願いをしております。
そういうことを組み合わせながら、しかし、構造改革をしっかり進める、セーフティーネットを整備する、そういう合わせわざでこの難しい局面を運営していくということが重要なのではないか、こう思っております。
○大畠委員 そういう竹中さんの一つの考え方があるんですが、課題についてはいろいろありますが、いずれにしても、そういう一つの考え方が現場によく到達するように、どんなにここで話ししたって、現場に到達しなければ何にもなりませんから、そういう意味では、ぜひ現場主義というのを考えながらやっていただきたいということを要請しておきたいと思います。
具体的に二つ御質問をさせていただきます。
現場の方で非常に困っているのは、いわゆる条件緩和債権について、もう少し踏み込んだ、よりわかりやすい事例を挙げるべきではないか。例えば、貸し出し条件緩和債権に該当するか否かの判断については、開示基準金利の考え方について実例を挙げて算出事例を示すことにより、債務者区分の判定についてもより精度が高まると思うがどうかという意見が現場から上がってきています。
もう一つは、デフレ状況における地価下落等により支援融資枠が減少している、信金とか信組に対して公的資金投入を検討すべきと考えるがどうか、政府みずからが信用金庫、信用組合顧客向けの保証枠を設けるなど、公的資金を直接個人事業者及び零細企業が利用できる仕組みを検討すべきだと考えるがどうかというような提案がありますが、これに対しての御見解をお伺いしたいと思います。
○竹中国務大臣 二点の御質問のうち、最初の、検査マニュアル別冊、中小企業融資編において、もう少しわかりやすい事例を挙げろと。
特に、今例を挙げてくださったのは開示基準金利でございますけれども、開示基準金利については、例えば事務ガイドラインにおいて、「約定条件改定時において、当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して通常適用される新規貸出実行金利」というふうに具体的にこれは規定されておりまして、マニュアル別冊においては、この事務ガイドラインの規定に係る運用例を示しているところでございます。
例えば、具体的には、手形貸付を書きかえ継続したような場合、法定耐用年数内で貸出金の期限延長を行った場合、信用保証協会保証つき貸出金に対し期限延長を行った場合といった、割と実務上出くわすことが多い三つのケースについて、法令やガイドラインに照らしてどのような取り扱いを行ったらよいか。我々としては、そういった工夫はしているつもりでございます。
さらに、なお、いろいろな意見をお伺いしながら、できるだけわかりやすく御説明したりという努力は、これはもうしっかりとしたい、現場が大事だということでございますから、そのようにぜひ私たちも努力をしたいと思います。
もう一つ、まさにリレーションシップバンキングの最先端である信組について、公的な資金を直接やる枠組みがつくれないかということでございますけれども、これはどちらかというと、むしろ今やっているのは、保証をやります、保証をやりますから、保証制度を使ってそういった信組等々が融資しやすいような状況をつくりたいという、これは直接枠組みをつくるということのデメリットもやはりございますので、今申し上げたような保証とかそういった制度を活用して、これはもちろんその制度のもとには公的な資金があるわけでございますから、そういうのが当面の我々の課題かなというふうに思っております。
もう一つ、各地域の金融機関が非常に強い財政基盤、財務基盤を持ってもらうことが重要でありますから、これに関しては、合併促進の特別措置法等々も準備したわけでありまして、例えば合併によって高いところと低いところが一緒になったらちょっと自己資本率が低くなる、そういうことがないように、そこの部分に関しては公的な資金を使うというような枠組みも先般つくったわけでございますので、そういうようなものを活用しながら、しっかりと、まさにグラスルーツの金融がワークするように持っていきたいというふうに思っております。
○大畠委員 いずれにしても、前線基地の方が大変混乱し始めて、いろいろ、本当は戦死しなくてもいい兵士まで死なしめているという状況が生まれていますから、再度、マニュアル問題、中小企業融資編が出されましたが、これはもう一回見直してくださいよ。どんなにつくったつくったといったって、前線の方ではなかなかそれが生かされていないという状況ですから。それも、まだもう一段、地域の実態に合った形で指令を出してほしいという声があるんですから。
これは、えこひいきしてほしいとかなんかじゃないんですよ。現場、地域の経済が枯渇したり死んでしまったら、日本経済だって立ち直れないんですね。だから、そういう意味で、この中小企業の融資に関して、現場の状況を踏まえて、再度、金融庁の方でも新たな指示が出せるように検討していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○竹中国務大臣 地方の現場での声を我々自身が十分に酌み取って政策に反映させる、さらに、それが現場に浸透するように努力する。この点は大変重要だと思っております。
そういった点も踏まえまして、今金融審のリレーションシップバンキングのワーキンググループで専門家にも議論していただいておりますので、我々としてもしっかりと対応していきたいというふうに思います。
○大畠委員 いろいろまたありますが、きょうはこの辺にしておきます。どうぞ、御退席いただいて結構です。
さて、次の質問に移りますが、これは官房長官にお伺いすることになります。
実は、茨城県の日立港というところに北朝鮮籍の貨物船が座礁しまして、それ以降、大変苦労しました。去年の十二月五日、座礁しまして、オイル流出等々で多くの市民の方々が駆けつけて、三日間、四日間かかってオイル回収をやったということなんですが、そのときに、私も七日の日に参りましたが、だれが責任者なんだと聞いたら、だれも手を挙げる人がいないんです。
国の方でも、海上保安庁の方がいましたが、これは予算がない、だから手を挙げるに挙げられない。県の方はどうかというと、県の方もそういう予算はとっていないので、どのぐらいかかるかわからないからやらない。市の方は、もちろん財政難ですからやらない。みんな集まってきたんですが、だれも中心になってやる人がいないという現状がありまして、大変恐縮でありましたが、官邸に私は電話をさせていただきました。福田官房長官がおられるかなと思って電話したんですが、たまたま公務でおられなかったので連絡がとれなかったんですが、総務省の副大臣の方とも連絡をとらせていただきました。この問題で、私は、三点御質問させていただきます。
一つは、今回の船、外国船籍なんですが、こういうときにどこの責任部署だというのがわからないんですね。このことについて、一つお伺いしたい。
それから、二つ目には、海図を備えていない、あるいは国際基準の保険に入っていないという外国船については、もう日本の国際港といえども入港させないということを国としても検討すべきだと思いますが、この二点、二つの提案といいますか、考え方についてどう考えておられるのか。
また、もう一つは、今茨城県では、既にかかってしまったのは四億八千万円ですね。まあ、どこも手を挙げるところがいないので、県がやりますと。海にオイルが流れてしまうので、じゃ、県の方でとにかく立てかえましょうというので、県が手を挙げてやりました結果、これまでに五億六百万になりましたね。それから、今後、船体撤去費用で一億数千万ということなんですが、この予算については、何かこの自治体で、とにかく手を挙げたところがお金を持ってやってしまえというので、既にかなりの仕掛かりが出てきてしまったんですが、そのお金を、じゃ、だれが持つかという話になって、なかなかめどがついていないということで、私は、やはりこういう外国船籍の問題については国が予算措置をすべきだと思うんですが、この三つについて御質問をさせていただきます。
○福田国務大臣 外国船籍の船が事故を起こして、その後始末を自分でできない、こういう非常に困った事件でございます。
放置座礁船の撤去等につきましては、その原因者たる船主が責任を、そもそもこれはそういうことになっているんですよ。それが原則でございます。しかし、関係省庁は、そういう事態でございますので、自治体と協力して、船主がその責任を果たすよう船主に対する指導、また外交ルートを通じての連絡等の措置を今講じておるところでございます。
例えば、港湾区域でありますと国土交通省とか、また、漁業被害であれば水産庁といったような、そういう事案に応じて対応する役所はあるのでありますけれども、座礁した場所とか損害の内容等に応じて、今申し上げたように適切な対応をしていかなければいけないのでありますけれども、いずれにしましても、関係省庁が連携して適切に対処してまいらなければいけない問題であると思っております。
また、海図の話もございました。海図を保持していないなど安全上の観点から問題のある船舶については、海上人命安全条約、これはSOLASというんですかね、そういうものなどに基づきまして、ポートステートコントロールによる改善命令等による監督を行っております。
一方、保険に入っていないあるいは十分な保険に入っていない船舶については、現在そのことだけをもって規制することはできませんけれども、放置座礁船にはそのような船舶が多いため、無保険船舶等に対する規制の可能性も含めまして、国土交通省に検討会を設置しまして、具体的な対策等について、今検討を行っているところでございます。
また、経費等の問題も御質問ございましたけれども、この経費は船主に責任が当然あるわけですね。過去の例を見ると、やむを得ず自治体が負担しているという例もあるようでございます。現行制度上、一定の要件のもとに財政上の支援措置というのはあるのでありますけれども、御指摘の点を踏まえまして、関係省庁間で相談してまいりたいと思います。
なお、特別交付税という手もあるのでありますけれども、地方の共有財源という性格を踏まえまして、この事案の経緯等に応じた国と地方の適切な役割分担を図る観点から、国が講ずべき措置とあわせて検討を進めていく、こういう必要があると考えておりまして、地方における負担の実情等をよくお聞きしながら、関係団体の財政運営に支障を生じることのないよう適切な対応を図ってまいりたいと思っているところでございます。
○大畠委員 地方自治体の財政に影響が及ばないようにという話もございましたが、実際問題は及んでしまっていまして、とにかくもうだれも手を挙げる人がいないので県が手を挙げた。そして、おおよそ五億円近くのお金がかかってしまった。
私も一緒に同行しましたが、一生懸命国土交通省ですとか総務省ですとか財務省にお願いといいますか、この予算を何とかしてほしいという話をしたのですが、そういうことをしなくても、国の方でそういうふうな枠といいますか、そういうときには国の何か枠を使ってやれるように、事象が起こってから、とにかく、私が行ったときには、国も海上保安庁もお金がないからできませんという話なんですがね。だから、そういう意味では、地域が、今度同じようなことが起こったときに非常に困りますので、ぜひ国としてもそういうときの体制を整えていただきたいと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
〔委員長退席、中沢委員長代理着席〕
○福田国務大臣 ただいま私から答弁申しましたように、これは船主がまず責任を持たなきゃいかぬわけですね。そういう船を日本に配船するということ自身が間違っているわけで、またそういう船が来たときにこれを入れさせない、近寄らせないというのも必要なんだろうというふうに思いますから、そういうことについて、ただいま申しましたように検討していかなければいけないというふうに思います。
また、地方自治体の問題につきまして申し上げれば、実情をよくお聞きした上で対応を考えさせていただきたいと思っております。
○大畠委員 とにかく、国が矢面に立たないので自治体が矢面に立ってやってしまって、お金がかかってなかなか負担に困っているような実態がありますので、ぜひそこら辺の自治体の話を聞きながら、福田官房長官として適切な対応をしていただけますようにお願いしておきたいと思います。
そこで、次に、先ほどいろいろお話がございましたが、公務員制度の問題に質問を移らせていただきます。
この問題も、先ほど吉井委員からも質問がございました。いろいろな観点がございますが、この公務員制度改革問題というのも、非常にこれは大変な改革なんですね。しかし、一昨年政府が大綱を閣議決定したということを聞いておるんですが、この内容は、一言で言いますと、天下りも大臣承認、そして官僚が楽に民間企業に行けるようにするというような内容のものじゃないかという批判がありますし、公務員人事を厳しく監視し、近年天下りに厳しくなった人事院を有名無実化しようというんじゃないか、こういうふうなある指摘もございます。これは小泉改革に反しているんじゃないかというお話もあります。
私も、この質問に当たりましていろいろ調べさせていただきました。きのうの夕方、この公務員制度改革に関して、民主的で透明な公務員制度改革を求める三野党決起集会というのを開かせていただきました。
この中では、大綱というものが関係団体との十分な交渉、協議も行われないまま決定したものであり、かつ、国民からも批判の強い天下りについて、人事院から各大臣へ承認を移行する内容を含むなど、官僚によるお手盛りの改革じゃないか、こういう厳しい指摘をさせていただきました。
さらに、昨年十一月、ILO理事会が採択した日本政府への勧告は極めて厳しいものであった、政府の改革案は労働基本権を制約したものであり、国際労働基準に反していることなどを国内外に明らかにするものであった、にもかかわらず、政府は大綱に基づく改正法案の閣議決定を強行する姿勢を見せている、このような政府の姿勢を断じて許すわけにはいかない、こういうふうな内容でございます。
このことについて、既に官房長官のところにもお話に行ったりしておりまして、幾つかのニュースといいますか、状況が伝えられておるんですが、このことについて自由民主党の野中さんはかねて、警察、消防、自衛隊、海上保安庁を除くすべての公務員に労働三権を与えてもいいと。与党にも、労働三権があれば人事院は要らないではないかという、いろいろな意見が錯綜しているわけでありますが、いずれにしても、国民からは、キャリア制度の廃止、天下りを禁止してほしい、それから労働三権は付与すべきじゃないか、そういう意見が今強まっているわけでございます。
この問題について一つ確認したいことは、官房長官の話として、政府が強行するようなことはない、職員団体とよく話し合っていくようにしたい、新たな協議の場については検討したいという見解を述べられたということをニュースで聞いておるわけですが、改めてこの件について官房長官の御見解を伺います。
○福田国務大臣 公務員制度改革、これは、きょうは石原担当大臣がおいででございますから、よくお聞きいただきたいと思いますが、実は先週、あれは連合の幹部の方が私のところにおいでになられまして、お話がございました。私どもとしては、基本姿勢として、組合の、職員団体の方々との間でこれはよく話し合っていかなかければいけないということ、これは申し上げました。決して私どもは、強硬にやって、そして一方的に何かやろう、そういうふうなことを考えているわけではありません。
これは、そういうことをすればその後うまくいかなくなるということを考えれば、やはり長期にわたってうまく機能するような、円滑に機能していくような、そういう制度をつくることが大事なんだろうというふうに思いますので、よくお話などを伺いながら適切なる制度をつくり上げたい、このように考えております。
○大畠委員 今、担当大臣として石原さんのお名前が出ましたので、石原さんにお伺いしたいんですが、今、官房長官からそういうお話がございました。これは先ほど吉井委員との間でも随分やりとりがありまして、私も聞いておりましたから、大まかな話は、重複することは避けたいとは思うんですが、一つその論議の中で、官房長官からもお話、御答弁が既にあったんですが、いわゆる労使といいますか、労働組合といいますか、団体との、関係するところと協議しながら進めるという答弁があったんですが、そのことについて、まず石原大臣の御答弁をお伺いしたいと思うんです。
○石原国務大臣 ただいま官房長官から御答弁もさせていただきましたし、官房長官が連合の草野事務局長、官公部門の担当の丸山本部長を初め、今週の月曜日ですか、お会いしたときに申し上げたとおりでございます。私どもも、これまでも、関係する皆様方とは懇切丁寧に意見を、こちらの考え方を申し述べてきたと信じておりますけれども、それでは不十分だという声があることもまた事実でございますので、昨日ですか、改めて私は事務局の方に対して、私の扉はいつでも開いておりますが、事務局同士の話、ここは本当はどうなっているんだとか細かい部分がございますので、そういうものもしっかりと意見交換、考え方が違うことは当然あってもいいわけですけれども、合意点、一致点を見出していくということが今回の改革で大切であるので、そういうことをするようにと改めて指示も出させていただいたところでございます。
○大畠委員 官房長官にもう一度ちょっとお伺いしますが、そういうことで担当大臣も一生懸命頑張りたいという話ですが、官房長官のお話にもありましたように、新しい協議の場をつくって検討したいということは、もう一度その点についてお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 たしかこれは、新しい協議の場をつくってくださいというように連合の方から言われたので、それは今後詰めてみましょう、こういう話をさせていただいたわけでございます。
○大畠委員 やはり私自身も、この公務員制度改革というものはどこら辺まで奥深いのかといろいろ調べましたら、かなり奥深いんですね。
きょうの新聞をちょっと見ましたら、失業保険、今四百二十万人の公務員の方が失業保険に入っていないわけですが、失業保険に入ってもいいじゃないか、こういうふうな提案も労働界の方であるようでありますし、まさにさまざまな観点から、官から民へという話もありますし、そのときに今の公務員の方の身分というのはどうなってしまうんだという、いろいろな不安もあるでしょう。
したがって、この際、このILOの勧告に従って、団体交渉権、団結権、スト権という、役場がストをされると困るという住民の方もおられるかもしれませんが、労働団体としての一つの権限というものを付与するということは、私は大変重要なんだろうと思うんですね。そのかわり、先ほど申し上げましたように、失業保険とか、他の民間の働く人と同じような条件にしていく。これは、言ってみますと大改革になるわけですね。ですから、この際、私は、このILOの勧告というものを受けて、ぜひ政府としても決断をすべきだと考えるところであります。
そこで石原大臣、この件については何度も聞かれて、同じことを答えるのは大変苦痛かもしれませんが、ILOの自由委員会の勧告というものを石原大臣はどう認識しておられるのかということ。それから、労働三権に対する諸外国の公務員の権利、諸外国も同じような状況があるんですね、そういうものと比較して、日本の公務員の労働三権というものをどう考えておられるのか。その二つを最初にお伺いしたいと思います。
○石原国務大臣 前段のILOの勧告についてでございますが、私どもの政府の見解として、これは片山総務大臣からも御答弁をさせていただいておるわけですけれども、形の上では、これまで労働基本権の制約、こういうものをある程度容認してきたILOが、この時期に、スト権も含めて公務員の方に付与すべきであると。正直言ってびっくりもいたしましたし、また、今回の公務員制度改革の目指すもの、あるいは人事院の代償措置の関連について、十分に説明が行き届いていなかったのかなという反省もございまして、機会をとらえまして、十分な情報提供をILOの側に行わせていただきたいと考えております。
さらには、これに関連いたしまして、組合の方々もいろいろなお考えを持ち、また今大畠委員が御指摘されましたように、ここに来て失業保険ですか、失業保険を持つということは解雇されるということでございますので、そういう話等々も出てまいりまして、そういう話も十分議論に値する重要な問題であるという認識は、もう既に委員会でも私お示しさせていただきました。
そんな中で、この問題は、議論を重ねつつ、合意点を見出しつつ、結論を出していかなければならない問題である。ただ、一カ月、二カ月で、これまで五十年間やってきたことを、またさらに、国民の皆さん方、自分たちの会社はつぶれちゃったけれども、何でつぶれないやつらがストをやっているんだ、そんなような批判が出るような事態は、やはり公務員の公務というものの重要性からかんがみても、避けていかなければならない。こういう問題は、やはり中長期的な課題として十分、私は、ゼロベースから議論に値する大変重要な問題であると考えております。ILOの方に対しましては、引き続いて情報を提供してまいりたい。
後段の二問目の質問ですが、各国、非常に状態がたしか違うと思います。フランスなどはたしか認めている、あるいはドイツ、アメリカはまた違ったりしますので、もしあれでしたら事務方から各国がどうなっているかというようなことをお話しさせていただきまして、話の続きが必要であればさせていただきたいと思っております。
○大畠委員 各国の状況については、また私も調べさせておるんですけれども。
そこで、きのうの夕方の集まりにおいて、ILO勧告を受け入れた、国際基準を満たした公務員制度とすべきである、それから、関係組合との合意抜きに法案の閣議決定はすべきでない、こういうふうなことをきのうの集会でも確認させていただいたんですが、ILOの勧告を受け入れた、国際基準を満たした公務員制度、こういうふうな考え方に対しては、石原大臣はどう考えておられるのか。また同時に、きょうは人事院の佐藤人事官が来ておられますので、佐藤人事官の方にもこの同じ質問をさせていただきます。
○石原国務大臣 この前にも御答弁をさせていただいたんですけれども、いわゆる労働基本権の問題、スト権も含めて公務の部門にも付与すべきであるというILOの御見解は御見解として、我が国には我が国の五十年間の歴史もありますし、先ほども答弁したように、これから一カ月、二カ月で結論の出る問題ではないと思っております。
しかしながら、公務員制度改革大綱に基づいて、国家公務員法の改正等の検討作業、これは先ほども議論になりました能力等級ですか、こういうものを中心に議論させていただいているわけですけれども、やはり法制化の論点なんかについては、現場というものがあって、先ほども金融の話の中で、政策と現場の不一致、あるいは現場を重視しろという大畠委員の御指摘はごもっともだなと聞かせていただいておりましたので、この点については誠意のある対応を行っていかなければならないと思っておりますし、私も昨日、連合の方々と、官公部門の責任者の方々と、具体的なものがだんだん詰まってまいりましたので、議論をスタートさせていただいたところであります。
いずれにしても、やはりILOの考え方、なぜここでこれまで指摘をしなかったことを大胆に指摘してきたのか、それなりの理由があるわけでしょうし、また、過去のILOの歴史なるものも、一九六五年に委員会のある方がやってきて当時の石田博英労相といろいろ議論をしたというような話も聞いておりますし、こういうものについても、ILOの側は、実はアジアの地域にあっては日本に対する期待が非常に強いと思うのですね。そういう期待、それはやはりアジアのトップリーダーとして工業化をなし得、労働者の環境改善というものにいち早く着手してきた日本の、いいものは今発展途上にあるアジアの国々にもこれから伝布していってもらいたい、そういう意味をきっと込められてここでこういう勧告が出たのではないかな。私も直接話を聞いたわけではございませんので印象なんですけれども、そんなことも思っておりますので、そういうものを十分理解を深めて、有意義な改革の成果を得るべく、これからも努力をしていきたいと考えております。
〔中沢委員長代理退席、委員長着席〕
○佐藤政府参考人 今回のILOの勧告は、かなりいろいろなことが盛り込まれているんじゃないかと思います。
私どもの立場から要約すれば、やはりまず最初に重要なことは、公務員の労働権に対する現行の制約を維持するとの政府の考えをまず再考すべきである、そういう基本的な考え方をILOは示しているわけでございますね。その上で、労働基本権が制約される公務員に十分な代償措置を確立すること、それから、今回の公務員制度改革に当たっては、すべての関係者と十分、率直かつ有意義な協議を速やかに行われるべきことということを勧告しているわけでございます。
最初の、公務員に労働基本権をどこまで与えるかという問題でございますけれども、人事院といたしましてはこれに意見を申し上げる立場にないと思いますけれども、やはり国民のコンセンサスを得ながら広範な議論をしていただいて、最終的には国会の場でお決めいただくということではないかというふうに思います。
それから、二番目の代償措置の問題でございますけれども、これは、ある意味では大変当然なことでございまして、もし労働基本権の制約を受けている公務員が今後ともいる限り、やはり代償措置というのは十分措置しなければいけない。これは私の個人的な考え方ですけれども、そのILOの意味としては、今回の改革でもし労働基本権の制約を維持するなら、代償措置を弱める方向にしてはいけないよということだというふうに思います。
それから、関係者との有意義な協議をしろということについては、これは前々から人事院はいろいろな機会にそういう必要性を申し上げておりますので、大変妥当な指摘であるというふうに思っております。
○大畠委員 いずれにしても、石原大臣、福田官房長官、やはりこういう物事というのは、一方的に決めるというのはいろいろ問題も多くなりますから、協議機関をつくって、お互いにコンセンサスを得られるような内容になるようにぜひ努力していただきたいということだけきょうは御指摘して、この項の質問は終わります。
あと、もしも官房長官も石原さんもお忙しければ、退席していただいて結構です。
さて、残りの時間が少なくなってきたんですが、そこで少し詰めて質問をさせていただきます。
谷垣大臣にも質問通告しておりますが、機構の問題は、これは別途またやらせていただいて、食品安全委員会の設置で日本の食料安全は保障されるのか、こういう意見がありますので、まずその件について谷垣大臣にお伺いいたします。
○谷垣国務大臣 BSE以来、食品の安全性というものに対して大変信頼が揺るいできている。ここで安心して安全に暮らしていけるような手だてを講ずるというのは、政治の責任だろうと思います。
今国会で食品安全基本法の御審議をお願いしているわけですが、その中で、まず食品安全行政の理念として国民の健康を第一に考えるということを中心に打ち出しまして、そのためには、まず食品の健康影響評価というものをきちっと科学的に確立していく、それに基づいて食品のいろいろな安全の規制をやっていこう、それで総合的に行政を展開していこうということでこの基本法をお出ししておる。それと同時に、主として今申し上げた科学的な食品の健康影響評価を確立するために、食品安全委員会というものを創設させていただこう、これがこの法案の主たる内容でございます。
こういう内容をもって、新たに創設される食品安全委員会と、それから実際にそこで確立したリスク評価をもとにリスクの管理をやっていく農林水産省であるとか厚生労働省であるとか、あるいはそれぞれ自治体ということもあるわけですが、適切な緊張関係を持ちながら食品の安全ということを確立していこうということで、工夫を積み重ねまして、今委員御指摘の国民の安心、安全という期待にこたえられるように全力を尽くしたいと思っております。
○大畠委員 ぜひ、機構をつくることに熱を注ぐのじゃなくて、いかにして食料安全を確保するかというのが目的ですから、そのことをたがえないように、ぜひ大臣には指導力を発揮していただきたいということを申し上げて、この項の質問を終わります。どうぞ。
あと、鴻池大臣、新聞等々でもいろいろな話がございますが、各省庁からかなり抵抗を受けている、こういうことを聞いておるんです。何かどぶろく関係は少し前進したという話は新聞で聞いたんですが、今、新たな提案等々を入れて千を超えているんですが、ここに対するちょっと決意をお伺いしたいと思います。
○鴻池国務大臣 今、委員、数字をお示しいただきましたように、前回八月三十日締め切りは、第一回は、四百二十六の御提案をいただきました。一月十五日締め切りは、六百五十一もの提案をいただきました。この結果は、やはり総理の、官から民へ、あるいは中央から地方へというその熱意というものが地方あるいは民に受けとめられて、そして、そのボールが我々の特区室の方に戻ってきていると解釈をいたしております。これを宝物のように受けとめて、各規制省庁に何とかひとつできるものはやってもらえぬだろうか、こういうことをもう徹夜に近いぐらいの時間帯でただいま詰めておるところでございます。
しかし、残念ながら、一つは、この特区で風穴を開けられると全国に広がってしまうのではないかというおそれを持っておる役所というのが相当ございます。いいものであれば全国に広がればいい、その頭がありません。役所、官僚の独善的な考え方、愚民をおれが引っ張っていくんだという代官のような考え方、こういうものが相当はびこっているということに私は心から憤りを感じながらこの仕事をしているところであります。
また、きょう、総理が最終的に非常に問題になっているものの御決断をいただく。私はいろいろやりましたけれども、どうしても平行線のままのものは丸投げをしますから、この御決断をいただく。そして、あす、法律で決めていただきましたいわゆる構造改革特別区域推進本部、本部長は内閣総理大臣でありますから、私が副本部長でありますが、これで最終的にこの第二回の提案をどのように取り扱うかということを決めさせていただくというところであります。
○大畠委員 久々に政治家大臣からのお話を聞きまして、ぜひその意気で頑張っていただきたいということを申し上げます。どうもありがとうございました。
最後になりましたが、細田大臣、科学技術政策、情報通信と、暗い日本の中で非常に夢のある世界の大臣をされておられますが、スペースシャトル事故と日本の宇宙開発への影響、これは私も衝撃を受けました。七人の宇宙飛行士全員四十歳代なんですね。しかし、家族がこれで中止しないでほしいという談話を何か出していますが、この日本への影響。あるいは、「もんじゅ」の話もしようと思いましたが、これは時間がありませんから、別な機会にします。スペースシャトル事故と日本の宇宙開発への影響。
それから、情報通信技術政策では、現在のペースで二〇〇五年までに日本が本当に世界最高の水準になれるのか。今、納税時期でありますが、大臣、正直言って、十一時ごろ相談窓口に行って居眠りしながら夕方五時にやっと五分間だけ相談して納税するというような仕組みになっていまして、これは本来時間があれば税務当局から聞こうと思っておったんですが、ともかく、ITで随分私たちが利便性を得られるんだという、それを早く実証しないといけないんじゃないかと思いますが、この二つについてお伺いします。
○細田国務大臣 まず、スペースシャトル・コロンビア号の事故でございますが、七名の宇宙飛行士の犠牲、大変残念なことでございます。しかしながら、我が国のロケット、衛星の研究開発は、スペースシャトルという宇宙開発とはまた別個の技術体系でございますので、影響はないものと考えておりますので、総合科学技術会議で定めた従来からの方針に沿って、引き続き気を引き締めて推進してまいりたいと思います。
ただ、スペースシャトルに関連いたしまして、我が国は国際宇宙ステーションの建設に参加しており、また我が国の宇宙飛行士も飛ぶことにもなっており、かつ、これまでも三千二百億円ほどの予算をかけまして「きぼう」という研究棟について、これから四月に、ちょっと一カ月ほど延期になりますが、船に乗せて向こうに運び、打ち上げ準備を進めるという段取りをしているわけでございまして、若干の時期的な影響は受けておるわけでございますが、これはNASAの側の方針等とすり合わせながら的確に対応をしてまいりたいと思います。やはり、こういうチャレンジ精神が失われることのないよう、この悲劇を乗り越えて宇宙開発利用と先端科学技術に取り組んでまいりたいと思います。
また、ITの推進でございますが、ITの戦略、e―Japan戦略を掲げまして随分、光ファイバーの敷設あるいはADSLの充実といったこと等、インターネットの接続、学校の教育、公共事業や政府調達での電子入札あるいは電子政府といった面では、法改正も含めまして非常に環境は整備されて、進んだと思っております。
ただ、我々、ちょっとやはり不十分だと思いますのは、本当に国民一人一人にとりまして、ああこれは便利になったなという実感がまだわいていないわけでございます。例えば、病院の予約とか診療とか薬とかいっても、依然として待たされて、大変な貴重な時間を徒過する。あるいは、先ほどおっしゃいました税の申告だとか、あるいは各役所での行政手続とか、まだまだ改善する点がございますので、私は、個別の事案に当たりながら、IT戦略本部として今後さらに、国民の皆様方に便利な社会をつくるという観点で、この春にIT戦略本部の戦略を若干改定いたします。そのときに大きく、便利というキーワードを挿入しまして、もちろん安全とか、それから感動とか、あるいは元気、発展にもつながるという、いろいろなキーワードはありますけれども、特に国民にとっての便利が大切である、こういう観点から取り組んでまいろうと思っております。
○大畠委員 役所の方にはほかにも何か準備をしていただいたようですが、時間でありますので、大変恐縮でありますが、ここで終わります。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で大畠君の質疑は終了いたしました。
次に、江崎洋一郎君。
○江崎委員 保守新党の江崎洋一郎でございます。
きょうは、十分間のお時間をいただきましたので、谷垣大臣に、産業再生機構に絞りまして質問をさせていただきたいと思います。
大臣所信にもございましたが、二番目の谷垣大臣の項でございますが、「産業再生機構は、日本経済の再活性化を目指し、金融機関の不良債権処理の加速化にあわせ、事業、産業の再生に取り組むための新たな機構であります。」とございますが、まさしく今この不良債権処理、遅々と進まないという状況にございますが、その中でこの産業再生機構が果たそうという役割は大変大きなものかと思います。
きょうは、機構がどのような機能を果たし、またどこまでこの仕事を広げていくのか、そして政府がいかに企業再生に積極的に取り組むのかという、機構自体のイメージができるような質疑にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
まず一点目でございますが、この機構にとって一番重要なのは、何よりも企業を幾らで買い取るかという買い取り価格ではないかと思います。仕事の入り口となります、銀行から企業をいかなる価格をつけて買い取るかということでございます。RCCにおきましても、この買い取りというものがなかなか進まなかったのも価格設定にあったように思います。銀行は、当然、不良債権の償却負担を少なくしたいという意味で、高い価格で売りたい、一方で買い手は安い価格で買いたいということがあり、ここになかなか取引が成立しなかった背景というものがあるかと思います。
この産業再生機構につきましても、買い取り価格、三つのポイントからきょうは質問させていただきたいと思います。
まず、産業再生機構の買い取り価格。法案の要旨によりますと、適正な時価とあります。この適正な時価を設定するに当たりまして、同時に市場価格を重視するとも聞いております。銀行が果たして産業再生機構に売るのか、あるいは、選択肢として一般の企業再生ファンドへ売るという考え方もあろうかと思います。こういった意味で、産業再生機構へ売るインセンティブというものはどんなものがあるのか、これが一つのポイントでございます。
次に、適正な時価という言葉自体に何を定義しているのかというポイントでございます。適正な時価とは、私の理解では、一定の比率に応じた歳出根拠というものがあるわけではなくて、むしろ、企業再生に向け、逆算して算出されるものではないかと考えております。そういうことを考えると、この適正な時価とは、企業ごとに、ケース・バイ・ケースで異なるのではないか。そうなってきますと、適正な時価、企業ごとに違う、イコール不透明だという疑念も生じるのではないか、そういう懸念もございます。これが二番目のポイントでございます。
そして三つ目は、適正な時価イコール十分な引当金が積まれているのか、その結果その価格ができたのか否かということだと思います。逆に申せば、価格設定によっては、十分な引当金がなく、むしろ小さくなってしまっているという可能性があるのではないかという問題であります。
以上三つのポイントを踏まえて、この適正な時価、買い取り価格について、大臣の御所見をいただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 適正な時価というのは、今まさに委員が御指摘されましたように、やはり出口を見据えてでないとなかなかこれは判断できない。言うなれば、再生計画を立てて、その再生計画が動いていったときにどれだけの収益力を持ち得るのかというところからその適正な時価というものを判断していくということになるんだと思うんですね。
そうすると、まさに委員のおっしゃったように、どういう再生計画を立てて、どういう、これからいわば付加価値をつける戦略性を持っていくかというのは企業ごとに違うんだ、ぎりぎり詰めていけばそういうことになるんだろうと思います。そうしますと、そこは透明性がないじゃないかという御批判が出てくるわけですが、機構の仕組みとしては、やはり専門家を入れた産業再生委員会というものにその妥当性を判断して、担保していただこうという仕組みになっております。同時に、そこまで行くまでいろいろ査定というものが当然ございますので、その査定のやり方ということにかかってくると思うんですが、それが市場での判断と乖離しないように、市場関係者の知恵と申しますか、場合によってはデューデリジェンスみたいなものをアウトソーシングするという場合もあったりするんだろうと思いますが、そういう工夫を通じて市場の判断と乖離しないようなものにしたい、こういうふうに思っております。
そうしますと、あと、それで果たしてインセンティブがあるのかということになると思うんですね。これは、竹中大臣のもとで進めておられるいろいろな、どれだけ引き当てを積むかというような金融行政の方の努力といわば車の両輪みたいになっている面があることは事実だろうと思います。ですから、我々も、その金融行政の方の御努力も同時に頭の中に入れておかなければならないことは言うまでもございませんけれども、非メーン行などにとって、そんな価格では売るインセンティブがないんじゃないかという場合に、このままほうっておけばどんどん悪くなっていく、いわば腐っていくというようなことがあります。企業、事業の価値が毀損していく。債権の価値はますます下落してしまう。だから、そういうようなことを考えますと、適正な時価ということであれば、私は、先ほどの金融行政の方の御努力とも相まって、インセンティブというのはあるんだろうと思います。
それから、その場合に、引き当て不足でなかなか売らないんじゃないかというような御議論もあるんだろうと思うんですね。これはなかなか一概に今お答えするのは難しいこと、かなり具体的なことだと思うんですが、それぞれの金融機関におかれて、引き当てだけじゃなくて、債権を保有し続けた場合の損失拡大の可能性とか、そういう総合的な判断の中で金融機関が御判断をされることかな、今の段階でお答えできるのはそういうことでございます。
○江崎委員 適正な時価という表現は、正直、ちょっとあいまいな表現でもあろうかと思います。そういった意味で、ぜひとも、この明確な定義というものをまた今後御議論いただきたいと思っております。
ちょっと時間もございませんので、残り二点はまとめて質問させていただきます。
今回の機構は、二年間で再生させる企業を買い取って、三年かけて、三年間のうちに再生をさせて、順次市場に売却していくということでありますが、どの程度この機構をワークさせるか、働かせるかということで、どれぐらいの規模で受け入れるのかな、私は年間十社程度が限界じゃないかなと見ておりますが。同時に、また入ってくるものも、先ほど大臣がおっしゃられましたように、権利関係が複雑であるものとか、そういうものが優先してやはり引き受けるべきものではないかなというふうに考えております。この点についてどうかということが一点と、最後にもう一点は、最終的にこの再生機構を清算するときにロスが発生する可能性もなくはないということだと思います。こういった意味で、二次ロスを負担する覚悟というものがおありになるか、以上二点につきましてお願いいたします。
○谷垣国務大臣 どういうものをどれぐらい対象にしていくかという話ですけれども、一般にややある誤解と言っていいのかどうかわかりませんが、メガバンクを中心として、極めて大きなところだけを対象とするように思われておりますけれども、まさに今委員がおっしゃいましたように、再生の可能性があるけれども、関係当事者のいろいろな権利関係や利害関係が複雑でなかなか進んでいかないというものがあれば、それは、その再生機構を使っていただく有力な候補者じゃないかというふうに私は今いわば宣伝をしているわけでございまして、どのぐらいかはまだよくわかりませんが、十兆という枠はほぼ、今の要管理先債権の額などから見まして、十分な規模を用意しているのではないかというふうに思っております。
それから、二次ロスはどうかというお話がありました。
これは、去年の十二月十九日につくっていただいた基本指針の中で、国民負担は最小限にせよというふうに書いてございます。要するに、これはかなりリスクのある話で、安全パイ、石橋をたたいて渡らないというようなことだけやっていればなかなかできませんので、私は、やはりある程度リスクのある話だということは申し上げなきゃいけないんだと思います。
しかし、その上で、先ほど申しましたように、出口を見据えて、例えば三年間の再生計画が終わったときに果たして自分でリファイナンスが可能なのか、スポンサーが出てくるのか、こういうことを考えながら再生計画をつくるわけですから、まずそこで二次ロスが出ないような仕組みが一つ担保されている。しかし、ロスが出るか出ないかは一つ一つの、個別の案件で判断するものではなくて、やはり全体で判断すべきものだろうと思います。最後に締めたときにどうなるか。我々の目標は最小限にしていくということであります。もちろん、ロスが出なければそれはベストでありますけれども、リスクがある仕事でありますから、出ないと言い切ることはできない。第一次的には、締めたときに毀損をしておりましたら、その毀損は出資していただいた資本金の中でまず補えればそれでやっていくということでありましょうけれども、それでもできないときには、解散時点において債務超過となっていたときは政府が補てんできるという仕組みになっている、こういうことでございます。
しかし、先ほども申し上げましたとおり、十二月十九日の基本指針で書いてありますように、できる限り国民負担は最小限にするということで、個別の案件の処理には全力を傾けなければいけない、こう思っております。
○江崎委員 市場からのこの産業再生機構への期待は非常に強いわけでございます。一方で、絵にかいたもちに終わるんじゃないかというシニカルな意見もございます。そういった意味で、ぜひとも、しっかり機能できるような仕組みづくりをお願いしたいと思います。
以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で江崎洋一郎君の質疑は終わりました。
次に、奥山茂彦君。
○奥山委員 谷垣大臣、どうも御苦労さまでございます。
私は、さっき大畠委員から話もありましたが、食品安全行政全般についてお尋ねをしたいと思います。ただ、食品基本法が既にもう議題となって、やがてこの委員会に上がってくるわけでありますから、余り細かいことは当面ちょっと避けさせていただいて、基本的な問題でお尋ねをしたいと思います。
言うまでもなく、最近は急速に食生活が変わってきて、今や日本の食生活は非常に多様化してきたということが言われて、まさにこの日本の国では、あらゆる食材が入ってきて、中華料理から西洋料理から、あらゆる国の料理がすべてこの国で食べられるというような環境になってきたわけであります。
それまでは、日本の国自体も余り食の安全、食材の安全ということをそれほど考えなかったんじゃないかと思いますが、さっき大臣の話にもありましたように、BSEがちょうど十三年の九月の十日、まさにアメリカの同時多発テロの前の日に日本で発生したわけであります。その中で、いわゆる肉骨粉、こんなものが飼料の中に使われているということは我々も全く知らなかったんですけれども、しかもまた、それがBSEに汚染されているというような問題があって、改めて食の安全というものが非常に大きな課題となったわけであります。
直接は、たしかNHKのテレビじゃなかったかと思いますが、英国の女性の方がBSEに感染をして非常にふらふらしたような姿がテレビで映されて、それによって日本じゅうで恐怖が巻き起こされたように思います。それから後はもう急激に牛肉の生産が落ちてきた、そういう状態があったわけであります。
そういった背景があって、その後いろいろな問題が起こりました。O157の事件、それから雪印乳業の中毒事件、これによって、何かけさの新聞では、工場長が禁錮二年の求刑をされたというような報道もあります。そして、BSEの補助金の悪乗りがあって、いわゆる補償金を得たというようなニュースがあったり、いろいろな問題があって、まさに国民にとっては、食の安全ということをこれほど深刻に考えた時代はないんじゃないかと思います。
そういったことから、いわゆる食の安全の基本法というものが大きな課題となってきたわけであります。そこで、この食の安全委員会が基本法のもとでつくられるということになりまして、その安全は、いわゆるリスク評価ということを主として判断をしていくということになったわけであります。
そこで、お尋ねをしたいわけでありますが、例えば食品安全委員会のメンバーの中に、生産者、消費者あるいは流通代表、これの専門家と言われる方はいわゆる学界代表としてこの中に入っておって、どちらかというと技術的な面からリスク評価をして検討して、問題があればその関係の省庁に上げていく、こういうことになっておるわけであります。
先日、JAの代表に会いましたら、非常に心配しておったわけでありまして、生産者の意見はどないしてこの中に取り入れてもらえるんですかということであります。逆に言うと、消費者団体の方にもお会いしましたら、やはり消費者団体も同じような懸念を持っておるわけでありまして、確かに、生産部門のいわゆる学術的な専門家は入る、消費者部門の中の学術的な専門家は入る、流通部門の専門家もやはり学術的に入られるということでありますが、果たしてそれでいいんだろうかという話があったわけでありますが、まず、その辺はいかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 食品安全委員会は、七人の委員で構成することにしておりまして、その下に専門調査会等々を置くということになっております。七人の食品安全委員のメンバーは、まだもちろん委員会が、法案を通していただいておりませんので、まだ具体的にどなたということを決めているわけではもちろんございませんけれども、今委員がおっしゃられましたように、科学的に食品の健康影響評価をやっていくという立場から、科学者と申しますか、学術的に判断をしていただく方を中心に今物を考えているわけであります。
そうしますと、今委員がおっしゃったように、生産者、消費者の意見はどうなるんだということが当然出てくるんだろうと思いますね。その点、食品安全基本法でも基本理念として、食品の安全性の確保に必要な措置が国民の意見に十分配慮しつつ行われなければならないというふうにしておりまして、これを受けて、安全性の確保に関する施策の策定につきましては、当該施策について意見を述べる機会の付与そのほかの意見の交換の促進を図るために必要な措置が講じられなければならないというふうに規定しております。
具体的には、例えばホームページ等を活用して幅広い意見を求めたり、あるいは食品健康影響評価の対象の優先順位とか個別の食品健康影響評価の内容などについて、生産者あるいは消費者、流通業者などの十分な意思疎通を図っていきたいと思っております。
それから、食品の安全性に関する基準の策定とか、規制を実施する厚生労働省、農林水産省などの各省庁が実施するリスクコミュニケーションをしながら、消費者や生産者と共通の認識をつくっていくわけでありますが、それぞれが行われるリスクコミュニケーションがありますけれども、食品安全委員会は、そういう総合的なリスクコミュニケーションの調整をしなければならない、こう思っております。
それから、関係行政機関や生産者あるいは消費者、流通業者など幅広い関係者が参加した意見交換会も実施する、こういうことにしております。
それから、先ほど委員会の下に専門調査会を置くと申し上げましたが、ここでは、年次計画の検討などにつきまして、消費者等の意見も踏まえて議論を行うべきものでありますから、こういう専門調査会には、消費者や生産分野の意見を代表する方々にも加わっていただく方向で今検討を進めているところでございます。
○奥山委員 確かにおっしゃることはわからないわけではないんですけれども、生産者の立場を代表するのはJAとかそういう農業団体だと思います。そういう団体からは、物をつくる上においては、食の安全ということは生産全域からやはり考えてもらいたいということがありました。それから、流通段階は流通段階にいろいろな流通過程の事情というものがあったり、そういうものもやはり十分考えていただきたいということがありました。
それから、この大綱の中には、「消費者・生産者など関係者の意見を反映した施策づくり」ということが大きく打ち出されたわけですね。ところが、実際にできてくると、やや、技術的な評価になってしまうということから、いわゆるマクロ的な評価というものが本当になされるであろうかという懸念がありますので、その辺についてひとつ十分考えていただきたいと思います。
それから、第二番目に食品の表示の問題であります。
これは基本法としますと非常に細かい部分の話になるわけでありますけれども、その表示が非常に今混乱しておるんですね。だから、消費者は、まさに食品のあのいろいろな表示されているのをほとんど信用しておらない、信用できないという状態に今なっておりまして、これはいろいろなところからその問題点が指摘されたり、輸入物が国産に化けてみたり、それから製造年月日は幾らかサバ読んで初めから先付になっておるとか、そういうものがいっぱい過去においてあって、それが随分問題となったわけでありますし、その表示のあり方が非常にわかりづらいということがあったり、そういう問題があるわけです。こういう問題は個々の、JAS法とかそれから食品衛生法とか健康増進法とか、いろいろなところでこれがまた縛られていくんですけれども、包括されていくんですが、これがまたばらばらでやはり法律化されようとしている、あるいは法律改正でもやはりばらばらになっておるというところに問題があるんじゃないかと思うのですが、これはやはり谷垣大臣の方でうまく調整をしていただく必要があるんじゃないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 今、奥山委員おっしゃった食品の表示の問題は、消費者に対して食品の安全性とか品質に関する情報を提供する、そして安全性の確保と消費者が適切に商品を選んでいただくという上で、極めて大事な役割を果たしていると思うんですね。
食品安全基本法でも、そのために、食品関連事業者の責務として、食品に関する正確かつ適切な情報の提供に努めるべきことというふうにしておりますし、さらに、食品の安全性の確保に関する施策の策定に当たって、食品の表示制度の適切な運用等に関して必要な措置を講ずべきことというふうに食品安全基本法の中にも定めているところでございます。
ただ、表示方法の統一等がないので混乱していると今御指摘がありました。確かにそういう面がございまして、消費者に情報を正確に提供するという観点から、必要な検討が行われなきゃいけないんだろうと思っております。具体的には、現在、関係各省で用語の統一など優先度の高いものから検討を進めているというふうに承知しているんですが、それをどんどん、順次やっていただかなきゃいかぬと思います。
それから、虚偽表示の処罰につきましては、昨年、JAS法に基づく表示違反の罰則の強化が行われたところですが、今国会に提出されている食品衛生法等の一部を改正する法律案の中にも罰則の強化が盛り込まれております。そういうことで取り組みをしているところでございます。
○奥山委員 その表示の問題ですね。これは、いろいろな表示が要求されるわけであります。既にできているものとしては、品質の保証期限、それから製造年月日、それから産地表示。この中には、輸入物も表示をしていかなければなりませんし、加工食品の場合も、やはりどこの原料が使われているかというような表示が必要になっておるわけであります。
特に、産地表示なんか、もうまさにむちゃくちゃで、全然これが当てにならないという状態になっております。例えば、私の地元は宇治茶の産地なんですが、実際は宇治茶がほとんど入っておらずに、よそのものばかりが入っておるということで、今度は、五〇%以上になった場合はその産地表示、宇治茶の名前は使わさないというようなことを自主的に決めたということもあるわけでありますが、そういった問題。
それから、残留農薬がきちっと検査されているかということ、残留農薬とか抗生物質とか、そういうものもやはり一定の表示、あるいは食品添加物等もどういうものを使っておるか、そういうものもいずれはやはりきちっとした表示方法を考えていく必要がありますし、最近問題になっておりましたダイエット食品、これらも一定の、安全なものであるかどうかという基準をどこかで決めておく必要があるんじゃないかと思いますが、その辺について、各省がばらばらで今のところはやっておるわけでありますから、それをやはり内閣府で、谷垣大臣のもとでやはり一定の整理をしてもらう必要があるんじゃないかと思いますので、その辺はよろしくお願いを申し上げたいと思います。
それから、余り時間がありませんので、食品安全委員会から、いろいろな問題があるということで、関係大臣に勧告されるということになるわけであります。その勧告されて、ただ勧告しただけということで、後はきちっとまたそれぞれの役所で対策が打たれたかどうかということを、これはやはりきちっと谷垣大臣のもとで、一定の検証ですか、そういうものが必要であろうと思いますが、そういったことが今度の基本法の中でもまだ余り明確になっておらないわけでありますから、その辺についても御見解をお尋ねしたいと思います。
○谷垣国務大臣 食品安全委員会から関係各大臣に対して行われる勧告、これは、食品健康影響評価の結果に基づいて各大臣に勧告を行ったときは、食品安全委員会は遅滞なくその勧告の内容を公表しなければならないということになっております。それで、食品安全委員会は内閣府のもとに置かれますから、内閣府の長である内閣総理大臣の名前でこの勧告の内容の公表が行われることになるわけです。
そして、通常は、やはり内閣総理大臣の名前で勧告が出るということになりますと、当然メディア等も注目いたしますから、なかなかそれに従わないということも、その内閣の閣僚であるそれぞれが従わないということはなかなか考えにくいわけでありますが、勧告を受けた各大臣は、その勧告に基づいて講じた施策について食品安全委員会に報告しなければならない、こういうことになっておりまして、こういう形で、食品の健康影響評価と、それに基づいて講じられる措置についてのプロセスがどう進んでいくかという透明性が確保されるというふうに考えております。
そして、そのもとに委員会や関係行政機関によるいわゆるリスクコミュニケーションが行われることによって勧告の実効性が確保されていくことになる、こういうふうに考えております。
○奥山委員 ありがとうございます。
これまで私も食の安全につきましては非常に関心を持っておりましたので、いろいろな業界の方々と話をさせていただきました。おおむねは、政府としても、今度はBSE問題をきっかけにして非常に積極的に取り組んでもらっておるのですけれども、これでようやく欧米並みにやや近づいたということじゃないかと思います。
我々も、その辺で食の安全、これからは具体的に、食品の安全衛生とともに、やはり国民自身の食育として、食の問題についてもっともっとやはりいろいろな形の学習の機会をつくっていく必要がありますので、そういった点でもこれから実効ある行政を推進していただきたいというふうに思いまして、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で奥山茂彦君の質疑は終了いたしました。
次に、小野晋也君。
○小野委員 二月も末に差しかかってきたわけでありますが、こうなってまいりますと、春の日差しということになってまいります。古来より日本の皆さんは、春の風情というものをいろいろな和歌に託して歌っているわけでありますが、その一つに、有名な句があります。
ひさかたの光のどけき春の日にしず心なく花の散るらむ
こんな歌でありますが、しかしながら、この歌に接して感じられる人の中には、しず心なく鼻詰まるらむ、こういうふうに感ずる方が多いのもまた事実でございまして、最近の医学調査によってみますと、花粉症を自覚症状として持っているという方々が、都市部では大体二割近くなっているわけですね。その他のアレルギー症まで全部入れれば、大体三割近い人たちが日本国民の中でそういう症状を持っているのではなかろうかというふうなことを考えてみますと、これはまさに、今このシーズンということになると、杉花粉症という症状になるわけでありますが、アレルギー症全般が一つの国民病ともいうべきものなのではなかろうかというような気がしてなりません。
一方、これに対して、日本政府、何もせずに来たわけではなくて、随分精力的な取り組みをしてこられたわけであります。
この六年間、「スギ花粉症克服に向けた総合研究」という形で、文部科学省における研究の問題もありましょうし、環境省におきますところの大気環境等を中心にしてのそういう問題研究もあります。農林水産省における花粉の発出源の問題研究もやってこられておりますし、気象庁におきましては、花粉予想をどうするかということもやってきております。病気の観点から言うならば、厚生労働省の側で、この病気をいかに克服できるかという研究もやってこられている。
こういうものが、全省庁関連するところが一体になられながら、ぜひこの国民病ともいうべきものを解決しようということで御尽力をいただいてきまして、六年の研究の結果として、ペプチドワクチンという非常に効果的なワクチンの開発もされて、これがいよいよ臨床の実験の方に今移りつつあるというふうな状況だと聞いておりますし、さらに、次の世代のDNAワクチンの開発にもほぼめどをつけておられるということもございます。また、関連遺伝子を発見されたり、自動花粉測定装置の開発にも成功されたり、この六年間にわたってやってこられた総合研究の成果について、私たちは非常に大きな成果を上げることができたと評価もいたしておりますし、これに関連されてこられた皆さんに、心からの敬意も感謝もささげたいと思っている次第でございます。
しかしながら、これだけ多くの国民がこの病に悩んでいるという現実が実際にあるわけでありますし、こういう研究的なことにおいて、成果を上げれば上げただけ、その実用化が一体いつの時期になるんだろうということでの待望感が強まってきているのも事実であります。
さらに、もう一方の側で、研究の方面では、世界最先端の研究がいよいよこの秋に施設も完成するわけでありますが、免疫・アレルギー科学総合研究センターというところで展開されてくるというような状況も考えてまいりました場合に、これを一層強く後押しをして推進していくために、多くの国民がこの病から、その悩みから一刻も早く解決、抜け出していけるように、このアレルギー問題の撲滅を目指して、政府として一層の取り組みが必要ではなかろうかというのが私どもの見解でございます。
今、内閣の中には非常に数多くの戦略本部が設けられて、各省庁にわたるような問題は、内閣の責任においてその問題解決を図ろうということが現実になされているわけでありますけれども、この国民病ともいうべきアレルギー、特にこの時期は杉花粉症ということになるわけでありますが、この解決を目指して、内閣としてそのような戦略的お取り組みを進めるつもりがあるのかどうか、細田大臣にお伺いをしたいと思います。
○細田国務大臣 本来、この御質問はあるいは官房長官がお答えした方がいいかもしれませんが、私も科学技術担当でございまして、杉花粉によるアレルギーを有する国民が一割を超えた、そして、花粉症対策としてはそれぞれ各省が、小野議員を初め、ハクション議連という名前のようでございますが、非常に議員の皆様方にも花粉症等アレルギーが多くなってまいりまして、非常に多くの働きかけもしていただき、そしてかなりの予算措置もとられておるわけでございます。
文部科学省の先ほど御指摘の免疫・アレルギー科学総合研究センターは、本年度で五十二億円強、そして来年度も同額の予算がついておるという、大変な、国、政府としての力を入れた政策でございます。
そして、また他方、これはアレルギー、杉花粉だけではございませんで、個別の、一人一人の遺伝子が多少ずつ形が違うことによって、御承知のような、肺がんの薬が効く人とお亡くなりになってしまうほど劇症になる人とか、薬等によっても個人差がたくさんある。アスピリンの効く人と、全然、副作用が出る人とか、よく知られておる例は幾らもあるんですが、これが遺伝子由来のものである場合も非常に多いので、テーラーメード医療をこれからやっていこう。つまり、一人一人の個人的事情、個体差、遺伝子差その他後天的なものも含めて差異に着目した治療をやろうという流れにもつながって、総合科学技術会議等でも真剣な検討が行われているわけで、また予算獲得等対策を講じておりますので、今後、御提案のありました、こういうアレルギー対策の本部を設置することも含めまして、政府としてさらに前向きに検討してまいりたいと思っております。
○小野委員 前向きの答弁をいただきまして、大変ありがとうございました。
なお、大臣からハクション議連という話がありましたとき、委員の皆さん方から笑いがこぼれましたが、これは、くしゃみがハクションということももちろんありますけれども、同時に、我々はこのアクションをみんなと一緒にやりながら、ハッピー・アンド・ヘルシーな生活を国民に実現するためのアクションである、こういう趣旨でやっているものでございまして、共鳴いただける皆さんのまた御協力をよろしくお願い申し上げたいと思う次第であります。
引き続きまして、もう時間が限られましたから、簡単にお願い申し上げたい点でございますけれども、一月二十八日に第二十四回の総合科学技術会議が開催されました折に、その話題の一つにロボットの問題というのがあったとお伺いをいたしました。まさに本年が鉄腕アトムの誕生の年、四月七日が誕生日だというふうにされておりまして、生まれる前に誕生日が決まっている、こういう非常におもしろい話なのではありますけれども、恐らく、この年をもって日本の国におけるロボットというのは一つのブレークする点を迎えることになるんじゃなかろうかというような予感がいたしております。
今までは、ロボットというのは製造現場における工業用ロボットが中心でありましたが、これからは新しい市場としての家庭内ロボットというところに移行していくことになるだろうというふうに私どもは考えている次第でありますが、そのために越えねばならない問題は、大きく言うと三つあるんですね。
一つは、マン・マシン・インターフェースが必ずしもまだ十分でない、だからもっと高度の、人間とロボットの間のコミュニケーションがとれるようなシステムの開発が必要だというところがあります。
それから二つ目には、人間に危害を加えないシステムというものについて、きちんとしたシステム形成を行いますと同時に、それでももしトラブルが起こった場合の法的な措置もちゃんと準備をしておかねばならないというのが二点目であります。
それから三つ目には、文化の問題でございまして、人間の生活の中にロボットがうまく入ってくるためには、単にいい性能の機械があればいいのではなくて、人間側がそのロボットをいかにうまく受け入れるかということを、心の面も含め、環境の面も含めて実現するための文化が必要なんですね。
これらを実現するために私どもが今提唱しておりますのは、介護ロボットをその入り口として家庭のロボットを実現しようではないか。それについては、月々一万円家庭の皆さんが出していただいたら、それをもって五百万円クラスのロボットを家庭に送り込んで、介護に苦しんでおられる皆さん方の御負担を少しでも軽減しようではないか。
こういう魔術的なことがなぜできるかというと、まさにこれは介護保険制度を使おうということであるわけでありますけれども、このあたりから家庭に実際にロボットが導入できるというケースを実現していくことを通して、家庭用ロボットにおける日本の国の優位性をこれからもずっと保ちながら、さらにそれを発展させていくきっかけにしていくということが私どもの提案でございますが、この点について、御所見、いかがでございましょうか。
○細田国務大臣 約十年ほど前に、小野議員が初当選されたときから、ロボットは大事だということを非常によく拝聴しておりまして、当時は、まだ先の話ではないか、漫画や映画の世界ではないかと思っておった面もありますけれども、どんどん実態が進みまして、高専あたりのロボットコンテストも盛んに行われますし、いろいろな意味でのロボット、特に自動車などを組み立てるマシン等、こういったところではまさに大きな機能を有しているわけです。
介護ロボット等を初めとするやや人間に近いような、意思があるわけではないけれども、それに近いような対応ができる、機能があるロボットの開発というのは、各企業が今一生懸命対応をして研究開発を行っているわけです。
先般、その一つの例を総合科学技術会議で小泉総理にお見せして、これはどちらかというと、なでると声を発したりはい回ったりするような、いわばいやしロボットなんでございますが、こういった面でも、独居老人の方などの精神衛生上非常にプラスがあるというようなこともあるわけです。
実は、介護については、ロボットの専門家に聞いてみますと、なかなか難しい面がある。それは、やはり機械でございますので、単独でそれに任せますと思わぬ手荒なことをして、実態に合わない対応をするとけがが生じたり、風呂の中で取り落としてみたり、いろいろなことが起こる。
だから、人間が、補助者がいて、そして高齢者でも見ておればやってくれる、問題が起こればとめるというような対応をするのならば対応できるというようなところが現状だそうでございまして、本当に独立してロボットで介護から、あるいはいやしも含めて対応できるところまでいま一歩だそうでございますが、こういった企業の試作例もたくさんございますし、またそのための予算措置も講じてきておりますので、私どもは、科学技術分野の今後の発展の一つの分野として真剣に取り上げてまいりたいと思います。
○小野委員 では、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○佐々木委員長 以上で小野晋也君の質疑は終了いたしました。
次に、渡辺博道君。
○渡辺(博)委員 自由民主党の渡辺博道でございます。
今、夢のある話の後で大変恐縮でございます。現在、日本の社会において犯罪がいかに発生しているか、谷垣大臣はもう十分の御認識をいただいているというふうに思っております。私は、谷垣大臣については、警察行政について質問させていただきたいと存じます。
現在、犯罪の発生件数が、認知件数としましては二百八十五万件、昨年の例でありますけれども。それに伴い、検挙率が二〇%台になった。これは、十五年前になりますと検挙率は六〇%近い、そういう状況でありましたけれども、現在はそのように下がっている。その意味では、犯罪が国民にとって大変身近なものになってしまった。これをどのような形で解決していくか、まさに喫緊の課題だと私は思っております。
そうした中で、今回、谷垣大臣の方で所信の説明がございましたけれども、最近の治安情勢、大変厳しいという御認識でございますけれども、総合的な対策をしなければいけないというふうにうたっております。特に、街頭犯罪の防止のために検挙活動の強化、そしてまた関係機関と連携した防犯対策の推進等とうたわれて、そこで総合的な対策を推進することが必要であるというふうに述べられております。
こういった方向性はわかります。ただ、具体的に総合的対策というのはどのように進めていくのか例を挙げていただきたい、そのように思っております。よろしくお願いします。
○谷垣国務大臣 委員が今御指摘のように、刑法犯の認知件数もこのところ毎年記録を更新するということでありますし、検挙率も二〇%台ということで、治安は非常に今瀬戸際のところに来ているというふうに認識しております。
そういう中で、体感治安ということが言われますが、特にこの体感治安を悪くしているのは、街頭犯罪、路上でひったくりに遭うとかそういう街頭犯罪が一つ。それから、やはり生活の本拠、安心の拠点である自分のうちとかオフィスに侵入してくる侵入窃盗あるいは侵入強盗、侵入犯が多くなってきている。やはりこの街頭と侵入犯というものが非常に体感治安を悪くして、ここは力を入れて取り組まなければならない、こういうふうに我々認識しているわけです。
そこで、今御指摘のように総合的な対策が必要だということで、昨年の十一月に、警察庁に街頭犯罪等抑止総合対策室というのをつくりました。そして、都道府県警察ではことしの一月から、地域の犯罪実態に応じて、対象とする地域や犯罪類型に重点を絞ってそれぞれが街頭犯罪等抑止計画をつくって、それぞれの地域の特質に応じてやってくれと。そういう中には、今委員がお挙げになりましたように、街頭活動及び街頭犯罪等の検挙活動の強化、非行集団対策、街頭犯罪等の手段となり得る行為の取り締まり、それから犯罪類型に応じた防犯対策の推進、これはやや抽象的でございますが、そういう、それぞれの地域に合わせて検討してくれと。
具体的に言えということでございますから、実は答弁資料に書いてございませんのでやや記憶に頼るところがございますが、例えば、今ATMを重機を持ってきてがしゃっとやって、短い時間にさっととって逃げていくというような犯罪が非常にふえてきております。これに対応しまして、福岡だったと思いますが、各ATMのそれぞれの所在場所を全部コンピューター上の地図に落としていくというような工夫をいたしまして、そうしますと、通報が来たときにすぐどこのどれだというのがわかりまして現場に駆けつける時間が短縮できるのではないかということで、そういうことをやりましたところ、あの県で起こった第一号の案件を現行犯逮捕することができたというふうに報告を、これ、ちょっと記憶に頼って言っておりますので若干違うかもしれませんが、そういうようなことがございます。
それから、非行集団という中に、例えば、暴走族が非常に盛んなところがあるわけでございますが、暴走族というのは、単に暴走するというだけではなくて、後々暴力団につながっていったり、いろいろな街頭犯罪の温床になったりするような面がございます。そういうところの取り締まりもなかなか、ああいう暴走族でございますから、二輪に乗っているときの取り締まりというのはある程度難しいところがございまして、下手をすると向こうが転んで大けがをするとか、場合によると死亡事故が起こるというようなことがありますから、かなり取り締まりは難しいわけでありますが、そこにある四輪、後についてきている車にパトカーをぶつけてとめる。これは一例でございますが、やはり警察の断固たる決意を示しながら対策を立てていく。
それぞれの地域の犯罪の実情において工夫をしてもらっているところであります。
○渡辺(博)委員 ただいま大臣の方から、地域の実情に合わせて対応していくというお話でありました。
当然、犯罪は警察のみならずやはり地域の市町村または関係団体、こういった連携が大変重要であります。その中で、実は、各自治体は防犯対策に対していろいろな取り組みをしている。その例を若干御紹介させていただきたいと思います。
例えば、ピッキング対策につきまして、シリンダー交換について、板橋区においては、助成をして取りかえの促進をしているというような事例があります。また、私の地元でございますけれども、市川の方では、市民の自主防犯意識の啓発普及活動として、このような犯罪発生地図を各町会の掲示板に張る、こういった活動もしてございます。
さらには、松戸及び東京の武蔵野市では、防犯パトロールとして、このような車両を独自に用意して防犯パトロールをしているということであります。
ただ、ここで問題なのは、実は、せっかくこういった自治体の取り組みに対して、この青い点滅灯はなかなかつけられないんです。ただ形だけです。これは、車両の保安基準によって認められていないということで、単なる取りつけができるというだけのものであります。自治体としては、やはり防犯パトロールとして実効性のあるものをつくっていきたい、そしてまたそれを地域に回していきたい、そういう話がありましたけれども、一つの規制の中の制約でそれができなかった。形はこういう形であります。
また、松戸市の例でいきますと、同じく防犯パトロールを夕方の五時から十時まで回しております。そしてまた、ここも同じように、このブルーの点滅灯はつけられなかったということがありました。
ことしの四月から現職の警察官を市の職員として出向の受け入れをするということで、実際にこれを防犯の指導者としていろいろなところで活躍をしてもらいたいということで考えているわけでありまして、私たちは、地域との問題をやはり考えていかなければならない、そういう時代に来ているというふうに思うんですね。
さらに、全く方向は違いますけれども、例えば消防は、消防団という組織があります。現在、九十三万人の団員がいらっしゃいますね。私は、これからの時代、二百八十五万件も犯罪があるのであれば、少なくともこういった組織の創設が必要ではないかなと思うわけであります。
こういった点をぜひとも総合的に取り入れて、例えば自治体についてのこのような取り組みに対しては、総務省は交付税の中に措置して、入れる。そしてまた、学校の問題は、池田小学校の例もありましたけれども、ああいった問題も安全対策としてしっかりとシステム化し、そして学校の中で教育をしっかりとする。そしてまた、警察庁では、防犯のためにスーパー防犯灯というものを設置しているわけですね。これとて、わずかな予算の中で助成すると、全国になかなか広まらない。これは国土交通省で対応するというような形で、もうこれは国全体を挙げて防犯に取り組むんだと。それこそ、大臣がおっしゃっておりました、世界一安全な国日本というものを標榜しているのであれば、まさに世界一安全な国日本推進本部をぜひとも立ち上げて、国民にメッセージとして与えていただければ幸いだというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 今委員に挙げていただきましたようなそれぞれの自治体は、それぞれのところで大変工夫していただいて取り組んでいただいておりまして、ありがたいと思っております。
それで、警察だけでできることは限界がありまして、やはり自治体なり、あるいは今消防の場合には消防団があるじゃないかとおっしゃったわけですが、NPOみたいなもの、今まで治安とNPOというのは余り一緒に考えられたことは少なかったかもしれませんが、私は、これから、治安を維持していく、パトロールや何かを考えます場合に、NPOにお願いできる分野というのも相当あるのではないかなという感じがいたします。したがいまして、自治体の連携とかNPOとの連携とか、そういう問題を、まだまだ工夫の余地があるんだろうと思います。
池田小学校の例をお挙げになりましたが、池田小学校の場合にも、建てかえに当たりましては、防犯の見地からどういう学校の設計がいいかということを相当考えてやっていただいているというふうに私聞いておりますが、単に学校だけではなくて、町づくりにしても、防犯に強い、治安に強い町づくりというのはどういうことかというのは、私は工夫の余地が随分あるんだろうと思います。
都市対策の中でも、大阪府警から提案がありまして、まず東大阪から始めたというふうに記憶しておりますが、例えば公園なんかでも、変な暗がりがあって死角がありますと、そういう中に引きずり込まれて公衆便所の中で被害に遭うというようなこともありますから、やはり町づくり全体、そういう治安ということも考えてつくっていただくということになりますと、これは警察だけでできる話ではありません。
したがいまして、一方で地域に密着するということと、他方総合的に考えていくということでありますが、今世界一安全な国日本対策本部というものをつくれという御提案でありました。実を申しますと、内閣に国際組織犯罪対策推進本部、薬物乱用対策推進本部、銃器対策推進本部、こういったところを初め、省庁横断的な総合対策のいろいろなものが実はできておりまして、そういうもののどれだけ成果を上げているかということももちろん考えなければなりませんけれども、これらに加えて全般的、総合的対策推進のために一元的な体制をどうするのか、その必要性、効率性はどうなのかというようなことはちょっと今すぐ結論が出ませんで、今後の検討課題として委員の御意見を拝聴したいと思いますが、いずれにしても、警察みずからの取り組みを充実強化しますとともに、さまざまな関係機関、団体との連携、そして総合的な取り組みというものを強化してまいりたいと思っております。
○渡辺(博)委員 それでは、ぜひとも安全な、そして安心して住める日本をつくっていただきたい、よろしくお願いいたしまして、終わります。
○佐々木委員長 これにて渡辺博道君の質疑は終わりました。
次に、林省之介君。
○林(省)委員 私も今すぐ出たいんですが、時間、今、十六分か七分押していると思います。今すぐ出ても、友達との約束が守れるかどうかわかりません。しかし、走れメロスではありませんけれども、最短の質問をさせていただいて速やかに終わらせていただきたい、こう思っております。
実は、副大臣きょうお見えでございますが、この間うちから、産経新聞が、男女共同参画社会条例、この条例にいろいろと問題があるということを盛んに書いております。中には、表現の自由の侵害もあるというふうなことまで言っているわけであります、明らかにいわゆるジェンダーフリーまで認めてしまうような男女共同参画社会のあり方でいいんだろうかと。
今、いろいろなところでいろいろな問題が起きています。例えば、今大学で、教師がまともに学生の目を見て授業ができない。目が合うと、はいセクハラだ、ああだこうだと言われるわけです。下を向いて、前を向くときには肩と肩の間を見て、天井を見て授業をする。恥ずかしい話ですが、こんなことは一々世間では問題にはなっておりません。これは明らかに行き過ぎではないかということを、いろいろと、こまごまとお聞きをするつもりでございました。
早い話が、例えばこれはある県の条例でございます。読ませていただきますと、「性別による役割分担の固定化又は女性に対する暴力的行為を助長し、又は連想させる表現を行わないよう努めなければならない。」まだこれは「努める」だからいいですよ。これが「罰する」となってきたら明らかに、恐らく表現の自由の、あるいは思いでございますから、思ったからそれで犯罪だというんだったら、例えば、これはちょっと下世話な表現になるかもわかりませんが、友とけんかをして、あの餓鬼はけしからぬ、一遍ぶっ殺してやりたい、こう思うた、それがもう犯罪ですよということになってしまうわけですね。
思いまで制限を加えるというような条例にもなっているわけでございまして、この辺のところについて、副大臣にお願いいたします。その御見解をお聞きしまして、終わらせていただきます。
○坂東政府参考人 地方公共団体で、今都道府県が四十、市町村が九十五、男女共同参画に関する条例を定めておりますけれども、これらは男女共同参画社会基本法の趣旨を踏まえて、各地域の特性に応じまして地方議会で制定されているというふうに思っております。
市町村あるいは都道府県の個別の条例について、そういうことですので、個別に判断する立場ではございませんけれども、お尋ねの、地方公共団体の公衆に表示する情報に係る配慮等の規定につきまして、一般論として申し上げますと、男女共同参画社会の形成という目的のために、男女間の暴力行為を助長するような表現等一定の表現を行わないような配慮または努力を求める規定ということですので、直ちに憲法上の問題が生じるとは言えないというふうに考えております。
また、特定の表現を規制するのではなしに、単に配慮や努力を求めるにすぎない規定につきましては、表現の自由との関係では、問題が生じることはないというふうに考えております。
○林(省)委員 私はそうは思いません。だけれども、きょうはもう時間がありませんので、またの機会がもしございましたら、一々証拠を挙げて議論をしたいと思っております。
終わります。
○佐々木委員長 以上で林君の質疑は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時十分散会