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第6号 平成15年4月18日(金曜日)

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平成十五年四月十八日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 佐々木秀典君
   理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君
   理事 星野 行男君 理事 渡辺 博道君
   理事 中沢 健次君 理事 山内  功君
   理事 遠藤 和良君 理事 西村 眞悟君
      大村 秀章君    奥山 茂彦君
      嘉数 知賢君    金子 恭之君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      菅  義偉君    高橋 一郎君
      谷川 和穗君    谷本 龍哉君
      中本 太衛君    林 省之介君
      石毛えい子君    大畠 章宏君
      鮫島 宗明君    平野 博文君
      横路 孝弘君    太田 昭宏君
      西  博義君    吉井 英勝君
      北川れん子君    江崎洋一郎君
    …………………………………
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   内閣府大臣政務官     木村 隆秀君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  小川  洋君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  梅津 準士君
   政府参考人
   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         遠藤  明君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   内閣委員会専門員     小菅 修一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  近岡理一郎君     中本 太衛君
  釘宮  磐君     鮫島 宗明君
  太田 昭宏君     西  博義君
同日
 辞任         補欠選任
  中本 太衛君     近岡理一郎君
  鮫島 宗明君     釘宮  磐君
  西  博義君     太田 昭宏君
    ―――――――――――――
四月十七日
 自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
同月十一日
 非核法の早期制定に関する請願(今川正美君紹介)(第一六四二号)
同月十七日
 イラクに対する戦後復興法提出反対に関する請願(今川正美君紹介)(第一七七〇号)
 同(植田至紀君紹介)(第一七七一号)
 同(大島令子君紹介)(第一七七二号)
 同(山内惠子君紹介)(第一七七三号)
 同(今川正美君紹介)(第一八一〇号)
 同(大島令子君紹介)(第一八一一号)
 同(山内惠子君紹介)(第一八一二号)
 同(阿部知子君紹介)(第一八六六号)
 同(今川正美君紹介)(第一八六七号)
 同(山内惠子君紹介)(第一八六八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 食品安全基本法案(内閣提出第二七号)
 自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)


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     ――――◇―――――
佐々木委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、食品安全基本法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小川洋君、内閣官房内閣審議官梅津準士君、外務省経済局長佐々江賢一郎君、厚生労働省医薬局食品保健部長遠藤明君及び農林水産省総合食料局長西藤久三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石毛えい子君。
石毛委員 おはようございます。前回に引き続きましてよろしくお願いいたします。
 それで、初めに、質問通告をしておりませんけれども、私の前回の質問をもう一度という意味もございまして、谷垣大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。
 私は、前回の質問で、消費者からの意見の申し出ということについてこの法律の中にぜひ規定をというふうに、そうした趣旨で御質問をさせていただきました。そのときに大臣は、この法案では第九条に「消費者の役割」として「意見を表明するように努める」という規定もあることであり、消費者からの意見の申し出ということは十分に尊重されるという、そうした御趣旨の御答弁をいただいたというふうに思います。もう一度、そこのところを大臣に御確認いただきたいと思います。
 私は、前回の質問では、リスクコミュニケーションを規定している法文でも、これは、政府の方が意見を述べる機会の付与ということで、政策主体の方が呼びかけてそれに消費者が応じる、こういう構成になっているので、発議が消費者からということが必ずしも十分には表明されていないのではないかというようなことも加えながら御質問をさせていただいたのです。
 もう一度改めまして、前回大臣は、この第九条の「消費者の役割」で「意見を表明するように」というふうに記されているので、消費者からの意見の表明、初めに消費者が意見を言っていくことも十分に可能だ、そういうことが含意されている法案だというふうに御答弁いただいたというふうに私は受けとめさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
谷垣国務大臣 石毛委員のおっしゃるとおりでございまして、九条のこういう規定がありますことは、消費者と行政が双方向に意見を交換するあるいは情報も交換することによって、よりよい共通認識といいますか、そういうことをやっていくことが非常に大事だという認識のもとにこういう規定がつくられておりますので、むしろ積極的にいろいろな意見を述べていただくべきものだ、こういうふうに思っております。委員のおっしゃるとおりだと思います。
石毛委員 ぜひ、消費者の積極的な意見の申し出あるいは参画が実現されることによって、リスクコミュニケーションが円滑に機能するようにというふうに私も考えるところでございます。
 それでは、順次質問をさせていただきたいと思います。
 食品の安全性を評価するためには、データの開示が必要になることは言うまでもないことでございます。第二十五条では、食品安全委員会が関係行政機関の長に資料の提出、意見の表明あるいは説明等を求めることができるというふうに定められております。ここは、関係行政機関の長にというふうになっておりますけれども、普通、安全性に関する基準評価は、食品を提供する事業者の方々が御自分のところで安全性に関するデータを、これまでの経緯でございますけれども、提出して、そこから関係行政機関ということになっていくわけで、もとデータというのは事業所の方にあるということでございます。関係行政機関に集積された、提出されたデータ等が十分にそれで機能すればそれでよろしいわけですけれども、場合によってはもっと詳細なデータを検討する必要があるというようなことも間々あるというふうに、容易にそれは思われるところでございます。
 そこで、せっかくこの法律の中では、第八条に食品関連事業者の責務が定められておりまして、そしてその第二項では、「事業活動に係る食品その他の物に関する正確かつ適切な情報の提供に努めなければならない。」こういう規定があります。私は、この「努めなければならない。」という努力義務規定になっているところが、やはりこれでは弱いのではないかと。努力義務規定ですから、必ずしも事業者側は情報あるいはデータを提供する必要がないわけです。ということで、ここは、せっかくですから、もう少し強めた記述が必要なのではないかと思います。
 ちなみに、この法案の第三項は「食品の安全性の確保に関する施策に協力する責務を有する。」という規定の仕方になっております。この第二項も、「情報の提供に努めなければならない。」という表現よりは、情報を提供する責務を有する、例えばそういうふうにしていただいた方がより情報公開は明確になっていくというふうに考えるところですけれども、いかがでございましょうか。
谷垣国務大臣 今委員のおっしゃったところは、通常の場合は、先ほど条文を引いていただきましたように、関係行政機関の長に、まあ大臣ということになると思いますが、資料、データの提出を要求するということでありますが、さて、それを民間あるいは事業者に直接その権利ないしは義務の関係としてやっていくということになりますと、食品安全委員会が行う活動が個別の事業者と直接の権利義務関係に立つわけではございませんので、個別の法律でそういうことを定めるということはあるいはあり得るのかもしれませんけれども、基本法でそこまで明確に権利義務を定めることができるのかという問題が私はあると思います。
 この中にも、必要なデータの収集について、関係大臣だけでは足らないと考える場合、あるいは食品安全委員会が調査委託をみずからやらなきゃならぬと考える場合には、調査委託をすることができる、また、そのための予算措置もございますし、また、先ほど委員がおっしゃっていただきましたように、「情報の提供に努めなければならない。」という責務規定がございますので、基本法としてはこの規定で十分機能するのではないかというのが私どもの考え方でございます。
石毛委員 そうしますと、二項と三項は具体的にどういう事態を指すかということが必ずしも明瞭に仕分けされ尽くしているとは読み切れないようにも思えます。二項は確かに、「正確かつ適切な情報の提供」というふうに、情報の提供というふうに限定して規定してございますけれども、三項の方は、「食品の安全性の確保に関する施策に協力する」、施策はかなり幅広い内容を含むわけですから、この施策の方には「協力する責務を有する。」と規定されておりますので、大臣御答弁くださいましたように、食品安全委員会が、必要ならばみずから調査をどこかの機関に委託をして実施することもできるわけですし、また、場合によっては、この二項を三項の中に入れ込んで読むこともできる。今の大臣の御答弁に関しては、私はそのようなニュアンスが含まれているというふうに受けとめさせていただいたのですけれども、「責務を有する。」という規定の仕方は、必ずしも確実にしなければならないという義務規定というほどのこともございませんと思いますので、二項にも、情報を提供する責務を有するというふうに規定していただいてよろしいのではないかと私は考えておりますということで、これ以上は、きっと大臣は今の御見解をもう一度お述べになられることになるのでしょうから。
 ただ、これからいろいろな未知の部分に関連する食品が科学の進展とともに多様に登場してくると思いますので、必ずしも食品安全委員会が提出されたデータだけで判断し切れるとは限らないと思いますし、また、消費者の側からいえば、より詳しいデータをぜひ知りたいという、そうした希望は、これからますます多様な食品に関して強まっていくと思いますので、ぜひ、知的所有権の問題もあるとは思いますけれども、積極的に事業者の方が協力するように、その責任を、食品の安全性の確保が事業者の第一義的な責任でもあるわけですから、努めていただきたいというふうに考えておりますということを申し上げさせていただきたいと思います。
 食品安全委員会に関してでございますけれども、BSE問題調査検討委員会が提言した安全委員会に対する基本的な考え方は、独立性、一貫性を持ち、各省庁との調整機能を持つ機関であるということが求められるという、そうした要請がなされていたというふうに理解をしておりますが、独立性、一貫性を持って、かつ各省庁との調整機能を持つ食品安全委員会であるためには、いわゆる八条委員会か三条委員会かということに関して、私は、国家行政組織法の三条委員会で、委員会に独立した権限が担保されているという、そうした位置づけの方がいいのではないかというふうに考えるものでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
 BSE問題で余りに厚生労働省と農林水産省との間の連携のなさという、そうしたことの経緯を振り返ってみれば、安全委員会の独立性ということは、これから施策を進めていく上で重要なポイントだというふうに考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 食品安全委員会が独立の委員会であるということは、リスク管理を行う役所から独立して内閣府に置かれているわけでございますし、今、不肖私が担当閣僚でございますけれども、そういう形で、また、リスク管理を担当しておられる閣僚とも分けて仕事をさせていただいているということで、独立性は十分保たれているし、また、当然私がそういうふうに運用する責務も負っているというふうに考えております。
 そこで、三条委員会か八条委員会かということでありますけれども、私も行政法は余り詳しくないんですが、なかなかやかましい議論があるようでございますけれども、御承知のように、ここは科学的にリスクの評価を行うというのが中心の職責であります。
 そこで、三条委員会はどういうときにつくられるかといいますと、そこで決めましたことが直接国民の権利義務を左右する、例えば財産を取り上げるとか営業を許可するとかいう、外部に直接国民の権利義務に関係するような行政の意思を表示するときは三条機関ということのようでございます。
 私どもの委員会は、中で、私どもの判断に従ってリスク管理を行っていただくということを主たる目的としておりまして、直接ここでの行動が国民に権利を与えたり義務を付与したりするということではございませんので、そういうときは八条委員会というのがどうも今までの行政組織の立て方の整理のようでございますから、ここは、そういう区分に従えば八条委員会で、独立性は先ほど私が申し上げたようなことで担保されているし、また、私もその独立性が全うできるように一生懸命やらせていただこうと思っております。
石毛委員 谷垣大臣が一生懸命この任を果たしてくださるということに関しては、私は何にも異議はございませんし、ぜひそうしていただきたいというふうに思いますけれども、一般的にいろいろな分野を見てみれば、必ずしもそうはいっていないのではないかという思いもいたします。
 私も行政法に詳しいわけでも何でもありませんけれども、内閣府設置法の中で、例えば官房長官が男女共同参画の会議を所管されるとか、障害者施策推進本部を所管されるとかと言われましても、実際問題は、それぞれ各省庁の政策を調整していくというような、そういう側面が強いというふうに私は現状を認識しております。
 ですから、大臣の御意思は御意思といたしましても、もっと強力に関係各大臣にきちっと対応していただくためには、私は、今までの行政法の解釈では、直接国民の権利義務に関することだったら三条委員会というような仕分けがあるやに今御教示いただきましたけれども、これまではこれまでといたしまして、国民の健康、強いて言えば命の安全ということにかかわりまして、そういう意味ではまさに国民の権利義務に関係するわけです。余りそこのところを深く突っ込んでいくつもりもありませんけれども、健康権とかというようなことでいえば権利関係とも言えるわけでしょうし、そういうふうに考えると、やはり三条委員会で委員会の独立性をきちっと法的に担保されている、その扱いの方がいいのだというふうに私は考えておりますということを申し上げたいと思うんですけれども、余りやりとりさせていただく時間もありませんので。
 第二十三条の三号で、食品安全委員会が、健康影響評価の結果に基づき、安全性の確保のために講ずべき施策について関係大臣に勧告することというふうに規定されていまして、その勧告は内閣総理大臣を通じてというふうになっております。この場合に、この法文の読み方というのは、食品安全委員会で勧告するということ、あるいは、勧告の内容等々が決定された場合は、それは自動的に内閣総理大臣がそれを受けて勧告を発するというふうに理解してよろしいんでしょうか。つまり、内閣総理大臣の御判断、決定と、食品安全委員会の勧告の内容ですとか、そういうものにずれが生じることというのは、私は一般的に考えてあり得るのではないかという思いもあるわけです。この場合に、安全委員会で決めた中身が尊重されて、それを内閣総理大臣は受けるそれこそ責任がある、こういう理解でよろしいんでしょうか。
谷垣国務大臣 内閣総理大臣を通じてというのは、これは内閣のトップとしての内閣総理大臣という意味ではございませんで、内閣府のもとに食品安全委員会が置かれるわけですから、その内閣府の長として、勧告を総理の名前で出していただくということになるわけですね。
 そこで、内閣府の長である内閣総理大臣は、全く上に乗っているお飾りというわけではありませんので、内閣総理大臣がどう最終的に判断されるかというのは、論理的には、それは全くないわけではないと思います。しかし、現実には、担当閣僚として置かれている私の立場は、内閣総理大臣の要するに意を受けて全体の調整を行ったりするわけですが、それはきちっと科学的判断を行う委員会の独立性も十分尊重して、またそれを現実化していくのが、要するに内閣総理大臣の意を受けている担当大臣の仕事でございます。
 そこで、よしこれだ、ということで勧告を出させていただく判断をして総理大臣に上げたときに、それを総理大臣が別な判断をされるということは、現実には想定していただかなくて結構なのではないかと思います。
石毛委員 実際の委員会の活動の中では、この内閣総理大臣を体する任を負われるのが、今御答弁いただきましたように谷垣大臣ということにおなりになるわけだというふうに思いますけれども、それでは谷垣大臣にもう一度、大変恐縮ですが、念のためにお尋ねをしたいと思います。
 この食品安全委員会の独立性を担保するという、ここでの健康影響評価、調査の進め方ですとか、内容ですとか、あるいはそこから導かれた結果ですとか、それは、担当の大臣のお立場として、その独立性を尊重して大臣としての任を果たされます、こういう御答弁をいただいたというふうに理解をさせていただいてよろしいのですね。
谷垣国務大臣 結構でございます。おっしゃるとおりだと思います。
石毛委員 それと、この独立性に関しまして、この前のこの内閣委員会の質疑でも、本当に独立性が担保され得るのかという観点で、さまざまな角度から質問が出されたと思います。それで、そのときに大臣は、確かに安全委員会の方からは何かリスク評価に関しまして課題等があった場合には、関係行政機関あるいは関係各大臣に勧告を行うとか、あるいは実施過程を監視するとかということで、委員会側の方のさまざまな取り組みについては、法にも規定されておりますけれども、それでは勧告を受けた側の関係各大臣の応答はどのようになるのかということで、これが第二十三条の四項で、関係各大臣は、「講じた施策について委員会に報告しなければならない。」ということで、報告をするということが書かれております、そのときに、公表をするから必ずどのように応答されるかということが社会に向けて明らかになるというふうに御答弁をいただきました。
 そこで、その公表の内容について、もう少し詳しくここで御答弁をいただきたいと思います。
 例えば、結論だけではなくて、勧告を受けた内容につきまして、どのように審議をしたかというような、そうしたプロセス、そして得た結論、その全部のことが公表されるのか、あるいは、公表の方法は文書だけではなくインターネットも活用されるのかとか、それから、関係各大臣からの回答に関しまして消費者が意見を申し出た場合に、それはまた政府の側から回答がなされるのかというような、そうした公表の質といいますか実といいますか、そこについての御答弁をいただければというふうに思います。
谷垣国務大臣 これは、管理機関としても私どもの委員会の方に先ほど申し上げたような報告をしなきゃならない、これは当然、リスク管理を行う機関としてもリスクコミュニケーションを行うというのがこの法の求めているところでありますから、そのリスク管理機関等の方でも適切な方法をとられると思います。しかし、安全委員会としても、当然、報告をされましたら、それは公開をする、また議事の公表ということも今予定しておりますので、私どもとしては、いろいろ情報公開のルールも今までいろいろな形で議論をいただいておりまして、個人の事業者の競争上の地位を不当に阻害するようなものであってはならないとかいろいろなルールが決まってきていると思いますが、そういう情報公開のルールのもとで、でき得る限りの公開をしていく方向で運営していきたいと考えております。
石毛委員 リスクコミュニケーションの体制を確立するという意味で、双方向の公表、公開が積極的に進められるようにということを要請させていただきたいと思います。
 もう時間がなくなってきました。恐縮ですが、きょう農林水産省から西藤総合食料局長に御出席いただいております。この基本法の第十八条で、表示制度が規定されております。この表示というのは、偽装表示ですとか、遺伝子組み換え食品の表示のあり方ですとか、本当にこの間、大きな課題になってまいりました。今、表示制度に関してどのような見直しがされている段階にあるかということを簡単に御答弁いただきまして、そして大臣には、この安全基本法の中で表示制度に関して規定されている意義について御確認をいただきたいというふうにお願いいたします。
西藤政府参考人 消費者の立場に立って、わかりやすい食品表示を実現していく、極めて重要な課題であると私ども認識をいたしております。このため、先生御指摘もありましたように、私ども、厚生労働省と連携しまして、昨年十二月から食品の表示に関する共同会議、まさにJAS法の会議と食衛法の会議を一緒にした形で共同会議を開催させていただいておりまして、食品の表示基準全般について調査、審議をお願いいたしております。
 具体的には、例えば期限表示の統一問題につきまして、この会議で既に御論議をいただいておりまして、三月に開催された第四回目の会議で、品質保持期限と賞味期限を賞味期限に統一することが適当であるという御意見を取りまとめていただいております。このほか、加工食品の原料原産地表示などについても、共同会議で順次御論議をいただいていくというつもりでおります。
 いずれにしましても、共同会議におきましては、私どもJAS法と厚生労働省食品衛生法の表示に係る検討課題につきまして順次検討を行っていただいておりまして、先生御指摘の本法十八条の趣旨に沿いまして、今後とも消費者にとって一層わかりやすい表示ということで努めていきたいというふうに思っているところでございます。
佐々木委員長 簡潔にお願いします。
谷垣国務大臣 この法案には、食品の安全性に関して重要ないろいろな理念ないし考え方が含まれていると思います。今さらそれを全部申し上げるつもりはございませんけれども、この食品の表示というのは、食品に関する安全性、品質、こういう情報を消費者に提供するものである、こういうことはもちろんでございます。それは、消費者の選択の機会を十分に確保していくというための重要な手段でございますし、また、期限表示とか、それからアレルギー物質を含む食品に関する表示というようなことは、食品の安全性確保に関して極めて大事だというふうに私は思います。
 この法案の上でこの十八条が設けられているのは、国民の健康を最優先にしていくという理念を実現する上でも、それからリスクコミュニケーションということを実効性あらしむる上でも、極めて大事な意味を込めて置かれているというふうに私は考えております。
石毛委員 ありがとうございました。
 終わります。
佐々木委員長 以上で石毛えい子君の質疑は終了いたしました。
 次に、鮫島宗明君。
鮫島委員 民主党の鮫島です。
 おとといに続いて質問させていただきますが、私は、政府参考人が答弁することに対してはかなり寛大な方なんですが、二分以内にしてくださいという注文を出させていただきます。二分以内というのは、必ずしも二分かけろという意味ではないので、よく答弁で、延々と背景説明をやって、したがいましてただいま委員の御指摘の件については私どももそのようなものだと考えておりますというようなのが一番多いのだけれども、そういうのについては、そのとおりでございますと答えれば、それでいいわけですから、ひとつ簡便な答弁をお願いしたいと思います。
 初めに、一般論で大臣にお伺いしたいのですが、通告もしていません、超一般論ですから。
 新しい法案とか予算を政府が提案するときに、与党側の了解も得て、そして閣議決定を経て、こういう場に法案なり予算案が提案されてくる。しかし、立法府の委員会における真剣な討議を経て、ここは一部変えた方がいいなとか、あるいは予算についても、ここは少し組み替えた方がいいなというようなことがあれば、当然、立法府の方の意思決定でそういう修正がかかることもあり得るというのは、一般論としては御了解いただけると思いますが、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 一般論として提示されましたが、一般論として言えば、国会における真剣な御議論の中でよりよい方策というものがあれば、それが法案の中に生かされていくということは、私も立法府の一員でございますから、当然のことだろうというふうに私は思います。
鮫島委員 初歩的な質問で済みません。そういう内容を理解していない役人なんかがたまにいるものですから、ちょっと聞きました。
 査察という言葉がありますが、多分、多くの日本人は、査察という言葉を聞くとIAEAによる大量破壊兵器の査察というふうに思うかもしれませんが、実は、食品の世界でも日本はEUとアメリカから査察を受けているのです。このことはほとんど日本人は知らないのじゃないかと思います。
 厚生労働省にお伺いしますが、日本の水産加工品について、EUから査察を受けたことがありますか。あるかないか、あるとすれば、その頻度はどのぐらいでしょうか。短く。
遠藤政府参考人 EUの水産加工品に関します査察でございますけれども、平成七年三月に青森県、宮城県、神奈川県、同じく十月に広島市、兵庫県、宮城県、静岡県、栃木県、平成十三年九月に青森県ということで、平成三年以降、都合三度実施されております。
鮫島委員 北海道はないですか。
遠藤政府参考人 EUからの査察はございません。
鮫島委員 今度は肉ですが、食肉輸出に関してアメリカから査察を受けたことはありますか。あるとすれば、その頻度はどのぐらいでしょうか。
遠藤政府参考人 米国からの査察でございますけれども、平成二年に輸出が開始をされて以降、平成十三年度までの間に、おおむね年一回行われてきております。
鮫島委員 今の答弁でも明らかになったように、この食品輸出の世界について、EUからもアメリカからも、我が国は複数回にわたる査察を受けているということが明らかになったと思います。
 厚生労働省に引き続いてお伺いしますが、こういう査察の結果、あるいは日本から輸出したものによる健康被害、そういう理由で輸出がとめられたというようなことはあるのでしょうか。
遠藤政府参考人 査察は、食肉の場合にはむしろ定期的にということでございまして、違反はございませんけれども、EUの水産物の場合には、違反が見つかって、その結果査察が行われ、その後さらに査察を受け、結果的に最終的にはまた解除されているというふうな形になっております。
鮫島委員 今、質問に答えたのでしたか、日本の輸出がとめられたことがありますかという質問なんだけれども。
遠藤政府参考人 ございます。
鮫島委員 大分短くなってきた。
 この査察は、アメリカによる査察はその根拠となっているのは連邦規則、それから、EUによる査察もその根拠となっているのがEU規則だと思いますが、厚生労働省は、こういうそれぞれの国あるいは共同体の規則によって我が国が査察を受けることを、正当だというふうに思っておられるでしょうか。
遠藤政府参考人 それぞれの国がそれぞれの国で定める衛生基準に適合するように、我が国の関係機関が適切に対応しているかどうかを当該施設の同意を得て実施をしているというもので、特段問題があるとは考えておりません。
鮫島委員 特段問題はない、正当と受けとめているということだと思います。
 外務省にお伺いしますが、このような、アメリカが連邦規則に基づいて他国に査察をかける、あるいは、EUがEU規則に基づいて他国に査察をかけるというようなビヘービアというか、そういうことはWTOに整合するのかどうか、外務省の御見解をお伺いしたい。これは二分たっぷり使って結構ですから。
佐々江政府参考人 お答えいたします。
 WTO協定上、WTOの加盟国は、人、動物または植物の生命、健康を保護するために必要な衛生植物検疫措置をとることができるということでございますが、この際、人等の生命または健康を保護するために必要な限度において、また科学的な原則に基づいて措置をとるということが言われております。それから二番目に、同一または同様の条件下にある加盟国間並びに国内外で恣意的または不当な差別をしないことということが規定されております。また、三番目に、国際貿易に対して偽装された制限となるような態様で措置を適用してはならないというふうに言われているわけでございます。
 今、先生が言われました米国の措置につきましては、こういうようなWTOの協定の条件に沿った運用が行われている限りにおいてWTO協定に違反しているということはないということでございまして、私どもの承知している限り、そういう問題提起がこれまでのところされているということは承知しておりません。
鮫島委員 WTO交渉の責任省庁というのは、外務省ということでよろしいのでしょうか。
佐々江政府参考人 WTO交渉自身につきましては、先生御承知のように非常に多岐にわたった交渉でございまして、対外的な交渉をするに際しましては、外務省は政府全体を代表する、あるいは調整する立場にございますけれども、それぞれの所管の省庁と一体となって交渉に当たっているということでございます。
 例えば、農業であれば農水省と一体となって行っておりますし、産業の所管物資については、それぞれの所管官庁と協力しながら交渉しているということでございます。
鮫島委員 そうすると、横一列というふうに考えてよろしいのですか、あるいは、WTO交渉の中で外務省はコンダクターのような役割でしょうか、他省庁と外務省の関係は。
佐々江政府参考人 そうあるべきでありますし、そうなるように今努力しているということでございます。
鮫島委員 そうなるようによく力をつけていただきたいと思います。
 なぜ私はこのことにこだわるかというと、今、WTO交渉、特に農業分野においては非常に厳しい提言がなされて、日本の農業が存続し得るかどうかぐらいの大変厳しい条件が今農業輸出国サイドから特に強く出されているわけです。
 従来の日本の主張、農業は天候に左右されて工業とは違う、そうするとアメリカは何と言うかというと、我が国の農業も天候に左右されております、そう言うし、日本は経営面積が狭くてとてもアメリカとは太刀打ちできないと言うと、アメリカは何と言うかというと、アメリカの百分の一しか農地面積のない国がアメリカ以上の農家がいるわけだから、経営面積が狭いのは当たり前でしょうと。
 それから、三番目によく言われる話として、そんなに肉を買え買えと言うならば、もうちょっと買ってもいいけれども、そうすると、今、年間千三百万トン買っているアメリカからのえさは買わなくなりますよというふうに日本が言うと、アメリカは何と言うかというと、構いません、もっと肉を買ってください、中国が無尽蔵にこれからえさを必要としますから、我がアメリカとしては構いませんと言って、なかなか普通の、従来の交渉をしていても一歩も前進しないというのが現状なんです。
 そういう意味では、今、EUの態度は特にそうですが、そういう関税のバナナのたたき売り的な数字の上げ下げではなくて、文化的な背景をしょった形での今のこの食品の安全性とか、あるいは、食習慣の違いとか文化の違いとかいうことをむしろ前面に立てながら交渉するというふうにシフトしてきているというふうに私は感じているものですから、このことが大変大事だというように先日来指摘しているわけです。
 今、アメリカやEUが現に行っている我が国に対する査察行為はWTOとの整合的なものであるという見解が外務省からも述べられましたが、では、厚生労働省は、今、日本の食材の六割が海外から入ってきているわけですが、日本と同レベルの衛生水準を維持しているかどうかということに関して、厚生労働省は今日現実にどういうチェックをかけているのでしょうか。
遠藤政府参考人 我が国の輸入食品に関する衛生規制につきましては、食品の輸入時に、国内品と同一の基準に基づき、残留農薬、食品添加物、病原微生物、残留動物用医薬品等の検査を検疫所において実施をしているところでございます。
 特に食肉及びその加工品につきましては、これらに加えまして、食品衛生法第五条第二項に基づきまして、我が国と同等以上の基準に基づき衛生的に処理された旨の輸出国政府機関が発行した衛生証明書の添付を義務づけており、我が国への輸出の開始時に、当該国の衛生規制の同等性について確認された場合のみ輸入を認めているところでございます。
 また、特定の国の食品につきまして違反が繰り返し認められる場合には、昨年夏に議員立法により創設されました、いわゆる包括的輸入禁止規定に基づく輸入禁止措置を発動することも視野に入れまして、現地調査、二国間協議を行いまして、我が国が求める一定の衛生水準を満たすものであることの証明を求めている事例、例えば中国産の冷凍ホウレンソウというふうなものもございます。
鮫島委員 全くわかりにくいのだけれども、では、厚生労働省は、その食品衛生のレベルが国内と同じかどうかということを確認するために、これまで海外査察を行ったことがありますか。
遠藤政府参考人 これまでも、必要に応じまして現地調査、二国間協議を行ってきているところでございまして、例えば中国産冷凍ホウレンソウ問題に関しましては、昨年六月に担当官を現地の加工工場及び農場に派遣をいたしまして現地の状況の確認を行い、その後八月にも加工工場、検査施設を調査し、本年二月には、中国側が新たに講じた対策の実効性を確認するために、担当官により農場、加工工場、検査施設の現地調査を行っております。
 その他、イランにおけるピスタチオナッツのカビ毒対策の状況を確認するため、昨年九月に農場や検査施設の視察、タイにおける野菜の残留農薬対策の確認のため、本年三月に農場や検査施設の調査などを行ってまいりました。
鮫島委員 先ほど、アメリカは我が国の食肉処理場について定期的に査察を行っているという答弁がありましたが、日本が定期的に査察を行っている国というのはありますか。
遠藤政府参考人 これまで定期的に行っているところはございません。問題の生じた都度行っているというふうな状況でございます。
鮫島委員 その査察の視点ですが、今度のこの食品安全基本法の中にもうたわれているように、一連の食品供給のプロセス、食品供給行程という言い方をしていますが、これは、フロム・ファーム・ツー・テーブル、農場から食卓までという概念がこの安全基本法の中ではっきりと強くうたわれた用語だと思いますが、今まで厚生労働省が行ってきた査察というのは、少なくともこの視野の範囲、フロム・ファーム・ツー・テーブルということで行ってきたのかどうか、それとも、もう少し川下の部分といいますか、フロム・ゲート・ツー・テーブルというか、玄関から食卓ぐらい、どの程度の範囲の視野で査察を行っていたのでしょうか。
〇遠藤政府参考人 おっしゃいますように、過去の食品衛生に対する考え方というのが、でき上がりました食品における安全性というふうな考え方で、テーブルの方から考えてきたというふうな経緯がございます。
 そういった中で、平成七年にHACCP制度を導入をしたわけでございますけれども、そこで生産行程の管理というふうな形の概念が食品衛生法の方にも取り入れられてきたという経緯がございまして、そういった考え方が、今後、行程の方からきちんと管理をしていかなければいけないというふうな方に移りつつあると認識をしております。
鮫島委員 農林水産省にお伺いしますけれども、食品産業分野における衛生管理の高度化を図っていく、食品産業を支援するために衛生管理の高度化を図っていくという方針をお持ちだと思いますが、これは、具体的にどのような支援策で食品衛生管理の高度化を図っていくというふうにお考えでしょうか。
西藤政府参考人 食品の製造過程の管理の高度化を図るという観点で、私ども、平成十年にHACCP手法支援法という形であれしておりますけれども、業態ごとにそれぞれ品質管理の高度化を図るための基準を設定していただきまして、その基準に合致する施設整備をする場合の金融、税制上の支援措置を講じてきているところでございます。期限がこの六月に終了するものですから、今国会にその延長法案を提出させていただいている状況でございますが、現在まで十八業種に高度化基準が設定されている状況にございます。
鮫島委員 今農水省の御発言にありましたように、十八業種で高度化基準が設定されて、このレベルに到達する分野もだんだんふえていく、そういうふうに日本の衛生管理のレベルも徐々に、特に食品安全基本法の成立をきっかけとして今後上がっていくと思いますが、厚生労働省は、日本の衛生管理の水準がこれまで以上に上がっていけば、それに合わせて海外の衛生管理の水準も評価していくということでよろしいんでしょうか。
遠藤政府参考人 食品衛生法の運用につきましては、基本的に内外無差別の視点で行っているところでございまして、将来的に、我が国の食品業界において、より高度な衛生管理技術が普及をし、それに相応した衛生規制を国内で導入するというふうなことを検討する際には、同様に輸入相手国に対する衛生規制についても検討することになろうと考えております。
鮫島委員 谷垣大臣にお伺いしますが、我が国の食材の四割は国産品、六割が海外から入ってきていますので、ほとんどの日本人の体の元素は六割が海外から入ってきている。谷垣大臣のお体も六割は海外産ということだと思いますが、そういう現実から見れば、第四条の、食品供給行程の各段階における安全性を確保するために適正な措置をとらなければいけないという、この食品安全基本法の理念を示す一番大事な条文の中に、やはり国外にも目配りするという概念を何らかの形で入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 今鮫島委員おっしゃいましたように、四条で決めております食品供給行程の各段階で適切な措置をとらなければいけないというのは、この法案の基本的な理念を形づくっているものでありまして、今おっしゃったように、六割海外から入ってくるわけですが、外国で生産されて我が国に輸入される食品にも当然この規定は適用されるものだというふうに私は考えております。
 もちろん、そのときに日本の行政権がどう及ぶかという、今もいろいろ御議論がありましたけれども、その問題はございますが、国外で生産されたものも日本に輸入されて食品として供される限り、この規定はかぶってこなければならない。したがって、今委員がおっしゃった海外における供給行程というのも当然この法案の視野に入っているものと思いまして、この法案と今委員がおっしゃったことは矛盾するものではないと思っております。
鮫島委員 確かに、条文の中にそういう視野も入れるべきだと書き込んだところで、なかなか具体的には、いろいろな海外との関係では、文化の違いもあり、イスラムの国々に豚肉を輸入しないのはけしからぬと文句を言ってみても意味がないし、イギリス人に鯨の肉を食えと言ってみてもしようがないというようなことがありますから、実際に適切な措置をとるということは、非常に柔軟に考えなければいけないのではないかと思います。
 それにしても、我が国に食材を供給している世界のあらゆる地域で、フロム・ファーム・ツー・テーブルという観点からいうと、どんな農業が行われ、どんな集荷、出荷が行われ、どんな条件で輸送され、あるいは加工され、我が国のテーブルまで乗ってきているのかということは、一定の目配りが必要なんじゃないかと思いますが、そういう海外の食品供給行程のリスクマネジメントの評価をどの役所がやるのか。
 常識的に考えれば、農場から食卓までですから、農林水産省と厚生労働省が連携しながら海外の食品供給行程のリスクマネジメントの評価というものも行うのではないか、常識的にはそう思いますが、大体そんなことでよろしいんでしょうか。
谷垣国務大臣 先ほど申し上げましたように、四条の精神というのは当然国外のものまで及ぶんですが、現実に我が国の行政権ということを考えますと、一般的には水際というようなことにまず第一次的にはなるわけで、そのときは食品として入ってくることが多いとなりますと、これはまず食品衛生法を管轄している厚生労働省だということになるんだろうと思います、リスク管理機関は。
 しかし、輸入業者による自主検査とかあるいは輸入時における水際での検査や検疫のみによっては十分な安全性の確保ができない、こういう場合には、相手国と協議を行って、その合意を得て、生産、製造段階を含めて必要な措置をとるということはあり得るんだろうと思います。
 その場合も、いろいろな場合があり得ると思いますが、食品の安全性に対する危害要因、その場合何が考えられているかということによっても違ってくるんだろうと思うんです。その場合は、その国内でのリスク管理を行っている省庁が相手国と協議を行って、その合意を得て、必要な措置をとっていくということが一般だろうと思います。
 おおむね、鮫島委員がおっしゃいましたように、農水省と厚労省の協力ということだろうと思いますが、分けて考えてみますと、今のようなことかなと思っております。
鮫島委員 ありがとうございました。参考人の協力よろしきを得て、やや時間を余して終わることにいたします。
 どうもありがとうございました。
佐々木委員長 以上で鮫島宗明君の質疑は終了いたしました。
 次に、横路孝弘君。
横路委員 この法律は、今までの食品安全に関する法律の体系、つまり、事業者を規制することによって消費者はその反面利益を得るんだという、消費者は守られるんだという体系だったと思うんですね。特に、食品衛生法は、目的とするところが公衆衛生の向上及び増進、飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止ということで、そこには消費者、国民の健康を守るとか、食品の安全を確保するとかいうことは目的にもならず、また消費者という言葉も全然ない法律で、国民からはその改正というのがもう長い間求められてきたわけであります。その状況から見ると、この基本法というのはやはり大きく変わったということが言えるんだろうと思うんです。
 しかし、期待していた国民から見ますと、この議会の中での同僚議員の多くの議論にありましたように、また参考人の意見にもありましたように、消費者の権利という権利性がどうも明らかになっていないという意見が大方だっただろうと思うんです。大分議論が詰められた点もありますが、私もひとつその点から議論に入りたいと思います。
 結局、食というのは、毎日我々食べるわけでして、生きていくために不可欠なものでありますから、何よりやはり安全でなければいけないわけですね。消費者に対して安全な食を提供していく、あるいは消費者へのそういう責任ということでいいますと、有名なのが、一九六二年のケネディ大統領のいわゆる消費者保護に関する大統領教書の中で、四つの消費者の権利ということが言われています。
 一つは安全を求める権利、一つは知らされる権利、一つは選択する権利、一つは意見が聞き届けられる権利という四つの権利というのを消費者は持っているんだ、それに対応する政策を展開していかなければいけないということが言われたのが四十年も昔であります。大臣、これは有名なことでございますので、この委員会の中でも議論されてきたわけですが、この四つの権利についてどのように受けとめられるか、まず御意見をお伺いしたいと思います。
谷垣国務大臣 幾つになりましても、先輩から質問を受けるというのは緊張するものでございまして、きょうは大先輩の横路委員にお答えをするというので、大変緊張してここへ立たせていただいているわけでございますが、今ケネディ大統領の四つの消費者の権利ということを引かれました。これを実定法にどう落としていくかということは、まだいろいろな御議論があると思いますが、基本的な物事への対処の仕方としては、私は非常に現在でも、四十年たった今でも、ますます意味を帯びている考え方ではないかなと思います。
横路委員 私も大分答弁で苦労してまいりました。それはさておき、国とか地方公共団体やあるいは事業者というものは、この四つの権利に対応する形でやはりこたえていかなければいけない、対応していかなければいけないということがあると思うんですね。この法律は、初めて消費者という言葉が出てきたということを先ほども申し上げましたが、法体系の中では、そういう意味では当事者になっているわけですね。国、地方公共団体、それから事業者というのは、先ほどの消費者の四つの権利に対応した形で責務を果たしていかなければいけない。一つのそういう枠組み、法体系の中では、消費者も当事者になったということは言えるんだろうと思うのですけれども。
谷垣国務大臣 この法案、今委員がおっしゃったとおりでございまして、食品の安全性というのは国や事業者、あるいは行政や事業者だけで成り立つものではない。国や事業者、消費者それから地方公共団体、こういった関係者がやはりそれぞれの責務、役割、これを的確に果たしていって、リスクコミュニケーションという思想も、相互の意見交換と申しますか、認識のそれは違う部分もありましょうけれども、認識を共有していくことによって安全というものに近づいていく、こういう思想でできていると思います。したがいまして、消費者というものは、この基本法の中でも欠くべからざるプレーヤーなんだろうというふうに思います。
横路委員 もちろん、消費者も、自分の食品を適切に貯蔵するとか調理するとかいうようなことというのは、そういう意味での責任は持っていると思います。しかし、あくまでも食品ということからいうと、消費する側なんですね、供給する側ではないわけです。ですから、供給する側と受け手の方の消費者を一緒に議論するというのは、ちょっといかがかと思います。そうではないと思うのですね。
 先ほどケネディ大統領の教書の中でありました四つの権利というのを、消費者は持っているわけです。安全な食品を求めたい、何が安全な食品かということをちゃんと知りたい、そして自分が選択できるようにしてほしい、それからまた、それについて行政の方に自分たちの願いが届けられるようにという行政への参加というような権利をやはり持っていて、それは要求、要望でもいいわけですけれども、それに対してこたえる側と求める側というのはあるわけでして、今言いましたようにそれは適切に貯蔵しなければいけないというような意味での責任はあるにしても、全体的に安全な食を供給するという構造からいえば、そこを一緒にするのはおかしいと思います。
 やはり供給する側とそれを受ける側というのは明らかに違うわけでして、受け手の側の消費者と供給される安全な食べ物というものをどうするかというところがベースでなければいけないわけです。この法律もいろいろなことを書いてありますけれども、どうもそこのところがあいまいなので、そこははっきりと、食品を送る側と受ける側という構図、構造というのがやはりベースになっているんだと思いますけれども、違いますか。
谷垣国務大臣 委員のおっしゃるように、違いを強調すればそうだろうと思います。しかし、この法律の構造は、もちろんそういう違いも意識しているわけでありますけれども、同時にそれぞれのプレーヤーがそれぞれの役割を果たさなければ食の安全を確保できない、そういう視点もあわせ持っているのではないかというふうに私は思います。
横路委員 石毛委員との議論の中で、消費者というのは権利と言ってもいいのかもしれない、消費者のいろいろな申し出に対して行政は当然誠実にこたえていかなければいけないということはこの法律の中にきちっと組み込まれていると思いますという答弁をされています。個々の具体的な権利は、さらにこれを具体化していく法律の中に定められるべきものではないかというお答えがあるんですが、これはどういうことを想定しているんでしょうか。
 今、国民生活審議会で、消費者の権利ということで、安全の権利とか選択する権利とか参加する権利といった、今言った四つの権利に対応するような形で、それを明確化する方向で議論されているということが言われているわけでございますが、それを想定してお答えになったのか。消費者の権利について、さらに具体化を法律の中で定めていくべきだというのはどういうことでしょうか。
谷垣国務大臣 消費者の権利一般につきましては、今横路委員がおっしゃいましたように、内閣府の国民生活審議会で、見直しの方向性が示されて議論していただいているところで、これは根本副大臣が食品安全委員会の担当というのとは別に担当しておられるわけでありますけれども、その議論とは別に、私が申し上げましたのは、この法案は基本法でございますので、具体的な法律的な効果、そういうものを伴う規定は必ずしも多くないのがこの基本法であるゆえに、そういう性格を持っていると思います。
 したがいまして、規定の仕方も権限と責務ということで、ぎりぎり詰めれば訓示規定のような規定が多い法体系になっているのも事実でございます。したがって、それらをもう少し具体的な、法的な効果の及ぶ権利義務に落としていくのは、個別法にまつところがあるのではないかということを申し上げたわけであります。
横路委員 この基本法は訓示規定ですか、この中身は。訓示規定なんですか、これは。これはちょっと問題だと思います。
谷垣国務大臣 訓示規定と見られるような規定も多いということを申し上げている、全部訓示規定というわけではありません。ただ、基本法という場合、多くは、それから具体的な権利義務が、直ちに法的な効果が発生するというような規定は、必ずしも多くはないかもしれぬということを申し上げたわけであります。
横路委員 それは必ずしも多くはないかもしれませんが、しかし、ないわけではありませんから。
 ちょっと視点を変えまして、質問させていただきたいと思います。
 やはり、この中での議論では、消費者の権利ということで幾つかの点が議論になりましたが、例えば中国の冷凍ホウレンソウのクロルピリホスが残留したというあの事件ですが、あれは最初に問題提起したのは民間の団体なんですね。民間の団体が提起して調べて、政府もそれを確認したということです。
 さらに、トウモロコシのスターリンクですが、これは二〇〇〇年四月に飼料への混入を市民団体がまず最初に指摘しているんですね。それを受けて、日米協議に半年もかかったわけですけれども、その間農林水産省からはこの団体に対して細々と検査のやり方を尋ねたり、あるいはサンプル提供の申し出も断るなどして、結局半年かかってしまったわけです。二〇〇〇年十月に、食品からもスターリンク、これは認可されていない遺伝子組み換えトウモロコシでございますが、これを検出したということを発表した。実は、九月の半ばぐらいにアメリカの消費者団体が発表しているわけですけれども。
 つまり、この二つの事例だけをとってみても、ほかにもたくさんあるわけでございますけれども、いわゆるこういう消費者ないしは消費者グループの活動というのは、国民の健康と食の安全を守るという観点で大変大きな役割を果たしているわけです。この役割、活動というのは評価すべきだと思いますし、こういう活動をこれからも大いに期待していかなければいけないと私は思いますけれども、どのようにお考えですか。
谷垣国務大臣 今、食品は、ボーダーレスで、世界じゅうあらゆるところから来ますし、大量消費、大量生産というようなことになっておりますので、アンテナは広く張らないとこれはきちっとした仕事がなかなかできにくい。こういう観点からも、今委員がおっしゃったように、いろいろな分野でいろいろ情報を持っておられる消費者が、その情報をつかんでいただいて問題提起をしていただくということは、私は高く評価すべきことだろうと思います。
 食品安全委員会は、当然、そういうものを十分にそしゃくさせていただいて、情報も交流させながら仕事をしていく必要があるというふうに考えます。
横路委員 これからどんな分野でも、公的なセクターと民間セクター、特に市民セクター、この三つのセクターがどういう役割を分担していくのかということは、大変大事なことだというように思います。
 さて、どういう食品が危険があるのか、それを、食品安全委員会に評価を付託する、そのリクエストをする権限はどこにあるのかといいますと、この法律案でいきますと、二十三条、二十四条ですか、関係大臣の諮問に応じて、あるいはまたみずからということになっているわけですが、外国のケースを見ますと、アメリカFDAの食品リコール制でありますとか、フランスなどでもそういうリクエストを認めているわけです。
 今大臣がお答えになったように、市民からのいろいろな情報の提供というのはやはりどんどんしていただきたいという話がありました。今までの、消費団体、消費者あるいは消費者グループの提起というのは、大体、みずからがやはり検査を行って、データを持って提起しているというケースが多いわけです。あるいは、外国の事例を役所よりも先にその情報をキャッチして、それに基づいて調べて、そして確認をして発表し、行政側に問題を提起しているというケースが多いわけでして、やはり消費者にもそういう意味での申し出を認めるべきじゃないか、しっかりと位置づけて認めるべきではないかというように思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
谷垣国務大臣 これは、委員のおっしゃっていることは非常に大事なことでございまして、この法案ではそれを権利というような形では規定しておりませんけれども、施策について意見を表明するように努めることを消費者の役割として規定しているというようなことは、当然今委員のおっしゃったことが含まれておりますし、また、いわゆるリスクコミュニケーションというようなものを強調しているのも、当然今おっしゃったお考えと平仄が合ったものではないかというふうに思います。
横路委員 特に消費者活動をしている人が心配している点は、これはどうも従来の役所、例えば農林水産省とか厚生労働省とか、申し出があったときにだけやるということに限定されてしまうんじゃないかという心配をされておる方が大変多いわけであります。
 それで、消費者の役割とかあるいは十三条の規定など、今まで議論されてきたわけですが、例えば十三条の規定というのは、国が施策の策定に際して意見を述べる機会の付与ということで、やや受け身なんだろうと思うんですね。私は、消費者の申し出権というのは、役所のサイドからいえば、情報を得るということだと思うんですね、情報を手にするという、大変大事な手段の一つだと思うんですね。
 そうしますと、例えば、十七条の情報収集の規定がありますね。食品の安全性の確保に関する内外の情報の収集、整理及び活用その他必要な措置が講じられなければいけないという規定がございます。この法律全体を通じて一番大事なのは情報の収集でして、どこからどういう情報を収集するのかということが大変大事な要素だというように思います。
 私は、この十七条の必要な措置の中に、重要な情報について、消費者も申し出をすることができて、それにこたえるということを、これからとる措置の中ででも結構ですから明記すべきではないかというように思いますけれども、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 情報をとるということがやはり一番大事というか、我々の、行政機関の側からすれば、やはり幅広くアンテナを張らなきゃならないし、消費者の側にも積極的にそういう知見を言ってきていただきたい。それから、それも、単に言ってきていただくというだけではなしに、リスクコミュニケーションということを強調しておりますのは、お互いに情報を共有し、そして議論をすることによって、さらに知見を深めていこうということでございますので、今委員がおっしゃった考え方は、この法案の中に私は十分書き込まれているのではないかなというふうに思います。
横路委員 この十七条は、具体的には、どういうことをこれから規定してやっていこうとされているんですか。
谷垣国務大臣 十七条の規定は、どういうふうに情報を集めて、そのほか必要な措置をとっていくかということですけれども、食品安全委員会では、食品健康影響評価などの事務にかかわる関係者相互間のいわゆるリスクコミュニケーションを企画し、実施する、そういう専門調査会を置きますが、こういう事務を処理するために、リスクコミュニケーション担当官あるいは勧告・モニタリング事務担当課、こういったものを置くことにしております。
 それから、具体的な、今おっしゃったような意見を把握するための仕組みとしては、ホームページなどを活用して幅広く意見を求める、あるいはリスク管理機関とも共同して、総合的なリスクコミュニケーションとして、消費者や生産者といった幅広い関係者に集まっていただいて、いろいろ意見交換などを行う。それから、既存のいろいろなネットワークを活用しまして、消費者から提供された情報を集めるというだけじゃなしに、この委員会で独自に食品安全モニター、これは仮称でございますが、そういうものを設置して、独自に情報を集めるということも考えております。
 こういう消費者からの情報については、例えば先ほど申しました企画専門調査会というようなものの中で、食品健康影響評価の年間計画というものを検討したり、それからリスク管理機関が行っている措置のモニタリングなどにこういうものを活用していくということを考えております。
横路委員 例えば、ある消費者グループが、例えば中国の冷凍野菜のような問題、あれは公表してやったわけですけれども、何か問題があるということで、これを実際はどこに持っていくと受けてくれるんですか、そういう話は。安全委員会の中には、それをちゃんと受けるセクションというのはつくっていただけるんですか。
小川政府参考人 先ほど大臣から御答弁いたしましたように、リスクコミュニケーションを担当するセクションといたしまして、勧告・モニタリング事務担当課、これは仮称でございますが、そういう課をつくろうと思ってございます。それから、リスクコミュニケーションの企画立案、あるいは自分が出ていってそれに参画したりする、そういうリスクコミュニケーションを専門にやる担当官、こういったスタッフを備えたいというふうに考えてございます。
横路委員 もちろんリスクコミュニケーションも非常に重要なわけですが、リスク評価するに当たって、この法律からいいますと、各担当大臣からの申し出、あと安全委員会の判断になっているわけですね。それに対して、その点について消費者の方から何か申し出をする。いろいろな情報があるでしょうけれども、やはり今までの、あの遺伝子組み換えのスターリンクだとか、あるいは中国の冷凍野菜の残留農薬の問題とか、重要な問題についてちゃんと受けとめてくれることがなければ、リスクコミュニケーションの問題でもありますが、しかしもっと、リスク評価をするに当たっての大事な情報を消費者が提起をするという場合に、それをちゃんと受けとめてくれるんですか、どこで受けとめてくれるんですか、こういうことです。
谷垣国務大臣 まだこの委員会はできておりませんけれども、現在でも、消費者団体等から、こういうものはきちっとリスクの評価をするべきではないかというようなお申し出を、今現在はリスク管理機関が受けておられるわけですね。それはもう、私もちょっと聞きますと、山ほどと言ってはいけませんけれども、物すごくあるようでございます。
 そうすると、現実の食品安全委員会ができましたときの対応としては、どういうふうにそれを調査し、評価を施していくかという計画をやはりきちっと立てていくということがなければ、たくさんお申し出いただいたものを十分さばけないということが現実にあろうかと思います。
 そこで、先ほど申しました企画専門調査会という、委員会のもとに専門調査会を持ちまして、そこで年間計画を定めながら、どういうふうにリスク評価を行っていくかということを立案して進めていくということになると思います。
横路委員 やはり、たくさんいろいろと、消費者の方から、これは問題じゃないかというような話が波のように押し寄せてくることを心配されているという御発言だったかというように思うんですが、もちろん、いろいろな話が来ると思いますよ。その中でも、先ほど申し上げたように、やはり重要な情報についてちゃんと受けとめていくということと、何かどこかの食品が腐敗していたというような消費者のいろいろな話がありますでしょう、そういうのもクレームが来ると思うんです。
 そういう話と一緒にできる話じゃありませんから、ですから、リスクコミュニケーションで対応できるところと、それはいろいろな、電話ですか、一一〇番みたいなもので受けてもいいんでしょうし、そういうものと、重要な問題について、しっかりとやはり検査してデータをもって提起するようなケースについてはちゃんと受けとめてもらわないと、みんな一緒にして――多分これができますと、今大臣おっしゃったように、たくさんいろいろな申し出が出てくると思いますよ。ただ、それを全部こうやって、全部切ってしまうとやはりいけないわけで、重要な申し出はしっかり受けとめるという仕組みを、リスク評価のいわばきっかけに受けとめるというものとして受けとめてほしいんです。
 この法律の中では、あくまでもそれぞれの各省庁からの申し出に基づいてというのがベースになっていますよね、それから、もちろん安全委員会の判断でもできるわけですけれどもね。そうすると、このままですと、どうも今までとそんなに変わりがないシステムになってしまうんじゃないかということになって、したがって、今までこの問題を一生懸命やってきた人の中からは期待外れという声が非常に強くなっているわけで、対抗して別のものをつくってやらなきゃいけないとかいうような動きになっているわけです。
 ですから、むしろやはりいろいろな情報というものは出してもらった方がいいわけですから、それを受けとめるということ、そういう情報の中の重要な情報については、例えばしっかりデータをそろえて、こういう結果が出ていますよというようなものについて、これからも表示の問題について関連しても出てくるでしょうし、それはちゃんとやはり受けとめるということをしっかりひとつ御答弁いただきたいと思います。
    〔委員長退席、中沢委員長代理着席〕
谷垣国務大臣 今委員が強調されましたように、いろいろな情報、たくさんある情報をどうきちっと整理して動かしていくかということが私は基本的に大事なんだろうと思います。
 そこで、これはこの委員会ができまして、七人の委員に入っていただきまして、そのもとで具体的な動きをするわけですけれども、その意味で、先ほど申しましたこの企画専門調査会がどういう計画を立ててどういう取捨選択のよろしきを得て進めていくかということが、私はこの委員会の評価を左右する面があるんだろうと思います。その際に、委員がおっしゃいましたように、消費者がきちっと検討されましたその提言、データというものはやはり正面から受けとめていくということでなければならないと思います。
横路委員 ぜひそういう体制をしっかりつくっていただきたいというように思います。
 それから、一つ、九条と十三条ですが、「意見を表明するように努める」、あるいはその「意見を述べる機会の付与」ということが書かれているわけですが、これは具体的に、例えば公聴会をするとか、あるいは食品安全のホットラインだとか、いろいろな意見が参考人の皆さんの中からも出ていましたし、ここでも議論されていますが、どうもどういう機会をつくるのかというのは余りはっきりした御答弁がないようなので、消費者に対してどういう機会をどういう場面でつくるというようにお考えになっておられるのか。
小川政府参考人 委員会が発足しまして、具体的な手法についてはその段階で固まっていくわけでございますが、今私ども考えておりますのは、消費者から提供される情報というのはいろいろな形があろうかと思います。先生の御指摘のとおりでございます。
 私どもとしましては今考えておりますのは、まず、ホームページというのを委員会が持ちまして、そこを通じて双方向で意見交換ができるようにしていきたいというふうに思います。それから、リスク管理機関、関係省庁ございますけれども、そこと一緒になりまして総合的なリスクコミュニケーションを実施するということで、消費者それから生産者、幅広い関係者の方々に集まっていただきまして意見交換を、これは中央とか地方、いろいろな形があろうかと思いますが、それもやりたいというふうに思ってございます。それから、消費者相談等既存のネットワークに上がってくる消費者の情報、意見といったものもございますので、そういった既存のネットワークの活用も関係機関とお図りしてやらせていただきたいというように考えております。
 そういう形で消費者から提供されました情報を集めるということと、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、仮称ではございますが、食品安全モニターというのを委員会独自のものとして、アンテナの機能を果たしていただくために設置することを考えてございます。
 こういったものを通じまして、先ほど評価の前段階といいますか評価の年次計画を検討していきます企画専門調査会、そういった専門調査会、これは専門家が入るわけです、それから関係者も入っていただきますが、そこでまたいろいろな情報を吸収した上で御議論いただいて、きちっとした計画の原案をつくっていただく。最終的には委員会で決めることになりますが、そういうことでやらせてもらいたいと思います。
横路委員 しっかりした体制をつくっていただきたいと思います。
 次に、食品安全委員会の委員の話なんですが、これもいろいろと議論されてきました。大臣は、これは山内議員の質問に答えて、この安全委員会の所掌事務というのは、主として食品の人の健康へ及ぼす悪い影響、リスク、これを科学的、客観的に評価するということでありますので、つまり、純粋に科学的、専門的な知見に基づいて、いわば客観的、中立公正にやっていただく必要がある、したがって、何か消費者は、生産者との対立した利害調整というようなことではない、そういう場ではないので、消費者の代表とか生産者の代表とかという人は入れないんだというお答えがございました。
 これは、実は基本的な認識にかかわる問題でございますので、冒頭もちょっと申し上げました。やはり食品に関する事業者、食品を供給する側と食品を受ける方と、あくまでもこの法律はやはり食品の安全と食品を受けている消費者、国民ですけれども、その健康を守るという観点に立った法体系でございますよね。ですから、その観点に立った人間がこの中に入るというのは当然だろうというように思うんですね。ひとつ、科学的な知見だけをする、つまりリスク評価が中心で、それは中心はリスク評価だと思いますが、それだけでは必ずしもないわけなんです。ですから、やはり総合的に判断できる人間というのが必要だと思います。
 例えば二十一条では、総理大臣は、食品安全委員会の意見を聞いて基本的事項の案を作成する、その基本的な事項は何かというと、十一条から二十条までに書かれていることですよと。十一条から二十条までに書かれていることは、リスク評価ということだけじゃなくて、もっとやはり総合的な食品の安全政策についてここには含まれているわけですよ。ですから、単なる科学的な知見を持っているという人だけじゃなくて、もっとやはり総合的に話のできる、これはこの委員会でも大畠議員が一生懸命そこの議論をされておられるわけですが、私は大畠さんの言うとおりだというように思うんですね。大臣も、趣旨は何か賛成されるようなお答えですが、結論はどうも賛成するわけにいかないという話でした。
 ですから、これは、どうもちょっと、大臣の答弁というかお考えになっていることと実際の法体系というのは違うわけなんで、何もリスク評価だけじゃない、もっと総合的な食品安全全体を、ここは、総理大臣は安全委員会の意見を聞いて決めるわけですから、安全委員会はやはりそういう人も入っていないといけないということになると思うんですね。
 ですから、どうも、消費者の利害代表といいますか、そういうことについて非常に消極的なことがよくわからないんですね。どうして何か科学者、専門家に限定しようとなさっているのか。もっと食品の安全全体について判断できる人がやはり入ることが必要じゃないかというように思うんですけれども、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 この法案をつくりましたときに、BSE以来のいろいろな議論があるわけでございますけれども、今までの行政の反省点というのは幾つかあったわけでございます。
 こういう制度を立てましたのは、やはり専門家の意見を行政が反映できていないということ、それから、リスクを評価する機関とリスクを管理する機関が、しかもそのリスクを管理する機関がその産業を振興する役割も同時に担っていて、混然一体と行われている、こういうような批判を受けたときにどうするかということで、専門家から成る委員会に独立してリスク評価をやってもらうということを中心にこの委員会を考えたわけでございます。
 もちろん、今委員がおっしゃいますように、多面的な基本的事項を含んでいるということも事実でございますから、科学者の観点からも幅広い識見を持った方に入っていただかなきゃならぬ側面があることはおっしゃるとおりでございますけれども、私どもは、まず専門家の意見によって全体をコントロールしていくということを中心に考えました。
 もちろん、先ほどからるる申し上げておりますように、リスクコミュニケーションということを言っておりますのは、そういう専門家の知見も、実際の消費者との対話や意見の共有や反論というようなものがなければうまくいかない、こういうことがございますので、ここがあるいは一番大事なところかもしれませんが、そういう意味で、リスクコミュニケーションというものを積極的に行うことによって今委員がおっしゃったような側面は入れていこう、こういう考えに立っているわけでございます。
横路委員 私も、そのリスク評価とリスク管理とを分けたというのは、従来から見ると、チェック機能が、いろいろな政治的事情によって問題が対応されるということよりは、ちゃんと科学的に対応するということでは、システムとしてはこれでいいと思うんですよ。
 ただ、問題は、消費者というのが、何となく消費者とか消費者団体というのは非常に役所の方で嫌われておられて、警戒心が非常に強いわけなんですけれども、私はそうじゃないと思うんですね。何せ、やはり食というのは毎日食べている問題ですから、食べている側の意見というのを総合的に政策の中に取り入れていくということは大変大事なわけでして、何か非常にそこにこだわっておられて、非常に残念に思います。
 委員の任命は両議院の同意ということになっているんですが、これは、前から我が党は、こういう同意案件については、本人を委員会に呼んできて、そしていわば予備的な審査といいますか、それを行うべきだという主張をしています。これは、委員長に、そういう場合においてぜひ予備的審査をやられるように、理事会で御相談をいただきたいというように思いますけれども。
中沢委員長代理 理事会で検討します。
横路委員 それでは次に、ちょっと具体的な問題に入っていきたいというように思います。
 一つは、先ほども議論されておりましたけれども、この法律案の中で、第五条ですか、「国民の健康への悪影響の未然防止」ということの中で、「食品の安全性の確保に関する国際的動向及び国民の意見」という、この「国際的動向」というところでございますが、これは、大臣のお答えによりますと、国際的な貿易ルールなどとの整合性というお答えがございました。これまでも、ややもすると、科学的見地というよりも、貿易摩擦を解消するというような観点が優先されてきた嫌いがあるんじゃないだろうかというように思います。そこのところは、これから対応していく上で大変大事な点でございますので、ちょっと具体的にお尋ねをしたいというように思います。
 残留農薬の問題についてですが、例えばこの残留農薬のいろいろな指定を見ていますと、一九九二、三年ぐらいからわっとふえていっているんですね、九四、五年ぐらいから。それまではほとんど、そう大した数はなかった。
 このきっかけになったのは、前のブッシュ大統領が日本に来られたときに、アメリカ側から日本に貿易問題についての苦情の申し立てというのがあって、ポストハーベスト農薬に関する国際基準を受け入れてほしいという要望があって、それがきっかけで農薬の残留基準というのは一気に拡大をしていったんですね。品目も拡大されました。基準値もポストハーベスト農薬を容認する基準になっていまして、これは、裁判があったのは厚生省の方御存じのとおりだと思います。例えばジャガイモの除草剤の残留農薬クロルプロファム、五〇ppmなんですが、日本の国内で使用する場合には〇・〇五ppmということで、これは一千倍の基準差があるわけですね。
 これは厚生労働省の方にお尋ねしたいと思いますが、やはりこういう国際的な、ある種の貿易摩擦解消ということで国内政策が決定されてきたということは事実だと思うんです。この基準値、これは裁判にもなった問題でございますが、かなり緩い基準値になっているというように思いますが、この間の状況について、ちょっとお答えをいただきたい。
遠藤政府参考人 国際的な基準と我が国の食品衛生規制との関係というふうなことになろうかと思いますけれども、残留農薬を含みます食品衛生規制に関する国際基準につきましては、我が国も積極的に参加をし、我が国の食品摂取の実態等を反映させるように努めているところでございます。
 平成七年に発効いたしました衛生植物検疫措置の適用に関する協定、いわゆるSPS協定によりまして、国際基準等がある場合には当該基準を基本とし、科学的に正当な理由がある場合等に限って自国の衛生上必要な基準を設定するというふうなことが認められているところでございます。
 自国の衛生上必要な基準ということで設定している例といたしましては、我が国の場合、米の摂取量が多いというふうな食品摂取の実態や、ハウス栽培が多いなどの農業の実態などを踏まえて、農薬の摂取量が、許容一日摂取量、ADIを超えることがないように基準を設定してきているところでございます。
 今後とも、我が国の食品摂取の実態を踏まえて基準の設定を行うこととしており、国民の健康の確保に支障があるような形は阻止したいというふうに思っております。
横路委員 そのSPS協定、今お話があったように、日本としての特別の事情がなければいわばWTOの方の基準に合わせていくということで、これは、厳しくしたものもある反面、合わせたものもあるわけでしょう、今までの基準を緩めて。どうですか。
遠藤政府参考人 日本の残留農薬基準値と国際基準値を比較いたしますと、両者が同じであるというものが六二%を占めておりまして、八百八十四の基準値ということになっております。残りは、国際基準値より小さくなっているものが二百三十基準値、一六%、日本の基準値が国際基準値より大きくなっているものが三百六基準値、二二%ということになっております。
横路委員 大臣にお尋ねしたいと思うんですが、輸出国はやはり輸出国の論理で来るわけですね。食文化とか食習慣というのは違うわけですから、問題は、国民にとって、国民の健康にとってそれが本当にどうなのかという、やはり安全ということが一番大事なわけでして、リスク評価は、そういう国際的な基準というものでなくて、やはり日本の国内的な状況を踏まえてやらなければ、どうしても輸出国の論理がだんだん強くなっていって、それがグローバルスタンダードだということになりますと、基準がどんどん緩くなってしまうということになりますし、先ほど、ブッシュ大統領のあれ、九二年に来日したときの話だと思うんですけれども、やはりそういう貿易摩擦問題にこの問題をしてしまうというのは、私は正しい選択ではないと思うんですね。
 それは輸出国はいろいろな理屈をつけるでしょうけれども、やはりこちらは、あくまでも科学的な知見に基づいて、国民の健康を考えて対応するということをしっかり原則にしていただきたいというように思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
谷垣国務大臣 これも繰り返し申し上げているところでありますけれども、国民の健康を最優先に、科学的な知見に基づいて客観的な評価を行うというのは、安全委員会のまず第一に果たすべき役割でございますし、先ほど鮫島委員の御議論にもお答えしたところでありますけれども、食品供給のそれぞれの行程においてきちっと措置をしていくという考え方は、これは国産の食品だけではなくて、海外でつくられた食品であっても、日本に輸入される限りはそれを適用していく。その意味において、ダブルスタンダードというような考えをとるのはやはりおかしいと思いますし、私どもは、やはりきちっと科学の観点というものをとってやっていきたいと考えております。
横路委員 残留農薬の問題と同じように、添加物でもやはり同じような状況がございまして、添加物でちょっとお尋ねしたいと思いますが、例のミスタードーナツの輸入肉まん事件でありますとか、協和香料化学の発がん性のアセトアルデヒドが使われた事件などが発生をしたわけです、これは去年出たんですが。
 添加物はできるだけ制限するというのが国会の決議にもなっておりますし、厚生労働省は、従来から、企業の要請がない限り新たな添加物の指定はしないという姿勢だったと思うんですが、しかし、昨年から、欧米で広く使われている添加物を積極的に認可するということで、食品のメーカーや大使館に問い合わせて、今四十六品目について検討が進められているということです。
 海外で使われているから、日本でも、今要望はなくても使用を認めればいいんだというのは、いわば無認可の添加物が発見されたというようなことでばたばたしないで済むという感じが、どうもあの事件の後そういう政策転換があっただけにあるわけですけれども、各国で食文化、習慣も違うわけですから、こういう政策の転換というのはちょっと理解ができないんですが、どういう事情だったんでしょうか。
遠藤政府参考人 御承知のように、添加物につきましては、いわゆるポジティブリストという形でその規制が行われているわけでございまして、諸外国で使われている添加物につきまして、協和香料事件の場合にはそこで使われていたということになるわけでございますけれども、そのほかにも、外国から入ってくるというふうな事例もあるわけでございます。
 そういった中で、国際的な専門家会議で安全性評価が終了している、また既に使用が広く認められているというふうなものにつきましては指定をしてもよろしいのではないかというふうな考え方で、現在審議会で御検討をいただいているということでございまして、調査いたしましたところ、その四十六品目に関しては、今後安全性等について調べて、指定に向けての評価を行ってもよろしいのではないかというふうな状況になっているところでございます。
横路委員 こういう国際的なボーダーレスな状態になってきて、グローバルスタンダードという名のもとに、どうも、国内で余り使われていないものについて積極的に認めて、こちらが求めて、何が必要ですかといって認めてやられた。どうもそのバックにはこの二つの添加物に関する事件があったのではないかということが想像されるわけでございますが、外国で認められているといっても、これはやはりその国にはその国の文化があるわけですから、そこはやはり国内の基準をしっかり適用してやらなければいけないというように思います。
 それから、今回、既存添加物についての見直しといいますか、これは、安全性の評価が済んでいないということで、全品目、四百八十九全部についてやられるんですか。
    〔中沢委員長代理退席、委員長着席〕
遠藤政府参考人 天然添加物でございますけれども、平成七年の食品衛生法改正時に、当時使用されておりました天然添加物につきましては、長い使用経験があり、健康被害の報告がないということで、経過措置として引き続き流通を認めてきたところでございますが、平成八年以降、逐次安全性の見直しを実施してきておりまして、今後、さらに情報の収集が必要と考えられるものは、現在のところ、四百八十九品目中百二十五品目となっているところでございます。
 この安全性の見直しにつきましては、毒性試験の実施、専門家による結果の解析等が必要でございまして、今後、安全性評価を推進し、今回の食品衛生法等の改正によりまして、既存添加物名簿からの削除をして使用禁止にできる規定を設けておりますので、必要があればその規定を適用したいというふうに考えているところでございます。
横路委員 あともう一つ、国際基準との関連で、これはむしろ国際基準の方が厳しいというケースで、先ほどちょっとお話がありましたが、カドミウムの基準の話でございます。
 今、食品衛生法では、一ppm以上のカドミウムが含まれる米の販売を禁止しているわけですね。食糧庁の方の基準で、〇・四から一のカドミウム米につきましては、食糧庁が買い入れて、食用でない形で処理をしているわけですが、EUの方は〇・二ppmの基準という、この〇・二から〇・四のところをどうするかという話になるわけですね。
 これは、カドミウム米というのはかなり量としても多いわけでして、日本の場合どのぐらいあるのでしょうか、結構、三十万トンぐらいあるのでしょうか。基準を超えた汚染米ということが言われているわけです。これは土壌が汚染されているわけですね。したがって、本格的にこれを減らしていくというのは相当大変なことなわけですけれども、しかし、基準としては、EUの厳しい基準に関してどうするかということを今検討中というように聞いているのですが、もう結論は出ているのでしょうか。どんな議論になっていますか。
遠藤政府参考人 まず、国際的な基準でございますけれども、FAO・WHO合同食品規格委員会、いわゆるコーデックス委員会の食品添加物・汚染物質部会において、精米の基準値案として、カドミウム〇・二ppm以下というのが提案をされているところでございます。同部会は、より精度の高いリスク評価の実施をFAO・WHO合同食品添加物専門家会合、JECFAと言っておりますが、これに要請をしており、平成十五年六月にその評価が行われる予定となっております。
 国内における検討につきましては、昨年七月に薬事・食品衛生審議会に対しまして、米に係るカドミウムに関する規格基準を改正することの可否について諮問を行い、我が国で実施された疫学調査の中間的な報告等をもとに議論を行っていただいております。その結果、現時点で緊急に現行の基準を改正する必要はなく、平成十四年度の疫学調査結果を受けてさらに本格的な審議を開始するというふうな結論になりまして、この疫学調査の結果が五月中にも報告をされることになっております。これを受けまして審議会における検討を行うこととしておりまして、国際的な動向を見ながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
横路委員 問題はそれこそ利害調整じゃありませんので、しっかり対応していただきたいというふうに思います。
 時間もなくなってまいりましたので、表示について、二点ほどまとめて御質問しますので、お答えいただきたいと思います。
 一つは、遺伝子組み換えの表示であります。EUの場合は、表示義務の混入率を一%から〇・五%以上に強化したということと、食用油を含む全食品を例外なく表示の対象にするということでやっていますが、日本の場合、これからどういうぐあいにされようとしているのか。遺伝子組み換え食品の表示の問題です。
 それからもう一つは、食品の添加物の表示で無添加という表示のある食品にも、いわゆるキャリーオーバー、原料の中に既に食品の添加物が入っていても、最終食品に添加物の効果を与えない場合には表示を免除されるということで、例えば、かまぼこなんかの場合ですね。かまぼこの原料のスケソウダラのすり身を原料に使っているとすれば、これは、とった漁船の上で保存のために添加物を使うわけですね。しかし、かまぼこになってしまうと、この理屈ですと表示しないでいいということになっているわけなんですが、無添加と表示した食品の中にもそういうようなものが随分たくさんあるわけですね。これらのことについてどのようにお考えなのか。微量だからいいという考え方なのか、いや、しかし、やはり使っているのだからおかしいというお考えなのか、これからどうされるつもりなのか。
遠藤政府参考人 まず、遺伝子組み換え食品の表示でございますけれども、現在、食品としての安全性が確認をされた五種類の農産物、三十食品群の加工食品につきまして、ちょっとわかりにくい説明かもしれませんが、大きく二つに分けまして、まず、食品に組み換えられたDNAまたはそれによって生じたたんぱく質が残存する場合、この場合に、分別生産流通管理が行われた遺伝子組み換え農産物を原材料とする場合は「遺伝子組換え」、それから、遺伝子組み換えと非遺伝子組み換え農産物が分別されていない農産物を原材料とする場合には「遺伝子組換え不分別」という表示を義務表示という形にしております。
 分別生産流通管理が行われていて非遺伝子組み換え農産物を原材料とする場合、それから大豆油やしょうゆなどの場合で、組み換えられたDNAあるいはたんぱく質が加工後に残存しないという場合、これらの場合には、「遺伝子組換えでない」あるいは「遺伝子組換え不分別」等の形の表示は任意表示という形で、はっきり遺伝子組み換えのものがあるだろうという場合には義務表示という形、ないと確信できる場合には任意表示という形の規制を行っております。
 次に、無添加表示、キャリーオーバーがあるような場合での無添加表示についての考え方でございますけれども、キャリーオーバーに関しましては、非常に微量で、そのものが添加物としての機能を発揮するような量ではないというふうな場合に表示の必要はないということにしているわけでございます。これは国際的にもそういった形になっておりますが、一方、無添加という表示をするということに関しましては、国民の信頼を損なうことになることから望ましくないということで、現在、指導という形で、無添加の表示は行わないようにとしておりますけれども、現在、農林水産省との間で表示に関する検討を共同で行っておりますので、また今後、表示の問題につきましては、その会議などにおきましても検討をしてまいりたいというふうに考えております。
横路委員 今回、残留農薬とか添加物とか、あとダイオキシンも最近調査していますが、例えば東京湾とか瀬戸内とか大阪湾とか、ああいう中でとれる魚のダイオキシンの量というのは相当な量でして、これをこのまま例えば妊産婦の人たちが食べていいのだろうかと思うようなものがやはり検出されています。
 それが、基準そのものはみんなそれぞれですね、それぞれ、農薬については農薬、添加物については添加物と。これは総合、トータルとしてどうなっているのかということを考え、それがまた人間の体に蓄積されている事情を見ますと、最近のアレルギー体質を持った人たちがふえている背景というのは、やはりここにあるというように思うんですね。
 新しいこの基本法ができたことをきっかけに、安全委員会もできるわけでして、従来と違った姿勢で、やはり、これを担当してやられる人々が本当に新しい気持ちでやっていただくということが大変大事なことだというように思います。
 最近、ファストフードに対してスローフード運動というのがイタリアの小さな町で、要するに、大量生産、大量消費のものじゃなくて、身の回りでできたものを大事にして食べていこうという運動がだんだん広がってきています。
 イタリアですから、どういうことをやっているかといいますと、パンにしても、バター、チーズ、ハム、ソーセージ、ワイン、ビール、みんな地元でつくったものを地元で大事にして食べていこうと。やはり身近なところで生産されたものをすぐその場で食べるというのが一番安全、安心なわけですね。
 日本の場合は、このスローフード運動は、余りにも忙しくてファストフードばかりになっている現状で、たまにはというか、ゆっくり家族が食卓を囲むというような時間的、精神的なゆとりも持って生活しようよという運動でもあるわけなんですが、現実はファストフードになっていて、そして輸入が六割を占めているという状況の中で、しかし、やはり我々自身の生き方というのも考えていかなければいけませんし、国内の生産というものも大事にしていかなければいけないというように思います。
 ぜひ、この体制ができたことをきっかけに、私どももこれからも議論していきたいと思いますけれども、どうか本当に新たな気持ちでやっていただきたい。最後に大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わります。
谷垣国務大臣 私どもの食をめぐる環境というのは、今も横路委員が御指摘になりましたように、かつての、牧歌的と言っていいかわかりませんけれども、そういう時代とは大きく変わってきている、私も全くそのように思います。問題が多岐にわたりますので、どこからどういうふうに手がかりをつけていったらいいのかと悩むこともたくさんでございますけれども、この食品安全委員会が所期の目的にこたえられるように、関係者一同力を合わせて、先ほどの御議論のように、消費者、国民も大きく参加していただいて、また巻き込んで、新しい風を吹き起こせるように頑張りたいと思っております。
 どうぞよろしくお願いを申し上げます。
横路委員 頑張ってください。終わります。
佐々木委員長 以上で横路孝弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、西村眞悟君。
西村委員 この安全基本法を前提にして、文字どおり基本法でありますから、これを土台にして、いかに食品の安全を構想し、それを具現化していくか、この観点から三問ぐらいを御質問したいと思います。
 我々は、食がなければ生きられないわけでありますから、安全な食をいかに確保するかということは、我が国家生き残りの戦略どころか、人類生き残りの戦略であります。したがって、この基本法制定の機会に、生物化学知識そして技術を結集した、食の安全を研究する研究機関というものが今各所にあるでしょうが、それを総合して設立するというふうな発想があってもいいんではないかなと思いますね。
 これは、自然食品ということが付加価値があるような状態ですから、あらゆるものが加工であります。食はもう既に巨大な加工産業でありまして、加工工業から生み出されるあらゆる食についての安全性を我が国の中央機関が審査するということは、ひとり我が国のみならず、世界に貢献することである、このように思っておりますが、御見解はいかがですか。
谷垣国務大臣 食品の安全性の確保を図るときに、科学的知見の充実に努めることが大変大事でございまして、この基本法もそういう思想のもとにつくられておりまして、十六条では、試験研究の体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及、研究者の養成そのほか必要な措置を講ずべきことを規定しております。
 それから、総合科学技術会議においても、今後の科学技術政策の基本的な方向、目指すべきところとして、安心、安全な社会の構築ということを三つの重点項目の一つとして掲げておりまして、こういったことを通じて、基礎研究を含む研究開発の充実、人材育成といった研究基盤の整備を進めていきたい、こういうふうに思っております。
西村委員 それで、まさにそれを集約するような、大きな、世界でも類例を見ないぐらいの規模の研究機関が我が国にあってもいいのではないかということでお聞きしたわけですね。
 それで、国策として、世界で人間が口にするすべての食品の安全性を我が国が審査できるということは、やはり国際的な貢献でもあるわけですね。それと同時に、またこれは我が国家の戦略でもあるだろう、こういうふうに思います。
 なぜ食が戦略になるのかといえば、大臣の時代と私の時代、脱脂粉乳を覚えておられると思いますが、援助と称して、食べろといって来るものが、長期的な観点からは、自国が生産するパンを食する習慣をつけさせて、米よりパンの方がハイカラであるとかいうようで、パン食を中心とした食生活に他の民族を転換せしめれば、いわゆる農業国としてのアメリカの利益にかなうわけでありますな。ある意味では、食についても、戦略的な思考も我が国には必要かと存じます。
 その意味で、再度、大臣が先ほどいろいろ、この基本法にそういうことが書いてあるわけでありますから、今、中央研究諮問機関というふうなものの設立を構想されておるのか、それとも、まだ少々これは検討を要して、なるほどとなればやりますよとおっしゃるのか、どういうことか、お聞きします。
谷垣国務大臣 西村委員からちょっとおしかりを受けるかもしれませんが、食の安全ということで必要な研究分野というのも極めて多岐にわたります。そして、既存の多数の研究機関にまたがっているというのが現実でございます。それから、これは委員のお地元でもバイオの研究など非常に盛んでございますし、また私のところ、御一緒に、関西学研都市というようなところでも重要な研究機関があるわけでありますけれども、そういう研究機関はリスク管理、リスク評価双方に必要な場合が大部分でございますね。行政の肥大化防止というようなことも考えますと、今ある機関を統合して一つにやっていくというのは現実には極めて難しいのではないかというふうに私は考えておりまして、むしろ、それぞれの研究機関が充実していただいて、それぞれの力量を伸ばしていただくということが現時点では必要ではないかというふうに考えております。
西村委員 行政が肥大化すれば、肥大というのは必要以上に大きくなる、動脈でも何でも、肥大化すればだめなんです。しかし、我々は国家の戦略を持たねばならない。この国家の戦略、食に対する国家の戦略を持たないものは、いかに他の分野ですぐれていても滅んでいかざるを得ない。北朝鮮の現実がそれを示している。したがって、国家の戦略を持って、適切な国家の運用機構を整備すべきだという観点からは検討に値するなと私は思っております。
 次に進みますが、先ほど来の御質問の中にもありました、それで、概略をお聞きしますけれども、我々が食べているのは六割は輸入だということであります。それから、自然農作物が来るわけではなくて、そこにいろいろな添加物があり、いろいろな農薬という薬品が付着している場合がある。さらにまた、工業製品のごとく生産ラインで生み出されて我が国に運ばれる食もあるわけですね。したがって、我が国国民が口に入れる、毎日入れるその食を、安全かどうか、我が国に入れる生産の現場に行って安全性を確認する、これが必要だろう。これを具体化するにはどういう体制を整える必要があるのか。現状はこれで十分やっているとは私は思いませんからお聞きしますが、この安全基本法を前提にして、どういう体制を整えていかれるかということについてお伺いいたします。
谷垣国務大臣 今おっしゃいましたように、我が国の国民が食べている食料の六割は海外から入ってきているわけであります。そして、委員が御指摘になりましたように、工場で生産するような大量生産そして大量消費、そしてそれはボーダーレスである、しかも、今まで我々が十分に意識していなかったような科学の進展に伴う新しい手法も使われる、こういうのが我々の食を取り巻く現状であろうと思います。
 そこで、この法案の基本的な考え方は、単に口に入れる物、食品の安全性というだけではなくて、食品の生産各行程できちっと安全に対する施策が講じられなければならないというものでありまして、これは、我が国の中で生産される、つくられる食品だけではなくて、いやしくも我が国に輸入されて我が国の国民の口に入る物であるならば、その意味で内外無差別、共通のものでなければならないという思想でこの法案ができ上がっているわけであります。
 しからば、具体的にはどうするかということになりますと、現実には、我が国の行政権の及ぶ範囲というのがございますから、まずは水際、つまり検疫体制等をどうするかという問題があるわけでございます。
 それから、この法案では、国民の食品の安全を確保するためには国の施策というだけでは不十分である、やはり、ではこれを、例えば、日本国民の口に入れるために輸入をしようと考えている事業者等が、十分にその安全性をチェックして日本の国に入れてくるという責務を持つものだと私は思いますし、それはそれぞれの事業者において良心的に行っていただかなければならぬことだろうと思います。
 そこで、委員の先ほどのお尋ねは、水際の体制が十分であるかということを超えまして、その前の段階まで突っ込んでいかなければなかなかできないではないかというお話だろうと思いますし、先ほどの御質疑の中でも、EU等は日本の食品の査察も行っているではないか、こういう御質疑もあったところでございます。
 したがいまして、具体的に、どこそこでできている食品の生産行程に疑義があるということになれば、当然そのリスク管理を日本国内で担当している官庁、役所が、海外の対応するところと協議をして、合意を得られた場合には査察をするというようなことも考え得るのではないかと思っております。
 それから、食品衛生法の改正で、問題があるところからは輸入を停止し得るという措置もつくっていただいた。そういったような、いろいろなことを適切に活用していく必要があるのかな、このように思っております。
西村委員 それで、食品安全委員会は、具体的な海外の地域もしくは具体的な食材を指定して、関係大臣に海外での調査、査察を勧告することはできるんでしょうか。関係大臣の中にも、せっかく在外公館があるから外務省も含めてもいいんですけれども、できるんでしょうか。
谷垣国務大臣 まず第一に、リスク管理を行うところが、情報を集めて、第一次的な応答をしていただかなければならないんだろうと思います。
 しかし、私どもも、先ほどから御議論のように、いろいろアンテナを広げていく必要がありますし、また、消費者の不安等、御意見があった場合には十分に対話をして、共通の認識をつくっていく必要があるということもるる申し上げたわけでありまして、そういう私どものアンテナにキャッチされて、これは看過することができないということになりましたら、そして十分な施策が講じられていないということになりましたら、それぞれのリスクを管理する省庁に勧告を行うということも、この法律の上からは考えられるところでございます。
西村委員 先ほどの御質問でももう答えがありましたから、再度お聞きをしませんが、非定期の検査はちょっとやっておるということでありますね。
 それから、六割を占めて、六割、毎日一億二千七百万の国民が食べておるわけですから、一応のいわゆる検査、安全を担保する調査を定期に実施するシステムをつくって、大体、定期にして、定期に報告をする、輸入食材に関する安全性に関する報告というようなことをやるというふうな体制を整えるというのも一つのやり方かなと思いますが、大臣の御見解はいかがですか。
谷垣国務大臣 輸入食品の安全性の確保の重要性ということは、先ほども申し上げたとおりでございますけれども、まず、我々が考えております手順は、第一に、輸入販売を行う事業者が必要な措置を行うということを考えておりまして、国が輸入先国についてみずから検査を行うということは、これは先ほど申し上げましたような、相手国との協議、その上に立っての査察というようなことはあり得ますが、一般的にそういうことを制度としてつくることは難しいんだろうと思います。
 それから、先ほど、食品衛生法違反が相当数発見された場合には輸入禁止ということを可能とする措置が昨年の改正で盛り込まれまして、検査、検疫の人員体制の拡充といった措置の強化に努めているところでございます。それから、この国会に提出されております食品衛生法の改正法案では、厚生労働大臣が輸入食品監視指導計画というものをつくって、輸入食品に対する検査を計画的に実施することという法律が提出されておりますので、これが、国会で通していただきましたら、まずその運用のよろしきを図っていただくということでないかと思っております。
西村委員 よろしくお願いいたします。
 それで、この法律にある消費者の役割ということに質問を移しますけれども、消費者、我々ですね、この基本法ができてどうなるのかというふうなことについて、少々細かくなっても結構ですから、御説明いただきたいんです。
 三つぐらい、ちょっとまとめてお聞きしますが、安全性の施策について、消費者が意見を表明するように努める、その意見を受信する機関はどこであるのかということですね。それから、消費者の意見を受信した各機関は、いかなる対応を消費者に打ち返すことになるのか。それから、消費者という、食べる、末端から寄せられる意見が滞りなくリスク評価や安全性の施策に反映させることをいかにして担保されていこうとしているのか。この三つについて、概略、御説明いただきたいと存じます。
谷垣国務大臣 まず私から、消費者からの意見が反映されることをどう担保するかというのをお答えさせていただいて、あとの二点については、プロセスにつきましては政府参考人から答弁をさせていただきたいと思います。
 この法案では、国または地方公共団体は、関係者相互間の情報及び意見の交換、いわゆるリスクコミュニケーションですが、この促進を図るために必要な措置を講ずるというふうに規定しております。
 それで、具体的な実施方法として、まず第一に考えておりますのは、ネット時代でございますから、ホームページを活用するなどして、まずわかりやすく施策、リスク評価を説明していくという努力が大事だろうと思います。そして、国民からの意見も幅広く受け付けるということにしていく。
 それから二番目に、ネットだけではなく、中央及び地方において、説明会であるとか意見交換会というのを積極的に開催していく、それから、専門調査会の中の専門委員として消費者の意見を代表していただける方に入っていただく、参加していただくといったようなことで、消費者の意見を施策の策定過程に反映させていくということを考えております。
 それから、食品安全委員会では、自分が実施する意見交換会などを通じて寄せられたものだけじゃなくて、農水省や厚労省、リスク管理機関、あるいは消費者行政を担当している部局を経由して寄せられた意見等に対しても、可能な限り速やかに委員会で検討していく。
 そこで、先ほども申し上げましたけれども、この食品の安全性のチェックは大丈夫なのかというような御懸念。いろいろなデータ、現在でも山のように寄せられておりますので、どういう手順でそれをきちっと評価の対象にのせて実施していくかということが大事でございますので、その担当する専門調査会というのを委員会の下につくりまして、ここで具体的に立てていかなきゃいけない。まず、このあたりに、新しい委員会ができたそのできばえが問われますので、できましたら、ここの年間計画を立てて、どういうふうにやっていくかというところに十分意を用いて、消費者の意見がよく反映されているということを評価していただくように努めたいと思っております。
小川政府参考人 大臣から御答弁したところと重複があるかもしれませんけれども、まず、消費者が出してきます意見、表明した意見の受け取り手でございますけれども、国それから地方公共団体といった関係機関がそれを受け取るわけでございます。国の場合は、リスク評価を担当いたします食品安全委員会、それから厚生労働省、農林水産省といったリスク管理機関、これが該当いたします。こういった関係機関が、いわゆるこの基本法に基づきまして、消費者を含めた関係者相互間の情報や意見の交換をするリスクコミュニケーションを一生懸命やろうということになってございます。
 したがいまして、情報あるいは意見の交換でございますから、双方向でございますので、受け取った消費者の意見等に対しては、それを受け取った側の機関の方が対応するということが双方性のみそであります。したがって、積極的にそれに対応していくということになろうかと思います。
 先ほど大臣がおっしゃいましたように、それを受け取ってどうするかというところは、先ほどの御答弁のとおりだと思います。
西村委員 ありがとうございました。
 これで終わります。
佐々木委員長 以上で西村眞悟君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 私、二週間前に質問いたしましたときに、消費者の役割ではなく権利というものを考えることの大事なこと、それから予防原則の問題、また輸入食品の残留農薬の検査体制や安全を脅かすおそれのある食品の輸入禁止措置など、やはり食品の安全を保障する政府の義務、責務、役割というもの、それを議論いたしました。
 きょうは、それに引き続いて、最初にまず第十二条にかかわっていきたいと思うんですが、施策の策定に当たっては、その他の事情を考慮すると規定しているわけですね。このその他の事情について谷垣大臣は、「社会的・経済的事情や国際貿易ルールとの整合性といったさまざまな事情が対象となると考えておりますが、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識に立って、健康への悪影響を防止、抑止するという規定の趣旨に即して考慮されることになる」と答弁されたわけです。
 そこで、確認しておきたいんですが、規制緩和、行革だといって検査が後退するようなことになってはいけませんし、日米関係重視ということでもって、アグリビジネスの圧力がかかって、その結果、食品安全のリスク評価が後退させられるというふうなことになってはいけないと考えるものですが、まず最初に、この点について大臣の考えというものを聞いておきたいと思います。
谷垣国務大臣 十二条は、食品健康影響評価を行って、その結果に基づいて安全に関する施策が立てられなければならないというものですが、その中に、今委員が御指摘になりましたように、「国民の食生活の状況その他の事情」という文言が入っているわけであります。
 これは、客観的、科学的に行われなければならない食品健康影響評価でありますが、その結果に基づいて施策が行われることを原則としながら、国民の食生活の実態とか施策の有用性などを総合的に考慮して、国民の健康への悪影響を防止、抑制する最も適切な行政的対応を選択しなきゃならぬというリスク管理のあり方を示した規定であります。
 そこで、その他の事情の具体的内容は、この前も御答弁したかと思いますが、国民全体としての、あるいは地域、年齢、特定の健康状態などに着目した集団ごとの食品の摂取の状況、食慣習とか食文化などですね、こういったもの、それから、施策を実施した場合に想定される費用や効果、技術的実現可能性、それから、国際貿易ルールとの整合性、こういったさまざまな事情が該当するものというふうに考えております。
 しかし、いずれにしても、これはリスク管理を行う場合にそういうことを考慮に入れる必要があるということでありますけれども、現実にリスク管理を行う各省におかれては、規格、基準の設定などの行政的対応をとるに際しましては、国民の健康保護が最も重要であるという基本的認識に立って、健康の悪影響を防止、抑制するというこの法案の趣旨が実現されるように、そういう方向でこういう事情が考慮される、こういうふうに御理解をいただきたいと思っております。
吉井委員 現実には、アグリビジネスの圧力であるとか、あるいは日本の大商社などが今開発輸入で、海外で農産物をつくって持ち帰ってくる、その中に、残留農薬の問題、その他さまざまな問題があるわけですが、それを、まずその基準を設定する段階からその圧力によって後退をするとかそういうことが現実に出ておりますから、現場の現実の状況からすると、非常にここは、その他の事情を考慮するということでもってそちらが考慮されてしまうと、食品安全のリスク評価自体が後退してしまうということになりますので、私はそういうことになってはならないということを申し上げまして、次に財政措置について伺っておきたいんです。
 実際に食品安全対策を具体化する場合には、高いコストがやはりかかるんですね。これはこの前も話したかと思いますが、実は、私も、もともと都会の人間という言い方がいいか悪いかは別として、ずっと都会育ち、暮らしてきましたが、大阪の方へ移ってから、実は農家の方の御協力をいただいて、畑を借りて有機で栽培をしたことがありますが、なかなか大変なことですよね。まず堆肥をどうするか。それで、農家から牛ふん、馬ふんを十分発酵させたのをいただくんですが、しかし、今日、その牛にしても、輸入飼料の中に残留農薬なんかの問題がやはりあるわけですね。
 いずれにしても、それを発酵させたものを使いますと随分育ちはいいんですが、そのかわり雑草がまた非常によく生えるものですから、これは大量生産なんというようなことを野菜なんかをつくるとき考え出したら、それはまあ、基準はともかくとして除草剤をということに走っていくという、そうしないと、安く入ってくるものとなかなか対抗できないという問題が出てくるわけですね。
 ですから、有機農法で本当に安全なものをつくるというのはなかなか大変でして、また、虫の方は安全なものをよく知っているんですよ。だから、そういう有機でやっているところにはよく虫がつくんですね。これは農薬を使いませんから、青虫を一匹一匹とるというのはなかなか大変なことであって、私もやってみて、有機農法でやるというのはどんなに大変なことかと。
 一般には有機ということで、この間もお話ししました私の近くの赤坂のスーパーでも、減農薬であって本当の有機とはなかなか言えないんですが、しかし、それでも食べないことには生きていけませんから、それだけに、本当にこの食品安全対策を具体化しようと思ったらやはり高いコストがかかる。これは現実の問題としてあるわけです。
 そのコスト負担を農業者や中小業者に全面的に負わせるとなりますと、これは経営困難に陥るという問題があります。中小業者の方は、食品加工の分野ですが、それは、ひいては適切な食品安全対策がとられないという可能性も出てくるわけです。
 そこで、この第四条について、国は食品供給行程の食品安全性確保が適切に行われるように必要な財政及び行政上の支援をしなければいけないという、やはりそういう一文を加えるなどして、本当に国の財政面での責任を明確にする。財政面、行政面での支援というものをきちっとやはり考えていかないと、現実には、幾ら基本法をつくっても、なかなかそう簡単にはいかない、これが実態だと思うんですが、この点についての国の財政、行政面での支援とか責任の明確化について、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
谷垣国務大臣 一般に政策を立てて実行していこうと思えば、財政的な裏づけがなければ、ないそでは振れないということになってしまうわけでございますから、この基本法をつくるに当たりまして、この十条が入ったという意味は、私は大きいものだろうというふうに考えております。ここに「必要な法制上又は財政上の措置」、こういうふうに書いてございますが、この意味は大きいと思います。
 一般的に基本法と言われるものにはこのような規定が入っていることが一般でございますけれども、これも、そういう重要な政策分野について、基本法をつくるんだから、やはり国は責任を持てということを明らかにしたものだと思います。現実には毎年の予算措置ということになるわけですから、また国会の御協力を得て、我々もいい予算をつくっていくということに努力をしなければならないと思いますし、財務当局にはまた格段のお願いをしなければならないことがあろうかと思っております。
吉井委員 現実がなかなかそこは追いついていないということを見ておかなきゃいけないと思います。
 次に、本法案提出のきっかけとなったBSE問題の教訓は、産業振興と食品安全の両方の権限を有していた農水省が産業振興を優先させ、食品安全に対するWHOの勧告を無視した点にあります。また、農水省と厚生労働省の縦割り行政が、食品安全確保に当たって連携性がとれず、障害になった。
 この教訓からいえば、食品安全委員会を産業振興の省からやはり分離した、こういうことは評価できるとして、委員会は国家行政組織法第八条を根拠としており、同法三条を根拠とする公正取引委員会などと比較して、この点で独立性が弱い。各方面から委員会の独立性について懸念の声が表明されているわけですが、この委員会の独立性というものをどのように担保していくのか、これも大臣に伺っておきたいと思います。
谷垣国務大臣 これは、委員がおっしゃっていただきましたけれども、農水省、厚労省等から分離をして、内閣府のもとに独立の機関を置いたということがまず第一の独立の担保でございますし、それから委員につきましては、その分野の卓越した専門家に集まっていただいて、科学的知見に基づいたきちっとした判断をやっていただく、しかも常勤の委員に関しては、一定の場合でなければ兼任が許されないというような措置がございますから、そういう措置とあわせて、判断の独立性が担保できるというふうに考えております。
 また、委員は、三条委員会、八条委員会ということを言われましたけれども、三条委員会というのは、私も、先ほどもどなたかに御答弁を申し上げて、行政法等に余り詳しくございませんので、やや生兵法のところもございますが、三条委員会の場合は、そこで出した決定が直接国民に権利を与え、あるいは義務を課す、こういうような役割を果たす機関の場合に三条機関と。
 しかし、この委員会の場合は、科学的な判断をするということが主たる目的でありまして、科学的知見に基づいて、リスク管理機関をいわばコントロールするとまで言ったら言い過ぎでございますが、勧告をし、モニターをするということでありますから、国民に対する権利義務を直接創設したり課したりするわけではないという意味で八条委員会になっているわけでございまして、その意味で、独立性が乏しいというのは、私は当たらないのではないかな、こう思っております。
吉井委員 独立性の問題で非常に大事なことは、同時に、どういう委員会メンバーを選考していくかということに、そこにもやはり問題が出てきます。科学的なリスク分析の手法という、これはそのこと自体異存があるわけじゃありませんが、ただ、科学に名をかりて、ここは安全宣言機関となってしまってはいけないということは、多くの人たちがやはり心配をしているところでして、ですから、委員会メンバーの人選がやはり大事なんですね。
 予防原則の質問をこの間もいたしましたが、そういう予防原則ということが入ってこない。そういう中で、リスク論を展開している国内の専門家の中には、日ごろ安全には問題がないと言っている人が結構多いということも、また多くの人たちが指摘をしたり心配しているところでして、ですから、そういう専門家が専門家だということで委員の多数を占めてくると、安全委員会は食の安全性を本当に保証してくれるのか、こういう問題が出てくるわけですね。安全宣言機関となってしまったらいけないわけですから。
 そういう点では、これは法律ができてからの話なんですが、メンバー選考については、法律上予防原則というものがなくても、非常にこの点については科学的、厳密に、またシビアに考えている人たちが入らないと、委員会はつくった――独立性の問題について、まあ大臣と私とは考え方に違いがありますから、そこはこれ以上今やりませんけれども、しかし、委員の選出についても、よほどそこをよく考えておかないと、独立性がないばかりか、独立させたはずが、従来のお役所の審議会だ何だというのにかかわった人がそのまま入っていると、何だ、結局変わらないんじゃないかということになりますから、この点についての考えだけはちょっと聞いておきたいと思います。
谷垣国務大臣 委員おっしゃるように、制度として独立的な制度としただけではなくて、その運用が真に独立機関たる名に値するかどうかというのは、一つは、それを構成する委員に人を得るかどうか、きちっと科学的知見に基づいて独立に職権を公正に行っていただける方を得られるかどうかということにかかってくると思います。
 それともう一つは、リスクコミュニケーションということを言っておりますが、多くの国民、消費者に情報を公開し、共有し、認識を共通にしていくというような作業が一方であるという、この二つによって、真に独立な機関であるというゆえんを担保するということではないかなと思うんです。人選は今まだ、これから進めていかなければなりませんけれども、国会で承認をしていただく人事でございますから、国会での厳正な御批判に耐え得るものでなければならないのは当然のことだろうと思います。
吉井委員 独立性とともに、今もおっしゃった、本当は消費者の参加というより権利ということでやはりきちっとすべきことだと思いますが、その点からしてもメンバーの選任というものは非常に大事だということを指摘しておいて、もちろん国会同意人事ということで国会がかかわるわけですが、その点を指摘して次に移りたいと思いますが、委員会の所掌事務の問題です。
 専らリスク評価、その関連に限定されていますが、関係閣僚会議において、事務方は総合的な政策についての議論などそんなに頻繁にはないはずだ、リスク評価、食品安全政策と考えてよいという発言があったということも、これは私も読んだことがあります。政府は、リスク評価さえすれば食品安全対策として事足れりということを考えてはいけないと私は思うんですが、これは委員会の所掌事務にも係ってきますので、その点を大臣に伺ってみたいと思います。
谷垣国務大臣 一番の業務が平常時における食品健康影響評価である、リスク評価であるということはおっしゃるとおりで、これはきちっと科学的に行わなきゃならないわけでございますけれども、じゃ、それをやって事足りるかという御質問でございますが、ほかにやるべき職掌としては、食品事故など緊急時の対応ということがございますし、それからリスクコミュニケーションを実施していくということがございます。
 それからさらに、リスク評価がどういうふうに現実のリスクマネジメント、リスク管理に生かされているかということも、これは常にウオッチしていく責任があるわけでございまして、これもたびたびこの委員会でも議論させていただきましたけれども、勧告であるとかモニタリングであるとか、あるいは勧告からの今度は報告を受けるとか、さらに再勧告もあり得るというようないろいろな手段を講じて、リスク評価をすればそれで事足れりというわけではない、後もしっかりフォローしていく必要があるんだということは強調をしていかなければならないことだろうと思います。
 それに加えまして、先ほども申し上げましたけれども、リスクコミュニケーションを重視して、国だけではなく関係の事業者、消費者あるいは自治体、こういうところと認識を共有していくということに努めなきゃならぬ、こういうことだろうと思います。
吉井委員 そこで、法案第二十一条の方なんですけれどもね。この基本的事項には、食品安全確保の裏づけとなる国の予算の問題、輸入食品の監視検査体制等についても含まれているのかということ、それから、基本事項という以上は食品安全行政全体について勧告ができる、こういうことでいいのか。ここを少し確認しておきたいと思います。
谷垣国務大臣 今おっしゃったのは、国内のことに限らず海外もとおっしゃいましたでしょうか。(吉井委員「はい。全体」と呼ぶ)
 これは、いわゆるリスク評価だけではなくて、リスク管理機関が行われること万般に関しまして、まず第一にリスク管理機関で適正に権限を行使してやっていただく必要がありますけれども、リスク評価機関がリスク評価をしていた目から見て余りにも適切に行われていないという、必要があると判断すれば、当然、食品安全万般にわたって勧告をする権限がある、こういうことだろうと思います。
吉井委員 ですから、その裏づけとなる国の予算の問題はもとより、輸入食品の監視検査体制、万般ということはそれら全体について勧告をする、こういうことでいいですね。
谷垣国務大臣 必要があると判断すれば、それはできるわけでございます。
吉井委員 次に、食品安全行政を確立するためには、リスク評価を行うだけじゃなしに、食品安全確保のための人員、体制、今も触れました予算の問題、トータルに審議、検討するということが不可欠だと思うんですね。そのためには、リスク評価は一部の機構として、上部機構として消費者団体代表を入れた総合的な食品安全検討機関というふうにしていくことがやはり大事だと思うんですが、この点について伺いたいと思います。
谷垣国務大臣 今の委員の御意見は、七人の委員の中に消費者代表を加えるべきであるという御趣旨であると思いますが、これもたびたび答弁させていただいておりますが、科学的な観点からのリスク評価ということを第一義としておりますので、そして、そこでは利害調整というようなことを任とするわけではありませんので、消費者代表であるとかあるいは生産者代表ということで入っていただくことを考えているわけではございません。
 しかし、専門調査会には消費者のお声も入れながら、例えば先ほどからこれも申しているところでございますが、企画専門調査会のようなところで、たくさん寄せられた、こういうところにリスク評価を行っていけというようなものを、どういう手順と計画を立てて考えていくかというようなときには、消費者のお声が反映するようなことも考えなければなりませんし、いろいろなところで消費者のお声を反映させていくということは、当然考えていかなければならないことだと思います。
吉井委員 専門調査会ということにしてしまうんじゃなくて、やはりもともと、食品の安全性確保ということを考えた場合に、輸入食品や輸入農産物、輸入飼料の検疫検査の強化、それから国内の検査体制の強化ということが必要不可欠でありますし、そのための人員とか体制とか検査機器とか予算の抜本的強化が求められるわけであります。ですから、何かリスク評価の部分、あるいは専門的な検討というところだけじゃなしに、やはりこの問題というのはトータルに考えていかなきゃいけないわけですから、そうした全体としての抜本的強化、そのことを抜きに、単にリスク評価だけ行っておれば食品の安全性が確保されるという、これでは非常に不十分なわけですね。
 ですから、ある専門の分野で検討してもらうのに消費者の方、代表も参加してもらってということだけじゃなしに、これはやはり委員会として、消費者代表を含めてきちんと構成をしていく。やはりそのことが非常に大事なことだと思うわけです。改めて伺っておきます。
谷垣国務大臣 同じ答弁の繰り返しになって恐縮でございますが、委員会に関しては、それぞれの分野の科学的な専門家に結集していただくということで構成をしていきたいと思っております。
 ただ、委員がるる述べておられますように、消費者との対話、消費者のお考えをどう酌み取っていくかということは極めて大事でございますので、専門調査会そのほかのありようとしては、十分御趣旨を体して考えていかなきゃいかぬ、こう思っております。
吉井委員 谷垣さんは、前、科学技術庁長官もされて、あのときも科学技術委員会で議論をしたことがありますが、原子力分野でも委員会をつくっていますね。では、専門家だけでやってそれでうまくいくのかということは、これはかつてスリーマイル原発の事故の後、アメリカなんかはケメニー委員会を持って、それで原発事故調査について徹底してやったときに、むしろ原子力という分野では専門家ではない、弁護士の方、その他の方たち含めて、やはりきちんと検討していったわけですね。
 やはり委員会をつくるというときは、ある分野での専門家だけ集めればいいというものじゃなくて、この点では私は、法案で設置される食品安全委員会というのは、BSE問題調査検討委員会報告書では、リスクコミュニケーションについて、「とりわけ行政は、消費者をリスク分析のパートナーとみなし、消費者とのリスクコミュニケーションを重視し、情報の公開と提供、参加と対話を強めるべきである。」という指摘がなされているわけですが、やはり、広い角度から本当に食品の安全性の確保、食品安全を進めていく上では、消費者代表の委員会への参加が認められるべきだ、そこを本当に据えたものに考えていくべきだと思うんですが、もう一度これは伺っておきたいと思います。
谷垣国務大臣 原子力を例に出してお尋ねでございますが、かつて科学技術庁におりましたとき、専門家である先生と議論をする、あのときの戦々恐々たる気持ちを今思い出しているわけでございます。
 原子力の安全の立て方はまた、あそこの長い間の経験と議論で今委員のおっしゃったような形になっているわけでありますけれども、食品の場合は、従来言われておりますような、専門家の知見が行政に反映していないということを前提としてこういう委員会を立て、リスク評価とリスク管理を分けたわけであります。
 しかし、原子力の場合とまた若干の違い、委員を前に原子力の議論をこんなところで蒸し返すのは戦術的にも得策ではないと思いますが、原子力の場合にはリスク評価とリスク管理を分けていないというのは、組織の立て方の違いもあるのではないかな、こんなふうに思っております。
吉井委員 原子力について出しますと今度はそっちの方で時間があれですから、きょうはちょっとおいておきますけれども。
 BSE調査検討委員会の報告書で、「リスク分析手法において、リスクコミュニケーションは重要な役割を持っており、その中において消費者の参加、消費者への情報公開・積極的な情報の提供を位置づけることが重要である。」と重ねて指摘しているわけですが、要は、リスクコミュニケーションが目標とすべき事項を見ても、どれも消費者の視点抜きでは結局は実効性が担保できない、私はそういうものばかりだと思っているんです。
 あと一、二分になってきましたので、では、リスクコミュニケーションで目標とすべき項目、どういうものを項目として考えておられて、その項目の中で、どの部分は消費者の視点抜きでも実効性が担保できる、あるいは逆に、この項目についてはやはり消費者の参加を求めることが大事だというふうに、いろいろこの点では御検討もしておられると思うんですが、何でしたら、先に政府参考人の方から御答弁いただいて、その後大臣の方から答弁をいただくようにしてもいいんですけれども。
小川政府参考人 リスクコミュニケーションの目標と消費者との関係でございます。
 そもそもこのリスクコミュニケーションがリスク分析手法の中に取り入れられた背景といたしまして、審議の中でもいろいろ出ておりますけれども、食のグローバル化、あるいは新しいタイプの危害要因が出てきたということ、それから、分析技術それ自身が向上しておりまして、従来に比べて有害因子が微量であっても検出が可能になったということがございます。そういう意味で、ゼロリスク、あるいは絶対安全な食品はないということから、そういうのが共通の認識になってきたことが、このリスクコミュニケーションあるいはリスク分析手法の導入の背景になったかと思います。
 そのときに、具体的にどのレベルまでそれを管理するかということで、結局、関係者の間で意見交換あるいは情報の交流をしながら、具体的にどの程度までいくんだというプロセスを積み重ねていくことが大事だろうと思うわけであります。そのときに、やはりバックになりますのは科学的なリスク評価、それがベースになりまして事が発出していくんだろうと思います。
 そういう意味で、先ほど来大臣御答弁されておりますように、評価の部分が委員会の主たる役割でございますので、そこのところにつきましては科学的なプロセスということで整理をさせていただきまして、委員会のそういった活動を支えるいろいろな分野、リスクコミュニケーションも含めて、そこでは消費者あるいは関係事業者の方も入って、科学的なリスク評価というものをきちっと具体的に生かすような形で進めていけるように、専門調査会には関係者の方々にも広く入っていただこう、そういうふうに考えているわけでございます。
谷垣国務大臣 今、どのような分野でリスクコミュニケーションを行って、場合によっては、その分野では消費者が要らないような場合があるのかどうかというお問いかけがございました。
 私は、実は細かに詰めて考えているわけではありませんので正確を欠くかもしれませんが、リスクコミュニケーションの場合に、消費者を抜きにしたリスクコミュニケーションというのが存在するとは、ちょっと考えにくいのですね。もっと細かに詰めていけばあるいはあるのかもしれませんが、大きく言った場合には、消費者抜きのリスクコミュニケーションというのは、ないのではないか。
 先ほど政府参考人が申し上げたような大きな流れを前提にして、消費者、また生産に関与する、供給に関与するような事業者、それから行政側に立つ者、こういう者の間において対話をする、情報も共有する。そして、これは立場が違う場合がありますので、常に同じ結論に達するかどうかは私はわからないと思います。常に同じ結論に達するということが大事というよりも、そういうプロセスを積み重ねていくということが私は一番大事なのではないかな、こんなふうに思っております。
 これで何年かたちまして、こういう実績がありましたときに、また委員と議論させていただいて、違ったということを申し上げるかもしれませんが、現時点ではそんなふうに認識をしている次第であります。
吉井委員 もちろん、私も専門家の御意見とかお考えを尊重している者です。
 同時に、消費者の参加という点では、リスクコミュニケーションで目標とすべき項目としてお考えになっておられるものを見ても、リスク分析過程で検討されている問題の、すべての参加者による関心と理解の促進とか、すべての参加者間の関係強化と相互の尊重の促進とか、もう時間がありませんから触れませんが、食品安全問題について、利害関係者がどのような知識・態度・価値観・習慣・認識を持っているかについての情報交換、まさにそこに消費者代表の参加ということが非常に大事な問題を持ってまいりますので、そのことを考えるべきだ、このことを指摘いたしまして、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
佐々木委員長 以上で吉井英勝君の質疑は終了いたしました。
 次に、北川れん子君。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。
 きょうは、再度確認をするという意味で質問を行わせていただきたいと思います。
 第二十三条では、食品安全委員会は「自ら食品健康影響評価を行うこと。」になっているが、この「自ら」という形容は、どういう意味を持っているのでしょうか。この「自ら」を削除した場合、行政府に何か問題が出てくるのか、お答えください。
谷垣国務大臣 健康評価を行う二つの場合が書いてございまして、一つは、リスク管理を行う機関から要求される場合、これを調べてくれと。
 もう一つ、「自ら」と書いてあるのは、いろいろな委員会のアンテナを張っておって、これは調べなきゃいかぬな、調べなきゃ国民の安全が確保できないな、食品の安全が確保できないなとみずから判断した場合には、みずから乗り出す、こういう意味でございますので、これは削っていただかない方がいいんじゃないかというふうに思います。
北川委員 今の御答弁は、関係大臣からの諮問がなくても食品安全委員会が評価を行うことができると。もし「自ら」という言葉がなければ、諮問がなければ安全委員会は動けないことになるということですね。
 そうすると、この「自ら」が入っているがゆえに、一消費者や被害者の声にもこたえることができるというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
谷垣国務大臣 そういうことであります。
 リスクコミュニケーションということを言い、消費者も積極的に意見を述べてくれということを申しておりまして、そういうことをやはり耳を長くして食品安全委員会は受けとめなきゃいけない。それで、受けとめる必要があると思ったときはみずから手を挙げる、乗り出していくということではないかと思います。
北川委員 ぜひ、小さな声にも耳を傾けていただける、そういう安全委員会であっていただくように、システムづくりに励んでいただきたいと思います。
 次に、食品安全委員会の仕事は、検査や試験データなど書面による影響評価を行うことだけだというふうに確認してよろしいでしょうか。
谷垣国務大臣 書面ということをおっしゃいましたけれども、委員会が行うリスク評価は、通常、リスク管理機関から提出されたデータとか、科学文献情報とか、国の内外の研究機関や、あるいは国際機関の報告書ということもあると思いますが、そういうようなものを資料として行われるということを想定しておるわけです。それで、そういう提出されたデータの信頼性、妥当性は、各分野の専門家に集まっていただいて、その英知でもってやっていただこうということであります。
 それから、今おっしゃった趣旨は、自分ではやらないのかという御趣旨が含まれていたのかなと思いますが、必要な調査研究を独自に外部に発注したりするための予算措置、毒性試験等、こういうことも予算措置もとっておりますので、必要があればできるということになっております。
北川委員 大臣、次の質問までお答えいただいたんですが、結局、検査機関は持たないけれども、委託などで必要な情報を集めることはできるというお答えだというふうに理解したいと思います。
 それで、その前の質問なんですけれども、結局、二十五条に権能が書いてあるんですけれども、この間、私も議論してまいりましたけれども、生のデータ、素のデータの提出命令をかける権限や調査能力、立ち入り権限、そういうものを持たせないことには、やはり書面だけというふうに、動かない食品安全委員会、そういう形容で申し上げたらよろしいのでしょうか、外に出ない食品安全委員会といいますか、そういうふうにも見えるんですけれども、その辺などはいかがでいらっしゃいますでしょうか。
谷垣国務大臣 国民といいますか事業者といいますか、関係するところに直接入っていって、立入検査とか、資料を出さない場合には集めてくるというような、いわば強制的な権限を委員会に持たせよ、持たせたらどうかという御趣旨かと思いますけれども、これは、国の法律の立て方として、ある権利を国民というか民間に与えたり何かする場合には逆にそういう強制権限を持つという立て方がございますけれども、この委員会の場合には科学的に評価をするというのが主たる任務でありまして、そこで事業者に何か恩典を与えるというようなことがありませんので、その反面として強制権限を持つというような立て方も難しいわけであります。
 そこで今のような立て方になっておりまして、必要があれば予算措置等で民間に発注をしたりすることができるということになっておりますし、逆に、リスク管理を行う機関は、ある意味で、それはこの法律ではなくそれぞれの個別の法律ですけれども、強制的権限をお持ちの場合もありますから、そういうところを通じたデータをできるだけ我々は活用しようという形でこの法律はでき上がっているわけであります。
北川委員 前回も、犯罪被害者といいますか、犯罪というふうにその被害をみなせるかどうかというところでの議論もさせていただいたと思うんですけれども、やはりそういう権限というものがない限りは、なかなかこの担保というものは難しいのではないかというふうに思います。
 次の質問なんですけれども、食品安全委員会が行う影響評価の際の資料は、民間の試験データが直接安全委員会に上げられるのではなく、農林水産省や厚生労働省を経由して、そこで多少の加工をして安全委員会に上げられるのだということを確認してよろしいでしょうか。
谷垣国務大臣 関係各省を通じて、今申し上げたように、リスク管理機関から通じて出てくるということを通常の場合として想定しております。しかし、それでは足らない、不十分だ、必要があるというふうに判断した場合には、先ほどから申し上げていることですが、毒性試験等を外部に委託発注するということもございますし、それから、そのほか、任意にいろいろな資料をいろいろな方から提出された場合、そういうものがある意味で知見になってくるということもあるだろうと思います。
北川委員 今も外部というのを強調されたんですけれども、前回、やはり残留農薬安全性評価委員会や残留農薬調査会など、内部のそういう機関の運用ということにも御発言がございましたので、その辺のきっちりとした分離というとこら辺を踏まえて、ぜひこれから運営の方をよろしくお願いをしたいと思います。
 次にそれがかかってくるんですけれども、次の質問は、このような影響評価の手法は、農水省や厚労省が審議会を通して行ったことと同じものだというふうに私たちは受けとめております。この違いが何であり、審議会の一部の機能を食品安全委員会と称して内閣府に移すだけのように受けとめているわけですが、どうなのか。最終御答弁をいただきたいと思います。
谷垣国務大臣 この食品安全委員会のこれから行う仕事は、従来は厚労省や農水省がやっておられたことであることは、おっしゃるとおりです。それを、一部の権限を独立させて内閣府のもとに委員会をつくろうということですが、単に移しただけじゃないか、それで何にも変わらないんじゃないかという御疑念をお持ちなんだと思いますが、それはやはり違うんですね。同じ役所の中でやっておりますのを、権限を分けて別なところに持っていきますと、縦割り行政の弊害ということが言われますが、やはりおのずからそこに緊張感が生まれてくるものだと私は思いますし、また、運営においても、そういう緊張感が出てくるものでなければ意味がないわけでございます。
 それからもう一つ、この法律で、今までと違って、今までもなかったわけではないと思いますが、いわゆるリスクコミュニケーションというものを重視していこうということで、要するに、先ほどから申しておりますような、消費者やあるいは事業者や行政にある者が、いろいろ議論をしながら意見を交換して認識を共有していく。場合によっては全然認識が一緒にならない場合もあるかもしれませんけれども、そういうプロセスを積み上げていくことが大事だという思想がございまして、やはりそれを積極的に行っていくということは、単に分離させただけじゃないか、権限をこっちに持っていっただけじゃないかという御批判を、そういう御批判は当たらないんだというためには、こっちのコミュニケーションの方をちゃんとやるということも必要だと思うんですが、そういうことを通じて、北川委員の御懸念は払拭するように運営をしていかなきゃなりませんし、されるものと思っております。
北川委員 外とのコミュニケーションのことを今言っていただいたんですが、前回も話に出したんですけれども、中のコミュニケーション、中のコミュニケーションというのは、前回、ほかの委員の方が言われていたんですが、では、答弁する行政マンは、あなた、以前はどこの所属でしたか、部署でしたかという御発言などもあったように、人事交流、人事の配置といったふうなものがどういうふうになっていくのかというところにも根本的につながるものでありますので、内部の方も緊張関係を持ったものとして、人事交流はやはり一定程度規制をするということなどもこれからの視野に入れてぜひ御検討いただきたいと思います。
 そして、次なんですけれども、安全委員会はみずから研究機関を持つわけでもなく、既存の研究機関が安全委員会に直属するわけでもないということを確認してよろしいでしょうか。
谷垣国務大臣 委員がおっしゃるように、ここが独自の研究機関を持つという体制ではありませんで、今までありました国の研究機関、それぞれのところに分かれておりますけれども、そういうものを基本的に活用しながらやっていく。もちろん、さっき申しましたように、民間等の研究機関に発注するような場合もありますけれども、そういう体制でやっていこうということです。
北川委員 次にですが、事務局職員のことでお伺いをいたしたいと思います。
 事務局職員五十四人は、厚生労働省、農林水産省を中心とした各省からの出向で、食品安全委員会が食の安全を守ることに徹する職員の独自採用はしない、できる仕組みではないということを確認してよろしいでしょうか。
谷垣国務大臣 現状では、この食品安全委員会の担当するような仕事が今まで経験のある公務員ということになりますと、おっしゃるように厚労省や農水省の人材を頼らなければならない面があることは、これは否定できないことです。でも、ほかから独自採用がないのかというと、これはそうではありませんで、それに限定することを考えているわけではありません。
 民間の人材の能力が生かされる分野、例えば、いわゆるリスクコミュニケーションを実施していくというようなのは、むしろ民間の方々の方にノウハウがあるのではないか。あるいは、科学的な文献の調査とか、消費者や事業者からの情報の収集、整理といった分野でも、役所の出身よりも民間の御出身の方の方がよくできる場合が私は多いのだろうと思うんですね。ですから、例えば技術参与といったような方を考えますと、幅広くやはり募集をする、場合によると公募というようなこともあっていいのではないかなと思います。
 ここらはまだ、私、ちょっと今公募もいいじゃないかなんて答弁しましたけれども、やはり現実にまだ検討中でございますので、そういうこともあわせて検討していったらどうかというふうにお答えさせていただきます。
北川委員 昨日確認させていただいたときは、検討というお言葉だけであって、公募は回答の中には入っていなかったので、今公募を入れていただきまして本当にありがとうございます。
 ただ、学校現場での民間校長の登用のときに、かなりの苦悩を、重圧を感じられてという出来事なども紹介されているように、やはり民間からの公募といってもなかなか簡単ではないということは、その方面からもよくわかります。やはり行政府というのは独特の雰囲気というか空気を持ったところでありますので、ぜひ本当に純粋な民間の方が自然に交流できるような公募のあり方をめぐらせていただきたいというふうに思っております。
 そして、どの委員の方もおっしゃっているんですけれども、次は、安全委員会七人のメンバーの中には消費者代表や生産者代表は入れないことを確認してよろしいのでしょうか。
谷垣国務大臣 入れないことを確認というふうに委員から御質問をいただくとは想像しておりませんでしたけれども、確かに、委員がおっしゃるように、科学的な判断を旨とするこの委員は、生産者、消費者というようなことよりも、科学的な判断をされる方を中心として人選していくということで考えております。
北川委員 きのうはそのとおりとお答えいただいていたんですけれども、ぜひ本当に、どの委員の方からも御発言がありましたので、この分野のことを積極的に御検討いただくようにお願いいたしたいと思います。
 次、第二十四条に関連してですが、安全性の基準、規格の設定、変更、改廃を行う場合、関係各大臣は食品安全委員会に意見を聞かなければならないことになっているが、基準、規格の設定、変更、改廃の作業を行うのは関係省庁だということを確認していいか。
 また、安全委員会がADIなどの基準の基礎となる安全性を評価するための基礎資料は、当該省庁が作成すると確認してよろしいでしょうか。
谷垣国務大臣 農薬の登録といった事業者からの申請による場合は申請者がデータをつくって、そのほかの場合は、食品安全委員会の意見を聞こうとする、食品安全委員会に判断してくれと意見を聞いてくる役所がデータを作成されるということだろうと思います。
 それから、先ほどおっしゃった、食品安全委員会がみずからやる場合、食品健康影響評価を自分でやる、こういう場合や申請者や関係各省からのデータでは不十分な場合など必要があると判断した場合は、先ほどから言っておりますけれども、民間に発注をしていくようなこともあり得るということであります。
北川委員 次は、食品衛生法第四条の二は、健康に無害であることの確証のない新食品の販売の禁止の規定であります。
 食品安全委員会は、禁止の評価をするのではなく、多量に摂取すれば有害なものであってもこのくらいの値であれば人が食べても安全だという値を定めるのだということを確認してよろしいでしょうか。
根本副大臣 食品安全委員会は、健康にどのような影響を与えるかというリスクを評価する機関ですから、そういうリスクを正しく評価するということであります。それに基づいてリスク管理機関が規制等をやっていただくということであります。
北川委員 リスクという言葉の概念についても多少いろいろな意見の角度が出ておりましたけれども、リスク評価も本当に、厳密に私も見ましたら、評価した結果どの程度不確実性があるのかということを明らかにすることがリスク評価だ、不確実性の評価の検討結果を明らかにすること、ここがポイントだなというふうにも思いますので、ぜひこのことは、健康食品の問題でいろいろ現実に事件も起こっておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次は、人が食べても安全な基準というとき、これは健康と命という問題にもつながるわけですけれども、人というのは具体的にどういう人を想定して基準が決められているのでしょうか。町のバリアフリーのときは、主に健康な成人男性を基準にほとんど町がつくられていることがそうではない人に負担がかかるということでバリアフリーの概念が出てきたとも言われていますが、例えば人の想定を、乳幼児なのか、妊産婦なのか、高齢者なのか、そして先ほど言いました一般成人なのか、そして多少は性別、男性、女性、そういうことも含めてなんですが、人を大体どういうふうに想定していらっしゃるのか教えてください。
根本副大臣 委員の御質問は、人には例えば子供とか、妊婦とか、高齢者やいろいろな方が含まれて、そういうものを想定しているんでしょうかという御質問だと思います。
 当然、食品健康影響評価をする場合には、人という場合には、子供とか妊婦等に関する安全性も含めて評価が行われるものと考えております。要は、個体差という概念を入れておりますので、その個体差の中に子供とかあるいは高齢者、そういう者もすべて含まれて、その十分な安全率を見込んでADIを設定するということになります。
北川委員 それはほぼ難しい。
 アスパルテームの表示とかのときにも議論になった点なんですけれども、表示の問題にもつながりますし、健康な男性を基準にするのか、そうではない形、例えば思春期ごろの男女という形にするのかでも随分違いますので、その辺の基準の制定の仕方については、ぜひこれからも議論を深めていただきたいと思います。
 食衛法第五条第一項は病肉などの販売等の禁止の規定だが、この厚労省令を制定、改廃しようとするときとはどういうときなんでしょうか。
根本副大臣 食衛法五条第一項の厚生省令を制定し、もしくは改廃しようとするときというお尋ねでありますが、これは、厚生労働大臣が、病肉などの販売などが禁止される獣畜・家禽の種類、あるいは、獣畜・家禽の疾病の種類を定める省令の制定、改廃を行う場合でありまして、例えば、新たな獣畜・家禽の疾病が発生した場合に、食品安全委員会が食品健康影響評価を行って、その結果を厚生労働大臣に通知するということになります。そして、これを受けて、厚生労働大臣は、私が申し上げたようなケースの場合に、省令の制定、改廃を判断することになるということであります。
北川委員 BSEの教訓ということになると思うんですけれども。
 次は、食衛法第六条は添加物などの販売などの禁止の規定でありますが、食品安全委員会は、人が食べても安全だという含有基準を決めることだということを確認してよろしいでしょうか。
遠藤政府参考人 食品衛生法第六条の添加物に関する規定でございますけれども、これは、添加物につきましては、原則として、その販売といいますか、食品に入っているということが禁止をされていて、人の健康を損なうおそれのない場合として指定した場合のみその禁止が解除されるということでございますので、食品安全委員会への諮問は、基準を定めるということではなくて、人の健康を損なうおそれがないかどうかというふうな観点で諮問がなされるものでございます。含有基準といったふうなものに関しては、食品衛生法の七条の方で定めることとしております。
北川委員 次は、安全基準の設定だけではなくて、危険な食品、添加物、遺伝子組み換え食品なども指しますが、禁止することも影響評価だと思うのですが、これを厚労省薬事・食品衛生審議会や農林水産省で行うことにしたのはなぜなんでしょうか。禁止を決めることは影響評価ではないのでしょうか。
根本副大臣 この食品安全委員会は人の食品健康影響評価を行う機関ですから、あくまでも健康にどのような影響を与えるかということを科学的、客観的に判断して、それをそれぞれのリスク管理機関に通知するということでありますので、あくまで委員会の方は食品健康影響評価を行うということで、あとはリスク管理機関がそれを受けて対応するということになると思います。
北川委員 では、評価機関が禁止を勧告することもあるのでしょうか。
根本副大臣 要は、健康影響評価を行って、こういうことですよということを通知するわけですね、リスク管理機関に。リスク管理機関は、それを受けてしかるべき対応をしていただく。その施策に不十分な面があるというような場合には、安全委員会から具体的にこういう施策をしなさいという勧告をすることもあり得ます。
北川委員 その際の、勧告をする際のデータがどこでつくられるのかというのはどうでしょうか。
根本副大臣 安全委員会がどういう判断をするかというところのデータは、通常は、先ほども大臣の方からも答弁していますが、それぞれのリスク管理機関からデータをいただいて、それを科学的に判断する。それから、必要な場合には、みずからそのデータを外注するなどによって調べて判断するということもあり得ます。
北川委員 では、次なんですけれども、ある食品添加物や遺伝子組み換え食品が、現段階で安全と確認されても、将来、実は危険であったと判明した場合、あるいは、現段階で設定した基準では人の健康を守るために支障があると判明した場合、全責任はみずからが影響評価を行う食品安全委員会が負うということになると解釈してよろしいでしょうか。
谷垣国務大臣 今委員がおっしゃった責任ということの意味でございますけれども、国家賠償法等をお考えになっているのであれば、だれが責任を負うのかというのは、私が決めるというよりも、裁判所が最後は決めるわけですけれども。
 今おっしゃった前提は、現在の知見を、一生懸命知見を尽くしてやって、安全だという判断を現在の段階で、した。しかし、将来、それが必ずしも十分な知見でなかったということになった場合は、恐らく過失というものが問いにくいのではないかなというふうに思います。
 それで、その判断をするに当たって、当時の知見を尽くしていなかった、そこに過失があった、故意があればもちろんそうですけれども、その責任ということになってくると思いますが、それは、その故意または過失がどこにあったかということになるんじゃないかと思いますが、余り長い間法律実務を離れております者が変な解釈論を言ってもいけませんから、最終的には裁判所が判断されることだと思います。(発言する者あり)
北川委員 そうですね。今、政治責任というお声もいただいたんですけれども、今の大臣の答弁だと、だれも責任をとらないというようにも聞こえます。
 それで、やはり行政の継続性という問題もあり、十年後か二十年後、そういう事態になったときにも、遡及してやはりその管轄であった継続の省庁が責任をとる。食品安全委員会がそのとき続いているならば、食品安全庁になっているかもわかりませんけれども、とる。そういうところまで高めていただきたいというふうに思います。
 次は、合成化学農薬や遺伝子組み換え作物・食品、食品添加物の使用を削減し……
佐々木委員長 北川君、時間が来ておりますので、簡単に。
北川委員 はい。
 有機農業を振興していくという、食の安全にとっても最も根本的なことはこの法案の対象外だということを確認してよろしいでしょうか。
谷垣国務大臣 何か、確認してよろしいかとさっきから聞かれますと、あたかも北川委員が当然そういうものは省けとおっしゃっているようなふうに聞こえるんですよね。でも、北川委員の本当のお気持ちとはちょっと違うかもしれませんが。
 この法案は食品全般を対象としておりますので、科学的評価を行って、そのもとで行政を進めていくということが眼目でありますので、今委員がおっしゃったことは、直接この法案の目的の中には入ってこないというふうに私は考えております。
北川委員 時間が参りました。
 解釈をめぐって、五年、十年という時間の経過というものがありますものですから、きょうはこういう形での質問をとらせていただきました。またよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
佐々木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 この際、本案に対し、小野晋也君外四名及び吉井英勝君から、それぞれ修正案が提出されております。
 提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。中沢健次君。
    ―――――――――――――
 食品安全基本法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
中沢委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守新党を代表して、食品安全基本法案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
 食品安全基本法案は、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進するため、食品の安全性の確保に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び食品関連事業者の責務並びに消費者の役割を明らかにするとともに、施策の策定に係る基本的な方針を定めようとするものでありますが、以下の点について、さらに充実させる必要があると考えます。
 まず、法案では、その第四条において、農林水産物の生産から食品の販売に至る流れを一連の食品供給の行程としてとらえるとともに、この中のあらゆる要素が食品の安全性に影響を及ぼすおそれがあることを踏まえ、食品の安全性の確保のための措置がこの行程の各段階において適切に講じられることを求めております。
 我が国の国民が食する食料の少なからぬ量が輸入であり、また、BSEの発生原因が海外からの輸入肉骨粉である可能性が否定できないことなどから、国産・輸入品を問わず、安全性の確保措置が適切にとられるということを明らかにする必要があると考えます。
 また、今回、食品安全の分野にリスク分析手法の考え方を導入し、リスク評価を行う食品安全委員会を新たに設置することとしておりますが、リスク管理については、厚生労働省と農林水産省が担当することとなっており、縦割りの弊害の解消が十分になされるかどうかなど、法律の施行の状況について適宜検討を加え、所要の措置を講じていく必要があると考えています。
 こうしたことから、基本法案をより実のあるものとし、国民に対し安全で安心な食品等の供給がされるよう、修正案を提出した次第であります。
 修正案は、お手元に配付したとおりでございます。
 以下、その概要を申し上げます。
 第一点は、食品供給行程の各段階における適切な措置について規定する第四条等について、「食品供給の行程」を「国の内外における食品供給の行程」に改め、国産・輸入品を問わず、安全性の確保措置が適切にとられるべきことを法文に明記することとしております。
 第二点は、政府は、食品の安全性の確保を図るための諸施策に関する国際的動向その他の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとする規定を附則に新たに設けることとしております。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようにお願いを申し上げます。(拍手)
佐々木委員長 次に、吉井英勝君。
    ―――――――――――――
 食品安全基本法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
吉井委員 私は、ただいま議題となっております食品安全基本法案に対する日本共産党の修正案の趣旨を説明いたします。
 修正案は、今お手元に配付いたしております案文のとおりでございます。
 政府提出法案は、食品の安全性を確保する上で、リスク評価手法の導入、食品安全委員会の設置など、改善的な措置が盛り込まれています。
 しかし、消費者の権利、輸入食品の安全性確保、食品安全委員会が専らリスク評価に限定されているなど、不十分な点もあります。本修正案は政府案の不十分な点を是正する立場から提出するものであります。
 次に、修正案の概要を御説明いたします。
 第一は、食品の安全性の確保に関する消費者の権利の保障を明記するものです。
 食品の安全性確保は、消費者の合理的な選択を可能にする十分な情報の提供を行うとともに、食品の安全性確保に関する施策策定への消費者の参画の機会を保障することにより、消費者が積極的に安全な食生活の実現を図ることができるようにすることを旨として行わなければならないものといたします。
 第二は、食品安全委員会を、専らリスク審査を行う機関から、食品安全行政全体について勧告や意見ができるように権限を拡充し、消費者代表が委員に参加できるようにいたします。
 第三は、リスク評価による科学的手法によっても科学的評価が未確定な物質について、評価が確定するまで使用を中止する予防原則を規定します。
 第四は、食品の安全性確保の施策策定に当たっての補強についてです。
 その一は、食品等の輸入の状況及び国民の食生活に及ぼす影響にかんがみ、輸入される食品等の安全性を確保するための体制の強化などを講じることです。
 その二は、中小企業者及び中小規模の農林水産業者などの食品関連事業者への必要な資金あっせん、技術的な助言など、特別の配慮がなされなければならないことです。
 その三は、有機農業など環境と調和のとれた農業生産を推進することです。
 以上が、日本共産党の修正案の提案理由及びその概要でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同を賜らんことをお願いし、修正案の趣旨説明を終わります。
佐々木委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤和良君。
遠藤(和)委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守新党を代表いたしまして、ただいま議題となりました自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守新党の五党提出の共同修正案及び修正部分を除く政府原案に賛成の立場から討論を行います。
 国民の食生活を取り巻く環境が大きく変化する中で、一昨年のBSEの発生を初めとしまして、食品の安全にかかわる問題が相次いで発生し、食品の安全性の確保に対する国民の関心は、従来にも増して高まっております。
 こうした中で、食品の安全性の確保を国民の目に見える形で築いていくためには、共通の理念や方針に基づき、関係施策を総合的、統一的に実施していくとともに、わけても、今や世界的な潮流となっているリスク分析手法を導入していくことが重要となっています。
 食品安全基本法案は、こうした問題意識に立って、食品の安全性の確保に関し、基本理念を確立し、関係者の責務や役割を明らかにするとともに、施策の策定に係る基本的な方針を定めることにより、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進しようというものであります。
 また、その一環として、食品安全行政にリスク分析手法を導入するとともに、リスク管理機関から独立してリスク評価等を行う機関として、内閣府に食品安全委員会を設置するものであります。
 このように、食品安全基本法案は、食品の安全性の確保という重要な政策分野における我が国初の基本法となるものであり、国民が日々口にする食品の安全性を確保していく上で、大変意義のあるものと考えるものであります。
 次に、五党提出の修正案は、「食品供給の行程」を「国の内外における食品供給の行程」に改めるとともに、法律の施行状況について適宜検討を加え、必要に応じて所要の措置を講ずるべき旨を定めるものであります。
 これらの修正は、国産・輸入品を問わず、適切な措置を講じることの重要性を明確にするとともに、法の制定に安住することなく、その施行状況を注視し、必要な検討を加えていこうというものであり、適切かつ妥当なものと考えます。
 以上の理由により、修正案に賛成の意を表するものであり、さきに述べた修正部分を除く政府原案とあわせ、一日も早くこの法案が成立し、食品安全委員会が早期に設立されるとともに、国民の健康の保護を最優先とする食品安全行政が確立されることを強く希望します。
 以上、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守新党を代表しての討論を終わります。(拍手)
佐々木委員長 次に、北川れん子君。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。
 私は、提案されている食品安全基本法案並びに両修正案に反対する立場で討論を行います。
 まず、その前に、食の安全、安心を確立するためにかかわってこられた多くの皆様方のこれまでの御努力に対し、心から敬意をあらわすものであります。
 社民党は、この間の審議を通して、食品安全基本法案の問題点を明らかにしてきました。しかし、なお幾つかの懸念が解消されないまま残りました。消費者、国民の権利、参加する権利の明記がなく、地方自治体へ責任を押しつけている形となっています。
 この法案に反対する第一の理由は、設置される食品安全委員会が、果たして、言われるように独立性を担保されたものになるのでしょうか、懸念が残るからであります。
 食品安全委員会は「自ら食品健康影響評価を行う」と、わざわざ「自ら」という形容までつけ加えられているのですが、果たして、安全委員会はみずから主体的に影響評価を行えるシステムづくりをすることになるのでしょうか。審議過程を聞いていると、そのようなシステムになっていくとは思えません。この法案が成立してから数年後、行政府の皆さんが、この「自ら」という表現を具体化し、消費者、国民の前で積極的に説明されるのを心底期待しております。
 第二の理由は、食の安全というからには、やはり自然の摂理を大切にした生産現場の推進、拡大を国が方針として打ち出すべきだと考えるからです。
 もちろん、この法案がそのような趣旨に重きを置いたものでないと言われるのかもしれませんが、消費者の最も懸念している合成化学農薬や、遺伝子組み換え作物、食品添加物などを削減していく方向くらいは明記できたと確信します。この機会を逃せば、食と農システムの根本問題は社会に提起されず、食と農システムの見直しの好機を逃したこととなり、とても残念であります。
 第三の理由は、行政が消費者や生産者と連携して食の安全を確立していくという視点を法案に盛り込むべきだと考えるからです。
 厚労省や農水省の認可していない遺伝子組み換え作物トウモロコシ、スターリンクが日常食品に混入していることを最初に検査し、発表したのは、消費者団体でした。残念ながら、行政ではなかったのです。食の安全確保は、政府も認めているように、行政府だけではできません。消費者団体や生産者団体と連携し、食の安全についての情報や予防措置対策などを盛り込み、幅広く意見を求め、国の施策に反映していくべきだと考えます。
 以上、この法案が所期の目的を果たすことを期待しながら、私の反対討論を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
佐々木委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、食品安全基本法案及びこれに対する両修正案について採決いたします。
 まず、吉井英勝君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
佐々木委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、小野晋也君外四名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
佐々木委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
佐々木委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、小野晋也君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。小野晋也君。
小野委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守新党の各会派を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    食品安全基本法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、食品の安全性の確保に万全を期するよう、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。
 一 いわゆるリスクコミュニケーションの実施に当たっては、施策の策定の基礎となる資料についても幅広く公表し、関係者相互間の情報及び意見の交換が建設的に行われることとなるよう、十分に配慮するものとすること。
 二 いわゆるトレーサビリティ・システムについて、食品の生産・流通の実態を踏まえつつ、技術的、経済的等の観点から、調査・研究を進めるとともに、食品の生産・流通過程の追跡・遡及ができるよう、その推進を図るものとすること。
 三 食品の安全性の確保に関する規制については、より効率的かつ実効性のある規制とするよう努めること。
 四 食品安全委員会は、運営の透明性の確保や国民への情報提供の観点から、会議を原則として公開とするとともに、業務の実施状況に関し機動的かつ柔軟に報告書等を取りまとめ、公表するものとすること。
 五 食品安全委員会に設置される予定の企画及びリスクコミュニケーションに関する専門調査会には、消費者の意見を代表する者が参加できるようにすること。
 六 食品安全委員会が行う食品健康影響評価に係る年間計画の作成に当たっては、消費者、食品関連事業者等の意見に十分配慮すること。
以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
佐々木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
佐々木委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。谷垣国務大臣。
谷垣国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法案の実施に努めてまいりたいと考えております。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
佐々木委員長 次に、内閣提出、自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。谷垣国家公安委員会委員長。
    ―――――――――――――
 自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
谷垣国務大臣 ただいま議題となりました自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、特殊法人等改革基本法に基づき平成十三年十二月に策定された特殊法人等整理合理化計画の実施の一環として、自動車安全運転センターを民間法人化するため、政府の出資、役員の選任等に係る政府の関与の縮小等について所要の改正を行うものであります。
 次に、この法律案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一は、自動車安全運転センターに対する政府の関与を最小限とするための措置を講ずるものであります。
 その一は、自動車安全運転センターに対する政府の出資に関する規定を廃止するものであります。
 その二は、役員の選任方法につきまして、自動車安全運転センターの自主性を尊重するため、国家公安委員会による理事長及び監事の任命制を認可制に改めるものであります。
 その三は、国家公安委員会による資金計画の認可制及び財務諸表の承認制を廃止するなど、自動車安全運転センターへの政府の関与を最小限とするための改正を行うものであります。
 第二は、運転免許を受けた者で自動車の運転に関し高度の技能及び知識を必要とする業務に従事するもの等に対する研修を第一の業務と位置づけるなど、自動車安全運転センターが行う各業務の位置づけを見直すものであります。
 その他所要の規定の整備を行うことといたしております。
 なお、この法律は、平成十五年十月一日から施行することといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
佐々木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十分散会


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