第2号 平成16年2月26日(木曜日)
平成十六年二月二十六日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 山本 公一君
理事 今津 寛君 理事 大村 秀章君
理事 河本 三郎君 理事 山本 拓君
理事 宇佐美 登君 理事 鎌田さゆり君
理事 中山 義活君 理事 大口 善徳君
岩屋 毅君 江崎洋一郎君
河井 克行君 西川 公也君
西村 康稔君 葉梨 康弘君
早川 忠孝君 平田 耕一君
平沼 赳夫君 宮腰 光寛君
村上誠一郎君 石毛えい子君
泉 健太君 市村浩一郎君
大畠 章宏君 島田 久君
原口 一博君 山内おさむ君
横路 孝弘君 太田 昭宏君
吉井 英勝君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官)
(男女共同参画担当) 福田 康夫君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(青少年育成及び少子化対策担当)
(食品安全担当) 小野 清子君
国務大臣
(個人情報保護担当)
(科学技術政策担当) 茂木 敏充君
国務大臣
(経済財政政策担当) 竹中 平蔵君
国務大臣
(規制改革担当)
(産業再生機構担当) 金子 一義君
内閣府副大臣 伊藤 達也君
内閣府副大臣 佐藤 剛男君
内閣府副大臣 中島 眞人君
内閣府大臣政務官 西川 公也君
内閣府大臣政務官 宮腰 光寛君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 西 達男君
政府参考人
(司法制度改革推進本部事務局次長) 古口 章君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 土肥原 洋君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 幸秀君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 山本信一郎君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 名取はにわ君
政府参考人
(内閣府国民生活局長) 永谷 安賢君
政府参考人
(内閣府原子力安全委員会事務局長) 広瀬 研吉君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 吉村 博人君
政府参考人
(警察庁長官官房総括審議官) 安藤 隆春君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 伊藤 哲朗君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 栗本 英雄君
政府参考人
(外務省大臣官房領事移住部長) 鹿取 克章君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 樋口 修資君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 高塩 至君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 小田 公彦君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 坂田 東一君
政府参考人
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 伍藤 忠春君
政府参考人
(特許庁総務部長) 迎 陽一君
内閣委員会専門員 小菅 修一君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
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○山本委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官西達男君、司法制度改革推進本部事務局次長古口章君、内閣府大臣官房審議官土肥原洋君、内閣府政策統括官林幸秀君、内閣府政策統括官山本信一郎君、内閣府男女共同参画局長名取はにわ君、内閣府国民生活局長永谷安賢君、内閣府原子力安全委員会事務局長広瀬研吉君、警察庁長官官房長吉村博人君、警察庁長官官房総括審議官安藤隆春君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、警察庁刑事局長栗本英雄君、外務省大臣官房領事移住部長鹿取克章君、文部科学省大臣官房審議官樋口修資君、文部科学省大臣官房審議官高塩至君、文部科学省大臣官房審議官小田公彦君、文部科学省研究開発局長坂田東一君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君及び特許庁総務部長迎陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
○大畠委員 おはようございます。民主党の大畠章宏でございます。
いよいよ内閣委員会も本格的な審議をきょうからスタートするということで、さきの大臣所信、小泉政権を支える重要な閣僚の皆さん五人の方に御出席いただいて、所信をお伺いさせていただきました。これから、この通常国会の中で皆さんからお話があった所信をベースに、激論といいますか、議論を重ねなければならないわけでありますけれども、最初に、この五人の皆さんの所信に対して、これから私たちが考えなければならないこと、あるいは、どういうことが問題で、どういうことがこれからの未来を切り開くベースになるのか、そういうことを議論しながら、これからの日本のあるべき国家像というものを論じてまいりたいと考えるところであります。
そこで、最初に福田官房長官にお伺いするわけでありますが、非常に重要な段階を今日本が迎えています。中国におきまして現在六カ国協議が行われているわけでありますけれども、このことについて官房長官の基本的な御認識をお伺いしたいと思うんです。
特に、日本国民が注目をしておりますのは北朝鮮の問題でございまして、北朝鮮の核開発あるいは核兵器保有疑惑、こういうものが我が国の安全保障にとって大変重要な脅威となり、そしてまた、六者協議や日朝二カ国間協議などを通じて、核開発の放棄とあらゆる核の廃絶を断固目指さなければならないというのは同じだと思うのであります。
さらに、重大な国家の主権侵害であり、そしてまた、私たちとしても看過できない犯罪でもある拉致問題については、現在解決されていない状況となっておりまして、時間の経過とともに被害が拡大することを認識し、帰国された拉致被害者五名の家族八名全員の早期帰国と、残る十名の真相究明はもとより、北朝鮮に拉致された疑いがあり、政府が公式に認定していない拉致被害者の全容解明と救出がされなければならないと私自身も考えるところであります。
この問題について、官房長官の基本的な御認識をまずお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 ただいま北京でもって、六者協議、北朝鮮関係国五カ国並びに北朝鮮が集まりまして協議をしている最中でございます。そういう中で、今委員御指摘の拉致の問題も取り上げられておるところでございます。
これは、北朝鮮につきましては、この地域の安全を脅かす核の問題という極めて重大な案件を抱えているわけでございますけれども、我が国といたしましては、この問題とあわせて拉致の問題、これはもう基本的に極めて重大視しなければいけない、そういう課題であり、これをなるべく早く解決したい、こういうふうな思いでおるわけでございます。そのために、一昨年、小泉総理がピョンヤンに参りまして、日朝平壌宣言というもの、これに署名をした、こういう経過がございます。
この宣言によりまして、拉致の問題も早急に解決される、こういうふうに思ったのでありますけれども、五人の方々はお帰りになった、しかし、そのお子さん方がまだ帰っていない、こういう状況にあるということでございます。もうそのときから一年半以上経過したわけでございますけれども、いまだに解決をしていないということであります。極めて遺憾なことだというように思っておりますので、我が国としては、北朝鮮に何度も要求をし、抗議をしてまいったところでございますけれども、今、六者協議が行われる、そういう中でもって、この六者協議が解決のきっかけになればいいなというようには今思っているところでございます。
この拉致問題、これはあらゆる機会をとらえまして、一刻も早く、一日も早く解決をしたい、こういう思いでございます。その際、当面、五人の被害者の方の御家族の速やかな帰国、これは今八人というふうに言われておりますけれども、その実現を図る、これはもう最優先課題でございます。これを行うことによって、国交正常化交渉の再開、そういう道筋を立てていかなければいけないということでございます。
また、安否未確認の十人を含む方々に関する情報提供の要求、これも引き続き当然のことながら求めていく、そういう姿勢は少しも変わっていないということであり、また、政府におきましてこれまでに拉致容疑事案と判断しております十件十五名以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できないという事実がある、そういう可能性も考えて鋭意所要の捜査や調査を進めておる、こういうことでございます。
こういうような基本的な考え方に基づきまして、この拉致問題の解決に向け、政府一体となって取り組みを進めてきたわけでございますけれども、引き続き積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○大畠委員 詳細な論議はまたこれからの国会の中でやるとしても、どうも、政府はイラク問題については非常に強力に行動を起こしているわけでありますが、この北朝鮮の拉致問題に対しては、何かちょっと、一生懸命関係者が努力している姿は見えるわけでありますけれども、いま一つ、政府の方のこの拉致問題に対する熱意といいますか、そういうものが少し薄らいでいるんじゃないかと懸念する声も国民の中にはありますので、今官房長官がお話しされましたけれども、そうではない、私たちも全力でこの問題について取り組むということについてぜひお話をいただきたいと思います。では、もう一度。
○福田国務大臣 政府の熱意が薄らいできているんじゃないかとかいうお話、これは全くそういうことではありません。
それは、北朝鮮と交渉しなければいけないことである。北朝鮮がどういう考え方をしているか、これによって決まる部分がかなり大きいというように思っております。というか、もうほとんど北朝鮮の手の中にある問題だというふうに思っております。北朝鮮が判断すれば一瞬に解決する問題だというように思っております。それほど北朝鮮にとって大事なことなのかどうかというふうに考えますと、私は北朝鮮が今こういうような態度をとっているということは非常に不可解であるというふうにも思います。
ただ、経過的に見ますと、平壌宣言がありました後に、日本国内の反応は、反響と申しますか、反発というか、これは非常に強かったということで、北朝鮮も一瞬たじろいだような雰囲気がございました。しかし、その後、昨年の夏前から六者協議の話が出てきましたね。これはもう、国際社会が北朝鮮をこれからどう扱っていくか、こういうようなことであり、これは北朝鮮の命運を左右するというように考えた可能性もあるわけでございまして、そういう経過の中で、この拉致問題が、六者協議に重点を北朝鮮が置いて、そしてその中で解決しようというふうに考えたかもしれません。これはあくまでも憶測でありますけれどもね。そういう中で、この拉致のことについて反応が非常に弱くなってしまった、そういうことはあります。
ですから、この六者協議に今私どもも非常に注視しておるのは、この六者協議の進展の中で拉致の問題も解決される可能性は極めて強い、今の段階にありましてはそういうふうに考えざるを得ないんではなかろうかというふうに思いますけれども、しかし、これはあくまでも北朝鮮が考えることで、憶測のことでございます。
我が国としては、そういう考え方と別に、人道の問題ですから、一刻も早く帰してほしいということを絶えず要求し続けてきているというのが現状でございます。
○大畠委員 今のお話はそれでわかりますが、中国と北朝鮮との関係というのは非常に密接だというのは御存じのとおりでありますが、もしもそういう考えであれば、中国を刺激するような行動を日本のトップが、総理がやるというのは、どうもそこら辺がわからないんです。日本と中国との経済問題、あるいは中国と北朝鮮との問題、あるいは日本と北朝鮮との問題、総合的にこれはリンクしているわけですから、そういう意味では、どうもいま一つ、本当に頭の中にそういうふうなものがあるのかどうか、そういうことから先ほどのお話になったわけですが、この問題はまた別なときにお話しさせていただきます。
いずれにしても、今冒頭に官房長官がお話しされましたように、ぜひそういう基本的な方針で全力で取り組んでいただきたいということを申し上げさせていただきます。
次に、国内のテロ対策についてお伺いするわけでありますが、小泉政権がイラク問題について強行採決まで繰り出して自衛隊のイラク派遣を決定しました。
この過程について、いろいろ私自身も委員会等の審議を見させていただきましたが、まず結論ありきの議論のむなしさというのを非常に覚えるんですね。そして結局、答えに窮すると、もう十分に私たちは説明している、理解できないのはいわゆる見解の相違ですと、ばさっと切ってしまうんです。こういう姿勢がいま一つ国民の皆さんの間にも、本当に政府は国民に対して十分説明して、そして決断しようとしているのか、どうもそこら辺が疑わしいというような声が出てきているんですね。
いずれにしても、この状況下で、私たち民主党は現在のような国際情勢下での自衛隊派遣には反対いたしました。しかし、政府がこれだけの決断を持ったということは、いろいろな、あらゆるリスクというものを覚悟を持ってこの決断を行ったものと推測するところであります。特に国内対策についてお伺いするのでありますけれども、国内の特に大都市部、あるいは原子力発電所、あるいは新幹線等々のところに致命的なテロ行為が行われた場合の対策というものを、当然ながら十分備えてこの決断をされたと思いますが、この国内テロ対策に対してどのような姿勢で今指示をされているのか、お伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 我が国におきまして今テロが発生するというような具体的な情報、これは現時点において把握いたしておりません。そのぐらい逆に言えば細かく慎重に対応しておる、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
ただ、テロでございますから、全く見えないところで準備をしてという、そういう可能性はないわけではないんで、全くありませんというように断言できるものでないということは、これはもう委員もよく御承知のことだと思います。
これまでもテロのいろいろな情報などもございます。その時々、これは今に始まったことではない、もう随分前からこういう問題については真剣な取り組みをいたしておりまして、例えば原子力発電所とか、新幹線も含める公共交通機関、それから出入国管理、ハイジャック対策、それからNBC、特にバイオケミカルとかそういったようなテロ対策、こういうような国内警戒措置を、これは十分警戒強化をしている、こういう状況にございます。
今後も、テロ関連情報の収集・分析、情報収集・分析というのは極めて大事なものでございますので、この収集・分析に努めて、情勢に応じて警戒を強化するとかいったようなこともしておりまして、国民の安全確保、これがもう一番大事なことでございますので、このことに鋭意今後も心がけてまいりたいと思っております。
○大畠委員 私たち日本人は、どうも安全というものに非常になれてしまって、非常に無防備なところもございます。したがって、これからそういう脅威に対して地域社会がどう備えたらいいのか、非常に難しいところもあるんです。日本の社会システム全体がそういう状況もあり得るかもしれないという前提に立って対応するためには、非常に膨大な予算等もかかるんですね。しかし、それは、今の政府の方で踏み出した方針を考えれば、当然やっていかなければならない話であります。モスクワの地下の爆弾テロもございましたね。ロシアはイラクには兵は派遣していないわけでありますけれども、そういう意味では、日本としても、今官房長官お話しされましたけれども、十分な対策というものをとっていただきたいということも申し上げさせていただきます。
それから、今度は、官房長官の所信の中にもありましたが、知的財産権の問題であります。
現在、日本の特許の取得件数はドイツを抜いて第二位になったという報道がございました。これはまさに、これからの日本が生きていく上でこの知的財産というのはまことに重要であるということは、官房長官も御認識のとおりでありますが、私たち民主党としても、いち早く、知財立国こそ最も重要な二十一世紀の日本の国家戦略であるとの提言をまとめて、そして、知的財産の創造、保護、活用の三分野にわたり多様な立法化の動きを加速させたいと考えていたところであります。
現在の日本における産業、経済における知的財産権は、今申し上げましたようにまことに重要な位置づけになっておるんですが、残念ながら、茂木大臣もおられますけれども、非常におくれおくれになったことは事実なんですね。しかし、やっと最近政府の方が、この知的財産について抜本的な体制強化を図ろうという動きは評価をするところであります。
アメリカが、レーガン大統領時代、一九八三年に、ヤング・リポート、いわゆるヒューレット・パッカード社の社長のヤングさんを委員長として産業競争力委員会でまとめたリポートに基づいて、大胆に行動をし、そして特許裁判所までつくって、日本を非常に、産業界が攻撃を受けてしまったわけでありますけれども、いずれにしても、今政府が動き始めたということは、遅かったとはいいながらも、一つの方向性は私は合っていると思うんですね。
そこで、日本の知的財産戦略に関して基本的な御認識を、所信の中にも一部述べておられましたが、官房長官としてこの知的財産権の戦略問題についてどういう認識を持っておられるのか。それから、今、特許庁が審査順番待ち期間ゼロ作戦というのをやっているわけですが、これは非常に重要なことなんだと思います。こういうことも含めて、どう考えておられるのか。
さらには、発明者に対する対価として二百億円の支払い命令を会社側に出した裁判事例等があるんですが、発明者に対する相当の対価とは一体何か、このことを少し明確にしないと、非常にこの問題をめぐって争い事が起こって、決していいことじゃないと思うんです。したがって、何かの基準というものを明らかにすることが必要であります。
また、知的財産高等裁判所の設置というのも考えておられるそうでありますが、通常の裁判所と違って、技術的な知識あるいは国際感覚を持つ、したがって、通常の裁判所の裁判官とは異なる経験や知識というものが私はこの裁判所の裁判官にも必要だと思います。こういう裁判官の育成というものもあわせてやらないと、仕組みだけつくってもなかなか実効が上がらないと思うんですが、こういうことも含めて、官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 御指摘のとおり、知的財産戦略と申しますか、知的財産の保護とかそういうものも含めまして、我が国、ちょっとおくれたな、こういう取り組みがおくれたな、こういうふうな感じがいたしておりまして、実は、昨年の三月に、このおくれを取り戻すべく、小泉総理の提唱によりまして内閣に知的財産戦略本部というものを設置いたしました。昨年七月には知的財産推進計画を取りまとめまして、迅速かつ集中的に知的財産戦略の策定に取り組んでまいったという経緯がございます。
今いろいろ御指摘ございましたけれども、これまでにどういうことをやってきたかと申しますと、知的財産高等裁判所の創設、また特許審査迅速化法案の作成、それから模倣品対策のための水際規制の充実、こういうようなことでございまして、政府一体となって具体的施策の抜本的強化を図るということで、これは第一段階の取り組みでございます。
また、裁判官の育成、知的財産に精通した裁判官を育成するということ、これも重要でございますので、裁判所におきましてそのための方策がとられるというように考えております。
また、従業員の行った職務発明の対価の問題、この対応につきましても、特許法の改正法案を既に国会に提出いたしております。
政府としては、この知財問題に関する第二弾の推進計画と言えるものをこれから打ち出していこうというように考えておりまして、今後とも、スピードを重視して、知的財産立国の実現に向けて戦略推進に努めてまいりたいと思っております。
○大畠委員 私自身も反省するところでありますが、いわゆる企業の、どういう状況にあるのかという、非常に厳しい特許戦争が行われている状況でありますが、これに対する現実認識というのがどうも政治家は薄いんじゃないかという指摘も受けたところでありますけれども、ぜひ官房長官がお話しのような形で、日本の中核に、知的財産戦略といいますか、そういうものが位置づけられるように、さらに努力をしていただきたいということを申し上げさせていただきます。
また、相当の対価の問題、あるいは知的財産高等裁判所の内容については、別な場でまた御質問させていただきますが、ぜひそういう混乱が起こらないように進めていただくようお願いしたいと思います。
その次に、世界平和に関する御質問をさせていただきますが、小泉総理のどうも御認識というのが、私自身もいろいろやりとりを聞いていましてよくわからないところもあるんですが、これから日本という国はどういう形で世界の平和を維持しようとしているのか、そこら辺の基本的な哲学や理念というのが私自身よく見えないんです。
先ほども申し上げましたように、小泉総理は、いろいろと議論をして答えに窮すると、いや、もう私は十分に答えているんだけれども、皆さんが理解してもらえないだけだという論評で、結局見解の相違ですねというので終わっちゃうんですが、これでは疑問を持つ国民が理解できないんですね。
そこのところをカバーする官房長官として、官房長官は記者会見でも非常に懇切丁寧に答えておられますから、官房長官ならばわかりやすく答えていただけるんだと思うんですが、今回、日本は北朝鮮との関係があるからアメリカの支援を受けなきゃならない、したがってアメリカの行動については無条件で支援しなきゃならない、一般の受けとめ方は、そんな形で思っているんですね。したがって、結論ありきの形でどんどん持っていくから、理論的な矛盾があると、私は説明しているのにあなた方がわからないだけでしょうというので、見解の相違ですで終わっちゃうんですね。
だから、果たして、これからの日本の方針として、アメリカの行動については無条件で、例えば自衛隊の問題であれば、イラクであろうがどこだろうがアメリカの要請があれば行く、そういう形にかじを切ったのかどうか。ここら辺、官房長官の御所見を伺いたいと思います。
○福田国務大臣 総理が質問に対して十分答えていないじゃないか、こういうお話でございましたけれども、私は必ずしもそうじゃないんだろうというふうに思っています。やっぱり、聞いてくださる方も聞く耳を持つという必要性もあるんじゃないかと思うんですよ。全く違う立場で、いつも必ずすべて反対するんだ、そういうふうなお考えだったら、これはなかなかお互いに会話は成立しないというように思っております。お互いの問題だと思って、相互の問題というように理解をしているところでございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
日本はアメリカの言いなりになっているのではないか、そういうことをおっしゃいましたけれども、これは御認識が大分違うんじゃないかな、こう思っております。よく、日米一辺倒とか、それから、最近は国連を無視しているんじゃないかとか、こういうふうなお話ございますけれども、日米一辺倒というのは、これは冷戦の時代にそういうことはあったと思います。それはもう、そういうことでなければ日本の安全保障は全く維持できない、こういうことでございますね。
しかし、冷戦構造が十数年前になくなったというか、そういう状況じゃなくなってきたというその以後につきましては、これは私は、日本は日本としての考え方、アジアの一角に位置します我が国の地勢的な問題も含めて、日本の主体性、自主性、そういうものは随分発揮できるようになってきた、また発揮するように努力をしてきた、それが今の日本の状況だと思います。
アメリカの言いなりというお話は、それはそうじゃないんです。例えば、昨年の秋ですか、ブッシュ大統領が訪日をされました。そのときも、むしろ、ブッシュ大統領に、もっと国連を重視しなければいけないんじゃないかということをかなり強く小泉総理からお話をされたという経緯もございます。また、アメリカの要人が来られたときに、そういうお話を再三されるということもございまして、アメリカもそういう小泉総理の発言に対しては耳を傾けるという姿勢をとっていました。しかし、アメリカはアメリカのやり方があって、なかなかかじを切ることはできない。しかし、ようやくそういう方向に今なりつつあるのではないかなというふうに私どもは観測をいたしております。
そういう時期に、アナン国連事務総長が来られたわけでございまして、アナン事務総長も、まさにそういうようなことを指摘されていらっしゃいました。国会演説でも言われておったんですけれども、日本のイラク復興に対する協力、これを高く評価していただきました。国連事務総長の言われるように、いろいろな過去の経緯はあったかもしれないけれども、しかし今は、イラクの復興、これに全力を挙げることが、中東地域のことだけでなく、国際社会全体のためにとっていいことなんだということを言っておられましたね。
私どもは、小泉総理が昨年秋からずっと言ってきた、それ以前からこのことについては指摘してきましたけれども、そういうことが今だんだんと実りつつあるんではなかろうかなというように思っておりますので、日米中心、それと国連中心主義、この二つが、ばらばらになってまとまっていないというものが一本化してくる可能性があるんではなかろうか。また、そういうような方向に我が国としても外交努力を重ねていくということは大事なんだ。そういう観点から、ドイツ、フランスに対しましても、国際協調をとってイラクの復興に協力し合おうじゃないかという呼びかけも二月の早々にしているわけですね。
そういったような一連の外交活動もして、日本のプレゼンスというものはかなり大きくなっているんではなかろうか。また同時に、発言権も十分に確保している、このように思っております。それは、資金的な協力もする、そして復興支援に自衛隊も派遣する。それも、国内でいろいろな意見もあった、そういう中で派遣することを決断したということについての国際社会の評価というのは極めて大きいものだというように思っております。そこで、そういう基盤の上に立って、しっかりとした外交をこれから進めていくということが大事なんだろうというふうに思っております。
○大畠委員 やはり、小泉政権の支持率の七割ぐらいは官房長官がカバーしているんじゃないかという感じがするんですね。非常に記者会見等でも一生懸命頑張っていますしね。
だから、今のような話でやれば、いや私は十分に話しているんです、しかしあなたが聞く耳を持たないからだ、見解の相違ですというので、あれでぱしっと切っちゃうのは、要するに代議士に対する冒涜ですよ、あれは。各選挙区でみんな選挙して、支持して、当選してきたんですよ。それから、民主党だって二千二百万票、票をいただいているわけですね。それを代表して質問している人に対して、いや、見解の相違です、もう十分話しているのにわからないのはあなたの方が問題なんだという、そんな高飛車な姿勢というのは私はやはり反省してもらいたいと思う。
相手がそうだとしても、一生懸命わかってもらおうという努力をする姿勢を、官房長官の方から小泉総理を指導してもらって、もうちょっと国民にきちっと理解できるような言葉で話しなさいとぜひ言っておいてくださいよ。よろしくお願いします。
さて、次に、国家公安委員長にお伺いしたいと考えるところでありますが、今、地域社会では何が話題かというと、治安問題なんですね。とにかく、だれさんちでも泥棒に入られたとか、だれさんの本屋さんは万引きがあって、もう成り立たないからやめるんだとか、社会の治安の乱れというのはひどいですね。何でこんな日本になっちゃったんだろうか。
けさの新聞にもちょっと出ていましたけれども、ある投書欄といいますか、万引きは犯罪ですという張り紙がある、痴漢も犯罪ですという張り紙がある、当たり前のことが何で張り紙しなきゃならないんだと。ここまで社会的に非常に乱れているという指摘がございましたけれども、その一方で、警察の乱れというのも大きいんですね。
国家公安委員長になる前の話でもございますけれども、かつて雪見酒事件というのがございまして、国民から大変な非難を浴びました。あの問題等々を見ましても、それから警察はどういう反省をし、そしてまた対応を新たにしたのかというのがちょっとまだ私自身もわからないところですが、そこら辺をお伺いしたいと思うんです。
まず最初に、申し上げた順番と違って申しわけないと思うんですが、警察の不祥事事件に対する具体的な対応策というのは、前回の雪見酒事件、いわゆる警察を監査する側と監査を受ける側が、監査があった日の夕方、お互いにお酒を飲んでマージャンをやって、そのときに事件が起こって、この問題は非常に大きく取り上げられましたね。
国家公安委員会というのは何なんだという指摘もございます。本当に、十分警察を管理できるというのは国家公安委員会だけなんですね。私も、ホームページでこの国家公安委員会の活動等々を見させていただきました。毎週一回約二時間ほど委員会を開いて論議をし、どんな論議をしているかというのもこのホームページの中で全部出ていて、議事録も読ませていただきました。熱心に論議されていることは事実なんでしょう。しかし、どうもいま一つ、警察の不祥事というのがなかなか後を絶たない。
国民からすれば国家公安委員会だけが頼りなのかもしれないんですね。だから、国家公安委員長として、どういう態勢で国民の警察不信にこたえようとされているのか、お伺いしたいと思います。
○小野国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
最近の警察官の不詳事件に対する具体的な方策はいかがかということ、その点からまず入らせていただきますけれども、懲戒処分者数につきましては、平成十四年度五百六十八名であったものが、平成十五年には四百三十三人と、幾分人数は少なくはなりましたけれども、これだけの人間が懲戒処分を受けているという現状でございます。
こうしたことにおきましては、何といいましても、監察の強化をしていかなければならないという反省が一点ございます。それから、職務倫理教養の充実をやはりしていかなければならないということ、これが一番大きな点ではないかと思います。それから、業務管理の徹底をしていかなければならないという、この三点を検討しながら推進を進めてまいりたい。
特に、業務に携わります捜査活動あるいは交通取り締まり、留置管理の非違事案につきましては、これを減少させるために、監察部門と業務主管部門が密接な連携をとりながらやっていくということ。個々の非違事案の原因をまず分析いたしまして、どのようにしたら業務管理の改善等再発防止ができるのかということを、まずみずから襟を正していかなければならない、そんなふうに考えているところでございます。
とにかく、その結果、平成十二年以降、業務にかかわる非違事案につきましては一貫して減少はしておりますけれども、残念ながらまだまだ続いているというのは先生御指摘のとおりでございます。そういった点から考えますと、今後も、おのれ自身をきちんと律していかなければならない警察官の任務というものを改めて考えていかなければならないと思います。
それから、公安委員会が形骸化しているのではないか、そういうお話でございます。
私も、管理機能の充実あるいは活性化という点に関しましては、私の場合には国家公安委員会という立場でございますけれども、会議のほかに、先生たちが本当にしょっちゅうお出かけいただいておりまして、それぞれのお部屋においてお話をされたり、それから役所の者を呼んでいろいろと勉強していただいたり、委員会におきましても、この問題はきょうにおいて結論を出すにはまだ早過ぎるという問題はそこでまた先送りをしたり、大変厳しくいろいろ御指導いただいているところでございまして、形骸化しているという言葉は当たらないのではないか、そのように考えております。
○大畠委員 けさ、NHKのニュースを見ていましたら、きょうの国家公安委員会にこういうことが報告されているんですね。監察官の聞き取り要請には応ずるように。私は耳を疑ったんですよ、これは何だろうと。監察官の聞き取り要請には応ずるように通達を出します。これはどういう意味ですか。
○吉村政府参考人 ちょっと御説明をさせていただきます。
昨日の新聞の夕刊等で出ましたあれは、県の監査委員という方がいらっしゃいます。県の監査委員です、会計の。その方々が県警等に赴いて、県の捜査費の書類等を監査していただいている。その際に、これはあくまで県警の判断でありますが、これまでは、会計検査院は別としまして、県の監査委員の方には、捜査員が県の監査委員の方と対面をしていただくというケースがございませんでした。
それについて、それではいかがなものかという議論が国会でもありましたし、それから、一週間前の国家公安委員会でも、大臣からその国会の模様等を、当日開かれておりました国家公安委員会で御紹介をいただいて、国家公安委員会で議論をされまして、国家公安委員会から警察庁に、その点について十分検討すべしという宿題がなされたわけであります。
今、鋭意検討しておりまして、きょうの国家公安委員会で私どもの考え方を、これはあくまで県警、県の問題でございますが、警察庁としての考え方を国家公安委員会に御説明をし、了承がいただければ、基本的な考え方ということで連絡をしたい、そういうものでございます。
○大畠委員 さっき私が申し上げたのは、万引きは犯罪です、痴漢も犯罪です、それと同じように当たり前のことじゃないですか。要するに、監察官の聞き取りには応ずるように。何で警察内部でそんなことを改めて指示しなきゃならないか、そういうところに問題があるんですよ。私はそんな感じがしますね。
北海道の警察の、例の道警の問題がありましたね。そこで、内部といいますか、内部の幹部が実はこうでしたと話をされて、今ちょっと話題になっていますが、この問題について、国家公安委員長、そういう内部の、いわゆる遵法的なセンスから、これは間違っているんじゃないかというのでそれを申し出た警察官、内部の人を、万全を期して保護するというのを国家公安委員長として明言してくれませんか。
○小野国務大臣 免責をしろ、こういうことなんでしょうか。
○大畠委員 いや、保護するということです。
○小野国務大臣 はい。この件に関しましては、個別の事案の対応につきましては、まず調査を尽くすということが第一点でございまして、調査を尽くした上で、個々の職員の行為の動機とかあるいは態様その他、事情を総合的に勘案をいたしました上で、処分権者が最終的な処分の判断について決定をするわけでございますから……
○大畠委員 処分じゃなくて、内部告発した人をきちっと保護してほしいという意味なんですよ。犯罪者じゃなくて。
○小野国務大臣 具体的には、保護するという意味は、その後の仕事も継続して行えるようにというふうなこともあわせてだろうと思います。
その件に関しましては、意に反する不利益処分から身分の保障がありますから、そういった点から考えますと、捜査に対して真実を述べることのみをもって不利益な対応を受けるということはないものと承知をいたしております。
○大畠委員 承知をしているというのじゃなくて、スポーツマン精神にのっとってもうちょっときちっとやってくださいよ。アウトかセーフか。
そして、遵法精神にのっとってこれはまずいんじゃないかと思って手を挙げて、勇気を持ってやるんですよ。これは勇気が必要なんです。だって、何も言わなければごちゃごちゃならないんだから。やはりこれは法律上反しているんじゃないかと思って一生懸命言うわけですよ。その人は大事なんです。そういう人を大事にしない企業とか何かはつぶれていくんですよ。雪印もそうでしたね。
だから、警察内部でこれだけの問題が、もしも全国で蔓延しているとしたらば、そういうのをきちっとやってほしいということを、私は、国家公安委員長が警察の頂点なんですから、まさに存じておりますなんという話じゃないんですよ。もう一度答弁をお願いしますよ。
○小野国務大臣 委員も御案内のとおりだと思いますけれども、各都道府県県警、そしてそこに公安委員会があり、それを統括しておりますのが警視庁でございまして、その警視庁を私どもが管理をするという立場にありますので……(発言する者あり)ごめんなさい、警察庁を管理するという立場にありますから、私どもが、そのようなことに関しまして、意見としては不利益な扱いを受けることはないものと考えておりますというところまでは申し上げますけれども、それをどうこうしないということに関しましては言える立場ではない、そのように思います。
○大畠委員 私も今、民主党の次の内閣の国家公安委員長をやっているんですよ。そういう答弁では緩んじゃいますね。
だから、監査するべき警察庁と県警が、前の雪見酒のときには一緒にお酒を飲んでマージャンをやっていたんですよ。頼るべきところは国家公安委員会しかないんですよ、国民にとっては。ですから私は聞いたんですが、どうもいま一つ、オリンピックで活躍されたときの切れ味がちょっとないですね。もうちょっと、本当に国民の立場に立ってぜひお願いしますよ。
それから、ちょっと時間がなくなってきてしまって、あとの三人の大臣の方にも御質問しなきゃならないので、恐縮でありますが、次の質問に入らせていただきます。
竹中大臣に伺いたいと思います。
竹中大臣は所信の中で、「日本経済は、民需を中心に着実に回復しています。」と言われましたね。この話は地域に伝わりまして、実は、私どもの商店街なんかで聞くと、どこの国の話なんでしょうねというのが率直な意見なんですよ。どこの国の話なんだ、どこかよくなってきたか。いや、人通りは少なくなって、夕方六時以降になっても人通りはありませんからね、どこの国の話なんだろうという声が聞こえてくるんです。
いわゆる地方都市部で深刻な状況にあるのは今でも変わっていませんし、特に中小企業にとっては金融問題というのが一番のキーポイントになっているんですが、地域の金融機関は、このままでは貸したくても貸せない、今のままではさらに中小企業を倒産に追い込んでしまうという心配をする。いわゆる良識ある、心ある金融のトップは、そういう考えをいろいろと私に聞かせてくれるんですね。特に信用金庫、信用組合の方は非常にやはり今心配しています。いわゆる金融監督庁の問題でありますけれども。
そこで、金融監督庁を管轄しています竹中大臣にお伺いしたいのは、私自身、切実な声として、次の五点の要請を受けているんですね。一つは不良債権の統計の一本化ということ、それから不良債権比率の計算方式の見直し、それから不良債権処理の支援税制について再検討してもらえないか、不動産担保問題、あるいは員外預金規制の撤廃。
これはどういうことかというと、なかなか皆さんおわかりいただけないかもしれませんが、不良債権の統計の仕方には今三つあるんですね。大臣御存じだと思いますが、貸出先の返済状況に着目したリスク管理債権、二つ目は貸出先の財務状況で判定する金融再生法ベースの不良債権、それから三つ目が金融機関みずからが資産を査定する自己査定、こういうものがあるんですが、特に法律に基づいて不良債権を算出するときには二つの方法があるんですね。これがやはり地域の方では混乱をしておりまして、何とか一本にしてもらえないかという話がございます。
それから、不良債権比率についても、大手銀行のやり方と地域の金融機関のやり方は異なっているんですね。地域の状況を考えなしにバルクセールなんかをやってしまうと、その企業はつぶれてしまいますから、だから一生懸命引当金を積みながら利息分を返してくれればいいということで、正常な債権と不良債権と分けるのですが、不良債権の中の一部にやはり引き当てをしているところがあるんですね、引当金を積んである不良債権分を分子から除外してもらえないかというのが率直な話でしたね。
それから、支援税制の話は御存じでございましょう。
それから、不動産担保関係については、いわゆる不動産鑑定士が鑑定した評価に対して、必要な場合には所要の修正を行っているか検証する必要があるというので、ここでもやはり、不動産鑑定士が鑑定しているのにそれをどうやって検証するのかなと、ここら辺も混乱をしています。
それから、員外規制の撤廃の問題については、信用組合では、組合員以外の者の預金等の受け入れについては預金全体の二〇%を超えてはならないと規定されていますが、信用金庫にはこのような規制がないんですね。預金保険料の支払いも他の金融機関と同率であり、信用組合にとってこの法律は形骸化しているんじゃないかという指摘を受けているわけであります。
この五点について、竹中大臣の御見解を伺います。
○竹中国務大臣 五点ということで、なかなか技術的なことが多いものですから、できるだけ簡潔に答えなければいけないと思っております。
その前に、地域全体が大変疲弊している、そういう問題意識は我々も大変強く持っております。であるからこそ、地域再生本部を立ち上げて、金子大臣御担当でございますけれども、そのための方策をきっちりやらなければいけない。マクロ的にはよい方向が出てきている今こそ、それを地域に浸透させるということが政策上極めて重要だ、そういう強い問題意識を持っております。
その上で、お尋ねの件、まず統計の話ですが、これはもう委員大変よく御承知だと思いますけれども、銀行法で定められたものと、金融再生法で定められたものと、これは私も就任の当時、どうしてこういう二つのものがあるのかなというふうに思ったわけでありますけれども、これはやはりそれなりの経緯があるということなんだと思っております。できるだけ情報開示はしっかりしなければいけない、それぞれの債権の客観的な状況に照らして考えるというのが銀行法の考え方。それに対して金融再生法は、債務者の状況ということで、ディスクロージャーの質とか量とかというのはやはり多様で多い方がよいだろう。そのような御判断は当然あったのであろうかというふうに思います。
リスク管理債権の方は、これはいわゆるSEC基準、国際比較にも使わなければいけない。しかし、さらに債権の範囲も拡大して、そして債務状況に着目するという再生法にもそれなりの意義がある。そのような状況の中で使い分けなければいけないのではないのかと思っております。ただし、一般の国民の方には確かにわかりにくいですから、それに関しては専ら今は金融再生法の開示債権、不良債権比率を減らすというようなときにはそういう方法で統一するようにしておりますので、その点の混乱はないように我々も努めたいと思っております。
不良債権比率の計算の方法そのものでありますけれども、恐らくディスクロージャーの方法とかそのものを変えるということになると、これはかえって混乱するということになるんだと思うんですね。むしろ我々は、地域金融機関に関しては、計算の方法は同じだけれども、不良債権を減らせというような目標は課していないわけです。主要行には目標値を決めているわけですから、そういう形で、情報は情報として開示して、しかしそれは政策目的として、政策目標としては違うふうに考えましょう、そのような対応をやはりすべきではないかと思っております。
もう一つは、繰り延べ税金資産の話もされたと思います、税制上の話というのは繰り延べ税金資産だと思いますが。これも、無税償却を認めていないから、有税償却をやるから繰り延べ税金資産という資産項目が立って、これはまた国民から見てもわかりにくいし、市場からも評価がされにくい、したがって無税償却を認めるべきだと。
我々は、その無税償却を認めてほしい、しかし、無税償却を認めるだけでは、この繰り延べ税金資産というのは、これは計算上は大変難しいわけですが、減らなくて、場合によってはむしろ繰り延べ税金資産が一気に減ってしまう可能性もある。つまり、将来の回収可能額が減ることによってむしろ混乱を来す可能性もあるということで、これは繰り戻し還付も含めて三点セットで我々としては要求しているところでございます。この要求はぜひしっかりと続けていきたいというふうに思います。
不動産鑑定士ですが、これもちょっと技術的で、誤解があるといけないんですが、不動産鑑定士が行った鑑定評価額を我々が変えろとか云々するということはありません。しかし、この鑑定評価額を処分可能見込み額だというふうに見込んでいるときには、これはやはり、債権の保全という観点から、その前提条件が変わっていないかとか、売買実例がどうかとか、そういうことは検討しなければいけない。
これは、実は検査マニュアルにもしっかり記しているところで、不動産鑑定士の鑑定評価額そのものではなくて、その使い方については、やはりリスク管理上、我々としてはしっかり見なければいけないということだと思っております。
最後に、信用組合と信用金庫のお話がございました。
御承知のように、この信用組合というのは、中小企業等協同組合法に基づく組合員の相互扶助の非営利の組織でございます。信用金庫も同様の性格を持っているわけでありますけれども、設立の当初から、信用金庫法の場合は、国民大衆のための貯蓄手段として協同組織による信用金庫制度を創設するという信用金庫法の目的が書かれておりまして、その意味では、信用金庫の方は、貸し出しの方は員外に関する規制が当然あるわけでございますけれども、受け入れに関しては、貯蓄手段として提供するという意味で、受け入れにはその制限がない。そのような法律の目的、そこから由来しているものというふうに理解をしております。
○大畠委員 竹中さん、骨太の改革も大事でありますけれども、世間のきめ細かなそういう声に耳を傾けて、さっき官房長官は、聞く耳を持たないんじゃないですかという話もありましたけれども、政府の方も、そういうきめ細かな声にこたえるためにも、そういうものにきちっとこたえてトータル的な改革を進めるというのが重要なので、ぜひ、もう茨城では梅が咲いて、桜も咲いてきましたから、ぶらりと出かけていって、やっぱり東京では実質がわからないんですよ、地方都市に来て商店街のおじさんたちとちょっと話してみてくださいよ。どういう感覚なのか、どこが景気回復の基調になってきているというのか。
実感は地方にありですよ。地域経済が元気を出さなければ日本の元気なんかないんですから。ぜひそういう意味で、地方にもお出かけいただいて、実態を考えながら方向性を決めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
茂木大臣に幾つか御質問しようとしたんですが、一つお伺いします。宇宙開発の問題でございます。
茂木大臣も力を入れておられますが、残念ながら、中国では有人宇宙飛行の成功が報道されたり、あるいはアメリカが月にもう一回人類を送るという話をしたり、この間ヨーロッパのメンバーは、月に我々も行きますと日本語で研究発表のとき言っていましたけれども、日本はどうするんだ。私たちは宇宙に対しては非常に夢を抱いておりますし、かつて茂木大臣も、小さいころでしょうけれども、ソ連のボストークの世界初の有人衛星の打ち上げ成功とか、アメリカのアポロ十一号の月面着陸、非常に夢躍りましたよね。
小泉総理が、この間の事故のときに、どうもいま一つ明確なコメントが出されませんでした。みんな関係者は非常に残念がっていますね、この問題は。そこで、茂木大臣として、この宇宙開発問題、日本としては何を目指すのか、そこら辺少しメッセージを出していただきたいと思うんですが。
○茂木国務大臣 私は、ガガーリンが有人飛行に乗ったときは、たしか小学校の低学年だったと思います。それから、大阪万博のときは、旧ソ連館、アメリカ館、両方行きまして、月の石とか見まして、宇宙への挑戦、これは青少年に夢や希望を与える、それから国民生活の活性化にもつながっていく。特に、日本の場合、科学技術創造立国、これを目指しているわけでありまして、こういった技術基盤を失ってはいけない、こんなふうに私は考えております。
日本の場合、旧ソ連、アメリカそしてフランスに次いで四番目に人工衛星の打ち上げに成功した国でありまして、宇宙開発利用、こういうことはスローダウンさせてはいけないなと思っています。
もちろん、予算的な制約等々あるわけでありますけれども、これから、まずは国民の信頼をしっかり回復していく。その上に立って、例えば観測センサー、こういったことに対しては日本が非常に進んでいるところもあるわけでありまして、我が国が優位性を発揮できる分野、こういうことに重点化をしながら、今後もしっかり進めていきたい。特に今、総合科学技術会議におきましては宇宙開発利用の戦略の検討を行っておりまして、ことしの夏にはその取りまとめも行っていきたいと思っております。
○大畠委員 ここに新聞記事がありまして、十一月二十九日、H2Aロケット六号機の打ち上げで失敗したんですが、その後の小泉総理のコメントが、まことに残念、徹底的に原因を究明した上で今後の対応を検討するというだけなんですね。九九年の十一月のH2ロケットの打ち上げの失敗のときの小渕元総理のコメントは、失敗はあってもロケット開発は続けるというメッセージを出すし、スペースシャトルの事故に関してレーガン大統領の、この悲しみを乗り越えてゆこうという有名な声明と比べて、格段に後ろ向きである、そういう意見もあるんですね。
私自身も、自分の部屋に、例のスペースシャトルが地上に帰るときに激突して亡くなりましたね、七人の飛行士。あの飛行士の一面の新聞記事をいつも張ってあるんです。あの亡くなった人の気持ちもしっかりと踏まえて私たち地球人としてやらなきゃいかぬと思うんですが、どうも今のお話、茂木大臣らしくない何か穏やかな話なんで、もうちょっと茂木イズムというか、らしさを出してくださいよ、もうちょっと切れ味のよさを。ぜひそれは要望しておきます。
さて、金子大臣にちょっとお伺いしたいんですが、金子大臣のところにも幾つかお伺いしようとしていましたが、一問にさせていただきます。
構造特区が非常に注目をされています。この構造特区の現状をどう見ておられるのか。そして、これからどのような形、さまざまな阻害要因があるんです。あれやっちゃいけない、これやっちゃいけない、そんなことをやるとうちは損しちゃうとか、いろんな利害が絡むので非常に難しいと思うんですが、前大臣の鴻池大臣ですか、非常にブルドーザー的な活躍をされておられました。それを受けて、金子大臣の構造特区にかける夢といいますか、ビジョンといいますか、熱意を聞かせてください。
○金子国務大臣 その前に、今、竹中大臣に、地方の経済を見に来いよというお話がありましたけれども、私は地方再生担当大臣もやっておりまして、関東では、先生の茨城じゃないんですが、宇都宮を第一号にして、全国、地方経済の実情を聞かせていただく。確かに全体としていいけれども、どうも地方ではなかなか景気が引っ張られないという、そういう構造的な部分もあるのではないかという意味で、回らせていただこう、意見を聞いてこようと思っております。
それから、お尋ねの特区なんですけれども、二百三十件を超えます具体的な地区が出てきました。かなりの部分が進んでおります。経済効果の大きいものも物すごく出ております。
例えば、一つだけ、四日市コンビナート、あれは昭和四十年代の戦後の高度成長を支えた化学コンビナートですよね。少品種多量生産、それで支えたんですけれども、時代は変わっちゃいましたから、今や多品種少量にしなきゃいけないんですけれども、規制がかかっちゃいまして、コンビナート災害防止法、これががんじがらめにかかっちゃったものですから建て直せなかったんですけれども、しかし、この特区を使って新しい安全基準というものをつくり上げました。もちろん、コンビナートですから、いろいろな、火災も起きます。新しい基準をつくりました。これによりまして、多品種少量の工場ができるようになってきました。多分、茨城県の鹿島のコンビナートも、ではどうするか、全国のコンビナートをどうするかという一つのきっかけになっていくんだろう。
多々例があります。先生のお地元のところも、常陸那珂港とあの辺を結んで物流の保税何とか基地みたいなのをつくったり、仮ナンバーを走らせて、車をもっと柔軟的に、物流構想をつくっておられますよね、提案を。こういうのはどんどん進めていきたい。地域再生の一つの切り札になっておりますけれども、これをどんどん進めていきたい。
最後に、御指摘になりました、特区はできたけれども実際うまくワークしていないんじゃないか、機能していないんじゃないか。あったんですね。特区を幼保一元化で認めた。だけれども、そうしましたら、幼保一元化をするならば、特区ですけれども、厚生省が保育園に使った金を返せ、返還しろと言ってきちゃって、立ち往生しちゃった例があったんです。これは冗談じゃないんですね。同じ国の金ですから、そんな返還なんというのは必要ないだろうと坂口厚生大臣と話して、進んでおります。
多分、そういう例は、特区として認めたけれども、やろうと思ったらば、やはり政省令で縛られていて、返還をしろとかなんとか言っていて進みにくいというのは多分あるだろう。これは我々責任を持ってフォローして、地方のそういう要請というのは必ず実現させていきたい、そんな気持ちで進めてまいります。
○大畠委員 きょうはそれぞれの皆さんのお話を伺いましたが、今のお話を、御答弁をベースに、これからこの国会で力強い社会づくりに向けて私たちも全力で頑張りますが、ぜひ国民の声を聞いてください、地域の声を。東京とか大阪の都市部ではなかなか実態がわからないんですね。だから、地域の声をぜひ聞いて、本当に安心して暮らせる社会づくりに向けてさらに努力していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
○山本委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。きょうは、科学技術政策にかかわって質問をしたいと思います。
茂木大臣の所信表明も聞かせていただきましたけれども、私は、核融合の問題については、大事な研究の分野であり、その中で、炉材料の開発その他、それから安全技術の確立等、そしてまたコスト的にもきちんと解決される時代が来たときには、これは将来のエネルギーとして考えられるべき分野の一つだというふうに、大事なものと考えております。
ただ、大臣の所信の中で、ITERの日本誘致についての部分なんですが、これが今本当に誘致を考える段階なのかどうかとか、本当のところ、国会でも根本のところから実はよく研究、検討されるべき課題がありながら、なかなかそれがないままに進んでいってしまっているというところがやはり危惧されるところです。
私、一昨日、ITERに関する質問主意書に答弁書をもらっておりますが、まず、その中でも触れておいたんですが、ITER本体施設と、それから情報センター、これをフランスと日本の二カ所に施設分離して取り組む考え方なども取りざたはされております。しかし、実は、国会の中では、こういうことについての話というのはまだ我々聞いたことがないですね。
そういう施設分離についての考えなど含めて、フランスか日本の六ケ所かという、一番新しい二月下旬の事務次官レベルの関係国協議で、要するにITERについての扱いは今どうなってきているのか、この基本のところを大臣から伺っておきたいと思います。
○茂木国務大臣 ITERの計画、これは地上に小さな太陽をつくる、今後の長期的なエネルギー事情を考えて大変重要なプロジェクトだ、こんなふうに考えているわけであります。
そこの中にありまして、委員も御案内のとおり、六地域、六カ国が参加する、こういうプロジェクトで、今、資金の負担の話であったりとか、さまざまな技術的な詰めを行っている。候補地としては、日本の六ケ所村、そしてフランスのカダラッシュ、この二地域に絞られた。そこの中で、技術的な優位性であったり、さまざまな協議を行っているわけであります。
昨年十二月の閣僚級会議におきまして、さらに詰めるべき事項、例えば輸送上の問題点であったり地震の問題点であったり、さらに広いその周辺環境の問題であったり、こういう問題が提起をされまして、先日の次官級会議におきましては、その詰めを行わせていただいた。まだ若干の部分残っておりますので、恐らく三月のしかるべきタイミングにもう一回、専門家によります会合を開きまして、技術の最終的な詰めを行っていく。それを踏まえて、できるだけ早くこのサイトの決定を行っていきたい、今はそういう段階であります。
○吉井委員 そういう段階ということで、それ以上は今出てこないでしょうが、政府参考人の方に確認しておきます。
二〇〇一年三月一日の予算委員会で質問したときには、今村研究開発局長は、建設費その他付随するインフラでホスト国負担は約四千億円としておりました。今回の答弁書では、ITERを我が国内で製作すると仮定した場合、本体五千億、建設用地整備費と国際機関の運営経費を含めた建設段階のITER計画経費は六千五百億円、運転期間中の維持管理費三百億、動力費四十四億、青森県が用地取得費全額負担する分が八十四億円、研究者住宅や子弟の教育施設や生活施設整備は青森県と自治体中心に負担する。これは、合わせると、三年前の答弁時の四千億円は突破するわけですね。
ですから、結局、仮に誘致という場合、日本負担はどうなるのか、こういうことについてもやはりきちんとしたことを示してもらうことが大事、必要ですね。これはどうなっていますか。
○坂田政府参考人 ITERの交渉過程におきまして、先ほど茂木大臣からお話ございましたとおり、場所をどちらにするかということに関連をいたしまして、当然ながら、建設コストあるいはその負担の問題についても議論をしているところでございます。
先ほど吉井先生がおっしゃられました質問主意書に関する回答の部分の数字につきましては、すべてを日本でつくった場合には幾らになるかということを中心に回答したわけでございます。当然ながら、もし日本に立地いたします場合には、その全体の額のうち日本がどれだけを負担するかということになるわけでございますけれども、現在、関係六カ国におきましてその負担の割合についても協議中でございますので、まだ固まっておりません。
そういう意味で、具体的な数字をこの場ではっきり申し上げるのはやや時期尚早ではないかというぐあいに思っているところでございます。
○吉井委員 これまでからいろいろなことが伝えられておりました。その中には、ホスト国負担七割というのもありました。今、結局、協議中ということで話はあいまいなままなんですが、ただ話だけどんどん進んでいって、後で、締結しましたから国会で承認してもらって批准するんだということで、国会はその段階だけの議論というのは、私は議論のあり方としてはおかしいと思っているんです。
二〇〇一年三月に、ITER計画懇談会報告で、本体建設費約五千億円であるとして、それが適当かどうか厳密に判断することはできないというくだりがあります。未来のための保険料という意味で意義ある投資と受けとめるとしておりました。
今の時点で、私へのこの答弁書の中で本体約五千億円ということなんですが、この前は、厳密に判断することができないというのがITER懇の報告ですが、今回答弁いただいた、本体約五千億円と厳密に判断した根拠は何ですか。
○坂田政府参考人 ITERのコストの問題でございます。二〇〇一年以降も政府間の正式の協議が鋭意何度も進められてまいりました。その間におきまして、関係各国間におきまして、このITERのコストについては大体これくらいの額であろうということで固まってまいりましたのが、先ほど申し上げた数字でございます。
繰り返すようでございますけれども、現在は、それだけのお金をかけて世界六カ国が協力をして建設する、そして、運転を二十年してしっかりした成果を出すことが核融合の技術が将来実際にエネルギー供給源になるために大変大事なことである、そういう意味で、今申し上げた資金をもってITERを建設することが世界のために大変重要であるということで、関係各国間で合意がなされてございます。
したがって、私どもとしては、今のそういう考え方をベースに協議を進めて、できるだけ早くこの立地の問題も含めて解決を図りたい、このように思っているところでございます。
○吉井委員 関係国で決めたというお話は、それはそれなんですが、私が聞いていたのは要するに、本体五千億円というのは、日本政府として、日本として厳密に判断した根拠は何かということを聞いていたんですよ。関係国がいろいろ話して、丸いところで話がまとまった、それはそれだと思うんですが。
これは、実は今度、いわゆるコンパクトITERなんですね。もともと一兆円規模のITERだったのを、高過ぎるというので半分にしたわけです。これは、一九八八年から三年間、国際協力で概念設計をやった段階で、小型ITERはあったんですね。それが工学設計で一兆円ITERになり、今度はコンパクトITERで大体半分という話になっているんですが、数字がくるくる変わるものですから、やはり厳密に判断する根拠は何かということは、今はいいですから、後で数字できちんと出してもらいたいと思います。
それで、ITER計画推進を総合科学技術会議でSランクとしたわけですね、スペシャルランクに。六ケ所村でITER建設を想定しているわけですが、ITERに使用する炉材料の開発の現段階はどういうものかということについて、建設費の見通しが当初のものからコンパクトITERへどのように変わり、それが実験内容にどのように関係するのか、ITER以降の原型炉から実証炉、商業炉に至る将来のエネルギーにつながるものなのかどうかという展望です。
これは茂木大臣、やはり、大臣が誘致を目指して取り組むというからには、将来のエネルギーにつながるものなのかどうかというその展望について、どういう根拠を持って大臣としての所信表明の内容を決定されたのか、ここのところが大事だと思いますので、伺っておきます。
○茂木国務大臣 この点に関しましては、総合科学技術会議でも、二年半前、平成十三年の六月から、ITER計画に対する参加、そして誘致の問題につきまして、相当な議論を行ってきたわけであります。最初は、原子力委員会の検討内容のレビューであったりとか、国内サイト地の視察、さらに専門家のヒアリング等々を行いまして、科学技術政策上の観点からの詳細な検討を行いました。
具体的にどういう点を検討したかということでありますけれども、一つは、ITER計画の国家的な重要性や、これによって我が国に蓄積される科学技術上の成果、それから、委員の方からも御指摘のございました必要な経費の負担等々を検討したわけであります。その結果といたしまして、本計画に参加することが望ましく、さらにこれを誘致することの意義がある、こういう結論を出しました。
そして、その後、海外情勢等も見きわめまして、一昨年、平成十四年の五月に、総合科学技術会議として、ITER計画についての結論として、政府全体でこれを推進するとともに、国内誘致を視野に、政府において最適な候補地を選定し、ITER政府間協議に臨むことが適当との結論を得ました。
これは、日本にとりましても必要なプロジェクトでありますし、また、冒頭申し上げましたように、これからの世界全体のエネルギー事情を考えても重要なプロジェクトだと考えております。同時に、アジアという地域を考えたときに、これまでどうしても、大きな研究施設等々がヨーロッパであったりアメリカに偏在している傾向がある。そういう中で、アジアにおいて優秀な研究者を育てていく、集積をしていく、こういう観点からも、世界的にすぐれた研究そのものを、日本だけではなくてアジアに誘致していく、こういうセンター・オブ・エクセレンスをアジアにつくっていく観点からも、私は大変重要なプロジェクトだと考えております。
○吉井委員 私は、総合科学技術会議がこれまで検討されたことは目を通しております。アジアにそういう国際協力の研究機関を、ITERであれ別な分野であれ、つくっていくことが、分野によってそれぞれにあり得ると思っているんですよ。
ただ、問題は、将来につながるものなのかどうかという点は、やはりきちんとした吟味、検討が必要であって、例えばITERの炉材料についてはこれまでから問題になってきたわけですが、答弁書では、材料の開発のため、ITERより強度の強い中性子を照射する計画のための設備については、国際エネルギー機関において、工学設計活動を行う段階には至っていないという答弁書でした。
二〇〇一年六月の財務金融委員会で私が聞いたときには、文部科学省の今村局長ですが、ITERで使われるステンレス鋼では、それ以降のエネルギーを取り出す装置については難しい、この意見が多いと。ITER懇の飯吉厚夫中部大学学長さんは、低誘導放射化材料の開発などをきちっとやっていくべきだ、要するに、基礎研究から炉材料などの開発研究は必要だという意見、これは多数そういう意見があります。私はそれも紹介しましたから、この炉材料の問題について解決しているのかといったら、まだこれは工学設計を行う段階に至っていないということなど、これ自体がこれからの課題だという段階です。
建設費についても私は質問したんですが、一兆円のITERが約五千億円に、半分になるんですね。半分になるというのは、数字の上は簡単なんです。しかし、プラズマ主半径を、当初の八・一メートルから、今度のコンパクトITERは六・二メートルに、約二割ほど小さくするわけですね。答弁書では、「主半径が約五メートルから約八メートルまでの範囲の場合、一般的に主半径が短くなるに従い、建設コストは低減する」と、一般的な話なんです。小さくすれば小さくなる、そんな当たり前の話は私もわかっているんですよ。
しかし、液体ヘリウム製造装置だとか真空容器等排気装置、超電導マグネット、ブランケット、その他一つ一つのパーツの建設費も建屋の建設費も半減するというものじゃないんですよ。二割小さくすれば半減するというわけにいきません。幾らドーナツの半径を二割ほど小さくしても、全体の建設費が半減することにはならない。
そこで私は、もとの一兆円のときのプラズマ主半径八・一メートルから、七・一メートルにしたら、六・一メートルにしたら、五・一メートルにしたらと、主半径を小さくしたときに建設費が幾らになるのかを具体的に聞いたわけですが、先ほど、厳密に判断して本体約五千億と言っている話じゃなくて国際的な協議の丸い数字だということで、なかなかこれは説明ができないという実態じゃないかと思うんです。
そこで、政府参考人に確認しておきますけれども、ちょっと計算は時間がかかるというお話でしたが、私は、これは三年ほど前に提起してのことなので、もう計算は済んでいるだろうと思って、前にも七・一とか六・一メーターを示して聞いたんですが、これは、時間がかかってもきちんとそういうデータは出されますね、示されますね。
○坂田政府参考人 長い間、先生のお尋ねの件にしっかりとしたデータが出せていなくて申しわけないことだと思っておりますが、確かに、この問題は、いろいろなパラメーターが関係いたしまして、一概に主半径が変わるというだけでコストの見積もりというのも難しゅうございます。これは、言うまでもございませんが、エネルギー増倍率、それからプラズマ密度等々、いろいろなパラメーターの相互関係によって建設コストが変わってまいります。しかし、今改めて御要請がございましたので、一定の条件を置いて試算をしっかりしてみたいと思います。
○吉井委員 速やかに出していただきたいと思います。パラメーターが変わって変わるのは当然のことで、私は、それはもう百も承知の上で聞いております。
ただ同時に、この問題は、将来を考えた場合、将来の核融合炉、実用炉を考えていくときには、当然、出力当たりの建設コストということが将来的には問題になってくるんです。小さくすればするほど、出力当たりのコストは上がっていく。出力当たりのコストを、一兆円規模並みにそちらの方のコストを下げようと思うと、そうすると、プラズマ密度をどう高めるかとか、別な問題がまた出てくるわけです。それから、中性子が非常にたくさん出てくるようになりますから、それに対する遮へい材を分厚くしなきゃいけないとか、やはり別な問題が出てくるんですね。だから、簡単にプラズマ主半径を小さくすれば、将来につながるものになるどころか、ますます将来展望から遠くなるんですね。そういう問題をきちんとやはり考えて臨まなきゃいけないし、それだけに、国会で検討するときにも、基礎となる素材をやはりきちっと出すことが大事だということを重ねて申し上げておきたいと思うんです。
いろいろな関係する方たちから声がありますが、科学実験として割り切るんだったらいいよという声もあるわけですよ。しかし、将来の実用炉につなげる実験炉として位置づけるんだったら、この建設費問題というのはそんな簡単なことではないじゃないかという声もあります。それがあいまいなまま、ひたすらITER誘致ということだけに走る、何か大きいものはいいことだということでそっちへだけ走っているというのは、やはり本当のこの問題の本質を見失うことになりますから、私は、そこのところはきちんと考えなきゃいかぬと思うんです。
茂木大臣に伺っておきたいんですが、いずれにしても、ITERを誘致した場合、ほかの基礎研究の予算を削ることはしないということは確約されますね。
○茂木国務大臣 吉井議員が基礎研究の充実に大変心を砕いていただいていることに対しまして、感謝申し上げたいと思っております。
総合科学技術会議としましては、平成十四年の五月、先ほどお答えしましたITER計画についての結論の中で、関連して二点述べております。一つは、必要経費については、第二期科学技術基本計画を踏まえつつ、他の科学技術上の重要政策に影響を及ぼすことがないよう、既存の施策の重点化、効率化を図り、原子力分野の予算の範囲内で確保すること。二点目は、国内の核融合研究については、重点化、効率化を図りつつ、ITER計画と有機的に連携する体制を構築すること。この二点を踏まえまして、今鋭意取り組んでおります。
○吉井委員 そのお話も答弁書に書いてありましたし、私も既に以前から総合科学技術会議の文書は読んでおります。
それで、これは二〇〇〇年の十一月に出た原子力委員会の文書の中でもありますが、基礎研究というのは将来の技術革新につながるシーズを生み出す、基礎科学の知的好奇心に基づく基礎研究が新技術を生む可能性に着目しなきゃならぬということを、これは原子力委員会の文書などでも出ているんです。要するに、このITERを誘致した場合も、他の基礎研究の予算を削ることはしないと、そのことをやはり明確にしておくことが大事ですから、もう一遍、他の基礎研究の予算を削るということはないですね、ここを確認しておきます。
○茂木国務大臣 他の基礎研究を含めました重要な政策に影響を及ぼすことがないように、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○吉井委員 次に、昨年十月十七日の科学技術担当大臣と総合科学技術会議有識者議員の方たちの優先づけ問題、これについて伺いたいと思うんです。
優先づけというのをやったわけですが、本体五千億円もかかることについて、要するに、まだ日本として厳密に判断できていないという立場でおりますITERがSランクで、破綻した高速増殖炉「もんじゅ」の評価もSランクで、それでいてノーベル賞受賞の対象となったニュートリノ研究がCランク、なぜこうなるのかということであります。これは、書き直して出してもらって予算をつけたということで済む話じゃないというふうに思うわけです。
ニュートリノ研究をCランクに評価したのはどなたで、その方の専門分野は何ですかということを、あらかじめ担当の方に来ていただいて聞きました。井村裕夫教授で、医学が御専門ですと。基礎研究分野には外部の専門家として三人がついているから大丈夫なんだというお話でしたから、それで、東大の大学院理学系研究科の先生とか、放射線医学研究所の研究員とか、宇宙科学研究所の名誉教授とか三人のお名前を伺いまして、その方たちはニュートリノ振動の専門家なんですかと言ったら、これはニュートリノ振動の専門家じゃないということなんですね。
だからつまり、ニュートリノの研究がCランクになったんですが、私はこれは、その評価にかかわった方たちがもともとニュートリノ振動の専門でないのに、その人にC評価をしてくれというのは、S評価にしろ何にしろ、なかなか難しい話だと思うんですが、ニュートリノ振動の専門家というのはこの中にはいらっしゃらなかったと思うんですが、確認しておきます。
○茂木国務大臣 この優先順位づけの評価につきまして、もし細かい点がありましたらまた参考人の方からお話し申し上げるんですが、それぞれの細かい分野の専門家というのは実際に研究している人間なんですね。その人間が一番知っているわけでありますけれども、なかなか本人に本人の評価をさせるというわけにもいかない。総合科学技術会議としては、全体を見ながら、日本としてどういう分野に予算の配分の重点化をしていくか、どういうプロジェクトが重要か、こういう観点から、知見を持った有識者議員、さらには本年度の場合は外部の専門家も相当導入をいたしまして、評価の手続をとらさせてもらった。
そして、このS、A、B、C、若干誤解されているところがあるかと思うんですけれども、Sだからどんどんやっていけ、全部いいプロジェクトで、Cは全くだめで有効性がない、こういうことではなくて、必要性、計画性、有効性、効率性、こういった四つの観点から評価をしておりまして、重要なプロジェクトだけれども、もっと効率的にできるんじゃないの、計画の見直しが必要じゃないの、こういう場合は、プロジェクトにつきましてCがつく、こういうこともあるわけであります。
御指摘のニュートリノについて申し上げますと、ニュートリノの実験につきましては、すぐれた研究成果を上げている、こういう認識は持っているわけでありますけれども、大強度陽子加速器計画のニュートリノ実験施設の建設着手の前倒し、これにつきましては、計画全体の見直しについて適切な評価がなされたか、その点につきまして疑問が残ったことから、計画の見直し、Cを指摘したわけであります。
文部科学省としても、この指摘を受けて、同計画の中間評価を行ったと承知をいたしております。
○吉井委員 これは小柴先生の方からおかしいというお話もあり、それで、では文部科学省の方は書き直しましょうということでもとへ戻ったという部分もありますが、しかし、多くはCとかBとか、みんな予算が減ってきているんですよね。ですから、私はそういう簡単な話じゃないと思うんです。
しかも、井村先生のところへこの資料を持って説明に行かれたのは事務局の方、二日前でしょう。専門外の領域のことを二日前に事務方から資料をもらって、どうしてCランクと評価できるのか。これはなかなか学識経験のお持ちの先生方も大変ですよ。小柴先生も批判をしておられますが、井村先生が昨年十一月にインタビューに答えておられる中では、結局、予算編成権は財務省にある、省庁ごとにあらかた予算枠は決まってしまうので私たちはどうしようもない、評価は研究者の緊張感ややる気を起こすよい面がある一方、本当にすばらしい研究をつぶしてしまうおそれもあると。研究評価というのは簡単なものじゃないんですね。
破綻した「もんじゅ」もS評価、ITERもやっていくという、政策遂行のために学者の方を結局利用しているだけじゃないかというふうに見られても仕方がない面がある。私は、研究評価とはいうんだけれども、要するに、政策遂行のために研究評価という言葉を使っているだけだというふうに批判されても仕方がないというふうに思うんですね。
評価は熱心なんだが、基礎研究費を国際水準に引き上げるということは、日本は実はおくれております。
これは、私は国会でも国際比較を九三年の予算委員会でやったときに、森山文部大臣も、我が国の基礎研究の分野は深刻な状況だ、前年九二年七月の学術審議会答申で、国際水準に比べて半分ぐらいの時代ですから、答申も出ているので、引き上げることを目標に頑張るというお話だったんです。当時の林大蔵大臣も、基礎研究全体の増額をやっていくことは、国の将来を考える、特に日本の状況からして、日本こそ基礎研究をやっていかなきゃならぬという大蔵大臣の答弁でした。
ところが、最近出た文部科学白書で見ると、GDPに占める日本の高等教育への公財政支出の割合を主要国と比較すると、日本が〇・五%、フランス、ドイツ、一・〇%、米国〇・九など、大体、依然として半分なんですね。だから私は、このITER誘致に走る方、そういう政策遂行に研究者の方をお願いして研究評価でSランクとかつけてもらう、それはそれでやっておられるにしても、その中で基礎研究というものが本当に枯れてしまったら大変だ。
だから、最後に茂木大臣に伺っておきます。
小柴昌俊先生が言っておられますが、基礎科学や文学が冷や飯では将来の日本の科学技術の発展にマイナスだ。この言葉を本当に肝に銘じて、基礎研究費というものを引き上げていく。これは八〇年代、人頭研究費、経常研究費、ずっと国公立試験研究機関でも大学でもとまったままだったんです。わずかに上がりかけたのが、また最近下がっているんですよ。そういうやり方を本当に改めて、基礎研究については日本の科学技術政策の上からも増額を図るんだという、その茂木大臣のお考えというものを伺っておきたいと思います。
○茂木国務大臣 基礎研究の推進、これは最も重要なテーマだと考えておりますし、総合科学技術会議としましても、十六年度の資源配分の方針の中でも最初にこの基礎研究の推進を挙げているわけであります。
もう一点、委員の方から評価の手続等々の問題についてお話がありましたが、有識者議員の先生方、また外部の専門家の方々、本当に真摯に今回の評価、取り組んでいただいたな、私はこういうふうに考えております。
昨年、ことしと、二年目でありますから、当然これからプロセス上、改善をする、充実する点は出てまいると思います。また、評価を受けたプロジェクトについては、それぞれの意見、当然あってしかるべきでありまして、そういう方に対するフォローであったり、説明とか、そういうこともしっかりやっているつもりでありますし、こういったプロセスをさらに充実していくように、三年目、四年目と頑張ってまいりたいと思っております。
○吉井委員 もう時間が参りましたので終わりますが、研究評価というものが政策推進のお飾り物にされては、これは学者先生に対しても大変無礼だというふうに思うんです。
私は、そういう点で、今回のニュートリノのC評価問題というのはそういう問題を持っていた深刻なことだということを指摘して、時間が参りましたので質問を終わります。
○山本委員長 次に、大口善徳君。
○大口委員 公明党の大口でございます。
私は今、党の治安対策プロジェクトの事務局長をやっております。かつて日本は世界一安全な国と評価されたわけでございますけれども、昨今、ひったくり、あるいは児童の連れ去り、連日報道されています。あるいは学校の乱入殺傷事件等の頻発、街頭犯罪とか侵入犯罪等によって地域の安全が非常に不安を増している。まさしく国民の体感治安が大幅に悪化している、こういう状況でございます。
そういう中で、戦後初めて、昨年の九月に犯罪対策閣僚会議、これが開催されて、犯罪に強い社会の実現のための行動計画、これが十二月十八日に策定されたわけでございます。
一点は、立派な行動計画ができたわけですけれども、しっかりこれを推進しなければならないという点で、この犯罪対策閣僚会議というのはアドホックなもので、随時ということなものですから、きちっとフォローアップをしていただきたい、これが一点でございます。
二点目に、今地域の取り組みが非常に進んでおります。警察庁出身で広島県警本部長の竹花氏が、今東京都の副知事でございます。昨年の八月、東京都では、早速、緊急治安対策本部というものを設置しました。竹花副知事は、治安の問題を警察任せにせず、みずからできることは最大限取り組む、安心、安全な町づくり、地域の犯罪抑止力を取り戻す、これが大事だと。やはり、地域の犯罪抑止力のアップ、これは非常に私は大事なことだろうと思います。
そういうことで、二点目に私は、地域の安全への取り組みがなされています。防犯ボランティア、頑張っていますし、あるいは防犯カメラ、それこそ町内で五百円拠出してやっているところもあります。あるいはボランティアでパトロールをしているところもあります。あるいは学校等の子供たちに防犯ベルを出したり、さまざまな取り組みをしている。ですから、やはり国としても、この地域の安全対策の取り組みについて支援をするための会議をやはり設置すべきじゃないか、また、地域の安全対策の支援の計画も立てるべきじゃないか。あるいは都道府県、市町村も個別にそういうことを条例等でつくっているところもありますけれども、こういう地域の取り組みに対してやはり国がしっかりと支援をすべきではないか、こういうふうに考えております。
この二点につきまして、官房長官に御答弁願いたいと思います。
○福田国務大臣 委員御指摘のとおり、昨年の九月に全閣僚を構成員とします犯罪対策閣僚会議、これを設置いたしたわけでございます。そして、総理の強いリーダーシップでもってこの会議を運営していくということでございますが、早速、昨年十二月に行動計画、これは犯罪に強い社会の実現のための行動計画、こういう計画を策定いたしまして、そして、水際対策を初めとする各種犯罪対策、犯罪の生じにくい社会環境の整備、それから国民がみずからの安全を確保するための活動の支援、そういったような観点から、政府が一体となって総合的な政策を推進していく、こういうことを決めたわけでございます。
また、この行動計画の中におきまして、今後五年間を目途に、不法滞在外国人を半減させるとともに、犯罪の増勢に歯どめをかけ、国民の治安に対する不安感を解消して、治安の危機的状況を脱することを目標とする、こういうようなことをこの行動計画で述べ、これを実施していこうということで今鋭意取り組んでおるところでございます。
御指摘のとおり、かつては、世界一安全な国、こういうふうに言われて久しかったのでありますけれども、この十数年の間に刑法犯だけでも倍増する、年間に二百八十万件の刑法犯が発生するというような本当に残念な事態になっているということ、そういう反省を踏まえて、今この行動計画の推進に全力を挙げていきたい。
それから、体制の方でございますけれども、今、治安とかそれから入国管理関係の職員の増員、これもいたしておりますし、一方、地方公務員は一万人を削減している、そういう定員管理をしておる中でもって、警察官だけは三千人を超える増を図るといったようなこともしております。
いずれにしましても、こういうような、関係省庁、政府一体となって計画の着実な実施を図るということによりまして、世界一安全な国日本の復活を目指したいというふうに思っております。
また、こういう防犯のことにつきまして、地域の協力が必要なのではないか、こういうこと。これはただいま申し上げました行動計画の中の一つの指針でもございますけれども、非常に大事なことであると思っております。
地域住民によります自主的な防犯活動の促進、また、警察からノウハウとか情報を提供してもらうというようなことも必要なのではなかろうかと思いますので、地方公共団体からの活動助成の充実なども図りながら、そういうような体制整備をしていきたい。また、地域住民のそういう地域的な活動の支援をしてまいりたい。そういう観点から、今御提案のありましたような地域対策というか地域の支援対策、これも考えていかなければいけない。そのためにどういうふうなことをすべきかということについても早急に検討してまいりたいと思っております。
〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
○大口委員 次に、我が党の神崎代表がことしの二月の十日から十二日まで訪中をいたしました。胡錦濤主席あるいはトウカセン国務委員等々、いろいろな要人と会談もいたしました。やはり、今六カ国協議がなされている、こういう中、この東アジアの安定ということを考えますと、私は、中国と日本の関係は非常に大事だろう。これはもう官房長官も御存じのとおりでございます。
そういう中で、中国国民の訪日団体旅行の問題、これは平成十二年の九月からスタートいたしまして、そして、対象地域が北京市、上海市、広東省、ここの中国国民に限定して団体旅行についてビザを発給している、こういう状況でございます。これに対して、中国の方からは、この区域だけじゃなくて、江蘇省、浙江省、山東省、遼寧省、天津市、こういうところについて拡大の要望があるわけでございます。
小泉総理が昨年の一月に、観光立国を新たな国是ということで所信表明されて、海外からの旅行者の受け入れを倍増する、そういう言及をされて、ビジット・ジャパン・キャンペーンという形で力を入れておられるわけです。こういう中で、今、日中で領事の当局者の協議会というので詰めている。そしてまた、与党三党の幹事長が昨年五月とかあるいは八月にも訪問しているわけですけれども、その中でも、団体旅行で来られた方が平成十五年の十二月三十一日までに大体八万二千四百十八名いる。ところが、三百四十五名が失踪している。中には、百名ぐらいは成田に来たときにもう行方不明になっている。そういう状況もあって、この失踪問題、これはきちっとしなきゃいけないわけでございます。
そういう問題もしっかりと精力的にクリアをしていかなきゃいけませんが、ただ、もうこういうふうに三地域に限定しているのは、この近辺では日本とニュージーランドだけなんです。オーストラリアにつきましては、昨年の十月に、重慶、河北、江蘇、山東、天津、浙江、六地域追加していますし、あるいは、韓国を初めかなりの地域がもうこの地域限定をしていないということでございます。
そしてまた、昨年の十月三十日は、中国、EUの定期首脳会議におきまして、イギリス、アイルランド、デンマークを除くEUの十二カ国、ですからフランスやドイツも、ドイツは前々からでございますが、これはもう地域の限定をしない、こういう状況にあるわけです。
今の中国と日本の関係を見ましたときに、この問題につきましては、失踪問題をクリアして、早急にこの地域の拡大というものを図っていくべきであると考えますが、官房長官、よろしくお願いします。
○福田国務大臣 今、日本に来る外国観光客は、中国、韓国、台湾、もうこれでほとんど占めてしまうというぐらい多いんです。中国からもたくさんの方が来られるわけでございますし、そのこと自身は大変結構なことでございます。日本を理解してもらうということ、またそういう際に日本も中国人に接することができるということ、相互理解という観点からこれはさらに充実強化していかなければいけない、そう思います。
ところが、反面、今御指摘のように、日本に来てどこかへいなくなってしまう、そしてその結果、不法滞在によって、その間いろいろと犯罪を起こすといったような、そういうような事実もあり、また懸念も大きいものでございますので、査証事務についてもっとしっかりやってほしい、こういう要望というのは、我が国政府からも中国政府に対して今までもいろいろな形でもって伝えておるということでございます。
私も、昨年八月に中国を訪問した折に、この問題を解決したい、そういう提案をし、また、関係当局との間の交流というか、相談も、協議も、これもよくやってほしいという提案をいたしたこともございますけれども、この問題は中国も今真剣に取り組んでいるというふうに思っております。
しかし、我が方の受け入れの体制ということもありますので、双方が今後よく協議して改善をし、そして交流の拡大に努める、そういうふうにすべきではなかろうかと思っております。
細かい点につきましては、外務省の担当がおりますので、お聞きいただきたいと思っております。
○大口委員 官房長官、そこで、見通しですね、なかなか答弁しづらい面があると思いますが、そこら辺を、いつまでなのかというそのあたりの見通しをお願いしたいと思います。
○福田国務大臣 いつまでというのはちょっと、担当部局に聞いていただきたいんですけれども、方向としては、例えば、今三カ所で査証事務を行っております。これをふやさなければいけない。中国は広いですから、やはりそれなりの、そういう査証事務をする地点が必要なんだろう、こう思います。これによって大分改善されるだろうというふうに思います。
○大口委員 これは、警察庁、警察部門の方もこのことについては当然の関心があるわけでございます。国家公安委員長、この点について。
○小野国務大臣 先生の方から今お話がございましたけれども、中国国民訪日団体観光旅行、日中双方の相互理解という上では、先生今おっしゃられましたとおり、とても大事なことであると思いまして、基本的には私どもも意義のあることと考えております。
ただし、我が国の来日外国人によります治安問題というのは御案内のとおり大変大きなものがございますので、そうした点を勘案いたしながら、治安への悪影響がないような対象地域、その拡大について関係省庁と十分に検討してまいりたい、そのように思っております。
○大口委員 ちょうど一昨日、外務省の領事部門の、日中の領事当局会議というもの、フォローアップの会議がありました。今、日本も八項目ぐらい、昨年五月ですか、与党の代表から提案しておるわけですけれども、その八項目の、こちらの、日本の側の要望に対して中国がどういう反応を示しているか。それと、一昨日、二月二十四日のその会議の中身について御答弁願いたいと思います。
○鹿取政府参考人 今先生御指摘のとおり、中国との間で領事当局間協議を行いました。その議論において、今御指摘の八項目の実施について、中国側の対応の現状について照会するとともに、その実施の重要性を改めて指摘いたしたところでございます。
これに対して、中国側からは、日中双方で問題解決に向け引き続き努力していきたいということをやはり確認しております。ほかの議題もありましたので、余り詳細には入りませんでしたけれども、引き続き東京とそれから北京で議論を継続するということになっております。
ただ、もちろん今御指摘の八項目の中には、幾つかあります旅券発給時の審査の厳格化であるとか旅行会社の名義貸し出しの防止、あるいは違法行為を行った中国の旅行者に対するペナルティーをどうするか、こういう問題についても、一応中国側との考え方を整理したところでございます。
旅券発給時の審査の厳格化については、中国側としても、引き続き関係当局へ伝えて厳正な対応をお願いするということを申しておりましたし、また、旅行会社の名義貸し出しの防止については、日本側で実は幾つか改善案を考えまして、例えば、添乗員についてはこれまで割とフリーであったんですけれども、添乗員に対する審査は通常の査証と同じように厳格にする。ただし、添乗員に対しては数次査証を出す、こういうことを我々の方から提案いたしました。
また、違法行為を行った旅行会社に対しましては、日本の旅行会社に対しては今ペナルティーという制度を導入しておりますが、このペナルティーを中国側の旅行会社に対しても導入するということで話をしております。
こういうことで、領事当局間協議で議論いたしましたけれども、さらに北京及び東京で議論を継続することになっております。
○大口委員 しっかりやっていただきたいと思います。
次に、今刑法犯の認知件数が非常に多くなってきた。大体今から三十年ぐらい前、要するに昭和の時代というのは百四十万前後であったわけですよ。それが今、認知件数が二百八十五万と倍増しているという状況にある。それから、検挙率が、昭和の時代には大体一般刑法犯で六〇%台、それが平成に入って四〇%、そして最近は二〇%を切る場合もある、前後、こういうふうに非常に検挙率が下がっているわけです。
それについて、前田雅英さんという都立大学の法学部長さん、この人の本の中には、平成に入って警察庁の捜査の方針が変わったと。要するに、軽微な事案の検挙よりも重要な事案に力を入れる、そういうふうに方針転換をしたことが原因ではないかと。確かに、警察官の人員というのは非常に限られている。ところが、いろいろな犯罪がどんどんふえてくる。そういう中で、やはり重大な犯罪をきちっとやりなさい、これは国民の声だと思うんですね。ですから、そういう方針転換したということは、当時の学者先生たちもそれは大体賛成したのかもしれない。
しかしながら、ニューヨークのジュリアーニ前市長が、これはジョージ・ケリングという教授の割れ窓理論、これによって、要するに、万引きとか、あるいは無賃乗車だとか落書きだとか、こういう小さな軽微なことをきちっとやらなければ治安はよくならないんだ、この割れ窓の理論というものをジュリアーニ前市長が実践して、そのかわり警察も大変増員してこれをやって、そして今ニューヨークが非常に安全な地域になったわけです。
そういうことで、やはりこの平成元年の警察庁の動きを見ていますと、例えば、自転車盗の取り締まり活動についてということで、保安部長あるいは刑事局長が通達を出していますね。そこでは、自転車盗の可罰性の減少、被害意識の希薄化の傾向が見られること。それから、発生件数が多数に上ることにより、効率的に対処する必要があること等から、検挙については、悪質常習事犯及び被害者の被害意識の高い事犯に重点を志向することと。こういうことで、これは自転車盗についてのものでございますけれども、当時の警察庁の空気をうかがい知る通達になっておるわけです。
では、そういうことで重要犯罪が減ったか、検挙率は高まったかというと、これはまたそうではないんですね。例えば、強盗が、これは平成六年は七八%だったのが五〇%を最近切って、やっとまた平成十四年で戻ってきた。あるいは放火も、平成六年九二%が、平成十四年六七%。強姦は、九二%が六二%。強制わいせつが、九二%が三六%。重要犯罪が平均して平成六年八九%、それが五〇%になっているということで、重要犯罪の検挙率も非常に下がっている。
それからもう一つ、軽微な事案ということでいえば、暴行が、これが平成六年八一%の検挙率が、平成十四年四四%。住居侵入が、これは昭和五十八年四五%、平成六年三四%、平成十四年は二〇%。器物損壊に至っては、落書き等だと思うんですが、これは平成十四年五%なんですね。昭和五十八年は三〇%、平成六年が一二%だったのが、平成十四年は五%、こういう状況でございます。
そういうことで、この割れ窓の理論等も御考慮されて、なぜこの検挙率が低下したのか、その警察庁のお考えと、であるからこそ、この検挙率を上昇するためにどうするのかということを明確に答弁していただきます。
○小野国務大臣 お答えをさせていただきます。
先生の方から大変今細かい数字をいろいろとお出しをいただきましたけれども、原因は何かということ、今先生からもお話がございましたけれども、犯罪の増加に検挙が追いつかないというこの現実もございます。二百八十五万四千件というのは平成十四年で、平成十五年度が六万四千件減りまして二百七十九万件という刑法犯認知件数でございます。
幾分かは少なくなりましたけれども、しかし、これだけ多くの犯罪があるということは大変なことでございまして、そうした中に、初動捜査に追われまして、余罪の解明が困難になっている。新聞を拝見しておりましても、私どものデータもそうですけれども、とにかく一人が一件ということはあり得ないわけですね。数件持っているわけです。そういうことで、いろいろと時間をかけて余罪を解明していくことがどうしても少なくなってしまう。そこに二三・二%という大変少ない数字が出てきまして、警察は何をやっているんだ、そういうおしかりをいただくことになるわけでございます。
そういった点からは、一万人計画の増員を十三年度に皆様の御理解をいただきながら、十四年度が四千五百人、十五年度が四千人、そして十六年に向かいまして三千百五十を今お願いしているところでございますけれども、一人の警察官の負担人数も相当違いまして、諸外国で五百人台というのは非常に奇異な状況でもございますので、何とか増員と、それから、警察官でなければできない部分と、警察官以外の民間の方々にお願いしながら、本来の警察官が行うべき捜査、逮捕とか、そういうことに今後私どもも方向づけを、今後の法案等も含めまして持っていかなければ、そんな思いをいたしております。
犯罪対策閣僚会議で策定いたしました行動計画に基づきまして犯罪対策を推進するほか、科学捜査の強化や、やはり優秀な捜査官の育成に努めていかなきゃならない。
先生からいろいろお話がございましたけれども、どうしても、凶悪犯が多くなりますと、重要凶悪犯に関してしっかりやれ、こういうお声が出てきますので、実際的にはそういうことに取り組むことになったということも現実でございますけれども、今私申し上げましたように、さまざまな犯罪の増加、検挙率の低下、追いつかない、こういうことを少しでも解明しながら、そしてまた先ほどからお話がありますように、来日外国人の犯罪が非常に多くなっております。こういうことも含めまして、これからの安心、安全を目指す日本のあり方に対して、警察庁を督励してまいりたいと思っております。
○大口委員 それから、二十五日、昨日ですね、ちょうど北朝鮮在住のよど号ハイジャック事件メンバーの魚本公博容疑者、安部公博ですね、の妻民子容疑者が、北朝鮮から北京経由で帰国し、午後七時二十四分、旅券法違反で成田空港で警視庁に逮捕された。この魚本公博容疑者、夫は、元神戸外大の有本恵子さんの拉致に関与したという疑いで、結婚目的誘拐などの容疑で国際手配されております。
北朝鮮による拉致容疑事犯の解明に対する国家公安委員長の決意をお伺いしたいと思います。
〔大村委員長代理退席、委員長着席〕
○小野国務大臣 お答え申し上げます。
御指摘のよど号の犯人の妻、魚本民子につきましては、二十四日、警視庁におきまして、旅券法の違反容疑で逮捕したものと承知をいたしております。警察におきましては、同人を含みますよど号グループの海外における活動には重大な関心を持っておりまして、引き続き、こうした活動の全容解明に誠心誠意取り組んでまいりたい、そのように承知をいたしております。
なお、警察によりますこれまでの一連の捜査の結果、魚本民子の夫である魚本公博につきましては既に、一昨年の九月に有本恵子さん拉致容疑事案に関しまして逮捕状の発付を得ておりますので、国際手配を行うとともに、その他のよど号グループや拉致容疑事案関連の国際手配を既に被疑者として行っております。そんなことで、北朝鮮に対しまして身柄の引き渡し要求を行っていると承知をいたしております。
北朝鮮による日本人拉致容疑事案につきましては、国民の生命財産を私どもは守る責任がございますので、これからもその全容解明のために、関係機関とも十分連携をしながら、鋭意捜査を進めていくものと承知をいたしております。
○大口委員 また、私どもの治安対策プロジェクトでもいろいろ議論が出ました。やはり、一つは、割れ窓の理論ということでいきましても、またそういうことを考えますと、交番の機能というのは非常に大事である。そういうことで、空き交番の解消、これはもう警察官の増員ということで頑張っていただいているわけですが、さらにやはりしっかりしていかなきゃいけない、こう思っております。
そして、そのことを考えますと、警察官のOBの方を、まだお元気ですから、大いに活用すべきである、こういうふうに考えますし、また、東京都でもやっておりますが、地方自治体の職員、これを警察の方に出向する等の警察支援ということも考えるべきだと思います。そしてまた、民間警備会社等の民間会社の活用というものも、これは大いに活用すべきである。
今、緊急地域雇用創出特別交付金、六カ月なんですが、これを使って学校パトロール、地域のパトロールを県警から民間委託するとか、こういうことがなされているわけですが、六カ月で切れちゃうわけですね。こういう形が果たしていいのか、やはりもっと恒常的なことも考えていかなきゃいけないんじゃないか、こう思ったりしております。
また、空き交番につきましては、今、交番に足を踏み入れると、全自動接続のテレビ電話というものもできている。あるいは、スーパー防犯灯の整備。これは、やると街頭犯罪が減っていく、こういうこともあります。
私はまず、町の安全ということからいって、やはり私が今言ったようなことはしっかりやっていただきたい、これが第一点でございます。それについてお伺いして、時間がないものですから、二番目に、子供の安全についてということがございます。
連日、それこそ児童の連れ去り、きょうも、けさ報道されておりました。現職の警察官もそういうのにかかわった、非常に悲しむべきことでございます。やはり、こういうことを考えますと、学校の安全、子供の安全という視点から、学校施設とか通学路の防犯診断とかあるいは安全対策、しっかりやっていかなきゃいけない。また、そのパトロール、それから、地域ボランティアでありますとか、あるいは民間警備会社に自治体が委託してパトロールしているところもございます。
また、防犯カメラの設置でありますとか、あるいは、これは杉並区は全区立小学校で設置するそうでございますけれども、子供の緊急通報装置の整備、また、児童全員に防犯ベルの貸与。これ、一個二千二百円ぐらいだそうです。この前、杉並の小学校の子供に聞きましたら、中学三年生になったらまた返すんですとちゃんと言っていました。それから、GPSの活用による緊急通報者の位置特定システムの普及、こういうこと、子供の安全ということで、私は提言したいと思います。
三番目、女性の安全ということでございますけれども、強姦もかなり平成八年から六十数%増しているわけですね。あるいは、強制わいせつに至っては三・八倍ぐらいになっているということでございまして、我々も要求しております強姦罪の罰則の強化、集団強姦罪の創設、これを提案しておるわけでございます。実現を図っていきたいと思うわけでございますが、女性が、性暴力だとかDVでありますとかいろいろなことについて相談しやすい環境、性犯罪の被害について相談しやすい環境、これをつくっていかなきゃいけない。
滋賀県警では女性警察チーム・クララというのができておりまして、女性や子供の、犯罪の相談、保護、警戒活動を進めている。千葉県警でも女性相談所等いろいろと工夫されている。そういうことで、警察の相談窓口に女性職員を配置するなどをやっていかなければならないんじゃないか、そういう環境も整備していかなきゃいけないんじゃないか、女性の被害者が相談しやすい環境を整備する必要があるのではないか、こう思うわけです。
それと、そういうことからいきますと、女性警官が、今警察官二十四万一千人、女性警官が一万二百人、四・二%なんですね。男女共同参画型社会からいって、ちょっと警察は遅れているんじゃないか。国家公安委員長は女性ということで、それはかなり変わってきたわけでございますけれども、やはり女性警官というものをきっちりと採用していく。それから、蔵前署長の坂口知子さん、十年ぶりに警視庁で二人目の女性署長、これも、その登用もしっかり考えていただきたい。
この、要するに町の安全、子供の安全、女性の安全について、まとめて御答弁いただきたいと思います。
○小野国務大臣 大方先生がもうお話ししてくだすったような感じがなきにしもあらずでございますけれども、空き交番の問題というのは、本当に交番があるだけで住民の皆様方がどれだけ心の安心をお持ちになられるかということで、今回の三千百五十人も、もしお通しをいただければ、全国津々浦々にぜひ分配をして安心をしていただこう、そのように考えております。十三年度以降、設置されました警察官の増員のうちの相当数を今その空き交番対策に充てているということも御理解をいただきたいと思います。
それから、地方財政計画、先生もおっしゃってくださいましたけれども、退職警察官の問題、あるいは交番の相談員それから警察安全相談員とかそういう方々に、OBの方々に参加をしていただこう。それから、先生おっしゃいましたテレビ電話システムですね。だれもいないときに、ぽちっと押しまして、どうなさいましたかという、テレビ電話をもって安心してお話をしていただく。空き交番の足らざるところを、交番の方々は巡回をされるものですから、そういった意味でもなお空き交番になってしまうというのが現状でございます。
そういったさまざまな防犯施設の整備や、あるいは関係団体、そういう皆さんと一緒になりまして、特にスーパー防犯灯、これは大変功を奏しておりまして、いざというときには押すだけでカメラは回りますし、即座に逮捕につながっていくという。ただ、本数がまだ、平成十五年度から始まった事業でございますので、二十三地区で二百九十四基を整備するというところでございますから、十六年度にも引き続き整備を進めていきたい、そのように考えております。各都道府県におきまして、単独事業として整備されているものもあると承知をいたしております。
それから、警備業者の活用につきましては、今後大いに力を入れてお願いしていきたい。そして、本来の警察官ならではのところを警察官の方々に頑張っていただけるようにシフトをしていきたい、そのように考えております。緊急地域雇用創出特別交付金事業、これを活用していくということで、防犯パトロール等の事業、こういったものの委託を、平成十五年度では三十四都道府県及び六十七市町村において実施されると承知をいたしております。
口早で恐縮でございますけれども、それから、子供たちの問題でございます。本当に、学校に行くときとか帰るときも、ある程度の道路までは集団下校、集団登校というのがありますけれども、一番、家のそばの近場になりますと、皆一人になるわけです。その辺をどうするかという問題が、今回のいろいろな事案に関しましても、本人が一人になったところを襲われるということがありますので、笛も大事ですけれども、周辺の皆様方がやはり子供たちが帰ってくる時間であるという認識を持って、何か皆さんの周辺の目を防犯カメラにしていただきたい、私はそんなふうにも考えております。
そんなことで、地域の皆さん方と連携をしてやっていかなければ、警察だけでも難しゅうございますし、また家庭だけでも補え得るものではない、社会全体で、皆さんのお力を合わせて、防犯訓練の実施とか防犯教室とか、そういうものを通しながらみんなで子供たちを守っていこう、そういう考えでございます。
それから、女性警察職員の件でございますけれども、被害相談の体制、この辺はやはり女性ならではの問題で、特にDVの問題もございますので、話しやすいように女性警察官を、性犯罪が大変多くなっておりますので、登用して頑張っている。特に、交番の女性相談員、そういう方々、それから駅に女性被害者相談所を設けるなど、女性職員によります被害相談体制の整備を今推進しているところでもございます。相談しやすいということと、安全確保と、被害防止を図るためにこういうことに気をつけたらいいですよという御指導もあわせていただけるのではないか、そのように考えております。
最後に、女性警察官の総数一万二百人、私も中に入らせていただきまして、何人いるんですか、一万二百人、少ないですねというお話をさせていただき、また出生率のこともありますから、お子さんたちどれくらいいらっしゃるのなどという座談会も早速開かせていただきました。なかなか細やかに、産休に関しましても、それから仕事をしながら働けるような条件整備をいろいろと工夫されているという実態もわかりましたので、ぜひとも、これからの時代、男女共同参画型社会の実現のために警察庁もいろいろと力をなしてもらいたい、そのように考えております。
先般、三人目の女性の警察署長が警視庁で誕生したという大変うれしいニュースもございますので、今後政策決定の場に女性がどんどん登用されるように、その辺も心してまいりたい。そういった意味におきましては、女性は今、地域、交通、刑事、警備等の幅広い分野で活躍しまして、ただ駐車場の札切りだけではない、大変大きく活躍の場を広げていただいているということも御紹介をさせていただきたいと思います。
○大口委員 どうもありがとうございました。
○山本委員長 次に、河本三郎君。
○河本委員 竹中大臣に御答弁をお願いしておりましたが、伊藤副大臣、どうぞきょうはよろしくお願いします。
僕の時間はわずか十分でありますけれども、まとめて三つ四つしてしまいますから、政府の考え、姿勢をぜひきちっとお話を、御答弁をいただければと思います。
政府が言う景気回復というのは、地方では全く実感がありません。三位一体は、官から民へ、それから国から地方へ、こういう考えのもとで進めておるんだということは間違いないと思うんですけれども、では、その実態はどうか。地方交付税は二兆二千億削られる、そして地方債も含めると二兆八千六百億円の減、さらに補助金のカットが一兆三百億円ある、それに対しての税源の移譲というのはわずか六千五百億だという、この極めてバランスの悪い中で地方は悲鳴を上げているというのは、もう副大臣のところも同じだと思うんです。
そういうことをずっと進めていくおつもりなのかどうか。予算が組めないという声も聞こえておる。預貯金の取り崩しで何とかことしはしのげる、来年はどうなるかわからぬ、こういうことも言われているのが実態であります。
さらに、完全失業率が五%を切った、こういう報道がありますけれども、これは都市部と郡部ではかなりでこぼこがあるんです。近畿二府四県などは、それを大きく上回って六%以上の失業率があるから、これまでと同じように雇用対策や失業対策を全国一律に出しても、それはさらに格差が広がるんだ、こういう思いを持っております。
構造改革特区でいろいろええぐあいに進めていただいておるんですけれども、それは確かにいいことかもしれぬけれども、規制緩和・撤廃、そういうハードルを下げただけではなかなか難しいところもある。権限だけもらってもそれを動かしていく財源がないということになると、これは本当に大変なことになっていくと思います。
そういうことも含めて御答弁をいただきたいと思いますし、治安の悪化のことをよく言われておりますけれども、経済が低迷する、景気が悪化するということになりますと、これは犯罪もふえるんですよ。犯罪もふえる。それと、人間関係、地域の関係もぎすぎすしてくる。経済が回復したら何でも解決できる、こういう乱暴なことは言いませんけれども、経済というのは国家の基本なんですよ。こういうことをしっかりと政府も認識されておるとは思いますけれども、三つ四つまとめて質問させていただきました。ぜひ御答弁をお願いします。
○伊藤副大臣 今、河本先生から、地域の厳しい現状を踏まえてお話があったわけであります。そして、真の三位一体の改革を進めて、地方経済をしっかり再生していく、そういう取り組みをしっかりやれというお話でございました。
私どもといたしましては、三位一体の改革というものは、地方の権限と責任というものを大幅に拡大していく、その中で、国とそして地方を通じた効率的な行政の運営あるいは財政改革を進めていく、こうしたことも大きな目的の一つだというふうに思っているところでございます。
平成十六年度においても、こうした考え方に沿って、国庫補助負担金については一兆円の廃止、縮減等の改革を行って、そして、税源移譲等により一般財源化を推進するとともに、地方交付税の総額を抑制することとしているわけでありますが、こうした取り組みというのは、今までの取り組みと変わっていくわけでありますので、先生御指摘のように、地方ではいろいろな戸惑いの声がある。
御指摘の中にも、一部の地方公共団体から予算編成が大変厳しいという声があるというふうにお話しになられたわけでありますが、私どももそうした声を承知いたしております。しかし、今、国も地方も厳しい財政状況にありまして、こうしたことにかんがみれば、地方においても、やはり、財政の健全化について一層の努力を図っていくことも大変重要なことではないかというふうに思っております。
なお、どうしても予算編成が困難である地方公共団体については、地域再生事業債の活用など所要の措置を講じるものと承知をいたしているところでございますけれども、今後とも、地方の声というものを踏まえて、地方にできることは地方にという原則のもとで、経済財政諮問会議を中心に、真の分権社会を実現していく、そして、地方分権というものを確立していくために政府一丸となって取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
また、景気の問題、これはもう先生、経済企画庁の政務次官も経験をされて、経済の問題について大変お詳しいわけでありますが、現在の我が国の経済というのは、設備投資とそして輸出に支えられて、そして、今までと違って財政出動に頼らない中で、民需が主導する形で着実に回復をしてきているわけでありますが、しかし一方で、この景気回復というものが、家計への波及、こうしたもののおくれがある。また、地域経済の状況を見ると、産業構成や輸出競争力の違いなどを背景にして、依然としてばらつきがあるわけであります。
しかし、雇用の状況は大変厳しい状況でありますけれども、持ち直しの動きも見えてまいりました。そういう意味からすると、景気の明るい兆しが見えてきた今こそ、地域経済再生の取り組みを強化していく絶好のチャンスである。そのために、私どもとしても、政策手段というものを総動員して、ある意味では、地域が抱えている問題というのは日本の構造問題の縮図という面もあるわけでありますので、そうした認識の中で、強力にこうした問題に取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。
構造改革の取り組みによって、地域の中で、自分で知恵を出して自立してやっていこう、そういう動きが顕在化をしてまいりました。したがって、こうした動きを最大限やはり活用して、政府においては、地域再生本部というものを設立して、そして今、プログラムづくりに取り組んでいるわけでありますけれども、地域の独自の資源あるいは知恵というものを最大限活用して、また、地域社会も巻き込む中で、地域経済の再生というものを実現していかなければいけない。単に規制改革や行政のアウトソーシングだけではなくて、やはり地域の産業、基盤の産業も再生をしていく、そういう視点の中での取り組みを強化していくことが非常に重要であるというふうに思っております。
○河本委員 ありがとうございました。
掘り下げた議論はまた法案審議を通じてお願いをしたいと思いますけれども、構造改革特区に対して、規制緩和撤廃だけでなく財政支援もという、ちょっと別の角度からもお考えを整理していただきたいと思っております。
僕の残された時間は、新進気鋭の、デビュー戦を飾る西村康稔議員に譲りたいと思います。ありがとうございました。
○山本委員長 次に、西村康稔君。
○西村(康)委員 自民党の西村康稔でございます。
河本先輩の御好意によりまして、初めての質問をさせていただきます。
きょうは時間がありませんので、日本の経済、社会をいかに活性化し、いかにもう一回元気な国にしていくかという観点から、二つのこと、一つは少子化対策、もう一つは構造改革特区について御質問させていただければと思います。
まず、少子化対策につきまして小野大臣にお伺いをしたいんです。
私の記憶違いでなければ、大臣も、オリンピック、子育てをしながら出場されたというふうに伺っておりますけれども、なかなか子育てと仕事というのは両立が大変でありまして、特に働く女性にとりましては、しっかりとした子育て支援をやることが、やはり安心して子供を産んで育てていける。それが、長い目で見れば少子化対策になり、日本経済がまた活力を取り戻すというきっかけになるんだと思うんですけれども、そのあたりの、大臣の御経験を含めて、御所見をお伺いできればと思います。
○小野国務大臣 家庭と仕事というのと、今お話しいただいたように、さらにそこにトレーニングが入っておりましたので、実際はなかなか大変でございました。やはり継続していくためには、子供を見てもらえるだれか、お願いできる者がいるかいないかによってすべては決まったような気がいたします。
それが、いわゆる今の社会保障的な形の中で、国が、社会が面倒見るという形に大きく変わってきたということは、大変今恵まれているわけでございまして、私どもの若いころは、それは自分事であって、だれかにお願いするとかそういうことではないという、考え方の違う時代でありましたけれども、それはそれなりに、母やあるいは親類の者の力をかりたり、それから時にはおばのところへ連れていったりと、本当に、移動しながら、子供がかわいそうだなと思いながら、そういう経験をいたしましたけれども、やはりそれでは心情的に安定した子供ができない。心の問題が、きょうは右へ行き、きょうは左に行ってでは、子供の心理的あるいは精神的安定が得られない。
そういう意味では、例えば、保育所がきちんと整備されていて、本人が、働くことの喜び、そしてまた子供を育てることの喜び、両方を味わっていくというのが、これからの新しい男女共同参画型社会であるということになれば、その条件整備をしていくというのが、私どもに課せられた仕事であろうと思っております。
○西村(康)委員 実は私も、三人の娘を子育てしながらでありまして、時間が許す限りおふろに入れたりやっております。家族全体、家族みんなで子育てをしていく、あるいは地域全体でしていくということは大事だと思うんですけれども、実際には、やはり働いていますと、保育所に入れたりとか、あるいはいろいろなお金がかかる、そんな意味で、子育て支援というのは大変重要な政策だと思うんです。
政府の方も、保育所の待機児童をゼロにしよう、あるいは、育児休業あるいは育児手当、その拡充を図っておられると思いますけれども、どのような政策をとられてきているか、そしてまた、それが諸外国、ほかの先進国と比べてまだまだ不十分でないかと思うんですけれども、そのあたり、国際的な比較も含めて、どのような状況になっているか、これは厚生労働省からお伺いできればと思います。
○伍藤政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国は我が国なりの少子化対策を進めておりますが、諸外国と比較するというのも一つの方法かと思いますので、参考までに、まず最初に、児童手当あるいは育児休業の概要について申し上げます。
児童手当につきましては、我が国の場合、第一子、二子が五千円、それから第三子以降は一万円という水準でございます。
これに対しまして、外国、アメリカについては児童手当制度はございませんが、イギリスやドイツ、フランス、スウェーデン、こういったところを概括して見ますと、大体、支給対象は十六歳から二十歳までぐらい支給する、支給額も月額一人一万円から二万円、こういう水準でございます。申しおくれましたが、日本の場合には就学前が支給対象でございますから、こういう格差がある、事実としてはそういうことでございます。
それから、育児休業につきましては、まず、我が国の制度は、現在、一歳まで育児休業がとれるということで、今国会におきまして、これを、事情がある場合には一歳六カ月までに延ばすことができるようにしようという改正案を提案しております。
外国の場合には、ドイツやフランスについては、原則三歳になるまで育児休業がとれる。それからスウェーデンについては、子が八歳になるまでの間に両親合わせて四百八十日間取得できる。アメリカは、非常に性格が異なりまして、出産休暇や本人の病気休暇等も含めて一年間に十二週間までというふうになっておりますが、これは雇用が非常に流動的であるといった事情もあるかと思います。こういった状況でございます。
我が国の場合は、こういったことを含めて、今、いろいろ総合的に対策を進めておるところでありまして、従来、御指摘のありました待機児童ゼロ作戦といった保育所の整備といったことを中心にして取り組みを進めてまいりましたが、さらに、最近のいろいろな状況を勘案いたしまして、もっと総合的な視点から対策を講じようということで、現在、進めております。
特に、男性を含めた働き方の見直しとか、こういったところに力を入れて、今年度中に、各企業あるいは自治体、すべての事業主にこういう次世代育成の支援計画をつくっていただくということで、官民を挙げて取り組んでいこうということで、今、進めておるところでございます。
○西村(康)委員 諸外国に比べましてもまだまだ不十分ということですので、もちろん財源の問題もありますから、強力な行財政改革をやって財源を捻出していくということも必要で、その議論はまた別途ですけれども、ぜひ強力に進めていただければと思います。育児休業もなかなか、私も公務員でおりましたけれども、子供が生まれたとき、休めないわけですね。今おっしゃった職場環境の、意識の改善というか、こんなことも必要だろうと思います。
もう一点、子育て支援と同時に、男女共同参画社会の実現というか、いろいろ統計を見てみますと、諸外国の統計あるいは日本の国の中で県別の統計を見ても、女性の労働力が高いところは出生率が高いという統計的データが出ているようであります。よく一般には、女性が働くから子供が減るんだと言われていますけれども、実際はその逆でありまして、女性がきっちりと働ける環境にあるところは子供の数は多いということがデータ上はっきりしております。
どういう因果関係があるかどうかは、これは議論はあると思いますけれども、データ上ははっきりしておりますので、女性が安心して働ける環境をつくることが、すなわち男女共同参画社会をしっかりと実現していくことが少子化対策にもつながっていくということだろうと思います。
その点で、きょうは官房長官おられませんので、中島副大臣にお伺いをしますけれども、ぜひ強力に男女共同参画型社会を実現していただきたいと思います。その点についての御所見を伺いたいと思います。
○中島副大臣 委員御指摘のとおり、少子化問題を解決する上で、男女共同参画の視点は必要不可欠なものだと信じております。
OECDの各国データにおいても、女性の労働力率が高い国は合計特殊出生率が高い傾向にあることも事実です。我が国は女性の就業率と出生率がともに低い水準にとどまっておりますが、その要因として、育児と仕事の両立が難しい点が指摘されていることも事実です。
私見を申すならば、我が国の子育ての一つの思想の中には、三つ子の魂百までも、三歳ぐらいまでは母親が育児をしたいという気持ちもあることも事実です。そういうこと等も踏まえながら、これからの大きな課題であろう、こんなふうに考えておりました。したがって、仕事と子育ての両立に関する施策を充実させることにより、女性の就業率が高まるとともに、少子化を抑制することにもつながると期待をいたしております。
今後とも、女性が社会の中で活躍できるよう、男女共同参画に関する取り組みを積極的に進めてまいりたい、こんなふうに考えております。
○西村(康)委員 ぜひ、制度改革とともに意識改革も強力に進めていただければと思います。
最後に一点だけ、これも大臣にもう一度お答えいただければありがたいんですけれども、きのうもいろいろ、いわゆる質問取りというかレクに来られて、意見交換させていただいたんですけれども、十人ぐらい来られて部屋がいっぱいになりまして、きょうも小野大臣所管の分もあれば官房長官所管の分もあり、また、現場の施策は厚生労働省がやるということで、各省にわたる問題でありまして、縦割り的になりがちでありますので、ぜひ少子化対策担当大臣として束ねていただいて、強力に進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
時間がありませんので先に進みます。
もう一つのテーマであります構造改革特区につきまして、ぜひ金子大臣に所見をお伺いしたいと思うんです。
これはもう御案内のとおり、各民間企業あるいは各地域のアイデアをいろいろ出し合うということで競争しながら、自分たちの地域をどうやって活性化するかということで、大変いい制度であります。これまでもたくさん認定を受けて、いろいろな雇用を生み出したり、いろいろなアイデアで事業を生み出しているということで大変評価できると思いますし、これからもぜひ推進をしていただきたいと思うんですけれども、ただ、数を見てみますと、第一次提案のときには二百四の認定があり、二回目に百二十四、前回、今回と大体五十ぐらいの認定数にとどまっておりまして、だんだん減っているということ。
それからもう一点、実は、これは民間企業も提案ができるわけでありますけれども、なかなか、私も知り合いの人に話しても、民間がそんな提案をできるんですかと、知らない人も多くて、現実問題、提案主体で見てみますと民間事業者からの提案は約三割ということで、本来であれば、いろいろ仕事をしていて困っている企業の方々、こんな規制があっておかしいからやりたいというのももっと出てきていいと思うんです。
このあたり、ぜひ強力に推し進めていただければと思うんですけれども、意気込みをお伺いできればと思います。
○金子国務大臣 数が減っているのではないかという御指摘をいただいたんですけれども、いい案件がむしろどんどん出てきている。また、たまたま私のところは地域再生も担当しているものですから、地域再生の提案と第四次提案特区、これは一緒になって出てきますので、数の点について余り心配していないんです。むしろ質のいいのがどんどん出てきたなと。
先生のお地元は洲本、あそこは国生み神話というのがあるんですか、何か、国定公園の中で神話と人形浄瑠璃、あれをイベントに使っちゃおうなんというのも、随分楽しい話も出てきておりますし、市の通信ネット、あれを民間に開放して、工場を誘致して民間に通信ネットを開放するとか、非常に楽しみといいますか、私自身も期待をしているような案件が出てきております。
民間が少ないというのは、確かに、全体の中で三割なんですが、中にはいいのもあります。大谷石の掘っちゃった後の穴、あれは今あきっ放しになっていますね。これは、民間の、地元の方が提案をされまして、一般廃棄物、家庭廃棄物なり、それからし尿、これから出てくる溶融スラグ、あれをあの穴の中に埋められないかというような提案を民間がされて、そして、自治体が地元で協議会をつくって、それでいこうではないかということで、安全基準とかJISマーク、JASマークですか、そういう心配事はちゃんとクリアしてもらいましたけれども、これなんかは結構、リサイクル事業、今まで捨てられた部分が使えるというようなことで、相当民間の方もいろいろ知恵を出してきている。
ただ、おっしゃるように、まだ三割にすぎない、どんどん広げたい。全国の商工会議所ですとか、それからJCですとか、担当チームが全国に散らばって、キャラバン、説明隊を組んで、これからも、おっしゃるとおり、民間も提案できるんだ、民間が提案してこういうのができたんだということをまたなるべく知っていただくように最大限努力して、使ってもらえるようにしていきたいと思っています。
○西村(康)委員 ぜひ、PRも含めて、積極的にやっていただければと思います。
もう一点だけ大臣にお伺いをしたいんですが、特区で認めたものについて、いいものについては全国展開をしていくということですけれども、これは各省庁で一応法律改正、法令改正をやるということですけれども、ほっておくと、私も官僚出身でありますけれども、いろいろ理屈をつけて後回し後回しに各省やる可能性がありますので、一括法とは言いませんけれども、ぜひ、タイミング、時期なり見きわめ、出口を定めて、このときまでにということでリーダーシップを発揮していただいて、各省しりをたたいて、各法令改正がスムーズにいくようにお願いをしたいと思いますけれども、そのあたりの意気込みもお伺いできればと思います。
○金子国務大臣 今、評価委員会をつくりまして、実施されて一年たったものについては、向こう半年間で、これが全国展開できるのか、どういう問題があるのか、そこで評価して、そして、弊害のないものについては一年後には全国展開していくという仕組みをつくっております。
○西村(康)委員 ぜひ、スムーズにいくようにお願いをしたいと思います。
ちょっと個別のことで、文部科学省、来ておられると思います、お伺いをしたいんですけれども、今回、株式会社の学校設置につきまして、三つの特区が認められて、民間で大学、専門職大学院をつくるということが認められました。
いろいろ報道を見ておりますと、これは経済紙ですが、株式会社で大学、専門大学院をつくるということで認められたんですけれども、実際には大学設置審議会のいろいろな指導があって、例えば、これはIT関係の専門の大学院ということですけれども、専任教員として認めようと思っていた人が、修士号を持っていないからだめだとか、学会で発表していないからだめだとか等々、細かいところでいろいろな指導を受けている。文部省のある専門官の発言が引用されているんです、本当かどうかあれですけれども、特区で認められたからといって規制を緩和するわけではない、こんなことまで新聞に出ております。
やはり、普通の今の大学ではできないところを特区で、新しいニーズにこたえる形でやっていこうというわけですから、実務のところでそんなことのないようにぜひお願いをしたいんですけれども、そのあたりのことについて、文部科学省から答弁をいただいてもよろしいですか。
○高塩政府参考人 お答え申し上げます。
今先生から御指摘ございましたように、今回の構造改革特区によりまして、株式会社立のLEC東京リーガルマインド大学と、それからデジタルハリウッド大学院大学につきましては、二月十二日に大学設置・学校法人審議会から、この四月から開学という答申を得まして、二月十六日に認可をしたところでございます。
今先生から御指摘ございました条件といいますのは、留意事項という形で、その大学が今後さらに充実発展するように主体的に取り組むべきものとして条件という形でつけているものでございまして、これは一般の大学にもお願いをしているものでございまして、確かに、今回の場合には、カリキュラムの問題、それから専任教員の質の向上の問題、情報公開の問題等さまざまございますけれども、いずれも、申請者におかれまして今後教育研究の充実に向けての主体的な努力を求められるところでございます。
また、先生から教員審査のお話ございましたけれども、構造改革特区制度の趣旨、そういうものを踏まえまして、さまざまな新しいニーズにこたえるということを踏まえまして、今回は審議会の審査に当たりまして実務家の方を加えたり、また、教員審査に当たりましては、さまざまな実務経験、今先生から学位の問題とか大学での教育研究ということがございましたけれども、さまざまな実務経験をその審査の際に反映するという幅広い観点から審査を行って、認可という結果になったものでございまして、文部科学省といたしましては、今後ともこういったさまざまな要請を踏まえまして適切に対応してまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
○西村(康)委員 せっかく特区でやるわけですから、特区ならではの、これまでの規制の範囲内でできないことを認めているわけですから、ぜひ実務上もその点配慮をしていただければと思います。
最後に金子大臣に、もう一問だけ。
文科省関連であと幾つか、株式会社の学校設置の場合は特に対象は制限がないにもかかわらず、NPOがつくる場合には不登校児等に限定がある等々、幾つかまた質問する機会があればしたいと思うんですけれども、ぜひ金子大臣、各省庁引っ張っていただいて、強力なリーダーシップを発揮していただいて、特区によって日本経済、日本社会が活性化するようにお願いをしたいと思います。最後にお願いします。
○金子国務大臣 御指摘いただきまして、今NPOで不登校児、それから俗にLD、ラーニング・ディスアビリティー、ここまでは来ました。しかし、もっと、芸術ですとかバイリンガルですとか、いろいろな要望が出てきております。
ただ、これは河村文部大臣と、要請があったんです、河村文部大臣ともかなり強烈に話し合いまして、そして、なるべく早い間に、不登校それから学習障害児以外でも多様なニーズがNPOの中にあるはずだ、その人たちのかなり実績もありそうだ、そういう部分については実現するように両省で協議しようということを河村文部大臣とも話をして、なるべく早くスタートしていきたいと両省合意をさせていただいたところであります。
○西村(康)委員 ありがとうございました。質問を終わります。
○山本委員長 次に、宇佐美登君。
○宇佐美委員 民主党の宇佐美登でございます。七年ぶりの国会復帰でございまして、委員会質問も久しぶりでございまして、大変緊張しておりますけれども、まだ三十七歳なので私も新進気鋭というつもりで質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
まず最初に、金子大臣、構造改革特区を最初にさせていただきたいと思います。
二十四日の閣議決定で特区基本方針閣議決定、弊害について立証なければ全国に適用という方針が決められたというふうに伺っております。この方針は非常にすばらしいことなんだと思います。
つまり、規制が、所管官庁が絶対に必要なんだということの説明であり、その規制がなくなるとどれだけ弊害が出るかということを一番専門である省庁に説明しろということでございますので、この立証をさせるということは非常にすばらしいと思うんですが、この方針について、その意気込みであり貫徹するということを、端的に大臣からまずお願い申し上げます。
○金子国務大臣 宇佐美先生から応援発言をいただきました。私たちもそのつもりで、一年経過したならば、向こう半年間でどういう問題があるのか各省庁に対して出してもらおう、そして一年後にはそれを、半年後以内には結論を出して、そして全国実施を原則していく、そういう気持ちで取り組ませていただきたいと思っております。
○宇佐美委員 その中で、例えば、委員会が規制緩和を推進しようとしても、所管官庁が承服せずにだめになるということはあり得るわけですね。今回の道路公団の民営化問題でも、結局、一部委員が抗議の辞職に及んでいるのは皆さん御存じのとおりでございます。
とすると、大臣、各役所どこでもいいんですけれども、相手の大臣なり相手の省が説得できなかったときに、その責任問題というのが非常に金子大臣に重くかかってくると思っていますけれども、それ相応の覚悟をこの場でお示しいただいて、刺し違えるんだというぐらいの御意向を示していただきたいと思います。
○金子国務大臣 これから取り組む、評価を、取り組んでまいりますし、それから、評価委員会の方には、実現した特区の現状もつぶさに見てきてもらうつもりでおります。その上で、各省庁の意見を聞く、相当激しいやり合いになるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、進めるもの、やれるもの、弊害のないもの、それは進めるという気持ちで取り組んでまいります。
○宇佐美委員 ありがとうございます。
この規制緩和、構造改革特区ということについては、党派を超えて絶対に実現をしてもらいたいということでございますので、我々民主党も大臣がいろいろなところから責められるときに、ある意味では、この改革については応援をしていきたい、そんな思いでいることをお伝えしまして、金子大臣への質問は終わらせていただきたいと思います。
続きまして、茂木大臣、研究評価の基準について、先ほどどなたかからの御質問もありました。
今回の所信表明演説の中でも、この研究評価について優先順位づけをやったということでございますけれども、その基準について、本当に聡明な茂木大臣ですから、だれでもわかるようなガイドラインがちゃんとつくられているんだと思うんですね。そのことをまず端的に御説明ください。
○茂木国務大臣 まず、国家的に重要な研究開発、これは十六年度の場合、五つの大きなプロジェクトについて評価を行っているわけであります。ゲノムネットワーク、南極観測、先端分析計量機器、対がん十カ年戦略、そして、アルマ計画といいまして電波望遠鏡、これについて行ったわけでありますけれども、こういった国家的に重要な研究開発の評価が五点ございまして、一つが科学技術上の意義、二つ目が社会経済上の意義、三つ目が国際関係上の意義、四つ目が計画の妥当性、五つ目が成果、運営、達成度、この五項目を基準として評価を行っております。
○宇佐美委員 今五点言われた基準の中で、いわゆる計画の妥当性ということから恐らく、昨年末議論になりましたノーベル賞をとられた小柴先生のニュートリノ実験計画についてCランクという評価をされたんだと思いますけれども、今お伺いしていても、それ以外の評価基準からすれば、国家的な科学技術としての重要性という意味でも、もともとC評価ということ自体に非常に問題があったんではないかというふうに私は認識しているんです。
その点について、計画全体の見直しなしの前倒しはおかしいということでC評価をつけたというふうに聞いておりますけれども、ほかの点からすれば、SランクでもAランクでもいいぐらいの内容だと私は理解しているんですけれども、茂木大臣はいかがですか。
○茂木国務大臣 S、A、B、Cの評価ですね。SだからよくてCだから必要のないプロジェクトということではなくて、それぞれの施策を進める上でどういう留意点があるかとか、どういう改善点があるか、こういったことも含めて評価をさせていただきまして、このニュートリノの場合、御案内のとおり、一期計画、二期計画ありまして、この二期計画の一部に含まれているものを前倒しをする、しかし、計画全体の見直しが行われていない、それだったら計画全体の見直しというのがまず大前提になるんじゃないでしょうか、こういう観点からCの評価をさせていただいた。ただ、これに基づいて文部科学省の方も計画の見直しをしていただいた、こういう経緯であります。
○宇佐美委員 だとすると、評価をつけてから計画を見直しということでございますけれども、Cの格付をやったのが、たしか十六件あると理解しておりますけれども、ほかの計画についても、計画の見直しなどによってその評価が変わったり、もしくは、計画そのものを変えた例というのはあるんですか。
○茂木国務大臣 ニュートリノの方も評価は変えておりません。評価におきまして、留意点等を指摘させていただいているという形でありまして、Sがついたもの、Aがついたもの、B、Cと、それぞれにつきまして、どういう観点から評価をさせていただいたか、また進める上での施策の留意点はどういうことか、こういうことにつきましては、個別に、丁寧に説明をさせていただいております。
○宇佐美委員 茂木大臣、私が質問をしたのは、ニュートリノ計画以外でも、その指摘をされた留意点によって今般までに計画変更があったものがありますかということなんですけれども、大臣以外でもお答えになれる方がいらっしゃいましたらお願いをしたいと思います。
○茂木国務大臣 ニュートリノの場合は、大きな計画の中の一部を前倒しする、その場合は大きな計画の見直しなりが必要ではないですか、こういう指摘をさせていただいて、それをやっていただいたということでありまして、個別の施策は必ずしも大きな計画に基づいてやっているものではないものもありますから、そういった意味では、留意点につきましては私は改善が今進んでいると思っておりますが、ニュートリノと同じ位置づけではないと思います。
○宇佐美委員 私も、大学時代は理工学部の機械工学科で人工心臓を、当時少なくとも世界で最先端の先生のもとで研究をさせていただいた中で、本当に評価が一体どうなっているんだろうかというのを現場にいて感じていた者でございますので、こういった意味でも、格付をされたら、普通に考えたらやはりSの方がいいよねと考えるのが私は常識だと思いますし、財務省もこの格付を参考に予算措置を行うとどこかで発言をしているんだと思うんですね。そのときに、やはり私は、評価そのものについて再検討を、ニュートリノ計画だけではないですけれども、いま一度、今後ぜひ検討していただきたいと思います。
そして、次に行きます。科学技術のビジョンというのは非常に重要なんだと思いますし、九〇年代、アメリカが不景気どん底の中で、クリントン大統領が三つの重点政策、IT、航空宇宙、バイオを、はっきりと打ち出したことによって、そこにニュービジネスを求めた人たち、そしてそれに対しての投資というものが非常に集中していったのは、アメリカ滞在の長い茂木大臣だったら御存じのとおりだと思います。
そういった中で、私だったら、例えば今、日本の中で、航空宇宙、ナノテクノロジー、そして音声認識、こんなような三つを最重点政策として世に大きく発言、発信をさせていただいて、そこにどんどん技術者、そして投資家たちが集まるようなことを考えていくわけでございますけれども、この小泉総理になってから、どこをこれから日本が産業として育成していくかというのがなかなか見えない。
所信表明の中で茂木大臣は四つ挙げられているわけでございますけれども、いま一度その点について大きく発言をしていただいて、うちも大田区でございますから、中小零細が苦しんでいる。しかし、少しでも元気を持とうとしている企業は、どこに行けばいいのか今わからなくなっているんですね。そんな意味も含めて、ぜひ大臣の答弁をお願いします。
○茂木国務大臣 宇佐美委員もアメリカの産業政策に大変詳しいわけでありますが、先ほど大畠委員の方からも御発言がございましたけれども、恐らくアメリカの産業政策、大体一九八〇年代、ヤング委員会ぐらいから始まりまして、その当時は分野というよりも施策が中心でありまして、一つは技術の移転、これは大学とか研究機関から民間に移転する話。それから二つ目に、ベンチャービジネス、ベンチャーキャピタルの推進。三つ目が、いわゆるコアコンピタンス、こういう呼び方をされておりましたけれども、選択と集中を進めていく。こういう観点から一つの基盤をつくって、委員御指摘のように、九〇年代に重点分野を決めて、また二〇〇〇年から、今度は、例えばナノテクノロジーについても国家的に重要な施策として位置づけて、二〇〇三年に関連の法案もつくる、こういう流れで来ているわけであります。
では、我が国におきまして、こういった科学技術政策の根幹がどうなるかということでありますけれども、これにつきましては、科学技術基本計画をつくりまして、この二期計画の中で、先日の所信でもお話し申し上げましたライフサイエンス、それから情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料、この四つの分野を重点分野として取り上げているわけであります。
宇佐美委員御指摘いただきました音声認識、これは、恐らく情報通信の分野では今後大変重要な技術になってくると私は考えております。また、ライフサイエンスの分野も、ちょうど今まさにモードが変わっていく。ゲノムの解析から、これからはたんぱくの機能であったり構造の解析、こういうところで、このライフサイエンスだけではなくて、それが例えば機器であったりとか技術、こういったものにもかかわってくる、こういう大変重要な岐路でありまして、そういった四つの分野を中心にしながら、しっかりした研究開発体制、これを整えてまいりたいと考えております。
○宇佐美委員 その中にはなかなか出てこないですが、宇宙の話なんですね。これはやはり私も技術者の端くれとして夢を非常に大きく持てる分野ということもあるわけですが、残念ながら衛星の失敗というのが相次いでいるわけでございます。
この情報収集衛星そのものについて、これは官房長官になるかと思いますけれども、今後の方針をきちっと示していただきたいと思います。
○福田国務大臣 情報収集衛星というのは、危機管理ということもありますけれども、安全保障上の問題、また防災なんかに非常に有益だということ。また、海外でもって何か地震災害とか自然災害があったようなときにもそれでもって察知できる、緊急の援助ができる、そういうようなために大いに活用していかなければいけないというふうに思っております。
昨年の三月に一号機の打ち上げをいたしました。二機ございまして、同時に今地球を回っておるわけでございますけれども、これでもってかなりいろいろなことがわかるわけでございまして、大変有益なものだということをつくづく実感しているところでございます。
実は、昨年の十一月末に二号機が失敗してしまったんですよ。これはもう本当に残念であると同時に、国費を、すべてむだというふうには言わないですけれども、しかし大変な損害をこうむった、こういうことでございまして、このことについて今原因究明を徹底的に行っている最中でございますが、その原因が明らかになり、そして今後打ち上げることの安全性というか、確度が高いという段階になれば次の衛星を打ち上げたい。これはなるべく早くというふうに考えております。できれば今年というふうに思いたいところなんですけれども、そういうことになるかどうか。
いずれにしても、この有効活用ということ、特に安全保障上の問題にも最近は大変懸念があるといったようなことも踏まえまして、二号機打ち上げに全力を挙げてまいりたいと思っております。
○宇佐美委員 十一月末の失敗は本当に大きな損害を国民に与えているわけでございます。とはいえ、先ほど申し上げたように、私の考える重要政策の中でもやはり航空と宇宙というのは重要でございますので、引き続きやっていただきたいというのが私の思いではあるんです。
しかしながら、例えば、NASAが失敗したときには、すぐに予算の削減というのが出てくるわけでございますね。それを阻止するために、NASAは、予算削減された後、一生懸命、各議院とか委員会で説明して回るんですよ、もう御存じのとおりだと思いますけれども。そういった状況が、衛星失敗の後、同僚議員にも尋ねてみても、こういう内容で失敗して、これからこうしたいんだ、こういう解決策を出すんだということを十二分に説明ができているかどうか、非常に疑問に思っているところなんです。
今後、茂木大臣にもその点についてもぜひ御考慮をいただきながら、夢のある航空宇宙技術分野をさらに育てていくためにも、議会、そして国民の皆さんへの十二分な説明を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○茂木国務大臣 官房長官の方から答弁させていただきましたように、今原因の徹底究明を行っている段階でありまして、この原因究明ができて、今後の方針が固まった段階では、当然、関係の皆さんに十分な御説明をする必要がある、こんなふうに考えておりまして、文部科学省を中心にしながら、連携をしっかりとってこの問題に対応していきたいと思っております。
○宇佐美委員 ぜひよろしくお願いします。
続いて、IT関連についてでございます。コンピューターのオペレーティングシステム、最も基本的な部門でございます。
マイクロソフトのオペレーティングシステムについて、脆弱性が非常に指摘をされているわけであります。特に、最近はソースデータという最も根本的なところのデータまで流出をしてしまっているということであります。聞くところによると、マイクロソフトの本社では、食堂が、レストランがあるんですけれども、そのレジをネットにつなげないで電卓で計算しているというぐらい、実はマイクロソフトについて、ナンバーワンだからこそ世界じゅうからのハッキングが入ってしまっているし、そして我々が通常使っているパソコンの中のオペレーティングシステムでも、どんどんどんどんねらわれてしまっているわけですね。
こういった問題の中で、中国なんかは結構進んでいまして、比較的オープンソースのオペレーティングシステムであるリナックスをどんどん活用し始めているんですね。この点について、日本政府としても、IT化を進めていく中で、OSについて、よりセキュリティーの高いものを選んでいくんだということをぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○茂木国務大臣 ITそしてコンピューターなどのセキュリティー問題、これまではいわゆる外からのアタックが中心だったんですけれども、これからは、外からのアタックだけではなくて、中のものが外に流出していく、こういう問題がさらに深刻な問題になっていくんだと思います。そして、委員御指摘のように、ウィンドウズのソースコード、これは設計情報でありますから、それが外に流出するというのは大変深刻な問題だ、こんなふうに考えております。
当面の対策としてやはり二つのことがあって、一つは、ウィンドウズの脆弱性について、これは影響が出た場合、みんな使っているわけですから影響は非常に大きい、こういうことで、利用者の観点に立って注意喚起とか具体的な対策等について情報提供する、こういうことが必要だと思っております。同時に、メーカーサイド、これはマイクロソフトもそうでありますけれども、ソフトウエアの開発企業に対しても、安全な製品を提供する、このことを働きかけてまいりましたし、これからもさらに働きかけを強めてまいりたいと思っております。
リナックスもそうでありますけれども、オープンソースのOS、それから非オープンソースのOSについても、今後、セキュリティー面、運用面、コスト面等々さまざまな観点から、そのメリット、デメリットを客観的、中立的に評価をしていく必要がある。現在これは実施をしているところでありまして、こういった評価の結果を踏まえまして、我が国独自のOSの研究開発についても、その利点や必要性について検討してまいりたい、こんなふうに考えております。
○宇佐美委員 次の質問の分まで、茂木大臣、答えていただいたようでございますけれども、つまり、やはりこのオペレーティングシステムを、今、パーソナルコンピューターでいえばウィンドウズとマックに、完全にアメリカ産のOSに制覇されている状態が続いているわけでございます。
そういった中で、八〇年代から政府も応援してつくったトロンというオペレーティングシステムは、当時のグラフィックユーザーインターフェース、今になれば当たり前になっております、画面上のアイコンに対してマウスでソフトを選んでいくという、こういったもので間違いなく最先端を走っていたんですね。それを、残念ながら、日米構造協議の影響なのか、トロンの開発をある時期にやめてしまっている、もしくは政府からの応援をやめてしまっているわけでございます。
ただ、粛々と、いいオペレーティングシステムですから残っておりまして、今我々が使っている携帯電話の中でもこのトロンの改良型を使ったりもしているわけでございますので、まだまだこの日本発のOS、特に携帯電話市場、御存じのように、日本は出おくれましたけれども、細川政権のもと、携帯電話の自由化、私もその中心になってやらせていただきました。茂木大臣も当時一緒になってやっていただいたこの携帯電話の自由化、九四年四月一日からの自由化で、世界的に日本の技術というのは飛躍的な進歩をしているわけでございます。iモードを初めとして、携帯電話におけるホームページへのアクセスなどについて、そのOSのところも、日本仕様というものを世界に普及させていくことをぜひ進めていただきたいというふうに思っております。
続いて、電子政府、これはちょっと事前に通告ないので答えられる範囲でお願いをしたいと思うんですけれども、電子政府を進めるのは私も大賛成、今も現実的にどんどんパソコンが入ってきているわけですけれども、システム調達において、特定業者との長期の随意契約、手続不透明、無競争調達という問題点が出てきているのは御存じのとおりでございます。その中で、結果的に電子政府予算のむだ遣いが大きく出ているんではないかというふうに私は認識しているんですけれども、茂木大臣、漠としてで結構ですから、その認識をお願い申し上げます。
○茂木国務大臣 ちょっと通告なかったので詳しいデータを持っていないんですが、電子政府の推進ということでいいますと、県のレベルというのはかなり進んできておりまして、四十七都道府県のうち相当の部分が、例えば手続のオンライン化であったりとか、それから入札等々についても対応できるような形になっておりますけれども、三千二百の市町村を見てみますと、まだ未実施、検討もしていない、こういうところが多いわけでありまして、これは市町村レベル、まさに住民と一番近いレベルでありますから、ここの部分での電子化を急いでいかなきゃならないな、こう考えております。
それに関連して、三千二百の市町村が全部、ぽこぽこぽこぽこ同じようにそれぞれのメーカーと契約するのがいいかといいますと、私は、やはりそこのところは、効率化であったりとか共通化、こういうことを図っていく必要があるんではないかな、こんなふうに考えておりまして、実は、二月の六日にIT戦略本部のもとでe―Japan戦略2加速化パッケージというのを取りまとめさせていただいたわけでありますけれども、そこにおきましても、宇佐美議員御指摘の電子政府、特に電子自治体の推進の中での自治体間の共有化であったりとか、そういうポイントを強く指摘させていただいております。
○宇佐美委員 私がパソコンというかコンピューターを始めた時代は、まだアセンブラーといって機械語しかないときだったんですね。その時代からずっと私もコンピューターを、高校、大学時代はソフトも組んでいましたし、この七年間の浪人生活の中では、顧客データのソフトもつくって売っていましたので、比較的コンピューター関係については理解をしているものと自負しているんですけれども、やはり、一つ大きなハードウエアを買うと、そこに付随してどんどんどんどん、ことしも来年も保守契約というような形が、残念ながらこれまで続いてきてしまっている。
例えば、メディアでも指摘されておりますけれども、厚生労働省や社会保険庁の幹部がソフトウエア会社、日本最大と言ってもいい、旧電電公社から分かれて分かれてできたところに天下りをしているんですね。ここは、まさに社会保険庁のシステムをやっている会社なんですね。こういった癒着体制ができてしまっているのが今の現状であり、そこに対して、五年後も十年後も随意契約で続いてきてしまっているという、これから起こり得るわけでございますので、厳しくチェックをしていっていただきたいと思います。
続きまして、大変質問が多くてあれなんですけれども、今回、危機対策の面から茂木大臣にお伺いをしたいと思っております。
これから東京も大地震が予測をされるわけでございますけれども、地方、特に原子力発電所を持っているような地域の方からいろいろな御指摘をいただいているんですね。その中で、例えば、地震予知がされたときに原発はどうなるかとか、地震の防災と原子力の防災がどう総合的に実施されているんだろうかというような質問や意見をいただいているところでございます。それぞれの会議が、地震予知連絡会や原子力安全委員会や中央防災会議が仕事をするのは当たり前ですけれども、省庁間の協力、連絡、協議というものが、残念ながら国民にはなかなかわかりづらくなっているんだと思うんです。
この点について、縦割りのすき間に落ちないことを私は大きく期待をする中で、ぜひこの連携について御答弁をいただきたいと思います。
○茂木国務大臣 地震の場合のいわゆる原子力施設に対する被害であったりとか災害、これは大変私も重要な問題だと思っておりまして、原子力安全委員会の方には、もしそういう地震が起こった場合には、その近隣にある原発等々の影響、あるかないか、夜中でもいいから必ず連絡してほしい、事前にこういう指示は出しているところであります。
原子力安全委員会におきましては、最新の地震学、地質学等の知見を踏まえて、原子力施設の耐久安全性の確保のための指針の策定とか、それに基づきます安全審査を行っている。また一方で、さまざまな機関がございまして、例えば地震予知連絡会、こちらの方は、地震予知の実用化を目指して、関係機関による観測情報等を交換して学術的な検討を行ってきている。原子力委員会におきましても、これらの情報というのは極めて重要だと思っておりまして、原子力の安全確保に当たって、こういった情報をしっかりとっていきたい。
縦割りにならないように、まさに重要な点でありまして、原子力委員会としましても、こちらの地震予知連絡会それから関係機関ともこれからさらに連携を密にしてまいりたいと考えております。
○宇佐美委員 ぜひ、今御答弁いただいたように、連絡、恐らく今、連絡が薄いんだと思うんですよ。必ず連絡をしてくれと言っているぐらいの話でありますから、横の連携がとれていないというわけですよ。ですから、きょうを機会にというわけではございませんけれども、より一層濃い関係をつくっていただきたいと思います。
続いて、官房機密費の問題を福田官房長官にお尋ねさせていただきたいと思います。
この機密費の問題、ずっと言われて久しい問題でございますけれども、機密費も税金というのはもちろんのことであります。とするならば、やはりこの官房機密費について、その場で公開はしづらいというのは私も理解をするところでもあるんですけれども、一定期間後、使途について情報公開をするのは、納税者に対しての当然の責務だと思うんです。
そんな中で、歴史の審査にかける必要はないと言うのか、もしないと言うならその根拠は何なのか、官房長官にお尋ねをしたいと思います。
○福田国務大臣 この内閣官房の報償費は、内政、外交を円滑に遂行するため機動的かつ効果的に使用されるものである、こういうことでございます。そういうことで、この報償費の目的に従って、取扱責任者である内閣官房長官の判断と責任のもとに適切な運用に当たってきておる、こういうことでございます。
これを将来公開するかどうかといったようなことになるんでありますけれども、報償費の具体的な使途の公開、これは報償費の機動的な運用を損なう、こういうことで、内政、外交の円滑な遂行に重大な支障を来すおそれがあります。一定期間を経た後といえども、公開するというのは困難であるということでございます。
そういうことでございますので、報償費の目的に従って厳正な運用に当たっている、これは当然のことでございますが、毎年度の会計検査院による検査に対しても適切に対処している、こういうことでございます。
○宇佐美委員 国民の皆さんに説明をするのが私は当然なんだと思います。
機動的な活動を阻害するというのが情報公開によってあるとは私は思えません。国民の税金であるわけですから、それが十年後なのか二十年後なのかは議論の余地があるかとは思いますけれども、少なくとも、例えばアメリカにおいて機密文書が十年後、二十年後出てきて、それによってデメリットも時に出るかもしれないけれども、歴史はこうだったんだということを学べるメリットの方が私は大きいんだと思います。
だとするならば、では、この部分については公開できるけれども、それ以外の部分、ここは外交上どうしても公開できないんだということを一つ一つつけて説明をすべきだと思いますが、いかがですか。
○福田国務大臣 この議論をするとすぐそういうふうな話になるんですけれども、これは、公開できる部分は公開していくということになりますと、その使途についてどういうことだということになりまして、そうすると、では残りのものはどういう使途なのかということで、いろいろ憶測、類推のたぐいも出てくるわけでございますので、全体について申し上げないというのは、使途を言わないということは、この制度の一つの大きな特徴なんだろうというふうに思っております。
しかし、でき得る限り公開しなければいけない、また情報公開の制度もありますから、情報公開で公開できるものは公開する、こういうふうなことになっております。
○宇佐美委員 大変論理的でないお答えが出てきました。つまり、一部を公開することによって残りの部分について憶測を呼ぶと言われますけれども、全部公開しない方が憶測は広がるし、されるということは当たり前だと私は思います。
そういった中で、それに関してですけれども、情報公開が無理でも、議会の統制がきかないというのは国家の統治システム上も私は問題なんだと思います。秘密会でも構いません。国会の委員会で定期的にチェックすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 これも、ただいま申し上げておるような性格のものでございますから、外部から監査するとかいったような、こういうものになじまない、報償費の性格上困難であるということでございます。
○宇佐美委員 今、会計検査院のチェック、これはございますよね。会計検査院は外部ではないという認識ですか。
○福田国務大臣 会計検査院についても同じように、でき得る限りの検査、監査というものはしていますけれども、しかし、それにも限界があるということでございます。
○宇佐美委員 外部監査になじまないと言いながら、外部である会計検査院には一部を公開している。では、その一部を議会に対しても、秘密会で構わないと百歩譲って申し上げているんです、その中で公開をされ、監査をされるべきだと思いますが、いかがですか。
○福田国務大臣 秘密会とおっしゃったけれども、どういう制度かわかりませんので、お答えすることはできません。
○宇佐美委員 それでは、会計検査院は外部のはずですね、これは憲法上も書かれている話でございます。そこに一部公開をされているんですから、それを国会においても、形については今後の議論としてもいいんですけれども、公開をされるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 この性格上、すなわち内政、外交上の目的遂行のために機動的そしてまた有効に活用する、そういう性格上、これは使途について申し上げられない、こういうことでございます。それ以上のことを我々も考えていることではありません。
○宇佐美委員 とすると、先ほど冒頭にお答えになった、会計検査院のチェックを受けていると言われますけれども、その会計検査院のチェックの中で、それは申し上げられないというふうに答えていらっしゃるんですか。
○福田国務大臣 これはもちろん申し上げられないこともございます。ございますけれども、申し上げられることは説明をしておるということでございます。
○宇佐美委員 国会は、国民の皆さんの代表者として各選挙区なり比例などで選ばれてきている人の集まりでございます。その中で、機密費の存在を我々は納税者である国民の皆さんに理解、納得をしてもらうことが当然の責務であるし、必要だと思います。この点は官房長官も御理解いただけると思います。
理解できない。とすると、機密費の存在について納税者には理解してもらわなくていいということですか。
○福田国務大臣 これは先ほど来申し上げますとおり、内政、外交を円滑に遂行するため機動的かつ効果的に使用するもの。これはそういうことでもって御理解いただくしかないんです。こういうことは、何も我が国だけでやっていることではない、ほかの国にも、先進国においても行われているというように承知をいたしております。
○宇佐美委員 私は、海外のことも少しは調べさせていただきましたけれども、時間が経過してから公開されている国もございます。それを参考に、我が国、福田官房長官の時代に、ぜひ先行的に、先駆けとして、少なくとも一部の情報公開をしていくんだというような意思を表明していただきたいと思います。
○福田国務大臣 これは、いろいろな事情がございますから、そういうことになじまないものであるということで御理解いただきたいと思います。外交、内政の遂行のためにそういうことをすべきでない、むしろそういうふうに思っております。
○宇佐美委員 国民が納得するかどうか。
今回、自衛隊の派遣問題についても、先ほど同僚の大畠議員から御質問させていただいた中で、説明しても聞いてもらえないんだといったような総理の発言もありますけれども、そうではなくて、例えば、自衛隊派遣については、賛成をしている方の中でも半分ぐらいの国民の皆さんが説明が足りないと言っておりますし、国民の皆さん全体でいえば、七割を超える方が説明が足りていないというふうに言われているわけでございます。そういった中で、官房機密費についても、すべて悪だなんということは私も思っていませんし、秘密にしなければならないところもあるんだと思っています。
ただし、私が申し上げているのは、納税者に対して、税金を使った使途について、一定の時間を経過した後でも必ず公開するんだという姿勢が、きょうは小泉さんがいませんけれども、小泉政権の中で政治が変わったという中で、一番大きなインパクトを与えていくものだと私は思いますので、全然問答として前に進まない内容ですけれども、ぜひ御検討をいただいて、この点は終了させていただきたいと思います。
続いて、拉致問題については、先ほど各議員の皆さんから御質問がありましたので、飛ばさせていただいて、少子化問題についてお伺いをしたいと思います。
小野大臣は、私も同じ大田区ということで、たしか五人お子さんがいらっしゃって、日本の少子化に対してのブレーキを踏んでいる先導者でもあるわけでございます。少子化をとめているんですね、ブレーキを踏んでいるんですね、一生懸命対策をやられていると思っているわけですけれども、子供は社会の宝というのは御存じのとおりで、私も歩いて五分ぐらいのところにおりますから、実家が、よく存じているところでございます。
ただ、残念ながら何らかの事情とか経緯でシングルマザーとなっている母子も、母子というか家庭もあるわけでございます。そういった中で、両親のいる家庭に対する支援と差別することなく、温かい支援というものが、よく私、陳情を受けるというか御相談を受けるところなんですけれども、この点について、厚労省の方がいいのかもしれませんけれども、少子化対策の窓口をやられている大臣の御見解と応援の弁をお願いしたいと思います。
○小野国務大臣 シングルマザーという言葉を使うときに、これは父親の場合もあるんですね、シングルファーザーの方もありますので。ただ、経済的には男性の方は幾分優位であろうかと思いますけれども。そういった意味で、母子家庭あるいは父子家庭という言葉をあえてここで使わせていただきますと、基本的な考え方を踏まえて対処していきたいと思いますけれども、仕事を継続しながら子育てをしていくということの中において、シングルマザーであってもシングルファーザーであっても、経済的に安定している方もいらっしゃるし、また他方、大変御苦労している方もいらっしゃる。
これは、ともどもに大事な日本の宝の子供たちですから、そういうことに対しては、仕事を持つ母親、同じく一人であろうとシングルであろうと、両親がいようと、ともに大事な子育てに関しましては、保育に関して国が、あるいは社会が挙げて協力をしていくという姿勢をぜひとも持ってまいりたい、そのように考えております。
○宇佐美委員 ぜひその点、鋭意進めていただきたいと思います。
続けて、小野大臣、たくさん役割を持っていらっしゃるので大変かと思いますけれども、警察関連、公安委員長として御質問をさせていただきたいと思います。
大牟田署巡査の事件について報道がされている最中でございますし、恐らく今、鋭意その状況について捜査をされている点だと思いますけれども、まず、この事件の事実について御説明をお願いします。
○小野国務大臣 御説明申し上げます。
本件は、二月の二十日午後四時十五分ごろ、佐賀県の鳥栖市内の路上におきまして、福岡県大牟田警察署に勤務いたします二十四歳の現職警察官が、下校途中の小学三年生の女子児童を無理やり車両に乗せて連れ去りまして、四十分間鳥栖市内を連れ回りました後、女子児童を解放した事件でございます。
佐賀県警察におきましては、所要の捜査を推進した結果、二月二十一日に、被疑者を未成年者略取容疑で逮捕したものでございます。
○宇佐美委員 いろいろな不祥事が出てきています。北海道警の、今、OBになっていますけれども、本当に勇気を持って内部告発されたことの話もありますけれども、今の問題でいうと、現職警察官が、そのときはお巡りさんの格好はしていないんですよね。お願いします。
○栗本政府参考人 犯行時はいわゆる非番でございまして、私服でございます。
○宇佐美委員 非番であるわけですけれども、国民の皆さんからすれば、何に頼ればいいのというような状態になるというのはよくわかります。
私も今、小学三年生と一年生の子供を持っておりますし、そうでなくても、刃物を持った人が近くにいるんじゃないかということで、緊急連絡網が、この一年間で我が家だけでも六件あったというようなことを、きのうも家に帰って聞いてみたらそんな答えがありましたので、その中で頼りにしているのが、やはり町の見回りをしてくださったり、警備をしてくださっている警察官の皆さんなんだと思います。
では何を信じればいいかということで、本当に今、困ってしまって、やはり自衛しかないんじゃないかということで防犯ブザーを持たせたりもしているわけですけれども、我が選挙区であります大田区の中の一つの小学校で、襲われたときにどうやって悲鳴を上げるのかといったような練習をしている学校があるんですね。それが今、テレビで放映されたということもあって、ほかのところからも非常に関心を持たれているところなんですけれども。
ぜひこういった、本当にもう、警察官も九九・九九%の人がまじめに一生懸命やっているということはよくわかっているけれども、でも、そうでない人もいるという中で非常に不信感が高まっているということについて、小野大臣、いま一度見解と方向性をお示しいただきたいと思います。
○小野国務大臣 議員から今お話しいただきましたように、多くの警察官が職務に精励する中で、お尋ねのような不祥事が発生いたしましたことは、国民の警察に対する大変大きな信頼を裏切ることになったわけでございまして、まことに遺憾でございます。
今回の事件の原因とかあるいは動機、あるいは福岡県警察におきまして所要の捜査を調査中でございますけれども、基本的にはやはり職員としての職務倫理意識の欠如、これに尽きるのではないか、そのように考えております。
そういった原因を考えさせていただきますときに、監察の強化をまずするということ、それから不祥事の未然防止に重点を志向いたしました監察の実施を具体的にしていくということ、それから職務倫理教養の充実等の諸施策を通じましてその推進に努めてまいりたい、そのように考えております。
○宇佐美委員 ぜひ、信頼回復、我々も一生懸命やっていきたいというふうに思っておりますけれども、立て続けに起きている、この不祥事もございますので、今回また警察法の改正も、もう閣議決定され、出てくるかと存じますけれども、その前に、信頼回復のためにも、当内閣委員会で集中審議を求めたいと思いますので、委員長、よろしくお願いします。
○山本委員長 運営に関することでございますので、理事会で協議をさせていただきたいと思います。
○宇佐美委員 その際には、ぜひ、北海道警で勇気を持って発言をされた内部告発者の方も参考人として呼んで、きっちりどういう状況なのかというのを御説明いただいた上で、今後の対応策をともに警察の信頼回復のためにやっていきたいなというふうに思っております。
続きまして、同じように今国会で法案が出てくるんでしょう、道路交通法の改正問題なんですけれども、十年前、私が衆議院におりましたころには、交通安全特別委員会という委員会がありまして、当時は一万人を超える一年間の死亡者があったわけでございますけれども、その交通安全特別委員会の中で道交法の改正の議論、たびたびさせていただきました。
まず最初に行ったのが、大型自動二輪を、なかなか免許が取れない。たしか大宮の免許試験場では合格率が三%いくかいかないかという中で、教習所で大型バイクも取れるようにしようということで、諮っていただいて、御賛同いただきまして、九三年だったと思いますけれども、九三年から四年にかけて成立したと思っております。
続いてその次が、オートバイが、高速道路において、最高速が例えば東名百キロだったら八十キロということで、速度差があったわけですね。この速度差が、例えば、タンクローリーが横を、同じ百キロで走っていれば抜かれるということはないわけですけれども、八十キロと例えば大型車が百キロで走っていたら、当然、重量の軽いオートバイの方がその風の影響を受けて横飛びになってしまうとか、非常に、安全性の面からも実は高速でのスピードを同じようにした方がいいということで、高速道路でのバイクの最高速が道交法の改正によって上がったわけでございます。
そして、ついに三つ目、三点セットの三つ目なんですけれども、高速道路におけるオートバイの二人乗り。この十年間、私もやり続けてまいりまして、やっと重い腰を警察庁に上げてもらえたようでございます。特に安全面について、この数年間いろいろと実験をしていただいたようでございますし、今回、十二月のたしか二十六日からパブリックコメントということで募集をかけられたと思います。その内容などについて、端的に公安委員長からお答えをいただきたいと思います。
○小野国務大臣 お答え申し上げます。
道路交通法改正試案でございますけれども、寄せられました意見のうち、自動二輪車の二人乗り規制の見直しに関しましては、一万一千四百八十四件の御意見をいただいたところでございます。
高速道路における自動二輪車の二人乗り規制の見直しに関する主な御意見といたしましては、高速道路には交差点、横断歩道それからマンホール等がなくて一般道路よりも安全である、こういう意見もございました。それから、夫婦、友人と旅行に行く際に高速道路を利用することができず今まで不便であった、こういった立場から賛成する意見があったほか、条件つき賛成の立場からは、安全教育や講習会をきちんと充実させるべきであるという御意見もございました。また他方、反対の立場からの御意見には、自動二輪車の事故がふえるので危険である、こういうふうな御意見もございました。また、暴走族が高速道路を走るようになってしまうといった御意見もございましたが、これは年齢制限等、経験年数等、いろいろ条件があるわけでございます。
警察庁といたしましては、先ほどお答えいたしましたように、改正試案に沿って改正案の作成作業を進めているものと承知をいたしております。
○宇佐美委員 教習所で大型バイクの免許取得ができるようになって何が起きたかというと、会社をリタイアされた方々、特に六十代の皆さんが免許を教習所で取るようになって、それに合わせて、海外でいえばハーレーダビッドソンとか、国内ではホンダやカワサキ、スズキの大型バイクの売り上げが非常に伸びたということもあります。
例えば、北海道のラベンダー畑を夫婦そろって、引退した夫婦が、子供も家庭から離れてしまっていますから、一緒にツーリングをするとかいうこともできるわけでございますけれども、そのときにやはり高速道路を使わないとそこまで行けなかったわけですから、今回のこの国会での法改正を全面的に私も進めていただきたいと思いますし、やっていただきたいというふうに思っています。
続けて小野大臣、食品安全委員会、これも担当されているということでございまして、いっぱいありますね。
食品安全委員会の役割について、昨年議論があったんだと思いますので、ここはちょっと割愛をさせていただいた上で、リスク評価というのをやられていると思います。リスクについて、科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に評価することだというふうになっていますね。
ぜひ、大臣、ちょっと考えていただきたいんです。例えば、遺伝子組み換え食品と、今アメリカ国内で流通している米国産の牛肉とか、どっちがリスクが高いというふうに思われますか。
○小野国務大臣 直接ここでどっちが高いということは申し上げることはできませんけれども、リスクという言葉自身が、やはり日本語で私は話さなければ、リスクという言葉はどちらかというと危険という言葉でテレビ等でよく使われておりますので、食品健康影響評価と、大変長いんですけれども日本語で言っていただきますと、ああ、そういうことなのかというふうに御理解をいただける。
そういう言葉の使い方の問題を初め、これから、リスクコミュニケーションという言葉も使っておりまして、いわゆる農林水産省と厚生労働省のそれぞれの管轄の中で農薬の問題とか添加物の問題がある、それの健康影響評価をどうするかということを我々食品安全委員会の方に諮問されまして、それに対する答えを出していきながら、安心をしていただくという、そういう体制が私どもの仕事になるわけでございます。
先ほどのお答えはちょっとできかねましたけれども、ちょっと概要を御説明させていただきました。
○宇佐美委員 評価ということは、そこに基準が存在して、そこの結果として格付なり点数づけというのが出てくるんですね。
とすると、今例えで申し上げましたように、例えば遺伝子組み換え食品、この危険性というのも当然指摘をされているわけですし、アメリカ国内で流通している牛肉について、日本の国内の牛肉のように全頭検査がされていないわけですから、その中にリスクが含まれているんだと思います。それを基本的には数値化をしていくというのがリスク評価なんだと思いますので、その評価がないと、その後に続いてまいりますリスクコミュニケーションというものが成り立たないはずなんですね。ですから、わかりやすい形でのリスク評価を、食品健康影響評価ですか、をぜひ進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
続いて、竹中大臣、きょうは財金とこちらの委員会ということで、お昼休みなしでお越しいただいているところでございますけれども、一問させていただきます。
今、銀行の国債所有についてでございますけれども、先日の日経新聞の中でも書かれておりますように、銀行資産が貸出金から国債へシフトしていると言われており、実際、金融機関も心配している。竹中大臣は、景気が基本的には全体として上向きだと表現をされているわけでございますけれども、ある地方の中小金融機関の経営トップが、株価上昇もいいけれども、私たちが怖いのは長期金利が上昇することですと心配そうに話していた、これは日経金融新聞の二月二十五日の話でございます。
釈迦に説法になるかもしれませんが、金利上昇は銀行の自己資本比率を結果として下げる。金利が一%上昇すると、銀行の自己資本が四兆円、まあ強か弱かは計算によって違うんでしょうけれども、手持ちの国債を時価評価しますので、下がっていくことになるわけです。
そうすると、自己資本、民間銀行はたしか全部で二十八兆円ぐらいしかないと思います。日銀統計、一月のものですから差異はないと思いますけれども、その中で、不良債権処理は今収束したとおっしゃっているけれども、この金利の上昇によって自己資本比率が下がる、結果として不良債権問題になっていくということがあるわけです。この点について、竹中大臣、どういう見解ですか。
○竹中国務大臣 金利と国債価格の問題というのは、経済運営の上で大変重要であるというふうに私も認識をしております。
重要な点は、金利というのは、景気がある程度よくなって、名目成長率が例えば高まって、それとともに金利というものもある程度高まってくる傾向にある、これは否定できないということなのだと思っております。
しかしながら同時に、一方で株式資産というのがある。これも、委員御存じのように、これは将来の収益を現在の価値に割り引くようなものですから、その意味では、金利が上昇するという状況下では実は株価も高くなっている。したがって、株価の評価益というのが出ているはずである。
国債の評価損というのは出るかもしれない。要は、そうした場合に、収益がどの程度高まるか、金利がどの程度高まるか、それがある程度バランスよくいってくれるかどうか、私はそういう問題であるというふうに思っております。御指摘のような、部分について見ますと、金利の上昇というのは、その限りにおいては確定利回りである国債の価値を下げることにはなるわけでありますが、それはやはり経済全体のバランス、収益力も高まって株価もその一方では上がっている、そういう中で見ていかなければいけないということだと思っております。
したがって、政策運営上やはり注意しなければいけないのは、景気がよくならないのに、ないしは景気がよくなる以上に金利が高くなる、その意味での悪い金利上昇。これは、まさしく国債の信認が低下するということでありますから、そういうことにならないようにしっかりと運営しなければいけない、そのように認識をしております。
○宇佐美委員 株価が上がるかどうかというのは、金利は政策判断が大きく働いていくわけでございますけれども、株価はよりマーケットにゆだねられている部分が多いわけですから、それがパラレルで動いていく場合は、おっしゃるとおり、株価資産がふえまして、金利が上がることによって国債が評価が落ちるというようなことで相殺される可能性ももちろんあるわけでございますけれども、私が申し上げたいのは、本当に金利の問題をより重要視してもらいたいということでございます。
一方で、竹中大臣のお話を伺って、テレビなどで拝見していても、やはりどうしても国会内であり、霞が関内の議論に終始しているんじゃないか。つまり、現場は物すごい疲弊しているというのは皆さんから言われているところだと思います。
例えば、竹中大臣のお知り合い等で、大変悲しいことですけれども、経済が苦しくて自殺をされたようなケースというのは、直接的にありますか。
○竹中国務大臣 私の友人等々でそういう人がいるかというようなことでありましたら、その範囲では、幸いにしてというべきか、おりません。ただ、私の親戚の知人でそういう方がおられるということは聞いておりまして、御指摘のように、やはり地域、特に中小企業等々について全体としての景気の上向きが浸透していない、これは事実だと思っております。
まさに、そういうことがあるのは構造問題を抱えているからである、そういう構造を直していくということが政府の構造改革の中のやはり重要な部分であるというふうに思っております。
○宇佐美委員 先ほどから申し上げているように、うちは大田区で、多分日本でも町工場のメッカであります。私も、死んだ父が残してくれた小さな電子部品の町工場を兄や母と三人で落選中ずっとやってきましたので、現場は痛いほどわかっているというよりも、身をもって体験してまいりました。
貸し渋りなどという言葉は、最後に貸してくれるから貸し渋りなんですね。基本的には貸さない、貸してくれないというのが、大田区だけではないと思います、零細、もしかしたら大田区よりも地方の方が厳しいところもあるのかもしれません。そういった中で、一九八七年に九千二百軒あった町工場が、この十年、十五年の間に三千軒ぐらい減っちゃっているんですね。
その上、一昨年、二〇〇二年については、本当に悲しくなる、心臓がわしづかみにされるような経験を、実は毎月毎月、工場をやっている方が、本来自動車を持ち上げるような大きなマグネットがついている鎖でみずからの体をつってしまい命を果てている、そういったところを、月に一人、一昨年はいました。去年はそれでも、いるんですけれども、人数は減りました。死ぬほど元気じゃないとその皆さんは言うんですね。そういった状況もあるし、一方で、もちろん大きく伸びていく、いこうとしているところもあるかと思いますけれども。
ぜひ大臣、計算上こうなるという話も大事だけれども、タウンミーティングなどを含めてもっともっと現場に出ていって、小泉さんが一昨年大田区の工場に来ても、いいところは見ても、その隣で倒産しているところには、どうしたのという話もなかったんですね。京浜島というところの、日本一の絞り工場と呼ばれているところに来られても。小野大臣はわかっていらっしゃるかと思いますけれども、H2ロケットのヘッド部分とかを絞りでつくっているような会社ですけれども。でも、その隣の会社は、もうその時点で、二〇〇二年の四月の時点で倒産をしてしまっている。
そういった状況の中で、今、何とか声を出している人もいるけれども、出せないで苦しんでいる人たちが、大田区だけではない、日本全国にいるということを、ぜひ肝に銘じていただきたいと思います。
時間が来ましたので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。
○山本委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 民主党の市村でございます。
今、宇佐美委員から、現状に対する大変厳しい認識を示していただきました。やはり私は、これからの日本、新しい発想で、新しい観点で国づくりを進めていかなきゃならない。これまでのしがらみでべったりなったような日本ではなくて、これからの本当によりよい日本をつくっていく、私はこの内閣委員会でこうした観点から議論させていただきたいと思います。
その中で、きょう、資料にも、皆さんのお手元にもこの座標軸をお配りさせていただいているんですが、私はもう十余年来、十五年ぐらいになりますでしょうか、一貫してNPOというもの、NPOの大切さというものを今まで訴えてまいりましたし、これまでも研究してまいりました。
後ほどいろいろな議論の中でNPOについての議論もありますが、NPOということが、今どうも私が思っていたような扱い方がされていない。NPOという言葉自体私の言葉なんですが、どうも世の中ではそうじゃないことに使われているということがありまして、この中で、特にこの内閣委員会は大きな国のあり方について議論できるところだというふうに伺っておりますので、こうしたNPOということについての認識もまた皆さんとともに深めさせていただきまして、これからの議論を進めさせていただきたいと思う次第でございます。
では、NPOというのは何かということでございますけれども、私がずっと一貫してこの間言ってまいりましたNPOというのは、民間で公益セクター、公益すなわちパブリックサービスを提供する主体である。民間でパブリックサービスを提供する主体である。これをNPOと私は言ってきましたし、その意味でNPOという言葉を使ってまいりました。
ですから、後ほど議論させていただきますけれども、今言われているような特定非営利活動法人がNPOだ、こういうことではありません。あくまでも特定非営利活動法人というのはNPOの一種でありまして、それをNPOと言いません。NPOじゃないとは言いませんけれども、一種でありまして、決してそれだけでNPOのことを理解していただけることではありません。ですので、このことも含めて、ぜひとも皆さんとともに、どうぞ共有認識を持たせていただきたいと思っています。
それで、NPOは、先ほど申し上げましたように、民間でパブリックサービスを提供する主体なんだ。では、なぜこれが必要なんだということでございます。
よく日本では、いや、NPOは最近のものだという言われ方をするんですが、決してそうではありません。もともと、日本でもNPOが大変活躍した時代がありました。特に江戸時代、寺子屋、手習いといった教育機関、これはNPOでありました。そして、明治時代におきましてもいろんな篤志家がおりまして、財界の皆さんが例えば出身大学の講堂を寄附するとか、こういう活動もまた、まさにフィランソロピー活動、NPOの活動の一種でありました。ですから、決してNPOというものは新しいわけではありません。
では、なぜ今NPOが改めて特に認識をされなくちゃいけないか。また、NPOということについて新たな認識を持たなきゃならないか。
これは、戦後、高度経済成長期、私たちの社会はどうであったか。税収がどんどん伸びたんです。何でもかんでも行政が悪い、行政がだめだと言っていれば、行政の方もそれを理由に、まあ、どんどん税収が伸びていましたから、それを理由に、伸びた税収をどんどんどんどんある意味で社会のために使えた、そういう時代があったんです。
そうなってきますと、行政に任せておけば何とかなるだろう、こういうパブリックサービスは行政に任せておけば何とかなるだろう、こうした意識がどんどん国民の中に育っていったわけですね、そういう気持ちが、意識が。そして、みずから、みずからのためのサービス、みんなでみんなのためのサービスを提供するという力がどんどんどんどん弱まってしまった。民間でそれをやるという力が弱まってしまった、ここに大きな問題点があった。
そして、また後から議論しますけれども、制度的にそうした流れをうまく利用すれば、官の力を増大させて、官僚がそれについて、甘い汁とは言いませんけれども、そこまで言いませんが、しかし、そうした、自分たちのためにそれを使えるような仕組みがあった、制度があったということだというふうに思っています。
ですから、NPOというのは決して大変新しいものではない。だから、「古きを温ねて新しきを知る」じゃありませんけれども、やはりもう一回原点に戻って私たちはこのNPOの問題をとらえていかなくちゃいけない、そうした思いでございます。
これから私、この通常国会だけじゃなくて、国会議員である以上はずっとこのテーマは追求していきますので、きょうはその初めでございますが、まず、皆さんとともにこの問題点について、今度は国内の問題、日本の問題について少し議論させていただきたいと思います。
例えば今、公益法人というのがあります。公益法人というのは、私の概念ではNPOの一種なわけでございますけれども、しかし、日本におきましては、この公益法人が、公益法人ということで、決してNPOというふうには理解されていない、一般的にはそう思っています。
では、その公益法人でございますけれども、例えば、つい最近の問題でも、経済産業省が主務官庁でありますイメージ情報科学研究所というのがありまして、これが、どういうことがあったかといいますと、私も仄聞でございますけれども、結局ある国会議員がそこに予算を、箇所づけですよね、これは補助金なのか研究委託費なのかわかりませんが予算をおろした。それを、結局自分のファミリー企業に最終的にはお金をつけていく、こういうことがあったということも聞いています。
また、古くから言われておりますように、この公益法人が天下り先の温床として大変使われている。また、天下った後、渡りといって、まあこれも御存じだと思いますけれども、高い退職金、四、五年、まあ二、三年勤めて高い退職金をもらって、また次の公益法人に行ってまた高い退職金をもらっている。その間の給料も大変高い。一般常識からすれば何でそんな高いんだというような、そんな給料をもらうということで、公益法人につきましては、種々、多々、いろんな問題点が指摘されてきたわけでございます。
ここで福田官房長官に、政府を代表しましてぜひとも、こうしたことが繰り返されることにつきまして、基本的なお考え、御認識をちょっと伺いたいと思います。
〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
○福田国務大臣 今、公益法人に関しまして問題があるというような御指摘をいただきましたけれども、これは、今事実解明をしている案件であるというふうに承知しておりますので、私からその内部に立ち入ることは勘弁させていただきますけれども、一般的に、現行の公益法人、この制度、運用につきまして、事務事業の委託とか補助金などの行政の関与のあり方、また公務員の天下り、そういったようなことが国会でもいろいろな角度から御指摘を受けている、こういうような問題があることは承知をいたしているところでございます。ですから、政府も、そういうような御指摘を受けないような形にしなければいけないということで、今鋭意努力をしているところでございます。
何でも、制度があってルールがあってみんなやっているんですから、そのルールの趣旨に沿ってやってくれればいいんですけれども、そうでない部分がありまして、そうでない、制度を悪用すると言っては言い過ぎの部分はあるかもしれぬけれども、しかし適正なる運用もしくは利用をしていないという、このことをやはり我々日ごろよく考えていかなきゃいけない。そういうことができないようにがんじがらめにしてしまうとまたよくないということもありますので、その辺のバランスをしっかりとりながら、今後いろいろな制度改革等に取り組んでまいりたいと思っております。
○市村委員 どうもありがとうございます。
今、官房長官も、この言葉がいいかどうかということで悪用という言葉を使われましたけれども、やはり、どうもこれはそういうふうに悪用をされてしまっているというようなこともあるように私は思っています。そこで私は、なぜこうしたことが繰り返されるのか、やはりこれは根本的に制度に問題があるというふうに思ってはいるんですが、その辺についてこれからちょっと議論したいんです。
金子大臣、今政府から、福田官房長官に基本的な御認識をいただきました。では、なぜこういうことが繰り返されるのか。もっと言えば、何でこんなことが可能なのかということですね。
私はそんなことをやるつもりありませんが、例えば、私が国会議員としてどこかの省庁に行って、ちょっと頼むからこの財団法人に金をつけてくれと。その結果、財団法人に行って、じゃ、おれのところに回せ。おれのファミリー企業、私、ファミリー企業は一件もありませんけれども、回せともし言ったとしたら、こんなことがまず可能なのかどうか。ほかの方がやっていらっしゃるのかどうか、可能なのかどうか、何でこんなことが起こるのか、その辺についての御認識をちょっといただきたいと思います。金子大臣にお願いします。
○金子国務大臣 個別具体的になりました案件につきまして、委員会の中でも中川通産大臣から、そういうことがないように厳しく指導する、調査もするという回答が別の委員会であったようであります。そういう意味で、各省庁に、しっかりそこはこういうことが起こらないようにしていただくというのが第一の趣旨だと思います。
ただ、やや私の方は全体という意味でありますけれども、十四年の三月でありますが、今御指摘になったような、特に国から相当の委託を受けて行っているような公益法人、それが下にまた流すという今まさに御指摘の例でありますと、これは、完全にその場合には指定法人というのはもうやめてしまう。登録制に変えているんです、十四年の段階で。
つまり、今までは指定制だったんですね。どこどこ、ある省が公益法人を指定して、事務の委託をするということをやっていたわけですね、そういう意味でちょっと今のような癒着というのが発生しやすかったんですが。仕組みとしては、これができるという機能があれば登録していただいて、だれにでもできる。その場合、競争入札というようなこともあると思いますし、どういうやり方をとるかというのはそれぞれ省庁の対応だと思っておりますけれども、いずれにしても、特定の公益法人への委託というものを癒着でやる、そこはまず断ち切ろうと、これは変えました。
もう一つは、その公益法人の収益が、具体的には三分の二をめどにしているんですけれども、三分の二になるような、その公益法人の収益が三分の二を上回るような、そういう国から委託事業を受けるところは、原則廃止。事業によっては、これは各省庁で判断してもらいますけれども、大幅にその割合を、国からの委託割合を減らすということを、これを決定いたしました。
今、福田官房長官が言われましたように、後は各省庁の大臣で今の趣旨に沿って、これは閣議決定でありますから、その趣旨に沿って進めていく。
それからもう一つでありますけれども、これができてくるのは、やはり天下りみたいなものが関連している可能性があるだろうよということでもありますものですから、こういう公益法人についての天下り、特に国所管のこういう公益法人になりますけれども、国家公務員出身者である役員の最終官職は公表する。この特別のケースがどうなっているか、ちょっと私わかりません。
それからもう一つ、今御議論になっておりました特定の公益法人、この件でありますけれども、これにつきましては、役員の報酬、退職金が国家公務員の給与とか退職金の水準と比べて高過ぎないように是正するといったような措置をとって、後は、さらに、にもかかわらずこういう事件が起きたということについて、これは中川大臣が調査、是正ということをはっきり明言されておりますので、それを待ちたいと思っております。
○市村委員 ありがとうございます。
ここで私は細かい特定の事例について議論するつもりはありません。ただ、一つの例として挙げさせていただきましたが、金子大臣、大変丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。
私がここで議論したいのは、個々別々の事例ではありません。やはり仕組みです。新しい仕組みをつくっていくということをここで議論させていただきたいんです。ですから、私としては本当は金子大臣には、なぜ、この例に限らず、公益法人にまつわるいろいろな問題が起こるのかという仕組み上のことについてお伺いしたかったんですが、それについては今からまた質問させていただきます。
では、公益法人制度をならしめているいわゆる根拠法というのがあるはずなんです。それについてお答えいただけますでしょうか。
○佐藤(剛)副大臣 市村委員はボランティアの法律制定にも大変な御貢献をされておるわけでございまして、私、金子大臣のもとで、今、公益法人の今後のあり方、過去において検定制度とかあるいは講習とかいろいろな指摘をされておりまして、それについて、根拠法は御承知のように民法三十四条というのがあるわけであります。そこに社団法人、財団法人があって、そして財団法人はいわゆる寄付行為というものがある。それから専務理事はいなきゃいかぬ、事務所は持っていなきゃいかぬ。
そういうことの別の形として、公益問題でいうなら、例えば公益信託制度というのがあるんですね。これは大正十四年の信託法にあるわけでありますが、これは何も要らないんですよ、信託契約でできる。だから、同じパブリックサービスなんです。それから、あるいは、例えばライオンズがやっていたりロータリーがやっているというのも、これは何も法人格がないがやっている。
私は、基本的に資本主義社会というのは、大いにもうけていいよ、大いに蓄えていいよ、ハウエバーなんですね、しかし、その地域、そういうものにコントリビューションしなきゃいかぬ、こういうふうなところがあるから、パブリックサービスをすることが必要である。こういうところで今の日本の体系を見ますと、いろいろなのがまじっているわけですよ。社団法人、財団法人、あるいは信託があり、中間法人があり、それから任意のなにがあり、それぞれパブリックサービスをやっているが、しかし、国の補助金とか天下りとかという問題に焦点を合わせると、あるいは検査とか検定とかそういうような問題が出てきたので、この問題について検討を加えて、そしてやりましょうということで、今やっておる最中でございます。
○市村委員 今いろいろまた懇切丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。
ただ、今の私の質問に対する核心のお答えは、要するに民法三十四条だということなんですね。民法三十四条というのがこの公益法人等を、等とあえてここでつけますが、公益法人等をならしめている根拠法であるわけです。
これについてはもうお聞きしません。私の方で言わせていただきます。結局、この民法三十四条とは何かということなんですね。これは結局何かというと、この日本という国で公益活動を法人格を取ってやりたい場合は、お上という言い方は最近もう余り使われないかもしれませんが、お上の許可を得なさいということなんです。許可といいますのは何かといいますと、基本的に、原則だめですよ、でも、許したらいいですよ、これが許可ですね。
ですから結局、この国では、公益活動というのは、法人格を取ってやろうとすると原則だめだという国なんです、この国は。そして、許可があったら、お上が許してくれたら、もっと具体的に言えば主務官庁ですね、主務官庁のお許しがあったらできる。結局これが今の公益法人制度等の根幹をなしているものなんですね。だから、私、この発想自体が大変大きな問題がある。結局、原則だめだということなんです、この国では。
結局、これはどうなるかというと、ここから、国家公益独占主義という言葉が出てくるんですね。国が公益活動を独占する。つまりこの国では、私、十年前、細川政権の時代に、当時の大蔵省の方とこの件について議論させていただいたとき、大蔵省の方がおっしゃいました。市村さん、この国は、実は私たちが税金をいただいて公益サービスを提供する国なんです。そういう国なんですと、はっきりとおっしゃられたんですね。だから、根本的に認識が違うんです。
私なんかは違うんですね。国は私たちの税金で私たちにサービスを提供していただく一つの主体である。しかし、官という主体ではまだ大変画一的である。どうしても議会を通らないかぬ、予算の執行がある、一年後だ。だから、民間の柔軟性や知恵や機動性を生かした、そしてそこでお金を集めて、お金を使って、パブリックサービスを提供する、公益サービスを提供する、そういう主体が大切なんだ。そういう国づくりをしていかなくちゃいけないんだと議論したにもかかわらず、違うんですよと言われたんですね。
結局、それを違うんですよと言わしめているのが、私は民法三十四条だと思っているんです。結局、この国では、一般的な包括的な非営利法人制度がないんです。後で竹中大臣とこの辺ちょっと議論させていただきたいんですが、ないんですね、結局。
ですから、一般的な非営利法人、つまり私が言っているNPOを包括的に一般的にまとめる制度がない。そして、あるのは公益法人制度のみ。その公益法人制度は、公益活動はこの国では法人格をとってやるのは原則禁止ですね、でも、主務官庁がオーケーならいい。
それで何が起こってきたか、今まで。結局、官僚の仲間がつくる公益法人は一カ月、二カ月で許可される、認可される。ところが、私たち一般国民がやると、いや、これは書類が整っていない、閣議決定された何か公益法人等に関する申し立て、何省庁かの合意事項があって、一応、社団法人なら三千人以上とか、財団法人なら基本基金が何億円以上とか、これがないとだめなんですよといって、一般国民に対しては一生懸命そうやって許可や認可をおくらせて、そして十年も何年間もかかる。主務官庁、自分たちの仲間だったら一カ月、二カ月で許可される。こんなことが今までは起こってきているんですね。そして、結局どうなるかというと、自分たちの仲間に甘いわけですよ。だから、これを天下り先に利用していく。
私が、十年前、細川政権のときに、当時与党でした。いろいろ質問取りに来られます。私は当時スタッフでした。そのときに、結局どうなのかというと、要するに、公益法人について、それを利用する。予算案は一括審議、一括採決ですから、予算関連法案をつくっておいて、その中に受け皿として公益法人をつくっていく。そして、公益法人に行ってしまえば、これは議会の追及を逃れるわけですね。民間ですから、民間という言い方をしますから。そうやって、どんどんどんどん自分たちの天下り先をつくっていくということがあったんですね。これは今でもあると私は思っていますが、こういう状況なんです。
竹中大臣、せっかくきょう来ていただいて、私はぜひとも竹中大臣と議論したかったことは、竹中大臣が今恐らく担当されている中で、特定非営利活動促進法人というのがあるんです。もともと私はNPOということでこの話を始めてやっていましたら、結局、特定がついてしまったんですね。特定非営利活動促進法人ということで、この制度ができ上がっているんです。
私としては、これは金子大臣に本当はお答えいただきたかったんですけれども、平成十五年度、昨年の六月二十七日に、公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針、閣議決定されています。これはすばらしい決定だと思います。まさにこのとおりやっていただきたいんです、私は。そのときに、そうなりますと、今竹中大臣が所轄されていると聞いております特定非営利活動促進法人というのはどうなるのか、この関係において。この中で、これはどう整理していくのかということについて、ちょっと竹中大臣の御認識をいただきたいんです。
○竹中国務大臣 今、市村委員の御高説を賜りまして、委員配付の御資料で、こういう官と民と公と私というのがあります。実は、これと同じような図を四年ほど前に私が書きました本の中に書いておりまして、まさに、公と私というのは、これは資源配分のメカニズムである。
私的な財はマーケットで配分するけれども、公的な財というのはあって、財・サービスはそれは別のメカニズムで決めなければいけない。しかし、民と官というのは、これは主体の問題でありますから、ビジネスかガバメントかということですから。この点、日本の場合は、やはり明治維新の歴史の中で、ある意味で官が公的な財・サービスすべてを独占してきた。加えて、場合によっては私的なマーケットにまで入って民業圧迫をしてきた。この図である第三象限のところだけをまさに官がやるべきであって、それ以外のところはまさに民間非営利でやらなければいけない。
実は、民間非営利というのは、各国の国民所得の統計、SNA統計の中で部門が出てきます。そのウエートだけを見ると、不思議なことに、日本のウエートというのはそんなに低くないんです、ほとんど海外並みでございます。これはまさに、財団法人、社団法人の話が今ありましたが、民間非営利という名をかたった官が多数存在しているということだと思います。
今、そういう観点から、これは金子大臣がお答えされるかもしれませんけれども、金子大臣のところで、行財政改革の根本的な一環として公益法人制度の抜本的な見直しを行っているというふうに承知をしております。閣議決定された文書等々含めて、その意味では、委員と我々は同様の問題意識を持っているというふうに認識をしております。
では、その中で、NPO法人等々、いわゆるNPO法人、これはちょっといろいろ、定義に関して委員は御見識があると伺っておりますが、その法律に関して私が所掌しておりますが、これはやはり、金子大臣のところで公益法人制度の抜本的な改革に向けて御検討する中で、我々は、その推移等を見ながら、この制度そのものについて位置づけを明確にしていこうと思っております。
ただ、いずれにしても、基本的な理念は、公的な財・サービスの提供を民ができるんだ、そのことは積極的に拡大しなければいけない。その場合に、まさに、政府の押しつける価値ではなくて、社会の多様な価値を実現するような方向でなければいけない、それは共通の認識として持っているつもりでございます。
○市村委員 ありがとうございます。
今、竹中大臣の方からも、認識としては一緒だというようなことだったと私は思います。この図につきましては、私はもう十年来使っている図でございまして、私ども一貫した主張の根本に、簡単に私の思いを示すものでございます。
いずれにしましても、政府の方も閣議決定でここまでやろうとしている、私は立法府の一議員として、ぜひとも立法府でもこういうものはやらねばいかぬという思いでございます。
であれば、例えば、ことしの年末までにある程度の案をまとめて、来年の末までに法制度の措置等を講ずるということですけれども、私は、二年もかける必要はないんじゃないか。金子大臣のホームページには、例えば、「年金基金の代行返上など、十月を待たずに国がさっさと買い上げる仕組みを作ったらどうか。厚生労働省も金融庁も呑気すぎる。」というような御発言をされていますね。
ですから、やるものはさっさとやりましょうと私は思うんです。一年も二年もかけないで、大切なんですよ、この国。新しい制度をつくっても、制度が実際に有効に利用されるようになるのはやはり十年も二十年もかかるんです。こういうのは、制度をつくったらすぐ一朝一夕に成るものじゃないんですね。制度をつくった後に、それこそ国民の不断の努力によってつくり上げていくものですから。
やはり、制度については一刻も早くこれをつくり上げて、特に、そのときには民法三十四条をしっかりと変えて、公益法人が非営利法人の全体じゃなくて、非営利法人があってその中に公益法人が含まれるという概念を持って、そのために民法三十四条を変えていく、こうした観点が必要だと私は思いますが、金子大臣、ちょっとこれをお答えいただけませんか。ぜひとも、大臣にお答えいただけないでしょうか。
○金子国務大臣 細川内閣のときには原則だめ、我が内閣では原則イエスと、方向を転換した考え方で今議論をしてもらっております。そして、今既に竹中大臣と御議論いただいたようなのも十分念頭に置いております。
ただ、時間がかかると今御指摘いただきましたのは、税制が絡みます。一般的な、まず法人を認めよう、その上にさらに、公益とは何か、そしてそれを税でどういうものについては優遇するか、ここの問題というのが当然先生も念頭にあるんだと思います。そんなもの税は要らないだろうというものから、必要なもの、対応がありますね。ですから、そこの議論というのは、税が絡みますものですから。
だから、既存の公益法人があります、中間法人があります、それから既にNPO法人もありますね、そういうものをどう整理していくかということは、現在それによって活動している人たちがいる、それをどういうふうに調整していくかということは、理念だけでなくて、やはり考えていく。それぞれがみんな公益だと思って活動しているわけですから、その段階と、それから税の議論での国民のコンセンサスだけは得ていくということは必要だと思っておりますので、先生もぜひ議論にまた参加をしていただければと思います。
〔大村委員長代理退席、委員長着席〕
○市村委員 時間がなくなりましたので、きょうはここまででございますけれども、今ありましたように、税の問題も確かに絡んでいます。ただしかし、この議論については、これはもう竹中さんも御存じのように、議論はずっとしてきました。ここ数十年してきているんです。私も十数年やってきました。ですから、議論はあります。あとは、やるかやらないかなんです。
今せっかく、金子大臣、この間のいろいろな答弁なりお話を聞いていて、大変そういった意味では前向きに、一生懸命、制度改革をやられるお気持ち、志を持った方だと私も思っていますので、しかも、さっさとやれるものはやろうというお考えを持った方ですので、そうおっしゃらずに、立法府も一緒にやっていきますので、皆さんとまた相談しなくちゃいけませんけれども、やはりこれは、立法府、政府、一体になって新しい時代の流れをつくっていく、大切なことですから、先ほども申し上げたように、これがつくられても、これから十年、二十年かかっていかないとできないものなんです。
ですから、制度的には早くつくるということで、特に民法三十四条の改正については、ぜひとも早くやれるように、またこれから議論させていただきたいと思いますね。
きょうは、本当に大臣、いろいろとありがとうございます。失礼します。これで終わります。
○山本委員長 次に、泉健太君。
○泉(健)委員 私も初当選の組ですから、今回が初質問となります。
まず、やはり、国民の皆様に対して、皆様それぞれの議員さんがそうだと思いますけれども、本当に、こうして選挙で当選をさせていただいたことの大切さ、このことを改めて感じているところです。感謝を申し上げ、この議席を立派に果たしていく、その決意でこれから頑張ってまいりたいと思います。ぜひ、先輩の皆様、どうぞよろしくお願いします。
それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。
国会に来まして、いろいろな、最初に経験をすることというか、初体験のことがございます。それぞれの大臣あるいは副大臣、それぞれの皆様の所信に対しても、少々、当初から原稿が配られているものですから、ああ、こういうものなのかなというふうに思いながら、しかしながら、なるべく政治主導ということで、その所信に対しても、今後少しそれぞれが御自身の言葉を入れていっていただければというふうにも思っております。この件については答弁を求めません。
早速、本題に移りたいと思います。
私は今、早速、児童虐待防止法について、いろいろなところで勉強をさせていただいております。今回は、そこの、警察との連携にかかわる部分ということで、まず、小野国家公安委員長の方にお伺いをしたいというふうに思っております。
まず、昨今、児童虐待が、私も岸和田の方にも行ってまいりましたけれども、岸和田のみならず、愛知県やその他、全国各地で頻発をしている状況です。そして、実際、現場に踏み込む、あるいは事件として統計をとるのは、これは警察のお仕事になります。こういったことを繰り返さないためにも連携が非常に必要なわけですけれども、まずは、今の実態ということで、平成十五年中の警察の摘発件数、検挙件数、あるいは虐待類型をお聞かせいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 平成十五年中の児童虐待事件の検挙件数でございますけれども、百五十七件を検挙しておりまして、前年と比べますと十五件の減少となっております。態様別の内訳といたしましては、いわゆる身体的虐待が百九件、性的虐待が二十九件、そして、監護の怠慢または拒否が十九件となっております。
この事件の被害児童でございますけれども、百六十六人でございまして、前年と比べまして十三人減少しておりますが、残念ながら、死亡した児童は四十二人で、前年と比べまして三人増加しているという状況でございます。
○泉(健)委員 ありがとうございます。
こういった状況で、私も岸和田の方を見に行ったときに、あの目張りをされた六畳の一間に、少年が三カ月間も何も与えられずにそこで寝転がらされていた、大変悲しい事件だというふうに思います。こういった児童虐待に対する国家公安委員長としての御認識をいただきたいというふうに思います。
○小野国務大臣 本当に、いろいろな事件はございますけれども、児童虐待ほどと申し上げていいかと思いますが、悲しい事案というのはないと、私もそう思っております。大変深刻な状況が、現在も、けさもございました。テレビをつけますと、悲しさいっぱいになる、そういう思いで拝見をしております。
昨年も四十二名の児童が死亡いたしました。最近は、今委員がおっしゃいましたように、大阪府の岸和田の痛ましい事件が発生するなど、まことにゆゆしき事態が続いているということでございます。中学生と申しますと、反抗すれば出ていけたのではないかと思いつつも、さまざまなニュースを拝見しておりますと、それも、戻されたり行ったりと、その繰り返しの中で精神的に立ち上がれないところまで行ってしまったのかなと、その悲しさを思いますと、本当に大事な少年の命と、そしていまだ意識が戻らないという状況の中で、悲しさを覚えるばかりでございます。
人格形成の大事な時期にあるこの少年が、少年たちと申し上げていいと思います、それから児童ですね、そういう虐待を受けるということは、心身の痛さ、それ以上に心の面での非常に大きな痛手をこうむって、それが成長期を通り過ごして大人になってから、さらに今度、自分自身が虐待をする立場になってしまうという繰り返しがどうも行われているというのも現状のようでございます。
そういうことを考えましたときに、やはり早期発見、早期対応で、早いうちにそうしたことの根を切り取っていかなきゃならないということの中に、ある意味では事件化をしたり、早く救い出してやるということが何よりも大事でありまして、私も警察の方も、少年警察活動の最重要課題といたしまして位置づけまして、これから児童虐待の防止等に関する法律の趣旨を踏まえて適切な対応をしてまいりたい、そのように考えております。
○泉(健)委員 ありがとうございます。
今後とも、その御姿勢、かなりやはり強めていただいて取り組んでいただきたいと思いますが、少し細かいところにいきたいというふうに思います。
今回の岸和田の件に関して言えば、実は現行法でも対応ができたのではないか、通告をしっかりと受けとめる、あるいは各機関の連携を深めていく、そういう中で対応ができたのではないかという声もあります。実際、警察の方には「児童虐待の防止等に関する法律を踏まえた児童虐待への適切な対応について」という通達がなされているわけですけれども、この通達に関して現在の状況を聞きたいというふうに思います。
児童虐待防止法第十条に基づく、警察官が援助を行う、児相に対して援助を行うということがあると思いますが、これは昨年で何件ありましたでしょうか。
○伊藤政府参考人 平成十五年中におきます、児童虐待の防止等に関する法律第十条の規定に基づく援助の要請を受けまして警察官が援助を行った件数は、九十二件でございます。
○泉(健)委員 そのほかにも、警察から児相に対して通告という形で、いろいろな地域の状況なんかを見て警察の皆さんが取り組まれているのが、一年間に大体千四百件ほどあるというふうにお伺いをしております。そういう御努力をされているとは思うんですが、やはり連携ですね、連携というところで、これはどちら側から話がなかったからそれでいいのかといえば、やはりそうではないというふうに思います。
例えば、児相というのは土曜日、日曜日、あるいは夜間、閉まっている時間があるわけですね。でも、警察は基本的に二十四時間動かれているということもあると思います。これまで児童虐待防止法八条と、あるいは児童福祉法第三十三条一項に基づいた一時保護というのがあったかと思いますが、この一時保護で児相から委託をされないケースのものもある、要は緊急性の高いものもあったというふうに聞いておりますけれども、そういったものはございましたでしょうか。
○伊藤政府参考人 そうしたケースはあるとは聞いておりますけれども、統計をとっておりませんので数字上はちょっとわかりません。
○泉(健)委員 こちらの方も、これから私としても、やはり警察と児相の連携を証明するものでもあると思いますので、そういった意味で、児相の方に新たな取り組みを求めていくという意味合いも込めて、ぜひ統計をとっていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
そしてまた、以前、あるケースなんですけれども、警察から児相に対して通告をした、しかし、残念ながら児相の方の対応が行き届かなかった、結果的には最悪の事態に至ったというケースがあったというふうに認識をしておりますが、そういった事実はありましたでしょうか。
○伊藤政府参考人 そうした事例があったとの報告は受けております。
○泉(健)委員 ということは、もちろんそれぞれ違う機関ですから、なかなか日常から連携をとるというのは難しいと思いますが、警察の方からも逆に、児相が何かマニュアルをつくる、あるいは児相が地域のネットワークの主導としてこれから機能していくときに、積極的にぜひ全国の警察の皆様は御発言をいただきたい、ぜひお取り組みをいただきたいというふうに思っております。
この件について、大臣、御意見がございましたらお願いいたします。
○小野国務大臣 やはり、児童虐待の防止に関する法律の施行後、第一線の警察職員用の対応要領といたしまして、児童虐待への対応マニュアルというものをつくりまして、早期発見と適切な対応が行われるようにしたわけです。
私も児童虐待に関する委員会のメンバーをしておりましたけれども、早期発見、早期対応、これがもう何よりも大事な点でございまして、とにかく近所の方々あるいは学校の先生あるいはお医者さん等々が、何かおかしいということの対応をしたときに、それを児童相談所の方に持っていき、そして御家庭との相談に入る。ただし、その御家庭に入るところでいろいろと、何でもない、うちは大丈夫だというその言葉を信じてしまったがために、その後に悲劇が起こるということもございます。
ですから、マニュアルをつくるということの中に、こういう状況ではこうなんだということが、詳しく、現実に役に立つような形をもってつくっていかなければならない。そのためには、そのマニュアルづくりに関しましても、非常に、専門家の立場とか、それから児童相談所の立場とか警察の立場、これまでの事例、そういうものが全部含まれていると承知をいたしております。
○泉(健)委員 ありがとうございます。
今、含まれているという話がありましたが、事実、警察で、例えば警察学校でのカリキュラムの中にいろいろマニュアルというものがありますし、あるいは通達でもいろいろな対応の仕方についてされているとは思うんですが、今回、児童虐待防止法、そして児童福祉法が改正されます。新たなマニュアル、新たな対応というものをつくられるおつもりはございますでしょうか。
○伊藤政府参考人 警察学校におきましては、従来より、警察官等の職務執行に関連する法令の改正に応じまして、その内容の見直しを行っているところでございます。児童虐待防止法につきましても、改正が行われました場合には、その改正内容に応じた教育訓練を行っていきたいと思います。
○泉(健)委員 今、教育訓練を、新たなものを行っていきたいというお話がありましたけれども、やはりこのマニュアルの策定の際には明確に、検討する構成員の中に、児相の、児童福祉の関係者、そして学校関係者、あるいは行政関係者、そういった方々をぜひとも入れていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 現在の児童虐待への対応マニュアルにつきましては、警察庁におきまして、都道府県警察で児童虐待事案を専門的に取り扱っております警察官及び少年補導職員を集めまして、第一線での実際の体験を踏まえて、警察の対応のあり方について検討し、その成果をまとめたものでございます。
そして、その中で、専門家の意見ということでございますけれども、こうした職員は平素から児童相談所の職員や部外のカウンセラーとも情報交換を行っておりまして、マニュアルにはこれらの専門家の知見というものが十分に反映されているだろうというふうに考えております。今後とも、新しいマニュアルをつくる際には、こうした専門家の御意見を反映したマニュアルとなるように配慮していきたいというふうに思っています。
○泉(健)委員 そこは、やはりはっきり言っていただきたかったなというふうに思っております。
これは、私たちはわかっているから、私たちは認識しているから、私たちの中でやりますということですと、連携にならないんですね。問題点はここにありまして、大もとの、そのものをつくるとき、縦割りでおろしていく前に大もとでそれぞれの機関が連携をしなければ、いいものができないわけなんです。できたらここをもう一回お願いしたいなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 ただいまの御指摘につきましては、十分検討してまいりたいと思っております。
○泉(健)委員 新人ですし、かなりしつこくこれから追跡をしていきたいと思っておりますので、どうか御判断のほどをよろしくお願いいたします。
そしてしかし、こういっていろいろ言いますが、あの岸和田の事件もそうなんですが、児童虐待にかかわっておられる方々にとって、皆さん本当に一生懸命児童のことを考えられていますし、どこが悪いなんということは基本的にないんですね。皆さん御苦労されている、そういうことは私もよくよく存じております。そういう中で、警察でも、実際に、本来業務ではないと言うと少しおかしいかもしれませんが、カウンセリング等々も一時的なことの対処としてなされているというふうに聞いております。
そういった中での、現在の段階での警察の中のカウンセラーと言っていいんでしょうか、少年相談専門職員ですか、そういったものの配置状況、配置数をお願いいたします。
○伊藤政府参考人 全国の都道府県警察には、少年サポートセンターなどの名称の施設があるわけでございますけれども、こうした少年相談等の専門的な知識及び技能を要する活動を行う職員といたしましては、少年補導職員、全国で約千百人配置しております。
こうした人たちは、心理学的な知識であるとか、あるいは教育学的な知識とかを持った人たちで構成されているところであります。
○泉(健)委員 私は、なぜこういうことを言うかといいますと、例えば、立ち入り、児相からの協力要請によってある家庭に立ち入るとき、あるいは、事件が起こった後のその虐待を受けた子供さんの兄弟やいろいろな家族に対して取り調べが行われるケースもあると思うんですね。そういったときに、普通の刑事さんですとなかなかこれは難しいところもあったり、心理的にそういったことを御配慮していただけないケースもあるというふうなことが現場からは上がってきております。
そういった意味で、ぜひこのカウンセラーの増員を、やはりこうした警察官増員の今機運が高まっている中でもありますし、お願いをいたしたいというふうに思います。
そしてさらに、私たち民主党としても今回、児童虐待防止法改正の中、あるいは児童福祉法の中で連携の強化というものを各地域においてうたっております。そういった面からも、きょうお話をしたことに対して改めて取り組みを強めていただきたいというふうに思いますが、最後に大臣の御決意をお願いしたいと思います。
○小野国務大臣 絶対に悲劇を繰り返していかないというためには、今先生からお話がございましたけれども、カウンセラーの方々の問題を初め、それぞれ、児童相談所あるいは警察の対応等々が、すべて連携をしながら取り組んでいかなければならない問題でございまして、岸和田の件に関しましても、その他の件に関しましても、例えば本人に会わせてくれ、こういうことのみではなく、例えば電気がとまっているとか、さまざまな見る場所があるということを、私も、新聞報道から、ああ、そのような見方をしながら、ここは母と子供と二人だけで生活ができていないというふうなことが、ドアをノックし、チェーンを切るということにもつながっていったということを知りまして、改めて、総合的な形の中で、ここの中で何が起こっているかということのキャッチは、やはり担当しております警察関係が一番よくそういう事例を持っているものだと思います。
そういった意味で、少しでも悲劇を少なくしていくためには、やはり早期発見、早期対応、それからまた、いい意味の事件にしていく、そして、その解明をしていくということ、これがうまく連携していくことが何よりも大事であると思っております。
○泉(健)委員 警察との連携というのは、なかなか地域においてはしづらい面もあると思います。やはり立場が違う、あるいは、何となくイメージとして警察の方と地域の福祉施設の方々が日常的にコミュニケーションをとっていくというのは難しいというふうに聞いておりますので、その辺も十分御配慮いただいてお願いをしたいというふうに思います。
では、超特急ですが次の問題に行かせていただきたいと思います。
これは与党の先生の皆様にも非常に御関心を持っていただけるのではないのかなというふうに思うのですが、今まで私たちの党では鎌田議員が一生懸命取り組んでまいりましたこの件でございます。(チラシを示す)非常にピンクチラシが全国各地で今まかれている。
ただ、これは少し変化があるのは、これまでは繁華街あるいは電話ボックス、そういったものに張られているケースがあって、景観を害するとかそういったことが言われてきたわけですけれども、それだけではないんですね。この五年ほどでいいますと、個人の住宅のポストに直接投げ込まれるというケースがかなり起きてきています。それに対して一生懸命各地域住民が声を上げ、そして自治体に条例の制定を要求し、ようやく今半分を超えた自治体、都道府県でそういった対処がとられるようになってきた。しかし、なぜいつも地域の声に頼るのかという気も一方では私しております。
そもそもこういった形で、これは風俗営業、性風俗営業と一般の国民生活のかかわりにおいて大きな変化でして、これまでは少なくとも見る意思のない者にとってはそれを突きつけられるなんということはなかったわけですね。どんな宣伝手段があるにせよ、見る意思のない者は見なくてよかったという状況だったんです。それが今回このチラシが住宅に投げ込まれるというここ五年から十年の動きによって、選択の余地がなくなった、あまねくすべての方々に対してこういった被害が起こるようになった。これは大変大きな問題だというふうに思いますが、大臣、どう思われていますでしょうか。
○小野国務大臣 いわゆるピンクチラシというものが公衆電話あるいは電柱に張られている姿というのは私も目にしたことがありますし、今委員がおっしゃいましたように、各家庭のポストにまで入れ込まれるという状況になってきたということは、子供たちもいることですから、手紙をとってきなさいと子供に言ったら何か不可思議なものを持って入ってきたということになりますと、これはもう大変なことになるわけでございますので、その辺の取り締まりはきちんとしていかなければならない、そのように思っております。
いわゆる青少年の健全育成というところはそこまできちんとしていかなければならないのかなと、改めてそんな気持ちにもさせられているところですけれども、この種の事犯に関しましては、取り締まりを徹底するとともに、関係機関、または団体、地域住民の皆様方と連携をした街頭パトロール等の環境浄化活動を推進させていただく、それから、地域の実情に合わせて、ピンクチラシ、これを直接の対象として厳しく規制する、いわゆる条例の制定ですね、これをつくり、改正を促進していると私承知をいたしておりますので、今後さらにこの具体的な取り組みが強化されますように指導、督励してまいりたいと思います。
○泉(健)委員 きょうは余り時間がないのですが、この問題をこれからも上げていきたいというふうに思いますが、実はもうそれではだめなんですね。もうそれではだめなんです。条例をつくるのを待っていたら、これは三年、四年、五年とたって、さんざん被害があってからようやく条例ができるというようなことで、イタチごっこがずっと続いているんですね。テレクラもそうです、あるいは出会い系サイトもそうです、ビデオのダイレクトメールなんかもそうなんですが、すべて後追いという状況です。
先ほども言いましたが、一番大切なのは、私はこの業界がすべてなくなるとは思いません、まあ何らかの形で残るんでしょう。しかし、せめて、見るもの、見たくないもの、それを分けることというのはできると思うんですね。その一つが、郵便ポストにチラシが投げ込まれる、このことを防ぐことだというふうに思います。具体的に言いますと、風営法、風適法ですね。
風俗営業適正化法案において、チラシという宣伝手段、広告手段を全面禁止すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 今、チラシの全面禁止というお話でございましたけれども、ピンクチラシの頒布等の行為につきましては、売春防止法や軽犯罪法、さらには先ほどお話のありました条例等の適用によりまして検挙を行っているというところでございます。
実際、昨年の検挙状況でございますけれども、こうした法令を適用しまして七百四十一件を検挙して、約七百四十万枚のピンクチラシを押収しております。また、こうした違法な広告宣伝を行った営業者に対しましても、風俗営業法に基づく行政処分を行ってきているところでございます。
○泉(健)委員 七百四十万枚のチラシの御回収、押収、御苦労さまでございました。しかし、鎌田議員も前回御指摘をしていると思いますが、宮城県だけで一年間で一億枚ぐらいのピンクチラシが出ているという状況ですから、七百四十万枚押収というのは本当に氷山の一角だというふうに思います。
改めてこの風適法における、チラシという手段を規制じゃなくて、全面禁止すればいいんですよ。ほかにだって、これは、例えば雑誌の広告、新聞の広告、いろんな手段があるわけですから、大人の社会としてそういうものが経過的措置としてあってもいいとは思います。しかし、一般家庭にチラシが投入をされるというのは、私はこれは許される行為ではないというふうに思っております。
実はいろいろ調査をしてみたんですが、現在、これは警察庁の昨年の調査で、七割近くの中高生が見知らぬ人とセックスをすることを容認しているというアンケート調査が出ています。あるいは、エイズが増加しているのは皆さんもう御認識のとおりだと思います。
そして、私が驚きましたのは、国立国際医療センターというところで調べたんですが、この調査で、アンケートをとると、過去一年間に売買春を経験した男性の割合、アメリカは〇・三%、イギリス〇・六、オランダ二・八。日本は幾らだと思いますか、一三・六%ですよ。これだけすそ野が広がって、結果がこうですよ。日本は性産業立国ですか、まさか性産業特区なんというものはないとは思いますけれども、これは、この状態を放置しておくというのはやはり問題ではないかなというふうに思います。
やはり小泉政権、そして警察行政、もう少ししっかりとこの件について取り締まる必要性があると思います。これは、もうこの件に関する最後の質問ですので、大臣、最後にお願いいたします。
○小野国務大臣 今の数字を聞きながら、私自身も改めて驚き、かつまた大変なことであるという認識を皆さんと共有させていただいた思いがいたします。
ただ、表現の自由や営業の自由という、日本には自由という言葉の中における大人社会の大変難しい山がございます。それを、我々が、本当の意味での表現の自由、いわゆる営業の自由というものと、子供たちの未来における性風俗に関する件と、どう考えてそれを進めていくかというのは、まさに私たち大人に課せられた課題でもあろうかと思いますので、ぜひ検討して対処してまいりたいと思います。
○泉(健)委員 ありがとうございます。
それでは、金子大臣、大変お待たせをいたしました。
最後の質問になりますが、先ほど来、特区の件についてはいろいろな御質問があったかというふうに思います。しかし、私はやはり地域再生の方にもしっかりと目を配るべきだと思っております。この前、地域再生の方の六百数十の案が出まして、今、回答があったものをもう一回突き返しをして、頑張って大臣の方も進めていられるというふうに思いますけれども、何点か御指摘をしたいところがあります。
新聞報道では、二月五日の時点で、地域再生推進室から自民党地域再生調査会へ報告があったというようなことが出ております。やはり政府として取り組んでおられることでしょうし、我々は野党ですが、地域再生という思いは、これは変わらないものです。こういった形の表への出方というか、これは本当にいいのだろうか。もしかすれば、こんなことが出てくると、今回の地域再生が自民党と地方がどうかかわるのかみたいな話で、発表が六月になるとかそういったこともありまして、参議院選挙対策じゃないかなんということを新聞でも言われている。こんなことは皆さんも本意ではないと思いますから、こういった形での報告ではなく、やはりフェアな報告をしていただけないのかなというふうなことが第一点。
そしてまた、国と地方のかかわりにおいて、残念ながら、地方からいろいろな提案が上がってきたにもかかわらず、却下件数というか、突き返された件数が非常に多い。規制緩和対象となった四百五十九件の法律、通達のうち二七%しか緩和をされていないというのは、結局は、地方は知恵を出せ、案を出せ、我々が認めてやる、あるいは認めない。結局、地方のいい発想というものを、国が実権を握っているんだぞということを何か意思表示、示威行為をしているような、そんなものにこの地域再生が見えてしまっては非常に残念だなという思いを持っております。
これからずっとまた認定の作業が続いていくと思いますが、その認定をなるべく多くのところにしていただきたいという思いと、先ほどの自民党とのやりとりに関して、あるいはこれからの大臣の御決意について、お願いをしたいと思います。
○金子国務大臣 第一点、二月十三日、自民党経過報告。御党もぜひ呼んでください、説明に行きますから。調査会というのが与党でありまして、そこで、どんな議論をされているのか報告に来いという話でありましたから。どうぞ呼んでいただければ報告をさせていただきます。
それから、残念ながらできなかった案件。ちょっと具体例でいきます。具体例で、イメージとして聞いてください。
農振地域を外してくれ、権限を移譲してくれ。そこに何をつくるんですか、公民館をつくります。これって、先生、地域再生だと思いますか。違うでしょう。やはり、もっと本当に意味のあるもの。
それから、残念ですけれども、補助金の要件緩和というのは、これは、まんざらその地域の事情を考えたらば、三十人ならこの補助金を認めるけれども二十五人じゃだめだというのはあるんですね。しかし、この地域の事情を考えれば二十五人でいいのではないか、トータル予算をふやさないのであればという思いはあって議論はしたんですが、今ちょっとタイミングが、この私たちの地域再生というのは、予算を、ある意味途中経過でやっているものですから、これは残念なんですけれども従来型財政措置になりかねないということで、今回はそこは見送らせていただきました。
しかし、これからです。補助金統合とか、今の、本当にその地域でいい案件であるならば必ず実現をしていきたいということは、今回の措置にとどまらず、引き続きやってまいる覚悟であります。
○泉(健)委員 では、委員長の御配慮に感謝を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○山本委員長 次に、中山義活君。
○中山(義)委員 民主党の中山義活でございます。
官房長官、二月二十日の読売の社説に、大変私どもは、いや、ここまで来たのかなというショッキングなこの社説を読んだんですが、いわゆる男らしさ、女らしさ、こういう感覚が、日本人が中国、韓国、アメリカに比べて著しく欠けている、こういうふうに書かれているんですね。
これはどんな結果でこうなったかと言う前に、福田さんは、男の中の男、男らしい、こう言われたらうれしいですか。
○福田国務大臣 今この年になってそういう言葉でうれしいとか悲しいとかは思わないと思っています。
○中山(義)委員 今の答弁は、これから後の質問も考えての答弁かなと。私が質問することをもう想定して今の答弁が来たと思うんですが、私は、男の中の男と言われたら、これは素直に、こんなうれしいことはないというのが今までの日本の男だったんじゃないでしょうか。それと、女性が女らしいということは、私は自分の親から教わりました。兄弟げんかしていますと、何だお兄ちゃん、妹を何でいじめるんだ、男は女性を守って、女性なんかいじめるもんじゃない、女の子をむしろかわいがっていたわるものだ、こういうふうに私は家庭で教育を受けました。
私は、男女共同参画社会というのは、もともと、その性差というものは是認しながら、お互いの特性をよく知って協力していくのがそういう社会だというふうに思うんですね。その性の差がなくなってきて、男らしい、女らしい、これがなくなってくる、これは国家のためにも大変問題があると思うんですよ。
いろいろな政策はこれ、各論だと思うんですが、こういう男らしさ、女らしさ、男は国を守っていく、自分の国は自分で守るんだ、これは総論的に憲法や教育基本法と一緒だと思うんですよ。もし日本人が男らしくなくて、へなへなしていたら、この国は守れませんよ。どんな法律をつくったって魂が入らない。そういう面で、官房長官は何か仮に相手が攻めてくるようなことがあったら、やはり自分が鉄砲を持ってまさにこの国をおれが守るんだ、そこで男の中の男、こう言われるわけですよ。そういうことを聞いているんで。
男の中の男と言われて、もう一度ちょっと答弁してください。
○福田国務大臣 委員は大変立派な御家庭でお育ちになったような、そんな感じを受けますけれども、威勢だけいいというんでも男らしいというわけでもないだろうと思うし、まあ難しいですね。女らしさ、男らしさ。また、時代によって変わるんだろうと思います、そういうような概念というものは。ですから、それは例えば、女らしさも人によっては意識しなくてもそういうことになるし、意識する人もいるかもしれぬし、いろいろなケースがあるんだと思います。
ですから、一概に私がそれがいいの悪いのというように言うべきことでもないように思います。それは、その人一人一人の問題でもあるというように思います。余り定型化した考え方というのも問題があるんではなかろうかな。今は特に非常に多様化している世の中ですから、いろいろな生き方も考え方もあるわけです。また、それを許容する世界になってきている。
ただ、おっしゃっていることもよくわかります。わかりまして、やはり私の好みからいえば、女性は女性らしくというような、そういうようなことは当然あるわけでございまして、そういう意味で、男性が男性らしくというのもなかなかいい言葉だというふうに思っております。
○中山(義)委員 実は、教育基本法を推進する、促進する、そういう会が昨日ありまして、先ほどいた平沼さんが会長で、森総理が顧問で来ていまして、この読売新聞の記事を見て、大変嘆かわしいことだ、男が男らしく、女が女らしく、それをこのアンケートで、または、ちゃんと表をこうやって見せまして、これは大変困った問題だ、こんなふうにおっしゃっているんですね。私は、やはり教育の基本、ここに男、女があったら、そこには性の差がある、これは当たり前の話だと思うんですね。私たちはこれを是認しながら男女共同参画社会というのはやっていくものだと思うんです。
私は、この記事の中でちょっと、どの記事にも書いてあるんですが、ジェンダーフリーという言葉が出てくるんですね。最近教育界ではやっているこのジェンダーフリーの教育によって、性差というものが否定されたり、または性差というものを、これは社会的に、後天的につくったものだから、そんなものがあることがおかしいので、違った教育をすれば違った男、女ができてくるというような考え方がここで示されているんですが、こういうジェンダーフリーなんというのは男女共同参画社会とかには全然関係ない言葉なんでしょう。関係あるんですか。
時々同じように、同じこの読売新聞の紙面でも出てくるということは、何か関係あるのかなと思っているんですが、これは関係ないんですよね。官房長官、関係ないでしょう、ジェンダーフリーと男女共同参画社会なんて、全く関係ないですよね。
○福田国務大臣 ジェンダーフリーという言葉、この言葉の意味ですね、またそこに何か主張があるとかいうようなことであると、それは、それをそういうように使う人の立場でいろいろ変わってくるんだろうと思います。ジェンダーフリーという言葉は男女共同参画社会では使わないことにしているんですけれどもね。要するに、性差を超えて男女ともに自分の能力を十分に発揮できるような、そういう社会をつくるということを目指しているのが共同参画社会ということでありますので、それをジェンダーフリーと一緒にするということではないのでありまして、また、そういう誤解があればこれは解かなければいけないというふうに思っています。
○中山(義)委員 そうすると、ジェンダーフリーと男女共同参画社会は目指しているものが全く違う、こういう判断でまずいいわけですね。それでいいわけですね。
○中島副大臣 ジェンダーフリーのお話、今官房長官からございましたけれども、そのジェンダーフリーという用語は、使用する人によりその意味や主張する内容はさまざまでございます。北京宣言及びその行動綱領や、最近の国連婦人の地位委員会年次会合の報告書などでは使われておりません。男女共同参画社会基本法、基本計画等、国の行政においても使用しておらないところでございます。したがって、男女共同参画局としては、ジェンダーフリーの公式な概念を示せと言われても、示すことはできません。
なお、一部に、画一的な男女の違いをなくし、人間の中性化を目指すという意味でジェンダーフリーという用語を使用している人がいるが、男女共同参画社会はこのようなことを目指すものではない、こういう立場で私どもは取り組んでいるところでございます。
○中山(義)委員 地方のいろいろな教育機関の中に、こういう「すてきなジェンダーフリー」、これは我が台東区にもこういうのがあるんですが、または「未来を育てる基本のき 新子育て支援」、これには、生まれてから男は青いものを、女の子は赤いものを着せるなんて、そんなのはおかしいとかおかしくないとか書いてあるわけですね。こういうジェンダーフリーみたいなものが実際いろいろな教育機関で出回っていることは事実なんですね。これは現実なんです。皆さんが否定したとしても、現実なんですね。
だから、この読売新聞の提言していることは、要するに、男らしさ、女らしさがあんまり発揮できなくなってきたのはこういう教育が浸透してきた結果ではありませんか、そういう心配を書いているんですよ。まさかとか、ショッキングという言葉を使って書いている。私も読んだとき、ショッキングでしたね。やはり私は男ですから、男らしいと言われた方がいいですよ。中性に近いなんてとんでもない話で。
やはり今後、そういう面では、こういうものが出回っていることに対して、男女共同参画社会としては、全くかかわりがない、指導もしない、おれたちとは全く違う世界だ、こういうのならそういう答弁をしても結構ですし、いや、私たちはジェンダーフリーなんというのは地方自治体で使ってもらいたくないという指導をしている、または、こういう話は文科省とも話をしているとか、何かその辺についての情報をください。
○中島副大臣 ジェンダーフリーに対する男女共同参画局における見解というのは、先ほど申し上げたとおりでございます。
地方公共団体等の中で、一部そのような表現を用いているところもございます。これは、地方公共団体が判断すべき問題だと言ってしまえば終わりになるわけでございますけれども、前提としては、先ほど御答弁申し上げたとおり、私どもとしてはそのような、男女共同参画局としてそういう方針で臨んでいるわけではないというふうに御理解をいただきたい。まだ、そのことに対して、どうのこうのというふうな形はとっておりませんけれども、そういう統一見解で臨んでおる、このように御理解をいただきたいと思います。
○中山(義)委員 そうすると、今のお話だと、男女共同参画社会をやっている人たちの中には、そういうジェンダーフリー思想みたいなものを持っている人はいないわけですね。いなくて、それで勝手に地方自治体でそういう人がいて、ジェンダーフリーなるものを教育の中に、こういう刷り物をつくって、実際、迷惑ですよ、台東区なんて、我が区なんですが、こういうのを配られたり、非常に私はおかしさを感じるんですが、今、恐らく、男女共同参画社会をやっている局にはそういう人たちはいない、こういうふうに答弁としてとりますが。
実際、この大沢真理さんという人、男女共同参画会議で影響調査専門調査会の会長かなんかをやっているんですね。その人が、これはすごいことを言っているんですよ。性差なんというものは後天的なものだと。だから、性の差は後天的に、男は初めから青いものを着せる、女は赤いものを着せる、こうやってやっているから男と女ができ上がってくるというようなどうも論理らしいんですが、これは、読んでもいいですよ。だけれども、こういう考えの人がもしいて子供に影響を与えていると、その結果がさっきの読売新聞なんじゃないかという質問を私はしているのであって、今までの男女共同参画社会の中にそういう懸念はなかったのかどうかを聞いているわけです。
今後とも、男女共同参画社会を進めていく中で、日本のアイデンティティーである、男は男らしさ、あの自衛隊のイラクへ行った方も言ったでしょう、武士道という言葉を使っていましたよ。私は、「ラストサムライ」という映画を見ましたけれども、日本の神秘的なあの武士道、そして女性のあの女性らしさ、こういうものを外国の映画が表現して、日本はすばらしいと言っているんだけれども。
日本人がもっと男らしさ、武士道、こういうものを表に出して、日本のアイデンティティー、歴史観、国家観。自分の地域は自分が守る、特に家族は自分が守っていく。親は子供を守る。そしてまた、夫婦は相和し、何かちょっとこれは教育勅語みたいになりますが、こういうようなアイデンティティーがなくなっていることに私は危惧を持つわけです。
そういう意味で、私は、こういう方が現実に中にいるんですよということをちょっとお話ししたいんですが、こういう事実はないんですか。
○福田国務大臣 先ほど副大臣からも答弁申し上げましたけれども、この言葉は誤解を招く、そういう恐れもあるわけでございますので、男女共同参画基本法とか基本計画などにおいて、国の行政においては使用しない。
そしてまた、地方公共団体の条例、計画などにおきまして、これは、どういう言葉を使うかについては基本的にはそれぞれの地方公共団体の判断すべき問題ではあるんですけれども、最近の、今言ったようなこの用語をめぐる誤解、混乱の状況を踏まえますと、今後、新たに地方公共団体において条例等を制定する場合にはあえてこの用語は使用しない方がいいというように考えて、またそういう指導をしておるところでございます。
男女共同参画会議影響調査専門調査会の会長に大沢真理さんに御就任していただいて、大変活躍していただいておりますけれども、かつて、そういう誤解を招くというか、学者ですから、学者の理論としてそういう帰結になったのかどうかわかりませんけれども、そういうことを言われたというようなことは私も聞いておりますけれども、今、そういうことでなくて、私どもが先ほど来説明しているような形の男女共同参画社会における男女の問題というようなことで、これは私ども、正確に御理解いただいているものというふうに思っておりますし、また、大変知見のある方でございますので、いろいろな分野で活躍をしていただいております。年金問題につきましても、まあ、いろいろな政府関係の委員をしていただくといったようなことで活躍していただいておりまして、また、その知見は私どもとしても大変評価しているところでございます。
○中山(義)委員 さっき、泉健太君からいろいろ、性の乱れについて、またはそういうピンクチラシの話なんか随分ありました。私たち、こういう問題についても、子供たちの教育、性の自己決定能力とか自己決定とかと言いますが、やはり教育に問題があると結果的にこういうことが起きてくるというふうに私は思うんですね。
だから、やはり教育の中で、例えば家族であれば、男、つまり父親らしさとか、母親らしさ、兄貴らしさ、妹らしさ、お姉さんらしさ、こういうものがあって家族の中はうまくいっていくんじゃないですか。家族の中でしっかりそういうものが行われていれば、性犯罪とかそういうものに巻き込まれない。そういう面では、私は、父性、母性、こういうものを大事にしなきゃいけないと思うんですね。やはり、父性、母性の基本は男らしさ、女らしさだ、私はそう思うんです。
そういう面で、今後、地方自治体でこういうことが行われていることに、いや、地方分権だからこれは一切私たちには関係ないことだ、こう言うのか、それとも、ジェンダーフリーという思想を持った人たちがこういう教育をしていくことについて危惧を持っているのか、または、いや、心配しているから、これは干渉しても本当の意味での男女共同参画社会を私たちはしっかり地方に伝達する、こう思っているのか、この三つのうちどれなのか、ちょっと教えてください。
○福田国務大臣 各地方でもって、また地方公共団体でもって、いろいろな角度でこの問題を取り上げているということは承知しておりますが、これはやはり、誤解をされてはいかぬわけでございまして、正しい理解をしていないと思われる部分については、わかり次第、直ちにいろいろな形で指導する、助言をするというようなことを今しておるところでございます。
そういうことで、正確にこの考え方を理解していただいて、また、男も女も、この社会において自分の持てる能力を十分に発揮できるような、そういう環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
○中山(義)委員 これは官房長官が所信表明のとき述べたものなんですが、「男女がその個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現」と書いてありますが、男女がその個性と能力を十分に発揮できるということは、男と女という性差があるということを是認した上でですか。男と女が一つの、男と女はそれぞれ個性があればいいんだと。それは、例えば男が、女っぽい男の人もそれは個性だ、中性的な人もそれは個性だ、こう考えているのか。
男女がその個性と能力を十分に発揮するということは、性差を是認した上で個性を発揮すると言っているのか、その辺はどうなんでしょうか。
○福田国務大臣 それは、男は男の能力があり、女には女の能力があると。また、男にはできないことが女にできるということもあるわけですから、それは、生まれながらに持っている能力を生かすという中にそういうことも入れていいんじゃないでしょうか。
しかし、洋服とかそういうものを着るのについてどうこうする、これは個人の趣味の問題でございますから、そういうことまでは干渉いたしませんけれども、本来持っている能力を十分に生かすということが望まれていると思います。
○中山(義)委員 大体考え方はわかってきましたが。
あと、例えば、指導的地位に占める女性を三〇%程度に引き上げていくという話があります。
私は、男女どちらも機会均等に、いつもチャンスがあっていろんな仕事ができる、能力があればそこへ、地位につく、これは当たり前の話ですね。
だけれども、例えば、パイロットに女性が少ない、これは不公平だ、パイロットには三〇%女性をつくるべきだと。これは平等ですかね、これは結果としての平等ですよね。機会均等、今、男女だれでもパイロットにはなれる、試験を受けられると思うんですね。しかし、結果としての平等と機会均等とはちょっと違うと思うんです。
この女性の、三〇%程度に引き上げていくというのは、これは機会を均等にするという意味でしょうか、結果としてどうしても引き上げていくという意味でしょうか。どちらでしょうか。
○福田国務大臣 我が国は、女性が管理職とか指導的な立場に立つ人の割合というのは、ほかの先進国等に比べて非常に低いんですね。ですから、何とかそれは引き上げたい。また、そういう機会をつぶしてはいけないということで、そういう意味では機会を与えるということです。
女性ではできない仕事もあります。もちろん、例えば大工さんなんというのは、これは女性にやれと言ったってなかなか難しいでしょう。腕力の要る仕事はやっぱり。だけれども、仕事の中身によるわけであって、ハンマー振り上げているのを女性にやってくださいということは、私どもはお勧めはしません。しかし、やりたいんだったらどうぞおやりください、また、そういう力のある人もおいでだろうから、それは機会を閉ざすことはしておりません。おりませんけれども、お勧めは別にしていないということで、また、だからその中から三割女性の管理職がいなきゃいかぬ、そういうふうには私どもは言っていません。
やっぱり、その女性、男性の持てる能力を十分に発揮できるような適切なる機会というもので活躍していただくのがいいんだろうというふうに考えております。
○中山(義)委員 私は、選挙で大体三分の二ぐらいが女性票でございますので、女性を大切にしていることは間違いありませんし、女性の立場というものをよくわかって質問しているつもりでございます。
特に、男女の性差による就職差別なんか、もしあるとすれば、これは大変大きな問題だと思うんですね。それから、家事や育児の女性への押しつけ、社会に残る男性優位の構造は絶対に改めなければいけない、こういうことを前提にした上で正しい教育をしていただきたいということを言っているわけでございます。
そういう面で、男と女、それぞれの個性を持って、そこには性差というものはある。その上で、お互いの個性、お互いに協力してこの日本の国をもっとしっかりしていかなきゃいけない、これが私どもの考えです。
もう一度申し上げますが、ジェンダーフリーという言葉は公用語ではないんですね。それをまず一つ確認します。答弁してください。
○福田国務大臣 公的な文書にはないというように思っております。
○中山(義)委員 もう一つ、これは文科省の関係かもしれませんが、男女共同参画社会をやっていくときに、誤解を招くといけないんで私は申し上げるんですが、地方自治体でジェンダーフリーという言葉を使って、これがあたかも男女共同参画社会のように、これをうまく利用して、この言葉をはやらせて、または、男は男らしさ、女は女らしさ、そういう本来の日本のアイデンティティーを違った方向へ持っていこうとするようなことに対して、官房長官、ひとつその辺に対して、やはり、この国をどうしていくのか、歴史観や国家観から、もし間違ったジェンダーフリーという言葉が使われているんであれば、それは使ってはならないと言うべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 命令はできませんけれども、しかし、考え方の基本は、まあ、誤解をしないことですよ。そして、小さいころからしっかりと教育をすること、おっしゃるとおりでございまして、これは文科省だけにお願いすることでない、世の子供の親がみんな考えなきゃいかぬことでございまして、そういう中から健全な社会を目指す、こういうことが大事なんですね。健全な社会というのは、この言葉、非常に抽象的ですけれども、やはりこの言葉は大事にしなきゃいかぬと思っております。
○中山(義)委員 私は本当に、先ほどの例えば援助交際なんという言葉がありますね。これは援助交際なんという言葉だからいけないんです、少女売春ですよ、間違いなく。こういうことを許す親がまずいけないわけですね。親がやはり子供たちに関心を持つ、それは父性としての、父親の愛情ですよ。母親もやはり常に子供たちに関心を持つ。お父さん、お母さんがしっかり家庭をはぐくんでいく、これが大事なことで、今回いろんな犯罪が行われているような、そういう土壌も、男らしさ、女らしさ、お父さんらしさ、お母さんらしさ、こういうものがだんだんなくなってくるという、家族にやはり一番問題があるというふうに私どもは思っているわけでございます。
これからも、男と女があって、家族がしっかりきずなができてくる。そして、世の中もそうやって、お互いに協力してこの世の中ができていく、そういう土壌を男女共同参画社会はしっかり高らかに掲げていただいて、日本のアイデンティティー、つまり、一番の総論だと思うんですよ。男が男らしく、国が攻められたら私が何とかしよう、これは男でしょう。国が攻められたら逃げちゃう、これは男じゃないですよ。
だから、さっき官房長官に、男の中の男、福田官房長官、こういうふうに言ったんですから、ここははっきり答弁をいただいたことを、私たちは、ジェンダーフリーというものは公式用語ではあり得ない、それから地方自治体でこういうことをやっていることは好ましくない、こういう発言はちゃんと聞きました。しかし命令まではできない、こういうことでありますが、やはり男は男らしく、女は女らしく、そして日本の国は自分たちで守っていく、このくらいの気概を持つことが大切だ、このように申し上げまして、私からの質問を終わります。
○山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時十七分散会