衆議院

メインへスキップ



第4号 平成16年3月19日(金曜日)

会議録本文へ
平成十六年三月十九日(金曜日)

    午前九時四十七分開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 今津  寛君 理事 大村 秀章君

   理事 河本 三郎君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 鎌田さゆり君

   理事 中山 義活君 理事 大口 善徳君

      岩屋  毅君    江崎洋一郎君

      木村  勉君    佐藤  錬君

      田中 英夫君    西川 公也君

      西村 康稔君    西銘恒三郎君

      葉梨 康弘君    早川 忠孝君

      平田 耕一君    水野 賢一君

      宮腰 光寛君    村上誠一郎君

      石毛えい子君    泉  健太君

      市村浩一郎君    大畠 章宏君

      小林千代美君    島田  久君

      鉢呂 吉雄君    原口 一博君

      横路 孝弘君    太田 昭宏君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   会計検査院事務総局第一局長   石野 秀世君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   吉村 博人君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 関   一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房国際部長)   三谷 秀史君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (警察庁情報通信局長)  大村  優君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)   須田 和博君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    西江  章君

   内閣委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     西銘恒三郎君

  西村 康稔君     佐藤  錬君

  葉梨 康弘君     田中 英夫君

  平沼 赳夫君     水野 賢一君

  山内おさむ君     鉢呂 吉雄君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     西村 康稔君

  田中 英夫君     葉梨 康弘君

  西銘恒三郎君     木村  勉君

  水野 賢一君     平沼 赳夫君

  鉢呂 吉雄君     小林千代美君

同日

 辞任         補欠選任

  木村  勉君     河井 克行君

  小林千代美君     山内おさむ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 警察法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長吉村博人君、警察庁長官官房審議官関一君、警察庁長官官房国際部長三谷秀史君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、警察庁刑事局長栗本英雄君、警察庁警備局長瀬川勝久君、警察庁情報通信局長大村優君、総務省自治行政局公務員部長須田和博君、法務省刑事局長樋渡利秋君及び国税庁課税部長西江章君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河本三郎君。

河本委員 おはようございます。

 理事会がちょっとおくれまして、開会もこのような格好になりまして、申しわけございません。

 きょうは、小野大臣初め警察関係者の皆さん、ありがとうございます。

 今回の警察法の改正の質問に先立って、大臣初め関係者の皆さんに一言申し上げたいことがございます。

 大臣も御案内のとおり、ほかの委員会は順調に法案審議が進められておりますが、我が委員会におきましては、法案に、質疑に入るというのはきょうが初めてであります。なぜこれだけおくれたかというその原因は、やはり道警等の不祥事、さらに正確に表現するならば、不正経理の問題があったということでございます。この不正経理の問題についてどのような御見解と、それからどのような対応を考えておられるのか、まず大臣の方から、決意も含めて御答弁をいただきたいと思います。

小野国務大臣 北海道の旭川中央警察署におきます平成七年五月分及び平成九年九月分の捜査用報償費約五十万円に関しまして不適正な予算執行が見られ、また、静岡県警察におきましては、総務課の平成七年度の県費、旅費をめぐりまして九百四十万円、いわゆる空出張事案が判明いたしましたことは、まことに遺憾でございます。

 会計経理をめぐります一連の事案が発生いたしました原因につきましては、個別の事案ごとの調査の結果を踏まえまして明確にしていくものと承知をしておりますけれども、少なくとも、厳正に会計手続を遵守すべきところを履行していなかった、そういう状況があり、その背景には公金の取り扱いに対する認識の甘さがあったのではないか、そのように現時点では考えております。

 予算の執行に関しましては、警察で既に捜査費についてはいわゆる捜査諸雑費制度を導入するなど、捜査費を現場で捜査員が使いやすいように会計経理における制度的改革を進めているところではございますけれども、国家公安委員会の指示を受けまして、県費捜査費執行に対する監査への対応のあり方や領収書の徴収のあり方について都道府県警察に指示をしているところでございます。

 国家公安委員会におきましては、警察庁が都道府県警察に対し実施する監査の充実強化を図る一環といたしまして、監査に関する権限等を明確化するとともに、国家公安委員会に対しまして監査結果を報告させることなどを定める会計の監査に関する国家公安委員会規則を制定することといたしております。

 警察庁におきましては、具体的な監査の充実強化方策につきまして検討しているものと承知をいたしております。

河本委員 官房長に御質問ですけれども、不正経理に対して、もう少し、どういうことが不正経理につながったかということを丁寧にちょっと説明をしていただきたいと思います。

吉村政府参考人 ただいま大臣から御答弁がありましたとおり、厳正に会計手続を履行してお金を支出しなければならないということが履行されていないという状況がうかがえる背景として、公金の取り扱いに対する認識の甘さがあったということのお話があったわけでありますが、まず、捜査費を例えて申しますと、これを第一線の捜査員が執行する際に、従前、一言で言いますと、必ずしも使い勝手がよくなかった。それは、いろいろ諸活動、例えば街頭でタクシーに飛び乗って尾行したというようなときに、まず自腹を切って、そのタクシー代を後刻請求するということであったわけでありますけれども、それではなかなか言い出しにくいところもあるであろうということもこれありで、制度として平成十三年度の予算からそのように改めたわけであります。

 従前は、今申し上げましたように事後払い、事後に請求をしてもらうという形であったんですが、平成十三年度からは、捜査員の一人一人に、例えば五千円、例えば一万円を事前に渡しまして、その中で、タクシー代に幾ら要した、あるいは捜査協力者の人から話を聞きに行く、そのときに手土産を持っていったというときに、お菓子屋でその手土産を買ったとしますと領収書が残りますので、そういうものをつけて、一カ月たった時点で、五千円使い切りました、あるいはこれだけ余りました、あるいはまた月内においてお金が足りないということで追加請求ということもありましょう。いずれにしても、事前にお金を一定額渡しておいて、多頻度にわたる少額のその種の経費については、いわば使い勝手がよく執行できるようにするというような制度を十三年度からは導入したところであります。

 繰り返しになりますが、こういう不正経理の一つの一環としては、捜査活動をスピーディーに実行する必要があるにもかかわらず、必ずしもお金の出方がスムーズではなかったこともあるいは一因かもしれないということで、制度面での改正をやったということの一例を今申し上げたわけであります。

 しかしながら、基本は、適当なことをやっていたという実情がうかがわれるわけでありますので、それを今後の監査のあり方としてもう少し実質的な監査を遂げて、そのようなことができない仕組みをつくり上げ、また実行していきたいというふうに思っております。

河本委員 今回のいわば事件に対して、予算執行検討委員会というのをつくって、そこで、情報提供者の名義による領収書については徴しない、これを各都道府県に指示するということですけれども、現場では我々の想像のできないような御苦労が警察にはあると思います。

 情報提供者に対して、情報を提供してもらったときにどういう対応をするのか、お答えできる範囲で官房長の方から答弁していただければと思います。

吉村政府参考人 お答え申し上げます。

 一連のこの種の事案を受けまして、警察庁内に予算執行検討委員会を二月十三日につくったところでありますけれども、その執行検討委員会の中におきましては、個別の事案において、北海道の事案あるいは静岡の事案がどのようなものだったのかということを、それぞれの関係の県と連絡を密にしながら事案を早期に解明していくということが一点。それからもう一点は、先ほども申し上げましたように、将来的に適正な経理執行のあり方を考えていくということを今打ち出しているわけであります。

 その中で、今先生がおっしゃいました領収書の名義人の問題があります。これは一線の捜査で、捜査費というのはいろいろ使っているわけです。例えば、さっきも申し上げましたように、タクシー代ということも言いましたけれども、突然、捜査本部、殺人事件が起きたということになると、場所によってはホテルですとかいろいろなところを借り上げなきゃいかぬ。あるいは、寝具を持ち込んでそこで寝泊まりもしなきゃいかぬということもありましょうし、その種の什器類ですとか、住居の借り上げとか、いろいろな多方面に使っておるわけでありますけれども、そのうちの使途の一つとして重要な部分が、捜査協力をいろいろいただいて、その協力の謝礼としてお金を渡すということがあるわけであります。

 通例であれば、いろんな捜査に有力な情報をいただいて、あるいは警察活動を進めていく上で非常に有効な情報をいただいて謝礼を渡すというときに、そのお金をもらった人から実名の領収書がはっきりとれるということであれば、何月何日、だれそれで、どこで交付したということがはっきり証憑書類として残りますから問題はないわけでありますが、例えば、暴力団関係者でありますとか、薬物事犯の人でありますとか、あるいはテロに関係する人もあるかもしれませんけれども、そういう人たちから情報をもらうというときには、なかなか本名を書いていただけないということがあったわけであります。現実にあります。

 そうはいっても、今までは、何とか領収書をとりたいということで、自分の実名でない名前をそこに書いてもらって、もらっていたということをしておったわけであります。ただ、これをやりますと、組織で捜査は進めておりますものの、警察活動は進めておりますものの、年月がたつと、残った当該領収書だけを見た場合に、これが実名のものなのか、そうではないのかということが一〇〇%完全には、ひょっとしてわからなくなるおそれもないではないということがあります。

 ということであれば、実名の領収書をいただけないケースにあっては逆に一切領収書は受け取らない、他人名義のものはもう受け取らないということにまずいたしまして、その上で、領収書を徴収できない場合であっても、確かにそのお金を払ったということを証明しなければなりませんので、それをどうするのかということについて、いわば領収書を徴収できた場合と同程度に捜査費の支払い事実を証明できるような手だてを別途講じなければならないと思います。

 そのためには、今考えておりますのは、例えば支払い報告書的なものを当該捜査員に書かせて、こういう日時、場所、状況でこういうふうに確かに払った、ただ、領収書はとれなかったということを明記してもらって、従前はそこに署長の判こだけを押しておったんですけれども、当該捜査員の直属の上司、それから署長と、二重チェックをして、きちんと確かにそのとおりだったということを証明をして、かつ、会計検査院の検査等があるわけでありますけれども、その際に、捜査幹部、どうしても捜査幹部で心証を得ていただけない場合には当該捜査員本人による十分な説明も行って、確かに払いましたということの手続にしていこうということであります。

 要するに、繰り返しになりますが、実名の領収書以外警察の中には存在はしない。領収書がなくしてお金を払った場合には、事詳細に支払いの報告書をつくって、それを書類として編綴をしていこうということで制度を改めていこうということを、全国に既に通達をいたしておりまして、四月一日から、来年度からそのようなやり方でやっていこうというふうに考えておるところでございます。

河本委員 大臣、もう日常茶飯事のように、我々の国民生活に不安を与えるような事件が、外国人犯罪も含めて多発いたしております。それで、きのうの夕刊にも、アルカイダ系の組織が日本を標的にしておるということの新聞報道もございましたが、今回の改正等によって、そういう犯罪の歯どめになるのか、抑止力になるのか。あるいは、自衛隊、海上保安庁、こういうところとも、これから水際作戦も考えて一層強固なものにしていく必要があると思います。この改正によってそういう犯罪が未然に防げるのかどうか、そのお答えはなかなか難しいと思いますけれども、ぜひ、この警察法の改正が国民生活の安定向上につながるように、大臣のリーダーシップをとっていただきたいと思います。お答えは結構であります。

 さらに、大臣も覚えておられると思いますけれども、昭和六十年に政治倫理綱領というのが制定されました。この前文には、これは我々政治家に対しての戒め、教訓でありますけれども、政治倫理の確立と政治腐敗の根絶が議会政治の根幹であるとうたわれており、そして最後には、より明るい生活を望む国民のために、我々政治家は命がけで心血を注いで働きなさい、こういう結びであります。

 公務員の倫理綱領というのもあるということでありますけれども、ぜひ、取り締まる警察が不正によって国民の信頼を失うということは、これは言語道断でありますので、大臣のリーダーシップによって、不正経理の問題にも鋭くメスを入れていただいて、警察の信頼回復に努めていただきたい。

 このことを強く要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、島田久君。

島田委員 当内閣委員会において、国家の意思にかかわる重要法案である警察法の一部改正案について、国会議員として初めて質問できることに対して、委員長初め、理事の皆さんに心から感謝を申し上げる次第であります。

 まず最初に、三月二十二日のアエラに、「東京・犯罪増えた街はここ」という分析データが出ているんですけれども、その東京の犯罪についての減少の方、犯罪が少なくなった方に、二十三区では品川区で九・二四%減、多摩地区では羽村市で二三・七七%も犯罪が減ったと。

 その背景には、羽村市では、犯罪増加を憂慮する、羽村市の犯罪が多発している状態をどうしたら解決できるかということで、市民生活安全パトロールというパトロールを編成して、民間の警備会社と市民ボランティアによる合同パトロールが行われたということによる効果ではないかというふうに思うんですけれども、市民生活の安全は、市民一人一人が何としても生活の安全を守るということもやはり市民の一つの義務であるという姿勢も、やはり社会が複雑化するほどそういう視点も明確にしていかなければならないと思うんです。

 警察庁として、そういういろいろな市民が行われているパトロールやボランティア活動について、そういうものが持続的に成長するような手だてもやはりきちっと考えていかなきゃならないと思うんですけれども、国家公安委員長のお考えをまず最初にお聞かせください。

小野国務大臣 先生から今お話を伺いまして、羽村市が二三・七%も功を奏したということで、まことにすばらしいことと。二十三区、多摩地域二十七市四町一村、今ちょっと変わりましたでしょうか、やっておりますけれども、それぞれがそれぞれの活動をしている中でこれだけ功を奏したということは、まことに地域の皆様方の御努力がいかに大きかったかということを、今私もお話を伺いながら感じているところでございます。

 やはり、犯罪の発生を抑止するということは、警察の努力はもちろんでございますけれども、地元の皆さん方あるいは民間団体の皆様方が何よりも取り組みを御一緒していただくということが不可欠である、そう認識をさせていただいております。

 先生のところは、町内会あるいは自治会、あるいはそれぞれの地域の防犯活動、パトロール隊、いろいろなものが考えられるわけですけれども、市民ボランティアの方々から委託された警備員の方々の活躍が大変大きいというお話を今伺わせていただきました。その結果、犯罪の発生も大きく減少したということでございますが、パトロールをしているところとしていないところは格段の差が出るということは、私ども警察あるいは各都道府県の県警の方でも実感をさせていただいているところでもございます。

 とにかく、地域住民の皆さんに安心をしていただくということは、そういう姿を見ていただくということ自身も大変大きな心の安心感、そしてまた連帯感にもつながっていくものと私どもも思っておりまして、その推進に大きな意義があるということでございます。

 平成十六年度の地方財政計画におきまして、地域住民やボランティア団体が行います防犯パトロールや啓発活動の支援をさせていただくということが一点でございます。それから防犯教室、教室を起こしたり、あるいは講演会を充実したりいたしまして、地域住民の防犯意識というものを高揚することなど、そういうことに対する経費について措置をしたところでもございます。

 今後とも、地域住民の皆様方の自主的な取り組みと私どもが協力をいたしまして、地域住民の皆様方の防犯意識の高揚というものを高めていただく中に、私ども警察の努力もあわせまして、積極的な活動を支援するように警察の方をさらに督励してまいりたい、そのように考えております。

島田委員 公安委員長の今お話の中にも、昔の警察というのは、交番そのものが、パトロールが行われてよく目に見えて、それが一つの抑止力にもなったという警察のいい面があったと思うんですけれども、ここで、相当、警察官の一万人緊急増員三カ年計画を立てられたり、それから今、年度途中で、二〇〇四年度の初年度において、さっきお話もあったように、警察官の動員を実施して、二〇〇四年度に三千百五十人の増員が予算化された。

 警察白書によれば、警察官の定員は、一九九六年度に二十六万二千四百三十九人から、二〇〇一年度の二十六万九千九百十人へと、七千四百七十一人も増加しているわけですね。そして、他方、警察白書によって凶悪犯罪の検挙率の推移を見ると、九六年度の八九%から二〇〇一年度の六一・二%へ、著しく低下をしている。

 このことを比較してみると、単に警察官を増員しただけで本当に国民の生活が安心できるような状況になるのかどうかということについて、どうお考えでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 警察官の増員によりまして、今お話のございました交番を充実していくということは、大変重要なことだと思っておりますけれども、ただ、交番の要員の充実のみならず、増員による充実のみならず、内勤部門を初め他部門から捻出した要員をも加えて交番のさらなる充実が必要だろうと思いますし、また、退職警察官を活用しました交番相談員の増員であるとか、あるいは、警察官の不在時に交番を訪れた方が警察署と直接連絡できるテレビ電話システムの交番への普及などを、先ほど大臣もお話がありましたけれども、充実することによりまして、そうした住民の不安というものをさらに解消していきたいというふうに考えておるところでございます。

島田委員 今の御答弁の中で、本当に犯罪率が具体的に減ってくるのかどうかということについて、もっときちっと考えていかなきゃいけないんじゃないか。

 事例を見ていると、例えば、交番にいる外勤の警察官を、ある面では内勤的な仕事の面に、何か警察全体の運営の中で、他のところが忙しかったり、外勤を内勤の中の何かの仕事に携わせるとか、そういうことはあるんでしょうか、ないんでしょうか。

伊藤政府参考人 いわゆる地域警察官をほかの部門の仕事に使うことがあるかという御質問でございますけれども、現実には、いろいろな仕事に、例えば、他の部門が極めて忙しいような場合に、そこの応援に行くというような実態はございます。

島田委員 忙しいところに外勤の交番の人を、ある程度、内容的にほかのところに移動させなきゃならぬということはわかるんですけれども、現状の犯罪率をどうして減少させるかという面から考えて、やはりもっと、交番がそのために空き交番になっていく、あるいは交番にいる任務そのものついてやはり何か場当たり的な形にならざるを得ないというような、そのために交番にだれもいなくて、大事な事件が発生をしたとした場合に、すぐ対応できない。そういう状況というものが相当数あるのではないか。

 実態的な細かい事件がいろいろ多発をしているようでありますから、そういう面から、その辺のところのあり方をきちっと、交番のあり方というものをやはりもう一度見直す必要もあるのではないだろうか。あるいは、見直すだけではなくて、そのことに対する警察の組織のあり方としてもやはりきちっと考えていかなきゃならない重要な問題があるような気がするので、大きな課題である。これは課題として解決していかなきゃならない。

 今度の機構改革の重要な側面で、もう一つあるんです。それは何かというと、今までのいろいろな制度そのものについて検証しながら、一番犯罪率を減少させるというところに、ただ交番だけじゃありませんけれども、だけれども、今の国民生活の不安というものを解消するためには、何としても、警察の一番目につくところについて、きちっとした対応というものがやはりどうしても必要だと思うんですけれども、その辺についてもう一度御回答をお願いします。

伊藤政府参考人 今おっしゃいましたように、犯罪の発生というものを減らしていく、また国民の不安というものを減らしていくというためには、やはり国民が身近に不安を感じておりますひったくりや路上強盗などの街頭犯罪、さらにはいわゆる住宅に入ってくるような侵入窃盗、侵入強盗等の侵入犯罪につきまして、これをきっちりと抑えていくということが極めて大切なことだと思っております。

 警察におきましては、平成十五年の一月以来、全国警察を挙げましてその発生を抑止するための総合対策を推進してきているところでございまして、平成十五年中の刑法犯の認知件数は八年ぶりに前年と比べまして減少に転じたということでございます。その中には、私ども現在昨年の結果について分析をしておりますけれども、やはり地域警察官が街頭においていかにいろいろな犯罪を検挙したか、あるいはパトロールをしたかという成果が出たところにおきましては、確かにそうした犯罪の発生も減っている、そしてまた検挙も上がっているという実態も出ています。私どもとしましては、そうした実態を踏まえまして、さらに地域警察官の街頭における活動というものを強化していきたいと思っております。

 それと、最初の方でお話ございましたけれども、地域警察官が他の部門に忙しい場合にはどうしても行くことがございますけれども、これについても極めて抑制的に考えていかなくちゃいけない。やはり地域警察官は地域の守りというものが中心でございますので、そのことに専念するように、できるだけ転用等につきましても抑制的に考えていきたいというふうに考えておるところでございます。

島田委員 今、抑制的にと言われておりましたけれども、そこのところは、警察のあり方としてやはり交番というものが何としても警察の市民との一番接点であるし、日本の警察も一番国民生活に安心を与えているところは交番であり、昔ですと地域によっては仲人までしたとか、そういう面で本当に地域の人たちの情報がいつも交番に来て、それが国民生活の安心、安全の一つの大事な接点であったと思うので、ぜひその辺についての、やはり交番をただ増員すればいいということではなくて、そういう交番のあり方というものをきちっと位置づけて対応していただくように、これはもう本当の根本的なところだと思うんです。

 ここのところを解決しない限り、民主党としても、マニフェストの中で、増員については、基本的なことを考えると、きちっと増員すべきものは増員していかなきゃいけない、そのことを考えながら、やはり本当の意味の市民生活の安定のための警察行政のあり方というものを真剣に今考えていかなきゃならない時期に来ていると思うわけであります。今回の機構改革も根本的にはそこにあるはずですね。

 その上に立って、今回の改正の大きな特徴は、有事に対する体制にどうかかわるかというところがもう一つの大きな接点であると私は思うんですけれども、どうもそういう中で、治安という言葉なんですけれども、法律上の概念はどこにも規定がないような気がするんですね。

 治安という言葉について、治安という場合には、国の治安に対する責任の明確化、国とのかかわりの中で警察の行政を行っていくというところがどうしても前面に出ざるを得ない。今のようなテロの問題にしても、そういう面で、従来の警察の体制のあり方の中でそういう側面というものもあるだろう、そのためにきっと今度の機構改革の中に位置づけられているのではないだろうかと私は思うんですけれども、例えば治安出動とか、こう書いてありますね、治安出動と。なかなか、治安出動という場合に、概念的に、従来の治安出動という場合には、どうしても、自衛隊が何らかの形における治安出動というものは規定されている、それはきちっと規定がされている。だけれども、この警察白書の中における治安という扱い方についても、用語の規定も、白書の中にはどこを見てもよくわからないんですね。

 やはり国民に対して、治安とは何かということを理解していく中で、今度の機構改革の中における本質的なものを国民にきちっと説明する責任があると思うんですね。そのことが、私は、警察機構全体の本質的な機構のあり方として考えてみなきゃならない点があるような気がするんですけれども、その辺はどうお考えでしょうか。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 必ずしも正確なお答えになるかどうかわかりませんけれども、警察の業務といいますのは、委員先ほど御質問にありましたとおり、それぞれの地域における交番のいわゆるお巡りさんとしての地域に極めて密着した活動というものから、凶悪犯罪の捜査というものもありますし、それから今大変大きく新聞紙上等でも取り上げられておりますいわゆる国際テロ等に対する対策というような問題もございます。

 したがって、警察業務の性格というのは実は非常に幅広いものがあるんだろうと思います。毎日毎日の国民の生活、日常のことから、あるいは国の存立そのものを脅かすような事案に対する対処という非常に幅広いものがあって、いわば極めてローカルなといいますか地方的な性格を持つ部分から、国家的な性格を持つ部分まである。そういったいろいろな分野に対して警察組織というものが有効に対処していかなければいけない、こういう考え方で今回の法改正にも取り組んだところでございます。

 治安という言葉でございますけれども、国家的なニュアンスでという御指摘でございますけれども、必ずしもこれは国家的なものに限るものではなくて、例えば一地方の平穏、国民の生活の平穏とか何々県の治安とかいうような言い方もされていると思いますので、これは広く、いわば警察法の二条にありますような個人の生命、身体、財産の安全、あるいは公共の安全と秩序の維持、そういったものが守られているという状態について治安という言葉で言われておるものだろうというふうに考えておるところでございます。

 今回の改正は、いろいろな幅広い側面があると思いますけれども、例えば、私どもの警備局の関係で申し上げますと、外事情報部というものを今回設置していただくということになっておりますけれども、これも、現下の国際テロ情勢という、極めて日本の国全体にとって、あるいはそれが国内で発生したという場合には例えば市民の皆様の一人一人の生命の安全にもかかわる問題でございますが、ただ、そういった事務を取り扱う上において、例えば諸外国との情報機関あるいは治安機関との連携ということを考えたときには、これはそれぞれの県警がやるということではなくて、国の機関である警察庁がいわば国を代表する形で諸外国との連携に努めていかなければいけない、こういう役割が非常に重要になってくるだろうということで、そういった側面から外事情報部についての改正等も行われているものでございます。

 そういうことで、正確なお答えになったかどうかあれでございますけれども、市民生活の問題というものよりも国家的な安全の確保ということに志向した改正であるということでは決してございません。

島田委員 その辺のところ、今の御答弁のところが一番本質的にやはり問題が含まれているような気が私はするんですね。

 やはり、市民の安全のために本質的に警察として取り組んでいかなきゃならぬ本来的な責務がある。しかし、今のような国際情勢なりグローバル化した状況の中では、国家的にその責務を果たさなきゃならない問題もあるということで、今回の改正の重要なポイントになっていると思うんですけれども、そこのところをやはり国民に対しては明確に説明する責任があるように私は思うんですね。

 例えば、今度の一部改正の法律案に関する資料の中でも、治安出動という言葉が出てきて、自衛隊との提携をどうしたらいいかというような文言が出てきている。そうすると、やはり、先ほど言ったように、本質的に治安というものに対する理解というものが、本質的に、どちらかといったら治安という場合には国家的な責務を果たすという、そしてもう一つは警察の中の重要な側面である公安という、公安というものが社会の秩序と安寧を図るということなんですよね。治安というものは、国家的な責務と、それから、さっき言ったように地方の安寧を図るという概念がある。

 そういう中から考えた場合に、それでは、今までの日本の警察の本質的なところは、公安体制をどうするかという一つの大きな筋があったと思うんですね。それとの、今度の機構改革の中でどういう位置づけになっているんでしょうか。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 治安でありますとか公安でありますとか、いろいろな用語が使われることがあるわけでございますけれども、基本的には、いろいろ使い分けはありますけれども、そう厳密な意味で違いがあるわけではないのではないかというふうに私は思います。

 治安という言葉を言いますときに、例えば、先ほどもちょっと申し上げたところでございますけれども、警察法に規定されております、個人の権利と自由を擁護して公共の安全と秩序を維持する、こういうことを総称して、治安を確保する、こういうふうに使われているわけでございますし、今委員御指摘の公安という言葉は、普通は公共の安全と秩序の維持という意味で、公共の安全と秩序ということを略称するような形で、公安、こういうふうに我々使わせていただいているわけでございます。

 今回の法改正につきまして、先ほどのお答えとちょっとまた重複するかもしれませんけれども、今まさに委員が御指摘のように、それぞれの地域地域における犯罪の多発ということで国民の皆さんが大変不安に感じておられる、そういう意味でもその地域の治安が非常に悪化しているというふうに我々言っておりますし、そういうふうな用語の使い方をしつつ、そういう認識をしております。それと同様にまた、国際テロの問題についてもお触れになりましたように、非常にグローバルな世界の中で、国全体としての治安を維持するために国家的な事務として警察庁がいろいろ取り組んでいかなきゃいけない。警察庁として取り組んでいかなければいけないという側面と、両方の今警察が直面している課題についてそれぞれ対応を的確にしていこうというのが今回の改正の趣旨であるということで御理解をいただきたいと思います。

島田委員 なぜこういう議論をするかということも、ぜひ真剣に考えていただきたいと思うんです。これは私の勘違いかどうか知りませんけれども、やはりこれだけの社会の状況変化、グローバル化した社会の大きな変動の中で、治安という問題について、この問題についての定義づけ、法律的にもやはりきちっとした位置づけがされていない。

 私どもの年代になると、どうしても戦前のいろいろな言葉、治安維持法、治安出動というと自衛隊が出てくる。そういう面で、国民一般の年代層が高い方はそう思うのかもしれません。しかし、それでも、余りにも治安という言葉によって国民が圧迫感を感じる、それは本来の警察行政のあり方ではない。真剣に皆さんが取り組んでいる警察行政そのものが国民に正しく理解をされていない側面があるような気がするんですね。それがどうしても、犯罪とのかかわりの中で、国民の中にそういう不安を感じるものを与えるような気がするんですね。今の若い層はそうでないかもしれません。

 その辺のことも、こういう本質的な機構改革をされるときには、ぜひ正しい規定を、これは規定されていると思いますけれども、規定をしていただくようにお願いをしたいと思うんです。

 そしてこの中で、本来、生活安全局を位置づけるときに相当重要な議論があって、警察を刷新していくんだ、意識改革をするんだ、そういう中で一つの大きな機構改革があって、今度の機構改革になってきていると私は理解をしているんですけれども、そういう面での今回の機構改革そのものは、警察のあり方を根本的に見直す中で、あるいは警察官の意識改革をしていかないと、起きている警察官自身のいろいろな犯罪行為というものもなかなかなくならないのではないかなというようなことも考えてみると、やはり生活安全局という、生活安全局は、交番が基本にあって、全体的な生活安全を予防するという側面の中では重要な側面になっていると私は理解しているんですけれども、そういう理解でいいんでしょうか。

伊藤政府参考人 御指摘のとおり、生活安全局の仕事というのは、一つはやはり国民の生活の平穏の確保ということが大きな柱となっております。

島田委員 それでは、今度の機構改革の中に、犯罪抑止対策室、それはどういう位置づけになっているんでしょうか。

伊藤政府参考人 今御指摘の警察庁の犯罪抑止対策室ということでございますけれども、これは、犯罪情勢に的確に対処して犯罪抑止対策を一層強力に推進していくということで、警察庁の生活安全局にこの犯罪抑止対策室を設けるということを考えておりまして、犯罪の発生の抑止に力点を置いた対策を考えております。

 具体的に申しますと、市民生活の安全と平穏を守るため、全国的な犯罪情勢を分析しまして犯罪の防止を行わせることとしておりまして、具体的な内容としましては、犯罪情勢の分析結果に基づく防犯施策の企画立案であるとか、地域住民やボランティア団体などの自主防犯活動を促進、支援するための施策の企画立案などを行いまして、各都道府県警察が行っておりますこれらの犯罪抑止対策がより効果的に実施されるように指導していこうというものでございます。

島田委員 ぜひ、犯罪の予防というところに重点を置きながら、その中で外勤としての交番の位置というものを明確に位置づけていただいて、本当の意味で交番のその任務がきちっと果たせるように、そしてそこには必ず、今度の増員というのが本来はそこに重点的に増員をするという考えが位置づけられたはずですから、ぜひその辺はきちっとした対応をされるように心からお願いをしたいと思います。

 次に移らせていただきますけれども、先ほどの有事に対応するという中で、今度、基本的な大きな流れとして新たに設置される国際捜査総括官、国際テロ対策課という機構を新たに位置づけられているわけですけれども、今まで外国の大使館の中に警察庁の職員の身分を持ちながら派遣されているんでしょうか、そういう中で、大使館の中に情報を収集する意味も含めて派遣をされていたんですけれども、その実態についておわかりでしょうか。

吉村政府参考人 お答えを申し上げます。

 ことしの一月一日現在で、派遣といいますか、警察庁から在外の大使館に、外務省に出向いたしまして、外務省職員の身分で諸外国に行っております、その数が百四十七名でございます。このうち、二十一名については参事官、一等書記官、領事でありまして、残り百二十六名につきましては、在外公館の警備体制の企画立案でありますとか、在外公館の警備に関しまして隣国の治安関係機関との連絡調整、治安関係情報の収集・分析、三つ目に、在留邦人、本邦進出企業等に対する各種の安全対策の助言等の事務に従事をしているところでございます。

島田委員 そうしますと、今度の機構改革によって、大使館の方に、あるいは外務省から大使館の方に派遣されていたその職員なり活動は、従来どおりの活動なのか。この今度の機構改革によって行われようとしている、国際捜査官あるいは国際テロ対策課の中で、こういう情報収集等について、どういう形で今度は機構改革の中で携わられるのでしょうか。

吉村政府参考人 基本的には、先ほど申しましたように、外務省の職員になっておりますので、任務がこの法律改正がなされたからすぐ変わるというものではないと思います。

 国際捜査総括官ということで言われておりますのは、これは、外国の捜査機関からいろいろな捜査共助要請がありましたり、あるいは日本において外国人が犯罪を犯すというときの各県との連携の問題でありますとか、そういう事務に携わることに恐らくなろうと思いますし、それから、国際テロ対策課は、テロの防止等、もし外国でテロが発生したような場合には、そこで日本人にもし被害が出たというような場合には、これはあくまで捜査権は当該外国にあると思いますが、当該外国の了解を得た上で、こちらから要員を派遣して支援活動を行うということでありますから、あるいは、その国にこちらから行っている、出向している人間が大使館員として勤務をしていたとすれば、それはその人たちも恐らくその目的に沿って働いてくれることにはなろうかとは思います。

島田委員 そして、今度は機構改革の中に国際テロ特別機動展開部隊という部隊を設置することがうたわれているんですけれども、この部隊の活動内容はどういうことでしょうか。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 かつて在ペルー日本国大使公邸占拠事件というものがございました。こういった事件の教訓を踏まえまして、実は、現在、警察庁外事課に国際テロ緊急展開チームというものがございまして、これは、外国で日本人や我が国の権益に関係する重大なテロ事件が発生した場合に、現地の治安機関と緊密に連携して情報収集を行ったり、人質救出のための交渉の支援とか、そういった活動を行うということを任務とするものでございます。

 これでやってきておったわけでございますけれども、実は、インドネシア・バリ島で大きな爆弾テロ事件がございました。このときに、現地の治安機関から我が国に対しまして、例えば、死体の関係の身元確認のためのDNA鑑定、そういったものを初めとする鑑識の活動について支援要請がありまして、我が国から専門家を派遣いたしまして対応したわけでございます。

 最近の国際テロの状況にかんがみまして、こういった事件があったときに我が国に対するいろいろな支援要請がある。支援要請の内容が非常に広範囲といいますか、多様になってくる状況にあるということをかんがみまして、先ほど申し上げました現在あります国際テロ緊急展開チームというものをさらに発展といいますか強化いたしまして、より広範囲の支援活動を現地の治安機関に対してできるようにしようということで、国際テロ特別機動展開部隊、これは名称については今検討中でございますけれども、要するにそういう支援をするチームをさらに強力なものとしていきたいというふうに考えているものでございます。

 これは、構成員は、常設の部隊ということではなくて、警察庁や都道府県警察で勤務している捜査員、それから爆発物の処理でありますとか鑑識、DNA等の専門的な知識を持っている警察職員をあらかじめ指定しておきまして、何か事件があったときにはこれを招集いたしまして、新設を予定しております外事情報部の指揮のもとに派遣をするというような対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

島田委員 今度の機構改革のこの辺のところが一つは重要な視点として議論をしなきゃならないと思ってはいるんですけれども、小泉総理が、テロと闘うんだということをよく言われます。そうすると、イラクに今自衛隊が派遣されておりますけれども、こことの、この国際部隊というものは何らかのかかわり合いがあるんでしょうか。

瀬川政府参考人 特にイラクについてどうということを念頭に置いて、そういった個別の国といいますか、そういったものを念頭に置いて考えているものではございませんで、いつどこで発生するかわからない国際テロについて、発生した国の治安機関との協力、その治安機関に対する支援活動、これをスムーズに行うための組織ということで考えているものでございます。

島田委員 最後に、今度の機構改革の、やはり基本的には交番をより充実させて、国民の生活の安全というところが機構改革の基本だ、この改革の基本でなきゃならない、そう思っていますので、ぜひ、生活安全局の主体的な重要な役割を果たす交番の位置づけ。私ども民主党も、マニフェストの中で警察官の主体的な交番に対する増員の問題等については提案もしておりますし、今度の、国民一人一人、やはり自分たちの生活の安全というものに対して国民一人一人も責任を持って、生活安全のためのパトロールに行ったり、お互いに自分のコミュニティーの中でどうあるべきかということも真剣にこれはだんだん考えるようになってきていると思うんです。

 ぜひその芽を育てていただくように心からお願いして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 与党自民党、少し委員の方の空席が目立つんですが。定足数は足りているようでございますので……(発言する者あり)

 速記をとめてもらえますか。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

山本委員長 速記を起こしてください。

 次に、鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。

 予算委員会に引き続きまして、いわゆる北海道警察を含む全国の警察の不正経理疑惑の問題について、国家公安委員長初め省庁の幹部の皆さんに御質問いたしたいと思います。

 それでは、資料を配付させていただきたいと思います。

山本委員長 本資料につきましては、理事間におきまして種々意見がありましたが、内容につき配付希望会派が責任を持つということで許可をいたしました。

鉢呂委員 私ども民主党は、この関係の対策本部を今週立ち上げまして、先週、北海道警察、また今週の十五日に福岡県警に参りまして、それぞれ調査をしてきたところでございます。

 今お手元に配付をいたしましたこの資料は、三ページを見ていただきたいんですけれども、福岡県警のいわゆる裏金を扱った帳簿、平成七年度から平成十一年度まで、県警本部会計課から県警本部の銃器対策課に振り込まれた捜査費等現金受領簿でございます。

 私は、三日前に、既にこの問題等については警察庁に質問通告をしております。きょうは、大臣に、それぞれ端的に質問いたしますので、お答えをいただきたいと思います。

 この捜査費等現金受領簿について、大臣は、福岡県警を通じてこの存在を確認しておりますか。

小野国務大臣 お尋ねの手控え帳簿という名称の帳簿は福岡県警察には存在しないとの報告を受けております。

鉢呂委員 今はカラーコピーでありますから、この三ページを見ていただきたいんですけれども、捜査費等現金受領簿の、捜査費と旅費に分かれまして、それぞれ括弧書きで左側に、十一月一日に(県)、あるいは十二月一日、(国)というように、国費、県費をそれぞれの日付で、先ほど言いました県警本部会計課から受領した、これは裏帳簿でございます。

 伊東という朱肉が打たれておりますけれども、この伊東さんについても、どういう立場の方か、私はそのお名前についても確認するようにというふうに聞いておりますが、どういう職務の方でしょうか。

小野国務大臣 お尋ねの手控え帳簿という名称の帳簿は福岡県警察には存在していないとの報告を受けております。

 お尋ねの捜査費等受領簿という名称の帳簿は福岡県警察には存在していないとの報告も受けております。

 また、福岡県警察におきまして、現在、平成十年度及び平成十一年度分について、関係者から事情を聴取するなど捜査を進めているとの報告を受けているところでございます。

鉢呂委員 伊東という朱肉の職名、どういう職名なのかわかりますか、わかりませんか。

小野国務大臣 わかりません。

鉢呂委員 これは、きのう警察庁からお示しをいただきましたけれども、県警本部の当時の銃器対策課の課長でございます。

 皆さんに十一ページと十二ページをお開きいただきたいんですけれども、この十一ページは、いわゆる県費の場合は、県警本部総務部の会計課長から銃器対策課長に、平成十一年の三月一日に捜査費交付書ということで三十六万円、三月分ですね、これが交付をされ、また次のページの十二ページは、これは国費の分ということで、県警本部長の印鑑入りで、捜査費交付書ということで三月分、六十万交付されております。

 この平成十一年三月一日、この金額が銃器対策課の方に交付をされているでしょうか。これも通告を三日前にしておりますが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 捜査費の交付書というのは、事務処理上の確認を行うための文書でありますことから、福岡県警察公文書管理規程によりまして事務処理終了後に廃棄しているために、現在、当時の文書は存在しないとの報告を受けております。

鉢呂委員 これは、国費の分であります。国費の分はきちんと警察庁が確認をすべき問題であります。交付書が仮に処分されておっても、三月一日付で六十万、国費の場合は六十万ですけれども、これを交付されているかどうか。当然これはきちんと確認をされるべきものがあるはずであります。いかがでしょうか。

小野国務大臣 特定の日付の交付額につきましては、それを公にいたしますれば捜査活動の実態が明らかになることから、公表することはできないと報告を受けております。

 なお、保存されております会計書類によりますれば、三月の福岡県警察銃器対策課が交付を受け取った捜査費は、国費は六十万円、県費は三十六万円と報告を受けております。

鉢呂委員 捜査に重大な支障を与えるからということで、これまでも、すべての会計検査あるいは都道府県の監査について事実上拒否をしてまいりました。私は、国費でこれだけの今重要な問題になっておるわけでありますから、ここは、国家公安委員長、きちんと、国家公安委員長も速やかに厳正に解明すると言っておるわけでありますから、国費の分についてはその実情について明確にすべきであるというふうに思います。

 そこで、今、事実上、三月分、六十万というものが、お話がございました。

 次の十三、十四ページを見ていただきたいわけであります。三十六万、六十万というものが交付をされておりますけれども、いわゆる内訳書であります。

 国費捜査費については、皆さん、一番下に合計六十万と書いてあります。しかし、内訳を見ますと、生活安全部銃器対策課に五十九万、会計課調整二千円、基本経費として八千円ということになっております。

 この基本経費については、どういった種類のものでしょうか。

小野国務大臣 お尋ねの、捜査費内訳書といいますか、名称の文書というのは、現在、福岡県警察には存在していないとの報告を受けております。

鉢呂委員 これは、いわゆる裏金に関する裏帳簿の関係でありますから、そのように答弁されるのかもわかりませんけれども、このような書式をつくって、全課にわたって、生活安全部、刑事部、警備部、そして基本経費と言われるわけであります。

 この資料を提出された方は、この基本経費というのはいわゆる天引きであると。福岡県本部で、県本部段階で天引きをする部分、この場合は八千円、次のページの部分は三万五千円であります。私もここに全文、全資料がありますけれども、これはその都度発生しておりまして、この方によれば、一件当たりは国費数千円とか県費数万円であるけれども、年間百件以上あるので数百万円以上になる、この銃器対策課だけで。

 そういうことで、この人の言われるのには、これは、県警本部段階の上層部、本部長や部長の段階の、最高幹部の私的流用の手当として差っ引きをされておる。あるいは、会計課の職員、この裏金を扱う職員の口どめ手当としてこれが使われておる、こういうふうに言われておるわけであります。

 そこで、九ページに戻って見ていただきたいんですが、九ページは、先ほど言った裏帳簿の受領簿です。今お話があったこの内訳書、これは、実は平成十一年の三月一日というふうに日付を打ってありますけれども、この受領簿の一覧の平成十年度、この十一年の三月一日の覧を見ていただければ、ここに徳田という朱印が打たされたところに、捜査費の国費の部分に五十九万二千円、それから県費のところに三十二万五千円という形で、先ほど言ったいわゆる県警本部で天引きする部分を控除して、残りの部分が、この銃器対策課の裏金として使う分として明記をされておるわけであります。

 ところで、実は、平成十年度の三月一日は、年度末ということで、ここに一千五百六十五万四百円という受領累計、合計が右の下に出ております。これは、どのような形としてここに残高に残っておるか。公安委員長、確認されたものがあればお答えをいただきたいと思います。

小野国務大臣 恐縮でございます。わかりません。

鉢呂委員 これも三日前、私は警察庁に確認を求めております。この右側に判こを打たさっておるのは、読みにくいですけれども、島崎という印鑑です、確認印のところは島崎です。

 この島崎さん、当時、銃器対策課のどういう職名でありましたでしょうか。お答えできますか。

小野国務大臣 平成十年の三月から平成十一年八月までの銃器対策課長島崎であり、その他のシマサキなる職員につきましては、現行の福岡県情報公開条例上、その氏名が開示されることとなる警部以上の職員の中には存在していなかったものと承知をいたしております。

鉢呂委員 この当時の課長は島崎憲五さんです。現在、九州管区警察学校指導部長という形で、当然、この方から、この経緯、平成十年度の一千五百万何がしのこの残高についてきちんと確認すべきだというふうに私は三日前に言ってあるわけでありますけれども、確認をされたんでしょうか。

小野国務大臣 現在、福岡県警察におきまして、関係者から事情聴取するなど調査を進めているという報告を受けております。

鉢呂委員 進めておるといっても、この手のものは私は事前に準備をさせていただいて、三日前にきちんと警察庁への質問の趣旨を、中身を訴えたわけでありまして、甚だこれは不満でございます。

 明確に、この島崎憲五、現在警察学校指導部長、警察学校の指導部長に聞くのが本当でないでしょうか。

山本委員長 吉村官房長。

鉢呂委員 失礼、官房長には私は、政府参考人、求めておりませんから。

吉村政府参考人 委員長の御指名でございますので……(鉢呂委員「いやいや、だめですよ、それは。理事会でも委員会でも指名されておらないのに、だめですよ」と呼ぶ)

山本委員長 小野国家公安委員長。

小野国務大臣 今初めて、先生、拝見させていただきましたので、ちょっとわかりません。

鉢呂委員 初めて拝見されたといっても、私は名前まできちっと言って、このことを確認するようにと言っておるわけであります。

 委員長、こんなことで議事進めますか。

小野国務大臣 この文書に名前があるということは初めて知ったということでございます。

鉢呂委員 私は、この受領簿の一千五百六十五万についての残額について、どういう趣旨であるのか、どういう処理をしたのか、どういう使途で使われたのか、そういったことについてこの当該する課長に確認をするようにということで三日前に質問通告をしているところであります。明確にお答えを願いたいと思います。

小野国務大臣 この件につきましては、現在、福岡の方で調査中であるということでございます。

鉢呂委員 この手のことは、そんな時間をかけないでも、御本人に確認をすればきちんとした報告ができるはずであります。

 委員長の方から、明確に、この内閣委員会にその報告をしていただけるように御配慮を願いたいと思います。いいですか。

山本委員長 はい。

鉢呂委員 それでは、三ページも見ていただきたいんですけれども、三ページは、平成七年度の年度末、三月二十六日に六百二十八万四千四十円。これは四月になりますと、四ページを見ていただきたいんですけれども、平成八年度の四月一日、次のページになりますと、これが、残高が消えてなくなってしまいます。

 それから、五ページを見ていただきたいんですけれども、五ページは、平成八年度の年度末、三月末で二千二百三十七万九千五百七十五円の残高が出ておるにもかかわらず、次のページの六ページでこれがゼロになって出発をするということであります。

 それから、七ページを見ていただきたいんですけれども、七ページは平成九年度末ということで、ここにも、二月二十七日でありますけれども、一千四百五十二万三千二百三円という形で出てくるわけでございます。

 いずれも、これらを足し込めば六千六百万にも相当する金額でありますけれども、これはどのような処理がされたのか。これも私は事前通告をしておるんですけれども、国家公安委員長、答えていただきたいと思います。

小野国務大臣 県警の方にこの文書はございませんので、現在、調査中でございます。

山本委員長 この際、鉢呂吉雄君の残余の質疑時間につきましては後刻許可することとし、市村浩一郎君の質疑を許します。市村浩一郎君。

市村委員 ありがとうございます。民主党の市村でございます。

 きょうは、本当に私は憂うつな気持ちでこの場に立っておりまして、私もやりたいことがありましてこの内閣委員会に所属させていただいておったんですが、まさかこのような警察の不祥事に関することについて、ここでこのような質問をしなければならなくなりましたことを、本当に残念な思い、嘆かわしい思いでおります。

 この間、私も、警察のことをいろいろと勉強させていただく機会をいただきました。これまで私と警察とのかかわりというのは、本当に、この間も質問させていただきましたけれども、現場の取り締まりの方々との関係が主でありまして、この間、私の方からは、例えば交通違反の取り締まり等に当たりましては、もっとおおらかに、納得いくような取り締まりをしていただきたいようなことも申し上げた次第でありまして、普通はそういう警官の方、交番の方といいますか、交通取り締まりの方たちとの関係が主であります。

 今回いろいろと勉強させていただくに当たりまして、全国に今二十三万七千人もの警察関係の方がおられる。この多くの方は本当に一生懸命現場で御苦労されて仕事をされておる、私はそのように認識をしていますが、その組織からこのような、今回のような疑惑が出てきている。

 裏金をつくった、しかも、その額が年間で、私ども民主党の鉢呂委員の調査によりますと、二百三十億円も裏金があるのではないか、このような話もある。そして、それがどうも私的に使われているような可能性が高い。これがしっかりと捜査等に使われているのならばまだしも、どうもそのような話があるということでありまして、私は、大多数の警官の方は一生懸命努力をされている、そのように認識していますので、実に情けない。そういう人たちの立場に立てば、例えば架空の領収書をつくらされた、そのつくらされた人の気持ちに立ってみれば、本当に私はもういたたまれない。

 警察に入って、警察というのは大体皆さんから尊敬される存在なんです。お父さんが警察官だ、お母さんが警察に勤めている、子供にとってはこれは誇りだと思います。そのお父さんやお母さん、警察へ入ってみたら、にせ領収書をつくらされる、そういうような仕事に携わらされた。これは本当に、その人の立場に立ってみれば、つらいだろうな、このように思いますし、それが本当に警察のために、執行のために使われていればいいんですが、どうもそうじゃないような話もある。これから多分その話については鉢呂委員、また我が党の委員の皆さんが細かく質問されると思います。

 そういう状況になりまして、実に嘆かわしい。私としては、警察、しっかりしてほしい。きょうは警察法の改正案の審議のはずですから、本来であれば、ここで、例えば今、テロ対策をどうするのか。ことし衆議院の委員会で強行採決されて、イラクに自衛隊が派遣されることになった。私はその晩、友人とともに、これでいよいよ日本はテロ対象国家になったな、そういうふうな話をしたことを覚えています。そうした中で、これから警察の役割というのもますます大切になってくる。

 それから今、外国人犯罪もふえているということで、やはり水際でどうやってそれを食いとめていくのか、入管との協力関係というのもこれから必要になっていく。本来であれば、そうしたことを議論して、警察の皆さんがしっかりと仕事ができるような環境づくりをどうすればいいか、誇りを持ってやっていただくにはどうすればいいか、そうしたことをこの場で本来であれば議論すべきところを、このようなことになっている。本当に実に情けない状況でございます。

 一つ、まず具体的な話をさせていただきたいと思います。

 きょう会計検査院の方にも来ていただいていると思いますが、三月十八日付の朝日新聞で、北海道警の北見方面本部警備課に対しまして会計検査院が昨年七月に実地検査をした際に、実際に存在しない飲食店の領収書が添付されていた疑いがあるということでございまして、実際にその領収書を確認したときになぜこれを見抜けなかったか。そして、その後、これはどうも疑惑があるというふうに明らかになったにもかかわらず、その後しっかりと会計検査院がそれを確認していないということのようでございますけれども、この辺の事実関係につきまして、会計検査院の方から御答弁いただけたらと思います。

石野会計検査院当局者 今お話しの北海道警察北見方面本部の件でございますが、これは、お話しのとおり昨年七月に会計実地検査を実施しておりまして、その際には検査は厳正に行ってきているところでございます。

 その具体的な検査の内容については、検査の実施の中身ということでございますのでお話しできないことでございますが、一般論として申し上げれば、さまざまな中でやりとりを行いながら、関係書類をとり、もとに関係者に質問するということで、その会計経理の当否を判断するということで検査を実施してきているところでございます。

 お話しのように、報道があったということも承知しております。したがいまして、そういった点も含めまして厳正に今後対処していきたいというふうに考えております。

市村委員 会計検査院というのは、もうここで私から申し上げるまでもなく、私たちの税金がどう使われているかを第一線でチェックしていただく、そうしたところであるという認識でございまして、なかなか私たちも、税金がどう使われているのかなということに関しては、一般国民がそれを全部つぶさに見るわけにはいかない、また政治家も、決算委員会ありますけれども、それを全部チェックすることはなかなかできない。そのやはり一義的な役割を負っているのが会計検査院だということだと思います。

 大変人数も少ないというところで会計検査院の皆さんが御努力されていることもお聞きしておりますけれども、やはり、税金が正しく執行されているかどうか、使われているかどうか、これにつきましては、会計検査院の皆さんにはなお一層の御努力をいただきたいと思うところでありますし、きょうは会計検査院の院長さん来られないということでございますけれども、ぜひとも院長さんにもお出ましいただきまして、いろいろとこれからもこの件につきましては御質問する機会もあると思いますので、また、この件につきましてもいろいろと調査していただきたい、しっかりと対処していただきたいということをお願いします。

 では、一言だけお願いします。

石野会計検査院当局者 今お話しのとおり、捜査費は本来の目的に従って適正に使われるべきものというふうに考えております。

 したがいまして、検査に当たりましても、さまざまな疑惑の報道がなされ、国会での御議論もなされているということもございますので、重大な関心を持って、関連の情報を収集しながら当たっているところでございます。今後の検査に当たりましても、さらに一層厳正に検査を行っていくということのつもりでございます。

市村委員 会計検査院につきましては、また他の委員からあると思いますので、またそこでしっかりとお答えをいただきたいと思います。

 きょう私は、今回、警察にまつわるお金のことがいろいろ議論になっています。具体的にこの場でいろいろとお聞きをしたいと思うわけでございます。

 まず、警察予算というのは総額で幾らなのか。そして、そのうちの、どうも国費と県費の部分があると聞いていますが、その内訳はどうなのか。そして、県費になっている部分でも交付税措置がされている場合があるのではないかと思いますが、その内訳等につきまして、ちょっと詳しい金額を教えていただければと思います。

吉村政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成十五年度の警察予算につきまして数字を申し上げますと、警察庁予算が二千五百八十九億九千二百万円、これは平成十五年度当初予算でありますが、二千五百八十九億九千二百万円であります。それから、都道府県警察費の予算を四十七都道府県分全部合算いたしますと、平成十五年度六月補正後の数でありますけれども、三兆四千百三十六億八千万円となっております。ただ、都道府県警察費予算の中には警察庁の補助金予算が重複して計上されておりますので、この重複分の六百三十五億五千九百万円を差し引いて合算いたしますと、いわゆる警察予算の総額といたしましては、三兆六千九十一億一千三百万円となっているところであります。

 都道府県警察費予算に地方交付税交付金が幾ら充当されているかということのお尋ねでございますが、警察サイドでなかなか、一般財源のうち地方交付税交付金がどれぐらい充当されているのかということについては、これは当方ではわかりません。

市村委員 大変大きな額ですね、三兆数千億に上る警察予算ということで。恐らく、このうち、これは私の方で勝手に言いますが、人件費が主であろうということだと思いますけれども。

 今、現場で大変御苦労されている皆さん、想像するに、いろんな重大事件が起きているわけです、起きてくる。恐らく、事前に予算を決めていても、いろんな重大事件が起きてくると、突然必要な予算、多分予備費もとっていらっしゃるとは思いますけれども、それで足りなくなってくるような場合もありますけれども、そういう場合に補正措置というのはされているんでしょうか。

吉村政府参考人 予算の具体的な執行につきましては、四半期ごとに一つの区切りをしておりますが、全額、十二で割ってすべて均等に執行するということではもちろんございませんで、まず当初配賦をして、事件が多いということで捜査費等々で多額を要したということであれば、後ほどまた追加配賦という形で配賦をする形をとっておりまして、弾力的に執行しているところであります。

市村委員 なぜ私がこういうことをまずお聞きしているのかといいますと、私たちは裏金の存在があるという前提で話を今しております。何でこんな裏金をつくらざるを得ないのかというところなんですね。ひょっとしたら必要な経費が賄われていないから、必要な経費、表のお金が、裏金と言うから、反対は表ですからあえて表と使いますけれども、きちっとした予算措置がされていないから、結局裏金をつくってそれを使わなくてはいけないような状況になっているのではないかな。もしそうであれば、きちっと、これだけ必要なんだと。

 別に、警察の予算を削れということを言っているわけじゃないんです。今、一万人増員もありますから。警察がしっかりとプライドを持って、誇りを持ってしっかりと仕事をしていただきたいという観点から今お聞きしているわけであります。

 それで、プライドを持って仕事をしていただくに当たって、足りない。足りないから、お金をつくるためにせっせと裏金づくりをしているのではないか。これだったら非常に嘆かわしい状況でありまして、だから、今現在の予算できちっと足りているのかどうかなんですね。しかも、いろいろな今重大事犯が起きてきている中で、足りなくなった場合にどういう予算措置をされているのかな、まずそういう観点から実はお聞きしておったところなんです。

 どうでしょうか、これ実際、今の予算というのは、警察の現場の皆さんよく御存じだと思います、現場に携わっている皆さんだと思いますから。足りているんでしょうか。どうでしょうか。

吉村政府参考人 お金といいましても、例えば捜査費でありますとか、いわゆる交際費でありますとか、あるいは旅費とか、いろいろな費目がありますので、必ずしも一概に、一言で説明することはなかなか難しいと思いますが、まず、国全体の話で申しますと、例えばサミットが日本で行われるようになったとか、大規模警備でありますけれども、そういうものが急に行われるようになったというようなときには、当然これは予備費なりあるいは補正なりでプラスアルファ分として全体としては措置をしているところであります。

 捜査費の話をさせていただきますと、先ほども実は申し上げたところでございますが、捜査員というのは、日常、聞き込みですとか張り込みですとか尾行、追尾、いろいろ情報収集等も行っているわけでありまして、その際に少しお金を使うということは、これは当然あるわけです。犯人追尾のためにタクシーに飛び乗らなきゃいかぬ場合もありましょうし、協力者に謝礼として手渡す菓子折りをもし持っていくとすれば、千円、二千円のお金で菓子折りを買って、物品購入費として買って、その種の少額多頻度にわたる経費がやはりどうしても必要不可欠だろうと思います。

 このようなことから、実は、従前は、捜査員にいわば一時自分の立てかえで支払わせておいて、事後に、署に戻ってきましてから、こういうことで使ったということで請求を受けて払う。ところが、これは金額が小さいとなかなか正面から請求しづらいということもありまして、今、旭川中央あたりで出ておりますのは、そういういわば使い勝手のいいお金として、やはり手元に幾らかあった方が、二、三万持っていた方がすぐ渡せるというようなことで使ったやに話をしている当時の捜査員もおります。

 あるいは従前の制度では事後に申し出ないということであれば、結果として捜査員の自己負担になるということは、これはまずいのではないかということで、実は平成十三年度の初めからでありますけれども、全国警察におきまして、捜査員に対してあらかじめ月の当初に、月初めに一定の金額、例えば五千円、例えば一万円という金をキャッシュで渡しまして、月末に精算をさせる。もちろん人によっては当該五千円、一万円で足りない場合もあると思いますから、それは月の途中で追加でいただきたいということで、追加で配付をする。最終的に、一月たって、幾らもらってこういうことで使いましたという領収書等をつけて月末に精算をさせるという、これをいわゆる部内的には捜査諸雑費制度と呼んでおりますけれども、それを平成十三年度から導入したということでございますので、この捜査諸雑費の執行率がかなり全国多くなっております。

 ですから、今現在で、日常の捜査活動を行うに当たって、そういう面での不自由を感じているということはあるいはないのではないかというふうには思っております。

市村委員 今、沖縄サミット等の大きな話もありましたが、私は今頭に思い浮かべているのは現場の方々なんです。やはり、大変御苦労されていると私は思います。

 特に、今回いろいろ聞いた中でも、やはり超過勤務手当といいますか、これは正確に言うと時間外勤務手当でしたでしょうか。もう警察の仕事なんて本当に二十四時間の仕事になる場合もある。だから全部を確かに見ていたら大変なことになるかもしれませんが、非常に御苦労されながらやって、しかもお金がその分見合わないようなこともあるだろうと思います。

 そういう大変御苦労されている皆さんがいる一方で、今回いろいろ裏金の話を聞いていますと、一部の人が何か大変そのお金で、ありていな言葉で言えばいい思いをしているのではないかということがあるのかなと、今回いろいろ聞いているとそういうふうに思うんです。やはり、現場の警察官の方が御苦労されないように、やった分、見合ったものをもらっているな、このようなことがきちっとなるようになっていかなければならない。そうしないと、現場で苦労されている皆さんが誇りを持てないということになってきて、警察内部で、結局は何かもうお互い内部で、あいつだけいい思いをしている、こっちはこんな苦労しているのに、恐らくこういう状況になっているんじゃないかなという、私は今回いろいろ話を聞いていると、想像をしています。

 また、署長さんクラスにしても、どうなのかといいますと、大変いろいろなおつき合いがあるというふうに今回聞いておりまして、ちょっと一遍、署長さんになるとどういうおつき合いがあるのか、具体的に教えていただけますでしょうか。

吉村政府参考人 警察署長をやっておりますと、想像できますのは、まず、町内会の例えば新年会ですとか忘年会ですとか、いわゆる地域住民の方々との交流の場での接点がまずあろうと思いますし、あるいは防犯関係、交通関係の、ボランティアでいろいろやっていただいておりますが、そのボランティアの方々との会合。あるいは管内の、いろいろと最近警察に寄せられる相談事も多いわけでありますけれども、警察だけで完結できる解決策がなかなか難しいケースもありまして、関係する諸団体なり関係行政機関とタイアップをしてやることが、相談事に対する解決策を講じることが必要になりますので、そういう方々との各種の会合等々。それから、あるいは部下等の慶弔事ということはつき合いのうちかなというふうに思っております。

市村委員 今おっしゃったようなそうした経費はどこから出ているんでしょうか。

吉村政府参考人 結論といたしましては、それぞれの都道府県警察で、都道府県の財政当局に交際費ということで予算要求をしております。ただ、予算要求をして認めていただいておりましても、いわばこれは枠でございますので、最終的に一年度経てどれぐらい執行しているのかということは、実は一度警察庁でまた調査をしてみたいと思っておりますけれども、二、三サンプル的に聞いたところでは、そう執行の実態がございません。

 例えば、部外の方の弔事があって、亡くなって、電報を打つとかそういうお金には執行されているようでありますが、なかなか、交際費ということで予算をいただいても、実際問題として執行できていない実態であろうかと思います。

 警察署長をやれば、管理職手当は約二〇%ぐらい出ているわけでありますが、それは管理職手当の意味合いが交際費とは違いますので、結論的には、署長等に必要な諸経費のために支給されるものというものが固定的にあるわけではないということでございます。

市村委員 今の話、ちょっとわからなかったんですが、要するに、交際費は出ているんでしょうか、出ていないんでしょうか。簡潔に。

吉村政府参考人 交際費は、ですから、行政機関の職員が行政の円滑な運営を図るために外部との交際に要する経費ということで要求をしているものでありまして、慶弔費、それから懇親等を目的とする会合の参加費、それから接遇用の茶菓等に要する経費などに支出をされているということで、予算はいただいております。

 ただ、実態としてどれぐらい本当に使われているのかということにつきましては、このような世の中でもございますので、必ずしも今申し上げましたようなことに全部使っている実態にあるのかどうかということはちょっとわかりかねますが、恐らくそう多くは使われていないのではないかと推測をいたします。

市村委員 私が聞いた話だと、交際費で出ているのは月五千円とか一万円だというふうな話を聞いております。ということは、とてもとても今官房長がおっしゃったようなものに五千円、一万円では足らないわけでありまして、では、その分一体どこから出ているのかなという実は疑念、疑惑、疑問がわいてくるんです。恐らくは今回の裏金と言われるものがこうしたものに充てられていたのではないかなと想像もできるんです。

 私は、ここで交際費、今おっしゃったようなことが、では署長は一切そういう外部との関係を絶って孤高の存在になってほしいという思いではないんです。必要だと思います。ただ、これまで必要だったものもこれから必要かどうかは一遍見直さなくちゃいけないと思いますけれども、やはり署長さんとして適正なおつき合いというのはあってしかるべきですし、その件に関しましては、署長さんは別にプライベートでつき合っているわけじゃないわけですから、当然支出されていいものだろうと私は思います。

 だから、そのお金をきちっと確保していただきたいんですね。裏ではなくて表で。そのために、やはりこれから、各署長さん、あと本部長さんとか含めて、いわゆる管理職にある方の立場。管理職手当というのは、あれは決して交際費ではないということはわかりました。であれば、管理職としてきちっと外部とのおつき合いをする場合は、ここでつき合っています、こういうふうな方と会合しましたということは、報償費とは違うわけですから、堂々と表へ出していただいても構わないと思います。そうした防犯の関係のボランティアの皆さんとのおつき合いとか、いいと思います。

 ですから、これからはしっかりと、そうした経理、会計に関しては透明性を確保していただいて、必要なものは必要だという予算措置をして使っていただくことになろうかな、そのように私は思うわけでありますし、やはり警察に対する信頼の回復というものが今強く求められていると思います。

 今回の不正経理だけではありません。いろいろな不祥事が今マスコミをにぎわすようになってしまいました。本当に嘆かわしいんです。ですから、本当にプライドを持って警察官として仕事をされている方、皆さんも含めて、諸先輩方も含めてそうだと思いますから、ぜひともそのプライドを取り戻していただいて、想像するだに嫌なんですね、警察官が裏領収書を、にせ領収書をつくっている姿。この姿を想像するだけでも、私、本当に嫌になります。

 だから、今現場の警察官の子供たちというのは、僕は本当に苦しんでいるんじゃないかと思います。昔は、お父さんが警察官だと言ったら、へえ、偉いんだなと尊敬された。私たちクラスの中でも、お父さんが警察官というと、ある種一目置かれるような子供だったんですね。今どうなっているか。警察官と言えないと思いますよ、恥ずかしくて、こういう状況が出て。実は一番苦しんでいるのは警官とかその子供たちじゃないかなと本当に思うような状況なんです。だから、そうした状況を一日も早くしっかりと立て直していただいて、警察に対する信頼感をぜひとも取り戻してほしいんです。

 先ほどから答弁の中でも、そのように聞いているとか聞いていないとか、何か非常に人ごとのような話が答弁にあるんですね。でも、実は、警察庁の皆さんというのは、少なくとも一回か二回は各都道府県に行かれて、その枢要な立場を経験されてきた方たちだと思います。当然、当事者としての立場もあるんだと思います。

 だから、調査させているとか聞いているじゃなくて、みずからも実はそうしたことについては感覚を持っていらっしゃる方だと思いますから、もっと当事者意識を持って話をしていただきたいと思いますし、今後は、後ほども恐らく他の委員の方から話があると思いますが、しっかりと、やはり都道府県警察は都道府県警察として、自治警察としての機能を果たし、また、警察庁の皆さんについては国家警察としての役割を果たしていただくような、これからはそうした機構改革というのもしっかりと考えていかなきゃならないということもあると思います。

 いずれにしましても、現場の皆さん、皆さんも含めまして、特に現場で本当に苦労されている、先ほど地域警察官という言葉が我が党の島田委員からも出ていましたけれども、本当に現場で御苦労されている方のお姿を思い浮かべていただいて、ぜひとも警察の一日も早い信頼回復をしていただきたいと思います。

 そうしたお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十一分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 午前中に引き続きまして、民主党の鉢呂ですけれども、質問いたします。

 午前中は、島崎憲五当時の課長からこの受領簿の残高について詳細に内容を聞くということについて、委員長からも、委員会に報告すべしという御返事をいただいたところでございます。

 ところで、国家公安委員長、平成七年、八年、九年、この右側の受領印、伊東それから中島両名の印鑑がございます。これはどういった方のあれでしょうか。これも三日前に質問しておりますので、よろしくお願いします。――それでは、時間がありませんので、私の方からお答えいたします。

 平成七年、八年は、伊東健之介、当時の銃器対策課の課長です。それから、平成九年、中島豊志、これも当時の銃器対策課の課長で、現在福岡県警東警察署の署長、現職でございます。

 それぞれ、この三名、合わせて六千六百万ぐらいになるわけでありますけれども、国家公安委員長として、この三人の方にその当時の状況を、きちんと、国家公安委員長が警察庁を通じて福岡県警に把握をするように、これはこのようにお願いいたしますが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 お答えを申し上げます。

 お尋ねの捜査費等受領簿という名称の帳簿は福岡県警察には存在していないということでございまして、福岡県警察におきましては、現在、平成十年度及び十一年度分について、関係者から事情を聴取するなど、調査を進めているという報告を受けているところでございます。

鉢呂委員 これはしかし、ここにもありますように、朱肉をついて、後ほどこの印影についても同一かどうか確認をしながら、十年以前の問題についてもきちんとやはりこれを把握する必要がある。大臣は、常々言っていますように、この種の問題について厳正に対処する、速やかに解明するということでありますから。

 裏帳簿でありますから、必ずしもすぐ出てくるというたぐいのものではありません。しかし、当時の課長に、あるいは今現職の署長になっていらっしゃる方もおるわけですから、この方々に、この印影や中身等から、この残高というものはどういうふうに処理をされたのかきちんと把握をする、これは当然だと思いますけれども、いかがでしょうか。

小野国務大臣 配付されました捜査費等受領簿なるものは、先ほども申し上げましたように、きょう初めて目にするものでございまして――一覧表には支出がございませんですね、先生。捜査費、旅費の累計を示したものでございまして、残高をあらわすものではないのではないかと思います。したがいまして、次の月に残高がゼロになるといったものではないのではないかと思いますけれども、いかがなものでしょうか。

鉢呂委員 そのような推測に基づいた発言ということは、私は、大臣のとるべき道じゃないと。それも含めて、どういったものであるのか、きちんと、当該する責任者、伊東さんやあるいは中島さんを通じて確認をするのが当然じゃないですか。

小野国務大臣 その点も含めまして、福岡県警の方で調査をするということになっております。

鉢呂委員 その点を含めてというのはどんなことでしょうか。今大臣は、残高がどうだとか支出がないとか、と思われるというようなことで言われたわけですけれども、その点を含めてというのは一体どういうことでしょうか。

小野国務大臣 先生お示しくださいました書類についてということでございます。

鉢呂委員 私は、これは非常に信憑性が高いと。先ほど言いましたように、私は警察庁に確認をして、この印影についてのお名前も確認したところ、すべて銃器対策課の課長でありました。これは、役所で印鑑をつくということは大変な大きなことでありまして、この裏金づくりでは二本の印鑑を用意したというようなことも言われておりますけれども、この裏帳簿こそ本当の職名の者が印鑑を押している嫌いは非常に強いということでありますから、私は、そういった、帳簿を含めてといったあいまいなことではなくて、この残高といったものは一体どういうふうに処理をされたのか、そのことを含めてやはり確認をすべきであると。

 先ほど委員長に対しては、そういうことで調査をさせていただきますと、島崎憲五さんについてはそういうふうに国家公安委員長が言われたわけでありまして、その十年以前の問題、平成七年、八年、九年の問題についてもできる限りの調査を行うべきだ、そして解明をすべきであるというふうに思いますが、いかがですか。

小野国務大臣 できる限りの調査をさせていただきますということを申し上げさせていただきます。

鉢呂委員 私は、非常に重要な、今全国の警察にほとんど組織的に行われている可能性が強いということでありますから、実際このように帳簿が出てきた問題について、やはりこの三人の方に厳正な調査を行うということは当然かと思います。

 委員長にお願いいたしたいのは、先ほど委員長は、この十年の島崎憲五さんについては委員会に調査報告をさせますというふうに言われたわけでありますけれども、残りの二人を含めて、三人について、この内閣委員会に参考人として招致を諮っていただきたい。いかがでしょうか。

山本委員長 理事会で協議させていただきたいと思います。

鉢呂委員 きょうは、法務省の刑事局長もいらしておると思います。

 実は、この受領簿を書かれた方がテレビ等でも証言をしておりまして、先ほど言いました平成七年から十年、十一年も一部入っていますけれども、福岡県警銃器対策課で合わせて六千六百万円を超える裏金がつくられておった。しかも、国費、県費の捜査費、旅費について、ほぼ全額を不正処理した。先ほどはいらっしゃらなかったかもわかりませんけれども、その一部は県警本部に天引きという形で、基本経費というような形で残して、その残りでさえも、六千六百万を超えるものが銃器対策課だけに不正処理をされて、自由に使える金として裏金にしておったということであります。

 捜査員が本当に出張する場合もあるので、旅費のうちの約一〇%は本来の目的に使われる場合があったけれども、捜査費については九九%裏金として使われておった。飲食費、ゴルフ代の交際費、使い道はほとんど自由であった。これは、北海道警の原田元警視長が北海道議会でも証言をして、ポケットに入った段階では表も裏もない、個人的なものにも流用しておったというふうに最高幹部、元幹部が発言をしておるわけでありますけれども、同じような発言をされておるわけであります。

 一番大きなのは、課長や署長がどこかへ一代限りで異動する場合に、それを課長や署長が全額をせんべつとして持っていくという形が慣習化されておったということであります。一千万単位でせんべつという形で持っていく。これは北海道警の原田さんも、新しく赴任をした、そして、そのときには引き継ぎは全くなくて、机の中をあけて初めてそこに裏帳簿のその中身が書いてあるというふうに証言をされておるわけであります。

 そういった形で、先ほど申し上げました、年度ごとに、年末にほとんど、次の新しい年度になったときにゼロから入るという形で、国費の捜査費と、あるいは県費の捜査費、あるいは旅費について、ほとんどが個人的な流用になされておったのではないか、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。そのような事実はさまざまなところから出てきておる。弟子屈署の次長も同じ証言を実はしておるわけであります。

 そういった意味で、この手のものは、単なる警察署の不祥事、いわゆる経理の処理のまずさ、あるいは、表向き使いにくいから裏金化してさまざまな交際費に使ったというものではなくて、まさに、上層部が私的流用した、懐に入れてしまった、一千万単位でしてしまった。そういうところに、日本の警察、現場一線で働いている人が、おかしいのではないかと。

 後でお示ししますけれども、ほとんどが、いわゆる協力費というような名で架空の領収書を切らされて、そして、そのお金はほとんど上層部の私的流用に使われておる疑いが強いということでありまして、私は、業務上横領罪にも相当するというふうに思うわけでありまして、法務省の刑事局長の見解をお伺いいたしたいと思います。

樋渡政府参考人 お尋ねは一定の状況を前提に犯罪の成否を問うものでございますが、犯罪の成否は収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄でございまして、法務当局としましてはお答えいたしかねるところでございますが、あくまでも一般論として申し上げますれば、検察当局におきましては、厳正公平、不偏不党の立場から、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適宜適切に対処するものと承知しております。

鉢呂委員 検察庁とそして警察庁は、非常に近い関係にございます。私は、今回のこの問題は、単なる経理上の、使いやすくするための不祥事、そういったものでは全くないと。これは、もう警察関係者すべてが知っておる。ある面では、警察庁の上層部も、都道府県警の幹部として出向しているわけですから、私は、そういった面の疑いも出てきておる。

 原田さんは、警察庁にも裏金がある、都道府県の北海道警の本部長も裏金を使っておった、ここまで証言をしておるわけです。原田さんは大変優秀で、地元採用でありますけれども、警察庁にも三年出向し、山梨県警や熊本県警にも幹部として出向し、北海道では警視長、普通の都道府県では都道府県本部長になる方がこの証言をされたわけであります。

 その中では、全国の警察、警察庁を含めてこの問題が蔓延しておると。単に使い勝手が悪いから処理上の関係でこれを裏金化したというのではなくて、それがだんだん悪質化をして、一部の幹部にこの金が私的流用されておるということでありますから。厳正に、不偏不党にやるという刑事局長のその言葉を前向きにとらえて、必ずそれを実行に移していただきたいと私は思います。

 そして、国税庁も来ておると思いますけれども、私は、これが私的流用されたという証言があちこちから出ておるのであれば、これは所得税法違反になるのではないか、調査なり査察ということが速やかに行われておってしかるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

西江政府参考人 お答えさせていただきます。

 個別にわたる事柄につきましては答弁を差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、不正な経理操作で捻出した資金から支出された金銭については、その金銭を使用者の業務のための交通費や会議費等として使用し、その職員が私的な利益を得ていない場合には、課税関係は生じないこととなります。一方、それが職員の私的な飲食に支出されている、あるいは私的な財産形成に使われているなど、私的に流用している場合には所得税の課税対象となるわけでございます。

 ただし、支出の根拠のないこれらの金銭の返還が求められ、それが返還された場合とか、横領等に問われ、没収された場合には、課税関係は生じないこととなります。

 いずれにしましても、その金銭が実際にどのように使用されたか等、その個々の事実関係を具体的に把握した上で課税関係を判断することになります。

 なお、国税当局としては、各種マスコミ報道等を含め、あらゆる機会を通じて、課税上有効な資料情報の収集に努め、課税上問題があると認められる場合には、適正な課税の実現に努めているところでございます。適時適切に対応してまいりたいと考えております。

鉢呂委員 この方は、裏口の手口というのは県警の会計課の監査室のマニュアルが存在をする、そして、二カ月に一回程度、本部の会計課の出納監査係がチェックに来ると。

 普通、監査というのは第三者的な意味合いでかなり厳正に行われるんですけれども、この場合は、不正があるかどうかのチェックではなくて、まさに裏金づくりの問題が会計検査等に暴露されない、ばれないためのそのチェック、不正経理がばれるような不都合がないかどうかのチェックをしておる、こういうふうに述べておるわけであります。

 警察庁にも監査室というのは存在しております。この方は、九州ブロックの各県警経理担当者が年一、二回集まって、そういった九州管区の監査室あるいは警察庁の本庁の経理担当者も参加して、裏金づくりの最新マニュアルあるいは注意事項を指導するという場合もあって、御本人も、宮崎、沖縄、長崎の三回の会議に、これに参加したと。その場合に、もし発覚したとしてもトカゲのしっぽ切りだぞ、こう念を押され、警察庁は責任はとらないということを強調しておったということでございますけれども、国家公安委員長、今の私のこの証言者の発言をどのように受けとめましたか。

小野国務大臣 先生からいろいろ今お話を伺っておりますが、現在残っている書類で確認をいたしましたところ、九州管区警察局が主宰をいたしまして平成十年六月に管区内会計課長等会議、そして同年九月に管区内監査担当補佐等会議を実施いたしておりまして、いずれも、警察庁会計課の監査室職員は出席しておりません。この点がまず一点でございます。

 また、十一年三月の管区内会計課長会議におきましては、警察庁会計課の監査担当課長補佐が出席しているとの報告を受けておりますが、その会議は、平成十一年度警察庁予算の概要、国有財産管理業務等の説明が行われた会議であったと聞いておりまして、会計検査を前に実施したものではないとの報告を受けております。

鉢呂委員 平成七年から九年まで、お答えください。

小野国務大臣 そこは記録がございません。

鉢呂委員 やはり全体像をきちっと把握して、そして御答弁を願いたい。これも、後日、委員会の方に御報告願いたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

小野国務大臣 先生、記録が残ってございません。

鉢呂委員 あらゆる手を尽くして、私は、解明すべきである。今お聞きをいたしますと、いわゆる記録がないというような形で済ませておりますけれども、私は、先ほど言ったように、当時の銃器対策課の課長等の、あらゆる手を尽くして、この種の会合でどういった発言をしているか、単にこの会合があったかなかったかということではなくて、あった中でどういった発言をしておったのか、そこを含めて、大臣の方できちっと把握をしていただきたい。

 速やかに全容を解明するというのは、私はそういう意味だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 書類がないということの中で、皆さんの記憶をたどってということからも考え合わせますれば、関係者からの事情聴取を、福岡県警察におきまして、ミスターXという方から事情聴取を求めているところということで、いまだ応じていただいていないということでございます。

鉢呂委員 私は、ミスターXという方は一度も言っていないんですけれども、それはどういう方ですか。

小野国務大臣 匿名でテレビに出ている方でございます。

鉢呂委員 委員長にお願いいたしますけれども、その匿名で出ていらっしゃるX氏をぜひ当委員会に参考人として呼んでいただきたい。

山本委員長 理事会で協議させていただきます。

鉢呂委員 時間がなくなりましたので、十五ページを見ていただきたいんですけれども、これは、実は支払い精算書、いわゆる捜査に協力をしていただいた方に協力金を支払って後の公文書でございます。十五ページと、その次が月ごとの一覧表、十六、十七ページでございます。

 これは実は下書きをした、鉛筆書きのものでございます。ここに私はそのコピーをお持ちしておりますけれども、大臣、この下書きした、鉛筆書きしたものを、ですから階級のところを見たらわかるんですけれども、これは大臣に今お見せしますけれども、警部補、名前は違うんですけれども、字体は全く同じ形で警部補というふうに書いてございます。この形は、鉛筆書きしたこの支払い精算書を、実際の警察官、この者であれば河野雅高警部補に実際の自分の筆跡で書かせる、その原本という形で、これらを全部下書きでつくって、実際にこの人が出張したり、不在であったり、休みであったら困るわけですから、それらを全部、裏金帳簿をつくるための書類を整備するということをやって、つくってきたわけであります。

 この支払い精算書の、平成十一年の六月二十八日のいわゆる実際の支払い精算書を確認するように私は三日前に求めましたけれども、これはあったでしょうか。

小野国務大臣 お尋ねの文書は、それを公にいたしますれば捜査活動の実態が明らかになりまして、捜査対象者等に対抗手段を講じられるなど、捜査上多大の支障を来すおそれがあるために、その内容をお答えすることはできません。

鉢呂委員 この種の大臣の答弁で全部、都道府県の議会でも逃れてきました。都道府県の県警本部長はそういう形で言ってまいりました。あるいは会計検査もそうでした。都道府県の監査も、今大臣の言われたような、捜査に重大な支障を与えるからと。

 しかし、この債主名、これは協力者の名前なんですけれども、私が確認したところ、これは架空の名前です。私はここに、債主名、いろいろあります。架空の名前を書いている。北海道の旭川中央署もそうでした。亡くなった方まで書いてありました。ほとんどが、切った覚えはないということでした。

 捜査に重大な支障を生ずるとか、守秘義務があるからといって、これを逃げるわけにはまいりません。後で総務省と議論しますけれども、地方公務員法の三十四条、守秘義務については、何でもかんでも秘密にしなければならないというものではありません。不正な事実については、これを積極的に明らかにしなければならない義務があるのであります。

 そういった意味で、これを福岡県の県警がしゃべることができないということには全くならないんです。むしろ、国家公安委員長は、福岡県警にきちんと警察庁を通じて指示を行って、この中身の内容について、本当ににせの領収書であるのかどうか確認すべきだと私は思いますけれども、委員長、どうですか。

小野国務大臣 福岡県の県警におきまして関係者から聴取するなどいたしまして、調査をさせていただきます。

鉢呂委員 時間が来ましたので、また後ほどにさせていただきます。

山本委員長 この際、鉢呂吉雄君の残余の質疑時間につきましては後刻許可することとし、宇佐美登君の質疑を許します。宇佐美登君。

宇佐美委員 民主党の宇佐美登でございます。

 小野大臣は参議院の予算委員会ということでございますので、各お役所の皆様から御答弁をいただきたいと思いますけれども、吉村官房長、よろしいですか。

 今、鉢呂さんが、同僚議員の方から公安委員長に対してもいろいろ質問をさせていただいていますけれども、これはどう見てもあると一般の人たちも感じているわけですよ。裏帳簿だから、あるなんて今答えられないのもよくわかるんですけれども、でも、やはり今、警察庁本体に本部長経験者、吉村官房長は鹿児島の県警本部長を平成七年二月から平成八年九月までやられていますけれども、同じように各都道府県、まあ東京都、警視庁はいらっしゃらないですけれども、本部長経験者が現在三十三人警察庁にいらっしゃるわけですね。その人たちに聞いてみればわかることなんですよ。官房長、聞かれましたか。

吉村政府参考人 一般的に、本部長に新任で赴任をする際には、庁内の官房長、局長等で本部長の心構えをいろいろと教育しておりますので、その中で、お金の使い方についてきちんとした形で適正にやるようにということは、これは口酸っぱく言っておりますし、グループで何人か本部長を呼びましたときに重ねてその点については指導しているところでございまして、現時点において、裏金があるとか、そういうような実態にはないものと私は承知をしております。

宇佐美委員 わかりました。

 では、北海道の事件、今出ていますよね。当時の北海道警の本部長から事情聴取をされましたか。

吉村政府参考人 当時の本部長というのは、いつの本部長でございますか。(宇佐美委員「原田さんの事件のときの話で、十年前ですか」と呼ぶ)それは恐らく退職をしておると思いますが、私は直接は、事情を聞いたり、話を聞いたりはしておりません。

宇佐美委員 今、公安委員長がいらっしゃらないので、後ほど同僚議員の方からこの点については質問をさせていただくかと思いますけれども、結局、北海道の問題、裏金だということで、少なくとも、にせ領収書があったというようなことが出てきているわけですから。静岡県警の話もそうですね。

 では、わかりました。静岡県警、当時の本部長から事情聴取はされましたか。当時というのは、今回、先日謝罪をされましたその事件について、当時の本部長から事情聴取はされましたか。

吉村政府参考人 静岡の案件につきましては、静岡県警の総務課の職員旅費が、平成七年度当初、一千万近くの空出張があった、その案件だと思いますが、関係する本部長は二人おります。いずれもやめております。

 この件について、静岡県警においては、現在、最終の精査をしておりますけれども、不正に、不正といいますか、説明のつかない流用をした金額については、これはお返しをする、返金をするということでありますので、私は直接連絡はしておりませんが、静岡県警から、当該二人の本部長に対しまして、お金を負担してもらうべく、いろいろな打ち合わせ等はやっておるものと思います。

宇佐美委員 それでは、きょう参考人でお越しいただいております、まず関審議官。

 関審議官は、平成八年八月から平成十年一月まで大分県警の本部長、そしてその後、平成十三年八月から平成十五年九月、つまり昨年の九月まで長野県の本部長をやっていらっしゃいます。

 今回の法案ででも、結局、都道府県に対する支援体制の整備が期待されるといった法案内容にもなっているわけですから、その都道府県本部長の経験という意味も含めて、当時の不正経理、当然、各都道府県の中でもその疑惑を持たれているわけですけれども、特に近々の長野県警において、間違いなくこういった不正経理はないんだということを言えますか。

関政府参考人 長野県警におきまして、予算の執行の責任者ということで勤務させていただきました。私どもの勤務している限りでは、長野県警におきましては不正経理の問題はないというふうに信じております。

宇佐美委員 残念ながら、信じている、信じていないという段階を通り越している問題なんですね。

 これも後ほど公安委員長が帰ってこられてから福岡県の話を引き続きやっていただくわけですけれども、それでは同じように、今国際部長を務めていらっしゃる三谷さん、平成九年一月から平成十年三月まで岡山県、そして十四年八月から十六年一月、つまりついこの間まで千葉県警の本部長をやられているわけでございますけれども、特に本部長在任期間中に、この北海道警の問題、去年八月のテレビ放映から始まって、不正経理疑惑が出てきているわけでございますから、本部長当時に、信じる信じないじゃなくて、不正経理についてあるかどうかという自浄作用、つまり県警内部でしっかりと捜査をされたかどうか、お答えいただきたいと思います。

三谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、つい最近まで千葉県本部長を務めさせていただきましたが、先ほど官房長からもお話ございましたとおり、着任に当たりましていろいろ御指導も賜りましたし、またニュース等で他県の事例も拝見しておりました。私は適正に処理してきたつもりでございます。

宇佐美委員 今質問をさせていただいたのは、こういった今一連の不正経理の課題、問題が昨年の夏ぐらいから出てきたわけでございますから、それを受けて、当時、本部長として県警内で、本部長が就任されてからはどうかわかりませんけれども、それ以前の問題について、しっかりと署内、県警本部内でそういったことがなかったかどうかという捜査をされたかどうかという質問でございます。

三谷政府参考人 捜査ということでございましたら、私ども、そういう捜査をする必要はなかったと思っておりますので、捜査はしておりません。ただ、あえてつけ加えさせていただきますと、たしか、私、現地におりましたときに、会計検査院の検査を受検いたしました。そのときにも私自身もいろいろ検討いたしましたが、検査の結果も、また私自身の目で見た限りにおいても何ら問題はなかったというふうに思っております。

宇佐美委員 そうなんですね、ちょうどいらっしゃるときに会計検査院の検査が入ったということでありますけれども、会計検査院の問題、きょう院長を参考人として、残念ながら与党の賛成をいただけずにお呼びできなかったわけでございますけれども。

 それでは、三谷国際部長にお尋ねしますけれども、ちょっと細かいことなので恐縮なんですが、会計検査院が検査に来る前に、事前に通告というものがあったかと思うんですが、それはどれぐらい前にあったかという御記憶がありますか。

三谷政府参考人 ちょっと記憶が定かではございませんが、そんなに前広にいただいた覚えはございません。

宇佐美委員 本部長のところまで事前通告が来ていないケースはあり得るかと思うんですけれども、これもまた同僚議員の方から質問をさせていただくか、または別の機会でもいいんですけれども、結局、会計検査院が結構前に通告することによって十分な準備をしているというような話を、例えば北海道警で方面本部長をやられた原田さんからもお話を聞きました。一生懸命県警本部内でその準備をしたんだと言っていらっしゃるわけですから、これは会計検査院のあり方なんだと思いますけれども、できる限り、事前通知、事前通告、前日の夜とかだったらいいかと思うんですけれども、それぐらいの形で行かないと、警察庁さんだけじゃなくて各省庁含めて、緊張した継続的な運営というものができないんだと思いますので、この点も今後詰めさせていただきたいと思っております。

 次に移ります。情報なり書類の保存期間についてであります。

 先ほど公安委員長のお答えでも、福岡県警の規則によって一年で処分をしている書類もあると言っておりますけれども、警察としては、書類の処分区分、これは一年、これは三年、これは五年といったものがあるかと思いますけれども、私としては、当然、最低でも書類というものは五年は保存しておくべきだと考えているわけですけれども、官房長、いかがでしょうか。

吉村政府参考人 警察庁におきまして、突然のお尋ねでございますので今手元に持ち合わせておりませんが、警察庁の文書取り扱いに関する規定はありますし、各都道府県警でそれぞれ持っております。その中で、文書の重要度合いに応じて、一年ですとか三年、五年、十年、詳しくはちょっと私も今手元にございませんが、それぞれの文書ごとに保存年限を決めておるところでございます。

宇佐美委員 吉村官房長も鹿児島県警の本部長を一年七カ月やられているわけですから、例えば鹿児島県においてそういった規則というものを当然把握されているんだと思います。

 それでは、千葉県警のことだと三谷さん、この前まで、一月までやっていらっしゃいますから聞かせていただきますけれども、千葉県警においては、わかる範囲で構いません、実は他の同僚議員の補完で私はする予定だったんですが、時間の関係で今私が先になっているということで、突然の質問のように感じられるかもしれませんがお許しいただいて、千葉県警において、保存については、やはり一年の保存書類というものがあったかどうか、そして、それはどういったものか、記憶の範囲で答えていただきたいと思います。

三谷政府参考人 まことに申しわけございませんが、突然のお尋ねで、それぞれ細かく規定されておった規定があったということは覚えておりますが、どんな書類が何年だったと具体的にはちょっと今思い出せません。申しわけございません。

宇佐美委員 今後、これもこの委員会の中で、今回警察法の一部を改正する法律案に対して我々民主党も賛成をさせていただくわけでございますけれども、附帯決議の中でもいろいろ申し上げていることもあるんですが、やはり省庁の書類というものは、重要度合いというのは省庁の方が判断するのではなくて、国民の皆さんが判断をしていくべきなんだと思います。特に、税金を使っているわけでありますから、納税者である国民の皆さんが適時情報公開法に基づいて情報が見られるように準備をしていくべきなんだと思うわけです。

 吉村官房長に最後に質問をさせていただきますけれども、書類について、今後やはり少なくとも五年は保存していった方がいいと私は思うんですけれども、これまでの議論をしていても、これ捨てちゃいましたとか、破棄しましたとか、なくしていますというような答えが出てきて、審議にならないわけですよ。まともなことをちゃんとやられている全国二十三万七千人の警察官の方、そして、約三万人ぐらいの職員の方がいると伺っておりますけれども、その皆さん方が今後も疑惑を持たれては本当に私はかわいそうなんだと思います。

 きちっと一生懸命仕事をされているその皆さんのためにも、警察署内、各都道府県警、警察庁を含めて、私は最低でも五年以上書類を保管すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

吉村政府参考人 警察庁における文書の管理に関する訓令というのがございまして、今見ておるのでありますが、これによりますと、一番長い保存期間は三十年であります。それから、以下、十年、五年、三年、一年、それから事務処理上必要な一年未満の期間という、おおむね六つの種別をとっておりまして、ペーパーレス社会ではあるとはいいながら、役所における文書というのは、これはほっておきますと相当の分量になります。したがいまして、一応の基準でこういう保存年限を決めておるわけでございますので、今委員おっしゃった趣旨は十分理解するところでございますが、この訓令の年数を変える必要があるのかどうかということについては、さらによく検討をしたいと思います。

宇佐美委員 公安委員長がもう参議院を出て戻られるということですので、加えて一問させていただきたいと思いますが、これは警察庁さんに限らない話なんですけれども、官房長おっしゃるように、ペーパーレス時代の中で書類をとっておくとあっという間に満杯になるというのは、各議員の議員会館の部屋でも同じような状態でございまして、よくわかるところです。

 だからこそ、今、磁気データでも保存していいように法律が改正されているわけでございますから、今後はある意味、無制限と言ったらこの磁気データでも限りが出てくると言われたらそれまでですけれども、警察庁においても、ペーパーはもしかしたらとっておかなくてもいいけれども、磁気データ、つまりハードディスクの中でもフロッピーディスクの中でもテープの中でもいいですから、そういった形で今後きちっとすべての書類について保存をしていくべきだと思いますけれども、それをぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

吉村政府参考人 今、磁気データというのは初めて伺ったので、私もちょっと印象がぴんとこないんですが、いずれにせよ、どれぐらいの年限のものとしてそれぞれの文書を保存していくのかということについては現在も規定がございますので、さらにそれを改正する必要があるかどうかについては、これは今後の検討課題にさせていただきたいと思います。

宇佐美委員 きょう、この後、公安委員長が着かれたと同時にまた鉢呂議員から質問をさせていただきたいと思いますけれども、我々が何を目的にこういった議論をさせていただいているかといえば、市村議員の話にもあったように、日本において警察への信頼というのは、世界の中の警察への信頼に比べて私は飛躍的に大きいものがあるんだと思います。

 例えば、アメリカ西海岸において何か、例えば盗難事件があったというときに、最初に電話するのが九一一の警察ではない場合が多い、つまり、警備会社に電話をしてしまうというケースも多いわけですね。一方で、日本で例えば空き巣があったり事件が起きたときに、間違いなく皆さん一一〇番をきちっとされる、それぐらい警察に対しての信頼は私は厚いんだと思います。

 ただ、このお金、税金の扱い方については、今まで皆さんがとめようと思ったかもしれないけれどもとめられなかったうみが、ずっとたまり続けてしまっているわけであります。

 一方で、私の知人の警察官の方から聞いたところですと、例えば、警視庁にお勤めの方が官舎、寮に入るときに、おふろがまを自分で買わなきゃいけないそうなんですね。それで、移転するときにまたそのふろがまを持って、違う官舎に行く。そういったことが今でも起きてしまっているというのは、それ以外にも各役所の中でもそういった事態もあると伺っておりますけれども、こういった部分については、我々民主党としてもしっかり予算をつけていくことに何の異存もないわけでございますから、ぜひ信頼回復のためにも――公安委員長、お疲れさまです。

 到着されましたので鉢呂議員にバトンタッチをしますけれども、信頼回復のために我々はこういった議論をさせていただいているわけですから、ぜひ公安委員長、御自身の意見をばしっと言って、その意見に従って各警察庁の皆さんが今後、あれだけ委員長が言っているんだからやろうということになるんですね。現実に、HIVの問題のときだって、各大臣が資料出せと言ったって出なかったんですよ。菅直人大臣が、わかった、じゃ、自分で全部のロッカーをチェックするぞと言ったら、資料が出てきたわけですよ。十二人の大臣が出せなかった資料を、十三番目に出してこられたんだと記憶しています。

 そういった中で、小野公安委員長はラッキーですよ。今回このチャンスで、本当に警察の信頼回復をつくれるチャンスだと御理解をいただいて、今後、同僚議員の質問に答えていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 引き続いてお願いします。

 小野国家公安委員長はオリンピックにも出られた体操の名選手でありました。私はそういう面で、今、宇佐美筆頭理事が申し上げましたように、この際、警察庁のうみ、日本の全国の警察のうみを徹底的に出して、本当に新しい警察を、国民の信頼に足る警察をつくる、そのチャンスを国家公安委員長小野さんに今与えておるんだというふうに思いますから、余り後ろ側の事務局からのペーパーでなくて御答弁を、私ども何も、細かいことを聞いていますけれども、やはりこれは事実に基づいた究明をまず最初にやらなければならない、こういうふうに思いますから。知らなければ知らないでいいんです。また、こういう考えでありたいということであれば、それに賛同していただければ、それにイエスの答弁をお願いいたしたいと思います。

 先ほど、捜査上重大な秘密があるからこの支払い精算書の存在の有無について言えないという御答弁がございました。しかし、私は確認をしておるんですけれども、債主名というふうにこの十五ページの伝票で書いておるのは、いわゆる協力者のお名前ですけれども、これは架空のお名前です。架空の名前であるとそれだけでこの伝票は疑わしいものに、全く疑わしいものになるわけであります。これは架空の存在で、実在しておりません。

 しかも、先ほど言ったように、後で大臣にお見せしますけれども、この支払い精算書の一覧表が同じ筆跡で書かれておるという、そして、これを写したまさに正式の文書が福岡県警に残っておるわけであります。

 それを、その文書を出せと私は言っておりません。大臣がきちっと内部で、本当にこれはあるかどうか。あれば、この鉛筆書きで書き写したものがあるということは、これは本当のところの河野さんというような名前の人がみずから書いたものじゃない、この一連の裏金をつくる方が、一連のこの筆跡で書いたものを書き写したものであるという証拠になるんですよ。それを大臣が確認するということは極めて重大ではないでしょうか、裏金だということについて。

 私は何もそのものを見せてくれとは言いません。確かに私はその鉛筆書きのものを持っておりますけれども。どうですか。

小野国務大臣 今拝見をさせていただいているところでございますが、裏金という言葉がいいのか、プール金という言葉がいいのか、先ほど官房長の方からもお話をいただきましたけれども、使い勝手をよくするために捜査員が捜査費を、報償費あるいは交通費、あるいはさまざまな捜査の間における施設を借りたりあるいは情報をいただいたりする、そういうものに対しての資金を出しやすいようにするために時にはよそのお名前を使ったということ、先ほど官房長の方からもお話ございましたから、これを拝見させていただいて、この書類がどういうものであるのか、私にとってその信憑性がいかなるものかというところまでは、はっきり申し上げてわかりません。

 ですから、ここの河野さんというお名前が本人でないという可能性もなきにしもあらずということは、私にとっても理解はできます。ただし、すべてのお金が全部先生おっしゃるような裏金であったということは、基本的には考えることがちょっと無理ではないかと。なぜかと申しますと、外へ出れば交通費がかかり、人に会えば、先ほどお話ありましたように、手土産を持っていったり、あるいは捜査の協力費の資金を出さなければならなかったり、そういう資金がまるで一銭も出ていかないということは、事実あり得ないことではないか、そのようにも考えざるを得ません。

 そういう形の中で、このお名前に関しては、私は、架空の名前であるということは、先ほど官房長も申し上げましたとおり、そういうことはあり得たと。ただし、十三年以降は非常に厳しく取り扱っているというお話をいただいたわけでございます。

鉢呂委員 推定に基づいた御答弁をしてほしくないわけです。あり得ないとかというようなこと、これは、先ほど言いましたように、原田警視長も、すべてが裏金化を一たんすると。私も先ほど言いました。そのうち旅費は、一〇%程度は実際に使われているけれども、これも裏金化した中で、その中から出ておるというふうに言ったわけでございます。

 河野さんというのは、実在するかどうか確認をしてください。これは警部補、福岡県警の警察官であります。架空と言ったのは深町、これは債主名であります。

 ここには、支払い精算書には、今のこの五万から始まって十万、二十万という協力費が実は払われております。平成十一年の六月十六日、二十万円、これは銃器対策課でありますけれども、単価としては莫大に大きい金であります。こういうことは、日本の警察で協力費という形で本当に支払われておるのかどうか、それで果たして本当に真実の協力者を得ることができるのかどうか、私は非常に疑問であります。

 ここはきょうの主題ではありませんけれども、本当に、私ども、交通の切符を切って反則金は払ったことはあるけれども、本当に協力費をこんなに切っておるんです、協力金をもらったと言う人は日本国民の中に随分いてもいいんですけれども。旭川中央署の場合は、軽犯罪法あるいは道路交通法、青少年健全育成条例、こういったものの犯罪で協力費を二万とか五千円とか払っておるのでありますけれども、そういった意味からいっても、大臣の、こんなことはあり得るかという視点でなくて、私はこの証拠書類を示しながら言っておるわけでありますから、きちんと調べるという姿勢で、三日前に言ってあるんですから、きちんと調べさせて、真実を国会に報告していただきたい。

 会計検査院が来ておると思いますから、残念ながら院長はこの場に来られなかったわけでありますけれども、会計検査院は、こういった支払い領収書、そしてまた支払い精算書における、このにせ、架空の名前について、これまで指摘をしたことがあったでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

石野会計検査院当局者 お答えします。

 各都道府県警察に対します会計実地検査は、その予算規模等に応じまして毎年または数年に一回実施してきているところでございまして、昨年末以来、今年次の検査におきましても、順次、実地検査を行っているところでございます。

 現在、捜査費に関しまして、いろいろ報道があり、また、この国会でも御議論があるということは十分承知しておりまして、それらを踏まえて厳正に検査を今後も行っていきたいというふうに考えております。

 ただ、今お話しの検査の結果ということでございますけれども、本年次の検査につきましては、まさに今検査の実施中ということでございますので、申し上げる段階にないということで御理解いただきたいというふうに思います。

鉢呂委員 協力者に直接当たるなり、郵送で確認したことはございますか。

石野会計検査院当局者 捜査費の検査を行うに当たりまして、どういう形で経理の当否を判断しているかということにつきまして、さまざまな方法があろうかと思います。

 今までは、そういう形で、情報提供者に直接当たるということはなかなか困難な面があったということでございますけれども、個々の場面でどういうことを行ってきたかということにつきましては、検査の中身ということでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

鉢呂委員 これは明確に答えてください。

 昨年の北見方面本部の七月の実地検査、これでも、いわゆる実在しない協力者の名前が出ておったにもかかわらず、うやむやのうちになり、ほかの方からこの情報が提供されて最近明らかになったわけであります。この捜査に協力をするという協力者の、この現金の支払いについて、協力者から、直接なり間接なりに、こういう協力金をいただいたか、あるいは領収書を切ったかどうか、その確認をこれまでやったことがあるんでしょうか。きちんと答えていただきたいと思います。責任を持って答えていただきたいと思います。

石野会計検査院当局者 今お話しの北見方面本部につきましては、昨年の七月に検査を実施しているところでございまして、そのときのその具体的な検査の内容というのは、先ほど来申し上げておりますように、お話を差し控えさせていただきたいということでございます。

 ただ、一般論として申し上げれば、さまざまな資料をもとにその説明の合理性、妥当性ということを勘案しながら、その経理の当否を判断していくということでございます。

 そして、北見の部分につきまして、説明に虚偽があったというふうな報道がなされたということ、これも承知しておりまして、もしそういった虚偽の説明があったということであるなら、これは問題でございます。したがいまして、さらに説明を求めるなどして厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。

鉢呂委員 これはやはり検査院の院長にきちんと来て、責任ある答弁をしてもらわなければなりません。検査に名をかりて、きちっと公表をしない、そして、この協力費についてもこれまでさまざまな形で過去から現在までにせの領収書という疑惑があったにもかかわらず、会計検査院は協力者からきちんとした事情聴取をしておらない。裏金づくりの架空の名前を書いた場合に、その切った領収者、協力者に聞かなければ、全くこれは裏金をきちっと解明することにはならないわけでありまして、これは会計検査院の院長の出席をぜひ委員長からも求めておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山本委員長 理事会において協議をさせていただきます。

鉢呂委員 この十一月末、北海道警で旭川中央署の問題も出ました。あるいは一月の二十日に警視庁の銃器対策課の裏金判決、これは民事損害賠償事件の最高裁の判決で警視庁が敗訴をいたしました。この間、十一月末から会計検査院は、この警察関係の現地検査は何件あったでしょうか。

石野会計検査院当局者 今年次の検査ということでございますが……(鉢呂委員「今年次じゃなくて、十一月から」と呼ぶ)検査年度と申しますと、我々一月から十二月というサイクルで行っておりますので、一月以降ということになろうかと思いますが、たしか四警察本部ということで、四カ所程度の実施状況であったかと思います。

鉢呂委員 四件というふうに私も聞いております。その中で、この捜査費の領収書について、きちっと協力者から直接間接にその内容について把握したということは私も聞いておりません。きちんとこれは領収書を切った協力者の直接間接の確認をすべきだと思いますけれども、明確に答えてください。

石野会計検査院当局者 今お話しの協力者から直接面談してというのも検査の一つの方法であろうかと思いますが、検査につきましてはさまざまな方法等がございます。これをいかにやっていくかということにつきましては、まさに検査の中身をどうするかという部分でございます。これは我々さまざまに工夫をして実施してきているところでありまして、今後ともさらに一層工夫して検査をしてまいりたいというふうに思っております。

鉢呂委員 裏金のにせの架空の領収書を書くという場合に、さまざまな方法があると言われましたけれども、この間一件もにせ領収書の摘発を行い得なかった会計検査院、しかもまだここに至ってさまざまな困難性があるからという形で、本当にその使命を果たすつもりがあるのかどうか。私は、そういった意味で、検査院の院長をぜひ呼んでいただきたい、こういうふうに考えるわけであります。

 さてそこで、この問題も含めて、国家公安委員長の方に、もとに戻りますが、先般、道警旭川中央署の中間報告が先週十二日に出されました。この中で、小野委員長は記者会見でこのように答弁をされておるわけであります。捜査用報償費として使える用途以外に、例えば慶弔費、市民との会合での出費ですとか、予算化しておけばよいものだったという感じを持っている、「個人的にどうこうということではないようです」と。

 「個人的にどうこうということではないようです」、これはどういうことを意味するんですか。

小野国務大臣 北海道旭川中央警察署におきます平成七年五月分及び九年の九月分の捜査報償費五十万に関しまして、不適正な予算執行が見られたことはまことに遺憾でございます。たびたび申し上げているところでございます。

 事案の全容解明に向けて鋭意調査をしているところではございますけれども、当時の関係者の供述によりますと、捜査協力者に対する謝礼、あるいは手土産ですね、私、細かいことを申し上げたようでございますけれども、捜査協力者との接触費やあるいは通信費等、捜査活動に使用されたほか、職員の意見交換の際の費用や激励慰労会、あるいは慶弔費等にも使用されていたということでありますので、私個人という形で全部が使われたというのではなく、いわば通常は予算化しておけばよかったものが多々あるのではないか、そのような形でお話をさせていただいたところでございます。

 ですから、そういうことで、私的流用での、あるいは本部でのピンはねといったものは、現在まで私もいろいろ聞いてみました上で、そのようなことはないということの報告も受けておりますので、北海道警察の方では、事案の全容が明らかになった段階で、北海道公安委員会の指導を受けながら厳正に今後も対処していくものと承知をいたしております。

鉢呂委員 非常に甘いです。個人的なもの、それはないという報告。どういう報告ですか。初めて聞きました。どういう報告が北海道警察から、個人的な流用ではないという報告は、その中身を具体的に教えてください。委員長みずからの言葉で。

小野国務大臣 現在行われているのは中間報告でございますので、今後きちんとした最終報告が出た段階で、またそこにおかしな点があれば、それは改めて、北海道の公安委員会なり、また私ども国家公安委員会なりが指導するという立場になろうかと思います。

鉢呂委員 今そういうことは言っておりませんでした。個人的なものはないという報告を受けていますと。それはどういうことですか。個人的なものでないという中身、きちっと、どういう形で来ているんですか。

 今あなたが言ったのは、今後まだ調査があるからそこは待たなきゃならないというだけで、今の現段階で個人的な流用はないというその中身について、どういった報告だったんですか。個人的なものはないという報告があったんですか。

小野国務大臣 具体的な問題は私はまだ承知は、紙をもって承知はしておりませんけれども、ただし、言われておりますことが、すべてが裏金としてどなたか個人に行ったということではなく、通常、報償費にしろ、それぞれの捜査活動をしていく中で出ていくお金というものもありますし、それから、皆さんが大きな仕事をした後の御苦労さん会なりそういうものもあろうかと思いますし、また慶弔費もあろうかと思います。ですから、そういうものに使われたということが話されておりますから、そういうものは従来は予算化しておけばよかったものではないか、そういうことを申し上げたわけでございます。

鉢呂委員 今大臣の御答弁は、すべてのものは個人的なものに使ったということでなかったという表現は、先ほどと全く違いますよ。先ほどは、個人的なものに使われたということではなかったという報告を受けておりますと。今のは、そういういろいろなものもあって、まだそのほかに個人的流用のものがあるかのような表現で今答弁されたんですが、どちらですか。二転三転されたら困るんです。後ろの方は黙っていてください。大臣がどういった報告を受けたかということで私は言っているわけで、他に影響された御答弁は余りよくありません。

 今私は、ここが一番重要なところだから聞いているんですよ。私どもが、あるいは道警本部長も言わないようなことも先ほど言いました。個別具体的に言いましたから、私は別の報告も受けているんだなというふうに受けとめて、別の報告ということは、この記者会見でも、「個人的にどうこうということではないようです」というのは、個人的流用というようなものはなかったということですというふうにあなたも今、大臣はそこで御答弁されました。それを、報告も受けておったということでありますから、具体的にどういう報告を受けておったのか。

小野国務大臣 私としては、まだ中間報告であるという認識は、まず大前提でございます。

 そうした中におきまして、原田氏の発言等々を考えますときに、何かしらすべてが裏金として用意され、すべてが何か個人的に流用されたような印象を持ちましたから、すべてがそのような個人的に流用されたものではなく、警察の捜査活動なり捜査費として使われているものもあれば、そしてまた予算化されて使うべきものもあったのではないかというふうな、そういう私個人の考え方を申し上げたわけでございます。

鉢呂委員 それは、大臣の御発言は非常に軽いものとして受けとめざるを得ません。

 三月四日の国家公安委員会で、ある委員はという表現でありますけれども、ある委員ですから委員長ではありません。私的流用は確認できないということで、その意味するところは、そのような事実を示す証拠がないというだけではないのか、そういうふうにある委員は発言をされております。これが本当のところではありませんか。(小野国務大臣「何の委員ですか」と呼ぶ)国家公安委員会における、ある委員です。

 これは議事録ではその名前を伏せておりますから、だれがしゃべったかわかりませんけれども、ある委員の発言として、これはホームページにも出ておりますからだれでも見られるんですけれども、私的流用は確認できない、現段階とは書いていませんけれども、私的流用は確認できないということで、その意味するところは、そのような事実を示す証拠がないというだけではないのかというふうにある委員は発言をしておるのが本当のところではないですか。

 私は、そういった意味で、国家公安委員長の記者会見やきょうの御発言も、非常にこの事態を甘く見ている。いわゆる不正流用はあったけれども、私的な流用はなくて、予算化の仕方だとか経理の問題に帰したいという考えが、北海道警もそういうニュアンスが強いんです。福岡県もそういう形で強いんです。しかし、あらゆるところのOBですとか現職の警察官は、先ほど言ったように、上層部の、課長とか署長のせんべつとして多額のものが私的流用されておると。原田氏自身が言っているわけです。

 こういった事態の中で、そのことについての発言がないからということで、こういった記者会見で発言すること自体、私は、本当に大臣が今の事態を警察の大きな一大危機というふうにとらえておるのかどうか。

 まさに国民の信がなくば立たずでありますけれども、警察内部の第一線の警察官が、これはおかしいぞ、我々は公文書の偽造までさせられて、にせの領収書を書かされて、その全部を我々に還元されて本当にない中で、交通費ですとか打ち上げの一杯に使っているならいいけれども、ほとんどは一千万単位で署長とか課長が私的に持っておっているのではないか、こういう発言があって、原田さんは、この際、本当に警察官が第一線で使命を感じて働けるようなそういう場面にしなきゃならないということでこの発言に至ったというふうに、私どもの先週の調査でも発言しております。

 英雄でも何でもない、私自身が現職のときにきちんとしておかなければならないことを今やらなければならないということなんだというふうに言っておったわけでありまして、そういった思いを感ずれば、国家公安委員長の発言は、余りにも警察庁の幹部、官僚の皆さんのその考えが反映しておると言わざるを得ません。

 私は予算委員会でも常々、国家公安委員長も御承知のとおり、警察法十二条二の、「国家公安委員会は、」見なくても大丈夫です。その後ろから来たのを見なくても大丈夫ですから。警察法十二条二で、あの平成十一年から十二年にかけて警察不祥事が頻発をしたときに、国会がさまざまな議論を経て、国家公安委員会に積極的な意味合いをもたらす法改正をしたんです。国家公安委員会が警察庁を通じてこの監察についてきちんと具体的、個別的に指示を与えるということの条文をつくったわけです。それをいまだ、国家公安委員長は、発動する気はありませんと。今のこのような全国の警察の危機に当たって、この十二条二を今適用しないでいつ適用するんですか。

 この間、昨年の十一月からだけでも、北海道警、静岡県警、福岡県警、熊本、宮城県、先ほど言いました警視庁の銃器対策課の裁判で敗訴したあの問題、高知県警、あるいは各県の監査も今、鳥取、三重、富山、秋田、埼玉、大阪、兵庫、鹿児島と、特別監査を県警にやろう、こういうふうに報道にもなっております。

 こういう今の事態で、国家公安委員会が、今まさに十二条二で、具体的に書面で個別具体的な指示を与えて、その経過についても、国家公安委員会の委員をきちんと指名して、そして独立的に職員も指名をして、その指示に対する経緯をきちんと把握して再指示をするということをやらなければならない立場にあるのではないですか。大臣の決意ある答弁をお聞きいたしたいと思います。

小野国務大臣 先生今おっしゃいましたように、十一年以降の一連の警察職員による不祥事案の際に、警察による監察機能が十分に機能しなかったというまず反省がございました。警察法第十二条の二、第四十三条の二を新設いたしまして、警察活動を第三者的立場から監督する機関である公安委員会、これがより客観的な立場から、みずからの発意によって個別的または具体的にその事項に当たる監察について指示を発することができるようにしたところであるわけでございます。この力を今後も十分に発揮してまいりたい、そのように考えております。

鉢呂委員 ちょっとわからなかったんですけれども、もう一回、十二条二を発動する考えがある、こういうふうに受けとめてよろしいんですか。

小野国務大臣 具体的に当たる監察について指示を発することができるようにしたところでございますから、それを十分に行ってまいりたいということでございます。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

鉢呂委員 その発言を重く受けとめて、十二条二における個別具体的に発動していただきたい。北海道警察でも、北海道公安委員会は、地方の場合は四十三条ですけれども、警察法の四十三条に基づいて既に個別具体的な指示を書面で与えて今やっておるところでありまして、国家公安委員会もこの方向に沿って早急にやっていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。

 そこで、北海道の場合は、現職の警察官に対して、その発言をもって人事や処遇で不利益な取り扱いをしないという、これも北海道公安委員会の意見に基づいて北海道警察本部長が議会で答弁をしております。私は、小野国家公安委員長も、全国の警察官あるいは関係者に向かって同様の対応をすべしというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 地方公務員法第三十四条に規定する守秘義務の、秘密ということに関しての御質問だと思いますが……

鉢呂委員 それでなくて、もう一回質問します。

 私がお聞きしたのは、守秘義務の免責の形ではございませんで、その前の段階で、現職警察官等がこの問題で発言をする場合に、人事、処遇等の不利益を与えない、この問題について国家公安委員会委員長としても全国の警察に対して明確な発言をしていただきたい、このように考えますが。

小野国務大臣 公務員につきましては、法令上、意に反する不利益処分からの身分の保障がございまして、みずから不正な行為に関与している場合はともかく、調査に対し真実を述べることのみをもって不利益な取り扱いを受けることはないものと考えております。

鉢呂委員 もう一つ、予算委員会でも取り上げましたけれども、時間がありませんでした。警視庁の銃器対策課の民事訴訟、損害賠償事件に関して。

 一九九九年ですから、もう今から五年ほど前になりますけれども、写真週刊誌に、警視庁の銃器対策課で、やはり今回と同じような形で捜査協力費の領収書が報じられたわけでありまして、その架空の債主者といいますか、領収書を切ったお二人が、警視庁を相手取って損害賠償事件を起こしたものでございます。これに対して、ことしの一月二十日に最高裁は、これは警視庁ですけれども表向きは東京都が最高裁に上告をしておったんですけれども、これを却下いたしまして、高裁の判決で確定をしたということ。

 判決内容は、この領収書というのは銃器対策課の警察官かまたは職員が作成したものと推認する以外にないという厳しい判断でございました。そして、この領収書は、実際の金銭の支払いのためというよりは、架空の金銭支払いについて裏づけとなる領収書を本物らしく仮装するためのものと考える方が実態に合致している、ここまで述べておるわけであります。これは、一九九九年に発覚をした平成九年の問題について、このように最高裁が認定をした民事訴訟でございます。

 法廷では、警察官が、情報提供者の本当の名前は確認せず、危険を避けるため記録も残さない、このように証言をしておりますけれども、裁判長は、他人の名前を利用することは、その他人を危険にさらすことになり、警察の存在自体にも背く活動である、氏名についても権利がある、いわゆる人格権の一部だ、ここまで最高裁で認定をして、氏名を無断使用するということはやはり不法行為に当たる、こういう形で判決が確定をしたわけであります。

 私は、小野大臣に予算委員会でも、この問題について報告を受けて、きちんと国家公安委員会で論議をしたことがありますかというふうに聞いた際、私は議事録を見ておりましたけれども、この間、一月二十日以降、一回もこの問題について論議をしておりません。個別国家公安委員に御説明を申し上げたというのが事務局の判断でありますけれども、このように重大な判決を最高裁は警視庁に敗訴という形で下しておるわけでございます。

 私は大臣にあのとき申し上げたのは、こういった形で敗訴して、東京都の税金を二十五万、これは損害賠償民事訴訟ですから、お金を払ったんですけれども、この今の時点でやはりきちんと最高裁が認定したこの問題についてもう一度再調査をすべきである、こういうふうに申し上げたわけであります。再調査できますか。

小野国務大臣 私も当日の御質問を思い起こしておったわけでございますけれども、当事者は警視庁でございます。そういう立場から、国家公安委員長としての本来コメントをする立場ではないと考えておりますけれども、本件訴訟におきましては、捜査費支出の状況を記録している帳簿等の内容を明らかにすることになるわけでございますので、その帳簿に記載されている捜査員や捜査に協力いただいた方の名前を明らかにすることになるわけでございますから、捜査活動に支障を来すおそれがあるために、捜査費関係書類等の存否及びその内容について認否しなかったということの報告を受けているということでございます。

鉢呂委員 大臣、自分の言葉で答えていいんですけれども、なぜ、警視庁の事案であるから国家公安委員会としてかかわりがないというふうになるんですか。

小野国務大臣 警視庁の問題に関しましては、警視庁並びに東京都の公安委員会が所掌して活動しているわけでございますので、その点を申し上げたわけでございます。

鉢呂委員 都道府県警を含めて、警視庁も含めて、やはり警察庁を通じてきちんと管理をするというのが国家公安委員会の形ではないでしょうか。国家公安委員会では、私も何回も言っていますけれども、県警の個人的な不祥事、警察はさまざまな不祥事についても国家公安委員会で報告を受けて、議論をしておるではありませんか。これは警視庁の問題だから国家公安委員会はかかわりがないということではありません。

 そして、よろしいです、見なくてもいいですけれども、今、こういうにせ領収書の本当に先鞭をつけたような事案について、最高裁の判断が下ったわけです。大臣、北海道の旭川中央署の関係で、やはり同じようににせの領収書を書かれた人が訴訟を起こすということになりましたら、北海道警察は、これを争う、争う姿勢だということを示しておるわけでありますけれども、私は、警視庁の問題で、同じ事案で敗訴したわけでありますから、やはり警察庁として、また国家公安委員会として一定の考えで臨むべきだ、そしてこの問題についてもきちんと調査をすべきだというふうに思います。

 そこで、大臣、私はこの問題についても警察庁の事務当局に聞かせていただきました。この段階では、一九九九年に、私ども民主党の枝野幸男氏が当時質問主意書を上げていまして、警察庁のこれに対する答弁書はこういうふうになっています。「記事の内容について捜査員等にただしたが、捜査費は適正に執行されており、」「不正は認められなかった。」こういう国家公安委員長の答弁をされておるわけであります。このときの、一九九九年の報告と全く違う判断を今回最高裁が示されたわけであります。

 そして、このときには、警視庁はこの事案についての調査をされて、報告書を警察庁に上げておるのでありますけれども、その調査報告書が一年で処分をされた。一年で処分をされて、今は現存をしておらないというのが警察庁の私に対する事務段階での報告でありました。これはそのようになっておるんですか、今も。

小野国務大臣 お答えを申し上げます。

 お尋ねの調査報告書につきましては、警視庁文書管理規程に基づく保存期間が満了した、そういうことから、同規程に基づきまして廃棄されたということの報告を受けております。これは、警視庁が保有する文書等の管理に関する定めである警視庁文書管理規程に基づく適正な行為であるとの報告を受けているわけでございます。

鉢呂委員 ここに、これは警視庁の文書等の管理に関する規則ではありません。東京都の公安委員会の平成十三年三月二十八日の、文書等の管理に関する規則第七条の一項のところで、「文書等の保存期間は、原則として次のとおりとする。」という形で、三年から一年という形があるのでありますけれども、その第七条の二項のところに、「前項の規定にかかわらず、次に掲げる文書等については、当該文書等の保存期間を争訟期間としなければならない。」ということで、(1)として、「争訟に係る文書等で、時効の完成又は裁判の確定まで保存しておく必要があるもの」という形で、係争中の事案については、きちんと裁判が確定をするまで文書を保存しておかなければならないことになっておるのであります。

 この規定に反することになるのではありませんか。

小野国務大臣 今先生おっしゃいました当該調査報告書というのは、警視庁の銃器対策課にかかわる損害賠償請求訴訟におきまして証拠として採用されたものではないことから、継続して保存しておくべき訴訟に係る文書に当たらないと判断をいたしまして廃棄したとの報告を受けているところでございます。

鉢呂委員 係争に係る文書等、「等」がついているんですね。私は、民事であろうと刑事であろうと、今係争中の、それにかかわる報告書、あるいはその直接の文書はもちろんでありますけれども、そういったものはやはり保存をしておくというのが当然の話ではないでしょうか。特に、この関係で調査をして、関係者、捜査員から話を聞いても、その事案はなかったと言っておるんですけれども、全くそれと違う判断が下されたわけであります。

 私は、この問題はきちんと警視庁に指示をして、指導して、この関係をもう一回再調査すべきである、これは国家公安委員長としても重要なことであります。どうですか。

小野国務大臣 平成十一年の警視庁の内部調査におきまして、捜査費の適正な執行が確認されました。そのほか、その後、同年七月に会計検査院が、警視庁銃器対策課に対しまして会計実地検査を行いました結果、特段の指摘事項もなかったと承知しており、このような経緯にかんがみますと、現時点では再調査の必要はないものと考えております。

鉢呂委員 民事とはいいながら敗訴して、確定した判決の中身、もう一度繰り返しませんけれども、警察官あるいは銃器対策課の職員が、仮装した、にせの領収書を切った、ここまで言われているんですよ。裏金づくりとまで言われているんですよ。高裁が判決を書き、それを最高裁が認定したんです――後ろからごちゃごちゃ言わないでください。

 一般常識にかんがえれば、ここまで書かれておるものを再調査しないというのは信じられないことじゃないですか、大臣。

小野国務大臣 先ほどと同じお答えをさせていただくことになりますけれども、当該報告書というのは、警視庁銃器対策課にかかわる損害賠償請求訴訟において証拠として採用されたものではないことから、継続して保存しておくべき訴訟に係る文書に当たらないと判断して破棄したとの報告を受けているわけでございますので、そのような形になったということでございます。

鉢呂委員 いやいや、その文書を破棄したのであれば、百歩譲ってそれは仕方ありません。破棄してなくなったというものを私は、その政治的な責任はまた問いますけれども。

 しかし、なくなった文書以外のものも含めて、この際、まだ現存している人、またOBもいらっしゃるんです、関係の警察官。いわば先ほどと同じです、支払い精算書に名前を書いた警官の人、そういう人から聞き取りをして、再調査をする必要があるのではないか、それを言っているんですけれども。後ろからごちゃごちゃ出さなくてもいいです、とんちんかんなことになるから。

小野国務大臣 たびたび恐縮でございますけれども、警視庁の内部調査におきまして、捜査費の適正な執行が確認されましたほか、その後、同年七月に会計検査院が警視庁銃器対策課に対しまして会計実地検査を行った結果でございます。特段の指摘事項もなかったと承知をしておりまして、このような経緯にかんがみますときに、現時点では再調査の必要はない、そのように考えているわけでございます。

鉢呂委員 私は無理なこと何も言っていないんですね。この一月二十日に確定。最高裁まで行って、警察官も出て証言をして、そして判決をされたのが、繰り返して申しわけないけれども、領収書は銃器対策課の警察官や職員が作成したと推認する以外にない、この領収書は実際の金銭の支払いのためというよりは架空の金銭支払いについて裏づけとなる領収書を本物らしく仮装するためのものと考える方が実態に合致している、こういうふうに判決が出ておるのであります。警察官も出て、こういうものは、いや、覚えはありませんという証言はあったようですけれども。この事案について、東京都の税金も払っているんです、民事といいながら敗訴しましたから。

 この問題について、行政府として再調査をするというのは当然ではないですか。真実を明らかにする、まさに今――後ろからそんなペーパーを出したら、なおわからなくなっちゃうから出さないでください。

 今、このにせ領収書問題が全国で頻発をしているこの段階で、その先鞭となる警視庁銃器対策課の問題は、最高裁でこのような判断を下されたんですよ。警視庁の赤坂署の問題は皆さんが取り下げたんですね、赤坂署の問題は争わないで取り下げた。今回は、争って、警察官も出して、しかし、このような敗訴をして、このような判決の内容であるわけであります。これを再調査するというのは当然の話じゃありませんか。

小野国務大臣 本件訴訟におきましては、捜査費支出の状況を記録しております帳簿等の内容を明らかにすることには、その帳簿に記載されております捜査員や捜査に協力いただいた方々の氏名等を明らかにすることにつながりまして、捜査活動に支障を来すおそれがあるために、捜査費関係書類等の存否及びその内容について認否しなかったとの報告を受けておりますが、結果として、このような判決に至ったものと承知をしているわけでございます。

鉢呂委員 国家公安委員長はまさに警察庁のそのペーパーどおりをしゃべっていますけれども、それは国民感覚とほど遠いものであります。

 小泉総理でさえ、三月五日に委員長は官邸に呼ばれて、どのように指示を受けたんですか、小泉総理から。

小野国務大臣 私の方から、北海道並びに静岡県の両県に関しましての、大変遺憾である旨を総理におわびに上がったわけでございますけれども、総理の方から、一日も早く明確に、内容に関しまして明らかにするべきところは明らかにし、きちんと国民の負託にこたえるように、そのような形をもってお話をいただいたわけでございます。

 今までもお話をさせていただいておりますけれども、一番大事な点は、警察といえども、いわゆるさまざまな情報提供者があって、その情報提供者の提供によって報償費というものを支払いをさせていただきながら活動が大きく動いているということは、委員も御理解いただけるのではないかと思います。(鉢呂委員「小泉総理の言葉として言ってくださいよ」と呼ぶ)いやいや、小泉総理は、できるだけ早く明確にすることと、それから国民の負託にこたえるように、その点を言われてきたわけでございます。

鉢呂委員 私が正確にお答えしますけれども、国家公安委員会は信頼回復に向けしっかり対応しなければならない、こういうふうに小泉総理は言ったのではないですか。どうですか。

小野国務大臣 私が先ほどから申し上げておりますけれども、北海道警察のみならず静岡県警察におきましても会計経理をめぐる問題が判明したことはまことに遺憾である、事案を早期に解明し、不正に対しては厳正に対処する必要がある。

 そして、二点目といたしましては、個々の警察官による不祥事も起きているので、日本警察全体の信頼にかかわる問題としてとらえ、しっかり対応するようにということでございます。

鉢呂委員 私も、マスコミの報道ですから、間違っているか確認したんですけれども、総理はその際、警察組織の隠ぺい体質を含めて見直しをしていただきたい、こういうふうに述べたと言われておりまして、隠ぺい体質、そして、小野国家公安委員長は、そのつもりで体制をよく見直しをしていきます、こういうふうに述べたというふうに報道されていますけれども、いかがでしょうか。

小野国務大臣 そのような言葉はいただいておりません。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

鉢呂委員 私は、ある新聞のそのとおりを今述べたわけでありますけれども……(小野国務大臣「ございません」と呼ぶ)それでは、いずれにしても厳正に対処し、最初に述べたところ、国家公安委員会は信頼回復に向けしっかり対応しなければならない。

 私は、予算委員会でも、小泉総理の方が危機感を持って答えておるなと。私の質問に対して、北海道警察のみならず日本全体の警察にかかわるというふうに認識しておる、こういうふうに総理はあのとき私に答弁をされたわけでありまして、私は、そういった意味で、小泉内閣全体で、むしろ国民の目線で、きちんとこの際、警察のこの隠ぺい体質を含めて、かなりの裏金を含めて、問題の多い警察全体を改革するという形の姿勢が小泉内閣にあるのではないかと。

 やはりその中で、国家公安委員長の役割は単に警察庁そのものではないわけですから、警察大臣ではないんです。警察大臣ではなくて、まさに警察を管理する、警察を民主化する、警察を政治的なところで偏向することについて政治家としての国家公安委員長がかかわるというところに今日あるわけでありまして、その使命を全うしていただきたい、このように今考えるわけであります。

 そして、最後になりましたけれども、もう一つだけ。

 先ほど言いました地方公務員法の三十四条の「秘密を守る義務」について、きょうは総務省から局長がいらっしゃっておると思いますので、局長の方から、この守るべき秘密というのは一体どういうものであるのか、お答えをいただきたいと思います。

須田政府参考人 地方公務員法第三十四条で言う「秘密」とは何かとお尋ねでございますけれども、この秘密とは、一般的に了知されていない事実であって、それを一般に了知せしめることが一定の利益の侵害になると客観的に考えられるものをいうと解されておりますが、ある事実がこの秘密に属するか否かは、最終的には個々の具体的事実について客観的に判断されるものと考えております。

鉢呂委員 これを実質的秘密というふうに言われる。よく役所は、これはマル秘だと判こを押せば、これでマル秘文書になるというものではないと。役所がぼんぼん判こを押すのは形式的な秘密である。要は、この了知せしめる事項は、どの内容の利益を保護するのか。したがって、一義的に言われるのは、プライバシーの保護というのは秘密に属する形をいうんだろうと思っております。

 私は、大臣、そこでお尋ねしますけれども、今回の事案は、いわゆる組織的なところで裏金あるいはにせ領収書あるいはにせ帳簿というものが、私、この質問でさせていただきました、そういったにせ帳簿に類するものは秘密を守るものになるのかどうか。むしろ、これをきちんと国民に知らせる、裏金問題というものをきちんと国民に知らせるということは、この地方公務員法、警察の場合は地方公務員が多いわけでありますけれども、地方公務員法三十四条に違反することにはならない。単に守秘義務というのが語られるわけでありますけれども、こういった不正事件、不正事実、こういったものについては秘密保持に当たらないんだということを全国の警察あるいは警察関係者OBにきちんと明らかにしていただきたい、このように思います。

小野国務大臣 どのような行為が守秘義務違反に該当するかについては、あくまでも個別ケースごとに、事実関係に照らして判断されるべきものであると考えております。

鉢呂委員 時間が来ました。これで終わります。

山本委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 鉢呂議員の質問に続いて、国家公安委員長並びに関係の皆さんに質問させていただきます。

 今、ニュースが入りましたが、また福岡の方で警察関係者の方が実名で告発をされまして、五十年前からこの問題は起こっていたんだということを、十二時何分か、実名で告発をされたというニュースが入ってまいりました。

 国家公安委員長、先ほどからいろいろお話を伺っておりますが、私は、国家公安委員長の政治的な姿勢が大変今問われ始めているんじゃないかという感じすらするんです。

 先ほどから御答弁を伺っていますと、後ろの警察庁関係の方から非常に適切なメモが渡されまして、それをベースにそつなく答弁されておりますが、これは国家公安委員長、従来のときとは異なってきているんですよ。一億二千万人の国民がだれを信用するか。この警察の不祥事問題については、国家公安委員長、あなたなんですよ。あなたしか頼るところがないんですよ。

 国家公安委員長、最初にちょっとお伺いしますが、国家公安委員長として一番大切なことを一つ挙げるとしたら、何でしょうか。

小野国務大臣 法に照らしまして、厳正に活動していただくということでございます。

大畠委員 それは違うんじゃないですか。それは警察庁とか関係省庁がやればいいんですよ。政治家、国家公安委員長というのは、まさに国民の視点で、今やるべきことは警察の信頼を回復する、それが国家公安委員長の一番の使命じゃないですか。違いますか。

小野国務大臣 それは当然でございます。

 ただし、大方の警察官は皆真剣に頑張っているということを一つ置きながら、正すべきところは正し、そしてまた、私ども国家公安委員会というものは警察を管理し督励していくという立場にあるわけでございますから、気がついたところは委員会を通じて毎度それぞれが議論を発しながら、解明するところは解明し、そしてその積み重ねをさせていただいているということでございます。

 大変残念ながら、事案がたくさん起こっております。そのことは、あくまでも厳正に対処していかなきゃならないというその姿勢は、皆きちんと持っていることは御理解をいただきたいと思います。

大畠委員 国家公安委員長がかつてオリンピックの選手をされて、まさにスポーツの世界で大活躍をされた。私は、それをよく存じ上げています。したがって、ああ、いい国家公安委員長が誕生されたな、多分、そういうスポーツ精神を遺憾なく発揮して、従来の、いわゆる流れに乗ればいいとか、無難に国家公安委員長をこなそうという話ではなくて、まさに純粋な気持ちで、日本の警察の信頼を回復するためにやろう、そういう意欲で着任していただいたんじゃないかと思っておったんですが、先ほどからの鉢呂議員とのやりとり、あるいはほかの議員とのやりとりを見ますと、どうもいま一つ、あの当時の切れのいい姿勢というのがちょっと見られないのが私は残念なんですね。

 そこで、もう一つお伺いしたいんですね。

 これは、警察庁のメモとか何かじゃなくて、本当に公安委員長としてお感じになるまま、いわゆるこれまでずっと長く小野さんが生き抜いてきた、人間としての心を聞きたいんです。警察に一番大事なことは一体何でしょうか。

小野国務大臣 人間としての心をしっかりと持ちながら、対応する相手の立場に立ちながら、法に照らし合わせて厳粛に、そして法に合致しないものはきちんとそれに対しての罪を認めさせ、あるいは教育をし、そして日本の国の治安というものを立派につくり上げていく、そういう姿勢で警察というものを督励していかなければ、そんな気持ちで私は就任をさせていただきました。

大畠委員 実は私、北海道警察本部、そして今週の月曜日は福岡の警察本部に、残念ながら、調査をさせていただきました。

 そのときに、福岡の県警本部の玄関に一枚のポスターがあったんです。私は、非常に心を打たれたというか、ああ、いいポスターだなと思ったんです。今、警察官募集のポスターがありますが、その警察官募集のキャッチコピーは、公安委員長、御存じでしょうか。

小野国務大臣 残念ながら、存じておりません。

大畠委員 こういう短い文章ですが、実にぴたっとはまっているんです。「プライドを持つ、そんな生き方がある 警察官募集!」これに尽きますよ。

 ところが残念ながら、先ほどからこの委員会でもやりとりされたこと、あるいは平成十一年等々、警察刷新に関する緊急提言というのは委員長も御存じだと思いますが、このさまざまな不祥事。私たち、もちろん国会議員も、法に触れるようなことは当然罰しなければなりません。ところが、どうも今回の事案は、捜査上の秘密だから、あるいは匿名を使ってもいいから、住所も明らかにできない。そして、先ほどの鉢呂さんの話にありましたが、情報をもらったら二十万円、十万円、架空の名前を書いてもいい。私はどうもそこら辺、プライドを持つ、そんな生き方がある、警察官募集、この精神に反して、実態的には何か汚れてしまっているんではないか。

 それも、二十四万の警察官のうち、ごく一部のいわゆる幹部と称する方々がそういうことをやっているという事例が出てきて、私の知り合いで田舎の方のお巡りさんがいるんですよ。給料を減らしてもいいから、大畠さん、お巡りさんをふやしてくれ、大変なんだよと。純朴な警察官もたくさんいるんです。にもかかわらず、この一部のと信じたいんですけれども、何か知らぬけれどもごちゃごちゃやって、税金を詐取して、まさにこれは詐欺行為だと私は思うんですが、そういうことをやっているという事例が明らかになってきて、そして先ほどの国家公安委員長の、後ろの警察庁の幹部の方からのメモをとうとうと読み上げる姿勢は、あの姿は余りにも寂しかったですね。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、この法律案、今回、警察の機構改革法案が出されましたけれども、公安委員長として、この機構改革の起こりといいますか、それは何だったと思いますか、原点をちょっと尋ねてもらいたいんです。

小野国務大臣 警察改革における誇りということでございますけれども、この警察改革というのは、現在の国際化あるいは情報化、あるいはさまざまな在日外国人の問題やら、そういうものに対応していくための警察活動がより効果的にやっていけるための警察改革ということでございます。

 委員おっしゃいましたように、誇りを持つということは、人間が生きていく上でこれ以上大事なものはない、それは先生と思いを同じくするものでございます。ですから、警察改革も時代の変わり目の中でどんどん変えていかなきゃならない。いわゆる対応していくべきものと、根本として持つ人間としての誇りというものは一番大事にしなきゃなりませんし、ましてや、幹部はそれを肝に銘じて部下を指導し、引っ張っていかなきゃならない。そういう立場に立ちますときに、新しく警察法の改正ということの中においても、その心根も一緒に改正していかなきゃと改めて思っておるところでございます。

大畠委員 国家公安委員長、この警察刷新に関する緊急提言というのはお読みになりましたか。

小野国務大臣 読んでおります。

大畠委員 この緊急提言というものの大宗はどういう提言ですか。大まかな提言の内容はどういうものですか。

小野国務大臣 今申し上げましたとおり、それぞれの部署別に活動するに当たりまして、例えば、国際部というものを一つにしておいたのが、それぞれの事案に全部国際部が関係してくることにおいて、今までの国際部のあり方を変えるとか、あるいは来日外国人の問題やら、あるいは国際テロの問題等さまざまな事案が入ってきますと、日本の国内の問題から国際化の問題まで、大変幅広くなっていくわけです。そうしたときに、現在の態様では動きが悪い。

 そういう形の中で、部署別に大まかに警察改革の、それと同時に透明化の問題ですね、先生のお気持ちとしてはきっとそうだと思います。透明化の確保と自浄機能の強化、自分自身が自分自身をきちんとしていく。

 それから、国民のための警察であるということ。国民のための警察であるという認識を持った人間を確立していくということですね。

 それから、新たな時代の要請にこたえる警察の構築というのが、まさにこの警察法改正の具体的なものだと思います。

 それと、警察活動を支える人的基盤の強化。

 大まかには、大きく、警察改革要綱というものは四本あるわけでございます。

大畠委員 公安委員長、スタートから間違えているんですよ。

 この緊急提言の中身、これはもちろん、後藤田さんという、かつての私たちの大先輩も入っていますが、何を一番、これは一ページ目に書いてあるんですよ。

  私たちは、警察がこれほどの国民の批判、不信感を受けるに至ったことを深く憂慮して、その原因はどこにあるのかを討議し、それを防ぐ方策はないかを考えてきた。

  警察官による多くの職務関連犯罪の発生とその隠ぺいが行われた神奈川県警事件、特別監察に際しての遊興や関係者に対する処分の在り方などが批判された新潟県警事件、国民の切実な要望に誠実に対応しなかったため重大な結果を惹起した埼玉県桶川事件や栃木県の事件

云々。

 これら一連の警察不祥事の原因や背景として、警察組織の秘密性・閉鎖性、無謬性へのこだわり、キャリアのおごり、第一線現場の規律の緩みや怠慢などいろいろなことが指摘されている。

  第一に、この提言は、対症療法にとどまらず、構造的な問題点を究明し、

云々ということが第一。

  第二に、目下の事態は深刻であり、一刻も早く処方箋を提言し、緊急に実行に移さなければならない。

  第三に、前述のような事件がなぜ起きたのか、どうすれば防ぐことができたのかと関連させながら、具体的な提案をしていかなければならない。

これが提言なんですよ。

 今おっしゃったことは、今回の法案で、いろいろ、こういう組織を拡充させます、国民のニーズに合わせますというだけで、公安委員長、大事なところがお心の中にないんですよ。だから、さっきのような答弁なんですね。この提言は、警察の不信をうたっているんです。どうやったら国民からの信頼を得られるか、そのために私たちは早急に行動を開始しなければならないというのがこの提言書なんです。

 そこで、これを受けて警察改革要綱というのをつくりましたね。ここで変質しちゃったんですよ。この中を見れば、今度は構造改革で、警察の内部の不祥事問題については余り触れられていない。警察の信頼をどう上げるかということは余り触れられていない。だから、結局、先ほどの国家公安委員長の御発言のように、捜査するつもりはありません、警察庁あるいは各都道府県本部から報告が上がってきたらそれを了として私は動くんですと。

 ところが、この緊急提言は違うんですよ。だから私は、そこら辺が、国家公安委員長、お心がちょっと違うんじゃないかと思う。無難にこなすだけでは、日本の国の警察がますますおかしくなるんですよ。

 だから、ここに公安委員長が仁王立ちしてもらって、国民の代表として、日本の警察をもう一回信頼とプライドを持つ警察につくり上げるという気概を持ってもらわないと、これは進まないんですよ。後ろの警察庁の方から次々とペーパーを出されてそれを読み上げるだけでは、日本の警察がますます堕落しちゃうんだ。

 そして、多分、二十四万警察がおられますから、毎年五千人ぐらい退職して新しい人が入ってくるでしょう。警察官に入る人だってちゅうちょしてしまいますよ、これは。まさに組織は人なんです。いい人材が集まる。まさに、プライドを持つ、そんな生き方がある、私も警察になろう、警察が好きなんだという青年が多く入ってくるような形にしないと。国家公安委員長、あなたの責任なんですよ。

 会計検査院も、あなたはちゃあちゃあとさっき言っていましたが、あなたの責任でもあるんだよ。突然言われたって困るかもしれぬけれども、あなたの責任なんだよ。

 国税庁もきょう来ておると思うけれども、あなた方の責任でもあるんだよ。いや、私たちは分業をやっていますからじゃないんだよ。みんな、国民の期待にどうこたえるかということを真剣にやらなければ、プライドを持つという仕事につく人がいなくなる危険性があるんですから。

 公安委員長、ちょっとその点について、私は先ほどのお話だけでは十分に納得するわけにいかないんですが、そこで、会計検査院の方にちょっと的を移しますからね。

 ちょっとお伺いしたいんですが、原田さんの調査をしたときに、鉢呂さんもおられましたけれども、「会計検査院の結果はきつかった。課長は、架空の支出内容をそらんじなければならなかった。警察庁が立ち会ったが、それはあうんの呼吸での指導だったかもしれない。」と話されていた。これは、会計検査院が調査をするときは警察庁が立ち会っているんですか、ちょっと教えてください。

石野会計検査院当局者 個別具体的な状況というのは、まだ、お示しの中でどういう状況であったかわかりませんが……(大畠委員「そういうことじゃなくて、検査するときに」と呼ぶ)一般的に申し上げて、警察庁の方から立ち会い官が来るということはあります。

大畠委員 何で警察庁なんというのが立ち会うんですか。

 会計検査院、なぜ警察庁が立ち会う必要があるんですか。答えてくださいよ。会計検査院の責任だよ、これは。

石野会計検査院当局者 都道府県におきましても国費の執行ということがございますので、やはりその面につきましては、警察庁の監督といいますか、そこが関連するというところがあろうかと思いますので、そういった観点から立ち会いが行われているのではないかというふうに思っております。

大畠委員 そこら辺が、会計検査院、あなた方も全く甘いんですよ。何にも不審――警察庁は何か答弁するんですか、その件について。質問に答えたり何かするんですか。全く発言しないはずでしょう。会計検査院、ちょっと答えてください。

石野会計検査院当局者 個々具体的なやりとりがどういう形であるかということの詳細は承知をしておりませんが、対象となります会計経理自身は、やはりそれぞれの都道府県警察ということでございますので、そこの担当官の説明を受けるというのが主体でございます。

大畠委員 警察庁官房長、なぜ立ち会うの、これ。

吉村政府参考人 私自身は立ち会いの経験がございませんので、どういう状況かはわかりませんが、実際に会計検査院から検査が行われるときには、警察庁の監査室の職員が立ち会っているのは事実でございます。

大畠委員 それからあと、会計検査院は、検査に入るときにどういう手順で通告するんですか。先ほど鉢呂さんからありましたが、一カ月前なのか二カ月前なのか、あるいは二、三日前なのか、どういう手順でやっていますか。

石野会計検査院当局者 実地検査に入る段階での話だと思いますが、全体像といたしましては、年間の計画を立てまして、その中から、警察の場合ですと年十カ所程度の警察本部についての会計実地検査を実施しておりまして、その際には、事前に、その検査のための、検査が効率よく進むという観点から、ある一定の準備期間を設けるということで、事前に通知をし、検査に入っている。(大畠委員「一定とはどのくらいの期間ですか」と呼ぶ)それはいろいろなケースがあろうかと思いますが、通常、今ちょっと確かめましてお答えいたしたいと思います。

大畠委員 すぐ確かめてください。

 要するに、何のために会計検査をやっているのか、さっぱり意識していないんじゃないかな。こういうのはやはり突然行かなきゃだめなんだ、突然。要するに、準備期間を十分設けて、さあいらっしゃいというような感じじゃ、それじゃ検査にならないんだ。

石野会計検査院当局者 やはり検査を効率的にやるという観点からいきますと、所定の書類を、書類といいますか、事前に通知をし、それなりの対応をとってもらうということが重要でございますので、今聞きましたところ、おおむね一カ月程度前に通知をし、検査に入っておるということでございます。

大畠委員 それから、箇所はどうやって決めていますか。検査対象の箇所。

石野会計検査院当局者 やはり予算規模などを考慮いたしまして、大きいところは毎年行う、それからそれ以外のところは数年に一回ということで、その数年に一回につきましては、なるべく偏らないように、満遍なく行けるということで考えて選定をしているということでございます。

大畠委員 だれが決めるの。検査対象の箇所というのはだれが決めるんですか、警察署は。

石野会計検査院当局者 都道府県警察につきましては、先ほど申しましたように年間の計画を立てるということでございますが、今のお尋ねは警察署ということでございますか。

 警察署ということでございますと、その都道府県警察に入った時点で、出張官がいろいろな書類を見た中で決定していくというふうに対処しておるところでございます。

大畠委員 一カ月前に通告しなければならないといったら、調査に行ってから、一カ月間も、決めてからずっと滞在するんですか、会計検査院が。話が合わないじゃない。

石野会計検査院当局者 ちょっと言葉足らずだったかもわかりませんが、一月前というのは、いつから、こういう人数で、どういう担当官が実地検査に赴くか、そういう実地検査の実施内容を一月前にあらかじめ通知するということでございます。

大畠委員 だから、その検査対象箇所というものを、どうやって、だれが決めているんですか。

石野会計検査院当局者 だれがということでございますと、検査院でということなんですが、私もその担当の局長でございますので、その中で、どこへ行くかという、まさに出張の計画からかかわっておりますし、出張命令ということでございますと、事務総局のトップが決めているということでございます。

大畠委員 いや、そういうことを聞いているんじゃなくて、要するに、対象の警察と話し合って箇所を決めているんじゃないでしょうねということを私は確認したかったんです。

石野会計検査院当局者 決めるに当たりましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな、予算規模とか、それからどの程度過去行っておるのかということを勘案して決めておるということでございまして、あらかじめ相談して、ここがいい、悪いというふうなことでやっているということではございません。

大畠委員 だれと相談しているんですか。(石野会計検査院当局者「やっておりません」と呼ぶ)

 これ、他人事じゃないんですからね。さっき鉢呂さんからもあったでしょう。二千数百円の領収書が出てきた、それも実在しない人だった。住所と名前は一致したけれども、そのお店はない。去年からもう半年もたっているのに、なぜその調査結果が出ないんですか。どこに調査させているんですか。

石野会計検査院当局者 担当検査課は司法検査課というところでございますので、そこの調査官というものがその調査に当たっておるということでございまして、今お話しの北見につきましては、やはりその場でいろいろなやりとりがあったと思いますが、先ほど申し上げましたように、個々具体的な内容は検査の段階の話であるということでございますので、控えさせていただきたいというふうに思います。

大畠委員 自分で仕事していないで、何が控えさせてもらうですか。あなたが行って調べてくればいいんだよ。一緒に行ってくる。住所とお店の名前があるんだよ、行けばいいじゃない。半年たっているんだよ。どこに調べさせているかといったら、道警に調べさせているんでしょう。あいまいな書類を出したところに調べてこいといったって、あいまいなまましかないじゃないか。何のための会計検査院なんだ。

 だから私は、小野大臣に言っているときに、あなたの責任でもあるよと言ったんだよ。この不祥事問題というか経理の不正問題がずっと引きずったのは、あなた方の仕事が怠慢だからだよ、これは。それも片棒を担いでいるということを意識してもらわなきゃならない。手を挙げたってだめだよ、そんなの。

 私は、小野国家公安委員長、さっきから申し上げていますように、そういう体質なんだよ。そういう体質。みんな取り巻いて、この問題が表に出ないように出ないように、そういう体質だから結局こういう問題が起こってきたんだ。そして、先ほど言いましたように、お昼ごろに、福岡県でまた、実名で、この問題について私も知っているという方が新たに出てきたというんだ。これは国家公安委員長、状況は一変してきますよ。国家公安委員長の責任になってくるんですよ。

 先ほどの再調査の問題、こういう世論が高まらないとやらないんですか。国家公安委員会というのは何のためにあるんですか。もう一回聞かせてください。

小野国務大臣 都道府県警がありまして、その上に警察庁がありまして、私ども国家公安委員会というのは、その警察庁を管理、督励するという立場にございます。

大畠委員 国民の声は聞かないんですか。

小野国務大臣 もちろん、国民の声に耳を傾けることは当然だと思っております。

大畠委員 だとすれば、国家公安委員長の姿勢には、警察の信頼を高めようという基本的な姿勢がどうも見えない、先ほどから。警察庁の代弁をする、あるいは全国のそういう事象がある警察を一生懸命かばおうとしか思えない。何のために、この警察刷新に関する緊急提言、これをもうちょっと重く、国家公安委員長、受けとめてくださいよ。この内容は何かというと、先ほど言いましたように、国民不信、警察がこれほどの国民の批判、不信感を受けるに至ったことを深く憂慮して、その原因はどこにあるかを検討し、それを防ぐ方策はないかを考えて提言されたわけですよ。これを国家公安委員会が、そして委員長が受けとめてもらわないと、あとはどうしようもないんだ。

 そういう意味で、公安委員長、もう既に全警察の内部監査は指示をされたと思いますし、それから、この問題に関して、鉢呂さんからもお話ありましたが、法律を守ろう、自分は悪いことをしたんじゃないかという人は大いに申し出てもらって、事実解明を図るために、国家公安委員長として、二十四万の警察とそしてOBの皆さんで、こういう問題に、見たり聞いたり、自分がさわったりした人、それは大いに国家公安委員会に申し出てもらいたい、そして、この際、国民からの信頼を回復するために抜本的な改革を行いますぐらいの、そういう決意を表明していただきたいと私は思うんですが、委員長、どうですか。

小野国務大臣 それぞれの県警にはそれぞれの公安委員会がございます。その公安委員会のやはり督励の中にいるわけでございますので、それぞれ、つかさつかさ、それぞれの県の中においてまずは姿勢を正さなきゃならないところは正し、そして国民の負託をきちんとしていくということの中において、それを統括いたします警察庁がまたリーダーシップをとっていき、私どもがそれを管理、督励させていただくということでございますから、気持ちといたしましては、きちんと警察庁を督励しつつ、警察庁はともに各都道府県警を統括するわけでございますので、その形の中において、それぞれが努力していくことに尽きると思います。

大畠委員 公安委員長、それはちょっと実態が違うんですよ。

 実は私、北海道へ行きまして、公安委員会の方とちょっとお話をしたいと言って会見を申し入れたんですね。そうしたら、公安委員会の方は多忙のためにお会いできませんでしたが、事務担当の方がお見えになりまして、何と言ったと思いますか。私が聞いたんですよ。この事例について、公安委員会の基本的な考えと今の活動の状況をお伺いしたいと言ったら、後ほど詳しく道警本部長から御報告があると思います、これが公安委員会の事務局の答えなんです。公安委員会、要するに北海道の公安委員会からの答えなんです。公安委員長、そんなところに、今のような形で期待することができますか。

 実はこの提言の中にも入っているんです。各都道府県本部と公安委員会との関係、あるいは警察庁と国家公安委員会との関係、このことについてさらに基本的なことを考え直さなきゃならないと思うという、そんなのも入っているんですよ、この中に。公安委員会が第三者機関的に監察点検機能を十分になし得るようにということとか、あるいは、国家公安委員会と警察庁、それから各都道府県の公安委員会と各都道府県本部との関係、このことについてもやはり見直しをすべきだというような趣旨のものも入っているわけですよ。だから私は、前回の法案改正というものと今回の機構改革でもって一件落着とはいかないと思うんですよ。

 それで、公安委員長に次にお伺いしたいのは、県警と公安委員会との関係、それから県警と警察庁との関係、それから警察庁と国家公安委員会との関係、こういうものを、国家公安委員長としてどういう御認識でおられるのか、ちょっとお伺いしたいんです。

小野国務大臣 各県の公安委員会は、その事務局は県警の職員であり、十分なチェック機能を先生がおいでになったときも果たしていたかどうかということに対する不満も少々おありだと思いますけれども、平成十二年の警察改革要綱に基づきまして、公安委員会の管理機能の充実と活性化というものが進められておりまして、その一方策といたしまして、公安委員会の補佐体制の強化が図られているところでもございます。

 全国の公安委員会の補佐室なども、人員につきましては、平成十二年一月ごろは百十一名であったものが、平成十五年十二月には二百三十三名と、非常に機能的に活動できるように人員も整備をいたしまして、それぞれが、委員会の運営状況といたしましても、例えば、定例会議以外の場におきましても、委員会の皆さんの中での意見の交換の機会もふやしているところでございます。

 また、警察署へ出向きまして活動状況をじかに視察すること、あるいは第一線の警察職員と直接意見交換を実施したり、大変活動は活発化していると私も認識しておりますし、私自身も、それぞれの地域へ行きましたり警察大学へ行きましたり、あるいは女性警察官を集めて懇談の機会を持ったり、でき得る限り現場の皆さんとの交流を深めながら、国家公安委員としてあるいは警察庁としての皆様方との話し合いを広めさせていただいております。

 先生もこの本をお持ちでございますけれども、この六ページには、国家公安委員会の活性化を、管理概念の明確化等々、具体的な点がここに書いてございますけれども、やはり、管理能力の強化という点はとても大事なことだと思いますし、そこに重点を置きながら、そして、警察の閉鎖性という問題に関しましても、これから大いにオープンにしながら、インターネット等々で委員会の様子等も全部流しておりますので、透明化を目指しながら、そして、国民の立場に立った警察というものを目指して努力をしている最中でございます。

大畠委員 今、警察の閉鎖性というお話がありましたが、そこが一番問題なんですよ。今回の改革問題では打ち破れていないんです。先ほどから言うように、報償費関係は全部これは捜査上の秘密だから言えませんと。架空の住所と名前でもって、二十万円のお金。これは税金ですよ。二月十五日から三月十五日、みんな税金を払いましたよ、国民が。その払った税金が、架空の住所と架空の名前で出金される。それを会計検査院も監査する環境にない。一枚の住所と名前があったけれども、それはお店が閉まっていておかしいというのを半年間ほったらかしている。こんな環境下で、公安委員長、私が先ほど言いましたように、この緊急提言と警察改革要綱の間には非常に乖離があるんです。どこかで何か抜け落ちてしまっているんですよ。

 ですから、国家公安委員長、これを見るんじゃなくて、後藤田さんがつくった警察刷新に関する緊急提言、これをベースにして、日本の警察の大改革をやってくださいよ。そうじゃなければ、元スポーツ選手として世界に名を広めて、また、日本の国民の期待を担った小野先生が国家公安委員長になったかいがないじゃないですか。

小野国務大臣 いろいろ御質問いただいたわけでございますけれども、一番大事なのは、今先生がおっしゃいましたように、警察の閉鎖性という問題がまずはということで、何を聞いても言えないという点がございます。

 確かに、そういう点に関しましては、私も不満がなかったわけではありません。しかし、中に入ってみますと、やはり、例えば暴力団関係から情報をもらった場合に、そこに名前が記されているということは、いつそれが外へ出るかわからないということの中に、どうしても……(大畠委員「全然委員会にも何にも出ないのに。出ないですよ、これは一生。だって、私たちも知らない、あなたも知らないんだから」と呼ぶ)

山本委員長 発言中は控えてください。

小野国務大臣 そういう場合に、小野清子と。私がそういう情報を持っていって警察に行って、小野清子、大田区何がし、こういうことは、身の安全を考えたときには言えない。こういう場合にどうするかというのが、ある意味では警察の苦しさなんです。ですから、そこをどう理解するかということで、それに関しては今回も、そこを何とかしていかなければ……(発言する者あり)静かにしてください。そういう関係では、原口さんのお話にもありますように、だれかの名前を使わざるを得なかったというこれまでの状況は、まずは御理解いただけるだろうと思います。

 そこをどうするかということで、今後は一切、本人の名前以外のものはもう受け取らない。ではどうするかということの中に、捜査員の事情を書いた文章あるいはサイン、そして上司のサインあるいは署長のサインをそこにつけることにおいて当人にお金が行ったことの了承を得るというふうな形を、今、大方できていると思いますけれども、つくろうとしているわけです。

 その辺が、通常の仕事の開放性というものと警察のいわゆる閉鎖性と言われることの中の非常に苦しいところで、情報が飛び交う中でも本当に欲しい情報がどうやったら得られるかというと、今度は名前を書かなきゃ絶対に報償費はもらえないということになったら、もう警察にはこういう情報は持っていくのはやめようということになれば、警察がどんなに走り回って情報を得ようとしても、口を閉ざされてしまったのでは情報が入ってこない。この辺が警察の立場に立てば一番苦しいところで、そこをどのように改革していくかということに職員一同悩みながら、今いい案を考え出そうとしているところでございます。

大畠委員 やっと小野大臣らしい肉声を少しかいま見た感じがいたしまして、ぜひそれはやってくださいよ。

 今、私の手元に入ってきた情報では、先ほどの福岡県警の話ですが、広川さんという方が実名で記者会見しましたな。広川さん、六十七歳の方ですが、そしてこの問題、告発をされたそうですね。今情報が入りましたが、この方が告発をして、そういうことがあったんだと。ですから、小野先生おっしゃるように、なかったんだということじゃないんですよ。

 そして、この問題、性善説をとるか性悪説をとるかですが、やはり小野先生、国家公安委員長として、警察庁の言うことを何でもうのみにするんじゃなくて、私たちは政治家ですから、国民の立場に立って、不正があればだめと、国会議員だろうが警察だろうが市民だろうが、法のもとには平等ですよ。警察だけが内部で、実名を書かなくていいからというのでこういう、鉢呂さんが――原田さんという方は、ひょっとしたら、かなりのことを覚悟しながら出てきたんじゃないですか。それに国家公安委員長もこたえてあげなきゃならない。

 一市民が、国民が立ち上がったんです。それに対して、いや、そういう事実はありません、単なる経理上で、全部業務に使いました、それだと私は思うんですと。それは余りにも、国家公安委員長、こういう実名で出る方だってつらいですよ、昔やったんだから。原田さんだって、自分でやったんだから、つらいんだよ。しかし、自分でやって悪かったことは明らかにして死のうと思っているんじゃないですか。日本の国はやはり侍の国なんですよ。そうでしょう。やはり、不正は許さず。相手も否定するけれども、自分さえも否定したんじゃないですか、この原田さんは。自分が英雄になろうなんということは全然ないんだよ。私は、こういう日本人の心にこたえてあげなければならないと思いますよ。

 そろそろ時間になってきたんですが、委員長、私はちょっと宣言しておきますが、この問題は、今度、二十九日の日に調査に行かれるそうでありますが、現地調査をやった後、もう一回集中審議しなきゃだめですよ。したがって、小野大臣、私たち委員会として調査に行くという計画をしているそうですが、現地で原田さんの話とか、警察、道警本部長とか、関係者の話を聞いた後、もう一回、委員長、調査しっ放しというのは一番いけないですね、調査した後、それを踏まえて委員会で集中審議するということをぜひ理事会に諮っていただきたいということをお願いしたいと思います。

山本委員長 理事会で協議させていただきたいと思います。

大畠委員 それで、私は今いろいろと申し上げてまいりましたけれども、いずれにしても、国家公安委員長、国家公安委員会と警察庁、それから警察庁と都道府県本部、そういう全体構図がどうも日本の時代に合わなくなってきているんじゃないかと思うんです。

 自治警察というようなところに中央警察が、主要なところに全部キャリアが入る。この仕組みもそろそろ機構改革をして、自治警察はその県とか都道府県で採用された人がトップに上り詰める、そういう仕組みにしなかったら、やはり、警察官が、よしやろう、おれは警察が好きなんだ、プライドを持つ、そんな生き方がある、警察官募集、それに応じて自分の人生を投入しよう、そういう意欲を持つためにも、私は、国家公安委員長、ぜひ、警察庁と都道府県本部の警察、そして地方自治体で一生懸命頑張っている警察官を鼓舞するためにも、そういう機構改革を考えるべきだと思います。

 また、二十四万いる警察官のうち、本当にこれでいいのかという思いを持ちながら一生懸命頑張っている第一線の警察官のために、先ほど、一月一万か五千円ぐらいずつ渡して、その中でタクシー代とか何かやってほしいというけれども、そんなちっぽけな話をしているから結局裏金を使うようになっちゃうんですよ。月一万円で対応できますか、経費として。だから、それも、表で使える金を大事にしてほしいというのが原田さんの言い方なんですよ。表で堂々と使えるものがないから裏金に回っちゃった、これも機構的に問題があると思うんですよ。

 最後に、国家公安委員長のそういうことを統括した御意見をいただいて、質問を終わります。国家公安委員長、どうですか。

小野国務大臣 夢を持った警察官になりたいという、おかげさまで今のところ希望者が大体十倍を超すという現実の中で、私たちは、その姿を、期待にこたえていかなければならない、そういう気持ちいっぱいでおります。

 また、県警本部長になるのも、地元の方から上がっていっている方もいないわけではございません。それと同時に、各都道府県の警察と警察庁の人間とのコミュニケーションをつけていくということは、これから国際化をしていったり、あるいは一つの地域の事件が他県にわたるというふうなことになってくることをかんがみますと、非常に、警察庁あるいは各都道府県の県警との連携というものをより一層密にしていかなければならない時代にも入ってくるわけでございます。

 そういう意味におきましては、とにかくつかさつかさがしっかりと、もう一度心を締め直して、先生の御期待に沿えるように頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

山本委員長 次に、泉健太君。

泉(健)委員 きょうは大変長い審議が続いておりまして、各先生方も本当に、日々から内閣委員一人一人が警察行政に対してしっかりと頑張っていただきたいという思いを持っている中で、こうして審議に臨んでおります。どうか誠実なお答えをお願いしたいというふうに思いますし、我々民主党も、何も警察が憎くてやっているんじゃないんですね。

 私たちは、前回のマニフェストにも警察官増員を書かせていただいて、治安の回復も急務だということを主張し、そして、警察の刷新が、それこそが国民のためになるという思いで、今こうして、悲しい思いを持ちながらこの問題を扱っているということを、委員長、ぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 しかし、きょう一日のいろいろな議論を見させていただいて、やはり、正直言いますと、私も北海道に視察に行ってまいりましたけれども、北海道では北海道公安委員会が警察本部の中にもちろんあるわけです。恐らく、四十七都道府県、どこを見ても所在地はほとんど一緒ではないのかなというふうに思っておりますし、こうして国家公安委員長のお姿を見ていても、独立の事務所とスタッフが本当はあればなというふうに思っておられるのではないかなと思います。

 国家公安委員会並びに都道府県公安委員会の独立ということに対して、委員長の御意見をいただきたいというふうに思います。

小野国務大臣 警察の中にはございますけれども、国家公安委員会の場合には、大変狭うございますけれども、一人ずつ一応お部屋を持ちまして、それで、曜日をつくりまして、問題に対して委員同士の会合も開いておりまして、定例は木曜日ということになっているわけでございます。

 皆さん、このような辞書を小わきに抱えながら、非常に熱心にしていただいておりますし、公安委員会がオーケーを出さずに、二度も議案を先へ先へ延ばして、時間をもらいたい、もっと検討したいということで、警察庁には相当待ってもらいながら議案を進めているという状況も、私、何度も御一緒させていただいておりまして、大変ありがたいことだと。何でも警察庁がこう出したら、はい、いいですよなんてことは、大方ございません。

泉(健)委員 大変お忙しい国家公安委員長かと思いますが、ぜひ、いろいろな資料を見ていただきたいというふうに思います。

 私も、この質問をさせていただく前に、ある県のホームページを見させていただきました。そうしましたら、この全国的な問題が起こっているさなかにもかかわらず、毎週行われているその都道府県の、ある県の公安委員会の中では一切この問題が触れられていない。北海道でこんなことがありました、静岡で、福岡でこんなことがありました、一切その問題が公安委員会の議題にのってこないわけですね。なぜなのか。

 私は北海道に行ったとき現場から話を聞いてきましたら、公安委員会の中で話し合われる議題については警察から提示がありますということをおっしゃるわけですね。この態勢でいいというふうにお思いでしょうか。

小野国務大臣 内容的には、議案の方は警察庁の方から出されるものもありますけれども、委員が、委員会が開かれる前後に委員同士の会話の時間がございますので、そういうときに問題点をどんどん出し合っておりますし、また、議案が終わった後も時間の中で相当長くやりとりをいたしておるというのが現状でございます。

泉(健)委員 議事録に載っていないんですよ。それ、笑い事で、雑談で、お茶を濁すような話で、我々やっています、事前と最後の方の雑談で我々話をしていますから機能しているなんということにならないのじゃないですか。

小野国務大臣 私は県の方は承知しておりません、どのようにやっているか。

 ただ、国家公安委員会の方としては、議事になる前のソファーに座りながら話している内容に関しましては、決して世間話などというものではございません。

泉(健)委員 国家公安委員会には、現在国家公安委員会に勤めておられるという事務局員、職員さんは何名おられますでしょうか、出向を除いて。

吉村政府参考人 警察庁の長官官房の中に、国家公安委員会会務官というのが政令職でおります。その会務官以下十三名ぐらいだったと承知をしております。

泉(健)委員 この方々は警察庁の職員ということで考えてよろしいんでしょうか。

吉村政府参考人 そのとおりでございます。

泉(健)委員 ということは、国家公安委員会として雇用をしている人たちはいないということになるわけですね。そもそもは警察庁で雇用されているわけですね。

 私はこれも非常に問題だというふうに思います。都道府県でもそうです。国でもそうです。独自の事務局がない、部屋はあってもそれは間借りをしているような状況であるということを今後も続けていけば、これは公安委員会が、もう一度冷静に考えてみてください。国民の目から見たときに、本当に独立をして、言いたいことを言い、そして警察を、先ほどおっしゃったように管理、督励するということをされているように見えないというのが、これはもう事実だと思うんです。国民の立場に立って普通に考えたら、それが事実だと思うんです。

 だからこそ国家公安委員長にはこの点、国家公安委員会と都道府県公安委員会の独立を、やはりこれから、食の安全についても我々議論をし、一生懸命、今のままではいけない、厚生労働省と農水省、今のままではいけないから独立した機関を設けてやろうじゃないかということでトップについていただいたわけですね。であるならば、公安委員会もやろうじゃないですか。国家公安委員長、お願いします。

小野国務大臣 公安委員会といたしましては、独立事務所を設けるということになりますと、先生、事務局と警察庁、そういうものが都道府県警察本部との二重構造になってしまいますので、むだと効率の低下を招き屋上屋を重ねる結果となってしまうということから適当ではない、そのように考えております。

 先生、先ほどお話しされましたけれども、私どもは別に、国家公安委員は、警察庁に遠慮して物を言わないなどという先生は、委員会の委員にはなってございません。大方厳しいことをもうどんどんおっしゃいますし、想像以上にいい意味でブレーキをかけたり、時には深い御理解をしてくださったりという立場で、それぞれがまさに誇りを持って頑張っているものでございますから、例えば部屋が狭いとか、警察の中にお部屋があるから、そういうことで毒されているような、この言葉は悪いですね、取り消しますけれども、そのために活動が抑制されるということは全くないことをこの場をおかりして申し上げたいと思います。

泉(健)委員 これ以上この場で話をしても進展はないのかもしれません。お言葉をいただけなかったのは残念ですが、これは与党の皆様とも協力をして、そういう部分は共感をいただける方も非常に多いんではないのかなというふうに思っておりますので、ぜひこれは政治の課題として取り組んでいきたいというふうに思っております。

 今、北海道、そして先ほどもありました福岡あるいは静岡、いろいろなところで不正の実態が明らかになっております。大体手口は、残念ながら似たようなものになっているわけです。

 委員長、やはり私は、これも国民から冷静に見たときに、もう警察職員さんの家族や親戚、警察職員さんから聞いている方もいると思います。あるいは客観的に見たときに、実は、現場の方々の手当がピンはねされていたよとかいろいろな話は、もうこれは公然の事実になっているわけなんです。でも、いまだに皆様の対応というのは、個別の案件について調査をいたします、個別のことについては遺憾に思いますという対応に終わってしまっているわけですね。

 私は今、三月三十一日という、まだ文書を廃棄する期限が迫っている現在、やはり全国的にこういったものがあったということを認めるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 私が私の感覚の中で、全国的にあったなどということは、ちょっと言葉を差し控えさせていただきます。

泉(健)委員 ということは、小泉首相の言っていることと一致しないというふうに考えてよろしいんでしょうか。

小野国務大臣 小泉総理はそのようなお話はされておりません。

 とにかく国民の信託を受けるようにというお話はいたしておりますけれども、今委員がおっしゃったような形の中で、私と何ら心の中で、また方針において不都合なところがあるとは思っておりません。

泉(健)委員 これで休憩になりますが、小泉首相は日本全体の警察にかかわる問題だということも言っているわけです。

 とりあえず終わります。

山本委員長 午後三時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後三時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時四分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。泉健太君。

泉(健)委員 ありがとうございます。再びお時間をいただきました。早速始めたいと思います。

 先ほどの続きになりますけれども、北海道、静岡、福岡と、不正の実態が明らかになってきたという段階で、やはりこれは全国共通の問題として考えるべきではないかということを、私、先ほど申し上げました。この不正経理は日本警察全体の問題として認めるべきではないか。委員長、もう一度、お答えをいただきたいと思います。

小野国務大臣 北海道、そして今お話ありましたように、静岡の問題等々ございます。それにつきましては、全体としてというお話でございますが、国家公安委員会といたしましては、国民の信頼を回復するためには、とにかく早急に事案を解明し、今後の予算執行の一層の適正化方策について検討を進めることが重要である、そのような認識におきまして、捜査費を現場で使いやすいようにするなどなど、さまざまな施策を講じますけれども……(泉(健)委員「まだ対策は聞いていません」と呼ぶ)ええ、そうでした。済みません。特段の事案があるところは早急に解明をし、厳正な対処をするという形でございます。

 今後、警察庁といたしましては、一気に、時期を同じくして全部解明していくということではなく、少々時期がずれても、年一回は必ず適正なる監査をしていく、そういう形にこのたびをもって改めましょうということになっております。

泉(健)委員 小泉総理が、予算委員会では、これはもう議事録のまま読みますけれども、「これは単なる北海道だけの問題ではなくて、日本警察全体の問題だと私は認識しております。」というふうにおっしゃっているわけですね。

 私は、さっき言った質問とほぼ何も変わらない、もう一字一句と言っていいぐらい変わらないことを言っているわけです。それに対して、公安委員長は、そうではないとおっしゃられるんだと、これは前提をどっちにして質問していいのかわからない状況です。続けられないです。

小野国務大臣 失礼いたしました。

 先ほど私は、総理官邸にお邪魔をいたしまして、私の方から総理に報告を申し上げ、そのときに総理が話したことを頭に置きながら返事をさせていただいたわけでございまして、予算委員会での返事ではなかったということで、まずはおわびを申し上げたいと思います。

泉(健)委員 ということは、予算委員会で総理がこう申しております。国家公安委員長もそれをお認めいただくということでよろしいですね。

小野国務大臣 とにかく信頼回復をしていくということを第一義に考えてということで……(泉(健)委員「日本警察全体の問題だと認識しているか」と呼ぶ)

 全国を調査するどうこうということでなくて、北海道でも起こり、福岡でも起こり、静岡でも起こっているということにおいて、全国というお言葉を使われたんだと思います。

泉(健)委員 そういう解釈がどこで許されるのかはわかりませんが、やはり、この大前提の部分を認めるか認めないかで大きく変わってくるんですよ。なぜか。それは、問題が起きなければ、何か公権力を発動して調査だということにならないかもしれませんが、しかし、今こうして全国で疑惑が起こっている。国民はだれしも、まさか北海道警だけの問題とは思っていない、まさか福岡県警だけの問題とは思っていないわけです。これだけ人事交流もあるわけですから。どの署に行ったって、どの本部に行ったって、大体、皆さん警察の方々は、同じように事件にも事故にも対応する。内部だって大体同じなわけですよ。

 そういうことを国民みんなが知っているから、これはもう全国で認めた方がいいんじゃないですかという国民の声があるわけなんです。それに対して何も今まだ認めないということであれば、これは、具体的に、三月三十一日に一九九八年度分の書類が全国で廃棄をされる。そういう時期が来ているわけですよ。委員長、もし、ではここで廃棄をされました、その後に内部告発がありました、九八年度分のものでした、書類はありませんでしたというふうになったらどうするんですか、これ。責任とらなきゃならないですよ。書類は廃棄されてしまいましたと。

 福岡県警は、実際にちゃんと、問題が起こったことがわかったから文書を保全するということを、対策をとっているじゃないですか。その対策をとらせなくて本当にいいんですか。

小野国務大臣 私の知るところにおきましては、北海道並びに静岡県警の方は廃棄をしないということが決定をいたしておりますけれども、全国にわたってということになりました場合にどのように考えるかというのが今の御質問の内容かと思います。その件に関しましては、警察庁の方ともお話し合いをさせていただいた上で決定させていただきます。

泉(健)委員 そうですね。恐らく、先ほどの話もそうですけれども、この委員全体がそれを望んでいると私は思いますよ。そして、国家公安委員長の姿勢が本当に問われていると思いますよ。ここで指導力を発揮できなかったら、そして、その後に内部告発とかがあって、私は別に、委員長にこの場所からいなくなっていただくような事態を起こしたくないと思っているんです。だから、今のうちにちゃんと対策をとっておくべきだというふうに思っているわけです。

 今、検討していただくというふうに言いましたから、これは絶対に、文書を、三月三十一日までもう少しですから、絶対にこの文書に関してはすべての都道府県において保全をする、そういうふうにしていただくようにお願いをしたいと思います。

 では、答弁をお願いします。

小野国務大臣 他の都道府県警察におきましては、会計文書の保存期間を延長するか否かにつきましてはあくまでも都道府県警察において判断すべきことであるということでございますので、警察庁におきまして検討するように指示することとしたいと思っております。

泉(健)委員 では、ぜひその指示を、指示をして、それを拒否することはあり得るんですか。お願いします。

小野国務大臣 指示をした場合には拒否することはないと思います。

泉(健)委員 では、ぜひ指示をお願いいたします。

 それでは、次の質問に移らせていただきますが、我が党の長妻議員が質問主意書を出させていただいています。その中で、県費と国費の捜査費、報償費に関していろいろとデータを出しているわけですが、平成十三年から、県費、国費、あるいはこれは捜査費だけじゃなくて旅費においても、すべて大幅に減額がなされています。この理由についてお伺いをしたいと思います。

小野国務大臣 お答えをいたします。

 平成十二年度から平成十三年度にかけまして、捜査費の執行額が大幅に減額した理由といたしましては、特に平成十二年以降でございますけれども、刑法犯の認知件数が急激に増加をした点でございます。次々に発生いたします犯罪の初動捜査に追われまして、余罪捜査にまで手が回らないために、引き当たり捜査の件数が減少して、内偵捜査にまで手が回らなくなってきているという点が一点でございます。

 それから、都市化あるいは核家族化の影響等を背景といたします国民の警察に対する協力の意識の変化によりまして、情報の収集活動が非常に困難になってきているという点が二点でございます。

 それから、時代の変化とともに、国民から警察に寄せられる相談件数が、この点は逆に十二年から大幅に増加をいたしております。相談内容も大変複雑多岐にわたっておりまして、警察活動に影響を与えたと思われます。

 さらに加えまして、平成十三年四月からは情報公開が施行されることや、あるいは十三年から平成十四年にかけましての、道府県警察が情報公開条例に規定する実施機関となったことによりまして、捜査協力者においては、警察に対する協力の事実が公になるのではないかという危惧を抱くこととなり、協力が低下をした、こういう新たな捜査協力者の確保が困難となったこと。

 それからまた、五番目でございますけれども、熟練した捜査員の大量退職を迎えまして、情報収集の能力が低下したことなどが考えられる理由でございます。

泉(健)委員 非常に、どうですかね、皆様、この理由を聞いていただいて。どれだけそれをまともに聞くのかなと。確かに、幾つかは正しいものもあるというふうに思います。

 しかし、その理由だけで、では、県費、今まで平成十二年ぐらいまで三十八億から三十六億あったものが、二十八億から二十五億、大体マイナス十億円ぐらい県費だけで減っているわけです。では、国費はどうか。八十億円ぐらい毎年出ていたものが五十億円ぐらいまで減ってしまっている。マイナス三十億円ですね。すごい減り方ですよね。合計で四十億円も減っているわけです。

 そしてまた、現金謝礼をした回数、これが平成十二年までとそれ以降でいうと、まず県費の部分でいくと、一年間に十万回近く激減をしている。国費についても十万回近く激減をしている。先ほど御説明いただいた理由で、私は、それは成り立たない話だと思うわけです。

 先ほど官房長からも話があったかと思いますけれども、捜査諸雑費制度、いろいろと前渡しをしたりですとか、いろいろ制度を変えましたよね。あるいは、情報公開法もあって、もうこれからは、ある意味、すべてが明らかになりますよという状況になったから減ったんじゃないですか。違い、わかりますか。明らかに違いますよ。外部の要因をいっぱい引っ張ってくるのもいいですけれども、明らかに理由は違うんです。

 今まで自由に、自由にというとあれですが、今まで表に出なくても使えていたものが、制度を変えて、これだけ緊縮型というか、これだけスリムになったわけです。逆に言えば、この部分が大きな意味でさまざまな不透明な使われ方をしたというふうには思いませんでしょうか、委員長。

小野国務大臣 考え方も一つあろうかと思いますけれども、昭和の時代と比べますと、刑法犯認知件数も倍以上になっておりますし、その捜査というのは非常に多岐にわたっております。八〇数%の検挙率があった時代と、今二三%の検挙率であるということをかんがみましたときに、そこの中における内容のありようというものを私はかいま見るところでもございます。そういう時代の違いの中でこういう形が生まれてきたものと承知をいたしております。

泉(健)委員 先ほど市民の警察意識の変化なんということを言いましたが、一年間でそんなものは変わらないですよ。やはりそれは段階的に変わる話であって、協力者が一気に減ったとか、あり得ない話ですよ。それだけのものが一年間で急に減るなんという話じゃないわけです。

 あるいは、これはほぼ多くが銃器対策なり薬物対策ということに使われるわけですよね。では、銃器対策や薬物対策、ずっと統計を見てみるとどうなるかといえば、別にそれ自体が減っているわけじゃない。

 要は、さまざまなそういった犯罪は依然として起きている状況を考えれば、そういう人たちに対する協力費がそもそものこの捜査費の主目的であるならば、継続して出されていていいはずじゃないですか。でも、それがそうなっていない。この矛盾をどう思われますか。

吉村政府参考人 今、大臣からいろいろと御説明があったとおりなんですが、実際に、第一線の現場の声を聞きますと、先ほどの大臣の御説明のとおり、実態的に、いわば捜査員のデスクワークが必然的にふえてきている面が実はございまして、第一線でなかなか外に出るチャンスが、相談業務もふえたりいろいろございます、減ってきたということがございます。

 やはり長いスパンで見た場合に、委員御承知のとおり、決算額で見ると、平成五年度七十九億であったのが、順次ずっと減っていって、平成十四年度は五十一億まで減ってきているという状況であります。

 例えば捜査手法の問題を考えましても、薬物事案等につきましては、これは、新たな通信傍受法とか、こういうものも出ておりますから、いろいろと、私どもは必要なところにはどんどん捜査費にお金を使うべきであるとは思いますけれども、結果としてこのような決算額になっているということで御了承いただきたいと思います。

泉(健)委員 国民の皆さんがどう見るかです。これだけ制度が変われば、減額をされるというか、スリムになるわけですよ。では、今までは何だったのかということは、やはり国民だれしもが考えることだというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 私にも、友人に警察官がいますし、親戚にも幹部をしていた人がいます。そういった意味では、先ほどいろいろな委員が話をしているとおり、我々どの国民にとっても警察官というのは身近な存在であるというふうに思っています。

 その現場が今どういう思いを持っているかといえば、北海道のケース、あるいは全国のケースでいうと、例えば、捜査車両を事故をしてしまった、そういったときに、緊急に直してすぐ使わなきゃならないときがある、これは現場の警察官の声ですよ。そういうときに、やはりプールしたお金からその修理費用というものを出して、正規で出していたら間に合わないから、修理費用を出して使っていたというものも上がってきていますし、あるいは、緊急に捜査が入った、対応しなきゃならない、ではすぐ出そうということで、残念ながら、適正な形でプールしていなかったお金もあるわけです。

 あるいは、幹部が転勤をするときにせんべつを贈るなんという、これはなかなか組織の中では表に出にくいけれども、全国的にもう知れ渡っているそういう習慣みたいなものはあったわけです。あるいは、監察や視察に来た幹部、中央の幹部ですとか、あの雪見酒事件にもあるように、接待をするというものも事実あったわけですよね。

 そういったことは、委員長、認識をされていますか。

小野国務大臣 車両が壊れたとか、具体的な点で、そういうものに自腹を切っていたというふうな話を聞くにつけて、私なんかは、そんなのはおかしい、なぜきちんと請求しなかったんだろうと思いますし、そういう意味におきまして、使うべきところにきちんと使われていなかったのかどうかということは、逆に私の方で不信感を持つくらいでございます。

泉(健)委員 そうですよ、これが実態なんです。この全国各地の現場の警察官の声を知っていただきたいんですよ。本来の目的以外に使わざるを得なかったものもあるわけです。あるいは、それが逸脱をして全く私的に使われていたものもあるわけなんです。

 でも、そういう実態を我々民主党はただ批判をするだけではなくして、変えていきたい、適正化をして本当に信頼される警察に変えていきたいというふうに思っているわけなんです。ただ、そのためには、今までやったことをちゃんと認めることこそが警察再生につながるというふうに思っておりますので、ぜひ、冒頭の質問にも戻りますけれども、やはり認めていただくということがこれは大切なんだというふうに思います。

 それでは、一つ一つの費用についてちょっと話をさせていただきたいと思いますが、北海道警では稲葉事件という事件が以前起こりました。これは、銃器対策課で仕事をしていた職員がけん銃のでっち上げ事件を起こしたということで警察から処分を受けた事件なわけなんですけれども、これもまた、捜査費が適正に使われていなかったことで、その現場の捜査員が自腹を切って捜査をせざるを得なかった、その結果、最終的には行き詰まってこういったことになってしまったということが言われているわけです。

 こういった捜査費についても、やはり何が問題かといえば、現場の方々からいろいろなお話を聞きますと、現場にちゃんと行き渡らない、目的外使用が今まで行われていた、それが数年前から前渡し制度で少し改善をされるだろうけれども、私からしてみれば、例えば、ではどんなものに対してこの捜査費、報償費、協力費、これが渡されるのか、ではその額は、何のときはどれぐらい、そういう基準はどんなものになっているんですかということが全く決められていないんじゃないかという話を聞きました。

 このことについて、官房長、お願いします。

吉村政府参考人 捜査費用を多方面にいろいろな形で執行しておるわけでありますが、そのうちの一つが、捜査諸雑費というのがあるわけです。それ以外に、ある特定の固定的な協力者、あるいは事件の情報等を寄せていただいた協力者にお金を払うということはやっておるわけでありますが、基準的なものは確かにございません。ございませんが、それはしかし、渡す人が、ではこの人は三万円、あるいは五万円ということを任意で決めているわけでは決してございませんで、事前にその接点をとるについては上司なりと十分相談をした上で、ではこのような話であればこれぐらいかなということでやっておりますので、いわば個人判断で恣意的な捜査費が使われているということはないと思います。

泉(健)委員 しかし残念ながら、そういったことで、全国各地、捜査費をめぐっての、あるいは捜査費に関係ないかもしれませんが、特にこの銃器対策関係の、薬物対策関係の方々のさまざまな犯罪というのが頻発をしている状況があるわけですね。やはり、十分に捜査費を手当てすること、これも必要でしょうし、そして、適切にその捜査費が使われるようにもっと透明化、客観性を持った基準というものをつくっていかなければ、これは将来的にまた非常に悲しい事件が繰り返される可能性があるというふうに私は思っております。

 全国の現場で頑張っている捜査員のためにも、より客観的に見ておかしくない基準というものを、今、この予算執行検討委員会、されていると思います。一つ一つ、旅費もそうですし、いろいろなものについてもそうですが、ちゃんと、この件については、この科目については、この費用についてはこういう対策をとりますということを明示していただきたいと思いますし、国家公安委員会に対しては、週一回、この予算執行検討委員会で話された内容が報告をされているというふうに認識をしております。

 我々、警察行政を一手にこうして審議をする内閣委員会においても、この予算執行検討委員会の報告があっていいのではないのかなというふうに私は正直思っておるところですので、このことについても、この委員会の報告がいつまでにどんな形でしっかりと出されるのかということを注目しているところです。そういった意味で、また最後にこれは答弁をいただきたいというふうに思っております。

 とにかく、もう時間がありませんのでここで終わらせていただきますが、私たちは、この問題について警察再生を一番に考えています。しかしながら、認めないというままでは警察再生にならない。だからこそ、この機会を通じて、現場の問題点、まだまだ不透明な部分があるというのであれば、一気にすべて出して警察再生しましょう。そして、国家公安委員会、都道府県の公安委員会もしっかりと警察から独立をさせて、警察に対するオンブズパーソンというのも我々民主党は言っていますけれども、外部的にしっかりと警察の業務を監視できるように、監督できるようにこれから主張をまた続けていきたいと思っております。

 最後に、官房長と委員長のその決意をお聞かせいただきたいと思います。

吉村政府参考人 まず、予算執行検討委員会でございますが、二月に設置をして以来連日のように会議を開いておりまして、これまで、例えば、都道府県の監査委員が都道府県警に赴いてみえた際に捜査員に面談をさせるのかどうかということについていろいろ御議論がありました。基本的には府県警の問題だとは思いますけれども、いろいろ説明しても信証を得られないということで、会わせろという要望があった場合には、これに前向きに対応するようにということで通達を出しました。

 それから、領収書の話は、さきにも申し上げましたけれども、これから、来年度からは、ことしの四月からは警察の領収書は実名だけにするということで、これも不透明の温床だという御批判もあるところでありますので、領収書の名義人は実在の者に限っていこうという、これも通達を出しました。

 今現在やっておりますのが、会計の監査のあり方について、内部監査ではないかという御批判はあるかもしれませんけれども、警察庁の会計監査、管区警察局の会計監査、そして都道府県警の会計監査のそれぞれの部門におきまして、やはり今申し上げましたように、例えば、実名で領収書がとれない場合の対処の仕方が本当にきちんと行われているのかどうかということも見ていかなければならないと思いますし、今年度あるいは昨年度の部分についてどのように執行されていたのかということについても、これは先ほど大臣からもお話がございましたように、毎年必ず、四十七都道府県、警察庁、管区警察局から赴いて監査を受けさせるという形にしていきたいと思っております。

 そういうことで、一つ一つ今対策を講じておりますので、今委員がおっしゃいましたように、まとまったものとして、冊子的な報告書をまとめるということではなくて、その施策のまとまりができました段階ですべて公安委員会に報告をし、指示をいただいて、各都道府県警に通達をしているという状況でございます。(泉(健)委員「議事について毎週報告していますよね」と呼ぶ)

山本委員長 時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

吉村政府参考人 執行検討委員会の検討状況については、国家公安委員会に適宜ペーパーを配って、口頭で報告をしているという状況はございます。

小野国務大臣 予算執行検討委員会の報告を受けまして、管理、督励してまいります。

山本委員長 次に、太田昭宏君。

太田委員 公明党の太田昭宏です。

 今回の法改正で、組織犯罪対策部の新設ということが言われるわけですが、先般、小野大臣には、組織犯罪対策ということの中に万引き対策、万引きが最近は組織犯罪という形で非常に状況を異にしているという取り組み方を、委員会を通じ、また、お会いをさせていただいて要請させていただきました。

 一方、私は、観光立国ということが非常に大事だ、それは、日本の今後あるいは経済という上からも大きな柱にしなくてはいけないというふうに考えて今日まで来ましたし、小泉内閣も、観光立国にしようということで、いろいろ対策を練るということで大きく進んできているという状況にあろうと思います。

 ところが、一方で、外国人の犯罪が多いということもありまして、実は、この三年ぐらい、中国の訪問を野中先生や古賀先生や二階先生とともに行かせていただく中で、率直になかなか言いにくい話のこうした中国人の犯罪ということについても指摘をさせていただき、昨年の十一月には、日本の中国大使館に公安当局が二名赴任をするというようなことにもなりました。

 もっとこの観光ということに力を入れなくてはいけないという側面と、どうしても外国人犯罪というここのところが、私は、警察当局が来ることを拒むというだけであってはならないのではないか、非常に大事なことに直面をしている。今回、組織犯罪対策部というのができたということは、単なる取り締まるという以上に、日本のそうした観光も含めたトータルな物の見方の中で対応していかなくてはいけない、こういう観点が私は大事だというふうに思っております。

 そういう点では、まず、めり張りが大事だというふうに私は思うんですけれども、外国人の犯罪というものが、検挙件数や検挙事由、そうしたこと等についてふえているということについても、私は、冷静にここは数字も分析もし、二十五万人の不法滞在がいるといっても、果たしてその二十五万人がいるという指摘が、一体、どこのだれかということを数を数えて二十五万人になるならば、二十五万人全員を早く帰せというようなことを実は外国の人自身が指摘するというようなこともありますから、まず、現状についてお聞きしたいと思います。

三谷政府参考人 まず、在日外国人犯罪の増加についてですが、ちょっと数字で恐縮でございますが、平成十五年中の在日外国人犯罪の総検挙件数・人員、これは刑法犯と特別法犯のそれぞれを足したものでございますが、検挙件数が四万六百十五件、検挙人員が二万七人でございました。いずれも前年に比べ約二割増加し、ともに過去最高となっております。これを五年前と比較いたしますと、件数で約三割、人員で約五割、おのおの増加しております。さらに、十年前と比較いたしますと、件数で約二・一倍、人員で一・六倍となっている状況にございます。

太田委員 外国人犯罪だけが増加しているというよりは、外国人犯罪のみならず、それ以上に犯罪全体がふえている。それが、九五年、九六年、九七年という、なぜそこからふえているのかという分析や、検挙率が極めて低いというようなことについて、どう考え、どういう対策をしようとしているのかということについてお聞きをしたいと思います。

栗本政府参考人 ただいま委員御指摘のように、残念ながら、全刑法犯で見ましても、一貫して増加傾向をたどってきたわけでありますし、平成十四年まで七年連続で増加しておりまして、そのような状況を踏まえまして、昨年は全国的に、国民の協力もいただきながら、いわゆる街頭犯罪、侵入犯罪抑止対策を展開したわけでありますが、これによりまして、昨年は前年比では若干の減少をし、いわゆる増加傾向の歯どめがかかったか否かという状況にございます。

 また、検挙率につきましても、昨年は一昨年と比較しまして若干増加しておりますが、私どもとすればまだまだ大変厳しい情勢と認識しております。

 そのような増加の原因につきましては、一概に言うのは大変難しいわけでありますが、その中の検挙状況で見ますと、やはりその中の一つの要因としては、先ほど御指摘になられました在日外国人犯罪の増加ということがあるだろう。また、より量的には、少年非行の多発、悪化。さらには、そういうものとも一部関連しておりますが、暴力団構成員らによる犯罪も非常にふえているのではないか、また質的に悪化しているのではないか。こういうようなものを治安悪化の原因として考えているところでございまして、したがいまして、それらの総合的な対策によって犯罪を抑止していくことができるだろうと考えておるところでございます。

 そういうような観点から、警察といたしましては、既に昨年の八月に緊急治安対策プログラム、また、十二月には犯罪対策閣僚会議で決められました諸対策を推進してきた。特に、都道府県警察に対しましては、その犯罪抑止のために、一つは、何よりもやはり犯罪を抑止するためのそのものの防犯対策、それからまた、警察官が街頭に出てパトロールを強化する、それからさらには、被疑者の徹底した検挙活動、こういうものが推進されることによりまして犯罪を抑止できると考えておりまして、そのような観点からの都道府県警察に対する指導を督励してまいりたいと考えているところでございます。

太田委員 先ほど申し上げました観光ということとの関連なんですが、やはり観光ということからいきますと、アジアの人たちが日本に来るということが非常に大事だと思うんですね。そういうことからいきますと、中国も含めたアジアの人たちが日本にもっと来やすいようにという形をとるということで、いろいろな、ビザの問題とか、工夫をしているわけですが、どうしても、入管であるとかあるいは警察当局が、外国人犯罪が多いからということで、これを抑えるという側に回っている。押したり引いたりというようなせめぎ合いの中で、結局は、外国人の観光客というのを呼び込めないという状況があろうというふうに思います。

 総理が一千万という指示を出され、つまり今の二倍、犯罪は半分にしろと。犯罪を半分にして、一千万にする、これは結構ですが、この二つの話というのは、どういう打ち合わせをし、どういうめり張りをつけてやろうとしているのかというのは非常に大事なことだと思います。

 短い時間でいい答えをすぱっと言うというのはなかなか難しいかもしれませんが、そういう問題意識をぜひとも内閣の中で一緒になって、一方では取り締まりの会議をし、一方では観光の会議をするというんじゃなくて、一緒になって、同じ気持ちに立ってやらなくてはいけないというふうに思うわけですが、その辺について、ぜひとも強い姿勢でこれからの取り組みをお願いしたいというふうに思いますし、内閣の中においても小野大臣からその辺についての発言もしていただいたり、よろしくお願いしたいと思いますが、いかがですか。

三谷政府参考人 お言葉を返すつもりではございませんが、私ども警察が観光立国政策そのものに反対しているわけではございません。むしろ、私ども、政府の一員として、国際相互理解を深める上で観光立国政策は基本的に大変意義のある政策だと考えております。

 ただ、一方で、先生御指摘いただきましたように、今後五年間で不法滞在者を半分にするという閣僚会議の決定もちょうだいしております。そういう任に当たる者としましては、観光立国政策に伴う諸施策が悪意を持つ外国人に利用される抜け穴になるということだけはぜひとも避けたいという思いから、関係省庁といろいろ協議をさせていただいております。

 一方、極めてたくさんおいでになるであろう海外からの旅行者が、我が国で安全に快適に旅を楽しんでいただけるというために、警察が果たすべき役割もあろうかと存じております。そういう面で、先生おっしゃるとおり、めり張りをつけた対策をとっていきたい、かように考えております。

太田委員 空き交番をなくせということも、また方針で出ている。三カ年計画ということがあり、そして警察官の増員というのが予算のない中進んできている。進んできているけれども、それが果たして空き交番解消につながる人員配置になっているかどうかということも、また大事な問題だろうというふうに私は思います。

 その辺、本当に空き交番はゼロにできるのか。予算ということの兼ね合いの中で警察を増員したが、空き交番ゼロ対策ということに正面からストレートでつながっていないのではないかという心配をするわけです。ぜひとも空き交番ゼロということに向けて直進していただきたいと思いますが、いかがですか。

小野国務大臣 先生おっしゃいますように、交番に駆け込んでいったら人がだれもいない、これほど町の中の皆様方が不安に感ずることはないと思います。

 そのようなことで、御案内のとおり、十三年におきまして警察官の一万人増員の施策をつくらせていただきまして、十四、十五と四千五百、四千人、そして、今年度に至りましては、三千百五十名という増員に対しまして、今予算のお願いをしているところでございます。

 それにいたしましても、まだ一万人ほど足りません。そうした中におきましては、OBの方々の御協力をいただきまして、交番相談員ですとか、それからさまざまな分野における民間の方々の協力もいずれいただくことになろうかと思いますけれども、心いたしまして、安心、安全のための空き交番対策というものを心にかけて対策を持っていきたい、そのように考えております。

 平成十五年の四月一日現在、全国には六千五百五十六カ所の交番がございます。このうちの二千四百三十五カ所が、大体三七・一%になりますけれども、空き交番になる可能性の高い交番でございます。これは、どういうことかと申しますと、三交代でやっておりますけれども、五人制という場合には、二、二、一になるわけですね。一になった者がちょっと外に行ってしまったらそこで空き交番になる、その確率が三七・一%であるということでございます。

 これからも一生懸命増員を図らせていただきますとともに、テレビ電話システムを、空き交番になった場合に、警察署と、ボタンを押したら、どうしました、こうこうこういうことですということで、いないところに対する配置をさせていただこう、そのような考え方も持っております。そのように、今後、各都道府県が空き交番対策を着実に推進していきますように、督励をしてまいりたいと思っております。

太田委員 一口にサイバー犯罪対策というのですが、極めて専門性の高いインターネットハッカーというようなこともあれば、あるいはインターネットオークションというようなこともあるわけですね。何をねらいとしてやるかということについては、技術的には全然違うわけですが、私は、そういうねらい目を定めてやらないと意味がないというふうに思いますし、同時に、電子政府や電子自治体ということの絡みの中からやらなくちゃいけないというふうに思っていますが、最後にこのことを一言答弁いただいて、終わります。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネット等情報技術を利用した犯罪の取り締まりにおきましては、高度な技術を使用したいわゆる不正アクセス等、これはもちろんでございますけれども、犯罪行為自体は単純でございましても、発信元等の特定でございますとか、あるいはデータの中のそれを証拠化するということに関しましては、非常に高い技術力が必要ということでございます。

 そこで、今時改正によりまして、情報技術の解析を国の統括事務といたしまして明確化して、取り締まりに必要とされる人材や機材の技術水準を全国的に維持向上させるという取り組みを強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、これは、サイバー犯罪に関する条約、これの批准に伴いまして、法整備の動向等も踏まえまして、捜索、差し押さえ現場におけるコンピューターの的確な操作等、それに関する支援要請に的確に応じるということをもちまして、都道府県警察の技術力を補完するという意味ももちろんございます。これによりまして、サイバー空間における全国的な治安水準を向上させまして、国の治安責任を果たしていくという所存でございます。

 それから、もう一つでございますが、電子政府における情報セキュリティー対策についてでございます。

 これにつきましては、御案内のとおり、内閣官房情報セキュリティ対策推進室、これを中心にいたしまして、電子政府の情報セキュリティ確保のためのアクションプランを策定するなど、政府全体として取り組みを進めているところでございます。当庁といたしましても、さらに技術力の強化等に努めまして、これら取り組みに積極的に参画してまいりたいというふうに存じておるところでございます。

太田委員 終わります。

山本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私、警察法というものを考えるときに、やはり一番根底にあるのは、警察がそもそも信頼される組織になるということが一番の根幹ですから、きょう、そういう点では、この前予算委員会でも大臣に伺っておりますが、北海道警の裏金づくり問題について伺います。

 内部文書の発覚に続いて、これを裏づける元釧路方面本部長原田宏二氏の告発証言、さらには道警弟子屈署次長の告発の証言、さらに福岡県警、静岡県警、高知県警、長崎県警など、全国から、元警察官の方や匿名の現職警察官の方から、警察の裏金づくりの問題が続々と告発されております。

 北海道警の中間報告が十三日に道議会に報告されましたが、まるでトカゲのしっぽ切り、こういう状態で、真相を究明するという姿勢が感じられません。

 裏金づくりを告発した原田元方面本部長は、道警の中間報告についてこう言ってはりますね。組織防衛優先の旧態依然とした報告だ。現場の責任と言わんばかりの内容で、警察官はますます肩身の狭い思いをしている、やる気をなくす。道民が真実と受けとめない限り道警の信頼回復はない。こういうことを言っておられます。

 実際、地元の北海道新聞に載った現場の声を二、三ちょっと紹介しておきますと、五十代の警部補の方ですが、上司に予算がないと言われて自腹を切って仕事をしてきた、上層部に裏金が流れたかどうかを解明しない限り組織はつぶれる。二十代の巡査の方は、裏金は幹部が使うことがほとんどだ、夜食や慰労費なんてほんの一部だと憤っている。こういう現場の声が次々と紹介をされています。

 国民も、第一線で、現場でほんまに苦労して働いている警察官の方も納得しないと思うんですね、しっぽ切りのようなやり方では。

 そこで、小野委員長に、こうした現場の声をどう受けとめておられるか、これを最初に伺っておきたいと思います。

小野国務大臣 現場の第一線で働く者が、やる気を持って国民の負託にこたえていくということを考えますと、そういう皆様方に御心痛をかけることは、まことにざんきにたえないわけでございます。

 北海道旭川中央警察署における平成七年五月分及び平成九年度九月分の捜査報償費五十万に関しまして、不適正な予算執行が見られ、また、静岡県警察におきましては、総務課の平成七年度の県費、旅費をめぐりまして、約九百四十万円のいわゆる空出張事案が判明いたしましたことも、まことに遺憾でございます。

 北海道警察の事案につきましては、三月十二日の日に、北海道公安委員会から、警察法第四十三条の二に基づきまして、近年の予算執行について特別調査を行いますとともに、この種の事案の絶無を期すために、会計経理の手続あるいは会計検査等の諸事項につきまして報告をするように、監察の指示が発出されたところでございます。そのことにおきまして、北海道警察におきましては捜査用報償費につきましては新たに必要な専従体制をとりまして、新年度から逐次計画的に全道の調査を実施する方向で検討していると聞いております。

 なお、関係道県警察におきましては、それぞれの公安委員会の指示を受けまして全容解明に向けて捜査を進め、途中経過を先生今おっしゃってくださいましたように報告されたところでございます。

 国家公安委員会といたしましては、既に警察庁に対しまして、これらの事案を早期に解明いたしまして国民の信頼を確保するように指示をいたしておるところでございますけれども、予算の執行につきましては、警察では既に捜査費につきまして、現場で捜査員が使いやすいように、自腹を切ることがないように、会計経理におきますさまざまな制度改革を行ってきているところでございますが、さらに国家公安委員会の指示を受けまして、警察庁では二月二十六日に、県費捜査費執行に対する監査への対応のあり方について、監査委員会等から捜査員に対する聞き取り調査の要求が行われたときには特段の業務上の支障がない限りこれに応ずるよう配慮する、各都道府県警察に通達を発出いたしております。(吉井委員「現場の声の受けとめにしてはえらい長いんですけれども。現場の声の受けとめはどうですか。受けとめと言っただけなんですけれども」と呼ぶ)済みません。

 そのようなことで、自分に危険が及ぶ等々の警察特有の、何というんですか、やむを得ずに受領する名義の件も、これも質問されていないと言われるかもしれませんけれども、問題等々もありますけれども、とにかく現場が気持ちよく仕事ができるようにするために、上層部における今後のありようをきちんとしていけるように検討を進めてまいりたいと思っております。

吉井委員 答弁書をつくる官僚も、余り長いのを書かなくていいんですよ。私は、現場の声をどう受けとめているかだけ聞いているんです。

 私は、予算委員会で小野委員長にお渡しした、あの二回分だけなんですね。それまでは、あの二回分の資料も北海道警本部長は受け取りもしなかったのです。あなたにお渡しをして、それから対応が変わってきているのです。

 私はここで、警察庁は、中間報告の後、捜査用報償費に関して不適正な予算執行が認められたことは極めて遺憾、道警と連携し早期に事案の全容を解明し国民の信頼回復に努めてまいりたいというコメントを発表しました、読みました。そこで警察庁に伺っておきますが、事案の全容を解明するということは、少なくとも、原田さんの証言が提起した全容を解明するということでいいですね。

吉村政府参考人 今の時点で、北海道警につきましては、旭川中央警察署の平成七年の五月分、それから平成九年の九月分の道の捜査用報償費についての使われ方が不適切なものがあったということが、先週の途中までの調査報告、調査結果が出ておりますので、これが全体としてどういうものであったのかということについて、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、北海道警で全道調査を行ってどのような状態だったのかを調べると言っておりますから、それはその部分としてこれから調査を行って、なるべく早く結論を出したいと思います。

 それから、弟子屈警察署でも指摘をされておりますし、また北見方面の警備課でも指摘をされております。この種のものについて、全容解明を図ってまいりたいと思いますが、原田さんにつきましては、北海道警としてぜひ直接どのような事実関係だったのか伺わせていただきたいということを申し入れしておりますが、いまだそれが実現をしていないという状況でありますから、彼が言われていることについて北海道警としてそれを全部受けとめての解明というのは、これはなかなか難しいのではないかと思っております。

吉井委員 それは、中身は順番に聞きますが、私が小野大臣にお渡しした、あの二回分の資料の話だけじゃなくて、その前後を含めて全部やらなきゃいけないというのは当然なんですが、全容をやはり調べるということは、提起された全容を調べると。提起されたのは部分の話じゃありません。

 今朝の道新にも、きょうの夕刊にも各紙で紹介されておりますが、一九九〇年四月から道警を退職した九五年七月までの約五年間に、みずからが関与した裏金による警察庁幹部の接待や内部の懇親など四百回以上に及んでいたという資料を持っている、保管していることが明らかになったということで、道新の記者が直接取材すると、実際、複数の道警幹部、OBが警察庁幹部を接待していたとの疑惑について証言をしているということも既に紹介されております。

 そこで、大臣、国家公安委員長に、私は、本日新聞等でも既に紹介されているこういう警察庁幹部の接待などを含めた四百回以上に及ぶ接待という問題などについても、これはきちんと解明をさせる、大臣として指示して解明させるようにされますね。

小野国務大臣 その件に関しましては、まずは北海道警の方で、また公安委員会の指導をいただいて、そこできちんと解明されるものと思います。

吉井委員 警察庁幹部の接待の話は、これは国家公安委員長として、きちっと解明しなさいと、みずからのところを指示してやらせるということは当たり前じゃないですか。

小野国務大臣 まずは北海道警とそれから北海道の公安委員会の方において、自浄作用、自分たちのことに関しては自分たちで十分解明するということがまず原点であると私は認識をいたします。

吉井委員 接待を受けた人が警察庁だったら、警察庁を調べるのが当たり前じゃないですか。接待を受けたのは警察庁なんですよ。

小野国務大臣 私はその報道をまだ拝見しておりませんで、正確なところ、ちょっとわかりかねます。

吉井委員 きちんとそれをつかんで、接待を受けた側が警察庁であれば、あなた自身がきちんと指示して解明をさせるということで臨むべきであります。

 原田証言では、警察全体の裏金づくりのシステムにかかわるみずからの体験を話しておられます。一つは、もちろん裏金を原資としたやみ手当をもらっていたことなんですが、それは北海道内では署長、道警本部、方面本部長、それぞれのところでやみ手当をもらっていたということです。

 それだけじゃないんですね。一九七五年からの七年間には警察庁、熊本県警、山梨県警の捜査二課長を原田さんはやっているわけですが、警察庁にいたときには月五千円から一万円ぐらい弁当代名目の金をもらっていた、他県の二課長時代は交際費のような名目で受け取っていたということが道議会での証言などに出ております。

 警察庁は、もちろんそういう証言、道議会へ出ているんですから御存じなんですが、そのことを調査しましたか。

吉村政府参考人 原田氏から、先ほども申し上げましたように、北海道警としていろいろと事情聴取要望に対しまして、応じていただけておりません。

 したがいまして、彼から具体的な事実関係あるいは根拠につきまして話を聞かせていただきませんとその詳細はわかりませんし、また、三十年近く前の古い話でもございますので、現時点では検証が困難ではないかと考えております。

吉井委員 それならば、私たちが提起しておりますように、原田さんに来ていただくということで明らかにする、これは当然のことであります。

 吉村官房長に伺っておきますけれども、吉村官房長も徳島や神奈川県の捜査二課長、それで警視庁、大阪府警も、鹿児島県警本部長も務めておられたんですが、こういう種類の手当をもらったことはあなたはありますか。

吉村政府参考人 そのようなものをもらった覚えはございません。

吉井委員 吉村官房長はまた、一九八三年と九七年に、警視庁で捜査四課長と刑事部長に配属され、また、あなたは、警視庁に配属されたときには、幹部研修費、幹部研修費一覧表などについて聞いたことはありませんか。

吉村政府参考人 そのようなものを聞いたことはございません。

吉井委員 二〇〇〇年十月に警視庁を退職するまで警視庁の会計畑を十八年間歩いて、みずからも裏金づくりにかかわってきた大内顕氏、元警視庁警備部警備第一課庶務係主任ですね。この方は、著書「警視庁裏ガネ担当」という著書とか、あるいは「裏金 警察の犯罪」などのインタビューで、捜査用報償費は都道府県から、捜査費は国から支出される。警視庁では署内各課に渡される金は毎月五万円から十万円。これから会計担当者が幹部研修費として一部を抜き取り、個人あての封筒に入れる。署長三万円、副署長二万円、課長一万円と。これは幹部がどう使ってもいいやみ手当、だれにどう配分するかは各課の極秘文書である幹部研修費一覧表に記されていると。

 吉村官房長は、本当に幹部研修費という言葉を聞いたことも、手当をもらったこともありませんか。

吉村政府参考人 私は、警視庁の警察署で勤務したことは、ごく、採用直後の実務修習の期間だけでございますので、警視庁の警察署勤務はございませんし、そのような何とか研修費などというのは全然知りません。

吉井委員 原田氏は、警察庁勤務のときも月五千円から一万円の弁当代名目の金をもらっていたと道議会で証言しております。

 吉村官房長は七一年四月に警察庁に採用され、七四年八月徳島に配属されるまでは警察庁にいたことになっていますが、あなたは弁当代名目の金を受け取ったことはありませんか。

吉村政府参考人 仕事が遅くなりまして、夜食を課として提供して、提供といいますか、夜食を食べたことはありますが、弁当代名目のお金などはもらったことはありません。

吉井委員 原田氏はもう一つの体験として、検査や監査に警察庁が関与していたことだということを指摘しています。

 原田氏は、道警本部生活課長時代と釧路方面本部長時代に会計検査院の検査を受けたということ、釧路のときは警察庁と道本部会計課職員が指導に来たと言っているわけですが、警察庁は、会計検査院の検査の際に本庁から職員を送るということをやっていますか。

吉村政府参考人 国の会計検査の際に、そこに警察庁として職員が立ち会っております。

吉井委員 警察庁の会計職員は、このとき帳簿を点検するわけなんですが、帳簿を点検すれば裏金というのはわかるはずなんですね。これはなぜわからなかったんですか。

吉村政府参考人 警察庁の会計課の監査室というのがございますけれども、これまでも警察庁の会計課の監査室が都道府県警に赴きまして警察庁の監査をやることがまずあります。それから、会計検査院の検査の際に同席をするということがあります。

 最初に、同席をするということにつきましては、これも先ほど別の委員からお尋ねもあったんですが、例えば、自動車やヘリコプター、自動車につきましては県費分と国費分があります。それで、会計検査院から、その当該県に行きまして、この自動車関係についてどういう契約になっているのかという物品関係を尋ねられたときに、契約は国の方で、東京でやっているというケースがありますので、そういうことの説明のために警察庁の会計の監査の職員が赴いているというふうに私は聞いております。

 それから、内部で警察庁の会計監査として赴いておるわけでありますが、これは各都道府県警察に対し監査を実施するといいましても、実際のところ、旅費、捜査費、契約関係、財産管理関係等の事務にまで及ぶ監査をいたしますので、事務量としては相当膨大なものになります。結果としてこれまで不適正な経理の発見に至らなかったということは残念なことでございますので、これも現在の予算執行検討委員会におきまして、実効的な会計監査のあり方につきまして、ただいままさにその改善方策について検討の真っ最中ということで御理解いただきたいと思います。

吉井委員 国から検査の人が来て横についているだけだったら意味ないんですよね。説明できるということは、きちんと事前に見てあるからできるんですよ。

 このことについて原田氏は、警察庁からの職員派遣は不正経理を隠すため、会計書類のつじつま合わせを警察庁と道警は一体でやっているということを言っております。

 実は、けさほどもありました福岡県警の問題についても、既に松橋忠光さんが「わが罪はつねにわが前にあり」の中で、本庁の御指導を得た上、さらにK事務官の御派遣をいただき、万全を期して検査の日を迎えたつもりだったが、出張日及び休日と捜査費支出日の重複という基礎的不注意があり、しかも何度かの点検でも気づかずに最終段階を迎えたことが会計検査院にばれてしまって致命傷になってしまったと、みずからそのことを、福岡県警在職中のことを著書の中でも明らかにしておられます。

 それで、警察庁と道警が一体でやっているということを原田さんは言っておられるわけですが、そういうことをやっているんじゃないんですか。

吉村政府参考人 私は、松橋さんの著書なるものを読んだことがございませんし、原田氏からの具体的な道警に対しての聴取で語られていることでもございませんので、どういうことを御本人が言われているのかということを承知しておりませんので、お答えのしようがございません。

吉井委員 だから、私、全容解明をするんですねと最初の方で伺ったのは、この原田さんのお話というのは、道警の、小野委員長にお渡しした二回分の証拠資料にあるものだけの話じゃないんですね、二つの月にわたる。お話は、全容というのは、まさに今私がお聞きしたようなことを提起しているわけですから。

 だから、警察庁の方へのこの裏金の問題が指摘されれば、それは道警だけの話じゃなしに、実際警察庁内部で調べるということをやればいいわけだし、それから、職員を派遣して不正経理を隠すために会計書類のつじつま合わせをやってきたという話は、これはもうずっとこの間そういう話が続いているわけですから、きちんとそれはやはり全容を解明するということで、これは私は公安委員長がきちんと指示して解明させるということをやらない限り、現場で本当に苦労して、汗して頑張っている人たちががっかりしているような状態を、これを正していくということはできませんよ。

 そうすると、警察庁は、検査院の検査や県の監査にかかわって出張した記録というのが残っていると思いますが、つまり、国の会計検査の入る前にだれがどこに出張したのか、いつから出張したのかの旅行命令書というのがあるわけですから、それを出してもらったら、会計検査が入る前にだれが、どの県警本部へ、いつ、どれぐらい前からどう入ってきたかというのがすべてわかるわけですね。

 警察庁として、旅行命令書の記録五年分を提出していただきたいと思いますが、これは出してもらえますね。

吉村政府参考人 ただいま、会計検査院が検査を行う際の立ち会いの問題につきまして従前お答えをしてまいったんですが、今の話は、会計検査院の検査のある前に警察庁の会計の職員が行っていないのかというお尋ねかと思いますけれども、警察庁からは、国の会計事務あるいは会計検査に会計検査対象となった府県警が必ずしもなれていないということもございますので、会計検査を受ける前に、検査を短期間で効率的に受けることができるように指導、連絡に赴いております。その際、その機会を利用して監査も実施をしているところでございますが、ただ、これは、今委員おっしゃるように、いささか誤解を招くのではないかという議論も公安委員会にもございましたし、今、予算執行検討委員会におきまして、来年度からは廃止をする方向で検討をしております。

吉井委員 廃止の検討の前に、まさに、国の検査が入るときに一緒にそこに立ち会って説明するだけじゃなしに、早い時期から指導に出かけていったということを今答弁ありましたけれども、その中で、関係者の方たちは、それは結局、警察庁から職員を派遣して不正経理を隠すため、会計書類のつじつまを合わせるため、膨大な作業量だったということが、これまでからいろんな方たちから語られている内容なんです。

 だから、一番はっきりさせる、たった一つのこの事実だけでも明らかにしようと思ったら、旅行命令書の記録五年分を提出してもらうということをやってもらったら、それだけでも明らかになってくるわけです。

 公安委員長、原田氏は、裏金づくりは警察庁、都道府県警が一体でやっていると言明していますが、しかも、その裏金の一部は本部へバックされている、裏金づくりのシステムを道警上層部はわかっているとも言っています。また、警視庁OBの大内氏は、警察庁への上納もあるということを言っています。

 こうしたことも、きちんと、これは国家公安委員長として調査させますか。私は調査させるべきだと思うんです。

小野国務大臣 今のお話でございますけれども、私、国家公安委員長といたしましては、あり得ないお話である、そう認識せざるを得ません。

 原田氏がきちんとした自分自身の御意見なり資料なりをお持ちであれば、まずは自浄能力、自浄作用をしっかりとして警察を本当に改革するのであれば、警察関係者と会わなければならないわけでございますが、そこは避けて、会わないわけでございます。

 そういう観点から考えましたときに、何をどうしたいのか、その辺あたりが本当に、先ほどから命がけで闘っているとおっしゃってくださいましたけれども、本当に命がけで警察を改革するということであれば、警察庁にお金がバックするとか、何か余り信じられないようなお言葉が飛んでくるわけでございますけれども、そういった事実を解明するのも、やはり現実的には、北海道道警の、公安委員会の指示のもとにそういうことが解明されていった後に、こちらの方にその報告があって、それで、私どもがどう動くかということが議論されていくものと思います。

吉井委員 調査もしないで、調査を指示もしないで、あり得ないという話は、とんでもないことだと思うんです。

 原田さん自身は、百条調査委員会であれば、ちゃんとそこへ出て、つまり、設置されれば、資料の提出についても同意するということを言っておられるので、それは、北海道警に出てこないから信用できないできるの話じゃない、これははっきりしておかなきゃいかぬと思います。

 私は予算委員会のときにも指摘しましたように、もともと北海道警の方では、協力者と称して名前をでっち上げて、渡した日が、既にその渡したはずの人は二年から六年も前に亡くなっていたということが三名もいた。これは北海道警だけじゃなしに、高知県警の場合は、二〇〇二年度に捜査費執行した方で、お金を渡したときよりも先に既に亡くなっていた方が五人おられるとか、どうも亡くなった方にお金を渡すのが好きなようですが、私は、そういう裏金づくりというこのうそをついてやるというやり方は、うそつきは泥棒の始まりと言いますが、やはり、うそをつくというこの裏金づくりのやり方、それは、泥棒になっては泥棒を捕まえられないわけですから、私はそんなやり方では絶対に解明はできないと思うんです。

 いずれにしろ、原田証言は、道警だけでなく警察庁も告発しているものであり、道警だけに調査を指示するだけじゃなしに、警察庁がみずから調査をする必要があります。警察は階級組織で上意下達の組織ですから、こういう組織はトップが決断しないと真相は解明できません。そういう決断ができないのなら、第三者機関がやらなきゃいけないし、それも拒否するのであれば、国会が徹底解明するということが、警察の国民への信頼回復はもとより、現場の第一線で頑張っている警察官の方たちにも、本当に納得し、やる気を出してもらえる道だと思うんです。

 そこで最後に、委員長、私は、改めて参考人として、北海道警本部長芦刈勝治氏と原田宏二氏、元道警釧路方面本部長の招致を要請いたします。

 それから二つ目には、裏金づくり疑惑の関係資料である警察庁の検査、監査にかかわる出張記録、五年分の旅行命令書、警視庁の幹部研修費一覧などの提出を求めます。

 それから、警察庁長官がきちんと委員会に出席して、所管委員会なんですから、しかも、裏金づくりという深刻な問題が出ているにもかかわらず警察庁長官が委員会に出席しないということは、これは国会軽視も甚だしいと私は思うんです。「警察庁の長は、警察庁長官」と警察法で規定されております。他省庁の事務次官と全く違うんですね。もともと、地行委員会から内閣委員会の時代にかけてずっと出てきたわけですから、出席してもらっているんですから、委員会へ警察の責任者がきちんと出席して、国民に説明する必要があると思います。私は警察庁長官の出席を強く求めます。

 以上三点については、委員長においてぜひ諮っていただきたい、このことをお願いします。

山本委員長 いずれも理事会で協議させていただきたいと思います。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、警察法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、河本三郎君外二名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。提出者から趣旨の説明を聴取いたします。中山義活君。

中山(義)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の各会派を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    警察法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 国民の立場に立ち、警察機構全般にわたり、国民の信頼を確保するため、組織、予算等の在り方について不断の見直しに努めること。

 二 国家公安委員会の管理の下、警察内部の会計処理全般について全国的・計画的に監査を実施し、その結果を国家公安委員会に報告するなど会計経理の一層の適正を期すること。

 三 警察官が第一線で活動するための必要経費については、公的に十分確保できるようにすること。

 四 国家公安委員会は、その管理機能を更に充実し、会計処理についても積極的にその役割を果たすこと。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小野国家公安委員会委員長。

小野国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

山本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.