第8号 平成16年4月16日(金曜日)
平成十六年四月十六日(金曜日)午後二時五十四分開議
出席委員
委員長 山本 公一君
理事 今津 寛君 理事 大村 秀章君
理事 河本 三郎君 理事 大口 善徳君
岩屋 毅君 江崎洋一郎君
河井 克行君 西川 公也君
西村 康稔君 葉梨 康弘君
早川 忠孝君 平田 耕一君
宮腰 光寛君 村上誠一郎君
長沢 広明君 吉井 英勝君
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国務大臣 金子 一義君
内閣府副大臣 佐藤 剛男君
内閣府大臣政務官 西川 公也君
内閣府大臣政務官 宮腰 光寛君
政府参考人
(内閣官房構造改革特区推進室長)
(内閣府構造改革特区・地域再生担当室長) 滑川 雅士君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 樋口 修資君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 中島 正治君
内閣委員会専門員 小菅 修一君
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委員の異動
四月十六日
辞任 補欠選任
太田 昭宏君 長沢 広明君
同日
辞任 補欠選任
長沢 広明君 太田 昭宏君
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四月十六日
構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇五号)
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○山本委員長 これより会議を開きます。
開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ所属委員の出席を要請いたしましたが、御出席を得ることができません。やむを得ず議事を進めます。
ただいま付託になりました構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。金子国務大臣。
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構造改革特別区域法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○金子国務大臣 このたび政府から提出いたしました構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
構造改革特区は、地方や民間が自発的に構想を立案し、それぞれの地域の特性に応じた規制の特例を導入することにより、構造改革をさらに加速させるための突破口となるものであります。
平成十四年の第百五十五回国会において御審議いただき成立いたしました構造改革特別区域法においては、同年八月の第一次提案に基づき、構造改革特別区域において講ずることができる、法律事項に関する規制の特例を定めました。さらに、昨年の第百五十六回国会においては、規制の特例措置を追加する構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を御審議いただき成立しております。
政府においては、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にとの理念のもと、構造改革を推進しているところですが、構造改革特別区域推進本部においても、多様な特区の実現に向け、その後も引き続き全国から提案募集を行い、新たな規制の特例措置を決定してまいりました。これら本部で決定した特例措置のうち、第二次提案募集を踏まえ検討することとされていた法律の特例に関する措置の中で残っていました医療法等の特例並びに昨年六月に実施した第三次提案募集及び十一月に実施した第四次提案募集を踏まえた法律の特例に関する措置を新たに追加することを通じ、経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図るため、この法律案を提出する次第であります。
この法律案の概要を申し上げますと、
第一に、医療法等の特例として、認定構造改革特別区域、以下、特区と略させていただきます、においては、株式会社が自由診療で高度な医療の提供を目的とする病院または診療所を開設することができることとしております。
第二に、教育職員免許法の特例として、特区においては、都道府県教育委員会が行っている特別免許状の授与について、市町村の教育委員会も行うことができることとしております。
第三に、漁港漁場整備法等の特例として、特区においては、国または地方公共団体が行政財産であります特定漁港施設を貸し付けることができることとしております。
第四に、狂犬病予防法の特例として、特区を設定した市町村の長は、狂犬病予防員の任命、捕獲人の指定、犬の抑留等について、必要な経費等をみずから負担することを条件に、行うことができることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願いを申し上げる次第であります。
以上であります。
○山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○山本委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房構造改革特区推進室長、内閣府構造改革特区・地域再生担当室長滑川雅士君、文部科学省大臣官房審議官樋口修資君及び厚生労働省大臣官房審議官中島正治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○山本委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。
○河井委員 自由民主党の河井克行です。
きょうは、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたしたいと存じます。
その前に、きょうのこの内閣委員会に、残念ながら、民主党・無所属クラブの議員の皆さんが欠席をいたしております。金曜日の昼下がり、大臣もお見えの席で、しかも私が質問をさせていただくこの委員会で出席をしていただけない、本当に残念のきわみでございます。この法案は、今国会に提出された中でも重要な法案の一つと言われております。まだ時間がありますので、この委員会の開会中、途中からでも御出席されることを切に希望いたしております。
それでは、質問に移ります。
昨年の四月二十一日に、五十七件の構造改革特別区域計画、特区計画が初めて認定をされまして、ちょうど一年がたちました。大臣には、この間、さまざまな御労苦がおありだったことと御拝察いたしております。
そこで、大臣にお尋ねをいたします。
この一年を振り返りましての率直な御感想、特区制度を進める中でのさまざまな課題、あるいは難しいとお感じになられた諸点、そして、大臣個人でも結構でございますので、中でも特に印象に残った特区の計画、おありでしたらお示しください。
〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
○金子国務大臣 河井先生御指摘のように、現在まで三百二十四件、案件が特区で実現をしている、これは本当に大きな成果だったと思っております。
特に、ここ一年間やってきまして一番私が感じますのは、特区を提出された市町村長のマインドが随分変わってきた。自分たちの地域を、本当に何をやりたい、これを実現したいという自分たちの提案が、今までは、規制がある、権限移譲がされていないということでなかなか実現できなかった。これが、やればできるという市町村長のマインドが出てきている。
本会議でも、きょう御質疑に立たれました委員が、自分の地元、県で十八件の特区が申請されているということをおっしゃっていました。おっ、そんなにかという議場からの反応もあったと思いますけれども、そういうそれぞれの地域、特区を申請してくる、このことというのは、やはり私たち政治家にとっても非常にうれしい出来事で、方向だと思っております。
それから、印象に残っておりますことは、やはりどぶろく特区、岩手県の遠野。ここもやはり、民謡のふるさと、日本の古いカヤぶきの農家、こういう資源があってできたところだと思います。でも、全国で、どぶろく一号、新潟県と一緒でありますけれども、こういうのが出てきた。このことによって、どぶろくによって観光客が五割増しという、全国から注目を浴びて、人が来てくれている。その遠野市へ行きますと、これだけ人が来てくれるならば次の何かアイデアを考えよう、もう既にいろいろなのが町づくりの人たちからも出てきておりました。そういう一つの成功が、その市町村に次のアイデアを考える要因を引っ張ろうという力が働いているということに対しては、大変私も印象深く拝見をしているところであります。
河井先生のお地元の広島、これも、大学の研究施設、公的な研究施設を民間の中小企業にどんどん貸し出して研究開発をやってもらうという特区が今できておりまして、地域の中小企業の技術者たちが、いろいろな開発、もう少しで市場に出てくるというようなのも進んでおるようでありますし、繊維から工業用アルコールをつくっちゃうという特区が今動き出したと聞いております。これなんかも、福山だと思うんですけれども、繊維から、そういう特区をつくって、そして特定製品、アルコールというのは、そうでなければ面倒くさい大変な手続をとらければいけないのでありますけれども、工業用アルコールをどんどん供給できる仕組みをつくっていこう。大変そういう意味では期待をしております。
〔大村委員長代理退席、委員長着席〕
○河井委員 これまでの日本全国の行政は、中央の霞が関から全国の都道府県、市町村に仕事等がおりてくるという形でした。今回のこの特区制度は、方向が逆です。住民に一番近い市町村、都道府県から、逆に東京の霞が関に話が行く。恐らく、市町村の最前線でお仕事をしていらっしゃる担当者の方、あるいは意欲に満ちた住民からしますと、頭の上に青空が広がった、曇り空の中に青空が広がったという、大変いい意味で刺激にあふれた制度だと考えております。
大臣、きょうは少し時間がありますので、もう一カ所二カ所ぐらい、この一年をお振り返りになりまして、ここはなかなか注目すべきだ、あるいは印象的だというところがございましたら、教えてください。
○金子国務大臣 河井先生のせっかくの御提示でございます。
教育関係で、群馬県の太田もよく言われているのでありますけれども、子供のときから、小中高一貫して英語で教育する。国語以外は、日本語以外はすべて英語で教育をする。これは東京ではなくて、群馬県太田市で行われている。
これはいろいろ聞いてみますと、将来、日本の企業は、海外ビジネスをやっている国内企業は、会社の会議が英語で行われてくるということもいろいろ両親たちは予測しているようでありますけれども、この学校に対して、募集定員を相当上回る応募が全国各地からあった。これは一つの、非常に今までの教育に対しては一石を投げかけているのではないかなと思います。
岡山でも、ディベートを中心とした教育を行いたい。
もう一つは、これからの産業だと思いますけれども、いろいろなIT関連に絡んでソフトを開発する。議員立法で今度、こういうソフトあるいはコンテンツ産業というものをもっと育成しよう。その中で一つ、日本の大学でまだそういうものを教育するという部分が必ずしも位置づけられていないのでありますけれども、そういうものを目指して、特区でございますけれども、デジタルハリウッドといったような、大学を卒業してからそういう部分を教育するというのが特区で出てきたというのも、やはり教育の分野では印象的であると思っております。
農業についても、今までは株式会社で参入ということは全く認めていなかったのでありますけれども、耕作放棄地、このままいったらばだれも農業をやらないという耕作放棄地。例えば小豆島、オリーブ特区といいまして、これは地元の中小企業の方でありますけれども、小豆島の耕作放棄地を、リースで土地を借りまして、そしてそこ全部にオリーブの木を植える。オリーブの実がなるのに四年かかるようでありますが、行ってみたいですね。オリーブがたわわになった小豆島というと、やはり観光にも多分に、相当行こうと。それから、それをいろいろな意味で、お茶から、もとより食材としてオリーブを活用する。
この農業への参入というのは、建設会社も、今全国的に始まっております。特に、私たち地方出身の者からとってみますと、地方の建設会社、どうやってこれから生きる道を探すんだ、農業への転換というのが比較的力強く行われ始めた。まだ、全国的といいますか、そんなに進んでいるとは言い切れませんが、始まってきた。
そういう建設会社、これは兼業です。兼業建設業、三十人従業員いれば、公共事業が減っちゃったから、うち十人は農業をやろう、株式会社のままやるということで始まっている例が今出ておりまして、こういう転換というんでしょうか、新規分野に進出していく。建設業者の方が農業に転換しますと、ただ農産品をつくって、それを農協に売ってという農家とは違う、自分たちは株式会社だ、だから、その食品、つくった農産物を加工したい、何か地域の味をつくりたいということも今具体的に始まる動きがあります。そういう意味では、大変力強い動きであると思っております。
あと、少し経済の大きな部分でいえば、何といいましても、経済的に大きい部分、四日市のコンビナート。
四日市コンビナートというのは、昔、ぜんそくということでちょっと悪評もあったのでありますけれども、昭和四十年代の我が国の高度成長を支えた化学コンビナート。少しの種類を大量につくる、少品種大量生産という競争力をもって我が国経済を支えてきたのでありますけれども、時代が変わりまして、今、IT社会になりますと、例えば、携帯電話に入っているチップを洗う洗浄剤なんという、これもこの化学コンビナートでつくるようであります。むしろ、量は少ない、そのかわり品種を多量につくる。
求められておりましたが、コンビナート災害防止法というのがありまして、なかなか転換できませんでした。しかし、この特区を使って、コンビナートですから安全をきちっと守っていくということは大事でありますけれども、従来の規制というものを思い切って見直してもらって、新しい安全対策を講じながら工場の建てかえができる、そういう特区になりました。これは五年間でありますけれども、全く予算はつきません、規制緩和、規制の見直しだけでありますけれども、七百億円の設備投資がことしから、この四月からもうスタートしておりまして、このようなのは大変力強い動きであると思っております。
まだまだ枚挙にいとまがありませんけれども、また御質問があればお答えさせていただきたいと思います。
○河井委員 さまざまな具体的な事例を教えていただきまして、ありがとうございます。
次に、今回の改正法案には四本の個別法がかかわっております。医療法、教育職員免許法、漁港漁場整備法、狂犬病の予防法です。その中でも最も議論の的になったのは、医療法等に特例措置を導入すること、すなわち、株式会社が自由診療で高度な医療の提供を目的とする病院や診療所の開設を認めることについてでした。
そこで、厚生労働省にお尋ねをします。
まず一点目ですが、国民の命を預かる大切な医療制度の改変です。保険か税で負担するといった根本的な医療制度全体の改革を議論する前に、このような特別な措置を設ける目的は、一体どこにあるんでしょうか。また、いずれ、この特区で認められた措置を全国に広げていく予定があるのかないのかも教えてください。
○中島政府参考人 ただいまの御質問でございますが、医療分野に特区を導入する前に、まず医療保険制度全体を議論すべきではないかという問題についてでございます。
構造改革の一環としての医療分野への特区制度の導入につきましては、医療保険制度全体についての改革論議とあわせて、並行して進めていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。
医療保険制度全体の問題につきましては、急速な少子高齢化社会が進展する中で、国民皆保険を将来にわたり堅持していくために、昨年の三月に、医療保険制度改革に関する基本方針を閣議決定したところでございます。これを踏まえまして、現在、保険者の再編統合、新たな高齢者医療制度の創設、そして診療報酬体系の見直しにつきまして、社会保障審議会医療保険部会等において検討を進めているところでございます。
スケジュールといたしましては、基本方針においては、おおむね二年後を目途に順次制度改正に着手いたしまして、平成二十年度に向けて実現を目指すとされているところを、このことを念頭に置きながら、遅くとも平成十八年の通常国会には改正法案を提出するという方向で検討を進めているところでございます。
○河井委員 ですから、いずれ、この特区で認められるようになった措置をこれから全国的に広げることも否定はしないわけでしょうか。教えてください。
○中島政府参考人 今後の問題でございますけれども、特区における株式会社の病院、診療所の開設の問題につきましては、まず、今回のような自由診療の分野で高度な医療を提供することを認めるということについて試行したいというふうに考えておりまして、その後、全国における取り扱いなどの問題につきましては、特区における医療機関経営の状況等を見ながら、さらに検討を進めてまいることになるというふうに考えております。
○河井委員 次に、特別区域、特区といいながら、恐らく、この新しくできるでありましょう自由診療、高度な医療を提供する病院あるいは診療所には、お客様は全国から来るだろうと予想されております。その結果、その特別区域内に立地する医療機関に対してどのような影響が生じてくるのか。
また、将来、この特区の認定が全国の他の地区、地域に広がっていった場合、事実上、国民皆保険制度が崩れていくきっかけにつながらないか。お考えをお示しください。
○中島政府参考人 今回の株式会社の病院、診療所の開設の問題につきましては、医療保険財政への影響の懸念を踏まえつつ、また、株式会社の資金調達能力あるいは研究開発の意欲を活用するということが高度な医療の開発普及を促進するという上で適切で有効かどうかということを検証するというような観点から、特区におきまして、自由診療で高度な医療の提供を目的とする場合に認めるということとしたものでございます。
特区法におきましては、その第一条にもございますように、地域の特性に応じた規制の特例措置を導入することによりまして地域の活性化を図るということを目的としておるところでございまして、今回の医療法等の特例につきましても、規制の特例措置を導入するということで、まさに特区法の趣旨にかなうものであるというふうに考えております。
また、このような特区法の趣旨につきましては、他の地域の患者さん、住民が、特区の株式会社病院等で受診するということを否定するものではないというふうに理解しているところでございます。
また、特区における病院が既存の医療機関について経営を圧迫するあるいは影響を与えるのではないかということでございますけれども、特区における株式会社の病院等につきましては、自由診療で高度な医療の分野に限って認めるということでございますので、保険診療を行います通常の既存の医療機関とは基本的に競合することにはならないというふうに考えておりまして、その経営を圧迫することもないのではないかというふうに考えているところでございます。
○河井委員 ここで言う特別区域の広さ、広がりは、基礎的な自治体の大きさということなんでしょうか。教えてください。
○滑川政府参考人 構造改革特区計画でつくられます区域につきましては、これは、地方公共団体がそれぞれの特性に応じて選んでいただきます。そうした意味では、市区町村の一部を指定するという小さい場合から、県全体に広がるような場合まで、区々、それぞれ多くのケースがございまして、それぞれの特区の特例の利用、あるいはそこで行う事業の範囲などにつきまして、地方公共団体が適正な広がりを選ぶということになっております。
○河井委員 そういたしますと、例えば、都道府県という大きな地域的な広がりを持った自治体が申請をし、それが認められた場合は、その都道府県全体の中で自由診療でかつ高度な医療を提供する病院、診療所が開設されるということだと思います。
そうなった場合、例えば、大規模な都市を抱えている都道府県が認定された場合は、既にそこにかなり高度な医療を提供する力のあるいわゆる大病院もたくさん存在をしております。先ほどの審議官のお答えは、主に診療所等の経営に対する影響についてのお答えであったと思いますけれども、そういった同じような力を持った病院間同士に対してどのような影響が予想されるか、再度お尋ねをいたします。
○中島政府参考人 先ほどの私のお話し申し上げた内容は、特に診療所ということではございませんで、病院についても同様に当てはまるものというふうに思っております。
すなわち、通常の病院ですと、高度な機能を持っていたとしても保険診療を中心として行いますし、また一部には、高度先進医療という、保険の中で特定の自己負担を求めるというような制度が認められておりますが、そういった制度で運用をされているものでございます。
それに対しまして、今回の株式会社の病院におきましては、こういった保険の対象にならない診療を行うということですので、そういった部分との競合は基本的には起こらないものというふうに考えております。
○河井委員 我が国には国民皆保険制度という世界に誇るべきすばらしい制度があります。長寿国世界一、そして、所得の多い少ないにかかわらず、ほかの人と等しい医療を受けることが全国あまねくどこでもできる。私は、本当に、この制度を創設し、そして維持発展をしてきた先輩の皆さん方に心から感謝と敬意を表したいと考えております。
医療現場あるいは受診する患者様が御心配をしていらっしゃるのは、この世界に冠たる国民皆保険制度、この国民皆保険制度というのも一つの哲学に裏打ちされた現実なんです。今回、この特区法の改正法案に入っている新しいあり方も別の哲学に裏打ちされた現実なんです。あえて、どちらがよくてどちらが悪いという価値判断は、今ここではいたさないようにしたいと考えております。
私自身の考えは、もちろん国民皆保険制度をしっかり堅持するという一点にありますけれども、その自分の主張から離れて、二つの哲学がある。この二つの哲学に裏打ちされた現実が、これからこの一つの国の中に併存をしていく。この事態、どのようにお考えなのか、お考えをお示しください。
○中島政府参考人 ただいまの点でございますが、御指摘のとおり、我が国におきましては、国民皆保険制度のもとで医療提供体制が整備をされておりまして、国民にひとしく医療サービスが提供される仕組みとなっているところでございます。
今回の特区における措置につきましては、先ほどもお話し申し上げたような、もともと自由診療である高度な医療につきまして、その開発普及を促進するという観点から、株式会社の資金調達能力でありますとか研究開発意欲を活用することが適切かつ有効かどうかということを検証するために講じる措置でございます。したがいまして、現行の医療保険制度とは矛盾するものではないのではないかというふうに考えているところでございます。
なお、新しい医療技術につきましては、これまでと同様に、その技術の成熟度でありますとか普及状況等に応じまして我が国の医療保険制度の適用を図るということによりまして、国民にひとしく提供されるよう今後とも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○河井委員 検証して、その評価、これは最終的にはどこが下していくんでしょうか。
○滑川政府参考人 特区におきます特例を利用いたしまして特区計画におきまして実施されていくわけでございますが、その実施されていく状況につきまして評価をしていくということになっております。
この評価を行うために、構造改革推進本部に第三者の方々から成ります評価委員会という組織がつくられておりまして、こちらの方で、特区で使われております特例につきまして順次評価をしていくということになっております。
○河井委員 その委員会で最終的に、最終的な評価はそこなんでしょうか。数年後にあるでありましょう政府・与党がしっかりと評価をすることになるだろうと私は考えておりますが、もう一度お答えをいただきたいと思います。
○滑川政府参考人 ただいま申し上げましたように、評価委員会がその評価をいたします。
それで、評価委員会が評価をいたした結果を報告いたしまして、これをもとに、総理を本部長といたしまして全閣僚から成ります構造改革特区推進本部におきまして、それぞれの特例をどのように、例えば全国展開する、あるいは廃止するその他の方向につきまして、議論をした上で整理をするという形になっております。
○河井委員 今のお答えを聞いて安心をいたしました。これから数年間、しっかりと目を開いて、どういうふうな新しい現実が生まれていくのか、しっかりと勉強をしていきたいと思います。
最後の質問をいたします。これは金子一義大臣にさせていただきます。
特区で導入される規制の法律事項は、実は、一昨年の法律が成立したときには十四本、昨年の改正時には七本、そして今回は四本ということで、次第に減る傾向にあります。もっと特区のことについて、事業について、民間事業者の皆様を中心として宣伝広報に努めるべきではないかと考えておりますが、最後に、大臣のこれからの御決意をお尋ねいたします。
○金子国務大臣 御指摘いただきましたように、民間の皆さんの提案というのが今のところ三割にとどまっております。
タウンミーティングに行ってよくわかるんですが、何か地域でやりたいというときに、多くの人は、市町村、つまり行政ベースでないと提案できないと思っておられる方が非常に多いと気がつきます。民間の方でも提案できるんですよ、こういう事例がありますよと申し上げると、えっと反応が返ってきます。やはり、河井先生御指摘のとおり、PRがまだ、それなりにこれまでも特区室のスタッフが、全国の商工会議所ですとかJC、かなり各地区に行ってやっているんですけれども、まだまだ不徹底。
いろいろなパンフレットをつくる。それから、委員の皆様方にもぜひ御活用いただきたいんでありますけれども、全国のインターネット改革前線マップというのを今つくりまして、それぞれの地域が自分たちがやったものを写真と文章を入れていただける、そういう枠組みを用意して、相当今、市町村は活用していただいています。これは民間も幾らでも、普通のインターネットでありますからアクセスできるんでありますが、そういう工夫。
それからもう一つは、地方で、人材だと思っているんです。そういう意味で、今までなかなかできないと思っていた地域の人のエキスパート、地域エキスパート。これは、とりあえずは主に地方自治体の皆さんでありますけれども、特区の制度というのはこういう制度なんです、こうやってやれます、全国例はこういうのがありますというのを研修してもらう、そういう特区エキスパート、こういうものをさらに、全国のお集まりいただくような研修も既に始まっておりますけれども、さらにこれの本部総会、今月また全国からお集まりいただいてやるようでありますが、いろいろな機会を通じて進めさせていただきたいと思っております。
○河井委員 終わります。
○山本委員長 次に、長沢広明君。
○長沢委員 公明党の長沢広明でございます。
構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、質問させていただきます。
先ほどの本会議での代表質問等とも大分重なる部分もありますが、少しはしょりながら、できれば答弁も少し詳しくいただければというふうに思います。
昨年の四月に制度がスタートして一年を経過しまして、これまで、一次から四次まで、三百二十四件の特区の認定がされました。非常に大事なことは、地方公共団体や民間事業者、一部NPO法人も大変活発に提案をされております。そういう規制改革の要望に対しまして、いわゆる特区制度として対応した事項が百七十六件、特区制度以外で全国的に展開されたものが二百五十件、合わせて四百二十六件という規制改革が前進をしている。これは大変に大きな、評価されるべきお仕事だというふうに思っております。
この特区計画の認定というものを都道府県別に見ますと、トップが長野県の二十三件、北海道が二十件、兵庫県が十八件、神奈川県が十五件、岐阜県が十四件、埼玉県と東京都が十一件、そして岡山県が十件と、二けたを超えているのは以上の八都道県になります。分野を分析しますと、教育関連分野が六十五件、農業関連が四十五件、生活福祉関連等、幼保一体化というのが非常に多くて、これが三十七件、産学連携関係が三十五件と、いわゆる教育分野と農業分野にこの一次から四次の間で非常に注目が集まってきたという感じもします。
この特区制度自体が、一国二制度になるとか法のもとの平等に反するのではないかという意見もごく一部にございましたけれども、地域や民間の自発的な提案によって地域の特性に応じた規制の特例措置を導入することで全国の構造改革を進めるという、この当初の目的に向かってまずは順調なスタートを切ったというふうに評価したいと思っています。
まず、これまで一年間の成果を政府みずからどう見られているか。そして、一次から四次という提案を受けて、認定を受けて、二年目に入るわけですけれども、二年目に向けた課題及び抱負を総括的に大臣の御所見としてお伺いしたいと思います。
○金子国務大臣 長沢先生、座右の銘は、知恵は現場にありというのを拝見いたしましたけれども、地方自治体、市町村長という行政の方だけでなくて、町づくりを一生懸命やろうという人たち、さっきNPOという表現を使われましたけれども、自分たちの地域を支えていこうという、こういう人たちの活動、これが今回、御指摘いただきましたように、全部で四百件を超える案件につながっているんだと思っております。
まさに大事なことは、認定という言葉を使いますが、私として大事なことは、与えるというんじゃないんだ。与えるのでは決してないんです。やりたいことをどうやったらばやれるように枠組みをつくっていくのかということが一番大事なことで、従来の予算措置を認めるとか認定するというイメージとは、私たち、全く立場、スタンスを違えている。こういうスタンスでもって知恵を、まさに地方のそれぞれの皆さんから出していただく。
一年間、スタートいたしました、御指摘のとおりのさまざまな案件も出ております。これがある意味、地域が元気になる、同時に非常にビジネスチャンスの広がりにもつながるものも出てきているということ、これはやはり私たち大事にしていきたいと思っております。
ただ、具体的に、そういう枠組みができるようになった。ところが、やってみたら、ほかの法律がいろいろあったとか、ほかの制約があって、せっかく進めようと思ったんだけれどもできなかった、障害がある。こういうものは、やはり障害を除去してあげる。
先生が今御指摘ありましたけれども、確かに、幼稚園と保育園を一体化してほしい。それから、各地域にやはりあるんです、不登校児たちを今の義務教育課程の中ではなかなか受け入れにくい、難しい部分が義務教育の現場ではある。それを、不登校、それからLD、これは学習障害児という表現になっておるようでありますけれども、こういう子たちを特区で教育して何とか卒業させようという、これはボランティア、NPOだけでなくて、地方自治体も取り組んでくれている。
そういう意味で、この特区というのが、今、ビジネスチャンスというふうに申し上げましたけれども、そういう経済的な部分だけでなくて、幼保一元化あるいはそういう不登校児等の教育、福祉の分野、非常に生活に密着したところで、今までやれなかった部分をやれるようになってきたという意味での構造改革的な部分にいろいろ提案が出てきているということは、大変うれしい、望ましい方向に動いていると思っております。
繰り返しになりますけれども、二年目に入りまして、先ほどの河井先生からの御指摘もありましたけれども、もっと民間の人にも、これはビジネスチャンスだと思いますけれども、提案をいただきたい。NPO等々の活動をしている人たちからもいただいてまいりたい。と同時に、提案したけれどもなかなか難しいという障害があるものについては、私たちも何とかそれを実現していただけるように工夫をさらに重ねたい、そんな気持ちであります。
〔委員長退席、河本委員長代理着席〕
○長沢委員 今お話にありましたとおり、この特区のねらいの一つというのは、その地域の特性というものを地域みずからが発揮させることでそれに応じた産業の集積を図る、同時に経済の活性化を図ることができる。そういう面でいきますと、今大臣おっしゃったとおり、ビジネスチャンスという意味で、民間の事業者、あるいは個人でも本来は提案はできる制度になっておりまして、さまざまな声をもっと吸い上げられればいいなというふうに思います。
先ほど来お話にありましたとおり、地方公共団体からの提案と民間からの提案の比率は、これは大体、地方公共団体が七に対して民間が三、七対三という割合になるというふうに今の河井先生の御質疑の中でもございました。
この制度そのものの最も持っている、民間の方も個人の方も提案ができる、あるいはこういう仕事を始めたい、あるいはこういう事業を展開したい、それに対してはどういう規制がかかってくるかということも省庁でしっかり、問い合わせをすれば返ってくるというようなこういう仕組みもありまして、いろいろな形でもっと展開ができるのではないかというふうに思っているんですが、いまいちそこまでPRがちょっとまだ足りなかったのかなという印象があります。
一方、地方公共団体の側も、民間事業者の意見を聞いて、民間の企業の代弁者と自治体の方がみずからを位置づけて提案をしているという面もありますので、七対三という割合が、果たして、まだまだ民間の声が足りないのか、あるいは、それを地方公共団体は受けていっているからそれでいいと見るのか、微妙なところでありますけれども、いずれにせよ、規制改革の趣旨からすれば、民間からの提案というのがもっと多く寄せられてくるべきではないかというふうに思います。
先ほども答弁されていましたが、重ねて、民間あるいは個人からの提案を規制改革という面で促すために今後どういうふうに取り組んでいくか、PRの面も含めてお伺いしたいと思います。
○金子国務大臣 鋭い御指摘をいただきました。今の御指摘、さらに私たちいただきながら推進してまいりたいと思っております。
先ほど申し上げましたように、地方のエキスパートという人たちを、やはり人材を育てたい、あわせて。そういう意味で、地方から特区室に研修に来てもらっています。
ある地方自治体の方が言われた言葉が印象に残っているんです。その地方自治体の方が、今までは、民間からいろいろなことを言ってくる、単なる苦情だというふうに聞いていた。だけれども、よく考えてみれば、そういう苦情の中に提案がある、すばらしい玉がある、ここを地方自治体としてやはり読み取っていくことが大事なんだということを言っておられました。やはり地方自治体の方も、そういうところに随分気がつき始めていただけたのかなと思っております。
それから、西川先生もおられますけれども、北関東で、大谷町。あの大谷石を掘った穴を、民間の皆様方が、下水処理汚泥で、溶融スラグの破砕をやってそれを使おう。これはある意味、民間の皆様の提案で出てきている案件。これは特区で、非常に幸いなことに認定されました。
こういうものをやはり、民間でこういうアイデアが出ました、それが認定され実現されますという成功事例をいろいろな形で、私たち、当然でありますけれども伝えていくと同時に、御指摘ありました中で、どこかに行けば、別に地方自治体の知事のところに行かなくたって、あるいは市長のところに行かなくたって何とかできないかという相談窓口をつくったらどうだという御指摘をいただきました。ぜひそれはやらせていただきたい。
今、インターネットでは、平成の目安箱、名前をちょっと忘れちゃいましたけれども、再生室には一応設けて、ワンストップという言葉がいいか悪いかは別として、本来であれば、どこの中央官庁に、どこの担当に聞けばいいんだという、ぐるぐると回される、担当がよくわからないというものも、この地域再生室のインターネット、この相談窓口、出前コンサルタントという名前をつけて、そば屋じゃありませんけれども、そういう気持ちでメールの相談窓口をつけております。――失礼しました、ちょっとネーミングは別でありますけれども、そういう気持ちで取り組んでおります。
○長沢委員 その相談の窓口、出前コンサルタントとか、あるいはキャラバンを組んで地方にも説明に行ったりとか、大変努力をされているのは承知しておりますので、これからもお願いしたいというふうに思います。
特区で認定して対応した規制緩和の項目は百七十六項目で、それ以外に全国に対応された規制改革は既に百二十項目にも達していると冒頭にお話ししましたが、これは、そういうことであれば、いわばいっそのこと規制を外しましょう、こういう対応でございます。
この特区制度の導入で実現すべき目標は、先ほど来申しましたようないわゆる地域の経済の活性化ということだけではなくて、地域での規制改革の成功例、実例というものをもとに全国的な構造改革へと波及させていくことが日本全体の経済活性化を図ることにもつながるということにも、もう一つ目的があるというふうに認識をしております。
これまで三百を超える特区計画が認定されまして多くの地域で取り組みが進んでおりますけれども、これはもちろん、効果、それから特区のさまざまな、例えばそれによる弊害が生じないかどうか、いろいろな分析評価が必要になりますが、できる限り全国展開するということを原則に置くべきだというふうに考えております。
そういう意味では、今後の規制改革の全国展開への見通しと基本的な考え方、どうとらえていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○金子国務大臣 評価委員会というのを設けまして、今御指摘いただきましたように、弊害がないものについてはなるべく全国展開をしていきたい。特区認定後半年経過で評価を、現地に委員の人が飛んでいってそして状況を見る。どういう弊害があるのか、あるいはないのか、これも判断を、現場でいろいろヒアリングもしていただく。そして、一年後には、全国展開できるものは全国展開をしていきたい。
そういう意味で、弊害がないものについてはなるべく全国展開をさせていきたいと思っております。
〔河本委員長代理退席、今津委員長代理着席〕
○長沢委員 この評価委員会がこの四月から本格的に動き出して、いわゆる一次から四次まで認定された特区について評価をして分析をした上で、全国展開への可能性を一つ一つ認めていくということでございまして、その取り組みも慎重かつ全力で進めていただきたいというふうに思います。
もう一つ、地域活性化ということに関連をしますが、特区の基本理念は、現場の知恵と工夫というものを出て、それが全国的に競争していくということで活性化していく、また、自助と自立の精神ということで、それぞれその地域でそのことについては責任を持つということがありまして、知恵の競争ということで、従来型の財政措置を講じない、つまり財政支援がないということが条件となっております。
予算措置については、それぞれその地域でこれまでの流れに乗せて、既存の予算措置で乗せていくことは構いませんが、新しい財政支援というものはしないということがありますが、なかなか、それがどういう影響を及ぼしているかということもこれから課題になって浮かんでくるというふうに思います。
独特のアイデアで雇用の創出をねらうとかいう意味では非常に大事だと思っておりまして、我が党の昨年のマニフェストにおきましては、この規制緩和というのは雇用創出という面で非常に大事な力がある、規制の緩和によって新たな雇用が生み出されるべきであるというふうに考えて、マニフェストの中でも触れたわけでございまして、雇用創出という意味でも規制改革ということについては大変注目をしているところでございます。
その面でいいますと、アイデアはいいけれども、実際に事業を展開していく上では、設備投資に時間がかかる、あるいは採算がとれるようになっていくまでは時間がかかるというような分野の事業も少なくないようでございます。
相模原市のダチョウ特区、あるいは先ほど大臣も御指摘になりました、オリーブ栽培で株式会社の農業参入を可能にした小豆島の、香川県の内海町の特区等の株式会社の参入というのは非常に新しい分野で、特に、農地に株式会社、今まで全然入れなかったことを、農地の貸し付けを可能にするという形で農地に株式会社が参入できるということで、内海町の場合もたしか六ヘクタールか何かの農地が活用できるようなことで、大変大きな仕事になるわけですけれども、効果が出るまでに時間がかかる、あるいはもっと多くの投資ができればもっと効果が上がるというようなものも中にあるというふうに思います。
そういう意味では、さらに地域を活性化していく上では、規制改革プラス財政的な支援というものも含めたより広い観点、この特区という制度にとらわれず地域活性化のための方策というものも今後考えていく、一つのメニューとして必要になる面も出てくるのではないか。
この点については、予算配分との組み合わせということになりますので、特区制度は本来、予算配分を伴わないということになっていますから、全然別の角度で、例えば地域再生推進プログラムとの兼ね合いとか連携とかいうようなことで効果をねらっていくことも必要ではないかというふうに思いますが、大臣のお考えはいかがでございましょうか。
〔今津委員長代理退席、河本委員長代理着席〕
○金子国務大臣 御指摘いただきましたように、規制緩和とか権限移譲だけでなくて、もう少しこれを推したらば、もう少しこれを強力に金融の面でも支えてあげればいい案件ができるのにというのもあります。
ただ、私の今の頭の中、考え方は、特区はやはり予算措置をつけない。しかも、この一年間、少し話が戻っちゃいますけれども、一年間の中でも特区、規制緩和で相当の雇用、今おっしゃられました雇用につながっていくというのも出てきている。この精神はやはり大事にしていく必要がある。
北九州の響灘でありますけれども、ここは、二十四時間三百六十四日、正月一日を除いて、通関できるようにする、特区でやりました。あわせて、そこで積み上がったコンテナの運送の高さを、今まで三・八メーター、これを四・一メーターまで緩和する。そうしましたら、今までみんな韓国へ行ってしまっていた北米の大型コンテナ船、北米から今までは太平洋岸に来ていたんですけれども、今度は津軽海峡を経由して九州、響灘に入る。そして、ここでもって、この響灘で大型コンテナを分解、小分けして、そして韓国や中国に向かうというハブ港湾の機能が出てくる。
今申しました、道路を、高さ制限を緩和してもらうことによって、今度は陸路での、そのままの大型コンテナで内陸を運ぶ、ロジスティック業務、運送業務というんでしょうか、これによって、五年間で数千人単位、ちょっと正確な数字を忘れましたが、数千人単位の雇用が生じるプロジェクトに今進んできている。こういったものというのはやはり大事にしてあげたい。
ただ、先生が御指摘いただいたように、それだけじゃなくて、やはりそれぞれの地域で、もう少し財政あるいは金融を講じたらば、特区と地域再生というのを組み合わせてやったらいいじゃないかと。そうさせていただこうと思っているんです。特区だけじゃなくて、地域再生プログラムの中に入れて。
そして、少し事例はちまちましているかもしれませんけれども、市町村合併で統廃合した余った学校、校舎を、これまではなかなか転用できなかった。今度はもう、転用はもとより、学校をつくったために要した金は返せと返還要請もあったんですけれども、そんなのは返還も要らない、公共施設というものを他目的に使ってもらって結構だと。その地域によっては、例えば食品加工業の方に貸しちゃう、こういう民間に貸しちゃってもいい。あるいは図書館、全国各地区で図書館が結構要望が出ていますけれども、図書館をつくってもいい。図書館をつくる場合には、公共目的から公共目的ですから、リニューアル債、再生なんでしょうか、建てかえというか、内装を変えるんでしょうか、それは債券発行を認める。
さらに、今、まちづくり交付金というのが、交付金制度、三位一体の中ででき上がっておりますけれども、このまちづくり交付金も、もう今年度から、そういう特区と地域再生と組み合わせたところでも、地域再生だけでもいいんですけれども、そういういい地域活性の、地域再生の、皆さんがこれはいいよねと言うような案件についてはまちづくり交付金も使っていただこう等々、必要な財政措置というのも組み合わせて考えていきたいと思っております。
〔河本委員長代理退席、委員長着席〕
○長沢委員 確かに、この特区は、とにかく知恵を生かすということがもう大前提ですので、そういう意味では、財政支援がない、その上で知恵が出てくるという、非常に効果の面と同時に、今御答弁いただきましたとおり、地域再生支援との連携というものも選択肢として入れていった方がより効果が上がるというふうに思いますので、お願いしたいと思います。
次に、今回の改正案の中に、四本の法律事項として追加をするという中の一つ、教育職員免許法の特例について質問させていただきます。
これまで都道府県にのみ与えられていた特別免許状の授与権、これを市町村にも認めるという今回のことですが、市町村の教育委員会が特別免許状を授与できるというこの特例を、今回特区に限って認めるという、特区に限ってスタートした理由というものは何か、まずお聞きしたいと思います。文部科学省の方、お願いします。
○樋口政府参考人 お答え申し上げます。
教員免許状は、御案内のとおり、教職についての能力を公証するものでございまして、大学の教職課程におきます所要の科目等を修得していることにつきまして審査をいたしまして、その上で、免許を授与し、この免許事務を管理する体制が整備されておる都道府県教育委員会が実施をすることとなっておるわけでございます。
ただいま御案内の特別免許状につきましては、大学での養成教育は受けておりませんが、すぐれた知識経験あるいは技能を有する社会人を幅広く学校教育に生かすために教育職員検定により授与する免許状としてこの特別免許状の制度が設けられているところでございまして、その広域的な通用性と水準の確保を図る観点から、授与権者が都道府県教育委員会とこれまでされてきたところでございます。
今回、東京都の千代田区からの提案などを受けまして、私ども検討させていただいた結果、社会人等を幅広く活用して地域の特性を生かした教育を行う必要性があるなどの特別の事情がある場合には、私ども、市町村教育委員会が特別免許状を授与することを認めることによって、より特色ある教育活動を支援することができるという判断に立って、法改正に至ったところでございます。
今後、この特例措置を利用いたしまして市町村教育委員会が特別免許状を授与することによって、それぞれの特区における特色ある教育活動が展開されることを私ども期待しているところでございまして、まずは特区での実施を見守りながら、その成果を検証させていただきたいと思っているわけでございます。
○長沢委員 市町村で授与するというのは大変注目をしておりまして、今もおっしゃいましたが、特別免許状の授与というのは都道府県に認められていて、都道府県で認められた特別免許状というのは、要するに、高校に限らず中学校でも小学校でも免許状が通用するわけですね。そういう意味では、都道府県で認めれば、その都道府県という中で非常に登用ができる、異動ができるということもありまして、そういう意味では都道府県になっていた。ところが、現実は、高校がほとんどで、中学校がほんのわずか、小学校での対応はほとんどないというのがこれまでの現実なんです。
今回、特区で出てきたことによって、市町村でそれが認定、要するに授与できる。市町村で授与できることによって、小学校、中学校での、特別免許状を持った先生の教壇に立つチャンスがぐんとふえる可能性が広がるわけです。これは非常に大きな効果を持つと思うんです。
ですので、これについては、効果は非常に大事だと思いますが、私がなぜこれを大事だというふうに思うかは、一つは昨今の若年層の失業率の問題で、特にフリーターの問題というのがあります。フリーターの問題は、労働市場の問題というふうにとらえられてきていますけれども、もっと根深く見ると、家庭とか学校とか、あるいは社会環境とか、いろいろなところに大きく影響がある。
最近は、もっと低年齢からのキャリア教育というものを充実するべきだ、そういう声が上がってきています。これは文部科学省でも大分検討していただいているというふうに思いますが、例えば商社マンの方が進路指導をすることで進路指導に大変大きな刺激があったとか、いわゆる社会で経験を積まれた、さまざまなところで経験を積まれた人が小学校、中学校の段階から教育に携わることで、小学校の段階から発達段階に対応したキャリア教育のプログラムを組むことができるという意味で、小学校、中学校という教育段階でのキャリア教育という意味を考えると、市町村で特別免許状が授与できるというのは、キャリア教育をその段階から進められるという意味では非常に大きな突破口になる、大きな効果を生じると僕は思うんです。
したがって、小学校の段階から社会との多様なネットワーク、接点を持つということは、逆に言いますと、例えば引きこもりの問題とかそういうことに、小さな年齢から刺激を与えて、ある意味では効果も多分生じるだろうというふうに思うんですね。そういう意味では、選択肢が広がる、キャリア教育が小中の義務教育の範囲まで広がる可能性がある、より充実をしやすくなるという意味で、この改正は非常に大事。しかも、この改正案こそは、特区ではなく、早急に全国展開するべき効果が私はあるんじゃないかというふうに思っております。
特区からスタートするというのは大変いいことなんですけれども、市町村で授与できるということで任用の地域がそこに限定されるんですが、市町村で授与すると同時に、ちゃんとそれを修正して都道府県でも授与してもらえばそれだけ広がるわけですから、この二つの制度は併存が可能なんです、別に問題は生じないんです。
したがって、特区に限定する必要の方が余りないのではないか。全国に展開できる可能性が非常に大きいと思いまして、全国展開をぜひ早く検討していただきたい、こういうふうに強く要望したいと思っておりまして、一言だけ御答弁いただければと思います。
○樋口政府参考人 お答え申し上げます。
今、県段階で授与しております特別免許状は、十六年四月段階で百十三件にとどまっておるわけでございます。高等学校、中学校における授与でございまして、小学校での実績がない。
ただいま御指摘いただきましたように、キャリア教育の推進というのは非常に大きな課題でございまして、公立の小中学校におけるキャリア教育の充実のために、こういった市町村が授与された特別免許状を活用した社会人教員に活躍していただくことが非常に大きな効果を発揮する可能性があると思っておりまして、今後、特区でのそういった実験というものを十分見守りながら、その成果を検証しながら、全国化の課題について適切に検討してまいりたいと思っております。
○金子国務大臣 今の長沢先生の意見、私も大賛成であります。
それぞれのキャリア教育、あるいは地域によりましては、例えば奈良県の法隆寺、昔の文化、歴史を、自分たちの地域、自信を持って学ばせるための先生とか、所沢はだれですか、江川じゃ済まないんですか、清原でもいいんですけれども、いずれにしても、そういう人たちに来てもらって生きた教育を、海外で経験をしている商社マンに海外の子供たちの様子とか生きざまとかやはり生きた教育をしてもらいたい。これが、今度評価して、なるべく全国化が早くできるように、私も努力をさせていただきたいと思っております。
ちょっと最後に、修正でありますけれども、さっき車制限、特区というような意識で、三・八から四・一にいたしましたのは、あれは全国規制緩和、特区ではありませんので。誤解を与えました。
○長沢委員 ぜひ早急に、よろしくお願いします。
ありがとうございました。質問を終わります。
○山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四分散会