衆議院

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第9号 平成16年4月21日(水曜日)

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平成十六年四月二十一日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 今津  寛君 理事 大村 秀章君

   理事 河本 三郎君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 鎌田さゆり君

   理事 中山 義活君 理事 大口 善徳君

      岩屋  毅君    江崎洋一郎君

      西川 公也君    西村 康稔君

      葉梨 康弘君    早川 忠孝君

      平田 耕一君    平沼 赳夫君

      宮腰 光寛君    村上誠一郎君

      渡辺 博道君    石毛えい子君

      泉  健太君    市村浩一郎君

      大畠 章宏君    近藤 洋介君

      島田  久君    田嶋  要君

      原口 一博君    横路 孝弘君

      笠  浩史君    太田 昭宏君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣         金子 一義君

   内閣府副大臣       佐藤 剛男君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  西  達男君

   政府参考人

   (内閣官房構造改革特区推進室長)

   (内閣府構造改革特区・地域再生担当室長)  滑川 雅士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 河野  栄君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   大田 弘子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)  樋口 修資君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)  加茂川幸夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)  中島 正治君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)  伍藤 忠春君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)  田中 潤兒君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 藤本  保君

   内閣委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     渡辺 博道君

  泉  健太君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺 博道君     河井 克行君

  近藤 洋介君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  笠  浩史君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  田嶋  要君     泉  健太君

    ―――――――――――――

四月二十日

 業者婦人の地位向上施策に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一六六九号)

 新靖国神社法の制定反対に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一六七〇号)

 憲法の改悪反対に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一六七一号)

 同(東門美津子君紹介)(第一六七二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一六九九号)

 同(石井郁子君紹介)(第一七〇〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七〇一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七〇二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七〇三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七〇四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七〇五号)

 同(東門美津子君紹介)(第一七〇六号)

 同(山口富男君紹介)(第一七〇七号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第一七〇八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一七〇九号)

 同(東門美津子君紹介)(第一七六二号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第一七六三号)

 同(土井たか子君紹介)(第一七七三号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第一七七四号)

 国民のための民主的な公務員制度改革に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六九〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第一六九一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六九二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一六九三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六九四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六九五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六九六号)

 同(山口富男君紹介)(第一六九七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六九八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇五号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官西達男君、内閣官房構造改革特区推進室長、内閣府構造改革特区・地域再生担当室長滑川雅士君、内閣府大臣官房審議官河野栄君、内閣府政策統括官大田弘子君、文部科学省大臣官房審議官樋口修資君、文部科学省高等教育局私学部長加茂川幸夫君、厚生労働省大臣官房審議官中島正治君、厚生労働省健康局長田中慶司君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君、水産庁漁港漁場整備部長田中潤兒君及び国土交通省北海道局長藤本保君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。

市村委員 皆さんおはようございます。まずトップバッターで、きょうの質問を始めさせていただきます。

 本来であれば先週の金曜日に、きょう質問をいたす内容につきましては、本会議の場で民主党・無所属クラブを代表いたしまして御質問をさせていただく予定でございましたけれども、残念ながらできませんでしたので、その分、この場でしっかりと議論させていただきたいと思っております。なるべく短く、私も短く質問しますので、短く御答弁いただければというふうに思っております。

 まず冒頭、ちょっと嫌なことから私も始めなくちゃいけませんが、本来であれば余りこういうことを私、個人的には聞きたくないんですが、今大変大きな問題になっておりますので、ちょっとお聞かせいただきます。

 今、日歯連、日本歯科医師連盟から、いろいろ政治家に献金が渡りまして、不正な、日歯に大変有利なように働くように働きかけがあったんじゃないか、こういう疑惑が持ち上がっております。

 そこで、私はまだ金子大臣とも、また佐藤副大臣ともゆっくり話をしたことはありませんが、大変お二人とも志の高い方だ、こう思って議論をさせていただいておりますが、ちょっとこの件につきましてお二人に、金子大臣と副大臣に、この日歯連からこれまでに例えば金品の授受があったかどうか、それから、あったとすればその金額と日時はいつだったかどうか。それから、例えばそれは寄附金だったのか、パーティー券を購入していただいたのかとか、それから、それはちゃんと政治資金規正法上しっかりと報告されているのかどうか、それからまた、その他に供与や供応等の事実があるかどうかにつきまして、ちょっと、通告を出していませんでしたので申しわけございませんが、もしお答えいただけるのであればお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

金子国務大臣 参議院の予算委員会でも既に聞かれましたが、ございません。全くありません。

佐藤(剛)副大臣 全くございません。

市村委員 どうもありがとうございます。

 さて、私としても、きょうは大きな国の形を議論したいと思ってまいりましたので、これからは、今回提出されております構造改革特区法の一部改正案につきましての質問を始めさせていただきたいと思います。

 まず、金子大臣に私はお尋ねしたいんですが、私もちょっと誤解しておりました。この構造改革特区法というものは、特定地域とか特定の事項に当たって特別に認可を与えるといいますか認定をするという性格だと思っていましたところ、よくよく聞くと、別に地域の限定もなければ申請数の限定もありませんので、結局、全国どこでも手を挙げればできる。たまたまアイデアを募集した、そのアイデアがよかったので、法改正をして、ではこれは特別に認めましょう、最後は内閣総理大臣が責任をとりましょう、こういう仕組みだというふうに思っていまして、結局、これは全国一律の規制緩和に、実質上そういうものだというふうに認識しておるんですけれども、これで私の認識は正しいでしょうか。

金子国務大臣 基本的には同じなんです。

 ただ、いろいろな規制緩和を行っていくのに、まず地域から手を挙げていただいて、それを、今ちょっと、認定するとか認めるとおっしゃいましたけれども、与えるというイメージは私たちないんです。あくまでも、地方の考え方を実現させるように規制を取っ払っていくという、与えるというのとちょっと違います。この規制緩和をして、そして地域のアイデアが実現できていって、それが全国的にも弊害がないねということであれば、一年後にはそれを評価していって、全国で使えるようにしていこうというのが基本的な考え方であります。

市村委員 今、一年後とおっしゃいましたけれども、ということは、一つ例えば何かを特区で認めた場合、一年間はその類似のものは認められないということなんでしょうか。

金子国務大臣 年三回か四回、特区の申請、昨年は四半期毎に提案を募集しておりましたものですから、一回目ある地区で出た、二回目同じ地区で出す。具体的に、岩手県の遠野市でどぶろくに手が挙がりました。三カ月後に別の地区で手が挙がりました。もちろん、いずれもそれができるようにやりました。

 そういう意味で、しかし、どぶろく特区というのが、これは弊害がないなということであれば、最初のスタートからもう一年後には評価を始めまして、そして評価の結果、いいじゃないかとなれば、もう全国どこでも今度はできるようにする、これが趣旨であります。

市村委員 恐らく今の話だと、例えば三カ月後に出たという話ですけれども、ひょっとしたらこれが全国、そんなことないと思いますけれども、全国で、それこそ数百カ所ぐらいで、どぶろく特区やりたい、どぶろくやりたい、こういうことがもし例えば三カ月、年に四回ということであれば三カ月置きだということだと思いますけれども、それならでき得るということですね。

 例えば数百カ所だろうと、自治体は三千二百ぐらいありますけれども、もし、ないと思いますけれども、三千二百自治体全部が一挙にやりたいと手を挙げたら、それは実質上できるという理解でよろしいでしょうか。

金子国務大臣 どぶろく特区の場合には、農家、自分で田んぼをつくっているという要件、民宿である、やっているという要件、もちろんそういう要件はありますけれども、そういう認定要件というのを満たしていただければ、今おっしゃったことは可能であります。

 決して、特区ができたからといって、どこかで先に先行したからといって、それが利権とか先行利得ということだけではありません。

市村委員 ありがとうございます。

 やはり今の議論を通した私の理解では、結局はこれは実質上の全国的な規制緩和だととらえてよいかというふうに理解をしておりますが、最後にそれだけ、その理解が正しいかどうか、一言だけ、金子大臣、お願いいたします。

金子国務大臣 冒頭に申し上げましたように、規制緩和を先行して弊害がないかどうかということは、やはり一方で見ていく必要がある。そこだけは、案件によって、どぶろくが多分問題ないだろう、今私が言っちゃいけないのかもしれませんけれども。しかし、別のもので本当に弊害がこれによって起こるのであれば、それは全国化しない。

 仕組みとして、評価委員会制度というのをつくっております。特区が認められてから一年後に評価を現地に行って始める。そして、現場に行って、どういう問題があるのか、地方自治体あるいは関係者にも御意見を聞く。弊害の有無だけはきちっと検証させていただく、そういう仕組みは入れております。

市村委員 ありがとうございます。

 それでは、今度は中身について入ってまいりたいと思っています。

 今回は、いろいろ法律を見ました、いろいろありますけれども、主には四つの部分に分かれているかなと思っておりまして、まず文部科学省の方にちょっとお尋ねをしたいと思います。

 今回の特区では、市町村の教育委員会が特別免許状を授与できる特区を認めるかどうかということになると思いますが、私がこれを聞きましたとき、基本的には、多様な経験を持った多様な人材が教育の現場に入っていくということ、私は個人的には賛成でございます。

 ただ、これまで、例えば民間から登用されて校長先生になった方が、本当に残念なことに、最後には自殺をしてしまうというような事件も起きておるわけでございまして、例えばこうしたいろいろな人材が学校現場に、教育現場に入っていったときに、そうした受け入れ態勢が本当にちゃんとあるのかどうか。入っていって、何かよそ者のように扱われて、またそれで悩み苦しみ、不当な扱いを受けてしまって、最悪の場合、こんなこと絶対あっちゃならないと思いますが、本当に心身に何らかの異常を来してまた自殺の道とかそんなことになってはとんでもない話でありまして。

 本当に将来の日本を担っていく子供をいかに育てていくか、恐らく私はこういう観点からの今回の規制緩和だと思っていますので、今回、教育現場にそうした新しい多様な人材が入っていかれたときに、学校現場でそういうことで御苦労されない。教育でいろいろ子供相手に苦労するということは多分あると思います、一人の人間を育てていくということは大変なことですから、いろいろな御苦労があると思います。そうじゃない部分で御苦労があったとすれば、それは残念なことになりますので、その点につきましてちゃんとした方策を考えているのか、文部科学省の方からお答えいただければと思います。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、すぐれた知識経験を有する社会人等外部資源を学校現場において有効に活用することは、私どもといたしましては学校教育の活性化とか多様化を図る上で極めて大きな意義があるものと認識をしております。

 校長先生につきましては、平成十二年に学校教育法の施行規則を改正させていただきまして、いわゆる民間人校長を登用できるような制度化を図ったところでございます。

 先生御指摘のとおり不幸な事例も近年あったわけでございますが、私どももそういうケースも踏まえまして、文部科学省といたしまして、民間人校長の登用に当たりましては、まずは教育に対しての意欲や識見をお持ちの民間人について明確に任用の方法を工夫していただいて、各県でこういうすぐれた方を登用する、そうしたことをきちんとしていただくこと、あるいは事前に十分に基礎的な研修、実践的な研修を施すということ、学校運営についての実情あるいは学校運営の法規的な側面、さまざまな事柄について十分な研修を組むということ、そして教育委員会がやはりこういった方を配置するときに当たってのバックアップシステムをきちんと組んでいただくということに配慮するよう現在指導させていただいているところでございます。

 これは、民間人校長にとどまらず、特別非常勤講師制度あるいは特別免許状制度によって採用された教員についても同様に、安んじて教育の職務に精励することができるように条件整備を図っていただきたい、この旨を各都道府県教育委員会等に私どもきっちりと指導させていただいておるわけでございまして、今後、この特区制度を活用して民間人の教員等が学校現場で活躍できるように、都道府県の教育委員会等に対してきちんと周知徹底をさせていただきたいと思っている次第でございます。

市村委員 今お話しいただきまして、ありがとうございます。

 一つには、学校の現場というのもあると同時に、今のお話の中で出てきました、やはり教育委員会というものの対応も重要だというふうに思います。

 それで、私がこれまでいろいろな事例を見てきたときに、教育委員会というものが余りに一方的な考えというか、一方的なことを押しつけている可能性もなきにしもあらずかという事例もあるかと思います。だから、お互いこれは、学校の現場の先生方と教育委員会がしっかりと意思疎通を図っていくということが大切でありまして、教育委員会が持っている性格それから役割というものをしっかりとやはり認識していく必要もあるというふうに思います。

 そういう点につきまして、結局これは市町村の教育委員会が特別免許状を与えるわけですから、教育委員会が責任を持たなくちゃいけないと思います。ただ、だからといって、学校現場に何か無理に押しつけるような形になってはならない。やはり教育委員会がちゃんと中立的な立場に立って、学校現場と、これから特別免許状を与えられた方が学校現場に入っていくときの、そうした橋渡し役をきちっと果たしてほしいというふうに願うわけでございますけれども、その点、もう一点だけ、お願いします。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の特区の特例措置によりまして市町村の教育委員会から特別免許状の授与をするわけでございまして、この授与を受けました教員が、社会人としてのすぐれた知識経験を生かして、地域にとって特色ある教育を行っていく、そのことによって学校教育の活性化を図っていくことが今回のこの特例措置の趣旨であろうかと思っておるわけであります。

 当然、私ども、この特別免許状の授与を受けられました教員が他の先生方と共同連携をしながら学校の中で生き生きとした学校活動に取り組んでいただくよう、これは校長先生のリーダーシップが極めて大切であろうかと思っておりまして、こういったことで校長先生のリーダシップをしっかり発揮していただくことと、特別免許状の授与をされました市町村教育委員会がしっかりとサポートをしていく。校長をきちんと指導しながら、この特別免許状を受けられました教員が安んじて職務に精励できるようにサポート体制をきちんとつくり出していくことを、本特例措置が制度化されました暁には、当然、趣旨、内容等について周知徹底と指導に私どもきちんと努めてまいりたいと思っております。

市村委員 大変重い決意というのは、私は貴重だと思います。

 ただ、これは皆さん大先輩方に釈迦に説法でございますけれども、一人の人間を育てるということは、決して規則とか指導でできるものではないわけでありまして、やはり現場の校長先生にそれだけのリーダーシップがあるということ、私もそう思います。ただ、そのリーダーシップをとるべき校長先生はやはり人格者でなくちゃならない、人格識見ともにすぐれた方であって、本当に子供の将来を考えていく方でなくてはならないというふうに私は思いますので、だから、もともと指導をされなくてもそういうことが自然に身についてできる方を校長先生にしていただかないと本当に子供たちは浮かばれないですね。

 私の地元で、本当に熱心に中学校でやっていらっしゃった校長先生が自殺をされるという痛ましい事件が起きてしまいました。私も大変親しくさせていただき、御指導いただいた先生でございました。本当に熱心な、金八先生のモデルとなったような先生でございましたけれども、大変学校現場で悩み悩み、本当にあの方は人格識見ともにすぐれた先生だったと私は思いますが、結局、最後はみずから命を絶つという、本当に私も当選直後の話でしたのでショックを受けまして、落ち込んでいたときがありますけれども。

 とにかく、そうした方が行っても今苦労されるということでもありますから、もともとそういう方がついてほしいし、そういう方がついたときも、そういった御苦労をされないで、そんな痛ましいことにならないようなことを、ぜひとも私は改めてまたお願いをしたいというか、文部科学省の皆さんにはこのことを一点しっかりと心がけてやっていただきたいという思いでございます。

 人を育てるということは、もう何回も申しわけないんですけれども大変なことだ、私も自分の子供を育てながら本当に思う次第でありますので、またよろしくお願い申し上げます。

 では、次に参らせていただきます。今度は、農林水産省の方にお尋ねをしたいと思います。

 今回の特区法案の一部改正の中には、行政財産である漁港施設を民間に貸し付けることができるという特区を認めるかどうかということがございまして、これは貴重な行政財産でございますから、私は、そう安易に民間に貸し付けていいかどうかということは考えなければならない。

 それは私たち国民の財産でございますから、国民の財産を特定の方に貸し付けるということですから、当然きちっとした契約に基づいてされるということは信じております。

 しかし、その際、特にこれは漁港、漁村といっていいんでしょうか、にかかわる問題でありまして、大変地域性が、地域の結びつきが強いところにこうした規制緩和を行うということになってきますと、例えば、いや、これならもうかる、どうも国が行政財産を貸し出してくれるようだ、あそこへ行ったら、あそこに資本を投下すればこれは必ずもうかるとなったら、その場合、やっぱりある程度の資本家が、資本がそこに行きたいと思うのは資本の側からの考えとすれば当然でありまして、ただしかし、そのときに、地域のこと、特性を知らないような方、また地域の状況を無視するような方が突然漁村に入っていって、それでこれはもうかるからといって出ていかれると、その地域の特性や人間関係を崩してしまうようなことになりかねないと私は思います。

 ですから、規制緩和はいいんですけれども、そうした地域の特性や地域の事情を無視したような業者がここに入っていかないような、やっぱり地域から、特に特区というのはまさに地域からのアイデアに基づいてそれを認めていこうという話ですから、その辺のことをきちっと担保して、地域社会がそれによって崩壊に導かれないような、そうした事前の対応といいますか、準備は必要だと思います。

 それにつきまして、農林水産省の田中部長、またよろしくお願いいたします。

田中(潤)政府参考人 お答えいたします。

 本制度は、水産物の流通、加工といった漁港施設が持ちます機能を民間事業者の活力やノウハウを活用することによって高度化しようとするものであります。

 先生おっしゃいますように、事業者の選定におきましては、地域の実態を熟知しております漁港管理者であります地方公共団体が、申請書の公告縦覧、それから、その申請書に対しまして意見提出の機会を与えるなど、透明性の高い手続を経た上で、地域の水産物の流通、加工などに従事します適切な事業者を選ぶことを想定しております。そういったことから、地域の実情を踏まえた事業が実施されるものと考えております。

市村委員 ぜひとも、今お話があったような形で事が進んでもらいたいと思います。

 なかなか都道府県となりますと結構広い範囲ですから、いろいろなまた圧力がかかったりとかして、日歯じゃありませんけれども、そんなことにならないように、本当に地域の特性を、やはり日本というのは地域特性が大変豊かな国であったのに、今なかなかそういう地域特性がだんだん失われてしまっているということで、私は個人的に嘆かわしいと思っております。やはり、地域の特性というのがしっかり保たれて、日本人が旅行したときに、ああ、こんなところが日本にあったんだな、こういうような、しみじみと思えるような日本列島にこれからしていきたいなと思いますので、そういった意味でもぜひともよろしくお願い申し上げます。

 それで次に、これからちょっとしばらくの間、ずっと最後まで厚生労働省さんとの議論をさせていただきたいと思いますが、今回の特区法改正案の一つに、市町村が狂犬病予防員を任命することができる特例を認めるのかどうか、こういうことがあります。

 これは、最初に聞きましたときに、なるほど、これは北海道のどこかの地域だということでありますので、野犬が非常に、大変ちょっと問題を起こす可能性があるということで、ぜひとも北海道ではなくて市町村でやらせてほしいと。非常に特区らしいといえば特区らしい改正だと思いますし、アイデアだと思います。

 ただ、お聞きしますところ、この狂犬病というのは、昭和三十二年以来、一件も日本では発病例がなく、もちろん発病例がないわけですから死亡例もない。全世界で四、五百人の方が亡くなられているというのは事実としてあるようですけれども、日本ではないということであります。

 一方で、皆さんも御記憶に新しいところだと思いますが、鳥インフルエンザ。これは昔、家禽ペストと言われたようですけれども、まさにこれもウイルスでありまして、狂犬病もこれも狂犬病ウイルスということでありまして、昭和三十二年からない狂犬病のことよりも、むしろ今は鳥インフルエンザ、そっちの方が実は大切な問題じゃないかと思うんです。もちろん、狂犬病が大切じゃないという言い方じゃありません。

 それで、狂犬病予防員という方がどうも全国に二千数百人、二千二、三百人いらっしゃるということで、狂犬病ウイルスに対しては二千二、三百人がこれは全国にいて対応していただいている、予防員として。

 ところが、鳥インフルエンザはどうなっているのかというと、実はこれはかなり前から家禽ペストと言われて問題点が指摘されていたにもかかわらず、何の対応もとられないまま今日に至って、何の対応もというのは申しわけありませんけれども、一応、審議会とかでは話があったそうですけれども、しかしながら、それは余り大きな問題として取り上げられないまま今日に至って、そしていよいよことしの初めに大きな問題になってしまったということでございます。

 ですから、私が何を申し上げたいかといいますと、ウイルス全般を取り扱う、これは危機管理だと思います。どんなウイルスがこれから発生してくるかわからないわけです。もちろん、狂犬病ウイルスは大変だったと思います。だからこそ、こういう予防員がいて、やっていると思います。しかし、狂犬病ウイルスだけじゃなくて鳥インフルエンザのウイルスもある、いろんなウイルスがある。だから、やはり私は、ウイルス全般を危機管理として取り扱う部署が必要であって、いろんなこれから未知のウイルスが出てくると思います、そうしたウイルスに対応していかなくちゃいけないわけですね。

 そういった意味で、私、お聞きしましたら、厚生労働省には感染症情報管理室が設けられているというふうに聞いています。だから、私の提案としましては、この今回の特区改正はいいんですけれども、もっと戦略的な思考を持って、そして危機管理的な思考を持って、こうした今厚生労働省にある感染症情報管理室をもっと強化して、今知られているウイルスだけじゃなくて、これからも発生し得るであろうウイルスに対して国としてきちっと対応していく必要が私はあると思います。その中にこの狂犬病予防員と言われている方二千数百人も再編していくということが求められているのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

田中(慶)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、狂犬病でございますけれども、狂犬病がいない国というのが非常に珍しいぐらいでございまして、イギリスとかそれからオーストラリア以外の国は狂犬病がたくさんおりまして、万の単位の死亡者も出ているところでございます。私ども、今の登録管理体制が十分行われているために狂犬病が予防できているというふうに考えているところでございます。

 それから、御指摘の動物由来感染症の件でございますけれども、近年、SARSとかあるいは鳥インフルエンザ、そういうような新たな感染症がどんどん発見されてまいりまして、これら新興感染症の多くは動物から人に感染する動物由来感染症ということでございまして、これを含めて総合的な感染症対策が大切だというふうに認識しているところでございます。

 昨年の十月に感染症法を改正いたしまして、特に動物由来感染症対策の大幅な強化というのを行ったところでございます。

 内容を申しますと、まず動物の輸入届け出制度を創設いたしました。それから、獣医師の公衆衛生対策に寄与する責務規定の創設も行いました。動物等取扱業者の衛生管理に努める責務規定の創設も行いました。最後に、新四類感染症という区分を設けまして、消毒とか汚染物品の廃棄等の物的措置を講じることができる感染症の類型というのを設けまして、高病原性鳥インフルエンザはここに位置づけるということをしたところでございます。

 これらの対策を着実に実施する体制を確立するために、従来から、感染症対策から人対策まで一元的な感染症対策が行われるような体制を整備するとともに、今後とも、増員等によりまして感染症の情報収集体制の強化を図るなどの対応をしていきたいというふうに考えております。

 新たな感染症の脅威から国民の健康を守るために全力を尽くしていきたいというふうに考えておるところでございます。

市村委員 私が事前にお聞きしていたのと数字が違うんですが、私は、狂犬病で亡くなられている方は年間四、五百人だというふうにお聞きしていたんですが、数万人なんでしょうか。それだけ、短くお願いします。

田中(慶)政府参考人 世界でという意味では万の単位だというふうに聞いております。

市村委員 それでは私が事前に厚生労働省さんから伺った数字とはちょっと違うんですが、それはいいです、この場合の議論ではありません。

 もちろんいろいろ取り組まれているということは承知をしております。当然、そうやっていただいているものと信じておりますが、私が今申し上げたのは、そうした動物感染のウイルスだけじゃなくて、ウイルス全般を取り扱う。既存のウイルスだけじゃなくて、未知のウイルスも含めて、これからどんなウイルスが発生してくるかわからないわけです。鳥インフルエンザの鳥インフルエンザウイルスに関しましても、H1からH12まで類型があると聞いていますし、Nも1から5まであるとか聞いていますし、これがまた組み合わされて、どこでどういうウイルスが発生してくるかわからないわけですね。それに対するワクチンもちゃんと開発していかなくちゃいけないわけですから、そうしたものにもっと戦略的、危機管理的な思考を持って国が取り組むべきではないかというふうに私は申し上げておるわけでございまして、これまでの取り組みではないんです。

 だから私は、そういう取り組みについて何か考えがあるんでしょうかということをお聞きしております。短くお願いします。

田中(慶)政府参考人 今申し上げましたのは、本省におきます感染症情報管理室というようなことを申し上げたわけでございまして、未知のウイルス全体に関しましては、感染症研究所というのがございまして、これはたしか四百人ぐらい定員があったと思いますけれども、そこで、未知のウイルスを含めたワクチンの開発とか、あるいは治療の問題とか、研究をさせていただいているところでございます。

 さらに、水際対策という意味では、全国の港に検疫所というのがございまして、そこでそういうウイルスが国内に入ってこないような防疫対策を行っているということでございます。

市村委員 今、感染症研究所とかなんとかお聞きしました。四百人体制、私はいいと思います。

 ただ、きょうはこの議題じゃないのでまた今度議論させていただきたいんですが、それがありながらなぜ鳥インフルエンザ、しかも大分前から警告されていたにもかかわらず、これをきちっと未然に防ぐことができなかったか。これは大変大きな問題だと思います。しかも、家禽ペストと言われた時期もあって、もうずっと二十年ぐらい、これ、実は存在があって、七年前に香港か何かで七万羽ぐらい死んだかな、もっとかな、という事件もあって、そのとき以来、いつ日本に入ってくるかわからないという指摘もあったにもかかわらず、それを今日まで放置してしまった責任は大きいと思いますので、またこれはいずれ議論させてください。

 それで、いよいよ、きょう私が一番最も議論しなければならないという議論に入っていきたいと思っているんですが、今回の特区、主なもの四つありますが、そのうちの一つに株式会社の病院等を開設できる特例を認めるかどうか、こういうことがあります。

 まず、私、きょうは中島さんでしょうかね、日本は国民皆保険をとっているわけですけれども、この国民皆保険の目的について一言短くお話しください。

中島政府参考人 国民皆保険の目的というのは、これはまた我が国の医療保険、医療提供、それからそれに対する財政的なバックグラウンドというようなものをつくっていく中ででき上がってきたものですけれども、国民がひとしく命にかかわる医療の提供を受けられるような体制をつくるというところが基本だというふうに理解しております。

市村委員 今、国民がひとしく命にかかわる医療を受けられることが基本だということで、私たちはいわゆる保険料を払っているわけです。

 これが国民皆保険でなくて、民間が自由にやってくれ、民間の保険会社が、例えば、アメリカでも、必ずしもそうとは言い切れないんですけれども、基本的な仕組みとしては民間で保険に入って、それで医療保険を置いているのがアメリカの仕組みでございますけれども、実際、メディケアとか、また違う仕組みも、実は日本に倣っているという部分もありますけれども、できていますが、日本の場合は、今おっしゃっていただいたように国民皆保険で、ひとしく国民が命にかかわる医療を受けられるという前提があるわけです。

 そのために私たちは、高い、まあ高いか安いかわかりませんけれども、私もいろいろそれこそ無職の時代もありましたから、無職の時代は安かったし、働いているときは結構高い保険料も払ったりとかしていました。まあほとんど病気にかかることがないものですからほとんど使っていませんけれども、しかし、これはいざというときに、人間何が一番怖いかというと、病気になったときが一番嫌だ、怖いわけですね。健康であれば、多少貧乏であっても、住むところと食べるものを食べることができれば、あとは心の持ちようで明るく楽しく過ごしていけるわけですけれども、残念ながら、病気になるとそうは言っていられない。そのときに、例えば命にかかわるというようなときに、適切な医療を受けられる。だからこそ日々、使わないかもしれないけれども、まさに保険とはそういうものであって、保険料を払っているわけですね。

 さて、その前提で、今回の株式会社の病院等の開設を認めるということで考えていきたいと思っているんですけれども、まず、これは、株式会社の病院を参入させるということについて政府部内にもいろいろ議論があったと思います。簡潔に、どういう議論で株式会社でいいというふうになったのか、そして、それだからこそ今回一部改正案に盛り込まれたんでしょうから、その議論の過程と、株式会社がいいというその理由についてお願いいたします。

中島政府参考人 株式会社の病院等の開設の問題につきましては、まず、資金調達がこの方式によりまして容易になり、企業の経営のノウハウというものをこの分野で活用するということで、質の高いサービスが効率的に提供できるというような総合規制改革会議などの積極的な御意見がございます一方、医療費の高騰を招いたり、あるいは、利益が上がらない場合にはこれから撤退をするというようなことで、地域の適切な医療の確保に支障が生じるおそれがあるというような慎重な御意見もございまして、政府内におきましてもさまざまな議論が重ねられてきたところでございます。

 こうした議論を踏まえまして、昨年の二月二十七日、構造改革特別区域推進本部におきまして、株式会社の医療への参入について六月中に成案を得るということを決定し、これを受けまして、昨年六月二十七日に、経済財政と構造改革に関する基本方針二〇〇三におきまして、特区について、自由診療で高度な医療を提供する病院等を開設することを可能とするよう関係法令の改正を行うということとなったものでございます。

 今回の措置につきましては、この基本方針に沿いまして、医療保険財政への影響の懸念なども踏まえつつ、株式会社の資金調達能力、研究開発意欲を活用することが高度な医療の開発普及を促進する上で適切かつ有効かどうかということを検証するとの趣旨により提案をしたものでございます。

市村委員 今、検証という言葉がありました。今度、では私、これから、株式会社立で病院をつくっていこうという経営者の立場でちょっと質問させていただきたいと思うんですが、検証していただくのは結構なんです。では、私がここで病院をつくろうということですね、しかも今回の、なぜ株式会社かというと、その株式会社が持つ資金調達能力をフルに生かしてもらおう、こういうことなんです。であれば、私は経営者としてどうするか。

 これだけすばらしい医療を私は提供できます、ほかではできない医療を提供できます、ほかでは命が助からないものを私の会社なら助かりますといって、私は恐らく宣伝をするでしょう。そして、そうじゃなければ、どうやって、株式会社から株式を発行して、広く国民の皆さんもしくは機関投資家の皆さんからお金を集めるわけですから、当然、それぐらいのことを言わないとお金は集まってこないわけです。それで、一生懸命やります。すばらしい治療方法を開発して、頑張るわけです。もうけ、利益が出たら、それを株主の皆さんに配当として出していく。

 さて、そのときに、突然厚生労働省がやってきまして、いや、これは検証だったんですけれども、大変すばらしい治療方法を開発していただきましたと。これは国民皆保険ですから、命にかかわることですから、これで命が助かるんであれば、当然、国民皆保険に、国民の立場からすれば入れてもらわなくちゃいけません。しかし、経営者の立場からすると、突然やってこられて、これは保険でありますからと。

 しかも、株式会社には保険が認められていないわけです、今回。これは、株式会社にもちゃんと保険診療が認められているならまだイコールなんです。今の一般医療法人と株式会社立の病院はイコールなんです。ならばまだわかるんです。しかし、認められていないんです、保険診療が。

 高度な、今は高度だと言われている、しかし、実は、十年後二十年後には、一般の国民の立場からすると普通の医療になってほしいんですね。例えば遺伝子治療にしても、再生医療にしても、多分すごくすばらしい。今は高度先端医療と言われていますけれども、私たちの立場から、国民の立場からすると、それはまさに将来保険で適切な負担で受けたいわけですね。

 ところが、株式会社にすれば、経営者の立場で一生懸命頑張った。突然やってこられて、保険です、いや、検証でしたからと。これは、例えばその株式会社に投資した株主の立場はどうなるんですか、経営者の立場はどうなるんでしょうか。教えてください。

中島政府参考人 ただいまの保険診療との関係の問題でございますが、今回の特区におきます株式会社の病院等の開設につきましては、先ほど申し上げましたように、医療保険財政への影響の懸念も踏まえつつ、株式会社のメリットとされます資金調達能力あるいは研究開発能力を活用するという観点から、自由診療による高度医療の提供を条件とすることが適当であるというふうに考えております。

 これまでも、国民がひとしく良質な医療サービスを受けることができますように、医療保険制度におきまして、新規の医療技術について、その成熟の程度あるいは普及状況に応じて、医療保険制度における高度先進医療への追加、あるいは一般の保険診療への適用を進めてきたところでございますけれども、今回の特区の措置によります開発された医療技術についても、引き続き、他の医療機関も含めた普及状況等に応じた、そういった対応を行ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

 一方、高度な医療の範囲につきましては、医療保険の対象とならない例えば健康診断というような部分もございまして、こういったことも含めて考えますと、健全な株式会社の参入が期待できるものというふうに考えております。

市村委員 ちょっと私が質問したことにまともにお答えいただいていないというふうに思うんですけれども、中島さんが、中島審議官がもし株式会社を設立したと考えてください。経営者の立場で考えてみてください。一生懸命やればやるほど、この株式会社は成り立たないわけです、考えてみれば。もちろん、株式会社にそぐう部分もあるかもしれない。例えば美容整形とか、今でも保険を適用していない診療、治療については、これはそぐうかもしれません。

 しかし、例えば、今度、厚生労働省さんが一つの例として挙げている再生医療であるとか、遺伝子治療であるとか、例えばそうした治療法をある株式会社が確立した場合、中島審議官がその経営者だった場合、一生懸命やればやるほど、突然やってこられて、これは保険でやりますから、おたくは保険は認められていません、保険でやりますからと。冗談じゃないと言っても、いや、これは検証だったんですと。

 しかし、そんな株式会社というのはあるんでしょうか。もう成り立たないじゃないですか、経営が。そのことをお聞きしているんです。

中島政府参考人 ただいま御指摘のような、ある程度普及がそう遠くない将来に見込まれて、なおかつ保険の適用が想定されるというようなものについては、御指摘のような経緯になって保険診療になるということが十分考えられますので、そういった分については、株式会社の参入というのはある程度難しいんではないかというふうに思われます。

市村委員 今難しいというお話がありました。ということは、特区で、あの法律を読むと、一定の要件を満たしたら認めざるを得ないようになっているんですが、では、治療法に関しては、それはだめというふうに最初から除外するということでよろしいんでしょうか。

中島政府参考人 将来的にそういった形で保険診療になった場合には、この株式会社病院、今回の規定におきますものでは行わないということになるわけですけれども、そうなるまでの間については当然事業として行うことが可能と思われますので、そこをどう判断するかは株式会社の方の経営の問題であるというふうに思われます。

市村委員 今のお話というのは大変大きなことでありまして、ということは、最初から期間を限定された株式会社ということになるんですが、そんな法人、つまり、株式会社というのは法人化をするということなんですね、まず根本的な意味においては。そうした法人が、最初からいつなくなるかわからないという法人を認めるというのは、根本的にこれは間違っているんじゃないんでしょうか。お願いします。

中島政府参考人 一つは、そういった医療についてはその病院では行えなくなるという事態は考えられるわけですけれども、それ以外にもその病院で行えるような治療なりがあり得るということも考えられますし、その医療そのものができなくなるかどうかということについては、その医療そのもののその後の経緯というものもあるので、なかなか事前にそこを明示的にいつまでというような形にはならないものというふうに思っております。

市村委員 ですから、今のお話を考えると、素直にとると、結局、その株式会社は、やはり頑張れば頑張るほど大変な会社になるわけです。つまり、頑張って治療法を確立したら保険に持っていかれる。今ほかの治療法もあるからといったら、ほかの治療法で頑張ったら、またそれも頑張ったら持っていかれる。つまり、永遠に頑張り続けなくちゃいけないということ。株式会社もそれは当然経営努力をしなくちゃいけないわけで、常に経営努力をしなくちゃいけない、そういった意味ではそうなんですけれども。

 しかし、頑張れば頑張るほどむなしいことに対して、まともな経営者感覚を持った人は努力をするんでしょうか、そういうことに対して。普通、まともな経営感覚を持った方だったら、それにまず踏み込まないというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

中島政府参考人 そういった事業に踏み込むか踏み込まないかは、まさにそれがどういった治療方法なり医療であるかということと、それから、それに対する将来的な見通しをどのように経営者として持たれるかということによるのではないかというふうにも思われますし、また、先ほども私申し上げましたように、そういった治療以外にも、保険がそもそも制度的に対象にならないような部分ですとかもございますので、そういったものを総合的に判断して考えられるんではないかというふうに思われます。

市村委員 そうなんです。今お話しの中で、保険がそもそも適用にならない部分があるということなんです。それが、今、高度先端医療と言われているものだと思うんですが。

 しかし、さっき私は一番最初にお聞きしたように、国民皆保険なんです。私たちは何のために払っているかというと、ひとしく命にかかわる医療を受けられると思って保険料を払っているわけです。まさに、そうした研究調査というのは、研究というのは、基礎研究というのは、国の役割じゃないんでしょうか。国がそうしたものをきちっと国の責任で、国のお金で、国民に対して最も医療というのは安心を与えるわけですから、それは国の根本的な責任じゃないんでしょうか。

中島政府参考人 今回の特区の措置につきましては、高度医療の分野で株式会社の参入を認めるということが、その開発普及を促進するというその手段の一つとして適切かつ有効かどうかということの検証が一つの目的でございます。

 厚生労働省といたしましては、これまでも厚生労働科学研究の一環としまして研究の助成を行いまして、再生医療など先端医療につながる分野の研究を進めてきているところでございます。遺伝子治療、再生医療等先端的な医療の発展、普及を図り、患者にとってより安全ですぐれた医療技術の実現を図ることは大変重要な課題であるというふうに認識しておりまして、今後ともこうした取り組みを国としても推進してまいりたいというふうに考えております。

市村委員 いや、だから、それをぜひとも推進していただきたいんです。しかし、その部分を今回株式会社に一部任せてみようかという実験を、検証をされようとしているわけですね、ですよね。

 これで、株式会社が頑張って、例えば基礎研究をやって、それを例えば知的財産権として押さえていくということがあった場合に、大変高いロイヤルティーを払わないとその治療法は受けられないとか、こうなっていった場合、それは大変国にとって損失じゃないんでしょうか。私たち国民の立場に立ってそれは非常に損失じゃないんでしょうか。

 だから、こういう検証、本当にあるのかどうかなんですね。一つ、私が百歩譲って、株式会社立の病院があるとすれば、例えば、介護保険は株式会社も保険をやっているわけですね。介護保険制度では株式会社も保険を適用されて、保険を受け取っているわけです。保険適用やっているわけです。保険適用をされたサービスを提供しているわけです、介護保険でも。

 また、お聞きしたところによりますと、既に株式会社立の病院は、実は、全国で六十二あるということもお聞きしているわけです。いわゆる歴史的な経緯もあると思います。たまたままだ病院設立が容易でなかったときに、大資本家たちに対してお願いして病院をつくってもらった。もしくは、もともと三公社、もともといわゆる官の世界にあったものが民になったことで株式会社立が残っているとか、いろいろ経過があるにせよ、既に、株式会社の病院があって保険診療もやっている、ちゃんとやっているわけです。

 百歩譲るとすれば、株式会社に保険診療を認めるということならばまだ、先ほど議論して申し上げたように、既存の医療法人との関係で対等な関係になりますから、その株式会社が高度医療を、高度な治療方法を開発しても、それは縦の流れで保険診療も認められていますから、株式会社の中で、これはすばらしい治療法だからうちの病院で、うちの株式会社病院でちゃんと保険診療として認めてくれと厚生労働省に逆に言って、今度は逆に株式会社立の病院が厚生労働省に言って、これはもうすばらしい治療法を確立して、これで今まで助けられなかった命を助けるから、これを、保険診療を認めてくれ。うちの病院でやらせてほしい、しかも、かつほかの病院でもやってほしい、保険でやってほしい。これならわかるんですよ。

 しかし、今回は、高度先端医療しか認めていないわけです。そうなると、先ほどから申し上げているように、一体だれが経営するんですか。また、まともな経営感覚を持った人はやれないんじゃないかな、こういうふうに思う部分がありますけれども、いかがでしょうか。

中島政府参考人 ただいま幾つかの御質問があったと思いますが、そのうちの一つで、介護保険との関係についてということでございますが、医療分野につきましては、まず、医療の、特に専門性が高いということ、それから、医師と患者の情報の非対称性といいますか、医師の方が情報を多く知っている、握っているというようなこと、それから、既存の病床数が医療計画で定めます基準病床を上回るというような、全国的には既に病床の供給が過剰になっているような状況があるということなどを踏まえまして、株式会社の参入は全国的には禁止ということとしつつ、今回、特区において所要の特例措置を講ずるということにしたわけでございます。

 一方、介護の分野につきましては、高齢化に伴って今後さらに施設整備が必要であるというようなことなどを踏まえて、特別養護老人ホームについて、株式会社の参入に道を開いたということでございますけれども、これについても、特区に限って必要な条件のもとで株式会社の参入を認めたということでございまして、両分野の対応につきましては、整合性が一定の範囲でとれているんではないかというふうに考えております。

 それから、既にある株式会社立病院の関係でございますけれども、これは、先生の方からもお話がありましたように、古くから存在しておりましたり、JRとかNTTなどの旧公共企業体の民営化に伴って病院が株式会社立となったものとかがございます。そして、これらの病院については、企業の福利厚生というようなものを目的として開設されたものでありまして、営利の目的として開設をされていないというようなこと、また、十四年の十一月に調査をいたしましたけれども、営利目的ということで病院事業による利益を配当に充てているというようなことはないという状況でございまして、営利目的の今回の株式会社の参入とは同列には扱えないんではないかというふうに考えております。

 なお、保険診療を認めるべきではないかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、我が国の保険診療のあり方、そういったものも含めて、今回については、高度な自由診療の部分というふうに限定をしたということでございます。

市村委員 いろいろ御説明いただきましたけれども、私は、実は今回のこの改正は国民皆保険に穴をあけていくことだというふうに思っているんです。

 結局、株式会社立でそうやって高度な診療を受けられる。本来であれば、先ほどから申し上げているように、それは私たちが一番最も受けたい治療、これから受けたい治療なんですね。今はたまたま高度先端だけれども、二十年後にはわからないわけです。ということは、このまま株式会社立がその治療方法を持ってしまう、知的財産権だといってこれからそれを保ってしまうと結局どうなるか。お金を持った人間は最先端のいわゆる高度先端医療も受けられるけれども、私たち保険を掛けている人間は二流、三流の治療で我慢しろ、こういうことになってくるんじゃないかという懸念があるんです。

 そうなったら、結局、今ただでさえ日本という国はいわゆる二極分化が進んでいる社会だと言われているわけですね。これまでは八〇%が中流意識を感じる社会だったのが、お金持ちとそうでないという人たちが、二極分化がただでさえ進む社会ではないかと言われているときに、ますますそれに対して、お金を持っている人はこの治療、お金を持っていない人はこの治療、このようなすみ分けがもし進むとすれば、これは国民皆保険の基本を崩していくことにつながって、何のためにでは保険料を払っているんですか。つまり、助かりもしない治療方法に私たちは金を払うんですか、保険料を払うんですか、こういうことにつながってこないかという懸念があるんです。

 ちょっともう時間がないからあわせて申し上げますけれども、例えば、国民年金の未加入の問題が今問題になっていますが、一方で、この医療保険については地方自治体も保険料の負担をしているわけですけれども、もうあっぷあっぷだ、もう負担し切れなくなってきているという実態があるわけです。ただでさえ、実際に保険料も払わない、もうどうせ受けないんだから、病院に行かないんだから、高い保険料を払えないということで、払わないという意思を持っている人もいる中で、国民皆保険の土台が今実は揺らいでいる状況である中で、たとえ検証だろうと実験だろうと、こういうものを認めて、それが固定してしまった場合、先ほどから申し上げているようなやはり懸念がある。一流の最先端の医療は金持ち、保険を払っている人間は二流、三流。

 私たち、国民皆保険ということで、原則私はいいと思っている、すごくいい制度だと思っていますが、どうなんでしょう、これでは風穴があきませんでしょうか。

中島政府参考人 今後の国民皆保険の中身がどうなるのかという御質問かと思いますけれども、特に高度医療につきましては、新しい医療技術等の保険適用について、診療側、支払い側双方が参画いたします中央社会保険医療協議会におきまして検討の上、是非を決定しているところでございます。

 この高度医療の保険適用については、直接保険適用される場合と、高度先進医療として認められた後に保険適用される場合と二つございますけれども、新しい医療技術の直接保険適用の是非を中医協で審議するに当たりましては、診療報酬調査専門組織医療技術評価分科会という専門組織におきまして、関係学会等からの要望あるいはデータ等を踏まえて検討を行うということになっております。

 また、高度先進医療の保険適用の是非を中医協で審議するに当たりましては、高度先進医療に係る専門的な学識経験を有する者あるいは保険診療に精通した者により構成されます高度先進医療専門家会議におきまして、新規保険適用の導入可否についての検討を、技術的な普及性あるいは安全性、有効性、効率性等の観点から行っておるわけでございます。

 そうしたことを通じまして、今後とも、高度医療の保険適用に当たりましては、適切な保険の適用に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

市村委員 もう時間がなくなりましたので、本当はもっと議論したい、しなくちゃいけない、僕は大きな問題だと思います。

 最後に、本当は議論したいんですよ。これは大きな問題を含んでいます、絶対これは今の話だと、やはり最初の議論に戻って、株式会社でいいのかという根本的な議論が出てくるんです、これは。

 ここで、金子大臣、最後にちょっとお尋ねというか私が申し上げたいのは、私は、基本的に構造改革賛成なんです。その構造改革の一つのあり方として規制緩和も賛成なんです。規制緩和の中で民営化というのも基本的に賛成なんです。しかしながら、何でもかんでも民営化でいいかというと、私はそうでもない。特に医療の分野というのは、日本は国民皆保険でやっているわけですから、私はもうちょっと慎重に考えるべきだと思っております。

 それで、私、一点だけ最後に指摘しておきたいのは、日本で民というと、すぐ株式会社になってしまうんですね。この間、一番最初に内閣委員会で質問したときに、皆さんに資料をお渡ししましたが、民というのは、営利企業だけじゃなくて、実はNPO、NGO、ここの部分もあるんです。つまり、民間の知恵とか機動性とか柔軟性を生かして公的サービスを、公益サービスを提供する主体、実はこの仕組みが日本にないがために、私は十五年来これを言っているわけです、ないがために非常にいびつな社会システムになっている。だから、民営化は賛成なんだけれども、普通は、医療でいう民営化はNPO、NGOでとまらなくちゃいけないはずなんです。ところが、そういう社会システムがないがために、日本は一足飛びに株式会社に行ってしまうんです、民営化というと。

 こういう社会の仕組みが実は問題であって、まさにそういった意味では、今回、公益法人制度改革、または非営利法人制度改革に政府が取り組むということで、私は、これはやりましょう、早くやりましょうと。つくっても、十年、二十年かかるんだから、早くこういう制度を入れなくちゃいけない。民法三十四条を改正して、国家公益独占主義から脱却して、本当にその力を生かすような仕組みにしましょうということを、この間、一番最初の質問で私は御提言を申し上げたわけです。

 最後になりますが、金子大臣からもう一度、それにつきまして、この構造改革特区法の一部改正に絡めてお答えいただけたらと思います。

金子国務大臣 今の医療の株式会社参入については、先生からいろいろ御意見を承りました。承りましたのも踏まえて、これからいろいろ展開をしていきたいと思っております。

 そして、NPOについては、大変力強い御支援をいただいております。いろんな分野でNPOが地域を支える、いろんな分野を支える、広がっております。

 御存じのとおり、先般、福原座長を中心とする民間の委員会の皆さん方で論点整理を出していただきました。何とかことしの秋に向けて、税制措置も含めて議論が結論を得られるように、今鋭意努力しております。

 同時に、総務省も地域コミュニティーファンドというのを今度提案してくれておりまして、この地域コミュニティーファンド、資金面でありますけれども、税ではありません。NPOのそれぞれの地域に密着したいろいろな活動分野にこれを、ソフト部分でありますけれども、支援するという仕組みも提案をしていただきました。

 両方の側面から、そういう活動というものが、国としてもきちんと活動をしていただけるような状況というのをつくり上げていきたい。そういう意味での先生の考え方は、私と一緒であります。

市村委員 本当にいろんな議論をしたいんですが、時間も参りましたから、これで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、横路孝弘君。

横路委員 きょうは、構造改革特区に関連して三点ほど御質問をしたいと思いますが、最初の第一点は、道州制と道州特区の問題でございます。

 私ども民主党も、結党以来、分権型の連邦国家を目指すということで地方分権に積極的に取り組んでまいりまして、二〇〇〇年六月の総選挙で、国の形を大きく変えていこうということで道州制を掲げまして、国と地方の役割分担でありますとか、あるいはそれに基づく税源の配分のあり方など、具体的に議論をしてまいりました。

 昨年の統一地方選挙あるいは衆議院選挙でも、政権をとって十年をめどに道州制に移行していこう、そのために、今からできること、例えば、個別の補助金を原則的に廃止して一括した交付金制度に変えていこうとか、あるいは税源の配分を、今、国と地方三対二ぐらいになっているんですか、それを一対一にしていこうというようなことなどを具体的に問題提起してきたわけであります。

 それだけに、道州制が、二十八次地方制度調査会ですか、これで議論されることになったというのは大変喜ばしいことだと思っておりますが、そうした中で、北海道が道州制の先行実施という形で今特区構想に取り組んできているわけであります。

 私は、道州制を進めていくに当たっては、やはり政府の基本的な方針、道州制を進めるんだという方針、方向性というのを明らかにした上で議論していくということが大変大事だと思うんですけれども、金子大臣、いかがでございますか。

金子国務大臣 道州制を進めていこう、またそれに期待するということで、政府としても、内閣府に担当部署を置きまして、進めるという姿勢は、方向としてきちっと設置させていただきました。

 ただ、先生、国と地方のあり方ですよね。北海道だけじゃなくて、全国の一つのモデルになる。そのときに北海道自身が、今先生が御指摘になられましたような、補助金をどうする、全部地方に任せる、国と地方とのあり方の問題でもあります。北海道の経産局、なぜ廃止しないのか、どうしてそういう案が北海道から出てこないのだろうか。こういう意味で、国と地方のあり方ということで、これは地方自治体である北海道が、どういう姿が望ましい、どういう姿でやりたい、この原案をやはり基本的には出していただく必要があるのだと思っております。

 もとより、国と地方のあり方でありますから、今御指摘のように、地方制度調査会、議論はしていただいておりますし、一方、そこでの議論も国としては進めておりますので、私たちもそこは見守っておるところであります。

 ただ、基本的には、道として先駆的に進めたいというような知事の御意向でもありますので、その際、あるべき姿をどうお考えになっているかというのをお待ちしているという状況であります。

横路委員 私は、一般論として、具体的な中身は後で議論しますが、道州制という方向にあると思うんですね。

 この特区構想というのも、もともと、今、国と地方との関係で考えますと、大きいのは、補助金と、あともう一つは規制ですよね、許認可ですよね。

 許認可も多分一万一千件を超えていて、これは大分、規制緩和を進めてきたというけれども、一方でやはり規制も生まれていますから、数としては減っていないんですね。経済的な活動に関する分野の許認可も減っていないという状況にあります。

 他方、もう一つは補助金ですね。これも多分、予算で、私の記憶に間違いなければ二十兆円前後ぐらいの補助金、特にそのうち大部分が地方自治体への補助金ということになっていると思うんですね。

 今度の特区構想というのは、本来は、許認可とか補助金を全体としてどうするかということ、これは細川内閣のときの地方分権推進委員会の中でもいろいろと議論されてきたわけですけれども、どうもそれはやはりなかなか中央省庁の抵抗に遭ってうまくいかないというので、この特区構想で地域からの声を受けて、少しでもそういうところに風穴を開けていこうということだと思うんですね。

 この特区構想でよかった点は、いわば多くの地方自治体の人、あるいはいろんな活動をしている人々にとって、NPOにとっても企業人にとってもそうですが、表通りでいろいろと物が言えるようになった。そこは非常に特区構想のいい点、プラスの点ではなかったかなというように私は思います。しかし、やはりベースとして、ちまちまと一つずつやっている。後で議論しますが、幼保一元化も、特区構想の中で大分その方向に進んできていますが、しかし、ちまちまとして、一つずつ一つずつという感じですよね。それだけ中央省庁の抵抗が強いということだと思うんですけれども。

 やはり、国の基本的な形、構想というのをどうしていくのかというときに、道州制を置くとするならば、私、一つ参考になるのは、細川内閣のときの地方分権の空気がわっと盛り上がったときに、これは平成六年の九月ですけれども、地方六団体が意見書を出しているんですね。

 この意見書を見ますと、基本的に、地方自治体の方に仕事のベースを置いて、国の方はこの仕事をやってくださいという形になっているんです。結局、国と地方公共団体というのが責任を分かち合おうと。「国は国際社会の中における主権国家としての一貫性を必要とする事務、全国的に統一して処理すべき事務及び生命、安全等の基準の設定に関する事務に専念し、地方公共団体はその他の国内の行政に関する全ての事務を所掌する」ということで、国の関与などについても、六団体の気持ちが非常によくあらわれている提案になっているわけなんです。

 国は外交とか安全保障とか今言ったような全国に共通する問題を対応しなさい、あとは全部地方自治体でやろう。これが、ある意味で言うと、道州制のときの国と地方のあり方を一つ示しているのかなというように思いますが、これをお読みいただきまして、どのようにお考えでしょうか。

金子国務大臣 平成六年の自治体の意見書ですね。これは、こういう方向で、将来、いずれにしても、今でも生きている、また今でも私たちこれを非常に参考にして、国と地方のあり方というのを議論していく一つの切り口であると思っております。

 それから、道州制に戻りますけれども、内閣府に政策統括官、担当を置いて、一方で内閣としてもそこで議論を今始めさせていただいておる。多分、これもその切り口の一つとして議論をされておるものと思います。

横路委員 内閣府の方に北海道の特区担当のセクションが生まれたんですか。ちょっとそちらの方にお尋ねしたいと思うんです。

 この北海道特区というのは、道州制を目指して、あくまでも目標はそこに置いて、そのための先行的なプログラムとしての特区構想だと思うんですね。そうしますと、将来的な道州制についての基本的な姿というものがやはりベースとか目標になって、その上でのいわば特区構想だというようにならなければいけないと思うんですが、その点はいかがお考えなんでしょうか。

大田政府参考人 道州制特区につきましては、昨年の十二月に経済財政諮問会議で高橋知事からそのアイデアを御提案いただきまして、政府としましては、北海道との連絡に当たる窓口を定めまして、北海道との連携を図ってきております。

 今御質問のありました道州制に関しましては、三月に発足いたしました第二十八次地方制度調査会で総理から諮問がなされておりまして、政府としましては、そこにおける審議を見守ってまいりたいと思っております。

 一方、北海道の道州制特区につきましては、まずモデル地区としてその取り組みを行う、そして、それによって北海道の皆さんあるいは国民がその広域的な道州制というものに関してどんな成果があるのかを実感する、それを通して道州制に関する国民的な理解や議論が深まるという効果が期待できるのではないかなと思っております。

横路委員 今お話があった十二月十九日ですか、経済財政諮問会議で道州制について北海道の高橋知事がお話をされたということで、そこで、四つの基本方向ということで、国から道への権限の移譲、それから統合補助金の拡充とか統合交付金制度などによって自由裁量をもっと地方へ高めてほしい、それから規制改革、それからもう一つは国の出先機関との一元化というこの四項目を御説明されたようですが、経済財政諮問会議でこの方向性というのは一応了解されたということなんでしょうか。

大田政府参考人 知事から、今先生がおっしゃいました四つの基本的な方向をお示しいただきました。これは、アイデアの御紹介をいただいたということで、その後、北海道におかれましては、引き続き道州制特区の検討を進めておられまして、近く、道としての提案をおまとめになるというふうに聞いております。

横路委員 そこで、道州制のプログラムと特区に向けた提案というのをたしか今取りまとめ中なんですが、それを今度はどうするんですか。経済財政諮問会議に報告をするということになるんですか。今後の手順というのは、どんな手順になっていくんですか。

大田政府参考人 まずは、北海道がお出しになります提案内容を十分に見きわめる必要があると思っております。

 これまでの経緯からいたしまして、経済財政諮問会議で最初の御提案をいただいております。今後、その御提案内容によりまして、効果的な手法を活用して対応してまいりたいと思っております。

横路委員 その提起された問題というのは、構造特区というように、道州制特区というような形で言われているわけですが、これは、提案が出てきて、その後、具体的にどこでどう検討するんですか、国の方のサイドは。多分、いろいろと、補助金のあり方とか許認可について、あるいは規制について、こうしてほしいというのがいろいろな分野で出てくると思うんですね。

 これは、今進めている構造特区構想に乗っけてやるんですか。それとも、いや、それはきちっと受けとめて、まとめて認めていこうということになるんですか。悪くすると、要するに、今の構造特区のやり方で一つ一つ全部やるようになりますと、たくさんの提案があるようですから、そうすると、物すごい各省庁との交渉で、結局わけのわからぬことになるんじゃないかというように思うんですけれども、これは、どのようにしてそれを認めていく、その手順ですね、特区に乗っけてやるんですか。それとも、そうじゃなくて、ちゃんとその提案を受けとめて、もちろん議論をした上で、何か特別に法律をつくってそれを推進するというような方法論をとるんでしょうか。どうなんですか。

金子国務大臣 先に、構造特区を担当している私からお答えいたしますが、北海道特区、道州制特区というのが少し誤解を生んでいるかもしれません。

 この特区というのは、御存じのように、障害がなければ、問題がなければ、全国化していきます。そういう意味で、北海道だけでない、全国にこれは当然でありますけれども及ぶ問題であります。

 そのときに、先ほど先生が御指摘いただいたような、権限を完全におろしてしまう、補助金も一括化して渡してしまうというようなことは、さっき平成六年度の自治体の意見を伺いましたけれども、国と地方の姿の問題です。ここを地域再生あるいは特区だけで議論をしてもいいんだろうか。やはり、各省庁、かなり幅広い。そこで、地方制度調査会で議論してもらい、一方で、道州制の担当をつくってもらっております。

 案件が、中身がどういうのが来るのか私まだ全く承知しておりませんけれども、特区ということで対応できるもの、あるいは国の姿のあり方にかかわるもの、ここはやはり峻別して、当面、私としては考えさせていただきたいと思っております。

横路委員 何かちょっとよくわからないんですけれども、要するに、特区の構想に乗っかってもし手続をとるとすれば、これを提起して、個別にいろいろな提案がありますよね、後で少し議論しますけれども。そうすると、それについて、いいとか悪いとかという議論になってしまうわけですね。

 問題は、これは、総理の発言もスタートのときにやはり大きい影響を与えていまして、その考え方をとると、ともかく道州制を推進していくんだ、そのためには北海道は一つの地域だからやりいいだろうと。先行的にいろいろとやりなさい、提案何でもしなさい、それをしっかり受けとめますよということなんですね。

 ですから、個別に一つずつ、一本ずつ全部チェックさせてもらいますというなら、何も今の構造改革特区に乗っけて提案をすればいいだけの話なんですね。

 そうじゃなくて、道州制という姿、それは、これからの新しい地域の生活の姿とか経済の姿だとか、要するに、地域の経済の活性化という、よりよい地域社会をどうつくるのかという観点がベースにあって、そして今までの、例えば中央集権的な制度、仕組みというものは、地方のいろいろな自助努力だとか、いろいろな新しい創意工夫といったものを生かすんじゃなくて、それをどうも殺してきたという嫌いもあるので、やはり変えようというところに道州制の議論があるわけですね。

 だから、道州制というのは国の形の基本を変えるということがベースになった議論なわけです。それが、たまたまやりいいから、一つの地域だから、やりいいから北海道でやろうじゃないかということでスタートしたんだと思うんですね。

 ふたをあけてみたら、まだ今提案をまとめているところなんですが、話を仄聞すると、大分やはり中央省庁との議論があって、提案の中身はまだまとまらないということのようなんですが、しかし、それを受けとめてもらって、特区に乗っかって一本ずつやるならば何も意味がないので、何も道州制特区なんという名前をつける必要もないわけですね。ですから、そうじゃなくて、これは内閣府の方の担当のところでしっかりそれを受けとめてもらって、今までの構造改革特区に乗せるのではなくて、やはりどうするのかということ。

 中には確かに、国と地方との関係の基本にかかわる問題提起というのはあります。あるけれども、やはりそれをあえて受けとめて、まずやれるところからやっていこうということは将来の姿を示すことにもなるわけですから、この特区構想というのは、将来の姿を何も示すことにならなければ、やる意味合いもないわけですよね。

 ですから、そこのところを、わざわざ内閣府に担当するセクションもできたわけでしょう。ですからそこで、これからの手続として、既存の特区構想に乗っけてやるのではなくて、やはり提案を丸ごと受けとめて対応するということをぜひ検討していただきたいと思います。いかがでございますか。

大田政府参考人 諮問会議での高橋知事の御提案を受けまして、政府では、北海道との連絡に当たる窓口というものを当面の支援措置として設けました。担当するセクションというよりも、連絡に当たる窓口を設けて、連携をこれまで深めてきております。

 特区というのは、何より地方からのイニシアチブで提案がなされるということでございますので、私どもは今その提案を待っている状態です。その提案をいただきまして、趣旨に即した成果が上がるように、提案内容に応じまして、今の制度も含めまして、効果的な手法を検討していきたいと思っております。

横路委員 これは金子大臣の担当じゃないんですってね。何か、竹中さんの担当なんですって。地域の再生担当をされているんだから、この道州制特区というのはまさに地域の再生をどうするかということですからね、本当は私は金子さんが担当されるのがいいのではないかなと思っておりましたが、担当が違うようであります。

 それで、道州制というのは、議論していきますと、結局は、地方交付税だとかあるいは補助金だとか税だとかいった、そういうものの改革論議と一体になるわけですね。道州制というものは、最終的には、やはり財源、税源、それから権限といった、今の三位一体の中で議論されている、そういうものとの抜本的ないわば再構築が必要になってくるんです。その特区から道州制へという流れの中で、例えば規制と一体となっている補助金改革を進めようということになりますと、一括交付金制度の導入といったような問題と結びついてくるわけですね。

 ですから、これは、もう一度繰り返しになりますが、個別のいろいろなことじゃなくて、やろうと思ったときに、やはり今議論されている基本的なこととの絡みが出てくる。その絡みの中で、ここを先行的なモデル地域とするならば、できることはやはりやっていくという決断が必要になってくると思うんですね。これはいかがお考えですか。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

金子国務大臣 御指摘のように、国と地方のあり方という意味では、特区室ということだけで済む話ではない、政府全体としてということで取り扱わさせていただいておりますけれども、やはり、そうはいっても、今度の地域再生、私は担当しております。そういう中でも、これは来年度予算等でぜひ検討を、今提言していきたい、政府として進めていきたいと思っておりますけれども、地域から統合補助金の御要請も現実には出てきております。統合補助金。

 それから、補助金の採択要件の緩和。おれたちの地域は五十人要らない、別に予算をふやしてもらう必要はないけれども、三十人の地域で、しかしこれは非常に、これだけの雇用効果がある事業であるといったような要請も、これはもう既に伺っております。

 そういう意味で、補助金もいわばそれぞれの地域に合った、いい、有効な使い方。その中で、今御指摘いただいたような、一括交付金というところまですぐいきませんけれども、地域に合った、また地域が使い勝手のいい統合補助金制度といったようなものは積極的に導入をしていく。これは三位一体の議論の中で進めている一つのテーマであります。

横路委員 これから出てくる特区の提案の中で、例えばこんな提案もあるんですね。地方公共団体の自主的、主体的な裁量による政策実施を可能とするために、条例等によって政省令の規定を代替できる仕組みを検討してもらいたいというようなこととか、国の地方支分部局との機能等統合の検討といったような問題があるんですが、この辺のところは、何か、もう既に道の方とは国は話をされているんですか。

大田政府参考人 私どもも今先生が御紹介になりました資料は拝見しておりますけれども、具体的な内容についてはまだ伺っておりません。

横路委員 これらの問題は、ちょっと特区でやるというよりは、やはり新しい法律だとか制度が必要な問題なわけです。ですから、そういう問題も出てきますので、しっかり受けとめてやっていただきたいなというように思います。

 そこで、「道州制検討に関する意見書」というのが、道州制推進会議、北大の宮脇先生が座長になってまとめられた意見書が、この四月の五日に出ています。

 その中で、一つは「国の推進体制の充実」ということで、国側の体制整備、それから、権限とか税財源の裏づけを確実に確保した中での改革が着実に進められること。それから、これから議論しますが、平成十六年度の道州制の先行実施に向けた百億円の予算というのが決められているわけですが、これは公共投資に限定されている、もっと幅広い分野で活用すべきだというような意見なども出されております。

 これは御承知ですか。これは国の方にも来ているんでしょうか。

大田政府参考人 推進会議の御報告は、道庁向けに出されたものでありますが、資料としては承知いたしております。

横路委員 ぜひ、具体化してきたときに、この意見にあるような体制をしっかりとっていただきたいというように思います。

 それで、道州制、そのモデル事業ということなんですが、これは今年度の予算に道州制北海道モデル事業推進費として百億円計上されていまして、四年間の事業計画を策定するということなんですね。四年間で、国が四百、道が四百の八百億円相当の計画になって、地方の自主性と裁量性を生かして、複合的な事業を選択し、道が市町村と連携して策定し、国が同意するという制度の内容になっているようなんです。

 このモデル事業について、道の方で、こんなモデル事業の取り組みをしたいという基本的な考え方を明らかにしているわけですね。

 一つは、国の関与を大幅に縮小して地方の裁量で事業を決定できるように、統合補助金を拡充してもらいたい。それから、事業分野。今公共事業というのは、本当にこれはずっと言われて久しいんですが、予算それから補正予算を含めて見てみると、事業別のシェアというのはほとんど変わっていない。そういう固定化を打開していきたいということですね。それからもう一つは、直轄と補助事業の連携を強めていきたい。それから、補助基準を弾力化してほしい、特にソフト事業への活用といったようなことなど、基本的な方針として整理されているわけなんです。

 これは予算の執行にかかわってくることでございますが、もう国の方との協議は終えているんですか。こういう方向性でやられるんですか。

藤本政府参考人 お尋ねの道州制北海道モデル事業推進費でございますが、まさに北海道の自主性、裁量性を大幅に採用した制度となってございます。

 具体的には、北海道開発事業に計上されております国土交通省の事業、あるいは農林水産省、厚生労働省、環境省等におきます道路とか河川とか港湾、農業農村整備、水産基盤、水道、廃棄物処理等々の補助事業の中から、テーマに応じまして自由に北海道が選択して組み合わせができるということで、北海道の裁量性を拡充いたしまして、国の関与を最小限とした制度となっておるわけでございます。

 なお、その具体的な内容につきましては、現在、北海道庁が、先生先ほどおっしゃっておりましたが、豊かな自然環境の保全でございますとか、観光とか、災害に強い地域づくり、こういった三つのテーマを設定いたしまして事業計画を策定中でありまして、近々私どもに提出される予定と聞いております。

横路委員 これは、例えば従来の国の補助基準の上でやるんですか。そういうところも地方の自主性というか主体性というのは認めてやろうということになるんでしょうか。

 つまり、北海道の公共事業、直轄と補助が大体半分半分ぐらいですね。その補助事業について、できるだけ一括して交付金制度にしていく。ことしはこういう形でなりましたけれども、あと来年度以降になりますと、そういう声もあるわけです。そして、もう少しソフトの事業にも活用できないだろうかという声がありますが、この辺のところはいかがですか。

藤本政府参考人 この事業、従来の補助事業に比べますと一歩も二歩も格段に裁量性を増したものである、こう考えておるところでございますが、先生は、さらにもう一歩二歩進めるべきだ、こういう御指摘だ、こう思っております。

 公共事業でございます北海道開発事業の枠ということを考えますとなかなか難しいものはあるとは思っておりますが、今後、北海道庁の要望内容を具体的に聞いた上で北海道局として可能なことは進めてまいりたい、こう思っております。

横路委員 しかし、もう予算執行していかなければいけないんでしょう。ですから、今までの枠を超えるのは難しいというお話だと、従来の補助の基準に従ってやるということですから、どこが変わってくるのかということになるわけです。

 補助事業ですといろいろな手続が必要ですね。例えば、道路一本、国の補助金もらってつくろうと思えば、平面図とか横断図とか縦断図とか、図面を持っていって判こを押してもらわないとお金はおりてこないわけですよ。そういう補助事業に伴う手続みたいなものとか、そういう点を地方に任せるということにはならないんですか。あくまでも従来の枠組みでやるというならば、道州制の先行モデル事業なんて、名前はそうなっているけれども何も変わらないということになるんじゃないんですか。

藤本政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、この事業、例えば道路事業とか河川事業とか個別に決めるわけではなくて、北海道開発事業の中にあるいろいろなメニュー、北海道開発事業の補助事業のメニューの中から自由に選択できるんだと。

 先ほど先生おっしゃっておりましたが、シェアとかなんとか、そういったものにとらわれず、自由なテーマを設定して、それをそういった補助メニューの中から選択して自由に使えるということが最大のポイントだろう、こう思っておりますし、国の関与は最小限にということで、包括的に事業計画を我々承認するというふうなことになっておりますので、御理解いただきたいと思います。

横路委員 では、個別事業について、個別の同意というのは必要ないということですか。包括的にやればいいということですか。

藤本政府参考人 年度計画で包括的に承認ということになってございます。

横路委員 例えば直轄事業についても、全国知事会の方で、直轄事業に伴う負担金というのがあるんですね。例えば北海道ですと五千億ぐらいが直轄事業だと思うんですが、大体三割ぐらい、千五百億ぐらい。今どうなっていますか、数字減っていますか。それぐらいの直轄事業負担金があって、これはもう明細書なしの請求書なんですよ。どういうふうに使ったか関係なしにぽんと請求書が来て払わぬといけないというお金なんですね。

 直轄事業に地方はほとんど発言ができません。国がみんな事業を全部内容を決めてしまって、そのかわり、後始末ですね、例えばダムをつくったときにいろいろ出てくる地域住民対策みたいなものは地方がやる、大体こんな仕組みになっています。

 ですから、今回、道州制をにらんでいくというならば、例えば直轄事業の負担金はやめるとか、補助事業は一括交付金制度にしてしまうとか、こういうことをやると、やはりこれは道州制を目指した一つの特区の中における公共事業のあり方だというように思うんですね。

 しかも、直轄事業の中でも、将来の道州制のときに、では、国は、そういう道州制の場合に、今直轄事業としてやっているものをどれを残して、どれを地方に移していくのかという問題も出てくるわけです。例えば重要港湾だとか重要空港だとかというところは、それは直轄でやりますよということになると思うんですね、重要河川だとか。しかし、それ以外はできるだけ地方に移していきましょうと。

 これが地方分権推進会議の中で議論されて、最後の最後のところで、あれは橋本さんから小渕さんに政権がかわって、それでだめになってしまった点なんですね。それはずっと残っていまして、公共事業改革の中で。ですから、今回モデル事業としてやるならば、やはりモデル事業にふさわしいやり方をぜひしていただきたいということを特にお願いしておきたいというように思います。

 いずれにいたしましても、これから具体的な案が出てくるんでしょうから、それを受けとめて、小泉さんは、経済財政諮問会議のときは大分元気のいい発言をされておられます。しかし、問題は、許認可とか補助金、国と地方との関係というものをやはり大きく改革していく中で、ではそれにふさわしい行政の組織のあり方がどうなのかという行政改革の問題がそこから提起されて出てくるわけですね。ですから、根っこのところをしっかり進めないとこれはやはりだめなわけでして、そんな点で、いずれこれは特区の中にもあるいはいくかもしれません。私はそうじゃなくてまとめてやってもらいたいというふうに思っていますけれども。しかし、そういう道州制をにらんだ問題なんだということを十分御認識いただいて金子大臣にも対応していただきたいというように思いますが、いかがでございますか。

金子国務大臣 今の取り組み方の考え方については、私は先生と同じ意見です。

 あと、まだ、具体的に特区という意味でどういう御意見が出てくるのか、受けとめるべきものはきちんと対応させていただきたいと思います。

横路委員 それでは、ちょっとテーマを変えまして、幼保一元化について少し議論させてもらいたいと思います。

 この幼保一元化というのは、何か大正末期ぐらいから延々と議論している課題なんだそうでありますが、最近、先ほど来話が出てきました地方分権の流れの中で、地方分権推進委員会の第一次勧告が出て、それから厚生省、文部科学省、それぞれ協力をして、それに向かって歩みが始められてきたという中で、特にこの特区構想の中で随分たくさんのやはり地方から声が出てきて、少しずつその方向に向かって制度改革が進められてきているということなんですが、これは一遍にできないんですかね。

 例えば一体施設の点ですが、共有化できますよということになっても、共有化できる施設というのはトイレだとか遊戯室など一部であって、教室は別々でなければいけないとか、それが認められたら、合同保育は認められるようになりましたけれども、今度、教師ですね、幼稚園や保育所の先生はそれぞれに必要だというようなことなどいろいろありまして。

 今残っているのは、保育所には調理室が必要である、調理室で給食をつくらなければいけないということが残っているんですね。なぜこの問題は解決できないんでしょうか。こういう申請というのも地方から出てきていると思うんですが、それをだめだと言った理由というのはどういう点にあるんでしょうか。

伍藤政府参考人 保育所の調理室の問題でございますが、保育所は、平均的に、標準の開所時間が十一時間、それに延長保育があるということで、いわば子供の生活の施設、生活の場でございます。しかも、ゼロ歳児から乳幼児を含む非常に広範な子供をお預かりしておるということで、子供の健全な発育とか発達、健康管理、あるいは、場合によっては離乳食とかアレルギー体質の子供だとかいろいろな子供がおりますが、そういったものに総合的にこたえていく、やはり施設施設できめ細かい配慮をするというような観点から、こういった調理室が必要だということを求められてきたというふうに考えております。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

横路委員 これは、申請を却下したケースというのはあるんでしょう。最近却下したケースは。(発言する者あり)

伍藤政府参考人 提案を拒んだという御趣旨がもう一つわかりませんが、多分、私立保育所における外部搬入の際の特区を認めなかったということでございましょうか。(横路委員「そうですよ、外部搬入の話ですよ」と呼ぶ)

 保育所に調理室が必要だということと、外部搬入を認めるかどうかということは、これはもう一つ別の観点の問題だと思いますが、外部搬入を保育所に認めるべきだという御議論がございましたので、これは、今まで調理室を置き、しかも自前の、保育所ごとに調理をするということを原則にしてまいりましたが、これを特区制度で、そういった外部搬入という形をまず特区でやってみようということに踏み切ったわけでございます。

 多分、御指摘のあれは、公立の保育所について外部搬入をやってみようということで認めたわけでありますが、私立の保育所についても認めてくれという声がありました。これは一部試験的にやるものでございますし、必要性の高いのは、公立の保育所が非常にコストがかかっておる、高コスト体質であるということが常々言われておりましたので、まずやるとすれば、外部搬入はセンター方式で、市町村がいろいろ給食のセンターを経営している場合が多いわけでありますから、そういう観点から、まず公立の保育所でやってみようということになったわけでございます。

横路委員 大体、市町村が給食センターを持って、小中学校とかあるいは私立の幼稚園とかいろいろやっているケースというのはたくさんあるわけです。そういう中で、今回、公立の保育所のみ認めて、私立の方はだめだということになったわけですね、外部は。先ほど、子供はアレルギーとかいろいろあるというお話がありましたが、しかし、それはそれで十分学校給食の方も対応してやっているわけです。

 例えば、そのケースは北海道の稚内市なんですけれども、ここが申請を出して、けられたということなんですね。ここは今、市内の公立小中学校と七カ所の私立幼稚園、ここは幼稚園は全部私立なんですね、それから五カ所の僻地の保育所には、給食センターから出しているわけです。それから、認可保育所が三カ所あって、そこはそれぞれでやってきたわけですね。その私立の幼稚園、そこに、幼保一元化ですから一緒にしようというときに、では調理室の問題がどうなのかという話になって、外部搬入を認めてくれないだろうかということなんですね。

 これは幼稚園の方には認めてきているわけでして、年齢も、ゼロ歳、一歳、二歳は保育所の方になるわけですから、幼保一緒にやろうという場合には、多分、三歳以上ということになるわけですね。そうすると、そこでだめだという理由というのはなかなかないんですね。学校の給食センターがそういう能力がないとか安全性に心配があるというなら別ですけれども、そこは心配がないから、幼稚園の方には供給してきているわけですね。

 ですから、このいろいろな議論を見ていますと、一つずつ行きつ戻りつしながら来ていて、この問題だけちょっと残っている感じがしますが、これはどうなんでしょうか。公立はいいけれども私立はだめというのもおかしな話だと思いますが。

伍藤政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、まず、外部搬入ということがいいかどうかということを試験的にやるわけでありまして、これを順次拡大していくという方針を決めているわけではありません。

 そういうことで、これをやってみて、外から給食を持ってくることが本当に保育にとっていいのかどうかというようなことをよく検証して、これを将来どうするかということをやるための一つの材料にするということでありますから、ここでいきなり、特区とはいえ、それを拡大してやるということよりも、まずは、そういう形で、外部搬入ということを必要性の高いところで認めてみて、しかも、私どもは、ちょっと議論が混乱するようですが、外部搬入の際にも、先ほど言いました調理室は、外部搬入に対応するような調理室は必要であるという前提のもとに、今回の実験を行おうとしておるわけであります。

 そういったいろいろのことを慎重にやりながら、外部搬入そのものが、将来の保育園とかそういうものの運営にとって本当に必要なことなのか。今、幾つか、自治体の動きを見ますと、従来、センター方式でやっていた方式を、子供の健康管理とか食の安全とか食育という観点から見直すという動きも今出てきておる自治体が多いわけでありますが、そういったこともよく考えながら、この問題には取り組んでいく必要があるというふうに思っております。

横路委員 金子大臣にお伺いしたいと思うんです。

 私立の幼稚園の方はそれで外部給食を受けているわけですよね。同じ年代の子供で、保育所の方はだめだというのは、これは何か理屈がある話だと思いますか。

金子国務大臣 私も、今の厚労省の説明を伺いながら、どこに差異があるんだろうか。

 ただ、今ありましたように、賛成する部分と、一方で慎重にやらなければいけない部分というのも、特に幼児の食の話でありますので、弊害が起こらないような方法、プロセスを経ていきたいというのが今厚労省としても御意見としてはあるんだと思いますので、もう少し議論をさせていただきたいと思っております。

 それから、弊害だけはやはり防止していかないと、特に子供の食でありますのでという観点は大事にしていただかなければいけない部分だと思います。

横路委員 保育所関係の組織の一つに、社会福祉法人の日本保育協会というのがございます。これは昭和四十八年に社会福祉法人に改組したものですが、国からの事業委託を受けている団体でございまして、平成十六年度予算で三億一千二百六十七万二千円の事業補助を、委託を受けて事業をしております。

 この保育協会と一体の政治活動を行う部門として、昭和四十九年に日本保育推進連盟というのが結成されました。これは自由民主党の友好団体としての位置づけがなされておりまして、特に、そのホームページを引いてみますと、選挙活動、政治活動を一生懸命やってきたということがあります。地域によっては、保育協会の会員というのは、ほとんど全員、日本保育推進連盟に入っております。

 それからもう一つ、全国保育政治連盟という組織がございます。この政治団体がどういう活動をしてきたのかというと、この幼保一元化に反対、それから調理室の必置規制を存続しろという活動をしてきているんですね。

 この政治団体の方、だれが責任者かというと、政治団体の代表者は、日本保育推進連盟は小泉純一郎さんが代表者なんですね。会計責任者は大島さんという日本保育協会の理事をやっている方なんです。

 それで、ちょっとこれを厚生省の方に調べていただきたいんですが、私の知っているところでは、この保育協会が推進連盟の方の会費も一緒に集めているんですね、会費も。保育協会というのは、これは国からの委託を受けた委託事業をやっている団体ですから、そういう政治活動に協力をするということはやはり問題がある、政治資金規正法上の問題もあるんじゃないかということで、ひとつ実態の調査をしていただきたい。この保育協会、それからこの推進連盟。保育協会の方で大体年会費が四千円ぐらいのようなんですけれども、推進連盟の費用も保育協会の方で会費と一緒に集めている、それを推進連盟の方に多分出しているんだと思うんですね。

 ということでして、調理室のこういう問題がどうしてうまくいかないのかなというように見ていますと、実はやはりそこに政治の姿があって、しかも、小泉さんがこの団体の責任者なんですからね。本人は規制改革、構造改革だと言いながら、しかし、その団体そのものは、まあ、小泉さん、どれほどその団体の活動を知っているかどうかわかりませんよ。わかりませんけれども、しかし、その団体が十六年度予算に向かっては、特にこの調理室の必置義務を何とか存続しろということでいろいろとやっているということでございまして、言っていることとやっていることが違うということでございますが、そこをひとつお調べいただきたいというふうに思います。

 よろしゅうございますね、その保育協会と政治団体とのその関係。

伍藤政府参考人 日本保育協会は私どもの関連団体でございますから、調査をさせていただきたいと思います。

金子国務大臣 幼保一元化、小泉総理が保育協会の会長だったのは私はついぞ知りませんでしたけれども……(横路委員「保育協会でなく、保育推進連盟」と呼ぶ)保育推進連盟。

 しかし、幼保一元化を強力に促進したのも小泉総理でありまして、特に、特区第一号で、岐阜県の瑞浪で保育所、幼稚園を一元化させました。そのときにも、坂口厚労大臣と話をつけまして、本来、厚生省が、幼保一元化するならば使った金を返せと、返還というのが出たのでありますけれども、同じ国の金ではないかと。消費者といいますか、地域の父兄の利便を考えれば、やはりこれは、幼保一元化というのは大事だと、特区第一号でやりました。それを後ろから支えてくれたのも小泉総理であります。

 そういう意味で、保育連盟が特定の政党の支持団体だから幼保一元化が進めないのではなくて、むしろ逆に、進めたのが小泉総理だと思っております。

横路委員 いや、金子さんのお気持ちはわかりますけれども、実際の団体としての活動はそうではないということだけ御指摘させていただきたいと思います。

 それで、もう一つ。今回の中から新しい何か総合施設構想というのが出てきましたね。今まで幼保二元化しているから一元化だと言ってきて、今度は何、さらに三元行政になるんじゃないですか。これは一体どういう組織なんです、この新しい総合施設というものは。これは、今ある幼稚園とか保育所というのは将来は解消して、ここに全部吸収しようというものなんですか。何をねらって、どういう形なんでしょうか。

伍藤政府参考人 これは、昨年の六月の経済財政運営と構造改革に関する基本方針の中で表明されたものでございまして、そこに書かれておりますことは、社会構造、就業構造の著しい変化を踏まえて「地域のニーズに応じ、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置を可能とする。」こういうことでございまして、従来から議論のありました幼保の一元化の一つのモデルとしてこういうことを検討しろ、こういうことだと思いますので、現在私ども、文部科学省といろいろ、審議会も共同でこれから開催をいたしますし、事務レベルでもいろいろ協議をしながら構想を固めておるところでございます。

 幼稚園、保育所、それぞれに対象者も異なりますし、先ほど来議論がありましたが、やっている内容も、乳幼児の保育というものと就学前の教育施設である幼稚園とかなり異なっておりますが、こういったものをどうやって総合的に、一体的な運営ができるかということを今検討しておる最中でございます。

横路委員 つまり、幼稚園や保育所とは別にもう一つつくるということになるわけですね、別な形のものを。

伍藤政府参考人 その点も含めて、今、最終的にどういう形にするかというのが大変難しい問題でございます。

 今まで特区で進めてまいりましたのは、施設の共用化、一元化というのを進めてまいりましたが、多分ここで表明されているのは、今度は幼稚園と保育所という制度の一元化ということであろうと思いますので、財政負担のあり方とか利用料のあり方とか契約のあり方、そういったものを今もろもろ検討しておるところでございますので、それによって、第三の施設をつくるということになるわけでありますが、それが将来のこの一元化というか、一本化につながるものか、どういう形になるかというのは、これからのでき上がった施設がどんな位置づけになるかということによってくるんだというふうに思っております。

横路委員 そうしたら本当に二元化から三元化になりますよね。何でそんなまた新しいものをつくらなきゃいけないんですか。今の幼保一元化の流れでちゃんと整理すればいいじゃないですか。金子さん、どうですか。

金子国務大臣 今の厚労省の局長のお話のとおり、どういう施設にしていくのか、二元化、三元化じゃなくて、その中身をどういうふうにしていくのかというのについて、今、厚労省、文部省が検討する。必ずしも三元化ということではないというふうに私はちょっと受けとめております。

横路委員 これは、政府は当初、幼稚園の予算も保育所の予算も国の補助金を一括交付金にしようという考えがあって、それに猛反対したわけですね、つまり幼稚園も保育所もというのは、厚生労働省も文部科学省も。それでこれは出てきた構想なんですね。

 ですから、これをつくっておいて、あと全部、幼稚園と保育所をそこに吸収するつもりなのか、今の幼稚園や保育所の制度をなくして。そういうつもりなのか、併存させるつもりなのか。これは全然方向性が違ってくるわけなんですが。どんなことを考えているのか、ちょっと出されている資料を見てもよくわからないんですけれどもね、これは。

 例えば、新しい総合施設だからといって、何か新しい施設がまた誕生するんだ、それに対する補助制度ができてみたいなことを期待している人もいるようです。そうじゃなくて、いやいや、既存のものでもって、今、幼保一元化で進めているものを総合施設として位置づけていけばいいんだという話もありますが。

 今の一元化の話の中で進めていることを超えた、それ以上の何かものというのがここにやはり出てこなければ、新しいものをつくる意味合いというのはないわけでしょう。この辺のところはどんな議論になっているんですか。

伍藤政府参考人 一元化と先ほど申し上げましたように、今まで施設をできるだけ共用してやっていくという施設の一元化ということは進めてきたわけでありますが、それが必要とされるのは、典型的に言いますと、過疎地で幼稚園も保育所も定員割れをしておる、一カ所でそういう人を対象にした方が効率的であるというようなケースと、それから、大都市部において、保育所は待機児童があふれて待っておる、しかし、幼稚園はあるけれども、幼稚園は必ずしもそうでもない、場合によっては定員を満たしていないようなところもあるというようなところで、それを有機的にもう少し活用できないかというのが実態論としては非常に大きな議論でございます。こういったことにどうやってこたえていくかというのが当面の現実的なニーズではないかというふうに思っておりますので、こういったものにまずこたえられるような施設を考えるということが必要なんではないかと思います。

 それから、保育所、幼稚園はそれぞれ個別にそれなりの役割を今果たしておるわけでありますし、そこをすべて一気に別の施設類型にしなければならないというような必要性とか意見というのは必ずしも我々は聞いていないわけでありまして、まず、現実のニーズ、必要性があるところは何であって、それにどうこたえていくかということを検討すべきことではないかなというふうに私どもは考えておるところでございます。

横路委員 つまり、今の幼保一元化の流れではそういういろいろなニーズを吸収できない、だから新しい制度をつくるという話になるんですか。ただ、今お話があったように、必ずしもそういうものを聞いていないとおっしゃったけれども。

 ですから、金子さん、構造特区の中でいろんな意見、幼保一元化についてたくさん出ています。それを少しずつ見ながらやってきたわけでしょう。もちろん、幼保一元化の中でやはり子供のことをまず第一に考えなければいけませんから、確かに幼稚園や保育所というのは、働いている人の時間だって、片方は四時間から五時間ぐらい、こっちは十一時間とか長いわけですね。そういう違いというのはあるわけです。

 しかし、そういうことをしっかり踏まえた上でどうするかというのは、施設ばかりじゃなくて、教員の面からも、一緒にやっていこうという方向性でのいろんな議論というのは出てきていますでしょう。保育所の保育士の資格や幼稚園の教員の資格についても、できるだけ同じなような、教育課程を見ますと、大学、短大、ほとんど共通のものが多いわけで、今、若い人は両方の資格を大体持っておられるというように思うんですね。

 ですから、これで新しい総合施設というのは、結局は、構造特区で進めてきたけれども、それはうまくいかなかった、失敗だったから新しいものをつくろうという話なんですよ。これはそういう話なんですよ、この総合施設というのは。いろいろと幼保一元というのを随分時間をかけてやってきたけれども、うまくいかないから、もう新しい施設、新しいものにしてしまおうということじゃないんですか。

 ですから、この総合施設というのは、悪くすると、また何か新しい補助事業を創出して、新しい施設をつくるところからやっていこうというふうに、何か、総合施設なんていうからそういうイメージを持っている人もいるようで、私は、二元、三元にならないように、今の特区で進めてきた方向性を一つずつ確認しながら進めていくということを望みたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

金子国務大臣 大事な御意見だと思っております。

 ただ、特区が失敗というよりも、やはり、特区で地域のニーズを受けながら出てくる、それに対応しているということで、今先生と私がちょっと違うなと思ったのは、特区で失敗したからという御意見だったんですが、これはそうじゃなくて、やはり地域のニーズで、両親が子供たちを預ける、こういういわば社会の利便性といったようなもの、ここをとらまえながら、総合施設も多分そういう方向で具体的に決まっていくんだろうと思っております。

 それから、御指摘のとおり、保育士と学校の先生との、免許をどうするといったようなもの、これも厚生省、文部省で検討してもらっている。地域の実情に合わせてうまくいくように、さらに進めさせていただきたいと思っております。

横路委員 時間が来たからこれで終わりますが、医療関係の質問の時間がなくなりまして、株式会社の参入と、それから混合治療の問題について議論しようと思っていたんですが、またの機会にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、石毛えい子君。

石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。

 構造改革特別区域の改正法案につきまして、少し総括的にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 この構造改革特別区域法は、平成十四年、二〇〇二年に制定されております。私もそのとき以降この質疑には加わってまいりましたけれども、二〇〇二年の法制定に基づきまして、これまでに構造改革特別区域の認定が、一回目に百十七特区、二回目が四十七、三回目が七十二、四回目が八十八、合計三百二十四特区が既に認定をされている。この五月でしょうか、さらに五回目の認定の運びに入っていくということです。

 三百二十四特区という数が多いか少ないか、評価はいろいろあろうかと思いますけれども、押しなべて、地方公共団体の一割ぐらい、都道府県、市町村、一緒にカウントしてしまえば、一割近くでしょうか、一割ぐらいが特区としての活動を続けてきているというような状況でございます。

 こうした構造改革特別区域の取り組みに関しまして、大臣はどのような観点からどのように評価をなさっていらっしゃるかということを、まず最初にお尋ねしたいと思います。

金子国務大臣 石毛先生御指摘のように、三百二十四件、特区が実現をいたしました。多いのか少ないのか、評価はさまざまあると思います。

 ただ、二つだけあえて申し上げさせていただきますと、やはり、今までは規制があってできなかったこと、これが、特区で思わぬ大きな経済効果を生んだような事例が出てきている。

 例えば四日市の化学コンビナートでありますけれども、あそこは少品種大量生産ということで戦後の高度成長を支えてきたところでありますが、コンビナート災害防止法というのがありまして、建てかえがもうできない、厳しい消防法が入っておりました。しかし、今は御存じのとおり、多品種で、そのかわり少量をつくる、そういう工場に本当に建てかえなければいけなかったんですが、できませんでした。

 特区でいろいろ工夫してもらいました。もちろん、コンビナートですから、災害、類焼は怖い。それを、消防法というのを、特区を使って改めて組み立て直しをしてもらいました。これは規制緩和だけなんですけれども、その結果、建てかえるということができるようになりました。

 ことしから向こう五年間で七百億円の設備投資ができるようになってまいりました。思わぬ経済効果、これは民間で設備投資であります。

 北九州の響灘という港湾があります。二十四時間三百六十四日、正月一日を除きますけれども、入港、通関が可能な特区にいたしました。これは水深十五メーターあるんです。従来は、太平洋側を北米の大型船が、大阪、名古屋、東京、横浜でしょうか、入ってきたんですけれども、これができますと、最短ルートを北米から通るんだそうです。津軽海峡を横切って日本海側に入って、この北九州市、響灘に入る。その結果、何が起こるかといいますと、ここが基地になって、ここで小分けをして韓国に行く、中国にも区分けする。いわばここがハブ港湾になってくる。これも、今申し上げたような規制だけ、特区だけなんです。

 そして、ここで運送業務、北九州市を中心にして、ロジスティック業務という横文字を使われるようでありますけれども、国内ではそこがまた運送の拠点になる。こういうことで、五年間で数千人、ちょっと人数は今正確に覚えていませんが、五千とか六千という新たな雇用がここで発生する計画になっております。

 そういう意味で、特区でこういう経済効果の大きなものが生まれるようになってきたということについては大変高く評価していいのではないか。

 第二点目だけ申し上げますと、市町村が、今まではいろんな規制がある、政令があってできないということを、自分たちが地域でやりたいということを相談に来れば、それを何とかできるようにしよう。

 あくまでも、特区というのは、与えるのではありません。地方自治体がやりたい、そのために必要な規制は取っ払ってあげる、取っ払っていくというのが私たちの姿勢でありますけれども、そういう、地方自治体がむしろアイデアを競うようになってきたという意味で、マインドが、彼らの気持ちが相当変わってきた。この二つが、とりあえず私が指摘したい成果だと思っております。

石毛委員 大変大きなポイントを大臣はお述べになりたかったというふうに聞かせていただきましたけれども、確かに、私も、それぞれの自治体は先進的に取り組んで、そしていろいろな課題をも再確認しながら元気を出しているというふうに、総体的には受けとめさせていただいております。

 ところで、今回の法案には盛り込まれておりませんけれども、この間、特区に関して、規制の特例措置を中心に、これを、先ほど来委員の質問の中にも含まれていたと思いますけれども、全国化するのかあるいはどうなのかというようなところで、評価をする評価委員会を設けるということが閣議決定されたと伺っております。その評価システムにつきまして、時間もございませんので、簡単に御説明いただきたいと思います。

滑川政府参考人 規制の特例措置の評価につきまして、本年二月二十四日に閣議決定されました、構造改革特別区域基本方針というものが一部改定されまして、この中で、評価委員会というものが規制の特例措置の全国展開に関する評価などを行いまして、構造改革特区推進本部長に意見を提出しまして、構造改革特別区域推進本部がその評価委員会の意見を踏まえて本部としての判断をするという流れが盛り込まれたわけでございます。

 この際に、評価委員会における評価の考え方、基本理念といたしまして、特段の問題が生じていないと判断された規制の特例につきましては、速やかに全国規模の規制改革を実施するということとされました。特段の問題が生じているかどうかということにつきましては、規制の特例措置について全国展開を行った場合に発生する弊害とその効果によって判断するというような、評価の具体的な手続などが明らかにされたところでございます。

石毛委員 ただいま御答弁で、二月二十四日の基本方針の一部改定というふうにお答えになられましたけれども、この評価委員会を設置して、評価を行って、全国展開するかどうかを決めていくという、これは、構造改革特別区域法に照らしますと、根拠条文はどの条文になるんでしょうか。

滑川政府参考人 構造改革特別区域法の中では、第三十六条でございます。三十六条に――失礼しました。これは新しくなっておりますので、第四十三条に、関係行政機関の長が、規制の特例措置の適用状況につきまして定期的な調査を行い、その結果を構造改革特別区域推進本部に報告するといったような決まりがございます。

 また、この構造改革推進本部におきまして、三十四条でございますが、「構造改革の推進等に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関すること。」を行うということで、関係行政機関の長からの報告を受けて、これに対応して措置を講ずるという形で評価を行うことになっているというふうに考えていただければと思います。

石毛委員 恐れ入ります、今、ちょっと訂正なさいまして、三十六条から四十何条とおっしゃいましたですか。

滑川政府参考人 現行の四十三条でございます。

石毛委員 四十三条が関係行政機関の長ということになりますでしょうか。確認ですけれども。

滑川政府参考人 ちょっと条文を読ませていただきます。「関係行政機関の長は、規制の特例措置の適用の状況について、定期的に調査を行うとともに、その結果について、本部に報告しなければならない。」という項目が入っております。

石毛委員 その条文は確かにございますし、それから、関係行政機関の長ということですから、それぞれの事案に応じて、規制の特例措置を講じた関係省庁の大臣が定期的に調査を行い、本部に報告するというふうになるんだとは理解をいたしますけれども、そこから先、この構造改革特別区域法案の一部を改正する法律案に関する資料の中に、その展開について多少詳しく記載されておりますけれども、立証責任、全国的に展開する場合の弊害については、立証責任は専ら関係省庁にあるというふうに記載されております。

 この特区法案を所管します内閣府との関係で、立証責任が各行政機関の長にあるということは理解できますけれども、その際に、それぞれの特区で規制改革の特例措置を講じましたその自治体の参画の仕方というのはどういうふうに保障されておりますんでしょうか、そこをお尋ねします。

滑川政府参考人 一つは、先ほどの第四十三条の二項におきまして、「関係行政機関の長は、前項の調査の結果及び地方公共団体その他の関係者の意見を踏まえ、必要な措置を講ずるものとする。」ということになっております。

 それから他方、先ほど御指摘ございましたように、本部に評価委員会というものが設けられておりまして、ここで民間の方々に評価をしていただくということになっておりますが、この中にも、地域で御活動された経験者の方にお入りいただいているというような形になっております。

石毛委員 ただいまの第二項の「地方公共団体その他の関係者の意見を踏まえ、」とございますけれども、これは具体的には、基本方針の中では、例えば特区の規制緩和の措置を講じられたその施策のユーザーの方、事業者の方もいらっしゃると思いますし、サービスを利用される方もおられる、いろいろな関係者がいらっしゃると思いますけれども、そのシステムというのは、例えば基本方針の中にきちっと定められておりますんでしょうか。

 一番その影響をこうむる人の参画の仕組みがきっちりしていないと、弊害かどうかの行政機関の長の立証責任というのも弱いものになる。あるいは、これはちょっと表現を選ばないで申し上げますけれども、行政機関というのは要するに各省庁の大臣だと思いますから、恣意的になりかねないというような問題もあろうかと思いますけれども、地域の、あるいは関係自治体、そこに住んでいる住民への説明とか参画が基本方針の中でどのように位置づけられておりますでしょうか。

滑川政府参考人 今回の改定されました基本方針の中で、「特区において講じられた規制の特例措置の評価に関する基本方針」という項がございます。その中の基本理念といたしまして書いてございますが、その中に「規制の特例措置の全国展開に当たっては、供給者の視点のみならず、消費者・需要家の視点をより重視して、規制の特例措置の要件、手続きについて、特区における実施状況を踏まえて、必要な見直しを行うべきである。」という表現が入っております。

 こうした意味で、御指摘の、幅広い地域の方々、需要者の方々を含めて、そうした方々の意見あるいは考え方というものを踏まえて評価を行うということがこの基本方針の中に盛り込まれているというふうに考えられると思います。

石毛委員 その規定がきちっとなされているということを確認させていただきたいと思います。一番影響を受けるそのユーザーの方の参画なしにこの規制緩和が動くというのは、私はいかがかというふうに考えておりますので、そのことを確認したいと思います。

 関連して、私は、これを拝見いたしまして、大臣にも御感想をお伺いしたいのですけれども、評価委員のメンバーは、私から判断いたしますと、一番肝心の、当該の地方公共団体である必要はないと思いますけれども、同じような課題を負っているとか、問題意識を共有しているとか、そうした意味で、地方公共団体からの参画が非常に少ない。前町長が一人参加されていらっしゃいますけれども、その少なさと、それからジャーナリストという方、あるいは大学の先生をどういうふうに認識させていただくかということもございますけれども、いわゆる生活者、消費者を代理する人が評価委員会のメンバーには見当たらないというのはいかがなものかと思いますけれども、一体この評価委員会は、だれがどのような権限で、どのような判断に基づいて選ばれているのでしょうか。大変重要なところだと思いますけれども。

滑川政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほど御指摘の、需要者の方々、あるいは消費者の方々の視点を十分反映させるようにという御指摘かと存じます。

 これにつきましては、今、四月から第一回目の評価が始まっておるところでございます。その中で、先ほど申し上げました、この基本方針に書いてあるような、供給者の視点ばかりでなく消費者、需要家の視点をより重視するということを反映して調査が行われることになっております。この結果、今調査を始めたところでございますので、この中でも十分反映させたいというふうに考えておるところでございます。

 それから、評価委員会でございます。

 評価委員会につきましては、十名の民間の方から成っておる組織というか委員会でございます。この評価委員会の形成に当たりましては、有識者の方々をお願いするとともに、一部の委員につきましては公募方式というものもとらせていただいて、なるべく幅広い範囲の方々からお入りをいただくということでやってきたつもりでございます。

 どういう方を入れるかということにつきましては、これは昨年の七月でございますけれども、大臣その他の方々でいろいろ御相談をされて、さらに公募もしてということで構成されたものでございます。

 以上でございます。

石毛委員 公募委員はこのメンバーのうち何割でございましょうか。どれくらいの周知方法でどれぐらいの応募がありましたのでしょうか。また、選任の基本的な基準はどういうことでございましょうか。

滑川政府参考人 インターネット等を通じまして応募を昨年お願いをいたしまして、三百人ぐらいの御応募があったということでございます。

 それで、評価委員は、先ほど申し上げましたように十人でございますが、そのうち三人の方をその公募の方式で選ばせていただいたということでございます。手続といたしましては、応募された方々に最初に論文を書いていただきまして、この書類審査をした後、面接審査。当時の鴻池大臣以下で面接をさせていただきまして、選定をさせていただいたということでございます。

石毛委員 済みません。どなたが面接されたかがちょっと聞こえなかったんですけれども。

滑川政府参考人 最終的な面接は、鴻池大臣と担当の事務方とが一緒に面接をさせていただいて選んだということでございます。

石毛委員 三百人の応募がありましたというのは、反響があったというふうに私は評価をしております。

 できれば、公募委員がどなただったかということもこうしたところで明らかにしていただけたら、例えば、私どもがいろいろとお話をさせていただくときに大変わかりやすいのではないかと思いますので、今、わかればお答えいただきたいと思います。

滑川政府参考人 別に公募した委員の方々のお名前をここで、十人の方々から公募でお入りになられた方のお名前を申し上げますと、船橋委員、それから山田委員、横山委員という御三方でございます。

 先生、御名簿をお持ちであれば、このお三方ということでございます。

石毛委員 要望でございますけれども、公募はされたということではございますけれども、結果的に見れば、私は、生活者サイドからの参画が少ないというように判断をいたしますので、そのあたりはぜひともこれからお考えいただきたいと思います。

 大臣には、先ほどの質問はちょっと、鴻池大臣が面接をなさったということですから、この問いには御答弁いただかなくて、私は、改めて今回、この法律を概観いたしまして、特別区域を全国展開に持っていくということはどこにも条文はないんじゃないかと思いますけれども、どこかにそれはありましたでしょうか。

滑川政府参考人 構造改革特区法の中で、当然、目的がございます。目的といたしまして、最終的に、地域の活性化を図るとともに、国民経済の発展に寄与するということになっておるわけでございます。

 それとあわせまして、構造改革特別区域基本方針というものを決めることになっております。これはこの三条に基づきまして決めることになっているわけですが、これが決められている。

 この中で、構造改革の推進特区制度の目標ということで二つほど挙げられておりまして、一つが、「特定の地域における構造改革の成功事例を示すことにより、十分な評価を通じ、全国的な構造改革へと波及させ、我が国全体の経済の活性化を実現すること。」二つ目として、「地域の特性を顕在化し、その特性に応じた産業の集積や新規産業の創出、消費者・需要家利益の増進等により、地域の活性化につなげること。」この二つが基本方針の中で具体化されている。

 これに沿いまして、先ほどから御議論させていただいております評価というものが行われるという形になっております。

石毛委員 その基本方針におきまして全国的な展開を決めているということですけれども、私は、これはどのように判断するかという判断の角度はあると思いますけれども、構造改革特別区域法案が、個々の特別区域を元気にしていくということとあわせて、それを全国展開していく、国民経済に寄与していく。その第一条の目的の国民経済への寄与のところは、全国展開というふうなところまでは読み込めないというか、国民経済自体は抽象的な概念だと思います。

 全国展開は非常に具体的な政策的な展開ということになってくるというふうに私は判断いたしますので、今回の評価委員会の存在につきましても、私の判断では、基本方針の事項として今回閣議決定するというレベルの話ではなくて、本法に、きちっと評価をして、全国展開するための評価委員会を置くというようなことをきっちりと規定した方がいい、その方がわかりやすい。

 もう時間がなくなりましたので、あとの三番目の法案と重ねて申し上げますけれども、どうも、特区と、それから先ほど横路委員も触れられておられましたけれども、規制改革会議が打ち出してくる規制改革のテーマの展開の仕方と、それから、これから五月は地域再生の推進プログラムと一体化して進めるというふうになっていると聞いておりますけれども、この三つの関係がよくわからないというのが今の実情じゃないかと思います。一々私は確認してはおりませんけれども、自治体の側でもその判断にお困りになっているというか、わかりにくいというふうに思っているところがあるんだろうと思います。

 そうしますと、もう本当に時間がありませんので、全部あとつづめて申し上げたいと思いますけれども、実は今回の法律の中で、医療分野への株式会社の参入も、そもそも論を、ペーパーをいただきますと、これは総合規制改革会議に平成十三年にワーキンググループから提示されたものということで、そもそもが規制改革の会議からスタートをしている。これが特区に入ってくる。特区に入ってくるときは、ひとまずは地域の元気である。だけれども、地域の元気が全国展開していくというのは、私は一つステップが飛躍をしていることだと思うんですね。

 地域の元気は、三千三百ぐらいの自治体がそれぞれのテーマで地域の元気でずっといっても地域の元気ではあるわけですし、地域経済の活性化というのはそういう観点でもいいわけで、十分に目的は達せられるわけですから。全国展開をするというのはもう一つの目的として出てきていることでありまして、そのもう一つの目的の方は、どうやら規制改革会議に出されてきたテーマと密接につながっているというか、距離が非常に近い。

 少し表現が言い過ぎているかもしれませんけれども、私は、どうやら規制改革会議で出されてきたテーマを実現していくために、この特区が一つの舞台にされている。結果的にですよ。特区は自主的な申請ですから、そうは言えないという言葉的なこともありますけれども、結果的にです。結果的にそうなりかねない部分がある。

 今回出てきた医療分野への株式会社の参入も、これから先、全国展開が閣議レベルのところで決まっていくとするならば、これは大いに異論を持つ国民、関係者、いっぱいいるでしょうから、やはり全国展開していくところのシステムをきちっと法文化すべきだというふうに私は考えるものでございますけれども、もう時間もなくなりましたので、最後に大臣の御所見を伺って、終わりにしたいと思います。

滑川政府参考人 失礼します。

 事実関係だけちょっと申し上げますと、今お話しのように、特区の法律に入っている特例を評価して全国展開という流れがございます。これはこのとおりでございまして、手続も評価委員会の御意見を踏まえて推進本部で決定するということでございますが、当然その後、法律の改正等本則の改正がございますので、そうした意味では、手続として閣議決定だけで全国展開がなされるというような流れではないということは申し上げておきたいと存じます。

金子国務大臣 鋭い御指摘も石毛先生からいただきました。

 最後私から申し上げたいのは、評価委員会のメンバーについても随分御関心をお持ちでありましたけれども、これは特区の仕組みがそうなんですが、特区室と各省庁とがやり合う、そのやりとりというのは全部インターネットでオープンになっているんです。同じように、評価委員会が、メンバーがどうあれ、評価委員会で議論されて、そして我々のところに来ます。そのときに、これを全国展開するのかどうか、インターネットでやはり公開されるんです。したがって、先生御指摘のように、弊害もあるかもしらぬ、ここはやるわけですね。それは、そのときには多分全国から参加できる仕組みになっているんだと、多分なっているというよりも、そういう仕組みになっておる。いろいろな国民の意見は聞かせていただきたいと思っております。

石毛委員 ぜひそういう方向が十全に実現するように期待をしたいと思いますけれども、私は、それは法律的に明文することによってこの場面でももっと深めて議論ができるわけですから、ぜひそういう公開性とか透明性とかにかかわる部分もきっちりと法文化していただきたいということを要請いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、島田久君。

島田委員 まず最初に、大臣と副大臣にお伺いをさせていただきますけれども、国民年金に加入されているかどうかだけお伺いさせていただきます。

金子国務大臣 きっちり納付させていただいておりました。

佐藤(剛)副大臣 私はもう六十歳を過ぎておりますので……。

島田委員 では、済みません、六十歳まで加入してお払いになっているかどうかだけ聞かせていただきますよう、副大臣に。(佐藤(剛)副大臣「そういうこと」と呼ぶ)そういうことですね。はい、わかりました。

 それでは、特区の問題に入らせていただきます。

 特区を、第一次、第二次、第三次、第四次と時系列的に追っていきますと、幾分減少傾向にあるようですけれども、特に地方自治体からの提案なんですね。それと同時に、各省庁からも、対応に一応問題があるとか、不可というような形で、なかなか改革の方向性というものについて、比較してみると、改革を要望する方についての省庁の方の不可という面は幾分比率がふえているような数字が出ているんですけれども、これらの規制改革された項目数が幾分減少している傾向について、どんな理由があるというふうに思っておられるんでしょうか、お伺いをいたします。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

金子国務大臣 減少していると思っていないんです。御存じのとおり、確かに第三次提案募集、十五年の六月、二百八十件、減少しましたけれども、十一月にはまた三百三十八件ということで、決して、減少しているということなんだろうか。まあ、どういうふうにとられるかはちょっと見方があると思います。

 ただ、御指摘ありましたように、各役所が、申請してみて認定したけれどもできない、何か、やってみたらできない、提案してみたんだけれどもやはりお金が足らないというようなのは、いろいろな事情はある部分もございます。これは、私たち、一つ一つ障害は除いていかなきゃいけない。決して、さっき申し上げたように、予算をつけるという、与えるという意識ではありません。何とか実現をさせようということでやっております。その場合に、障害があればそれを一方で取り除いてやるということもあわせやりながら進めております。

 確かに、もう一つ、ただそう言ってこれで満足しているのかねと、決して満足しておりません。先生御指摘いただきましたように、もっといろいろ出てくるだろう。地域再生というのがこの五月に案件が出てまいります。これと組み合わせて特区で出てくる、こういう動きもあるようであります。

 同時に、民間なんですね、民間企業がやはりまだ三割と少ない。いい案件が随分出てきています。しかし、私たちとしても、これに対する、十分制度をよく理解されていないんじゃないかということは絶えず反省しつつ、あらゆる場を通しまして、全国の商工会議所ですとかJCですとか商工会ですとか、行政はもとよりでありますけれども、そういう民間にも地域再生室のメンバーが出かけていって、特区というのはこういうものです、それから、特区の実例というのはこういうのが出ておりますということで、今一生懸命彼らが歩き回ってくれております。

 最後に、やはり地方に人が、よく理解してくれる人もいるというのも、先生、必要なんですよね。それで、長期の研修で、特区室、地域再生室に人を派遣してもらっているんです。手弁当、一緒に働いてもらう。同時に、短期の研修。つまり、言い方を変えますと、各県に全部、特区室をつくってほしい。特区室を。うちの担当とじかにやれる特区室というのをつくってもらいたいということで、研修に来てもらいました。

 少しレベルの高い方、あるいは企画官、補佐クラスといったような実務者、この両方の層を、特区エキスパートと名前をつけてあげているんですけれども、あした、また第二次に来てもらって、とりあえず県庁なんですけれども、県にそういう人たちをつくってもらう。そういう人たちがまた市町村に出かけていく。特区というのはこうだぞ、東京に行ったらこんなアイデアをいっぱいもらってきたぞ。民間の皆さんも、こういうのができるよということをいろいろな機会にやってもらう。

 こういう、地方の人材を育てていくというんでしょうか、地方の人材も同じレベルになるべく近く上がってもらうような努力もこれからしてまいりたい、今、引き続き、これもやってまいりたいと思っております。

島田委員 今大臣のお話のように、幾分、いろいろな面で、規制と、それから省庁の考え方の相違と。それから、地方分権という面から見て、地方も元気を出す、あるいは活性化、経済再生という地方の活性化という面から。もう一つは、今お話しのように、私どもとしては、地方自治体の中における職員というんでしょうか、関係する部署の意識の改革などを含めて、そういう面も必要になってくると思うんですね。

 一つは、八王子の例、私の選挙区の近くなものですから。不登校児の学園の特区が第一次で通りました。順調にいっているようでありますけれども、しかし、まだ、カリキュラムを編成する、学級を編制するというようなところで、問題点があるというよりも、順調にいきながらも、順調にいく側面と、もう一つは、幾分、地域的に広がってくる。広がってくると、今度は、地方自治体以外の、権限を乗り越えて、ほかの市町村からも入ってくる場合もあり得るんですね。

 そういう問題について、どういう形で、その成果というものをさらに、全国展開をするというだけではなくて、許可、認定をしてその中で、将来にわたっての課題というものについて、積み上げるための何らかの方途というものも考えていかなきゃならないと思うんですけれども、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。

滑川政府参考人 いろいろな形で特区が地域地域で動いているという状況の中で、さまざまな課題がその中からも生じてくるということは、御指摘のとおりかと存じます。そうした中で、私どもとしましては、特区の計画が順調に進むようにできるだけの支援をしていくということが重要な課題だろうというふうに思っておるということでございます。

 そうした意味で、特区でいろいろと規制の特例措置が円滑に実施できるように、それができない場合につきましては、さまざまな関連する課題につきまして調査、評価をしていくということが今後重要な課題になっているというふうに申し上げられるかと存じます。

島田委員 特区が認定をされて、八王子みたいに、順調にいきながら、次の課題を持ちながら、前進をしようとしているんです。それらの幾つかは、矛盾も持ちながら、次の発展をさせるために、地域の分権を推進するためにも、そういう問題意識を持ちながら、地域によっては、一生懸命、特区の意義というものを進めようとしているわけです。それらの課題について、今答弁で具体的に、全国展開を、それらの地域を全国的に、例えば不登校児の学園をつくって、ある程度順調に進んできている、そしてその中にまだ将来についての課題もある、そしてそれが広がろうとしている。

 そのことに対して、どんな方途で、さっきの評価の問題も関連するんですけれども、評価をする前に、それらについて何らかの手当てをするような考えはあるんでしょうか。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

滑川政府参考人 まず、お話しのように、地域地域がいろいろ考えて、自助と自立の精神のもとに進めていくという意味で、御指摘のような、地域地域が地方分権を進めていくというものに、特区計画、特区というものも寄与できるだろうというふうに思っております。

 そうした中で、今御指摘のように、地域地域が特例を使って具体的に事業を進めて、地域の活性化なり地域の福祉の向上なりに努められているという事例が、そういう形で全国で三百を超える特区が動いておるわけでございます。

 当然、私ども、一つは、そうした地域地域の動きを評価して、全国に規制改革を展開させていくということが重要な課題だと思っておりますが、御指摘のように、その前に、よその特区、よその地域でどういうような活動をしているのかということをごらんになりながら、自分の地域でもこういうことができるんじゃないか、あるいは、よその地域のこういうものを組み合わせるともっと自分の地域に合うんではないかというようなことで、既に特区として行われている地域での動きをいろいろ研究なさる。あるいは場合によっては、それで足りない場合はまた新たに規制改革についての御提言をなさるというような形で、常に地域が特区制度の提案あるいは実際の特区計画の認定という段階で動いているということが考えられると思います。

 お話のように、ある地域で、例えば農地に株式会社が入るということで、具体的な成功例というか活性化の例が見られれば、それが、全国の他の地域でも、それを見ながら、自分のところでもやってみるというような動きが出るということで、そうした地域間の連携を高めるという意味でも、特区制度がその助けになっているということはあろうかと思います。

 そうした意味で、全国展開とあわせて、そうした特区の実例というようなものを幅広く御紹介をして、現状でも活用できるものについてはどんどん活用していただくということが大事であろうというふうに考えております。

金子国務大臣 今、滑川室長からお答えしたとおりなんですけれども、島田先生の御関心、八王子市立でしょう。先生、お住まいは。(島田委員「すぐ隣です」と呼ぶ)お隣。お隣からもお通いになっておられるんでしょう、きっと。共同提案できませんか。村長さんに言って、共同提案にすればいいんですよ。八王子だけじゃなくて、周辺を巻き込めばいいじゃないですか。むしろぜひそれを進めていただいて、そうしたら、今の問題は一遍で解決できます。特区は一つの単独の市じゃありませんから。ぜひそれを進めてくださいよ。

島田委員 そういう問題も多分これから全国的にある程度、八王子市だけではなくて、隣接市町村の、あるいは遠くからも来ているようなんですね。大体、三分の一が市外から来ておられるそうでありますから。ですから、そういう面では、今大臣が挙げられたようなことも考えながら、やはり積み上げていくことが大事だと思うんですね。

 それと、同じような問題ですけれども、横路委員から質問がありました幼保一元化の問題なんです。私は、予算分科会でこの幼保の問題について厚生労働大臣の方に質問をしたんですけれども、来年度、幼保一元化で、総合施設のモデル地域をつくっていくという答弁がありました。

 そういう中で、例えば、幼稚園の場合は学校法人で、子供たちが四時間の集団生活にたえるかどうかということで、教育で学校法人、それから、保育に欠けるということで社会福祉法人で保育園。経営形態が、法人が違うというものを一元化するという一つは大きな問題がある。そこには、社会福祉法という、予算とのかかわり合いも、特に保育園の場合ある。

 先ほども議論の中で問題になった調理室の問題は、保育園にとっては本質的になければならない重要な施設である。予算削減のために、保育園は、保育園の方の調理室については今削減されるかもしれないという危機感を感じている。そういう中で、総合施設というものが、来年度からモデル地域が規定されていく。特区の方では、もう具体的に幼稚園と保育所という形の中で、具体的なその壁を幾分取っ払って、規制の中で、ある程度の、具体的にもう物事が進んできている。

 それらの問題と、幼保一元化で考えている省庁間の調整、これはもっと問題の多いことなんですけれども、それらの方向性をどう、私は、特区の方の具体的なものを積み上げていって、具体的に総合施設の中に生かしていかないと、この幼保一元化の省庁間の壁というのはなかなか破れないような気がするんですけれども、その辺についてどうお考えでしょうか。

滑川政府参考人 御指摘のように、特区につきましての規制の特例につきまして、全国展開を図るという意味で評価をさせていただくということになっております。

 先ほども御説明しましたように、この四月から、特例につきまして本格的に全国展開のための評価を開始したという状況でございます。御指摘の幼保一体化の関係では、今回の評価で幼稚園児と保育所児の合同活動というものの特例が評価対象とされております。

 先ほど御指摘のように、総合的施設というような形で、将来、全国的にそういうものが進められる、モデル事業から進められていくというような事項ではございますけれども、特区におきまして評価を行いまして、これを、特段の問題がなければ、全国展開によりまして、全国にその効果を波及させるということが大事かと存じますし、また、こうした特区でのいろいろな評価あるいは経験というものを、各省におかれましてもそうした検討に役立てていただくということも重要かと思っております。

島田委員 全国展開をする場合に、必ず省庁間の調整というものが相当、特区とはまた別な面で、関連性で重要な問題点になると思うんですけれども、省庁間の関係という場合に、特区の方で調整をして、全国モデルというものとの関連性を、これはどこでどういう形で決められるんでしょうか。

滑川政府参考人 特区の特例の全国展開の基本的な考え方と申しますのは、特区の特例としてつくられた事項そのものをそのまま全国に展開できるかどうかということを評価する、その上で判断するということでございます。

 今恐らく先生の御指摘いただいたのは、そうしたものも含めて、より幅広い観点から、さまざまなこれまでの制度あるいは規制というものを新しい形にしていく、先ほどの幼保一体化総合施設というのはそういうものに当たるんだろうと存じますけれども、そうした意味で、特区の評価というものが、一つの特例というものに着目して、それが全国展開できるかという観点から行われるのに対しまして、そうした新しい制度をつくるとかいう場合には、よりさまざまな規制あるいは制度というものの見直しから入るという意味で、色彩、その持っている性格は違う面があるだろうと思っております。

 ただ、先ほど申し上げましたように、特区での経験あるいは特区での評価というものが、そうしたもののより幅広い観点から行われる可能性のあるようなものについても十分役立つように、私どももしっかりした評価をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

島田委員 幼保一元化というのは、地域からいろいろな提案があり、省庁間の壁がある中で、やはり特区というのは、そういう面では、ある一面では規制の壁があり、今まで何十年もでき得なかったことが解決する方向を見出しているわけですから、そういう面ではぜひ特区の方である程度具体的な積み上げと、諸制度の省庁間の壁を破る意味でも、ぜひ大臣の、これは大事なところでありますので、ぜひ、決意というよりも考えをちょっとお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 この点は私も先生に同じ意見なんです。

 特区が先行していって、そしてやはりこれは父兄ですよね、全国です、やはり父兄たちが幼稚園と保育園と、ちょっと利便性と言うと子供の教育と保育ですから言い過ぎかもしれませんけれども、自分の近くに幼稚園があるけれども保育園は遠い、子供を働きに行く前に預けに行くのに物すごい不便だ、その逆もまたあるというようなことで、やはり何とか一緒にできないか。同時に、幼稚園はいっぱいだけれども保育園は非常に空き教室がある、これはちょっと地区性によります。そういう側面から、やはり幼保一元化というのが自治体から御提案がありました。それが特区で進んでいった。

 ちょっと文部省、厚生省、これは長い保育所と幼稚園についての両省の議論がなかなか平行線のままでしたけれども、特区でこれが実現をしたということで、両省ともそのままでは済まないということで、先生御指摘になりましたような方向で進んできた。

 多分、当初私が聞いていたよりも前倒しで総合施設化していく、幼保一体化を進めていくということを両省が政府部内でも進んできたんだと思っておりまして、御指摘のように、特区での経験というのを、これからパイロット事業あるいは全国展開という両省の進め方の中に反映してもらいたい。そういう意味では、私も先生と同じ気持ちで進めさせていただくように、政府の一員としてやってまいるつもりであります。

島田委員 もう時間がなくなりましたので、最後に、株式会社が教育関係の中に参入するという問題について。

 私自身も学校の経営者でありますので、苦労して学校法人を設立して、そしてそういう中で、例えば寄附行為、設置基準、そういうものをクリアしていく中で、株式会社というもので受ける教育施設というものは、今まである設置基準あるいは寄附行為、それから会計基準、そういうようなものについてどういう形で、株式会社の方の設置する学校主体というもの、経営主体というものは受け入れていくんでしょうか。

加茂川政府参考人 株式会社立の学校についてのお尋ねでございます。

 構造改革特区におきます株式会社の参入は、設置者の特例として株式会社の学校経営を認めるものでございます。

 すなわち、特区法におきましては三点ございますが、設置基準に適合する施設設備及び経営に必要な財産を有すること、第二として、学校の経営を担当する役員が学校経営に必要な知識または経験を有すること、そして三点目として、株式会社の役員が社会的信望を有することを要件として認められておるものでございまして、これらの資産要件等の具体的な内容は、学校の設置認可権者で判断をすることになります。

 例えば、大学や高専の設置について申し上げますと、これは文部科学大臣が設置認可を行うことになりますけれども、その際、その経営に必要な財産の審査基準につきましては、学校法人と同様の基準で行っております。設置主体としての特例は株式会社として認められますけれども、株式会社が参入する際の判断の基準、審査基準、設置基準等につきましては、大学法人、いわゆる文部科学大臣が所管する場合には、学校法人と基本的に同じ基準を適用しておるというものでございます。

島田委員 時間もありませんので、それでは、その寄附行為、例えば設置基準、それらを、経営主体としては株式会社として認めるけれども、内容については、設置基準や寄附行為というものは学校法人と同じような形態で実施をさせるんですよという理解でいいんでしょうか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 教育の質を確保する意味での設置基準、それに基づく審査基準につきましては、株式会社であっても学校法人等と同じ適用を受けるというのは先ほど申したとおりでございます。

 ただ、寄附行為について申しますと、学校法人制度を前提にしたその基礎としての寄附行為でございますので、株式会社はその構成自体が学校法人とは違っておりますので、例えば、学校法人の場合にはいわゆる同族制限といった規定もございますが、そういったものはそもそも学校法人を前提とした寄附行為でございますから、株式会社の場合には例えば適用がないわけでございます。寄附行為については、株式会社は違った制度になっておるものと理解をしております。

島田委員 学校法人の場合は、三親等以上は理事二名以上は入れてはならないという基準、これが重要な一つの学校法人の基準。それから、建物を建てるときに一切借入金は認めない、寄附でやりなさいということなんですけれども、特区の場合も同じでしょうか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど、認可を行う際の基準については、基本的に学校法人と同じもので行っていると申し上げました。委員御指摘のように、現在の原則は、学校法人が設立します場合には、負債とならない収入により積み立てられた資産を保有していること、原則として借金は認めないという大原則があるわけでございますが、大学の場合には、この基準を適用して判断をしてまいったわけでございます。

 ただ、都道府県以下の学校の場合には、この認可基準につきましては地方公共団体の長が行うというのが、特区制度のもとでもそういうことに整理されておりますので、具体に、その審査基準についての要件具備についての判断は、地方公共団体において行われるものと承知をいたしております。

島田委員 これはまだ重要な課題がありますので、今後、これらの設置のあり方、方向性についてはさらに議論を進めていきたいと思うんです。

 ただ一点だけ、公立の学校の中で、中高一貫で特区で、これから提案されると思うんですけれども、中高の場合、高校の方は義務教育としての扱いがされるんでしょうか。その一点だけ御答弁お願いします。

樋口政府参考人 先生御案内の中高一貫教育の件でございますけれども、平成十一年から制度化をさせていただきましたが、これは、三つの類型がございますけれども、いずれのタイプにつきましても、六年間のうちの最初の三年間は中学校段階の義務教育としてみなすわけでございまして、残り三年間は非義務の高等学校段階の教育とみなしているわけでございます。

島田委員 これらの問題については、新たに、時間がありませんので、重要なポイントだけお伺いをさせていただきますので、今後議論を進めさせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鎌田さゆり君。

鎌田委員 お疲れさまでございます。初めて内閣委員会に所属をし、その内閣委員会で初めて質問をさせていただきます、民主党の鎌田さゆりでございます。

 その初めての内閣委員会での質問が、何と、特区法案の中の文部科学行政にかかわるテーマを選ばせていただきました。初当選からずっと文部科学を愛し続け、その委員会にずっと入れていただいたのに、今回、二期目の当選で見事外されまして、文部科学委員会からこちらの方に移ってまいりましたけれども、また懐かしの文部科学省の方々を見られて、また意見交換できると思うと、愛情を込めて質問させていただきたい、そんな思いでございます。

 前置きが長くなりましたけれども、まず、金子大臣にお伺いをしたいと思います。

 日本の姿、日本のありようを大きく変えていく、そんな礎となる、今、構造改革特区を進めているこの時期のこの政権を担う、その担当の大臣として、今回もまたその法案が幾つか国会に提案をされております。私は、民主党の一人として、また私自身も政治家の一人として、この国のありようを変えていくさまざまな規制緩和を行っていきながら、民の力を活用したり、すばらしいことだと思っています。

 その今回提案された法案の中に、教育にかかわる法案も一つ入ってございます。これはこの全体の法案の一部でございますけれども、しかし、この法案全体を提案なさっている責任者として、文部科学にかかわる法案も含めて、どのような意義を感じ、気合いを込めてこれを通そうとなさっているのか、まずその御決意をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 幾つか、特区で教育の関係を進めさせていただきましたし、また、今提案をさせていただいております。

 これまでに教育の関係で特区でできましたのが、NPOの人たちが一生懸命やっておられる、そして、必ずしも義務教育にどうもなじまない、不登校児、あるいは学習障害児と称されていますけれども、LDというんでしょうか、この人たち、決して能力がないわけじゃない人たち、しかし義務教育という今のベースになりますとなかなか乗らない子たち、この子たちを、やはりNPOや、それから公立もあります、公立でも、特区でこういう子たちを何とか卒業させようという手が挙がってまいりました。また、動きも出てまいりました。これもぜひ、特区ということでありますけれども、まず門戸を開かせていただいた。

 今回の教員の特別免許状というのも、これもそれぞれの地区で、やはり子供のときに実社会の体験、例えば海外で暮らした人たち、これを日本で、この教員特別免状ということで、海外の子供の姿、生活の姿を教えてやるとか、あるいは観光地、奈良ですとか、どこでもいいんですけれども、自分たちの歴史をやはりきちっと教えてあげたい。別に教職免許状は持っている人でなくても、やはりそれなりの人であるならば、そういう自分たちの地域の伝えというんでしょうか、口伝えみたいなものを教えてやれる。

 そういう、いわば子供たちに非常にいい影響を与えると思われる、今回、特別教員免許状ということを提出させていただいておりまして、多様な教育というものをやはり与えられるようにしていきたいという気持ちでこれを進めさせていただいております。

鎌田委員 私も、法案を初め見させていただいたとき、実は、初めという言葉にみそがあるんですけれども、全く同感の思いで読みました。

 そして、いろいろ読んでいくうちに、どうも、日本の官僚の方々の書く、ましてや難しい日本語ですから、その法文というものが私の頭ではなかなか理解が追いついていかないくらい難しくて、それとかこれとかあれがどれを指すのか、もう日本語解釈から前に進まないような状況になってきて、そして、少しその解釈が進んだあたりになってきたら、ちょっと待ってと。一番初めに、私は本当に大臣と同じように、いや市町村にもこれは権限をやるのか、いいことじゃないかと思って見たんですけれども、少し疑問符がわいてきたものですから、ちょっと確認をさせていただきながら行きたいと思うんです。

 あとは文部科学省の方がお答えいただいて結構でございますが、今現在、都道府県で特別免許状を授与しておりますけれども、そこで授与される教職員と、今回の市町村教育委員会から授与される教職員。その動き回れるというか教える範囲に違いがあるかもしれませんが、それ以外での違いというのは何かありますか。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 今、都道府県が授与しております特別免許状に加えまして、今回、市町村におきます特別免許状を特区でお認めしようということになっておるわけでございますが、基本的に、特別免許状を与えられる限りにおいて、教員としての職務の内容に違いはございません。

 ただ、御案内のとおり、この市町村が授与します特別免許状については、有効の範囲が市町村にとどまるという点がいわゆる都道府県が授与する免許状と性格が異なるということと、それと、普通免許状への切りかえが、基本的には市町村の特区で行う免許状についてはこれは想定をしていないという点が異なりますが、特別免許状を授与して学校で教育を行っていただく限りにおいて、ほかの先生方と同じように、教育の職務に同じように取り組んでいただけるというふうに考えております。

鎌田委員 もちろん、ここで違いがあってはいけないだろうと思いますので、そういうお答えになるんだと思いますが。

 そうすると、そこで一つ疑問がわくのが、都道府県でもう今既に、例えば東京都が都として特別免許状を出している、その先生方は東京都内で教職員として教壇に立てる。しかし、例えば今の、聞くところによると、千代田区ぐらいが手が挙がっているところですなんというのを打ち合わせで事前に聞きましたけれども、千代田区が内閣総理大臣あてにこの申請をして、内閣総理大臣から認定を受けて、そして千代田区教育委員会がその特別免許状を出す教員に免許状を出した。そうすると、その免許をもらった教員は千代田区の中でしか教壇に立てない。

 そうすると、もともとある、都道府県から特別免許状をもらっている人は東京都内でやれる。しかし、特区だからといって、今度は千代田区の中でしかできないわけですか。ちょっと確認させてください。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の特別免許状については、あくまでも市町村教育委員会に授与権を与えておりますので、その有効範囲は市町村の範囲ということで限定をさせていただいておるところでございまして、他の市町村にその免許状は有効という形にはならないわけでございます。

鎌田委員 市町村教育委員会は、やはりこれはうれしいんですかね、こういう権限がうちで出せると。今までは都道府県から県費教員として県が出していたものが、今度はおらほ、例えば仙台なんかは、市町村、宮城県内に村もありますけれども、うちの方なんて言わないですよ、おらほですよ。おらほの教育委員会から特別免許状出せるんだぞというふうになるんですね。やはりこれは名誉なんでしょうかねと思いましたね、この法案を読んで。

 それで、また疑問なんですけれども、さっきから繰り返しますけれども、今実際に、例えば千代田区さんも含まれる東京都内に関しては、東京都がもうやっているわけですね、ここで、ストレートに免許状を出して。今度は、千代田区は千代田区で独自に総理大臣あてに出して、総理大臣から許可をもらったら、千代田区の中だけで動ける免許状が出る。

 何か、ただ特区という言葉を使いたかったのかしらと思うような、千代田区、何も、東京都にその実情を報告して、東京都でその特別免許状を出せば、何もこんなもの要らないんでないかとは言いませんけれども、何か、特区という美名のもとに、今あるけれども、確かに私思ったんですけれども、目線が非常にきめ細やかにはなるとは思うんです。千代田区なら千代田区とか、足立区なら足立区の中だけで。しかし、今現在、もっと広いところでぽんと免許状を出せる仕組みがあるのに何でわざわざ、特区というのを使いたかったのかしらというふうな思いをしているんですけれども。

 この制度を使って、例えば一つの区とか一つの市町村がそういうことをやれることはわかりましたけれども、しかしながら、現存するそちらも何も変わらないわけですから、はっきり言えば、きめ細やかにやるというくらいですかね、意義は。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県の今授与しております特別免許状は、実績といたしまして百十三件にとどまっておるわけでございます。市町村段階で、郷土学習を充実したいということで、地域ならではの教育を推進するために、地域におられますさまざまな社会的な知識経験をお持ちの方々を学校教育の中に導入して地域ならではの教育をしたい、そういう市町村の願いを、今回の特区の中で私どもとしてはそれをまた実現させてあげたい。

 基本的な部分は、先生御案内のとおり、県費負担教職員制度で基礎的な教員数についてはきちんと確保しながら、その地域地域ならではの教育を推進するために、地域のイニシアチブでこういった特別免許状を授与しながら特色ある教育を推進する、こういう試みを私どもとしてはお認めしながら、それを見守っていきたいと思っておるわけでございます。

鎌田委員 出す限りにおいては、やはりそういう目標のもとで。ただ、私はまだまだやはりちょっとぬぐい切れないものがあります。

 今の御答弁いただいたのも関連してなんですけれども、法案の第十九条の三号ですか、ここのところも、この日本語もまた難解、厄介な日本語になっておりまして、金子大臣はきっとこういう細かいところまでは、私は読む必要ないと思っているんです、政治家は大所高所で、理念でと思っていますから。ただ、ですけれども、国会で審議をする上においては、やはり一字一句きちんと確認をしてでないと、地域に帰る私たちとしては、なものですから。

 第十九条の三号のところに、「第十七条第一項の規定により内閣総理大臣の認定を受けていることその他その設定する構造改革特別区域における教育上の特別の事情により、」云々とあるんですが、ここのところの読み方なんですけれども、ここのところの読み方としては、十九条の三号というのは次のページにも二行にわたってまたあるから、大臣、私は、これを一遍でぱっと解読できたらスーパー頭脳の持ち主かなと思うくらい。私は何十回読んだかわかりません、この項だけで。

 ここの解釈なんですけれども、つまり、こういうことなんでしょうか。

 先ほど、基礎的な教員数の確保という言葉、文言も使われました。定員枠というものがありますね、それを超えて、そこの特区の指定を受けた市町村が定員枠を超えて、その特別な事情があるから特に特別免許状の教員が必要だというときには、「市町村がその給料その他の給与又は報酬等を負担して、」とありますね。つまり、本来は県費負担でやっている、しかし、あんたのところ、特別の事情あるんだったら、しかも自分たちで自腹切れるなら、はっきり言えば市町村が自分たちで出せるなら、特別免許状出していいよと。そういうふうな、ちょっと非常に庶民的、超庶民的な解釈、文言ですけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。

樋口政府参考人 御説明申し上げます。

 小中学校の教員に特別免許状を市町村が授与する場合には、これは県費負担教職員になっておりますので、今御案内のとおり、給与負担が県でございますので、これは現在想定していない。市町村があくまで給与を負担して任命をしようとする者ということになるわけであります。

 それで、実際に市町村が給与を負担して任命をしようとする教員というのは、市町村でいいますと、例えば市町村がお持ちの高等学校。この高等学校の教員について、これは特別免許状を授けて特色ある教育をやっていただくというケースもございます。

 他方、小中学校についても、県費負担教職員のほかに、現在特区でお認めしております、市町村単費で、市町村がお金を払って教員を採用する、任用する事業が特区事業で今進んでおります。こういった先生については、まさにこの特区法の十七条がこの市町村単費の任用教員採用事業でございますので、これをやっている特区において、これを特別免許状で対応したいということであればこれも可能ですということで、あくまでも市町村が経費を負担して任命しようとする者に対してこの特別免許状を授与するということを考えておるわけでございます。

鎌田委員 そうすると、今十七条のところにも触れられましたけれども、今の御説明のとおり、やはり、もう既にその特区、特例において、十七条の規定によって、義務教育、市町村立、そちらの方は、自費でもう既にやれている。県費じゃなく自費でやれるところはもう十七条の方である。しかし、今度は高校、高等学校用、そちらの方でこの法案、条文のところで担保しているということですね。うなずいていらっしゃるからそうなんでしょう。

 そうすると、ますます、例えば私、仙台ですけれども、仙台市はその特例でやっているんですね、自費負担で。ただ、特別免許状じゃありませんよ。本当の普通免許ので、もうやっているんですね。やっていることはいいだろう、すばらしいだろうと言いたいんじゃないんですよ、私は。八千億からの特別会計、四千億の一般会計、政令市ですから、ある程度大きな数字を伴った予算というものがあります、財政力があります。乳幼児医療についても若干ほかの町よりも進んだ形でやっている。私はそれはそれで評価をするし、この件についても自費で教員をふやしているということ。だから、もうやっているところはすばらしいというよりは、ある程度財力がある、資金力があるところはやっている。

 そして、今回も、市町村に権限がおりた、拡大した、いいことかなと思いきや、やはり、読み進めていけば、市町村でお金のあるところはやってちょうだい、ないところはしようがないんじゃないということになるのではないか。やりたくてもお金がなくてやれないところに対する何かネットというものはあるんですか。これが一つ。

 私がちょっと危惧をするのは、どこにいても、あるいはどんな事情を抱えていても、公教育を受ける機会均等というものは、これは憲法で保障されています。そこにみじんたりとも悪影響をもたらしてはいけないと私は思うものですから、若干、お金がある地域はやれる、やれない地域はやれない。やれないところでの知恵、工夫を出してすばらしいのをやっているところはたくさん、認めます、あると思いますけれども、その私の危惧に対するお答えも、以上二点、あわせてお答えください。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 特に公教育の中での義務教育につきましては、義務教育の機会均等と教育水準の確保ということが強く要請をされているところでございますので、先ほど来お話がございました県費負担教職員制度ということで、山間、離島、僻地であろうと、一定数の教員数をきちんと全国的に配置して、こういったすぐれた教員による学校教育の充実を図ってきているところでございます。

 その意味では、基礎となる部分についてはきちっと責任を持ちながら、山間、離島、僻地でも教育の機会均等と水準を確保しているというふうに考えておるところでございますが、教育も地方の時代でございますので、地方が特色ある教育を行う、地域に根差した教育を行うということでの、ある意味での切磋琢磨を市町村間同士がさまざまな試みでやられることがあるであろう。

 その中で、一つの試みとしてこういう特区も活用していただきながらするとか、こういう財政的な措置によって起因するものだけではなく、学校における指導方法の工夫、改善等に我が町では取り組むとか、いろいろな取り組み方の中で、切磋琢磨の中でそれぞれが逆に底上げをしていっていただきたいというふうに私ども思っておりまして、共通の部分はきちんと財政的に保障しながら、地方ならではの特色ある教育推進のためにそれぞれの地方が知恵を絞っていただければと思っているわけでございます。

鎌田委員 本当にすばらしい御答弁と思います。ただ、私は、文部科学委員会に長く所属をする中で、義務教育費の国庫負担制度が変更されていったり、最低限、国で、全国共通、あまねく、どこにいても、だれでもというそこのところにも少しずつ、私は変わっていいものと変わっちゃいけないものがあると思っていますから、変わっちゃいけないところにも変わってくる風が入ってくると、教育を受ける機会均等のところにちょっとでもよくない影響が出る、そういうおそれを抱いている者として申し上げました。

 ただ、今の御答弁で、きょうは文部科学省を代表して来ていらっしゃるでしょうから、ぜひ今後のところで誤りなき教育の機会均等というものをしっかりしていただいて、そして、この特区は、先ほども触れましたが、今のところ、千代田区一個から手が挙がっているということだけですので、法案を出して、今の熱意を込めているのであれば、やはりこの制度を全国できっちりと、しっかり根差して、生かしていけるようにさらなる御努力を、別に、反対をしようとか、いちゃもんをつけようとか、意地悪しようとか、そんな思いは全然ございませんので、この制度でもって子供たちが、日本の教育がいい方向に行くのであれば私は。ただ、今質問したのは教育のところですから、医療とかほかのところはまたいろいろな御意見があって、党としての答えはいろいろあるでしょうけれどもということで。

 それで、残りの時間は、教育に関するこの法案は構造改革の中の一部として一つ出てきています。日本の教育というものの中にその構造の改革というものをまた当てはめてみますと、昭和四十年代後半、五十年代と、日本の教育を大きくがらがらっと変える議論がなされ、そして、ゆとり教育の導入というものがこの間ありました。今でもまだまだ、さまざまな教育現場では、指摘をされている荒れた状態というものが報告がなされております。

 聞こうかどうか実はちょっと迷っておったんですが、では、今回のこの制度導入が、今教育現場で抱えているさまざまな問題との関係、少なからず、いい方向にもたらす一つの薬になるというふうにお考えになっているのか、これが一つ。

 それから、今現在、ゆとり教育の進捗状況。聞くところによると、この方針も転換を図るというやに聞いておりますけれども、これは公明正大、明らかになっているものなのか、今後どういうふうになっていくのか、ここでお知らせいただけますか。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の特区におきます特別免許状の授与権を市町村にお与えする、こういうことについては、市町村における特色ある教育活動を推進するためにこのような制度をお認めしたということでございますので、当然、豊富な知識や経験を有する社会人を積極的に教員に登用していただいて、地域ならではの学校教育活動というものをぜひ展開していただくように、私どもは見守ってまいりたい。

 わかる授業、子供たちにやはり興味、関心を刺激するような、そういう教育指導を、こういった先生方によってぜひ突破口を開いていただきたい。その意味で、児童生徒の教育指導の充実とか、学校教育の一層の活性化につながるものであろうというふうに考えておるところでございます。

 次に、ゆとり教育のお話がございましたが、御案内のとおり、私どもも、ゆとり、時間的な、精神的な余裕というものを活用しながらじっくりと教育活動に取り組むということで、内容は厳選しつつも、その厳選した内容についてはきっちりと子供たちに、共通に学ぶべき内容として確実に指導していく。その上で、やはり私どもは、考える力、学ぶ意欲、学ぶ習慣というものを子供たちに身につけさせるという、幅広い学力として、今、確かな学力の習得に向けて一生懸命取り組んでおるところでございます。

 私ども、そこの中では、特に学びの質を向上させるということで、習熟度別の指導とか補充学習とか発展学習とか、そういった、子供たちに応じたきめの細かい指導を充実することによって、一人一人の子供さんたちに対して、十分な、共通的に学ぶべき内容をきっちり身につけさせていきたい。その上で、学ぶ意欲とか考える力を身につけさせたい。そういったことでの学びの質の向上ということに一生懸命取り組んでいるところでございます。

 ゆとりということが緩みになってはならない、ゆとりはあくまで時間的な余裕であって、それを活用してじっくりと教育活動に取り組み、子供たちにわかる授業、こういった特区での先生方も活用して、わかる授業、楽しい授業、そして子供たちが知的刺激を感ずるような、そういった授業を旺盛に学校で取り組んでいただくことによって、確かな学力に向けて、私どもとしては一層前進してまいりたいというように考えておるわけでございます。

鎌田委員 樋口審議官は、現場で先生の体験というのはおありな方なんですか。教えていただければ。

樋口政府参考人 私、行政屋でございますので、教員経験はございませんが、県の教育委員会にも出向させていただいた経験がございまして、現場の先生とも親しく接しながら、学校現場の苦しみや苦悩、そしてまたいろいろなお悩みもよくお聞きしながら、それを行政の中に生かしていくということで取り組まさせていただいているところでございます。

鎌田委員 審議官の顔を見て話を聞いていると、これからの日本の教育、過去のいろいろなことはもう忘れ去って、明るい希望を抱きたくなるような御答弁ぶりなんですけれども、しかし、現実はなかなかそうはいっておらないわけでございます。

 さっき、ゆとりが緩みになっちゃいけないとおっしゃったんですが、私は、ゆとり教育導入だと聞いたときには、もうすごい大革命が起きるんだろうと思いました。詰め込み教育がなくなって、それから、受験競争社会というものも意識転換が図られていって、学歴社会もまた改まっていくんじゃないかというふうに思いました。

 しかし、現実は、教育内容の厳選、厳しく選ぶと書きますよね、厳選というのは。厳選という言葉を用いていながら、単にパイの三・一四が三に変わり、教えられる漢字の字数ががくっと減り、時間が減って、それから、教えられる内容が希薄になって。子供が持ってくる教科書を見たら、今高校になりましたけれども、中学生の息子が持ってくる教科書が、こいつ中学生の子供が使う教科書なのというくらい彩り鮮やか、絵が満載。これじゃ、勉強しろと言ったって、楽しくやれるのはいいかもしれないけれども、なかなかちょっと本質のところからずれているんじゃないかなというふうな、ゆとり教育導入に当たってのさまざまな現場での実施状況だったんですよ。

 そして、先生たちに目を向ければ、忙しくて忙しくて、事務分掌に追われて子供と向き合う時間なんかない。子供は土日、時間があいたけれども、ますます個別化、個人主義に行っている。

 だから、ゆとり教育は、私は、日本の教育の大転換の百年に一回の第一歩だと思いました。しかし、その第一歩が、前に第一歩進むんじゃなくて、何か斜め方向に第一歩進んじゃって……(発言する者あり)大後退というふうにおっしゃるくらい……(発言する者あり)大失敗と感じている方がいらっしゃるくらい、そのくらい、ちょっとゆとり教育は違う方向に行っちゃったんですよね。

 それで学力低下になり、だから私、文部科学委員会で申し上げたのは、御存じないと思うけれども、教育を論ずる人たちだけで論ずるんじゃなくて、経済産業省を呼んでくださいよ、厚生労働省を呼んで、日本の産業の仕組み、労働の仕組み、お父さんたちがいまだにうちに帰るのが、仕事のない方は本当に気の毒ですけれども、忙しい方はうちになかなか帰れない。家庭でのコミュニケーションがとれない。父親の威厳をつくろうといったってつくれない。母親は母親で、いいんですけれどもね、そういう生き方があっても。みんなそれぞれ個人主義になっちゃって、家庭のコミュニケーションを図ろうと思っても図れない。そこで、ゆとり教育で子供に時間をつくったから地域に帰れと言ったって、これはやはりうまくいくわけないので。

 長々となりましたけれども、今回のこの特別免許状を導入ということは、私は決してむだだとか無意味だとかそんなことは、ちょっと心の片隅で思っていますけれども、しかし、大きな声で言ったら、金子大臣のその心意気を、これは、純粋、汚れなき美しいものを汚しちゃいけませんと思います。

 ですから、これは少なくとも構造改革の中の一つの法案として出された法案でございますから、ぜひそのことをお忘れなく。そして、日本の教育、ゆとり教育の方向転換が発表されて、社会が、何だここでまた転換かという異論が大分噴出をしておりますので、教育こそは日本の柱、小泉さんの言った言葉、米百俵の言葉に偽りなきようにやっていただきたいという願いを込めて。

 そして、佐藤副大臣に、私は、個人的には法務委員会で戸籍法改正の折の大恩人でございますので、その佐藤副大臣に、ぜひ、きょう、法案について締めくくりと、この教育の分野も含めてのこの法案、しっかり、無意味なものにならないようにということでの御決意を聞いて、終わりにします。お願いします。

佐藤(剛)副大臣 鎌田さゆり委員からお褒めの言葉をいただき、一緒にあの法務委員会で努力した当時を思い出しております。

 今の質問は非常にいい点をつかれまして、そして、日本の将来を御指摘されています。

 一年の計は稲をつくるにありと言うんですね。十年の計は木を植えるにあり、百年の計は人をつくるにあり。この言葉に私は尽きるんじゃないかと思います。それが鎌田さゆり委員に対する、すばらしい質問に対しての答弁でございます。

 一生懸命私も金子大臣を補佐しまして、そして頑張らせていただきます。

鎌田委員 終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 規制改革の担当をしておりますので、金子大臣を中心に質疑をさせていただきたいと思います。

 まず第一に、私たちはさきの選挙でマニフェストを掲げて戦いました。御党の規制改革のマニフェストの柱を教えてください。

金子国務大臣 基本的には、消費者に選択の多様性を与える、もう一つは、民間でできることはできるだけ民間でやらせる、三番目は、地方にできることは地方にやらせる、この三点です。

原口委員 冒頭お話しになりました消費者の視点。やはり、すべてのものが生産側の視点であってはならない。ユーザー側、利用者側の視点が大事だ。

 私たちも規制改革についての基本的な考え方というものをまとめて、問いました。その中で、数点、今回の特区法に関連して確認をしておきたいというふうに思います。

 前任の鴻池大臣は、参議院での審議において我が党の松井委員の質疑にお答えになって、「医療に株式会社参入はいかがかといった主題、テーマでございましたので、率直に申し上げまして、私はこのテーマというものは極めて重要であるし、この特区構想の目玉商品であると、このようにとらえております。」と明確にお答えになっていますが、金子大臣も同じ御認識ですか。

金子国務大臣 医療のみならず、教育及び農業、今までやはりなかなか株式会社等々で参入できなかった、あるいはこの三分野についてはかなりやはり国民の不満もある、そういうものにきちんとこたえられる枠組みというものを提供していくのが一つの私たちの大きな課題であると思っております。

原口委員 ということは、鴻池大臣がおっしゃっている、医療に株式会社参入するということがこの特区法案の目玉というふうに明確におっしゃっていますが、そのことでよろしいですね。

金子国務大臣 今お答えを申し上げましたように、医療だけでなく農業あるいは教育の分野も、医療だけが目玉だとは思っておりません。いずれにしましても、今申し上げましたような部分については、それぞれ重要な課題であると思っております。

原口委員 いや、鴻池大臣の姿勢はもっと明確なんです。医療の分野について株式会社を参入させること、これが大事だということをるる述べておられて、そこの認識がどのようになっているのかということで。

 それで、午前中、市村代議士が質問をしましたように、やはり、国民皆保険との関係でどうなっていくのか、あるいは医療の質をどのように担保していくのか、このことが大事だと思いますので、まず、前提として、官邸のホームページにこういうことが書いてあります。

 「いわゆる「混合診療」の解禁(保険診療と保険外診療の併用)」。これについては、「特定療養費制度における高度先進医療について、一定の基準を満たした場合には、医療技術及び病院ごとの個別の承認を必要とせず、迅速に認める仕組みについて検討し、結論を得て、平成十五年度中に措置する。」ということが書かれています。

 これはどのように措置されましたか。

中島政府参考人 混合診療についてでございますが、我が国の医療保険制度におきましては、国民皆保険制度のもとで社会保障として必要、適切な医療は、保険診療として確保するということを原則としているところでございます。一連の医療行為の中で保険診療と保険外診療を併用するいわゆる混合診療でございますが、これは原則として認めていないということでございます。

 一方、患者ニーズの多様化あるいは医療技術の進歩に適切に対応していくために、一定のルールのもとで患者がみずから選択して差額を支払って追加的なサービス等を受けます特定療養費制度というものが設けられているところでございます。これに対しまして、総合規制改革会議からは、特定療養費制度のみならず、一定レベル以上の医療機関単位で、保険診療と保険外診療の併用を個別の療法を限定せずに……(原口委員「委員長、聞いたことだけ答えるようにお願いします」と呼ぶ)わかりました。

 この個別の療法を限定せずに包括的に認める制度を実施すべきというふうな主張がされておられるわけでございますが、そのような無制限に保険診療と保険外診療の併用を認めるこの仕組みにつきましては、医師と患者の情報の非対称性、それから、患者の自己負担がさらに増大するおそれがある、また、すべての診療行為につきまして、その医療機関に限って差額徴収を認めるという根拠、理由が明確でないこと、それからまた、そもそも医療機関の質をどのように評価するかというような基準を設定することがなかなか難しいということ等から、適当ではないというふうに考えておりまして……(原口委員「委員長、済みません」と呼ぶ)

山本委員長 原口君。

原口委員 聞いたことに答えていただきたいんです。ちょっとお下がりになって結構です。

 本来、この委員会は政府委員とやるものじゃありません。私も、予算委員会で、あそこにいらっしゃる村上総括副大臣と議論をさせていただきます。政治のダイナミズム、政治主導ということで改革になっているわけで、今のように聞いてもいないことを延々とやられたら、これは質疑になりません。

 基本方針二〇〇三における決定事項なんです、これは。平成十五年度中に、迅速に認める仕組みについて検討し、結論を得て措置するということが決定されているから、もうことしは十五年度ではありませんから、どのように措置をされたのかということを聞いているわけで。いかがですか。

中島政府参考人 この問題につきましては、そういった理由から、現状では適当でないというふうに考えているところでございまして、昨年末の、閣議決定されました医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針に沿いまして、患者による選択を重視するという観点から、特定療養費制度の見直しを行うことにより対応したいというふうに考えているところでございます。

原口委員 金子大臣、今お聞きになったとおりですよ。これは基本方針二〇〇三における決定事項ということで決められていても、いいですか、決められて皆さんは十五年度にやるということをもう明確に示されていても、今のような答弁なんです。

 なぜ最初にマニフェストを挙げたかというと、皆さんは選挙でお勝ちになりました。だから、この四年間、皆さんが公約に挙げられたことがいかに実現したかということを問われます。私たちはそれに対する批判をして、そうやっていない、絵にかいたもちだ、あるいは現実にはできていないということを私たちは問うていくわけです。この第一丁目一番地からこういうことだということをまず申し上げたい。

 それでは、ちょっともう少し。今、総合規制改革会議の名前が出ましたから、総合規制改革会議としての現状認識及び今後の課題ということで五点ぐらい挙げていらっしゃるんです。ここは、厚労省じゃなくて金子大臣、直接お答えになられるところだと思いますので、伺います。

 まず、こう言っています。「患者の健康・安全等を確保するとの観点から個別・具体的に事前審査を経た上で承認される「保険診療」に対して、単独ではこうした審査も必要なく自由に行われている「保険外診療」を併用・付加した途端に、一連の診療行為が、本来の保険診療部分も含めて保険診療としては否定され、全て保険外診療とされることには、合理性がない」、こう言い切っていますが、この認識は同じですね。――規制改革の担当の方でも結構ですよ。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたように、総合規制改革会議の規制改革推進のためのアクションプランの十二の重点検討事項に関する答申の中で、今御指摘のありましたような見解が述べられているところでございます。

原口委員 いや、だから、この総合規制改革会議のこれは答申であって、そして官邸のホームページに載っているわけですね。さっきホームページのお話をされていた。だから、この認識が一致しているのかしていないのか。市村議員が質問をしましたが、そうしないと、どっちの方向に行くのか、政府がどうされるのかわからなければ、株式会社は参入しようがないですよ。

 私は、規制改革の民主党の担当として、やはり主体規制というのはもう余り意味をなくしている、行為規制をきっちりやるべきだというふうに考えています。

 その行為規制に移るときに一番大事なのは、今まで議論があったように、医療の質を担保することなんです。厚生労働省はこの委員会で何て答えているかというと、病床も数的にはもう満足のいく範囲になっているというのを何回もこの午前中の質疑から答えていますね。では、質的にどうなんだ。医療の質を担保する法律はどのぐらい整備されているのか。さっき金子大臣がおっしゃった、消費者、つまり医療でいうと患者ですね、患者の側から見て、それをどのように担保されているかということがまず第一になきゃいけないんです。このことがないから、まず数だけの話になってしまう。

 私は、東京女子医大病院の医療事故の被害者の会の事務局長をしていました。厚生労働省に聞きますが、カルテの開示義務を定めた法律はありますか。

中島政府参考人 法律として、カルテの開示義務という形で書いたものはございませんが、診療情報の提供に関するガイドラインというものを定めてございます。

原口委員 今のガイドラインは、去年の九月のたしか十六日か十八日でしたか、通達を出されて、各都道府県に、患者の側が医療機関に対してカルテの開示をお願いしたらそれは見せなさい、そういう指導、通達をされていると思いますが、これで間違いありませんか。

中島政府参考人 おおむねそのような趣旨でございます。

原口委員 だから大臣、結局、カルテを開示された、この法的な根拠を定めた法律はない。今のガイドラインと通達でもってやっているんです。

 だけれども、皆さん、カルテって何語で書いてありますか。ドイツ語かもわからない、英語かもわからない。あるいは、よしんば日本語で書いてあったとしても、知識の差がこんなにありますから、患者の側はそれをチェックすることはできないんです。

 東京女子医大病院事件というのは、あれは医療を行う側がカルテを改ざんしていて、今、逮捕されて、そして裁判になっています。つまり、規制の改革とセーフティーネットの張り直しというのはセットでないといけない、私はそのように思うんです。

 さて、ここで幾つか質問をしますが、今回の法案の第十八条に入っている「高度な医療」、この「高度な医療」とは一体何ですか。そして、そのニーズは何ですか。

中島政府参考人 ここで特区の対象としております「高度な医療」の内容につきましては、具体的には、再生医療として、脊髄損傷患者に対する神経細胞の再生、移植でありますとか、遺伝子治療として、肺がんや先天性免疫不全症の治療を行うこと、あるいは特殊な放射性同位元素を用いるPET等の画像診断、また高度な技術を用いる美容外科医療、さらに倫理上問題のない生殖医療、そしてその他、倫理的、安全性の問題がなく、これらに類するものというような言い方をしてございます。

原口委員 そうすると、皆さんが今まで定めてこられた高度先進医療というのがありますね。これとの関係はどうなりますか。

中島政府参考人 高度先進医療と申しますものは、先ほど申しましたように保険上で取り扱われております概念でございまして、先ほど申したような例示以外に新しく出てまいります先進的な医療について、それを特定療養費という形で保険診療の中に組み込むといいますか、保険からの給付を行うことが妥当と認めたものということでございます。

原口委員 高度先進医療としては、皆さんが厳しい要件を設けて、七十一種類、二百三十七件、九十医療機関でなさっています。

 この「高度な医療」というものが、私は何回法律を読んでもよくわからなかった。そして、どのようなニーズがあるのか。では、今おっしゃった四つにニーズがあるわけですね。

 今おっしゃった中には、もう高度先進医療も入っているんじゃないですか。つまり、保険でやれる話もあるんじゃないですか。違うんですか。

中島政府参考人 概念的に、高度先進医療と先ほどの「高度な医療」が完全に切り分けられるということではございませんで、高度先進医療になっている、つまり、保険から特定療養費として支払われるものは今回の対象からは外れるということでございます。そういった切り分けということでございます。

原口委員 よくわからないんですよ、大臣、今の答弁では。

 私は、規制改革はどんどん進めるべきだ。民主党は、自由な領域、経済規制については原則撤廃、そして社会規制については、人が人であるための尊厳を守るために、これは強化です。しかし、経済規制の中でも、共有する部分、電力だとか通信だとか人の命にかかわる部分、これはきっちりと強化をしていかなきゃいけない。社会規制の中でも、弱者の顔をした強者が、社会的規制だということで不当な価値の、あるいは富の偏在を得ている。こういったところは改革だというふうに思っています。

 今のお話ではなかなかよくわからないので、もうちょっと具体的に踏み込んで聞いてみますが、成案では、今おっしゃった例示として、美容外科、検査といったものを考えていらっしゃる。具体的なニーズがないんだったらどうしてこんな案が出てくるのかなと、何回考えても不思議なんです。

 だから大臣、やったふり、したふり。実は、規制改革はやったんだ、構造改革の中でこうやってやっている、これが一番いけないんですよ。今回特区をやってみて、それで失敗すればどうなるか。ああ、やはり失敗しましたね、もうやめましょうという話になってしまうんですからね。

 よくちょっと厚労省と詰めていきたいと思いますが、これは美容外科、検査といったもので、法案では、高度な医療について厚生労働省令で、省令で定めることになっていますね。そうでしょう。これは具体的にどのようなものですか。美容外科、今例示をされた四つの中の美容外科がわかりやすいので、どのようなものがあるか例示に即して示していただきたいと思います。

中島政府参考人 厚生労働省令ではなくて告示で定めるということになっております。そして、例示の方でございますが、まず、美容外科について言えば、例えば培養細胞を用いました隆鼻術ですとか、あるいは最新の医療用のレーザーを用いました美容外科手術等が考えられるということでございます。

原口委員 省令ではなくて告示でやるわけですね。本当ですか。それは法案のどこですか。確認をしたいと思います。

中島政府参考人 これは法律の十八条でございます。(原口委員「十八条、今見ているんだけれども、どこですか」と呼ぶ)十八条の、そのページの真ん中のあたりに「画像診断その他の厚生労働大臣が定める指針」ということでございます。

原口委員 結局、厚生労働大臣がそれを告示という形で示すわけですね、指針というものを。

 また、この法案では、高度医療の提供を行う病院等の設備、人員等についても、その厚生労働大臣が定める指針で決めるわけですか。そうでしょう。

 そもそも、医療技術とか医療機械が進化、日進月歩、これを、そのような中で、ガイドラインに書き込むことなんかできるんですか。これは省令じゃないんですか。違うんですか。

中島政府参考人 ただいまの御指摘の基準の方につきましては省令でございます。

 そして、各医療機関で高度な医療が適切に提供される体制を確保するとともに、都道府県知事による開設の許可事務を円滑に進めるために、この高度な医療を提供するための体制の基準を示すということでございますが、これについては、昨年六月に成案を取りまとめる過程で都道府県に対し意見照会をした際にも、開設許可に関しての基準を求めるという意見が出されたところでございます。

原口委員 ちょっとよくわからなくなった。

 さっきの高度な医療についての基準は省令で決めるんですよね。どっちですか。告示でやると言ったでしょう、さっき。

中島政府参考人 先ほどの告示でというのは、高度な医療の中身についてでございます。そして、後で省令で定めるというのは、その施設の基準ということでございます。

原口委員 そうすると、高度医療の提供を行う病院等の設備、人員等について、この基準を省令で決めるわけですね。それはどういうものになるんですか。

中島政府参考人 おっしゃられるような内容でございますが、具体的な中身につきましては、指針で定める高度な医療の具体的な類型ごとに、高度な医療を適切に提供するために必要な機器とかあるいは設備、施設、そして高度な医療に関して知識経験を有する医師などの人員、あるいは審査委員会などの高度な医療を適切に実施する上で必要となる組織などを定めることとしております。

原口委員 いや、だから聞いているわけですよ。金子大臣、私はシンプルに聞いているんですよ。日進月歩の医療技術、医療機器の進化の中で、そんなことまで省令に書き込めるんですかということを聞いているわけです。

 では、そのガイドラインはどんなものですか。どういう理念に基づいたガイドラインなんですか。

中島政府参考人 これは抽象的に決めるということではございませんで、医療技術、医療機器等が進歩し、新たな高度な医療が可能となったということで、その高度な医療についての特区計画の申請が行われた場合には、厚生労働大臣が、指針への適合性に照らして特区計画に同意する際、あわせてこの基準についても検討して、特区計画の円滑な実施、病院等の開設許可に支障のないような省令を追加するということでございまして、具体的に検討させていただくということでございます。

原口委員 ということは、特区の申請があってから皆さんがガイドラインをおつくりになって、申請があってですね、そしてそれに沿って高度な医療や機器や人員といったことについて議論をするわけですね。

 今の段階で、どんな申請があって、どこまで議論しているんですか。そんなものもこの中で吟味できないで、法案の審査なんかできませんよ。どんなガイドラインですか。出してください。

中島政府参考人 先ほどお示ししましたような例示のものにつきましては、これは既につくることが可能でございますが、それ以外の新たなものについては、申請が出てきた段階で作成をするということでございます。

原口委員 いや、だから、今例示された四つですね、四つ。この委員会に出してください。よろしいですか。出すか出さないかだけ答えてください。

中島政府参考人 今、これらにつきましては検討作業を進めておる段階でございますけれども、この委員会に直ちにというのは、ちょっと、お時間をいただきたいということでございます。

原口委員 大臣、つまり、何でこんな質問をするかというと、結局、私たちは、私たちがつくりました民主党の規制改革の基本的な考え方という中で、上乗せ規制があるんですよ、入り口では規制を改革すると言いながらも、今のようなガイドラインや省令や通達で上乗せ規制をして、実質的には何もできない。官僚社会主義に覚えよき人しか入れない。これじゃ公正な社会でいかぬだろう。自由と尊厳を守るための改革というのが規制改革の柱なんです。

 その目玉中の目玉を出しておいて、今例示された四つについても具体的なガイドラインも示されないというのだったら、審議のしようがないんですよ。出してください。検討しているじゃないですか。

中島政府参考人 まだ具体的な中身の詳細につきましては少々詰める時間が必要だと思っておりまして、さらに内容を詳細に詰める時間が必要だというふうに思っております。

金子国務大臣 ガイドラインの問題については、厚生省の彼らに一刻も早くつくらせるようにいたします。

 それから、特区でありますので、具体的に提案が出ておりますので法律として今回お願いをしております。この法案が通った後、手が具体的な事業者から出てくるわけでありますから、私たちは必ずそれが実現できるようにさせていきたいと思っております。

 ガイドラインの中身については、厚生省、今回のこの委員会には間に合わない、今検討中ということでありますが、この実現には必ず間に合わせるようにさせていただきたいと思っております。

原口委員 まさに医療改革の中身が少しずつ変遷しているわけです。本来は、高度先進医療についてもそれを多様な主体が担えるようになって医療の質を上げていこう、それが先ほど大臣がおっしゃった三つの柱、民でできることは民に、あるいは地方でできることは地方に、あるいは消費者のサイドでというようなことでしょう。

 私は、実際にもう提案があって、提案があってこの法律を出していると今大臣がおっしゃったんだったら、どんな提案があったのですか。この四つのことだけで結構ですから、教えてください。

中島政府参考人 これに関する提案としましては、仕組みについての提案はいただいておりますけれども、その具体的な治療の種目についての提案は受けておりません。

原口委員 もう質疑をやっていると驚くわけですよ。ひっくり返ると言ってもいい。

 規制改革の構造改革特区について、私たち民主党は賛成です。そして、規制改革を一刻も早く市民の立場、主権者の立場で広げていく。

 しかし、具体的なニーズや提案がなくて仕組みについての提案があったんだったら、何も法改正する必要ないじゃないですか。さっきの大臣答弁と矛盾しているじゃないですか、いかがですか。

滑川政府参考人 医療に対します株式会社の参入につきましては、一昨年度第一次提案それから昨年初めの第二次提案につきまして、御提案を具体的にいただいております。

 具体的にいただいたものにつきまして、第一次提案におきましては、医療法人から二つ、それから学校法人から一つ。第二次提案におきましては、地方公共団体から一つ、それから医療関係の株式会社というふうに伺っておりますが、そこから一つという形で提案をいただいているということでございます。

原口委員 では、伺いますが、その今の医療の株式会社というのは、高度な医療についての提案ですか。

滑川政府参考人 先ほどもお話ございましたように、制度に関する御提案もございますし、必ずしもすべてが高度ということではございません。

原口委員 必ずしもすべてが高度というわけではございませんという答弁がありますか。高度な医療について今皆さんは構造改革特区で株式会社の参入を認めるというふうにおっしゃっているわけですよ。必ずしもそうじゃなかったら、具体的なニーズはなくてこういうことをやろうとしているんじゃないですか。

 これは、逆に言うと、大臣、規制改革を阻もうとしている人たちにとってはよっぽど都合のいい話なんですよ。あるいは、規制改革をやったふりをして、そして自分は改革者であると言う人たちには一番のいい提案なんですよ。だから私たちはこの問題については慎重に審議をし、その中身について吟味すべきだということを言ってきているわけです。

 では、聞きますが、株式会社が行えるのは高度な医療であって、高度な医療ですね、皆さんの法案はそうなっているんですよ、通常の病院ではできないような分野を対象にしている、このように認識をしています、それは午前中の答弁でもございました。これはいいですね。また、自由診療ということで保険外ですね。

 だったら、株式会社の設立する病院を地域医療計画の対象としていること自体おかしいんじゃないですか。地域医療計画というのは、まさに既存のいわゆる医療サービスの中での総量規制ですよね。既存の総量規制の中に新たな高度なサービスが、どうしてこういう形で入るんですか。矛盾しているじゃないですか。

 一つ一つの法案を一個一個見てみると、とても審議にたえない法案なんですよ。答えてください。

中島政府参考人 医療計画についての御質問でございますが、医療計画におきましては、地域の体系的な医療提供体制の整備を促進して、医療資源の効率的活用、医療関係施設間の連携確保等を目的として、圏域を定める、あるいは基準病床を定める等を行っているところでございます。

 この既存の病床数が基準病床数を上回っているような過剰地域において病院を開設しようとする場合に、医療資源の効率的な活用等の観点から、当該病院が健康保険法等の保険医療機関であるか否か、あるいは設置主体のいかんにかかわらず、原則として医療法三十条の七によりまして都道府県知事が勧告できるということとなるということでございます。

 それから、実際に都道府県知事が特区において株式会社が開設する病院等について勧告を行うかどうかということにつきましては、地方公共団体の発意によりまして、高度な医療に限定して株式会社の参入を検証するという今回の特区の趣旨も踏まえまして、都道府県が判断をすることとなるということでございます。

原口委員 もう我慢の限界です。

 あなたは、私に、地域医療計画が何たるかを今教えていただけただけじゃないですか。そんなことは知っていますよ。こんなところで言わなくて結構。

 私が伺ったのは、地域医療計画というのは、今おっしゃるように、既存の病院の配置でしょう、適正な配置のためのものでしょう。皆さんがここに出してこられているものは、高度な医療で通常の病院でできないものじゃないですか。それを地域医療計画で縛る理由はどこにあるんだということを聞いているわけですよ。理由がないじゃないですか。あったら教えてください。

中島政府参考人 ですから、先ほども申し上げましたように、医療資源の効率的な活用等の観点から、保険医療機関、設置主体等にかかわらず都道府県知事が勧告できるというふうな解釈だということでございます。

原口委員 だから、効率的なも何も、既存の医療サービスと競合するものじゃないでしょう、この特区の、高度な医療と皆さんの言われたことは。

 私の質問の趣旨、御理解いただけないみたいなんで、実際、政治家呼んでください。僕はもうこれ以上官の人たちと、予算委員会でもこういう質疑の仕方はないということを何回も言ってきた。何のために副大臣つくっているんですか。今みたいなむちゃくちゃな答弁を繰り返しされるんだったら、副大臣呼ぶまで質疑できません。

山本委員長 ちょっと速記とめてもらえますか。

    〔速記中止〕

山本委員長 速記を起こしてください。

 原口君。

原口委員 基本的に、委員会質疑というのは政治家同士の質疑なんです。ですから、それでも役人でお答えになれますということだったからお呼びをしている、この認識です。

 もう一回聞きます。

 いいですか、皆さんが今回特区で追加されようとしている医療、高度な医療というのは、通常の病院ではできないような分野を対象にしているはずです。いいですか、確認します。

中島政府参考人 今回、先ほどお話を申し上げましたような省令等の基準で示されるような基準を前提とするような高度な医療ということでございます。

原口委員 私も大体温和ですけれども、そろそろ限界に近づきつつある。聞いたことをそのまま答えてください。

 通常の病院ではできないような分野を対象にしているんでしょう。そうでしょう。

中島政府参考人 そうでございます。

原口委員 また、この法案の中で、自由診療ということでは保険外ですね。皆さんは混合診療も含めて適用をやるべきだというふうに総理のホームページに、官邸のホームページに高々とうたってあるけれども、それは、さっきお答えになったように、これは違いますと。官邸のホームページに書いてあることは表向きの化粧であって、張りぼてで、皆さんは、こういうことは、十五年以内に措置をするなんということもやっていない。そして、自由診療という保険外である。

 だったら、株式会社の設立する病院を地域医療計画の対象とする必要なんか全くないじゃないですか。あなたはさっきから何回もおっしゃっている、地域医療計画というのは、地域の医療の最適配分をやるんだと。最適配分の違うサービスでしょう。それだったら、その範囲の中に入れる必要は全くないじゃないですか。その合理的な根拠を聞いているわけです。

中島政府参考人 まず、現状の医療法では、先ほどお話ししましたように、都道府県知事が勧告できるという解釈になるというのが一つございます。しかしながら、今回の趣旨を踏まえますと、実際に勧告を行うかどうかということについては都道府県が判断をするということになるわけでございますので、そういった勧告が行われる蓋然性については非常に薄いのではないかというふうにも考えられるということでございます。

原口委員 あなたがおっしゃっているのは、その後のステップじゃないですか。地域医療計画の中に入って、そしてこの地域医療計画の中の内か外かという勧告を知事がやるかやらないかという話をされているので、これを地域医療計画の中に入れる、あなたは、ジャッジメントと行動、ドゥーをおっしゃっているんですよ。

 私が聞いているのは、その枠組みの中にこれを入れる合理的な根拠はないじゃないか、あるんだったらその理由をおっしゃってください、それだけ言っているんですよ。あなたはその先をおっしゃっているんです。こんな丁寧な質問者はいないと思いますが。

中島政府参考人 医療計画自体は、その圏域の中で行われる医療の全体を指しているということでございますので、そういう意味では、医療計画の中に入ってくる事項ではあるということでございます。

原口委員 もう合理的な答えは政府から来なかったということで。

 もともと、地域医療計画というのは、病床の総量規制なんです、大臣。医療分野の自由な競争を阻害して、医療現場の皆さんも、果たしてこれでいいだろうかという問題を幾つも提起されているところなんですよ。それを改革の特区でもって書ける理由はどこにもない。皆さんは、既得権益の擁護のためにこれをなさろうとしているのか。私は、甚だ怪しい法律案であると。

 しかも、ガイドラインさえもわからない。地域医療計画の中に入るべきものでないものが入って、そしてその後でまたガイドラインでこねくり回す。だれが参入するんですか。

 日本には、もう既に六十二の株式会社の設立が病院として存在していますね。午前中の質問にもあったけれども、これは成り立ちが違うんだ、福利厚生なんだという答弁です。参議院の内閣委員会でも、これは与党の参議院議員がいい質問をしていますが、この六十二の会社、株式会社ですけれども、利潤を追求していない。つまり、利得を資本やさまざまなものに使っていないということですか。私が調べたところで見ますと、株式会社だから利潤を追求して過剰な診療をしているなんということはないですよ。

 また、この人たちは、広く住民に開放しているじゃありませんか。福利厚生で自分の、例えばさっきJTのお話をされましたか、JTのお話をされたんだったら、JTの社員に限っていますか。違うでしょう。広く地域の住民に開放しているじゃないですか。

 何か、さも過疎地にこの病院しかないように言われていますが、六十二の病院、全部出してください。いかがですか。皆さんが主体規制をしている理由というのは、ほとんど崩れているんですよ。どうですか。

中島政府参考人 株式会社病院の状況でございますが、平成十四年の十一月に調査をいたしまして、営利を目的として病院事業による利益を配当に充てている事例はないということは確認をしてございます。

 そういうことでございますので、病院事業により利益を上げて配当に充てようとする株式会社の参入とは、これらの病院は同列には論じられないというふうに考えているところでございます。

原口委員 六十二の病院がどこにあって、そして皆さんは、株式会社だから利潤を追求して過剰な診療をしていないということを何をもってごらんになったのか。そんな株式会社がありますか。バランスシート、大臣は前、財務委員長でしたか、財務委員会でも何回も議論をしましたが、そんなバランスシートのある会社がありますか。何をもってそう判断しましたか。

中島政府参考人 十四年の十一月に、県を通じまして経理状況等につきまして調査をしたということでございます。

原口委員 そうしたら、委員長、この委員会に、その六十二の経理状況、本当に利潤を追求していないのか。それはどこで見るんですか。コストと、そしていわゆるかかった費用と、それから受けたベネフィット。どれも赤字ですか。

 私は、そういう何か理屈にならない理屈をこねくり回していたんでは、本当に医療というのは前に進まない。

 冒頭、大臣になぜ聞いたかというと、だれのための医療かということが無視をされていたら、今回、中医協のああいう問題で、医療を金で買うなんということが大きな不信を買っているんです。ギルドの一部の人たちだけが、ギルドのような組織をつくって、そして医療の質自体を何も顧みてこなかったんではないかという批判がちまたにあふれている。小さい人たちの手術一つ、私たちの手術一つ、それを開示する根拠の法律もない。

 大臣、私たち民主党は、患者の権利法というのをつくって、カルテを開示して、その医療機関の判断は主権者にしてもらうんですよ。それこそ規制改革だと思いますが、いかがですか。

金子国務大臣 この問題については、既に規制改革委員会でもカルテの問題について議論をしておりますので、そちらでの議論を待ちたいと思っております。

 それから、先ほど官邸のホームページの件が出ました。規制改革委員会の皆様方のいろいろな意見が分厚いページで出されております。おっしゃるとおり、時間的に間に合っていない部分もあります。

 ただ、先ほど、やったふりというお話もあったんでありますが、例えば、例えばでありますけれども、医薬品のコンビニでの販売。話が少し飛びますけれども、あれは何となく、部外品、これは規制改革委員会の方向とは違う部外品ということで一部コンビニで売るという方向でとりあえずは決着しましたが、しかし、やはり本論に戻って、本来医薬品として売れる部分というものは検討してみようではないかということを厚生省が先般発表してくれました。薬事法の改正、一年半、時間をかけるようでありますが、そういう方向に行ってきている。言い方をかえますと、一歩前進。少しまどろっこしく見えますけれども、そういう方向というものは必ず前進をさせていけると思っております。

 御指摘のカルテの問題については、ちょっと所管ではありませんので、今以上の、とりあえず民主党原口先生のマニフェストということで受けとめさせていただきたいと思います。

原口委員 いや、あれはこの構造改革特区の所管なんですよ、大臣が。だから、医療の質をきっちりチェックできるものがなければ、それこそ皆保険制度に穴をあけて、これはぼろぼろになるかわからない、その危険さえもある。

 いや、私はそうじゃないという立場ですよ。しっかりとしたセーフティーネットが、主権者の側から見張りがされていて、消費者がその評価をすることができれば、行為主体、主体規制といったものは、むしろ、逆に既得権益を守る大きな壁になってしまっている。そういう観点からやっているんで、大臣が御自身の所管でないからというのは、私は正直言って、金融やいろいろなところが御専門だからこれ以上言いませんけれども、少しがっかりしました。

 以上いろいろな諸点から考えて、私は、今回の法案は、実質的に意味のある規制改革とはとても言えないのではないか。先ほど、教育のところについてもそうですけれども、逆に言うと、規制が強化されてしまって、あるいは理念が不明確になってしまっている。これでは何の意味もないのです。

 少し、あと残り時間わずかですけれども、民主党の私たちが考える規制改革について、こういうふうに考えています。

 これまでの規制改革政策の限界というのは、やはり規制改革の目的を狭義の経済的目的、市場規模で○○円というように求めてきたために、規制改革分野で、規制改革で米国流の弱肉強食の競争社会になるとか、社会福祉を企業の食い物にするなという反論を生んで、実質的な主権者の側に立った規制改革が進められてこなかったんじゃないか。規制の数を取り上げてそれを減らそうとしてきたために、むだな規制はなくすが自分たちの規制はむだではないという、まさにきょう、今ずっと議論をしてきたような、総論賛成、各論反対が積み重ねられてきたんじゃないか。

 そして、もう一つ。これは大臣と、私も、自分も党の中で同じようなジレンマに立ったことがありました。だから、御党だけを責めることはできないかもわからないが、規制改革を推進する組織に強力な権限というのは持たされているんだろうか。強力な権限ありますか。

 今おっしゃったように、大臣としては所掌じゃないからと。規制改革というのは、ありとあらゆるところにそれが及ぶんですよ。だから、小泉内閣が規制改革を御自身の構造改革の目玉だとするんだったら、規制改革担当大臣にそれを推進する大きな権限があってしかるべきだと思いますが、いかがでございますか。

金子国務大臣 私、所掌じゃないと申し上げたのが多少誤解を生んだかもしれませんが、先ほど来のお話で、医療の質の確保全体の話をされておられますものですから、これは、厚労大臣がやはりきちんとその部分、枠組みをつくってくれていますので、そういう意味で申し上げたつもりであります。

 それから、もう一つは、今の権限でありますけれども、あるんです。勧告権という大変な権限を持たせていただいています。ただ、私、これは少し前大臣とは違うかもしれません、ほかの大臣とも違うかもしれません。しかし、伝家の宝刀だと思っているんですけれども、抜かないで済むならばそれでいいと思っているんです。

 何でかといいますと、そのことによって必ず前に進んでいく。逆に、おかしな、先ほど来議論がありましたように、こちらは出てきたけれども別の法律が邪魔してできないといったようなことにならないように、やはり、できるだけやれるものを一体として進めていきたい。

 そういう意味で、さっき申し上げました医薬品のケースでありますけれども、これまで伝家の宝刀を抜かなかったんですけれども、坂口大臣も理解をしていただきまして、私が担当して以来の出来事でございますけれども、薬事法の改正という方向に進みました。

 あるいは、時間をとって恐縮でありますけれども、びっくりするような事例、例えば地方議会の議会の開催は年四回という法律が、地方自治法で定められていたんです、これは随分昔の法律でありますけれども。これは実は、市町村長は大反対、市長会も大反対。だけれども、上限を国が決めるなんてこんなばかな話はないだろうよ。伝家の宝刀を抜かずとも、総務大臣とお話をして、これは特区で申請がありましたけれども、全国ベースでもってこの法律でも取っ払いました。

 まだまだほかにもありますけれども、そういう、いわば勧告権、あるいは進める力は、私、責任を持って実施していきたいと思っております。

原口委員 先ほど、私がやったふりと言ったのは、きっちりホームページに、平成十五年度中に措置する、二〇〇三年決定と書いてあってさっきの答弁だったから、それは違うでしょうということを言っているんです。何も根拠がなくて申し上げているわけではない。

 私たちは、規制を、いわゆる行政が小さな立場の人たちを保護したり、国民の安全を担保するための単なる公権力の行使とだけとらえるんではなくて、社会的、経済的公正を極大化するための行政サービスのルールとしてとらえ直すべきだというふうに考えています。

 したがって、単なる法令の条項や提出書類の様式にとどまらないで、行政の執行体制、官と民との関係そのもの、あるいはそこにかかわる主体、これも検討の対象となると思います。

 そこで、幾つか規制全般について提案をしています。

 それは、私たちが、業法を全廃して、いろいろな業法がある、皆さんは独禁法の改正についてはまだ議論の中途だというふうに言われていますが、業法を全廃して、官製市場を開放して、行為規制を強化していくこと。

 それから、ノンアクションレターと申します、それを法制化して、ADRを充実させること。

 それから、さっき御答弁になったような、通達等による上乗せ規制を禁止すること。見えないんですよ。結局、官を中心とした官製経済というものの源泉は、この通達や、さっきガイドラインというお話がありましたが、それがオープンでないことにあるんです。こういう大事な質疑のときも、そのガイドラインを本来は、こんなガイドラインでいいのかということをきっちり詰めて、その是非を主権者に問うべきだと思うんですね。いや細かいことは知らないでは、政治の責任は果たせないと思います。

 それから、一方で、正当なロビー業務を容認することも大事だと思います。さまざまなところでさまざまな人たちが提案活動をされています。その提案活動がどのような役割を果たすのかといったことも大事です。

 もう一つ、規制のコストを明示する、このことも大事です。

 先ほど質問の中で、地域医療計画の対象とすること、これはおかしいんじゃないかということを申し上げました。こういう一つ一つのところで、実際、向いている方向は国民の方を向いていようと思っていても、最後、出てくるところは、一部の既得権益のフィルターがかかってしまう、これが怖いと私は思っています。

 さて、大臣にお伺いしますが、今回、規制改革特区法の改正案の中で、これは実験的にやるんだ、そして評価をするんだということですが、私は、きょう医療のことだけをるる質問をしてきましたが、これで参入できる人たち、ニーズ、どんなものがあると思われていますか。

金子国務大臣 これは、先ほど厚生省が説明をしておりましたけれども、幾つかの、美容、PETを初めとする検査、並びに肺がん等々の遺伝子治療等々、やはり高度医療と言われる部分で出てくるものと期待をしております。

 ついでに、さっき地方議会の開催上限の件は決まったと申し上げましたけれども、今国会に提出中であります。済みません。

原口委員 私も、私たちの知らないところで法律が決まったんだなと思っていました。

 私自身は、民主党の中で、規制といったものを再確認をしなきゃいけないと。規制というのは、もともと、働く人たちを守るためにできました。高度な社会、あるいはさまざまに複雑化する社会の中で、一たん被害を受けてからではそれを回復できないから、事前に規制を強くしていって、一人一人の個人を守っていこうというのが規制の原点です。

 しかし、その規制が、もう何年も何年もなってしまって、そして実際は、主権者を守る、国民を守るというよりも、一部の供給側の人たちを守るということになってしまってはならない。規制はある一定年限がたてばサンセットする必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

金子国務大臣 絶えず規制を見直していく、そして必要なもの、見直すべきところは絶えず見直していくという姿勢が必要であると思っております。

原口委員 いや、見直すべきところは見直すべきだというのを、それを言葉で言っただけでは本当に実際的にはオペレートしないんですよ。何年たった規制は必ず見直すとか、そういう外形的なルールがないといけないと思うんですが、いかがでございましょうか。

金子国務大臣 検討課題としてお預かりさせてください。

原口委員 今回、特区法の改正といった中で、医療の規制改革の問題に絞って議論をしてきましたが、私は、規制改革を一生懸命前に進めていこうという人たちから大きな失望の声をこの特区法の改正については受けています。

 国民皆保険制度を、一方で理念の部分に穴をあけてしまって、みんなに不安を与えるかもわからないという議論は市村議員を初め多くの人たちがしました。それだけの法律を出しておいて、改革をしようという人たちからも、これでは本当に大丈夫なのかという声が出ていることに、私は大変な危惧を抱いています。

 ほかの部門については議論をする時間がもうなくなりましたが、一点、農水のところで、行政財産である漁港施設の民間事業者への貸与、これはどのような基準で貸し出すのか、そのときの排他的な使用権あるいは占有権といったものはどのようになるのか、そのことを伺いたいと思います。

滑川政府参考人 漁港施設に関してでございますけれども、これを貸し付けるという形で、これまでは、従前、使用許可という形で行われてきまして、原則、最長三年程度ということで行われてきたということでございますが、本特例措置を使うことによりまして、民間事業者が整備する施設の耐用年数を念頭に置いた長期の貸し付けが可能になるということでございます。

 このために、中に入る事業者につきましては、これは広く公募をして、公示をして、多くの方々の了解を得た上で参入していただくという仕組みになっているというふうに承知しております。

原口委員 いや、その人たちが借りている間は、そこはほかの、例えば漁民や一般の国民は使えないんでしょう。

滑川政府参考人 その場所あるいは施設という意味でございます。その貸し付けられたものについてそれを運用する者は、貸し付けを受けた者ということになります。ただ、その貸し付けを受けた者が何のためにその貸し付けを受けるかということでございます。これは、漁港の事業を効果的に行うためということで承知をしております。

原口委員 本来であれば、そこに対する基準も、それからそこを使う使用料も、払わなくてよかった人たちが払わなければいけないかもわからない。

 医療の質について最後お話をしますが、医療の質をどう担保するかということを特区の方に聞いたら、二つ答えが来ました、大臣。高度な医療にかかわる構造設備、人員等に係る許可基準を設定する。さっき言ったガイドラインですね、ガイドラインは私たちに見えていません。そして、都道府県知事は、上記要件に適合しなくなったと認める場合は開設許可を取り消すことができる。この二つですよ。

 この二つで特区の医療の質をチェックできるとはとても思えませんし、また、規制を改革する立場からも、今の質疑の内容ではなかなか賛成しにくい法案であるということを申し上げて、質問を終えます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 この構造改革特区法案というのは、最初に政府が出してきたのは、ちょうど総合デフレ対策の一つの柱として規制改革の加速を掲げ、医療の分野に医療法人でなく株式会社の参入を図ったということでありました。二〇〇二年十二月の総合規制改革会議の第二次答申に向けて、公的関与の強い分野を中心とした規制改革として医療、福祉、教育、農業等を挙げ、株式会社の参入が大きな課題になって、二〇〇二年の法律、こういうふうになったわけです。

 そこで、きょうは、医療への株式会社の参入を認めようとする医療法の特例について質問していきたいと思います。

 初めに政府参考人に伺っておきますが、医療法七条の五項、医療法人に営利を目的とした法人の参入を禁止しているわけですが、その理念と趣旨について伺います。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

中島政府参考人 この法律の理念、趣旨につきましては、医療を営利の目的とすることなく、その結果として、医療で上がった利潤について、これを配当することを認めないという趣旨でございます。

吉井委員 ですから、医療法七条五項では、そもそも、医療法人に営利を目的とした医療に参入を禁止という、今おっしゃったように、国民の生命、健康という、医療そのものに着目しての話ですね。

 今度の改正案の十八条六項ですが、これは、必要な場合とか診療上やむを得ない場合はその限りでないということで、要するに、営利目的の病院の参入ということを認めるというところに大きな特質があります。

 そこで、医療法第五十四条の規定、これはどういうふうに規定していますか。

中島政府参考人 五十四条は配当禁止の規定でございまして、「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。」ということでございまして、まさに医療機関の剰余金の出資者への配当を禁じているということでございます。

吉井委員 医療法五十四条で、要するに、医療機関は営利を目的としてはならないと。ですから、まさにこれらの規定で、そもそも医療とはどうあるべきかということが明確にされているわけですね。

 金子大臣に伺っておきますが、日本の医療制度というのは、株式会社など営利法人形態の病院経営をこれまで禁止してきたわけですよね。これは、生命や身体にかかわる医療を営利の対象にしてはならない、対象としないという考え方に立ったものです。今回のこの株式会社参入というのは、高度医療に限定はしているんですよ、確かに。しかし、医療制度の基本的性格にかかわる非常に重要な問題です。大臣としてはこの問題をどう考えておられるか、伺います。

金子国務大臣 現行の国民皆保険制度という仕組みというものは、やはり大事な我が国の基本的な枠組みであると思っておるんです。ただ一方、本当にそれだけでいいんだろうかと。やはり、医療に対する国民の不満というのも、もう吉井先生御存じのとおり、もとよりある。

 同時に、我が国でいろいろな高度先端医療、あるいは医療技術が開発されながら、残念ではありますけれども、なかなか我が国の中ではそれが使われない、海外に行ってしまう。したがって、我が国の患者が高い金を払って海外で、我が国の技術や、ドクターが学んできた技術を、手術を受けに行くという現状があることも事実であります。

 そういう意味で、やはり、国民の選択肢を広げていく。医療技術全般として、もちろん官でも、官というのはいろいろな研究所、国でも医療技術の高度化というのは進めておりますけれども、こういう部分で進めていく一助になれば、そういう意味で、今回株式会社の導入というものを審議いただいております。

吉井委員 高度先進医療にかかわる問題は次に伺いますが、ここで重ねて、こちらの方は参考人に伺っておきますが、医療の基本問題として、やはり医療や福祉への株式会社の参入というのが、医療や福祉は金次第の社会に国民をほうり込むだけじゃなくて、地方では、採算のとれる病院がふえる一方、精神科とか小児科など採算のとりにくい病院は姿を消す、こういうことがあっては医療分野では大変だということがあって、こういうことはきちんとされてきて、医療法第一条の「目的」では、「医療を提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。」こういうふうにして、効率よくもうけることとか企業利益追求が主たる目的となってはならないということで医療法人という形態をとってきたと思うんですが、確認をしておきます。

中島政府参考人 そのような趣旨であると理解しております。

吉井委員 そこで、高度先進医療のことなんですが、これも、大臣に伺う前に、先に幾つかのことを参考人に伺っておきます。

 今回、株式会社の参入というのは高度医療に限定しているわけですね。これまでから高度専門医療だとか高度先進医療という言葉がよく使われて、国立大学の医学部の附属病院だとか、あるいは国立病院、国立病院には循環器病センターとかいろんなのもあれば、地方の結核療養所から出発した病院、もういろいろあります。しかし、結核から出発した国立病院であっても、肺がんその他の、その時代その時代の先進医療を目指して取り組んできたという経過があります。

 だから、そういう大学病院や国立病院などで取り組んできた高度、専門、あるいは先進、こういう医療というのは、何を目的とし、どういう内容の医療を目指してやってきたのか。これを最初に伺っておきたいと思います。

中島政府参考人 御質問の趣旨を必ずしも適切にとらまえているかどうか、自信はないのでございますが、大学病院等における高度な医療の開発等についてどのような趣旨かということであるとすれば、それは、やはり治りがたい患者さんをいかにしてよりよく治せるようになるかということを日夜研究、研さんを進めているということであろうというふうに思います。

吉井委員 それで、大臣もさっき言っておられた、高度な医療機器、先端的な医療機器を使ったりとか、医療技術の進んだもの、それらを含めて、やはり大学や国立病院で高度専門医療に取り組んできたというのは、それを民間の病院にとなりますと、民間の医療機関はどうしても採算がとれないことには経営が困難になる。しかし、費用がかかっても医療技術を発展させるという角度、あるいは、費用がかかっても人間の尊厳、生命の平等という憲法上の要請から、経費負担の難しい所得の低い人であっても、金のある人は海外でもどこでも行けばいいんでしょうけれども、行けばいいというわけじゃないんで、本来、その人たちも国内できちんとできるようにというのは当然の話なんですが、経費負担の難しい所得の低い人でも受診が可能となるように公的に行ってきた。

 これは、これまでの高度先進医療やあるいは高度専門医療とも言われる大学病院や国立病院で目指してきたものだし、そのことは、これからも日本の進んだものをさらに、標準化するといいますか、普遍的な医療技術として発展させていく、そのためのやはり非常に大事な分野だと思うんですね。ここは大臣に伺っておきたいと思います。

金子国務大臣 この点は全く同意見であります。特に国立大学等々が、難病ですとかこういうものにかなり先端的に取り組んでいただいている。この部分というのは、恐らく今私が申し上げたような部分は、この株式会社参入という分野では多分ないんだろうと。むしろ、美容とか、先ほど申し上げたようなPETとか遺伝子治療なんかもありますけれども、御趣旨、基本的な枠組みをそこで壊すという話では全くないと思っております。

吉井委員 私は、その点では、やはり難病だけにとどまらないで、まだ未解明な分野とか、あるいは苦痛を少なくする新しい医療の開発、そういうまさに先端的な高度医療、先進医療というものについては、これは、どうぞ営利で自由にやってくださいというわけにはいかないものだと思うんです。

 参考人にさらに伺いますが、先端的な技術と一般の保険診療の調整を図るものとして高度先進医療という制度がありますが、新しく設ける高度医療というのは、現在の高度先進医療にも入らない自由診療の枠ということになるのかどうか、これはどうですか。

中島政府参考人 さようでございます。現在高度先進医療として扱われているものは、これには入らないということでございます。

吉井委員 高度先進医療で普及してきたものは、一般の保険診療に取り入れられてきているんですね。高度先進医療で普及して一般診療に取り入れる理由というのは、これはどういう理由によるものなのか。

中島政府参考人 これは、高度先進医療として一定の症例数を重ねまして、その有効性、安全性等について一定の評価が得られたという段階で、専門組織で検討の上、一般保険診療になるということでございます。

吉井委員 いろいろ検討して入れるわけですよね。それは、要するに一番の基本は、皆保険制度という趣旨、これと結びついたものでしょう。つまり、高度先進医療というのは、高度先進医療にかかる費用は患者の自己負担となるものですが、高度先進医療が普及したものを保険診療に取り入れていく、これが皆保険制度の趣旨ですね。

 ところが、この高度医療というのは、高度先進医療の上にさらに枠を拡大する、そういうことにつながってくる。それでは皆保険制度の趣旨に逆行するものになってくるんじゃないですか。

中島政府参考人 今回の高度な医療が、高度先進医療の上の枠を拡大するという趣旨ではございませんで、高度先進医療として保険の適用といった形ですることにもまだ至らないようなものを対象とするということでございます。

吉井委員 これまでは、高度先進医療というのは、その費用は要するに患者負担となっていたんですが、できるだけそれを前進させ、普及して、皆保険制度に組み込むことによって患者の負担を少なくしていく。これは皆保険制度の趣旨に合致したものだし、これまでの流れはそういう流れだったんですね。

 ところが、高度先進医療の枠の上にといいますか、別枠でそういうものを拡大してしまう。これでいきますと、結局、自由診療で高度な医療の提供に限るか限らないかにかかわらず、医療の持つ公益性を確保すべきそういう分野に市場原理を原則とする株式会社を参入させるということで、結局、高配当、利潤追求を目的にした、医療を手段とする、そういう分野を導入してくる。これは算術の世界になってしまう。やはり医療の公益性を否定するものになってくるのではありませんか。

中島政府参考人 まず、高度先進医療につきましては、高度先進の部分は自費で、基本的な一般的な医療の部分は保険で見るという一つの医療の提供の形でありまして、今回の株式会社の高度な医療については、全体を自費でという、保険の適用でないというところが一つでございます。

 それからまた、一般的に、公の医療として適切なものにつきましては順次保険診療の中に取り込んでいくという考え方については、これまでどおりでございます。

吉井委員 高度先進医療というのは、患者負担で始まっていても、それは普及し、皆保険制度に組み入れていく。なかなか当初の段階で大変な場合は、ある分野に関しては福祉的施策も検討したりとか、要するに患者の負担をできるだけ少なくし、あまねく、所得が高かろうが低かろうが、憲法上の要請を受けて広く多くの人たちが生命や健康を守り抜くことができるようにやっていこうというのが、もともと高度先進医療ということを言っている時代だってそうなんですね。そこから皆保険制度の方向へという流れがあったわけですね。

 高度先進医療の、その別なところに高度医療がくっつくわけですよ。高度医療の部分は、これははなから自由診療です、株式会社で市場原理でやっていくんですと、全く違う世界を持ち込むわけですよ。私はそこが問題だということを今言っているんです。

 株主による利益配分を最終目的とした株式会社の方式については、これは二年前の議論のときにもありました。利潤の最大化を目指した行動、医療分野で人件費圧縮や不採算部門の切り捨て、高収益部門への集中などの競争が行われる。そうすれば、地域で採算の難しい精神科、小児科などを担っている病院は撤退に追い込まれかねない。こういうことが、当時、規制改革の会議の中でもいろいろな人たちから意見が出され、それは何も医療分野で自分の利益を守ろうという立場の人だけじゃないんですね。そういうことに全く関係のない、医療分野の人もおれば、また患者側からもそういう声があったわけですよね。

 医療分野で株式会社などを認めているアメリカの例というのもそのとき随分議論になりました。営利法人経営の高配当を求め、利益の上がる患者のみを選択したり、組織的な不正請求などによって医療がゆがめられてくる、これが相当社会問題になっているという現実が当時議論されましたが、こうした弊害について、今日、厚生労働省の方はどういうふうに考えておられるか、伺います。

中島政府参考人 米国に例を見るような、先ほど御紹介のような状況については、その後、特段、米国における状況が変わったということは聞いておりませんので、基本的な認識はそのままであるということでございます。

吉井委員 自由診療で高度医療と限定して要するに穴をあけるという、冒頭に申し上げましたことなんですが、医療を限定していると言うんですが、それも非常にあいまいなんですね。

 特区法第十八条六項では、「高度医療を提供する上で必要があると認められる場合又は診療上やむを得ない事情があると認められる場合は、この限りでない。」としているわけですが、この必要がある場合、やむを得ないことなどを理由に、高額の自由診療というものがこのやり方でいくと拡大していくことになるのではないかと思うんですが、これは、大臣、どうですか。

中島政府参考人 少し具体的なお話をさせていただきたいと思うんですが、今御指摘のような例外的な場合につきましては、例えば、「高度医療を提供する上で必要があると認められる場合」については、高度医療に付随する検査あるいは投薬を行う必要がある場合、また、「診療上やむを得ない事情」ということにつきましては、緊急に救命措置を行う必要がある場合というようなことでございまして、無制限に広がるものではないというふうに考えております。

金子国務大臣 先ほど申し上げましたように、吉井先生と私と一致しているのは、基本的な医療の部分の骨格をやはり枠組みとして守っていく、あるいは難病等々、難病に限りませんけれども、国立大学の病院で検討してもらおう、これはいささかも変える話ではありません、一致しておると思います。

 違いは、これが入ったことで風穴があくのではないかという御議論であります。つまり、一穴になるのではないか。ここは、高度医療という、特定といいますか、非常に高度な部分についてこれを株式会社で導入していく、このことが、基本的な枠組み、今の医療の体系の枠組みを壊してしまうということは考えておりませんし、そこのところは少し先生と認識が違うと思っております。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 さっき、参考人の答弁からしますと、医療法七条五項の分野、ここに風穴をあけるような理由は全くないわけですよ。その後段におっしゃった救急医療の話ですね、その判断というのは、株式会社の病院が判断するということになってくるわけですよ。交通事故患者を救急に治療した場合に医療従事者が法律違反になるかならないかとか、そこらの問題にかかってくることですからね。

 だけれども、高度医療の内容についてガイドラインもあるわけですが、ガイドラインでは既に六項目の成案になっているし、その第六項目は「その他、倫理的・安全性の問題がなく、これらに類するもの」というふうな表現で、結局、極めてあいまい規定なんですね。ここでも医療内容がなし崩しに拡大して、高額の自由診療の範囲を拡大する、こういう危険というものがやっぱりあるわけです。

 この点では、いろんな申請があるたびに拡大に努めるようにすることができる、こういうふうになってきますと、最初から枠を広げてしまうということになるわけで、ここはやっぱり問題だというふうに思うんです。

 いずれにしても、高度の医療に限定しているとはいえ、株式会社の医療への参入というのは、非営利であるべき医療を営利化し、自由診療枠の拡大による医療費の高騰、さらに医療の高額化をもたらし、国民が平等に医療を受けられるという趣旨で設けられた国民皆保険制度など、医療制度に悪い影響、好ましくない影響を与えるということは避けられないというふうに思います。

 そこで、大臣、結局この医療への株式会社参入の要求というのは、この特区法案が成立する以前から、これは当時も、二年前も議論しましたが、それで実際ありましたが、アメリカの関係団体からも陳情が届いたのを私ももらっていますが、あるいは経団連など、ビジネスチャンスの拡大、そこが中心になって出てきたものではないのかというふうに思いますが、この点、大臣、どうですか。

金子国務大臣 さっき、滑川室長からこれまでの提案の具体例が出ましたが、これまで出てきましたのはすべて病院あるいは自治体なんです。私のところには海外からも全く話はありません。

 そういう意味で、冒頭に申し上げましたように、今の医療制度を守る、ただそれだけでなくて、やっぱり国民がまだ不満に思っているところがあるよね、そういうところで解消していくということと同時に――失礼しました。一社、株式会社もございます。

 と同時に、医療技術を向上させていく機会ということもやはり必要なのではないかということで、今回提出をさせていただいております。

吉井委員 二年前に、在日アメリカ商工会議所など、医療機器メーカーその他から要望がありました。

 これは、ガイドラインの中にも出てきますけれども、提供精子による体外受精など生殖医療のことはありますが、今、この高度医療の中で、国民の間からは不妊治療に保険適用を、そういう要望が出てきたりとか、つまり、これまでとは違った高度あるいは先進、専門、そういう分野で、それは自由診療で、必要とする人は高いお金払ってかかりなさい、場合によっては海外行きなさい、そういう話じゃなくて、本来は、どのようにして保険適用へ近づけていくか。やはり、皆保険制度のもとでの医療制度の拡充をどう図るか、国民が求めているのは一番そこなんですね。

 そこへ行く前の段階で、必ずしも皆保険制度という制度があってもなかなかうまく適用されていないので、そこは国であれ地方自治体であれ、福祉的施策も含めて負担を軽くすることによって、憲法上の要請に基づく個人の尊厳とか個人の尊重、あるいは生存権の保障という、その要請にこたえて、いかにして生命や健康を守る方向へ前進するか。

 同時に、その取り組みこそが、非常に高コストであったとしても、その高度な先進医療あるいは専門医療を皆保険制度になじむようなものにしていった、こういう経過があるわけですから、今大臣として考えるべきは、これはあなたの領域とともに、やはり厚生労働省の領域ということは大きくなるわけですよね。しかし、大臣として、やっぱりこの特区で医療の分野の提案をするからには、本当はそっちが一番の基本なんだということを考えた取り組みが必要だと思うんですね。これは大臣に伺っておきます。

金子国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、今の皆保険制度、国民が平等に医療を受けられるという仕組み、これはさらに充実をしていきたい。

 しかし、それだけで満足せずに、やはり国民の望む高度医療を、さらに我が国自身で技術開発されているものが我が国で開花できるように、そしてわざわざ海外に高い金払って手術に行かなくても国内でできるような、そういう部分というものを今回の法案でつくり上げていく、これも一つの方法だと思って今回提案をさせていただいております。

吉井委員 今、大臣おっしゃったように、国民みんなが求めているんですよ。みんなが求めているという意味は、健康な人はそのときはそう思わなくても、難病だとか、まだ病名もわからないとか、治療方法が確立していないとか、治療方法はあるんだけれども苦痛を伴うとか、そういうものを解決した医療を求めているわけですよ。

 我が国で技術があれば、海外へ行かなくても我が国でそれが皆保険制度の中で早く適用されるように、それは自由診療の道を拡大する、株式会社の道を拡大することによって実現されるんじゃなしに、それはそうじゃなくて実現できることだし、そのことに取り組むことこそ本来医療の分野で考えるべきことだということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、経団連が昨年九月に発表した優先政策事項では、こう言っているんですね。「医療・福祉・保育、教育、農業分野への株式会社の自由な参入を構造改革特区での導入を突破口に実施するなど、規制改革を拡充、推進する。」としておるわけです。国民は今求めておるわけじゃないんですが、財界の側が特区を、高度医療の限定もない、地域の特定もない、要するに株式会社の自由参入を突破口として位置づけている。そこが優先政策事項で書かれていることですから、私が勝手に言っていることじゃないんです。

 やはりそういうことじゃなしに、本来、国民の立場に立った医療の本当の前進のために、それを図ることこそ、これは内閣挙げての取り組みの課題だ。医療分野の特区などを考えるんじゃなくて、そっちが本筋なんだということを最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。

金子国務大臣 経団連がそういう表現をされたということは承知しておりますが、私たちの立場は、医療だけではありません、農業、教育、やはり国民の選択肢を消費者の立場から広げていく、そしてそういう中で、できるだけ競争原理も働かせていきたい、同時に、官ではなくて、民ができるところはなるべく民にやっていただきたい、これが基本的な私たちの、私の考え方であります。

 吉井先生の御主張もよくわかります。さらにこれからも議論をしながら進めさせていただきたいと思っております。

吉井委員 時間が参りました。終わります。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十一分散会


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