衆議院

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第11号 平成16年4月28日(水曜日)

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平成十六年四月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 今津  寛君 理事 大村 秀章君

   理事 河本 三郎君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 鎌田さゆり君

   理事 中山 義活君 理事 大口 善徳君

      江崎洋一郎君    河井 克行君

      西川 公也君    西村 康稔君

      葉梨 康弘君    早川 忠孝君

      平沼 赳夫君    宮腰 光寛君

      村上誠一郎君    石毛えい子君

      泉  健太君    市村浩一郎君

      大畠 章宏君    島田  久君

      原口 一博君    山内おさむ君

      横路 孝弘君    太田 昭宏君

      穀田 恵二君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   政府参考人

   (警察庁長官)      佐藤 英彦君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   吉村 博人君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君

   参考人

   (上智大学大学院法学研究科教授)   小幡 純子君

   参考人

   (弁護士)   市川 守弘君

   参考人

   (東京都立大学法学部長) 前田 雅英君

   内閣委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  吉井 英勝君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  穀田 恵二君     吉井 英勝君

    ―――――――――――――

四月二十七日

 公益通報者保護法案(内閣提出第一一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 警備業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇六号)

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 警察に関する件について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、上智大学大学院法学研究科教授小幡純子君、弁護士市川守弘君、東京都立大学法学部長前田雅英君、以上三名の方々から御意見を承ることにいたしております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 小幡参考人、市川参考人、前田参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、御了承をお願い申し上げます。

 それでは、小幡参考人にお願いいたします。

小幡参考人 本日は、警察行政に関して意見を申し述べる機会を与えていただき、大変光栄に存じます。

 私の専門は行政法という法律科目でございまして、警察法や警察に関する法制度も、行政法各論ということで、大変重要なテーマとなってございます。本日は、公安委員会制度と警察の監視・監察機能のあり方を中心に、私の意見を述べさせていただきたいと存じます。

 レジュメを一応お配りしてございますが、その順に参りたいと思います。

 初めに、現行の警察制度の特徴について簡単に触れておきたいと思います。

 まず、警察の事務は、戦後当初から地方分権化されておりまして、都道府県警察の仕事として一元化されております。都道府県警察は、都道府県公安委員会の管理のもとにございまして、組織については都道府県条例で定められ、都道府県議会を通じて市民の監視を受けることとされております。その職員の身分や経費も、都道府県の地方公務員として、原則として当該都道府県が負担しております。

 ただ、現実には、県境を越えてもっと広域的な国家的な利害もございますので、警視正以上の階級の警察官は、国家公安委員会の任命する国家公務員とすることによって、国家的な警察活動に要する経費については国が支弁するということになってございます。

 本来的な自治体警察というのと国家警察としての要請をこのような形で両立させている制度であろうと思いますが、ただ、警察というのは、あくまで本来的には自治体警察であって、自治体住民の信任を得て存在し得るものであるという現行制度の根底の理念は忘れてはならないと思っております。

 もう一つの特徴が公安委員会制度でございまして、警察を民主的に管理し、その政治的中立性を確保する制度として、一般の方が警察という官僚組織の上に立つ公安委員会制度が設けられております。警察というのは強力な執行権力を持つ専門家集団でございますから、その運営が独善的にならないように、市民の代表である公安委員会が警察組織を管理するというシステムでございます。民主的な警察制度を担保するものとして、大変重要な役割を担っていると考えております。

 さて、その公安委員会制度でございますが、平成十一年秋以降の一連の警察不祥事をきっかけといたしまして、平成十二年に警察法の改正が行われました。当時、公安委員会が国民の良識の代表として警察の運営を管理する機能を十分果たしているのかという議論がございまして、その管理能力を強化するなど、公安委員会の充実、活性化というのが求められたものでございます。

 こうした議論を受けまして、改正警察法では、公安委員会が監察についての具体的、個別的な指示を警察に対して行うことができるということを明確にいたしまして、さらに、その指示が履行されているかどうかを点検するシステムも設けられました。

 また、公安委員会は、そもそも警察を管理することとされていますが、その概念が必ずしも明確でなかったので、公安委員会運営規則を改正いたしまして、公安委員会の定める事務運営の準則や事務処理の基本的な方向、方法に適合しないような事務処理がなされた場合には、警察に対し公安委員会が必要な指示を行うという管理の内容が明らかにされております。

 さらに、公安委員会のこのような管理機能を充実させるため、公安委員会の実際の活動を補佐するための事務体制を整備しなければならないということで、補佐体制の確立も求められております。

 それでは、その後、実際に、このような公安委員会の監察機能強化という制度設計に即した運用がなされているかという点について見ていきたいと思います。

 まず、実際に監察の指示の発動がなされているかどうかでございますが、既に四つの道県公安委員会において、警察法四十三条の二第一項に基づき、監察の指示が発動されております。今回の一連の不正経理事案に関しても、本年三月に北海道公安委員会が北海道警察に対し特別調査の指示を行っておりまして、今月に入ってからは、福岡県公安委員会が福岡県警察に対し、捜査費等の執行状況、会計経理に関する業務手続について監察の指示を行っている状況が見られます。

 これらは、市民の良識を代表する公安委員会が、市民が疑念を抱くような問題が生じたとき、警察を民主的に管理するという立場から、まさに具体、個別にわたる事項について指示するものでございます。公安委員会というのは法制度上、人事上の権限も含めまして、警察に対して非常に強力な管理権限を有しておりますので、少なくとも同種の不祥事の再発防止には一定の効果が期待できるのではないかと思っております。

 公安委員会の現状がどのようになっているかという点につきましては、最近、各地の公安委員会で公表しているホームページ等を見ますと、数年前とは大きく違っていることに正直驚かされるところでございます。公安委員会の委員のプロフィールや仕事の内容、何月何日に会議があって何を議論したか、苦情申し出はここに言ってくるようにというふうなことまで事細かに公表されております。もちろん自治体によって多少の差はございますが、公安委員会というのがまさに市民の代表であって、警察と市民との良好な信頼関係を築こうとしているという努力の方向はうかがわれるのではないかと思われます。

 公安委員会のこのような活動を支えるためには、しっかりした補佐体制が必要であることは言うまでもないことでございますが、現在では、公安委員会の補佐体制も相当程度に充実が図られているようでございます。

 実は、公安委員会が完全に独立した事務局を持つべきではないかという声もかねてからございます。ただ、かえって二重構造となって、公安委員会が警察から直接報告を受けることができにくくなるのではないかという問題がございますし、組織論的にも、この行革の時代に公安委員会の独立した事務局機関を別途増設するということは、それによって得られる効果がどれほどあるかということと考え合わせますと、必ずしも適当でないように思われます。

 さて、警察を監視、監察する機能という観点から見た場合に、現状の公安委員会制度で十分かという点につきましては、もちろんさまざまな方法論の可能性はあると思います。ただ、現時点で、警察プロパーに対する外部監察機関をさらに設けるべきかということになりますと、私は疑問ではないかと考えております。

 と申しますのは、先ほども申しましたように、平成十二年以降の制度改正によりまして、公安委員会の管理機能の充実強化がかなり進んでいると考えられることでございます。公安委員会というのは、内部監察といいましても、警察という官僚組織の上に第三者機関として置かれておりまして、その第三者機関が警察組織に対して人事上の権限も含めて管理権限を持つという、そもそもそういう仕組みになっております。そういう観点からいうと、少なくとも法制度上は、監察制度としてかなり有効に機能するものではないかと思います。

 さらに、現行の警察制度は、冒頭に申しましたように、都道府県警察でございますので、実は、自治体の情報公開制度や住民監査請求、住民訴訟制度などによる自浄作用というのがかぶってまいります。行政法的に申しますと、それがかなり大きな役割を果たし得るのではないかと思っています。

 警察以外の一般行政に関しましては、既に各地で市民オンブズマンの方々からの情報公開請求などによって架空請求とか空出張などが明らかになりまして、官官接待が排除されたり公務員倫理法が制定されたりと、そういうふうに導いてきたことは顕著な事実でございます。したがって、今回のような経理的な不正行為につきましては、警察に対しても情報公開制度や監査請求がかなり強力な監視機能を果たし得ると思われますので、そこで判明した問題について公安委員会が的確に監察権限を行使して正していくという姿もあり得るのではないかと思います。

 また、不正経理以外にもさまざまなレベルで不祥事というのは想定され得るわけでございまして、全国の警察には多くの警察官がいて、現実に捜査活動を行っている以上、これを完全に一〇〇%予防するということは困難と思います。

 ただ、私は、その点は、公安委員会に対する苦情申し出制度、これが大変大きく機能するのではないかと期待しております。どんな小さなことでも、市民からの警察への不満を直接公安委員会が聞くことによって、大きな不祥事になる前に何らかの対応が可能になるのではないかと考えているからでございます。

 もう一言だけに済ませます。

 私は、警察というのは、行政の中でもとりわけ国民からの信頼を得ていなければならない存在であると常々考えておりまして、今回このような不祥事が判明したことは大変残念なことであると思います。ただ、一足飛びに別の監察制度を設けるというのではなくて、平成十二年に導入された制度を十分活用することを通じて、事案の解明と再発防止に努めていってはいかがかと考えております。

 以上、時間が来ましたので、私の意見陳述を終わらせていただきます。(拍手)

山本委員長 次に、市川参考人にお願いいたします。

市川参考人 札幌から参りました。

 私が昨年の十二月、北海道警察の不正経理疑惑問題にかかわるようになって、私の身の回りからいろいろなことの忠告を受けました。一番大きいのは、大丈夫か、身辺に気をつけた方がいいぞという忠告が多かったのです。これはどういう意味かといいますと、警察というのは、どういうところか、わけのわからないところだから、身辺によっぽど気を配った方がいいよという忠告なんですね。

 私は、それを聞いて非常に驚きました。警察というのは本来、国民の市民生活、国民の生活を守るための組織にもかかわらず、国民の多くの人、少なくとも私の身の回りの人たちは、警察はわけのわからないところだ、警察の疑惑問題なんて追及していると身が危ないよという忠告をする、そういう国民意識が世論として少なくとも私の身の回りにはあるということに実は驚いたわけです。そういう国民の世論を前提とするならば、現在問題となっている警察の疑惑を徹底して明らかにして信頼できる警察にするということは、かなり至難のわざではないかというふうに考えているところです。

 ところで、不正経理疑惑といいますのは、もう先生方御存じだと思いますけれども、国費、北海道あるいは都道府県費を問わず、支出関係書類を偽造して、真実支出していないにもかかわらず、支出したことにしてそれを裏金に回す、裏金に回したお金がどのように使われているかは国民には全くわからないという疑惑です。

 これが北海道で発覚したのは、昨年の十一月、旭川中央警察署からの内部告発がもとでした。その関係書類によりますと、捜査用報償費、これは道費です、その使用使途について、架空人あるいは死人、そういう人を協力者としてつくり上げ、そういう人たちの領収書を添付して、あたかも支出されたかのように関係書類が整っていた、あるいは、実在している人でも、名義を勝手に使われて知らぬ間に自分が協力者になっていたということを指します。その結果、お金が裏金に回ったということです。

 その後、弟子屈署という道東にある小さな警察署ですが、そこの元次長が実名で告白をしました。彼は、みずから金庫番として裏金をプールしていました、その裏金を幹部交際費等に渡しておりましたという告白をしました。

 それだけではなくて、釧路方面本部本部長をされていた原田宏二さんも実名告発をいたしました。彼によりますと、彼は内閣委員会で証言しておりますけれども、退職するまで十七の所属でいわゆる裏金づくりに関与していた、また、その一部を受け取り、または接待などに費消したことがあると言っております。具体的には、会計担当者が本部会計部門から内示された予算を、架空の支出関係書類を所属の職員などに作成させ、これを現金化、各所属のナンバーツーの副署長等が裏帳簿で管理するシステムが厳然と存在していたと証言いたしました。対象予算は、道費に限らず、国費の旅費、捜査費、あらゆる費目に及んでいるということでした。

 このような不正疑惑が現在北海道で起こっているわけですが、最近は、北海道にとどまらず、全国にこのような疑惑が指摘されているというふうに報道で知っております。

 では、このような不正疑惑を引き起こす警察が信頼回復のために必要なことは何なのか。単純だと思います。二つ。一つは徹底した真実の究明、もう一つは迅速な情報公開。この二つさえあれば、警察は優に信頼を回復できるだろう。

 徹底した真相の究明という点では、一つは、原田宏二さんが指摘するような厳然としている裏金づくりシステム、これを明らかにすることである。もう一つは、つくった裏金をどのように使ったか、使い道を明らかにすることだろうと思います。

 きょうは時間がありませんので、その裏金システムについて、では、今まで真相が明らかになったのかどうかについて触れたいと思います。

 まず一つは、弟子屈署の問題です。

 弟子屈署では今監査が行われておりまして、きょう監査結果が発表されるというふうに聞いておりますけれども、道費に限らず、捜査費が裏金に回っていた。

 今、私の手元に、その捜査費の設定書というものがあります。設定書というのは、裏金をつくるに当たって、だれにどのような領収書を書いてもらうのか、にせの領収書を書いてもらうのかという設定書です。

 ここでは、毎月三万円ほどの協力者に対する謝礼というものが払われておりますが、これが固定協力者ということです。固定ということは、長年にわたってその架空の協力者に支払う。つまり、領収書をつくるに当たって月々の領収書の筆跡が異なってはいけないので、その架空人の書く領収書、それを職員に特定する、ある職員に書いてもらうということです。その職員が転勤したらどうなるのか。これは、架空の協力者を違う架空の協力者に変えるということをやっておりました。

 私の手元には、平成八年以降の固定の協力者に対する設定書というものがあります。具体的に、だれに書いてもらったのか、どこで渡したことにするのか、月々の金額。例えば、平成十二年は四月十五日に三万円、五月七日に三万円というふうに、日付まできれいに書かれております。

 さらに、この捜査費というのは、方面本部から現金書留で来ます。現金書留の封筒の中に、交付申請書と領収書が書かれている。交付申請書は領収書より後になっては困るので、その前に本来交付申請するものですから、鉛筆書きで、方面本部の会計課から、この日を書いて出すようにという指示まで具体的にあります。

 そのような形で、弟子屈署では、国費である捜査費が長年にわたって裏金に回っていた。それは現在の監査ではできません、道費ではありませんので。では、警察が中間報告で発表したかというと、しておりません。この点でも、弟子屈署においてもまだまだ真相は明らかになっていないということです。

 二点目。私の手元に、ある内部告発者の方が裏金帳簿を出してくれました。これはちょっと古いんです、どこの警察署かは本人との約束で言えません。これによりますと、副署長の領収印があります。これは中規模の警察署で、人件費を除いた警察予算が約四千万円、そのうち、約六百万円が裏金に回っていた。一五%です。人件費を除いた予算の一五%が裏金に回っていた。

 これは中規模署ですから、五十人前後の小さな警察署です。これが百人、二百人、三百人規模の警察署では、一体、年間どのくらいのお金が裏金に回るのでしょうか。つまり、北海道においても、弟子屈と旭川中央署は明らかになっているけれども、まだまだほかにいっぱい警察署がある、疑惑を指摘されるべき警察署がいっぱいあるということです。これについては何も明らかになっていないということです。

 もう一点言いたいと思います。

 私の手元に、北海道警察本部会計課がつくった「新任副署長・次長研修資料」というものがあります。取扱注意と。

 最初読んだとき、何だかよくわかりませんでした。普通の、会計は適正にやりなさいと指摘している文書のように思えました。しかし、そうであればなぜ取扱注意なのか、それがわからなかった。

 中をいろいろ読み進むうちに、こういう記述があります。「捜査費を使用する捜査員の中には、その経理に疑問をもつ者もあり、これらの職員がときとして内部告発となって現れることが考えられることを常に念頭におく必要がある。」つまり、内部告発されることを常に念頭に置いて経理をしなさいと。これは、裏金をつくりなさいという指示書だと思います。つまり、裏金をつくるに当たって、新任の副署長、次長に対して、北海道警察本部会計課が、研修のための資料までつくっているということです。

 そのほか、どういうものがあるかというと、会計職員として不適格と認められる者は英断をもって排除すると。

 副署長というのは人事権を持っていないと私は理解しております。その副署長に対する研修で、会計職員として不適格である場合英断をもって排除する、つまり、排除しなさいと。疑問を持つような、正しく利用を考えるような会計職員は直ちに排除するように、英断をもって排除するように、こういう研修を行っているということであります。

 時間がありません。これ以外にも、例えば、監査用のチェックリスト、こういうものを提出しなさいとか、チェックしなさいとか、あるいは問答集ですね、監査においてこういう指摘があったけれども、こうこうこういうふうに答えなさいというような資料も内部告発として私の手元に入っております。

 このようなことを考えますと、依然真相は全くやみの中、解明されていないということです。ですから、真相が解明されていない以上、これからやらなければいけないし、やらない以上は警察の信頼は絶対に回復できないであろうと私は思っております。

 以上です。(拍手)

山本委員長 次に、前田参考人にお願いいたします。

前田参考人 都立大学で刑事法を三十年間研究しております者で、刑事法の立場から、今回の不祥事に関して若干意見を述べさせていただきたいと思います。

 私のような者にこのような機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 簡単なレジュメをお手元にお配りさせていただいたのですけれども、私、もちろん政府・与党の方々に御相談を受けるということが多いんですが、最近は野党の方、民主党なんかもそうですね、御相談を受けることが多くて、まさに政治的な課題として、治安をどうするかというのが喫緊の課題になってきている。

 総理府の調査がはっきり出ていますけれども、治安のよさが国の誇りだったということが消えていった。刑法犯の認知件数、そこにグラフをかいたんですが、戦後のどさくさのもうどうしようもない時期が二千なんですね。この犯罪率というのは、犯罪の一番基調になる指標ですけれども、どこにも載っているものなんですが、こうして見て、戦後の最悪の時期を超してしまったという認識、非常に危機的だという認識は、ごく最近だと思います。

 このような状況の中で、先ほどから御指摘がありましたような捜査費を含めて、不正経理問題というのは非常に重い問題だと私も受けとめております。その中で、どう考えていっていただきたいか。私のような者が僣越なことを申し上げるべきではないのかもしれませんけれども、一言申し上げさせていただきたいということでございます。

 一つ、その前提として、このような非常に厳しい治安状況、犯罪がふえてきた、その原因について、少年犯罪、外国人犯罪、いろいろありますが、それに加えて、最近は国際テロとか、サイバー犯罪とか、国民の利益を守るために、市民の利益を守るために警察がやらなければいけないことが非常にふえてきている。その中で起きた問題をどう考えるかということだと思います。

 そこに示しました強盗罪の検挙率、ほかの犯罪もそうなんですが、検挙率が落ちている。これは、国民が、体感治安という言葉が最近使われますけれども、不安を感じる、治安が悪くなったという一つの象徴だと思いますが、強盗というのは、八割以上捕まっていたのが、今二件に一件捕まらなくなった。この状況をどうするか。

 一つは、非常に単純なことで、マクロで申し上げますと、事件数に対して警察官が足りないから捕まらないんですね、検挙率というのは。ですから、合理的な、いろいろなものを合理化して、検挙率を上げようとすれば兆の単位のお金がかかります、我々試算しますと。そんなことは今の国家予算でできるわけがないので、いろいろなところで合理化して、そしてシェープアップして、捜査のためにエネルギーをうまく注ぎ込んでいかないと、日本は非常に厳しいことになる。

 二番目に、警察に期待される役割として、一つは、今喫緊の課題としてまさにここで御議論いただいている、不祥事を反省して、信頼を回復して、再発防止を図る、これは非常に重要だ。捜査においては、人の数だけではなくて、国民の信頼というものが不可欠の前提になっていると思います。そのために、先ほど御指摘がありましたように、事実を明らかにして、情報を公開していく、その視点は決定的に重要だということだと思います。

 私は、重ねてそれを申し上げる必要はないかと思いますので、別の角度を、もう一つの側面を強調しておきたいと思うんですが、今の日本の置かれた犯罪に関する危機的状況、これはやはり直視しなければいけない。これにさらに信頼が失われる。一時期、警察官の不祥事が相次いで、警察法の改正が行われて、やっと信頼を取り戻しかけたところでまたその信頼を失うと、バケツの底が抜けるような事態に陥るということなんだと思います。

 ただ、その点をきちっとするということと、警察批判で、すべて警察が問題を含んでいるから根本的に直さなければいけないみたいなものは、ちょっと私は違うのではないか。もちろん、情報を出すとか徹底的に真実を究明するという意味では根本的なんですが、今までやってきた日本の警察の仕事、これはやはり国民から見て、不満は細かいところでありますけれども、信頼に足るものである。私は、そう受けとめられていると、個人的意見かもしれませんけれども、考えております。その意味で、極端な議論をしますと、角を矯めて牛を殺すということになりかねない。

 一つ悪いことがあれば、非常に、後は全部疑心暗鬼になります。某私立大学の先生が痴漢行為をした、大学の教師はみんなそんなものである、大学の教師は全部疑うべきであるというような議論をされては、我々困るんですね。やはり、客観的なデータに基づいて、しかし、正すべきは正すということをきちっとやっていただきたいということでございます。

 三番目の、治安対策の新たな展開ということでございますけれども、先ほど見ていただいた犯罪状況のグラフというのは、まさに危機的で、V字形を、ヨーロッパ社会の戦後は、ある意味では物すごい勢いでふえていった。ただ、ある時期、とまっていくんですね。ただ、それにはなりふり構わずの大変な努力をする。今の日本は、ある意味で、イギリスでそうであった、ドイツでそうであった、フランスでそうであった、一つの危機的な状況を踏まえたなりふり構わぬ対応をしている時期だと思います。

 一ページのグラフをちょっと見ていただくとおわかりなんですが、とまったんですね、去年初めて。これは、私は、捜査の問題だけではないんですけれども、警察政策が非常に重要なポイント。これがとまっていきますと、今の長官、私は歴史に残る方になっていくと思うんですが、非常に積極的ないろいろな施策を打っていかれた。もちろん、警察の政策だけで犯罪の動向が動くものではないですけれども、今まさに剣が峰だということだと思います。

 その中で、刑事司法、これはどこもそうです、警察だけではないです。裁判所も事件がふえて、過労死が出てもおかしくない、いろいろな状況。刑務所で、私の教え子の職員なんかは一年間に有給休暇が全然とれていないんですね。それは事件、収容者が多過ぎるから。この中で、どういうふうに国の資源を配分して、犯罪に対して取り組んでいただけるか。それは、決して官だけではなくて、民の力、地域住民の力、ボランティアの力、これを有効に生かしていただきたいということで、いろいろなところで発言しているんです。

 そのような状況の中で、やはり核となるのは、一つは二十六万の警察官なんですね。その人たちが不祥事で信頼を失うと、ボランティア活動に対しても非常に大きなマイナスを与える。その意味でも、襟を正すということについては、できる限り可能な施策をとっていただきたい。

 ただ、そのときに、もう後は小幡先生のような専門家にお任せしなければいけないんですけれども、具体的にどういうチェックをかけるのが最も警察の力を生かしながら国民の信頼を得られるか。二者択一ではないと思います。具体的な、どういう施策が最も合理的であるかということなんですね。

 我々、刑事の世界では、戦後、犯罪が減り続けた社会の中では、やはり警察に対しては厳しいハードルを課していく。被疑者の人権という観点から、捜査をやりにくくしていけばいくほど人権が守られていいという時代であったと思います、戦後の刑事法学というのは。しかし、先ほど見ましたように、一九七五年を転換点に、日本の治安状況は大きく変化していくわけです。やっとその危機的な状況というのに気がつき出して、政府の行動計画が出てくるのはごく最近です。このような状況の中で、物の考え方、理論も大きく変わりつつあると思います。

 人権侵害がいいなんて言う人はだれもいないです。ただ、片一方で、その人権を大きく一番害されているのは被害者なんですね。被害を受けた人の不利益もなるべく少なくしていかなければいけない。――失礼しました。もうこれで終わりますけれども、その意味で、非常に抽象的な話で申しわけないんですが……

山本委員長 あのチャイムは全然違いますから。

前田参考人 そうですか。申しわけありません。私、素人というか、こういうところで、緊張しておりますので、チンと鳴ると怒られるのかと思いまして。

 要するに、そこに書きましたように、ハードルがなければ捜査が行き過ぎる、国家権力というのは自由にさせれば行き過ぎてしまうというのはもうそのとおりなんだと思うんです。適度のハードルを設けて走りにくくしながら、しかし、前に走ってもらわなきゃ困るということなんですね。そのための具体策として、国家公安委員会の制度、それから地方の公安委員会の制度、それから情報公開。

 今私なんかも若干、刑事の側から、情報公開、どこまで警察情報を出すのが合理的か、やらせていただいております。そのときに、出せば出すほどいいという議論は全くナンセンスです。どこの国でもそうですけれども、国防、警察に関して自由に出す国はないです。その情報をどこまでどう出していくか、しかも、国民の信頼を得るために、出すのはどうするのが一番合理的か。それは国民一般、マスコミに出す形がいいのか、それとも一部の委員に、有識者に見ていただくという形で出すのがいいのか。いろいろなやり方があると思います。

 いずれにせよ、これは国家の存亡にかかわる非常に重要な問題ですので、慎重な御審議、先生方のお知恵を出していただいて、日本のために、よりよくなるものを御審議いただければと思います。

 非常に僣越な言い方ですが、これで終わらせていただきます。(拍手)

山本委員長 以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。

大村委員 おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。

 参考人の皆様方におかれましては、本当にお忙しいところこうしてお越しをいただきまして、ありがとうございました。また、今大変有益な御意見をいただきましたこと、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 それでは、順次お三方の参考人の先生方に、また補足をしてといいますか、御質問をさせていただければというふうに思っております。

 今三人の先生方言われたとおりでございますし、最後に前田先生が言われたこと、まさに当委員会、内閣委員会でもここのところずっと審議、議論をしてきたことでございます。

 私も、まさに政治の役割、国政でも地方自治でもそうだと思いますけれども、やはり国民生活、市民生活が安心で安全で暮らしていけるというのが一番基本だと思うんですね。そういう意味で、日本は、戦後の一時期の混乱を除けば、本当に安全で平和でいい国だったなと思っていただいているんじゃないかというふうに思います。まさに、日常の我々の生活ももちろんでありますし、また、経済活動においても、やはり安心で安全で、相手を、お互いを信頼できるということがあって初めて、経済活動もそういったことで発展をしていくということだろうと思います。

 そういう意味で、これがこの数年来といいますか、この十年来といいますか、まさに脅かされているということであったと思います。刑法犯が大変増加をしているということ、それから、それに反比例して検挙率が落ちてきているということ、そういったこともございます。

 ちなみに、私の地元は愛知県でございまして、愛知県とか名古屋というのはもともと非常に平和で、余り大きな事件も事故もなくていいところだった、こういうことでございますけれども、どうも今、来日外国人の犯罪件数は日本一だそうでございまして、身近なところでひしひしと、何となしに、安全が本当に大丈夫かなというようなことも今言われているような状況になりました。

 私の地元でも、とにかく町内会単位で自警団みたいなもの、夜回り組織みたいなものを町内会の役員のOBの人がつくって、パトロール隊と称してユニホームをつくって夜な夜なパトロールをしているというような今状況でもございます。そのことによって、やはり効果がありまして、大分、犯罪件数といいますか、そういったことが少なくなっているというのもございます。そういう意味で、最後に前田先生が言われました自治体、地域住民、ボランティアの取り組みというのは本当に大事だなというふうに身をもって思わせていただいております。

 そういう意味で、まずは前田先生にちょっとお伺いしたいのでございますが、警察に期待される役割ということで、これはお三方の先生方にもそれぞれお伺いしたいと思います。

 今回のいわゆる不正経理疑惑、不正経理の事件、いろいろずっと起こっておりますそういったことについて、やはりまず信頼を回復して、その再発を防止するということが必要だと思います。そのこととあわせまして、もう一度、繰り返しになるかもしれませんが、今私が申し上げたような、まさにそこに住んでいる市民、国民が、本当に安心で安全な生活を送りたい、そのためにやはり一肌脱ごうじゃないかという人が本当にふえてきているんですね。そういったことを結びつけていくためにも、やはり警察の信頼回復と、そして地域の取り組みとをドッキングしていく、コーディネートしていくことが非常に大事だと思いますけれども、その点についてのお考えをいま一度お聞かせいただけたらと思います。ちょっと抽象的で恐縮です。

前田参考人 どうも御質問ありがとうございます。

 愛知は日系ブラジル人問題で大変なことになっていてというか、愛知だけではなくて三重も静岡も、みんな周辺はそういう問題が起こっているわけですけれども、その中で、御指摘のように、地域住民の方が立ち上がっていかれるわけですね。その中で、先ほど申し上げたことの繰り返しになって恐縮なんですけれども、やはり自治的なものだけでは動かなくて、そのときに、触媒としての警察の力みたいなものというのは非常に大きいんですね。警察が信頼を失うということは、そういうものを根こそぎだめにしてしまうという意味を持ってくるんだと思うんです。ですから、その自覚を持ってぜひやっていただきたいということなんだと思います。

 ただ、自警団組織というか、古い組織でありますと、結局、会をやるとお茶を出す、弁当までいかないにしろ、部屋を借りる、そのお金どうするんだ、その辺をきちっと整備しないと、どうしてもどこかで無理をして、ポケットマネーでいかないものをというようなことで、それが下手をすると裏金づくりにつながっているのかもしれないんですね。ですから、解明するということも大事なんですが、恐らく使うべきお金をどうやっていくかということも考えていただかないと、そこのところはいろいろ私は具体的に考えていっていただきたいと思っております。

 いずれにせよ、警察の不祥事というのは、対立するものじゃなくて、要するに、こういうものが地域のそういう活動にとって無関係のものではなくて、おっしゃるとおり、非常に重要なつながりがあって、そのためにもきちっとしたチェックをしていただきたい。

 私は、大部分のところでは信頼を得ているし、これから何が出てくるかわかりませんので何とも断言は申し上げられませんけれども、ただ、さっき申し上げた趣旨は、今の治安を少しでもよくする方向でやるには、やはり手を携えて頑張って、ただすところはただすけれども、ただ悪いからたたくというだけの議論でも困る。ともかく、直して、前向きにやっていただかなきゃいけないぎりぎりのところに来ているということを申し上げたつもりでございます。

大村委員 ありがとうございます。

 言われたこと、それぞれに本当に大事なことだと思います。そして、信頼回復ということでございます。これがやはり一番大事だと思います。その中で、やはり事実の解明とそして情報公開、まさにおっしゃるとおりだと思います。

 その点について市川参考人にもお伺いしたいと思うのでありますけれども、先ほど冒頭、こうしたことについて、警察の疑惑の追及、そしてまた活動をしていると、いろいろな人から身辺に気をつけろというようなことを言われたとか何かそういうことでありますけれども、それについて具体的に何か変わったことがあったというようなことはないとは思うんですけれども、そういう話が耳に入るということは、確かに警察組織自体に、警察に対してやはりちょっと敷居が高いといいますか、そんなことがあるんじゃないかなという感じはいたします。

 今前田先生言われましたように、多くの市民、国民の皆さんは、やはり警察は悪い人を懲らしめてくれる、取り締まってくれるということで信頼はあると思うんですけれども、どうもやはり普通の組織とはちょっと違うということで敷居が高いというところがあるんじゃないかと思うんですけれども、そういう中で、これは後ほど小幡先生にもお聞きしたいと思うんですが、一つの組織というのが、外部からのチェック、そういうのがないとやはりどうしても独善的になりやすいと思うんですね。

 これは別に警察だけがどうということじゃなくて、やはり地方自治体である都道府県であり市でもあり、また国でもそうですけれども、また民間企業でもそうだと思うんですね。大きくなればなるほどどうしても独善的になる。民間企業の場合は、どうしてもやはり最終的に利益とか市場のチェックとかそういうところがききます。ただ、行政とか特に警察、こういった権力行政をやるところはなかなかチェックがききづらい、そういうところはあると思うんですね。

 そういう意味で、私は今回の事案、事件につきましては、事実解明と真相究明、そして情報公開、もうそのとおりだと思いますし、進めていかなきゃいけない、そして信頼回復しなきゃいけないと思いますが、そういった外部からのチェックというのはやはり重要だと思うんです。その点についてのお考えをまず市川参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

市川参考人 まず最初の地域社会との信頼の問題という点で、私は先生おっしゃるとおりだと思います。ただ、地域社会で、私も現場の警察官は非常に信頼しております。先ほどそういう忠告してくれる人がいると言いましたが、反面、パトカーに乗っているお巡りさん、現場のお巡りさんがにこにこ笑って会釈してくれたんですね、この問題を扱ってから。僕は非常にうれしかったんですけれども、やはり、現場のお巡りさん、市民と一番密接につながりのある現場のお巡りさん、そういう人たちに対する信頼は大きいと思います。

 ただ、今回の不正疑惑問題は現場の警察官が非常に不平不満を持っているという点なんです。警察全般ではないんですね。例えばこういう話があります。

 これは実際に現職の警察官から聞きました。北海道は寒いです。古い警察署では、依然昔ながらの窓ガラス、本州と同じような窓ガラスで、サッシになっていないところがある。あるとき、寒いからせめて窓ガラスをサッシにしてほしいと言ったら、会計担当が何と言ったかというと、ああ、そこは昨年サッシにかわっていることになっています。つまり、物品購入費、工事費、これが裏金に回っちゃっている。実際に工事されていない。それとか、これもOBの警察官から聞きました。派出所勤務しているときに、時計が壊れている、いすが壊れている、いすを直してくれと何度言っても直してくれない、しようがないんでガムテープでびりびり張って交番勤務をしていた。

 こういう、警察官が、まじめな警察官がちゃんと仕事できないで本当に国民の信頼を得られるのか、地域社会の人たちの信頼を得られるのか、非常に大きな問題だと思います。

 それからもう一点、外部チェックという点ですが、私は、外部チェックもいいだろうと思いますが、まずはできるところ、つまり情報公開をやっていくべきだろうと思います。

 先ほど前田先生からの御指摘もありました。私も非常に難しい問題があると思います。しかしながら私、今、情報公開の裁判をやっています。

 どういう裁判かといいますと、稲葉事件という事件がありました。現職の警部が覚せい剤を売買し、みずからも打っていたということで起訴されました。ただ、彼は二十人に及ぶ捜査協力者を使って銃器の摘発をして、七十丁の銃を摘発した。そのおかげで北海道警察の銃器対策課の予算は莫大な額にふえた。そのお金が現場に回らないために、彼は協力者のいろいろな生活の面倒を見るために覚せい剤売買に手を出したという事案であります。私は非常に稲葉さんがかわいそうでなりません。

 そこで、私は、稲葉さんの捜査協力者、もう明らかになっている二名があります、その二名に対する協力費の謝礼の支出についての書類の情報公開請求をいたしました。すると、北海道警察本部長はどういう決定をしたかというと、存否を明らかにしない決定、つまり、あるかないかを答えないという決定をいたしました。捜査協力者がいるということは、ほかの裁判ではっきりしていて、うち一人は拘置所で変死をしているんですね。そういう事件であるにもかかわらず、あるかないかを答えないということであります。

 それはさらに複雑な事件がありまして、その捜査協力者を使っておとり捜査をしたのではないかという疑惑があって、ことしの一月、検察審査会が起訴相当ということで、不起訴処分であったものを再度検察庁に回しております。そういう協力者なんですね。

 こういうことはやはり事実を率先して明らかにしていくべきだ。何の捜査上の支障もない、協力者は死亡している、違法捜査の可能性もある、そういう事実についてまで捜査に支障を来すという理由で非開示にする。この姿勢を変えない限り、外部からチェックが幾ら入っても同じだろうと私は考えております。

大村委員 ありがとうございました。確かに情報公開というのは大変大事だと思いますから、そういったことも引き続き我々も進めていきたいというふうに思っております。

 それでは、小幡先生にお聞きをしたいと思います。

 今私がお聞きしたいと思っておりますのは、警察組織、先ほど申し上げましたが、どんな組織でもやはり外部からのチェックが必要だということ、そういった意味で、戦後、先ほど先生が言われましたように、我が国の警察制度で公安委員会制度ができて、そしてそこでまさに一般国民、市民の代表が民主的に管理をするということ、四年前にそういった権限を強化して今日まで来たということも先ほど先生から詳細に御説明をいただいたところでございます。

 そういった中で、この公安委員会の今の制度、そして改正したものによりまして、そのことが、私も確かに、強化をして、今回のいろいろな不正経理疑惑につきましても、北海道、福岡、そしてまたそういうところでその事実を解明するということで、いろいろ監察指示とか出して機能していると思いますが、それについての、公安委員会制度が今改正をしてうまく機能しているかどうか、その評価と、そして、さらに外部チェックが必要なのか。

 それからまた、先ほども言われましたが、公安委員会の独立した事務局が要るのかどうか。私も、これはいきなりつくっても、確かに実際の実務部隊である警察組織との間の調整とかまた新しい仕事が出てきて、本当にうまく機能するかどうかというのは若干疑問がありますけれども、そういった点。

 そしてまた、この不正経理疑惑の問題の中で、よく言われます、私も先月北海道に参りまして原田さんにもお話をお伺いしましたが、やはり警察自身の予算制度の問題、余りにも実態とかけ離れているんじゃないかというような御指摘も、原田さんも言われておりました。そういったものも含めて、やはり、より捜査をやりやすいように変えていくべきじゃないかという御提案もあると思うんです。

 そういったことも含めて、ちょっと御見解をお聞かせいただけたらというふうに思います。

小幡参考人 公安委員会制度で監察・監視機能が足りるかということであるかと思いますけれども、平成十二年改正で、実質的には平成十三年ごろから本当に変わり出しているということでございます。今回こういう問題が発覚いたしましたけれども、まさに拡張、しっかり充実させていくという過程にある公安委員会でございますので、今回こういうふうに発覚してきたものをどのように公安委員会が具体、個別の指示を使って解明、そして再発防止策を講じていけるかというところ、まさにそこに公安委員会の力量が問われるところではないかと私は考えております。

 ですから、もちろん方法論的にはいろいろございますけれども、例えば外部の方がよろしいのではないか。ただ、公安委員会というのは非常に独特でして、第三者機関として上に乗っておりますので、一種、多少外部的な色彩も持っているけれども、内部と一体となって警察というピラミッド組織に対して完璧な管理権限を有している、そういうそもそも内部、外部の中間のような性格を有しておりますので、そういう意味での機能というのはかなり果たし得るのではないかと思います。

 それから、不正経理の問題は、先ほどから、情報公開もかなり有効ではないか、私も申しましたが、そういう指摘がございますけれども、やはり捜査費のようなものというのは、従来どうも必ずしも明快な形で使われていなかったし、予算的にもきちっとした透明な形で仕組まれていなかったのではないか。ここで明らかになったとすれば、それに対して今後どういうふうにしていくかということ。これは何か予算執行適正のためのマニュアルみたいなものを警察庁が発表されたということでございますけれども、今後、そういうふうな形でやっていかなければいけない。

 実は、情報公開で、ほかの行政の各分野でもさまざまにこういうふうな指摘がされて、従来の運用が変わってきているという状況があるわけでございます。外務省などはまだ若干ございますけれども、警察の捜査費も少しそういうふうな性格を持っていた。多少おくれてこういう問題が発覚したというところがございますので、こういう問題が明確になった以上は、今後、そういうことがないように、現場の警察官がやりやすいような形で、しっかり経費の方も透明にしていくべきではないかと思っております。

大村委員 ありがとうございました。

 とにかく、今、国民の中の一番最大の関心事は、やはり治安の回復、そして安心、安全だと思います。特にテロ対策とかいろいろ言われておりますから、そういった中で、やはりこれを守っていくためには、どうしても一番の現場で、第一線で頑張っていただいている警察官の皆さんにより頑張っていただけるような、そういう組織にしていかなきゃいけないと思いますし、そういうあり方にしていかなきゃいけないと思います。

 そういう意味で、私どもも引き続き、よりよい警察のあり方を求めて頑張っていきたいと思いますし、また、三人の参考人の先生方にも引き続き御指導、御鞭撻をいただきますようにお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、中山義活君。

中山(義)委員 参考人の先生方には、大変お忙しいところを、心から御礼を申し上げる次第です。

 私、大した趣味がなくて、夜になるとテレビを見て一杯やるのが唯一の趣味でございまして、そこで刑事ものをしょっちゅうテレビで見ているんですが、刑事ものをなぜ見るかといいますと、私は、やはり悪いことをしたやつが最後に捕まる、しかし、その犯罪を犯すまでも、非常に情の部分で、どうして犯罪を犯したんだろう、こんなことをいろいろ見ながら、人間の道徳であるとか、人間の生き方、こういうものを見ているわけです。

 最近よく、藤田まことさんの「はぐれ刑事」ですか、こんなのを見たり、または「踊る大捜査線」なんか見ていても、感じることは随分あるわけですね。ああいうのを見ていますと、今回のいろいろな起きてきた事故の内容なんかもだんだん盛り込まれてきているんですね。つまり、キャリアと現場の人間と考えていることが全然違ったり。こういうことを見ていくと、やはり世の中は、本当は警察というものを非常に信頼して、そして悪いやつは必ず捕まるんだと思いたいんだな、こう考えるわけです。昔から「鬼平犯科帳」だとかなんとかを見ていてもそうですね。悪いやつは捕まるんですよ。

 しかしながら、今、新聞を見ていますと、警察の不祥事ばかりなんですよ。これでは子供たちがテレビを見ていても、刑事ものを見ていて、必ず悪いやつは捕まるんだ、悪いことはしちゃいけないんだ、こういうような道徳的なところから外れてくると思うんですね。私は、そういう面でも、今回のこのいろいろな事件というのは、大変憂える一人なんです。

 そこで、いろいろ自治体警察、身近な警察署が近くにもあります。この警察署、自治体の警察、つまり都道府県の警察と都道府県の公安委員会、この関係、先ほど小幡先生からいろいろ御説明がありました。しかし、これは全国規模で起きているんですね。ということは、これはある地域の不祥事として考えるのか、日本全国同じようなことをやっているからこうやって出てくるのか、この辺をまず聞きたいと思うんです。

小幡参考人 先ほどもお答えの中で申しましたように、およそほかの行政でも空出張とか架空請求とかいうことはございますけれども、警察に関しては、確かに捜査費等は、どうも捜査報償費等を協力者に対して何がしかとか、そのあたりというのは、今まで捜査にかかわるということで余り明確にされていなかったところではないかと思うところでございます。そういう意味で言うならば、こういう問題というのは、一応警察が捜査活動を行っている以上は内在し得る可能性はある問題ではないかと思います。

 今回、幾つかのところで発覚してきて、そしてそれぞれのところで公安委員会が指示等をして再発の防止に努めているというところでございますけれども、あるいは内在している問題であろうという観点から、警察庁としても何か予算執行適正化のためのマニュアルづくりをなさっているというふうに伺っていまして、今後はこういうふうな形で、捜査関係については全国レベルでやるべきであるというふうな指針を示す。それから、最近、会計の監査に関する国家公安委員会規則も制定されたということでございます。

 ですから、捜査費というものの使い方ですね、警察の経理問題についてのこれまでの若干不透明であり得た部分について、やはり根本的に正すべきであるというふうな姿勢、これは私は必要であると思いますし、しかるべき対策、今とられているので十分かどうかわかりませんけれども、少なくともそういうとらえ方は必要ではないかと思っております。

中山(義)委員 私どもは、四県か五県で出てきたら、これはもう全国的なものだと思うんですね。しかし、相変わらず公安委員長は、これはある地域の問題としてとらえて、そこの公安委員会が責任を果たしてやるべきだというような意見なんです。ところが、総理は、何かニュアンスからいくと、いや、全国的なレベルで行われているんじゃないかと思うような発言をするわけですよ。

 私は、やはりこういう制度そのものに制度疲労が来ている。実は、ある地域で起きている問題は全国的な問題なんだ。先ほど市川先生からお話がありましたとおり、ある地域に手引書がある。これは横の連絡が非常に強い警察ですから、あるところに手引書があったりチェックリストがあったりするということは、ほかにもあるんじゃないか、全国的なことじゃないか。これが全国的なことだったら、やはり国会で一つのこの組織のあり方を徹底究明すべきなんですよ。ところが、いつも、いや、あれは、北海道のことは北海道の公安委員会がやっていますというふうに逃げられたんでは、国会での審議は成り立たないんですね。

 全国レベルでこういうことをやっているというようなことだと思うんですが、小幡先生と市川先生、一言ずつお願いします。全国レベルだと思うんですが、どうですか。

小幡参考人 先ほども申しましたように、そういうふうな可能性は潜在的に秘めていると私は思います。

 ただ、それに対して国家公安委員会がどういうふうなことをなさるかということにつきましては、国家公安委員会もまさに国民の代表として委員がいらっしゃるわけでございますので、そこはまさに中立的な、民衆の声を聞いて御判断なさることではないかと存じております。

市川参考人 私は、当然、全国的な問題だと思っております。

 理由は二つあります。一つは、手口が全く同じであるということ。二つに、先ほど示したこの資料ですが、これは警察本部会計課なんですね。ところが、会計課長というのは警察庁からの出向人事ですから、警察庁が知らないはずはない。警察庁が知っていれば、それは全国に及ぶであろうという推測。以上、二点からです。

中山(義)委員 この会計課長が、捜査費の方は国費ですから、特に今言ったように、同じレベルで全国的に行われていると私たちはとらえているわけです。ですから、この国会で国家公安委員長に、あなたの指導がしっかりしなかったらこれは直らないよ、こういう話をずっとしてきたわけですね。

 私たちは、やはり警察の信頼を取り戻す、私が先ほど申し上げているように、テレビや雑誌やそういうところで、悪いやつは必ず捕まる、悪いことをしたら絶対に捕まっていくという正しい視点のもとに、子供たちにもそういうことを教えていったわけですよ。悪いことはしちゃいけないよと。それは世の中の道徳観をつくっていくという面でも大事なわけですね。ですから、警察の信頼を失うというだけじゃないんです。日本国民全体の何か大人に対する信頼までおかしくなってくるわけです。

 それから、やはり新しい、若い人間が、おれは警察に飛び込んで、日本の悪いところは全部私たちが取り締まっていくんだ、こういうような意気に燃えた人が新しく就職していく、そういう面からいっても、これは全国的な、日本全体の問題なんですね。

 私は、そういう面で、これは国家公安委員会が責任を持って徹底してやるべきだと思うんですが、前田先生、それはどうでしょうか。我々の信頼を取り戻すためには、やはり国家公安委員会が先頭に立ってやらなかったらまずいと思うんですね。地域地域の自治体の警察だという観点から、やっぱり国家全体の問題だ、このように考えてやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

前田参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、警察の影響といいますか、警察に対しての不信というのは教育の問題までつながるような大問題で、先生の御指摘のとおりだと思います。

 ただ、私のような学者というのは、やはりやや憶病といいますか、全国規模で起こっているかどうかというのは学問的にきちっと研究しないと、全国的な問題と言い切れるかどうかは私は断定できません。それは、やはり学者の良心として。会計課長がキャリアの人で、全部で回っているからどうかというのも、そこも私ちょっと調べてみないとわからないんですが。

 御趣旨はそのとおりで、国家公安委員会のレベルで取り組んで、警察の信頼回復を国の問題として考えなければいけないというのは御指摘のとおりです。ただ、全国で捜査費のこのような運用がなされているであろうとかなりの推測が働くというところまでは賛成させていただきたいと思うんですが、断定は私はできないと思っております。

 以上です。

中山(義)委員 先ほど、いろいろお話があって、手引書、チェックリスト、これは警察全体に回っているんじゃないかと。

 我々は、何回も公安委員長に、全国的なレベルだということを言っているわけですね。この宮城県のものだとか、それから福岡の方でシュレッダーで資料を削ってしまったり、または神奈川県警のものも、保存期間、期限切れ前に廃棄してしまった、こういうのがどんどんどんどん出てくるわけですよ。ほっておけばだんだんだんだん広がっていくわけですね。私は、こんなふうに傷口を広げる前に、これはもう全国レベルだ、国家公安委員会はどんどん早くから手を打つべきだ、こう申し上げているんです。私らの委員の皆さんも、小野公安委員長にずっと言っているんですよ。

 だけれども、これはまず地方の公安委員会でやってからということで、全国レベルの、日本全体の問題として扱っていないというところに、やはり公安委員長の指導力が足らない、私はこう断定をしているんです。

 地方レベルの問題でも、宮城県知事さんとそれから東川本部長さんですか、一回出したものを、資料を提出した、また引っ込めた。これは、知事さんと警察との関係。

 先ほど小幡先生のお話では、自治体警察という話がありました。しかし、北川さんにもこの間聞いたんです。北川さんが知事のときは警察とはどうでしたと言ったら、いや、人事権はないし、指揮権もないしね、言うことを聞かないというような感じだったですよ、言い方が。そうすると、知事さんは予算を執行しているわけですよ。だから、報償費や何かは県費だから、これは完全に知事が全部握ってなきゃいけない。だけれども、それもできない。全体の問題として、国家公安委員会ができない、地方の公安委員会もできない、知事もできない。では、これはだれがコントロールするんですか、警察を。

 小幡先生にこんなことを文句言ってもしようがないんですが、先生の見解として、現実こういうことが起きているんです、ちょっとおかしいという感じがしませんかね。

小幡参考人 都道府県警察だというのは、私、初めに申しまして、まさに制度上そういうふうになっております。都道府県警察の上に都道府県公安委員会があって、公安委員は知事の任命によることになってございます。

 したがって、知事部局と警察部局が、ある程度、余りべったりでない形で、政治的中立性を保って、まあ一種の、ちょうどよい距離感というのが一番望ましいんだと思いますけれども、確かに、かなり知事部局と警察との間で多少分離があるというところがあるという状況は私も知っております。ただ、それがすべてというわけではございませんで、東京都などでも、このごろ知事部局と警視庁、いろいろなところでのすり合わせ、治安をこれからよくしていこうというところで協力関係というところもございますので、必ずしもそれがすべてというところ、まあ、県によってちょっと際立っているところはあるかと思いますけれども、それは自治体によるかと思います。

 制度上は、今申しましたように、都道府県公安委員会が、これは警察に対して人事上の権限それから管理権限含めて行使できる、具体個別に指示できるということになってございますので、文書の廃棄等の問題についても、それ自身、不正が行われたとすれば、都道府県公安委員会の方でしかるべき権限を行使して、そういうことがないようにというコントロールは当然できるものと私は理解しております。

中山(義)委員 いや、私は、これは浅野知事は大変無念だと思うんですよ。これは警察から、やはり予算を執行している者が国民の前に、または自分が知事をやっているんですから県民の前に、こういうふうに明らかにしたい、情報はすべて開示したい、これが浅野知事さんの気持ちだと思うんですよ。それが開示できないということは、非常に無念だと思うんですね。

 だからこそ、我々は、国家公安委員会がやるべきだ、もっと上からちゃんと指示を出してやっていくべきだと思うんですね。

 それから、今度は市川先生にお聞きしたいんですが、これを全国レベルだというのは、原田さんとか島崎さん、福岡県警の方の島崎さんも、恐らく全国で同じようなことが行われているんじゃないかというような発言を聞いています。

 私たちは、もし全国的なレベルなら、さっきから言っているように、道徳や教育のためにも早く終わらせたいんです。早く終わって警察の信頼を取り戻したいんですよ、我々は。そして、若い人たちが警察にあこがれて、おれたちはこんなすばらしい仕事をやるんだといって警察に入署してもらいたいわけですね。警察こそ日本の国の中で治安を守る一番大切な仕事だ、こういうふうになってもらいたいわけですよ。そのためにやっているんであって、私らは警察を非難しているわけでも何でもない。早く、しっかり、あこがれの警察になってもらいたい。私なんかいつもあこがれているから、だから警察物のテレビをしょっちゅう見ているわけですよ。だから、そういうものを取り戻してもらいたい。

 こういう面で、市川先生、原田さんと島崎さんの言っていることは、全国で、あっちでもこっちでも行われているんじゃないでしょうかねと言っていることは、先生の今までの御経験や、ずっとここで、何回かのいろんな検証で、どうでしょうか。

市川参考人 難しい質問なんですけれども、ですから、明らかになったところでは手口が全国共通しているので、そうであれば同じように行われているのではないだろうか、これは私は確信しております。それに反する証拠というか事実というのは出てきてはいないんですよね。うちの署は完璧にやっていますということが、はっきりしているのはない。

 静岡も出ましたでしょう、宮城も問題でしょう、高知も出ましたよね。だから、本当に、ここ十年間で北海道だけだったよといったらそうかもしれませんが、ここ一年か二年の間に四、五個出てくれば、これは推測してよろしいのではないでしょうか。

 確かに、私は学者ではないので、そこは慎重さは欠けます。欠けますが、私は断定できるし、もちろん国政に携わる先生方は、そこは大胆に断定して調査されていってほしいと国民の一人として考えております。

中山(義)委員 大体、先生方のお話を伺っていても、または、感覚的に総理がぱっと同じようなことを感じたと思うんですよ。どこでも行われているような問題じゃないかというような発言があったやに聞いているんですよ。

 そこでなんですが、これから我々の委員が国家公安委員長に厳しく迫ると思うんですね。全国レベルだ、国家公安委員長の指導力がなかったらこの問題解決できない、こういう形になると思うんです。もうとにかくこうやって新聞で不祥事が出てくるということは、私みたいに警察の好きな者は、やめてもらいたい、こう思っているわけですよ。本当にやっぱりこういうことがあれば警察の信頼を失っていくことは間違いないんです。

 そこで、とにかく早く今までのことを開示して直すためには何をやったらいいのか、こういうことですが、先生方に最後、時間がないので、もう三十秒間ぐらいで、これとこれとこれをやれということを一つずつ言っていただきまして、私からの質問は終わりたいと思うんですが、よろしくお願いします。

小幡参考人 私は、そういう捜査費等の経理問題について、透明にやれるようなシステムを今後つくっていくべきであろうと思っております。

市川参考人 国費については会計検査院が、都道府県費については各都道府県の監査委員が、徹底した監査を全警察署について行うべきであると思っております。

 その際に、一切隠すことなく、監査委員の先生方にも守秘義務がありますので、一切隠すことなく、警察は証拠書類をすべて出すべきだ。それをしないと、幾ら会計検査院、監査委員が入っても無理であろうと思っております。

前田参考人 私は特に新しいことを申し上げるつもりはないんですが、監査をきちっとやるということもそうですけれども、ただ、さっき小幡参考人の話にありましたように、平成十二年の大改正といいますか、取り組みが定着していってどう動くかということをきちっと見ていただきたいということと、会計のやり方について、内部的には具体的な取り組みをやっていらっしゃると思います、先生のおっしゃるような趣旨をやっていると思うんですね。ですから、その透明化が具体的レベルでなおどこが問題かということを、ぜひ具体的に、先生方の力で前に進めていただきたいと思います。

中山(義)委員 最後に、もう一言。

 僕は、本当に、ちょっとしたテレビを見ていてもいろいろなことを感じているんですが、「踊る大捜査線」というのがありましたね。あのときに、一番現場で捜査をした者が最後撃たれるわけですよ。それで、キャリアの人たちは、もう捜査が終わったからとさっと帰っちゃう。でも、本当に現場は大変な思いをしているわけですね。常に我々は、本当に現場の警察員が一生懸命やっているわけですよ、一生懸命捜査をしている、こういう人たちに光が当たるようにやってもらうために、やはり上の方でおかしなことをしてもらっては困る、こういうことなんでございます。

 そういう面でも、警察の一層の奮起を期待するわけですが、今言ったようなことを、できるだけ早く、きょうは、こういう参考になった意見を、あとは公安委員長に向けて厳しく我々は糾弾していきたい、このように思います。

 以上で質問を終わります。

山本委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 市村でございます。

 きょうは、参考人の皆さん、本当にお忙しい中ありがとうございます。

 まず、市川先生にお尋ねしたいんですが、きょう、先生、先ほどからお聞きしていますと、いろいろな資料をお手元にお持ちだということでございますが、残念ながら私ども手元にございません。きょうお持ちの資料について、ちょっといろいろまた詳しくもう一度お聞かせいただけますでしょうか。

市川参考人 きょう持ってきました資料は、私のところに内部告発として届いた資料ばかりです。

 何があるかと言われても私も困るんですけれども、先ほど言いました、取扱注意の「新任副署長・次長研修資料」、先ほど読み上げましたので、こういうものがあります。

 そのほか、「国費会計事務に係る実地監査の実施について」。つまり、事前に、警察本部会計課が検査に入るので準備するようにという指示の文書。これは、用済み後廃棄ということが記載されています。おもしろいのは、その中の「提出すべき書類一覧」の中で、先ほど弟子屈署のところで指摘しました、報償費、捜査費の設定書というもの、裏金をつくる設定書というものを提出するようにということになっております。

 そのほか、北海道が監査するときの指導事項という資料もあります。この中で、非常におもしろいなと思ったのは「監査時に指導する事項」。この指導事項が、一体だれがどういうふうに言ったのかというのは私もいまいちよくわからないんですが、例えば、研修会を開催し食糧費を執行している、そういう指摘がどうもあるらしいんですね。「出席者の中で、生活安全課長が振替日となっており、会議に出席した勤務記録が確認できない。」という指摘があった。「かかることのないよう十分注意します。」という回答なんですが、その中で、「研修会が事前に分かっている場合は、振替日の指定を考慮するなど十分調整する。」と。つまり、実際に振りかえ日でいないにもかかわらず、いたことにして支出されている、以後気をつけますという資料ですね。

 そのほか、「チェックリスト」というのがありますね。どういう点を監査に当たって注意すべきかという「チェックリスト」というのがあるんですが、例えば「旅行命令簿」。「発令日に、命令権者、受命者、担当者等の押印者は、在庁するか。」つまり、もうでき上がっている旅行命令簿の発令している日に本当にその人がいるかどうか、ちゃんと確認しなさいと。

 あるいは、「出勤整理簿」なんというのもおもしろいんですね。「旅行命令期間について、「出張」が漏れなく表示されているか。」とか。

 つまり、勝手につくったということを前提にして、それが事実と合っているかどうか、あるいはそれがほかの書類と整合性が保たれているのかどうか、ちゃんと突合するようにというチェックを指示している、そういう書類ばかりです。

市村委員 ありがとうございます。

 市川先生、その資料なんですが、差し支えない分に関してはこの委員会に提出していただくことは可能でございますでしょうか。

市川参考人 できる限り。情報公開を言う以上、私もできる限り公開したいと思います。ただ、出してくれた人との信頼関係がありますので、隠させていただくところは隠させていただきますけれども、出したいというふうには思っております。

市村委員 ありがとうございます。

 委員長、今、参考人の方から資料を出してもいいという話がありましたので、ぜひともこの委員会に、今、差し支えない限りの資料を出していただくよう要請を申し上げます。

山本委員長 本日の委員会は意見を聞いて質疑を行うというものでございますので、質疑応答の形でお願いいたしたいと思います。

 その上で、必要であるならば、市村君が責任を持って預かるということではいかがかと思いますが。

市村委員 ありがとうございます。

 それでは、私が責任を持って預からせていただきますので、ぜひとも委員会にこの資料を提出していただくようお願いいたします。

 引き続きまして、小幡参考人の方にちょっとお尋ねしたいんですが、小幡参考人の中で、最後に、このような不祥事があったのは残念なことだというお話がありました。このような不祥事というのは、小幡参考人の中ではどうとらえていらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。

小幡参考人 私が参考人として呼ばれましたのは、本委員会において警察に関する不適正経理問題についての議論がなされているということでございまして、新聞報道とかにございますように、北海道、福岡等々の新聞報道は拝見しております。したがって、私のレベルでは、その新聞報道等、真偽は必ずしもまだ明らかではございません、完全に判明しているということではないとは思いますけれども、そういう疑惑があるのではないかということが当委員会で話題になっていると存じまして、そういう問題がもし真実であれば、どういうシステムでそれに対して監察・監視機能を働かせることが一番適当であるかという話を、私、行政法の立場から発言せよということで、ここへ参ったわけでございます。そういう理解でございます。

市村委員 今、この内閣委員会では、ずっとこの警察の問題についての話を議論してまいりました。私どもとしては、これは、先ほどから出ておりますように、全国的に裏金をつくるシステムがあって、これがもう恒常化しているということで、そして、私どもは、もっと高く、もっと上を断定しておりまして、多分私的流用があるのではないか、こういうところまで思いを込めて、今、警察の問題についていろいろと話を進めているところでございます。そのような観点から私どもはやってきました。

 ただ、先ほどから出ておりますように、警察の信頼を失ってはならないということは、当然、私どももその前提でやっておりますので、そのことはまた改めて申し上げまして、質問を続けます。

 今、私もこの間いろいろな議論を聞いてきまして、国家公安委員会もしくは公安委員会システムというのが本当に機能しているのかどうか、甚だ疑問であります。

 先ほどから小幡参考人の方は、これは機能するであろう、特に警察改革の中でいろいろ改善もされたから機能するであろうというような話があったんですが、私がいろいろ聞いている限りにおいては、どうも機能していないな、国家公安委員長も全くその機能を果たしていないような印象を強く持っております。

 また、幾ら文書を保持しろと言っても、うっかり破ってそれは捨てました、こういうようなことも今出てきている状況でございまして、小幡参考人の話、法制度上は確かに機能するような姿があるかもしれないけれども、しかし、実態上、それを動かしていたのは人でございまして、人の中はそう簡単には動かないということでございます。

 その件について、小幡参考人の方は学者としての立場があると思いますけれども、しかし、学者としていろいろな現場の声も聞いていらっしゃると思うんですが、では本当に機能しているのかどうか、改めて僕は小幡参考人にお尋ねしたいと思います。

小幡参考人 私は、法律の専攻でございますので、実態分析までははっきり申しまして責任を持ってお答えできませんけれども、公安委員会自身は、戦後の当初から、そして警察法改正で設けられたものでございまして、それが必ずしも、一般の素人の方がただ上に飾り物のようになって実質的になかなか機能しないのではないかというふうなことがございましたので、平成十二年に警察法を改正いたしまして、従来から一応そういう建前にはなっていたんですけれども、きちっとした個別具体的な指示ができるということも明記いたしましたし、管理権限というのは、具体的な公安委員会の言ったことに対して警察の方がそのとおりしなかったら、きちっとコントロールできるんであるということも明確にいたしまして、それから、経理問題については、必ずしもそれほどかかわらないかもしれませんが、苦情申し出制度もつくるというふうな形で、公安委員会を何とか実質的に、法制度上プラス実質含めて機能するようにというふうな改正が平成十二年になされているわけでございます。

 したがいまして、実質はどうかといいますと、私はいろいろな自治体のことを知っているわけではございませんけれども、ただ、なるべく機能させていこうという、平成十二年改正から、今、平成十六年でございますけれども、その増強過程にあるというふうに存じております。

 したがいまして、今回のこういう問題についていかに的確に対処するかということこそに、まさに公安委員会が本当に実質的に機能し得るのかということが試されていると言ってもよろしいのではないかと思いますので、私自身としても、公安委員会の方で速やかに適切な措置をしていただければと思っております。

市村委員 ありがとうございます。

 次に、前田先生にお尋ねしたいんですが、先ほどから、どんどんこの国会でも知恵を出してほしいということをおっしゃっていただきました。その中で、先生が、具体的施策を講じていかなければいかぬということをおっしゃっていただいたと思いますが、残念ながら、その中で先生の具体的施策というものがちょっとお聞きできなかったので、ここで、ではこれからどうすればいいかということにつきましての先生がお考えになる具体的施策、つまり、先生のお知恵をかしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

前田参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、会計の問題で、透明性を持って、警察が信頼を回復していくというのは非常に重要なんだと思うんですね。私は、専門は刑法というか刑事法ですので、システムとして刑事システムをどうするかという設計はあれですけれども、会計の処理の仕方をどうするのが合理的かというようなことは申し上げる立場にはないんですが、ただ、従来型のものより透明性を高めた会計処理システムを、実際、警察庁もつくり上げられて指示されていると聞いております。ちらっと見せていただいております。

 私は、やはり、そういうものを動かしてみて、どこがまずいかという考え方。御指摘のお立場はわかるんですが、これだけ大きな不祥事があるから根本的に全部何か新しいシステムを今度持ってきてということなんですけれども、一つは、公安委員会に関しては、先ほど小幡先生から御指摘ありましたように、平成十二年の改正で動かしてみて、実際に機能するかどうか。御懸念はそのとおりだと思うんですよ、人次第だし、システムをやっても。ただ、逆に言うと、そこのどこを変えていけばというのも、動かしてみて。

 今回のものをチェックするのは、もう一つ別のレベルの細かい会計処理の、書類の出し方とかチェックの仕方とかあると思うんですね。それに関して私が具体的に申し上げられる内容というのは、会計処理に関しては持っていないんですが、そのあたりを現場できちっと踏まえてやっていただきたい。

 刑事の協力者の報償とかなんとかという問題は、私は、現場の議論を聞いていますと、やはりどうしても必要なんだと思うんです。先ほどの弁護士の市川先生の御議論にもありましたように、捜査協力者がいないと捜査がうまくいかない。そのことを表向きにぽんと計上するのはなかなか難しいという問題があると思うんですね。それらをいかに合理的に国民の、国民自体じゃなくて国民の代表がチェックするのでもいいと思うんです、議員さんのレベルの方がチェックするのでもいいと思うんですが、それがチェックできるようなもの、証拠を残していくようなシステム。それは、今動かして、動き始めていると私は思っておりますので、というか、つくり出そうとしておられると思いますので、そこをぜひ考えていただきたい。

 ただ、私が意見を述べるように言われたのは、日本の刑事司法全体状況の中で警察のあり方一般を問うということなんで、このくらいの答えで勘弁していただきたいと思います。

市村委員 ありがとうございます。

 それでは、また市川参考人に戻りたいんですが、今、私どもは、全国的に裏金がつくられている、その仕組みがあるという考えでございますが、市川参考人は、その裏金に関する何か資料というのはお持ちではないんでしょうか。

市川参考人 済みません、具体的に、裏金に関する資料というのは……

市村委員 例えば、裏金の帳簿とかいうものについてはお持ちではありませんですか。

市川参考人 弟子屈署で実名告発した斎藤さんがつくられていた裏金帳簿は、きょう持ってきております。それから、先ほど、ほかの警察署での、それは、帳簿というか、会計の人が現金を副署長に渡すときの帳簿ということです。

市村委員 その帳簿は、先ほどの参考人がお示しいただいたところには入っていましたでしょうか。

市川参考人 それとはまた別に持ってきておりますので、先ほど、質問に入っていなかったもので答えていません。

市村委員 できれば、もし差し支えなければできる範囲で、参考人が入手されているというその裏帳簿についてもまたこの委員会にも御提出いただきたいんですが、いかがでございましょうか。

市川参考人 構わないと思いますが、先ほど言いましたように、一つは提供してくれた方との信頼関係の問題と、それから、一部、実名がありますので、その部分は、私、参考人という身分ですから、名誉毀損等の該当性がありますので、伏せさせていただいた上で提出することを考慮したい、検討したいとは思っております。

市村委員 委員長、私、また先ほどの資料に加えて、今、市川参考人がおっしゃっていただいた資料についても、私が責任を持って取り扱いますので、またこの委員会に出すことをお許しいただければと思いますが、どうでしょうか。

山本委員長 先ほど申し上げましたとおり、当委員会は質疑応答を行う形で行っておりますので、市村君が責任を持って預かるということで、当委員会と関係なく市村君が預かるということにしていただきたいと思います。

市村委員 わかりました。私が責任を持って預かる形で。

 それから、市川参考人にお尋ねしたいんですが、今、捜査費とか報償費のことが言われてきました。では、実態上、本当にそんなに捜査費というのが、捜査の協力者に対してお金が渡っているのかという実態なんですが、これについて市川参考人はいかがお考えか、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

市川参考人 少なくとも、今のところ、裏金であるという帳簿上はっきりしているものについては渡っていないということだろうと思います。それから、先ほどの国費の捜査費の分も含めて。

 これは、先ほど、捜査協力者の、必要なものもあるというふうに言いました。

 ところが、これは、今持っているのは旭川中央警察署でのものです。ですから、道費です。道費の報償費というのは捜査費と比べて極めて小さい、言い方としては小さい事件です。例えば道路交通法違反とか、窃盗といっても非常に小さい窃盗だと思います。

 こういうものが実際に協力者に捜査協力したからといって払われているのかというと、これは原田さんがよくおっしゃるんですけれども、日本人は、警察官に、警察の捜査に協力することについてお金をもらうという風習はない。そもそもない。つまり、私自身の経験からしても、ごめんなさい、経験はないんですが、考えからしても、目の前で何か犯罪が行われている、例えば自転車を盗もうとしている、あるいは万引きをしている、それを目撃したとき、いついつ、どこで、だれだれ、こういう人が万引きをしているのを目撃しましたと警察に言ったとき、お金を、じゃ、幾らくださいと言えるかというと、私は言えないし、言うという自覚もそもそもないですね。ところが、そういうお金が協力者に払われているという書類になっているんです。

 ですから、本当にお金を払うような捜査協力者が必要な事件というのはどういう事件なのか。どういう協力について、例えば放火を目撃したのか、あるいはだれかが逃げていくのを見たのか、それともマッチをすってたばこを吸っているような様子を見たのか、いろいろな、目撃によって中身は変わってくると思うんですね。どういう情報提供について幾らなのか、そういうものが全く今決められていない。

 それから、先ほど稲葉さんの事件のことを言いました。当時は、S名簿、SというのはスパイのSですね、S名簿というのがあったそうですが、今はそれもないそうです。つまり、そういう人たちをどのように管理するのか。暴力団とかそういう組織と関係のある人たちですから命もねらわれるであろう、そういう人たちをかばうときに、じゃ、具体的にどうかばうのか、そういうシステムあるいは決まりが今ないんですね。ないのにもかかわらず、そういう協力者の生命身体を守るために必要だということで情報を出さない。これは非常にアンバランスなわけですね。

 ですから、本当に必要であれば、どういうケース、どういう事案について、どういう場合に幾ら払うのか、協力した人をどう守るのか、具体的な規則がなければならないと私は思っております。

市村委員 あと、これまでの委員会の議論の中で、ひょっとしたら、本来必要なものに対してお金が回らないから裏金をつくっているのではないかというような議論もあったんですが、その点、市川参考人の方に、本当に使うべきものというのは予算としてないとお考えですか。それとも、どうお考えか、その辺お聞かせください。

市川参考人 日本警察は戦前から綿々と続いております、いわゆる行政組織ですね。あえて言えば、中国四千年の歴史を引き継ぎ、日本二千年の歴史を引き継ぐ官僚組織です、厳然とした。そういう官僚組織が、使うべきお金の予算費目がないなんということはあり得ない。あり得ない。実際は、すべての費用はちゃんとあるわけですよ。これは、道庁だってあるし、外務省だってあるし、もちろん国会だってあるはずです。国会で使えない費用、予算費目というのはありますか。僕はないと思います。

 つまり、警察の今言っているあのような、本来は別の費目で出すべきものを出せなかったので使ったんだというような言いわけは、子供だましの言いわけであろうと私は思っております。必要な費目はすべて予算として計上されているはずです。それを適正に使わないだけの話だと。

市村委員 費目はあるということで、市川参考人の方では、じゃ、費目はあって、あと、それに対する十分な予算措置もされているというお考えでいらっしゃいますか。

市川参考人 私はそう思っております。なぜならば、十分でなければ裏金に回すお金すらないであろうと思うからです。

市村委員 あと、監査の問題があると思います。

 これは本当は小幡参考人にお聞きすればいいかもしれませんけれども、ちょっと市川参考人に聞かせていただきたいんですが、この監査。例えば監査委員がいますけれども、この監査委員は、確かに守秘義務があるとはいえ、やはり何でも聞ける立場だと私は認識をしているんですけれども、それはいかがでございますか。

市川参考人 ええ、私は、監査委員は何でも聞ける立場である、それが自治体としての権限として知事によって与えられているものであると理解しております。

市村委員 また、何でも聞けて、かつ、何でも提出させるだけの力を持っていると私は思うんですが、いかがでしょうか。

市川参考人 もちろんあると思います。あると思うというか、見せてはいけないという規約、規程、法規がないということです。監査委員というのは、地方自治体の財政についての、その使途が適正に執行されているのかどうかを監査するという権限ですから、あえて地方分権論を言うまでもなく、自治体の権限としてある。

 私は比較したいんですが、宮城県でもそうでした、北海道でもそうでした。警察は協力者の領収書類を捜査上の支障があるからということで提出をしない。では、国費の場合どうなのか。「捜査費経理の手引き」というのがございます。これによると、捜査費の場合について、「当該証拠書類」これは領収書類などですが「一部を証明責任者が保管し、会計検査院からの要求に応じて提出することとされている。」つまり、国費の捜査費については、会計検査院からの要求があればすべて出さなければいけない。

 つまり、捜査費と捜査報償費と、中身は何の区別もない。かえって捜査費の方が、広域の窃盗団とか銃器問題とか、非常に重大犯罪ですね。そちらの場合には捜査上の支障は出てこないんです、会計検査院の要求に応じて出さなければいけない。にもかかわらず、監査委員が要求したら、捜査上の支障と言って提出をしない。これは理由にならないんですね。同じような使用方法の捜査に要する費用について、捜査上の支障というのは理由にならない。そうすると、理由になるのは何だろうか。考えても何にもないわけですね。

 つまり、私は、監査委員に対して、捜査報償費に関してやはりすべて開示すべきであるというふうに理解しています。それが正しい地方自治法の解釈であろうと考えております。

市村委員 時間になりましたので終わりますが、できたら捜査諸雑費のことにつきまして、今現在、そうやって改善されて捜査諸雑費というのができたということですが、これについてもいろいろまた疑問がわきますので、ぜひとも、後の委員にまたお任せして、これにて私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、泉健太君。

泉(健)委員 きょうは、参考人の皆様、本当にお忙しい中ありがとうございます。

 我々内閣委員会すべての委員が、やはり警察再生を願って、今、日々頭を悩ませているところでございます。

 そういった中で、まずお伺いをしたいんですが、実は私も市川参考人同様、同僚議員や地元の方から、警察のこの問題にかかわるとあんたも次の選挙がないよなんという話を言われている。まあ、それはあくまでおもしろおかしく言う話だというふうには思っているわけですが、しかし、やはり、一般の国民の皆さんが見るこの警察に対する部分というのは、確かにそういうところもあるのかもしれないなというふうに懸念をしております。

 そういったことは決してないようにというふうに思いますけれども、市川参考人からのお話がありましたことを受けて、小幡参考人、前田参考人、警察がこういった言われ方をするというところをどうお感じになられるか、ちょっと御意見をいただきたいと思います。

小幡参考人 何度も申しましたように、私は法律を専門にしておりますので、こういった言われ方というのが、なかなか私自身としては理解がちょっとできないところでございまして、法制度上は、何度も申しますけれども、公安委員会というのが警察の上にございます。ですから、警察に対して市民からの信頼がないのではないかということでありますれば、その市民に対する信頼回復のために、公安委員会に直接苦情申し出という制度もございますので、そういう観点からは、必ずしも今の警察が、私の意見としては、それほど市民の信頼を全く失っているというふうにはちょっと理解しておりません。

 今回の不正経理問題について、もちろん、特に警察というのは、もし不正があるとすれば、こういうことを絶対してはいけないというふうに言われるということは当然でございますけれども、そのほか全般の問題については、それほどではないのではないかという印象を持っております。

    〔委員長退席、今津委員長代理着席〕

前田参考人 お答えいたします。

 私もそんなに、こういった指摘の仕方というのを特定して議論するのは、ちょっとイメージがぴんときていないところがあるかもしれませんけれども、先ほども申し上げたように、国民から警察が信頼されなくなるような議論になるということは非常に好ましくない。先ほど申し上げた趣旨で、今犯罪がこれだけふえて国家的な課題になっているときに、非常に好ましくないことだと思っております。

 ただ、やはり先ほどの繰り返しになるんですが、不正経理問題が果たしてどの程度全国レベルなのか、どの程度構造的な問題なのかということは、やはり後の審議で当局に対してきちっと御下問いただいて、それから事実をきちっと踏まえてやっていただきたい。

 いろいろ国民の意識としては、マスコミ等で流れますと、それで動く部分もあると思います。ただ、ここの、最高の国政の調査の場である国会で当局の弁明もきちっと踏まえて、事実を踏まえてやっていただく。本当にただすべきものがあれば、それは国民にとってもぜひただしていただかなければいけないんですが、不当に、不当にという言葉はちょっとよくないと思うんですが、ややイメージが広がって、警察全体が裏金づくりをやっているというイメージがちょっと行き過ぎるということも、私は、先ほど申し上げた趣旨で、今日本の置かれている状況から見て非常に好ましくないことであるというふうに考えております。

泉(健)委員 一般の国民の警察に対する認識というのもありますでしょうし、あるいは、警察自身が、我々、決してそういうつもりはないんですけれども、こういった問題に取り組む人々との関係といいますか、その部分では、やはりこういうものに取り組むと、ついそういった見られ方をされているのではないかというふうな言われ方もすることがありますので、冒頭お伺いをさせていただきました。

 せっかくですから、小幡参考人には公安委員会、そして前田参考人には治安について、また市川参考人については裏金のことについて、少しお伺いをしたいというふうに思います。

 まず小幡参考人なんですけれども、やはり公安委員会のことで御説明をいただいた中で、確かに屋上屋という議論がある、しかしながら、実は最近随分と公安委員会が透明性が増してきたんではないかというような御指摘もいただきましたが、例えば公安委員会の出しているホームページなんかにしても、製作をされているのはどうしても警察ということになってしまうわけですね。そのホームページそのものをつくっているのは事務局ということになってしまうわけでして。

 これは、我々も、理想を言えば独自の事務局を設けて、予算も別にとってなんというふうには思っているものの、現実的なところで始めるのであれば、例えば、公安委員会で採用する人が五名、そして警察からも五名というような、両方から合わせたような事務局からスタートをしてもいいのではないのかな、例えばそれが全員警察出身者であってもいいかと思います。その警察出身者を十名呼んでくる中で、警察に籍を残す方が五名、残り、籍を外す方が五名という形から、徐々に公安委員会を、そういった意味で、警察からの独自性を高めていくという方法も考えられると思いますが、いかがでしょうか。

小幡参考人 方法論的には今まさに先生がおっしゃいましたようなことも考えられると思います。

 今現在は、ともかく、公安委員会というのは全く警察とは関係ない一般の方がなるということで、さらにその独立の事務局を、完全に警察と関係ない方で事務局をまた独立してつくるということになったときに、逆にスムーズにいかない部分、実際に切り込めないのではないかとかそういう心配もございますので、独立の事務局の、行革という、それから予算ですね、組織というのはまたもう一つつくりますとさまざまな出費等も必要になりますのでという観点から、私は今のままでもやれるのではないかというふうにお話し申し上げましたけれども、もちろんそういう選択肢はあると思います。

 それは、これからまた考えていけばよろしいかと思います。

泉(健)委員 さらにもう一つなんですけれども、先ほど政治的中立性という言葉が出てきたと思います。これは広義でとらえるか狭義でとらえるかという話もあると思いますけれども、一つ、外部に対しての中立性というものは当然やはり持つべきだというふうに思いますが、昨今、もしかすると一般の国民から求められているのは、内部と外部に対しての警察自身の中立性、いわゆる内部に対してもちゃんと厳しく対処をする姿勢というものが求められているのかなというふうに私感じるわけです。

 警察が一般の国民に対して公平に接することは当然のこととして、内部に対するときも一般国民に対するのと同じように中立性というものが今確保されているというふうにお感じになられますでしょうか。これは小幡参考人だけで結構です。

小幡参考人 御質問の趣旨は公安委員会がということでございますか。(泉(健)委員「警察が、組織内不祥事などについて」と呼ぶ)

 それは、警察自身、当然公務員でございますので、法律に従って、不正をしてはいけない、適法な行為をしなければならないということは当然全員についてあるわけでございます。もしそれを違反するような者がおりましたら、それは組織として当然厳正にそれを調査して、そしてしかるべき人事上の権限等を行使して対処すべきであると私は思います。そういう意味で中立性とおっしゃっているのであればまさにそのとおりだと思いまして、それが足りないかという御指摘……(泉(健)委員「足りなくないかということです」と呼ぶ)ですから、そこは足りないのは本来いけないわけでございまして、当然。

 ですから、もし警察の組織の中で、どうしても組織内部でそういうことは、いろいろな組織の中にクローズしてしまいますとさまざまなことが起こり得る、そこで公安委員会がきちっと監察をするという、そこは第三者機関としての公安委員会の重要な役割ではないか。そういう意味での中立性、内部に対する中立性は公安委員会が担わなければいけないと思っております。

泉(健)委員 続いて、市川参考人の方にお伺いをしたいんですけれども、我々内閣委員会で審議を続けてきていまして、実は、先ほど市村委員からも話がありましたが、捜査諸雑費制度というものができたものの、これは捜査費の中のごく一部でしかないものなわけですね。ですから、すべての捜査費が解決をしたわけではなくて、小まめに使う分に関してのみはそういう制度をとりますよという話でありますから、ほかの旅費あるいはさまざまな費用も含めて、まだまだ実はその使用というものが適正になされているかというところは非常に明らかになっていないところが多いというふうに我々審議を通じて認識をしております。

 そういった中で、きょうも、先ほど指摘がありましたが、新聞に、また神奈川県警が会計文書を大量廃棄するという事件が起こった。私の調べる限りでは、先日も、これは福岡、九州管区でありましたけれども、文書廃棄で処分をされたケースというのは、これまで私の知る限り一回もないわけですね。それがここに来て、たった一カ月ぐらいで二回起きている。

 ここは警察の方も意図的でありませんでしたということを早々と表明されるわけですが、何をもって、どういう調査をもってそういうことを表明されるのかはあれなんですけれども、実際、やはり、これは推測かもしれませんが、怪しまざるを得ないという外形的な状況があるという中で、例えば、旅費、個人の口座に振り込まれると言っていたものが実は代理人の口座に振り込まれて、それがもう一度プールをされているなんという話もちらちら漏れ聞こえております。

 こういったさまざまな費用について、現在もこういったもののプールあるいは他方への流用、それが続いていると見られるかどうか、まずこれをお伺いしたいと思います。

市川参考人 続いていると見られるかどうかと言われても、私も詳しくはわからないんです。

 私が知る限りでは、私のところにOBあるいは現職の方が電話をくれる、その範囲での情報でしかわかりませんが、北海道では、昨年旭川中央署の問題が発覚して騒ぎになるまで続けられていたというふうに言われています。それから、捜査諸雑費についても、小口ですが、それも裏金に回されていますというのもあります。

 そのほか、今まで明らかにされていないもので、例えば宿直費というのがあるんですね。人が逮捕されて留置場に入ってきたときに宿直する人の手当、そういう費用も裏金に回っているとか、ありとあらゆる費用が裏金に回っている。

 そして、その時期は、少なくとも、私のところに来た話では、昨年の十一月ころまで続いていたということでした。

泉(健)委員 これはここでお伺いするのが適切かどうかはちょっとあれなんですけれども、確かに私の知るところでも、時間外手当を、本来受けるべき労働時間を、労働をしていた方が、実際には給与明細を見ると時間外手当が少なかったというような事例がございます。例えば今後、同様の、さまざまな経費についての問題が出てきて、中には、本来もらうべきものを、旅費も含めてもらっていなかったということでの裁判が出てくることも私は予想されるというふうに思っているわけです。

 こういった裁判、市川先生は弁護士ということもありますけれども、そういったものを、今、裁判を弁護士の皆様が受ける状況にあるのかどうかというのを聞くのは変かもしれませんが、体制として、一般の警察官からいろいろ告発がある、実際、裁判をしたいという状況の中で、例えば守秘義務のことですとかさまざまな制約が多いという話もちょっと聞いておりますので、その辺について、何か制約を感じられているかどうか、お伺いしたいと思います。

市川参考人 質問が多岐にわたるんですけれども、まず、弁護士の体制があるかという、それは、私個人としては何とも言いようがありません。少なくとも、札幌弁護士会というところは社会正義実現のために奮闘している弁護士会ですので、依頼があれば弁護士会として相談センターなんなりで対応していくだろうというふうにしか言えません。

 それから、時間外手当のことにありましたが、日額旅費については平成九年から全額支給になったというふうに言われています。これは原田さんも指摘していたかもしれません。

 ただ問題は、それでおもしろい、これは内部告発の文書なんですが、課長以下の日額旅費が約月十万円くらいになっちゃった、超過勤務手当を含めると三十万円近くになって、給料以外の収入が署長の管理職手当を超え問題になったということがあります。それで署長の方が、もう少し裏金配分をふやせという話があったというような告発もあります。

泉(健)委員 もう一度市川弁護士にお伺いをしたいんですけれども、そういったさまざまな、捜査費も含めて、その捜査費の限度額がないこと、あるいは出す件数の限度がない、ですから一人当たり、多い方なんかでは年間で七、八十万円出されていたなんというケースもあるという中で、その存在自体がまだまだ非常に怪しい部分があると我々も思っています。

 このシステム改善、捜査費の支出の仕方の改善も含めて、現在のところ何か御提言があるかないか、そして、流用されている費用が何らかのものに使われているとして、その暗部に切り込んでいくとすれば、何か現在のところでお考えになられているところがあるかどうか、ちょっとお伺いをしたいと思います。

市川参考人 漠然とした質問なので私も答えようがないので、それに、最後の質問については、私もわかりませんと正直にお答えするしかないと思います。

 その前の質問、何でしたか(泉(健)委員「システムを改善する方法があるか」と呼ぶ)

 これは最初に私が十分間のときに意見で述べましたけれども、まず、今何が行われているのかということを徹底して明らかにしなければ次の方策は出てこないだろうと僕は思っています。明らかに、何が行われているのかをはっきりさせること。その上で、例えば捜査費あるいは捜査報償費については、協力者に対して、先ほど言いましたけれども、どういう協力について幾ら払う、その手続をどうするのか、その辺の決まりをちゃんとつくることだろうと思います。

 今はとにかく実態が皆目やみの中。実態、今何が行われているのかがわからなければ、せっかくの前田先生の貴重な御提言も生かし切れないだろうと私は考えております。

泉(健)委員 続いて、前田参考人にお話をお伺いしたいと思います。

 やはり、治安がかなり悪化をしているというところがありますけれども、これは一つ、もちろん警察不正経理にもかかわってくるんですが、銃器対策課なり薬物対策課というものを、これまでは費用対効果というものは警察にはふさわしくないと常に言われてきたわけです。しかし、捜査費が、事ほとんどが流用されているということになると、何のためにここに確保をしてきたのかという、そのことすらも問わなければならないという状況だと思います。

 そういった意味で、この費用対効果という考え方を、これまでは警察行政ではほとんど取り入れてこなかったわけですが、何らかの形で、こういった治安の回復というか治安の維持に関して、ただ求められたからすべてを出すということではなくして、考え方としてこういうものを取り入れることができるかどうかを、お話をお伺いしたいと思うんです。

前田参考人 私は、政策評価といいますか、警察の評価の勉強も少しさせていただいていて、資料も読ませていただくことが多いんですが、警察内部としても、ほかの官庁もそうですけれども、これは国全体ですが、費用対効果ということを取り入れて議論は進めていると思います。

 ただ、先ほど御指摘の銃器対策、薬物対策に関しては、表に出しにくいといいますか、それから因果性が非常にファジーなんですね。ですから、お金をこれだけつぎ込めば何丁出てくるとかというふうにもいかないのであれですけれども、やはり、政策として一定のものをやっていく以上、それに対しての効果がどうであったかということは、徐々に警察も変わりつつあるというふうに思っていますし、我々の側もそういうものを勉強して考えていかなきゃいけない。

 ただ、そのときに心しなきゃいけないのは、数字だけではいかないところをどう盛り込んでいくかですよね。ですから、何で協力者の名前が出せないかといったときに、いや、出したら協力してもらえない。ただ、その協力してもらえないということが、どういうマイナス効果で、どういうふうに数字上算定されるか。今までは、ちょっとでも捜査のマイナスになるのは全部だめだという形で、一切出さないというのが強過ぎたというところは先生の御指摘のとおりだと思うんですけれども、逆に、だから全部いいということにもならない。その中での知恵なんですね。

 また、我々もそうですし、国会もそうなんですけれども、具体的に詰めていっていただきたいと思っております。

泉(健)委員 今警察の方も、いろいろ警備業法の改正等で、ややもすれば、治安という本来公の部分が担うものを民間委託という方向性もあるのかなと。これはボランティアを、あるいはNPOを活用していくということであればいいんですが、安易な民間委託によって、この治安の責任というものがどこにあるのかがはっきりしなくなるということは一つ危険なことだというふうに私は思っておりまして、そういった意味での、この民間委託、これについてどうお考えになられていますでしょうか。

前田参考人 先ほどちらっと申し上げたんですが、ヨーロッパの治安状況がひどい中で、何が起こっているかといいますと、警察のもっとコアに近い部分の民間委託がどんどん進行しております。学者の世界でも警備業の研究というのが学問領域になりつつある。警備業にかなり任せていく。日本でも、刑務所を民営化するとかPFIとか、いろいろ出ておりますね、必ずそちらの方向に動いていくと思います。

 ただ、委員御指摘の視点、やはり日本においては、国が最後、治安の責任を持つという線をきちっと守っていただかないと困ると、私個人の考え方として思っております。

 ですから、今、駐車禁止に関して、民間に広げていくとかいろいろ動きがありますが、非常に安全な範囲でといいますか、問題のない範囲でやっておりますが、力としてはどんどんどんどんそちらの方向に動いていっているというのは先生の御指摘のとおりだと思います。

泉(健)委員 それで、ちょっともう時間がありませんのであれですけれども、前田参考人の方には、こういった、犯罪がふえてきた、検挙率が下がってきたという状況の中で、私はやはり、犯罪に対応することは大切なんですが、それ以上に、本来、防犯教育というものが大切なんだろうというふうに思います。これを、今の政府の中では余り一元化をされていないというか、リーダーシップの部分ではっきりしないところがあるのではないのか。例えば学校教育の中で防犯教育というものがしっかりと位置づけをされているかということも含めて、この防犯教育というものについて、どこが主導権を握っていくべきかということを質問させていただきたいと思います。

 それで、小幡参考人には、公安委員会として、先ほどの組織的中立性、内部に対しての対応と一般市民に対する対応というものを同じくしていくということの一つのあり方として、例えば警察自身にも監察機能というのは必要かというふうに思うんですが、この監察機能の部分をやはり公安委員会の方に移す、あるいは同じようなものを公安委員会の中にもつくるという形で、外部からそういった意味で監察をしてもいいのではないのか。内部にそういった機能があってもいいと思うんですね、しかし、外部にももう少し強い権限を持った、強い陣容を持った人たちがいた方が、これはひいては国民の警察に対する信頼が向上することになるのではないのかなというふうに私考える次第ですけれども、いかがでしょうか。

前田参考人 防犯教育、非常に重要である、もっと広く、教育が犯罪にとって重要だというのは、先生の御指摘のとおりだと思います。そこの責任があるポストはどこなのかというのが、不明確な面があると思うんですね。ただ、昨年の末に出ました犯罪対策閣僚会議の行動計画は、やはり省庁横断的な施策を入れまして、そちらの方向に、一歩というよりは私は二歩に近いと思うんですが、進んだと思います。やはり、それは国会でのいろいろな御発言とか、こういう野党の側からの御意見なんかも踏まえたものだと思うんですね。

 あともう一つは、やはり現実には、我々の立場から言わせていただくと、地方公共団体の防犯教育などの取り組み。ですから、神奈川県の知事さんとか、東京もそうなんですけれども、前向きにどんどん進んでいっていると思っております。

今津委員長代理 小幡参考人、簡潔にお願いします。

小幡参考人 外部に監察機関を設けてはということかと思いますけれども、いろいろなやり方がございまして、例えば公安委員会自身を監察機能に特化するなんというのも、非常に根本的な制度を変えるということでいえば、あり得ないことではないわけです。ただ、そういたしますと、今の警察すべてを民主的な公安委員会が管理するというシステムとは大きくまた変えてしまうということになりますので、そこまでしてよいか。

 あとは、公安委員会とは全く別のところにまた組織をつくって、監察機能だけという話になりますと、それもまたちょっと、そこまで警察プロパーにやる必要があるかと申しますと、私は、自治体の情報公開とか監査請求ということも外からの監察ということで使えるのではないかと思っております。

泉(健)委員 どうもありがとうございました。

今津委員長代理 次に、大口善徳君。

大口委員 小幡先生、市川先生、前田先生、きょうは本当に御苦労さまでございます。

 私からは、まず、前田先生、こういう「日本の治安は再生できるか」という御本があります。

 その中で、検挙率が低下しているという理由について、昭和の時代は六〇%、それが平成に入って四〇%、平成八年ぐらいから二〇%ということで、非常に検挙率が下がっている。それは、先生がおっしゃるには、平成元年に警察庁の政策転換があった。警察庁次長通達によって、職務質問の適正化の指示があって、軽微な事案の検挙よりも重要な犯罪の摘発に力を入れるように指示した。これが検挙率の低下につながった。ただ、限られた警察の数の中においてはそういうこともやむを得なかったんではないか。それとともに、検察の方の起訴率も同じように、重要な案件に投入すべきだということで、起訴率についてもそうだ、こういう分析をされておるわけです。

 ところがまた、破れ窓の理論というようなことで、軽微な犯罪もきちっとやらなきゃいけない。そうすると、警察現場は重要な犯罪もやらなきゃいけない、強盗事犯も五割を切るということにもなってきますと、これは大変だ。片方では、非常に軽微な事犯についてもしっかりやらなきゃいけない、こういう状況にあると思います。

 私は、そうなってきますと、やはり地域の防犯力というのは非常に大事だな、こういうふうに思っております。私ども、子供の安全プロジェクトとか治安対策プロジェクトの座長とか事務局長を私やっておりまして、最近も、「子どもたちの生命を守る安全プラン」という提言を出させていただいたんですが、やはり学校の防犯力を強化したり、地域と子供の結びつきを深めることをしたり、防犯性の高い地域環境をつくるために、防犯環境設計というものに配慮したインフラにしなきゃいけないとか、あるいは、防犯まちづくり推進基本計画みたいなものを国また自治体レベルでつくらなきゃいけない、こういう提言をさせていただきました。

 先生、このあたりの分析、非常にお詳しいものですから、分析と私どもの取り組みについて、お言葉をいただきたいと思います。

前田参考人 御質問、ありがとうございます。

 私などいろいろなところでしゃべらせていただいた内容と今の大口先生の内容、ほぼ重なっているといいますか、そういうことが必要だということなんですが、一つだけ申し述べておきたいのは、次長通達が原因でというのは、書いた言葉があれなんですが、きっかけなんですね。

 やはり、なぜ検挙率が落ちたかといえば、犯罪数に対して警察官の数が基本的に足りないから、力関係で落ちていくんで、それはもうどの県警でも、事件負担の多いところほど検挙率が下がるという、完全な、きれいな相関がありますので、それはある程度科学的に立証できているんだと思うんです。

 あと、あのときには、やはり警察官の勤務体制を変えて、勤務時間を一般の人に合わせて、週休二日とかいろいろな問題があって、実質減員になったわけですね。減員になったのに増員しないで、しかも通達が出てという状況の中で、検挙率が落ち出した。

 その中で、では警察官を増員すればいいということですけれども、それはそう簡単にはいかないということで、やはり地域の力も入れて犯罪を少なくしていく、あらゆる資源を使って犯罪を少なくしていかなければいけない状況だということで、御提言のあった施策、泉先生のさっきの御指摘とも全く私はつながっていると思いますし、神奈川の知事さんのやっているのも私は同じだと思いますね。埼玉もそうだと思います。その方向性がぜひ必要だ。

 その中で私が申し上げたかったのは、警察官の仕事の中で何が現場で一番大変かというと、書類づくりなんですよね。捜査上、いろいろなことをやっていく中で、確かに会計の可視化、明確化というのは非常に大事なんですが、そのハードルをどの程度にしておくのか、また、負担を少なくしながら国民から批判されないような制度を考えていただきたい。

 書類づくりに追われて、出張行くのにも、行って帰ってというようなことを、それは当たり前だといえば当たり前なんですが、少ない人数でこれだけ事件がふえている中で、現場の活動時間をどう担保していくか。そういう視点も入れていただきたいということを申し上げたつもりなんです。

大口委員 先生のおっしゃったこと、よくわかりました。

 やはり、一つはそういう面におきます、また、人員の増員も私も要求しているんです。今回、三千百五十名ふえましたけれども、これはしっかりやっていかなきゃいけない。それから、非常に事務の効率化ということもやっていかなきゃいけない。それとともに、やはり地域の防犯力、地域の方の応援、まさに自分たちの地域は自分たちで守るということ、こういうことについて、やはり今回の不祥事というのは非常に、余りいい影響じゃない、こう思っておりまして、ここはやはりしっかりとしていかなきゃいけないな、私そう思っております。

 次に、市川先生それから前田先生にお伺いしたいんですが、市川先生が今回のことについて、やはりきちっと、例えば報償費については道費ですので、北海道あるいは都道府県の監査委員による監査をしっかりやるべきだ、それから今後については会計検査院の検査をしっかりやるべきだ、その場合どうしても捜査の支障という理由で壁があると。私は北海道の道会議員とも、我が党の議員ともいろいろ話をしたんですが、捜査の協力者、これに対して当たれない、監査委員の場合は捜査員にも当たれなかったわけですから。今回当たれるようになった。さらにその先の情報提供者、協力者に対して当たれないということが非常にネックになっている。

 私もこの前の四月十四日のこの委員会におきまして、会計検査院に対して、捜査協力者に対して直接当たるということについてどうなのか、こういう質問をしたんです。

 それに対して、会計検査院の方は、「協力者にもさまざまな態様があろうかというふうにも考えますので、どういった場合が可能でどういった方法がとれるのかということにつきまして、その方法をいま少し探ってみたいと思います」こういうことで、今までは全く会計検査院もノータッチであったわけですが、今は検討します、こういうふうに言っておりました。また、小野国家公安委員長についても、それとパラレルな、若干それよりは控え目でありましたが、そういう答弁もありました。

 ここら辺につきまして、捜査協力者に当たるということ、こういうことと捜査の支障という問題、ここをどう調和するかということが大事だと思うんですが、それについての両先生の御見解をお伺いしたいと思います。

市川参考人 まず前提として、今まで本当に協力者にお金が渡るような書類のつくり方がされていたのかという点が問題になろうかと思います。といいますのは、原田さんの証言あるいは弟子屈署での斎藤さんのお話、きょう持ってきた弟子屈署での設定書の問題、あるいは警察本部会計課からの副署長、次長に対する研修資料などを見ても、本当に捜査のためにつくった書類というものがつくられているのかどうかが出発点だろうと思います。

 先ほど、私、稲葉さんの事件で情報公開の訴訟をしていると言いました。稲葉さんは自分の事件の被告人として公判廷でどう証言したかというと、首なし一万、つまり被疑者なしで銃だけが出てくる場合で一万円を払っていた、自首の場合に三万だと。そのお金がどう払われているか、どの予算から出されているか。本人は、警部ですね、わからないと証言しているんです。現金を上司からもらって渡していた、それだけなんですね。つまり、そこでは支出に関しての精算もなければ、領収書もなければ、支出伺いも恐らくないでしょう。

 それで私は情報公開請求をしたら、存否を明らかにしないという回答が来たんです。恐らく僕はないだろうと思っています。つまり、実際の捜査についてそういう領収書類はない可能性が極めて高い。そういう状況の中で、捜査上の支障があるから見せられません、あるいは名前を書かれている協力者に当たれませんというのは、事実からすれば非常に奇異な感じを受けます。それは単に隠しているだけではないかということですね。

 ですから、一般的に捜査上の支障、どういうものがあるのか、それについてどうすべきかの議論の前に、何度も言いますが、今実際現場で何がどう行われているのか、それをはっきりさせることが大事だ。それをはっきりさせるには、まず、捜査費、捜査報償費については協力者の名前を開示して、監査委員、会計検査院がそれぞれ当たれるということが大前提ではないかと思っております。

    〔今津委員長代理退席、大村委員長代理着席〕

前田参考人 私、さっきもちらっと申し上げたんですが、やはり協力者の秘密性みたいなものといいますか、その方の情報が外に漏れないということが、システム運営上、不可欠のものだと思います。ですから、それは今後も、警察の捜査の中にはどうしてもその部分は残らざるを得ないと私は思っております。それ自体は国民の御理解をいただけると思うんです。

 あと、存否応答拒否の問題が今出されたんですが、私も実は、要するに審査する側で、警察情報を出す出さないということで存否応答拒否をするということ、まあ北海道ではございませんけれども、判断するのに悩ましいところはありますが、やはりそれが出てしまうと、それだけで、協力者の身辺が危なくなるとかいう問題はないにしろ、システムが動かなくなるという問題はあるんですね。ですから、非常に信頼のできる方で、絶対外に出ない人がみんなの代表として出てきて、そこでチェックするみたいなシステム、今の情報公開の審査というのはある部分そうなっているわけですけれども、その手のものというのは非常に合理的だと思いますが、それがマスコミを通じて外に出てしまうようなものをやってしまうと捜査は死んでしまうということだと思っております。

大口委員 この前北海道に行ってまいりました。小幡先生にちょっとお伺いしたいんですが、佐野文男北海道公安委員長からいろいろお話をお伺いしました。

 その中で、事後の情報というのは入ってくるわけですが、先取りした情報というのが必要だ。ところが、現在のシステムでは情報収集能力の強化というのは不可能だ。また、何かあった場合は応援体制は必要だと。これは、現職の北海道の公安委員長の佐野文男さんという方がおっしゃっておるわけです。

 そういう点で、こういう不祥事をきっかけにして、あるいはせっかく平成十二年に警察法の改正をして公安委員会の管理機能の強化ということをされたわけですが、それが本当に、実際平成十三年からですのでこれからだと思うんですが、まだまだ改善しなきゃいけないところがあるんではないかな、こういうふうに思っております。

 その一つとして、確かに独立の事務局を設けることについてはいろいろ議論があります。それはまた議論しなきゃいけないと思いますが、それとともに改善策として、例えばこういう一般の市民の代表として一応公安委員会委員に任命される、国家公安委員とまた都道府県の公安委員、それぞれ違うと思いますが、人が大事だなと。だれを人選するかが非常に大事だな、これが一つ。

 それから、例えば法律の専門家だとか会計の専門家ですとか、こういういろいろ専門家のアドバイザー制度といいますか、サポート制度といいますか、これは外部のですけれども、こういう制度があってもいいんじゃないかな。ただ、これも一本釣りで指名するというより、例えば弁護士会なら弁護士会から推薦をもらうとか、あるいは会計士協会や税理士協会から推薦をもらうとか、会として推薦していただくという形にして、サポート体制といいますか、こういうものが必要ではないか。

 あるいは、監察の指示権につきましても、先生、四例あるということですが、国家公安委員会においては一回も例がない。地方においては四例あるということで、こういう監察の指示権というものが本当に機能できるのか。

 これを機能させるということを考えますと、例えば先生もおっしゃっていますように、住民の苦情申し出制度、こういうものと連携していけば、監察の指示権も、情報を入手してできるんじゃないか、こういうことですが、なかなかこれがまだ行き渡っていないといいますか、平成十四年度で警察あてに対しては一万三千八百八十六、苦情の申し出があるんですが、要するに、公安委員会に対する文書による苦情申し出というのは四百五十六件しかないわけですね。

 あるいは、この苦情申し出というのは警察職員もできるということですから、内部通報ということでヘルプラインにもなるわけですが、まだまだこのあたりが十分機能していないということで、これについてやはり機能させるための改善点がないのかな、こういうふうに思っておるわけです。

 そういうことで、今二点申し上げましたが、サポート体制のことと、それから苦情申し出制度についての改善のお考え、私どもの今提案した意見に対する評価をいただければと思います。

小幡参考人 御質問ありがとうございました。

 まず、サポート体制でございますけれども、確かに人選が一番難しいところではないかと思います。公安委員というのは大変な責任を持っている仕事になりますので、これは一般の方といっても、なろうとされる方は大変な職務を負われるわけで、これは確かに客観的に見てもなかなか難しい人選であろうと思います。中には、弁護士さん、法律家あるいは会計に詳しい方がなっていらっしゃる例もあるやに聞いておりますけれども、必ずしもすべての都道府県でそういうわけではないということもおっしゃるとおりであると思います。

 私は、そうであっても、本来の姿は、管理権限、人事上の権限も持ってございますので、本来は何でも指示してコントロールできるはずであると思います。ただ、それが必ずしもそうでないというお話もあるということでございますので、それは、まさに公安委員会の方々が、平成十二年改正にのっとった形で、可能であるのだからという形で、できるだけ適切な対応をしていただきたいと思います。

 ただ、例えば専門委員、犯罪被害者等のところにございますけれども、そういうのを置いてはというのも選択肢としては私はあるのではないかと思います。ただ、何人置くのかとか、あるいは法律の専門家を置けばそれでよいのか、そのあたりがなかなか、詰めなければいけない話かなと存じております。

 それから、もう一点は……(大口委員「苦情申し出」と呼ぶ)そうですね。

 これも平成十二年に入ったばかりでございまして、まさにおっしゃるように、警察の方が公安委員会に苦情を申し出するということも十分考えられるわけでございます。こういうものを使えば、なかなか警察内部で言いにくいことも直接公安委員会の耳に入るということになりますので、ぜひとも、こういうのを使えば、まさに内部告発も可能ですし、非常に有効だと思いますが、実際に平成十三年に動き出しておりまして、確かに周知という点でいうならば、まだ若干足りないのかなと。

 ただ、現実には国民の方からはかなり使われ出しておりますので、私は、公安委員会が動き出すときの端緒になるのではないかということで、今後ますますこれが周知徹底されますことを期待しております。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

大口委員 どうもありがとうございました。時間が来ましたので終わります。

山本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 きょうは、お三方、参考人の皆さん本当にありがとうございます。貴重な御意見をお聞かせいただいて、これからの参考にさせていただきたいと思います。

 私は、最初にお三方全員にお聞きしたいと思うんです。

 今回明るみに出た一連の警察裏金疑惑というのは、先ほど市川さんからお話ありましたように、北海道警察の旭川中央署から始まって、それから弟子屈署、さらには、今度は静岡県警、福岡県警と一斉に噴き出しました。今回は、特に国民的批判が大きく、あいまいにしてはならないという世論も広がっています。

 そういう中で、きょうは、新聞紙上をにぎわしていますように、神奈川県警が会計文書を破棄するなどという事態も起こっているわけですが、私どもは、問題になっている警察の裏金づくりは、既に五十年前からつくられ、特にそれは島根県警の資料で明らかになった事件でしたけれども、一つのシステムとして警察内部に根を張っている構造ではないかと考えています。この裏金問題を究明することは、国民の安全、財産を守り、犯罪の予防をするという警察本来の仕事をする上で不可欠だと私は考えているんですが、この辺の関係なり御意見を、まず最初に、基本問題としてお伺いしたいと思っています。

小幡参考人 裏金づくりの実態については私ははっきり存じませんが、今まで、さまざまなほかの行政機関においてもさまざまな問題が発覚しまして、そこで、不正経理というのはさまざまな行政機関、警察以外でもあったことは周知のことでございます。

 ただ、確かに、今信頼ということでお尋ねございましたけれども、警察というのは一番国民に身近に相対するものでございまして、しかもさまざまな取り締まりというのをする本人でございますので、国民にとって見るならば、やはり特に警察においてはそういう信頼を損ねるようなことをしてもらっては困るというふうなことを国民が考えるということは、私もそうではないかと考えております。

 ですから、どういうふうな形にせよ、情報公開、監査請求等で、これまで行政機関、さまざまにこういう問題が生じて、それに対して対処があったわけでございますが、今回、警察の問題が生じてきたとすれば、それはなおさら、警察が特に信頼を築いていかなければいけないという機関であればあるほど、きちっとした形で処理をされるべきものであると考えております。

市川参考人 いつから行われているかという点につきましては、私も定かではありません。ただ、原田さんが述べられているように、昭和三十九年、新任で配属されたとき既に行われていたということは述べておりますので、それはかなり古くからであったであろうというふうには思っております。

 二つ目の点ですが、きょう、私、ずっと述べておりますように、今回の不正疑惑問題を徹底して真相を明らかにして、迅速に情報を、その中身の情報を公開しなければ、警察は信頼を失う。そのために一番かわいそうな思いになるのは、現場の警察官であり、現場の警察官に身の回りの安全を守ってもらっている私たち国民一人一人であるというふうに思っております。

前田参考人 御質問ありがとうございました。

 私も、いつから不正経理がというのは、実態とかというのは存じ上げないんですが、恐らく戦後からあったんだろうなという推測というのは一般論として成り立つと思うんですが、それは小幡先生もおっしゃったように、他の官庁全体共通の官僚制度の問題の一端であろうかと思います。

 ただ、警察固有の問題として、やはり特殊な捜査関係で表に出にくい費目的なものといいますかが多いのかもしれない。ですから、それについてどう合理化していくか。大学の関係者としても、やはり食糧関係のお金みたいなものを昔はある程度使っていて、下の助教授のころから見ていると、どういうところから出てくるお金なのかと思っておりました。それが今はなくなってきたということも全体の流れで、それが出てくる中で摘発になって、非常に厳しい御指弾を受けたことも、大学もあります。

 その中で、さっき申し上げたように、警察の固有の問題があるとすれば、権力体質云々というよりは、やはり捜査等の関係で不明朗になりやすい部分があって、必ず、人間ですから、ある程度緩めれば、本当に必要な部分以外に不当な使い方をする部分が出てくるのは御指摘あるとおりだと思います。それをどう合理化していくかだと思っております。

穀田委員 今の警察固有の問題というのは、私はいろいろあると思うんですね。やはり秘密体質だとか、単に捜査の問題というのは、捜査というもので壁をつくってうまくやるという側面もあったんじゃないかと私は思っているんですけれども。

 その辺はこれから論を張るとして、私は、この間に出ました各警察署の中間報告を見ますと、またこれはお三方に質問したいんですけれども、一連の中間報告書をずっと見ていますと、大体、不正を認めるのは、絶対に逃れられないものを認める。それから二つ目に、幹部が私的流用はしていないんだということを言い張る。それから三つ目に、部下が責任を持って、責任は下部の警察官だというのが大体特徴なんですね。ですから、先ほど市川参考人からあったように、現場の警察官というのはこういう点でもたまらぬなと私は思うんです。

 そこで、ここからは、こういうものの調査や一定の整理なり是正というのは、私は警察の内部調査では限界ではないかなと考えているところです。

 そこで、お三方の陳述を聞いていますと、余り第三者機関による調査については全体として肯定的でないような雰囲気を感じたんですけれども、ただ、お三方の参考人の中では、例えば、小幡さんは情報公開制度による自浄作用、こうおっしゃっていますし、それから市川参考人も、今繰り返しありましたが、迅速な情報公開、それから前田参考人は情報公開の根本、こうあります。だけれども、現場で何が起こっているかといいますと、会計検査院の監査には一応報告するけれども、例えば道の監査には報告しないというようなことがあるわけですね。ですから、そういう点での情報公開の徹底したやり方をどないしたらできるかという問題もぶつかっていることなんですね。

 例えば宮城でも、協力者名の開示問題で二転三転していまして、一番大事なところが、核心のところがなかなか表に出ない。それでは、幾ら情報公開の制度があっても、警察の捜査という形の壁でいつでも阻止できるということになってはならないと思うんですね。だからこそ、強い権限を付与した第三者機関による調査が必要ではないかと私は考えているんですが、その辺の関係を、お三方に御意見をお伺いしたいと思っています。

小幡参考人 情報公開とか監査請求というのがもう既にある制度として、外からの制度としてございます。

 情報公開については、捜査上の支障というのが、確かに、見せないということの警察の主張になるわけですけれども、それに対しては、先ほど前田参考人からもございましたように、情報公開審査会というところでインカメラで審理いたしますので、その情報公開審査会の委員は、その情報をインカメラで見ることによって、警察の言っている捜査上の支障が本当にあるか、あるいは、もっと端的に言いますと、例えば捜査協力者の名前が入ったものがあるとすれば、そこの名前については個人情報ということで、そういう意味での公開はできないという判断にはなろうかと思いますが、いずれにしても、そこの場面ではインカメラ審査を情報公開審査会としてはいたします。

 ですから、そこで警察の言っているところの捜査上の支障というのが本当に適切であるかどうかということを判断して、さらにそこは裁判において、その後は訴訟がございますので、司法的な判断が出てくるということでございます。

 それから、会計監査、会計検査院とか住民監査請求については、私は、書類は、これはそれぞれ秘密保持義務がございますので、見せるべきではないかと思っております。ただ、それ以上に、直接にその協力者に聞き取りをできるかどうかというのは、あるいは若干、捜査協力者自身がそれに対してどういう反応をするか等々で、今後の捜査に対してというのはケース・バイ・ケースでこれは判断していかなければいけないのではないかと思っております。

市川参考人 私は、第三者委員会で現在の今起こっている問題を解明するという点については、否定は全くしておりません。それは必要な制度として、制度というか必要な手段として考えるべきだと思っております。

 ただ、私が言いたいのは、基本的には国民一人一人が、だれか選ばれた第三者という人が常に監視をするということではなくて、私たち国民一人一人が常に、日常的に警察あるいは行政そのものを監視できるという制度として情報公開というものをもっともっと徹底していくべきであろうというふうに思っています。ですから、恒常的、将来的には、あくまで僕は情報公開をベースに考えていくべきではないか。

 ただ、現在の今起こっている不正経理疑惑そのものを徹底して解明するためには、情報公開では時間がかかるので、裁判を起こして二年三年、私、今二件抱えておりますけれども、警察相手の。時間がかかるんですね。だから、そういう意味では、臨時的な意味で第三者委員会を設けて、まず現在の不正経理問題について疑惑を解明していくということは必要なことではないかというふうに思います。

 なぜならば、今の警察のやっている中間報告というのは、やはり、例えば弟子屈署の中間報告を見ると、内部告発をした斎藤さんに責任を負わせるかのような報告であるという点で私は納得いきませんし、先ほど示した書類などでも、警察みずからが裏金づくりを指導していた、それをばれないように指導していたという疑惑があるわけですから、疑惑のあるところに調査をゆだねるべきではないというふうに考えております。

前田参考人 お答えします。

 私も、基本的には小幡参考人と全く変わらないんで、情報公開で、インカメラで審理している今のやり方は、スピードの問題で御指摘あるかもしれませんけれども、捜査の必要性と、それから国民の情報を知る権利のバランスという意味では、今のところ考えられる最も合理的なものではないか、少なくともそれを動かしていっていただきたいということだと思います。

 あと、この事件に関して言えば、中間報告が信頼を置けるかどうか等も含めて、警察庁が指示をして文書で会計をうまくやるようにというようなことがあったかどうかということに関しては、やはりこの場できちっと当局に聞いていただくということが何より大事なんだと思いますね。

 ただ、広く一般的に捜査情報を出していいかというと、そこは非常に難しい問題がありますので、繰り返しになりますが、インカメラ審理で、あそこに出ている審査会の委員にまで信頼がないということになりますと、もうシステムは非常に難しくなっていくと思います。私は、その上にも裁判も用意されているわけですから、一応のシステムはできているというふうに考えております。

穀田委員 一番最後に、それこそ警察庁の問題についてはこの場でということがありましたので、我々もそう心してやらせていただきたいと思っています。

 同時に、情報公開の理念の根本というのは、やはり先ほど市川参考人からお話がありましたように、国民一人一人がそういう監視の目で見る、また、その意味でさらしていくということが根本にあるんだと思うんです。私は、そういう立場で今後ともやっていきたいと思っていますし、非常に有益な御意見だったと思っています。

 あと、北海道警にかかわる問題が、一連のこの間の私どものこの委員会における審議がありましたので、そこの点について、若干、市川参考人に連続して少しお聞きしたいと思っています。

 先ほどの斎藤さんの件もありましたし、原田さんのお二人が、北海道の幹部警官として、あえて実名で警察の暗部を告発、証言した意図といいますか、願いというか、その辺はどういうところにあると、率直に市川さんの御意見をお聞きしたいなと思っています。

市川参考人 私の意見というよりも、あのお二人のお考えだろうと思います。

 それは、彼らが述べておりますけれども、原田さんの場合には、もうこれが道警再生の最後のチャンスだと思って私は実名告発に踏み切りましたと言っております。それから、斎藤さんですけれども、斎藤さんも同じように、今まであった不正経理で、自分が結局それを原因として席をけってやめたわけですけれども、もやもやしていたものをはっきりさせたい、その中で警察が立ち直ってもらいたいということを述べております。

穀田委員 ですから、そうなってきますと、やっぱり一番最初にお三方もありましたように、警察自身の、例えば小幡参考人でいいますと、本来の民主的な警察、信頼の回復、この辺のところに尽きると思うんです。

 そこで、原田氏は、先ほどの議論でもありましたように、市村議員から資料の提供の話もありましたが、私どももそういう点では、いただければと私も思っているんですが、原田氏はこの問題について四百人以上の接待記録を持っていると言われています。この資料の公表についてどのように考えておられるか、話せる範囲内で結構ですから、お聞きしたいと思います。

市川参考人 済みません、それは私の判断ではなくて原田さんの判断なので、私が原田さんにかわってどうこうお答えできる立場にはございません。

 確かに、おっしゃるとおり、原田さんは四百人以上の人を接待したという点についてのデータを持っているというふうには発言されておりますが、それ以上は私が答えられる責任の範囲を超えていると思います。

穀田委員 確かに、弁護士としての範疇はそのとおりだと私も思います。

 では、角度をちょっと変えて、警察庁は、この間、私どもの国会の議論でこう言っているんですね。原田氏と斎藤氏が、私どもは参考人として来ていただくということを一貫して主張しましたし、国会としても現地へ出かけていっていろいろな話を聞きました。その場合、警察庁は、警察に来て話をしてくれないから調査ができないということをしきりに言うんですね。こういう点についてはどんなふうにお思いですか。

市川参考人 私は、何度も申しますが、言ってないかな、警察の内部調査というのは警察が独自にやることであって、やりたいのであればどうぞということなんです。この問題について徹底して究明する立場は、道費であれば道議会、国費であれば国会だと思っております。ですから、原田さんも斎藤さんも、国会あるいは道議会で呼ばれるのであれば行きますと言っているんです。ところがその場が設けられていないというのが今の現状ではないでしょうか。

 あえて、内部調査委員会の方で来てくれないから調べられない、それはどうでもいいことなんです。優先すべきは道議会であり国会なんです。そのついでに内部調査をやりたいのであればどうぞと、それでいいんじゃないでしょうか。やはり議会、国会にしっかりしていただきたいと国民の一人として思っております。

穀田委員 貴重な御意見、ありがとうございました。私どもも心してやりたいと思います。

 そこで、先ほど市川参考人は、一番苦労しておられるのは一人一人の現場の警察官なんだという話、ありましたね。私も、この間、一連の不祥事が出るたびに、また福岡の場合には福岡県警の元OBが発言をし、そして同時に、新聞紙上ではいろいろな現場の警察官が語っています。こんなことまで内部で続けられていて、自分が何十年とこういう判こを押し続けてきたことが嫌になったとか、そういうものが内部告発でしか明らかにできないことが嫌になっているという声なども、西日本新聞その他なんかでは随分出ています。ですから、一番やるせない思いでいるのは、そういうことをやらされていて、しかも、実際には周りでそういうことを見ている警察官がこれでいいんだろうかということだと思うんですね。

 ですから、その辺で、現場の警察官から不満が強いと言われていますが、もう少し、市川参考人はこの辺をいろいろずっとお集めでしょうから、端的な例を二つ三つ出していただいて、現場はこう思っているんだというあたりを少しお話しいただけますか。

市川参考人 そんなにないので、きょう言ったのが今ぱっと思いつく限りなんです。ですから、サッシにかえてくれと言ったらもう既にそこはサッシが入れてあることになっていると言われたとか、派出所でいす取りかえてくれと言ったのに全然取りかえてくれない、時計も壊れたままで動いていない、そういう、大したお金じゃないのにやってくれないのに、裏金には大量に回っていて、にせ領収書書きをやらされている、そういう声というのはいっぱいあります。

 今回、北海道知事が特別監査を要求いたしました、全警察署について。それで、これも内部告発なんですが、何が行われているかというと、書類の突き合わせですね。本来は、先ほど言いましたように、道警本部から出張していって書類の検査を事前にするんですが、その時間がない。時間がないので、現場の警察官あるいは職員に対して、書類の間違いのないように突き合わせをやれ。もし間違えて突き合わせを失敗した、あるいは突き合わせできないような書類について事が発覚したら、署長以下責任をとれというのが指示が出ている、メールで指示が出ている。そのメールは用済み後直ちに廃棄という指示つきで出ている。それで、今現場でてんやわんやで大変な思いをしているという内部告発は私のところに来ております。

 先ほどから文書廃棄の問題が出ておりますが、ひょっとして、これは全く推測です、ですから当たっているか当たっていないかわかりませんが、そういう指示が仮にいろいろなところから出ているとすれば、うまく書類のつじつま合わせのできないようなものについては廃棄してしまえということがあり得るのかもしれません、それはわかりません。

穀田委員 最後の問題は、一つ、今現実に起こっていることですから、またほかのところで、県警で起きたりすると、実際は指示はしていないけれども、少なくとも、全国監査をやるということに関連して、その言動の裏にはちゃんと処理しろよという意味が含まれているということが私は暗にあると思うんですがね。私はそう思っているんですけれども、余りそれを言うと、確たる証拠はありませんから。

 そこで、道警は、捜査協力者について、道の監査委員会に、先ほどもお話ししたように、非開示を続けています。この捜査協力者の問題をめぐって、宮城県では一度開示すると言って、これはもめています。知事に対して開示する、県警がそれに対してまた拒否する。実際上、二転三転しています。ここは非常に大きなポイントだと私は思うんですね。

 ただし、その辺では、必ず言うのは、捜査の秘密ということに必ずなってくるわけです。私は、捜査といったって相手がいない人まで話をしているのが例で出ているわけですから、これが捜査かということになると思うんですが、いわば論として、こういうことについてどういうふうに今思われているかについて、少し論を張っていただきたいなと思うんですけれども。

市川参考人 一つは、先ほども言いましたが、捜査用報償費で関係する証拠書類、つまり支出伺い書、支払い精算書、領収書類、これらは、捜査費については要求があれば開示をする、提出をするとなっているんですよ、会計検査院の場合には。

 つまり、もう一回言いますが、捜査費と捜査報償費の違いというのは、同じ刑事捜査の中で、より広域であるいは銃器のような危険が伴うようなものについて国費、ちょっとした万引き事件とか自転車に乗って逃げちゃった、駅前から、そういう窃盗事件とか軽犯罪法なんですよ、ほとんどが。そういうものについて、捜査上の支障があると。逆に、広域で、身の危険が及びそうな銃器捜査については見せる。違いは何かといったら、会計検査院の職員か、北海道あるいは自治体の監査委員かの違いだけなんですよ。その人的違いだけなんです。

 その人的違いが一体何なのか。それは何もないはずです。なぜならば、監査委員は、地方自治法上、守秘義務を負わされている、職務をのいた後も同じとするとなっているわけです。違いが全くない。つまり、捜査上の支障というのは全く理由に当たっていないということなんです。わかりますか。それが一つ。

 もう一つは、監査委員というのは、会計監査についてすべての書類を調査し監査することができるんです、地方自治法上。例外は設けられていないんです、法律上。ですから、私は考えるのに、北海道警察が、あるいは各都道府県警察が、もし監査委員の監査に対して提出を拒む、あるいは黒塗りにして見せないとかいうことがあったら、それは露骨な監査妨害であり、威力業務妨害ないし偽計による業務妨害に当たるのではないか。私は真剣に告発も考えております。

穀田委員 最後のところ、本当に大事でして、私どもは、そういう、実際上黒塗りとかああいう形でやるのは、本当にこれは事実上の妨害に等しいと思っています。

 最後に二つだけお聞きしたいんですけれども、問題は、今度の一連の不祥事件というのは、道警から始まり、全国の多くの県警などで次々と明らかになっている。私が五十年前と言ったのは、さっき言いましたように、私どもが一番最初に入手した、島根県警が、引っ越しやその他のときにがばっと資料が出てきて、それがたまたま問題になったということで、あれも非常に克明な資料だったことがありまして、そういう意味で五十年前からという指摘をしたんですが、先ほども参考人からもありましたが、この問題では手口が大体同じだと。しかも、マニュアルと言ったら語弊がありますが、指示書まで事実上出ている。ですから、警察庁が知らぬはずがないというのが国民的な気分でしょうし、私は一貫してそう言っているんですけれども、そういう全国的な問題だと私は思うんですが、最後、その辺の意見をお聞きしておきたいというのが一つ。

 それから二つ目に、裏金づくりの解明を、今度の問題でも、国家公安委員長は、まず当然道警にやらせていると。もちろんそれはそうなんですよ。だけれども、警察庁は関係ないという対応を一貫してしているわけですけれども、裏金づくりに警察庁が関与しているんじゃないかとか、そういう一連の問題について御意見があれば。

 その二つの点、同じような話ですけれども、最後、ぜひお聞きしておきたいと思います。

市川参考人 これは、原田さんが、釧路方面本部長まで務められた原田さんが、それは全国的な問題でやられている、しかも、自分が警察庁に出向しているときに同様のことがあったと記憶していると述べているわけです。ですから、全国的、かつ警察庁は関与しているというふうに、原田さんの話からは推認できるであろうというふうに私は思っています。

 それから、もう一点は何でしたっけ。(穀田委員「警察庁が関与している問題、ほかに話せることがあれば」と呼ぶ)いや、私、そんな情報収集能力ありませんので、それ以上は持っておりません。

穀田委員 わかりました。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見を長時間にわたってちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官佐藤英彦君、警察庁長官官房長吉村博人君及び法務省刑事局長樋渡利秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今津寛君。

今津委員 最初に、全く議案に関係ないことでありますけれども、今、年金問題でいろんな議論が行われておりますけれども、自由民主党の閣僚三人が年金をパーフェクトに納めていなかったというようなことがあって問題視をされて、そして閣僚全員について実態を明らかにしてほしい、こういう野党の申し入れであります。そして、私たちは、じゃ、そういう野党の方の、民主党の方の明日の内閣についてはどうなんだ、そのことも明らかにしてほしいということを申し上げているわけであります。

 私は、この問題について一番いい方法というのは、すべての国会議員がこの事実を明らかにする、そして国民の皆さん方に謙虚にいろんな問題を投げかける、相談をさせていただくということが必要でないかと思うんです。一部の閣僚とか、一部の明日の内閣だとか、そういう人たちに限定してそういうことを義務づけるということは、私は、公平でもないし公正でもないというふうに思いますので、私の意見だけ申し上げておきたいと思います。

 さて、本件でありますけれども、大事なことは、大臣、事実をきっちりと解明する、そして改めるべきところは改める。必要なとるべき対策があるとすれば、それを勇気を持って改革し、対策をとる。問題は、警察の信頼をかち取ることだと思うんですね。今まで、平成七年ぐらいからのいろんな事案ですけれども、警察の信頼をかち取ること、起きたことにいつまでもこだわって改革をおくらせるということではなくて、起きたことは素直に反省をして、そしてとるべき対策をとって、警察の信頼をかち取ることというふうに思います。

 私個人のことで恐縮なんですが、私が政治家に志を抱こうと思ったことは、私が大学時代に、源田実先生の演説会に、ある代議士のかわりに切符を持って出席をしたことがあるんです。そのときに、亡くなりました田中角栄先生が、政治において必要なものは何かというと、まず治安だ、そして防衛だ、もう一つつけ加えて、教育だ、この三つがしっかりしなければ国家というものは成り立たないんだと。こういう演説を聞きまして、私は感激して志を抱いて、今日まであるわけでありますが、その大事な治安、そして防衛、今我が国にとっては非常に難しい状態になっているということを前提に、一日も早く、国民の皆さん方が心配をしている、そういう不安というものを払拭して、安全なあるいは安心な国家をつくるということが私たち国会議員の使命である、そのように思うわけであります。

 午前中の参考人の質疑の中で、稲葉事件のことがありました。参考人の市川弁護士さんは、稲葉事件が起きた背景は、捜査費が十分でないために、非常に難しい案件を扱っていた、そのために、そのお金を得るために覚せい剤の密売などに手を出して、そしてみずからがああいう事件を起こすことになった、こういうことを参考人が言っていたのであります。

 そのことについて、やはり大事なことなので明らかにしておかなければならないと思います。

 一つ官房長にお聞きをしたいと思いますが、旭川中央警察署の署長であって釧路の方面本部長だった原田さん、私は、いい人だと思うんですよね。この方が、いまだに実は北海道警察の調査に協力していないと伺っているんですけれども、私は、事件を、早く事実を解明して、そしてこういう案件を終わらせるためには、できるだけやっぱり警察の調査にも協力をするべきだというふうに思うんですが、今、協力をしていただいているのかどうなのか。協力をしていただかないとすれば、本人の、私のこの間の質問に対しまして、北海道出張の質問に対する、いわゆるもう警察に話すことは何もないんだ、私は話すことはすべて話しているんだという状態がずっと続いているのかどうかということの確認。

 それと、私なりに調べてみますと、実は稲葉氏は、個人的な遊興のためのお金とか、あるいは女性関係とか、生活もかなり派手でして、高級洋服もかなりたくさん持っていたというふうに地元の新聞で見たことを記憶しているんですけれども、実はそういうことも彼が間違いを起こす原因になったのではないかと私は思っていて、午前中の質疑だけよく聞いていると、事実とは多少違うような感じがしたものですから、確認だけさせていただきたいと思います。

吉村政府参考人 お答えを申し上げます。

 最初に、稲葉関係でございますが、平成十五年の四月二十一日に札幌地裁で判決が出ておりまして、懲役九年。事案は、覚せい剤の使用と覚せい剤の所持、それからけん銃の所持であります。この判決要旨の中で、恐縮ですが読み上げさせていただきますと、

 薬物犯罪を取り締まるべき立場にありながら、捜査協力者から有力な捜査情報を入手するためには、捜査協力者との親密な関係を築くことが必要であると考え、それに要する多額の交際費を捻出するとともに、自らの生活費や愛人との交際費あるいは高級外車等の購入費用を賄おうとして、覚せい剤の密売に手を染めたものであって、そもそも捜査情報の入手目的といっても、これによって事件を解決するという警察官としての純粋な気持ちだけではなく、警察組織内における自らの立場、能力を誇示したいとの思惑もあったのであるから、その犯行動機は、甚だ自己中心的かつ利欲的というべきで、言語道断である。

こういうふうに述べられているところでございます。

 それから、原田氏に関してでございますが、結論としては、まだ北海道警として接点を持つに至っておりません。

 ただ、あの方がいろいろなことをおっしゃっておりますので、原田氏とかあるいは弟子屈署の次長の斎藤氏、このお二人の、斎藤氏については実は手紙のやりとりをいたしまして、道警から、こういう点についてはどうですかということを文字に落としまして、その返事をいただいたりしております。

 いずれにせよ、直接やはり実際のところを伺いませんとなかなか隔靴掻痒の感ということもありますから、これは道警として引き続き何とか接点をとるべく、お話を聞かせていただくべく努力をしていくように督励をしてまいりたいと思っております。

今津委員 ずっと議論を聞いておりますと、率直に疑問を感じるんですよね。そもそも一連の警察の不祥事、この案件は、捜査費あるいは報償費、これが必要である、しかしそのお金が十分でない、十分でないために、現実的でないために、やむを得ず不正な支出操作が行われて、この事案が起きたものなのか。あるいは、例えば外務省で、極端な話ですけれども、馬を買っていた役人もいましたよね。そもそも裏金が必要だった、警察の人たちが、幹部であれ中間管理職であれ裏金が必要だった、いろいろなことで。そのために捜査費あるいは報償費を名目に利用していったのか。

 これはどちらなのか、あるいは両方なのか。そういうことについて官房長の御説明を伺いたいと思います。

吉村政府参考人 これまでの時点におきまして、北海道警あるいは静岡あるいは福岡で不適正な予算執行が判明をしておるわけでありますが、そこは、現在まだ全貌については、これはできるだけ急ぎたいと思いますが、まだ途中経過でありますので断定的なことは申し上げられないわけでありますけれども、これまでの調査結果からいたしますと、まずは、捜査は非常に機動性を要する、即座に対応しなきゃいかぬということが必要なわけでありますけれども、必ずしも今の、これまでの制度というのが使い勝手のいいものになっていなかったのではないかということがありまして、いわば、一度予算を執行したようにして、手元にお金を置いておいて必要なときに使うということが、あるいはそのお金の使途が、もし使ってはならないものに使ったということになるとそれも問題ですし、まして、一度お金をプールするというプロセスが、これは文書を、違う実態のものを文書にあらわしたということになりますのでそれも問題なわけでありますが、その意図たるや、使い勝手が悪いので使い勝手よくやろうということがあるいはあったのかもしれないということはあります。

 それと、本来、捜査費では執行できないものの、慶弔費ですとか残業時の夜食代とか、こういうものは正面から予算要求すれば本来予算措置できるものでありますから、それがなかなか煩わしいといいますか、手間がかかるということで予算措置がされていなかったということがあるいは原因としてはあったのではないかと思います。

 それで、前者について、使い勝手の問題につきましては、これはもう従前から申し上げておりますように、捜査諸雑費制度というものをつくって、月初めに一定額を渡してこれで使えということで今は一部改善を私どもはしたつもりでございますので、これから、情報提供者に対する謝礼の領収書のあり方の問題も含めて、より透明性の高い方式を樹立していかなければならないというふうに思っております。

今津委員 ですから、必要なお金がないものですから、それを使うために捜査費というものを一部利用したという事例もかなりあるということをおっしゃっているわけですよね。

 だとすると、これは、ここまで言うと野党の方はそうでないとおっしゃるかもしれませんが、必要な経費をやはり計上していないということに問題があるわけですよね。ちゃんとした、交際費であれ、いろいろな必要なお金がきちっと予算計上されていたら捜査費をいじることがなかった。だから、捜査費のあり方あるいは報償費の扱いそのものがいろいろ議論されていますけれども、根っこは、警察行政あるいは国民を安心させるための、安全な地域社会をつくるための必要な予算というものがきちっと計上されていなかったんだ。これは、ある意味では、日本の国を守る防衛、この防衛に必要なお金が予算の限りがあるために十分でないということとも同様な性格だというふうに思いますが、私たち国会、あるいは地方議会の方も、ひとつ今考えてみる必要があることだろうというふうに思います。

 そこで大臣、ずっと私もここで毎日大臣のお話を伺っているんですよ。それから、特に大畠先生なんかは、本当にみんなでこの問題を考えてみようと。そして一刻も早く警察に信頼を取り戻して、きょうも、それぞれ各党違いましたけれども、そういう意見でしたよね。恐らくこれからもそういう意見が続くと思うんですが、そのためにはやはり、先ほど参考人の市川弁護士が言っていたんですが、徹底した真実の解明、そして情報公開をしっかりする、それ抜きには国民の信頼を得ることができないと言いましたが、私は、大方私自身も理解をするところなんです。

 そこで、私は、むしろ大臣が積極的に、まあお立場がありますから、警察をかばっていくという気持ちは私は十分承知をいたしますけれども、ここのところは、大臣みずからが積極的に事実を解明して、むしろ自分が事実解明の本部長になったお気持ちで警察改革に取り組んでいくというような姿勢が私は求められると思うんですが、大臣のお気持ちを率直にお聞かせいただきたいと思います。

小野国務大臣 今津議員にお答えをさせていただきます。

 私も、この事案が起こりましたときには、なぜ予算化できなかったのかということをまずは一番に思った一人でもございます。

 警察活動というのは国民の信頼と協力があって初めて成り立つものでございまして、そういったものであれば予算執行が適正に行われなければならないということは、これは当然のことである、まずそういう認識に私自身も立っているということを申し上げたいと思います。

 国家公安委員会といたしましては、今回の予算執行をめぐります一連の事案が判明したために、警察に対しまして、今先生がおっしゃっていただきましたように、それぞれの事案を早期にとにかく解明する、予算執行の一層の適正化のための方策というものに対して検討して国民の信頼を得るということ、これがまず第一点であろうと思いますし、これまで講じてまいりました一連の諸施策に対しましても、逐次、検討状況に基づきまして警察庁から報告をさせまして、それが真に有効なものとなるように委員の間で活発に議論を行いまして、警察庁に対しまして必要な指導、督励をしているところでございます。

 私は、今後とも、国民の良識を代表するというのが我々公安委員会のメンバーの責務でもございますので、そういった立場から、国民の視点に立って警察庁を適切に管理しつつ、国民の信頼の回復に向けて不断の努力をしてまいる所存でございます。先生と同じ気持ちで取り組んでおりますことを申し添えさせていただきたいと思います。

今津委員 この事件が起きてから、さすがに警察も、事実の、あるいは与える影響の大きさというものを自覚されて、さまざま真相解明あるいはこれからの改革に取り組んでいる、そういうことについては私も承知をいたしております。そのためには何よりも、やはり大臣、指揮官の姿勢、意気込み、情熱、これが改革をしていこうという方々の士気を高めるということになると思いますので、ぜひ先頭になって頑張っていただきたい、そのように思います。

 そして、最後に、その中でも、四月一日に国家公安規則を制定して、全国的に監査を強化していくということでありますけれども、大臣もこの警務、総務部の部長会議ですか、御出席をされて、そしてきちっとお話をしていただけるというようなことも仄聞をしているんですが、具体的にはどのようにこれから全国的な監査というものを、今までと違ってこれからこうやってやっていくんだということを、ぜひ国民にその意気を示していただきたいと思います。

小野国務大臣 警察内部における会計検査の充実強化を図るために、監査に関する権限を明確化させるということ、それと同時に、公安委員会に対しまして監査結果を報告させるということ、これらを定める会計の監査に関する国家公安委員会規則を制定したところでございます。

 それを受けまして、先般、同規則に基づきまして、警察庁において平成十六年度会計監査実施計画が作成されたところでございまして、これまで、警察庁及び管区警察局によります会計検査というのは、毎年度、すべての都道府県においては実施していなかったものと承知しておりますが、今年度からは、本計画に基づきましてすべての都道府県警察を対象に実施をするということになりましたことでございます。

 それから、捜査経験を有する職員を監査担当者に加えるとともに、監査体制の増加を図るということと、警察署に出向いての監査や捜査員からの聞き取り調査の機会をふやすということ、こういう具体的な点を明らかにさせていただき、とにかく厳正な監査がしっかりと実施されるものと私も承知をいたしております。

 その実施されました監査結果につきましては、国家公安委員会に報告をしてもらう。それによりまして、国家公安委員会の管理のもとで、実効性のある高い監査が実施されることとなるものと考えているところでございます。

今津委員 ぜひ先頭になって頑張っていただきたいと思います。心配しておりました犯罪の検挙率も、そこから少し上がってきて、そしていい結果が少しずつ出ておりますので、私どもも期待をいたしております。

 警察官が誇りを持って日本の治安に当たることができるように私からも祈念をして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

山本委員長 次に、太田昭宏君。

太田委員 福岡県警察の捜査費の不正経理問題ということで、四月二十日に福岡県警が県議会に中間報告をいたしました。

 今、今津先生からもお話のあったとおり、警察への信頼を回復するということにおいては、私は一つ一つが、こうした議会の場ということも非常に、情報公開というか、ここでしっかり釈明をする場というふうにする必要が、県議会もあるいは国会も非常に重要な場であろうというふうに思っております。その意味では、与党、野党の質問にかかわらず、しっかりここでお答えをするということが大事だし、また、きょうもある新聞にはほかの県警での話が出てきたりというようなこともありますから、しっかりと信頼回復と情報公開ということについて取り組んでいただきたいと思います。

 まず、四月二十日の福岡県警の報告と、それから、使途四五%が未解明だとか、私的流用はなしとかいうような見出しがついておるわけでありますが、簡単で結構ですが、急所だけお答えいただきたいと思います。

吉村政府参考人 お答えを申し上げます。

 福岡におきましては、この二月末に不正経理ということで疑惑報道がなされまして、事実関係を明らかにするために、直ちに県警の総務部長を長とするチームを設置いたしまして、福岡県の公安委員会の指示のもとに調査を進めてまいりました。その結果、四月二十日にその中間報告を福岡県議会警察常任委員会に報告をするとともに、発表したものと承知をしております。

 調査の結果でございますが、平成十年四月から平成十一年の七月をまずとらえております。これは、不正経理があるということで元警部補の方が話をされたわけですけれども、彼が福岡県警の銃器対策課に在籍をしておりましたのが平成七年の十一月から平成十一年の夏まででありますので、彼が在籍していた期間で、かつ、会計書類が残っておりますのは平成十年四月から十一年の七月でございますので、この間にまず的を絞りまして、国費の捜査費、それから県費の捜査報償費について、どのようなことであったのかということを調査したところでございます。

 その結果、具体的には、まず第一に、当時の銃器対策課長は、捜査費及び捜査報償費を激励費として交付をしていたと述べているわけでございますが、これに合致する会計書類がなく、事実と異なる会計書類が作成をされていたということ。二つ目に、当時の捜査員の多くは、捜査費等の執行事実を認めておるわけでありますが、現時点では、まだ一部確認できないものがあるというようなこと。それから、三つ目でございますが、捜査費等を旅費の一時立てかえに流用していたというようなことなどから、捜査費と捜査報償費について不適正な執行があったと福岡県警が判断をし、中間報告をしたわけでございます。

 その後、四月二十日に福岡県の公安委員会から警察法の四十三条の二に基づく監察の指示も受けまして、同日、警察本部長を長といたします調査委員会を設置し、体制はおおむね八十人ぐらいでございますけれども、現在、引き続き全容の解明に向けて鋭意調査を進めているということでございまして、まだ、私的流用等については、この時点ではあったかなかったか判然としないというのが実態でございます。

太田委員 私は、情報公開とか信頼獲得ということからいきますと、調査委員会ができて調査をするというんだけれども、やはり第三者機関といいますか、第三者を入れてとか第三者の調べというようなことが極めて大事だというふうに思うわけですが、その点は、努力をして変えるとかいうような方向に持っていくということはできませんか。

吉村政府参考人 委員のお話でございますが、捜査費等の執行状況の調査におきましては、御承知のとおり、捜査協力者を初めとして、捜査に密接な関連を有する情報に接することになるわけでありまして、いわゆる第三者が調査に参加することには問題なしとしないと思います。また、スピードを上げて調査結果をまとめる必要もございますので、警察の組織あるいは捜査等の実務に精通をしている者が調査に当たることが、スピーディーに、かつ、実効ある調査ができるのではないかと考えております。

 他方、今申し上げましたように、福岡県の公安委員会で監察の指示が出されておりまして、この指示によりますと、全警察署及び警察本部の全部署の平成十年度から十五年度までの捜査費、捜査報償費、旅費、食糧費、交際費の執行状況並びに会計の監査のあり方及び会計経理に関する業務手続について監察をして、その結果と改善方策を公安委員会に報告しろということでございますので、まさに公安委員会は警察活動を第三者的立場から監督する機関でもございますから、福岡県警察による調査は、調査方法、途中経過について逐次福岡県の公安委員会に報告をされているところでもございますので、その意味では、第三者の目も入ってはいるということで、御理解をいただきたいと思います。

太田委員 四月十四日のこの内閣委員会で、我が党の大口委員が質問に立って、幾つかの提案をし、例えば、捜査費の経理の手続を捜査員に周知徹底させるということについて、より具体的に努力をしろという話をしたり、あるいは、公安委員会と密接な関係をとることが大事だという上で、この公安委員会の中に会計等の専門家を入れるというようなことを検討したらどうかということで質問をしたところ、小野大臣からも、そうしたことは、顧問とかいろいろな形でできないものかというような答弁自体がございました。

 私は、こういうことをさらにしっかりと進めていくというようなこと、そして、進めたならば、こういうことをやりますということを国民にメッセージとして出すということが非常に大事だというふうに思いますが、これは十四日で、きょうは十二日間たっているわけでありますから、その辺の、大口委員の質問に対して検討するなら検討するということで、直ちに私は検討していただいているものだ、こう思いますが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 大口議員の方からお話をいただきまして、四月十四日の国会での御指摘を踏まえ、翌日の国家公安委員会におきまして都道府県公安委員との緊密な連絡のありようについて議論をさせていただきました。

 これを受けまして、私の方から、北海道、福岡、静岡の公安委員の先生方にお電話をさせていただいたり、実際に連絡をとらせていただいてお話をさせていただきましたが、意見交換の結果は、警察に対する信頼を確保するためには、会計経理の問題について厳正かつ適正に処理していくと同時に、警察が本来の活動に邁進できるような環境を整備しなきゃならないということ。厳しい治安情勢を好転させることが不可欠でございますから、そのためにも、公安委員会が国民、道民の目線に立ちまして、良識を持って警察を管理していくことが何よりも強く求められているとの認識を一層深めたところでございます。

 今後とも、さまざまな機会を利用させていただきまして、都道府県公安委員会との緊密な連絡を保ちながら警察の管理に当たってまいりたい、そのように感じているところでございます。

太田委員 引き続いてそういうことについては具体的な措置をとっていただきたいと思います。

 これらの事件は五年前ですねというような話が時折出るわけでありますけれども、私は、警察、いわゆる不祥事というのはもう何年も何年も続いているというようなことで、国民はうんざりしている。ある意味では、国会議員と警察は、それはまさにノーブレスオブリージュというか、一番信頼に足るという、高い倫理性というものを持っていかなくちゃいかぬというふうに思っているわけです。

 その点からいきますと、その後、捜査諸雑費制度を初めとしていろいろな対策がとられてきたと思いますが、こういうことをやりましたということもまた、もっと国民に率直にわかる形で、何かの形で宣言をするとか、いろいろな形があろうと思いますが、何をやっているのかわからなくて、何か受け身で答えをしているようなところしか国民には映らないということからいくと、これに対してこうします、こうします、こうしますということを何らかの機会にきちっと出していくというようなことが私は大事だというふうに思います。どのような成果というか、今考えを持っているかということについてお答えいただきたいと思います。

吉村政府参考人 その前に、委員からお尋ねのありました経理の手続を捜査員に周知しろということにつきましては、早速、漫画入りの捜査員のための「捜査費経理の手引き」等を作成いたしまして、これを県に配っておるところでございます。

 それから、確かに、福岡につきましては平成十年、十一年でありますとか、ちょっと古い事案だということではございますが、委員御承知のとおり、二月十三日に警察庁の中に予算執行検討委員会を設けまして、個別事案をきちんと解明していくのが重要な責務でありますけれども、あわせて、これから将来的に予算の執行の透明化を高めていくというために、いろいろなことを出してきたつもりでございます。

 それが、一つは、県費の捜査費執行に対する監査への対応のあり方の問題がまずございますし、二つ目に、いろいろと御批判のあります他人名義の領収書はもう徴取をしないように今年度からやっていこうというようなこと。それから、先ほど大臣も御答弁されましたが、ことしの五月から新たに会計監査計画を定めまして、全国的にこれはやっていくというようなこと。それからもう一つは、刷新会議の提言でも実は触れられておるんですが、情報公開の問題。これはなかなか、捜査のいわば秘密の問題がありますので、一〇〇%警察の文書を情報公開するというのはいささか疑問がありますけれども、そこの折り合いをつけながら、何とか透明性を高める努力をしていくということを逐一外に打ち出してまいってもおりますし、これからも努力をしてまいりたいというふうに思っております。

太田委員 九州管区警察で会計文書が廃棄されたという事件、とにかく何ということだ、情けないなという感じがするわけです。

 これは、意図的にやったかどうかということは非常に大事なことなんですが、意図的にやったとはとても言わないでしょうけれども、この事実関係について明確に答えてください。

吉村政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの事案につきましては、平成十年度の会計文書については、これは通例は各県で、九州管区はもちろん警察庁でございますが、警察庁も各県も、大体、会計文書というのは五年保存ということになります。したがって、平成十年度の会計文書は、黙っておきますとことしの三月三十一日で保存年限が切れるということになりますから、それではこの状況下ぐあいが悪いであろうということで、国会の御指摘もあり、十六年の三月の二十四日に当庁から、平成十年度の会計文書の保管の継続と、管下の各県警察等への指示の徹底ということで、九州管区警察局に、会計課に電話連絡をしたわけでございますが、受けた九州管区の警察局では、管内の各県には連絡をしておるわけでありますけれども、自分のところの本家本元の九州管区の広域調整部に連絡をしていなかったということがございまして、これが一番悪いというか問題なわけでありますけれども、それが一つございます。

 それから、広域調整部の広域調整一課の庶務の係長がおりまして、これは四月一日付で実は異動になるということの内示を三月の十何日かに受けておりまして、この人は三年間ここで勤務をしておりますから、去年、おととしは四月一日以降に、年度が経過してから廃棄をしておるわけでありますから、ことしもそのつもりでおったんですけれども、本人が四月一日付で異動になるということで、それを、本来後任の者に引き継ぐべきものであるんですけれども、自分の在任中にやっておこうということで、三月の三十一日の午前九時から三十分かけてシュレッダーをかけて会計書類を廃棄したということでございます。

 四月の十三、十四と、警察庁と管区警察局でそれぞれ懲戒審査委員会を開き、国家公安委員会にも御報告を申し上げました。公安委員会でも私どもはえらいおしかりを受けましたが、その結果、四月十六日に、それぞれの懲戒責任を問うべく処分を行ったということでございます。

太田委員 こうした指令みたいな、指示というのは、これは電話ですか、全部。

吉村政府参考人 普通は文書でやるのが通例でございますが、今回の場合は、三月三十一日が保存年限が切れるということで、文書を起案して出していたのでは間に合わない可能性もあるということで、三月の二十四日に電話連絡をしたという事実でございます。

太田委員 警察庁の指示が届かなかったとか、その辺は極めて、倫理というよりも構造の問題ということがある。そこは、これを独断で廃棄してしまうというようなことが果たして本当に行われてしまったのかどうかということについては大変懸念をするわけでありますけれども、歯どめが当然必要というふうに思います。

 今後の対策も含めて、最後に大臣から答弁をいただきたいと思います。

小野国務大臣 先生のお話を聞きながら、本当に当日のことを思い起こすわけでございますけれども、会計文書の保管に関する警察庁からの指示連絡が徹底されていなかったということはまことに遺憾でございます。私も、緊急事態が起こったときに一体こういうことでどういうふうに連絡がきちんと通るのかという、そのような感じがいたしまして、ふんまんやる方ない思いをいたしました一人でもございます。

 この件につきましては、それなりの立場の者が連絡を受けて、その受けた者がどのような形で伝達をし、最後にその伝達が終わったということの確認をするというところがうまくいっていなかったのかと。そういうところに立ち戻りますと、連絡、報告、相談、いわゆる通称で言うホウレンソウですね、これにプラス確認が入っていなかったということが、どうも現実的には、当事者と官房長との話し合いの中で、まさに悪気ではなくて、残念ながら失態をしてしまったということの現実がわかったわけでございます。

 とにかく、いずれにいたしましても、現在、このような状況では困るということで、私の指示を受けて、警察庁におきましては情報の伝達の流れをいま一度きちんと確認しているところでございまして、確認状態も踏まえて、この種の事案の再発防止について検討を促しているところでございますけれども、とにかく、報告、連絡、相談、その流れというものと、最後の確認がうまくいかなければ、どのような企業であっても、どのような業態であっても、仕事ができていかないということの認識をいま一度確認させているところでございます。

太田委員 内閣委員会で、もう何回も何回もこういうような論議ばかりしているというのは、私は、大変国民的にも、まさに国民の方から見て、何ということだというふうに思うと思います。

 ぜひとも、連絡、報告とかいうより、警察というのは、無線があったりいろいろなことで一番連携、報告がとれているはずの組織ですから、そういう点では、公安委員長の卓越したリーダーシップを心からお願いしまして、質問を終わります。

山本委員長 次に、宇佐美登君。

宇佐美委員 内閣委員会の、この警察に関する集中審議がたび重なっているわけでございますけれども、やればやるだけいろいろな問題が出てくる中で、本当に現場の警察官の方が大変プライドを失っている状況をよく聞きます。公安委員長も、自宅が近いですから、よくわかっていると思いますけれども、近くの交番の方だって、どうなっているんだと言っている声も一度聞いてあげてください。

 一連の文書廃棄について質問をさせていただきたいと思います。

 ことしになってから起きている、警察庁及び都道府県警における保存すべき書類の廃棄事件をすべて教えていただきたいと思います。

吉村政府参考人 ただいま申し上げましたように、九州管区警察局におきまして、平成十年度の会計文書が三月三十一日に破棄をされたというのが一件ございます。

 それから、本日新聞に出ておりますが、これは神奈川県警でございますが、このような九州管区の事案もございましたので、四月の二十日に、全国にさらに、これも電話でございますけれども、会計文書の保管状況を、至急連絡を入れて、亡失等が認められた場合は、所属なり、どういう文書がなくなったかの報告を求めたのが実は四月の二十日でございます。それが翌日、四月二十一日になりまして、神奈川県警から、十所属において保管すべき会計文書の亡失が認められ、現在調査を行っている旨の報告を警察庁として受けたのが四月の二十一日でございます。

 これは、本部の装備課、教養課等々と、それから警察署が四署ほどあるようでございますが、内容を見ますと、ほとんど、十年度の旅行命令簿、それから旅費請求書等が亡失をしているということでございます。捜査費に関しましては、現時点では、神奈川県警本部の刑事総務課の現金出納簿、証拠書類等がなくなっているという状況を神奈川からは報告を受けております。

 それから、いま一つは、愛知県警で、三月十二日に情報公開開示請求を受けて、当該所属で点検をいたしましたところ、一部の所属で保存すべき文書を過って廃棄していたことが判明をいたしました。そこで、愛知県警として調査を行ったわけでございますが、愛知県警からの話では、現時点で二十二所属六十二の文書がなくなっている、廃棄及び亡失をしている。このうち、捜査費と旅費関係については、十所属二十七文書ということで報告を受けております。

 ただいま申し上げましたように、四月の二十日にそれぞれの県に調査をかけておりますので、まだ出てくる可能性がないとは言えないと思います。

宇佐美委員 大変大切な書類をそう気軽に捨てられていては、まさに公文書を毀棄している、捨てていると言うと思うんですけれども。先ほど、前の委員の質問の中で官房長は、通例、大体五年ぐらい保存するとお答えをされているんですが、保存期間というのは規則があるかと思いますけれども、その保存期間の規則について、恐らく県警は県警であると思いますので、警察庁についてのみで結構ですので、お答えください。

吉村政府参考人 警察庁の文書管理については、警察庁における文書の管理に関する訓令にのっとって行っているところでございます。

 この訓令は、平成十三年三月に、情報公開法の制定等に伴いまして、それまでの文書管理に関する定めを抜本的に見直して制定をされたものでありまして、情報公開法の制定に伴い定められました行政文書の管理方策に関するガイドライン、これは平成十二年の二月二十五日に、各省庁の事務連絡会議の申し合わせでございますが、このガイドラインに沿って策定をされたものであります。

 この訓令におきましては、行政文書の管理体制、取り扱い、それから整理、保存等についての規定を設けているところでありますが、文書の種類ごとの保存期間については、行政文書を性質、その重要性等に応じて第一種から第六種に区分をいたしまして、それぞれ三十年、十年、五年、三年、一年、一年未満の保存期間を設けているところであります。

 会計上の契約書、請求書、領収書等の文書につきましては、このうち第三種、保存期間五年に該当するものと思われます。

宇佐美委員 その中で、また別の角度からお尋ねしますけれども、そういった保存期間の最中の書類を公文書というふうに理解してよろしいですか、官房長。

吉村政府参考人 保存期間の文書は公文書であります。

宇佐美委員 保存すべき公文書の廃棄についての罰則はいかがですか。

吉村政府参考人 刑法の二百五十八条で、公用文書等毀棄罪という定めがありまして、「公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。」と定められております。

宇佐美委員 とすると、この九州管区についてですけれども、これは三月三十一日の二十四時、夜中の零時までが保存期間最中であり、先ほど官房長の答えられたように、まさに公文書であるわけです。公文書を捨てたということになっているわけですけれども、警察において立件すべきだと理解しておりますけれども、いかがですか。

吉村政府参考人 本件につきましては、四月の十六日付で関係者を戒告等の処分にしたわけでありますが、九州管区警察局、それから先ほど大臣のお話にもございましたが、私自身もその文書を毀棄した人間に先週の金曜日かに会いまして、十分聴取をいたしました。

 その結果、会計文書の廃棄を行った庶務の係長は、当該文書を廃棄しても業務に支障がないであろう、当該文書が用済み後の文書であるとの安易な認識から廃棄をしたものでありまして、私どもとしては、必要な文書を毀棄するという故意がないと見ておるところでございます。そうであれば公用文書毀棄罪は成立をしないと判断しておりますが、これはあくまで警察庁の判断でございますから、警察庁は具体的な捜査権限はございませんので、ケースケースで判断をされるべきと思いますが、私どもの判断としては、公用文書毀棄罪は成立をしないと見ております。

宇佐美委員 法務省から政府参考人で来ていただいているわけですけれども、一般論としてしかどうせ答えられないので聞きますけれども、法務省として、公文書を保存すべき期間中に廃棄した場合、どのような認識を持っていますか。

樋渡政府参考人 犯罪の成否は、あくまでも具体的事案におきまして収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄でございまして、法務当局としてはお答えいたしかねるところでございますが、あくまでも一般論として申し上げますと、公用文書等毀棄の罪は、公務所の用に供する文書を毀棄した場合に成立するものと承知しております。

宇佐美委員 とすると、今の案件を聞かれていて、公文書だと警察庁は認識をしていないと言っているわけですけれども、例えがいろいろあるかと思いますけれども、例えば、スピード違反を考えたときに、ここの最高速が、五十キロからあるところで三十キロに最高速度の設定が減ったとして、それに気がつかないで三十キロの最高速度の道を五十キロで走っていた。そうしたら、警察の方はスピード違反だと言って捕まえるんですね。それは気がつきませんでしたと言ったって、違反は違反だからと言って捕まえるのが一般的なわけであります。

 そういった中で、今回のこの公文書ということは、だれがどう見ても蓋然性からすれば公文書なわけです。にもかかわらず、それは本人がそうだと思わなかったからというのは全く間違った判断だと思いますけれども、公安委員長、どうですか。

小野国務大臣 警察及び九州管区警察局におきましては、調査を尽くしました結果、会計文書の廃棄を行った職員は、当該文書を廃棄しても業務に支障がないであろう、当該文書が用済み後の文書であるという安易な認識から廃棄したものであり、したがいまして、必要な文書を廃棄するという、いわゆる故意がないということから、公文書廃棄罪は成立しないと判断したところでございます。

宇佐美委員 公安委員長は、この案件についていつ把握をされましたか。

 日付も今のうちに調べておいていただいて、大体、例えば前の公安委員会のときとか、大体でいいですからまず考えていただいて、日付も確認をしてお答えください。

小野国務大臣 四月の十五日開催の国家公安委員会におきまして、事案の概要を聞いたわけでございます。

宇佐美委員 その公安委員会においては、公安委員長にのみ報告をされたんですか。すべての公安委員に報告をされていますか。

小野国務大臣 すべての者がおります会議の席で行われました。

宇佐美委員 その中で、公安委員会各委員からいろいろな意見があったかと思います。そこも公安委員長、出席されているわけですよね。どういった意見が多かったか御披露いただきたいと思います。

小野国務大臣 まず、私の方からは、先ほど申し上げましたように、何をしているのかというふうな大変きつい言葉をもって、連絡の流れのミスあるいは確認のミス等々を大分厳しくやりました。ほかの委員の方からは、これは故意があってそのようなことをしたと思われても仕方がないぞという言葉がやはり一人からございました。

 以上でございます。

宇佐美委員 ほかの委員からは何にも意見、ありませんでしたか。

小野国務大臣 私とその一名でございます。

宇佐美委員 公安委員会の皆さんは何を考えているのかというのを、今聞いただけでも多くの国民の皆さんは感じますよ。こんな問題が、公安委員会が、委員長は御発言され、もう一人がおっしゃったと言うけれども、ほかの委員たちが何でもっと深く追及していかないのか全く理解に苦しむところでありますし、公安委員長は、委員長として、もっとこの問題について厳しい態度をとるべきだと理解をしていますが、いかがですか。

小野国務大臣 公安委員会の場で、私も初めて伺ったわけでございます。それに対しましては、少々きついことを私いろいろ申し上げましたし、他の委員からも先ほど申し上げたような意見がございました。それは、ほかの残り三名の委員が何も意見がなかったということではなくて、気持ちとしては同じ気持ちであるということから、御発言がなかったものと理解しております。

宇佐美委員 十五日に把握されて、非常に怒る気持ちも持ったというような答えを先ほどおっしゃられましたけれども、それ以降、国家公安委員長としてどのような対応をされましたか。

小野国務大臣 先ほど、これも申し上げたでしょうか、官房長が担当者と直接会っていただきまして、どういう状況でこのようなことになったのかを直接聞いたということでございます。

宇佐美委員 それは公安委員長が官房長に対して指示を出して、会うようにと言ったんですか。もしそうだとするならば、それはいつ指示をされていますか。

小野国務大臣 私の方から、四月十五日ということでございます。

宇佐美委員 そこは非常に適切な指示であったと思うわけでございますけれども、大臣は、四月十四日の衆議院内閣委員会、この委員会で、大畠議員の質問に対して、もっとしっかりと活動しろ、動けというような質問なり意見があることに対して、「飛び回るほど私に今与えられた時間が現実にはございません。」と答えられているわけでございますけれども、手元に公安委員長の四月一日から二十七日までのいわゆる大臣としての仕事の予定表をいただいているところ、大して仕事していませんよ。非常に時間があいている。恐らくそれは政務とか指示があるとおっしゃるんだと思いますけれども、少なくともその内容を知った十六日以降きょうに至るまで、より一層御本人から、例えば九州管区管区長などに指示をされてしかるべきだと思いますし、電話なり行動なり、何をされたか教えてください。

小野国務大臣 その前に、訂正をさせていただきます。

 四月の二十二日の日に、官房長に、現地の者と話をするように、そこを訂正していただきたいと思います。

 それで、忙しいからという私の発言に対してでございますけれども、あれは政務の方は入っておりませんし、議員も御案内のとおり、国家公安委員長とそれから青少年と少子化対策と食の安全と、私にはその他の諸大臣としての仕事もございますので、そういったものが間に入ってきますので、例えば半日あるいは一日あいているかといえば、そういう日はほとんどなかったということでございます。

宇佐美委員 時間がないという今説明は、理解はしないですけれども、私の質問にまだ答えていません。どういった行動、活動、電話なりをこの九州管区に対してされたかという質問です。

小野国務大臣 官房長を通しての調査をしてもらうということでございますので、私から直接は電話はいたしておりません。

宇佐美委員 そこをやってくださいということを再三申し上げているんです。

 そして、この予定表の中は、男女共同参画会議とか少子化社会対策大綱検討会とか、いわゆる国家公安委員長として以外の仕事の予定も入っていますから、先ほどの、別の大臣の仕事だからという話は該当しません。すると言うなら、後ほど説明をしてください。

 その上で、政務があると言われることですけれども、今小野公安委員長の中で、最優先順位の仕事は一体何ですか。公安委員長の仕事もあり、各大臣の仕事と政務と言われる中で、どちらを最優先順位、そしてどれほどのウエートで動いていらっしゃいますか。

小野国務大臣 私の、内閣総理大臣からの認証式においては、国家公安委員長、それから食品安全担当大臣、それから青少年育成担当大臣、少子化対策担当大臣でございますから、どれが一番、どれが二番、どれが三番ということではなくて、折々に入ってくるもの、男女共同参画社会もその中の一つでありますし、少子化対策はまさに責任者でもございますし、食の安全に関しましても、BSEの問題も鳥インフルエンザも、農林水産省と厚生労働省のブリッジのような形で、食品安全担当ということで、科学的、中立的調査をしてそれを広報、リスクコミュニケーションを出す等々も全部私の仕事になっておりますので、それが、入ってくるものすべてに私が担当大臣として参画をしているということでございます。

宇佐美委員 大臣としての優先順位をつけろと言っても、答えるのは難しいかと思いますけれども、つまり、私が聞きたいのは、飛び回るほど私に今与えられた時間が現実にはございませんと言いながら、例えば、政務で、大した用もないのに、大した用というのは語弊があるのかもしれませんけれども、業界団体の総会などにあいさつに行ったりしているというようなことを聞いていますが、そういったような時間はあっても、公安委員長として九州管区や各都道府県の公安委員会と電話連絡したりお会いをする時間はないというんですか。

小野国務大臣 これは、宇佐美委員も御存じのとおり、大田区のある外郭団体に出たときのことだと思いますけれども、これはこの事案が起きる前のことでございまして、最近は全く、ほかの、いわゆるそういう団体の活動には出席しておりません。出席もできません。

宇佐美委員 それでは、私の認識が十分でないかもしれませんけれども、先週、大田区の宅建協会などの総会に呼ばれていて、来る予定に少なくともなっていたと聞いておりますけれども、残念ながら御出席されなかったという理解でよろしいですね。

小野国務大臣 当然でございます。

宇佐美委員 この九州管区の問題、少し細かく質問をさせていただきたいと思います。

 シュレッダーで三月三十一日の朝九時から九時半の三十分間にわたって書類を処分したということでありますけれども、警察庁の方から二十三日にいただいた資料によりますと、「内訳」として、「超過勤務命令簿四冊、物品供用簿四冊、捜査費証拠書類四十八冊、現金出納簿八冊。」ということで、「旅行命令簿、物品取得書及び物品供用書については、分冊数の記憶が定かでなく、各四〜六冊あったと考えている。」というふうになっています。加えて、「物品供用簿と物品取得書はフラットファイル(綴じ部分はプラスチック)に編てつされていた。」というふうに、細かく報告をいただいているわけです。

 ちょっと違った視点ですけれども、このフラットファイルとかはリサイクルされていますか、官房長。

吉村政府参考人 ファイルのプラスチック部分ですか。(宇佐美委員「全体の部分と中の部分です」と呼ぶ)中の部分は、本人から聞きましたところ、本人はもう既に転勤しておりませんけれども、ロッカーか何かの箱に立てて置いているんだそうです。それから、表紙はシュレッダーをかけております。

 それから、ちょっと恐縮ですが、先ほどいろいろ大臣にお尋ねがございましたけれども、警察の建前からして、国家公安委員長が委員長の立場で九州管区警察局長に電話をしてこうしろああしろと言うことは普通は想定をされておりませんで、国家公安委員会が警察庁を管理するわけでありますけれども、これは警察庁長官を経由して管理をするというふうに解されておりますので、それもありまして、四月の二十二日の日に大臣が私をお呼びになって、こういうことで、将来の防止策を考える上でも本人からよく聞いたらどうかというようなお話がありましたので、翌日の二十三日に聞いたという経緯でございます。

宇佐美委員 余分な答えまで官房長がしていますけれども、国家公安委員長は、先ほど、こういうような書類を処分されたことについて、非常事態だといったような発言をされたと思いますけれども、その認識は、もしも非常事態だとするならば、警察庁長官を通そうが何しようが九州管区に電話をすることは全く問題ないし、それについて違法性はあるんですか、官房長。

吉村政府参考人 違法性があるかどうかというお尋ねでございますが、実際に大臣が、庁内の私なり局長に御連絡があって説明に行くということはありますので、常に形式的に長官に言うだけでほかの庁内の者には何も物を言わない、そういうことではもちろんございません。

宇佐美委員 つまり、直接連絡をしてもいいわけですから、今後、こういった事件も含めて、公安委員長のリーダーシップに今非常に期待をされているところですから、ぜひお願いを申し上げたいと思います。

 先ほどのフラットファイルの話なんですが、物品取得書についてはフラットファイルに編綴をされていたというふうになっているんですが、ファイルに編綴されていたとしたら、その残りの部分のファイルは残されているわけですから、物品取得書が何冊であったかというのは至って明確なんじゃないですか。

 なぜかというと、フラットファイルは、物品供用簿と物品取得書でフラットファイルを使っていたということでありますから、物品供用簿は四冊とはっきり言っているわけですから、フラットファイルのごみが何個だったかということで、物品取得書は四から六冊といういいかげんなものじゃなくて何冊だということを明確に言えるんじゃないですか。

吉村政府参考人 私はちょっと誤解をしておりましたが、袋とじの部分はこれは全部シュレッダーにかけた、フラットファイルは別途ごみとして捨てたということのようであります。

宇佐美委員 そのごみはいつ捨てられたか御存じですか。

 というのは、九時半にシュレッダーにかけた、そして十二時過ぎに情報公開の、全国のオンブズマンの方がされて、そして、それを受けて調べたところ、シュレッダーにかけてしまっていたということでありますけれども、そのシュレッダーにかけた、捨ててしまったという認識を持たれたのは何時ごろだということで把握されていますか。

吉村政府参考人 要するに、本人は、三月三十一日の午前九時からおおむね三十分をかけてシュレッダーにかけるものはかけ、仕分けをして、ごみに捨てるべきは捨てたということでありまして、お昼前後ぐらいだったと思いますけれども、警察庁に、こちらに一斉情報公開開示請求があったと。そこで、九州管区警察局に、これは警務課になるわけですけれども、そこに連絡をしてあったので、きちんとまさにこれは保存をしておかないとまずいものですから、その連絡が行き、警務課から広域調整一課に連絡が行って、それで本人が気づいて、実はこれはもう今、既に、きょう、まさにけさ捨てましたという申し立てがあったわけであります。

宇佐美委員 それが大体十一時四十分ごろだったというふうに先日聞いたと思いますが、それで正しいですか。

吉村政府参考人 こちらの、私どもの本人からの聞き取りでは、十一時四十分ころに、庶務の係長は直ちに広域調整一課長に、平成十年度の会計文書の開示請求があったけれども同文書については既に廃棄処分してしまった旨を申し立てたということであります。

宇佐美委員 これはちょっとびっくりしているんですけれども、全部で八十冊のうち、ファイルにとじ込められていたのは合わせて八から十冊ということになっているわけですけれども、残りの七十冊はどういう形であったんでしょうか。

吉村政府参考人 袋とじが五十六冊で、とじひもで白表紙が八冊、とじひもで黒表紙が五冊、フラットファイルが九冊、都合七十八冊であります。

宇佐美委員 細かい数字が出てきましたけれども、こういった五十六冊について、いわゆるノートという理解でよろしいんですか。

吉村政府参考人 これは私も、本人から、こういうものだということで、こういうものという形状のもので説明を受けましたけれども、普通紙をホチキスで袋とじにとめたものでありまして、ノートではありません。裏返しのような、まさに袋とじですのでホチキスは見えないわけでありますけれども、素材は普通紙です。

宇佐美委員 これはあれですね、何十冊というのはわかっているんですけれども、その冊を新しくかえるときというのは、枚数でやっているんですか、それとも日付でやっているんですか、その書類を。

 申し上げたいことをわかっていただけるかどうか。つまり、ノートだったら一冊三十枚とか六十枚とかわかるんですけれども、何十冊、例えば四十八冊、捜査費証拠書類というのがあるとおっしゃっているわけで、それが、大半が恐らく袋とじ形式になっていると思うんですが、新しく袋とじにファイルを二番目、三番目と変えるときにはどういう基準でされているか、わかっていらっしゃったら答えてください。

吉村政府参考人 ちょっとそこまで私は承知をしておりません。

宇佐美委員 とすると、何を聞きたいかというと、全部で何枚だというふうに、A4でいえば何枚だというふうに理解しているんですか。

吉村政府参考人 本人の申し立てなり、あるいは当時は広域調整一課で勤務をしておりましたから、大体のそのボリュームというのは上司も見ておるわけでありますが、表紙等を含めて積み上げて、大体六十センチぐらいのものと聞いています。

宇佐美委員 六十センチというのが何枚かと言われても、私もちょっとわかりがたいんですけれども、その六十センチもあるものを、今回使われたシュレッダーは、一昨年、十四年三月二十二日に購入をされたもので、定格裁断枚数がA4上質紙八枚、最大で十三枚ということですから、これは最大続けていくと壊れますし、シュレッダーを使ったことはあると思われますけれども、そんな立て続けにやっていくと大体壊れちゃうんですね。とまっちゃうんですよ。

 そのとき、どういうような切り方になっていたか、御存じだったら答えてください。

吉村政府参考人 私の部屋にもシュレッダーがありますので、利用しておりますが、まだとまったことはありません。

 六十センチのものを本当に三十分で裁断できるのかということにつきましては、再現実験を九州管区警察局でやりまして、その写真等も私は見ましたので、まず三十分で裁断できるであろうと。かつ、本人はその広域調整一課の中に設置をされているシュレッダーでやっておりますから、そのやっているのも見ているわけですね、課員は。ですから、それは間違いなく、このシュレッダーを使って三十分で、枚数こそわかりませんけれども、今申し上げましたような厚みの書類を裁断したということであります。

宇佐美委員 今、ごめんなさい、最後にそれを見ているとおっしゃったんですけれども、だれが何を見ているということですか。

吉村政府参考人 これも委員から事前にお尋ねがありましたので、広域調整一課の全員から管区において聴取をいたしましたところ、三名が見ておりまして、広域調整一課の調査官、刑事第一係長、庶務係長、この三名であります。

宇佐美委員 その係長さんには、部下の方、女性が一人いるということですけれども、もう要らないと思っているからシュレッダーにかけているんですよね。そうさっきおっしゃっていました。要らないという書類だったら、別に自分でやらなくて、その係の女性にやってもらってもごく普通だと思いますけれども、係長御本人がやられたということですか。

山本委員長 申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

吉村政府参考人 本人は、非常に、ある意味では、最後に慢心があったかもしれないと本人は言っておりますけれども、非常にまじめな男でありまして、これは自分で、会計文書ですから、下に任せることなく自分で裁断したと言っております。

宇佐美委員 ごめんなさい、時間、気がつきませんでしたけれども。

 言っていることに矛盾があると思います。つまり、大切な書類だと思っていたら自分でやる、だから自分でシュレッダーをかけたというわけですけれども、先ほどの話では、もうこの書類は公用文書じゃないと思ったからシュレッダーにかけたと言っているわけですから、全くそこで矛盾をしているということを最後に指摘して、今後こういった事件が起きないように、くれぐれも、公安委員長のリーダーシップに期待したいと思います。

 以上です。

山本委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博です。

 今回の警察不祥事について、基本的なことを尋ねていきたいと思います。

 まず、これは平成十二年に、私たちも予算委員会で、当時の警察の信用が大変失墜した事案について、どのようにすれば国民の信頼を回復するかということで、議論をさせていただきました。そして一方、政府におかれては、第三者の警察刷新会議というものをおつくりになって、そしてさまざまな改革をやられたというふうに承知をしています。

 その中で数点まずお聞きをしたいと思いますが、警察における監察の強化というものがそこでうたわれていたはずです。これはどういうものですか。

小野国務大臣 今回の一連の事案に関しましては、監察の指示をなぜ出さないのか、そういう御質問かと思いますけれども……(原口委員「いや、違いますよ。警察刷新会議で」と呼ぶ)機能の強化策として、警察法改正で監察の指示が規定されたけれども、今回の一連の中で……(原口委員「十二年の」と呼ぶ)ええ、出されましたね。(原口委員「監察の強化の中身はどういうことでしたか」と呼ぶ)

山本委員長 吉村官房長。

吉村政府参考人 数字の問題ですから、私の方から答えさせていただきますが、平成十二年度は、警察庁で監察体制は六人、管区警察局は二十五人でございました。これが……(原口委員「委員長」と呼ぶ)

山本委員長 原口君。

原口委員 私、基本的なことだけを聞いているんです。どういう、警察に対して、公安委員会も含めたさまざまな刷新がそのとき議論されて、それが実行に移されてきたかという前提をまず聞きたかったわけです。

 警察における監察の強化ということで、警察内部の自浄能力を高めること、それから、このために都道府県警察の監察担当官の増強はもとより、警察庁や管区警察局においての体制強化、それから管区警察局の設置などを図った上で、都道府県警に対して監察を頻繁に実施するなど国の関与を強めるべきであるということをここで大きくうたっているわけです。国の関与が強まったんですよ、委員長。そして、都道府県警察の首席監察官を国家公安委員会の任命とするなど、人事面での警察本部長からの相対的独立性を確保する。

 つまり、この委員会で委員長は何回も、今回の不祥事、まず自治体警察の中で調査をしなさい、自浄能力だというお話でしたけれども、もうそこを超えてきているんです。平成十二年のとき、それでチェックがきかなかったから、国家公安委員会の関与、そしてわざわざ、首席監察官ですよ、都道府県警の首席監察官を国家公安委員長が任命するという形にまでなって、ダブルのチェックになっているわけです。

 この認識は委員長お持ちだと思いますが、イエスかノーかでお答えください。

小野国務大臣 失礼いたしました。

 委員御指摘のとおり、警察刷新に関する緊急提言におきまして、国の関与強化の観点からは、都道府県警察の首席監察官を国家公安委員会の任命とするなど人事面でも警察本部長からの相対的独立性を確保するということも有益であるとの提言を受けているわけでございます。

 都道府県の監察部門の責任者たる首席監察官を順次地方警務官に格上げいたしまして、四月から四十七都道府県すべての首席監察官が地方警務官となったところでございます。国家公安委員会といたしましては、地方警察官であります首席監察官に対しまして任免権を有しておりまして、この点で、首席監察官は本部長からの相対的独立性を確保されているわけでございます。

 具体的な監察業務におきましては、都道府県公安委員会の管理のもと、本部長の指揮に従って厳正な職務の執行に努めているところであり、警察法上、国家公安委員会は、都道府県警察の業務に関しまして、地方警務官である首席監察官に対して直接の指示を行うことは予定していないと承知をしているわけでございます。

原口委員 今おっしゃったとおりで、私たちは、平成十二年のあの不祥事に際して幾つもの知恵を、そして議論を、結論を得てきているわけです。つまり、今大臣がお話しになったように、警察本部と警察庁との二重の監察、そして国家公安委員会はまたそこに、いわゆる市民、国民の代表としてきっちりと監督をしていく、こういう役割なんですね。

 そこでお尋ねをしますが、大臣は、当初、ことしの二月十三日の記者会見でこう発表されておられます。今回の不祥事についてですが、警察庁といたしまして、その辺どうなっていたのかということをきちんと調査することが大前提となってくると思いますと。

 このとおりなんですよ、私はこのとおりだと思うんですね。それぞれの委員会、地方の公安委員会が調査をする、道府県警がやる、それとともに、警察庁が調査をし、どのようにすればいいか、ダブルのチェックですから、ダブルのチェックが働いていなきゃいけないわけです。

 警察庁から委員長に、今回の問題でさまざまな報告を上げていると思いますが、いつ、どのような報告が上がっていますか。

小野国務大臣 まず、今回の一連の事案に関しましては、各関係の、北海道は北海道公安委員会、そして福岡は福岡の方の公安委員会が、それぞれ監察の指示を出しているわけでございます。

 ですから、私どもは、その指示を出されて、その結果を踏まえまして、警察庁なり我々国家公安委員会がどのように対処するかを決めるということで、今、各それぞれの公安委員会の指示のもとに行われているところを見守っているというのが現状でございます。

原口委員 そこがこの警察刷新会議が予定したところと違うんです。

 今、役所が書いた答弁をされて、私、きのう委員長と小一時間お話をさせていただいて、大変誠実な方だなと。子供の虐待についても大変前向きな姿勢を示していただきました。大変人間的にも尊敬する方だなと思います。ただ、今委員長がお読みになったのは事務方の書いたものであって、警察刷新会議や私たちが予算委員会の中で議論してきたこととはやはり大きく違っているんですよ。

 現に、警察庁は今会議をやっているでしょう。どういう会議ですか、官房長。

吉村政府参考人 会議というのは、予算執行検討委員会を二月十三日に私が一応長でつくりまして、連日開いておりますが、その会議のことでございましょうか。

原口委員 そうです。二月十三日に、今官房長がおっしゃった予算執行検討委員会、これはこう書いてありますよ。大臣、お聞きになってくださいね。「警察の予算執行の在り方に関して、多角的に検討し、その適正化の一層の推進を図ることにより、国民の信頼を確保するため、本日、警察庁に、官房長を委員長とする予算執行検討委員会を設置した。 同委員会においては、北海道警察における会計経理をめぐる事案の解明を図るとともに、」とちゃんと書いているわけです。そして、「警察の予算執行の在り方を検討し、その適正化を一層推進することとしている。」と。つまり、並行してやっているわけです。

 私は、官房長に質問いたしますが、これまで何回予算執行検討委員会は行われましたか。きょう、与党、野党の議員を問わず、情報公開、国民に対して開示をせよという話をされましたが、私はきのう一日この執行検討委員会の議事録を待っていましたけれども、公開していないということですが、どういうことですか。

吉村政府参考人 この当該予算執行検討委員会と申しますのは、私が一応トップになりまして、総括審議官と総務、人事、会計課長、それから、最近は首席監察官が中に入ることもありますし、会計の係、それから原局原課の人間が入ることもあります。

 それで、御承知のとおり、個別の案件について、例えば、北海道あるいは静岡等々の案件がありましたから、これは、警察庁の職員が当地に赴いて、いろいろ、事実関係がどこまで解明されているのかというようなことでこちらからも働きかけをしておりますし、こういう点が未解明だということを言っております。

 また、北海道や静岡県警から、あるいは福岡から当庁に参りまして、その委員会に来て、こういうふうにやっています、ここまで調査をしたので今度はこれですというようなことで。まあ、その意味では、きょうが一回目、この次が二回目というようなカウントをしておりません。そういうことで個別案件の対応をしておりますし、また、将来的な改善策についても、他人名義の領収書の廃止の問題でありますとか会計監査のあり方、これは多分に専門的なものでありますので、このときにはそのメンバー全員が集まっているわけではないということでもあります。

 一々の予算執行検討委員会の状況については、これは長官まで話はしておりますが、国家公安委員会に対しましては、毎週木曜日の定例の国家公安委員会の場におきまして、十三日の予算執行検討委員会の設置以来常に、毎週、こういう状況でございますということはすべて報告をしているところであります。

原口委員 委員長は、この委員会に対して、今、予算執行検討委員会が毎週報告をしているということですから、その報告書を提出してください。そして、それを開示していない理由はないんですよ。あなた方警察庁は――私は三年前、外務省の機密費の話をしましたが、あのときも外務省は相当たたかれましたね。しかし、彼らは第三者機関、園部参与を筆頭とする調査機関をつくって、そしてその議事録は全部公開しましたよ。

 さっき大臣がおっしゃったところ、事務方が書いたのは違うということはおわかりになったでしょう。向こうが調査をするのを待っているだけじゃないんです。警察庁も独自に、ここが足りない、あそこが足りないと、今お聞きのとおりなんです。それを、国会でちゃんと報告を受けて、議論をしなきゃいけないんです。

 二重三重のチェックをつくっているから、二重三重のチェックがどのようにきいているかということをここで大臣と私たちが議論することによって、真に国民の側に立った中立な公安委員会というのが機能するわけですよ。

 このことを押さえないで議論は進まないと思うので、なぜ、警察庁の会議というのは、いつ、どこで、だれが、何をやったか、そんなことも公表できないような会議ですか。中身について公表する気があるのかないのか。――ちょっと、最後まで聞きなさいよ。何で中途で手を挙げるんだ。全部質問を聞いてからやってください。最後まで聞いてください。

 公表しないという理由を教えてください。

吉村政府参考人 先ほど、こちらから関係の道県に赴いて云々というのは、これはもちろん、電話もありますし、電話連絡もしょっちゅう、毎日のようにやっております。それで、向こうから来てもらう場合もあり、こちらから行く場合もあるというのは、これはある意味で警察庁として事案を解明していく上では当然のことでありまして、それを大臣なり国家公安委員会に、いついつ行きましたとか、こういうのが来ましたと、それは一々は申し上げておりません。

 それから、先ほども申し上げましたように、執行検討委員会というのはそういう形でいろいろなことをやっておりますから、会議録をつくって、これから始めるよ、ではここまでが終わりだねというような整理をしておりませんし、部屋も、私の部屋を使ったり会議室を使ったり、いろいろなところでやりますので、そういう整理はしていないということであります。

 したがって、その内容については、これは確かに隠すべきものはございませんので、全部国家公安委員会に報告をしておりますから、国家公安委員会の議事録はホームページ上公開されておりますし、そこで出しました予算執行検討委員会絡みの資料もオープンになっているところでありますから、閉鎖的とか、議事録をあえてつくっていないという批判は当たらないのではないかと思います。

原口委員 では、議事録はあるんですね。では、それを今出してください、この委員会に。

吉村政府参考人 国家公安委員会の議事録はございます。

原口委員 国家公安委員会の議事録を公開しているのなんか、私はとうの昔に知っていますよ。あなたがなさっている、長である予算執行検討委員会の議事録を出してくださいと言っているわけです。その報告の内容を出してくださいと言っているわけです。一々議事録をつくって、そしてそれが皆さんに見せるようなものじゃないというんだったら、どういうものを報告されているのか、どういうものを検討されているのか、それを教えてくださいと。警察庁としての調査、今までわかったことについて、何かということを教えてくださいということを言っているわけです。

吉村政府参考人 累次申し上げておりますように、予算執行検討委員会としては議事録はつくっておりません。そこの検討内容は、これはいろいろ各種の意見が出るわけでありますから、それを集約した形で国家公安委員会にすべて報告をしているということでございます。

原口委員 なぜつくらないんですか。何をどのように検討しているか、私たちには見えないじゃないですか。

 では、どうやって報告するんですか。では、その報告書はありますか。

吉村政府参考人 予算執行検討委員会の状況というのは、ただいまも申し上げておりますように、会計監査の計画の問題でありますとか、あるいは領収書の徴取の問題でありますとか、あるいは県における県の会計監査への対応のありようとか等々で、既に通達で出しているものあるいは事務連絡等で出しているものがありますから、それ以外に、個別の案件として、例えば福岡の中間報告あるいは北海道の中間報告等はありますから、それを使って国家公安委員会で報告をし、それは国家公安委員会の資料につづられているということであります。

原口委員 いや、ホームページを見ればわかるけれども、では、検討委員会で何を検討しているのか。「予算執行の在り方に関して、多角的に検討し、その適正化の一層の推進を図る」、こう書いてあるわけですよ。ほかの役所だったら、大臣、それぞれ議事録をつくって、そして大臣に、こうこうこうでございます、こうやっていますということを上げるんですよ。恐らく口頭でやっているんですか。

 逆に言うと、今回不正経理と言われる疑惑のあるところから上がってきています三つの報告書一個一個を調べてみても、とても容認できる話じゃない。

 では、一個一個やりましょうか。

 例えば、四月の六日に上がってきた北海道警からのもの。これは弟子屈署ですか、「次長については、事情聴取の要請に応じていない。」と。

 あなたは、元道警の原田さんについては求めるように言っていますが、自分の今の組織についても、道警の組織の次長についても事情聴取に応じていないじゃないですか。そして、何て書いてあるかというと、「署長・次長は、不適正な経理手続は一切しておらず、捜査用報償費等は適正に執行されているとの説明であった。」と書いてあるわけですよ、同じ紙に。大臣、事情聴取に応じていない人がどうしてこんなことを書けるんですか。

小野国務大臣 先生、応じていないのは元次長の方でございます。

原口委員 違いますよ。

 ペーパーを、後ろの秘書官が多分今間違って大臣に言ったと思いますから、大臣のあれは。紙をごらんになってください、私はお見せしてもいいですよ。

 次長と元次長は別々に書いてあるんですよ。元次長は「元次長」とちゃんと書いてありますよ。「「ウラ金メモ」に記載された内容の信ぴょう性の確認」と。今言ったのは現職の次長なんですよ。現職の次長について、「事情聴取の要請に応じていない。」と。そして、返す刀で、「捜査用報償費等は適正に執行されているとの説明であった。」と。こんなことはもう矛盾じゃないですか、委員長。一つの紙を見ても矛盾なんですよ。

 逆に言うと、今度、静岡県警に行きましょうか。静岡県警が、今、警察予算の執行検討委員会で添付していると言った中間報告、旅費の総額は一千三百四十四万円ですよ。そのうち、内訳を大臣ごらんになったでしょう。ほとんどが適正に支出されていないじゃないですか。

 福岡県警に至っては、原本が廃棄されており、確認されていないものも含めると、本当に驚くようなことが書いてあります。調査報告、ごらんになりましたか、これ。福岡県警から来た中間報告書。捜査費の支払い事実の確認ということで、捜査員からの聴取内容及び当時の捜査記録等から県警として現時点で報償費としての執行があったと判断しているものが二百十九件です、大臣。そのうち、福岡県警が何と言っているかというと、捜査員は捜査費として執行した記憶があると申し述べているが、現時点で捜査記録等による確認ができていないもの、百三十二件もあるんですよ。覚えていない、忘れたと申し述べたもの、十二件。捜査員が死亡したため事実確認ができないもの、三十八件。

 つまり、ほとんど確認できていない。そして、書類と彼らの言っていることが違っているんですよ。こんなものを添付されて、警察庁が調べていますとか、刷新に向けて国民の信頼を確保するために努力していますと、どこを読めばそんなことが出てきますか。

 つまり、大臣、私が大臣に申し上げたいのは、三年前の警察法の改正で、監督というものをきちんと定義しているんです。そして、さっき大臣がお読みになったところ、二重三重のチェックを、こういう不祥事が起こったときに、開示をする文書、開示をしない文書をどうするかということを、かんかんがくがくやっているわけです。福岡県警で調査結果が出るまで待てばいいなんという話じゃなかったんです。あのときも、新潟県警でもそうでした。

 官房長にお伺いしますが、警察庁出向者が会計課長である警察本部は幾つありますか、そしてそれはどこですか。

吉村政府参考人 お答え申し上げますが、その前に、弟子屈署は、委員があるいは誤解をされているのではないかと思いますので、私からちょっと補足をさせていただきます。

 この骨子、四月六日のものでございますけれども、これは、3の「調査状況」で、(1)が「関係書類の確認」、(2)が「平成十二年度の執行状況」、(3)が「平成十三年度から平成十五年度までの執行状況」の三本立てになっているわけです。

 一番問題は十二年度。十二年度のころの元次長には聴取に応じていただけない。ただ、これは今、文書のやりとりはしています。

 十三年度から十五年度までについては、これはもちろん署長、次長は聞いておりまして、ここにありますように、これはあくまで中間のまとめでございますけれども、「捜査用報償費等は適正に執行されているとの説明であった。」ということでありますので、別に矛盾はないと思います。

 それから、警察庁出向者が会計課長である警察本部は、北海道、青森、岩手、埼玉、千葉、神奈川、福井、愛知、長崎、沖縄の十県であります。

原口委員 先ほどの宇佐美議員に対する答弁で、警察庁出向者が会計課長であるにもかかわらず、神奈川県警それから愛知県警、書類が破棄ないし毀損をしているという事案が起こっていますね。どうして起こるんですか。

 大臣は、再三再四、こういったことがないようにと。さっき、公安委員会の中で別の委員も、これは限りなく故意に近いものじゃないかと……(小野国務大臣「思われても仕方がない」と呼ぶ)思われても仕方がないという話がありました。官房長は、聞き取り調査をしたということですが、どこで故意性を阻却されましたか。

吉村政府参考人 本人から四月二十三日に事情を聞いたわけでありますが、いずれにせよ、四月一日付で異動になったことから、これは本人の実は思い込みであるわけですけれども、この一連の文書を異動の前に確実に処分しなければならないと自分は思っていたと、まあこれは間違いであります、ただ、そう言っております。

 それで、一日早いものの、この文書を廃棄しても支障がないだろうという安易な気持ちから三月三十一日、本人は四月一日に朝から赴任をしておりますので、その前の日にやっておこうということで、三月三十一日にシュレッダーで細断をした。

 上司に対して、異動までに、つまり四月一日までに平成十年度の会計文書を廃棄すると報告し、了承を得ていた。これは実は、上司の指導が足らないわけでありまして、その部分を責任を問うておるわけでありますが、そういうようなことを一連の流れとして、私も三十分前後本人からいろいろ聞きましたけれども、心証としては、故意はないというふうに判断をしたわけであります。

原口委員 三人の人がそこに見ていて、そして今国会で一番中心的なテーマになっていて、会計文書というのは、大臣、上にいろいろなものが書いてあるわけですよ。何月何日まではどうするとか、マル秘だとかなんとか、いろいろなものが。それを、三人もの人が見ていてそして廃棄するなんということは、とても考えられない。

 そして、故意を阻却するという、今の三十分の聴取でもって、それで、はい、どんどんこの書類がなくなったということであれば、私たちは、国民に対して説明する基礎的な資料を失うんだ、それはひいては、警察だけではなくて国家全体の損失だということだけ申し上げておきます。

 さて、今回、裏金の話は初めて出てきた話じゃないんです、大臣。前回、先ほど申し上げた刷新会議のときも新潟の公聴会で出てきているんですよ。そして、刷新会議の議事録の中にもこの二重帳簿の問題、裏金の問題を議論しなければ真の警察の信頼は回復できないということを公聴会で述べていらっしゃる方々がいらして、そして、刷新会議の委員も同様の議論をされているんです、これはもう三年前なんです。

 ですから、先ほど官房長が答弁をされました、十ものところに会計課長が行っているんですよ。そして、先ほど大臣が答弁をされたように、首席監察官まで行っている。こういう中で起こるわけがない話なんです。

 大臣に法律の認識だけ伺っておきたいと思いますが、刷新会議では二重帳簿そのものが違法なんだということを委員が御議論をされていますが、この二重帳簿は違法であるという認識に間違いありませんか。

小野国務大臣 二重帳簿というものの存在に関しましては、私は、少々明確ではございません。

原口委員 いや、刷新会議の中でそのように、そのとき新潟云々の話があって、もともと、帳簿が二つあるというか、これは一般論で聞いているんですよ、今回のことについて聞いているわけじゃない。今回、まさに書類と本人たちの供述が全然違うという、これはまさに二重帳簿ですよ。だけれども、今大臣に聞いているのはこの具体的な事案じゃなくて、こういう二重帳簿自体があれば、それは違法ですねと。不適正じゃなくて、これは違法ですねと。

小野国務大臣 個別具体的にそういうものがどういうものであるのか、私にとりましては、少々お答えが難しゅうございます。

原口委員 なるほど。一般論としても、これは違法ですよ。

 きょう、法務省に来ていただいていますが、二点お尋ねをします。一つは、こういう二重帳簿、裏金といったものについて、一般論で結構ですから、違法であるのか。それから、先ほど官房長は故意でなければその違法性を阻却できるかのような答弁をなさっていましたが、こういう公文書というものを破棄したときに、先ほどは過失であるというような御認定のようでございますが、故意でなければ公文書の破棄というものは罪にならないのか、法的な判断をお尋ねしたいと思います。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

樋渡政府参考人 まず、犯罪の成否というのはあくまでも収集された証拠に基づいて判断される事柄でございまして、法務当局としてはお答えいたしかねるところでございます。

 公用文書毀棄といいますのは、先ほど申し上げましたが、公務所の用に供する文書等を毀棄した場合に成立するものでございまして、これは故意犯であることは間違いございませんが、犯罪の捜査というのは、いろいろな生の事実、どういうような経緯で、だれがどのような場合にどういうふうにしてやったのかという生の事実を確定していきまして、そこにどういう犯罪が成立するのかという擬律の問題を考えていく、これを繰り返し並行しながらやっていって犯罪の成否を確定するものでございますから、何事も、一概に当たる当たらないということのお答えは難しいものだと思います。

原口委員 まさに今おっしゃるとおりで、生の事実がどこにあるかということが国会はわからないでいるわけです。そして、それは公安委員長といえども、先ほどのこの添付だけでは、これが本当に違法なのか、あるいは故意なのかそうでないのか。そして、証拠はどんどんどんどんなくなる。一方で国民の不信は募る。では、どうとめればいいんだという、三年前にやったシステムが動かない。

 私のところにこういうものが来ました。一つの告発です。

 裏金づくりは以前から言われていましたが、改められませんでした。理由は二つあります。上納システムと個人的に使えるという二点です。

 裏金づくりの手法は全国共通です。電話帳から抽出して領収書を作成します。かつては上から下まで架空領収書を作成していましたが、ある時期から警部以上しか作成させないとなったのも全国共通です。会計検査院や都道府県の監査が来ても、捜査上の秘密と報償費の領収書を出さない回答も共通です。警察庁の関与、指導のもとにやっているのです。

 かつて警察庁の本庁で会計を担当していた人は言います。警察庁と打ち合わせをした会議で、遠回しに、裏金をつくって警察庁に回してくれと言われた。実際に、警視庁の裏金担当者は金庫から現金を袋に詰めて警察庁に行ってきますと出かけ、帰ったときには袋がないということを何度も経験しています。

 こういう報告が来ています。これが本当に事実だとしたら国家の基本を揺るがす話だから、事実はどこにあるのか、そして、警察庁としてどのような調査をしているのか、それを明らかにしてくださいということを言っているわけです。それが事実でなければ、私たち国民にとっては一番いい話です。しかし、この各県警から出てきた中間報告を見る限り、二百何件のうちの百何十件がもうわかりませんということでは、使途不明であるということでは、とても国民に対して説明できないわけです。

 そこで、警察庁長官はもうお見えになりましたか。では、お見えになったら長官にお尋ねをいたします。

 まず、大臣、この予算執行の検討委員会、これをきっちり議事録をつくって、そして警察庁としてどのような調査をし、そして、三重のチェックをやったわけですから、それぞれ各都道府県警に送っている首席監察官にその報告書を上げるように指導をするように、リーダーシップをとっていただけませんか。

小野国務大臣 予算執行検討委員会は、その審議状況につきまして逐一議事録を作成していないというのは、先ほど官房長がお話ししたとおりでございますが、節目、節目においては私どもに報告はいただいておりまして、さっき申し上げたように、それは国家公安委員会の議事録に載っているという、これが今までのお答えの総括みたいなものでございます。

 なお、都道府県警察に対します通達の発出等、予算執行検討委員会におきまして検討の成果につきましては、これを速やかに公表しているところでございますので、その辺はぜひ御理解を賜りたいと思います。

原口委員 では、大臣に聞きますよ。大臣は、官房長から、今まで警察庁としてこの三つの事案についてどのようなことがわかったというふうに報告されていますか。そして、公金が別の使途に使われていた、その使途は何ですか。ほとんどわかっていないんですよ。何を報告されていますか。

小野国務大臣 先生御案内のとおり、中間報告が出されたところでございまして、まだ具体的な案については私どもも承知していないところがございます。

原口委員 だから、最初から私は議論をしているのは、各都道府県警でやる部分、それと、二重、三重にも、ダブル、トリプルチェックをするために、警察庁は警察庁として調査をするんだと、最初、二月の十三日に大臣は答弁されているんですよ、記者会見されているんです。そのとおりだと思います。

 中間報告は、大臣、これは都道府県警が出したものですよ。これだけじゃだめじゃないですかということを言っているんです。

 警察庁長官、きょうは御苦労さまでございます。

 今、警察庁としてこの三つの事案について御存じのこと、そして、こういう事案が二度とないようにということで警察法を平成十二年に改正しました、そこのポイントはどこだったのか、お尋ねをします。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤政府参考人 ただいま先生御指摘のとおり、平成十一年から十二年にかけまして警察にかかわるいろいろな問題が発生をいたしました。そして、その過程で、私どもは未曾有と言ってよろしいそういう国民の批判を受けまして、その批判の内容は種々ございましたけれども、一つには、警察の閉鎖的な姿勢、体質、あるいは国民の批判を受けにくい、意見を受けにくい、そういう体質、そしてまた、時代の変化、要請に機敏に対応できなかった、その対応能力を柱とする批判であったかと存じます。

 そして、そのことを警察刷新会議においても鋭く指摘をされまして、十数回にわたる審議の過程で、これを打開するために、びほう策ではなくて根本的に警察を改めて、将来にわたって警察行政が国家国民のために運営できることを保障する、そういう内容のものに変えていくべきであるということから、私どもも真剣にその審議に関与させていただき、また、指摘を受けて施策を立案いたしました。

 そして、今お話しのことに関しましては、まずもって警察の自浄能力。もろもろの問題が起きるけれども、その問題をみずからの力によって、みずからの決断によって明らかにし、そしてまた公開をしていく、そういう能力。そのためには監察、これが大事であるということ。あるいは公安委員会の管理機能、これを強化して、適切な指示を受けて業務を推進するように、こういう観点から、監察の指示に関しますところの警察法の規定、これを、国家公安委員会につきましても、都道府県公安委員会につきましても制定していただきました。また、警察本部長がそういういわゆる不祥事を認知したときには、適時適切に公安委員会に報告すべき旨でございます。

 また、監察と絡んで、苦情の処理、これが極めて大事である。苦情の中に監察すべき事項がある、また、監察をやる過程で国民の不満を解消すべきものが見つかることもあるということで、苦情に関しますところの処理の規定も整備をしていただきました。さらには、国民の声を直接現場で執行する責任者であるところの警察署長が聞くべきであるということから、警察署協議会という組織を法律上設置をしていただくなど、今申し上げましたような法律上の措置をしていただいた、そういう記憶でございます。

原口委員 長官にお見えいただきましたので、長官にこの場をかりて要請をしておきたいことがあります。

 外務省の不祥事のときも、外務省を挙げて、あのときは園部参与をヘッドに、どのように刷新すればいいか、国民の理解を得ればいいかということで、内部で検討委員会をおつくりになって、そして、こうします、いついつまでに何をやります、いついつまでにどのような調査をしますという調査報告書もあわせて出されたわけです。

 今回、公安委員長と今までずっと議論をしてきましたが、それぞれの都道府県の公安委員会で監査がなされ、その中間報告が出ていることは存じ上げていますが、警察庁としてどのような調査をし、そして警察庁としてこれをどのように改善していくのかということは、先ほどからるる議論をさせていただいています予算執行検討委員会が私はこれに当たるものかなと思っていましたが、議事録もない、あるいは会議も一定限のところでやっているわけではない、いつそれのアウトプットが出るかもわからないというような答弁では非常に心もとのうございます。

 ぜひ長官のリーダーシップで、自分たちの中も、第三者も入れて、入れるかどうかは御判断に任せますが、自浄能力を発揮して自分たちもこういう調査をしているんだ、そして、それをいついつまでにこの委員会に中間報告をするといったことも、私たちにスケジュールを示していただけませんか。答弁をお願いいたします。

佐藤政府参考人 まず、予算執行検討委員会の性格についてでございますけれども、これまでの本日のこの委員会における議論の経過は、私、ちょっとつまびらかでございませんので、重複があったらば御容赦いただきたいと思いますけれども、私の記憶では、二月の十日、北海道の監査委員会の報告がなされまして、その中で、疑念が残るという御指摘がございました。我々はこの指摘を大変深刻に受けとめたのであります。

 同日であったかと思いますけれども、元方面本部長の記者会見が行われて、たしか同じ日だったと思いますけれども、そういうことがあって、翌日が休日でございました。

 二月の十二日であったと思いますが、国家公安委員会が開催をされまして、そこでその状況を私どもから報告をいたしたのであります。その際、公安委員会からは、大変この二つのことは重いよと。したがって――失礼しました、監査結果の報告は前日だったそうです。

 その公安委員会の指摘を受けまして、さて、それでは警察庁として何をなすべきかということを早急に検討を求められた形になりまして、そして翌日、予算執行検討委員会を設置したのであります。

 その目的は、まずは、これは一体どういう事態であるのかということを解明しなければならぬ、その解明結果を受けて何を正すべきなのか、また、正し方はどうすべきなのかということがその後に来るであろう。それと、我々としては予算の適正執行を確保するために逐次改善を重ねてきたつもりでございますけれども、しかし、今日なお改善すべきところがあるかもしれない。そして、御指摘があったことは過去の経理に関するものがその時点では主でありましたけれども、それを検討する過程で、現在もなおその反省、検討の中から生かすべき改善策が生まれてくるかもしれない、それがあるならば迅速にその改善策を立案すべきだということで、解明と改善策の企画立案、これを大きな任務として予算執行検討委員会をつくったわけであります。

 それは、したがって、我が警察庁の中におけるそういうことをやるためのプロジェクトチームでございまして、最終的にはその委員会において判断し、調査され、また、企画されたことを警察庁として受けて、そして国家公安委員会に報告をいたして、その上で、承認をされたものについて逐次公表をし、また、措置をしていく、こういうものとしてつくりました。

 したがいまして、審議経過が問題ではなくて、問題ではないというとちょっと語弊はありますけれども、主ではなくて、一体そこから何が出されるか、その成果が問題であり、私どもが要求した内容でございます。

 それからいま一つは、過去にも国会でるる御議論がございましたけれども、こういう問題について都道府県と警察庁、あるいは都道府県公安委員会と国家公安委員会はどのように対処すべきものであるのかという基本論がございまして、これも国家公安委員会で議論が行われ、我々もそれを拝聴いたしました。

 その際、いろいろ御意見ございましたけれども、しかし、現在の警察制度は国家警察ではない、しかし、自治体警察で完結し切っているわけでもない。それはなぜかといえば、戦前の警察制度と終戦直後の警察制度のもろもろのよしあしを考量して現在の制度ができて五十年になりますが、この制度、ある意味で中途半端と見えるところもあるかもしれませんけれども、民主的な警察の管理運営と能率的な任務遂行の調和を求めた制度である。

 この制度にのっとったときに、今回の問題をどう処理するかというに当たって、基本的には、その事務を委任され、現在は自治事務として整理されている都道府県警察の事務については都道府県公安委員会が責任を持って処理する、それを受けて警察庁として、また国家公安委員会として判断をすべきであるということで、とりあえず早急に道県において調査をし、そしてそれを早く仕上げて、次につなげていきたいということで、私どもはそれを見ているところでございます。

原口委員 いや、もうそこはずっと議論してきたところで、先ほど太田議員が指摘をされたように、警察庁としては何を調査し、どのような検討をしているんだ、その過程が見えないと、十二年の改正はほとんど機能していなかったんじゃないかという危惧を持つということをずっと議論してきたわけです。

 大臣、警察法の改正の大きなところは何かという質問を警察庁長官にしたんですが、ポイントは十二条の二なんですね。国家公安委員会が警察庁に対する指示を具体的または個別的な事項にわたってできるようにする、これは大きな前進なんです。そして、国家公安委員会は、前項の規定によって指示をした場合において、必要があると認めるときは、その指名する委員に、当該指示に係る事項の履行の状況を点検させることまでできるわけです。

 これほど強い権限やチェックの条項を入れた、それほど警察をめぐる危機的な状況というのは平成十二年においては深刻だったんです。そして、そこで指摘をされてきたことがまさにいろいろなところで内部告発という形で出てきている。

 私は、きょう、もう限られた時間なので、全国のどこの警察署も、すべて電話帳から抽出している、警察庁からの指導がないとできないようなこういったことが本当に行われているんだろうか、警察庁の関与というのはないんだろうか。なぜ同じようなやり方なのか。午前中の参考人の質疑の中でも何回も出てきました、なぜこのようなことをするのか。

 委員長に、警察庁に対して開示を指示していただきたい。いや、警察庁長官に私は直接お願いをしたいのは、今まで、偽名の領収書であったら、それをこの委員会に開示することは何の不都合もないじゃないですか。別の人ですから、その人たちが安全を脅かされるということもないでしょう。捜査の支障にならない範囲において。皆さんは、この事件が明るみに出た後すぐ一カ月後には、にせ領収書はやめるというような判断をされているけれども、そこに至った経緯もわからないんですよ。

 先ほどの予算執行委員会の中で検討してきましたと言うけれども、一カ月以内でこういうものが出ていますよ。場合によっては、これはあつものに懲りてなますを吹くやり方をやったのかもわからない。本当に捜査がそれでいいかどうかわからない。私たちは国会の中でも何の議論もできないうちに、こういうことを発表されている。にせ領収書は私はいかぬと思うけれども、別の見方もあるでしょう。その議論の過程が見えないんですよ。

 領収書、どのような使途にされたのか、使途不明の部分について徹底的に解明するおつもりがありますか、警察庁長官。

 そして、警察庁の関与はなかったのか。福岡県警では警察官の上申書もあるやに聞いていますが、これからますます、こういう、正義を守ろうという人たちが、いやこんなことでは正義は守れないという内部告発がふえてくるんじゃないか。それにきっちり情報をオープンにすることによって国民の信頼をかち得るしかないんじゃないかと思うんですが、もう一回警察庁長官にお伺いします。

 議論の過程を表に出してください。調査の今の現状を、大臣にお伝えになっているところだけで結構ですから、警察庁としてどのような調査をし、そして国民の信頼を回復するために、いついつまでに、私たちにまとめて報告をするおつもりがあるのかないのか。ぜひ教えてください。

佐藤政府参考人 もう御案内かと存じますけれども、それぞれの県で調査をしている過程でもなかなか、関係者の人数も多いことですし、書類の問題もございまして、思いのほか時間がかかっているということがございます。したがって、できる限り迅速にこれをやり遂げてほしいと思いますし、私どももそれを督励しておりますけれども、この時間がいつまでということについてはなかなか申し上げにくい状況にございます。

 ただ、それでは議会その他の皆様の御要請にこたえ得ないであろうということで、それぞれの県において中間報告という形でとりあえずの報告をさせていただいたということでございます。したがって、調査結果が出まして、そして申し上げるべき時期には、これは私どもの方で責任を持って御報告を申し上げなければならないと思っております。

 なお、領収書の問題につきましては、かねてから議論がございました。本当にそれで協力者が確保できるようになるのか、現在の協力者がその協力を継続しにくい状況になるのではないか、もろもろの意見がございます。しかし、我々としては、こうして疑念を抱かれることになった以上は、やはり警察行政全体が適正に行われているということを確保していくことの方がより大きい益であろうと決断をした次第でございまして、また、そのあたりのことは現場の意見も引き続き聴取しながら、どのように具体的に進めていくかについては検討を重ねていきたいと思っておりますので、御理解いただきたいと存じます。

原口委員 もうこれで質問を終えますが、大臣、国家公安委員会自身もその存在の意義が問われているということを申し上げたいと思います。

 最後に委員長、資料の請求をしたいと思います。

 福岡県警から出てきた中間報告には、関係書類ということで、枚数だけの内訳が出てきています。これでは私たちには何もわかりません。この中身について開示を要請し、これは理事会でお諮りいただけますでしょうか。

山本委員長 理事会で協議させてもらいます。

原口委員 大臣におかれましては、ぜひ、国家公安委員会、これは国民が設立をした中立的な組織であって、警察を守る組織ではありません。警察の誇りや捜査員のプライド、これを私たち自身、国民は全員が守らなきゃいけない。それが今危機にさらされているということを申し上げて、質問を終えます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、島田久君。

島田委員 民主党・無所属クラブの島田久であります。

 今回の質問に当たりまして、民主党の筆頭理事の宇佐美理事から、おまえの人生経験から質問しろ、こう言われましたので、幾分的が外れているかもしれませんけれども、長官に中心に質問をさせていただきたいと思います。

 古くは、明治の川路利良大警視の時代、戦時中の政治公安警察、そして民主的な警察へ転換をして、オイコラと言われた警職法の改正、それらを経て今日に来ている。警察官そのものは私どもの身近なところで国民生活に携わっているし、警察官そのものの誇りと警察魂というようなものを、戦後すぐの時代には、あるいは今までもそうかもしれません、そういう魂を持っておられたと思うんですけれども、今のこういう警察の不祥事などを見ていると、こういう本当の意味の国民のためのあるいは国民に開かれた警察として、その心は本当にどこに行ったんだろうか。あるいは、北海道で内部告発されている人の気持ちというものは、そういう気持ちがあったのではないだろうか、あるのではないだろうか。

 私ども、そのことを信じながら、やはり国民のために警察がどうあったらいいかということを今こそ真剣に考えていかなければならない時期だと思うんですけれども、長官はその辺についてどうお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 今るるお話しくださいましたようなこと、全く同感でございます。

 それで、今日我が国の警察の第一線がどうであるかということ、これが一番こういう状況のもとで国民の皆様が心配になることであり、また我々も一番気にかけているところでございますが、例えで、具体的な例で恐縮でございますけれども、ちょうどこの問題が起きてにぎやかになりました折でございましたが、全国の駐在所、交番で勤務しています勤務員の、昨年一年間の勤務ぶりなり勤務実績が非常に顕著であったという人たちの集まりがございました。したがって、駐在さんが大半でございました。

 そして、私もあいさつをしたのでありますけれども、彼らに、我々はどんなことがあっても目の前に国民がいるんだ、住民がいるんだ、彼らが我々を必要とする限り我々は全力を挙げてその任を全うするのみだ、長官あなたもひとつ頑張りなさいということで背中をたたかれまして、警察というのはそういうものじゃないんですかと。改めるべきは改めていかなきゃいけないけれども、我々の組織、我々の組織の中にいる一人一人を住民が待っているし、その活動に期待しているんだから、それをやり抜いていくべきだという声でございました。

 一方、間を置かずして、私は、ある警察の銃器対策部隊を激励、視察に参りました。テロ情勢が厳しいということでありましたから、日ごろ以上の訓練を重ねておりましたけれども、彼らは、一朝事ある、その一事のために訓練を重ね、私の目の前で必死の銃撃をやりました。

 私は、現在の日本の犯罪情勢及びテロ情勢を考えましたときに、過去に例を見ない事態にあると思いますが、現場の警察官がかくして勤務してくれている以上、また我々はそれを支え続けなければなりませんが、そうである以上、我が国の治安維持はやり抜ける、こう考えている次第でございます。

島田委員 警察法改正の中で、幾つかのポイントがあったと思うんですね。そして、先ほども言いましたオイコラ警察の警職法改正の時代から、まあ戦前の公安警察的な要素というものから現代に至る民主的な警察、そして七〇年安保という一つの大きな流れを経て、浅間山荘事件というような形の中から、どちらかというと、機動隊ができて、そして幾分国家警察的な要素というものが民主的な警察の流れの中に、そういう社会的な要件の中から変えていかなきゃならないという要件も先ほどのお話の中にもあったようですけれども。

 そういう中で、現在の刷新会議という流れまで行くまでの警察の流れの中で、キャリアと言われる人たちが、どちらかというと警察官全体の二十万人という人たちの一つの柱になって、全国的な一つの人事配置というものを、あるいは自治体警察という中に幾分警察庁としての一つの組織体制をつくるという意味で人事配置が進んでいった。そういう中に、今回の不正と言われるような組織体制の欠陥というようなものもあったのではないのか、あるいはあるんではないか。あるいはそういう点を解明していかなきゃならぬ警察組織改革そのものの根本的な、あるいは本質的な問題もあるのではないか。

 私はいろいろなポイントポイントを考えてみて、現実の社会要件の中から、そういう問題についてもこの機会にきちっと解明をしていかなきゃならぬのではないかと思うんですけれども、長官、どうお思いでしょうか。

佐藤政府参考人 今お尋ねの趣旨に関しましては、また私どもの方でそんたくをさせていただいて、考えるべきところがありますれば検討してまいりたいと思いますけれども、この問題については、警察刷新会議の折にも検討されました。すなわち、いわゆるキャリアと言われる者が現場のことを余り知らずに国の警察機関としての仕事をやってはいないかということ、あるいは現場へ出た折に責任者としての自覚が果たして十分であるのか、主にそういう観点からの御批判であったかと思います。それはその後、それなりの措置をいたして今日に至っておりますけれども。

 警察庁は、国の警察機関でありますけれども、直接の執行権を基本的に持っておりません。都道府県警察にその執行権をゆだねました。したがって、日々執行をしない者が、執行をしている都道府県警察にかかわる仕事、予算でありますとか、あるいは法律でありますとか、あるいは指揮監督でありますとか、それを警察庁でやるに当たって、やはり現場のことを知らなきゃだめだろうということで、人事交流も行っているわけでありますし、四十七の都道府県に分断をされておりますので、一つ一つの県が自分の県だけを考えていたんではだめだということで、またそういう意味での交流も行っております。

 したがって、そういうメリットと、今御指摘ございましたことで我々が反省すべきところがあるかないか、それらを総合勘案してまいりたいと思います。

島田委員 長官の御答弁を聞いていると、今まで私どもは不正の細かい問題についてどうあるべきかということを議論している、相当ギャップがあるような気がしてならない。何かやはり、長官の答弁されている、解明と改善をしていくんだという考えというものが、警察庁全体の組織の中に、あるいはその気持ちというものが公安委員会に通じて、やはり解明と改善をきちっとしていくんだという意思が徹底されたならば、今までの警察の中に体質的にあった古い殻というものが破れるはずだ、破れないはずはない。

 国民に開かれた警察といってあれだけ刷新会議で、国会で議論をし、組織としても何としてもそれらを、刷新会議の中で、会計制度についても改善をするんだ、監査制度を確立するんだ。現実に官房長が、先ほど、警察組織内部でも議論して、解明について具体的な例を挙げて公安委員会にちゃんと提起をしているんだと。警察官はみんな優秀で、こんな不正であると国民から言われて解決しない理由はどこにあるんだ。それはやはり、本当の意味の警察魂というものが、何かそこに、倫理観を含めて、どうも本質的なところに欠けていることがあるんじゃないか。そういうことを長官、思わないでしょうか。

佐藤政府参考人 なぜ今御批判をいただいているようなことが過去ではあれ起きたかということにつきましては、現在、実態の解明を進めているところですが、それの過程でおのずと明らかになってくることと思いますし、それを我々真摯に受けとめなければいけないと思っております。

 ただ、これにつきましては、したがってまだここで、そういう時点で申し上げるべきではないのかもしれませんけれども、お尋ねですのであえて申したいと思います。

 私は、今まで扱ってまいりました捜査費等が公金であるということについての認識が、やはり幹部を含めて薄かったというところが一つ大きな原因としてあったであろうと推認するわけでありますが、その他の理由がほかにもあるかもしれませんが。ということで、私は警察官魂といいますか、治安の闘士であるというそういう魂、場合によっては自分の身命を賭しても行くんだというその魂は何ら変わってはおらないし、そのことと今回の問題とは別ではないのかと思っております。

島田委員 小さいことで、ちょっと外れるかもしれませんけれども、私が住んでいる羽村市というところがあるんですね。そして、東京都の、アエラによる今度の犯罪件数の減った率というところが一番いい地域なんですね、なったと言われているんです。

 それは、住民によるパトロール、あるいはそこには交番の人たちあるいは警察の組織との密接な連絡をしながら、ある程度自主的な中で、そういう従来の警察組織とのかかわりの中から自主的に、住民みずから、国民みずからがやはり安心、安全という地域づくりを、町づくりをしていかなきゃならないんだという、そういう気持ちになっている今一番重要な時期。そういう中でこういう問題が出てきて、長官の言う解明と改善という中で、今重要な書類が、本当に解明していかなきゃならない、あるいは方向を改善していかなきゃならない、みんなが一生懸命国民のために開かれた警察であるべきだということを考えている時期に、例えば大事な書類をシュレッダーにかけちゃって、何かなくなっちゃったというような、それは改善、解明する以前の、やはり本質的な、警察官自身の、一人一人の倫理観の問題と重要な接点がある。これは、刑事事件によって訴訟してどう、私はそういう問題ではないと思うんですね。

 法に基づくところの正義とは何かというそのことについて、国民は信頼をし、生命財産を警察に、警察の皆さんに、そして交番という中で接しながら、そういう今大事な時期だと思うんですけれども、私は、そういう時期に、こういう何か大事な書類を全部、聞いているとシュレッダーにかけてなくなっていくんだというようなことについては、長官の気持ちは、本当に解明、改善するというその気持ちはよくわかるし、また、そうでなきゃならないし、そのことが、警察の基本的な方針として各警察官まで浸透していかなきゃならぬと思うんですね。

 このことだけについて、長官みずからが姿勢を正すためには、やはり何らかの、長官としての発言があっていいのではないか。これは、警察組織としてというよりも、やはり国民に開かれた警察官として、あるいは長官みずからが国民に対してぜひ何らかの発言をしていただきたいということを特にお願いをしたいと思うんですけれども、どうお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 まず、書類の問題でございますけれども、これにつきましては、確かにお話のございましたように、こういうことがるる議論されているさなかに、また、会計経理それ自体を扱っている衝にある者でありながら、そのような行為が行われてしまったということについては、これは緊張感の問題でもありましょうし、また、これは大臣から私も直接厳しく御指摘いただいたのでありますけれども、一体、連絡をしたその結果がどうなったのかということを確認でき得ていないということは、警察組織としてどうなのかというようなこと等々も含めまして、我々としては反省しなければならないし、また、現場に浸透させていかなきゃいけないということとして反省をみずからしております。

 なお、今お話の、国民に向けてどういう形で、何を、この問題に関連して、また警察の今後のあり方として、例えば私が語るべきかということにつきましては、考えさせていただきたいと存じます。

島田委員 今の長官の答弁を真摯に受けとめさせていただいて、解明と改善の方向をぜひ確立していただくように特にお願いをしたいと思う。

 それと同時に、先ほどお話もありましたように、警察刷新会議の中で決められた、先ほど長官が答弁されました警察協議会、地域との接点において警察協議会というものを設置して、そこが、ある面では刷新会議の中でもう一つ重要な柱になっていたと思うんですけれども、なかなかそれが現実的に今進んでいないようなんですけれども、それらについてどう考えているかということ。

 もう一つは、時間がありませんので、今度の警察法改正の中で重要な改正のポイントが幾つかあったと思うんですね。私は、そういう中で、前回は生活安全課という形で国民生活に直結した形の組織改正であった。今回行われた警察法改正の中で、特に今の事態、テロだとかいろいろなそういう事態に対してどう対処するかということで、予防的な措置というものについてどう対応するかということについての組織改正だと思っているんですね。

 それと同時に、治安という問題に対して理念がないと私は思うんですけれども、長官自身、治安をどうするかということをよく言いますけれども、法律的な規定は探してみてもどこにもないし、警察として、では、治安というものに対して現状のような状況の中で本当に理念があるのかどうかということについて、幾分私は疑問を持っているんですけれども、長官、最後に、その辺のことについてどうお考えかをお聞かせ願いたいと思います。

佐藤政府参考人 二問お尋ねでございますけれども、二番目の方からお答えをさせていただきたいと存じます。

 私は、確かに、そもそも治安とは何ぞやという根本問題があろうと思います。それで、この治安の問題を国民が身近な問題として感じ始めたのは、実はつい最近ではないのかと感ずるわけでありますが、そういうことで思いますと、直接的なお答えにならなくて恐縮でございますけれども、私は、今日本国民が求めておりますもの、そして我々が願望しておりますものは、かつて我々が世界に誇った日本の治安の復活じゃないか。あの当時の日本はよかったよねという、そういう状態、それが我々の求めるべき治安の姿なんだろう。しかし、そこにどうして我々が近づいていくか。そこで、今手を打っておりますのは、治安の回復ということを申し述べ、そして犯罪の抑止ということに力を注いでいこう。

 一方で、新しい脅威がございます。それは何かといえば、組織犯罪であり、サイバー犯罪であり、そして国際テロリズムでございます。これらを防ぐにはどうするかということで、今委員お話がございました予防ということが、犯罪の面におきましてもテロの面におきましても、重要な課題になってきている。それをやり抜いていくことが日本の治安を回復させ、復活させていくことにつながっていくだろうと思っております。

 ただ、一点申し上げておくべきは、日本はそういう状態でありますけれども、諸外国に比べればまだまだ日本の治安はよろしいのであります。これは欧州各国の治安機関、アメリカの治安機関がひとしく我々に語っていることであります。

 したがって、今だからこそやらなきゃいけない。でないと、欧米の、もとへ戻ることができないところまで行くかもしれないという意味において、治安回復を図っていくということを、直接的ではございませんけれども、理念に近いものとして進んでまいりたいと思っております。

 あと、警察署協議会の問題でございますけれども、これは確かに発足してまだ三年でございます。いろいろな形に変形をしていっておりますけれども、例えば消防団と一緒にパトロールしたらどうかとか、あるいは郵便局と連携したらどうかとか、いろいろな御提言がございまして、その警察署協議会から出された御提言を警察行政の中に生かしていくということがたくさん出てまいっておりますなど、私は、これを、改善すべきは改善しなければいけませんけれども、しかし、基本的な方向としては、署長が自分の言葉で直接市民に説明をし、直接意見を聞く。従前の警察の外郭団体ということではなくて、一市民の皆さんからそういう関係でやりとりを行う。こういう組織は大事な組織であるので、これを、しかも警察法で定められた組織でございますので、ぜひ発展させてまいりたいと思っております。

島田委員 ぜひ長官に、改善と解明のために御努力されることをお願い申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 きょうは、警察庁長官も同席をしていただいて、この不正経理疑惑問題についての二回目の集中審議ということで、私も、これまでの審議を踏まえて、国家公安委員長そして長官に質問をさせていただきます。

 冒頭に、国家公安委員長にこれまでの経緯を少し整理してお伺いしたいわけでありますが、月曜日、私は、武力攻撃事態対処に関する特別委員会で、総理にこの問題についても聞きました。

 これは、消防署あるいは警察というのが、地域の、国民の安全を守るために大変重要な役割を担っているんですね。自衛隊も大変重要な役割を担いますが、まずはその初動作のときには警察と消防なんです。そういう意味で、警察の住民からの信頼というものを回復するために、大変重要な段階に入っていますから、今回の不正経理問題について総理はどういう認識を持っておられるかということについて、総理は、この問題は全国的課題であるというふうに認識しているというお話をはっきりされました。

 国家公安委員長は、そうではない、これは地域の問題であるという指摘を当初されておりましたが、この問題について、改めて国家公安委員長の御認識を最初に伺います。

小野国務大臣 お答えを申し上げます。

 総理は、不適正経理の問題は、一部の道県の警察で起きたことではありますけれども、そうした問題が起きていない県警におきましても、不正経理の問題が起きないようふだんからの反省あるいは点検が必要である、そういうふうな意味で述べられたものと私は理解をいたしております。

 そういった点に関しましては、国家公安委員会では、警察庁に対しましては、不正経理問題が判明している関係道県と連携をいたしまして事案の解明を進めるように、会計経理の一層の適正化を進めるよう指示をしているところでございまして、今後、警察庁におきましても全都道府県警察に対しまして計画的に内部監査を行うとともに、各都道府県警察におきましても計画的に内部監査を点検していくもの、そのように承知をいたしているところでございます。

大畠委員 そういうお話をされますと、国家公安委員長、また私は国家公安委員長と激論を交わさなきゃなりませんよ。そういう認識だから今回の事件がなかなか前進しないんです。

 公安委員長は、一億二千万人の国民の代表として入っているんですよ、警察庁の代表じゃないんだ。この間、警察庁と国民と半々ですと言ったけれども、警察庁じゃないんだから、国家公安委員会というのは国民の代表として入っているんですよ、警察庁の代表じゃないんですよ。

 五〇%五〇%というお話が前回ありましたけれども、もう一回、警察庁の立場は半分ですか、国民の立場が半分なんですか。では、何のために文民である国会議員が公安委員長になっているんですか。もう一回答弁してください。

小野国務大臣 半分半分と申し上げていいのか、一〇〇%一〇〇%、そういう気持ちで私は申し上げているつもりでございます。

 御案内のとおり、現に事案がある場合にはその事案に対処をして、不正事案に対して対処していくものでございますけれども、このような治安の悪さの中で全都道府県四十七を全部そのような対象としていくということは、いささかそれは私の考えているところではないということを申し上げたわけでございます。

大畠委員 国家公安委員長が就任される前かもしれませんが、もう一度、この平成十二年七月十三日の警察刷新会議における緊急提言というのをよく読んでくださいよ。そんな話じゃないですよ、公安委員長。そういう御認識だからこの問題、なかなか、泥沼に入り始めている。

 かつて、私の郷里におりました梶山静六先生も国家公安委員長をされていましたが、梶山先生が国家公安委員長だったら、こんなていたらくの、調査が進まない、そして指示出したってシュレッダーにかけられる。国家公安委員長の指示が無視されているんですよ、それもどうも意図的に各署でやられているような感じもするんですよ。

 もう一回聞きますよ。国家公安委員長の指示というのは、電話で指示するんですか。

小野国務大臣 その件に関しましては、何をもって指示をするかというのは後日に私自身もわかったことでございますけれども、それはやはり指示の徹底ということの中に、期日も少なかったことから電話をもってまずは連絡したということは了解いたしましたけれども、その指示をされた方の対応が余りにも、シュレッダーにかけた等々、私自身も少々あきれ返るような結果が出たということは、まことにざんきにたえない思いでそれを拝聴したわけでございます。

 ですから、そういった点におきましては、やはり国民の立場に立ち、そして警察改革をしていく上におきまして、今回の件というのは本当に真剣に取り組んでいかなければならない、そのような気持ちは私は先生と同じだ、そう考えております。

大畠委員 そこで、佐藤長官。

 国家公安委員会で決められた通達が、単に電話だけで行ったと。二十四日にされて、そして二十九日にだったですかね、シュレッダーにかけられた。

 これは、長官として、国家公安委員会の決定というものを徹底させる責任があるんじゃないですか。長官は、この問題について、単に地元の警察さん十人ぐらいを処分しただけで済むんですか。この証拠というものを保全しろという指令が出たんですよ。私たちが何のためにこの委員会を、何回も何回も集中審議しているんですか。

 これは、長官、そんな簡単な話じゃないですよ。公安委員会で決めたんだ。公安委員会の指示を守るのが今度は警察庁の仕事だよ。ところが、その指示が単なる一本の電話で、それが伝わっていなかった。

 公安委員会で決められたことというのは、電話連絡して文書化はしないんですか。長官の答弁を求めます。

佐藤政府参考人 今回の平成十年度に係る会計書類の保存の問題につきましては、たしか三月の二十四日であったと思いますけれども、あと一週間しか残りがないということで、とにかく迅速にその趣旨を伝達するというために電話という方法を選択したということでございます。

 今、御指摘のように、その結果が、一部とはいえ、また、四月一日以降に処理すべきものであるにかかわらずその前日に処理をしてしまったということは、まことに遺憾のきわみでございます。

 今おしかりをいただいたこと、まことに申しわけない結果を生じさせてしまいましたけれども、連絡の不徹底、その確認をしなかったということを深く反省している次第でございます。

大畠委員 私は、長官、この問題は単なるそういう話だけじゃないんですよ。例えば、人命にかかわるような話が国家公安委員会で決議されて、警察庁に行った。それも口頭で言って、文書化はしていない。その通知が行っていないために人命が損なわれたらどうするんですか。国家公安委員会で決められたものはきちんとやってくださいよ。あとはどこも警察庁をコントロールするところがないんですよ。その国家公安委員会で決められたことが、急ぐから電話したと。

 例えば、このワープロ、私もこれはぱっと打ちますよ。三十分かからない、十分ぐらいでできちゃいますよ。そしてそれを一斉にファクスする、今は機器があるでしょう。電話かけたら大変でしょう、四十七都道府県に、もしもし北海道ですか、もしもし福岡ですか、そんなことやっているんだったら、文書化してやる。あるいは、電話連絡をどうしてもしたかったら、後ほど文書化して、同時通報的に、夕方でもいいから出すべきじゃないですか。そんな、電話連絡も、受けた人がメモ書いて、そういうものなんですか、国家公安委員会で決められたということは。

 公安委員長。結局、公安委員長がどんなに努力したって、警察庁から下部におりないということなんですよ、これ。それは自衛隊だって警察だって消防だってそうだけれども、一分一秒を争うような話があるんですよ。

 長官、そんな感じの警察庁なんですか。おかしいと思いませんか。あれからもう一カ月たったって文書化されていないんでしょう、その問題は。ただ単に電話だけなんですか。長官、そんな感じの情報伝達ルートしか持っていないんですか、長官のところは。もう一度、それだけじゃだめですよ。

佐藤政府参考人 もちろん、伝達の方法は幾つかあろうと思います。今回その方法を選択したというのは、先ほど申し上げた理由でございます。なお、管区局を通じまして、その管区局の管内にある警察本部に対しては、管区局から連絡を、伝達をさせたということでございます。

 確かに、危急の折にはどうするのかということはございます。無線でやる場合もございますし、あるいは電話でやる場合もございますし、それはいろいろございます。電話も、いろんな電話がございます。それは事態と状況によりますけれども、今回の伝達は、先ほど申し上げた理由によってその方法を選択したということでございます。徹底しなかったということ、そういう結果であったということは、まことに遺憾でございます。

大畠委員 この問題は、私は非常に重いと思うんです、これは。法律上、国家公安委員会しかないんですから、警察庁のコントロールをするところは。その国家公安委員会で決められたことが、急ぐからといって電話だけ、文書化はされていない。

 文書というのは便利なんですよ、壁に張っておけばいいんですから。署員がみんな見るでしょう。指名手配のものだって張ってあるでしょう。私も警察署に行くと、指名手配、ずっとありますよ。通る人がみんな見るんだ。公安委員会の決定事項というのを、ぱっと、まあ金縁か何かわかりませんが、張っておいて、そしてやれば、みんな見るでしょう。電話メモなんか、なかなか見ませんよ。だから、一週間後、処分しちゃったんだよ。

 こんなていたらくな警察庁内部の情報伝達ルートというのは、私は本当にびっくりしましたね。小さな企業だって、みんな文書化していますよ。ましてや、国家公安委員会で決められた通達が一本の電話なんというのは考えられない。そして、間違って処分したところが、今、あれですか、福岡、それから神奈川、愛知、一斉に出始めていますね。何か、そこら辺、示し合わせているような感じがするんですよ。これはいわゆる、いや、これは故意ではないんですと言うけれども、どうも証拠隠滅の可能性が私は強いんじゃないかと思うんです。組織的に、市民から情報開示を求められた、だから、まずいのはもう処分してしまえ、そんな意識が働いているんじゃないですか。

 特に私は、静岡の例は、長官、恥ずかしいと思うんだ。というのは、市民から情報開示を求められた。いや、これは捜査上の機密ですから出せません。裁判にかけられた。裁判にかけられて、開示しなさいという請求を受けた。開示してみた。中身がおかしかったんですよ。どこが捜査上の秘密なんですか。秘密じゃなくて、不正があったから出したくなかったというだけじゃないんですか。

 私は、長官のそのお姿を見ておると、ラストサムライ的な、非常に信頼を置ける長官だなという感じがするんですが、しかし、実際問題、恥ずかしいと思いませんか。

 例えば、昔の侍だったら、あなた、衣服の中に何か持っていませんか。持っていない、武士に二言はない。いや、どうしても見せてください。どうしても見たいというんだったら、もしも何もなかったらおまえの命をとるぞと言ってぱっとあける。何もない。それが侍ですよ。ところが、だめだ、だめだ、捜査上の秘密だ、そう言って否定しておいて、裁判官といいますか、番所に行って、いや、あなたは市民の要求にこたえて中身をあけなさい。あけてみたら、いろんなものが入っていた。これじゃ、市民が信頼しろといったって無理じゃないですか。

 警察庁長官、今回の一連の不正経理問題について、長官としてどういう感覚でこのニュースを受けとめておられましたか。もう一度、この一連の不正経理疑惑問題についての、疑惑じゃなくて、もうこれは確定しましたね、不正経理に関する長官としての御認識をお伺いしたい。

佐藤政府参考人 捜査費あるいは捜査報償費というお金は、警察が課せられました任務を達成する、そのうちの、捜査の分野においてその職務執行に必然的に必要な、伴う、そういう経費として容認をされたものであります。それが、しかも、当然公金であるというにもかかわらず、それが適正な定められた手続にのっとって執行されていなかったということが判明したということについては、まことに深刻に受けとめている次第でございます。

 もとより、最終的にそれがどういう使途に使われたのかということもこれまた重要なことでありますので、これも含めて現在調査中でありますけれども、それがし終えましたときには、我々として、一体那辺に問題があり、また、今後に生かすべきは何かを含めまして、総括をしなければならないと思っております。

 なお、先ほど御指摘ございました静岡の件でございますが、これは、私の記憶に誤りがなければ、いわゆる職員旅費といいまして、捜査とはかかわりのない旅費ではなかったのかなと思います。ただ、争いましたのは、そのときの条例のもとでは警察本部が情報公開の条例の実施機関ではなかった、しかも、その書類の保管管理がどちらにあったかということについての争点があったのではなかったかなと、ちょっと記憶で、恐縮ですけれども、そういう記憶がございますので、申し述べさせていただきました。

大畠委員 もう一つ、私は、長官の口からぜひお伺いしたいのは、これは私に答えなくていいんです、全国の警察官と警察のOBの皆さんにここから呼びかけてもらいたいんです。

 というのは何かというと、例えば、原田さんに対する誹謗中傷、おどし、それから福岡での、これはもう実名を言っていいのかどうかわかりませんが、内部告発されてテレビにも出していますが、その方に対する誹謗中傷、おどし。これは、心ない、内部の警察官の一部の方とOBの方から出ているんですが、もうそんな行動はやめろと。

 先ほど参考人質疑のときにありました、徹底した事実解明と情報公開、これしかもう警察の信頼を回復する道はないんです。内部告発をされて、それが全部うそだったというのならいいですよ。事実、北海道でも認めたでしょう。最初は、ないと言ったんだから。福岡でも、ないと言ったんだけれども、やっぱり認めた。静岡でも認めた。そうしたら、内部、私も長官と同じ警察官のOBですが、すごく心悩みながら告発しているんですよ、警察官の誇りを守るために。

 だから、長官から、現職の皆さんと、それからOBの皆さんに、このマイクを通じて全国に指示してください、というか、お願いしてください、もうそういう誹謗中傷はやめようと。逆に、もしも内部で問題があるならばみんな言ってきてくれと、ちょっと、私にじゃなくて、国民に呼びかけてくれませんか、そしてOBと現職の警官に対して。長官、お願いします。

佐藤政府参考人 今お話ございました人たちからの指摘といいますか告発といいますか、そういうものにつきましては、私どもは、また、北海道警におきましても、関係の県警察におきましても、その内容が問題だ、指摘された内容が問題だ、それは事実かもしれない、事実のようだという判断にだんだんなってきまして、そして、今日、その組織を挙げて調査をしているということでございます。これがその姿勢の基本であり、すべてだと思います。

 したがって、個々の人がどういう言動に及んだか私は承知いたしませんけれども、組織としては、そういう姿勢でこの問題に対処しているということを申し上げたいと存じます。

大畠委員 長官、今、一連のお話を申し上げてまいりましたけれども、どうも私は、いま一つこの問題についてなかなか前に進まない、そしてぽろぽろぽろぽろ出てくるんですよ。警察のいわゆる信頼が徐々に徐々に落ち始めているんですよ。

 かつて雪印の問題がありましたね。あれだけ大きい会社が、あっという間に信頼を失った場合には、だめになっちゃうんですよ。警察、消防、自衛隊、我々政治家もそうなんですが、信頼がすべてなんです、逆に言いますと。警察官の信頼が落ちてしまったら、住民からの協力もなくなってしまうんですよ。

 長官に大変失礼かもしれませんが、長官は、この裏金問題を見たり聞いたり、あるいは触れたりしたことはありませんか。

佐藤政府参考人 私自身は、そういう経験をいたしておりません。

大畠委員 私は今のお話を聞いてよかったなと思うんです。何回も私は申し上げますが、福岡の警察本部に行ったときに、一枚のポスターがありました。これは何回もこの委員会で言っていますから皆さんも御記憶かもしれませんが、「プライドを持つ、そんな生き方がある 警察官募集!」。私は、まさにそれが警察の一番の神髄だと思うんです。

 ところが、心ない一部の、中間管理職かどうかわかりませんが、裏金をつくって、そしてそれが捜査費に使われたのではありましょう、しかし、残ったものを自分で持っていっちゃったという告発があるわけですよ。これはまことに情けない。

 長官はこの警察刷新に関する緊急提言というのはお読みになったと思うんですが、ちょっとここのくだりを申し上げさせていただきたいと思うんです。どんなことが書いてあるかはもう御存じでしょうけれども、「私たちは、警察がこれほどの国民の批判、不信感を受けるに至ったことを深く憂慮して、その原因はどこにあるのかを討議し、それを防ぐ方策はないかを考えてきた。 警察官による多くの職務関連犯罪の発生とその隠ぺいが行われた神奈川県警事件、」云々、「これら一連の警察不祥事の原因や背景として、警察組織の秘密性・閉鎖性、」そういうものが一番の問題だというんですね。

 警察庁長官御存じだと思うんですが、先ほども取り上げられておりましたが、今回、宮城県警の本部長が、知事の了解もなく、知事の部屋の中にあった文書を持ち去ってしまった。これは、宮城県内の県民から非常なる不信を買いましたよ。一度提出した、そして知事が、きょう警察本部の方から関連資料を受け取りましたと記者に話した。中身については全く話していない。にもかかわらず、約束を破ったと言って、書類を全部持ち去ってしまった。これはおかしいでしょう。(発言する者あり)いや、渡していないですよ。記者団に対して、昼休み、きょうそういう資料を受け取りましたというだけを言っただけなんです。それが警察本部に伝わったら、約束違反だと言って、全部資料を持っていっちゃった。

 そこで、ちょっと国家公安委員長にお伺いしたいんですが、警察法の第五十条、「警察本部長は、国家公安委員会が道府県公安委員会の同意を得て、任免する。」「道府県公安委員会は、国家公安委員会に対し、警察本部長の懲戒又は罷免に関し必要な勧告をすることができる。」というんですが、こういう、県民から信頼を失ってしまった本部長がそのままでいいんですか。

 私は、前回のとき、言いましたよ。全国の公安委員長を集めて、一度、こういう問題について、県民からの信頼を得るために、事実を明らかにし、そして情報公開しなさいということをしてくださいと申し上げましたよね。電話かなんかでも、何か努力しますという話がありましたが――そんなメモなんか見なくたっていいじゃないですか、この話は。すぐに後ろの人がメモを出す必要はないんだよ。私は国家公安委員長と今話しているんだ。警察庁と公安委員会は違うんだから。

 だから、公安委員長、まず、全国の公安委員会に対して、警察の信頼を回復するために、情報公開、オンブズマンとか市民からの情報公開とかなんかに全面的に協力するように、そして各都道府県本部の警察の信頼を得るためには、まさに事実の解明と情報公開以外にないんだ、そういうことを指示するために、全国の公安委員長を呼んでの指示を出してくれませんか。

小野国務大臣 議員御存じだと思いますけれども、ホームページで大方、私どもの情報公開というのは現実に行われております。

 先ほど御質問のありましたように、各公安委員会に連絡をしたのかという点でございますけれども、それは北海道の公安委員長、それから福岡の公安委員長、それから静岡の、静岡は代行ですね、その三名の方とお話し合いをいたしました。

 今議員御質問の件でございますけれども、これは捜査上の支障を十分に配慮をして、宮城県警察は知事部局との間で幾つかの申し合わせをしたわけです。その申し合わせをした上でお渡しをしたにもかかわらず、真摯にそれを対応していただけなかったということの中で、結果として、県側がその申し合わせを守らなかったことにより、先生がさっきおっしゃったような事態になったということでございます。

 お互いの約束事があったということ、それを守らずに行われたということでございますので、それは私自身も報告を受けて聞きまして、了解をしたわけでございます。

大畠委員 国家公安委員長はどっちの立場なんですか。警察本部長の立場になっているんじゃない。あなたは、少なくとも、地域の公安委員会あるいは市民の立場に立つんですよ。今の話は全く、本部長の話を聞いて、知事から話を聞きましたか。

小野国務大臣 その知事というのは……(大畠委員「浅野知事」と呼ぶ)それは聞いておりません。

 ただし、先生、私は、どっちの立場というよりも、物事の中には、約束事があった場合にはその約束事を守るという、この原点を破った場合には、どちらが悪いかと言われても、それは破った方が悪いと申し上げたいと思います。

大畠委員 それは一般論ですが、しかし、あなたの立場というのは、警察の信頼を回復することが目的ですよ。(小野国務大臣「当然です」と呼ぶ)そうでしょう。

 今、この宮城県警本部長の行動というのは不信を買いましたよ、これは。約束がどうのこうの。県民に対して、何だろう。知事に一たん出した、そして、知事が昼休み退席しているうちに、昼休みのうちに書類を持っていっちゃった。一般市民としては、何だろうと思いますよ。そんな常識論だけでは済まない話です。

 そういう意味では、公安委員長、私は、今の姿勢では本当に情けないね。国家公安委員長なのか、よくわからない。

小野国務大臣 先生、この議論に関しましては、通常、公にしない名簿をお見せするということの中における約束事があったわけでございます。その約束事を守らないということに関しては、今後の警察活動に支障を来すということにおいて、それは守らない方は引かざるを得ないというのは、私は、これはどちらの立場に立つということ以上に、まずは約束は守るべきである、そこを申し上げているわけでございます。(発言する者あり)

大畠委員 そのとおりだね。シュレッダーかけちゃった人はどうなるの。あなたの指示したこと、約束を守っていないんだよ。どっちの立場に立つの。(発言する者あり)わからなかったじゃないよ。国家公安委員会で決めて、指令を出した。それを守らなかった。約束を守っていないじゃない。

 あなたは、自分の指令は約束を守らなくてもいい、こっちの方はちゃんと約束を守りなさい。そんなあいまいな、国家公安委員長としての目的を見失っては困りますよ。

 時間ですが、警察庁長官、今のようなやりとりの中で、宮城県警の警察本部長のこの対応で、県民の信頼を回復できると思いますか。どういう指令を出されるのか、それをお伺いして、質問を終わります。

佐藤政府参考人 今お尋ねの問題につきましては、これは、その件におけるいきさつがございまして、現在係属をしている訴訟に関する問題でございます。そして、その訴訟の被告に知事がなっておられる。その被告という立場で知事として確認しておきたいことがあるということで、異例の措置を県警本部長としてはとろうということに相なったように聞いております。

 その過程で、先ほど大臣が申し上げましたような約束事があったということでございますので、私どもは、それを、そういう経過にかんがみますと、やむを得なかった措置かなと思っております。

大畠委員 ぜひ、警察庁長官、警察官を志したときの初心を忘れないで、警察の信頼を回復するために全力を挙げていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

山本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、共産党の穀田です。

 初めに、一昨日、参院決算委員会で私どもの党の宮本議員が質問した、長官とサラ金大手の武富士との関係について質問したいと思います。

 これは、一九九二年、長官が警視庁刑事部長当時のことです。武富士の元渉外部長だった藤川氏が起こした民事裁判の陳述で明らかにしたことだが、藤川氏は、同社の個人情報が漏えいした問題で刑事告訴をするために、九二年十二月、警視庁刑事部長だった長官と面談した。この席に、亡くなりましたけれども、当時武富士顧問だった福田元警視総監が同席したと言っている。

 藤川氏が裁判で提出した陳述書にはこう書いています。「当時、渉外部長であった私は、」藤川氏のことです「平成四年十二月、福田氏と同行して警視庁の佐藤刑事部長と直接面談し、その時福田氏が手ぶらでは行けないので、昇任祝いということで武井会長から預かった背広仕立券を福田氏が佐藤刑事部長に渡しました。」と。これは、報酬請求にかかわる裁判所提出の陳述書、九七年の十月三十日です。

 もう一つ別な裁判も彼はやっているんです、名誉毀損のことでやっているんですけれども。そのときにも、「佐藤刑事部長と面談することになり英国屋(額面五十万円)の仕立券一枚を用意し、」中略します「佐藤刑事部長と福田元総監、藤川の三人で会い、どこの部署で取り扱うのかを相談しました。」こう言っておられる。

 長官にお聞きしますけれども、五十万円の背広仕立券を受け取りましたか。

佐藤政府参考人 私は、もちろん受け取っておりませんし、今御指摘のあった会社から何かをいただいたということもございません。

穀田委員 受け取っていない、会社からも頼まれたことはないと。(佐藤政府参考人「いや、物を受け取ったことは」と呼ぶ)物を受け取ったことはない。

 では、当時、武富士の顧客の情報の漏えい事件については知っていますよね。

佐藤政府参考人 当時とおっしゃるのがいつの時期かちょっと判然といたしませんけれども、顧客の漏えいに関する捜査に入ったのは昨年ではなかったかなと思います。恐らく、その当時は、その問題は、私はそういう問題があったということは記憶にはございません。

穀田委員 いや、当時、この事案を扱っていたのは、警視庁の捜査二課が扱っていたはずです。ですから、その辺はいかがでしたか。

佐藤政府参考人 最終的にどこで扱ったかというのは、ちょっと私も記憶はございませんけれども、あの当時は、たしか京都の地方にあります土地をめぐる紛議がございまして、そして、その土地に関して事件が内在しているかもしれないということで捜査をしていたということはございます。

穀田委員 それじゃ、そういうことだということで、結局、長官は、先ほど、この問題で物をもらったことはない、こう言っているわけだけれども、では、武富士の関係者とこの顧客情報漏えい問題でお会いになったことはありませんか。

佐藤政府参考人 その顧客漏えい問題というのはどういうことを指しているのか、ちょっと判然といたしませんけれども、少なくとも、それらを含めて私は相談を受けたことは、先ほど御指摘にあった、恐らく私が申し上げた土地に関することであったんだろうと思いますけれども、私は、福田さんが見えたのは記憶にありますけれども、もう一方については記憶がありませんし、そのときに話になったのはその土地の問題であったろう。それを切り出されたような記憶はございませんが。あとのこと、その余の問題について相談にあずかった、ないしはお尋ねをいただいたということはございません。

穀田委員 すると、福田さんがいたことはわかっていると。もう一人が、もう一つよくわからぬということですな。

佐藤政府参考人 福田さんは私どもの先輩ですので、これはよくわかっております。私、恐らくお一人じゃなかったかなと思います、私が部屋でお会いしたのは。そして、その土地の問題はとうとう切り出さずに行かれたような記憶でございます。したがって、私、何を相談されたのかよくわからないというのがあの当時の実情でございました。

穀田委員 けったいな話やねと私思いますわ。つまり、最初はもう一方いたんじゃないかという話で、今度はいないんじゃないかと。あやふやだということだけ指摘しておきたいと思うんですね。

 というのは、相手は、相手というのは藤川氏は、裁判をやっているわけですよね。そこで、九二年当時の話としてわざわざ二回も別の裁判で陳述をして、それ自身は、その二つの内容は藤川氏の方が勝訴しているんですよね。そこの中で陳述書をそれぞれ出しているわけですけれども、その中にわざわざ二回も触れられている。しかも、名前も言い、お仕立て券も言い、片っ方には額面も言いということになっているぐらい、彼の方が鮮明なのに、あなたの方はもう一つ、福田さんだけはおったけれども、最初は一人、もう一人おったかな、次はいなかったんじゃないかなと。

 こんな時期柄で、そういう問題になっているときというのに、私はいかがなものかなというふうにだけ言っておきたいと思うんです。仕方ないですよ、時期が違うんだから、事実認識が違うんだから。ただ、そういう事実については、相手はそう言っているということにしておきたいと思うんです。

佐藤政府参考人 今御指摘のお話を私が耳にしたのは、昨年ある本が出版されまして、その本の中で初めて、えっと思ったわけです。したがって、平成四年から平成十五年までの間、このことについて私は仄聞したことがございませんでした。

 そして、その本の中には、その著者はまた別の、今お話のあった人物の証言を引いておりまして、実は、自分は物のやりとりをしたところを見てはいないんだという証言を法廷でしたやに本には書いてございました。それで、私、ああ、やはりそうだったのかなと思った次第でございます。

穀田委員 そのとおりです。よく覚えていらっしゃるじゃないですか。微妙なんですよ。極めて微妙なところなんですけれども、実は、本人は渡したということはないということを言っているので、渡した話を、自分は見たわけでないという話をしているだけで、その内容を訂正しているわけじゃないんですよ。そこだけは、あわせて言っておきたいと思います、せっかくですから。いやいや、せっかくですから、それは、僕の質問ですから、僕はそういうことだけ言っておきたい、あなたがおっしゃるから。

 そこで次に、裏金問題について、せっかく初めて出席しておられるので、先ほど来出ていた問題について少し質問をしたいと思うんです。

 私は、先ほども大畠さんからありましたけれども、今回の裏金づくりが大きな問題になってきたのが、道警の原田元方面本部長の告発だと思うんですね。原田氏はこのときの心境をいろいろ述べておられる点、見はったと思うんです。

 彼は、昔の仲間からも裏切り者としてのそしりを受ける覚悟をしながら、裏金問題でこのまま道警の信頼が失われていく中で、現場の警察官やその家族の人はさぞ肩身の狭い思いをしているのではないでしょうか、一日も早く現場の警察官が誇りを持って仕事ができるようになってもらいたい、こうおっしゃっている。

 つまり、告発したところの問題の中心は、何とかこれを直さなくちゃ大変なことになる、直してこそ初めて誇りが持てるんだということで告発していると思うんですよね。この思いについて長官は、率直に言ってどのように受けとめられますか。

佐藤政府参考人 私は、直接あるいは間接にも話を彼から伺ってはおりませんので、その心境についてははかりかねますけれども、先ほどもちょっと御答弁を申し上げたことでございますけれども、問題は、その話された内容が事実なのかどうか、そして、もし事実だとした場合にそれを警察としてどう受けとめるか、受けとめるべきかということであろうと思います。

 そして、現在は、そのお話の中身については真摯にそれを受けとめて調査しなければならない、そういう内容のものであるということで、北海道警が今組織を挙げて調査をしているということでございます。

穀田委員 まあ、あれやね、血が通わなあきませんね、こういう問題というのは。私、思うんです。

 つまり、これほどの方面本部長が出したというのは珍しいですよね。今までもっと、それは内部告発もいろいろありましたで。しかし、これほどの幹部が、ずっとやってきたということまで言った。しかも、私かて直接会うてまへんで。それはまだ長官の方が会える期間はあったかもしれぬけれども、しかし、この問題で何が当たっているかぐらい、それは知ってはるでしょう。私もそれを知っているから、なるほどなと思っただけで。もちろん、事実かどうかということについて確かめるのは、それはそうです。だけれども、そういう問題をあえて言わざるを得なかった心境について、お互いに思いやるぐらいのことはあるんじゃないかなと私は思ったんです。なかなかこれは大変やなと思いました。

 それで、警察の裏金づくりというのは二十年前から指摘されてきて、この間のこの委員会におけるやりとりは長官見ていらっしゃると思うんですが、私どもの吉井議員も何度も指摘していますように、例の、一九八四年、元警視監の松橋氏の著書「わが罪はつねにわが前にあり」で、空出張さらにはやみ手当が全国の警察組織でやられているということを初めて告発した。

 今回も、松橋氏が指摘したように、北海道警に続いて静岡、福岡、さらに疑惑とされているのは愛知それから宮崎、長崎、熊本、警視庁、高知と、次々と裏金づくりの内情が告発されています。メディアでいいますと、こういうふうに書いています。「北海道、静岡ときて福岡でも捜査費の流用を警察が認める。他でもあると見るのが常識でしょ。」ということを四月二十一日のある新聞は報じています。

 私は、この記事は、一般国民のそういう常識としては普通だと思うんですけれども、こういう思いというのは長官は、一般国民がそういうふうに思っていることも否定なさいますか。その辺はいかがですか。

佐藤政府参考人 今御指摘のようなことが指摘され、報ぜられておりまして、それが警察に対して信頼を揺るがせているであろう、私もそのように認識をいたしております。そういうことでございますから、私としては、この問題について、こういうことが生じないようにということで、過去におきましても、逐次、システムの改善でありますとか、意識の改革でありますとかを行ってまいりました。特に、平成十二年の警察刷新会議の提言を受けまして以降、さらにきめ細かく、いろいろな措置をとってまいりました。そして、今日、この問題が指摘をされまして、もう将来にわたって絶対これは起き得ない、どうやっても起き得ない、そういうことにしようと思って取り組んでおりますし、現在はそういうことはないと信じておりますけれども、そういうことで、将来に向けて、我々は、現在指摘されている問題をそのためにも受けとめて、しっかり解明をし、改善策を図っていかなければならない、そのように思っております。

穀田委員 長官、もうお出になるということですけれども、私、きょうも午前中の参考人質疑でもあったんですけれども、三つのことが必要だと思うんですよ。

 本当にこれは底の底まで徹底して洗う、究明するということとあわせて、国民監視の目にさらさない限りだめなんですよ、これは。その意味で、徹底した情報公開、この二つを言ってはりました。私は、もう一つやはり大事なのは、普通の会社だって同じなんですよ。どこだってそういうことはあり得るんですよ。その場合に、どうしたらそれを、今お話にあったように絶対と、こういう場合、どこの目にさらすかというと、内部じゃなくて第三者の目にさらすということ以外に、普通の会社でだってあり得ないんですよ。そのことだけ、したがって第三者機関のそういうチェックが必要なんだということだけ申し上げて、どうぞ御退席いただきたいと思っています。

 そこで、私、きょうの参考人の質疑のときにも発言しました、またこれは官房長の吉村さんが答えるんでしょうけれども、これまでの、幾つかの警察が中間報告を出しているのを見ました。三月五日、静岡県警、三月十二日、旭川中央署の中間報告、それから、四月六日にも出ています。そして、四月二十日にも出ています。これは吉井議員が指摘したことなんですが、これらの報告を見ますと、特徴があるんですね。

 一つは、不正を認めるのは、資料があって、これはしゃあないなという部分なんですよ。二つ目は、一貫して出ているんだけれども、福岡なんかの場合を見ていると、金額は出てこないんだが、ともかく私的流用はないんだということを言うんですね。だから、裏金に使われた、私的にやられたということを徹底して否定する、こういう特徴があるんですよ。三つ目は、先ほど来お話がありましたように、それは参考人質疑でもあったように、その人の責任になっているんですね。ひどいのになると、告発をした人の責任だみたいな話になっているということは、まあ情けない話です。したがって、責任を下部の警察官に押しつけている。

 こういう点の中間報告で国民は納得しているというふうにお思いなのか。警察庁、ぜひお答えいただきたい。

吉村政府参考人 揚げ足をとるようで申しわけないんですが、福岡の中間報告におきましては、当事者は私的流用はないと言っておりますけれども、県警としての取りまとめ分には私的流用の有無については触れておりません。この部分は、したがって、判で押したように全部同じような中間報告が出ているのではないかということについては、いささか様相を異にするものではないかというふうに思っております。

 従前大臣からもお話がありましたように、あくまで中間の報告でありますから、全貌をきちんと解明して、その原因なり、だれが本当の責任を実質的に負うべきなのかということについては、これから早急に解明をしていくべきであろうというふうに思っております。

 加えて、個別の北海道、静岡、福岡と出ているわけでありますけれども、ことしの五月から警察庁の会計監査をきちんと全都道府県に対してやろうということで実施するようにしておりますので、これは、会計監査は十五年度分をまず見るということになりますが、必要があればずっと前にさかのぼって抽出をして監査するということになりますので、決して、何か言われたからそこだけやってお茶を濁しているというわけでもないということについても御理解をいただきたいと思います。

穀田委員 そういうふうに言うだろうと思って、先ほどちらっと福岡県警の場合は額と言ったんだけれどもね。そういうこともあろうかと思って少し違う、色をつけたつもりでしたけれども、なかなかわかっていただけないな。

 しかし、私が言ったのは、国民は納得していると思うかという話をしているんですね。そう言いましたよね。僕は、国民の話は出ずに、そういうふうにして、いろいろやっていますよ、さらに会計監査も十何年度とかやるという話であって、およそ国民が納得しているか納得していないかという話についてはなかったと思うんです。問題はそこなんですよ。

 国民が、おかしいなと思っている、もう一つやなと思っているところにみんながこたえていないわけなんですね。例えば、読者の声欄だとか、それから社説なんかでいいますと必ず出てきているというのが私は重要じゃないかなと思っています。

 例えば、具体的な角度で聞きますけれども、例の斎藤氏の在任中だけに不正があるということの報告がありましたけれども、福岡でも告発した庶務係長が問題だということなんだけれども、では、ここのところを僕は長官に聞きたかったんですけれども、結局これだと、にせの領収書は書かされるわ、それから裏金はつくらされるわ、その上責任だけはとらされる。こういうやり方で、今度は現場の第一線で懸命に働いている警官が納得するやろうか。

 さっきは国民が納得するやろうかと聞いたんです。今回は、警官はそういうことでよっしゃというふうに思っているやろうかという点はいかがでしょうか。

吉村政府参考人 最初のお尋ねの国民の納得というのは、なかなか、一般的に国民とはどういう方かというのがありますので、私どもとしては、警察活動全般としてまさに国民の御理解と御協力、そのために警察に対する信頼がないときちんとした警察活動は進めていけないと思いますから、国民のまさに納得を得られるようにいろいろな諸施策を講じ、また事実関係を究明していきたいと思います。

 弟子屈についても、重ねてになりますけれども、中間報告で、はっきり当時の次長を、全く無関係ではありません、彼はいろいろ関与しております。ただ、事柄の性格上、一体その真相の本来責任を実質的に負うべきはだれなのかということについては今まさにやっておりまして、北海道警として、これはそんなに遠くない時期に一応の結論は出ようかと思いますので、まさにそれは北海道の警察官あるいは全国の警察官の納得の得られるような結論にならなければ、これはおかしいと思います。

穀田委員 そこで、なぜ私最初に国民と言ったかといいますと、告発した原田元方面本部長は、道警の中間報告について次のように言っているんですね。組織防衛優先の旧態依然とした報告だ。現場の責任と言わんばかりの内容で、警察官はますます肩身の狭い思いをし、やる気をなくす。道民が真実と受けとめない限り、道警の信頼回復はない。こう言っている。

 私が言っているのは、国民の信頼というものを、要するに、今度は真実だなということが一番肝心なポイントだ。つまり、これで究明されたな、これは本当だなというふうにわかることが国民の納得だと思うんですよ。そこを私言っているわけですね。だから、かまかけているわけじゃなくて、そういうことが大事なんだ。

 しかも、そのことが、今お話ししたように、告発した方面本部長自身が、いわば組織防衛というやり方になっているんじゃないか、そして、警察官はますます肩身の狭い思いをしているぜ、こういうふうなことがあるので言っているんですね。

 そこで、では一般の新聞は、これらの方々の問題についてどう報道をしているかということも少し述べておきたいと思うんです。

 福岡の場合はどう言っているかというと、刑事部の捜査員は、架空の情報提供者に対する精算書は何十年前から書き続けてきた、それをとがめる雰囲気は職場になく、犯罪を取り締まる我々が不正になれ切っていたと厳しく批判をした。みずからの浄化作用でなく、内部告発で認めざるを得なくなったということが情けないと肩を落とした。こうお話ししているのも報道されています。

 つまり、私が言っているのは、確かに、今国民と、それから一線部隊の人たちというのは、これを解決し、真実であって究明したということの報道、そういうことの報告をしっかりなされることが、最終的にはそういう確信なり信頼をかち取ることだというふうに思って指摘したいと思うんです。

 そこで、直近の中間報告として、福岡県警が出している問題についてだけ、時間の関係上、最後、聞きたいと思うんです。

 九五年から九九年にかけて捜査費の不正経理で約六千六百万の裏金をつくったという、福岡県警銃器対策課庶務係長のOBが告発したものですけれども、中間報告だが、県警の会計課は関与していたかどうかについてはいかがでしょうか。この辺の一連の関係だけ、最後、質問しておきたいと思います。

吉村政府参考人 平成十年の四月から平成十一年の七月の間での福岡県警の銃器対策課における国費の捜査費と県費の捜査報償費につきましては、もう委員御承知かと思いますけれども、不適正な執行が認められたということを中間報告では述べております。

 この中間報告の内容といたしましては、福岡県警の会計課についての言及はございません。それは最終的な全体像が明らかになる中で明らかになっていくものと思います。

穀田委員 これだけ質問したのは、これに絞って質問したのは、これはわけがありまして、告発者はいろいろなことを言っているんですけれども、会計課から各課に予算配分される際に一定額が天引きされたと。これは、何といっても、県警ぐるみか組織ぐるみかという核心中の核心じゃないかと私は思うんですね。ですから、まずここを調査すべきではないか、ここのポイントじゃないかと思って私は見ているんですが、その辺はいかがですか。

吉村政府参考人 お尋ねは、基本経費にかかわる部分かと思いますけれども、それは十分念頭に置いて調査をしております。

穀田委員 私は、その点で最後に、では指摘だけしておきます。

 この報道によりますと、県警調査チームには会計課が入っているというふうに私は聞いています。こうなりますと、やはり調査する側のところに調査される側が入っているというんじゃ、何のこっちゃということで、もちろんそれはいろいろな言い方があるでしょう、この調査のときにはこれを省きますという人がいるのかもしれないけれども、私はこれはとても大事な点だと思うんです。

 会計課の捜査費天引き疑惑でも、県警は、元警部が公表した書類の同課の内部資料のコピーと認めているんですね、それはやっているんです。今後調査を尽くすと言うにとどめています。今もお話ありましたように、これは徹底して調査してもらわなくちゃなりませんけれども、今私言いましたように、会計課は、ある意味では調査チームの中心だ。だから、これでは内部調査の限界だと言われても仕方がない側面がある。

 私は、この点が今後非常に重要な点になるだろうということだけ指摘して、時間ですので質問を終わります。

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、内閣提出、警備業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小野国家公安委員会委員長。

    ―――――――――――――

 警備業法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小野国務大臣 ただいま議題となりました警備業法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 警備業は、国民の自主防犯活動を補完または代行する重要な役割を果たしております。

 近年の治安情勢の深刻化を受けて、警備業に対する需要が増大するとともに、その社会的影響も大きなものとなってきており、警備業務の適正な実施に対する要請が強まっております。

 このような状況を踏まえ、警備業をより信頼されるものとするため、警備員の知識及び能力を向上させるとともに、警備業務の依頼者の保護を図っていく必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一は、警備員の知識及び能力の向上を図るための規定の整備についてであります。

 その一は、警備業者は、営業所ごとに、当該営業所において取り扱う警備業務の区分に応じ、警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けている者から警備員指導教育責任者を選任しなければならないこととするものであります。

 その二は、都道府県公安委員会による、警備員指導教育責任者に選任されている者に対する定期的な講習の制度を導入することとするものであります。

 その三は、警備業者は、社会の安全上重要な一定の種別の警備業務については、一定の基準に従い当該警備業務に係る検定の合格証明書の交付を受けている警備員を配置して警備業務を実施しなければならないこととするものであります。

 その四は、都道府県公安委員会は警備員等の検定を行うものとするほか、登録講習機関における講習会の課程を修了した者について、当該課程に係る検定の学科試験または実技試験を免除することができることとするものであります。

 第二は、警備業務の依頼者を保護するための規定の整備についてであります。

 その一は、警備業者は、警備業務を行う契約を締結しようとするときは、その概要について記載した書面を、また、警備業務を行う契約を締結したときは、契約内容を明らかにする書面を警備業務の依頼者に交付しなければならないこととするものであります。

 その二は、警備業者は、警備業務の依頼者等からの苦情の適切な解決に努めなければならないこととするものであります。

 その他、罰則の見直し等所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律の施行日は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十三分散会


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